衆議院

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第3号 平成26年11月6日(木曜日)

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平成二十六年十一月六日(木曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 亀岡 偉民君 理事 坂井  学君

   理事 坂本 剛二君 理事 橘 慶一郎君

   理事 土井  亨君 理事 黄川田 徹君

   理事 椎木  保君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      小田原 潔君    大久保三代君

      大西 英男君    勝沼 栄明君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    菅野さちこ君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      今野 智博君    桜井  宏君

      島田 佳和君    白須賀貴樹君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      武部  新君    谷  公一君

      冨樫 博之君    中川 俊直君

      橋本 英教君    前田 一男君

      吉川  赳君    階   猛君

      福田 昭夫君    足立 康史君

      林  宙紀君    村岡 敏英君

      赤羽 一嘉君    中野 洋昌君

      今村 洋史君    杉田 水脈君

      中島 克仁君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   復興副大臣        長島 忠美君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      高木 陽介君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      小里 泰弘君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大庭 誠司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     菱田  一君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福本 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力損害対応総合調整官)   森本 英雄君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    小林 利典君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     青山 周平君

  小林 鷹之君     岩田 和親君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  津島  淳君     穴見 陽一君

  藤原  崇君     前田 一男君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     池田 佳隆君

  穴見 陽一君     武部  新君

  岩田 和親君     小林 鷹之君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  白須賀貴樹君     吉川  赳君

  前田 一男君     大西 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小泉進次郎君

  大西 英男君     神山 佐市君

  武部  新君     津島  淳君

  吉川  赳君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     藤原  崇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大庭誠司君、内閣府大臣官房審議官山本哲也君、内閣府政策統括官日原洋文君、復興庁統括官岡本全勝君、復興庁統括官菱田一君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、厚生労働省大臣官房審議官福本浩樹君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、資源エネルギー庁原子力損害対応総合調整官森本英雄君、中小企業庁次長小林利典君、国土交通省鉄道局長藤田耕三君、国土交通省自動車局長田端浩君、環境省大臣官房審議官高橋康夫君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君及び原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたい、こう思います。

 まずもって、内閣が改造になりまして、新たに竹下さんを復興大臣としてお迎えすることとなりました。内閣は、引き続き復興の加速化を最重要課題の一つとして位置づけておるようであります。

 そこで、竹下大臣、内閣にはさまざまな大臣がおられるわけでありますけれども、この復興大臣を引き受けたというその思いを、どのようなものか、お尋ねいたしたいと思います。

竹下国務大臣 おはようございます。本日はよろしくお願いを申し上げます。

 また、黄川田先生には、質問をされる立場と同時に、被災をされて、今日もまだ避難住宅の方で生活をしていらっしゃるというふうに伺っております。御苦労を御拝察申し上げるとともに、まさにそうした厳しい状況に置かれている方々に寄り添う形で私たちは復興をなし遂げていかなければならない、こう考えておるところでございます。

 安倍総理から、復興大臣を命ずる、こう言われましたときに私が一番感じましたことは、最初は、ふと思ったのは、何で被災地の出身でない私にその役が回ってきたのかなということも感じました。

 しかし一方で、私自身、田舎の生まれ育ちでございまして、過疎、高齢化、あるいは経済活動がそれほど活発でない、そういう地域の厳しさ、苦しさ、あるいは、そういう地域、田舎を守らなければ日本が壊れるという思いでこれまで政治活動をしてきた一人でありますので、そういう田舎が災害に遭ったときの悲惨さ、厳しさというのは、経済活動があるところですと、家を建てて道路を復活すれば人は自然に帰ってくるわけでありますが、これは一筋縄ではいかないなということを改めて痛感すると同時に、その田舎者だからこそ私は任命されたんだという思いも感じました。

 そして、私の田舎もそうですが、田舎の人は、粘り強い、そして我慢強い、そうした日本人が持っておりますいい特性を兼ね備えている人が多い。この人たちがちゃんとふるさとを取り戻すというところまで私はやっていこうという思いでこの仕事を引き受けさせていただいたところでございます。

 引き続き全力で頑張りますので、よろしく御支援をいただきますようお願いを申し上げます。

黄川田(徹)委員 大臣お話しのとおり、被災地は、仙台市とかいわき市を除けば、本当に沿岸地区、中山間地といいますか、辺地であるとか過疎であるとか、そういうところでありますし、東北からすれば、今は山陰という言葉は使わないんでしょうけれども、日本海側といいますか、最も行き来の薄いところなんですね。鳥取とか島根、あるいは北東北三県と言われる岩手、秋田、青森ですね。

 でありますので、実は、大臣が就任されたときに、地方の新聞にあっては、被災地の出身でない方の大臣か、そういう見方もありましたけれども、私は、黒い猫だろうが白い猫だろうが、ネズミをとる猫はいい猫だということで、しっかりと仕事をしていただきたい、こう思っておりますし、それから、震災があるなしにかかわらず、地方の疲弊に対してしっかり取り組んでいかなきゃならないということは、これは与野党にかかわらず共通課題と思っておりますので、しっかりやっていただきたいと思うわけであります。

 その上で、初代の大臣は岩手の平野さん、それから二代目は福島の根本さんということで、地元出身という形の中で、民意をしっかり捉えて復興に邁進しようということでありますけれども、逆に、今まさに復興本格化なのでありますけれども、被災地の中ではまだまだこの大震災に対する関心は高いのでありますけれども、被災地以外では風化しつつありますので、そういうことも踏まえて、逆に、出身地でないからこそ、こういうふうな東北の復興復旧があり得るのではないか、そういう所見等がもしあれば、お尋ねいたします。

竹下国務大臣 御指摘になりましたように、被災地の方が大臣を務められているときというのは、いわばその災害に遭ったところの事情をよく知っている方、あるいはそこの人情、人と人との関係もよく御存じの方がなさるというのは非常に大事なことであろう、こう思うわけであります。

 しかし、今、復興の段階が徐々に進み始めてまいりまして、特に岩手、宮城につきましては、高台移転も含めまして、土地の手当てがもう八割も九割もめどがつくという状況になってきているときに、ではこれからどうやってさらに復興を進めていくかといったことを考える上では、私は、私が適任であるということを言うつもりはございませんが、外からの目。

 例えば、私の田舎は島根県の山の中、人口三千八百の小さな町の生まれ育ちでありますが、その町の町役場の若い人たちに、年に一回ぐらい東京へ出てこいと。そして東京からふるさとを見る。あるいは、もっと言えばニューヨークから見てもいいんです。外から見るということをやらなければ、ふるさとにじっといただけでふるさとのことを考えるよりも、視野が全然違ってくる。そういう意味で、外からの目というのは非常に大事である。

 ややもすれば、これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、田舎は、それまでの慣行にとらわれて、なかなか殻を破ることができづらい。私も田舎者ですので、そのことはみずからのふるさとを顧みるときに強く感じることでありますが、それを外から刺激する、あるいは大企業の視点から中小企業を刺激する、あるいは大学といったようなところから地域を刺激するというのは、私は、復興の局面において一つの大きな要素だろう、大切な要素だろうと感じ始めておりますので、これからは、そうした外からの目、よそ者とでもいいますか、そうしたものを生かしていく方法で被災地の皆さん方にしっかりとふるさとを取り戻していただき、それだけではなくて、今我々が考えておりますことの一つが、新しい東北、東北を日本のフロントランナーにするんだ、これは安倍総理の言葉でございますが、そういった方向に向けても動き出さなければならない復興の局面に来ている、このように感じているところでございます。

黄川田(徹)委員 大臣のその思いをお聞きしたわけでありますけれども、発災直後から何度か被災地には足を運ばれていると思っておりますけれども、例えば、島根でいえば、私は岩手、岩手も、平泉というのが世界遺産になりました。石見銀山がなったので、次は金だということで、中尊寺の世界遺産登録ということで。

 ただ、石見というのも、石見と書いてイワミと読むとか、あるいはまた、越前のマツバガニですか、解禁になったみたいで、あれは越前ですよね。なかなか、私のところ、陸前というところなんですが、陸前と言われないで、越前の方が有名だから、越前高田でもいいのかなという、そういう名前もありますけれども。

 いずれ、地域、ふるさとをそれぞれ持っておりますので、やはり足しげく通うこと、そういうところが一番、私は本当に大事だと思っております。

 ちなみに、三陸というのは、陸前の国と陸中の国と陸奥の国、この三つが合わさって三陸というふうなことであります。私自身も一カ月しか復興副大臣をやりませんでしたけれども、青森から福島まで、沿岸部は全部歩かせていただきましたし、解散になって私は議員ではないのでありますけれども、次の内閣ができるまでは職責はありますので、十一月の二十日、二十一日と、新地からいわきまで海岸線を歩かせていただきました。大変厳しい中での復旧復興であります。

 そこで、福島なんですね。岩手、宮城については、時間はかかるけれども着実に階段は上っているということでありますけれども、ただ、後でまた触れますけれども、この大きな災害の教訓を生かさないと、本当に、南海トラフのような事態が生じたときに、発災直後の事業が速やかに着工できないとか、右往左往していたら大変なことになるというところも、一つ反省の上で前に進んでいきたいと思います。

 そこで、話を戻しますけれども、福島は、原発の廃炉あるいはまた汚染水対策、そしてまた除染対策など大変なことがありますし、それから、去年の十二月ですか、政府としても、大きな方針、方針の転換とは言いませんけれども、地元に帰る人、帰れるまで待つ人、それから、待ちかねるといいますか、新たな土地を求める人、そういう方々がおりますので、丁寧な対策が大変必要だと思うのであります。

 この福島の対策について、大臣として、こういうことということとか、自分はこう思うというところがあれば、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

竹下国務大臣 正直に言いまして、福島は物すごく、まだまだ頭が痛い問題がたくさん残っております。

 黄川田先生お話しになりましたように、復興と直接関係ない、こう言われるかもしれませんが、やはり、廃炉のことあるいは除染のこと、そういうことがきちっとできるということが復興の大前提でございますので、汚染水問題も含めて、これは直接復興庁だけがやる話ではございませんが、政府を挙げて取り組んでいかなければならない課題、まずこの大前提をしっかりさせるということが大事であろう、こう思っております。

 その上で、帰りたい人には、除染をしっかり進めて、ふるさとを取り戻してもらうということをやり遂げることが復興のまず第一歩でございますが、残念ながら、まだ福島についてはその復興のレベルにまで達していない地域が数々あるということは御承知のとおりでございまして、一日も早くこの問題を乗り越えていかなければならない、このように考えております。

 また、これは我々にとっては悔しいことでもありますけれども、時間が経過するに従いまして、どうしようかなと迷っていた人がほかの地域に移って新しい生活を求めていかれる。これは、いや、あなた、だめですよというわけにはまいりません。その人その人の個人的な判断の中で行動されるわけで。

 我々がやらなければならないのは、帰りたい人が帰れるような努力をする。迷っている人にもできるだけ帰ってもらう努力もいたします。しかし、もう新しい生活を始めようと決めていらっしゃる方には、その方々のお一人お一人の生活設計なり思いに寄り添うような形できめの細かい支援をしていくというのが大事である、このように痛感をいたしておるところでございます。

 そして、もう一つ乗り越えなきゃならないのが、風評被害といいますか、一ミリシーベルトでも原子力は危ないんだと思い込んでいらっしゃる方々に、いや、大丈夫ですよということを説明する。

 科学的に大丈夫であるということを、科学者の皆さん方にもいろいろお話をいただいておるわけでありますが、安全ですよと専門の学者の方が言うことと、そこへ戻ろうとしている方が、ああ、それなら安心だと感じて、安全と安心の間は実は性質が違っておりまして、この安心していただくということが非常に大切な要素であります。

 これは時間のかかることでございますが、丁寧に御説明をし、そして丁寧に、例えば県民の健康調査等々を通じてしっかりした検証も行った上で被災地に帰っていただく。その努力を、これはまだ時間が残念ながらかかりますけれども、懸命にやり遂げていきたい、こう思っております。

黄川田(徹)委員 大臣も被災地に行って、例えば仮設住宅に住まわれている方々との意見交換等もされたと思いますけれども、四年目の冬を迎える応急仮設住宅に住んでいる方々でありまして、実は被災地の中でも、被災者の中で格差が出ているというふうな状況もございます。

 今答弁されたように、極めて丁寧に、さまざまな支援策、持続的な支援策をお願いいたしたいと思っております。

 そこで、発災直後に、国の復興基本法自体も、政府提案からもう一度戻して議員立法でということで、全会一致の基本法をつくったのでありますけれども、あわせて県も市町村もつくったということ、さらには復興計画、それぞれ個別の計画もありますね。瓦れき処理は終わりましたけれども、仮設住宅も建設は終わりましたけれども、これはまだ維持管理はこれまでどおりやっていかなきゃいけない。それから、防災集団移転あるいはまた区画整理、それから公営住宅の建設等々、さまざまな計画があるわけであります。

 今まさに、大臣も御案内のとおりと思いますけれども、行政というのはなかなか小回りがきかない。計画にのっとってしっかりやる、そしてまた、この復興が、単年度ごとに事業が消化されて、一つ一つ段階を踏んでいくというならまた別なのでありますけれども、重荷を背負って次の年度に移っていくということであります。

 今まさに本格復興の中で、例えば応急仮設住宅の空き室の関係、これをどう統合するかであるとか、本当にそれがいいのかとか、あるいはまた、公営住宅はできたんだけれども、ミスマッチといいますか、いろいろなことがあって空き室になるのじゃないのか。それから、公営住宅に入る方が天寿を全うして亡くなられた後に、その空き室に誰が入っていくのかとか、さまざまな場面で計画を持続的に見ていかなきゃいけないということがあると思います。

 加えて、先ほど話したとおり、防災集団移転の中で、実は、身近な話をしますと、私の隣の方も仮設住宅で、そして防災集団移転で土地ができたということで、住宅をつくるための、一番楽しい時期ですよね、間取りをどうするかとか考えていたんですけれども、大事な大黒柱が亡くなってしまいまして、なかなか人生設計それから住宅再建の設計がままならないということで、方針転換されてしまう等々、いろいろな、長くこの復興が続くと、それぞれの民意といいますか、変わってくるということであります。

 そこで、民意の動向にしっかりと対応できるような計画であればいいんですけれども、発災直後には、住民の方々一人一人の御意見を聞きながら計画というわけにはいかないので、走り陣立てといいますか、計画自体がアンケート調査とかそういうものでと。

 ただ、三年半過ぎてきますと、ある程度周りが見えてくるということ、時間がたつと住民の思いも揺れ動くということ、行政はなかなかかじを切るのが遅くなるということ。そうすると、これまた行政の方も、この後聞くのでありますけれども、集中五カ年が終わった後、どういう財政措置になるんだと。今ある金でやっておかなきゃいけないということで、過大な投資になる場合もあるかもしれない。

 ですから、そこの部分、しっかりやっていかなきゃならないと思うのでありますけれども、さまざまな計画の見直し等々について、政府はどういう認識で、どういう対応を考えておるか、お尋ねいたしたいと思います。

長島副大臣 おはようございます。

 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 発災から間もなく三年八カ月が過ぎようとしていますけれども、たしか、黄川田先生とは陸前高田の給食センターで、発災から一カ月を経ないころ、前任の谷副大臣と一緒に寄せていただいたときにお目にかかりまして、御家族、秘書さんを亡くされながら被災地に向かっておられた姿を今でも鮮明に覚えています。

 当時、私も被災地を回らせていただいて、目を覆いたくなる、まさにどこから手をつけていいかわからないような状況の中でありましたけれども、三年七カ月が過ぎて、それなりに復興は、公営住宅が八割が着手をされたということで、進んでいるという実感をそれぞれお持ちいただいているとは思うんですが、今、黄川田先生御指摘のとおり、当時、そして今日まで被災者の心は、やはり、大変な状況の中で自分の行く先をどうしたらいいかという葛藤の中で過ごされていると思います。

