衆議院

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第1号 平成25年11月28日(木曜日)

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本国会召集日(平成二十五年十月十五日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   会長 保利 耕輔君

   幹事 伊藤 達也君 幹事 中谷  元君

   幹事 平沢 勝栄君 幹事 船田  元君

   幹事 武正 公一君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 斉藤 鉄夫君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      泉原 保二君    上杉 光弘君

      衛藤征士郎君    大塚  拓君

      城内  実君    河野 太郎君

      鈴木 馨祐君    高木 宏壽君

      棚橋 泰文君    谷川 弥一君

      土屋 正忠君  とかしきなおみ君

      徳田  毅君    西村 明宏君

      野田  毅君    萩生田光一君

      馳   浩君    鳩山 邦夫君

      原田 憲治君    松本 洋平君

      武藤 容治君    保岡 興治君

      山下 貴司君   山本ともひろ君

      枝野 幸男君    長島 昭久君

      長妻  昭君    古本伸一郎君

      細野 豪志君    伊東 信久君

      坂本祐之輔君    新原 秀人君

      西野 弘一君    三木 圭恵君

      大口 善徳君    北側 一雄君

      小池 政就君    畠中 光成君

      笠井  亮君    鈴木 克昌君

平成二十五年十一月二十八日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   会長 保利 耕輔君

   幹事 伊藤 達也君 幹事 齋藤  健君

   幹事 中谷  元君 幹事 平井たくや君

   幹事 平沢 勝栄君 幹事 船田  元君

   幹事 武正 公一君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君 幹事 斉藤 鉄夫君

      泉原 保二君    上杉 光弘君

      大串 正樹君    大塚 高司君

      大塚  拓君    神山 佐市君

      木内  均君    城内  実君

      今野 智博君    田中 和徳君

      高木 宏壽君    棚橋 泰文君

      土屋 正忠君    西村 明宏君

      野田  毅君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    福井  照君

      松本 洋平君    宮澤 博行君

      武藤 容治君    保岡 興治君

      山下 貴司君   山本ともひろ君

      枝野 幸男君    大西 健介君

      長島 昭久君    長妻  昭君

      細野 豪志君    伊東 信久君

      坂本祐之輔君    新原 秀人君

      西野 弘一君    三木 圭恵君

      大口 善徳君    小池 政就君

      畠中 光成君    笠井  亮君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 阿部 優子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十五日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     平井たくや君

  秋葉 賢也君     大塚 高司君

  谷川 弥一君     田中 和徳君

  とかしきなおみ君   福井  照君

  萩生田光一君     齋藤  健君

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     佐藤  勉君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     今野 智博君

  河野 太郎君     神山 佐市君

  田中 和徳君     木内  均君

  原田 憲治君     大串 正樹君

  古本伸一郎君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     原田 憲治君

  神山 佐市君     河野 太郎君

  木内  均君     田中 和徳君

  今野 智博君     宮澤 博行君

  大西 健介君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     衛藤征士郎君

同日

 幹事岸信夫君及び葉梨康弘君九月三十日委員辞任につき、その補欠として齋藤健君及び平井たくや君が幹事に当選した。

同日

 幹事斉藤鉄夫君同日幹事辞任につき、その補欠として北側一雄君が幹事に当選した。

    ―――――――――――――

十月十五日

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(馬場伸幸君外三名提出、第百八十三回国会衆法第一四号)

十一月二十一日

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三四号)

 憲法改悪に反対し、第九条を守り、生かすことに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第五〇号)

 憲法改悪反対に関する請願(辻元清美君紹介)(第一〇三号)

同月二十八日

 憲法を改悪せず、第九条を守り抜くことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二〇三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇七号)

 解釈による集団的自衛権行使、立法による平和憲法の空洞化、憲法改悪と憲法改悪につながる憲法第九十六条改定反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第二一九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二一号)

 憲法の改悪に反対し、九条を守り、憲法を平和と暮らしに生かすことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二二二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二三号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三一号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 幹事の辞任及び補欠選任

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の調査の概要)


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     ――――◇―――――

保利会長 これより会議を開きます。

 幹事辞任についてお諮りいたします。

 幹事斉藤鉄夫君から、幹事辞任の申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、幹事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの幹事辞任及び委員異動に伴い、現在幹事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、会長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利会長 御異議なしと認めます。

 それでは、幹事に

      齋藤  健君    平井たくや君

      北側 一雄君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

保利会長 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 この際、衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団を代表いたしまして、御報告を申し上げたいと思います。

 私どもは、去る九月十二日から二十二日まで、ドイツ、チェコ及びイタリアの憲法及び国民投票制度について調査をしてまいりました。

 この調査の正式な報告書は、現在、鋭意作成中でありますが、この調査団は、本審査会のメンバーをもって構成されたものでありますので、この際、団長を務めさせていただきました私から、まず、その概要についてごく簡単に口頭で御報告申し上げます。その後、副団長を務めていただきました武正公一君から調査の具体的な内容について御報告いただき、委員各位の御参考に供したいと存じます。

 議員団の構成は、本審査会の会長である私を団長に、会長代理である民主党の武正公一君を副団長として、自由民主党から船田元君及び中谷元君、日本維新の会から伊東信久君、公明党から斉藤鉄夫君、みんなの党から畠中光成君、日本共産党から笠井亮君、生活の党から鈴木克昌君がそれぞれ参加され、合計九名の議員をもって構成されました。なお、この議員団には、衆議院憲法審査会事務局、衆議院法制局及び国立国会図書館の職員が同行いたしました。

 具体的な訪問地としては、ドイツではカールスルーエとベルリン、チェコではプラハ、イタリアではローマをそれぞれ訪れ、多忙な日程ではございましたが、憲法裁判所における違憲立法審査権行使の実態、二院制における両院の関係や役割分担、国民投票制度と間接民主制の関係など、各国の憲法や国民投票制度について、大変充実した調査を行うことができたと思っております。

 振り返りますと、本当に駆け足で回ってきた調査でございましたけれども、私は、この議員団に本審査会の全ての会派から御参加をいただきましたことを感謝するとともに、その真摯な調査への取り組みに敬意の念を表したいと存じます。

 そして、その政治的立場、評価は別として、欧州各国における憲法や国民投票制度の実情について、派遣議員の先生方の間で共通の認識を持つことができたのではないかと思っております。この共通認識をここで委員各位とも共有しながら、今後の本審査会における憲法論議がより充実したものとなることを願っております。

 最後になりましたが、今回の派遣に各種御協力をいただきました各位に心から感謝を申し上げ、私の御報告とさせていただきます。

 調査の具体的な内容については、引き続き、副団長の武正公一君から御報告をお願いいたします。武正公一君。

武正委員 今回の欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団において副団長を務めさせていただきました、民主党の武正公一でございます。

 私からは、訪問した各国における具体的な調査の内容について、訪問した順番に従いまして、その概要を御報告させていただきます。

 まず、最初の訪問地であるドイツのカールスルーエでは、憲法裁判所を訪れ、シュルッケビアー裁判官のほか調査官三名の方から御説明を受けるとともに、意見交換をいたしました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 ドイツの憲法裁判所は、立法権を尊重しており、議会によってつくられた法律により基本的な権利が侵害されている場合を除いては、無駄な干渉はしないこと、すなわち、基本的な権利を侵害するような法律に待ったをかけるのが憲法裁判所の役割であるとの説明がありました。

 また、国民から選ばれた立法府の判断を国民から選ばれていない裁判官から構成される憲法裁判所が否定することの是非、いわゆる憲法裁判所の民主的正統性の問題については、裁判官は連邦議会、連邦参議院によってそれぞれ半数ずつが選出されること、ナチス政権下の議会で基本的な権利を否定するような法律が成立したにもかかわらず阻止できなかった経験により、憲法裁判所の権限を基本法に明文化したことから、ドイツでは今まで憲法裁判所の民主的正統性は問題とされたことはないとのことでした。

 一票の格差の問題についても意見交換がなされました。

 その際、選挙権は基本的な権利であり、憲法裁判所は連邦選挙法の合憲性をしっかりチェックしているとのことでした。

 また、小選挙区比例代表併用制のもとで政党の得票の増大がかえってその政党の議席の減少をもたらすという、いわゆる負の投票価値の問題について、二〇〇八年と二〇一二年に二回の違憲判決が出され、その判決を受けて連邦選挙法の改正がなされたとの説明がされました。

 なお、ドイツでは、一票の格差として許容されるのはプラスマイナス一五%程度であるとのお話もありました。

 全体として、ドイツの憲法裁判所は、立法機関の判断を尊重しつつ、憲法判断を積極的に行うことにより、連邦議会と同様に、国民のための政治的判断を行う機関として、国民から大変信頼されているということが深く印象に残りました。

