衆議院

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第5号 平成27年7月9日(木曜日)

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平成二十七年七月九日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 小田原 潔君 理事 亀岡 偉民君

   理事 坂井  学君 理事 島田 佳和君

   理事 冨樫 博之君 理事 金子 恵美君

   理事 高井 崇志君 理事 高木美智代君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    小野寺五典君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      門山 宏哲君    菅家 一郎君

      木原  稔君    黄川田仁志君

      工藤 彰三君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    白須賀貴樹君

      鈴木 俊一君    瀬戸 隆一君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      土井  亨君    根本  匠君

      橋本 英教君    藤原  崇君

      堀内 詔子君    前田 一男君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      黄川田 徹君    玄葉光一郎君

      郡  和子君    階   猛君

      松本 剛明君    本村賢太郎君

      落合 貴之君    升田世喜男君

      横山 博幸君    赤羽 一嘉君

      中野 洋昌君    真山 祐一君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   復興副大臣        長島 忠美君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   文部科学副大臣

   兼内閣府副大臣      丹羽 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   森本 浩一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       別所 智博君

   政府参考人

   (水産庁次長)      香川 謙二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土井 良治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力損害対応総合調整官)   森本 英雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            丸山  進君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月九日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     宮路 拓馬君

  小林 鷹之君     石崎  徹君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     前田 一男君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  宮路 拓馬君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     宮川 典子君

  前田 一男君     小林 鷹之君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     白須賀貴樹君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

四月三十日

 政府は直ちに福島原発事故収束宣言を撤回し、原発即時ゼロ、子供・命・暮らしを守ることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第八四七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第八七四号)

 同(池内さおり君紹介)(第八七五号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第八七六号)

 同(大平喜信君紹介)(第八七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第八七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八七九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第八八〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第八八一号)

 同(清水忠史君紹介)(第八八二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八八三号)

 同(島津幸広君紹介)(第八八四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八八六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第八八七号)

 同(畠山和也君紹介)(第八八八号)

 同(藤野保史君紹介)(第八八九号)

 同(堀内照文君紹介)(第八九〇号)

 同(真島省三君紹介)(第八九一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八九二号)

 同(宮本徹君紹介)(第八九三号)

 同(本村伸子君紹介)(第八九四号)

五月二十八日

 政府は直ちに福島原発事故収束宣言を撤回し、原発即時ゼロ、子供・命・暮らしを守ることに関する請願(吉川元君紹介)(第一三〇二号)

六月二日

 東日本大震災における応急仮設住宅の無償提供に関する請願(阿部知子君紹介)(第一三四四号)

同月八日

 原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第一七二四号)

 同(菅直人君紹介)(第一七二五号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一七二六号)

 同(田島一成君紹介)(第一七二七号)

同月十二日

 原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現に関する請願(荒井聰君紹介)(第一七六三号)

 同(横路孝弘君紹介)(第一七六四号)

 同(高井崇志君紹介)(第一八一〇号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一八一一号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一八四三号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一八四四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一八四五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一九二六号)

同月十六日

 原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現に関する請願(本村賢太郎君紹介)(第一九四四号)

 同(本村賢太郎君紹介)(第二一九〇号)

同月十七日

 原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現に関する請願(玉城デニー君紹介)(第二三一四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五九七号)

 同(池内さおり君紹介)(第二五九八号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二五九九号)

 同(大平喜信君紹介)(第二六〇〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六〇一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六〇二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二六〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六〇四号)

 同(清水忠史君紹介)(第二六〇五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六〇六号)

 同(島津幸広君紹介)(第二六〇七号)

 同(田嶋要君紹介)(第二六〇八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六〇九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六一〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六一一号)

 同(畠山和也君紹介)(第二六一二号)

 同(藤野保史君紹介)(第二六一三号)

 同(堀内照文君紹介)(第二六一四号)

 同(真島省三君紹介)(第二六一五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六一六号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六一七号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六一八号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二七五九号)

 被災者本位の一日も早い復興を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二七〇一号)

同月十八日

 原発事故被害者の住宅・健康・保養支援の立法化と完全賠償の実現に関する請願(阿部知子君紹介)(第三〇四七号)

 同(吉川元君紹介)(第三二二〇号)

 同(中島克仁君紹介)(第三三三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る五月二十五日、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、福島県に視察を行いましたので、参加委員から報告を聴取いたします。亀岡偉民君。

亀岡委員 去る五月二十五日、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、福島県に視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、団長にかわり私からその概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、伊藤信太郎委員長を団長として、理事小田原潔君、島田佳和君、冨樫博之君、金子恵美君、高井崇志君、高木美智代君、委員橋本英教君、藤原崇君、黄川田徹君、落合貴之君、真山祐一君、高橋千鶴子君、畠山和也君、そして、私、亀岡偉民の十五名であります。

 また、菅家一郎君、吉野正芳君が現地参加をされました。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、楢葉町において、福島第一原子力発電所の廃止措置に向け、廃炉に向けた実証実験等を行うモックアップ試験施設である楢葉遠隔技術開発センターの建設現場を視察し、説明を聴取いたしました。同センターは、昨年九月から建設工事が始まったとのことで、施設は研究管理棟と試験棟から構成され、研究管理棟にはバーチャルリアリティーシステムやロボットシミュレーター等を設置し、試験棟では、原子炉格納容器下部の模擬体や水槽、階段等を設置し、実証実験を行うとのことでした。平成二十七年度中に一部運用を開始することを目指して工事が進められていました。

 次に、広野町に入り、中高一貫校建設予定地を視察し、遠藤広野町長から説明を聴取しました。県立高校を集約し、双葉郡の教育復興の柱として本年四月に開校した福島県立ふたば未来学園高等学校は、新校舎の建設工事が進められており、平成三十一年四月には完成予定とのことです。四月に第一期生百五十二名が入学し、寮生活を送る生徒が多くいるところが特徴の一つとのことでした。町では、学校周辺での見守りカメラの設置、通学時間帯に係るJR増便の要望活動など、子供たちの安全、安心に町全体で取り組んでいるとのことでした。

 次に、富岡町に入り、フクシマエコテッククリーンセンターを視察し、説明を聴取しました。同センターは、平成十三年に埋め立てを開始した民間の産業廃棄物最終処分場であり、環境省の事業として、福島県内で発生する指定廃棄物等を処分する埋立事業の候補地となっています。同センターで、一キログラム当たり十万ベクレル以下の特定廃棄物等を埋立処分する計画であるとの説明がありました。

 次に、富岡町内の除染現場である民家前にて、除染の方法及び同町での除染の現状について説明を聴取いたしました。住宅の除染は、住民の帰還に向けて大変重要であり、心を砕き、着実に進めていくとのことでした。

 次に、大熊町に入り、中間貯蔵施設建設予定地を車中視察し、説明を聴取いたしました。本格輸送において大量の除去土壌等を輸送する段階に向け、安全かつ確実に実施できることを確認するため、おおむね一年間、パイロット輸送を行うこととしており、本年三月十三日には中間貯蔵施設の保管場への搬入が開始されたとのことでした。

 次に、浪江町に入り、馬場町長から説明を受けながら請戸地区の復興の現状を車中視察いたしました。浪江町では、平成二十九年三月の避難指示解除を目指し、復興まちづくり計画を策定しており、町の役場を中心として、生活機能等を集約し、町の復興拠点とする計画であるとのことでした。災害廃棄物の処理、仮設焼却施設の稼働などによる復旧作業が続く一方で、復興公営住宅整備や店舗の再開など、帰還に向けての新たなまちづくりが始まっていました。

 最後に、南相馬市に入り、小高区の市街地整備について、桜井南相馬市長から説明を聴取いたしました。同市では、来年四月の避難指示解除を目指し、小高区の一刻も早い復興が求められることから、小高区市街地整備計画を策定しており、小高駅の駅前通りを中心に新たな施設を配置しつつ、既存市街地の活用を考えているとのことでした。桜井市長から、そのための財政支援等の要望がありました。

 以上が調査の概要であります。

 終わりに、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 以上で視察参加委員からの報告は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官森本浩一君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、厚生労働省大臣官房審議官苧谷秀信君、農林水産省大臣官房技術総括審議官別所智博君、水産庁次長香川謙二君、経済産業省大臣官房総括審議官田中繁広君、経済産業省大臣官房審議官土井良治君、資源エネルギー庁原子力損害対応総合調整官森本英雄君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、中小企業庁経営支援部長丸山進君、国土交通省水管理・国土保全局長池内幸司君、国土交通省鉄道局長藤田耕三君、環境省大臣官房審議官早水輝好君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君及び環境省水・大気環境局長三好信俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の理事をしている亀岡偉民です。

 今回は、視察に対して大変お世話になったことを心から御礼を申し上げたいと思います。

 また、復興大臣の竹下先生、また副大臣の長島先生、いろいろと復興に対して御支援をいただいていることに、また御尽力されていることに感謝を申し上げたいと思います。

 今回の視察に関して、いろいろと見せていただきましたが、ちょっと私ども気がついた点がありましたので、質問させていただきたいと思います。

 最初に行った楢葉のモックアップ施設、楢葉遠隔技術開発センターについてちょっとお伺いをしたいと思います。

 昨年九月から建設工事が進められているのがよくわかりました。まだ全部でき上がっているわけではなくて、まさに始まったばかりということでありましたが、二十七年度には一部運用を開始するというお話をお聞きしました。

 そして、まさに中身については、バーチャルリアリティーシステムやロボットシミュレーター、こういうものをしっかり配置しながら、廃炉に向けて実証実験をしっかりする。まさに原子炉の格納容器の下部の模擬体、水槽、階段まで正確に再現をしながら、その技術をしっかりと身につけていこうという姿がよくわかりました。

 ただ、ちょっと私ども気になったのは、この技術者、それから技術開発に向けて、できれば、私ども、多くの福島の企業体、福島も中小企業に関してはかなりいろいろな技術を持っており、また経験も積んでおりますので、地場産業の皆さんも一緒にこの研究開発に入れていただくとかなり違うんじゃないだろうか、活気もつくだろうし、逆に安心感も生まれるんじゃないだろうかというふうに考えておりまして、この研究者というものを含めて地元をしっかり巻き込んでいけるのかどうか、これが私は非常に大切だなと行って感じました。

 できれば、これを、県にお任せするのではなくて復興庁が中心になって、少し国が責任を持ってこういう体制をつくるようにできないだろうかという気持ちを持ちましたので、ぜひ大臣にこの方針をお聞きしたいと思いまして、質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

竹下国務大臣 市町村と国、県が一体となって地域の活性化を行うということについてでございますが、モックアップ施設を初めとした施設がきちっと動くこと、そして、それが地域につながることというのは非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

 今、そういう中で、十二市町村による有識者の懇談会を開催させていただいておりまして、将来像というものを描いていただきたい、中期的、広域的な観点からお願いをしたいということで議論をしておりまして、この夏にも、八月になると思いますが、提言を提出させていただこうと思っておるところでございます。

 各市町村が持っております計画、復興に向けての計画あるいは活性化の計画というものをしっかりにらみながら、それをしっかり支援していく。しかし一方で、広域的な視野においてもしっかりとそういうものを支援していくということをやらなければなりませんし、それから、今回行いました福島の特措法の改正によりまして、住民の帰還を促進する交付金制度を新たに創設するなど、必要な支援を充実いたしておるところでございます。

 お話ありましたように、いろいろな施設、国、県、市町村だけじゃなくて、我々も、民間の方にも入っていただいて、より活力のあるものにしていきたい、懸命に支援していきたい、こう思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、県にお任せするのではなくて、これは復興庁も「結の場」のマッチングということで、かなり大企業と地元の企業のマッチング事業をしていただいて、成果を上げていると聞いておりますので、できれば、このモックアップ施設に関しても実証実験の中で一緒に取り組めれば、また地元の企業の皆さんも元気が出ると思いますし、逆に地元の企業が入ることによって安心感が生まれると思いますので、ぜひ復興庁が主体となって、できればモックアップ施設の中で、実証実験までの間に、できる限り地元の中小企業も何かその情報の中に入れるようにして、巻き込みながら、一緒になってその技術力が身につけられるようなことができれば、福島からの安心、安全の情報発信基地として中小企業も仲間に入れると思いますので、ぜひそのことは復興庁にお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは次に、広野町の中高一貫校の建設予定地を視察させていただきました。これは本当に、県がすばらしい講師陣を集めて、すばらしい概要をつくられたということを、私どもは発表を聞いて、計画段階からすばらしいと思ったんですね。そして、平成三十一年の四月に校舎が完成する、その建設予定地も見てきました。ただ、もう実際には四月に一期生百五十二名が入学をして、現在生活を送っているという施設も遠くからちょっと見せていただきました。

 ちょっと心配だったのは、これが一番僕は大事だと思うんですけれども、広野町の遠藤町長からも、今、安心、安全に対していろいろな、カメラも設置しながら、増便もしながら利便性を高めていくということもお聞きしたんですが、県が一生懸命になって講師陣をたくさんつくっても、今百五十二名が寮生活をしている、この寮生活の皆さんが本当に寮生活の中で次なる希望を見つけながら、しっかりとした体制がとれているのかどうか。

 県は、被災後、先生方がいなくなってしまったり、大変教師不足を抱えていたということがございます。県だけに任せておいたのではなかなか厳しいかなと。この一期生が卒業するときに、本当にいい学校だったよとみんなに口コミで伝わっていくことが、まさに復興に加速をつける、また帰還に加速をつけることになろうと思いますので、この中高一貫校、ふたば未来学園高校が、この一期生がこの寮から、この時代から、本当に国が一緒になって支援をして、この子供たちが三年間ですばらしい生活を送れたという実感をしてもらうためには、国が一緒になって取り組まなきゃいけないと思うんです。

 ちょっとこの間説明を聞いていたら、どうも、寮監の先生、先生じゃないらしいんですけれども、少なかったと。本当にその辺が、国がしっかり支援しているんだろうかという疑問がちょっと湧きましたので、文部科学省としてこれがしっかり支援体制がとれているのかどうか、今後の方針も含めて聞かせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

丹羽副大臣 福島県立ふたば未来学園高校につきましては、これまで文部科学省といたしまして、委員おっしゃるように、施設の整備や、係る支援、またスーパーグローバルハイスクールの指定に伴う支援、ふたばの教育復興応援団など外部の講師を招聘するための経費や、また、カリキュラムのコーディネートをできる人材を配置するための経費を支援させていただいております。先ほど委員のお話の中でも、寮生ですね、寄宿舎の舎監や学習支援ボランティアに係る経費など、さまざまな生徒の生活面に対しても支援を行わさせていただいております。

 このふたば未来学園高校の取り組みに対しまして、高校の取り組みにとどまることなく、福島県全体に波及し、将来的には我が国の、また世界の教育の実践モデルとなるように、文部科学省としてしっかり支援していきたいと考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ただ、先ほど言ったように、この一年生が物すごく私は大事だと思っているんですね。これから来年入る子供たちも寮に入ると思いますので、予算はわかるんですが、人的な要素もしっかりと、任せるのではなくて、国が責任を持ちながら一緒になって寄り添うということが大事じゃないかと。私も、この間、教育長にお会いしたときに、ぜひ江川という昔のスーパースターを講師に入れてくれないかという依頼を受けたんですけれども、講師陣は県は一生懸命頑張って集めようとしていますが、この一年生が三年生になるまでの一番大変な時間、これを国が寄り添うということが私は一番大事だと思っておりますので、その辺はぜひ重点的にお願いしたいと思います。

 それから次に、富岡町のフクシマエコテッククリーンセンターを視察させていただきましたが、このエコテッククリーンセンターについては、前からちょっといろいろ問題があったと聞いております。これについて私が聞いたお話では、民間に任せるのでなく、国が責任を持って最後までやってほしいと。何が起こるかがわからない中で、国が責任を持ってやっていただければ、それは安心できることの一つになるという住民の話を聞いたことがあります。

 これは国営化したということなんですが、しっかりした国営化するという形の形式、運営、管理というのは、どういう形でするのか。それで、しっかりと住民の理解を得られているのかどうか。この辺をちょっとお聞きできればと思うので、よろしくお願いします。

鎌形政府参考人 フクシマエコテッククリーンセンターを活用した指定廃棄物等の処理についてのお尋ねでございます。

 まず、国有化についてでございますけれども、先般、六月五日に環境大臣から福島県知事及び富岡、楢葉両町長に国有化を含む国の考え方についてお示しいたしました。

 国有化した上での管理についてでございますけれども、処分場を国有化することに加えまして、処分場敷地内に現地の事務所を開設いたしまして現場責任者を常駐させるなど、事務の執行、指揮監督を確実に行う体制を整備して、国として最後まで責任を持って管理していく、そういう計画でございます。

 そして、住民の理解ということでございますけれども、そうした考え方をお示ししました上で、まず富岡町、六月九日には議会の全員協議会でこのことについて御説明をさせていただきました。その上で、六月二十七日、二十八日に富岡町の住民を対象とした住民説明会を行いました。ここでは処分場の国有化を含めたさまざまな追加対策について丁寧に御説明をさせていただきましたが、やはり埋立処分の安全性、施設の場所や地域振興策などについてさまざまな御意見、御質問がございましたので、丁寧に御説明をさせていただいたところでございます。

 また、今後、楢葉町の議会や町民の方々にも丁寧に御説明して、理解を得るための取り組みを進めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。

亀岡委員 ぜひ、国が全責任を持つということを明確にして、安心を得ていただきたいと思います。

 それから四問目ですね。浪江町と小高町を視察させていただきましたが、まちづくりではないんですが、帰還の中の促進事業としてなかなか厳しいような気がいたしました。桜井市長からも、何とか駅前の街区を利用したいというお話があったんですが、これは、私は思うんですけれども、国が主導になってしっかりとニュータウンを、逆に言えば、一つ一つ壊すのではなくて、全部一体となったまちづくり計画の中で、新しいニュータウンをつくるという計画を最初から国が主導してやることによって災害公営住宅、まちづくりが促進するのではないかと思っておりますので、その辺の取り組みができるかどうか、姿勢をちょっとお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

竹下国務大臣 できるだけ、地元の皆さん方の思い、あるいは地元の皆さんがこういう町にしたいという思いは大切にしていかなければならないというのが一つの基本でございます。

 その上で、では、国が何もしないかというと、そんなことはありません。国がやらなければならないことは、帰るための、あるいは拠点をつくっていただくための、まず除染といいますか生活インフラも含めたものをしっかりやっていく。その上で、どの地域にどういう形の復興拠点をつくっていくかというのは町の皆さんにこれは決めてもらわないと、国がここへつくりなさいということを言える状況にはないと私は思います。

 ただし、決めていただいた以上は、一緒になって必ず復興拠点をつくり上げるということはやり抜いていかなきゃならぬ。そのことは、このたび、特措法の改正によりましていろいろなことができるようにいたしましたので、その手だてを全部使いましてしっかりと支援をしていきたい、こう考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ市と一緒になって、ニュータウンづくりも国が少し主導ができるような形もお願いしたいと思います。

 最後に、イノベーション・コースト構想について質問したいと思います。

 このイノベーション・コースト構想は、県が主体となって国と一緒になってやるということで決まっておりますが、なかなか進んでいる状況には見えないということがありまして、私は、イノベーション・コースト構想、これを、科学技術会議や日本学術会議など、こういう組織がしっかりと今あるわけですから、安心、安全は福島に学べということで、いろいろな技術者、科学者をできれば福島に全部集めてきて、そういうものがしっかりできればというふうに考えております。

 耐震実験の施設なども福島に誘致したいと考えておりますけれども、ぜひこのイノベーション・コースト構想については、県だけではなくて国がしっかりと、科学技術会議や日本学術会議も含めて科学者を集められるような環境をつくっていただきたいと思いますが、どう考えているか、お聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。

森本(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございましたとおり、被災地が新たな創造と可能性の地となるよう、復興再生を加速化させていく必要があると考えております。

 そのため、先月閣議決定いたしました科学技術イノベーション総合戦略二〇一五では、将来的な新技術や被災地の新産業につながるイノベーション・コースト構想を国と自治体が一体となって強力に推進するという記載がございます。

 総合科学技術・イノベーション会議におきましては、総合戦略二〇一五に基づいて重点的取り組みを推進していくということにしておりまして、具体的には、平成二十八年度予算要求に向けたアクションプランというのを策定することにしております。司令塔機能を発揮いたしまして、各省庁の連携による施策の推進を図っているところでございますので、その中で、イノベーション・コースト構想で整備される各種拠点、実証拠点、こういう有効活用につきましても、各省庁と真剣に検討していきたいと考えております。

 よろしくお願いします。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ国が主導になって、少しイノベーション・コースト構想も中心になってやっていただきたいと思います。

 本当に、復興庁の皆さんに大変お世話になっております。実はきのう、地元の太田県議からも、小高地区の営農再開についていろいろな提案がありました。ぜひ地元の市町村長と、それから県議の先生方を含めて、皆さんからもまた、真剣に、寄り添いながらこれから進めていただきますよう改めてお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、藤原崇君。

藤原委員 自由民主党の藤原崇です。

 本日は、復興特、質問のお時間をいただきました。委員長初め理事の先生方に大変感謝をしたいと思っております。

 私の方から、集中復興期間後の今後の復興の見通しについて、幾つか質問をさせていただきたいと思っております。

 震災から三年、四年というふうに時間が経過してきまして、被災地の瓦れきもなくなり、高台移転、さまざまな事業が徐々に進んできております。そういう中で、今後どういう形で復興を進めていくのか、集中復興期間後の復興のフレームというのが先般決定いたしました。集中復興期間後の五年間の復興予算の枠組みが先般決定されましたが、その中で、一部事業については地元負担を導入する、こういうような結果となりました。

 我々自民党としても、大島前本部長あるいは額賀現本部長のもとで精力的に議論をして提言をさせていただきましたが、復興庁さんの方では、この地元負担について、最大限、地元の財政状況に配慮をしたということでありますが、地元の負担を導入した狙い、そして地元の財政状況にどのような配慮を行ったかという点、これはさまざまなところで御説明いただいておりますが、改めてこの委員会の場で御説明をいただければと思っております。

竹下国務大臣 お話しになりましたように、後期の五年間、復興・創生期間につきまして、事業枠六兆五千億円ということで先般閣議決定をさせていただきました。また、その中で、地元負担のあり方についても決定をさせていただき、一部負担をしていただくこととさせていただきました。

 これにつきまして、我々は、さまざまな議論の中で、あるいはさまざまな思いの中で総合的に政治的判断をして決めたというのが正確な言い方であろうと思いますが、具体的には、復興のステージが動いていく中で、市町村の自立といいますか、しっかりしてもらいたいなという、より強い思いがありました。

 先般、民主党の議員の皆さん方に私は訪問を受けまして、いろいろな話をさせていただきました。その中で、出てきた話の中で、復興庁も少し空気が緩いんじゃないかという、これは私も感じたことなんです。

 被災直後に被災地へ行ったときのあのぴりぴりした感じ、物すごい緊張感の中の感じ、その当時の復興庁と今の復興庁あるいは地元自治体は一生懸命やっているんです、本当に懸命にやっているんですが、だけれども、やはり人間、四年という時間が過ぎるとどうしても、緩みと言えばオーバーな言い方ですが、そういうものが出てきかねない。

 もう一回しっかり、あの最初の気持ちに、初心に返ってといいますか、やってもらおうという思い、そして自立を目指してほしいという思いでこの一部地元負担というものを導入させていただいたわけであります。

