衆議院

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第6号 平成25年4月25日(木曜日)

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平成二十五年四月二十五日(木曜日)

    午後二時三十分開議

 出席委員

   委員長 後藤田正純君

   理事 あかま二郎君 理事 伊藤信太郎君

   理事 小里 泰弘君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 黄川田 徹君

   理事 椎木  保君 理事 高木美智代君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大久保三代君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      菅家 一郎君    菅野さちこ君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      桜井  宏君    島田 佳和君

      鈴木 憲和君    高橋ひなこ君

      津島  淳君    冨樫 博之君

      中川 俊直君    根本 幸典君

      橋本 英教君    宮川 典子君

      宮崎 政久君    山下 貴司君

      山田 美樹君    安住  淳君

      郡  和子君    階   猛君

      吉田  泉君    足立 康史君

      小熊 慎司君    三木 圭恵君

      村岡 敏英君    石田 祝稔君

      中野 洋昌君    柿沢 未途君

      林  宙紀君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   復興副大臣        谷  公一君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      坂本 哲志君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    秋野 公造君

   会計検査院事務総局第二局長            藤崎 健一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     上田  健君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  宮島 守男君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            岡崎 淳一君

   政府参考人

   (林野庁次長)      篠田 幸昌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     日原 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     宮川 典子君

  瀬戸 隆一君     宮崎 政久君

  藤原  崇君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     小倉 將信君

  宮崎 政久君     山下 貴司君

  山田 美樹君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     小泉進次郎君

  根本 幸典君     藤原  崇君

  山下 貴司君     瀬戸 隆一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

後藤田委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、復興庁統括官上田健君、総務省行政評価局長宮島守男君、文部科学省研究振興局長吉田大輔君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、厚生労働省職業安定局長岡崎淳一君、林野庁次長篠田幸昌君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官日原洋文君、国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、国土交通省鉄道局長滝口敬二君、国土交通省港湾局長山縣宣彦君、環境省大臣官房審議官奥主喜美君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長藤崎健一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿沢未途君。

柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。

 この三年半ほどの間で二百八十回ほどの国会質問を行わせていただいてきましたが、本当のことを言うと、トップバッターをやるのはもしかしたら初めてかもしれません。大変なれないことで緊張しておりますが、お許しをいただければというふうに思います。

 きょうは、復興特の一般質疑ということであります。そもそも復興とは一体何かということをお伺いしたいと思います。

 復興基本法第三条、国の責務として、「二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示す」、このように書かれております。だからこそ、私たちは、例えば地域主権型道州制、地域のことは地域で決める、そのための権限も財源も国から移譲する、それこそが二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿だ、それを東北の被災地から指し示す、だからこそ復興庁は被災地に置かなければならないんだ、こういうことを申し上げてきました。

 結局、それは実現しておりません。被災自治体は、霞が関への予算陳情を相も変わらず強いられており、また、国がおろす復興交付金の使い勝手の悪さを相も変わらず嘆いているわけであります。

 加えて、復興基本法第二条、「復興のための施策の推進により、新たな地域社会の構築がなされるとともに、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと。この場合において、行政の内外の知見が集約され、その活用がされるべきこと。」このように重ねてございます。

 復興を通じて二十一世紀の日本の姿を指し示すんだ、こういう理念にあふれているわけでありますけれども、政府の行っている復興施策は、この基本理念に果たして合致したものになっているんでしょうか。大臣にお伺いいたします。

根本国務大臣 今、柿沢委員からお話ありましたように、復興基本法第二条第一号、復興のための施策の推進により、新たな地域社会の構築がなされること、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと、行政の内外の知見が集約され、その活用がされるべきこと、この復興基本法に基本理念が高々とうたわれております。

 私は、今、それぞれの地域でさまざまな復興計画あるいは復興の方針が示されておりますが、この基本理念を踏まえて、それぞれの地域で取り組まれているものと思います。

 復興は、単なる復旧にとどまらないで、未来を見据えた復興が必要だと私も思います。例えば、今、各地域でも、幾つか例を挙げますと、ハード、ソフトの施策を組み合わせた多重防御による津波防災まちづくり、あるいは再生可能エネルギーの利用促進、あるいは先端的な農業技術を駆使した大規模農業の実証研究、あるいは高品質な農産物生産、こういうものがあります。

 有識者や被災県知事によって構成されている復興推進委員会、けさもやりましたが、この復興推進委員会においては、新しい東北を創造しようということで、地域での具体的な取り組みや経済活性化などを通じて未来社会のモデルとなるようなものを打ち出していきたいということで、今、調査審議をしております。

 委員おっしゃるように、これからの東北の復興に当たっては、私も、これからの日本のモデルになるような、元気で健やかな子供の成長、あるいは高齢者標準による豊かな高齢化社会、いろいろなテーマがあると思いますが、日本のモデルになるような構想、そして具体的な取り組み、これを推進していくべきだし、いきたいと思っております。

柿沢委員 本当にそうなっているんでしょうか。

 仙台市で、先日、予算委員会の地方公聴会をやりました。そこで、私がお招きをしたんですが、建築家の針生承一さんという方が、十メートルのコンクリートの防潮堤で閉ざされた海の見えない漁村というのは果たして安全なのか、こういう問いが投げかけられました。

 例えば、気仙沼に気仙沼大島がありますが、これは、十二メーターの津波が襲ったので、突端部は十一・八メーター、そして七から十二メーターぐらいの堤防が島全体をぐるりと囲むかのような、こんな計画になっております。地元の人に言わせれば、これでは刑務所の塀に閉ざされたようだ、そんな状況になってしまう、このような声も上がっているところです。

 今回の津波で破堤した堤防は、総延長でいうと二百キロぐらいになるんじゃないかとも言われていて、仮に一メーター五百万円かかるとすれば、建築費だけで、単純計算で一兆円費やすことにもなるわけです。しかも、このコンクリートの防潮堤の命というのは永遠ではない。絶えず海水にさらされる鉄筋コンクリートづくりの防潮堤、これは一千年に一度の災害まで、一千年後まで耐え得るものではないと思います。

 その耐用年数は、一般的に考えて大体どのぐらいのものになるか、お伺いをしたいと思います。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 防潮堤を初め、防波堤や岸壁等の鉄筋コンクリート構造物の設計におきましては、設計供用期間というものを定めて設計することになってございますが、それは一般的に五十年ということとなってございます。ただし、施設管理者が適切に維持管理を行うことによりまして、五十年以降も施設としての機能を発揮し続けることは十分可能だというふうに考えてございます。

 以上です。

柿沢委員 つまり、五十年たったら基本的にはまたつくり直さなきゃいけない、こういうものなわけですよね。

 さらに、それが仮に完成したとしても、三・一一のような津波が襲った場合は破堤、溢水をしてしまうので堤防はない、こういう前提で対策を立てるように、こういうふうに例えば宮城県は指示しています。平成二十三年十月、沿岸における海岸堤防高さの設定について、こういう宮城県の文書があります。つまり、この防潮堤をつくっても、三・一一規模の津波が押し寄せてくれば結局防げないので、堤防は破堤をするという前提で避難計画、防災計画を立てなさい、こういうことであります。

 だとすると、防潮堤というのは何のためにつくるんでしょうか。お伺いしたいと思います。

根本国務大臣 今回の東日本大震災を踏まえて、防潮堤などのハードに依存した防災対策では不十分であった、こういう現状分析、認識があるわけですね。

 今後の津波対策としては、要は二点ありますが、一つは、避難を中心にハードとソフトの両面から対策を行う最大クラスの津波、今委員がおっしゃられた一千年に一度あるいは五百年に一度の津波、それと、ハードを中心に対策を行う発生頻度の高い津波の二つのレベルの津波を想定して対応するとしております。

 現在の防潮堤の整備は、比較的発生頻度の高い津波等において背後地の浸水を防ぐ、これを目的としております。

 また、委員が今おっしゃられた最大クラスの津波、これについては、津波が防潮堤を越流することが想定され、この場合に、住民の避難時間の確保や第二波以降の被害軽減、このために、防潮堤を少しでも壊れにくい構造とする、レジリエント、粘り強い構造とするとともに、津波が越流して破堤した場合も想定して、避難路や避難施設の整備により人命を守るということとしております。

 いずれにしても、今後の防波堤の整備、防潮堤の整備、関係機関と連携を図りながら、早期完成が図れるように支援してまいりたいと思います。

柿沢委員 これが、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこととされている復興の姿なんでしょうか。

 このような復興計画がいかにしてつくられたか。既に、平成二十三年十一月二十九日の復興特と国土交通委員会で私自身取り上げさせていただいていますが、国土交通省は、早い段階から、室長クラスの幹部職員を、三人チームで被災地に派遣をして、被災地の六十二市町村を回らせて、さらに民間のコンサルにも委託をして、復興計画の策定支援なることを行っています。まさに、国交省が隣に座って、箸の上げおろしまで指南をして、そうやってできたのが被災自治体の復興計画というふうにも言えるんではないかと思います。

 さらに、関係省庁の連絡調整会議の事務局も国交省がつかさどっている。公共事業官庁である国交省が中心になって、こうした復興計画の立案、策定を進めていくと、どうしてもハード偏重の施策になってしまうんではないか、そのとき私は懸念を申し上げておきました。そういうふうにはならないんだ、ハード、ソフト両面なんだ、今、根本大臣がおっしゃったのと全く同じ御答弁をいただきました。

 しかし、今や、復興予算の枠は二十五兆円に積み増されて、被災地では執行できないほどの復興関連の公共事業が山積みになっている。そして、五十年たてば耐用年数が来てしまうような防潮堤を三陸海岸沿岸に一兆円近くかけて張りめぐらせようとしている。これは、私が言ったとおりになっているんではないかというふうに思うんです。これが本当に二十一世紀の日本のあるべき姿を目指して行われていることであるのか、私はいささか考え込んでしまいます。

 次に行きたいと思います。

 二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと。

 これは、日本ではなくて、二〇〇五年にハリケーン・カトリーナに襲われたアメリカのニューオーリンズという町があります。ここにおいて、若者の起業支援を行うNPOが目覚ましい成果を上げたとされております。売り上げ百万ドル以下、従業員十人以下のニューオーリンズを拠点に活動する新興企業に絞って二百七十万ドルの資金支援を行った。結果、今や、このニューオーリンズという町は、アメリカの南部有数のベンチャーの集積地になったと言われています。

 注目すべきは、このNPO、アイデアビレッジといいますけれども、その活動は、別にカトリーナからの復興のために始まったわけではないということなんです。ニューオーリンズのあるルイジアナ州というのは、一九八五年から二〇〇〇年の間に、二十二歳から三十五歳の若者の人口が四万人も減少した。まさに、過疎と高齢化の進む、若い人の働く場所のない、東北の今の被災地と同じ状況にあったわけです。

 このニューオーリンズの成功事例を一つのモデルとして、東北の被災地復興における起業支援の仕組みというのを大幅に拡充すべきではないか。場合によっては、若い人たちが、まさに意欲を持って東北の地を目指していく、こういうぐらいの動きをつくり出していくべきではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 私も、委員がおっしゃるとおり、起業支援など、非常に大事だと思います。復興まちづくりとあわせて、新たな雇用機会の創出が重要だと思います。

