衆議院

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第6号 平成27年8月6日(木曜日)

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平成二十七年八月六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 小田原 潔君 理事 亀岡 偉民君

   理事 坂井  学君 理事 島田 佳和君

   理事 冨樫 博之君 理事 金子 恵美君

   理事 高井 崇志君 理事 高木美智代君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      小野寺五典君    大串 正樹君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      門山 宏哲君    神谷  昇君

      菅家 一郎君    木原  稔君

      工藤 彰三君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      白石  徹君    瀬戸 隆一君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      土井  亨君    根本  匠君

      橋本 英教君    藤原  崇君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    黄川田 徹君

      菊田真紀子君    階   猛君

      本村賢太郎君    笠  浩史君

      落合 貴之君    升田世喜男君

      横山 博幸君    中野 洋昌君

      濱村  進君    真山 祐一君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   復興副大臣        長島 忠美君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   復興大臣政務官      小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官)  高原  剛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (農林水産省農林水産政策研究所次長)       岩瀬 忠篤君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    牧元 幸司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中尾 泰久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           赤石 浩一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           水嶋  智君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            吉田 雅彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月六日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     大串 正樹君

  鈴木 俊一君     井林 辰憲君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  谷  公一君     神谷  昇君

  郡  和子君     菊田真紀子君

  松本 剛明君     笠  浩史君

  赤羽 一嘉君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     鈴木 俊一君

  大串 正樹君     村井 英樹君

  神谷  昇君     谷  公一君

  工藤 彰三君     白石  徹君

  菊田真紀子君     郡  和子君

  笠  浩史君     松本 剛明君

  濱村  進君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     瀬戸 隆一君

  村井 英樹君     三ッ林裕巳君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     黄川田仁志君

    ―――――――――――――

七月二十四日

 被災者本位の一日も早い復興を求めることに関する請願(大平喜信君紹介)(第三五三一号)

 同(堀内照文君紹介)(第三五三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官高原剛君、内閣府大臣官房審議官兵谷芳康君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、総務省自治行政局公務員部長北崎秀一君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久君、農林水産省農林水産政策研究所次長岩瀬忠篤君、林野庁林政部長牧元幸司君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官中尾泰久君、経済産業省大臣官房審議官赤石浩一君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、国土交通省大臣官房審議官水嶋智君、観光庁観光地域振興部長吉田雅彦君、環境省大臣官房審議官小川晃範君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、まず心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 また、震災復興、大臣初め関係各位の御努力に敬意を表する次第であります。

 さて、まず初めに、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金につきまして御質問申し上げたいと存じます。

 まず、企業立地補助金、これは、本事業を推進してきたことによりまして、震災前の企業立地水準を確保するなどに大変成果があらわれているところであります。

 しかしながら、福島県を例にいたしますと、東日本大震災及び原発事故の影響、これはまだ根強く残っておりまして、分断されたサプライチェーンを復活することがまだできておりませんし、また、風評による被害はいまだ続いている。実は、いわゆる道半ばであります。

 特に被災十二地域、これは当然、帰還困難地域、居住制限地域、そして避難指示解除準備地域でありますので、避難されておられる方の近々の情報をちょっと調べてみましたら、その地域から県内、福島県内に幅広く避難されておられる方の人数がまだ六万六千人を超えているんですね。実は、県外、福島県から県外へ避難をされている方々の、近々、二十七年七月三十一日までの復興庁からのデータも拝見させていただきますと、四万五千人を超えております。県内では六万六千人、県外では四万五千人ですから、合わせて十一万人を超える方が県内並びに県外に避難をされているのが今の実態なんですね。

 避難をされている方々の自立を目指さなくちゃならないという方針も一方であるわけですね。ですから、今県内で避難を余儀なくされている方がいかに自立していかれるか、そして、県外から福島県に戻っていただいて生活をしていただく、また自立して生活をしていただくことがやはり必ず必要だ、こういうふうに思いますので、その方々の自立ということを踏まえたときに、やはり補償ではなくて、自立する、いわゆる生活できる環境といいますか、それは生活基盤である企業誘致をもって雇用の場を創出していくということが絶対必要である、このように考えるわけでありますが、この点について大臣のお考えをお示ししていただきたいと思います。

竹下国務大臣 おはようございます。

 きょうは広島の原爆が落とされた日でございまして、七十年たってさまざまな風化しかかっておる記憶を呼び戻そう、もう一度広島を考え直そうという日でありますので、私は、その意味でも、東日本大震災から間もなく四年五カ月になりますが、やはり人間の記憶というのはどうしても風化していきやすいものですが、しかし、復興はまだまだですし、その意味でも、国民の皆さん方に対して、もう一度東日本大震災のあの被災地に思いをいたしてくださいということを、広島の記憶を呼び戻すと同時にお願いをしたいなという思いでございます。

 さて、菅家先生からお話がありました雇用の関係でありますが、企業立地補助金を使いましてこれまでもさまざまなことをしてきたことは事実でございます。現実に、製造業で千七百四十八億円、商業施設等で十八億円というこれまでの実績も上がってきておりますが、しかし、まだまだ、働く場がなければ帰れないという厳しい環境が続いておることも事実でございまして、引き続き、こういった企業立地補助金をどう活用していくか、今後どうしていくかということについても、地元とも物すごく調整をいたしますが、関係各省とも調整をしながらこれは検討していかなければならぬ課題である、このように考えております。

菅家委員 繰り返しになりますけれども、やはり私は、十一万人の方がいまだに避難を余儀なくされている、こういう厳しい現状と再生、復興を踏まえた場合を考えてみても、平成二十八年度以降も福島県全域を対象にいわゆる企業立地補助金を当然継続すべき、このように考えているわけでございますが、どのように対応されるのか、お考えをお示ししていただきたいと思います。

高木副大臣 今委員御指摘ありましたように、企業立地補助金によりまして、被災地における雇用の場の確保だとか新規事業の創出を推進して、成果が出つつあります。しかしながら、現状は、先ほど大臣のお話にありましたように、なかなかこれからという場面もございますので、この補助金については、現行制度のもとでは、事業者の申請受け付けというのは今年度で終了いたしますけれども、避難指示解除、これはまだこれからという状況でございますので、制度の期間延長については、被災地の実情なども踏まえながらしっかりと検討してまいりたい、このように考えております。

菅家委員 先ほど申し上げましたように、被災地域からほとんど県内、県外に避難を余儀なくされて、十一万人の方が避難生活をされておられるんですね。だから、現状で、生活されている方の戻れないところがあるわけですから、避難されている方が、これは被災地域だけではなくて、県内にも六万六千人の方が生活を余儀なくされておられるので、その自立も含めた、ぜひそういう視点で御検討いただきたいと思っております。

 もう一つは、浜通り、被災地域ですね、ここは今まで原子力発電所が一つの生活基盤として町が成り立ってきたわけですね、生活ができる根拠は。それが原発事故で失われた。そして、深刻なダメージを受けた。それを再生して帰還していくようなプロジェクトが進められているわけであります。

 一方で、いわゆる福島県十二市町村の将来像に関する有識者検討会提言もあって、これはすばらしい中身だ、この実現に向けて頑張ってほしいなとエールを送るわけでありますが、これを見てみても、産業の集積とか、生活基盤というのが、例えばイノベーション・コースト構想の実現とか、モックアップ施設、有効活用するというのが示されているわけでありますから、これからこそが、やはり国策でしっかり企業を誘致していく。

 産業を集積するといっても、誘導策といいますか、していかなくちゃなりませんし、そして、今まで生活基盤であった原子力発電所が失われているわけですから、それにかわる生活基盤というか、しっかりとした雇用の場を、企業の誘致といいますか、今、関連産業の集積を目指すというのが述べられているわけですから、これを実現するためにも、当然ながら、今の企業立地補助金でいいのか、もうちょっと踏み込んだ支援策をしていくことが、では、被災地域に企業が、国策であるならばそこに前向きに進出していこうじゃないかと。それは、企業であれば、メリット、デメリットをどうしても考えるわけですね。こういう制度があれば、こういう優遇制度があれば、では考えてみようかということになるわけですから。

 それも、そういう企業をしっかりと誘致することによって失われた被災者の方の再建、もう今インフラの整備も進めているわけですが、インフラの整備を進めて環境も整ったけれども、生活基盤をあわせて用意することによって自立に向けた再生につながるのではないか、私はこう考えるものでありますので、当然、そういった意味で、この原発事故被災地域においては、強力な企業立地を推進するため新たな補助制度を創設し、国策として取り組む必要があると思いますが、お考えについてお示ししていただきたいと思います。

高木副大臣 今現在、被災地域十二市町村を初め浜通り地域は、委員も御存じのように、十二市町村の将来像の報告書においては、イノベーション・コーストということで位置づけられました。

 これは、私の前の赤羽経済産業副大臣が原子力災害の現地対策本部長として、今まではマイナスからゼロにする闘いであったけれども、やはりプラスにしていかなければいけないと。さらに、この第一原発の廃炉・汚染水対策を初め、特に廃炉の問題は四十年近くかかるという話でございますので、これをしっかりと、世界の原子力の知見を集めていく、そのための廃炉研究センターを初めとする拠点、さらには、それをさらに推進するためのロボットテストフィールドなど、そういった形での拠点づくりをしていこう、こういうことでイノベーション・コースト構想を今推進しておりますが、そういった中で、それに付随をして、企業がしっかり集まってこなければいけない、こういった観点に立っております。

 そう考えますと、今の立地補助金に加えてさまざまな支援策というのは検討しなければいけないと思いますし、これは関係省庁としっかりと連携をとりながらやらせていただきたいと思います。

 その一方で、経産省も、この浜通り地域に企業を誘致しようということで、今、全省を挙げて、各企業、団体に声をかけながら、今までの企業立地補助金やまたグループ補助金等々をこういう形で使えますよという説明をしながら誘致に取り組んでおりますし、そういったさまざまな施策を総合的に投入しながらこの被災地域にしっかりとした雇用の場を生んでいきたい、このように考えております。

菅家委員 ぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思いますし、先ほど申し上げた、県内に六万六千人の避難された方もおられますから、あるいはそういう全県的な支援というのもひとつよろしくお願いしたいと思います。

 次に、原発事故による営業損害賠償の今後のあり方についてでありますけれども、東電から、実は、避難指示区域外の商工業者に対する損害賠償は、平成二十七年七月を風評被害賠償の区切りとし、その後の将来にわたる原子力災害事故と相当因果関係が認められる減収相当分について、直近の減収に基づく年間逸失利益の二倍で補償し、その後は個別対応するという方針が出されたわけであります。これに対して、やはり関係団体から、この東電の対応について非常に不安の声が実は上がっているわけであります。

 ただ、私は、何年たったから、五年たったから、では残りの五年はどうしようというのは一つの目安としてはいいと思うんですけれども、やはり実態をよく見てみますと、例えば、福島県を例にとって教育旅行などの状況を見てみますと、被災前は年間七十万人を超える学生を受け入れてきたんですが、平成二十五年度は約三十二万人ですね、半分以下。これは、やはり深刻な風評被害の一つだと思うんですね。

 これに限らずに、さまざまな産業でもまだ戻っていないという深刻な風評被害に実は見舞われているわけでありますので、やはり、そういう一つの区切りという以降も、原発事故と相当因果関係が認められ、風評被害による減収が認められる場合は経営が継続できるようしっかり個別対応すべき、このように考えておりますが、東電へ国としてどのような対応をされるのか、お示しをいただきたいと思います。

高木副大臣 今回の、六月の十二日に閣議決定をさせていただいた改訂福島復興指針におきまして、「特に集中的な自立支援施策の展開を行う二年間において、東京電力が、営業損害・風評被害への賠償について適切な対応や国の支援展開に対する協力を行うよう、また、その後は、個別の事情を踏まえて適切に対応するよう、国は東京電力に対して指導を行う。」このように決めさせていただいて、それを踏まえまして、今御指摘のあった、東電が年間逸失利益の二倍相当額の賠償を行って、その後は相当因果関係のある損害に対して個別の事情を踏まえた賠償を行うこと、このようにしておりますが、委員の御指摘のあった、期間じゃなくて損害の実態、これを見ていかなきゃいけないのは確かでございます。ですから、その後も、しっかりとそういった個別に対応させていただく中で、被災者の事情を踏まえてしっかりと対応してまいりたいと思います。

 その一方で、やはり風評被害は大変大きな問題でございますので、これを払拭することにも全力を挙げていかなければいけないと思います。結局、これが解決しないと損害がずっと続くという結果にもなってしまいますので、この点は国を挙げて、また県と協力をしながら、また、それぞれの被災地の皆様方ともしっかりと連携をとる、そういうような中でこの風評被害というものを払拭させていくことに全力を挙げていく、その両輪の中でそれぞれの事業者の方々が自立できるようにしていく、このように考えていきたいと思っております。

菅家委員 個別対応する中で因果関係を見て、相当ではないのではないかともなってくるわけですね。あるいは、それに影響された、さまざま関連していますから、ダウンすれば当然関連する事業所の売り上げが下がってくる、非常に厳しい状況に追いやられる可能性も否定できない。つまり、倒産に追い込まれる可能性もある。通常ベースでも非常に風評被害で苦しんでいるわけですから。ですから、東電から補償が認められない場合もあり、営業継続が危ぶまれるというのを心配するんですね。

 ですから、個別の減収の実態を踏まえて、倒産に追い込まれないような何らかの支援策をやはり今から考える必要があると思いますが、この点についてはどうでしょうか。

高木副大臣 将来のことというのはなかなか見えないのが現実でございます。正直、震災、原発事故が発生して四年半、そういった中で被災者の方々は大変苦しみながら、または避難地域ではない福島全体の方々が大変苦しんでおられる、こういった現状の中で、やはり原発災害によりまして廃業に追い込まれてしまうことがないような、まさに自立ができるようなことをする。

 まず第一弾でございますが、被災地域においては、二年後、居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除しよう、国も全力を挙げてそれに取り組もうと。ただ、除染を行いインフラは整ったから解除できるという話ではなくて、要は、そこで生活できるか、自立できるかというのが一番大きな問題でございますので、そういった点で、営業損害の部分も含めて全体に俯瞰をしながらバックアップをする、こういうことが一番重要であると考えております。

菅家委員 やはり根本的な風評被害の払拭だと思うんですね。これはやはり国策でしっかりと対応してほしいというふうに思うんです。

 そこで、二〇二〇年に東京五輪・パラリンピックが開催されるわけでありますから、被災県である福島県で関連する事業を開催したり、追加種目の開催地とすることによって世界に福島県の安全、安心をアピールする絶好の機会になれば、このように期待しているわけでありますが、具体的な対策についてお考えがあればお願いしたいと存じます。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、復興五輪として、今回の大会が復興の後押しとなるようにしたいと考えております。

 相手国との交流を含む事前合宿の受け入れ、競技種目関連の国際大会、今後決定される追加種目の試合の開催などを福島で行うことを通じ、元気な福島の姿を世界にお見せすることは、風評被害を払拭する絶好の機会になるものと考えており、組織委員会や関係省庁と連携をとりながら取り組みを進めてまいります。

菅家委員 以上で終わります。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

伊藤委員長 次に、石川昭政君。

石川委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政でございます。

 引き続き、東日本大震災復興関係につきまして、質問に立たせていただきます。

 本日は、原爆投下から七十年目ということでございまして、広島では記念式典が開かれている。こういった戦争あるいは災害によって無辜の市民が犠牲になるようなことがないように努めなければならないという思いで、質問に立たせていただきたいと思います。

 さて、私は茨城県の選出でございます。茨城県は、被災地として大きく注目をされることはございませんでしたけれども、甚大な被害を受けた東北三県、とりわけ福島県浜通り地区は非常に地域的にも近いということで、こうした地域の復旧復興をまず優先に考えながら、自分たちのことは自分でやろうという思いで、地道にこつこつと取り組んできたところでございます。おかげさまで、損壊したインフラというのはほぼ回復をしたところでございます。これから残された課題といたしまして、液状化対策、市庁舎の再建、それと漁港の復興、こういったところに取り組んでいるというところでございます。

 しかしながら、見た目の復興というのは進んでいるわけでございますけれども、残念ながら、目に見えない災害、つまり風評被害に悩まされ続けているというのが現状でございます。そこで、風評被害対策について、冒頭お伺いしたいというふうに思います。

 この季節、夏休みでにぎわうはずの海水浴のお客さんでございますけれども、県内十八カ所の海水浴場、この水質検査はAあるいはダブルAクラス、また放射性物質も不検出。しかしながら、これは震災前、二十二年に比べると、まだ四三%に落ち込んだままでございます。観光客の皆様も、福島に近い私の県北地区はいまだ八割程度にとどまっております。韓国のアシアナ航空でございますが、茨城空港―ソウル便も震災以降、運休のままでございます。

 ことし二月、茨城県が実施した意識調査によりますと、茨城県産の農林水産品の取り扱いを控えているというふうに答えた仲卸、卸業者の割合は、首都圏では八・七%、名京阪神では一八%まだ残っているということでございます。大阪市場における茨城県産の青果物の取扱金額は、震災前に比べまだ八割程度しか回復しておりません。

 政府におかれましては、農林水産省あるいは経済産業省において、被災地県産の販売促進を求める通達を出していただいたり、応援キャンペーンを何度もやっていただいているわけでございますけれども、こうした対策の実というのは上がっているのかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 風評被害対策については、復興庁において昨年六月に取りまとめられ、本年六月にフォローアップされました風評対策強化指針に基づきまして、関係省庁が一体となって取り組みを行っているところであります。

 農林水産省におきましては、第一に、科学的なデータに基づいて正確でわかりやすい情報の提供、第二に、風評被害の大きい福島県産の農林水産物等について福島県が行う広報活動に対して復興庁と連携して支援を行うとともに、先ほどもありましたけれども、「食べて応援しよう!」のキャッチフレーズのもと、官民による被災地産食品の積極的利用の取り組みを推進し、これまで千百件を超える販売フェアや社内食堂での取り組みを行ってきたところであります。

 これらの取り組みに関連した、平成二十六年度の福島県による首都圏と阪神圏の女性を対象としたアンケート調査によりますと、メディアを活用した広報の前後で、福島県産農産物を何となく購入したくないと回答した方の割合が、首都圏では二六%から一七%に、阪神圏では三三%から二四%に低下したとの結果も出ており、風評被害の払拭に向けた一定の効果は見られると考えております。

 一方、消費者庁によることし二月のアンケート調査によれば、福島県産の食品の購入をためらう方が依然として二〇%弱、茨城県を含む北関東産についても七%程度おり、風評被害の払拭に向けた取り組みの推進が引き続き重要であるというふうに認識しております。

 農林水産省といたしましては、平成二十七年度の「食べて応援しよう!」の取り組みとして、先月行われましたセブン&アイ・ホールディングスの復興支援企画、東北かけはしプロジェクトに参加するとともに、まさに本日、農林水産省本館正面玄関において福島県産農林水産物等の販売会を開催する予定にしております。

