衆議院

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第12号 平成25年11月13日(水曜日)

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平成二十五年十一月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      池田 道孝君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    小池百合子君

      薗浦健太郎君    津島  淳君

      辻  清人君    寺田  稔君

      中谷 真一君    中山 泰秀君

      西銘恒三郎君    野中  厚君

      橋本  岳君    星野 剛士君

      牧島かれん君    町村 信孝君

      山際大志郎君    近藤 昭一君

      長島 昭久君    渡辺  周君

      今村 洋史君    丸山 穂高君

      山田  宏君    大口 善徳君

      佐藤 英道君    井出 庸生君

      赤嶺 政賢君    玉城デニー君

    …………………………………

   参考人

   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      長谷部恭男君

   参考人

   (上智大学文学部新聞学科教授)          田島 泰彦君

   参考人

   (早稲田大学客員教授)  春名 幹男君

   参考人

   (法政大学人間環境学部教授)           永野 秀雄君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  遠山 清彦君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 英道君     遠山 清彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特定秘密の保護に関する法律案(内閣提出第九号)

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(枝野幸男君外二名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定秘密の保護に関する法律案及び枝野幸男君外二名提出、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科教授長谷部恭男君、上智大学文学部新聞学科教授田島泰彦君、早稲田大学客員教授春名幹男君、法政大学人間環境学部教授永野秀雄君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に対しまして、一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用なところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、この委員会の審議を有意義なものにしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 議事の順序について御説明申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと思います。

 念のため申し上げますけれども、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 それでは、まず長谷部参考人にお願いをいたします。

長谷部参考人 長谷部でございます。

 本日は、このような意見を陳述する機会を与えていただきまして、大変感謝を申し上げております。どうもありがとうございます。

 簡単なA4のレジュメを用意しておりますので、それに沿いまして話を進めてまいります。

 内閣から提出されております特定秘密保護法案でございますが、さまざまな批判がなされておりますので、そのうち主なものの幾つかにつきまして、私の所見を述べさせていただきたいと存じます。

 まず第一に、そもそもこの日本という国には特別の保護に値する秘密など存在しない、そういう立場も理論的にはあり得るとは思いますが、余り常識的な立場ではないだろうと思われます。そして、そうした特別な保護に値する秘密、これを政府が保有しているという場合には、みだりに漏えい等が起こらないよう対処しようとすることには高度の緊要性が認められますし、それに必要な制度を整備すること、これも十分に合理的なことであり得ると考えております。ほかの国でも、御案内のとおり、類似の制度は少なくございません。

 それから第二に、この法案の別表の記載等によりまして、何が特別な保護に値する秘密なのか、基本的な考え方は示されているわけですが、より具体的に言って、どのような情報が特別な保護に値する特定秘密なのかがわからないではないか、よくわからない、これが批判の対象とされることもございます。

 ただ、これは、閣僚や国会議員の方々を含めまして、人はおよそ全知全能ではございませんので、何が特別な保護に値する秘密なのかをあらかじめ隅々まで確定する、これはおよそ不可能でございまして、その答えは、具体的な事例ごと、専門知識を持つ各部署で判断し、個別に指定をしていくしかない、そのことによるものではないかと考えております。

 類似の法制度は世の中一般に広く見られるところでございまして、例えば独占禁止法という法律がございます、少し離れることになりますが。この法律は、不公正な取引方法を用いること、これを禁止しております。ただ、具体的に何が不公正な取引方法に当たるか、これは法律自体では定めてはおりません。

 と申しますのも、その答えは、具体的な取引の状況ごとに異なりますし、その時々の取引慣行あるいは商品の需給状況によっても異なることになり得るからであります。そこで、専門知識を持つ公正取引委員会に、具体的な事例に即して、何がこういう不公正な取引方法であるかを告示で示す、そういう権限が与えられております。

 もちろん、誰が考えても不公正だろう、そういった事例でありますとか、誰が考えてもそうではないだろうと言える事例、これはあらかじめ答えることが可能かもしれませんが、その中間的な類型のどれがそれに当たるか、これは全知全能でない立法者には事前にはわからない、そのためにこういう法制度がとられております。

