衆議院

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第15号 平成24年6月6日(水曜日)

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平成二十四年六月六日(水曜日)

    午前十時五分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    江端 貴子君

      岡田 康裕君    勝又恒一郎君

      神山 洋介君    岸本 周平君

      工藤 仁美君    小室 寿明君

      篠原  孝君    白石 洋一君

      田中美絵子君    田村 謙治君

      平  智之君    永江 孝子君

      長尾  敬君    早川久美子君

      藤田 憲彦君    三村 和也君

      宮島 大典君    室井 秀子君

      森山 浩行君    矢崎 公二君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      柚木 道義君    渡部 恒三君

      石田 真敏君    加藤 勝信君

      金子 一義君    鴨下 一郎君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      馳   浩君    町村 信孝君

      竹内  譲君    古屋 範子君

      佐々木憲昭君    宮本 岳志君

      石田 三示君    豊田潤多郎君

      中島 隆利君    山内 康一君

      中島 正純君

    …………………………………

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   文部科学副大臣      高井 美穂君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   村木 厚子君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     神山 洋介君

  岡田 康裕君     平  智之君

  田嶋  要君     森山 浩行君

  田中美絵子君     小室 寿明君

  柚木 道義君     工藤 仁美君

  加藤 勝信君     丹羽 秀樹君

  竹内  譲君     古屋 範子君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

  豊田潤多郎君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     稲富 修二君

  工藤 仁美君     柚木 道義君

  小室 寿明君     田中美絵子君

  平  智之君     岡田 康裕君

  森山 浩行君     矢崎 公二君

  丹羽 秀樹君     加藤 勝信君

  古屋 範子君     竹内  譲君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

  石田 三示君     豊田潤多郎君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎 公二君     山田 良司君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 良司君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

六月六日

 保育を産業化する子ども・子育て新システムは撤回し、安心して保育・子育てができる制度の実現を求めることに関する請願(石破茂君紹介)(第一四五六号)

 同(中島政希君紹介)(第一四五七号)

 同(馳浩君紹介)(第一四七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五一六号)

 中小業者の営業を破壊し、景気を悪化させる消費税増税反対に関する請願(橋本勉君紹介)(第一四八八号)

 社会保障・税一体改革の撤回等に関する請願(吉井英勝君紹介)(第一四九七号)

 国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革と消費税の大増税・共通番号制の中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一五一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官村木厚子さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田憲彦君。

藤田(憲)委員 おはようございます。民主党の藤田憲彦でございます。

 本日、二回目の質疑に立たせていただきます。ありがとうございます。

 さて、早速質疑に入りたいと思いますが、まず、おとといに行われました地方公聴会、私は第二班で神戸に行ってまいりました。その中で、兵庫県の井戸知事の方から、肩車型の社会の到来に関して、これは必要以上に将来の不安感を与えているということで、撤回が必要という御意見がありました。

 同趣旨の質問は、既に共産党の塩川議員もこの特別委員会の中で質疑をされていると思いますが、井戸知事がこういった形で強調されておりましたので、この点につきまして、改めて政府の見解をまずお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 この特別委員会の場でも申し上げたんですが、恐らく井戸知事が言っておられるのは、就業者と非就業者で比較した場合にそれほど大きな変化はないではないか、こういうことだと思うんですね。

 確かに、そういった形で比較をすると大きな変化はない。しかし、変化があることは間違いないんです。高齢化が進展していくと、次第にその数は変わってくるということが一つ。

 それからもう一つ、これもこの場で私申し上げましたが、非就業者ということになると、例えば、子供の数、それと高齢者の数を足してということになるわけであります。しかし、一方で、やはり子供に係る税金と高齢者に係る税金というのはかなり違いがあります。そのこともやはり考えなければいけない。

 例えば、五歳の子供に対しては、非常に粗い推計でありますが、全体の給付として五十四万円。保育等で二十七万、手当で十六万、医療で十一万。十歳になりますと少しふえます、百十三万円。教育で八十九万、手当で十六万、医療で八万。しかし、六十五歳で百七十四万。年金で百二十六万、医療で四十六万、介護で三万。ということで、五歳で五十四万、十歳で百十三万に対して、六十五歳は百七十四万、八十歳になると二百四十万。医療、介護が膨れ上がるということになります。

 ですから、非就業者といっても、子供それから高齢者ではかかる費用が全く違いますので、それを一緒にして同じ比率であるという議論というのはやはり注意が必要だと思います。やはり、国民の皆さんに対して、少子高齢化というものが全体の財政構造に、社会保障に関してですが、非常に厳しい結果を招くということはきちんと伝えていく必要があるというふうに思います。

 もちろん、他方で、そういったことを緩和するために就業者の数をふやす。つまり、六十五歳以上の方がなるべく働いていただける、そういう環境を整備していく、あるいは、今働いていない十五歳から六十五歳以下の方、特に女性の就業をふやす、そういう努力をしなきゃいけないことは事実であります。

 しかし、そういう目標としての数と現実にこうなるということはやはり分けて考えていかないと、余り楽観的になってもいけないということだと思っております。

藤田(憲)委員 騎馬戦ですとか肩車ですとか、この比喩のわかりやすさのところと、それがまた与える印象というところはあろうかと思いますけれども、基本的にはこの考え方を堅持するということで理解をいたしました。

 続きまして、年金制度に関しまして、これも井戸知事の方から、年金制度の見直しについて言及がある中で、七十五歳まで働くことのできる社会の実現を目指しつつ、就労状況も考慮した支給開始年齢の引き上げという言及がありました。支給開始年齢というのは非常に言いにくいことですから、こういう指摘があったということは非常に重要だと思いますし、また、兵庫県の連合事務局長の辻さんの方からは、当然働く者を代表する立場でありますけれども、保険料を払う立場でありながら、今回の年金改革については賛意を示すと。これは大変重要なメッセージだと思っております。

 ただ、同時に、そのコメントの中で、特に若年層の未納率の拡大ということについて大きな懸念を覚えているという意見の表明がありましたので、この二点に関しまして、小宮山大臣の御所見を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 今、少子高齢化が進む中で、労働力人口はどうしても減っていくわけですから、その中で、非常に勤労意欲が高い高齢の皆様方が働ける環境づくりということは必要だと思います。そういう意味で、今回、社会保障の一体改革の中でも、全員参加型社会の実現を目指して環境整備をするということを申し上げています。

 年金の支給開始年齢につきましては、今回の一体改革大綱で、「現在進行している支給開始年齢の引上げとの関係や高齢者雇用の進展の動向等に留意しつつ、中長期的課題として、支給開始年齢の在り方について検討する。」とされていますので、この方針に基づいて検討していくということです。

 それから、若い人たちの納付率が下がっているということですけれども、これはやはり、若い人たちが今の年金に信頼を持ってくれないと、納付率というのは上がらない。

 そのために、具体的には、基礎年金の国庫負担二分の一、これを恒久財源を確保してやるということ、また、年金額の特例水準を解消して若い世代の負担が過重にならないようにするなど、安定した制度から皆さんたちも年金が得られるようになるということをやっていく必要があると思っていますし、また、厚生年金の適用拡大をしたりとか、産休期間中の厚生年金保険料の免除など、働く世代にもメリットがあるような形のものを今回盛り込んでいます。

 若者の未納対策としましては、文科省と連携をして、学生さんなどに対する制度の周知、こうしたことも図っていきたいと考えています。

藤田(憲)委員 高齢者が働ける環境を整備するということは、この改革のもう一つの側面として非常に重要だと思いますし、また、一体改革の内容において、若年層の未納率の拡大を防ぐということもまたこの趣旨に含まれているということ、これを改めて強調していただいたのは大変ありがたいと思っております。

 では、次に、税制に関する指摘事項についてなんですが、徳富税理士の方から、簡易課税制度の見直しですとか、あるいは租税回避の懸念の方から基準期間の廃止などが提起をされております。

 簡易課税制度というのは、これはもう消費税法が成立してから累次の改正を経て適用上限も下げられているという、見直しがなされているというのも理解をしている一方で、私自身が会社を経営していて、サービス業だった経験からいたしますと、簡易課税制度についても、みなし仕入れ率、サービス業ですと五〇%となっていますが、必ずしも、サービス業であれば五〇%がいいかというと、そうではなくて、業態によって、サービス業というのは非常に広い業態ですので、やはりよりきめ細かい見直しが必要ではないかというのは私の実感からもあります。

 そういった不公平感が生じて、これはまた益税になっているという側面もありますので、こういった点の見直しをすべきだという意見は大変重要かと思うんですが、この点について、五十嵐財務副大臣の御所見を伺いたいと思います。

五十嵐副大臣 藤田委員のおっしゃるとおりだと思います。

 簡易課税制度については、昨年、平成二十年度分の実態調査を行いまして、業種によってはみなし仕入れ率の水準が実際の仕入れ率を上回っている状況が確認されました。

 現在、さらなる実態調査を二十一年度分と二十二年度分についてやっておりまして、今回、改革をするという際には、この三年分の実態調査を踏まえて、みなし仕入れ率の水準について必要な見直しを実施するということにしております。

 今、もう一点、免税点制度の見直しについて言及されました。

 確かに、一部の業者さんについて、人材派遣業がほとんどなんですけれども、新設法人、当初は、制度的にこれを利用して、課税売り上げがかなりあるにもかかわらず免税点制度を適用されて事実上課税逃れをするという例が見られましたので、このたび、一千万円未満の新設法人であっても、課税売上高が五億円を超えるような場合にはこの免税点制度を適用しないということをさせていただいて、課税回避を防止する措置をとらせていただくということでございます。

 ただ、事業者免税点制度そのものについては、基準期間の制度を廃止すべきではないかという御指摘がおありになったようでございますけれども、これを制度的に認めてしまいますと、まず消費税を預かっておいて、そして、課税業者になることが確定するのは後になりますから、申告しないで納税しないことを認めてしまう、逆に益税を発生させてしまうということがございますので、これを制度的に容認することになりかねないということで、基準期間制度は廃止することはできないと考えております。

藤田(憲)委員 この特別委員会の中でも議論がありましたが、消費税は平成元年からスタートして、まだまだ歴史としては、二十四年という歴史の中で、この簡易課税制度あるいは基準期間についても、さまざまな累次の見直しで、そういう意味では、まだまだ発展段階にある消費税だと思います。

 小規模事業者に対する簡易課税制度等々の便益を図るという措置は非常に重要なんですが、やはり益税という側面がありますと、不公平感が募って、これがまた納税意欲を減退させるという要素にもなろうかと思いますので、この点の指摘も踏まえて累次の見直しをこれからも図っていただきたいと思います。

 それでは、二番目の、税収の確保と徴税体制に関して質問してまいりたいと思うのですが、まず、十三・五兆円の確保について、財務大臣にお伺いしたいと思うことがあります。

 五月二十二日だったかと思いますが、みんなの党の江田議員の方から、十三・五兆円の確保ということに関しての質問がありました。これに関しまして、安住財務大臣の方からは、経済成長率を前提にしての見通しだという御発言がありましたけれども、私は、率直に言うと、やはり、そうはいっても経済成長率というのは不確定要素がありますし、また、今般、この消費税法の中で定められているさまざまな逆進性対策等々に関しましては、税収減の要素になってくると思います。

 そうしますと、今回のこの社会保障と税の一体改革は、さはさりながら、十三・五兆円の収入というものを大前提として、安定化のため十・八兆円、機能充実のため二・七兆円という形で使途が定まっておりますので、何が何でも十三・五兆円は確保しなきゃいけないんだということでないと、これはやはり改革の前提が成り立たないのではないかという懸念を私は率直に言って持っています。

 その中でいいますと、これは私の個人の見解なんでありますが、やはり、税を徴収するというのは、これは憎まれ役だと思います。悪役だと思います。でも、これをしっかりとやっていかないとこの改革は実現しないということであるならば、私は、安住財務大臣がもっともっと悪役になって、十三・五兆円は何が何でも確保するんだと。

 というのは、大将である野田総理が消費税の方に前向きだというようなさまざまな報道がなされておりますけれども、野田総理だけにこの悪役の側面を負わせてしまうのは、やはり私は率直に言って酷だと思っておるわけでございまして、この点、安住財務大臣から、この意気込みについて改めてお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

安住国務大臣 おはようございます。御激励をいただきまして、伊吹筆頭からも、ありがとうございます。

 平均で大体二・六兆円の試算を今まで、過去の統計がそうなものですから。ですから、ある意味では、消費税は景気の影響を余り受けないで安定した税収を見込める。先般も議論がありましたけれども、ではなぜ今回二・七なのかと。これについては、私もここで言いましたけれども、経済財政の中長期試算における慎重シナリオをもとに成長することを勘案すれば、二・七兆というふうに計算させていただいて、五%で十三・五兆円になりますということでございます。

 もちろん、景気が下振れをしたり、それから思わぬ事態になって税収が落ち込んだりすることもあるのではないか。

 それから、一方、今も多少ありましたけれども、徴税、徴収体制をしっかりしないと、いわゆる益税対策なんかをきちっとやらないと、これは制度的な問題と人的な問題というのがあると思うんです。これをちゃんとやらないと見通しどおりの税収というのは上がらないおそれもあるのでしっかりせよということでございますから、私どもとしては、まず、財務省として、国税庁の今あるノウハウをしっかり使って、やはり税収というものをきちっと確保することはやっていきたいと思います。

 一方、公取や中小企業庁にある調査機関、検査機関等を使って、言ってみれば中小企業者の方々に対する、中間業者に対するサポートというのもしっかりやっていかなければならないというふうに思っています。

 大変重い御負担を強いることにはなりますけれども、私は、やはり、目的税化をしっかりして、お預かりしたこのお金というのは全て年金、医療、介護に回ります、決して国家財政の、何か国民の皆さんの意図しないものにこれを使うのではないということを一生懸命訴えて、理解を得る努力というのをしていかなければいけないというふうに思っておりますので、藤田議員におかれましても、ぜひ与党の議員として、先頭に立って頑張っていただければと思っております。

藤田(憲)委員 みんなで悪役になれというコメントだったかと思いますけれども。

 今般の消費税の増税に関しましてさまざまな世論調査が出ておりまして、この特別委員会の中でも、四〇%しか支持がないではないかというような発言がありました。

 ただ、これは私の率直な意見として言いますと、逆に言えば、税を上げるというような誰にとってもうれしくない政策において四〇%もの支持があるということは、これはすごいことだと思います。なぜかというと、最初に消費税を導入したかつての竹下内閣は支持率が三・九%にまで下がったわけでありますし、財政の緊縮策を打ち出したイギリスのキャメロン政権においては暴動が起きたりと、やはり税を上げるということはこれだけのことであって、しかしながら、私たち日本人はお互いを支え合うんだというこの気持ちの中でこれだけの支持をいただいているということは、重く認識する必要があると思います。

 その意味では、この十三・五兆円はしっかり確保していくという思いの中で、ただ、もし万が一、この十三・五兆円の税収を下回った場合、では、機能充実分の二・七兆円、機能安定分の十・八兆円、これはどっちが優先されるんだと。

 といいますのは、私、さまざまなタウンミーティングで有権者の方々と接しているときに、やはり有権者の思いとしては、とにかく今の年金や医療がきちんと安定してほしいという気持ちをびしびしと感じるわけであります。そうすると、いや、機能充実はもちろん大事です。大事なんですけれども、税収が下回ったときに、やはり恒久財源を充てていかなければいけないという中で、どちらが優先するのかということに対する率直な疑問について、岡田副総理に御質問したいと思います。

岡田国務大臣 まず、そういうことにならないようにしっかり対応しなければいけないことは間違いありません。税収を確保するということは非常に重要です。

 その上で、私は、機能の充実か機能の安定か、そういう切り口で今委員は言われましたが、もう少し、ちょっと切り口を変えると、社会保障制度を含む全体の効率化、そういう観点で、例えば行革全体をさらに前倒しで進めていく、今回のこの全体の見通しの中で考えられているよりも、例えば総人件費の抑制とか、あるいは情報化への投資とか、いろいろなものを今手がけているわけで、そういうものをさらにしっかりやっていくということも考えられるし、社会保障関係費の中のいろいろ宿題といいますか、先送りされているものも含めて、しっかり効率化を深掘りしていくという中で財源を手当てしていくということも考えられるわけであります。

 もし、委員の切り口で、充実かあるいは安定か、そういう問いにお答えするとしたら、安定というのは、結局、それを犠牲にするということは、赤字国債に行くということですよね。だから、赤字国債に行くのか、それとも新しいことを少し我慢するのか、そういう問いだというふうに思うわけですけれども、新しいことについても、税収がきちっと確保できないということであれば、望みどおりのことはできないということも覚悟しなければいけない、そういうお答えになるかと思います。

藤田(憲)委員 私としては、まず、機能安定化のところをしっかりとやっていきたい、しかしながら、行革ですとか、さまざま効率化の深掘りも同時にやっていくことによって、両輪だというふうに私も理解いたします。

 これに関連いたしまして、その税収を確保するということに関しては、やはり徴収体制の強化も必須であって、そのために歳入庁の議論もなされているんだというふうに思います。まして、今回の消費税の増税によって、今度は地方税収分も一・五四%ということになりますと、この徴収体制というのは今度は地方の財政にも直接影響してくるようになりますので、徴収体制のあり方に差があってはいけないと思います。

 その一方で、例えば、年金の財源に関しては、今回、消費税が目的税化されるということで、年金についても医療についても、税による財源とあるいは社会保険料による財源と、同じ目的のために二つの財源が出てくる。それぞれの徴収において差があってしまっては、やはりこれは不公平感もありますし、徴収体制のあり方が問われてくることになると思いますが、この点もあわせて岡田副総理の御見解を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 特に、国民年金の保険料の徴収、これについては、もちろん、歳入庁という考え方もあります。今具体的な詰めを行っているところです。しかし、本格的に立ち上がるには多少時間もかかる。ですから、今できることはちゃんとやるということがまず必要だと思うんですね。

 例えば、国民年金というときに、本来払うべき方について払っていただけていない、そういうところについて、仕組みとしては、もっと強く、お払いいただくための仕組みもあります。しかし、そういうものがきちんと機能していないとか、あるいは、厚生年金の保険料に関して言えば、これは税の話ではないんですけれども、対象となる法人の把握が十分できていない。これは別に、国税庁に資料があるのではなくて、むしろ、既存の統計をきちんと、うまく活用できていないということにも一因があるわけですから、そういうやるべきことをきちんと機構の方にやってもらうということをまずしっかりと徹底をして、その上で、歳入庁ということについて、これもあわせて検討し、結論を出していくということだと思います。

 歳入庁については、今政府の中で最後の議論をしっかりとやっておりますので、また党側ともよく御相談したいというふうに考えております。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 今までの歳入庁の議論の中でも、例えば、日本年金機構において、厚生年金の未適用事業所に関しても、十一万、未適用だということでもう把握されている。この辺についてもやはりしっかりやっていかなければいけないと思いますし、同時に、保険料の取り立てについても、これは人道的な側面もあろうかと思いますけれども、これも拡充していかなければいけないと思います。

 ただ、その一方で、私も企業を経営してきた立場からすると、では、税の徴収体制を徹底的にやっていくと、今度はやはり、企業の資金繰りによる黒字倒産ですとか、さまざまなハレーションも出てくるかと思います。

 そこで、これは五十嵐財務副大臣に伺いたいんですけれども、例えば、納税意欲を高めるために優良納税者に対して表彰する、この表彰するというようなことが、例えば、今後公共工事の調達ですとかさまざまな金融機関からの融資において何らかのプラスになるような、そういった納税意欲を喚起するような取り組みが重要だと思うんですが、この点、御所見を伺いたいと思います。

五十嵐副大臣 私も、模範的な納税者はもっと尊敬されてしかるべきだ、こう思っております。

 今でも、優良法人については税務署長が表敬して表敬状を交付する、あるいは、法人会や青色申告会などの活動を通じて貢献をされた方々には財務大臣から納税表彰を行っておりますけれども、さらに何かできないか検討してみたい、こう考えております。

藤田(憲)委員 この点、さらに深掘りをお願いしたいと思います。

 それでは、残りの時間で今後の検討課題に移りたいと思うのですが、今回、診療報酬の地域加算ということをテーマにさせていただきました。

 といいますのは、消費税における議論の中で、医療機関等における高額投資に係る消費税負担が検討課題となっておりまして、これも、これまでと同じく診療報酬で手当てするということになっております。

 しかしながら、やはり都市部ですと、物価の関係で、当然、仕入れに関しても高額になるということと、例えば、医療事務スタッフですとか看護スタッフ等々、派遣で賄っているところも結構多くあって、派遣ですとやはり消費税がかかるということで、この負担というのが、都市部においては結構重い負担になってきていると思います。

 この点、例えば国家公務員に関しては、一般職の職員の給与に関する法律においては、国家公務員の地域手当というものが設定されていて、例えば、小宮山大臣と私の地元の東京二十三区であれば、地域加算で一八%が設定されていて、今回の平成二十四年の介護報酬の見直しにおいても、それが踏襲されている。