 今後とも、風評被害払拭のために、被災地や関係省庁と連携いたしまして取り組んでまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 引き続き関係省庁と連携をとって取り組んでいただきたいと思います。

 この風評被害でございますけれども、海外取引にちょっと目を転じたいと思います。

 今、諸外国の輸入規制の解除に向けて取り組まれているというふうに承知をしております。特に、先般、韓国との二国間協議が、開始から六十日を経過したところでございますが、どうも不調に終わっているというふうに聞いております。特に我が国との取引が大きい香港、これは千三百四十三億円もございます。台湾は八百三十七億、中国は六百二十二億、韓国は四百九億円ということでございますけれども、WTOに向けて、紛争処理小委員会、パネルの設置を求めるべきだと思いますけれども、これについて政府のお考えをお伺いします。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、諸外国・地域において、我が国産の農林水産物、食品に対し、放射性物質に関する輸入規制が行われております。

 特に、我が国にとって主要な輸出先国・地域において、例えば、香港は五県の野菜、果実、乳製品を輸入停止、台湾は五県の全食品を輸入停止、中国は十都県の全食品、飼料を輸入停止、韓国は八県の水産物を輸入停止といった、輸入停止を含む輸入規制が講じられております。

 こうした輸入規制に対し、さまざまな機会を捉えて、科学的データに基づき、輸入規制を撤廃、緩和するよう求めてきたところであります。豪州、タイ等十四カ国が規制措置を完全撤廃し、EU、米国、シンガポール等が規制措置を緩和しているところであります。

 御指摘にありました韓国につきましては、五月二十一日にWTO紛争解決手続に基づく二国間協議要請を行い、六月二十四、二十五日に協議を行いましたが、規制の撤廃に向けた見通しは示されませんでした。このため、現在、韓国側の対応を見つつ、パネル設置要請も視野に準備を進めているところであります。

 今後とも、引き続き主要な輸出先国・地域に対し重点的に働きかけを行っていくことが重要であると考えておりまして、WTO、SPS委員会等の国際会議を初めとしたあらゆる機会を通じて科学的データに基づく働きかけを粘り強く行い、輸入規制の緩和、撤廃を求めてまいりたいと思います。

石川委員 ありがとうございます。

 これは、やはり迅速に対応していただきたいと思っております。

 この風評被害の大きな原因の一つとして、福島原発の汚染水があろうかと思います。この汚染水対策について、現状をお伺いします。

 福島原発の周辺、地下水バイパス、サブドレーン、それから凍土壁によります山側遮水壁、海側の遮水壁、この凍土壁の工事もさることながら、この進捗状況、今ちょっと現状が見えてこないわけでございますが、今どういう状況であるか、そしていつから運用ができるのか、この辺の現状をお伺いしたいと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 現状、今御質問のありました福島第一原発にかかわる汚染水の対策についての進捗状況でございます。

 既に、建屋に流入する地下水の量を減らすため、まず汚染源に水を近づけない対策ということを逐次進めてきてございます。その中でも、御指摘のありました地下水バイパスのところからの海洋放出、既に七十数回の海洋への放出も済ませてございます。

 それで、今御質問の中での多分中心課題であろうかと思いますが、サブドレーンの運用というところが一つ大きな課題になってございます。これも含めまして、原子力災害対策本部決定においては、汚染源に水を近づけない対策の一つとして位置づけられているものでございます。建屋付近への地下水の流入量を抑制するため、建屋近傍の方の井戸から地下水をくみ上げて、浄化して、その水質が運用目標値を満たしていることを確認した上で海に放出するものでございます。

 これも通じまして、先ほど申し上げました地下水のドレーン等含めて、建屋に流入する地下水の量を減らし、汚染水の増加を抑制し、あわせて海側遮水壁の閉合を完了することで海洋への放射性物質の流出が低減できるというふうに期待しているところでございます。

 現在、地下水をくみ上げる井戸、それから浄化設備の設備工事は既に完了しているところでございます。サブドレーンからくみ上げた水を浄化後に排水することについて、現在、関係者への御説明を行わせていただいているところでございまして、引き続き関係者の方々に丁寧に説明を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 さらに、先ほど御説明の中で申し上げました海側の遮水壁の閉合というところについても、ほぼその建設については、九〇%以上の建設を済ませているところでございますので、あともう一息で完成というところまで近づいているというところまであわせ申し上げまして、現在の進捗状況ということの御説明にかえさせていただきます。

石川委員 この建設工事に関しては、規制庁、規制委員会の審査があろうかと思いますけれども、今、規制委員会の審査はどういうふうな状況でしょうか。

櫻田政府参考人 お答えを申し上げます。

 凍結方式の陸側の遮水壁、いわゆる凍土壁でございますが、この計画に関しては、実施計画として、これを分割した申請が行われておりまして、現場の状況も考慮して、安全上の問題がないことを確認できたものから順次認可をする、こういう形で審査を進めてございます。

 具体的には、凍結管の工事、あるいは冷凍機やその運転に必要な電源に関する実施計画につきましてはこれまで認可を行っているという状況でございます。

 他方で、凍土壁の運用を開始した後、地下水の水位の管理をする必要がございますが、その関係の実施計画につきましては、建屋内に貯留されている汚染水が外部に流出することを防止する対策、これがまだ十分とは認められないという状況でございますので、認可に至ってございません。

 なお、本年の四月から、地下水位に影響を与えない範囲の試験凍結というものが実施されてございますが、一部において想定を大幅に上回る水位の低下、これは、具体的に申し上げますと、東京電力が自主評価基準として定めているのは十五センチでございますけれども、八十六センチの水位低下が確認されているという状況にございますので、当該部分では今、凍結を一旦停止して、傾向を監視しているという状況にございます。

 こういったことも踏まえて、今後、東京電力から、実測に基づいた地下水位の管理に係る実施計画の変更の申請が行われるというふうに承知してございます。

 原子力規制庁といたしましては、引き続き、安全上の観点から、しっかりと東京電力の取り組みを確認してまいりたいと考えてございます。

石川委員 ありがとうございます。

 次に、中間貯蔵施設の整備についてお伺いをいたします。

 JESCO法を改正いたしました。パイロット輸送も実施中でございます。整備に向けて、土地所有者との交渉というのが大変重要だと思いますが、今、現状どうなっていますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 中間貯蔵施設は、福島の除染と復興を進める上で必要不可欠な施設と考えてございます。

 本年二月に、福島県大熊町及び双葉町から中間貯蔵施設への搬入を受け入れていただきました。これを踏まえて、三月からパイロット輸送を開始しております。これまでに、双葉郡を中心に十一の市町村からの搬出を開始してございまして、そのうち既に八市町村については終了してございます。

 それから、現在、施設内の保管場の工事を鋭意進めてございます。七月三十一日には、第三弾の保管場の工事の入札公告を行ったところでございまして、これによりまして、この一年間のパイロット輸送の段階で必要となります保管場の容量を確保できる見込みが立ったという状況でございます。

 また、御指摘のとおり、中間貯蔵施設の整備に当たりましては、地権者の皆様の御理解をいただくということが大変重要で、大前提でございます。戸別訪問等によりまして説明を進めるとともに、建物等を所有されている地権者の皆さんにつきましては、その御了解を得た上で物件調査も今鋭意進めているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、できるだけ速やかに中間貯蔵施設の整備が進むように、引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 とにかく土地所有者を追っかけていくだけでも大変な作業だと思いますので、しっかり省を挙げて取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 次に、被災自治体の応援職員についてお伺いしたいと思います。

 自治体からの要望数、それから充足数、充足率と言ったらいいでしょうか、これが改善されているのかどうかということをお伺いしたい。そして、今後は被災者の心のケアの事業というのが非常に重要だと言われております。こういった事業に対してしっかり取り組む、その決意というか、お取り組みの方針をお伺いしたいというふうに思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年度に関しまして、二十七年六月現在で、被災市町村から総務省への千四百四十四名の人材確保の要望に対しまして千百五十三人、充足率にして七九・八%は確保されております。要望に対する充足率については、四月現在に比べますと三%程度向上しておるところでございます。

 総務省におきましては、これまでも被災自治体への人的支援といたしまして、四つのこと、すなわち、第一には、全国の自治体に対する職員派遣の要請、それから第二に、被災自治体における任期つき職員等の採用の支援、それから第三に、被災市町村で働く意欲のある自治体OB職員に関する情報提供、第四に、民間事業等からの人材受け入れの促進を進めております。

 この結果、全国の自治体の積極的な協力によりまして、これまで延べ九万百九十七人、本年の四月現在では二千百九十九人の職員が被災自治体で活躍しているところでございます。

 引き続き、復興庁とも協力しつつ、不足分の充足に向け、このような人的支援のより一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石川委員 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 平成二十八年度以降、復興・創生期間の新たな財源フレームが固まりました。被災自治体の自立につなげていくという観点から、一部の事業については一%から三%の一定の自己負担を被災自治体に求めることになったわけでございます。この自己負担について、被災自治体の理解を実際に得られているのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 お話のとおり、六月二十四日の復興推進会議におきまして、今後の五年間、復興・創生期間の財源フレーム、そして、極めて一部ではございますが、自己負担をしていただくということを決定させていただきました。

 かなり理解は得られているのではないかなと。少なくとも、三県の知事に私は直接お話をして、しっかりと受けとめていただいたと同時に、このことによって復興に関連する事業がおくれたり、支障が出たりすることはない、また、そうはしないということを知事の方からお話をいただいたことが一つでございます。

 それから、各市町村長とも、その後、何回もさまざまな機会でお会いをいたしておりますが、絶対に事業に支障が出るようなことはないということもいただいておりますし、しっかりと受けとめていただいておるなと。ある市町村長は、地方自治の本旨、本論といいますか、やはり地方自治の本論に基づいて一部負担するというのは、方向としてもうやむを得ないんだということもお話をいただいております。

 まだまだパーフェクトに、もろ手を挙げて賛成ということではないとは思いますけれども、しかし、相当理解は進んでいると思っております。

石川委員 ありがとうございました。

 今後とも被災地に寄り添うような形での復旧復興に努めていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 本日は、広島原爆投下から七十周年の節目となっておりまして、犠牲となられた皆様、また、被災されて、その後、七十年間生き抜いてこられた方々の思いにはせながら、被災地の復興、被災者一人一人の復興について質問をさせていただきたく思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 限られた時間でございますので、早速質問をさせていただきます。

 現在、子ども・被災者支援法、この基本方針の改定について検討がなされ、パブリックコメントの最中であるというふうに認識しております。

 この法律制定時から比べれば、福島県の被災地の状況は、放射線量も含めて大きく変化をしておりまして、それに合わせて改定をしていく、そういった方向は正しい判断であるというふうに考えております。

 一方、今回の改定の中で、支援対象地域の変更について触れられておりまして、この改定案の中では、支援対象地域は、線量が発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にないという明記がされるという案となっております。こうした文言を見た避難者の方々は大変御不安を募らせておりまして、即座に、この対象地域が変更になった場合に支援が打ち切られるのではないかという不安の声もいただいているところでお聞きいたします。

 そうしたお声をいただきまして質問させていただきますけれども、今回の支援対象地域の考え方及び支援のあり方について御答弁をお願いいたします。特に不安の声が大きいのが住居の確保に関することでございまして、住居支援を含めて、今回の改定の基本的な考え方について復興庁にお伺いいたします。

浜田副大臣 子ども・被災者支援法の基本方針の改定につきまして御質問いただきました。

 被災者は、避難先での生活が継続し、生活の基盤ができている方も多いと思っております。帰還されるか避難先などで定住をされるか判断するためには、子供の就学や仕事のことなどさまざまなことを考慮することが必要でございまして、一定の期間が必要であると考えております。そのため、基本方針改定案では、当面、支援対象地域は縮小しないとしておりまして、さらに、子ども・被災者支援法の趣旨に沿いまして、支援対象地域から避難せずに居住を続ける場合、また、他の地域へ移動して生活する場合、そして、移動前地域へ再び居住する場合のいずれを選択した場合であっても、引き続き必要な支援を行うこともはっきり記載しておりまして、支援を打ち切ることなどはございません。

 復興庁としましては、御指摘のような不安を持たれている方々に対しましては、御指摘の住居の問題を含めまして、改定案の内容がしっかり伝わるよう引き続き丁寧な説明をしてまいりたいと思っております。

真山委員 今、はっきりと打ち切らないという明言をいただいたわけでございます。ぜひとも、被災者お一人お一人の実情はさまざまでございまして、帰還するしないも含めて御対応のほどお願いしたいというふうに思うところでございますし、浜田副大臣におかれましては、自主避難者の皆様とも積極的に懇談の機会をいただいておりまして、そういったお声を受けとめていただいての今回の改定であるというふうに認識しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 関連してお聞きいたしますけれども、この支援制度に基づく支援策についてでございます。

 母子避難者等の高速道路の無料化であるとか、また、福島県におきましては低線量地域での体験活動、こういったことも支援措置として展開されてきたわけでございます。こうした支援策、そのほかにもさまざまございますけれども、今後継続的に展開されていくのか、また、新たな支援制度についても、今後の展開、マスコミ報道ではモニター制度のような形で検討もしているというような報道もございますけれども、新たな支援策についてお聞きしたいと思います。復興庁、よろしくお願いします。

浜田副大臣 御質問いただきました個別の施策につきましては、今後、予算編成過程において検討されることとなりますが、今般の子ども・被災者支援法基本方針改定案におきましては、引き続き必要な施策を行っていくということを明記しております。

 なお、御質問いただきました母子避難者等に対する高速道路無料化措置とか、ふくしまっ子体験活動応援事業など具体的な施策につきましては、今般改定する基本方針に沿って取りまとめることとしておりまして、今後お示ししていきたいと思っています。

 また、御質問いただきましたいわゆる移動支援の拡大、モニター制度等につきましても、被災者支援の総合交付金によりどのような支援を行っていくのか、今後検討していきたいと考えております。

真山委員 被災者の、特に自主避難者の皆様は大変御不安を感じておりますので、そういった思いに沿った展開をぜひお願いするところでございます。

 続きまして、楢葉町の避難指示解除について質問をさせていただきます。

 楢葉町におきましては、九月の五日を目指して、避難指示解除に向けて、今、準備宿泊等が展開されているわけでございます。

 私も、ことしの四月ではございましたけれども、楢葉町民の皆さんとの懇談会の機会をいただきました。その際、さまざまな御不安の声をいただきました。やはり除染の問題、放射線量の問題、住居、仕事、また介護施設や買い物施設、こういったことに加えて、道路の渋滞、また水、こういったさまざまな不安の声をその場でいただいたわけでございます。こうしたお声は政府においても認識されていると思いますし、また、そうしたお声を受けて今回、避難指示解除の時期も後ろにずらしたというか、おくらせたわけでございました。

 そこでお聞きしたいと思いますけれども、この楢葉町の帰還環境整備の状況について、どの程度復旧しており、帰還可能と判断したのか、お答えいただきたいと思います。また、特に住宅の修繕、リフォーム等に関しては、人手不足等の問題もありましてなかなか進んでいないというお声も聞こえてくるわけでございますけれども、こういったことも含めて帰還整備の状況について御答弁をお願いしたいと思います。経済産業省、お願いいたします。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 楢葉町の避難指示の解除についてのお尋ねでございました。

 楢葉町の現在の状況は、平成二十三年十二月二十六日の原子力災害対策本部決定に照らしまして、空間線量率で推定されました積算線量が年間二十ミリシーベルト以下であること等を初めとします避難指示を解除する要件を満たしております。また、企業活動の再開等を初めとしまして、復興を一日も早く進めるためには、早期に避難指示を解除することが適当でございます。このようなことから、避難指示の解除の考え方につきまして、二十回にわたりまして開催いたしました住民懇談会等の機会を通じ御説明してまいりました。

 これらの場で皆様方からお示しいただきました御意見等を踏まえまして、帰還を希望される住民の方々の御不安をさらに緩和するために、帰還後の生活がより円滑に立ち上がりますよう、医療、買い物、飲料水の三分野で新たな対策を進めることといたしました。

 具体的には、住民が安心して医療サービスを受けられますように、広野町の病院への無料バス運行を開始いたします。また、不便なくお買い物いただけるということのために、町内で営業中のスーパーによります宅配サービスを開始いただきます。また、水道水の不安を解消するためにということで、御家庭の蛇口から出ます、放射性物質の検査を本格的に開始するということで、一つ一つ取り組みを進めてまいります。

 このようなことで、楢葉町長を初めとする皆様方に、七月六日、高木原子力災害現地対策本部長から、九月五日をもって避難指示解除を行う旨、お伝えしたところでございます。

 ただいま先生から、特に住宅の話につきましてお尋ねがございました。

 昨年十一月の住民意向調査におきまして、今後すぐに修繕予定、または、一、二年以内に修繕予定と御回答いただきました方が二百四十五世帯、これは全回答数の一五・五%でございますけれども、ございました。この回答も踏まえまして、こうした住民の方々を支援いたしますために、楢葉町におきまして本年一月より楢葉町住宅再建相談窓口というのを立ち上げまして、住宅リフォーム、建てかえに関します相談、業者紹介等を行っております。本年七月三十一日までに百四十三件の相談を受け付け、五十六の業者を紹介いたしました。

 ただいま御指摘ありましたとおり、住宅の問題は非常に大きな問題でございますけれども、避難指示が出ているために住宅リフォームを含む事業活動へのちゅうちょ等があるのではないかという御意見を、楢葉町長さんを初めとしまして頂戴しております。したがいまして、住宅リフォーム業者の参入を促し、復興を加速化するという観点からも、今般、避難指示解除を行うこととしたものでございます。

 住宅リフォーム業者の参入の加速化とあわせまして、住宅修繕の状況につきましては、これは、避難指示解除後も定期的に開催する予定の、ならは復興加速円卓会議の場におきまして住民の皆様方の御意見を伺いまして、必要に応じ迅速に対応してまいります。

 また、解除後すぐに御自宅でお住まいになることが難しい方々がいらっしゃろうかと思います。これらの方々に対しましては、楢葉の町営住宅を今夏中に約五十戸、修繕、提供いたしますとともに、現在の仮設、借り上げ住宅に引き続きお住まいいただけますように、供与期間を平成二十九年三月まで一年延長することなどを通じまして、しっかりと支援してまいります。

 以上でございます。

真山委員 今御答弁いただきました内容に加えて、やはり大事なことは、生活の基盤である働く場所の確保であるというふうに思っております。

 先ほど住宅のリフォームのお話がございました。なかなか追いついていないということでもございますし、ある意味、それは仕事になるお話かと思います。ただ一方で、避難者との懇談を持った際にこのようなお声をいただきました。当面は、さまざまな施設の復旧、そういったリフォームを含めて需要がありますので、仕事はしばらくはあるであろう、しかし、その先、そういった需要が終わったその先に仕事が本当にあるのだろうかという御不安の声。その方はある程度お年がいった方でございましたので、自分はいいけれども、やはり若い世代にそうした状況で帰ってこいとはなかなか言えない、そういった心情も吐露していただきました。