 次の訪問地のチェコのプラハでは、上院憲法・法律委員会でアントル委員長ほか委員会のメンバーと、下院国会研究所ではペハーチェク博士を初め国会研究所の方と、カレル大学ではゲロフ教授など、さまざまな方とお会いし、御説明を受けるとともに、意見交換をいたしました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 まず、チェコには、憲法のほかに、自由及び基本権憲章と複数の憲法的法律が存在し、これらがチェコの憲法秩序を構成している。これがチェコ憲法の特徴であるとのことでした。

 次に、大統領の直接公選制については、二〇〇一年以降、活発に議論されてきましたが、二〇一二年の憲法改正により導入されることとなった。改正の内容としては、大統領の権限を拡大するものではなく、当初は何も変わらないのではないかとも言われていましたが、実際には、大統領の政治性が増すことにより首相との関係が微妙になるなどの影響が出てきている。もっとも、それは大統領の個性にもよるとの指摘もありました。

 第三に、憲法裁判所の役割については、下院議員の任期短縮のための憲法的法律に対して憲法裁判所が違憲判決を出したため、憲法改正によって下院の自発的解散の制度が設けられるなど、憲法裁判所と政治部門のやりとりを通じた憲法政治が実際に行われている。憲法裁判所が積極的に違憲判決を下すことについては国民の多くも関心を持っているとの印象を受けました。

 なお、この憲法裁判所の裁判官の任命に当たっては議会も関与しており、大統領が任命し、上院が同意することとなっていますが、上院が同意しなかった例もあったとのことでした。

 第四に、憲法改正手続については、現在のチェコ共和国憲法を制定する際、憲法改正の要件については大きな議論があった。当時の政府側は両議院それぞれで過半数の賛成を主張し、野党は五分の三を主張したが、安定性を重視するという意識もあって結局五分の三となった。現在、この五分の三を緩和しようという議論はなく、むしろ厳しくすべきだとの意見もあるとのことでした。

 なお、憲法改正の際に国民投票を必要とするかどうかについては、議論はあったものの、現在でも国民投票は要件とはなっていないとの説明を受けました。

 最後に、チェコでは一般的な国民投票制度はなく、二〇〇三年にEU加盟の是非を問う国民投票が特別に行われただけであるが、地方レベルでの住民投票は行われているとのことでした。

 その他、上院と下院の関係、緊急事態、憲法の制定経緯などについて説明を受けました。

 三番目の訪問地のドイツのベルリンでは、連邦議会関係者としては、キリスト教社会同盟のジルバーホルン議員、左派党のコッホ議員、ヴィット議会事務局議会法専門部局係官、クレーニング元連邦議会議員とお会いするとともに、連邦参議院のレットラー事務局次長、ヌスバウム・ベルリン州財務大臣兼連邦参議院ベルリン州代表委員や、ヴァルトホフ・フンボルト大学教授からも御説明を伺い、意見交換をいたしました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 まず、ドイツの憲法は、ナチス時代の反省を踏まえて制定されたものであり、広く国民から支持され、愛されているということが強く印象に残りました。

 次に、憲法の改正回数とその内容については、ドイツでは戦後、憲法改正が五十九回行われているが、技術的な改正も多く、一九五四年と一九五六年に行われた再軍備に係る改正や、一九六八年の緊急事態条項の創設に係る改正などの大きな改正を除けば、国論を二分するような議論となることがなかったとの説明がありました。

 第三に、憲法改正手続については、連邦議会、連邦参議院の三分の二以上の賛成で成立するとされているが、これはワイマール憲法、そしてファシズムの歴史の教訓とともに、基本法としての憲法の安定性を保障するために必要な要件であると認識されているからであり、この要件を下げようなどとする動きは全くない、三分の二という高いハードルを課すことによって、各政党が妥協によって国の基本的方向性について慎重に議論していくことを要求しているものであるとのことでした。

 なお、憲法改正手続については、高いハードルを設けることには賛成としつつ、憲法であっても改正の可能性は残しておくべきで、改正できなくすることは、かえって政治を不安定にする面もあるのではないかとの意見も伺ったことを申し添えておきます。

 第四に、ドイツにおける政治的妥協の重要性ですが、そもそもドイツでは、これだけは譲れないなどという頑固な政治家にはチャンスはないと考えられており、有能な政治家ほど、反対派の意見を聞いて適切な妥協ができる者と理解されているとのことです。

 両院協議会での成案成立率が高いことなども、メンバー間で、妥協しないと国益にそぐわないという認識が共有されているからだそうです。また、両院協議会の議事は非公開であり、採決は秘密投票で行われるとのことです。そうしたことが妥協に向かいやすい一因になっているのかもしれないとのことでした。

 なお、現在国民の人気が高いメルケル首相などは妥協こそが政治の典型的政治家であるとの御説明も、大変興味深いものでした。

 最後に、ドイツでは、ナチス時代のポピュリズムに対する反省から国民投票は危険視されており、現に憲法改正にも国民投票は不要とされているが、近年では、国民の政治参加の拡大の観点から、国民投票を導入しようという意見も強くなってきたとのことでした。

 この点に関し、特にEUにかかわる重要な問題については、一度決定されると加盟国がそれを変更することが難しいため、あらかじめ国民投票を行い、国民の意見を聞く必要が高いのではないかとの意見も伺いました。

 最後の訪問先のイタリアのローマでは、上院憲法問題委員会のフィノッキアーロ委員長、下院憲法問題委員会のアゴスティーニ副委員長、内務省のボッチ政務次官、憲法裁判所のシルベストリ長官、破棄院のサルメ民事部長、カーラヴィータ・ローマ大学教授など、さまざまな方とお会いし、御説明を受けるとともに、意見交換をいたしました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 イタリアでは、現在、統治機構に関する全般的な改革が議論されているとのことでした。その理由は、本年前半の首相、大統領選任をめぐりイタリア政治が大混乱に陥った経験を踏まえ、統治機構の改革が不可欠であるとの認識が、与野党の間で共有されてきているからだとの御説明がありました。

 改革の具体的な内容として、首相の諮問的機関で三十五人の有識者から成る賢人会議が去る九月十七日に報告書を提出したばかりであり、これをもとに、今後、上下両院で議論され、近いうちに憲法改正に結びついていくと思われるとのことでした。

 この際、ここにおられる委員の皆様にも御参考にしていただければと思いますので、賢人会議の報告書の概要を御紹介いたします。

 第一に、イタリアの上下両院完全対等の二院制を見直し、不信任決議や立法権を一院に優先的に配分すること。

 第二に、憲法と一般法律の間に組織的法律という中間的分野を設けること。政府発案の法案について、三十日から六十日の間に法律の議決を義務づけるなど、迅速な意思決定を行うようにすること。他方、政府による緊急政令の制度は廃止し、議会の意思を尊重すること。

 第三に、二〇〇一年の憲法改正で導入されたエネルギー等に関する州の立法権を国の権限に戻すこと。州、県、メトロポリタン、コムーネという多層的な地方団体を簡素化し、県を廃止すること。

 第四に、政府の形態については、大統領の直接選挙、建設的不信任制度、首相の直接選挙の三案などが検討されていること。

 第五に、選挙制度については、政府の形態との関連で、フランス型の小選挙区二回投票制、ドイツ型の完全比例代表制プラス足切り条項、例えば五%条項、一回目は比例制、二回目は一位政党と二位政党による首相候補者を立てた上での決選投票を行い、政府の安定化が図れるよう、プレミア票を与える仕組みなどが検討されていること。

 最後に、国民の直接的な政治参加を促すために、憲法改正の場面における国民投票制度を強化すること。

 賢人会議の報告書の概要の御紹介はこの程度として、その他には以下のような御説明を伺ったことも印象に残っております。

 最低投票率制度について、法律廃止型の国民投票においては最低投票率制度がある一方、憲法改正の際の国民投票には最低投票率制度がないのはなぜかについては、法律廃止型については、国民の代表から構成される議会が既に制定した法律をごく少数の国民の意見で廃止することは適当ではないこと、これに対して、憲法改正の際の国民投票が行われる場合は、改正案は議会を通過しているとはいえ、法律としての効果を持っておらず、国民が実際に憲法を改正するかどうかの意見を求められているので、たとえ投票率が低かったとしても、投票者の過半数が反対した場合には、憲法改正はすべきではないとの考え方である。ただし、現行憲法では、両院とも三分の二以上で可決された場合には幅広い賛意が得られていると考えられることから、国民投票は必要ないとされているとの説明がありました。

 次に、国民投票運動については、公務員も含めて基本的に自由であり、制限はない。ただし、職場での運動については、仕事に向ける精力がその分そがれてしまうことが懸念される場合には控えた方がよいかもしれないが、規制の対象ではないとのお話を伺いました。