 行政についても、被災者の住民意向を一〇〇%把握することはなかなかできにくい状況の中で、それでも高台移転あるいは防災集団移転等を選択していただいて、まちづくりを計画したわけでありますけれども、三年七カ月、意向の変化、そして残念ながら帰りたくても帰ることを選択できなくなってしまった方たちのために、やはり高台移転等にはかなり時間を要するものですから、国としては、市町村、県と連携をしながら、意向を重視しながら、計画の見直しについては柔軟に対応させていただきたい。

 岩手県では陸前高田、あるいは宮城県では女川や名取市で、少しずつ適正規模に住宅地を見直しをさせていただいたところでありますけれども、これからもまだまだ仮設住宅の中で、これからどうしようとお悩みの方がいっぱいいらっしゃる、その方たちの声をどう反映するか。まさに、行政体にとっても、国にとっても課題だと思いますので、丁寧に市町村と連携をしながら、支援を続けてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

黄川田(徹)委員 国として、画一的な取り扱いじゃなくて、各省庁とも柔軟な対応をよろしくお願いいたしたい、こう思っております。

 それから、住民の心も揺れ動いているわけでありますけれども、それと行政の政策の一致といいますか、なかなか全て一致というわけにいかないかもしれませんけれども、ソフトランディングといいますか、うまく政策が落ちるようにしっかりやっていただきたい、こう思います。

 それでは、次なのでありますけれども、次は、先ほどお話ししたとおり、集中五カ年、来年度で終了するということで、次の制度設計をするためには、これまでの五年間をやはり検証し、反省するところがあればしっかりと反省し、そして被災自治体も安心して復興に取り組めるように進んでいかなきゃならない、こう思っておるわけであります。

 発災当初は、被災地だけではなくて、これは防災対策、全国レベルで同時進行でやらなきゃいけないということで、各省庁も手を挙げていろいろな事業を組み立てたのでありますけれども、残念ながら、中身を見ると、足元の復興に直接かかわらないところもあったりして、予算が適切でなかった、あるいはまた流用されてしまったとか、そういうことがあった。

 それから、予算の執行も、まず瓦れきを処理しなきゃ手がつけられないという状況の中で、国は体力がありますし、国会議員の皆さんの力によって予算措置はされていくわけでありますけれども、この予算執行が十分できなくて、当初は、役所仕事でいえば、これは今年度中にできない、そうなれば繰越明許だ、明許もだめだとなれば今度は事故繰り越しだ、事故繰り越しになって、今度はもう一度出し直せみたいな話になると大変になるということで、基金という制度を設けて始めた。その基金の使い勝手の中でまだまだ消化できないということで、基金も急増してきたとか、あるいはまた、本格復興になって、さあ、これからと思ったときに、人的あるいはまた資材の不足、それからいまだに、大分減ってきたとはいえ、入札の不調とか、いろいろなことがあったわけなのであります。

 そういうことで、十九兆円で始まった五カ年の集中投資でありますけれども、二十五兆円ということの今予算措置であります。これまで予算措置、まだ二十七年度はこれからなのでありますけれども、この辺の事業の検証、あるいはまたその執行の状況についてどういう認識でおるか、お尋ねいたしたいと思います。

竹下国務大臣 お話しになりましたように、今、集中復興期間、我々は二十五兆円の、現金を用意したわけではございませんが、復興債の返済に充てる原資のめどをしっかりとお示しをすることによって、復興に今日まで取り組んでまいったところであります。

 今やっておりますことは、二十六年度をしっかりと実行していくと同時に、概算要求をしております二十七年度予算をしっかりと確保して、まずは集中復興期間である五年間を、できることはしっかりとやり抜いておくということが大事であるということで取り組んでいるさなかでございます。

 しかし、その中で、御指摘ありましたように、人手不足、大分言われました。また、資材の不足、高騰についてもいろいろな御指摘を受けました。本日ただいまの時点では、入札の不調もそれほど目立つ状況ではなく、特に、二度目の入札をやると、ほとんどが落札していただいて工事に入れるという状況になってきております。

 復興の加速化、五段階にわたりまして我々は今日まで打ってきたわけでございます。

 まずは、人については、労務費を三割以上引き上げる、ほかの地域より五%以上高いレベルに被災地はいたしましたし、それ以外の間接経費についても、ほかの地域よりいろいろかかるということを受けとめまして、引き上げさせていただきました。

 また、資材の高騰分については、高騰分は見ますよと、直接はなかなか言いづらいんですが、現実的には、高騰分はきちっと見るということをやっておりますし、それだけではなくて、工事を大型化していく、とりやすい形に地域を少しずつまとめていく。

 ですから、変な言葉で言いますと、人件費あるいは資材の高騰というのは財政的に裏打ちをさせていただく。しかし、それでもなかなか手に入らない生コンについては、被災が終わったら取り壊すという条件はついておりますけれども、公的な生コンのプラントを設置いたしまして、資材が供給できるという体制もつくりまして、今のところは、極めて順調とはまいりませんが、順調に推移をし始めてきておるというふうに認識をいたしております。

 しかし、まだまだ手が届かない点はたくさんありますので、御指摘を受けてしっかり頑張っていきたいと思います。

黄川田(徹)委員 予算の執行の検証とともに、なぜおくれたのかというところの検証もやはり大事だと思っております。

 たびたびこの復興特でも質問させていただきましたけれども、やはり、事業に速やかに着手できる仕組みといいますか、用地の問題、公共用地の取得等々ですね、これはまた大きな課題だといまだに思っております。

 これは東日本大震災で明らかになった、今後想定される大規模災害にこの制度で本当に支えられるのかという課題がありますし、それから、身近な話をすれば、土地取得となりますと、権利関係をはっきりさせなきゃいけない。地籍調査、国交省でやっているんですか、国土調査、これがまだ未実施のところがあった。

 実は東北は意外と進んでいて、岩手、宮城、福島であれば六〇%とか九〇%ぐらいの間で進んでいたと思うわけでありますが、これは平均でありまして、例えば、私のところであれば、岩手であれば大槌であるとか山田であるとか、地籍調査が終わっていないために、用地の権利関係、あるいはまた筆界、境界等々はどうなんだというさまざまな課題がありました。

 もちろん、さまざま議論されておりますので、国交省としてもこの点に関しては鋭意事業を促進しておるのでありましょうが、比較的、地方にあっては進むのでありますけれども、大都市、首都圏といいますか、畳一枚で、畳一枚じゃない、れんが一つで物すごい地価が出る。田舎であれば十センチぐらいはちょっと外れていてもいいかなみたいな、それでも了承になるということもありますけれども、大変困難な課題があると思うのであります。

 そういう部分も、別に、次の災害を想定しなさいというわけじゃないけれども、必ず災害はありますし、この東日本大震災で何を勉強したのか、何を教訓としたのかということが本当に問われる話だと思いますので、そこはしっかりと取り組んでいただきたい、こう思うわけであります。

 それで、参議院の方の質疑を聞いておりましても、なかなか二十七年度、来年度の予算編成で手いっぱいなもので、この五年間の集中が終わった後の予算の設定あるいはまた制度設計ということでありますけれども、こちらは衆議院でありますので、改めてその辺の認識をお願いいたします。

 ちなみに、復興庁は十年という形の設置になっていますし、国民の税金をいただいて、そして、一般会計じゃなくて特別会計ということで措置されている復旧復興であります。

 私も、発災直後、多くを失いましたけれども、幾らかお金がありましたので、復興の国債を買いました。買った後に財務大臣に聞いたら、いや、俺は買っていないんだけれども、俺の名前で何か感謝状みたいなそういうのが出ているなという話はされていましたけれども、そういうこともありました。

 法人税はいち早く廃止になりまして、その後の財政措置もされたわけなんでありますけれども、国民みんなで、あるいはまた企業も含め、この復興のために英知と財源を注ぐんだということでありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、重ねて、集中五年が終わった後の予算、財政制度についてお尋ねいたします。

竹下国務大臣 被災地を回っておりますと、どの県でもどの市町村でも、集中復興期間が終わったらどうするんだという話は必ず尋ねられておりまして、それほど、この集中後の政府の取り組みの姿勢というものを、改めて、被災地の皆さん方が物すごく心配しているということは私自身肌身にしみて痛感をしながら、被災地を回らせていただいておるところであります。

 さて、今やっていることは、お話しになりましたように、まずは、二十七年度までの集中復興期間をしっかりとやり抜いていくということが大前提であり、そのことに懸命に取り組んでおるわけであります。

 しかし、復興期間十年、復興庁の存在そのものも十年、こういうことになっておりますが、復興は五年で終わるわけではありませんので、私は、非常に抽象的な言い方ですが、復興が終わるまでが復興なんだという思いで取り組むということをお話しさせていただいております。

 では、その裏づけたる財源はどうするんだということでございますが、一つは、先ほどこれも黄川田先生お話しになりましたが、何ができて何ができていないか、あるいはどういう課題が残ったか、あるいは復興を進めていく過程の中で新たに出てきた需要は何だといったようなものを、一回どこかで立ちどまってしっかりと検証をし、見直さなければならない時期が必ずやってきます。

 それをやったその上で、その後の五年間の、十年までの復興期間に何をやるか、そしてその財源はどうするかということを決めていかなければならない。これは復興庁でもありますし、復興大臣でもある私に課せられた課題である、こう思っておりまして、官邸あるいは財務省、財務大臣にも、いずれ近い時期に相談に上がるからと。復興は、復興が終わるまでが復興だから、五年で切ったら、とてもじゃないけれども受け入れるわけにはいかないよという話を今内々しながら、しかし、まだ、正直言って、具体的なことについて議論を進めているわけではありません。

 日本国、それほど財政的に今余裕があるわけではありませんので、そういう中で、どうやって、被災地の皆さん方に安心していただけるような財源構造をつくり上げていくかということは、正直頭の痛い話でありますが、やらなければならない、必ずやり遂げなければならない課題だ、こう思っております。

 その一方で、復興の進みぐあいのレベルに応じまして、これは復興予算でやるのが正しいのか、あるいは一般の予算制度の中の仕組みの中で施行していくのがいいのかという判断に迷う状況も出てきております。それも皆さん方にというより、広く議論をしていただいて、これは復興でやれ、あるいはこれは一般の予算の仕組みの中でやっていこうといった仕分けも正直言ってしなければならない課題も出てくる、こう思っております。

 財源の問題、その執行の体制の問題、仕組みの問題を含めて、一旦立ちどまった上で、また御相談をしながら決めていきたい。しかし、必ず復興をやり遂げるというのが政府の仕事でございますので、そのことは、五年で終わるなんということは絶対にありませんので、必ずやり遂げるということはお受けとめをいただきたい、このように思う次第でございます。

黄川田(徹)委員 三代目の復興大臣の大きな仕事はまさに集中五カ年の後の制度設計をどうするかということだと思っております。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 残り時間が少なくなってまいりました。

 ちょうど北海道南西沖地震から二十年余、それから、山古志の元村長さんがおられますけれども、十月の二十三日でしたか、新潟中越地震からちょうど十年ですよね。それからまた、阪神・淡路は来年の一月十七日に二十年の大きな節目を迎えるということで、なかなかこういう節目でないと震災に対する思いが全国レベルでまた沸き上がってきませんので、そういうときの教訓はしっかりとみんな共有できるように、それぞれ復興庁も考えていただきたいと思います。

 本当は副大臣に答弁してもらおうと思ったのでありますけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。一つだけ触れなきゃいけない質問がありますので、飛ばすことになります。申しわけございません。

 大臣は、発災直後、余りわからなかったところがあるかもしれませんが、阪神・淡路で六千人を超す方々が亡くなられた。実は、行方不明者は三名だけだったんですよ。いまだに何千人の行方不明者が東日本大震災はありますけれども、亡くなった方をだびにしなきゃいけないということ。

 そういう中で、平時のときの火葬じゃないですので、他の都道府県の応援をいただいたということ、そういうことがあって、大規模災害時の広域火葬計画というものを策定しなさいということで厚労省が要請をしたはずなのでありますけれども、この計画の策定状況と、これは都道府県に多分要請したと思っているんですけれども、それから、それに基づく訓練もしなさいということになっておるのでありますけれども、その訓練の状況はどうなっておるか、改めてお尋ねいたします。

福本政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害時の埋火葬について、厚生労働省といたしまして、まず、委員御指摘ありました平成七年の阪神・淡路大震災を踏まえまして、都道府県、市町村に対して、広域火葬計画を策定し、その中で、近隣自治体との応援、協力でありますとか資材搬送に関する関係事業者との協定締結などを定めるということ、加えて広域火葬の訓練実施を行うということを指導したところでございます。

 さらには、平成二十三年の東日本大震災を踏まえまして、このときは関係省庁の連絡会議を設置いたしまして、資材搬送等に関する関係業界あるいは都道府県との連絡調整を誰が行うかということに関して、関係省庁間での役割分担でありますとか都道府県域を越えた対応などについての基本的指針というものも定めたところでございます。

 その実施状況ということでありますが、都道府県の広域火葬計画の策定状況、お尋ねの点でございますけれども、計画を既に策定したところは二十九県ということになっております。加えて、広域火葬の訓練まで実施した都道府県は七県ということになっております。

 厚生労働省といたしましては、いまだ計画が策定できていない都道府県に対して計画策定を働きかけるとともに、さらに進んで訓練も実施していただきたいということを指導してまいりたいと考えております。

黄川田(徹)委員 被災三県といいますか、岩手、宮城、福島は、発災直後ではこの計画は策定されていなかったはずであります。その後の三県はもう策定済みでありますか、その二十何県の中には。

福本政府参考人 被災三県の計画策定状況でございますけれども、策定済みというところが岩手県であります。それから、宮城県はまだ策定ができていない、福島県も策定できていないという状況でございます。

黄川田(徹)委員 私も、発災直後、遺体の収容がされてきて、陸前高田は千八百人近くの遺体をだびにしなきゃいけないということ、そういう中で、青森、秋田、山形の皆さんにも大変お世話になりました。

 こういう大規模な災害のときにこういうことが生じるというのは明らかでありますし、そして、残念ながら、宮城、岩手の一部の市町村では、とても火葬の能力を超えておりますし、受け入れ体制も平時の火葬ということで施設ができておりますので難しいという形の中で、土葬、仮土葬というんですかね、そうせざるを得なかったところもあるわけなのであります。

 そして、それから改めて、時期がたって火葬ということになるのでありますが、こういうことはぜひとも避けたいところなのであります。それから、この要請が、法律に基づく、必ず決めなきゃいけないというような要請でもないような気はしております。

 それからもう一つ、私なんかは市町村職員でありましたので、この火葬の事務は市町村の事務なのでありますよね。まあ県が悪いというわけじゃないのでありますけれども、県の方に策定させると、当事者意識なり、どうなんだと。

 それから、防災対策ということで、それぞれの分野もしっかりやらなきゃいけないということになっておりますので、ただ単に要請一つで終わっているようでは、いつまた大災害が来たときに、同じことを繰り返すということだけはぜひともやめていただきたいと思います。

 以上であります。

伊藤委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 維新の党の林宙紀と申します。

 今国会最初の震災復興特での質疑ということで、竹下大臣には初めてお伺いをさせていただくということになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど黄川田委員の質疑の冒頭のところで、大臣も、地元ではない方が大臣につかれたということについてちょっとお触れになっていましたけれども、私自身は、それは一つ、それはそれでいい面があるんじゃないかと思うところもあります。

 この震災復興特、私は宮城県の名取市というところの出身ですが、やはり地元の先生方がたくさん所属しておられます。一方で、よきにつけあしきにつけ、地元でずっと声を聞いていると、ある種、客観的に物を見るということが時々鈍ってくる側面もあるんじゃないかなと。それは常に自分を戒めながら、できるだけ広く物を見るようにということはしているんですけれども、大臣には、ぜひ、そういった視点を忘れずに取り組んでいただければなというふうに思います。

 きょうは、主に子ども・被災者支援法についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、この子ども・被災者支援法の基本方針というのが去年の十月に閣議決定されました。そこから一年以上が経過したことになりますが、この中の各施策で、今どういった状況なのかなというのを確認させていただきたいと思いまして、復興庁の方にもお問い合わせさせていただいたりしているんですけれども、今、この状況については、まだ復興庁の方では取りまとめがなされていないということなんです。

