衆議院

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第2号 平成26年4月3日(木曜日)

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平成二十六年四月三日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 森  英介君

   理事 塩崎 恭久君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 山際大志郎君 理事 中川 正春君

   理事 足立 康史君 理事 江田 康幸君

      青山 周平君   うえの賢一郎君

      大串 正樹君    大島 理森君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      菅野さちこ君    北村 茂男君

      佐々木 紀君    齋藤  健君

      白石  徹君    新谷 正義君

      高橋ひなこ君    中村 裕之君

      丹羽 秀樹君    額賀福志郎君

      細田 健一君    細田 博之君

      宮内 秀樹君    宮澤 博行君

      簗  和生君    渡辺 孝一君

      荒井  聰君    生方 幸夫君

      辻元 清美君    馬淵 澄夫君

      小熊 慎司君    木下 智彦君

      西田  譲君    斉藤 鉄夫君

      中野 洋昌君    山内 康一君

      椎名  毅君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   内閣府副大臣       井上 信治君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長)

   (原子力規制庁放射線防護対策部長)        黒木 慶英君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     伊藤  仁君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 広瀬 行成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡   浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 日下部 聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           森   清君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  杉本かずみ君     山内 康一君

四月三日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    大串 正樹君

  菅家 一郎君     青山 周平君

  新谷 正義君     宮内 秀樹君

  丹羽 秀樹君     高橋ひなこ君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     菅家 一郎君

  大串 正樹君     うえの賢一郎君

  高橋ひなこ君     丹羽 秀樹君

  宮内 秀樹君     新谷 正義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

森委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。田中原子力規制委員会委員長。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の田中俊一でございます。

 衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の活動状況について御説明申し上げます。

 原子力規制委員会は、原子力利用に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすべく、さまざまな政策課題に取り組んでおります。

 その第一は、東京電力福島第一原子力発電所の安全確保です。

 改正原子炉等規制法に基づき、事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の安全を確保するため、東京電力が策定した特定原子力施設に係る実施計画を昨年八月に認可しました。今後は、事故を起こした原子炉の速やかな廃止措置により放射線リスクを低減するため、実施計画に即した適切な対応が行われているかをしっかりと監視し、安全を確保してまいります。

 また、早期かつ安全な廃炉や汚染水対策の実施に向けて、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議などにおいて、規制当局として技術的助言を積極的に行ってまいります。

 さらに、事故に関連しては、関係省庁や自治体等の協力のもと、昨年十一月に、線量水準に応じたきめ細かな防護措置として、避難住民の帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方を取りまとめました。このほか、関係省庁や自治体等と連携し、陸域、海域における放射線モニタリングを継続して実施するとともに、事故原因の究明についても、引き続き分析、検討を進めてまいります。

 第二は、改正原子炉等規制法に基づく、原子力施設の新しい規制基準への適合性審査です。

 原子力規制委員会では、シビアアクシデントを二度と起こさないという観点から、地震、津波に耐える性能の強化や重大事故対策を盛り込んだ新しい規制基準を制定しました。この新規制基準への適合性審査については、発電用原子炉については八つの電気事業者から十七基の発電用原子炉に係る申請が、核燃料施設等については五つの事業者から八つの施設に係る申請がこれまでに出されており、順次審査を進めております。このうち、発電用原子炉については、まずは九州電力川内原子力発電所一号機、二号機に係る審査書案の作成準備等を進めることとしており、今後も、新規制基準に基づく適合性審査や検査について、厳格かつ適切に取り組んでまいります。

 第三は、原子力防災対策の充実強化です。

 原子力規制委員会では、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力災害対策重点区域の拡大や防護措置実施の判断基準の設定などを盛り込んだ原子力災害対策指針を策定するとともに、その内容を随時見直しております。また、具体的な防災対策においては、各自治体が地域の実情に応じた防災計画や避難計画を策定することが重要であり、内閣総理大臣を議長とする原子力防災会議を中心に、関係府省庁を挙げて自治体の計画策定を支援しております。原子力規制委員会としても、地域防災計画や避難計画等の充実に向けて、技術的、専門的事項に関する支援を進めてまいります。

 第四は、国際的な連携の強化です。

 核物質や原子力施設に対するテロなどの脅威に対しては、各国が連携して対応する必要があります。このため、平成十七年に国際原子力機関、IAEAの主催する締約国会議において採択された核物質の防護に関する条約の改正について、我が国も締結し、その適確な実施を確保するため、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案を今通常国会に提出しております。また、先月、オランダのハーグで開催された核セキュリティーサミットでは、核セキュリティーの強化などを内容とするハーグ・コミュニケが採択されたところであり、今後も国際的な連携を図ってまいります。

 さらに、各国の原子力規制機関との間で情報交換を進めていくほか、IAEAによる総合的規制評価サービスの受け入れに向けた準備を進めるなど、国際機関との連携についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 第五は、原子力規制行政のさらなる体制の強化です。

 昨年の臨時国会において成立した独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律に基づき、三月一日に原子力安全基盤機構を原子力規制委員会に統合しました。今後も、職員の専門性の向上や体制の整備に不断に取り組み、原子力規制委員会の機能強化を進めてまいります。

 以上、原子力規制委員会の活動状況について御説明いたしました。

 我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。原子力規制委員会では、与えられた職責を踏まえ、真の安全文化を構築し、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

森委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

森委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長黒木慶英君、復興庁統括官伊藤仁君、外務省大臣官房審議官広瀬行成君、外務省大臣官房審議官岡浩君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、経済産業省大臣官房長日下部聡君、経済産業省大臣官房審議官森清君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君、原子力規制庁次長森本英香君、原子力規制庁長官官房審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君及び原子力規制庁放射線防護対策部長黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白石徹君。

白石委員 自由民主党の白石徹でございます。

 現在、我が国には、商用原子炉が四十八基あり、震災後、大飯原発が再稼働することがありましたけれども、全ての原子炉は稼働停止をしております。

 震災前には我が国の電力供給の三割を担っていた原子力発電が全て停止することにより、節電、省エネが進んではいるものの、原子力発電による電力を代替するために火力発電がフル稼働して、そして必要な電力を補っている状況であります。そのため、火力発電に使用する石油、LNGといった燃料費の増加、火力発電の活用による温室効果ガス排出量増加、さらには電力料金の上昇といったことが起こっているわけであります。

 私の地元でも、いわゆる鋳物団地がございます。鋳物工場の、電力が占める割合、原価に占めるその割合は二〇%を超えるわけであります。その原価に占める二〇%の電力が上昇するということは、鋳物団地全体の死活問題でもある、そのようなこともございますし、私は愛媛出身でありますから、伊方原発のいわゆる原発立地県出身の議員として質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 燃料費の増加は貿易赤字拡大の主要な原因となっており、このような状況が継続ないし拡大を続ければ、経常収支に影響を及ぼし、国債金利の上昇を招く危険性もあると考えられます。また、電気料金の上昇が企業の利益を圧迫し、雇用の喪失を招くといったことが起こることも危惧されるわけであります。消費税増税による景気への影響を危惧する声もありますが、こういった観点も、アベノミクスの大きなリスクではないかと考えられるわけでありまして、我々政治が責任を持って対応していかなければならない問題だと捉えているわけであります。

 こうした状況を改善するためにも、原発の再稼働は必要ではないかと考えます。

 原子力規制委員会には、昨年施行された新たな原発の規制基準への適合性確認申請が、現在、十七の原子炉についてなされていると承知をしております。規制基準が施行、初めての適合性確認申請が昨年七月になされ、十カ月程度たっているところでありますけれども、規制基準への適合が確認された原発はありません。

 そこで、原子力規制委員会にお尋ねをいたします。

 審査は日々行われていると承知しておりますけれども、この適合性審査の進捗状況はいかがなものでしょうか。順調に進められていると言っていい状況なのでしょうか。お伺いをさせていただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 先生御指摘のように、昨年七月八日の新規制基準の施行後、現在までに、八電力十発電所十七基について、事業者からの申請を受けて審査を進めているところでございます。

 本年二月十九日に至りまして、原子力規制委員会においては、基準地震動及び基準地震津波高さが確定し、かつ、ほかに重大な審査上の問題がないと判断された発電所については、設置変更許可申請書の補正、補正申請及び審査書案の作成の準備に入る方針が合意されました。

 その後、三月十三日の原子力規制委員会において規制基準適合性審査の状況について議論を行い、当面、最初になりましたけれども、九州電力川内原子力発電所一、二号機については、基準地震動と基準津波については確定できるめどがつきましたので、また、ほかの重要な審査上の問題がないと考えられることから、申請の補正と審査書案の作成の準備に入ることにして、現在それを進めております。

 今後も引き続き、こういったことをモデルとして、次々と適合性審査を進めていきたいと思います。

 いずれにしても、科学的、技術的見地から、速やかに、かつ厳正に審査を進めてまいりたいと考えております。

白石委員 委員長、ありがとうございます。

 私も川内原発には視察にお邪魔をさせていただきましたし、その進捗状況も確認をさせていただきました。また、その中で、今規制委員会の方で順次、中身の濃い議論をしていただいている、議事録等も見せていただきながら、それはよく感じているところでございますけれども、今の調査の状況の中で少し私なりにお伺いしたいところがございますので、聞かせていただきたいと思います。

 特に、適合性審査については、規制委員会が独立した立場で行うことでありますから、我々政治、政府が規制委員会に対して何か申し上げる立場ではないわけですけれども、一般的に私が今までの中で疑問に思ったことについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず最初は、敦賀原発の破砕帯の調査に関してであります。

 大きくは二つあるんですが、おかしいなというような感覚を持ったのがこの敦賀の方でありまして、その現地調査後の平成二十四年十二月十日の第一回の評価会合において、D―1破砕帯が活断層である可能性が高いともう既にそこで結論づけられて、委員長がみずから、これではとても安全審査には入れない旨の発言があったことを、私はマスコミを通じて知ったわけでありますけれども、それに対して、日本原電側は、何とか六月末までの調査結果を待ってもらいたいという話があって、それでも実際には規制委員会は、活断層であるという報告書を翌年の五月には了承しているわけであります。

 日本原電からの報告書についての検討会合はその後開催されたわけでありますけれども、規制庁職員による現地確認をされたのが、その十二月からちょうど一年近い後、つまり翌年の、平成二十五年の十一月の二十六日であったようであります。

 そして、その翌月、十二月の十八日に、規制委員会の定例会で、私はここが一番問題だと思うんですけれども、田中委員長がその会の中で、有識者による現地確認を行った上で改めて審議を行う、敦賀担当の有識者に加えてピアレビューのメンバーも参加させ、それを了承したという定例会を行われた。これは議事録に載っておりますので、事実だと思います。私も、開かれたメンバーの中で再度の審査が行われるということで、非常に期待をしていたわけであります。

 そして、その後の、ことしの一月の二十日に現地の追加調査が実際に行われました。島崎委員と敦賀担当の有識者四名、ピアレビューメンバーが九名で現地の調査をされておられるわけです。

 その調査に対するいわゆる議論というのはまだされていないんですけれども、この三月二十日に、規制庁の次長記者会見で、それまで、ピアレビューの先生方は、視察の中に入ってもらう、そして私は議論にも入っていくのかと思ったら、その記者会見では、ピアレビューのメンバーについては審議には参加しないというような記者会見があったというふうに思います。

 昨年の三月八日の規制委員会から出された「ピア・レビューの具体的実施方法」に基づくピアレビューのメンバーの参加の仕方というのはそれで間違いないんですけれども、せっかく昨年の十二月の十八日に、ピアレビューのメンバーも踏まえて、そして多くの意見をもとにその議論をもう一度していこう、それを私も期待していたにもかかわらず、その記者会見では、それには参加させないというようなことをおっしゃっていたように思います。

 私は、こういう場合には、やはり多角的な議論による評価を進めるためにも、ピアレビューのメンバーには審議にも参加していただいて進めていくのが妥当ではないかなというふうに思うわけでありますけれども、今後の評価会合、そしてピアレビューの役割、それの進め方について、そして、今の、なぜもう一度ピアレビューのメンバーを入れなくしたのか、それを誰が決めたのか、そのあたりもお聞かせいただければありがたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 敦賀発電所の敷地内破砕帯の評価につきましては、昨年の五月に評価をまとめた後、日本原電による追加報告がございました。それを踏まえまして、先生御指摘の昨年の十二月に、評価の見直しの要否を検討するための、再度有識者会合を開催するという方針を規制委員会で了承いたしました。

 この十二月十八日の規制委員会の際に了承されたことでございますが、一点は、有識者会合を開催して再度御議論をいただくということ、それから、ピアレビューについても前回同様実施すること、また、現地調査を実施する際にはピアレビューの有識者の方にも御参加いただくということ、こういう今後の進め方について議論されてございます。

 このピアレビューに有識者の方に参加していただきますのは、今後ピアレビューを行うということも想定しまして、ピアレビューに携わった先生方にもあらかじめ現地を確認していただくことで、評価をより丁寧に行っていくことを意図したというものでございます。

 ピアレビューは、評価を行う有識者とは別の専門的観点から、その評価の内容に論理的矛盾がないか等について御検討いただくということでございますので、有識者会合とは分けて行う必要があるというふうに考えてございます。

 また、今後の進め方につきましては、現在、有識者会合の日程の調整を進めておりますので、それが整い次第、順次開催していきたいというふうに考えてございます。

白石委員 今御説明をいただいたわけですけれども、十二月十八日の定例の会合で、田中委員長が「できるだけ多くの方に参加していただいて、できるだけ疑問がないような結論を導いていただくよう、お願いしたいと思います。」と。これは委員長のすばらしい御意見だと思いますし、その委員会の中での御意見は尊重するべきだと私は思っています。

 今の、次長おっしゃったように、ピアレビューのメンバーは審議の中には入らないというのは、それはルールかもしれませんが、今後のことを考えると、ピアレビューのメンバーも審議の中に入っていただく場面もあってもいいのではないかというふうに私は思いますので、これはもう要望で結構ですから、今後お考えをいただきたいというふうに思います。

 それと、もう一つは、今の規制委員会の審査の進め方についてでありますけれども、田中委員長は、当初、昨年の段階では、審査は半年程度と見ているというふうにおっしゃっておられました。そして、ことしの一月には、半年から一年はかかる見通しであるというふうにおっしゃっておられました。そして、今度は、二月には、年度内には終わらないというふうに発言をされておられたと思います。

 現行の規制基準に基づく審査は初めて行われるものでありますから、審査する側も審査される側も審査の相場観がない中で進んでいることから、時間がかかってしまうのも仕方がない側面もあると思います。

 ただ、事業者側から調査結果が出される、その出された調査結果の提出ごとに新たな活断層のモデル化を恣意的に指導されていたのでは、事業者もたまらない、私はそういうふうに思うわけでありますし、事業者としては、いつ審査が終わるか見通しが全く立たないですし、財務面も、さきに申し上げた電力料金の影響が一切想定できないこととなります。

 また、原発周辺の住民からしても、事業者が原発の安全性を高める取り組みを行い、原子力規制委員会の審査の結果が出て、安全であるかどうか示されることは、住民の安心にもつながることと考えます。

 このような点を鑑みると、原子力規制委員会には、審査の中で、原発について今後の審査の見通しを示していくべきではないか、その見通しを示していただきたいという思いと、今のお考えをお聞きしたいのでありますけれども、特に、私は地元が伊方でございますから、伊方の審査の見通しも含めて、御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 今進めております審査の基準になっております新しい規制基準、これは、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえて、かなり規制上の要求事項を厳しく引き上げてございます。特に地震動、津波高さといったものの想定について、従来よりも厳しく想定することを求めているということがございます。

 例えば、発電所の耐震設計の前提となります基準地震動の策定、この前提になるような情報、敷地の地下構造の詳細な把握でありますとか、震源となる断層の連動の考慮でありますとか、あるいは断層の活動性を評価するためにしっかりと詳細に調査をするといったようなことを求めておりまして、事業者もこれまで以上の対応が必要になりますし、また、事業者が行った調査、分析、評価、この結果を慎重に検討していくということが必要になってございます。

 また、今委員からもちょっと御指摘がございましたけれども、断層のモデル化、その際に用いる計算の方法、あるいはそれに使っている係数の妥当性など、これは各発電所の審査に共通のものでございまして、たまたま今幾つかの発電所の審査を並行して進めておりますので、審査の途中段階でほかの発電所で判明した論点について、水平展開と申しますけれども、全体に展開をして、例えば、伊方発電所でも同じような問題がないかどうか、こういったことを改めて調査をするということも必要になってまいります。

 御指摘の伊方発電所につきましては、特に地震関係で申し上げると、敷地の近傍に中央構造線というのがございまして、この評価といった伊方特有の論点、あるいは、今申し上げました共通の論点として、モデルの係数の問題でありますとか、あるいは震源を特定しないで策定する地震動の妥当性、こういったものが主な論点となってございますが、当初に比べると、相当程度論点が絞り込まれてきているという状況にございます。

 今後、いつごろまで審査がかかるのかといった見通しにつきましては、やはりこれは、事業者から今私どもが求めている指摘に対する回答がどのような形でいつごろ出てくるのかといったことにも大きく依存するところでございますので、なかなか確定的に予断を持って申し上げることは難しいというところでございますが、いずれにしましても、速やかに、かつ厳正に審査を進めてまいりたいというのが現状でございます。

白石委員 ありがとうございます。

 今のお話にもありましたように、初めての審査ですから、いろいろな数値を検証していかなきゃいけない、それはもう十分わかりますし、当初五十二キロだったのが四百八十キロ、また、いわゆる断層のモデル係数も、さまざまな係数を検証する、これはそのとおりだと思いますが、ぜひとも、これを将来的には一つのいわゆるマニュアル化できるような形でつくり上げていただきたいと思いますし、それを事業者の方も待ち望んでいるところでございますから、お願いを申し上げたいと思います。