 しかるに、一方で、診療報酬の地域加算については、入院基本料ですが、ごく一部において地域加算の考え方は取り入れられているんですが、やはり全般的に、診療報酬に関しては、こういう考え方、取り組みが、適用範囲が小さいと私は思います。

 そうしますと、これが都市部の医療を崩壊させるというようなことになってはいけないと思いますので、この点の御所見を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員が御紹介いただいたように、現在の診療報酬では、全国一律を原則としながらも、医業経費の地域差に配慮しまして、人事院規則で定める地域ごとに、入院基本料などに加算を行う地域加算を設けまして、地域間格差に一定の配慮をしているということです。

 このたびの消費税の引き上げに当たりましては、医療機関の消費税負担への対応などについて、今、違う、人件費のお話もございましたけれども、中医協のもとに医療関係者や保険者、有識者などによります検証の場を設置して、具体的な検討を行う予定です。そうした中で、診療報酬の改定では、医療機関の経営状況を把握しながら、地域格差にどう対応するかということもしっかり検討していきたいと考えています。

藤田(憲)委員 これは、継続課題としてぜひしっかりと検討していただきたいと思います。

 続きまして、残りの時間で、今度は総務大臣にお伺いしたいと思います。

 郵政関連における税制上の措置について、平成二十四年の税制改正大綱の中にも記載されておりまして、今般、法案が成立をいたしました。郵政特の中でも消費税の問題については質疑がありましたけれども、法案成立後の検討状況について、大臣に伺いたいと思います。

川端国務大臣 日本郵政は、今までは、公社の時代までは一つの体制でしたので、金融二社からの業務は自分の会社の仕事というのが、これが分社化されたことによって、そこの部分は委託ということで消費税が発生するということに今なっている。

 そういう意味で、もともと一社であったという経過があったということと同時に、この委託が、民間の場合、支払っておられるんですが、経営判断で委託するかしないかを決めるのに、郵政の場合は義務づけられているということがあるから何とかしてほしいという議論がずっとありました。

 これを受けて、これは、税制大綱の中でも議論として検討事項に入っていると同時に、国会の附帯決議でも、消費税の減免について衆参でそれぞれに附帯決議をいただいているという経過もあります。例えば、「消費税の減免など税制について所要の検討を行うこと。」等々があります。

 今回、法改正をされまして新しい体制がスタートするんですが、これによりまして、さらに郵便局での郵便、貯金、保険の基本サービスの提供義務が課せられたということでありますので、これをどう考えるのかというのは検討課題でありますが、総務省としての今の立場で申し上げますと、日本郵政から要望があれば、それを踏まえて、必要性を検討して、我々として税制改正の要望を行うかどうかを考えていきたい、今そういう段階にあります。

藤田(憲)委員 私も郵政改革特のメンバーだったんですが、四月十一日の質疑におきましては、五十嵐財務副大臣の方から、困難という回答がありまして、これはまた総務省と財務省の方でのいろいろ難しい調整もあろうかと思いますが、この検討もお願いいたします。

 一方で、私たちの政権になってから、租税特別措置における租特透明化法という法律が制定されて、この租特透明化法においては、法人税関係の租税特別措置を適用するためには適用額明細書の提出を求めるですとか、こういった形での透明化を図るとともに、総務省行政評価局が租税特別措置における政策評価を行うと。これは私は大変重要な透明化のプロセスだと思うんですが、現在のこの見直しの状況についても総務大臣に伺いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、租特でいろいろ長年にわたってやられてきたけれども、それが本当にどれだけの効果を生んでいるのか、そしてどれだけの税金が減免されているのかということが定量的に、そして評価という意味でも非常に、きちっとできていないのではないかという議論が長年あった中で、今回、透明化法が成立をした。

 御指摘のように、それによって減収の効果がある、そういう制度を受けている法人が、実際の適用額の明細書の提出が義務づけられている。そして、財務省においてそれを集計して実態を調査する。そして、この情報は、各府省が政策評価を行うということが大前提としてのスキームだと。

 これは、それぞれの制度の期限、期限が来ることのトータルの中で、いつからこれをきちっとやるかというスタート直前の段階に今ありますので、これは今、ちょっと状況的には確定はしていないんですが、一番早くても夏から秋ぐらいかなというふうに私としては思っているんですが、適用の実態調査が行われるということになりますので、これによって、この法律の効果は大きく出てくるんだというふうに期待をしております。

藤田(憲)委員 時間が参りました。

 最後に関しましては、私は、井戸知事が地方公聴会において、東京ひとり勝ちの状況の是正ということはありましたけれども、東京の力をそいで各地方でという考え方ではなくて、東京も成長するし、ほかの地方も成長するしという形で地方財政のあり方を検討していただきたいということを申し上げまして、質疑を終了したいと思います。

 ありがとうございます。

中野委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井登志郎君。

石井(登)委員 おはようございます。

 私も二巡目でございます。機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭に、私が尊敬してやまない岡田副総理に、マニフェストの位置づけについて、これは本当に多くの同僚が自民党の諸先輩方からの厳しい御批判を受けながら、一方で、マニフェストとは何なんだろう、そういうことについて改めて確認をしたいという気持ちになっております。それも、次のマニフェストもそろそろつくらないといかぬというようなことでありますから。

 そういう中で、一つ御紹介するのが、二〇〇九年九月一日の朝日新聞、私が通った次の次の日の世論調査でこういう結果があります。

 民主党大勝の理由はという問いに、八一%の方が、有権者が政権交代を望んだ。一方で、有権者が政策を支持したという問いには、三八%がイエス、五二%がノーというのが、我々が通った、まさにその選挙の二日後の世論です。民主党の目玉政策への是非というのもありまして、子ども手当については、民主党に投票した人の四三%が賛成、三七%が反対、拮抗している。高速道路無料化では、民主党へ投票した人の二七%が賛成、五六%が反対。これは、今ではなくて、その選挙の直後であります。

 要は、私なんかも町で受けたのが、マニフェストを全部、一言一句やってくれというわけではない、一度とにかくかえて頑張ってみてくださいということであったのではないかと思います。

 ただ、私がこれは反省を込めて今副総理にお聞きをしたいということなんですが、もちろん、書いてあることは守るように努力すべきものであります。ただ、一方で、政治経済は生き物でありますから、そこで、マニフェストというのは、果たして、これは契約書だ、ある先輩は、そう言う方もいらっしゃいます。一方で、私は、方向性を示す羅針盤、ベクトルのようなものなんじゃないかと。

 例えば、子ども手当にすれば、経済的な困窮があることによって、二人目を産んだけれども三人目は産み控えるとか、もしくは、女性が本当は社会に出たいんだけれども、何らかのハードルがあるから、そのハードルを取り除こうというのが我々の基本的なメッセージだったと思います。ただ、それが、やれ二万六千円だとか、やれ無料だとか、それをわかりやすくしたらそうなってしまったんですけれども、しかし、そこは大いに反省すべき点だと思います。

 こうした二年半前の世論調査の結果と、この契約化、いやそうではない、私は羅針盤、ベクトルだというふうに思いますが、そのあたりについて、岡田副総理の御見解をお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 マニフェスト選挙というのは、少し歴史がありまして、従来の公約というのが余りにも抽象的過ぎる、もっと具体的にきちんと約束すべきであると。イギリスの例などを参考にしながら、より具体的なものとしてマニフェスト選挙というものは提唱され、我々は何回かマニフェストを掲げて選挙をやってきたわけであります。

 私は、基本的な方向として、その方向が間違っていたとは思わないんです。やはり具体的にお約束をして、もちろん、それが一〇〇%できるということはないにしろ、その実現を一生懸命、党として、政権を獲得した際には努力をしていくということは私は必要なことだというふうに思っております。

 ただ、二〇〇九年のマニフェストについては、いろいろ問題があったことは事実であります。私は、子ども手当の額を書くべきでなかったとは思いません。やはり書いた方がよかったと思います。しかし、それが二万六千円がよかったのかどうかということは議論のあるところ。それから、今の児童手当、新しい児童手当で私は必ずしも満足しているわけではありません。しかし、これは各党間で合意したものですから。しかし、年少扶養控除で出てきた財源に見合うような、そういうものよりはもう少し前に進めたいという気持ちはありますが、二万六千円が過大ではなかったかと言われれば、私は過大であったというふうに思います。いろいろなことについて反省すべき点はある。

 それから、次の選挙を考えると、衆参のねじれという現実がありますから、幾ら我々がいろいろなことを言っても、最終的には、参議院を通そうとすれば、我々が政権をとったという前提に立っても、野党の皆さんの賛成がなければ法律は成立しないわけであります。そういう状況下におけるマニフェストというのはどうあるべきかということは、これは党の中でしっかり議論する必要があるというふうに考えております。

 いろいろなことを申し上げましたが、やはり、具体的な約束という意味で、今ほど細かいものは必要ないにしても、ある程度のことは私はマニフェストという形で示すことが有権者にとって判断の基準になるんじゃないかというふうに思っております。

 最後に、この前の二〇〇九年の選挙がマニフェストで勝ったかどうかというと、国民の多くは、やはり政権交代を一度行うべきだ、そういう思いの中で投票した人が多かった。マニフェストの個々の政策については、我々、戦っていても、いろいろな御意見がありました。子ども手当も高速道路無料化も、いろいろな御意見があったということで、マニフェストの結果勝ったというよりは、やはり政権交代を望む国民のそういう大きな流れの中で勝たせていただいた、私はそう思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 今回、大変高い授業料も我々自身払っているわけであります。ぜひ、そういう反省も生かして、次のマニフェスト、しっかりと成熟していきたいと思っております。

 次に移りたいと思います。

 昨日、安住大臣、G7の電話会談等されたようで、大変お疲れさまでございます。

 そこで、財政についてお伺いをいたしますが、今の我が国の財政に対する認識、そして、なぜここまで赤字が拡大したかということ、これに関してどう認識をされておられるか、お答えいただければと思います。

五十嵐副大臣 まず私の方から、財政赤字の原因につきまして、単年度の収支について見させていただくと、特例公債の発行から脱却した平成二年度と直近の平成二十四年度、今年度の一般会計当初予算の比較をさせていただきますと、財政赤字の赤字幅の拡大が二十九・七兆円です。このうち、社会保障関係費の増によるものが十四・八兆円、そして、税収の減によるものが十五・七兆円で、これで大体説明がついてしまいます。

 税収の減ですけれども、所得税の減税と累次にわたる制度減税がありました。それから、地方への税源移譲がありました。それともう一つは、リーマン・ショック等の景気の後退ということで説明が大体つくものと考えております。

石井(登)委員 それでは、続いてお伺いしますが、今回の消費税増税を含む一体改革を通じて財政再建は進むのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

安住国務大臣 私は、率直に申し上げて、やはり構造問題があると思いますね。昭和五十年以降、特例公債を発行して、いわば足らず前を特例公債で乗り切ってきた。当初は、その額は一定規模であったわけですが、ある時点を超えてから、日本の予算編成の中では、相当な割合を特例公債で賄う。これは、賄えたということは、そういう意味では日本の底力もあったのかもしれませんけれども、やはり収支の割合が全く合わないわけですね。

 今副大臣からもお話ありましたけれども、収入が、例えば歳出の半分しかない、また、いいときでも大体三〇%ぐらいは借金というのは、どう考えても、累積していけばとてつもないお金になるわけでありまして、はたと気づいたときには、やはり、ある意味では、社会保障の関係の予算だけはとにかくふえ続けますから、それに対応する。しかし、そのほかの一般歳出、戦略的な投資とか、外交、防衛もそうだし、人にお金を使ったり、教育、医療、医療はそういう意味では請求書が来るわけですけれども。地方自治。

 この二十年間、私は、本当にそういう意味では、手足を縛られて、やはり次の時代に投資をしていく力や余力を失ってしまったのではないかと思っています。

 ですから、そういう意味では、この硬直した財政状況を打開するには、予算編成でも今圧倒的なシェアを占めるこの社会保障について、ある意味で安定財源を確保していくことが私は不可欠なことだと実は思っております。ですから、そういうことを考えれば、今度の税のお願いというのは、これはやむを得ない部分があるのをぜひ御理解いただきたいというふうに私は国民の皆さんに訴えております。

 それで、御主張でございますけれども、残念ながら、急に国債費が減っていくわけではないわけですね。二〇年のプライマリーバランスをゼロにしていくプロセスの中においても、これは、予算規模等によっては大幅に減ることは事実あるかもしれませんが、かといって、例えば、今の四十兆円台が二十兆円台や十兆円台になるわけではなくて、かなり、一定レベル、国債の発行をせざるを得ないような構造的な問題は抱えておりますので、そういう意味では、いかにそれを減らしていくか。

 それから、これから経済がよくなれば、今度は金利の問題というのが出てきますから、そういう意味での利払い費も、これだけ蓄積した累積赤字があると、この利払い費にも備えないといけないということでの国債の発行というのもありますので、決して楽観できる状況ではないというのが現実でございます。

石井(登)委員 大変御丁寧に、ありがとうございました。

 財政再建は進むのかという問いに関しては、その方向性では行っておるということであろうと思います。

 一方で、もうよくよく御承知のことと思いますが、財政運営戦略においては、今おっしゃられたように、二〇一五年に赤字GDP比を二〇一〇年の水準から半減、遅くとも二〇二〇年度に黒字化することを目標として、二〇二一年度以降においては、公債等残高の対GDP比を安定的に低下させるとしています。

 一方で、今回の案を反映させたものでも、内閣府が一月二十四日に発表いたしました経済財政の中長期試算、これによって、二〇二〇年で、成長戦略シナリオでも単年度でまだマイナス一・四、慎重シナリオでマイナス三・〇というふうになっておる。消費税を今回上げただけではこの財政運営戦略のとおりにならないということでありますけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。

石田副大臣 お答えいたします。

 ただいま石井委員おっしゃっておられましたが、内閣府では、経済財政の中長期試算において、慎重シナリオのもとで、二〇一五年度の国、地方並びに国の基礎的財政赤字の対GDP比半減目標の達成は、現時点においては厳しいものとなっております。

 しかし、仮に、二〇一五年度において消費税率の一〇%への引き上げ後における社会保障・税一体改革による影響を平年度化、これは春から秋に半年おくれましたので、平年度化してみれば、国、地方並びに国、いずれにおいても、対GDP比半減目標を満たした数値となっております。

 御指摘いただいた二〇二〇年度の国、地方並びに国のプライマリーバランスについては、現時点では厳しいものであります。

 その理由は、国、地方は対GDP比マイナス三・〇%程度、国は対GDP比マイナス三・一%程度となっておりますので、いずれも黒字化目標達成のためにはさらなる収支の改善が必要かというふうに思っております。

 以上です。

石井(登)委員 ありがとうございました。厳しいということであるわけであります。

 慎重シナリオでいけば、金額でいえば十六・六兆円ということで、この試算が発表された時期に、今出されている消費税増税の法案の附則に五年後の再増税をにおわす一文があったりなんかいたしまして、では、もう六%か七%かというような話になったわけです。

 いずれにせよ、一〇%にした後も何かしなきゃいけないということであります。ただ、またそれを増税かという話になると、それは国民の理解が得られることは相当難しいだろう。学者さんの中でも、例えば、一橋大学の野口悠紀雄先生などは三〇%、小林慶一郎さんなどは二五%に上げないと財政再建にならないとおっしゃる。こうした学者さんたちが共通して言うのが、社会保障支出の見直しも必要だということであります。

 こうした財政再建を進める際には、三つ、増税をさせていただく、成長によって税収をふやす、そして歳出削減もあわせて行わなければいけないということでありますが、党内で何十時間もの激論をいたしました。その際にも言及をされた、例えばアレシナの黄金律、これは、七、三で歳出削減の方をしっかりとやらなきゃいけない、そうでないと財政再建は失敗する、そういうことを言及される多くの仲間もおるわけであります。

 今回の一体改革、経済を成長させるという意味での女性の社会参加での福祉の充実等々は、私もすばらしいことだと思います。ただ、財政再建の面で、入りをふやすことだけを考えては目標は達せられないのではないかと思いますが、財務大臣、御所見をお願いいたします。

安住国務大臣 御指摘のとおりでして、例えば、経済成長をしていくことで増収ができれば消費増税要らないんじゃないかという意見を言う方もおられます。ただ、増税をそれで避けられればそんないいことはないんですが、やはり、これまでの歴史からいっても、それで好景気になってどんどん税収が上がってという構図にはなかなかなりにくい。

 しかし、一方で、先ほど申し上げましたように、社会保障の関係というのは構造的な問題です。もっと言うと、社会保障の問題は、景気のいい悪いに全く関係なくいわばふえ続けていくんです。だからこそ、余り景気に影響されない、そして国民がひとしく負担をする水平型の税でここを賄っていくというのが、消費税なんかを上げてきたヨーロッパ諸国の一つの知恵だったんではないかと私は思うんですね。

 ですから、そういう点では、高齢化社会は本当に速いスピードでどんどん来ています。団塊の世代の方々、六百万人以上がこの三年で六十五歳を超えていく、こういうふうになってきますと、さらに社会保障費が全体でふえていきますので、ここは、あわせて、結果的には財政再建の大きな一歩にもなりますので、そういうことで私は理解をいただければと思っております。

石井(登)委員 とにかく、今回、大きな一歩を踏み出して、その先も歩んでいこうということだと思います。

 そこで、今度は国債のマーケットの見込みについてちょっとお伺いをいたしますが、経済財政の中長期試算において、二〇二〇年、二〇二三年の公債等残高が示されています。現在、国と地方を合わせて、これによりますと八百五十四・七兆円とありますが、これは、慎重シナリオでも成長シナリオでも、両方、二〇二〇年には千百六十四兆円ということであります。

 さて、この千百六十四兆円の公債をマーケットは問題なく吸収できるのだろうか、また、その見込みは、同じく国内消化が主体となるのか、それとも海外に購入を期待するのか、この点について。

 あともう一つ、この中長期試算において、二〇二一年以降安定的に公債等残高を減らしていくとあるわけですが、これは、安定的にどの水準まで減らしていくのかという、これも目安というのがなかなかつかみかねるんですけれども、このあたり、ちょっと漠とした質問なんで漠とした答えになるかもしれませんが、お聞かせをいただければと思います。

五十嵐副大臣 今、一般政府の総債務が、二十一年十二月末速報で見ますと一千九十九兆円で、家計の純金融資産が一千百二十七兆円、その差が迫ってきております。これがクロスするとだめだというわけではないですね、そのほかにも金融資産を企業等は持っていますから。ですけれども、余裕がなくなりつつあるということは確かだろうと思います。

 それから、外国が今まで五%しか持っていないと言っていましたけれども、最近は七%まで拡大をしてまいりました。徐々にやはり国内での消化の余裕が少なくなる傾向があるということではないでしょうか。ある時点で、これが非常に厳しくなる、金利が上がってくるということも考えられないではないということで、やはりこの面も厳しく公債管理をしていかなければいけないということだと思います。

石井(登)委員 昨日、この中長期試算そして国債の消化について事務方にお伺いをした際に、これは機械的に数字を出しておりますと。そういう中で、この国債の消化に関して、内閣府の事務方としては機械的に数字を出しているということだったんですが、しかし、これは消化をしてもらいたい量でありますので、それに関しても問題がないというような形で示していただくような作業をぜひ財務省の方にもお願いしたいと思います。

 そして、実は、先日、先ほど安住大臣にもお見せをしたんですが、人生で初めて個人の国債を買いました。財務大臣安住淳、個人国債御購入をいただいた皆様へと。これがあったから買ったと言うとちょっと言い過ぎでありますけれども、これは復興債で、一本松の銀貨をいただけるので、それも含めてですが、何と、金利が、当初三年間だったと思いますが、〇・〇五%と、しびれる低さでありますが、しかし、復興のため、お国のためというようなことであります。

 一方で、我々若い世代は、この公債がきちんと、しっかりとマーケットで今後も消化をしていってもらわないと、想定したくない事態になってしまうのかなと。しかし、その最悪のシナリオの前に、現在、金利が一%上がっただけで、例えば約十兆円の利払いの増加が見込まれてしまうというようなことも言われているようなところであります。

 こういう中で、とにかく財政再建は待ったなしだと。ただ、経済の影響等々もあるわけですけれども、今回、二〇一四年四月そして二〇一五年十月ということで、八、一〇と行くわけであります。この財政の状況と、そして二回分けて行くわけですけれども、お聞きをしたいのが、今すぐ上げてもらったら困るわけですが、しかし、待ったなしと言うんだったら、そこまで一年半あっていいんだろうかという、これはちょっと逆の質問も思ってしまうわけです。