 それぞれの施策については、各省庁が主には担当している側面が非常に強いとは思うんですけれども、やはり復興庁というのはその司令塔でありますので、こういった問いをさせていただいたときに、ある種、一元的に状況を把握して、報告ができるような体制を整えておくべきだと思っていて、その進捗状況をしっかりと把握した上で、見直していく際にどうするかというのを常に考えておくべきだと思っております。

 また、被災者の皆さんから見ても、そして我々から見ても、そういった状況は今どうなのかというのも、例えばホームページですとかそういったところで全体的に見られるようなものを整えておくということは必要だと思うんですね。

 例えば宮城県なんかは、これはもちろん地元の自治体だからということもありますけれども、例えば公共工事が今進捗率はどのぐらいなんだというのをグラフでわかりやすく公表していますし、あるいは、それぞれの施策について、今適用されているのが何人だ、そういったことも数字でわかりやすく公表するようになっています。

 もちろん、そこの地元のものを見てくれと言ってそれで終わりかもしれませんが、そうではなくて、もう少し心のこもった対応ができるのではないかという意味において、こういった情報をしっかり把握した上で公表していくということを復興庁もやってしかるべきなんじゃないかなと思うんですが、その辺についてはどのようにお考えかをまずお伺いします。

浜田副大臣 林委員の御質問にお答えしたいと思っています。

 子ども・被災者支援法基本方針に掲載している各施策につきましては、予算の執行状況、概算要求の状況等につきまして、復興庁といたしましても、関係省庁会議を開催いたしまして、各省庁から最新の状況を聞き取って把握しているところでございまして、基本方針の策定後も二回、この会議を開催させていただいて、復興庁といたしましては、着実に実施されていると認識しております。

 この基本方針とともに公表しました、多分先生はごらんになったと思いますけれども、被災者生活支援等施策の推進に関する基本方針に関する施策の取りまとめという、非常に詳しい施策の取りまとめがございますが、これにつきましても、予算、施策の状況を踏まえ、適宜改定されるものであると認識しております。改定した場合には速やかに公表したいと考えておりまして、先生御指摘のように、ホームページ等で公表していく所存でございます。

林(宙)委員 今お触れになった施策の取りまとめというのも、確かに非常に細かい、よくわかるようにはなっているんですけれども、これは基本方針を決めたときにまとめたものであって、どれがどのぐらい進んでいますよとか、今こんな状況ですというのはまだわからない状況ですので、これはできるだけ早く公表していただけるとありがたいなと思います。

 きょうは資料をお配りしておりますけれども、次の質問については、お配りした資料の左側にある地図、これはもう皆さんにはおなじみのような絵かもしれませんけれども、これは復興庁の資料からそのまま抜かせていただきました。

 この震災復興特でもこれまでいろいろと議論があって、余り細かいことはお伺いしないというふうに思っていますが、宮城県の丸森町というところがございます。これは御存じのとおりで、この地図でいうところの、福島県の浜通りと書いてあるところの若干左上、宮城県の方からちょっと突き出た格好になっていますけれども、このあたりが丸森町なんですね。

 この辺は、御存じのとおりですが、福島第一原発からの距離も比較的近い、そして、浜通りでいうところの南の方にございますいわき市などと比較しても、放射線量という意味でも同程度であるということが、大体観測の結果、わかっているわけです。

 ところが、先ほどの施策取りまとめをずらっと見ても、その施策の対象地域というのは、基本的には福島県浜通り、中通り、これが支援対象地域となっているわけなんですけれども、ここに会津エリアを加えまして、福島県という形で、この施策のほとんどというほどでもないですかね、半分ぐらいは福島県という形で対象になっていたりするわけなんです。

 そうすると、この丸森というのは、地図で見たら一目瞭然で、かなりこれは近いんですよ。何となれば、浜通りの南の方とか中通りの南の方からという距離に比べても、地図で見れば圧倒的に近いというのがよくおわかりになると思うんです。しかしながら、施策の対象の地域が福島県となっていて、宮城県が含まれていないものについては、この丸森というのは全くもって対象にならないということになるわけです。

 ここは過去もたくさん議論されたと思うんですけれども、改めて、もともとこの子ども・被災者支援法というのは、放射線量というのを一つの基準として支援対象を決めていきましょうというのが思想にあるはずなので、これについて今の段階でどのようにお考えなのかというのを、簡単にで結構なので、御答弁いただきたいと思います。

浜田副大臣 復興庁といたしましては、必要な施策を、それを必要とされている被災者の方々に対してしっかりと講じていくこと、これが重要であると考えておりまして、このため、法律に求められる支援対象地域に加え、より広く支援するための準支援対象地域を定め、あわせて各施策の対象地域とすることによりまして、各施策の性質や地域の実情に応じて必要な施策を幅広く講じているところでございます。

 御質問の丸森町につきましては、例えば学校給食の放射性物質等の検査も対象となっておりますし、また、除染につきましては、当初、福島県だけが表土剥ぎの、除染の対象でございましたが、丸森町もその対象に加わっておりますし、あわせて、いわゆる自主避難者の方の、特に母子避難者の方の高速道路の無料化につきましては、浜通り、中通りだけではなくて、丸森町も対象にする、こういう形で、準支援対象地域として必要な施策をやっているところでございます。

 そういう意味では、復興庁といたしましては、委員御質問のように、放射線量という一定の基準はございますが、地域的、経済的一体性も考慮しながら、施策の特色に応じて対象地域を考えているところでございます。

林(宙)委員 誤解のもとになっているのは、やはり福島県については全てのメニューがほぼ使えますよというたてつけになっているのがいけないんですよ。やはり支援対象地域と準というふうにしているがゆえに、福島県の中は基本的に何でもできますみたいになっているわけですね。ところが、ほかの地域については施策ごとにやります、こういうことになっているから誤解を生むのであって、もともと、福島県内においても、線量によって、この施策とこの施策とこの施策が当てはまるので、中通りはこれをやりますとか、そういうふうにしておけばよかったんじゃないのかなと今さらながら思うわけです。

 ちょっと時間がきょうは限られていますので、次の質問をさせていただくんですけれども、そういう意味でいくと、資料の右側にある新聞記事、これは河北新報の記事、六月のものですけれども、簡単に言うと、東電のADRで、福島県と接している丸森町の筆甫地区というところがありますが、ここに対して、ほかの福島県内の自主的避難等対象区域と同じ扱いになりました、同等の賠償が認められましたという記事なんですね。

 そうしますと、今まで福島県内においては、例えばこの丸森と線量がほぼ同じと言われる中通り、浜通りの南の方についてもメニューが違っていた。ここは何でなんですか、行政区域で何で区切るんですかといったら、行政区域で区切らざるを得ない、線量で区切っていくと地区内のコミュニティーが分断されるから。そういうお話がいろいろあって、なかなか動かなかったんですが、東電の手続においては、そこをある種、その壁を越えたわけですね、第三者機関が先にですよ。線量で判断したという一つのケースなんですね。ことしの六月です。

 こういうのは本来であれば国が率先してやるべきだったと思いますが、第三者の方が先にやってしまった。そうなると、国の方としても無視できないことになると思うんですけれども、これについては、大臣、今の段階でどのようにお考えになりますか。

竹下国務大臣 丸森町のケースにつきまして、東電がADRで認めた、ほかの地域と同じように認めたという報道がございまして、和解案を東京電力が受諾したという報道は私ももちろん承知をいたしております。

 基本方針では、先ほど浜田副大臣がお話ししましたように、支援地域は支援地域として決めております。しかし、準支援地域というのは、それぞれの状況に応じて、抱えている問題に応じて、かなり広いところが準支援地域に、もう既にさまざまな対応をさせていただいているところもありますが、状況に応じて、広範囲な地域を準支援地域に指定させていただいております。

 丸森町も、当然でございますが、準支援地域として、例えば問題があった場合は、先ほどこれも浜田副大臣がお話をいたしましたが、給食のいろいろな調査ですとか、そういうものはきちっとやる。やることは支援地域と同じことをやるわけですが、全ての項目についてやるのが支援地域であって、項目ごと、ここにはこんな問題があるね、じゃ、ここは準支援地域のこの項目をやろうということになっておるわけでございます。

 今後も、支援が必要な方々あるいは支援が必要な地域につきましては、必要な支援策を幅広く講じることができるように、引き続き、関係省庁と緊密に連携をとった上で、必要な施策の実施に努めてまいりたい、このように考えております。

林(宙)委員 もちろん必要なところに必要な施策をとっていくというのは当然のことですよね。それはそれでもちろんやっていただくというのが当たり前なんですけれども、私がお伺いしたいのは、要は、東電の方が、今までは福島県外についてはそれは認めないという態度というか、そういう姿勢を貫いていたんですよ。ところが、いろいろな理由があると思います、早くこの問題を解決すべきだと思ったんでしょうし、いろいろな理由があって。ただ、やはり、線量もほぼ同程度で、同じ内容で苦しんでいるのであれば、これは同じことをやりましょうね、そういう判断をしたというのが一つ注目すべきところだと思っているんです。

 となると、もちろん、今、現状で支援対象地域と準支援対象地域という形にしてあるのは、今はこういう取り決めになっているから、これはしようがないと思います。しようがないと思いますが、ちょっと一つ質問を飛ばしますけれども、子ども・被災者支援法の附則二に、支援対象地域、この区域を毎年見直すというような附則の規定が入っているわけですよ。毎年ですよ、毎年。

 これは線量の低減とかそういうものもあるのでということだと思いますけれども、そうすると、東電のADRでこういった判断がなされて、それはやはり政府としても、先ほど私も無視できないんじゃないですかと言いましたし、必要なところに必要な施策を打っていくということであれば、それは、線量が福島県のほかの地域と同じである、同程度であるという場合であれば、やはり同じものがなされてしかるべきだということになってくると思うんですけれども、この要素を今後見直しの際に取り入れていくというお考えは政府にはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

浜田副大臣 先ほど答弁させていただきましたように、支援対象地域というのは、空間線量率からの推定値を基本としつつも、地域の社会的、経済的一体性を踏まえて定めるというふうに考えたわけでございまして、施策ごとに、より広範な範囲を準支援対象地域に設定して、十分な施策を均てんしようという考えでございます。この考え方自身は変わっておりません。

 ただし、今委員御指摘のように、この法律には、附則二条で「放射線量に係る調査の結果に基づき、毎年支援対象地域等の対象となる区域を見直すものとする。」という規定がございますので、この規定に基づきまして、区域についてはさまざまな事情を考慮して適時適切に対応してまいりたいと考えております。

林(宙)委員 こういった行政区域に基づいて何かをやっていくというのは、これはもう常なんですよ。去年の竜巻被害のときもそうでしたね。建物の全壊が十棟以上でしたか、あれの基準が。隣のA市では十一棟あるから支援の対象になります、隣は八棟でした、対象になりませんとか。こういうことではなくて、科学的に判断する、合理的に判断するというのが今後は必要なんじゃないですかということを、この復興においてもやはりお考えいただきたいということなんですよ、要するに。

 今回は、この支援対象地域を決めるに当たって、確かに法律の方では線量というのを、一定の線量ということで決めているんですけれども、実はこれは、成立したときは私はまだ議員じゃなかったので、これを客観的に見ると、ある種、ここは事務方の皆さんに無理を押しつけたような格好になっているんじゃないかなと正直に思います。こんな議論の起こりそうな、では何ミリシーベルト以上は対象にします、それ以下は対象にしませんとか、これを決めるのは非常に難しいことだと思うんですよ。

 こういうところこそ、政治家が責任を持って、政治判断という形で決めていくべき内容だと思っているんですけれども、ある種、これは丸投げしちゃったわけです、事務方の皆さんに。やはりこれはそういうところまで含めて法律を制定すべきだったんじゃないのかなと私は思います。だって、事務方の皆さんにここを決めてくれと言われたって、後で何かがあったときに責任を持てと言われたってとれませんからね。だから、こういうことをやはり含めて考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと思うんです。

 そういう意味で、竹下大臣にも、今後この見直しを行っていくという際に、ではこの地域をどういうふうに今度組み直しましょうかとか、この地域はもう大分線量も下がってきたから対象から外しましょうかで、結構、その都度その都度、地元から、もちろん反対の意見なんかも出てくるところがあると思うんです。しかし、そこを決めるのが政治家だということをぜひ御認識いただきたいと思うんですね。

 時間ももうなくなってきましたので、最後に一つお伺いしたいのがあります。

 これは実は環境委員会の方でもちょっと問い合わせをさせていただいたんですけれども、先日、質問主意書を出しました。これは放射性物質汚染対処特措法についてなんですけれども、これについての質問主意書を出したら、その答弁で返ってきた内容が大変お粗末というか。その特措法は議員立法だったわけですよ。議員立法だから、要は、何と答えたかというと、「お尋ねは、議員立法の内容に関する事項であり、立法趣旨の詳細は必ずしも明らかではないが、」こういう書き方をしているわけですね。

 環境委員会で申し上げたのは、法律としてもう成立しているわけで、法律というのは当然、誰がつくろうと、それを執行していく際には、その立法された趣旨は何なのかというのをよく理解した上でやらないと、施策にならないじゃないですか、皆さんはその理由をわからないで行政をやっているんですかという話になっちゃいますよ、軽んじているんですか、議員立法をという話をさせてもらったんです。

 考えると、そんなことはないという前提でお聞きしますけれども、この法律、子ども・被災者支援法、これは議員立法なんですよ。これは、今の自民党さん、公明党さんの政権になってから、対応が非常に遅いと言われました。かなり時間がかかりました。いろいろあったんだと思います。しかしながら、この基本方針の策定等々が大幅におくれた経緯、これは、議員立法だから、何か余り、あえてそんなに急がなくていいやとか、そういうふうに思っていたんですかというのをちょっと、この機会だからお伺いしたいと思います。これは最後の質問です。

浜田副大臣 実は、この法律ができるときは私は野党でありまして、この法案を引き継いだわけでございますけれども、この法案は非常に難しい法律でございまして、今、支援対象地域も御質問いただきましたが、「一定の基準」という言葉が三カ所にあるんですね。被災者の定義、一条にもあります。御質問の八条の支援対象地域にもありますし、十三条二項の健康調査の対象にもある。それが、以下同じ、イコールとも書いていないし、別とも書いていないんですよ。

 そういうようなのは、なぜかというと、当時、民主党、自民党、公明党が、それぞれあった法案をひっつけたということもありましたし、かつ、法律だけではなくて、法律自身と答弁との乖離もあったりするんですね。条文だけを見ると支援対象地域は放射線量だけで決まると書いてあるんですが、答弁を見ると、放射線量だけで線を引かないでほしいという答弁もあったりするという、非常に難しい法案であったものですから、引き継いでから時間がかかったというのは申しわけないと思っておりますけれども、引き続きこれについては、決して議員立法だからという、むしろ我々は発議者側であったわけですので、しっかりと取り組んでいるということを御理解賜りたいと思っております。

林(宙)委員 いずれにしましても、きょう話題にしました丸森町の筆甫というのは、筆の初めと書くんですけれども、これは、伊達政宗公が検地のときに最初に筆入れしたところだという意味で筆甫と言われているという説もあるぐらいですから、ぜひ、新しい内閣の復興大臣、復興政務官ということで、新しい、新たなことができるようにということで、ここから始められるように、ぜひ期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 竹下大臣、初めてお手合わせをいただきますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、きょう、高木副大臣初め経産省の皆様にもおいでをいただいています。限られた時間でございますので、質疑、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 私、きょう取り上げさせていただくのは、東日本大震災で被災をされた中で、中でもやはり今回の震災の最大の特徴というか課題である原発事故に焦点を当てて質問させていただきます。

 先ほど黄川田委員からの御質問にも、竹下大臣の方から、福島の話、既にお言葉をいただいておりますが、改めて、私、この福島第一の収束、廃炉、これはもう大変な課題だと思っております。ぜひこの辺、震災復興における福島第一の事故の収束、そして廃炉の位置づけ、大臣の御認識を、簡潔で結構ですので御答弁いただきたいと思います。

