衆議院

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第2号 平成24年8月2日(木曜日)

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平成二十四年八月二日(木曜日)

    午前十一時開議

 出席小委員

   小委員長 新藤 義孝君

      小野塚勝俊君    岡田 康裕君

      奥野総一郎君    勝又恒一郎君

      階   猛君    初鹿 明博君

      花咲 宏基君    松本 大輔君

      向山 好一君    森岡洋一郎君

      木村 太郎君    河野 太郎君

      下村 博文君    平  将明君

      加藤  学君    遠山 清彦君

    …………………………………

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   財務大臣政務官      若泉 征三君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   政府参考人

   (内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室副室長) 櫻田 道夫君

   政府参考人

   (内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室内閣参事官)           大熊 一寛君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           中村 雅人君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    田中 一穂君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   飯塚  厚君

   政府参考人

   (財務省理財局国有財産企画課長)         小野平八郎君

   政府参考人

   (財務省理財局国有財産調整課長)         水野  敦君

   政府参考人

   (財務省理財局国有財産業務課長)         山岸  晃君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課長) 小川  壮君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局情報課長)         下間 康行君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局情報課計算科学技術推進室長)            林  孝浩君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局原子力課長)        生川 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       鈴木 幸雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課長)            吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部放射性廃棄物等対策室長)        鈴木洋一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課長)  森本 英雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   中村幸一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院企画調整課長)            片山  啓君

   参考人

   (独立行政法人理化学研究所理事)         田中 正朗君

   参考人

   (独立行政法人理化学研究所理事)         古屋 輝夫君

   参考人

   (独立行政法人理化学研究所計算科学研究機構運用技術部門長)        横川三津夫君

   参考人

   (独立行政法人日本原子力研究開発機構理事)    伊藤 洋一君

   参考人

   (独立行政法人日本原子力研究開発機構理事)    廣井  博君

   参考人

   (独立行政法人原子力安全基盤機構理事)      福島  章君

   決算行政監視委員会専門員 平川 素行君

    ―――――――――――――

七月二十六日

 小委員平智之君同月三日委員辞任につき、その補欠として小野塚勝俊君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員岡島一正君同月四日委員辞任につき、その補欠として松本大輔君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員初鹿明博君及び森岡洋一郎君同日委員辞任につき、その補欠として初鹿明博君及び森岡洋一郎君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員黒田雄君同日小委員辞任につき、その補欠として加藤学君が委員長の指名で小委員に選任された。

八月二日

 小委員初鹿明博君及び森岡洋一郎君同日委員辞任につき、その補欠として勝又恒一郎君及び花咲宏基君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員平将明君同日小委員辞任につき、その補欠として下村博文君が委員長の指名で小委員に選任された。

同日

 小委員勝又恒一郎君、花咲宏基君及び下村博文君同日委員辞任につき、その補欠として初鹿明博君、森岡洋一郎君及び平将明君が委員長の指名で小委員に選任された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 行政監視に関する件(行政監視に基づく事業の見直しに関する決議に対して政府が講じた措置)


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     ――――◇―――――

新藤小委員長 これより行政監視に関する小委員会を開会いたします。

 行政監視に関する件、特に行政監視に基づく事業の見直しに関する決議に対して政府が講じた措置について調査を進めます。

 本日は、去る六月十三日の本小委員会における政府の報告に対し、テーマごとに自由質疑を行います。

 また、この質疑の前に皆さんに御紹介いたしますが、傍聴席の方に、前回の質疑の際にスパコンの関係でお世話になりました金田先生、わざわざお出ましをいただいておりますので、御紹介をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。(拍手)

 この際、小委員各位に申し上げます。

 質疑のある小委員は、挙手の上、小委員長の許可を得て発言されますようお願いいたします。また、発言の際は着席のままで結構でございます。

 なお、各党の協議によりまして、一回の発言につき原則として一問となっております。また、同一質疑項目についての質疑応答は連続して五分以内となっておりますので、小委員各位の御協力をお願い申し上げます。必要に応じて議事進行させていただきますので、お含みおきください。

 それでは、まず、文部科学省、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築について自由質疑を行います。

 発言のある方は挙手をお願いいたします。

河野小委員 このスパコンの問題は、当初、スカラー・ベクトル混合型という話でスタートをしたんですが、要するに、それでなければだめだという説明をさんざんした後、スカラー型に方針転換をしました。

 これはなぜそうなったのかをきちっと説明せいといって、戻ってきたのが、何だかよくわからぬ議事録を読めみたいな話で、これは委員会の要請に応えておりませんので、きちっと文章で合理的、論理的に、なぜスカラー・ベクトル複合型からスカラー型の単一システムに変更が行われたのか、それから、当初、複合型でなければだめだと言っていたのが単一型にあっさり変わりましたが、それでは当初の複合型でなければだめだという主張は一体全体何だったのかを、きちんと国民が読んでわかるような文書にして提出をしていただきたいと思います。

 小委員長におかれましては、後ほど理事会その他でお諮りをいただいて、きちんと文科省に要求を出していただきたいと思います。よろしくお願いします。

新藤小委員長 幹事会で協議したいと思います。

 それは、答弁はよろしいんですか。

河野小委員 答弁は要りません。

岡田(康)小委員 岡田康裕でございます。

 今のもごもっともですし、今後のためにもきちっとしていただきたいと思うんですが、これからの前向きな話の部分を伺いたいと思います。

 出していただいております「政府において講じた措置」のちょうど真ん中辺のボックスの中でも、EUなんかでも既に取り組みが始まっている、チャレンジが始まっているエクサとか、ゼタなのかヨタなのかわかりませんが、そういうさらなる速いものを目指してというふうなことが、ワーキングチームも動き始めているというふうに伺うんですね。

 一方で、いろいろな資料をいただいたのを見ていますと、新しいのが、例えばペタのができたとしても、実際、民間企業で活用されているものというのは、百分の一から千分の一ぐらい遅いものがより使われている状況があるというふうなコメントも見ました。

 そういう状況に対して、例えば今神戸にできたものもそうなんですけれども、いかに民間企業の技術開発とか新たな取り組みに使っていただけるようにするかというところで、何がそのボトルネックになっているという認識をすればいいんでしょうか。つまり、コスト面なのか、利用の仕方として使いにくいという状況があるのか、一台しかないからなのか、もしくはセキュリティー上、企業秘密が漏れたくないというふうなことで、外部のリソースを使わないというふうになっているのか。そこら辺はどういうふうに分析をされて、この「京」をつくる状況を迎えているのか。

 まだそういうところは調査できていないのかどうかというふうなことも含めて、ぜひ、これから新しいもの、もっと速いものを目指すのであればなおさらのことながら、そこら辺をどういうふうに調査分析されているんでしょうか。

吉田政府参考人 御質問ありがとうございます。

 「京」以降のスーパーコンピューターにつきまして、我が国としても、長期的な視点から研究開発を進めていかなければいけない、こういうふうに思っております。先生御指摘のように、ただいま私どもの方でも有識者から成るワーキンググループを設置いたしまして、今後十年間程度を見据えました今後の計画について今調査検討を進めているところでございます。

 その中で、いわゆる産業利用という側面についても十分に視点を当てまして検討していかなければいけないと思っておりますけれども、今現在の「京」を中心といたしますHPCIシステムにおきましても、その使いやすさを達成するとか、それからセキュリティーの面ですとか、それからコスト面ですとか、そういった面も含めて検討をしてきております。

 例えば、使いやすさということに関しましては、HPCIシステムは、「京」を中核といたしまして全国の大学の情報基盤センターが持っておりますスパコンなんかもネットワークで結んで、そこで全体として成果を出していこうというふうに構想しているわけでございますけれども、その際、それぞれのスパコンごとにアカウントをとらなければいけないというような従来の使いにくい部分、それを解消いたしまして、シングルサインオンということで、アカウント一つで全国のHPCIシステムを使えるようにするとか、それから、セキュリティーの話もございましたけれども、これにつきましては、東西にアクセスポイントというものを設けまして、そこで、企業秘密など企業として秘匿すべき情報が漏れないような形で、企業がこのHPCIシステムに参加できるような枠組みといったものも構築をしております。また、コストという面におきましても、成果を公開する形のものにつきましては、これは無償ということで提供させていただきます。ただ、成果が非公開という場合については、これは一定の運営経費を案分いたしました経費を負担していただくという形に考えております。

 今動かそうとしておりますHPCIシステムではその点を配慮しておりますけれども、将来のまた研究開発ということにおきましても、御指摘の点は非常に重要な点でございますので、その点を十分踏まえながら、また、産業界のニーズも十分踏まえながら検討を進めてまいりたいと思っております。

岡田(康)小委員 今回、二十四年度までで、開発とか設備、施設費なんかで一千百十一億円ぐらいトータルかかったというふうなこともありますから、それが多いか少ないかは別にしまして、富士通さんの方もかなり御負担をいただいているんでしょうけれども、相当割合国費が入っているわけですから、一たびできた以上は、それをいかに広く使っていただけるかということをぜひ意識していただきたいと思います。

遠山小委員 質問をさせていただく前に、一点、私も、先ほど河野委員からもありましたとおり、今回、文科省のこのスパコンに対する対応で、当委員会から昨年の秋に厳しく指摘を受けるまで必要な情報を全て開示していなかったというのは、隠蔽体質と言われても仕方のない面があると思いますので、それは今後教訓として、省として生かしていただきたいということを苦言として呈させていただきたいと思います。

 また、先ほど河野委員が委員長に対して要求されたことについて、私も要求をしたいと思います。あのような技術的な膨大な資料を国民は読む時間がございませんので、技術の選択に関して迷走したこと、何が原因で迷走したのか、また、その教訓をどうこれから生かそうとしているのか、国民が読んでもわかる文書で出していただきたいということを、私も改めて、重ねて委員長にお願いをしたいと思っております。

 その上で、今議論のあったことに関する質問を一問させていただきます。

 「京」が完成した後の戦略につきましては、文科省の今回当委員会に出された報告書を見ますと、平成二十五年の夏に中間報告を出して、そして平成二十六年三月に最終報告をこの次の十年間のHPCI計画について出されるというふうに認識をいたしております。

 他方で、「京」の共用開始時期については前倒しをされて、平成二十四年、本年の九月末からということでございますが、共用開始がもう来月というところまで来ている中で、その次の戦略が出てくるのが平成二十六年の三月ということで、約二年弱後ということで、ちょっとギャップがあるなというふうに思っております。

 私も、関心としては、例えば戦略プログラム五分野のうち、去年の大震災もありましたので、防災、減災分野については優先的に成果の上がる形をスパコンを使ってやっていただきたい。これは国民の税金を使って出しているスパコンですから、ぜひそういうことを、また、大きな地震も、次の地震も予測されている状況でございますので、やはりそういった優先的な分野を決めて成果を上げていただきたいと思いますし、また、民生技術開発の利用料金等についても産業界がよくわかるような形を出していただきたいというふうに思っているわけですが、そういったことも含めて、早期に次のHPCIの計画についてビジョンを出すべきではないか、ちょっと今の計画だと遅いのではないかという気がしておりますが、答弁を求めたいと思います。

吉田政府参考人 確かに私どもの方も、次のビジョンといったものを早期に提示する必要があるんだということについては認識をしております。

 ただ、今回の決議の中にもございましたけれども、今後スパコンに求められる科学的、社会的なニーズといったものをきちんと捉まえた上で、また、技術的な動向ですとか国際的な動向、そういったこともあわせながら、また、実際、「京」を中心としたHPCIが動き出して、その中で起こってきます利用についてのさまざまな課題、産業利用の面についてもさまざまな問題が生じ得るかもしれません、そういったこともあわせながら検討をしていかなければいけないだろう、こういうふうに思っております。

 そういう意味では、来年の夏ごろの中間まとめをつくる段階においては一定の方向性を得たい、こういうふうに考えておりますけれども、できるだけ早期にということで努力させていただきたいと思います。

新藤小委員長 遠山君の御提案も、後刻幹事会で協議をさせていただきたいと思います。

平(将)小委員 まず、「京」のシステム構成に関して、科学技術・学術審議会と総合科学技術会議においてさまざまな議論がなされたというふうに記述をされておりますけれども、この科学技術・学術審議会と総合科学技術会議の役割分担を教えてください。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省に置かれます科学技術・学術審議会は、文部科学大臣の諮問に応じて科学技術の総合的な振興に関する重要事項等の調査審議を行うとされておりまして、「京」の開発を行いました次世代スーパーコンピュータープロジェクトにつきましても、この審議会におきましてその推進方策の調査審議と「京」の概念設計等について評価を行ったところでございます。

 他方、内閣府に置かれます総合科学技術会議につきましては、科学技術に関する大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発の評価等を行うこととされておりまして、新たに実施が予定される総額が約三百億円以上の国費を要する研究開発につきましては、大規模な研究開発として、各府省における評価結果を参考にしつつ評価を行うこととされております。

 「京」につきましても、総合科学技術会議におきましては、国家基幹技術と位置づけますとともに、その概念設計等につきまして、文部科学省に置かれた科学技術・学術審議会における評価のプロセスと、その結果の妥当性を中心に評価を行ったということでございます。

平(将)小委員 そうすると、二つの、審議会と科学技術会議では、総合科学技術会議の方が最終的な権限を持っているという解釈でよろしいでしょうか。

下間政府参考人 総合科学技術会議が各府省の行う評価の評価を行うという形で、国全体としての研究開発について評価を行っているということでございます。

平(将)小委員 複合型でいくべきだと言った会議と、複合型から単一型に変更するということを了承したという会議が別の会議だったというふうに聞いておりますが、それは事実でしょうか。

下間政府参考人 事実でございます。

平(将)小委員 どの会議がどういう決断をされたんでしょうか。

下間政府参考人 複合システムの採用につきましては、平成十九年の三月から九月にかけまして科学技術・学術審議会の次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会等で審議が行われたところでございます。システム構成の再検討につきましては、平成二十一年の四月に次世代スーパーコンピュータープロジェクトの中間評価作業部会において中間評価を行い、システム構成案の再検討を指示したということでございます。

平(将)小委員 一つのことをやっていて路線変更をするときに、なぜ違う会議体で行っているんでしょうか。

下間政府参考人 複合システムの採用時におきましては、概念設計についての評価を行うための作業部会を科学技術・学術審議会の中に設けまして評価をいただいたということでございます。その後、次世代スーパーコンピューターのプロジェクトの推進につきましては、次世代スーパーコンピューターのプロジェクトの評価を行うということで、その中間評価につきまして作業部会を設置いたしまして評価を行ったという経緯でございます。

平(将)小委員 一つの流れの中で大きな方向転換をするときに会議体を使い分けるというところにわかりにくさがあるんだ、そのように思います。その指摘をさせていただきます。

 それに関連して最後に、先ほど河野委員や遠山委員からも指摘がありましたが、やはり迷走したということだと思うんです。その迷走の原因、責任はどこにあるのかということをお伺いします。

吉田政府参考人 先生御指摘のように、当初、複合システムというものを技術達成状況などを見ながら二十一年に方向転換をしております。これは理研の方におきまして実際にプロジェクトの進捗状況を管理しながら、世界に先駆けて十ペタFLOPS級を達成するという当初の目的、できるだけそれを実現可能なものにするための判断であったというふうに考えておりまして、それについて……

新藤小委員長 局長、もうちょっとマイクをちゃんと自分の口の方にやって。小さいから。

吉田政府参考人 失礼いたしました。聞き取りにくくて、おわび申し上げます。

 そのような状況の変化を踏まえて理研の方での御判断があり、そしてそれを私どもの方でも先ほど申し上げました中間評価作業部会の方で判断をさせていただきました。そういった変更についてどのように評価をするのか、またそれについて責任をという御指摘でございますけれども、私どもとしては、そのあたりの変更については、そのときの状況を考えますとやむを得ない変更であったのかなというふうに考えております。

平(将)小委員 今のお話を聞くと、迷走したわけじゃない、状況が変わったからやむを得なかったんだという評価を文科省自体はしているという理解でいいですね。

吉田政府参考人 そのように受けとめていただいて結構だと思います。

河野小委員 このスパコンは自民党の事業仕分けのときから、何で一番でなければだめなんですか、一番の機械が一台あるのと二番の機械が十台あるのとどっちがいいんですかという質問がありました。それから、蓮舫さんの有名な質問もありましたが、やはりこれは明確な答えがありません。

 このスパコン、短期間ですが一番になったようでございますが、一番になって得たこと、つまり世界で一番になったから得られた、これが二番目のスピードでは得られなかったものは何なのかというのを国民が読んではっきりわかる、どこどこの議事録を読めというのではなくて、きちんと文科省が文章にしてまとめた国民に対する説明を提出要求していただきたいと思います。

 これは、短期間でも一番になったから得られたものであって、もし同じものが二番目であったのでは得られなかったものが当然あるということから世界で一番ということだったんだと思いますので、その違いは何だったのかということをまず明確に説明をしていただきたいと思います。これは文書で、幹事会の方で要求をしていただきたいと思います。

 そして、今後、このスパコン「京」の共用が始まりますが、今後のスパコン戦略はどうなっているのか、また世界で一番を目指すのか、何を目指して今後のスパコンの開発をするのか、あるいは、スパコンの開発そのものをするのかどうなのかを含め、今後のスパコン戦略をまずお伺いしたいと思います。明確に、わかりやすく答えていただきたいと思います。

吉田政府参考人 先ほど来、何人かの委員の方の御質問にお答えしたとおり、私どもとして、やはり今後のスパコン戦略といったものをきちっと結論を出していく必要があるだろうと思っておりまして、現在、有識者のワーキンググループでいろいろと議論をさせていただいているところでございます。

 その際、「京」のときにはやはり世界に先駆けて十ペタFLOPS級のというのが一つの目標でございましたけれども、次世代のスパコンを考える際には、むしろ、いかなる社会的、科学的なニーズが今後のスパコン開発にとって必要とされているのか、そういったところをきちんと見据えて検討していく必要があるだろうというふうに思っております。

 時間的な問題としては、先ほども答えさせていただきましたように、今、ワーキンググループを進めておりまして、来年の夏ごろには中間まとめとして一定の方向性を出したい、こういうふうに考えております。

河野小委員 スパコンのような科学技術の開発をやろうとすれば、当然、長期的な戦略に基づいて開発が行われなければならないんだと思うんですね。とりあえず目の前のものをとりに行ってとりました、そこから先はわかりません、また考えますというのでは、お菓子が欲しい子供がだだをこねているのと同じであって、要するに、何も次の戦略はありませんというのを今ちょっと聞いてびっくりしておりますけれども、来年の夏まではどうするかわからぬというものにこれだけ多額のものをかけて、何だかよくわからぬけれども、とりあえず今回は世界一で、次は世界一かどうか、そんな必要は多分ないでしょうみたいな話だったわけですけれども、一体全体、このスパコンは何だったのかという、要するに、文科省は全く行き当たりばったりにこのスパコンの「京」を開発した。つまり、スパコン「京」の開発をするときに、長期的にその後どうするということは全くなかった、そういうことですか。

吉田政府参考人 「京」の開発に当たりましては、スパコンとしての性能面もさることながら、科学的、社会的な課題、そういったものに対応できるような内容にすべしということでございまして、今、この「京」を用いまして、五つの戦略的なプログラムといったものを立ち上げ、科学的な成果を出そうとしております。

 先ほど遠山先生のお話にもございましたけれども、防災、減災といった分野における活用といったものも重要な柱になっているわけでございまして、そういった、スパコンの技術開発とあわせて、科学的、社会的なニーズに応え得る……(河野小委員「長期的な戦略なしにやったのですかと聞いているので、端的に答えてください」と呼ぶ)はい。そういう面も含めて、長期的な視点で「京」の開発を進めてきたものでございます。

 それで、その次のステップとしてということについては、今、今後十年程度を見据えた計画づくりをしている、こういうことでございます。

河野小委員 要するに、長期的な視点が何もなく、ただ世界一を目指したいからやりましたという話ですよね。

 そうすると、世界じゅうの国の中で、別に世界一のスパコンの開発をしていない国というのはたくさんあります。そういう国は、よそで開発されたスパコンをうまく利用して、それを利用することによって社会的、科学的な課題に取り組んでいるわけで、そういうことを日本がやったってこれはいいんだと思うんですね。

 ほかの国は、スパコンの開発をやっていない国は、科学的に何か脱落していくんですか。文科省の考えをお聞かせください。

下間政府参考人 済みません。まず事実関係を最初にお答えしたいと思うんですが、平成十七年の科学技術・学術審議会におきまして、スーパーコンピューターの長期の見通しにつきましては、「ナショナル・リーダーシップ・システム(NLS)の開発整備の長期スケジュール」ということで、それまでのNLSの開発プロジェクト、平成元年から平成五年の数値風洞でございますとか、平成四年―平成八年のCP―PACS、それから平成九年から平成十四年の地球シミュレーターの牽引に引き続きまして、スーパーコンピューターのシミュレーションを必要とする幅広い分野における活用ということを目指した、平成三十二年までを見据えたナショナル・リーダーシップ・システムの位置づけについて議論を経て、現在の次世代スーパーコンピューターのプロジェクトにつながっているということでございます。その点を補足させていただきます。

吉田政府参考人 先ほどの先生の御質問にということでございますが、このスーパーコンピューターを用いましたシミュレーションというのは、さまざまな分野の科学技術、産業の発展に大きく寄与するものでございまして、スーパーコンピューターの優劣というのは国の競争力に直結をするものだろう、こういうふうに思っております。

 その際、やはり日本として独自のスパコンに関する技術を維持発展させていくというのが日本の科学技術力を維持向上させていく上でも不可欠の要素だというふうに考えておりまして、そういった点も加味しながら「京」の開発に当たってきたところでございます。(河野小委員「質問に端的に答えてください」と呼ぶ)

新藤小委員長 局長、今検討中であるならば、その具体的な項目だとかテーマ、そういったものを少し御回答いただければよろしいんじゃないでしょうか。

河野小委員 スパコンを開発していない国は、科学的に技術が脱落していくんですか。

吉田政府参考人 その点については、必ずしもそうではないと思いますけれども、それはそれぞれの国の姿勢によるものが大きいと思いますが、先ほど申し上げましたように、やはりそのコンピューター関係の技術につきまして、我が国として一定水準のものを維持向上させていく、そういった姿勢で開発に当たってまいりました。

河野小委員 それでは、このスパコン「京」を開発したことによって維持された日本の国際競争力というのは何か、明確にわかるように書かれた資料を提出をいただきたいと思います。スパコンを開発していない国々の、同じような分野の国際競争力がどうなったのか、きちんと比較がわかるようにしていただきたいと思います。

 それから、先ほど文科省が、長々と長期的な戦略があったという話がありましたが、それでは、スパコン「京」の後の開発の戦略は何なのか、端的にお答えください。

吉田政府参考人 その点を、ただいま有識者から成るワーキンググループで検討をさせていただいているということでございます。

河野小委員 今あなたの横に座っている人間が、長々と何か長期的な戦略があったという説明をしたじゃないですか。それは一体何なんですか。

吉田政府参考人 それは「京」の開発までの戦略でございます。

河野小委員 「京」の開発の後の話を最初からしているじゃないですか。何でそんな話が今出てくるんですか。

下間政府参考人 私の方からは、「京」の開発の次世代スーパーコンピュータープロジェクトの開始に当たりまして、長期的な展望はなかったかというお尋ねに対して……(河野小委員「いやいや、「京」の後の開発の話をしているんであって、「京」に至るまでの話はしていないでしょう。時間の無駄遣いはやめてください」と呼ぶ)