 第三に、憲法裁判所は、国民世論の動向にも配慮しつつ、適切な憲法判断を下すことに努めているとのことでした。

 最後に、今般検討されている二院制の改革等のための憲法改正の手続については、現在国会で議論が進められているとのことでした。

 その具体的な内容としては、現行憲法では、上下両院において改正の議決がされた後、三カ月以上の熟慮期間をあけ、さらに上下両院で二回目の議決が必要とされており、かなり硬性度の高いものですが、この熟慮期間の三カ月を四十五日に短縮すること、一方、現行憲法では、上下両院とも三分の二以上の多数で最終的に可決された場合には国民投票は不要とされていますが、この場合にも一定数の議員や国民から要求があれば国民投票を行うこととすることについて検討されているとのことでした。

 調査の内容は以上でございますが、私が今回の調査で印象に残ったことを最後に述べさせていただきたいと思います。

 チェコの上院憲法・法律委員会での懇談におきまして、チェコ側から、チェコの憲法が頻繁に改正されているのに対し、日本の憲法が一九四七年の施行から全く改正されずに現在に至ったことは非常にうらやましい、仮に憲法改正に至ることがあっても、その後はこれまでと同様に長期間改正されないで済むようになることをお祈りするとの感想が述べられました。チェコあるいは東欧が歩んできた戦後の激動の歴史がこのような御発言の背景になったと感じられ、大変印象に残った次第であります。

 また、ドイツのベルリンにおいては、ベルリン州財務大臣から、市内の公共交通機関が第二次世界大戦中どのようにナチス政権にかかわったのかを検証していることを御紹介いただき、戦後六十年以上たった今でも、ドイツではこのような検証を頻繁に行っているとのお話を伺いました。

 さらに、人権規定を最初に置くという基本法全体の構成、連邦憲法裁判所に代表される統治機構やドイツ人の基本法に対する愛着心などの点が、ワイマール憲法下における歴史への反省との関係で語られていました。私どもが憲法論議を進める上でも、歴史の検証は欠くべからざるものであるとの思いを新たにした次第です。

 私からの報告は以上でございますが、その足らざるところは、後ほどの、調査に参加された委員の皆様からの御発言で補充していただければと存じます。

 最後に、今回の調査に当たり、種々御協力をいただきました各位に心から感謝を申し上げるとともに、大変充実した調査ができましたことに、私からも心から御礼を申し上げます。

 以上、簡単ではございますが、このたびの海外調査の内容を御報告させていただきました。

保利会長 以上、このたびの海外調査の概要を御報告させていただきました。

 引き続きまして、調査に参加された委員から海外派遣報告に関連しての発言をそれぞれ七分以内でお願いいたします。

 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、まず、船田元君。

船田委員 私は、憲法調査会の時代から何回か海外調査に同行してまいりました。今回の海外調査におきましても、大変充実した、またかなり踏み込んだ議論を闘わすことができたことを大変うれしく思っております。

 幾つかの印象を含めてお話をしたいと思います。

 ドイツにおきましては、憲法裁判所の存在が非常に大きいということを改めて痛感いたしました。憲法裁判所は、憲法秩序を守る役割を十分に果たし、戦う民主主義の象徴的な存在であるということがわかりました。

 特に、国民からの憲法裁判所への信頼が高いということ、それから、立法府の暴走を防ぐ一方で、無駄な、あるいは過剰な政治的な干渉をしないという知恵も、このドイツの憲法裁判所は持っているということも印象深かったと思います。

 それから、ドイツの憲法あるいは政治制度においては、やはり、報告書にもありましたように、ワイマール憲法下でのナチスの台頭への教訓が大変色濃く残っている、あるいはそれを再検証しているという印象を強く受けました。

 具体的には、憲法改正のための国民投票を課さないということ、すなわちポピュリズムに走らない、こういうことが現在の政治を決めているのであるということ、さらには、建設的不信任制度ということで、次の総理候補を決めた上で不信任を審議する、こういったこともやはりワイマールの誤りを正すものであると思います。

 さらには、憲法の改正限界を明確化していること、連邦制や人間の尊厳、民主制度という、いわゆる永久条項というのを設けて、そして憲法の限界を明確化しているということも特徴であったと思います。

 さらには、原則論でかなりかたくなっているドイツかと思いましたけれども、ドイツにおいては、むしろ妥協の政治が重要であるということも特に強調されていたことが印象的でございました。

 次に、チェコでございます。

 一九八九年のビロード革命、それからお隣の国、スロバキアとの分離によって、国政上の仕組みが少し混乱をしている、あるいは未成熟ではないかという印象を持ちながら行ったわけでございますが、その予想に反しまして、ヨーロッパ的政治の安定性を兼ね備えている国だなということが、特に印象として残りました。

 チェコの憲法改正に関しましては、上院、下院、それぞれ五分の三以上ということで、国民投票がない、これはドイツに似ている形でございますが、要件を緩和するという声はなくて、むしろもっと厳しくすべきである、こういう意見が多かったというのは傾聴に値するものであったと思います。

 最後に、イタリアでございます。

 イタリアの政治の混乱、これは先ほども指摘がございました。その根本にあるのは、ほとんど対等な、シンメトリックな二院制にあるということがわかった状況でございます。現在、この対等な二院制を憲法改正によって解消すべく、政治がまさに動いている、こういう状況を肌で感じることができたのは、大変よかったと思っております。

 それから、イタリアの独特の制度として、法律を廃止するときは必ず国民投票が行われる、しかも最低投票率五〇%を課すという厳しい条件を課して国民投票を行う、これが非常にユニークであったと思います。憲法改正はどちらかというと国会が中心であり、法律の廃止は国民投票が中心であるという仕分けをしているということは、とても興味深いことでありました。

 最後に、EUとイタリア主権との関係についても、大変興味深いことを学びました。

 イタリア、もちろんほかのEU加盟諸国も同様だと思いますが、それぞれの国が持っている主権をEUに移譲する方向でずっとこれまで動いてきたようですが、特にイタリアにおきましては、今はその動きがとまっているということでございました。

 この背景には、EUは超国家、つまり国家を超えた存在ではなくて、国家が集まった連邦という捉え方に、EUに対するヨーロッパの人の見方が変化しつつあるのではないか、こういったことを感じた次第でございます。

 気のついたこと、また印象に残ったことを中心に発言をさせていただきました。

 ありがとうございました。

保利会長 次に、中谷元君。

中谷(元)委員 今回訪問したドイツ、チェコ、イタリアの三カ国は、いずれも憲法裁判所を設置していました。憲法裁判所は、司法機関であると同時に、国民代表機関である議会が制定した法律について、場合によってその有効性を否定するような判断をすることもあるために、政治的な性格を有する機関となっており、政治的性格を有する以上、その民主的正統性を根拠づける仕組みとするために、裁判官の任命方法に工夫が見られました。

 ドイツの連邦憲法裁判所は、ドイツ南部のカールスルーエにあり、この地名自体が連邦憲法裁判所のことを指す名称になっています。裁判官は、半分が連邦議会、もう半分が連邦参議院によって選出され、任期は十二年、再選は不可能ですが、この選出方法が憲法裁判所の民主的正統性、独立性を根拠づけています。

 チェコの憲法裁判所は、憲法秩序を擁護する司法機関と位置づけられており、裁判官は大統領が任命をし、上院の同意が必要となっております。任期は十年、再選は可能で、憲法改正に関する機関としては、コミュニティーとしての憲法法律委員会と、コミッションとしての憲法審査会の機能があり、憲法だけでなく上院の規則も扱っておりました。

 また、チェコでは、憲法とともに憲法的法律というものがありまして、この憲法的法律というのは、憲法を追加したり変更するためにあるものであります。憲法の本文を変更するときは、憲法的法律を制定し、それによって憲法を改正することになっているというのは、非常に勉強になりました。

 イタリアでは、十五人の裁判官で構成され、三分の一は大統領により任命され、三分の一は議会の合同会議により、残りの三分の一は最高司法機関により選任され、法律の合理性、国の機関の権限の訴訟、大統領の弾劾、国民投票の権限を有しております。

 これまで、国民投票は、原子力発電所の稼働、建設について行われました。投票率五四・八%、賛成九四%、圧倒的多数の結果、ベルルスコーニ政権の意思が覆され、原発再開を断念したことがありました。

 イタリアは、ラテン諸国として初めて法律審査権の不可能というドグマから脱却をし、広範な権限を有する特別の憲法裁判所を創設しましたが、その選出や判断にも議会の一定の関与を認めており、これが憲法裁判所の民主的正統性を確保しているんだなと感じました。

 次に、憲法審査についてでありますが、各国ともに憲法裁判所が行っています。

 ドイツの連邦憲法裁判所は、二〇〇八年及び二〇一二年に連邦議会の選挙制度について違憲判決を行っており、立法機関の判断を尊重しつつ、政治の枠組みに介入することも積極的に行ってまいりましたが、これも憲法裁判所の民主的正統性を担保する仕組みがあるからこそできたものであります。これは抽象的違憲審査制と呼ばれているそうですが、具体的事案から離れて違憲審査権を行使しております。

