衆議院

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第3号 平成28年3月18日(金曜日)

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平成二十八年三月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 小田原 潔君 理事 亀岡 偉民君

   理事 島田 佳和君 理事 冨樫 博之君

   理事 西村 明宏君 理事 落合 貴之君

   理事 階   猛君 理事 赤羽 一嘉君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      越智 隆雄君    大西 宏幸君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      門山 宏哲君    菅家 一郎君

      小泉進次郎君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君    高橋ひなこ君

      武部  新君    橘 慶一郎君

      辻  清人君    中川 郁子君

      根本  匠君    橋本 英教君

      藤原  崇君    堀内 詔子君

      八木 哲也君    金子 恵美君

      玄葉光一郎君    後藤 祐一君

      郡  和子君    近藤 洋介君

      松田 直久君    山井 和則君

      浮島 智子君    中野 洋昌君

      真山 祐一君    吉田 宣弘君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

      椎木  保君    小熊 慎司君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       高木  毅君

   復興副大臣        長島 忠美君

   復興副大臣        若松 謙維君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   国土交通副大臣

   兼復興副大臣       山本 順三君

   環境副大臣        井上 信治君

   復興大臣政務官      高木 宏壽君

   経済産業大臣政務官

   兼復興大臣政務官     星野 剛士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     内海 英一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩瀬 忠篤君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中尾 泰久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     岩田 和親君

  小野寺五典君     大西 宏幸君

  小林 鷹之君     辻  清人君

  鈴木 俊一君     武部  新君

  高橋ひなこ君     中川 郁子君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  真山 祐一君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     伊藤信太郎君

  大西 宏幸君     小島 敏文君

  武部  新君     鈴木 俊一君

  辻  清人君     小林 鷹之君

  中川 郁子君     高橋ひなこ君

  八木 哲也君     池田 道孝君

  吉田 宣弘君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     國場幸之助君

  小島 敏文君     小野寺五典君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、復興庁統括官内海英一君、農林水産省大臣官房審議官岩瀬忠篤君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官中尾泰久君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司君、国土交通省都市局長栗田卓也君、国土交通省道路局長森昌文君、国土交通省住宅局長由木文彦君、観光庁観光地域振興部長加藤庸之君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君及び原子力規制庁次長荻野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀岡偉民君。

亀岡委員 おはようございます。きょう、トップバッターを務めさせていただきます自由民主党の亀岡偉民です。よろしくお願いいたします。

 震災、五年がたちました。ちょうど五年の慰霊祭を各地でやられたときに、明るい話題がたくさん出てきまして、その話題の一つに私はすごく感動いたしました。それは釜石市の件です。釜石の高校生が、被災のときにみんなを避難させたあの思い出がまだ鮮明によみがえっているときに、釜石高校の野球部が甲子園出場を果たした。しかも、私はびっくりしたんですけれども、一回戦でコールドゲームで負けたんですね。しかも、大差でコールドゲームで負けたあの釜石高校の野球部が、それから六連勝したんです。本当に六連勝して、そして甲子園出場を果たした。

 福島でもそうですが、かなり話題に上がりまして、本当に頑張ればできるんだねと。しかも、私も野球を経験したんですけれども、今までの経験の中で、一回戦でコールド負けしたチームが甲子園に出るということがあり得るとは、私も今まで思っていなかったんです。ところが、見事に二十一世紀枠で甲子園出場を果たした。これは、多くの被災地に勇気を与えてくれたことは間違いありません。

 だから、こういうスポーツでみんなに元気を与える力というのはかなり大きなものがあると思っていますので、そういう意味では、皆さんには、スポーツにもまたいろいろ力を入れていただきたいと考えております。

 そして、同じ時期にアンケート調査が出て、ちょっとがっかりしたことがございます。読売新聞の記事だったんですけれども、これは、被災地三県の被災民にアンケート調査をした結果、「岩手・宮城と対照的」「復興実感遠い福島」というアンケート調査を出されていまして、津波の被害だけではない、まさに見えないものにどうやって対応していったらいいかというその思いがなかなか被災民の思いとつながらない、復興を早くしたいという中でも、本当に皆さんに頑張っていただいているんですけれども、その中でも結果が出せないというようなジレンマの中に入っているんだろうと。

 でも、その中でも、復興庁の大臣、副大臣、皆様には何度も福島に足を運んでいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。先般も、高木大臣と総理と、また入っていただいて、そしてじっくり状況を見ていただきました。そのときに、知事が要請をしたことに対して、総理がすぐ応えてくれた。あれには私も感動いたしました。

 福島の復興には、まさに産業基盤、これは産業基盤がなくなっているわけですから、その再生が欠かせない状況の中で、福島は、再生可能エネルギーの推進を復興の柱としたい、二〇四〇年には再生可能エネルギーで県内一〇〇%のエネルギーを補うという目標を掲げたんですね。原子力事故を経験した福島では、新たなエネルギー、新エネルギーで再生を図ることが大きな意義がある、これが大事なことだと思います。

 これまで国は、イノベーション・コースト構想でのエネルギープロジェクトの推進や、産総研の再エネ研究所の設立、固定価格買い取り制度に上乗せをした設備導入補助など、他の地域にない支援を行って福島の取り組みを後押ししていただいてきました。原発事故五年となる中、福島県では、福島におけるエネルギー関連産業プロジェクトを一層推進させるため、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大、そして水素社会の実現の先駆けとなる象徴的な取り組みを福島で実施することを決めて、国に要望したところであります。

 特に、水素の取り組みに関しては、産総研の福島再エネ研究所で研究は一部やっているものの、まだ現時点では、インフラの整備や水素利用の機器の普及等で必ずしも他の地域と比べて進んでいるわけではありません。このような環境にもかかわらず、知事が決断をし要望を出されたのは、これからの十年、二十年先を展望して、福島の未来のために今しっかりした基盤をつくっていくことが必要であると真剣に考えた強い意思を反映したものだと思います。

 先般も、高木大臣とともに総理が福島を訪問した際、福島を日本じゅうに水素エネルギーを供給する一大生産地に、未来の水素社会を開く先駆けの地としていきたいとする新エネ社会構想の発表をしていただきました。福島において、新しいエネルギーの分野で先端的な研究が行われ、関係する産業の集積が進み、世界に先駆けたモデルがつくられ、それによって福島が復興しているとの姿を世界に発信することが極めて重要です。国は、福島の思いをしっかり受けとめていただき、再生可能エネルギーや水素エネルギーが福島の復興を加速させる原動力となるような取り組みを強力に支援することを不退転の決意で進めていただければというふうに考えております。

 この福島新エネ社会構想の実現に向けて、復興庁としても、できる限り全面的な協力をいただきながら、まさに福島の復興が世界へ情報発信できるような、その環境づくりのためにお力添えいただきたいと思いますが、高木大臣には、ぜひここに、福島の思いを受けとめていただいて、これに対して、福島と同じぐらいの気持ちでこれに取り組んでいただければと思いますが、決意のほどよろしくお願いいたします。

高木国務大臣 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、亀岡委員から御質問いただきました。御指摘もいただきましたが、安倍総理は、今月の五日、福島県を再生可能エネルギーや水素エネルギーの先駆けの地とする福島新エネ社会構想を発表いたしました。本構想は、福島イノベーション・コースト構想のうち、エネルギー分野の加速化を図り、その成果も活用しつつ、福島全県における再生可能エネルギーの導入拡大、あるいは液化水素の効率的な輸送技術を開発するといった、未来の水素社会実現のモデル構築等を目指すものと理解をしているところでございます。

 こうした取り組みは、原子力災害からの復興、再生に資するものであって、復興庁としても、これら各省の取り組みとよく連携を図りつつ、引き続き福島の復興、再生に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひお願いいたします。

 このイノベーション・コースト構想は、前の赤羽副大臣のときにまさに立ち上げていただいて、そして福島がそれとタイアップをして、真剣に考えて将来の目標を立てた、まさに水素エネルギー社会は福島から起こすんだという決意のあらわれでありますので、復興庁としてよろしくお願いいたします。

 次に、実は、復興道路としていろいろ御支援をいただいておりますが、この復興道路が、中央道ですけれども、今ようやく福島から、これは大笹生という地域があるんですけれども、そこに大笹生インターということで、福島が拠点となるような地区ができそうなところになってきています。

 ただ、この復興道路、相馬から米沢まで自動車専用道路として、新しい高速道路ではなくて、料金を取らない自動車専用道路として復興道路の位置づけをしていただいて、今進めていただいておるんですけれども、ちょっと地域の中で不安材料が出てきております。

 というのは、この間発表になったのが、福島ジャンクションから大笹生まではただだという新聞の報道が出たんですね。我々は、本来であれば、復興道路ですから、相馬から福島までは、大笹生までは、米沢までは無料であるとずっと言い続けてきたわけですから、当然、新聞報道で、ちょっと待てよ、福島ジャンクションから大笹生まで無料だということは、それから相馬までは有料なのかという、これでは経済復興の道路にならないんじゃないだろうか、お金を取るのかということで、不安になった方々がたくさんいらっしゃいます。

 まさに、これから復興道路として、命の道路として、この百十五号線を中央道にかえて、これは病院もそうです、大きな病院がないということで、震災時、県立医科大学まで運ぶのに亡くなってしまった方がいたということで、命の道路としても生かそうというときに、ちょっと不安材料が出てきてしまった。でも、これは多分、そんなことではなくて、途中の過程での発表で誤解をされたんだと思うんですね。

 これは、山本副大臣にもいろいろ、福島に来ていただいて、復興を見ていただいたり、または、最初の、被災地から支援をしていただいたりしていたわけですが、ぜひ国交省としても、この道路は、命の道路、そして経済復興の道路ですから、相馬から米沢まで、まさにたまたま東北自動車道をかぎ形で通るわけですけれども、ここで料金を取ることのないように、新聞報道で不安になった方々が安心できるように、これは全部無料だよということ、そして経済の活性化には必ずこの道路を生かすんだよという決意をぜひお示しいただきたいと思いますので、お答えをよろしくお願いいたします。

山本副大臣 亀岡議員にお答えをいたします。

 今ほど釜石高校のお話がありまして、かなり以前でありますけれども、亀岡議員が甲子園に出られて、江川投手のキャッチャーをしておったということを懐かしく思い出しました。当時、私の母校の今治西が江川投手に二十奪三振ということで甲子園記録をつくってしまったということが、これまた懐かしく思われたわけでありますけれども、スポーツの力は大変重要でありますから、一緒にこれから頑張っていきたいというふうに思います。

 お答えを申し上げます。

 東北中央道のうちの復興支援道路に位置づけられた相馬福島道路は、相馬インターチェンジから福島北ジャンクションの間の全線を、無料の高速道路として現在整備いたしております。同様に、福島ジャンクションから大笹生間についても、無料の高速道路として、現在整備を進めており、ことしの秋の行楽シーズン前には開通というような予定でございます。

 一方、これらの道路をつなぐ福島北ジャンクションから福島ジャンクションまでの区間については、東北道として整備をされ、これは昭和五十年四月に開通した有料の高速道路と現在なっております。

 相馬から大笹生間を無料にするという議員の御提案でありますけれども、これも福島県の復興のための一つの方策であるというふうには考えております。

 これまで、東日本大震災の被災者への対応として、御案内のとおり、区域等からの避難者や母子避難者等に対して高速道路料金の無料措置を行っており、これは来年度末、平成二十九年三月末まで継続することにしておるところでございます。

 御提案のように、さらに高速道路料金を引き下げる措置を行うためには、これは財源も必要でございますし、福島県の復興の加速化に向けての議論の中で、政府全体としてこれは整理をしていかなければならないというふうに考えておるところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

亀岡委員 特に相馬から福島、福島から米沢ですね、これは復興道路として位置づけしていただいているわけですから、しかも命の道路としても必要なことですから、復興のみならず、これからの地域振興策のためにも、この区間はぜひ無料にしていただいて、きちんと復興が加速できるように、そして、経済活性化のために、相馬港を利用しながら、全て県内、物流のみならず多くの観光客の誘致も含めて、加速ができるような環境のために、しっかりと無料化に向けて御検討していただきたいと思うので、その辺はよろしくお願いいたしたいと思います。

 それからもう一つ、これも新聞発表になっているんですが、秋の行楽シーズンまでには大笹生インターを開通させていただけるということで、今頑張っていただいております。

 実は、この大笹生インターが福島の復興には欠かせないものであります。先ほど言いました三県の中で、福島だけがどうしても見えないものとしっかりと取り組まなければいけない中で、風評被害というものと正面から向かい合わなければいけない。そのためには、福島の今一番の利点は何かというと、農作物が一番おいしいんですね。すばらしい、おいしい果樹の期待があったり、まさに、食べさせることによって風評被害をなくせる機会がある、チャンスがある。これは、せっかく大笹生インターをつくるわけですから、そこに一大拠点をつくることによって情報が発信できるだろう。そこに何かしっかりしたものを、これから県と市と協議しながらつくっていかなければいけない。これが道の駅だと思います。

 この道の駅をつくるに当たっては、多分、国の力、絶大な御支援がないと、中途半端なものをつくっても風評被害対策にはなりませんから、まさにこれはしっかりしたものをつくることによって、例えば三百六十五日利用できるような道の駅にしていくとか、または、そこの道の駅に来ることによって、例えば多くの農業生産地の皆さんのところに情報が行き、その行楽シーズンにはここが一番いいとかそういう情報が流せるとか、いろいろなものを加味しながら情報集積地をつくっていくことが必要だろうと思っております。

 ただし、この道の駅は国交省が管轄していますし、例えば三百六十五日使えるような、そういうものにするには、今、福島は老朽化した市場があり、家賃を払うのも大変だと。市場の中でも、家賃を払いながらやるのはもう無理だからといって仲卸が半分以下になってしまったり。これを移設することによって、三百六十五日、シーズン以外のものでも売ることができる。

 まさに、福島の活性化を目指すには、県や国交省や農林省や、そしてそれを取りまとめる復興庁、これが協力して、一体となって福島の復興、風評被害対策に向かわなければいけないと私は思っているんですけれども、ぜひこれを各省庁しっかり取り組んでいただくために、国交省、農林省そして復興庁から、その決意と、できればその思いを語っていただければと思うので、よろしくお願いいたします。

山本副大臣 道の駅は、まさに地方創生を具体的に実現していくための拠点でございまして、大変に重要な、そしてまた有力な手段であります。

 東北中央自動車道の福島大笹生インターチェンジ付近の道の駅についても、これは重要な施設であると我々も考えておりますし、先ほどお話しのとおり、近くにはフルーツラインが通っておるということもございまして、そういった意味で、極めて重要であろうというふうに思います。

 現在、福島市が「道の駅」整備計画策定委員会というものを設置いたしまして、計画の策定を進めているところであり、国土交通省としても、委員会に参画をして計画づくりに協力しているところでございます。

 道の駅の整備につきましては、道路施設となる駐車場、トイレ、休憩施設、道路情報提供施設等について、福島市及び福島県からの要望を踏まえ、社会資本整備総合交付金を活用し、国土交通省としてもこれを積極的に応援してまいりたい、このように考えております。

 加えて、東北中央自動車道からの案内標識により、交通を円滑に誘導し、道の駅の利用を促進し、福島の復興と再生をこれは強力に支援してまいりたいというふうに思っております。

岩瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 卸売市場の施設整備に対しましては、開設者の発意に基づく事業計画の内容が、国の交付金による支援メニューに該当する場合に、国は支援しているところであります。

 福島市公設地方卸売市場については、これまでのところ、開設者である福島市から、場内関係者の意向を尊重しながら再整備に向けて調査検討していくと聞いております。農林水産省といたしましては、今後のヒアリングなどを通じて、開設者である福島市が市場の再整備をどのような方向で進める予定なのか、確認をしつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

若松副大臣 亀岡委員にお答えいたします。

 福島市におきましては、本年一月、学識経験者や関係行政機関、地元住民代表から成る地域振興施設「道の駅」整備計画策定委員会を設置したと聞いておりまして、道の駅の機能等につきまして、現在、調査検討を行っていると伺っております。

 今、亀岡委員の思いであります、まさに風評被害をどう払拭するかということでも大事な位置づけと考えておりますので、復興庁といたしましても、委員会における質疑をしっかり見守りながらも、全力で参画してまいりたいと考えております。

亀岡委員 若松副大臣は、福島復興のために一番力をかしていただかなきゃいけないんですけれども、農林省の、今、規定にのっとったという話が出ましたけれども、そうではないんですね。まさに復興に向けてやらなきゃならないときには復興に寄り添った形でやってもらう、これは復興庁が間に入っていただかなきゃ無理だと思うんですけれども、まさに、役所の中の規定を乗り越えた中で復興に向かうという力もぜひ発揮していただければと思うので、よろしくお願いいたします。

 それから一つ、風評被害のお話なんですが、先般も長島副大臣には来ていただいて、桑折町の商工会ともお話をしていただきました。損害賠償を打ち切られるというのは当たり前なんですけれども、なかなかそういつまでももらえるわけではない。ただ、その中で、私も、皆さんに一生懸命自立していくために一緒に頑張ろうという話はしておりますけれども、確かに、顧客がなくなった中で、損害賠償をもらってきて、何とか食いつないできた。でも、いきなり切られて、これから顧客が戻るかといったら、戻らない。

 この間も例に出されたように、三十年たったチェルノブイリのものをここで食べますかと言われたときに食べられるかと。同じように、一回離れたお客が戻るというのはなかなか難しいという意見を皆さんが出されておりました。

 ただ、自立したいという気持ちはみんな持っております。その中で、自立できないから、もう今から、切られた瞬間にもう商売をやめるという意見がたくさん出てきてしまって、自立に向けた気持ちをなえさせてしまっているというところがあります。

 これは私は非常に大事なことだと思うんですが、これから自立に向けてやろうとしている人たちに新たな支援策、これは損害賠償ではなくて、やる気のある人たちにやる気を起こさせるための支援というのは必要だと思いますので、これをぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、経産省、これはよろしくお願いします。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、被災十二市町村の復興のためには、産業、なりわいの再建、自立の取り組みが必要でございます。

 ただいま先生から御指摘ございましたけれども、被災十二市町村では、今もなお住民の避難に伴います顧客の減少など、さまざまな苦難に直面しておりまして、被災事業者の方々の後押しとなる取り組みをしっかり進めていくということが重要でございます。

 このため、昨年の八月に官民合同チームを発足させまして、これまで約三千五百の事業者の方々を個別に訪問し、丁寧に御事情、御意向をお伺いしてまいりました。ここで得られました事業者の方々の生の声を重く受けとめまして、事業者の方々の自立に向けた支援策の抜本的な強化に取り組んでおります。

 具体的には、官民合同チームの専門家によります相談体制を強化すること、そして、中小企業者の方々の設備投資などへの支援をすること、また、人材を確保するためのマッチングを進めることなどにつきまして、二十七年度の補正予算、そしてただいま御審議いただいています二十八年度予算案におきまして、総額二百四十一億円を盛り込んでおります。

 このような新たな支援策が、より多くの事業者の方々に有効に活用していただけますよう、現在、官民合同チームが、一度訪問した方にも、二度目、そして三度目と再訪問させていただいて、それぞれの御事情、御意向に合わせた支援策の御紹介、そして支援の申請に向けてお手伝いを行ってまいります。

 このような新たな支援策の実施を通じまして、一日も早い事業者の方々の自立、そして被災地の復興の実現に取り組んでまいります。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ただ、一つだけ私がお願いしたいのは、十二市町村はまさにかなり手厚くいろいろ訪問していただいているとあるんですけれども、実は、福島県内全部が風評被害にまだ遭っているんですね。

 この風評被害は福島県全体、この間も桑折町に来ていただきましたけれども、この風評被害で悩んで、そして頑張ろうとしている県内全域の企業に何とかしなきゃいけないという気持ちを持ってもらわなきゃいけないんです。十二市町村は個々に当たられる可能性はありますけれども、当たれない場合に、できれば、例えば各市町村の商工会を集めていただいて、その中でしっかりと苦情を聞きながら対応していく。

 そして、できれば、これは私はぜひお願いしたいんですけれども、十二市町村に限ってしまう、支援も全部十二市町村だよといって決められてしまうと、福島県内で風評被害で頑張ろうとしているほかの企業全てが、何だ、俺たちはもう終わりか、何を言っているんだと。これから俺たちは風評被害から頑張って立ち直ろうとしている、これからの五年間の一年目が大事なんだと言っているときに、この十二市町村以外は国は関係ないんだよということは絶対思わせないでもらいたいんですね。

 その端的な例が、南相馬市なんかは、同じ市でありながら三地区に分けられていて、二十キロ圏内、三十キロ圏内、四十キロ圏内が市内に混在して、全部避難しろと言われながらも、見舞金はもらえなかったとか、今はこの制度は、できるのは、原町の一部までしかもらえません、こっちは関係ありませんとか、同じ市の中でばらばらにしてしまう。これが南相馬市の復興を一番おくらせている。これは、市民が一体となって協力すれば、一足す一が五にも十にもなる復興が加速できるにもかかわらず、わざわざ区切ってしまっている。

 もう五年過ぎたんですから、それぞれ個々の市町村に合ったしっかりした対応をしていかないと復興はなかなか進まない。この区分けをわざわざしてしまって、ばらばらに分散させて、力を分散させて復興をおくらせるということはしてはいけないことだと私は思っているんですね。

 ですから、これから新たな創生期間五年間の一年目を迎えるときに、まさに地域分けをするのではなくて、それぞれの個々の事情にあって県内の中で見えないものと闘う、そして、しっかりと立ち向かう中での自治体がしっかりと取り組む体制、そして、十二市町村のみならず県内みんなで頑張っているわけですから、できれば、こういう企業立地補助金やまたは新たな補助金制度を含めて、十二市町村に限らずにそれぞれしっかりと対応していただかなければいけない。

 これが福島県の全体の復興につながっていくわけですから、ぜひその取り組みをもう一度考え直していただきたいと思うので、よろしくお願いします。

中尾政府参考人 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、福島県全県の復興を図っていくということでございまして、先生からも御質問ございましたとおり、商工会、商工会議所とも連携して、地元の声を広く聞いてまいります。

 特に、企業の立地を促し、雇用を創出していくという観点から、これまで総額二千九十億円に上りますいわゆる企業の立地補助金というのを用意しまして、福島県全県を対象として工場等の新増設を支援してまいりました。