 その際に、現時点においてそれが有用かどうかということはおきまして、当時、その平成三十二年を見通したナショナル・リーダーシップ・システムとしてのスーパーコンピューターのあり方について議論がなされたということでございます。

河野小委員 では、それはどういうことか説明してください。ここから先に、何がどう有効になるんですか。

下間政府参考人 今後のあり方については、その後の、河野先生が、自民党時代の無駄撲滅プロジェクトの話をおっしゃいました。それから、民主党の事業仕分けもございました。また、本委員会における決議もございました。(河野小委員「いやいや、その三十二年まで云々の中身を言ってくださいと言っているので、時間を無駄遣いするのはやめてください」と呼ぶ)

新藤小委員長 河野君、指名を受けてから発言してください。(河野小委員「済みません」と呼ぶ)

 どうぞ、下間課長。

下間政府参考人 必要でございましたら、資料についてはお出ししますが、端的に申しまして、定期的にリーディングマシンを創出していくことが必要ということがこのレポートには書かれております。

河野小委員 それは今でも有効なんですか。なぜ定期的にリーディングマシンを創出することが有効なのか、国民にわかるような文書の提出を求めます。

吉田政府参考人 その点につきましては、整理をいたしまして、提出させていただきます。

新藤小委員長 では、それはぜひ整理してもらいたいと思います。また、それにつきましても幹事会で協議をいたします。

 それでは、一度もまだ発言されていない方からいきます。

階小委員 要するに、必要に迫られてこのスーパーコンピューターがつくられたものかどうかというところを我々は問題視しているわけです。ひょっとすると、必要もないのに、世界一を目指すんだということのためだけにつくったのではないかという危惧を抱いています。

 例えば、東京スカイツリーだって、あれは自立式のタワーで世界一だけれども、あれは別に世界一を目指すためにつくったものじゃないんです。地デジ化されて、それで、その電波がちゃんと届くようにという、本当にちゃんとした目的があってつくっているわけで、そういう目的があるんだったら、千百億使ってつくったとしても、我々は納得できるわけですよ。

 果たしてそういう必要に迫られたものだったかどうか、ニーズがあったのかどうかというところを私も問題視していまして、例えば、きょう配られている委員会決議の要求項目の中で、「スーパーコンピュータに関して、最速の一台の能力だけでなく、国内における必要な総計算能力、地域分散の必要性、民間のニーズなどについてのデータを政府は明らかにすべき」、この最後の「民間のニーズなどについてのデータを政府は明らかにすべき」というところについてちゃんとした資料を出されていなくて、右の方には「対応中」とありまして、民間のニーズ等々についても調査検討する予定となっています。これが私は本質的な問題だと思いますよ。

 民間のニーズについてどういうふうに捉えたのか、捉えていないままこれはプロジェクトをスタートしたのかということを明確にお答えください。

吉田政府参考人 「京」の開発を進める段階において、私どもの方でも、必要とされる総計算能力というものにつきまして一定の予測を行いました。

 当時ございました地球シミュレーターにおきまして、供給演算量約四十テラFLOPSの約二十倍の要求演算量といったものが存在をするということがございました。また、文部科学省所管の国立大学あるいは独立行政法人などが保有しております一・五テラFLOPS以上の演算性能を持つスーパーコンピューターの合計供給演算量が約百六テラFLOPSでございまして、これをもとにいたしまして、地球シミュレーターにおける要求演算量の二十倍というものを加味いたしますと、約二ペタFLOPSのものが、十七年当時、予測されていたものでございます。

 先生御存じのとおり、この分野は、いわゆるムーアの法則ということで、一年半でその必要とされるものは二倍になってくるというような、そういった法則もございまして、それを加味してまいりますと、平成二十二年三月ごろには、三十二ペタFLOPSの計算量が必要となってくるのではないかというふうなことがございました。

 これはあくまでもまだそういった試算でございますが、それともう一方で、先ほどの科学技術・学術審議会の中での議論でも、物質材料分野など八分野につきまして、今後必要とされる計算量についてのアンケートを行いました。

 十七年当時から五年後というのを見据えてどの程度の計算量が必要かということを問うたわけでございますけれども、その際の回答としては、各分野でおおむね数ペタFLOPSから数十ペタFLOPSほどの性能が必要とされるといった回答が参っております。そういったものも一つ受けとめた上で十ペタFLOPSという目標を設定したということでございます。

 今後の、では次のスパコンということにつきましては、この決議にもありますように、さらに今後必要とされるニーズを十分踏まえた上で目標を設定してまいりたいというふうに考えております。

階小委員 要は、既存のコンピューターでは計算能力が追いつかないのでこれをつくる必要があったということを今おっしゃられたと思うんですが、であれば、このコンピューターでなければできない研究の成果というものをちゃんと国民に示さなくてはいけないと思うんですよ。それは、定期的に国民の皆さんに公開するということは、ちゃんと確約できるんでしょうか。

吉田政府参考人 それはお約束をさせていただきたい、こう思います。ただ、産業利用という面で非公開という部分はございますけれども、それ以外の研究成果は全て公開ということになっておりますので。

階小委員 最後にお聞きしますけれども、単にこのスーパーコンピューターは皆さんに使われていますというだけでは、説明責任を果たしたことにはならないんですね。このスーパーコンピューターでなくてはできないことをずっとちゃんとやっていますよということを説明しなくてはいけないということをぜひ御認識いただいて、ほかのコンピューターでもできるようなことで幾らこれを活用しても、活用したことにはならないということをちゃんと肝に銘じてください。

岡田(康)小委員 今、いただいた資料もずっと見ていたんですが、次に向けての検討ワーキングチームの議事録なんかもつけていただいています。第一回の議事録三の一というところを見ていきますと、これ、金田委員という単語もありますので、先生も入られているんじゃないかと、これは違う方なんですね。(発言する者あり)済みません、失礼しました。そこの中でも、小林委員という方から、次に向けて、こういう現象を発見するためにはこれぐらいのFLOPSなりエクサが必要だという、そういうターゲットを明らかにしていく必要がある、今回つくったものが、できた計算機で計算できることで何か成果を上げるというような逆向きの印象があったというふうなことも出ていますから、こういうことを踏まえて第一回の議論もスタートされていて、ちゃんとサイエンティフィックに、こういう計算が一年かかっていたものが十日でできるようになったですとか、こういうメッシュの細かさでシミュレーションしていたものがさらに細かいドットでできるようになったですとか、そういうことがいっぱい出てくると思いますので、わかりやすく説明していただけるように、また、後で現場の研究者の方に判定に対して文句を言われるようなことにならないように、きちっとわかりやすくお示しいただきたいと思います。

 もう一点、質問なんですが、ちょっと最初の話に戻ってしまうみたいで恐縮なんですけれども、平先生とのやりとりの中で、ちょっとマイクが遠くて聞き取りにくかった部分なんですけれども、複合型からスカラーに移行された理由が、私は、ベクトルを得意とされていた日立さんとかNECさんが、費用対効果、向こうの負担する金額に対して彼らが得られるメリットが見合わないから、離脱されたことによってスカラーにならざるを得なかったというふうに理解をしていたんですけれども、さっきのお話を伺っていると、ちょっと技術的な判断の仕方でそうなったかのように聞こえたんですけれども、そこらあたりはいかがなんでしょうか。

 というのが、この見直しの「対応中」というところにも、今後の方向性にもまた、「その中で、ベクトル型スーパーコンピュータとの連携に係る今後の方針についても議論を行う」とか、また、QアンドAの中でも、CPUにベクトル型がみたいなことのコメントも記載されていたりするものですから、結局、そういう国内の開発メーカーのベクトル型を得意とするところ、スカラー型を得意とするところがある中で、また複合型とか、どっちも育成するような話が出てきかねないようなところもあるんじゃないだろうかと、ちょっと素人ながら思うものですから、そこらあたり、過去の、複合型からスカラーになったときの理由が、コスト面で、予算が十分とれなくて民間企業がドロップアウトしたことによって転換せざるを得なかったのか、または技術的な判断をやり直したことによってそう変わったのかというところだけ、はっきりおっしゃってください。

吉田政府参考人 中間評価の段階で、従来の複合システムからスカラー単一型に転換したわけでございますけれども、そのときの議論といたしましては、連携計算を実施いたしますスカラー部とベクトル部の帯域が十分でないなど、複合システムとしての性能がその時点では十分に見込めないということ、それから、現時点で連携計算が必須な具体的なアプリケーションといったものがその時点では見出すことができなくて、複合システムの設計に反映できていないということ、それから一方では、スカラー部については順調に開発が進捗をしておりまして、スカラー部のみでもシステム全体としての性能目標を達成する可能性があるということ、そういったあたりのことを総合的に勘案いたしまして、スカラー単一型というところに転換をさせていただきました。

 途中でベクトル型のメーカーが離脱をされるということはございましたけれども、それはメーカーサイドでの経営判断といったものが大きかったということでございまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、コストがという点よりは、むしろ、システム変更については技術的な側面の方が強かったというふうに御理解いただければと思います。

平(将)小委員 ぜひ小委員会の委員の方には理解をしておいてほしいんですが、どちらが与党、政府になろうが、役所が誠実に資料を出して誠実に答弁をしてもらわないと議会のガバナンスは働かないということなんです。これは、四つのテーマでも多分出てくるというふうに思います。

 政府側は、決算行政監視委員会はやったことはないですけれども、余りいいかげんな答弁をしていると勧告とかそういうこともあり得ますので、しっかり答えていただきたいんです。

 幾つかちょっと確認をしますけれども、我々の決算行政監視委員会の決議文でさまざまな指摘をしました。さまざまな、例えば、複合型から単一型になるに当たって迷走したというふうに私は言いましたが、役所の認識では迷走はしていない、だから、責任を問われる筋合いもないという答えでした。

 二つ目は、説明責任を果たしていないじゃないかということに対して、ホームページで公開をしていますと言って、エクスキューズみたいなことをやっている。それで説明責任を果たしていると本当に思っているのか。

 一番を目指しますと言ったけれども、この一番というのはもう時間の問題で、これ以降また一番をとるということはほぼ不可能な中で、今後の展望はどうなっているのかという河野議員の質問に対して、これから議論して考えますという答えであったということですね。

 ですから、ほとんど答えていない。真剣に対応していないというふうに言わざるを得ません。

 今の私の認識で何か反論があれば言ってください。

下間政府参考人 補足で御説明させていただきます。

 議事録等の公表につきましては、ホームページに議事録を載せるということだけではございませんで、当委員会に提出をさせていただきましたスーパーコンピューター「京」のシステム構成についての複合システムの採用、システム構成の再検討の指示に至った理由等を簡潔にまとめた資料もあわせてホームページでは公表させていただいております。

 それで十分かということはございますけれども、こうしたわかりやすい資料についてもあわせて公表させていただきますとともに、本委員会における決議及びその決議に対する大臣の御報告など、現在議論されている経緯についてもあわせてホームページに掲載をして、説明に努力しているところでございます。

平(将)小委員 我々は、決算行政監視委員会で決議文をまとめまして、文部科学大臣に説明に行きました。その週末に文部科学大臣を「京」のところに連れていって視察をさせて、いや、やはり「京」はすばらしいみたいなコメントをさせていましたけれども、文部科学大臣に我々の決議の内容とかそういう問題意識はちゃんとブリーフィングをしているんでしょうか。

吉田政府参考人 その点につきましては、これまでの経緯も含めて、大臣の方には十分説明させていただいております。

平(将)小委員 いかにも、そういう決議に対して、今答弁がありましたけれども、ほぼ、委員が見れば、今後の展望についてもこれから考えます、迷走の責任もありませんと。それで、決議をした週末にわざわざ文部大臣を連れていって、これだけすばらしいんですといって吹き込んでああいうコメントをさせているようにしか思えませんね、正直言って。

 これはもうずっとやってきていることであって、どっちが与党だ野党だと関係なく、また、ほかのテーマでもいろいろな問題があるんですが、資料の出し方、説明の仕方というところに対して、この議論を通じて、政治家の先生がいらっしゃっているでしょうから、神本大臣政務官、初めて来られたかもしれませんが、どう思われますか、政務三役として。

神本大臣政務官 先ほどから御指摘いただいております。

 昨年のこの小委員会においても、私も出席をさせていただきまして、御議論を聞かせていただきました。それに対して御決議がまとめられて、文科省としてどのように措置を講じるかということで議論をしまして、私どもとしましては、しっかりと、皆様方の御懸念といいますか、例えば複合型からスカラー型に変えたことについて、その経緯を明確に、わかるように説明せよということにつきましては、それにつきましても私もしっかりと説明を聞いて、私にわかるようにということで聞かせていただいて、それを講じた措置として報告させていただいたつもりですけれども、今のまた御議論を聞いていますと、やはりそこがしっかりと伝わっていないのであれば、それは国民の皆さんにわかるように、何かを隠しているとかいうことではないというふうに私は担当としては受けとめておりますので、わかるようにしっかりと説明をしなければいけない。

 今後の展望についても、今御指摘をたくさんいただきました、その一つ一つについてしっかりと皆さん方にお答えできるように今後ともやっていきたいと思っております。

平(将)小委員 隠しているとは思わないんですよ。体質なんですよ、体質。

 我々の決議文を読まれたと思います。それで、役所から出てきた答弁書というか答えの文書も読まれたと思います。

 さっきも言ったように、複合型から単一型にしたのも、いろいろな会議体を使い分けてやっているようですが、これは問題はなかった、責任はなかった、混乱はしていない、迷走はしていないと。今後の展望をどうするんだ、一番だからお金がかかりますと。でも、一番ではなくなるわけですよね。今後一番はとれないと。それで、どうするんだと言ったら、今後考えて方向を出していきますということですよね。これを読まれて、大臣政務官、これで十分だと思われたんですか。というのは、政治主導でやるんですよね、政務官が。

 それで、ここの委員会は、政策的なことも議論がありますが、どうも体質に問題があるんじゃないか。役所がそういう体質だと政治のガバナンスはききませんよね、そもそも。そういう問題意識も持ってやっている中で、答弁書を読まれて、大臣政務官は、これで十分だ、ちゃんと答えていると思われたんですか。

神本大臣政務官 十分かどうかということは受けとめられた方に評価をしていただくしかないと思いますけれども、私は担当政務官として、この講じた措置について、検討を一緒にやっていく中で、私なりにこういうふうに理解をして、これで提出をというふうにやってきましたが、例えば今後の展望についてどのようにやっていくのかということは、あり方検討会を設置しておりますので、そこで検討していくということで、演算性能といっても幾つかある。何を一番に目指すのかということの指標についても、これから検討をしっかりと、特にHPCIにおいて、これから利活用して、目指してきた、期待されている成果がどのように出てくるのかということも含めて今後検討していくというスケジュールになっておりますので、そこは十分なのかということについての御評価は、今いただいたような御意見をしっかり聞かせていただきますので、ここで、私としては今時点で十分だということで提出をさせていただいているところです。

平(将)小委員 認識が甘いと思いますよ。この議論の中でずっと指摘をされてきたわけですよ。これをどう総括して、今後の展望をどうするのか。それで、出てきた答えが、平成二十五年の夏ごろをめどに中間報告、二十六年三月ごろをめどに最終報告ということになっているんです。エクスキューズというか時間稼ぎとしか見えないですよね、ちゃんと議論をやっている人間からは。だから、大臣政務官、そういう認識では全く甘いという指摘だけをして、一回終わります。

河野小委員 大臣政務官、スカラー・ベクトル型の複合型でなければだめなんだという議論が、スカラー単一システムに転換したその理由、経緯、大臣政務官の理解している範囲で御説明をいただきたいと思います。

神本大臣政務官 複合型からスカラーに変えたということにつきましては、中間評価において、アメリカのスパコンの開発計画が非常に加速をしている、そのような中で、我が国の技術力が世界のトップレベルであるということを示すためには、世界に先駆けてその目標を達成するというのは、複合型のシステムでは十分ではないということで切りかえたというふうに理解をしております。

河野小委員 それはおかしいじゃないですか。複合型でなければ世界一にならないから複合型なんですという主張をずっと文科省はしていたじゃないですか。今の大臣政務官の説明だと、複合型の方がパフォーマンスが悪いんです、アメリカが一生懸命やってきたから、パフォーマンスの悪い複合型はだめだから、スカラー型の単一型にしますと。今までの文科省の説明と全く逆じゃないですか。

 今までは、文科省は複合型でなければだめなんだという説明だったんですよ。それがなぜ説明もなく単一型に切りかわったのかということを、ずっとこの小委員会で問題にしてきています。民主党の、政府の事業仕分けでも、自民党の事業仕分けでも、ずっとそれを問題にしてきているわけですよ。

 大臣政務官、自分が納得したからといって、資料を出させるとおっしゃいますが、今の政務官の認識は全く文科省のこれまでの説明と逆じゃないですか。どういうことか、大臣政務官の認識を聞いているんです。

神本大臣政務官 先ほども申し上げましたけれども、当初、複合型でこれは概念設計をされて、研究開発が進められてきたんですけれども、平成二十一年の四月の省内の科学技術・学術審議会による中間評価において、国際的なそういう状況の変化を見まして、世界に先駆けて日本の技術力のトップレベルを示すためには、当初の概念設計でありました複合型ではとてもやっていけないということでスカラー型に変更したというふうに私は認識をしております。

河野小委員 ということは、文科省の最初の説明はうそだったんですね。複合型でなければこの性能が出ないんだという説明をさんざん文科省はしてきたわけですよ。しかし、今の政務官の話では、文科省が、複合型ではパフォーマンスが出ないから、これを落として、ベクターを落としてスカラー単一でやるんだというのは文科省の中の判断で、ベクター型に、おまえ、おりろ、そういうことがあった、政務官の認識はそういうことですね。政務官のことを聞いているんです。

神本大臣政務官 おまえ、おりろとかいう、そういうことではなくて、先ほども言いましたように、状況の変化でそういうふうに変更をしたということです。

河野小委員 それでは、ベクター型の企業がおりたのは、文科省が、複合型ではパフォーマンスを出すことができないからベクター型の企業におりてもらったのか、おりろと言ったのか、あるいはそういう暗黙の理解があったのかわかりませんが、イニシアチブをとったのは文科省なんだ、政務官の認識はそういうことですか。

神本大臣政務官 おりろと言ったのか、向こうがみずからおりると言ったのか、その詳しい経緯は私は聞いておりませんけれども、変更して、その結果、NECがおりたということで、おろしたのか、みずからおりたのかは、ちょっと後で説明をさせたいと思います。

河野小委員 そうすると、文科省が当初説明をしてきた、複合型でなければこのパフォーマンスをすることはできなかったということは事実と違うというのが政務官の認識ですね。政務官の認識は、単一型の方が複合型よりもパフォーマンスがいいんだという御認識であって、複合型でやらなければいけないという文科省の説明は間違いだと。

 つまり、省内で検討した結果、これ以上複合型ではパフォーマンスが達成できないので、おりたかどうしたかは別として、スカラー型の単一型に切りかえて、パフォーマンスを目標どおり出すようにした、それが大臣政務官の認識ですね。

神本大臣政務官 結果的にはそういうことになります。

河野小委員 いやいや、結果的にって、それ以外に何かあるんですか。

神本大臣政務官 ですから、先ほどの繰り返しになりますが、当初複合型で、状況の変化によってこれでは世界に先駆けた技術力を示す研究開発ができないというふうな中間報告を得まして、スカラーにかえたということでございます。

新藤小委員長 この問題は、結局のところ、文科省側からきちんとした説明がなされていない。今回の御報告では我々小委員側はその説明に納得できないということで、文書によって再度出してくれ、こういうことも今意見が出ておりますから、これは、それを踏まえてこれからまた最終的な処理は考えたいと思いますが、別の観点があれば。

河野小委員 それで結構でございますが、少なくとも、政務官が今御発言になった認識に沿って、政務官が了解した文書をこの小委員会に提出していただきますよう、お願いしたいと思います。

新藤小委員長 これも含めて幹事会で協議します。

階小委員 利用の枠組みについてお伺いします。

 今回の「政府において講じた措置」を見ますと、まず、「京」全体の能力の五〇%程度は文科省が戦略的見地から課題の選定を行うとなっています。なぜ五〇%なのか、そして、なぜ文科省がそういうふうに課題を選定しなくてはいけないのかということを説明してください。

吉田政府参考人 今、階先生の御指摘のところは、戦略プログラムという形で研究を進めている分野でございます。

 これは、御指摘のように、文科省として、今後の科学的、社会的なニーズの中で重点的に進めなければいけないものということで、五つの分野を選択いたしました。それについては、まさに「京」というものの能力を十分に生かし切れる、そしてその成果が出るというふうなものが見込まれるものでございまして、それについて重点的にマシンタイムを割り振っているということでございます。

 ただ、それ以外に一般利用という枠も三〇%を確保しておりまして、さまざまな科学的なニーズに応えられるような仕組みにはしております。

階小委員 ほかの二〇%はどうなのか。五〇パー、三〇パー、あとの二〇パーはどうなのかということで、私は、先ほど申し上げたように、「京」ならではという研究に充ててほしいというのはあるんですよ。ただ、それを文科省でなければそういう課題というのは見つけられないのかというところが私は疑問だと思っていまして、民間の知恵が集まってくれば、より高度なことにこの「京」を使えるのではないかという気がするんですね。

 はなから、五〇%であるとか、あとは文科省が課題を決めるというのは、私は「京」の可能性を制限しているような気がするんです。そこは改めてもらえる可能性はあるんでしょうか。

吉田政府参考人 戦略プログラムにつきまして五分野ございますけれども、その中で民間企業との共同研究というのも可能でございます。

 それから、一般利用枠というのは、まさにこれは一般的に公募をさせていただいて、「京」に見合うような高い演算を必要とするような分野を選択させていただくということですが、これについては、登録機関といった第三者的な、中立的な立場の機関において課題の選定をさせていただきまして、それについて文部科学省の方で直接関与するということはございませんので、まさに民間の自発的な提案を受けられるような形になっております。

 それから、戦略プログラムに五〇%、それから一般利用に三〇%、残りの二〇%はどうなのかということでございますけれども、これについては、一つは、メンテナンスのために必要な部分というのもございますけれども、それぞれの分野での成果の出ぐあいに応じまして、一定程度それに上乗せをして時間を割り振る、そういった少し余裕を持たせていただいているということでございまして、そこでまた時間を再配分するということがあり得るというふうにしております。

階小委員 最後に一言だけ。

 これは余りかたく考えないで、五〇パーとか文科省が課題選定というところは柔軟に対応するようにしてください。

吉田政府参考人 申しおくれました。その点につきましては、今後の運営状況を見ながら柔軟に対応してまいりたいと思います。

加藤(学)小委員 質問させていただきますけれども、最後に、運用経費を縮減するために、民間に有償で利用していただくということが書いてあるわけですが、ここに一時間十万円とかいろいろなことも書いてありますけれども、その根拠と、それから有償にした場合どのくらい運営費を回収できるという見込みを持っているのか、その辺について教えてください。

下間政府参考人 産業利用において成果を非公開とします場合には、適当な受益者負担という観点から利用料金を徴収することにしてございまして、具体的には、年間の施設の運営維持管理に要する経費約八十八億円を年間の利用可能時間とノード数で案分することによりまして、一ノード一時間当たり利用料を約十三円と算出いたしました。そうしますと、例えば一ペタFLOPSを一時間使った場合に十万円、一日二十四時間使った場合には二百四十万円、一週間、七日間百六十八時間使った場合には約千六百七十万円というふうになるわけでございます。