 特定秘密につきましても事情は同様と考えることができるわけでございまして、誰が考えても特別な保護に値する情報だろう、誰が考えてもそれには当たらないだろう、そういう情報をあらかじめ例示することはできると思われますが、その他の情報、これは具体的な事例ごとに、専門知識を持つ各行政機関で的確、合理的に判断し、その都度指定をしていくしかないのではないかと思われます。いわば暗闇の中で立法者があらかじめ確定をしてしまうというわけには、なかなかいかないもののように思われます。

 それから第三に、この法案は、ごらんのとおり、政府が保有する情報の中で、公になっていないものであって、かつ特定秘密として指定されたものにつきましては、それを漏えいする行為、あるいは漏えいを唆したり扇動したりする行為、それらを処罰の対象としております。

 ただ、世の中一般におきましては、民間の方が独自に収集をした情報でありますとか、既に公になっている情報についても、その保有が処罰の対象とされかねないという、言ってみれば、一種のホラーストーリーが流布をしております。

 もちろん、こんなことを処罰の対象にすることには私自身も絶対に反対でございますが、ただ、これはこの法案の内容とは違う話でございますので、この種のホラーストーリーも、この法案を批判する根拠には余りならないのではないかというふうに私は考えております。

 それから第四、それでも、この法案の罰則規定には当たらないはずの行為に関しましても、例えば、捜査当局がこの法案の罰則規定違反の疑いで逮捕や捜索を行う危険性、それはあるのではないかと言われることがございます。

 我が国の刑事司法は、御案内のとおり、捜索や逮捕につきましては令状主義をとっておりまして、令状をとるには、罪を犯したと考えられる相当の理由ですとか捜索の必要性、これを示す必要がございますので、そうした危険がそうそうあるとは私は考えておりませんが、もちろん、中には大変な悪巧みをする捜査官がいて、悪知恵を働かせて逮捕や捜索をするという可能性はないとは言い切れません。

 ただ、そうした捜査官は、実はどんな法律であっても悪用するでございましょうから、そうした捜査官が出現する可能性が否定できないということは、まさにこの法案を取り上げて批判する根拠にはやはりならないのではないか。むしろ、そうした捜査官が仮に出現するのでありましたら、そうした人たちにいかに対処するのか、その問題に注意を向けるべきではないかと考えております。

 それから第五に、この法案、これは報道機関の取材活動に悪影響を及ぼすのではないかという懸念が示されることもございます。

 ただ、広く知られておりますとおり、いわゆる外務省秘密電文漏えい事件に関する最高裁の決定がございまして、これは平たく申しますと、よほどおかしな取材の仕方をしない限りは、報道機関が情報の開示を公務員に求めたからといって、処罰されることはないと言っております。

 この法案の第二十一条第二項の条文は、こうした判例の考え方はこの法案に対しても当てはまるのだ、そのことを改めて確認しているものと考えております。

 これは、報道機関に対しまして、一種、一般市民には認められないような特権を認める考え方のあらわれでございまして、報道機関の取材、報道活動、これが民主主義社会を支える重要な役割を果たす、それを根拠にするものでございます。

 ただ、この条項につきましても、具体的に言って、では誰が報道機関のメンバーと言えるかが明確ではないという批判が聞かれております。

 私自身は、これはさほど困った問題ではないと考えております。常識的に申しまして、誰が報道機関のメンバーであるか、これは大部分の場合は容易に判断できるはずでございます。

 また、仮に判断の難しい事例が起こり得るといたしましても、そうした判断が求められますのは、実際に特定秘密の漏えいを唆す行為等がなされた場合でしょうから、そうした事件が実際に発生をしたときに、その具体的な状況に即して、果たしてその当事者が報道機関のメンバーと言えるのか、その行為が公益を図る目的からなされたもので、しかも、著しく不当な方法によるものと言えるかどうか、これを裁判所が個別に判断をすれば足りるのではないかと考えます。

 前にも申し上げましたとおり、人間は全知全能ではございませんので、あらかじめ法律の条文等でこの種の問題の結論を決め切ってしまう、それが賢明であるとは必ずしも言えないように思われます。

 もちろん、この点につきましては、例えば報道機関の方々が自分たちでクラブをつくりまして、そこで誰が特権を与えられる報道機関のメンバーかを自分たちで決める、そういう制度の可能性も考えられないではありませんが、既存の報道機関の特権を制度化し、しかもそれを自分たちで運用するということになりますと、それ自体、世論の批判を浴びかねないところがあり得るように思われます。また、逆に、誰が特権を与えられる者なのかを政府が決める、そういう制度のしつらえ方も、はっきり言って好ましいものではないように思います。