 本補助金は、本年度末が制度の期限になっておりましたけれども、先生から御指摘ございましたとおり、まだ福島県は非常に風評被害等もあるということもございますので、復興をさらに加速化するということで、引き続き、福島県全域を対象として本制度を延長するということにさせていただきました。これによりまして、福島県全域の産業振興、産業復興を強力に支援してまいります。

 また、特に南相馬市についての御言及がございました。

 先ほど先生からも御紹介ございましたイノベーション・コースト構想、これは福島浜通り地域十五市町村を広く対象として支援してまいるものでございます。この中でも、南相馬を含めて、イノベーション・コーストの実現に向けて幅広い分野のイノベーションについて支援してまいることとしております。

 それから、先ほど御答弁申し上げました新しい自立支援事業ということを今回やりますけれども、これも、十二市町村の方々、幅広い事業者の方々にお応えする、支援してまいるということにしております。

亀岡委員 ぜひもうちょっと、イノベーション・コーストの補助金のみならず、これは本当に、南相馬市も含めてその地域で頑張ろうとしている人たち、やる気のある人たちの支援にしっかりと取り組むことによって、より相乗効果が上がる。

 私は、ずっとこの五年間思い続けて、反省をしているんですけれども、申しわけなかったなと被災地の方に思っていることは、国がやってあげているよ、これだけやってあげているよということと、どうしても我々が自立するためにはこれが必要なんだ、これを頼むという、このギャップが大き過ぎるがためになかなか復興が進まない。そして被災地の方々の心が折れてしまう。だから、ここはもう一回、私は復興庁を含めて各省庁の皆さんにお願いしたいんですけれども、まず最初に、除染のときに大きな問題になりましたけれども、これだけやってあげているのにどうなんだと言っているのに、こうならないというのは、ちょっと残念な気がします。

 最後に、これは長島先生にちょっとお願いをしたいんですけれども、きょうこの資料を出しました、暮らしの記憶誌編成事業というのがあるんですけれども、これは飯舘村の人が一生懸命頑張って、強い意思で、何とか自分たちの意思で復興をなし遂げたいということで、復興交付金事業の説明会に行って、これを書けと言われたと。

 このとき、非常にがっかりして帰ってきたのは、この資料は避難している人たちにつくれるかといったら、なかなかつくれないんですね。こういうものをつくらなければ認定しませんよと言われてしまって非常に困ったと。我々が被災者一人一人の自主的な復興活動で何とか飯舘村を立て直そうとしているときに、なかなか厳しいハードルで、がっかりして帰ってきたということがあります。

 復興は被災者に寄り添ってという政府の言葉、現場ではみじんも感じさせませんと書いてきたんですね。その中で、この人が、復興先進事例として山古志村へ視察に行ったけれども、すごく夢と希望をもらったというお話をしてきましたので、ぜひ長島先生にも復興に向けてお力添えをいただきたいと思うので、引き続きよろしくお願いします。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 御指摘の福島復興局での心の復興事業の説明会は、団体からの要望を踏まえて急遽開いたもので、福島復興局の職員が募集要領等の説明を行ったと聞いております。

 心の復興事業は、被災者が前向きに暮らしていただけるような取り組みを支援する復興に当たっての新たな事業展開であり、御指摘のように、事業の検討に当たって被災者に寄り添った対応が重要であるというふうに認識をしております。

 心の復興事業については、これまで本庁の被災者支援班の職員が被災三県に直接足を運び、説明会や交流会等を十七回にわたって開催するとともに、それに合わせて個別の相談も親身に受けるなど事業の検討の支援を行ってまいりましたし、被災者支援コーディネート事業において心の復興事業の立ち上げ支援を行っており、現地のコーディネーターが事業内容の相談を受けるとともに、復興庁の被災者支援班が毎週報告を受けてアドバイスを行ってきたところであります。

 御指摘のような、被災者に疎外感を与えないようにより寄り添った対応を復興庁としても努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

亀岡委員 ぜひお願いいたします。

 飯舘村の人たちが山古志村を復興のモデルとしたいと言っておりますので、ぜひ、飯舘村にも来ていただいて、支援のほどよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど言ったように、国がしてあげているのと地元がやってほしいこと、それぞれギャップのないようにこれからも真剣に取り組んでいただきますようよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 東日本大震災から五年の節目を迎えました。改めまして、犠牲となられた皆様に心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様に心から哀悼の意を表する次第でございます。また、五年の節目を迎えたわけでございますけれども、今なお避難生活を余儀なくされている被災者の皆様も大変多くいらっしゃるわけでございまして、そうした被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 我々公明党は、この五年の節目を迎えた中で、十二日には岩手県大船渡市そして福島県いわき市で、それぞれ復興会議を開催させていただきました。また、十三日には宮城県石巻市において復興会議を開催させていただきました。我が党の地方議員の皆様と、また公明党は各被災地に担当国会議員を配置させていただいておりまして、その担当国会議員がそれぞれ集ってこの復興会議を開催させていただいたわけでございます。

 改めて、被災者の皆様お一人お一人の生活再建、人生の再建、まさに公明党が掲げる人間の復興の実現に向けて、新たな決意でスタートをさせていただいたところでございまして、そうした決意を込めてきょうは質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、質問に入らせていただきますけれども、東日本大震災五年の節目、復興庁におきましては、平成二十三年の十二月に復興庁設置法が成立をいたしまして、翌年、復興庁として成立したわけでございますけれども、この復興庁設置法におきましては、復興庁は平成三十三年三月三十一日までの期間、おおむね十年の期間で廃止をするという方針で規定がされておりますけれども、これは、やはり十年という一つの期間の中で復興をなし遂げる、そういう決意を込めての規定というふうに私は解釈をしておりますけれども、今、この五年という中で、折り返し地点を迎えたわけでございます。

 しかし、まだまだ課題は山積しているのは重々承知でございますし、また被災者の生活再建という観点では多くの課題が残っている、なお一層力を込めていかなければいけない課題であると認識しておりますけれども、一方で、復興は間違いなく確実に前に進んでまいったと思っております。

 十二日、楢葉町の方、公明党の代表である山口代表とともに視察をさせていただきました。楢葉町の住民の皆さんとも懇談をさせていただきました。楢葉町は昨年九月に避難指示が解除になりまして、そしてさまざまなまちづくりを進めてまいりました。仮設商店街もそうでございますし、また先般は医療機関もできたわけでございます。さらに、Jヴィレッジにおきましては、これまで東電の廃炉作業の拠点であったわけでございますけれども、東電の本社が移るということも成ったわけでございまして、そういった、着実にまちづくりとしては進んでいる状況というふうに認識をしております。

 一方で、帰還した住民の皆さんは数字でいいますと六%ということでございますけれども、その住民の皆さんと懇談したときにおっしゃっておりました。そうした数字を報道するのも重要だとは思いますけれども、やはり帰還に向けて、また帰還している中で、確実に前に進んでいる、まちづくりが前に進んでいることを発信してほしいという思いもいただいたところでございまして、これも一つ大事な視点であるというふうに感じているところでございます。

 しかしながら、特に福島県は避難指示がございまして、復興のスピードはさまざまでございます。各市町村の復興計画もさまざまでございます。

 ある双葉郡内の首長さんの方と意見交換をさせていただいたときにまず冒頭言われましたことが、実は先ほど冒頭に申しました復興庁の廃止に関することでございました。復興・創生期間が始まってさまざまないろいろな課題がある中で、まずこの話が冒頭出たということに私は正直びっくりをしたわけでございます。やはり、これから五年後を想像しても、なかなか町の復興の絵を描き切れない、そうした不安や焦り、そういったものを感じていらっしゃるのではないかと私は勝手ながら推察をしたところでございます。

 安倍総理やまた高木復興大臣の御発言から察するに、十年の節目を経ても福島の復興に関しては何の心配もないというふうに、御発言から私は勝手に推察をしているところでございますけれども、であるならば、早目にこの十年、復興期間十年以降の福島また被災地の復興推進体制を議論して、早期に結論を出して、安心して復興に取り組めるようにするべきと私は考えてございます。

 そういう意味で、復興・創生期間以降の復興推進体制について、高木大臣にお伺いさせていただきます。

高木国務大臣 復興庁の今後の組織のあり方でございます。

 さまざまな報道とかあるいは要望があるわけでございますけれども、現時点では、政府としては、具体的な検討はいたしておりません。また、現在はそのような議論を進めるべき時期ではないというふうに思っております。今は、今の法律のもとでしっかりと復興を進めていくということが肝要なんだというふうに思っております。

 福島につきましては、今も御指摘いただきましたけれども、昨年九月には楢葉町の避難指示解除が実現されるなど、足元では復興に向けた動きは着実に進んでいるところではございますが、福島の復興は十年の復興期間終了時には完了しないであろうことから、先般閣議決定された基本方針におきましても、復興・創生期間後も継続して国が前面に立って取り組むこととしているところでございます。

 復興庁の設置期間は、そうはいうものの、平成三十二年度末までとされていることから、被災地の復興の進捗状況等を踏まえて、今後、適切な時期に、それ以降のことをにらんだ議論をしなければならない、そのように考えているところでございます。

真山委員 被災地の皆様が、また首長の皆様が安心して復興に邁進できるように、安心感を与えていただきたいと思っておりますので、ぜひそうした議論も進めていただきたいとお願いするところでございます。

 次に、復興とも大変関連の深いことでございますけれども、安倍総理は、夏までに帰還困難区域の考え方について方針を示す意向を明らかにされました。帰還困難区域においても相当線量の低下が確認されている地域もございます。また、除染の実証実験も行われておりまして、帰還困難区域においても線量が相当減少できる、そうした実証結果も得ているというふうに認識をしております。

 地元自治体においても帰還困難区域の方針の早期提示を求めており、それは、町の復興計画と密接に関係しておりますので、この方針を示してほしいという声も上がっているところでございます。

 例えば、双葉町は、町内の九割以上が帰還困難区域でございます。しかし、JR常磐線双葉駅西地区は比較的線量も低くて、ここを復興拠点として整備する計画がございまして、帰還困難区域でありますけれども、この地区の除染方針は示されたわけでございます。

 また、大熊町におきましては、大川原地区を中心に復興拠点整備が進んでおりまして、一方で、下野上地区、この隣接する地域でございますけれども、帰還困難区域ではありますけれども、ここも比較的線量が低くて、地元の要望に応じて面的除染が実施されたわけでございます。

 福島県知事も、帰還困難区域の取り扱いについては、地元の意見を申し上げるというふうに会見で述べておりました。区域の見直しについては支援チームの領域ではございますけれども、避難自治体にとっては復興計画と密接に関係しているという観点からいえば、やはり復興庁が果たす役割というのは非常に大きいのではないかというふうに考えておりますけれども、帰還困難区域の見直しについてお伺いをさせていただきます。

高木国務大臣 今も委員からも御指摘いただきましたけれども、先日、十日でございますけれども、総理から、帰還困難区域の区域見直しに向けた国の考え方をことしの夏までに明確に示したいという発言があったところでございます。

 今委員おっしゃっていただきましたとおり、帰還困難区域の取り扱いというのは、まさに地域の将来の姿にかかわる重要な課題だと認識いたしておりまして、復興庁としても、総理の発言も踏まえながら、関係省庁と連携しつつ検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

真山委員 ぜひ復興庁がリード役となって推進していただくことをお願い申し上げます。

 次に、被災者支援についてお伺いさせていただきます。

 これは福島に限らず宮城、岩手も含めてでございますけれども、二十八年度予算においては、被災者支援総合交付金制度が、これまでの同種の事業を束ねて、そして拡充する形で創設をされたわけでございます。被災者の抱えている状況はさまざまでございまして、住宅再建や、または住宅再建とともに生活困窮を抱えていらっしゃる方もいらっしゃいますし、健康または生活上のさまざまな課題を抱えておりまして、多岐にわたるわけでございます。

 一方で、こうした支援メニューが被災者の手元に届いていない、複雑でわからないといった状況もございまして、五年の節目を迎えて、災害公営住宅の整備が加速的に進んでいるわけでございますけれども、また高台の造成も完成しつつあることから、被災者にとっても新たな局面を迎えているわけでございます。

 より多様なニーズに対応できる被災者支援体制の構築が急務であると考えておりまして、そういった意味では、本交付金の活用に期待しているわけでございますけれども、この被災者支援総合交付金の活用による効果について見解をお伺いさせていただきます。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 被災から五年が経過をし、仮設住宅の避難生活の長期化や災害公営住宅等への移転が進む中、心身のケア、コミュニティー形成への支援など、復興のステージに応じた被災者支援が重要であると考えております。

 こうした復興の進展に伴う課題に対応するため、被災者支援総合交付金を大幅に拡充し、新たなメニューを追加すると同時に、仮設サポート拠点などの関連事業を統合させていただきました。実施に当たって、自治体において関係者間での被災者支援調整会議を開催することなどにより、被災者支援に取り組む団体と自治体や社会福祉協議会との連携による効果的、効率的な支援活動の展開が期待をされるところであります。

 また、仮設住宅や災害公営住宅等での被災者の孤立を防ぐことが課題になっておりますが、心の復興事業により、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って前向きに暮らしていただけるような取り組みが広がっていくことも期待されるところでございます。

 今後とも、被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を行っていきたいと考えておるところでございます。

真山委員 まさにこの被災者支援、副大臣がおっしゃっていただきましたとおり、切れ目のない支援というのが、より必要になってきているというふうに私も実感をしているところでございます。

 そういう意味で、この被災者支援総合交付金をどういうふうに活用していくかということが非常に重要でございまして、各自治体また県が実際の事業主体になっていくとは思いますけれども、ぜひ、復興庁としても積極的にかかわっていただいて、これを進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

 そして、本交付金を活用するか否かはまた議論があるかと思いますけれども、福島県原発避難地域の被災者支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 政府は、避難指示解除準備区域また居住制限区域を平成二十九年三月までに解除する、目指すと目標を定めているわけで、それに向かって、帰還環境整備が今進められているという状況でございます。

 不確定要素であることは重々承知でございますけれども、解除時期、目標時期が示されたことで、帰還を希望される方、当然、帰還を希望されない方も含めてでございますけれども、将来をどうしていくかということを具体的に検討を始めていらっしゃる方々がいらっしゃいます。

 解除後いつごろ帰ろうかということ、また住宅の修繕をどうしていこうか、またもう少し様子を見たいから災害公営住宅に申し込もうかであるとか、またこういった住宅再建をするための住宅賠償をどういうふうに活用するか、こういったさまざまな判断をしなければいけない、検討しなければいけないという状況にあるわけでございます。

 当然、先ほど申したとおり、解除できるか否かというのは不確定要素でございますので、それがまたさらに複雑化しているわけでございますけれども、そういう中で、避難者の皆様がどうしたらいいのかわからない状況であるとも言えると思います。

 実際に平成二十九年三月に解除できるか否かは地元でよく協議しなければなりませんけれども、やはり時期を明示した以上、それを見据えた準備をするのは至極当たり前の話でありまして、政府もそのためにその意思を示したものと私は理解をしております。

 だからこそ、こうした複雑な状況を整理して、避難者の皆様が将来の道筋、特に一番大事なのは住宅再建であると思っておりますけれども、この将来への道筋を描けるような支援、これはもうプランニングと言ってもいいのかもしれませんけれども、そういった支援も必要ではないかと私は思っているところでございますけれども、復興庁の見解をお伺いさせていただきます。

高木国務大臣 福島県では、いまだ多くの方々が避難生活を余儀なくされておりますけれども、一部市町村では避難指示の解除が行われているところでございます。今後、福島県の避難者の方々にも、いよいよ住宅、生活再建の計画を具体的に御検討いただく段階に入ってきているものと考えているところでございます。

 復興庁としても、平成二十八年度、先ほど来お話しいただいておりますけれども、被災者支援総合交付金を大幅に拡充いたしまして、生活再建のための個別相談やあるいは住宅に関する情報提供など、円滑な住宅、生活再建のためのメニューを追加しているところでございます。

 また、福島県が先般取りまとめました避難指示区域外の避難者の方々への総合的な支援策に対しても、その支援策が円滑に進むよう、相談支援あるいはまた情報提供、コミュニティー形成支援などを後押ししていきたいと考えているところでございます。

 避難者の方々が置かれている状況はさまざまでございますので、しっかりと自治体と協力しながら、それぞれの方が暮らしの見通しを立てられるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

真山委員 ぜひ復興庁の積極的な関与をお願いするところでございますけれども、私はつい先日、浪江町の避難者の方と少し懇談をさせていただきました。その方は、解除になれば、避難指示解除準備区域でもありますので、すぐに帰りたいと思っていらっしゃいます。しかし、それは不明確でございますので、実は、七月から南相馬市の災害公営住宅に入居をする予定でございます。

 これがもし仮に二十九年三月に解除になった場合、また引っ越しをすることになるわけでございまして、これは不確定要素ですので何とも言えませんけれども、しかし、そういった環境に置かれているということを復興庁の皆さんにも認識をお願いしたいところでございますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 そして、少し話はかわりますけれども、これも同じく三月十日、安倍総理が、ことしは東北観光復興元年にするというふうに表明をしていただきました。

 東北地方は、豊かな自然環境、その自然が育むおいしい食材、また縄文時代から続く歴史、文化、こういった魅力が満載でございますが、少し発信が苦手でございまして、観光客の入りといいますとそんなに多くはないわけでございますけれども、特にインバウンドに関しましては、この日本が二千万人時代と言われている中で、東北は、東日本大震災の影響もございますけれども、やっと五十万人という状況でございます。

 そうした事態を打開して、観光振興で復興を牽引し、全国、全世界に東北の復興をPRしようということで、二十八年度予算案では、東北観光復興対策交付金が計上されたわけでございます。

 一方、観光庁事業として、広域観光周遊ルートとして、日本の奥の院・東北探訪ルートの構築に向けた取り組みが進んでいる状況でもございました。

 そこで、お聞きさせていただきますけれども、この東北観光復興と広域観光周遊ルートの整合性といいますか関連性について、観光庁に見解をお伺いさせていただきます。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 東北観光復興元年として、観光庁としてもこれまで以上に東北の観光復興に力を入れてまいりたいと思っておりますが、具体的には、観光資源の磨き上げとか観光産業の育成強化、あるいは国内外への東北のプロモーション、こういったところに力を入れてまいります。

 御指摘の広域観光周遊ルートにつきましては、昨年、全国で七ルートを認定しておりますけれども、東北も認定をされております。これは、訪日外国人旅行者などを地方に誘客するために、一週間程度周遊していただいて堪能できるような、そういった具体的なコースをわかりやすく示していこう、こういう施策でございます。東北のルートにつきましては、東北観光復興の重要な施策の一つというふうに考えてございます。

 私ども観光庁としましては、さまざまな観光振興の取り組みに対しまして、施策間の連携と、あるいは地域間の連携、こういったものを図ることに留意をしつつ、重点的な支援を実施して、東北の観光復興を支援してまいりたい、こういうふうに考えてございます。

真山委員 やはり、観光戦略を考える上では、先ほど、周遊ルートは一週間とか滞在していただく、そういった答弁もいただいたわけでございますけれども、では一地域で一週間過ごせるかというと、なかなか難しいわけでございまして、やはり、数日間東北を楽しんでいただくためには、東北の魅力を各地で堪能していただく、そのためのルートをつくろうというのが周遊ルートでございまして、それはまさに被災地の復興とも大きく関係のある、また関連できる、牽引できる事業であると思いますので、ぜひ復興庁の皆様におかれましても全力で取り組んでいただくことをお願い申し上げる次第でございます。

 そして、東北観光復興対策交付金、この活用方法についてでございますけれども、恐らく各県、各自治体の取り組みにこの予算を交付するという仕組みになろうかと思いますけれども、各県、各自治体がみずからの観光戦略を描いて、そして観光地に磨きをかけるということは非常に重要であり必要不可欠であるとは思いますけれども、一方で、先ほど周遊ルートの話もございましたが、自治体の垣根を越えて、広域的に連携して観光戦略を描くということもやはり重要なファクターであると思っております。

 そのためには、やはり推進力のある広域連携のプラットホームの構築が必須であり、また地方創生の観点からも、そのプラットホームが強力な推進力を発揮できる体制の構築が必要と考えております。

 これは、当然、予算もそうですし、また何かしらの一定の権限というのも要素として大事だと思っておりますけれども、今後の東北観光復興を進めていく上での復興庁としての考えをお伺いさせていただきます。

高木国務大臣 委員から御指摘いただいておりますけれども、東北の観光は非常に大事でございますが、残念ながら、風評被害等の影響によりまして、全国的なインバウンド急増の流れからは大きくおくれていると言わざるを得ない状況でございます。

 そこで、まさにことしを東北観光復興元年として、力強く取り組みを進めるため、来年度予算では、東北の観光復興のための新たな交付金あるいはまた東北観光復興プロモーションを計上するなど、大幅な増額をしているところでございます。

 これらの予算をより効果的に活用するためにも、東北観光アドバイザー会議というものを立ち上げさせていただきまして、東北の観光復興の課題と対応策を御議論いただいているところでございます。

 広域連携の話でございます。委員御指摘のとおりでございますけれども、この会議の場においても広域での連携の重要さというのが議論されておりまして、東北六県や関係企業、団体等から成る東北観光推進機構あるいは日本政府観光局がその役割を果たしていくことが期待されているところでございます。

 復興庁としても、こうしたアドバイザー会議での御議論等を踏まえながら、観光復興関連予算を効果的に活用できるよう、国土交通省等の関係省庁と連携しながら東北の観光復興というものを力強く進めていきたいと考えているところでございます。

真山委員 今大臣にも御答弁いただきましたとおり、例えば東北観光推進機構等がこの取り組みを具体的な実施主体となって進めているわけでございますけれども、やはり、そうしたことも含めて、体制が、基盤がしっかりと整う中で、いわゆる観光庁の事業におきましても日本版DMOなんというものが言われているわけでございますけれども、まさにその推進役、旗振り役として、力のある体制をつくっていく必要があると考えておりますので、ぜひ復興庁もリード役となって推進していただきますことをお願い申し上げる次第でございます。

 続きまして、特に福島県に関連する話にまた戻らせていただきますけれども、先般、復興基本方針が改定されまして、その中には、東京オリンピック・パラリンピック、またラグビーワールドカップ等の国際イベントの機会を活用した復興の姿の発信、また震災の記憶と教訓の継承をこの方針の中でうたってございます。