竹下国務大臣 おっしゃるとおり、福島第一のあの事故の収束というのは、先ほどもお話ししましたが、復興の大前提、全部終わるのが大前提という意味じゃなくて、廃炉作業をきっちり進めること、あるいは汚染水対策等を迅速かつ着実に実施していく、こういうことが被災者の安心、安全な生活のためにも不可欠であります。これをなおざりにして復興だけ進めるというものではありませんので。

 残念ながら、いわば両輪として、復興を進める一方で、廃炉の問題、汚染水の問題等々という難しい問題があります。中間処理施設の問題もありますが、取り組んでいくことが大前提であると思っておりますので、引き続き、各省庁と連絡をとって、なおかつ、最大限加速化をして、政府としても復興に取り組んでいきたい、こう思っております。

足立委員 先ほど、黄川田委員とのやりとりの中で、冒頭、大臣も、自分は被災地の出身じゃないんだ、こういうお話がありました。私も、当選以来ずっとこの復興特委で仕事をさせていただいておりますが、私も被災地ではありません、大阪の出身であります。

 ただ、政治を志すまでの二十年ほど経産省におったものですから、この原発事故の問題、もう少し申し上げれば、原発事故を機に政治を志した、こういうものでございまして、この問題は本当に、当事者として、政治生命ある限り考えていきたい、こういう立場で質問させていただいております。

 今大臣もおっしゃったように、大変深刻な状況が続いています。報道、マスコミ等で福島の県民の皆様の声などが掲載されておりますものを一つ二つ御紹介すると、端的に申し上げれば、もう帰れないならそう言ってほしい、こういう声もあります。今もあります。これは知事選に絡んでの調査ですが。それから、原発事故の収束について、原因や現状を整理してもっと全国に発信してほしい、こんな声も届いているわけでございます。

 ちょっと通告と順番が変わりますが、規制庁から山田審議官においでいただいています。私、ちょっと山田審議官に御答弁いただきたいのは、これは十月四日の報道ですかね、東電が福島第一原発の収束に絡んで津波の想定をしているわけであります。この地域の津波の想定は従来は六メートルだった。これを東電が、十月の三日付ですか、新しい想定を公表されまして、最大二十六メートルの津波が来るおそれがあると。

 これは、大変私も、いろいろな想定を、しっかりと事実を公表していくということは本当に大切なことでありますが、今の福島第一原発の事故の状況の中で、二十六メートルの津波が来ると何が起こるのか。ぜひ、この福島第一のある種の脆弱性について、課題と対策、御答弁をいただきたいと思います。

山田政府参考人 ただいま御質問いただきました件でございますけれども、これにつきましては、今般の廃炉に向けた作業が長期間にわたること等から、プラントの実情に即した適切な対策を早急に実施するということが必要であると考えまして、本年八月に、対策の実施に当たって目標とする地震動、津波高さの設定及び防護すべき対象の優先度を踏まえた防護の検討について、東京電力に指示をしたところでございます。

 この指示を踏まえて、本年十月三日の特定原子力施設監視・評価検討会、原子力規制委員会のもとに設けているものでございますが、こちらにおいて、東京電力の方から、目標とする地震動九百ガル及び津波高さ二十六・三メーターという数字が報告されたところでございます。

 現在、この数字自体につきましては、妥当なものであるかどうかというところについて検討を行っているところでございまして、今後、この数字の妥当性を確認した上で、東京電力の取り組みをさらに確認していくという、現段階はそういう状況でございます。

足立委員 今おっしゃったのは、その数字自体を検証していくんだ、こういうことですが、すると、仮にその数字が、まあそうだなということで追認を規制庁としてされた場合、今の福島第一の廃炉、収束作業、あるいは廃炉に向けた作業、オンゴーイングで進んでいるわけですが、それだけの津波、きのうは津波防災の日ということで総理も含めて対応されているわけでありますが、津波、地震、国民はあるいは福島県民はこの点を懸念する必要はないんですか、あるんですか。

山田政府参考人 ただいま御答弁させていただきましたとおり、現在、数字自体については確認をしているところでございます。

 この数字につきましては、なるべく保守的に検討いたしまして、十分な対策をとるという観点から策定をされているものというふうに認識をしてございます。

足立委員 済みません。くどいようですが、十分な対策をとるためにある種の保守的な数字を出す、これはもう当たり前のことでありまして、それは国民の、県民の生命財産を守る。これは国として当たり前のことであると思います。

 その保守的な数字でいいんですが、それがいつ起こるかわからないわけですね。起こるとどうなるか。個人的なことでも、組織として何か御答弁しにくいかもしれませんが、少なくとも今対応はできていないと思います。そうですね。

 例えば、そういう地震、津波が起こったときに、トレンチにあるいろいろな高濃度のものが流出をする、あるいは今作業中のものが倒壊をする、いろいろな検討が必要だと思うし、仮にそういうリスクがあるのであれば、場合によってはそれに応じた避難計画も要る、こう思いますが、どうお考えですか。

山田政府参考人 地震につきましては、建物の健全性について九百ガルということで評価をするということで、恐らく津波の高さの方が大きいので、それについての御懸念かと思いますけれども、これにつきましては、建物の中に入った場合に、今建屋の中にあります汚染水がどういうふうになるのか、それに対する対策をどうするのかというのは、今後検討の課題になるんじゃないかというふうに考えてございます。

足立委員 山田審議官にこれ以上伺ってもあれですが、大臣、私ごときが何かここで指摘を申し上げるまでもなく、この福島第一の収束、廃炉については、まさに高木副大臣の方でいろいろ、経産省でいろいろ作業されるわけでありますが、それが復興に与える影響というのが私は非常に大きいと思って、非常に深刻に捉えているわけであります。

 風評等の議論ももちろんありますが、これは風評じゃありません。私、風評に通じるような何物かをここで喧伝したいわけでは当然、それは御理解いただけると思いますが、先ほども御紹介しましたが、そこにある事実をもっと知りたいと、国民はあるいは県民は思っているわけでありまして、ぜひその辺、改めて、これから職務を通じて御対応いただきたい、こう思っているわけであります。

 竹下大臣には、ぜひそういうことも含めてなんですが、一方で、そういう厳しい状況にある事実をわかった上で、それでも福島を再生していかなければ、福島の再生なくして日本の発展はないんだ、こういう思いで私もやっております。

 そうしたときに、そういう風評、それから今申し上げたような事実、そういうことも含みおいた上で、そういうネガティブなイメージがどうしてもあります、それを、やはり福島の復興に向けて、大きな大きな、もっと前向きな、ポジティブな、私は物語と言っていますけれども、そういうものを国がお手伝いする形、国が率先して、ピンチをチャンスに、ネガティブをポジティブに、いろいろな言い方がありますが、福島再生というものをもっともっと前向きな国家的プロジェクトとして位置づけていく、そのために国が果たしていくべき役割は大きい、こう思いますが、いかがでございましょうか。

竹下国務大臣 お話にございましたように、被災した地域では厳しい状況が続いております。厳しい状況が続いておりますが、やはり、将来どうなるんだろうというのが、被災した、あるいは避難をしている皆さん方の、文字どおり本音でありまして、将来の絵といいますか、将来こうなりますよ、あるいはこういうポジティブな場面も当然出てきますよということを皆さん方と一緒につくり上げて、それを一つ一つ実現していくこと、これも復興がなし遂げていかなければならない大きな役割だ、こう思っております。

 具体的には、原発関連の十二市町村について広域的な計画をつくって、将来像といいますか、そういうものを今議論しておりまして、これは、そう遠くない将来に皆さん方にまず素案をお示しし、また議論を重ね、さらに深いものにしていくということをやり遂げていかなければならない、このように思っております。

 例えば、大熊町で大川原地区というのがあるんですが、あの地域に、ロボットの研究ですとか、あるいはそれを屋外でやる研究ですとか、いろいろなものをつくることを町長は計画しておられまして、私、視察をした際にその説明を受けて、ああ、こういうのはいいな、前向きな姿勢はいいなというのを非常に強く感じたことも覚えておりますので、そういったものが被災地全域に広域的に広がることを考えていきたい、こう思っております。

 それから、もう一つあるんです。オリンピックがやってくるんです。東京オリンピック・パラリンピックがやってくる。聖火ランナーにここを走らせて、ここまで復興したぞということを見せたらどうだというのを実は安倍総理がもう言っちゃったんです。JOCはまだルートを決めていないんですが、総理がここを走ったらどうだということを言っちゃったものですから、多分JOCは慌てていると思うんですが、私も同感です。同感だというのは、やはり、ここまで復興したぞということを世界に示すいいチャンスだ、気持ちが高まりますから。気分が高揚する、これも被災地にとって大事なことである、こう思っております。

 いずれにしても、そういった具体的なイメージと、そして気分を高揚させるもの、あわせて各省庁ともしっかり連携を深めてやっていきたい、こう思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 竹下大臣の方から力強いお話をいただきました。ぜひお力を尽くしていただければと思います。

 今、具体的な例としてロボット等の話も御紹介をいただきました。これは、時間が非常に限られていますので、高木副大臣にも簡潔にお伺いをしておきたいんですが、赤羽副大臣の時代に、本会議場でも近くですので、よく御尊顔を拝しているわけですが、大変御努力をされて、公明党の先生方は本当に頑張ってくださっていると承知をしています。国際研究産業都市構想、私は大変期待をしている。これはどんな現状で、当面どんな見通しか、ちょっと御紹介をいただければと思います。

高木副大臣 今、足立委員御指摘ありましたイノベーション・コーストの構想でございますが、御指摘にありましたように、ことしの一月に赤羽副大臣が座長となって研究会を立ち上げました。

 そういった中で、まず、廃炉研究開発拠点、ロボットの研究・実証拠点、これらの整備とそれらを支えるまちづくり、これを含んだ幅広い構想ということで、本年の六月の二十三日に取りまとめさせていただきました。

 この構想は地元の期待の強い構想でありまして、絵に描いた餅にならないようにしなきゃいけない。実現に向けて、しっかりまず、経産省だけではなくて、国を挙げて取り組んでいくことが重要である。

 その上で、構想に掲げられた主要プロジェクトにつきましては、既にその一部は検討が具体化しておりまして、例えば、廃炉のためのロボットの研究、実証試験ということで、楢葉町にモックアップ試験施設、これは平成二十七年度、来年度の運用開始を目指して、既に着工しております。

 また、構想の具体化に向けまして、さらに検証、検討が必要なプロジェクトにつきましては、本日より、個別の検討会を立ち上げまして、この検討を深めていくことにしております。

 また、地元福島におきましても、御意見を伺いながら構想の具体化を進めていくために、国と県、あと地元の市町村から成る会議を設置する予定でありまして、政府一体となって推進してまいりたいと思います。

 特に、先ほど御指摘いただいたポジティブなというお話。この三年八カ月の間、被災者の皆様方はマイナスからゼロにするという戦いであったと思います。今も、現状そうだと思います。しかし、ゼロではなくてプラスにしていくというのがこのイノベーション・コースト構想である、このように考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 ちょうどきょうから検討会も始められるというふうに伺いました。ぜひ、まさにポジティブな取り組みとして結実していくことを心から念願しております。

 そういう廃炉に係るロボット等の研究拠点として一つの、一大拠点ができていくというようなイメージが私はあっていいと思うし、もちろん、放射線に係るさまざまな危険なところもあるわけですから、全体の中で、この地域はそういう地域だ、この地域に集積をしていくんだとか、そういう地域の絵姿をつくっていかれることを期待しておりますが、私は、実は一番考えていますのが、ロボット等の取り組みがいつも取り上げられますが、実は、廃炉作業の一番の核は、核というかコアになる作業は、燃料デブリの問題ですね。これは釈迦に説法でございますが、溶け落ちてしまった、メルトダウンしてしまった、これをどうするのか。

 小泉元総理とか私どもの橋下代表とかが、よく使用済み核燃料の話をします。トイレなきマンション問題ですね。そういう使用済み燃料の問題と燃料デブリの問題は基本的にはもちろん違いますが、毒性ということについては同じ問題であって、核の燃料が、使用済みのものがあり、あるいはデブリという形である、これをどういうふうに処理していくのかというのは、実は、日本の課題でもあるし、世界の課題なんですね。

 私は、こういう問題にもっと光を当てて、福島にあるわけですから、その解決の研究拠点としてももっともっと位置づけていっていいんじゃないか、こう感じているわけでございますが、高木副大臣、いかがでございましょうか。

高木副大臣 今、燃料デブリの問題が出ました。きょう報道されておりますけれども、四号機の使用済み核燃料の千三百三十一体は無事搬出をしまして、いよいよこれから、一号機から三号機までの燃料デブリの問題がクローズアップされてまいります。

 今御指摘がありましたように、この燃料デブリの取り扱い、それを取り出し、さらにその後どうしていくか、これは重要な問題でございますし、これは私もよくマスコミの方にも申し上げているんですが、人類史上、いまだかつてやったことのない作業をやろうとしている。

 チェルノブイリの場合は石棺で埋めてしまいました。スリーマイルの場合には圧力容器から飛び出していませんでしたので、これはこれで取り出しができた。今回は、その燃料デブリがどういうような状態になっているのか、まだ現状では把握されておりませんけれども、それを取り出す、その後の処理をしていく、まさに人類史上、いまだかつてないことをこの日本でやろうとしているということで、これはよくNHKの「プロジェクトX」に匹敵する以上の話になるということで、世界の知見をここに集めて拠点としていく、これはまさに重要な問題であると思います。

 その上で、今の第一原発の燃料デブリの問題でございますが、海水等の影響で通常とは大きく異なる環境にさらされた経験を持つために、当面、使用済み燃料は共用プールで保管、さらに、その後、課題の調査、検討を踏まえて、二〇二〇年ごろ決定するとしています。

 さらに、燃料デブリにつきましては、今申し上げましたように、現状がどうなっているか、まだ把握されておりません。そのために、先ほどから御指摘されているロボットの技術も含めまして、格納容器内の調査装置等の研究開発、さらには燃料デブリの取り出し工法の検討、また、実際に取り出した後、適切な対応ができるように、模擬デブリによる特性把握、燃料デブリを取り出した後に収納するための収納缶の検討、取り出した燃料デブリを分析、研究するための施設の設置準備も並行して今進めておりますので、この件につきましてはまだ不明な点も多いわけでありますけれども、廃炉作業で得られる情報等を踏まえ、適切な対応を進めてまいりたいと考えています。

足立委員 時間が来ましたので、あと一言だけいただきたいんです。

 実は、今のお話の延長線上で、例えば、エネルギー基本計画にも、最終処分に加えて、「放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発」ということで柱が立っています。高速炉や加速器を用いた核種変換など、これは要すれば、十万年レベルの問題をできれば三百年まで有毒性を低減させよう、こういうプロジェクトであります。

 これはぜひ、多分日仏協力のお話なんかも御紹介いただく予定だったと思いますが、私は、フランスで実証炉ということだと承知をしていますが、日本で高速炉の実証炉を、それも発電のためではなくて廃炉のための、放射性廃棄物の毒性を減らすための高速炉の実証炉を日本でつくることを検討できませんか。

高木副大臣 貴重な御提言だと思います。

 御指摘がありましたように、エネルギー基本計画においても、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等の観点から、使用済み燃料の再処理をして、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針、このようにしておりまして、御指摘のあった、米国やフランスとの国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組む、こういう方針が示されております。

 こうしたことから、高速炉技術の開発については、現段階では、アメリカやフランスとの国際協力も含めて着実に進めていくという段階で、委員御指摘の貴重な御意見はしっかりと拝聴させていただいて、今後さらなる大きな課題としてまいりたいと思います。

足立委員 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 東日本大震災、福島第一原発事故から三年八カ月がたとうとしております。私、地元は山梨でありますけれども、震災直後、私も医療支援として、そのときは宮城県気仙沼でございましたが、主に在宅に取り残された方々、そういう方々に対してケアをするという支援に携わらせていただきました。