 今般の被災地においても、さまざまな新しい芽が出ております。例えば、起業家育成のための仕組み、あるいは新たなビジネスということで、一般社団法人が行う場所、資金、人的支援を通じた起業支援や、NPO法人が行う窓口相談、セミナー開催などを通じた起業支援、今現実にこういう動きが起こっております。私は、こういう動きを捉えて支援していくことが必要だと思います。

 こういう動きを促すために、復興庁としては、四月十九日に、企業による復興事業の事例集、これは五十五ほどありますけれども、新たなビジネスの創業の参考となるような事例集を取りまとめて、こういうものをぜひ参考にしてもらいたいと思っております。

 さらに、大企業などの経営資源を被災地の企業と効果的につなげようと、地域復興マッチング「結の場」、これは、大企業に来てもらって地域の地場の企業とマッチングして、具体的なビジネスアイデア、こういう議論をしてもらう、事業拡大の機会を創出してもらうという取り組みをしております。

 引き続いて、起業家の育成を促して、被災地での新たな雇用の創出による復興の加速化にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

柿沢委員 ぜひ成果が上がるようお願いをしたいというふうに思います。

 次に参ります。

 水産特区第一号が先日認定された、こういうニュースがありました。日本の漁業というのは、小規模零細な個人経営の漁業者が中心であり、平均年収も二百五十万。百万円程度、こういう例もあるということでありまして、もうからないせいもあって、高齢化と後継者不足にあえいでいる。

 一方で、これだけ魚を食べる国というのはそうはないわけですので、経営のやり方次第ではもうかる漁業も可能なはずです。現に、ノルウェーの例がよく言われますけれども、平均年収九百万と成功しているわけです。小規模零細の個人経営の漁業者が九六%を占める日本のようなやり方でなくて、会社組織にして、個別漁獲割り当てをして資源管理しながら漁価を守っているわけです。

 水産特区、漁協の反対が非常に強いようですけれども、とれない、売れない、安い、だからやりたい人が出てこない、この日本の漁業の抱える悪循環から抜け出すためには、私はこれしかないのではないかというふうにも思います。反対している漁協そのものが例えば株式会社になって、漁業者に給料を支払う形になってもいいというふうにすら思います。

 被災地における漁業について、こうした会社組織、そして経営の大規模化、こういうことによって漁業者の所得増加を目指していくべきではないかと思いますが、御見解を伺います。

江藤副大臣 委員の御指摘は、私は間違ってはいないと思いますよ。

 しかし、総理大臣の認定を受けました特区を、その過程をずっと私は見てまいりましたけれども、どこにカキの養殖の棚を立てるかで、参入される方と在来型でやっていきたい方との間に大変な綱引きがあったわけですよ。

 やはり、農民にとって農地が命であるように、漁場は漁師の命ですから、それを全て株式会社の自由に任せるというのはなかなか難しいと思います。

 しかし、今ファンド法もできました。ファンドという形をつくってそれに漁協が参加するという形もあるでしょうし、六次化ということもあるでしょう。ファンドをつくって、とって、加工して、流通して、販売する、そういう形での株式会社参入もあると思いますが、それを国が主導して、零細をとにかく一からげにして株式会社化していくんだという方向性を出すというのは、今は無理があると私は考えております。

柿沢委員 次へ行きます。

 震災瓦れき。東北三県、災害廃棄物発生推計量、これは震災直後の二〇一一年六月とことし二月を比較すると、三県で平均で大体二五%減少している、こういうことが言われています。その一方で、被災三県では、震災瓦れきの処理のために仮設の焼却炉を猛烈な勢いでつくってきたわけです。

 例えば気仙沼は、小泉と階上の二つの地区に仮設の焼却炉を、震災から二年近くたった去年の十二月とことし一月に相次いで完成をしています。かかったお金は五百億円近いと言われています。ところが、焼却を始めた途端、これは役割を終えたということで、ことし九月にはこの焼却炉の撤去を開始するというんですね。何なんだそれは、こんな声が地元からも上がっています。

 先日も、震災瓦れきの広域処理の受け入れを約束しただけで、受け入れてもいない自治体に百七十億円補助金が交付されていた、こんなことがニュースになっていますけれども、結果として、震災瓦れきの処理のためにつくられた仮設の焼却炉というのは、三県でどのぐらいあって、どのぐらいの予算が現時点で総額として投じられているのか、お伺いをしたいと思います。

秋野大臣政務官 災害廃棄物を処理するための仮設焼却炉ですけれども、岩手県に二基、宮城県に二十九基、福島県に三基、合計三十四基を設置させていただきまして、それぞれに要した費用ですけれども、岩手県が約三十二億円、宮城県が約八百二十七億円、福島県が約三十七億円ということで、三県合計八百九十六億円となってございます。

柿沢委員 先ほど申し上げたとおり、この仮設の焼却炉というのは、設置されて一年足らずで撤去が開始をされてしまう、こんな状況にもなっているようであります。状況からしてやむを得なかった、こういう説明もあると思いますけれども、ある意味では、つくった途端にスクラップ、こういうことになってしまうわけでありまして、こうしたことも含めて、ここまでさまざまなトピック、限られた時間の中でお尋ねをしてまいりましたけれども、私の目から見て、これが二十一世紀の日本のあるべき姿を目指して行われる復興事業の姿というふうにはとても感じられないものがあると思っております。

 そうしたことを継続的に見ていくのが私たちの役割だと思いますので、今後も、こうした機会を与えられれば、このような質疑を行ってまいりたいと思っております。

 終わります。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、先ほどの発言とは全く逆の立場で質問を、水産特区の問題で一問、大臣に伺います。

 復興庁は二十三日、宮城県が申請していた水産業復興特区の計画を認定しました。地元漁協は、拙速で憤りを覚える、浜の漁師の声をもっと聞いてほしかったと述べております。もともと、紛争回避や資源管理など、浜の秩序を維持するために歴史的につくられてきた漁業法の特例でありますから、当然、こうした意見は尊重されるべきと考えます。

 復興庁としてどのような審査を行ったのか、大臣に伺います。

根本国務大臣 宮城県から申請のあった漁業法の特例に関する復興推進計画、これにつきましては、認定に必要な三つの要件、すなわち、復興特別区域基本方針に適合するものであること、二点目、当該復興推進計画の実施が当該復興推進計画の区域における復興の円滑かつ迅速な推進と当該復興推進計画の区域の活力の再生に寄与するものであると認められること、三点目、円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること、この三つの要件を満たすものと認められ、農林水産大臣の同意も得られたので、二十三日に認定したところであります。

 この復興推進計画については、昨年秋以降、宮城復興局、復興庁が宮城県と意見交換や計画の事前調整を行ってきたほか、宮城県漁協や桃浦かき生産者合同会社などの関係者が集まった地域協議会へのオブザーバーとしての参加や、あるいは職員の現地派遣などを通じて収集した情報などをもとに、認定基準を満たすと判断したものであります。

 被災地の漁業の復興のためには、県などの行政、地域の漁業者が一体となった取り組みが必要であると考えております。関係者それぞれの思いがあって簡単ではないことは理解しておりますが、国としても引き続き宮城の水産業の復興をサポートしていくので、地域一体となった取り組みをぜひお願いしたいと考えているところであります。

高橋(千)委員 やはり農水省がいろいろかかわってきたということが今の説明にあったと思うんですが、復興庁自身はほとんど農水省の見解を追認しただけではないか。大臣は、もちろん漁協とお会いになったということで、会見で述べているのも拝見をしていますけれども、復興庁自身が審議をしたということであれば、申請を受けてから一週間程度の、判断の基準はなかったわけで、そこは全然今の答弁にはにじんでいないと思います。

 私は、特区法には、全体が被災者の要望に応えるものとして、法案自体には賛成をしました。しかし、漁業法の特例を削除する修正案を出しました。さすがに賛同はいただけなかったんですけれども、全漁連の強い要望もあったり、各党各会派の皆さんの賛同をいただいて、この趣旨が附帯決議に盛り込まれたと思っております。隣に谷先生もいらっしゃるので、よく御存じだと思います。

 その決議の第一に、「地域の漁業者などが一体となった取組に国が十分な支援策を講ずることが基本であること」、これを踏まえた上で、「国は浜全体の資源・漁場の管理に責任を持ち、万全を期した措置を講ずること。」このように書いています。つまり、国が主語なのであります。

 既に桃浦地区の法人は漁協に加入をして三月からカキ養殖を始めており、何の問題もありません。一方、合同会社に参加せず頑張っている漁業者も同じ地域にいるわけです。石巻市も意見書で、震災からの復興に向け、漁村のコミュニティーを守り、生業の維持や海面の総合的利用に支障がないようにしていただきたい、このように要望しています。ですから、国の責任、これから非常に重いと思いますけれども、大臣、もう一言お願いできますか。

根本国務大臣 繰り返しになりますが、今回の認定については、三つの要件、これを満たすかどうか、そこがポイントで、そこは農林水産大臣の同意も得られたので、二十三日に認定しました。

 それから、この復興推進計画、先ほど答弁申し上げましたが、昨年秋以降、宮城復興局、復興庁が宮城県と意見交換、あるいは計画の事前調整、これをずっとやってきましたから、その積み重ねの上で、認定基準を満たすと判断したものであります。

 いずれにしても、これから国としても引き続き宮城の水産業の復興をサポートしていきますし、地域一体となった取り組みをお願いしたいと考えております。

高橋(千)委員 我々が質問したときに、基準があるからそう簡単ではないのだ、厳密にやるんだというのが農水省の答弁だったんです。だけれども、それでも心配が残るという趣旨がさっき紹介した決議に込められました。そこに対する答えがないから、私は繰り返し質問したんです。でも、同じ答弁なので、もう一度指摘をして、次に行きますから。

 国が主語になっているんですね。宮城県全体のと大臣おっしゃいましたけれども、やはり、同じ地域に、合同会社とそうではない漁業者がいるんだ、そこで秩序を乱さずにコミュニティーを守っていきたいというのがみんなの思いなんですから、そこに国が責任を果たすべきだということで、しっかりと見ていただきたい、場合によっては撤退も含めて決断をしていただきたい、ここは要望して、きょうは指摘にとどめたいと思います。

 次に、きょうは、東北メディカル・メガバンク構想について質問します。

 東北大学と岩手医大の連携で、宮城、岩手の被災地住民を対象に、健康調査、それから十五万人規模のゲノムデータでバイオバンクを構築して、個別、オーダーメード医療を目指すというわけであります。

 二〇一〇年六月に閣議決定された新成長戦略で示された、ライフイノベーションによる健康大国の実現、この中で、ゲノム解析を組み込んだ新しいコホート研究の推進が提言されたと承知をしています。

 そこで、こうしたゲノムコホート研究やオーダーメード医療などは、震災があるなしにかかわらず、政府の成長戦略に位置づけられていくものという理解でよろしいでしょうか。内閣府に。

山際大臣政務官 今、ゲノム研究の話であったと思いますが、もちろん、今、産業競争力会議の中で、健康長寿社会の実現に向けて何が成長戦略になるのか、これは、新たな戦略市場の創出であったり産業競争力強化に資するかどうかという観点から議論しているわけでございますけれども、そういう文脈の中では、ゲノム研究というのも広い意味では入ってくるかもしれませんが、委員が今御指摘になられました東北メディカル・メガバンクに関して、具体的なものとして、今活発に議論されているわけではございません。