 特に福島県におきましては、地震、津波に加えて原発事故災害という未曽有の災害の渦中から復興を前に進めてきました。この五年間の歩み、またこれからの復興の歩みというのは、やはり後世に残していく重要な教訓を得なければいけないと私は考えてございます。

 イノベーション・コースト構想におきましては、国際産学連携拠点の一角として、アーカイブ拠点の整備ということをうたっております。まさに、福島県のさまざまな震災の記憶、記録を残していくための施設、また、それを研究していくためのアーカイブ拠点でございますけれども、こういったアーカイブ拠点を通しながら、復興の歩みをしっかり研究対象として、まさに福島復興研究という形で残していくことが重要である、また、その教訓をこれからの政策に反映していくことも重要であると私は考えているところでございます。

 そこで、このアーカイブ拠点についてお伺いをさせていただきます。

 当然、イノベーション・コースト構想の一角でございますので、経済産業省が所管省庁になるわけでございますけれども、しかし、これまでの復興の歩みを現実的に現場で総体的に進めてきたのは復興庁でございまして、復興全体を推し進めてきた復興庁として、このアーカイブ拠点の整備また福島復興研究のリード役を担っていただくというのは実は重要なことではないかと私は考えているところでございます。

 このアーカイブ拠点の整備、またこれからの活用方法について復興庁にお伺いをさせていただきます。

若松副大臣 真山委員にお答えいたします。

 イノベーション・コーストに位置づけられておりますアーカイブ拠点施設、これは福島県が有識者検討会におきまして議論しておりまして、主導的に検討していると承知しております。

 また、福島県におきましては、来年度、経済産業省のイノベーション・コースト関連の調査予算を活用して、現在、基本構想を策定する方向で検討していると伺っております。

 復興庁といたしましては、福島県が策定する基本構想、いわゆる場所等も含めて、経済産業省などの関係省庁、福島県等と十分協議、連携して進めてまいりたいと考えております。

真山委員 先ほど言いましたとおり、福島復興研究という形でこのアーカイブ拠点を活用していくという視点が私は大事ではないか。単に、見学場所であったりとか何か物があるというだけではなくて、研究拠点、国際産学連携拠点の一角でございますので、それをぜひリードしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後になりますけれども、被災地の医療人材の確保についてお伺いをさせていただきます。

 被災地の医療人材の確保については、今大変困難をきわめているというのは、復興庁においても重々承知のことと思っておりますけれども、医療人材の確保について、具体的な仕組み、予算がついているのは承知でございますけれども、やはり仕組みが大事だと思います。

 復興庁の医療人材の確保についてお伺いをさせていただきます。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 被災地の医療人材の確保は重要な問題であると認識をしておりまして、財政支援により県に設置した地域医療再生基金を活用して、県や市町村が、医療機関の再開、新設への支援、医師や看護師の県外からの派遣等に取り組んでいただいているというふうに承知をしております。

 また、各都道府県における医療人材確保対策として、地域の医師不足病院への医師派遣等を行う地域医療支援センターの運営に対する財政支援、特定の地域での勤務を条件とした地域枠を活用した医学部入学定員の増加、看護師等の離職時等における届け出制度など、ナースセンターの機能強化による看護職員の復職支援等の取り組みを国として推進しているというふうに承知をしております。

 さらに、特に福島県については、厚労省職員とともに、市町村に復興庁職員が訪問して助言を行っているところでございますので、今後とも引き続き被災地に寄り添ってやってまいりたいと思っております。

真山委員 以上で終了いたします。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 おはようございます。玄葉光一郎です。

 通告をしていないのですが、映画監督の井上淳一さんがつくった「大地を受け継ぐ」という映画が公開されております。これは、三・一一直後に福島県の須賀川市にある農家の樽川さんという方が絶望されて自殺をされてしまった、そのお子さん、後を継いだ息子さんですね、また奥様が訪問された学生グループに赤裸々に心境を語る、一種のドキュメンタリーなのでありますが、ごらんになりましたでしょうか。

高木国務大臣 まだ見てはおりません。

長島副大臣 私もまだ見ておりません。

玄葉委員 これはやはり我々は見る責務があるんじゃないかと思います。

 私も見てまいりました。結構人が入っておりまして少々驚きましたけれども、心にぐさりと届く言葉をかなり発しておられます。一部、例えば樽川さんの息子さんが語る中で、福島県のお米も野菜も検査がしっかりしているからむしろ他県よりも安全なのだというふうに語りつつ、実は、でも、風評って根も葉もあるんだよな、こういうことを最後に言ってしまったり。多分これは本意ではなかったんじゃないかと思います。私、監督さんに会ったときそれも言いましたけれども、いろいろこれはどうかなと思う面も、もちろん全くなくはないのです。

 ただ、やはりあれはこの福島の復興にかかわる政策の責任者の方々はしっかり見なきゃいけない、そう思っておりますので、大臣、ぜひこれは見ていただけますか。後でまた感想を聞きたいと思います。

高木国務大臣 ぜひ拝見したいと思います。

玄葉委員 それで、この間、福島県民の三月の世論調査というのを行ったのであります。これは地元の新聞社が行っているんですけれども、安倍内閣の支持率が実は三〇%弱しかないんですね。理由はいろいろあると思いますが、残念ながら復興の実感というのが、もちろん我々が内閣を構成していたときも必ずしも高くないのですが、ただ、実感していないという人が非常に多い。実感しているというのが二〇%しかないということなんです。

 いろいろな理由があると思うんですが、一つやはりこれは苦言を申し上げなきゃいけないのは、政治のリーダーシップが残念ながら見えにくいというのがあるのではないかと思っています。

 それはどういうところで感じるかというと、もちろん環境省絡みで除染があって一ミリシーベルトの問題があったり、あるいは廃炉で林大臣が、この間も日曜討論を聞いておりましたけれども、残念ながら不安についての基本的な知識が十分じゃないと私は聞いていて思いました。そういうことを多分感じているのではないか。

 でも、それは各大臣の責任ということもあるけれども、やはり担当閣僚がくるくるかわり過ぎる、そのことにあるんじゃないかと私は思っているんです。(発言する者あり)

 つまり、福島県に関係する大臣というのは、復興大臣、環境大臣、そして経産大臣です。できればやはり、この大臣はできるだけかわらない方がいいんじゃないかと思うんです。例えば私が自分が今まで縁のなかった県の担当をやりなさいと言われたときに、多分その町や村の状況を理解するのに何カ月もかかると思うんです、自分も。しかも、今回は、御承知のように、例えば一つの村の皆さんの気持ちを理解するのにも、二十キロ圏と三十キロ圏では全然実は違う、極めて複雑で多様な状況を呈しているのが今の福島の状況だというふうに思っています。

 そういう意味では、私は、お二人に申し上げるというのはどうなのかということもあるかもしれませんけれども、やはり担当大臣が長くやるべきだ、そのことで政治のリーダーシップというものが発揮されないと、なかなか県民は政治がリーダーシップを持って福島県の復興をやってくれているなというふうに感じないと思っていますけれども、大臣、これはいかがお考えですか。

高木国務大臣 そうした考えというのも一つあるんだろうというふうに思いますが、私の立場では、それがどうだということは控えさせていただきます。

 いずれにしても、しっかりとまさに被災地に寄り添いながら、被災地の方の思いをしっかりと受けとめながら真摯に取り組んでいくということが大切だと思いますし、私もこれまでそのような気持ちで取り組んできたというふうには思っているところでございます。

玄葉委員 やじに答える必要はないんですが、平野さんが復興大臣をかなり長くやりました、細野さんが環境大臣を結構長くやりました。そのことに対しての信頼というのはやはり一定程度あったんですよ。私、県民ですからよくわかっています。

 今、外務大臣もかわらない、財務大臣もかわらない、地方創生大臣もかわらない。安倍内閣が始まってずっとかわっていないんですね。恐らく総理が大事だと思っておられる閣僚ポストはかわっていなくて、何で福島県に関連する大臣は残念ながらよくかわるんだろうというふうに思っているのが率直な県民の気持ちなのです。そのことはこの委員会でお伝えをしておきたいというふうに思っています。

 さらにもう一つ申し上げれば、復興庁の役割というのは、今まで、いわゆる各省庁の上に立ってリーダーシップを発揮するというのが、各省庁の上に立った復興庁の役割だというふうに思っています。この間、私は、比較的できていた時期もあるのではないかと思うのですが、最近見ていて、果たしてどうなのかなと思うときが時々あります。

 つまり、各市町村の担当者が決まっていることはもとからそうなので、非常に頑張っている担当者の方々もいるんですけれども、例えばその担当者は聞けばやはり復興庁に絡む交付金のことは答えられるんだけれども、例えばその町は企業立地補助金はどうなっているんですか、グループ補助金はどうなっているんですか、当然全体を俯瞰して見ていないと全体がわからないわけですけれども、それは経産省に問い合わせてください、ほかの省庁に問い合わせてくださいということになってしまって、復興庁は何のためにあるんだ、こういうふうに思っている方々も多いんです。

 やはり、そこは大臣がもう一回、自分たちは何のために存在しているのだ、復興庁に直接絡んでいる交付金のためだけじゃない、各省庁の上に立って全体を把握して、全体を調整する、全体を理解する、そういう省庁として存在するのだということを、もっと陣頭指揮をとってしっかり指示してもらいたいと思いますけれども、いかがですか。

高木国務大臣 ちょうど五年の節目を先般迎えたわけでありますけれども、そのときに復興庁の幹部会議をさせていただきまして、その中で私からも、やはり残念ながら被災地の方からいわゆるワンストップ機能というものが十分に果たされていない、もちろん自戒の意味も込めてでございますけれども、そういうような話もさせていただきました。あるいは省庁の縦割りを排すというのが復興庁の大きな役割だというふうに思いますけれども、それも今どうなのか、もう一度、この五年という節目を迎えていよいよ復興・創生期間に入る今、見直すことが必要だという話もさせていただきました。

 委員の御指摘というものは真摯に受けとめながら、謙虚に受けとめながら、まさにさらに福島初め被災地に寄り添った形で、復興庁としての機能を十分果たしていきたいというふうに思っているところでございます。

玄葉委員 ぜひ、それぞれの市町村担当者の方々で頑張っている方々もいるんです。やはり、その方に尋ねたときにはその町の基本的なことは、ほかの省庁に絡むことでも基本的なことなら大体わかるというふうには、最低、指示をしてもらいたいというふうに思います。

 その上で、先ほどの県民世論調査に戻りますと、県内の現状が理解されていないと思っている県民がまだ七三%いるということでございます。これが、いわゆる風評被害がなかなか戻らない、理解されない、そのことへのいら立ちの数字なんだというふうに基本的には思うんです。

 以前、私、復興庁がまとめ役でタスクフォースをつくってこの風評被害対策について取り組んだらどうかという提案を、これはたしか根本大臣のときか何かにしたことがあります。やってくれているはずだというふうに思っていますが。

 やはり、文科省にしても、農水省にしても、消費者庁にしても、厚労省にしても、実は予算をとってやっているんですよね、それぞれが。予算をとってやっているんだけれども、それぞれの省庁に絡むことしかやっていないんです。

 だから、ばらばらで、実は一つのパンフレットに全部しちゃえばいいのに、例えば農林水産省は農林水産物の安全の絡みだけを一つのパンフレットにして説明していくし、厚労省は健康への影響だけをパンフレットにして説明していく。ぜひこれをわかりやすいものにして、特に関西、だんだん東京はなくなってきたので、低線量被曝とは何かということも含めて、放射線の人体への影響も含めて、正しく理解してもらえればかなり戻ってきます。東京はかなり戻ってきました。関西は残念ながら余り戻っていない。

 例えばこういうことを人海戦術で、保健所の方々が人海戦術で歩かれて説明されるとかしっかりテレビでPRするとかということを、政府が主導してやってくだされば大分変わると思います。それをまさに復興庁がリーダーシップをとってやってもらいたいと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 二つの風とよく言われますけれども、風化と風評、大事な視点で、取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。

 今御指摘いただきました、二十六年度に策定した風評対策強化指針に基づいて、二十七年六月に風評対策タスクフォースを開催しているところでございます。いよいよ間もなく復興・創生期間が始まりまして、まさになりわいの再生に直結する風評対策というものも加速化していかなきゃならないと考えておりまして、近々また風評対策タスクフォースを開催させていただきまして、改めて各省庁と一体となった風評対策に取り組むこととしたいというふうに思っております。

 総理もよく全閣僚が復興大臣だということを指示なさるわけでございますので、関係省庁一体となってこの風評対策に取り組んでいきたいと思っております。

 また、関西の方で厳しい、風評が多いんだという話もございます。

 昨年十一月に官邸で全国知事会が開催されましたけれども、私からも、ぜひ自治体の広報誌等にそうした福島の正しい情報を載せていただきたいという話をさせていただきまして、何県かで、関西の各県の県民だよりにおいても掲載していただいているところでございます。

 また、御案内かと思いますけれども、神戸の復興庁イベントで高校生が福島の農産品の魅力を発信する「ふくしま食べる通信」のブースを出展していただいたり、ことしの一月十七日、長島副大臣が出席させていただきまして被災三県とともに被災地の現状を発信して、被災地産品マルシェを実施したところでございます。

 このように、関西での風評被害というものを払拭するべく頑張っているところでございますけれども、今後とも、委員御指摘のとおり、関西の方でもさらに風評のなくなるような対策を講じていきたいというふうに思っているところでございます。

玄葉委員 具体的に、私はこの間、五年間ずっと見ていて、一番効果的なのが、一つはテレビ、ネット、それと、もう一つはさっき申し上げたように人海戦術なんですよ。

 やはり一軒一軒歩いて、きちっとパンフレットを持って、子供だけじゃなくて大人の方も、いわゆる低線量被曝というのはこういうものです、放射線の人体への影響はこういうものですということ、基本的なことをわかっていただくだけで全く違います。そして、ちなみに福島県のものは全袋検査していますよということも含めて、きちっと言っていただくと大分変わります。

 具体的に私は申し上げているので、ぜひ具体的にこのことを実行するべく検討してもらいたいと思いますが。

高木国務大臣 委員の御指摘、参考にさせていただきたいと思います。

玄葉委員 関連して、福島県内のいわゆる教育旅行、修学旅行等々が震災前の半分なんです。余りにも落ち込みがひどいものですから、国が直接後押しするような仕組みを、これは復興大臣がリーダーシップをとってやっていただけないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 これも今御指摘いただきましたけれども、福島県への教育旅行は震災前の五割までしかまだ回復しておりません。依然として厳しい状況が続いているという認識を持っております。粘り強い呼びかけを継続していくことが何より必要な部分だとも思っておりまして、復興庁としても、文部科学省あるいはまた観光庁と連携して、教育旅行誘致の働きかけに取り組んでいるところでございます。

 これまでも、福島県の教育旅行誘致の取り組みを支援してきたほか、復興庁の交付金で造成した基金を例えば修学旅行のバス代補助などで御活用いただいているところでございます。

 また、今月には北海道新幹線が開業するわけでございますので、ぜひ交流人口拡大の手だてとなるように、東北に教育旅行がたくさん来ていただけるように、そんなようなきっかけになるといいのだがというふうに思っているところでございます。

 いずれにしても、先ほど来議論しておりますけれども、来年度、東北観光の予算というものを東北観光復興元年と位置づけて大幅に増額いたしましたので、特に福島県については教育旅行についても引き続き支援をすることとしているところでございます。

 なお、先ほどこれも申し上げましたけれども、東北観光アドバイザー会議でいろいろな議論もしていただいておりますが、しっかりと東北の、そしてまた福島の観光復興に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

玄葉委員 済みません、F一の廃炉の状況について通告をしておりましたけれども、時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

今村委員長 次に、階猛君。

階委員 民主・維新・無所属クラブの階です。

 先ほど亀岡委員から、岩手の釜石高校についてお話がありました。私も同じ岩手県で、高校時代、甲子園を目指していた。ちなみに、大臣の隣にいる橋本委員も一緒に野球をやっていた。私が一年上で、当時は本当に甲子園を目指して頑張ったんですが、亀岡委員と違って、我々にとってはなかなか甲子園はかなわぬ夢だったわけです。

 ただ、ことしの釜石高校、本当にすばらしいなと思うのは、エースの子はお母さんがいまだに行方不明なんですね。そういう中で野球をずっとこの五年間頑張って続けて、そして甲子園に出た。

 ちょっと私、きょう、朝もテレビを見ていて目が潤んだんですけれども、控えのピッチャーの子は足が義足なんだそうですね、片方が。それで、津波のときは友達におんぶをしてもらって何とか逃げた。もし友達が亡くなったら申しわけない、そういう思いを持ちながら、何とか生き延びて、今度、甲子園に出るんだそうです。

 さっき、二つの風と大臣はおっしゃられましたけれども、私は、三つ目の風、釜石旋風をぜひこの甲子園で起こしていただきたいなと。ちょっと本題とは外れましたけれども、大臣からも一言お願いします。

高木国務大臣 本当に、逆境にめげず、一生懸命に練習をして、釜石高校は見事に甲子園出場を決めたわけでございます。釜石高校の活躍、躍進というのが被災地の方々に大きな勇気や力を与えるというふうに思います。私もぜひ、釜石高校の活躍を心から祈念したいというふうに思います。

階委員 ありがとうございました。

 そういう明るいニュースもあるんですが、ちょっと残念なことがありましたので、取り上げたいと思います。

 資料の一枚目、「ILCは「金食い虫」 岡本復興次官が発言」、これは岩手日報の三月十二日の記事でした。三月十一日の日にこの発言があった。仙台で行われた経済同友会の東日本大震災追悼シンポジウムでの発言だったそうです。

 私は直接聞いておりませんが、このILCというのは、今、経済界だけではなくて、東北が一丸となって誘致を進めている大きなプロジェクトです。

 若干説明しますと、ILCというのはインターナショナルリニアコライダー。国際、リニアというのは直線ですね、コライダーというのは衝突加速器の英語です。これは、三十キロから五十キロの細長いトンネルを掘って、そこで両端から電子と陽電子を光の速さで発射して衝突させて、宇宙の始まり、ビッグバンと同じような状況をつくる。そこにいろいろな発見が生まれて、新たな技術が生まれる。

 また、その研究からイノベーションが生まれるだけではなくて、周りに研究都市ができて、世界じゅうの頭脳が集まってくる。そういう中で、人が交わる中で別なイノベーションも生まれる。また、そもそもこのリニアコライダーというのは、最先端の技術を使って新たなものをつくろうという、つくる過程でもイノベーションが生まれる、大変意義深いものだと思っています。

 そして、我々だけではなくて超党派の議連もありまして、被災地だけではなくて全国の議員が、与野党問わずこれを進めていこうということで今一生懸命活動している中です。

 そういう中で、このILCが金食い虫だと、あたかも巨額のお金を捨てるようなものだと言っているかのような発言です。

 この発言について、大臣、いかがお考えになりますか。

高木国務大臣 被災地を初め多くの方が望んでいるリニアコライダー計画について、次官が金食い虫というような発言をしたということでございまして、不適切な発言であったというふうに思いますし、本人もそのような認識を持って、先ほど理事会で本人が撤回しておわびをしたというふうに承知をいたしております。

 この件につきましては次官からも報告を受けておりまして、そのときに私からは、適切ではない、不適切だと、発言について厳重に注意をしたところでございます。

階委員 本来であればこの場で次官から直接おわびの言葉もいただきたかったんですけれども、やはり、そういう言葉が出てくること自体、被災地を軽んじているのではないか。また、金食い虫という表現、先ほど聞いたら、ほかに、例えば、申しわけないですけれども、福井の「もんじゅ」、これは金食い虫だと言ったことはありますかと聞いたら、ほかについては金食い虫なんという言葉は一切使ったことがありませんということでした。

 まだ一銭も使っていないILCについて、金食い虫とあえて言った。非常に私は万感の怒りを込めて、この復興次官の物言いには私は我慢ならないと思っております。

 昨年のこの委員会、七月だったでしょうか、当時は、これから五年過ぎて、被災地の復興事業でも地元の負担も少し求めるんだ、こういう話でいろいろやりとりしました。

 なぜ地元負担が必要なのかという問いに対して、当時、竹下復興大臣は、だんだん時間がたつにつれて緊張感が薄まってきているんだ、そういうことを言っていました。緊張感は復興庁も薄くなってきている、こんな話をしていました。

 まさに、今の復興次官、緊張感のかけらもないと思っております。確かに、岡本次官はこれまで五年間ずっと頑張ってこられました。その活躍には私も大変感謝しております。ただ、やはり緊張感に欠ける。これは当時、竹下大臣も言っていましたよ。人間だからそれはしようがないんだ、ある程度緊張感がなくなってくるのもしようがないんだと。緊張感がなくなった状態でこういう重要な仕事に果たしてあり続けていいんだろうかと私は考えます。

 この機会に、本当にこれから復興・創生ということを目指すならば、創生ということであれば、地方が人口がどんどん減ってくる中で、人口がふえてほかからも人が集まってくるような、そういうことに真面目に一生懸命取り組むような方を復興次官につけるべきではないかと私は考えます。

 大臣、いかがですか。

高木国務大臣 緊張感の話をいただきました。復興・創生期間、まさに五年たって、次のステージに移行するわけでございます。

 復興庁はしっかりと緊張感を持って事に当たっていきたいというふうに思っておりますし、次官にも、先ほど申し上げたとおり、厳重注意をさせていただきました。次官にも当然、引き続いて緊張感を持ってしっかりと仕事をしてくれるように、さらに要請をしたいというふうに思います。

階委員 引き続き緊張感を持ってではなくて、緊張感がもうだんだんなくなってきていると思うんです。それが先ほどの発言だと思っています。

 そこで、大臣、実は、十五日の日に記者会見でもこのことについて尋ねられて、次官の発言について御答弁された後、復興に関連して復興庁としてILCの誘致についてはどのようなお考えでしょうかという続けての問いに対して、復興に資するということかなというふうに思いますというお答えをされています。

 復興に資するというのは私も同じ思いですけれども、具体的にどのような意味でおっしゃったのか、お答えいただけますか。

高木国務大臣 これはやはり、まさに最先端技術というんでしょうか、夢のある、希望の持てることでございますので、そうしたものが誘致されるということは、おのずと被災地の皆さん方に希望、夢というものを与えることができるということが一点あろうと思います。

 それから、当然、巨額の投資もあるわけですから、そうした意味においても復興に資するということが言えると思いますし、また、先ほど委員も御指摘いただきましたとおり、その周りにいわゆる学究都市というんでしょうか、研究都市というものも形成される可能性がありますから、そうしたことを踏まえて、復興に資する事業だというふうに申し上げたところでございます。

