衆議院

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第1号 平成23年8月10日(水曜日)

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平成二十三年八月十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      石森 久嗣君    緒方林太郎君

      川口  博君    川島智太郎君

      木村たけつか君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      斎藤やすのり君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      平  智之君    高松 和夫君

      中山 義活君    橋本  勉君

      花咲 宏基君    山本 剛正君

      吉田おさむ君    伊東 良孝君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      齋藤  健君    高市 早苗君

      永岡 桂子君    西野あきら君

      額賀福志郎君    稲津  久君

      吉井 英勝君    柿澤 未途君

  農林水産委員会

   委員長 山田 正彦君

   理事 佐々木隆博君 理事 津島 恭一君

   理事 仲野 博子君 理事 柳田 和己君

   理事 谷  公一君 理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    加藤  学君

      金子 健一君    京野 公子君

      近藤 和也君    高橋 英行君

      玉木雄一郎君    筒井 信隆君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      野田 国義君    藤田 大助君

      森本 和義君    山岡 達丸君

      伊東 良孝君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      北村 誠吾君    山本  拓君

      西  博義君    吉泉 秀男君

  環境委員会

   委員長 小沢 鋭仁君

   理事 田島 一成君 理事 中野  譲君

   理事 横光 克彦君 理事 田中 和徳君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    岡本 英子君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    近藤 昭一君

      阪口 直人君    玉置 公良君

      長尾  敬君    樋高  剛君

      森岡洋一郎君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    井上 信治君

      後藤田正純君    近藤三津枝君

      丹羽 秀樹君    福井  照君

      古川 禎久君

    …………………………………

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   環境大臣         江田 五月君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       西郷 正道君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   農林水産委員会専門員   雨宮 由卓君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

   環境委員会専門員     高梨 金也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(内閣提出第五一号)

 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより経済産業委員会農林水産委員会環境委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは、こうして経産委員会にかけられております再エネ特措法の連合審査を実現していただきました。田中けいしゅう委員長以下、経産委員会の皆様に心から厚く御礼を申し上げたいと思います。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 御承知のように、最近のデータとしまして、手元にある二〇〇八年の電力供給量を拝見いたしますと、再生可能エネルギーの発電の割合はわずか一・九%、大規模水力発電の割合は七・一%という状況にございます。何としてもこの割合を引き上げていかなければならないというのが大きな課題であろうかと思います。

 今回御審議をいただいているこの法案が成立をすると、それこそ、二〇二〇年、また二〇三〇年の再生可能エネルギーの発電の割合、大規模水力発電を除いたエネルギー発電の割合はどれぐらいになるというふうに見込んでいただいているのでしょうか。また、再生可能エネルギー発電の種類ごと、陸上風力、洋上風力、そして太陽光、地熱、小水力、またバイオマスのそれぞれの割合の見込みをお示しいただきたいと思います。

海江田国務大臣 田島委員にお答えを申し上げます。

 まず、総発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率でございますが、これは二〇〇九年を基準にしておりますが、現在八・五%。これが、この法律案を成立させていただきました上でのことでございますが、二〇二〇年までに一二・五%にすることを見込んでおります。

 四%伸びるわけでございますが、今お尋ねのその内訳でございます。太陽光発電が約二・五%、風力発電が約〇・七%、風力は地上と海上を分けてございませんので御理解をいただきたいと思います。それから中小の水力発電が約〇・二%、地熱発電が約〇・三%、バイオマス発電が約〇・三%となる見込みでございます。

 それから、二〇三〇年というお尋ねでございますけれども、二〇三〇年になりますと、今御審議をいただいておりますこの制度だけではありませんが、エネルギー基本計画で二〇三〇年に再生可能エネルギーはおよそ二〇%としておりますので、その内訳を申し上げますと、太陽光発電が約五・六%、風力発電が約一・七%、それから水力発電が一〇・〇%、地熱発電が約一%、バイオマス発電が一・一%となっております。

 以上です。

田島(一)委員 今、大臣の方から一つ一つ丁寧に御説明をいただきました。本当に、まだまだその効果があらわれていない、効果が見込まれるはずなのに期待する数字自体が非常にまだまだ低いなというのが私どもの正直な印象であります。今、この再生可能エネルギー法を何としても通し、そしてさらにそれを今後のエネルギーの主力にしていきたい、そんな思いでいるにもかかわらず、まだまだ低い現状にあるということが大変残念でならないところでもあります。

 きょうは、連合審査であり、農水大臣、環境大臣にもお忙しい中御出席をいただきました。

 農林水産業に目を転じさせていただきたいと思います。

 今日の農林水産業の若年層離れは非常に残念なところでもありますが、今回この法案が成立をすることによって、例えば、農地に張りめぐらしている水路が小水力発電の発電所に、また、漁業にあっては漁場の一部が洋上風力発電所に、林野にあってはバイオマス発電のエネルギー源にとなっていくことを私個人としても大変期待しているところでもあります。

 言いかえるならば、再生可能エネルギーを活用することによって、農林水産業に従事していただいている方々の副収入を確保し、半農半エネ、また半漁半エネ、半林半エネという一次産業に変化をしていく可能性が十分にあるのではないかというふうに期待をしているところでございます。

 農水大臣としてどのような期待をお寄せいただいているのか、ぜひこの機会を通じて御紹介いただければと思います。

鹿野国務大臣 今、田島先生からおっしゃったとおりに、農山漁村におきましては、太陽光とか、あるいは風力、地熱、バイオマス、そして小水力といった、まだ利用されていない豊富な資源が存在いたしておりまして、このような再生可能エネルギーが活用されるというふうなことになってきましたならば、まさしく地域の活性化、雇用にもつながり、また所得を生み出すというところにも結びつくわけでございまして、地域の活性化に資するものと思っております。

 そういう意味で、全量固定買い取り制度というものは、これからも、取り組みによって、農山漁村が本当に新たな活力を生み出すというふうなことでありますから、この取り組みは大変重要であり、意義のあるものだ、こんなふうに考えておりまして、農林水産省といたしましても、本制度の導入によって何としても農山漁村再生を図っていきたい、こういうふうな考え方で取り組んでおり、また期待もいたしているところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 再生可能エネルギーを一次産業、また農山村の活性化につなげていくことに対して大変大きな期待を寄せていただいていると確認をしたところであります。

 そのためにも、農水省として、今回の再生可能エネルギーの調達価格でありますとか調達の期間についてはどうあるべきだというふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。

筒井副大臣 今大臣が答弁しましたように、例えば、今、限界集落等が大きな問題になっておりますが、限界集落に行けば行くほど、間伐材を初めとしたバイオマス資源がたくさんございまして、それらを活用したバイオマス発電事業、これが利益を上げる、もうかる、こういう状況になれば、その発電所は雇用の場所、所得確保の場所になるわけでございまして、限界集落の解消につながるわけでございます。

 それらが大きく今期待されているわけでございますが、それらの期待をきちんと実行していくためには、やはり調達価格それから調達期間、これをきちんとした仕組みにする、もうかる事業として存続できる、こういう形にしなければならないわけでございます。

 しかし、現在審議されております法案では、この調達価格、調達期間、いずれも法律には規定されておりません。最大限の価格と最大限の期間、これをきちんと決めていただきたいなという期待を持っているところでございます。

田島(一)委員 具体的な数値についてはお答えにはなりませんでしたけれども、やはり、十分にもうかる、地域の農林水産業に従事する方々が、農業、漁業、林業をやる傍らで発電によって収入を得られる、そういう仕組みにしていくことが必要だというお答えだったというふうに理解をしたいと思っております。

 今までですと、どうしても、発電事業にかかわっている方と農林水産業にかかわっている方は、どちらかといえば相反するような関係にあったかもしれません。しかし、私が今申し上げたのは、農林水産業に従事されている方々が、もう一方で、自分たちの土地やまた地域を利用して発電をしていく、そのことによって、地域を離れていくような、過疎であるとか限界集落と呼ばれるようなことを食いとめることができるのではないか、一翼を担うことができるのではないか、そんな期待を実は寄せているところであります。

 これから新たな一次産業のあり方という点で、この再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が大きく役に立ってくれるだろうという期待を寄せております。どうか、農水省におかれても、現状の農林水産業の実態と照らし合わせていただきながら、どういう活用ができるかについて十分に御研究をいただいて、一刻の猶予もない、そんな状況にある農林水産業の実態、そして再生可能エネルギーの普及をしなければならないという課題を両立していくためにぜひ御努力をいただくことを心からお願い申し上げたいと思います。

 さて、環境大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど農水大臣の方にもお尋ねをいたしましたが、環境省として、再生可能エネルギーの調達価格でありますとか調達期間はどうあれば最大限の普及ができるというふうにお考えか。地球温暖化対策などなど、さまざまな政策課題と相まった今回の固定価格買い取り制度であります。ぜひ前向きなお答えをいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

江田国務大臣 今、過疎の農水産地域の夢をかき立てる、そういう効果もあるのだと、夢がわく、そういうお話がございました。

 環境保全という観点からも、再生可能エネルギーは、もちろん地球温暖化対策あるいはエネルギーセキュリティーの向上だけでなくて、経済の活性化、雇用の創出などなど、本当に今後の復興、日本の発展という点からも、導入を加速すべきものだと考えております。

 国際的に見ても、ドイツを初め、世界七十を超える国や地域で全量固定価格買い取り制度が導入され、再生エネルギーの普及拡大をしているわけでありまして、我が国でも不可欠で、世界じゅうのいろいろな経験を見ますと、やはり今委員御指摘の調達価格、調達期間の設定、これが非常に重要だと思っております。

 本法案は、新規投資を促すことを目的としているわけで、多くの事業者等がこのシステムに参入することとなるような調達価格や調達期間の設定というのが重要であります。この点は、今御指摘のとおり、本法案に書いてはございませんが、ここに、施策の実施に当たっては、法を所管する経済産業大臣は環境大臣と密接に連携し、協力して行うという規定がございまして、環境省としても、そのような観点から積極的な協力をしてまいりたい、ぜひこれは成功させたいと思っております。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 どうしても、再生可能エネルギーを普及していこうと思うと、さまざまな障害にぶち当たる、これは、環境省にあってはアセスメントであったり、また健康被害であったりと、いろいろな問題が伴っているのもこれまた事実であります。しかしながら、さまざまな規制や障害等々をできる限り取り除いて、少しでも普及に貢献できるような仕組みづくりをしていくことも何より大切だと思いますし、また一方では、技術開発をやはり加速化させていくことが何より大切であろうと考えるわけであります。

 私が尊敬する九州大学応用力学研究所の大屋先生が、今環境省の地球温暖化対策技術開発事業の委託を受けて、風を受けるブレードの周りに集風体を設けた風レンズ風車なるものを研究されており、この秋から博多湾でフローティング、海の中に浮かべた浮体の上に風力発電を置いて、実証実験をいよいよされようとしています。

 単なる風車だけではなく風レンズをつけることによって、出力が五倍にはね上がる。また、自然保護の問題になっていたバードストライクも起きないという実験結果も出てきておりますし、風車騒音自体も低減化されているというような結果も出てきています。

 これが海の中に、浮体の上に幾つも並べられて置かれる。これを漁業にかかわる方々が事業の主体となってやっていくと、それによる収入も漁業従事者の皆さんに回ることができます。そして、さらにその風力によって発電したものが地域の電力として使われていく。今や、今までに考えられなかった、そういう世界に新たな力が、新たな発想が、新たな技術がどんどんどんどん広がりつつあることも私たちは真正面からやはり受けとめていく必要があろうかと思います。