高橋(千)委員 済みません。ですから、質問は、メディカル・メガバンク構想の前段として、このゲノムコホート研究などが成長戦略の、民主党政権のときでしたけれども議論がありましたよねということを確認して、今後も当然そういうことが位置づけられていくんですよねと聞いただけですので、成長戦略は六月を目途としているんでしょうから、メガバンクがということで聞いたわけではございません。そういう意味です。

山際大臣政務官 そういう意味では、広い意味では入っていると思います。

高橋(千)委員 そういうことなんです。いきなりメガバンクの話になるわけがないですよね。

 昨年八月の日本学術会議、「ヒト生命情報統合研究の拠点構築」ということで、大規模コホート研究という提言が出されておりますけれども、先進諸国においても数十万規模の大規模なコホート研究が実施されている。それで、日本では、さまざまあるんだけれども、規模、内容においても不十分だということで、百万人規模のバイオバンクの構築を提言しております。ですから、そういう文脈で、やはり大規模なコホート研究、バイオ研究が必要だと思っていたところに震災が来た、そういうイメージも持たれるわけです。

 それで、なぜ被災者をその対象とするのか伺います。簡潔に。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 この東北メディカル・メガバンク計画は、平成二十三年六月に開催されました東日本大震災復興構想会議におきまして、村井宮城県知事からの提言を受けまして、被災地を対象とした事業として、平成二十三年度から開始をしたものでございます。

 この事業におきましては、被災地域を対象とした健康調査を実施し、住民の健康不安を解消するとともに、意欲の高い医療関係人材の派遣を通じて地域に貢献することを目的としております。また、住民からいただきました生体試料を用いましたゲノム解析研究を行うことで、東北発の次世代医療の実現を目指しております。

 これらの取り組みを通じて、東北の復興に貢献していく、こういったものでございます。

 事業実施に当たりましては、これまでも、実施主体でございます東北大学などが、被災地の住民はもとより、県、市町村、医師会、病院などに対しまして計画の説明などを行ってきているところであります。

 今後とも、被災地の皆様の御理解と御協力を丁寧に得ながら事業を進める、こういったことにしております。

高橋(千)委員 なぜ被災者を対象とするのかという質問に対して、具体的にお答えがなかったと思います。

 資料の二枚目に、今紹介がありました二〇一一年六月のイノベーション会議に、東北大学がメガバンク構想として提出した資料の一部をつけておきました。

 それで、沿岸部の地域をイメージして、父、母、本人と、二歳、三カ月の子供、兄弟などといって、要するに、医療過疎化が進行しており慢性的に医師不足である、沿岸地域は三世代同居家族が多い、人口の移動が比較的少ないという特徴を書いています。

 ですから、まれである、要するに、三世代がそろって、しかも移動がなく、ずっと同じところに暮らしているというのは、サンプルとしてはもう絶好のといえばあれですけれども、そういう動機があったということが、説明があったと思うんですね。

 だけれども、コホート研究というのは、基本的には健常者を相手に行う研究のはずであります。被災者の健康不安に応えるということと遺伝子研究とはリンクする必要はない。むしろ、もしそういう研究をやりたいのであれば、平時の、被災地ではないところで実施するべきではないでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 東北メディカル・メガバンク計画では、被災地域を対象とした健康調査を行うことによりまして、被災地住民の健康不安を解消するということをその目的の大きな要素としております。

 ゲノム研究につきましては、健常人のコホートというのが今回の東北メディカル・メガバンクでございますけれども、そのほかにも、疾患のコホートといったものもございます。そういった健常人のコホートとそれから疾患のコホート、こういうあたりを密接に結びつけていきながら、次世代の医療を考えていくわけでございますけれども、東北メディカル・メガバンクの場合には、まさに、その地域での医師の不足などを、このメディカル・メガバンクの計画の中で、医師派遣制度などを通じてそこの部分の手当てをしながら、その機会に、住民の理解を得てコホート研究もさせていただく、こういうことで組み立てておるものでございます。

高橋(千)委員 検討会の中でも、やはり健常者ではないという前提から考えなくちゃいけない、そこで、さっき言ったように、健康診断と遺伝子のコホート研究というのがあって、健診の結果を本人に返すという形で介入があると、やはりそれは影響があるだろうと。

 つまり、当たり前だと思うんですよね。疾患というのは、遺伝子だけではなくて、環境とかさまざまな要素があるんだということはもう当たり前のことで、まして被災地だからそれは当然考えなくちゃいけないということで、やはりそこは分けてやるべきだということは重ねて指摘をしたいと思うんです。

 これが宮城で大きな問題になっているのは、それはショックドクトリンだ、要するに惨事便乗型じゃないかという指摘があるんです。健診データとカルテ情報の集積、あるいは、五年後にまたゲノム情報を再取得して個人の情報に確実に統合する、かつ、長期に保存するということは、非常に困難な事業であり、もちろん日本では初めての事業であります。

 現在審議中のマイナンバーとのリンクも当然考えているということですね。

吉田政府参考人 東北メディカル・メガバンク計画では、平成二十八年度までに十五万人規模のゲノム情報を含めたバイオバンクを構築することとしております。

 本計画で収集しました個人情報につきましては、東北大学内で万全のセキュリティーを講じつつ管理しておりまして、その利用に当たっては連結可能匿名化の処理をしており、健診データやカルテ情報と五年後のデータを突合することは可能でございます。

 御指摘のマイナンバー法案との関係でございますけれども、ただいま国会において審議をされておられるかと思いますが、現時点では、これは社会保障、税制、災害対策等の行政分野での利用を想定しておられるということでございまして、この東北メディカル・メガバンクとの対応については、当面想定をしていないところでございます。

高橋(千)委員 決まらないうちに想定しているとは答えられないと思うんですね。

 だけれども、さっき紹介した学術会議の中にも、検討会の中にも、あるいは、メガバンク機構長である山本氏が各雑誌のインタビューなどに答えても、当然これの活用が必要だとおっしゃっている。当然それを念頭に置いているんだろうということなんですね。

 そこで、時間がないのでちょっと質問を飛ばしますけれども、メディカル・メガバンク計画の全体計画は、「生体試料、データ、成果の共有と公開」という項目で、あらゆるチャネルを通し、研究コミュニティーに限らず原則として広く公開する、生体試料は限りのある貴重な資源であることから、さまざまな活用法について十分に時間をかけて検討するとあります。

 これは、検討会の中ではもっとはっきり言っていまして、民間とか国内外へ広く分配していく、このようなことを言っているわけです。

 情報の活用は、どこまで、どの範囲で考えているのか、伺います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 東北メディカル・メガバンク計画におきまして収集いたしました試料、情報、それから得られた研究成果は、次世代医療の実現を目指す研究者に適切に提供することによりまして、疾患の原因となります環境要因、これは生活習慣などでございます、それから遺伝的な要因を特定する研究開発を促進いたしまして、将来的に、病気の早期の診断や副作用の低減、将来なりやすい病気の予測などにつなげていくことを期待しておるわけでございます。

 本事業では、事業に参画いただいた方から御提供いただいた試料、情報につきましては、創薬メーカーなどを含めまして外部の研究機関から利用申請があった場合には、その研究機関の実態、あるいは申請されている研究計画、情報の取り扱い体制などにつきまして、東北大学と岩手医科大学が共同で設置をいたします試料・情報分譲審査委員会というところで厳正な審査を経た上で提供するかどうかを決定する、こういった仕組みを講じているところでございます。

高橋(千)委員 ですから、創薬メーカーも含めて、当然将来の利用を検討しているというお答えだったと思うんです。ですから、そこの問題なんですよね。

 個人の同意はどこまでとるんですか。将来のことはわからないわけですよね。だから包括同意じゃなきゃだめなんだと、東北大学のメガバンク検討会の中でそういう発言があるわけですよね。

 今回は、ヒトゲノム倫理指針の中で、そこの部分が、結局、将来も含めて同意できるという形で包括同意になっている、そういうふうな理解でよろしいですか。

吉田政府参考人 御本人からの同意のとり方でございますけれども、東北メディカル・メガバンク計画では、住民の方々から生体試料の提供をいただく際には、本事業や研究の目的、あるいは生体試料や個人情報の管理方法、解析結果から得られた成果の取り扱い、外部研究機関への試料、情報の分譲の取り扱いなどにつきまして、文書を用いまして丁寧に御説明をし、御本人の同意を得るという形になっております。

 包括同意というお話がございましたけれども、ここのところは、何でも使っても構わないという形での同意のとり方ではなくて、将来利用されることが予想されております方法について、それを明確に文書で示した上で同意をとる、こういった方法をとっております。

高橋(千)委員 ことし四月からその倫理指針が改定されたんですね。その中で、前文にあった、ユネスコのヒトゲノムと人権に関する世界宣言が削除されました。「あらゆる場合において、当事者から事前の、自由意志による、説明に基づく同意を得なければならない。」こう書いているんですね。ここは削除をされて、結局、何に使うかわからないんだけれども、将来的なものを含める同意になってしまった。やはりこれは、面倒でもきちんと説明をしなきゃいけない、一つ一つしなきゃいけないという精神が、それほどヒトゲノムというのは大切なものなんだ、人類の遺産なんだという出発点からあるものですので、そこを絶対ないがしろにしてはならないと思います。

 そこで、もう時間がないので指摘にとどめたいと思うんですが、その前文の中に、改定後も残されているものが、こういう表現があります。「世界医師会によるヘルシンキ宣言等に示された倫理規範を踏まえ、」という文章であります。

 ヘルシンキ宣言、一九六四年、人を対象とする医学研究の倫理的原則ですが、これは、「不利な立場または脆弱な人々あるいは地域社会を対象とする医学研究は、研究がその集団または地域の健康上の必要性と優先事項に応えるものであり、かつその集団または地域が研究結果から利益を得る可能性がある場合に限り正当化される。」ナチスの人体実験の反省から出発したという宣言だと聞いています。

 私は、ここに、最初に読み上げた、不利な立場または脆弱な人々、地域、これが今の被災地を指すのではないか。そういうときにやはりやるべきではないんだということ。全部、ゲノムコホートを否定しているわけではありません。でも、最初に言ったように、正常な形でやるべきだということを指摘したい。

 最初の資料にあるように、宮城も岩手も、被災医療機関、まだ大変残っています。廃止が、岩手二十、宮城八十一という形で、非常に大きく影響がありました。

 ですから、メガバンクとセットで医師派遣をするんだとか、地域医療に貢献するんだというようなやり方ではなくて、今やるべきことは、地域医療の再生そのものに人と金を使うべきだということを指摘して、終わりたいと思います。

後藤田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 実は、今、NHKの朝の連続ドラマで「あまちゃん」というのをやっておりまして、私の地元の久慈が舞台でございます。大変おもしろい展開で、視聴率も大変いいようであります。非常に人も来て、土曜、日曜、祝日は、車の規制をして、公共交通で市の中心部から運搬するというようなことも行われております。

 これを見ていると、画面になると大変いいなと思ったんですが、東北あるいは被災地には大変すばらしい資源があるなと改めて私は思いました。この地域資源を活用するというのがやはり、前から私もそういう意識ですが、必要だろうと思います。

 この地域資源を活用して、これは、物産でも観光でも産業でもいいんですけれども、しっかりと地域の復興をやっていく。

 これまでどうしても、被災地の復興は、被害者というか被災者でかわいそうなんだ、助けてあげなければいけないという感じだったと思いますが、いや、そうじゃないんだ、自立もして頑張っていくし、いいものを生かしてどんどんいい東北をつくっていこうと。今、やはり地域資源をしっかりと生かして打って出る、そういうことも考える時期に来ていると私は思います。