 そして、どのような配慮をしたのか、あるいはどう地元と話したのかという点でありますが、御承知のとおり、負担をいただく範囲は極めて限定的にさせていただきました。基幹的な事業あるいは原発由来の事業については引き続き全額国費で行うという大前提のもとで、六兆五千億のうち、六兆四千七百八十億円は国の負担でやる、二百二十億円を、五年間にわたって、五年間で二百二十億円を御負担いただきたい、最大限の配慮をさせていただいた、このように思っております。特に、市町村が中心になって行います効果促進事業については一%という極めて低い御負担をいただきたいということにさせていただきました。

 そのことによって、我々が考えましたことは、一つは、地元負担を導入させていただくことによって事業に支障が出るような負担は絶対に求めない、それはやらない。それから、沿岸の市町村の財政状況というのは決して裕福な市町村ではないものですから、過大な負担は絶対に求めない、財政的な配慮もさせていただくといったようなことも含めて配慮をさせていただきました。

 それから、いろいろな市町村が私のところにいろいろな話に、さまざまな話にお見えになります。多分、三十回か四十回、いろいろな首長たちと議論をしてまいりまして、その都度、さまざまな話をして御理解を得る努力もいたしましたし、副大臣、政務官に直接現地に入っていただきまして、さらに重ねて議論もさせていただいた。そうした結果というわけじゃありませんが、岩手、宮城、福島の三人の知事と現地でお会いした際も、一〇〇%満足したわけじゃないけれども感謝しているという御理解をいただく言葉もいただくことができたというふうに感じておるところでございます。

藤原委員 御説明ありがとうございました。

 復興庁の皆様方には、震災からの復興、非常に精力的に一生懸命頑張っていただいております。外から見ていると緩みというのは決してないんだろうと思っておりますが、やはり一般論として、確かに一年二年たってくれば初心を忘れてしまうというのは、これは復興庁がそうというわけではないんですが、一般論としては確かにそういうことはあるのかもしれませんので、今回、五年間の集中復興期間後、また再スタートということで、ぜひ大臣には先頭に立ってこの復興に御指導いただければと思っております。

 集中復興期間後の復興のフレームが決まると同時に、その他の事柄についてもさまざまな変更が加わりました。その点についてお伺いをしたいと思っております。

 まず一点目が、先ほど大臣からも御答弁でありましたが、効果促進事業についてお尋ねをしたいと思います。

 効果促進事業については、現在、一括配分ということで各市町村さんにお渡しをしているんだと思っております。ところが、これについて、一括配分のうち約七割に当たる二千億円が、使途が現時点で不決定である。現時点というのはもう少し前の段階ですが、これを受けてだと思うんですが、今後、事業メニューのパッケージ化、それから、専属というか担当者を配置して有効活用を促進するという新たな効果促進事業の改善をこれからすることになりました。

 この点について、私も地元の自治体さんからお話を聞くと、かなり好意的で、期待というのもあるのかなと思っておりますが、このような制度を導入した背景、それから、この制度を新たに進めるについて復興庁はどのような姿勢で進めていくのか、この基本的な姿勢について伺いたいと思います。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 御指摘の復興交付金の効果促進事業についてでありますが、基幹事業に関連をして自主的かつ主体的に市町村等が実施をするものであり、今後、効果促進事業の活用を促進し、復興の新しいステージにおいて生じる地域の課題に的確に対応していくことが必要というふうに考えております。ただ、市町村によっては、効果促進事業はどのように使えるのか、何に使っていいのかという声があることも事実であります。

 そこで、復興庁としては、効果促進事業で実施可能な事業をパッケージ化して、復興庁、復興局の担当者が市町村等と直接対話をすることによって事例の横展開を促進してまいりたいと考えておりますし、一括配分の一事業当たりの事業費の上限の撤廃、あわせ、パッケージに掲載のない事業も含めた効果促進事業の活用を促進してまいりながら、一刻も早い復興・創生期間における被災地の復興と自立につなげてまいりたいと考えているところでございます。

藤原委員 ありがとうございました。

 パッケージ化によって事業を推進していくということですが、今副大臣は非常に大事なことをおっしゃったと思っております。パッケージ化して担当者を配置して推進をしていくということですが、それと同時に、パッケージ化されていない事業についてもしっかりと推進をしていくということは非常に大事なことなんだろうと思っております。一から物事を組んでいくというのは非常に大変でして、そういう意味で、パッケージ化をして、ある意味、オーダーメードから既製品に変えていく、これはスピードという面でもいいことが非常にあるんだろうと思っております。

 ただ、その一方で、現場としては、今度はパッケージでなければできない、このパッケージにあるのじゃないとできないのではないか、やはりそういう誤解を招かないように、パッケージ化というのはあくまで参考であり、それから選んでもいいし、あるいは意欲、気持ち、そして、ニーズがある自治体では従来と変わらずに独自の取り組みをやってもいいというところは非常に大事なところなんだろうと思っております。

 この効果促進事業も、当初から徐々に徐々に制度の改善というのをやってきております。これから先もずっとこれでうまくいくかどうかというのはわかりませんが、常に制度を改善していって、地域のニーズに合ったような形で御指導をいただければと思っております。

 それから、もう一点御質問をさせていただきたいと思います。心のケア、見守り支援についてであります。

 震災から三年、四年とたってきて、震災当時はやはり被災者の方も、あしたどうしようか、あるいは自分の生活設計をどうしようか、そういう気持ちで、ある意味、緊張感が張り詰めていた状態だと思うんですが、徐々に徐々に周りの人たちも、仮設に住んでいる人も、それぞれの地域で新しい人生を踏み出す方もいれば、まだまだ仮設にいるという方もいます。やはりそういうときに、メンタル的なサポートというのは非常に大事なんだろうと思っております。

 これに関して、復興庁さんの方で、集中復興期間後も引き続きこの心のケア、見守り支援については平成二十八年度以降も全額国費でしっかりと支援をしていくということを聞いております。ただ、その一方で、震災等対応の雇用支援事業、いわゆる緊急雇用事業と呼ばれているものでありますが、これについては二十七年度限りで一旦おしまいということも定まったと認識をしております。

 この緊急雇用事業、もちろんさまざまな事業で使っておるんですが、その中で、支援相談員、被災者の心のケアをする支援相談をやっている、これも緊急雇用事業でやっているという事例も多くあります。現場の中では、この心のケアの見守り支援は引き続き国費で継続していく、その一方で、実際に相談支援を行っているこの緊急雇用事業については本年度限りというふうになっているところを捉えて、この二つの関係がどういうふうになっているのか、あるいはこの緊急雇用事業でやっていた事業がさらにちゃんと続くのかということについて心配をしている方々もおります。

 この点について、復興庁としては、被災者の方々あるいは地元自治体に不安を与えることがないよう、関係省庁あるいは被災自治体と連携を図って、二十八年度以降について必要な予算、それから制度措置をとるべきと考えますが、この点についての復興庁の御見解をお聞きしたいと思います。

長島副大臣 御指摘の震災等対応雇用支援事業については、被災地の復興の進展及びそれに伴う雇用情勢の改善を踏まえて段階的に縮小しておりますので、二十七年度限りで終了する方針でございます。

 ただ、御指摘のとおり、本事業では現在さまざまな分野の事業が実施されておりますが、復興に不可欠な役割を果たしていると考えられる事業については雇用支援と別な形で支援をしていく方針でございます。

 被災者の見守り、心身のケアについては、仮設住宅、避難生活の長期化、あるいはこれから災害公営住宅に移転する等、ますます重要な課題になってくるというふうに認識をしておりますので、このようなことから、実施されていた事業の中で、見守り等の取り組みについては、被災者支援の事業として支援をこれから検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、二十八年度以降の被災者支援事業全体のあり方を、しっかり被災自治体と連携をしながら考えてまいりたいというふうに考えております。

藤原委員 ありがとうございました。

 ハードと同時にソフトの支援というのがこれから非常に重要になってくるんだろうと思っております。集中復興期間後も引き続き被災地の復興を最後までやり切る、このお気持ちで、ぜひ復興庁の皆様方には御努力をいただければと思っております。

 これで私の質疑を終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは三十分という限られた時間でございますが、福島復興の加速化について種々御質問させていただきたいと思います。

 まず、大変うれしいニュースがありました。今週月曜日に、楢葉町で九月五日に避難指示解除が決定するということになりました。これまでは、田村市また川内村というところで避難指示解除がされましたが、全町全て避難したという意味では楢葉町が初めてでございます。また、七千名を超える大変大きな地域の避難指示解除も、大変な御苦労があったというふうに思っております。現地対策本部長で御苦労された高木陽介経済産業副大臣初め、多くの関係者の皆様の御努力に心から敬意を表する次第でございます。

 避難指示解除に当たって、私も任務に当たっていたときに、被災者の皆さんが大変御心配をされるのは、避難指示が解除されると、もう国や県の復旧復興の支援がなくなるのではないかと。そんなことはありませんよと言っても、そういった疑念がすごく強くて、まだまだと。避難指示解除をするということは、私はすばらしいことだと思いますが、被災者の皆さんはまだ時期尚早だ、こう言われるようなことが起こっていた。

 これを今回、楢葉町が九月五日に避難指示解除されるという大きな一つの契機を捉えて、ぜひ復興庁として、これからいよいよ本格的な復興を始めていくんだということを改めて明確に御宣言をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

浜田副大臣 今御指摘いただきましたように、今週の月曜日に、楢葉町、九月五日に解除をすると発表させていただきました。昨年四月の田村市、また十月の川内村に続いて三例目でございますが、今まで赤羽委員、前職で現地対策本部長としてこの避難解除に取り組んでいただいておりますことに、改めて敬意を表したいと思っております。

 今御指摘の楢葉町でございますけれども、確かに、住民の方々から、例えば医療施設の問題であったりとか、またいわゆる商業施設の問題、さらには飲み水の問題等、幾つか課題もいただいております。我々は、あくまでも解除はゴールではなくてスタートである、こう捉えておりまして、引き続き、楢葉町の皆様がしっかりと地元で、なりわいを初め日常の生活が戻せるように、復興庁として全力を挙げる決意でございます。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 私は、現場にいて、発災からこの四年余り、やはり、なかなか自分のふるさとに帰りたくても帰れないという状況がずっと続くということは結局はよくないことだ、それに対して支援もやらざるを得ないけれども、結局は中途半端な時期を強いるということを何とか改めなければいけない、帰りたい人には帰らせる状況を全力でつくるということは、大変すばらしいことだと思っております。

 そういった意味で、今回、与党からの第五次提言に基づきまして、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」の改訂版が原災本部で六月に決定をされました。まさに、事故収束に万全を期し、避難指示の解除準備区域並びに居住制限区域が、事故発災後六年の平成二十九年三月に、遅くともその三月までに解除をするという大方針が示された。そして、残された二年間に、ふるさと帰還に向けてのさまざまな自立支援をやっていこうということが確認されたというふうに認識をしております。

 また同時に、福島十二市町村の将来像、大変大部で、恐らく、熊谷政策統括官等々初め大変な御苦労があったと思いますが、目指すべき三十年から四十年後の絵姿を見据える一方で、当面、福島の皆さんの目標であります東京オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年に向けての具体的な課題と取り組みの方向が示され、そして福島の再生は国の責務としてやっていくということが明記されたということは、私は大変高く評価をするところでございます。

 まず、この三十年から四十年後、中長期にかけての大変な国の大仕事なんだということの中で、一つ懸念がございますが、復興庁というのは二〇二一年までの十年間の時限官庁だということであります。これまでも、どうしても各官庁が取り組みをする、そこにどうしても縦割りの弊害があるということで恐らく復興庁ができ、そして福島の場合は特に福島復興局もできて、各省庁の連携役として、また同時に、福島の復興は復興庁が総元締めとして頑張っていただきたいということで、竹下復興大臣には大変な御奮闘をいただいていること、私も心から敬意を表するところでございます。

 二〇二一年後、復興庁がなくなるという現時点の中で、私は、この点、やはりどう考えても考えていかなければいけない、二〇二一年後は被災地の皆さんはどこにお願いに行けばいいのか、どこと相談すればいいのかと、大変不安もあるというふうに考えております。現行制度をすぐ変えるというわけではありませんけれども、この問題がある、何とかしなければいけないという問題意識はぜひ共有をしていかなければいけないと思いますが、この点についての竹下大臣の御見解をいただきたいと思います。

竹下国務大臣 おっしゃるとおりだろうと思います。

 復興・創生期間、今は集中復興期間で、まずはこの集中復興期間にやれることを徹底的にやる。そして、その後の五年間で、復興庁が存続する間にどこまでやれるかということをしっかりやっていかなきゃならない。

 ただ、正直に言いまして、宮城と岩手については、ハードの部分は大体その期間で終了する、あるいはもうちょっと早くなるかもしれない。ハードの部分だけですが、終了する可能性がある。

 しかし、福島については、いろいろ動きは出始めたとは思いますけれども、まだまだそこの期間で全ての復興、少なくともハードの部分が終了するということはちょっと難しいな、ちょっとというか相当難しいなというふうに考えております。

 ただ、復興庁の設置期間は十年でありますので、我々としては、今言うべきことかどうかという迷いはありますが、その十年間が終わる少し手前で、その後どうするんだということを地元の皆さんとしっかり議論した上で、政府として方向を出さなければならない、これで終わりですよということは私もあり得ない、こう思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございます。私たちも同じ問題意識でありますので、しっかりとフォローしていきたい、こう考えております。

 なぜ福島が特殊なのか。それはやはり、福島で原発の事故が起こってしまった、この原発の事故炉の廃炉は、今の工程表を見ても三十年から四十年かかる、三十年、四十年はどうしても国が責任を持たざるを得ない、こういうことであります。

 また、廃炉といっても簡単ではなくて、よく御承知のように、事故炉の廃炉ですから、これは人類史上初めてのチャレンジでもあるわけであります。

 私は、現職のときにアメリカのハンフォード地域を訪問いたしました。ハンフォード、大変な放射線の問題があり、国を挙げて取り組み、今、大変な浄化が成功した上に、新しい町ができた状況でございます。この地域の核となっているのは、米国のエネルギー省のパシフィック・ノースウエスト国立研究所というものがしっかりと設置されていまして、そこに世界じゅうのあらゆる専門家、またあらゆる知見が集中されて、これまでの長い期間のオペレーションは成功したということであります。

 私も、今、福島第一原発の廃炉、汚染水、大変な人員で頑張っていただいているということはよくよく承知をしておりますが、今は、一号機、二号機、三号機、まだ立ち寄ることができない。廃炉の中の検査も、それぞれプラントメーカーが自分の会社の研究所で研究開発を行って、そうしたものをトライアルしている。なかなかそうした体制ではこれはやり切れないのではないかということを、素人でありますけれども心配をするわけでございます。

 ですから、この未曽有の、人類史上初めての、まさにデブリの取り出し等々、事故炉の廃炉につきましては、まさにこれこそ国が前面に出て、今回つくられております原子力損害賠償・廃炉等支援機構ですとか、JAEA、また関係の各省庁、そして民間企業が一体となった組織をしっかりとつくって、そして燃料デブリ等々の取り出し、また、ロボットの開発、実証、中長期にわたる廃棄物の対策に取り組むべきだというふうに私は考えておりますが、政府の御見解をお示ししていただきたいと思います。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、福島第一原子力発電所の廃炉は、世界に前例のない長期にわたる事業でございまして、我が国の産学官の総力を結集して取り組むべき課題と認識しております。

 これまで、政府が前面に立った取り組みの一つとしまして、平成二十四年度補正予算で八百五十億円を日本原子力研究開発機構に予算措置しまして、二つの研究開発拠点、すなわちモックアップ試験施設と放射性物質分析・研究施設を整備することといたしました。

 このうち、モックアップ試験施設に関しましては、本委員会の御視察をいただいたところでございますけれども、ここは、福島第一原発のような極めて高い放射線下にある廃炉作業を安全かつ着実に進めるためには、現場作業に入る前に現場を模擬した実規模の試験を行うことが極めて重要である、このようなプラントメーカーからの声を勘案しまして、そのための集中的な大規模拠点として整備するものでございます。

 本施設の整備は、いわばハード面におきましてプラントメーカー等が技術力を結集する拠点形成ということでございますが、他方で、ソフト面で産学官の総力を結集する仕組みというのも大変重要であります。そのかなめとなりますのが原子力損害賠償・廃炉等支援機構、NDFでございます。本年六月に改定しました中長期ロードマップ及び福島復興の加速に向けた閣議決定、そこにおきまして、NDFが果たすべき廃炉技術戦略の司令塔機能、これを強化すべきであるということが記されております。

 その一環としまして、さまざまな主体による基礎から実用に至る研究開発の一元的なマネジメントというものを強化するために、このNDFのもとに廃炉研究開発連携会議という会議組織を発足させております。これはちょうど今週月曜日、六日にその第一回を開催したところでございます。本会議を通じまして、東京電力、プラントメーカー、研究機関、大学がその科学技術力の総力を結集して、福島第一原発の廃炉が安全かつ着実に実施されるよう、今後とも政府として前面に立って取り組んでまいりたいと思います。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 今の答弁にありましたモックアップ試験施設については、今の立て分けでいくと経済産業省、あと廃炉国際共同研究センター、これは下村文科大臣が一生懸命やっていただいた、これはやはりどうしても文科省、これ自体がもう縦割りで、もったいないんですよね。

 今、連携会議をつくられた、これは第一歩で大事だと思いますけれども、会議といっても、多分、年に三、四回ぐらいの頻度でしょうから、やはり一つの組織にしていくことを目指しながら、今回のその連携会議は第一歩として、ぜひ国を挙げて総力で闘うという気迫と準備がないと、私は、とても事故炉の廃炉、そんな生易しいものではないと思います。三十年から四十年という工程は、ある意味では希望であるわけでありますが、そこは本当に大変なチャレンジだと思いますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたい。この廃炉対策がやはりふるさと帰還の大前提であるということは、改めて言うまでもないということを認識していただきたいと思います。

 今、私が御紹介しましたハンフォードの地域、また、実は、テキサスA&M大学のところにディザスターシティーというロボットの実証フィールドというか、大変広大な施設がありまして、それぞれ数千名の研究者がいる。さすがアメリカだな、こう思いました。

 やはり行ってみないとわからないことがありまして、国会が延長して、大臣も連日激務だと思いますが、一度、福島の復興のお手本になる地域がハンフォードサイトだと思いますので、ぜひチャンスを見て御視察いただきたい、こう思いますが、一言いかがでございましょうか。

竹下国務大臣 赤羽議員がハンフォードを視察され、そして、ディザスターシティーも視察をされて、そうした経験に基づいてイノベーション・コーストのいわば骨格をつくり上げられたということ、本当に敬意を表します。

 と同時に、我々も、福島の特にあの原発のエリアにつきましては、やはり希望がある復興をしていかなきゃならぬ、その希望の大前提は廃炉であり、そこに世界最先端の技術が集結をして、そこから、最終的には世界に発信していけるところまで持っていきたい。その意味で、ハンフォードサイト、ディザスターシティーについては、非常に重要な施設であるというふうに認識をいたしております。

 ただ、九月まで延長になったという状況の中で、そして、多分そこで内閣改造があるんじゃないかな、こう思いますので、私が行けるかどうかについては即答しかねます。

赤羽委員 我々は全面的に支持しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、避難指示解除に向けたさまざまな取り組みについて、テーマを移したいと思います。

 今回の決定で、避難指示解除準備区域、また、居住制限区域につきましては、遅くとも事故から六年後の平成二十九年三月までに避難指示を解除する。これ以前に解除できた場合においても、精神的賠償額は同等の支払い、満額払う。六年プラス一年分払うということを決めた。これは私は大変画期的なことだと思っております。被災者の皆さんのふるさと帰還に対する、それをちゅうちょさせる大変大きな要因の一つが、大変画期的な決断によって解決ができたものだ、こう考えております。

 これからの二年間、さまざまな細かな問題を解決するために、避難指示解除の準備が整うように、自立支援の新たな主体をつくるということが決定されておりますが、この新たな主体の具体像は何か。これは、恐らく内閣府のところが中心となって実務に携わると思いますが、ぜひ復興庁との連携も欠かせない、こう考えております。この点についても端的にお答えをいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 自立支援策についてでございますが、閣議決定をされました福島復興指針改定におきまして、事業、なりわいや生活の再建、自立に向けた取り組みを拡充することとしております。

 その柱としまして、今後二年間にわたり、被災事業者の自立へ向けた支援策を集中的に展開していくこととしておりまして、その実施主体につきましては、国、県、民間から成る官民の合同チームを創設することが閣議決定に盛り込まれております。

 現時点におきましては、この官民の合同チームの人員や資金等をどのように手当てするのかといったことを含めまして、具体像について鋭意検討を進めているところでございます。

 この官民の合同チームでは、被災された方々に寄り添った支援を実施するため、まずは、被災事業者を個別に訪問しお話を伺うとともに、事業再開に向けた支援策の紹介等を実施していくこととしております。

 また、この合同チームにつきましては、復興庁を含めた関係省庁とも連携を図るということが閣議決定にも盛り込まれておりますので、このチームの創設、それから、支援の早期開始に向けまして、しっかりと連携して取り組んでまいりたい、そのような考えでおります。

赤羽委員 具体像はまだこれからだということだと思いますが、十二市町村の地元の皆さんの声は大変期待も大きいので、やはり被災者の側に立って、身近な立場で、大変だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

 また、ふるさと帰還に向けての大前提の一つが、除染のことだと思います。やはり、宅地周りの除染が仕上がっていないとどうしようもない。

 今、私の認識をしております除染の計画、南相馬市と富岡町、浪江町の宅地周りの除染は平成二十八年の三月、それ以外の地域の除染は平成二十九年三月と、ぎりぎりの計画になっている。

 除染の計画というのは、これまで、いろいろな要因があっておくれおくれとなってきたというのがこの四年間だったと思っておりますが、既にこの今言った三地域の除染は計画よりおくれているという情報もございます。もし除染がおくれるとなると、今回大方針として決定した、遅くとも平成二十九年三月までに解除ができる環境を整えるということが骨抜きになってしまうと、また私は大変心配をしております。

 今言った三地域の除染の状況はどうなのか、今後の見通しについてどうなのか、環境省の御見解をお答えいただきたいと思います。

早水政府参考人 三市町の除染の状況についてお答えいたします。

 除染作業に着手するためには、関係人からの同意取得が必須でございまして、また、仮置き場の確保が大変重要でございます。南相馬市、富岡町、それから浪江町につきましては、同意取得、それから仮置き場の確保につきまして、地元自治体の御協力をいただいて相当程度進んできているということでございます。これによりまして、除染作業に集中していける条件がほぼ整ったところでございます。

 このため、除染工事の元請業者に対しまして、必要な作業員の確保、それから、適切な工程管理を指導して、計画に基づくスケジュールに従って除染を完了することができるよう、全力で努めてまいりたいと思います。

赤羽委員 今、環境省の御努力はよくわかりますが、平成二十九年三月までというのは、残された期間も短いですし、時はたったけれどもできなかったじゃ済まされない問題なので、定期的にチェックをして、報告を復興大臣のところにも入れると、ぜひお願いをしたい、こう考えております。

 次に、避難指示解除の条件の大前提の一つでありますインフラについてであります。

 高速道路の常磐道は、今春、予定より早く全線開通をしました。しかし一方で、JR常磐線の富岡―浪江間、二十・八キロにつきましては、現時点で完全復旧の時期すら示せない状況がありまして、被災地の大変大きな失望となっております。

