衆議院

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第3号 平成25年10月30日(水曜日)

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平成二十五年十月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    池田 道孝君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      門山 宏哲君    木内  均君

      工藤 彰三君    小池百合子君

      鈴木 馨祐君    薗浦健太郎君

      津島  淳君    辻  清人君

      寺田  稔君    中谷 真一君

      中山 泰秀君    西銘恒三郎君

      野中  厚君    橋本  岳君

      福山  守君    藤井比早之君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      宮内 秀樹君    務台 俊介君

      後藤 祐一君    近藤 昭一君

      近藤 洋介君    長島 昭久君

      渡辺  周君    今村 洋史君

      西田  譲君    丸山 穂高君

      山田  宏君    大口 善徳君

      遠山 清彦君    大熊 利昭君

      畠中 光成君    赤嶺 政賢君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   内閣官房副長官      世耕 弘成君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   総務副大臣        上川 陽子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長)         川淵 幹児君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 上村  進君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 広瀬 行成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡   浩君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    上村  司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     務台 俊介君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

  山際大志郎君     門山 宏哲君

  長島 昭久君     後藤 祐一君

  山田  宏君     西田  譲君

  畠中 光成君     大熊 利昭君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     工藤 彰三君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

  務台 俊介君     青山 周平君

  後藤 祐一君     長島 昭久君

  西田  譲君     山田  宏君

  大熊 利昭君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     西銘恒三郎君

  工藤 彰三君     木内  均君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七五号)


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     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、内閣提出、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣審議官北崎秀一君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長川淵幹児君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官鈴木良之君、総務省大臣官房審議官上村進君、外務省大臣官房審議官広瀬行成君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、外務省大臣官房審議官岡浩君、外務省領事局長上村司君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)委員 おはようございます。民主党の長島昭久です。

 官房長官そして両大臣、早朝から御苦労さまでございます。

 このNSCの創設法案、私、本当に感慨深いものがございます。紛れもなく、日本の安全保障にとっては画期的な法案になるだろうというふうに私は思っています。

 そういう意味で、私もこの間、日本にも国家安全保障会議、NSCのような組織をつくるべきだと。民主党も、過去何度か党として政策の取りまとめをしてまいりまして、例えば、二〇一〇年の暮れにつくった防衛計画の大綱、この見直しのときに党から提言を出させていただきましたけれども、そこでもNSC創設の提言をさせていただいております。

 その後、累次にわたって党から政府に対してNSC創設の提言をしておりますので、いろいろ民主党は意見が多様でございますけれども、総論としては、このNSCという組織を官邸につくるということについてはおおよそのコンセンサスができているんだろうというふうに思っています。

 先ほど私が画期的と申し上げたのは、やはり、日本の外交あるいは安全保障というのは、ともすれば状況反応的、例えば、いろいろな状況ができたことで、そのリアクション、リアクティブな外交……(発言する者あり)そうですね、今、対症療法という話がありましたけれども、そういう嫌いがあった。

 それから、先日も岩屋委員がおっしゃっていました。アメリカ側からこういうことができないかと要求、要請があって、それにちょっと値踏みをしながら応えていくというような、ある意味では情けない外交・安全保障政策の推進だったと思うんですけれども、官邸にこういう司令塔をつくって、そして省庁横断的な、総合的な安全保障戦略というものをつくって、リアクションというよりはプロアクティブに、つまり、積極的に状況をつくり出す、日本にとって好ましい安全保障環境というものを外部環境に働きかけて、その働きかけるための指針をこのNSCでつくっていく。こういうことから考えても、私は非常に画期的なことになるんだろうというふうに思っています。

 今後の進め方、少し気が早いようですけれども、このNSCができて、そして、年内には国家安全保障戦略という我が国で初めて安全保障の大きな戦略ができる。そして、それに従って、防衛計画の大綱、つまり、軍事的な、あるいは国防の観点からの一つの大きなピクチャー、描くものができる。そして、それを受けて防衛力の整備計画ができて、これは五年ごとに改定される中期防と言われていますけれども、中期防ができて、それの上で、これは両大臣がいよいよ担当されることになると思いますけれども、日米の間で役割分担をきちっと決めていく、日米の防衛協力のガイドラインを策定していく。

 恐らく、そういうプロセスの中で、集団的自衛権の問題にもある程度決着をつけて、日本がどこまでできるのか、どういう協力がアメリカと分担できるのか、こういうことが定められて、そして、来年の暮れというふうに期限を切っておりますけれども、来年の暮れまでには、日米の間で、この地域における日米共同の、私たちは動的という言葉を使っていましたけれども、動的な抑止体制というものが確立をする。こういう運びになるんだろうと私は思っています。

 そのまさにきっかけをつくる法案の審議ですから、私は、きょうはストレートな質問を心がけていきたいと思いますので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

 まず冒頭に、このNSCの意義、私もちょっと私なりに申し上げましたけれども、官房長官が主管として考えられている、このNSCを創設する意義について改めて伺いたいと思います。

菅国務大臣 今委員から、我が国の目指すべき安全保障についての考え方、まさに私どもと全く一緒だなという思いの中で、私は今拝聴をさせていただきました。

 そういう中で、この意義でありますけれども、現在、北朝鮮による核や弾道ミサイルの開発の脅威、現にことしになってからもありました。ミサイルを発射するんじゃないかという緊迫的な状況がありました。さらに、中国の透明性を欠いた軍事力の増強や、我が国周辺海空域における活動の急速な拡大、活発化という懸念事項を初め、我が国を取り巻く安全保障、外交の環境というのは極めて厳しいものがあるというふうに思います。

 そうした中で、このNSCの意義でありますけれども、総理を中心とする関係閣僚が、まさに平時のときから、戦略的観点を持って審議を行って、政治の強力なリーダーシップによって、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていく、そうした環境をつくっていく、そのことが今問われているんだろうというふうに思っていますので、政府としては、こうした思いの中でこの法案を提出させていただいたということであります。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 私、冒頭に感慨深いということを申し上げたんですけれども、大平政権のときに、総合的安全保障という概念を使って、自衛力の強化、日米同盟の強化、それからエネルギー安全保障、食料安全保障、あるいは緊急事態対処、こういうまさに省庁横断的な課題を設定して、それ以来ずっとやってきたわけです。総合的な安全保障が必要だ、そういう政策が必要だ、戦略が必要だという認識はその当時からあったわけですけれども、それが本当に省庁をまたいだ政策、戦略として結実をする可能性がある、三十年ぶりに実現する可能性が出てきたという意味で、私は感慨深いと申し上げました。

 今、官房長官からるるお話がありましたように、私なりの意義として考えるのは、一つは、やはり省庁横断的な、今申し上げたような、こういう総合的な安全保障戦略がつくれるということ。それからもう一つは、中長期的な視点で安全保障戦略というものが策定できる。つまり、日常のいろいろな問題に対処することは各省で日ごろやるわけですけれども、官邸ではあえて中長期的な視野に立って物事を考えていく、こういう視点は私は大変重要だと思います。

 それからもう一つは、私も補佐官として官邸で働かせていただいてつくづく思ったのは、最近の国際政治というのは、首脳外交、まさに総理大臣をトップとした外交の展開というものが非常に主流というか、大きな流れになってきていますね。そういう総理大臣のジャッジ、つまり政策選択を支える仕組みというものを総理のお膝元につくっていくということは、私は大変意義深いというふうに思っています。

 それからもう一つは、やはり危機対処、緊急事態にどう統合的に司令塔をつくって対処していくか。ここも恐らく強化されることになるんだろうというふうに思っています。

 さて、そういう意義を確認した上で、では、今の現体制ではそういうものをしっかりと全うすることができないのかどうか。つまり、どういうところがこのNSCの創設によって改善されるのか。ニーズの問題ですね。

 このNSCの先行事例でよく引き合いに出されるのが、アメリカとイギリスであります。

 アメリカは、皆さん御案内のとおり、一九四七年、第二次世界大戦が終わった直後にNSCがつくられたわけです。ナショナル・セキュリティー・アクトによってつくられた。

 そのときのアメリカの状況はどういう状況だったかというと、まさにヨーロッパ戦線、太平洋戦線でアメリカの陸海軍の力が本当に拡大していった。もう世界の隅々まで彼らは影響を及ぼすようになって、国務省も陸海軍が何をやっているか把握し切れないぐらい、オーバーストレッチというか、彼らの権限は拡大をしてしまったわけですね。

 それに対してシビリアンコントロールをきちっときかせようということで、大統領府を中心として軍に対してきちっとコントロールをきかせていく。そのときに陸海軍の統合という話になって、ジョイント・チーフ・オブ・スタッフという統合参謀本部が同時に創設されています。ついでに言うと、CIAもこのとき一緒に創設をされていて、やはり戦略と情報というものが一対になって国の政策を進めていく、そういう体制が整ったわけですね。

 そのときには、今申し上げたような強烈なニーズがあったわけです。こういうシビリアンコントロールをきかせなきゃいけない、そういうニーズがあったわけです。

 イギリスの場合も、あのイラク戦争で情報の扱い方をある意味で間違えて、大量破壊兵器があるんだということで英米で一緒になって戦争に突入していった。あのことの判断が一体どうだったのかということがイギリスの中で大問題になって、それに対する対応として、キャメロン政権でナショナル・セキュリティー・カウンシル、国家安全保障会議が創設をされたというふうに認識をしております。

 アメリカもイギリスも、強烈なニーズがあって、それに応える形でこういう組織をつくっています。

 日本の場合は、前身が国防会議、その後、安保会議と変遷をしてきたわけですけれども、国防会議のときは、一九五四年ですけれども、防衛省・自衛隊がつくられて、そして防衛計画の大綱、要するに国防政策をきちっとコントロールしなきゃいけないというニーズがありました。そして、その後、先日小池先生からも御紹介ありましたけれども、ミグ25の事件があったり大韓航空機撃墜事件があったりして、緊急事態に機敏に機動的に対応しなきゃいけないということで、国防会議を改組して安保会議というのをつくって官邸機能強化をした。それぞれ強烈なニーズがあるんですね。

 さっき官房長官、国際情勢が非常に悪化している、厳しくなっている、そういう御説明をいただいたのはよくわかるんですけれども、今ここでNSC、私も意義はよくわかっているつもりですけれども、今までの安保会議からNSCにあえて改組しなければならない現状の不都合であるとか、そういうニーズはどういうところにあるんでしょうか。

菅国務大臣 委員から、首脳外交の重要性という話もありました。それと、省庁横断的に物事を決めていかなきゃならないということの指摘もありました。

 まさに、今日の我が国の政府の内容というのはどうしても縦割りで物事が決まっています。そして、この国家安全保障会議、NSC、こうしたものが必要だということをかつてから審議をされてきたんですけれども、なかなか実現することができなかった。そういう中で、今回、こうした法案を提出させていただいた。

 今までの問題ということでありますけれども、やはり文民統制機能、ここは極めて大事だというふうに思っていますので、そういう中で、この九大臣会合というのは、今回もそこの機能を維持するために置かせていただきます。

 また、そういう中にあって、常に国際状況も変化する中で、やはり、総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣の四大臣が、外交、安全保障について日常的に国家のスタンスを共有するということは極めて大事だというふうに思っています。

 そういう中で、国家安全保障を機動的、戦略的に進めていくと同時に、やはり各省庁からの資料、情報の提供、これも縦割りの中で、政府として一括したものが、なかなか今までは上げることが難しかったわけでありますけれども、このNSCをつくることによって、国家安全保障局という中でそうした情報、資料を集約する中で、企画立案、総合調整というものを政府全体として行っていく必要がある。さらに、省庁の縦割りを排して、そのことによって、総理大臣、政治がトップダウンで物事を決めることのできる、そうした体制をつくっていく。今、そういうことが最も要求される国際情勢になっている。

 こう考える中で、私たちはこの法案を提出させていただいているということであります。

長島(昭)委員 現状の安保会議で、私も、いろいろな方が経験されていると思いますけれども、大きな問題が一つあるとすると、今の安保会議というのは、既に決まった方針を承認するだけ、メンバーがたくさんいますから。しかも、安保会議で例えば防衛計画の大綱とか対処方針とかを決めても、すぐその数分後に閣議が行われて、結局閣議で、結局、日本の行政というのは、総理ではなくて内閣に属していますので、国会に対して連帯して責任を負うということで、閣議の決定が全てなわけで、何となく、安保会議がその前に開かれて一体どういう意味があるんだろうかというような批判もなされるわけであります。

 ポイントは、私は、決定権。もちろん、憲法を改正しないと、イギリスのように、内閣委員会で決定したことが閣議の決定と同じような効力を持つというふうにはならぬと思いますが、事実上、例えば四大臣会合で、よし、こういうふうに決めたということになれば、両大臣が両省に戻ってきちっとその方針が展開されるようにならないと、私は、実は意味がないのではないかと思っています。アメリカの場合は、言うまでもなく、大統領が最終的に決定する権限を持っているわけですから、その大統領の意思決定を補佐すればいいわけですよね。イギリスの場合も、内閣委員会で、少数の大臣で決めることができる。

 ですから、この四大臣会合で決まったことがきちっと各省で、あるいは、必要な大臣は総理が指名して入れることができるわけですけれども、きちっと徹底できる、そういう担保はどこでとれるとお考えでしょうか。

菅国務大臣 四大臣会合の中で、二週間に一回ぐらい情報を共有する。そして、外交、防衛についてお互いに総理のもとで共有をし、それをやはり安保会議にかける、そこで方向を決定していただいて閣議で決定するのが、国家としての最終決定になるわけであります。

 ですから、今度、いわゆる従来の安保会議にかける前に、この四大臣会合の中で、まさに政治主導、総理主導の中で、外交、安全保障についての方向をある程度つくることができるようになるというふうに考えています。

長島(昭)委員 そうしますと、やはり、そこで定めた方針というものを徹底させるための仕組みが、ある程度必要なんだろうと私は思っています。

 何でもかんでもアメリカのまねをすればいいとは思いませんが、アメリカの場合は三層構造になっていますね。長官級の委員会があって、これはNSCの補佐官が主宰するように、議長になっています。そして、その下に副長官級の委員会があって、そして、そのさらに下に次官補級の省庁間政策委員会という調整メカニズムがあるわけです。

 ですから、国家安全保障会議に上がる前に、三層の構造の中できちっと政策調整がなされて、政策調整というのは、上げる情報や政策オプションを調整すると同時に、決まったことをさらに省庁間で横断的に調整をする、そういう仕組みがあるわけですね。

 今回のこの法案を見る限りは、確かに、国家安全保障局ができています。あるいは幹事というものを定める、このぐらいの規定はあるんですけれども、言ってみれば、アメリカのような重層的で緻密な仕組みがないんですね。そういう中で本当に官邸の意思決定が徹底されるんだろうかという、私は一抹の不安があるんですけれども、その点、いかがでしょうか。

菅国務大臣 委員から今御指摘がありましたけれども、その国家安全保障局、局長がいて、その中に各省から関係者、幹事というものを置いて、そこで国家安全保障局長が中心となって課題を整理した上で、四大臣会合に上げてくるわけであります。そして、そこで決定をしたものについては、幹事会にまたおりる形で省庁に行く、そして、重要事項については閣議決定をして、国家として方針を出してそこを徹底させる、そういう方向で考えておるところであります。

長島(昭)委員 ありがとうございました。

 私、このNSCはポイントが三つあると思っています。一つは、会議体としてのNSC、つまり、四大臣会合、九大臣会合、そして緊急事態の関係大臣会合ですね。それからもう一つは、スタッフ組織としてのNSC、これは国家安全保障局長を中心とする、六十名という数字が今出ておりますけれども、そういう組織体を官邸につくっていく。そしてもう一つが、事態対処、危機対処の司令塔としてのNSC。この三つがあると思うんですけれども、少し詳しく伺いたいんですが、まず、国家安全保障局長の役割についてであります。

 一昨日の質疑の中で、公明党の遠山議員がイギリスの例を引き合いに出して、ちなみにイギリスは国家安全保障担当補佐官というのが置かれています。彼は首相への助言をすると同時に、NSCの会議に出席をして、そして、さっきアメリカは三層構造になっていると申し上げましたけれども、イギリスには事務官委員会、こういう政策調整の委員会があって、そこの議長も務める。そして、スタッフを使って安全保障局長として仕事をする。これがイギリスの例でありますけれども、この国家安全保障担当の補佐官が、今の日本のたてつけでいうと、国家安全保障局の局長もいわば兼任するような仕組みになっておるわけです。

 これは非常にリーズナブルだと思います。ラインでもあり、自分のスタッフを持っていて、総理にもきちっと助言ができて、外遊のときには多分、イギリスなんかはそうですよね、ダロックという人が今やっていますけれども、総理に一緒についていって、外務大臣と話すのではなくて、彼からのいろいろな助言を聞いて首脳会合に臨む。こういうたてつけの方が私も合理的ではないかというふうに思っています。

 そういう質問を遠山委員がされたところ、菅官房長官の御答弁はどういうものだったかというと、国家安全保障局長は国家安全保障政策のラインの事務方の責任者である、一方、総理補佐官は総理の判断を助ける直属のスタッフである、これらを兼任させる、こういうことも一つの考え方かもしれませんが、この後です、これはあくまで人事にかかわることでありますので、総理の判断に委ねる、そういうことになっておりますと。

 組織で決まっていることを、総理の人事権でこれを兼任させることもあり得るというように読み取れる御答弁なんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 そのとおりであります。時の総理大臣が、総理補佐官、これは政治家、民間人、どちらでも置くことができますから、そういう中で、民間の総理補佐官、その人を例えば安全保障局長に総理が任命する、そういうことも可能である。ただ、そこはあくまで総理大臣の判断に委ねたい、そういうふうに思います。

長島(昭)委員 なるほど、そうですか。いや、いいと思います。

 おととい、岩屋委員が、補佐官は必置だ、こういうお話をされて、安全保障局長も、図を見るとそういうふうになっていますから、別々のまま突っ込んでいくのかと思っていましたが、そういう柔軟な運用がなされるというのは、私は非常にいいことだというふうに思います。

 こんなにあっさり御答弁されるとは思いませんでしたが、次に行きたいと思います。

 もう一つのNSCのポイントとして、私は、事態対処についての司令塔としてのNSC、これが大事だと思うんですけれども、ここでもちょっと組織上の混乱といいますか、私は疑問が一点ございます。

 役所が説明をするこの資料によると、こう書いてあるんですね。まず、「事態対処のオペレーションは、危機管理の専門家たる内閣危機管理監等が引き続き担当。」この「等」は多分、危機管理担当の副長官補のことを言っているんだろうと思いますね。その上の行に、「緊急事態への対処に当たり、国家安全保障に関する外交・防衛政策の観点から必要な提言を実施。」これが国家安全保障局長の役割だと書いてあるんです。

 これも言葉尻を捉えるようで恐縮なんですけれども、菅長官が岩屋委員の質問に答えて、こうおっしゃっているんですね。前段は除きます、ずばりこのポイントだけです。国内で緊急事態が発生した際には直ちに対応するのもこの局長である、こういうお答えをされているんですが、どうも危機管理監とそれから国家安全保障局長との役割分担がどうなってくるのか、ここが少し不安です。

 加えて、副長官補は引き続き次長格で残っていますね。これは安危、防衛省から行っている方ですけれども、危機管理の助言をするためにいる。そうすると、安全保障の観点から危機管理のための助言をする副長官補が残っていて、その上に危機管理監がいて、このコンビネーションでこれまで事態対処をやっていたわけです。私は、これは決しておかしなことじゃないと思っています。それに、この図でいくと、危機管理監と同等のレベルに国家安全保障局長が来るわけです。

 菅長官の御答弁では、これがまず対処に当たるんだ、こういう話ですね。二人が事態対処で責任を持つような形になると、その上にもちろん官房長官はおられるわけですけれども、これは現場が混乱しないでしょうか。

菅国務大臣 私の岩屋委員に対しての答弁について、今、そういうことでありましたけれども、私はこのように答弁したように考えています。

 まず、国家安全保障局というのは、安全保障政策の企画立案、総合調整を行う。それで、緊急事態に対しての事態対処を行う組織ではないということであります。緊急事態に対して、国家安全保障の重要事項について高度に政治的判断を行う必要があるときは、国家安全保障会議を開催し、政府のとるべき措置を講じます。

 今指摘されましたけれども、内閣危機管理監と国家安全保障局長ですか、ここは緊密に連携をし、実際に事態対処を行うのは、危機管理監を長とするところで事態対処を、例えば、この国内のところは従来どおり行っていくということです。

 ですから、危機管理監と国家安全保障局長というのは同格にあって、ここで緊密な連携をとっている。その下に、今言われました内閣官房の補佐、それが併任で、両方の下にいますから、ここは情報をできるだけ共有するような形にしていきたいというふうに思っているんです。

 そして、国家安全保障局長というのは、やはり安全保障の企画立案、そして省庁間の総合調整を行う、そして国内の、従来どおりの事態対処については危機管理監のもとに行う、そういうことを考えています。

 ただ、外交・安全保障全体については、先ほども申し上げましたけれども、四大臣会合を中心に物事の方向を決定していく、そういう仕組みであります。

長島(昭)委員 いま一つ、まだしっくりこないんです。これは、やはり動かしてみないとわからない部分も恐らくあるんだろうと思います。

 ですから、大事なことは、何か起こった、対処した、その後、レビューですよね。どういうプロセスで対処が行われ、どういう不利な点があったのか。また、私たちも、あの北朝鮮のミサイル対処のとき、アラートがちょっとおくれたという事例があって、その検証チームというのを官邸につくって、きちっと検証して、次の同じような機会にはそれがかなりスムーズに行われることができた、そういう経験をしておりますので。

 これまでも、九・一一、イラク、北朝鮮の核、それから三・一一、いろいろなことを我が国も経験してきたわけですけれども、そういう中で、今、ある意味、机上で、こういう形で緊密な連絡をとってやればいいというような今の官房長官の御説明が、具体的にどういうシークエンスで展開していくかということは、これはやはり動かしてみないとわからない部分もあると思いますので、そこはきちっとやっていただきたいと思います。

 おとといから、グレーゾーンという、つまり、これまでの日本の危機対応というのは、どちらかというと、主として武力攻撃事態、つまり大規模テロとか、烈度の高い事態に対する対処ということが想定されていたわけですけれども、きのうも小野寺大臣、官邸に行かれたようでありますが、まさに今、平時でもない、平穏な状態でもない、しかし武力衝突が起こっているわけではない、有事でもない、この間の、まさにグレーゾーンの事態が既に起こっていると言っても過言ではないんだろうというふうに思います。

 その点、防衛大臣のグレーゾーンに対する御所見と、今現状、一つは尖閣、あるいは北朝鮮もそうなんですけれども、どういう状況にあるのか、そして、NSCがつくられるとそれに対処するのにどういう効果があるとお考えか、御説明いただけますか。

小野寺国務大臣 今御指摘がありますように、このグレーゾーンという事態、平時でもなければ有事でもないという、その状況については、最近の安全保障環境を見ると顕在化しているように私どもは思っております。

 七月には、防衛力のあり方に関する中間報告を防衛省がまとめましたが、その中でも、例えば、このグレーゾーンの事態というのが顕在化、長期化して、事案をより重大な事態へ先鋭化、深刻化する可能性があるということは触れさせていただいております。

 今御指摘がありましたように、例えば、現在、東シナ海において、日本と中国、尖閣をめぐるさまざまな緊張感を持った対応をさせていただいておりますが、これも、領海に対して中国公船が侵入するというたび重なる事態に関しては、御指摘のグレーゾーンと掌握すべき事案だと思っておりますし、また、ことしの春先に起きました、北朝鮮が日本の具体的な地名を挙げて、あたかも威嚇するような発言をしたということも、私どもとしてはグレーゾーンとして捉えるべき内容だと思っております。

 また、NSCができますと、このような問題について、例えば、防衛省というのは、防衛問題、我が国の守りをかたくするということが私どもとしては役目になりますが、当然、このようなグレーゾーンの場合には、外交努力ということも大切ですし、あるいは周辺国との協議ということも大切になります。

 いずれにしても、外交・安全保障全般にわたっては、やはり政府全体としての内閣、そして私どもそれぞれ、外交、防衛、これが協力して、常日ごろさまざまな意見を交わし、そして、あるときには大きな戦略を考えていくことが大切だと思っております。

長島(昭)委員 私も同様に考えています。

 グレーゾーンというのは、武力衝突には至っていないけれども、そういう状況に至る可能性のある状況だということで、特に東シナ海の今の状況というのはかなり緊迫してきていると思います。

 それは、国防であると同時に、今おっしゃったように、外交交渉でもあり、また何か、例えば巡視船同士がぶつかったというようなことになれば、これはやはり国土交通省の管轄の問題にもなる。それから、この東シナ海の情勢が朝鮮半島に飛び火しないとも限らないということでありますと、外交的なメッセージも発していかなきゃならないし、この危機を対処するために、当該国と直接交渉をする必要も出てくる。

 こういうことで、結局は省庁横断的な対応を迫られるわけで、これを一々、そのつかさつかさの省に委ねていたのでは、これはなかなかまとまりがつかないということで、官邸できちっとこれをコントロールする、そういう効果がNSCをつくることによって出てくるんだろうというふうに私も思います。

 もう時間も余りないので、少し飛ばして、NSCとインテリジェンスコミュニティーとの関係について最後に伺いたいと思います。

 私は、よりよい戦略あるいは事態対処というものを確立するためには、やはり質の高い情報が適時的確に官邸に上がってくる、先日、岩屋さんもおっしゃっていましたけれども、日本の情報というのは、上がらない、回らない、漏れる、これが定評でありますけれども、そういうことではなくて、漏らすことなくきちっと上がってくる、こういう仕組みが担保されていないといけないと思っています。

 今回、法案を見ると、内閣官房長官及び関係行政機関の長は、会議の定めるところにより、会議というのは国家安全保障会議でありますが、会議の定めるところにより、会議に対し、資料または情報であって会議の審議に資するものを適時に提供するものとし、会議は、必要があると認めるときは、内閣官房長官及び関係行政機関の長に対し、資料または情報の提供及び説明その他必要な協力をするよう求めることができるものとする、こういうふうに法定されているわけです。

 これまでの情報、合同情報会議とか、いろいろ官邸につくられておりますけれども、これはどうなっているんだ、こうこうこうであります、ああそうか、これで何となく終わっていた嫌いが私はあると思っています。

 ポイントは、適時的確な情報が官邸にもたらされる。それで官邸が、国家安全保障局を中心として、情報の、ある意味カスタマー、消費者になるわけですね。このカスタマーが、こういう情報が欲しいという情報要求をすることができるようになるというのが私は今回の大きな目玉だと思うんですけれども、この条文で本当に的確な情報が入ってくることを担保できるのかというのが私の一つの疑問であります。

 昔にさかのぼりますと、情報要求で定評があったのは中曽根総理だったというふうに言われています。あのときは物すごい強烈な情報要求が各省とりわけ防衛庁に行ったというふうに私は仄聞しているんです。

 というのは、アメリカ側から、当時、防衛費の増額をかなり要求、要請されていました。それを実現させるためには、国民が納得できるような説明をしなきゃいけない、総理大臣として。そのためには、極東ソ連軍の状況が本当に厳しい状況であるのかどうかということを、具体的に数字を、あるいは、もちろん公表できる範囲は限られていると思いますけれども、そういう説得力ある情報をとにかく官邸に上げてこいということで、かなりプッシュしてそういう情報を上げてきたというふうに言われておりますけれども、今回のこの法律で、必要な情報が上がってくるような担保がきちっとできる、そういうふうにお考えでしょうか。

菅国務大臣 結論から言えば、この法律で私はできるというふうに考えています。

 国家安全保障政策の企画立案、そして総合調整を行う上には、やはりどうしても質の高い情報というのが不可欠でありますから、そういう中で、この国家安全保障会議に資料、情報を提供させる義務を負うことになるわけでありますので、国家安全保障局にそうした情報が集約されるというふうに思っております。

 いずれにしろ、国家安全保障局の情報関心が各府省庁に伝達をされて、そうしたものを私たちはそこに集約して分析をした上で、国家の安全に努めていきたいと思います。

長島(昭)委員 よくイギリスの例が引き合いに出されるんですね。イギリスは、もしそういう義務を怠った場合にはペナルティーがあるんですね。

 先日、小池委員が質問されて、当時は世耕副長官が代理でお答えになっておられましたが、省庁が情報提供の義務を怠った場合はどうなのか、こういう御質問でした。それに対して世耕副長官は、今私が申し上げた、法律で情報提供が定まっているため、義務を怠ることは組織上あり得ない。

 わかりますよ、そういうふうに信じたいお気持ちは。しかし、果たして、もしちゃんと上がっていなかったときにはどういうことになるかということがないと、先ほどまさに官房長官がおっしゃったように、みんな省の中で情報を囲っておきたいんですよ。それは官僚の習性というものなのかもしれません。あるいは、インテリジェンスコミュニティーの性格なのかもしれません。

 これを、必要な情報をちゃんと出せよ、出さないとこうなるぞというのがないと、私はなかなか説得力がないんだろうと思うんですが、そこはいかがでしょうか。

菅国務大臣 従来は、各省庁でそれぞれの情報を囲っていたということ、これは事実だと思います。そういう中で、今回初めて私どもは情報提供を求めることができるようにしたわけでありますので、私は、そこはできるとまず信じて、ここはスタートしていきたいというふうに思います。これを義務にするのは初めてでありますから、そこでしっかり対応できるというふうに思っています。

長島(昭)委員 これは、今の御答弁では納得できません。

 イギリスは、公務員規範というのがあって、大臣に対して情報の提供や証拠に基づいた助言を行わなければならない、助言を提供する際に不都合な事実や考慮すべき点について無視してはならない、こういう規定があるんです。

 日本は、同等の規定によって、きちっとした情報が上がらなかった場合の対応というのはなされるんでしょうか。そういう対応がなければ、私は信じている、確かにそうでしょう、官房長官の部下ですから信じたいお気持ちはわかるけれども、そこは実質的な担保がないと私はだめだと思いますが、いかがでしょう。

菅国務大臣 いずれにしろ、従来それぞれの省庁で囲っていたものを、今度は安全保障会議で情報を要求することができるようにしたわけでありますから、当然そこは、私たち、それぞれの大臣は人事権者でありますから、やはり情報というのは上がってくる、私はこのように考えています。

長島(昭)委員 イギリスのような服務規定、公務員規範というのが、これに対応するようなものは日本にあるんでしょうか。

菅国務大臣 明確にはありません。

 ただ、任免権者、これはそれぞれの大臣がその省庁に対して責任を持っているわけでありますから、その任免権者の意に当然従うことになっていると私は思いますし、ならなければ、それは人事の任免権者がしっかり対応すればいいことだというふうに思っていますので、そこは、今度、こうした情報を要求することができる、こうしたことによって変わってくると私は思います。

長島(昭)委員 官房長官、ここはかなり肝の部分だと思いますので、これから同僚議員からいろいろ質問があろうかと思います。

 今回、今まで政令で定められていた部分を法律にこういうふうに落とし込んでいますので、それなりの効果はあるんだろうというふうに私は思いますが、ぜひ、ここはもう一段、きちっとした情報が上がるような組織体制、制度的な担保をつくっていけるようにしていただきたい。そうでないと、これはやはりなかなか、運用上、きちっとした運用がなされないんじゃないだろうかというふうに思っていますので、ここはぜひ、今後の課題として指摘をしておきたいと思います。

 以上で質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

額賀委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。

 同僚議員の質問に続きまして、与えられた時間で、このNSCについての各論、細かいところもいろいろ触れたいと思いますが、質問が重複せぬようにお尋ねをしたいと思います。

 この法案を見て、資料等をひっくり返して、いろいろ読ませていただきました。

 これは非常に、正直、なかなかわかりにくいんですね。何かすとっと落ちない。何回読んでも読んでもよくわからないところで、何でかなと思っていたら、これは、配られた、よく我々も部門会議等でいただく資料なんですけれども、言いますと、言葉が非常に抽象的なんですよ。

 例えば、四大臣会合が新規に設けられる。その中で、目的として、一つは、国家安全保障に関する外交防衛政策の司令塔だ。司令塔と言っているわけですね。そこで、平素から機動的、定例的に開催し、実質的に審議というんですが、例えば、日常的に議論をして機動的に対応できる環境を整備するというのならまだわかるんですが、機動的、定例的に開催をすると言われています。では、機動的かつ定例的というのはまずどういう意味なのかな、この辺のことをちょっと御説明いただきたいと思います。

 そして、実質的に審議をする。それは何を実質的に審議するかというと、中長期的な国家安全保障戦略の策定を含めて、基本的な方向性を定めるとあるんですが、実質的というのは、一つのテーマについて実質的な議論をするのか。つまり、どうするかという目的を持って議論するのだろうとは思うんですけれども、この実質的な審議、それから機動的な開催、ちょっと説明をいただけますでしょうか。

菅国務大臣 基本的に、四大臣会合は二週間に一回程度、外交、防衛に関する問題を中心に、ここは四大臣の中で意見交換をしていくということであります。

 そして、機動的、また、ここは戦略的に対応できるように、常日ごろから、こうした問題については意見を集約しているということであります。

渡辺(周)委員 二週間に一回程度これから開いていくんだという頻度で行われるということでよろしいのかと思います。

 ちょっとこれは防衛大臣に、実は通告をしていませんが、例えば、今、無人機の領空侵入ということについて、防衛省内でも当然議論をされている、あるいは各省にまたがる部分もありますから、一つの具体的な例を挙げますと、こういう例があった場合に、防衛省でも議論をする、あるいは外務省や国土交通省も含めて、無人機というもののあり方について、あるいは対処の仕方についてどうするかということは、早急に対応を今決められていると思いますけれども、こういう問題も、NSCができれば、こういうところで議論をするということになるんでしょうか。

 それから、今、例えばどういう議論がされているんでしょうか、こういう新たな脅威に対して。あるいは、日本の新たな、法的に対応するかどうかという、今まで想定していなかったこと。幾つも挙げたら切りがありませんが、一つだけ挙げるとすれば、無人機に対する法的整備、あるいはそれを撃墜する、領空侵犯したものに対して対領空侵犯措置をとる、しかし従わなかった場合はどうするか。

 こういう新たなことについて今防衛省で例えばどんな議論がされていて、今後もしNSCができれば、こうした新たな脅威に対して対応することになるということなのかどうか。現状も含めて、お答えいただけますでしょうか。

