衆議院

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第1号 平成23年5月20日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十三年五月二十日(金曜日)

    午前十一時二十三分開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      網屋 信介君    磯谷香代子君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斎藤やすのり君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      田嶋  要君    平  智之君

      高松 和夫君    橋本  勉君

      花咲 宏基君    柳田 和己君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    北村 誠吾君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    額賀福志郎君

      望月 義夫君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

  外務委員会

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 首藤 信彦君

   理事 長島 昭久君 理事 西村智奈美君

   理事 山口  壯君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君    菊田真紀子君

      阪口 直人君    道休誠一郎君

      中津川博郷君    中野  譲君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    伴野  豊君

      山尾志桜里君    山花 郁夫君

      河井 克行君    松野 博一君

      赤嶺 政賢君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         松本 剛明君

   経済産業大臣       海江田万里君

   内閣官房副長官      仙谷 由人君

   外務副大臣        伴野  豊君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       小野 芳清君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           瀧口 敬二君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 鉱業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより経済産業委員会外務委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、鉱業法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。きょうは、我が経済産業委員会が担当しております鉱業法の改正につきまして、外務委員会との合同審査ということで開いていただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 この法律改正、実は、十九年に海洋基本法を超党派で、私は超党派の事務局長をしておりまして、そのとき提案者の一人として議員立法をし、成立をした。この海洋基本法をつくったときに残された幾つかの課題の一つとして、日本の排他的経済水域を初めとする資源開発を進めていく上の大事な法律改正でありまして、そういう意味で、外交とも深くかかわるということで、きょうこのような運びになったわけです。

 私自身にとりましても、自民党政権が続いておれば自分たちの手でやりたかったなという思いのある法律改正でありますので、非常に思い入れがあります。ぜひ、きょうは両大臣を中心に何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、外務大臣にお伺いをしたいと思います。

 今回、実は探査についていろいろ規制を入れるんですが、探査と科学的調査というのは違っておりまして、科学的調査について、国際法の規定はどうなっていて、これについて日本はどういうふうに運用しているのか、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 国連海洋法条約上、排他的経済水域における海洋の科学的調査の実施には沿岸国の同意が必要とされております。同時に、沿岸国は通常の状況においては同意を与えることとされており、また、この同意が不当に遅滞しまたは拒否されないことを確保するための規則及び手続を定めることとされております。

 このような国連海洋法条約の規定に従い国連が作成したガイドラインの内容にのっとって、我が国は平成八年、一九九六年、国連海洋法条約の批准に合わせ、「我が国の領海、排他的経済水域又は大陸棚における外国による科学的調査の取扱いについて」というガイドラインを策定いたしました。

 当該ガイドラインのもとでは、調査実施希望国は、当該調査の実施の六カ月前までに外交ルートで調査企画書を提出し我が国の同意を求めることとしておりまして、かかる同意申請に当たりましては、関係省庁間での協議により同意付与の可否について審査をいたしまして、結果を外交ルートで調査実施希望国に通報する、このようにいたしているところであります。

西村(康)委員 これは自民党政権時代から同じような運用をしてきたわけでありますけれども、中国との関係は、どういうふうなやり方、運用をしているのか、これについてお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 東シナ海における我が国排他的経済水域、EEZ、ここにおける中国による海洋調査に関しては、事前通報制度という形で行われているというふうに理解をいたしております。

西村(康)委員 中国との関係では、二カ月前にお互いに通報し合うという相互事前通報制度で運用しているということですけれども、過去五年間に通報件数は何件あったのか、お伺いしたいと思います。

伴野副大臣 西村委員にお答えさせていただきます。

 過去五年におきましては、東シナ海での日中間の相互事前通報の枠組みに基づきまして、中国からの通報実績は十件でございます。

 また、同期間中、中国側により行われた事前通報のない調査あるいは事前通報の内容と異なる海域での調査が実施されたのを確認したのは、十一件でございます。

西村(康)委員 通報せずに調査が行われたということの件数もお答えをいただきました。十一件ということですかね、今のは。

 二国間のルールに従わずに、中国は事前通報せずに調査を行っている、そうした事例について、政府としてはどう対応してきているんですか。

松本(剛)国務大臣 御案内のとおり、事前通報制度は両国の間でいわば合意をしている内容でありますので、事前通報のない調査であったり事前通報の内容と異なる調査を確認した場合には、外交ルートを通じて中国側に、我が国の同意のない調査は認められないということの申し入れを行っております。

西村(康)委員 申し入れというか、これは強く抗議をしていただいて、お互いでつくった、二国間でつくったルールなわけですから、それを破ることについては本当に強く抗議をしていただきたいと思います。

 今回の鉱業法の改正が成立すれば、この点について何か変わるのかどうか、これは経産大臣にお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 委員御指摘のとおり、法案が成立をいたしまして、そして改正法案の施行後は、これまでのようにガイドラインに頼るのではなく、法律に基づいて許可が必要になります。

西村(康)委員 ちょっと誤解をしておられると思うんですけれども、科学的調査についてはこのような形で、相互通報制度で。この法律では科学的調査は規制の範囲外だと思いますが、大臣、もう一回答弁していただければ。

海江田国務大臣 ちょっとはしょりまして、前段で当然述べなきゃいけないことでありましたけれども、科学的調査につきましては、国連海洋法条約によるガイドラインや日中間の相互事前通報制度に基づき、外交ルートで内容の確認を行うこととされております。

西村(康)委員 しかしながら、大臣先におっしゃいましたけれども、科学的調査と言いながら、実は資源探査をやっているような場合、この場合には今回の法改正で規制ができるということなんですが、この点について、もう一回大臣に確認したいと思います。

海江田国務大臣 そのとおりでございます。改正後はしっかりと本法に基づく許可が必要になります。

西村(康)委員 そうすると、調査をする、調査船を出すと言いながら、通報があるなしにかかわらず、ない場合は、先ほど申し上げたとおりルール違反でありますから、抗議を申し入れて守るように言わなきゃいけないんですが、調査をすると言いながら実際は探査活動を行っていることがわかった場合、この場合はどう対応するんですか。

海江田国務大臣 まず、これは調査と、探査なのかということを分けるわけでございますけれども、例えば、新しい法律で規制対象となる資源探査につきましては、例えば人工的に発生させる地震波を利用する地震探鉱法など、これがあれば、これは明らかに探査でございます。それから、外形上、ケーブルの長さでありますとか、あるいはそのケーブルの本数でありますとか、こういう外形によって判断することも可能だと思っております。

西村(康)委員 それがわかった場合に、どういう対応をとるんですか。

海江田国務大臣 今般の探査の規制では、探査の違反行為を発見した場合は、必要に応じて立入検査により探査の実施状況の確認を行った上で、必要とあれば作業中止の命令を実施し、あわせて刑事手続に移るということになります。

西村(康)委員 立入検査はだれが行うんですか。

海江田国務大臣 具体的には海上保安庁などになろうかと思いますが、まず事前にも、これから法案が通りましたところで、そういう実施体制というものを各省庁間で十分に協議するということはもちろんでございます。そして、その上で、実際にそういう立入検査の必要があれば、関係省庁が粛々と行うということでございます。

西村(康)委員 この法律は我々もやりたかった法律でありますので、余り言葉じりをとらえることはしたくはないんですが、海上保安庁などと答弁されました。これは議事録に残りますので、正確に、どういう手続でどういうふうに立入検査をするのか、これは場合によっては事務方でも結構ですので、お答えをいただきたいと思います。大臣、されますか。

海江田国務大臣 まず、規制対象となる探査行為であるか否かを客観的に把握することが大事でございまして、そして、どのような設備、方法を用いた行為が規制対象になるかについて、あらかじめ関係省庁で認識をすり合わせておくことが不可欠になろうかと思います。

 そして、加えて、立入検査等を行おうとする場合には、当該行為が規制対象となるかを十分に確認した上で、政府全体としての意思決定も必要となる場合も想定されることから、立入検査等を行う際の意思決定方法についてあらかじめ認識共有を図った上で、その実施に際しては、必要であれば官邸を含め、関係省庁間で十分に連携を図る所存でございます。