 私も何回も現地に行っておりまして、なぜ着手をしないのかと大変疑問にも思い、JRにも何回もコンタクトしておりました。前田川にかかるところに大変大きな陸橋も崩落をしておりまして、あの工事も、専門家が見れば最低三年間はかかると。最低三年かかるんだったら、今からやったって一体いつになるんですかということに対する危機感というものを全く感じられない。事故発災からもう四年余りで、この橋梁の設計もしていない、土木工事も着手していない、その前提の除染もやってこない。JR東日本は公共交通機関としての責務を全く放棄している、私はそう厳しく言わざるを得ない、こう考えております。

 この四年間、復旧に何も着手してこなかったJRの本当の理由は何なのか。不採算路線の復旧は後ろ向きだというような風評も流れているんですよ。こんなことが許されるわけじゃない。このことについて、国土交通省として、所管官庁としてどう認識をしているのか、御答弁いただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 JR常磐線につきましては、従来、JR東日本におきまして、帰還される住民の方々の交通の確保といった観点から、住民の方々の帰還に合わせて開通するという方針をとってまいりました。このため、避難指示解除準備区域の復旧作業を進める一方で、御指摘のとおり、帰還困難区域を含む浪江―富岡間につきましては、区域の見直しあるいは住民の方々の帰還の見通しが立っていないということから、被災施設の復旧に向けた取り組みを進めてこなかったということだというふうに承知をしております。

 本年三月に、全線開通という方針を決定いたしました。これを踏まえまして、JR東日本におきましても従来の方針を変更して、住民の方の帰還と切り離して、帰還困難区域を含む区間についても工事を進めるという方針で取り組んでいるものと承知しております。

赤羽委員 それは言いわけにしかすぎないんですよ。大工事もやらなきゃいけないということをわかっていて、帰還が決まってから着手しようなんというのは、そんな理由は私は到底受け入れられない。ふざけた話だと思いますよ。高速常磐道だって、いつかは必ず復旧させるためにと工事をしていたんです。このことについて、もう少し国土交通省として厳しくJRに対して認識をさせなければ、結局、国交省は旧国鉄には何も言えないみたいなことが言われてしまうんですよ。

 そして、二〇二〇年の東京オリンピックのときに、世界じゅうから来る外国の方、必ず福島に来る。そのときのアクセスのJR常磐線が通っていないなんというのは、これはJR一社の問題ではないんですよ。国のこけんにかけてもやってもらいたい。完全復旧の時期すら明記できないなんて、とんでもない話で、このことについて明確な答弁を引き出せるように頑張っていただきたい。もう一回答弁してください。

藤田政府参考人 帰還困難区域を含む地域につきまして、全線復旧に向けた具体的な復旧工程、これをなるべく早く明らかにしていきたいと考えております。

 幾つかそのためには課題がございます。新しい橋の設計、あるいは除染のための施工方法の検討、こういった課題がございますけれども、これらについても順次作業に着手をしておりますので、その進捗を踏まえまして、なるべく早く復旧工程を明らかにしてまいりたいと考えております。

赤羽委員 鉄道局長をいじめてもしようがないんだけれども、そういう課題は今できたわけじゃないんですよ。事故発災からあったんですよ。こんな子供だましのことを言っているようなJR東日本は許されないということを、私はもう一回はっきり言っておきます。議事録に残しておきます。それだけです。

 ただ、これは国の責任としてやってもらいたいんですよ。除染がどうだ、専門家じゃありませんからみたいな話があるので、それは除染については環境省もぜひ力を合わせてもらいたいし、国の総合力としてやる、これは福島の被災者に対する国の責務なんだ、JR東日本だけじゃないんだということを重ねて申し上げておきたい、こう思います。

 JRがよく言う理由に、帰還困難区域は戻れないでしょうと。これは実は全然そういう状況でもないんです。

 今資料としてお配りをしております。これは、十二市町村の将来像の検討の中で、空間線量の見通しというのを分析していただいた表でございます。

 これは実は、帰還困難区域全体の中で、年間二十ミリシーベルト以上の地域は茶色、そうでないところは白。現在は三分の二が二十ミリシーベルトを上回っている。三分の一が二十ミリシーベルト以下だ。ところが、二〇二〇年にはそれが逆転して、七割が二十ミリシーベルト以下になる。これは自然減衰、物理的な減衰でこういう状況になっているということであります。この中には、実は山林とかの地域も含まれておりますので、居住地域だけのグラフに直すと、恐らく、二〇二〇年に、今七割が二十ミリ以下でありますけれども、これは多分八割五分とか九割が二十ミリ以下になるというグラフになると思います。

 ですから、私が申し上げたいのは、これまでは帰還困難区域は除染はしなかったという大方針がございました。しかし、これは、発災後四年で線量の状況というのは全然変わっているんですね。ですから、双葉町とか大熊町みたいな帰還困難区域が大半を占める二つの地元の地域からも、ぜひやはり、ふるさと帰還を進めなければいけない、復興拠点の整備を進めたい、帰還困難区域だけれども現在は線量が相当下がっているところは、避難指示区域も変更して、ぜひ新しく除染を進めていただきたい、そして復興拠点整備を進めて、双葉町や大熊町の復興を前に進めていきたいという強い希望があると思います。

 この点については、ぜひ、復興大臣の大英断が私は必要だと思いますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。

浜田副大臣 先月閣議決定されました「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」、いわゆる福島復興指針の改訂版におきまして、「帰還困難区域の今後の取扱いについては、放射線量の見通し、今後の住民の方々の帰還意向、将来の産業ビジョンや復興の絵姿等を踏まえ、引き続き地元とともに検討を深めていく。」とされておりまして、「この中で、放射線量の低減を踏まえた復興拠点となる地域について避難指示区域の見直し等を早急に検討していく。」とされております。

 このような帰還困難区域の区域見直しや除染につきましては、地元の意見を十分お聞きしつつ、このような視点から検討を行い、地域の復興を実現していくことが必要であると考えております。

赤羽委員 地元の意向が大事だということは重々承知をしております。また、地元の意向の上に立って、ふるさと帰還を、本当にパラダイムを変えていこうということをぜひお願いしたいと思います。

 この帰還困難区域の被災者の一部の中には、区域見直しをすると精神的な賠償額が変わるのではないかということを心配されている方もいらっしゃると聞いております。私は、帰還困難区域の精神的賠償額はもう既に決着済みで変更はないというふうに承知をしておりますが、この点について事実を明確にしていただきたいと思います。

森本(英)政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの帰還困難区域の精神的損害賠償につきましては、原子力損害賠償紛争審査会が定めました、これは平成二十五年の十二月に定められました中間指針の第四次追補において、避難指示解除の時期に依存しない賠償として、精神的苦痛等を一括して賠償することが新たに定められているところと承知しております。具体的には、それ以前に定められました精神的損害賠償に加えて、お一人当たり七百万円を追加することというふうにされております。

 これにつきましては、既に東京電力が支払いを始めているところでございます。

赤羽委員 正確な事実をお伝えすることがふるさと帰還に向けての大変大事なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 もう時間がありませんので、最後に、イノベーション・コーストについて一言だけお願いしたいと思います。

 先ほど、竹下大臣からも過分な御評価もいただいて、まさに地元の希望であり夢であると思っております。きょうは実は農林水産省の方に来ていただいて、なりわいですから農林水産業がやはり一番大事なんですね。新しい産業、廃炉汚染水、そういう側面だけではなくて、ぜひ農林水産業も前に出てもらって、このイノベーション・コーストに参加してもらいたい。そして、取りまとめ役の竹下復興大臣におかれましては、来年度の概算要求が今月末から始まりますので、これはぜひ、復興庁としてというか、国として福島のために予算要求も頑張っていくんだという御決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

竹下国務大臣 イノベーション・コースト構想につきましては、先ほどお話ししたように、地域の将来の夢として非常に私は重要なものである、しかしそう簡単にできるものではないと。しかも、国の施設が出るだけではなくて、民間をどう巻き込んでいくかということも含めて、今我々も知恵の限りを絞っておるところでございます。

 そしてその一方で、やはりあの地域に昔からあった農林水産業というものがまず土台としてしっかりしなければ、イノベーション・コーストだけで地域全体がカバーできるというふうには思いませんので、おっしゃるように、もともとあった地場産業というものがきちっとやっていけるという状況をどうやってつくり出していくか。そう簡単にはできないと思いますけれども、どうやってつくり出していくか、これも懸命に汗をかかなければならない課題だと思っております。

 そして、復興大臣としてというよりも、赤羽先生お話しになりましたように、日本国にとってこの復興が何を意味するか。安倍総理は、福島の復興なくして日本の再生はなしとたびたびおっしゃっております。そのことを肝に銘じながら、予算折衝にもしっかりと臨んでいきたいと思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。我々もしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 きょうは、農林水産省また水産庁を呼びながら質問できなかったこと、また、鉄道局長には、個人的には大変仲がいいんですけれども、激してしまったことをおわび申し上げまして、私からの御質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 次の五年間の復興の事業の規模であるとか財源のフレームであるとか、次のいわばスキームが決定をしたわけでありますけれども、このことについて後で意見を申し上げたいと思いますが、冒頭、概算要求までのいわば延長戦に持ち込まれた企業立地補助金について、大臣の考え方をお聞かせいただきたいというふうに思っています。

 これまでの五年間の復興政策の最大のヒット作は、企業立地補助金とグループ補助金だったと私は思っています。この企業立地補助金について、大臣の考え方をお聞かせください。

竹下国務大臣 企業立地補助金について、一応今までの、現状の法律では、平成二十七年度までが申請期間で、実施期間が平成二十九年度まで、こうなっておりますが、現実の問題を見てみますと、高台がまだできていないと、土地がないところに企業立地の申請もなかなか難しいし実施もなかなか難しいということもありますので、これは現状を最優先、現状に応じて延長も含めてしっかりと対応していかなければならない。

 そして、玄葉先生がおっしゃいましたように、この地域が元気になるかどうかという鍵を握っておりますのが、雇用も含めた企業活動がどれだけ活発になるかだ、こう思っておりますので、まともに受けて考えていこうと思っております。

玄葉委員 これは、このままいくと今年度で終わりということでございます。先ほど来から出ている例えばイノベーション・コーストの構想であるとか、これから除染が始まるような地域がある中で、必須のツールと言ってもいいのがこの企業立地補助金です。

 それと、福島県全体を見ても、例えば鉱工業指数が、震災前の平成二十二年を一〇〇とすると、ことしの数値はまだ九三です。事業所数も、平成二十二年比が九一%です。したがって、これは十二市町村のみならず、県全体のための企業立地補助金を、是が非でも竹下大臣が頑張って、経産省と一緒に財務省とかけ合ってぜひ実現をしてもらいたい、継続を実現してもらいたいというふうに考えておりますが、もう一言ございますか。

竹下国務大臣 悩ましい問題です。今まで、企業立地補助金の対象エリアというのは、津波の被災をしたエリアと福島県全体ということがエリアになっておったわけでありますが、今そのエリアをどうするかというのは非常に悩んでいるところでございます。

 それ以外での支援で対応できるものもありますし、確かに企業立地補助金はほかのさまざまな制度から比べますと極めて手厚い制度でありますので、それをどう、どこまで実施していくか。打ち切るということはちょっと難しいというふうに正直思いますけれども、期間の延長で対応できるのか。エリアの問題についても、どう考えるかというのは悩んでいるところでございます。

玄葉委員 ここは全くわからないでもないのでありますが、最低もちろん十二市町村は必要だということは、これはもう全ての人が一致していると思うんです。

 先ほど申し上げたように、県全体が、これがあったから立ち上がれたというのが私の実感なんです。福島県人としての実感です。残念ながら、まだ、人手不足にはなっていますけれども、震災前の水準に戻るのにはまだまだという状況ですから、そこを踏まえてエリアをしっかりと設定してもらいたいというふうに思っています。

 全く同じじゃなければ絶対だめだとは言いませんから、そこはかなりの程度柔軟に対応してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。

 最後に一言ありますか。

竹下国務大臣 先ほどこれもお話がありましたが、福島県全体でほぼ九割のさまざまな企業の回復度合いだと。ただし、これは会津地方、中通り、浜通りによって数字は全く変わっておりまして、そうしたこともにらみながら判断をしなきゃならぬのかなと。まだ、そうはいっても、なかなか、えいやで今ここでお答えできる状況にはありませんが、悩んでおることは事実であります。

玄葉委員 ぜひここは復興大臣が被災地の側に特に立って、しっかりと指揮をとってもらいたいというふうに思います。

 その上で、復興庁が提示したスキームについて申し上げたいと思います。

 結果としては、当初提示された案を大幅に見直したということで、まあまあのスキームになったと私は思っているんです。ただ、率直に申し上げて、ショックでした。当初の案が提示されたときにショックだったんです。

 どうしてショックだったかというと、復興庁は福島県をよくよく知っていると自分は思っていたんですけれども、どうも、あの案が出て感じたのは、これは復興庁に対して危機感を持たなきゃいけないなと私は思いました。

 つまりは、三・一一当時いた職員がほとんどいない。岡本さんぐらいですよ、次官ね。幹部では彼ぐらいです。本当にいないから、実態とかけ離れた案が残念ながら出てきた。これはショックだったんですよ。

 つまり、原発事故の影響というものをどうも甘く見ているのではないか。原発事故があったから、例えば岩手、宮城と比較したって、本来だったらある道路は八割進んでいてよかったものが、一割とか二割しか進まなかったわけですね、それぞれの道路が。だけれども、同じスキームをそこに適用されていったらどういうことが起きるかというのは容易に想像できるはずなのですが、どうも当初の案。しかし、結果として、地元の反発あるいはそれぞれ国会議員が与野党ともに意見を言った結果として変わってきたわけでありますけれども、当初ああいう形で案が出たということは、復興庁の職員が十分理解していないんじゃないかということで私はショックだったんです。

 それと、あえてもう一つ申し上げておくと、先ほど緊張感がなくなったんじゃないかという話がありましたが、私は、もちろん毎週末のように地元に帰りますから、いろいろな方々の意見を聞きます。はっきり言うと、丁寧さはなくなってきましたね。雑になったと多くの人たちが言っています、雑になったと。だから、復興庁よ、初心に戻れと言いたい。初心に返れと言いたい気持ちなんです。

 どうしてあんな初回の提示案が出てきたのか。これは大臣、何でなんですか。

竹下国務大臣 初回の、地元負担をしていただく、我々が出した最初の考え方、案というよりも考え方は、基幹的な事業と原発に由来する事業は全て引き続き国費でやります、ただし、防災あるいは地域振興等、全国共通する課題については一部地元負担をしていただきたい。

 ただし、そこで、申し上げたかどうかははっきり覚えておりませんが、二つ条件がありまして、一つは、これも先ほど言いましたが、そのことによって、地元負担を導入することによって事業に支障が出る、おくれが出るということはやらない。それから、被災市町村の財政状況を考えたときに、過大な負担を求めても、そんなことは絶対無理ですから、厳しい負担は絶対に設けない、ほかの地域と一桁以上、桁違いの数字にとどめるということは当初から考えておりました。

玄葉委員 もし当初案どおりだったら、私は、ずっと現場でも、現場でもというのは福島県でも、あるいは国会でも、復興庁をずっと批判し続けるよということを岡本さんにも電話して言ったんですけれども、やはりそのくらい驚いたんですよ。これは県側も相当驚いたと思います。

 ですから、結果としては、いろいろな方々の意見を取り入れてもらって、もちろん自己負担、地元負担も行っていくんだけれども、大体おおむね納得できるような形になりました。

 ただ、やはりそう思ったことを大臣にはよくお考えをいただいて、復興庁は現場を知っていると思っていたんだけれども、残念ながらああいう案が出てきたということを、やはりもう一回肝に銘じないといけないんじゃないかと思います。

 さらに申し上げると、復興庁よ、初心に返れと申し上げましたけれども、細かい話のように聞こえるかもしれませんけれども、今回、例えばさまざまな事業をやめると言ったんですね。緊急雇用創出事業なんかで、例えば商工会に配置をしている、あるいは放射線の測定業務とか、それぞれやめると最初おっしゃったんです。やめるんだけれども、あとは各省庁と折衝してほしい、復興庁じゃなくて各省庁で予算をとっていこう、こういう話を、実は最初に説明を聞きました。

 これはやはり初心に返らないとだめだと思うんですけれども、復興庁は何でできたんだということなんですね。復興庁というのは、各省庁の上に立って、まさに被災自治体の窓口になろう、ワンストップで窓口になろうというのがもともとのスタートなんですよね。それが全く逆のことをやっちゃって、それを指摘されて、結果としてはまたもとに戻ったんですけれども、やはりそこは本当に初心に返ってもらわないと、これから被災自治体は困るというふうに思いますので、そこはぜひ、大臣、肝に銘じてもらいたいと思いますが、いかがですか。

竹下国務大臣 復興の進展に伴いまして、復興のステージは刻々変わってきていると私は認識をいたしております。そして、今感じておりますことは、後期、復興・創生期間において大事なことというのは、ステージといいましても、岩手と宮城のステージと福島のステージはまだ相当開きがあることは事実であります。特に、私が岩手と宮城について今感じておりますことは、ハードについては大体完成をするという、先行きが見え始めてきております。だけれども、これは復興にとって一番大事なことではない。私は、復興にとって一番大事なことは、その復興に魂を打ち込むことだと。

 それはどういうことかといいますと、地域が活性化したり、ふるさとをしっかり取り戻したり、あるいは地域のコミュニティーというものを、一回ばらばらになったコミュニティーをつくる。田舎の強みはコミュニティーがしっかりしていることです。そういう魂を打ち込む仕事というのが、私は復興にとって一番大事であると。

 今からまさに岩手、宮城はその局面に入ってくる。そっちの支援を相当徹底的にやらなければならないというふうに痛感をいたしておるところでございまして、ちょっと福島とはまだ距離感があるなということはありますけれども、そういった点を考えながらソフトを充実していくということ。

 それから、復興の長期化に伴って出てきた新たな課題、新たな課題というか、深刻になった課題と言った方がいいかもしれませんが、心のケアの問題ですとか健康の問題、子供たちをめぐる問題等々、そういった分野がこれからますます重要になってくると痛感をいたしております。

玄葉委員 福島の問題というのは多様で流動的で複雑です。まだまだやらなければならないことが多いです。ステージごとに課題も確かに変わってきます。ただ、初心に返らなきゃいけないところが復興庁にあるということを、私はきょうはきちっと指摘したいと思います。

 最後に委員長に、ある意味失礼かもしれないんだけれども、委員長にやはり一言申し上げなきゃいけないのは、こういう大きなスキームを決めるときというのは、やはり委員会をぜひスキームが決まる前に開いて、そして意見を聞かないといけないと思います。

 私、三・一一のときにちょうど与党の政調会長で、閣僚も兼任していて、カウンターパートは当時石破さんだったんですけれども、石破さんを通じて当時の野党の意見をたくさん聞きました。そういう機会もつくりました。委員会もたくさん開催しました。

 今回は、スキームが決まってからこういう形でやるわけですよ。これは、せっかくこの委員会ができたのに、何か、それぞれの与野党の意見をこういう正式な場で言えないというのは非常によろしくない。

 これは委員長として、最後に一言メッセージを出していただけますか。

伊藤委員長 私は、常々理事会で申し上げているように、復興委員会はなるたけ多く、なるたけ長い時間、そしてまた時宜を得て開くべきだということを理事の皆さんにも申し上げているところであります。

 玄葉先生御案内のように、委員長の権限だけで委員会を開くことは不可能ですので、筆頭間の協議に委ねておりますけれども、私は常にそういう意思を持って、玄葉先生と同じ気持ちで委員会を運営しております。

玄葉委員 もう終わりますけれども、ぜひ、大事なことを決めるときは、その途中のプロセスで委員会を開いていただきたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 私も復興事業の地元負担の問題についてお尋ねします。

 復興大臣も先ほど触れられていましたけれども、七月一日に我々民主党の議員が復興大臣のもとを訪ねまして、この地元負担についてちょっと我々としては問題だということを申し上げました。その中で、復興大臣の方からは、全て与えられる仕事と、一部でもいいからリスクをとってやる仕事、どっちが人間は本気になるかと考えたときに、わずかでもいいからみずからリスクを背負う、その気概があって初めて本物になるというようなことを言われておりました。

 復興事業に地元負担を求める理由ということでおっしゃられたと理解していますけれども、今の、言われたこと、今でも変わりはないということでよろしいでしょうか。

竹下国務大臣 あのときもお話をさせていただきましたが、あのときも民主党の皆さん方からもお話がありましたように、やはり復興庁の緩みというか、あの緊張感がないんじゃないかということを御指摘になりました。私は、これは私自身も感じていたことでありまして、当初感じていた地元へ行ったときの緊張感、そして今行く緊張感、そして復興庁自体の緊張感等々は、やはり、一生懸命やっているとは思いますけれども、どこかに、時間の経過とともに、そうした気持ちの本当のわずかな緩みみたいなものが出ているんじゃないかなと。これはいかぬ、これは何とかせにゃいかぬということは一つ思ったことは間違いない事実であります。

 被災者の皆さん方がリスクをとるという意味ではありません。市町村の皆さん方、復興庁の諸君がもう一段本気になってもらうにはどうすればいいか、もう一回緊張感を取り戻してもらうためにはどうすればいいかといった思いを込めて、リスクという言葉を使わせていただいたということでございます。

階委員 復興庁の人たちが緊張感を欠いているということと、なぜ被災地の地元負担というリスクを背負わなくてはいけないのかということが、私は論理的には結びつかないと思うんですね。復興庁の気の緩みが、なぜ地元に転嫁されなくてはいけないんですか。

竹下国務大臣 復興庁も一つの例として申し上げました。

 被災地の諸君も、被災地の市町村の諸君も一生懸命やっています。県も正直言って頑張ってくれていると思います。しかし、当時の緊張感はありません。

階委員 結局、地元の人たちの緊張感がないからリスクを負えと言っていることに等しいわけですよ。

 私は、職員もちゃんとリスクをとっていると思いますよ。家も流され、町もなくなって、そして家族も失った人もたくさんいる中で、何とか生き延びて、地元に残って復興のために必死に汗を流している。中には、心を病んだり体を壊したりする人もいて、私も命を失った人も知っています。

 そういう中で、リスクをとっていない、地元職員に対してもそういうことを言えるというのが、私は極めて違和感を感じます。本当に地元職員はリスクをとっていないということを断言してよろしいんですか。

竹下国務大臣 生活に対してリスクということを言っておるのではなくて、仕事の取り組み方に対して、私が言いましたのは、全てを与えられて仕事をする立場と、ほんのわずかでもみずからリスクをとってやる立場で、どっちが本気になるか、これはあの席でも階さんにお話ししましたが、人間の心理だと私は思う、こういうお話をいたしました。

 個人の生活に対してリスクをとっているかとっていないかということを言っているわけではありません。やはり、仕事をより緊張感を持ってもらうために必要なことの一つ。それが地元負担をしていただくことの全ての理由ではありません、ほんの一部の理由ではありますけれども、そのことは、個人の生活において、個人の被災においてリスクをとっているかいないかという問題ではなくて、役場として仕事をするに当たって、あるいは町長と言った方がいいかもしれませんね、市長、町長が中心になって役場として仕事をするに当たってどちらがより効率がいいか、効果が上がるかということを考えたということであります。