 我が国においては、法律の違憲審査を行う最高裁判所は、通常の司法裁判所の系列に位置づけられ、純粋な司法機関であり、純粋な司法機関である以上、政治から独立した存在であると位置づけられております。しかし、抽象的違憲審査制を採用する場合には、提訴案件、提訴権者、裁判官の選任方法、裁判の効力が明示されているのが通例でありますが、憲法にはこのような規定がありません。

 私は、今回の欧州の憲法裁判所の機能、役割を見るにつけ、三権分立から独立した機関、つまり、違憲審査を行う裁判所は、その問題の政治的事情や現実的な背景も考慮する必要があると考えまして、憲法裁判の際には、国権の最高機関たる立法府としての議会の政治判断への積極的な介入を期待する必要があるのではないかと考えます。

 これまでの自衛隊訴訟や定数訴訟に対して最高裁は判断を下しておりますが、具体的事件を離れて、抽象的に法律、命令が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有しているのでしょうか。また、裁判官にそのような能力があるかどうか、その選出や判断に国民や国会の一定の関与や承認が要るのではないかと思いますが、欧州では、こういった国会の関与というものがあったわけでございまして、今後、裁判官の任命方法など、違憲審査を行う裁判所の構成や位置づけについても、それに対応した形にする必要があると感じました。

 また、日本の場合、違憲立法審査権は、付随的なものとされ、通常の裁判事件の審理を進める上で必要な場合に初めて行使されることになっております。ただ制度がある、法律の条項があるというだけで、違憲、合憲の確認を求める訴訟を起こすことはできない仕組みになっておりまして、国政の基本にかかわる問題に、いたずらに違憲、合憲を確認するような訴訟を抑えることができますが、国会において少数意見として退けられるようなテーマにおいて違憲の確認を求めたい場合には、それが難しくなりまして、場合によっては、少数派の人権救済が難しくなっております。我が国も、早急に憲法裁判所の導入を検討すべきであると感じました。

 最後に、ドイツ、イタリアとともに、日本は、枢軸国としてさきの大戦において日独伊三国同盟を結び、敗北をした国家であります。その教訓を生かして、この三カ国には、憲法において平和主義が盛り込まれているという共通点がありました。

 ドイツの憲法裁判所は、戦前に司法がしっかりしなかったためにナチスに支配された歴史の繰り返しを防止するために設けられた戦う民主主義の理念を持って、法治国家、民主、自由な秩序に対する危険を排除しておりました。この戦う民主主義というのは、私は、非常に大事なものだと思います。

 また、イタリアにおいても、反ファシズム、レジスタンス活動で戦ったキリスト教民主主義勢力と社会主義勢力の妥協の産物で、第一条第一項で、イタリアは勤労に基礎を置く民主的共和国であるとされ、第十一条では、イタリアは他の人民の自由を侵害する手段及び国際紛争を解決する手段としての戦争を否認すると、条件つきながら戦争の否認を宣言いたしておりました。そして、イタリアは、他国と等しい条件のもとで、各国の間に平和主義と正義を確保する制度に必要な主権の制限に同意するというふうに述べております。

 日本国憲法でも平和主義がうたわれております。その精神は永久に不滅なものであるとして、今後とも尊重していかなければならないと感じたわけでございます。

 さまざまなことを今回の憲法議論に生かしてまいりたいと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

保利会長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の一員に維新の会の代表として選任いただき、参加いたしました。

 ドイツ、チェコ、イタリア各国を訪問して、憲法及び国民投票制度について調査するという今回の派遣は大変有意義な調査であり、保利団長を初め各党議員の方々、衆議院関係者及び各国大使館の方々、多くの皆様の御協力にまずもって感謝申し上げます。

 全体的な概要については、保利団長、武正副団長を初め各党委員の皆様の御報告もあろうかと思いますので、私の方では、順を追って、私の各所での質疑及び意見表明を中心に報告いたしたいと思います。

 さて、最初の訪問地、ドイツのカールスルーエでは、憲法裁判所を表敬訪問しまして、ヴィルヘルム・シュルッケビアー判事ほか調査官との懇談において、基本法の改正のプロセスや憲法裁判所における最近の動向、議会との関係などを説明いただきました。

 こちらの訪問団からの質疑も活発でして、一票の格差問題、憲法裁判所の構成員の資格、選出プロセスに問題はないかなど、具体的な事例を挙げながらの質疑は有意義なものでした。

 次に、チェコでは、憲法改正における議会内の合意形成プロセス、それに伴う効果について、二〇一二年の大統領直接選挙制の導入の話などをチェコ上院、下院国会研究所などのブリーフィングで聞かせていただき、関係者との懇談をいたしました。

 私からは、二〇〇九年の下院の自発的解散について、憲法改正との関係について質問をさせていただきました。

 また、十七日、キリスト教社会同盟のジルバーホルン議員との懇談の席においては、連邦憲法裁判所について中立性が確保されているのかという問いに対して、ジルバーホルン議員は、連邦裁判官は専任委員であり、どの党、どの州から選任されていようがそもそも中立でなければならず、今までそのことに関して問題になったことはないとの御回答でした。

 十八日、ベルリンでのヌスバウム・ベルリン州財務大臣との懇談では、憲法改正についての論議をいたしました。

 私からは、日本では一度も憲法改正は行われていないが、ドイツは基本法を五十九回改正している、そのことは客観的によかったのか悪かったのかというお尋ねをしてみました。それに対して、ドイツ国民は、使ってみてうまくいかなければ改めればよい、そういった考え方で、基本法には細かいことは書かず、改正のプロセスのハードルをむしろ高くしてもいいんじゃないかという意見もあるが、改正そのものが可能であるということはすごくいいことであるという認識があるとの回答でありました。

 十九日、最後の訪問国、イタリアでは、破棄院国民投票部局サルメ部長と意見交換をする時間がありました。

 私からは、破棄院そのものの存在意義について、事案に関する意見をまとめた後、再び個々に裁判所が判断する意味というのが、破棄院の存在意義があるのかという質問をいたしました。サルメ部長からは、一般の裁判と同じように、破棄院は法律審であり、裁判所という資格でまとめた問題のうち一部をふるいにかける役割があるということでした。

 また、フィノッキアーロ上院議員との意見交換では、イタリアの連邦制の評価、ヨーロッパにおける連邦主義についての認識を質問させていただきました。

 最後に、今回の調査全般について、私の感想を述べさせていただきます。

 各国とも、憲法は国の基本法であるということが第一の定義であることは間違いないのでありますが、その存在自体がまさに国の歴史であり、国を構成する民族の歴史の積み重ねの結集であると強く感じました。また、ドイツの基本法に共通の理念があるとすれば、それはまさに基本的人権の尊重であり、民族の存続に通じる大切な、一本通った存在であると思いました。

 また一方では、各国において、社会情勢の変化、他の法律との整合性は、国民意識の変化によって必要に応じてつくり直す、改正していくことにも勇気と合意を持って臨んでいる姿に接することができました。各国、地域を問わず、何事も合意形成プロセスに時間を費やすということが、各国の関係者が長年にわたり一番苦労されてきたことだということも学びました。

 以上、十一日間に及ぶ調査活動における私自身の発言を中心に御報告いたしました。

 憲法は国の基本法であるということは各国とも変わりはございません。大切な意義ある法典でありますが、それ以前に、国民にとって、存在そのものが、国の、また国民の生活から発せられた行動規範の大いなる礎であることを感じました。

 結びに、本調査に当たり、関係者の皆様に重ねて感謝を申し上げ、私、日本維新の会、伊東信久の報告といたします。

 ありがとうございました。

保利会長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 私も参加させていただきました。参加は、ドイツの憲法裁判所及びチェコ、この二カ国、前半部分で、途中からちょっと離団をいたしましたけれども、ドイツ憲法裁判所そしてチェコでの私の印象に残った点について報告をさせていただきます。

 特に、私は、憲法改正手続というところに関心を持って参加いたしましたし、また、そこについて焦点を当てて御報告をさせていただきたい、このように思います。

 まず、ドイツのカールスルーエ、ドイツ連邦憲法裁判所での議論でございますが、ドイツの憲法の改正手続は、連邦議会と連邦参議院でそれぞれ三分の二の賛成が必要であるということになっております。国民投票は改正成立のための要件ではないということです。

 ただ、一つ、非常に特徴的なのは、連邦制、人間の尊厳規定、民主国家、社会国家という国家の基本秩序、この三点については改正は許されない、改正してはいけないということが明記されている点が、このドイツ基本法の一番大きなポイントではないかと思います。

 こういう中で、連邦憲法裁判所での議論でございますが、まず、ドイツの憲法には憲法改正に国民投票の制度がないが、必要ではないかという議論があるのかどうかということにつきまして、次のような答えが返ってきました。