 出力が今までの五倍あって、さらにさまざまな障害も乗り越えられる。こうした問題は、この大屋先生の研究だけではなく、それ以外にも幾つも実証実験として成果を上げているものがあります。こうしたものをどのように実現していくか。つまりは、研究されたその成果をビジネスにしっかりと結びつけていくという、そのつなぎ役が今必要なのではないかと思います。それこそ経産大臣を筆頭に、経産省、また外郭団体等々がそのコーディネート役をぜひ果たしていただく必要があるのではないかと私は考えるものであります。

 今回、東日本大震災が起こり、東北地方の被災地にあっては、電力はもちろんのこと、復興復旧にそれぞれのお立場で皆さんが御尽力をいただいていることと思います。とりわけ、東北地方が持つ再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に引き出し、新たなエネルギーをこの東北地方でしっかりとつくり出していくということが何より求められているのではないかと考えます。

 エネルギーの地産地消はもちろんのこと、地方でつくったエネルギーを都会へ送る、地産都消という発想で、これから地方の持つポテンシャル、そしてその新たな収入源として大きな期待が寄せられているのではないかと考えるところでありますが、最後に経産大臣の御所見をお伺いし、質問を終わりたいと思います。

海江田国務大臣 田島委員から御指摘のありました東北地方でありますが、風力発電は大変ポテンシャルの高いものがあります。もちろん太陽光もそうであります。それから、先ほどお話のありましたようにバイオマスもそうでございます。その意味では、再生可能な自然エネルギーのポテンシャルが大変高い地域と考えておりますので、現在、それぞれの県で進められております復興の計画、あるいは国で進めております復興計画、この中でしっかりとこの再生可能エネルギーの発電量をふやすということを位置づけをしていきたいと思っております。

 それからまた、地産地消ということはよく言われることでありますが、今委員は地産都消と、都でといいますか、都市でこれを消費するのもいいだろうということでございます。そのためには、系統につないで、そしてしっかりと都市まで送電をしなければいけないわけでございますから、そういった施設の充実も図っていきたい、このように考えております。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 ぜひこの法案が成立し、より多くの再生可能エネルギーが普及していくことを心から念じて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 田島君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治です。

 本日は、この再生可能エネルギー法案、委員会での審議を重ねて、多くの論点も指摘をされ、いよいよ与野党での修正協議も始まる、こういったタイミングの中で、各委員長や理事の先生方の御努力によって、この三委員会合同の連合審査が行われるということをまずもって感謝申し上げたいと思っております。

 そして、この法案の目的としましては、エネルギーの安定供給や地球温暖化対策、また経済の活性化や雇用の拡大、こういったようなものが主要な目的であり、そういう意味では、私どもも、もちろんこの基本方針に反対するものでは全くありません。

 ただ、その中の一つ、私が環境委員会所属だから申し上げるわけではありませんが、地球温暖化対策という目的に対してはもう少し議論が十分ではないのかなという気がいたしておりますから、きょうはそういった視点を中心に質問させていただきたいと思います。

 その前に、ちょうど関係者の皆様がおそろいでありますから、原子力安全庁のことについて伺いたいと思います。

 先週の金曜日に細野担当大臣が発表されたということで、原子力行政の規制とそして監視を分離していくということ、これはそのとおりでしょう、適切なことだと思います。しかし、それをどこに設置するかということでいろいろ議論があると。報道によりますと、総理や細野大臣、江田大臣は環境省の外局がいいんじゃないか、そして枝野官房長官は、いや、内閣府の外局がいい、そういったことを言っておられる、そして海江田大臣は、もうまないたの上のコイだからお任せすると言っているというお話がありましたけれども、実際のところ、今週中には結論を出すと言われております。政府の方でどのようにお考えなのか、福山副長官、お願いいたします。

    〔田中委員長退席、山田委員長着席〕

福山内閣官房副長官 井上委員にお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、細野原発事故担当大臣を中心に検討を行いまして、八月の五日に試案が発表された次第でございます。現実には、今その試案に基づいて、党内も含めて御議論いただいているところでございますし、より安全で、国民の皆さんの信頼をいただくためにも、国民の皆さんにもいろいろな御議論をいただき、また野党の皆さんにも御議論いただければというふうに思っているところでございます。

井上(信)委員 私は、個人的にはこれは環境省の外局として設置すべきだというふうに思っております。

 二十一世紀は環境の世紀と言われ、この環境ということに関して、国民の関心というのは非常に高いです。世界的に大きな課題です。そういう意味では、十数年前の省庁再編の中でも、例外的に環境庁だけは環境省への単独の格上げといいますか、そういった再編もなされました。しかし、そういう中で、環境行政の中でいつまでたっても放射能汚染に関する問題だけは別だ、こういうことで本当に一体的な環境行政ができるのか、国民生活の環境を守ることができるのか、そういう思いであります。

 江田大臣も恐らく本音のところは一緒だと思いますけれども、例えば鳥取県で記者のインタビューに答えて、環境省は小さな役所だから、予算も人材も確保してからということでなければとてもできないと発言されたと伝えられております。これは、予算も人材も確保できれば環境省でやるよ、そういうことなのかなと私は思っていますけれども、やはりそれぐらいの意気込みで、しっかり、これは環境省の外局に置くべきだということを、江田環境大臣、ぜひ言っていただきたいと思います。

江田国務大臣 熱烈な応援をいただいて、ありがとうございます。

 原子力安全規制というのが今の体制ではいけない。これは、やはり推進と規制をしっかり分離して、そして規制行政というのは一元化をしなきゃいけない。しかも、この規制行政というのは、国民の安全、安心の確保というのが最も重要でありまして、こうした観点から、予算についても人員についてもしっかりしたものをつくらなきゃいけない。国民の期待にこたえられるよう、よく検討しなきゃいけないことだと思っております。

 その上で、環境省でございますが、今委員御指摘の放射性物質の関係ですけれども、これは、今の日本の法制の中で、原子力施設から環境に放出された放射性物質について、法規制がございません。あるいは法の空白と言わざるを得ないかもしれません。しかし、現実に今、福島第一原発から環境中に放射性物質が飛散をして、これによって廃棄物が汚染されたおそれがある事態が現に目の前にある。

 そこで、環境省は、これは手をこまねいているわけにいかない、こうしたおそれのある廃棄物についてはむしろ環境省が中心になって処理を進めていこうということで、きのうも代行法案を衆議院の委員会で可決させていただいたところでございます。ぜひそうした積極姿勢を持っているということを御理解いただき、また、環境省は、環境庁発足以来四十年が経過をいたしました。この間、環境省にもなり、国民の期待にこたえられる、それだけのたくましさを持った役所になってきていると自負をしております。

 何はともあれ、どこに置くかということは、これは内閣全体として議論して決着をつけなければいけないことでありまして、もし環境省ということになれば、その責任はしっかり果たしていきたいと思っております。

井上(信)委員 それは内閣全体の問題だとは思うんですけれども、環境大臣として、環境省として今どう思うのかと、私も熱烈な応援の質問をしたつもりなので、熱烈に明言をしてもらいたいと思っているんですが。

 それで、一つ、今おっしゃったことで、例の、環境規制のさまざまな法令の中で、放射能またはそれに汚染されているものを除くという適用除外の規定、これを見直すということは、先般、二日の日に東日本の復興特別委員会で私の質問に対して江田大臣も明言をされましたよね。ちゃんと法律を改正する、しかも閣法でこの適用除外を除くというようなことをおっしゃいました。

 ということを考えると、これを内閣府の外局に置きますと、この法令はそのままだと思うんですよね。やはり環境省の中に置くからこそ、この適用除外を削除して、法令を一体として環境省で所管するということになりますので、そういう意味では、二日の大臣の答弁とそごを来すことになると思います。そういった点も含めて、やはり環境省に置くべきだとぜひおっしゃっていただきたいと思います。

江田国務大臣 放射性物質あるいは放射性物質により汚染されたおそれのあるもの、これが環境中に存在していることを今の法は認識していないわけで、これはやはり改めなければならない。

 福島原発から飛散した放射性物質により汚染された廃棄物等について、これは議員の皆さん方でいろいろな議論を今進められているところだと思っておりまして、大変に熱い期待を持っておりますが、これをさらに超えて、福島原発以外にも、いかなる事態であろうが、放射性物質あるいはこれによって汚染されたものが環境中に出た場合の法規制というものはしっかりつくっていかなければいけない。これはもう先般申し上げたところでございます。

 その上で、今の熱烈な応援のエールにどうこたえるかですが、私は先ほど、新しい組織については国民の期待にこたえられるように検討しなければならないと言って、そして環境省は国民の期待にこたえられるたくましさを持ってきたとお答えしたところでございます。御理解いただきたいと思います。

井上(信)委員 国民の期待にこたえて環境省の外局に置く、そういう意図だというふうに勝手に理解をさせていただきたいと思います。

 続きまして、法案本体の話に入るんですけれども、これはもうさまざまな方が指摘をされておられますけれども、この法案、地震の前に閣議決定をされたということでありまして、東日本大震災を受けて、やはり中身を変えていくべきではないか、そのことを踏まえてやはり見直さなければいけないんじゃないかということがあると思うんですね。

 そして、その前に、そういうことを言えば、そもそも日本の、我が国の国策としてのエネルギー戦略であるとか、あるいは地球温暖化対策、これが東日本大震災の影響を受けて大きな前提条件が変わっているわけですから、そういう意味ではこれを変えるべきだ、これも当然の議論だと思うんです。そういう意味で、温対法の中に記しているCO2削減の二五%、当然のことながらこれは見直さなければ、いわばつじつまが合わないということになってしまうと思うんですね。

 ちょうどきのう、自公民の三党で、例のマニフェストの政策を見直す、こういった合意ができました。これは私はいいことだと思うんですね。やはり、民主党さんの方で、理想論を掲げるのは結構ですけれども、財源の問題等々、現実を考えなければ政策を実行することはできない、似たような話だと思いますよ。

 ですから、そういう意味では、このCO2の二五%削減、温対法を見直すということをぜひおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがですか。

江田国務大臣 二五%という話でございますが、一九九〇年比二五%削減というこの目標値は、これは、世界の多くの国が賛同している、地球の気温上昇を工業化前に比べて二度以内に抑える、こういう目標を達成するために気候変動に関する政府間パネルの科学的知見に基づいて設定をされた数字で、先進国は二五から四〇ということでございますが、日本は今までいろいろな努力をしておりますので、その二五から四〇のうちの二五というものを選び、これを国際公約としてはっきり申し上げたところのものでございます。

 その二五%というものを実現するために、さまざまな分野でどうするというのをずっと積み上げて、その中に原子力発電の部分というのは確かにあるのは事実ですが、これが今、ちょっと達成が難しいという状況になっているのは事実。しかし、これは、そういう事態の中で、国民の中に、再生可能エネルギーあるいは省エネルギーに対する取り組みについて機運は盛り上がってきているわけで、これをどうやって定着させていくかということが今重要な課題になっており、私は、まさに今回のこの法案のような施策によって、そうした再生可能エネルギーや省エネルギーというものに国民的な規模で取り組んでいけば、この二五%という部分にそれがしっかり入ってまいりますから、今この段階で二五%削減という目標をあきらめるのは妥当ではない、むしろ逆に、国際社会に、日本はこういう事態でもこうしたことをやるんですよということをしっかり示すことが今必要だと思っております。

 環境省として、この再生可能エネルギーの導入ポテンシャルというのをいろいろな場面で検討しましたが、例えば洋上の風力発電、これはかなり大きなものがあるんですが、現実には、採算性などを考えると、地上のものしかなかなか当てにならない。しかし、先ほどのお話でもありますとおり、洋上も相当可能性はあるということになりましたら、まだまだこれは、技術開発によって、あるいは国民の努力によって、再生可能エネルギーで今の二五%部分を埋めていく余地というのは相当あるので、私は、今、これはやはり私ども持ち続ける必要があると思っております。