 そういうことを見ますときに、東北のよさを広く知らしめて、そしてそれを支援するような仕組み、内発的で自立的な発展を促して、これを国が支えていくような仕組みが大事だと思うんですが、その点についての施策を含めたコメントを大臣からいただきたいと思います。

根本国務大臣 東北にはさまざまな地域資源がありますから、私も委員のおっしゃるとおりだと思います。

 今我々がやっているのは、これからの東北の大震災からの復興、これにおいては、単なる最低限の生活再建にとどまることなく、創造と可能性の地としての新しい東北をつくり上げたい、こう思っております。そのため、現在、復興推進委員会において、五つの柱を中心に、新しい東北を創造するための具体的な対策を検討しております。

 その中で、委員がおっしゃるように、東北に豊かに存在する地域資源の活用、これは地域社会の自立的な発展に効果的でありますし、委員がおっしゃるように、内発的、自立的な可能性ですから、この取り組みを促進する必要があると思います。

 例えば農業については、先月視察した福島県における地域ぐるみでのブランド野菜の生産や、あるいは水産業については、漁協や水産加工場における水産物の衛生管理の高度化、こういうものを初めとする将来を見据えた取り組みを広げていくことが必要だと思います。

 このような観点から、高い発信力を持った地域資源を活用する社会、これも推進委員会の柱の一つとして検討しておりまして、農家などからヒアリングなども行っておりますが、これらの取り組みをぜひ支援していきたいと思います。

畑委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 地域のPRをするわけではないですが、あれを見ておると、例えば久慈だと全国唯一のこはくの産地だし、あるいは、三陸のワカメというのは日本の六、七割でしたか、シェアを占めております。例えば、いろいろ言って済みませんが、漆なんというのも、輪島漆は有名ですが、実は、岩手県の内陸で浄法寺という地域の漆がありまして、京都の有名なお寺の修復に使われているということもあって、いいものはあるんですが、東北人は奥ゆかしくてPRが下手なのか、こういうのが十分足らない部分がありますが、自信は持っておりますので、単に支えてあげるというんじゃなくて、こういうやる気のある自立的なところを押し上げていただいて、誇りある東北をつくっていければと思っておりますので、その点の御支援をぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 実は、山田町のNPO問題、これは、取り上げた議員もおられますし、私も一回取り上げましたけれども、山田町が緊急雇用創出事業で「大雪りばぁねっと。」というNPOに委託をして事業を行っているということで、昨年末に事業予算を使い切って、払えなくなって、そしていろいろな、雇用者を解雇して、これでずさんなお金の使い方が明らかになったということで、町の第三者委員会も最近まで調査をして、報告書が出たところのようであります。

 これについて、山田町は、民事訴訟で、このNPOに対して、補助金が出せない部分というか、返してもらう部分を損害賠償請求する方向だということも聞いております。

 こういうことを見て、不適切な支出はかなりある、あるがゆえに、五億円近くを返せということなんだそうですけれども、大変ずさんな、むちゃくちゃです。緊急雇用創出事業なのに、例えば銭湯みたいなものをつくったとか、車を買ったとか、あるいはどこかに研修旅行という名目で行ったとか、めちゃくちゃだと思って、そういうのを返さなきゃいけないんです。

 そういうばくっとした議論をしていてもあれですが、ここでちょっと私が取り上げたいのは、この事業の中で、人件費の中で、「大雪りばぁねっと。」の理事長だった岡田さんという人ですが、この人の縁者三人が旭川市に住んでいて、復興の際に山田町というか岩手県にいなかったんですが、この三人に対して給与を払っている。給与総額は、二十四年四月から十二月で七百万円余りだそうです。

 これはもちろん返還対象に入っていると思われるわけですが、そもそも勤務実態がないのに、自分の縁者に対してお金をこれぐらい出すということは、これは刑事上の問題も出てくるんじゃないかなと私は思っているわけです。下手をすると、背任なのか業務上横領なのか詐欺なのか、穏当な言い方ではありませんが、こういうことも含めてしっかりとこの事件を検証して、結果をしっかり、正義にかなう後始末をしなければ、復興に巣くうような、こういう問題がうやむやにされてしまうのは、私はやはりよくないと思っております。

 それで、お伺いしますけれども、この三名に対して七百万円ぐらい、勤務実態がない人に出したということであれば、これはやはり刑事上の責任も含めて何らかの責任が理事長の岡田氏にあるのではないかと思うんですが、その点のところをちょっとお答えいただきたいと思います。

丸川大臣政務官 委員御指摘のとおり、先日の山田町の第三者委員会が取りまとめた報告書では、NPO法人「大雪りばぁねっと。」の乱脈経理というものが指摘されておりますけれども、もし契約に反した事実があったとすれば、これは遺憾でございます。

 一般に、事業の受託者は、自治体との委託契約に基づいて適切に事業を実施するべきものと考えておりますが、いずれにしても、この岩手県山田町の事案の事実関係というものは、引き続き岩手県及び山田町で調査中と伺っております。

 NPO法人及び代表理事の岡田氏への責任追及の方法等についても山田町で検討中であるというふうに伺っておりまして、厚生労働省といたしましても、引き続き事態を注視していきたいというふうに考えております。

畑委員 これは、証拠をしっかりそろえなきゃいけないというところで難しさがありますが、勤務実態がないということは明らかなわけなので、ここから取っかかりにして、こういう刑事責任追及も含めて私は突っ込んでいくべきだと思うし、山田町も、やはりこれは損害賠償とともに、その過程で証拠を集めて刑事告発もしたいという意向を持っているようでありますので、厚労省としてもそういう問題意識は持っているということをおっしゃっていただいたと私は理解して、山田町に適切な対処を期待したいと思います。

 実は、これはかなり、契約書からして問題なんですよね。私もちょっと契約書を入手いたしましたが、これは情報公開請求も含めてとれるものなんですが、腑に落ちないところは、当初の契約に、四半期ごとに九〇%の前払い金を請求することができると書いているわけです。四半期ごとだったら常識だと思うんですが、その当初の契約書に、活字じゃなくて、横線でさっさっと削除して、四半期を消しているんですよ。つまり、年間分を前払い請求できると。そして、九割ですが、それが三カ月か四カ月後に、九割の前払いが十割、一〇〇%になるわけですよ。これは、契約のあり方としてもむちゃくちゃだと私は思います。当初に、仕事が終わる前に、全額を前払いできるような形に書きかえてしまっている。これは、町の委員会とかで前町長のときにいろいろ聞いたら、前町長は知らなかったと言っていますが、これもまたむちゃくちゃな話であります。

 いずれにしましても、こういう契約というのはなかなか問題があると思うんですが、この契約のやり方、文字を加筆修正してこんなことをやるということと、全額前払いにするということ、この二点について、契約のあり方としていかがなものなんでしょうか。そこのところをお伺いしたいと思います。

丸川大臣政務官 委員が御指摘いただきましたとおり、この委託契約書については、まず、四半期ごとの請求から一括請求できるように、これは前払いについてですけれども、変更するというもの、それから、事業に係る費用のうち前払いできる金額の割合を九〇%から一〇〇%にするといった変更が随時なされていたというふうに承知をしております。

 こうした契約の変更が山田町の財務規則に従って処理されたものというふうに聞いておりますけれども、事実関係については岩手県及び山田町で調査中でございます。

 いずれにしても、これらによって被災された方々の解雇に至ったとすれば、これは極めて遺憾であるというふうに考えております。

畑委員 山田町の財務規則でこれがいいかどうかは別として、例えば、この緊急雇用創出事業に限らずに、通常の、国が民を相手にしてやる契約で、全額を当初に前払いするという形でやるというのは普通なんでしょうか。ちょっとそこのところ、全体の感覚も含めてお教えいただきたいと思います。

岡崎政府参考人 国のいろいろな契約につきまして、状況によっていろいろなやり方があるかとは思いますが、やはり、それぞれの状況に応じて適切な契約方法を考えてやっていくというのが基本だろうというふうに思っております。

 国全体の状況は私どもちょっと把握していないですが、それぞれの事業がしっかりできるような形での契約というのを考えていくのが基本だというふうに考えております。

畑委員 今のを聞いて、やはり復興が変なところに使われている問題の一端をうかがえた気がいたしました。どこの世界に、全額を始まる前に払うような契約変更をするようなところがあるんでしょうか。そういうところがやはり官僚のコスト意識の甘さだと、私も役人をやっていましたので役人を悪く言うのもなんですが、そういうところだと思います。ちょっと今の答弁は十分じゃないし、私は残念であります。そこは今後しっかりと。

 次の質問に移ります。

 ちょっと前後しますが、前回の質問で、こういうことも含めて、結局どれぐらい不用額とか不適切な額があってこの事業で返還されているのか、そういうことは、額はわからないということだったんですが、これから調べなきゃいけないんじゃないでしょうかということを申し上げました。そこの調査の方針についてお伺いします。

丸川大臣政務官 雇用創出基金事業について、適正な執行を確保することは大変重要なことだと考えておりまして、この不適正事案に対する返還状況等を含めて、雇用創出基金事業の実施状況についての調査を実施していきたいというふうに考えております。

 既にこういう調査に係る事務連絡を発出済みでございまして、今後、調査を進めてまいります。

畑委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 ここで復興大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、今回のこの事件の教訓というのを踏まえて、何が教訓なのかということを総論的にお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 今、何が教訓かというお話がありましたが、少なくとも復興予算、ほかの予算もそうですが、適切な執行が必要である、私は当然のことだと思います。とりわけ国民の税金を財源とする国庫補助金は目的に沿って使用されるべき、これはもう明々白々たる当然のことだと思います。

 これからも、関係自治体にも注意喚起をして、不適切な事案が発生しないように努めてまいりたいと思います。

畑委員 おっしゃるとおり、補助金の使い方をしっかりしなきゃいけない、これはもう大前提の、当たり前のことだと思います。山田町の第三者委員会でもそういうことが書いてあります。

 結局、復興のどさくさというか混乱の中で、しようがなかったんですが、お金をどんとよこして、一〇〇%使えるお金が来たというところでコスト意識が甘くなったところはある。これはこれで、当初としてはやむを得なかったと思いますが、やはり、その後はしっかり検証すべきところがどこかで私は来ると思います。

 行き着くところ、結局、補助金のあり方の問題に、もう構造的に行き着くわけですよ。補助金というのは、どどっと来る。結局、地域のコスト意識を持って使えない部分がある。だから、私たちは、地域の一括交付金なり、地域で自由に使えるお金を、地方で回した方がいい、渡した方がいいと。その場合には、地域の実情に応じて、コスト意識を持って、この範囲でなくなるわけですから、必要なもの、優先度を自分たちで考えて使うということになると思います。そういう議論は、これからも、地域の財政のあり方、お金の、補助金あるいは交付金のあり方で議論しなければいけない部分だと思います。

 いずれにしましても、補助金の不正受給とか、こういう復興をめぐる有象無象の問題があります、いろいろうわさを聞いているのは。やはりどこかでしっかりと検証を、落ちついたころにしなければいけないという問題意識が私はあります。

 そこでお伺いしたいんですが、今後、そういうのをしっかりと調査するとした場合には、行政監察なり会計検査ということになると思うんですが、特に問題なのは、民間主体に対して雇用なり産業育成なり産業支援ということで渡す場合に、どうしてもずさんになっている部分がいろいろ散見されます。そういう分野について、行政監察なり会計検査をやる予定はおありになるのかどうか、お伺いしたいと思います。