西村(康)委員 海保の長官に来ていただいていますので、海上保安庁長官、どういうふうに海保として対応をとるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

 それから、あわせて、外見でどの程度わかるのか、海保としてどういうことが必要なのか、ぜひお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 海上において違法な探査行為を行っておると思われるような船舶を発見した場合は、まず私どもが、巡視船艇、航空機で外観調査等を実施、あるいは無線による質問等を実施して、その結果を経済産業省、資源エネルギー庁に通報するということになると思います。そこで専門的な判断に基づきまして違法な探査行為であるかどうかという判断をしていただきまして、その後で、関係省庁は連携してどういう対応をするかということで臨んでいくということになろうと思っております。

西村(康)委員 関係省庁で協議して。前回、昨年の尖閣の事件では、法にのっとって粛々とやると言っておきながら最後はああいう結論になったわけでありますので、海江田大臣、外務大臣にそれぞれ確認をしたいと思いますが、違法な探査活動があった場合には、この法律にのっとって立入検査を行い、そして、探査の中止命令あるいは処罰を含めて、しっかりとこの法律にのっとって執行するということを明言いただきたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、関係省庁と連携をとりながらこの法にのっとってしっかりと執行してまいります。

松本(剛)国務大臣 法治国家でありますから、しっかりと法に従って、また法が執行されるということが政府としての責務である、このように考えております。

西村(康)委員 外務大臣には後で東シナ海の開発、中国との交渉の状況もお伺いしたいと思いますが、今週末、中国の外務大臣ともお会いになると思います。中国の東シナ海での開発の状況、後でまた触れますが、確認をしていただく、情報提供を求めるということとあわせて、この法律が衆議院の委員会を通って、恐らく近いうちに成立をするということでありますので、探査活動についてはこういう規制ができたということを、中国、韓国の両大臣にぜひ明言していただきたいと思いますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 私の理解では、この法律は、我が国の鉱業に関する法律であって、特定の国を対象にしたものではない、このように考えておりますが、同時に、近隣諸国を初めとする諸外国に対して知らせる必要があるということは、今御指摘があったとすればそのとおりだろうと思っておりまして、政府としては、三月十一日にこの改正案が閣議決定されたことを受けまして、既に中国、韓国に対しては外交ルートを通じて本改正案の概要について説明を行っております。

西村(康)委員 韓国は竹島に海洋調査の基地を構築するということで、我が国の排他的経済水域でも調査を始める。もちろん、調査のみならず資源探査を行う可能性もあるわけでありますし、中国は白樺で現実問題として、交渉にこれから入る、いろいろやっている状況だと思いますし、さらに言えば、海洋調査と言いながら探査をやっている可能性もあるわけでありますので、その点、ぜひ中国、韓国には特に、この法律のことについて明言をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 地理的にも近い隣国でありますから、中国、韓国にもしっかり説明をするようにしていきたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひ、週末の機会、日中韓でいろいろな論点があると思いますが、この竹島の海洋調査の問題、そして東シナ海での開発も大きな論点の一つでありますので、これは大臣、ぜひ両大臣にしっかりと発言をしていただきたいと思います。

 その上で、今回の法律についてあと何点か行きたいと思いますが、東シナ海の開発の状況についてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、この東シナ海の中間線の日本側、我が国が排他的経済水域と考えている日本側にはどの程度の石油、ガスの埋蔵量があるのか、お伺いをしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 現実に、実際に試掘が行われませんと、なかなか確定的なことは申し上げられません。

 他方、平成六年に、私どもの石油審議会の専門委員会がございまして、そちらの方で、あくまでも相当の推定でございます、究極的な可能性ということで数字を試算させていただいたケースがございます。東シナ海の中間線日本側及び沖縄周辺海域におきます石油、天然ガスの量につきまして、石油換算で約五億キロリットル、約三十二億バレルという推定をした数字がございます。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 それなりの量があるんだと思いますが、原発であの事故があり、資源エネルギーもふやすということになると思いますけれども、当面、我が国の排他的経済水域にこれだけの量があるわけですので、ぜひ日本として積極的に探査をやり、開発を進めていくということを行うべきだと思います。

 国が、この海域、この海域に限らずですけれども、特にこれだけの埋蔵量があるわけですから、国みずから探査を行っていくべきだ。今も審議会での推計が出されておりましたが、特に、我々は、係争水域ではないということで、我が国の排他的経済水域ということでできるわけでありますけれども、リスクがあることは間違いありません。この地域で民間にすべて任せてやるというわけにはなかなかいかないんだと思いますので、国みずからが探査を行う方法にはどういう方法がありますか。

海江田国務大臣 我が国にとりまして、その周辺海域に存在する石油、天然ガス資源は、エネルギー供給源として大変重要でございます。従来から国主導で探査を進めてまいりました。

 具体的には、国の委託事業として、JOGMECを通じまして、長期間にわたり、我が国周辺の比較的浅い海域を中心に、二次元物理探査や、基礎試錐といいますが、ボーリング調査を行ってきました。そして、平成二十年の二月でございますけれども、資源エネルギー庁において、三次元物理探査船「資源」を導入いたしました。これは、従来の二次元物理探査に比べて、探査の精度を飛躍的に高めることができます。

 今後は、平成二十一年三月に策定しました海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づき、探査船「資源」を活用し、平成三十年度まで、毎年五千から六千平方キロメートルの三次元物理探査を計画的に進めることとしております。

西村(康)委員 大臣、まさに今おっしゃったとおりでありまして、これは自民党時代から進めていることでありますので、さらに強化をして進めていただければと思います。

 中国との間では、中間線の両側で開発が進められる共同開発に向けての交渉がこれから始まるのかどうなのか、再開されるのかどうかあれですが、二十年六月に、日中で共同開発の条約をつくろうということで合意したわけですけれども、この条約ができるまではお互いに開発を進めないという現状維持の理解があると私は認識をしておりますが、その理解でよろしいでしょうか。

松本(剛)国務大臣 御指摘の二〇〇八年の合意は、東シナ海の境界画定が実現をするまでの過渡的期間において双方の法的立場を損なわないことを前提に、東シナ海の北部において共同開発を行うこと、白樺の現有の油ガス田の開発に日本法人が参加をすること、これらの合意を実施するため国際約束を締結することを主な内容としているところであります。現在は、日中間でこの国際約束締結交渉を進めようとしているという段階にございます。

 このような中で、仮にいずれか一方の当事国が一方的に開発行為を開始するということになれば、合意に反することになると私どもとしては考えております。

西村(康)委員 今の答弁は、お互いに現状を維持しながら交渉を進めるということだと思います。

 他方、中国の方には動きがありまして、資料をお配りしておりますが、資料の一、我が党の新藤議員が撮影をした左上の資料、これが二〇〇六年七月の段階での資料であります。私も二〇〇七年にこの周辺を訪問いたして同じような写真を撮りましたけれども、この時点での写真。それから、右下が、二〇一〇年八月二十五日、これは安保委員会で視察をしたときの、恐らく公明党の佐藤茂樹さんの写真じゃないかと思いますが、見ていただいたらわかりますように、橋上の施設がさらに強化をされているというのが明らかにわかっているわけであります。

 もう一枚の資料、これは新聞報道でありますけれども、見ていただいたら、ドリル管がさらに入っているということでありまして、当時、自民党の我々の部会で、資源エネルギー庁の担当課長は、生産活動をしている可能性がある、高いということも発言をしたわけであります。

 現状、明らかに何らかの行動を行っているのは事実でありますし、生産活動に入っている可能性もあると思いますけれども、どのように認識をし、どのように対応をしているのか、お答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 昨年九月以降でございますが、掘削を行っていた可能性はございます。しかし、現在までこれを断定できる状況にはなく、政府としては確定的な判断を下す状況にはございません。