階委員 つまり、地元負担がないと本気にならないということを言われているとしたら、前回そうおっしゃっていました、七月一日のときも。リスクをとってやる仕事の方が本気になるんだということをおっしゃっていましたので、今現在、本気になっていない、本気度が足りないということを言っているんだと思うんですね。違いますか。

竹下国務大臣 あのときも、前段で、被災地の皆さん方は一生懸命やっている、被災地の市町村の皆さん方も、私も毎週のように被災地へ行っておりますが、一生懸命やっているというふうには感じているんです。

 ただし、これはもう復興庁についても言えることでありますが、あの被災当初の緊張感と今の緊張感はやはり違うなということを言いたかったわけでありまして、本気でないということは言っておりません。

階委員 緊張感が足りないということをおっしゃるというのであれば、私はそれは違うと思いますよ。大変な状況で、マンパワーが限られた中でずっと四年以上突っ走ってきたわけですよ。人間ですから、百メートルダッシュをずっと走り続けて、それが続けられるかといったら、それは違うでしょう。

 復興大臣はここ一年弱しか見ていませんから、その前のことを知らないわけですよ。でも、我々は、震災直後からずっと被災地を見てきました。だから、私たちは、その認識はおかしい、緊張感が足りないというのはおかしいと思いますよ。

 私は、むしろ、リスクを背負わせるよりもリスクを取り除く、これが復興大臣としてやるべきことじゃないですか。間違っていますよ。緊張感が足りないというのを撤回してください。

竹下国務大臣 論理をすりかえないでください。緊張感が……(階委員「足りないと言いましたよね」と呼ぶ)いやいや、当初の緊張感に比べますと、人間というのは、今、階さんもおっしゃったとおりじゃないですか、時間がたちますと、四百メートルあるいは百メートルをずっと走ることはできない、そうすると、どうしても心に緩み、あるいは体に緩みが出る。(階委員「緩みというか疲れですよ」と呼ぶ)疲れるんですよ。

 現場を回ってみていろいろなことをお感じになっていると思いますけれども、私は、緊張感がないということを言っているわけじゃないんです。(階委員「言いましたよ。では、撤回してくださいよ」と呼ぶ)いや、足りないということを、足りなくなるおそれがあるということを言っておるのであって、言葉尻を捉えないでください。一生懸命やっていることはやっているんですよ。そのことを何回もお話ししているわけであります。

階委員 論理をすりかえているのは復興大臣の方だと思いますよ。先ほど、緊張感が足りないということを断言されましたよ。

 要するに、気が緩んでいるというよりも、人間だから疲れが出てくるのは当然じゃないですか。百メートルを走る力でもってずっと走り続けることは不可能ですよ。だから、マンパワーが足りなければそこをカバーしてあげるとか、あるいは、仮設住宅に住んでいて大変体も疲れるじゃないですか、早く安心した住まいの場をつくるとか職場の環境も整えるとか、そういうリスクを取り除くということにもっと復興大臣としては力を注ぐべきであって、最初にリスクを背負わせるというところから始まっていると、到底被災地の理解は得られないと思いますよ。

 現に、私の知っている方々も、しかるべき方々からも、やはりあの発言については問題だと言っています。これは、緊張感が足りないとか不足しているとか、言葉尻を捉えるつもりはありません、やはり復興大臣であるからこそ私も言っているわけですよ。復興大臣が被災地の味方にならなかったらどうするんですか。被災地の人たちは誰を頼りにすればいいんですか。

 緊張感が足りないとか不足しているというところは撤回していただけますか。

竹下国務大臣 足りないと言っていないということを何回申し上げればいいんでしょうか。緊張感が、時間がたつにつれて緩むおそれがあるということは確かに申しました。だけれども、足りないとは言っておりません。

 そして、私自身ずっと歩いておりまして、現場の皆さん方、本当に厳しい状況でやっているんですよ。そのことは何回もお話をいたしましたし、先般お話をしたときも、被災地は一生懸命やっていますよ、しかし、人間というのはどうしてもそういう弱みがありますので、弱さを持っていますから、その一助として、ほんのわずかに、ほんのわずかですよ、リスクをとっていただくということは緊張感をもう一回さらに鼓舞することに役立つんじゃないかな、こういうことをお話ししているわけであります。

階委員 だから、何度も繰り返しになりますけれども、さらに緊張感を高めて、今でさえぎりぎりで頑張っている人たちはどうするんですか。悲鳴が上がっているということも御存じだと思うんですよね。

 ずっと長い間復興のために頑張ってきた職員の人たち、また、民間の人たちだってそうですよ。ふるさとのために頑張ろうと思って、その地域に残って、新たに借金をして事業を起こしたり家を建てたりする人もいる。また、東京とか都会に出てきた若い人たちでも、ふるさとのために戻ってくる人、あるいは、ふるさとではないけれどもIターン、Jターンで戻ってくる人もいます。

 そうした方々が、緊張感がこれから薄れていくとか、今よりさらに緊張感を高めていくとか、そういう問題ではなくて、むしろ、よく頑張っている、だから少しでもそのリスクを減らして、もっと頑張れるようにしようと、あめとむちでいえば、むちの話をするんじゃなくて、あめの話をしてもっと頑張れるようにしていくというのが、私は正しいあり方だと思いますよ。

 根本的に考え方が違うというふうに今の答弁を聞いていて思うんですけれども、そういう緊張感に対する考え方、今お聞きしたとおりでよろしいですか。最後にこの点を聞きます。

竹下国務大臣 私は、人間というのは弱いところがあると思っているんです。ですから、今までどおり、あるいは時間が経過をしてくると、どうしてもその人間が持つ弱さというのは出てくる、こう思うわけであります。緊張感がなかなか持続できないという弱みを持っているのが人間だろう、こう思っておりまして、その意味で、ほんのわずかにリスクをとっていただくことで、もう一回緊張感をより強く持ってもらうということはあるんじゃないかなと。

 たびたび申し上げているように、これは人間の生理なんですよ、人間の心理なんですよ。そこをぜひ御理解いただきたいと思います。

階委員 復興大臣のおっしゃっているのは、人間一般の心理としておっしゃっているのかもしれませんが、それはやはり被災地の実態を見ていないと思いますよ。被災地の方が震災以降どれだけの苦労をしてきたかということからちょっと離れていると思います。

 ほんのわずかな負担とおっしゃいました。確かに、国家財政から見ると、トータルで二百二十億ですか。二百二十億程度というふうに聞いていますけれども、そのほんのわずかな負担をあえて地方に求める。

 逆に、求めないと何か問題が生じるんですか、その緊張感ということは抜きにしてですよ。緊張感ということは抜きにして、なぜ二百二十億、わずかとおっしゃるんだったら、あえてこの局面で、むしろ私は、鼓舞する上では、引き続き国が一〇〇%やるから頑張ってくださいねと言った方がよっぽど元気が出ると思っています。

 かつ、二百二十億との比較でいうと、例えば、今回、国立競技場が九百億円増額になりましたよね。あの金額とか、あと復興でいえば、歳入の面でいうと、復興法人特別税、これは八千億、一年前倒しで減収になりましたね。そうしたものとの比較でいうと、私は、この二百二十億、あえて地元負担を求める必要があるのかどうか、逆に、求めないと何が問題なんだろうかと素朴に感じるわけです。

 その点についてお考えを聞かせてください。

竹下国務大臣 おっしゃったように、財政再建とか財政云々という意味からいきますと、六兆五千億の中の二百二十億ですから、これで財政再建に資するととても言えるような額でないことは事実であります。

 ただ、復興から四年余り、これから五年、復興・創生期間に入るに当たりまして、一定の時間がたち、そして復興のステージが変わっていく、復興のステージが少しずつ目に見えてくるという状況になってまいりますと、ほかの全国の自治体との公平感というものを考慮しなければならない時期に入ったなということも私は感じておりまして、ですから、階さんに対する答弁じゃないんですが、先ほどの答弁で総合的、政治的に判断をさせていただきましたという言葉を使わせていただいたところであります。

階委員 今、全国の自治体との公平感という言葉がございましたけれども、この点について、七月一日、面談した際に、大臣からは、道路も高台も防潮堤も、いろいろなものが見え始めたときに、一番心配したのがほかからのひがみが出ないかということだと言われ、それで他の地域から非難が出ないように地元負担を入れるんだという趣旨の説明がありました。

 その際に、御自身の地元島根県の例も出していらっしゃいましたけれども、実際、そういうひがみの声というのは、御地元でもほかの地域でもいいんですけれども、あるんですか。

竹下国務大臣 あのときも皆さん方にお話をしたと思いますが、今は復興頑張れ頑張れという空気である、そういう状況の中にあるということは、あのときもお話をしたと記憶をいたしております。

 しかし、これからさまざまなものができ上がってきますと、あるいは道路の負担についてもそうでありますが、そろそろほかの地域の市町村との公平感を考慮しなければならない時期に入った、こう判断をいたしたわけであります。

階委員 質問に答えてください。ひがみの声というのは大臣の耳に入ってきているんですか。

竹下国務大臣 ですから、今は頑張れ頑張れという状況にあるということをお話しさせていただきました。

階委員 つまり、今現在はそういう声はない、これから出るかもしれないという推測をおっしゃっているわけですね。

 実はひがむ理由は全くないということを私は申し上げたいと思います。なぜならば、この復興予算について、被災地以外のところに全く恩恵が及んでいないかというと、そんなことはないわけですよ。これも大臣御存じだと思いますけれども、例えば、二十三年度以降ですけれども、国交省所管の全国防災事業の予算として六千百六十八億円、農水省所管の予算としても五百六十億円、文科省や内閣府からの学校耐震化の予算で六千三百十四億円、これだけでも一・三兆円程度。ほかにもあります。

 さらに、これは補助金なので、もちろん一〇〇%負担ではなくて地元負担もありますけれども、その地元負担分も復興予算を使うということで、通常は、国交省の場合でいうと地元の実質的な負担分は二四%から五三%だそうですよ。これが、全国防災事業という名のもとで特別の起債が認められて、それでその起債の返済原資は国が八割補填するというスキームがあるおかげで、今、二四%から五三%、通常の場合は実質負担だと言いましたけれども、これが、復興の場合は六%から一三%の実質地元負担にとどまっているわけですよ。

 こういう事実があるわけでありまして、もし今後、仮にひがみの声が上がったとしても、いやいやそんなことはない、全国にも、ちゃんとこの震災の教訓を踏まえて、必要な防災事業とかで恩恵は行っているんだ、そういうのが復興大臣の務めであり、ひがみが出そうな人たちの声をおもんぱかるんじゃなくて、むしろ、被災地の立場に立って、ひがみの声を上げようとするのを未然に防ぐというのが復興大臣の役割ではないですか。

竹下国務大臣 御指摘のように、さまざまな形で全国展開に使わせていただいた復興予算があることは事実でございます。特に、学校の耐震化については今年度いっぱいまで続きまして、おかげといいますか、全国で九八%以上の学校の耐震化ができる、そういう事実は確かにあります。

 しかし一方で、あの当時、被災地以外に使うことはおかしいのではないかという議論が相当起きてきたことも事実でございまして、二十三年度、二十四年度といったあたりでさまざまな事業をやめていったということも事実でございます。

 今すぐ公平感というものが、完全にしなければならないとは私は思っておりません。ですから、一%から三%の、どこから見ても極めて小さな負担をお願いしたわけであります。なぜなら、復興の原資は所得税の増税を初めとした国民の資産である、我々はそのことは絶対に忘れちゃいかぬ、そのことを忘れて、行け行けどんどんというだけではいかぬという思いは私にも強かったものですから、そういう表現をさせていただきました。

階委員 確かに、余りにも震災直後、全国防災事業だということで、無駄が多いということで見直しはしましたよ。だけれども、復興集中期間の五年間に限っては必要最小限のものはやるんだということで、さっきのような数字になっているわけですよ。全国にも恩恵は及んでいる。しかも、被災地の復興はまだまだこれからですよ、形ができるのは。ところが、全国の方では、もともと震災の被害もないから、目に見える形が既にできているわけですよ。もう恩恵は形になっているわけですよ。

 だから、ひがみの声を心配するんじゃなくて、むしろ、全国にもちゃんと恩恵は及んでいるんだから、これからも全国の皆さん、被災地の復興に協力をお願いしますというのが、私は復興大臣としての務めだと思いますよ。考え方が、どうも被災地の側じゃなくて、被災地以外の側、そちらの考え方に立って復興に当たられているのではないか。

 私、大変恐縮ですけれども、竹下復興大臣の前はずっと被災地出身の方が復興大臣であられました。そして、今回、竹下復興大臣がなられたときに、一抹の危惧を覚えていたんですね。もちろん、大臣の能力とか人間性をとやかく言うつもりは全くないんですよ。ただ、やはり意識が違うのではないか。あの未曽有の大災害を当時経験し、そして被災地の方々とずっと苦楽をともにしてきた人とはちょっと意識が違うのではないかという危惧を覚えていたんですけれども、きょうの御答弁を聞いていると、やはり被災地の人ではないんだなという思いを強くいたします。

 ここは、被災地である私や、これからも質問に立ちますけれども、そうした方たちの声も受けとめて、言葉遣いが誤解を与えているのであれば撤回すべきであろうし、少し被災地じゃない方に偏っているのであれば修正すべきであろうし、そこはやはり復興大臣として改めていただかないと、我々被災地の議員としては納得がいかない部分があります。いかがですか。

竹下国務大臣 一%から三%の自己負担を求めるということがそんなにいかぬですか。私は、三人の知事と話をしまして、全て満足ではないけれども、感謝しますという言葉をいただきました。私は、彼らは偉いと思いますよ。彼らは被災地の知事ですよ。それから、市町村長の多くの方からも、ありがとうございますという言葉もいただきました。全て一〇〇%ではないと思います、このありがとうにしても。

 ただし、それは、やはり彼らは政治家ですから、そろそろほかの地域との公平感も考えなければならない時期に来ているなということを多分肌で感じてくれたからそういう言葉が出てきた、こう思うわけです。ゼロの負担から、負担をしてもらうわけですから、むしろもっともっと怒られる、こう思ったんです。だけれども、そういう言葉が出てくるということは、やはり彼ら自身がそういうことを感じている、被災地の知事であり市町村の皆さん方がそういうことを感じているということを私は薄々感じたんですが、間違っていますかね。

階委員 逆質問をいただきましたけれども、私も、今も民主党の中では次の大臣ということで行政改革を担当しているんですよ。私も、無駄遣いとか行政の効率性ということには人並み以上にこれまで取り組んできた自負もあります。国会でも国会版事業仕分けというのがあって、まさに復興予算の無駄遣いとかも洗い出して政府に是正を求めたんです、与党時代に。そういう経験を踏まえても、今やろうとされていること、一%とか三%だからいいだろうというのはちょっと間違いがあります。そこを指摘しますね。

 まず、既存事業について、そもそも一〇〇%国の負担でやりますということでスタートしているわけですよ。これは合意ですよね。合意したものについて、いきなり当事者の了解もないまま破棄する。これは契約でいったら契約違反ですよ。歌舞伎町のぼったくりバーみたいなものですよ。

 これは知事の理解が得られているとおっしゃいましたけれども、岩手県の知事は記者会見で容認した覚えはないと明言していますよ。これは何で理解したなんておっしゃられるんですかね。岩手県の知事は容認していないと記者会見で言っているし、岩手県の市町村の首長さんも、個別に聞くと、知事が容認したふうなことを聞いたので、我々も余り声を上げていないんだということで、内心はやはり当初と話が違うことについて不満を持っているんですよ。

 言いたいのは、一%とか三%とか率の問題ではなくて、要は、当初一〇〇%と言っていたものを途中から覆す、これは信頼の問題だと思います。なぜ既存のものについて途中から覆したんですか。

竹下国務大臣 最初の、岩手の知事がどうおっしゃっているか、記者会見の内容も聞いておりますし、私は、直接お会いをして話を聞いて、ちょっと正確な言葉は覚えておりませんが、一部に不満がある、しかし全体として感謝していますという言葉をいただいたことは事実であります。それは確認をしてみてください。それから、各市町村長につきましても、私自身もその後何人かの市町村長とお話をいたしましたし、ありがとうという言葉も多くの市町村長からいただいたことは事実でございます。

 それから、当初の約束と違って途中から変えたではないかということでありますが、これは、法律論でごまかすつもりはありませんけれども、復興の仕組みについては見直すという規定がございまして、我々は、それにしっかり基づいて、集中復興期間を、徹底的に集約をして総括をした上で、その上で復興・創生期間に臨んでいく、その際に、復興のあり方、財源等々の一連の見直しを行わなければならないだろう、こう考えて行ったことでございます。

階委員 ありがとうという感謝と容認するというのはまた別の問題でして、手元に六月二十五日の岩手県知事の記者会見の記録が、これは岩手県のホームページに載っていますけれども、記者の方から、「要するに岩手県のスタンスとしては、国との一連の協議を通じて、公式であれ、非公式であれ、いずれの事業においても地方負担を容認する発言は一切していないということでよろしいでしょうか。」という問いがあったのに対して、知事は、「そうですね、そのとおりです。」と答えているわけです。つまり、容認していないということを明言されているわけですよね。

 容認していないというのであれば、これは前提が変わってきますよね。途中から見直すということも、前提が知事の理解がないという以上、これは改めて協議をすべきではないでしょうか。

長島副大臣 私の方から少しお答えをさせていただきたいと思うんです。

 私は、宮城県を中心に回らせていただいております。岩手県も少しかかわりを持たせてもらってまいりました。

 今、容認をしている、していないという話ではなくて、我々は、これから復興・創生期間における国と県と市の役割と、そして費用分担のあり方について、岩手県や市町村と丁寧に話をさせていただいてきたつもりです。容認をされている、されていないという新聞記事は、私も岩手県知事さん、宮城県知事さんと直接話をした記事としては、少しニュアンスが違うなというふうに受け取っております。

 我々は、復興がとまらないように、減速しないように、基幹事業はきちんと国がやり遂げますよ、そしてそのほか、負担を求める事業についても、市町村の事情に寄り添った対策を考えていますよということをお伝えして、今大臣から御答弁をいただいたように、多くの市町村長や知事さんから、とりあえずここのところでありがとうという言葉を大臣のところにお伝えいただいたことは、私は事実だというふうに承知をしております。

階委員 今の御答弁の趣旨は、ありがとうと言ったということを要はおっしゃっているわけですけれども、容認はしていないという一方の事実があるわけです。これは明言しているわけですよ。

 そういう中で、国が、五年後見直しをするんだからということで、今回のような拙速な決定をした。先ほど玄葉委員もおっしゃっていましたけれども、この委員会も開かれないまま決定しているわけですね。こういうやり方では、また被災地の不満も高まる。

 一%、三%の問題でいうと、私は、財政力が復興によって回復してきた地域、ここから一定の国庫への貢献を求める、これは当然あるべきだと思いますよ。私もそれは否定しません。ただ、問題は、被害が甚大で復興に長期間かかる、五年過ぎても、何年もかかる、あるいは、被害が甚大でたくさんやらなくちゃいけない事業がある、あるいは、被害が甚大で税収が戻ってこない、地方税である固定資産税や事業税だとかあるいは住民税とか、そういったものが戻ってこない地域ほど、分母を事業として、そしてそれに一%とか三%という掛け算をすると、負担が重くなってしまうんですよ。これは実質的な意味で公平性に欠けると思います。

 この決め方、この基準というのは私は間違っていると思いますが、その点、大臣の御見解をお願いします。

竹下国務大臣 経済活動がほとんどなくなっているエリアがありますし、復興に時間がかかっているエリアがありますので、税収の面あるいはさまざまな面で支障がある、あるいは厳しさが増している地域があることは承知をいたしております。

 ただ、その一方で、全ての事業を国費負担でやってきた、まだ今年度いっぱいもやりますが、そういう事情がありますので、全ての市町村で、正確な数字は覚えておりませんが、ほとんどの市町村で借金が減って基金がふえたということは事実としてあるわけです。

 ただし、私は、それは手は触れちゃいかぬと。というのは、これだけ大規模な復興をやりますと、その後の維持費、その後の管理費、これは膨大な負担が生じると実は心配しているんです。ですから、その部分は絶対に触れちゃいかぬ。その部分はしっかり市町村にとっておいて、確保しておいていただくことによって、その後の、復興が終わって、ハード面が終わって、維持管理の時代に入ったときに膨大な負担が出るので、そのことに思いをいたすと、財政状況が余裕が、今の数字、現時点の数字を見ると、震災前よりいいんですよ。だけれども、そのことで物事を判断しちゃいかぬよということを言い続けました。なおかつ、財政規模、例えば年間予算が八十億だ、百億だという市町村が毎年五百億、一千億という事業をやり続けておるという状況にありますので、そういう状況の中で、財政規模から考えて負担できない金額になってはいけない。

 ですから、最初にお話ししましたように、二つの条件。

 一つは、その負担をしていただくことによって、例えばこの道路について負担をしていただくことによって事業がおくれるということはいけない。被災者の皆さん方にとって大事なことは、事業がきちんと進展をする、それが財政的な事情でおくれるということはあってはいけないと思いましたので、それに支障が出ない範囲にとどめなければならないというのが第一点であります。市町村にとっては、負担をするということは決して楽じゃない、もろ手を挙げて賛成ではないということは私もわかります。だけれども、一番大事なことは、被災者にとりまして事業に支障が出ないということに重点を置いて判断をしたことが一つ。

 もう一つは、財政規模からいいまして、今、現時点では数字はいいんです、数字はいいんですが、そのことをもとに計算してはいけないんだ、もともとが厳しい財政自治体なんだということを前提に負担を一部求めようと。ですから、全国のレベルから見ると完全に一桁違う、一%から三%というわずかな負担をしていただくという判断をしたわけであります。

階委員 今の答弁についてもいろいろ申し上げたいことはありますけれども、時間が参りましたので終わります。

 ぜひ委員長、引き続き委員会の開催に御協力いただきますようお願いいたします。

伊藤委員長 私も全力を挙げて開催のために努力します。

階委員 ありがとうございます。終わります。

伊藤委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 玄葉委員とのやりとり、それからまた階委員とのやりとりを聞かせていただきまして、私も冒頭、委員会の開催が、復興に関する大変重要なことを決める前になぜ開かれなかったのかを大変遺憾に思っているということをまず申し上げたいと思います。

 そして、復興大臣は七月一日、民主党の復興提言について懇談をしていただきましたが、その折の発言についていろいろやりとりがございました。発言を撤回されるおつもりは全くないということが改めてわかりましたので、それについて詳しくは申し述べませんけれども、非常に残念でなりません。そもそも、被災地は予算を無駄遣いして事業を行っているわけではございません。しかも、被災地の自治体は、補助対象事業以外のところに、もちろん単独事業でこれを補っているなど、これまでも十分にリスクは負っているんです。そのこともおわかりいただけていないというふうに、本当に悲しく思いました。

 そもそも、今回の件ですけれども、政府の基本的な方向転換は、被災地不在で、まず冒頭、お決めになっています。

 二月の竹下大臣の参議院の決算委員会の御答弁で、地方負担ゼロについて丁寧な検討が必要だというふうに御答弁されたのが始まりでございます。そして三月には、全額国費負担というのは異例中の異例の措置である、全て国に委ねる姿勢でいいのか、市町村も県も自立してもらわなければならないというふうに発言されたわけです。この発言を受けて被災地は何と思ったか。見捨てられた、そう感じたんですよ。多くの皆さんがそういう声を上げられたのも大臣も御存じだと思います。私も三月二十六日、この委員会でそのことを申し上げさせていただきました。