宮島政府参考人 総務省行政評価局では、これまで東日本大震災の関連といたしまして実態調査を行いまして、罹災証明書を法的に位置づけることなどを関係府省に勧告いたしました。また、昨年の十二月からは、東日本大震災の教訓を踏まえた国及び地方公共団体における震災対策の推進を目的として、行政評価・監視を実施しておるところであります。

 私どもでは、調査するテーマを盛り込んだ行政評価等プログラムを毎年度定め、これに基づき計画的に実施してきているところではありますが、本日の御議論を踏まえ、今後よく勉強、検討させていただきたいと思います。

藤崎会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院では、従来から、国が直接または間接に補助金等を交付しているものの会計につきまして、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から会計検査を実施してきてございます。

 委員御指摘の、復興のために民間主体に雇用創出名目の支援を行う制度につきましても、補助金の交付を受けた事業主体に対して検査を行うなどして、厳正に検査を実施してまいりたいと考えてございます。

畑委員 済みません、大臣、いろいろあるようですが、あと一問。ちょっと前の人のを見て、私も大臣の質問通告をしておりましたので、最後に済みません、お伺いさせていただきたいと思います。

 会計検査と行政監察は、しっかりとやっていただきたいと思います。引き続きウオッチしてまいりたいと思います。

 最後の質問になりますが、済みません、大臣、質問させていただきます。

 被災地で、店舗などの仮設施設の撤去費用が新たな課題として浮上しております。これは、将来、撤去する場合にかなりお金がかかるわけですが、岩手県全体で数十億にわたる可能性があると言われております。

 端的にお伺いしますけれども、撤去費用の軽減のための支援なり、あるいは、これを有効活用することも含めていろいろな施策が考えられると思うんですが、そこについて、今後の方針をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 市町村から仮設施設の撤去に対する支援を求める声がある、これは私もいろいろ聞いております。ただ、仮に市町村が仮設施設を撤去する場合には、その撤去費用は当該市町村に御負担いただく。これは実は、最初の契約段階でそうなっております。

 復興まちづくりがこれから本格化する中で、復興特区法の特例措置によって仮設施設の存続期間は延長したところでありますが、今後とも、被災事業者の声を踏まえながら、仮設施設の有効な活用のあり方、このあり方を関係省庁とも連携して検討していきたいと思います。

畑委員 大臣、ありがとうございました。抜けていただいて結構でございます。ぎりぎりまで引っ張りまして、どうも恐縮でございます。

 この問題は、言ってみれば、その市町村の負担だと言えばそれまでなんですが、恐らく、仮設の住宅を撤去するときもそういう議論が出てくると思うんですよ。大体、撤去の費用というのはつくった費用の二、三割かかりますから、莫大な、なかなか簡単な費用じゃないわけです。

 これは一番いいのは、確かに、再利用できることですけれども、二年たって、地権者が返せと言うところも出てきている。こういう中で、私は、今後、再利用とともに、財政負担をそういうことで圧縮しながらも、やはりどうしても出せない部分は費用負担を支援するという方向を議論せざるを得ないと思っております。

 そういう問題意識を本日は述べて、また後ほどこれは議論させていただくことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 被災三県の岩手の議員として、この東日本大震災復興特別委員会で質問の機会をいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。

 私は、被災地選出の議員として、実体験を交えて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、非常に有益だと、被災した自治体の市長さんなどからも聞いております、取り崩し型復興基金について伺います。

 ますます個別具体化が進む被災地域の町づくりに応じた住民生活の安定や、地域経済の振興、そして被災事業者の支援に十分活用できるこの基金をもっと追加、拡充するべきではないかと考えますが、政府としてはどのようにお考えなのか、まず伺います。

坂本副大臣 高橋議員におかれましては、先般、達増知事を伴って私の部屋にも来られて、地方の裁量権の拡大、復旧復興に当たっての拡大、そういった要望を受けました。地元の災害復旧復興のために御尽力されておられますことに、心から、まず敬意を表したいと思います。

 お尋ねの件につきまして、復興基金は、地域の実情に応じまして、住民生活の安定やコミュニティーの再生、地域経済の振興や雇用の維持等のきめ細かな事業に有効に活用されているというふうに私たちは理解をいたしております。

 しかしながら、震災発生から二年余りが経過をいたしました。復興に係る具体的な財政需要がだんだんと明らかになってきております。現在、被災団体に対する財政措置としましては、そのような具体的な財政需要に応じた補助制度や震災復興特別交付税措置、復興特交を講じる方向になっております。

 被災団体におかれましては、今後、復興基金がさらに活用された上で、復興基金にふさわしい具体的な財政需要が生じてくるようであれば、さらに被災団体の実情もお伺いしながら、その必要性に応じてさまざまな措置を講じてまいりたいと思っているところであります。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。ぜひそれぞれの被災地に合った、事情を抱えておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、震災復興特別交付税について伺います。

 被災市町村は発災後から今日まで復旧復興に全力で取り組んでいただいていますが、震災の影響により税収が落ち込み、財政状況が非常に厳しくなっています。東日本大震災後に設けられた震災復興特別交付金を引き続き、真に復興が完了するまで継続して交付していただけるのか、お知らせいただきたいと思います。

坂本副大臣 震災の復興特別交付税、いわゆる復興特交につきましては、東日本大震災の復旧復興に係る被災団体の財政負担を解消するために、いわゆる裏負担をなくすために、地方交付税の別枠の措置として、平成二十三年度第三次補正予算において創設をいたしました。

 本年一月二十九日に、復興推進会議におきまして、集中期間、平成二十三年度から平成二十七年度における復旧復興事業の規模と財源について見直しを行いました。この見直しにおきまして、災害復興の特別交付税、いわゆる復興特交の財源確保も図られるということになりました。

 そういうことで、少なくとも平成二十七年度までの間は被災団体の復旧復興に係る財源については所要額を別枠で確保することになりましたので、その財政運営については支障がありませんし、その後についても支障がないよう取り組んでまいりたいと思っております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。その後についても支障がないようにということで、大変この言葉に力強く感じております。復興のスピードは被災のそれぞれの地域によって全く違っています。どうか柔軟に対応していただきますよう、被災の状況によっての違いというのを考えて対応していただきますようお願い申し上げます。

 次に、防潮堤についてお伺いします。

 あの大震災時の大津波は、既存の防潮堤のはるか上を越え、多くの命と家屋を初め、人々が営々として築いてきたものを一瞬にして奪い去ってしまいました。先ほど質疑がありましたので、これはどうしても申し上げなければいけません。防潮堤のあるところとないところでは、本当に被害は違いました。雲泥の差でした。これはどうしても申し上げなければいけないことです。二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、防潮堤の復旧は大変急務です。

 政府におかれましても、被災した防潮堤については災害復旧事業補助金と震災特別交付金を充当することで公共団体の負担は軽減されていますが、無堤区間の整備は通常事業となっているとお聞きしています。無堤区間と復旧工事は同時並行で進めていくためにも、無堤区間も災害復旧事業並みの予算措置が必要ではないでしょうか。政府のお考えをお知らせください。

山縣政府参考人 お答えいたします。

 新たに防御が必要となりました無堤区間の整備ですけれども、既存の海岸堤防がないということもございまして、災害復旧事業の対象とはなっておりません。このため、この区間の整備は、東日本大震災復興特別会計の社会資本整備総合交付金を活用いたしまして、海岸管理者でございます地方公共団体が海岸堤防等の整備を進めているところでございます。

 この交付金の地方負担額についてでございますけれども、震災復興特別交付税によりまして全額措置されることとなっておりますので、実質的には地方負担が生じないこととなってございます。

 私ども国土交通省といたしましては、被災地におけます海岸堤防等の早期完成に向けまして、この交付金を活用し、引き続き支援してまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 これは、各地域の要望に沿って、できれば予算的な同時並行でできる、つまり、こちらは防潮堤があります、ここはないです、後でそこにつくっていくと大変な無駄が生じます。ぜひ同時並行していただきまして、予算の上でも無駄を省いて、そして、本当に、先ほど申し上げましたが、防潮堤のあった地域は、例えば釜石ですと、一階、そこだけ被害があって、上は守られた。ですけれども、防潮堤のないところは、何と基礎さえ残っていない、全てを流された。この違いは本当に大きゅうございます。ぜひこの実体験を踏まえた、今御答弁いただきました防潮堤、そして無堤防、この区域でもしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 さて、次に、復興の町づくりのグランドデザインをするときに欠くことのできないものが鉄道です。まず鉄道の駅が町の中心になり、そこから町の形ができていく、どこの町でもそうなっています。

 そこで、岩手県のJR山田線、大船渡線の復旧についてどのようにお取り組みいただいているのか、国土交通省にお伺いいたします。

滝口政府参考人 委員御指摘のJR山田線それから大船渡線につきましては、国土交通省、復興庁、沿線の自治体、JR東日本などで構成いたします復興調整会議の場において、町づくりと一体となった鉄道復旧の課題について検討を進めております。この復興調整会議は路線ごとに設置されておりまして、JR山田線については五回、また、JR大船渡線につきましてはこれまで四回、開催いたしました。

 このうち、JR山田線につきましては、第五回目の会議を先月の八日に開催いたしました。この会議におきまして、町づくりに伴い必要となるかさ上げの具体的な箇所等につきまして、参加者の間で共通認識が得られつつあるなど、検討が進んできているというふうに認識をいたしております。例えば、JR東日本から原状復旧費用が約百四十億円、また、かさ上げなどを考慮した総事業費が約二百十億円との概算が示されたところでございます。

 このうち、町づくりに伴うかさ上げの費用といった鉄道事業者の事情によらない部分につきましては、国としても必要な措置について検討を行う必要があるのではないかと考えておりまして、現在、関係省庁とも連携して検討を進めているところでございます。

 引き続き、JR山田線、JR大船渡線につきまして、復興調整会議などの場を通じ、関係者間で合意形成が円滑に進むよう努力してまいる所存でございます。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 やはり、JRがある、ないということで全く違いが出てまいります。今のような、かさ上げ部分をしっかりと国が対応できるように考えていきたいというその進みぐあい、本当に、先日、被災地の市長さんから、自公政権になって確実に復興は加速化しているということを、テレビのインタビューの中でお聞きいたしました。この件につきましても早急にお進めいただきますよう、お願いをしたいと思います。

 次に、消費税について伺います。

 消費税は、四―六月期のGDPを見て、ことし十月に安倍総理が、来年四月から八%にするかどうか御判断されることになっています。被災地ではまだ多くの方が仮設住宅に住んでおられ、再建のための土地を取得できるときがこの時期と重なってまいります。

 そこで、復興を加速させるためにも、被災地における消費税率の引き上げに対する一時的な特例措置を考えるべきではないかと思っております。財務省のお考えをお聞かせください。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 東日本大震災からの復興は安倍内閣の最優先課題の一つでございまして、これまでも、住宅ローン減税の特例などさまざまな税制上の手当てや、被災者生活再建支援金、災害復興住宅融資など、さまざまな予算措置を講じてきたところでございます。

 特に、被災地における住宅再建に向けては、平成二十五年度税制改正におきまして、消費税率引き上げに伴う負担増によって被災者の方々の住宅再取得などが滞ることのないように住宅ローン減税を拡充するとともに、住宅の再取得等に係る消費税の負担増加に対応できるように新たな給付措置を講じることとしているところでございます。