 それと、本年の三月でありますか、中国側が生産を開始しているとの新聞報道がございました。この新聞報道は、中国の石油関係者の実名が挙がっておりましたので、そういうことを踏まえて、外交ルートを通じて改めて中国側に確認を行いました。ところが、中国側から、報道は事実でない旨の説明がございました。それを受けまして、私どもは、この関連の状況を引き続き注意深く見守って、監視を続けているという状況でございます。

西村(康)委員 外務大臣にもお伺いをしたいと思います。

 外見的には明らかに何らかの活動を行っている。しかも、きょうは写真がありませんが、一時期、海面が茶色に変色をした写真もあります。こうしたものを考えると、掘ったからこそ泥水のようなものが上がってきている可能性もあるわけで、今、大臣もおっしゃったとおり、可能性は高い、あるんだと思います。

 その中で、情報提供を求めても、なかなか納得のいく説明が中国側からないんだと思いますが、外務大臣、どういうふうに申し入れをされ、どういうふうに今対応をしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 状況については、今、海江田大臣からも御報告を申し上げたとおりであり、海面の変色等も確認をされていることは私どもも承知をしており、これは掘っているということの可能性を示唆する一つの要素であると思っていますが、それのみをもって断定できるということでもありませんので、注意深く見守っていきたいと思っております。

 私どもとしては、先ほどもお話をさせていただきました二〇〇八年の合意に基づいて、国際約束の締結交渉をぜひ前へ進めよう、このような努力をしているところでありまして、あらゆる機会を通じて交渉の早期再開を働きかけているところでございます。

西村(康)委員 ぜひ、この週末に中国の外務大臣と会われたときにも、この問題、改めて提起をしていただいて、納得できる情報を提供していただくと同時に、条約交渉再開に向けて努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

松本(剛)国務大臣 私どもとしては、あらゆる機会を通じて早期の交渉再開を目指しておりますので、これをしっかりとやっていきたい、このように思っております。

西村(康)委員 週末に会われるわけですから、これ以上もう申し上げませんが、ぜひこの点も強く中国側に申し入れをしていただきたいと思います。

 その上で、フレア、何らかの生産活動を始めるとガスが出ますので、火が燃える、先端からフレアが出る、それが一つのあかしじゃないかということをよく言われるわけでありますけれども、実は、フレアが出なくとも、この資料一の地図にありますけれども、中国側は幾つか開発を行っておりまして、平湖というところまでは、これは中間線の中国側ですけれども、そこまではパイプラインを引いております。したがって、この白樺で生産活動を開始したとしても、フレアを出すことなく、そのままパイプラインでつなげてしまえば中国側に持っていけるということを専門家が指摘をされておりますが、こういう事態も考えられると思っていいのかどうか、その点について確認をしたいと思います。

海江田国務大臣 委員御指摘のように、フレアが上がっていない、しかし、パイプラインを通じてガスを別のプラットホームに送るということは可能かと思います。

 ただ、一つだけつけ加えますと、東シナ海地域の中国のこの種の施設では、フレアが出るのが一般的だということもございます。

西村(康)委員 ぜひ、今の点も含めて、中国側にしっかりと情報提供、何度も繰り返しますが、我々が納得できる情報提供を求めていただきたいと思いますし、万が一中国側が二〇〇八年の合意に反して何らかの生産活動に入っているとすれば、これは日本側としても当然対抗措置をとるべきだと思います。前原前外務大臣はしかるべき対抗措置をとるということを国会で明言されておりましたが、松本大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

松本(剛)国務大臣 先ほども申し上げましたが、仮に合意に反するようなことがあれば、しかるべき措置をとることになる。合意に反する状況については先ほども申し上げたわけでありますけれども、あればしかるべき措置をとることになると前大臣が申し上げておりますし、私もそのような考え方を引き継いでいると御理解をいただいてよろしいかと思います。

西村(康)委員 そのしかるべき措置の内容、どんなことを想定しておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 これについても御議論があったと思いますが、まず、合意を遵守し、国際約束締結につなげることが大事であると思っておりますし、合意に反することをした場合にどのような措置をとるかということをあらかじめつまびらかに申し上げるのは必ずしも適切ではない、このように思いますので、お答えをすることは差し控えさせていただけたらと思っております。

西村(康)委員 外交上そういうお答えになるんだと思いますが、この合意も、自民党政権時代に進めてきて、ぎりぎり共同開発を進めるということで日中で合意をしたラインでありますので、私どももこの交渉が進むことを期待しているわけでありますけれども、残念ながら、中国側が生産活動を行っている場合には、大臣の答弁がありましたように、その対抗措置としてしかるべき措置をとるというところも、断固として決意を持って交渉に臨んでいただきたいと思いますが、今回の法律の改正がもし通った場合、何ができるのかについて議論をしたいと思います。

 この海域に、これまでたくさんの申請、中間線から日本側に多くの、試掘の申請だと思いますが、出されていると思います。何件ぐらい出されているのか、お伺いしたいと思います。

田嶋大臣政務官 御答弁を申し上げます。

 試掘でございますけれども、試掘権と採掘権とございますが、既に存在をしている件数としてはおよそ八千件でございますが、未処理件数としては合計で七万二千百三十三件でございます。

西村(康)委員 この鉱業法に基づいて七万件を超える件数が未処理、つまり申請があったけれども対応していないという今のお答えですけれども、その七万件を超える件数のうち、東シナ海の中間線のこちら側、日本側での申請件数は何件ですか。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 未処理件数七万二千百三十三件中、東シナ海は、石油、天然ガス、その他含めまして五万三千四百十九件でございます。

 なお、件数は大変多いわけでございますが、申請者は十でございまして、八法人、二個人でございます。

西村(康)委員 恐らくそれなりに石油、天然ガスの開発を行っている会社、あるいは調査、探査をやるような会社が出しているんだと思います。五万件を超える件数が、いろいろなところにある可能性、資源開発ができる、石油、天然ガスを開発できる可能性があるということで申請を出してきているんだと思いますが、この処理をどうするのかという点についてお伺いをしたいと思います。

 今回の法律では、適正に、特に石油、天然ガスの試掘については、先願主義ではなくて能力に基づいて判断をする、経済的能力、技術的能力、その他いろいろなものを勘案して判断をするということでありますけれども、一たんこの申請を処理しないと、新たな地域での鉱区設定が、つまり募集をしていく手続ができないんだと思いますけれども、その手続についてお伺いをしたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 日中間での境界画定がなされていない東シナ海における鉱業権の出願でございますが、先ほど御答弁申しましたとおり、さまざまな事情を勘案の上、これまでのところ、一部を除いては留保している状況でございます。

 現状におきましては、こうした判断を変更する状況にはないというふうに理解してございますけれども、今後の諸般の事情を踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。

西村(康)委員 実は、自民党時代もいろいろな配慮があって、申請があったけれども未処理のままにしてきた事実はありますが、自民党政権、亡くなられた中川昭一大臣のもと、二〇〇五年の七月に三件の試掘権を認めております。

 これは、中国側が生産を開始する、いわゆるストロー効果的なもので日本側のものまでとる可能性があるということも含めて、日本としても開発を進めようということでこの三件を認定したわけでありますけれども、今後、対抗措置として、しかるべき措置の一つとして日本側としてもさらに開発を進めていくというときに、既に申請が出されているものを処理しないことには新たな設定ができない、あるいは、民間任せですべてができるわけじゃありませんから、国が主導してやるという形ができないんだと思いますけれども、この手続についてぜひお伺いをしたいと思います。

 これは事務方の方じゃないかと思いますけれども、申請が出されている五万件にも、いろいろな鉱区が出されている、しかし、そこを国主導で試掘をしようというときに、その申請が邪魔になるんじゃないかと思いますけれども、どういうふうな手続でやることになるのかお伺いしたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘の東シナ海における試掘権等々でございます。今、政務官等々から御答弁申し上げましたけれども、今、この地域における鉱業権の出願、たくさんございます。おっしゃるとおりでございます。それはいろいろな事情を勘案して保留のままになっておりますけれども、今回の鉱業法の改正によっては、そこについての事情変更はないと思っております。