 国民投票を導入すべきという議論はドイツでも活発に行われている、州レベルでは導入しているところもあるが、連邦レベルの国民投票制度の導入には結論が出ておらず、議論の最中である、連邦憲法裁判所としては、現在有効な基本法にのっとって判決を下しており、この部分の議論については関与しない、こういう答えが返ってきたところでございます。

 それから、先ほどの武正団長代理の報告にもございましたけれども、連邦憲法裁判所の民主的正統性についての議論の中で、大変印象深い返答がございました。

 連邦憲法裁判所が、民主的基盤を有する議会が制定する法律を無効と判断できることについて、ドイツでは余り議論の対象になったことがない、これには歴史的な理由があり、一九三三年から四五年にかけて、ナチス政権下の議会で基本権を大きく侵害する法律が成立したにもかかわらず阻止できなかった経験があるからだ、そのため、ドイツでは、憲法裁判所の独立性を重要視しており、一般市民の基本権を侵害する可能性がある法律に対して待ったをかけられるという制度を基本法で構築している、このような返答があって、大変印象深かったことでございます。

 それから、国民などからの訴えなしに、立法や行政に対して、その行為は憲法違反であるからやめろ、こういう判決を出すことはあるのかという質問に対して、憲法裁判所は監視機関ではない、したがってそういうことはしないという即下のはっきりした答えがあったのが印象的でございます。

 次に、チェコに参りました。

 チェコの憲法改正手続でございますけれども、チェコの憲法改正手続は、やはり国民投票は要件とされておりません。下院総議員の五分の三以上の賛成、そして上院出席議員の五分の三以上の賛成ということで、これまで八回改正をされております。

 下院は総議員の五分の三、上院は出席議員の五分の三、何で上院と下院が違うんだ、こういう質問に対しては、総議員と出席議員の違いについて考えられる最も可能性の高い理由は、偶然だと思う、こういう答えがあったのが印象的でした。はっきりした理由はわかっていないようでございます。そういう、両院の五分の三以上というのが基本的な考え方でございます。

 そして、憲法改正について、チェコの憲法は大変複雑でして、憲法と憲法的法律という二つの憲法秩序がなされておりまして、憲法改正というのは、この憲法的法律の中で規定されているということも大変印象的でございました。

 それから、憲法改正とは直接関係ありませんけれども、やはり国民投票法というものは存在します。その国民投票法における公務員の投票運動規制について聞いたところ、住民投票に関して、公務員に政治活動をしてはならないと定めるものは全くない。ただし、公立学校の先生が授業で、今度の投票について私は賛成派だが、お父さんやお母さんにもそのように伝えなさいと述べても罰則はないのだろうかということに対しては、学校でそのような政治活動をしてはならないことになっていて、これは教育に関する法律で決められているということが印象的でございました。

 以上、簡単ではございますが、ドイツとチェコの報告とさせていただきます。

保利会長 次に、畠中光成君。

畠中委員 みんなの党の畠中光成です。

 衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の一員として行った調査について、御報告申し上げます。

 まず、今回の海外調査団に選任いただいたことにつき、保利会長を初め幹事、委員の皆様にお礼を申し上げます。

 ドイツでは、まず、連邦憲法裁判所を訪問しました。我が国には憲法裁判所はありませんが、昨年の衆院選における一票の格差が違憲状態であったという判決もあり、立法府と司法府の関係について改めて考えさせられました。我が国は、一票の格差二倍でも立法府はなかなか動きませんが、ドイツでは、プラスマイナス一五%でも違憲判決を出しています。

 また、過去五十九回も憲法改正を行ってきたドイツ連邦共和国基本法と、一度も改正をしていない日本国憲法を比較した場合、ナチスの反省、それからポツダム宣言の受諾というそれぞれの歴史的な背景が、ドイツ、日本両国の憲法のありように大きく影響を及ぼしているように思いました。

 連邦議員の方々などとの意見交換においては、脱原発はドイツ国民特有の不安感からできたと聞いたが、過去何度も行われた憲法改正には不安を抱かなかったのかとお聞きしましたところ、それは、基本的人権、自由や民主主義は永久に変えてはならないという基本法への信頼があるからだという回答をいただいたことが印象に残っています。

 これはチェコでも同様の発言があり、これまで八度の憲法改正を経てきたチェコにおいても、憲法秩序で変えてはならないものは民主主義と基本的人権、自由だという不文律がある旨の説明を受けました。

 国境が政治的に決まってきたヨーロッパとそうではない日本とでは、国家そのものの概念の違いがあらわれています。チェコの憲法の中には道徳的概念はほとんど見られず、極めてユニバーサルなもののように感じました。

 また、イタリアでは、憲法改正と国民投票について、下院憲法委員会、上院、憲法裁判所、破棄院などで意見交換しました。

 さて、みんなの党では、我が国にも本格的な国民投票制度が必要であると考え、現在、法制化に向けた最後の詰めを党内で行っているところです。その最大のポイントは、国民投票法三つ目の宿題である対象の拡大についてです。

 我々は、憲法改正に加えて、国政上の重要課題についても国民投票を可能とする案を準備しています。現在、国民の国政に関する最大の意見表明の機会である選挙においては、幅広い課題についての判断が必要となり、シングルイシューに関する国民の意見表明は事実上不可能です。みんなの党の国民投票は、これを可能とします。すなわち、原発問題や生命倫理に関する問題などのこの国の根幹にかかわる政策課題について、国会が国民に諮問し、その結果を踏まえて国会における議論を行う制度です。

 国民投票については、調査にお伺いした三国のうちでは、イタリアがその制度を有しています。また、チェコでは、EU加盟の是非を問う特別な国民投票が行われたことがあり、ドイツでも、国民投票を導入すべきであるという意見があるとお伺いしました。

 イタリアの国民投票には、主に憲法改正のためのものと法律廃止のためのものがあり、これまで六十六回と数多く行われています。二〇一一年六月には、原発の是非を問う国民投票も行われ、福島での原発事故も影響して、賛成多数で可決されたとのことでした。

 お手元の調査の概要にもあるように、イタリアでは、法律廃止のための国民投票においては、有権者の五〇%プラス一人が投票しなければ成立しないという最低投票率要件があります。みんなの党の国民投票に関する検討の中でも、最低投票率要件についての議論が行われました。その結果、投票の棄権を呼びかけるなどはそもそもの民主主義の条件に反するといった観点から、最低投票率要件は設けないこととしています。

 また、イタリアでは、余りにも国民投票の回数が多く、国民の投票に対する関心が薄れているという指摘もありました。みんなの党の国民投票案は、国会による発議を憲法改正原案の発議と同じ要件とするなど、乱発の防止を意図しています。

 今後、本憲法審査会において、国民投票法に関する議論が本格化するものと思います。この海外派遣調査の経験を生かし、三つの宿題への回答についても前向きな提案をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

保利会長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 保利団長を初め、調査議員団、同行の皆さん、関係者の皆さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。

 今回訪問した国々は、憲法や国民投票に対する考え方、制度のあり方、運用の実際など、それぞれの歴史や文化、政治的経験を反映してさまざまですが、注目に値する点や対比できる点が多々ありました。

 五点、感想を述べたいと思います。

 第一は、訪問各国が歴史の苦い教訓を決して忘れておらず、憲法にはその教訓が反映されているということであります。

 ドイツでは、基本法は、ナチス時代の反省から、一番最初に人権をうたうという構成をとっているとされ、連邦憲法裁判所のシュルッケビアー裁判官は、一般市民の基本権を侵害する可能性がある法律に対して待ったをかける権限を強調しました。

 ナチスによる占領、併合、戦後のソ連による侵略と八九年の体制崩壊を経験したチェコでは、ホフマノヴァー・カレル大講師が、歴史から学んだ内容は自由及び基本権憲章の中に見出すことができると述べたのが印象的でした。人権保障にこそ憲法の本質があると歴史の教訓を導いたと感じました。

 翻って、日本国憲法では、侵略戦争と植民地支配に対する反省から、憲法九条や前文の平和主義が生まれ、明治憲法下で人権が厳しく制限されていた反省から、三十カ条にわたる豊かな人権規定が設けられました。侵略の定義は定まっていないなどと言って歴史認識を覆す昨今の動きは、全くの時代逆行と言わなければなりません。

 第二は、それぞれ改憲の経験がある国々への訪問でしたが、いずれも改憲内容はほとんど技術的か小幅なもので、憲法の基本原則を変更するような改正は行っていないということです。

 ドイツでは、ジルバーホルン連邦議会議員の説明によると、これまで五十九回改正はしたが、大部分はEU加盟や東西ドイツ統合に伴うもので、国を二分する改正としては、一九五〇年代と六〇年代のものが挙げられる程度とのことでした。