井上(信)委員 これは、本当に現実的な政策、そして国際的な公約でもありますから、願望とか理想論では私は済まされないと思いますよ。まあ、みんなで一生懸命頑張って理想に向かって無駄遣いを省けば子ども手当も実現できる、それだけの財源を確保できるという話と一緒ですよ。それができないということがわかったわけですね、きのうも。ですから、私は、これも同じような話だと思う。

 数字については、時間が短いので余り申し上げるつもりはありませんが、ちょっと今気になったのは、環境省としても再生可能エネルギーのポテンシャルをいろいろ検討されているというふうに答弁をいただきました。

 そういう意味では、このCO2二五%も、昨年末に環境省でロードマップを出されて、その前提となるのがエネルギー基本計画なわけですよ。そして、エネルギー基本計画は、これはもう見直すということを政府が明言をされておられる。そして、エネルギー基本計画を見直せば、この再生可能エネルギー法案も、附則六条にあるとおり、少なくとも三年ごとに見直すということになっているわけですよね。ですから、エネルギー基本計画を前提としているこの再生可能エネルギー法案は見直すと。それであれば、同じように、少なくともエネルギー基本計画を見直せば前提条件が狂うわけですから、温対法、CO2二五%削減も見直す、それは論理の必然だと思うんですが、いかがですか。

江田国務大臣 今、民主党のマニフェストの関係についてのお話がございましたが、これはもちろん、野党の皆さんの理解もいただかないと今政策実現ができないという状況の中で、理解の得られないものについていろいろな議論を進めて、一定の結論にたどり着きつつあるというところだと思います。

 その上で、二五%削減ということについては、これはぜひ御理解をいただきたい。つまり、二五%削減、そのためのエネルギー基本計画、これが前提になっているのじゃなくて、二五%削減自体が前提になって、そこへどういうふうに積み上げていくかということが今課題なので、エネルギー基本計画については白紙から見直して、先日、エネルギー・環境会議におきまして、一定の方向をみんなで議論の上で決定したところでございます。その中では、原子力発電に対する依存度も次第に下げていく、これもしっかりと書き込んでいるわけでありまして、そのためのいろいろな施策もまた書いているわけです。

 私は、そうしたことで、エネルギー基本計画が白紙になったから、だから前提が崩れたのじゃなくて、二五%削減というものが前提なんだ、論理的にはそういう構造になっていると理解をしております。

井上(信)委員 もう繰り返しませんが、それはやはり、子ども手当はまずは月二万六千円払わなければいけない、そのためには無駄を省けば財源は後からついてくるという話と一緒だと思うんですね。ですから、ここは本当によくお考えをいただきたいと思います。

 それから、続いて海江田大臣に伺いたいと思います。

 これも昨年末、地球温暖化問題に関する閣僚委員会が発表した「地球温暖化対策の主要三施策について」、そういったものがあります。その中では、再生可能エネルギーについて、「電力多消費産業をはじめとする産業の国際競争力に影響があり得ることにかんがみ、負担と導入の動向を見極めつつ本制度全体の負担総額を軽減・限定するような制度設計を工夫する。」というふうに明記されております。

 電力多消費産業への配慮として、一体どんな工夫をされておられるんですか。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 確かに、委員御指摘のように、昨年末の閣僚委員会で「負担と導入の動向を見極めつつ本制度全体の負担総額を軽減・限定するような制度設計を工夫する。」ということを書いてございますが、私どもとしましては、やはり、再生可能エネルギーの導入に向けたインセンティブと、それからもう一つは国民負担の水準、このバランスを考えなければいけないということで、そこで、買い取り価格などにつきましても適宜見直しをするということを考えております。具体的には、毎年の、正確に言いますと毎年度ですね、毎年度の買い取り価格の見直しに加え、少なくとも三年ごとに制度を見直すとともに、二〇二〇年度にはとりあえず一度廃止をするという、制度全体にわたる見直しと申しますか、そういうものを書いているわけでございます。

井上(信)委員 制度全体の見直しなり配慮というのは、それはわかっているんです。そうではなくて、この閣僚委員会の決定では、電力多消費産業に対して影響があり得るから工夫をするというふうに書いてあるんですよ。ですから、例えば電力多消費産業に対するサーチャージの軽減措置であるとか、まさにそういった負担を強いられる産業に対して何か工夫をしないといけないということだと思います。いかがですか。

海江田国務大臣 先ほどのをもう一度申し上げますと、「制度全体の負担総額を軽減・限定するような制度設計を工夫する。」ということが正確な閣僚委員会の決定でございますので、どういう形になれば負担総額を抑えることができるかということで、今もお話をしましたけれども、毎年の買い取り価格の見直し、それから三年ごとに制度を見直す。これはやはり、制度がだんだん動き出してまいりますと当然コストも減少してこようかと思いますから、そして、コストが減少したとき、それを買い取り価格に反映させるということも大切な機能でございますので、そうした機能を織り込んでいるということでございます。

井上(信)委員 この閣僚委員会のペーパーの読み方が私と大臣とでちょっと違う、そういうことなんですかね。私はもう、電力多消費産業への影響をかんがみるんだというのが大前提というような気がいたしますけれどもね。これは、与野党協議などもあるでしょうから、そういう意味では、むしろ協議に当たられている先生方にもぜひお考えいただきたいと思います。

 時間がありませんので、最後の質問は環境アセスについてであります。

 再生可能エネルギー、確かにある意味、環境にいい、自然にいい、そういうエネルギーですよね。しかし、そういった環境にいいエネルギーを導入することによって、いわばもっとミクロの、その設置している周辺の地域の環境がおかしくなるというのでは、これは本末転倒ですよね。そういう意味では、この再生可能エネルギーについても、やはりなるべく多く環境アセスの枠をかけて手続を行うべきだと私は思うんですね。

 しかし、現在では、地熱あるいは水力、こういったものはアセスの対象事業になっておりますけれども、それがほかのものはなっておりません。風力については、けさの新聞にも出ておりましたが、ここでようやく慌てて十月一日から対象にするように政令改正をしようとしているということが出ていましたけれども、これはもう遅過ぎると言わざるを得ませんよ。

 あるいは、太陽光などもありますよね。これからメガソーラーなどをどんどん導入するということであれば、当然のことながら、例えば周辺の生態系であるとかあるいは景観だとか、こういったことについて大きな影響を与える可能性があると思います。

 ですから、こういったことに関して、環境アセスの対象としていくんだということをお考えかどうか、環境大臣、お答え願います。

江田国務大臣 環境影響評価法、これは、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象としているものであることは御承知のとおりで、風力発電事業については、今御指摘ございましたが、騒音とか低周波音、それから鳥がぶつかるというバードストライク、あるいは景観等への影響が報告されております。このために、風力発電を法に基づく対象事業に追加をしてはどうかということで、現在、政令改正に向けてのパブリックコメントの手続を実施しているところで、これは、パブリックコメントの結果をもちろん参考にしながら進めてまいりたいと思っております。

 法に基づく透明性の高い環境影響評価を実施することによって、適切に環境影響の回避や低減が図られ、さらに住民の理解、受容が一層進むため、環境と調和した形での風力発電の健全な立地が促進されるものと思っております。

 太陽光、メガソーラーでございますが、これについては、今、現時点で、私ども、著しい環境影響があるというふうには承知をしておりません。これについては、今のところ、そういう検討の予定はございません。

 以上です。

井上(信)委員 ぜひこれは早急に検討していただきたいと思います。

 メガソーラーは、本当に、休耕田の何割かをメガソーラーにするとか山手線の内側全部だとか、そんな話も出ているわけですから、私は、再生可能エネルギーを普及させるためにも、むしろ、アセスの網をかけて、影響がないんだということをちゃんと証明していった方がいいと思うんです。

 ですから、ちょっと最後にメガソーラーについてもう一度だけ、どういう方向性で臨むかを御答弁ください。

江田国務大臣 委員御指摘のとおり、環境影響評価、アセスというのは、これは何も、これをやろうとする者にブレーキをかけるということではなくて、むしろこれをやることによって、環境についてはこういう負荷がありますとかありませんとか、あるいは、こういう負荷があるからここはこの程度にしておくとかこういう手だてがあるとか、そういうことをはっきりさせて、透明度の高い運営によって、国民あるいは住民の理解や受容を促進するというためにもやらなきゃいけないものだと思っておって、その点は同じ思いでございます。

 ただ、メガソーラーについては今のところ、私も、これは太陽光を遮るわけですから、その下はペンペン草も生えないというようなことになるかと思ったら、どうもそうでもなく、草も生えるし虫もいるしというようなことで、環境アセスメントをかけるというような負担を強いる、これは一応負担にはなりますから、そういう負担を強いるほどに環境影響があるというような認識は私ども今持っていないということでありますが、委員の御指摘でございますから、しっかり考えてみたいと思います。

井上(信)委員 どうもありがとうございました。

山田委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 農林水産委員会に属しておりまして、きょうは、経済産業、環境委員会と合同で、再生可能エネルギーの買い取り法案の質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 限られた時間でございますので、まず経産大臣にお尋ねします。

 何度かやりとりがあったかと思います。買い取り価格と期間、これは大変大きなポイント、一番大事なポイントと言ってもいいかと思います。なぜ経済産業大臣の告示のみでするのか。これは常識的に考えても、これから修正協議で我が党も強く主張するかと思いますけれども、まだ固まっておりませんので。なぜですか。なぜ経済産業大臣の権限だけでやろうとする考え方なのかということからお尋ねしたいと思います。

海江田国務大臣 谷委員にお答えをいたします。

 過去にもお答えをしたかと思いますが、もちろん、経産大臣が決めるという場合でも、最大限の透明性は維持をするということでございます。

 今の谷委員の御質問を聞いておりまして、法文の上に買い取り価格あるいは買い取り期間を明示するとどういう不都合が起きるのかということを私なりに考えてみました。

 これは先ほどの井上委員にもお答えをしたことでございますが、やはり、特に買い取り価格などは毎年変えていく必要があるだろう。当面まず、国民に広く、できるだけ浅く負担をいただいて、この制度を定着させるということが大切でございますが、その定着をしていく過程で、コストなども下がって、この買い取り価格などにも変化が生じてくるだろうと思いますので、毎年度と申しますか、あるいは三年には必ずと申しますか、そういう形で変わっていくわけでございますから、そういう変わっていく価格なり買い取り期間というものを法律で定めるのはいかがなものかと思っていることも事実でございます。

谷委員 今の大臣の考え方は、一つの考え方なんです。ただ、やり方は、それは工夫がありますので、私がなぜ経済産業大臣の告示だけですかと聞いて、大臣は、いやいや、法律で書くとと言われましたけれども、やり方はいろいろあります、そこは知恵の出しどころだと思いますので、御指摘だけさせていただきます。

 さて、全量買い取り制度導入ということで、さまざまなエネルギーの安定供給あるいは経済効果ということが主に議論されているかと思います。それはそれで大変大切なことだということは私も否定するわけではありませんけれども、あわせて地域活性化、この自然エネルギー、いわば再生可能エネルギーというのは、どちらかというと地方の方に、農山村の方に多いわけでありますから、それを活用した農山漁村の活性化、そういった観点も大変大切ではないかと私は思います。

 農林水産大臣の鹿野大臣にも来ていただいています。御見解をお尋ねします。

鹿野国務大臣 今、谷先生からおっしゃられた、再生可能エネルギーを活用していくということはまさしく地域の農山村の活性化に結びつく、こういう視点が非常に大事だというふうなとらえ方は、私どもも共通の認識を持っております。