 したがいまして、あくまでも総合的判断をしていく必要があろうと思いますけれども、いろいろな事情にかんがみて、新しい事情があればその都度判断をしていくことになろうかと思います。

西村(康)委員 既に試掘権を設定した、自民党時代に我々がやった三件に加えて、ほかにも申請が出ている。しかし、ある意味でリスクの高いエリアで、すべて民間に任せていてはなかなか進まない。仮に中国側が生産活動を開始するようなケースも含めて、日本側としてできることは何があるのかということを確認したいんですけれども、国が主導してこの地域で試掘を行うということができるのかできないのか、できるにはどういう手続をとったらいいのか、お伺いしたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、平成十七年に三件設定をいたしてございます。一社、現インペックス、旧帝国石油でございますが、東シナ海の試掘権につきましては、鉱業権者において、現在、試掘に向けた総合的な地質検討が行われておりますが、いまだ試掘に着手する準備が完了していない状況にあるというふうに承知をいたしております。

 企業による試掘権が設定されているという状況や当該鉱区をめぐる諸般の事情を踏まえまして総合的に判断をしなければいけないということで、国がみずから開発をすべき状況ではないというふうに認識をいたしております。

西村(康)委員 質問のやり方を変えますが、この鉱業法の改正によって、国がみずから試掘をするということはできるんですか、できないんですか。できる場合にはどういう手続をとるんですか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今インペックスが三件の試掘権を持っているのは御案内のとおりでございます。その上で、いろいろな総合判断のもとに国ができるかという御質問だと思います。

 これは、今民間の試掘権者がおりますので、例えば国が一定の判断をして、総合判断のもとに、その試掘権者に任せられない、あるいは任せることが適当でないというような場合におきましては、JOGMECも含めて、そういったところに試掘権を与え直すということはあり得ると思います。

西村(康)委員 今試掘権のある帝国石油が持っているところの扱いはそういうことだと思うんですけれども、むしろそれ以外の、試掘権を設定していない白地のところで国がみずから試掘をやるということができるのかできないのか、この法律に基づいてどうやるのか、お答えいただきたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどお答えをしましたけれども、この地域は大変重要な地域、エネルギー源としても重要な地域でありますので、JOGMECなどを通じて、そして先ほどお話をしたような新たな資源探査船、「資源」という名前の船ですが、こういうものもあるわけでございますから、それを十全に活用したい、そのように思っております。

西村(康)委員 もちろん、日本国家の排他的経済水域ですから、国家として権益を持っているわけでありますから、権限があるわけですから、当然私は資源開発できると思うんですが、この鉱業法上、国がみずからそういう資源開発をやる場合にはどういう手続をとるのかという点についてお伺いをしたいと思いますし、実は、私は、民間がなかなかやらない場合には、ある意味で国主導じゃなきゃいけない場面が来るかもしれませんから、そのときのことを想定しているんですが、その手続についてお伺いをしたいと思います。これは事務方の方がいいですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のとおり、鉱業法の十七条がございまして、この法律で規定をしておりますのは鉱業権の付与ということでございます。鉱業権の中におきます試掘権というのは、この鉱業権の付与される対象としまして、御案内のとおり、日本国民、または日本国法人という形になっておりますので、これは物権を与えるということでございまして、主として民間の皆さん方に権利を付与する世界でございます。

 そういう意味では、鉱業法に基づく鉱業権としての意味合いとしての試掘権を国が持つというのは多分想定をされていないんじゃないかと思います。ただ、現実の行為といたしまして、探査を行う、あるいは試掘的な行為を行うということにおきまして、国が主体となって行うというケースはもちろんあるのではないかというふうに思っています。

西村(康)委員 確認ですけれども、国が主体的に行う、当然あるわけですけれども、それはこの法律の枠外ということで理解していいですか。

安藤政府参考人 先ほどお答えをいたしましたけれども、国が委託をして民間企業が主体となって鉱業法の権利設定を行っていくということは十分あり得ると思います。

 国が委託をしないで直接行っていくと……

田中委員長 質問の趣旨にちゃんと答えてください。要するに、委託じゃなくして、それができなくて、その場合においては国が直接できるかどうか、こういう質問ですから。

安藤政府参考人 これは鉱業法の想定している外にあると思っております。

西村(康)委員 ちょっと心もとないんですけれども、国がみずから試掘をし開発をするというときに、あるエリアを設定して当然やるわけですよね。これは鉱業法の外だと、そこに民間企業がもしやりたいと言ってきたらそこは重なるわけですけれども、それはどういう手続をとるんですか。これは多分整理されていると思うんですけれども、確認をしたいと思います。

細野政府参考人 お答えをいたします。

 想定をしているいろいろな、多くのケースについて今御答弁を申し上げたと思います。国が自分の判断で鉱業権、試掘も含めてでございますけれども、それをすることができるかどうかということについては、できると思っております。

 したがいまして、これは本来の、多くの場合として想定をしているケースではございませんけれども、国の主体的な権利として、みずからがみずからにその権利を与えるということはあり得ると思います。

西村(康)委員 ちょっとさっきの部長の答弁と違うような気がしますが、そこは整理されていますか。鉱業法の外だという、国が国にみずから与えるということはないという答弁が先ほどあったと思うんですが、今は、国が国に与えるという答弁をされました。ちょっと整理していただきたいと思います。

田中委員長 細野長官と安藤部長の答弁が若干ニュアンスが違うような状態でありますので、資源エネルギー庁の細野長官より再答弁をお願いします。

細野政府参考人 恐れ入ります。

 私が先ほど申し上げた解釈で正しいと思いますし、またそうしたいと思います。

西村(康)委員 長官がそうしたいと言っても、法律でどういうふうに決められているかを聞いているわけで、ちょっと今の答弁はだめですね。

細野政府参考人 解釈の問題としてもう一回御答弁を申し上げます。

 鉱業権というのは物権でございます。物権の与える主体と与えられる主体、これは与える主体は国でございますし、与えられる主体としても国はあり得るということでございます。

西村(康)委員 そうすると、国がみずからやるときも、この鉱業法に基づいて申請を出すということですか。

細野政府参考人 手続上は、そういう形式行為をとる可能性はございます。

 いずれにしましても、手続の問題というよりは、主体となれるというところの問題だと思います。したがって、そこについては、先ほど来申し上げている解釈が鉱業法についての運用でございます。

西村(康)委員 しつこいようですけれども、実際に中国側が生産活動に入り、合意を破棄しているような状態になった場合、我が国として対抗措置をとる可能性が出てくる場合があるわけですね。そのときに、民間企業はリスクを感じてやらないというときに、国みずからがやるケースが当然想定されると思います。

 委員長、これはぜひ正式に、資源エネルギー庁というか経産大臣にこれはお願いしたいんですが、大臣として、国がやる場合にどういう手続をとるのか、どういうふうにやるのかというのを文書でまとめていただきたいと思いますが、いかがですか。

田中委員長 後ほど、経済産業大臣の責任において、調整して文書を提出してください。

海江田国務大臣 委員御指摘の点について、経済産業省として正式な見解、特に手続について、出します。

西村(康)委員 時間が来ましたので終わりますが、ぜひこれは外務大臣、経産大臣、両大臣に、中国側に対してしっかりと情報提供を求めて、共同開発の条約交渉が進むようにお願いをしたいと思いますし、外務大臣には、この週末、中国の大臣と会われますし、また竹島の海洋調査の基地についても、韓国の外務大臣としっかり議論するというか、我が国の立場を申し入れをしていただきたい、抗議を申し入れていただきたいと思います。

 終わります。

田中委員長 以上で西村康稔君の質疑は終わりました。

 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、このような連合審査、ありがとうございます。連合審査の大きな理由は、恐らく、これは領土問題を含めた外交案件にかかわってくるから、このような外交ということで外務委員会との連合ということになったんだと思います。