 武正副団長も触れておりましたが、チェコでは、ネヌティル上院憲法・法律委員会副委員長が、日本の憲法が一九四七年から全く改正がなく現在に至ることができたということを非常にうらやましく思うと述べていたことが印象的でした。

 第三は、憲法改正手続の要件を根本から緩和すべきとする議論は、訪問国では行っていなかったということであります。

 ドイツでは、いわゆる左右両派の連邦議会議員がそれぞれ三分の二条項にこだわるのは、ワイマール共和国とその後のファシズムの時代という歴史上の理由からであり、この条項があれば、ヒトラーは全権掌握できなかったはずだ、また、三分の二はどの党にも議論の余地のないコンセンサスであり、基本法改正が政治的、日常的駆け引きのツールにならないことを担保するものだと共通して述べていたことに、確固性を確認できました。

 日本には、三分の二のハードルを引き下げるべきだという主張がありますが、欧州での議論ともかけ離れており、改めて三分の二条項の重要性を受けとめるべきでしょう。

 第四は、十八歳選挙権が世界の趨勢となっていることを改めて実感したことです。

 ドイツでは、バイエルン州では二十五歳であったこともあったが、さまざまな議論を経て、現在は全土であらゆる選挙の選挙権は十八歳になっているとの説明がありました。

 チェコ、イタリアも選挙権は十八歳です。

 日本では、改憲手続法成立後の三年間で、国民投票と同様に選挙権の年齢も十八歳にするとしていたのに、いまだ実現していません。これでは手続法が使えないという事態を打開しようと、十八歳選挙権を先送りした上、国民投票の年齢まで当面二十歳にしようとする動きすら伝えられております。これでは、世界の趨勢にも逆行するだけでなく、憲法調査特別委員会での議論は一体何だったのかが根本から問われると痛感しました。

 第五は、東京電力福島第一原発事故が訪問国の原発問題に与えた影響は非常に大きかったということです。

 イタリアでは、二〇一一年六月に成立した原発の是非を問う国民投票について、つぶさに知ることができました。投票率五四・八%で、成立要件を満たし、原発再開計画を許容する法律の廃止に賛成票が九四・一%と圧倒的多数に達した。この結果には福島原発事故が多大な影響を及ぼしたとオラーノ選挙局企画・総務課長らが訪問先で口々に語っておりました。

 ドイツでも、原発ゼロを政治が決断して以来、風力発電など再生可能エネルギーが格段に普及していることをこの目で確認できました。

 福島事故を起こした日本で、放射能汚染水問題も解決できないのに、原発の再稼働と輸出にひた走る動きがいかに異様であるかを改めて感じたところです。

 最後に、今回の訪問は、ナチスの手口に学んだらどうかという発言が日本で飛び出した後に、まさしくファシズムの時代を体験した当事国を訪れるものとなりました。しかし、いずれの国でも、かつての手口に学ぶどころか、あの時代をとことん反省し、いまだに検証を続けていることが新鮮でした。

 帰国後、秘密保護法案を強行し、憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認という、改憲に向けた動きが相次いでおります。これこそナチスの手口そのものとも指摘されるような動きを許してはならない。ドイツのコッホ議員が、日本での議論について、歴史を顧みてもらいたいと直言したことを思い起こし、その意味は重いと痛感しております。

 以上、報告といたします。

保利会長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党の鈴木であります。

 本当に大変意義深い調査に参加をさせていただくことができました。保利会長そして武正会長代理を初め、この調査に参加された議員の方々、そしてまたこの調査を支えてくださった関係各位に感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、私からは、憲法改正手続、国と地方の関係、そして地方分権改革、この三点について御報告をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、憲法改正手続に関する議論でありますが、御案内のように、我が国においては、ちょっと最近は下火になっておるようでありますけれども、憲法改正について、まず九十六条を改正して、国会の発議要件を各議院の総議員の過半数の賛成に引き下げるべきであるという意見がありました。この改正手続の緩和については、今回の海外調査でも議員間で非常に話題となったところであります。

 まず申し上げたいのは、訪問した三カ国においては、憲法改正は、通常の法律改正と比べてその手続が加重されてしかるべきであるとの認識が共有されていた、このように感じたことであります。

 憲法の最高法規性や安定性に鑑みれば、これは当然のことでありますが、我が国においては、議会内の手続を憲法も法律も同じにするとの議論が見られるところであります。この議論に対して、私も、我が党も、それでいいんだろうかというふうに感じておりました。したがって、今回の調査は、非常に思いを強くしたところであります。

 さらに、憲法の改正手続の緩和については、三カ国において一様に、それぞれ議員からの報告もありましたけれども、これに賛意を示す意見は見られませんでした。

 この点は、ドイツにおいては、各政党にとって議論の余地のないコンセンサスであるとされ、チェコにおいては、むしろ厳しくすべきであるとの意見もあるとのことでありました。また、イタリアでは、今般議論がなされている二院制改革などに関する憲法改正については、必ずしも憲法改正の要件とされていない国民投票について、これを要件化するとの動きもあるというふうに伺いました。

 現状でもかなり硬性度が高いと評価してよい憲法改正について、これをさらに加重しようとする議論すらあるということに感慨を覚えた次第であります。

 その他、チェコ憲法の制定時、憲法改正の議決要件について、議会で過半数を占めていた政府・与党が過半数を、野党が五分の三を主張したところ、憲法の安定性を重視する意識もあって、結局、五分の三が採用されたとのことであります。この議論は、その時々の政権が多数を背景に容易に憲法を改正できるようなシステムを好ましくないとした、よい例ではないでしょうか。

 加えて、ドイツでは、議決要件が三分の二であることによって、基本法の改正が日常の政治的駆け引きのツールとならないことを担保しているとの御発言もありました。

 これらの根底に流れる思想、つまり憲法の安定性を求める思想は、我が国に対しても当てはまるものと考えます。我が党の主張とも相通ずるものがある、そのように感じてまいりました。

 以上、申し上げましたように、訪問した三カ国においては、安易な憲法改正を求める我が国のような議論とは一線を画した議論が行われており、このことに感銘を受けた次第であります。

 そして、憲法改正手続の緩和は、憲法の基本理念を否定するような安易な改正につながり、憲法の最高法規としての安定性を害し、最高法規たる性質をも失わせてしまうとの我が党の問題意識について、改めて確信を抱いたところであります。

 次に、国と地方の関係でありますが、自治体の首長を経験させていただいた私としては、やはり国と地方の関係に関する議論が印象に残ったわけであります。

 まず、ドイツでは、地方分権の具体的な展開を問うたところ、中央集権化が進んだことから、二〇〇六年に連邦制改革が行われ、連邦と州の間で双方向の権限移譲がなされたが、改革は財政運営までは至っていないとのことでありました。

 また、社会保障政策や医療の例を取り上げながら、連邦が政策の定義や基準を決め、州がそれを施行していく関係は、財政的な観点から問題があり、見直していかなければならない旨の説明もありました。

 これらは、我が国の国と地方の役割分担を明確にしていくべきとの我が党の問題意識と少なからず共通するものではないか、このように考えております。

 最後に、地方分権であります。

 イタリアでは、地方行政は州、県、大都市、市という複層構造というふうになっておりまして、百六ある県に対して、内務省からプレフェットと呼ばれる知事が配属され、このプレフェットを通じて中央政府の政策が地域で実現されているとの説明がございました。

 ただし、県については、現在議論がなされている憲法改正において廃止が検討されているとの話もございました。

 また、イタリアの地方分権に関しては、国と州の間で権限争いが多いことや南北の経済格差が大きいことなどが問題とされています。そのため、今後は、地方に権限を与えて、地方の独立性や自立性を保障する一方で、地方間の格差を解消し、国家全体の統一を侵害しないようなバランス感覚のとれた接点を探っていかなければならないとの説明もございました。

 かつて中央集権国家として知られたイタリアでは、地方分権改革が進められましたが、問題点が浮き彫りとなって、揺り戻しが生じています。我が党は、地方自治体が、住民福祉の増進を図る観点から真に必要となる施策をみずからの判断と責任において策定、執行するため、憲法改正を主張いたしておりますが、イタリアにおける地方分権の過程は、我が国の地方分権改革のあり方にも大いなる示唆を与えるものであり、参考にすべきであると考えます。

 以上で私からの報告とさせていただきます。

 ありがとうございました。

保利会長 これにて調査に参加された委員からの発言は終了いたしました。

    ―――――――――――――

保利会長 これより自由討議に入ります。

 この際、委員各位に申し上げます。

 発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。

 発言は自席から着席のままで結構です。また、発言の際には、所属会派及び氏名を述べていただきますようお願いいたします。

 なお、幹事会の協議により、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。委員各位の御協力をお願いいたします。