 とりわけ、農山漁村には、太陽光なり、あるいは風力なり地熱なりバイオマスなり小水力といった、まだ利用されていない資源が豊富に存在するわけでありまして、この資源を活用して再生可能エネルギーというふうなことの中で、分散型のエネルギーシステムというものがそこに定着するようになってくれば、当然そこには新たな雇用が生まれ、そこに住む人たちの所得もふえる。

 こういうふうなことでありますから、今、谷先生のおっしゃられた、地域の活性化というふうな視点からとらえていくことが大変重要だというふうなことを踏まえて、私ども、今後取り組んでいきたいと思っております。

谷委員 ありがとうございました。

 総論では一致するんです、大臣。では、そういう考え方が、今回の買い取り法案のどこにあらわれているかということであります。よくわからない。ほとんどあらわれていないと言っていいのではないかと思います。

 海江田大臣、買い取り価格は、太陽光を除いて、一律十五円から二十円。期間も一律。いろいろほかの、震災復興の委員会もありましたので、十分調べていないんですけれども、例えば、調べた範囲では、ドイツの場合であれば、農業、林業によって設立されたものは単価を上げるというようなやり方で取り組んでいる例があるやに聞いておりますし、条件不利地域の買い取り価格あるいは買い取り期間、そういったものも、先ほどの鹿野大臣の答弁の趣旨からすると、もう少し目配りをして当然ではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

海江田国務大臣 これも随分議論がございました。エネルギー源によってコストがそれぞれ違っているわけでございまして、あるいは地域によってもコストは異なってこようかと思います。ですから、その意味では、コストが違うんだから、買い取り価格も当然違ってしかるべきではないだろうかという御意見もあるというふうに私は承知をしております。

 ただ、片一方で、今度の場合、買い取り価格がございます。それから、消費者の皆様方と申し上げますか国民の皆様方と申し上げますか、これはサーチャージという形で負担をお願いしなければいけないということになりまして、このサーチャージ、国民の皆様方の負担をできるだけ抑えたい。

 とにかく、こういう新しい制度が始まって、その負担を国民の皆様がひとしく分け合っていただいて、これは決して甘いお菓子ではありません、若干苦い薬ではありますけれども、そこをまず飲んでいただいて、本当に再生可能なエネルギーをふやしていこうという大きな考え方がございますので、そこへ入っていく最初の一歩としましては、できるだけ負担を少なくする、全国一律にするという判断を私どもとしてはしたわけでございます。

谷委員 大臣の言われることもわからないではないですけれども、納得はしていません。

 議論をした、経済産業委員会の議論だけでは不十分だから、こういう合同の委員会を開いているわけです。農林水産の観点からも、あるいは環境面の観点からも、本当にこれでいいのかなということから、もっと別の視点からの議論ということで今問題を提起しているわけです。ですから、私は、今の大臣の答弁にはもう一つ納得できないところがあります。

 つまり、この目的は、経済的なこと、コストも大事です、大事ですけれども、地方の、あるいは地域の、全国の農山村地域の十年後、二十年後のあり方を考えるならば、しっかりと、持っている地域資源を最大限に活用するような施策を打つ必要があるのではないですか。再生可能エネルギー買い取り法案のこの時点で、そういう将来像もにらんだ手当てをすべきではないかと私は思っているわけです。ですから、その辺の目配りももう少しお願いしたいと思います。

 具体的にお尋ねします。

 今回の法案は、既存施設は対象としないという考え方であります。しかし、海江田大臣、バイオなどは少し違うのではないですか。新たな再生可能エネルギーを創出するわけではないから既存施設はだめだということでありますけれども、私が調べた限り、ことしの二月十八日に公表された経済産業省の買取制度小委員会報告でも、基本的には新設された施設を対象とするけれども、バイオマスの発電施設については、単に発電施設が新設か既設かということで判断することが適当でない場合があることに留意すべきである、こういう報告も出されているかと思います。

 つまり、新たにバイオマスを燃料とすることによって今までの稼働率を上げて、さらなる再生可能エネルギーの利用の促進が図られるということはバイオマスの既存施設でもあるのではないか、そう思いますが、御所見をお尋ねします。

中山大臣政務官 先ほどより論議がございまして、地域の活性化にバイオマスは活用できないかというようなお話もございました。これをあわせて考えますと、例えば、間伐をした業者は当然バイオマスの発電業者に売るわけでございますから、そういうところの利益は上がってくるのではないか。

 これは、バイオマスだけは原料が必要なんですね。ほかの再生可能エネルギーは、風であるとか太陽光であるとか……。ただ、バイオマスは、セルロースになる木材でありますとか紙でありますとか、過去に使ったものをエタノールにできる可能性もあるわけで、原料があるわけでございまして、その時点で利益を生むという新しい技術も可能なのではないかと思っております。

 同時に、先生の言うように、水力なんかも、実は、日本のポテンシャルからいいますと、この間有馬東大名誉教授が、水力はやはり日本の一番のポテンシャルだよと言っているんですね。ですから、これによって、電気事業者等がやる場合にはそこで大きな事業収益が上がってくるわけでございまして、その辺も含めて、これは三年ごとに価格等は見直しながら慎重に考えていく必要がある。

 ただ、地域活性化のためにはいろいろな手だてがあることは事実でございまして、この買い取り価格だけですべて地域活性化の発展につながるとは限りませんから、いろいろな施策が必要だと思います。

谷委員 中山政務官の発言は、何かよくわかりません。私が聞いていることに答えていないですよ。地域活性化の話はその前にしたでしょう。その答弁を求めたのではなくて、バイオマスは既存施設についてもほかの自然エネルギーと違って対象とすべきではないですかと。そのことは、何も私個人の意見だけじゃなくて、ほかならぬ経済産業省の買取制度小委員会報告でもそういうことを言っているんじゃないですかと。そのことを言っているわけです。

 地域活性化の手段はほかにもあります、そんなことはわかっていますよ、言われなくても。政務官より私の方が詳しいかわからない。

 私が言っているのは、活性化のためにこの制度をどんどん使うべきだということが一つと、バイオマスの既存施設について、これは既存施設は一律にだめだというんじゃなくて、バイオマス燃料の特性を考えてくださいよということを具体的に言っているわけです。

 その答弁をもう一度お願いします。

中山大臣政務官 間伐材なんかを使って既存の発電所でやる場合には、それは当然、既存の設備に対して、先ほど言ったように買い取り価格制度も考えるということでございます。ですから、既存の施設であっても、当然、燃料にバイオマスを使っていただければ、これは買い取り価格の反映ができるということでございます。(発言する者あり)

山田委員長 資源エネルギー庁安井部長、補足して説明ください。

安井政府参考人 若干の補足をさせていただきます。

 今委員がおっしゃいました報告書に書いてございます、まさに太陽光とか風力は専用施設になるわけでございますけれども、バイオの燃料の場合は、例えば既存のごみ発電所とか、あるいは火力発電所でも構わないんですけれども、施設自身は既存であっても、これに新たにバイオ燃料を燃していただく、こういうふうにすれば、これは、施設は既存ですけれども、この買い取り制度で新たに扱うことを認めるべきではないか、こういう視点がございます。

 まさに、施設の新旧ではなくて、新たにバイオ燃料を用いて発電量をふやしたものであれば、それは、施設自身は既存のものであってもこの制度の対象とすべきではないか、こういう御趣旨の御提言でございまして、私どももその方向で対応したいというふうに考えてございます。

谷委員 では、再度お尋ねします。

 バイオについては、既存施設であっても、新たにバイオを使う場合は今回の買い取り法案の対象となる、そういう理解でよろしいですか。これは政府参考人じゃなくて、大臣の方に明確にお願いします。

海江田国務大臣 既存施設で既存の燃料を使ってやっていただく場合は、これは既存の制度でやっていただきませんと、当然のことながら、そうした事業を行うに当たっての採算性の観点などもあるわけですから、それでやっていただく。既存の施設を使うけれども、新たな燃料、とりわけバイオマスのようなものを新たに導入してやるものは、新たな発電の量については新たなカウントにする、こういうことでございます。

谷委員 ありがとうございました。その点は明確になったかと思います。既存施設であっても、新たなバイオ燃料を使うときは買い取りの対象になる、そういうことかと思います。

 それに関連して、対象のバイオマスなんですけれども、これは、国産材だけではなくて外材でも全く同じ扱いだというふうに聞いております。

 農林水産大臣、木材の自給率向上のためにも、外材を排除するということになればWTOの問題もあるかと思いますけれども、少なくとも国産材を優先的に使えるような何らかの仕組みということが必要かと思いますけれども、御見解をお尋ねします。

鹿野国務大臣 今、谷先生からの御趣旨は、まさしく国内産の木質バイオマス活用のメリットや国外産の輸送の際のCO2排出等のデメリットというものを考慮いたしますと、これは、できるだけバイオマスの地産地消を推進することが望ましいということになるわけでございます。

 そういう意味で、この買い取り制度の導入に当たっては、このような観点に十分配慮をしながら、木質バイオマス活用に対するいろいろな取り組みの中で関係事業者に対して働きかけをしていかなきゃならないんじゃないかな、こんなふうに考えているところでございます。

谷委員 さて、農林水産大臣もそういう御答弁でしたが、権限を持っておられる海江田大臣にお尋ねします。

 国産材を優先的に使えるような仕組みの導入について、今、農林水産大臣は大変前向きな、意欲的な答弁があったわけでございますけれども、御見解をお尋ねします。

海江田国務大臣 今、農水大臣からそういう見解が述べられましたので、それをしっかりと受けとめたいと思っております。どういう仕組みができるのかということは、こちらで検討させていただきたいと思います。

谷委員 これも、先ほどの二月十八日に公表された経済産業省の買取制度小委員会報告に、結論は出ておりませんけれども、やや専門的ですけれども、LCA、ライフサイクルアセスメントの観点も導入するということで、事実上、国産材を優先的に購入できるような仕組みの提言というか、考え方も出ているところでございますので、ぜひ、大臣におかれましては、そういう観点も加味していただいて制度設計をお願いしたいと思います。

 それでは、次に補助金のことでお尋ねしたいと思います。

 現在、農林水産省におきましては、小水力、あるいはバイオについても導入の補助金というのがあります。例えば小水力であれば、小水力等農業水利施設利活用促進事業でこういう補助金があるわけでありますけれども、これは、仮に新たな買い取りの仕組みができると補助金がなくなるということは、鹿野大臣、ないんでしょうね。そこをお尋ねします。

鹿野国務大臣 再生可能エネルギーをこれから推進していく場合におきまして、この買い取り制度が導入された場合に補助金はどうなるかということでありますけれども、過般の食と農林漁業の再生実現会議におきます中間提言、あるいはエネルギー・環境会議の中間整理等にも、まさしくこの再生可能エネルギー等の取り組みということについて具体的な形でも盛り込まれておるわけでありますので、今後、農林水産省といたしましては、農林水産業の振興と農山漁村の活性化とこの再生可能エネルギーの推進を一体的に取り組んでいく、こういうふうな考え方に立って取り組んでいきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

谷委員 大臣、くどいようですけれども、再生可能エネルギー買い取りの仕組みができたとしても、農林水産省としては、小水力、あるいはバイオマスの普及のためにインセンティブを与える補助金は引き続きしっかりと守っていく、そういうふうに受けとめてよろしいですか。

鹿野国務大臣 一体的に取り組んでいくということは、必要というふうなことで、ならば、当然のことながらそのような政策を引き続いてやっていく、こういうことでございます。