 被災地の反発をある程度予想しながら、この間の復興事業の検証、そしてまた根拠というのも示さないまま、半ばおどすような形で、予算を削りますよということを言い、反応を見ながら既成事実化していって、こういう手法というのは、安倍政権のさまざまな政策にも通じるお得意の手法だなというふうに感じます。

 被災自治体への説明がないまま地方負担とする事業や負担割合の数値を示して、その後に被災地から話を聞いて、ああそうですね、そうですね、復興庁もよくわかっていますよというふうに言ってハードルを徐々に下げていって、自治体に応えるポーズをとる。もう既に自治体はそれに対して反対の声を上げられるような空気をつくれないまま、あるいは、もう反対できない、そういう空気を醸成しちゃって、だから、大臣が先ほど、ありがとうございますと言われましたと。

 そうですよ。初めのようなああいうようなことをどんと出されて、それでやられたら、それこそ皆さん、困りますとおっしゃったと思います。しかし、国の方針だから仕方がないですね、でも当初示されたものよりは幾分ましになって、これだったらば何とか歯を食いしばって頑張れます、ありがとうございましたとなったわけじゃないんですか。違いましょうか。

 復興特会で実施してきた事業のうち、地域振興策や将来の災害への備えといった全国共通の課題へ対応する事業は一般会計へ移行するという整理をされて、地域振興などを目的とする事業は地元自治体に最大で三・三%の負担を求めることとされたわけです。

 これを受けまして、宮城県は県内の各自治体で生じる負担額を調べております。もう御承知のことと思いますけれども、合わせて七十四億円程度に上りました。このうち県の負担額は五十億円、市町村は合わせて二十四億円。そして、市町村のうち最も負担額が大きかったのは、被害が一番大きかった石巻市であります、五億四千万円。次いで、仙台市が三億六千万円、気仙沼市が二億五千万円、登米市が一億六千万円、東松島市が一億二千万円などであります。

 これらを調べて宮城県は、ありがとうございますと言ったかもしれませんけれども、個別の事業について過度な負担がかからないように引き続き政府に求めたいというふうにしております。お聞きになる用意はございますね。大臣、お答えください。大臣です、大臣。

長島副大臣 最初に、宮城県のことですから私の方から少しお答えをさせていただいて、後で大臣がお答えをさせていただくことになろうかと思います。

 御指摘のとおり、宮城県にも、復興事業の一部に自治体負担を導入するに当たって、県はもちろん、市町村と私の方で、ずっと歩かせていただいて協議を続けてまいりましたので、いろいろな意味で、予算を削られたということではなくて、予算をきちんと、全体の復興をやり遂げる予算は我々復興庁としては確保したつもりです。ただし、一部自治体負担を導入するということについて、今回自治体の皆さんと随分深い議論をさせていただいてきたつもりでございます。

 今、例えば、効果促進事業一%、そのことが大分心配の自治体もあったので、とりあえず上限を少し撤廃した上で配分額を多くして、そして、二十七年度中にきちんと方向を出せるようなものについては、きちんと次年度以降もやれるように、ゼロ負担でやれるような形をとりあえずとっていくことも市町村と相談をさせていただきたい、いきましょうねということを申し上げた上で、それぞれの市町村からこの負担について……。

 それは、私もかつて村長をやっておりましたから、負担がいいですか悪いですかと言われたら、それは負担がない方がありがたいに決まっているけれども、でも、やはり我々の国民に対する感謝の気持ちとして、当時少し負担をお願いされたらですよ、私どもはこういうゼロ負担はありませんでしたけれども、そういった気持ちで、全体で財源を担ってくれる国民の皆さんにも、我々もここまで来れましたと、何とか一部の事業について少し負担ができるところまで来ましたということを、ぜひ発信を被災地からしていただいて、より元気になるように我々は総額予算をきちんと確保した上で、自治体の皆さんに寄り添っていきますよという説明をさせていただいてきたつもりでございます。

 ですから、そんな形で、この事業が心配だとかということについては丁寧にお応えをさせていただくつもりですし、いただいてきたつもりでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

竹下国務大臣 特に、市町村に負担をしていただきます効果促進事業については、一%というレベルにさせていただいたところでございます。

 それから、それだけではなくて、いまだに交付をしておりますけれども使われていない予算がありますので、それをぜひ使ってくださいと。使い道については、より柔軟になるように、復興庁の職員が、さまざまなアドバイスも含めまして相談をしてやらせていただきますと。

 さらには、負担の多くなる市町村については、さまざまな配慮をしたつもりでございます。例えば、一部の市町村が実施主体になっております防潮堤の事業でありますとか、そういうのを負担してもらうと、これはとても事業に支障が出るなという思いがありましたので、そういう負担を国が背負うという形にさせてもらったものもございます。

 これからも、各市町村としっかりと話し合ってまいります。このことを決めました後も、さまざまな市町村長とも話をさせていただきました。各知事とも、二回ぐらい話をさせていただいております。さまざま真剣に相談しながら、支障は出してはいけない、復興はしっかりやり抜くことを大原則にやろうと思っております。

郡委員 私ども党の復興推進本部で、宮城県の沿岸部にこの日曜、月曜と入ってまいりまして、最も被害の大きかった四つの市町の首長さんらと懇談をさせていただきました。地元負担が導入されることについて、先ほど申しましたように、首長さんたちは、国の方針だから仕方がない、しかし、早く終わったところはよくて、被害が大きかったところ、事業が追いついていなくて遅くなっているところに負担が強いられるのは、どうも、公平性の観点からいかがなものかという思いはすごく強く持っておられました。

 この公平性の問題、どういうふうにお考えですか。

竹下国務大臣 基幹的な事業、すなわち、今後のことについて言えば、六兆五千億の六兆四千七百八十億については不公平感はありません。これは全額国費ですから、ありません。ですから、九九・六、七%は、不公平感はない。わずかに残ることは残ります。

 ただし、特に、効果促進事業については、事業費の一%の負担にとどめておるところで、例えば十億の事業でしたら一千万ということになるわけでありまして、それほど大きな不公平感が起きるということ、今までは効果促進事業は三億が限度でありましたので、これは上限を撤廃します、それからさらに上積みをしてまいりますけれども、大きな不公平感が残っているというふうには承知しておりませんし、できる限りの対応はさせていただいたという思いでおります。

郡委員 個別のことで伺いたいと思います。

 沿岸部の避難道路もそうですけれども、例えば、JR常磐線の踏切の設置、取りつけ道路、それから、縦貫道よりも西の方に広がる、東西線として復興に大変重要な役割を担うとも私は思っていますけれども、岩沼蔵王線、これらは引き続き復興枠で、通常予算にせず、全額国費で行うべきじゃないでしょうか。

長島副大臣 いいですか、私で。個別案件ですので、私の方からお答えさせていただいてよろしゅうございますか、岩沼蔵王線等。(郡委員「どうぞ」と呼ぶ)

 今御指摘の案件につきましては、社総交の復興枠で取り組まさせていただいている事業でございますJR常磐線の踏切等についてでございますけれども、六月二十四日の復興推進会議において、自治体負担の考え方、対象事業、その水準等を決定していただきました。

 御指摘の社会資本整備交付金で実施する復興事業については、引き続き復興枠では実施をさせていただきます。ただし、地域振興や防災といった全国に共通する課題に対応するとの性格をあわせ持つ事業として、自治体負担の対象とさせていただいたところでございます。

 自治体負担の程度は、地方負担分の五%、事業費の一から三%程度と通常の復興事業に比べて大幅に軽減をし、財政負担に配慮しながら、事業の進捗には影響がないというふうに考えておりますし、御地元からも御負担に応じていただけるものと考えているところでございます。

郡委員 引き続き復興枠とするというふうなことではありますけれども、そもそもの今回の考え方が、先ほど来ずっと議論しておりますように、今回の東日本大震災の被害を受けた地域の、例えばそれこそ避難施設整備というのは、集落の再生の前提になる、安全を確保するものに不可欠なものでして、復興に欠かせないものであって、全国共通の課題だとかあるいはまた地域振興策、将来の災害への備えという全国一律のものとは違うというふうに私は認識をしております。ぜひ、大臣、副大臣も、その認識、被災地はやはり特別であるということをもう一度御確認いただきたいというふうに思います。

 それから、私は、大臣の御発言がこれにも大きな影響を及ぼすだろうと思って、すごく心配しているんです。それは何か。マンパワー不足に対するものです。

 被災地で、これは今もなお、長く継続してマンパワーが不足するだろうというふうに言われています。五年たちますと、ほかの自治体からの派遣はそろそろ切り上げが進むのではないかと地元は心配しているんです。既に、派遣から撤退するということを判断されるというところもあるようであります。国費で賄うことというふうには今回整理されたようですけれども、被災地の自立を促すのだから復興も進んできたんだろう、来年はもう出さなくてもいいんじゃないだろうか、そういうふうに判断する自治体は、先ほど来の大臣の発言をお聞きになれば、そう思ってしまうところもあるんじゃないかと心配しているんです。

 現在でも被災自治体は人材が足りないというふうに申し上げました。石巻市では、自治体派遣が二百六人おりますけれども、それでも不足人数は九十三人だというふうにおっしゃいました。東松島市でも、来年、五十人は不足するだろう、女川町でも、四十人は不足するだろう、こういうふうに言っております。

 来年度以降も長く続く支援だということ、そして、この人材を、国が率先して、被災地の自治体以外の自治体に呼びかけてもらわなくちゃ困るんです。それなのに大臣は、それこそ、ほかの自治体からのひがみが生じるんじゃないかとか。そんなことを言われたら、これは自治体からも人を出してもらえなくなるんじゃないですか。心配です。いかがですか。

竹下国務大臣 被災自治体のマンパワー不足というのは、私も心配しているんです。現実に、役所ベースもそうですし、地方自治体は、もうそろそろいいんじゃないかという声が出始めておることは事実なんです。ですから、それをどうやってとめるかというのを今一生懸命やっておるところでございます。

 現実に今派遣しておりますのは、全国の自治体からの職員の派遣は二千二百五十五人、被災自治体みずから公募で採用をした期限つき、任期つき職員が千二百三十一人、市町村に駐在をしております復興庁の職員は百六十三人等々となっております。さらに、民間からも派遣をいただいております。

 しかし、まだまだもっと欲しい、あるいは、復興の進展に伴いまして、例えば、土地の登記の書きかえをやっていかなきゃならない、司法書士が欲しいとか、あるいは建設、土木の関係の人がもっと欲しいとかということもございまして、先般、六月六日に、岩手県、宮城県、福島県三県が共同で、東京で募集事業を行いました。都庁の一部、都民ホールを借りまして行いまして、これによって、まだ明確にふえておるというわけではありませんが、かなりの、我々が想像していたよりも多くの人たちに応募していただいております。

 このマンパワー不足というのはしっかりと対応していかなければならない課題である、こう思っております。

郡委員 ですから、大臣、ほかの自治体からひがみが出ないかですとか、我々の地元では、大臣の御地元では県道一本つくるのにも爪に火をともしながらやっている、そういうところから非難が出てはいけない、こういう御発言は被災地の人材の派遣にも大きく影響がある、私はそう思うんです。全く、今紹介された動きにも水を差すような発言だ、そういうふうに思います。撤回なさってください。

竹下国務大臣 私はそうは思いません。事実を申し上げただけでありまして、そのことによって被災地のマンパワーの募集に影響が出るとは思っておりません。

郡委員 しっかりと人材の支援、国費でしっかり賄って数を確保する、約束していただきたいと思います。

 ちょっと質問を飛ばさせていただきます。マンパワーのことは午前中のいろいろやりとりの中にもありましたので、私の、心のケアについて、きょう資料を皆様にも回しておりますけれども、これについて伺わせていただきたいと思います。

 厚生労働省は、震災発災後、被災地の心のケア対策として、心のケアチームによる避難所、仮設住宅、自宅における巡回、訪問支援に取り組むとともに、被災三県各地域に心のケアセンターを設置して支援事業を展開いたしました。また、精神保健面での健康支援の充実強化が必要であるとして、全国から中長期的に支援できる専門職の人材を確保する対策にも取り組ませていただいたところでございました。

 こうした心のケアの支援体制を整備する一方で、阪神・淡路大震災のPTSD発生の実例を踏まえて、被災者の健康管理並びに今後の施策立案に活用するために、震災が被災者に与えた健康影響について、十年間、長期的に追跡調査を実施することと、私たちの政権のときですけれども、させていただいたわけです。

 この健康調査、二〇一一年六月から八月に石巻市の雄勝、牡鹿で実施されまして、結果が発表されました。一枚目の資料ですけれども、睡眠障害が疑われる人の割合は、一般の人の二八・五%に比べて四二・五%で異常に高いことが判明しました。不安や抑うつ症状も、一般の人八・四%に比べて一六・六%の割合に達しております。

 さらに、昨年、二〇一四年一月二十六日に公表された厚生労働省研究班の調査結果では、震災当時に保育園児、三歳から五歳児だった被災三県の子供の二五・九%が精神的問題に関する医療的なケアが必要な状況にあるということが明らかになったわけです。資料の二枚目、新聞記事でございます。被災していない三重県の子供を対象とした調査では、同様の状態の子供の割合は八・五%。ですから、三倍の割合になっているということです。その原因は、友達の死亡や、家の崩壊、部分崩壊、津波の目撃、そして親子分離などが挙げられているわけです。

 三枚目の資料は、河北新報社の資料でして、宮城県沿岸部の小中学校に対するアンケート調査の結果です。家計の困窮、児童生徒の精神面の不安定、学力、体力の低下など多岐にわたる問題を浮き彫りにしております。また、被災地全体の小中学生の現状に、八割以上の校長先生が、事態は深刻だと危機感を持っておられます。

 これらの問題について、宮城県子ども総合センター所長の本間医師は、これらは今後起きる問題の前ぶれにしかすぎないというふうに指摘をされているんです。これは重要だというふうに思っております。

 トラウマ、PTSDの特性、これは、改めて言うまでもないかもしれませんけれども、本人にも周囲にも認識されにくいんです。ゆえに、自分で病気だなというふうに認めて医師を訪れるという展開は極めて生じにくいんだというふうに思います。

 この問題を、国際基督教大学の名誉教授、震災復興心理・教育臨床センターの臨床オーガナイザーの小谷英文氏は、被災者にも、専門家も震災後のトラウマ反応、それがまた障害となったPTSD、これが無自覚に、自覚しないうちに、隠し隠されて、認めないままでその本質的な対応が置き去りにされる、この問題を第四の災害、不測の衝撃というふうに名づけられました。第四の災害とはすごい命名だなというふうに私自身思ったんです。

 現在、子供たちに出ている原因不明の体の病気、不登校、発達障害を疑わせる行動の乱れ、今後、将来的にも予測される問題に対しては、発達臨床的指導が、家族、保育士、そしてまた教師に対しても必要じゃないだろうか、医療モデルから心理療法モデル、教育モデルへの転換というのも考えていくべきではないか、そんなふうに思っているわけです。

 大災害に伴って必要とされる心のケア対策、とりわけPTSDへの備えが不十分だと私は認識をしておりまして、心理療法の人材育成を含め、今もって対策の効果に関する行政の総括と見直しが不十分だというふうに感じているわけですけれども、いかがでしょうか。厚生労働省においでいただいています。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点、厚生労働省も深刻に考えてございまして、平成二十三年度から被災者の心のケア支援事業を実施しております。

 具体的には、岩手県、宮城県、福島県の各県に活動拠点となる心のケアセンターを設置いたしまして、PTSD、うつ病等精神疾患にかかわる心のケアセンターの専門職による相談支援を行い、自治体、医療関係者等支援者に対する研修を行う。また、必要に応じた専門的医療との連絡調整の実施等の対策を行ってきたところでございます。

 避難生活の長期化や震災によるPTSDの方の回復支援には一定の時間を要することを踏まえますと、うつ病や不安障害の方に対する心のケアを継続して行っていくことは重要であると認識しておりまして、引き続き、被災三県と対話をしながら、現地のニーズを把握しつつ、必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

郡委員 大震災の発災から四年が経過した宮城県では、子供支援相談機関、心のケアセンターから、PTSD専門の心理療法家らが設立した民間の施設なんですけれども、震災復興心理・教育センターへ支援が要請されている。そして、これで子供支援のシステムが構築をされているんです。この仙台での心のケアセンター、東日本大震災のみやぎ子ども支援センターをサポートしているわけですけれども、心理士のあるいは保育士のスーパーバイズなどもやっていて、大変いい結果を導き出しているんですね。

 きょうは詳しく述べる時間はありませんけれども、全国各地域で大規模震災などの大災害が予測されている我が国において、今こそレジリエンス、心理的な面でのレジリエンスも大変重要じゃないか。ストレス障害の予防、PTSD予防、治療のための質的、量的な人材育成を含む総合的対策とシステムの構築を図っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、大震災などの災害におきましては、大切な人や日常の生活を失うことにより、意欲の低下や不眠などのさまざまな症状が生じたり、PTSDを発症する場合もあることから、さまざまな専門職による心のケアが必要だと考えてございます。

 また、PTSDを初め心のケアにつきましては、長期的な対応を視野に入れて支援の体制を確保することが重要でありまして、各地域の保健所や精神保健福祉センター、医療機関等における支援力の向上も重要であると考えてございます。

 このため、これらの機関においてもこのような心のケアを実践することのできる人材を育成するために、精神科医、看護師、保健師等を対象といたしましたPTSD対策専門研修、これを実施しているところでございます。

 また、東日本大震災の経験を踏まえまして、災害発生に備え、被災者に対する専門性の高い精神科医療を提供することのできる災害派遣精神医療チームの整備を推進しているところでございます。

 引き続き、このような専門的な心のケアを実践できる人材育成や、災害発生等の対応力の強化等を通じまして、PTSDを初めとした心のケアの対策に総合的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

郡委員 医療モデルではなくて、心理療法等を含めてやってほしいということを申し上げたわけです。

 被災三県の子どもの二八%が深刻な不安や抑うつ、引きこもりなど内面的な問題を抱えていると判定されているんですね。多くは表面的にはわかりにくいんです、先ほど申しましたように。問題行動、攻撃的な行動など外向的な問題というのが、その背後に心理的な要因が潜んでいるということを重く受けとめなくちゃいけないんだというふうに思っております。

 戦後七十年を超えて、沖縄戦の体験者が実際に、もう既に年齢八十歳を超えてもなおPTSDを発症している、そういうふうな結果もあるわけでして、大変重要な問題だというふうに認識をしております。

 また、被災した自治体の職員もまさに同じ思いなんです。大臣、そのリスクは各自治体の職員も大臣がお考え以上に受けているということを最後に申し上げて、質問を終わります。

伊藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 私も、この復興に関して平成二十八年度以降のあり方というものが決定する前に、この復興特別委員会の場で、被災地の皆様、我々の声をしっかりと届けるということをしていきたかった、極めて残念でならないというふうに思っておりますので、今後、頻繁にこの復興特別委員会が開催されるように、私も理事の一人でありまして、これまでも求めてまいりましたけれども、ぜひそのような形でさらに求めていきたいと思いますので、大臣もぜひ御理解をいただき、そしてまた、委員長にもお取り計らいをいただきたいというふうに思っているわけでございます。よろしくお願いいたします。

 先ほど来、先輩議員の質問の中でも、大臣の発言についていろいろなやりとりがありました。

 実際に、私は、極めて残念でならないというふうに思っています。ひがみが発生するから、今回、自治体の一部負担を導入するということであるとか、あるいは、リスクがなければ本気にならないのではないかという発言についても、これは残念ですし、そしてまたさらに、被災地に対して大臣は、必死のギアをもう一段上げてほしいという発言も以前されました。そして、もっと必死になってほしいと。必死に頑張っている人たちに対して、もっと必死になってほしいと大臣はおっしゃいました。

 必死ですよ、我々は。だからこそ、先ほど来お話がありますように、心のケアが必要な方たちへの対応をお願いして、さらには、自治体職員も大変疲弊している、そういう中で派遣の方もお願いしたいし、さらなる仕組みというものも拡充していただきたいと思っている。にもかかわらず、このような発言をなさってこられた。

 私は、実は、一番最初の質問には、集中復興期間後の復興のあり方についてのお考えを聞きたいということは通告させていただきましたが、今のような発言が大臣の考え方であるのであれば、私は、大臣はやはり被災地を見ていない、被災地から大変遠くにいらっしゃって今仕事をしていらっしゃるのではないかと感じるんですが、いかがですか。

竹下国務大臣 どう言えばいいんですかね。被災市町村の、特に福島なら福島の市町村の市町村長あるいは議会の皆さん方、私は全ての被災の皆さん方と接触しているわけじゃありません、ぜひ話を聞いてみてください。私は決して見放しておりません。私は寄り添いながら仕事をしております。

金子(恵)委員 大臣、三十数回被災地に足を運ばれているんですね、就任以来。ですので、私たちも期待をしていたんです。きっと、被災地の出身の大臣でないにしても、理解をしようと努力をしてくださると。

 見捨ててはいない、そうおっしゃったけれども、でも、先ほど内閣改造に触れられて、自分がそのとき大臣になるかどうかわからないからという発言もなさいました。確かにそうかもしれませんが、しかし、そういうような発言をこの場でされると、ああ、もうやめるかもしれないんだからこの辺でいいのか、そういうお考えを持っていらっしゃるのではないかと感じるんですが、いかがですか。

竹下国務大臣 私は人事権者じゃないものですから、どうなるかはわかりません。ただ、一般的な状況として、九月の国会が終わる前後ぐらいに内閣改造はあるんじゃないかなということを申し上げたつもりでございます。

金子(恵)委員 一度大臣をされたお立場として、今後どうなるかわかりませんけれども、西日本の出身の国会議員であろうと、やはり、ひがむことなく被災地をしっかりと支援するんだということを多くの方々に御説明いただけるということでよろしいんですよね。

竹下国務大臣 そのとおりやってきているつもりでございますが、まだ努力が足りぬのかなと思います。

金子(恵)委員 ぜひよろしくお願いいたします。そのつもりであれば、これからもぜひ私たちの言葉、私の被災地の代弁者としての言葉を真摯に受けとめていただきながら御対応いただきたいというふうに思います。大臣に期待するからこその言葉ですから、お願いいたします。

 先ほどもお話がありましたように、自治体職員が大変疲弊している状況にあるということでありますけれども、大臣も心配していらっしゃる。これから被災地にしっかりと派遣を、必要な人員を確保しながらできるのだろうかと、その部分については心配もあるということでございました。

 なぜそうなのか。大臣の発言ということだけではなくて、やはり、実は派遣されている職員の方々もメンタルヘルスケアが必要になってくる、そういう状況もある。あるいは、任期つき職員の方々ももちろん、仕事を進める中で、ある意味心のケアが必要になってくることもあるということです。

 ですので、今回お決めになったのは、もちろん、この任期つき職員と応援職員への支援については全額国費でということでございますから、これは当然のことだというふうには思っております。一方で、それとともに、やはりこうやって被災地のために必死で頑張ってくださる方々を被災地に送ってくださる仕組みでありますので、その方々のしっかりとしたサポートというのも必要になってきます。これが、心のケアのサポートの支援をもっと拡充すべきだということだというふうに思っております。

 前回私も、予算委員会だったと思うんですが、メンタルヘルスケア、このことについて質問させていただいたことがあったんですが、地方公務員災害補償基金とともに行われていますメンタルヘルス総合対策事業、これを継続して、さらに充実させることが必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。