 そういった意味で、長期にわたる雇用創出の必要性があると思っておりますけれども、そうしたことに対しての見解をお伺いいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘いただきましたとおり、避難指示の解除に当たりましては、帰還される住民の方々の働く場所の確保が大変重要な課題と認識しております。

 被災した施設設備の復旧を支援いたします中小企業等グループ補助金、あるいは工場の新増設等を支援いたします企業立地補助金等を活用いたしまして、事業者の帰還、事業の再開、そして企業の新規の立地というのを進めて雇用の確保に努めてまいることが何よりも重要と考えてございます。

 本年の三月には経済産業省におきまして、福島県への企業立地促進プロジェクトというのを立ち上げました。経済産業省全省を挙げまして、避難指示区域を初めとしました被災地への企業誘致に取り組んでいるところでございます。

 先生御指摘いただきましたとおり、長期的に安定した雇用が創出されるということが何よりも大事でございまして、引き続き、これらの取り組みを総合的に活用して、楢葉町を初めといたしました被災地の雇用確保に全力を挙げてまいります。

真山委員 ぜひともお願いしたいところでございます。楢葉町、御存じのとおり、人口七千四百人の大規模な避難指示解除に今回なるわけでございまして、今後のほかの市町村の避難指示解除にも大きな影響を与える事案であると思っておりますので、ぜひ、円滑に避難が進むようにそういった施策もしっかり展開していただきたいと思う次第でございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 まず、風評被害対策でございますけれども、福島復興指針の改訂におきましては、与党の第五次提言も踏まえてさまざま取り入れていただきました。そうした中で、二十七年、二十八年、集中的に復興施策を展開するとなっておりまして、この指針の改訂の中では、各種支援策の充実ということで七項目書かれております。

 そのうちの三から五に関してなんですが、三は農林水産業の再生、四は風評被害対策、農林水産物、食品輸入規制、渡航制限等の撤廃、緩和、そして五は販路の拡大。全て、今回の風評被害にかかわる項目が列挙されていると私は認識しております。

 福島の農産品を取り巻く環境は依然厳しい状況がありまして、やはり市場において価格下落といいますか、価格を取り戻せない、福島のもともとのブランド価値といいましょうか、そういったものが失われてしまっているわけでございまして、そういった意味では、市場において非常に条件として不利な状況にあるわけでございます。

 そうした状況を受けまして、県は、風評・風化対策強化戦略を今月中にもまとめ、県と市町村、国、民間企業、団体が連携した広域的な仕組みとして対策チームを検討しているようでございますけれども、こちらに対して復興大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 風評被害対策というのは、非常に福島の復興にとって大きな、重要な課題であると認識をしております。

 お話がありましたように、福島県の方でも、県庁の中に風評被害対策監という局長級の人を任命いたしまして、特に力を入れてやる、そして、今月ぐらいに県としての対応を発表すると伺っております。

 この方向性というのは、復興庁がこれまで取り組んでまいりました風評被害に対するタスクフォースの中で私があちこちに指示をしたり、あるいは検討を命じたことの方向性と一致をしておる、まさに一緒になってやらなきゃならぬ課題であるというふうに認識をいたしております。

 と同時に、国内のさまざまな対応については、福島県の方でもきちっと対応できる分野もたくさんありますけれども、外国の皆さん方、まず風評被害で輸入を制限していらっしゃる方をどう取り除いていくか、あるいは、外国からの観光客、特に福島のあのエリアに対する観光客をどう誘致していくか等々、これは県の受け持てる範囲を超えているといいますか、国がむしろしっかりやらなければならない分野というのもありますので、そういった面も含めて、まさに二人三脚というか、一丸となって風評対策というのは取り組んでいかなきゃならないし、いこう、こう思っております。

真山委員 ありがとうございます。

 まさに大臣に御指摘いただきましたとおり、県だけではなかなか対応できない問題でございまして、国を挙げて取り組んでいただきたいわけでございますけれども、国と言ったときに、国とはどこなのかという話になりまして、これはぜひ復興庁にそのリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っているわけでございまして、お願いする次第でございます。

 ちょっと時間もなくなってまいりましたので、こちらで最後にいたしますけれども、風評被害にあわせて実害も絡んでいる案件でございますけれども、原発事故の影響を色濃く受けている一つ、原木シイタケについて少し質問をさせていただきたいと思います。

 原木シイタケについては、一部、露地栽培、施設栽培も含めて出荷制限がかかったときもございました。それ以外にも菌床栽培とか、これは全く影響を受けない分野でございますけれども、こういったこともございます。

 この原木シイタケ栽培については、先ほど言いました風評被害として市場において価格で不利であるということと加えて、生産に必要な原木について問題がございます。

 福島県は、もともと原木の生産、供給量が日本一の地域でございまして、これが今出荷ができない状況になってございます。その結果、ほかの地域から買い入れてくる関係で、非常に高いコストで、二倍、三倍ぐらいの値段で原木を仕入れざるを得ない、そういった状況がございまして、価格下落の風評被害とともに、経費の増ということで生産者は大変苦労しているわけでございます。

 こうした状況を受けまして、今、政府にとって、この原木シイタケを取り巻く環境をどのように捉え、対策を講じているのか、お聞きしたいと思います。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 原木シイタケ栽培につきましては、原発事故の影響によりまして、被災地における原木林の汚染によりまして、キノコ原木の不足、キノコの出荷制限、また、御指摘ございましたように風評被害等の影響が生じていると認識しているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、福島県など被災地の原木キノコ栽培の再生に向けまして、キノコ原木の導入支援、非破壊検査機を用いました効率的なキノコ原木の放射性物質の検査手法の確立への支援、また、キノコの安全、安心の確保や消費拡大に向けました取り組みへの支援などを推進しているところでございます。

 今後とも、地元自治体などと連携をいたしまして、被災地における原木キノコ栽培の再生に向けた取り組みを全力で推進してまいりたいと考えております。

真山委員 時間となりましたので、以上で終了いたします。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 集中復興期間が今年度で終了するわけでありますけれども、高台の造成等によりまして、住宅の再建あるいはまた生活の再建、さまざまな課題はありますけれども、着実に進んでいると思います。

 ただ、今も応急仮設住宅に住んでいる方の中には、やはり経済的な弱者、あるいはまた、みずからの移動手段を持たない交通弱者の方々が大勢おります。そういうところにもしっかりと光を当てていかなきゃならない、こう思っております。

 そしてまた、次の五年間、やはり何といってもやらなければいけないのは将来のまちづくりだと思っております。このまちづくりに当たって大きな影響を与えるのは、やはりこれは鉄路だ、こう思っております。

 そこで、被災三県、岩手、宮城、福島の鉄道の復旧の現状についてお尋ねいたしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、三陸鉄道でございますが、被災した五日後の三月十六日に陸中野田駅―久慈駅間の運転が再開をされまして、その後、順次復旧が進められてまいりました。その結果、南リアス線は平成二十六年四月五日に、北リアス線は同年四月六日に、それぞれ全線で運転を再開いたしました。

 山田線につきましては、本年二月の六日に、JR東日本から三陸鉄道への運営移管につきまして、岩手県、沿線自治体、三陸鉄道及びJR東日本の間で正式合意がなされまして、その後、三月七日に着工式が行われたということでございます。

 大船渡線と気仙沼線につきましては、現在、鉄道運休中の代替交通の確保の観点から、JR東日本より、仮復旧といたしまして、BRTの運行が行われているところでございます。

 石巻線につきましては、本年三月の二十一日に、女川町が主催いたしました女川駅周辺の町開きとあわせまして、浦宿駅―女川駅間が復旧をいたしまして、全線で運転を再開いたしました。

 仙石線につきましては、被災した東名駅、野蒜駅の両駅を内陸側に移設いたしまして、平成二十七年五月三十日に、高城町駅―陸前小野駅間が復旧をいたしまして、全線で運転を再開いたしました。

 また、仙石線と東北線が接続をされまして、その結果、仙石東北ラインの運行が始まり、石巻駅と仙台駅間の所要時間が約十分短縮されたということでございます。

 また、常磐線でございますが、本年三月十日に、将来的に全線で運行を再開させるという方針が決定をされたところでございます。

 このうち、津波で被災をしております浜吉田駅―相馬駅間につきましては、平成二十六年春に復旧工事に着手をしておるところでございます。

 また、原発事故の影響で不通となっております原ノ町駅―竜田駅間のうち、原ノ町駅と小高駅間につきましては、本年四月に復旧工事に着手したということでございます。

黄川田(徹)委員 それぞれ路線別に、今お答えいただきました。

 時間はかかっても、鉄路での復旧ということで、浜吉田―相馬間ですか、JR常磐線、これも復旧に向けてということでもう動いておるということ。あと、除染等も関係があるんでしょう、残りの常磐線の方も逐次やっていくということであります。

 宮城県の鉄路は動き始めた。宮城県といっても、県北に気仙沼というところがありまして、この気仙沼線、そして私の住む陸前高田、これは大船渡線でありますけれども、ここは鉄路での復旧はどうなるのかというところ。今は、仮復旧ということで、BRT、バス高速輸送システムですか、これに基づいて動いておるわけでありますけれども、この部分は今のところバスだということ。

 同じ岩手でも、第三セクターですね、三陸鉄道、これは北リアス、南リアスとも全面再開。それから、山田線宮古―釜石間は、間にありますので、これはJRから三鉄へ移管される。たしか移管するに当たって三十億ぐらいのさまざまな支援があるということも聞いておりますし、それから、何といっても、一等最初に復旧したのは第三セクターでありまして、JRは黒字でありますから、支援策ということ、国費ということはなかなか難しいわけでありますけれども、自治体が復旧するということで、それで特別な制度設計をして、補助制度ですか、そしてまた、地方負担、裏負担は復興特別交付税でしっかりと財政支援するということで、こういう形になっておりますよね。

 そこで、やはり駅といいますか、この復活というのは地域にとっても大きな課題であります。そこで、改めて、まだ課題があるところ、鉄道復旧に係る課題と、それから運転再開の見通しといいますか、それぞれ今現状を聞きましたけれども、それを含めて御答弁いただけますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 課題が残っております路線でございますけれども、まず、山田線につきましては、既に復旧工事には着手しておりますけれども、復旧時期の問題が残っております。これにつきましては、現在、JR東日本と岩手県などとの間で調整を進めているところということでございます。

 次に、大船渡線と気仙沼線でございますが、こちらにつきましては、去る七月二十四日に開催をされました第二回の大船渡線、気仙沼線沿線自治体首長会議におきまして、JR東日本の方から、両線について、復興に貢献する持続可能な交通手段として、BRTにより本格復旧を行いたいという旨の提案がございました。この提案につきましては、各自治体が持ち帰って検討していただいた上で、次回のこの会議で各自治体のお考えをお示しいただきまして、復旧方針について議論を進めていくということになっております。

 なお、次回の会議でございますが、各自治体における検討状況を踏まえまして、年内を目途に日程の調整を行うということになっております。

 また、常磐線でございますけれども、先ほど申し上げましたように、将来的に全線で運行を再開させるという方針を本年の三月十日に決定したところでございますけれども、このうち、津波で被災いたしました浜吉田駅―相馬駅間につきましては、平成二十九年春ごろの運転再開に向けて復旧工事が行われているところでございます。

 また、原発事故の影響で不通となっております原ノ町駅―竜田駅間のうち、既に復旧工事に着手しております原ノ町駅―小高駅間につきましては、平成二十八年春までに開通するということとしております。

 また、小高駅―浪江駅間につきましては、遅くとも二年後の開通を目指すということでございまして、また、竜田―富岡駅間につきましては、三年以内を目途にできるだけ速やかな開通を目指しているということでございます。

 さらに、帰還困難区域を含む浪江駅―富岡駅間につきましては、除染や異常時の利用者の方々の安全確保策を完了した後に開通することとしておるところでございます。

黄川田(徹)委員 今のお話の中で、BRTの関係なのでありますけれども、JR東日本から提示されたということ。それで、実は、私のうちにも、地元といいますか、陸前高田市の今月号の広報が来まして、BRTでの本格的な再開、住民に意見を求めておるということでありますし、それから住民懇談会も開催されるということであります。

 そこで、この仮復旧のBRTについて、改めて一つ一つお尋ねいたしたいと思います。

 その前に、大船渡線、気仙沼線でありますけれども、震災がある前からどういう利用状況なのか、震災後、どんな形になっているのか、ちょっとその辺のお話をいただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、両線でございますが、一日当たりの平均通過人員で比較させていただきますと、まず、大船渡線気仙沼―盛間につきましては、国鉄が分割・民営化されまして、JR発足後の昭和六十三年度を見ますと、一千三百四十九名の御利用があったということでございますが、震災前の平成二十一年度にはこれが四百五十三名ということでございました。さらに、現在、BRTで仮復旧しておるわけでございますが、仮復旧後の平成二十六年度の数字を見ますと二百五十名となっております。

 一方の気仙沼線の柳津―気仙沼間でございますけれども、同じくJR発足後の昭和六十三年度には一千四百二十五人ということでございますが、震災前の平成二十一年度にはこれが八百九十八人ということでございます。さらに、BRTによる仮復旧後の平成二十六年度は二百七十八人という数字になっております。

黄川田(徹)委員 では、引き続き、BRTのことについて二つあわせてお尋ねいたします。

 BRTの特徴というのはどういうものなんでしょうか。それから、BRTで仮復旧していますが、このサービス内容についてお尋ねいたします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、BRTの特徴でございますけれども、通常の路線バスと比較いたしますと、一般に、一部区間について専用道を走行するということでございまして、定時性とか速達性が高くなるということがございます。他方、一般に、鉄道と比較をした場合には輸送力には劣るということでございますが、他方、利用状況に応じて比較的容易に路線等の変更が可能であるといったことでございますとか、あるいは建設のコストが安価であるといったことが挙げられるかと思います。大船渡線、気仙沼線に導入されておりますBRTについても、こうした特徴を有しておるものというふうに考えております。

 一方で、現在の大船渡線、気仙沼線において導入されているBRTのサービスの内容でございますけれども、まず、運行ルートにつきましては、両線ともに鉄道運休中の一部区間を専用道として活用しつつ、一般道も使用して運行しておるということでございます。

 運行便数でございますけれども、例えば、大船渡線の盛―陸前高田間は一日上下五十三本、気仙沼線の気仙沼―本吉間は一日上下六十五本の運行となっておりまして、これは震災前の鉄道の運行頻度と比べますと二倍程度以上ということでございます。

 また、停留所でございますけれども、大船渡線においては十七停留所、気仙沼線においては十九駅というふうになっておりまして、いずれも、停留所の新設によりまして震災前の鉄道の駅よりは増加をしておるということでございます。

 最後に運賃でございますけれども、運賃については鉄道と同額の運賃設定となっております。

黄川田(徹)委員 具体的に運行されていますので、住民の評価等もさまざまあるわけでありますけれども、本格復興の中でBRTの導入となれば、さらに新たな課題もあるかと思うんですが、その辺はどうですか。

水嶋政府参考人 先生御指摘のとおり、地域の方々からいろいろな御要望があるということでございますので、これは、これから、JR東日本あるいは地域自治体の皆さんの中でしっかりと意見を集約していただきまして、地域住民の方々の御意向に沿えるような形で、本格復旧の形、どのような形がいいかという結論を出していただくということになろうかと思っております。

黄川田(徹)委員 いずれ、相手が黒字のJR東日本でありますので、なかなか国費の支出というのが難しいということ。ルート変更を伴う復旧だと、これはJRの試算でありますけれども、大船渡線が四百億円、それから気仙沼線が七百億円というふうなことであります。

 駅に対する思いというのは昔からありまして、旧制中学、高校の先輩に石川啄木というのがおるのでありますけれども、歌人でありますので、その歌の一つに、「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」ということで、駅名は書いてありませんが、これは上野駅なのであります。東北の人間からすれば、上野駅は始発駅といいますか、最近は、東京駅、品川までも延びておりますけれども。

 それから、これまた先輩の宮沢賢治も、彼は童話作家、詩人ということでありますけれども、岩手はたびたび冷害があって農業が厳しい、そういう中で、自分も農学校を出たものですから、土壌の改良だということで、石灰石の採掘ということで、その採掘したところが、岩手の一関市の東山町の陸中松川というところの駅の近くの工場でありまして、そこで働いて、その駅周辺のことをたびたび書いておるところであります。

 今、陸中という言葉を言いましたけれども、宮城、岩手、青森、これは、陸前の国、陸中の国、陸奥の国ということで、戦後、仙台から八戸、青森までということで、高規格道路あるいはまた鉄路でつなぐということで頑張ってきたわけでありますが、この震災であります。

 高規格道路については、しっかりと、八戸―仙台まで、あと五年もすれば目に見えてくると思うわけでありますが、鉄路は、もしこのままいけば、気仙沼、宮城でありますけれども、岩手の陸前高田、大船渡、さまざま切れてしまうということになるわけであります。

 実は、大船渡線は、一九二五年に一関市の摺沢駅、一ノ関駅―摺沢駅間が一部開業しまして、それから十年後、一九三五年に、終点、大船渡市の盛までやっとたどり着きまして、そうすると、一九二五年、一九三五年でありますので、九十年、八十年という、ちょうど節目なのであります。地元の一関市の博物館では、大船渡線開業九十年ということでさまざま催し物もしておるわけであります。この間、通勤とか通学とか、観光産業に大きな役割を果たしましたし、そういう中で、根強い鉄路の復旧を求める方々もおるのであります。

 現実には、その利用者でありますけれども、私も月一必ず大船渡線に乗りまして、東京に戻ってきておりました。これは現場を見るということで、大事なことだと思っておりましたので。二時間半ぐらいかかるんですよね、私のところから新幹線に乗るための一ノ関まで、乗りかえ等かかります。それから、実はもう今、新幹線はどんどん速くなりまして、二時間四十分で一関市から東京まで来れるということ。ですから、五時間から六時間かけて着くわけでありますけれども、それでも鉄路ということであります。

 いずれ、現実的な対応といいますか、さまざまな判断が出てくると思います。ただ、BRTになったとしても、やはり、交通体系といいますか、過疎とか中山間地の交通体系、さまざま国交省もやっておられると思いますけれども、JRのBRTだけじゃなくて、全体としての交通体系の整備が大事だ、こう思うわけであります。

 特に、三陸道が整備されてきますと、多分、高速バスとかが出てくると思うわけであります。その辺に上手につなげていくとか、さまざまな考え方があるかと思っております。

 ぜひとも、将来のまちづくりそれから公共交通体系の整備、しっかりと国も県も市町村も議論をして、結果を出していただきたいな、こう思うわけであります。

 鉄路がもしかするとなくなるんじゃないのかという思いの中で、一抹の不安と寂しさもあるわけでありますが、また一方、足元の現実もあるということで、私もしっかりと取り組んでいかなきゃならない、こう思っております。