 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 派遣報告、ありがとうございました。

 私が昨今の議論の中で非常に違和感を覚える議論の一つが、日本の憲法は戦後一度も改正されていない、制定以来改正されていない、変えられない憲法だからだめなんだと言わんばかりの議論があるんですが、今回の報告にもあるとおり、時代の変化に耐え得るから、いい憲法だから一度も変えないでここまで来た、こういう認識も我々は強く持つべきではないかということを申し上げたいと思います。

 そして、もう一つ重要な視点として、憲法改正に当たる議論の前提として、さきの昭和の戦争の総括があります。今のお金で二百兆円以上の税金をかけて三百十万人の命が奪われたさきの戦争でございますけれども、その戦争の総括としては、村山談話と言われるもので、政府として正式に談話を出したものの中に、国策を誤りというような文言がございます。

 では、どこの国策を具体的に誤ったのか。この検証というのは戦後一度もなされておりません。政府の正式なその検証というのはなされておりません。

 この国策を誤りと政府が認めた中身の前提としては、当時は明治憲法下でありました。では、その明治憲法のどこに問題があって、この国策を誤りという誤りが発生したのか。これをきちっと検証していくことが、憲法に対する見識、我々が歴史の教訓を学ぶ一つではないかというふうに思っておりますので、この視点も、私自身も、この審査会の皆様も共有をして、今後議論を深めることができればと思っております。

 ちなみにドイツでは、西ドイツ時代にさきの大戦の反省を、政府として、かなり多くの方からヒアリングをして、きちっとまとめて、ここが政府として誤ったという総括をきちっとしているところでありますので、このような視点もぜひ共有をしていただきたいというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございました。

坂本(祐)委員 日本維新の会の坂本祐之輔です。

 まず、このたびドイツ、チェコ、イタリアの三カ国において調査いただきました、保利団長、武正副団長を初めとする議員団の先生方に敬意を表するものでございます。

 さて、このたびの三カ国における調査は、今後の憲法審査会における議論の方向性についても極めて重要なヒントを与えてくれるものと考えます。

 特に、地方自治、連邦制、その他統治機構を中心に、憲法を時代の変化に合わせて改正してきていること。そして、憲法改正は、異なる意見を持つ政党間の小異を捨てて大同につくという精神に基づく政治的妥協の成果であること。以上の二点は、今回の海外調査で一貫して見られた姿勢と言えます。

 また、ドイツの基本法は、ワイマール時代からの経緯という歴史を背負っていますが、我が国の憲法もまた、その制定過程に問題があったという事実を無視して議論することはできません。本日はこの点について意見は申し上げませんが、いずれにしましても、私は、今回の海外調査から得られた知見も参考にし、憲法改正に向け、これからも当審査会で着実に議論を進めていくべきと考えます。

 今後の憲法審査会についてですが、平成十二年に憲法調査会が設置されて以来、国会での憲法論議も相当の蓄積ができているものと思います。特に衆議院の審査会では、憲法第一章から第十一章、そして前文まで、各条章全体を一巡する形で検証を行ってきました。

 私といたしましては、今後の当審査会では、これまでの成果を踏まえて、憲法の中身の議論を進め、具体的な点について、改正すべきか否かを議論する段階に入るべきと考えます。

 そのためにも、国民投票法に残された三つの宿題のうち、平成二十二年五月十八日までという期限を三年以上超過して、いわば違法状態にある選挙権年齢等の十八歳への引き下げと、公務員の政治的行為に係る法整備という問題の解決は急ぐ必要があります。

 そもそも、国民投票法は憲法の実施法でありますから、本来は、憲法施行後、間を置かずに整備されているべきものであります。これが、憲法施行後六十数年を経過してもいまだに完全でないという状況は、もはや放置しておくことは許されません。

 我々日本維新の会は、そのための具体案を法案として既に提出しています。我が党の法案をもとに一刻も早く国民投票法改正案の議論を進め、憲法改正の実現という大きな目標のもとで、小さな違いにこだわらず、各党で、妥協すべきところは妥協して、宿題を解決し、次のステップである具体的な憲法改正論議に進むべきであると考えます。

 以上です。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就です。

 団長また議員団の皆様、お疲れさまでございました。

 報告を伺いまして、質問をちょっとさせていただきたいと思いますので、どなたか議員団の方、もしくは、法制局も同行されていたということですので、教えていただきたいと思います。

 今回、改正の経験のある国を調査されたということでありますが、憲法解釈についてお伺いさせていただきたいと思います。

 二点あります。

 一点目は、憲法解釈につきまして議論があるのか、また、その解釈の実績があるのかということであります。

 また、二点目につきましては、それぞれ、憲法裁判所の役割、位置づけにつきましても御説明いただきましたが、憲法裁判所につきましては、役割といたしまして、定められた解釈に基づく違憲審査だけではなくて、解釈にかかわる裁判も扱うと認識しているわけでありますけれども、これは政治とは独立した機関であるということから、時の政権の意向が反映されにくいような仕組みになっているのではないかということも考えております。

 この点について、日本との比較も含めてお答えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

中谷(元)委員 まず、小池委員からの御質問ですが、こういった解釈は、立法府や連邦政府が勝手に決めてはいけないという認識のもとに、憲法裁判所が判断をいたしているという説明がドイツのヴィット係官という方からありました。

 私、EUの統合と憲法違反ということで質問をしましたけれども、やはりこういった問題も連邦政府が勝手に決めてはいけない、連邦政府が自分たちがこうしたいと思うことの一定部分以上については連邦議会の判断を仰がなければならないと連邦憲法裁判所が言ったということで、具体的には、ユーロの救済のことについて、欧州の中央銀行に対する国家補助ではないかという意見がありますが、このようなことについても憲法裁判所の方で判断をしているということを言っておりました。

 それから、長妻委員からの御指摘、ありがとうございました。

 過去の歴史認識や平和への仕組みというのは憲法上仕組まれているということで先ほど御報告をしました。しかし、時代の流れで、国の仕組みや統治機構、また国際安全保障へのかかわりについては頻繁に改正が行われておりまして、ドイツは五十九回の改正、チェコは、一九九三年に憲法が制定されましたが、八回、イタリアでも、一九四八年の制定以来、十六回の改正が行われております。

 ドイツは、再軍備、緊急事態条項のような国防の根幹にかかわる事項を、大きな議論の末に改正しました。

 チェコにおいては、下院の解散、大統領の直接公選制の導入、統治機構の核心にかかわるような改正がされたという経緯についてお話を伺いました。

 そして、イタリアでは、ちょうど訪問時にベルルスコーニ首相の辞任問題が発生をしておりまして、きょう、議員失職を国会が決定したというふうに聞いておりますが、この発端は、憲法裁判所で二〇〇四年に、贈収賄に問われているベルルスコーニ首相を免訴する裁判凍結法が国会で成立をしまして、それに対して違憲との判決を言い渡したことが発端になっておりますが、現在、五つ星という第三政党が広がっておりまして、これをもとに、二院制の議論とか、国会のあり方とか、議員の数とか、非常に根幹に関して憲法改正のテーマになっているということでございます。

 各国とも、やはり時代に合わせてこういった憲法改正を行っておりまして、我が国としましては、いまだ、軍隊の保持、自衛権の行使、緊急事態条項、こういったものが明記をされておりませんので、曖昧に運用するのではなくて、国民議論を経まして、しっかりとした改正が行われるべきではないかという印象を強く持った次第でございます。

 以上です。

西野委員 日本維新の会の西野弘一です。

 先ほどの議論の中で、明治憲法とさきの大戦の関係も議論すべきだという意見もありましたが、そもそも、それを議論する前に、現行憲法は、明治憲法の、帝国憲法の七十三条の改正手続を経て制定された憲法であるということを我々は認識して、今、ヨーロッパに行って各国を視察いただいて、いろいろな国で何度も憲法の改正が行われたという御意見がありましたけれども、それぞれの国で共通して言えることは、その憲法をしっかりと国民の議論に委ねて、その中で改正を繰り返すことによって、その憲法自身に各国の国民の皆さんが愛着心を持たれているなということを、今のいろいろな視察の御報告を聞いて感じました。

 ですから、我が国も、一度、国民の御意見、御議論にこの憲法を委ねて、国民の皆さんにこの憲法に愛着を持っていただける、そういった手続を早く踏まなければならないんだなと改めて思いました。

 その上で、先ほど我が党の坂本委員からもありましたけれども、せめて国民投票法の審議ぐらいは早急に進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思っております。

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 調査団の先生方の有用な御報告を賜りまして、まことにありがとうございました。

 いろいろと示唆に富んだ御報告内容があったわけでございますけれども、その中で、ドイツならではの経験から生まれてきているのかなと思いましたのが、ポピュリズムのリスクというものをしっかりと踏まえて対応している、こういう憲法のたてつけになっているということが印象に残ったところでございます。