 次ですが、適合性の確認審査を行うには、当然、事業者から提出される膨大な資料を読み込んで、それを分析、整理していく必要があるわけでありますが、他方では、そうした審査に多くの人員が必要であるにもかかわらず、原子力規制庁が十分に人員配置をできていなかったのではないかとも考えられるわけであります。

 先月、独立行政法人原子力安全基盤機構が廃止され、原子力規制庁に統合されました。同時に、機構に所属していた職員も原子力規制庁職員として採用され、原子力規制庁としての人員は倍増したとも聞いております。

 こうした状況を踏まえると、原子炉に対する専門的な知見を有する職員も相当程度増員されたと思います。そのような専門性を有する職員を適合性審査に回すなど、人員の増員や適正な配置を行うことで審査体制の強化を図っていくべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。

田中政府特別補佐人 今回のJNESの統合は、原子力規制委員会全体の専門性を強化するために行ったものと承知しております。

 新規制基準に係る適合性審査につきましては、これまでもJNES職員の参画とか技術的な支援等、最大限の協力を得て審査を進めてきているところでございます。統合後も、引き続き、さらなる体制の強化を図って審査を進めることとしております。

 他方、JNESの統合とは別に、先般の補正予算において、原子力規制庁の体制を強化するための定員増を認めていただいております。中途採用も精力的に行っており、こうした定員を活用して審査体制の強化を図ってまいりたいと思います。

 いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、科学的、技術的見地から、できるだけ速やかに、かつ厳正に審査を進めていきたいと考えております。

白石委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、専門的な知見を有するメンバーをさらに豊富化していただいて、強固な審査チームをこれからも委員長には築き上げていただきたいというふうに思います。

 適合性審査は、地域住民や国民に安心をもたらすものでもあります。

 先ほども委員長がおっしゃっておられましたけれども、先日、川内原発の適合性検査の評価結果をまとめる審査書案を優先的に作成することを決定されたと。早期に規制基準への適合性の判断が行われることは、先ほど申し上げましたとおり、望ましいことだというふうに思いますけれども、原子力規制委員会が川内原発を選択した理由を、先ほども少しおっしゃっておられましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。その川内原発を選択した理由は何だったのか。

 そしてまた、原子力規制委員会が審査に差をつけることはないと委員長はおっしゃっておられました。そういう中で川内原発を優先的に扱う、そのことはいいんですけれども、そのことによって他の原発の審査が遅延するようなことが生じることが一番懸念されるわけですけれども、その方針、今までの方針と矛盾はないかどうか、そのあたりもお聞かせ願えたらと思います。

田中政府特別補佐人 私どもが、川内原子力発電所一、二号機を優先的にやるということをアプリオリに決めていたわけではございませんで、これまでも、先生御承知のように、並行的に、公平に審査を進めてまいりました。

 その中で、先ほども申し上げましたけれども、特に、審査の前提となります基準地震動、基準津波といった基本的なところについてめどがついて、ほかにプラント上の重要な問題がないと考えられるという点で、川内が一番先にその基準をクリアしたということでございます。それで、川内を結果的には優先的に審査を進めるというか、審査を具体化するというところに進んできたわけであります。

 今回の補正申請は、新しい基準で、非常に新しい規制要求が入っています。それにつきまして、事業者側も私どももまだ十分になれていないところもありますので、そういった点について事業者ともよく議論をしながら最終的な補正申請をしていただいて、それに対する審査書を作成するということが必要になります。

 そういったものがきちっと一つモデルができますと、他の発電所についてもそれに倣って速やかにできますので、まず、そういった点で、この段階で少し川内を先行的にそういった取り組みをしたらどうかということで、私の方から提案して、そういう取り組みに至ったものでございます。

 他の発電所についての審査がおくれるのではないかという御懸念ですけれども、これにつきましても、随時いろいろ、先ほども伊方について櫻田の方からありましたように、かなり焦点が絞られてきております、問題点が。そういった点について事業者の方がきちっと対応していただければこういった段階に進めるというふうに私自身は期待しておりますし、ぜひそのように事業者の方にも取り組んでいただきたいと思っているところでございます。

白石委員 委員長、ありがとうございます。

 ぜひとも、川内原発については、これからもスピード感を持って進めていただきたいと思いますし、今おっしゃっていただきましたように、他の申請している原発についても、並行して審査を進めていただきますようにお願いをしたいと思います。

 その川内原発の関係でもう一つお伺いさせていただきたいのは、先ほども申しましたように、審査の過程で行われる公聴会は、やはり地元住民の安心にもつなげていかなくちゃいけない、そういうふうに思うわけであります。

 地方自治体の求めに応じて公聴会を開催する方針、それは方針であると思いますが、現在川内原発の審査書案の作成中であると思いますけれども、公聴会を開催する方針を発表した後、具体的な要望は地元から出てきているかどうか。また、公聴会を開催するにしても、どのような内容で公聴会を開催する方針なのか。そして、自治体からは、原子力規制委員会のこうした方針に対していささか困惑の声が上がっているともお伺いしているわけでありますけれども、そうした声に対して原子力規制委員会はどのように受けとめておられるのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。

田中政府特別補佐人 今回の新しい規制基準は非常に新しい規制要求がありますので、それにつきまして私どもとしてもいろいろ、科学技術的にできるだけの努力をして審査をしてまいりました。

 これにつきまして、そういった点、科学技術、我々自身は相当自信は持っておりますけれども、何か抜けがないかということで、できるだけ広く国民から声を聞こうということがまず第一点でございます。

 それから、地元、立地地域等につきましては、さらに、科学技術的な観点からもいろいろな不安とか疑問があるのではないかということで、そこについては、もし必要があれば、我々の判断をよく説明しながら御意見をお伺いする機会を設けようということを考えたわけでございます。

 ただし、若干私の提案が唐突だったということで、実は、こういったものを地域で開こうと思いますと、場所の選定とか、どういった方に参加していただくのがいいのかということを我々が選定するということはなかなか難しいものですから、地域の御協力を得ようということで、共催というようなことでちょっと誤解を生んだようなところがございます。

 これは、ぜひ協力していただいて、説明内容とかその判断の内容については私どもがもちろん責任を持って行うわけでございますが、そういったことで少し誤解を生みまして、関係知事さんあるいは議長会からお叱りを受けましたので、そういったことも踏まえまして、今後、地方からのそういった要求があれば適切に対応させていただこうということにしております。今のところ、そういった要求はまだ出てきておりません。

白石委員 田中委員長、ありがとうございます。

 今委員長がおっしゃっていただいた精神としての共催というのは、私も非常に前向きな御意見だと思っておりますし、冒頭の委員長の説明の中に、避難計画等についてもこれから協力していくというような御意見もございましたので、私は本当にありがたいというふうに思っています。

 実は、次の質問は避難計画に関する質問を用意していたわけですけれども、冒頭の委員長の御説明の中でこれからの方針というものをお伺いさせていただきましたので、地方自治体に避難計画を任せ切るのではなくて、我々としてもそれに対して協力していく、そういう姿勢も委員長から十分お伺いさせていただきましたから、それは質問を飛ばさせていただきまして、最後の質問をさせていただきます。

 最後になりますけれども、先般、オランダのハーグで核セキュリティーサミットが開催され、安倍総理大臣も出席されたわけであります。日米韓首脳会談が話題に上がりがちですが、安倍総理の演説では、日本には核セキュリティー強化を主導する責任があります、私自身が先頭に立って取り組みを進めていきますと述べておられました。福島第一原発事故を経験し、唯一の被爆国でもある我が国が世界の核セキュリティー強化を先導すべきだと考えておられると思います。

 世界の核セキュリティー強化に積極的に取り組んでいきたいと思いますが、他方で、国内における核セキュリティー対策がおろそかになっては世界に範を示すことはできません。特にテロへの備えについては、事業者の取り組みだけではなくて、警察など、その連携も必要となると考えますが、テロ対策に関して、核セキュリティー対策にかかわる規制を行う国としては具体的にどのような対策をとっているのか、お教えいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 基本的に、まず、セキュリティーの考え方ですが、セーフティーとセキュリティーは一体であるというのが国際的にも共通認識になっておりますし、私どももそのように考えて取り組んでいます。

 具体的に、我が国の核セキュリティー対策については、原子炉等規制法に基づき、事業者に対して、テロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めています。

 具体的には、原子力施設の周辺に立ち入り制限区域あるいは周辺防護区域を設け、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施しております。これは二十四時間の巡視になっております。

 さらに、海水冷却ポンプ等、屋外の重要な施設、あるいは原子炉建屋内の重要な設備に対して、大きな衝撃があった場合に機能不全になると困りますので、そういった点については、周辺に防護壁を設置するというようなことも求めています。

 また、出入り口においては、身分証による従業員等の本人確認、金属探知機によるいわゆる武器等の探知の実施、それから重要な設備の周辺では必ず二人以上で作業をするというようなことも求めて、こういったことを国内規制に取り込んでいるところでございます。

 それから、原子力発電所の警備につきましては、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備するなど、実施しております。海上保安庁では、全国の原子力関連施設の周辺海域に巡視艇を常時配備しています。

 また、今般の新規制基準においては、大規模自然災害とかテロのようなことがあった場合でも、こういったことで万一重大な、シビアアクシデントが起きた場合にも対策を求めておりますし、意図的な航空機落下があった場合でもプラントがきちっと安全にとめられるようにするというような対策も求めているところでございます。

 我が国のこういった防護体制について、来年までに、IAEAに核物質防護専門家から成る評価ミッション、IPPASというのがございます。これを受けて、我が国のセキュリティーについての評価をしていただくとともに、そのレビュー結果を受けて、さらなる改善に取り組んでいく考えでおります。

白石委員 委員長、ありがとうございます。

 規制委員会、本当に多様な仕事を進めながら、重要な責務を全うしていただいていることに改めてお礼を申し上げたいと思います。

 我が国の原子力の信頼回復という大きな使命を帯びた委員会の皆様方がこれからも活動を活発に進めていただきますように心から御祈念を申し上げまして、私の質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

森委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、公明党を代表いたしまして、原子力問題に関しまして質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 私、本日、大きく二つのテーマで質問をさせていただこうと思っております。

 まず一点目は、避難指示区域の解除、これに関して質問をさせていただきます。

 四月の一日に、田村市の都路地区、ここにとうとう避難指示が解除されました。そして、住民の皆様の帰還を今まさに進めておられる、こういう状況であります。しかし、実はこの都路地区、昨年の八月から、帰還準備のために特別に宿泊をすることができる、こういう仕組みもございましたけれども、どのくらいの方が使われているか聞きますと、百十七世帯中二十七世帯の方が使われている。これは、健康の不安の問題あるいは生活の不便の問題、さまざまな課題がある、このようにお伺いをしております。

 健康の不安、確かに、放射線に対する不安があると思います。これに対応するために、いろいろな相談員の方をつけていただいたり、リスクコミュニケーションをしっかりやるという対策を講じていく、こういうことを、昨年の質問でも私、るるお願いをさせていただいたところでございますけれども、やはり、不安が拭えない、せっかく解除したのに、だから帰還が進まない、こういうことであってはいけないなというふうに思います。

 そこで、まず一点目でございますけれども、避難指示解除をされた田村市でございますけれども、現在、目標としては、空間線量を下げるという目標ではなくて、あくまで個人に着目をした線量というのを長期的に、年間一ミリシーベルトに下げていく、こういう目標を今立てておるわけでございますけれども、個人に着目した線量として、現在、この区域がどの程度の線量であるか国として把握をされているかどうか、これをまず確認させていただきたいと思います。

日下部政府参考人 ただいま御質問のありました田村市都路地区における個人線量につきましては、御指摘がありました昨年八月から三月までに実施いたしました準備宿泊に先立ちまして、国の職員が現地に入りまして、事前測定を実施しております。

 また、この準備宿泊制度を利用された方々のうち、協力をしていただける方々から測定結果をいただいております。この測定結果、おおむね年間一ミリシーベルトとなっていることを確認いたしておりまして、この上で、住民説明会においてもこの測定結果の情報提供をしております。

 以上でございます。

中野委員 ありがとうございます。

 そして、この個人線量でございますけれども、私、昨年も質問をさせていただきましたけれども、空間線量であれば国がしっかりはかっていって、これは線量が目標の基準を下回っている、こういうことがはっきりわかるわけでございますけれども、あくまで個人に着目した線量ということでございますので、やはり、その個人の方がどういうような動き方をされるか、あるいはどういう場所で動かれるか、これによって当然線量というものも変わってくる。ですので、私は、国としてしっかりと責任を持って把握をしていただきたい、こういうふうに昨年質問をさせていただきました。

 国の方でしっかり線量計を配付します、こういうことで御答弁いただきましたけれども、では、個々人に線量計をお配りしたとして、その後どうやって把握をするんですか、こういうこともその後お伺いをしましたけれども、個人の線量というのはあくまで個人情報だということで、実は、個々の同意がないとそのデータというのがわからない、こんなこともお伺いをいたしました。

 私、個人の線量はあくまで個人情報ではあるんですけれども、個人情報だから、もう後は個人の責任ですよ、こういうふうな考え方であってはいけないというふうに思うんですね。避難指示を解除した区域についても、今後線量管理を、やはり国として本当に大丈夫かということをしっかりフォローしていく、あるいはチェックできる体制をとっていく、こういうことの仕組みづくりをしていかないといけないのではないかな、このように思いますけれども、どう御対応されるのか、御答弁いただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答えします。

 個人の被曝線量の把握は、住民の安全、安心の確保のために重要なものでございまして、帰還される方のうちできるだけ多くの方の線量を把握していただきたいというように考えております。このため、帰還される方のうち希望者全員に、きめ細かに被曝線量を把握し、安心して暮らしていただけるよう、配付に当たっては丁寧な説明を行いまして、個人線量計を活用していただこうということを考えております。

 あわせまして、その測定結果につきましては、長期的、統一的な管理を行うとともに、その全体像について国としてもしっかり分析を行いまして、今後の各種の施策に生かすことについても重要だと考えております。

 したがいまして、線量計を配付するに当たりまして、住民の方々には丁寧な御説明を行いまして、その測定結果について国の方にも御報告いただくような形で御理解をいただき、同意を得ていきたいというように考えております。

中野委員 これからいろいろな形で除染を進めていって、やはり解除というものをしていく中で、本当に、皆さんの健康の不安、こういうものをしっかり取り除いていくためにも非常に大事であるというふうに思いますので、しっかり御対応をお願いいたします。

 そしてまた、この健康の不安と、さらに加えて、もともと生活をしていた生活圏と比べて、要は、帰還困難区域も今あるわけでございますし、居住制限のところもあるということで、やはり、一部が解除されても今までと同じ生活ができるわけではない、不便な状況である、こういう御指摘もるる伺っておるわけでございます。

 解除された区域においても、引き続き、生活をされる方の目線でしっかりと支援を行っていただきたい。やはり、不便なので帰ってこられない、こういう形でないようにしっかり支援をしていただきたい。このようにお願いを申し上げたいんですけれども、どういう御対応をされるか、御答弁をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 田村市都路については、これまで除染やインフラ復旧を精力的に進め、今回、避難指示解除ということに至ったわけでございますが、一方で、先生御指摘のとおり、富岡町とか、都路の生活圏としてつながっていた海側の自治体、ここでは避難指示が引き続き継続されておりまして、都路の生活に不便を来す懸念があることも事実でございます。

 こうしたことから、生活の利便性の向上とか地元のコミュニティーの維持といったために、国が調整しまして、昨年九月からは大手コンビニエンスストアの移動販売、あるいは、今週末ですけれども、四月六日には二カ所に仮設の商業施設を都路にオープンするという予定であります。

 さらに、診療所への医師の派遣、あるいは、この四月から都路は小学校、中学校あるいはこども園の再開が行われますけれども、これに先立っての清掃とか修繕といったようなことも行ってきているところでございます。

 復興庁といたしましては、ふるさとに帰りたいという住民の方々が早期に帰られるように、福島再生加速化交付金の創設など、生活環境の整備のための支援策を打ち出しておりまして、これらは避難指示が解除された地域も引き続き対象としていく方針でございます。

 避難指示の解除が決してゴールではなくて、ふるさとを取り戻すスタートとなるように、引き続き、地元と一体となって、帰還、復興の作業を本格化し、軌道に乗せていきたいというふうに考えております。

中野委員 避難指示の解除がゴールではない、これからがまさにスタートだ、まさにおっしゃられたとおりであるというふうに思いますので、しっかりとした御対応をぜひ私からも改めて要請いたしたいというふうに思います。

 もう一つのテーマでございます原子力規制庁の今の組織のあり方、私、これについて御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 どのように原子力行政の信頼を回復していくのかな、こういうふうに考えたときに、やはり、原子力規制庁が国民から信頼をされる組織になることが極めて重要ではないかな、このように思います。また、そうした意味で、規制庁の組織のあり方、あるいは、どのように人材を確保していくか、育成をしていくか、これが極めて重要な問題であるというふうに思います。

 国会事故調の提言におきましても、やはり、新しい規制組織の人材を世界で通用するレベルまで早期に育成する、こういうことが掲げられているわけでございまして、我々、原子力の行政に関して説明をするときにも、世界一厳しい規制の基準をしっかりつくってこれを適合させていきます、こういう説明をよくするわけでございます。世界一厳しい規制基準、これももちろん大事でございますけれども、規制をする組織、人材、これも日本は世界一なんだ、このように言えるようなものをしっかりとつくっていただきたい、こう思うわけでございます。

 そして、原子力規制庁というのはできて一年半近くもう経過するわけであります、二〇一二年の九月でございますか。ことしの三月にはJNESとの統合もなされたわけでありますし、新しい人材の採用、リクルート、こういうものも今進んでいると聞いております。