 それでは、次の質問であります。

 やはり沿岸の首長さんたちも、三陸海岸は、リアス式海岸ということで観光資源の大きな目玉だということでありますので、観光に大きな影響を与えるんじゃないのかということを思っておるわけであります。

 去る八月二日、東北観光復興加速化会議が仙台市で開催されまして、これは訪日外国人の関係なのでありますけれども、旅行客が拡大しておりますので、東北全体でも連携してしっかりと受け入れようということであります。その中でも、岩手の第三セクターの三陸鉄道で受け入れのためのこういう事業がありますよということで、そういうことも紹介されたと思っております。

 また一方、これは観光庁の調べでありますけれども、二〇一四年の観光客の延べ宿泊者数は、震災前の二〇一〇年と比較し、全国で七・九%の増加、それに対して被災三県は一〇・八%減少した。外国人の延べ宿泊者数は、全国で六一・七%ふえたが、被災三県では三五・五%減っているということであります。

 そこで、東北地方への観光客の状況は震災前の水準には戻っていないということであります。このため、東北の観光振興を図ることが重要と考えるわけでありますけれども、観光庁の取り組み、考え方をお尋ねいたします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、東日本大震災によります多大な被害や原発事故に伴う風評被害などによりまして減少した観光需要は、一定程度回復してきているものの、震災後の落ち込みから回復しておりません。

 観光は、東日本大震災から復旧復興していく上で大変重要な役割を担っていると考えておりまして、観光需要を回復していくためには、現地の取り組みに対する最新の情報を広く発信するとともに、多くの旅行者の方に実際に現地を来訪していただくことが必要と考えてございます。

 このため、太平洋沿岸エリアを中心に、地域が実施する取り組み、具体的には、第一に、ポータルサイト「東北物語」などによります情報発信体制の確立、第二に、東北沿岸の海の幸など地域ならではの観光資源を生かした復興ツアーの実施、第三に、語り部ガイドの研修や教育旅行関係者の招請による震災学習プログラムのブラッシュアップによります震災の記憶の伝承を行う取り組み、第四に、地域関係者によるワークショップの開催などによる地域資源の掘り起こしや滞在プログラムの造成などの取り組みに対しまして支援を実施しております。

 また、観光庁では、本年度より新たに広域観光周遊ルート形成促進事業を創設いたしまして、広域に連携した地域の関係者によって作成された広域観光周遊ルート形成計画に基づく地域の取り組みを支援することとしております。東北地域のルートを含め、全国七つのルートを六月に国土交通大臣が認定しているところでございます。

 また、御指摘のとおり、今月二日には、西村副大臣出席のもと、地域の官民の関係者が一堂に会しました東北観光復興加速化会議を開催し、東北観光振興のための今後の取り組みのあり方について意見交換を行ったところでございます。

 今後とも、一刻も早い観光需要の回復に向けて、引き続き地域の皆様と連携して取り組んでまいります。

黄川田(徹)委員 発災直後に、東北観光博という取り組みをしたはずであります。目に見える形といいますか、衆参の復興の特別委員会の委員には、桃太郎旗の、小さなものが多いですから、それぞれ配るぐらいの取り組みをしていただきたいと思います。

 時間が残り少なくなりました。

 最後の仕事になると思うのでありますけれども、東日本大震災の追悼・祈念施設等を整備していくということで、被災三県に一カ所ずつ国営施設をつくるということで、たしか決まっていたと思うわけであります。

 この辺、国営施設もありますけれども、国営じゃなくて自治体独自の施設等もそれぞれ計画があると思いますので、この辺、あわせて、どういう状況か、お尋ねいたします。

長島副大臣 お答えをさせていただきます。

 被災三県の国営追悼・祈念施設、二十三年七月、東日本大震災からの復興の基本方針で検討が位置づけられた施設でございます。二十五年の基本構想の検討を行い、二十六年十月三十一日に、岩手県陸前高田市及び宮城県石巻市に、東日本大震災からの復興の象徴となる国営追悼・祈念施設を設置することについて閣議決定を行ったところでございます。

 二十六年度には、市民フォーラムの開催、御遺族の方々や被災前にお住まいだった方々を対象に意見交換を行うなど、地元の御意見を伺いながら基本計画の検討を進めてきたところでございます。

 今年度から基本設計に着手することとしており、三十二年度末を目途に、関係省庁や地方公共団体と連携して整備を進めてまいりたいと思っております。

 福島県については、四月に、県が浪江町、双葉町にまたがるエリアを候補地として選定したところであり、今後の進め方について関係省庁や地方公共団体と調整を行ってまいりたいと思います。

 一方、市町村が独自で設置を検討しております追悼施設については、市街地の整備や住まいの復興が進むに従って取り組みが進んできているところでございます。現在、十市町村において、復興祈念公園や復興広場、鎮魂の森などの検討や構想策定、整備が行われており、整備に当たっては、復興交付金の活用だけでなく、住民等の寄附を募るなど、さまざまな思いを受けとめつつ進められていると承知をしております。

 今後、その他の市町村においても次第にこうした取り組みが進むものと考えており、復興庁としても、引き続き地元市町村の期待に応えるべく対応してまいりたいと考えているところでございます。

黄川田(徹)委員 国立の方は着実に進んでいるということ、国の施設は。あとは、足元の復旧復興で手が回らないということで、本来つくりたいんだけれどもまだ表に出てきておらない自治体の施設計画もあるかもしれませんので、そこは副大臣から今お話しされましたけれども、しっかりと対応していただきたいと思います。

 それでは、最後の質問であります。

 きょう冒頭、竹下大臣、戦後七十年ということで、広島の思い、さまざま、七十年、七十歳、古来まれなり、古希でありますから、やはり体験というものは本人が持っているものであって、これを引き継ぐというのは大変なことなのであります。

 最後の仕事というわけじゃないですけれども、十年後をめどに、平成三十二年度末を目途にこの追悼・祈念施設ができてくるわけであります。今計画されているのでありますけれども、この追悼・祈念施設のあり方に係る大臣の所見といいますか、お聞きしたいと思います。

竹下国務大臣 この東日本の大震災は、一万八千人以上の方がお亡くなりになったり行方不明になっていらっしゃる、まさに未曽有の国難でありまして、私たちといたしましても、国民全体で追悼の思いを示す場所をしっかり残さなきゃいかぬ、さらには、復興に向けてまだまだやりますよという未来への思いもそこに込めなきゃならぬ、そういったいろいろな思いを込めて、被災の大きかった三県に国立の施設をつくるということを決めさせていただいた次第でございます。

 これからどういう形でつくっていくか、いずれも、県や市町村が考えておられる追悼祈念公園といったようなものの中の一部に国立のそういう追悼施設をつくっていくということになってくると思いますので、場所は大体決まりましたけれども、どういうものにしていくかというのは、地元の皆さん方としっかり、本当にしっかり話し合って決めていかなければならない、こう思っております。

 と同時に、先ほどから話にありますように、各市町村でもさまざまな追悼の施設というものを計画していらっしゃいます。復興はまず住居の確保等々が先だということもありまして、なかなか追悼施設にまで今のところは手が回っていないのは事実でございますが、各市町村がそれぞれの思いを込めて追悼施設をつくっていかれる、あるいはつくりたい、それには復興交付金等々さまざまな形でしっかりと対応していかなきゃならぬ、こう思っております。

黄川田(徹)委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。

 きょうは、広島原爆の日でございます。平和記念式典の様子をテレビを通して拝見させていただき、黙祷をささげさせていただきました。原爆死没者の方々のみたまに哀悼の誠をささげますとともに、恒久平和の実現を心から祈りたいと思います。

 世界で唯一の被爆国である日本から、核兵器の廃絶と世界の平和を訴えていかなくてはなりません。戦争をしない国日本が、戦後七十年の節目の年に戦争をする国に変わるようなことがあってはいけない、そのような声が戦争を知らない若い世代の人たちからも大きく発せられております。政府にはこの声にしっかりと耳を傾けていただきたいと思っております。

 そして、世界で初めてのケースである原発事故により、多くの方々が今もなお被災地では苦しんでいる。福島では、多くの方々がふるさとに帰ることができない状況にあります。復興庁のギアは一段上がって、そして、緊張感を持ちながら本当に頑張っていただいていることと思いますが、被災地の皆様方が平和でそして安定した生活ができるように、人を中心にした復興をどのように進めていくのか、お伺いしていきたいというふうに思います。

 集中復興期間終了後の復興事業のあり方が示され、財源フレームが六月三十日に閣議決定され、それに基づいて来年度の予算の概算要求に向けて動いておりますが、平成二十七年度限りで終了するとされた事業や、一般会計化するとされた事業の取り扱いがどうなるのか、被災自治体にとっては今後の財政運営に対する不安や懸念が引き続き残っていると認識しています。

 五月の段階で廃止または一般会計移行として案を提出されたもののうち、震災等対応雇用支援事業など六事業については、最終的に、検討する、そのような前向きな方針が示された一方で、それら六事業以外の事業については、例えば農地等の放射性物質の除去・低減技術の開発事業などについては何ら方針が示されませんでした。

 被災自治体への説明会では、当該六事業以外については、五月の方針案のとおり、廃止または一般会計移行と既に決まったと説明した各省庁の担当者もいたというふうに伺っております。

 被災自治体側としては、これらの取り扱いについては、それ以降の調整に委ねるというふうな理解であり、そのまま廃止や一般会計等への移行と決まったのではないと認識しています。この点について、改めて政府の見解、復興庁の見解をお伺いします。

竹下国務大臣 決まっていません。

 我々、五月に基本的な考えをお示しして、その中に、一般会計に移るもの、廃止するものもありますよという基本的な考え方、あるいは議論を進めるためのたたき台といったようなものはお示しをいたしました。

 そして、それを示した上で、来年度予算の予算編成に向けて、何ができて何ができないか、あるいはこれはどうしても必要だといったようなものを財務省と今やっているさなかでございまして、全て決定はしておりません。

金子(恵)委員 そうしますと、前に大臣は委員会等でもいろいろと御答弁の中でおっしゃっておられますけれども、原発事故に由来する事業については引き続き継続していくことなどを原則としていらっしゃるということだと思いますが、先ほど申し上げました、例として挙げました農地等の放射性物質の除去・低減技術の開発事業は、これは原発に由来する事業であるということで、間違いなく継続ということでいいんでしょうか。そしてまた、これはやはり復興特会で継続すべきものだというふうに私は思います。一言いかがでしょうか。

竹下国務大臣 どの事業をどうするということを全て決めているわけではありませんが、原発に由来することは原則として国家が責任を持ってやらなければならない事業であるという基本は全く変わっておりません。

 それから、一般会計に移るものについて、あるいは二十七年度限りで終了する事業について、一応の整理をいたしておりますが、個別の事業の取り扱いにつきましては、今、概算要求に向けまして、被災地の御意見も踏まえ、そして関係省庁とも議論しながら、財務省とやり合っているさなかでございます。

 こうなりました、ああなりましたということが全て答えられる状況にはない。ただ、以前からお約束しておりますように、例えば、先ほどお話に出ました、人をどうするあるいは緊急雇用の対応をどうするといったような部分で、既にお約束している部分は、これはきっちりとやっていこうと。

 今までのやり方は変えますけれども、新たなやり方できちっと対応していくということをやり抜いていこうと思っております。

金子(恵)委員 今、緊急雇用の問題等に触れていただきましたが、それも以前、大臣がおっしゃっていたのは、また形は変えていくということ、雇用支援とは別な形で支援を検討するというようなことをおっしゃっていただいたと思うんです。そういう方針が出されているということでありますけれども。

 そうであればなおさらなんですが、単なる雇用支援とは別な形ということではありますけれども、特別なニーズに対応するんだ、この事業は、対象分野は、介護・福祉、子育て、医療、産業振興、そして、観光、環境、農林・漁業、治安・防災、教育・文化、本当に多岐にわたって緊急雇用の雇用支援事業がなされてきたということでありますけれども、例えば、地方公共団体の臨時、非常勤職員としての雇用というのも可能であったり、そしてまた、その地域復興を進める上で、ニーズに対応すべきさまざまな人材を配置するという上で、大変重要な役割を担っていたということでありますので、この件についてしっかりと御検討、御検討といいますか、前向きな形で、継続すべきところはしっかりと継続するということをやっていただきたいと思います。

 以前は、見守りとか避難指示区域内の警備等、そういうものは別な形で支援を継続するというような御答弁等をいただいているわけなんです。それだけではない、もう本当に多岐にわたる形で、復興のための人材確保という意味でも、しっかり進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それで、先ほどからお話ししています、終了あるいは一般会計移行に関係する事業の中には、東日本大震災による女性の悩み・暴力に関する相談事業というのもあります。

 この事業については、一般会計移行すると最初の案では示されておりました。被災地では、まだまだ本当にストレスの多い、厳しい状況の中で生活している被災者、避難者が多く、これはなくしてはいけない事業であるということで、やはり復興特会で残していただきたいと希望します。

 実際に、これは公表されています一番新しい事業報告書の数字ではありますが、平成二十五年度の報告書によりますと、その実績を見てみます。平成二十五年度の電話相談件数は、合計は四千四百八十、岩手は一千百十三件、宮城は千六百七十五件、福島は千六百九十二件であります。

 この電話相談は、ニーズがあるにもかかわらず、残念ながら、宮城と岩手においては平成二十五年度で終了してしまっているんです。集中復興期間にあるにもかかわらず、このような形で打ち切りをされてしまったということは、私は理解に苦しむというふうに思っています。

 人の復興を本当に進める考えがあったのかと疑問に感じるところもありますし、電話相談はそもそもリピーターの方が多いということでありますが、それでは宮城、岩手の方々は、間違いなく、代替の相談サービスを提供され、それをしっかり受けて、支援をされて、そして今、本当に前向きな生き方をされているのか。あるいは、ここの窓口に相談をされる方々の中には、当然DVあるいはDV以外の暴力の被害者の方々もたくさんいらっしゃるんです。その方々はその後どうなっているのかということを、私は今、本当に不安で心配でしようがない状況にあります。

 私は、このような重要な事業こそ継続をしていただきたいと思っておりますが、御所見を伺いたいと思います。

赤澤副大臣 まず、男女共同参画を担当しております内閣府からお答えを申し上げます。

 委員御指摘の、東日本大震災による女性の悩み・暴力に関する相談事業は、東日本大震災に起因する女性の悩みや暴力の被害に対して、地元自治体や地元支援団体と協力して相談対応などを行う。委員から御紹介があったとおりの数字を私どもも把握しておりまして、そういう意味で、まとめて申し上げると、平成二十三年度の事業開始以来、約一万四千件の相談に対応してきているということでございます。

 委員が御指摘の、電話相談がなくなった後、福島県は続いているけれども、岩手県や宮城県はどうなっているだろうということについては、私どもとしては、面接、訪問相談あるいはグループ活動、アドバイザー派遣といった事業は引き続き続けさせていただいているので、そちらの方でも御相談をいただいているかなというふうには理解をしているところでございます。

 来年度の本事業の扱いについては、内閣府としては、地元自治体の意向も踏まえ、現在復興庁と調整を行っているところであるという認識でございます。

金子(恵)委員 電話相談終了後は面接でということなんですが、電話でのやりとりの中から、先ほど言ったようなDVの被害者であるということが発見されることがあったりということですね。入り口のところは電話である必要があることもあるんですね。ですので、なかなか、いろいろな問題を抱えていて、初めから誰かに面接してくださいと言って相談に行く方の方が実際は少ないということは、副大臣も御存じのとおりだと思います。

 恐らく遠慮されておっしゃっているんだと思いますが、副大臣は、この事業の重要性は本当に認識をされていらっしゃることだというふうにも思いますし、今、復興庁との調整ということであれば、これは本当に、東日本大震災、ストレスの多い、本当に被災地で起こり得るさまざまな課題をしっかりと解決していく点では、復興特会での事業として私は継続すべきだと思っているんです。

 今の副大臣の御答弁を聞いて、大臣のお考えをお聞かせください。

竹下国務大臣 被災地の女性の皆さん方は、さまざまな悩みを抱えていらっしゃり、まだまだ多くの悩みを抱えていらっしゃいます。さらに加えて、DVといったような厳しい悩みを抱えていらっしゃる方もいらっしゃるというふうに存じておりまして、相談者の話を聞きまして必要な支援を行っていくというのは、引き続き重要であると基本的にまず認識をいたしております。

 その上で、この事業の取り扱いにつきましては、六月二十四日の復興推進会議におきまして決定をいたしました今後の復旧・復興事業についてに基づきまして、被災地の御意見も踏まえながら、先ほど答弁をしてくれました内閣府とも連携をして検討しているさなかでございます。検討しているところでございます。

金子(恵)委員 検討しているさなか、それ以上はおっしゃることができないのだというふうには思いますけれども、被災地の現状というものも本当にしっかりと把握していただきたいというふうに大臣、副大臣にお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げまして、ストレスの多い環境の中で、DVの加害者がつくり出されてしまうのではないかという懸念がある部分もあります。であれば、加害者を本当の加害者にしないで済むような、そういう支援策も必要になっていくということ。

 そしてまた、大変残念なことではあるんですが、実は、DV被害者の支援にかかわっている方からの情報を少し私もいただきながら勉強させていただく中では、福島県内には、当然、工事現場で働く方々、あるいは除染作業員の方々、たくさんいらっしゃいますけれども、福島県外からおいでになっていらっしゃる方々もおります。その中のほんの一部の方だとは思いますが、その方々がDVあるいはDV以外の暴力の加害者になっていっている、そういう事例があります。大変残念なことではありますが、実際にストーカー被害というものも発生しているということでございますので、これはまさに、この震災復興を進める上での大きな課題になってきてしまっている。

 実は、この復興の問題があるからこそのDVの問題で相談を受ける、あるいはその相談の窓口に行かれる方がふえているという状況があるわけですので、ぜひ、これは復興の問題なんです、本当に特殊性のある問題だということを御理解いただきまして、副大臣、済みません、せっかくおいでいただいておりますので、もう一度、最後にこの件についての決意等を伺えればと思います。

赤澤副大臣 委員御指摘の問題は本当に重要な問題であると認識をしております。本日の御指摘もいただいて、復興庁とも、そして地元の声を聞くことを一番に、しっかりと調整をしてまいりたいというふうに思います。

金子(恵)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。ぜひ多くの悩める女性の方々を救って、支援をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、副大臣、これで結構ですので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 では、次の質問に移らせていただきますが、中間貯蔵施設等に係る交付金の使途についてお伺いします。