 冒頭、一点確認したいと思います。副長官、どうもありがとうございます。

 まず、今月十五日、ロシアの副首相初め十省庁の代表が、何と択捉、国後を訪問したということがありました。外務大臣はこのことに関して抗議をされたと伺っておりますが、メドベージェフ以降、何度も何度も日本の北方四島にロシアの枢要な方が来られるということをなかなか防ぎ切れていない。

 このような状況を見てかどうか、実は韓国でも同じような動きが今起きつつあります。例えば、今月の二十四日に、二十二日に出発して二十四日に韓国の国会議員三名が北方領土の国後島を訪問する予定であるということが現実に発表されました。この国後島を訪問する韓国の国会議員はどういう立場の方かといいますと、独島領土守護対策特別委員会。ですから、これは竹島について実効支配を強めていこう、そして、ロシアと共同していこう、北方領土についてロシアが強めている状況を見ていこう、恐らくこのような動きだと思っております。我が国としては、決して許せない、見逃せない事案だと思っております。

 まず外務大臣にお伺いをし、そして官房副長官にもお伺いしたいと思いますが、このような韓国の国会議員が国後に行くということ、しかも、ロシア政府からビザを発給してもらって行くということ、これは絶対にさせてはいけないと思いますが、今後どのような外交ルートでこの抗議をしていくのか。そして、官房副長官には、この二十二日には日中韓の首脳会談があるということを伺っておりますが、この首脳会談の最中に韓国の国会議員が国後に向かって旅立つということ、これを決して許してはいけないと思いますが、この首脳会談の中で日本政府の強い懸念ということでこのことについて触れるかどうか、お伺いしたいと思います。

    〔田中委員長退席、小平委員長着席〕

松本(剛)国務大臣 先日のイワノフ副首相の国後、択捉島訪問については、私から抗議をさせていただきました。

 今、メドベージェフ以降というお話でありましたが、イワノフ副首相は、御案内のとおり、二〇〇〇年代の半ばから既に三回目の北方領土訪問でありまして、そのこと自身、私たちとして受け入れられないということで、私が在京のロシア大使を呼びまして申し入れを行ったところであるわけでありますが、残念ながら、このような要人の訪問は、これまでも累次にわたって行われてきているということは御報告申し上げなければいけません。

 さて、今御指摘がありました、韓国国会の、向こうの読み方でいけば独島領土守護対策特別委員会の複数の国会議員が二十二日から北方領土を訪問する、こういうような報道があることは私どもも承知をしておりますが、私どもとしては、現在事実関係を確認中のところであります。仮に報道が事実であるならば、我が国政府としては、遺憾であり、適切に対応しなければいけない、このように考えております。

仙谷内閣官房副長官 松本外務大臣が答えたとおりだと考えております。

小野寺委員 これは当然外交ルートのお話になりますが、二十二日には日中韓の首脳会談があり、総理が直接、李明博大統領とお話をする機会もあると思います。このような領土に対する懸念、竹島の問題もそうですが、北方四島の問題に対しても、政府としては毅然と、総理としては毅然とした対応で今回韓国政府に申し入れていただく、韓国大統領に申し入れていただく予定はございますか。

松本(剛)国務大臣 まず第一に、事実関係を確認中であるということを先ほど申し上げさせていただきました。

 今委員がおっしゃったように、日本が国家として領土の問題について毅然とした態度で臨むということは当然のことでありますけれども、事実関係を確認中のことについて、近い日中韓のサミットでどのような態度をとる、どう対応をするかということについては、現段階で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 副長官も同じ答弁かどうか、お伺いしておきます。

仙谷内閣官房副長官 松本外務大臣と同じ答弁でございます。

小野寺委員 真摯な御答弁、ありがとうございます。

 さて、今回、鉱業法につきましては、私ども、改正について重要だと思う反面、実際それを運用する場合には、かなり外交面では神経が必要だと思っております。特に、資源探査についての立入調査、立入検査が今回可能になるということになります。そうしますと、例えば海洋調査、科学的調査というのと資源探査というのがかなり厳密に分けられないと、これはどのような規定で行われるかということが大切だと思っております。

 確認しましたら、省令で個別列挙で定めるということなんですが、どのような個別列挙が今回資源探査に当たるか、経産大臣にお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 小野寺委員にお答えをいたします。

 規制対象となる資源探査は、一つ、比較的精緻な地質情報が得られ、二つ、不適切な方法で行われた場合には、他産業等の、例えば漁業の従事者でございますが、利益を損じるおそれのあるものといった観点から定めることにしております。

 具体的には、人工的に発生させる地震波を利用する地震探鉱法などを想定しており、実施者が科学的調査と主張する場合であっても、外形によりこれらに該当すると判断される場合は、規制の対象となります。

 他方、水温調査等、これらに該当しない方法によるものについては、規制の対象とならないわけであります。

小野寺委員 では、具体的に資源探査ということで確認をする現場というのは、これは海上保安庁ということになると思うんですが、長官がきょういらしております、長官と仙谷副長官がいらっしゃいますと、何か去年の尖閣のことを思い出すような取り合わせでありますが。

 海上保安庁長官にお伺いしますが、実際、この資源探査について、海上保安庁では、どのような判断、そしてまた、今後、それが例えば違反ということになりますと立入検査ということになると思いますが、それが運用可能か、実行可能か、お伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど西村委員の御質問にもお答えいたしましたように、海上保安庁では、海上において違法な探査行為を行っていると思われる船舶を発見した場合は、巡視船艇や航空機による外観調査あるいは無線による質問等を行いまして、その結果を経済産業省、資源エネルギー庁に通報することとしております。そこで専門的な判断に基づいて違法な探査行為かどうか判断していただきまして、違法な探査行為であると判断がなされた場合は、関係省庁とも連携して、政府全体として適切に対応していくということにしております。

小野寺委員 ただいま政府全体として適正に対応という答弁がございました。

 官房副長官に内閣としてのお話を伺いたいと思いますが、具体的にこれが違反事例だというふうに確認された場合、どこの省庁が立入検査の実行主体となるでしょうか。

仙谷内閣官房副長官 海上保安庁法十五条という規定がございます。御存じでいらっしゃると思いますので読み上げませんが、海上保安庁法十五条に基づいて、おっしゃる、今回法改正をされようとする鉱業法で、百条の二で定められた許可を受けないで例えば探査を始めた者がおるとすれば、これは内外人無差別といいましょうか、変わりありません、経済産業大臣は違反に係る作業の中止あるいは装置や物件の除去または原状回復を命ずることができるわけでありますから、まさに、経済産業大臣の命ずる行為を、海上保安庁法第十五条によって経済産業大臣の命令を執行する官吏とみなされる、こういうことになろうかと思っております。

小野寺委員 長く御答弁をいただきました。基本的に、海上保安庁がその立入検査を行うということになると思います。

 では、保安庁長官にお伺いします。

 この立入検査ということを、例えば経産大臣から指示があった場合、海上保安庁は十分対応できる体制になっているでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 仙谷副長官から今御答弁がありましたように、海上保安庁法十五条で私どもは鉱業法の当該官吏とみなされるということで、この権限を執行できるわけでございます。

 ただ、具体的な今回の鉱業法の探査行為の事案につきましては、かなり専門的な知見も必要であると考えておりますので、私ども、もちろん立入検査を執行いたしますけれども、関係省庁と連携してこれを行うということが適当かと思っております。

小野寺委員 今回、私どもはさまざまな過去の事案を考え、これは西村委員からもお話がありましたが、想定されるのは、東シナ海の日本の排他的水域で、中間線を越えて例えば中国の調査船が資源調査を行う可能性があると私どもは考えております。

 その際に、今回のこの法改正によれば、この資源探査について、それが明確であるということになれば、それは保安庁の方が確認をし、経産大臣に諮り、経産大臣が政府一丸として判断を行い、そして、経産大臣がその政府の意向を受け、海上保安庁にその指示を出し、海上保安庁が具体的に立入検査を行うという一連の流れということになりますが、結局、最終的には政府としての判断ということが当然かかわると思います。