 その後は、福島にいる医者仲間等々からその問題等についてたくさん御意見をいただいておるということで、本日は、東日本大震災、そして福島第一原発事故、放射能による健康被害対策について主に質問させていただきたいというふうに思います。

 今なおその傷跡は癒えない状況が続いておる。特に次代を担う子供たちの健康問題、今後もしっかりと永続的にフォローしていかなければならないということは言うまでもないことだというふうに思います。

 福島において、原発事故後、放射性物質への不安から、福島県内の多くの学校では校庭などで活動が制限されました。例えば郡山市では、被曝する放射線量を低減化するために、平成二十三年五月から、小中学生においては平成二十四年三月まで体育の時間を含めて一日三時間以内に、また、幼児においては平成二十五年十月まで一日三十分以内に、屋外での活動が制限されておった。

 文部科学省が年一回行っている全国体力・運動能力、運動習慣等調査では、平成二十五年度に福島県の男女全てで全国平均を下回った。また、同省の学校保健統計調査によりますと、小学五年生の男子に占める肥満児の割合は二一・三%で、全国平均の一〇・九%を大きく上回る、そのような結果が出ている。視力についてもやはり全国平均を下回っている結果が出ているということです。

 現在、福島県内では除染などが進んで、屋外活動の制限は解除されてきておりますが、長期間にわたる制限で子供の体力低下が大変深刻となっている。

 ハード面においては、この復興委員会でも六月に視察に行きましたスマイルキッズパーク等々、整備も行われておるようですが、対象が小学生までということで、中学、高校生までも対象として利用できる施設の整備、きめ細やかな対応が求められると思いますが、現在また今後について、御見解をいただきたいと思います。

久保政府参考人 先生御指摘のとおり、文部科学省が行っております全国体力・運動能力調査では、二十五年度の福島県の小学生男女と中学生女子の体力合計点が二十一年度調査と比べてかなり低下しているという状況がございます。

 そこで、文部科学省といたしましては、まずハード面でいろいろなサポートができれば、できるだけのことをしようということで、学校や地域におきます子供たちの体育・スポーツ活動の環境を整備しますために、従前から、体育・スポーツ施設の整備に対して国庫補助を行ってきているところでございます。

 また、復興庁におきましても復興再生加速化交付金、さらに、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおきましてはスポーツ振興くじ助成金によって、スポーツ施設の整備に支援を行ってきているところでございます。

 文部科学省といたしましては、御指摘の中高生のスポーツ活動の場となる体育・スポーツ施設の整備につきましても、これらの支援制度を活用されますとともに、既存施設の有効活用が図られますように、引き続き、現地のニーズも十分踏まえながら対応していきたいと思っているところでございます。

中島委員 その点は御指摘と、環境整備というのは今後も継続的にやっていただきたい。

 そういう期間が長かった分、そういったことが習慣になってしまう。そういう健全な成長を後押しするため、ハード面のみならずソフト面でも、外遊び、小さい子供であれば外遊びではないですけれども、そういったことに目が向くような、そういった体制づくりも必要かなということは御指摘をさせていただきます。

 肥満に伴う、先ほど言ったように、その期間習慣となってしまったということは、そのままこれは大人でいえば生活習慣病ということにつながるというふうなことを危惧するわけです。

 これは、福島のみならず全国各地、子供の生活習慣病、もとは成人病と呼ばれたものが今は生活習慣病というのは、決して大人に限らないということでございます。

 そういった面から、福島において、そういう期間で、先ほども文科省の統計でもあったように、小学五年生の肥満率は平均より倍ぐらい高いということで、運動不足から来る肥満、それに伴う糖尿病、高脂血症など生活習慣病、これは重大な疾病につながることは言うまでもないことであります。

 放射能による健康被害の心配もさることながら、今後長期にわたってしっかりフォローする必要があると考えます。今後、被災した子供たちの生活習慣病対策、フォローの体制も含めて、どのように考えておられるのか、御見解を。

福本政府参考人 お答えいたします。

 福島県を初めといたします被災地の方々に対する、まず一般的な健康支援ということでございますけれども、長期にわたる仮設住宅等での生活を余儀なくされていることによる健康状態の悪化を防止する必要がございます。

 それで、現地におきましては、保健師が各仮設住宅への入居家庭を巡回訪問したり、あるいは入居者の方々を対象にして健康教室などを開くというような事業、地域の実情に応じて多様な健康支援活動ということが行われるわけですけれども、それに対して費用を助成するということを国として行っております。

 さらに加えて、被災地では、このような健康管理活動を行うための保健師、担い手になるわけですけれども、それが不足している、需要に対して供給ができていないということも聞いておりまして、厚生労働省といたしましては、全国の自治体あるいは職能団体などに対しまして、保健師の現地への派遣要請ということも行います。人材の確保の支援もしてきたところでございます。

 それから、あわせて、委員御指摘の子供ということに関してでございますけれども、子供に特化した取り組みということに関して申し上げますと、子供が外で伸び伸びと遊べないことを解消する必要がある。そのことによって生活習慣病になるということであれば、それを予防しなければならないということは、御指摘のとおりだと思います。

 それで、厚生労働省の取り組みといたしましては、大型遊具を設置して子供がその遊び場で伸び伸びと遊ぶことができるような事業でありますとか、あるいは、外で遊べない場合には、仮設住宅の中に子供が安心して過ごすことができるようなスペースを、仮設住宅の空き部屋とかを活用してそういう場所を設けるでありますとか、あるいは、子育ての家庭に対して、訪問して、心あるいは体の健康に関する相談に応じる、あるいは育児支援をする、あるいは、さらに必要であれば専門の機関に紹介をする、つなげるような事業を行っておりまして、今後とも、このような取り組みを行うことによりまして被災地の方々の健康管理を支援していきたいと考えております。

中島委員 生活習慣病、本来であれば自己管理という部分が非常に強いと思います。

 一方で、この福島の子供たち、子供たちのみならないかもしれませんが、そういう放射能による被害から屋内でとどまることを余儀なくされた、そこを原因として、恐らく生活習慣病から来る疾病というのは、これから十年、二十年、三十年、そういったところまで影響するかもしれない。それを今回の福島原発事故の影響と考えるのかどうか、後々そのような問題が禍根を残さないように、ぜひ今できることをしっかりやっていただきたい、そのように思います。

 放射能の影響による健康被害というと、やはり危惧されるのは小児甲状腺がん。決して私は、風評被害を広げるとか、そういう意味ではございません。環境委員会でも以前からこの問題を御指摘させていただいておるわけですが、先ほど、私、医者だということで、今も週末、土曜日、外来をやっております。山梨県の八ケ岳山麓にも福島から避難された方々が何十人かおられて、その方々に甲状腺に対する今回の問題を、私も私なりに不安にならないようにということで説明しておる、そういう立場での御質問というふうに理解をしていただきたいと思います。

 本年三月まで行われました先行検査、対象者三十六万余りのうち、受診されたのは二十九万人ぐらい、受診率八〇・二%ぐらいとなっています。その後、本年四月から二巡目となる本格検査が始まりました。地域別の甲状腺がん発症割合は、原発周辺の市町村、ほとんど差が見られないということで、現時点で放射能との因果関係は考えにくいということを私も否定するつもりはありません。

 本格検査は本年四月より始まっておりますが、被曝線量は個人差が大きいことから、県民全員の被曝線量を推計する調査をしっかり行わなければならない。しかし、現状、県民全体の被曝線量を推計する調査の回答率は約二六%と低迷しております。検討委員会でも、この数値は科学的には十分ではなく、一般的な世論調査では最低六〇%を求められるというふうなことも言われております。

 この回答率向上のため、国勢調査のように訪問調査するなど、新たな手段を講じていく必要があると私も思います。福島県の検討会でさまざまな議論が行われているとは思いますが、国としても積極的に回答率向上のための支援が必要と考えますが、御見解をお尋ねいたします。

北島政府参考人 福島県が公表しております平成二十六年六月三十日時点の集計によりますと、行動記録の回収率は、福島県全体では二六・四%でありますが、避難区域を含む相双地区では四五・三%となっております。

 現在、回収率の向上のための取り組みとして、福島県では、記載が容易な様式への記載の呼びかけや甲状腺検査会場等での記載の支援、市町村と連携した取り組みを展開しており、国といたしましても、こうした取り組みについて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

中島委員 これは、この次に質問するんですが、決して不安をあおることなく、正確な情報を与えて、例えば受診率もそうです、この回答率もそうなんですが、上げていくためには、これは一般の生活習慣病予防にもつながるかもしれませんが、やはりしっかりとした受診率を高める方法というのは非常に大事なことだと思います。

 ちょっと質問を飛ばして、資料にございます、これは八月十七日の産経新聞です。「放射線についての正しい知識を。」ということで、これは政府広報として出されたもの、主要各紙が全て出されて、福島のローカル紙にも出されたということになっております。

 ここに出されているのは、東京大学の放射線科准教授の中川先生、そしてIAEAのレティ・キース・チェム氏ということで、正しい放射線についての知識ということなんですが、内容を見ますと、ちょっと主張が一方的なんじゃないかなと私は感じたわけです。

 例えば、中川先生の、ちょっと小さい字で大変恐縮なんですが、百ミリシーベルト以下の影響は専門家の中でも意見が分かれているにもかかわらず、福島の現状ではその可能性はないというようなことが語られていたり、主にこれは持論が語られているわけですね。これは、当然ですが、正式見解とはまだ言えない段階ではないかというふうに思うわけです。そして、このIAEAの方の意見も。

 これは、政府広報として、どういう趣旨で掲載されたのか、その目的と、今回、広告に投じた費用、その効果をお伺いしたいと思います。

浜田副大臣 中島委員より、八月十七日の政府広報について御質問いただきました。

 まず、背景でございますけれども、安倍総理が本年五月に福島を訪問した際に、地元の御要請を受けまして、放射線に関する風評被害対策について、各府省に取り組み強化の総理指示が出されたところでございます。これを受けまして、復興庁、内閣官房、内閣府、外務省、環境省といった関係省庁の連携のもと、放射線のリスクに関する政府広報を各紙に掲載したところでございます。

 この広報は、放射線の影響などについて、依然不確かな情報が飛び交う中、科学的に確立されている正確な情報を掲載しているものでございまして、また一方、この中では、委員御指摘のような、長期にわたる避難生活により肥満とか高血圧とか糖尿病などの生活習慣病による発がんリスクが増加しつつあるということも指摘をしているところでございます。

 こうしたリスクへの対策を含めまして、被災者の皆様に寄り添った対策を政府一丸として今後とも取り組むという一環でございまして、御理解賜りたいと思っております。

中島委員 これは、先ほどの回答率、そして甲状腺がんでいうと、先行検査で二割ぐらいの方がまだ先行検査も受けておられない、今、本格検査に入っていて。

 大事なことは、やはりこれから、放射能の影響、先ほどの生活習慣病でも言ったんですが、今後起こらないことを祈るんです、起こらない方がいいに決まっておるわけですが、例えば水俣病、これは環境被害でありますが、五十年たった今もその認定のことについては禍根を残している。そういったことを考えますと、やはり受診率を高めたり回答率を高めていくためには、これは難しい面もあるかもしれませんが、不安をあおらずに、しっかりと正確な情報を伝えていく。

 先ほど私も、地元で、福島から来られた方々、数は少ないので、きめ細やかなとまではいかないかもしれませんが、例えば甲状腺の検査をして、嚢胞は、異常はないんだ、これは全く心配することはないんだ、そういった正確な情報を的確に与えていけば間違いなく不安は払拭できるということで、両立させるのはなかなか難しい面はわかるんですが、やはりそういった面で正確な情報を与える手段ということをしっかりとやっていただく必要があるのではないか。

 先ほどの生活習慣病もそうです。今後何十年、もしかしたら次の世代までも、もしかしたらこれが原因じゃないかと言われるようなことがないように、私からは、時間も来ておりますので質問を終わりますが、やはり、未来を担う、特に福島県の子供たちに対して、将来を確保するためには、今現在が非常に大事だということは言うまでもございません。それに向けての大臣の御決意をお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。

竹下国務大臣 中島委員からお話ございましたように、子供たちの将来というのは、もう我々政治を預かる者にとって物すごく重要な、一番重要と言ってもいいぐらい大切なことでございます。福島の子供たちが健康に伸び伸びと生育していく環境をつくっていくことというのは、まさに我々の責務であると任じております。

 先ほどから御指摘いただきましたように、放射能の影響を踏まえまして、将来にわたって子供たちをきちっと見守るために、お話ありました県民健康調査等々、さまざまな対応を講じていることは、御承知のとおりでございます。

 一方で、もう一つお話がございました、いわゆる生活習慣病といいますか、外に出られないことが大きな原因による生活習慣病による発がんリスクの高まりといったようなものも対応していかなきゃならぬ。それに応じて保健師の皆さんを派遣したり、あるいはスクールカウンセラーの皆さんを派遣したり、あるいはあいているスペースに遊具をつくったり、イベントをNPOの皆さん方にやっていただいて、そこに来ると子供たちが参加をして思い切り遊べるということ、いろいろなことをやっておりますが、多分、やらなきゃならぬことはまだまだたくさんあると思います。

 これからも、現地の課題をしっかりと吸い上げながら、関係省庁あるいは市町村と協力をした上でしっかりと実施をしていきたい、こう思っております。

中島委員 ありがとうございました。質問を終わります。

伊藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 竹下復興大臣にまず一問お願いいたしたいと思います。

 東電福島第一原発事故により発生した八千ベクレルを超える浄水発生土や稲わら、堆肥など、いわゆる指定廃棄物と呼ばれるものについて、今、宮城や栃木県を初め、最終処分場の候補地選定をめぐって大問題になっていることを御存じでしょうか。

 宮城県の候補地の一つとされている加美町は、一級河川鳴瀬川の上流にあり、一級河川で、しかもその流域が一つの県内で完結している、これは全国でここだけなんです。この豊かな水の恵みとおいしい米を誇る地域で、候補地の一つになっただけで、まだ何も始まっていないのに、西日本の卸業者から、もう米は扱えないと言われたり、百年続く菓子種のお店が取引を断られるというような風評被害が起こっております。

 また、栃木県の塩谷は、県内候補地は一つだけと指名をされて、名水百選の町でなぜと怒りの声が上がっているのは、皆さんも承知のことかと思います。

 両県も被災地であり、復興の大きな足かせとなっています。住民合意なしで進めるべきではないと思いますが、見解をお願いいたします。

竹下国務大臣 おっしゃいますように、指定廃棄物の最終処分をどうするかというのは、まだ我々が乗り越えなければならない大きな課題でございます。

 正直に言いますが、誰も喜びません。私のうちの隣に来てほしくない、これは、人間である以上、誰も、素直な感情であります。しかし、国家あるいは社会を形成していく上で、どこかにつくらなければならない施設であるということも、これはぜひ御理解をいただきたい。

 どこへ候補地を持っていっても、もろ手を挙げて賛成していただける方はいない。しかし、その覚悟の上で、政治が果たしていかなければならないのは、その上でもやはりどこかにつくらなきゃならぬという思いを我々は持っておりますし、そのことはやり遂げていかなければならない。これが大前提である、こう思っております。

 しかし、先ほどからお話にございますように、複数回にわたって、説明会を開きたい、あるいは現地調査をしたい、ボーリング調査をしたい、いろいろ申し入れても、相当丁寧なプロセスでお話をされているのではないかなと拝察をいたしておりますが、地元の方々からさまざまな御不安や御懸念が示されまして、現地調査が予定どおり進んでいないということは、承知をいたしております。

 復興を進めるに当たりまして、また、この最終処分場をつくるに当たりまして、地元の皆さん方の御理解を得ていくということは極めて重要なことでございますので、指定廃棄物の処理につきましては、担当は環境省でございますけれども、引き続き地元からの御意見や御疑問に丁寧に答える、その上でしっかりとした対応をしていかなければならない。