 中間貯蔵施設に係る福島向け交付金、これは二つございまして、中間貯蔵施設整備等影響緩和交付金、そして福島原子力災害復興交付金でございますが、これまでにない特別な迷惑施設である中間貯蔵施設を福島県に受け入れるに際し、迷惑料という性格を持つ、自由度の高い交付金として措置されたものであります。受け入れた福島サイドが自主的に、そして主体的に使えるものであり、そうあるべきと理解しております。

 一方、現場からは、平成二十八年度概算要求等の調整において、各省や復興庁の担当者からは、新しい予算措置ではなく、この中間貯蔵施設関連の交付金をまずは活用せよといった働きかけが多数行われていると伺っております。このことが事実だとすれば、昨年、苦渋の決断として中間貯蔵施設を受け入れた福島県サイドの思いを軽んずるものであります。前提条件をほごにするものであります。

 中間貯蔵施設等に係る交付金については、各省庁の方から使い道を押しつけたり誘導したりすることがあってはならないものであります。いま一度、地元が自主的に、そして主体的に活用する交付金であるということを政府部内で徹底すべきというふうに思いますが、御見解をお伺いいたします。

竹下国務大臣 この二つの種類の交付金でありますが、迷惑料として出したと言われると、なかなかちょっと、はいはいと言うわけにはいきませんが、しかし、そういう思いが入っていることは事実でありますので、一千億と一千五百億、合わせて二千五百億円について、非常に自由度の高い交付金として、県の基金に一括交付を既に行っているものでございます。

 したがって、この交付金というのは、地元のニーズに応じまして、福島県が自主的に、かつ主体的に幅広い事業に活用できるものという性格でございます。国として、いろいろな相談はしますが、これをこれに使いなさい、これをこれに使いなさい、そういう形の枠をはめる、あるいは手足を縛るようなことはしてはいかぬと思っております。

小里副大臣 環境省におきましては、御指摘のうち、中間貯蔵施設整備等影響緩和交付金として措置をしております。

 これは、文字どおり中間貯蔵施設等の建設に伴う影響を緩和するために、生活再建あるいは地域振興策等に幅広く使うことを目的として措置された、まさに御指摘のとおり極めて自由度の高い交付金であります。

 現在、大熊町、双葉町において、あるいはまた福島県において基金が造成をされておりまして、交付金の目的に照らして、県、町、それぞれのニーズに基づいて活用されるものと認識をしておりまして、仮に特定の事業について使えるか使えないか問われれば答えることはあろうかと思いますけれども、これに使いなさいと、そういった費途を限定するような、拘束するようなことがあってはならないと考えております。

金子(恵)委員 小里副大臣には、中間貯蔵施設等の建設に向けて本当に御苦労をいただいていることだと思いますが、今おっしゃっていただいたように、先ほども竹下大臣からもありましたけれども、とにかく、この二つの交付金は、大変自由度の高いもので、押しつけるものではない、使途をこちら側からいろいろどうだというふうに言うことではないという理解でよろしいですね。そうでなければ、先ほども申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、本当に前提条件が崩れていくというふうに私は思います。

 これは、出し手の復興庁、そしてまた出し手の環境省が、もしかするとわからない部分というのがあるとは思います。現場で何が起こっているかというのは実際にわからない部分があるかもしれませんけれども、いろいろな今回の概算要求等の調整の中では、ほかの省庁からいろいろな御意見が出、そして誘導するようなそういう事実があったのではないかということを聞き及んでいるところでもありますので。

 繰り返しになりますが、もう本当に政府内で統一した見解をお持ちになっていただきまして、この二つの交付金は、本当に自由度の高いものであり、福島県が自主的、主体的に使えるものだということを明確におっしゃっていただきながら、中間貯蔵施設、頑張って進めていただきたいと思いますが、せっかくですので、小里副大臣、いかがでしょう。

小里副大臣 お話しのとおりに、現場で何が起きているかよく把握をしながら、目的に照らした活用が行われるように、しっかり運用を図ってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 それでは、次の質問に移らせていただきますが、子ども・被災者支援法の基本方針の改定案について質問させていただきたいと思います。

 実は、この改定案が出されましたのは、前回の復興特別委員会、七月九日に開かれましたが、その次の日でありました。七月九日の復興特別委員会で浜田副大臣は、「子ども・被災者支援法の基本方針の改定を現在検討しているところでございまして、近々、その案文についてもお示ししたいと思っております。」と御答弁されておりましたので、この答弁を聞いておりますと、まさかこの言葉をおっしゃったその次の日に、基本方針案が発表され、そしてまたそれとともにパブリックコメントの募集が始まるとは実は思ってもみませんでした。率直に申し上げますと、キツネにつままれたような気がいたしました。

 今回の基本方針改定案は、もう既に先ほど御答弁の中であったようでございますけれども、支援対象地域は、線量が発災時と比べて大幅に低減して、避難する状況にないということが明記されていることや、一方では、当面、支援対象地域の縮小はしないとおっしゃっているということであります。

 まずは、これは閣議決定までどのような形で進められていくのかということをお伺いさせていただきたいということと、それから、避難する状況にないというその言葉を示されたことによって、自主避難をされている方々を含む、県外避難をされている皆さんには暗に圧力がかけられてしまうという可能性があるのではないかと懸念しているところもあります。いかがでしょうか。

浜田副大臣 前回の委員会で、パブリックコメント及び公表について近々に行うという、そういうことを答弁することも実は異例でございまして、予告をしたつもりでございました。

 それで、今後でございますけれども、今御指摘いただきましたように、現在パブリックコメント中でございまして、八月八日までとなっています。その後、いただいた御意見を整理し、必要な修正を行うこととなりますので、これに二週間程度は要すると見込んでおります。したがって、閣議決定は八月下旬になると想定しているところでございます。

 あと、もう一点御質問いただきました、避難する状況にはないという状況で、圧力がかかるというものではございません。

 子ども・被災者支援法というのは、支援対象地域に引き続きお住まいになる方も支援をするとなっています。だから、もし支援対象地域がそのまま引き続くというと、その不安が引き続き残っているのかという不安を持たれる方もおられますので、そういう意味では、現在ではもはや線量が下がっておりますので、支援対象地域に引き続きお住まいの方についてはもう避難する状況にはありませんよというメッセージを出さなきゃいけない。

 そこにお住まいになる方々、移動されてお住まいになる方々、また戻られる方々に、それぞれ必要なメッセージを出したつもりでございますので、決して圧力をかけるということじゃなくて、必要な支援はしていきたいと思っております。

金子(恵)委員 パブリックコメントは八月八日までということで、今、日程感を全部おっしゃっていただいたんですが、八月下旬に閣議決定を目指していくということでありますが、御存じのとおり、子ども・被災者支援法は、五条の三項で、「基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」とされているわけです。

 それで、実際に東京都内と福島県内で二回説明会が開催され、そして、山形、沖縄、北海道、これはもともと設定されていた会合だと思いますが、そこでも子ども・被災者支援法の基本方針案についての説明がなされたということであります。そこで得た情報、あるいはそこで得た意見というもの、当事者の方々の意見がこの最終の基本方針に反映されていくのか、本当に懸念するところでもあります。

 例えば、この五回の会合だけで、あるいはパブコメだけで十分なのかも私はわかりません。本当に必要な措置、先ほど条文の中にありました、意見を反映させるために必要な措置を講じる、その努力はなさってきたのか、お伺いします。

浜田副大臣 今委員から御指摘いただきましたように、七月十日に基本方針の改定案を公表した後、今現在、三十日間のパブリックコメントもしております。

 あわせて、十一、十二日に、北海道、山形、沖縄で自主避難者の情報支援事業の説明会、交流会を開きました。私自身、山形と北海道には出席させていただきました。また、七月十七日に東京、十八日に福島での説明会を開きまして、私は両方とも出席させていただきました。さらに、これ以外にも、自主避難者への支援団体等が主催する意見交換会などに、復興庁の職員も七月十日以降、計三回参加し、説明させていただいているところでございます。

 ここでさまざまな意見を私自身も伺っておりますので、適切な形で意見反映ができるように、引き続き努力をする所存でございます。

金子(恵)委員 そうしますと、皆さんの御意見というのをいろいろ本当に吸い上げていただくということなんですが、今回は、個別の事業、施策についてはまだ検討ということで、この基本方針案には明確に記載がされていない状況であります。

 みなし仮設につきましても、一年延長した上で、平成二十九年三月末で打ち切るということが決まっているということもありますが、今後、子ども・被災者支援法にのっとって、県外自主避難されている方々への支援を拡充していくことというのはなおさら必要になってくるのではないかとも思います。

 そして、今現在は高速道路の無料化というものが措置されていますけれども、それだけではなくて、ふるさとのきずなをしっかりと結びつけたい人たちのためにも、あるいは、本当に福島に足を運んで納得のいく判断ができるまでは時間も必要になっていくとも思いますので、やはり新幹線、飛行機などの、高速道路、自動車だけではない、ほかの方法での移動の支援というのも必要になってくると思いますが、そのような御意見も現場で出ていると思うんです。説明会では出ています。それに対して、今の段階でも結構ですので、どのようなお考えをお持ちですか。

浜田副大臣 今回の基本方針は、今後各省庁で概算要求をしていただきますので、このタイミングで決定をして各省庁で予算要求していただくために、個別施策は書いておりません。ただし、個別施策は今後まとめてまた公表したいと思っております。

 御質問いただきました、まず住宅の件でございますけれども、これについては、福島県の方で新たな支援措置というのを検討していただいています。これは、今までの災害救助法の支援の場合は一年ごとの延長だったんですね。これは非常に先の見通しが立たない。これを複数年にしていくという検討もしていただいていますし、また、住みかえができないという問題もありました。住みかえもできるというものも検討していただいています。また、これ以外にも、国自身として、公営住宅の入居円滑化ということで、これは三十三都道県、十三政令都市に広がってまいりましたが、これをさらに広げていくというのも今検討しているところでございます。

 また、移動支援のことについての御質問をいただきました。現時点では、いわゆる母子避難者、父子避難者の方が、お子さんがお父様、お母様に会っていただくというので高速道路無料化措置をスタートしたわけですが、新潟県とか山形県の方々は、これはかなり便利でお使いいただいているんですが、遠くの方々は、御質問いただきましたように、高速道路だけじゃやはり不十分なんです、新幹線なり飛行機という話も伺いました。これにつきましては、いわゆる被災者支援の総合交付金もありますので、そういうものが使えないかどうか、そういうものについて引き続き概算要求に向けて検討しているところでございます。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますが、ぜひしっかりと御検討いただき、そして前向きな形で個別の新しい施策というものもつくり上げていっていただきたいとお願いいたします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、子ども・被災者支援法の基本方針改定案について数点お伺いしてまいります。

 きょうお配りの資料一ページ目、六月二十四日、浜田復興副大臣から原子力規制委員長の田中俊一さんに宛てた手紙に関してでございますが、この手紙を出されたことは間違いないでしょうか。

浜田副大臣 間違いございません。

本村(賢)委員 そして次に、二ページ目の参考資料をごらんいただきたいんですが、翌日、六月二十五日に、原子力規制庁から復興副大臣の浜田副大臣宛てでございますが、宛てたのは原子力規制委員長宛てでありましたが、規制庁からの返信だったんですが、これで御納得されているわけですね。

浜田副大臣 これで間違いございません。

本村(賢)委員 次に、大臣にお伺いしますが、大臣は七月三十一日の大臣記者会見で……。

 いらっしゃらないですか。

伊藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤委員長 速記を起こしてください。

 本村君。

本村(賢)委員 大臣にお聞きしたいんですが、七月三十一日の大臣記者会見で、「こうしなさいという指示はしておりません。ただ、規制庁のほうから「避難する状況にはない」という科学的な判断として、そうだという書類が出てきたことはこれは事実」。最初に言い出したのは規制庁だということで述べられているわけであります。

 今、浜田復興副大臣に確認をしたところ、六月二十四日のこの原子力規制委員長宛てに送った手紙の内容を見ますと、どうも、「支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解を確認いただきたいと考えている。」というような内容でございまして、大臣が言われている、最初に言い出したのは規制庁というお話でございますが、何となく、これは浜田副大臣から言い出したんじゃないかなというふうに感じ取れるんですが、いかがでしょうか、大臣。

竹下国務大臣 規制庁が言い出したことです。

本村(賢)委員 今の答弁はびっくりする答弁でありまして、明らかにこれは浜田復興副大臣から、大臣と連携ができていないのかもしれませんが、原子力規制委員長宛てに送られた手紙、これは副大臣みずからが出されたということを言われておりましたから。これを最初に言い出したのは規制庁と今大臣が答弁しました。いいんですか、これで。もう一度確認します。

浜田副大臣 私自身で補足させていただきます。

 まず、この文書については、こういう趣旨のものを私の名前で出しますよと事務方から上がってきましたので、いいですよと了解をした。私自身がワープロを打ったわけではございません。

 その上で、ここに書いてございますように、法律の趣旨が書いていまして、支援対象地域は、この法律においては、放射線量に基づき毎年見直すこととされている、通常、線量は自然減衰や除染で低減していくことが考えられることから、支援対象地域は基本的に縮小していくことが想定されていたと考えられると。

 よって、このことから、支援対象地域は縮小、廃止すべき状況であるという法律の考え方を示しているのは復興庁でありますけれども、具体的に科学的な判断をしていただいたのはあくまでも原子力規制庁でございます。

本村(賢)委員 次の質問に入ります。

 今回の改定案には、避難する状況にはないと明記されておりますけれども、この根拠は何なのか、まず聞きたいと思いますし、そして、原子力規制庁が言い出したと大臣が述べていらっしゃるわけでありますが、浜田副大臣から田中原子力規制委員長に出された文書には、支援対象地域は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解を確認いただきたい、支援対象地域は避難すべき状況であると主張される自主避難者への科学的反論を示すものだとあり、浜田副大臣から結論を指示しているように読めるわけであります。

 これは被災者に寄り添っていると言えるのかどうか、不安を与えるような表現ではないか、浜田副大臣の認識をお伺いします。

浜田副大臣 今回の文書でございますけれども、原子力規制庁が実施している航空機モニタリング結果に基づき推計いたしました外部被曝線量は、原発事故発災時と比べて大幅に低減しております。そのほかにも、各市町村で実施している個人被曝線量の測定、福島県が実施しているホール・ボディー・カウンターの検査、また厚生労働省等が実施している食品検査などの数値も、相当程度低いものとなっております。そういうことからあわせて、また原子力規制庁からも、避難する状況にはないという意見をいただいているところでございます。

 こういう意見をいただいた趣旨でございますけれども、先ほども答弁させていただきましたが、子ども・被災者支援法というのは、三つの方を支援する法律なんです。支援対象地域に引き続きお住まいになる方が第一なんですよ。第二がそこから移動されて生活される方。第三がそこから戻られる方なんです。自主避難の方だけではなくて、支援対象地域にお住まいになっている方々の健康不安をなくすことも今回の支援対象地域の基本方針改定の大きな目的でございますので、こういう表現をとっていることは別に。

 ただ、あくまでも、移動された方については引き続き支援をすることもあわせて明記しておりますので、ぜひその趣旨を御理解いただきたいと思います。

本村(賢)委員 それでは、科学的な根拠において、空間線量が発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にない、この線量の数字はどのぐらいなんでしょうか。

浜田副大臣 一般的に言われていますように、被曝線量百ミリシーベルト以下については、明確に、いわゆる閾値があるという論を日本はとっていない、線形非閾値モデルというんですけれども。よって、どの数字以下なら安全、どの数字以上なら危険という数字は置けないという前提になっているんですね。ところが、法律上は、どういうわけか二十ミリシーベルト以下で、一定の線量のものを決めなさいという、科学とちょっと違った観点から法律ができている。

 そういう意味で、二年前にこの基本方針をつくるときも、我々は相当苦労しました。五と言っていいんだろうかとか、一部の方は一と言われるし、一以下でもだめだと言う人もおられるし、三と言う方もおられるし、十と言う方もおられる。我々は、一つの数字は置けないというので、そういう健康不安を感じて生活に支障を感じるような相当な線量だということにしまして、それが広がっている地域というのは、いわゆる避難指示区域以外の浜通りと中通りということを決めたわけでございます。

 そして、二年がたちましたが、例えば今回のデータでもオープンにしておりますように、空間線量で推計したデータですら、これは高く出るんですけれども、普通でいうとガラスバッジよりも三倍ぐらい高く出るんですが、その数値でも、例えば五から七とか、七とか九ミリシーベルトを年間という数値は、そういう地域はもうほとんどなくなっています。生活圏としてなくなっているということになっていることから、今回、避難する状況にはないということを、ほかのデータも含めまして判断させていただいたということでございます。

本村(賢)委員 なかなか、お話しされている意味もわからないわけではないんですけれども、線量計バッジ、放射線量計をつけているお子さんたちやそのお母さん方を思えば、やはり国としての立ち位置というか基準を示さないと、それを持っている意味がないというか、非常に不安に思うんじゃないかなと思いますので、ぜひともその辺は副大臣のまたリーダーシップによって方向性を見出していただきたいなと願っております。

 自主避難者に対しても今後どのような支援を行っていくのかという御質問をしたいと思っていたんですが、時間も限られております。

 鳥取県では既に、二〇一九年三月まで、自主避難者を含めた無償住宅の提供を決めているということでございますので、ぜひ他県や各市町村においてもそういった鳥取県のような取り組みを復興庁として推進していただきたいと願っております。

 また、説明会やパブリックコメントの関係も、東京で参加者五十名、福島で四十名程度だったということでございまして、さまざまな厳しい御意見もいただいたようでございますが、ぜひ貴重な御意見を反映した形での閣議決定をしていただきたいと願っております。

 次の質問に入ります。

 次は、先ほども質問が出ましたが、東京五輪についてでございます。これは大臣に対してお伺いしてまいりたいと思います。

 既に安倍総理が、復興五輪として復興を遂げた姿を世界に発信したいというふうに述べておりまして、五輪・パラリンピック大会基本計画で、聖火リレーの被災地での実施を、復興を発信することが明記をされているわけでございますが、復興五輪に向けた大臣の意気込み。またもう一つ、五輪招致の最終スピーチで、総理からアンダーコントロールについてのスピーチがございましたが、汚染水流出問題についても、改めて、大臣は総理のスピーチをどう捉えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 二つの質問をいただきました。

 まず最初の一つ、復興五輪。物すごい決意と物すごい思いで、ぜひやってほしいと、総理もそのことをたびたびおっしゃっておりますが、幾つかあります。

 お話しになりましたように、被災地を聖火ランナーを走らせる、これはぜひやってほしいと強く要望しております。それから、新しく採用された種目の一部を東北でやってもらえないかということも働きかけてまいりますし、遠藤大臣も前向きに検討するというお話をいただいております。さらには、キャンプ地あるいはそうしたいろいろつながりを持つ地域と、東北にJヴィレッジもあるし、やってくれないかという話も、これも積極的に働きかけてまいります。