 ですから、厳密に言って誰が報道機関のメンバーなのかという問題を余り突き詰め過ぎますと、これは、報道機関自身にとっても、難題が突きつけられるということになりかねません。個別の事案が実際に発生した、そのときの状況に応じまして、裁判所が判断をするという方がむしろ適切ではないかと考えております。

 さらに、これが最後になりますが、こうした法律をつくること自体が、政府の保有する情報を取り扱う公務員の萎縮を招きまして、全体として報道機関の取材活動を困難にすると言われることもございます。ただ、この法案の目的がそもそも、特別な保護を必要とする政府保有情報に関しまして特に慎重な取り扱いを求めようとするものでございますので、慎重な取り扱いをしているということは、悪く言えば萎縮をしているということになるのかもしれません。ただそれだけのことのようにも思えるわけでございます。

 つまり、この問題は、そもそも日本という国には特別な保護に値する政府保有情報があるのかないのかという、冒頭の問題に戻っていくことになります。そんな情報はないという立場も理論的にはあり得ないわけではないとは思いますが、私は、それは余り常識的な立場ではないと考えております。

 以上、御清聴ありがとうございます。以上でございます。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 次に、田島参考人にお願いをいたします。

田島参考人 上智大学の田島です。

 私は、自分の専攻の関係もありまして、特に、表現の自由あるいはジャーナリズムを研究している観点から意見を申し述べたいというふうに思います。

 それで、きょう配付させていただきました資料として、この法案に対する、その制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明というのが用意をされておりますけれども、憲法の観点では、ここでの声明というのがよくまとまっているのかなというふうに思いますので、それなどにも依拠しながら意見を述べたいというふうに考えております。

 ちょっと慌て者でして、私、朝つくったメモをそっくりそのまま自宅の方に置いてきました。覚えていますので、メモと全く違うことではないとはいえ、細かいところで少しそごがあるかもしれませんけれども、御了解いただければと思います。

 大きく三つのテーマでお話をさせていただければというふうに思います。

 一つは、今回の法案が、我々の一番根本を規律しています憲法の基本原理との関係で、どういう問題を提起しているのか、そこに問題がないのかという点、これが第一点です。これはまさに研究者の声明で議論をしているところであります。

 二つ目は、法案と、非常に重要な憲法原理の一端でもありますけれども、知る権利、あるいは取材、報道の自由との関係というのが一体どういうふうになっているのか、そこにどういう問題があるのかということ、これが二つ目の柱です。

 最後に、時間があれば、この法案が、諸外国の経験やあるいは国際社会における取り組みとの関係でどういうふうに位置づけられるのだろうかということ、これを一番最後の結論にできたらというふうに考えております。

 それでは一番目の、法案と憲法の基本原理との関係について、まずお話をさせていただきたいと思います。

 御承知のように、憲法の基本原理というのは、人権の保障、国民主権、そして平和主義というふうに一般的に言われております。いわばこの三つが憲法の骨格を構成している、極めて大事であり重要な考え方である。もちろん、三つの原理、全く同じではなくて、いろいろな理解の仕方があるんですけれども、一般的に学界などで言われているものを前提にお話をさせていただければと思います。

 一つは、今回の法案が、最初の、憲法の人権保障の点でやはり重要な問題を提起しているのではないか。もう少し率直に言うと、人権侵害の危険性というものがこの法案の中に含まれているのではないか。特に、我々の民主主義社会を支える、あるいは憲法が保障しているところでもある、人々の知る権利、さらには取材、報道の自由との関係で問題がないのか、こういう点を議論したいというふうに思います。

 防衛や安全保障も含めてなんですけれども、国家の重要な情報の中で、今回の法案は、四つの分野、領域にかかわる情報を秘密として取り扱う。対象が四つの領域、その中から特定秘密を指定する、こういう枠組みになっております。その情報というのは、事項、事柄というのは、防衛に関する領域であり、外交に関する領域、さらには特定有害活動の防止、そして最後にテロリズムの防止、こういうものに関する事項、その中で秘密とすべきものが特定秘密と指定をされる、こういう構造になっております。