 ここはだめ、ここはいいと我々が言うべきことではなくて、丁寧にお話をした上で、御理解を得るということをぜひともなし遂げていかなきゃならぬ、こう思っております。

高橋(千)委員 誰もが、どこかにということは理解しているんです。だから無体に、ただ自分のところには持ってこなきゃ、ほかでどうにかなればいい、そんなことを言っているところはどこもありません。だけれども、そのプロセスに問題があるんだ、だから指摘をしているのであります。

 資料の一枚目に、ポンチ絵ですけれども、これが、根拠となる放射性物質汚染対処特措法の概要であります。

 放射性物質による環境の汚染への対処について、廃棄物処理について、これは左の真ん中に囲みでありますけれども、警戒区域などの特別な管理が必要な地域内の廃棄物、その指定を受けた廃棄物、あわせて特定廃棄物というんですけれども、この処理は国が実施するとあります。

 また、二枚目に資料、同じものをつけてありますが、これは地元紙、河北新報に載った環境省の広告であります。「環境省からのお知らせです。」。

 この中で、これは全面広告ですが、「宮城県内各地の三十ヵ所以上で保管していただいています。」「これらを県内一ヵ所に集約して、責任をもって処理を進めます。」とあるわけです。

 まず確認しますが、各県で出たものはその県に最終処分場をということは法律の中には書かれていないと思いますが、確認します。簡潔にお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の放射性物質汚染対処特別措置法では、国が指定廃棄物の処理をするということが定められてございます。

 各県の処理ということに関しましては、特措法に基づいて閣議決定をされております基本方針がございます。この基本方針の中で、指定廃棄物が排出された都道府県内において当該指定廃棄物の処理を行うことという規定がされているということでございます。

高橋(千)委員 確認をされました。

 法律、つまり私たちが立法府で議論しているときには、ここまで議論していないんですね。さっき林委員の質問の中で指摘がありましたけれども、議員立法だからと言っているけれども、基本方針は閣議決定なんです。本当に国が責任を持っているんです。そのことをまず確認させていただきました。

 その上で、宮城県では、候補地を三つに絞り込み、八月から、文献調査ということで、事実上、詳細調査に入りました。また、十月八日には加美町の現地調査、これは町長に知らせずに入ったということで町が大変反発をいたしました。今、実際にボーリング調査まではできていないという状態になるんですけれども、副大臣に伺います。

 三つとも不適地であっても、候補地になった中から選ぶと聞いているんですね。それはあんまりじゃないか、全部不適地ということがあり得ないのか、伺います。

小里副大臣 お答え申し上げます。

 宮城県におきましての三カ所の候補地でございますが、これは、安全性や危険性の度合いといったところをスクリーニングした上で、その上で水源からの距離や植生自然度などの項目によって総合評価をした結果として選定されたもの、絞り込まれたものであります。

 したがって、基本的には、三カ所の候補地の中から最終的な候補地を確定できるものと考えているところでございます。

高橋(千)委員 小里副大臣、ぜひ政治家としての答弁をしていただきたいと思うんですね。

 つまり、三つ絞り込んだので、いろいろやったので、いろいろ詳細調査で問題が出てきても、その中からよりましなものを選ぶというのが今の構図なんですよ。

 ですから、例えば栗原市の市長なんかは、別に賛成しているわけじゃないけれども、自分のところに調査が来れば必ず不適地だと思う、そういう意味で受け入れているんですね。だけれども、不適地だけれども、三つの不適地の中からよりましなのを選ぶというのが今の構図なんです。そこが矛盾なんですよ。

 栗原市の深山嶽は岩手・宮城内陸地震の地割れの傷跡が残った山の中です。もう一つの大和町の下原、これは陸自王城寺原演習場の緩衝地帯であって、自衛隊の誤射による着弾もあった場所なんですね。しかも、沖縄の負担軽減ということで実弾演習場が移転をしてきて、そのために住民の方たちが先祖代々の土地を手放した。そこが候補地となっているんです。そして、今お話しした加美町は、ダムをつくるために採石した跡地であります。その砂利はもろ過ぎて使い物にならなかった。そういう地盤なんですね。

 これは本当に象徴的なことだけ言いました。もっとたくさん問題があるんですが、いずれも、景観もあり、水源地や地すべりなど不適地だと言える場所ばかりなんです。これで、最初からその中から選ぶんだというのでいいのかということなんです。

 候補地となった自治体との折衝の中で、雪が降る前に調査を終えて、来年から着工したいと環境省が述べたといいます。そういう建設ありきの進め方では到底納得できません。いかがでしょうか。

 この広報には、市町村長の総意として知事が受け入れ表明を行ったとしていますが、今でも反対がある、総意だととても言える状態ではありません。その認識を含めて、もう一度伺いたいと思います。

小里副大臣 建設ありきではないか、また、総意とはどういう意味なのか、お尋ねでございます。

 宮城県内の指定廃棄物は、現在、県内三十六カ所に一時保管をされております。不安定な状況で保管をされておりまして、これをぜひとも早期に堅固な施設で安全に処理することが求められております。

 環境省としましては、雪が降る前にボーリング調査を終えないといけないという状況を勘案しながら今進めているところでございます。雪解けを待って調査を再開するとなると、全体のまた進捗、候補地の選定作業が大幅におくれてしまうおそれがあります。決して建設ありきの説明を行ったものではないということを御理解いただきたいと思います。

 また、市町村長の総意だとしているところでございますが、これは経緯を簡単に申し上げますと、前後で通算七回の市町村長会議を開催しております。その中で、昨年の十一月に選定手法を確定いただきまして、一月に候補地を提示し、その後また候補地と国、県とのいわゆる五者協議を四回重ねてまいりました。八月四日の市町村長会議において、さまざまな意見を村井知事が取りまとめられた結果として、県内市町村長の総意として詳細調査を受け入れるとの報告をいただきました。これを重く受けとめて、環境省において対応しつつあるところでございます。

 先ほど大臣からもありましたように、全体としては、これは必要な施設であるということは理解をされております。しかしながら、それを受け入れることになるかもしれない候補地にとっては、大変な風評被害を初め、これを受け入れることについては大変な御心配がある、このことには本当に思いをいたさなければならないわけであります。そういった中で事を進めていくための、苦渋の結論として、総意があったということでございます。

 村井知事も苦渋の決断というような言葉を使っておられたと思いますが、自分の選挙はさておいても、全体のためにこれを進めていくんだという村井知事の御覚悟も受けとめながらこれを進めているところでございます。

高橋(千)委員 もう十一月ですから、いつ雪が降るかわからないんですよ。実際にそれがわかっていて、しかも、雪が降る地域だとわかっていてこういうことを言っているというのは、それは、建設ありきと言われるのは当然なんですよ。

 段取りを踏んできたのは十分知っています。だけれども、結局、反対意見もありました。加美町だけじゃないんですよ。別に栗原だって賛成なんて言っていません。三市町一遍に調査するのでなければ受け入れられないと言っているんです。そのほかにも反対意見はありました。あえて採決をしていない、そういう経過を踏まえていることを、総意があったと、いかにもみんなが認めたみたいに広報するのは問題ではないかとあえて指摘をさせていただきました。

 そこで、資料の三枚目を見ていただきたいと思うんです。

 これは環境省の資料ですけれども、「宮城県における計画処分量及び施設設置に必要な面積」、つまり、どれだけの面積が必要かということを考えるときのデータなわけですね。

 これは、問いにする時間がなかったので言っちゃいますけれども、今ある保管量、指定廃棄物が四千九百五十五・三トンである。そして、計画最終処分量が八千七百トンである。それで、なぜ計画最終処分量というのが上回っているかというと、結局、今八千ベクレルに達していなくても、焼却することによって濃縮されて入ってくる量も踏まえているんだということが下の小さな字の説明の中に書いてあります。

 それで、その次のページを見ていただくと、第五回の市町村長会議の中で出された資料ですが、丸で囲んでありますけれども、環境省が宮城県からいただいた資料をもとにつくった四千九百五十五・三トンの内訳であります。一致しています。

 ただ、左を見ていただきたいんですね。これは、宮城県がその後、例えば畜産課などが新たな調査を行って、これまで、昨年の八月の時点ではない、一目でわかると思います、いろいろな自治体に実は汚染稲わらがあるというデータを出しています。これを単純に引くと、九百トン以上の乖離があるわけなんですね。

 このことは、我が党県議団が申し入れも行っており、事は必要面積にかかわる重要事項です。実態をきちんとつかむ責任があると思いますが、伺います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、宮城県における指定廃棄物の処理施設の必要面積を算定するに当たりましては、保管量として四千九百五十五・三トン、計画最終処分量として八千七百トンという数字を使ってございます。

 この数字でございますけれども、一つは、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして環境大臣が指定をしました指定廃棄物の量というものがございます。また、これも先ほど御指摘ございましたけれども、二十五年八月でございますが、環境省が宮城県に公式に依頼をいたしまして、調査を実施していただきました。それによって得られた廃棄物の量のデータを用いてございます。

 お尋ねのございました農林部局の調査結果につきましては、現在、宮城県におきまして内容を精査しているというふうに承知しておりますので、まず、私どもとしては、県による精査の結果を確認したいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 精査をしているということであります。その結果をしっかりと出していただきたいと思うんです。

 そこで、十月に加美町の質問に対して環境省が答えた文章を見ますと、保管量をもとにした必要面積は二・五ヘクタール、それで、保管量は、今、さっきから言っている四千九百五十五トン、合計八千七百トン、ここから算出をしています。しかし、昨年は二・六四ヘクタール必要と言っていたんです。今は二・五ヘクタール。一年たって、なぜ縮小したんでしょうか、面積が。

 それは、当時の保管量は七千三百五十二トン、計画最終処分量九千九百トンで見ていたからです。なぜ一年で保管量が減ってしまうんですか。これは、二千三百九十七トン減って、面積が〇・一四ヘクタール縮小できたことになるんですよ。これは重要な問題なんです。

 何かといいますと、加美町に行った、田代岳に行った方はよく御存じだと思いますが、四角いバケツのような地形をしております。そこに、かつ、鶴の首と言われる細い道があるんです。それを足し合わせてようやっと二・五ヘクタールになる。全然足りないじゃないかと町が指摘していた。だって、本当は二・六四ヘクタール必要だったんですもの。それに合わせるかのようにしているように思うんです。でも、今言ったように、精査をしたらまた量がふえるんじゃないですか。違いますか。

 徹底的に精査して、必要面積、これは大前提ですから、改めて示していただきたいと思います。いかがですか。

高橋政府参考人 今御指摘のございました数値の変更につきましては、もともと宮城県で決めております選定手法の中で、最新の保管量に基づいて計算を行うということになってございます。それに基づきまして、最新のデータを用いて修正をしたということでございます。

 いずれにしましても、先ほど御指摘のあった新しいデータも含めて、精査をきちんとやっていきたいと思っております。

高橋(千)委員 ということは、必要面積が変わることもあり得る、要するに、足りないということもあり得るということですね。

高橋政府参考人 まずは精査の結果をきちんと評価してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 お認めいただいたと思います。

 こうやって、一つ一つのデータがやはり正確じゃないんですよ。だから言っているんです。ただやみくもに嫌だ嫌だと言っているのではない。誠実じゃないんです。さっきから言っているように、国が責任を持つと言ったけれども、その責任の持ち方が、国が一方的にやるという意味では困るんです。そういうふうに履きかえてはならない、だから指摘をしている。ここは非常に重大な問題ですので、明らかにしていただきたいと思います。

 そこで、町村長の皆さんの中には、やはりそうはいっても、八千ベクレル未満の廃棄物もたくさんあって、これは手をつけられずにいるんですね。これは、処分場ができたからといって、何の解決もいたしません。というのは、環境省は、それは市町村で一般廃棄物としてやれと言っているんです。これでは一向に解決いたしません。

 特措法の見直しも含めて、どうするつもりなのか、伺いたいと思います。

高橋政府参考人 指定廃棄物に該当しない八千ベクレル以下の廃棄物でございますけれども、これにつきましては、従来と同様の処理方法で安全に処理ができるということでございます。それに基づきまして、多くの市町村で努力をされまして、処理が進んでいるというふうに認識をしてございます。

 また、処理が滞っている、特に農林業系の副産物につきましては、処理費用を補助する事業もございます。そういうものによりまして、関係省庁と連携し、あるいは県と連携をしながら、処理の進展に向けて取り組んでございます。

 ただ、まだ地域で理解が得られず、処理が滞っている地域もあるということも承知をしてございます。これにつきましては、ホームページなどを活用して、処理の安全性をまずわかっていただく、その周知を行うということに加えまして、処理に困っておられる自治体と連携をいたしまして、住民の方々への説明会などに私ども職員とか専門家を派遣するというようなことで、住民の理解を得られるよう積極的に努力をしてございます。

 こういう取り組みを通しまして、廃棄物の適正処理が一歩でも進むように一層努力をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 きょうは終わります。

伊藤委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 最近、資材とか労務費等が値上がりしているわけでして、その弊害が大きくなったような気がいたします。特に、土木もさることながら、建築関係、ここで問題が大きくなっているような気がします。

 例えば大槌町だと、被災地の小中学校が、これは今、四小学校、一中学校を合わせて仮設設置されておりますが、これを小中一貫校として再建することとして移転先が決定されております。これは二十六年三月都市計画決定と。

 校舎は、実は九月に建築工事発注予定だったわけですが、そして、うまくいけば平成二十八年度開校予定だったんですが、二回入札不調になったんだそうです。こういう建築関係の入札不調というのは結構出てきているなと思っております。今三回目の入札を行っている。このままいくと、当然二十八年度開校に赤信号がともっている。

 これは、用地取得の特例も前国会でつくりましたので、そこはそれで活用する方が別途出てまいりますが、これはこれで違う話で、資材や労務費等の値上げという問題であります。

 その入札の不調ということで、学校も困りますが、これがなぜ困るかというと、この学校建設用地が、うまく学校を建設した場合、今の仮設学校の用地、ここが防集、防災集団移転促進事業の住宅用地になる予定で、したがって、こういうのがおくれると、玉突きで住宅建設がおくれて、そして仮設住宅の暮らしが長くなるという状況です。

 これは一つの例でありますが、住宅整備も含めて、実は、結構、被災地でおくれが出ております。先ほど、このようになっている理由は人員不足にある、資材不足と申し上げましたが、工務店なんかも、一般に建てる場合でも被災地で半年待ちになっているという話もよく聞きます。

 こうなっているのは、当然、いわゆるアベノミクスの弊害というのは厳しい地域に出てくると予算委員会でも私は申し上げたんですが、この厳しい被災地にやはり典型的に副作用が出ているんだろうと思います。

 そういうことで、私は、資材や人員を被災地優先で割り当てて取り組めるスキーム、これは現在もやられておりますが、さらにそれを進めるスキーム、例えば、言ってみれば、被災地復興事業促進法とでもいうようなスキームですね。そういうスキームも含めてやはり検討すべきときに来ているんじゃないのかなと思いますが、大臣、今のその事業の状況についての認識と、その辺のところの認識をお伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 これまで、被災地の復旧とその工事が順調に進むようにさまざまなことを講じてまいりました。委員も当然御承知のことでございますが、五段階の加速化策をこれまで実行してまいりまして、その都度その都度問題になっているところを乗り越えていく努力を重ねてきたところでございます。

 まず、人材の確保についてでございますが、復興ジョイントベンチャーの導入などによりまして、全国から広く人材を集めるとともに、復興の規模の大型化、あるいは各機関の発注見通しの統合、それを公表することなどによりまして、人材を効率的に活用できるような措置をとってまいりました。

 また、労務単価の引き上げ、それから現場諸経費の引き上げ、それから資材の値上がり等々につきましても、労務単価、これも御承知のことと思いますが、全国の地域よりも高いレベルで被災地の労務単価の引き上げを我々は実施してまいりました。さらに、現場諸経費についても、全国よりも高いものを盛り込んでいただくことにいたしましたし、資材等の値上がりに関しましては、全て税金で補填しておるというわけではございませんが、かなりの部分、値上がりについては面倒が見られるような体制をとらせていただいておるところでございます。