 そうしたことを通じまして、また、もう一つは、オリンピックの期間中、いっぱい外国から見える、ぜひ東北にたくさん来てください、そして復興の現状、ここまでできましたよということを見てもらう。そういうことも、復興をしっかり認識していただくということも含めて復興五輪というのはぜひやっていきたい、強い思いでやっております。

 それから、総理がお話しになったアンダーコントロールでございますが、現在も湾内に基本的に汚染水はコントロールをされておるというふうに報告を受けておりまして、私は、アンダーコントロールという状況は維持されていると。ただし、いろいろな、汚染水の問題等が、漏れがあったりというのは、それはあります。ありますけれども、湾内にコントロールされておるという意味でアンダーコントロールであるというふうに理解をいたしております。

本村(賢)委員 ぜひ東京五輪は、被災地復興に向けても大臣の強いリーダーシップを期待してまいりたいと思います。

 また、先ほどのアンダーコントロールに関しては、湾内というお言葉でございましたが、例えば外洋の放射線量は告示濃度より十分低いとのことでありますけれども、一時的には告示濃度以上の数字も出ていたこともございますので、私どもはやはりアンダーコントロールされていないんじゃないかなという認識でいますので、ここは認識の違いかもしれませんが、ここはまた追って質問してまいりたいと思います。

 最後の質問でありますけれども、復興庁のあり方について、二〇二〇年度末に廃止される復興庁でございますが、それまでに果たすべき役割をどう捉えていらっしゃるのか。このことと、また、大臣が七月九日の復興特におきまして、復興庁の緩みというか、あの緊張感がないんじゃないかという民主党の皆さんからの指摘は私自身も感じていたこと、これはいかぬ、何とかせにゃいかぬと思ったことは間違いない事実と答弁をされていらっしゃいます。

 廃止されるまでにしっかりと復興を進めていくのが復興庁の責任だと私は思っていますが、一方で、復興庁の気が緩んでいると大臣も委員会で答弁されておりますが、これは何か対処はされているのかどうか。復興大臣としての、やはりトップの責任だと私は思っておりますので、復興庁のリーダーとしての大臣の責任はどう捉えていらっしゃるのか。

 この二点、最後にお伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 確かに、復興庁という役所が司令塔としての役割をきちっと果たし続けているかというのは、我々にとっても非常に重たい、重要な課題であります。果たしていかなければなりません。しかも、復興庁の一番のトップは内閣総理大臣であります。そういう組織でありますので、ますます私たちは司令塔機能というものを十分に果たしていかなければならないという思いを強く持っております。

 さらに、もう一つ、緩みがあるんじゃないかという話でありますが、私自身もある意味感じましたのは、復興庁ができたときにいろいろな形で復興庁とコンタクトを私自身もとったことがございますが、あのときのぴりぴり感、それから現場もそうでありました、現場の市町村のぴりぴり感も大変なものでありました。

 しかし、やはり四年数カ月という時間がたちますと、人間というのはどうしても緩みがちであったり、あるいはルーチンワークになっちゃうんです。この前こうだったから、この前こう対応したからという、ルーチンワーク。しかし復興は違うんです。復興は一つ一つが新しい事業でありますので、そうしたものになっちゃいかぬということで、この緩みという言葉を私は使わせていただきました。復興庁の職員にも、もう一度しっかり気持ちを持ち直してやってほしいと。

 それから、四年数カ月がたって、いや、我々はここまでやりました、ここまでやりましたと言ってはいかぬ。現場へ行って我々が言われますのは、仮設住宅に入っている皆さん方から、四年何カ月、遅いと。これを真っ正面から受けとめることが我々の仕事だということを改めて復興庁の職員にもお話をしながら、ここが我々の原点なんだ、遅いと叱られることが我々の原点なんだということを改めて私自身も肝に銘じながらやっていかなきゃならぬな、こう思っております。

本村(賢)委員 時間が来ましたので、これで質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 おはようございます。維新の党の横山博幸でございます。

 先ほど大臣がすばらしい答弁をされて、大変私も感動しております。日々大変なお仕事でございましょうけれども、ぜひ原点に返って、この問題に対処していただきたいと思います。

 さて、質問でございますけれども、この発言の順番ですと、類似の質問がかなり出ております。やはりどこまでいっても数の力というものを今痛感しておるところでございますけれども、若干視点を変えて質問することがあります。通告と違うことがありますけれども、答弁できる範囲内でお答えを願いたいと思います。

 それではまず、楢葉町の避難指示解除について、先ほどもお話が出ておりましたけれども、これは九月五日に決定をしておるということで、福島県内の七市町村で初めてだということで、非常に重要なきっかけになるというふうに思います。

 しかしながら、事前の調査では、住民資格、登録した方は人口のわずかに九・八%、非常に不安を抱えた数値ではないかと思います。まず、帰られて、どのような対応になるのかという不安が非常に多いと思います。水の問題が先ほども出ておりましたけれども、本当に生活がきちっとできていくのかどうかということの不安が多いと思います。

 そこで、具体的に、帰られてからの整備についてお伺いしたいと思います。特に、雇用関係、それから教育の問題、それから医療と福祉、高齢者の方々もたくさんいらっしゃると思いますから、その点について見解をお聞かせいただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 楢葉町の避難指示についてのお尋ねでございました。

 楢葉町に出されておりました避難指示は、平成二十三年十二月二十六日の原子力災害対策本部決定に基づきまして、ふるさとに戻りたいとお考えになられる住民の方々を含めまして、一律かつ強制的に避難をお願いするという措置でございます。このため、住民意向調査におきまして、すぐに戻る条件があれば戻ると御回答された方、あるいは今先生から御紹介ございましたけれども、帰還に向けて準備宿泊の登録をされました三百四十四世帯、七百五十三人の方に対しましても避難を強いているという状況でございます。

 四年五カ月に及びます避難指示によりまして、心身の健康、企業の進出や住宅リフォーム、事業活動へのちゅうちょといったような論点も出てまいります。そこで、楢葉町の現在の状況が、年間積算線量等で原子力災害対策本部決定の避難指示解除の条件を満たしているということ、それから、企業活動の再開を初めとして復興を一日も早く進めるためには、早期に避難指示を解除することが適当という考え方から、二十回にわたりまして住民懇談会等を開催いたしまして、今回、避難指示を解除することといたしました。

 他方、ただいま先生からまさに御指摘ございましたとおり、住民の方々の働く場、そして医療、介護ということに関しましてまだまだ御不安があるということは重々承知してございます。一日でも早く、一人でも多くの方がふるさとに戻れるように、避難指示の解除後も、働く場、雇用の場、それから医療、介護の確保ということを初めとしまして、楢葉町の復興に向けまして、復興加速円卓会議等も含め、町、町議会、県を初めとする関係者の方々と一致協力して、全力で取り組んでまいります。

横山委員 大変ありがとうございました。

 長期間にわたっての避難生活から帰還するということは、本当に希望もありますし、一方、先ほど申し上げましたように非常に不安があるということで、かなり細やかな配慮をしていただきたいと思います。地方自治体とも連携をして、いろいろな相談を受けていただいて、そして細やかな対応をぜひお願いしたいと思います。

 それでは次に、県外の自主避難者の情報支援事業についてお伺いしたいと思います。

 各県に避難をされた方々への対応、これは、元請は三菱総研でしたか、それから各地域のNPO法人に委託をされておるということで、各地域で避難者の方々への配慮をされながら対応されておるということでございますけれども、これが間もなく終わるということで、私は大変残念なことだと思います。

 継続するということが一番避難者に対する配慮であると思いますから、ぜひ継続していただきたいという思いで、三点についてお伺いしたいと思います。一問一答でお願いしたいと思います。

 まず、継続すべきじゃないかと思いますので、今後どのように対応されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

浜田副大臣 御質問いただきました県外自主避難者などへの情報支援事業につきましては、平成二十五年度から二十七年度までの三年間事業として実施しているものでございます。

 本事業を通じて、NPOを活用した情報提供等についてノウハウ等が蓄積されまして、その体制が構築されつつあることから、今年度末には全国シンポジウムの開催などによりまして、三年間の取り組みを総括し、成果、課題を整理した上で、一応二十七年度で終了していくこととしております。

 しかしながら、引き続き自主避難者の方々からは情報支援を望まれているということは我々も現地に行って承っておりますので、この情報支援について今後も継続すると我々も認識しています。

 よって、本事業の成果や課題を逆に踏まえてむしろ発展させる、このことについて概算要求に向けて具体的に検討しているところでございます。

横山委員 前向きな答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。

 二つ目に、先ほども申し上げましたけれども、今現在、委託先のNPO法人と、それから各自治体で避難者に対する配慮をされておると思いますけれども、NPO法人と自治体との関係について、どのような関係で進めておられるのかについてお聞かせいただきたいと思います。

浜田副大臣 県外自主避難者が避難生活を送るに当たりましては、避難先自治体においてもさまざまな支援策を講じていただいているところでございます。

 県外自主避難者等への情報支援事業を実施しているNPOなどの支援団体は、避難先自治体と一定の連携体制を構築しているところでございまして、復興庁としても、事業実施に当たって自治体に協力をお願いしております。

 私自身も、先般、北海道や山形や、訪問する際には、県庁の知事にお会いさせていただいて協力をお願いしておりますし、事実、例えば、北海道や福岡や沖縄県の方々は、情報支援事業に地元の県の方も参加していただいて、また、逆に地元の県とか市町村の取り組みを京都とか北海道では発表していただいています。

 こういうことで、我々とともに避難先自治体も、自主避難者の方々の課題を共有するということを引き続き進めてまいりたいと思っております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 この連携こそがやはり一体となって災害の復興につながると思いますので、ぜひ引き続いてお願いしたいと思います。

 それで、今、三年間の事業であったということで、NPO法人が地元で対応しています。この三年間を総括したときに、地域でいろいろな御意見を聞かれたと思いますけれども、NPO法人としてどんな課題を抱えておるのか。避難者からの課題もありましょうし、NPO法人としての課題もあると思いますけれども、次に生かすために、その件についてお聞かせいただきたいと思います。

浜田副大臣 県外自主避難者などへの情報支援事業を実施する中で、NPO等支援団体が実施する支援情報説明会、交流会の場や、相談支援事業等を通じて、自主避難者が避難先で生活を送る上での課題、また福島県への帰還や避難先での定住に向けた課題、こういうものを把握してきているところでございます。

 私自身が実感しますのは、やはり住宅の問題が一番大きな課題であると。それと、お子様などの生活が現地でかなりなじんできているということを直接聞いています。あわせて、就労の問題についても、やはり、避難者であるということでなかなか、ずっといないんでしょうと言われて、就労が十分うまくいかないという声もいただきました。

 また、NPOの方々、一応全国八ブロックで分けてやっているんですが、なかなかやはりアウトリーチが難しい、どうやればもう少し四十七都道府県に広がることができるんだろうかという話もありますし、また、やはり一定の場、常設の場を持っているNPOの方が活動しやすい、そういう声もいただいておりますし、こういう声もしっかり受けとめながら、来年度以降の事業に生かしていきたいと思っております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 ぜひそういった課題を八ブロックのNPO法人にも情報を共有させていただいて、いいところはどんどん取り入れる、そして補うところはどんどん補っていくということで、次の施策に生かしていただきたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 先ほどから答弁をお聞きしておりますと、いわゆる風評被害ということで、農林水産業を含めて、商工会関係も宿泊、旅行を含めて、風評被害というのは大変大きなマイナス要因になっているということでございます。

 いわゆる東電からの営業賠償金についての課題でございますけれども、間もなく全体的に打ち切るとの話でございました。これは、商工会、商工業関係については打ち切られる、それから農林業については来年の十二月でしたか、お聞きしておりますけれども、特に水産業というのは非常に風評被害で影響を受けておられると思います。

 こういった各種業界において、風評被害を初めとする営業に対するマイナス部分、それに対して営業賠償金は当然お支払いをするべきだというふうに考えておりますけれども、質問は、農林水産業あるいは商工業に対しての支援、それから営業賠償金についてのお考えをお聞きしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 営業損害あるいは風評被害につきましての賠償についてのお尋ねでございます。

 これまで、東京電力におきましては、原子力損害賠償紛争審査会、こちらの定めました中間指針などを踏まえまして、避難指示区域の事業者の方々に対しまして、農林業につきましては六年分の逸失利益を一括して、そして商工業につきましては四年分の逸失利益を一括してお支払いする、こういった形でございます。

 このうち、商工業につきましては、先生御指摘ございましたけれども、本年二月で一旦の区切りとなりましたことから、その後の賠償についてどうするのか、こういうことで検討を進めてまいりました。

 六月の十二日に閣議決定をされました改訂福島復興指針におきましては、「特に集中的な自立支援施策の展開を行う二年間において、東京電力が、営業損害・風評被害への賠償について適切な対応や国の支援展開に対する協力を行うよう、また、その後は、個別の事情を踏まえて適切に対応するよう、国は東京電力に対して指導を行う。」このようにされたところでございます。

 これを踏まえまして、東京電力といたしまして、今後の損害に対する賠償、年間逸失利益の二倍相当額の賠償を行って、その後は相当因果関係のございます損害に対して個別の事情の確認を行い賠償を行う、このように決めたところでございます。

 また、先生からも御指摘ございました水産業、漁業でございますけれども、こちらにつきましては、福島県の漁業協同組合連合会との個別交渉、これによりまして賠償を行ってございまして、賠償終了時期などにつきましては設定はされていない、こういう状況になっております。

 また、農林業につきましても、これは二十八年、つまり来年の十二月まで現行の賠償、先ほど申し上げましたように逸失利益の六年分、こういったことで継続をされることになってございます。

 私どもといたしまして、被害者に寄り添った賠償が適切に行われますように引き続き東京電力を指導してまいりたい、このように考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 引き続いての指導をお願いしたいと思いますが、特に今、経済界の中では中小零細企業が普通の状態であっても大変苦しい経営をされておりますので、なお風評被害がありますと生活に困窮するところまでいってしまう可能性もあります。そこのあたりは細やかに対応をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、労働力不足についてお伺いしたいと思います。

 国全体で少子化傾向にありますから、あらゆる業界で、特に福祉の部門それから飲食関係についても人手不足が大変大きな課題となっております。外国人労働者の方々への法律も三年から五年に変わったということで、外国からいろいろな労働力の支援を行うという前に、やはり国内での労働力の確保をしなければいけないと思います。また、特に被災地におきましては、沿岸部の関係それから建設業も含めて労働力不足ということでございますけれども、先ほど水産業の関係も出ておりましたけれども、水産関係というのは非常に厳しいお仕事でもありますし、若者がなかなか就業しないというようなことが顕著になっておると思います。

 この労働力不足支援についてどのような見解を持たれておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 被災三県におきましては、復旧復興の進展に伴いまして求人数が多い一方で、求職者数が減少しておりますため、有効求人倍率が一を超えております。特に御指摘ございました建設、介護、水産物加工の職種につきましては、人手不足が課題となってございます。

 厚生労働省といたしましては、被災地のハローワークにおきまして、担当者制をとるなどきめ細かな職業相談や人材不足の職種への誘導、ハローワークの全国ネットワークを生かし、被災地の企業へのマッチングの推進、マッチング機会をふやすため、合同業種別面接会や職場見学会の積極的な開催、建設人材の求人の充足をきめ細かく支援するため、建設人材確保プロジェクトを実施しておりますハローワークを拡大、あるいは、雇用保険の受給者説明会におきまして、例えば岩手県が作成いたしました水産加工業のイメージアップDVDの放映による求職者への業界のPR等に取り組んできたところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じまして人材確保対策を行ってまいりたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 今、対応はされておると思いますけれども、重要なことはやはり情報発信だと思うんですね。さっきマッチングの問題をお話しされたと思いますけれども、やはり情報をどんどん発信していく、そのことによって求人を求めていくことが非常に大切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、被災地への海外バイヤーの招致についてお伺いしたいと思います。

 これは、被災を受けて、先ほどから申し上げておりますように、非常に経済そのものが疲弊をしておる、大企業にしましても中小企業にしましても被災地の商品がなかなか売れない。しかし、本当にすばらしい商品があります。農林水産物も含めて、工業製品も含めて、非常にレベルの高い製品が東北にはあると思います。

 そうした中で、国内だけでなく海外に向けた情報発信をしていく、そして海外から来ていただいて、そしていろいろな地元の紹介をするということをするべきだというふうに考えておりますし、日本人の考え方として、国際的に認められると国内でも認められるというふうな風潮もございますので、ぜひ海外バイヤーとの連携をしていただくということをお願いしたいと思いますが、現行の制度で、海外への情報発信、それから海外業者とのマッチングについての補助金についての制度的な対応はどのようにされておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

赤石政府参考人 お答えさせていただきます。

 議員御指摘のとおり、被災地復興のためには現地の産業を海外へ展開していく、なかんずく産品を輸出していくということが極めて重要でございまして、それが全体として地域経済を活性化していくためにもつながっていくということを考えております。

 経済産業省といたしましては、ジェトロ、日本貿易振興機構を通じまして被災地に海外のバイヤーを招聘する、先ほど先生は補助金とおっしゃいましたが、仕組みを実施してきておりまして、昨年度だけでも結果的に八十件以上の商談成約につながっております。始めてから三年間の間では三百件ぐらいの商談成約につながっておりまして、非常に大きな成果が上がっていると思います。

 これだけではなくて、先生がおっしゃるとおり、海外への情報発信というのは極めて重要ということでございまして、海外における展示会への出展支援とか、それから日本の企業を連れていくミッション派遣であるとか、こういったものを通じて、被災地の企業の支援に努めているところでございます。

 引き続き、被災地における産業の海外展開、輸出支援を推進してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

横山委員 大変ありがとうございます。

 海外への、出ていくときの支援も重要だと思いますが、海外から来ていただけますと、観光の部分でのプラスにもなりますから、来ていただいて、現実に見ていただいて、そこで商談をしていただく、その足で観光もして帰っていただくというようなこともぜひ考えていただきたいと思います。

 五分前になりましたので最後の質問になるかもしれませんけれども、先ほど出ておりましたJRの鉄路による復旧について、これは先ほどBRTについてかなり細かく質問をされておりますので、ちょっと視点を変えてお伺いをしたいと思います。

 これはもともと、国はJR東日本に対して、鉄路で復旧しなさいという話があったと思います。その中で、復旧したのはJRの山田線と仙石線であると。これに対して、今問題になっておりますのは気仙沼線と大船渡線。これはBRTでやるということでございますけれども、非常に基本的な質問なんですけれども、鉄路で復旧したところとBRTで復旧していくんだというJR東日本の考え方について、少しお聞かせいただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 被災いたしました鉄道線の復旧に関しましては、それぞれの地域の実情でございますとか利用状況等に応じて、地域と事業者の間でお話し合いが行われて、復旧の方針が定まっていったというふうに理解をしております。