 しかも、その特定秘密はどのように決められるのかというと、御承知のように、行政機関の長が一存で決められる、こういう構造になっております。行政機関の長だけが指定できる、こういうふうに言ってもいいと思います。

 本当に国家の重要な秘密なのかどうなのか、あるいは、そうじゃなくて単なる一政府の秘密なのか、こういうことについての客観的なメカニズム、それを担保する枠組みというのは、残念ながら今回の法案の中では組み込まれておりません。関連する措置、後で少し議論をしますけれども、最終的には行政機関の一存で決められるということになります。

 極めて広範な四領域、四分野の事項についての情報を行政機関の一存で秘密指定をされるということになる、膨大な情報が秘密にされるということになると、やはり人々の知る権利というものそれ自体が制約される可能性、危険性というのを強く持つだろうというふうに考えます。

 しかも、こういう情報を誰が実際に取り扱っているのかというと、基本的には公務員ですね、国家公務員。今回の場合には警察官が入っています。それから、政府と契約関係にある民間企業の職員、これも取り扱うということになっているわけですけれども、情報を持っている人に対して、しかも今回、最高十年の懲役ということになると、その漏えいを重罰で処するという形になると、やはりどうしても情報源が萎縮をするという可能性は非常に強くならざるを得ないということになります。

 情報源が萎縮すると、取材をする人たちに取材をしても、余り有用な情報は出てこないということに実はなるんですね。もし実効的な取材、実質的な取材が実現できないと、報道というのは余り意味のない報道になる可能性がある。報道がもし意味のないものになってしまうとすれば、受け手である市民のところに届かないということになるので、その点でも、人々の知る権利は制約を受ける可能性があるということになろうかと思います。

 今の点が取材、報道との関連ですね。

 しかも、ダイレクトに、今回の法案でいいますと、取材源である公務員等が漏えいについて共謀、教唆、扇動をした場合には、これも処罰の対象にされる。また、秘密保有者の管理を害するような形で特定秘密を取得する行為、これも処罰の対象ということになります。この場合には同じく懲役最高十年という厳罰が用意をされているということになりますので、こういうメカニズムからすると、やはり取材、報道というのも、実質的にそれを意味のあるものにしていくという点では、多くの問題が残るだろうなというふうに思います。

 それに対して、幾つかの対処措置というのが、公明党との修正協議などの中で、その結果、措置が用意されています。この後でちょっと議論をさせていただければというふうに思います。

 二番目の、国民主権との関係ということになります。

 国民主権というのは、平たく言うと、国の政治のあり方を最終的に決めるのは誰かというと、それは国民自身が決めることであるという考え方だと思います。

 これは、何で選挙をするかといったら、主権者国民がいて、その主権者を前提にして代表者を選ぶ、こういう構造になっているわけですよね。もし国民主権というのが本当に意味のあるものであるとすれば、主権者である国民は、国の情報について、十分な情報にアクセスができ、それを提供され、そしてそのような情報に基づいて自由闊達な報道や議論が社会の中で行われる、そういうことになるというふうに思います。

 しかしながら、先ほども見ましたように、今回のような法案は、知る権利や取材、報道の自由を実質的に侵害する可能性、危険性というのがかなり高いというふうに考えられますので、そうだとすると、国民主権の前提になるものというのが事実上掘り崩されかねない事態が生まれるのではないかなというふうに思います。

 時間が相当たっていますので、最後までいかないとまずいので。

 次に、平和主義との関係でいきます。

 憲法の平和主義とは何かというのはちょっと省略をして、確かに、軍事や安全保障に関する情報というのは微妙な情報を含みますね。しかしながら、自由で民主的な国のあり方としては、そういう微妙な情報は含むんですけれども、防衛や安全保障の情報も一方的に全部秘密にしましょうというふうには考えられていないわけです。できる限り軍事や安全保障に関する情報についても公開を広げていくことが現代の民主主義の要請である、そういう考え方だと思います。

 特に、日本の場合には、平和主義という観点、基本原理の一つですから、平和主義の観点からいったときに、防衛とか軍事に関する情報のあり方というのは余計に厳しい吟味とチェックが求められるということだと思います。防衛や軍事であれば何でも、あるいはかなり広く一方的に秘密にしていい、そういう話ではない。むしろ逆に、平和主義の観点からすれば、そういう情報についてはできる限りオープンにして、そして、秘密については狭めていく、そういう考え方であろうか。