 あわせて、この八、一〇と二つ分けて上げることに関して、価格表示等々の面からも、これは一発の方がいいんじゃないかという方もおられます。

 複数の質問を一遍にして恐縮でありますけれども、このあたりについてお考えをお聞かせください。

安住国務大臣 まず、復興債を買っていただいてありがとうございました。

 今、一兆四千億円ほど購入をいただいておりますので、国民の皆さんの善意には本当に感謝を申し上げたいと思います。

 こういうお金を、私は地元が被災地なものですから、戻ったときには、復興のお金というのは、こういうことで国民の皆さんから出していただいて、また所得税、法人税を引き上げてもらってやっているので、みんなで大切に使わせていただきましょうとお願いをしております。

 このことは消費税のことにも言えると思いますね。やはりお預かりしたものをきちっと国民の皆さんの年金、医療、介護、子育てに使っていかないといけないということだと思いますので、その透明性を確保していきたいと思います。

 さて、いろいろなことを御指摘いただきましたが、実は、私が一つ申し上げたいのは、確かに、金額的な面で見れば、先ほど五十嵐副大臣が御指摘のようなことは機械的には言えるんですね。つまり、家庭というか国民の持っている貯金、資産全体がこうだから、一千兆円を超えていますから、今ちょうど借金がそこまで近づいてきましたよ、この先はちょっと大変なんですよと。

 ただ、私は、もう一つ決定的な要素があると思います。それは何かというと、諸外国を見ていてはっきりしているんですが、財政再建をする意思の強さを明確にあらわせるかどうかということで、その国の国債の価値は随分と変わったものになります。ギリシャ等も、日本よりは借金の額全体のGDPに占める比率なんかは低かったわけですね。イタリアに至っては、プライマリーバランスは赤字でなかったわけですから。しかし、CDSは徹底的に引き上げられたり、ベーシスポイントは上がりました。

 それはある日突然発散すると言われているのはなぜかというと、やはりその国の意思、財政再建をしっかりやっていったり、将来、例えば日本でいえば、そういう余力がある、余地があるのにもかかわらず、それをしっかりと国民に、こういう厳しいことではあるんだけれども、政治が、また政府がそれをお願いして、財政再建に対してそうした意思をもし持ち得ないとなれば、日本に対しての信頼というのは私は大きく毀損されていくと。今、こういう点では、その意思というものを明確に出しておりますから、そういう点では、日本の国債の利率というのはまだ低く抑えられているということは言えると思います。ですから、そういうところを大変注意しないといけないと思います。(発言する者あり)

 潜在成長力のことは、また別途、竹内さんの質問のときにお答えさせていただきます。

 やはり、段階を踏むということは、それだけ、一言で言えば国民生活への配慮や経済への配慮というのは十分して、そのことが政府・与党で話し合われた一つの結論でございます。

 やはり、いきなりの五%というのは、少し額が大きゅうございます。一千万のものを買ったら、五十万が百万になるわけですから、そういう点では、やはり消費税は、水平型税としては、コンビニに行ったお子さんも、とげ抜き地蔵でお買い物をしたおばあちゃんも、みんな上がった分は払っていただくことになりますから、そういう点では、できるだけ激変緩和ということがこの二段階の考え方の一番底にあるものでございますので、そう御理解いただければと思っています。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 ここでちょっと、一つ、私の体験で、今後の財政再建についてぜひ安住大臣に留意をしていただきたいことを最後にお話をしたいと思うんですが、ある先輩議員に、この財政再建、どうなるんですかと。財政再建をやるには三つやり方がある、一つはこつこつ返す、一つはインフレを期待する、一つは踏み倒すと。国が踏み倒すというのはあり得ない、そして、インフレも許容できる範囲でないとだめだということだと思います。

 そこで、昨年、私、アメリカにちょっと行ってまいりまして、十三年前、アメリカに留学していまして、そこで一番のけぞったことがあったんです。私が行っていたときのペンシルバニア大学の学費が二万ドルだったんですけれども、今は四万ドルだったんですね。向こうへ行くと、五万ドル、六万ドルとかの学費になっているんです。

 つまり、どういうことかというと、二十年前と比べて、アメリカは通貨供給量二・六倍、日本は一・六倍。物価は、二十年間で、日本は五%だけしか上がっていない、アメリカは一・七倍に上がっているんですね。しかし、学費は、私の大学は二倍でしたけれども、三倍、四倍に上がっているんです。イギリスなんかもそういう傾向がある。

 これは何が言いたいのかというと、インフレが起きた際に、石けんも学費もホテルもひとしく全部上がるというよりは、財の特性によって、例えば金融なんかはばあっと上がってしまうんじゃないか、つまり、それによって格差拡大の遠因にもなっているんじゃないか、それが今の欧米のさまざまな危機につながっているんじゃないかと思います。

 許容できるインフレというのは、これは当然、今デフレの社会ですから、目指していくべきだと思いますが、インフレの悪い面というのも、そういう意味では今もう世界の中で大いに見えているところであろうと思いますので、これまた機会があれば深めていきたいと思います。

 あと、最後に一言、岡田副総理に、先ほど藤田さんがおっしゃった井戸知事の肩車の件ですけれども、井戸知事は、私、兵庫ですから性格もよく存じ上げているんですけれども、あの方は、要は、私は担ぐ方だ、前期高齢者だけれども、私はいつまでも担ぎたいんだ、失礼じゃないかというぐらいの勢いでございまして、ですから、そこで担いでもらえる人には、もう八十でも九十でも、どうぞ井戸知事、担いでくださいというようなことであろうと思います。

 そういう意味で、この肩車は、前期高齢者、後期高齢者に半分足を突っ込んでいる私から見ると失礼であるというぐらいに笑顔で言っておられましたので、いや、そういう意味ではありませんよ、岡田副総理と、ちょっと表現は違いますけれども、見解は、私の中ではそしゃくして一緒なのかなと勝手に思っているということを申し上げさせていただいて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 最後のお言葉は、私も同感でございます。

 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 前回の質問で中途半端になりましたので、小渕報告の検証からまず入り、その後、修正協議に向けてや、また、生活保護の話もお伺いしたいと存じます。

 資料をお分けしております。小渕報告、リポートの十四ページから、ざっとちょっと確認させていただきます。

 ここには、「これまでの二重行政に関する指摘事項とその措置・検討状況」とありまして、三つに分けられております。「指摘事項」「対応方針」「実施時期」、これをまず確認させていただきます。

 「補助手続き等」についての部分から入ります。

 「幼稚園・保育所の枠組みを超えた財政支援」が必要ではないか。ここで三点ございますね。「1平成二十年度第一次補正・第二次補正予算等による、国・地方による幼稚園・保育所の枠組みを超えた総合的な財政支援を実施。」「2幼保連携型の保育所定員と単価の適用区分の見直し。」「3負担金と補助金間の年度内資金貸借の弾力化。」極めて実務的なことではありますが、これにどう対応して、現状どうなっているか、こういう観点で御答弁をいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 実務的にお答えをいたします。

 まず最初、平成二十年度の第二次補正予算によりまして、安心こども基金が創設をされました。この基金を活用して、認定こども園の設置促進のための施設整備費補助や事業費補助を行っています。

 この安心こども基金は、平成二十一年度、二十二年度、二十三年度とそれぞれ補正予算によって積み増しが行われまして、平成二十四年度現在、総額で五千三十一億円になっています。

 そして、二点目ですけれども、平成二十一年七月に「幼保連携型施設を構成する保育所に適用する保育単価等について」という通知を各都道府県等に対しまして出しました。そして、幼保連携型の保育所定員と単価の適用区分の見直しを行いました。

 これに基づいて、幼保連携型を構成する保育施設が小規模になる場合、一つは保育所部分の定員を基礎とした単価、これは小規模保育所単価の七五%、二つ目に施設全体の定員による単価、通常単価の一〇〇%の高い方の単価を適用できることにいたしました。

 わかりやすく具体例でいいますと、幼稚園定員が四十人、保育所定員が二十人という場合に、定員規模二十人の保育所に適用される単価の七五%、定員規模六十人の保育所に適用される単価の一〇〇%のいずれか高い方が選べるようにしてございます。

 そして、三点目、平成二十一年七月に、「保育所運営費の経理等について」の通知を改正いたしまして、負担金と補助金の間の年度内資金貸借の弾力化を図っています。

 具体的には、一つは保育所運営費、二つ目に私立の認定こども園を構成する保育所の保育料につきまして、認定こども園を構成する幼稚園と保育所を運営する法人が同一の法人でない場合でも、各施設の経理区分などへの資金の貸し付けをその年度内に限って認めることとしています。

馳委員 ここの部分で一つだけお伺いします。安心こども基金、この制度はいつまでお続けになるおつもりですか。

小宮山国務大臣 これは、年度当初の予算でしっかりと財源が確保できればそこでやるのが一番いいと思いますが、今の事情の中で、補正予算で安心こども基金を毎年積み増しています。

 ですから、二十五年度につきましてもことしの予算編成過程で、これは、でも、必要だということはいろいろな意味で共通の認識だと思っていますので、必ずそこは先へつなげられるようにしていきたいというふうに思います。

馳委員 では、次に入ります。

 二番目、「「こども交付金」の制度化」。「1認定こども園に対する新たな財政支援に関する補助要綱、申請・交付手続きについて、一本化。」「2幼稚園・保育所に対する従来の財政措置についても、申請・支給手続きが一本化されるよう地方公共団体に要請。」これはどうなっていますか。

小宮山国務大臣 一点目ですが、認定こども園に対する新たな財政支援として行う施設整備費補助や事業費補助の補助要綱、申請、交付手続は、安心こども基金の補助要綱、申請、交付手続として平成二十年度に一本化をしています。

 二つ目ですけれども、幼稚園、保育所に対する従来の財政措置の申請、支給手続の一本化に関しましては、平成二十一年三月に「認定こども園制度の普及促進について」の通知を発出し、利用者や施設からの相談、照会、認定手続、補助手続について、地方自治法に基づく事務処理特例制度を活用して、都道府県が市町村に私学助成の事務の一部を委託できることで手続を一本化することを通知で要請しています。

馳委員 ここの2のところを私は先回質問したと思うんですね。都道府県で特例条例でやっていただくように要請をしたんだけれども、自治体に委任は行われていないというふうな答弁だったんですよ。

 せっかく地方公共団体に要請し、特例条例でやってくださいねと言いながら、でも現場では委任は行われていないというような、ここは何なんだろうかというところなんですね。もしかしたら、ここにやはり地方の壁というのがあるのではないかというのが、小宮山大臣の答弁をいただいての私の感想ですが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員は地方の壁というふうにおっしゃいましたけれども、各都道府県で条例による事務処理特例を行うか否かということは、認定こども園の設置状況や、ほかの私立の幼稚園に対する私学助成の事務手続を都道府県が行うことの関係なども含めて、各地域が実情に応じて総合的に判断するということなので、それを委員は地方の壁とおっしゃったのかと思います。

馳委員 私は、ここはやはりちょっと看過できないんですね。政府として要請をし、条例でできますよと言っておきながら、私、はっきり言えば、地方の壁、財政的な新たな支出をしたくないのか、あるいは、うちは待機児童もいないし、保育所も幼稚園もそれなりに足りているからやらなくていいと。したがって、幼稚園の経営者、保育所の担当者は、やりたいと思っても、いや、都道府県の方から要らないじゃないかと言われてできないんですよと。

 ここの地方の壁というものは、ここがポイントで、私も言われますが、国としてちゃんとやるように言ってくれと。現場はやはり、就学前の子供の居場所として、保育所においても幼児教育をちゃんとやって、幼稚園においても預かり保育を含めた保育の部分もできるようにして、こんな制度があるんだし、そしてこの小渕報告もあるんだから、やってよと国からもっとがあんと言ってくださいよと言われるんですよ。

 小宮山大臣の大臣としてのリーダーシップをお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 リーダーシップをとって子供のためにがあんとやりたいとは思いますが、先ほど委員もおっしゃったように、地方の自主性とかそういう形もございまして、なかなかその点難しい。それで、今度の新しいシステムでは、都道府県が壁にならないように、市町村を実施主体にいたしまして、それぞれ自分の地域でやりたいと思えばできるような仕組みにしているということです。

馳委員 余り新システムの話で、まだ入る前提の話をしているんですが、そうはいっても、新システムに入ったとしても、財政の壁というのは必ず出てくるということなんですね。したがって、経営者がやりたいと思っていても、いや、ちょっと財政的に厳しいですからというふうになってしまう。

 では、それはそれで放置しておいてよいんでしょうかということの議論はあると思うんですよ。いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 システムの話は後とおっしゃいましたが、どうしても関連するんです、今のことも。

 そういう意味で、今回、それぞれ一人一人の子供に注目をして、こども園給付という形にして、そういう壁をなくしたいというふうに思っています。

馳委員 これ以上私も深入りしないようにしておきます。新システムの話については、私は、きょうの質問を踏まえて改めてやりますので。

 三番目に行きます。「財産処分手続きの簡素化」。「国庫補助により整備された施設の認定こども園への転用手続きの簡素化。」についてはどうなっていますでしょうか。

小宮山国務大臣 国庫補助により整備された施設の認定こども園への転用、財産処分の手続については、平成二十年七月に「厚生労働省所管一般会計補助金等に係る財産処分について」の通知を改正し、簡素化をしました。具体的には、この改正で、保育所施設整備費補助金で造成された財産を認定こども園の幼稚園部分等として活用する際、その財産処分について事後報告のみでよいこととしています。

馳委員 十五ページの方に入ります。では、「事務処理」について。

 「(一)会計処理の簡素化」。「1学校法人が保育所を運営又は社会福祉法人が幼稚園を運営する場合においても、それぞれの法人会計基準に基づく会計処理で対応を可能とすべく検討。」とあります。「2その際、保育所会計と幼稚園会計における食材費等の費用の按分は、一括按分することも可能であることを明確化」。この二点についてはどうなっていますか。

小宮山国務大臣 一点目ですが、学校法人が保育所を運営する場合の会計処理の取り扱いについては、平成二十二年三月に、厚生労働省の通知を改正し、学校法人会計基準に基づき作成が可能な簡素な書類によって対応ができるようにしています。また、社会福祉法人が幼稚園を運営する場合の取り扱いについては、平成二十二年二月に学校法人会計基準を改正し、社会福祉法人会計基準に基づく会計処理によって対応することができるようにいたしました。したがいまして、御指摘につきましては、対応しているということです。

 二点目ですけれども、認定こども園の給食の食材費などの幼稚園、保育所で共通して必要となる経費については、一括して購入するなどして支出をした後、期末処理の際に、在園者の数や使用時間など、合理的と考えられる比率を用いて一括して費用案分することを認めています。このことは、平成二十二年七月に認定こども園QアンドAに追加する形で各自治体に事務連絡を発出するとともに、幼保連携推進室のホームページでも公開をして、周知徹底をしています。

馳委員 続いて、「(二)監査事務の簡素化」について伺います。

 「1一定の条件を満たした場合の監査の簡素化について具体的検討の実施。」「2監査事務に関するガイドラインの作成。」とありますが、どう対応されましたでしょうか。

小宮山国務大臣 平成二十二年三月に、学校法人会計基準の改正及び「保育所の設置認可等について」の通知の改正を行い、会計処理の簡素化を図っています。これによりまして、会計に関する監査事務も簡素化されたと考えています。

 認定こども園の監査事務のガイドラインについては、平成二十二年三月に会計処理の簡素化を図り監査事務が簡素化されたこと、平成二十四年度から社会福祉法人の会計基準が改正され、平成二十七年度から全ての社会福祉法人に適用されること、こうしたことから、今後、新会計基準の実施状況を見ながら対応を検討していきたいと思っています。

馳委員 では、三点目に行きます。

 「(三)認定申請手続きの簡素化」。「1地方公共団体向けに、認定申請手続等に関する事務マニュアルを作成・配布。」「2認定を希望する施設が申請手続きを容易に分かるように、各都道府県の申請手続きの流れをとりまとめ、HPに掲載。」これはどうなっておりますでしょうか。

小宮山国務大臣 平成二十一年三月に「認定申請手続き等に関する事務マニュアル」を作成し、各都道府県等に配付をしています。

 また、平成二十一年三月に作成した「認定申請手続き等に関する事務マニュアル」は、幼保連携推進室のホームページに掲載をしています。

馳委員 では、「(四)幼稚園幼児指導要録、保育所児童保育要録等の書類の整理」について伺いますが、「認定こども園としての一つの様式例を作成・通知」するとありますが、いかがですか。

小宮山国務大臣 平成二十一年一月に「認定こども園こども要録について」の通知を発出しまして、幼稚園幼児指導要録、保育所児童保育要録に相当いたします認定こども園こども要録の様式例を示しています。

馳委員 十六ページに入りますが、「職員の資格・待遇」について伺います。

 「(一)幼稚園教諭と保育士の資格の取得弾力化」。「1保育士資格所有者が幼稚園教員免許を取得することを一層促進するため、幼稚園教員資格認定試験の一次試験について運用を改善。」「2幼稚園教員免許所有者が、大学、短期大学等の卒業後であっても、通信教育や科目等履修生などの形で必要な単位を追加履修することにより保育士資格を取得する仕組みや、保育士試験を受験する際の科目免除の拡大など、幼稚園教員免許所有者の保育士資格取得を一層促進するための方策を実施。」とありますが、どうなっておりますか。

小宮山国務大臣 保育士資格所有者の幼稚園教員免許取得を一層促進するため、平成二十一年度の幼稚園教員資格認定試験から、一次試験の三科目については、それぞれの試験科目ごとに合否を通知することにし、合格した科目ごとにそれぞれ翌年度と翌々年度の二年間、試験を免除する取り扱いを実施することで、受験者の負担を軽減しています。

 二点目ですが、幼稚園教員免許所有者の保育士資格取得促進のため、保育士試験について、平成二十二年度から、幼稚園教員免許所有者が指定保育士養成校で必要科目を受講した場合、受講した科目に応じて保育士試験の試験科目を一部免除することにしました。これによりまして、例えば履修科目全て受講していれば全科目が免除されることになりました。

馳委員 「(二)幼稚園教諭・保育士の合同研修の推進・連携強化」について伺います。

 「1幼稚園教諭・保育士の合同研修の促進。」「2幼稚園教諭・保育士の連携体制構築等に関する事例集を作成」、この二点はどうなっておりますでしょうか。

小宮山国務大臣 幼稚園教諭、保育士の合同研修の促進については、平成二十一年三月に「認定こども園制度の普及促進について」の通知を発出し、都道府県及び市町村で幼稚園教諭と保育士の合同研修を行うことを要請しました。また、合同研修を実施する際は、平成二十一年度から安心こども基金によって必要な補助を行うことができるようにすることで促進を図っています。

 二点目ですが、政府としては、小渕報告での指摘を受けまして、全国認定こども園協会に調査研究を委託し、平成二十二年三月に、認定こども園の好事例集を取りまとめて、各地方自治体や認定こども園の関係者に配付しました。その中で、幼稚園教諭と保育士の連携の強化等に関する事例も紹介をしています。

 具体的には、例えば、幼稚園と保育所の職員が人事交流や毎日の合同ミーティングを通じて保育の一本化を進めている園、幼稚園と保育所の職員全員で指導計画を作成し、意識の共有を図っている園、自治体の支援を得て、幼稚園の職員が保育所関係の研修を、保育所の職員が幼稚園関係の研修を受ける機会を設け、相互理解を深めている園などの、参考になる事例を紹介しています。

馳委員 次、四番目、「行政の連携」についてお伺いいたします。

 「(一)行政窓口一本化の推進」。「1文部科学省・厚生労働省に幼保連携推進室を設置。」「2地方公共団体における窓口一本化の促進。」この点についてはどうなっておりますか。

小宮山国務大臣 平成十八年七月に、文部科学省と厚生労働省の両省に幼保連携推進室を設置しています。

 二点目ですが、幼稚園、保育所に対する従来の財政措置の申請、支給手続の一本化に関して、平成二十一年三月に「認定こども園制度の普及促進について」の通知を発出し、利用者や施設からの相談、照会、認定手続、補助手続について統一的な窓口の設置を要請しました。

 平成二十二年四月時点で、市町村全体の六九%、認定こども園を設置している市町村の九八%が認定手続等の窓口を一本化しています。また、財政支援に関する窓口は、市町村全体の五四%、認定こども園を設置している市町村の七四%で窓口を一本化しています。

馳委員 ここで、ここは小宮山大臣にお伺いするか村木さんにお伺いするかどっちかだなと思いますので、ちょっと突っ込んで聞きます。

 その幼保連携推進室なるものが機能しているのか。具体的に、人事の交流でやっているのか、そして、今ここの幼保連携推進室を拠点にして地方自治体との調整役に当たっているのかということを、実態はどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。それは多分、村木さんの方が実務で詳しいと思います。これが一点目。

 二点目は、地方公共団体における窓口一本化の促進というのは、私は先般の質問のときに、大体こういうのは首長直轄の総務部でやらせた方がうまくいくんじゃないんですか、総務部の方に教育畑と福祉畑と集めてやった方がうまくいくんじゃないんですかということをちょっと指摘いたしましたが、私の指摘も含めて、その窓口の一本化、窓口がありますよというだけではなくて、子供に関する行政について、やはり首長直轄のところでやった方がこれはいいんじゃないのかなと私は思っているんですが、それも含めて村木統括官の方から実務的にお話をいただき、また小宮山大臣からも御意見をいただきたいと思います。