 今年度の利用料収入の見込みでございますけれども、「京」の一般利用の公募におきまして、有償である成果非公開の産業利用につきまして、今年度及び来年度の成果非公開の産業利用に五件の課題応募があったところでございまして、これは選定の手続中でございますので全て採択されるかどうかわからないわけでございますけれども、仮にこれらの課題が全て提案どおり採択されましたら、今年度及び来年度の利用料金として約九千二百万円の収入が見込めるというふうに考えてございます。

平(将)小委員 もう時間が来ていますので、短く一点だけ。

 「京」の利用について、中立公正な運用がコンソーシアム体制では阻害されるのではないかという懸念について決議をされたわけですが、文科省側の答弁は法の趣旨とその運用の枠組みを答えているにとどまっているんですが、これについては改善をする用意はないということで、そういう理解でいいかどうか。

吉田政府参考人 コンソーシアムは、計算科学関係のさまざまな機関によって構成される団体でございます。そういった意味で、この分野における研究者等の意見をある意味では集約していただくという意味で、今後とも連携はしてまいりたいと思っておりますけれども、ただ、実際に、「京」を使ったプログラムの選定という側面におきまして、そのコンソーシアムが関与するということではございませんで、先ほど申し上げました中立的な登録機関によりまして実際の課題選定を行うということでございます。

田中参考人 先ほどNECの撤退の件で御議論がございましたので、一点だけ、参考人ではございますけれども開発を担当しておりました理研の立場で申し上げますと、我々、NECの撤退については、NECの経営判断で、NECの御判断として撤退されたものというふうに理解しておりまして、少なくとも理研の方から何らかの形でNECに撤退してもらうというようなことを申し上げたことは一切ございませんので、その点だけは申し上げたいと思います。

 以上でございます。

新藤小委員長 それでは、時間も過ぎておりますので、このセクションは終了したいと思います。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

新藤小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 厚生労働省、医療費レセプト審査事務について自由質疑を行います。

 発言のある方は挙手をお願いいたします。

奥野小委員 前回、このレセプトについていろいろ御発言をさせていただきました。特にあのときに問題になったのは、統合のコストについて試算表があったんですが、その中身がきちんと精査されていないんじゃないか、むしろ統合にならないように誘導的なデータじゃなかったかということを御指摘させていただきました。きょう残念なのは、事前にはいただいているんですけれども、やはりその見直した結果というのをここに資料として御提出いただくべきだったんじゃないかということをまず指摘をさせていただきます、あれだけの指摘があったわけですから。

 その上で、いただいたものをもとに少し御発言をさせていただきますが、いただいたものについて、確かに統合メリットは長期的には出てくるという結果になってはおりますが、これまた、まだまだ雑な、いろいろな前提を置いているのはわかるんですけれども、もう少し精緻にやるべきじゃないかと思います。

 というのは、この数字をもとに各自治体さんなり保険者の方は判断される。アンケートをされたようですが、多くの方は態度未定。態度未定の理由はというと、メリット、デメリットが明らかじゃないと。統合ありきではないかもしれませんが、やはりメリット、デメリットはきっちりわかるようにしていかなければならない。そのためのこれは重要な資料ですから、いいかげんなものを出されては困るということであります。

 私の方から、二点にとどめますが、まず、前回、統合した場合に不動産の売却益が出るだろうと。前回の資料にはそれが載っていなかったんですが、今回も、注記はしてあります、売却はしないという注記はしてありますけれども、やはり売却したケースについてもきちんとここに開示をすべきじゃないかということを一つ御指摘させていただきます。

 それから、システムについても、一見もっともらしいんですが、これはしかし、国保連に統合する場合は国保連のシステムを残して、それをベースに更改する、それから基金に統合する場合は基金のシステムをベースに統合するというふうに恐らく、私の理解ではそうなんですが、そこはおかしいんじゃないでしょうか。どっちを残すかというのは、コストパフォーマンスを考えてどれが一番いいんだ、安上がりかあるいはパフォーマンスをとるかです。コストパフォーマンスを考えて決めるべきであって、機械的に統合した側を残すというのは、これはおかしいんじゃないでしょうか。

 だから、そういうことも考えて、もう一度きちんとした試算を出していただきたいということを御指摘させていただきます。ここは国会の場ですから、そういうのをきちんと整理して、また再度出されることを求めます。これについて見解をいただきたいのが一点。

 それから、なぜこの統合の話が出てきているかというと、査定率のばらつきが、基金とそれから国保連の方であるということでありますね。そこがそもそもの発端でありますから、効率的に査定率を上げていく、低コストで査定率を上げていくというのが究極の目的であろうと思います。そうした取り組みをされているのか。統合については将来的なこととお考えかもしれないけれども、まずその査定率のばらつきを解消する努力をされているのか。そして、事業仕分けもあったわけですし、昨年の仕分けもあったわけですから、その後、例えば国保連について査定率の向上は見られたのか、あるいは地域のばらつきは改善したのかということを具体的に伺いたいと思います。

 きちんと、査定率を上げて、保険者のために要求する、そういうことが必要だと思いますし、監督官庁として、そこをしっかり見ていただくことが必要だと思いますので、以上について御発言いただければと思います。

唐澤政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 最初に御指摘をいただきましたコスト試算でございますけれども、御指摘をいただきましたように、前回のものは、もう非常に大ざっぱにやっておりましたので、コスト増みたいになるような面もございました。そこで、今もっと精緻にすべきだという御指摘をいただきましたけれども、今回は前回とは違いまして、少し、システムの部分に分けるとか、それから今言った事務所のスペースの部分をどうするとかというようなことを一定の前提を置いてやりました結果、九百億前後くらいの効果が十四年間では出てくるだろうというふうにしたわけでございます。

 ただ、奥野先生からお話があったように、例えば、一つは、今はスペースは売却しないで、余ったものを活用して、さらに余ったものを貸し付ける、それで収入を上げるという計算をしておりますけれども、売却をしたときはどうなるのかというのも、これは確かに、御指摘のように一つの課題でございますので、売却をしたケースということについても、私どもはこれから検討をさせていただきたいと考えております。支払基金の建物は非常に古いものがございますけれども、その場合でも、例えば、もう少し効率的に活用するとか、あるいはもっと高く売れる方法はないかとか、そういうようなことも含めて検討させていただきたいと考えております。

 それから、システムにつきましては、確かに、国保連に行ったら国保連のシステムをそのまま全部使う、それから支払基金で統合しましたら支払基金のシステムを全部使う、現時点ではやむなくこういう前提で置いておりますけれども、御指摘のように、両方のシステムを見て、全体として最も効率的で合理的なシステムは何かという検討が必要なことは確かでございますので、ちょっとまだそこまで私ども至っておりませんけれども、課題として受けとめさせていただきたいと考えているところでございます。

 それから、査定率でございますけれども、査定率につきましては、御指摘のように、支払基金と国保連の査定率が、数字は小さいわけでございますけれども違いがある、率だけにすれば二倍の違いがあるというようなことがございます。ただ、国保連の方は二次審査の方でその分の査定を取り戻しているということでございますけれども、私どもの方は、査定につきましては、国保連でやっているまず一次の、最初の査定で支払基金と同じような率に近づいていっていただけるように、システムの修正といいますか改正といいますか、そういうものに取り組んでいただきたいということをお願いしております。

 それから、やはり査定につきましては、基準というものが国保連と支払基金で違いがあるというような問題がございますので、そういうものをきちんとそろえていくということも大事でございますから、そうした支払基金、国保連等が入りました都道府県レベルでの協議会というものを設置したいと考えておりまして、今関係者の間で調整をしております。近々にそれを各都道府県で発足させたいと考えているところでございます。

奥野小委員 今、前段の部分について、検討とおっしゃいましたけれども、これだけ何度も指摘をされているわけですから、必ずきちっと結果を出して、この委員会にでもきっちり報告いただきたい。きょうも、これは紙としては委員会に出ていないわけですね。これからもいろいろな指摘があるでしょうけれども、そういったものを踏まえたものを委員会にきちんと出していただきたい、これはぜひお願いしたい。検討じゃ困ります。

 それから、査定率の話について言えば、今、そろえると言いましたけれども、そろえるだけじゃだめで、全体としてどんどん向上させなきゃいけないわけですね。今のお話を伺うと、査定の仕方すらばらばら、そこの統一もできていないというお話でありますから、これをきちんと、やはり役所の方で音頭をとって、近々にというんじゃなくて、具体的なスケジュール、では、それはいつ見直しを、結果が出るんですかということをもう一点伺いたいと思います。

唐澤政府参考人 まず、査定率につきましては、これは毎年取り組んでおりますので、その結果というものもこちらの委員会の方に御報告をさせていただきたいと考えております。

 それから、査定を合わせていくという取り組みについては、まだ十数県できていないところがございますけれども、それも、私どもとしては、できれば今年度内の早い時期にそういうものを発足させたいというふうに考えているところでございます。

岡田(康)小委員 今、奥野委員からありました統合の試算の紙のことなんですけれども、上と下に分かれているわけですよ。上は、統合した場合の粗っぽい数字があります。下には、表題が競争の促進という言葉になっていて、要は、統合しないで二つで競争をさせるとこれだけ効率化できますよという試算になっているわけですよ。しかし、本来、これは二つともすべきことじゃないのかということを指摘させていただきたいんです。

 つまり、下の表を見たら、二つで競争してこれだけそれぞれ効率化できますと書いているんですが、保険者からすれば、私が保険者だったら、では、今すぐやってくださいよというだけのことなんですよ。こういうことは当然できる。

 そしてさらに、上の表で、次のページにありますけれども、統合して管理職を五割、総務系職員三割をさらに切れるのであれば、上と下、足して完全に和になるわけじゃないでしょうけれども、相当いけると思うんです。下の表だけ見ても、それぞれに効率化をやったら、何年かすると合計して大体八十億ぐらい年間減るとなっていますよね。上でさらに統合効果が出れば、最低でも年間百億ぐらいいけるということになると思うんですよね。

 そうすると、支払基金さんの支出総額は年間大体八百億とか、もう一個の方が一千二、三百億ですから、二千億の支出で百億ぐらい減らせるとなると、五%ぐらい減るということになってきて、では審査手数料だって五%ぐらい減るんじゃないかという話も言えるわけです。そういうことも含めてアンケートをすれば、六割の方がどちらとも言えない、メリットがあるかどうかわからないとか判断する材料が乏しいとか、そういうアンケート結果にならないはずなんですよ。

 ですから、そういった統合の、奥野委員がおっしゃったとおり、もっとできる限り精緻な試算と、効率化をまだできる余地があるとみずから認めてしまっているわけですから、効率化をし、なおかつ統合した場合にはこれくらい手数料も減らせるかもしれませんよということを明らかにした上でアンケートをとり直すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

藤田大臣政務官 今委員の方から御指摘をいただいた点はごもっともだというふうに思っております。

 今回のアンケートについては、判断材料が非常に不足をしているという部分もあったというふうに思っておりますので、そこについてはこれから引き続きしっかりと検討をしていきたいというふうに考えております。

遠山小委員 前回もいろいろ申し上げさせていただきましたけれども、小委員会の委員の先生方と、あと厚生労働省に御理解いただきたいのは、今年度の社会保障給付費、総額は百九・五兆に達すると政府は公表資料で言っております。そのうち、年金が一番大きい五十三・八兆ですが、医療費が二番目に大きくて三十五・一兆という状況でございます。この百九兆のうち、財源として保険料で賄っているのはもう六十・六兆にすぎない。差額の、積立金等の取り崩しや運用益等を除けば、四十兆円の税金を地方自治体と国で一般会計から繰り入れているという現状でございます。

 なぜこれを申し上げるかといいますと、今まで医療費のレセプトの問題に国会でメスが入ってこなかったのは、税金は一円も国保連にも支払基金にも入ってきていませんということで余り厳しい審査が入っていなかったわけでございますが、保険料から出ている手数料でもし無駄があれば、それは、今申し上げたように、社会保障給付の全体の四割を税金で負担を国民がしているわけでございますので、そういった意味では、一円も無駄にしないというコスト意識でやっていただきたいと思います。

 その意味では、ただいま同僚委員から、今回出してきた推計自体がまだ精緻じゃないんじゃないかという議論がありましたが、私はその前に、去年当委員会に出されたものは、国保連に統合した場合は七年次目にコストが二十七億円上がる、それから支払基金に統合した場合二百三十六億円コスト増になるという推計を出しておきながら、今回出てきたものは、国保連に統合した場合は七年次目でコストが三百六十億円減、十四年目で九百二十億円減、支払基金の場合も同様に三百十五億、八百二十六億減ということで、前回、コストが上がるという推計を出していたのが、私どもの指摘を受けてやったらかなりコスト減になるというようなデータが出てくるということは、そもそも、出していた推計は一体何だったのか、ほとんどおままごとのレベルに近いような推計を出していたのではないかと思わざるを得ないということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 その上で伺いたいと思いますけれども、私は何も、国保連と支払基金が統合を絶対しなきゃいけないという原理主義的な立場には立っておりません。しかしながら、この二つの機関を、保険者が委託先を変更できる、競争できますという仕組みを、平成十九年でしたか、閣議決定に基づいてやったにもかかわらず、実績が、つまり審査の事務を委託する先を変更した保険者がほとんどいないということが、競争原理が全く働いていない何よりの証明であるということでありまして、競争原理が働かないならば統合した方が国民の目から見て効率がよくなるのではないかという意味で統合論が出てきたと私は思っております。

 その意味で、まず伺いますが、昨年の秋に当小委員会でやって以来、支払いの審査の事務を変更した保険者は幾つありますか。

唐澤政府参考人 遠山先生から御指摘いただきました保険者の委託でございますけれども、相互乗り入れということになっているわけでございますけれども、現在の時点で、昨年の御審議をいただきましてから委託先を変更した保険者というのはまだ出ていないのが実情でございます。

 これまでに十四の保険者から二十一件の照会がございまして、交代をしたときにはどうなるかとか手続はどうなるのかというようなお問い合わせがありまして、そういうことについてはお答えをしているところでございますけれども、残念ながら、実績としては保険者の委託先を変更したところはまだないというのが実情でございます。

遠山小委員 厚生労働省としてなぜ、競争原理を強化することで効率化をするということが有識者からも出ておりますし、保険者の中からも意見が出ていることを私存じ上げておりますし、厚生労働省の官僚の中にもそういうことをおっしゃる方が過去におりました。にもかかわらず、一件もこの変更がないということは、これはもう競争が働いていないわけでございまして、自己分析として、何が原因で競争原理が働いていないと分析されておりますか。

唐澤政府参考人 私どもとしては、せっかくこういう委託先の変更ができる制度を設けましたので、そうした保険者の方々が出現をしていただきたい、また私どももそのためにさまざまな工夫をしなければならないと思っておりますけれども、やはり現時点で保険者さんの方で問い合わせをしてもまだ変更に踏み切れないという大きな理由は、一つはコストの削減、どのくらい本当に下がるんだろうかと。例えば、切りかえて一年したら、またすぐ戻ってくるというわけにもなかなかまいりませんので、はっきりと削減の効果というものを保険者にわかるようにしてほしいということを言われております。それが一点でございます。

 それから、あとは、国保の方で申しますと、共同事業などをやっておりますので、それが例えばよそから参加するようなことができるのかどうかというようなこと、そういう手続的な、事務的なものもございますけれども、一番の大きな要因は、やはり、コストの削減がどのくらいちゃんと減るのか、手数料がどのくらい下がっていくのかということをはっきり示してほしいということだと考えております。

遠山小委員 コストの件と、もう一点ちょっと指摘をしたいと思いますが、私ばかり言うとあれなんで、ここで終わりたいと思いますけれども、二つまとめて申し上げます。

 一つは、私に保険者の一部から意見書が参りまして、その保険者の指摘によれば、変更したくても、変更した際にかかるコストとして、その保険者が抱えている被保険者が有している被保険者証の番号を、変更した場合全部変更して再発行する、このコストが非常に膨大である。

 よって、厚生労働省は、平成二十二年十二月二十八日の保険局長通知で、手続の変更ができますよと書いてありますけれども、その通知そのものの中に、被保険者が有する被保険者証の保険者番号を修正という項目が入っております。これが非常に大きな障壁になって変更に踏み切れないという指摘がありましたけれども、厚生労働省として、この条件を改善する、例えば被保険者証の番号を修正する際のコストについては政府で見るというようなことを手当てすれば、これは変更が起こるのではないか。

 変更が起こらない限り競争原理が働かないわけですから、だから統合という話が出てくるわけです。統合のときのデメリットというのは私も承知していますよ、特に国保連の方は、ここはほかの業務がありますから。ですから、この辺をクリアしなければいけないというのが一つです。

 それからもう一つ、最後に、ことしの三月に決算行政監視委員会で埼玉、委員長の御地元である埼玉で、支払基金とそれから国保連の審査の現場を視察させていただきました。後ほど機会があれば、別の質問もその際のことでさせていただきますけれども、この関連で言えば、私ども驚いたのは、レセプトの審査という同じ業務をやっている国保連と支払基金と、コンピューター等のシステムが全く違うわけですね。ですから、これは恐らく、委託先を変えたときにシステム経費のコスト増ということが当然にあるんだろうと予測されました。

 私が思ったのは、これは何か、もう統合させないためにあえてここまでやり方を変えているのではないかというぐらい差異があったわけでございまして、これは技術的な話でございますが、一体誰が、どういう理由で、この二つの機関の審査のシステムをここまで抜本的に変えてしまったのか。また、競争原理を働かせるという趣旨からは、システムの相互性、互換性、ここを担保しなければ、これはお題目に終わってしまうのは明らかでございまして、この点についての改善をどう考えているのか。

 二点、明快な、具体的なお答えをいただきたいと思います。

唐澤政府参考人 先生から御指摘いただきましたように、統合のときの大きなハードルといたしまして、一つは、被保険者番号の問題がございます。

 これは、実情を申しますと、被用者保険とそれから国保では別の番号を使っておりますので、どうしても、そちらのグループを移るということになりますと、新しい番号をつけなければいけない。そこにコストが発生するということでございます。私どもは、先生御指摘のような、どうやってこのコストに対して支援をしていくかということが一つの課題であると思っております。

 それから、あわせて、社会保障番号というような議論が今行われておりまして、ちょっと技術的なところまではまだ決まっておりませんけれども、そういう際に新しい番号が付番されるという可能性が出てまいりますので、そういう際にはここのところをもう少し合理化して、そしてコストがかからないようにすることはできないのかというようなことも、ちょっと今考えているところでございます。

 それから、システムにつきましては、結局、コンピューター化をする経緯でそれぞれ取り組んできたということがございまして、特に国保の方は、四十七県で別のシステムのものを全国的にはそろえていこうということで、共同電算というようなことで進んでまいりましたが、いかんせん支払基金との間には違いがあるのは事実でございます。

 これは、互換性を上げていくというのは非常に重要でございますし、それは審査される方からも、合理性という観点で、全然違うシステムで審査されるというのはやはり変だと思いますので、御指摘のように、この互換性は高めていく必要があるというふうに考えておりまして、そういう検討を進めてまいりたいと考えております。

遠山小委員 委員長、一言だけ。

 最後に審議官がおっしゃった、診療報酬をするときのルールは全国一本なんです。ところが、その支払い審査の事務は二系統、国保連系統と支払基金系統とあって、そこのルールは、ローカルルールという言葉もありますけれども、別なんですよ。

 だから、政務官、ここは、厚生労働省の立場が非常に不可解なのは、競争原理を強めて効率化しますということを一方で言っているのに、その競争原理が働かない障壁を取り除く努力を真剣にやっていないんですよ、そうでしょう。一方で、では、統合されたら、巨大な一つの機関だけが審査事務をやったらかえってブラックボックスになって効率化できませんよと言うけれども、実際、今回出してきたのは、統合した場合の方がコストが削減されるというものを出してきているわけです。一体どっちなのかわからない。

 だから、そういう状態でアンケートすれば、六割の人がどちらとも言えないと言うのは当たり前なんです。だって、厚生労働省がどっちに行きたいのかわからないし、どっちに行っても障壁がある。こんな宙ぶらりんなやり方でいけば、結局、我々国民の保険料がどこかで無駄に手数料として取られていても全くわからない。支払基金だけで八百億円、保険料から手数料をもらっているわけですから、ここはしっかりやっていただきたいということを申し上げておきます。

 以上です。

平(将)小委員 遠山委員から御発言がありましたけれども、統合の試算、前回は、この統合の試算をもって経済的なメリットはないと。それで、我々が指摘をしたら、随分大きな金額のコスト減になるというふうに出してきた。これについて、どう総括しているのか、どう反省しているのか。

唐澤政府参考人 これは遠山先生からも今お叱りをいただきましたけれども、前回の試算につきましては、お話のございましたように、確かに負担増みたいな形で試算をしてしまいましたので、それについてはミスリーディングといいますか、私どもとしても不十分な試算であったということで反省をしております。

 それから、今回につきましては、今御指摘いただきました形のようで、十四年という期間ではございますけれども、九百億円前後の費用というものが出てくるだろうという試算をさせていただいたところでございます。

平(将)小委員 事の重大性がわかっていないんじゃないかなと思います。

 結局、七年の試算というのは、中身を見れば、経費が最大化されるのが七年目で、我々のような素人が見てもこれはさすがに無理があるよねという試算を出して、それで合理性はないと言ったわけですよ。遠山委員は優しいから、無邪気で、何か子供みたいにままごとみたいと言ったけれども、無邪気じゃないんです、悪質なんですよ。

 国会議員は選挙で選ばれて、政府をガバナンスしなければいけないんです。そういった中で、こういう、ある一方の方向に誘導するような数字で、しかも皆さん、多分、大学も出られてかなり優秀な皆さんだと思いますが、素人が一見をして矛盾のあるような数字を平気で出してきて、これは事業仕分けスタイルだったから、これはおかしい、これはおかしいという話が噴出しましたが、皆さんがいつもプレゼンで持ってくるようなパワーポイントで、その中身を見せずに、統合効果で経済的メリットはありませんと示されたら、わかりませんよね。

 大臣政務官、これは国の統治の仕組みの根幹にかかわるんですよ。これは体質ですよね、完全に。大臣政務官、どういう御感想を持っていますか。

藤田大臣政務官 御指摘をいただきました。

 今委員の御指摘がありましたように、今回のこの試算について、前回と大きく違っているというところの問題点、しっかり受けとめさせていただきたいと思っています。

 そして本当に、社会保障といえどもしっかり無駄を省いて、そして、国民の皆様の信頼性を高めていかなければいけないわけでありますので、そういう意味で、厚労省として、この統合、競争性を高めたり、あるいは基準を統一させたり、そしてなおかつ、どちらが本当にメリットがあるのかということについては、さらにしっかりと議論をこれからもしてまいりたいというふうに思っております。

平(将)小委員 大臣政務官、そういうことを聞いているんじゃなくて、国家のガバナンスとして、こういういいかげんな、誰もが一見しておかしいと思うような資料がしらっと出てきて、質疑を通して指摘をされたら全く逆の結果が出てきて、不十分でした、反省をしていますと言ったって、また起きますよ、こういうことが。そうすると、まともな議論はできませんよね。

 そもそも委員会の質疑が、例えば、野党は揚げ足をとるようなことをやって与党・政府を追い込めればいいとか、与党は予定調和みたいな質問をやって、国会が機能していないじゃないか、委員会が活性化していないじゃないかというような中でこういう取り組みがされてきているんだけれども、いいかげんな答弁、先送りの答弁、資料は出さない、試算が出てくるとそれはミスリードしたものであった。そうしたら、まともな議論なんかできませんよね。