竹下国務大臣 被災自治体におきます派遣職員のメンタルヘルスの対応としては、総務省におきましても、地方公務員災害補償基金とともに、派遣職員も含めた被災自治体の地方公務員に対しまして、メンタルヘルス対策として考え得る施策を網羅したメンタルヘルス対策事業を実施いたしておるところでございます。

 しかし、やはり避難の長期化あるいは災害復旧に時間がかかるということがございまして、各地から派遣を受けている諸君も厳しい状況に置かれているということは認識をいたしております。

金子(恵)委員 済みません。質問は、今おっしゃっていただきました、私からも質問させていただいたんですが、そのメンタルヘルス総合対策事業を継続すべきだというふうに思います、そしてまた拡充すべきだというふうに思います、充実させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

竹下国務大臣 失礼いたしました。

 公式な答弁ですと、総務省において今検討しているということでございますが、我々はこれは必要な事業だと思っていますので、総務省にも今そのような方向で働きかけておりますし、総務省も必ず応えてくれると私は思っております。

金子(恵)委員 期待します。必ず応えてくれると思うという大臣の答弁がありましたので、ぜひさらなる働きかけをしていただきまして、引き続きこういう心のケアはしっかりできるように。それがなければ、やはり、自治体職員の方々が今までも必死にやってきている、それで、ギアを上げろ、あるいはもっと必死になれと大臣がおっしゃったとしても、仕事ができません。だからこそ、そのサポートをしっかりとやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さらに、六月の二十日、竹下大臣は、福島県を訪問された際に、今度は、医療、福祉の人材の確保についても大変厳しい状況にある、それを御認識されまして、こういうふうにおっしゃっていただきました。医療、福祉の人材が不足している、どんなお手伝いができるか検討しなくてはならないとおっしゃっているんです。その後、きょうに至るまで検討はなされたのでしょうか。

竹下国務大臣 訪問をする以前から行われておるさまざまな支援事業、あるいは医者を確保するため、看護師を確保するための事業にあわせまして、復興庁としましても、今以上に職員を現地に派遣してもっともっと実態、こうすればすぐ一気に解決するという手があるなら我々もやっていますけれども、なかなか効果的な手がないんですよ。ですから、市町村との協議に、また叱られるかもしれない、もう一段ギアを上げて参加することによって、厚労省、福島県ともしっかりと相談した上でやっていきたい。

 これは本当にいい手がないんですよ。あったら本当に教えていただきたいぐらいなつもりでございます。

金子(恵)委員 いい手があったら教えていただきたいという言葉があったんですが、一方で、全国的に、もちろん医療、福祉、介護に携わる人材というのはこれからもどんどん育てていかなくてはいけない状況にある、人手不足である、そういう状況にあるわけなんです。

 ただ、今回、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針にも明記されたというふうに伺っておりますけれども、高齢者の移住促進というものを地方にというようなことを今回の地方創生の目玉策として打ち出したということで、それが政府の一つの考え方だというふうに伺っております。

 これについて、多くの知事が、医療、介護の施設や人材の不足が深刻になっていると主張しているんですね。福島県では、原発事故で医療、介護の人材不足が深刻なことを理由に挙げて、二〇二五年ごろに東京圏の高齢者を受け入れて必要な医療、介護を提供する余力はないと思うと回答しています。

 今から十年後の話だとしても、今復興で必死にならなくてはいけないこの時期に、医療、介護の人材不足が地方で深刻になっているその状況があるんです、それをまた助長するようなこういう施策を言っている政府が存在しているならば、もう本当に被災地の復興というのは進まないんじゃないかなと私は感じているんです。

 今の政権の中では、もう東日本大震災というのは終わってしまっていることなんでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

竹下国務大臣 我々の努力が不足しているかもしれませんが、それは全く違います。引き続き、安倍内閣にとりまして一丁目一番地の仕事である。

 総理は、先般の復興推進会議の席でも、全員が復興大臣のつもりでやり続けてくれということを重ねて強調されております。我々は、それを真正面から受けとめて、やり抜いていこうと思っています。

金子(恵)委員 であれば、本当に被災地への対応がまず最優先順位になくてはいけないということですよね。

 福島の復興なくして日本の復興はないんだ、先ほども大臣はそうおっしゃられました。であれば、医療、福祉、介護のサービスの充実をしなければ、本当に被災地、あるいは旧警戒区域が解除されたとしても、ここに帰還する方々が決断ができないという状況もありますし、帰還支援というふうにはならないということです。そこに集中していく、しっかりと集中した形で政府は動いているんだということでよろしいんですか。

竹下国務大臣 我々としては、まさにその方向で動いているというふうに確信をしながら、仕事をさせていただいております。

 例えば、医者不足、看護師不足につきまして、時間はかかりますが、地元の医師、看護師の方がふえるような対策もとっていかなければなりません。それから、特に看護師さん、介護士さんの場合は、資格を持ちながら今はその仕事についていらっしゃらない方もいる。そういう方々をどう掘り起こしていって、もう一回その仕事についてもらうかといったようなことも含めて、医療、あるいは看護、福祉、介護の体制というのはしっかりとやっていかなければならない。そのことを本当に真剣に考えて、やり続けております。

金子(恵)委員 時間が来ましたので終了したいというふうに思いますが、それ以外にも、先ほどもお話がありました緊急雇用の問題、これも、原発由来で、さまざまな多岐にわたる課題を解決するために、緊急雇用の事業を通して多くの人材が確保され、そして配置されていたという状況もあります。ですので、これが終了されるということによって、ほかに負担があるような状況をつくり上げるのは間違っているというふうに思いますので、これについてもしっかりと精査をしていただいて、必要なものは必要なんだということで、それに対して対応できる仕組みというのをぜひつくっていただきたいということをお願い申し上げまして、そしてもう一つ、ぜひ被災地に寄り添っていただきたいということを強くお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十二分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 午前中は、民主党の方から大臣宛てに要望書のような形で出されたというふうにお聞きしましたが、我が党も、維新の党でも、今それぞれの被災地の各県の総支部の方から意見をもらっておりまして、それを近々政府に対して御要望申し上げたいと思いますが、少し準備がまだなものですから、きょう、その中身を一部御紹介したいと思います。

 ちょっと読み上げます。

 多くの皆様に御支援と御協力をいただきながら被災地一丸となって復興事業に取り組んでまいりましたが、四年を経た今もなお、被災地においては課題が山積いたしております。

 全国自治体等からの応援として派遣される職員数は頭打ちとなるなどマンパワー不足は深刻であり、また、公共事業については、入札不調や作業員確保、資材調達の難航が影響し、集団移転促進事業、復興住宅、災害公営住宅等の整備にも大幅なおくれが生じていることは既に御案内のとおりです。これらに伴い、プレハブ及びみなし仮設住宅において長期間にわたり不便な生活を余儀なくされている被災者の皆様への心のケア、単身高齢者の孤立や孤独死に対する防止策の強化も極めて急を要する状況にあります。さらに、仮設商店店舗を通常の営業へと導く出口戦略はいまだ不透明であり、解決に向けては、商店街再生整備に係る復興支援事業についてより弾力的な運用または見直しを要します。

 上記は、いまだ山積する課題のうちのわずか一例にすぎません。被災地における復興事業の進捗を加速し、可能な限り早期の復興をなすためには、国の集中復興期間が終了する平成二十八年度以降も国による特例的な財政支援が必須です。

 その他続くんですけれども、ちょっと特に重要だと思う点を読み上げさせていただきました。

 この話を復興庁を初め各省の現場の方とすると、いや、もう十分対応してきていますよ、入札不調ということももう起こっていませんよというような御指摘もいただくんですが、しかし、現地の、これは宮城県の総支部から送られてきたものでありまして、やはり現地の見方というのはまだこういう厳しい見方なんだろうなというふうに思っております。

 最初に大臣、ちょっと、通告はしていませんけれども、今のこの被災地からの、我が党、維新の党の総支部から上がってきているこうした要請に対してどのようにお感じになるか、お答えください。

竹下国務大臣 まだまだやらなければならないことは非常にたくさんある、こう思っております。

 今、復興庁に対しても私どもが言っておりますことは、住宅が建つのがおくれたじゃないか、学校、校舎、仮設住宅をどけるのもおくれているじゃないかという指摘をしますと、いやいや、それにはこうこうこういう理由がありまして、こうこうこういう資材がどうのこうのとか人手がどうのこうのとか、いろいろ理由は言います。そうじゃなくて、被災地の皆さん方から、四年数カ月もたって、仮設住宅を回っておりますと、理由は何であれ遅いと。この言葉を真っ正面から受けとめる、そこから我々の復興に対する取り組みはスタートしているんだということを言いながら、今やっておるところでございます。

 まだまだ努力が足りない、こう思っております。

高井委員 私も、昨年でありますけれども、石巻の仮設住宅を訪問させていただいて、現地の方の声も聞いてまいりましたけれども、やはり、当初二年の約束で入ったのがいまだに出られない、もう仮設住宅も老朽化していますから、すき間風が吹いて大変だ、一体いつになったら住宅ができるのかと。石巻は特にいろいろな事情でおくれているともう事務方からも説明を聞きましたし、去年からまた、あれから日がたっていますから改善はされているのかもしれませんが、ぜひここは改めてしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それで、もう一つ、これは外部の方からちょっといろいろ情報提供をいただいた件がございまして、今、震災復興が、基本的には原状を回復するというのが、いろいろな交付金なり補助金なり国のお金を出すに当たっては原状回復が原則なんだ、そのことがかなり硬直化してしまっている余りに起こっている事象じゃないかなという二つのケースがあるので、ちょっと御紹介します。

 一つは、気仙沼向洋高校という、もともと男子校だったそうなんですが、この高校が共学になったので、後づけで家庭科教室が別棟に設置されていたそうなんです。ところが、津波、被災して、建て直すときに、原状回復、今は男女共学なんだから家庭科室を別棟にする必要はないんだけれども、別棟に建てなきゃいけないというようなこと。あるいは、宿直室がもともとあったんですけれども、宿直室なんか要らない、そんな宿直室をつくるぐらいだったらカウンセラールームをつくりたいとか、そういう要請があったと。それが、ちょっと事務方に聞いたら、そういう話は実は聞いていなかったのでということだったんですが、現実には、経済同友会にこの学校の校長先生が相談をして、経済同友会の方が文科省とか復興庁に、もっと柔軟に対応してあげてくださいよと言ったら、そういうふうになったと。

 ちょっといろいろ行き違いなんかもあって、このとおりじゃないのかもしれないんですが、いずれにしても、経済同友会が動いて、そういった事例があったというのが一つです。

 それと、もう一つは、岩手県の野田村保育所というところが被災をされた。保育所ですからいち早く建設しなければならないんですが、しかし、同じ場所に建設してまた津波に遭ってもいけないということで、高台に建設しようとしたんだけれども、それは市町村が高台移転という方針を決めていない、計画が未策定のうちはそれはだめですよというような話があって、この野田村は、結局、国の予算ではなくて、クロネコヤマト財団の復旧費というのを活用してつくった。これはクロネコヤマト財団のプレスリリースにもなっていて、原状回復を求めている国の制度はおかしいんじゃないかという非難があると。これも事務方によると、実は厚労省とか復興庁ではそういう話は聞いていなかったんだと。

 ですから、少し先走って、国はそういう方針なんだと思い込んで、勝手に経済同友会に頼んだりクロネコヤマトに頼んでいるのかもしれないんですが、しかし、被災地でそういうふうに思い込ませてしまっている部分というのは少なからずあるのではないかというふうに思っています。

 私は、この原状回復というのが、税金を使う以上、国の予算を使う以上、それが原則だという趣旨は理解はしますけれども、しかし、このまさに未曽有の災害にあって、やはりそこを硬直化してしまうといろいろな不都合がある、せっかく使った予算が無駄に使われかねないということもあるので、これはぜひ、原状回復にこだわり過ぎないということが非常に大事だと思うんですが、大臣、この点、いかがでしょうか。

竹下国務大臣 おっしゃるように、災害復旧の原則は原状回復であります。だけれども、東日本大震災の被災地をごらんになった方は一目瞭然ですが、原状なんかじゃありません、全く新しいまちづくり、復興を今やりつつあるところでありまして、そういう中で、そうした一部硬直的な対応があったのではないかという疑いを持たれることは我々にとっては非常に悔しいし、残念だと思います。そういうことを起こさないように、これからも注意してやっていこうと思っています。

高井委員 実は私も総務省の出身で、役所で勤めたことがあるものですから、やはり一役所の役人というのはなかなか、原理原則を守る、法律を守って仕事をするものですから。しかし、大臣なり上司からそういうちゃんと指示が明確に出れば柔軟な対応というのもできるわけですので、国会で今答弁していただきましたし、しかし、現場の職員は国会審議なんか見ていませんから、ぜひ大臣の方から。あと、これは、文部科学省であったり、このケースは厚生労働省なんですけれども、各省庁が現場では対応しているケースもございます。しかし、復興庁というのはそれを全体を取りまとめていく役割だと思いますので、ぜひ大臣の方から、その点はきちんと現場の職員に周知をしていただきたいと思います。

 それでは、次の質問ですが、今回の六月の決定で平成二十七年度で終了する事業というのが決められて、その取り扱いについても対応方針というのが幾つか決まっていますが、この事業の中で非常に重要な事業、まあ、全部重要じゃないかと思うんですけれども、例えば福島再生可能エネルギーの次世代技術研究開発事業なんて、これは本当にやっていかなきゃいけないし、もちろん震災対応雇用支援事業もそうですし、あと、きょうこの後取り上げさせていただく県外自主避難者等への情報支援事業なども非常に大事だと思うんですが、これを二十七年度で終了すると決めた基準というか、メルクマールはどういったものなんでしょうか。

竹下国務大臣 今お話しになった中でも、二十七年度でやめるものと、形を変えて継続するものと、引き続きこれまでと同じようにやらせていただくものが混在をいたしておりましたので、その辺は後で仕分けをさせていただくようになると思いますが、二十七年度限りで終了する事業としましては、事業目的、目標を達成した事業、緊急性、必要性がなくなった事業等が考えられたというか、ノミネートされてきたということではございますが、個別の事業の取り扱いについては、原則はこの原則ではありますけれども、被災地の状況を見、あるいはさまざまなことを勘案いたしまして、二十八年度概算要求に向けて、前向きに検討するもの、あるいは現状維持でやるもの、あるいは方針どおり打ち切るものという仕分けをさせていただこうと思っております。

高井委員 わかりました。

 できるだけ前向きにというか、継続するのであれば、わざわざ終了を一旦するのはなぜかなとも思わないではないんですが。

 全て取り上げる時間はありませんので、私はきょうは、県外自主避難者への情報支援事業、これに限らず、県外自主避難者の皆さん、なかなかこの復興特別委員会で今まで取り上げられた例は少なかったかもしれないんですが、きょう午前中からずっとほかの委員が議論されているのとちょっと私は違う視点からお聞きしたいと思います。

 といっても、県外自主避難者というのは物すごい数がいるわけでございまして、ちょっと正確な発表数字を調べられなかったんですけれども、福島県から県外に避難されている方だけでも四万五千人以上の方がいらっしゃるわけで、ほかの三県を合わせればもっとふえますし、あと、原発由来で、福島以外の近隣県あるいは東京から自主避難をしているという方も、実は、私の地元岡山にはたくさんいます。

 私どもの地元岡山、実は、避難している自主避難者の数というのは、復興庁のデータでは西日本で一番多い。人口の多い大阪とかあるいは愛知よりも岡山が一番多くて、千人を超える規模で避難をされているということで、私の地元の周りにもそういった方がたくさんいらっしゃるし、また、その方々を支援されているボランティア、NPO団体というのがたくさんございます。

 先日、実はちょうどタイミングよく、先週の日曜日なんですけれども、この県外自主避難者等情報支援事業の一環で、今、全国八カ所でそういう避難されている方の交流会というのをやっていて、復興庁なり、福島県なり、あるいは地元の自治体がいろいろ情報提供をする、そしてまた避難者同士が交流の場を持っていろいろ情報交換をするというような会に私も参加してまいりました。なかなか大変有意義な会であり、また私も大変勉強になったわけでありますけれども、この事業が今回、平成二十七年度で終了の対象になっているんです。

 これは、県外自主避難の方というのは、残念ながら、私も参加者の方ほとんどとお話ししましたけれども、やはり、すぐ、ことしじゅうにとか、来年に福島に帰るよ、被災地へ帰るよという方はほとんどいらっしゃらなくて、引き続きこの岡山で生活していこうという方が多かったわけです。

 そういったことも考えると、これは廃止、終了ではなくて、むしろ私は、全国八カ所というのは少ない。岡山でやっているんですけれども、中国ブロックで岡山一つなんですね。広島とか山口とか中国五県から岡山までわざわざこの交流会に来るとはおよそ思えないので、実際、参加者も岡山の方だけでしたけれども、やはりこの数もふやすべきだし、もっともっとここは拡充すべき点なんじゃないかと思いますが、なぜこれを終了するんでしょうか。

浜田副大臣 この県外自主避難者への情報支援事業でございますが、まず、高井委員におかれましては、七月五日に開かれましたこの復興庁の事業に御自身が御参加いただきまして自主避難者の声に耳を傾けていただいたことに、改めて御礼申し上げたいと思います。

 本事業につきましては、もともと三年間、二十五年から二十七年の三年間の事業としてスタートしたという、一応区切りだったということでございまして、逆に、今までのこの三年間でいろいろなノウハウも蓄積されてきているところでございます。それで、その成果をまとめまして、今年度末には、委員御指摘のように、八県だけじゃなくて、ほかの都道府県の方のNPOも集まっていただいて、成果の報告会もさせていただこうと思っております。

 一方、まだ自主避難者の方々については、情報を提供していただきたいというニーズがあるというのは我々も認識しておりまして、今後さらにこれをどう拡充していくか。御指摘いただいたような、地域的な広がりであるとか、また、特に求められているのは、戻られるとか定住するというのはやはり御自身が御判断されるんですけれども、いわゆるママ友さんがどういう判断をされたのかという、ピアレビューといいますか、ピアサポートといいますか、そういうものが一番効果があるという話も聞いておりますので、そういうことも加味しながら、むしろ二十八年度以降発展させていきたい、このように考えております。

高井委員 ありがとうございます。

 これはもう本当にぜひ発展をさせていただきたい。また、情報提供の部分よりも、やはり避難されている方のいろいろな困っていることに耳を傾けていただく。実はこの日も福島の復興局長が来られていて、その点は大変評価いたしますけれども、もっともっと数を開いてそういった声を聞いていく。あと、避難者の方だけを集めていたんですけれども、私は、そこを支援している方とか、今、ママ友とおっしゃいましたけれども、そういう方も入れてやったらよりいいものになるんじゃないかなと思いますので、ぜひ、実際にやられた方々の経験をもとに発展させて、来年度以降も続けていただきたいと思います。

 それと関連するんですけれども、今回、県外自主避難者に対する応急仮設住宅支援、みなし仮設なんという言い方で通常呼ばれておりますけれども、これが平成二十九年の三月で打ち切りとなると新聞報道にも出て、非常に県外避難者の方から不評を買っており、岡山県でも大変その不満の声は大きかったんです。これなどは今後も続けるべきだと思いますけれども、いかがですか。

赤澤副大臣 福島県における応急仮設住宅については、五年目の延長期限である平成二十八年三月末時点で、三つの項目、避難指示解除の見通しや、あるいは災害公営住宅、防集、防災集団移転のための面整備事業の整備状況、それから三番目に除染の実施状況などを勘案して、現在、応急仮設住宅の提供を行っている県内市町村、五十四市町村について一律に二十九年三月末まで一年間延長することについて、福島県が六月十五日に公表しました。これは委員御案内のことだと思います。

 六年目の一律延長とあわせて、七年目以降の対応に係る検討の方向性も指示しております。ただ、六年目の一律延長の後のことは何も言っていないわけではなくて、延長期限である二十九年の三月末時点で、災害公営住宅の整備などがおおむね完了し、各市町村の復興復旧状況に応じた対応が可能となる見込みということを持っておりますので、一律に延長するのではなく、個々の市町村の状況に応じた、きめ細かな対応を検討することとしております。

 委員御指摘の二十九年四月以降でありますけれども、福島県において、避難指示区域以外の地域については、災害公営住宅が十分に整備などされていない市町村を除いて、基本的には、災害救助法に基づく応急救助としての応急仮設住宅の提供から新たな支援策に移行する方針ということで、これからは新たな支援策に委ねられるという方向であるというふうに伺っております。

高井委員 新たな支援策は、ぜひ、こういった避難者の方に寄り添った、本当に、県外への自主避難者の方も、もともと福島に住みたかったんだけれども住めなくて避難しているという方でありますから、まさに被災者でございますので、被災者に寄り添うというその立場で検討いただきたいですし、今、福島県から聞いていますという御発言だったんですが、この交流会に行っても思いましたけれども、結局、確かに福島県がやっている制度なんですが、これはお金を出しているのは国と県が二分の一ですけれども、県の二分の一も交付金ですから、やはり国の大きな方針の中で決まっていっている。福島県の担当者の方は、ちょっと困っていたという印象を受けました。本当は県としては出したいけれどもなかなか難しいというような感じもありましたので、ここはぜひ国としてしっかりと方針を打ち出すようにしていただきたいと思います。

 それともう一つ、現場から出た声なんですが、応急仮設住宅に入居して大体四年がたっている方が多いわけですが、実は、四年前と今は状況が全然違うと。

 それは、お子さんが大きくなるんですね。ある方は、四年前に入ったときは小一と小四の子供さんだけだったからワンルーム、一Kの部屋を借りたけれども、布団二枚半しか敷けない。ところが、今は、小一と小四は小五と中二になっているわけですよ。

 これは、最長七年まで延長するということは七年間ずっとあるわけですけれども、実はこの家を引っ越すことができないんですね。一度一Kに入ったら、次の、もうちょっと広い二Kとか入るともうそこで支援が打ち切り、災害救助法だからそうなんだという事務方の説明なんですけれども、これはちょっと、さっき言った、しゃくし定規というか、現場の、岡山でのお母さんたちは本当にこの声が一番多いというぐらい大きくて、これは何とか検討いただけないでしょうか。

赤澤副大臣 委員の問題意識は理解をいたしますし、御案内の上で御質問になっていると思いますが、現行制度の考え方を御説明させていただきます。

 災害救助法に基づく応急仮設住宅は、被災者への応急的、一時的な救助として、行政が仮住まいを現物で提供するものであるということで、応急仮設住宅からの転居先は、一言で言えば恒久的な住宅を想定している。具体的には、災害公営住宅への入居とか自宅の再建などを想定しているということになります。

 この基本的な考え方に基づいて制度をつくっているために、住みかえを認めることは難しいということでございますが、東日本大震災については、他県など遠方に避難された被災世帯が県内に帰還する場合に、帰還促進の観点から、特例的に住みかえを可能とするなど、これまでも、できる限りの対応、配慮を行ってきたところでございます。

高井委員 それは、住みかえはできるんですか、今の制度でも。岡山の方々はそれができないといって、みんな困っていたんですけれども。

赤澤副大臣 同じ説明のちょっと繰り返しになりますが、恒久的な住宅への転居を想定しているということなので、同じ県内であるとやはり難しいというのが現状だと思います。

 後半で御説明をしたのは、できる限りの対応、配慮ということで、他県など遠方に避難された被災世帯が県内に帰還する場合には、帰還促進の観点から特例的に住みかえを可能とするなど範囲を拡大してきており、それが現実的なできる限りの対応、配慮だという御説明をさせていただきました。