小野寺国務大臣 無人機のことにつきましては、先般、我が国のADIZを越えて入ってきたということ、これは我が国の領空に入ってきたわけではありませんが、そのような事態があったということで、特異的な事例ということで公表させていただきました。そして、このようなことに今後どのような対応をしたらいいかということは、私どもとして検討する必要があると思っております。

 そして、今後NSCができますと、このような事案が予見される場合には当然NSCの中で議論をし、また、例えば無人機であれば、通常、防衛省もありますが、今委員が御指摘のように、国土交通省の知見、あるいは、国際的なICAOではどういう判断をしているんだというところで外務省の意見、そういうことを聞きながら検討することになると思っております。

渡辺(周)委員 検討をするということの中で、どれぐらいで結論を出したいというふうにお考えですか。本来の質問からちょっと派生しましたけれども、これは大変強い関心事でもありますので、どれぐらいの時間軸で考えていらっしゃるか、お答えいただけますか。

小野寺国務大臣 それぞれの具体的な事態に応じて対応することになると思いますが、まだNSCができておりませんが、少なくとも特異的な事例ということで私どもとして公表させていただいたというときには、今回、この問題については、しっかりとした対応ができるようなことを当然省内でも検討しているということであります。

渡辺(周)委員 なぜあえて無人機の話を出したかというと、今おっしゃられたように、これは外務省でも、あるいは国土交通省も、行政の所掌を非常に網羅的に考えなければいけないことがこれからも出てくる。

 そうしますと、四大臣会合なり、その他のさまざまな中で議論をされることになると思うんですけれども、これは一省だけの問題にかかわらず、その都度に関係閣僚が集まってやるのか、あるいは副大臣クラスで実務的にやっていくのか、あるいは事務方でやるのか。さまざまなことを、今後新たに出てくる、これまでの課題であった問題もそうでしょうし、これから考えなければいけないことについてもやっていかなければいけないんだと思います。

 そこで、伺いたいのは、国家の安全保障に関する、外交とか防衛政策ということについて、総理あるいは官房長官、外務大臣、防衛大臣が主宰をし、また出席をする、いわば私的諮問機関も含めまして、こうした専門家を集めた会合や関係閣僚の会合というのは一体幾つあるんですかね。これはたしか通告していると思いますけれども。

藤山政府参考人 総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣、いずれかが出席、主宰する外交防衛分野の私的諮問機関あるいは専門家会議、関係閣僚会議、現在設置されているものは九件ということになっております。

渡辺(周)委員 恐らくこの九件の中には、NSC設置のための、国家安全保障会議の創設に関する有識者会議、これも入っているということもあると思うんですが、今言った、総理それから官房長官、外務、防衛の閣僚が出るもので九件あると。それ以外にも、例えば犯罪対策の閣僚会議もございます。それから、あわせて、例えば拉致対策本部もそうなんですけれども、国家の治安を守る、あるいは国民の生命財産を守るという分野に広げると、まだまだあると思いますね。

 そうしますと、こうした幾つもある、今ある閣僚の私的諮問機関や専門家会議、関係閣僚会議というものが、このNSCができれば、私は、そこで一元化してやっていく方が、つまり発展的解消をして内包していく、こういうことも考えるべきではないかなと思います。一元化という意味においては、NSCが設立された場合には、こうしたさまざまな私的諮問機関、専門家会議それから関係閣僚会議といったものは、ここに内包、統合していくべきだと思うんです。

 それは、時間的な問題、そして議論の重複を避けるためにもやるべきではないかと思うんですけれども、その点については、NSCができた場合はどうなるんでしょうか。

菅国務大臣 委員も防衛副大臣をやられて、こうした会合が余りにも多過ぎるという体験をされた上での質問だろうというふうに私は思います。

 国家安全保障会議、NSCが設置をされることによって、まさに国家安全保障に関しては、内閣総理大臣を中心に機動的に対応できるように環境を今度は整えることができるわけであります。

 また、先ほどの中に、閣僚で構成される会議がありました。やはり総理の私的懇談会、外務省、防衛省に置かれている有識者会合、これは異なるというふうに思っていますので、できるだけ集約できるものは集約しながら、目的の趣旨が違うのは、そこはやはり残していくべきだろうと思います。

渡辺(周)委員 恒久的なテーマについても、あるいはこれから対応しなければならない今後の課題についても、関係閣僚が集まったり、あるいは事務方も含めて、いろいろさまざまな形で協議をされることは今もありますし、これまでもあるんですが、そうしますと、同じ議論をあちこちでやることよりも一元化した方がいい。それによって、私は、非常に行政効率というものも高まっていくんだろうというふうに思うわけなんですね。

 ちょっとNSCの組織論に話を戻しますけれども、ここで外交と防衛政策ということを今後やっていくんだと。

 司令塔というからには、私は、一つには、外務省が今さまざま行っていること、例えば一つ例を挙げますと、戦略的なODAの問題、これはやはり、資源を持たないにもかかわらず、さまざまな分野で世界の中で我が国がプレゼンスを占めてきた重要なツールだ、重要な戦略だと理解をしているわけでございます。それから、例えばJICAのような組織の支援であるとか、もっと最近でいえば、例えば、今後、ソフトコンテンツをクール・ジャパン戦略の中で海外に展開していくというような、さまざまな日本としての世界の中のプレゼンスの形態はあるわけなんですけれども、こうしたことについても、外務省がこれまでやってきた、あるいは経済産業省も含めて、きょうは経産大臣はいらっしゃいませんけれども、こうした民間の支援も含めたことも、外交政策を今後このNSCの中でも立案していくのかどうなのか。

 日本の国益の中心政策たるODAであるとか、JICAの支援であるとか、あるいはさまざま民間の支援も含めて行っていくのかどうか。この辺についてはどうなんでしょうか。

 そうしますと、おのずと、外交政策立案のウエートというのは、外務省から少し離れてこの日本版NSCの中で議論をされる、あるいはそこで立案されていくというふうに理解していいのかどうか。そこはいかがですか。

菅国務大臣 まず、国家安全保障局は、先ほど来申し上げていますように、国家安全保障政策の企画立案、総合調整を内閣官房で一括して行っていこうということであります。

 これによって、外交政策の企画立案に関する外務大臣の所掌が変わるわけではありません。また、この設置によって官房長官の所掌も拡大されるわけではありません。まさに、今回の国家安全保障会議、NSCというのは、国家安全保障に対してそれぞれの省庁が協力して行っていくということであります。

渡辺(周)委員 外務大臣、いかがですか。今の答弁でよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 今、官房長官から答弁ありましたように、国家安全保障会議というのは、我が国の国家安全保障政策を取り扱うことになります。そして、政治のリーダーシップを発揮して、機動的、効果的な判断を下す、こうした役割を担うものだと認識をしております。

 国家安全保障政策の中に、御指摘のODAですとかJICAの活動が含まれないとは限りませんが、こうした国家安全保障会議の役割を考えますときに、外務省の所掌自体は従来と全く変わらない、このように認識をしております。

渡辺(周)委員 戦略的な観点から、さまざまな日本の国家の安全保障を私は広義に考えて捉えているわけでありますけれども、その点についても、所掌は変わらないけれども議論をされる。

 我が国のある意味では広義の安全保障、つまり、世界の中から最も尊敬される国家として、ぜひそうした支援も戦略的にやっていただきたい。どこの国に手厚くして、どこの国はもう余り手厚くするべきでないなどということは言いませんけれども、やはりそこのところをぜひ、一省の中だけではなくて、これはまあ、政府、言いたいことはもしかしたら御理解いただけるかもしれませんが、そういうことも含めて僕はやはり考えていくべきだろうというふうに思います。

 これは、今まで申し上げたのは、平時の場合の国家安全保障会議のあり方について答弁をいただきました。

 聞きますと、私が一つイメージするのは、この日本版NSCというのは、今いろいろ、るる議論をした戦略的な政策立案部門とあわせて、事態対処までを実施する組織という両面を持つというふうに考えていいのかどうか。

 つまり、四大臣会合は、そうした平時の場合の戦略的政策立案。今度は、新規に置かれる緊急事態大臣会合、これは総理に建議をする。四大臣会合は審議でありますけれども、九大臣会合の場合は、事態対処につき、必要な措置を総理に建議することも場合によってはあり得るということであるんですけれども、これは、日本版のNSCが、当初議論をしていた中で、もともと前身の国防会議から考えますと、いわゆる国防会議、そして安全保障会議と名を変えて現在に至るわけですが、もともとは、これはシビリアンコントロールの徹底をするという組織であった。

 それから、これは鳩山一郎総理大臣の答弁にも過去あったように、やはり慎重の上に慎重を期すのである、この実力の発揮については。

 そして、それから今日まで来てさまざまな、七〇年代、八〇年代に入って、例えば、ベレンコ中佐の、おとといも指摘がありましたミグ25の亡命事件であるとか、あるいはダッカのハイジャック事件であるとか。その後、八〇年代に入って、大韓航空機事件があったり、その他いろいろなことがあったわけでございまして、そのたびに、いわゆる国防の危機というものについて、さまざまな役割がふえてきたわけなのであります。

 しかし、根っこにあるのは、従来の九大臣会合にある文民統制の維持機能、これは引き続きやるんだ。しかし、新たに四大臣会合で、平素でいえば一種のシンクタンク的な役割、あるいは政策立案のベースたる役割。そして九大臣会合で、これは、ある意味では危機管理判断をする機関をつくる。

 ということは、これは、平時においてはボトムアップで議論をし、我が国の戦略をまさに省庁横断的、オール・ジャパンでやる。しかし、緊急事態が起きた場合にはトップダウンでやれるようにするということを考えますが、この新たに衣がえされる国家安全保障会議というのは、そもそも、どちらの性格を今後強めていくのか。これまでの、シビリアンコントロールを徹底する、文民統制維持をする機能なのか、それとも、シンクタンク的役割なのか。もっと言えば、有事の際に機動的に対応できる、いわばトップダウン型の機構と将来考えていくのか。その辺は、性格づけとしてはいかがなんですか。

菅国務大臣 このいわゆる国家安全保障会議は、四大臣会議というのを新しくつくります。そしてまた、緊急事態大臣会合というのも新しくつくります。それと、従来からの九大臣会合、いわゆる安保会議、ここの三つの会議から構成されるわけでありまして、まさにこの九大臣会合、いわゆる安保会議は、文民統制機能を維持するために、ここはしっかりそのままにさせていただきたいと思っています。

 そして、四大臣会合の中で、外交防衛問題についてまさに二週間に一回ほど定期的に行って、そしてまた、今、委員からも質問がありましたけれども、緊急事態が発生した場合、これにもしっかり対応することができるように、緊急事態の種類の中で、新たに出席する大臣を総理が指定し、事前から決めておくということであります。

 例えば、放射能物質のテロ事件があったとする。そうしたことであれば、厚労大臣とか、もちろん国家公安委員長とか、そういう予測される、そうした緊急事態に対しても対応できるように日ごろから対応しておこうということであります。

 ですから、緊急事態に対応できること、そして同時に、文民統制、従来の安保会議もしっかり置いていく、総合的な国家の安全保障というものについて責任を有する組織であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、中谷(元)委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 いや、私が伺いたいのは、シビリアンコントロールを徹底するためにつくられた国防会議の性質を残しながら、しかし、新たにつくられる四大臣会合は、平素においてはいわばシンクタンク的な、あるいは政策立案のベースとなる組織である。しかし、何かあったときには機動的にまさに対応をできる、瞬時にやはり政治判断するための、これは最終的にはトップの、議長である総理の判断ではありますけれども。

 これは後でちょっと例示をしたいと思うんですが、本当に我々も悲しい、そしてつらい思いをした一月十六日の、記憶に新しいところでありますが、あのアルジェリアのような事件が起きた場合、今は官房長官、放射能物質のテロ事案というものを例示されましたけれども、正直言って、これから、いつ本当に起こるかわからないという、世界で働く企業戦士の方々が、どこでどんな難に遭うとも本当に想像がつかないこの厳しい中で、日本の国益のために、あるいは世界の発展のためにさまざまなところで仕事をされている方々が、いつあのような危機に直面するかわからない。

 あのときにも、日本版のNSCというものが必要だという議論が、これは与党の方からも発言がありましたし、さまざま情報が錯綜する中で、我々も、野党でありますが、対策本部をつくって、さまざまなところから情報をもらいましたけれども、非常にいら立ったわけですね、情報がなかなか入ってこないと。それは皆さんも記憶しているところでございます。

 ですから、平時においては、シンクタンク的な役割で情報を集め、そしてそれを分析して、我が国の今後、外交、安全保障の政策にどう肉づけをしていくのかということは、もちろん平時のときはいいですが、今から緊急事態の話をしますけれども、こうしたことが起きた場合にどう対応するのか。

 説明の資料に例示されているのは、領海侵入・不法上陸事案、それから、今官房長官がおっしゃった放射能物質のテロ事案、あるいは大量避難民事案とあるんですけれども、このような海外で邦人が巻き込まれたようなテロがあった、あるいはどこかで暴動が起きているということがある場合に、もしNSCがあればどう対応できるのか。アルジェリア型の危機が不幸にしてまた発生してしまった場合には、NSCはどう機能できるか。

 小池委員もたしか指摘をされていたと思いますが、改めて、いかがなんですか、もしあった場合はどう対応できるかについて。

菅国務大臣 私たち、政権をとって発足間もないときに、不幸にもこのアルジェリア邦人に対するテロ事件が発生をいたしました。

 この発生の解決に当たっても、防衛大臣、外務大臣を初め、私たち関係閣僚が会合を何回となく開きながら対応させていただいたんですけれども、まず、このアルジェリア事件に対して検証しまして、情報集約、関係省庁の連携、そうしたものが何が足りなかったのか、何が必要だったのか、そうしたことで報告書を取りまとめました。

 今回の法案、これがあったからということでなくて、私は、このNSCをつくることによって、もっと迅速に対応することができたのではないかなというふうに思っています。

 やはり、当時、総理が外国訪問中でありましたので、総理の指示のもとに私たち会合を開くわけですけれども、NSCのように、国家安全保障局、そこで情報を集約する、現地の状況がどうなっているかということをやはり一つのところで集約する、そしてまた、国家として何ができるかということもそこで集約をする、そうしたものがこの大臣会合にいち早く上がってくることができれば、私どもも、国民の生命財産、そうしたことを守ることができたのではないかなという思いもないわけではありません。

 いずれにしろ、世界の動向を見る中で、兆候というものをやはり把握し予防に努めることも大事だということも、私たち、アルジェリア問題の反省の上の一つであります。

 いずれにしろ、各省ばらばらでなくて、そこを集約することが必要だというのは、私ども、アルジェリア事件の教訓でもあったわけでありますので、この国家安全保障会議を設立することができることによって、さまざまな情報がそこで集約され、そしてまた分析も行われ、対応策も考えられるわけでありますから、当然もっと迅速に行動できる、そうした対応をすることができたというふうに思います。

渡辺(周)委員 今長官がお話をされたことは、ある意味では、起きている最中と起きた後の話だったと思うんです。

 これは、この事件を受けて、在留邦人及び在外日本企業の保護のあり方に関する有識者懇談会、その後、検証会もつくられましたけれども、立命館大学の宮家先生という方が座長で行われた中にあるんですが、やはり、事が起きる前、それから起きている最中、起きた後、この三つを別々に検証すべきだということで、当然検証もされております。

 その上で、意見として出された中に、企業が実施する対策、対応というのが、これは諸外国に倣って、それぞれの企業も、民間の、現地の治安部隊、警察の護衛を受けたり、あるいはみずからそういう護衛を雇ったり、実際、イナメナスの場合もそうだったわけなんですけれども、そういう対策をしながら、反面で、やはり政府が提供する支援というものについてもやるべきではないのかという議論があったやに聞いております。

 これは、つまり、日本版NSCが、先ほど申し上げた平時のときに情報収集をして、その上において、例えば、アフリカや中東のどの国において今どういうグループが非常に活発に活動している、あるいは、どこかの国も実は危険にさらされていた、こういう情報をふだんから集めておいて、日ごろから、まさに政府が情報を提供して、ただ注意喚起とか渡航に対しての注意呼びかけではなくて、具体的に私はやはり示すことが必要なんじゃないかと思うんですね。

 それについて、今後、日本版のNSCができた、そして、政府が、あるいは民間も含めて集めた情報を、どのようにしてそうした世界で展開をする日本の企業に対して情報提供することができるのか。つまり、事前から根拠を示して、何らかの形で危機回避に資することができるか。そこのところはお考えでしょうか。それは事が起きた後の話じゃなく、事が起きる前の、今お話のあった予防という意味において、一種のコンサルティングというのか、そうした役割を示すことがあるのかどうか。その点はいかがですか。

菅国務大臣 検証チームをつくって、その検証結果については、外務省を通じて、海外に進出する企業に情報提供する、そういう仕組みというのをつくらせていただきましたので、そうしたことはできるようになっています。

岸田国務大臣 まず、このたび国家安全保障会議が設置されることによって、平時からこうした安全保障情勢あるいは治安情勢についてフォローがされるという意味で、これは大変意義があると思っておりますし、緊急時において効果的に対応するという意味でも、大きな意義があると考えています。

 そして、その上で、情報提供ということにつきましては、先ほど委員からも御指摘がありました、官邸あるいは外務省に設けられましたアルジェリア事件後の有識者会議、そして検討チーム、その成果といたしまして、外務省としましても、ショートメッセージサービスを活用して、邦人に対して直接、携帯電話を通じて情報を提供するとか、さまざまな体制の充実を今図りつつあります。企業に対しても、安全対策連絡協議会あるいは官民セミナー、こういったものを通じて情報提供を行う。

 さまざまな対策を検討し、それを今実行しつつあります。その成果を使ってしっかりと情報提供に努めている、これが外務省の今の現状でございます。

渡辺(周)委員 ぜひ、そうしたショートメールサービスもいいんですが、もっと私は、ある意味では、海外で展開する企業をこのNSCの中に入れること、民間を中に入れるということも一つ考えられるんじゃないかというふうに思います。それによって、官が得られない情報を民からも得るということも必要だと思います。

 もう一つお尋ねしたいのは、世界の国々には、例えばアメリカのクロール社であるとか、イギリスのジェーンズですとか、さまざまな危機管理コンサルタントの会社がありますね。これは政府よりも情報を持っていると言われる場合もあるんです。例えばこうした民間の、外国のリスクマネジメント会社、こういうものと提携をする。実際、こういうものは幾つかの国の政府の顧問をやっているところもあります。そういうところまで広げるのかどうかということについてお尋ねをしたいというふうに思います。

 それから、あわせて、収集する情報の中で、例えば、これは究極の状況の場合です、日本は人命を最優先でということをメッセージとして発信しました。しかし、テロには屈しないという当該国の例えば治安部隊に委ねる、結果そういうことになったわけです。

 あるいは、イナメナスの場合は、フランスや、アメリカだったかイギリスだったか、幾つかの国から特殊部隊が救出に入るというような申し出もあったということも後に聞いておりますけれども、つまり、日本型の解決の仕方と、その起こった国における解決の仕方と、そして多国籍企業が狙われた場合に、イギリスやフランスやアメリカのような、実際、アメリカのシールズのような特殊救出部隊がある、その第三国に任せるのか。どこかの選択というものをもし日本政府が判断をしなければならない場合、こうした場合のことを考えると、よりベターな選択をどこかで決定をしなければならない。

 もちろん、日本政府がゴーを出すわけではありませんけれども、その場合に、例えばどういう国にどういう特殊部隊があって、どの国には治安部隊の能力、装備、あるいは、いわゆる今挙げたような英米仏のような国の特殊部隊がどこに展開されているのか、そうした情報というものを持っておくことも必要だと思うんですけれども、そこまで情報は収集されるということで、もう既にそういう情報は持っているというのか。それとも、時には外国のアドバイザーのような人もこのNSCに入れて、そうした情報を収集するように努めるのか。その辺はいかがでしょうか。

菅国務大臣 まさに日本の国家安全保障についてでありますので、海外の方の情報機関をこの組織の中に入れることは考えておりません。ただ、参考として話を聞くというのは、これは当然に、国家の安全保障のためにそこはあり得るんだろうというふうに思っています。

岸田国務大臣 今回のNSC法案によりまして、国家安全保障会議は、関係省庁に対して、関係省庁から情報の提供を受ける、そして提供を要求する、これが法律で定められることとなりました。よって、外務大臣としましても、この法律に基づいて、みずからの責任で、的確、迅速に情報を提供しなければならない、こういった立場にあると考えます。

 そうした立場に立って、従来から情報収集については、さまざまな情報源、情報手段を通じて情報収集に努めているわけですが、御指摘のようなさまざまな情報についても、必要なものは全力を挙げて情報収集に努めなければならないと思いながら、引き続きこうした情報収集努力を続けていきたいと考えています。

渡辺(周)委員 今申し上げた例は、極めて、本当に究極の事態のことだと思うんです。ただしかし、情報というのは、情報収集に努めてまいりたいではなくて、実際集めなければいけない情報については対価もかかると思います、コストもかかると思います。

 それについては、当然、予算的なこともあるんだと思いますが、この質問の最後に、私は余り実は組織のことについては、関心は持ちますけれども、組織論で意思決定の仕組みというものも大事なんですけれども、問題は、日本版NSCがどう機能するかということに絞ってきょうは質問をしました。そのことについては今後も、つまり、国家安全保障会議が、衣がえをすることによってどう危機に対して対応できるのかということをきょうは話をしたわけでございます。

 当然、私も防衛省の三役をやりましたから、必要な情報については、外国との信頼関係の中で、秘匿しなければいけない情報がまさにあると思います。最後に触れた部分については、他国の特殊部隊の展開の態様について、あるいは、どこから、どこの国に展開しているかなんということは、これはなかなか得られない情報でありますから、当然、そういうことについては守らなければいけない機密があるということは承知をしているんです。

 その上で、最後、もう五分しかありません。ほかの質問はちょっとはしょりまして、最後に伺いたいんですが、秘密保護法。先般、閣議決定をされましたこの特定秘密のことについて、一点だけ質問をしたいと思うんです。

 そういう秘密を守らなければいけないということは承知をしながら、一つ伺いたいことは、たくさんあるんですけれども、きょうは一点だけにしておきます。法律の中に出てきます、たしかこれは二十一条ですね。秘密保護法の二十一条、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、」云々「正当な業務による行為とする」というふうにあります。

 これは、報道に対する配慮、あるいは取材に対する配慮規定が盛り込まれていますが、問題は、個人がソーシャルメディアを活用することによって、誰もが今メディアなんです。誰もがメディアの中で、「出版又は報道の業務に従事する者」、これはなかなか定義しづらいんですけれども、ありていに言えば、ネットジャーナリストという方も存在します。ビデオジャーナリストという方も存在します。言ってしまえば、ブロガーという方もいるんですね。ただ自分のメディアを使って発信をするわけですから、これを取材と言うかどうかということは別にしましても、ここをどう定義するか。

 実は、アメリカでは、メディア保護法という法律を議論された場合、ジャーナリストの定義というのは各州によってまちまちだったんですね。これをどう線引きをするかということ、線引きをするのかしないのか、このことについて今どうお考えでしょうか。お答えできる方はいらっしゃいますでしょうか。

岡田副大臣 御質問にお答えをいたします。

 「報道の業務に従事する者」とは、不特定かつ多数の者に対して、客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることを職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う者をいうということと考えます。

 具体的には、放送機関、新聞社、通信社、雑誌社の記者に限らず、個人のフリーランスの記者もこれに含まれると考えます。

渡辺(周)委員 実は、ジャーナリストという言葉も、私も短い間記者をやりましたけれども、今は、まさになりわいとして、今おっしゃったような方々、つまり実績がある、あるいはその仕事で生計を立てているという方もいれば、そうでない、それは主ではないんだけれども、ただしかし報道をする人たちもいます。

 これは実は、もう時間がありませんから余りたくさん説明できませんけれども、カリフォルニア州では、発行人、編集者、記者あるいはその他の人々で、新聞、雑誌あるいはその他の定期刊行物、報道協会、通信社に雇用されているか提携している、あるいはその経験のある人だと。ワシントンDCにおいては、ニュースの取材もしくはニュースの配信業務のためにニュースメディアに雇用されている、あるいはその経験のあるあらゆる人々とあるんですね。

 つまり、雇用されているかどうかということもそうなんですけれども、これは実は難しいんです。余りその取材をするという方の範囲を広げると、そこにいわゆるスパイが入り込む可能性もある。しかし、報道の自由を守るとなれば、大手の企業だから、あるいは記者クラブに入っている方以外の、そうでない方々、自称ジャーナリストという方はどうするのか。例えば、自分のメディア上でニュースを配信しているような方はどうするのか、自分でミニコミのようなものを出している方々はどうなるのかということになるんですね。

 そうしますと、ここは非常に定義づけが難しいところではある。しかし、今お話しのようなところでいきますと、ほぼ、ほとんどの人は網羅される。そう考えていいですか。

 最後に、もう時間がありませんけれども、官房長官、その点について、いわゆる国民の知る権利と報道の自由、そして取材ということについて、何らかの線引きがあるのかないのか。もう時間がありませんから、最後に御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私、所管ではありませんので、きょうは所管の副大臣が来ていますので、答弁させていただきます。

渡辺(周)委員 それでは、副大臣お見えでございますので、このことはまた改めて法案が出てきた場合にやりたいと思いますが、最後にもう一度、その点についていかがなんですか。

 つまり、余り広げると、今度は、自由は担保されるけれども、何らかの不利益をこうむるような形でそこにいろいろ入ってこないとも限らない。しかし、報道の自由や取材の自由は守らなければいけないという中で、どのようにこの二十一条を担保するのか。それについてもう一度伺って、質問を終わりたいと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 本法案においては、「報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」と規定するとともに、「取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするもの」と規定して、報道機関の通常の取材行為が処罰対象とならないことを明らかにしています。

渡辺(周)委員 非常に不完全ではありますが、また改めて質問いたしますので、本日はこれで終わります。

 ありがとうございました。

中谷(元)委員長代理 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 先ほどの長島議員の質問にありました情報提供のところに関して、その続きをまずやりたいと思います。

 先ほど官房長官は、資料提供をさせることができるかということについて、できる、あるいは、できると信じているというお話でございましたが、法律上は、最終的には義務になっておりません。今提出されているNSCの法案の六条では、会議は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、情報の提供、説明その他必要な協力をするよう求めることができるとありますが、これには二つ問題があります。

 一つは、求めることができると書くのではなくて、ストレートに、各行政機関に対して、提供しなければならないと義務の規定で書けばいいではないですか。

 実際、社会保障国民会議の設置を定めた社会保障制度改革推進法というものの十一条では、国の関係行政機関の長は、「資料の提出、意見の陳述又は説明をしなければならない。」という条文が既に存在します。この前例に従って義務規定を置くべきだと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今回の法案においては、各省庁等の情報提供義務を法定化したわけですね。そういう意味で、私、提供は、できるということを先ほど答弁させていただきました。

 委員も国家公務員経験者でありますけれども、やはり、そうした所管大臣、上司の命令に我が国の公務員は従ってくれる、私はそういう思いの中で先ほど答弁をさせていただきました。

 それで、そういう中で、まず、各省からの情報提供が的確になるように、事後チェックというものも含めて、進めていきたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 これはぜひこれからも議論を続けていきたいと思いますが、もう一点問題があるんですね。

 今の六条二項の主語は、「会議は、」となっております。この会議というのは、各省の大臣、行政機関の長そのものが会議のメンバーなんです。

 例えば、そういうことはないとは思いますが、外務省がどうしても資料を出したくないということがあった場合に、その会議のメンバーのお一人が外務大臣なわけです。外務大臣も資料を出したくないというときに、この「会議」という主語が成立しない。要は、会議として一致した意思で情報を求めることにならない、そういうことになった場合には、この二項は全く機能しません。

 ですから、この「会議は、」という主語を、例えば、議長である総理大臣はとするですとか、資料を出すことを拒んでいらっしゃる各省が拒否権を持つようなことのないような規定ぶりにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 会議は、これは総理が全て中心になるわけでありますので、議長たる総理が取りまとめたことに対して、それぞれの大臣が資料を提供しない、そういうことは起こらないというふうに考えます。

後藤(祐)委員 そういう、想定外のことは起きないというような言い方はもうやめましょう。ぜひ、想定外のことが起きるということを前提に、逃れられない規定を法律で役所に課すのが立法府の役目ですから、そこは、善意を信じるというやり方は、やはりやるべきではないと思います。

 今は結構です、同じ党の三人ですから。例えば、連立政権で、余り望まない連立政権が起きたときですとか、いろいろなことが起き得るわけですよ、実際に。笑い事じゃないんです。自社さ政権のとき、どういう形だったか、よく想像してみていただきたいと思います。

 次に参りたいと思います。

 次に、このNSCの意義そのものは私は否定するものではないんですが、今、例えば外務省、防衛省が、それぞれ総理に、あるいは官房長官に御説明に行くことが多いと思います。そうしますと、総理もスーパーマンではありませんから、両方が違うことを言うわけですね、それは困るからこのNSCを設置して、あるいは国家安全保障局長が一回統合して、判断をして、その情報を総理に上げるというのは望ましい形だと思うんですが、この法律が仮にでき上がって、この局長がきちっと機能するということになった場合には、総理は、俺は直接話は聞かないよ、少なくとも外務省と防衛省にまたがるような話はまずこの局長に話をして、その局長から俺は話を聞くから、総理のところには直接説明に来るなというぐらいの覚悟が必要だと思うんですね。

 きょう本当は総理に聞きたいんですが、おられないので、その覚悟が総理にあるとお思いですか、あるいは官房長官としていかがでしょうか。官房長官に聞きたいと思います。

菅国務大臣 各省庁から国家安全保障に関する情報は国家安全保障局長のもとに集約をされてくるわけでありますから、基本的にはそこの局長から各省庁の情報というのは聞くことになるわけでありますけれども、しかし、それを私、例えば官房長官として外務省からさらに聞きたい、あるいは防衛省から聞きたい、そういうことは私は当然できるんだろうと思います。

後藤(祐)委員 もちろん、それを禁じる必要はないんですが、誰が実質決定権者か、どこに権力があるか、それを役所は見ますから、余りそれをやってしまうと、NSCをつくった意味がどんどんなくなっていくんですね。

 そこの覚悟が今の御答弁ですと余り感じられない気がしましたので、そういう答弁ですと、NSCをつくる意味が本当にあるのだろうかということにどんどんなっていってしまいますので、これからもここについてはしっかりと、総理入りの審議なんかもあるでしょうから、覚悟を問いたいというふうに思います。

 今の話も含めて、なかなか求めた情報すら来ない、あるいは、どういうことが起きているかということは、本当は積極的に外務省なり防衛省なり、場合によっては警察庁、こういったところが、いや、実はこういうことが起きそうですよ、こういうことを今我々は警戒していますということは、言わないでも持ってこなきゃいけないんですけれども、こういった情報提供がきちんとなされているかどうかをチェックすべきだと思うんです。

 例えば、官房長官が、この数カ月ぐらいこんな感じでしたという情報提供状況、あるいは、出せと言ったのに出さなかったのがこんなことがあったというようなことをまとめて、総理、実はこんなことになっているんですよというようなチェックをすべきだと思いますが、いかがでしょうか、官房長官。

菅国務大臣 NSCについては、二週間に一回ほど、外務大臣、防衛大臣、総理とそういう会合を開くことになっていますので、そこでさまざまな情報というのは共有できるようになっているというふうに思っています。

 そしてまた、これとは別に、今言われたのは通常の話だろうというふうに思います。

 私は、官房長官として、みずから必要な情報については、それは当然秘書官を通じて説明を受けますけれども、それ以外でも、私が判断をしなきゃならないという情報は、現在の状況の中では、私はそれぞれの省庁から上がってきているというふうに思っています。

後藤(祐)委員 上がってきているかどうかは、実はわからないんですね。特定秘密が何であるのかわからないのと同じように、各省の中で隠されている情報は官邸といえどもわからないんですよ。ぜひそれを機能させていただきたいというふうに思います。

 この法案の中で国家安全保障担当の総理補佐官を設置することになっておりますが、残念ながら、この総理補佐官はほとんど何の権限もありません。

 例えば、国家安全保障局長に対しての指揮命令権、あるいはその局員に対しての命令権、これもありませんし、いわんや各省に対しての何らの権限もないというふうに理解しますが、まず、これは正しいでしょうかということと、こういった、いわばほとんど部下がいない中で一体どうやってこの総理補佐官は仕事をするんでしょうか。

 総理に対する助言、アドバイスをする権限があるのはわかりますが、それはいわば個人芸で、その方の独自の人脈ですとか、独自の知り合いですとか、そういった人から法律に基づかない形で情報を仕入れて、そういったものに基づいて仕事をせざるを得ないと思うんですが、そういうことを余りやると、結局、ラインが二本になって面倒くさいことが起きる。これはアメリカでも昔起きていたことであります。

 つまり、NSCをきちっとつくるのであれば、余り情報系統を複雑にさせない方がいいと思いますが、この何らの権限を持たない担当の総理補佐官、これは一体どうやって仕事をするのか。そのイメージを、単にこういう助言をしますというのは書いてあるからわかりますから、どうやって情報を仕入れて意味のある仕事をするのか、御答弁いただきたいと思います。

菅国務大臣 国家安全保障担当の総理補佐官は、総理直属のスタッフであり、国家安全保障会議に出席するなどして国家安全保障に関する重要な施策に関し総理に対し助言を行い、その判断を助けるという重要な役割を担うことになっています。

 総理の直属のスタッフの総理補佐官でありますから、その権限は、さらにその役割も、私は小さいとは思っておりません。各省庁も、総理直轄の総理補佐官ですから情報提供がある、私はこう思っています。

後藤(祐)委員 次に、NSCの所掌事務についてですが、今お配りした資料、A3の大きい方の資料ですが、これは、第一次安倍政権のときの旧NSC法案と今回出ている法案が現行法とどういう対応関係になっているか、その所掌事務を比べたものです。

 この三分の二左側のところが、要するに、文民統制の観点から、九大臣会合なんかで義務的にやらなきゃいけない話。それに加えて、今回は機動的に四大臣でできるようにするという趣旨はわかりますが、旧NSC法案のときは、この右側にはみ出た部分、二条の一項の、ここのところ、非常にわかりやすく書いてあるんですが、今回の新NSC法案というのは、これをまぜて書いてしまっているがゆえに非常にわかりにくくなっていて、特に問題なのが、一番上の、今回の法案の二条一項の八号、国防に関する重要事項というものは、これは全てNSCにかけなきゃいけないとなっているんですが、現行法では、一番下の欄、対応するところを見ますと、内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項はかけなきゃいけないんですね。