 さらに、それでもどうしても間に合わない、生コンが一番の問題であったわけですが、これは、特に宮城、岩手に幾つかの生コンプラントを公が設置いたしまして、復興に間に合うように生コンを供給しておるということ等々もやらせていただいております。

 こうした取り組みによりまして、確かに、御指摘にありましたように、個別の問題はまだあります、幾つかありますけれども、全体として見ますと、被災地において資材や人材はほぼ確保されておるという状況にありまして、ほぼ全ての入札案件は、ほとんどが二回目で落ちますが、ほんのわずか、〇・数%は三回目になることもあります、ありますけれども、ほぼ全ての入札案件の契約は、契約を結べるという状況になってきておりまして、復旧復興事業にかかわる工事は全体として着実に進んでいる、あるいは進み始めたというふうに認識をいたしております。

 しかし、今後とも、被災地の資材や人材の状況に引き続き注意をしながら、復興のためにきめ細やかな対応をしていきたい、こう思っております。

畑委員 いろいろな政策をとっているのは私も知っております。

 今の認識、全体としては進んでおる。多分、大きなものはそうなんだろうと思うんです、土木系は特に。ただ、この建築系というのは小さいですし、特に施設系になってくると、結構というか、かなりそういうのが見えております。

 大臣は二回目で大体落ちるとおっしゃいましたが、二回目だって、一回不調しているわけですよね。普通なら一回でやらなきゃいかぬ。一回不調になると数カ月、二、三カ月おくれるわけです。その分、仮設住宅暮らしが長引くわけですよ。だから、私は、そういうことは言ってほしくないし、その認識はおかしいと思います。

 結局、現行のやり方で努力している、しかし、うまくいっていない部分があるからそういうのが出てきているということが事実だと思うし、これは地元紙、きょうは配っていませんが、大槌町の復興、最大一年二カ月おくれと。議会の全員協議会で配ったものでも、大体軒並み半年から一年おくれていますね、こういうまちづくりが。だから、やはりそういうところをしっかり目配りしていただいて、きめ細かくやっていただきたいと思います。

 それで、議論を続けますけれども、特に住宅整備の工程でおくれているということでして、例えば、ある地区は、平成二十七年度には完成して家を建てられるということになっておった、こっちは宮古の方の人の話で聞いたんですが、今現在は平成三十年ごろに変更になっているということで、結局、この間に何が起こるかというと、お金のある人は早く建てています。資材、人件費が上がる前に建てている。ただ、今から建てる人はお金が厳しかった人ですよね。この段階で資材、人件費が高くなっている。だから、条件の悪い人ほどお金がかかるようになってしまっているわけです。条件の悪い人にお金がかかるようになっている。極端に言えば、何か、二年ぐらい前に建てた人の倍ぐらいになっているという人もいます。

 そういう中で、今、生活再建支援金もあるわけですが、結局、これも従来の額ですから、これで今から対応しろというのは、正直、厳しい人ほど厳しい、そういうことになりますし、住まいの復興給付金制度も消費税増税で措置していただきましたが、一〇%になればさらに負担が、これではなかなか厳しいんじゃないかということも、複合的に問題が出ております。

 そこで伺いたいんですが、まず、生活再建支援金の金額をふやすというお考えはありませんでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 委員も御承知のとおり、被災者生活再建支援制度につきましては、被災者の生活再建を後押しするための見舞金的なものといたしまして、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援によって支給されているものであります。基礎支援金につきましては、全壊の場合は百万円、加算支援金につきましては、建設、購入の場合は二百万円、合わせて最大三百万円となっているところであります。

 被災者生活再建支援金の支給額の増額につきましては、他の制度とのバランス、例えば災害弔慰金等があるわけでありますけれども、こうした制度とのバランス、また、国、地方の財政負担などを勘案する必要があり、慎重な検討が必要であると考えているところであります。

 なお、被災地におきましては、地域のニーズに応じまして、被災者生活再建支援金に加えさまざまな支援を実施している地方公共団体があるとお聞きしているところでありまして、委員の御地元の岩手におきましてもそうした制度があるというふうに認識をしております。

 以上です。

畑委員 結論から端的に言うと、否定的だという答弁で承りましたが、役人的な答弁でいくとそうなるんでしょうね。ただ、それでは困るんですよ。では、現実に被災者に対してどうしてくれるんだ。理屈で言われても困るわけです。

 であれば、ちょっと別の観点から伺いますが、では、それ以外でも結構ですが、何の制度と言うつもりはありませんが、これから住宅を建てる、こういう資材、人件費の高騰で困っている人に対して何らかの住宅の支援を行う考えはありませんか。

竹下国務大臣 住宅の復興をしていただくことは非常に重要なことでありまして、そのことに向かって我々は今、汗をかいているさなかであります。

 委員御指摘のように、一つは、土地の手当てあるいは高台への移転の土地の造成というものはこれから実現してまいりますので、そうすると、家の需要というのは急速に、ことしから来年、あるいは再来年あたりがピークを迎えるということが予想されます。それと、いわゆる一般の復興事業の工事との重なりから、さらにさまざまな心配があることも事実でございますし、資材の高騰等について御懸念があること、我々もそれは真っ正面から受けとめなければならない、このように考えておるわけであります。

 ただ、心の上では物すごく支援をしたいですけれども、例えば阪神・淡路のときどうだったか、あるいは新潟中部の地震のときどうだったか、そのときの支援の状況等々も我々はしっかりと認識をしなければならない。

 地域の不公平もあってはいけませんが、全国での不公平もあってはいけない、このようにも考えておりますし、市町村において、県においてもいろいろな、さまざまな県独自の対応をしていらっしゃる県も、三県ともさまざまな対応をしていらっしゃいます。あるいは、さらには、県産の木材を使っていただくことによって補助金を出しているところもあります。それに加えて、市町村によって独自の支援をしているところもあることでございますので、そういったことを一体として捉えていただきたい。

 我々が今やろうとしておりますのは、そういったさまざまな相談、どんな制度がありますよ、あなたにはこれが使えますよというのを、どこか一カ所に行けばワンストップできちっと説明をし、あるいは工務店の紹介もしてあげますよというところまでやれるような体制を今とりつつありますので、それは各地で御相談をいただき、成果を上げておるという報告を私は受けております。

 もっともっとやらなければならないこと、さらにきめ細かく対応しなければならない点はあるとは思いますけれども、全力を尽くしてやっていこうと思っております。

畑委員 ぜひとも全力を尽くしていただきたいんですが、なぜ私がこういうことを言うかというと、中越とか阪神・淡路のときもありまして、そのバランスは重要ですが、実は消費税が上がるタイミング、八パーに上がった、この復興のさなかに。私は、こういうときに消費税増税というのは、被災地にしわ寄せが来ると申し上げておりましたが、やはりそうなっている。今度一〇パーに上がるかもしれない、これはまだ今後の判断ですが。

 なおかつ、公共事業のあり方。公共事業は平準化して行うことが大事です。ただ、今、これはいろいろ議論はあるでしょうが、国土強靱化ということとかオリンピックで、だからこそ全国でこういうふうな、資材をとられて、会社をとられている。だから被災地にしわ寄せが来ている。そのしわ寄せがここにあらわれているわけです。

 だから、従来の、他の地域とのバランスと言ってほしくないし、結構、復興を邪魔していると私は思うんですよ、今の政策。だから、こういうことをしっかり含めて、特段のことをしてほしい。

 そして、これは、いろいろな制度をやっていただいているのはわかっています、ワンストップもわかっていますが、これはワンストップじゃなくて、現に、被災者に対しては、これから住宅を建てる人に対しては、負担の軽減を図ってほしいわけですよ。そこが私は足りないと申し上げております。

 これは、地方で独自に支援する方法もあるでしょう。そのためには、当然、復興特別交付税なり財政措置が必要になる。ここの部分もこれから議論しなきゃいけませんが、いずれにしても、きょうはそういうことで申し上げておきます。

 時間がなくなりましたが、次に、もう一つ大きな課題がありまして、それは、トラックとか運転手が不足している、こういう問題も生じております。

 企業自体は、結構、業績は立派に回復して上げているところも出ておりますが、トラック、運転手が不足しているので、タイムリーに消費地に対して物を出せない。特に水産加工業がそうです。物を出せないと、おくれるとどうなるかというと、買いたたかれて安くなります。その悪循環になってくる。そこで収益がかなり厳しくなる部分もあります。そこのところの対策というのは、どのようになっていますでしょうか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 景気回復に伴いまして、昨年度後半から荷動きが活発化しておる中で、トラックドライバーにつきましては、被災地を初めとして、不足感が高まっているものと認識をしております。

 国交省としても、我が国の経済と国民生活を支える物流の担い手を確保することは重要と考えておりまして、本年三月、トラック産業の健全化、活性化に向けました有識者懇談会を設置しまして、七月に取り組みを整理したところであります。

 トラックドライバーの確保に向けましては、ドライバーの労働条件の改善が重要と考えております。適正運賃の収受など、トラック産業の健全化に向けた対策を推進していく考えであります。

 加えまして、今まで採用が余り進んでいなかった若者とか女性の活躍、定着に向けまして、それらの方々が働きやすい勤務形態あるいは職場環境への配慮などの取り組みを推進してまいりたいと思います。

 これらの取り組みによりまして、トラックドライバーの確保を図ってまいりたいと考えております。

畑委員 これは恐らく全国的な対策だと思います。

 被災地において、特段そういう対策を全国とはまた上積みしてやっているということはありますか。その点、お答えください。

田端政府参考人 各地の状況をいろいろ把握しながら、トラックドライバー対策は進めてまいりたいと思います。

 被災地におきましては、いろいろな復興需要などによりまして、ドライバー不足がより厳しい状況かと認識はしております。先ほど申し上げました対策を、よりきめ細かく、地域の実情に合わせて取り組んでまいりたいと思っております。

畑委員 実は、今の議論で思ったのは、やはりそこに、先ほどの住宅もそうですが、このトラックの議論をめぐっても、状況判断そして認識の甘さを私は感じた次第であります。

 これからしっかり取り組んでいただきたいんですが、被災地においてこういう問題が特に出てきて、被災地における対策というのをこれまで検討してこなかった、一般論でしか検討していなかった、私はその点は大きな問題だと思います。

 時間も参りましたので終わらせていただきますが、きめ細かく被災地に寄り添ってとおっしゃいますので、私もそう願いたいんですが、ぜひとも、細かいところを把握しながら、本当に被災地の要望に応えていただきたいと思います。

 今後ともよろしくお願いいたします。

伊藤委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 次世代の党の杉田です。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、仮設住宅の実態についてお尋ねをしたいんですけれども、現在の仮設住宅の数と、それから、今までに仮設住宅に入っていたけれどももう既に退出された方というものの割合を、直接原子力が原因となっている福島を除いた県別の数でお答えいただきたいんですが、お願いいたします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災時に設置した応急仮設住宅につきましては、現在、岩手県で一万四千戸、宮城県で三万三千戸、福島県で三万四千戸、その他都道府県で一万二千戸で、合計九万三千戸の被災者が入居されているところでございます。

 応急仮設住宅から退去した被災者の数ということでございますけれども、県外から戻って応急仮設住宅に入居したケースなどもありまして、正確な数字については把握してございませんけれども、ちょっと済みません、原子力を除いた、福島県を除いたという数字ではないんですけれども、福島県も入った数字でございますが、発災一年後の平成二十四年三月末の応急仮設住宅における入居者数のピークである三十一万六千人と現在の二十一万四千人を比べると、十万二千人、約三割の方が仮設住宅から出られているという状況にございます。

杉田委員 先ほども大臣の答弁の中に阪神・淡路大震災のお話が出ていたんですけれども、私は阪神・淡路大震災を経験しておりまして、その当時、仮設住宅が一番ピークのときで四万八千戸あったそうです。その後、ちょうど今ぐらいの時期、震災から三年と八カ月がたったぐらいの時期にはそれが一万戸にまで減っていた、その後、間もなくしてほとんどゼロになったというようなデータをきのう教えていただいたんです。

 先ほどのお話にもありましたが、阪神・淡路大震災のときは被災者支援法というのがなかったんです。今のやりとりを聞いていて、何か、百万だとか二百万だとか支援金がもらえているというのを聞いて、あの阪神・淡路のときは義援金を配分しただけですから、私の実家なんかも全壊いたしましたけれども、全壊とかで十万円です。全然そこが阪神・淡路と違うなと思っていまして、そのような支援がなかった阪神・淡路大震災のときに、そういった結構な割合で仮設住宅はどんどん減っていって、皆さん自立をされて出ていかれていたという事実があるにもかかわらず、今、この減り方、三割の方しかまだ出ていらっしゃらないんですよ、三年と八カ月がたって。

 このとどまっている方の理由は何か、何が妨げになっているのか、また、阪神・淡路大震災のときとどういう違いがあるのかということについてお答えいただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 被災者の方がなぜ仮設住宅にとどまっておられるのかというお尋ねでございますけれども、個々の事情について承知しているわけではございませんけれども、基本的には、阪神・淡路大震災と比較した場合に、災害の規模、形態が異なっておるために復興のスピードにかなり違いがあるというのが大きな原因であるというふうに考えております。

 すなわち、阪神・淡路大震災の場合には、主として、八割の方が建物の倒壊等によってお亡くなりになっておりまして、一三%が火災ということでございます。言いかえれば、土地そのものに問題があったというよりは、建物なりそういったものが問題がございましたので、復興の際には、同じ敷地において建てかえが主、あるいは、場合によっては区画整理等を行うケースもありましたけれども、それにつきましても、もともと木造密集地帯ということで、まちづくりについての計画がある程度進められていたという実態がございます。

 一方、東日本大震災の場合には、九割以上の方が津波によってお亡くなりになっておられまして、まちづくりをそもそも同じ場所で行っていいのか、高台に移転すべきではないかとか、あるいは、現地で復興する場合においても、土地のかさ上げをする必要があるのではないかというようなことから議論を始めたために、まず、新たなまちづくりに向けての住民の合意形成に大変時間を要したほか、実際に行う場合にも、高台の移転のための造成でありますとか、沿岸地域のかさ上げ工事が必要となっております。

 そのために、災害公営住宅の整備、あるいは防災集団移転促進事業等による民間住宅の宅地の整備など、住宅再建のための環境整備に時間を要しているために、応急仮設住宅の退去に相当な時間を要しているということではないかというふうに考えております。

杉田委員 規模や形態が違うというのは、それはもう私は十分認識をしておるところなんです。ただ、個人の方々が自立をして再建しようというときに、やはり、それぞれの方々が今までどのようなおうちに住んでいらっしゃってとか、阪神・淡路のときだって、個々人によって、二重ローンになってしまった方もいらっしゃいますし、いろいろな方々がいらっしゃったと思います。

 先ほどの答弁は、個人の事情じゃなくて、個人ではなくて、やはりそういった土地が用意できないだとか、高台移転とか、また、新しい土地のところに行っていただかないといけない、全体の合意形成ができていない、個人の問題よりも、それ以外の要因にかかわるところが大きいという理解でよろしいでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 個別に調査したわけではございませんので、詳しいことを承知しておるわけではございませんけれども、基本的には、仮設住宅から出たいと思っておられても移転先である公営住宅ができていないというのが大きな理由ではないかというふうに考えております。

杉田委員 わかりました。

 では、次の質問に行きたいというふうに思います。

 私も実際に被災地に入ったときに、向こうの方々にいろいろお話をお聞きした中で、石巻で地方議員をしていらっしゃる方から、実際にちょっといろいろ困った状態になっているというようなことをお聞きしたんですが、石巻ではピースボートという団体が仮設住宅なんかの運営や支援などを非常に大きな割合で行っているということなんですけれども、このピースボートというのは一体どのような団体なんでしょうか。お尋ねしたいと思います。

岡本政府参考人 石巻でボランティア活動をしていただいておりますいわゆるピースボートという団体は、私どもが承知しておりますのは、一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターという団体でございます。一般社団法人でございます。この団体が石巻市にピースボートセンターいしのまきという拠点をつくっていただきまして、復興支援活動を行っていただいております。