 政府としての判断ということで私どもがいつも脳裏によぎるのは、昨年起きました尖閣での中国漁船の問題であります。あのときも、政府としての判断という形で海上保安庁の船が中国漁船を拿捕し、日本の法律で裁くという中で、最終的にこれは那覇地検の判断で、ある面では放免されるということになってしまった流れがあったと思います。

 今のお話を聞きますと、どうもこの法律によれば、政府の判断でしっかり対応できるということになりますが、場所も同じ、同じような海域の中で似たようなことが起きたときに、これは政府の判断と検察の判断で、さまざまなことで結局このせっかくつくった内容が適用されないという心配がございます。

 改めて仙谷官房副長官にお伺いしたいと思いますが、この法律が新しく改正された場合に、政府として毅然とした態度で今回のこの資源探査の問題については臨むというふうに考えてよろしいんでしょうか。御答弁をお願いします。

仙谷内閣官房副長官 いつの場合も毅然として判断をしていると思いますが、当然のことながら、この法律は内外人無差別でありますから、日本国籍の企業あるいは個人が違法な探査をしている場合であっても、外国籍の企業あるいは個人がしている場合であっても、今、小野寺委員が指摘された立入検査権を発動する。

 その場合に、その行為をするのは海上保安庁であるということでありますが、外国の場合には当然、外交関係等々が問題になってくる可能性もございます。そしてまた、非常に重大な事犯の場合には、司法警察権を行使するという必要性が出てくる場合もございます。そういたしますと、これは法務省といいましょうか、検察庁の問題を視野に置かなければならない、当然そういうことになろうかと思います。

 そういたしますと、各省庁的なすり合わせといいましょうか、総合調整をするのは官邸でございますから、そこで各大臣お集まりいただいて、政府としての判断を当然行うということになります。

小野寺委員 今回連合審査をしている大切な要件、例えば、今副長官のお話では、政府が本当に毅然とした対応で今回は臨むという意気込みが感じられません。ここでしっかり議事録も書かれておりますし、恐らくネットを通じてこの質疑は全世界の人が見られるんだと思います。逆に言えば、ここで政府が、今回の法改正によって、日本の領海、排他的経済水域で資源探査をした場合、日本政府は毅然とした対応をするぞ、国内法に基づいてしっかりと対応するぞ、そういうメッセージがしっかり出ることが、この海域における、日本の国かもしれません、ほかの国かもしれません、違法な資源探査が行われない予防になるんだ、私はそう思っております。

 ですから、この場で毅然とした答えを私は改めて官房副長官にお伺いしたい。政府としての毅然とした態度をしっかりと示していただきたい、そう思っております。もう一度答弁をお願いいたします。

仙谷内閣官房副長官 委員が私の発言をどうお感じ取りになるのかは全く自由でございますが、私は、毅然として対応すると申し上げておるつもりであります。

小野寺委員 ありがとうございました。

 副長官、災害対策でお忙しいと思いますので、これで質問は結構ですので、どうぞ本部に戻られていただければと思います。ありがとうございます。

 さて、私ども外交の問題をやっていると、当然、二国間あるいは多国間における条約、さまざまな国内法は、それぞれ平等でなければいけない、そのような思いを持っております。ところが、今回のこの鉱業法は、全般を見ますと、まだまだいろいろな諸国に対して対等になっていない、私はそのように感じております。

 例えば、今回、鉱業権の設定は、日本では外国企業も日本法人ということで対応すれば鉱業権の設定あるいは入札に参入することができるというふうに私ども聞いておりますが、中国、ロシアにおいて、日本の企業がその鉱区に入りたいという場合には、日本における制限と同じような対等な関係になっているのかどうか、お伺いします。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 現行の鉱業法第十七条でございますが、日本国民または日本国法人に対して鉱業権を付与することとされておりまして、外国企業であっても日本国法人を設立すれば鉱業権の出願が認められております。

 これに対しまして、中国において外国企業が鉱業権を取得するには、中国国営企業とのジョイントベンチャーの設立が必要とされまして、ロシアにおいても、ロシア政府による過半数を超える議決権の保有が求められるなどの規制が設けられているものでございます。

小野寺委員 そうなんです。実は、日本において鉱業権を取得する場合には日本法人をつくればいい、外国企業は、言ってみれば日本法人をつくればどんどん入ってこれる。逆に、日本が中国、ロシアで鉱業権を得ようとすれば、合弁企業をつくり、しかも、その株の過半数は相手の国の所有でなきゃいけない、このような差があります。

 本来、このような差を解消するのが二国間の外交だと私は思っておりますが、外務大臣、この二国間の差についてどのようにお考えでしょうか。

松本(剛)国務大臣 この法律は、特定の国に向けられたものではなく、我が国の鉱業に関することを定めたものだ、このように考えており、我が国において適切な形で鉱業に関する定めを置くという形で定められたものと思います。

 一般的に申し上げれば、法制度というのは、各国それぞれの歴史的経緯、文化、そして国の制度、ガバナンスのあり方などによって行われる、このように思っておりますので、国によって差異があることは否定できない、このように思っております。

 他方、今お話がありましたことも一例かもしれませんが、経済的な関係においてそれぞれが一定の対等な競争ができるとか、そういったことも極めて重要な要素でありますので、外務省としては、経済外交という柱の中で経済連携も一つの大きなテーマにいたしまして、それぞれが同じような条件が整うことを求めてきている、そういう広い活動をこれからも進めていく中で、今御指摘をいただいた件も念頭に置いておきたい、このように思っております。

小野寺委員 今のお話を聞いて、そういった不平等はやむなしというお話だと思います。

 私どもからしたら、例えば日本の水源地の外国人の保有についての問題、あるいは防衛上大変重要な土地に関する外国人の保有の問題、また離島に関する外国人の保有の問題、こういう土地所有の問題も含めて相当国内でさまざまな意見が出ていると思います。今回の鉱区の申請につきましても、逆に言えば、日本の中については、日本法人をつくれば外国企業は自由に参入、逆に日本は、例えば隣国の中国、ロシアについては事実上合弁企業でなければ参入できない、このような差があると思います。

 今後、私どもは、水源も含め日本国内のさまざまな土地所有については、これは日本国民の財産ですからしっかりと考えなきゃいけないという立場で国会でさまざま議論してまいりますが、この鉱区あるいは天然資源についても同じような考えが前提であるべきだ、そういうふうに私は思っております。

 今回の改正は、申請については国内でさまざま、経産省が中心となって考えて許可を出すということになると思いますが、今話をしたような外国人による例えば買い占め、このようなことに関して経産大臣としてはどのようなお考えがあるか、お伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 私どもは、この鉱業権の設定につきましては、先ほど来お話をしておりますような基本的な立場に立っておりますので、具体的な申請が出てきたとき、先ほど委員に御答弁をいたしましたけれども、特に東シナ海などのように大変世界的にも注目されている、しかし、日本の排他的水域としてしっかりその権益を守らなければならないところについては、しっかりと我が国の権利を主張してまいるつもりでございます。

小野寺委員 今のお話を形を変えれば、例えば東シナ海に、中国の企業が日本法人をつくり、そこで鉱区申請をしても、これは日本政府としては認めないというふうに考えてよろしいのでしょうか。

海江田国務大臣 これは、我が国で資源を安定的に確保するために今回鉱業法を改正するわけでございますから、その法律の趣旨にのっとったものかどうかということをきちっと考えさせていただくということでございます。

小野寺委員 我が国のエネルギーの供給に対してプラスになるかマイナスになるか、あるいは将来マイナスになる危険性があるということをすべて考えて判断をするというふうにおっしゃっております。

 ということは、基本的に、我が国国民の天然資源であるということ、我が国に対しての安定的なエネルギー供給であることが前提となると考えてよろしいでしょうか。再度お伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 基本的にはそういうことでございます。