 御指摘の大船渡線、気仙沼線でございますが、これは一日当たりの平均通過人員で見ますと、例えば大船渡線は、震災前の平成二十一年度、四百五十三名の御利用だったということでございますが、これは、例えばJR発足後の昭和六十三年度、これは一千三百四十九名ということでございました。あるいは柳津―気仙沼間につきましては、JR発足後、昭和六十三年度は一千四百二十五名の方の御利用があったということでございますが、震災前の平成二十一年度は八百九十八名というふうな利用者数の変化があったというふうな状況でございます。

 こういった状況を踏まえながら、現地におきまして関係者の間で御議論が行われておるということでございますけれども、七月二十四日に開催されました第二回の大船渡線、気仙沼線沿線自治体首長会議におきましては、JR東日本からこの両線につきまして、一つは、震災前は利用者が減少し、鉄道特性を十分に発揮できる水準とは言いがたい状況にあったんではないだろうかということでございますとか、あるいはBRTによる仮復旧によって、新駅設置や便数の増加など、地域の実情に合った交通手段となっていて、今後も地域ニーズに柔軟にこたえることが可能であるんではないだろうかといったことを踏まえまして、復興に貢献する持続可能な交通手段として、BRTにより本格復旧を行いたいと提案がJR東日本の方からあったということでございます。

 現在は、この提案を各自治体が持ち帰って、御検討をしていただくということでございまして、次回の同じ会議におきまして各自治体のお考えを示していただいて、復旧方針について議論を進めていただくということになっておるということでございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 現時点の理解ができましたけれども、先ほど答弁でありました、今自治体に持って帰っていただいて議論していただくということで、たしか年内をめどにしておるということでございますけれども、各自治体はそれぞれの手法で地元の意見をお聞きすると思いますけれども、自治体側から利用者に対する意見の徴収というのは具体的に考えられますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの地域におきましては、地域の利用者の皆様のニーズでございますとか地域の実情を踏まえるといったことを、それぞれ、各自治体の責任においてそのようなニーズの集約をしていただいて、それをこの会議の場で反映させて御議論いただくものと理解しております。

横山委員 大変ありがとうございました。

 ぜひ、利用者の方々、それに関係する地域の方々の御意見をしっかりとお聞きいただいて答えを出していただきたいと思います。

 以上で、私、横山の質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 維新の党、落合貴之でございます。

 前回質問の時間をいただいた際も申し上げましたが、私の地元は東京の世田谷ですが、ごく近い親類が福島の浜通りにおりまして、震災直後から、私はボランティアの一人として復興のお手伝いをしてまいりました。そして、今は、党の震災復興推進本部の事務局長として被災地東北とかかわってまいっております。

 東京の人たちも、震災復興、東北に注目をしております。被災地と東京をつなげていく、そして東京の方々にも被災地の実情を知っていただく、この役割も今後も果たしていきたいと考えております。

 では、まず、復興予算につきまして。

 本当に震災復興のために使われているのかという指摘がある一方で、被災地からは、ここがどうしても足りない、ここが困っている、こういう要望も多くいただいております。

 党の地方組織からの要望を取りまとめて、今月中には復興大臣に党としての要望書を提出させていただく予定でございます。現在その文章を作成中ですが、これらの中から幾つかの問題をピックアップして本日は質問させていただきたいと考えております。

 まず、復興庁は、ことし六月に、平成二十八年度以降五年間、復興・創生期間と定めて事業計画をまとめております。復興事業のうち、全国共通の課題への対応との性質をあわせ持つ事業は自治体負担を導入するという方針を打ち出しました。

 この全国共通の課題への対応との性質をあわせ持つ事業、この意味、それから具体的にどういう事業を想定しているのか、お聞かせいただければと思います。

竹下国務大臣 全国共通の対応との性格をあわせ持つ事業についてでございますが、復興事業ではありますけれども、地域振興策、あるいは将来への防災への備えといった、被災地以外の場所でも行われている課題といった性格もあわせ持つ事業を意味いたしております。これについては、被災地以外の地域との公平性の観点も勘案すべき時期に来ておると判断をいたしまして、自治体負担の対象事業として整理をさせていただきました。

 そして、具体的にはどういう事業かということでございますが、非常に粗っぽく言いますと、復興に関する基幹的な事業あるいは原発由来の事業、これは全て国費でありますから、それ以外のことということになりますけれども、例えば、直轄あるいは補助事業でやっております道路整備事業、港湾整備事業、社会資本整備総合交付金による事業、あるいは東日本大震災の復興交付金の効果促進事業といったようなものがこれに該当いたしております。

落合委員 この一部負担、先日の質疑でもそうでしたが、撤回を求める声も多く出ていると思います。この辺、この一部負担を求める方針の変更を検討する予定というのはありませんでしょうか。

竹下国務大臣 既に決定をさせていただきました。変更するつもりはありません。

落合委員 はい。わかりました。

 これは、被災地から要望を聞くと、最も一番最初に上がってくるのがこの問題ですので、ぜひそれを考慮に入れていろいろな施策を打っていただければと思います。

 では、先ほどの横山委員、それから黄川田先生からもありましたので、通告の順番を変えて、鉄道の問題を先に質問させていただきます。

 鉄道の復旧につきましても、現地の支部などからも多くの要望が出てきております。

 それで、JRの気仙沼線、大船渡線は、BRT、専用道路を走るバス高速システムによる仮復旧をしていると。鉄道よりBRTの方がメリットがある部分もあるという答弁も先ほどからいただいておりますけれども、輸送能力を比べると鉄道の方が断然高いと。

 この二つの路線、JRが自力で復旧することが難しい場合は、国が、特別会計も含めて、資金を出すことを検討したりですとか、第三セクターをつくったりですとか、そういった検討をする価値もあるとは思います。地元のニーズも、ある程度顕在化しているものがあると思います。

 復旧するとしても、津波がまた来てしまうので、内陸を通さなきゃいけない。それでまた財政が多くかかるという問題もありますが、内陸に移設するのは復興予算の使い方としては現実的な解決策であるとは思うんですが、なぜ国が支援をするという解決策が一番最初に出てこないのかということを、御見解を伺えればと思います。

西村(明)副大臣 お答え申し上げます。

 国として、今財政的なお話ございましたけれども、まずもって、鉄道の災害復旧の支援制度につきましては、その支援対象が赤字事業者に限られますことから、経営が黒字であるJR東日本は対象外となるところでございます。

 また、復興の交付金につきましては、被災自治体のまちづくりに必要な事業を支援するものでございまして、鉄道事業者による鉄道復旧事業は支援の対象外であるところでございます。

 ただし、これまで、復興交付金の事業として、土地区画整理事業、また道路事業を実施する際に一体的に整備すべき鉄道敷のかさ上げや踏切の移設、拡幅等につきましては、復興交付金で対応してきたことがございます。

 このJR大船渡線、気仙沼線の復旧を促進するために、国交省としましても、両線の沿線自治体首長会議を開催いたしまして、その議論を深めているところでございます。

 この自治体間、そしてJRさんの話を第一回の会合で聞いた中で、さまざまな意見がございましたけれども、その中で、第二回において、JRとしてどのような考え方をするのか、その検討結果を聞きたいということでございまして、先月開かれた、七月二十四日の第二回の大船渡線、気仙沼線の沿線自治体首長会議におきまして、JRの方から、両線については、震災前は、利用者が減少し、鉄道特性を十分に発揮できる水準とは言いがたい状況であったと。だから、先ほどお話があったように、鉄道は大容量の運送に向いているんですけれども、その状況ではなかったという説明がありました。

 また、BRTによる仮復旧につきましては、新駅の設置や便数の増加など、地域の実情に合った交通手段となっているということで、今後も地域ニーズに柔軟に応えることが可能であるといったことを踏まえて、復興に貢献する持続可能な交通手段としてBRTによる本格復旧を行いたいという提案があったところでございます。

 いずれにしましても、この提案を各自治体が今持ち帰って検討しておりますので、それを第三回の会議でお聞きした上で取りまとめをしたいと。年内を目途に調整をしているところでございます。

 いずれにしても、地域の公共交通のあり方については、地域の復興そしてまちづくりについて大変重要でございまして、国土交通省としましても、なるべく早く方向性を見出せるように、議論をしっかりと促進してまいりたいというふうに考えております。

落合委員 前提として赤字の会社でないと、JR東日本は黒字なので国費は投入しないということですが、JR東日本の地区は大変大きくて、山手線とほかの東北の路線、全然採算の度合いが違うと思うんですね。JR東日本も民間の会社ですから、赤字の路線、採算がとれない路線はふやしたくない。

 これは、この線に限っては復興に関するということで例外的に国費を出すという方針を示せば、JRの姿勢も今の姿勢とは変わってくる可能性もあると思います。

 それから、該当する地元の自治体のニーズを酌んでいくということですので、自治体の、行政のニーズだけではなくて、住んでいる住民の方々のニーズもしっかりと酌み取れるように、ぜひ御考慮いただければと思います。

 それでは、鉄道の質問は終わらせていただきます。お時間ありがとうございます。外していただいて大丈夫です。

 では、続きまして、たびたびこの委員会でも質問がありますが、被災者の心のケアの問題。多くの委員が取り上げていらっしゃいます。

 この心のケアが必要な状態が生まれる原因はどういうふうなものがあると考えているか、御見解をお聞かせください。

竹下国務大臣 一番大きなものは避難の長期化でございます。やはり四年数カ月、仮設住宅なりあるいはみなし仮設なり親戚のうちなり、避難生活が続いているということが一番大きな原因であると思います。

 それから、動かなくなるんですね、なかなか。仮設住宅でもみなし仮設でもそうですが、今までの地域社会とのつながりがぶち切れてしまいますので、隣近所でしょっちゅう行っていたというのが、これが、隣近所はちょっと知らない人と。なじみが出てくればまた動きは変わってくるんですが、そういった、つながりが切れることによる動かなくなること。

 それから、あの地域は、もともと経済活動はそれほど活発でなく、少子高齢化あるいは過疎化の進んでいたところでありますので、高齢者の方が多い。若い人たちは、あるいは経済力のある人たちは自主再建して比較的前に出ていかれる。残っているのはどうしても高齢者の、お年を召した方が多くなってくる。

 やはり、残念ながら、一定の年をとりますと、一つも二つも三つも、もう私なんかもその対象ですが、医者から指摘されるものを持っておるわけでありまして、そういったところが、動かなくなることによって、また気分的にも落ち込むことにもつながりやすいといったようなことで、心のケアというものがどうしても必要である、このように感じております。

落合委員 生活が変わってしまうことなどに起因するストレスの中で、仮設住宅で生活をするということのストレス、これはたびたび注目をされております。

 仮設住宅に住んでいる方をいかにゼロに近づけていくか。これは、阪神のときに問題になったように、無理やり退去させたりしては絶対になりませんが、まず、今、被災者の中で仮設住宅に住んでいる方がどれぐらいいるのか、そして、いつまでにどのような方法で全員が仮設に住まなくてもいい状態に持っていこうとしているのか、お聞かせください。

竹下国務大臣 ちょっと、今、仮設に何人いらっしゃるか、詳しい数字は調べております。

 我々は、仮設住宅ではなくて恒久的な住まいに一日も早く移っていただくということを目標の一つとして復興をやっておるところでございまして、だんだん、災害公営住宅あるいは防集の移転地という、新しく住宅を建てていただく場所の確保も、ここ一、二年、まさにピークで進んでいるところでありまして、いつまでにどういう形で、こう言われても明確なお答えはできませんが、一日も早く恒久的な住まいに移っていただくということを一つの目標に復興をやり続けているところでございます。

 それから、復興住宅、応急仮設住宅にいらっしゃる方というのは、六月の時点で七万三千七百十四人というふうに報告を受けております。

落合委員 七万人以上の方々が四年以上たった今も仮設に住まわれている、これは大きな問題だと思います。震災直後でしたら期限が切れない、ただ、今、四年以上たちました。ぜひ、仮でもいいので期限を切っていくということが、復興の先を見通す上で生活者にとって重要な問題だと思います。ぜひ御検討をいただければと思います。

 原発の事故がありました。日本の農林水産品に対して輸入規制をしいている国が多くあります。今、四十カ国ぐらい輸入規制をしいているようですが、第一次産業の復興がなくては東北の復興は加速できないのが事実でございます。この規制をしている諸外国が、日本の農林水産物に輸入規制をかける、この事態を起こしてしまっている原因は何だと考えておりますでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域による輸入規制については、第一に、当該国・地域の消費者等において放射性物質に対する心理的な不安が見られることや、第二として、我が国が説明している食品モニタリングデータ結果等に対して輸入規制国・地域の政府等の理解が十分でないことなどの理由があります。これによって、規制が行われているというふうに考えております。

 このため、我が国としては、これまで、各国・地域の政府等に対して、さまざまな機会を捉えて、モニタリングデータで日本産食品の安全性を示しつつ、輸入規制を撤廃、緩和するよう求めてきたところであります。

 また、風評被害を払拭し、現地消費者の信頼を回復するための取り組みもあわせて実施しており、例えば、本年三月には、香港、台湾等を対象に、平成二十六年度の補正予算を活用して、日本産食品のPRのためのテレビCMの放映や各種イベント、シンポジウムの開催、バイヤーやマスコミ関係者等の被災地への招聘等の取り組みを集中的に実施してきたところであります。

 この結果、豪州、タイ等十四カ国が規制措置を完全撤廃、EU、米国、シンガポールが規制措置を緩和していますが、残念ながら、台湾、韓国、中国などには理解を得られていない状況にあります。

 これらのなお輸入規制を維持している国・地域に対しては、今後とも引き続き、科学的データに基づく働きかけを粘り強く行い、輸入規制の撤廃、緩和を求めてまいります。

落合委員 その科学的データに対する信頼性が、やはり今、問題になっているんじゃないかと思います。先ほど、アンダーコントロールというお言葉もあったときに、野党の席からは本当にそうなのかというようなやじもありましたけれども、日本人でさえもそう思っている人たちがそれなりの数いるということをやはり考えていかなければならないと思います。

 汚染水の問題、国会で取り上げられていますが、この原発事故を収束させることなくして、東北の復興、特に福島は復興が達成されないという状況でございます。

 そこで、福島の原発について質問に入らせていただきます。

 福島第一原発は、核燃料が溶け出してしまっている。今どこにあるかわからないデブリの問題が注目をされております。この燃料を取り出す際に、燃料がむき出しになっているわけですから、この取り出す作業自体に大きな問題が発生する可能性もあります。

 報道によりますと、政府の方針として、二〇二一年にデブリの取り出しに着手をして、合計で三、四十年後には廃炉を完了させるということです。いろいろなリスクが考えられるデブリの取り出し、これは福島の方々の注目するところでありますが、いつからいつまでにどういう工程で取り出すのか、現時点での計画を教えていただければと思います。

高木副大臣 まず、燃料デブリの取り出しにつきましては、本年の六月の十二日に廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議にて決定いたしました中長期ロードマップにおきまして、まずは二年後、二〇一七年をめどに、燃料デブリが溶けているのは一号機、二号機、三号機でございますので、その号機ごとの燃料デブリ取り出しの方針を決定いたします。二〇二一年内には燃料デブリの取り出しを開始すると。

 いつまでにということでございますが、中長期ロードマップには具体的な時期は定めておりません。廃止措置終了の目標とされるのは二〇一一年十二月から三十年から四十年後までの間に対応すべきものとまず考えております。このため、技術的な難易度の高い技術開発に対する財政支援措置を講じたり、廃炉技術に関する戦略を担う原子力損害賠償・廃炉等支援機構の機能を強化するなど、我が国の総力を結集した体制の構築を図っているところでございます。

 まず、燃料デブリ、これは溶けたから大変だというのはまさにそのとおりでございますが、実は、スリーマイルの事故でも溶けました。これも、ロボットを開発して、そしてそのデブリを取り出しました。

 実は、スリーマイルのときには、格納容器の中にあります燃料がどのような状態になっているか、ロボットを投入するのに事故後六年かかりました。ところが、先日、四月でございますが、福島第一原発はまだ四年半にも満たない中で一号機にロボットを投入させていただきました。二号機には、さらにそれを開発したロボットをこれから投入する計画でございますし、そういった部分では、この進捗状況というのはスリーマイルと比べた場合にはいわゆる進展をしているというふうに捉えてもらっても結構だと思います。

 ただ、水素爆発が起きておりますので、使用済み燃料プールから四号機は全て燃料を取り出しました。一、二、三号機はまだ残っておりますが、先日も三号機でこの瓦れき、いわゆる燃料交換機というのが二十トン、爆発によってプールに落ちていたものをいわゆる遠隔操作のクレーンでしっかりと取り出している、そういうような形で、今一つずつ着実に進めているということも、どうか国会議員の皆さん方は、委員の皆さん方は認識をしていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

落合委員 これは、私も経産委員もやっていますので、随時チェックをさせていただきたいと考えております。

 汚染水の問題は先ほど石川委員からありましたので飛ばさせていただきますが、汚染水、ちょっとぐらいの汚染だったら海に流しても薄まるから大丈夫というようなことが行われるようであれば、やはり国際的な信頼は得られないわけですので、ぜひしっかりとそこのところはきっちりやらなきゃいけない問題だということを指摘させていただきます。

 それでは最後の問題ですが、廃炉にした場合、高レベルの廃棄物はもちろんのこと、低レベル廃棄物、これが大量に出ると考えられます。

 私は、数日前に六ケ所村の再処理施設に行ってまいりました。今まで廃炉にした原発はありませんので、低レベルの廃棄物は、作業で使った手袋ですとか、小さい器具とかしかないと。それらが処分場に埋められているわけですが、廃炉にするとなると、その建物自体ですとか、大量の低レベル廃棄物が出てきます。

 福島第一原発一号機から四号機まで廃炉にするわけですが、低レベル廃棄物、どれぐらいの量が出るというふうに試算されているんでしょうか。

高木副大臣 この廃炉に向けた作業におきまして発生する瓦れき等の量は、東京電力による試算によりますと、建屋、タンクなどの既存の設備を設置したままの前提で、二〇二七年度までに約五十六万立米と見込まれております。

 ただし、この福島第一原発の瓦れき、廃棄物は、事故により飛散した放射性物質の付着、または津波による塩分の付着など、通常の原子力発電所で発生する廃棄物とは状態が全く異なっておりまして、このため、その全てが御指摘の低レベル放射性廃棄物に該当するかどうか、現時点ではまだ明らかではございません。

 いずれにせよ、この安全な処理処分のための研究開発、その結果を踏まえた廃棄物の処理処分に関する基本的な考え方の整理などが必要と考えております。この固体廃棄物対策については、中長期ロードマップに基づいて、国が総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