階委員 つい先日、「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針というのを閣議決定されて、公表されました。その二ページ目を見ますと、「被災地は、震災以前から人口減少や産業空洞化といった、全国の地域にも共通する中長期的な課題を顕著に抱えており、いわば我が国の「課題先進地」である。今後の復興・創生に当たっては、「まちに人が戻る」ことを目指すのみならず、被災地外からも多くの方々が訪問し、あるいは移り住むような、魅力あふれる地域を創造することを目指す。」とありまして、「「新しい東北」の姿を創造していく。」というくだりになっております。

 まさにこの新しい東北をつくるという意味でもILCというのは大変重要なプロジェクトだと思っておりますので、ぜひ、復興大臣、前向きに取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

 もし決意があれば、お願いします。

高木国務大臣 あのときの記者会見で申し上げましたけれども、達増知事からもこの話はいただいております。ぜひ誘致ができるように、まだいろいろと課題があるということは承知いただいているというふうに思いますけれども、誘致できるように復興庁としても取り組んでいきたいというふうに思います。

階委員 決して金食い虫ではなくて、本当にこれは意義あるものだということを皆さんに御認識いただきたいと思います。

 次のテーマに移りますが、資料の二枚目をごらんになってください。

 見出しはちょっと難しいですね、「「防集」土地売買契約 瑕疵担保責任負わず」ということで、法律を勉強した人じゃないと何を言っているんだかよくわからないような言葉が並んでいます。

 まず、次の資料も見ていただきたいんですが、民法で売買の売り主には瑕疵担保責任というのが課せられておりまして、この真ん中あたりに第五百七十条という条文があります。「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。」ということです。

 隠れたというのは、取引上要求される一般的な注意では発見できないようなものを隠れたというんだそうです。瑕疵というのは、もっとわかりやすい言葉で言えば欠陥です。

 そういう隠れた瑕疵があったときは第五百六十六条の規定を準用するとありますが、五百六十六条がその上にあって、契約の解除とか損害賠償の請求というのが明文上できることになっています。

 また、解釈によって、瑕疵を直してもらう、補修してもらうといったようなことも通常行われている。

 そして、その契約の解除とか損害賠償の請求というものの時効ですけれども、五百六十六条の三項というところの、買い主が事実を知ったときから一年以内というのが民法の定めなんですね。

 これが原則的なルールなんですが、例外があります。例外として、まず、当事者間の特約でこの瑕疵担保責任というのを排除することができる。つまり、売り主は一切責任を負わないことができます。そして、さらにその例外ですけれども、特約で排除できるんだけれども、宅建業者、こちらは宅建業法によって排除まではできませんということになっているんですね。

 この三枚目の下の方に、宅地建物取引業法というところで、第四十条、瑕疵担保責任についての特約の制限ということでいろいろ書いていますが、要は、宅建業者が売り主となって宅地を売る場合は、引き渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、買い主に不利となる特約をしてはならない。だから、最低二年間は瑕疵担保責任を負うようにしなさいということで、例外の例外規定が置かれているわけです。

 ところで、さっきの記事に戻りますけれども、問題になっているのは、宅建業者は利益を追求する一般の方ですから、その方でも特約で瑕疵担保を全面的に排除するのはだめだよというのが今の規制なわけですね。ところが、行政、自治体はもっと厳しいことをやっているというのがここに書いてあるわけです。

 先ほど、例外の一つ目で言いましたとおり、当事者間の特約では確かに瑕疵担保責任は排除できるんですけれども、私が思うに、今回、高台移転の土地というのは、急がなくちゃいけないということで大変工事の業者さんも頑張ってやられた、また今まで人が住んでいない土地を削ったりして造成したわけですね。これから家が建って住み始めて、建てた当時は予想もしなかったような瑕疵が何か見つかるかもしれない。そのときに、ここに書いてありますように、宮古市とか大船渡市が特約によって瑕疵担保責任を負わないというようなことになっているらしいんです。

 まず、この事実関係について、国交省の担当から御説明をいただければと思います。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 防災集団移転促進事業で造成した宅地を譲渡する場合につきましての瑕疵担保責任についてのお尋ねでございます。事実確認、事実関係ということについてのお尋ねでございます。

 まず、前提としまして、防災集団移転促進事業で造成した宅地を譲渡する場合、その契約につきましては、国として特段の定めをしておらず、事業主体である各市町村の判断によっておるところでございます。

 今委員御指摘のとおり、お尋ねの宮古、大船渡、ここでは、防災集団移転促進事業で造成した宅地を移転者に譲渡する際に、土地売買契約書の中で、契約の締結後、原則として瑕疵担保責任を譲渡側が負わないという旨の条項が置かれているところでございます。

階委員 原則としてというのはどこにも書いていなかったと思うんですね、文言上は。書いていないですよね。そこでうなずいていただけますか。違いますか。

 ちょっとお願いします。

栗田政府参考人 宮古市の契約の当該条項の中には、譲渡側でございます宮古市の故意または重大な過失がある場合を除き、契約の解除等をすることができないということを記載しておられますので、そのことを指して原則としてと申し上げました。

階委員 私、弁護士だからあえて言いますけれども、宮古市の故意または重大な過失がある場合は、別にこの条項がなくても債務不履行責任を負うわけですよ。だから、この文言というのははっきり言って例外でも何でもなくて、当たり前のことを定めているだけです。いいかげんなことは言っちゃだめですよ。

 それで、大臣に伺いたいんです。

 さっき言ったように、これから高台に移転して、予想し得なかった瑕疵が見つかるかもしれない。そういう中で、ちょっとこの条項というのは、自治体には自治体の事情があるかもしれませんよ、予期せぬ出費を迫られて、なかなかそれを工面するのが大変だとかはあるかもしれませんが、でも、これというのはやはり被災者に寄り添うという意味で余り好ましくないのではないか。

 むしろ国としては、これまで高台移転を率先してお金も出して制度もつくって進めてきたわけですから、こういうことは入れないように指導したり、あるいは、もし万々が一瑕疵が見つかったら、その補修で多額な費用を自治体が出費を迫られた場合には国も支援するとか、そういう形で被災者の不安を払拭するようなことをすべきではないかと思いますが、大臣の御所見をお願いします。

高木国務大臣 今もるるやりとりがございましたけれども、一部の自治体の売買契約で瑕疵担保責任を負わないと規定しているものがあることは承知をいたしております。

 防災集団移転促進事業で整備した宅地の売却時にどのような契約を交わすかは各市町村の判断に委ねられているところでございまして、ただ、被災者に安心して宅地を購入していただくことは大切と認識をいたしております。

 契約書で瑕疵担保責任を負わない旨の規定がある自治体にそこで確認をさせていただきましたが、宅地に問題が生じた場合には真摯に対応する方針と聞いてもおりまして、また実際にそう対応した事例もあると聞いているところでございます。

 復興庁としても、国土交通省あるいはまた県と連携して、被災者が安心して宅地を取得できるよう適切に対応してまいりたいと考えております。

階委員 ぜひよろしくお願いします。

 被災者生活再建支援法の見直しについてもちょっとお尋ねします。

 この委員会でも何度も取り上げましたけれども、資料の四枚目をごらんになってください。

 平成十九年、被災者生活再建支援法が改正になったときに、附帯決議、衆議院でも参議院でも行われましたが、そのうち衆議院のものをきょうはお持ちしています。ここの中で、「本法施行後四年を目途として、対象及び負担のあり方を含め、制度の見直しなどの総合的な検討を加えること。」というくだりがございます。

 他方で、今国会で維新の党の井坂議員の質問主意書に対する答弁書で、政府の方からは、「政府としては、平成二十三年二月から内閣府が主催する「被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会」等において被災者生活再建支援制度の支援の在り方等について検討を行っているところである。」という答弁があったわけです。

 そこで、内閣府の防災担当、きょう来ていらっしゃると思うんですが、この検討の状況、いかがでしょうか、お答えください。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年の被災者生活再建支援法の改正に際しまして、本法施行後四年をめどとして制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること等の附帯決議がなされました。これを受けまして平成二十三年二月に設けられました検討会で各種論点を議論し、平成二十四年三月に留意事項を取りまとめ、さらに、この後設けられた被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会におきまして、平成二十六年八月に中間取りまとめを行ったところでございます。

階委員 その後も検討を行っているということだと思うんですね、答弁書の中を見ますと。だから、今は何を検討しているんですか。お答えください。今現在は何を検討しておりますか。それとも、その後、何もしていないということなのか。明確にお答えください。

緒方政府参考人 有識者を集めた検討会につきましては、平成二十六年八月に中間取りまとめを行いまして、そこで終了いたしております。

階委員 政府の答弁書、違うじゃないですか。まずいですよ、これは。これはちょっと、どういうことなんでしょうか。

 答弁書は、後で確認して、見てください。「検討を行っているところである。」と書いているからきょう聞いたんですよ。どうなっているんですか、これは。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 有識者という形ではやっていないんですが、内閣府防災の中で、日常業務の中で議論を進める中で検討を進めていっている、そういったことでございます。

階委員 では、平成二十六年八月の中間取りまとめでしたか、その後どういう検討を行ってきたのか、その検討の過程でつくられた資料もあわせて、この委員会に提出していただきたいと思います。

 委員長、よろしくお願いします。

今村委員長 理事会で協議いたします。

階委員 それで、大臣にお聞きしたかったのは、附帯決議もされて、内閣府でも検討しているという中で、まさに今、被災者生活再建支援金。予算委員会でもお聞きしたとおり、被災三県で震災から五年の間に一五、六%も値上がりしていて、全国でも七、八%上がっているんですけれども、全国の二倍上がっているわけですよ。仮に二千万のおうちを今から建てようとしたら、五年前と比べれば、一五%として三百万ぐらい余計にかかるわけです。三百万といいますと、被災者生活再建支援金満額支給の場合と同じですよね。だから、私は、三百万じゃ到底足りないんだ、支援にならないんだということを申し上げてきたわけです。

 この点について、大臣、これは早急に、先ほどの経緯も踏まえて引き上げを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 たびたび御質問をいただいておりますし、繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、言うまでもなく、住まいの確保は被災者の方々の暮らしの復興のみならず地域復興にもつながるものであって、被災者の住宅の自力再建に対する支援が重要だという認識はいたしているところでございます。

 こうした認識のもと、被災者の住宅再建の負担軽減のため、被災者生活再建支援金の支給、あるいは県、市町村の取り崩し型復興基金、こういったものを活用して助成をしているところでございます。さらに、高台移転事業では、被災者の意向に応じて住宅地を借地で提供して、土地購入費用を軽減もしているところでございます。

 また、コスト縮減に向けましては、県、市町村が復興交付金を活用し、例えば遠隔地における職人向け仮設宿泊施設の整備、資材等の共通化、共同購入のための共通設計の実施、モデル住宅の建設、展示等による低廉な住宅の普及などの取り組みを実施しているところでございます。

 加えて、資材、人材の不足に対応して、資材調達支援、あるいは職人紹介支援を行うマッチングサポート制度も展開しております。

 このように、東日本大震災被災者の住宅再建に対してはこれまでの大災害に比較しても充実した支援を行っているところでございまして、関係省庁と連携のもと、これらの取り組みについて引き続き進めてまいりたいと考えております。

階委員 いつまでたってもこのやりとりで、私は本当にじくじたる思いなんですが、それであれば、立法府として我々が主体的に取り組まなくてはいけない時期に来ているのかなというふうに考えております。

 あと、最後に、済みません、一問だけお聞きします。震災遺構の問題です。

 昨年、石巻の大川小学校に仲間の議員とともに行ってまいりました。聞くところによりますと、ことしの三月ぐらいには残すかどうか結論を出すというふうに聞いていますけれども、私、行ってみて思ったのは、海からあれだけ離れているのにこれだけ高い津波が来て、これだけ甚大な被害が起きたのかと。本当に、あそこに遺構があることによって、私たちはいろいろなことを学びますし、また未来の命を守れるというふうに私は考えております。

 ただ、もっと優先されるべきは当事者の方々の気持ちかもしれません。賛否両論あると伺っていますが、そうであれば、結論を急ぐよりも、ゆっくり時間をかけて、当事者の方々を中心にいろいろな意見を交換して結論を出すべきではないか。

 原爆ドームも、あれを残すと決まるまでに二十年かかったというふうに聞いています。そういった例もあります。あの原爆ドームがあることによって、核兵器の悲惨さが後世に伝わってきている。

 ですから、今回の震災遺構についてもぜひ時間をかけて方針を決めていただきたい。最後にこのことだけ、大臣、御答弁をお願いします。

高木国務大臣 震災遺構につきましては、震災の記憶あるいは教訓を後世に伝えるという観点で重要であると考えているところでございます。

 一方で、震災遺構は、遺族の方の心情あるいはまた維持管理という問題もございます。地元でさまざまな議論があるところでございます。

 そのため、震災遺構の保存に当たっては、住民の方あるいは関係者の間でよく議論した上で合意形成されていることが必要であり、復興庁としてはまず地元の御議論をしっかりと見守ってまいりたい、そのように思っているところでございます。

階委員 終わります。ありがとうございました。

今村委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 東日本大震災の発災から六年目を迎えました。

 プレハブの仮設住宅が、宮城県内岩沼では来月の末に入居されている方々が全て退去される見込みだということでして、実際に予定どおり退去が完了すれば、五月にもたくさんあった仮設住宅が撤去されることになります。宮城県では初めてということになるわけです。ようやくここまで来たな、トップを走っていただいているなというふうに励まされる思いであります。

 一方、仮設住宅がこの三月で期限を迎える仙台市ですけれども、仙台市で、住まいの再建方針がまだ決まっていないというふうな方々が仮設入居世帯の四分の三いらっしゃるということです。その方々の多くは、被災した後に仙台市に移って仮設住宅に入られたという方々であります。

 きょうは、地元の河北新報の記事を資料の一枚目につけさせていただきました。そこをごらんいただいても、その状況はおわかりいただけるんじゃないかというふうに思います。まさに、仙台市の復興計画はこの三月で終了はいたしますけれども、被災者の生活再建というのは引き続き課題になっているということだろうというふうに思います。

 これほど長い期間、仮設住宅に住まわざるを得ないのかというふうに思っておられる被災者の方々も多くおられるでしょう。しかし、あの三・一一、あのときのことを思い起こしますと、法律で決められている時間では解決できないだろうなというのを皆さん共通の認識としてお持ちになったんだろうというふうに私どもは思います。長く暮らされる方々が、仮設住宅とはいえ、その中で健康やさまざまな使い勝手に配慮していかなくちゃいけない、そういうような責務もまた国にあるんだということも考えたわけであります。

 民主党政権下で、中央防災会議の防災対策推進検討会議で「避難所から応急仮設住宅へ移る流れに加えて、自宅の再建、災害公営住宅の整備、民間賃貸住宅の活用等を組み合わせた、被災者の資力やニーズも踏まえた公平で効率的・効果的な住まいの確保策を検討すべきである。また、災害時に応急的に建設された住宅が、将来にわたって有効に活用されるような方策について検討すべきである。」といたしまして、応急仮設住宅のあり方などを検討する、被災者の住まいの確保策検討ワーキンググループが立ち上がりました。

 検討が行われたと承知しますけれども、結論が出たのでしょうか。先ほど階委員の質問の中でも、中間取りまとめというのが二十六年の八月に出た、その後はどうやら動きがないようであります。

 その中で、結論というか、仮設住宅の標準仕様の位置づけなどについてはどういうふうに整理されたのか、また、プレ協と協定を結ぶ際、標準仕様などについてどのようにすべきというふうにお考えになったのか、お示しをいただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 被災者の住まいの確保策のあり方につきましては、被災者の住まいの確保策検討ワーキンググループで議論された後、平成二十六年八月に、被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会におきまして中間的な取りまとめがなされました。ワーキンググループにおきましては、主に応急仮設住宅の位置づけ、民間賃貸住宅の活用のあり方等につきまして検討されましたが、地域の実情に応じました仕様によります応急仮設住宅の供与などを進めていくことも大変重要というふうに考えております。

 東日本大震災におきましては、被災地が寒冷地であったため、断熱材の追加また二重サッシの採用、こういった住環境を改善する追加工事が必要になっていったといったふうなことがございます。こういった教訓などを踏まえまして、平成二十四年五月に仮設住宅建設マニュアルを作成いたしまして、地域の気候風土に合った仕様などをあらかじめ策定できるように、各都道府県に通知を行ったところでございます。

 さらに、平成二十七年三月には、過去の災害におきます応急仮設住宅についての仕様を含めた建設事例などを集めまして各都道府県に提供するなど周知を行っておりまして、今後とも地域の実情に応じました応急仮設住宅の供与が行われていきますように、引き続きこういった取り組み事例の周知に努めていきたいと思っております。

郡委員 それぞれの実情に合わせてという冊子をつくって渡したということですけれども、基本的な仕様が示されているだけであります。例えば、広さはこうであるとか、建設費用はこうであるとか、標準的な設備はこうであるとか。それが示されているだけでは、自治体がどこまで実際にやれるのかというのが、それぞれの地域の実情に合わせてやって構わないと言われてもわからないんですね。

 この点は丁寧にすべきだと思いますし、災害時の住まいの確保についての検討も、この中間取りまとめ以降、現実に進んでいないということだと思います。

 先ほど階委員とのやりとりでもありましたけれども、内閣府内でやっているということでしたけれども、ちっとも進んでいないのは明らかだということを改めて今確認させていただきました。ぜひ、途中でやめにしないで、中間取りまとめではなくて、最終的な取りまとめまでやってください。

 次は、災害公営住宅について伺いたいと思います。

 仮設住宅に入る方々のコミュニティーの拠点として、集会所等々を設けさせていただきました。そして、災害公営住宅建設の場合も集会所などコミュニティーの拠点をつくるということがなされたわけです。実態がどうなっているのか伺いたいと思います。

 それから、災害公営住宅をつくられて、もう既に入居されている方々の自治体組織がつくられているのかどうか、調査はされているのかどうかです。

 残念なことですけれども、災害公営住宅にやっと入られても、孤独死が次々と起きているところです。マンション型の災害公営住宅では、ドア一枚で隣が誰かわからない。今までは仮設住宅で、お互いさまということで、お互いを気遣いながら支え合いながらやってきたわけですけれども、そのつながりがなくなってしまって、引きこもりがふえているというふうなことも聞いております。

 実際に災害公営住宅がつくられた後でも、集会所がなければ土地があれば後づけでつくれるのか、あるいはその災害公営住宅の中に空き室があれば集会所にすることは可能なのか、尋ねたいというふうに思うんです。

 実は、河北新報社と東北大学の災害科学国際研究所が宮城県内で被災者のアンケートを行っているんですね。それで、生きることに意味を感じる、その後の人生を変える出会いがあったというふうにポジティブな回答をなさったのは、実はプレハブ仮設住宅の住民だった。再建した持ち家に住んでいる方よりも、借り上げ仮設住宅に住んでおられる方よりも、プレハブ仮設住宅の方の方が高かった。

 これは何を意味しているかといえば、つまり、プレハブ仮設住宅に対する支援が本当にきめ細かくあったということと、お互いさまという意識が強くあったということ、これが大きいんじゃないだろうかというふうに私は思ったわけであります。

 これから、災害公営住宅でもコミュニティーの形成支援というのが大きな鍵になってくると思います。先ほどは被災者支援総合交付金の話がありましたけれども、実際にこれらが生きるように努めていただきたいと思います。いかがでしょうか。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 被災から五年が経過をいたしまして、被災者の皆さんは、もとあったコミュニティー、避難所のコミュニティー、仮設のコミュニティー、そしてこれから公営住宅等恒久的なコミュニティーと、何回もコミュニティーを移動していることに対するストレスを多く感じているということは私も肌で感じております。また、そのコミュニティーを形成するための支援は引き続き重要であるというふうにも考えているところであります。

 災害公営住宅の整備に当たって、阪神・淡路大震災の教訓も踏まえて、バリアフリー化を行う、あるいは集会所や共用スペースの設置などをする、そして居住者同士の日常的な交流を育むような設計としてきたところでありますし、コミュニティーごとのグループ募集、もとあったコミュニティーが入れるようなグループ募集の取り組みが行われてきたところであります。

 また、恒久住宅への移転後も交流の機会をつくり前向きに暮らしていただけるように、平成二十八年度は、大幅に拡充された被災者支援総合交付金により、見守り、相談支援の実施、移転に伴うコミュニティー形成への支援、人と人とのつながりをつくり生きがいを持って暮らしていただくための心の復興などを進めていただくこととしておりまして、よりきめ細やかに向き合う体制をこれからも維持し、さらに構築していきたいなと思っております。

 もう一点お尋ねの、整備後に追加で集会施設等を設置できるかどうかという質問に対してお答えをさせていただきます。

 これまでも、災害公営住宅の整備に当たり、必要な集会施設の設置についても支援を行ってきたところであります。一方で、追加で集会施設を設置するという希望があるからといって、必ずしも支援の対象外となるわけではございませんので、ぜひ、その用途に応じて、コミュニティー形成に応じて、自治体から具体の要望を受けて、既存の集会施設の有無、規模等を踏まえ、その必要性を具体的に検討した上で、支援を行うか否かを判断してまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

郡委員 余り時間がないので、それでは急がせていただきますけれども、法律上、災害公営住宅というのは、災害の発生から三年経過すると被災者以外の方々も入居できるようになるわけです。

 しかし、今回の震災というのはとても三年では難しいだろうということで、被災者以外の入居は認めないというように各自治体に国交省が求めてこられたんだというふうに思います。

 しかし、宮城県内では災害公営住宅にあきが発生しておりましたので、昨年の九月、県内全域の被災者向けに相当期間募集をかけて、入居する被災者があらわれないことを確認した上で、一般の生活困窮者の入居を認めるというふうな見解を示されました。

 宮城県では、これを受けまして、被災者以外の入居、いろいろな方々、被災者の方々に聞いた上ですけれども、二〇一六年、ことしの四月以降こういうふうにしていこうという方針を策定したところです。

 先ほど、仙台市の仮設住宅でまだ行き場をどういうふうにしていいかわからないという方々は、震災後に仙台市に入ってこられた方で、住民票もお持ちになっていない方です。現実的には福島からの被災者の方々が多いわけなんですけれども、居住要件を満たさない場合でもその方々が入りたいと言ったら入れるのか、あるいはまた、連帯保証人を入居要件につけている自治体も少なくないわけですけれども、連帯保証人が見つからなくても入居が可能なのか、確認したいと思います。短くお返事ください。