谷委員 海江田大臣に確認をさせていただきます。

 経済産業省の方は、この再生可能エネルギー買い取り法案が成立して導入されたならば、経済産業省所管の導入のための今までの補助金はもうなくすという考え方のようでありますけれども、ほかの省庁がそれぞれ、例えば農林水産省であれば、農山漁村の活性化とかそういう目的のために補助金なり交付金なり、そういったものは、特に経済産業省としてはそれについてコメントをしない、そういうことでよろしいですか。確認をさせていただきます。

海江田国務大臣 私どもは、再生可能エネルギーの買い取り制度が本当にしっかりと国民の間に行き渡って、自然エネルギーがふえていくということを何よりも望むものでありますので、経産省では、今、谷委員からお話がありましたような方向でございますが、とにかく国全体としてそういう形で後押しをしていくということで他の省庁がやっていただけることは、私はとやかく言うものではありません。

谷委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、これで終えさせていただきますけれども、特にバイオ発電といいますのは、太陽光とか風力などと違いまして、施設整備が終わると雇用効果がほとんどないというものではありません、バイオ発電は。うまくいけば相当の雇用も創出できる。そして、地域の永続的な雇用が確保できて、活性化にも資するというものでございますので、しっかりとめり張りをつけた、また、購入を、そういう制度設計をぜひしていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔山田委員長退席、小沢委員長着席〕

小沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、この経産委員会において連合審査ということで質問に立たせていただきますが、再生可能エネルギーの全量買い取り制度を創設するこの法律案についてでございます。

 まず最初に、この再生可能エネルギーについての私どもの基本的な考え方を述べさせていただきます。

 公明党は、これまで過渡的なエネルギーとして原子力発電を容認してまいりました。しかし、今回の東京電力福島第一原発の事故によって、原子力への依存を徐々に減らしていかなければならないと考えております。そして、電力の安定供給をしっかりと確保しながらこれを達成していく、これが大変重要と思っております。そのためには、省エネルギーと再生可能エネルギーの拡大に最大限の努力をしていく、そういう考えでございます。

 この再生可能エネルギーについては、もう皆さん御承知のとおりでありますけれども、その名のとおり枯渇せず、そして、国産であり、燃料費がかからないという特徴から、我が国のエネルギー安全保障にふさわしいエネルギーである。さらには、再生可能エネルギーは、エネルギー利用時点でCO2を発生せず、低炭素社会にふさわしいエネルギー源とも言えます。

 さらに、この再生可能エネルギーの拡大についてでありますが、これは日本経済の発展に大きく貢献していくものと考えます。その世界市場は、現在は二十二兆円、そして、今後二百兆円にも達すると言われておるわけでありますけれども、日本経済への大きなポテンシャルを秘めた分野でございます。

 こういう再生可能エネルギーでございますけれども、しかし、実際は、社会的制約が大きくいろいろございまして、現段階では再生可能エネルギーが市場競争力を持つには至っていない、それは皆さんも御承知のとおりであります。発電単価がほかの電源と比べて高い、また、商業的に大規模に利用されていないという点にあります。

 しかし、地球温暖化等を考慮すれば、比較的短期間のうちに再生可能エネルギー設備を普及する必要があるわけでありまして、そのために再生可能エネルギーに短期間で競争力を獲得させる、そういう政策が必要となってきているわけであります。それこそが全量固定価格買い取り制度であり、それを具体化する本法案の必要性については、我々公明党も認識を共有するものでございます。

 具体的な質問をさせていただきたいと思います。

 今申し上げましたように、大変期待は大きいわけでありますけれども、この制度を設計、運用する上での課題も幾つかあることは確かでございます。大きな論点の一つは、法案第十六条に規定する賦課金、いわゆるサーチャージによって需要家に負担をお願いする制度であるということであります。

 経産省の試算では、制度導入後十年で、これは標準的な家庭ですか、月当たり百五十円から二百円程度とされています。他方、化石燃料の高騰によっても、やはり燃料サーチャージとして電気料金が上乗せされていくこともしかりでありまして、ここ数年の燃料高騰によって、標準的な家庭において月当たり幾ら値上がりをしているのか、お聞きいたします。

 また、IEAがエネルギーアウトルック二〇一〇において化石燃料の高騰を予測しております。その予測価格を踏まえて、同じく標準的な家庭で月当たり幾ら値上がりしていくのか、試算でいいのでお示しをいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御質問になりました、標準家庭における、この数年、手元の資料では過去五年ぐらいを見てまいりましたけれども、東京における標準家庭の場合、この五年間におきまして、約九百円、燃料費の上昇に伴う電力料金の値上げがございました。

 それから、二つ目に御指摘になりました、IEAの今後の燃料費の上昇でございます。これは燃料構成比等、いろいろ複雑な要素はございますけれども、そういったものを同じものということで前提を置きまして計算をいたしますと、一般家庭におきまして、現時点に比べて、二〇二〇年段階で約六百円の増加になります。

江田(康)委員 もう一つお聞きいたしますが、電力多消費産業への配慮がこれまた必要だと私もずっと思っておりますけれども、電炉業とかセメント業とか化学工業などについて、先ほどの家庭の場合と同じく、ここ数年の燃料高騰によってどれだけの月当たりの負担がふえているのか、これもお聞かせいただきたい。また、十年後を想定した本制度によるサーチャージ負担と、化石燃料の高騰を踏まえた燃料サーチャージ負担について、それぞれの試算でいいのでお示しをいただきたいと思います。

細野政府参考人 重ねて御答弁申し上げます。

 電力多消費産業、今幾つか例を挙げていただきましたけれども、契約電力が業種、あるいは事業者によってもさまざまでございますので、一律に試算をすることはなかなか困難でございますが、先ほどと同様に過去五年間、いわゆる燃料費の調整額というものでキロワットアワー当たりの単価の推移はフォローできますので、これで御説明を申し上げたいと思いますが、過去五年間でキロワットアワー当たり約三円値上がっております。

 したがいまして、多消費産業、多消費型の事業者という定義にもよるわけでございますが、例えば、今、節電ということで電気事業法二十七条の義務をかけてお願いをしておりますが、その対象になりますいわゆる大口事業者、大口需要家ということで、単純にそれの平均値をとりますと、約八十万キロワットアワーでございますので、したがって、月額の負担でいいますと二百四十万円。もちろん、多消費というのはその平均よりももっと高いわけでございまして、仮にこれの五倍だとすれば、月額で約一千万円の負担増になります。

 それから、IEAに基づきます今後の増加でございますが、先ほどと同様の燃料の、特に原油の価格の見通しをベースにいたしました費用の増加を申し上げますと、先ほどの大口需要家の平均で月額で約百六十万円、これも先ほどのように五倍だとすれば、約八百万円でございます。

 それから、サーチャージのことについても言及がございました。これにつきましては、大規模事業者につきましては、先ほどのように、大口需要家平均で月額約四十万円、これは二〇二〇年段階でございますが、その五倍であれば、約二百万円の増加というふうに計算ができます。

江田(康)委員 今、細かい数字を、試算ではありますけれども、聞かせていただきました。

 今ありますように、原発の事故によって、いっとき本当に化石燃料による代替等々がございます、その燃料高騰は、先ほどおっしゃいましたように、二〇二〇年でも、一般家庭においては月六百円、それから、産業界、電力多消費産業は、一律には言えないということではありますけれども、月に五百万から一千万円というようなところが出ているということであります。

 こういう状況を見ると、やはり燃料高騰によってこの価格が高騰していく、その負担というものが現実的に予測されるわけでありますけれども、再生可能エネルギーをふやしていく、また、いかなければならないと思いますが、化石燃料の高騰によるコスト高をある程度相殺できることになってくるのではないか。そういうところまで含めて、私は、再生可能エネルギーを日本のこれからのエネルギーの基幹というものに、これは長い年月がかかるかと思いますけれども、していかなければならないと思うわけでございます。

 ただし、この制度には問題があります。それは、短期的には、特に低所得者とか経営基盤が相対的に弱い中小企業にもひとしく負担がかかることでございます。この点についての配慮をどうするのか。

 これが争点の一つではありますけれども、低所得者、そしてまた中小企業の割合が高くて電力を多く消費する業種に対して、限定的に一部の需要家にサーチャージの減免を行うという考えがあるかと思います。これについてどのように経済産業省の中において踏まえられたのか。そして、もしそれが難しいという判断であるならば、この負担軽減のための財政支援等について、例えばエネルギー特会を活用することを法律上明記していくことでこれらの負担の軽減に資することはできないのか。そこについて、どこまで掘り下げておられるのかをお聞きしたいと思います。

中山大臣政務官 先ほど来ちょっと大臣からもお話がありまして、総額をできる限り上げないようにするということが一つと、省エネは、本当に、乾いたタオルほど絞っているのに、もうこれ以上省エネできないよとは言っておりますが、できるだけそういうところに補助金を使っていこうということで、四百億円ぐらいそれを充てております。

 ですから、我々も、本当に、今、省エネのハイブリッドな機械を導入するとか新たな考えを持っているところには助成をしていきたい。特に、先ほど言いました業界には、しっかりとした補助金を出しながら、私たちも援助していきたいと思っております。

江田(康)委員 以前より聞いていることでもありますけれども、やはりこういうようなエネルギー特別会計を活用して、この初期投資、また、こういう負担の軽減をどう実現していくことができるか、制度を導入する上においては、政治判断上、大変重要だと思いますので、ここをもっと明確にしていただきたいと思うんです。補助金もそれぐらいではないのではないかと私も思います。

 次の質問をさせていただきますけれども、地域の送配電網についてでございます。

 電力料金による負担をこうやって議論していくのであれば、そもそも、地域の送配電網を、系統ですけれども、これを独占的に所有し、総括原価方式によって認可価格が認められている発電事業もあわせ持つ、一般電気事業者による地域独占の高コスト構造というのも見直していくべきではないかと本質的に思われます。

 こうした議論は、安定供給を阻害するという意見もございますけれども、例えばでございますけれども、送配電に加え、セーフティーネットのための発電能力を備える送配電事業体を公営的なものにし、そのほかの発電事業を過当競争による供給不安に配慮しつつ自由化する、こういうような一つの方策もこの安定策としてはあるのではないか。

 これはすぐに実現できる課題ではありません。しかし、こうした電力供給の本質をついた、正面からの議論というのもしていかなければ、環境整備は整ってこないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 私どもは、発送電の分離も含めまして、その意味では聖域なき議論をやっていこうと思っております。その議論の場としましては、エネルギー・環境会議というものがつくられましたので、ここの場所が適当かなというふうに思っておりますが、もちろん、エネルギー・環境会議に臨むに当たって、経産省の中でもこれは積極的に議論をしていこうと思っております。

 特に、経産省としましては、もちろん御家庭の負担増というのも大いに気にかけているところでありますが、同時に、日本の国内に企業がしっかりと残って、しかも、その企業が国際的な競争力を持つということからも、やはり電力の安定供給と価格をできるだけ安くするということは大変大事な要素でございますので、そういう観点からも、経産省の中でもしっかりと議論をしたいと考えております。

江田(康)委員 あわせて、経済産業省は、住宅用の太陽光以外は、この法案ではすべて一律の買い取り価格、買い取り期間で運用するとしております。しかし、先ほどからの議論もあるように、安定供給のための電源の多様化、また、地域特性に応じた再生可能エネルギーによる地域振興といった観点からは、エネルギーの種別、規模別、そういう電源ごとに導入が促進されるような価格設定や期間の設定をきめ細かに行う必要があると思うんです。