小野寺委員 私どもは、これから国際化をさらに迎えてまいります。どの国ともさまざまな自由貿易あるいは自由な経済関係が必要だと思っております。ただ、幾つかの国に関しては、相手国は日本の土地を所有できるけれども、日本はその国の土地を所有できない、借用しかできない。あるいは、さまざまな海底資源、鉱物資源についても、今お話をしたさまざまな差があるということ。これが現実に行われております。ぜひこういうことを今後とも乗り越える、そして、日本が世界に冠たる国家になっていく中でそれぞれの国と平等主義を今後ともとっていく、それを前提としてこのエネルギー外交を続けていただきたい、そのように思っております。

 質問を終わります。

小平委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 この鉱業法の改正案につきましては、前回の経済産業委員会で私も最後に海江田大臣に御質問しましたけれども、要は、この法律をつくるということは、我が国の国家としての強い意思を国内外に示すという意味では非常に意味がある、そのように思っておりますし、やるからには、厳正、確実な執行をぜひお願いしたい。

 そういう前提の上で、先ほどから西村委員、小野寺委員からもありましたように、この法律そのものに基づいてじゃないんですけれども、今、世界各国が資源獲得競争を非常に激しくやっている中で、今後、資源探査をめぐって外交案件もさまざま出てくるでしょうから、そのことについて、きょうは外務大臣も来られておりますので、何点か確認をさせていただきたいと思うわけであります。時間が二十分でございますので、端的にやっていきたいと思います。

 一つは、先ほどからありましたように、東シナ海の資源開発問題でございます。

 実は、鳩山政権のときに、昨年の五月三十一日に、温家宝首相との間で、この東シナ海の資源開発問題については国際約束締結交渉に入るんだ、そういうふうに言われて、七月二十七日より開始されたんですね。ところが、中国漁船衝突事故があって、九月以降、中国側が一方的に延期をしてきて今に至っている、そういう経緯がございます。

 その後、松本大臣にかわりまして、三月十九日に、日中外相会談で松本大臣がこのことを投げかけられたところ、楊外交部長は、交渉再開のために必要な環境と雰囲気をつくることが重要、そういうように言われました。さらに、最近気になるのは、五月の四日に、高村日中友好議連会長が、習近平という、次期主席と言われている方にお会いしたときにも、合意を実現する意思は全く変わっていない、しかし、日本側にも条件づくりに向けた努力を求めたい、そういうふうに言われているんですね。

 これを聞くと、九月に予定されていた交渉の会議を一方的に延期しておきながら、さも日本側にその原因があるかのような言い回しを中国がしておるんですけれども、そういうことも含めて外務省としてどうとらえておられるのか。さらに、今後、この国際約束締結交渉に向けての見通しというものをどういうように見ておられるのか、まず外務大臣に答弁いただきたいと思います。

    〔小平委員長退席、田中委員長着席〕

松本(剛)国務大臣 今委員も御指摘ありましたが、昨年九月、中国側が交渉の延期を一方的に発表したことは、私どもとしても遺憾である、このように思っているところであります。

 この国際約束締結交渉というのは極めて重要でありまして、日中双方が大局的観点から戦略的互恵関係の構築、この充実を進めるということで、ぜひ早期の交渉再開を実現していきたい。御指摘ありましたように、三月の日中韓外相会談の際の日中会談でも申し上げました。来る日中韓の首脳会談もあるわけでありますが、あらゆる機会をとらえて、ぜひ早期の交渉再開をしてまいりたい、このように思っております。

 個別の交渉について今ここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、私自身も、就任をして以来、大切な目標の一つだと思って取り組んでまいりたい、このように思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、この間懸案となっております東シナ海のガス田白樺の状況でございます。

 先ほど西村委員は、私の写真だとおっしゃいましたが、そうかもわかりません、昨年の八月に私もこの上空を飛ばしていただいて、自民党の新藤先生のカメラよりは私のカメラの方が精度がよかったので、多分いろいろなデータを集めた中で使っておられる可能性はあるんだろうと思うんですが。

 一番の違いは何かというと、先ほどの自民党の西村先生の出された資料でもわかるように、二〇〇九年の八月までの姿と、昨年の八月に見た姿で、完全にやぐらが積まれているわけですね。やはり極めて怪しいわけであります。

 さらに、その後の、秋以降でございますが、周辺海域の海面が変色した。そういうこともありますが、さらに、先ほど海江田大臣が続けて言われたのは、ことしの三月に新たな疑惑が出てまいりました。それは、中国の、開発を担当する中国海洋石油の幹部、これはややこしい名前で、宋恩来という方で、これは大変立場が偉い人で、中国の人民代表大会の代表のメンバーでもある。要するに、日本で言う国会議員の一人であるわけですね。この人が、もう生産活動に入っているんだ、そういうように明確に言われました。

 先ほど海江田大臣の答弁だと、そういう事実もなかったんだというように言われておりますが、実際のところ、この白樺の今の開発状況について本当に日本政府としてどのように見ておられるのか、しっかりとした答弁をお願いしたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどの答弁の中で、三月に新聞報道がありましたので、しかも、中国側のしかるべき人が実名で日本の新聞記者に語ったということでございますので、それも私どもとすれば新たな情報だろうということで、これは外交ルートを通じて中国側に実際に生産に入っているのではないだろうかということを確認したということでございます。

佐藤(茂)委員 それで、中国側の返事というのは、なかなかそういうことは認めません。外務省にもチャイナスクールというメンバーがおりますから、こういう問題は穏便に済まそうと。そういうことで果たしていいんでしょうか。

 実際のところ、そういうことはしていません、していませんと言いながら、現実には、例えば先ほどの写真、自民党さんの資料ですけれども、これ一つ見ても、本来、生産活動を前向きにやる意思がなければ、やぐらなど積み上げる必要が全くないのに積み上がっているんですね。中国の外交当局からそういうことはありませんという返事だけもらって、日本側としては、中国がそう言っているのだから仕方がないんだと。しかし、その間に中国がよくやることは、既成事実をしっかりと積み上げていく、気づいたときにはもう遅かった、そういうことが非常に多いわけです。これは領土問題でもそうですけれどもね。南シナ海なんかでも全部そうされている。

 だから、本当に、経済産業省と外務省がしっかりと連携をとって、この白樺の問題については、日本の国家の意思として、そういうあいまいな状況で既成事実が積み上げられていくようなことは絶対許さないんだという姿勢を明確に今の政権でも示すことが大事ではないか、そのように思うんですが、どちらでも結構です、御答弁いただきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 先ほどの三月の発言も、当然外交ルートで確認をしましたところ、責任ある発言ではない、こういう回答であったというふうに記憶をいたしておりますが、他方で、政府としては責任を持って状況を注視していかなければいけない、このようには考えております。

 決して、私どもの、中国の専門家であるから融和的であるということはないと私は思っておりますし、また、ないようにしっかり見ていくのが責任者のまさに責任である、このように考えております。

 我が国の領土、領海、その中にある我が国の資源というものについて、これが適切な、私はそのことがしっかり確保された上での外国からの投資は歓迎をする立場ではありますけれども、今お話があったように、しっかりと確保すべきは確保すべきだ、また、先ほど申し上げたように、合意に反することがあればしかるべき措置をとらなければいけないという議論はお聞きをいただいたとおりでありますけれども、しっかりと対応できるようにしてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、この法を執行するに当たって、私は、無用な誤解であるとか特に周辺諸国とトラブルを引き起こさないように、打つべき手はしっかりと打っておかないといけないと思っているんですね。その一つが、よく中国は海洋探査をやってくるときにも警備当局がしっかりとついてくるというやり方を結構しているわけですが、そういうことから考えると、日中間の海上における危機管理のメカニズムをしっかりと確立していくことを急ぐべきだと思うんです。

 これは、ここに長島理事がおられますが、昨年も別の委員会で、政務官をされているときにその御答弁をいただいたんですけれども、やはり警備当局間の危機管理のメカニズムが必要ではないか、そのように思うんですね。