 つまり、内閣総理大臣が必要と認めないようなものであっても、国防に関する重要事項は全部NSCにかけなきゃいけないというふうになっています。これですと、防衛大臣がみずから判断できる部分というのはほとんどなくなってしまうのではないでしょうか。この差分は何ですか。

 内閣総理大臣が必要と認めるに当たらないような、今回新たにふえる国防に関する重要事項は一体何であって、そして何でそんなことを必要的、義務的にNSCにかけなきゃいけなくしたのか、その趣旨を問いたいと思います。

菅国務大臣 今度の法案は、内閣総理大臣の諮問を前提とすることなく、国家安全保障会議が審議を行う、こういうふうにいたしております。ですから、総理大臣が諮問に当たって一定の判断を行うことを前提とした「内閣総理大臣が必要と認める」との文言を削除することにしたわけであります。

 総理が、四大臣を初めとして、そういう意味で、重要事項にできる、審議を行うことができるような、そうした中で、「必要と認める」という文言を削除したということであります。

後藤(祐)委員 先ほど長島委員からも、形式としては大事だけれども、実質としては本当に意味があるんだろうかというような、文民統制としての会議のあり方がありました。そういったことを改めていくためにも、ぜひ、必要的、義務的なかける事項というのは絞り込むべきだというふうに考えます。

 前半の審議時間が終わりましたので、これで終わります。

中谷(元)委員長代理 次に、中山泰秀君。

中山(泰)委員 自由民主党の中山泰秀でございます。

 本日は、官房長官が記者会見でお留守の間を、与党としてしっかりと緊張感を持った質問をせよという理事の先輩方の御下命を賜って、しっかりとやらせていただきたい。

 きょうは幸い、未来の官房長官の世耕弘成副長官がおいででございますので、未来の官房長官に対して御質問を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、先生方、委員のメンバーの皆様に資料をお配り申し上げておりますが、ごらんをいただきたいと思うんです。この資料でございます。

 これは、ジョージタウン大学で教授をお務めになっておられたレイ・クライン教授がおつくりになられたフォーミュラ、国力量をはかる方程式というものでございます。

 御存じのとおり、レイ・クライン教授といえば、エクスコムと言われる国家安全保障会議執行委員会、英語ですと、エグゼクティブ・コミッティー・オブ・ザ・ナショナル・セキュリティー・カウンシル、略称エクスコムという組織のメンバーでもおありになられました。すなわち、NSCの中でも執行役員をなさっておられた、その会議に出ていたメンバーの一人であります。日本にもおいでになられたこともあって、佐藤総理なんかにもレクチャーをなさったりもしておられました。

 このエクスコムにおられたレイ・クライン博士が、Pp=(C+E+M)×(S+W)という方程式をおつくりになられています。

 Ppというのは、これはパーシーブドパワー、計量認識された国力量ということでございますが、これを出すために、CプラスEプラスM。Cというのはクリティカルマス、これは国家の基本要素であります、人口とか領土。それから、Eというのはエコノミックケーパビリティー、これは経済力です。ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代から、今、ジャパン・アズ・ナンバースリーなのかもわかりませんけれども、アベノミクスで何とか復活させたいと思います。同時に、Mというのはミリタリーケーパビリティー、軍事力であります。

 それを括弧で閉じまして、掛けることのSプラスW。Sというのはストラテジックパーパス、戦略目標です。Wというのはウイル。ウイル・ツー・パーシュー・ナショナル・ストラテジー、国家戦略目標を遂行する国家の意思ということでありますけれども、私は、このウイルというのは、国家の意思と同時に、その国の政治家の意思、それから国民の意思ということも含めているのではないかというふうに、勝手に実は解釈をいたしております。

 今、このNSCというものの日本版をつくる中で、日本が国家戦略目標をしっかりと確立させて、そして、このNSCをその目標に向かって、それに資する組織として当然政府はつくろうというお考えのもとに、今般のこの法案の審議を行っているものと私は理解しますけれども、同時に今、ヨーロッパのEU議会では、メルケルさんに対するいわゆる盗聴の問題等が出ています。

 当然、記者会見でも、官邸の方で、安倍総理の携帯電話は大丈夫かという質問が飛んでおりまして、朝日新聞デジタル、十月二十四日、菅官房長官は二十四日の記者会見で、安倍晋三首相の携帯電話は大丈夫かとの問いに、全く問題ないと強調したと。セキュリティー対策については、これまでもしかるべき情報保全のための対応をとっており、引き続きやっていきたいと言って、メルケルさんとは全く違う対応を日本政府は見せています。

 岸田外務大臣においては、二十五日閣議後の記者会見、これは時事通信、二十五日金曜日十一時六分配信、一般論として、公館に対する情報収集活動は、通信の自由、秘密を保障する外交関係に関するウィーン条約の観点から問題だと、一般論としての法的な認識をお述べになられました。

 日本の政府の対応というのは、私は毅然としていていいなと思うんです。

 といいますのも、逆にドイツでは今何が起きているかというと、読売新聞、十月二十六日十三時九分、ドイツ首相の携帯、機密機能に問題があるんじゃないかということを、ドイツのウェルトという新聞が、盗聴が疑われるのは首相が二〇〇九年十月からことし七月まで使用していた携帯電話だと。首相が党首を務めるキリスト教民主同盟、CDU支給の端末と見られ、機密保持機能が不十分と指摘をされていると。

 要するに、まるでアメリカのNSAによる諜報活動が悪だという世論が世界的に巻き起こっている中で、逆に日本というのは日米同盟を押さえた御答弁を、政府としてなさっておられるんじゃないか。

 どっちかというと、我々政治家も含めて、一般人とはまた違う枠組みに、インテリジェンスコミュニティーでは、あると思うんです。当然、会話は盗聴されていることが前提で、気をつけてお話をしていても、政治家としての資質とか自分たちの頭の中のセキュリティーの意識としては当然だと思うんです。それをあえて、なぜ盗聴していたのかということを議題としてEUの会議で提唱すること自体が、逆に情報のセキュリティーの甘さを露呈しているという、もろ刃の剣にもなったのではないかなというふうに思います。

 ここで、今、同時期にNSCとNSAとの問題が重なってくるということを一般の国民としては見ている。プラス、この後審議されるであろう秘密保全法、こういったものを全部ミックスアップして、分けてわかりやすく考えられていない、理解をされにくい部分が、実は混同していて、あるんじゃないかと思うんです。

 その中で、世耕将来の官房長官にお伺いしたいんですが、我が国のNSCと米国のNSAの違いについて、インターネットでこの審議中継をごらんになられている一般の国民の方にも理解されやすい状況を、将来想定も含めてわかりやすく御説明を、まずはいただきたいと思います。お願いします。

世耕内閣官房副長官 未来の長官と言っていただきましたが、菅長官のお仕事ぶりを見るにつけ、とても私にはできないなというふうに思っている次第でございます。

 今、御質問をいただきました、法案で御審議をいただいている国家安全保障会議、NSCと、アメリカのNSAの違いでありますけれども、日本の法律に出ております国家安全保障会議設置の目的は、総理を中心とする関係閣僚が平素から戦略的観点を持って審議を行って、そして政治が強力なリーダーシップを発揮して、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に策定して進めていくための環境整備、これが目的であります。

 そしてさらに、国家安全保障会議の事務局という形で内閣官房に設置をされる国家安全保障局は、この国家安全保障会議の事務を行うほか、国家安全保障政策の企画立案、総合調整を行う機関であります。

 それに対して、アメリカのNSAは、国防総省のもとにある組織でありまして、特にインテリジェンスの収集等を行うことを大きな機能としております。

 そういう意味で、日本の今議論になっております国家安全保障会議あるいは国家安全保障局は、アメリカのNSAのようにインテリジェンスの収集等を行う情報機関ではないという意味で、明確に違いがあるというふうに思っております。

中山(泰)委員 世耕長官の御説明ですっきりした部分、多いと思うんです。

 といいますのが、最近の国会の議論というのを聞いていると、非常に専門性が高い、知識のレベルも含めてレベルの高い方々が議会に参画をしている。ですけれども、うちのおやじが昔、昭和四十四年、初当選したころは、泰秀、字の読めぬ国会議員が三人いたぞと。隣に、君、これは何と読むんだと言って、こうですと言ったら、そうかと言って、答弁や演壇に立つと本当に立派な意見をお持ちの方が多かったと。

 やはり、大衆のための議会、国民のための議会である衆議院というのは、しっかりと議論をわかりやすく国民に説明をして理解を得るということ、納得がいかなければ納税だって、逆に異議申し立てをしたくなる国民だっているわけですから、入り口と出口という部分は大切にしていきたいなと思います。

 ここで、NSAの御説明も加えて先ほど世耕未来の長官にもしていただいたんですが、米国は、ECHELONとか、PRISMというソフトウエア、こういったものを使って諜報活動を行っている。これはもう一般にもそういう形で知られているわけです。諜報活動に関するビッグデータというものを米国では保有しているわけですね。

 世耕長官はNTTにもお勤めであられましたので、ビッグデータに関する御意見ですとか知識というのは豊富であろうかと勝手に推察をいたしておりますけれども、EUなんかでも、わかりやすいのは、インテルのホームページでビッグデータと検索していただくと、アニメーションで非常にわかりやすいコンテンツが出されていますけれども、ビッグデータというものが、ビジネスのフィールドにおいても、マーケティングで大体二割ぐらいプラスの利益を出すだろうと言われているんです。

 これは、ビジネスマーケティングのみならず、政府、国家間とのいわゆるビッグデータの処理、情報を集めるということは確かにNSAも含めてできますけれども、この集めた情報をいかにスピーディーに処理していくかということの方が、これからはこの処理能力の競い合いということがそれぞれの国力というものの強さをはかる一つの指標になるんじゃないかというふうに思うんです。

 その中で、日米同盟というものを基軸にして、アメリカとの関係をしっかりと我々日本が、冷戦構造下でいう西側諸国として、そしてまた旧ソビエト連邦、今のロシア、平和条約はありませんよ。それから、朝鮮半島の北朝鮮、拉致、核、ミサイルという、我が国とは非常に大きな問題を抱えている。そして、韓国ですとか台湾海峡、中国、共産党を含めた中華人民共和国。こういった北東アジアのリスクというものを考えると、日米のこういった情報のセキュリティーのアライアンスというものを強化するべきだと思うんです。

 ですけれども、日本でNSA機能を持たせるということは、これはなかなか今、議論としては、していく準備はするべきものであるかもしれませんけれども、まだ時期が早いという見方もあるかもしれません。

 党内でも、今、左藤国防部会長おいでですが、私が前国防部会長のときに、ちょうど町村会長が、PT、いわゆるインテリジェンス・秘密保全等プロジェクトチームというプロジェクトチームで、中谷先生も含めて議論に参画しておったんですけれども、そのときに町村会長がおっしゃった言葉、私は忘れられないんです。今回のこの法案、秘密保全法案を含めて、インテリジェンス、後半の秘密保全等を我々はPTで議論するんだと。前半の部分はこれが終わったらしっかりと同時に続けて議論をしていくから、このプロジェクトチームはこの法案が仮に通ったとしても存続をさせる意義があるとおっしゃったことを私は明確に覚えています。

 そこで、日米の関係でしっかりと我々ができるところというのはどこにあるかと私なりに考えたんですけれども、例えば、日本版NSAというもののイメージとして、米国の集めたビッグデータを処理するという業務を我々が逆にアメリカに一度申し出てみてはどうかということ。特に、スーパーコンピューターの「京」というものが私どもはあります。「京」は、逆に民間にもいろいろな技術研究のためにその容量のスペースを提供するわけですから、ぜひ、この世界に冠たるスーパーコンピューターの「京」を活用したビッグデータの処理というものを提案するというのはいかがでしょうか。どうお考えでしょうか。

世耕内閣官房副長官 なかなか難しい御質問でありますけれども、アメリカ自身がまさに情報活動として集めたビッグデータ、これを日本が預かって処理できるかという問題だろうというふうに思います。これは、ちょっと現時点で私の立場でお答えするのはなかなか難しいと思います。

 ただ、委員おっしゃるように、ビッグデータを含めたデジタルデータというのがやはり国民の生命財産を守る上で非常に重要な情報になってくるというのは、これは事実だというふうに思います。そういう意味で、政府全体のこういった面での情報収集とか分析能力の向上を図っていかなければいけませんし、内閣の機能も強化をしていかなきゃいけない。

 そんな中で、日本自身の能力を向上させるということに加えて、やはり、一国では限界がありますし、インターネットというのは国境がない世界でありますから、そういった意味で、他国との、アメリカを含め、特に同盟国アメリカとの連携強化ということも極めて重要だというふうに思っています。

 ただし、その前提条件として、情報収集活動については、法律、法令をしっかりと遵守して適正に行うということが前提となっているというふうに思っております。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 積極的に日米のアライアンスというもの、同盟関係を深めるために、このNSCも含めて、秘密保全法も議論するんですから。日本が情報を得るとしたら、ロシアから得るということは可能性として低いわけですよね。アメリカのCIAとかそういったところから得る情報をしっかり審議するための日本版のフリーダム・オブ・インフォメーション・アクト、FOIAもつくるのであれば、こういったアライアンスというのをどんどん日本側から投げかけていって、我々自身が、自分たちのセキュリティー能力の向上が図られているのかをアメリカの胸をかりてテストしてみるというのが、私は一つある、あってしかるべき姿だと思いますので、積極果敢な提案を安倍内閣でぜひ行っていただきたいというふうに思います。

 それから、予定をしていた順番をちょっとたがえるかもしれませんけれども、今、地球上を大きく色を変えてしまったということが起きたなと私は思っています。それは何かといったら、スノーデンの事案であります。

 要するに、CIAの元職員、もっと言えば、彼は、CIAにリクルーティングされる前は、アメリカの、さっきネービーシールズの話もありましたが、特殊部隊、グリーンベレー、デルタフォース、そういった頂点にある有能な兵士のうちの一人であったわけです。中東に派遣されるときに交通事故で両足を骨折して、本人は泣く泣く自分の派遣を断念して、涙した。その姿を見ていた情報局の職員が彼をリクルーティングして、そして、年収千五百万ぐらいでハワイに住まわせて、情報活動をやっていた。

 しかも、セキュリティークリアランスを見ますと、アメリカのクリアランスはどうなっているかといいますと、アメリカは一般に、米国政府が管理する秘密情報に、大別して、コンフィデンシャル、シークレット、トップシークレット、それからトップシークレット・スペシャルコンパートメンティッド・インフォメーションという四つのセキュリティークリアランスの段階が実はあるわけであります。スノーデンも、当然、その中で一番高い情報を自分が得られる立場にあって、後に、ラップトップコンピューター四台分の情報を持って、香港経由でロシアに亡命をしているわけであります。

 このスノーデンという者の事案が起きてからは、恐らく、昔のスパイ事件、いろいろなスパイ事件が冷戦時代にありましたけれども、冷戦が終わったと言われていますけれども、冷戦はバブル期に深く潜っていたかもしれませんけれども、逆にこれで明確に、冷戦状態は継続されている、二十一世紀の、ちょっと形を変えているけれども、新たな冷戦構造であるという緊張感を持って、私たちの国は、このスノーデンのイシューというものをしっかりと見ていかなきゃいけないと思います。

 この事件が我が国の外交に与える影響というのを、当の日本の外交をつかさどる外務省はどのようにごらんになられているでしょうか。

    〔中谷(元)委員長代理退席、委員長着席〕

秋葉政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員の御質問にございました、NSAによる通信記録の情報収集の問題につきましては、これまでのところ、日米間でしかるべく意思疎通を行ってきております。ただ、事柄の性格上、その詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたい。

 影響についてでございますが、これはまさに、この問題が我が国外交に影響を及ぼすことがないよう全力を尽くすということに尽きると思います。

 今後とも、情報保全等の面につきまして万全を期していきたいと考えております。

中山(泰)委員 ありがとうございます。外務省として、しっかりとした答弁、そしてまた同時に結果を、これからも出してもらいたいと思うんです。

 なぜ私が心配をして、あえてここでスノーデンの問題を指摘しているかというと、過去に、一九七〇年代から八〇年代に、恐らく委員長なんかは御記憶が深くおありだと思いますけれども、レフチェンコ事件というのがありました。レフチェンコというのは、モスクワ大学の東洋学研究所を卒業して、漁業研究所を経てKGBに入って、日本語を習得して、七五年二月にKGBの東京代表部に赴任しています。

 このスパイの、彼の役目というのは、日本の政治家とか官僚、財界、こういった方々と接触をして、日本の世論や政策が親ソ的なものになるようにしむけた。また同時に、最終的には日米関係を損なわせることも目的にしていたということです。

 このスパイ側、KGB側から見たエージェント、いわゆる協力者のことですけれども、これにも実は、まるでクリアランスのような段階が設定されているわけであります。

 一つは、リアルエージェント、完全にKGBのコントロール下にある人物。二つ目、トラスティッドコンタクト、信頼すべき人物。政界、財界、学界、マスコミに影響力を持ち、KGBに協力していることを承知で各種情報をソビエト側に提供したり、国内に逆情報を流す人物。三、フレンドリーコンタクト、友好的人物。現段階では本格的な協力者ではないが、ジャーナリストやビジネスマンを装うKGB将校と友人関係にある人物。四、ディベロッピングコンタクト、脈のある人物。KGBが何回か接触した結果、有望と判断した人物という、四つの実はクリアランスが、彼ら側から見て、あったんですよね、外務省。

 それをあえてここで言うというのはなぜかというと、外務省には見覚えがあるはずだと思うんです。外務省の職員や内閣調査室関係者などが、実はこのレフチェンコがアメリカの議会で後にどんな諜報活動を行っていたかという説明をしたときに、有名なのは、我々政界では、フーバーというコードネーム、実名をレフチェンコが挙げた中に、石田博英元労働大臣もいましたし、社会党の勝間田という元委員長はギャバーというコードネーム、それからグレースという名前の伊藤茂とか、いろいろな、メディアも含めて九人の人を実は名前を言ったということがありました。外務省にも当然いたわけでありますけれども。

 私が心配しているのは、今現在、NSCの法案を審議していますけれども、この国家安全保障局の職員としてスパイが潜り込むということも実は考えられるんじゃないか。どのようにして我が国のセキュリティークリアランス、組織のクリアランスを行うのかということ、それと同時に、NSC法の施行段階で既にスパイが潜り込んでいた場合はどのように対応するということをお考えなのか、これをぜひ教えていただきたいと思うんです。

世耕内閣官房副長官 今御指摘の国家安全保障局に勤務する職員にそういう者が潜り込むということは、これはもう厳にあってはならないというふうに思っております。

 ですから、国家安全保障局に勤務する職員のうち、特別に秘匿すべき情報を取り扱う者については、カウンターインテリジェンスの観点から、適格性の確認をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。

 また、国家安全保障局においては、国家安全保障会議や国家安全保障局の資料の管理とか保全、こういったことに関しても厳格なルールづくりを行っていきたいと思いますし、また、これは物理的な保全措置、簡単に言えば、金庫にしまうということから始まって、コピーができない紙を使うとか、いろいろな物理的保全措置もしっかりと、これは情報を扱う組織としては当然備えていなければならない機能だというふうに思っておりまして、こういったことを通じて、情報保全に万全を期してまいりたいと思います。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、このセキュリティークリアランスの問題は、今回のNSCと、あと秘密保全を取り扱う者というものと、両方かかっていく問題でありますので、セキュリティークリアランスというのが逆にこの法案の肝でもあります、実行のときの。ぜひしっかりと精査をしていっていただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、四大臣会議というのが行われるわけですけれども、私は四大臣プラスワンというものを逆に一つの形にしておくべきではないかと思うんです。

 といいますのも、情報通信を所管する総務省、総務大臣が実はこの四大臣の中に示されていないということに、私自身はちょっと疑問を持っています。

 日本のNSAといえば、過去、旧日本軍の時代、今ロシア大使館が所在しています飯倉片町、我々の飯倉公館という外務省の公館もございますけれども、あの並びに郵便局が今ございますよね、立派な古い建物。あそこが旧逓信省であって、あそこが日本のNSAの本部だったわけであります。あの場所で活動していた諜報活動、今でもそうですけれども、当時もやはり通信といえば電話を使う、ラインを使う。そして、今現在でも、インターネットですとか、そういったソフトをやりとりするのに通信手段というものを使うということが考えられます。

 その情報通信もしくは電波監理という行政をつかさどっているのは、昔の逓信大臣、郵政大臣、今の総務大臣ということになりますけれども、官房長官も総務大臣経験者でありますから、逆に、この四大臣プラスワンというところに総務省という存在を、特に旧郵政省の電波監理行政、こういった部分をしっかりと追加するべきだと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

世耕内閣官房副長官 戦後、逓信省が分かれて郵政省と電電公社になって、郵政省が総務省ということであります。

 戦前にどういう活動を逓信省がしていたかというのは、ちょっと私、はっきりわからないわけでありますが、今、総務大臣は、電気通信の行政ですとか、あるいは事業者の監督といった仕事でありまして、インテリジェンスを直接総務大臣が業務として扱っているとはちょっと考えられないというふうに思っています。

 今回、あくまでも四大臣会合の構成員というのは、機動的に国家安全保障に関して審議をしていく、そういう意味で非常に人数を絞らせていただきまして、外交防衛政策に特に関係の、少ない大臣に限定をしたという形であります。ですから、総理のほか外務大臣、防衛大臣、官房長官という構成になっております。

 ただ、やはり状況に応じて、必要があると、例えば情報通信が非常に混乱するような緊急の事態でまさに国家の存立にかかわるというようなときがあったときは、それは当然、情報通信政策の責任者として総務大臣が出席をしてやる、あるいは緊急大臣会合というのが、もともとそういう事態を想定して総務大臣をメンバーにするということも今後の運用の中ではあり得るというふうに考えております。

 ということで、今の段階で四大臣会合に最初から、総務大臣の事務に深い関連を有する事項を審議するという場合には総務大臣を出席させる場合はあり得るというレベルでお答えをさせていただきたいと思います。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 では、防衛省に聞きますけれども、サイバーのテロとかサイバーアタックというのは、これは武力攻撃に当たるんでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問の武力攻撃、これは自衛権の行使の要件としての武力攻撃ということで理解をしておりますけれども、何らかの事態が武力攻撃に当たるか否かということは、その攻撃の態様のみならず、そのときの国際情勢でありますとか相手国の意図、あるいはその手段、態様全体を総合的に判断すべきものであるという前提ではございますが、サイバー攻撃と言われるものそのものがどういうふうに武力攻撃という概念との関係で整理されるかということにつきましては、主として二つの点で考える必要があると思っております。

 まず第一に、その主体、誰がやるのかということでございます。純然たる個人であるということであれば、自衛権の行使の要件との関係でいうと、武力攻撃というふうに認定するということはなかなか難しいのではないかと思います。ただ、実際に誰がやっているのかということがそもそもなかなか判断することが難しい、そういうことはございますが、法的な考え方としては以上でございます。

 それから、攻撃の態様といたしましても、さまざまなものがありますので一概に言うことはできないと思いますし、それから国際社会においても議論をされておるところでございます。物の破壊でありますとか人の殺傷ということに直接結びつくようなものであれば武力攻撃に当たり得るという整理はよくなされることがございますが、その点も含めまして、防衛省としても研究中でございます。

中山(泰)委員 私は、個人の政治家として、サイバー攻撃というのは攻撃だというふうに思います。やはりこれは早急に対応というのを考えていかないと、例えばさっきも渡辺委員がUAVの話をなさっていました。

 UAVに関して言えば、この間、沖縄の近所をぴゅうっと飛びましたね。だけれども、あれはミサイルを積んでいない、人が運転していない、操縦していない、だからふだんのスクランブルと一緒と。私が総理なら撃ち落としましたよ。なぜか。あの状態で神風アタックが来たらどうするんですか。武器を積んでいなくても、機体自体が武器になる可能性だってあるわけですよね。

 そういったものを考えると、やはりしっかりとこういったものに対応していくということを、ちょっと過激に聞こえるかもしれませんけれども、しかし、しっかりと、ちゃんと政治家が想像力をたくましくして全ての幅で考えていくということも私は必要だと思いますし、政治家の世界で、この議場で理解がし合える法律論があっても、国民の感情も含めて、やはり、こういった問題をちゃんと平場で、こういったところで議論して、国民の皆様に、それができないならできないということを明示していくというのも同時に大事なんじゃないかなと私は思いますけれども、今の部分に関して、何か御意見はありますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘でございますけれども、一般的には、無人機が実際に我が国の領空を侵犯する場合には、有人機に対する場合と同様に、自衛隊法第八十四条に基づきまして、自衛隊の部隊の対応が必要な措置を実施するということで、現在の政府は考えております。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くといった観点から、国際法、自衛隊法に従いまして、今後とも、無人機を含め、対領空侵犯措置について厳正に対応していくという考えでございます。

 なお、無人機による攻撃など、我が国の領土、領海、領空への侵害行為、これが我が国に対する外部からの武力攻撃に該当すると判断され、我が国を防衛する必要があると認められる場合には、自衛隊法七十六条の防衛出動により、自衛権を行使して対処することもあり得ると考えております。

 以上でございます。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 さっきの、このSプラスWの国家戦略目標というのがゼロだと、掛け算の場合、イコールの左はゼロになりますので、しっかりと、国家戦略を立てた、国力を上げていただく作業を安倍内閣に期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 まず最初に、非常に初歩的というか根本的な質問をさせていただきますが、この国家安全保障会議の設置の必要性についてでございます。

 この法案の名前からもわかるように、今も安全保障会議というのはあるわけでありまして、今回、それを改編し、機能を強化する、新たな国家安全保障会議を設置するという内容となっております。

 そうなりますと、今の安保会議、ここにどういう課題、一番大きな課題がどこにあるのか、そしてまた、今回、新たな国家安全保障会議ということになったときに、その点がどういうふうに改善をされるのか。これをわかりやすく、ひとつ御説明をいただければというふうに思います。

世耕内閣官房副長官 今ある安全保障会議というのは、九人の大臣が集まって審議を行うという形になっています。特に一番大きな目的は、シビリアンコントロールの機能をしっかりここで担保していくという機能でありました。

 今回は、我々、国家安全保障会議では、さらにそれを四大臣会合を中心に絞り込んでいくということによって、ふだんから戦略的視点を持って国家安全保障にかかわる議論を行った上で、政治が強力なリーダーシップを持っていく、そしてまた、機動的、戦略的にいろいろな議論を進めていくということを実現したいという思いで、今回、この国家安全保障会議というのを法案として提案させていただいております。

上田委員 私も財務副大臣を務めたときに、大臣の代理として安保会議に出席をさせていただきました。今まさにお話があったとおり、それだけの大臣をまず集めること自体が大変な苦労でありますし、非常に大人数で、では議論をするといっても、なかなか具体的な議論は深まらないというような実感をしてきたところであります。

 その意味で、今回、その四大臣会合をより頻繁に開催することによって議論が深まっていく、そして、物事を最終決定するというのは九大臣の会合に委ねられているわけでありますけれども、その過程でいろいろ議論が深まっていくのではないかということを非常に期待しているところであります。

 次に、この国家安全保障会議を検討するに当たりまして、ことしの二月から有識者会議が発足をいたしまして、この有識者会議において国家安全保障会議のあり方について検討を行い、五月には法案の概要を有識者会議としても提示するとともに、そのときに、これからの運営に関する指摘ということも発表されました。国家安全保障会議の機能一般に関するもの、危機管理に関するもの、それから情報に関する事項、また事務局組織、こうした四分野で、実に二十五項目にわたって意見が示されております。

 この会議の制度設計についても検討いただいた有識者会議から、会議はできたけれども、これからそれを機能させていくためにはこういったことが重要だということでありまして、重要そして有益な指摘も多いというふうに承知をしております。

 こうした指摘事項というのは法案の中にはどういうふうに反映されたのか、また、これからの運用に関するものが多いわけでありますけれども、運用に当たってはこれをどういうふうに考慮していくのか、また対応していくのか、御意見を伺いたいというふうに思います。

世耕内閣官房副長官 有識者会議の皆さんには非常に貴重な御指摘をいただいたというふうに思っておりまして、法案の中には、この二十五項目のうち、法案に盛り込むべきことはほぼ全て我々としては盛り込んでいるというふうに思っております。

 例えば、各省庁の幹部を国家安全保障会議の下の幹事という形で任命をした方がいいという提言は、そのまま法律に入れさせていただいております。あるいは、国家安全保障局長と内閣危機管理監を平素から緊密に連携させるために、安全保障・危機管理担当の内閣官房副長官補を局の次長にそれぞれ充てるということもさせていただく、こういったことは法案に盛り込ませていただいています。

 また、法案には盛り込むようなことではないんだけれども今後の運用上でというようなことも、我々、この提言をしっかり守っていきたいというふうに思っておりまして、例えば、NSCの国家安全保障局には、この提言では、民間あるいは自衛官も入れるべきだという提言をいただいております。これは、今後運用していくに当たって、それに沿った人事もやってまいりたいというふうに思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 それで、今申し上げた有識者会議の指摘の中で、非常に重要なものがたくさんあるように思うんですけれども、その中でも特に私がお尋ねしたい点をお聞きしたいというふうに思います。

 それは、この指摘の中において、国家安全保障と危機管理、これは概念上は異なると。当然異なることなんですけれども、重複するものもある、これも当然のことだというふうに思います。そうなりますと、国家安全保障会議とその事務局があるわけでありますけれども、それと、内閣危機管理監、これが危機管理を担当する事務のトップでありますけれども、この危機管理監とその統率をしているチーム、危機管理のチーム、この連携を密にしていくということが非常に重要だというふうに思いますけれども、また、そういう意見がこの指摘の中に述べられているんですが、これについてどういうふうに対応されるんでしょうか。

世耕内閣官房副長官 今、上田委員御指摘のところは、今後の運用に当たって非常に重要だというふうに思っております。特に、国家安全保障と危機管理は、これはもう密接不可分な部分があるというふうに思っておりまして、これから、運用上、平素から国家安全保障局長と内閣危機管理監の本人同士の間も当然ですし、その下にある関係部局の間でも緊密に連携をさせていきたいというふうに思っています。

 具体的には、まず、先ほど申し上げましたように、安保・危機管理担当の内閣官房副長官補を国家安全保障局次長に充てることによって、この国家安全保障局と危機管理監の間の連携をまずしっかりと確保していくということであります。

 また、例えば、今後、緊急事態が発生した際、いろいろなことが今も起こって危機管理監を中心に事態対処をしているわけですけれども、そういったときの緊急参集チームに国家安全保障局長をしっかり入れておいて、内閣危機管理監とどんなことがあったときでも即座に緊密に協力をして、そして、国家安全保障局の職員も危機管理担当部局の職員とともに対応する、そういう体制をしっかりと実現して、運用していきたいというふうに思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 危機管理、さまざまな危機というのが想定をされるわけでありまして、それと当然、安全保障というのは密接に関係がある、現状でもそうだというふうに考えております。

 そこで、今回、国家安全保障会議の事務局が設置をされた場合でも、危機管理の方の人員とか機能が低下をしないような配慮はぜひお願いしたいというふうに考えております。

 いずれも重要であり、そして連携が必要な機能だというふうに考えておりますので、ぜひ、相互が力をお互いに発揮して、さらにそれが強められるような運営をお願いしたいというふうに考えております。

 もう一つ、この有識者会議の指摘の中において、情報の問題ですね。情報を集める、情報を収集し分析する情報機関と、それから、国家安全保障会議というのは政策を議論する場というのが基本でありますので、これは目的も機能も別であるというふうになっておりますが、そうした上で、情報を収集する情報機関そのものを強化していくことも別途検討する必要があると、この有識者会議の指摘は出されているんですが、これについてどういうふうにお考えでしょうか。

世耕内閣官房副長官 これは有識者会議の御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、国家安全保障会議で極めて中身のある実質的な議論を行うためにも、あるいは、国家安全保障局において、国家安全保障政策の企画立案、総合調整、これを高いレベルで行うためには、やはり質の高い情報というのが絶対に必要不可欠だというふうに思っております。

 ですから、国家安全保障会議及び国家安全保障局に関係省庁から有益な情報がしっかりと提供されるためには、政府全体の情報収集そして分析能力の向上を図るとともに、内閣の情報集約、分析機能も強化をしていくことが必要不可欠でありまして、このような点、有識者会議の御指摘に従って、充実強化にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

上田委員 非常に重要な点であると思いますので、どうかよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして最後に、当面、安全保障といったときに、国民が一番危機感を持っているというか、一番ぴんとくるのが、いわゆる尖閣諸島周辺において我が国の領海に対する侵入事件が相次いでいるということだろうというふうに思います。

 これは、果たして安全保障に直接的にかかわることなのかどうかというのはいろいろ議論があるところでありますけれども、こうした案件について、こういう事態をどうやって防いでいくのか、あるいは、それに対して、起きた場合にどういうふうに対処していくのかというのは、あらかじめ、当然、国家安全保障会議の方で検討、議論をしていくべき課題なんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、こういった事案についても、これから、実際の対処というのはまた違うんだろうというふうに思いますけれども、あらかじめいろいろな論議をしていく対象となるのかどうか。

 それから、現状においては、この事案については海上保安庁が現場では対応しております。海上保安庁との連携、またこれからこういう事案がさらに続くことが想定されるわけでありますので、国家安全保障会議とそれから海上保安庁、その連携についてはどのようにお考えなのか、御見解を伺いたいと思います。

世耕内閣官房副長官 まず、歴史的にも、国際法上も、疑いなく我が国固有の領土である尖閣諸島、この周辺海域において、中国公船による領海侵入が執拗に繰り返されている、この現状が今もあるわけであります。当然、今も、こういった事態に、現在も、きょうも対処していかなければいけないわけでありまして、現在のところは、海上保安庁、防衛省を初めとする関係省庁が緊密に連携をして、状況に応じて警備体制を強化して対応して、万全を今も期しているところであります。

 これらの緊急事態に際しての具体的事態対処については、国家安全保障会議の設置後も、これまで同様、内閣危機管理監を中心とする危機管理担当部局が担うことになるだろうというふうに思います。

 ただし、これらの事案に関して、国家安全保障上の高度な政治判断を必要とされる場合もこれから出てくるかもわからない。そういった場合に、どういうケースがあって、どういう判断をすべきかというのを、まさに常日ごろから国家安全保障会議でしっかり議論をしておいてもらう。そして、平素から、国家安全保障局長と内閣危機管理監が、こういったときにどういう対応をするのかということを、きっちり緊密に連携をして、準備をしておいてもらうということが重要だというふうに思っております。