 なお、もう一つ、これは私も一般情報でしか存じ上げませんが、任意団体として、国際交流NGOピースボートという船旅をやっておられる団体があるということは別途承知しておりますが、この一般社団法人に問い合わせましたところ、任意団体の国際交流NGOピースボートと、今申し上げました、ボランティアをやっていただいています一般社団法人のピースボート災害ボランティアセンターとは別団体であると聞いております。

杉田委員 別団体であるという答弁なんですが、別団体でしょうけれども、関係はないんですか。

岡本政府参考人 正確なところは私は承知しておりませんが、この一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンターの関係の方に私も面談したことがございまして、そのときに、一番最初に、あの別途ある国際交流のピースボートと同じですかと問い合わせましたところ、別団体ですとその場ではっきりお答えになりました。

杉田委員 団体は幾つでもつくれますけれども、関連があるかどうかという意味で私は先ほど質問をさせていただいたんですが、まあいいです。

 これはいろいろ調べていきますと、東京のピースボートセンターでボランティアを募集して、毎週説明会をやっておりますし、また、そういった宮城県石巻市を中心とした支援活動を行っているということが、これはピースボートの被災支援ブログというところにちゃんと書かれていますので、別団体でありますけれども、全く関係がない団体ではないということは、ここから容易に知れます。

 ここの団体、確かに私も石巻に行きましたけれども、NGOの方の、地球一周の船旅なんかをやっているところの、よく皆さん町でごらんになるようなポスターがありますよね。あれが石巻の商店街なんかにすごくたくさん張られていたりとかするんですね。そういったことからも、同じ名前をしていますから、全く関連がないというようなことはないとは思うんです。

 このNGOの方のピースボートなんですけれども、賛否両論いろいろあるとは思いますが、ちょっと問題になるような行動とかもいろいろしています。

 例えば、国後島の方に渡航されて、このときは外務省から自粛要請を受けていたにもかかわらず、それを無視して敢行したというようなこともありますし、今最も問題とされるのは、北朝鮮に何度もこの団体は渡航しているんですね。場合によっては万景峰号をチャーターして北朝鮮へのクルーズを行ったこともある、そういう団体なんですよ。

 そういう団体であります上に、また、これにかかわった人たちが、大麻の密輸事件なんかを乗客によって起こしていたりとかするような、そういう団体なんです。

 私は、幾ら別団体だというような説明を受けても、団体は別だと思っても、同じ名前がついておりますし、一般の方は同じだと思っておりますが、こういったところに復興支援を任せている。今も、復興支援をしていただいていると、ずっと敬語でお答えになったんですけれども、こういうところに復興支援を任せていることについて、国や自治体はどう考えていらっしゃるのか、そのあたりをお聞きしたいと思います。

長島副大臣 済みません、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 委員御指摘の国際交流ピースボートと、ピースボートいしのまきは別団体であることだけは御理解をいただいたと思うんです。

 私は、被災地のボランティアとかNPO、これは、地域の皆さんが参加をして、地域の皆さんが受け入れてやっている以上、やはり我々はきちんと支援をしていかなければいけないというふうに考えております。

 ただし、委員御指摘のように、特別、ほかの目的があって御迷惑をかけているような事例があるとすれば、私ども、市町村ときちんと連携をしながら把握をしてまいりたいというふうには考えております。

杉田委員 今、副大臣からお答えをいただいたんですけれども、そのようなことでどういうことが懸念されるかというと、私も、地元の市会議員さんなんかにお聞きしていたのは、それが先ほどから話題にしております仮設住宅に入っていらっしゃる方々の自立を妨げているのではないか。そういうふうな協議の中で、自治体等も、ある一定、こういう形で自立していってくださいと促すところに、いやいや、もっといろいろな要求をした方がいいよというようなことを、自治会の人たちに、ずっと入っていって、そういう意見を述べたりとか。

 私も、ここのところが発行しております新聞なんかも見させていただいたんですけれども、その新聞の中にも、例えば神戸に行って、阪神・淡路大震災で仮設を出た方々のレポートとかをしておりまして、仮設を出て、例えばそういう復興住宅に住んだけれども、こんないろいろ、つらいこととかしんどいこととかがあって大変だったというようなことが、ばっとレポートされているんですね。そういうのを見ると自立の妨げになるというふうに考える意見もあるということは、ここで指摘をしておきたいと思います。

 それでは、最後の質問に移りたいと思うんです。

 最近、よくこのような報道がなされるようになってきているんですけれども、仮設住宅に住んでいらっしゃる方々が、震災が起こる前の収入が補償されて、その上に、かつ、これは月額ですけれども、家族一人当たり十万円という金額が支給されていて、その人たちの仮設住宅があるようなところでは、外車が飛ぶように売れて、パチンコ屋さんが繁盛していて、もともとそこに住んでいる住民との間で非常にトラブルが多発しているというような報道が非常にふえてきておるんですけれども、この実態というのは把握していらっしゃいますか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点は、福島原子力発電所の事故の損害賠償によるものだというふうに承知いたしますが、私ども資源エネルギー庁としては、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が賠償の基準を中間指針として定めております。この中間指針にのっとりまして、損害に対して、東京電力が公平かつ適切に賠償を行うよう指導するものでございます。

 委員御指摘の趣旨の内容が雑誌等で報道されていることは承知しておりますが、資源エネルギー庁としては、御指摘の点について、一般的な情報として承知している状況でございます。

杉田委員 公平かつ適切な形でそういった賠償金というのを支払っているというような答弁だったんですが、今、三年半たった現在もこのような対応を続けていることが果たして公正かつ適切なのかということを、もうちょっと思いをいたしていただきたいなというふうに思います。東電が賠償するということでありますけれども、その東電だって、電気代が上がったりとか、さまざまなことがかかわってきているわけですね。

 そのところをもうちょっと、実態調査、これは私も雑誌とかその他の報道で知った情報なんですけれども、そのあたりの実態をやはり把握していただいて、もし過剰な賠償なのであれば、それは直ちに直していく必要があるのではないかというふうに私は思いますので、そのあたりをきちっと調べていただきたいということを申し伝えまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 次世代の党の今村でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、放射線災害と法律の関係についてお聞きしたいんです。

 放射線災害、つまり災害に関する法律として、原子力災害の場合は原災法、それと災対法というものが適用になると思いますけれども、原子力事業所に対するテロ等の破壊活動、そういった外部的要因を直接の原因とする、原子力事業所及び発電所が放射線の事故を引き起こした場合には、それを政府が対応するとして、これはどういう法律の根拠で対応することになるでしょうか、お教えください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 原子力発電所に武力攻撃が行われまして、その結果として放射性物質が外部に放出されるような事態、こういうことが想定されると思います。この場合におきましては、原子力災害特別措置法に基づきまして、原子炉が故障して原子力災害を起こすのと同様の体制で住民の避難、防護対策などを実施していくということになるものと承知してございます。

今村(洋)委員 たてつけとしては、外部的要因が原因の場合は国民保護法ではないですか。

大庭政府参考人 国民保護法は、武力攻撃が発生した事態、あるいは今ありましたような武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷するような事態が生じた場合に、国民の生命、身体、財産等を保護するために適用されるものでございまして、今のような事態が、事態対処法に基づく武力攻撃事態等、あるいは緊急対処事態と認定された場合には、国民保護法に基づき原則対処することとなります。

今村(洋)委員 であれば、原子力事業所にかかわる災害というものは原災法の対応になるという考えでよろしいですか。

山本政府参考人 原子力災害と同様、通常のといいますか、原子炉の運転に伴って発生いたします原子力災害と同様に、やはり放射線防護の観点から同様の対策を実施することになろうかと思っております。

今村(洋)委員 先ほど、国民保護法が適用になるのは、いわゆる戦時というか、外部からの攻撃とか、そういったことで承っておりますが、つまり、原子力事業所だけではなくて、その周辺も含めて攻撃を受けたと判断される場合とか、これは国民保護法と原災法と両方適用になるんですか。それとも、やはりどちらかにするんですか。これは誰が判断するんでしょう。

大庭政府参考人 ただいまのような事態になりますと、武力攻撃事態法に基づきまして、政府として対処方針を定め、政府全体、一体として対処する形になります。原則、国民保護法が適用されますけれども、個別の原子力事業者に関する部分については原災法の適用があるものと考えられます。

今村(洋)委員 国民保護法の中にあるNBC攻撃の場合の対応、これは核攻撃とか生物攻撃、化学兵器ですけれども、国民に対する被害としては、放射線被害というふうに限って考えた場合、NBCによる攻撃と原子力事業所に対する攻撃というのは同じ結果を生むような場合もあると思いますけれども、今おっしゃったように、原災法で適用するところもあるし、国民保護法を適用するところもあるというところのすみ分けとか役割分担なんというのは、これはどこがどういうふうに判断するんでしょうか。

大庭政府参考人 原則的には国民保護法の方で対処する形になるかと思いますけれども、政府全体として対策本部を設けますので、その中で必要に応じ原災法の規定の適用を講じていくという形になるかと思います。

今村(洋)委員 私がなぜどの法律に立って対応するかとお聞きしているかといいますと、緊急被曝対応における医療という面から見た場合、国民保護法も適用される、原災法も適用されるといったときに、国民保護法における医療体制と、原災法、災対法の医療チームと、これは別建てになっているやに思っておりますが、別建てになっているという考えでよろしいでしょうか。

大庭政府参考人 国民保護法制においても、武力攻撃に伴って原子力事業所外に放出される放射性物質または放射線による被害、これを武力攻撃原子力災害と位置づけておりますが、この対処の一環として、緊急被曝医療についても位置づけられております。

 この緊急被曝医療につきましては、例えば、武力攻撃が継続しており、安全確保の面から所要の医療チームの現地派遣が困難なような場合を除けば、原則として、災対法及び原災法に基づく通常の原子力災害における対処と同じもの、いわゆる緊急被曝医療を講じていくという考えでございます。

今村(洋)委員 そうしますと、そういう緊急的な状況のときにも、医療派遣チームというものが準備されていると思いますけれども、そういったチームが現地に赴いて、緊急災害の指揮をとる、緊急被曝の医療における助言や指揮をとるというふうに考えてよろしいですか。

大庭政府参考人 今のお考えでよろしいかと思いますが、国民保護法に基づきます基本指針におきましても、緊急被ばく医療派遣チームというものを位置づけておりまして、これは現地の方で活動してもらうという前提で全体の構成をいたしております。

今村(洋)委員 以前、私が同様の質問を内閣委員会で申し上げましたときも、原災法、災対法における医療派遣チームと、国民保護法における医療体制というのは別だと。私は、なぜ別になっているのかと。先ほど、法律が、同じ状況においてそのどちらも用いるということであれば、これは別建てじゃない方が話は早いのかなと。

 つまるところ、発生論的なたてつけではなくて、つまり、外部要因であるとか内部要因であるとかということじゃなしに、状況論、つまり、被曝した国民に対してどういった治療をしているかという医療体制、緊急医療体制というものが、また三・一一のような事態が引き起こされたときに有用ではないかと考えますけれども、そういった方針というのは今のところ検討はされておらないですね。

山本政府参考人 緊急被曝医療の対応につきましては、委員御指摘のとおり、住民の放射線被曝に対する対応をするという点では非常に両者共通しているものだと思っております。

 いずれにしても、そういう緊急被曝医療の体制をあらかじめ準備いたしまして、そういう事態が生じたときには的確に対応するということにつきましては、原災法あるいは災害対策基本法のスキームと国民保護法のスキーム、法律上のスキームは異なりますが、実質上の対応は同様の対応を実施することが原則になると思いますし、現に、実際そういう事態が起きた場合は同様の対応が行われるものというふうに承知しておるところでございます。

今村(洋)委員 わかりました。

 いわゆる二重でそういう体制を用意しなくても、きちんとした緊急被曝体制とか、いろいろな状況に対応できるようにしていただきたいというふうには思っております。

 次に、オフサイトセンターについてお聞きしますけれども、オフサイトセンターは、原子力事業所の半径何メートル以内とか、何かそういうものがありましたよね。これは今どうなっていますか。

山本政府参考人 オフサイトセンターにつきましては、原子力発電所とか、あと再処理工場ですね、青森県にございますけれども、そういった原子力施設の近傍にオフサイトセンターを設置いたします。あるいは、今現に設置しております。

 ただし、福島の事故の経験を踏まえまして、福島のときのオフサイトセンターは三キロ圏にありましたから、避難を余儀なくされたということがございました。それから、東北電力の、宮城県の女川町のオフサイトセンターは津波による被害を受けてしまったということがございました。

 したがって、現在、今ありますオフサイトセンターについては、まず距離で申し上げますと、発電所から五キロを超え三十キロ以内のところに設置をする。したがって、これに該当するところについては、新たにオフサイトセンターを建設するところがございます。

 先般訓練を実施いたしました志賀のオフサイトセンターも、これは近傍にございますので、新たな、少し距離を離したところに今つくってございます。それから、愛媛県の伊方につきましては、これは津波の被害を受ける可能性があるということで、これも同様のところ、別の少し離れた場所につくるという形で今設置を進めているところでございます。

 いずれにしても、福島の経験をきちっと踏まえて、オフサイトセンターが機能できるようなところに設置を進めているところでございます。

今村(洋)委員 オフサイトセンターというのは、先ほど私が申しております緊急被曝に対する医療に関しても中心的な役割を果たすと思うんですね。原子力事業所との距離が二十キロ未満に設置というふうになっていますけれども、これは、いわゆるUPZという、緊急時防護措置を準備する区域といったものがありますけれども、この中に丸々入るんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。

山本政府参考人 今、私、設置基準のことを申しましたが、発電所から五キロ圏のところについては、全面緊急事態になりますと、そこの住民の方は全員が避難していただくことになりますので、その五キロ圏の中にオフサイトセンターを設置するのは好ましくないということで、今移転をしております。ただし、オフサイトセンターは、やはり現地におきましてその状況を把握して対応するということですから、できるだけ発電所に近いところが必要だと思います。そのために、五キロを超え、一定の距離の範囲内に設置をいたしますが、その場合、放射線の問題が当然に発生する可能性がございますので、オフサイトセンターにおいては、放射線の防護措置、例えば、空調換気装置を設けて、フィルターを設けて、外からの放射性物質が入らないような、そういう対策をあわせて講じているところでございます。これも福島の事故の経験を踏まえた対応でございます。

今村(洋)委員 現実に、福島の事故のときは、オフサイトセンターは移動を余儀なくされたという事実がありますし、ここに設定されるPAZとか、UPZとかという緊急的な防護措置を準備する区域といったものの中にオフサイトセンターが入っていて、果たして機能的な動きが、建物の外に出られないとか、そういった事態が生じ得ると思いますけれども、これは、機能的に動かなきゃいけない施設をそういう事業所に近いところに置かなきゃいけないという、矛盾があるように思いますが、その点はどうでしょうか。

山本政府参考人 御指摘のとおり、その設置の距離というのは、それぞれのメリット、デメリットがございます。

 まず、現地の本部をオフサイトセンターに設置いたしますので、発電所に近いところで情報収集し必要な対応をするというのはやはり基本だと思いますが、ただ、御指摘のように、オフサイトセンターが例えば放射性物質で使えないというようなことを当然想定する必要がございます。その場合は、今設置しておりますオフサイトセンターに加え、代替のオフサイトセンター、場所を設定いたします。

 例えば、複数発電所が立地しております福井県などにつきましては、大飯、高浜など四カ所のオフサイトセンターがございますので、相互に、例えば代替をする、代替のオフサイトセンター機能をするというふうな運用も考えておりますし、それから、それが十分かなわない場合には、オフサイトセンターの移転を検討いたします。例えば、北海道の泊の発電所におきましては、後志という北海道庁の支局、ここにオフサイトセンターを移転して対応する。こういう代替の手段をあわせて用意することで、現場できちっと機能するように考えていきたいと思っております。

今村(洋)委員 もう質疑時間が終了しましたので終わりますが、現実に対応できるような医療体制とこういうオフサイトセンターの設置位置というものをよくお考えいただければと思っております。

 きょうはどうもありがとうございました。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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