落合委員 こういった過程をしっかり踏まえなければ福島は復興しないという大きな問題ですので、ぜひ取り組んでいただければと思います。

 こういった問題は与野党関係ないですので、必ず与野党を超えてやらなければならない、私もできる限りのことをさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

伊藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、広島の原爆投下から七十年になります。この場をおかりしまして、心から原爆被害者の皆様に哀悼の意を表するとともに、せっかくの機会ですので、一点質問させていただきたいと思います。

 あの広島と長崎の原爆で、一瞬にして二十数万というとうとい命が奪われました。昨年四月現在で、被爆者健康手帳保持者は十八万三千五百十九名。全国全ての都道府県に被爆者がいらっしゃいます。資料の三枚目にその内訳をつけておきました。

 また、過去最大時、手帳保持者のピーク時がいつだったかということでありますと、一九八〇年、三十七万二千二百六十四名までいたそうであります。そうすると、この三十五年間だけでも十八万八千七百四十五人がお亡くなりになった、平均年齢は八十歳を超えているという現状です。

 そこで、きょうは橋本政務官においでいただいていますが、今なお被爆者手帳の申請をする方、あるいは原爆症の申請をする方も多いです。その実態と意味について認識を伺いたい。

 また、資料の一枚目、きのうの東京新聞ですが、来年度の被爆者援護策を拡充する方向であると報じられました。けさの広島の式典でも総理が一言触れておったと思います。どのような方向を持っているのか、伺いたいと思います。

橋本大臣政務官 まず、御答弁申し上げます前に、七十年前の本日、広島に原子爆弾が投下をされました。原子爆弾の犠牲になられた方々のみたまに対し改めて哀悼の誠をささげるとともに、今もなお被爆による後遺症に苦しんでおられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 さて、御質問への御答弁ですけれども、まず、これは資料もお配りをいただいているかとも思うんですが、被爆者健康手帳の昨年度の新規申請者数は、全国で五百八十二名となっております。また、昨年度の原爆症の新規申請者数は、千七百七十二名でございます。こうした実態でございます。

 投下から七十年を経て、今なおそうした形で新たな申請をいただく方がおられるというのは、その被爆された方々が高齢化をし、さまざまな病気を抱えられるお年になっておられまして、そのことが一つの申請の契機になっているのではないかなというふうに認識をしているところでございます。

 被爆者の方々への御支援は、放射線による健康被害に着目をして行っているものでございまして、これまで、科学的知見を踏まえつつ、できる限りの支援を行ってきたところでございます。

 こうした中で、被爆から七十年がたちました。被爆された方々が、先ほど御指摘をいただきましたように、ことし初めて平均年齢が八十歳を超えたという段階、現状でもございます。そうしたことを踏まえまして、これまでの取り組みに加え、原爆症認定の一層の迅速化を図ります。これまでは約十一カ月かかっておりましたものを、原則六カ月以内に審査を行うようにしてまいる所存であります。

 また、そのほか、被爆者団体等から寄せられている御要望等を踏まえまして、黒い雨を体験された方々に健康相談を行っておりますが、より相談をしていただきやすくなるように、外出困難な方への、戸別に御訪問してそうした相談を受けるというようなことを本年秋から開始するほか、新たに相談会場までの交通費の助成制度の創設をすること。そして、被爆二世の方々の御不安に対応するため、現行の健康増進法に基づき市町村が行うがん検診では対象となっていない多発性骨髄腫の検査を新たに検診項目に追加することを行いたいと思っておりまして、現在、政府部内での調整が必要でございますので、そうした方向で検討を進めてまいりたい。

 そのことも、きょう、被爆者からの要望を聞く会というのが式典の後ございまして、塩崎厚労大臣から御発言があったところでございます。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 七十年たっても被爆の被害、影響というのがなくなっていないのだということを本当に改めて感じると思います。

 資料の二枚目に、今御紹介いただいた申請の数、また却下の数もあるんですけれども、そうした近年の分をつけておきました。

 それで、今政務官がお話しされたように、実は今までずっと被爆していたことを隠していた方もいっぱいいらっしゃると思うんですね。それが、やはり経済的困難や高齢など、そうした事情で今になって申請をするという方もいらっしゃるんだということ、そのこと自体も非常に重く受けとめたいなと思っております。

 それで、今の資料の二枚目にあるように、例えば二十年の原爆症認定は、八千五百八十が申請されて、認定が二千九百十九、これは近年の中でも非常に高い数字なのは、このときに、新しい審査の方針ということで、認定制度の見直しがありました。その後、二十五年度にももう一度見直しをしているんですけれども、それでも却下の数が、二十五年度で五百六十三、二十六年度で六百八十九、この間のトータルで一万一千百三十というように、却下がまだまだあるということを非常に悔しく思っております。要するに、因果関係が証明できないということ。

 それで、政府が、被爆二世や黒い雨被害者への支援を強めようということ、審査を早めよう、今そういう方向であるということは、被団協の皆さんが強く要望していたことでもあり、歓迎をしたいと思っております。これ以上同じ被爆者が線引きされることのないように、検査の見直しをさらに頑張っていただきたいことと、被爆者援護法の改正ということをぜひ踏み込んでいきたい、これは要望したいと思っております。

 それで、放射線被曝による健康への影響というのは、国際的にはICRPの、百ミリシーベルト以上ならば有意な影響が見られる、これはあくまでもはっきりわかるのが百ミリシーベルト以上ということであって、それ以下がないということを言っているのではないと思います。晩発性、内部被曝、長期間の低線量被曝の影響など、はっきりわからないというだけで、影響がやはり疑われるということがこの間もずっと研究をされております。

 私自身は、二〇〇六年の厚生労働委員会で、広島、長崎の被爆の評価が、今言ったように認定制度も見直しされてきているわけですけれども、やはり過小評価していることが、唯一の被爆国であって唯一のデータなわけですから、そういう点でも、世界の基準に過小評価という影響を与えているではないかということを指摘してきたことがございます。

 そのときはまだ、福島の事故が、あれほど大きな事故が起こるということは想像していなかったわけですけれども、現実に二〇一一年にあの事故が起き、この復興特別委員会としてチェルノブイリに視察に行きました。あのときに、クリアな影響、こうであればこうだという、みんなが望むほどの明確なデータがいただけませんでした。

 だけれども、強調されたことは、二十五年たっても国立の医療機関がずっと検診を続け、甲状腺だけではなく、さまざまな状況があるんだということ、だから、健康調査を続けることの意味、それが一番強調されたことではなかったかなと思っています。

 そこで、質問は、子ども・被災者支援法の基本方針、改定作業中であります。健康調査は、やはり継続して行うことが必要であり、国の責任で行うべきだと思います。福島県外の方、また十八歳以上の方でも、希望者には検査を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

浜田副大臣 放射線の健康影響は環境省が主管でございますが、あえて復興庁にという御質問でございますので、答えさせていただきます。

 放射線による健康への影響に関する調査や医療に関する施策のあり方については、環境省において専門家会議を開催し、昨年十二月末に中間取りまとめが行われたところでございます。

 これを踏まえた取り組みにつきましては、関係省庁の連携のもと、適切に対応されるものと考えております。

 なお、基本方針改定案におきましては、県民健康管理調査、甲状腺検査の充実やリスクコミュニケーション事業の継続、充実等に取り組む旨、盛り込んでいるところでございます。

高橋(千)委員 あえて復興庁に質問をいたしましたので。

 やはり今でも、私たち、子ども・被災者支援法をつくったとき、今いらっしゃる金子恵美筆頭理事が私の質問に対して答弁をしてくださる、そういう経過がございました。その後、議連をつくり、一緒に活動をしてきたわけですけれども、福島以外の方たちでも、やはり心配だということに応えたいということで、自主的に健康調査をやったりしているわけですね。やはりその中で、どんなに少ないといっても、出るわけですよね、影響が。それをきちんと続けていきたいという、その声に応えていただきたいと思いますので、重ねて要望したいと思っております。

 そこで、先ほど来議論になっております、避難する状況にはない、これを書き込むこと、これは、私はやはり、明記することはやめるべきだと思います。これは大臣に伺います。

竹下国務大臣 書き込むべきではないとはいいましても、規制庁からの正式な答えの中で、避難する状況にはない、科学的には避難する状況にはないという答えが出てきております。それは、あえて否定するものではないと私は思います。

高橋(千)委員 規制庁からの返事を唯一の根拠にしていらっしゃるなと改めて思って驚いております。

 先ほど、本村委員の質問の中でも明らかになっているわけですね。資料の四枚目につけておきました。六月二十四日に浜田副大臣が、原子力規制委員会委員長の田中委員長に宛てて手紙を書いている。これは、基本的には、国の方針はこうしたいということをもう書いているわけですよね。

  本来であれば、今回の改定において縮小・廃止を打ち出すことも考えられるが、社会的影響が大きいため困難であるものの、少なくとも、福島県による自主避難者に対する応急仮設住宅の提供の終了を明記するとともに、科学的には、支援対象地域は縮小・廃止すべき状況であることの確認をしておきたい。

  ついては、専門家から改めて、支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解を確認いただきたいと考えている。

 つまり、結論はもう国の中で決まっていて、それをお墨つきを下さいと言っているのと同じですよね。

 これはどういう性格のものなのか。大体、それに、この文書に法的根拠があるのか。そのことについて副大臣に伺います。

浜田副大臣 この文書につきましては、子ども・被災者支援法の支援対象地域というのが、いわゆる避難指示の二十ミリシーベルト以下であっても、一定の線量を超える地域と書いてありますね。線量だけで決まるという定義になっているんです、法律上。かつ、附則の二条で、それを毎年線量の調査に応じて見直すと書いてあるんですよ。ということは、線量自身は大幅に下がるのは、物理減衰もありますし、除染もやっていますから、明確なことなんです。これは二年前も、基本方針をつくるときに相当我々も悩みまして、いわゆる一定の線量という特定の数字は置けないんだけれども、線量はどんどん下がっているというのは客観的事実なんです。そうすれば、その数字はどの数字を置いたとしても、支援対象地域は縮小または撤廃するというのは法律上のやはり考え方だと思っています。

 そのことを書いた上で、では、どの線量であれば支援対象地域というのは健康不安を感じないんだろうか。つまり、この子ども・被災者支援法というのは自主避難者の方だけを支援する法律じゃなくて、むしろ法律の書いてある順番は、支援対象地域にお住まいになっている方々が最初に書いてあって、その次にそこから移動して生活する方、そしてそこから戻る方、こういう順番に書いてあるんですね。今でも県外避難をされている方々は約二万人ですけれども、むしろこの支援対象地域にお住まいになっている方々、百数十万人を超えている方々への安心も得ていくことが我々政府の役割だと思っています。

 そういうことから、中立的な機関であります原子力規制委員会というのはやはり専門性が一番ありますので、復興庁が、単なる政策判断ではなくて、専門的知見を求めたものでございます。

高橋(千)委員 ちょっと突っ込みどころが満載で、正直困っているんですが。

 私がさっき紹介した金子委員に質問した趣旨は、実はそのことだったんですよね。つまり、自主避難者の皆さんが強い要望を出されて、それを受けたいという気持ちがまず私たちにはありました。それと同時に、そこだけじゃないよ、福島に残る人も含めて、そして、福島に極めて近い、そして線量も高い人もいる、そういうみんなの不安に応えるという趣旨でつくるんだよねということを確認したところから始まったんです。基準を書けなかった、だけれども、基準という言い方をしたわけですよね。書けなかった、だけれどもそれは一ミリを目指すよねということを何度も質問の中で確認をしながら、それを補う形で議員連盟をやってきたわけです。

 それを、基本方針をつくるときに悩んだとおっしゃいましたけれども、悩んだ形で、結局出てきたのがこれであれば、支援地域ということを書く形であれば、すぐにでもできたよと私は思っています。基準があるから決められないから方針をつくれないんだと言いながら、二年も待たせて、結局出てきたのがこれかと、あのとき私たちは本当に怒りに思いました。

 そのことを重ねて指摘しておいて、質問には答えていないんですね。つまり、この田中委員長に出した文書というものはどれだけの法的拘束力というんですか、要するに、単なる個人的なお手紙ですか、それとも、国はこういう形でいつも規制委員会にお手紙を出してお墨つきをもらうということは普通にやっていることだという考え方ですか。

浜田副大臣 私個人の手紙ということではなくて、やはり復興庁から原子力規制委員会、規制庁への事務連絡、そして事務連絡が返ってくるというものだと思っております。国がいろいろな施策決定をする間においては、省庁間でいろいろな話し合いも行われますし、その間においては、こういう文書間で問い合わせたりすることは日常的に行われることだと思っております。

 あわせて、今回はあくまで、文書にも書いてありますけれども、子ども・被災者支援法の基本方針を改定するためにその知見をいただいたというところでございます。

高橋(千)委員 しかし、そう言いながら、知見をいただいたと言いながら、返事は翌日に返ってきているんですね。だから、副大臣から知見を下さいと言われて、何か新しい作業をしたわけじゃないんですよ。そうでしょう。翌日に返事が返ってきているから、もう今までやられているモニタリングのデータを示しただけじゃないですか。欲しいと言っている結論をくれただけなんです。これで、大臣が先ほど言うように、規制庁が言ったんだからというふうなことになるわけないでしょう。新しい知見は何一つないですよ。違いますか。

浜田副大臣 日付は確かに翌日付になっていますけれども、規制庁とのやりとりはこの数カ月前から、支援対象地域をどうするのかという議論はずっと続けておりました。私自身はこの文書を見たのはもっと後なんですけれども、回答を見たのはこの日付じゃなくて後なんですが、そういう意味では、やりとりはずっとしていたわけでありまして、単なる一日でやったというわけじゃありません。

 また、各種のデータというのは、我々は福島や東京の説明会でも配付をしておりますけれども、空間線量のデータから推計されるシーベルトのデータだけじゃなくて、ガラスバッジのデータ、実効線量ですね。特に、規制庁、規制委員会からは、空間線量からの推計というのはどうしても過大に出る、大体三倍ぐらいに大きく出るというのが、南相馬市の調査であったりとか、また、伊達市のいわゆるガラスバッジと空間線量からの推計値の結果でもありますので、よりガラスバッジのデータを重視すべきだという意見もいただきました。

 そういうデータであったり、それは外部被曝のデータでありますけれども、内部被曝についてはホール・ボディー・カウンターのデータ、また、実際に食品検査が福島でやられておりますので、それで基準値超えがどれぐらいになっているのか、そういうデータも踏まえて総合的にやっているわけでございます。

 そういう意味では、我々としては、十分な検討が規制庁との間でなされていると思っております。

高橋(千)委員 だったら、できレースだということなんですよ。そうでしょう。だって、今おっしゃったようなデータというのは、これまでも公表されてきているんです。関心を持っている被災者はみんな見ていますよ。それをまとめただけじゃないですか。

 私が言いたいのは、そういうデータを並べて、国が言いたいことを言ってもらう、それを根拠にして避難する状況にはないという言葉を書くことが、結局、被災者に対して打ち切り宣言をしたのと同じなんだということを言いたいわけです。

 それで、そこはもう指摘にとどめて次に行きますけれども、資料の次のページをめくってください。これは毎日新聞の八月一日の記事です。

 楢葉町、九月五日に、これは一カ月延期をしたわけですけれども、避難解除をするということに決まっているわけですけれども、解除後に町内の学校への通学を希望する小中学生がどのくらいいるかというアンケートで、就学対象者の一割未満という結果だったと。複雑な思いである、これだけ戻ってくれるのかという思いと、こんなに減ってしまうのかという教育長の言葉が載っておりまして、それはよくわかるなと思って見たわけですけれども。

 この記事を見ますと、学校再開自体は避難解除してから一年半おくらせる、その間どうするかということで、町内から仮校舎である三十キロ南のいわき市までスクールバスを出すと。そうすると、学校に戻らないと言っているのに、避難解除されたら保護者と子供が帰ってきて、いわき市の仮設に通うんだろうかというのは、ちょっと想像できないなというふうに正直思いました。

 今でも意向調査で、すぐに戻るというのは九・六%、条件が整えば戻るというのは三六・一%、今はまだ判断できない、戻らないが合わせて五三・四%にもなっています。気持ちはあるけれどもまだ戻らない、帰れないという方、やはりちゃんとそのことは受けとめて支援も当然していく必要があると思いますが、どのように考えていらっしゃるでしょう。

竹下国務大臣 楢葉は九月の五日に解除をさせていただくということを原災本部の方で決定いただきまして、今その方向に向かっていろいろなことが動いております。帰りたいなと思っている人に一日も早く帰っていただく環境をつくることが我々の仕事でございます。そして、帰りたくないな、あるいは今はまだ迷っているよという方、今、楢葉は、大半、一番多くの人たちがいわきにいらっしゃいますので、あのときに、九月五日を決めた記者会見の直後に高木副大臣はそのままその足でいわきへ行って、いわきの市長に会って、楢葉から避難している方たちの思いはさまざまである、帰りたいという方もいるけれども、帰りたくない、あるいは迷っているという人がたくさんいわきにいるので、ちゃんといわきで引き続き対応してくださいねというお話もそこでして来ていただいております。

 楢葉の問題についてはまだまだやらなければならないことがたくさんあります。ただ、町長も言っていますように、子供たちが帰らないとやはり元気が出ないな、こう町長も言っていますので、子供たちが帰れるような環境を一日も早くつくり上げていかなきゃならぬ、こう思っております。

高橋(千)委員 その高木副大臣が記者会見をして、いわきに行く前に、記者会見の後に何をおっしゃったかといいますと、木戸ダムの湖底の放射線量がまだあることに対して住民が根強く不安を持っている、それに対して、安心は心の問題、こういう言い方をしたわけですね。それを受けて、帰還に向け住宅再建を終えた六十代の男性は、帰る気持ちがうせる、こう言ったそうです。

 ですから、帰ろうと思っていた人でさえも、心の問題だ、心配するなと言ってしまえば、それは国に対してやはり信頼できないという思いになっちゃうわけですよ。それをあえて指摘したいなと思っております。

 ただ、私は、この木戸ダムの問題だって、常時観測する体制を楢葉で初めてやります、水道の不安に応えますときのうおっしゃっていました。ですから、頑張っていることは認めますよ。わかっている。だからこそ、やはりそういう住民の気持ちにちゃんと向き合ってもらいたい。

 新指針では、今度は、もう二〇一七年の三月までには帰還困難区域を除く地域は避難指示を解除するということを言っているわけですよね。だから、そこに向かって集中して頑張るということと、だけれども、一律に解除しますと決めちゃうこととは全然意味が違うわけです。国が自主避難者をつくるわけですよね。もう国が、今余儀なくされている人たちは、帰るかどうかは別として、解除するということによって自主避難にされてしまう、この意味は非常に重いんだということは、私ずっと言い続けております。

 時間が来たので終わりますが、既に解除された地域でも帰還が進んでいないということを踏まえて、やはりこの考え方は柔軟に対応すべきだと指摘をして、終わります。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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