高井委員 そこは確かに、この福島の方も、後でちょっと御紹介するんですけれども、福島に戻りたいんですが、しかしまだそれができないという方が、しかも、災害救助法というのはまさに短期間の入居を想定しているからそういうことだと思うんですけれども、まさに未曽有の大災害、東日本大震災で、七年間という時間が想定される中で、災害救助法を無理くり適用するというのは、私はいかがかなと。何なら新しい法律をつくってもいいし、あと、子ども・被災者支援法という法律もあるわけですから、そういった範囲の中でやはりそこは対応していただくべきだと思います。

 実は、この出席者の方、岡山県で出席した方から手紙をいただいていますので、ちょっと御紹介したいと思います。ちょっと大臣にこれは御感想というか、お聞きしたいので、よく聞いてください。

  県外自主避難者の住宅支援が平成二十九年三月で打ち切られることが先月、決議されてしまいましたが、その中で、もとより災害救助法を適用していない岡山県では、四年経った今、県営・市営住宅に避難した為に早くも支援を打ち切られているという事例が起きています。今まで支援していただいた感謝からその不公平さを声に出せない避難者。県からは「公平さを考慮して」とのご返答ですが、四年前の時点で県営と雇用促進住宅と支援の差があることが提示されたわけでもなく、まさにクジ運に泣けということなのでしょうか?今後のご温情に期待したいです。

  もう一点は、「子ども被災者支援法はどこに行ったのですか?」ということ。福島県から提示される新規施策は災害救助法に基づいた「福島県へ戻る方への支援」。一方、県外避難者への支援はどんどん打ち切られています。子ども被災者支援法では、福島に残るも避難するも、それを尊重してくださるのでしたよね。

  それでも、おかしいことはおかしい、って言いたい。自分が話すより、人の話を聞いている方が好き。そんな私だけど、声をあげなかったら、何もなかったことにされてしまう。みんな元気で暮らしています、って。勝手に想像して終わりにされてしまう。原発災害がもたらした悲しみや痛みが、なかったことにされて当たり前のように再稼働が促進される日本はおかしい。

  私もそうですが、福島から県外に出た方のほとんどが福島が好きです。ふるさとは福島です。帰れるものなら帰りたいのです。経済圧迫を与えるような暴力的な方法で帰そうとするのでなく、福島を出た私たちが経済的に自立し、福島にふるさと納税で感謝をお返しできるような支援を、行政に期待します。

ちょっと長くなりましたけれども、こういうお手紙もいただきました。

 今、県営、市営住宅に入っている方と雇用促進住宅、雇用促進住宅は国の施策ですけれども、県営、市営というのは、それぞれの県が独自に善意でやっていただいている。しかし、残念ながら岡山県の場合、もう既にこの支援が今年度打ち切られたということで、こういったお手紙になっていて、また、我が岡山の交流会でもその意見がすごく多かったんです。

 それは県や市が決めることだというふうにおっしゃってしまえばもうそれまでなんですが、先ほどの災害救助法での対応だからということも含めて、内閣府であったりあるいは県と市というのはそういうお立場なのかもしれませんけれども、ぜひここは復興大臣として、復興庁として、そういったほかの省庁や県や市町村にも要請をする、もうちょっと何とか面倒を見てもらえぬだろうかというようなことをぜひ言ってほしいと私は思うんですけれども、今の手紙を聞いて、復興大臣、いかがですか。

竹下国務大臣 本当の実情といいますか、県営住宅から退去を求められるということがどういうことなのか。我々がしておりますことは、みなし仮設の家賃は、被災者の皆さん方は、自主避難も含めていただかないということで対応しております。ちょっと、県営住宅から追い出されたということがどういう状況なのかというのは、事情がわかりませんので、コメントのしようのない部分はありますが、確かに、災害救助法というのは原発というものをある意味想定していないことの中でつくられた法律でありますので、その辺、それが十分であるかどうかという問題はあろうと思います。

 ただ、これを言ったらまた怒られるかもしれませんが、百八十万人の方が福島に住んでおられるんです。これも現実なんです。そのこともぜひお考えをいただきたいと思います。

高井委員 そこは、本当に福島県に住んでいる方の御支援がもちろん大事なことは言うまでもありません。しかし、同じように福島県民の方が岡山にもいて、いろいろな課題にぶち当たっている。今の話は、確かに県が、県営住宅の基準として、もうそろそろ時間がたったし、ほかの住宅に入っている人との公平性もあるから、もう今年度でと言われたそうなんです。それは確かに県の判断なんですが、そういったことももうちょっと復興庁から、もちろん指導なんというのはできないんですけれども、要請であったりお願いだと思いますけれども、そういったことがあってもいいのかなというふうに思います。

 それと、あともう一つ、県外の方について言うと、やはり非常に悩んでいます。どうせ好きで逃げてきたんでしょう、あなたは補助金をもらってうらやましいわねというような周りの声もある。あるいは、旦那さんには理解されずに避難してきた方、御両親にも理解されずに避難してきた方、そういった方もいらっしゃって、非常に心のケア、そして、子供たちに対するケアというのも必要だというふうに思っております。

 そのことと、もう一つは、こういった方々を支援しているボランティア、NPOというのもたくさん岡山にもあります。しかし、こういったところは本当にボランティアでやっているんですけれども、こういった支援団体についても少し何か手助けしてあげる、支援するということもあってもいいんじゃないかと思いますが、その二点、いかがでしょうか。

浜田副大臣 県外自主避難者を支援する団体への支援ということでございますけれども、自主避難者を含めまして、県外避難者に対する見守りや相談支援、交流支援等を行っている団体につきましては、今年度からつくりました被災者健康・生活支援総合交付金、これで支援を行うこととしておりまして、今後とも、被災県外へと避難された方々については、自治体や関係団体と連携しつつ支援してまいりたいと思っております。

 もう一点、いわゆる避難者の方々をしっかり支援していくという観点から、先ほども引用していただきましたが、子ども・被災者支援法について、しっかり我々自身も、事故後四年がたってまいりまして、いわゆる空間線量とか個人の線量からすると、避難指示区域以外の地域から避難する状況ではなくなってきているという状況がある一方で、避難先での生活も四年を超えておりまして、お子さんが新たな学校でなじんでおられる、こういう状況もある。こういう状況を勘案しますと、避難に伴う一時的な生活への支援から定住支援に重点を置きつつ、地方創生分野の取り組みなど各施策も活用しながら、引き続き必要な施策を行っていきたいと考えております。

 こういうことから、子ども・被災者支援法の基本方針の改定を現在検討しているところでございまして、近々、その案文についてもお示ししたいと思っております。

高井委員 子ども・被災者支援法では、第九条で、県外避難者に対しても、国は移動先における住宅の確保に関する施策を講ずるものとするという条文もございます。先ほど大臣からも、福島の復興なくして日本の復興なしとおっしゃっていただきましたけれども、まさに県外に避難されている方も福島県民でございますので、ここはぜひお忘れなくやっていただきたいと思います。

 時間がもうありませんので、最後にもう一問どうしても聞いておきたいのが、効果促進事業について、この事業は評価しておりますし、また、この中で、今までずっと当面の復旧に追われて自治体ができなかった事業に、震災の記録を残すアーカイブ事業。

 私は、実はITがもともと専門でございますので、特に非常に関心があって、それはまあ後回しでもいいんですが、しかし、やはりやっておかなきゃいけない。今回これだけの被災が起きて、これだけの教訓、経験をしっかりと映像として残す、記録として残しておくということは本当にこれは国として極めて大事な事業で、市町村に任せていてもいけないと思います。効果促進事業を使っていろいろな自治体がやっていますが、中身を見ると、非常に金額も小さくて、数百万単位でとりあえずやっているという印象が強いので、ぜひ私はこの震災アーカイブ事業というのを国を挙げてやっていただきたいし、効果促進事業でやるのでいいんですけれども、もっと、自治体の政策パッケージの中に一つの大きな事例として入れるとか、そういったPRをぜひしてほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 復興交付金の効果促進事業において、新たなまちづくりにおける防災性向上の観点から、市町村による震災、復興記録の収集、整理、保存を支援しているところでございます。

 引き続き、市町村と連携をして、東北地方全体のパッケージの記録も必要でしょうし、市町村ごとの記録も必要でしょうし、連携をとりながら支援を続けてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

高井委員 私も、午前中の審議でありましたように、やはり緊張感というものが復興庁の中においても少し緩んでいるのかなと思わざるを得ないこともあります。けさの理事会で議題になった話、詳しくは言いませんけれども、こういった点も復興庁にはぜひ猛省していただいて、そして、しっかりと対応に当たっていただきたいと思います。

 質問を終わります。

伊藤委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 維新の党の升田世喜男であります。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 多少冒頭に御理解を賜りたいのは、ここ二年ぐらい、大変残念ながら、現場の方に行く機会がなくて、現場を見ずに質疑するというのは心が痛いんですが、ひとつ御理解をいただきたいと思います。また、ほかの委員と質問がかぶるところもあるかと思いますが、これもまた御容赦賜りたい、こう思います。

 まず初めに、復興事業費地元負担についてお尋ねをさせていただきます。

 二〇一六年度以降の東日本大震災の復興事業に地元負担が導入された場合の影響額について、各被災県の試算が明らかになっています。安倍総理は、本年三月十日、震災発生から四年となるのを前に総理官邸で記者会見をし、来年三月で集中復興期間が終わることを踏まえ、二〇一六年度から五年間の新たな復興支援の枠組みをことし夏までに策定する方針を表明されました。復興は新たなステージに移りつつある、被災者の自立を応援し、政府としてできる限り支援を行っていくと強調されたのであります。

 お聞きしたいのは、政府としてできる限り支援を行っていくという形が地元負担を求めることになったわけでありますが、その背景と理由について、大臣にお尋ねしたいと思います。

竹下国務大臣 一つの理由でこのことを決めたわけではありません。午前中の委員会でもお答えをいたしましたが、政治的、総合的に判断をさせていただいた結果であるということでございます。

 ただ、その中で、復興が新たなステージに移行する中で、自治体の自立につなげていくことが必要であるといったことも考えましたし、ほかの地域の市町村との公平性といったようなことも考えました。またさらに、復興に絶対支障があってはいけないといったようなことも考えました。いろいろなことを考えて総合的に判断した次第でございます。

升田委員 報道によりますと、宮城県は、来年度からの五年間の復興事業費の地元負担率に基づく影響を試算し、県事業で五十二億円、市町村事業で三十三億円の負担、また岩手県の影響額は県と市町村を合わせて九十億円、福島県においては、平成二十八年からの五年間の復興事業費の枠組みの最終案で地方負担のあり方を見直し、全額国費負担と復興特別会計事業の対象を拡大することとなっております。その結果、負担額は六十九億円に大幅圧縮されました。私の地元青森県でも、二十八年度から三十二年度の合計で、県の分が八億二千三百万、そして市町村の分が二億五百万、県全体で約十億二千八百万の負担が生じると見込まれております。

 東日本大震災によって、東北地方は、震災、津波、そして原発事故の三重苦の状況でございます。そうした中で、政府が復興費の地元負担方針を示したことは、当然ながら被災地にとっては不安が広がっております。

 竹下大臣は、負担率一%から三・三%だ、最小限度のもの、このお考えを述べておられますが、被災地に地元負担を求めたことによって、復興の妨げになるのではないかと私は危惧するわけでありますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

長島副大臣 私の方から事実関係等について少しお答えをさせていただきたいと思います。

 大臣の方からも最前からお答えをさせていただいているとおり、自治体負担を導入する際に、我々が大臣から指示を受けて、そして大臣とともにやってきた作業は、復興事業を減速させることがあってはいけない、ましてとめることがあってはいけない、そして、被災自治体の財政状況を考えて、きちんと自治体が負担に応えられるものでなければならない、そして、負担率もできるだけ大幅に低減されたものでなければならないということで、検討を進めてまいりました。

 その上で、基幹事業については、きちんと今までどおり国費一〇〇%の事業を継続させていただく、効果促進事業を初めとする関連事業について一部負担を求めさせていただくという考え方で実は進めてまいりました。ですから、このことが一概に減速をしたり妨げになることのないように我々はこれからも配慮をしながら、自治体に寄り添って対応を深めさせていただくということになろうかと思いますので、ぜひそのことは御理解を賜りたいと思います。

 そして、財政調整基金等についても、先ほど大臣からお答えがありましたけれども、決して財政調整基金を減らすことのないような形で、我々はこれからも支援を続けてまいりたいということでございます。

竹下国務大臣 長島副大臣から答弁をしていただきましたが、我々の原則は二つでして、一つは、負担を求めることによって事業に支障が出てはいけない、つまり、おくれてはいけないという範囲でなければいけない。それから、被災自治体は裕福な自治体ばかりではない、どちらかというと厳しい財政状況の自治体がほとんどでございましたので、過大な負担を求めるようなことは決してあってはならないという二大原則で考えました。

 その結果、全国のほかの自治体に比べると一桁小さい、一%から三・三%ということにさせていただいた次第でございます。

升田委員 ただいま大臣、副大臣から御答弁いただきました。

 現状と事業内容を見きわめて、なるたけ負担をさせない、あるいは事業の進行を妨げない、そういう配慮の方はお伺いをいたしました。十分そうだなと。

 正直なところ、青森県の県庁の方にも問い合わせたところ、十分配慮はありますよと。ただ、ちょっと先の話になるんですが、さらにその後の五年後というのが、ではどうなるのかなというようなところを、今から心配の声もあるものですから、来年の三月でこの特別の期間が終わって、さらに新しい特別の期間が始まる。一年、二年たったら、この先のことが見え始めたら、早目に、将来はこうするよというような安心の発信があれば、自治体にとってはよろしいのかな、こんなふうにも思っておりますので、頭の隅にでも入れていただければありがたい、このように思います。

 次に、竹下復興大臣は、三月の十日、当委員会において、このような所信を述べられました。そしてその中で、「復興を進めるに当たり、単なる復旧にとどまらず、我が国のモデルともなる新しい東北の創造に向けた取り組みを進めております。」続けて、「具体的には、被災地で芽生えた先導的な取り組みを支援するとともに、復興支援に携わるさまざまな方々の連携の場として設立した官民連携推進協議会のもとで、官と民が手をとり合って、東北に持続的な活力をもたらしてまいります。」このように述べられております。

 そこで、まずお伺いをしたいと思います。

 「被災地で芽生えた先導的な取り組み」とは、どんなものがあるんでしょうか。

竹下国務大臣 御承知のように、単なる復旧ではなくて復興であり、なおかつ地域が元気になる復興でなきゃならぬということで、さまざまな取り組みをしてまいりました。

 「新しい東北」先導モデルですとか、あるいは都市の人のさまざまな知恵をかりたり、いろいろな交流をしたり、さまざまなことをしてきた結果、これまでに見えております中で、例えば、土湯温泉の熱源を活用した植物工場による野菜栽培を初めとする新規事業の立ち上げ、あるいは、これは石巻の例ですが、二十四時間対応の在宅医療、介護を目指す地域包括ケアシステムの実施計画、これを策定して今実施をしております。

 あるいは、これは大船渡、釜石、陸前高田等でやられておりますけれども、今までは市場価値が低くて余り利用されていなかった魚や海藻を活用した魅力的な商品の開発、新たな販路の開拓、さらには、今までは全く連携がなかった異業種の交流による新たな新商品の開発といったようなもの等々、明らかに芽が出始めております。

 まだまだこれで十分だとは私も思いません。ただ、こうした先導的な取り組みがあちこちから起きてくる、そういう意欲的な人があちこちから出てきて、さらに頑張っていただけるという状況は、私は、被災地にとって非常にいい状況ですし、ぜひお支えをしていこう、こう思っておるところであります。

升田委員 地域の発案を生かすということはとても大事なことだと思います。

 大臣は、加えて、「我が国のモデルともなる新しい東北の創造に向けた取り組みを進めております。」とも述べられておりました。この「新しい東北の創造に向けた取り組み」、これはどんなものなのでしょうか。

竹下国務大臣 いろいろなことを考えております。

 根っこにありますのは、私も田舎者ですが、田舎というのはもともと経済活動が活発ではない、あるいは高齢化、少子化が進んでいるという、もともと厳しい要素を抱えておる。そこへ津波、地震、原発災害という、まさに世界で一番厳しい状況に今置かれているわけでありまして、その状況を乗り越えるために、今までどおりではない、いろいろなことをやっていかなければならない。その一つが我が国のモデルとなるようなことは何かできないかと。

 まだアイデアの域をそれほど大きく出ておりませんが、イノベーション・コースト構想というのがございます。最終的には世界に向かって発信をしていけるような、世界最新鋭のさまざまな技術者集団、研究者集団をあの地域につくろうということもございますし、新しい東北という考え方の中で、一つは産業、なりわいの再生、もう一つはコミュニティーづくりを形成していくということ、さらには、人間の交流といいますか、人材を育てる、それから、都市なりあるいはマーケットなりと人材を交流することによって新たなものをつくっていくという、これはもうあらゆることをやっていかなきゃならぬな、このように考えております。

升田委員 これは個人的な見解ですけれども、さきの大震災を経て東北は再生していかなきゃいけないわけでありますが、個人的には、食料、エネルギー、そしてロボット、この三つの分野がキーワードだなと私は思っていますし、また国の方でもそのように捉えてほしいなと思っております。

 今、にわかに水素社会、国の方でも力強く宣言して、それを進めようとしておりますけれども、この東北の復興の中に水素エネルギーの活用という分野が、調べてみますと出ていないんですね。それはいろいろ理由があるんだろうとは思います。私も、ある一点想像はできますけれども、その各論に入る前に、国が描いている水素社会というのはどんなものなのか、まずお知らせいただきたい、このように思います。

木村政府参考人 水素社会でございますけれども、まず水素でございますが、これは利用段階ではCO2を排出しない、非常にクリーンなエネルギーであるということ、それから、多様なエネルギー源から製造が可能でございまして、エネルギーセキュリティーの向上に資する、そういった優位性を持っておりまして、将来的に非常に重要な二次エネルギーの一つであろうというふうに理解をしてございます。

 私どもの方といたしましては、昨年の六月になりますけれども、水素社会の実現に向けましたロードマップというのを策定いたしまして、これは随時、進展に応じましてブラッシュアップをしていくことを予定してございますが、ここで例えば、家庭用燃料電池の導入でございますとか、あるいは水素ステーションの整備等に対する支援、そういったものを通じて、まずは省エネルギーとしての燃料電池、水素の普及、それから、さまざまな角度からのエネルギーセキュリティーの向上という観点からの水素の導入、さらには、再生可能エネルギー由来の、例えば水素の製造によります完全にクリーンなCO2フリーの水素、そういうステップ・バイ・ステップの取り組みというものを描いているところでございまして、将来を見据えた大規模安定供給を行うための開発、実証等に取り組んでいる、そういった状況でございます。

升田委員 私は、十二、三年ぐらい前だと思うんですが、青森の県会議員をさせていただいておりまして、実は私はその時点において、我が県は国に対してエネルギーの供給の役割をしっかり果たしているんだから、水素をテーマにして、これを何からつくるか、あるいは、水素は何からつくるか、どうためるか、どう運搬するかというのが問題点であろうと思うんですけれども、今の答弁にあったように、まずは、クリーンであるということと、太陽光発電やあるいは風力発電、これから水の電気分解、あるいはいろいろな自然界の中からつくることが可能であるということで、私は大事なテーマであろうと思うんです。

 東北は原発事故が起きたところでありますから、未来に対応できるようなエネルギーを産業化していくという視点も、ぜひ国は持っていただきたい。先ほど、現地で芽生えたものを生かす、これも大事だと思いますけれども、やはり国として、東北の可能性を国からも強い目線を入れていく、こういう視点をぜひ持って、東北にも水素エネルギーの可能性というのを十分政策に反映させてもらいたいな、私はこのように思います。

 お時間がなくなってまいりました。分散型エネルギーについてはまたの機会に、やはり集中型にはリスクがありますから、これからは分散型でロスをなくしたりやっていこうということは、またの機会で訴えさせていただきたいと思います。

 あと三分ぐらいあるんでしょうか、防潮堤の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、防潮堤の国の取り組み、これは県が地域住民の声を聞いて、そしてその上で国が対応しているんだろうとは思いますけれども、率直に言って、どうしてああいう防潮堤が必要なのか、私は全く理解ができません。

 私のふるさとは、本州日本海最北端、旧小泊村、今現在三千五百人ぐらいでしょうか、第四種の避難港の村でございます。海とともに生きてまいりました。私も毎日海を見て育ってまいりました。そういう自分の人生観、あるいは海育ちの一人として、高い低いは関係なくそこにコンクリートで遮断されるということは、そこに生まれた喜びというのも遮断される、こういう思いなんです。地元でお話をしても、なぜあのような巨大なものを、いや、二十メーターはないよ、この前は十メーターぐらいですよと。十メーターも相当高いです。

 私は、この日本国ならば、そういうコンクリートで自然の脅威を守ろうとするのではなくて、日本人の持っているこの民族力といいましょうか、いわゆるコミュニティー、ソフトパワー、逃げるが勝ち、道路を広くしたり、あるいは中間にあの津波でも倒れることのなかった建物があるわけでありますから、さらなる強化をしたりとか、コンクリートに頼らず人間の知恵によってそれを超える、そういう視点があってもいいなと私は思うんです。

 きょうはその御所見だけ伺って、この問題についてはまたの機会で、どんどんどんどん私なりの思いというのを訴えさせていただきたいと思います。今私が述べたことに対する御所見を大臣からお伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 東日本大震災のエリアというのは、たびたび津波の被害に遭っているんです。三十年から四十年に一度ぐらい、数メートルから十メートルぐらいの津波が来て、被害が起きておる。ですから、十メートル前後の防潮堤のあった市町村というのは、幾つも今までもあったんです。だけれども、今回は、もう全部超えて、全てを超えて津波が襲いかかってきたという状況があります。

 それから、おっしゃいましたように、津波の大原則は逃げることです。津波は逃げること、完全に防ぐということはできませんから、逃げるということをまず大前提にいろいろなことを組み立てていかなければならない。

 ただし、今お示ししておる基準、これを守れというわけではありませんが、三、四十年に一度ぐらいの津波は防げるようにしましょうねと。それを前提に地元で議論をして、ではうちは三メートルにするとか、うちは十二メートルにするとか、それぞれ防潮堤を決めてくださいねということを地元の合意に基づいて我々は御支援をしておるわけでございまして、主として県有の海岸ですので、県の判断、県がどうやって地元の合意をつくっていただけるかというのが一番大きな要素だと思います。

 ただ、おっしゃいましたように、津波は逃げることが最優先で、防潮堤で全て防げるものではありません。しかし、三、四十年に一度の津波は防ごうじゃないかという地元の合意があれば、それはそうしていこう、こう思っております。

升田委員 時間が来ましたけれども、十秒ほどお許しをいただきたいと思います。

 今大臣が地元の合意と言いましたけれども、冒頭、私は現地を見ていなくて失礼ですがと言いましたが、しかし、それでも陸前高田の方には五回、六回、お邪魔させていただいています。松原を守る会長さんともお話をさせていただいています。現地の人とも何人ともお話しさせていただきました。ほとんどがこれはおかしいよという声なんです。