由木政府参考人 お答えいたします。

 公営住宅法におきましては、法律に定めております入居資格としては、収入要件と住宅困窮要件でございます。御指摘がございました居住地の要件あるいは保証人の要件については、法律上は特段の定めが置いてございません。取り扱いは、それぞれ事業主体でございます地方公共団体の判断に委ねられているものでございます。

 災害公営住宅は、御承知のとおり、法律上、災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者のために整備するというふうになっております。したがいまして、まず、当該公共団体で被災した住宅を失った者について住まいを確保するという観点から取り組まれているものと承知しております。

 仙台市におきましては、市内に住所を有する住宅を失った被災者を優先して取り扱っているというふうな取り扱いがなされているというふうに承知をしております。

 一方、保証人につきましては、震災が多くの生命や財産を失わせる極めて重大な被害をもたらした災害でございまして、個々のケースにより事情が大きく異なりますため保証人を確保できない場合も多いというふうに考えられますことから、昨年九月に復興庁と国交省の連名によりまして通知を発出しております。被災者の方々の努力にもかかわらず保証人が見つからない場合には、保証人の免除などの配慮を行うことということで、被災三県の方に要請をいたしております。

 お尋ねの仙台市の取り扱いにつきましても、原則として保証人を必要としているというふうには聞いておりますが、保証人の確保が困難であると認められる特別の事情がある場合には、緊急連絡先の届け出により入居を可能としているものというふうに承知しております。

郡委員 長々と御答弁いただきましたけれども、各自治体に任されているということで、居住要件を満たさなくても自治体の判断で入居は可能だというふうなことでありましょうし、保証人も要らないということだというふうに理解しました。これはぜひ周知を徹底してください。

 それから、先ほどの住宅困窮者というのはどういう人たちのことをいうんでしょうか。

 実は、先日、党の仲間たちと復興対策本部で視察をしている折に、宮城県の亘理町の漁協で、新たに被災地じゃない関東方面から、漁業の後継ぎがなかなかいないものですから、支援に入ってこられた若者たちと会いました。その方々が、お風呂もない、本当にみすぼらしいところに住むしかないんだ、この住まい、何とかできないものなのかというふうにお話しだったんです。

 被災地の災害公営住宅にそういう方々も入ることが可能なのでしょうか。できれば地域に根をおろしていただいて家族を持ってもらうということがそれこそ人口減少に歯どめをかけることにもつながってくると思うんですが、どうでしょう。

 短くお願いします。

由木政府参考人 お答えいたします。

 公営住宅法の施行令七条におきましては住宅困窮の要件をさまざま定めておりますけれども、例えば「住宅以外の建物若しくは場所に居住し、又は保安上危険若しくは衛生上有害な状態にある住宅に居住している者」などと規定をされております。

 住宅以外の場所に居住されているということであれば一般的にはこの住宅困窮要件を満たすものと判断されるのではないかと考えておりますが、この要件の具体的な当てはめにつきましては、事業主体でございます地方公共団体の判断に委ねられているところでございます。

郡委員 ぜひ弾力的な運用をお願いしたいというふうに思います。

 それから、被災者生活再建支援制度等を利用して住居を一部修繕してしまったために、環境が過酷でありながらも災害公営住宅に入居できなくなっている方々が実は多くおられるんです。

 参議院の審議でも、この方々はもう既にこういう支援を使ったのだから入居はできないという旨の答弁があって、多分同じ答えしか返ってこないと思うんですけれども、住宅困窮者である現実を実際に見ていただきたいと思います。住まいの再建に対する被災者の意向に十分対応できていない法令の解釈だとか運用だとかは問題だというふうに思います。ぜひ実態を見ていただきたいと思います。

 その実態を知るためにも被災者台帳のシステムというのが重要だというふうに考えておりまして、被災者台帳、災害基本法改正で盛り込まれました。被災者台帳をつくることで被災者にそれぞれよりよい支援を可能にすると思いますけれども、この作成状況、そしてこの台帳がどのように活用されたのか、教えてほしいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 被災者台帳につきましては、平成二十五年六月の災対法の改正によりまして新しく規定されまして、災害発生時に被災者の援護のために市町村が作成することができるというふうになっております。

 被災者台帳を整備した市町村でございますが、法施行後半年たった平成二十六年四月一日現在で調査をしてございまして、災害発生時に備えたシステム等を整備した場合を含めて、全市町村の一九%に当たる三百三十七市町村が整備をしていることになっております。また、被災三県に限って見ていけば、市町村の数の三二%に当たります四十市町村におきまして整備を行っております。

 避難生活が長期にわたる場合につきましては、被災者の状況の継続的な把握が必要になってくるといったことから特に被災者台帳を作成する効果が高く、このこともありまして、被災三県におきましては整備の割合が比較的高くなっているものと受けとめております。

 内閣府におきましては、来年度、消防庁と連携いたしまして調査を行い、被災者台帳の整備状況や、整備されている市町村におきましてはどういったふうに活用しているかを把握、検証することにしておりまして、その結果も生かしまして、今後、市町村におきまして被災者台帳の整備、活用が促進されますように引き続き取り組んでまいります。

郡委員 ぜひ急いでいただきたいと思うんです。

 弁護士会の皆さんたちは、この被災者台帳をもとにして、それぞれの被災状況に応じた支援メニューを作成していく上で、災害ケアマネジメントというものも必要ではないかということを提言されていて、なるほどなと私も思っているところです。ぜひ急いでいただきたいと思います。

 次は、除染について伺いたいと思います。

 福島の森林除染や林業の再生をめぐって、このほど、環境省、農水省、復興庁によるプロジェクトチームが発足いたしました。昨年末の環境回復専門家会議では、福島の生活圏以外の森林は除染しないという方針で、除染しても放射線量は下がらず、除染はかえって土壌流出の危険があるというふうにされていたわけですけれども、それを福島県からの要請があって、急遽こういうチームがつくられたというふうに思います。

 このプロジェクトチーム、これまで二回会合を開かれておりますけれども、どういうふうに除染や林業再生に取り組むおつもりですか。

若松副大臣 郡委員にお答えいたします。

 三月九日、先ほどのプロジェクトチームによります総合的な取り組みを出させていただきました。

 その内容でございますが、一つ目に、生活環境の安全、安心の確保に向けて、住居等の近隣の森林除染の着実な実施や、放射性物質の流出防止等の対策の実施。

 二つ目に、里山の、人々の潤いの場や人が立ち入る機会の多い場所について、地元の御要望をよく聞いて、適切な除染や林業再生等の取り組みの実施、加えて、避難指示区域及びその周辺において、里山を有する集落十カ所程度をモデル地区として選定して、除染や林業再生事業等の里山再生のための取り組みを総合的に推進しております。

 三つ目は、奥山等の林業の再生に向けて、間伐等の森林整備や、作業者向けにわかりやすい放射線安全・安心対策のガイドブックの作成などを行うほか、引き続き、森林の放射線量のモニタリングや調査研究、わかりやすい情報発信を行うこととしております。

 今後、福島県また市町村ともよく相談しながらしっかり連携して、できることから速やかに取り組んで、復興庁としては、引き続き、各省庁に横串を打ちながら、スクラムを組んで総合力を発揮できるように取り組んでまいります。

郡委員 この点についても、政府の中でいろいろ混乱したのは問題だというふうに思います。

 それから、資料で、里山再生モデル事業のイメージということで、絵をいただいたものをつけさせていただきましたけれども、森林はいまだに放射線濃度の高い箇所も残っているわけです。そこでの作業は、放射線管理、線量管理というのがすごく重要になってくると思うんですね。果たして、広大な面積を扱うのに、それを担う作業員の皆さんたちもいるんだろうかというふうなことも気にかかるところです。

 今、除染の現場で起こっていることを次に尋ねたいというふうに思います。

 避難指示区域において除染作業などに従事している外国人労働者がいるようでございますけれども、実態について把握していますか、していませんか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 国が直轄で行っております除染作業に従事している作業員につきましては、毎日の作業員の総数は把握しておりますけれども、外国人労働者の人数、国籍等の情報については把握はしてございません。

郡委員 きょうは新聞の記事も加えさせていただいたわけですけれども、「除染の町「人が足りぬ」」ということで、外国人労働者の方々も多数入っておられるようでございます。

 環境省が通達している労務単価、これが遵守されているのかどうかです。この新聞の記事によりますと、大分実態が異なっているんじゃないかということですね。外国人労働者、通達では一万六千三百円であるにもかかわらず、六千円しか払われていないことが明らかになって、私も確認をさせていただいたところです。これは最低賃金すれすれの状況じゃありませんか。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 賃金につきましては、環境省といたしましては、この中で特殊勤務手当というのがございます。これについては、環境省と除染事業者の契約の中で一定の額を支給することを義務づけてございます。

 この特殊勤務手当を含む賃金の支給状況につきましては、受注者に対して、適切な額が支給されているか、確認を義務づけるとともに、環境省においても賃金台帳等の確認を行いまして、この特殊勤務手当が確実に払われているかどうかを確認いたしまして、必要な場合には事業者に対して是正を指導しているというところでございます。

郡委員 この特殊勤務手当というのは、建設会社に対して請負額に上乗せして支払っているのであって、これが労働者に実際行っているのかどうか、ぜひ実態調査をしていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので多くは申しませんけれども、福島の労基署によりますと、実際に違反事業者が全体の六八・一%、法令違反があったということで、これは看過できないというふうに思います。ぜひ厳しく対応してください。

 以上、質問を終わります。

今村委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 三月十一日、私は地元の南相馬市追悼式に参列させていただきました。犠牲となられた皆様方の御冥福を心からお祈りし、そして、黙祷をささげました。大臣も、政府主催の東日本大震災追悼式に出席されていたことだというふうに思いますが、私は、この南相馬市の追悼式終了後、御遺族の皆様、そしてまた地域の代表の皆様とお話をさせていただく機会がありました。そして、新たな課題についてもお伺いすることができました。

 そこで、世間では五年という節目の年と言うけれども、五年たっても悲しみや苦しみは変わらない、自分たちにとっては節目はない、そうおっしゃった言葉を私は重く受けとめさせていただきました。

 復興基本方針は三月十一日に閣議決定されました。そして、先ほど来お話がありますけれども、五年たって新しいフェーズに移行しているんだ、そういう御趣旨の御発言が何度もありました。先ほど玄葉代議士からもお話がありましたように、福島の地元では、世論調査によってわかったことでありますが、たった二割の方々のみがその復興を実感しているという状況であります。

 改めて、復興大臣、今後どのように復興に向けての取り組みをなさっていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 私は国立劇場での式典に参列をさせていただきまして、そして、私も、被災地の、それぞれ三県の代表の方と懇談をさせていただきました。それぞれ、月日はたったものの、悲しみは癒えないというようなことをしっかりと受けとめさせていただきました。その中で、丸五年、新しい復興・創生期間に入るわけでございます。まさに身の引き締まる思いでその日を迎えたわけでございますが、しっかりと復興を加速化させていきたいというふうに思っております。

 そこで、地域、個人のニーズというものが一層多様化しつつあるというようなことも感じております。先ほども話がございましたけれども、きめ細やかな支援が必要になってくると認識もいたしております。

 先ほど御指摘のとおり、十一日に、今後五年間の新たな復興の基本方針を決定したところでございます。これに基づき、復興・創生期間においては、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細やかに対応しつつ、十年間の復興期間の総仕上げに向けて、被災地の自立につながる、地方創生のモデルとなるよう復興を実現するということでございます。これは地震、津波被災地でございます。

 一方、福島では、二十九年三月には帰還困難区域以外で避難指示が解除され、本格的な復興のステージに移行する、また、そうさせなければならないというふうに思っているところでございますけれども、福島の復興再生は中長期的対応が必要であり、復興・創生期間後も国が前面に立って取り組むこととしております。

 また、先ほど来、風評の話もございますが、正確でわかりやすい情報発信による風評被害の払拭、そして震災の記憶と教訓の後世への継承というものも行ってまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、復興・創生期間におきましても、被災地の方々からの声にしっかりと耳を傾けて、それらを受けとめ、被災地の方々に寄り添う形で復興に取り組みたい、このように考えているところでございます。

金子(恵)委員 被災地の現状というのは、さまざまな課題を持つ現在の我が国の縮図であろうというふうに思っております。復興は単なる復旧ではありません。震災のつらい経験から最大限の教訓を得て、そして安全、安心なよい地域づくりというものも進めていかなくてはいけないというふうに思っております。

 その中で、高齢者、障害者、女性、子供のような災害弱者となってしまった人たちが今後は弱者とならないように、そんなサポート体制をしっかりと持ちながら、新たな復興のゴールに向かっていくことが重要だろうというふうに思っております。

 そこで、きょうはまず、災害弱者となってしまった方々の中でも障害のある方々の課題について質問させていただきたいと思いますが、新しい復興基本方針には、「障害者の福祉の確保のため、施設整備を含め、引き続き必要な支援を行う。」とあります。具体的にどのような支援を進められるのか、お聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 まさに女性あるいは障害者、さまざまな方がしっかりと生活ができる、あるいは活躍ができる、そうした復興の絵姿というものを描きながら、それに向けてやっていくということかというふうに思います。

 また、今回の大震災では、障害のある方が多く亡くなられております。健常者の方よりも比率として多く亡くなっていらっしゃるわけでございます。そうしたことも踏まえて、もちろんバリアフリー等もそうでありますけれども、いわゆる生活弱者、そういった方々もしっかりと、いざというときには避難ができる、そんなようなことも含めて、しっかりとまさに共生社会をつくっていくということが大事なんだろうというふうに思います。

金子(恵)委員 ここに書かれてあります、障害者の福祉の確保のため施設整備を含めという内容でありましたが、そうしますと、今の大臣の御答弁では、共生社会をつくるというのがまず前提になっていまして、ここに書かれている内容については、特に入所施設や通所施設のみの施設整備を言っているのではないということの理解でいいのでしょうか。

 そうであれば、今まさに避難中である障害のある方々が生活再建をするために、住宅の確保というのも当然必要になっています。だからこそ、今バリアフリーという言葉をおっしゃっていただいたわけですが、今申し上げましたように、そうしますと、バリアフリーあるいはユニバーサルデザインの災害公営住宅や復興公営住宅をしっかりと御準備していただくというような内容というふうに理解をさせていただいていいのか、確認をさせていただきます。

長島副大臣 障害者向けの災害公営住宅や復興公営住宅の整備についてというお問いでございましたので、私の方から少しお答えをさせていただきたいと思います。

 整備に当たっては、地方公共団体において事前に被災者の方々の状況や住まいの確保に関する希望等についてアンケート調査を実施して、それを踏まえて整備が実施されていると承知をしております。

 災害公営住宅では、エレベーターあるいはスロープの設置等のバリアフリー化が一般的に取り組まれておりますし、調査結果等に基づき、自走式の車椅子で利用可能な廊下の幅を設けた住宅も一部整備をされているところです。

 これら車椅子使用者用に整備された住宅については、車椅子使用者を対象として入居の手続を行っていただいているところでありまして、復興庁としても、障害者を含めた被災者の方々が一日でも早く一戸でも多く恒久的な住まいを確保できるよう、県、市町村、取り組みを支援してまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 この件についてレクを受けたときに、障害者の方々の枠が決まっていて、そしてまた抽せんで、抽せんで漏れた方々のことについてはどうなるだろうという質問もさせていただいたんですが、大変曖昧なままでありました。

 今おっしゃっていただいたように、アンケート調査をし、ニーズというのが本当にきちんと把握されているのであれば、その御希望に沿う形でしっかりと住宅の提供というのができるということで確認をさせていただきたいと思いますが、よろしいですね。

長島副大臣 きちんと住宅が提供できるように意向調査を踏まえて整備をしているつもりですが、ミスマッチが生じる場合には、国土交通省の方できちんと対応をしていただいているというふうに認識しております。

金子(恵)委員 ミスマッチが生じたときには国交省の方で、そういうお話がありましたが、今、復興の話をしています。心の復興のお話も先ほど来していただきましたし、私は、本当に復興庁にもっともっと前面に出て頑張っていただきたいと思いますし、司令塔として本当に頑張っていただきたいんです。それをまた、担当が、部署が違う、国交省でというお話になると、本当に復興庁は要らないという話になります。本当に緊張感というのはないんじゃないか。残念でなりません。

 三月の九日に、障害者団体十三団体で構成されるJDF、日本障害フォーラムの東日本大震災被災障害者総合支援本部の第五次報告会が開催されました。

 このJDFは、震災を受けて、発災の一週間後、もう三月十八日には被災障害者総合支援本部を設置して、宮城県、岩手県、福島県に被災地支援センターを順次開設し、支援活動をされてこられました。そして、被災地に、実際に現場に入って被災地と被災障害者の現状を把握し、昨年までに十二回の政策提言を行って、そして先日の九日には十三回目の提言というのをされていました。

 私は、この提言書というのは本当に現場の声全てだというふうに思っておりまして、その中からも、当然のことながら、生活再建、住宅の確保をきちんとしていただきたいという内容もありました。

 今までも、施設に入所して生活をされていた障害のある方々だけではなくて、地域の中で自立生活をされていた方々が、今、現状として仮設住宅でお暮らしになっていらっしゃる。仮設住宅は何とかバリアフリー化を少しずつはしてこられたけれども、まだまだ御苦労がおありだった。その方々が、安全、安心な環境の中でよりよい自立生活をまたしていくために何ができるかという、人を中心とした本当の復興というのを進めていただきたいというお願いを今しているところであります。いかがですか。

長島副大臣 私もかつて仮設住宅で三年二カ月暮らしておりました。今回はもう五年を過ぎたわけでありますし、その場面場面、年度ごとにやはり被災者の皆さんのお気持ちは揺れ動いているんだというふうに認識をしております。

 その中で、どうニーズを捉えて、どう恒久住宅、あるいは生活再建を遂げていただけるかという課題は、被災者が十万人いたら十万通りの答えが必要なんだと思うし、今、金子先生御指摘のように、障害があるないによっても、やはり答えが必要なんだと思います。

 そんなことを踏まえて、御指摘いただいたように、復興庁が司令塔となって、国土交通省や環境省やいろいろなところと連携をとりながらやっているということでございますので、誤解のないようにしていただきたいと思います。

金子(恵)委員 復興庁がほかの省庁と連携ではなく、復興庁はほかの省庁にしっかりと横串を刺して、その上にいるんですよ。その上で復興をしっかり進めるということだ、私はそのように願っております。よろしくお願いいたします。

 それで、先ほど、障害のある方々は、当時、発災時、亡くなられた方々が多かったというお話がありました。

 実際に、先ほど申し上げましたJDFさんは、東日本大震災では障害のある方々の死亡率が全体の死亡率の二倍であったという数字をもとに、「生命のことづけ 死亡率二倍 障害のある人たちの三・一一」という記録映像をDVDにしていらっしゃいます。そしてまた、さらに同じく障害者当事者団体のDPIとJIL、ゆめ風基金さんで設置されました東北関東大震災障害者救援本部においても映像を残していまして、「逃げ遅れる人々」というやはりDVDを出していらっしゃいます。

 ここで基本となる数字というのが、今ほど申し上げました、障害のある人たちは全体の方々の二倍の死亡率だったということでございます。このことについてはどのように捉えていらっしゃいますか。

高木国務大臣 今御指摘いただきましたけれども、東日本大震災における障害者の死亡率は全体の死亡率のおよそ二倍という点について、そのような報道あるいは資料があることは承知をしているところでございます。

 東日本大震災において、障害者などの避難時に配慮が必要な方について犠牲者が多くいらっしゃったことは、大変遺憾なことだというふうに思っております。

 このような結果を受けて、政府におきまして検討を進めて、災害対策基本法を改正し、災害発生時の避難等に特に支援を要する方の名簿、避難行動要支援者名簿でございますけれども、その作成を義務づけること等が規定されるとともに、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針を策定するなど、要配慮者への避難行動支援の充実を図っているところでございます。

 今回の東日本大震災の教訓を生かして要配慮者への対応も含めた事前の備えがより充実することで、今後の災害においてもより多くの命が助かるということが大切だというふうに思っているところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 先ほど来申し上げているんですけれども、障害当事者の方々の提言によって、今おっしゃっていただきました災害対策基本法の改正等もなされてきたというふうに私は思っています。

 今おっしゃっていただきましたが、災害対策基本法の改正で避難行動要支援者の名簿作成を自治体に義務づけているということでありますが、この名簿作成は、平成二十七年の四月一日付では五二%の自治体のみが作成済みということになっておりまして、二十七年度中に作成予定というのを含めると九八%には達すると言っているんです。私は、ことしの四月一日で調査をしっかりするということになると思いますので、その数字、しっかりと九八%という数字が出るということを期待はしておりますけれども、そこのフォローアップは国としてもしっかりとやっていただきたいと思います。これは義務づけられていることでありますし。

 このような名簿に基づきまして、それをどんどん活用していく、そういう環境づくりも当然必要になってきます。名簿があっても、それが活用されずに、実際には逃げおくれてしまう障害のある方々が出てしまっては何の教訓も生かされていないということになりますので、まずはその環境づくりもしていただきたい。

 それから、避難行動支援のために取り組むべきとされている内容としましては個別計画策定というものがあるということですが、これは、義務でもなく、取組指針の中で示されているものですから、実際は個々人がそれぞれ違ったニーズをお持ちになっていらっしゃることから、やはり個別の計画の策定というのは大変重要であるというふうに思っております。私は、これも国がしっかりと後押しをしていっていただきまして、個別計画をしっかりと策定できるようにしていただきたいとも思っております。

 そしてまたさらには、避難先はどういう状況なのかといいますと、ベッドもなくて、本当に一週間以上車椅子のままで寝た、休まれた、そういう障害のある方々も当時いらっしゃった。だからこそ、そうではなく、福祉避難所の確保というのは重要なんだということを今我々は知っています。この整備もしっかり進めていただきたいと思います。いかがでしょう。

松本副大臣 先生御指摘のとおり、避難行動要支援者名簿につきましては、今月末、九八%が作成済みとなる、こういう思いで今取り組んでいるところでありますが、しっかりフォローアップをしていきたい、こう考えております。

 また、避難行動要支援者名簿の作成が完了している九百六市町村のうち、二百九十四市町村が既にこの計画を策定済みとなっておりますが、さらにこれをしっかり前に進めなければならぬ、こう考えております。