 したがいまして、今後とも、復旧復興の状況を踏まえつつ、復興庁を中心に、現場主義を徹底いたしまして、関係省庁と連携しながら、被災地における住宅再建等の課題にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

高橋(ひ)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 実際に、山田町の船越の田の浜地区では、今、埋蔵文化財が出まして、土地の提供のめどが全くつかない、いつ家を建てられるかわからないという状況が起きています。各地で同じような事例が起きております。どうぞ、この消費税に関しまして、またさまざまなところに関しまして、今の力強い御答弁、被災地の方々は本当にありがたいと思っていると思います、引き続きよろしくお願いをいたします。

 私は、発災時、岩手県盛岡にいましたが、沿岸部の被災状況がわかってきた時点から、救援物資の輸送やボランティア団体の受け入れ先のお世話など、週に半分以上は被災地に入り、少しでも被災した方々の手助けができれば、そういう思いで活動してまいりました。

 その中で、多くの方々にお会いをし、お力添えをいただきました。大変な震災だとすぐに被災自治体に寄附をして、ガソリンが足りないと相談をしたところ、ドラム缶千本の寄贈をする段取りをしてくださった宇佐美三郎さん、遠くアメリカから、ハイチに行く予定を変更して日本に来てくれたオール・ハンズ・ボランティアズの皆さん、多大な貢献を被災地にしていただいた方々です。

 しかし、最初に被災地に来られたときは、あらゆることがスムーズにいきませんでした。ガソリン入りのドラム缶を運ぶには消防法の安全規定があり、寒さで震える被災者に届けるのがおくれ、海外のボランティア団体が支援を申し出ても、あらゆるところで受け入れを断られました。

 発災の直後はどこも混乱しているので仕方がなかったのかもしれません。でも、せっかくの支援を無駄にすることがないように、この大変な経験は次に生かされなければいけません。災害が発生したときにすぐに国内外のボランティアの皆さん方の受け入れをすることができる制度づくりを、政府として考えるべきではないかと思います。いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 ボランティアの受け入れ等に関しましては、これまで第一線で御活躍されているボランティアの方々あるいは有識者の方々から成ります防災ボランティア活動検討会というものを毎年開催しておりまして、この中で、ボランティア活動に当たってのさまざまな課題やその対処について意見交換、情報交換をしてきているところでございます。

 その成果としまして、例えばボランティアセンターの立ち上げなど、ボランティアの支援を受けるためのノウハウについてまとめたパンフレットをつくったりとか、あるいは、広域災害において、情報拠点の設置や、それから、需要と供給のマッチングを行うリエゾンの役割等をまとめた広域連携のポイント集をつくったりいたしまして、これを地方団体やボランティア等に配付、周知をして、その啓発を図っているところでございます。

 また、政府の総合図上訓練、あるいは、昨年ですと静岡県で行いました政府の現地対策本部の訓練、ここにボランティアの方、ボランティアコーディネーターの方に御参画をいただきまして、実際、静岡の場合ですと、被害が想定される現地とのやりとりで、どういう情報が必要かといったようなやりとりもさせていただきながら、実践的な連携について積極的な取り組みをさせていただいているところでございます。

 また、今国会に提出させていただいております災害対策基本法の一部改正におきまして、さらに、地方団体あるいは国のボランティアとの連携に関する責務規定も今回新たに盛り込むということで法案を出させていただいておりますが、こういったことも含め、今後さらに一生懸命取り組みを進めてまいりたいと思っております。

高橋(ひ)委員 今、国内外ということを申し上げましたが、海外からのボランティアの場合、例えば飛行機に乗る場合に優先搭乗がないとか、このオール・ハンズ・ボランティアズというのは二年間で四十カ国の困った方々の応援をしたという団体なんですが、日本には全くこれまで入ってきたことがない、そういう方が入ってきたとき、こういうときでもしっかりとした対応をしていただきたい。

 現在のいろいろな政府間でのお話し合いの中では、海外のボランティア団体でも、日本にいる方々を中心に考えていらっしゃるようです。ですので、海外から、困ったというときにいらしてくださる、こういうボランティアについてもしっかりと対応していただける、こういうことも言及していただきますよう、御要望をしておきたいと思います。

 さて、発災後から自民党が政権を取り戻すまでの間、私は議席がありませんでしたが、政治に携わる者の一人としまして、自民党がもしも政権を担っていたらと何度考えたかわかりません。前政権の残した復興のおくれを取り戻すために、我が自由民主党は全力で取り組んでいかなければなりません。

 結びに、阪神・淡路大震災の復興に御努力された谷副大臣に、改めまして、発災後二年一カ月を経た東日本の復興に対する思いをお聞かせいただき、質問を終了させていただきたいと思います。

谷副大臣 私も発災当時は野党でございましたけれども、政府の方も一生懸命頑張っていただいたと思っています。けれども、それが十分であったかということは、また我々自身も他山の石として、それらの教訓を今後に生かさなければならないと思っています。

 昨年末に新しい安倍内閣が誕生し、私も、根本大臣のもとで、とにかく復興を加速化する、福島を再生する、その成果を出す。口だけではない、成果を出すというのが私の仕事だと思っておりますので、さまざまな具体的な取り組みにつきましても、復興加速の取り組みも、二月にタスクフォースを立ち上げ、三月に第一弾、四月に第二弾と取り組みましたが、現場の声を十分聞きながら、現場主義に徹して、復興を加速するために多くの方々、今、委員御指摘のNPOの方々も含めて、全力で頑張ってまいりたいと思います。

後藤田委員長 次に、鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 自由民主党、山形二区の鈴木憲和です。

 きょう、復興特での初めての質問になります。よろしくお願いいたします。

 私の住んでいる山形県ですが、震災によって、地震による直接の被害というのはほとんどありませんでしたが、現実には今、農産物が売れなかったり、あとは観光客が減ってしまったりといった風評被害が多数ある地域です。また、被災地の宮城、福島の隣県ですから、やはり同じ東北の一員として、山形県、県の方にも大変頑張っていただいていて、今現在、九千人を超える方が山形県内に避難をしている。そんな立場から、きょうは質問させていただきたいと思います。

 今、山形から宮城県の方に、復興の仕事でたくさんの建設業の方が出かけていっております。その方々のお話を聞くと、何しろ皆さん口をそろえておっしゃることは、もう生コンが足りないよ、こういう話です。では、何が不足しているのかとよくよく聞いてみると、これは地域によって事情が大分違います。一つは、プラントが足りないというケース、もう一つは、プラントはあるけれども砂が足りないというケース、そしてあとは、人が足りないというケース、これもあるというふうに聞いています。

 来年ですか、三陸沿岸道路など、また大きい、コンクリートを必要とする事業がこれからどんどん進むと思いますが、こういった生コンの需要が高まるという現実を踏まえたときに、もう民間任せにするのではなくて、やはり政府としても積極的に何らかの対応をしなければいけないんじゃないかというふうに私は思いますが、まず、これについて政府の取り組みを伺いたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、被災地では、特に生コンクリート等の一部建設資材の不足及び価格の高騰が生じていたところでございます。

 このため、国土交通省におきましては、これまで、公共工事の発注者、建設業団体、資材団体等との会議を随時開催し、地域ごとに建設資材の需給見通しの共有を図り、関係者に取り組みを促してきたところでございます。

 また、生コンの不足につきましては、委員も御指摘のとおり、骨材、プラント、ストックヤードの不足など、地域によって原因が異なることから、まず、需給見通しの公表による民間プラントの設置促進、あるいはミキサー船の活用など、地域ごとにそれぞれの実情に応じた対策を講じてきたところでございます。

 また、生コンの価格の積算への早期反映、あるいは、設計変更の弾力化による遠隔地からの骨材調達の促進、さらには、コンクリートブロックなどコンクリート製品の活用による生コン需要の抑制、それから、被災地以外の生コン運搬車両の増強などの取り組みを講じてまいりました。

 また、御指摘のとおり、三陸沿岸道路事業につきましては、今後大量にコンクリートを使用することが見込まれることから、国がプラントを設置することによりまして、他の事業に悪影響を与えないような措置を講ずることとしているところでございます。

 また、新たに、国のダム等に堆積した砂を骨材として活用する取り組みを近々始める方向で最終的な詰めを行っているところでございます。

 こうした措置により、ここ最近の生コンの価格につきましては落ちつきを見せているところでございますけれども、引き続き、被災地の復興が加速するよう、各般の御協力を得ながら、生コン等の需給状況を注視しつつ、事業の円滑かつ迅速な施工確保に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。ぜひ、やれることは全て、被災地のためにやっていただきたいと思います。

 次に、一般道について伺いたいと思います。

 私の地域では百十三号線という国道がありまして、新潟から山形を通って宮城に抜けるという国道です。これは、震災の後、太平洋側の道路がなかなか通れないといった状況の中で、物資を運ぶのに大変交通量がふえた道路なんですが、こういった道の整備というのは、実は震災があって初めてその重要性に今回気づいたというようなこともあります。

 建設業の皆さんとお話をすると、今回みたいな急な需要に対してなかなか新規の投資というのができないと。これは、実は、では生コンの新しいプラントを建てられるかという問題もそうだと思います。今後の見通しがしっかりと、安定的に今後も仕事があるんだということが確保されなければ、なかなか民間の建設業者の方で新たな重機を買ったり設備投資をしたり、そういったことが難しいのが今の現実だと思います。

 ただ一方で、我が国は各地に、例えば今も東海地方で土砂崩れがありましたが、災害列島だというふうに思います。日ごろから、災害が起きたときに迅速に命を守るために対応していただけるのは、地域の建設業の方がすぐ出かけられるかどうか、そういう体制があるかどうかが私は大切だというふうに思います。

 やはりそういった意味でいうと、日常から公共事業については安定的な発注を、たくさん量を出すというよりは、安定的に息が長く見込めるように出していくということが、私は防災の観点からも必要だというふうに思います。それによってインフラの整備と、そして、つくったインフラの維持管理をやっていくということが必要だと私は思いますが、これについて、公共事業に対する国のスタンスについて伺いたいと思います。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、まず、我が国は非常に災害が多い脆弱な国土である。巨大地震もございますし、台風や集中豪雨等の災害に備えて、防災、減災対策を計画的に推進する。この中で、今御指摘がございました、一旦災害が起こったら違うルートを選択できる、いわゆるリダンダンシーの確保というのも非常に重要だと思います。

 もう一点、高度成長期に整備したインフラが急速に老朽化するということで、この老朽化対策も非常に重要でございます。それから、何といいましても、不幸にも一旦災害が起こったときには、この応急措置、それから復旧、さらには復興について対応する必要がございます。これら全てにつきまして、現場で重要な事業を担っておりますのは、地域を中心としました建設産業であるということは論をまたないということでございます。

 今、安定的なということがございましたけれども、一方で、この建設産業の状況は、経営悪化だとか、新しい入職者、若者の入職者が非常に少ないということで高齢化しているというような非常に大きな問題を抱えておりますので、我々といたしましては、入札契約制度とか、あと地元の建設業の受注機会の確保、それから必要な予算の確保、そういう総合的な取り組みによって、要するに安定的に持続可能な形で、そういう地域の防災とか安全、安心の確保が安心してできるような体制を構築していくということが重要だと思っております。