村木政府参考人 まず、中央省庁における幼保連携推進室の現在の機能でございます。

 この幼保連携室は、文部科学省の職員それから厚生労働省の職員にそれぞれ発令を行い、いわばバーチャルに連携室というものをつくっているというものでございます。そういう意味では、物理的にも場所も離れておりますし、職員は連携には苦労しているところがございますが、少なくとも、どちらに問い合わせがあった場合でも、相手のことは知りませんという答えは絶対にしないという約束をいたしまして、職員の努力によりまして、必ず、受けた人間が中を調整して一本でお答えをするということで、出口、入り口はきちんと一本になっているということでございます。

 それから、地方におきましてのことは、大臣のお考えがあろうかと思います。自治体については、私ども、どこでやってほしい、どうしてほしいということはなかなか言いにくいところではございますが、それぞれの地方の実情に応じてやっていただくということだろうと思います。

小宮山国務大臣 窓口を、いろいろなことを一本化するために、いろいろと自公政権のときも御苦労いただいて、厚労省の職員が幼保連携室で文科省に行き、また文科省の職員が幼保連携室担当で厚労省へ来るというようなことがずっと続いていますが、今、村木統括官からもお答えしたように、これはあくまでバーチャルな連携なんですね、当事者は努力はしていますけれども。

 そういう意味で、今回、やはり併任をかけて、少なくとも一緒にやる。また先の話は先と言われると思いますが、本来は子ども家庭省だと思うんですけれども、そこまでなかなか行かないので、内閣府に本部をつくって、そこで総合こども園、認定こども園が発展した形の総合こども園は扱う。それから、幼稚園と保育所についても、今回は内閣府に併任をかけて、とにかく連携がとれるようにするということを考えたいと思っています。

 そして、地方については、今も統括官からお話ししたように、地方のお考えとかも今後伺いながら、地方もバーチャルじゃなくて実際にどこかに直轄という形は必要だと思いますので、それが首長直轄になるのか教育委員会直轄になるのかということも含めて、どこかで直轄にする必要はあるというふうに私も考えています。

馳委員 続いて、「(二)国・都道府県・市町村間の連携」、いわゆる縦の連携を伺いたいと思いますが、「積極的な情報提供などに取り組む。」とありますが、私は、ここもやはり何となく目詰まりを起こしているんじゃないかなという印象を持っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 国、都道府県、市町村間の連携を進めるために、平成二十一年三月に「認定こども園制度の普及促進について」という通知を出し、行政窓口の一本化や関係部局間の調整など、関係機関の連携を要請しています。

 さらに、各地方公共団体等から照会があった事項について、QアンドAを初め、国が実施した調査研究事業の成果ですとか最新の認定状況の全国集計値などの情報を幼保連携推進室のホームページに掲載、公表いたしまして、周知徹底に努めているところです。

馳委員 十七ページに入りまして、「五、基準・制度の見直し等」についてお伺いいたします。

 「(一)認定こども園に係る基準の見直し」。「保育所が幼保連携型認定こども園になる場合の幼稚園の設置基準について、保育所の要件より厳しくなっている園舎の構造に関する基準について必要な見直しを行う。(幼稚園設置基準の改正)」こういう指摘がございますが、これはどうなっておりますか。

小宮山国務大臣 既存の保育所が幼保連携型認定こども園の認定を受けるために幼稚園の認可をとる際には、その円滑な移行のために特例措置が設けられていますが、当時の幼稚園設置基準では、園舎の構造に関する基準のうち耐火性能に関する規定が特例の趣旨にそぐわない、より厳しいものになっていました。このため、特例措置の趣旨に沿った適正な規定となるように、平成二十二年三月に幼稚園設置基準を改正しました。

 したがいまして、御指摘の件については対応をしています。

馳委員 「(二)認定こども園を構成する認可外保育施設在籍児童に対する災害共済給付の適用」。「認定こども園を構成する認可外保育施設の児童に対しても災害共済給付を適用する方向で検討。」とありますが、どうなっていますか。

小宮山国務大臣 現在の制度では、認可外保育施設での児童の災害は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付の対象となっていません。

 今回、子ども・子育て新システムの創設に伴いまして、関係整備法で独立行政法人日本スポーツ振興センター法を改正し、現在給付対象となっている幼稚園、保育所に加えて、総合こども園の管理下における園児の災害についても給付の対象とし、また、こども園の指定を受けた届け出保育施設についても、指定基準や各種の指導監督等により施設内の幼児の管理について認可施設と同等の水準が担保されていると考えられることから、給付の対象とすることにしています。

馳委員 だから、私は新システムのことはまだ聞いていないんですけれども、確認の意味でいきますよ。ここは実は高井文科副大臣にお伺いする必要があるんですね。確認です。

 幼稚園型の認定こども園の保育部分の園児はスポーツ振興センターの保険に加入できるんですか、できないんですか、その根拠も含めて教えてください。

高井副大臣 幼稚園型の認定こども園は、幼稚園がその機能を拡充して、保育に欠ける子供のための保育時間を確保するなど保育所的な機能を有するものと、それから、幼稚園と認可外保育施設が一体的に設置されており、緊密な連携を有するものとがございます。

 独立行政法人の日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付事業の対象となるのは、同スポーツ振興センター法の規定によりまして、幼稚園、保育所などとされておりまして、その前者につきましては、保育部分も含め全て対象となります。しかし、後者につきましては、幼稚園に在籍する幼児については対象となりますが、認可外保育施設にのみ在籍する幼児は対象とならないということになっております。

馳委員 そこを何とかならないんですか。

高井副大臣 もうよく御承知だと思いますけれども、保育サービスの安定的な確保や質の確保の観点から、児童福祉施設最低基準の遵守を義務づけられている保育所と義務づけられていない認可外保育施設については法的な位置づけを異にしているわけでございます。このため、この適用において保育所と認可外保育施設とを同等に扱うことは現時点では困難ですので、法改正が必要だということでございますので、御理解をいただければと思います。

馳委員 だから、法改正すればいいんじゃないの。

高井副大臣 なので、今法案を出して議論をしていただいているところでございますので、ぜひとも御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。

馳委員 何度も言いますが、私はきょうは新システムの話はまだしていないんです。

 この辺のやりとり、ぜひ、岡田副総理、聞いておいてください。後で修正協議の話をしますので。

 「(三)制度上弾力化された事項、運用上可能な事項に関わる周知」については、「Q&Aのきめ細かな追加・改定により地方公共団体、施設へ周知。」とありますが、どうなっておりますでしょうか。

小宮山国務大臣 認定こども園に関するQアンドAは、平成十八年十月に発出した後、平成二十年七月、平成二十二年七月に追加を行っています。QアンドAは幼保連携推進室のホームページに掲載、公表し、周知徹底に努めています。

馳委員 最後、「(四)公立保育所に係る給食の外部搬入」。「現在特区として実施しているところであり、全国展開に向けて、懸念される弊害を除去するための方策について検討。」とありますが、どうなっていますか。

小宮山国務大臣 満三歳以上児に対する保育所給食については、公立保育所で特区の認定を受けた市町村で外部搬入方式が行われていましたが、平成二十二年六月一日から全国展開され、全ての保育所で外部搬入方式を採用することが可能になりました。

 また、満三歳未満児に対する食事の提供については、引き続き公立で特区の認定を受けた市町村に限り外部搬入方式を採用することが可能になっています。これにつきましては、今年度、特区の評価が行われる予定です。

馳委員 さて、そこで、実務的にいろいろとお伺いしてきましたし、私、答弁を全て把握できるほど能力がありませんので、議事録を精査の上、新システムについてどうしてそうなっていったのかということの質問は次回させていただきます。

 まず、村木さんにお伺いしたいのは、実は、先般も申し上げたように、認定こども園の法案は文科省が担当しました。しかし、この三年目の見直しとして、小渕報告は、内閣府そして少子化担当の小渕さんが担当した。ここの変遷について、どういう経緯があったのか、ちょっと教えていただけますか。議事録に残しておきたいので、村木さんの方から教えていただきたいと思います。

村木政府参考人 私は当時厚生労働省側におりましたので、少し不正確なところがあるかもしれませんが、承知している限りで申し上げますと、認定こども園法の制定の際は、厚生労働省と文部科学省で一緒に作業をいたしました。ただ、委員会は文科の委員会でやったということで、両省の共同作業であったというふうに考えております。

 その後、この認定こども園制度をどういうふうにしていくかということで、当時、少子化担当大臣も非常に関心があり、それから実は官邸も大変御関心があり、どういう形で前に進めたらいいかというときに、どこにその協議の場を設けるか、幼稚園と保育所が一緒に協議をすること自体が大変まだ珍しいことでございましたので、内閣府が中心になり、文部科学省、厚生労働省をともに呼んで、関係者をみんな集めて、少子化担当大臣のもとで検討した、こういう経緯だというふうに承知しております。

馳委員 つまり、文科省における幼児教育の充実、保育所における保育サービスの量的拡大と、財政的な支援をしましょう、ここからスタートしておりますし、もともと幼保一体化の流れというのは昭和三十年代からありましたから、そんな中で、福田総理が非常に、私のところで引き受けて、内閣府主導で呼んでやろうよということになって、小渕報告につながったんですね。

 政権交代した後もこの認定こども園法というのは生きていますから、したがって、法律に基づく五年後の見直しというのがなされてしかるべきだというのは、これは私の主張なんです。

 五年後のその見直しがなされたんですかというところを改めて大臣に確認したいと思います。

小宮山国務大臣 認定こども園のあり方につきましては、平成十八年十月の法施行後、小渕報告も含め、今もるる御質問にお答えしたように、継続的に、検討ですとか運用の改善をしてきました。そうした蓄積の上に、子ども・子育て新システム検討会議のワーキングチームで幅広い関係者の参画を得て検討を重ねまして、法施行から五年半となりますことし三月に、政府として、その発展形ということも含めて、子ども・子育て新システム関連三法案を国会に提出いたしました。

 この子ども・子育て新システムは、幼児期の学校教育、保育を一体的に提供する先駆的な取り組みと再三お答えをしているこの認定こども園の趣旨をしっかり引き継ぎ、また、当事者からも保護者の方からも評価が高いのに、ここが課題だと言われているところに対応するものですので、このため、この認定こども園法の附則の趣旨に沿って今回提出をしているというふうに考えています。

馳委員 大臣、今、附則の趣旨に沿ってというふうなおっしゃり方をしたんですが、本当にそれが、法律の附則にある五年後の見直し、そしてそれを踏まえての改善策ということになっているのかという法的な根拠をちょっと問いたいと思いますが、本当に大丈夫ですか、そこは。

小宮山国務大臣 法的な根拠と言われると、何を指しておっしゃっているのかと思うんですが、とにかく、この認定こども園というのは非常に、学校教育、保育を提供するという、今回私どもが目指そうと思っているものの先駆的な取り組みだと考えていますので、それに基づいて、ただ、その法改正の中でできるかどうかということは今後御議論いただければと思いますけれども、私どもは、いろいろなところを、課題を本当に解決するためにはやはり新しい法体系が必要だということで、その附則にものっとった形でやっているというふうに考えています。

馳委員 ここで岡田副総理に登場していただくことになるんですが、私の主張ですよ、というか自由民主党のほとんどの方々もそう思っているのは、三年目の見直しをした、小渕報告が出た、それに基づいて手続の簡素化、また現場での一元化、財政的な支援をやっていきましょう、安心こども基金を拡充していきましょう、こういうふうにやっていけば、それで、現行の幼稚園と現行の保育所の制度、これを踏まえた上で、要望のある地域、経営者が判断した施設においては認定こども園に移行していってもらおう、それはインセンティブをつけていこうと。それをやっておけばそれでいいんじゃないんですか、まずそこに戻るべきではないですか。

 さらにもう一点言えば、小宮山さんはずっと、三十五回もやったとおっしゃいますけれども、残念ながら、我が党も公明党もそれには参加しておりません。議事録は読んでいます。しかし、議事録も拝見すると、各団体の方々がそれぞれ三分から五分御意見を申されておりますが、それに対する回答が十分に、双方向でやりとりがされておるものではありません。

 ということを見ると、したがって、今、実は外野席では修正協議の話が何かいろいろあるみたいですが、ここは正式な委員会の場ですからね。私が思うのは、いつまでも皆さん方が主張しているげんこつを振りおろさないで、私たち自由民主党も主張していることをずっと通していったら、どう考えたって平行線になるんですよ。じゃ、どうぞ採決を勝手におやりくださいと私たちは主張します。そこなんですよ。

 今、修正協議の話のアウトラインから入りますよ。

 じゃ、私たちが求める内容について、岡田さんが窓口だとするならば、ちょっと待ってくれ、大体論点はわかったから民主党の党内に持ち帰るとなったときに、党内をまとめることは可能ですか。

岡田国務大臣 まず、修正協議という話が出ております。これは、基本的には各党間で行われるものであります。もちろん、政府も与党の後ろにいてバックアップするということは当然だと思いますが、基本的には、それは各党間の話し合い。

 したがって、各党の代表者というのはその党の中での意見を集約して出てくる、責任を持ってまとめる、こういうことだと思います。

馳委員 この子育ての面について、きょうも報道されております。私、地元の北国新聞がうまく論点整理して書いてあるので、ちょっと読みながら指摘しますね。子育てについては、民主党は総合こども園の創設となっていて、自民党は現行の認定こども園の拡充でいいじゃないか、公明党は幼児教育の無償化でいくべきではないかと。私はできるだけそのギャップを埋めるべくして、きょう、小渕報告を、実務的にどうなっているのというふうに聞いたつもりなんですよ。

 これを私たちに対してゼロ回答をした場合にどうなるか。明確に反対という立場をとらざるを得なくなりますよね。公明党さんに対してもゼロ回答の場合には、明確に反対というふうなことになります。衆議院でどうぞ採決なさってください。通過します。参議院に行ったら間違いなく否決をされます。返付されて衆議院で三分の二があるかといえば、ございません。となると、小宮山さんがこれだけ力説をし、頑張ってこられたこども園の創設はポシャってしまうんですね。

 ここが、恐らく輿石さんも我が党の石原幹事長も、その国会のルールを踏まえながら、どうあるべきかということを今お互いに主張しておられるんだという外野の話なんです。私は内野のこの委員会におりますから、だからきょう申し上げたように、小渕リポートで対応できることはもっとどんどん進めていけばいいんじゃないですかと私はあえて言いましたけれども、地方の壁を乗り越えてやはりもっと指導できるようにすればいいんじゃないですか。細かいことですけれども、幼稚園型認定こども園の認可外保育所の部分は日本スポーツ振興センターの保険の対象になっていないんだから、そこはなれるようにしておいたらいいじゃないですかと、こういうふうに詰めて指摘しているんですよね。

 私は、そういう意味では、こうやって小宮山さんと話をしていて、実務的なことではそんなにならないんですが、ただ、必ず新システムはとこういうふうに上から目線で言われると、それは私たち議論の仲間に入っていないんですよ、こういうふうに言わざるを得なくなるんですよ。

 私は何となく、今、裏の修正協議を表でやっているような気がしてしゃべっているんですよ。

 じゃ、小宮山さん、どうぞ。

小宮山国務大臣 馳委員がおっしゃるとおりだというふうに思います。私たちは関係者の皆様とともにお話ししてきましたけれども、ずっと話をしてきて、いろいろな、子供たちのために、就学前の子供にどうしたらいいかというその思いのところは一致するところがかなり多いというふうに思います。

 ですから、今回、どういう名前にするとか、法律をどういう形にするかということは、それは実務的な方のどのような作業を行ってやっていくかということなので、要は、就学前の子供にとって一番いい形で質のいい学校教育、保育が行われればいいということだというふうに思いますので、この総合こども園として出しているところについては、ぜひ各党で子供たちのためにどうしたらいいかということを合意を得ていただくように、先ほど副総理も申し上げたように、私どもとしても、しっかりバックアップをしていきたいと思っています。

 ただ、今回の新システムの中には、この総合こども園のほかに、地域型のいろいろなものをつくったりとか、お宅にいらっしゃる方の子育ても支援をするとか、幾つかのことが盛り込まれていますので、あわせて、ぜひ各党で御協議をいただきたいというふうに思っています。

馳委員 小宮山さんは政治家ですから、私、はっきり言いますよ。切り分けて、合意できる部分とできない部分というのは必ず出てくるんですよ、こういうことをやると。合意できる部分だけとりあえずやりましょうということに乗れますか。

小宮山国務大臣 切り分けてとおっしゃったのが、どういう意味でしょうか。

馳委員 ここの議論は次回、実は新システムのところをお伺いするわけですよ。指定制という問題とか、株式会社の参入という問題とか、児童福祉法第二十四条「措置」の部分のことであるとか等々、何でこういうふうな制度に議論の末なっていったのかということを私は次回質問したいと思っているんですが、その結果、切り分けて、この部分は合意できるねと。

 例えば、今議論していても、小規模保育に財政しっかりしましょうと。あるいは、私、先般申し上げた、幼稚園の預かり保育、もうちょっと拡充して、七五%もやっているんだったら財政措置しましょうよとか、いわば合意しながら話をしていたじゃないですか。そういう意味での切り分け。

 今の切り分けと同時に、時間軸における切り分けというふうに、いろいろなやり方が政治的にはあるわけじゃないですか。これじゃなきゃ絶対だめだと小宮山さんはおっしゃるんですか。それとも、合意できるところからやっていきましょうという姿勢なんですか。その辺、私はよくわからないですね。

小宮山国務大臣 それは、委員が今言われたような、いろいろな時間軸、あと幅の問題、いろいろな問題があると思います。

 民主党としても、子ども・子育て政策、しっかりと今まで打ち立ててまいりましたので、ただ、その精神の部分というのは、さっきから申し上げているように、自民党さんとも公明党さんとも違わない部分はあるわけですから、なるべく違わない部分に寄せていって、それで合意できないところはどうするかというのはまた知恵を出していくことだと思いますので、この仕組みでなきゃ絶対にだめだというふうにするつもりは私はございません。

馳委員 では、やはり一点だけ聞いておきたいのは、副総理にも後で。高井副大臣にお聞きしておきたいのは、小学校、中学校には株式会社、NPO法人の参入を認めておりません。大学や高校などの特区で株式会社立学校というのはございましたが、やはり運営がなかなか大変でした。

 そうすると、総合こども園なるものは学校教育法上に位置づけられていますね。教育基本法上にも位置づけられていますね。では、就学前だけ株式会社を学校に参入させる理屈はどこに見出せるんですか。それを文部科学省としては容認するんですか。小学校、中学校はだめなんでしょう。なぜ就学前だけいいんですか。そこをお伺いしたいと思います。

高井副大臣 総合こども園における教育は、総合こども園法第二条において、「教育基本法第六条第一項に規定する法律に定める学校において行われる教育」というふうにされておりまして、総合こども園は学校教育を行う学校ということになります。

 総合こども園は、学校及び児童福祉施設の性格をあわせ持つということで、質の高い幼児期の学校教育、保育を一体的に提供するというふうに位置づけておりますけれども、現在、株式会社の参入が認められている保育所について、原則として全て総合こども園の方に移行していくということになりますし、待機児童の解消のための量的拡大という強い社会的要請も踏まえて、厳格な要件を課した上で株式会社の参入を認めるというふうなこととしておりまして、これは児童福祉施設としての性格に基づくものということに位置づけております。

 したがって、この取り扱いについては、学校及び児童福祉施設の性格をあわせ持つ総合こども園固有の極めて特殊な要請というものによるものでございまして、その影響が幼稚園から大学までの他の学校種に及ぶものではないというふうに我々としては考えております。

馳委員 苦しい答弁ですね。

 私がもし今文部科学省の副大臣だったら、そういう答弁はしないと断言できますね、たらればの話をしてはいけませんけれども。

 これは、私は文部科学省に一時在籍をしていた者として、幼児教育と少子化対策と子育て支援、次世代育成と、何かごっちゃにした議論にしてしまって、平成十九年に学校教育法第一条の一番最初に幼稚園、幼児教育を持ってきた、また、教育基本法の改正でもやはり幼児教育というのを特出しにしたという意味を、我々は、あのときには、国家としての教育の原点、出発点として幼児教育を特出しにしたつもりだったんですよ。その文部科学省がここまで小宮山洋子さんに侵略されてしまったのか。言葉が悪いですね。マインドコントロールされてしまったのかと言った方がいいのかな。これは、今の高井さんの答弁、誰が書いたかはわかりませんが、それは政治家、副大臣として、ここは絶対に私は譲れないところなんですよ。

 ここは、だから小宮山さんではなくて高井さん、あなた、本当に今本気でその答弁書を読んだんですか。岡田副総理も多分修正協議にどこかでかかわることになると思うんですけれども、私たちは、ここはどうしても譲れないところなんですよ。