上田委員 もう時間ですのでこれで終わりますが、今もあったとおり、当面国民が一番懸念を持っていること、これは今、危機管理監の方で主として対応するということでありますので、引き続き、そういう意味では、この国家安全保障会議も、もちろんそれは、事前に、どういう対応をしていくのかということをしっかりと協議するとともに、先ほど申し上げたとおり、ここの危機管理チームとも密接な連携をして、対応がしっかりできるように、機能するようにお願いしたいというふうに思っております。

 以上で質問を終わらせていただきます。

額賀委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 先ほどの続きをちょっと二つほどやりたいんですが、先ほど挙げましたA3の資料で、新NSC法案の第二条一項八号、国防に関する重要事項というのは全てNSCにかけなきゃいけなくなるということになりますが、これについて、防衛大臣に伺いたいと思います。

 国防に関する重要事項は、防衛大臣単独では決められなくなります。これは私は大変問題だと思っていて、現行法は「内閣総理大臣が必要と認める」という限定がついているので、NSCが、これはちゃんと会議でやりますよと言われたものだけやればいいんですが、その限定が全くかかっていないので、一体防衛省ではどうやって仕事をするんでしょうか。一々、これは重要事項に当たらないよねという判断をしてやるんでしょうか。そもそも、防衛大臣は重要事項を扱えないということ自体がおかしいと思いますが、防衛大臣の御見解を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 御指摘の第二条第一項第八号の国防に関する重要事項に基づく具体的な審議事項については、従来どおり、内閣総理大臣が個別具体的な案件の重要性を評価して判断するということでありますので、国家安全保障会議の審議対象が特に重要性のない事項まで拡大するということにはならないと理解しておりますので、私どもとしては何の不都合もないと思っております。

後藤(祐)委員 現行の規定ではそういうふうに規定しているから問題ないんですが、そういう修飾語は書いていないので、国防に関する重要事項に当たるかどうかの解釈権限は防衛大臣にないんです。NSC側、官邸側にあるわけです。今言ったような、勝手に防衛大臣が決められないと思いますよ。

 これからいろいろな事態が起きてきて、これがNSCにかける案件かどうかがわからないような事態が発生すると思うんです。もし今言ったような答弁なのであれば、今の条文のままにしておいた方がわかりやすいじゃないですか。ここを変える理由がわからない。もう一度御答弁いただけますか。

小野寺国務大臣 さまざまな安全保障の重要な問題というのは、これは、総理が方針を決め、そして防衛大臣が総理の御指示のもと動くということでありますので、今回、ここにありますように、国防に関する重要事項に基づく具体的な審議事項というのは、従来どおり、内閣総理大臣が個別具体的な案件の重要性を評価して判断するということでありますので、国家安全保障会議の審議対象が特に重要性のない事項まで拡大をされて、私ども防衛省が通常やっているさまざまな活動についてそごが来されるということはないと承知をしております。

後藤(祐)委員 そうであれば、今の条文の方がいいわけです。

 もう一つ確認したいと思います。

 先ほど、総理補佐官の権限がない、そのような中で、新しくつくられる担当の総理補佐官が一体どうやって仕事をするのかというお話をさせていただきましたが、きちっと権限を持ってサポートするということであれば、むしろ官房副長官をふやした方がわかりやすいのではないでしょうか。官房副長官は、ラインのありとあらゆることについて指揮命令権があると思います。これは、他省庁に対しても、事実上も含めて、いろいろなことができると思いますし、国家安全保障局に対しても、当然、指揮命令権があります。

 どうせ、一人ふやすということで、総理なりを補佐するのであれば、総理補佐官を置くよりも、官房副長官をふやした方が仕事ができると思いますが、これについての御見解をいただきたいと思います。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、総理大臣補佐官は、まさに、総理の安全保障に関してのさまざまな命に従って、国家安全保障局長と緊密に連携をしながら、そうした実態というものを総理に届けられるという、私は極めて大事な役割になるだろうというふうに思います。ですから、官房副長官ということでありましたけれども、現在の総理補佐官という立場で私は大丈夫だというふうに考えます。

後藤(祐)委員 官房長官もお忙しいと思うんです、今も記者会見に行かれて。官房副長官もお忙しいと思うんです。余りに忙しくさせて自分で考える時間を与えないというのが役所の作戦なんです、私も役所にいたからわかりますけれども。

 そして、そういうお忙しい人が本当に大事な人なんですよ。一方で、余り情報が入らない人は、逆に、どうやって仕事をしようかと悩んでおられる。これは、政治主導、あるいは官邸主導、総理主導の国家をつくっていく上で大変問題だと思うんです。

 官房長官なり官房副長官なりのお忙しさを少しでも緩和するためには、ここは、ふやすんだったら副長官をふやした方が非常に機能するんじゃないかなということを御意見として申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、きょうはせっかく外務大臣、防衛大臣もいらっしゃいますので、秘密保護、情報公開、このあたりに係る話に進んでいきたいと思います。

 まず、きのう、TPPの交渉内容について、特定秘密に該当するのかというやりとりが、森大臣と官房長官の間で、いろいろな発言がございました。最初、森大臣は、この特定秘密の別表の定義には含まれないとおっしゃったんですが、記者から問われ、有識者の検討の結果だから、今、私が入るか入らないか判断できないと答弁を変えました。その後なんでしょうか、官房長官は、きのうの記者会見だと思いますが、TPPの交渉内容は特定秘密の対象に入らないと御発言をされました。

 さて、TPPでは何が審議されているか、必ずしもつまびらかになっておりませんが、少なくともこういう分野の議論をしているということはわかっております。

 これは、ちょっと前ですが、二十三年のTPP協定交渉の分野別状況、これは内閣官房のホームページにも示されているデータですが、この中に、例えば、政府調達の部分というのがあって、政府調達の中には、例外規定として、「協定上の義務の一般的例外、安全保障例外を定める。」という記述がございます。

 要は、安全保障の観点から、政府調達について、海外の方が入ってきてはいけないという例外を定めるという部分がこの文書の中にあるんですが、これは、特定秘密法の別表の「イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」に該当しないということでよろしいんでしょうか。

 TPPの中で、安全保障例外というのはよくあるんですね、これは通商交渉の中ではよくあるんですが、これについての情報は、アプリオリに全て除かれるという理解でよろしいんでしょうか、官房長官。

岡田副大臣 お答えをいたします。

 TPPに関する情報は、特定秘密の保護に関する法律案の別表のいずれにも該当しておりませんので、特定秘密には該当しないと思います。

後藤(祐)委員 官房長官がきのう言ったことに対する答弁なので、官房長官にお聞きしたいんですが、政府調達に限らず、安全保障例外というのは結構議論があるんですよ。本当にそんな、やって、除いちゃっていいんですか。

 もう一つあります。例えば、輸出の禁止に関しての規定というのがあって、先ほどの分野別の話の中でいうと、今までも、日本とインドネシアや日本とブルネイのEPAという中では、エネルギー・鉱物資源の輸出規制導入をする場合には事前通報を規定しているというような記述がございます。このように、EPAを結ぶ場合、TPPの中でも議論になっている可能性もあると思いますが、特にエネルギー・鉱物資源なんかは非常に深刻だと思います。

 これは国家の安全保障に直結する話でございますが、こういったものの輸出規制についても全く特定秘密に入らないという理解で、今の答弁だとそういうことだと思います。

 だとすると、これは官房長官に伺いますが、TPPにかかわらず、今後の通商協定、EPA、各国と結んでいます、あるいはWTO、こういった議論において、今のように安全保障にかかわるものというのはあるんですが、これは全て特定秘密に該当しないということでよろしいですか。

菅国務大臣 私は所管ではありませんから、私が答えるよりも、所管の副大臣が来ていますから、お答えさせていただきたいと思います。

岡田副大臣 先ほどの答弁のとおり、特定秘密には該当しません。

後藤(祐)委員 もう一度確認します。

 今後の通商交渉全てにおいて、特定秘密に該当しないということでよろしいですか。

岡田副大臣 該当いたしません。

後藤(祐)委員 非常に重要な答弁だと記録させていただきました。

 特定秘密を狭く解するということは、私は賛成でございますので、それをはっきりさせるというのはいいことだと思います。これは、今後、特定秘密の定義をしていく上で一つの大きなメルクマールになっていくと思いますので、この基準の議論は、次に法案が出るでしょうから、そこで続きをやらせていただきたいと思います。

 続きまして、外務省の外交文書の公開について。

 これは、ほかの省庁に比べますと、大変積極的に行われておられる。それで十分とは言いませんが、ほかに比べるとかなりやっておられるという観点から、少し御紹介も兼ねて、いたしたいと思います。

 特定秘密が三十年たつと公開されると誤解されている国民も多いと思いますが、決して公開されません、そのままでは。ただ、外務省は、原則三十年たった外交文書は公開するということを外務省独自に決めておられます。

 これは、平成二十二年五月二十五日、岡田克也外務大臣の時代に、外交記録公開に関する規則というものが定められました。そこで、外部有識者も含めた外交記録公開推進委員会というものを設置して、そこの意見に従って大臣が判断する。例外的なものが本当に例外かということを中心に大臣が判断するというルールができまして、それまでの外交文書公開のペースから圧倒的に数がふえたんですね。これは、今の安倍政権でも継続されているということを確認しております。

 ちなみに、きょう、ちょうど本日ですが、九十二冊新たに公開されて、ポツダム宣言に関する文書、沖縄返還に関する文書という大変意義深い文書が公開されるそうでございます。こういった取り組みはしっかりやっていただきたいと思うんです。

 何で外務省だけ少し進んだかというと、やはり、三十年ぐらいたったものというのは、三十年たってもどうしても隠さなきゃいけないものはあるでしょうけれども、ほとんどそうではないだろうという思いから、情報公開法の非開示理由というものがあるんですね。

 その中で、情報公開法五条の五号という、審議、検討、協議に関する情報。つまり、法律なんかをつくるときに審議会でいろいろな検討をします。そういった情報というのは、検討している最中に世の中に出ちゃうと混乱するので、少なくとも審議している途中は出すのを勘弁してくださいと。そこはわかります。

 ですが、物事が決まった後というのは、そういった情報というのはむしろ事後の検証にさらされるべきであって、これは、時代がたてばたつほどオープンにしなきゃいけない理由が大きいと思われますし、外交文書に関しては、この五号に該当するものについては全て三十年で例外なく公開するという形で運用をされていると聞いておりますが、この御確認と、もう一つ、まとめてなんですが、これは外務大臣にお聞きします。

 もう一つは、外交文書の多くは、情報公開法五条の三号というもの、他国との交渉上、公開されると不利益になってしまうかもしれないという情報。これはたくさんございますが、これについても岡田大臣のときに非常に前向きな解釈基準を示していて、他国等との現在進行中または将来予想される交渉において、我が国が望む交渉成果が得られなくなる、我が国の交渉上の地位が低下する等のおそれがない場合は公開しなさいとなっている。つまり、過去の交渉の話は、今の交渉と関係がなければ出さなきゃいけないということで運用されています。

 今の二つ、五号と三号についての、今もそういった形で運用しているということについて、御確認までに外務大臣から御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、情報公開法五条五号との関係ですが、公文書管理法においては、特定歴史公文書等が既に現用文書として役割を終えたものであることを踏まえて、審議、検討に関する情報が記録された文書であっても、意思決定に一定の決着がついていると考えられ、公にすることによる意思決定の中立性が損なわれることは想定されないとの考え方から、こうした規定が置かれていると認識をしております。

 こうした考えに基づいて、外務省においても文書の取り扱いを行っている、こういったことであります。

 そして、後者の方でありますが、これは、外務省のルールにおきましては、外交史料館に移管して、そして公開する、こういったルールがつくられているわけですが、外交史料館に移管、公開される特定歴史公文書等については、この文書作成当時に個人の権利利益や公共の利益を保護する必要があったものでも、時の経過やそれに伴う社会情勢の変化により保護の必要性が失われることがあるとの事情から、公文書管理法に基づいて、公開、非公開の特定に当たり、時の経過というのを考慮しております。

 ですから、その裏返しでありまして、この御指摘の点につきまして、例えば北方領土交渉などは引き続き交渉が続いております。こういった課題におきましては、引き続きまして、しっかりと情報管理をしていく、こういった対応をしているのが現状でございます。

後藤(祐)委員 今お配りの資料、A4の方の一枚開いた外務省という資料、審査基準というところの下に今言ったことが書いてあります。

 では、せめて外務省と同じレベルでほかの省はやるべきではないかと思うんです。外務省というのは、ほかの国との関係がありますから、実は情報公開という意味では非常にやりにくい役所のはずなんですね。だから、ほかの役所で、そういった関係のないところはもっとできるはずなんです。

 きょうは総務副大臣にもお越しいただいております。先ほどちょっと、前半の時間では失礼しました。

 外務省以外の役所で、今の外務省と同じように、三十年たったものについては、今の五号については全面的に、三号についても今のような理由に合致するものは公開すべきだと思いますが、実際、今の運用はどうなっているでしょうか。外務省と同じレベルで公開されているでしょうか。

上川副大臣 国立公文書館等に移管する前の行政文書、いわゆる現用文書と言われているものでありますけれども、こちらの方は、情報公開法の第五条で定める不開示情報ということで、それに該当するかどうかを判断するということになるわけであります。

 そして、その該当性につきましては、時の経過、そして社会情勢の変化、関係する事務事業の進行の状況等の事情の変更に伴って変化するものであり、開示請求のあった行政文書の開示、不開示につきましては、個々の開示請求の都度判断されるものというふうに考えております。

 そして、御指摘の三十年以上経過した外交記録、これは原則公開するという外務省における取り組みでございますが、こちらの方は、外交史料館に移管される非現用の外交記録に関するものでありまして、さまざまな種類にわたります現用の行政文書の公開について定めた情報公開法におきましては、一律に同様の扱いをすることは適当ではないというふうに考えております。

 なお、保存期間が満了し国立公文書館等に移管された特定歴史公文書、つまり非現用の文書でありますけれども、こちらにつきましては、外交史料館に移管された外交記録の扱いと同様、公文書管理法の第十六条に基づきまして、利用請求があった場合に、原則として一般の利用に供されることとなるというふうに承知しております。

後藤(祐)委員 結果として、どの程度公開されているか。同じように公開されているんでしょうか。もしわからなかったら、総務省の部分だけでも結構です。通告しています。

上川副大臣 総務省における保存期間が満了した行政文書の取り扱いについて御質問でございます。

 御承知のとおり、公文書管理法では、内閣府がガイドラインを作成しまして、行政文書の保存期間を定めたレコードスケジュールというのを規定しております。各省は、これに沿いまして、それぞれの文書管理規則を作成しているわけでありますが、総務省の文書管理規則におきましては、保存期間は三十年を最長として規定しております。

 したがって、行政文書は、それぞれのレコードスケジュールにのっとって、国立公文書館へ移管するものについては移管し、そして、内閣府への廃棄協議が終了して、廃棄することについて内閣府の同意が得られたものについては廃棄をしている、こういう状況でございます。

後藤(祐)委員 質問に答えておりません。実際に公開されているのはどの程度あるんでしょうか。ポツダム宣言のものまで出しているんです、外務省は。

上川副大臣 基本的には、レコードスケジュールで、文書に対しては最長三十年というのが各省の状況でございます。

 総務省においては、そのような状況でありますので、そのルールにのっとって、公開すべきもの、非公開のもの、これについては、先ほどの、情報公開法におきましては五条、そして公文書管理法におきましては十六条という規定にのっとって判断をしているということであります。同じであります。

後藤(祐)委員 どの程度公開されているかは、後で資料を請求したいと思います。

 実は、ルールも違うんです。今お配りの資料の、中開きの左と右を比べていただきたいんです。公文書管理法に基づく外務省の規定が左、ほかの省庁が右でありますが、よく見ていただきたいんです。

 これは、ほとんど、一言一句一緒なんです。ですが、全部の審査基準の中で唯一違うところがあるのは、右側のページの「一、審査の基本方針」というところの下の四行、下線を引いた部分であります。

 これは、先ほどから副大臣が公文書管理法十六条に基づいてとおっしゃっておりましたが、この十六条二項には、公文書館に送った後も、これはこういう理由で世の中に見られると困るから、よくそこのところを考えてくださいねという意見を各省は付して公文書館に送ることができる、そして公文書館は、各機関の意見を尊重して、それを見せていいか判断するとなっているんですが、外務省については、左のページですが、この部分がございません。なぜならば、外務省は自分で外務省外交史料館というのを所管されているからなんです。ここの差は実は大きいんですね。

 ですから、制度としても随分違うんです。これについてどうですか、副大臣。

上川副大臣 外務省の資料におきましても、国立公文書館の方に移管するという文書がございます。仮に、そうしたケースにつきましては、今の御指摘ありました規定と同様に、その場合においては外務省のところに意見を求めるというところの手続が入りますので、おっしゃったように、外交史料館に行ったものについては独自に判断することができるということでありますが、移管されたものについては、各省の状況を踏まえてということで今対応しているという状況でございます。

後藤(祐)委員 結果としてどれだけ出ているかを見なきゃいけないと思いますが、ちょっと時間が来ておりますので、防衛秘密の話に行きたいと思います。

 先日、二〇〇七年から二〇一一年までの五年間に約五万五千四百件の防衛秘密が指定され、その間に三万四千三百件の防衛秘密、これはその五年間より前に指定されたものもありますが、それが廃棄されていたということが報道され、そしてそれは事実であるというお話がございました。

 これを受けてなのか並行してなのかわかりませんが、廃棄をしないように通達を出しましたという記事がきょう載っておりましたが、これは、確認したところ、特定秘密法案が閣議決定された先週の十月二十五日、防衛省から、「防衛秘密が記録された文書等の保存について(通達)」という文書が出されております。

 これにおいて、特定秘密法案が施行されるまでに廃棄の時期が到来した場合であっても、「以下に掲げる事項に該当する場合を除き、廃棄することはせず、」ということで、廃棄しないようにしますよという通達が出されているんですが、以下の場合を除きという「以下」にとんでもない問題があって、その中には、防衛秘密の保護に関する訓令第四十三条三項に基づき防衛秘密が記録された文書は例外なんです。

 それを見ると、防衛秘密の保護上真にやむを得ないと認める相当な理由があり、かつ、他に防衛秘密を保護する手段がないと認めたときは、規定にかかわらず、これを廃棄することができると。結局、抜け道なんです。

 防衛省、防衛大臣にお聞きしたいと思います。

 この通達を二十五日に決めて、二十八日に施行されました。膨大な廃棄が行われたんじゃないですか、その前に。私も経験がありますが、情報公開法が施行される前に、それが施行されると公開請求が来ると困ると、膨大な資料が霞が関で廃棄されました。これと同じことが十月二十八日より前、これは二十五日に発表されて、二十八日施行ですから、この前の週末に捨ててもいいわけです。膨大な廃棄が起きていると思いませんか、防衛大臣。

小野寺国務大臣 まず、防衛秘密の文書の廃棄についてお答えします。

 防衛秘密文書の保存期間が満了したときには、自衛隊法等の法令、規則にのっとって、防衛秘密管理者等の承認を得て廃棄することにしています。具体的には、二〇〇七年に二千三百件、二〇〇八年に三千件、政権がかわった年、二〇〇九年には九千八百件、二〇一〇年には一万六百件、二〇一一年には八千六百件、これが廃棄をされております。

 そして、私ども、この廃棄につきましては、現在の法律の中では防衛省の判断でできるということになっておりますが、今回、特定秘密の御審議が始まるということ、あるいは、その以前にこのようなことがあってはならないということで、私が指示をいたしまして、十月二十五日付で文書の保存という通達を出させていただきましたが、この前からも、廃棄についてはしっかりと対応するようにということで、私の方では指示をしております。

 ですから、そのような、駆け込みのような大量廃棄があったということはありません。

後藤(祐)委員 本当に大量廃棄がなかったか、調べてください。その調査をすることをお約束ください。

小野寺国務大臣 私どもは、そういう指摘を受けないようにしっかり対応してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 調査をしないということですか。

小野寺国務大臣 繰り返し申しますが、私どもとしては、この対応について、今までも制度的にしっかりとした中で対応させていただいております。

 私の責任の範囲内でしっかり対応させていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 調査をしないということであります。

 防衛秘密は全て特定秘密に移ってしまうんです。特定秘密になると、公文書管理法の適用になる、情報公開法だって適用になる、時がたてば公開されるかもしれない。そんな面倒くさい体系に入ってしまう前に、今は公文書管理法の適用除外である防衛秘密のうちに捨ててしまえと。法律違反じゃないんですから、やりますよ、それは。それがないかどうか、何でチェックしないんですか。

小野寺国務大臣 委員がどういう意図でこういうお話をされているかわかりませんが、基本的に、私は、今回の特定秘密の法律が今回審議をされるということですから、その前にさまざまなことがあってはならないという思いで、私の政治的な指導でこういうことを行っております。そういうことを信じていただければと思っておりますし、また、当然、私がここでお話をするということは、そういう問題についてはしっかり対応するということであります。

後藤(祐)委員 防衛省は、今度、特定秘密の体系に移ると行政文書ファイル管理簿というものをつくらなきゃいけなくなります。これは、公文書管理法上、つくらなきゃいけなくなります。ほかの役所はそこまでが義務なんですが、その下に一個一個こういう文書があるというリストは各省はつくっておりませんが、防衛省は実はつくっています。これは事務方から聞いています。それを出してください。そうすると、何を廃棄したか、かなりわかります。現時点でどういう文書があるか、全部実は防衛省は管理しています。

 まず、管理しているかどうかの事実、それと、実際に廃棄されているかどうかの突き合わせ、これについての御見解をいただきたいと思います。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛秘密の文書につきましては、自衛隊法に基づき管理を行っておりますので、作成すれば、これは秘密管理者が定めるいわゆる簿冊というものに、それぞれ文書ごとに登録をしております。

 ただ、どの程度の文書、どの程度のというのは、量の文書をつくっているか、常に、秘密の量というもののフローがわかってしまいますので、これにつきましては、公開することは差し控えさせていただきたいと考えております。

後藤(祐)委員 大臣はそれを見てください。公開しなくてもいいです。その簿冊と、それぞれのファイルの中に入っている個別文書が何であるか、それをまず大臣は手に入れてください。そして、時間をかけてで結構ですから、その文書の中でどれが廃棄されたか調べてください。

小野寺国務大臣 今御指摘の内容については、私は、どういう管理をしているかは知っておりますし、中身も見ておりますが、もし委員が、それを全て私自身が全部チェックするというのであれば、逆に、申しわけありませんが、こういう中で、国会でさまざま、答弁の中で、時間が限られておりますので、私自身が全てそれを見ろというのは、ちょっと無理な話ではないかと思います。

後藤(祐)委員 そんなのは指示すればいいんですよ。大臣が、やれと指示すればいいだけですよ。大臣自身がやれなんて言いませんよ。

 それをきちっとやらせたのが、配付資料の一枚目の、最初にやったのは岡田さん、玄葉さんが改正したんですけれども、文書を公開しようとするにはどういうルールを定めたらいいか、苦労されてつくられたのがこれなんですよ。

 これと同じように、これは、党派を超えて、きちんと国民の方を向いた行政をするためにも大事なことだと思いますし、特に、そのときには出せなくても、時間が経過したら、事後的に公開になるかもしれないという緊張感の中で今仕事をしていただくということが、まさに国民目線で行政の方が仕事をしていただく上で大変大事なことだと思うんですね。そこを一番ないがしろにするのが廃棄であるということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

額賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。御声援いただきまして、ありがとうございます。

 お昼の時間、一時間十五分という長時間をいただきまして、大変長丁場ではございますけれども、今回の日本版NSCの創設と、そして特定秘密保護法という、日本にとって外交、安全保障上非常に重要な法案審議でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 今回の法改正によって、国家安全保障に関する諸課題について、総理を中心に、日常的、機動的に審議する場を創設するというのが目的の趣旨でございます。まずは、その方法論、個々の諸課題に対する対処の議論をする場をつくるということに関しましては、私も、我が党も、ぜひ早々にもやっていただきたい。むしろ、これまでもしっかりやってきていただいていたのかもしっかりお聞きしたいところではございますが、まずはその前に、個々の諸課題に対する審議をする前に、もっと、一番根本の部分の大事な部分についてお伺いしたい点がございます。

 それは、諸所よく言われることに、今の日本は、国民一般に広く浸透しているような国家戦略、国是といいますか、国として目指すべき方向はどこなんだというのがわかりにくいと。

 また、安全保障に関しても、日本は安全保障だけでなくて国家戦略自体も米国に依存しているのではないかという形で、我が国の中長期的な国としての目標、国家戦略、国家ビジョンといいますか、具体的に言えば、例えば戦前のペリー来航による開国以来であれば、欧米の列強に対して負けないようにしていく、そして追いついていくというのが国是であったような形。また、戦後においては、戦後の復興をきちんとやっていく、そしてそのためには、例えば吉田ドクトリンという形で、外交に関しても、経済をまず重視して、安全保障に関してはどうしても米国との協調、保護の中で守っていくという形。

 大きな意味での、国民の中である程度コンセンサスのとれた、もしくは、逆に、皆さんがよくおわかりになるような大体の方向性、国としてどこに行くんだというものが大きく国是としてあったような気がいたします。

 しかし、そうした中で、経済復興もある程度進んで、日本も一流国家としてまた復活しているこの戦後六十七年を経て、では今どこに向かうべきかというまずそのビジョンがなければ、目的地なくして航海をする船のように、その場その場で、船底に穴があいたとか嵐が来たから何とか対応するという、議論はもちろんこのNSCでもできますし、もっといけば、さらに日々の大臣の御議論でもされているとは思うんですけれども、もっと大きな方向性として、戦後レジームの脱却だというふうにおっしゃられている安倍内閣でございますので、この国のビジョン、国家戦略について、まず、支えていらっしゃる官房長官はどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

菅国務大臣 内閣発足の際の基本方針として、総理は、まず日本経済を再生させよう、さらに、東日本大震災からの復興を何としても加速させる、さらに、外交、安全保障、状況を考えたときに、危機管理を徹底させる、そういう三本柱で安倍政権は現在スタートいたしておるわけであります。

 特に危機管理の徹底という中で、例えば、現在は、北朝鮮による核、弾道ミサイル開発の脅威、かつて、北朝鮮がミサイルを発射するんじゃないかという、一時、危機的な状況がありました。さらには、中国の透明性を欠いた軍事力の増強、そして我が国周辺海空域における活動。そうしたものに対して、我が国を取り巻く安全保障の環境というのは極めて厳しい状況になっている。

 そういう中で、総理はよく国際協調、積極的平和主義ということをうたっておりますけれども、この状況の中に、世界の平和と安定に対してこれまで以上に積極的に貢献をしていく、積極的平和主義、こう掲げて今取り組んでおりますけれども、そうした段階において、このNSCというものをぜひ今回つくらせていただいて、戦略的視点から、国民の皆さんの安全、安心というものをしっかり保っていきたいというふうに考えているところです。

丸山委員 本来なら、総理のお口から伺うのが一番ベストだと思うんですけれども、やはり女房役として支えられている官房長官のお声を聞きたかったというのが一つ。

 もう一つ、実は、このお話をさせていただいたのは、私の尊敬する松下幸之助氏が常々、この国には国家百年の大計がないとおっしゃられて、憂えていらっしゃったというふうなことをずっと自分の中でも思う中で、では、今の現状を見てもどうか。松下幸之助氏が亡くなられてかなりの年数がたっておりますけれども、現状を見ても、やはりその憂いというのは国民の皆さんひとしく持っていらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。

 松下政経塾の先輩でもいらっしゃる小野寺防衛大臣に、そのあたり、国家百年の大計をどのようにお考えなのか、お伺いできますでしょうか。

小野寺国務大臣 まず、丸山委員には、東日本大震災の際には大変お世話になりました。

 現場に入り、特に陸前高田だと思いますが、長期間、避難所に寝泊まりをし、避難民の心のケア、あるいはさまざまな復旧に対して努力をされていたこと、今でも、作業服姿で汗まみれになって活動されたお姿をしっかり覚えております。これからも政界での御活躍を心から御祈念を申し上げさせていただきたいと思っております。

 我が国の安全保障の理念ということでございますが、我が国が一貫して実は追い求めてきていることは、日本というのは、豊かな文化と伝統を有し、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的な価値を掲げ、強い経済力と技術力を持つ経済大国であるということ、そして、戦後一貫して我が国は平和国家としての道を歩み、日米同盟を基軸に我が国及び地域の平和と安全を実現しつつ、世界の平和と安定に大きく寄与する、これが私は大切な考え方だと思っております。

 この中で、我が国の安全保障環境をしっかりするために、今回、国家安全保障戦略を年内に策定すべく現在作業をされているというふうに伺っておりますが、特にこの作業の中で中心的な役割を持ちますのが、今回の国家安全保障会議ということになります。

 国家安全保障戦略の内容については、現在、安全保障と防衛力に関する懇談会の議論が行われていると承知しておりますが、この議論を踏まえつつ政府全体で検討していきたいと思っておりますし、防衛省としても積極的に参加をさせていただきたい、そう思っております。

丸山委員 外務大臣はどのように今のお話をお考えでしょうか。

岸田国務大臣 国家のビジョンということで申し上げますと、まず、私は、外務大臣に就任しましてから、三つの柱を立てて外交を進めてきました。一つは日米同盟の強化、二つ目として近隣諸国との関係の推進、そして三つ目として経済外交の推進、この三つの柱を立てて外交を進めてきました。

 まずは、こうした三つの柱を中心に、我が国の国益をしっかり守っていかなければならないと思っていますが、ただ、それでとどまってはならないと私は思っています。

 やはり、よりグローバルな課題、環境問題ですとか、あるいは中東和平ですとか、軍縮、不拡散ですとか、女性の人権ですとか、こうしたグローバルな課題においても我々はしっかり取り組み、そして関係国としっかり連携していくことによって存在感を示す、こうした視点が加わらなければならない、このように考えながら仕事をしてきました。

 あわせて、先ほど来、官房長官あるいは防衛大臣からもありますように、我が国を取り巻く安全保障環境、大変厳しいものがあります。アジア太平洋地域の戦略環境、本当に一層厳しくなっていると感じています。そして一方で、サイバーですとか宇宙ですとか、国境を越えた新しい脅威が発生しています。

 こうした状況の中で、我が国のみで、一国で我が国の平和と安定を守るということは大変難しくなってきている。こういったことから、国際協調主義のもとに、地域やあるいは国際社会の平和や安定や繁栄に我が国も積極的にかかわっていこうということで積極的平和主義という考え方が出てきた、このように認識をしております。

 加えて、国家の安全保障を守るに当たって、まず第一の基本の手段は外交政策だと認識しております。そういった点から、外交政策をしっかり強化していかなければいけない、外交力を強化していかなければいけないというふうに思っていますし、国際協調あるいはルールにおいても積極的に我が国はかかわっていかなければいけないと思っていますし、みずから積極的に望ましい安全保障環境をつくる、こういった国でなければならない、このように思っています。

 こういった考え方が、今これからつくられる国家安全保障戦略の中に盛り込まれ、そしてそれが国家安全保障会議の中で議論される、こうしたことだと認識をしております。

丸山委員 ありがとうございます。

 三大臣、皆さんの思いのこもったお話で、ぜひそういった話をこれからできるNSCでもしていただいて、そして、なおかつ国民の間に、ああ、そうか、こういう国を今目指して、この方向を目指していて、国として、だからこういう政策が出てくるんだというところが皆に共有されるように、しっかりとそれも広報していっていただければと思います。

 そして、今回、お時間をたくさんいただいているものですから、大きな視点でのお話をもう少しさせていただきたいんです。

 私は、このNSCでもろもろの諸課題に対する対応が決定した場合に、その決定を実際の、例えば特に緊急時、有事において遂行していくためには、緊急事態基本法、以前、二〇〇五年ごろでしょうか、三党合意という形で自民党さん、民主党さん、公明党さんで結ばれたのが出ておったと思うんですけれども、そういった意味で、基本法である緊急事態基本法の制定が必須だと私は考えております。そのときの三党合意等、出ておりましたけれども、有事法制のさらなる整備も含めて、このNSCでの決定を実際に遂行するための整備、このあたり、その後どのようになっておられるのでしょうか。それについてお伺いできればと思うんですけれども。

小野寺国務大臣 安全保障全般にわたる、例えば緊急事態の内容についてのお問い合わせだというふうに思います。

 例えば、武力攻撃事態等への対処については、武力攻撃事態法を初め事態対処関連法制が整備をされており、既に、有事において、例えば空港、港湾、道路、電波などの利用については、平成十六年に武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律が制定をされております。この特定公共施設利用法と武力攻撃事態法等に定められた基本的な枠組みに沿って、港湾施設や飛行場施設、特定公共施設の利用に関し必要な事項を定めているという内容になっております。

 このような武力攻撃事態が生起した場合には、武力攻撃事態等対策本部長、これは総理大臣でありますが、特定公共施設利用法に基づき、港湾施設、飛行場施設、道路、海域、空域及び電波に関する利用指針の策定等を行うことになります。この利用指針の策定に対して、本部員であります、例えば私、防衛大臣ということになりますと、自衛隊による武力攻撃排除活動を円滑に実施するという視点からの意見を述べ、本部長から調整を受け、そして速やかに対応するということになります。

 このように、何か有事が起きたとき、あるいは何かの事案が起きたときには政府全体として取り組むことになりますし、例えば今お話ししました対策本部長、総理大臣でございますが、その指示のもとで、防衛省としましては万全な体制をとる、そのような体制ができております。

丸山委員 現行の、どういうふうに有事の際に遂行されるかというのは検討されていると思うんですけれども、もう一つ、少し大きなお話になってしまうんですけれども、自然災害や事故等、有事、さまざまな事態が起きたときに、危機の段階に応じて権限移譲だとかですね。

 現行法では、緊急事態の対処に当たる場合、国では内閣がそれに当たるということになっていると思うんですけれども、もっといけば、本当の有事には、今回のNSCもまさしく四大臣会合に絞ったというのは、緊急のときにかなり決断をしやすいように、リーダーシップを発揮しやすいようにという意図があるというお話ですけれども、例えば総理に権限を集中するだとか、この四大臣会合に集中するだとか、そういった意味での、法体系の中に権限移譲や有事の際の権限の集中というのを明確にすべきだというふうに考えるんですが、そのあたりについて、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 まず、国家安全保障会議、これは三つの会議から成っておりまして、中核になるのは四大臣会合ですね、今委員の御指摘がありました。週に二回ほど、外交、防衛について意見交換をする。そして、事案が発生をしたら、それは機動的に行っていく。