 私は、こういう間違った資料、しかも、誰もが一見をして誤った資料を出してきた責任というのをしっかりとってもらって、その人はやはり責任をとってもらわなければいけないし、再発防止はどうするのか、そういうことをやらなければ、また同じことを繰り返しますよ。これについてはどうですか。

藤田大臣政務官 ただいまの委員の御指摘、本当に重く受けとめさせていただきます。今までの厚労省としての対応というものが、そういう意味で皆様方に大変誤解を与えている、あるいは非常に問題だという御指摘をいただいているわけですから、そこはしっかりと政務の方も気を引き締めながら、きちっと受けとめて、こういうことがないように、しっかり国会の議論をさせていただけるように取り組んでいきたいと思います。

平(将)小委員 責任を明確にして処分をしていただく、それと、再発防止について、なるほどそうかという明確な仕組みをつくっていただく。それでいいですか、大臣政務官。

藤田大臣政務官 それについては、しっかり政務の方でも検討させていただきたいというふうに思います。

 今、前回の試算と今回の試算の違いということについては御説明をさせていただきましたけれども、そのことの中身が御納得をいただけていないということでございますから、そこの中身もしっかりと洗い出して、また皆様方にお示しできるようにしたいと思います。

平(将)小委員 試算の中身の問題じゃなくて、こういういいかげんなものが平気で、東京大学を出た優秀な官僚の中からほとんどノーチェックで出てくる。ノーチェックなのか、チェックして出てきているかもしれないけれども、そういう再発防止みたいなことをやらないと、議論が成り立たない、国会の質疑が全く成り立たないという本質的な問題で、このことは厚労省に対して物すごく不信感を招くし、我々だって、この後、じゃ、そんな態度だったらさらにもう一個進めなければいけませんねということになりますから、しっかりとそれを示してください。

藤田大臣政務官 委員の御指摘はしっかりと受けとめさせていただきます。

向山小委員 民主党の向山です。

 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、支払基金と国保連が統合されたら、全てが改善されて、支払いあるいは審査業務が非常によくなる、バラ色だというようなことだけなのかなという、ちょっと疑問を持っている立場で発言もさせていただきたいと思うんです。

 そもそも、やはり審査支払い業務をより効率的にして、そして顧客サービスを高めてコストダウンを図っていくということが目的だというふうに思うんですが、それが本当に統合で全て前進するのかどうかということが今問われているんだと思うんです。

 そこで、一つお聞きもし、発言もしたいことは、ことしの四月にアンケートをとられていますよね。そこの中で、これも皆さんから御指摘あるとおり、六割が、どちらとも言えないと。

 保険者というのは、両方の団体にとってみたらお客さんですよ、顧客ですよね。顧客の方が、統合してもらった方が自分たちにメリットもあるし、審査支払い業務というのも効率的になっていくのではないですか、そういう顧客からの指摘によって改善されていくというのが、これがあるべき姿だというふうに思うんですけれども、今何か逆になっているんじゃないかなという気もするんですよ。

 どちらとも言えないというのは、わからないからどちらとも言えないということもあるでしょうけれども、どちらかといえば今のままの方がいいんじゃないの、統合されたらよくわからないという、ポジティブかネガティブかといえば、どちらかといえばネガティブということを考えることもできるわけで、そういう思いを持たれた方がたくさんいらっしゃるのは一体なぜなのか。

 要するに、立法府のところだけ音頭をとってやっているけれども、現場のお客さんはそこにはついてきていないという、いわゆる統合問題というか、よくあるんですけれども、今回の場合はその正反対のような動きになっているのはなぜなのかという見解をお持ちでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘のように、これはいろいろな御意見がございます。

 そして、その一番多かった意見は、どちらとも言えないという意見が過半数あったわけでございますけれども、一番懸念をされておりますのは、特に市町村の国民健康保険の保険者でございますけれども、保険者事務への支障が懸念されるという意見が非常に多くなっております。

 これは、国民健康保険では、市町村ごとに、県内で高額医療費は共同事業というような形で実施をしておりますし、それから、先生も御承知のように、小さな町村でありますと、担当者が一人しかいないというようなことがございまして、それを国保連なんかに事務を委託して、事務委託という形で支えていただいているというような面がございます。それが統合になったときに今と同じような形で支障なくいけるのかどうかということについて、もう少しきちんと示してほしいというような意見が強いのではないかと考えているところでございます。

向山小委員 そういう懸念というのは杞憂なんですか、それとも、わからないということなんですか、どちらですか。

唐澤政府参考人 これはまだ、実際に、詰め方、どういうふうに進めていくかということの問題になってくると思うんですけれども、私どもは、例えば国保連に統合した場合には、保険者事務はきっと一緒に実施できるのだと思っておりますけれども、支払基金で実施した場合は、その事務はちょっと切り離して別に実施をしていただかなければいけないのではないかと思っているところでございます。

 そうした場合にうまくできるかどうかということについては、ちょっとまだ、これから私どももきちんと詰めて検討をしなければならない、宿題だと考えているところでございます。

向山小委員 これからということ、それはわからぬでもないですから、またもう一つ、ちょっと視点を変えますと、保険者から私の聞く話といたしまして、どちらがいいのかわからないという一つの理由として今指摘のあるのは、やはり査定率なんですね。

 この数字でも、平成二十二年度で、支払基金が点数ベースで〇・二一七%、国保が〇・一一四と、倍ほど違うわけですよ。これがどちらにシフトしていくかということなんですけれども、〇・二の方にどんどんシフトしていくんだったら統合のメリットはあるけれども、真ん中の点へ行くんじゃないか、あるいは〇・一の方に行っちゃうんじゃないかという懸念があるんですよね。それは、顧客にとってみたら、非常にデメリットなんですね。

 ですから、そういったことというのは、お客さんにしてみれば非常に大切な部分で、だけれども、それは上の方に行くだろうというような無責任な推定でやっていいものかどうかというのがあるんですけれども、統合された場合、この査定の点数はどうなると予想されていらっしゃるんでしょうか。

唐澤政府参考人 先生から御指摘いただきましたように、支払基金の方が査定率が高いというのが現状でございまして、特に、査定率が下がってしまうというような懸念は、被用者保険の皆さんの方が少しお持ちでございます。ただし、やはり下がってしまうのでは統合の目的を果たしたとは言えませんので、これはある程度高い方に合わせていけるように、私どもとして、どういうやり方があるかということを考えていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

向山小委員 このように、わからないんですよ、これも。統合されたらこうなるのと違うか、そういう世界を今描いているわけでして、これこそ夢物語じゃないかというふうに思うんです。

 コストの話も一つ指摘したいんですけれども、これもよく出ています。十四年次で八百十二億、これが共通費ですね。そして、いわゆるランニングコスト的なものとして、支払基金に統合したら八百二十六億、国保に統合したら九百二十億という数字になっていまして、この三つの数字を見たらおわかりのとおり、ランニングコスト自体の比率はそんなに高くないですよ。共通費の部分がほとんどということになっているんですよね。その共通費の八百十二億というのが、運営の方で五割削減、総務部門で三割削減で人を減らすという、これは単純な話なんですね。機械的としか言いようがない。

 だから、今までも指摘がありましたとおり、最初、統合のメリットがないんじゃないかという数字から、いきなりこれだけ高いメリットがあるというのは、その部分を適当にさわったら急に数字が変わるわけですよ。ここの前提を変えればすぐ変わる。この前提というのはどういう根拠があるかといったら、理想ですという話なんですね。それで本当に議論できるのかということなんですよ。

 ですから、八百十二億あるいは九百二十億というのが本当なのか、今も議論がありましたとおり、わからないわけでしょう。前提を変えれば、これは統合のメリットはありませんということですね。この前提は一体どこまで信用性があるんでしょうか。お答えください。

唐澤政府参考人 人件費部分につきましては、正確に何割削減するというふうにはなかなか申せないんですけれども、両団体が一つになれば、管理部門、管理者につきましては、これは半分でいいのではないかというふうに考えておりまして、総務系職員三割というのは、これは努力をして、一つの目標として三割くらいは削減したいというふうに考えているところでございまして、もちろん測定式でこういう数字を出しているということではございませんけれども、このくらいの数字の削減というものを、もちろん段階的でございますけれども、一遍にはできませんけれども、段階的に、五カ年ぐらいでその実施をしたいというふうに考えているというのが実情でございます。

向山小委員 これも、やはり前提が全てが正しいと言えないような状況なんですね。

 もう一つ最後に指摘したいのは、コストの比較の、統合の表がありますけれども、これはあくまでも、支払い審査機関が統合されたらどんなメリットがあるでしょうかという提示ですね。だけれども、医療にかかわる方々トータルとしてどうなのかという視点というのはないわけです。例えば医療現場であるとか保険者のところであるとかというのは、当然、統合されたら、いろいろなコストというのもかかるんじゃないか、あるいはコストダウンにつながるかもしれません。そういう医療にかかわる方々トータルのコストというのはどういうふうに想定されるんでしょうか。

唐澤政府参考人 お尋ねにございましたように、今回はこの両支払い機関に直接関連する経費という形で試算を行っているところでございますけれども、もちろん、両機関が統合いたしますと、できるだけ削減する努力はするにいたしましても、保険者でありますとかあるいは病院や診療所という医療機関でのシステム改修などの経費というものはどうしても発生をしてくるというふうに考えておりますが、ちょっとまだそこまでは試算ができていないのが実情でございます。これはシステムの中身を見ながら、そういうコストがどのくらいになるかということをよく見きわめていく必要があるというふうに考えております。

向山小委員 そういう試算が、今、やっていませんけれどもやりたいという話もありましたから、やれるんでしたら、また提示ください。

 以上です。ありがとうございます。

奥野小委員 繰り返しになりますけれども、やはり最終的な目標は、低い手数料で最大の査定率をそれぞれの機関が上げるということだと思います。それに向けて環境整備をしていくということで、先ほど来話がありましたけれども、システムをやはり少なくともフェーズを合わせていく、同じインターフェースにしていく、同じ形のシステムにしていくということが大事ですし、それから、査定のやり方についても共有していくことがまず大事だと思います。

 その先に恐らく統合というのがあるんだと思うんですが、そのためにもやはりきちんと議論を整理していただきたい。この試算についても、もっときちんとした形にしていただきたい。あるいは、システムについても、御省の方できちんと音頭をとって、更改の際には同じシステムに変えていくということをやっていただきたい。あるいは、査定率についても、国がやっているわけじゃないから口を出さないというのではなくて、きちんと役所の方で目標を設定して指導していくということを積極的に行っていただきたいんですけれども、行政として、その辺、今具体的に取り組んでおられるんでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘のございましたように、最も合理的な低い手数料にしていって、そして、査定については、合理的にしてかつ漏れのないようにきちんと査定をしていくということは先生のおっしゃるとおりでございます。

 それで、今回の私どもの行った試算というのは、まだ前提もかなり大ぐくりでございますし、それから、先ほど御指摘がございましたように、試算で手の届いていないところもございますので、そういうものも含めてどんな試算ができるかということを検討していきたいと考えておりますし、それから、システムの共有というもの、査定方法の共有というものも非常に重要だと思っております。

 査定率につきましては、今までは確かに、どちらかというと部内資料のような扱いで、隠していたわけじゃないんですけれども、余り人目につかないような形になっておったんですけれども、それはきちんと国民の皆さんにもわかるような形で公表させていただきたいと考えておりますし、役所としても、その査定率あるいは査定の方法というようなものにつきまして、行政も一体になりまして、どういう方向を目指すのがよいかというものはきちんと示していきたいというふうに考えています。

奥野小委員 統合は一つの選択肢、それありきじゃないんですけれども、とにかく、あらゆる手段を使って査定率を上げる、コストを下げていくということをしっかり検討していただきたいと思います。

岡田(康)小委員 二回目、失礼いたします。

 審査手数料の金額のことなんですけれども、いただいた資料で二十三年度分を比べますと、支払基金が八十五・五円なのに、国保連の方は六十一・九円なんですね。これは割り算してみると三〇%近く安いんですよ。これは具体的に何でだと思われていますか。

 というのは、国保連の側からすると、いろいろな仕事をこれ以外にも持っていらっしゃいますから、一部だけ切り出されるということに抵抗があるのは当然なんですよ。しかも、これだけ安く済んでいますということになると、競争できる環境をつくったってなかなか出ていかないことになるんですね。

 なぜこんなに安くなるか。なぜこんな質問をするかというと、ほかのところで勘案されている人件費の方々が手伝えるからじゃないかと思っているんです。何でそんな疑いを持つかというと、同じ厚労省さんのある独法がやっているメンタルヘルス対策の事業なんかは、けさ、実は別のところで公開プロセスの行政事業レビューをやっていたんですけれども、そこでもやはり、独法運営費交付金で面倒を見られている方々が手伝うことができるから、その独法は入札するときに低いコストの見積もりで入札できますみたいなことが起きているわけですよ。

 ですから、ここで三割も審査手数料を安くできる理由は何か、具体的に御説明いただけませんか。

唐澤政府参考人 一つは、先生の御指摘にございましたように、国保連と支払基金では、審査支払い以外にいろいろな事業をしております。特に国保連は市町村の共同事業という部分がかなりありまして、そういうものも含めまして、市町村から会費というものを納めていただいております。その分のコストが結果的には審査支払いの手数料を下げている。全体として収益が成り立つというようなものがありますので、そのままこの支払基金の単価と比較するのはなかなか厳しいというのは御指摘のとおりだと考えております。

岡田(康)小委員 だとすると、単純に、民間との公正な競争なんというのはまず起こりようがない仕組みであるということにもなってしまうわけですね。ですから、統合というのも一つの選択肢だとは思うんですね。それで透明性を高めて、ちゃんと監視をしていただくということ。

 もう一つは、民間の参入ができるようになっているんでしょうから、さっき遠山先生の御指摘にあったような問題をクリアしていくことで、例えば支払基金さんのやっている仕事が競争でもっと手数料が下がっていくようなことを目指す。それで、国保連さんが、民間のあそこに頼めばそんなに手数料が安く済むのかということになっていくと、いよいよ国保連からも仕事が出ていくのかもしれませんし、そういう方々もほかの仕事にもっと集中できるのかもしれません。

 いずれにしましても、こういう状態だと本当にデッドロックというかどっちにも進まない状況になりますので、そこらあたりはもう少し、データを精緻にするということも含めて、真剣に前向きに考えていただきたいと思います。

唐澤政府参考人 御指摘のとおり、競争の中で価格というのは一番重要な部分ですので、要するに、両機関をきちんと正確にと申しますか公正に比較できるような仕組みにはどういう仕組みがあるのかということは、ちょっと私ども検討したいと思います。これは価格の問題ですので、もちろん保険者の意見を聞かなきゃいけませんけれども、私どもとしても検討させていただきたいと考えております。

階小委員 労災診療費の方について議論させていただきたいんです。

 前回の委員会の決議の中で「労災診療費のレセプト審査事務の支払基金等への委託についても検討を進めるべき」という決議をした結果、皆さんの方で有識者の検討会を五回ほど開いたということで、その報告書をまとめましたと。

 その報告書の中で報告の要点は二つありまして、一つは、業務外の私的な病気の部分については除外するというのが労災の場合の普通の医療費と違う部分なんですけれども、その私的な場合を除外する審査については支払基金に委託することはできませんということを言っていますね。それは常識的な話だと思います。

 問題はその次なんですが、診療報酬点数表等に基づく審査については、支払基金等に委託するよりも、審査体制、審査期間、費用の面から国が審査した方が効率的、効果的であると結論づけていますけれども、この部分は私はすとんと落ちないと思っています。この部分は普通の医療費の審査と同じなわけだから、なぜここを委託できないのかということを説明してください。

鈴木(幸)政府参考人 御説明いたします。

 報告書にはその試算が詳細に書いてございますが、要点を申しますと、今、国が直接やっている中で職員がおりますけれども、この部分を基金に委託することは、理論的には可能でございます。その際には、国でやっている職員あるいはドクターの数を減らすことができます。これは、今の労災固有の部分と一般の健康保険の部分、これの業務量の比率を幾つかの労働局の担当者にアンケートをとりまして、なかなか数字では正確に出ないにしても、相場観として何対何というものを検討会の中で出しました。

 そういうふうに削減されるものと、それから、結局ここは流動性があるんですが、今の基金の手数料、これは現行でいうとどのぐらいかかるか、そういう差し引きが起こります。ただ、それだけではなくて、結局、先ほど、国保の場合は一次の審査とそれから保険者としての審査が入るということがございますので、基金に委託しても、それを最終決定する責任としてやはり国が最低限のチェックはしなきゃいけない、そういうものでまた戻ってくる人件費がありまして、それを差し引きした結果、結局は、ちょっと幅がありますけれども、業務量の試算に幅を持たせた場合の誤差を考えますと、最小で六千二百万、最大で一億六千九百万ほどのコスト増になってしまう。結局、保険者審査の分が効率化できないので、外部委託した場合でもそれが残ってしまいますので、効率化が図れないという結論になったわけでございます。

階小委員 いま一つよくわからないんですけれども、例えば、まず業務外か業務内かという審査をするわけですよね。業務外だといった場合に、そうするとその医療費というのはどういうところで審査されるわけですか。この労災診療費の審査機関で審査されるんですか。

鈴木(幸)政府参考人 初期の段階で監督署が業務外となれば、それは一般の診療報酬支払基金に請求されることになります。

階小委員 ということで、私は二段階の審査があると思っているわけですよ。業務外か業務内かという審査と、実際の医療費が適正かどうかという審査と二段階あるわけで、それを、一段階目は皆さんのところでやっていい、労災の審査機関でやっていいと思うんだけれども、二段階目については切り離しても特段問題はないと思うんです。要するに、業務外であれば今までも当然のように外部で審査していたわけだから、切り離しても問題ないと思うんですけれども、そういうわけにはいかないんですか。

鈴木(幸)政府参考人 済みません、説明が繰り返しになりますが、ちょっと要領よくできないのかもしれませんが、業務外か業務上か、この審査はまさに固有のものです。その後の一般の診療報酬に基づく査定は確かにどこでもできるわけですけれども、先ほど言いました国保でも、国保連で審査した後、保険者としての責任でもう一回チェックをしている。ですから、一般の後段の方も、委託することはできたとしても、保険者の責任として全く決定をそのまま支払いにするというのは難しいんじゃないかということで、その分がどうしても残ってしまいますので、プラスマイナスで試算すると若干のプラスがどうしても生じるという結論になったわけです。

階小委員 それを言ってしまうと、国保の場合でも委託することが必ずしもコスト削減につながらないという結論になるわけですか。国保も同じことが言えるわけですか。

鈴木(幸)政府参考人 まず、今のことで、労災に関して言いますと、現時点での手数料なりをもとに試算しましたので、統合によるいろいろなメリットが生じるという場合においてまたそれは結論は別になろうかと思います。

階小委員 ちょっとわかりづらいので、なぜ国保の場合は委託はあり得べしなのにこっちは委託はできないのかということを後でちゃんと説明する資料を用意してください。

 それと、最後にもう一点だけ。「政府において講じた措置」の中で、結局、報告書を踏まえて、今後は「厚生労働省としては、国が直接一括して審査する現在の方式の中で業務改善を行い、更なる経費の縮減に努めていく。」と結論づけていますよね。今までのやり方の中でコストダウンを図っていく、この部分というのは報告書のどこに対応していますか。

鈴木(幸)政府参考人 報告書自体は、現状を前提にして、あるいは現在の労災のシステムなどを前提にして出したものです。(階小委員「書かれているか、書かれていないか」と呼ぶ)報告書自体には改善の方向性等については書いてございません。

階小委員 それは大変な問題ですよ。有識者会議で議論していないでしょう、この部分。なぜそんなことを勝手に書いているんですか。

 それで、もしそういう結論をつけるんだったら、報告書の中にちゃんと、どういう計画を立てて、どれだけ削減していくかということが書かれていないと、私は検討として不十分だと思いますよ。この報告書ではだめです。やり直してください。政務官、どうですか。

藤田大臣政務官 今委員の方から、報告書の内容についての検討の問題を御指摘いただきました。

 確かに、国がこういう形で一括してやるということであれば、報告書、検討会の中でも、どうやって効率化を図っていくのかということについて当然言及されていなければいけないというふうに思っております。

 既にレセプトの電子化だとかいろいろなことが着手をされているというふうには聞いておりますけれども、今回の検討会の中でそこのところが明示をされていない点については、しっかりとこれからまたお示しできるようにしていきたいというふうに思います。

階小委員 それは早急にやってください。それで、皆さんに示してください。

遠山小委員 最後に、簡潔に一言だけ。

 埼玉の視察でちょっと初めてわかったことがございます。

 それは私自身の前からの疑問で、レセプト審査事務をする審査委員会、この委員は、医師と歯科医師と薬剤師でなければならないというふうに聞いてきましたが、現場で視察した上で伺ったところによると、扱っているレセプトの少なくとも三割は医学的な専門的な判断がなければ査定を間違ってしまうリスクがあるという指摘がありまして、私の方から、では、七割は、必ずしも医者じゃなくてもレセプトの処理というのは適正にできますかと言ったら、それは可能ですというような御意見を現場で伺いました。

 よって、私の持論ですけれども、そのレセプトも、患者特性等がありまして当然医者が見なければいけないものもあると思いますけれども、もうほとんどミスがない、問題がないようなレセプトの方が圧倒的に多いんだろうと思います。それは査定率を見てもわかるわけでございます。であるならば、機械を使うか人がやるかは別にして、医者を使っての審査の前に仕分けをして、本当に医師たちが見なければならないものについては医師が時間をかけて見る、そうでないものについては、医師でない方に何らかの資格基準を整えて、そうすれば、人件費的に言えば、政務官、大変これは安価で済むはずなんです。

 よく厚労省の方々は、医師が大変安いお金でこのレセプト業務をやっておられるということなんですが、たしか前回の審議で、たった一日二万数千円という発言が当時局長からあって、私、大変怒ったわけでございますけれども、それは世間的に言えば、一回の出動で二万数千円というのは別に安い手当ではないわけでございます。

 そういった意味からも、コスト削減に現状でつなげるという意味で、医師でなくとも見れるレセプト、医師じゃなきゃ見れないレセプトということをしっかり仕分けする、このシステムを導入するだけでコスト削減が大幅にできるのではないかという点が一点。

 それからもう一つは、間違ったレセプトをよく出してくる病院と、そうでない病院があって、これは国会の審議では一言も厚労省は言っていませんでしたが、私たちが行った埼玉の機関では、病院をABCにランクづけしているというんですね。つまり、間違っていないレセプトを送ってくるところはA、もうしょっちゅう間違いを犯しているところはCと。だったら、間違いの多いレセプトを送ってくる病院を公表したらどうですか、国民に。そういうずさんな医療事務しかできないという病院は、国民は知る権利があって、それをやることによってレセプトの適正化に資する、つまり、ひいてはコストの削減につながるということになると私は思いますが、この二点についていかがでしょうか。

唐澤政府参考人 遠山先生が最初に御指摘のございました点は、おっしゃるとおりだと考えております。

 もちろん、医療ですので、一義的に決まらない部分があって、高度な判断が必要なものがございますけれども、その手前には、やはりかなりの部分は、熟練した事務職員であれば、その査定、ちゃんとチェックができるという部分がございます。そういうものをできるだけシステム化していって、そして合理化をしていく。これはコストダウンにもなりますし、国保連と支払基金の査定をそろえるという面にも貢献をしますので、今後ともその方向で進めていきたいと考えております。