 福祉避難所につきましては、内閣府が行った平成二十六年十月現在の調査において、指定をしていないと回答した市町村が半数以上の九百五十市町村であったということを踏まえて、指定を進めるために必要なといいましょうか、留意事項等を示すガイドライン、これをこの三月末をめどに作成することとしております。

 内閣府といたしましては、関係省庁としっかり連携をしながら、地方公共団体に対し、取組指針やガイドライン、こういったものの周知を徹底いたしまして、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難の確保、あるいは福祉避難所のさらなる確保に向けて引き続き取り組んでまいります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 繰り返しになりますが、ぜひ本当に、東日本大震災からの教訓を得て、しっかりと備えていただきたいというふうに思っています。

 また少し戻りまして、現状についておただししていきたいというふうに思います。

 福島県では震災関連死の方々が三月十四日現在二千三十一名に上っています。岩手県では二月二十九日現在四百五十九名、宮城県では同じく二月二十九日現在九百二十名ということでありますので、関連死の方々の数というのは本当に福島県は突出しております。実際に亡くなられた方々そして行方不明者の合計は三千八百六十二名ですから、半数以上の方々が関連死ということになっております。

 そういう現状の中、避難は長期化しており、先ほど来お話がありますが、心の復興をやる、そして私は人の復興、人を中心とした復興をお願いしている、そういう状況でありますけれども、まだまださまざまな課題というのが残っている状況であります。だからこそ、もう一度、私たちが持っている福島復興再生基本方針、これをしっかりと見直していくべきではないかというふうに思っております。

 原発事故の影響を大きく受けた福島県に特化した形で、復興再生特別措置法に基づいてこの基本方針がつくられているわけですけれども、今回、改定の方向というのはまだ示されていないというふうに理解をしておりますけれども、いかがですか。

高木国務大臣 福島復興再生基本方針についてでございますけれども、福島県からの改定の要望は聞いているところではございます。

 現時点では具体的方向性が定まっているものではございませんけれども、今後、関係者の意見も聞きながら、福島の復興及び再生の状況等を踏まえて、時期も含めて改定について検討してまいりたい、このように考えております。

金子(恵)委員 二月の一日に、先ほどの復興基本方針の骨子案についての意見交換会で若松副大臣と内堀知事とのやりとりがあったようなんですが、そのときに、今おっしゃっていただきましたように、内堀知事の方から、まずは復興再生協議会の早急な開催を求めていくということと、そして今申し上げました福島復興再生基本方針の改定を求めているんです。

 そのときに、これは地元紙の記事でありますが、政府側はまずは同協議会を本年度内にも開催する考えを示したほか、同基本方針について改定の方向で作業を進める意向を示したということであります。これは正しいですか。

高木国務大臣 協議会につきましては、早期に開催をしたいというふうに思っております。基本方針の改定につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

金子(恵)委員 ぜひ、この基本方針、福島に特化した基本方針ですから、早くその方向性を決めていただいて、そしてまたよりよいものをつくり上げていただきたいというふうにお願いをしたいというふうに思っています。

 それで、時間がありませんが、ちょっと苦言を呈したいというふうに思います。先ほど郡委員の方からお話がありました、森林・林業の再生に向けてのPTでございます。

 三月の九日に福島の森林・林業の再生のための関係省庁PTの第二回目の会合が開催され、そこでもう既に、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組を決定いたしました。たった二回のPTの会合でございます。

 三月の十四日には、福島県の森林組合連合会の皆様にこの方針についての説明がなされたというふうに聞いております。ですが、その場には、林野庁さん、そして環境省からの担当者の出席はありましたが、復興庁からはありませんでした。

 このPTはそもそも、関係省庁というのは復興庁、農水省、そして環境省なんです。そしてまた、私が知っている限りでは、事務方が頑張っていたのは復興庁だったと私は思うんですね。復興庁が取りまとめをして、事務方が頑張っていた。しかし、残念ながら、こうやって、とても重要な場、新しい方針ができて、そしてそれの説明をしていく、その場には復興庁の方が誰も出席していなかった。やはり、先ほど来申し上げていますが、緊張感が足りないのか、緩んでいるのか、本当にどういうことなのかと思います。

 この基本方針がとても重要である理由というのは、山と森林とともに生活してきた住民の皆様にとっては、ふるさとに帰還するかどうかの選択をする上でも判断材料となる森林・林業の再生あるいは除染の問題を協議する場だ、そして、それを決める方針の内容の説明をされる、そういう場だということだからなんです。にもかかわらず、なぜまずは復興庁の方々が出席をされていなかったのか。誠意を今感じることができないんです。

 時間になりましたので、ここで私の質問は終了させていただきますが、最後に何か一言おありであれば、大臣、どうぞ。

高木国務大臣 森林組合の聞き取りの話でございます。

 確かに復興庁はこの場にはいなかったということでございまして、もちろん、策定するまでは、さっきおっしゃっていただきましたけれども、たびたび現地を訪れまして、行政の方を中心に意見聴取をさせていただいた、意見交換をさせていただいたところでございます。ただ、先ほど御指摘の森林組合等につきましては、これは林野庁が中心というふうに考えたんだと思いますが、私も実はきのう、この要旨を頂戴いたしまして、早速、復興庁の担当に、なぜ行かなかったんだという話はさせていただいたところでございます。

 しっかりと緊張感を持って取り組んでまいりたいと思います。

金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。

 終わります。

今村委員長 次に、松田直久君。

松田委員 民主・維新・無所属クラブの松田直久でございます。

 本委員会での質問は初めてですので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私の前に御質問がたくさんあったと思います。重複している点があるかもわかりませんが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 改めてではございますが、平成二十三年三月十一日の東日本大震災の発生から五年がたち、死者一万五千八百九十四名、行方不明二千五百六十三名、負傷者六千百五十二名。いまだに避難者は、仮設住宅約三万三千戸に約六万八千人、公営住宅約六千戸に約一万五千人、民間住宅約三万四千戸に約七万九千人。なお、県外にも約五万人の方々が避難をされています。地震、大津波、東京電力福島第一原発事故という未曽有の複合災害の被害の大きさを改めて実感するとともに、被災県民の方々のみならず、日本じゅうの国民の目が復興の中心である復興庁と高木大臣に向けられているという自覚と緊張感を持って、大臣にはさらにお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 まず、同僚の高井議員が、昨年の七月なんですけれども、復興特で指摘をさせていただいた時点で、集団移転促進事業、復興住宅、災害公営住宅等の整備の大幅なおくれ。特に、災害公営住宅では、二十七年九月現在、二万八千五百七十戸の用地が確保されているものの、完了したものは一万二千八百八十三戸、四三%にとどまっているという状況でした。

 先週十一日に閣議決定をされました復興・創生期間における復興の基本方針では、平成二十九年度までに、総戸数のおおむね九割の完了を目指すと示されましたが、改めて、現在の復興住宅の完成戸数に係る進捗状況を伺いたいと思います。

内海政府参考人 お答えいたします。

 被災三県の災害公営住宅につきましては、平成二十八年一月末の時点で、計画戸数二万九千五百七十三戸の四八%に当たる一万四千四十二戸が完成しております。

松田委員 済みません、ちょっと聞き取りにくかったんですけれども、大分進捗しておるということでいいんでしょうか。

内海政府参考人 お答えいたします。

 一月末現在で、全体の四八%が進捗しております。

 あと、今後の見通しについて申し上げますと、先ほど申しました計画戸数は全体で二万九千五百七十三戸なんですが、平成二十七年度末で全体の五九%、それから平成二十八年度末で八五%、平成二十九年度末で九六%、そして平成三十年度中にはおおむね完成予定という見通しでございます。

松田委員 今までの進捗状況をずっと見ますと、当初は、計画とか、いろいろな形でおくれたという御説明をいただいたわけですけれども、しっかり、今の目標に向かって揺るぎなく進めていただきますように強く要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、福島では、自主避難者も含め、現在九万八千人余の県内外への避難者がみえまして、原発事故の影響への不安や、長期化をする避難生活に対する支援をいまだ必要としております。

 当初、政府は、子ども・被災者支援法基本方針策定時、平成二十五年十月です、支援対象地域の決定に当たり、被災地域の分断を避けるため放射線量を基準としなかったとの説明を行いました。しかし、昨年八月に改正された基本方針は、帰還や定住の支援に重点を置く方針を明らかにするとの立場から、支援対象地域について、線量が大幅に低減をし新たに避難する状況にないこと、将来的には支援対象地域を縮小、撤廃すると言及をされました。

 子ども・被災者支援法の第一条で、放射線が人の健康に及ぼす危険は科学的に十分解明されていないとしているんですけれども、改定基本方針で、避難する状況にないと言い切ることは少し根拠に欠けるんじゃないかな、また、被災者の不安解消という法の目的に反しているのではないかとさえも思われます。

 今般、避難する状況にないことの判断基準として放射線量の低下を改定方針で理由にしたことはなぜなのか、説明を求めます。

高木国務大臣 支援対象地域についてでございますけれども、基本方針策定時あるいは改定時、いずれも放射線量の状況を勘案して設定しておりまして、御指摘のような矛盾はないというふうに考えております。

 平成二十五年十月に策定した子ども・被災者支援法基本方針において、支援対象地域は、一つには、原発事故発生後、年間積算線量が二十ミリシーベルトに達するおそれのある地域と連続しながら、二十ミリシーベルトを下回るが相当な線量が広がっていた地域を、地域の社会的、経済的一体性も踏まえ、福島県中通り、浜通り、これは避難指示区域等を除くわけでありますけれども、設定したわけでございます。

 したがって、いずれも、具体的に何ミリシーベルトと決めたものではないということでございます。

松田委員 大臣にお答えをいただいたわけですけれども、質問の趣旨としては、平成二十五年の十月に、被災地域の分断を避けるために線量を基準としませんよ、こう言っておって、今、線量の低下が見られますから、低減したから避難する状況にないですよという、その言い回しの違いがなぜなのかという質問をさせていただいたわけでありまして、もしそれに御所見がありましたら、もう一度お願いをしたいと思います。

高木国務大臣 基本方針の改定時に支援対象地域を新たに避難する状況にないとしたのは、具体的にどのような放射線量に基づくものかということかと思います。

 原子力規制庁が実施している航空機モニタリング結果に基づいて推計した外部被曝線量は、原発事故発生時と比べて大幅に低減をしております。そのほかにも、各市町村で実施している個人被曝線量の測定、福島県が実施しているホール・ボディー・カウンター検査、厚生労働省等が実施している食品検査などの数値も相当程度低いものとなっております。

 また、原子力規制庁からも、避難する状況ではないとの御意見をいただいたところでございます。

 このようなことを総合して、改定基本方針では、支援対象地域は新たに避難する状況にないとしたわけでございまして、したがって、具体的に何ミリシーベルトと決めたものではないということでございます。

松田委員 何ミリシーベルトと決めたわけではないということですけれども、事故発生時と、しばらくたってからの言い回しの違いというのは、やはり僕は非常に気になることだ、こう思います。

 時間がないので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、自主避難者に対する借り上げ住宅の供与の期間の期限を、福島県の場合は平成二十九年三月で打ち切るとされている件ですけれども、支援の打ち切りによって避難者は、帰還か移住か判断を迫られることになるわけですね。子供を抱えて、放射線への不安を払拭できない家族を分断し、さらには被災者の生活を経済面から圧迫すると思われます。

 この福島県の方針に対して、まず政府の見解をいただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 福島県におきます応急仮設住宅の提供でございますが、現在、県内の五十九市町村のうち、五十四の市町村につきまして延長をされてきております。

 昨年の六月十五日には、福島県におきまして、一つは避難指示解除、また災害公営住宅や防災集団移転のための面整備事業の整備状況、そして除染の実施状況、こういった事柄などの見通しを勘案いたしまして、五十四市町村一律に、平成二十九年三月まで延長すると公表されました。

 これとあわせまして、平成二十九年三月末時点で、災害公営住宅の整備などがおおむね完了し、各市町村の復興復旧状況に応じた対応が可能となる見込みでありますことから、七年目以降は、一律に延長するのではなく、個々の市町村の状況に応じたきめ細かな対応を検討するとの方向性が示されております。

 具体的には、平成二十九年四月以降、避難指示区域以外の市町村につきましては、災害公営住宅が十分に整備されていないなどの市町村を除きまして、災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供から、帰還、生活再建に向けました総合的な支援策に移行する方針と承知をいたしております。

松田委員 何にしても、環境が整ったから戻ってこられる方から戻ってきてくださいというようなことなんだろうと思いますが、大臣が所信で述べられているんですけれども、引き続き福島の復興再生に向けて国が前面に立って関係省庁と緊密に連携をして全力で取り組むと発言をされていますし、安倍総理も常々、福島の復興なくして日本の再生なし、こう言われているわけですけれども、今の御答弁でいくと、それぞれの地方に、県に任せたような言い回しに僕は聞こえたんですけれども、やはり国として一歩踏み込んだ支援をする必要があると思うんですね。県に任せておくということじゃなくて、やはり県としても国のそういう前向きな姿勢を判断材料とされていくと僕は思うんです。

 そういった意味で、やはり県だけに任せておいていいものなのかどうか、この点について大臣の見解をいただきたいと思います。

高木国務大臣 今の災害公営住宅等の恒久的な住宅の整備状況あるいは入居者の状況等は、まずはやはり県、市町村が把握するために、当該自治体において判断されることが適切であると考えているところでございます。今御指摘の点につきましても、これまでの延長についても被災自治体の意向を最大限尊重してきたところであります。

 今後とも、各県の検討状況を伺いながら、被災地の現状に鑑み、被災三県と十分に連携し適切に対応してまいりたいと思いますが、いずれにしても、国が前面に立つということはそのとおりだというふうに思います。このことに限らず、しっかりとそういう姿勢を持って取り組んでいきたいというふうに思います。

松田委員 大臣、力強いといいましょうか、やはりしっかりと地域の状況を踏まえて御判断をいただきたい、このように思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に、被災された住民が地域に戻れる環境とは、地域のコミュニティー形成が私は重要だ、こう思っております。人と人とのつながりが住みやすい環境をつくる。大臣も所信で、コミュニティー形成支援がますます重要な課題、また、人と人とのつながりをつくり前向きに暮らしていただくため生きがいづくりも重要であるというふうに御自身で述べられております。

 さて、震災後五年間は、道路とか非常に高い防波堤とか高台住宅地とかいったインフラ整備に特化されてきた復興事業だ、こう思います。これらの事業の重要性は私も十二分に理解をしておるものでありますけれども、しかし、それだけで地域に人が戻ってくる環境ができたのかな、それだけで大丈夫なのかな、こう思っておるわけであります。やはり日常生活の充実につながる環境が非常に大事だ、こう思っています。子供をお持ちの方は保育所や学校など子育てに適した環境であるかを最優先に考えるでしょうし、お年寄りは医療や介護に適しているか等々、そういったことも考えねばなりません。

 そこで、日常生活で大切である医療体制の整備と移動手段としての公共交通についての復旧状況等、具体的な取り組みを伺いたいと思います。

内海政府参考人 お答えいたします。

 まず、鉄道につきましてですけれども、被災した路線の延長二千三百三十キロのうち九六%、二千二百二十七キロメートルで運行を再開しております。また、復旧中の路線につきましても、全て復旧時期が明らかにされており、順調に復旧が進んでおります。

 次に、バスにつきましてですが、岩手県、宮城県においては、震災前に運行されていたバスは全て復旧または代替措置が講じられております。また、福島県では、二事業者において一部運休が生じております。

 特に、生活に不可欠なバスとしまして、応急仮設住宅と病院、商店、公的機関等の間の日常生活の移動を確保するため、国土交通省において、地域公共交通確保維持改善事業の柔軟な運用を図り、被災地域のバスの運行を支援しております。

 また、病院につきましては、被災により入院の受け入れ制限を行った病院の九五%は既に受け入れを回復しております。

 引き続き、関係者と連携し、被災地からの声をよくお聞きしながら、必要な公共インフラの復旧復興に取り組んでまいります。

松田委員 交通インフラも九五%、そして医療も九五%と。聞いていたら、これで安心なのかな、安心に向かって進んでいるのかな、こう思うんです。何をもって九五%とするのか。例えば交通インフラ、JRが復旧されたから、電車で移動可能になったから、これで九五%復旧ですか。例えばバスなんかだったら、路線が百あるうちの九十五が復旧したから、これで九五%なのか。実は、それで本当に九五%なのかなと僕は思うんです。

 というのは、例えば、震災前は一時間に五本バスが通っていました、JRだったらもっと本数が多かった、そういった利便性がある。そういうことも含めて九五%なのかどうか、再度お聞きしたいと思います。

内海政府参考人 お答えいたします。

 今申しました九五といいますのは、被災した延長がどれだけ復旧したかということでございまして、利便性の向上とかは考慮に入れておりません。

 ただし、例えば、大船渡線、気仙沼線につきましてはBRTを運行しておりますが、これは被災前の運行本数の三倍になっておりまして、そういうところの利便性というのは実際には向上してきております。

松田委員 生活環境をもう一回戻す、皆さんに戻ってきてもらう、そういうコミュニティーを大臣は大切にされると。こういった中で、公共交通というのは非常に大事だと思うんですね。ですけれども、今復旧はしたけれども、本数はちょっと、関係ないとは言わないけれども。そうしたら、生活する人は、やはり二時間に一本やら三時間に一本ではなかなか生活できませんし、今の医療の問題でも、例えば救急医療なんかは何か突発的な事故が起きたときにどうなっているのかというようなことも恐らく、お答えを聞かなくても、その辺についても僕は余り整備されていないように今の答弁では感じたんですね。

 やはり、今言われたように、それぞれが環境が整ったからもう戻ってくださいよと片や言われるけれども、環境はまだまだ整っていないというふうに私は思うわけであります。

 それはしっかりと、どの路線がどれぐらいの頻度で開通したのか、生活としてそういう路線の本数で生活できるのかというのをもう一回きちっと見直していただいた方がいいと思うんですよ。地図を置いてやるとか、そういったことをやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に、我々人間として最も大切な、生きる張りの糧となる芸術文化の振興策もコミュニティー形成には必要だ、こういうふうに思うんですね。

 今、震災により、地域の人々が長い年月をかけて育んできた祭りや芸能などさまざまな無形の文化財が継承の危機に立たされている。その一方、復興の過程においては、このような無形の文化財が人々に生きる活力と誇りを与えること、地域コミュニティーの連携を強めること、地域のアイデンティティーを再構するために重要な役割を果たすものだと私は思っておるところでございます。

 例えばですが、一つの例なんですけれども、千年以上の歴史があり、重要無形民俗文化財に指定されている福島県の相馬の野馬追は、福島第一原発に近く、地震、津波、原発事故の三重の惨禍をこうむりながら、被災地域復興のシンボルとして被災者の皆さんに将来の希望と勇気を与えて、相馬地方の心のよりどころになっているというようなことも報道で私は知りました。

 そこで、このような芸術文化の具体的な対策、取り組みがあるとすれば、どんなものを取り組んでいらっしゃるのか、お聞きいたしたいと思います。

高木国務大臣 被災者の方々が住居の移転等によりまして人とのつながりが失われる中で、地域のコミュニティー形成は大変重要な課題だと認識をいたしております。

 このため、人と人とのつながりをつくり、被災者の方々がまさに生きがいを持って前向きに暮らしていただけるよう、心の復興事業、これを今年度から実施しております。

 例えば、福島県南相馬市の民俗芸能を復興し地域の融和を図る取り組みも含めて、今年度は四十団体に取り組んでいただいておりまして、仮設住宅の避難者約一万人も含めて、約一万五千人の方々が参加する見込みとなっております。

 今後、大幅に拡充する被災者支援総合交付金、これを活用させていただきまして、こうした取り組みを被災地により一層広げて、地域のコミュニティー形成の支援に努めてまいりたいと考えております。

松田委員 ありがとうございました。

 私も以前地方行政に携わったことがあるんですが、ハードだけでは、やはり、人というか町は、こんなことは大臣もよく御承知をいただいておると思いますが、できません。やはりそこにコミュニティーがあって、地域の自治会のコミュニティーやら、いやいや、私はサークルよとか、いろいろな人のつながりが町に活気をつくっていく。逆に言えば、それがなければ、ハードで幾らいいものをつくったところで、なかなか人が戻ってくる環境に至らない、私はこう思うんです。

 それで、今までの五年間の事業費として、東日本大震災の復興事業費ですけれども、事業規模で二十五・五兆円、二十八年度から復興・創生期間六・五兆円、合計三十二兆円ということで、非常に大きなお金。これはもう仕方がないことです。しっかりと対策せなあかぬと思いますけれども、こういったいわゆるコミュニケーション、これから五年がたって今から本当に人が戻ってくる施策をやるのに、大臣としては、どれぐらいの予算といいましょうか、どれぐらい考えていらっしゃるのか。数字はないけれども思い切ってこれぐらいやるんだとか、今までこれぐらい取り組んできたというものがあれば、少し教えていただきたいと思います。

高木国務大臣 よく、これまで二十五・五兆円、これから六・五兆円、それで大丈夫かというようなお話も聞くわけでありますけれども、これまでは、インフラの整備あるいはハードの整備というところで非常にお金がたくさんかかるようなことをやってきたと思います。もちろん、これからもそれは必要に応じてやらなきゃなりませんけれども、これからは、まさに委員先ほどから御指摘のとおり、ハードもさることながらやはりソフトというものを十分やっていく必要があるというふうに思っております。

 つきましては、先ほど来話をしておりますけれども、健康・生活支援、いわゆる被災者支援でございますけれども、これについては今後の五年間で四千億円というふうになっているところでございます。もちろん、住宅再建・復興まちづくり、こういったようなことには引き続き三・四兆円ということでございます。そういったところ、ハードの部分はまだ足りませんので、道半ばでございますので多く使っておりますけれども、これからは、一つには生活、あるいは産業、なりわいの再生、そういったようなところにもちゃんと行き届くような形で予算を使っていくということだというふうに思います。

松田委員 しっかりお取り組みをいただくということですけれども、大臣、どんな事業があるんだろうとか省内で一遍議論していただいて、しっかりと地元の要望も聞いていただいて、やはりそういうのをリストアップしていただいて、文化財を私、一つ例を挙げましたけれども、一本の桜の木が残っただけで生きる望みができたとか、そんなちょっとしたところで人間は生きがいを見つけたり、そういうことになると思うんですね。ですから、ぜひともそれを一遍計画的にやっていただきたいなと思います。