 それと同時に、今委員の、緊急事態の場合ですね。関係閣僚を総理が指名して、対処するための緊急事態大臣会合、こうしたものを実は開催することができることになっております。従来と違うのは、やはり常日ごろから、安全保障、外交について内閣としての意思統一というのができるわけであります。

 そして、この設置後は、例えば緊急事態が発生した場合、重要事項について高度に政治的判断の必要がある場合は緊急大臣会合が開催をされて、その会合の中で、総理に対して、政府がとるべき措置について建議をすることができることになっているんです。そうした建議を十分尊重して、ここで内閣として関係機関で実行に移していく、そういうことになるだろうというふうに思います。

 そして、さらに重大な影響を与える緊急事態の中で、外交、安全保障の対応だとか、そうしたものに対して、やはり総理の指示のもとに対応する。そしてまた、武力攻撃事態等あるいは周辺事態に及ぶような場合になった場合は、そこは九大臣会合を開催して対処方針を正式に決定して、その方針に基づいて、閣議にかけて国の決定としていく。

 ですから、基本的にはまず四大臣会合で、あるいは緊急事態の場合は緊急事態の大臣会合で行う、そういう手続を考えております。

丸山委員 ちょっと通告の順番が変わってきてしまうんですが、関連しての質問にさせていただきたいんですけれども、そういった意味で、首相への権限集中という意味では、閣議とのデマーケーションに関してお話を伺いたいと思います。

 日本の政治権力がかなり分散権力で、内閣や首相の権限が比較的弱いと言われてきていますけれども、昨今改正を進めてきまして、首相への権限が強化されているように私は感じます。

 ただ一方で、もし今回のNSC法案が通った場合に、国家安全保障会議が開催された後に、再度同じものを閣議にかける必要があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そうした場合には、いざというときに機動的な運用ができなくなるんじゃないかと思うんですが、そのあたりの点に関しまして、官房長官、いかにお考えでしょうか。

菅国務大臣 国家安全保障会議というのは、外交、安全保障に関する諸課題に対して、総理を中心に、関係閣僚が平素から意見を集約しながら戦略的に行っていく。そして、閣議は、国の基本的な方針を決定する、内閣法に定められた会議であるわけであります。

 ですから、安全保障会議で戦略等を練られる、そうしたものをいざ内閣が決定する場合は、これは閣議になりますから、そういう意味で、国家安全保障会議が設置されたということで閣議が形骸化することはないというふうに考えています。最終決定は、閣議によって国家としての方針を定めるということになります。

丸山委員 むしろ、私としては、形骸化の懸念というよりは、緊急性が損なわれるんじゃないかという懸念がございまして、つまり、また閣議にかけなければならない。緊急事態のときですね。何か方針を大きくNSCで決めるという場合ではなくて、緊急時において何か重大な決定を急ぎしなければならない場合に、NSCにかけた上でさらに閣議にかけていれば、それだけ時間がかかってしまう。

 また、利益関係者、利益とは言いませんけれども、意見を持っていらっしゃる方がふえるということでございますので、例えば、一閣僚、どなたかが反対された場合には、総理の権限上、その閣僚を罷免する手続をしなければいけないとか、非常にロスが生じる可能性があると思うんです。

 手続上は例えば持ち回りにしてしまうとか、もちろんあるとは思うんですけれども、そのあたり、きちんと、首相への権限集中と、緊急時に対応できるようなロジスティック面の調整をしっかり役所の方に指示して組んでいただけるように、よろしくお願いします。

菅国務大臣 誤解されないようにちょっと申し上げたいと思いますけれども、そういう機動的に、戦略的に行うことができるために、実は、この国家安全保障会議というのを今度法案としてお願いしているんです。

 先ほど来申し上げておりますけれども、政府としての基本方針というのを四大臣会合の中で決めて、そこから方向性を最終決定するときは、やはり閣議がまさに最高意思決定機関になりますので、そういう中でしっかり対応できる、そういう趣旨でこの法案を出させていただいています。

丸山委員 少し細かいお話を伺いたいんですけれども、先日の審議で、先ほども、二週間に一度ぐらいの開催をということなんですけれども、これは、NSCになってからそうしたいということでよろしいんでしょうかね。それとも、今までもそういう形でされていたのかということを、特に、今回、第二次安倍内閣になられてからどれぐらい現行の安全保障会議が開催されてきたのかどうか。その辺、平素から密なコミュニケーションが大事だとおっしゃっている官房長官、お答えいただければと思います。

菅国務大臣 防衛大臣、外務大臣も出席されていますけれども、大臣と私ども、あるいは副大臣で会合をしたこともあります。それと、それぞれの大臣が直接総理に説明したこともありますので、そういう意味で、この国家安全保障会議、この法律が成立をしたら、二週間に一回、そうした外交、防衛に対しての意思疎通を必ずとれるようになりますので、今までは不定期的にでありますけれども、そうした方向を考えていたということです。

丸山委員 事務方の方でも構わないんですけれども、具体的に、安倍内閣でこれまで現行の安全保障会議が何回開催されたのかとか、時期とか、言える範囲で構いませんけれども、お答えいただければ。

藤山政府参考人 安倍内閣、安倍政権が発足してから、これまでに合計九回の安全保障会議が開催されております。

丸山委員 つまり、九回やられてきたものが、二週間に一回ということは年間二十数回やられる形で、より密にコミュニケーションを正式な場でもとられるということだと思いますので、回数を具体的におっしゃっていますので、しっかりやっていただいてと思っております。よろしくお願いします。

 そうした意味で、少し細かい部分にそろそろ入っていきたいと思います。

 法律案の一条において、会議の所掌が、以前の「国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処」という表現から、「我が国の安全保障」という形で、かなり広くなっている印象を感じます。

 先ほど後藤委員からの御質疑もございましたけれども、細かい部分は後藤さんがやられておりましたので、もっと全体的な把握としまして、この改正でこれまでとどう変わったのかというのを国民の皆さんに御説明いただきたいんですけれども、具体的に、これまで入っていなかった何が議題に入るのか、そして逆に何が外れるのかという観点の切り口から御答弁いただければと思うんです。

菅国務大臣 まず、従来は安全保障会議という形でありました。今度の改正によって、国家安全保障会議という形になりました。

 そして、前回は、この安全保障会議は九大臣会合が中心でありました。それは、安保会議の文民統制機能維持のために、ここで国防の基本方針だとか、あるいは防衛大綱だとか、武力攻撃事態への対処、国防に関する重要事項というものを今まで審査してきたところです。

 それ以外に、先ほど来申し上げております四大臣会合というのを、これは二週間に一回の頻度で行って、外交、防衛について、常に総理を中心に政権の基本方針を確認する。あるいは、緊急事態に対処をするための大臣会合というものを新たに設けることにしました。

 ですから、今までと比較をして、戦略的観点から、日常的に、また機動的に議論する場というものが創設をできるわけでありますので、そういう中で、まさに政治の強力なリーダーシップにおいて迅速に外交、安全保障に対応することができる仕組みが、このことによってつくることができるだろうというふうに考えています。

丸山委員 非常にわかりにくいような、わかりやすいような、難しい御表現をされたのですけれども。

 具体的な案件、安全保障上の問題なので、何がというのは言いにくいところはあると思いますが、一方で、今まで何が入らなかったからこのままではまずくて、何が入るのかという。もちろん、機構、仕組み上の、四大臣会合に集約するというのはわかるんですけれども、逆に言えば、何を扱うかも今回幾つかいじられているんですね。総理大臣の指定するという形を削除されたりされている部分もありますので、そのあたり、内容に関しまして、もう少しわかりやすく、具体例がもしありましたら、これまで何が入らなかったので困ったとかいうのがありましたら、教えていただければと思います。

菅国務大臣 例えば緊急の大臣会合、そうしたものについては、例えば領海侵入あるいは不法上陸事案というのがある場合に、そこについて、対処の仕方を事前に大臣会合で方向性を決めておく。あるいはまた、先ほど申し上げました放射能物質のテロ事案が発生した場合、それにはどういう形で対応するかということで、それぞれ緊急大臣会合で決めている。あるいは、大量避難民というもの、これもあるかもしれません。そうしたものについても、常に関係大臣でそうした対応の仕方を決めている。

 従来、やはりどうしても九大臣になるとなかなか意見を集約することが難しかったわけですから、そうした事態を想定する中で、事前にそうしたものを大臣同士の中で対応策を決めて、迅速に対応する仕組みをつくっていこうということであります。

丸山委員 ありがとうございます。

 そういった意味で、かなり扱う内容も情報も大きくなってくると思うんですけれども、その中で、今回、六条一項で、資料、情報の提供について定められているところがあります。

 一項で、内閣官房長官及び関係行政機関の長は、会議の審議に資する資料や情報を適時に提供すると。そして、二項では、そうするように協力を求めることができるというふうに定められています。

 この委員会でも、さまざまな先生方から、ここの部分は御指摘がずっとあったところでございますけれども、やはりここは私もかなり懸念をしているところでございます。

 私も元役人の端くれでございましたので、思うところなんですが、例えば、四大臣会合に絞ってしまった場合、そこに参加しない省庁からしてみれば、なかなか情報を上げにくいというところもあれば、上げたくないというところもあるかもしれないということがあります。

 そうした縦割り行政の弊害が常々言われる中で、これは具体的に、そうした四大臣会合なら四大臣会合以外の参加省庁ももちろん含まれているという認識でよろしいか、どういった内容を想定していらっしゃるのかということを少しお伺いしたいのと、これは、先ほど来あるように、義務、強制という形の意味として捉えられるものなのかどうか。そこはもう一度、官房長官からお答えいただければと思います。

菅国務大臣 国家安全保障会議において実質的な議論を行い、いわゆる国家安全保障局において政策の企画立案、そして総合調整を行うわけですね。その中に、やはり質の高い情報というのは不可欠でありますから、そういう点を考えまして、各省庁は国家安全保障会議に資料、情報を提供することの義務を負う、そういうことが生じるわけでありますから、従来と違って、国家安全保障局に情報が集約をされる、このように考えます。

丸山委員 非常に、言葉としては、またお気持ちもわかるところではあるんですけれども、先ほど長島委員も御質疑がありました。官房長官は、情報が出てこないことは組織上あり得ないという御表現をされましたし、先ほどは、義務であるという表現もされましたけれども、組織上はあり得ないという表現であれば、それは義務まではいかないという言いぶりに近いと思うんですけれども、今のお話だと、義務なんだということでよろしいんでしょうか。

 というのは、我々としては、もっと明示的に、法文上きちんと上げるように、英国の例が今回の審議でも出ておりましたけれども、上げるようにというのを明文化すべきじゃないか、制度上担保するのをしっかりやらなければならないんじゃないかというふうに考えているんですけれども、そこに関して、義務なのかどうかということと制度上の担保に関しまして、いま一度、官房長官から御発言いただければと思います。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、公務員経験ということでありますけれども、国家公務員は、その職務遂行について、法令に基づき、上司の職務上の命令に従わなきゃならないということになっていますよね。今回は、国家安全保障局の中に局長がいて、それぞれの関係省庁に幹事も実は置くことになっていますので、情報提供の命令をした場合に、私は、当然そこに集約されるものと思います。

丸山委員 非常に難しい問題で、政治家からすれば、出してこいということになるんですけれども、最近読んだ、どこの新聞か忘れましたけれども、拉致担当相をやられていた中井先生が書かれた新聞のコラムで、担当相だったときに、外務省に関係資料を出せという形でお願いしたところ、結局、出てこなかったというのが出ていました。

 やはり大臣を経験されていて、そうした役所の動きの遅さとかいうところにもどかしさをもちろん今感じていらっしゃるところだと思いますので、そのあたりは恐らく、おいおい、むしろ我々ではなくて、現実に行政の長をされている皆さんの首を絞めかねない部分だと思いますので、ぜひ御検討をいただければと。義務化だとか明文化ということをどうやって制度上担保していくかというところに関しても議論いただけますよう、お願いいたします。(発言する者あり)というお話もあります。我々、そういうふうに思っているメンバーもいますので、お願いいたします。

 時間もありますので、次に移らせていただきたいと思います。

 次は、設置法の七条の服務期間。同じ情報の扱いの形で重ねて伺っていきたいと思うんですけれども、服務に関しまして、議長及び議員並びに議長または議員であった者は、その職務に関して知ることのできた秘密をほかに漏らしてはならないという秘密保護の規定がございます。

 情報保全に関しまして、幾つか方法がある。大きく分ければ私は二つあるかなと思っていまして、一つは、法律や機密指定を区分していって、がっちり法律で規制していくということと、もう一つは、セキュリティークリアランスといいますか、今回、秘密保護法の方で出されていますけれども、その扱う者を限定していくということと、もう一つは、物理的に情報管理をきっちりやっていくという制度的な規制方法みたいなものも考えられると思うんです。

 まず最初にお伺いしたいのは、この法案において、漏らしてはならないというのはどこまでの機密に入るのかというのをお伺いしたくて、全てということなのか、会議があったこともそうなのか、その中身の内容のどこまでなのか、まずその範囲についてお伺いしたいんですけれども、官房長官、お願いいたします。

北崎政府参考人 今回、法案によりまして、会議の出席者につきましては、より広く、先生がおっしゃいますように守秘義務が課され、職務に関して知ることのできた秘密を他に漏らしてはならないこととされております。

 具体的な秘密の内容は、その時々の審議事項に応じてさまざまであると考えられますけれども、一般論を申し上げれば、公にすることによりまして、国の安全が害されるおそれ、あるいは、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがある情報、これが今回の秘密に該当すると考えておるところであります。

丸山委員 それは一体誰が御判断されることになるんでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 会議の中で、会議の構成員で判断させていただきたいと思っております。

丸山委員 つまり、その場にいるメンバーが、もしくは事務方も含め、判断されるということだと思うんですけれども。

 そういった意味で、少しお伺いしたいんですが、そこでまず判断されて、これが機密で、この法文上、七条上、漏らしてはならないというものになった場合のその扱い。例えば、物理的に文書が出てくると思いますし、逆に言えば、知り得た情報が、人がいるわけですね、頭の中に残った情報がもちろん存在する。そういった場合に、どうやってそれを担保していくのか。

 今回の特定秘密保護法案、この後、委員会に出てきますけれども、そこでは、セキュリティークリアランスの話、その人の経歴だとかそういったものをまずしっかりチェックするということがありましたけれども、今回はメンバーに政務の方も入っていらっしゃいますので、そこまでは秘密保護法ではやらないということでございますし、なおかつ、もちろん、ほかの案件に関しましても文書等残るものがございます。

 まず、こうした物理的な管理の面、制度的規制の方法という形での物理的な情報管理の点に関しまして、現行どうやられるのか、また、今後NSCになった場合に強化されるのか、そのあたりについてお伺いしたいんですけれども。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 物理的な管理の方法でございます。一つは、システムなどをクローズドにさせていただいたり、大変な秘密でありますものは金庫などを活用しまして保管させていただいたり、あるいは部屋の退出入自体を厳重に管理させていただいたり、そういったことを、できる限りの物理的な保全措置を講じさせていただきたいと考えております。

 以上でございます。

丸山委員 しっかりそのあたりはやっていただかないと、結局、法文上、漏らしてはならないと書いていても、物理的に漏れるような状況であっては何の意味もないわけです。

 以前、中国の船が海上保安庁の船にぶつかったビデオが流出した件がございました。まさしくその部分で、もちろん防衛秘密等、現状も漏らしてはならないものがある中で、物理的な管理がおろそかになっていれば結局変わらなくなってしまうところでございますので、今回NSCをつくられるということで、しっかりとそのあたり、過去の失敗例、幾つか出ていると思いますけれども、それも踏まえた上でやっていただけるよう、そこはよろしくお願い申し上げます。

 その関連で、七条で、情報を漏えいさせた場合にどうなるかという点におきましての話を伺いたいんですけれども、本法案の七条に関しましては、罰則規定がございません。漏らした場合にどうなるのかということはございませんが、ただ、その他、例えば自衛隊法とか日米の地位協定の関係の法律とかで、例えば防衛秘密に当たる場合とか、また特別の防衛秘密、合衆国軍隊の機密等、幾つか現行法でも秘密の指定がかかっておりまして、また公務員法にももちろん守秘義務等ございますが、今回のNSCに関しては罰則規定はないということでございます。これに関して、どのように官房長官はお考えなのか。

 また、これらの漏えい時の対処についてかなり統一性がないように感じられるんですけれども、政府内でこの辺の統一性に関してどのように整理をされているのかという点に関してお伺いしたいということが一点でございます。

 官房長官、お答えいただければと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 一般職の公務員及び自衛隊員につきましては、国家公務員法及び自衛隊法に基づきまして一般的な守秘義務が課せられていますことから、本法律で守秘義務をかける対象として念頭に置いておりますのは、国務大臣等の特別職の公務員の方々でございます。

 国務大臣などの特別職公務員につきましては、諸法令において、守秘義務に違反した場合に罰則をかける一般的な規定はなく、本法案についても、それと同様の取り扱いをさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

丸山委員 つまり、漏れた場合には罰せられない、ほかの法で罰するしかないという認識でいいんですね。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 国務大臣等の特別職公務員につきましては、防衛秘密でありますとか特定防衛秘密でありますとか、そういった特別の、現在ございますもの以外であれば、委員おっしゃられましたように、罰するものはございません。

 以上でございます。

丸山委員 今般国会に提出された特定秘密保護法案との関係では、この会議においてももちろん特定秘密に当たるものがかなり出てくるんだと思うんですけれども、この場合にはこの法で罰するという認識なんでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃいますように、今回、特定秘密保護法案では、特定秘密の取り扱いの業務に従事する者等が、これを故意または過失により漏えいした場合には、国務大臣等の特別職公務員であっても処罰の対象になるとされているところでございます。

丸山委員 非常にNSCの中の議論というのはかなり機微な部分だと思いますので、恐らくほとんどのものは漏れてはいけないことだと思うんですけれども、そこの規定で、今回の一緒に出される法では罰則をつけて、NSCの方は罰則規定までないという、非常に緩いところになっているということと、また、昨今、こうしたカウンターインテリジェンス上の、どこまで機密にして、そしてどこに罰則をつけていくのかというのは、もう一度少し政府の方で整理していただいた方がいいんじゃないかなというのは思います。

 つまり、先ほど申し上げたように、非常に複雑になってきておりますし、海外から見ても、では、どうなんだというときに説明がしにくいところであると思いますので、今回のNSCにしても特定秘密保護法案にしても、恐らく、海外との関係でも我が国がおくれているという指摘を幾つか受けているところだと思いますので、そういったところの整理もきちんとやっていただけますよう要望を申し上げます。

 そういった意味で、少しお伺いしたいのですけれども、この七条で、漏らしてはならない、つまり秘密になっておりますけれども、この期間というのは、一体どれぐらいの期間、秘密に当たるというふうな認識でいいんでしょうか。情報公開法上の形になるのかどうか等も含めて、御答弁いただければと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきまして、守秘義務がかかる対象者は拡大をさせていただきました。この守秘義務は特定の期間に限定してかかるものではございませんで、会議に出席なさった者は、その職を離れた後もずっと守秘義務を負うということでございます。

 以上でございます。

丸山委員 つまり、それは情報公開法の対象にもならないという認識でよろしいんですか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 会議に出席なさった者は、ずっと守秘義務を法律上負います。これは、当該知り得た秘密というものが既に公知になった場合でありますとか、そういったようなときは、これは当然、もう皆さん知っているわけですので解除されてまいりますので、その時点では守秘義務はなくなるんだろうと思っております。

丸山委員 つまり、参加者はみずから漏らしてはいけないけれども、その資料等に関して、政府の方で情報公開法等に基づきオープンになった場合には、それは話しても、もちろん公然の秘密であるからよいという理解でよいということで今受け取りましたけれども、よろしいですね。うなずいていただきましたので、その旨、確認させていただきました。

 そういった意味で、非常に、今回、機微な情報を取り扱うということで、情報の点に関しましては、かなり国民の中でも議論も起こっておりますし、関心の高い部分でございます。

 特定秘密保護法案も出てまいります。特定秘密保護法案に関して拝見していると、五年という期間を最大三十年まで延長できるということで、それが内閣の承認という形でなっております。

 これは与党さんの方でも、報道等を見ていると、かなり議論があったとは聞いておるんですけれども、これで果たして何を出して出さないのか。先ほどのNSCの話の内容も、オープンになるときにはなるという話なんですけれども、何を出して何を出さないのかというのは、かなり政府の方で恣意的になるんじゃないか。こうした延長の乱用に関して、かなり懸念の声が高まっている。そういった状況に関しまして、政府の方でどのようにお考えなのか。担当の大臣の御答弁をいただければと思います。

岡田副大臣 お答えをいたします。

 特定秘密の保護に関する法律案では、指定の有効期間内であっても、指定をした情報が法案に規定する要件を欠くに至ったときは、速やかにその指定を解除するものとしていることに加え、この特定秘密の解除については、外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行うこととしております。

 また、行政機関の長は、指定の有効期間の五年ごとに指定の要件を満たしているか否か確認しなければならないことに加えて、特定秘密の指定期間が三十年を超える延長には内閣の承認を要する制度を設けることとしており、特定秘密として保護することを要しないものについては、それぞれその時点で指定が解除されることとなります。

 このように、特定秘密の有効期間を恣意的に延長することがないよう重層的な仕組みを設けており、本法案の適正な運用が確保されるものと考えております。

 以上です。

丸山委員 そのときに、三十年で延長されるときの基準というのは、現時点でどのようにお考えなんでしょうか、副大臣。

岡田副大臣 お答えいたします。

 これは、特定秘密の保護に関する法律案の第四条、行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲でその有効期間を定めるものとするということで、政令で定めるところによって、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものということであります。

丸山委員 いや、今お伺いしたのは、現時点ではそれをどのような基準でということなんです。

 つまり、先ほどの話もありましたけれども、結局、政府が恣意的に閉じてしまえば、中身が全くわからない、ずっとオープンにならない状態になってしまうと思うんですけれども、そのあたりについてもう一度御回答ください。

岡田副大臣 お答えいたします。

 行政機関の長は、この指定の有効期間を延長する場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責任を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができるとしております。

丸山委員 つまり、それを判断するのも政府であって、それを秘密にするかどうかを提案するのも政府であって、そして承認するのも結局内閣、まあ政府と一体でございますので、政府だという形にどうしてもなってしまう。

 先ほど少しほかの委員の話でもあったんですけれども、全て秘密にしてしまえば秘密は存在しないというような形になりかねないというのがとても懸念がありまして、結局、行政府の方で、各省庁が都合よく秘密にしてしまえば公開されない。民主党さんが、先ほどお話あったように、情報公開法の関連でもお話しされていました。

 そして、外国の例を見てみれば、海外では、例えば英国などは、立法府の方で、我々立法府の方できちんとチェックをする仕組みをつくっている国もございます。

 やはり、もちろん非公開でのチェックになるんでしょうけれども、それをオープンにすべきかすべきじゃないかというところを、第三者的な、立法府や司法府などの調査によってしっかりとチェックするような仕組みが必須だと考えるんですけれども、それはNSCの中身の情報の管理に関しましてもですが、そのあたりに関しましてどのようにお考えか、お答えいただければと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 特定秘密は、法律の別表に限定列挙された事項に該当するものに限って大臣等の行政機関の長が指定するものであり、その指定は外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行われることとなり、その後は政府の責任において判断をするということであります。

丸山委員 外部の有識者というのは便利な言葉だと私は思っていまして、つまり、それを選ぶのが政府側であれば、そういうふうに思うような意見を言ってくださるような有識者を選ぶことができるという状況でございます。やはりきちんとチェックするものがなければ行政府の暴走というのは防げないというのが、多くの方が懸念しているところだと思います。

 いろいろ先ほどお話しさせていただいたように、官房長官、大臣、皆さん、やはりなかなか思いどおりに動いてもらえないとか情報が上がってこないという御苦労をふだんされているとは思うんですけれども、そのあたりの関係も踏まえまして、特定秘密に関する、オープンにする三十年というところに関しまして、どういうふうに今後やっていくかという議論が今後進んでいくとは思いますけれども、官房長官として、この辺、議論を進めていただくおつもりがあるのかどうか。今の話を聞いてどう思われたか、官房長官、お答えいただければと思います。

菅国務大臣 副大臣の答えたとおりだというふうに思います。

丸山委員 非常に官僚答弁というか、セットもしていませんが、そのまま後ろのおっしゃったのをお話しされるというのは、非常に国民の皆さんも聞いていて不誠実に感じるんじゃないかと思います。

 今、与党さんは大きな議席を占められて、やろうと思えば何だって通せてしまう状況にある中で、一番懸念されていることに関しては、NSCにしても特定秘密保護法案にしても、きちんと議論していただけるような姿勢がなければ、やはりそこは不誠実に映るんじゃないかと思いますので、きちんとそこはお願い申し上げます。(発言する者あり)と多くの方もおっしゃっていますので、しっかりよろしくお願いします。

 そういった意味で、かなり懸念がある点でございます。また今後、特定秘密保護法案に関しては、法案が上がってきたときに、きっちりと委員の先生方、そして私も含めて審議させていただきますので、そこはきちんとお答えいただけますようお願い申し上げます。

 我が党でも、特定秘密に関しましては、もっと防諜の観点から、スパイ防止に絞るべきじゃないか、今回出された指定の範囲も少し広過ぎるんじゃないかという懸念の声が上がっていますので、細かい点、今後詰められることになると思います。ただ、時間もありますので、次以降の審議に回したいと思います。

 話がずれてしまったので、NSCに少し戻しますけれども、NSCの方で、その会議に上がってくる情報というのは、先ほど来申し上げているように、非常に重要な情報でございます。ただ、その中で、今、日本は、いつも言われていることが、インテリジェンス機能、情報を集めてくる機能が非常にほかの国に比べて不足しているんじゃないか、弱いんじゃないかというお話が多々出てきております。

 このインテリジェンス機能に関しまして、やはりNSCで議論する上で、国としての大きな大きな方針を決めていく前に、情報をきちんと集めてくるかどうかというのが極めて大きな問題で、いわば車でいえば、片方の車だけ回していても、NSCだけ回しても、結局、情報収集がなければ前には進まない。結局、変な方向に回ってしまったり、逆に言えば、片方なければそもそも動かないということになりかねないと思うんです。

 海外でもCIAのような、イギリスでもSISのようなものがありますけれども、今後のインテリジェンス機能の必要性。現状を見てみれば、もちろん、ないとは言わないんですけれども、内調さんや警察さん、公安さん、また外務省さんのような、ばらばらな各機関でやっている。

 先ほど来私がさんざん懸念申し上げているような、省庁の縦割りにつながりかねない状況になっている中で、そうした車の両輪のもう一つの方であるインテリジェンス機能に関しまして、今どういうふうにお考えで、今後どのようにされようとしているのか、政府の方針についてお伺いしたいと思います。

能化政府参考人 お答えいたします。

 情報体制ということでございますが、まず、内閣におきまして、内閣官房に、内閣の重要政策についての情報の収集、集約、分析を行う内閣情報調査室が設置されております。また、情報コミュニティーの各省庁が、内閣のもとに相互に緊密な連携を保ちつつ、情報収集・分析活動に当たっておりまして、内閣情報会議や合同情報会議を通じるなどして、情報コミュニティー各省庁が収集、分析した情報について、内閣のもとでこれを集約して総合的な評価、分析を行うなど、官邸に報告する体制が整備されております。

 御指摘のような、インテリジェンス機関をさらに統合していくというようなことにつきましては、またさまざまな御議論もあるものと認識しておりますけれども、引き続き、政府全体の情報収集・分析能力の向上を図ってまいりたいと考えております。

丸山委員 官房長官、ふだん、さまざまなインテリジェンス情報が官房長官に集まってくることだと思います。

 個別の内容についてお伺いしたいわけではなくて、むしろ、官房長官、今現職であられて、それが十分とお考えかどうか。率直に、政治家として官房長官が、今お話ししたインテリジェンス機能に関してお答えをいただければと思います。

菅国務大臣 現実問題として、私のところに、内閣情報調査室から情報は定期的に来ています。ただ、アルジェリア問題等、責任を持って対処したときに、やはり、ほかの省庁の情報が来ていないということも事実でありました。

 そうした経験を踏まえて、今度のNSCの中で、国家安全保障局長ですか、そこにそうした情報が集約できる、そういう意味で、そうした組織を今回つくりたいということであります。

丸山委員 少し通告の順番が変わるんですが、今のお答えを受けてお伺いしたいのが、国家安全保障局内の構成、定員のお話をお聞きしたいと思います。

 一部報道で、局長の下に局次長を二人置いて、その下に審議官を三人置かれると。そして、各班ごとに、総括、調整をされるところ、戦略の立案をするところ、そして、今お話ししている情報分析をされるところ、さらに各地域ごとに班を設けるということなんですが、それはそれぞれ重なっているものなのか。それとも、個別で、例えば米国の情報分析、戦略立案みたいなものがあるのか。

 そういったちょっと細かい部分の組織の構成、人員配置、まあ、言える部分、言えない部分があるとは思いますけれども、言える範囲でお答えいただければと思います。

菅国務大臣 局の体制については、総括、調整に従事する班、インテリジェンスコミュニティーとの連絡調整等に従事する班、あるいは、地域や各種の安全保障政策をテーマに応じて企画立案、総合調整する班を複数置くことになっております。

 そういう中で、地域や各種の安全保障政策をテーマに応じて企画立案、総合調整する班については、それぞれの時の情報によって柔軟に変えていきたいというふうに思っていますけれども、ただ、基本的には、例えば日米関係、アジア太平洋地域、中東アフリカ地域、こういう地域割りや、国家安全保障戦略の企画などの個別課題を担当する班というものを考えていきたいと思っています。

丸山委員 その中で、六十人ぐらいでまずは当初配置だということなんですけれども、どこに従事するかというのは、もちろん、それ自体がインテリジェンス情報だと思いますので、そこまでやぼなことは伺いませんけれども、その中の、情報分析の担当の部分があるということなのでお伺いしたいんですけれども、そこは内調さんとかなり重なるところがあるんじゃないかと思うんです。その辺のデマーケーションに関してはどのように整理すればよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 それぞれの省庁に情報の調整官というのも今回つくりますので、そうした中で、内調からのそうした情報について集約をすることができるようになると思います。

丸山委員 つまり、各省庁に情報の調整官がいらっしゃって、なおかつ、NSC、安全保障局の方に情報分析の班があって、そこを綿密に連絡をとるということですね。

 ただ、今のお話だと、逆に言えば、内調さんにもいるということでいいんですか。内閣情報調査室は内閣官房の中で一緒だと思うんですけれども、それは別ということでいいんですか。その辺、もう一回、済みません。

菅国務大臣 そこは、当然、内調は内調で中心にそうした情報が入りますし、また、外交の情報はまた外交の情報としてそういうものが集約されるような仕組みにしたいということです。

丸山委員 ほかの国のそうした機関を見ると、かなり多くの人数を割り当てているというのが現状で、やはり一番肝になるのが、孫子の兵法じゃないですけれども、敵を知りおのれを知れば百戦危うからずということだと思いますので、その知るという、情報を集めるところが一番肝だと思うんですが、人員の割り当ては当然そこに多くを割かれるという認識でよろしいんでしょうか。その割り当てに関しまして御答弁いただければ。

菅国務大臣 どういう形に人数割りするということは、今、検討をしている最中であります。

 いずれにしろ、国家安全保障局というのは、みずからがインテリジェンスの情報を集約する局ではないということであります。ほかの内閣情報局、あるいは、例えば外交的な問題、そういう情報をそこで集約するんですかね。みずからが収集をする局じゃなくて、それぞれのところで集めたものを集約して分析をする、そういうところになると思います。

丸山委員 NSCの中の、さらにその事務局である国家安全保障局の情報分析担当班は、情報を集めるのではなくて、各省の担当官から集まってきた情報をそこでチェックしたり分析したりするということなんですけれども、つまり、現状から、情報収集に関しては強化されるというよりは、収集に関しては強化されるけれども、情報を集めるという部分に関しては、なかなかそこは強化までは今回の法案ではいかないという理解だと思うんです。

 そういった意味で、ずっと言われているように、やはり情報を集める方も力を入れていただく必要があると思います。

 もちろん、いろいろな情報の集め方がございます。他国のように、どんどん外に出ていって諜報活動みたいなところをやるというのももちろんあるんでしょうけれども、一つは、私、ずっと思っていることがございまして、非公開情報を例えばスパイを派遣して人的情報という形で、ヒューミントという形で集めたり、テクニカルに、きのうか、アメリカがちょうど大きな通信網を持っていますので、そこにアクセスすることでかなりのデータ量を傍受できるんじゃないかという報道があったり、そういった意味の、技術的な情報のとり方のテキントだったり、シギントだったり、また衛星を日本も幾つか持っていますので、そういった意味の画像情報ももちろんやられていると思うんです。

 もう一つは、公開情報と言われる、非公開じゃなくて常に出ている情報を収集、分析することで、実は、かなりの秘密だと言われているものは集めることでオープンになるんじゃないかという、諜報上はオシントと呼ばれる方法がありますけれども、そうした公開情報の収集、分析に関しては、なかなか日本においても専門的に行う部署が今のところできていないと聞いているんですが、まず、それができているのかどうか。

 恐らく、CIAを設置するとかそういった形になると特別法が別に要るとは思うんですけれども、現行法でも、公開情報をチェックしていって、それを収集、分析することで国益につなげていくというのは立法しなくてもできる分野だと思うんです。

 まず、それができているのかどうか、それは立法の必要がないという認識でいいのかという点を一つお伺いしたいんです。

能化政府参考人 お答えいたします。

 公開情報、いわゆるオシントという御質問だったと思いますけれども、公開情報の収集、分析につきましては、情報関係の各機関、内閣情報調査室を初め関係省庁の方において既に実施しておりまして、そのための立法は特に必要ないと認識しております。

丸山委員 やはり、日本版CIAを設置するとなると、この法案以上に多くのお声が出てくるものだと思います。

 公開情報に関して収集して分析することでかなり成果を上げている国もかなりあると聞いていますので、そういった意味で、現行、もっとうまいこと日本もできれば予算もかかりませんし、もっといけば、かなり大学での研究とかのアカデミアの方々、研究者の方々も近い分野でございますので、一からスパイを養成するとかいうよりは比較的容易に情報分析の方々を育成しやすいと思います。また、集めやすいと思います。