 今回の法案では、我が国に初めて全量買い取り制度が導入されることになるかもしれませんけれども、しかし、その変化はやはり激しいものがあると思います。見直しも含めて、その考えをお聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 今、江田委員の口からおっしゃっていただきましたけれども、今回、買い取り価格自体を毎年見直していくということでございますので、そうした中で、やはりこれは本当にやってみなければわからない部分もあります。

 それから、今およそ二十円ぐらいでということでお話をさせていただいておりますが、この二十円ぐらいというものは、片一方で国民の負担を考えるとそのくらいかなというふうに思いますが、これによって早期に発電が進むところと、そうでないところも恐らく出てこようかと思います。それからまた、そうした一つの価格の目安ができまして、そこへ向かってそれぞれの事業者がコスト削減して一生懸命やるところも出てきます。そういう状況を見ながら、また新たな買い取り価格というものも決めていけばよろしいかと思います。

江田(康)委員 ぜひこれからの状況をしっかりと把握していきながら、これは早い段階での見直しも必要であると私は思っております。

 再生可能エネルギーの導入促進のためには、電気事業者による買い取り義務とあわせまして、系統に対する接続の申し出にも応ずる義務、いわゆる接続義務も非常に大事な環境整備であると思っております。

 法案第五条一項には接続義務が規定されておりますけれども、接続を拒否できる理由として、第二号に、「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」が規定されております。

 先ほども議論しましたとおり、買い取りを義務づけられる一般電気事業者にとっては、再生可能エネルギーの発電事業者はいわば競争相手になってくるわけでありますけれども、みずからが独占的に所有する系統が不安定になるからという理由で拒否できる可能性を残すのであれば、結局は、一般電気事業者の恣意によって接続が制限されるおそれがぬぐえないと思うわけです。この法第五条第一項第二号については必要ないのではないかという考えを持ちますけれども、いかがでしょうか。

中山大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 今の、拒否できる条件というのは先ほど言ったとおりなのでございますが、虚偽の申請をしたり、または、電力の場合は安定供給、特にアンペアが上下しては非常に困るわけでございまして、この辺もこれからの論議の対象になるというふうに思っております。

 委員の皆さんも、この間外国へ視察に行きましていろいろな事例をお聞きになったようで、私たちも漏れ承っております。確かに、私たちもそういう面でのこれからの論議が必要だというふうに思っておりまして、皆さんもいろいろな御論議があるかと思いますので、今の、拒否できるというものを削除するところはどうかと今考えてはおりますが、論議の対象にはなるというふうに思っております。

江田(康)委員 法案には、「経済産業省令で定める正当な理由があるとき。」には接続が拒否できるとの規定があるわけでありまして、そういう意味では、特別にこの規定を置く理由を確認したわけでございます。検討していただきたい。

 次ですが、再生可能エネルギーの接続義務を有効に機能させるためには、再生可能エネルギーを大量に受け入れるための送配電網の、系統の強化が非常に大事だと思っております。この買い取り制度による買い取りの義務化と同時に、環境整備の中でも系統の強化が、再生可能エネルギー、分散型エネルギーにとっては、普及のために最も重要なところだと思います。

 具体的には、地域独占をお互いに侵さないという観点からこれまで細い連系線しかなかったわけでありまして、この地域間連系を抜本的に強化するということが大事だと思います。

 そしてまた、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは高いけれども需要は少ない、例えば北海道とか東北、そして私の九州とか、そういう地方と、導入ポテンシャルは低いけれども電力需要は大きい関東と関西、こういう地域を一体的に運用し、日本全体で再生可能エネルギーの需給をマッチさせる、こういうことができるようにならなくてはならないし、さらには、気候など自然条件に影響されやすいのが再生可能エネルギーでもありますけれども、この変動をなくすためにも、これからは蓄電池の大量整備、蓄電技術というのが大変重要になってくると思われます。

 こういうような買い取り価格とか買い取り期間の適切な設定と相まって、再生可能エネルギーの導入が飛躍的に進んでいって、さらには、今回の震災で明らかになった電力融通や蓄電の必要性にもこたえる、災害に強い電力需給構造が構築できる、そのように私は日ごろより考えておるところでございます。

 そして、これに加えて、高圧直流大容量幹線を敷設していってはどうか。これは将来的なところでありますけれども、これを全国で結んでいくことによって、全体で再生可能エネルギーの需給がマッチできる、こういうことにもなってくるかと思っております。

 発送電分離と同じように、これはすぐにできるような課題ではありませんけれども、エネルギー政策を白紙から議論するというのであれば、こうした大変重要なことを視野に入れた議論を、着実に前に進めていくべきと考えますけれども、こうした系統安定化、強化に対する大臣の見解を伺っておきます。

海江田国務大臣 江田委員の御指摘のとおりでございまして、今回の大震災でも融通の問題で大変大きなネックがございまして、ああいう計画停電などということにもなったわけでございますから、その意味からも、連系の強化、融通を円滑にするための施策、これは本当に一日でできるものではありません。それから、特に主要な幹線を強化するということは、かなりお金のかかることでもあります。

 ただ、今回、こうした自然エネルギーの買い取りの制度がスタートするに当たって、そういうことを、それから、御指摘のありました蓄電池の技術のさらなる向上ということも大事な指摘でございますから、今回のことをきっかけに、そうしたもろもろの問題に対する対策といいますか、対応策といいますか、これも同時にスタートさせなければいけない、そう考えております。

江田(康)委員 時間でございますけれども、今回、こういう形で電力の全量買い取り制度を導入して、再生可能エネルギーの発電事業者にとっては、このことが収入見込みを、将来を担保するということで大きく進むものであると思うわけであります。

 しかし、一方では、やはり初期投資のリスクが大変大きなことになってくるかと思われます。それは事業者にとっても、また家庭用にとっても、よほど環境への意識の高い家庭でなければ、設置のための初期投資の高さから導入には二の足を踏んでしまうようなこともあるわけであります。こうした初期投資のハードルを下げていく、これが同時に必要であります。

 そのために、公明党も、これまでの中でも、例えば太陽光システムの補助においては、その創設から、自公政権のときからやってきたわけでありますけれども、今これに対しても、初期投資に要するコストの一部を大胆に補助していく、さらには、導入に際して税制の減免を行う、財政、税制両面から抜本的な支援を行っていく必要があると思います。こういうところに関しては、この法案と相まって、どのように経済産業省としても進めていこうとしているか。

 そしてまた、国家戦略としてこの再生可能エネルギーを進めていくという、すなわち、いつまでにどれだけの市場が創出されるか、こういうような国家ビジョンを政府が明確に提示していくことが、本当にこの法案と相まって、再生可能エネルギーの普及拡大、そして世界市場への進出ということになってくると私は思うわけでございますが、最後に大臣の御見解をお願いいたします。

海江田国務大臣 今、江田委員から包括的なお話がございましたので、私もその線でお話をさせていただきます。

 一つは、買い取り価格がどうなるかということは、大変私どもも頭を痛めたところであります。

 今、江田委員のお話では、初期投資にかなり大量のお金がかかるということでございますが、やはりそれを平準化していかなければいけないわけでございますから、国民の負担と新規参入事業者の後押しができるようにということで、この買い取り価格ということに私どもは大変意を尽くしたつもりでございます。

 それからもう一つ、税制のことでお話がありました。

 これは、実は今年度の六月からグリーン投資減税というのがスタートいたしております。このグリーン投資減税だけでいいのかという議論はございます。しかし、まず、二十三年度の税制でスタートしますグリーン投資減税の効果なども見ていかなければいけないというふうに思っております。

 それから、国家戦略に高めるべきだということでございますが、いずれにしましても、順番が逆になりましたけれども、エネルギー基本計画を定めることが大変大切だと私は思っております。

 順番は逆でございますが、今回のこの法案の成立が、エネルギー基本政策の中で、これは与党も野党もなく、皆さん方がお考えになっていることと私どもが考えていることはそんなに違うわけじゃありませんから、これは妨げにならないという判断で今御審議をお願いして、そして、一日も早い成立をお願いしているわけでございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。

江田(康)委員 時間でございます。ありがとうございました。

小沢委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、経産省の政府参考人から伺っておきたいと思いますが、日本の再生可能エネルギーの可能性について、物理的限界潜在量は、太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱など、それぞれの潜在量と、それから合計のものを発電電力量の単位でお聞かせいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 潜在的な発電電力量ということでございます。いろいろな調査がございますが、さきのエネルギー・環境会議等で我が省の試算を発表させていただいております。

 まず、太陽光発電でございますけれども、同調査によりますと、住宅用と建築物の導入可能量は約八百九十億キロワットアワーでございます。

 陸上風力でございますが、これは約五千百億キロワットアワー。それから、海上あるいは洋上風力でございますけれども、これは、いわゆる海底にロープがつながっている着床式と、あるいは浮いているものと両方ございます。着床式のものは、日本でも今実証実験中でございますけれども、これが約五千八百七十億キロワットアワー、それから、これから研究開発要素がより多くて、これからいよいよ追求を深めていかなくちゃいけない、まだ緒についたばかりの浮体式のものでございますけれども、これが、非常に広い範囲でございますので、約二兆キロワットアワーでございます。単純に合計をいたしますと約二兆六千億キロワットアワーでございます。

 それから、地熱でございますけれども、これは産総研の方で試算をしたものがございます。これによりますと、約一千四百十億キロワットアワーの導入可能量がございます。

 それから、三万キロワット未満のいわゆる中小水力でございますけれども、これにつきましては約四百億キロワットアワーの導入可能量と試算をされております。

 それから、バイオマスでございますが、これはきょうもたくさん御答弁がございましたけれども、関係省庁とバイオマスの活用推進専門会議というのをやっております。そこのデータによりますと、林地残材あるいは家畜の排せつ物等のうち、まだ使っていないもの、こういうものが約一千億キロワットアワーあるとされております。もちろん、バイオマスはいろいろな使い道がありますので、全部これを発電に使ってしまうということにした場合の量でございます。

 したがいまして、以上の数字を単純に合計いたしますと約三・五兆キロワットアワーでございます。もちろん、潜在的な可能量でございます。立地の規制とか、あるいはコストとか用地の確保等々いろいろ課題があるということでございまして、こういったものを克服しながらやっていけばということでの試算であることは御理解いただきたいと思います。

吉井委員 今お答えいただいたのは、住宅とかに限った、限界の中での太陽光の話なんです。いわゆる物理的限界潜在量として見ますと、太陽光発電だけでも八兆三千九百二十七億キロワットアワーと非常に大きなものがあるわけです。

 それで、この機会に、環境省の方でも再生可能エネルギーの導入ポテンシャル調査をことし三月にまとめておられますが、太陽光、そして陸上と洋上のそれぞれの風力、小水力、地熱発電のそれぞれについて、また、木質ペレットの活用やエタノールなど木質バイオマス系の発電電力量や地熱などを含めて、それぞれにどれだけの発電電力量があると試算をしておられるのか、それからその合計額について、これは政府参考人の方に伺っておきたいと思います。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、本年の四月に環境省で、住宅以外に設置します太陽光発電、風力発電、中小水力発電、地熱発電につきまして導入ポテンシャルを公表したところでございます。

 その結果でございますけれども、一年間の発電量で申し上げますと、住宅用以外の太陽光発電が千五百億キロワットアワー、風力発電では、陸上が五千八百億キロワットアワー、洋上が四兆三千億キロワットアワー、中小水力発電が二百五十億キロワットアワー、地熱発電は八百九十億キロワットアワーということでございまして、合計いたしますと約五兆キロワットアワーということになっております。

 バイオにつきましては今回試算をしておりませんけれども、我が国の国土は非常に緑に覆われておりますので、大変なポテンシャルはあるのではないかというふうに思っております。