 まず、幼児教育の部分に株式会社、NPOが参入するという部分に入ってくること。特殊な事情というふうな、ああいう答弁書をお読みになりましたけれども、それはどう考えても、なぜそれを突っぱねなかったんですかと言いたいぐらいですね。高井文部科学副大臣に再度答弁を求めたいと思います。

高井副大臣 株式会社の参入については、大変な議論がいろいろなところでございました。そして私も、教育にまさに株式会社を参入させるということに対しては、かなり、抑制というかだめだというふうに原則は思っております。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、教育と保育を一体的に提供する中で、保育所の児童に対しても、全ての子供に対して学校的な教育、幼児教育ということが大事だからこそ、その幼児教育をしっかり位置づけたいということが、原則、気持ちとしてはあります。

 それで……(発言する者あり)いや、保育所がだめなのではなくて、今まで保育所に対しては、教育としての、いわゆる学校教育法に基づくものは入っていなかったわけでありますが、今回初めて位置づけるということになります。

 そのときに、児童福祉施設としての要請の中で既に株式会社が参入している、大変苦しい中で、ほかの教育の部分には影響させないということで、私は、こういう体制で理解をいたしました。

馳委員 大変苦しい答弁が続いておりますが、これは公明党さんも幼児教育の無償化を主張しておられますし、我が党ももともと、七千億円使って幼児教育の無償化というのをずっと言ってまいりました。これはやはり、保育所で幼児教育をしていないわけではなくて、保育所における幼児教育の部分を充実していきましょう、それにはやはり人ですよね、それの入り口だったわけですよ。

 何でそこに総合こども園が出てきて、総合こども園には幼児教育、幼稚園も入ってくる、そんな中で株式会社の参入も入ってくるという特殊事情になるのかという、その展開が我々にはどう考えても理解できないというところなんですよ。

 今までのやりとりを聞いておられて、これは最終的に政府の責任者としての、そして与党の一員としての対応はされるんでしょうけれども、岡田副総理、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず、今までの話を聞いておりまして、馳委員の子ども・子育てにかける思いというか、そういうものを非常に感じ取ることができました。

 やはり重要なことは、子ども・子育てについて、国として、どうやってここにしっかりしたものを、より強化していくかということだと思います。そういう視点からやはり物事を考えるべきというふうに思います。

 先ほどの、教育の分野に株式会社を認めるのかというのは、確かに、今までの教育に携わってきた先生方から見るとかなりクリティカルな問題だということもよくわかります。高井副大臣が述べたように、基本的には、全体が連携していく中で広がったことによる、発生した一つの問題点だ、これをどう乗り越えるかということだと思います。

 いずれにしても、先ほど委員の方から、いろいろな問題について少し分けて検討できないかというお話もありました。私は、やはりこれは全体として非常に急ぐ話、それから方向性は全く一緒、幼保連携型認定こども園という方向性はもう出されているわけですから、それをさらに一歩進化させたものが我々は総合こども園だと思っていますので、方向性が一緒だし、そして急がなければいけない問題だということも一致していますから、そういう視点に立って知恵を出していくということだと思います。

 すぐやることと、もう少しお互い議論が必要なこと、そういう問題があるんだろうと思いますので、そこは各党間でよく話し合われる必要がある。しかし、やはり子供という視点から見たときに、何もできないで、お互い、法案は廃案になってしまう、そういうことは避けなければいけない、絶対避けなければいけない、そういうふうに思っております。

馳委員 法案が廃案になるかどうかということは、これは私のような一兵卒ではなくて、本当に、伊吹先生が最終的に判断されることですから、私がそれ以上言うことではありませんが、ただ、議論は私はもっともっと詰めさせていただきたいから言っているので、まず、小宮山さんから、今の私や高井さんとのやりとり、岡田副総理の御答弁も踏まえて、小宮山さんの御主張もいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 学校教育に株式会社を入れてはいけないということは、その議論の中でも本当に、最も議論をしたところの一つでもあります。

 先ほど高井副大臣がお答えしたように、現に、保育所の中には二百二十カ所余り株式会社が入っている、そこもできるようにするということも一つ要因としてあったという事実がございます。

 それで、幼稚園の教諭の皆さんとか、幼稚園の代表でワーキングチームに参加してくださった皆さんたちも、自分たちは株式会社を入れない形で誇りを持って何十年やってきた、それを変えることはできないという強い御主張がございました。

 その中で、保育園でも教育もやっています、養護と教育をやっていますが、やはり小学校、中学校と続いた学校教育としての位置づけの幼児教育は幼稚園だけですので、それをぜひ、親が働いている子供に対しても、そういう学校教育としての位置づけが欲しいということがございましたので、その中で、学校教育法の一条校として位置づけるのではなくて、教育基本法上の学校として位置づけ、児童福祉法上の児童福祉の施設として位置づけるという、今回の総合こども園に限った特別な形として……(発言する者あり)

中野委員長 御静粛に願います。

小宮山国務大臣 そういう全ての必要な子供たちに対して就学前の質の高い学校教育、保育をするという考え方に皆さん御賛同いただいて、こういう形で今政府提案としては落ちついています。

 ただ、先ほどから議論しているように、各党の御主張もあるので、これは各党間で御議論をいただいて、何とかよい結論を出していただければというふうに思っています。

馳委員 一つ申し上げたいですね。

 だから、私は前回も、政治主導でこういうものをまとめてきたから、小宮山さんの性格が随分反映されたものになったなと思っているのは、あなたはいつも結論を急ぎ過ぎるんですよ。そして、結論を先に言い過ぎるんですよ。そういう意味では、本当にその部分は謙虚さに欠けると思っているんですよ、私は。

 と同時に、確かに小泉改革のときに保育に株式会社を参入させるということがありましたけれども、実態で私たち不安に思っているのは、そのポイントは、保育士さんが毎年の契約なんですよ。子供を預かる保育所において、株式会社が参入して、保育士さんが一年契約ということはあるかもしれません、会社の運営上。ただ、幼児教育において一年限りの幼稚園の教員がいるということ、更新制でしょうか、それを私たちはどうしても容認できないんですよ。

 なぜかというのは、まさしく親とのかかわり、愛着。親が預ける教育の場所である幼稚園において、先生が一年ごとの契約では、これはだめですよ。こういうセンシティブな問題もあるから、株式会社を参入させるということについては、これはとても認められませんよということを言っているんです。

 大臣は確かに、児童福祉法を改正し、学校教育法、そして総合こども園法という新たな法律をつくりましたというふうなダブルスタンダードをおっしゃいましたけれども、幼児教育とはそもそも何なのか、国家にとってどう重要なのかということの議論をもうちょっとやった上で私は議論してほしかったし、我々はそこには参加していないんです。だから、私はきょう、こういう公の場で修正協議みたいな議論を、ちょっと突っかかるような言い方で済みませんけれども、申し上げさせていただいているんです。

 時間がありませんので、私は、きょうの議事録も精査した上で、次は、なぜ新システムのこういう形になっていったのかというところを紡ぎ出して、また次回質問をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中野委員長 これにて馳君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案につきまして、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は、来る十二日火曜日、十三日水曜日の両日開会することとし、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る八日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑を続行いたします。古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。よろしくお願いをいたします。

 昨日、石田祝稔議員の方から、今回の産休、産後休業期間中、保険料免除、国民年金まで同趣旨の制度を拡大してほしい、こういう趣旨の質問があったかと思います。

 また、石井政調会長は、本会議の中で、国民年金についても、まず育児休業期間中について、夫婦どちらか一方の保険料を免除するなどの措置を検討すべきだ、全ての制度の一元化を目指す民主党政権なら、国民年金についても対応すべきだという質問をいたしました。

 私からも、これに関しましては、やはり次世代育成のために、また女性が安心して子供を産み育てられる環境整備のためにもぜひ検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、育児・介護休業法について質疑をしてまいりたいと思っております。さらに、特に今議論になっております子ども・子育て新システム、こちらは、どちらかといえば保育とか幼児教育とかそちらの支援、そして現金給付については、既にことしも議論がありました。

 こうした子育て支援と、もう一方、働き方の問題、これは車の両輪だと思いますので、きょうは、こちらの働き方、子育てと家庭の両立、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスについても質疑をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 公明党は二〇〇六年に少子社会トータルプランを発表いたしました。これは二百ページにも上る政策提言でございますが、一年半かけまして、数十回の議論を行ってつくり上げました。このときも、全国の地方議員、特に女性議員から若い世代、中学生、高校生まで意見を聞いてつくり上げました。

 それで、大きな柱が二つありまして、一つが生活を犠牲にしない働き方への転換、それからもう一つが子育ての負担を過重にしない支え方の確立ということで、先ほど言いましたように、子育て支援と働き方の改革、この二つが少子社会トータルプランの大きな柱となっております。

 仕事と生活の調和は重要であるというのは、大臣もよくよく御自身の体験からも御存じのことと思います。仕事と子育てを両立させていく。出産、子育てをしながら女性が働き続けられる社会を構築していく。そのために公明党は、一九八五年になります、政党として初めて育児休業法を国会に提出いたしました。その後、公明党単独で二回、また野党共同提案で三回、育児休業法の提出をしております。そして一九九一年、育児休業法が成立をいたしました。

 そして、直近の改正でありますけれども、平成二十一年七月一日に公布、二十二年六月三十日から施行されております育児・介護休業法につきましては、私も取り組んでまいりました。特に、公明党がパパクオータ制というのをマニフェストに掲げてまいりまして、北欧では既に根づいて、拡充をしてきております。母親が育児休業をとったら父親もとらなければいけないということで、ぜひこの制度を導入すべきだということを何度も主張してまいりました。

 当時、厚生労働省の官僚とやりとりをしていたんですが、そのときに担当者が、そんなことはできないんだ、難しい、まず労働基準法の遵守が先だと本気で言われまして、もし本当にそんなことを考えているんだったら、育児休業の拡充というのは恐らく何年も何十年も進まないだろうと。ぜひこれはやりたいということで、私も何度も訴えながら、成立をすることができたわけです。

 大臣御存じのように、パパクオータ制という名前ではありませんが、パパ・ママ育休プラス、父親あるいは母親が交代でとった場合には一年二カ月まで延びるということ、あるいは、保育園に入れない事情があるとき、一歳六カ月まで取得可能である、また、子が三歳に満たない労働者を対象として、事業主に対して、所定労働時間を原則六時間とする短時間勤務制度を講ずるなど、大きな改正を行うことができました。

 育児休業法、育児・介護休業法、ことしで施行二十年に当たります。この二十年の進展について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 古屋委員がおっしゃいましたように、子育て支援、そしてワーク・ライフ・バランスを含めた働き方、これが両輪になって、子ども・子育ても含めて女性の働き方も支援をするというのは全く同感でございます。

 それで、古屋委員を初め御党の御努力で育児休業法が平成四年に誕生し、今は育児・介護休業法と言っていますが、おっしゃるように、ことしの四月で施行二十年を迎えました。この間、平成七年に介護休業制度を創設するなど、三回の改正を重ねました。今御紹介いただいたように、直近の平成二十一年改正では、男性による育児休業の取得を促進するための制度としてパパ・ママ育休プラス、パパとママがとれば一年二カ月まで延びることを含めた改正を行いました。

 一方、企業の側を見ますと、育児休業制度を定める事業所が平成二十二年に九割に達しまして、育児休業法の施行直後の平成五年度のおよそ二倍になるなど、仕事と家庭の両立支援のための取り組みは着実に進展していると思います。

 こうした取り組みによりまして、平成二十三年の育児休業取得率を平成八年と比較しますと、女性では四九・一%から八七・八%へ、男性では〇・一二%から二・六三%へ、男性はもっと上昇させたいとは思いますけれども、それぞれ定着をしてきていることをあらわしていると考えています。

古屋(範)委員 今大臣おっしゃいましたように、先日公表されました厚生労働省の調査結果で、男性労働者の育児休業取得率が平成二十三年度に二・六三%になった。伸びたは伸びたんですが、これ自体、非常に小さな数字だと言わざるを得ないと思っております。その背景をどのように考えていらっしゃるか。

 実際、男性が育児休暇をとろうとか、とりたいとか言い出すこと自体、企業にとっても余り想定をしていないというか、人事管理の部門も、一体それはどういうことなのかという感触さえあるかと思います。

 育児・介護休業法については、子育て期間中の働き方の見直し、父親も子育てができるように、若い世代は、本当に上の世代とは違いまして、子育てをしたいと思っている方が非常に多いと思います。しかし、実際には、労働時間が長かったり、首都圏においては通勤時間も非常に長いということで、なかなかかかわれないという方も多いかと思います。

 先ほど申しました平成二十一年の改正、パパ・ママ育休プラスができ、平成二十二年六月から施行されておりましたけれども、ここの改正点が効果があった、そういうふうにお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 効果があったかというお尋ねに対しては、効果はあったと思います。

 ただ、おっしゃいますように、今の若い人たちは、自分も、パパもとりたいと思っても、トップとか上司の意識が変わりませんと、男のくせに育児休業をとったら出世できないみたいなことがまだありますと、なかなかとれないというような声も聞きます。

 ただ、わずかとはいえ、二・六三%にふえた理由としては、今おっしゃったようなパパ・ママ育休プラスなども盛り込みました育児・介護休業法、これが平成二十二年六月三十日から改正法が施行されたということ、また、平成十七年度から、男性の育児休業取得者が一人以上いることを次世代育成支援対策推進法による認定要件としていますので、そのこと、また、平成二十二年度からイクメンプロジェクトを実施いたしまして、参加型のホームページの運営、またシンポジウムの開催などの広報活動を展開したこと、こうした取り組みによって、男性が育児に参加するのが当たり前ということが、少しずつですけれども広がってきているかとは思っています。

古屋(範)委員 確かに、企業にとっても、男性が育児休業をとっているというのは一つの企業のイメージアップにもつながる場合もありますし、また、首長でも、子育てのために休暇をとられたというような方もいて話題になっておりますけれども、育児休業を利用したいと考えている男性の割合が約三割いるのに対して、実際の取得率は依然として低いというわけです。

 一方で、夫の家事、育児時間が長いほど第二子の出産割合が高い。女性にとっても、子供を持つ持たないということは、男性が協力的であるか否かというのが大きな要素だと思います。妻の継続就業が高くなるという、第二子の出産割合が高くて妻の就業率も高いという調査結果も出ています。

 また、ワーク・ライフ・バランス憲章あるいは新成長戦略では、平成三十二年までに男性の育児休業取得率を一三%にするとおっしゃっていますね。男性の育児への参加、育児休業の取得促進は、単に男性の希望をかなえるということだけではなくて、出生率の向上、あるいは女性の継続就業率の向上、さらには企業におけるワーク・ライフ・バランスの促進という観点からも意義があると考えております。

 男性の育児休業取得率を向上させるために今後どのような施策を考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃいましたように、やはり、男性が育児にかかわることを支援して、子育ての第一歩として育児休業をとるということは、今おっしゃった三割の男性がとりたいという希望にかなうということに加えまして、これも御指摘のように、女性の継続就業ですとか出産意欲への影響という点からしても非常に大きな課題だというふうに思っています。

 このため、先ほどから申し上げている、パパ・ママ育休プラスなどを内容とする改正育児・介護休業法の周知徹底をさらに図っていきたいと考えているのが一つ。また、積極的に育児に参加する男性を応援するイクメンプロジェクト、これは、参加型のホームページを通じまして、イクメン本人が育児に関する夢や決意を登録するイクメン宣言、そして家族、同僚、企業などが応援メッセージを登録するイクメンサポーター宣言、これを促すことによって社会的な機運をつくっていきたいと思っています。

 今後とも、男性の育児休業取得率を平成三十二年に一三%とするという政府目標の達成に向けまして、あらゆる取り組みを行っていきたいというふうに考えています。

古屋(範)委員 岡田副総理にも、男性の育児休業取得率向上について、何か御意見があればお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 私のときには考えもつかなかったことなんですが、今度、三重県の知事がとるという宣言をいたしました。まあ、民主党が推した知事ではなかったんですけれども。ただ、私は、県民から見るとすごく意識改革につながったと思うんですね。

 ですから、そういういろいろなリーダーシップをとるべき立場にある人たちが率先してとっていくということが、全体の理解を深めることに非常に役に立つんじゃないかというふうに思っています。

古屋(範)委員 本当にそのとおりで、やはりトップの意識改革というのが大事だと思っております。

 企業にとっては、なかなか経済状況が好転しない、男性が育児休業をとってしまう、代替要員が必要ということもあります。現実にはそういうことも非常に難しい時代なんだろうと思いますけれども、ぜひ、国においてはトップの総理初め副総理、大臣、企業のトップ、ここの意識改革が非常に重要だと思っております。隗より始めよという言葉もございます。ぜひ中央省庁から率先をしていただければというふうに思っております。

 また、女性の育児休業取得率、二十年間全体で非常に伸びております。第一子出産後、女性の継続就業率は三八%にとどまっております。どうしてもこのM字が埋まらない。厚生労働省は、平成三十二年までに継続就業率を五五%にするワーク・ライフ・バランス憲章あるいは新成長戦略の目標を達成するために、一体これをどのようにして対応されるおつもりなのか。

 特に、正規の職員の継続就業率は五二・九%に達しているのに対しまして、パート、派遣の継続就業率が一八%にとどまっています。こういった調査結果を踏まえて、厚生労働省はどのように対応していかれるおつもりでしょうか。

小宮山国務大臣 働いている女性が子育て期に仕事をやめるというM字型カーブが、先進国の中では残念ながら日本だけが残っているんですね。そのMの底がちょっとずつは上がっていますが、まだ底が残ったままということなので、二〇〇〇年代後半に第一子を出産した女性の継続就業率が、御紹介いただいたように三八%にとどまっています。

 特にパート、これは有期契約労働者、そして派遣の継続就業率が低くなっています。こうしたことから、パート、派遣などの労働者も一定の要件を満たせば育児休業を取得できる、このことが十分知られていないため、期間雇用者向けのマニュアルなどによりまして改めて周知を徹底するほか、好事例を集めて提供していくということもしていきたいと思っています。

 今後とも、御紹介いただいた女性の継続就業率五五%を今目標にしていますので、この向上に向けまして、事業主による両立支援のための取り組みを支援するなど積極的に取り組んでいきたいと考えています。

古屋(範)委員 育児・介護休業法が有効に機能するためには、やはり個々の企業におきまして法律の内容が周知徹底をされていること、また、法律が遵守をされて、働く人が両立支援制度を利用できるようにしていかなければならないわけであります。

 これは二十四年五月三十一日に発表になったものでありますけれども、厚生労働省の方から、育児・介護休業法に関する相談ということで、これが七万六千九百十八件、うち労働者からは一万四百十五件、前年度より増加をしたとございます。

 また、紛争解決の援助の申し立て受理件数が三百十六件で、前年度より四十一件増加をしている。調停の申請受理件数は十八件。また、援助、調停ともに、育児休業に係る不利益取り扱いが最多であったということであります。

 雇用均等室が行った是正指導件数は三万五十二件、指導事項では育児休業が四千百五十件と最多であったという報告が出ております。

 実際に法律の施行を担う都道府県労働局雇用均等室における各種のこうした相談への対応また指導等の状況を踏まえると、どのような問題、課題があるとお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

小宮山国務大臣 平成二十三年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられました相談は、今御紹介いただいたように七万六千九百十八件です。このうち、労働者の権利の侵害に関する相談件数が五千二百八十七件あるんですが、中でも育児休業に伴う不利益取り扱い、これが千四百四十四件と最も多くなっています。

 都道府県労働局雇用均等室で、相談者の意向を尊重しながら、行政指導、紛争解決の援助ですとか調停などを実施しています。引き続き、早期に円滑な対応をしていきたいというふうに思います。

 また、育児・介護休業法を効果的に周知するとともに、事業所を訪問して情報提供ですとか指導を積極的に実施するなど、育児休業に伴う不利益取り扱いが法律違反だという認識の定着を図っていきたいと考えています。

古屋(範)委員 一時期、育休切りというようなこともございました。これは本当に法令違反でありますので、そういうことも含め、きめ細やかな、丁寧な相談体制を構築していただきたいと思っております。

 さらに、育児・介護休業法の両立支援制度、これは数次にわたる法の改正によりまして充実をされてきたわけであります。これらの制度は、単に企業において導入されるだけではなくて、実際に働く人に利用されなければ意味がございません。法改正をした側にとってもそうであります。

 企業における両立支援制度が利用しやすい環境整備を進めるために、厚生労働省はベストプラクティスという普及を行っていらっしゃいますね。具体的に、この取り組み状況はどうなっているのか、また、収集をしたベストプラクティスの中で何か特筆すべきものがあるかどうか、大臣にお伺いします。