 それから、医療機関につきましては、私どもは前から、一つは、医療機関ごとに電算化を進めていただきまして、そうすると間違いが減るということがございます。もちろん、先生の御指摘のような医療機関もあると思いますけれども、そうしたところにつきましては、支払い機関からも注意をお願いするということが必要だと考えております。

 それから、これは私どもの宿題でございますけれども、保険証の番号の転記というものが実は今医療機関で必要なんですね。転記をするときに間違いをしてしまうということがありまして、これはレセプトが戻ってきてしまうというようなことがございます。そういう面は私どもの方の問題でもございますので、特にこれは番号制導入のときに、そういうことがもっとシステマチックにできるようなことも検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

遠山小委員 終わります。

新藤小委員長 それでは、予定いたしました時間が来ておりますので、このテーマについては終了したいというふうに思います。

 厚生労働省の皆さん、御苦労さまでございました。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 続きまして、財務省、公務員宿舎建設・維持管理等に必要な経費について自由質疑を行います。

 発言のある方は挙手をお願いいたします。

松本(大)小委員 きのう、行革実行本部で、国有資産とそれから独法保有資産の売却の工程表、これが決定されているというふうに思います。全閣僚がメンバーで、総理がヘッドの会議体でありますので、副大臣決定、副大臣が座長である検討会決定から、さらにより重くなった、より政府を縛るものになったというふうに私は理解をしておりますが、念のため、その検討会のメンバーでもいらっしゃった三谷政務官に、副大臣が座長のときの検討会の取りまとめときのう行革実行本部で決定をされた決定事項との関係、意味合いについてちょっと確認をさせてください。

三谷大臣政務官 御指摘の国家公務員宿舎の削減計画が、宿舎削減について検討を行うために総理が昨年十月に指示をされて財務大臣が設置した、今御指摘がありました、藤田副大臣が座長、また両政務官を副座長とした国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会において策定されたものであります。

 削減計画に係る宿舎の必要戸数は、各省庁が示した宿舎戸数を精査し、一部の省庁とまた副大臣折衝等も行いながら決めています。削減計画は、財務大臣より総理に報告され、了承を得たものであります。また、削減計画で示されている、公務員宿舎を今後五年間で二五%削減するとする方針は、閣議決定を経た、今通常国会の施政方針演説でも総理から掲げられています。

 公務員宿舎を含め、これも今御指摘がありました国有財産行政を担当する財務省としては、この削減計画にまさにのっとって、宿舎の削減を着実に実施してまいりたいと思っています。

 なお、お話しのとおり、この削減計画は、全閣僚がその本部の構成員となっている行革実行本部で、きのう、八月一日、国有資産及び独立行政法人が保有する資産の売却等に係る工程表にその内容がそのまま反映されているものであり、全閣僚による決定という、これは閣議決定と同様の極めて重要な決定だと我々は受けとめて、力を込めて取り組んでまいりたいと思っております。

平(将)小委員 前回、議論で、朝霞の公務員宿舎の件について、民主党の事業仕分けで凍結になっていたものがいつの間にか建設再開になって、野田総理が現地を見て、結局、事業を中止することになったかの経緯だったと記憶をしております。

 そのときに、前回、これから着工して工事着手をするとなれば、資材や人工の手当てなどもしているのを、政治的混乱で途中でやめれば、当然、経済的な損が出てきますから、それは恐らく手当てをしなければいけないんだと思いますが、それはどのぐらいになりますかという質問をしたと思うんですけれども、ちょうど、やめる、やめないとがたがたやっていた時期でもあり、また、PFIの形態だったかと思いますが、そういうこともあり、ちゃんとした答弁をいただけなかったんですが、結果としてどうなったのかといったところを教えてください。

若泉大臣政務官 平委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今回の朝霞住宅をめぐる方針変更によって追加的な負担がもたらされており、地元自治体等に御心配や御迷惑をおかけしたことは事実でございまして、この点については非常に遺憾に思っております。今後の建設予定地の利用につきましては、地元の自治体と十分協議してまいりたい、このように考えております。

 また、損害賠償金については現時点では確定してはおりませんが、国の負担を最小限に抑えるよう事業者と交渉してまいりたい、このように思っております。

 以上でございます。

平(将)小委員 前回も確定していないといって逃げられちゃったんだけれども、結局、そのボリューム感というのは当然ありますよね。全体の事業が幾らだったら、どのぐらいのボリューム感でそういう話になると。今交渉されているような話もしていましたが、そのボリューム感ぐらい示していただかないとまともな議論ができないので、その辺を教えてください。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 朝霞住宅の事業の中止を決定したことに伴いまして、まず、これまで事業者において建設予定地の原状回復工事を行ってまいりました。これと並行いたしまして、これまで事業者が支出した設計費等の実際の実費がございますので、これについては既に支払ってきております。約四億四千万でございます。今後さらに、今申し上げました原状回復に要した費用を確定させた上で支払っていくということでございます。

 この原状回復費用を含め損害賠償金全体について、これはまだ原状回復の段階でございまして契約の解除もしておりませんので、これからでございまして、現段階で確定的なことは申し上げられませんけれども、先ほど政務官が御答弁申し上げましたように、いずれにせよ、国の負担を最小限にするように事業者と調整してまいりたいと考えております。

平(将)小委員 何というんですかね、ガバナンスの稚拙さで、払わなくていいものを払ったという典型的なパターンですよ、これは。ですから、もう民主党政権もそんなに続かないんでしょうから、民主党が政権にいる間にちゃんと総括をして反省をしてもらわないと困ります。

 とりあえず一回目はこれで。

森岡小委員 まず、簡単なことから教えていただければと思うんですが、この五万六千戸の計画のうち、進捗がどこまでいっているかということと、特にその中で、民間委託の活用をうたわれていますが、この民間委託がどれぐらい進んでいて、また、総額の部分はここに書いてありますが、民間委託をした場合とそうじゃない場合の細かいコストの比較みたいなことがされているのかということについて教えていただければ。お願いします。

飯塚政府参考人 まず、一点目の削減計画に基づく進捗状況についてお答えを申し上げます。

 この削減計画におきましては、五年で五・六万戸削減するという目標を実現するために、まず、老朽化の宿舎について、計画策定時点において、既に幾つかのクライテリアによりまして二千三百九十三住宅を廃止住宅として選定しております。既に決まっておる住宅につきましては、今、順次退去要請等をかけておりまして、退去が済んだものから順次廃止して売却していくという予定としております。

 また、この五・六万戸の削減幅を実現するために、最後、追加の廃止宿舎を決定すべく、ただいま老朽化宿舎について、長寿命化すべきなのか、あるいは借り上げをすべきなのか、あるいは集約化による建てかえ、廃止をすべきなのか、こういったことについてコスト比較をしたいと考えてございまして、いろいろなデータを集めながら、これからそのコスト比較を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、民間委託の点でございますけれども、まず、合同宿舎の建設、改修工事につきましては、国みずからが判断を行う必要がある整備等工事の中間検査とか完了検査、こういった業務がございますが、こういった業務を除きまして、定型的な業務につきましても全般的に民間委託を行っております。特に、平成十四年度からは、一定規模以上の宿舎の整備、維持管理について、いわゆるPFI方式というものを活用しまして、施設整備から維持管理、運営まで一括して発注することによって民間のノウハウの積極的な活用を図っているところでございます。

 また、維持管理業務につきましても、これは、被貸与者の決定等の、業務の性格上国が自分でやらなきゃいけないというものを除きまして、大宗の定型的な業務については民間委託を行っております。例えば、入退去処理などの日常の管理業務でございますとか、あるいはエレベーターの保守点検業務といった業務、あるいは緊急的修繕、事故等で故障したものについての修繕あるいはガス漏れ等の修繕、こういったような業務についてはもう全般的に民間委託を行っておりまして、維持管理全体について見ますと、二十四年度予算執行額ベースで八六・二%民間委託しておるというところでございます。

岡田(康)小委員 今の関連で、意見みたいなところなんですけれども、二三九三戸以外の分も、今後、コスト比較なんかもしながら検討を進めていきますということでございますが、コスト比較のやり方なんですね。もう従来からしてくださっていたわけです。しかし、コスト比較をした結果、国有国営方式でやりますという判断が多かったんだろうと思うわけですね。そういう中で、政府側の検討会の中でも、PRE戦略といって、パブリック・リアル・エステート、つまり公的な不動産をできるだけ有効に使おうと。

 何でそういうことが借り上げとかよりも有利になるんだろうかというのを分析していくと、結局、国債金利を低く、今も低いわけですけれども、ずっと何十年も国債金利が低くあり続けるという前提で試算をするからこそ、コスト比較をしたときに公的に土地などを保有しても安くいけるということになっているように、私は試算をしてそう思いましたので、やはりそこらあたりは、財務省さんも常日ごろ、予算編成のときには、二%まで金利が行くかもしれないと、予備費というか、金利のあれをとられるわけですから、そういう意味では、長期保有リスクみたいなものもちゃんと勘案をしてコスト比較もしていただけるように、今後はそういうところは改善していただきたいと思います。

飯塚政府参考人 岡田先生御指摘のように、これまでも、国が建設、保有する場合のコストとそれから借り上げをする場合のコストの比較について、一定の手法を確立いたしまして比較をしておりましたけれども、今般、昨年の決算行政監視委員会のこの小委員会でも御指摘のようなお話がございましたし、それ以外の場でもさまざまなコスト比較手法について御指摘がございますので、そういった御指摘を踏まえまして、今いろいろな専門家に御意見を聞いておりまして、そういった御意見も踏まえて新しい手法を確立していきたいというふうに思っております。

初鹿小委員 今の比較の話ですけれども、恐らく、皆さん方がやっている比較というのは、この土地に箱を建てて、そこの建設費がどれぐらいか、これが何年間続いていきますねという、それと、民間の、借りたときの賃料、これが幾らになるか、この比較をしているわけですよね。

 でも、本当に比較しなきゃいけないのは、では、借り上げました、借り上げたら貸し主の方には収益が上がるわけですよ。その分は税金として結果として戻ってくるわけですよね。恐らく三割ぐらい戻ってくるんじゃないですか。経済波及効果もあるわけですよ。そういうものも含めての比較を私はやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

飯塚政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、今、コスト比較手法について、いろいろな勉強をしながら確立しておるところでございますので、御指摘のような点も踏まえて考えていきたいというふうに思います。

小野塚小委員 昨年十二月に出ていた国家公務員宿舎の削減計画で、五類型つくられましたよね。その中の4と5なんですけれども、これは事前にお話を伺うと、4については八・三万戸、5については一・二万戸という話なんですが、これは現状、この4と5について、今入っている方の数がこうだからこの数字だというふうに御説明いただいたんです。本来であれば、国家公務員の方々のこういう宿舎に入るのが、4という類型でどれだけいらっしゃって、5という類型でどれだけいらっしゃってという形で議論をしなければ、ゼロからのベースの議論にならないと思うんです。

 今回のこの十二月の計画であっても、現状入っているから八万三千、一万二千と入ってしまうと、そもそも削減計画になっている十六・三という数字だって、これをベースにして考えるというと、何か、将来またこの議論をしたときに、いやいや、この4類型は八万三千、5類型は一万二千だったんですという議論が残ってしまうだけであって、これをちゃんと、財務省さんなり各省庁から情報を集めていただいて、本当に4、5はどれだけであったのかということについて御把握をいただかないと、またこの議論、政権がどうなろうと、ぶり返される議論になるんじゃないかと思うんですが、その点の御把握はどうなっているんでしょうか。

三谷大臣政務官 この削減計画においては、去年のこの決算行政監視委員会での御議論を踏まえて、福利厚生目的、生活支援の宿舎は認めないこととし、宿舎に入居することが認められる職員を、真に公務のために宿舎が必要な五類型に限定をしたところであります。

 また、今御指摘の、五類型それぞれに必要な戸数、人の数、それは、指摘を重く受けとめた上で、一度、昨年十一月十八日、閣僚懇談会の場で、財務大臣から各大臣に対し、国民の視点に立って、またこの議論を受けて、大臣を初め政務三役できちんと精査をしなさい、確認をしなさいと申し上げました。

 その後、各省庁から各類型についてこれだけの戸数が必要ですという数を出してもらって、その数をまたこちらで精査した上で、その数を決めておりますので、御理解をいただきたいと思います。

小野塚小委員 確認ですけれども、ということは、この八万三千、ほかの1、2、3もそうならばそれでいいんですけれども、特に、4と5については足し上げであったということでございますか。

 私が事前に伺ったのは、この4と5というのは、もしかしたら八万三千とか一万二千よりも数が多いんだけれども、現状入っている数が八・三、一・二という数字だったからこうであるというだけであって、今の政務官のお話だと、各省庁から数字を聞いて足し合わせた結果この数字になったというふうに聞こえたんですけれども、いかがなんでございますか。

飯塚政府参考人 この4の緊急参集要員の例をとって、少し数字を入れて御説明したいと思います。

 この緊急参集要員、いろいろな法律に基づいて、各省の業務継続計画等に基づいて決めておるというものでございますけれども、この削減計画策定の時点で各省庁から緊急参集要員の数全体について報告を求めております。それを合計しますと全国で約二十三・四万人でございまして、そのうち、防衛省は十六・七万人、それから国交省、地方整備局中心、これが二・五万人、これで八割超を占めるという数字でございました。

 こうした緊急参集要員でございますけれども、大規模災害時等に可能な限り速やかに職場に参集する必要があるということで、各省庁からは、これら要員のために最大限公務員宿舎を確保してほしい、こういう御要請が当時なされております。

 しかしながら、一方で、宿舎こそ削減しなければいけない、こういうニーズの中で、各省庁からの要望を、先ほど政務官からも御答弁申し上げましたように、政務レベルも含めて厳しく精査をいたしまして、実際には、緊急参集要員の実際の入居戸数である八・三万戸、これを最低限確保するということにさせていただいたところでございます。

 逆に申しますと、これ以上の削減を行った場合には、政府全体の防災体制の見直し、強化というものがあの地震の後で行われる中で、現状よりも緊急参集体制を後退させるということにもなりかねないということで、実際の最大のニーズは二十三・四万人ということが緊急参集要員であったわけですけれども、その中で実入居戸数について積算に入れさせていただいているということでございます。

小野塚小委員 ありがとうございました。よくわかりました。

 そうしますと、何か努力目標の数字のようにも聞こえてしまうんですね。本当は二十三・四万人で、現状が八・三万人だから、数字は八・三万戸ですけれども、八・三万戸よりふやしたくないから、この八・三万戸の数字で、それをアッパーとして減らしますよという話だと思うんですが、そうすると、本当に4という類型がどれほど必要なのかとかいう議論じゃなくて、努力目標の八・三万戸という数字だけがひとり歩きしてしまうと、何か、やろうとしている目的と、意思はわかります、八・三万戸であることの、それ以上ふやさないんだよという意思の八・三万戸なのかもしれませんが、そうではなくて、実際精査していったときに二十三・四万人という数字が本当にそこまで必要なのかという議論ではなくて、努力目標だけの議論で終わってしまうというのはちょっとどうかと思うので、ぜひそこはそういう問題意識でやるべきなのではないかと最後に意見として申し上げておきます。

初鹿小委員 一点お伺いしたいんですけれども、八・三万人が必要だとしたときに、では、この八・三万戸を、緊急参集要員ですから、事態があったときに、三時間以内、九キロ圏内ですよね。九キロ圏内の中で八・三万戸、確実に用意できるんですか。もしかしたら、これは九キロ圏内の外にできる宿舎も含めて八・三万人じゃないんですか。違いますか。

飯塚政府参考人 まず、緊急参集要員でございますけれども、各省庁の業務継続計画によって定め方は違うと思いますが、例えば財務省の場合でございますと、仮に大規模地震等が起きて、三時間以内にはこういう業務をどうしてもしなければいけない、次には、一日以内にはこういう業務をどうしても立ち上げなければいけない、次は三日後までとか、こういう定められ方がされております。それぞれの業務をやるために緊急参集要員が定められておりまして、その人たちはなるべく早く集まれということでございまして、必ずしも、どうしても全員が三時間以内に集まれとか、そういうことではございませんで、なるたけ早く集まれる者から順番に集まってこいということでございます。

 八・三万戸について、これは現状の入居戸数を積み上げてつくったものでございますので、実際には遠くの公務員宿舎に住んでおられる方もおられるかもしれません。それはおっしゃるとおりでございますが、一般的には公務員宿舎というのは近目につくってあることが多いということと、もう一つは、これから私どもの運用をしていく際に、緊急参集要員の方につきましては、ほかの方と比べて極力近いところの公務員宿舎に住んでいただくような、こういった運用もしていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。

初鹿小委員 現状、緊急参集要員でありながら九キロ圏の外に自宅を持って住んでいる人もたくさんいるわけですよね。そちらの方が多いんですよね。それで、外の中に、また公務員の宿舎に入っている人もいるということになったら、公務員の宿舎に入っている理由はないんじゃないかと思うんですよ。

 近くで公務員の宿舎にというんだったら、なかなか近くに家を確保するのは難しいから、そこは宿舎があった方が望ましい、それは理解できます。でも、九キロ圏の外の宿舎に入っているというのは私は認めるべきじゃないと思いますよ。それだったら、借り上げでもして近くに住まわせるのが、本来の緊急参集要員として果たすべき役割を果たせるんじゃないんですか。違いますかね。

飯塚政府参考人 この八・三万戸といいますのは全国レベルの数字でございますので、大方は、地方の自衛官の方とかあるいは整備局の方とかが多いので、恐らくかなり官署に近い方が多いというふうに思われます。

 ちょっとデータがなくて恐縮なのですが、東京近辺というか本府省について一度見たことがございますけれども、これについて言いますと、九キロ圏内に住んでおられる方というのは緊急参集要員の中の、調べた段階では、地震の前でございましたけれども、約三分の一、外側が三分の二ということでございましたが、その三分の一の九キロ圏内に住んでいる方が宿舎に住んでいるかどうかということで見ますと、宿舎がそのうち三分の二、それから宿舎以外が三分の一ということでございました。一方で、九キロ圏外に住んでおられた三分の二の方について見ますと、大宗が宿舎以外のところに住んでおったということでございまして、やはり宿舎があることによって比較的近くに住めているということは事実でございます。

 こういった近くの緊急参集要員用の宿舎をなくすことによって、よりその人たちが遠くに住む事態が生じるのではないか、こういう懸念があったわけでございます。

 いずれにしましても、おっしゃいますことはわかりますので、極力、公務員宿舎の中でも緊急参集要員の方を優先して近くに住んでいただくような、そういった運用はしていく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。

初鹿小委員 私が言いたいのは、だったら、九キロ圏の外の宿舎はもう要らないでしょうということを言っているんですよ。外の宿舎は、緊急参集要員としての役割を果たせないんだから、そこに入居させていく意味はないでしょう。それだったら、人の入れかえをして九キロ圏内に住まわせる、もしくは、それがかなわないんだったら、借り上げにした方が職務を果たせるんじゃないんですかということを言っているんですよ。

 外側はもう要らないんじゃないか、そういう理屈になりませんか。

飯塚政府参考人 緊急参集要員のための宿舎に限って申し上げれば、おっしゃるとおりだと思いますが、他方で、今回、宿舎が必要だと認められる公務員の類型の中には、例えば頻度高く転居を伴う転勤がある職員という者もおりまして、こういった人たちの宿舎については、自宅は地方にあって東京に自宅がないということで宿舎が必要だという場合がございますけれども、必ずしもそんなに職場の近くに住んでいなければいけないということではないかもしれませんので、その辺は実際の、どういう方が住むかというところの振り分けは必要だと思いますが、必ずしも九キロ圏外の宿舎が全部必要でないということにはならないのではないかと思っております。

河野小委員 少し具体的に議論をしなければいかぬと思いますので、まず、財務省の業務継続計画をお出しいただいて、財務省本省分の、どなたがこの業務継続計画のどの仕事をやるのかというのを具体的に、氏名なのか役職名なのか、そこはいろいろあると思いますが、この人間が業務継続計画のこれをやるんですというきちっとした一対一対応を表にして示していただいて、それぞれの人がどこに住んでいらっしゃるのか、それは官舎なのか御自宅なのかというのをきちっとわかるようにしないといかぬと思いますので、まず小委員会からそれを幹事会を通じて要求をしていただきたいというふうに思っております。

 それから、財務省の、これも本省分でとりあえずはいいと思うんですが、財務省の本省に勤務をされている方で官舎に入っていらっしゃる方の全てのリストを頂戴して、それぞれの方がどの類型に当てはまるのかということを明確にしていただくと、今九キロ圏内に何人、あるいは九キロ圏外だけれども頻繁に転居を伴うというのがどういう業務なのかというのがわかると思いますので、まず具体的な資料をお出しいただきたいというふうに思います。これは、幹事会を経てお願いをしたいと思います。

 それからもう一つ、我々も官舎をいただいておりますが、どこに、どういう間取りの、どれだけの大きさで、家賃を幾ら払っているということをきちっと公開していただいているわけでございますので、少なくとも、各省の、これは課長級なのか局長級なのか、どこかで線を引いて、どの人がどこの、どういう間取りのところに、幾らで住んでいるんだということをやはり出さなければいけないんだと思うんですね。それは、この場所の何号室というのは必要ないと思いますけれども、少なくとも、この場所に、こういう間取り、こういう大きさで、幾らの家賃で住んでいますよということだけは情報公開をする必要があると思いますので、幹事会で、線引きはお任せをいたしますので、線を一定のところで引いていただいて、その線より上の方に関してどういう状況になっているかという情報提供をお願いしたいと思います。

 以上です。

新藤小委員長 後ほど幹事会で協議したいと思います。

平(将)小委員 今、削減計画で五類型の議論がありました。三谷財務大臣政務官からは、真に必要なものを、各省で出したものをきちんと精査したというんですが、もともと、公務員が自分たちの公務員の宿舎をどれだけ必要かというのを出してきたわけですよね。それを政治家の側がどういう手段を持って精査ができるのか。役所から上げてきたものに対してしっかり精査しましたとおっしゃっているけれども、そういう手足があるとも思えないんだけれども、どうやって精査するんですか、政務三役は。

三谷大臣政務官 中には、一部省庁では増加する計画を出してきたところもございます。それは、ここでの御議論を踏まえて、宿舎の現状も踏まえ、必要なものを財務省で精査させていただきました。

平(将)小委員 要は、財務省が精査をした。だから、政治家が精査をしたというよりは、財務省が精査したということと、表面的に減らさなきゃいけないから、ふやしたいという人はそうはさせなかった、そういうレベルの話でいいですか、しっかり精査をしたということは。

三谷大臣政務官 各省庁から示された宿舎戸数を財務省で精査するとともに、政務では、一部省庁、これは先ほども飯塚次長からありましたように、防衛省と、これは自衛隊ということですが、国土交通省とで八割超を占めますので、その両省を初め一部省庁と副大臣折衝等も含めて、政務で、こちらは少しでも少なくしてほしいという精査をかけまして、折衝を重ねた結果がこの結果でございます。

平(将)小委員 ちょっといまいち意味がわからないんだけれども、では、五類型をして、これだけ必要ですねということのその五類型の仕分けというのは誰がやっているんですか。それは役人で、省庁でこの類型ですと言ったものを積み上げてきて、財務省の方が減らしたいから、もうちょい減らせといったレベルの精査をしたということなんですか。

飯塚政府参考人 公務員宿舎につきましては、財務省で所管している合同宿舎もございますが、各省庁で所管している省庁別の宿舎というものもございます。それらを合わせて足元合計二十一・八万戸あったということでございます。