吉井委員 現在、日本で発電している総発電電力量が九千億キロワット時ぐらいなものですから、少し超えますけれども、そうすると、今の環境省のお話でも五兆を超えているわけですから、総発電電力量からしても五倍以上。原発で起こしている発電電力量が三千億キロワット時ですから、それと比べてみても、これは今の住宅以外の太陽光発電だけでも、原発の半分は太陽光発電で可能だということです。ですから、どれぐらい再生可能エネルギーを爆発的に普及させて新しい産業や仕事を起こしていくかということが非常に大事な点だと思うんです。

 風力発電は、陸上で五千八百億というお話ですから、これは原発の約二倍の可能性。洋上では四兆三千億ですから、これは原発と比べてみれば十四倍ぐらいですか、十八倍ぐらいになってきますか。ですから、非常に大きな可能性というものを持っているから、今度の法律を通じて、再生可能エネルギーの固定価格買い取りによって、やはり爆発的に普及する。そのことによって、エネルギーの構造を原発依存から再生可能エネルギーへとシフトするとともに、産業としても地域経済を興すということで取り組むということが大事なことだと思うんです。

 そこで、海江田大臣に伺っておきたいんです。

 豊かな再生可能エネルギーとして見ると、国際的に見ても、例えば、降水量は世界平均雨量の二倍ですし、山は急峻ですから小水力の可能性は多いし、風に対する抵抗の少ない山の頂上部分と、それから、今も御報告ありました洋上で四兆三千億キロワットアワーという非常に大きな可能性が洋上風力にも豊かにあるわけですし、森林率は国土の約七割で木質バイオマスも非常に豊かな国ですし、地熱も世界第三位。

 この自然エネルギー、再生可能エネルギーのポテンシャルを現実のものにしていくという研究開発というのが非常に大事なところだと思うんです。この点についての経産大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 私どもも、まさにポテンシャリティー、これは潜在的な能力と申しますか、これをどう顕在化するかということに、研究開発の後押しというものが大変重要だという認識は持ってございます。

 例を挙げますと、太陽光発電設備につきましては、やはり先ほどもお話がございましたけれども、太陽電池の長寿命化、低コスト化、これに向けた研究開発、新素材を使った効率的な太陽電池の開発などを支援しております。

 それから、風力発電につきましては、まず、やはり風況、風がどのくらい、どちらの方角から吹いてくるか、こういう正確な予測手法が確立されなければいけませんから、それをやっております。それから、落雷対策というのもおろそかにすることができません。落雷からの保護対策ですね。それから、風車の音でございます。これも洋上ならばさほど影響はないかと思いますが、陸上部分ではやはり風車の音の低減対策。それから、我が国の気象、海象条件に適した洋上風力発電に関する技術等の開発を支援しております。

 それから、バイオマスにつきましては、高効率、低コストで燃料等を製造する技術や、微細藻類に由来する新たなバイオ燃料の製造技術の開発を支援しております。

 委員御指摘のとおり、私どもも、その潜在力をどう顕在化するかということで研究開発の後押しに力を入れております。

吉井委員 それで、そうした再生可能エネルギーが地域の経済とどう結びついて発展するかというところがやはり大事な点だと思うんです。

 ですから、地産地消型とか、そういうエネルギーの仕組みですね。これはマイクログリッドであったり、賢い使い方、スマートグリッドであったり、もちろん系統の安定の問題ですね。系統の安定という点では、電力、電圧、周波数、これを安定させるということは非常に大事なことです。それとともに、現に北海道と青森県との間では直流送電をやっているわけですが、これらについての開発、そうしたことについてもうんと力を入れて、再生可能エネルギーというのは、本当に爆発的に普及させることで日本の地域経済も発展させるという道に取り組むことが大事だと思うんです。

 この点で、私、環境大臣に一つ伺っておきたいんです。

 先日、久しぶりに高知県の檮原町というところへ調査に行ったんですが、ここは木質バイオマスなど再生可能エネルギーの取り組みをやっているので、なかなかよく評価されているところです。風力発電の売電収入で、各家庭の太陽光発電パネルにも一キロワット二十万円の補助金を出して、世帯率で一割近くも普及しているんです。森林組合の間伐補助金を出して、二酸化炭素の吸収が進むようにする。同時に、間伐した木材や製材したときの端材、これらを中心に木質ペレット工場でペレットにして、これを燃料にストーブとか温室栽培用のペレットボイラーとか、それから冷暖房機の燃料、冷房も暖房もこれでやるわけです。都市部の建築廃材ですと化学薬品を含んでおったりしていろいろ問題がありますが、こういうところはその心配のない木質ペレットで循環できるわけですね。

 ところが、昔だったら焼き畑農業をやったように、肥料に戻したり土壌改良に使えるわけなんですが、本来であれば、これは廃棄物じゃなくて有価物として廃棄物処理法の対象外という扱いで、再生可能エネルギーに取り組んでいる環境省として、私は、これは積極的に応援すべきものだと思うんですが、現実には、愛媛県との県境の小さい町から徳島県まで運んでいって、産業廃棄物として処分しているんですね。町の方では地域循環、地域完結型の木質ペレットによる再生可能エネルギーに取り組んでいるのに、こういう矛盾が生まれているわけです。

 だから、環境大臣として、やはり木質ペレットによる再生可能エネルギー発展のために、こうした矛盾を解決して、うんと前進させるという、この取り組みが大事だと思うんですが、伺っておきます。

江田国務大臣 木質ペレットの焼却後の焼却灰、これを廃棄物扱いにすべきでないのではないか、そういう御指摘でございます。

 そこで、まず、廃棄物というのは一体どういうものだと認識しておるかということですが、これは、不要であるために占有者の自由な処分に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあって、いろいろの環境上の支障なども起きる、そこで、法による適切な管理下に置くことが必要、これを廃棄物としているわけで、さて、今のその焼却灰がそういうものに当たるかどうかということでありまして、廃棄物該当性というのは、その物の性状、あるいは通常の取り扱い形態、取引価値の有無等を総合的に勘案して判断すべきというのが、これは最高裁の決定で実はそういうものがございまして、そうしたさまざまな勘案事項を総合的に見てどうなるか、そういう話でございます。

 これが一部、こうした焼却灰をほかのものとまぜて不法投棄されたような事案も実はございまして、余りすぐに、いや、これは有用物だからというのもなかなか難しいんですが、議員の御指摘のように、例えば一定の市場が形成されていて、そこで有償の譲渡が行われているようなことがある場合には、これは明確に廃棄物ではないということも言えると思うので、そのあたりをよくこれから検討してまいりたいと思います。

吉井委員 特に、高知県の山間部の町ですと、地域完結、循環型なんです。そういうところについては、せっかく再生可能エネルギーを進めようというときに、やはり環境大臣としても積極的な取り組みを求めておきたいと思います。

 鹿野大臣に伺っておきますが、間伐を支援して二酸化炭素吸収による環境対策を進めることと、林業そのものの振興とともに、木質ペレットの活用で農家の温室栽培用のペレットボイラーとその燃料としての木質ペレットの活用が進むように、やはりこれは支援していくということが非常に大事だと思うんです。この点、大臣のお考えを伺っておきます。

鹿野国務大臣 今、吉井先生からおっしゃられたことは、まさしく私どもも共通の認識を持っております。

 そういう意味で、これまでもチップあるいは木質ペレット製造施設、あるいはボイラー等の整備に対する支援を行ってまいりました。それに加えて、民間事業者によるこれらの整備資金の借り入れに対しましては利子を助成する、こういうふうなことも実施しているところでございます。

 これからも、このような取り組みと同時に、再生可能エネルギーの買い取り制度を導入した後におきましては、木質の、いわゆる火力発電所などに未利用の間伐材等の利用を推進していきたい、こういうふうに考えております。

吉井委員 ペレットストーブとかボイラーというのは地域の中小企業でできるし、林道の整備なんかは中小建設業者の仕事と、いずれにしても地域経済に非常に貢献するわけですね。ですから、そういうことにつながるようにしていくということが、法律を担当している経産大臣としても大事な取り組みだというふうに考えておりますので、後ほどお考えを伺っておきたいと思います。

 再生可能エネルギーを生かす日本の技術力というのは、すべて高い水準にあります。問題は、農林水産業や中小製造業、土木建設業など、地域経済の結びつきですね、日本経済の持続的発展に資するようにするということが非常に大事なところだと思うんですが、この点で御意見を伺っておきたい。

 もう一つは、それぞれの再生可能エネルギーというのは地域によって皆特性が違うわけですね。それぞれの再生可能エネルギーの開発普及の段階や特性、地域や規模に合わせたきめ細かい価格の設定とか、それから、安定して取り組んでいける、そういう期間を設定するということで、再生可能エネルギーが爆発的に普及するように取り組むということが大事だと思うんです。この点についての海江田大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えします。

 幾つかありましたので、技術の革新というのは、やはりコストを下げるという意味でも大変重要だという認識があるということを、まずお答えをします。

 後段にございましたエネルギー源、それから、今、吉井委員は、エネルギー源のほかに、地域によるコストの違いもあるだろうというお話がありました。

 ですから、そうなってまいりますと、本当に細分化された買い取り価格というものが必要になってこようかと思いますが、私どもはむしろ、そうした細分化された価格制度にするのではなしに、やはり、まず、初めての固定価格の買い取り制度でありますので、固定価格、全体を押しなべた金額にして、そして、地域もひとしく負担をしていただいて、まず、こういうものだと、自分たちの財布から負担をして、とにかく再生可能エネルギーの拡充に自分たちも貢献しているんだ、努力しているんだ、こういうことをまずわかっていただきたいということでございます。

 そして、できるだけその負担は少なくしたいという思いで、現在のような制度を考えたわけでございます。ぜひ、その点は御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

    〔小沢委員長退席、田中委員長着席〕

田中委員長 吉井君の質疑は以上で終わりました。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 本連合審査会で質問の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げながら、早速質問をさせていただきたいと存じます。

 先日、八月二日、超党派による海洋自然エネルギー促進議員連盟が発足をしたところでございます。海域の豊富な風力を初め、すべてのエネルギーを活用し、官民協調しながら省庁の垣根を越えて、新技術の開発、実用化に向けた促進を図るためにも、本法案の重要性、このことを確認してきたところでもございます。

 海江田大臣、大臣は、七月十四日の本会議で、消費電力に対する賦課金の上限を、賦課金がキロワットアワー当たり〇・五円を超えないよう制度運用する、こういう説明をなされたわけでございますけれども、この発言については、自分自身大変違和感を持っているわけでございます。

 このような運用が行われるとするならば、再生エネルギーの導入が進まない一つの要因にもなっていく、そういう危険性もあるのではないか、こういうふうに思っております。現に、このように運用上キャップをかけた場合、経済産業省の中でも、四%しか伸びない、そういう試算があるわけですけれども、これを認めているわけでございます。

 この法案の目的が、全量買い取りそのものを通しながら再生可能エネルギーを飛躍的に普及させていく法案であるというふうに認識もしておりますし、大臣としての考え方、制度上、賦課金等の問題でどうしてもキャップをかけていかなきゃならないという考え方そのもの、今の考え方も同じなのか、そのことを再度お聞きさせていただきます。

海江田国務大臣 吉泉委員からのお尋ねで、今も変わらないのかということでございますが、七月の十四日で、まだ一月もたっておりませんので、そうころころ変えるわけにはいかないということでございます。

 これは、今まさに委員は、賦課金のところで、〇・五円では、この制度、先ほどの吉井委員の表現をすれば、爆発的にと申しますか、事業者の新規参入などがブレーキがかかるというお話、論点だろうと思います。