 規制庁の議論をしたときに、例えばアメリカのNRC、これは四千人近い人員がある、こんな話もよく出てきたわけでありますけれども、人数を単純比較すればいいのか、私は必ずしもそういうわけではない。例えばイギリス、フランスなどの規制組織を見ると、人数はもっと少ない、数百人クラスのところもあったりとか、さまざまあるわけでございます。できてから一年半近く経過しました原子力規制庁の今の組織、諸外国と比較をいたしまして、では、数で見てどうなのか、質で見てどうなのか、今十分な検査の体制というのがまさに整っているのかどうか、現状の評価というものをぜひ田中委員長にまず一言していただきたいというふうに思います。

田中政府特別補佐人 各国と一概に規制組織の質とか規模を比較することはなかなか難しいところがありますけれども、原子力規制委員会は、平成二十四年九月十九日ですから、先生御指摘のようにちょうど一年半たちました。この間に、私どもの所掌としては、文部科学省から、放射線モニタリングの機能、それから放射性同位元素使用等の規制、国際約束に基づく保障措置に係る業務、組織等が移管されております。また、セキュリティーについては、原子力委員会から私どもの方に移りまして、原子力規制をセーフティーから原子力発電、それから放射線利用まで、全て私どもが一元的に行うことになりました。今御指摘がありましたように、この三月一日には原子力安全基盤機構を統合いたしまして、結果として、原子力規制委員会は、現在、約千名の陣容になっております。

 こういった陣容、この千名をフルにどういうふうに活用するかということについては、必ずしも今十分に詰まったわけではございませんけれども、原子力関係施設の数、規制手法によるいろいろなやり方、少し工夫が要るところはございますけれども、審査、検査体制の強化を念頭に置いた実務経験者の中途採用といったことについても力を入れて組織の強化を図っているので、一定の成果は上がっているというふうに認識しております。

 例えば、この四月には、プロパー職員として第一期生三十三名、それから、中途採用者、実務経験者を中心に二十九名を採用して、そういった強化を図ってきております。

 科学技術的観点から原子力規制を厳格に行うという観点から、質の高い職員の確保が極めて重要であるというのは先生御指摘のとおりでございます。意欲と能力のある人材確保、育成に、今後とも引き続き全力で取り組んでまいりたいと思います。

中野委員 できて一年半、千名の人員になった。これをどのように、機動的にというか、うまく活用していくか、ここがまさにこれから大事になってくるのではないかなというふうに思います。

 特に、現在、適合性の審査というのをまさにやっているわけでございますけれども、審査の状況を聞きますと、私、感覚として思いましたのが、例えば基準地震動、どのくらいの地震が起きて、それを想定すればいいか、なかなか定まらないわけでありますね。

 例えば、どこかを調査して、これぐらいかもしれない、では、ちょっとあそこをまた掘ってみようかとか、なかなかこれが決まらない。この基準地震動が決まらないと、当然、震度どのくらいに対応するかというのがやはり決まらないわけでありますので、設計とかも恐らくどんどん変わってくるということであるというふうに思います。

 地震、津波というのは難しい分野であるとは聞いておりますけれども、ここの分野に関してなかなか決まらないというのはどういうことなのか。審査の体制、その質、量ともにしっかりしているのか、何が原因でなかなか決まっていかないのかな、こういう思いがございますけれども、この審査体制について、今どのようになっているのかというのをお伺いできればというふうに思います。

櫻田政府参考人 地震、津波の審査に関して今時間がかかっている、そういう御趣旨でございますし、また、体制についてもお尋ねと理解いたしました。

 先ほどの白石委員へのお答えでも申し上げましたけれども、今回、審査をするために、審査の基準にしてございます新規制基準、これは、当然、福島第一原発の事故の教訓を踏まえて、地震動の評価に関する要求事項を厳しく強化しているというところがございまして、事業者に求めるデータ、これは調査分析が新たに必要になるものがございますし、また、今までのデータを分析していたその評価がそれでよかったのかというところについても、慎重に点検をするということが必要になってございます。

 したがいまして、事業者に対していろいろ指摘をすることをやってございますが、それに対して、また回答が来るまでに事業者の方で時間がかかっているというようなこともございますし、また、先ほども少しございましたが、並行的に進めているほかの発電所での新たな判明した問題点を、ほかの発電所にも展開するといったようなことも必要になってございます。いろいろ新しい話もございますので、規制側あるいは事業者側、双方に時間がかかっている、そういう側面があろうかと思います。

 一方、審査の体制でございますけれども、地震、津波の関係は、御指摘のように、それぞれサイトごとに論点も違うというようなこともございますし、さまざま考えなければいけない論点もございますので、審査官に対する負荷もかかるということがございますが、平成二十五年度中に、地震、津波関係の審査体制について十三名の定員増を御了解いただいて、体制強化を行う基盤ができてございますし、また、それを活用して、ほかの機関から出向していただくとか、あるいは専門的な知識経験を有する人材を中途に採用するとか、こういったことを実施しながら審査の体制の強化をしているという状況にございます。

 また、今後も引き続きこういったことを続けてまいりたいというふうに考えてございます。

中野委員 御説明をいただきました。しっかりとこの審査に関しては進めていっていただければというふうに思います。

 そして、もう一点、ノーリターンルールの適用について御質問させていただきます。

 これは、導入時に、原子力の規制と原子力の推進というのをしっかり分離しようということで決めまして、五年間の猶予期間がある、こういう状況でございます。このノーリターンルールの適用について、現在、猶予期間中ではあるんですけれども、どのような現状になっていて、今後どのような見通しになっていくのかということを少し確認したいと思いますので、御答弁をお願いします。

片山政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会の役割は、推進と規制を分離し、科学的、技術的観点から原子力規制を厳格に行うことであるというふうに認識をしております。いわゆるノーリターンルールというものは、こうした役割をしっかりと果たせるよう、規制の独立性の確保とともに、原子力規制庁に必要とされる専門性を持った職員の確保が重要であるとの趣旨だと理解をいたしております。

 ノーリターンルール自体には五年間の経過措置が存在していることもございまして、法の趣旨に沿って、職員の意欲、適性等を勘案いたしまして、適切に人事を行っているところであります。

 同時に、意欲と能力のある人材の採用と育成に注力をいたしまして、原子力規制庁が専門的知識経験を有する職員をしっかりと確保できるよう取り組んでいきたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 済みません、もう一問、委員長に御質問があったんですけれども、もう時間が参りましたので、以上で私の質問を終わらせていただきます。

 本日は、ありがとうございました。

森委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。三十分ほど質問させていただきます。

 まず、トルコ、アラブ首長国連邦への原発輸出についてお伺いしたいと思います。

 既に、トルコ、アラブ首長国連邦と日本との間には原子力協定が結ばれており、国会での承認を待っている状態となっております。

 福島第一原発事故はとても収束しているという状況にはないと私は思っております。今でも汚染水の問題が頻繁に起きておりますし、事故によっていまだに十五万人もの福島県人が故郷を追われたままの状態になっております。

 さらに、国民の強い反対もあり、再稼働が一基もされず、国内では原発ゼロの状態が続いております。

 いまだに事故の原因も、津波だけだったのか、あるいは地震によるものも含まれているのか、はっきりしない状態が続いております。

 原発は、事故の危険性だけではなく、使用済み核燃料の問題、最終的に廃炉をしなければなりませんが、技術的に廃炉について何ら確立をされておりません。

 そんな状態の日本が積極的に海外に原発を輸出する状況ではとてもないと私は考えております。

 安倍総理は、日本の原発は世界一安全だと繰り返し発言をしておりますが、何ら根拠はございません。日本国内で制御ができないものを外国に売るのは非常に無責任だと思っております。もし事故が起こったとき、日本はどう責任をとるつもりなんでしょうか。

 環境委員会で質問したとき、経産省は、トルコはパリ条約に加入しているから、事故が起こった場合でも日本に責任が及ぶことがないと答弁をいたしました。パリ条約では、事故が起こった場合、運転者のみが責任を負うことになっております。日本はパリ条約には加盟しておりませんが、原子力安全条約には加盟をいたしております。この条約でも、事故責任は原発を規制する国、すなわち運転する国となっております。しかし、福島第一原発の例を見ても、原発事故が起きたら当事者だけではとても責任が負えないということを我々は経験しております。

 そこで、質問に入らせていただきます。

 トルコで原発を動かす場合ですね、つくる場合もそうなんですが、日本は運転者の一員に入るのでありましょうか。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 当該プロジェクトの実施に当たっては、日本企業とトルコ企業等によって設立された事業者が原発の運営にかかわるというふうに承知しております。

生方委員 ということは、日本も事業者の一員だというふうに理解してよろしいということですか。

石原大臣政務官 日本というのは、日本政府という意味ではなくて、日本企業ということであります。

生方委員 そうなりますと、万が一事故が起きた場合、事業者として日本の企業は責任を負うということでよろしいんですね。

石原大臣政務官 正確に申しますと、日本企業が出資をした事業会社が運営を行うということで、日本企業は、通常の商法、会社法の段階で、出資者でありますので、出資者における出資金における有限責任というふうに考えております。

生方委員 出資者であると同時に建設者でもあるし、運転にも携わることになっていますよね。運転にもきちんと日本企業がタッチするということでよろしいんですね。

石原大臣政務官 済みません、ちょっと詳しく。

 一般論として、原子力発電施設において万が一原子力事故が起こった際の責任については、企業の契約内容や当該施設が所在する国の原子力賠償に関する国内法等に照らして判断されることになります。

 トルコは原子力損害に関するパリ条約を締結しており、同条約では、当該施設の運営者である原子力事業者への責任集中等が定められているところであります。こうした規定を踏まえて、現在、トルコ政府は原子力損害賠償に関する法案を整備しているところであるというふうに承知しております。

 よって、トルコにおける原子力発電所において万が一原子力事故が起こった際の責任については、原子力事業者である事業会社が負うことになり、事業会社に出資する日本企業が損害賠償責任を負うことにはならないというふうに承知しております。

生方委員 東電の場合も、原賠法で、もともとは事業者たる東電が全て負うということになっていたんですが、実際問題として、あのような事故が起こった場合、大量の方が避難をしなければいけないというようなことを含めて、東電だけでは事故責任を負えないというのを我々は経験しているわけですよ。だから、万一トルコで起こった場合、今言ったように、トルコ政府が全部責任を負うんだというふうに言っても、トルコ政府が全部責任を負えないという状況は簡単に想像することができますよね。

 しかも、今度の原発を建設する予定地のシノップというのは、御承知のように黒海に面しております。したがって、万が一事故が起こった場合、黒海が汚染されるということも考えられますし、日本のように四方を海に囲まれているわけではございませんから、周辺の国に原子力の被害が及ぶということは、チェルノブイリの事故を見れば明らかでございます。そのとき、事業者だけが責任を負うんだということで日本は済むのか。

 これは、原発の輸出ということでございますから、民民でできることではなくて、原子力協定を結んで、トルコと日本政府が合意をした上で輸出をするわけですね。当然それは、原子力協定を結んでいる日本が、万が一事故があった場合、トルコだけで責任が負えないということになれば、日本政府も応分の責任を負うという覚悟がなければ輸出をするなどということはできないと思うんですけれども、いかがですか。

石原大臣政務官 先ほどお話をしたように、パリ条約等に入っているトルコは、事業者が責任を負うということになります。それで、今トルコの中で損害賠償の法律を議論しているわけでありますけれども、条約等のたてつけからは、事故が起こった場合に日本政府が損害を賠償するというたてつけにはなっていないということであります。

生方委員 事故の教訓を我々は学んで生かしていくんだというのが日本政府の基本的な立場だと思うんですね。日本政府が学んだことは、原発で事故が起こった場合は一企業ではとても担えるものじゃないというのが我々が受けた教訓ですね。

 トルコで、今、国内法を整備しているというふうに言いましたけれども、我々が教訓を受けたというのであれば、トルコで万が一事故が起こった場合、トルコ政府だけでは、当然これは責任を担い得るわけはないですから、日本がどうするのかということを最初から話をしておくということが、日本とトルコの両国間関係においても非常に私は重要なことだと思うんですよ。

 我々は関係ない、あなたたちはパリ条約を結んでいるんだからあなたたちがやればいいということにはならないと思うんですよ。売り込むときだけ一生懸命、日本は世界一安全な原発だからと売り込んでおいて、万が一事故が起こった場合は、それはあなたたちの国でやってくださいということにはならないと思うんですけれども、いかがですか。

石原大臣政務官 あくまでも、パリ条約、他の周辺諸国に関しても、関連するウィーン条約等で日本政府がその賠償の責任を負う立場にないということだというふうに考えております。

生方委員 政務官ではそこまでしか答えられないかもしれませんけれども、何のために我々が東電の事故から学んだのかというのが全くないじゃないですか。

 一企業では負担できないわけですよ。現実に日本だって、国民の税金が大量に投入されて今の状態があって、これから先も、幾ら我々が負担しなければならないかわからないんですよ。だから、私なんかは、こんなものを別に外国にまで売る必要はないじゃないか、日本で再稼働する必要はないんじゃないかというふうに思っているのです。

 その辺は立場が違うから別としても、とにかく、輸出するのであれば、それは当然そこまでのリスクを考えて、万が一のとき、では、トルコだけですよというふうに本当に言い切れるのか。そんなことを言い切れるわけないでしょう。日本とトルコで協定を結んで輸出しているわけですから、当然、応分の責任を、応分かどうかは知りませんけれども、幾ばくかの責任を負わなきゃいけないのは当たり前の話で、これは、国民に対して、原子力協定を結んでトルコに輸出をしますと、輸出をするのは安倍さんのアベノミクスの成長戦略の一環かもしれませんけれども、それにはリターンもあるけれどもリスクもありますよという説明をきちんとしなきゃいけないでしょう。それを一切しないで、事故が起こったときはそのときだというわけにはいかないと思うんですよ。

 赤羽経産副大臣、どうですか。

赤羽副大臣 外務省の答弁と一緒になりますけれども、原発の安全確保そのもの、安全確保のための規制の設置は、やはり、当該発電所が立地する国が責任を持って行うということが、これはもう国際的にも確立した考え方でございます。

生方委員 いや、私が言っているのは、万が一、事故が起こったときの責任のことを聞いているんですよ。どうぞもう一回。

赤羽副大臣 これは我が国においても同様だと思いますが、例えば今、具体的に、原発について、我が国の規制当局が定めた安全基準に対する審査が行われているわけでございまして、その安全性については、我が国、その当該国、発電所が立地する国が責任を持って行うということが私は原則だというふうに思っております。

生方委員 日本の事故の場合は、まだ幸いにして、被害がとりあえず日本国内にとどまっているからいいですけれども、トルコのような内陸にある国は、一たび事故が起これば自分の国だけでは済まないわけですよね。だから、そういうこともきちんと考えて今から対処しておかなければいけないし、万が一、この輸出によって将来的に日本国民が負担を負わなければいけないということであれば、それをきちんと説明してからこのプロジェクトを進めていくべきだというふうに私は考えております。

 きょうは大臣がいらっしゃらないので、もうこれ以上質問しても無駄だというふうに思いますので、次に移ります。

 日本から原発関連機器を輸出する場合は、事前に相手国の規制体制を調べる安全確認というのが行われてまいりました。これが通らないと、貿易保険や国際協力銀行の融資が受けられない仕組みになっていると聞いております。

 安全確認は旧原子力保安院が担当しておりました。原子力保安院はもうなくなりましたので、今、誰がこの安全確認というのを行うんですか。

赤羽副大臣 済みません、そもそも論ですけれども、OECD加盟国、我が国もそうですが、これは原発だけではなくて、火力発電所ですとか石油精製所、また空港、ダムなど、さまざまなプロジェクトに対して融資ですとか保険などの公的信用を供与する際に、そのプロジェクト自体、当該国に対しての環境とか社会への潜在的な影響を事前に評価することについての指針がございます。御承知だと思いますが、OECD環境コモンアプローチが定められております。我が国の輸出信用機関であるJBICですとかNEXIが、これらのプロジェクトに対して公的信用を供与する際に、この指針に従って評価をしているということでございます。

 原発輸出の安全確認に関しましても、このOECD環境コモンアプローチの指針を踏まえまして、JBIC、NEXIが原発関連の輸出に公的支援を供与する場合につきましては、安全確保等に関する配慮が行われているかどうかという観点から、輸出相手国の原子力安全規制体制などの事実について経済産業省に照会がございましたし、経済産業省がそれに回答する手続が行われておりました。

 現在、独立した原子力規制委員会が設置された後の手続につきましては、諸外国における評価の実態に関する調査等も踏まえまして、現在、政府の中におきまして鋭意検討を進めているところでございます。

生方委員 そうしますと、今度のプロジェクトに関して保険がつけられるのか、融資が行われるのかわかりませんけれども、融資が行われる、保険がつけられるということになった場合、安全審査は、今、やる主体がないというふうに理解していいんですか。

赤羽副大臣 そのことについて、今私が答弁しましたとおり、現在、政府の中で検討中でございます。

 原子力規制委員会が設置された後、現時点におけるまでの間、安全確認手続が必要となるような具体的な案件がございませんでしたので、その案件ができるまでには、しっかりとした制度設計ができるように検討を急がせることとしたいと思っております。

生方委員 今度の事故の教訓のもう一つとして、推進をする側で規制をしていたという、経産省の中に保安院があったということですから、それを変えなければいけないということで、まさに原子力規制委員会というのができたわけですよね。

 そうなりますと、今の話を聞いていると、経産の中にまた安全基準をつくる、安全審査をする、安全確認をする機構をつくろうというふうに、何か今は考えているようなんですが、そうではなくていいんですか。経産省以外のところでもつくれるというふうに御理解しているんですか。

赤羽副大臣 当時の保安院の役割というのは、輸出先の当該国が、原発を輸出する場合に、安全確保等に関する配慮が行われているかどうかという観点で、NEXIですとかJBICからのその事実の照会に対して、経済産業省たる保安院が回答していたということでございます。

 しかし、保安院がなくなった現状で、その機能をどこが果たすべきなのか、経済産業省でやるべきなのか、経済産業省は推進する側と規制する側、そういった議論もいろいろあると思いますので、官邸も含めて政府全体でどのようにしていくか、今鋭意検討中であるということでございます。