 類型自体はこの削減計画を決めました検討会で議論させていただきまして決めさせていただきましたが、その類型に当たるかどうかというのは、これはもう各省庁の責任で、各省庁が、先ほど政務官の答弁にもございましたように、財務大臣から閣僚懇で各省庁の大臣に要請をした上で、各省庁の線まで見ていただいて、各省庁の責任でやっていただいたということが基本でございます。

 それを財務省に出していただきましたが、ただ、実入居とかいろいろな数字から見て過大ではないかとか、あるいは、一年前にPRE戦略ということで一度出した数字がございましたけれども、そこからまたふやしてきているとか、そういうところもございましたので、そこは厳しく見させていただいたということでございます。

平(将)小委員 各省庁で判断をさせるんじゃだめなんだと思うんですよ。だから、これでもうこれ以上は減らないようなことを言っているけれども、そもそも五類型の仕分けを各省庁がやっているわけでしょう、当事者が。そうですよね。今までの議論というのは、役所は必要ですとずっと言ってきたわけですよ。でも、もっと減らせるんだろう、減らせるんだろうと、民主党になってからも何段階か減っていますね。もうこれ以上できない、できないと言いつつ、減ってきているわけですよね。そこに信頼性はないわけですよ。

 ですから、必要な五類型を具体的にどう仕分けたのか、各部署、各省庁の何々課の何々課長は要るのか、何々課の係長は要るのか要らないのかといったところの個々の仕分けの仕方をもっと公正中立に、客観的にやる仕組みをつくらないと、結局、またやったらもっと削れましたねという話になるんじゃないかということ。三谷財務大臣政務官が真に必要なものをきちんとやったと言うけれども、政治家の側にそれだけの手足があるとも思えないし、それを実態調査する手足もあるとも思えないので、そこの仕組みをちゃんとやらないと、そもそも信頼を失っているんですから。これだけ必要だと長年言ってきたことに対して、いろいろな批判があって、次から次へとやるたびにどんどん減ってきているわけだから。

 だから、その辺の仕組みをちゃんとつくらないと、ずっとこの議論、不毛な議論を続けなきゃいけないんじゃないですかという指摘なんですけれども、最後に、大臣政務官、どうですか。

三谷大臣政務官 これは、我々としてまさに精査をした結果で一つの答えを出したんですけれども、御指摘の点を踏まえて検討は続けてまいります。

階小委員 この議論の冒頭で松本委員から、きのう、行革実行本部で全閣僚出席のもとで、この公務員宿舎の売却計画も含めて、国有資産の売却の工程表がオーソライズされましたというお話がありました。それで、その工程表、今私の手元にあるのを見ているんですけれども、今回のテーマである公務員宿舎のところを見ますと、まず削減計画に示された二千三百九十三住宅については、今後五年間で売却完了しますよというふうになっています。

 最初の質問ですが、二千三百九十三住宅というのは、五年で五・六万戸削減するうちの何%ぐらいに当たるのかというのを教えてください。

飯塚政府参考人 五・六万戸削減分のうち、約一・六万戸でございます。

階小委員 そうすると、今後五年間で残り四万戸をどうするかということが問題になるわけです。ところが、この工程表を見ますと、一・六万戸については今後五年間でやりますということになっていますけれども、残りの四万戸については、まず、どの四万戸にするかというのはこれから選んでいくということと、あと、かなり時間がかかりそうな気がするわけです。数的にも一・六万対四万で多いですし、本当に残り四万も五年間でできるのかというのが、この工程表だけではちょっとにわかには信じがたいんですけれども、そのあたりについては、どのように四万戸、五年間で進めていくかということを教えてください。

飯塚政府参考人 お手元にお持ちであるということでございますので、それを前提にちょっとお話しさせていただきます。

 既に廃止を決定しました公務員宿舎二三九三住宅というものについての工程表はその上段の方に書かせていただいておりますが、その下に「廃止宿舎の追加」と書かせていただいております。これが残り四万戸分に相当する具体的な廃止宿舎の固有名詞を決めていくという作業でございますが、二十四年度のところに「コスト比較等による更なる廃止宿舎の追加」とございますが、今後一年以内、具体的には年内を目途に、コスト比較によりまして、非常に老朽化している宿舎が多うございますので、その老朽化している宿舎の中で、耐震改修なのかあるいは集約化するのか云々ということを考える中で、廃止宿舎も具体的に決めてまいりたい。

 その上で、年内を目途に固有名詞は全部張りつける予定でございますので、それが決まりましたら、その工程表の右側になりますけれども、順次、また同じように退去要請をかけて、出ていってもらって、出ていってもらったものから順次廃止して、廃止されたものから順次売っていくということで、エンドはこの二三九三と同じように、必ず五年以内に処理が完了するということでやっていきたいと思っております。

階小委員 心もとないと思っているのは、四万戸の方が売却に要する期間の矢印の長さが短いわけですよ。一・六万戸は平成二十五年度の半ばから三年半ぐらいかけて売ることになっているのに、四万戸の方は二年ちょっとで売る、矢印の長さだけ見ると。本当にそれが可能なのかというのが心もとないので、今おっしゃったようなことが具体化してきた段階でもっとちゃんとした工程表を示してもらわないと、にわかには信用できないなと思いますので、そこはよろしくお願いします。

 済みません、あと一点だけ。

 別件ですけれども、削減計画の中で極めて重要なことが書いてあります。それは、「宿舎使用料」というところで、「厳しい財政状況等を踏まえ、宿舎の建設、維持管理等に係る歳出に概ね見合う歳入を得る水準まで引上げを行う。」ということを書かれていまして、これがもし本当に可能であるとすると、今後は、我々の方に報告いただいた中でも、予算を大幅に削減しました、前年度比一二%削減したとか書かれていますけれども、そもそも予算自体要らなくなる、独立採算が可能になるということですので、ここはぜひやっていただきたいんですが、その具体的なめどについて教えてください。

若泉大臣政務官 階委員の御質問にお答えしたいと思います。

 削減計画におきましては、宿舎使用料については、宿舎の建設、維持管理等に係る歳出におおむね見合う歳入を得る水準まで引き上げを行うこととされております。具体的な引き上げ幅につきましては、年内を目途に行う個別宿舎に係る検討等を踏まえ、また関係者の理解を得られるよう努めた上で、年内を目途に成案を得ることとしたいと思います。

 今後の、いつごろであるかということでございますと、使用料の引き上げにつきましては、人事院を初めとする各省庁や職員組合に引き上げの考え方、また引き上げ幅等について丁寧に説明をし、意見を聞く必要があります。これを踏まえて、実施時期を含めて、年内を目途に成案を得ることにしたい、このように思います。

向山小委員 向山です。

 削減計画の五類型に絡んでちょっと御質問したいんですけれども、1から5までございまして、私は、1の離島とか僻地、あるいは自衛隊さんとか、やはり住んでいるところと勤務地が近くなければいけないとか、今のお話にあった緊急招集要員とか、あるいは国会対応とか、これは、国家公務員の役割あるいは任務として、当然、こういう部分というのが国家公務員として宿舎が必要だという理解はします。数の問題は、今あるように、本当に八・三でいいのかというのはありますけれども、この類型の部分というのは、宿舎が必要だというのはわかるんです。

 私がわからないのは2なんですよ。2の、頻度が高くて転勤する人には宿舎が必要だということなんですが、必要な理由といたしまして、国は、その事務事業の遂行に当たり、全国規模での異動を円滑に実施するため、頻度高く転居を伴う勤務等をしなくてはならない職員に対して宿舎を提供する必要があると。

 これは国家公務員でなくても、民間企業でも一緒じゃないですか。全国規模で事業を展開しているところが頻度高く転勤がある、その転勤をする上で、異動をスムーズにするためにというので宿舎を用意していない企業なんてたくさんあるわけでして、これをもって宿舎を必要とするのはなぜなのかというのは、私はちょっと理解に苦しむんです。

 そのあたりはどういうことなのかというのをちょっとお答えください。

飯塚政府参考人 公務員の場合に、頻度高く転居を伴う転勤をする必要があるというのは、例えば、不正とか癒着の防止でございますとか、あるいは適材適所の人材配置といったこと、そういったことで、例えば検事さんでございますとか、私どもの財務省でも国税職員でございますとか、かなり頻繁に、短い年数で転居を伴う転勤をする必要がある。そうすると、自宅がない場所に勤務を強いられるということがございますので、そのために宿舎を用意する必要があるということで考えておるところでございます。

 ちなみに、おっしゃいますように、民間につきましても、社宅を持っていないところも多いわけでございますが、一方で、人事院とか経団連の調査なんかを見ましても、比較的全国的な規模の転勤が多いという企業、大企業につきましては、かなり社宅を持っている割合が多いというふうに理解しております。

 もう一点は、これも不正確なデータで恐縮でございますが、公務員全体の転勤率というものは約一割ぐらいでございますけれども、民間について調べたデータを見てまいりますと約二・四%ということで、そういった転勤率の違いもあるということは御留意いただければと思います。

向山小委員 検察官とか裁判官が本当に長くても一年とか二年で転勤するというのは、私の父親が検察官だったからよく知っているんですよ。ですけれども、要するに、三年、四年で必ずローテーションで転勤をしないといけないから宿舎が必要なんだという合理的理由に当たるのかということなんですよ。ですから、削減をしていかなきゃいけないという目標を立てる中で、五・三万戸も社宅のままに置く必要が本当にあるのかということですよ。

 例えば、裁判官が一年ごとに転勤する上で、借り上げ社宅だったら何でだめなんですか。借り上げ社宅で、本当に自分が住みたいところに住むということの方が本人のプラスになるのでしょうし、今、初鹿さんもありました、地域経済の活性化までつながるわけですよね。社宅にずっと押し込めるよりも、いわゆる民間マンションに、あるいは民間の賃貸住宅に住む方が地域活性化しますからね。そういう選択肢じゃなくて、宿舎に押し込めておくその理由というのが、本当に合理的なんでしょうか。ちょっとその辺が私はわからない。

 だから、居住地を用意しなきゃいけないというのは当然ですよ。だけれども、その居住地というのはなぜ社宅なのかということなんですよ。なぜ民間の賃貸なりあるいは借り上げじゃなくて、社宅なのかということなんです。

田中(一)政府参考人 今御議論をいただいております公務員宿舎の削減計画の中身において、ここで宿舎と呼んでおりますのは、いわゆる国がつくった建物としての宿舎だけではなくて、借り上げも含めて考えております。

 ただ、借り上げの場合と、それから実際に国が建物としての宿舎をつくって貸す場合と、どっちが国としてコストがかからないだろうかという比較をする必要があるというふうに思っておりまして、先生おっしゃるように、一定の性格を持った、あるいは機能を持った職員であればむしろ借り上げの方がいいのではないかという議論を、我々、先ほど言いましたように四万数千戸の廃止をこれから考えるわけですけれども、その中で、そういうお考えも踏まえて対応する必要があると思っております。

向山小委員 そういうふうな検討というのはやっていただきたいと思いますが、私は、繰り返しになりますけれども、1から5の類型というのが、そこは本当に必要不可欠な、国家公務員としてその役割を遂行していく上で必要不可欠だというこの類型の中で、2だけがちょっと、それを当てはめようと思ったってなかなか難しいというような感覚がございますし、そここそ本当に民間の活力を活用できる、前向きにそういうことも検討できる部分ではないかなと思っておりますので、さらなる検討というのを深めていただきたいと思います。

 以上です。

平(将)小委員 ちょっと議論がそれるかもしれないですけれども、向山さんの指摘はそのとおりで、自分たちで持っていると固定化するんですよね。だから、今回の決議文には入れられませんでしたけれども、ストックからフローにして、フローは政府の役割が変わるごとに変動しやすくしておくというのは、これは普通の考え方だと思うんですね。だから、ストックからフローにすべきだと思いますが、決議文はそうなっていないので、それに対する答えがそうなっていないのはやむを得ないんだと思います。

 それで、お伺いしたいのは、先ほどの階さんの質問の中であったんですが、五年間という数字が出てきましたよね、今後五年間でと。結構これは皆さんの好きな数字で、凍結も五年間とか売却も五年間といって、ある筋から言わせると、この五年間というのはほどよい期間で、その間政権が幾つもかわっていて、何もしなくても終わる可能性があるという解説もする人がいるんですが、これは、民間のイメージでいくと、やはり五年間というのは長いと思うんです、正直言って。もう資金繰りがつかないんだったら資産を売りましょうといったときに五年計画を立てる人はいないと思うので、なぜこんな五年間という長い期間を想定しているのかというのが一つ。

 必ず市況を見ながらという話が出てくると思うんですが、消費税がこのまま上がるとなると今が売りどきなのは間違いないので、早く売るべきだと思いますが、なぜこれは五年間ということになっているのか、教えてください。

三谷大臣政務官 宿舎を廃止する場合には、現に宿舎に入居して生活しておられる居住者、家族がいるわけですから、退去をさせる。もう既に廃止を決めた二千三百九十三住宅については退去のお願いをしているところでありますが、その退去手続に、学校の関係もあり、また御家族の中に病院に通院をされている方もおられ、時間が必要であるということはあります。通例、二、三年程度というふうに考えています。

 また、この削減計画において、五年間を目途に約五・六万戸にも上る宿舎戸数を削減することにしておりますし、既に廃止決定した二千三百九十三住宅に加えて、これからもまた廃止をする住宅を決めていきます。

 これは、まず、決めた五年間で所要の目標に達する努力をしていくことが肝要だと思います。先ほどの階先生の御指摘のとおり、簡単なことでもないと思いますので、着実な、また確実な実行、五年間でこの目標が達成できるよう、その実行を期してまいりたいと思っています。

平(将)小委員 既に住んでいるから立ち退きも含めて時間がかかるというのは、それは、民間で借地権とか借家権があって、それで立ち退き交渉が必要ならわかりますけれども、そもそも、公務についていて必要性があって住んでいるというところに対して、年単位なんて私はあり得ないと思いますよ。それは本気で言っているのかなと思います。普通、数カ月でしょう。頻度高く転居を伴う転勤だって、あんた二年後にどこどこ行くよと言うわけじゃないですよね。ですから、それは全く言いわけにならないです。多分、数カ月の話なんだと思います。

 あと、やはり五年というのは長いですよ。やはり、財政が逼迫をしているんだからバランスシートの方も手をつけましょうねということなんだから、もっと早くやるべきだと思います。

 最後に、向山さんも言っていましたけれども、さっきの五類型でどうも納得いかないというのは、さっきの私の指摘と一緒で、そもそもこの五類型が適切なのかということと、あと、各役所のポストがこの五類型にそもそも当てはまるのかという仕分けの部分を、それは財務省がやるんじゃなくて、内閣府なり、行政刷新会議というのがたしかありましたよね、そういうところでやはりやるべきことなんだろうなと思いますので、ちょっと今の質問のあれとは異なりますけれども、この五類型とその中身の仕分けというのは、独立したどこかでやるべきだろうなというふうに思います。これは答弁要りません。

初鹿小委員 五類型の話なので、先ほど四番目で、先ほど向山さんが二番目を話しましたが、今度は五番目。「国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる本府省職員」ということは、皆様方が多分対象になるんだと思うんですが、これで一・二万人という数字が出ております。

 この一・二万人、なぜ宿舎が必要なのかということを伺いたいんですが、これは、朝早かったり夜遅かったりするから、だから近くに住まなきゃいけないんだ、そういう理由ですか。

三谷大臣政務官 これは、国会対応や法案作成及び予算等の業務は、まさに作業量が膨大ですし、職員の勤務は往々にして深夜に及ぶことが多いこと、また、特に国会対応等については、深夜だけでなくて早朝においても作業が発生することが多々見受けられることから、国の事務事業を円滑に運営していくためには、本府省職員への一定数の宿舎の提供は必要であると考えてのこの数字であります。

初鹿小委員 その提供される宿舎が遠かったら意味がないんじゃないかと思うんですよね。そういうことでしょう。近くに住んでもらいたいわけですよね。やはり、通勤時間が長くなって、夜遅く帰って、また朝早く来なきゃならないとなると、睡眠時間が通勤時間に割かれるようにならないように近くに住んでもらいたいということですよね。そういう理解でいいわけですか。(三谷大臣政務官「そのとおりです」と呼ぶ)

 そうなると、では、この一・二万人、近くに住まなきゃいけない、その人たちと、緊急参集要員で近くに住まなきゃならない、かぶっている人が相当いるんじゃないかと思いますが、どれぐらいの割合でかぶっているんでしょうか。かぶっていない人はどれぐらいいるんでしょうか。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急参集要員八・三万戸と、いわゆる本府省職員用の一・二万戸、これは重複ございません。

飯塚政府参考人 補足させていただきますが、緊急参集要員でかつ本府省でそういった仕事をしている人はおりますけれども、それは全て緊急参集要員の方で整理させていただいておりますので、そういった意味で重複はございません。

初鹿小委員 となると、では、この一・二万人は、緊急参集要員ではないけれども、近くに住まなければならない人だ、そういう職員だということですよね。

 この一・二万人、現に住んでいますと。では、その人たちは、緊急参集要員の人と同じぐらいの範囲の、九キロ圏内ぐらいの中の宿舎に皆さんお住まいになっているんでしょうか。

飯塚政府参考人 大変申しわけございませんが、そういったデータは特に持っておりません。

 ただ、全般的に言えますのは、比較的、公務員宿舎については各職場に近いところにあるケースが多うございますので、比較的近くに住んでおられる方が多いんだろうと思います。

初鹿小委員 私の江戸川区も結構大きな宿舎があるんですが、九キロ以上あるんじゃないかと思うんですよね。そこにかなり省庁の方が住んでいるんですね。これぐらいの範囲はまだぎりぎり認められるかなと私も思いますけれども、もうちょっと遠い、千葉とか埼玉とか、やはり、来るのに、タクシーで深夜に帰って一時間弱かかるようなところだったら、それこそ、先ほどからの議論じゃないですけれども、近くに借り上げで住んだ方が、職員の皆さん方の健康上もいいのではないかと思うんですよ。

 そういう意味で、ちょっと周辺に離れたような宿舎は縮小していくということが望ましいんじゃないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

田中(一)政府参考人 そういうお考えは私どもも十分踏まえて対応しなきゃいけないと思っています。

 先ほどから申し上げておりますが、借り上げというのを私どもは否定しておりませんので、借り上げの方が安いのであれば、本来の宿舎の目的を達成するために、必要な場所に借り上げるという先生の御指摘どおりの対応が必要になってくると思っています。

 ただ、現実に今存在する、例えばちょっと遠い、実は先ほど彼が説明しているようにそんな遠いところは余りないんですけれども、しかし、山手線の中ではなくて、もうちょっと遠いところの宿舎がございますので、それを中へ持ってくるというのもなかなか大変なので、恐らく、今後、緊急参集要員にきちっと近いところに入ってもらうとかいう、実際の各省の対応の中で、今先生のおっしゃっているような対応をする必要が出てくるんじゃないかというふうに思っています。

岡田(康)小委員 この類型でぐりぐりやっていくと、多分、答弁されていて、実はきついところもおありなんだろうなと思いながら聞いておりました。

 実際問題、今ある宿舎を前提に議論が始まっていますから、建設コストがサンクコストで済んでしまっている部分もあるでしょうから、最後まで精いっぱい使った方がトータルではいいというふうなものも出てくるんだろうと思うんです。

 そういうことを理由づけしていこうと五類型にぐっと入れると、ちょっと個別に一個一個見ていくと、必ずしもぴたっと線引きできないようなものも出てくるんじゃないかなというふうに思いますので、そこら辺はとにかく国民負担を極小化するという方向で進めていただきたいと思います。

 とにもかくにも、さっき階先生がおっしゃいました宿舎賃料の見直しというのがやはり非常に大事だと思っていまして、それを適正な価格にすることで、税金の余分な持ち出しがないんだ、目に見えない福利厚生の追加みたいなものはないんだ、そういうふうにできれば、こういう細かい指摘も大分なくなっていくんだと思いますから、そういう意味では、宿舎賃料の引き上げというところをぜひとも御理解いただいて、見直しができるように努力をしていただければと思います。

新藤小委員長 それでは、予定いたしました時間が過ぎておりますので、これで終了したいというふうに思います。

 財務省の皆さん、御苦労さまでした。

    〔小委員長退席、階小委員長代理着席〕

    ―――――――――――――

階小委員長代理 次に、内閣府、文部科学省及び経済産業省、原子力関連予算の独立行政法人及び公益法人への支出について自由質疑を行います。

河野小委員 委員会の決議の中に、原子力関連事業の実施が天下りや利権を生み出す構造をつくったという指摘をさせていただいております。先般、国会事故調がやはり同じような指摘を報告書でされております。文化の問題だというようなことまで踏み込んでおっしゃっていらっしゃいますので、まず、この小委員会に国会事故調の黒川委員長をお招きして、しっかりとした意見交換をさせていただきたいと思いますので、小委員長及び幹事の皆さんにまず御検討をいただいて、早急に黒川事故調委員長をお招きしていただきたいと思います。

 この委員会決議の要求項目で天下り、利権ということを取り上げておりますが、三・一一の事故の前後に、経済産業省、つまり所管をする経済産業省の事務次官経験者が東京電力や日立といった原子力関連企業に天下った、そういうことがございます。この役所からの天下りが、こういういわばなあなあの構造をつくって事故を起こした、天下りや利権を生み出したという指摘は厳しくされているところでございまして、この委員会でもこういうことを決議の項目の中に入れておりますので、きょういらっしゃっている内閣府、文科省、経産省はよもやそうした天下りを今後認めることはないと思いますが、まず、内閣府、文科省、経産省、そういうことは今後ないよという確認をしていただきたいと思います。

    〔階小委員長代理退席、小委員長着席〕

園田大臣政務官 内閣府の原子力政策担当をさせていただいております園田でございます。よろしくお願い申し上げます。

 今、河野先生からも御指摘をいただきましたように、私どもも、天下りに対しましては、当然、政府全体としても天下りあっせんはもう一切しないということを申し上げてきたところでございまして、内閣府といたしましてもそのようなことは行わないということは申し上げさせていただきたいと思います。

神本大臣政務官 文科省におきましても、今おっしゃったように、この決議にもございました天下りや利権を生み出す構造については即刻改めるべきということを踏まえまして、競争性のある契約をする、あるいは再就職のあっせんを禁止する旨の規定を制定して、現在、取り組んでいるところでございます。

柳澤副大臣 経産副大臣を務めさせていただいております柳澤でございます。

 経産省としても、もちろんあっせんもしませんし、きちんと基準に従って対応していきたいというふうに思っております。

河野小委員 柳澤副大臣にお伺いいたします。

 副大臣がそうおっしゃいますけれども、事務次官が原子力関連企業に天下りをしたばかりじゃありませんか。どうするんですか。

柳澤副大臣 済みません、その辺、具体的なことはちょっとまだ把握をしておりません。

河野小委員 あっせんはしていないと言いながら、各省庁のお役人が続々と天下りを引き続きやっているじゃありませんか。

 あっせんがなくとも天下りをするということはもはや許される状況にない、原子力に関係をしている企業については、官僚をやめた人間が天下ることはまかりならぬという政府なりなんなりのルールができないなら、国会でそういう決議をして政府に突きつけなければならぬというふうに思いますので、小委員長の方から政府に、そういうルールをみずからつくるか、あるいは立法府にそういうルールの制定を政府がお願いするのか、そこのところをきちっと御協議いただきたいと思います。