 先ほど質問させていただきました例えば交通網や病院の関係も、国交省の部門ですよとか、厚労省ですよというような、先ほども御質問がありましたけれども、やはりトータルデザインを、グランドデザインをしっかりと持っていただいて、逆に言ったら、こうしろというような形でやっていただかな、なかなか僕は本当の意味での復興というのは進まないように思うんです。

 そういった面で、本当に人間が生きていく環境というのはどういうものか、しっかりとそういう形を考えていただいて、さらなるお取り組みをしていただきますことをお願い申し上げまして、時間が来ましたので質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

今村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

今村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭、一言。

 東日本大震災から五年が過ぎました。その五年を前に本委員会を開くべきだったと思いますが、結果として、今国会最初の質疑が、一週間過ぎた本日となってしまったことは非常に残念に思います。予算委員会でも発言させていただきましたが、被災地から見れば、国会をやっていても我々のことは忘れられている、そういう印象を持たれています。

 委員長にお願いしますが、今国会も残された時間は多くないとはいえ、できるだけ委員会の開催、また現地視察などに取り組んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。

今村委員長 はい。そのように努力いたします。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 それでは、議題に入ります。

 三月十一日、「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針が閣議決定されました。まず、報道で必ず取り上げられている部分ですが、例えば、十一日の福島民報では、原発対応、国が前面、継続と書いています。該当部分を読むと、原子力災害からの復興再生、「福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、「復興・創生期間」後も継続して、国が前面に立って取り組む。」とあります。

 大臣に伺いますが、ここで言う福島とは、福島県全部を言うのですか。

高木国務大臣 先般閣議決定されました「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針において、委員の御指摘のとおり、福島の復興再生は中長期的な対応が必要であって、復興・創生期間後も継続して、国が前面に立って取り組むこととしているところでございます。

 原子力災害により、福島第一原発の廃炉に三十年から四十年を要する、放射線量の低下に時間を要すること、避難指示区域において復興に時間がかかることなどから、福島の復興再生は中長期的対応が必要としたものであり、こうした災害の影響が残る福島の復興に向けて、国は前面に立って取り組んでいくという趣旨でございます。

 具体的な地域についての質問でございますけれども、これは、今後の復興の進捗を考慮しつつ、必要な施策に応じて判断すべきものと考えております。

 いずれにいたしましても、原子力災害からの復興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 そうすると、国が前面という見出しとやはりちょっとイメージが違うんですね。

 安倍総理は、帰還困難区域の見直しに向けた国の考え方をことしの夏までに明確に示すと記者会見でおっしゃっております。復興基本方針の中でも、避難指示の解除が実施されて、復興は着実に進展しつつある、こういう書き込みがあるんですね。要するに、来年の三月までに帰還困難区域以外は解除をする、そして、さらに総理は踏み込んで、帰還困難区域も見直しをすると。

 そうすると、避難区域がどんどん縮小されていく。それは、そのことのよしあしを言っているんじゃありませんよ。まさか、そこだけが国が前面に立つ地域という意味ではないですよね、確認です。

高木国務大臣 決してそういうものではないというふうに存じております。

 避難指示が出ているところ、出ていないところ、いずれにしても、原発事故による影響というものは少なからず、多少ともあるわけでございます。例えば、風評ということに関しましては、残念ながら福島全県に及んでいるかというふうに思いますので、そうした意味を持っているということでございます。

高橋(千)委員 最初からそうおっしゃってくださればよかったんですが、何かちょっともったいつけた言い方だったかな、ちょっと含みがあったのかなと思ったので、あえて確認をさせていただきました。

 二つの風とおっしゃっておりますから、風評と風化、これはもう限定された問題では決してない、全体の問題であるということで引き続き取り組んでいくということを確認させていただきたいと思います。

 そこで、復興庁設置法、これは二〇二一年三月末までの時限立法です。当初から、私たちは、十年で終わりにするのかということを聞いておりました。十四日付の福島民報には、四月から議論を始め、三年後をめどに方向性を打ち出す、また、福島復興庁に衣がえする案も浮上と書いてあります。

 私は今、福島全部ですよねと言ったけれども、だからといって、福島復興庁でいいということは思っておりません。率直に言って、その議論はまだ早いかなと思いますけれども、大臣の率直な思いを伺いたい。

高木国務大臣 復興庁の今後の組織のあり方につきましては、さまざまな報道、要望がなされているところではございますけれども、現時点では政府として具体的な検討はしておらず、また、現在はそのような議論を進める時期ではないと考えているところでございます。

 被災地の復興については、発災から五年を迎え、高台移転や災害公営住宅など住まいの復興や、産業、なりわいの再生など被災者の生活再建も着実に進んでいるところであります。

 他方で、復興・創生期間として次の五年間を展望すれば、長期避難者への心のケアやコミュニティー形成等への支援、東北の観光復興に向けた取り組みや、原子力災害被災地域を中心とした生活再建、産業、なりわいの再生等、全力で取り組むべき課題は山積しておりまして、現在はまず、これらの分野で一つ一つ実績を積み上げていくことが肝要だと考えております。

 もちろん、復興庁の設置期間、御指摘のとおり平成三十二年度末までとされておりますので、被災地の復興の進捗状況等を踏まえて、今後適切な時期に、それ以降のことをにらんだ議論はしなければいけないと考えております。

高橋(千)委員 まずは当面の課題に集中ということだと思います。

 正直、大臣は就任された直後に復興庁はあと五年ということをおっしゃっておりますので、やはりこれは、最初から、今始まっている、さらに五年どうやっていくかということを議論しているときにその議論は早かったなということを重ねて指摘させていただきたいと思います。

 もう一つ気になることがあるんですけれども、復興・創生期間における政府の基本姿勢のところで、このような記述がございます。「被災地は、震災以前から人口減少や産業空洞化といった、全国の地域にも共通する中長期的な課題を顕著に抱えており、いわば我が国の「課題先進地」である。」と。

 何となく言いたいことはわかるんですけれども、課題といういわゆるマイナスの面といいますか、そういう表現と先進地をあわせたセンスは正直驚いたんですね。なぜこういう使い方をするのかなというのが、まず一つ伺いたいんですけれども。

 それと、やはり、被災地はもともと人口減、高齢化あるいは医療資源不足などの矛盾が集中していた、そこに大震災が来て持ちこたえられなかった部分がある、こういう認識はございますでしょうか。

 また、国による構造改革が進んでいた中、例えば、岩手県の県の職員の数は最もへこんでいた、行革がずっと進んで最もへこんでいたところにこの災害が来たわけですね。もともとこういう課題があったところにこれだけの痛みが来た、そういう認識があるのかということと、資料の一枚目に総理の会見の記事がありますけれども、どうしてそれが一足飛びに、外国人宿泊数三倍とか、新しい東北とか、観光復興元年となってしまうんでしょうか。

高木国務大臣 被災地におきましては、委員御指摘のとおり、震災前から人口減少あるいは高齢化などの課題に直面をしておりまして、震災により、こうした課題が全国と比べても顕著になっている状況でございます。

 このため、復興に当たっては、原状復帰にとどまらず、これらの課題の解決を目指すさまざまな取り組みに対して、新しい東北の各種施策に支援しているところでございます。

 課題先進地という言葉に違和感という話でございますけれども、言いかえるならば、課題解決先進地というようにお考えいただくのも一つの考え方かなと思います。

 また、地方創生を今言っているわけでございますけれども、被災地東北を地方創生のモデルにしたいというような思いもございます。

 また、外国人宿泊数、この資料にございます、いわゆる東北観光復興元年でございますけれども、これは、私も、復興推進委員会におきまして、復興は道半ばでございますので、ややもすると観光はまだ少し早いのではないかというような話もしたんでありますけれども、その中で、こういった観光の振興を提案させていただきました。

 各県の知事からも、決して早くない、ぜひ今から観光のことをしっかりやって、ほかの地域に負けないように、いわゆる人口減少時代、交流人口をふやす、あるいはまたインバウンド二千万人、さらにその高みを目指している現状において、東北だけ置いていかれるのは、それは困る、ぜひ観光もしっかりとやってほしい、そういうお話もお聞かせいただきまして、今回、本年を東北観光復興元年として観光復興をやっていくということに至ったということでございます。

 ぜひとも御理解いただきたいと思います。

高橋(千)委員 東北だけ置いていかれるのは困る、そういう声が自治体からあった、それ自体は理解できるんですね。

 だけれども、基本方針には、人が戻るだけではなくというくだりがあるんですね。そして、創造、復興となっているわけですね。だけれども、やはり戻ること自体が大変なことじゃないですか。十七万人以上が避難生活をいまだに送っているわけです。その方たちが本当に戻ってきてこそ、復興の一歩が始まると思うんです。そもそも、外国人がどんなに来ようと、インバウンドを国全体として強調しているのはわかります、でも、過程が抜けているんですよ、記述の中には。それで、いきなり新しい東北になっちゃう。そのプロセスが見えないんです。だから、あえて指摘をさせていただきました。

 もう一言ありますか。

高木国務大臣 これまでの五年間、先ほど来申し上げているとおり、インフラの整備あるいはまたハード面の整備をやってきたというふうに思います。もちろん、まだ道半ばでございますので、これもしっかりやらなきゃなりませんし、いよいよこれからは生活の再建、あるいはまた産業、なりわいの再生、心の復興、そういったようなことをやらなければならないということは、それはもちろんそのとおりでございますけれども、あわせて、産業の復興というような意味において、観光というのも一つ大きな材料になるのではないかなと考えておりまして、先ほど来申し上げているとおり、ことしを東北観光復興元年と位置づけて観光にも力を入れていきたい、あるいはまた各自治体においても頑張っていただきたい、そういう思いでございます。

高橋(千)委員 人が戻ること自体が大変なことでありますので、ここは本当に据えて、一緒に。もちろん、観光を進めることで、それに関連する産業の皆さんが復興していくということは当然含んでおりますので、それは理解しておりますけれども、同時に、やはり人々の暮らし、なりわい、その本当に基本的なところを絶対忘れていただきたくないということを重ねて指摘させていただきたいと思います。

 次に、きょうは、環境副大臣に幾つか質問させていただきます。

 放射性物質汚染対処特措法、これによって、いわゆるキログラム当たり八千ベクレルを超えた放射性廃棄物は指定廃棄物とされているわけですけれども、福島県以外の指定廃棄物が現在どのくらいで、何都県にトータルであるのか、お答えください。また、そのうち、宮城県の指定廃棄物の放射能濃度の再測定を行っておりますが、その結果と、八千ベクレルを下回るものについては指定を解除するつもりなのか、伺います。

井上副大臣 福島県を除く指定廃棄物の量は、昨年末時点におきまして、一都十県で合計二万七千八百三十八トンが指定をされております。

 宮城県の指定廃棄物の放射能濃度の再測定につきましては、昨年八月下旬からことし一月下旬にかけて、県内の全ての一時保管場所三十九カ所を対象に行いました。全体的な傾向として、指定申請時の情報に基づく推計値よりも再測定値の方が低い場合が多く、宮城県内の指定廃棄物全体約三千四百トンの約三分の二に当たる約二千三百トン分について、既に八千ベクレルを下回っているとの結果が得られました。

 また、一昨日開催をしました第九回指定廃棄物処分等有識者会議において改めて御確認をいただきましたが、放射能濃度が八千ベクレル以下の廃棄物については、通常の廃棄物と同様に、安全に処理を行うことが可能です。

 環境省としましては、八千ベクレルを下回った廃棄物については、指定解除の仕組みも活用しつつ、自治体や一時保管者と協議しながら、処理ができるものは順次進めていきたいと考えております。

 なお、指定解除については、指定廃棄物の一時保管者や解除後の処理責任者と国との間で協議が調うことを前提としており、再測定の結果が八千ベクレルを下回っていたことをもって、一方的に国が指定解除することはございません。

高橋(千)委員 予算委員会でも何度も丸川環境大臣が、この問題で現地に行かないのかということを質問されて、大臣の答えはいつも、今実測しているからと答えているんですね。これは、事情がわからない人には何を言っているのかわからない答弁だったわけです。つまり、それが今の井上副大臣のお答えにあるんですけれども、結局、実測をして、つまり再測定をして、八千ベクレルを超えていないものが三分の二あった、これは解除の条件ができたということ、それを待っているという話だったと思うんですね。

 宮城県では、指定廃棄物の最終処分場一カ所を決めるという方針に対して、三つの候補地からそれぞれ調査を拒まれて全く進んでおりません。それどころか、今や加美町だけではなく、栗原市や大和町も候補地返上を申し出ているわけです。

 私は、この指定を解除するということは、今おっしゃったように、安全に普通のごみとして燃やせますよと言いたいんだろうなと思ったんです。国は苦しくなって責任逃れをするつもりか、こう思ったんですね。だけれども、全部が八千ベクレル未満ではなかった。いずれにしても、処分場は必要なわけですね。だけれども、ひょっとしたら、もうちょっと待って、もうちょっと下がるまでほっておくつもりなのかしら、それでこんなに時間がかかっちゃったのかしらと言えなくもないんです。

 資料の二枚目に、宮城県内の保管場所と保管量、それから空間線量率などの一覧をつけておきました。これは、バックグラウンド、敷地境界、そして一番近い囲い境界ということでそれぞれ分けているわけですが、多分、大臣が行かれたのはこの一番上の岩沼市の浄水場だと思うんです。結構高い場所ですよね。黒塗りのところは多分個人の一時保管者のことで、これはさすがに出さないでというのでこういうふうになっていると思うんです。

 しかし、解除の仕組みについて、三枚目の資料にこうしてあるわけですけれども、結局は、国が解除する旨の通知をするというふうに書いてあるわけなんですね。もちろん協議はするというわけだけれども、通知するだけだと。そうすると、三年だと思って引き受けてきた一時保管者の皆さんが、五年たってもう限界だと訴えているのに、解除したからもう燃やしていいですよと言われて喜ぶでしょうか。

 もともと指定廃棄物ではなかった除染ごみや稲わらなどの処理は進んでいるんでしょうか。今の状況で指定を解除しても進むとは思えません。どのように進めようとしているんですか。

井上副大臣 指定廃棄物でない農林業系廃棄物につきましては、実は、各地で通常の処理が進んでいるということで我々は理解をしております。例えば環境省の補助事業におきましても、宮城県において、今年度末までの累計で、六百トン程度の牧草やほだ木の処理実績もございます。

 このように、八千ベクレル以下の廃棄物については、自治体の御努力により適正な処理が進んでいる地域もあり、引き続き、科学的に安全であることなどを地元に丁寧に説明してまいりたいと思います。

 また、指定解除後の廃棄物の処理につきましても、処理の安全性に関する地元住民への説明などの技術的支援のほか、指定解除後の処理費用の財政的支援を行って、国として最大限の対応を図る方針でございます。

 いずれにせよ、この問題を進めていくには、地元の御理解と御協力が不可欠であります。明十九日には仙台で、宮城県主催の指定廃棄物処理に関する市町村長会議が開催をされますので、私自身も出席をして、国の考え方について御説明するとともに、地元の御意見も伺って、ともに協力をして進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 六百トンというのが、全体の中でどれだけの意味があるでしょうか。

 これは、前に担当に伺ったときには、例えば焼却場ができましたといった福島県の話ばかりされました。それから稲わらが、いわゆる八千ベクレル以下の廃棄物はどのくらいあるんですかと聞いたら、数えておりませんと言いました。そういう中で、六百トンはできていますと、五年目でですよ、どれだけの意味がありますか。

井上副大臣 ちょっと私の説明不足だったかもしれませんけれども、指定廃棄物でない農林業系廃棄物につきまして、各地で通常の処理をしていただいている自治体も多くあるということであります。ただ、そのことについて、国が統一的にデータを把握しているわけではないので、ちょっとその数字の方は持ち合わせておりません。

 他方で、環境省が補助事業としてそこに補助をしている事業もあって、まず、その対象が六百トンということでありますので、その六百トンが宮城県内の全ての量ではないということは御理解いただきたいと思います。

高橋(千)委員 全ての量じゃないことを理解しているから、全体の中でどういう意味がありますかと聞いているんじゃないですか。把握していないんでしょう、今そうおっしゃったじゃないですか。まずそこから始めてくださいよ。それを重ねて言います。

 それで、現実に、最終処分場は立入調査もできない状態で、宮城県内三候補地、この方針を見直さないんですか。みんな返上しましたよ。どうするんですか。

井上副大臣 済みません、たびたび私の説明不足だと思いますが、六百トンが全てではないという意味、私が申し上げた意味は、指定廃棄物でない八千ベクレル以下の廃棄物の中で既に処理済みのもの、それはもっとたくさんあるはずなんです。ただ、そこのデータを把握していない。その中で把握しているのは、環境省が補助している、その対象でありますから、それが六百トンだということで、全てではないというのは、そういう意味で申し上げたところであります。

 それと、御質問でありますけれども、放射能濃度が八千ベクレル以下となるのに長期間を要する指定廃棄物につきましては、災害などのリスクの観点から、県内一カ所に集約して、安全に管理することが望ましいと考えておりまして、この考えは宮城を含む五県に共通のものであります。

 また、候補地の選定手法は、国の有識者会議のほか、宮城県知事や県内の全市町村長が参加する市町村長会議において、数次にわたって議論を重ねた上で確定し、環境省として決定したものであり、尊重すべきと考えております。この選定手法に基づいて、環境省によって選定作業を行った結果、三カ所の詳細調査候補地を公表させていただきました。

 現地での調査が実施できていない状況につきましては大変遺憾でありますけれども、三つの市町に対しては、引き続き、調査についての御理解が得られるよう丁寧に説明する努力を行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 三つの自治体はそれぞれ、候補地になる時点で、データに問題があるとか候補地として適さないとか、さまざまなことを訴えていた。それは結局、平行線のままここまで来たんですよ。その間の努力が結局、調査させてください、できませんという、それだけだった。でも、全部の自治体に対しての、今例えば、では、汚染稲わらはどのくらいあるんですかという把握だとか、やはりそういう全体の努力が足りなくて、今になって線量が下がりました、解除します、これは余りにも無責任じゃないですか。

 二月十九日の予算委員会で、階猛議員がこの問題を質問しましたね。その際に、丸川大臣は、「指定廃棄物が八千ベクレルの基準を下回ったとしても、この廃棄物の処理が円滑に進むように国が責任を持って取り組んでいくということははっきり申し上げたいと存じます。決して処理責任を放棄するものではありません。」と答えている。この答弁は大丈夫ですか。

 放射性物質汚染対処特措法の仕組みでは、指定が解除されると、責任は、今言ったように、安全だから普通に燃やしてくださいと、市町村に移っちゃうんですよね。資料を見てもそうなんです。市町村がやるということになっています。これで本当に、今言ったように、国が責任を持ってということを担保できますか。本当にそのつもりであったら、特措法を見直して、国が責任を持つということ、要するに指定廃以外のものについても言うべきではないですか。

井上副大臣 指定解除後の指定廃棄物の処理につきまして、やはり科学的には安全だとしても、住民の皆様の御心配、これは私どもも理解できるところであります。

 ですから、解除後の指定廃棄物の処理について、国としても、処理の安全性に関する地元住民への説明などの技術的支援、また指定解除後の処理費用の財政的支援など、国として責任を持って対応を続けていきたいと考えております。

 指定解除は、一時保管者や解除後の処理責任者との協議が調うことを前提に行うとしているため、一方的に国が責任を放棄するものではないということ、これは御理解をいただきたいと思います。

 指定解除の要件や手続につきまして、今後、省令改正によって明確に規定をすることも予定しております。

高橋(千)委員 財政支援をすることと国が責任を持つということはイコールじゃないんですよ。それは幾ら何だって、財政支援はするでしょう、どんな場合だって。だけれども、それで責任を果たしたということにはなりません。

 これは、三年後の見直し、作業していて、結局今のスキームでいくという方向になったようでありますけれども、やはりこれを本当に進めるためには、あるいは自治体との信頼を取り戻すためには、見直す以外にないです。いかがですか。

井上副大臣 先ほど来申し上げているのが国の方針ではありますけれども、やはりこの問題に対応するには地元の理解と協力が不可欠だということは私どもも間違いないと思っておりますので、そういう意味では、地元の御意見も丁寧に聞きながら、しっかりこの問題が前に進むように努めてまいりたいと思っています。

高橋(千)委員 全く納得いきませんが、これは議員立法でもありますので、ぜひ皆さんにも呼びかけて検討したい、国にも責任を果たしてもらいたいということを重ねて指摘したいと思います。

 もう一つ。資料の四枚目を見ていただきたいと思うんです。

 二月十一日付福島民報、「県内線量測定 縮小へ」「避難区域外 装置撤去や再配置」と書いてあります。モニタリングポストを二千四百台ですか、避難区域以外のところは撤去するということなんだそうです。

 そして、これは同じことなんですが、資料につけておりませんが、河北新報の見出しは、帰還困難区域、放射線量を詳細測定へと書いてある。全く違うんですね。縮小というところを強調している記事と、詳細測定を強調している記事と、全然受けとめが違うんですね。

 これは、二月十日の原子力規制委員会において田中委員長が、昨年十一月及び本年最初の原子力規制委員会において、私から、事故から五年が経過しようとする中で、これまでの取り組みを整理した上でモニタリングについて見直すよう求めましたと言って、今の答えを引き出しているんです。こういうところにも五年というのがあるのかなと思うんですね。

 規制委員会に伺います。これが事実なら、なぜでしょうか。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原発事故に伴う放射線モニタリングにつきましては、モニタリング調整会議で定めました総合モニタリング計画に基づいて、関係省庁、地方公共団体、事業者等の関係機関が連携して実施しておりますが、その際、モニタリングの方法につきましては、測定の結果等を踏まえて随時見直しを行っているところでございます。

 今回の見直しでございますが、東電の福島第一原発事故から五年が経過する中で、原子力規制委員会が実施するモニタリングについて、これまでの取り組みを整理し、必要な見直しを行うというものでございます。

 具体的に申しますと、今後の避難指示区域等の住民帰還に資するモニタリングの充実強化を図るため、新たに帰還困難区域等を対象とした詳細なモニタリングを実施すること、それから、これまで約五年間実施してきたモニタリングについて、空間線量率の時間的な変動が小さく安定してきている状況を踏まえ、リアルタイム線量測定システムによる測定については、今後は避難指示区域等を中心に継続することなどを内容とするものでございます。