 こういう観点からしたときに、今回の法案がそういうつくりになっているのかどうかということですね。結論から言うと、なっていないのではないかというのが私の意見であります。

 時間がますます、やはりちゃんと原稿を書いておけば、もっとすんなり読めたのかなというふうに思います。

 二番目のところに、限られた範囲でお話をさせていただきたいと思います。

 法案には幾つかのメカニズムで、知る権利や取材、報道の自由の担保にかかわるような仕組みというのが用意をされています。知る権利というのは、今回の法案の措置で満たされるんだろうかというのが一つ目の問題というふうに思います。

 御承知のように、二十一条でしたか、知る権利が明記されています。ただ、知る権利の保障の形ではないんですね。取材、報道の自由を説明する概念として知る権利というのがあって、ダイレクトに必ずしも保障するという形にはなっていない。

 それは別として、大事なことは、明記されたから保障されるということでは全くありません。これは皆さん御承知のとおりだと思います。法案の構造そのものが知る権利を具体化するような形になっているかどうか、やはりそこが私は一番大事なのかなというふうに考えております。

 それから、三十年を超えた場合には内閣の承認を必要とする、行政機関の長に義務づけるという規定。それからさらには、運用基準の作成及びそれに対して有識者の意見を聞く、こういうプロセスも用意されています。それぞれ、もちろん全く意味がないということはないとは思うんですが、ただ、三十年超の秘密については、内閣が承認すれば更新を繰り返すと、もしかしたら永久に出ない可能性もあるということになりますよね。

 それからさらには、運用基準についても、指定についてダイレクトに有識者がコミットする、そういう仕組みではないです。意見を言うということにとどまっているわけなので、これではチェックのメカニズムというのはやはり果たせていないのではないかなというふうに思わざるを得ません。

 取材、報道の自由への配慮規定について、短い時間の中で簡単に結論だけ言っておきますけれども、明記では意味がないということが第一点ですね。これは先ほど言ったとおりです。

 それから、ただ明記だけではなくて、取材行為は正当な業務とする旨の規定、これも用意をされています。これについては若干意味を検討しなければいけないというふうに思いますが、結論から言うと、処罰の規定がここでは明記されていないんですよね。これが第一点。

 それからさらには、正当な取材というのは無条件ではないということで、著しく不当な方法での行為、これは除外をされています。誰が正当か不当かの線引きをするのか。政府等の当局者が決める、あるいは捜査の場合には捜査機関等が決める、裁判の場合には裁判ということになりますけれども、これが非常に明確ではありません。取材というのはかなりぎりぎりのところでやるわけであって、そこの境目というのが非常に不明確になりやすいんですよね。それを法律でもって不当なものはだめという形でやってしまうと、かなり本来の取材が狭められる可能性があるのかなというふうに思います。

 それからさらに、いずれにしても、対象は出版や報道の業務に従事する人に限られていますから、私のような研究者は全く配慮されていません。排除の対象ということになって、やはりこれも不十分なのかなというふうに思います。

 もう時間が超過しているので、最後に簡単に言います。

 もし、仮に、取材、報道の自由が文字どおりあるという規定になったとしますね。実際はないというのが私の結論ではあるんですけれども、実際にあったというふうに仮定したときに、それで十分かどうかというのが次の問題になるんですけれども、結論からいうと、取材源がかなり厳しく規制をされ過ぎてしまうと、完全な形の取材、報道の自由は保障しますよといったところで、実際のところは、実質はやはり確保はできないということですね。すなわち、法律のつくり方そのものについてきちんとした議論をしていく中で、本来、本当の取材、報道の自由というのが実効的なものとなるかどうか、こういう話に私はなるのではないかなというふうに思います。

 最後の国際社会の経験については、もう時間がないので、一言だけ言います。

 国際社会あるいは諸外国の経験というのは、秘密が先であって、その秘密の残りかすで知る権利や情報公開があるということでは全くありません。逆です。防衛、安全保障に関する情報も含めて、国の情報というのは基本的に国民の共有財産であって、民主主義の観点からいったら、市民が知る権利を行使でき、そして情報は公開されるべきもの。