 さらに、この天下りの構造について申し上げますと、驚いたことに、内閣府原子力委員会からの、「政府において講じた措置」という中で、原子力関連事業の実施が特定の独立行政法人及び公益法人に集中し、天下りや利権を生み出す構造については厳しく検証をしろという委員会の項目に対して、「所管外」と答えているんですが、なぜ原子力委員会が所管外なんでしょうか。

中村(雅)政府参考人 原子力委員会の担当参事官をしております中村でございます。

 資料をつくらせていただきましたので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 そこで書かせていただいた趣旨は、原子力委員会、まず、原子力委員そのものにつきましては特別職でありまして、そこの御趣旨には入っていないのではないかということで書かせていただいております。

 それから、今、原子力委員会の事務局として、私、あるいはその上に審議官それから政策統括官がおりますけれども、政策統括官以下につきましては、原子力委員会だけの担当ではなくて全体を見ているということで、その趣旨に入っていないのではないかと考えて、そのようにお答えさせていただいたところです。

河野小委員 原子力委員会が秘密会を開いて、そこで推進側の意見を取りまとめて結論をどがちゃがしたというのは、もはや白日のもとにさらされているではありませんか。先日、細野担当大臣がみずから、自分が所掌する原子力委員会が問題を起こして検証をしているということを述べていらっしゃるじゃありませんか、この決算委員会で。そういうことがありながら、こういう指摘をされたときに所管外だということを答えるこの原子力委員会及び事務局のいいかげんさというのが事故の引き金を引いた遠因の一つになっているんだと思います。

 小委員長、原子力委員会に対して、再度、この項目に対する回答をきちんと提出するように求めたいと思います。

 とりあえず、一ラウンド目、終わり。

下村小委員 当委員会の決議で、今のに関連しますが、「原子力関連事業の実施が特定の独立行政法人及び公益法人に集中し、天下りや利権を生み出す構造については、原子力規制行政組織の改編に伴い厳しく検証し、法人の整理統廃合を進めるべき」、こういう決議がされているわけでありまして、この決議に沿ってそれぞれの省庁がどのような対応をしているのかということについて確認をしていきたいと思います。

 前回も、昨年の原子力事故を踏まえて、既存の原子力施策の見直しを行い、特に、御承知のように、原子力規制委員会が設置をされる、千人規模で新たにつくられるわけであります。当然、お役人の数を千人ふやすということではなく、省庁再編の中で対応すべきことだと思いますし、また、その後、除染、安全対策など、今までそれほど考える必要がなかったことに対しても、新たな事業に転換する、こういう必要性があるわけでございます。

 前回、昨年の十一月の十七日ですが、私が指摘をいたしました。内閣府の所管独立行政法人、公益法人が五つあり、人員が約五百人。それから、文部科学省関係は、二十四法人あって、職員が約八千人。経産省関係は、共管を抜かしても、単独だけでも十五の法人があり、職員が一万二千七百人。合計すると、原子力関係独立行政法人、公益法人だけで四十四法人、全ての職員を合わせると二万二千人になるわけでございます。

 そのような中で、昨年の事故を受けて当委員会でもこのような決議がされたわけでございますが、その後の回答を見ると、答えていない役所もあるんですね。

 まず、経済産業省ですけれども、「原子力関連予算の執行については、原則として一般競争入札又は企画競争を行っているところであるが、引き続き、不断に精査を行う。」ということで、この決議に対する回答には全くなっていないという状況でありますので、まず、経済産業省、この決議に対してどのように考えているか、対応をこれからしようとしているか、お聞きしたいと思います。

柳澤副大臣 原子力関連の独立行政法人や公益法人については、平成二十四年末をめどに成案を得るべく、原子力関連の独立行政法人の将来的な統合等も含めて、あり方について検討するということになっておりまして、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針が平成二十四年一月二十日に閣議決定をされました。それを受けまして、原子力規制行政組織の改編に関する状況や、今後のエネルギー、原子力政策見直しの議論の状況を踏まえながら、当該閣議の決定方針に沿う形で、経済産業省としましても、今後の組織のあり方を抜本的に検討していきたいというふうに考えております。

下村小委員 とりあえず、同様のことを文科省、内閣府にお聞きします。

神本大臣政務官 文科省としましても、今、経済産業省の政務官が御答弁されましたとおりでございますが、決議で御指摘のことに関しましては、二十四年末を目途に成案を得るということで、今後の組織のあり方を検討していく方針でございます。

園田大臣政務官 内閣府といたしましては、先ほど先生からも御指摘がありましたように、国会での規制委員会の設置法に基づきまして、JNESでありますけれども、これが規制委員会に統合されるということになります。

 そういった意味では、統合されるに際しまして、きちっと推進側から独立した、そしてまた科学的、中立的な規制を行える組織、こういったものにしっかりとつくりかえていく必要があるというふうに考えているところでございます。

下村小委員 いずれも、委員会の決議に対して、それぞれの省庁が誠実に対応している答弁でないわけであります。

 特に、まず、さらに文科省にお聞きしたいと思うんですが、今回、原子力規制委員会ができるということで、ここに、今までの関係法人等が我々から見ると相当シフトできるのではないかというふうに思っておりますが、現段階で、文科省の管轄の法人から原子力規制委員会の方に移せる、あるいは移す必要がある、そういうふうに考えている法人があれば出していただきたいと思いますが、いかがですか。

戸谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、独立行政法人の関係について申し上げますと、先般の原子力規制委員会の設置法案の中で、途中で議員修正がございまして、原子力研究開発機構につきましては、原子力規制委員会と、安全確保にかかわる業務のところについては全般的に共管にするということでございます。

 それから、放射線医学総合研究所の関係につきましても、一部の業務をさらに追加して、環境省の方と共管となるということでございます。

 それから、あと、公益法人の関係につきましては、先般の改正の折に、規制関係の業務のうち、例えば保障措置の業務が移るとか、あるいはモニタリングの実施の部分が移るとかということがございますので、これまで関係していた公益法人につきましても、これは既に一般財団法人ということでございますので所管ということでは必ずしもございませんけれども、実際には、これまで文部科学省と一緒にそういう仕事をしていた法人の業務の関係については、規制委員会の方との関係に移る可能性は十分高いというふうに考えております。

下村小委員 これは具体的に、自民党では、項目的に申し上げて、例えば放射線障害の防止であるとか、それから放射線水準の把握、監視、測定、いわゆるモニタリングですね、それからSPEEDI等々、こういう部分を含めて、今まで文科省が扱っていた十分野については、これは原子力規制委員会の方にシフトすべき項目だということで、今までも国会議論の中でもされていることだというふうに思いますし、これは役所としてきちっと対応してもらいたいというふうに思いますが、これについてはいかがですか。

戸谷政府参考人 今回の改正で、閣法に加えまして、新たに文科省から規制委員会に業務移管する部分が上乗せになっておりまして、そのことにつきましては、二十五年度の概算要求の中で、これまで文科省がやっていた予算措置につきまして規制委員会の方に移っていく、そういった過程の中で、先ほどのモニタリングあるいはSPEEDIを実際にやっている法人の仕事に対する国のかかわりといったものは、当然規制委員会の方に移っていくというふうに私どもとしては認識いたしております。

下村小委員 これは文科省から、今まで申し上げたことを含めて、原子力規制委員会に全てシフトする、このそれぞれの役割分担ですね、ということでよろしいわけですね。引き続き残すということではないですね。

小川政府参考人 今、下村先生がおっしゃったとおりでございまして、該当する業務につきましては全て規制委員会の方に移管するという理解で結構でございます。

下村小委員 それから、決議に対するペーパーの中で、ほかの役所、原子力規制組織の改編に伴い、独立行政法人及び公益法人の整理統廃合を進めるべき、この決議に対して、内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室、ここは、「独立行政法人原子力安全基盤機構の在り方については、原子力規制委員会設置法附則第六条第四項に基づいて法制上の措置を速やかに講じていくこととする。」こういう回答で、先ほどのような役所の回答と全くここも同じなんです。

 そもそも、法人の整理統廃合を実行しよう、こういう姿勢が各省庁見られない、これが当委員会に対する、決議に対する答えでございますけれども、改めて、内閣官房について、今後のことを含めて、確認と、そして姿勢についてお聞きしたいと思います。

園田大臣政務官 当然、これは委員長提案で国会で成立した法律でございます。私どもとしても、その法律の規定にしっかりと従いまして、今後、早期に統合できるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

下村小委員 ぜひ、委員会決議の趣旨が、主に推進の立場からチェック機能行政に変えることによってトータルの組織の見直しであるということについて、そういう視点から、それに応じて独立行政法人及び公益法人の業務内容の見直しが求められることであるというふうに思いますし、さらに今後、除染それから廃炉、放射性廃棄物の最終処分などの分野が新たに重要になってくるわけであります。

 チェック機能行政や今後必要とされる分野に応じた法人の業務内容の見直し、これをどの程度今進めているかどうかということについてお聞きしたいと思います。

柳澤副大臣 実は私、昨年の九月から福島の原子力災害現地対策本部長も兼務をさせていただいておりまして、きょうも、朝、新幹線で現地へ行って、先ほどこちらへ戻らせていただきました。

 経産省としては、今回の原子力問題というのは、これまでの安全神話から本当に決別をして、この後安全性の確保をどうしていくのか。それから、十二月に冷温停止状態のステップ2の完了というのは、本当に廃炉に向けての第一歩であって、その辺の取り組みを今まで以上に強めなければいけない。それから、国民の皆様にどれだけきちんと情報を伝えていくか。そういう意味でいきますと、今まであった組織もやり方も、全てもう一度抜本的に見直していかなければいけないだろうというふうに考えております。

下村小委員 それは当たり前の話であって、経産副大臣としての答弁ではなかったと思います。政府側にある立場の人間として、今申し上げた対応について、それは当たり前の話なんですよ。具体的にそれをどう実行に付していくかということが今問われているんです。もう考えている段階じゃないんですね。

 具体的にどのような業務内容の見直しが進んでいるかということについて聞いているわけですけれども、これは答えられるところはないということですか。つまり、このことについて、政府に当事者がいないということですね。

櫻田政府参考人 幾つか先生から御指摘のございましたチェック機能の切り離し、それから除染の話、あるいは廃棄物といった新しい問題、これらについて、予算とか法人とかということに限らない話にはなりますけれども、まずチェック機能の切り離しということについて申し上げれば、先ほど来お話がございますような規制組織の新しいものをつくる、その中で独立した判断ができるような組織体制をつくるということであると思いますし、そのために、先ほどからお話ございますようなJNESの統合といったことについても対象に入ってくるのかなというふうに思います。

 それから、除染につきましては、これは既に環境省の中で対応するという組織ができてございますので、そちらで対応していくということかなと思いますし、また、廃棄物問題あるいは福島の事故を起こした施設、ここを安全に管理するという趣旨で規制の見直しも行うことにしてございます。

 そのために必要なさまざまな基準づくりでありますとか必要な研究開発とか、これは安全の観点からですけれども、規制のために必要な技術の見直しとかそういったことについては、現状ではJNESというところに役割があるかなと思いますけれども、将来的に規制庁の中に統合されるということも含めて考えていく必要があるかなというふうに思ってございます。

下村小委員 締めの最後にしますが、私が問題提起で申し上げているのは、この決議にのっとって、原子力関係独立行政法人、先ほど申し上げた、公益法人だけで四十四、そして全ての職員を足すと二万二千人、この組織の改廃をすることによって、新たなテーマに対してどう対応するかということについてお聞きしているんですよ。

 それぞれの新しい除染とかいろいろなことについてタイムリーに対応するのは当然の話であって、既存の組織をどうスクラップ・アンド・ビルドしながら対応していくかということについて、残念ながらきちっとした答弁がないということでありますので、ぜひ委員長、改めて、委員会として、引き続きこの問題については対応していただきたいということをお願いして、とりあえず終わります。

遠山小委員 私は、経済産業省と文科省にそれぞれ、当小委員会の決議で高速増殖炉及び核燃料サイクルの関連予算の縮減を求めていることに対する対応について伺いたいと思います。

 まず、経産省でございますが、私どもがいただいた、措置についてのペーパーによりますと、経産省については、高速増殖炉の実用化のための研究開発については、平成二十三年度の七十三・九億円から今年度は三十・一億円に減額をした。それから、核燃料サイクル関係の研究開発は、平成二十三年度の二十六・七億円から今年度は十・三億円まで減額をしたということで、この額だけ見れば、予算額の削減幅は大きいわけでございます。

 これは後ほど文科省にも同じ問題意識で質問させていただきますが、今回、少ないけれども予算を確保した理由は、技術的知見や人材の散逸の防止の名目でこういった予算を最低限とり続けたというような説明をされていると理解をしておりますが、今後、中長期的にこれらの開発予算をどうするのかという方向性がないまま、ただ今まで働いてきた人たちがいるから、今まで積み上げた技術的知見があるから二桁億の予算を積み続けるというあり方では、これはもう行く行く国民の理解は得られない予算計上の仕方になっていってしまうのではないかと思います。

 まず経産省から、縮減はしている、要するに、その予算の削減幅は大きいというのは私も理解をしているわけですけれども、しかし、予算をとらなきゃいけない名目が人材散逸の防止とかそういうことであるならば、これは、風前のともしびの事業に、人を持つためだけにずっとお金を投じ続けると言っているに等しいわけでございまして、何の戦略性も費用対効果も感じられない話になるということについてどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

糟谷政府参考人 まず、高速増殖炉関係の予算でございます。今年度計上させていただいております三十・一億円でありますが、これは国際的な安全基準策定のために必要な研究でございます。

 具体的に言いますと、ナトリウム冷却の高速増殖炉について、IAEAで来年の春ぐらいから基準をつくろうという動きがございます。他方で、高速増殖炉については、中国、インドといった国が具体的に設置をする計画を持っております。

 そういう中で、実際の技術的基盤に裏づけをされた安全基準を我が国が提案していくということが国際的にも期待され、我が国としても責任を果たしていく上で必要なことだろうというふうに考えておりまして、そういう点にフォーカスをして、そこだけに集約をして、それ以外の高速増殖炉の開発、振興的なものは全部やめまして、国際的な基準に対して我が国として貢献をする、そこに限定をしたものでございます。

 それから、核燃料サイクル関係の予算、十・三億円でありますが、これは、再処理をやるときにガラス溶融炉、ガラス固化をするプロセスがございます。これが平成二十年の夏にトラブって以降、現在まで再処理工場の再開がおくれている原因であるということはもうよく先生方御存じのことかと思います。これについての技術開発、ここに絞った形でやっております。

 これは、現在、再処理も含む核燃料サイクルをどうするかということはこれから政府で決めていくことになるわけでありますが、そこが決定しない中で、再処理の可能性、それから再処理を引き続きやるということになったときに、その研究をやっていないことでおくれをとるということになることを避けるために、人材の散逸防止ということだけでなく、そういう日本のいろいろな選択上のオプション、まちを、可能性を広げるという観点から、そこに限定をして続けておるというものでございます。

遠山小委員 次に、同じ問題意識で、類似の質問を文科省にさせていただきます。

 文科省の予算は、私が指摘するまでもなく、経産省以上に規模が大きいわけでございます。高速増殖炉サイクル技術関係の予算は、今年度は二五%削減をした上で、額でいいますと三百億円が計上されている。その内訳で、「もんじゅ」関係が百七十五億、一九%減。それから、高速増殖炉サイクル実用化研究開発の維持費で、これは六七%減ということで三十三億。差額が九十二億ありますから、それはその他の費目なんだろうと思いますけれども。

 これも、文科省として、高速増殖炉あるいは「もんじゅ」、これが中長期的に今後どうなっていくのかということがわからないまま予算計上しているというあり方では、やはり幾ら前年度比で数十%削ったと言ってみたところで、行く行く国民の理解は立ち行かなくなると思います。そしてまた、先ほど経産省のお答えの中にも、今後政府が決めていくまでというようなお話が若干示唆されておりますが、文科省がやや主導的なプロジェクトでもあると思いますので、文科省として、いつごろまでにこの高速増殖炉、核燃料サイクルの問題について結論を出すということを念頭に今回の予算計上をされているのか、お答えをいただきたいと思います。

戸谷政府参考人 現在、御案内のように、エネルギー・環境会議におきましてエネルギー政策についての議論が行われているところでございまして、今、国民からの意見聴取ということで、近々、ある一定の方向性といいますか、原子力政策も含めたエネルギー政策の方向が決まるということを我々としても期待しているところでございます。

 それで、今、いつまでにどうするのかということでございますけれども、私どもの立場といたしましては、やはり、まず基本的なエネルギー政策なり原子力政策の方向が決まった上で、具体的に「もんじゅ」の取り扱いについて定めていくというのが基本的な流れというふうに思っております。

 それで、先ほど、先生の方からもう既に予算の数字についての御紹介があったわけでございますが、今、その内容について若干敷衍して少し申し上げさせていただければ、「もんじゅ」につきましては、やはり原子力関係の施設ということもございまして、この関係につきましては、基本的に、最低限の維持管理あるいは安全確保のために必要な経費ということで、ある意味で事実上ホールドした状態になっているということでございます。

 それから、先ほどの高速増殖炉のサイクルの実用化研究開発につきましても、研究開発を進めるという部分につきましては凍結状態でございます。ただ、こちらにつきましても、実際にハードの施設を用いている部分がございまして、そこの維持管理を中心といたしまして今回の予算の計上をさせていただいているということでございまして、そういう意味では、私どもといたしましては、政策決定が決まるまでの間の最低限の必要な予算を今回計上させていただいているという趣旨でございます。

遠山小委員 以上で終わります。

奥野小委員 ただいまのに関連して、「もんじゅ」について少し伺いたいんです。

 確かに、これは四十億ぐらい、かなり減っていますが、人件費はたしかこれに含まれていないと思いますが、人件費まで含めると大体年間幾らぐらい維持管理にかかっているのかということを伺いたいのと、そして、ホールドしているとおっしゃっていましたけれども、どうしてこんなにコストがかかるのかということを伺いたいのが一点。

 それから、「もんじゅ」も随分たってきていまして、技術的にも古いんじゃないかという指摘もあると思います。金属ナトリウムでいいのかという話とか、あるいは、ループ型でやっているのは日本だけじゃないかとか、そういうことも考えると、核燃料サイクルの是非はともかくも、「もんじゅ」自体はもう諦めるべきじゃないかという意見があろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

戸谷政府参考人 まず数字的なことを申し上げますと、今、先ほど申し上げました百七十億程度の数字は、これは基本的には機構の職員の人件費は入っておりません。機構の「もんじゅ」関係の職員の人件費を積み上げますと、大体二十億程度がさらにこの上に経費として加わっているということでございます。

 それからあと、「もんじゅ」につきましては、確かに設計、建設から大分時間がたっているというのは事実でございますけれども、その間、老朽化した部分については適宜取りかえるといったようなことをやっておりまして、それがまたさらに「もんじゅ」の安全維持にも必要だということで、そういったことを計上しているということでございます。

 それから、ナトリウムにつきましては、フランス、アメリカ、あるいはロシア、中国等々につきましても、今、高速炉の主流は基本的にはナトリウムということでございます。確かに、ループ型かタンク型かという議論は、それぞれの国の耐震の考え方その他におきまして若干の差異はございますけれども、今の世界の現状から照らし合わせまして、「もんじゅ」が格別に旧式のタイプであるということについては、必ずしも私どもとしてはそういう認識はいたしておりません。

奥野小委員 改めること、やめることを恐れずに、しっかりと検討いただければと思います。

花咲小委員 小委員会の決議の中に、原子力関連予算については、原子力政策の見直しの結論が出るまでの間は総組み替えを検討すべきということで、この予算は、恐らく電源開発促進勘定、エネルギー特会の中でこれをかえるのが筋だと思っています。国民の皆さんに新たな御負担をお願いしない形でこの電源開発促進勘定の予算を組み替えるべきだと思うんです。

 この中に、特に私は、電源立地対策費ということで、これは基本的には原発新規建設や維持していくための推進の部分で使われてきたものだというふうに思っていまして、これを組み替えていく。例えば、安全を立地の方々により知らせていくということで予算を積み上げていくということや、廃炉に対しての技術開発とかの費用で使っていくということで組み替えていくべきだと私は思っているんですけれども、ここについて、特に経産省の方々の中で、どのように予算を組み替えていこうということを考えているかを教えていただければありがたいです。

糟谷政府参考人 組み替えをどうするかということは、原子力政策を含むエネルギーミックス、エネルギー政策のあり方が決まった上で最終的に決定することではございますけれども、今の段階で明らかに必要性が高まっておりますのは、原子力防災関係もしくは安全関係の予算であろうかと思います。そういったあたりの比重をふやす。それから、新型炉の開発といったことから、廃炉、それからバックエンド、最終処分、そういうあたりに必要な経費によりシフトしていく。こういうことは、この二十四年度、今年度の予算からもう既に着手をいたしておりまして、このあたりを進めていくということは間違いないことだと思います。

花咲小委員 ここの予算が、例えば温泉宿をつくったりとか箱物に使われてきたんだと認識していますけれども、では、これからは、そういう箱物に、言葉が悪いですけれども、いわゆるあめで使うことがないということは、ここで約束できますでしょうか。

糟谷政府参考人 今御指摘があったのは電源立地交付金の話だと思います。二十三年度においても、電源立地交付金等、当省全体で千五百二十九億円原子力関係の予算があるうちの千三百二十億円と、九割近くを占めております。

 これは従来、箱物ということを言われましたけれども、累次、箱物だけではなくて、ソフト面も含めて、地元の自治体の御判断でいろいろな用途に使えるように使途を拡充してきた経緯がございます。

 もちろん、今後、原子力政策がどうなるかということの決定を受けて、この立地交付金についてもあり方を再度検討するということになると思いますが、他方で、この交付金については、これまで原子力発電を含む電源の立地を受け入れていただいた御地元の自治体とのお約束という関係もございます。これまでお約束していたものを、手のひらを返して完全になくすということができるのかどうか、そのあたりを十分に踏まえながら検討していく必要があろうかと思っております。

花咲小委員 今の話を聞いていると、例えば、廃炉の費用とか研究開発とか安全性を立地自治体の方々にお知らせするということで、新たに予算を積み増さなきゃいけないわけですよね。では、新たにまた国民の皆さんに御負担をお願いするということですか。どこから財源を見つけてくるんでしょうか。

糟谷政府参考人 現段階で電促税、電源開発促進税の増税といったことを議論しているという事実は全くございません。

 そもそも、今回の三・一一の事故の後、これまで新規の立地ということで予定をしていたもの、この予算が少なくとも必要なくなっていくというような部分がございます。このあたりを回すということは、少なくとも現段階で考えなければいけないことだというふうに考えております。

花咲小委員 それは今、幾らぐらいで見ていらっしゃるんでしょうか、その額は。

吉野政府参考人 電源立地交付金の実際に各地元に交付される交付金の額の内訳でございますけれども、二十三年度と二十四年度の予算を比較しましても百二十五・五億円の減になっているんですが、このうちの大半のものが、福島第一から第四の原子炉が廃止されたことに伴う減と、それから新規立地が今後おくれることに伴って減少した分ということで、そうした分の減額が出てございます。一例でございますけれども。

河野小委員 核燃料サイクルについて幾つかお伺いをしたいと思います。

 まず、小委員会から政府に対しまして、それぞれの原子炉、原子力発電所の使用済み核燃料プールが、もしそれぞれの原子炉が再稼働されたときに、余裕がどれぐらい時間的にあるのかという資料を出していただきますよう、幹事会でお取り計らいをいただきたいと思います。