 いずれにしても、社会資本整備については真に必要な社会資本整備を進めますが、その際には、十分建設業の健全な発展ということに意を用いながら推進してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、与党自民党もしっかりそういうことを前向きに取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、皆さんにお配りさせていただいた資料のことについて、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 この資料なんですが、先日、私の知人が、夜明け市場という、これはいわき市につくったものなんですが、これを企画した方を連れておみえになりました。この一枚目の写真の一番左側の方がこれを企画された方なんですが、私と一緒で鈴木さんという名前です。彼の実家はいわき市で製氷会社を営んでいて、その事業所は津波で残念ながら流されました。ただ、御家族を含めて皆さん無事だった。

 この鈴木さんという方は私と同世代ですが、その現場を見たときに、復旧復興という言葉は一言で言えるけれども、そのまま町をもとに戻すだけではだめなんじゃないか、こういう強い使命感を持ったそうなんです。やはり、今までどおりに町が戻るだけだと、住んでいる住民としては大変悔しいと。そういうことで、何をやったかというと、震災前から廃れてしまっていたいわきの駅前の商店街をリノベーションして、そして、震災で家を失ったりした飲食店の方々にもう一度入ってもらって商店街をつくり直す、そういうことをやりました。

 これは私もぜひ一度伺わなければいけないなというふうに思っているんですが、今現状は、ここで十一店舗、資料だと今十店舗しかありませんが、十一店舗営業をしていて、実はその中で二店舗は福島県外から来た方だ、こう言って、外からの人にも来ていただいて復興というのをやっていくことが必要なんじゃないかということを彼は言っていました。

 そこで、今現実に避難をされていて、そして仮設住宅に住んでいる方もいる中ですが、これからやはり東北の被災三県が元気になっていくためには、前向きな取り組みも私は政府として応援をしなければいけないというふうに思います。

 この事業については、確認したところ、県や国からも若干援助があってできたということですが、こういう取り組みがこれから特に若い人を中心にして被災地の各地で出てくると思いますが、こういったことに対して、政府として一生懸命応援していただきたいと私は思うんですが、これについて御答弁をお願いします。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 震災によりまして被害を受けた地域で、まさにこれから町の復興が本格化するという状況でございまして、住宅を中心に町づくりを進めているわけでございますが、御指摘のように、町のにぎわい、こういうものを戻すことが重要だというふうに考えておるところでございます。

 商店街でございますけれども、この復旧支援につきましては、これまで、被災地各地に小売店それから飲食店、こういう多様な業種を含みます仮設商店街を早急に整備いたしまして、町のにぎわいの回復に努めてきたところでございます。

 ただ、これからは本格的な復旧復興ということになるわけでございますので、さらに今年度からは中小企業等グループ補助金を拡充いたしまして、商店街の関連の共同店舗、コミュニティー施設、こういった共同施設の新設でございますとかイベントの開催等、被災した商店街に対する本格的な復興支援を開始する予定とさせていただいておるところでございます。

 こういうものを活用していただきまして、今後とも、関係省庁と連携いたしまして復興まちづくりを加速化させるとともに、商業機能の回復、これによります被災地の復興にも復興庁としても取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと存じます。

 以上でございます。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 谷副大臣は宮城の担当かと思いますが、ぜひお出かけいただけたらなというふうに思います。よろしくお願いします。

 次に、今度は、福島県から県外に避難している方に対する支援について伺いたいと思います。

 四月一日現在で、山形県に避難されている方は九千五百四十一名です。そのうち、八千九百八十七人が福島からの方です。この数字は、宮城、福島、岩手の次に避難されている方が多いのが実は山形県だということです。

 その中でも、私の選挙区である米沢市というところがありますが、米沢市が今現在、二千五百五十七人避難者がいます。そのうち、中学生以下の子供の数というのが九百二十人です。ということは、多分ほとんどの家庭の方が小さいお子さんがいて、それで避難をしてきている。

 それで、皆さんと月に一回ぐらい、いろいろなお話を伺いながら私も勉強をしているんですが、その中で、やはり皆さんのお話を伺うと、家族が今離れ離れになって暮らしていますということなんです。例えば、旦那さんは、もともと福島に家もあって仕事もあるわけですから、そこで平日は暮らしていて、週末になると山形に、米沢まで車で来て、そこで家族とともに過ごして、また月曜日になると福島に出かけていく、こういう暮らしをしているのが今の現状です。

 そんな中で、四月二十六日から、これは自主避難の方というふうに言いますが、その方々に対しても、地元に、例えば福島に出かけていくときの高速道路の無料化措置というのを太田大臣の方から発表したと思いますが、これについては、本当に大変地元からは、特に皆さんから感謝の声が上がっている今現状です。

 ただ一方で、そういった子育て中の皆さんにとっては、このまま子育てを山形ですべきなのかどうかといったことに対して、皆さん大変な悩みがあります。

 特にどういったことに悩んでいらっしゃるかというと、今、これは県が借り上げている公営住宅だと思いますが、そういった借り上げについて、平成二十六年三月までは認められているけれども、それ以降についてどうなるかわかりませんと。特に小さいお子さんがいらっしゃる家庭は、一度子育てをある地域で始めるとそこでコミュニティーができますから、なかなかそう簡単に、子供の意見なんかを聞くと、いや、ちょっと帰りたくないとか、そういった現場の声というのがたくさんあります。

 もちろん、それに対して、福島で子育てをされている方もいますから、果たしてそれがいいかどうかということについて実はいろいろな議論が、これは地元でもいろいろな意見があるんです。ただ、現実、今、山形で子育てをしているんだということを踏まえたときには、地域に、そこに住んでいけるかどうかということについて、予算の関係上、その借り上げを延長するというのは一年一年しかできないかもしれませんが、これはできる限り、子供がちょっと大きくなるまではそこで子育てをしていっていいんだよということをやはり政府として言ってあげるのが人情ではないかというふうに私は思いますが、これについて御答弁をお願いします。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 応急仮設住宅の提供期間につきましては、原則二年としておりますが、借り上げ型のいわゆるみなし仮設住宅も含めまして、昨年四月に、国として、一律一年延長し、三年としたところでございます。

 しかしながら、現在の復興状況でございますとか、また地域ごとにその状況は異なってきておりますので、そうしたことに鑑みまして、まず、建設した応急仮設住宅のさらなる延長については、特定非常災害特別措置法に基づきまして、被災地域の実情を踏まえ、被災者のための恒久住宅が不足する場合、被災自治体の御判断で、建築基準法の特定行政庁の許可を得て、一年を超えない期間ごとに延長することができるとしております。

 また、先ほどから御質問いただいております、公営住宅やあるいは民間賃貸住宅などを借り上げておりますいわゆるみなし応急仮設住宅でございますが、この場合も、これに準じて、被災自治体の御判断で提供期間の延長ができる取り扱いとしております。

 これらの点については、今月初めに改めて関係自治体に宛て周知をいたしますとともに、被災者の方々の不安解消のために周知を図っていただきますよう御依頼したところでございます。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 もちろん、何でもかんでも政府の方で支援をできるのかといえば、そうでない部分もあると思いますが、何しろ、ああいった原発事故がなければ避難をしようとかいうふうに思うこともなかったわけですから、そこについてはできる限りの配慮をお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に行きます。

 米沢市というところには、「おいで」という被災者支援センターのそういう窓口があって、そこには福島県の新聞とかさまざまな情報が得られるブースを設置しています。これは市が支援をしながら、そういうブースを設置しています。

 また、私の地域で寒河江市というところがありますが、そこには日曜奉仕団というボランティア団体がありまして、そこで、避難されている方の例えば子育てのちょっとした面倒を見たりとか、あとは、毎月、陸前高田市に泥上げや草刈りなどのボランティアツアーを企画したりして、実施をしています。

 山形の場合は被災地の横ですから、皆さん、隣県に対する関心というのは今大変高い状況にはありますが、こういった被災地の今の現実を知ってもらうための取り組みというのは、特に、これは別に東北だからとかではなくて、例えば東京でも大阪でも、やはり日本国民一人一人が自分のこととして関心を持ち続けてもらうということが私は必要だと思っています。

 こういった取り組みについて、できる限り政府として支援をすべきだというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

谷副大臣 おっしゃるとおり、できる限り、東北だからと、私は兵庫ですけれども、私の選挙区からも、あるいは関西の方からも相当ボランティアの方々が行っています。その中で、さまざまな支援制度を利用してボランティア活動をやっているわけでありますけれども、委員御指摘のとおり、そういう支援も促進するように、しっかりと政府としてもサポートをしてまいりたいと思います。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 これはいつまでかかるものかわかりませんが、できる限り、私も一生懸命、自分も被災地に出かけて現実を知っていくことを努力していきたいというふうに思います。

 最後の質問になります。

 今避難している方に対しては、さまざまな支援の制度があります。例えば、賠償について裁判を起こすのは大変だという方については、裁判外紛争解決手続、ADRというふうに言っていますが、そういった仕組みもあります。

 さまざまな支援の仕組みというのが用意をされているんですが、現実には、知っている人と知らない人とで、これは何でもそうだと思いますが、格差がすごいことになっています。専門家に相談できるのとできないのとで全然対応が違ってくるのは、これは当たり前のことだと思います。ただ、その当事者も、自分で情報をとりにいく努力をすることが、やらなければいけないことだと私は思いますが、一方で、子育てをしながら避難をしてきて、こんなはずじゃなかったのにという思いで皆さん日々暮らしているのも現実です。

 そういった中で、皆さんの声を聞くと何をおっしゃるかというと、一番は行政への不信感なんですね。一番聞く声が、山形の人にはよくしてもらっているけれども、自分の出元である、例えば福島の人と話す機会はほとんどないですとか、国の人と話す機会はほとんどないですとかいうことがよく言われます。もちろん、福島県の皆さんも一生懸命努力されていて、私は大変なことを重々承知しておりますが、そういったときに、これは何が足りないのかなと思えば、今の現状はどうですかということを、まず皆さんに話を聞くということが必要なんだと思います。

 そういったコミュニケーションの機会をできる限り多くつくるべきだというふうに思いますし、そういったことに対して、復興庁としても、限られた人員の中だと思いますが、県外、被災地以外に避難されている人たちに対しても、もう少し私は目を向けていただきたいなというふうに思います。ぜひ、それについて、今までよりももう少しかかわっていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

谷副大臣 委員御指摘のように、ことし四月現在で、福島県から県外に避難されている方が約五万六千人おります。そのうち、御指摘ありましたように、山形県には九千人弱避難されているということでございます。その状況は避難元の市町村が把握しており、それぞれが広報紙などを送るなどの連絡をとっていると思います。

 福島県におきましても、ふるさとふくしま帰還支援事業ということで、同じように広報紙とか地元紙の提供事業を行っていると承知しておりますが、今委員御指摘のように、それがまだ徹底していないということのようでございますので、復興庁としても、県だけではなくて復興庁みずからも、さまざまな広報媒体を使ってそのPRに努めてまいりたいと思います。

 また、委員も現場で回っておられるのでよく御存じかと思いますけれども、行政だけではなかなか徹底しないところがあります。それで、先日も自民党のNPO等の委員会に私も出まして、十団体弱のNPOの方々とさまざまな意見交換をしてまいりましたけれども、そういうNPOの方、あるいは各地の社会福祉協議会、ボランティア、そういう方のお力をかりながら、より充実した取り組みができるように努力してまいりたいと思います。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。ぜひ前向きに、これは与野党関係なく、一生懸命私も頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、現地から寄せられた声をもとに、何点か質問させていただきたいと思います。十五分という短い時間でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、復興庁は四月に、仮設住宅の入居期間を、先ほど厚労省から答弁がありましたが、一年延長して四年間にできることを被災自治体に通知されました。