生方委員 原子力保安院は規制委員会が引き継いでいるわけですよね。だから、普通に考えれば、保安院がやっていたことは規制委員会が引き続きやるというのが一番私は真っ当だというふうに思います。これに対して、規制委員会が担当するべきじゃないかということに関して規制委員会は、輸出に関与すると規制機関としての独立性が保てないということで断ったというふうに聞いておりますが、規制委員会の判断で、これは危険だから輸出するべきではないというような判断も私はすることができるというふうに思うんですよ。

 委員長にお伺いしたいんですが、保安院を引き継いだ規制委員会の委員長として、再稼働を今審査しているわけですけれども、日本が原発を外国に輸出する場合、その外国に輸出をして本当に大丈夫なのかどうかということには規制委員会が関与するべきだと私は思うんですが、委員長、いかがですか。

田中政府特別補佐人 現在、私どもが与えられている法的位置づけからすると、まず推進と規制を分離するという考え方に基づいて、国内の原子力施設の規制を担っております。したがいまして、原子力関連資機材の輸出について、ただいま意見を申し上げる立場にはないというふうに認識しております。

生方委員 これは今の答弁でいいと思うんですけれども、例えば、経産なりなんなりから、規制委員会がぜひこの審査にも当たってほしいというふうに要求をされた場合、どうでございますか。

田中政府特別補佐人 先生の御指摘、若干お答えしにくい仮定のことが入っていますので、今後、そういったことについてはまた法的にいろいろ国会の中で議論されるものと私は理解しております。

生方委員 答弁はそこまでしかできないかとも思うんですけれども、原子力規制委員会に対する国民の信頼というのが高まってくれば、私は、いずれこういう面にも規制委員会がきちんと出ていって、これこれこういう条件を満たしているから大丈夫だというようなことが言えるようになってくれればいいなというふうに思っております。

 関連して、現在、トルコの地質調査は日本原電が行っていますよね。委員長も御承知のとおり、敦賀原発二号機をめぐって、規制委員会はこれは活断層であるというふうに断じたにもかかわらず、日本原電の方は活断層じゃないというふうに意見が対立をいたしております。

 実際に今、トルコで地質調査に当たっている日本原電の下請であるのはダイヤコンサルタントでございます。三菱グループの一社でございます。輸出する側の業者の一員が地質調査をする、私はこれは適当じゃないと思うんですよ。客観性が保てないというふうに思うんです。

 しかも、日本原電は日本において規制委員会と対立をしている。対立をしているということは、我々から見れば、非常に緩い基準でやっているんじゃないか、そこが地質調査をやって本当に信用が置けるのかどうか。誰に聞いたらいいのかわかりませんけれども、どなたかお答えいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の事業でございますけれども、これは、相手国政府からの要望等を踏まえまして、当該国の原発計画の現場におきまして地震動の評価とか炉型評価等を実施することを通じまして、原子力発電に係る人材、技術の維持強化、それから国際的な原子力安全の向上に資するものということを目的としているものでございます。

 トルコでこの事業を実施している日本原電につきましては、公募の結果、提案の事業内容が目的に合致しているか、それから、関連する知見、実績等を有しているか等を、外部有識者による審査によって選定をしたということでございます。

 日本原電につきましては、トルコのFSを実施する以前も、ベトナム、カザフスタン、それからインドネシア、タイという国で原発導入に向けた調査を実施しておりまして、豊富な経験を有しているというふうに承知しております。

生方委員 豊富な経験はあるでしょうけれども、少なくとも敦賀に関しては原子力規制委員会と意見が異なっているわけですよね。異なって、我々は原子力規制委員会に今こういうことを委ねているわけですから、原子力規制委員会の判断を当然とするわけで、それと反対しているところが、一社しか手を挙げなかったからといって地質調査を任されるのは、本来適当ではないと私は思いますよ。何かあった場合、日本国内ではこういうことがあったじゃないか、こういうことがあったにもかかわらず日本原電に任せるから、地質調査が間違えていて、活断層があって、こういう事故になったというふうに言われたときの責任は発生すると思いますよ。まあそれはそれでいいですけれども。

 今度はシノップの現地、これは報道によれば市長さんも反対をしている。きょう、私のホームページなんかには、トルコの国民だと思われますが、外国名で書いてあるからわかりませんけれども、非常に懸念している、ぜひともあすの、あすまではわかっていませんけれども、この原発の輸出に関してノーを言ってくれというようなメールもたくさん来ているんですね。

 原発を立地する場合、一番大事なのは地元の理解ということは皆さんよく御承知で、地元の理解を得るのが一番大変なことだというふうに思います。現地の市長が反対しているということは、市長というのは当然市民が選んでいるわけですから、市民の中にもたくさん反対者がいると思うんですが、それをこれからどのように説得をしていきたい、説得をするというおつもりですか。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでにトルコにおける原発建設に反対する運動等に関する報道があったことは承知をしております。一方、我が国政府関係者は、これまで、トルコの政府関係者や国会議員等から、シノップ原発建設予定地域の住民は原発建設をおおむね支持している、反対運動は限定的であるとの情報を得ているところであります。もちろん、市長さんが反対者であることは事実なんですけれども、選挙がつい最近行われまして再選をされているんですが、選挙では原発反対ということは掲げなかったというふうに現地の方から情報が入っております。

 原発建設計画を国家の重要な政策としているトルコ政府は、原発に関する国民の理解を得るために、これまで行ってきている国民に対する広報、説明等の取り組みを今後も継続していくものと理解をしております。

 我が国としても、相手国から求められれば、これまでの経験に基づいてトルコ政府に対して助言を行うなど、可能な範囲で協力していきたいというふうに考えております。

生方委員 きのう説明を聞いたとき、現地の方は必ずしも反対はしていないんだと。では、それをどうやって確認したんだというふうに言ったら、確認はしていないと。世論調査でもやっているならともかくですよ。

 最近、市長選が行われたばかりで、それが争点にはならなかったというふうな説明がきのうもございました。しかし、普通に考えれば、百万キロワットの原発を四基もつくるという、そうしたら、そこで新たな雇用もたくさん発生するし、万が一事故があった場合どういうふうに避難したらいいのかとかいうことが当然話題になるわけで、それが選挙戦の焦点にならなかったという認識が、私がそこに行って、焦点になっているじゃないかというのを見てきたのなら、私はそれをきちんと言えますけれども、焦点にならなかったというのが本来おかしい話で、焦点になるのは当たり前なんですよ。多分焦点になったと思いますよ、焦点が幾つかあるうちの一つかもしれませんけれども。

 普通、日本で考えれば、原発を新たに四基もつくるということになれば、それが最大の焦点になるのは当たり前なんですよ。それを、外務省がどこまで調べたか知りませんが、少なくとも反対はそんなに大きくはないと。

 あそこは中央集権の国だから大丈夫だというような説明もありましたけれども、でも、やはりこれはきちんと調査をしないと、いざ協定を結んで、では輸出しましょう、だけれども、現地は反対で大変だというようなことにもなりかねないんですから、私は、外務省としてちゃんと調査するべきだと思いますよ。

 きのうのような説明、今のような説明では、私はとても納得はできませんね。これだけ日本で事故が起こっていて、さっきも言いましたように、私のところにたくさんの心配が寄せられている中で、反対はないから大丈夫だという説明で押し通そうというのは、私は無理があると思いますよ。もう一度、いかがですか。

石原大臣政務官 お答え申し上げます。

 トルコ政府からは、原発に関する国民の理解を得るためにこれからもしっかりと取り組んでいくというふうに伺っておりますので、そのことを見守ってまいりたいというふうに考えております。

生方委員 政府が進めても地方では反対するということはよくあることでございますので、これ以上ここでどうだという論議をしてもしようがないと思いますので、次へ進めたいと思います。

 核拡散の面からお伺いしたいんです。これも新聞紙上等で話題になっておりますが、この原子力協定には、両締結国が書面により合意する場合に限り、トルコにおいて濃縮または再処理をすることができるという文言が入っている。これは、同じ時期に締結したアラブ首長国連邦には入っていないで、ベトナムなんかもそうですけれども、濃縮、再処理はしないというふうになっている。

 これは外務大臣が、いや、させないんだということを国会で答弁しておりますが、させないのなら何で入れたのか。これは別に、UAEと同じように削除すればいいことであって、何でこの文言が入らなければいけなかったんですか。

石原大臣政務官 トルコとの協定の交渉において、政府としては、濃縮、再処理の規制が核不拡散の観点から特に重要であるという考えに基づいて、トルコにおける濃縮、再処理は規制または禁止する規定を設けるべきと考えて交渉を行ってまいりました。

 しかし、交渉においてトルコ側は、同国と他国との協定の例や、当該条文がトルコにおける濃縮、再処理のみを規制するものであり、日本における濃縮、再処理を規制する規定ではないこと等で、両国が合意しない限り濃縮、再処理することはできないといった否定的な文言を用いることも国内との関係で問題があるとして、その上で、条文上は、両国が合意する場合に限り濃縮、再処理できるという規定になったところであります。

 政府としては、日本の同意を条件とすることによって、トルコにおける濃縮、再処理の禁止という実態を確保できたことから、このような内容になったところであります。

生方委員 今、これは交渉のことだからということの言いわけでしたけれども、やはり前のめりになっているからでしょう。UAEとの交渉ではこうなっているのに、何でトルコにだけ。これは両国が合意しなければされませんよというふうに言ったって、トルコには周辺国があるわけですよね、いろいろ対立している国もありますよね。その場合に、トルコがこの条文を外交のカードに使うことだってできるわけですよ。

 そういうことも考えれば、本来、日本は全然それに関与するつもりもないし、許可するつもりもないのであれば、協定の段階できちんと、これを盛り込むことはできないと言わなきゃいけないんじゃないですか。交渉の過程で、要するに、負けたということを認めるみたいなものでしょう。

 それか、あるいは、輸出に自分たちが関与したい、日本のメーカーがやりたいんだということで妥協したとなったら、一番最初にさっき自民党の議員の方が質問したとき、核拡散には日本は非常に熱心に防止に取り組んでいるんだということを言っておきながら、片方で、売り込みたいためにこういう条文を入れたんだとなったら、これはおかしなことになりますよ。

石原大臣政務官 我が国としては、協定の対象となる核物質のトルコ国内における濃縮、再処理を認めるつもりはありません。この点については、既に岸田大臣が国会の場で明らかにしているところであります。国会における外務大臣の発言をぜひ御理解いただければと思います。

生方委員 外務大臣の発言は発言でいいんですけれども、条約ですからね。条約は守らなきゃいけないわけですから、原子力協定。そこに盛り込まれた、書かれたということは大きいと思うんですね。大臣がそれを、国会では、やりませんと。それならば、ちゃんと、やらないような条文にしなきゃいけないというのは当たり前の話で、やるかもしれないという条文をつくっておきながら、国会では大臣がやらないと言いましたということじゃ、なかなか国際的には私は通用しないと思いますよ。

 だから、もし本当にやらないのであれば、再度交渉して、日本はやる気はない、そのことをきちんとトルコ政府に納得をさせて、条文を変える努力をするというのが私は外交の本筋だと思います。

 若干質問が残っていますが、時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

森委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司でございます。

 今、原発の収束に向けては、関係各位に努力をしていただいているところでありますけれども、たびたび汚染水の問題が出たり、また多核種除去施設も思ったように動かなかったり、完全な収束まではやはり長い時間を要さなければならないなというふうに思っています。遅々として進まずということは言いませんけれども、遅々としながらも何とか進んでいるという状況なのかなというふうに捉えています。

 そういった中で、この原子力委員会だけではなくて、復興特なんかでも、またほかの各種委員会でもたびたび質問させていただきましたけれども、汚染水の処理をしている中でどうしてもトリチウムが取り切れないということで、汚染水の処理は進んでいるんですが、結局トリチウム水がタンクにたまり続ける。最終的には、今の段階では八十万トンまでというところですから、このまま処理が決まらなければ、さらに増設をしていかなければならない。

 そういった中で、経産省の中で、このトリチウム水のタスクフォースが立ち上がり、その処理に関して今さまざまな検討をしているところであります。先月の末には、このタスクフォースで、まだ案ではありますけれども、一応八つほどの処理の仕方が選択肢として示されたところであります。これはいろいろなパターンがありますけれども、個々を見ていくと、海洋放出にしろ地下埋設にしろ、どこでやるかというところが一つの重要な課題解決のテーマになってきます。

 今は処理方法についての選択肢ではありますけれども、もう少し検討を重ねていくときには、今はどれを選ぶかということは明言はできないんでしょうけれども、でも、検討の段階で場所というものも想定して課題解決の検討をしていかなければ、その実現性やまた時間といったもの、そういったことが具体的に決められないということになってくるんですね。

 これは、それぞれ八つあって、場所は関係ない部分もありますけれども、どこでという場所の検討といったものは今後どういうふうになされていくのか、お伺いをいたします。

赤羽副大臣 福島第一原発の汚染水の問題につきましては、今委員が御指摘のように、ALPSで処理した後に残るトリチウム水の取り扱いは大変重要な課題の一つと当然認識をしております。このトリチウムの貯蔵や放出等のリスクについては、残念ながら、まだ国内の共通の理解、認識は得られていないというのが現状である、そう考えております。

 このため、まず重要なことは、これまでの科学的知見にリスク評価の視点も加味しまして、トリチウムに関する情報や技術を整理、分析することだと考えておりまして、昨年十一月末に来日いただきましたIAEAの調査団からも、この件についてはあらゆる選択肢を検証するべきであるとの助言があったことも踏まえまして、今委員御指摘のように、昨年十二月二十五日より、トリチウム水のタスクフォースを汚染水処理対策委員会のもとに設けさせていただきまして、鋭意会議を開いているところでございます。

 よく御承知だと思いますが、実はもう六回目の会議を行って、来週七回目の会議を行うところでございますが、これは、トリチウムの物性ですとか分離技術、貯蔵技術に関する情報、評価項目や留意事項、トリチウムに係る規制基準、トリチウムの環境動態、影響等について専門的な検討を行うとともに、海外の専門家から海外の状況の聴取も行っているところでございますし、また、恐らく、中間報告を踏まえながら、各選択肢について、それぞれの環境評価についても行っていかなければいけない。まだまだ少し過程、早急に結論が出るような状況ではないものだというふうな認識をしております。

 今委員御指摘のような、では、実際的に一Fのサイトの中でどうするのかといったことも貴重な御意見でございますし、私も、現地対策本部長で、国会でこういう御示唆もあったということも踏まえて、タスクフォースのチームにフィードバックをして、前向きな、より具体的な結論が得られるように精力的に議論を行っていきたい、こう考えております。

小熊委員 だから、今後の課題として、具体的にこれを実施していく上で、地下埋設にしても、どこで地下埋設するか。海洋放出も、福島県沖じゃなくてもいいわけですね、実際は。

 確かに、私もいろいろ調べましたけれども、世界的には、既存の原子力施設で、一定の基準を持ちながら海洋放出をしたり、事故のときも、スリーマイルなんかは大気放出をしているわけですね。専門家の中には、トリチウムも大変懸念をしている専門家もいらっしゃいますけれども、それがいい、悪いは別として、現状としては、世界的には放出をしているものではあるんです。

 今言ったとおり、これからの検討課題ではあるんですけれども、慎重にやらなければいけないんですが、場所といったものが大きなテーマになってきます。どこでやるのか。

 今副大臣が確定的にこれと言うことはないんですけれども、この八つの選択肢の中で、場所にかかわるものが結構あるわけですよ。どこでやるか、どこで埋設するか。今言ったとおり、海洋放出だって、福島県沖だけが選択肢なのかといえば、違うと思うんですけれども、そこを聞きたいんですよ。もし今後これを具体化していくときに、放出や埋設、いろいろな手法をとるときに、これは福島県ということだけがありきなのか、ほかの場所といったものもその検討の中でもちろん入れていくのかどうか。福島県だけなのか、福島県外も入れるのか、そこを聞きたいんです。

赤羽副大臣 これは、先ほど申し上げましたように、汚染水処理対策委員会のもとにでき上がったトリチウム水のタスクフォースの専門委員の皆さん方で今鋭意検討をしていただいているところでございますので、私が具体的にどうのこうのということは申し上げられませんが、国会でそうした御提言があったということはお伝えをしたい、こう考えております。

 加えて、委員は地元の選出議員ですからよく御存じだと思いますが、汚染されていない地下水の海洋放出についても大変な抵抗も誤解もありますので、この点もまだまだ御理解をいただいている状況でございますので、まずその点をしっかりと全力を挙げて取り組んでいるというのが現状でございます。

小熊委員 つまり、何を言いたいかというと、午前中の復興特の質疑でも中間貯蔵の話がありました。除染した除去土壌の廃棄物に関しては、中間貯蔵は福島県、最終的には三十年後には県外となっているわけですよ。であるならば、トリチウム水だって、県外という選択肢を除外するということは、なしにいくということは、これは整合性がとれないというか、それは選択肢に入れて、結局、福島県沖とか福島県内というのもあるのかもしれませんけれども、最初からこのいろいろな手法を全て福島県内でとるということは、では、これはとりながら、その除去土壌は県外にというところのこの論理が結びついていかないと私は思っています。

 今言われたとおり、普通の地下水でさえ、これを海洋放出するのに大変な苦労をされていますよ。海洋放出や地下埋設、どこでやるにしても地元の理解というのはなかなか大変だというふうに思います。それが福島県だけになる場合と、福島県外というのも選択肢に入れて検討していくということは、また、地域住民の理解を得るという意味では、大変な御苦労が出てくるというふうに思います。

 そもそも、ほかの、指定廃棄物なんかは県外にという選択肢を示しているわけですから、トリチウム水も、必ずやれとかは私は言いません、検討の中に、これは福島県沖や福島県内ということだけではなくて、指定廃棄物がそういうふうにやっているわけですから、これも結果として福島県だということになるのかもしれませんけれども、検討の中ではそういう枠は外してやらないと、指定廃棄物とこのトリチウム水の平衡した考えになっていかないと思います。