 しかし、全部出していいのですかというのが次の問題なんですね。それは、まさに今回のような国家の秘密、国の秘密、これをどう適切なバランスをとるのか、こういう話になります。秘密ありきの発想でもって法の枠組みをやはりつくるべきではないのであって、それは諸外国だけの、個別国家の経験だけではなくて、国際的な幾つかの文書があります。これは、もう時間がないのでちょっと詳細は省略しますけれども、国際的なそういう文書も同様のつくり方をしているということですね。

 そのつくり方に果たして今回の法案が合致しているかどうかということが実は問題なわけでして、今まで私が議論した観点からいうと、そうした国際的な経験や水準を必ずしも踏まえられた法案にはなっていない。もしつくるとすれば、やはりそういうものに私はしてほしいなというふうに思います。

 ちょっと長くなりまして申しわけありません。私の方の陳述はこれでおしまいにしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 次に、春名参考人にお願いをします。

春名参考人 春名です。どうかよろしくお願いいたします。

 私は、ジャーナリストでして、現在、大学に籍は置いていますけれども、アメリカで言うジャーナリスト・イン・レジデンスという言葉がありますけれども、日本語で言えば大学駐在のジャーナリストとでも言いますか、そういうふうなことで、自分自身、現役のつもりでおりますので、そういう立場からできればお話ししたいと思います。

 秘密というのは、即、ジャーナリストの立場からいいますと特だねになるわけでありまして、これほどおいしいものは恐らくないと思いますけれども、それをいかにして見つけるかというのが極めて関心の強い問題であります。

 しかし、そもそも近代国家の理念としましては、やはり、日本もそうなんですけれども、代議制の民主主義でありまして、行政を国に委ねるという形になりますので、どうしても秘密も委ねるという形になるわけであります。しかし、それをいかにして補って民主主義を発展させるかということが大きい課題になると思います。

 つまりは、シークレシー、秘密主義とデモクラシー、民主主義の、一言で言えばバランス。私どものような立場からすると、できるだけデモクラシーの方を強く強調できればいいなというふうに思います。

 したがって、理念としては、可能な限り民主主義を守り、可能な限り秘密を少なくし、国民の知る権利に応えるということにしていただきたいというふうに思います。

 エドワード・テラーという、水爆を発明した博士ですけれども、彼は、秘密は一旦受け入れると中毒になると。麻薬のようなものかと思うんですけれども、そのような言い方もしていますので、やはり秘密をできるだけ少なくするということが重要で、そのためには、原則的には、私は二点を申し上げたいんですけれども、正当な報道の自由を厳格に保障すること、それから、秘密指定期間が外れた文書は必ず公開すること、この二点を目標に掲げていただきたいというふうに思っているわけです。

 といいますのは、やはり恣意的な秘密指定をされるということが場合によってはあり得ますので、それを防ぐということが大事かと思います。しかも、秘密を指定されたものが知らない間に廃棄されてしまっているということになりますと、民主主義がどこへ行ったかわからないということになりますので、どのようにして具体的にそのような民主主義的な歯どめを加えるかということが課題になってくるというふうに思います。

 私は共同通信でワシントン支局長というのをやっていたんですけれども、支局というのは、支局員はそれぞれ持ち場があるんですが、支局長は持ち場がありませんので、勝手に、時間があるとき、アメリカ公文書館に出かけていっては、機密指定を解かれたもとの秘密文書を読みました。それを通じて経験したことも交えまして、具体的な問題に入りたいというふうに思います。

 まず、やはり秘密は少なければ少ないほどいい。秘密指定及び指定継続を監視する外部有識者委員会というものがやはり必要であろうかというふうに思います。

 アメリカにおいては、外部有識者委員会というのもそれほど多くないんですが、まず、政府内の委員会としては、きょうお配りした資料にもありますように、省庁間の見直し委員会、安全保障機密提訴委員会、ISCAPというのがあります。これが年次報告その他の報告書を出していますので、どのような状況で、どのような秘密、具体的な秘密の内容はわからないんですけれども、どのような行動をされているかということが概括的にわかるようなシステムになっています。

 あるいは、情報保全監督局というのがアメリカ公文書館内にありまして、これはISOOというんですけれども、このISOOの機密情報の基準として、具体的に、例なんですけれども、新聞記事に掲載されたような情報は機密としない、例えば大使館の夕食メニューなどは国家安全保障に値しない、これは非機密であるということを述べているわけです。