 今、福島には、四月一日現在で、仮設住宅は一万四千五百五十七戸、入居していらっしゃる方は三万二千百三十二人。また、岩手、宮城も多くいらっしゃるわけで、やはり岩手、宮城につきましてはだんだん減少が始まっている。宮城につきましては、前の調査に比べ四千人、岩手は二千人減り続けている。しかし、福島は四百人しか減っていない。県外から戻っていらっしゃる方も少しふえているとも聞いております。

 しかし一方で、仮設住宅の老朽化ということが今始まっているとも伝えられておりまして、修繕工事も増加傾向にあると聞いております。県は、それに対して一斉点検をするというふうにおっしゃっているようでございますが、いずれにしても、復興住宅の整備を急ぐことが必要であると思っております。

 地元の方たちから、この復興住宅の整備につきまして、そこで生活する被災住民の意向を受けとめたものになるのかどうか、復興住宅そのもののあり方をどのようにするのか、画一的なものではなくて、周辺とのコミュニケーションや機能面に配慮するなど、考えてほしいというお声があります。

 恐らく、こういう質問をしますと、今、参議院でちょうど同じ時刻、審議がされています福島復興特措法の改正案にもかかわってくるかと思います。当然、この特措法では、こうした復興住宅につきましても、生活拠点形成事業計画の作成等を、県知事、避難先市町村長、また当事者の地方公共団体の長が共同して作成できるというふうにしているわけですが、ただ、私は、もう少しここは柔軟な仕組みをどのように考えていくか、また、国がそれにつきましてどのように提供していくのかというところが大事ではないかと思っております。

 こうした住民の方たちの御要望につきまして、国はどのような支援をされるのか、答弁を求めます。

谷副大臣 委員御指摘のとおり、生活拠点形成事業計画に位置づけられる事業を含め、長期避難者の生活拠点の整備などの具体化を図るため、福島県、避難先自治体、また避難元自治体に国を加えて構成される協議の場を設置しているところであります。

 国としては、こういう協議の場を活用して、十分、制度の説明とか活用方法の説明などを行いまして、円滑な計画作成を支援してまいりたいと思います。

 また、御承知のとおり、昨年度、さまざまな住民意向調査をやりました。そういう結果を踏まえて、災害公営住宅の規模、整備箇所などについて検討を進めているところでございまして、今年度もそういう住民意向調査を実施することとしておりますので、そういう意向も踏まえながら、十分、御指摘の、住民の意向が反映できるような生活拠点の整備を進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 その意向調査、大事なポイントであると思っております。どういう医療が必要なのか、また、子育て世帯がどのくらいあるのか、高齢者の方たちの介護の重度化はどのように進んでいるのか、そうした実態がしっかりと浮かび上がるような形でぜひとも調査をしていただきたいと思います。

 また、もう一方で、国のかかわり方につきましては、これまでもさまざまな震災があり、その後コミュニティーが形成されたという全国各地の例もあります。そうした事例も紹介をしながら、ここではこのような特色について成功しているとか、ここはこのようなところが今、声が寄せられているとか、そのようなところも率直に情報提供していただきまして進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。

谷副大臣 御指摘のように、いい事例といいますか、モデルとなるような事例を広く情報共有することは大変大切なことだと思っておりますので、御指摘の点を踏まえて、また検討させていただきたいと思います。

 企業の場合は、企業再生でうまくいった例、先日、五十五の実例ということをまとめました。十分検討してまいりたいと思います。

高木(美)委員 くれぐれも画一的になりませんように、どうぞよろしくお願いいたします。

 二つ目に、三月十日、震災の二年目の前日でございましたが、我が党は東北におきまして復興会議を開催させていただき、担当の国会議員そしてまた東北の全議員が集まりまして、三年目への誓いを新たにいたしました。

 その折、宮城県で開催をいたしましたので、私は、きょう御出席の石田さん、そして多分中野さんも一緒だったかと思いますが、宮城県の蔵王町にその後視察に行かせていただきまして、そこは原木シイタケのほだ場でございます。視察をいたしまして、約一万本、そこに原木が放置されたままになっておりました。

 少しお知りいただきたいと思いますが、この方は、シイタケ栽培歴四十年で、しかも十回にわたり農林水産大臣賞を受賞しているという、優秀な生産農家の方です。ほだ木の保有数は七万本と聞いております。このほだ木の汚染は百五十から二百ベクレル、当然、五十ベクレルが基準値でございますので、撤去しなければなりません。ただ、今後の方針がはっきりしないため、再起をかけて原木を購入することすらできないでいるというお声でございます。

 東電への損害賠償の請求も、JAを通して、その周辺の町、市、全部で九十二戸の農家で行ったけれども、今、受け取ったのは四八・九%の賠償率であった、他の牧草関係の半分しか出ていない状況であると。シイタケ農家は数が少ないので、そこはむしろ手厚くすべきではないか。賠償もおくれている。したがって、今、借り入れをして生活をしているが、早期に支払いがなければ生活は困窮し、生産意欲をも失ってしまう。

 さらに、この方がおっしゃるには、家族経営でやっていらっしゃる、したがって、二、三年、原木を御両親が運ばないとか持たないとかということが続きますと、足腰が弱くなってしまって、今後生産を再開するにも支障が出てしまう、今ぎりぎりのタイミングなんだというお話です。

 今後の生産再開への道筋をどう考えればいいかという、このような状況でございました。今、各省はどのようにお取り組みか、答弁を求めます。

秋野大臣政務官 高木議員には、蔵王町での調査を踏まえましてさまざまなお声を届けてくださいましたことに、心から御礼を申し上げたいと思います。

 私の方からは、この処理をどのように実施していくのかということについて御答弁を申し上げたいと思います。

 そもそもの仕組みから御説明をさせていただきますと、放射性物質による汚染で使えなくなりましたシイタケ原木につきましては、現在把握されている限りにおいて、全て一キログラム当たり八千ベクレル以下ということでして、こういったものは廃棄物処理法に基づきまして市町村が処理をするというのが原則ではありますが、処理が滞っておりまして、平成二十四年度の補正予算におきまして農林業系汚染廃棄物の処理加速化事業を計上させていただきまして、シイタケ原木もこの対象とさせていただいているところであります。

 この事業の地方負担額は震災復興特別交付税で全額措置をさせていただきますので、実質、全額国負担で処理が可能ということでありまして、蔵王町にも御説明をさせていただいたところであります。

 こういった事業を活用させていただきまして、処理の安全性についても市町村や地域住民の方々の理解を得ながら、シイタケ原木の処理をしっかり前に進めてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木(美)委員 その件につきましては、次の質問のところで一緒にまた質問をさせていただきたいと思います。

 今、ガイドラインを策定しているということを林野庁から伺っております。都道府県がガイドラインをもとにチェックシートを作成するという、このような流れも聞いておりますが、その手順を踏むことも重要ですが、それでは、生産者に説明が届くのがどうしても時間がかかってしまうこともあります。

 除染も含めたそのスケジュール感の工程表というものをはっきりと生産者に示していくことも必要ではないかと思いますが、林野庁それから環境省の答弁を求めます。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 栽培管理に関しますガイドラインでございますけれども、こちらは、現在、私どもから関係都府県あるいは関係団体の方に案をお示しいたしております。

 ガイドラインに沿った取り組みを実施する場合の費用につきまして、東京電力との間で損害賠償の考え方を整理しているというところでございます。できる限り早急に整理を終えたいというふうに考えております。

 それから、先生の方から言及をされましたガイドラインのチェックシートでございますけれども、こちらの方のチェックシートにつきましても、現在、都府県の方において作成中であるということでございます。できる限り早期に生産者の方々に届くようにということで私どもも極力指導をしてまいりたいと思いますので、御指導方、引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。

秋野大臣政務官 環境省としても、ほだ場の除染につきまして、作業者によるほだ場の利用目的や利用頻度を踏まえながら、除染の進め方について検討させていただいているところであります。

 今、林野庁からも御答弁がありましたけれども、環境省としても、この林野庁の取り組みを踏まえまして、ほだ場に関する除染関係のQアンドAを早期に作成させていただきたいと考えております。

 林野庁と連携をしながら、ほだ場における除染と復興の両面の観点から取り組みを推進してまいりたいと思います。

高木(美)委員 最後に、汚染された牧草のロールを、私は、蔵王町で、またその周辺で多く拝見しました。野ざらしのためにラップフィルムが破損して、本当に大きなロールなんですが、それがもう崩れ始めて風に舞ったり土に返り始めているという状況で、住民の方たちは二次汚染の危険性を懸念しております。

 そういう状況から、本来はこの処理が早くされるべきであると考えますが、例えば蔵王町でも、汚染牧草が約一千トン、稲わらは一・二トン、これを一日五トン処理しても二年かかる、そういう状況でございまして、先ほど秋野政務官からも、この処理がおくれているという御指摘がありました。

 この周辺の市町村全域のことを考えますと、とてもそれは市町村だけで、また、この蔵王町では、いわゆる広域行政連合で、そこで処理施設を持っているという状況ですので、仮設焼却施設をつくるとか、そういうところから始めなければ間に合わないという状況があります。

 この市町村との話し合い、そしてまたその県との協力というところについては、もうなかなか進まないので、環境省が乗り出して、県と協力して市町村を取りまとめてもらいたい、こういうお声も届いております。対応はいかがでしょうか。

秋野大臣政務官 御指摘のとおりでして、牧草とか稲わらといったものの処理に当たっては、国と関係自治体が協力して取り組むことが重要と私どもも認識をしております。

 この稲わらなどのうち、一キログラム当たり八千ベクレルを超えるものにつきまして指定廃棄物として指定されたものについては、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして国がこの処理を行うこととしておりまして、その処理先を確保すべく、関係自治体と国と意見交換をずっと続けているところであります。

 また、環境省においても、岩手県の一関市におきまして、一キログラム当たり八千ベクレルを超える牧草を既存の焼却施設で生活ごみとあわせて焼却する際の安全性に関する実証事業を実施させていただきまして、こういった成果、または県の働きかけによりまして、岩手県におきましては、八市町で八千ベクレル以下の農林業系廃棄物の焼却が開始をされたところであります。

 先ほど申し上げました農林業系汚染廃棄物の処理加速化事業、これも計上させていただきましたので、こういったことも、関係自治体への説明会や意見交換を行ってまいりたいと思っています。

 この放射性物質を含む廃棄物の処理は、地域住民の御理解を得ることが一番重要なことでありますので、実証事業を通じて得られた科学知見の周知や先行事例の紹介に努めながら、市町村や都道府県と協力して事業を進めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 ぜひとも各市町村とよく連携もとっていただきまして、声もかけていただきまして、県を挟んで、国、そしてそこに市町村があるという、県を通して、当然それは地方行政でございますので必要でございますが、そこのところはやはり、市に対して県と一緒にどうするんだという働きかけも、復興の大事なポイントでございますので、ぜひとも配慮をお願いしたいと思います。その加速化を強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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後藤田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件調査のため、来る五月八日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る五月八日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十五分散会


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