高橋(千)委員 リアルタイム測定というのは、ホームページでお母さんたちがいつでも見られるようになっているし、また、その線量計が学校とか公民館にあるので、いつでも見られるわけですよね。

 五年前、事故の前と、ほとんど線量が戻った、だからもういいんじゃないかということを田中委員長はおっしゃったわけですよね。だけれども、今現在も原発サイトでは汚染水が毎日四百九十トン流れております。本当に深刻な処理作業をまだしているわけですよね。

 そういうときに、もしも今、事故前と変わらない水準だというのであれば、そのことを今も確かめたい、それが県民の気持ちじゃないでしょうか。汚染水が漏れても、ちゃんと対策がとれているよ、変わっていないよということを確かめたいからモニタリングポストが大事なんじゃないでしょうか。その気持ちをちゃんと受けとめていただきたい。

 残念ながら時間が来ましたので、ここは見直しはやめるべきだと指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 質問に入る前に、冒頭、民主党の階委員からも岡本次官の発言に対して厳しい苦言が呈されましたけれども、私もこれに関連して一言申し上げたいと思います。

 まず、三月十一日の追悼式で、天皇陛下のお言葉をおかりすれば、国民の心を一つにして寄り添っていくことが大切だ、こういう非常に身の引き締まるといいますか、少し中だるみしそうな自分自身に対してもこういうお言葉をいただきながら、事務方のトップである事務次官が発言したあの内容は到底私も看過できません。やはり一言で申し上げると、復興に取り組む姿勢が全く欠落していると思います。

 階委員もみずからの野球経験の話をしましたけれども、私も国会議員になる前に教員をやっていまして、高校野球の監督も経験しております。そのときにやはり一番大事なのは、技術的なものとか甲子園に行くことよりも、野球に取り組む姿勢なんです。そういうことを私はずっと指導してきた。

 その結果、成果といいますか、ああいう震災があったときに、私の教え子の子供たちが、現地に行った人もいます、現地には行けないけれども、できるだけの支援をした子たちもいます。数は少ないかもしれないけれども、事務次官とは全く認識そして人としての資質が違う、これだけはしっかり申し上げておきたい。今後は謙虚に、低頭に、発言には十分慎重にしていただくことを、改めてここで申し上げたいと思います。

 大臣にこれについての答弁をいただくつもりはございませんので、今後しっかりこれは引き締めていただきたいと思います。

 私も根本大臣のときからこの復興の委員でいますけれども、与党の先生も野党の先生も大体顔ぶれは皆さん御一緒で、やはり当時から言っているのは、この委員会に与野党の垣根はない。チームワークを持って心を一つにしてかかっているわけですから、事務方の次官がああいうていたらくでは本当にこれからの復興は心配されますので、しっかりとここは厳しく問いただしていただきたいと思います。そのことを本当に重ねて申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 東日本大震災の発災から丸五年が経過しました。発災直後の平成二十三年七月に東日本大震災からの復興の基本方針を策定し、平成三十二年度までの十年間を復興期間と定め、被災地の復旧復興に向けて総力を挙げて取り組んでいくことを確認しました。

 ことしは十年間の復興期間の折り返しの年に当たり、本年三月十一日には「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針が閣議決定され、これからの五年間を復興・創生期間と位置づけ、復興の総仕上げに向けて、多様化したニーズに対するきめ細かい支援が求められると思います。

 そこで、被災者支援についてお尋ねいたします。

 発災後五年を迎え、完成した災害公営住宅は平成二十七年度末の見込みで五九%となっています。今後、工事が進むことによって、平成三十年度末には住まいの確保に関する事業はおおむね完了する見込みであるとも聞いております。

 発災後六年目以降も仮設住宅で生活する人は多数に上ると予想され、その一方で、災害公営住宅への転居等により、仮設住宅の空き室の増加も見込まれます。空き室がふえれば、防犯上の対策が必要となるとともに、地域コミュニティーの維持が困難となり、孤独死の増加が懸念されます。仮設住宅で、誰にもみとられずに二百二人ものとうとい命が失われてきました。

 仮設住宅での孤独死を防止するために今後どのような施策を講じていくのか、お尋ねいたします。

長島副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 御指摘のとおり、被災から五年が経過した今もなお仮設住宅での避難生活を続けておられる方がおり、孤独に亡くなられる方がいらっしゃることはまことに心が痛むところでございます。

 仮設住宅での避難生活の長期化に伴い、被災者の方々への心身のケアやコミュニティー形成が重要であり、孤立防止の観点から支援を強化しているところでございます。具体的には、被災者支援総合交付金により、見守り、相談支援、移転に伴うコミュニティー形成への支援、人と人とのつながりをつくり生きがいを持って暮らしていただくための心の復興などを進めていくつもりでございます。

 被災から五年を経ることとなる中で、孤立防止を含めて、被災者の方々が置かれているステージに応じた切れ目のない支援に万全を期していく時期だと思っております。

椎木委員 今後は、点在する仮設住宅の集約化が必要であると思います。集約化されれば、見守りや支援活動も効率的に行うこととなります。その一方で、被災者にとっては、仮設から仮設への繰り返される転居は心身ともに大きな負担となります。

 仮設住宅の集約化に向けて、被災者に対しどのような支援を講じていくのか、お考えをお尋ねいたします。

長島副大臣 災害公営住宅などへの移転が進み、仮設住宅の空き室がふえていく中、避難者の孤立防止や防犯の対応が必要となってくることもあり、自治体が判断するものではありますけれども、仮設住宅が集約されていくことも想定をされます。御指摘のとおり、コミュニティーを移動することによるストレスがたまっていくことも想定されるところでございます。

 自治体が集約を検討、判断する場合には、国としても、被災者支援総合交付金を活用して、移転者のコンセンサスを形成するため、相談員の配置や見守り等と一体となった意向確認等を強化していきたいと思っておりますし、社会福祉士やファイナンシャルプランナーなどのサポートを得つつ、住宅再建に向けた方針策定の相談などの支援を検討していくというふうに考えております。

 いずれにせよ、仮設住宅での孤立防止に関しては、見守り、相談支援の実施、移転に伴うコミュニティー形成の支援、心の復興事業などの取り組みを進めてまいり、最後の一人として孤立しないように見守ってまいりたいと思います。

椎木委員 今の副大臣の答弁のとおり、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 副大臣は被災地の国会議員でありますし、本当にその辺は十分被災地の皆さんの真意を酌んで取り組んでいただければと思います。

 次に移ります。

 仮設住宅から災害公営住宅への転居が進む中で、阪神・淡路大震災では災害公営住宅での孤独死が社会問題になりました。平成二十八年三月四日付の毎日新聞の記事によりますと、東日本大震災では災害公営住宅での孤独死が十六人に上ったと書かれています。

 災害公営住宅での孤独死を防ぐために今後どのような対策を講じていくのか、お伺いいたします。

長島副大臣 御指摘のように、仮設から災害公営住宅へと移転をせっかくなされた中で、移転後における孤立、孤独死をされる方がいるということはまことに残念であります。孤立防止や心身のケアは重要な課題となってきているというふうに認識をしております。

 繰り返すようでありますけれども、公営住宅においても見守りをきちんと行ってまいりたいと思いますし、つながりがつくれるコミュニティーを形成できるように、心の復興事業を今年度から充実、実施してまいりたいと思います。

 特にまた、集会所の整備やコミュニティーのグループ募集等の事業を通じながら、できるだけ公営住宅に移られた皆さんに寄り添う政策を実施してまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。

椎木委員 いずれにしても、阪神・淡路大震災での教訓、孤独死が十六人にも上ったというこの教訓を決して忘れずに、しっかり対策に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、復興関連事業についてお聞きいたします。

 住まいに関する公共インフラの進捗状況は、平成二十八年一月末時点で、災害公営住宅が四九%完了、防災集団移転促進事業が七〇%完了、土地区画整理事業が四%の完了となっております。

 平成二十八年一月時点における仮設住宅の入居者数は十六万九千五百五十四人となっており、早急な公営住宅の完成が望まれています。住まいに関する公共インフラの整備のおくれを理由に、帰還を断念するケースもあると聞いております。

 住まいに関する公共インフラ整備の加速化に向けた政府の取り組みについてお伺いいたします。

内海政府参考人 お答えいたします。

 被災三県の恒久住宅の整備のまず足元の進捗状況でございますけれども、平成二十八年一月末の段階で、災害公営住宅は、計画戸数二万九千五百七十三戸の四八%に当たる一万四千四十二戸が完成しております。また、高台移転でありますけれども、計画戸数二万三百三十八戸の三二%に当たる六千五百三十四戸が完成しております。

 それで、これからの見通しでございますけれども、平成二十八年度末までに、災害公営住宅は八五%、高台移転は七割で工事が完了する見込みです。またさらに、平成二十九年度末では、災害公営は九六%、高台移転は九割が完成する予定であります。平成三十年度にはそれぞれおおむね完成予定というふうになっておりまして、住まいの復興は着実に進捗するというふうに見込んでおります。

 復興庁といたしましては、引き続き、工事加速化支援隊というふうに呼んでおりますけれども、復興庁の職員が直接市町村を訪れまして、課題の把握とか相談、助言等、きめ細かな対応をやっています。引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

椎木委員 しっかり取り組んでいただくのは当然、当たり前のことで、計画どおり云々という答弁がありましたけれども、私が申し上げているのは、公共インフラの整備のおくれを理由に帰還を断念するケースがないようにということですから、これはしっかり本当に待ったなしに、前倒ししてでもやってください。そのことを重ねてお願いします。

 次の質問に入ります。

 公共インフラの復旧では海岸対策事業が特におくれており、平成二十八年一月末時点で工事が完了したのは一九%でとまっています。海岸対策事業は、地元住民の合意や用地取得のおくれ、人手不足等、さまざまな原因があると思います。

 用地取得や地元住民の合意等、海岸対策事業特有の問題に対しどのような支援を行っているのかお聞きします。あわせて、今後さらなる海岸対策事業の加速化に向けた取り組みについてもお伺いいたします。

内海政府参考人 お答えいたします。

 海岸対策につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十八年一月末現在で完了は約二割でありますが、平成三十二年度までには全体が完了する予定というふうに聞いております。

 防潮堤の整備に時間を要しておりますのは、海岸管理者において、背後のまちづくり計画などとの調整や地元の合意形成を進めるために丁寧な説明を実施しているためというふうに承知しております。これまで、九七%で地元調整済みというふうになっております。

 地元調整が終わっても、今度はまた用地取得に時間を要しておるような箇所もございます。こうしたものについて、復興庁としましては、海岸を所管しております関係省庁と連携して、工事や用地に精通した職員によるアドバイス等のきめ細かな支援を行っております。

 引き続き、合意が得られた地区について速やかに工事が進むように支援してまいります。

椎木委員 政府参考人の答弁は非常に丁寧で私もわかりやすいんですけれども、一点だけちょっと注文をつけさせていただきますと、海岸対策事業がおくれているのは委員御指摘のとおりだ、一九%でとまっている、三十二年度までには一〇〇%になると聞いておりますというのは、それはちょっと勘弁してください。

 一〇〇%実施いたしますと答弁し直してください。

内海政府参考人 お答え申します。

 海岸事業については、それぞれ県なり市町村が事業主体でありまして、先ほど申し上げました数字は、それぞれの見通しを積み上げた数字でございます。

 しかしながら、復興庁としても、完了するというふうに見通しております。しっかり頑張ってまいります。

椎木委員 そんなのはわかって聞いているんですよ、こっちも。私だって地方行政、この震災のときには私も地方の役所の職員で、当時、復旧復興に当たっていたんです。ただ、各都道府県だ、市町村だといっても、結局、では何のための復興庁だという話になる。あなたたちがきちっと指導助言をして束ねていかなければ、加速化というのはしないんです。そのことはきちっと肝に銘じてやってください。

 それでは、最後の質問に入ります。

 被災地の観光産業の回復についてお聞きいたします。

 岩手、宮城、福島の被災三県の観光回復について、震災前の水準までは回復しているものの、昨今急増している海外からの観光客の集客にはつながっておりません。被災地域は、震災前は観光業が盛んな地域でした。地域復興に観光業の復興は極めて重要であると思います。

 「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針でも提起されておりますが、どのような取り組みを考えているのか、お聞きいたします。

高木国務大臣 今御指摘をいただきましたが、東北のインバウンドの状況でございます。

 平成二十七年の東北六県の外国人延べ宿泊者数は震災前とほぼ同水準に回復したところでございますけれども、風評被害の影響等によりまして、全国的なインバウンド急増の流れから大きくおくれていると考えております。

 今後の我が国の人口減少傾向や復興需要の減少も見込まれるところであって、持続的な観光産業の発展に向けては、被災地においても今後新たな市場の開拓が必要になってくると考えております。

 そこで、ことしを東北観光復興元年として力強く取り組みを進めるため、来年度予算では東北の観光復興のための新たな交付金や東北観光復興プロモーションを計上するなど、大幅な増額をしているところでございます。

 これらの予算を効果的に活用するためにも、東北観光アドバイザー会議を立ち上げて、東北の観光復興の課題と対応策を御議論いただき、この春をめどにして提言を取りまとめていただくことになっております。

 復興庁としても、こうしたアドバイザー会議での御議論等を踏まえながら、国土交通省などの関係省庁と連携してしっかりと東北の観光復興を力強く進めてまいりたい、このように考えております。

椎木委員 今の答弁を踏まえて重ねて質問させてもらいますけれども、三県の回復率を見ますと、岩手県が一一九・九%、宮城県が九七・五%であるのに対して、福島県は四九・四%と著しく低い回復率にとまっている。

 福島県の回復のおくれは、原発不安に起因するものと当然予想されます。ただ、海外への情報発信、福島の観光産業回復に向けた個別の取り組みが絶対必要不可欠だと思うんですけれども、これについての見解をお聞きします。

高木国務大臣 よく二つの風というふうに言っておりますけれども、風化と風評、まさに福島は風評被害に遭って、食品等もそうでありますけれども、観光がなかなか進まない、特に海外からのインバウンドというものが戻ってこないというような状況でございます。

 大事なことは、しっかりとした正しい情報を発信することだというふうに思います。先般も、フォーリンプレスセンターでの記者会見等もございまして、そうしたところで福島は安全なんだというようなこともはっきりと明言させていただきましたし、ありとあらゆる方法を講じて福島に対する正しい知識を持ってもらい、外国人観光客にも福島を訪れていただけるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

椎木委員 しっかり取り組むとか、その考え方と姿勢はよくわかりました。

 ありとあらゆるという答弁だったと思うんですけれども、ありとあらゆるの中の一、二例を挙げてください。

高木国務大臣 国内旅行についてもそうでありますけれども、特に教育旅行が大事だと思っておりまして、例えば、文科省あるいは観光庁と連携して教育旅行誘致の働きかけをやっておりますし、また、復興庁の交付金で造成した基金を修学旅行のバス代補助などで活用いただいているところでございます。

 また、インバウンドに関しましては、先ほど申し上げたとおり、国内もそうでありますけれども、海外に対してしっかりと福島の状況、安全であるということを広く告知する、正しい情報を発信していく、これはやはり粘り強くやっていく必要があるんだろうというふうに思っております。

椎木委員 時間が参りましたので、最後に、この特別委員会、私も本当に心してしっかりと、ある意味大臣をお支えしながら取り組んでいきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 改革結集の会の小熊慎司です。

 今ほど、椎木委員の質問、大臣もまあまあの答弁でしたけれども、今までずっと努力してきていて、結果が出ていないんですね、最後の理解を得られないところは。

 何かのシンポジウムで、あのときは小泉さんもいらっしゃいましたけれども、現地に思いをはせるのは大事だけれども、皆さんの住んでいるところも現地だという話をさせてもらいました。

 政府の取り組みもありながら、それぞれ政治家が自分の地元のPTAの人としゃべって、もう一回福島に修学旅行に行ってよと言ったって、なかなかしんどいんです、本当は。これまでの民主党政権のときも自民党政権になってからも努力はしているんですけれども、それ以上の結果がもう出てこない。新たなアプローチが必要なわけですよ。努力していないとは言っていません。新たなアプローチが必要です。

 正しい知識、正しい情報発信はしていますよ。それでもやはり、安全と安心というのは分離してしまっています。これはまさに精神的な、心理的なものですから、そのアプローチがまだ足りていない。

 政府とか与党とか野党ではなくて、個々の政治家が自分の地元の人たち、福島のものは食わないと言っている人と真剣に議論したことがあるのか。PTAの中にもいろいろな意見がある。その人たちとやったことがあるのか。もとの環境大臣の細野さんは、バスを何台も福島に後援会旅行でよこしていただきました。そういうことをやっている人たちがいるのか。それも含めて、そうしたイメージとかそういうものが今非常に欠けているアプローチなんです。

 その際に、質問に移りますけれども、午前中の質疑で尊敬する先輩の亀岡委員が、福島は新エネルギー、再生可能エネルギーでやっていくんだと、高らかに旗を上げて、そして取り組んでいるわけです。そのときに、東京電力の第二原発の廃炉が決まっていません。

 この質問は再三再四、私もやってきましたし、同僚議員もやってきました。政府の答弁は、総理を初め、大臣も、就任の会見のときにちょっと間違ったことを言って訂正したからそれをとやかくは言いませんけれども、原子炉等規制の法律の範囲内なんですけれども、ほかの原発と同列に扱えないというのが大体の答弁です。それからもう一つは、事業者の判断だというのがある。宮沢経産大臣のときには、株主もいますからと。株主と福島県とを同列に扱ってほしくはないんです、県民は。事業者の判断ですというのが大体の関係大臣の答弁です。

 これは国が前面に立つと言っているんです、この原子力災害に関して。であるならば、国として事業者判断と言っているのであれば、事業者と廃炉について協議したことはありますか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 事業者、東京電力との間では、常日ごろからさまざまなレベルで幅広い意見交換を行っているところでありまして、その中で、福島第二原発について話題になることもあり得るとは思いますが、個別の、一つ一つの話し合いややりとりについて把握しているわけではありません。

 いずれにせよ、福島第二原発について、福島県の皆様の御心情を察すると、現時点において他の原発と同列に取り扱うことは難しいと認識をしております。ただし、同原発の扱いについては、まずは東京電力が地元の皆様の声に真摯に向き合った上で判断を行うべきものと考えております。

小熊委員 それは建前なんですね。それはわかった上で、福島県知事も県議会も県内の市町村も、廃炉にしてくれと。あと、午前中の質疑で亀岡委員が言ったとおり、新エネルギーでやっていくんだ、そういう看板を掲げているわけですよ、福島県、我々は。そこで、第二がある。

 まして、二〇二〇年の東京パラリンピック・オリンピックのときには復興の姿を見せると言っているんです。福島県でも関連事業が行われるはずです。そのときに、福島県は新しいエネルギーでやっているんです、県民を挙げてこうやって復興に取り組んでいるんですというときに、ところでこの原発はどうなっているんですかと。廃炉は決まっていますと言うのと、いや、まだわからないんですと言うのでは全然、それは世界への発信もできないわけですよ。

 国が前面に立つと言っているんですから、だったら、廃炉の話し合いもあり得ると思いますので、していますとか、促していますとか、やらなきゃいけないんじゃないんですか。

 復興大臣、どうですか。所管は経産ですけれども、これは復興にかかわることです。

高木国務大臣 常に申し上げていることで恐縮でございますけれども、まずは、原子力発電につきましては、いかなる事情よりも安全性が最優先されるべきものと考えております。

 福島第二原発につきましては、地元のさまざまな御意見なども総合的に勘案しながら、事業者が判断を行うものと承知をしております。福島県民の心情を考えると、他の原発と同列に扱うのは困難と認識をしておりまして、いずれにしても、事業者や地元の方々の声を尊重していくことが重要だと考えております。

小熊委員 その答弁であれば、政治主導じゃないということですね。ここは国が前面に立たずに、あくまでも一義的には事業者の判断でしかない、それを促すことも、復興を全面に背負っている大臣としてはそこは慎重だということでいいんですか、確認させてください。

高木国務大臣 地元の方々の声を尊重していくことが重要だと考えております。

小熊委員 であるならば、廃炉なんですよ。当時政務官だった小泉さんにも聞きましたけれども、当時、小泉さんは言い切りましたよ。私は廃炉にすべきだと言ったんです。さすが未来の総理だなと思いましたけれども。

 大臣は本気で復興をやるんでしょう。踏み込めませんか。事業者任せなんですか、これは。国としては、あくまでもこれは事業者任せなんですか。どうですか。

高木国務大臣 たびたび答弁させていただいておりますが、事業者や地元の方々の声を尊重していくことが重要だと考えております。

小熊委員 地元の声はもう決まっているんです。県民総意です。地元の声は、廃炉です。それを踏まえても事業者の判断ですね。

 ただ、我々も、これは今の原子炉等規制法の範囲内ですから、確かに事業者判断というのは法のたてつけです。であるならば、いろいろなことを考えてきました、取り組んできましたけれども、本来であれば、政府が、国が促して、東電やれよとやってくれればよかったんです。それで、廃炉にもお金がかかりますけれども、お金の問題は結局、税金を投入するか、消費者にそれを負担していただくか、どっちかですから。政治がどう取り組むかというのはもう法律をつくるしかないなと思いまして、いろいろ一カ月ぐらいかかって、これが全てだと思いませんけれども、実は法律をつくりました。

 党と党というよりは、私は、先日、福島県内の国会議員の皆さん、与野党を超えて御説明に上がりました。いろいろな御指導をいただきました。この法律でも私も完璧ではないと思いますし、いろいろな問題点を含むと思いますけれども、ちょっと大臣に後でお渡ししますから、こうしたことも含めて、これは、オリンピック前までに申請がなければもう自動的に第二は廃炉だという法律案です。こういうことも含めて、ぜひ検討してください。

 事業者任せでなくて、国が何ができるか、何をすべきか。福島県の心、被災者の心に寄り添うと言っているのであれば、きちっと行動しなければ、国が前面に立つなんという言葉は浸透しませんよ、これは。ぜひ、これをお渡ししますから、いろいろな角度で廃炉に向けた県民の総意を実現していくための取り組みをしてください。

 大臣、最後にお伺いいたします。

高木国務大臣 法律の扱いにつきましては国会でお決めいただくかと思いますが、後ほど頂戴するということでございますので、読ませていただきたいというふうに思います。

小熊委員 ぜひ、大臣、これは重要なことですから、風評被害とかそういうことにもかかわってくる重要なことですから、前向きに取り組んでいただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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