 これは恐らく、そのときそのときの時勢だけに流されることはなく、幅広い民意を集約しつつ、専門的見地も踏まえての判断ができる間接民主主義のよさというものを捉えていることであろうというふうに思うわけでございます。

 こうした価値というもの、国民投票というものが確かに有用だということが今広く言われているわけでございますけれども、このポピュリズムのリスクという観点も同時に忘れないようにしなければいけないのではないか、このようにも思ったところでございます。

 また、同時に、憲法の改正要件について、通常の法律よりも、各国、ハードルが高くなっているという御指摘もあったところでございます。私は、これは当然のことであろうと思っておりますけれども、あわせて、審査会の中でも繰り返し指摘をいたしておりますけれども、我が国の場合は発議要件の話をしているということと、諸外国の改正要件のハードルの数字というものが、委員の皆様方はよく御存じのことかもしれませんけれども、えてして世の中で混同して捉えられることがあると思いましたので、改めて指摘をしておきたいというふうに思うわけでございます。

 すなわち、チェコで五分の三、ドイツで三分の二といった数字は、あくまでも議員の投票による改正要件の数字であって、我が国において、各党、自民党も含めてでございますけれども、変更の必要性が指摘をされている事項というものは、憲法改正の発議要件を国会議員の二分の一とするというところでございます。当然、その先に、我が国においては国民投票という大変高いハードルを課していることについては、どのような議論の中でも不変ということでございますし、この国民投票ということについては、ドイツ、チェコ、御報告の中でも、これについては設けていく方向には特段ないんだということをお伺いしたところでございます。これについては改めて確認をしておきたいと思うところでございます。

 いずれにしましても、諸外国においても、第二次大戦から七十年近くが経過をした中で、さまざまな根幹的な議論というものもなされるようになってきているということも感じたところでございます。

 そしてまた、欧州においては、特に憲法より上位の概念となりますEUというものの存在が大きくなってきているということも議論に影響を与えているのではないかというふうにも感じましたので、その点についても指摘をさせていただきたい、このように思います。

 坂本委員からも御指摘がありましたように、かなり多くの議論の蓄積が既になされており、実際の憲法改正に向けて私どもも具体的な手順に入っていく、そういう時期に来ていると私も強く感じておりますので、委員各位の皆様方とさらに議論を深めつつ、速やかな、前に進めていく憲法改正というものを実現していきたい、このように感じているところでございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 憲法裁判所に関しての補足をさせていただきます。

 ドイツの憲法裁判所においての資格、選出の問題なんですが、資格は、四十歳以上で、二つの国家試験を受けまして、十六名選ばれるわけですけれども、二部制にしておりまして、八名中三名は他の下級裁判所なり最高裁から選ばれまして、五名は、大学など学術的な、法曹界の、いわゆる有識者が入っているということです。

 入れかわりなんですけれども、もちろん前任者がやめると入りますけれども、十二年、もしくは定年を迎えてそこでの入れかわりがあるということです。十六名が一度にかわるというのではなく、通常の手続ですけれども、前任者がやめたり、もしくは定年を迎えた人たちで順次かわっていくということ。やはり中立性が問題になるんですけれども、どの党から、どの州からも選任されているから中立にならなければならなくて、選ばれた党というか、それをびっくりさせるような判決も出たわけで、中立に関してドイツでは問題にならなかったということ。ドイツの憲法裁判所というのは非常に権威を持っておりまして、憲法裁判所の言うことはかなり絶対だ。扱われる案件に関しては全て個別案件でありまして、一つ一つの事例に対してそれが違憲かどうかの判決をしていて、大きな、基本方針を揺るがすようなことは扱わないということです。

 加えて、最後に申し上げたいのは、各国、細かい要件を改正していまして、憲法を改正していまして、例えばドイツの五十九回もそうなんです。確かに、基本的なところ、基本的人権にかかわることとか安全保障に関するところはさわらないということで取り決めはしてあります。だけれども、ごく一部の議員から、日本の憲法は変わっていないからうらやましいというのは一人の意見でございまして、残りの議員及び学識者からの意見では、やはり変えられないということが問題なので、変えられるという手続を経て、そこから議論することが憲法において大事だということを、私、全会話を記録いたしましたので、そのことを皆さんに御報告申し上げたいと思います。

畠中委員 先ほどの報告の中で一点、追加という意味で手を挙げさせていただきました。

 私の関心として、ネット選挙も解禁になって、国民投票や選挙における欧州での考え方、扱いということを聞きました。特にイタリアにおいて、例えばメディアやあるいはインターネットも含めた、選挙、国民投票における扱いはどうなっているんですかというふうに聞いたところ、全くの自由だ、インターネットはもちろん、テレビに関しても全く特に規制はないという話でありました。

 ベルルスコーニがテレビ局を持っているということもありまして、報道に関しては、例えば特定の政党、特定の考え方をどんどん報道したりすることも全く規制がないということでありました。この点、日本のメディアの文化と大分違うなという印象を受けました。

 以上です。

笠井委員 私の感想を含めて、報告は述べたとおりなんですけれども、三分の二のハードルについての高さ低さという議論もありましたけれども、いずれにしても、今回三カ国行きましたが、行った中で、要件を根本から緩和すべきだという議論はやられていないというのが私たちがつかんだ中身だと思います。

 それから、回数が多かった少なかったという話もありますけれども、やはり、多くのところで、技術的、小幅なものが圧倒的だということであって、先ほども、いいものだから変えずに来たという御発言もあったわけですけれども、まさに、そういう点では、それぞれの経過の中でできた憲法、そしてその憲法をどうするかというのは、それぞれ国民が決めることですが、日本国憲法について言えば、今多くの国民が、九条を初めとして、まさにこの憲法に愛着心を持っている、だからこそ変えずに来たということであって、国民の中に定着しているんだというふうに思います。

 今回の訪問を通じても、私自身は改憲の必要なしということをますます確信したところであります。

 以上です。

中谷(元)委員 もう一点、長妻委員からの御指摘に関連しまして、ドイツでは、人間の尊厳、民主主義、法治国家、連邦制などの根幹が改正できないという永久条項、永久禁止条項というものがございます。

 戦う民主主義という理念を持っておりまして、法治国家、民主、自由な秩序に対する危険を排除しているということで、こういったものを守る義務を国民に課しています。それから、表現の自由、結社の自由などを自由主義、民主主義に敵対するために濫用した場合は、これらの基本権を喪失する旨の規定が行われております。

 私が、では、思想、表現、政治活動、結社の自由というのはあるんですかと聞きますと、人間の尊厳は侵すべからずという第一条はありますが、尊厳については絶対に制限はできない、しかし、表現の自由となるとその他の立法において制限は可能であるということで、例えば政治活動も、ナチスという言葉を使えないようにしているし、それを言った場合には法律で処罰されるそうです。

 それから、ワイマール憲法とか大ドイツ主義に戻そうという政党や動きがあるのかと聞きましたら、そのような声は全くないんだ、EUの統合に反対する議員や政党はあるけれども、少数派でありまして、地理的にドイツの領土を大きくしたり、ナチスという言葉を使っているというものは全くないということでございました。

長妻委員 私の名前を中谷先生から二度ほど言及していただいたので、一言だけでありますけれども。

 今、ドイツの永久禁止条項、改正はできないということを評価されるような御発言がありましたけれども、自民党の憲法草案を拝見しますと、九十七条、最高法規である基本的人権の条文がばっさりと削られておりまして、その発言と少々矛盾されるのではないかということも申し上げておきます。

中谷(元)委員 その条項は、削除したのではなくて、一度しっかりと規定をした条項の二度目の使用でありますので、それは一つの条項にまとめて使っております。基本的人権は生きておりますので、誤解のないようにお願いしたいと思います。

保利会長 それでは、予定の時間が過ぎておりますので、自由討議はこの辺にいたしたいと存じます。よろしいでしょうか。

 それでは、自由討議はこれにて終了いたしました。

 なお、私から御報告を申し上げておきたいことが一つございます。

 十一月の十四日に、アフリカのリビアの制憲議会憲法審査委員会のアブー・リーファ委員長初め三名の方がおいでになりまして、突然のことでございましたから、私が代表してお目にかかりました。

 日本国憲法の状況について教えてほしいということでございましたので、英文の憲法の条文をお渡しして、若干の説明をさせていただきました。

 なお、リビアにつきましては、カダフィ政権が倒れましたが、カダフィ政権のときに憲法が全部廃止されておりまして、現在は憲法がないという状態でございますので、憲法制定議会というのをつくっておりますが、憲法制定議会の出席が非常に悪いので、これに対する何か罰則規定というのをどんなふうにつくったらいいだろうかという、非常に珍しい条項がございました。

 そんなことがございましたことを報告いたしておきます。十一月十四日のことでございました。

 なお、本海外調査の報告書につきましては、追って各委員に報告するとともに、衆議院ホームページでも公開をいたしたいと存じます。

 次回は、公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


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