 もう一度、聞いてみていただければと思います。その声がどこかで変わっているんだろうと思います。もう一回、地域住民の声を聞くということをぜひしていただきたいなと。後のことはまた次回にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 早速ですが、質問させていただきます。

 集中復興期間以降のことについて、きょうも議論が行われました。先月二十四日、復興推進会議において、平成二十八年度以降、二〇一六年度以降の復旧・復興事業についてが決定されました。

 この文書では、初めに基本的考え方として、復興についての現状を次のように書いています。

  東日本大震災の発災から四年三カ月が経過し、これまで累次にわたり講じてきた加速化措置などの復興加速化のための施策の結果、特に地震・津波被災地を中心として、復興は着実に進展している。復興交付金事業計画がある八十五市町村のうち、少なくとも住まいの確保に関する事業が平成二十七年度までに全て完了予定としている市町村が六十四となっているなど、復旧・復興事業の完了に向けた見通しが立ちつつあり、復興は新たなステージを迎えている。

というふうに冒頭に書かれています。率直に言って、読んでいて私自身はとても違和感を感じました。

 私ごとで恐縮なんですが、女川町に漁師をしていたおじがおりまして、津波で船も家も流されてしまいました。ここの集落に住む人と一緒になって宮城県外のところで避難生活を送ってきた後に、それぞれいろいろ考えるところがあって、うちのおじは石巻で、その後、新しく浜の仕事をすることになったわけなんですけれども、こういう経過を私は知っているんですが、決して着実というようなことでは表現されないのではないのかなというふうには思っているんです。こういうことが被災地は今も続いているというふうに思います。

 それで、お手元に渡しました資料をごらんください。河北新報の三月十日付で、被災者へ国や自治体への要求は何かとのアンケートをとっています。要望の多い順に、医療費の緩和が六〇・八%、医療福祉の充実が五四・一%、生活資金の支援が四二・四%など、年を追って要望がふえているというのがこのグラフからわかります。

 その下にある資料の二は、早稲田大学とNHKの共同調査です。被災三県一万人アンケートで、主に健康の状態について聞いたものですが、震災前の持病が悪化したという方が三五・四%、震災後に新たな病気にかかったという方が三二・四%いる。その中身を見れば、高血圧とか高脂血症、精神疾患など、運動不足やストレスを原因とする疾患が多いとも報じられています。

 先ほど申し上げたこの基本的な考え方に、復興は着実に進展という言葉があったわけですが、それならば、なぜこのような医療への要望や健康不安の実態が生まれるのか、どのように被災者の現状を今この時点で大臣は認識しているか、改めて伺いたいと思います。

竹下国務大臣 遅いと言われれば、私はそのとおりだとお答えをせざるを得ないと思います。

 しかし、幾つかの事業でおくれが出ていることは事実でありますが、一つ一つの事業はそれぞれきちっと進展をしつつあり、少なくとも、ハード面では復興の最終局面というのが見え始めたというところまで進展してきていることは、これは事実であろう、こう思っております。

 さまざまな医療の要求、あるいは、先ほどありました生活資金の要求等々、いろいろな思いが被災地の皆さん方の中にあるということは我々もかなりの部分存じ上げております。なかなか全てにお応えすることはできない。そして、仮設住宅に長くいらっしゃるということは、長期化に伴うさまざまな障害がより大きく出てきておるということも、これも多分否めない事実であろうと思います。

 我々は、今、復興のステージに合わせた対応をしなければならない。一つは、長期化に伴うそういった心のケア、健康のケアについて、今までより、今まで八百人ぐらいでした見守りの皆さん方を千二百人にふやしまして、まさにこの分野こそ、これから一番の問題の分野になるんじゃないかな、そういう認識のもとで取り組んでおります。

畠山委員 例えば、長期間の仮設入居などで障害が大きくなっているという御認識だったと思うんですね。

 確かに、仮設の老朽化、特にカビの発生でぜんそくなどがふえているということが、きょうも午前中の資料にありましたが、厚労省の研究班の調べによって、調査した仮設入居者のうち二割に、カビが原因による呼吸器異常が見つかったなどとしているわけです。

 しかし、病院に行きたくても、先ほどあったように、生活資金の問題でお困りの方がいらっしゃるわけであって、医療費負担に耐えられずに我慢しているという現状があるわけです。

 それで、私は、四年前のこの委員会で復興基本法を議論したときの議事録や当時の復興基本方針も改めて読み直したんですね。当時の基本方針の同じく基本的な考え方のところにも、「被災地域の復興は、活力ある日本の再生の先導的役割を担うもの」とある。

 当時の議論もそうでしたけれども、この復興事業や巨額の補助金を奇貨として大手企業が利益を上げる一方、被災者が置き去りにされてくるんじゃないのか、現在、四年四カ月たって、こういう現実が結構生まれてきているんじゃないか。

 今回の、同じように出されている基本的な考え方を読むと、「平成二十八年度以降の復興支援については、被災地の「自立」につながるものとしていく必要がある。復興の新たなステージにおいて、日本の再生と成長を牽引し、地方創生のモデルとなることを目指すこと」とある。その後、各論で暮らしの問題などが出てくるんですが、被災者の暮らしなどがこの考え方でほとんど出てこないんです。これでは、これからの復興・創生期間でもますます被災者が置き去りとされるんじゃないかと思わざるを得ないです。

 そこで、大臣に改めて確認したいんですけれども、私が言いたいのは、事業完了という視点と暮らしとなりわいの再建という視点は異なるんじゃないか。大臣の基本姿勢として、改めて、暮らしとなりわいの再建こそ基本であるということを確認したいんですが、いかがですか。

竹下国務大臣 両方だと思います。両方必要なんです。

 まず、恒久の住まいを我々は今急いでつくっているさなかでありますが、それをやらなければならない。

 だけれども、家ができたから、ではすぐ帰れるか、違うと思います。商店街も必要ですし、病院も必要ですし、近くに行くのに必要なバスあるいはそういった交通インフラも必要です。そういうものが整わない限り、どうぞ帰ってください、家ができましたよと言ってもなかなか帰っていただけない。

 つまり、ハードの面とソフトの面と両方同時に動いていかなければ、被災地は、特に、活力を生むという方向について考えた場合、特にその側面は強いと思います。両方必要だと思っています。

畠山委員 被災者を中心としたまちづくりということは、もちろん必要だというふうに思っています。

 先ほど述べたんですけれども、私はきょうは防潮堤のことも最後に質問したいと思っているんですが、いろいろな大きな事業を通じて、これを奇貨とするようなことがあってはならないというふうに同時に思うんですね。

 それで、先ほど出てきた基本的な考え方における中身で、きょうも午前中から議論があったリスクや自立の問題についても、私から一言述べたいと思うんです。

 被災自治体の負担についても決定され、それに先立って大臣も被災三県の知事と会って、要望も踏まえて負担額も圧縮はされたということにはなっています。先ほどの文書などでも被災自治体の自立という言葉が出てきて、そのつなげていく観点から、事業において一定の負担を求めるとされています。このことも、私自身でいえば感情的に受けとめました。

 大臣に改めて、この自立ということは何を指すのか、もう一度伺います。

竹下国務大臣 二つに分けてお話しした方がいいかもしれません。

 一つは、被災者お一人お一人について、我々の復興の目的は、お一人お一人に自立をしていただくということが復興の目的です。例えば、病気である、年齢である、自立できそうにない、それは社会福祉の分野等々でしっかりと対応してまいりますが、まずは、お一人お一人の人生でありますので、きちっと自立をしていただくということが復興の目的であります。

 それから、自治体についてでございますが、自治体についても、我々は自立をしていただきたい、こういう思いも込めて、全ての理由がそれであるというわけではありません、ほんの一部の理由ではありますけれども、そういう思いも込めて、自立をしていただきたいという思いも込めて、地元負担の導入を決定させていただいたところでございます。

畠山委員 先ほど私、感情的にこの言葉を受けとめさせていただいたというふうに言ったんですけれども、やはり感情的に納得いかないんですよ。

 被災者や自治体の必死さが足りないというようなことなども大臣は話されて、もっと必死にやれと。六月三日の記者会見では、さらに魂をたたき込んでやっていただくという表現も使った。こう畳みかけられると、被災者、私も被災地に家族、両親とかいますけれども、その必死さが理解されていないんじゃないかというふうに思うのも当然なんです。午前の質疑でもこういうことがあって、自治体に向けての話だとか、今のところでは被災者に向けての自立だということも話をされましたけれども。

 では、実際に被災者がどう受けとめているかということを、資料の二枚目、資料三のところに、六月二十日付の岩手日報で、きょうは紹介したいと思って持ってきたんです。大臣がさらに必死のギアをもう一段上げていただきたいと述べた発言への県民の反応を、ここでは紹介しています。

 例えば、二段落目になりますが、行政と連携して移動図書館を開設している釜石市栗林町の団体職員三木真冴さんは、被災地の人はすごく必死にやっていると一蹴、一部負担したからギアが上がったり、リスクがあって精度が上がるということはなく、本気になる、よりよくなることとは直接関係ないというような懸念が述べられています。ずっと飛んで最後の段落の真ん中に、宮古市田老のグリーンピア三陸みやこ仮設住宅に暮らす自営業の方の言葉が次に載っています。復興がおくれる中、大臣の方がよっぽど必死のギアを入れかえてほしいと切り捨てたと。手厳しい、このような被災地の声があるわけです。

 例えば、自治体に対して、先ほどあったように、必死にやってほしいと。住民からいろいろ役場に要望があったりしても、職員も被災して、例えば御家族を亡くした方もいらっしゃったりして、努力していることは、被災者みんな理解しているんですよ。未曽有の大震災というふうに言いますけれども、一人一人の人生ですとか、これもまた未曽有の被害体験だし、一つ一つの町からすれば未曽有の大きな被害だったわけです。

 だから、資料で紹介したような、これが率直な被災者の思いであるということをやはり改めて受けとめていただきたいと思うんですよ。

 大臣、いかがですか。

竹下国務大臣 この人たちがおっしゃっていらっしゃることは、多分そうだろうと思います。私は、否定しようとは思いません。しかし、もっともっと別の意見もあるということもあります。

 私は、まだ数は少ないですが、せいぜい三、四十回被災地に入らせていただきまして、さまざまな方と、本当にさまざまな方と議論をさせていただいたり、お話を伺ったり、陳情を受けたり、いろいろなことをしてまいりました。そういう中で、私の感じたことは私の感じたこととしてお話をさせていただいておるわけでありまして、この人たちが別に間違ったことを言っていると言うつもりは全くありません。そう思った方もいらっしゃるかもしれない。それは、私の人徳の至らないところだなと思っているだけであります。

畠山委員 大臣が人徳を至らないと御謙遜されるのはよろしいんですけれども、復興大臣として、こういう被災者の声があるということをやはり受けとめていただきたいと思うんです。

 負担の問題について、時間もあるので、具体的な中身で確認していきたいと思います。

 自治体負担となる対象事業のうちに効果促進事業があります。それで、国が全額負担をしてきたものですが、なぜ、基幹事業だけでなく効果促進事業も国が全額負担してきたのか。あわせて、次に聞こうと思っていましたけれども、申しわけないですが二つまとめてお聞きしますが、基幹事業と一体にこうやって進めてきたからこそ復旧復興が進む、そういうフレームになると思うんですけれども、では、なぜ今回、割合はどうかというのは別として、効果促進事業は負担を求めることにしたのかということについてお伺いします。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 集中復興期間中、自治体負担をゼロとしてきたのは、今回の震災が、町全体が壊滅的な打撃を受け、また比較的財政力が低く、膨大な復興事業を実施するための十分な財源がないと見込まれる被災団体が多かったことにより、五年間実施をしてまいりました。

 そして、ここで負担を求めることにしたことについては、最前から大臣がお答えをしておりますが、発災から四年以上経過をし、復旧と復興事業は、先ほど御指摘もいただきましたけれども、着実に進捗をしながら、将来を見据える状況に来ているというふうに認識をしております。

 ただ一方で、全国共通の課題、つまり、全国の市町村があわせ持つような性格の事業については、被災地以外の、公平性と申し上げますか、どういったらいいか、負担の思いを共有してもらうためにも、復興交付金の効果促進事業について、一部負担を求める。その負担額については最低限に抑えさせていただきたい。

 そして、そのことの、今やっている事業、そしてこれからやる事業についても、大幅に復興庁として、きちんと協力をしながら、できるだけ負担のないようにという配慮のもとで負担をいただきたいというふうに考えているところでございます。

畠山委員 基幹事業と効果促進事業を分けて、各自治体でいろいろやってきた経過があると思うんですよね。

 つまり、例えば私も先月、岩手県、宮城県のいろいろな自治体に行って、首長さんからお話も伺いましたけれども、そこで、例えば新たな市街地づくりをするのに盛り土をする、そこに必要な下水道の整備とか消火栓とか、こういうのをつくっていくことにもちろんなるんですけれども、これは効果促進事業でというふうに、これがどうなるかと、当時、そういう不安もあったわけですよ。

 それで、自治体でこういうまちづくりをしたいという取り組みたい計画があって、そのときに、これは基幹事業だとか、これは効果促進事業とか、復興庁もこうやって職員さんが相談をしながら振り分けてきた経過があるというふうに聞いたんですよね。つまり、どっちも、当時でいえば、国が一括してちゃんと全部負担するんだということが背景にあったからだと思うんです。

 これもまた限られた予算の中で、しかも復旧復興はワンパターンでいかないわけだから、さまざまな振り分けをして、最大限前に進めるようにしてきたんだろうということは理解できるんです。

 ですから、大臣も、六月一日の参議院の特別委員会だったと思いますが、この問題についての質問がありまして、高台に住居を移転するならアクセス道路はもちろん必要になるし、そういうものは全て認めているというふうな答弁をされています。

 私は、この時期に自治体負担は求めるべきでないというふうには思っていますが、丁寧に自治体と話し合った柔軟な対応が必要であるというふうに思うわけです。

 今回の自治体負担が、先ほどからも繰り返しありますけれども、復旧復興の足を引っ張るような、こういうことになってはいけないと思いますが、大臣、改めて答弁いかがですか。

竹下国務大臣 事業のおくれがあってはいけない、それは起こさせないという大前提の中で、さまざまな判断をさせていただきました。

 効果促進事業というのは本当にいろいろなことをやっているんです。いわゆる基幹的な事業に付随する事業もありますし、それとはちょっと離れた事業もありますし、いろいろなことをやっているんです。ぜひ御理解を賜りたいと思います。

 復興庁が全部仕分けしているというのではなくて、地元から話が出てこなければ復興庁は対応のしようがありませんので、地元から、これをやりたいけれどもと。それは効果促進でやったらいいんじゃないですかというお話をしたことは何回もありますが、復興庁から、こうしなさいという方向でお話をしたことは、基本的にそれは余りやっちゃいかぬことだと思っております。

畠山委員 先ほど私も述べたように、それぞれの町の計画があって、相談しながらこういうふうにやってきた経過があるというふうに述べました。その経過はもちろん承知はしています。

 ただ、こういう効果促進事業が、割合は別として負担を新たに求められることになり、それでも、これまで、この間事業が進んでこなかったのは、自治体の努力ではどうしようもない、入札が応じられなかったとか人手が足りないとか、さまざまな理由があったわけで、加えて、五年後に東京オリンピック・パラリンピックも工事が並行して行われることになれば、五年後までに事業が終わるんだろうかという不安は率直に出てくると思うんですよ。先ほどの質問でもそれは出てきました。

 午前の質疑の中で、これは通告していませんでしたけれども、福島の支援にかかわって、十年という期間を迎えても、その後しっかり国の責任を果たされるような趣旨を大臣が答弁されたというふうに思うんですね。

 同じように、もちろんまだこれから五年間あるわけだけれども、十年の復興期間が終わった後に、この後また、被災自治体の状況に関係なく、負担をこれまでどおりに求めるというようなことはあるのかないのか、ちょっと大臣、今、考えをお聞かせいただけますか。

竹下国務大臣 まず、福島につきましては、いわゆる復興期間の十年、今設定しております十年間では、もう誰が考えても全てが終わるという状況にはならない、こう思っておりますので、何らかの対応は必要であるということは痛感をいたしております。ではどうするかということは、まだ今決めるべきことではないかな、もう少し様子を見てから議論をして決めるべきことではないかな、こう思っております。

 それから、それ以外の宮城、岩手につきましては、基本的には十年以内に、少なくともハードの部分は全て終わるということを目標に我々は今取り組んでおります。

畠山委員 先ほども述べましたが、復興が途上で、少なくともこの四年四カ月ではなかなか事業が、自分たちの努力ではどうにもならないところがあって進まなかった。さまざまな不安が今出ているわけですし、暮らしの面でも、冒頭に紹介したように、本当に被災地の皆さんが大変苦しまれている現状があります。この時期に被災自治体に負担を求めるべきではないということは改めて申し上げたいというふうに思います。

 それで、最後、残った時間に、防潮堤の問題について一言伺いたいと思います。

 朝日新聞の五月二十五日付で、「膨らむ防潮堤予算苦慮」という見出しの記事が掲載されました。一方、この記事では、防潮堤の高さや費用について、工事費の急騰、それから地元負担、あるいは観光業者や住民の話し合いなども受けた取り組みも紹介されています。

 海岸管理者である自治体が計画をつくった後でも、いざ工事が始まってみたら、海が見えないからやはり高さを下げてくれとか、逆に、もう少し高さを上げてほしいとか、あるいはここは必要ないんじゃないかとか、住民からの要望がさまざま出て、計画を適切に変更することなどはできるのか。これは国交省の方に確認したいと思います。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 防潮堤の計画につきましては、町の安全、ハード、ソフトの組み合わせ、環境保全や市町村によるまちづくりの議論などを踏まえまして、海岸管理者である県などが適切に定めることとなっております。

 防潮堤については、どういう計画が地元にとって望ましいかについて十分に話し合っていただきながら合意形成を進めていくことが大切だと考えております。

 どのように合意形成を行うかにつきましては、海岸管理者である県におきまして適切に判断しておられると認識しております。

 実際に、砂浜を残してほしいとの地元の御要望を踏まえまして防潮堤の位置を変更する予定のところや、地元の御意見を踏まえまして防潮堤の高さ等を変更することとしたところもあるなど、見直すべきところは見直すという対応をとっていると聞いております。

 いずれにいたしましても、引き続き、県には丁寧に対応していただくとともに、合意形成がなされた海岸につきましては速やかに復旧が進むよう最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。

畠山委員 さらに確認しますが、事業主体者は海岸管理者である県とか自治体ですけれども、防潮堤の復旧復興のあり方について、それでは国がどのような関与をされるか、端的にお答えください。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 防潮堤につきましては、東日本大震災などの最大クラスではなくて、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、比較的発生頻度の高い津波を対象として設計することを基本としております。

 このような基本的な考え方は国から海岸管理者に示しておりますが、これはあくまでも基本的な考え方でございまして、具体的な防潮堤の計画は、町の安全、ハード、ソフトの組み合わせ、環境保全や市町村によるまちづくりの議論などを踏まえまして、海岸管理者である県などが適切に定めることになっております。

 いずれにいたしましても、引き続き、県には丁寧に対応していただくとともに、合意形成がなされた海岸につきましては速やかに復旧が進むよう最大限の支援を行ってまいります。

畠山委員 そうしたら、国交省は計画だけ示して、あと、県が計画をつくったら、何も関与しない、内容は確認していないということですか。内容は確認するんですよね。ちょっとその点をもう一度。

池内政府参考人 まず、基本的な考え方とかスペック、そういったものは国がお示しいたします。具体的には、国は、設計津波の水位の設定方法ですとか、海岸堤防等の粘り強い構造、それから……(畠山委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)ええ。要は、基本的な考え方、マニュアルについてはお示しいたします。

 それから、県等から御相談があった場合、こういった場合には、例えば、国総研、国土技術政策総合研究所などが相談に応じて、技術的な助言を行っております。また、場合によっては、職員が現地に赴きまして、さまざまなアドバイス、そういったものを行っております。

畠山委員 なかなか内容は確認していますと言わないんだけれども、いろいろな形で、ちゃんと相談であったり、現地へ行ったり、中身は確認しているということを確認します。

 そこで、具体的な事例で聞きます。

 石巻市白浜地区の防潮堤です。この地域は海水浴場としても有名で、県から国交省への報告によれば、防潮堤を建てるにも、砂浜を生かしたいから少し内陸側にしてほしいとか、流された集落を高台に移転して、もとの場所には観光施設もつくりたいような計画も確認して着工されています。問題は、そこよりさらに延びている部分についてです。

 これは資料をごらんください。三枚目です。

 写真を見ると、切り立っている丘というのか崖というのか、この下に防潮堤が建設中になります。高さ、TPは八・四メートルで、ですから、これから見ると大体二十メートルぐらいの高さに崖というか丘はなると思うんですが、八・四メートル自体がどうかという問題はあるんですけれども、今私が述べたように、ここの集落の方が、この崖なのか丘の上の方の高台に移転するんですね。

 この崖の真下にあるこの防潮堤というのは、一体何を守っていることになるんですか。これは何が事業目的なんですか。何と報告を聞いていますか。

池内政府参考人 お答え申し上げます。

 防潮堤につきましては、一連の海岸で、全体的なまちづくりと整合をとりながら進めております。

 具体的には、この白浜地区の海岸は、東日本大震災の前は、その背後地に、海水浴客の利用施設とか水産加工工場、住区等がございまして、津波や高潮、高波から守るために防潮堤がございました。

 東日本大震災によりまして防潮堤は被災いたしまして、背後地も大きな被害をこうむったところでございますが、石巻市では、海水浴客の利用施設や水産加工工場を再建するまちづくりを行うこととされておられます。(畠山委員「これは何を守っているか、答えてください」と呼ぶ)だから、この地点だけではなくて、一体として整合のとれた防潮堤の計画をしておられます。

 実は、今写真にある部分は、もともと市道がございまして、その市道の前面に防潮堤がございました。もともとは当時の計画での津波の防潮堤でございますが、それが東日本大震災で壊れた。そういったものを戻そうとしております。

 それを戻すときに、従前と大きく形状が変わっております。具体的には、市道が被災したために、復旧を行う際に、もともとと同じ計画ではなくて、造成地の残土を使って道路をかさ上げする。そのときに、もとの堤防ではなくて、道路の整備と一体となって、道路前面の護岸という形で復旧を行っております。

畠山委員 わかりません。

 ちょっと時間がないのでシンプルに聞きたいんですけれども、やはりこういう事業は、何の関係があるのか、全然理解できないんですよ。

 そこで、大臣、これは時間がないので最後に要望としてお聞きしたいんですけれども、限られた復興関連予算で、地元からすれば、事業、暮らしと防潮堤というのは別々というのはもちろん承知していますけれども、こういうところにお金を使うぐらいなら暮らしに回せという思いが出るのは当然ですよ。

 先ほどあったように、いろいろな限られた予算で、午前中、国民の大事なお金だという話もあったじゃないですか。こういうこと自体がモラルハザードになっていくんじゃないか。

 ですから、国交省とも連携をとって、せめて県に、現状を把握して、この事業に何の効果があるのか、再度調べるよう要請したいんですが、この点だけ最後にお聞きします。

竹下国務大臣 調べてはみます。調べてはみますが、我々は、地元が合意をして、地元の県が合意をしてきたことが国交省に上がり、我々にも上がってきて、予算は復興予算でやるということになっておるわけで、合意のないものは、我々、やりません。

畠山委員 時間がないので、終わります。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十一分散会


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