 まして、指定廃棄物よりトリチウム水の危険度の方が少ないと言われているわけですから、無害だと言っている専門家もいるわけですから、検討の中では、ありきではなくて、ほかのどこでやるのかというのも真剣に議論を、これから検討していただきたいということをお伝え申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 これもちょっと午前中の復興特の質疑でも出ていましたけれども、個人線量計による被曝線量調査、これは一部報道には出ていましたけれども、内閣府の原子力被災者生活支援チームが当初想定していた数値ではなかったので、とりわけ報道に出ているのは川内村の数値ですけれども、これを少し公表を控えたというような報道がありましたけれども、その事実関係を確認させてください。

赤羽副大臣 まず、結論から言いますと、多分、委員が言われているのは三月二十五日の毎日新聞の報道だと思いますが、この報道については全くの事実誤解でございますので、正式に毎日新聞社に対しまして、原子力被災者生活支援チーム、官房長名だったと思いますが、抗議を行ったところでございます。

 そもそも、この放射線線量の調査は、昨年の八月、九月に実施をいたしました。それぞれ、田んぼのところとか、林のところとか、ずっと定点で置いてどういうふうな数値が出るのかと実測をして、その数字を受けて、放射線医学総合研究所の専門の方々にその生データを出していただき、そしてその中で、林業従事者が何時間ぐらいいつもそこで仕事をしているから実際の被曝線量はこうだとかということをまとめていただいているまだプロセスの段階です。

 近々その最終案というか、放医研からの回答もいただいて公表させていただくという状況でございますので、全くその段階で公表しなかったのをあたかも隠蔽していたかと言うのは、私も現地対策本部長としては非常に不愉快に思いますし、そもそも、川内村が線量が高かったからと言いますが、その数値自体、客観的な避難指示解除のガイドラインとしております二十ミリシーベルトからはるかに下の状況でございますし、それはまた、避難指示解除準備区域ではなくて居住制限区域でもそれだけ下がっているということでありますので、その数値の事実をもってしてもあえて隠蔽するような理由は全く見当たらないということでございますので、ぜひこれは御理解をいただきたい、正しい御理解をいただきたい、こう思っております。

小熊委員 まさにこれは、世の中、火のないところに煙は立たないという言葉がありますけれども、火のないところに煙が立つのが実は現実の世の中としてあるわけでありまして。副大臣、福島にもしょっちゅう来ておられるからその状況がわかるとおり、大丈夫だろうと思っていながらもなかなか、ネガティブな情報の受け取り方をしてしまうという状況にあるのも事実ですし、私は原発から遠く離れた会津ではありますけれども、私の地元でもそういう状況でもありますので、こういうことが報道される、これは新聞社の間違い、本当に私も遺憾だと思います。

 何回か委員会でも言ってきましたけれども、三年前の三月十一日以前の原子力のいろいろな不祥事があったときに、やはり情報の隠蔽や捏造があったのは、この福島県の原発、東電の原発なんです。そういう背景があるから、とりわけ、情報を開示していても、それに対する信頼というのはそもそも薄い。震災が起きたからではなくて、そもそも薄いというこの県内の事情があるというのは、副大臣、よく承知をしていただいて、情報開示に関してはしっかりとやっていくということを、三月十一日以前のいろいろな不祥事もあるということを踏まえた上で、とりわけ今後も取り組んでいただきたいということをお願い申し上げて、残余の質問は足立議員に移ります。

 どうもありがとうございました。

森委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この原子力特別委員会、大変貴重な時間でございますので、しっかり質問申し上げますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、事前に通告をさせていただいているテーマが大きく二つございます。一つは、敦賀等の廃炉の問題、それからもう一つは、再稼働の問題でございます。非常に限られた時間ですので、再稼働の方から、順番を変えて取り扱わせていただきます。場合によっては廃炉の話に届かないかもしれませんが、その際には、各省の方々、お許しをいただきたいと存じます。

 全ての関係委員会での質疑を全部フォローできていないので重複があったら恐縮ですが、まず最初に、規制委員長に、先ほども川内原発の話が出ておりますが、今取り組まれている審査は、早ければいつごろ完了する予定ですか。

田中政府特別補佐人 川内原子力発電所一、二号機については、今、設置変更許可申請の補正申請、それから、それに基づく審査書案の作成の準備に入ることにしております。そういう作業を進めていますけれども、事業者から、まだ指摘事項に対する回答が届いていないものとか、説明が必要なものがあるということで、引き続き、今、審査を鋭意進めているところでございます。

 これらを踏まえて、原子力規制庁においては、審査書案の作成の準備を進めていますので、その進捗状況については、事業者の対応によるところも大きいので、今の時点で、いつごろ、見通しとかスケジュール、いつの時点で許可申請ができるかどうかということについて申し上げることは大変困難でございます。

足立委員 いろいろな言い方があると思いますが、夏ごろとか、あるいは年内とか、誘導しちゃいけませんが、私が申し上げているのは、少なくともその可能性があるかないか、年内でもいいんです、六月でもいいんです、審査が完了する可能性はある、そういうことでよろしいですね。

田中政府特別補佐人 再稼働するかどうかについては、再三申し上げていますけれども、私どもが判断することではございませんで、審査をいつの時点で終了するかということですが、まず許可申請があって、それから工事認可の申請があって、それの許可があって、その後、稼働前検査というようなスケジュールで進みますので、現時点でいつというふうに申し上げるのは大変困難でございます。

足立委員 おっしゃることはよくわかりますが、今、国民が再稼働の成り行きにいろいろな意味で大変関心を持って見ているわけでありまして、あえてそういう観点から今お聞きをしたわけでございます。

 実は、この再稼働の問題は、私は二月の二十七日、ちょうど予算案が衆議院を通過する前日に予算委員会で集中審議がございました、その際に文科大臣等にお聞きをしたわけであります。何を聞いたかというと、それは、仮に再稼働があったときに、適用される損害賠償の枠組みはどうなるんでしょうか、こういう質問をしました。

 背景には、損害賠償支援機構法の附則六条、これに、できるだけ早期に賠償の枠組みあるいは国の責任と関与のあり方について見直しをする、こう書いてあって、それはもう既に、施行から一年をめどと附帯決議には書いてあるわけだから、国会の意思としては、二年前にそれが完了していてもいいぐらいのタイミングだったんだということを予算委員会で申し上げた。

 文科大臣もその際、るる御答弁をいただきましたが、予算委員会の大変限られた時間でしたので、改めて、再稼働に当たって損害賠償の枠組みがどうなるのか、文科省の方からお願い申し上げます。

冨岡大臣政務官 ありがとうございます。

 足立委員の御質問にお答えしたいと思います。

 委員もおっしゃいましたように、二月に一度質問をいただいているところではございますが、御存じのように、原子力損害賠償法は、原子力事業者が無過失でも全ての損害賠償責任を負うとともに、賠償を行うための措置として、一万キロワットを超える原子炉については一千二百億円の損害賠償措置を講ずることを原子力事業者に義務づけているところでございます。

 これに加え、原子力事業者が原子力損害賠償責任を負う額が一千二百億円を超えると見込まれる場合は、原子力事業者からの申し込みにより、原子力損害賠償支援機構が、原子力事業者に対して、損害賠償の履行に充てるための資金交付などの資金援助を行うことができることとされております。

 したがいまして、万が一、再稼働後に原子力事故が発生した場合には、こうした現行の原子力損害賠償法等の制度のもとで賠償の迅速かつ適切な実施がなされることとなっており、国としても、果たすべき役割をしっかり果たしていきたいと思っております。

足立委員 今、冨岡政務官の方から、現行制度でやる、こういう御答弁をいただきました。予算委員会でも若干文科大臣も触れられたわけでありますが、これは現行制度でやると。

 一方で、先ほど御紹介申し上げた支援機構法の附則では、背景としては、現行制度では十分ではないからこれを見直しするんだ、こう書いてあるわけですね。

 すると、冨岡政務官は、あるいは文科省は、支援機構も含めた現行制度で、いわゆる賠償の枠組みあるいは事故対応への国の関与と責任のあり方については、これで見直しは整っている、こういう理解でしょうか。御答弁をお願いします。

冨岡大臣政務官 そのように考えてよろしいかと思います。

 すなわち、再稼働後の万が一の事故の備えとしましては、さきにお答えしたように、事業者に保険等の損害賠償措置を義務づける原子力損害賠償法と、原子力事業者の相互扶助としての賠償に充てる資金を交付する原子力損害賠償支援機構法を措置しております。それに加え、これまでも、原子力損害賠償紛争解決、ADRセンターの整備や時効特例法の制定など、被害者の賠償に万全を期するための所要の措置を行っているところであります。原子力損害賠償支援機構改正法案を今国会に提出するなど、事故の収束に万全を期することとしております。

 したがいまして、原子力損害賠償制度等の見直しがなければ再稼働できないとの指摘は、現在のところ当たらないのではないかと考えております。

足立委員 文科省は損害賠償を担当している。損害賠償を担当している文科省としては、今の枠組み、福島第一の事故を受けてつくっていたこの制度で、ある種、制度としては完了しているんだ、こういう説明でございますが、一方で、支援機構法の附則六条には、損害賠償の話だけではない、原賠法だけではありませんね、いろいろな、附則六条に書いてある事故の収束等に係る国の責任や関与のあり方、これについて見直しをすると書いてあります。

 経済産業省も、既にその見直しは現行制度で完了している、こういう理解でよろしいですか。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 今、冨岡政務官の方からも話がありましたように、附則第六条には、いろいろな検討を行った上でということが書かれております。その中の一つとしましては、原子力賠償の実施の状況ということも含まれておりますので、今まさに賠償が進んでいるところでございますけれども、賠償がこれからどういった状況で進んでいくのかということも検討の一つになってくるのではないかなというふうに思っております。

 まさに今、エネルギー基本計画につきましても、与党の方で審議をしていただいておりますけれども、エネルギー基本計画の中で原子力がどういうふうな位置づけになるかということにつきましても、やはり賠償の大きな仕組みを考える上では非常に大きな要素となってまいりますので、このようなものを踏まえまして、総合的に検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

足立委員 すると、今の御答弁では、附則六条に書いてある損害賠償の問題あるいは事故の収束等に係る国の関与及び責任のあり方、前者については、文科省が担当しておって完了している、後者については、経済産業省等が担当しておられて、まだ見直しの条件が整っていない。要すれば、いろいろな福島第一の賠償の推移を見て、その結果を見てから見直しを行うんだと。

 文科省の担当分野は完了しているけれども、経産省の担当分野は完了していない。これで経産省は大丈夫ですか。

磯崎大臣政務官 原子力賠償法の所管官庁は文科省ということでございますので、まさに法案の改正云々ということになりますと、所管は文科省になるんだろうなというふうに思っております。

足立委員 今申し上げているのは、経産省に聞いているんですから。経産省に賠償責任の問題を聞いているんじゃありません。事故の収束等に係る国の関与と責任のあり方について見直すと書いてあるわけです。見直しは終わっているんですか、終わっていないんですか。どっちですか。

磯崎大臣政務官 原子力賠償の実施の状況ということでございますので、まさに今、賠償につきましては粛々と進行しているところでございますので、この状況につきましては、まだ完全に見きわめが終わっているという状況ではないという理解でございます。

足立委員 御答弁はよくわかりました。

 すると、附則六条で、できるだけ早期に見直しましょうといった点について、文科省は、やりました、こう言っているが、経済産業省は、まだ、いろいろな様子を見てやるんだと。それで再稼働をしたときに、仮に万が一ですよ、そんなことはあってはならないわけですが、再稼働して事故が仮に万が一起こったときの、その収束に係る国の関与、責任、これはどうなるんですか。

磯崎大臣政務官 お答えを申し上げます。

 これは、先ほど答弁をいただいたように、一つは、原子力損害賠償法、これに基づいた事業者の責任というのが無過失責任かつ無制限ということでございます。これとともに、いわゆる機構法におきましても、相互扶助という観点で、国の交付国債も含めて、こういった賠償をスムーズに行っていくような仕組みが今ございますので、再稼働して万が一事故があったような場合には、この二つの仕組みによりまして賠償を行っていくということになろうかと思います。

足立委員 今政務官の方から、現行法制度でいくんだと。これで十分だとお考えですか。

磯崎大臣政務官 議論はいろいろあろうかと思いますけれども、この仕組みの中で賠償を円滑に行っていくことは可能だというふうに思っております。

足立委員 見直しの作業は終わっていないが、見直しの作業は完了していないが、現行制度で十分なんだと。これは矛盾していませんか、政務官。

磯崎大臣政務官 これは、見直しをするに当たっては、いろいろな観点からの見直しが必要だということになろうかと思いますので、そのときに考慮すべき要素として、先ほど申し上げました、今の賠償がどういうふうに進捗をしていくのかということも踏まえて、改正をする必要があるならば改正をするということかと思いますので、そういった意味では、今の状況のもとで賠償を円滑に行っていくことに特に問題はないと思いますけれども、ただ他方で、賠償を、今の状況の中で、それを踏まえて検討する余地もあるということかと思います。

足立委員 私は、今の御答弁、よくわかりません。わかりませんが、もう時間が来ましたので、最後に、廣瀬社長においでいただいているので、一言だけお願いしたいんですが。

 今申し上げた、今御答弁いただいたような現状にあります。このもとで、東京電力として、再稼働を申請されている原発もあります。これは、再稼働は大丈夫だという御判断で社長もよろしいですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どもは原子力発電所を運転する事業者でございますので、特に新規制基準に適合することはもちろんのこと、安全対策を万全にして、二度とこうしたような事故が起こらないような形に持っていくというのが私どもの最大の責務だと思っておりますので、それに向けて一層努力していきたいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 我々としては、再稼働をやめろと言っているんじゃないんです。早くやろうと。早くやるためにも、しっかりとその環境整備をお願いしたい、こうした思いできょう質問させていただきました。引き続き、このテーマ、監視をしてまいりますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 本日は、大変にありがとうございました。

森委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 原子力規制委員会の田中委員長に質問をさせていただきます。

 きょうの冒頭での御発言の中に、「原子力規制委員会は、原子力利用に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすべく、さまざまな政策課題に取り組んでおります。」と発言されました。人と環境を守るという、ここで言う人と環境、これは日本人と日本の環境だけということでしょうか。そういう理解でよろしいんでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもに与えられた任務として、まず、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて、推進と規制を分離するという考え方に基づいて、国内の原子力施設に係る規制を厳格に行って、これを通じて国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全等を行うために設置されたものと認識しております。

 各国の原子力施設の安全の責任は同施設を管轄する国が負うということが原子力の安全に関する条約でも示されているところでございます。ただし、こういった大きな原子力事故は国外にもその影響を及ぼすということもありますので、IAEA等を通じて、各国協力をして、国内だけではなくて、外国も含めた人と環境を守るということについては、鋭意協力しながら努力しているところでございます。

山内委員 非常に長い御説明でしたが、余り海外での環境や人を守るということに関しては熱意の感じられない答弁だったなという印象を持ちますが、原発関連機器の輸出時の安全確認について質問をさせていただきます。先ほどの民主党の生方委員とかなり重なる質問もありますが、改めて質問をさせていただきます。

 安倍政権になってから、原発輸出、大変熱心に進めておりますけれども、その際、きちんと安全を確認した上で輸出するということが私は必要ではないかと思います。本当は、我が党は原発の輸出自体に反対の立場なんですけれども、百歩譲って、仮に輸出するなら、十分安全を確認した上で、説明責任を果たした上で輸出しないと、これは、法には触れないかもしれませんが、倫理的、道義的に問題があるのではないかと思います。

 そういった観点で質問をさせていただきます。

 従来は、独立行政法人日本貿易保険あるいは国際協力銀行の融資を利用して、一件当たり十億円を超える機器を輸出する際、原発の関連機器メーカーが両機関を通じて資源エネルギー庁原子力政策課に安全確認を申請する手順であったと承知をしております。

 そのときの安全確認の三つの項目というのは、これは毎日新聞の説明している順番に申し上げますと、第一は、輸出元のメーカーが機器の品質管理や、輸出後長期間にわたって機器の保守補修、関連研修サービスを適切に行うかどうかというのが一つ目。二つ目が、相手国・地域が安全規制を適切に行える体制かどうかということが二つ目。それから三つ目が、原子力安全条約等の国際的な取り決めを相手国が受け入れて、守っているか。こういう観点から安全を確認していたと承知しております。

 しかしながら、従来のやり方でも、経産省の産業機械課、そして資源エネルギー庁の原子力政策課が輸出元メーカーの体制をチェックすることになっていたんですけれども、この確認というのも、イエス、ノーのチェックリストというもので、かなりいいかげんなものだったというふうに報道されております。

 そして、相手国の安全規制を適切に行うかどうかの体制を確認する。これは昔の原子力安全・保安院が実施しておりました。しかしながら、原子力規制庁は引き継いでおりません。まだ誰がやるかも決まっておりません。

 それから、原子力安全条約等の国際的な取り決めを受け入れ、守っているか。こういった確認も、やはり宙に浮いていて、誰がやるか決まっていない。先ほど経産副大臣からも答弁のあったとおりです。

 そういった観点で考えると、日本の政府機関全体で考えて、本来、こういった海外に輸出する機器の安全確認を行うというのは、私は原子力規制委員会、原子力規制庁がふさわしいのではないかと思っております。現行法でも十分に、法改正しなくても、原子力規制委員会、規制庁でこういった原発輸出の安全確認をできるんじゃないかと私は思うんですが、その点について、田中委員長の御見解を尋ねます。

田中政府特別補佐人 本件の質問に対しては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、私どもは、推進と規制を分離するという基本的な考えに基づいて、原子力施設に係る国内規制を担っているところでございます。原子力関連資機材の輸出については、これは推進の立場にも立ちますので、意見を申し上げる立場にはありません。