 先ほどからありましたように、この鉱業法の改正案に基づいて実際に取り締まりに当たるのは、海上保安庁等であることは間違いないんですね。ただ、現在、海上保安庁と中国の海監総隊との間の情報交換などの公式なチャネルはないと私は認識しているんですが、不測の事態を回避するために、日本の海上保安庁と中国の海監総隊という海上警備当局間のホットラインの確立であるとか、あるいは現場で、本当に何か一触即発になったときにも相互連絡体制の整備などを進めて、この日中間の海上の危機管理メカニズムをしっかりと確立していく、そういうことを今急いでおく。この鉱業権だけじゃないと思うんです。このほかのことでも、海上でいろいろあったときに、最終的な、そういう衝突を避けるようなメカニズムをぜひつくる努力をしていくべきだと思うんです。

 この件について、海上保安庁長官も来られていますし、さらに外務大臣にお聞きしたいのは、どうも中国側も最近そのことを求めてきておる、日本政府に連携を呼びかけているという報道もありますけれども、その真偽と呼びかけへの対応も含めて御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、昨今の海上における諸情勢を勘案いたしますと、当庁を初め関係機関の海上における諸活動の安全かつ円滑な実施を確保する上で、相互連絡メカニズムを構築することは大変有意義だと考えております。

 したがいまして、どのような連絡方法を構築することが適切なのか、関係省庁間で十分検討してまいりたいと考えております。

松本(剛)国務大臣 委員御案内のとおり、海上の法執行機関ということでは、日韓の間では交流があるというふうに承知をいたしております。

 今長官からもお答えがありましたけれども、日中に限りませんけれども、日中の間では、関係の促進、そして、関係が万一悪化をしたり摩擦が起こったりした場合も含めて重層的なチャネルがあるということは、大変望ましいことだと私も考えております。

 その意味で、五月の九日に我が方の丹羽駐中国大使が劉賜貴中国国家海洋局長と会見をした際に、先方から海洋分野での協力について幾つか提案があったというふうに承知をしておりまして、その中の一つに、今委員からお話ありましたような日中の法執行機関の間での現場レベルにおける連絡メカニズム構築といった提案がありました。先ほど申し上げたような認識のもとで、現在、中国側の提案について政府内部で検討をいたしているところでございます。

佐藤(茂)委員 私は、ぜひそれは前向きに、早急にやっておくべきだと。今後も昨年の九月のような中国漁船衝突事件が全くないということはあり得ないと思うんです。ああいう漁船だけじゃなくて、中国の海監総隊なんかもしょっちゅう東シナ海に来ているわけでありますから、そういうときにしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 まず第一段階はそれだと思うんですが、もう一つは、次に進むべきは、海上の事故防止協定のようなものをしっかりと結んでいくべきである。日ロ間にはそれがあります。これが非常にお互いの信頼醸成に役立っている。そういうものが一九九三年からずっと続いているわけですね。今は日ロではそういう問題がその後ないんですけれども、日中間の海上事故防止協定の検討というのもどこか頭の片隅に持って進めるべきである、そのように思うんですね。

 そのときに、きょうはもう質問時間がなかったのでやっておりませんが、中国の当事者というのはさまざまなんですね。この三月と四月に日本の自衛隊の護衛艦にちょっかいを出してきたのは、中国の警備当局の海監総隊のヘリや航空機なんですね。要するに、軍と軍同士の協定だけではなかなか進まない。また、警備当局と警備当局の協定だけではなかなか進まない。要するに、自衛隊の艦船に対しても警備当局が近接飛行してくるというようなことを想定していった場合に、カウンターパート同士間でない当事者までを対象にした、そういう包括的な事故防止を図るような海上事故防止協定というものも、日中間でつくるように検討を中長期的には進めていくべきだろう、そのように思うんですが、外務大臣の見解を伺っておきたいと思います。

松本(剛)国務大臣 委員もよく御案内のとおり、日中間では、まず、重層的な危機管理、コミュニケーションのメカニズムの構築が重要だ、そういう点も踏まえて、中長期的には海上事故防止協定というお話であったと思います。

 そのような御趣旨であるとすれば、また、包括的であることが必要であるという御示唆にも傾聴に値すべきものがあると思いますので、この協定の必要性を確認していきながら検討してまいりたい、このように思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、法案の、具体的な執行でどうなるのかということを残り時間で若干確認させていただきたいんです。

 我が国の排他的経済水域で許可なく資源探査をしている外国の調査船に対し、この改正法を適用して、百条の六に「違反行為に対する措置」というのがありますが、例えば作業の中止等の命令を行っても当該調査船に無視されて資源探査を続行された場合、我が国としてどう対応するのか、確認をしておきたいと思います。これは経済産業大臣に。

海江田国務大臣 これは、改正法第百条の六、探査の中止命令、これに違反した者に対しては五年以下の懲役または二百万円以下の罰金に処することとされています。

 こうした違反者について確実に取り締まりを行う必要があるため、取り締まりのための具体的手順や政府としての意思決定の手続等について、あらかじめ海上保安庁を初めとする関係省庁間ですり合わせを行うなど十分に連携を図って、法律の実効性を担保していきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 もう一点、ちょっと細かいことをお聞きするんですが、我が国の排他的経済水域で許可なく資源探査をしている外国の調査船が、例えば海上保安庁等が取り締まりをされていたとして、その取り締まりの段階で自国の領海に逃げたような場合、責任者の処罰であるとか探査したデータの回収等はどのように実効的に行われる形になっているのか、明確に答弁をいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のように、仮に外国船舶が逃走するといったような場合におきましては、個別具体的な事案に即して判断することになりますけれども、今大臣が御答弁申し上げましたように、あらかじめ具体的手続等については一定の想定のもとに関係省庁とすり合わせをしておくことが必要でございます。

 ただし、御指摘のように、自国の領海に逃げ込んでしまうというような場合には、これは自国の領海内に入ってしまうわけでございますので、当該外国との関係がございます。したがいまして、ここは外務省とも連携をして適切に対応してまいりたい。対応する中身については、例えば事実の照会、確認等が入ると思います。

佐藤(茂)委員 もう時間が参りましたので、最後に申し上げたいのは、先ほど来、海江田大臣の答弁で、要するに、法案が通ったところで実施体制を協議するんだとか関係省庁とすり合わせを行うんだと。そういう姿勢も大事なんだけれども、法案を出す前に、この案件は外交案件になるし、取り締まりをやる海上保安庁も、去年の漁船衝突事故なんかをめぐっても大変な瀬戸際で、これは大変なトラブルも起きてくる可能性がある。そういうことを視野に入れて、政治家が入ってきちっとした協議をあらかじめして、懸念事項を詰めておくというのは絶対やっておく必要があると思うんですよ。

 我々が政権の最後に、当時、与党のときに、海賊対処法案と、その後名前が変わりましたが北朝鮮の貨物検査法案を、私、責任者の一人として、プロジェクトチームの座長として検討させていただきました。そのときに鈴木長官もおられましたけれども、関係している省庁の役人、局長クラスを全部呼んで、政治家も入って議論をした。本当にやるときにどういう懸案事項が出てくるんだと、実際の運用について。そういうことを政治家も入って詰めて、そして遺漏なきように、法的に不備があるのならこういうものも権限としてつけようと。

 例えば、あのときには停船射撃というのも入れましたし、北朝鮮の怪しい貨物を運んでいる船については、どこへ引っ張っていくんだというようなことまで含めて検討させてもらった経緯があるわけです。

 ですから、せっかく政治主導と言われているんですから、法案が通った後も、役人に検討だけお任せしますという姿勢ではなくて、本当に厳格にこれを執行していった場合にどういう事態が想定されるか、そのときに我が国としてどういう対応をやっていくのかということについては、やはり政治家がきちっとかかわって、責任を持って執行できるように取り計らっていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で佐藤茂樹君の質問は終了いたしました。

 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時五十六分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 鉱業法の一部を改正する等の法律案は経済産業委員会議録第八号に掲載


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