 こうした委員会のような機構の充実ということも、これから検討していただければありがたいというふうに思います。

 二番目は、国会の関与、国民の代表である国会議員による秘密文書閲覧の機会を可能な限り多くする。アメリカもこの点は非常に厳密になっていまして、議会のスタッフにまでセキュリティークリアランスが与えられているというふうな状況であります。特に、特定秘密が立法に絡むような場合には、国会議員の特定秘密閲覧権限を必ず認めるというふうな措置も必要かなと思います。

 次は、将来の公開ということをきちんとやってほしいと思います。

 五年ごとに検討するような形になっていると思いますけれども、先ほども田島先生からお話がありましたが、三十年を超える場合、今回の法案の中で、第四条三項は「内閣の承認を得なければならない。」ということになっているんですが、この点について、やはり無期限の延長は回避して、三十年以上の秘密指定の延長については、外部有識者の見解を聞く機会を設けるのが妥当かというふうに思います。

 例えば、参考になるのは、アメリカ国務省では、歴史的外交文書に関する諮問委員会というのがありまして、これは九名の委員から成るんですが、六名は有識者で学識経験者、歴史学会等の代表から六名がなりまして、あとの三名は無任所だという形になっております。全員にセキュリティークリアランスが与えられておりまして、毎年四回会合している。アメリカではどの省庁でもヒストリアン、歴史家というのがおりまして、国務省の場合はヒストリアンがこの委員会の事務局長を務めるということになっています。

 機密解除のスケジュールは、やはりアメリカも非常に機密文書が多いので、解除のスケジュールが大幅におくれるような形になっております。これはいつもオバマ政権が批判されているわけですけれども、可能な限り速やかにやるということだと思うんですが、アメリカの場合は、まず非常にお金を使っていると思います。日本とは比べ物にならないほど、きょうの資料の三ページの上の方にあるんですが、機密文書管理予算という、逆三角形の上から三つ目なんですが、二〇一〇年の国家安全保障機密化システムの年間予算は百一億ドルなんですね。こういうこともありまして、公開に際してもやはりお金がかかるわけであります。

 やはり、将来の公開を担保するためには、さまざまな施設も整えないといけませんし、人員もそろえてほしい、そういうことによって民主主義の担保が保たれるんじゃないかというふうに思います。

 アメリカ議会では、かつて設けられたんですけれども、政府機密保護・削減委員会というのがありました。一九九七年に報告書を出して終わったんですけれども。それから、法律も実はあるわけなんですね。機密を削減するための、一ページの下から五行目にあるんですが、過度の機密削減法というのがあります。これも、機密というものの概念が非常に難しいので、なかなか功を上げているとは思えませんけれども、やはり常にこういった立場から機密文書に対応していただくというのが責任かというふうに思います。

 アメリカの例ばかり述べて申しわけないんですけれども、アメリカ公文書館では職員が二千五百人弱いるわけなんですが、日本の公文書館はその二%以下なんですね。設備も非常に大きいですし、非常に文書も出しやすいし、広いし、使いやすいということで、やはり、日本もこういった設備を整えることによって、日本は公開性が進んでいるということで、それが国益になると思います。アメリカの場合は、かなり機密も多いですし、問題も多いんですけれども、そういった設備があることによって、アメリカは公開してくれるということが観念として研究者の頭の中にありますので、それが国益になっているというふうに思います。

 今後、この法案だけではなくて、ほかの法律の改正ということを考えてほしいと思います。それは、公文書管理法とか情報公開法、この改正に真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 例えば、先ほどもあったんですが、記者の権利というものを保障するという動きが、たった今、アメリカでも行われておりまして、昨日、アメリカの上院司法委員会では、フリー・フロー・オブ・インフォメーション・アクトというものが、委員会レベルですが十三対五の多数で可決されました。下院でなかなか通りにくいとは思いますけれども、これは記者の正当な行為というのはどういうものかということも定めておりまして、こういったことも検討の対象になろうかというふうに思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 次に、永野参考人にお願いいたします。

永野参考人 法政大学の永野と申します。

 本日は、本委員会にお招きいただき、感謝しております。

 私は、日米比較を専門にしておる者です。これまで、本法案に関係する米国における制度の論文を二本公表いたしております。ただ、それぞれ百ページを超える論文でありまして、きょうお配りするのもいかがなものかというふうに考えまして、いずれもネット上で公開されていますので、もしも御興味のある先生方におかれましては、参照していただければ幸いです。