 そこで、先ほど申し上げましたのは、そういった法的な位置づけもなされていないということを申し上げさせていただきました。

山内委員 私、ちょっとそこがよくわからないんですが、推進と規制を分離しましょうという原則は大事だと思うんですけれども、だからこそ、経産省の産業機械課がチェックをしていたら、産業機械の振興、産業機械をもっと輸出したいという経産省の役所がチェックをしていたら、チェックは甘くなって当然だと思うんですね。ですから、むしろ、推進機関ではなくて、規制機関である原子力規制委員会、原子力規制庁が安全確認をやった方が本当は望ましいと思うんです。

 そもそも、そういうふうに、規制庁は原発関連機器の輸出をやらなくていいということを政府の中で話し合って決まっているということなんでしょうか。いつも、原子力規制庁の担当の方は、規制庁はやりませんということをおっしゃるんですけれども、それは既定の事実として、決まった事実としてあるんでしょうか。それについてお聞きします。

田中政府特別補佐人 それをやりませんということを申し上げているのは、そういう任務を持っていないということでございます。

 原発の安全確保は、一義的にやはり相手国の政府の責任において行う、判断するというのが原則でございますので、まずそこが基本になるんだろうと思っております。

山内委員 では、そうであるならば、原子力規制庁のほかに、どういった機関が原発関連機器の輸出のときの安全確認をやるのがふさわしいとお考えでしょうか。田中委員長の御見解をお聞きします。

田中政府特別補佐人 ただいまの質問に対して、私の方から申し上げるような立場にありませんので、お答えは控えさせていただきたいと思います。

山内委員 せっかく国会の同意人事で決まった委員長だと思うんですけれども、その分野の専門家として、今のお立場はあるかもしれませんが、専門家としての観点で、どういう機関がふさわしいか、ある程度、抽象的でもいいので、お答えいただくことはできないんでしょうか。もう一度お聞きします。

田中政府特別補佐人 再三の御質問でありますけれども、それはお答えするのは大変難しいので、控えさせていただきたいと思います。

山内委員 経産省に聞いても余り安全確認をやりたいという熱意は感じられませんし、規制庁も自分たちの仕事ではない、誰も安全確認をやりたいところがないという異常な状況だと思います。だったら、そもそも輸出しなくてもいいと私は思うんですけれども、それに関して経産省の御見解をお尋ねします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の手続でございますけれども、これはOECD加盟国の輸出信用機関がさまざまなプロジェクトに融資する際に、貸し手の立場から当該プロジェクトの環境及び社会への潜在的影響を事前評価するというOECDの指針に基づいて、それを踏まえて行われているものでございます。

 現在、安全確認につきましては、この指針を踏まえまして、JBICあるいはNEXIが原発関連の輸出に公的信用を供与する際に、かつては、これまでの例でいいますと、経済産業省に相手国の安全確認体制の事実確認を照会し、当省が答えるという手続でございました。

 規制委員会が設置された後の手続につきましては、今、経済産業省でも諸外国がどういうことをやっているかというのを調査もしておりまして、そういったことも踏まえながら、私どもを中心に、政府において鋭意検討を進めているところでございまして、関係省庁と十分に協議しつつ、検討を急ぎたいと考えてございます。

山内委員 今の経産省の答弁に関連して、では、もうちょっと質問させていただきます。

 福島第一原発事故を踏まえた安全確認の要件というのは、まだ国際的にも確立していないと承知をしております。今、ちょうどIAEA等が福島第一原発事故の包括的な報告書を作成している途中だと聞いています。事故の原因の評価、あるいは事故の結果の評価、そういったことも含めた報告書を今つくっているところだと聞いていますが、そういった国際的な評価をきちんと経た上で、調査結果が出た上で安全確認の要件をつくっていく必要があると思うんですけれども、そういった点については、今、経産省はどのようにお考えなんでしょうか。

高橋政府参考人 原発の安全確保につきましては、当該発電所が立地する国において行う、それが規制当局において行われるということが国際的にも確立した考え方でございます。

 今御議論していただいております原発輸出の安全確認制度でございますが、これは公的輸出信用機関がプロジェクトに対して融資をする際のその観点からのものでございますので、そういった観点で検討をしてまいりたいと考えてございます。

山内委員 日本は福島の事故を起こしてしまった国ですから、普通のOECDのガイドラインに沿っていればそれでいいという問題でもないと思うんですね。

 私もODA実施機関で働いていましたので何となくOECDが何を考えているかわかりますけれども、そういう単に一律にやっているいいかげんな評価ではなくて、安倍総理が世界一安全な原発とおっしゃっていますし、安倍総理はこういうふうにおっしゃっています。原発事故の経験と教訓を共有することで世界の原発の安全を図ることは日本の責務だと。総理大臣がそこまでおっしゃっているんですから、もっと安全確認に真剣に取り組まれた方がいいんじゃないでしょうか。

 ただ単に国際約束を守っている、条約に一応沿っているとか、OECDのガイドラインに沿っているからそれでいいというレベルではないんだと思います。国のトップがこんなふうにおっしゃっているんですから、せっかくだから事故の教訓をしっかり踏まえて、私はそもそも原発は輸出しなくていいと思っていますが、もし輸出するのであれば、それは福島の事故の結果を踏まえた、より厳しい適切なものを輸出しないといけないと思います。そういうふうにまさに安倍総理もおっしゃっているわけです。

 そういった観点でいうと、OECDのガイドラインとか原子力安全条約を守っています、それで終わりということで本当にいいんですか。その点について、ちょっと感想を田中委員長にお聞きしたいと思います。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会としましては、IAEAでの福島第一原子力発電所の事故調査とそこからのレッスンをどういうふうに引き出すかというようなことについては積極的に協力させていただいていますし、参加させていただいています。

 逆に、これまで、さまざまな事故調査報告書等を踏まえまして新しい規制基準をつくらせていただきまして、そういったものに基づいて今審査会を行っております。

 そういった成果については、IAEA等を通して国際的に安全性の向上に積極的に貢献していく、今後もそういうふうにしていきたいと思っておりますし、また、新たな安全上の考慮すべき事項が出てきたらそれを踏まえて国内法の改正を行うというようなことも踏まえて、安全性の向上に継続的に取り組んでいきたいと考えています。

山内委員 それから、原発輸出に関する説明責任ということであります。

 特に相手の、輸出先の国の国民に対する説明というのは私は非常に重要だと思っております。安倍総理みずからトップセールスで原発を売り歩いているわけですから、売り込むときにはきちんと相手の国の国民にも説明すべきだと思います。もちろんセールスですからメリットも説明されるのは当然だと思いますが、そのときのリスクまできちんと含めて公正に説明をしないと、やはりそれは商売としても不誠実だと思います。

 国を挙げて売り込むのであれば、リスクの説明もやらなきゃいけないだろうし、そして、何か事故が起きたときの対処のやり方、それから本当に事故が起きたらどんなに悲惨なことになるかという福島の経験を踏まえて、きちんと相手国の、輸入する側の国の国民やメディアにも説明していく責任というのが私は道義的にあると思います。それは、OECDのガイドラインとは関係ない問題ですし、条約とも関係ないと思います。

 日本という国としてそういったことをやっていくのは当然必要なことじゃないかと思うんですが、それについて、田中委員長、どのようにお考えでしょうか。国際協力は必要だと思います。日本の原発輸出、何度も言います、私は反対ですが、もし本当に輸出するんだったら、せめてきちんと説明をすることは必要ではないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。

田中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、原子力規制委員会は、原子力関連資機材の輸出について、今意見を申し上げる立場にはありません。

 ただし、先ほども申し上げましたとおり、IAEA等を通して国際的な安全性の向上に向けた努力に対しては積極的に参加し、協力していきたいというふうに考えています。

山内委員 もう時間がないので、最後に意見だけ言わせてもらいますが、経産省に安全確認を任せていたら、それは経産省は輸出を促進するのが仕事ですから、安全確認を十分やれるとは思えません。やはり原子力規制庁の方こそが輸出のときに本当に安全かどうかの確認をやるべき政府機関ではないかと思います。そのことを申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

森委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。私は、結いの党の椎名毅でございます。

 本日、二十分間の質疑時間をいただきました。まことに感謝申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと時間がないので、早速入りたいと思いますが、本日、通告してあるところと少し順番を入れかえて、二番目というふうに通告しておいたところから伺ってまいりたいというふうに思います。

 きょうのテーマは、基本的には避難と、それからテロに関する核テロ対策というところで、核テロ対策については時間が許す限りというふうにさせていただきたいと思います。

 川内原発一号機、二号機の再稼働が先行して審査をされるということが、先ほど田中委員長の口からも冒頭、御説明があったところでございます。徐々に再稼働というものが進んでいくんだろうというふうに思うんですけれども、やはり、避難計画なくして再稼働なしという考え方があります。

 IAEAのいわゆる五層の防護、深層防護ともいいますけれども、この考え方というのは、被害を極小化するためにどうするかを重層的に考えていくということだというふうに思っています。

 一層目が原子力施設の異常発生防止。二層目が異常の拡大防止。そして、三層目で事故の影響を緩和するということで、炉心損傷を防止するとか格納容器の健全性を維持する。四層目が、仮に格納容器の中で大きな事故が起きたとしても、大規模な放射性物質の発散を防止する。その後、一番最後の五層目というのが、仮に格納容器が破損して放射性物質が外へ発出されたとしても、人的被害を出すことを防止するというのが五層目です。基本的には、避難計画というもの、それから原子力防災という考え方がここに入ってくるんだというふうに思っています。

 福島の原子力発電所の事故以前については、経済産業省の方針として、一層目、二層目、三層目の三層の防護というところを重点的に説明していて、原子力発電所の事故は起きないという前提に立った上で、大規模な放射性物質の発散防止だったり避難計画の策定だったりというところについては、随分手が抜かっていたというか、随分力が入っていなかったというふうに思います。

 今回、事故が起きて、この避難計画というところについても重点的に物事を考えていこうというふうにかじを切っていただいたことについては、非常にありがたいというふうに思っています。

 しかし、これから再稼働に向けて、やはり避難計画をつくるということが、今、現状においては再稼働の条件にはなっていないというふうに理解をしています。これは、避難計画を地元の自治体が十分に準備をし、そして実効性が担保できるということをやはり再稼働の条件にしていくべきではなかろうかというふうに私自身は思っています。

 これを誰に聞こうかなというふうに考えて悩んだんですけれども、経済産業省の参考人に伺えればというふうに思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力災害に係ります地域防災計画につきましては、災害対策基本法などに基づきまして、対象となる自治体が作成することとなってございます。

 政府といたしましては、関係省庁と協力いたしまして、各地域にワーキングチームを設置しまして、同計画の作成、充実のための支援を行うということで、経済産業省もその一員として加わっているところでございます。また、防災の資機材の整備への財政支援なども行われているというふうに承知をしております。

 このような避難計画を含みます地域防災計画は、御指摘のように、法令上、原発の再稼働の要件になってございませんけれども、私どもとしては、再稼働に当たり、立地自治体等の御理解を得ていくところも大変大切だというふうに考えておりますので、そのための私どもとしての努力を進めてまいりたいと考えてございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 条件になっていないんですね。理由は何でなんだろうというふうに考えたんですけれども、やはり、先ほど参考人の方がおっしゃっていただいたように、防災というテーマ、それから地域防災計画の整備というのは、内閣府の原子力防災の担当の部分でやっています。根拠法は災害対策基本法です。それに対して、原子力発電所の稼働そして安全性基準というのは、基本的に、原子炉等規制法、そして、それの安全性をチェックするのが規制庁ということで、やはり所轄官庁が違うということに大きな問題があるのかなというふうに思っています。そして、推進庁であるエネ庁があるということなんですね。

 私が悩んだあげくに経済産業省に聞いたのはなぜかというと、規制官庁と推進官庁を分離するということが今回の事故以降起きているわけですけれども、それと同時に防災というものがあって、これをつなぐのがどこなのかと考えたときに、やはり、最終的に再稼働していくということであれば、推進官庁のエネ庁が全てを最後に統括するのが正しいのかなと思った上で、エネ庁に伺ったわけです。

 今おっしゃっていただいたように、金銭的な支援をしておりますとか、そういう状況ではなくて、やはり、明確に避難計画の整備が終了したということ、そして、それに、でき得ればですけれども、この避難計画の実効性がそれなりに担保できているということ、ここが確認できたことをもって再稼働の条件としていただくという、何かしらの法整備をしていただきたいなというふうに私自身は思うところでございます。

 次に行きたいと思います。

 そして、川内原発の再稼働ということを含めて、今、十原発十七基の再稼働に向けて話が進んでいるところでございます。こういった中、通告しているところに関連はしますけれども、一応、前提として少し確認したいんです。

 これら十原発において、三十キロ圏内、いわゆるUPZと言われる避難の対象になる地域ですけれども、こういった地域で実際に避難計画がどの程度つくられているのかというところについて、さらには、地域防災計画がどの程度つくられているのかというところについて、まず、質問を分けて、段階的にちょっと伺っていきたいと思いますけれども、どういう状況だか教えていただければと思います。

井上副大臣 避難計画の実効性を担保するということは大変重要なことだと私どもも思っております。

 避難計画の策定状況でありますけれども、委員御指摘の川内原発を含む泊、福井、島根、伊方、玄海、この六地域につきましては、既に避難計画をほぼ策定済みということであります。

 その他、福島地域を除く百二十二市町村の約八割につきましては、平成二十六年度の早い時期に、暫定的な避難計画や広域避難の指針の策定などを含めて、取り組みが進む見込みとなっております。

椎名委員 ありがとうございます。

 私の見ている資料が多分古いんだと思いますけれども、平成二十五年十二月二日現在というものだと、網がかかっているところは年内中には整備をしますということだったんですけれども、今副大臣がおっしゃっていただいたとおり、そこについては整備をされているということかなというふうに思います。

 整備をしただけではだめなんですね。これはやはり、実行可能性を担保していくということが物すごく重要だというふうに思います。

 福島の第一原子力発電所の事故が起きた後、西へ逃げるのがいいのか、南へ逃げるのがいいのか、それとも北へ行くのがいいのかというのは、それぞれの自治体によって違ったわけですし、風向き等々によっても違ったわけですけれども、おおむね、福島の原発事故が起きたということを覚知した住民の方々は、西へ逃げろというコンセンサスが何となくとれて、みんな西へ逃げたようですけれども、あの地域においては、西に向かう大きな道路が三本しかないということで、非常に混雑した、非常に渋滞をしたというのが巷間言われているところだというふうに思います。

 現実的に、実際に原発再稼働が見込まれている原発において、どうやって避難をしていくか、シミュレーションを民間企業、研究者等がやっているようでございます。それぞれ幅があるみたいですけれども、一説によると、数十時間から百時間程度もかかるというようなことも言われていますけれども、実際にどうやって実効性を担保していくということをこれから考えていけばいいか、引き続き井上副大臣にお願いできればと思います。

井上副大臣 例えば、実効性の担保のために、計画に基づいて訓練を実施していくということ、その結果を踏まえて避難計画や防災体制を継続的にさらに充実強化させていく、こういったことが重要だと考えております。

 例えば、昨年十月、川内原発を対象として、国の関係省庁、鹿児島県、薩摩川内市、いちき串木野市などの関係自治体、九州電力が合同で原子力総合防災訓練を実施いたしました。私自身も現地対策本部長として現地に参りまして、幾つかの改善点も発見することができました。これらの改善点について、今後、国や自治体の訓練の実施方法、また、計画、マニュアルに反映をしていきたいと思っています。

椎名委員 ありがとうございます。今副大臣がおっしゃっていただいた関係当事者、国と自治体とそれから事業者、そうおっしゃっていただきましたけれども、ちょっと念のため確認なんですが、住民の方々は入っていらっしゃいますか。

井上副大臣 当然、周辺住民の方に参加していただいております。

椎名委員 ありがとうございます。住民の方々の避難を現実にどのように行っていくかというのがこの訓練の中でも非常に重要だというふうに思っています。

 私自身も、防災訓練については常にブラインドでシナリオを開示しないでやっていくことというのを提唱してきたわけですけれども、きのう事務方から話を聞くと一応今回はブラインドで行ったという話を聞きました。住民の方々も、周辺の方々は参加しているということではありましたけれども、多分、実際に三十キロ圏内全域ということまででは恐らくないだろうというふうに思います。

 しかし、現実に避難をするということになると、この三十キロ圏内まで含めて検討していかなきゃいけない部分もあろうかというふうに思います。実際に、避難をする、在宅で待機をする、こういったエリアによっての区分け等も考えながら恐らく防災訓練をやっていかなければならない部分があるんだろうというふうに思います。

 なので、引き続き、訓練のやり方というのは、避難の実効性を高めていく方向でさらにブラッシュアップをしていっていただきたいなというふうに思っております。

 次の質問に入りたいというふうに思います。

 先ごろニュースで幾つか報道されていましたけれども、原子力災害が起きたときの医療機関の避難計画の策定ということについてニュースがありましたけれども、実際に、医療機関、それから老健施設といった施設が原子力発電所の近所三十キロ圏内にもあることはあります。実際、福島の原子力発電所の近くにも幾つか、病床が三百を超える比較的大きな病院を含めて、二十キロ圏内には結構な病院と老健施設がありました。

 こういったところを、原子力災害が起きたときに避難をする、実際に避難をさせなければならないという事態が生じることまでは念頭に置いていかなければならないというふうに思うんですね。

 災害対策の原理原則を考えると、当然に、事業の継続をするかしないか、さらにはどうやって避難をするかというのは、原則自助だというふうに思っていて、当然、みずからがどうやって、車で避難をするのか、さらにはどこに、どこの公園に避難をするのかというのをみずから決められる、そのためのガイドラインを国がつくるというのが原則であるのは間違いないというふうに思います。