小宮山国務大臣 平成二十三年度には、先進的に取り組む企業に対しますヒアリング調査などを実施して、その結果をベストプラクティス集として取りまとめ、リーフレットを作成しています。このようなベストプラクティス集などにつきましては、厚生労働省のホームページに掲載をし、また、都道府県労働局を通じて事業主や労働者に配布するなど、積極的に周知を図っています。

 その中に盛り込まれた企業の具体的な取り組みですが、一つは、両立支援制度を紹介する冊子で、男性が育児休業を取得するモデルとなる事例を提示するということ。また、両立支援制度を利用しやすい体制づくりのために、一人の従業員が複数の業務に従事をする多能工化を推進するなど、コストがかからない、企業の実態に即した内容にしているところなどがございます。

 また、企業の多くは、企業イメージが向上し優秀な人材の採用、定着につながった、また、就業が継続され、スキル、技術の高度化、伝達が可能になったなど、肯定的な評価が多くなっています。

古屋(範)委員 そうした好事例をぜひ紹介していただき、全国に普及をしていくように努めていただければと思います。

 中小企業ではなかなかこうしたものに取り組むのが難しいかと思いますと、逆に、いろいろな人間関係の中で、中小企業の方が育児休業を経ても続けて同じ人を雇用しているという場合が意外とあるとも伺っております。大企業だけではなく中小企業も含めまして、おっしゃったように、コストのかからない、こうした育児・介護休業制度を利用しやすい環境整備の紹介、普及をお願いしたいと思っております。

 また、両立支援制度によりまして、働く人々の継続就業を促進するだけではなくて、職場復帰後も能力を発揮して、やりがいを持って仕事を継続していただくことが重要であると思っております。育児休業を経て、ほかの職場にどうしても配置転換させざるを得ないとか、その辺で女性の側も取り残されたというような意識もあるかもしれませんし、刻々と変化する社会状況の中で、どうしても避けては通れない課題だと思っております。やはり能力のある女性が一生涯キャリアアップをしながら、能力開発をしながら働き続ける、その働く人のモチベーションを向上させるような復帰後のキャリア形成のあり方、ここも配慮していく必要があると思っております。

 この女性の能力形成、キャリアアップについてどうお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 これから、働く人口が減っていくということもございますし、意欲ある女性が活躍できるようにしていくということは、経済を活性化する経済戦略としても非常に重要だというふうに考えています。

 育児休業法では、昇進、昇格の人事考課で不利益に評価することを禁止するほか、原則として、原職または原職相当職への復帰に配慮することなどを定めています。法律に違反する事案には、都道府県労働局長による助言、指導、勧告で厳正に対処をしています。また、職場復帰後のキャリア形成につきましては、女性の活躍を促進するポジティブアクションの一層の推進を企業に働きかけています。

 これからの経済の成長戦略として女性を位置づけようという中で、今回、日本の再生戦略の中にもこれを柱として入れたいと思っていますし、その中にも盛り込みます女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦と銘打ちまして、このポジティブアクションの取り組みを促進するように、企業を訪問し、これは、本省と各都道府県の労働局雇用均等室から人が行って、三年間で二万一千社を回ろうという目標を立てて、時限を切ってしっかり実効性が上がるような活動をすることなどもいたしまして、ぜひ、ポジティブアクションという中にこうした考え方も入れてもらうように取り組んでいきたいと考えています。

古屋(範)委員 優秀な女性が仕事かあるいは出産かと二者択一を迫られるような社会であってはいけないというふうに思います。子育てもしながら、そして仕事も継続し、キャリアアップもできる、それが本来の姿だろうと思います。

 会社によっては、育児休業中にEラーニング、そういうものも使いながら、常に連携をとる、あるいは教育も続けていくというようなシステムをとっているところもございます。ぜひ、その辺の配慮にも積極的に取り組んでいただきたいと考えております。

 仕事と育児の両立を困難にする要因、これはやはり、子供が病気になったときが非常に大変です。どんな子供でも熱を出しますし風邪を引く、あるいは水ぼうそうとかはしかですとか、そういうものにかかりますので、そういうときにどうするか、これは本当に現実的な問題であります。

 労働者に対する調査では、子供が病気になって、自分が仕事を休んだが五八・九%、子の祖父母等親族に預けた、三四%、配偶者、パートナーが仕事を休んだ、二二・七%、こうした回答が多く、実際には、病児・病後児保育を利用したというのは三・八%なんです。また、ベビーシッター等を利用した、二・〇%と、割合は必ずしも高くありません。

 ですので、女性が働き続けられる環境というのは、それこそ、出産か仕事かを選ばなきゃいけないか、あるいは完璧に祖父母がバックアップをしているという非常に恵まれた環境であるとか、ごくわずかな人しか継続就業ができないということもあります。

 働く人がどうしても仕事を休めない場合の対応として、病児・病後児保育、これは必需であります。さまざまな課題があって、必ずしも順調に伸びていないと思います。政府においてどのような課題があると考えていらっしゃるのか、また、どのようなこれからの対応を考えていらっしゃるのか、お伺いします。

小宮山国務大臣 子育てをしながら働いている、特に母親は、誰しも子供が病気になったときに一番困るという思いは共通だと思います。

 病児・病後児保育につきましては、平成二十二年一月に閣議決定をした子ども・子育てビジョンで、延べ利用児童数を平成二十六年度に二百万人にする目標を設定しています。これについては、利用児童数の変動が大きいという特性がありまして、必要な看護師などの職員を確保することが課題になっています。

 子ども・子育て新システムでは、市町村が、病児・病後児保育も含めて、地域の需要を把握して、計画的に提供体制を確保する仕組みを考えています。

 国としましても、恒久財源を確保しながら、質的な改善と量的な拡充が図られるように、市町村を支援して、病児・病後児保育を拡充することに努めていきたいと思っています。

古屋(範)委員 フローレンスの駒崎さんなんかも、こういう母親を支援したいということで、病児保育、新しいシステムをつくって頑張っていらっしゃいます。ああいうものも非常にすばらしいと私は考えております。

 やはり、母親が安心して働ける、そのために病児・病後児保育というものは非常に重要であります。その人材の確保も含めまして、今後強力に取り組んでいただきたいと思っております。

 るるワーク・ライフ・バランスについてお伺いしてまいりましたけれども、一部の人は、ワーク・ライフ・バランスに取り組むことが企業にとっては負担である、このように考える側面もあるかもしれませんけれども、実は、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の方が業績がよい傾向が見られるという調査結果も出ております。

 育児・介護支援、柔軟な職場環境推進に取り組む企業は、何もしない企業に比べ利益率が二倍以上高い、このような調査結果が出ております。また、人材活用の観点から、積極的なワーク・ライフ・バランス推進の取り組みは、企業の全要素生産性、TFP向上に寄与する、非常にこれが寄与しているという結果が出ております。

 こういうことを考えますと、確かに、目の前の経済、どうコストをカットするか、人員を削減するか、それは非常に逼迫した課題であり、円高も進んでいる。しかし、もう一歩長い目で見ていったときに、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいくということが企業にとっては実はメリットになる、こういう結果が出ております。ぜひ、こういうことが取り組めるような企業の環境整備も、やはり国として取り組まなければいけないのではないか、そのように思います。

 次に、次世代育成支援法についてお伺いをしてまいります。

 改正次世代育成支援対策推進法、昨年四月に施行されまして、それまで労働者三百一人以上の規模の企業が対象であったわけなんですが、一般事業主の行動計画の策定義務が労働者百一人以上の規模に拡大をされました。また、事業主が一般事業主行動計画を策定して、その計画目標を達成するなど一定の基準を満たした場合に、厚生労働大臣が子育てサポート企業、くるみん取得企業として認定を行っています。これまでの関係者の取り組みによって、一般事業主行動計画の届け出率が本年四月現在では九五・九%ということで、認定企業数が千二百三十社に達しております。ここまで参りました。事業主がそれぞれの企業の状況に応じた計画を策定してワーク・ライフ・バランスの取り組みを行う次世代育成支援対策推進法の取り組みは非常に有意義であると考えております。

 一般事業主の行動計画や認定の効果について大臣はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

小宮山国務大臣 平成二十三年の調査によりますと、一般事業主行動計画を実行したことによって何らかの効果があったと答えた企業がおよそ八割になっています。また、人材の定着、社員の意欲や満足度の向上、社会貢献企業としてのイメージの向上などをメリットとして挙げた企業が多く、特にメリットはないと答えた企業を大きく上回っています。さらに、子育てサポート企業として次世代認定マーク、くるみんを取得した効果を見ますと、企業イメージアップが六五・一%で最も高く、次いで、制度の利用促進が四二・七%、全社での取り組みに対する理解促進が四〇・二%になっています。

 このように、一般事業主行動計画を策定し、働き方の見直しですとか子育てと仕事の両立支援に取り組むことによりまして、多様な人材の確保や労働者のモラルの上昇、それによる生産性の向上などにつながるということが期待されると思っています。

古屋(範)委員 次世代法については、平成二十六年度に認定企業数を二千社にするという子ども・子育てビジョンの目標を達成するためには、厚生労働省はさらにどのように今後取り組んでいかれるのでしょうか、これについてお伺いいたします。

小宮山国務大臣 子ども・子育てビジョンの目標の達成に向けましては、一つは、次世代認定マーク、くるみん取得のメリット、また、認定企業の取り組みの好事例などに関する周知、広報、こうしたことに取り組みたいと思っています。特に、平成二十五年四月から、先ほどもおっしゃいましたように、認定申請が可能になる労働者の数、百一人以上三百人以下の企業、これに対しまして、くるみんを取得できるように、平成二十四年度中に積極的に働きかけを行っていきたいと思っています。

古屋(範)委員 次に、子育て支援とともに非常に重要な介護についてお伺いをしてまいります。

 前回の育児・介護休業法の改正では、どちらかといえば仕事と育児の両立支援、こちらの方が中心になっておりました。今後は団塊の世代が、二〇二五年、七十を超えてくるということでありまして、非常に要介護のニーズが増大をするということを考えますと、働く人々にとって、今度は仕事と介護の両立というのが非常に深刻になってまいります。現在でも深刻であります。

 家族の介護とか看護のために仕事をやめざるを得ない、離職、転職をした労働者が五年間で約五十万人、非常に多いということが言えるかと思います。その前の五年間の約四十五万人に比べて増加をしております。仕事と介護の両立支援策が十分であるかについて、今後検討すべき時期に来ていると思っております。

 確かに、介護施設を拡充していくことも重要でしょう。また、在宅介護に関しても拡充をしていく、これも当然のことと思います。しかし、やはり、家族の負担をゼロにするとか抜きにする、あるいは全員が施設に入所ができるということはどうしても不可能かと思います。ですので、仕事をしながら介護ができるようにしていく、これは喫緊の課題だと思っております。

 育児・介護休業法では、仕事と介護の両立のために、介護休業制度が既に設けられております。これらの制度が十分に知られていないのではないかという指摘もあります。これの受けとめについてお伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 育児・介護休業法では、対象家族を介護する労働者に対して、対象家族一人につき九十三日の範囲で介護休業を可能にしています。そのほか、平成二十二年に施行されました改正育児・介護休業法では、新たに、年五日間、対象家族が二名以上である場合には十日間の介護のための休暇の制度化を事業主に義務づけました。

 今後、団塊の世代の高齢化が進む中で、仕事と介護を両立する必要がある労働者、これは、企業で重要な地位を占める四十代、五十代ということになります。常用労働者に占める介護休業取得者の割合は〇・〇六%という非常に低い水準にとどまっていて、必ずしも制度の利用が進んでいません。その背景としては、今委員もおっしゃったように、事業主とか労働者に対する周知が十分でないということもあるかと思います。

 このため、仕事と介護を両立する必要がある労働者に対して、両立を支援する制度についてさらに効果的な周知に取り組むことが重要かと思っています。

古屋(範)委員 先進的な取り組みをしている企業では、フレックスタイム、柔軟な働き方を導入して、介護をしながら働き続けられる体制を既につくっているところもあるようでありますけれども、一旦仕事を離れますと、その後、社会復帰も非常に難しいということがございます。親が亡くなった場合に、生活の糧もなくなってしまう。そういうことを考えますと、これから、介護と仕事の両立ということが非常に重要な課題になってくるかと思います。これに関してもさらに取り組みを推進していただくようお願いし、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古本委員長代理 これにて古屋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 六月一日の当委員会で、安住大臣は、消費税は目的税だ、こういうふうにおっしゃいました。議事録で確認したんですけれども、目的税ですから、お預かりしたお金は、年金、医療、介護と子育てだけなんです、目的税の意味というものをぜひ御理解いただきたいというふうにお答えになったんですね。

 そこで、改めて確認したいんですが、目的税の定義は何でしょうか。

安住国務大臣 いわゆる目的税について明確な定義があるわけではございませんが、従来から、特定の経費に充てることを目的として課される税であって、税法上、その使い道、使途が特定されているものを目的税と整理しております。

佐々木(憲)委員 消費税については、国税分については、一般会計の予算総則で、後期高齢者医療、介護、年金の国庫負担分に充てられる、こういうことが書き込まれているわけです。一般会計予算総則第十九条であります。

 しかし、今言われたように、消費税が税法で目的税というふうに決められているのかどうか、ここを確認したいと思います。

安住国務大臣 今御指摘のように、平成十一年だったと思いますが、そこからは予算総則で記載をされておりますけれども、予算総則記載は毎年の予算書に記載をするということであって、目的税ではございません。

佐々木(憲)委員 そうすると、厳密に目的税という場合に、例えばどんなものがありますか。

安住国務大臣 現在、国で行っています税の中で、いわゆる目的税に該当するというものは、発電施設の設置、利用の促進や電力供給の円滑化等のために課される電源開発促進税がそれに当てはまります。

 なお、地方税では、いろいろ、都道府県、市町村で目的税というものがあります。

佐々木(憲)委員 要するに、消費税は目的税としては扱っていないわけでありまして、消費税が目的税だというふうに税法で書いてあるのを見せていただきたいと思っておりましたが、ないわけですね。

 したがって、この前、安住大臣は、消費税は目的税だ、目的税だ、こういうふうに言っていたんですね。これは間違いであるということは認めますね。

安住国務大臣 いやいや、先生、総則上の今の消費税はそうではなくて、今回五%提案するものに関しては社会目的税化しますということを申し上げたので、そのことでもし誤解があれば、それは。

 今、現時点では、総則と私ははっきり申し上げていると思っておりました。

佐々木(憲)委員 税法上に消費税は目的税というふうに書かれていない。そうすると、消費税は目的税にこれからなるんですか。

安住国務大臣 目的税化いたします。

 ですから、今私が定義を申し上げたのは、いわゆる目的税とは何ぞやということを先生にお話をしましたが、これに当てはめれば、消費税というものは四経費に充たるということになりますので、税法上この使い道を特定しておりますから、これは目的税ということになります。

佐々木(憲)委員 そうしますと、消費税は四経費に充てるということになるわけですね。

 そうすると、四経費は総額幾らで、これを全部消費税で賄ったら、消費税は何%になりますか。

安住国務大臣 急なことでございますが、現時点で、たしか、ちょっと後で間違っていたら訂正いたしますが、三十四兆円ほどですね、四・八かな。これを消費税で充当するといっても、これは全部を全部消費税で充当するということではございません。

佐々木(憲)委員 要するに、目的税化というのは、特定の目的のために、その財源を全てそこに充てる、そういう対応関係があるのが目的税なんですよ。そうでしょう。ところが、四経費に充てるといっても、全額充てるわけじゃないんだ。結局、四経費に全額を充てますと一三%、実際にはそれ以上になると思うんですけれども。こういうやり方というのは、今提案されているのは目的税ではないんですよ。

 目的税というのは、特定の目的の経費を全額ある税金で見る。例えば、先ほども若干紹介がありましたけれども、地方道路税、電源開発促進税、自動車取得税、軽油引取税、こういうものが、対応関係が明確で、そういう形になっているわけであります。

 では、財務省は消費税を福祉目的化と呼んでいますね。目的税にしますというふうには言っていないと思うんですけれども、何で福祉目的化という言い方をしているんですか。

安住国務大臣 ですから、目的税については明確な定義があるわけではないんです。今、先生が言った話は……(佐々木(憲)委員「最初に定義を言ったじゃないですか」と呼ぶ)だから、私が申し上げているのは、再三繰り返しますけれども、特定の経費に充てることを目的として課される税であって、税法上、その使い道が特定されるものを目的税と整理をしているわけです。税法上にこれを明記するということです。

 ですから、その点でいえば、私ども、何ら、そういう意味では、先生に御指摘されるようなことではないのではないかと思っております。

佐々木(憲)委員 それは違いますね。目的税というのは、そういうでたらめなものではないはずなんです。特定の目的のために特定の税金が、対応関係が極めて明確で、そういうものをいうわけでありまして、だから、今まで目的税というふうには言わなかったんだ、福祉目的化というような言い方をしていた。

 したがって、目的税、目的税というふうに言うこと自体がおかしい。最初に安住さんが言った厳密な定義からいっても、そうなっていないじゃないですか。しかも、目的税、目的税と言うと、何か消費税は全部社会保障に充てるんだみたいな、実は違うんだけれども、そういう形で国民に対して増税を押しつける、そのための言い方だ。

 私は、こんな国民をだますようなやり方はやめるべきだというふうに思いますよ。

 次に、医療機関と消費税の問題についてお聞きしたい。

 基本的なことを確認したいんですが、医療費に消費税はかかりますか。

安住国務大臣 いわゆる非課税分野がほとんどでございます。

佐々木(憲)委員 なぜ非課税なのか、理由を説明してください。

安住国務大臣 過去の例からいうと、政策的配慮でございます。

佐々木(憲)委員 どのような政策的配慮ですか。

小宮山国務大臣 社会保険診療は国民に必要な医療を提供するという高度の公共性を持つことから、社会保険診療報酬の消費税は非課税とされています。

佐々木(憲)委員 では、医療機関が物品を購入したり設備投資をしたときに消費税を負担しますね。その消費税は誰が負担するんでしょうか。

小宮山国務大臣 診療報酬で仕入れに要した消費税負担分を措置し、医療機関の負担ができる限り生じないように対応してきています。

佐々木(憲)委員 診療報酬に上乗せするということなんですけれども、医療機関の負担は、この消費税負担分、全額その分が診療報酬に上乗せされているのか。これは、そうなっていないというのが医療関係者の声ですね。

 中でも、病院の増設とか改築、改装、MRIなどの高度医療機器への設備投資、これはもう当然消費税がかかってくるわけですから。額も大変大きい。これは全て診療報酬で補填されていると言えるんですか。

小宮山国務大臣 診療報酬で手当てはしていますが、具体的には、消費税の導入、引き上げに伴う平成元年、平成九年の診療報酬改定で、仕入れに係る消費税負担が大きいと考えられる点数を重点的に引き上げました。それ以外の年度でも、物価、賃金の動向や保険財政の状況に加え、医療経済実態調査により消費税を含めた費用の動向を把握して、医療機関の経営状況等も勘案して全体の改定率を決定しています。

 ですから、お尋ねに対しては、全てということにはなっていません。

佐々木(憲)委員 ですから、消費税が医療機関に大変大きな負担になっているわけであります。

 診療報酬というのは、もともと医療行為に対して対応するものですよね。それもまともに補填されていないということで、今医者の方から大変大きな批判が上がっているわけです。その上に、建物、設備、こういう高額な投資にかかった消費税の負担を手当てする、そういう仕組みにはなっておりません。みずから医療機関が負担せざるを得ない。そのために、日本医師会、保険医協会などの医療関係団体から、多額の損税が発生しているという指摘があると思います。そのとおりですね、大臣。

小宮山国務大臣 医療関係者からは、仕入れの際の消費税のうち、特に高額な設備投資を行った場合の消費税負担に対する手当てが不十分であり、医療機関の持ち出しになっているとの指摘があることは承知をしています。

佐々木(憲)委員 だから、これが大変大きな問題なんですよ。

 実際に医療機関がどれくらい消費税を負担しているか、それに対して診療報酬でどれくらい補填しているか、今年度予算の見積もりを示していただきたいと思います。

小宮山国務大臣 医療機関が医薬品や医療機器等を仕入れる際に支払う消費税分については、満年度ベースで、平成元年には消費税三%の導入に伴うプラス〇・八四%の改定、平成九年には消費税三%から五%への引き上げに伴うプラス〇・七七%の改定を行い、仕入れに係る消費税負担が大きいと考えられる点数を重点的に引き上げることにより、保険医療機関での消費税負担ができる限り生じないように措置をしてきました。

 また、それ以外の年度の改定でも、物価、賃金の動向や保険財政の状況に加え、医療経済実態調査により消費税を含めた費用の動向を把握して、医療機関の経営状況も勘案し、全体の改定率を決定してきています。

 ですから、消費税負担のみに着目をした予算の見積もりということは行っていません。

佐々木(憲)委員 見積もりがないということは、実際にどうなっているのか、消費税についての医療機関の負担、それから、補填がどの程度行われているのか、それを把握していないということなんですけれども、なぜそれをやらないんですか。