 NSCにおいて、今回の情報分析の部署は独自に集めることはしないということでございますけれども、やはりそんな情報を集めるという意味で、予算がない中で、お金もかけず、ただ、しっかり集めていく方法をまずは模索していただいて、なおかつ、長期的に見たときには、より人員、予算を増強していく。日本の場合は、戦わずして勝つのがやはり基本の戦略だと思いますので、情報が命でございますので、しっかりと情報を集めるような強化を、今回はないということでございますけれども、今後進めていただきますようお願い申し上げます。

 一言だけ、官房長官、お答えいただければ。

菅国務大臣 いずれにしろ、今回、法案を成立させていただいてスタートさせていただき、いざ実行に移す段階の中で、今委員から御指摘をいただきましたこと、そうしたものもこれから考えていきたいというふうに思います。

丸山委員 ありがとうございます。しっかりよろしくお願い申し上げます。

 最後、少し細かい部分にお話を移りたいと思うんですが、今回、国家安全保障会議に事務局の機能をつけるわけではなくて、先ほど来少しお話のあった、内閣官房の安全保障局の方に事務局を設けることになっているということでございます。

 例えば、モデルとなる米国の例を調べてみると、安全保障会議に直接事務局がついているとか、ほかの国を見てもそういうところもありますし、また、平成十九年だと思うんですが、以前、現行の安全保障会議に事務局を設けるという法案を出されたこともあると思うんですけれども、今回、内閣官房の方に新局をつくって、逆に、安全保障会議の方に事務局機能を設けなかった。このあたりの、事務局機能についての理由に関しましてお伺いできればと思います。

菅国務大臣 平成十九年法案の事務局は国家安全保障会議のもとに置かれ、会議の事務のみを行うことを予定しておりました。

 現在、御指摘いただいた米国においては、その事務局は安全保障会議の中にある、そこは承知をいたしております。

 今回設置される事務局は、総合調整権限を有する内閣官房長官のもとに置いて、役所の縦割り、国家安全保障に関する外交防衛政策の基本方針の企画立案、総合調整を行う、そういう意味で、内閣官房の中に、下に置いたということであります。

丸山委員 つまり、以前の段階では、ここまでの機能をつけるわけじゃなくて、完全に会議の運営そのものを、本当に簡単なロジスティックの部分だけを担わせるつもりだった。しかし、今回のNSC法案では、もっとしっかりと情報分析も戦略立案もさせたいので大き目にしたい、だから内閣官房の方でということなんですけれども、そこに関しましては、安全保障会議に直接つけるのと、逆に内閣官房の方に新しくつくるという意味で、法制度上、今の仕組み上、どのような違いが生じるのか。少し事務方に、意図も含めて、もう一回詳しいことを伺いたいんです。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど菅官房長官が御答弁なさったとおりなのでございますけれども、十九年、以前出させていただきました事務局につきましては、まさに、委員おっしゃいますように、会議にぶら下がる事務局でございまして、それは会議のロジスティックスなものなどを統括する、いわゆる会議の事務をするセクションでございました。

 今回、官房長官が答弁なさいましたように、官房長官のもとに直接置かせていただいて、そしてその指揮監督を受けるということで、官房長官がお持ちというか、内閣官房が持っております企画立案、総合調整の機能をまさに発揮させていただきたいと思っておりまして、今回のような形を御提案させていただいております。

丸山委員 済みません。お話の仕方が私が悪かったかもしれませんけれども、他国の例で見たら直接ぶら下がっている国もあるわけで、ただ、日本の場合には、その理由として、強化したいから内閣官房の方につけるということなんですけれども、逆に言えば、安全保障会議の方に直接つけた場合にはそれは強化されないのかどうかという点で聞いた方がわかりやすいのかもしれません。そのあたりに関しましてはどのようにお答えになりますか。

菅国務大臣 内閣官房長官のもとに置いた方が総合調整はできるという形で、より以上の効果を期待することができるというふうに思います。

丸山委員 つまり、首相直属というよりは、内閣官房長官がきちんと指揮をとった方が、より実務的に、動きが機動的になるという理解でよろしいんですね。

菅国務大臣 内閣官房長官は総合調整することもできますから、そういう意味において、今回の設計はそういう形にさせていただいたということです。

丸山委員 ありがとうございます。

 首相の権限を集中する上で、首相直属にした方がよいのか、それとも内閣官房長官の下や内閣官房につけるのかというのを少しお伺いしたくて。ただ、官房長官は本当に首相と一心同体でございますし、そういった意味では、より実務上、各省庁に対して総合調整ができる官房長官のもとに置いていただいた方がきちんと回るということが、今のお話で理解できました。ありがとうございます。

 そういった意味で、かなり、安全保障会議にしても国家安全保障局にしても、スタートしたときから各省庁に対してどういうふうに言っていくのか、指揮できるのか。もっといけば、ほかの国との対応として、どこがどのカウンターパートなのかというのは、まだ、新しくできる局なのでイメージが湧かない部分がございます。

 先ほどのお話で、各省庁に情報分析に関しては情報分析官を置いて、それが集約してきてというのはイメージがついたんですけれども、以前からの質疑では、各省庁からの出向者の方もそこに入ってくる、自衛官、OBの方もそこに入ってきて、その場でやるというのが今回の質疑でイメージできたんですが、最後、一つ気になるのが、ほかの国とのやりとりをすることも多々出てくると思います。その場合のカウンターパートについて少しお伺いしたいんです。

 特に、恐らく、事務方はもちろん事務方でやると思うんですけれども、大きな最後の部分での決断や議論のお話のときに、局長や今回新しく新設される安全保障の補佐官に関してのデマーケーション、人事なんですけれども、まず一つ人事につきましてお伺いしたくて、それは、民間の方の登用や、お詳しい方をということでこの間からの審議でありますけれども、これは政治家の登用というのもあり得るんでしょうか。

菅国務大臣 局長に政治家の登用はありません。

 国会法三十九条、内閣総理その他の国務大臣、内閣官房副長官、副大臣、大臣政務官、内閣総理大臣補佐官を除き、国会議員が他の公務員の職を兼ねることを禁止しており、これによりまして、国家安全保障局長に国会議員がつくことはないということであります。

丸山委員 まさしく特別公務員ということで、そういう理解だと思うんです。

 その意味で、補佐官は、前回の審議ではアドバイザーだという形で理解しているんですけれども、実際の、実質の事務方の指揮は局長という御答弁だったと思うんですけれども、そうした中で、例えば米国の大統領補佐官や、その補佐官の下にもろもろの担当のカウンターパートの方がいると思います。例えばその大統領補佐官に関して、直接カウンターパートとしてやりとりするのは補佐官なのか、それとも局長なのか、そのあたりに関しましてはいかがお考えでしょうか。

菅国務大臣 それは国家安全保障局長になります。

丸山委員 つまり、そういった意味では、国家安全保障局長と向こうの米国の補佐官のやりとりということであれば、かなりこちらの日本の補佐官の方は、まず、これまでの審議でありましたように、部下も少ない、そしてなおかつアドバイザーにすぎないということで、名前で補佐官という形がつくと、アメリカのイメージがどうしてもあって、かなり強力な権限があるというイメージがあるんですけれども、むしろ本当にアドバイザーのような立場で、実質的には局長に権限が集中していく。

 ただ、それはつまり、最終判断は官房長官であり首相であるけれども、補佐官は完全にアドバイザーだというデマーケーションの理解でよろしいんでしょうか。補佐官が誰か向こうの、米国だののカウンターパートとやりとりするということは想定されているんですか。

菅国務大臣 補佐官は、総理大臣補佐官の中からこの国家安全保障会議担当になるわけであります。

 ですから、総理の命を受けた場合は、国家安全保障担当総理大臣補佐官が各国のNSCの責任者と意思疎通を図ることも、これは当然できることになると思います。

丸山委員 ありがとうございます。

 常時は、基本的には局長が、トップ同士ではもちろん事務方はやる、なおかつ、何か緊急時だとか総理の命がある場合には、補佐官が任命を受けてやりとりする場合はあり得るけれども、基本的には常時は局長だという理解でよろしいということですね。わかりました。ありがとうございます。

 一時間十五分というかなり長時間にわたってお話しいただきまして、ありがとうございました。まだまだ、特に情報の取り扱いに関しましては腹に落ちていない部分がございますので、この後の質疑がありますので、引き続き審議いただきまして、ぜひこの国を、最初申し上げましたように、しっかりと国益を追求していける、しっかりと世界の中での役割を果たしていける国にしていただきますよう私からもお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず国家安全保障戦略についてお聞きしたいと思います。

 国家安全保障戦略の策定について、ことしじゅうにそれができるという報道もなされておりますけれども、現在、どのような組織と責任でもって策定していらっしゃるんでしょうか。また、その目標は、官房長官がおっしゃったような、我が国の安全確保に必要な抑止力強化と掲げておられますけれども、それは、国際政治や国際経済の観点を含めた、通常言われておるような安全保障戦略という総合的な戦略なんでしょうか。その概要をお聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障戦略については、我が国の安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえて、本年の九月に安全保障と防衛力に関する懇談会を立ち上げ、外交防衛政策に深い見識等を有する有識者の皆さんからさまざまな御意見をいただいて、現在、政府として策定作業を進めているところであります。

 現状では、今後、安全保障会議において審議していくことになります。国家安全保障会議の設置後は当会議において審議することになるわけでありますけれども、この安全保障会議の設置によって、総理を中心とする関係閣僚が、外交、安全保障に関する諸課題についてこれまで以上に戦略的観点を持って審議を行って、一層、政治のリーダーシップのもとで実行できるようなことを考えております。

 いずれにしろ、この戦略については、今その懇談会で審議をしている状況であります。

今村(洋)委員 その国家安全保障戦略なんですけれども、その戦略に引き続いて、国家防衛戦略、それからまた、その後に国家軍事戦略、それからまた統合作戦構想といったようなものにだんだん落とし込んでいかれるというような構想というのはおありになるんでしょうか。

菅国務大臣 それはありません。

今村(洋)委員 となりますと、国家安全保障戦略というのは、具体的に、例えばどういうことを策定するというか、お考えになっているというのを、断片でも結構ですので、お聞かせください。

菅国務大臣 我が国のこれからの安全保障の戦略についてさまざまな有識者の皆さんから意見を頂戴し、そのことを防衛大綱なりそうしたものに反映していきたいというふうに考えています。

今村(洋)委員 防衛大綱とかそういったものをお考えになっているのであれば、その次に落とし込んでいく、先ほど申し上げた国家防衛戦略といったようなものというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、防衛大綱、武力攻撃事態への対処等、国防に関する重要事項、そういう方向にその戦略が反映されていくという形になろうかと思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 それでは次に、内閣官房国家安全保障局についてお聞きいたします。

 官房長官が先日、事務方の責任者という表現をなされ、局長の選定においては民間人からの登用も可能というふうにおっしゃいましたけれども、どのような人物が適当だとお考えになられますか。また、その適当だと任命された国家安全保障局長の最も重視すべき点というのは、どういうところだと思われますでしょうか。お願いいたします。

菅国務大臣 まず、局長は、対外的にも、外交問題あるいは防衛問題に精通をしている方という形で、さらに、これは民間の方という形で考えております。

今村(洋)委員 組織図とかそういったことを見ますと、完全に局の、事務方の長であるといったふうにも受け取れるんですけれども、先ほど質疑の中で、カウンターパートナーでもあるというお話でしたから、随分、事務方にしては、職種といいますか、権力を掌握されているのではないかなといった印象を持ちますが、その辺のところで、民間人といってもちょっとぴんとこないんですが、どういった方を想定されているんでしょうか。もし可能であれば、お答えください。

菅国務大臣 特別職の公務員であって、先ほど申し上げましたように、局長には、国家安全保障に関しての高度な専門性、また実務に精通をした、そうした人を総理大臣が任命するということになっております。

今村(洋)委員 では、例えば、文官ではなくて、制服組の、武官のOBといいますか、そういった階位をきわめたような方が局長の職につくというようなことがあり得るんでしょうか。

菅国務大臣 そこは、総理大臣が任命をするわけであります。

 今申し上げましたように、特別職の国家公務員であって、そして、安全保障に対して高度な専門性を有して、実務に精通をしている人、そうした中から、総理が自信を持って選ばれるんだろうと思います。

今村(洋)委員 内閣危機管理監という部署と緊密に連携というふうになっておりますけれども、その内閣危機管理監との折り合いというのが、対等なのか、それとも、図には対等のように描いてありますけれども、カウンターパートナーとして、内閣官房のやや代表的な立場に立つのか、そういったところをお聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障局というのは、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に関する企画立案、総合調整を行うものであって、危機管理に係る事態対処を担うところではありません。

 ですから、安全保障局が設置をされた後も、内閣の危機管理というのは危機管理監を中心に担われるわけでありますので、局長と危機管理監というのは、ある意味では緊密に連携をしながら、対等というんですか、お互いに立場を共有する関係だというふうに思います。

今村(洋)委員 危機管理という点からまいりますと、今回、国家安全保障会議という三類型の中に緊急事態大臣会合といったものがありますけれども、ここに、あらかじめ総理によって指定された国務大臣という項目がありますけれども、こういったところに、今おっしゃられた内閣危機管理監とか、例えば国家安全保障局長、そういった方々がオブザーバーとして参加するということは想定されているんでしょうか。

菅国務大臣 そこは想定をいたしております。

今村(洋)委員 わかりました。済みません、長々とお聞きしまして。

 復興庁の例でもわかるように、省庁横断型の部署というのがこの局ということになると思いますが、というのは、各省益を優先するがために、省庁ごとのあつれきが起こったり、進行を妨げられたりというようなことが起き、また、国家安全保障局が省庁横断型の寄り合い世帯であれば、本来期待される情報の分析や政策の立案などが停滞する可能性がありますけれども、そういったところに対する対応策というのはお考えになっておられますでしょうか。

 先ほど局長の職責について長々とお聞きしたのは、総理が選ばれる方でしょうけれども、こういった問題にちゃんと対応できる方がつくのかといったところもあわせてお聞きできればと思います。

菅国務大臣 その局長には、総理がそうした選定をするわけであります。そして、この国家安全保障局は、局長を中心に、省庁の縦割りを排除して、ここで企画立案とか総合調整を行っていく極めて大事な場所でありますので、そこはしっかりとした方を総理は選定してくれるだろうというふうに考えています。

今村(洋)委員 ありがとうございます。

 国家安全保障会議の創設以降は、この法案が成立した以降は、国家安全保障戦略策定に、先ほどお聞きしました戦略に内閣官房内の国家安全保障局も関与するといったことになろうかと思いますけれども、国家安全保障局が戦略の策定に主導的な役割を果たすのか、それとも提言程度にとどまるといったことになるのか、そこをお聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障局というのは、さまざまな情報もそこに集約をされます。そして、外交、防衛の政策の企画立案、総合調整も行う場所になりますので、全体としては、そこからそれぞれの大臣会合等にさまざまな情報を提供して、そうしたものに基づいて国家安全保障会議で判断をしていくという形になります。

今村(洋)委員 そうしますと、局から上がってくる情報とか立案とかというものは戦略の策定に関してかなり大きなウエートを占める、それなりのウエートは占めるんだという受け取り方でよろしいでしょうか。

菅国務大臣 当然そのような形になっていくというふうに考えています。

今村(洋)委員 そうしますと、国家安全保障局というのは約六十人という組織の規模をお伺いしておりますけれども、規模から考えると、提言能力にかなり限りがあるのではないかというふうに疑問を持ったりします。

 といいますのは、基本的には、国家安全保障局にかかわる予算というのは内閣官房の予算に含まれるんだというふうに解釈しておりますけれども、その面からも、増員、六十名が例えば十倍の六百人になったりとか、そういったところと、あと、機能強化といったところにおのずと予算面からも制限がかかるんじゃないかというふうに考えたりしますけれども、機能強化とか増員とか、そういったことは、この法案が成立後、後々、機能強化のために考えていくということは想定されていますでしょうか。

菅国務大臣 まず、申し上げていますように、六十人規模で局の体制はスタートいたします。その中に、総括、調整に従事する班だとか、インテリジェンスコミュニティーとの連絡調整の班だとか、地域ごとの班だとか、いろいろな班をつくっていきます。

 まずスタートをして、この安全保障局が機能をしていく。そういう中によって、それから先ということは、実態、六十人は少ないという人もたくさんいらっしゃいます。海外はもっと多い。しかし、まずここからスタートしていくことが大事だというふうに思っていますので、この六十人体制でスタートして、今私たちが望んでいる、そうしたそれぞれの班、地域ごとの情報、情勢の分析とか、そういうものができるかどうか。今の時点ではできると考えてスタートするわけですから、それは、実態に移った中でさまざまなことが考えられてくると思います。

今村(洋)委員 例えば、アメリカなんかですと、安全保障局といったところの職員が一説には二千人程度いるというお話ですから、予算の面でも人員の面でも随分開きがあるのかなという思いでお聞きいたしました。

 さて、国家安全保障会議の役割の一つとして、中長期的な戦略を策定するというものが、先日、官房長官の御発言よりお伺いしておりますが、官房長官は、国家安全保障戦略の一つの目安として、十年程度は見据えていきたいというふうにおっしゃったと思っております。

 一方で、国家安全保障局長、また国家安全保障担当総理補佐官というポストは、具体的な人選は総理の判断であり、私の理解では、総理の個人的なといいますか、オフィシャルなんですけれども、総理のスタッフであるという理解なのかなと思ったんです。そうしますと、選挙による政権交代はもちろんですけれども、選挙によらない内閣の交代、総理の交代によっても、それに伴って、局長であるとかまたは補佐官が総理とともに交代になってしまうというようなことが想像されます。

 国家安全保障戦略は、官房長官がおっしゃるとおり中長期的な展望を要するものですから、その提言にかかわる組織、今お伺いした話では重要な提言をなすといったことですから、そういった組織も、中長期的な継続性を担保された組織である必要があるんだろうと思います。

 そこの局の長が総理の交代とともに、もちろん安倍政権は長期になると思っておりますけれども、従前の、一年ごとにかわってしまう政権、首班がかわってしまうというようなこともありましたので、そういうものに伴って交代していくと、一体その組織が本当に実効性があるものになるのかという疑問も生じます。

 ですから、私の個人的な意見としましては、少なくとも国家安全保障局とその長、局長は、予算の面からも、将来的には、内閣官房の外に出して、独立性を保った組織として増員それから機能強化を行い、その長が数年にわたって任期を全うできるといったようなことが理想なのかなと思ったりもしますけれども、そういったことに関して御意見を伺えればと思います。

菅国務大臣 私が十年と申し上げたのは、懇談会において、本戦略の内容というのはおおむね十年という形を念頭に置かれての議論でありましたので、そのように申し上げました。

 この戦略策定後というのは、これは時々の政権が、政策の実施過程を通じて、みずからの、総理大臣を中心とする内閣で判断していくことになるだろうというふうに思いますので、特に内閣総理大臣補佐官というのは、これは総理が任命しますから、やはり総理大臣がかわれば、当然そこはかわってしかるべきだろうというふうに思います。

 国家安全保障局長については、任命権者は総理大臣ですけれども、しかし、そこはどうするかというのは、その時々の判断に委ねるべきだろうと思います。

今村(洋)委員 民主党政権下において、たしか国家戦略室か局かありましたけれども、もう本当に形骸化した組織であったわけですけれども、このNSCに関しては、本当に機能していただかないと、官房長官がおっしゃったように、厳しさを増すこの国際社会の中で日本の進路をある意味決めていくといった組織ですから、ぜひ組織が中長期的に存立するという担保を考えていただければというふうに思っております。

 そこで、あくまで国家安全保障局が内閣官房内にあり、その長も総理スタッフにとどまるのであれば、米英型のNSCのように国家安全保障担当補佐官と国家安全保障局長が兼務である、たしか私の理解では米英は兼務であるというふうに思っておりますけれども、兼務であるか、また、局長を事務方として捉えるならば、担当補佐官の下に局長を組み入れて、担当補佐官にスタッフを持たせる形にして系列化した方が機能的ではないかというふうに考えたりもしますけれども、御意見をお聞かせください。

菅国務大臣 今回提案している私どもの組織の中において、国家安全保障局長というのは国家安全保障政策のラインの事務方の責任者、そして、補佐官は総理の判断を助ける直属のスタッフという形の位置づけをさせていただいています。

 そして、総理大臣補佐官については、これは民間の方も現にいらっしゃるわけですから、そこは、補佐官と事務局長が民間の方であれば一体になることもあり得るということでしょうね、選択肢として。だけれども、総理補佐官が政治家であれば、補佐官と局長は一人の方でということは、これはできないということであります。

今村(洋)委員 わかりました。

 そこはぜひ、余り何か、職能がダブらないといいますか、一本化されるような何かしらの方策をお考えいただければと。下に局長が入るのも一つの案かなと組織図を見て思ったりもしましたけれども。

 また、保障局のスタッフに民間からの一時的な登用をお考えになっているとすれば、NSCが諸外国と積極的に情報のやりとりを想定しているということですから、官房副長官がおっしゃったように、情報保全措置というものが必要で、これは、民間からの登用時に何らかの信用調査、例えば、今般の特定秘密保護法案といった中における適性評価というものの適用などが必要かなと考えたりもしますけれども、それについてはいかがでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 民間の方を事務局の中に登用させていただきます場合には、例えば任期つきの国家公務員として二年間とか、そういったような形態が考えられます。

 その際に、局の中で大変な秘匿度の高いもの、情報に接しなければ務まらないような職の場合ですと、その方が果たしてふさわしいかという、いわゆるクリアランスのようなことをさせていただければと思います。

 ただ、その方が全然そういう秘匿度の高いものを扱わない類いの職であれば、それはその必要はございませんので、民間の方を充てようとさせていただくその職によって、私ども、対応を考えさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

今村(洋)委員 局の総員数が六十名程度となりますと、やはり一人一人がかなりの役割を負う、ただのコピーとりというような職種では当然ないだろうと思いますので、重要な情報に触れるといったようなことは常にあるだろうなというふうに思います。

 制服組を含めて省庁からの出向もお考えになっていると思いますけれども、その場合、局において、出向が通常二、三年でまた本省へ戻るといったようなことがあり得るのか。そうであれば、局の主な役割に情報の統合整理機能といったようなものを持たせておられますけれども、情報を取り扱う人間が長期に同部局内での勤務がなされず、出向者の入れかわりによって情報保全措置の対象者が短期間にどんどんふえていって、また、局のプロパーが育たず、情報の統合整理機能の充足も図れなくなる。先ほどの話になりますが、中長期的な組織維持というのができなくなるといった可能性もあるのかなと思いますが、その辺についてはどうでしょうか。

菅国務大臣 まず、この国家安全保障局の職員となる人材の確保について、さまざまなバックグラウンドを持って、各省庁から提供される情報を政策立案に活用する十分な知見を持った優秀な人材を集めるべく、今検討いたしております。

 それで、委員が言われましたように、各省庁から片道で来て、それで二、三年で帰ってしまう、そういうことではなくて、経験を有する方をここで積極的に活用すると同時に、また、省庁の人は、この国家安全保障局で、外交だとか、あるいは情報だとか、そうしたものの個々の専門家というものも将来的に育てられるような、そういう組織であればいいなというふうに思っています。

今村(洋)委員 ぜひ日本のために、この法案を成立させて、そういうしっかりとした組織を育てていただきたいなと期待しております。

 ただ、内閣官房国家安全保障局は、情報を扱う部署ですけれども、自前の情報機関を持つことなく、各省庁からの情報を用いて国家安全保障会議を恒常的にサポートするということになっています。

 今回の法案の第六条には、内閣官房長官及び関係行政機関の長は、会議の定めるところにより、会議の審議に資するものを適時に提供するものとするとありますけれども、一方で、組織というものは、みずからの権限や情報といったものを独占することでその影響力を強めていこうとする傾向があるものだと思います。条文で「提供するものとする。」とうたうだけでは、果たして各省庁が十分な情報を安全保障会議に提供するのかといったところが、ちょっと担保が足りないのかなと思います。

 ですから、国家安全保障会議に十分な情報が集約されるようにするため、情報の要求に応える義務というものを法的な文言で明示すべきだと思いますが、その点についてお答えください。

菅国務大臣 先ほどからも議論があるところであります。

 国家安全保障局においては、実質的な議論を行って、国家安全保障局において国家安全保障政策の企画立案、総合調整、これを行うためには、質の高い情報が必要だというふうにも、これは当然のことであるというふうに思います。

 改正後の国家安全保障会議設置法の第六条に基づき、各省庁等が国家安全保障会議に資料、情報を提供する義務を負うことになりますので、これによって、会議の事務を担う国家安全保障局に情報が集約されることが可能だというふうに考えています。

今村(洋)委員 わかりました。

 国家安全保障会議が官邸主導で外交・安保政策を推進する司令塔となるということですが、緊急事態にもシームレスに対処できる組織であるためにも、下部組織である内閣官房国家安全保障局が迅速かつ適切に会議に情報を上げていく必要があると思います。

 そのためには、国家安全保障局が、あらゆる情報、資料の収集とその適切な分析、評価を行える組織となる必要があると思いますが、今回、法案では、国家安全保障局自身は情報収集機能を持たないとなっておるため、情報を一元的に集約して各情報を提供する別組織が必要ではないかというふうに考えます。

 内閣官房内には内閣情報調査室がありますが、直接の目や耳も持たず、一次情報を、これはヒューミントな情報ですけれども、一次情報を収集できない内調では、情報機関としては十分ではないのかなと思わざるを得ません。

 今般、この日本版NSCの創設にあわせて特定秘密保護法案を閣議決定されておりますが、一次情報を得るために、積極的ヒューミント、人による情報収集は、国家が、スパイ防止法、今回の特定秘密保護法案というような守秘機能があって初めてその機能が働き、世界のインテリジェンスコミュニティーに伍することができる、スパイ天国ではなくなるといったことができるんだろうと思います。

 現在、日本では、内調、公安調査庁、警察庁警備局、防衛省情報部、外務省国際情報統括組織など、情報を扱う組織が複数存在しますけれども、それぞれの目的によって活躍しております。

 スパイ防止法はまだ成立を見ませんが、特定秘密保護法が成立するこの機会に、国家的見地から、これらの情報機関を統合運用する国家的な情報機関の成立は必要であろうと思います。これは、各委員もおっしゃっていることだと思います。

 このような、日本に存在する各情報機関を統合運用し、また、みずからも目や耳といったようなものを持った情報機関が、国家安全保障会議の司令塔としての機能を担保するために、情報を収集するために必要だと思います。

 官房長官におかれましては、将来的に、このような情報機関、中央情報機関といったようなものの必要性をお感じになっておられますでしょうか。お聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障局において、安全保障の政策の企画立案、総合調整を行う上において、確かな情報、高度な情報というのは極めて大事だというふうに思っています。

 現在は、国家安全保障局にそれぞれの官庁、省庁からさまざまな情報が提供され、そこで情報集約をして分析をし、機能強化を図っていくという形に実はなっています。

 この情報機関のあり方についてはいろいろな議論があるところでありますけれども、現時点においては、まさに、既存の情報網をここに集約をして、さまざまな情報を集約して、そこで分析等をして、この国家安全保障会議にかけていきたいというふうに考えています。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

今村(洋)委員 日本国が、情報機関のその目や耳といったものを余り、ちょっと目がかすんでいたり耳が遠かったりするというような状況にあると思いますのは、アルジェリア事件についても、一次情報がなかなか政府に入ってこなかったという事実があるだろうと思います。

 頼りにしているアメリカはアルジェリアの情報に疎く、実際に情報をもらったのは、イギリスとかそういったところからもらったというふうに聞いておりますので、日本もやはり、米国に頼り切るのではなく、みずからの目や耳といったものを将来的には持たざるを得ないだろうというふうに思います。

 これは、将来的に、今回の法案を通した後お考えになっていただければというふうに期待しております。

 次に、国家安全保障担当総理補佐官についてお聞きいたします。

 国家安全保障担当総理補佐官を常設するということですが、その役割についてお聞きしたいと思います。

 これまで五名置かれている総理補佐官は、担当を定める等して、あくまで総理の個人的なスタッフとしてその役割を果たしてきました。総理の問題意識を酌み取った上で、特に命ぜられた事項を担当するのが総理補佐官であると理解しております。

 その五名の補佐官のうち一名を、これは一名ふやすわけではなくて、五名のうちの一名を国家安全保障担当総理補佐官として選任するということですが、先ほども申し上げましたように、国家安全保障局長と担当補佐官は、米英における補佐官が局長を兼任するように、日本でも同様にすべきではないかというふうに思っております。

 このまま担当補佐官が国家安全保障会議に出席し、意見を述べるのであれば、準閣僚級ポストとして、意見具申を十分に果たすことができるライン組織、スタッフを抱える必要があるものとも思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 この常設化される国家安全保障担当総理補佐官は、今委員の御指摘ありましたように、五人の中の一人を充てるわけでありますけれども、総理直属のスタッフとして、総理の命を受けて、国家安全保障に関する重要施策に対して総理に助言を行い、そして総理の判断を助ける、ある意味で極めて大事な役割を担っていただくことになっております。

 そのほかに、国家安全保障局長というのは、そこは、外交防衛政策の企画立案、総合調整を有する私のもとに安全保障局長を置くことで、役所の縦割りを排して、機動的に、戦略的に国家安全保障に関する重要事項に対して総理をサポートする、ある意味でラインでありますけれども、それとは別に、補佐官というのは、総理への助言なり、あるいは総理の特別の命を受けて対外的な交渉をしたり、そういう形になるというふうに考えています。

今村(洋)委員 担当補佐官が指令を受けて動くというのであればそれは可能なのかもしれませんけれども、みずから情報を収集して総理へ建言する、もしくは会議に参加する、重要な会議ですから、そういったことを考えますと、組織といいますかスタッフというのが全くつかない状態で総理の秘書のような状況でおられても、なかなか今回の法案の中での期待といいますか役割は果たせないんじゃないかなというふうに思ったりしますので、何度もしつこく言うようですが、その辺の、スタッフを抱えて、職能を果たすことができるようなポストというふうにしていただければなというふうに勝手に思っております。

 それでは、特定秘密の保護に関する法律案についてお聞きいたします。

 先日、閣議決定された特定秘密の保護に関する法律案について、先ほども述べましたように、今般の日本版NSCにおけるヒューミント機能を担保するものとして、この法律案は合わせわざで必須なものというふうに考えております。

 しかし、この法律案では、国益に鑑みて、特定秘密と指定するのは行政機関の長とあり、特定秘密としていろいろ、種々挙げられておりますけれども、その該当の可否については、行政機関の長の政治的スタンス等によって判断が分かれる場合があるのではないかというふうに思います。

 私は医師でもありますけれども、医師が研究や治験といったものを行う場合に、倫理性それから信頼性の確保のために、治験のための講習というものを受けます。治験責任医師とか分担医師とか、そういった要件を満たすための受講を義務づけられています。

 倫理性、信頼性を保つためにこのような講習を受けるのですが、同様に、特定秘密の判断に倫理性、信頼性を持たせるためにも、各行政機関の長が特定秘密の可否のための講習を受講する制度が必要ではないか。つまり、それが免罪符になるわけではないんですけれども、そういった効能を果たすのではないかというふうに思いますが、そういった考えがおありになるのか、お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法案におきましては、特定秘密は、法の定める要件であります、法律の別表に限定列挙された事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要であるものを行政機関の長が指定するものとされておりまして、かつ、その指定に当たりましては、外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行うこととしておりますので、このような仕組みによって、恣意性を排除しまして、適正な指定が確保されるものと考えております。

今村(洋)委員 私が申し上げているのは、特定秘密にする、しないという判断が厳密にきっちりなされるものではない、やはり個人差が出てくるのではないかなというふうに僕は思うんですけれども、先ほど、何度もお話ししますように、治験などを行う場合に我々がなぜ講習を受けるかというと、やはり主観的判断というものがまじるんですね。そういったところを判断して結果を出していかなきゃいけないものですから、そこのぶれがなるべくないように、コンセンサスを得るために講習を受けて、ガイドラインに沿って判断していくということになるんです。

 今回の特定秘密の判断というものは行政機関の長がやるということになっておりますから、その行政機関の長たちが共通の認識を持ってもらうためにも講習を、二日間ぐらいなんですけれども、そういったものを受けていただく必要がある。そうでないと、長についた人が勝手にそれぞれが判断していいということになりますから、長についたらそういう講習を受けてもらうというようなシステムが必要ではないかと思いますけれども、そういった意味でお話ししたんですが、お答えください。

鈴木政府参考人 失礼します。

 法案の十八条一項で、特定秘密の指定に当たりましては、統一的な運用を図るため基準を定めますので、基準を定めた際には、関係者がその内容についてよく周知するように努めたいと考えております。

今村(洋)委員 わかりました。周知していただくようにしてください。

 その基準となるべき国益についても、何をもって国益とするのかという点が、これは政権によって国益が違うようなことが昨今この日本においてはあり得るので、例えば中国船籍の衝突事件等々にしても、時の政権によって随分判断が違うものだというふうに思います。ですから、何をもってして国益だというのか、そこをお聞かせください。

 国益の概念が時の総理や政府に都合のいいようにねじ曲げられ、秘匿の対象が恣意的に広げられてしまう可能性がないとも言えません。国益の概念が曖昧なまま法を制定させるようなことがあれば、将来、恣意的な運用がなされ、国家国民を守るための法が結果としてもろ刃のやいばというふうになりかねないので、その倫理性、信頼性の確保のための判断の基準となるべき国益というものについて、官房長官のお考えをお聞かせください。お願いいたします。

鈴木政府参考人 特定秘密の要件につきましては、先ほど申し上げましたように、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要であるものを行政機関の長が指定するものと申し上げましたが、その際、安全保障というものの範囲につきましては、外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障することを意味しまして、また、国家及び国民の安全とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく、平和で平穏な状態に保たれていることを意味しておりまして、安全保障という言葉の外延については明確であると承知しております。

今村(洋)委員 わかりました。

 それでは次に、緊急権についてお聞きいたします。

 国家の第一の責務は、国民の生命財産を守ることです。また、領土、領海、領空を守ることでもあると思います。この国家の責務を重大かつ緊急的に果たさなければならないときに、一時的に全ての権限を内閣総理大臣に一元化して、スピーディーに事態に対応できるようにするのが緊急事態条項だと思います。