 しかし、病院や老健施設といったいわゆる災害弱者といった方々は、病院であれば入院をされている方々もいらっしゃいますし、老健施設でも認知症の方々なんかもいらっしゃるところもあるでしょう。そういった中で、やはり、原則である自助に頼り過ぎると、なかなか難しい部分があるだろう。現実に、実効性を持って避難をさせていく、そのための手はずをやはり政府が進んで整えていく、そういったことも検討していかなければならないというふうに思いますけれども、政府の側で何をしていくべきか、ぜひ御意見を賜れればと思います。

赤石大臣政務官 椎名委員にお答えいたします。

 委員指摘の病院における避難につきましては、厚生労働省として、医療機関に対して、災害対策マニュアルや業務継続計画、いわゆるBCPでありますけれども、これを作成するよう指導を行っております。また、病院のみでの避難が困難である場合、被災都道府県の調整のもと、安全性を確保した上で、DMATやドクターヘリが派遣されて患者搬送を支援することが可能な体制ともなっております。

 この支援を実効的に行うために、厚生労働省としては、平時におけるDMATの養成、現在千三百十八チーム、そして八千名のスタッフを養成しております。それから、災害時においてDMATの派遣調整を行うDMAT事務局の体制、これは現在、東京は立川の災害医療センター、大阪の医療センターと、二カ所整備しております。それから、都道府県における災害医療体制が確保できるための医療計画の整備に対する助言等の取り組みを行っております。

 また、介護老人保健施設については、災害発生時に利用者の避難を安全に行うために、都道府県内や近隣都道府県の同種または類似の施設と相互の避難の受け入れに関する災害協定を結ぶよう都道府県や指定都市などに要請をしているところであります。

 なお、東日本大震災発生時には、大量の避難弱者を安全に避難させるために、被災地の介護保険施設等の被災状況を把握した場合には、必要に応じて内閣府緊急災害対策本部と連携しまして、自衛隊の派遣依頼を行ったところであります。

 厚生労働省といたしましても、実効的な避難が可能となるよう努めてまいりたい、このように思っております。

井上副大臣 同じ御質問について、内閣府の立場から申し上げたいと思います。

 いわゆる災害弱者、要援護者の方々の安全な避難は大変重要な課題だと思っております。

 ただ、他方で、福島第一原発の事故の教訓を踏まえれば、要援護者の方々を拙速に避難させるという対応が適切かどうかというところはあると考えております。原子力災害対策指針におきましても、要援護者の方が避難することにより健康リスクが高まる場合は、避難より屋内退避を優先させるということもしております。

 こうした考え方に基づいて、要援護者の方が無理な避難をせず安全に屋内退避することができるよう、原発周辺の病院や福祉施設を中心として、建物の気密性の向上や換気用のエアフィルターの設置などの工事への財政的な支援も進めているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 非常に重要な指摘だというふうに思います。屋内退避の部分と、それから緊急時の、今厚生労働省がDMATの御指摘をいただきましたけれども、こちらはどちらも非常に重要だというふうに思います。

 最後、多分これを緊急の時点で差配するのが原子力災害対策本部、内閣府、それから総理のところだと思いますので、それを適切に運用できるよう引き続き訓練をしていくことが必要かなというふうに、伺っていて思いました。特に、原子力防災訓練の中で、病院とか老健施設とかいったところまでターゲットに入れて、一緒になってこの訓練をやっていっていただきたいなというふうに感じたところでございます。

 時間もございませんけれども、最後に、原子力発電所の核テロのところについて、特に、身元調査のあり方、第三者の不法な接近というところについて、一つ委員長に伺いたいなというふうに思います。

 ことしの年初に話題になった一つの小説、「原発ホワイトアウト」という小説、あの小説は複合災害を念頭に置いていました。複合災害という表現が正しいかどうかわかりませんが、ネタばれして申しわけないんですけれども、大雪被害とそれからテロだというふうに思います。これによって電源を断つことによって、同じように原発に電源が回らないような状況にする、こういったことを念頭に置いたシナリオに基づく小説だったというふうに思います。

 やはり、第三者が大雪なんかのときに不法にサイトの中に入り込んでくる、そういったことは避けなきゃいけないと思いますが、御所見をいただければというふうに思います。

田中政府特別補佐人 今の点、二点あろうかと思います。

 まず、「原発ホワイトアウト」、私も読ませていただきましたけれども、全電源喪失という事態を避けるということで、これにつきましては、新しい規制基準で、商用電源は独立した二系統、非常用電源も複数の独立したもの、それから、幾つかバッテリーもありますし、移動用の電源車も用意するというようなことで、一気にそういった事態にならないようにするということでございます。

 それから、信頼性確認につきましては、現在、私どもの委員会で検討していただいています。これは、若干個人のプライバシーにもかかわることでございますが、非常に重要なことでございますので、慎重に検討した上で、その導入を図っていきたいというふうに思っています。

椎名委員 時間も来ましたので終わりますけれども、諸外国でもいろいろな規制方法があるようなので、この信頼性確認のことについても、IAEAからの勧告もありますので、早急に整備をしなければならないと思います。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 本日はありがとうございます。

森委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 原子力規制委員会は、去る三月十三日、九州電力川内原発一、二号機の適合性に関する審査を優先的に進めて、その結果を取りまとめる審査書案の作成準備に入るということを決定いたしました。関連して、田中委員長に何点か質問したいと思います。

 まず最初は、規制基準と原発のいわゆる安全性と言われる問題との関係であります。

 改めて確認したいと思うんですけれども、原子力規制委員会が定めた規制基準というのは世界一厳しい基準だから、これに適合すれば、その原発は安全な原発というふうに言えるのかどうか、この点はいかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 ちょっと誤解のないように申し上げたいと思いますが、世界で一番厳しいというよりは、世界で一番厳しいレベルです。その国の状況によって幾らか精粗がございますので、そういう点で、厳しいレベルになっております。

 これは、我が国の場合は、これまでも何度か申し上げていますけれども、地震、津波、それから火山といった自然現象が大変厳しい国でございますので、まずそういった外部要因に伴う大きな事故が起こらないようにということで、今回は大変厳しい規制要求をさせていただいております。その上で、プラントとしても、シビアアクシデントが起こらないようにということで、幾つかの対策を求めているわけです。

 ただ、そういったことを仮にやったとしても、これで絶対安全だとかそういうことを申し上げているわけではありませんで、私どもとしては、そういったことの上で、なおかつ安全目標を定めまして、そのレベルよりは低くなるようにということで、規制の適合性審査を今進めているというものでございます。

笠井委員 今委員長が言われましたが、原発に絶対安全ということはない。つまり、対策を打っても事故のリスクは常にあって、そして重大事故は起こり得る、それに対して対策をとっていくということだと思うんです。

 ところが、安倍総理は、規制委員会の基準を超えれば安全だという判断がなされたと考えている、最も厳しいレベルでの審査に適合する原発は再稼働を進めていくと国会で答弁をされております。

 結局、原子力規制委員会が安全性の判断について責任を負う、あるいは負わされるということになっちゃうんじゃないですか。

田中政府特別補佐人 これも何度も申し上げていますけれども、新しい規制基準に適合しているかどうか判断をするということまでが私どもの任務でありまして、その上に立って、それを踏まえて原発を再稼働するかどうかということは、住民とか事業者とか、それから政府も関係すると思いますけれども、そういったいわゆるステークホルダーの判断によるものというふうに考えております。

笠井委員 規制委員長もそうやって予算委員会の場でも総理の前で言われている。私も承知しているんですが、総理の方は、規制委員会が世界で最も厳しいレベルでの審査でやって、それに適合するということになれば安全だと判断されたと見て、そして再稼働していくというふうに言っているわけですから、ならば、今規制委員長がおっしゃったこと、つまり、我々が安全性の判断をしているんじゃないんだということを明確に総理に言うべきだと思うんですよ。

 そうでないと、総理の方は、規制委員会が安全だと言った、そして規制委員会の方は、我々は安全だということを言ったんじゃないんだ、適合しているかだけを言っているんだと。両方なすり合っているだけでは誰も責任をとらないことになると思うので、田中規制委員長としては、ぜひ総理に、それは違いますよと言うべきじゃないですか。

田中政府特別補佐人 総理が私どものいわゆる適合性審査を踏まえてどういうふうに判断されるかということについては、私からどうこう申し上げる立場にはないので、ただいまの御質問に対しては、私の方から特に御意見はありません。

笠井委員 違うんです。総理は、規制委員会が審査をすれば、安全な原発だと理解して受けとめると言っているわけですよね。でも、今規制委員長は違うと言われているわけですから、では一体誰が責任をとるのかというわけで、そこは違いますよということをはっきり言うべきだと思うんですよ。

 炉心溶融のような過酷事故は起きないという安全神話が、福島原発の重大事故を引き起こした。今また、新しい規制基準さえ満たせば事故は起きないなどという新たな安全神話を絶対に許しちゃいけないと思います。よく考えていただきたい。

 そこで、九州電力は、川内原発の審査に向けて、地震で最大どれほど揺れるかという基準地震動、これを五百四十ガルから六百二十ガルへとわずかに引き上げた、そして基準津波も定まったということで、原子力規制委員会は優先審査を決めたと先ほども、冒頭説明がありましたが、私はそれでは全く不十分だと思うんです。幾つも問題がある。

 例えば、川内原発は火山の火砕流の危険が最も大きい原発と言われております。これまで九州電力はその影響を否定しておりましたが、ようやく先月、約三万年前、姶良のカルデラ大噴火の際に、川内原発の敷地内に火砕流が到達していたことを初めて認めました。

 そこで確認なんですが、九州電力がそういう事実を認めたということは、委員長、間違いありませんね。

田中政府特別補佐人 九州電力がいわゆる姶良カルデラ、鹿児島湾、海の中にありますが、そこが三万年前に破局的噴火を起こしているということで、それの再現シミュレーションをして、その結果を出したということは承知しております。

笠井委員 原子力規制委員会は、原発から半径百六十キロ圏内に活火山がある場合に、火砕流や溶岩流が発生する可能性が十分小さいと評価できないなら立地不適と判断する案を提示していると思うんです。

 川内原発の百六十キロ圏内には、気象庁のランクづけで特に活動度が高い火山、Aランクに指定されている桜島、薩摩硫黄島、それから雲仙岳、阿蘇山、新燃岳があります。九州電力は、原発運転期間中の破局的な噴火の可能性は十分低いとそういう中でも言って主張し、それを原子力規制委員会も妥当というふうにしていると思うんですが、その根拠は何でしょうか。

田中政府特別補佐人 火山に対しては二段階に分けておりまして、原子力発電所の稼働期間中にいわゆる破局的噴火が起こって火砕流が届くような場合には、ここは立地不適当という判断をしております。火山灰はもっと遠くまで届きますので、そういったものについては、その火山灰のもたらすいろいろな安全上の問題を評価して、それについて対策がきちっとできていれば、それは認めるというふうに判断しております。

 姶良カルデラの噴火については、六万年ぐらい毎に起こっているということですが、これまで三万年ぐらい経過しておりまして、発電所の運用期間中に破局的噴火が起こらないだろうという判断とともに、こういった破局的な噴火が起こるような場合には、火山の場合には地震と違いまして、マグマ等の移動がかなり活発になりまして、かなり前から地殻変動等が予知できます。そういうことで、そういった観測をきちっとすることによって、噴火が起こる前に原子炉の方の対策をするということを踏まえて、こういう判断をしております。

 川内発電所の火山対策については、そういうことも踏まえて、どういった観測をすべきかとか、あるいは気象庁等の専門機関の御協力も得ながら、どういうふうにすべきかということについて、現在なお審査中のところもございます。

笠井委員 まだ審査中のところがあるというんですが、私はちょっと伺っておきたいんですが、今委員長が言われた、破局的な噴火で火砕流が発生して川内原発に到達した場合に、一体、原発というのはどういう事態になるのか。あるいは、今、前兆現象があって発生を予知できるという話があったんですが、そういう段階で、時間軸で見た場合に、原子炉の核反応をとめて燃料棒を取り出したり、あるいは使用済み燃料棒を運び出すことは可能だというふうに見ているのか。つまり、破局的なことが起こった場合に原発というのはどういうことになっちゃうのかということについて伺いたいんですが、いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 火砕流が到達すれば、先生御承知のように、これは人がそこにいると生命をも奪われるような事態が起こりますので、これは大変なことですから、そういうことが起こるようなところについては立地不適当ということで、先ほど申し上げたとおりです。

 そういった兆候ですけれども、これは今、GPS等によって、火山周辺の地殻変動量の観測とか地下のマグマの供給によって起こる微小地震の観測等を実施することによって、火山がどのような活動状態にあるかということについてはかなり正確にモニタリングできるようになっております。

 こういうことをきちっと把握した上で、原子炉を停止し、場合によっては核燃料を搬出するということができるというふうに私どもは判断しております。

笠井委員 地震の専門家の中からは、なぜこの可能性が十分低いと言えるのか、それから、モニタリングすれば全部わかるというのは楽観的過ぎる、近い将来、大噴火が起こらない方が不思議なんだという声も上がっております。

 そういう重大な災害の可能性を想定もしないまま、審査だけ、妥当として通してしまう、これでは、福島事故で深刻な反省が求められたのに、何だったのかということになるわけで、委員長自身が、まだ調べている点、あるいは審査をやっている点があると言ったけれども、これはしっかりやらなきゃいけないんだと思います。

 もう一点伺いたいんですが、福島原発事故以前は、旧原子力安全・保安院や旧原子力安全委員会が、原発の設置許可や工事計画認可の審査などにおいて、事業者が提出した事故解析結果の妥当性を綿密に調べるときには、独自に解析するクロスチェックが行われていたと思うんです。まして、今、福島原発事故後であります。メルトダウンが起きるという前提に立って行うという、重大事故対策についての初めての審査であります。

 今回、優先審査する川内原発についても、原子力規制委員会として当然、電力会社が使う解析コード、これとは別のものを用いてクロスチェック解析というのをやるんでしょうね。どうでしょうか。

田中政府特別補佐人 今回の適合性審査に当たりましては、重大事故対策の有効性について、設備とか手順、体制、それから炉心損傷防止対策、格納容器破損防止対策等、そういったものが有効かどうか、事業者が解析等を行って評価しておりますので、その妥当性について、今厳密に審査を行っているところでございます。

 これらについては、国際的な知見等も踏まえて検証を行っているところではありますが、その判断をする上では、必要に応じて解析を実施することとしております。

 事業者による主要な解析結果について、既に別途の解析により検証等を行っているものもありますけれども、個別、細部につきましては、現在審査中であり、ここで一つ一つ申し上げることは差し控えたいと思います。

 いずれにしましても、これらの結果も踏まえまして、きちっと厳正に審査を進めてまいりたいと思います。

笠井委員 済みません、場合によってはクロスチェックもやるということも含めて、それは当然考えていくんだということでしょうか。それとも、そういうことなしに、電力会社が評価したら、それだけでやっちゃうという話なんですか。ちょっと、その最後のところはよくわからないんですが。

田中政府特別補佐人 先ほども申し上げましたとおり、主要な解析結果については、既に別途の解析等を行いながら、検証しながら審査を進めておりますし、今後も引き続き、個別のことについては、そういった作業を進めながら厳正に審査を進めていきたいというふうに思っております。

笠井委員 九州電力は、昨年八月に、重大事故が起きた場合の評価をみずから行っているわけですね。特に配管の大破断による冷却材の喪失、これに加えて、非常用の炉心冷却装置注入失敗、それに加えて、格納容器スプレー注入失敗という三重の条件で、重大事故が起きた場合を解析して、それでも格納容器の圧力上昇は見られるけれども、格納容器の健全性に影響を与えるものではない、水蒸気爆発も、それから溶融炉心・コンクリート反応も、水素爆発も起きないという結果になっております。

 これに対して、条件次第では、このような結果になるのかどうか信頼できるものではないとか、不確定な評価をもって大丈夫と評価するのは無責任過ぎるという専門家の意見もございます。

 具体的にそういう問題があるわけですから、原子力規制委員会として、こうした重要な問題について、電力会社、事業者が使ったものとは別の解析コードを用いてクロスチェックの解析を行う必要があると考えているのかどうか。具体的な問題なので、どうなんだかを伺いたいんですが、いかがですか。

田中政府特別補佐人 今先生御指摘の、いわゆるシビアアクシデントですけれども、そういったものがどういうプロセスで、どういうふうに起こっていくかということを、一つ一ついろいろなケースがございますので、そういったことについて一つ一つ確認をして、それに対して、どういうことをすればシビアアクシデントを緩和できるかとか、抑えることができるかというようなことについて、今、解析も含めて審査をしている最中でございます。

笠井委員 いろいろなケースがあるということであり、事業者がそうやって評価をしたというのがあるけれども、いろいろなことがあって、いろいろな可能性があるからこそ、それとは別の解析コードでちゃんとクロスチェックをやるのが当たり前だと思うんですよ。

 かつての原子力安全・保安院や原子力安全委員会でさえ行っていたクロスチェックの解析を原子力規制委員会がやらないで、事業者の解析をそのまま妥当と判断することになれば、それこそ事故前に大後退することになります。手抜き審査ということになっちゃうんじゃないですか。どうでしょう。

田中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、そういった先生御指摘のようなことの心配のないようにきちっとやっていますし、今後も引き続きそういう方針で進めていくことにしております。

笠井委員 きちっとやっていると言われるけれども、きちっとやると言うんだったら、事故の教訓もある、そして、かつての保安院や安全委員会だってやったようなことだって、やるべきなんでしょう。それ以上のことをやるというのがもともとの話のはずですよね。厳格にやる、そして、最も厳しいレベルと冒頭にあえて委員長が言われた。そういうことも、はっきりやると言われない。私は、これは本当におかしいと思いますよ。

 川内原発をめぐっては、活断層や避難計画、その他にもたくさんの問題があります。それに正面から向き合わないまま、ずさんな審査や準備で再稼働に突き進んではならない。福島の現実は深刻です。汚染水問題も、解決していないどころか、ますます深刻。そういう現実に、多くの国民が再稼働に反対をし、原発ゼロを求めている。