 賦課金というのは、もうおわかりだろうと思いますが、サーチャージということで、電気料金に上乗せをするということですから、まさにここは、消費者と申しますか、国民の皆様方の負担に直接つながる金額であります。やはり今回はできるだけその金額を抑えたいという思いは私どもにあります。それから、もちろん大量に電力を消費します産業などもそうでありますが、この産業などはもう少し料金を下げてほしい、そういう意見も聞いておりますが、ここは歯を食いしばって一律でお願いをしますということになろうかと思いますので、その意味では、私どもとすれば、まずこの〇・五円というものをぎりぎりの選択として出したわけでございます。

吉泉委員 まだ一カ月もたっていない、ころころと変わる、そういうことではないという答弁ではございますけれども、しかし、こういう上限を設けるという状況であるならば、一つの目標、制度設計、そのことが再生エネルギーをどのぐらい全体的に持っていくのか、こういうきちっとした制度がない中で、これを制度上こういう形で運用をやっていくということについては、私どもとしてはやはり問題があるというふうに思っております。

 七月二十八日、関西広域連合の声明の中でも、現在の特別措置法、このことに対してもいろいろな面で痛烈に批判をしておりますし、ぜひ、再生可能エネルギーの普及、その部分について、もっともっとなり得るような、もう少し制度設計も含めて、全体的に国民の前にも早急に明らかにしていく、そういうことについて要望をさせていただきたい、こう思っております。

 それから、再生可能エネルギーの買い取り価格について、太陽光以外は一律に取り扱う内容、こういうふうになっておるわけでございますけれども、私は、地域の事情、これに見合った、電源種別ごとに買い取り価格を設定すべきなんだろうなというふうにも思っております。

 こうした太陽光以外は一律に取り扱わなきゃならない理由について、大臣としての考え方をお伺いいたします。

海江田国務大臣 先ほど、吉井委員に対する御答弁の中でもお話し申し上げましたけれども、エネルギー源での考え方も一つございます。それからさらに、地域によって、同じエネルギー源でもコストも違ってくるケースもございますので、その意味では、限りなく細分化をされるということもあります。

 私どもは、まず当面、一律の価格で買い取らせていただいて、そして、これは先ほどの負担の金額とも関係をしてくるところでございますが、できるだけこれからは柔軟にということで、少なくとも三年ごとの見直しということは考えているわけでございます、この制度そのものの三年ごとの見直しということは考えているわけですから、今回の議論もそういうところを大いに議論していただいて、そして、本当に皆様方の納得のいくところでお決めいただいて、とにかく始めてみる、始めてみたところで、いろいろな声も聞きながらできるだけいい形に変えていく、それが今私たちがやらなければいけないことではないだろうか、そう考えております。

吉泉委員 それぞれ、今、民間さらには大学等の中においても、いろいろな研究、そして事業化に向けてもう動き出されているわけでございます。その中で、やはりコストの問題なんかを含めて相当議論なり、そして社長等については、投資なんかも含めて検討がなされているわけでございますけれども、この点について、一律というふうになったときに、そこを一つの頭にしながら物事を考えるものですから、その部分については柔軟にお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。

 あと、時間がなくなりましたので、最後の質問になろうかと思います。

 第四条と第五条では、電気事業者の恣意的判断によって再生エネルギーの普及が阻害されるおそれがある。「不当に害するおそれ」、「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」、こういう規定がありますけれども、こういった部分についてはどういう場合を言うのであるのか。

 そしてまた、こういう状況があるとすれば、それらのところについてのルール等々については、もう少しきちっと明確にしていくべきであるというふうに思っておりますけれども、見解をお願いします。

中山大臣政務官 今先生お話しのように、恣意的に拒むということは絶対にまずできないわけでございまして、四条、五条に規定されているのは、電力会社の利益が不当に害される場合、これは、例えば発電設備をつくったときの情報が虚偽であったとか、こういう場合もあるわけですね。それからもう一つは、例えば周波数に異常を来すような送電をされる場合とか、この二つが挙げられると思うので、四条、五条というのはそのことでございまして、恣意的に拒むということは絶対に許してはならないことだと思っております。その点はしっかりやっていきます。

吉泉委員 時間になりましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 吉泉君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 私どもみんなの党は、経済産業委員会には議席を持っておりますが、農林水産並びに環境委員会には議席がありません。したがって、環境大臣また農水大臣にまず御質問をしてまいりたいと思っております。

 去年二月二十六日の予算委員会第六分科会で小沢鋭仁前環境大臣に御質問をさせていただきました。二〇二〇年に二〇%、いわゆるトゥエンティー・トゥエンティーを実現する上で、廃棄物発電を再生可能エネルギーに組み込むことについてお尋ねをしたところ、非常に前向きな御答弁をいただきました。COP15で訪れたコペンハーゲンが廃棄物発電や廃熱等の利用でほぼ一〇〇%脱化石燃料で地域暖房を行っていることを例に挙げられまして、廃棄物発電及び廃熱利用、私も本当に力を入れてやってまいりたい、環境省は廃棄物の処理の所管でもあるので環境省の中で対応できるエネルギー源だ、こういう御答弁をいただいたところであります。

 廃棄物発電、サーマルリサイクル等については、ごみ減量、ゼロエミッションにつながらないとか、かつての焼却炉におけるダイオキシンの問題であるとか、いろいろな議論もありまして、今のところ、バイオマス由来を除けば、原則として再生可能エネルギーには含まれていないわけでありますが、今の技術水準を考え、世界でこの分野が相当なポテンシャルになる、廃棄物発電のプラント輸出も、これは非常な成長戦略になり得るものではないかというふうに思います。

 その意味で、もしトゥエンティー・トゥエンティーという野心的な目標を達成しようとするのであれば、今の大変進歩した技術水準を前提に考えれば、廃棄物発電を再生可能エネルギーに組み込むことも考えるべきではないか、小沢前環境大臣の御答弁も踏まえて、前々環境大臣でしょうか、そのように思うわけですが、御答弁をいただきたいと思います。

江田国務大臣 小沢前々環境大臣が積極的な姿勢を示されたという課題でございます。

 現在ここで御審議いただいております再生エネルギー法案においては、これはもう今委員御指摘のとおり、バイオマス発電というのは固定価格買い取りの対象となっております。

 そこで、今の廃棄物発電でございますが、廃棄物の中にかなりバイオマス部分はあると考えられますし、また、バイオマス部分でないものについての処理も、次第に技術開発が進んで、そこは十分さまざまな可能性があると思っておりまして、私ども今、廃棄物のバイオマス相当分は、当然この固定価格買い取りの対象になるというふうに認識をしております。

 したがって、買い取り価格、買い取り期間といった細則について、法律制定後に決定されるということになるので、実施に当たって、そうした廃棄物はバイオマスとは違うという判断ではなくて、バイオマスという範疇にどこまで入っていくかということを十分に考えながら、引き続き経済産業省など関係省庁と連携をしてまいりたいと思っております。

柿澤委員 ここの部分については、私は、今までの考え方をかなりシフトチェンジする必要もあるのではないかというふうに思います。

 今、廃棄物の中にバイオマス由来のものが相当あるだろう、これは本当にそのとおりだと思います。しかし、そのバイオマス由来のものを全体の廃棄物の中から、今の瓦れきの山を想像していただければわかりますけれども、それを分別して取り出していく、こういうことをどれだけできるのか、逆に、そうしたことをやっていくとすればどういうふうにその体制をつくっていくのか、こういうことを考えなければ、今の御答弁もある種、絵にかいたもちになってしまうのではないかというふうに思います。

 ぜひ、この分野については、先ほど申し上げたとおり、世界的に今後大きな成長が見込まれる分野であり、日本が相当の先進的な技術を持っている分野でもありますので、御期待を申し上げたいというふうに思っております。

 農水大臣にもお伺いをいたしたいと思います。

 先ほど来、被災地で再生可能エネルギーを、こういうお話が出てまいります。そこで、再生可能エネルギーの川下、エネルギーの地産地消の問題をお伺いしたいと思います。

 発送電分離をして、地域の小規模発電の電力を送電網を通じて地域の地場産業で利用する。そこで、アイデアとして私が提案したいと思っていますのは、被災地、特に、深刻な放射性物質による土壌汚染のある福島県で、いわゆる野菜工場を展開することであります。

 私、横浜のみなとみらいの近くにある農家を見てきました。そんなところに農家があるのかと思いますけれども、雑居ビルのワンフロアであります。植物栽培に最適な光を出すLED電球、LED照明を開発して、完全閉鎖型、完全制御型の野菜工場をやっている。水耕栽培で、全く土を使わないで、葉物野菜、レタスやチンゲンサイ、サンチュ、シュンギク、こんなものを栽培しておりました。全く無農薬、そして省電力。水を循環して再利用しますので、栽培に使用する水も少量で済む。もちろん、ビルの一角でできるわけですから、省スペースです。水耕栽培に限らず、熊本ではハウスで、プランターにピートモスを使って、LED照明のトマトを栽培しているそうでもあります。

 LED菜園で栽培した野菜は、光を最適化しているから栄養価も高いのだそうで、コマツナで比較すると、市販のコマツナより、ベータカロテンが二・二倍、ポリフェノールが一・七倍だそうであります。これは私は非常に可能性がある事業だなというふうに思いました。

 土壌汚染によって、福島県野菜のブランド力というのは相当傷ついてしまいました。そして、現実問題として、広範囲に完全な除染をするには相当な長期間がかかるだろうというふうにも思います。

 そこで、今後、確実に世界的な成長産業になるであろう野菜工場を福島県内で大きく展開をしていく、むしろ、福島県産LED野菜を今後の世界に向けたブランドとして育てていく。もちろんエネルギーは再生可能エネルギーで、地産地消で賄う。こういうことをぜひ御検討いただきたいというふうに思いますが、農水大臣の御答弁をいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今御提案があった御提言の考え方というものは、私ども、今後取り組んでいかなきゃならないな、こういうふうに思っております。特に、水耕栽培等、土を使わずに、いわゆる工場を設置して野菜等をつくるというふうなことは、これからの福島県ということを考えた場合に有力なる手段である、こういうふうに思っております。

 そういう意味で、今後、各県の市町村が震災復興計画をどういうふうに打ち出していくか、そういう中で、コストの面とか運用の面というふうなものは当然かかわってくるわけでございますので、そういうことも踏まえて、技術的な助言なりあるいはまた国の支援制度というふうなものを通しての情報提供などを行って、やっていきたいという市町村に対しまして、また都道府県に対して積極的に支援をしてまいりたい、こう思っております。

柿澤委員 今思いましたが、これは放射性物質による土壌汚染に本当は限らないんですよね。津波によって塩害をこうむった水田などが宮城県にも岩手県にも広範囲に広がっている。そういうところで同じような考え方に基づいて野菜工場を展開していく、それが日本発の大変な先進的なブランドになっていく、こういう可能性が私はあると思うんです。まさにピンチをチャンスに生かす発想ではないかというふうに自負をいたしております。

 横浜のみなとみらいの近くに、首都圏にあるものでもありますので、ぜひ農水大臣には現場も見ていただいて、御検討を進めていただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 水耕栽培等々、またビルの中での野菜づくり等々、農産物を生産しているところも私も何カ所か見ておりまして、機会がありましたらまた、こう思いますけれども、そういうことを参考にしながら取り組んでいきたいと思っています。

柿澤委員 質問時間が尽きてしまいました。海江田大臣にも御通告を申し上げていたんですけれども、このような和やかなやりとりになるかどうかわかりませんので、このまま終わりとさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 以上で柿澤未途君の質疑は終了しました。

 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後三時二十四分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案

 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案

は経済産業委員会議録第十四号に掲載


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