 一九九〇年以降につくられた成文憲法は世界で百を超えるほどありますけれども、それら全てにこの緊急事態条項が含まれています。二度の敗戦を経験したドイツ、もしくはスイスにおいても、この条項を入れるために憲法改正を行っております。

 我が国では、東日本大震災のときに、被災者支援や復興のための最低限の政策も、法案としてつくるのに一カ月以上かかっています。

 今般、NSCの三形態の一つに緊急大臣会合がありますけれども、この会合の審議がより迅速適切な対処に結びつくためには、憲法に緊急事態条項を明記し、この緊急事態会合を閣議と同等に扱い、緊急事態の宣言を可能にすることこそが国家安全保障会議が本当の意味で安全保障を担保する機能を持つというふうに思いますけれども、お考えをお聞かせください。

菅国務大臣 国家の緊急事態への対処に当たっては、政府全体として総合力を発揮することができるようにすることが重要であります。政府としても、さまざまな緊急事態に対処するための制度、体制の整備に努めているところであります。

 今御指摘のありました緊急事態大臣会合、そうしたものも今度この国家安全保障会議に設置をしていただくことによって、事前に緊急事態に対応できるような、そうした組織をしっかりつくっていきたいというふうに思います。

 政府としては、既存の法律においてもさまざまな緊急事態に迅速に、的確に対応することができるような規定が求められておりますので、必ずしも今御指摘の法案を整備しなければならないという、そこは今の中でできることは全てやっていきたいというふうにまず考えております。

 いずれにしろ、憲法に、改正をということは、これは国会の中で大激論になるわけでありますので、そうした議論も踏まえながら、危機管理のための、今できることをとにかくこの法案の中でしっかり整備していくことが一番早いことかなと思います。

今村(洋)委員 ありがとうございます。

 緊急事態大臣会合といったようなものがあらかじめ総理によって指定された国務大臣とともに開かれる、その目的というのは、緊急事態への対処強化というふうになっておりますけれども、私の考えでは、そこを担保するのに緊急権というカードを総理に持っていただくというのが一つの考え方かなと思いますのは、この会合を経ても、閣議決定が結果的には必要であるというふうに伺っておりますけれども、本当に緊急事態にこの国家安全保障会議の緊急事態大臣会合といったもので対応できるんでしょうか。

 今の政権であれば緊急事態には対応できるのかもしれませんけれども、ここは、内閣のリーダーシップ、総理や官房長官のリーダーシップに大きく依存するようなシステムでは、今回せっかくこういう法案を通すに当たって、人によってスピードが変わってくるようでは困りますので、ぜひ切り札を持っていただくような形で法案を考えていただければと思いますが、リーダーシップによって変わるか変わらないのか、そこのところをお聞かせください。

菅国務大臣 時々の総理大臣、内閣のリーダーシップによって変わる法律というのは、私はよくないというふうに思っています。緊急事態には、どういう状況にあっても国民の生命財産を守るのが私たちの最大の役割でありますから、そこは、今度のこの法案を成立させていただくならば、従前以上に緊急事態に対応できる仕組みというのは構築をすることができるだろうと思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 それでは次に、これはもう設問にはお出ししておりませんけれども、本年九月に外務省が「諸外国における国家安全保障戦略」という、米、英、豪、韓国の安全保障戦略を記した資料を作成されておられます。

 そこに記載のある四カ国の国家安全保障戦略の戦略的アプローチの根底にあるものは何かといいますと、経済的基盤が重視されておるんです。各国は、自国の安全保障を、国益の確保をもちろん念頭に置いて考えておりまして、経済的基盤があってこその安全保障だとうたっております。

 イギリスでは、キャメロン首相が、国家安全保障は経済的な強さに依拠していると話し、また、政府財政赤字の削減が政府の戦略的な優先事項となっていることを認識しており、それを行わないことは国家の安全保障を維持する上で重大な影響を及ぼすと考えていると述べておられます。そして、安全保障は、軍事的強さのみに依拠するのではなく、財政の健全さに依拠する、財政的な健全さを失うということは、長期的に見たとき、国家の根幹の安全保障を損なうと述べています。

 これについて、経済的基盤が重要という点については、官房長官はいかがお考えになるでしょうか。

菅国務大臣 やはり、経済的基盤が強力であるということは、国家安全保障に対しても極めて重要だというふうに考えています。

 安倍政権として、発足以来、三本柱という中で、日本経済再生、東日本大震災からの復興、そして、今この法案をお願いしています外交、安全保障に係る危機管理の徹底、こうしたものを掲げて私ども今取り組んでおるわけでありまして、今委員から御指摘のありました他国の例、そうしたものも、やはり経済というのは、ある意味では今の世界情勢の中では極めて大きな部分の一つだろうというふうに思います。

今村(洋)委員 長官がおっしゃられるとおりですね。

 それで、さきのアメリカのデフォルト危機の例でもわかるとおり、我が国の安全保障は、今後、自立していく、自立、独立を担保するようなベクトルに大きく方向転換しなければ、アメリカに依存するだけの安全保障では、本当に国民の生命財産を守れるのか不安になります。

 加えて、我が国の債務は千兆円を超え、イギリス式に言うと、財政的な健全さを失うということは長期的に見た国家の根幹の安全保障を損なうというふうにありますから、先日、官房長官がおっしゃったように、十年スパンの中長期的な戦略を練るに当たり、同時進行で、我が国の成長戦略、三本目の矢ですけれども、成長戦略、財政の健全化等の政策も推し進めていかれるんだろうと思います。

 今回議論されている内容も、財政健全化がなければ画餅に帰すのではないかと思いますが、国際社会が期待する我が国の役割、ひいては我が国の国際的なプレゼンスを向上させる方法、そういったものについて、一言お願いできればと思います。

菅国務大臣 安倍政権というのは、デフレ脱却と財政再建、この二つの難しい問題を同時に実現する内閣だということを私たちは常日ごろ目指しております。

 そういう意味において、やはり十五年ぶりのデフレ脱却、そして、総理は消費税を十月一日に五%から三%引き上げの決断をされました。この二つのことを着実にやはり進めていきたいというふうに思います。

今村(洋)委員 では、最後に、最初に申し上げましたとおり、今回の法案においては、情報の取り扱いといったものが非常に重要になっているんだろうと思います。日本においては、アルジェリアの件を見てわかりますように、目や耳を持たない、そういった状況にありますから、ぜひそういった面からの検討を今後なされていって、今回の国家安全保障会議といったものが、情報を得ることによって本来の機能を十分に果たせるように考えていただければというふうに思います。

 また、最後に申し上げますけれども、内閣官房の中の危機管理監、安全保障局長、それから担当補佐官、そういった方々の役割分担というのはあるとおっしゃっておられますけれども、どうか、その辺の指揮系統というものが、実際に危機が起きたときに本当に問題がないように機能するのかといったところをぜひもう一度きちんと検討していただいて、今回の法案が揺るぎないものになっていくように考慮していただきたいと思います。

 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

岩屋委員長代理 次に、畠中光成君。

畠中委員 国家戦略を明確化し、的確な政策オプションを提示できる体制を整える、総理大臣を司令塔として国家戦略を策定する、我が党のアジェンダにもある内容です。

 私も、この日本版NSC、国家安全保障会議については、インテリジェンスの話と一緒に、さきの国会におきまして、予算委員会において、しっかり頑張ってほしいという立場から、安倍総理と議論させていただきました。政策決定者である総理大臣に、正確でタイムリーな情報が上がってきて、それを読み取り、判断しやすい仕組みをつくることができるかどうか。国家戦略がないと言われてきた我が国において、それを本格的に策定していく仕組みをつくることができるかどうか。

 その後も、政府においては、有識者会議においての議論など、この日本版NSC、国家安全保障会議についての課題が大分克服されて法案が出てきたという印象を持っておりますが、しかし、まだ曖昧な点や懸念事項も残っておりますので、この委員会を通じて明らかにしていければと思っております。

 まず初めに、官房長官、国家安全保障会議の創設意義についてお聞かせいただけますでしょうか。

菅国務大臣 北朝鮮による核、弾道ミサイル開発の脅威だとか、あるいは中国の透明性を欠いた軍事力の増強、我が国周辺の海空域における活動の急速な拡大、活発化という、そうした懸念事項があるわけであります。

 そうした中にあって、何としても政府としては、国民の皆さんの安全、安心のためにしっかりとした対応をしていかなきゃならないということで全力で取り組んでおるわけでありますけれども、そういう中にあって、この国家安全保障会議の設置の意義というのは、総理を中心とする関係閣僚が平素から戦略的観点を持って審議を行い、そして政治が強力なリーダーシップを発揮して、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていくための環境を整備する、そういう意味において極めて大きな意義があると思います。

畠中委員 今官房長官がおっしゃっていただきましたように、我が国を取り巻く環境、例えば、北朝鮮、中国の問題を今おっしゃいました。そういう環境の中において、総理を中心とした政治のリーダーシップが必要だということは、私も全くそのとおりだと思っております。

 この国会におきましても、安倍総理自身も、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増し、繰り返し繰り返し言っておられます。

 しかし、ここで申しておきたいことがあります。私も、外的な要因はまさにそのとおりだと思いますが、この日本版NSC、国家安全保障会議、その外側の要因ばかり強調するのは私は少し違うと思っています。この国家安全保障会議は、永田町や霞が関で仕事をしている我々政治家や官僚組織の問題でもあるということをぜひ御認識いただきたいと思うんです。

 すなわち、各省や業界を代表する族議員に象徴されるような古いしがらみ政治とか、縦割り行政に象徴される官僚主義であるとか、さらには政官業の癒着とか、これらを乗り越えて初めて、国家安全保障会議が本来の期待どおりに機能していくということを忘れてはならないと私は思っております。

 先行している他国のNSCにも、同様の理由を原因としたNSCにおける問題というのが過去にも起こっておりますので、このスタンスを明確にしておかなくては、屋上屋を架す組織となってしまいかねません。

 また一方で、外交、安全保障については、私ども野党にも責任がございます。政権がかわったときに、いいかげんなことができるはずはありません。国家安全保障会議創設によって、現実的な安全保障政策を常々、我々野党も準備しておく必要が、より一層増してくるということであります。

 繰り返しになりますが、この国家安全保障会議、外ももちろん大変ですが、この創設の意義は、私ども政治家や官僚、この内の問題にもあるということをまず申し上げたいと思います。

 さて、国家安全保障会議では、情報の流れがいかにあるかが重要だと思います。すなわち、インテリジェンスサイクルがきちんと回っているかどうか。

 現行の仕組みの中でも、政策の発注、情報収集、それから分析、評価、こういうインテリジェンスサイクルが一定程度回っているんだと思いますが、今回の国家安全保障会議設置によって、現行のどのような課題が改善され、克服されるのでしょうか。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、現在も合同情報会議、こうしたものを通じてインテリジェンスサイクルが存在をしております。この既存の活動は活動としながらも、今度、国家安全保障局をつくることによって、この会議ではトップダウンでそれぞれの省庁に対して必要な情報を要求することができることになっています。

 具体的には、その事務を担う国家安全保障局が、各省庁に対して、合同情報会議等の場を通じて、または随時、情報要求を行うことによって、受けた各省庁は情報を提供する義務を負うことになる、このように考えます。

畠中委員 今私が申し上げましたこのインテリジェンスサイクル、ぜひ官房長官、よく意識をしていただけるとありがたいんですが、この発注、情報収集、分析評価、報告評価、円滑に回っていくかどうかということをしっかりと判断して、これからこの法案がもし通って設置されたならば、具体的なことが決まっていく観点において、ぜひお願いをしたいと思います。

 今までの縦割り官僚主義をしっかりと排して、この国家安全保障会議をしっかりとワークさせていかなくちゃいけないということでございますが、今まで各省ばらばらであったこういう情報が、オール・ソース・アナリシスと申しますが、そういった形で分析された政策オプションが提示されて、総理が判断しやすい仕組みをつくるということがこのNSCの肝となると私は申し上げましたが、では、既存の防衛省とか外務省とかから総理への報告ルートというのは、NSC設置後はどのようになるんでしょうか。引き続き、ばらばらの情報も上がってくる仕組みが残ってしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 そもそものこの法案の趣旨というのは、外交、安全保障に関する諸課題について政治の強力なリーダーシップを発揮して、内閣として国家安全保障政策を機動的、そして戦略的に進めていくためにでありますから、そういう意味において、国家安全保障会議がトップダウンで各省庁に情報要求を行い、各省庁は情報提供をする義務がある。そして、情報の提供を受けて、国家安全保障局でさまざまな情報を分析しながら、しっかりと総理に上げることができるようにすることが極めて大事だというふうに思います。

 それと同時に、総理がみずから、例えば外務省、防衛省の話がありましたけれども、直接聞いてみたいことについては、そこはやはり総理が直接聞いても私はおかしくないだろうというふうに思います。

畠中委員 ちょっと、重ねての質問で恐縮なんですが、今総理からということでおっしゃいましたが、逆に、外務省、防衛省から総理に上げるというルートについてはいかがですか。

菅国務大臣 そこは総理の判断によるだろうというふうに思います。

畠中委員 この国家安全保障会議においては、政策と情報の分離が大切であると考えます。これは今までも十分議論されてきたことだと思いますが、裏を返せば、政策と情報の結節点が極めて大切ということであります。

 官房長官、本当に大切だという顔をしていただいておりますが、この政策と情報のみならず、今までの議論を踏まえると、高度な政治的判断とかかわるNSCと危機管理の関係、これも国家安全保障局長と関係をしてくるということでありますから、極めて重要なポジションであるというふうに思います。

 恐らくこのポジション、恐らくといいますか、これは間違いなく、職務的には官房長官直属の部下になるということでありますが、官房長官、ぜひお聞かせいただきたいんですが、この国家安全保障局長、どのような能力、経験を有している、あるいはどのような人物が適当とお考えでしょうか。どういうイメージをしておられるか、お聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障に対しての高度な専門性と実務に精通をしている、そのことがまず基本的には大事だろうと思います。

畠中委員 重ねての質問で恐縮です。

 実務に精通しているというのはもちろんわかるんですけれども、もう少し具体的に、先ほど申し上げましたように、例えば、危機が起こったときの危機管理監との対応とか、あるいは、政策と情報の分離の観点から、結節点という立場でありますから、いろいろな調整能力であったり、経験とか実務だけではない、どういう人物タイプかというのは極めて重要だと思うんですよ。そこをお聞かせいただけますでしょうか。

菅国務大臣 高度な国家安全保障に関しての知識と実務に精通するという話をさせていただきました。委員から、それじゃわからないということでありますので、さらに、この局長は海外のNSCと直接対話ができるようなことも、これは望ましいというふうに私は思っています。それと、今御指摘がありましたように、危機管理監と緊密な連携をとれる、人物的にもそうした幅のある人に当然なるだろうというふうに思っています。

 いずれにしろ、危機管理監とは常に密接に連携をしながら、緊急事態が発生をしたときには国家安全保障局長もこの緊急参集チームに参加するわけですし、危機管理監と密接に協力しながら、国家安全保障局の職員とも、みんな一緒になって、管理職も全部一緒になって危機管理に対応していく、そういうことが必要であります。そうした人選というのは、これは総理が判断をするわけでありますけれども、そうした国際的な問題も当然その要素になってくるんだろうと思います。

畠中委員 官房長官、ありがとうございます。

 では、質問を一つ、前後しますが、今出ました国家安全保障局長と危機管理監との関係について御質問させていただきます。

 この国家安全保障局長と危機管理監の関係については、これまでもさんざんいろいろな議論がある中で、実は、いまだこれが曖昧な部分ではないかと私は思っているんです。何でもかんでもNSCでは大き過ぎるという観点から、分離されたことについては私は評価いたしますが、一方で、この危機管理監と安全保障局長、緊密に連携していくと書かれています。

 お聞かせいただきたいんですが、具体的には、どのようなケースの場合、どのような連携を想定しているのでしょうか。お聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障局長というのは、まさに外交、防衛の政策にかかわる企画立案と総合調整がそうであります。危機管理監というのは、まさに危機が発生した場合、物事を実行に移す部隊でありますから、政策と実行という形になるんだというふうに思います。

畠中委員 今官房長官がおっしゃっていただいたように、政策と実行の分離ということ、まだ課題は残っているんだろうというふうに思いますが、今おっしゃっていただいたような、国家安全保障会議あるいは国家安全保障局、これは政策を担う部分なんだということは、私、賛成をいたしますので、その観点からぜひ今後取り組んでいただけたらと思っております。

 質問が前後しておりましたが、戻りまして、今度は総理補佐官について。

 国家安全保障担当総理補佐官、これが必置になりますけれども、官房長官や外務大臣、防衛大臣とのすみ分けはどのようにお考えでしょうか。

 例えば、アメリカのスーザン・ライス国家安全保障大統領補佐官のカウンターパートというのは一体どなたになるんでしょうか。そういったことをあらかじめ決めておく必要があるのではないかと思いますが、教えていただけますでしょうか。

菅国務大臣 まず、常設されます国家安全保障担当総理補佐官は、総理の命によって、国家安全保障会議に関する重要政策に対して総理に助言を行う、また、その相談を助ける役割であります。

 他方、国家安全保障会議の運営に関しては、内閣の重要政策に係る総合調整を初めとする内閣官房の事務を統括する私が担うことになるわけでありまして、その下にこの局長を実は置くことになります。

 国家安全保障会議を効果的に機能させるためには、総理を中心に、外務大臣、防衛大臣等が常に外交、安全保障に対しての考え、方向性を一つにしていくというのが大事だろうというふうに思います。

 そういう中で、米国のカウンターパートということでありますけれども、これは国家安全保障局長がその任に当たるというふうに考えています。

 それで、補佐官は、総理の命を受けた場合は、この国家安全保障官がそれぞれの海外のそうしたNSCの責任者と意思疎通を行うということも、これは当然あり得ることだろうというふうに思います。

畠中委員 今大臣おっしゃったこと、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、国家安全保障局長とNSCの局長同士でカウンターパートということで、補佐官のカウンターパートというのは、もう一度、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 国家安全保障局長は、アメリカの安全保障大統領補佐官を初めとして、各国のNSCの責任者との間に緊密な意思疎通を行う、そういう立場を考えています。

 そして、補佐官でありますけれども、補佐官については、総理の命があった場合、そのときに、総理が例えば補佐官に命じて、米国や英国の補佐官とそうしたいろいろな高度な連携が必要な場合だとか、そういうときは、補佐官もそうした各国のNSCの責任者と意思疎通を図ることができるんだろうと思います。

畠中委員 済みません、たびたびで恐縮なんですが、ちょっと私の聞き方がまずかったかもしれません、もう一度。

 アメリカのスーザン・ライス大統領補佐官がおられますね。このカウンターパートというのは、我が国においてはどの立場の方がされるんでしょうか。

菅国務大臣 国家安全保障局長です。

畠中委員 ありがとうございます。済みません、何度も聞きまして。

 質問をかえます。

 十月二十四日の読売新聞の朝刊に、国家安全保障局内に役割ごとに六班を設置するとの報道がありました。統括と戦略、その他の三班の班長を防衛省出身者が、同盟・友好国、中国・北朝鮮の二班は外務省、情報は警察庁の出身者がそれぞれ班長に充てられると書いてありました。また、陸海空自衛隊から出向するいわゆる制服組の方が各班に配属されるとのことです。

 このような情報が法案の審議前に新聞で報じられるのは、秘密保護の観点からいかがなものかと私は思います。

 さて、確かに自衛官、制服組の経験や知識は大事ですけれども、この新聞報道から受けた印象だと、防衛省関係者が多過ぎて、まるで防衛省の出島と化して、新たな出向先ポストがふえただけというようにも見えてしまいます。まだ誕生していない国家安全保障会議が、既に各省間の縄張り争いの場になってはいないでしょうか。

 あくまで国家安全保障会議事務局は政策を扱うところというのが本来だと考えますが、事務局の人数とか構成とか、その考え方について、先ほどの報道の内容が正しいかどうか、その報道の件も含めて教えていただけますでしょうか。

菅国務大臣 当の私が驚いている報道でありました。

 設立の時点においては、六十名程度というものを考えております。

 それと、安全保障局の体制については、総括、調整に従事する班、インテリジェンスコミュニティーとの連絡調整に従事する班、あるいは、地域や各種の安全保障政策をテーマに応じて企画立案、総合調整に従事する班、そうしたものを複数考えております。

 具体的には、例えば日米関係とかアジア太平洋地域だとか中東・アフリカ地域だとか、常にそうした国際情勢を見ながら分析する、そうしたことを考えています。

畠中委員 NSCを持つ他国では、民間人を積極登用して、リボルビングドアと言われるように、安全保障政策について官民の間で労働市場が成り立っているようなところもあります。

 もちろん、我が国の現状ではまだそこまでいくのは早いのは私も承知しておりますが、しかし、あくまでこの国家安全保障会議事務局は政策を扱うところというふうに官房長官もおっしゃっていただきました。ですから、研究者などの民間の方、もちろん、官僚がだめと言っているのではありません。しかし、官僚の方であっても、国家安全保障会議事務局のメンバーは、特定の出身団体とか親元の省益の利益を代弁するのではなくて、オール・ジャパンで日の丸を背負うような、そういう気概を持った方々で構成されなくてはいけないと思っております。また、優秀な人材の確保の観点から、例えば待遇面も含めて、他省庁と差別化するぐらいでもいいと思います。

 このような事務局を担う人材養成とか人事制度について、今、私、民間のお話もしましたが、そういう観点も含めて御所見をお聞かせください。

菅国務大臣 国家安全保障局には、多様なバックグラウンドを持った優秀な人材を集めて、強力な政治のリーダーシップのもとに、省庁の縦割りを排し、そしてまさに国益の観点から業務を遂行する強力なチーム、これをつくりたいというふうに思います。

 そしてまた、民間有識者の皆さんからも、その会合において、民間人からも有能な人材を登用すべきである、そういう御指摘もいただいております。

 さらに、人材の確保、育成のあり方、こうしたものは専門的知見を幅広く活用する、そういう観点から取り組んでいきたいというふうに思っています。

畠中委員 国家安全保障会議の担う役割の一つに、中長期的な国家安全保障戦略、いわゆるNSSの策定があると思います。それに基づいて防衛大綱も策定されていくということになると思います。

 この国家安全保障戦略は、いわゆる安防懇でことしの九月に計四回だけ有識者によって議論され、報告書が出ています。この有識者会議でまとめられた国家安全保障戦略の概要について、例えば武器輸出三原則の見直しが報道各社で取り上げられました。これはたしか経団連も言っておりました。

 防衛産業のあり方も含めて、私はそれを否定するものではありませんが、他国のNSCにもその傾向が見られるように、業界団体とか防衛産業の影響が強くなり過ぎるのも懸念します。また、社会的基盤の強化として、国際協調の精神と開かれた形での国を愛する心の涵養というのも、いささか行き過ぎのような気がします。

 こういう国家安全保障戦略は、本来であれば、これからできてくる国家安全保障会議でつくっていくものだと思いますが、安防懇の国家安全保障戦略の有効性についてお聞かせいただけますでしょうか。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 安全保障と防衛力に関する懇談会でありますけれども、本年九月に立ち上げました。外交防衛政策に深い見識を有している有識者の皆さんから、さまざまな意見を聞いているところであります。このような議論を踏まえて、政府としては、国家安全保障戦略の策定作業というのを進めておる段階であります。

 国家安全保障会議が、設置後は、国家安全保障戦略を当然審議していくことになるだろうというふうに思います。総理を中心とした関係閣僚が、外交、安全保障に関する諸課題について、これまで以上に頻繁に戦略的観点を持って審議を行っていくことになりますから、まさに政治が一層のリーダーシップを発揮することができるようになるだろうと思います。

畠中委員 ぜひ、戦略の定義からしっかりと考えていただかなければ、そう簡単にできるものではないと思うんです。ですから、我が国の国家戦略というのは、どういうものを定義して、どういうことをいうのかということも含めて、しっかりと取り組んでいただければと思っております。

 さて、今申し上げました国家安全保障戦略、NSSですけれども、それも含めて、今後は、我が国の取り組みというのを国内外に発信することで、日本の考え方とか方針を広く海外あるいは国民の皆さんに理解してもらうということは非常に重要なことだと考えますが、いかがでしょうか。また、国家安全保障局が設置されれば、そういう広報の部分についても安全保障局で行うことを想定しているのでしょうか、お聞かせください。

菅国務大臣 まず、内閣官房における広報に関する事務は、内閣広報官が今担当しておりまして、原則として、国家安全保障局が対外的な広報を事務的に行う、このことは考えておりません。内閣全体の内閣広報官が、ここはしっかり情報発信できるようにしたいというふうに思います。

 いずれにしろ、国家安全保障政策に関する我が国の方針等に関しては、対外的にどのような内容をどのような方法によって発信することが一番効果があるのか、戦略的観点から、今申し上げましたけれども、内閣広報室を中心に、関係省庁とも連携をしながら、国家安全保障局が企画立案または総合調整というものを進めていきたいというふうに思います。

畠中委員 今申し上げました国家安全保障戦略を含めて、いわゆる我が国の取り組みというのをいかにして国内外に伝えていくかということ、これは、NSCができることによって、効果的な新たな、我が国のソフトパワーとして訴えていくことができる一つになっていくと思うんです。

 これから、政策を考えていく国家安全保障会議ができて、事務局ができて、それをいわゆるソフトパワーとして使っていく方法とかというのが、きっととても重要になると思いますので、今、内閣広報官というお話をいただきましたが、ぜひ、そういったことも、今後取り組む御検討をいただければと思います。

 さて、今、秘密保全法制についても、国民の間で非常に、心配も含めて、話題になっております。そして、これから、これについても審議されていくことになろうかと思います。

 この特定秘密の保護は、インテリジェンスの問題と極めて密接にかかわっておりますから、すなわち、今審議しております国家安全保障会議とも密接にかかわっているわけでございます。すなわち、情報を取り扱う情報コミュニティーのあり方と、それから国家安全保障会議とのあり方全体を捉えて、これに対して、いわゆる民主的統制がしっかりと働くようにしなくちゃいけないのではないかと私は思います。

 例えば、アメリカあるいはイギリスにも、最近はこういう情報コミュニティー全体に対して民主的統制をかける機関ができています。例えば、立法府において国家安全保障会議や情報についての委員会を設置するとか、あるいは行政府においても情報コミュニティー全体を監視するような新たな機関を設置するとか、あるいは司法府でも考えられるかもしれません。

 今、こういった国家安全保障会議と、それから今後出てくる秘密保全の話ですね、特定秘密保全、この話をするだけでは、まだまだ実は不十分なことがたくさんあるように思いまして、そのうちの一つが、この情報コミュニティー全体に対する民主的統制の話だと思うんです。ぜひとも、今後、こういったことを早急に設置していただくようなことも考えていただかなければ、国民の不安というのは解消されないように思います。

 この民主的統制の強化について、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。

能化政府参考人 お答えいたします。

 情報コミュニティーは、内閣のもとに、相互に緊密な連携を保ちつつ、情報収集・分析活動に当たっておるわけでございまして、内閣情報会議や合同情報会議を通じるなどして、コミュニティー全体の収集、分析、集約ということに努めておるわけでございます。

 その際に、やはり、特に政府による情報収集活動につきましては、法令を遵守して適正に行わなければならないということは当然でございます。したがいまして、各情報機関は、常日ごろからそのような点を踏まえて情報収集に当たっているものと認識しております。

 ただいま民主的統制という御指摘もございましたけれども、今後、情報機能強化のあり方を検討していく中で、情報収集活動の適正の確保がより一層図られるよう、万全を期してまいりたいと存じます。

畠中委員 参考人の方にお答えいただきましたが、ちょっと予定外ではありますが、官房長官も、この民主的統制のことについてどのようにお考えか、一言お願いできますでしょうか。

菅国務大臣 情報収集というのは、当然、法令遵守のもとに行われるというのは、これは大前提であるというふうに考えています。そしてまた、情報収集活動がこれから行われる中において、その適正の確保というのも、ここは極めて大事だという認識を持っています。

畠中委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたのでこれで終了しますが、ぜひ、冒頭に申しました、国家安全保障会議、外の問題、もちろんこれも大事ですが、中の、政治のあり方、官僚主義のあり方、ここをしっかりと考えていかなくちゃならない問題だということを改めてお伝えしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日は、二十分間おつき合いをお願い申し上げます。

 まず、一般論でございますが、今般のような制度設計は、本来の適切な運用が仮になされなくなる場合でもたえられるようにする必要があるのではないかというふうに考えておりますが、官房長官の御所見をお願いいたします。

菅国務大臣 まず、国家安全保障会議創設の趣旨というのは、外交、安全保障に関する諸課題について、政治が強力なリーダーシップを発揮して、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていきたい、その趣旨であります。

 そして、我が国の存立と安全の確保は、国民の負託を受けたいかなる政権においても、基本的な責務として不変であるというふうに考えます。

 それぞれの政権において国家安全保障に責任を有する方々が、外交・安全保障政策の司令塔として、国家安全保障会議というものをしっかりと活用していくことができるようにすることが大事だと思います。

大熊委員 ありがとうございます。

 恐縮ながら、もう少し突っ込ませていただきます。

 先般、御党の石破幹事長が、この場で、予算委員会でお話しになっておられました。まともな政府ばかり続くことができるとは限らないんだというお話があったかと思うんですね。私も全く同感でございます。

 仮に、秘密保護もそうですが、本来有用なこういった仕組みを乱用する、あるいは暴走をしてしまうような、そういうことをしがちな連立政権のようなものができたとしてもたえ得る、そういう制度設計、安全思想と申しますか、そういうことは、ちょっと一般論で恐縮なんですが、大事だと思うんです。この辺、一言、もう一度お願いいたします。

菅国務大臣 機動的、戦略的であると同時に、そうした政権交代があってもたえられるものにするというのは、ある意味で当然のことだろうと思います。

大熊委員 ありがとうございます。

 それでは、つながりもあるんですが、少し各論に入らせていただきたいと思うんです。

 まず、いわゆる総理補佐官、内閣法第二十一条における総理補佐官のところで条文上明記されております進言と、また、総理の命を受けての意見の具申とある、この意見の具申ですね。進言と意見の具申、この違い。政府参考人さんでもよろしいんですが、違いは何か。文言が違いますから違うはずなので、お願いいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 総理を補佐して意見を表明するという総理補佐官の職務の執行方法に、自発的に行いますものと、命を受けていわば受動的に行いますもの、その二通りがあることを踏まえまして、内閣法におきましては、自発的に行う場合を進言と称しております。また、受動的に行います場合を意見を具申と規定しているものと承知をしております。

大熊委員 それは、国家安全保障会議設置法においても同じ意味でしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたのは、総理補佐官の一般的な規定でございます内閣法に書いてございます。

 今回、国家安全保障会議設置法におきましては、会議に出席して、総理の許可があれば意見を申し述べることができるという形で書かせていただいております。

大熊委員 総理の許可があればというのは第二条には書いていないんですが、いかがでしょう。

北崎政府参考人 国家安全保障会議設置法の、今回改正をさせていただきます八条におきましての一項でございます。「国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官は、」ちょっとはしょりますが、「会議に出席し、議長の許可を受けて意見を述べることができる。」と、ここに書かせていただいておるところでございます。

大熊委員 実は、私が問題としようとしているのは第二条の方でございまして、こちらには、総理大臣の命を受けて、必要に応じ内閣総理大臣に対し意見を述べるとなっておりません。つまりは、内閣総理大臣の命を受けてというのがないわけでございます。これは進言という意味にとってよろしいでしょうか。

北崎政府参考人 総理補佐官の一般的な規定といたしましては、内閣法の世界を書いてございます。そこにおきまして、進言と意見の具申という二つを両方書き分けておるところでございます。

大熊委員 お答えいただけていないので、総理補佐官の話は終わっておりまして、第二条に移っているわけでございますね。「会議は、」という、この主語に対することをお伺いしているわけでございます。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 この法案では、議長であります内閣総理大臣が会務を総理してございます。今回設けます国家安全保障会議は、総理の諮問がなくとも、国家安全保障に関する重要事項について審議し、必要に応じて意見を述べることが可能な仕組みというのが、二条の規定に書かせていただいております。

大熊委員 そうしますと、進言という表現ではないですが、能動的な対応だ、こういう理解で正しいでしょうか。

北崎政府参考人 委員おっしゃるとおりでございまして、会議につきましては、まさにそういう性格を今回持たせております。

大熊委員 時間が二十分しかないので、済みません、私の方から答えのようなものを言ってしまって恐縮なんですが、何を懸念しているかというと、冒頭、官房長官にお尋ねしました、現在の自公政権のことを申し上げているわけでは決してございませんで、仮に将来、何十年か後か十年後かわかりませんが、A党とB党の連立政権ができたといたしましょう。ぎりぎり過半数だ、しかも、A党とB党の差はほとんどないんだというような連立政権ができまして、かつ、B党が非常にエキセントリック、変なことを言うような政党だということだといたしましょう。

 A党、ぎりぎり主となる政党ですね、これは総理と官房長官のポストをとりました。それから、外務大臣、防衛大臣、これはB党だ、このエキセントリックな、へんてこりんな政党ですね。どうしてもこのB党がないと連立が組めない、内閣が組閣できない、こういうことで、しようがないからA党はB党と連立するんだ、こういう非常によくないケース。これが、一番で申し上げた、まともな政府ができないところでもたえられるような制度かどうか、そういう前提なわけでございますが、こういうときに、要するに進言機能があると、ちょっと危険なことが起き得るというふうに思っているわけでございます。

 つまり、B党の外務大臣と防衛大臣が、非常にエキセントリックで変なことを総理なり官房長官に言い出すわけでございます。のんでくれないと、ここ、命を受けてがなくても、第二条で進言のような能動的な機能がありますから、それによって総理、官房長官に言い出すわけです。そういうことについて協議して、何らかの方針決定をしないと連立から離脱しますよというようなことをし得るという、そこが脆弱性があるのではないか。

 すなわち、この第二条に、総理の命を受けてというような、やはり総理のリーダーシップを強化するんだ、官邸機能を強化するんだ、そういう趣旨の一言を、ある意味、内閣法の総理補佐官と半分同じように、こちらにも入れておく必要があるのではないか。その方が、一番目、最初に官房長官に伺った趣旨での、制度として、よりたえ得る、安全運転ができる、安全思想の設計になるのではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 国家安全保障会議設置法の中では、会議の議長は内閣総理大臣でございまして、その四条には、議長が会務を総理する、こうございますので、内閣総理大臣がまず会議の総理をするということかと存じます。