小宮山国務大臣 政府としては、これまで、全部ではございませんが、診療報酬で対応しているため、医療機関全体で見ると損税は発生していないという認識なんですが、中医協の検証の場で、過去の対応についてもこれから検証をすることにしています。

 御指摘の、日本医師会の平成二十二年度の推計では、医療機関全体の消費税損税が二千三百三十億円と試算が示されていますが、その試算方法や前提が明らかにはなっていません。

 いずれにしましても、過去の診療報酬での対応も含めまして、中医協の検証の場などで、実態把握も行いつつ、今後の対応を検討していきたいと考えています。

佐々木(憲)委員 対応しているはずだというような答弁ですけれども、先ほど答弁がありましたように、診療報酬では十分補填されていないとみずからおっしゃったじゃないですか。

 その場合に、どの程度消費税が現実に医療機関の負担になっていて、診療報酬でそのうちのどの程度を負担しているのか、これを調査するのは当たり前だと思うんですけれども、今後調査していただきたいと思いますが、いかがですか。

小宮山国務大臣 平成二十三年六月に実施しました、これは抽出調査なんですけれども、医療経済実態調査で、直近の一年間の医業、介護の収支を見ますと、収支の差額の収入に対する割合は、医療法人の一施設当たりの平均で、一般病院はプラス四・八%、一般診療所はプラス五・八%になっています。

 また、医療経済実態調査は、抽出調査で、全国の全ての医療機関の経営状況を把握するものではありませんが、損益率がマイナス、すなわち赤字であった施設の割合は、国公立を除く一般病院がおよそ二八%、医療法人の一般診療所はおよそ三一%でした。

佐々木(憲)委員 ちょっと質問とずれていますね、答弁が。私の次の質問に対する答えが今言われた答弁なんです。

 日本医師会の推計によりますと、全国の医療機関で、実際に消費税の負担は八千億円ぐらいなんですよ。そのうち二千億円程度が損税となっている。先ほど二千三百三十億円と言われましたね。これは、実際には、医療費の二・二%に相当する額の消費税を負担しておりまして、診療報酬による手当ては一・五三%にすぎない、差額の〇・六七%が二千三百三十億円、こういうことになるわけですね。だから、医療機関の持ち出しは大変大きいわけです。二千三百億円といういわば持ち出し、自己負担、そういう形になっているわけであります。これは大変大きいんですよ。

 これだけ医療機関が負担すると、現に、今答弁がありましたように、民間の病院の赤字、診療所の赤字というのは大変なものでありまして、民間病院の場合は二八%で、診療所が三一%の赤字ですね。それだけ赤字経営が広がっている中で、これはもう本当に大変な負担になるわけです。

 日本政策投資銀行の資料によりますと、公的な病院も大変な危機にありまして、自治体病院の経営も厳しい。こういうときに消費税の増税負担がかぶれば病院の経営が成り立たなくなる、こういう悲痛な声が地域の医療機関から上がっております。それが実態じゃありませんか。

小宮山国務大臣 それは、先ほどもお答えしたように、そういう実態があるという声があることは承知をしています。

佐々木(憲)委員 だから、消費税の増税なんというのはこういうときにやっちゃいけないんですよ。

 実際に消費税を増税した場合の医療機関の消費税の負担というのはどのぐらいになるんですか。

小宮山国務大臣 負担がどれくらいになるかということも含めまして、中医協のもとに医療関係者、保険者、有識者などによる検証の場を設置することにしていますので、そこで、その実態も含めて具体的な対応について検証をしていく予定にしています。

佐々木(憲)委員 どうなるかもわからないようなことで増税だけ先行させるというのは、とんでもない話であります。

 消費税負担について、増税した場合、一体どうするつもりなんですか。

小宮山国務大臣 それは、今申し上げました検討の場で、過去の消費税導入、改定時の対応とか経緯を検証すること、医療機関等における消費税課税の状況を把握すること、消費税引き上げに対する診療報酬制度などでの対応ということで、診療報酬の制度の中でどうした対応ができるかを含めて、この検証の場で考えていきたいと思っています。

佐々木(憲)委員 ということは、消費税の増税分、つまり、持ち出し分も含めて全額医療機関には負担をさせない、その面倒を見る、こういうことをやろう、そういうことでよろしいんですね。そういうふうにやるんですね。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 何度も同じ答えで恐縮ですけれども、皆様に集まっていただいた検証の場でそうしたことを検討させていただいて、どれだけ診療報酬の中でカバーできるかということも含めて検討していきたいというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 どれだけ見られるかわからない。全額見ると何で言わないんですか。

 財務大臣、全額見ると言いなさいよ。財務大臣。

小宮山国務大臣 今回の一体改革では、これまで行ってきた措置を、今申し上げたように、検証を行います。そして、医療機関などで行う特に高額の投資の消費税負担に関しましては、新たに一定の基準に該当するものに対して区分して手当てを行うことを検討して、医療機関などの仕入れに係る消費税について、診療報酬などの医療保険制度で手当てをすることにしています。

佐々木(憲)委員 その場合の、一定の基準というのは何なんですか。区分して措置をするというのはどういうことですか。定期的な検討というのはどういうことですか。

小宮山国務大臣 今回の改正に当たりましては、社会保険診療、これは諸外国でも非課税であることや、課税化した場合の患者の自己負担の問題などを踏まえまして、今回、非課税としているわけです。

 そのときに、医療機関などの行う高額の投資に係る消費税負担に関して、新たに一定の基準に該当するものに対して区分して手当てを行う。

 その一定の基準とか区分等をどうするかということにつきましても、この検討会の中で具体的に検討していくことにしています。

佐々木(憲)委員 一定の基準の内容もこれから検討する、区分するということもこれから検討する。何もわからないじゃないですか、それでは。しかも、消費税全額を、持ち出し分を補填するとも言わない。これでは、消費税増税をやって、医療機関を潰すようなものですよ、やっていることは。こういうやり方は、私は到底認められない。

 大体、この増税法案を見ますと、わけのわからぬことをいろいろ書いているわけです、今のような。例えば、

 医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し区分して措置を講ずることを検討し、医療機関等の仕入れに係る消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当をすることとし、医療機関等の消費税の負担について、厚生労働省において定期的に検証を行う場を設けることとするとともに、医療に係る消費税の課税の在り方については、引き続き検討する。

何にもこれは、具体的な中身は入っておりません。

 全額負担すると国は言わない、診療報酬で全額見るとも言わない。それでこんな曖昧なことを書いて、倍に引き上げたら、負担が倍になるじゃありませんか。医療機関はばたばたばたばた潰れていく。そういうことを何でわざわざやらなきゃいけないんですか。消費税増税になると、結局、そういうことになるんじゃありませんか。

安住国務大臣 私も、こういう指摘を受けてから、例えば国立病院なんかでのMRIとかCT、こういうのは大体どれぐらいで購入しているのかということをちょっと調べてもらっております。

 MRIだと、大体四千万から、いいもので一億数千万、CTだと、三千万から大体六千万ぐらいかかりますと。これが建物代等になってくると、新しく病院を建設したりですね。

 多分、先生の御指摘は、そういうのを入れてクオリティーの高い医療を提供しようとすれば、その分、消費税の負担が大きくなると。一方、設備投資をしなければ、それはかからないわけですよ。(佐々木(憲)委員「いや、違うんだよ。国が消費税を全部見ればいいんだよ」と呼ぶ)いや、国がというのは、ちょっと……(佐々木(憲)委員「診療報酬で全部見れば」と呼ぶ)いやいや、まあ、ちょっと話を聞いていただくと……

中野委員長 二人だけでそこでやらないでください。

安住国務大臣 そうですね。

 それで、要するに、厚労省が申し上げているのは、この二回の引き上げの中で、診療報酬でやりますと言ったけれども、今そういう御指摘もあるわけですよ、団体も含めて。大変厳しくて、今の体系の中ではなかなかカバーし切れない部分があると。そういうことだから、厚労省としては、実態調査をもう一回ちゃんとやって、その上で、診療報酬でカバーできるところ等についてもう一回しっかり検討しますということだと私は理解しておりますから、専門家の皆さんの議論にまちたいと思います。

佐々木(憲)委員 実態調査を今までやってこなかったこと自体が問題なんだよ。

 しかも、これからやると言って、では、やって、これだけの負担が医療機関にかかっておりますということが明確になった、例えば二千億円かかっている、これは損税だと。だって、患者に負担させるわけにいかないんですから、非課税ですから。

 そうすると、その二千億円分を全額診療報酬で穴埋めします、調査の上、そうしますというならまだ話は多少はわかるけれども、全額穴埋めすると言えないんでしょう。ちゃんと言ってください。

安住国務大臣 ですから、区分をきちっとして手当てを行うことを検討すると先ほどおっしゃったので……(佐々木(憲)委員「検討だけじゃないか」と呼ぶ)でも、検討するために資料が必要ですから。

 ただ、もっと言えば、先生、例えば個人病院なんかもそうですけれども、全体の、もちろん、五%引き上げに対することに関して言えば、先生の御指摘もありますし、例えば五%が経営の御負担になるというふうなこともあるので、今のままでいいということではないわけです。厚労省もちゃんとそこは、専門家を設けて、言ってみれば、どれぐらいの負荷がかかっているかを調査して、診療報酬でどういうふうなサポートをするかということを考えるということですから、これは前向きだと理解していただいていいのではないかと思います。

 一方で、ほかの業界と違って、私がまたこれを言うと、ちょっと医師会の皆さんはむっとくるかもしれませんが、概算経費率なんかでは、所得税や法人税は、全く、ほかの団体なんかと比べて、お医者様に関しては特例措置をしているわけですから、そういうことも総合的に考えていただきたいというのも一つあります。

佐々木(憲)委員 そういうことを言っても、消費税の増税で持ち出し分が倍になる、それを何とか全部埋めると言えない、それが一番問題なので、何か医者は優遇されているみたいな話を今しようとしたけれども、とんでもない話だ。大体、さっき、病院の赤字がこれだけあると言ったじゃないですか。そういう状況で、さらに負担をふやすような消費税増税なんというのは、私はこれは到底認めることはできません。

 今、医療関係団体は、消費税のゼロ税率化を要望しておりまして、非課税をゼロ税率にすると、負担した消費税分は還付金として戻ってきて、それで帳消しになる。ゼロ税率の導入、これはどういうふうに考えていますか。

安住国務大臣 導入は考えておりません。

佐々木(憲)委員 ですから、私は、この答弁で、すっかり今の政府の姿勢がばればれだと。

 消費税増税して、それで医療機関を潰しても当たり前だというような姿勢は、絶対に我々は認められない。医療の崩壊をみずから招くようなことをやろうなんというのは、とんでもないですよ。そんなことを、何か当たり前に、やって当然だみたいな、その姿勢に根本的な問題がある。

 今、消費税を含む一体改革の法案を採決して、やろうなどという話があるけれども、とんでもない。大体、七十数%の国民は今すぐ採決には反対だと言っているんですよ。賛成なのは十何%ですよ。

 そういうことで、時間が来たからきょうはこのぐらいで終わりますけれども、この次、またじっくりやります。

 以上で終わります。

中野委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、福島公聴会で出された消費税否定等の意見について、まず岡田一体改革担当大臣にお尋ねをしたいと思います。

 一昨日、福島と神戸で地方公聴会が開かれました。私は福島の公聴会に参加させていただきました。一体改革について、被災地で復旧復興を担う方々から貴重な意見を拝聴することができました。

 そこで、公聴会で出されました意見から、二点ほど質問をいたします。

 公聴会では、鈴木白河市長が、震災からの復旧復興、産業と雇用の立て直しが重要であるというふうに指摘をされました。一体改革の先送りがここで要請をされました。次に、福島県商工会連合会の轡田会長からも、中小企業の置かれた実態から消費税増税に疑問を呈し、若い世代への雇用の場の提供を強く求められました。

 総じて、全体的な意見でありますが、被災地福島での公聴会では、震災、原発災害からの復旧復興、そのかなめとなります産業や雇用の立て直しが強調されました。消費税税率を今引き上げることには極めて慎重な意見が多数を占めました。

 この点につきまして岡田大臣はどのように受けとめておられるか、お答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 私は地方公聴会に出ておりませんので、直接お聞きしているわけではございません。ただ、きのうの報告にも少しありましたし、議事録もよく精査したいと思いますが、いろいろな意見が出たというふうに私は認識しております。

 確かに、委員御指摘のように、白河市長あるいは商工会連合会会長からは、消費税引き上げに対する慎重論が出された。しかし、他方で、福島県の商工会議所連合会会長からは、今引き上げなければ日本経済は破綻するという趣旨のことが述べられたと聞いております。それから、連合の事務局長からも、一体改革について、確実に改革をなし遂げるべきだということで、多数が慎重論だったというふうには私は必ずしも認識をしておりません。賛成もあれば反対もあったということではないかと思います。

 私も全国を週末に回っておりまして、被災地という意味では、宮城の仙台に三月三十一日に参りました。そして、福島のいわき市に四月二十一日に参りました。直接百人から二百人ぐらいの方の御意見を聞きましたが、そしてアンケート結果も読んでおりますけれども、被災地としての厳しさを述べられる意見は確かにあります。しかし、ほかの地域と比べて格段に一体改革について慎重論が多いかというと、必ずしもそうではない。

 大体、消費税の引き上げについて賛成と言われる方が、私のとったこの宮城、福島では、宮城では四一%、福島では三一%。それから、一定の条件をつけた上での賛成ということになりますと、宮城では八〇%、福島では七九%ということで、一定の条件というのは、こういうことをちゃんとやってください、そういう上で賛成ということですね。ということなので、これはほかの地域と顕著な差があるわけではございません。私もちょっとそこは意外な感じはしたわけですけれども、宮城などは、知事は、消費税をぜひ引き上げるべきだということを、私と会った直後、メディアに対して述べられました。

 ですから、いろいろな意見があるんだろうというふうに思います。被災地の非常に厳しい状況は十分認識して、そのための対策は万全の対策を講じていかなければなりませんが、この社会保障・税一体改革ということに関して言えば、必ずしも、被災地だから特に厳しい反応があったということではないのではないかと受けとめております。

中島(隆)委員 今の報告をどういうふうに受けられたかわかりませんが、私、議事録を全部紹介してもいいんですが、もう一度、追加で意見を報告させていただきたいと思います。

 これは白河市長のお話ですけれども、社会保障は必要だが、この時点で消費税を引き上げるべきではない、まずデフレ脱却が必要だ、そして、今福島は大震災の復旧復興、成長戦略を具体的に進めてほしい、雇用も完全に失われている、消費税だけではなくて税のあり方を見直してくれ、こういう強い意見が出ています。

 それからもう一つ、商工会、中小企業の代表の方ですが、中小企業は大変な厳しい状況だ、なぜ今消費税か。それと、中小企業は、今、日本の経済の九割を支えている、しかし、もう消費税も払えない状況だ、それで今度は一〇%になったら、もうお客さんも来てもらえない、こういう意見もございました。厚生年金も雇用保険も負担できない、こういう状況で消費税を上げてもらったら、もう絶対反対だと。悲痛な訴えですよ。

 こういう地域の意見が出ていたわけですね。ですから、大臣、こういう意見をじっくり受けとめていただいて、やはりそういう中で慎重に考えていただきたい。そのために公聴会があるし、また今度も中央公聴会があるわけであります。

 そういう認識について今報告が、パーセントも出されましたけれども、今回、八名、出された意見の中で、今言われた商工会議所の会長さん等からはやはり経済的な立場での意見がありました。しかし、残りのほとんどは、大変な状況だ、今は引き上げるべきではないという強い意見であったということを申し上げておきたいと思います。さらに、そういう厳しい意見を踏まえながら、慎重に対応していただきたいと思います。

 そこで、社民党は、この公聴会に南相馬市の総合病院の院長さんをお招きしました。南相馬市では、七万の人口です、それが原発事故がありまして一万人になった、今現在四万五千になった、常勤の医者も十二人のうち四人に減ったと。

 そして、先ほどちょっと共産党の佐々木さんからありましたが、低線被曝でホール・ボディー・カウンター、これは一台五千万するそうです。二台そろえているんですね。今から長期にわたって健康診断をしなきゃならない。しかし、これは財源的な負担もない、しかも、今回は、消費税が変わったら、もう病院の運営はできない、こういう悲痛な訴えがされておりました。

 こういう問題について、厚生労働大臣、ちょっとお考えをお尋ねしたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったホール・ボディー・カウンターの金額というのは、購入したことに対して何の補助もないというお話だったんでしょうか。(中島(隆)委員「いえ、健康診断」と呼ぶ)健康診断は、今の医療保険制度では対象にはなっていません。

 ただ、健康調査を目的としたホール・ボディー・カウンターによる測定については、平成二十三年度の二次補正予算で原子力被災者・子ども健康基金を積んでいますので、ここからこの検診の費用は出るという形になっています。

 それから、医療機関の消費税の負担の問題も後半お話があったかと思うんですが、これについては、先ほど共産党の委員にもお答えをしたところですけれども、今後、中医協の中に検証の場、そこには医療関係者ですとか専門家にも入っていただいて、そこで検証をして、どのように対応するかを検討したい。この検証の場を設けることについては、医療関係者の皆様からも一定の御評価をいただいているというふうに考えています。

中島(隆)委員 これは、病院長さん、大変苦しい中で原発の被災者の健康診断をされています。医者が少ない中でなされていますし、医者の派遣も国にぜひしてほしい、こういう強い要望がありました。

 今回、我々も消費税反対でありますが、本当に、消費税を引き上げたら病院も成り立っていかない、こういう厳しい状況であったということも受けとめていただきたいと思います。

 それでは、次に、デフレ不況下において、増税前に所得や雇用環境を改善し、安定的に税や保険料を負担できるような、そういう環境をまず行うべきだとこれまで指摘をしてきました。

 そこで、関連して何点か質問したいと思います。

 前回、私が質問に立ちました六月一日、本委員会で、消費税で逆進性対策を講ずるのであれば、所得の再配分機能を発揮しやすい所得税の抜本改革こそ必要ではないか、こういうふうに質問をいたしました。その際、安住大臣の答弁の一部に、日本の場合、所得税の納税者のうち八四%が税率一〇%以下の適用となっている、こういう指摘がございました。確かに、平成二十三年度予算ベースで見ますと、納税者数四千八百四十八万人、このうち四千八十二万人、税の五%から一〇%というラインの課税所得三百三十万以下の方が納めております。

 そこで、安住大臣、納税者の八割以上が税率区分でいう最低の一〇%以下になっている、その原因についてお考えを述べていただきたいと思います。

安住国務大臣 現実の数字を出していただきまして、感謝を申し上げます。まさにファクトとしてはそのとおりでございます。

 そして、その原因は何かということでございますが、税率が下がっているということについては、これは税制改正等がありました。所得税減税が平成元年にもありましたし、七年にも所得税の先行減税、こうしたことから累進性を緩和してきたことがあると思います。

 例えば、夫婦子二人の給与所得者の場合、所得税の適用税率がおおむね一〇%以下となる給与収入は、昭和六十一年の段階では三百十五万以下でありましたけれども、現行では七百八十四万円以下となっておりますので、そういう点では、やはりターゲットが大幅にふえているということも一つあると思います。

 もう一つは、やはり、これは産業構造の変化や雇用関係が影響しているということが私はあると思いますけれども、所得水準が落ちてきた。と同時に、全体的に収入の低い方向へ所得の比率がシフトをしているということは事実でございます。そうした背景には、雇用者に占める非正規労働者の割合なんかがふえていることもやはり考えられるのではないか。

 そうしたことが相まって、いわば一〇%以下の納税者が全体の八割を超えているのではないかと考えております。

中島(隆)委員 所得の水準が下がってきたということでありますが、ちょっと数字から申し上げたいと思います。

 一九八九年、これは平成元年であります、GDPの推移が、四百兆円あったんですね。このときの税収が六十兆円。ところが、二〇一二年、今年度ですが、五百兆円近くにGDPが上がりました。百兆円上がっているんですね。税収は四十二兆円ですよ。十八兆円も税収が下がっているんですね。ということは、先ほど言った、所得が下がっているということですけれども、この数字を見ても、やはり所得の再配分、利益を上げる企業が、働く人たちへの所得配分、これが非常に少なくなっている、そういうことが低所得者の原因だというふうに思っております。

 ですから、そういう面では、やはり、その所得の配分がおくれている理由は、大企業が収益を上げ過ぎている、そしてそれを配分していない。しかも、最近では、賃金コストを下げるために非正規労働者に重点を置く、こういう状況があります。企業の内部留保は二百六十六兆円もある。

 だから、こういう不公平な税源配分がやはりそういう低所得者を生んでいるというふうに思っているんです。そういうふうに感じるわけですけれども、その点をお伺いします。

安住国務大臣 二〇〇〇年以降、不良債権を処理した後に、やはり賃金コストの削減がそのまま競争力を強化するというふうな風潮があって、私は企業の経営をしたことがありませんからわかりませんが、企業収益の改善は見られましたが、それに伴って規制緩和をしたことによって非正規労働者等の割合がふえてきて、そこが低所得になっているという指摘は、ある意味で説得力のあるものの一つだと思っております。