 核燃料サイクルの一番の肝は高速増殖炉だったはずなんですが、「もんじゅ」が九五年に事故を起こして以来、全くこの分野は進んでおりません。

 昨年の三月十日の時点で、高速増殖炉が商業的に実用化されるのは政府は一体いつと考えていたのか、まず経産省にお答えをいただきたいと思います。

糟谷政府参考人 二〇五〇年ごろということで申し上げていたと承知しております。

河野小委員 その二〇五〇年ごろという想定は、いつ想定をしたものですか。昨年の想定ではないですよね。

吉野政府参考人 これは、平成十七年の原子力政策大綱に基づきまして経済産業省の総合資源エネルギー調査会原子力部会の方で策定をいたしました原子力立国計画の中では、二〇五〇年ごろというところをうたわせていただいております。

河野小委員 「もんじゅ」の事故直後は、高速増殖炉はいつごろ実用化されると踏んでいたんですか。

糟谷政府参考人 ちょっと手元に数字がございませんが、二〇五〇年よりももっと前の時期でございます。

河野小委員 それでは、高速増殖炉がいつごろ実用化されるというふうに政府が踏んでいたのか、一九六七年の最初の原子力長期計画からきちんとお出しをいただきたいと思います。

 そして、二〇五〇年に高速増殖炉が実用化される、つまり、二〇五〇年ごろだよと言ってから現時点まで全く何も動いていないわけですから、まさか政府は二〇五〇年だと今は思っていないと思いますけれども、いかがですか。

糟谷政府参考人 二〇五〇年というのは、事実上、困難であるというふうに考えております。

河野小委員 現時点での政府の見通しはどうですか。

糟谷政府参考人 現段階で、政府として公式に二〇五〇年にかわる数値を決定している、もしくはお示ししているものではございません。

 それも含めて、今、原子力政策、エネルギー政策の見直しの中で議論をして、これから決めていくということでございます。

河野小委員 それでは、最終処分地の場所を決定するのは何年で、最終処分地が動き出すのは何年で、青森県からお約束をした高レベル放射性廃棄物を引き揚げ始めるのは何年というふうに政府は今踏んでいらっしゃいますか。

糟谷政府参考人 最終処分計画、これは平成二十年の三月に閣議決定をしたものでございますが、「平成四十年前後を目途に最終処分施設建設地を選定するものとする。」その上で、「平成四十年代後半を目途に最終処分を開始するものとする。」ということを閣議決定いたしております。

 それから、青森県と六ケ所村、それから日本原燃株式会社が平成六年に結びました安全協定においては、ガラス固化体を受け入れた日から三十年間から五十年間とし、その管理期間終了時点で、それぞれのガラス固化体を電力会社に搬出させるものとするというふうに決まっております。

 一番最初のガラス固化体は一九九五年に受け入れておりますので、仮に三十年間から五十年間という協定の中の五十年間保管をいただいたとして、二〇四五年に、最初に受け入れたガラス固化体を搬出させるというお約束になってございます。

河野小委員 平成四十年に決定するためには、少なくとも、候補地のボーリング調査というのはいつごろ開始をしなければなりませんか。

糟谷政府参考人 これは、ある程度幅がありますが、大体二十年ぐらい前に文献調査を始めるということと記憶をしております。

河野小委員 ことしは平成何年ですか。

糟谷政府参考人 ことしは平成二十四年であります。

河野小委員 二十年前に文献調査を始めていなければならないのに、平成二十四年で候補地も決まっていないということは、平成四十年に決定というのはできませんね。

糟谷政府参考人 先ほど申し上げた最終処分計画、これは、平成二十年三月に閣議決定をしまして、五年ごとに閣議決定をし直すということになりますので、来年の三月までにこのあたりを含めてちょっと見直しをしていく必要があると考えております。

河野小委員 この核燃料サイクルの問題は、先ほどの高速増殖炉も、二〇五〇年と言っておきながら、二〇五〇年にはできません、最終処分地の決定は、平成四十年と言っておきながら、平成四十年にはできません。できないということを認めずに、いやいや、これは五年ごとですみたいな、ずるずると、あたかもできるかのごとくやっているところが最大の問題だと思います。

 そうしますと、MOXの燃料をつくる工場をまさかつくったりはしないですよね。何かMOX燃料工場をつくり始めていたみたいなことがありますが、それは当然、今とまっているんですね。

糟谷政府参考人 MOX燃料工場は、震災の後、一旦建設を停止いたしましたが、これは事業者の判断で再開をいたしております。

 ただ、このMOX燃料工場が実際に稼働するまでの間には、国として、安全面からの規制がしっかりと働くということになります。

河野小委員 MOX燃料というのは、これはプルサーマルのためのMOX燃料ですよね。それを、やれるかどうかもわからぬのに、事業者の判断ですといって、これも大きな問題ですね、核燃料サイクルの。都合の悪いことは全部事業者の判断なんですよ。だけれども、そのおかげで消費者は負担金を払わなきゃいかぬということにもこれはなってくるわけで、都合の悪いことは全部事業者の判断で、国は関係ありません、決められた日付、守れないけれどもまだ見直しはしません、そういう、言っていることとやっていることが全然違うんですね。

 最後に副大臣にお伺いをしたいと思いますが、先ほど副大臣、何か安全神話が壊れたからどうのこうのとおっしゃいましたが、大飯原発二号炉、三号炉の間にF―6と呼ばれている断層があって、東洋大学の渡辺教授を初めとして、これは活断層のおそれがあるという指摘をされております。

 ところが、先般の枝野大臣の答弁は、経産省の会合ではそういう指摘はない。それは当たり前ですわね、指摘している人間を全部排除して会合をやっているわけですから。しかし、そこに入っていないにしろ、活断層の専門家が、このF―6は活断層の疑いが極めて高いと。それは掘ってみればわかるわけで、大飯原発を再稼働する前に、本当に総理がみずから責任を負うんだというなら、それは掘って、活断層かどうかを最低限チェックするというのは、安全サイドに立ったら当たり前の話だと思うんですね。それをやらずに、経産省の会合では誰も指摘をしませんでした、だからいいんだといって、活断層かどうかのチェックもしない。

 しかもこれは、関西電力が資料をなくしましたといって、起動が始まるまで資料を出してこなかったわけですよ。資料が出てこないなら当然大飯原発の再稼働はスタートできませんよというのが、安全サイドに立ったら、それはやるべきことだと思うんですね。

 原子力村の一員である経産省がそんなことは関係ないと言ってやるのはどうかと思いますけれども、少なくとも政治家が、そこに大臣、副大臣、政務官として入っている政治家が、そのやり方について全く何の異も唱えずに、活断層かどうかのチェックも行われずに再稼働がスタートした。これは一体全体どういうことなんですか。

 副大臣は、安全神話が壊れたんだ、そのようなこともおっしゃいましたけれども、また安全神話をつくっているじゃありませんか。今まで津波が来ないという前提で福島を動かしていて、津波が来たわけで、今度は、活断層じゃない、そういう前提で大飯を動かしたわけでしょう。掘ればわかることを掘りもせず、どうしてそういうことができるんですか、副大臣。

柳澤副大臣 大飯の住民説明会に実は私も行かせていただきまして、一年間専門家が調べて、福島並みの地震、津波が来ても十分対応できるという、三時間にわたって現地も見て、再稼働のお願いをして、その後、最終的に、政府として再稼働の決定をしました。

 そして、このF―6破砕帯については、七月十七日の原子力安全・保安院の意見聴取会で専門家から御意見を伺ったところで、活断層であるとの指摘ではなく、活動性はないのではないかという意見が複数……

河野小委員 質問に答えていないじゃないですか。

 まず、確認もしないで、関西電力が資料を出してこないんだから、それがどうかという確認ができないのに、なぜ再稼働を認めるのかということと、その経産省の会合に、これが活断層だという指摘をした人間も入れていないじゃないですか。指摘をしている人間を入れていなければ、そこで声が出ないのは当たり前です。しかし、現実に専門家がこのF―6は活断層だという指摘をしているわけですから、本当に安全サイドに立とうと思ったら、経産省のいいかげんな会合で指摘があったかどうかではなくて、まず掘ってみて安全を確認するのが政治家としての役目じゃないんですか。そういうことを聞いているんです。問いに真っ正面から答えてください。

柳澤副大臣 私は、一年間調べてきた報告を受けて、活断層がある、その活断層が、連動したとしても、千二百六十ガルの地震にもきちんと耐えられる、三連動があったとしても七百六十におさまるというトータルの話を聞かせていただいて、私も再稼働は可能だろうという報告を上げさせてもらいました。それを、政府として、四大臣会議の中で再稼働が決定したというふうに承知をいたしております。

河野小委員 活断層の問題は二つあります。

 一つは、近いところに大きな活断層があったら大きな地震が来る。これは、耐震性を高めることによって対応することができます。

 しかし、現実に、活断層の上は、その活断層がずれたら、これは耐震の問題ではなくて、物が壊れます。大飯原発の問題は、活断層のまさにその上に重要施設があるから、これが活断層なら、それは耐震の問題ではなく、断層がずれたときに同時に壊れる、だからこれは問題なんだという指摘なんです。

 しかし、今の副大臣の答弁では、そこは全く政府は考慮しなかった。つまり、活断層そのものがずれて重要施設が壊れるということは全く考慮せず、ただ単に耐震性のことだけを考えて動かしたということですね。これは大問題だと思いますよ。政府は、安全に対して全く対応することなく大飯原発の再稼働をさせた、それをみずから今副大臣はおっしゃった、そういうことです。

 直ちに再稼働をやめさせて、大飯原発をとめた上で再調査すべきだと思います。

木村(太)小委員 同じ名前ですが、抑えながらお話ししたいと思います。

 先ほど、河野委員とのやりとりで気になったので、質問するつもりはなかったんですが、ちょっと聞きます。

 質問主意書でも出しておりますが、高レベル放射性廃棄物、三十年から五十年、一時貯蔵を六ケ所でする。最初のものは二〇四五年に六ケ所から取り出すということの答弁がありましたが、では、現時点で、六ケ所で最後に預かる高レベル放射性廃棄物が最後、六ケ所から出る時期はいつと見通すんですか。

森本政府参考人 今お尋ねの件は、六ケ所再処理工場が何年動くかということに依存するわけですが、幾つか仮定が入りますが、今後竣工して、それから四十年程度の運転を経て、その後、ガラス固化体が三十年から五十年保管されるとすれば、合計で約九十年が最長の、今後竣工した後の、最大、プラス九十年ということになろうかと思います。

 したがって、二〇〇〇年代、二〇〇〇年の一番最後といいますか二一〇〇年近いところまで、可能性としては最大の保管の期間になり得るということだと思います。

木村(太)小委員 私は青森県ですので、また国会に来る前に県議会にいて、そのころにその三十年から五十年というのを議論して、県としての国との約束を結んだんですね。原子力村という言葉をよく言いますけれども、もちろん、そこには雇用の場があったりいろいろな関連産業があるわけですが、しかし、やはり地元的には、国策に協力してきた、協力しろと言われて協力してきたというのがあるんですね。やはりここを大事にしなきゃいけないと思っているんですよ。

 私の選挙区は六ケ所から一番遠いところなので、当初から、反核燃という人たち、リーダーは私の選挙区に一番多いんですよ、要は目に見えてこの動きを知らないがためにね。いい悪いは別ですよ。そういうことを考えた場合に、今のそういったことも、やはり、こういう国会ばかりじゃなくて地元でも随時情報を発信していくという謙虚さというのは持ち続けてほしいなというふうに思います。

 それと、さっき河野委員とのやりとりを聞いて、仮の話なんですが、仮に最終処分地が、なかなか建設がその目標のときにないとすれば、地元的には、使った分のものは、それぞれ全国の使った分、高レベル放射性廃棄物を六ケ所から持ち帰ってください、こういう思いがあるんですよ。そのことを、今この現時点ですけれども、国としてどういう認識を持ちますか。仮の話で恐縮ですが。

糟谷政府参考人 先生御指摘のように、青森県の御地元からは、これがごみになるということであれば、直ちにそれぞれが発生した原子力発電所に持ち帰ってくれということを、知事さん、いろいろな方のレベルでお話を承っております。大臣がかわるたびにその旨を確認いただき、そういうことにはしないということを約束してきております。

木村(太)小委員 時間が過ぎましたので、最後、そもそも論的なことでちょっと確認したいんです。

 政権交代して、当時の鳩山総理が国際社会に、日本国民に向かってじゃなくて国際社会に向けて、CO2を二五%削減すると。そんなことはできないだろうと、野党も、また産業界やいろいろな方々がそういう指摘をした。そのときに、新たに十四基の原子力発電所をつくるみたいなことでそれを達成できるようなことを言いました。

 そこで、そのとき原子力ルネサンスという言葉も生まれましたけれども、あの福島の事故が起きて、当時の菅総理は脱原発といきなりこの言葉を軽々しく使ったんですが、CO2二五%削減のために新たに十四基つくるという国際社会に向けて約束したこと、今現在これはどうなっているんですか。閣議あるいは政府のしかるべき公的な会議等々で撤回もしくはそれに近いことを確認しているんですか。きょういる政務三役の誰か、答えていただきたい。

柳澤副大臣 そのことも踏まえて、今、エネルギー・環境会議において、日本の原子力政策の徹底検証を行って、ベストミックスをどうするかという議論が行われているときだというふうに思っております。それを踏まえて、そのことも検討課題にしなければいけないというふうに思います。

木村(太)小委員 終わりますが、では、そのことも踏まえて今見直し、検討しているということは、済みませんが、きょうこの時点では、十四基をつくるということはまだ生きている、こういうことでいいですね。

柳澤副大臣 全てを踏まえて、まだ議論の過程の中にあって、できるだけ早く、国民の皆さんの声も十分踏まえて方向性を決めるということになっているというふうに理解をしております。

新藤小委員長 時間も過ぎておりますが、そのほか御発言の方いらっしゃいますか。

 よろしければ、これでこのセクションを終了したいと思います。

 皆様、それぞれ御苦労さまでした。退室いただいて結構です。

    ―――――――――――――

新藤小委員長 では、続きまして、本日の自由質疑を踏まえて、総括的に小委員間で自由に討議をいただきたい、このように存じております。時間も限られておりますので、簡潔に御意見をいただきたいと思います。

 また、テーマごとに総括の討議をしたいと思いますので、まず、文部科学省、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築について、この件について発言のある方、挙手をお願いいたします。

 HPCIの構築について、最後、もう一度発言されたい方、いらっしゃいますか。よろしいですか。トータルのことで、後でも結構でございます。

 では、続きまして、厚労省、医療費レセプト審査事務について御発言の方、どうぞ。

遠山小委員 先ほどの質疑の中でも申し上げましたけれども、今回の厚労省の報告につきましては、一番のテーマである競争原理を強化することで無駄な保険料の支出を抑制するという考え方と、統合して同じような効果を出すということについて、結局、中途半端な対応でしかないということが歴然となりましたので、その点については、これは他の小委員の皆様の御意見を聞かなければいけませんけれども、引き続き、当小委員会のテーマとして追求すべきだと率直にきょう感じた次第でございます。

階小委員 先ほども指摘したんですけれども、医療費レセプトの関係では、労災診療費の方は余り前回議論できなかったという反省もあるんですが、それにしても、一応、有識者で検討しましたという割には、報告書の中で必要なことが盛り込まれていなかったりしていますので、やはり、この労災診療費の部分というのは、私は、もう一度有識者会議を開いて、必要な部分、つまり、国がやらなくちゃいけないというんだったら、その中でどうやって業務改善を行って経費を縮減していくかという具体策を検討して、報告すべきだというふうに思っています。

 以上です。

向山小委員 向山です。

 質問でも指摘をさせていただきましたけれども、統合された場合のコスト比較というのも、その前提をどこに置くのかということが現実的なのかどうかということも含めて、あるいは、こういう審査機関以外の、医療現場であるとかあるいは保険者とか、そういったことも含めたコスト比較というのでしょうか、そういうことももうちょっと掘り下げて議論をしなきゃいけないんじゃないかと思いますので、もう少しやはり時間をかけて審査するべきじゃないのかというのが意見です。

新藤小委員長 ほかにございますか。

 それでは、続きまして、財務省、公務員宿舎建設・維持管理等に必要な経費につきまして、御発言のある方は挙手をどうぞお願いします。

 よろしいですか。

 続きまして、最後、内閣府、文科省、経産省、原子力関連予算の独法及び公益法人への支出につきまして、発言のある方の挙手をお願いいたします。

岡田(康)小委員 このテーマは特に思うんですけれども、ちょっとほかの三つと比べて範囲が広過ぎて、一時間で、開催するのに大変なお手間、特に理事の皆さんにとっていただいても、何か延々終わらないような気がするものですから、全体のことにもかかわりますけれども、進め方をちょっと上の方で御協議いただきたいなと思います。

階小委員 私も、多分、これはみんな発言していたら終わらないだろうなと思って、若干発言を控えていましたけれども、そもそものテーマは、原子力関連予算の独立行政法人及び公益法人への支出ということなんですが、その支出をどうやって見直すかということについて、政府から具体的な回答があったのはJAEAの部分だけでして、ほかの四十四、二万二千人という数字もたしか出たと思いますが、それらについてどういう対応をされたのかというのは本来答えてしかるべきなんですけれども、全くその具体的なことが答えられていなかった。これは非常に国会に対して対応が不十分ではないかというふうに感じております。

河野小委員 今、全部エネルギー基本計画の見直しをやっていますと言って逃げているものですから、これは八月の概算要求に向けて、もうこの決算行政監視委員会の勧告という形で、予算をこうしろというものを出して、政府の手足を縛らないと、これはずるずるとどこまでもいってしまうんだろうと思います。

 きょうの答弁を聞いていると、核燃料サイクルというものが成り立たない、つまり、最終処分地は当分見つからないし、高速増殖炉は二〇五〇年にもできませんということですから、少なくとも次の四十年間は核燃料サイクルというのが成り立たないという前提の中で、研究開発の若干はあるのかもしれませんけれども、少なくとも事業に関連するものについては予算は不要だということは明確になったと思いますので、そろそろこの決算行政監視委員会で勧告を政府に対して出すべきときが来ていると思います。

 それと、先取りして言ってしまいますと、スパコンを含め、ほかの三つについても、いろいろ決議をして回答を待ちましたけれども、まともな回答がほとんどない以上、やはり勧告権を行使せざるを得ないというのが現実ではないかと思います。

新藤小委員長 それでは、もう既にそちらに入り始めましたが、全般的に本日の議論を踏まえて、総括的な御意見を頂戴したいと思います。

平(将)小委員 まずは、決算行政監視委員会が、新たな取り組みで、決議文という形で出しましたけれども、全般的に政府の対応は不十分と言わざるを得ないと思います。

 そういった中で、例えば、資料についても、ホームページにアップをしましたとか、また、今後の方向性をどうするんだということに対しては、今後検討していきますというような、これはスーパーコンピューターの話ですけれども、そういう答弁もありました。

 さらに深刻なのは厚生労働省でありまして、まさに、いわゆる民主主義の根幹というか、いわゆる国会による政府のガバナンスの根底を揺るがしかねないことだと思います。七年間の試算を出して、全くメリットがないという説明をしておきながら、指摘をされたら全く逆のものが出てきて、それに対する反省も深刻さもない。

 裏話ですけれども、決議文の中に、資料の出し方や対応が不十分だ、これを猛省しろ、そして改善を求めるという文章を入れたかったんですが、なかなかそこまで入り切りませんでした。

 これがもし決議文の中に入っていれば、こんなふざけた答弁を許す必要はなかったんですが、やはりここはもうちょっと踏み込んで、特に国家の、繰り返しになりますが、国会による政府のガバナンスの部分で、ああいういいかげんなことをこのまま見過ごしたら同じことがまた起きますから、ここに対しては、委員会として毅然とした意思表示を政府にするべきだと思います。

階小委員 今の平先生のお話の中で、猛省を求めるという表現ではないんですが、前回の決議の中では、今回の討議に際し、政府の資料の作成、提出について十分でないものがあり、改善を求めるという文言が入っておりますので、もし資料の提出が不十分であると、それはやはり政府に対してはしっかり物を申さなくてはいけないということだと思います。

河野小委員 概算要求に反映をさせなければやっている意味がないと思うのが一つでございます。

 それから、この四項目については、そろそろきちんとした結論を出すべきときだと思います。

 それからもう一つ、復興予算について、特別会計をつくり、所得税、法人税の御負担をいただいたんですが、実は、復興予算の中身が相当復興と関係ないという指摘があちこちで行われておりまして、政府に私も話を聞きましたが、かなりそこはいいかげんに使われている。

 これは、やはり決算行政監視で、この復興予算、特会の中身について、しっかり精査をして、概算要求できちっと反映をしてもらわないと、一部、シーリング逃れに使われているようなところもございますので、何のための決算行政監視かということになってしまいます。予算委員会で認めた予算のはずだったんですけれども、実際の使われ方を見ると全く復興と関係ないというのは、これは予算委員会で対応できないならここでやるしかないと思いますので、この四項目にあわせて、復興予算についても細かく見ていく必要があると思いますので、幹事会でのお取り計らいをお願いしたいと思います。

新藤小委員長 今の話は、それは次なるテーマの関係ですから、御参考にはしたいと思います。

 本日のこの四テーマについての総括の御意見を頂戴したいと思います。

遠山小委員 もう時間が余りないので簡潔に申し上げますが、今回の取り組みは、ただいま委員長がおっしゃったように、昨年取り上げた四つのテーマについて当委員会として決議を出した。その決議に対して政府がどのように取り組んだのかということをここで再度チェックするということが本日の質疑の最大の使命であったというふうに思います。

 そういった観点から、きょうの議論の中で、明らかに政府が私どもの委員会の決議に対応していないものは何なのか、そして、一方で対応をしっかりしているものは何なのか、ここを、幹事会の場になるかもしれませんが、しっかりと整理させていただいて、そして、大事なことは、昨年の行政監視、事業仕分けをやり、決議を出し、そして、きょうのやりとりでも明らかに対応していない、あるいはごまかしている、階委員からも強力にそういうポイントが一つ提示されておりましたけれども、そういったところについて、当委員会としてどういうアクションをするかということをしっかり決めて、それで、概算要求への反映とか、あるいは今後のテーマ等については、これはまた幹事会や理事会レベルでしっかり協議をした上で委員の皆さんにお諮りをして決めていくという整理をしていかないと、通常の決算行政監視の審議の役割と当小委員会の役割が若干違う面があると思いますから、そこは委員長の方で留意をしていただいて、整理をしていただければということを最後に要望として申し上げたいと思います。

新藤小委員長 はい、わかりました。

 ほかにございますか。

 なければ、今までいただきました数々の御意見等を踏まえて、これは、きょうの結果は幹事会でまず取りまとめをすることになっております。その後にこの委員会の結果報告をいたします。したがって、幹事会の中で、このきょうのテーマについて、今後どのような取り扱いをするか協議をしていくわけでございますから、まずそこで取りまとめをさせていただき、最終的には決算行政監視委員会の本委員会でこれの承認を受けて、その次に進む、こういうことでございます。

 それから、この行政監視委員会、全般をチェックするのが仕事でございますから、この小委員会のみならず、行政監視委員会の一般質疑それから集中質疑、そういったものもいろいろこれまでもやってきました。原子力関連も既に昨年一度やらせていただいております。ですから、もろもろそういった御意見をいただきながら、委員会を充実した運営をしていけるように図っていきたい、このように思っております。

 きょうは、皆さん、長時間、大変積極的な御議論をいただきまして、ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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