 もう一つ、この会議自体はあくまで審議機関でございまして、あくまで、その意見などを受けまして政府としての意思決定をしますのは内閣となっておるところでございます。

大熊委員 しかしながら、先日の防衛大臣の答弁ですと、グレーゾーンについては、平素から四大臣会合を定期的に、機動的に開催しまして、戦略的な観点から基本的な方向性を示していく、そういうふうに述べておられるんです。

 これは、決定事項というか、方向性を示すというのは、現行法の諮問を超えたものなんじゃないでしょうか。現行法の諮問どまりなんですか。違うんじゃないでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 この会議の基本的な性格はあくまで審議の機関でございまして、したがいまして、会議としての決定というのは決めることがございます。それは、いろいろな政策の基本的な方向、方針を決めることはございますが、先ほど申しましたのは、政府としての最終の意思決定をしますのはあくまで内閣ということでございます。

 以上でございます。

大熊委員 次の問いとも今のところは関係するんですが、もちろん、内閣としての意思決定、これは閣議決定ということなんですが、要は、閣議決定がないもの、要らないもので、せんだって防衛大臣が答弁された、四大臣会議でもって基本的な方向を示すんだということ、あるいは外務大臣もこの四大臣会議ではそういった権限をお持ちになるんでしょうか、ここと閣議決定事項、この違い、どういうところに線引きがなされていくのか。そこのところが非常に法律上は曖昧になっている。

 あるいは、四大臣会議で方向性が示された、それを例えば必要に応じて閣議決定を行うというような附則を入れる、この方が、冒頭に伺った安全設計、安全思想になるのではないかというふうに思うんですが、まずちょっと法制上お伺いして、それから官房長官に一言、全体観をお伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 内閣がその職権を行いますのは閣議によるものとされておりまして、国家安全保障会議の意見についても、閣議決定されていない事項は内閣全体の意思とはなりません。

 ただ、国家安全保障会議の意見は、内閣としての決定ではなくても、あらゆる行政事務を遂行するために必ず閣議の決定を経なければならないものというわけではございませんで、国家安全保障会議の審議を踏まえて関係機関が行政事務を遂行することは可能であると理解しております。

 以上でございます。

大熊委員 そうすると、その線引きが何かというのがますますわからなくなるわけでございますね、行政事務をできるということでございますから。

 その線引き、あるいはその線引きをするための思想、基本的な考え方、これは一体何なんだろうかというのを、それでは官房長官にお伺いします。

菅国務大臣 今回の国家安全保障会議の中で、閣議決定の必要な部分というのは、例えば防衛大綱とか武力攻撃事態への対処だとそれぞれ決まっていますよね、その決まっている部分。あるいは、四大臣会合においては、まさに、決定したものについて、必ずしも閣議決定をしなくていいものも当然あるわけですから。ただ、閣議決定しなければならない国家の有事に対しては、そこはきちっと決まっていますので、そこはしようがないんだろうと思います。

大熊委員 そこのところ、決まっているというふうにおっしゃいましたが、具体的に条文なり何か、特定秘密保護法関係ですと別表というようなことで、あれも曖昧だというようないろいろな議論はありますけれども、整理したものが、書面で、書いたもので、まあ答弁が信用できないということは決して申し上げませんが、書いたもので整理できないのだろうかということをお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 閣議決定が要るもの、閣議決定がなくとも、四大臣会合の方向性の結果、行政として行使できるもの、この区別は何かということでございます。

菅国務大臣 閣議決定が必要なものについて、それぞれの法律に書いていますから、そこをわかるように整理してほしいということですよね。であれば、それはさせてもらいます。

大熊委員 冒頭のリスクの懸念は、そうじゃないもの、それでできるもの、閣議決定なくできる事項というのは一体何だろうか。

 閣議決定、それは明らかだ、割と簡単だと思います。まさにグレーゾーンといいますか、防衛上のグレーゾーンというよりは、この問題でのまさにグレーゾーンが一番問題だと思います。グレーゾーンよりもっと閣議決定なくはっきりできるもの、例えば内閣総理大臣の訓示とか通達でできる事務もあると思いますね。これは多分、内閣官房令とかその他の法令で、簡単にというか明らかになっていると思います。それでは、その間、グレーゾーンは何かということをちょっと、この場じゃなくても結構なので、お願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 済みません、あと五分でございます。防衛大臣に来ていただいているので、最後の質問にちょっと飛ばせていただきます。もし時間があればまた戻らせていただきたいと思うんですが。

 NSCで、統合幕僚長さんが自衛隊法第八条に基づいて防衛大臣の指揮監督を受けることになっているわけなんですが、仮に、防衛大臣はこのNSCの会合に出なくてもよろしいというふうに統幕長に対して指揮監督した、しかしながら総理は出てほしいというふうに意見が異なった場合、これは法制上どうなるんでしょうか。

小野寺国務大臣 国家安全保障会議は、外交、安全保障に関する諸課題について、総理を中心として、私を含む関係閣僚が平素から戦略的観点を持って審議を行い、強力な政治的リーダーシップを発揮して、政府として国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていくために設置されるものであります。

 そのため、総理の統合幕僚長への出席要請に対し、私がこれを認めないというような状況はそもそも想定されていないというふうに思っております。

大熊委員 ですから、冒頭申し上げた、まともな政府ができるとは限らないという前提が、全部、全ての質問にかかっているわけでございます。官房長官、笑っておられる。そういうまともな、今の自公政権、余り褒めてもあれですが、まともな自公政権ばかりとは限らないわけです。そのとき、法制上どうなっているかを伺っているんです。

小野寺国務大臣 委員の御指摘の中で、それは法制上の問題というよりも、むしろ政権自体の問題に帰するものだと思いますので、法制上幾ら縛ろうとしても、最終的に総理のリーダーシップが発揮できないような、あるいは内閣が不一致するような、そういう政治体制では、どのような形をつくってもうまく機能しないのではないかと思っております。

大熊委員 制度設計、法制上の措置を諦めちゃいけないと私は信じておりまして、だから、冒頭申し上げたように、法制上の措置では、大臣おっしゃるように一〇〇%は防げませんよ、だけれども、最善の努力をすることは必要なんじゃないかというふうに思って伺っておるわけでございます。

 そうなると、ここのところ、法制上、どうしても文言上は矛盾するように受け取られるわけです。例えば防衛大臣の指揮監督のもとにとか入れれば、それは法制上問題なくなると思いますけれども、どうなんでしょうか。

小野寺国務大臣 御指摘、重々私どもも内容はよく理解しておりますが、法案第八条第二項において、議長たる総理は、必要があると認めるときは、統合幕僚長を会議に出席させ、意見を述べさせることができると明記されておりますので、議長たる総理の権限において統合幕僚長を会議に当然出席させ意見を述べさせることができるものと考えており、それに反するような指示を私が出すことはあり得ないと思っております。

大熊委員 事務方の答弁でもそういうことになると思いますので、ありがとうございました。

 残り一分で、残った国家戦略スタッフとの関係をちょっとだけお伺いしたいんですが、公務員改革の基本法で、国家戦略スタッフを置く、総理を補佐する職として置くというふうに書いてございますが、今回の国家安全保障局長をこの国家戦略スタッフとして措置すればよかったのではないかなというふうに思います。

 済みません、質問時間が終了いたしましたので、ちょっと意見表明ということだけさせていただいて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案の内容に入る前に、官房長官に一点確認をしておきたいと思います。

 先日、二十五日の本会議における答弁で、安倍首相は、通常、内閣総理大臣と答弁するところを、私という表現を使っておられました。官房長官もそうでした。なぜそのような表現を使われたのか、まず、その点をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

額賀委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

額賀委員長 速記を起こしてください。

 菅官房長官。

菅国務大臣 総理大臣が私と答えたということでありますけれども、総理大臣が私と答えて、私は違和感がないと思うんですけれども。

赤嶺委員 官房長官もそう答えて、違和感がないとおっしゃるんですが、私は、これは、先ほどの議論にもありましたように、制度設計の話ですから、やはり、総理大臣の命を受けてとか官房長官の指揮のもととか、そういうぐあいに言うものじゃないかなと思って、議場で非常に異な感じをしたものですから。しかも、そういう答弁をやっていくと、やはり制度設計がきちんとしなくなって、何か非常に危ういものを私は感じたということを申し上げておきたいと思います。

 このように感じる議員もいるんだということですね。これは、中谷先生への答弁とか遠山先生への答弁の中で使っておられましたが。

 そこで伺いますけれども、今回の法案は、現行の安全保障会議を国家安全保障会議に衣がえするものであります。

 まず、基本的な点から伺いますが、そもそも国家安全保障とは何ですか。

菅国務大臣 我が国の安全保障、国家安全保障については何かということでありますけれども、安全保障という言葉の意味については、従来から必ずしも明確に定義をされたことはなかったというふうに思いますけれども、一般的に言って、外部からの侵略等の脅威に対して、外交政策及び防衛政策等を駆使して国及び国民の安全を保障する、そうしたものがこの国家安全保障だというふうに考えます。

赤嶺委員 今、官房長官がお答えになったとおり。

 ただ、これは、質問主意書に対して、明確に定義を答えているんですね。

 政府は、二〇一一年十一月の閣議決定の中で、安全保障という言葉を定義しております。一般的に、外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障することを意味するもの、このように見解を示しています。安全保障とは、武力攻撃への対応を基本とする概念だということです。

 法案では、「我が国の安全保障(以下「国家安全保障」」、このように規定をしているわけです。

 我が国の安全保障と国家安全保障を同義語として使っているわけですから、国家安全保障とは、我が国に対する武力攻撃への対応を基本とする概念ということになるはずだと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 私は今、答弁を申し上げましたけれども、それと、国家安全保障会議で扱う事項は、こうした……(赤嶺委員「いやいや、国家安全保障についての定義です。扱う事項は後でやります」と呼ぶ)

 いずれにしろ、先ほど申し上げましたけれども、安全保障という言葉の意味は先ほど申し上げたとおりでありますから、我が国の安全保障、国家安全保障という用語を使用しているということです。

赤嶺委員 今までの考え方でいくと、そうなるだろうと思うんですよね。

 ところが、先日の本会議では、国家安全保障とは、従来の国防に比べて、より包括的な概念である、このような説明でありました。四大臣会合における具体的なテーマとしては、在日米軍再編、対中関係、北朝鮮の核・ミサイル問題、我が国の領土をめぐる諸課題を挙げて、さらには、テロ対策、自然災害、TPPも審議を行うことはあり得る、このように答弁されておりました。

 武力攻撃への対応どころか、外交や治安や経済や自然災害への対応など、どこまでも広がりかねない概念だということになってしまいます。

 我が国の安全保障を国家安全保障とする法案の規定ぶりと矛盾すると思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 私は矛盾しないと思います。

赤嶺委員 安全保障は、ですから、武力攻撃に対処する事態のことを今まで言ってきたわけですよね。今回、概念を広げているわけですよね。広げていませんか。TPPまで広げていますでしょう。そこが矛盾しないかと聞いているんですよ。

 では、矛盾しないというのであれば、何でそれが矛盾しないのか、私がわかるように答弁していただけますか。

菅国務大臣 先ほどの答弁の中でも、外部からの侵略等の脅威に対して、外交政策及び防衛政策等を駆使して国家及び国民の安全を保障することを意味するということの答弁をしております。

 まさに、以前からこの侵略等ということを使っておるわけでありますから、私は全く、今委員から質問があったことについては矛盾しないと思います。

赤嶺委員 やはり、ちょっと聞いていてわからないですよね。(発言する者あり)わからないという声も上がっております。与党はよくわかるという声があって。質問の趣旨もよくわかった上でわからないとおっしゃっているわけですよ。

 それで、やはりここは、安全保障と国家安全保障、国家安全保障の概念というのはどこまで広がっていくのか、こういうことについて定義を明確にしないと、法案の基本ですから、委員長、これはちゃんと定義を明確にするように、理事会でもちゃんと説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

額賀委員長 いろいろな議論があると思いますが、御提案ですから、理事会で諮りたいと思います。

赤嶺委員 そういうことであります。

 重要なことは、国家安全保障のためとして、政府がどういう対応をとるのかという点です。

 総理は、先日の本会議でも、積極的平和主義について触れた部分で、もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることはできない、我が国の平和を守るためには、地域や世界の平和と安定を確保していくことが必要だ、このように答弁をされました。

 地域や世界の平和と安定を確保していくために、必要なら集団的自衛権を行使する、そのために有識者による検討を再開した、そういうことですね。

菅国務大臣 今の現実問題として、我が国一国で平和を守れる状況ではないというふうに考えるのは当然のことだというふうに思います。

 総理が集団的自衛権のお話をされたということでありますけれども、この集団的自衛権については、今、懇談会で議論をしていただいている段階であります。

赤嶺委員 安倍首相は、今月二十七日の自衛隊の観閲式で、平素は訓練さえしていればよいとか、防衛力はその存在だけで抑止力となるといった従来の発想は、この際、完全に捨て去ってもらわねばならない、力による現状変更は許さないとの我が国の確固たる国家意思を示すと述べました。

 きのう私が安保委員会でも質問した事項なんですが、来月には、本土から沖縄に大規模な陸海空三自衛隊の部隊が展開して、米軍の射爆撃場を初めて使った艦砲射撃、上陸訓練、これを行おうとしています。沖縄本島と宮古島の間の海域を全て射程におさめる地対艦ミサイル部隊も展開をいたします。特定の国を念頭に置いて軍事的に威圧しようとすることであることは明らかであります。

 安倍内閣がやろうとしていることは、従来の専守防衛の建前さえ完全に捨て去って、軍事力を中心に据えて対外政策を進めていく、そういうことではありませんか。

小野寺国務大臣 自衛隊としての訓練のお話ですので、お答えをさせていただきます。

 私どもは、常日ごろ、日本の国民そして財産、領土、領海、領空を守るためにさまざまな訓練を行います。今回もその訓練の一環として行わせていただくだけであり、特定の国に対して何か意識したものではございません。

赤嶺委員 そのように言って通用するのはこの永田町の世界だけでありまして、実際に、沖縄本島と宮古島の間を射程に入れるとか、こんな訓練を、地上戦を体験し、悲惨な体験をした沖縄で有事を想定した訓練をやること自体がそもそも間違っているんですよ。それを、特定の国を想定しているとかしていないとか、こんな観念論では通用しないですよ。そういうことを申し上げておきたいと思います。

 実際にやろうとしていることは、先ほど、そうだそうだと自民党席の方からも声が上がっておりましたが、集団的自衛権の行使容認に向けた検討であり、軍事的威圧を狙った大規模な軍事演習であります。危険きわまりないものだということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 引き続き官房長官に伺いますが、今回の法案で会議の名称を安全保障会議から国家安全保障会議と変更する理由について、安倍首相は、国を挙げて国家安全保障政策を進めていく必要がある、このように答弁をいたしました。これは具体的にどういうことを指しているんですか。

菅国務大臣 今度の審議事項の中で、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項に比べ、今回は、より包括的な概念である国家安全保障に関する重要事項とすることにしたわけでありますので、会議の名称は、国家安全保障に関する重要事項という中でありますから、国家安全保障会議になったということです。

赤嶺委員 その中で、国を挙げて、このように出てきますけれども、国を挙げてという中に国民は含まれますか。

菅国務大臣 国家国民の安全を守るのが私どもの仕事でありますから、当然そういう形になると思います。

赤嶺委員 先日のいわゆる安防懇で示されました国家安全保障戦略のイメージを見てみました。社会的基盤の強化として、「国際協調の精神と開かれた形での国を愛する心の涵養」という言葉が盛り込まれております。

 これは、国家安全保障政策を進めていくために、国民の間に愛国心を育てていくということですか。

菅国務大臣 その点については、懇談会の議論の中であったということであります。

赤嶺委員 懇談会で議論され、イメージも出され、近いうち、政府は国家安全保障戦略としてこれを確定していく。

 そのイメージの中で、あと一点伺いますが、技術力の維持強化として、「産官学が連携し、科学技術を安全保障分野で有効活用」としております。

 これは、国家安全保障政策を進めていくために経済界や大学の技術力も動員していく、こういうことですか。

菅国務大臣 それも懇談会でありますけれども、そこはある意味で当然のことではないかなというふうに思います。

赤嶺委員 ここは答えて、愛国心のところは答えを避けるというのも、これもまた官房長官らしくないですよね。一言言っておきますけれども。

 しかし、この二つをとってみても、これはまるで国民総動員体制づくりであると言わざるを得ません。

 現行憲法の前文は「日本国民は、」という言葉から始まりますが、自民党の憲法改正案、関係者もたくさんおられますけれども、その憲法改正案を見ますと、「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、」このように表現が自民党案では変わっております。

 その上で、第十二条で、自民党案では、国民の責務を規定して、「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。」このように規定しています。

 要するに、国家の安全保障政策のためには基本的人権の制約は甘んじて受け入れよ、国策には協力せよということであります。

 今回の国家安全保障会議への名称の変更は、自民党の憲法草案にある国家主義的な考え方と通底するものではないかと思いますが、官房長官はいかがですか。

菅国務大臣 余り、心配し過ぎかなというふうに思っています。

 私ども自民党は、立党以来、憲法改正というのが自民党の党是でありました。そういう中で、そうした自民党としての考え方を述べていることだろうと思います。

赤嶺委員 私の心配には実は根拠がありまして、現行の安全保障会議は、一九八六年に、当時の中曽根内閣のもとで、それまでの国防会議を引き継ぐ形で設置をされました。もともと自民党の選挙公約や内閣官房が作成した当時の原案では国家安全保障会議の名称が使用されておりましたが、実際には国家という言葉を除いたものが法案として提出をされました。

 その理由について、当時の中曽根首相は、国家安全保障会議というと非常にいかめしく感じて、幅の広さというものが失われる、そういう配慮もあって国家をとった、このように国会で答弁されております。その答弁は、官房長官、そういうことでよろしいですか。

菅国務大臣 当時のことは今委員が指摘をされたということでありますけれども、現代においては、私は、国家安全保障会議というのは全く違和感がなくて、先ほども申し上げたとおりのことで、当然のことだろうと思います。

赤嶺委員 何で国家が入らずに安全保障会議ということで今日まで続いてきたかという歴史を検証するというのは、これは大事だと思いますよ、立場の違い、意見の違いはあっても。今は心配するなと言って、当時、自民党の中曽根さんがこういうことを言っているわけですよ。だから、当時の報道を見ていたら、国家を外すことにしたのは、国家主義的なイメージを与えかねず、野党などに無用な刺激を与えるとの異論が政府・自民党内から出されたためだ、このように報じられているわけです。

 結局、今回の名称変更は、当時国民世論との関係で外さざるを得なかった国家という文字を、当時外された国家という文字を今日取り戻す、こういうことになっていると思うんですよね。

 第一次安倍内閣が掲げた戦後レジームからの脱却を象徴するものではないかと指摘せざるを得ません。国家の安全保障政策に国民を動員する時代錯誤、これは許されないということを指摘して、質問を終わります。

 自民党も、そういう立場の違う党の意見は広く聞くという、多数の数を握った政権与党だからといってそういう聞く姿勢を失ったらまた政権交代が近いという懸念も申し上げまして、質問を終わります。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 官房長官、長時間ほとんどお一人で答弁をなさっていて、お疲れもたまっていらっしゃると思います。私の質問も、きょうの各委員からの質問と少し重複するかもしれないんですが、ひとつ時間まで御答弁をお願いしたいと思います。

 さて、きょう、私はこの委員会での最初の質問ですので、本当に基本的なことを改めて聞かせていただきたいと思います。

 まず、今回、国家安全保障会議を設置するという点についてお伺いしたいと思います。

 内閣総理大臣を中心に、日常的、機動的に審議する場を創設する、そして政治の強力なリーダーシップを発揮できる環境を整えることが重要であるというふうに挙げられています。そして、総理大臣、外務大臣、防衛大臣、官房長官の審議体を創設するということも挙げられています。

 今回、いわゆる会合の形態が三つになるわけでございますが、その三つの形態となる各会合における役割についてを、まずお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 委員の御指摘のとおり、四大臣会議、九大臣会議、そして緊急事態大臣会合、それぞれ三つの会合があるわけであります。

 四大臣会合は、外交、安全保障に関する課題に対して、総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣が平素から審議を行って、国家安全保障に関する外交、安全保障の司令塔として機能し、戦略的な観点から基本的な方向性を示すための会合というふうに考えていただきたいと思います。

 九大臣会合は、かつてから存在をしているわけでありますけれども、防衛大綱、武力攻撃事態等及び周辺事態への対処等の国防に関する重要事項に関して審議を行い、従来の安全保障会議の文民統制機能を維持していくための会であります。

 そして、緊急大臣会合は、緊急事態に際し、国家安全保障に関する重要事項について高度に政治的な判断を行い、国家安全保障の観点から政府がとるべき措置等について、これは総理にも建議できるという形にもなっております。

玉城委員 ありがとうございます。

 このように、三つの会合はそれぞれ、異なるとは申しませんが、その審議される内容についても、例えば迅速性があることですとか、あるいは文民統制機能がきちっと働いていることなど、あるいは緊急事態に対して、即応といいますか、すぐ対応できるようにすることということで、それぞれ挙げられています。

 これまでの九大臣会合における総合的、多角的な観点の審議から、より細分化されて会議が持たれることになるわけですが、今、官房長官もおっしゃった、司令塔になるということを考えると、この四大臣会合にかける今回の国家安全保障会議の中での位置づけは、やはり安倍政権の核になる部分といいますか、肝になる部分、かなめの部分ということで、大変重点を置いていると思います。

 その四大臣会合を中核に置く意義についてどのような見解を持っていらっしゃるか、官房長官の見解をお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、四大臣会合が国家安全保障会議の中核であることは間違いありません。

 我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい中で、総理を中心として、関係閣僚が平素から戦略的観点を持って審議を行い、政治が強力なリーダーシップを持って行う。そうした考え方の中で、現行の安全保障会議を発展的に改組して、四大臣会合を中核とする国家安全保障会議を設置することにしました。

 この四大臣会合は二週間に一回程度行って、まさに外交、安全保障について、総理を中心に、この四閣僚が我が国のさまざまな政策、さらには状況というものを常に共有をしていこうという考え方でありまして、従来以上に機動的、戦略的に進めていくことのできる会合だというふうに位置づけをしております。

玉城委員 今のお話を聞きますと、やはり、二週間に一度程度、もしくは事態によってはもっと頻繁に行われるかもしれないということを考えますと、この四大臣会合が、これからさまざまな幅広いことについて、まず情報共有していこうということになると思います。

 そのことについては、また後刻の委員会で、細かい点についてはお聞かせいただきたいんですが、一点、私が懸念することは、この四大臣会合をつくることによって、現在の安倍政権が、ほぼ恐らくそういう形に国民の皆さんも見えていらっしゃるのではないかという懸念が一点だけあります。それはトップダウンです。国が決めて、それを実行させる。それが、例えば地域主権にかかわる問題から、今回は国家安全保障にかかわる問題にまで、トップダウンのスタイルが出てきている。そのことについては、さまざまな委員会でもまたいろいろな議論もあると思いますので、その懸念は、一つ、私ははっきり申し上げておきたいなというふうに思います。

 そして、緊急事態大臣会合についてまたお聞かせいただきたいと思いますが、この緊急事態大臣会合では、総理に建議できるという位置づけになっています。しかも、あらかじめ内閣総理大臣により指定された国務大臣によって個別の案件について会合が開催されるということで、資料によりますと、これはイメージというふうに参考資料ではあるんですが、例えば領海侵入・不法上陸事案、放射能物質テロ事案、そして大量避難民事案などなど、このように、やはり緊急事態に対処するいろいろなことが想定されるのではないかと思います。

 この緊急事態大臣会合には、実は私も、このことを少し、定義として確認をしておきたい言葉があります。それは、この緊急事態会合、総理に建議できるというこの会合における、高度に政治的判断を求められる重要事項に関する審議という点について、これはどういうことを意味していらっしゃるのでしょうか。お聞かせください。

菅国務大臣 この緊急事態大臣会合は、今委員から事例の指摘がありましたけれども、そうしたことが発生をするという状況になったときに、事前に、それに関係する大臣が、中で緊急大臣会合というのを開催するわけであります。そして、総理に建議することができるとなっていますから、例えば武力攻撃事態に際して、政府としてどのような内容を対処基本方針に盛り込み、どのような具体的措置を講ずるべきか、そうしたことを、それぞれの所管の大臣から建議をしようということであります。

玉城委員 では、確認をさせていただきたいと思いますが、この建議できるという緊急事態大臣会合は、文民統制機能を従来どおり持つと言われている九大臣会合も、さらに会合を重ね、そこから閣議に上げる、そういう手順を想定しているのでしょうか。

菅国務大臣 当然、従来の安保会議の文民統制機能維持に必要なもの、これは決まっていますから、そこはそこに上げて、その上で閣議で内閣としての意思を示すということは、それは当然のことだと思います。

玉城委員 一つ一つ、この特別委員会でも確認をしていきながら、全体像はしっかり把握させていただきたいと思います。

 それから、今回の改正については、いろいろな新しい、新しいといいますか、従来、安倍総理大臣が、かねてからいろいろな提案を受け、そして固めてこられた気持ちの中での、いろいろな新設のポストなども入ってこようということが述べられています。

 本法案改正によって常設されることになるポストの国家安全保障担当総理補佐官、この総理補佐官の役割と、それから、その補佐官を起用するに当たって、どういうふうなことを考えとして持っていらっしゃるか、お聞かせください。

菅国務大臣 この常設化される国家安全保障担当総理補佐官は、現在、総理補佐官の中から総理が指名するわけでありますけれども、総理直属のスタッフとして、国家安全保障会議に出席するなど、国家安全保障に関する重要施策に関し、総理に対して助言を行い、その判断を助ける、そういう役割を期待いたしております。

 総理補佐官は、特別職の国家公務員であり、総理大臣がこれは人選をするわけでありますけれども、総理が人選します、私が答える立場にはありませんけれども、制度的には、これは民間人でも国会議員でも、登用は可能であるというふうに考えます。

玉城委員 そうしますと、総理にアドバイスをするということから考えますと、安全保障のみならず、幅広く、例えば諸外国の歴史でありますとか、あるいはこれまでに出された外交問題に関する文献ですとか、本当にそこの造詣の深いといいますか、見識の深い方が充てられるのかなというふうに、私はそういうふうに思うんですね。

 しかも、この総理補佐官は、例えば四大臣会合に出席し、参加をして、そこで総理から意見を求められたら意見をすることができるというポストにもなっているわけですよね。

菅国務大臣 総理の指名によってそうしたことが可能であるということであります。

玉城委員 であれば、私は、本会議での質問にもさせていただいたんですが、それだけ総理の意向が明確になるというふうな補佐官の起用が考えられると思います。

 しかし、その一方で、例えばトップダウン方式を強くしていくというふうなことを考えますと、この総理補佐官に当たられる方によっては、どなたがどうなるか、あるいは、その個人をあえて想定して私は否定や肯定をしているわけではないんですが、その補佐官の考え方が逆に総理に影響を与える、つまり、総理の判断に対して、余りにも身近にいる存在で、しかも頼れる専門的な方だからこそ、ある意味、のりを越えたものも委ねてしまうのではないかなというふうなことも懸念をされるわけですね。それも私はひとつ、この役割について、起用については、少しまた研究をさせていただきたいなというふうに思う次第であります。

 それでは、続いて、国家安全保障局について質問をさせていただきます。

 専従の組織として新設される国家安全保障局ですが、その役割等、これまでの各委員の質問とその答弁を聞いておりますと、やはり相当、各省庁の横断的なといいますか、要するに、横串を刺すような、そういう機能、体制となることが想定されるということははっきりしているところだと思います。

 そこで、改めて、この局の構成について、その体制がどのようになるのか、あるいはその陣容、それから、全体的に、これまでにも数字としては挙がっていますけれども、どのぐらいの規模の人数、体制などになるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 国家安全保障局は、総理のリーダーシップの発揮を強力にサポートし、平素から、総理の意向を踏まえて、国家安全保障政策の企画立案、そして総合調整に従事する、そういう意味では極めて大事な部署でありまして、規模的には六十名程度を予定いたしています。

 そして、局の体制は、総括、調整に従事する班、インテリジェンスコミュニティーとの連絡調整に従事する班のほか、地域別、あるいは各種の安全保障政策、テーマごとに対しての企画立案、総合調整、こうしたものに従事する班を複数置くということになっています。

 また、職員の人事については、特定の省庁に偏ることなく、多様なバックグラウンドを持った、優秀な、これは民間も含めて、人材を集めるように、今後検討していきたいというふうに考えます。

玉城委員 やはりそこにも民間からの知見を持った方を登用するということがありますので、それは後の質問の方でもまた触れさせていただきますけれども、その中で、特に緊密に連携する重要な位置づけにあるのが、内閣危機管理監と国家安全保障局長、この二つのポストだと思います。

 緊密に連携する役割を持ったそれぞれの職務について、お聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 今申し上げましたように、国家安全保障局というのは、国家安全保障の企画立案そして総合調整を行う場所であります。そしてまた、緊急事態に対しての事態対処は、これは担わない場所であります。

 企画立案、総合調整をこの国家安全保障局が行う。そして、危機管理監はまさにその事態対処を行うところでありますから、平素から緊密に連携をとって、私の指揮のもとにこの国家安全保障局長と危機管理監が緊密に連携を持ちながら物事を進めていく、そうした体制を考えています。

玉城委員 ありがとうございました。

 関連する質問でしたので、一つ質問を飛ばして、今度は、安全保障会議及び安全保障局の扱う情報についてを、残りの時間、もう少し質問させていただきたいと思います。

 会議に資する情報を管理、まあ企画もしたり検討もしたり、当然、管理をしたりするということは、膨大な量かつ本当に細かい内容の情報を各省庁に求め、あるいは安全保障局でそれを集約して会議に諮っていくということがあります。ですから、その情報管理と守秘義務の徹底が必要不可欠となるということは、もう言うまでもありません。

 後ほどそれも述べさせていただきますが、それでは、このNSCの会合へ提供された情報について、この国家安全保障局の組織内での、考えられる、想定できる管理の仕組みというのは、どういうふうに位置づけておられるでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 国家安全保障会議におきまして実質的な議論を行い、また、国家安全保障局において国家安全保障政策の企画立案、総合調整を行うに当たっては、質の高い情報が、委員おっしゃるように、必要不可欠でございます。国家安全保障会議及び国家安全保障局に関係省庁から有益な情報がしっかり提供されるためにも、適切な情報保全措置を講じていく所存でございます。

 具体的には、国家安全保障局においては、国家安全保障会議や国家安全保障局の資料の管理、保全に関する厳格なルールづくりをやらせていただきたいと思っておりますし、物理的な保全措置につきましても講じさせていただきたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございました。

 また、この件に関しても、委員会で丁寧な審議を深めていきたいなというふうに思います。

 さて、これまでやはり懸念されることは、民間人も起用する、登用する、あるいは、省内でそれぞれその専門的な担当に当たっている方々も登用するということはもちろんですけれども、これまで以上の情報管理が求められるという観点から、国家安全保障会議の創設に関する有識者会議から、これは平成二十五年五月二十八日の会議の報告なんですが、秘密保護の体制整備を整えなければならないという意見が付されています。

 本法案の第七条「服務」、「議長及び議員並びに」というその条文の中には、「その職務に関して知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。」という服務規定はあるんですが、守秘義務についての罰則規定は置かれていないというふうに本員は捉えております。

 このことは、特定秘密に関する保護の法律の整備について、この有識者会議は、秘密保護の体制整備を整えなければならないという、やはりその法律の整備について言及しているという意味づけになっているのか、どのように受けとめていらっしゃるのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の施行の前後にかかわらず、国家安全保障会議や国家安全保障局の資料等について適切な保全措置を講じていくことが必要であると、有識者会議でも委員御指摘のとおり指摘をされているところでございます。

 特定秘密保護法が成立いたしますれば、外国の関係機関などから、秘匿性の高い情報が、より適切な形で、より迅速に提供されることが期待されておりますので、会議の質の向上につながるものであると考えておりまして、したがって、特定秘密保護法の成立は、会議の効果的な審議に大いに資するものであるということ、そういう趣旨からの有識者での御議論があったかと記憶してございます。

 以上でございます。

玉城委員 外国からの情報のやりとりをする、得がたい情報が得られるので秘密保護法をつくります、簡単にストレートに言いますとそういうふうな印象にも受け取れる今の審議官の答弁ではありましたけれども、この件についてもまた後日改めて、しっかりと議論させていただきたいと思います。

 しかし、やはり一点、今の段階で国民がどういうふうに考えていらっしゃるかということを、最後に官房長官に少しお話をさせてください。

 これは新聞の共同通信社の世論調査なんですが、特定秘密保護法案に反対という意見が半数を超えた、そういう記事が載っています。反対五〇・六%、賛成三五・九%。これはまだ法案の審議に入っていない段階ですので、この数字がどういうものであるかということは、これからその形がしっかり見えてくることによって、またいろいろ変わってくるとは思います。

 しかし、その一方で、特定秘密保護法に深くかかわっている防衛秘密を管理する防衛省によって二〇一一年までの五年間に廃棄した秘密指定文書は三万四千件に上ることが二十七日の取材でわかったということが新聞に載っています。つまり、どの文書を廃棄してどの文書を秘密特定するかということは、まさにこれからの審議になってくると思うんですね。

 そういうことを考えると、先ほどの審議官の答弁では、秘密保護法を整備することによって、諸外国との防衛機密に関するやりとりがもっとしやすくなるんだというふうなお話ではありますけれども、そもそも、国民の知る権利ということに対して、このNSCの法案もそうですけれども、細部に対して細かく、本当に国民の理解を得られる、その理解をもとにして、では、どういうふうにして組織や秘密の保護についてしっかり決めていくのかということが具体的にやはり見えてこないと、なかなか短い審議時間の中では、NSC全体の構成、あるいはその内容、当然ですけれども、これから上がってくる法案の審議などなどにも、国民の関心も相当高いものがあるというふうに思います。

 その点について、最後に官房長官の御意見をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 特定秘密保護法案については、今、新聞の世論調査の話がありましたけれども、その前はかなり賛同する方が多かったように記憶をいたしております。

 いずれにしろ、国会に法案を提出させていただいていますので、ぜひ委員会の中でしっかり審議をさせていただいて、そして内容を明らかにすることによって、必ず国民の皆さんから理解を得られるように、政府としても努力していきたいと思います。

玉城委員 ありがとうございました。

 時間前ですが、終わらせていただきます。ニフェーデービタン。

額賀委員長 次回は、明三十一日木曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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