 私どもとしましては、企業に対して、また経団連に対しても、内部留保をしておりますけれども、これは企業なりの大変な努力をしております。やはり不良債権の処理をした後に企業倒産できないわけですから、ある程度収益を確保した中で、次に、雇用をふやし、設備投資をしていただく、これをやることによってまたデフレを脱却していくわけですね。

 ですから、そういう点では、企業経営者に対して、今先生からの御指摘にあったような、より多くの人を採用して、もうけたらぜひお給料を上げていただいて、日本のそれぞれの地方には大変いい人材がたくさんおられます、熊本でも私の方でも北海道でも、日本全国、本当に優秀な人材がいますから、できれば、そういうところに企業誘致していただいて雇用の場というものをつくってほしいということは再三要請しております。

中島(隆)委員 低所得の要因は、やはり不安定な非正規の労働者とか、あるいは有期雇用労働が増大をしている、ここが大きな問題だと私は思っております。

 そこで、時間がありませんので、厚生労働大臣にお尋ねしたいんです。

 労働契約法改正法案、今回出ていますが、これは厚生労働委員会で質問されるわけでありますが、雇用と所得の関係がありますので、お許しをいただいて質問させていただきたいと思います。

 総務省の労働調査では、ことしの一月から三月まで、平均値で非正規労働者が千八百五万人になっているんですね。全体の三五%です。その中で、約七割、千二百万人が有期契約者です。労働者全体の五人に一人が有期契約です。ですから、正社員に比べまして賃金も低いし、あるいは正社員になれずに有期契約で働く、そういう人たちがたくさんいるわけですね。

 今回の改正案では、通算で五年以上同じ事業所に有期で働ければ無期雇用契約を申し出ることができる、こういうふうになっているんです。しかし、労働基準法では三年になっているんですが、五年を超えずに雇いどめをしたりとか、あるいはクーリング、休業する期間が六カ月あれば有期契約が切れるわけですから、再度雇用となるんですが、こういう法案についてどういうふうなことを考えられているんですか。

小宮山国務大臣 委員おっしゃるように、これから厚生労働委員会で審議をする法案ではございますが、お尋ねの点ですが、通算契約期間が五年時点の雇いどめ、これをできるだけ抑制しながら、より安定的な雇用形態として無期労働契約に転換させていくこと、これが望ましいと考えています。

 このため、今回の法律案では、判例法理であります雇いどめ法理の法制化を盛り込んでいます。これによって、五年の時点でも雇いどめが無条件で認められるわけではない、これを法文上も明らかにしています。

 さらに、五年到達時に雇いどめされずに無期労働契約への転換が円滑に行われますように、一つは、有期契約労働者や無期転換後の労働者のステップアップに取り組む事業主に支援をするということ、また、業種ごとの実情に応じた無期転換のモデル事例の開発、収集と周知、広報、こうしたことで必要な政策対応、これをやっていきたいというふうに考えています。

中島(隆)委員 五年を超えないという法的なあれはあるんですが、先ほど言いました、六カ月のクーリング問題、あるいは五年以内で繰り返す、こういうことで非常に契約が、もう五回も十回もやって、十年、二十年非正規で、契約で勤められる、こういうことが多いんですね。ですから、そういうのを改善するのが今度の法案だと思いますが、これは厚生労働委員会の方で審議させていただきます。

 時間が参りましたので、この消費税、先ほど地方公聴会の意見がありましたように、今やるべきではない、それよりも雇用と景気対策だ、こういうことで我が党は考えておりますので、その点を申し上げて、私の質問を終わります。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。

 本委員会、二回目の質問になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭にお伺いをしたいと思います。

 けさの朝日新聞の世論調査の結果をごらんになりましたでしょうか。野田総理がこだわっております本国会での消費増税案の採決につきまして、本国会で成立すべきだというのが一七%、成立にこだわるべきではないというのが七二%だということでございます。また、法案に賛成する方の中でも、本国会で成立すべきだというのが四八%、そうではない、こだわるべきじゃないというのが四四%ということでございました。

 それについて、そのアンケートを受けて今どんなお考えか、お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 私は、アンケートの数字は一喜一憂しないという方針であります。ただ、今回見まして、どういうことで聞かれたかという、これは聞き方によっても随分違うわけであります。メディアの報道は、会期中といいますか、この国会ではなかなか難しいんじゃないかという報道が随分されていますから、そういう中で出てきた答えかなと。できるものなら、それは各党でしっかりと合意をして、そしてまとめてもらいたい、そういう声はもっと強い希望としてある、地方を回っておりまして、私はそういうふうに考えております。

石田(三)委員 いろいろこう私ども見ておりまして、内閣、閣内に入ってしまうと、そういった世論というのはなかなか伝わりづらいのかなというのを印象として持つわけで、今首を振っておられましたけれども、そんな印象を私たちが持っているということであります。大臣、アンケートは余り気にしないよということでしたが、そういった国民の声もあるということをぜひお含みおきいただきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきますが、先日、小宮山大臣に、子ども・子育て新システムを導入する理由はということでお尋ねをいたしました。その中で、大臣、就学前の全ての子供に質のいい学校教育を与えるというふうなお話をされたんですが、質のいい学校教育の質について、少し具体的にお話をいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 全ての就学前の子供たちに質のいい学校教育、保育をということを言っているんですけれども、幼児期の教育というのは、言うまでもなく、人格を形成する上でも非常に重要でございますので、これは全ての幼い子供たちに、その成長のために必要な良好な環境を整えることが求められると思っています。そういう意味で、親の働き方にかかわらず、就学前の学校教育を受ける機会を保障したいと思っています。

 お尋ねの総合こども園の教育の質を確保するという観点からは、幼稚園と同様に、小学校教育との連携、接続が必要であることを明確にして、学校教育を行うものとして位置づけるということ、また、教育内容については、幼稚園と同様の教育の目標のもとで、幼稚園教育要領と同様に、園としての基準、総合こども園保育要領、仮称ですけれども、これを設けるということ、また、配置する職員とその人数や施設の面積などの設置基準については、幼稚園及び保育所の基準をあわせ持つ基準とすること、また、学校教育の理念や教育内容、特徴などの情報開示ですとか、教育内容の改善のための自己評価を義務づけること、こうしたことを通じまして、幼児教育の質の確保、向上を図りたいというふうに思っています。

石田(三)委員 ありがとうございました。

 私は幼児教育に多少思いがございまして、ちっちゃなときに非常に感性、三つ子の魂百までといいますから、そのときにどういった体験をするのかということがあると思うんです。その中で、ちっちゃいうちから、小学校教育というか、いわゆる勉強をしていくということも一つあると思います。もう一つは自然体験、そういったものをしっかり進めていくべきだなというのが基本的に私が思っているところであります。

 ちなみに、たしかきのうの篠原先生が、多分、長野で自分が過ごされたときのことをお話をして、幼稚園に行かなかったけれどもこんな立派な先生になったというお話をしておりました。

 私は、そういったちっちゃなときの体験が非常に感性を磨いて、そういったことを進めるということが、実際、数字の中に、いわゆる幼児期に自然体験を取り入れたそういった教育を受けた子供たちというのは、自然体験をしてこなかった子供と卒園後に比べますと、運動能力ですとか体力ですとか、また自然への理解ですとか、あるいは望ましい生活習慣が身についているということがあるわけであります。

 そういったことをぜひ総合こども園の中では取り入れてほしいというふうに思いますが、その辺について御意見を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃいますように、幼いころに自然と触れ合う中でいろいろな事柄に興味や関心を持つということは大変重要だと思っています。自然に直接触れる体験を通して、豊かな感情ですとか好奇心、思考力、表現力、こうした基礎が培われると思います。

 こうした活動は幼稚園教育要領や保育所保育指針でも重視をされていまして、今回、総合こども園保育要領でも同様の内容を定めることになると考えています。

 したがいまして、総合こども園でも、幼稚園や保育所と同じように、身近な自然や動植物との触れ合いなど、自然体験活動が取り入れられることになると考えています。

石田(三)委員 ありがとうございます。

 これは、子供たちが自分から望んで体験をできないわけであります。保護者がそれだけの認識を持つ、あるいは保育園なりがそういう認識を持つということが大事なわけであります。また、それを実際に進めていくには、保育士さんがそういう認識を持つということでございますので、保育士の養成とかその辺で、しっかりそういったカリキュラムを取り入れていただいて、そういった保育士さんをいっぱいつくっていただくということが大切だなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 それでは次に、高額医療費の見直しについてお伺いをしたいと思うんですが、現在の高額療養費の区分について御説明をお願いしたいと思います。

小宮山国務大臣 高額療養費の一般所得の区分は、夫婦子一人の場合、年収でおよそ二百十万円からおよそ七百九十万円の人が該当いたします。

石田(三)委員 いわゆる一般所得の区分の部分のことだと思いますが、これは非常に幅が広い。

 今おっしゃられたのは、二百万から大体八百万までの間が八万円の自己負担ということでございますので、これは大変幅が広いように思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今、がんを初めさまざまな医療が高度化をいたしまして、また長期に高額療養費の負担ということが出てきている中で、今のように、やはり幅が広いという認識は私も持っています。

石田(三)委員 社会保障改革の医療、介護の分野の医療・介護保険制度の改革の中で、高額医療費の見直しと給付の重点化がうたわれております。今後の改善の見通しについてお伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 高額療養費の改善に必要な財源、これは保険料か公費負担か患者負担かのいずれかで確保しなければなりません。

 高額療養費の改善については、一般区分のうち、例えば年収三百万円以下の人の負担上限額の引き下げなど、制度の改善とその財源について検討をしてきました。ただ、厳しい経済状況の中で、保険料の引き上げを行うことですとか、財源として受診時定額の患者負担を導入すること、いずれも関係者の理解が残念ながら得られませんでした。

 また、そうはいうものの高額療養費の見直しというのは重要な課題ですので、一体改革大綱に基づいて、まずは所要の財源を確保した上で、年収三百万円以下程度の所得が低い人に特に配慮をしながら、年間での負担上限などの導入を目指したいというふうに思っています。

 その上で、抜本的な見直しに向けまして、高額医療費を保険者が共同で支え合う仕組みや給付の重点化を通じまして、高額療養費の改善に必要な財源とその方策を検討していきたいと思います。

石田(三)委員 平成二十二年度ですけれども、年収五百万未満の方が五六・三%、百万から四百万未満というのは三九%いらっしゃるんですね。

 その中で、今、三百万円を配慮していきましょうというお話だったんですが、例えば、年間二百四十万、簡単にいえば月二十万ですが、それの八万円の負担というのは大体四〇%になるんですね。七百二十万、これは月六十万ですが、それだと一三%。この差というのは非常に大きいなというふうに思いますので、これは年収ごとにある程度の区分をつくってやるべきだというふうに思いますので、ぜひその辺の御配慮をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 さて、それでは消費税についてお伺いをしたいと思います。

 野田総理はよく、消費税は風邪を引いている経済情勢ではやらないというふうに述べておられます。風邪を引いていない状況というのは、現在の株価の低迷ですとか、円高、デフレ、あるいはドル安、ユーロ安のこういう状況下では、風邪を引いているというふうなことは言わないのでしょうか。財務大臣にお伺いします。

安住国務大臣 経済状況について、いろいろな考え方があると思います。大変な経済状況の悪化で税を上げたときにどうなるかは、政治が一番わかっているわけですから、そこに細心の注意を払うためにある意味で附則をきちっと設けて、一の条項ではデフレ脱却を訴えて、そこには数字ですね、三%、二%を目指しますと。それで、次の段階では、やはり総合的なデータを勘案してということだと思うんですね。

 そういうことを、総理の御懸念もあり、細心の注意を払うために、自動的に景気がどうあろうと消費税をとにかくやみくもに上げますじゃないんです。だからああいう附則を盛り込んだということは、まず御理解いただきたいと思います。

 その上で、私どもの考え方というのは、さまざまな経済指標というものを考えないといけないと思うんです。経済をどう見るかというのは、やはり一つの物差しだけではない部分があると思うんですね。

 例えば、過去の例を見ても、このデフレは続いてきたわけですけれども、二〇〇五年、六年、七年は、例えば求人倍率も非常に高くて、失業率も大変低くて四%台前半でした。税収も五十一兆までピーク時ふえておりますし、あのころ私も、個人的なことでいうと、自分のところに、議員会館に来ていた学生さんは、ほとんどもう、売り手市場といいますか、自分の望んだ企業に就職できていたようなのが六年、七年でありました。これは非常に好況だったわけです。それはデータでも示しておりますから。しかし、緩やかなデフレの状態であったんですね。こういうときには、では税を上げられるのかどうかという議論はやはり出てくると思うんです。

 ですから、一概に一つのデータに頼るのではなくて、全体の指標の中で判断をいたしますが、例えば現時点で申し上げれば、私は、一―三期の今回のこの数字を見ても、復興の関係の公共投資とかがあって堅調に推移をしておりますし、消費もそういう点では順調に上がってきておりますので、これは緩やかな回復傾向にあるのではないかというふうに思っております。

 もちろん、昨日もG7の緊急電話会議等もありましたので、欧州における債務危機問題等下振れのリスクはあるにしても、私としては、何とかこのデフレを脱却して、そうした消費税の御負担というのをできるだけ負荷がかからないような状況に経済を持っていって、あわせて社会保障の安定のための財源の確保をしたいというふうに思っております。

石田(三)委員 デフレを脱却して消費税を上げるということでよろしいんでしょうかね。

 それから、政府の答弁では、財政再建をしなければ金利が上がり、経済に大変な影響を及ぼすという言い方をされますけれども、デフレ下に消費税を上げるというのは大変な影響があると私は思うんですが、その根拠を御説明願いたいと思います。

安住国務大臣 消費税の問題をちょっと除いて、デフレ状態が長期間にわたって続いているというのは、今までの日本だけではなく世界の経済の状況から見ても、これは極めて深刻である。ですから、これを解消しなければならないということは論をまたないと思います。

 ですから、この法律の十八条の第一項において、先ほども申し上げましたけれども、二十三年度から三十二年度までの十年間の平均において名目成長率三%、実質二%の経済成長を目指すという政策努力の目標を示しているわけであります。こうしたデフレ脱却や経済活性化に向けて、望ましい経済成長のあり方に早期に近づけるために総合的な施策を実施しましょうということですね。

 それで、その上に立って、この第二項において、さまざまな経済状況を勘案して引き上げるということなんですが、一体改革は、全額、社会保障財源として国民に還元すると私は何度もここで申し上げております。ですから、お預かりしたものはそのまま、年金、医療、介護、子育て、少子化対策ということになると思います。

 ですから、そういう点では、安定財源を確保して、これがあわせて財政の健全化につながっていきますから、そういう意味では、将来の不安を取り除いて、ある意味で人々に対して安心感を与えることは、マインドも変わっていきますから、それは消費や経済活動に対して、ある意味でポジティブな影響を与える可能性もあります。

 さらに、これをこのまま放置してさらに財政が悪化して、財政が悪化すれば当然金利は上がりますから、すると、我々の、政府の資金も大変持ち出しが多くなりますけれども、企業の資金調達や設備投資も圧迫されますから、私は、実体経済に大変大きな影響を与えると思っております。

 ですから、そういう点では、財政再建をやらないときのリスクの大きさというものもぜひ御勘案いただければというふうに私は思っております。

石田(三)委員 今、多少経済が上向いたよというのは、私は、復興に対して今予算が投じられておりますので、復興景気というのが今はあるんだろうと。

 安住大臣にお伺いしたいんですが、消費税がアップする、私のイメージで、ぜひイメージをさせていただきたいんですけれども、消費税がアップする二〇一五年の十月以降、例えばその半年後あたりの国民生活というのは、どういうイメージなんでしょうか。(安住国務大臣「二〇一五年」と呼ぶ)ええ。だから、消費税が一〇%になって、その半年後ぐらいですね。

安住国務大臣 仮に法案が成立しまして、二〇一五年の十月に一〇%になって、その半年後ぐらいに国民の暮らしはどうなっているかということでございますが、物を買うときに多分一〇%の税金を払っていただくことになると思います。(発言する者あり)はい。

 これは、もちろん、可処分所得の分でいえば、多少その分落ちることはあるかもしれませんが、財政再建と社会保障の安定化ということからいうと、将来不安の一部を取り除く可能性もありますから、過剰に貯蓄をしている人がそれを消費に使ってくれて、それでたくさん物が売れる可能性も出てくる可能性はある。(発言する者あり)そこまでは言い過ぎだということでございますが。

 ですから、これは難しいのは、あえて言いますと、個人の暮らしがどうなるかという御質問だから、私は今こういう御答弁をしているのであって……(石田(三)委員「まあ一般の方は、済みません」と呼ぶ)済みません。

石田(三)委員 多分これは、一〇%になったときに自分たちの暮らしはどうなるんだろうかというのが、国民の皆さんの心配というか、そういったものがやはりイメージされて、一〇%になっても、みんなきずなで、みんながそれでいいんだという感覚で、多少の負担はオーケーだよというのがあるのか、やはり、これは大変だなと。(安住国務大臣「はい、わかりました」と呼ぶ)そういうことです。

安住国務大臣 いや、もちろん、先生、社会全体にとってプラスのこともたくさんあると私は思います。

 社会保障の財源を確保すると同時に、このことが世界に対して、日本が結果的には、社会保障の充実のための財源、またこれまでの足らず前を将来のツケ回しで使っていた分を、これに充てるだけの税収を確保したということですから、世界に対しては明るいメッセージ、財政再建に向けてもあると思います。

 それから、今先生から御指摘ありましたけれども、私は、日本の社会の、いわゆる御党の名前ですけれども、きずなの社会というのは、別にそれで崩壊するとは全く思っておりません。年金、医療、介護の充実と、それから子育て支援のためにこのお金は全て回っていきますから、そういう意味で、この税金によって恩恵を受ける方もたくさんおられるということを私は実感していただかなければならないと思っています。

 ですから、ここの場でもいつもお話しさせていただいておりますけれども、払うたびに、これは年金に行くんだな、これはおばあちゃんの年金に行くんだな、お父さんの介護に行くんだな、これは自分の子供の例えば子育てに回るんだな、こういうことを実感していただきながら消費税を払っていただくことを納得していただくように私は努力をしたいと思っております。

石田(三)委員 ちょっと私のイメージとはかなり違うなというふうに思います。多分、国民の皆さんも、もっともっと負担を背負っていくというふうに思っていると思います。

 最後に、軽減税率についてお伺いをしたいと思います。

 人間が生きていく上では食料品というのは必ず必要なわけで、非常にお金持ちであろうと貧乏人であろうと、食料品は必ず買うわけでございます。それに全て同じように消費税がかかるわけでございますが、世界の中では、イギリスあるいはアイルランド、これに関しては食料品を非課税としておりますし、また低減税率をとっているところもあります。

 いろいろ今までずっと質問が出てきたと思うんですが、食料品に関して税をかけないということはありますか、考えられますか。

五十嵐副大臣 薄く広く皆さんに負担をしていただくというのが消費税の性格で、またいいところでもありますから、これは非課税はなるべくつくらない、原則としてつくらないという方向にヨーロッパも動いておりますし、また、軽減税率等を使った場合には、富裕層もより比例的に大きな恩恵をこうむるということなので、効率が悪くなって、より税率を高くしなければいけないということもございますので、インボイスを入れていない今の段階では、同一の税率でやらなければならない、こう思っています。

石田(三)委員 低所得者からも消費税で取って、いわゆる給付つき税額控除で対応していくんだということだろうというふうに思うんですが、税制というのはなかなかわかりづらい。だから、食料品については取らない、そういった方が私は非常にわかりやすいなというふうに思うので、簡単にしていただければありがたいなと思います。

 では、最後にもう一つ、済みません。最後に小宮山大臣に伺いたいと思うんですが、昨日、民主党の原発事故収束対策プロジェクトチーム座長の荒井聰議員が、大飯原発再稼働に慎重な判断を求める署名を提出したと報じられています。この署名には鳩山元総理ですとか小沢元代表の名前もあり、総勢百十七名が名を連ねているということでありますけれども、与党内に三けたの慎重意見があることについて、大臣はどのように受けとめられているのか。また、近く関係閣僚会議を開いて再稼働を決断するとも報じられていますけれども、小宮山大臣は国民の健康をしっかり守っていくという立場にあると思うんですが、そういった立場の中で、再稼働を容認されるのか、率直な考えをお聞きしたいと思います。

中野委員長 最後の答弁をお願いします。小宮山大臣。

小宮山国務大臣 再稼働については、私は所管外でございまして、所管の担当大臣がきちんと判断をされると思っています。

中野委員長 それでは、恐縮です、時間が参りました。

石田(三)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明七日木曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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