 原子力規制委員会は、そういう点では、事故の収束と原因究明、汚染水対策などにこそ全精力を集中すべきだということを改めて私も強調して、質問を終わります。

森委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーでございます。

 きょうは、原子力問題調査特別委員会、最後の質問者ですが、質問等、重複することもあるかと思いますが、どうぞ、御答弁についてもまたよろしくお願いいたします。

 さて、昨日、外務委員会では、日・アラブ首長国連邦、日・トルコの原子力の協定の採決が行われました。私は、現下の日本の国内の原発事故等の状況、それから再稼働の問題等々、まだまだ深刻な状況にあるということも踏まえ、委員会では反対をさせていただきました。

 先ほど、みんなの党の山内委員からもありましたが、実は、原子力協力における安全確認は国際機関の意見も考慮しつつ行われなければならないところではあるんですが、IAEAによる福島第一原子力発電所事故に関する包括的報告書はまだ作成の途中です。すなわち、福島の事故を踏まえた機器等の安全確認要件等について、国際的な見解が明らかになっていない状態ではないかという懸念が一点ございます。

 それから、原発関連資機材等の輸出に関する公的信用の付与、JBICやNEXIなど、その融資と保険の付与の前提となる安全確認手続について、福島第一原発事故前は旧原子力安全・保安院と経産省の産業機械課が担っていましたが、旧原子力安全・保安院が廃止され、原子力規制庁が設置された後、旧原子力安全・保安院にかわる安全確認担当機関が決まっていないということもまた大きな問題だというふうに思います。

 こういうことが国内できちんと整備されていない中、日本が原発神話にまたすがるかのように外国に対して無責任に原発を勧めていくというやり方は、やはり重々慎重であるべき。私は、個人、党としては、脱原発の方向で、新しい技術を開発するべきである、その技術こそ、日本の成長戦略として世界に提供し得るべき方向性ではないかということも、この間、この原子力問題調査特別委員会でもるる意見を述べさせていただいております。

 さて、きょうは、原子力問題に関する件で、東京電力が策定した一号機から四号機の廃止措置について、まず質問をさせていただきたいと思います。

 二〇一三年二月に原子力災害対策本部において、東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議が設置されました。廃炉に向けた取り組みを加速させることとなり、六月中を目途とした中長期ロードマップの取りまとめについて、茂木経産大臣の指示等もあり、廃炉対策推進会議として、東京電力福島第一原子力発電所一号機から四号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの決定が見られております。

 では、まず、ここで示された速やかな廃止措置のための全体的な作業ロードマップについて、東京電力から説明を伺いたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる中長期ロードマップは、三つの部分といいますか、三つの期間に分かれて、第一期、第二期、第三期という形に構成されておりまして、それぞれの段階で判断ポイントというのを設けまして、その時点での進捗状況等々を踏まえて、また、見直すべきものがあれば見直していくという形になっております。

 第一期というのは最初の二年間を目標としておりまして、使用済み燃料の取り出しが開始されるまでを第一期としておりましたので、昨年の十一月の十八日に四号機の使用済み燃料の取り出しが始まっておりますので、既に第一期は終わって、第二期に入っているというのが今の状況でございます。

 使用済み燃料の取り出しについては、おかげさまで順調に進めておりますけれども、第二期というのはいわゆる燃料デブリの取り出しの開始までというふうになっておりますので、またこれからしばらく、使用済み燃料の取り出しとそれから燃料デブリの取り出しに向けたさまざまな研究開発も含めた方法の確定というのが今の第二期でございます。

 第三期はそれ以降、いわゆる最後の廃止まででございますので、これはまた何十年という長きにわたって第三期をやっていく、そういう形になっております。

玉城委員 ありがとうございます。

 つまり、三十年から四十年、本当に中期から長期にわたるこの計画については、特に第二期の燃料デブリの取り出しが開始されるまでの期間が十年以内だということを考えますと、その都度対策をしっかりと点検し、確認し、そのロードマップを細部にわたって見直しを進めていくということもあわせますと、実に本当に長い期間であり、さまざまな複雑な作業ステップがそこに組み合わされていくものというふうに思料いたします。

 ですから、廃炉に向けた具体的な作業を進行させつつも、同時に幾つかの必要な対応、対策についても講じられなければならないというふうに思います。

 では、そのうち、現況の、緊急性の高い課題である施設内からの汚染拡大防止に対する汚染水処理対策、流入地下水対策、それから作業に従事する際の作業被曝等に対する労働環境などの安全管理対策についてどのように取り組んでいらっしゃるのか、内容とそれから評価について、東京電力、規制庁にそれぞれ伺います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 汚染水対策におきましては、三つの大きな考え方で対策を進めております。まず一つは汚染源を取り除くこと、それから汚染源に特に地下水等々を近づけないこと、それから汚染水をしっかり、漏らさないように持っておくことということでございます。

 一つ目につきましては、取り除くというところでございますけれども、本体からトレンチという部分に高濃度の汚染水が入っているというふうに考えておりますので、それを取り除くという作業を今始めておるところでございますし、また、ためている汚染水につきましては、多核種除去装置を使って、なるべくきれいな形で、なるべく安全な形で保管をすることというふうに考えております。

 それから、汚染源に近づけないということについては、地下水バイパスで、建物に近づくまでにきれいな地下水をくみ上げて海に放出するということで、これは、まさに漁業関係者の方々の御理解をいただくべく、ずっと御説明をしてまいりまして、今般、御理解をいただけ、これから具体的な放水に向けてのスケジューリングを決めていくという段階になってきております。

 それから、汚染水をきれいな形で、漏らさないという三つ目については、タンクから汚染水を漏らすというようなことがございましたので、フランジ型のタンクから溶接型のタンクにしていくというようなことで、しっかりとした対策を行ってまいりたいというふうに思っております。

 また、その間で、先生御指摘のように、作業員の方々の被曝というのは大変大きな問題でございますので、今、とにかく敷地内の線量を下げるべく、瓦れきの撤去であるとか、それから、フェーシングといって、上をきれいにコーティングしてしまうとかということで、全面マスクをしなくていいエリアを逐次拡大しておりまして、そうしたことで作業員の方々の被曝線量を少しでも抑えよう、そういう努力もあわせてさせていただいているところでございます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 それでは、規制の立場でどういう対応をしているかということについて申し上げたいと思います。

 まず、福島第一原子力発電所につきましては、法令上、特定施設という形で、特別な管理下で規制の対象にしているところでございます。

 それで、御指摘の、まず汚染水対策。先ほど東京電力からお話がありましたように、さまざま今対策が行われているわけでございますけれども、こういう対策の妥当性、その対策の進捗状況、それから、そういう対策が十分であるかどうか、こういったことをきちっとチェックすることが必要でございます。

 そのため、原子力規制委員会のもとに、専門家が入りました、汚染水対策の検討ワーキンググループというのを設置いたしまして、その対策の妥当性、進捗状況、それから、必要な場合には私どもの方から技術的助言、例えば、こういう対策を実施すべきではないかというふうなことも指導しているところでございます。

 それからもう一つ、作業の被曝管理の点でございます。

 もちろん、個々は、個人線量計などによりまして、法令に基づく基準以下に被曝管理がなされているかどうかをきちっと見るというのは基本でありますが、先ほど東京電力からもお話がありましたように、福島第一というのは大変線量が高い状況でございますので、この敷地内の被曝をいかに低減していくか、この取り組みも求めているところでございます。

 先月でありますけれども、私ども田中規制委員長とそれから東電の廣瀬社長と面談をいたしまして、東京電力において、こういう作業環境の改善のためのいろいろな取り組みがなされているということの報告を受けたところでございます。私ども規制委員会の方からは、福島第一を優先にして取り組んでいくことなどの指摘をしているところでございます。

 いずれにしましても、こういう汚染水対策、それから被曝管理対策、これは大変重要でございますので、これがしっかり行われているかどうかを規制の立場からしっかり確認していきたいというふうに考えているところでございます。

玉城委員 そのようにさまざまな管理をする中、一番必要になってくるのは人材です。先ほども、中長期から考えると、もう本当に何十年という間、常にそこには人がかかわらないと作業が進みません。これからの中長期ロードマップ作業工程で懸案となります、一般人材要員の確保、さらには、高濃度放射線量下での作業を強いられることもあって、適切な労働条件に基づく作業員等の確保など、計画と取り組みを常に確認しなければならないことが予想されます。

 東京電力に伺います。

 人的要員の確保及び管理に関する計画について今後どのように進められるのか、御説明ください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まず、作業員の方々が、今後長きにわたって、少しでも安心して、そして、少しでもよい労働環境の中でお仕事をしていただこうということで、先ほども申しましたが、線量をとにかく下げて被曝量を下げていくということ、あるいは、少しでも休んでいただけるように休憩所をつくるであるとか、あるいは、給食センターをつくって、少しでもよい環境で働いていただくというようなことをもちろん今進めているところでございます。

 今後、いよいよ燃料デブリの取り出し等々で、かなり線量の高いところでの作業が出てくるということが予想されますので、遠隔装置であるとか、あるいはロボットの開発ということで、まず、そもそも人間が近づかなくてもそうした作業ができるような取り組みをこれから強化していかなければいけないと思っております。

 また、人の確保という意味では、先ほども申しました、労働環境をよくするということももちろんですが、発注方法についても、ある意味、安心して人をちゃんと集めておけるように、随意契約でやるということも一つ考えておかなければいけませんし、早目早目の段階で発注をして、人をしっかり計画的に確保していただくというようなことも必要だと思いますし、ロボット等々をうまく使って、人の全体の被曝線量を抑えていくということも必要だというふうに考えております。

玉城委員 常に健康第一で働けること、これこそが当たり前の環境であり、そして、その状態に戻すことが一番の使命であるかというふうに思います。ぜひ御尽力いただきたいと思います。

 続いて、原子力対策指針についてお伺いいたします。

 原子力規制庁では、原子力災害対策指針を策定し、緊急事態における対応についてまとめてあります。災害対策に関する重点区域の設定について、まず説明を伺います。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 原子力災害対策重点区域につきましては、原子力災害対策指針におきまして、地方公共団体が各地域防災計画を策定する際に区域を設定すると定められております。

 各地方公共団体が具体的な地域を設定する際には、区域内の市町村の意見を聞くとともに、地勢、行政区画等の地域に固有の自然的、社会的周辺状況等を踏まえ設定するものとされております。

 これらを踏まえまして、具体的には地域防災計画において、対象となる市町村名及び対象となる区域名が規定されておるところであります。

玉城委員 事故などの発生による要援護者及び地域住民の避難について、緊急事態区分と判断基準、そしてそれに伴う防護措置の対応についてこの計画では策定されております。当然、避難措置、防護措置、それぞれに関しては、地域の自治体及び関係機関、団体等と綿密な連携がとられなければならないものというふうに思料いたします。

 それでは、地域自治体との連携について、どのような形で導入するものか、あわせて伺います。

黒木政府参考人 地域の防災計画というのは、災害対策基本法におきまして、住民の生命、身体、財産を災害から保護することを目的として、県や市町村が作成等をすることとなっております。地方自治体の防災会議において策定を進めておるところでございますが、基本的には、政府としては、原子力防災会議のもとで、関係省庁を挙げて地方自治体への支援を行っているところでございます。

 原子力規制委員会としても、地域における検討内容の充実のため、関係自治体の検討に資する情報の提供、具体的に申し上げますと、指針の策定の段階から、自治体の要請に応じまして、規制庁の職員が地域に赴きましてさまざまな説明をしてまいっておるところでございます。また、安定沃素剤の住民への事前配付計画への支援を行っております。また、関係自治体が実施する訓練への積極的参加などにおいて支援を行っているところでございます。

 以上であります。

玉城委員 それでは、地域の防災計画の策定のみならず、さまざまな災害対策それから避難計画等については、今おっしゃったような指導あるいは助言についても連携しているということで、確認でよろしゅうございますか。

黒木政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

 政府として、先ほど申し上げましたけれども、原子力防災会議の方針に基づきまして、各地域にワーキンググループを、これは当然、地域の自治体の人たち、関係の機関、それから国の機関も全て入っておりますけれども、設置しまして、関係省庁を挙げて自治体の取り組みを支援しているところでございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 しっかりと、地域の団体、関係機関も網羅して、ぜひ一体的に取り組んでいただきたいと思います。

 では、残り時間は、オーストラリアの御出身でいらっしゃいます医学博士、ヘレン・カルディコット博士について少しお話をさせてください。

 ヘレン・カルディコット医学博士は、オーストラリア・メルボルンでお生まれになり、ハーバード大学の小児科でも教鞭をとり、二万三千人の医師を擁する社会的責任を果たす医師団の創立の会長となりました。そして、その傘下組織の核戦争防止医師会議はノーベル平和賞を受賞し、先生御自身もノーベル平和賞の候補になっていらっしゃいます。また、スミソニアン博物館は、カルディコット博士を二十世紀で一番影響力のある女性の一人と表しております。

 このヘレン・カルディコット博士が二〇一二年の十一月に日本に参りまして、院内で集会を開き、そこで講演をしていらっしゃいます。そして、実は最近は三月の十一日と十二日に来日をしていただきまして、私たち生活の党の小沢代表を初め、さまざまな原子力問題についての意見交換もさせていただいておりますが、そのヘレン・カルディコット医学博士の、放射能汚染下における日本への十四の提言というものがございます。少し紹介をさせてください。一部抜粋をしながら紹介をさせていただきたいと思います。

 小児科医の私にとって、キューバを訪問した際、道路脇にある、私たちの子供たちは国の宝ですと宣言をしている看板を目にし、共鳴に値することであり、真実であるというふうに強く感じました。

 この世界における現代の最もな問題は、科学者たちが一般の人々の科学に対する理解を促そうとせず、人々を置き去りにしているという点にあります。一般の人々の科学に対する理解と認識は、科学の誤用、おいても原子力科学の誤用、間違った用い方が、生態圏と人々の健康を既に破壊し、今後も半永久に破壊し続けるであろうというところに考えが至っておりませんということです。

 実は、その十四の提言で、だとすれば、日本はどのように対処すべきなのかということを幾つか提言していらっしゃいます。

 その十四の提言の中から抜粋させていただきますが、日本国内全土、土壌と水の放射能検査を行い、現在の汚染状況を把握するべきである。これは、風によって放射能汚染が福島の点源から、いわゆる原発から何百マイルもの遠方まで飛ばされているからだということです。そして、全ての食べ物は、スペクトロメーターを用いて、特定の放射性核種の検査を十分に行うべきであります。飲料水は全て、毎週、放射能検査をすべきです。

 このように十四の提言をしておりますが、このうち少し、具体的なところではありますけれども、見解を伺いたいと思います。

 まず、規制庁について、この日本国内全土の土壌と水の放射能検査を行い、現在の汚染状況を把握すべきであるということについて、見解を伺います。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 東電福島第一原発事故に伴います放射線モニタリングにつきましては、政府で定めました総合モニタリング計画というのがございます。それに基づきまして、関係省庁、自治体、事業者等の関係機関が連携して実施しておるところでございます。

 本モニタリングでは、福島県内のみならず、日本全国における空間線量率、定時降下物、上水の測定など、全国的な監視を継続して実施し、その結果について随時ホームページで公開しておるところでございます。

 原子力規制委員会としては、これらモニタリングの司令塔として、引き続き放射性物質の拡散状況の把握に努めるとともに、その結果について科学的かつわかりやすい情報の公表に努めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

玉城委員 十四の提言のうち、もう一つ、今度は環境省にお伺いします。

 福島事故による放射能被曝を受けた全ての人たち、特に新生児、子供、免疫力が低下している人、年配者などは、医学的検査を徹底的に、そして生涯にわたって定期的に受け、必要であれば治療を受けなければいけないというふうに提言しています。環境省は、この件について、見解はどのようにお持ちでしょうか。

塚原政府参考人 お答えします。

 今般の原発事故に係る住民の健康管理は、医学の専門家の御意見を聞きつつ進めることが重要だと考えております。そのため、事故の後に、福島県や近隣県で医師や放射線の専門家による検討が行われ、その結果、福島県では県民健康管理調査が行われることとなり、その他の県では特段の健康調査は必要ないとされて、現在に至っております。

 また、昨日、四月二日に、国連の科学委員会、UNSCEARが、東電福島第一原発事故による健康影響に関する報告書を発表、公表しております。その中におきまして、被曝に伴うがんの増加について、わずかな被曝でも一定の健康影響が必ず認められると仮定した場合であっても、被曝の影響は、がんの自然発生のリスクに対し観察するには小さ過ぎるとされております。また、小児の甲状腺がんにつきましては、福島県においては、住民の被曝線量がチェルノブイリ事故後の住民の被曝線量と比べはるかに低いことから、チェルノブイリ事故後に見られたような増加が観察される見込みはない、このような見解を示されております。

 したがいまして、当面は、現在福島県において行われております健康調査を確実に実施していくということが重要だと考えております。その中では、特に小児の甲状腺がんでございますけれども、発災時十八歳以下の子供全員に甲状腺検査が行われており、この三年間で一通り終わりました。四年目からは二回目の検査が始められますし、この後、ずっと継続的に甲状腺の検査は行われていくということになっておりますので、こういった取り組みを長期的に継続して行っていきたいというふうに考えております。

玉城委員 終わったわけではありません。福島の事故はこれからです。出てくる影響はこれからさらにしっかりと調査をしていかなくてはいけないんですが、このように、国際的な高い知見を有する医学博士、放射線の科学者等を含めた世界のあらゆる階層、団体からの専門的な助言について、我が国政府がしっかり受けとめる受け皿をつくり、全省庁はもちろん、医療、環境、農業、漁業も含めた各関係機関と、全体的に、緊急的かつ連綿と長く取り組んでいくことについて、さらに真剣に取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。ニフェーデービタン。

森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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