 また、おとといの晩、こちらの事務局から参考人として出るようにという依頼を受けまして、きのう一生懸命レジュメをつくろうと思ったわけでありますが、間に合いませんでした。それで、申しわけございませんが、本日は口頭で発表させていただきたいというふうに思います。

 私は、本日は、特定秘密保護法案について賛成する意見とともに、民主党が提出された情報公開法改正案につき、制度的不備があることから臨時国会では成立し得ないという点につき、日米比較法の立場から意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 まず、特定秘密保護法の諸点からお話しさせていただければと思います。

 まず、特定秘密保護法を制定する意義について述べたいと思います。

 国は、国民の生命や利益を確保するために、一定の秘密を保全しなければなりません。その一方で、国の秘密が必要以上に拡大されますと、民主主義の存続、発展にとって脅威となることから、国会により行政機関を民主的に統制することが必要となります。これが、今回の法案の大きな意義であると思います。

 これまでこのような法律がなかったこと、すなわち法の欠缺こそが本法案の立法事実であり、何か特定の秘密漏えい事案が法案提出の立法事実として必要であるという見解は誤りであるというふうに思います。

 なお、本法案につきましては、憲法にかかわる重要な争点がございます。私からは、これらの争点を議論する際に、現実に、外国のインテリジェンス機関が存在していることを踏まえて議論していただくことをお願いしたいと思います。これらの争点につき、知る権利を初めとした人権論の枠組みの中だけで議論するのは現実的ではないというふうに考えます。かえって国民の生命財産を危うくする結果を招きかねないと考えます。

 次に、特定秘密の範囲につきまして意見を述べさせていただきます。

 現在、本法案の特定秘密の範囲が広がり、国民の知る権利が侵害されるのではないかという懸念が報道されております。この点につきまして、幾つかの意見を述べたいと思います。

 まず、知る権利は、日本国憲法に直接的な規定がありません。しかし、憲法に直接的な規定がない場合でも、米国の憲法判例で認められ、我が国の最高裁判例でも認められているプライバシー権のような新しい人権があることは事実でございます。

 それでは、新しい人権としての知る権利は、我が国の判例や米国の判例で認められているのでしょうか。

 結論から申しますと、我が国の判例において、新しい人権としての知る権利を認めたものはなく、具体的な請求権としては、情報公開法における情報開示請求権として認められるにとどまります。あとは、憲法学者の先生が、憲法二十一条との結びつきにおいて、抽象的な権利として主張されているにとどまると思います。この知る権利は、環境権と類比していただければわかりやすいというふうに思います。

 米国では、私が本年公表した論文で証明いたしましたとおり、判例法において憲法上の知る権利は一切認められておりません。かつて、連邦憲法上の知る権利が黙示的に認められているとする論文が幾つか存在していたにすぎません。逆に、一九七二年の連邦控訴審判決では、その情報開示が国益と一致しないと合理的に考えられる分野の諸活動について、連邦政府には、内部の秘密を保持する権利と義務があると判示されております。

 このように、我が国では、知る権利は憲法二十一条に結びついた観念的な権利の域を出ていないものでありますので、本法案では、第二十一条で「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」として、知る権利を報道または取材の自由に係らしめる規定となっております。知る権利の利益は報道または取材を通じて実現され、国民の知るところとなりますので、この規定には賛成したいと考えます。

 なお、知る権利は、配慮規定で定めるだけでは不十分であり、直接的に保障するというような形で規定すべきだという意見がございますが、そうしますと、逆に、特定秘密の指定により、知る権利自体が縮減してしまうということに理論上なるかと思います。

 次に、本法案と情報公開法との関係について意見を述べさせていただきますが、この点につきましては、本委員会において、情報公開法改正案の提出者の一人であられる民主党の枝野幸男先生に対する公明党の大口善徳先生の質疑応答を通して、ほぼ全ての争点が明らかになったというふうに考えておりますので、省略したいというふうに思います。なお、特定秘密の内容によっては、行政機関の長により存否応答拒否、米国で言うグローマー拒否がなされる事案もあるかと思います。

 次に、本法案について、特定秘密の解除が規定された意義について述べたいと思います。

 秘密保護法制の基本は、機密を指定し、保全し、そして解除することであります。

 現在、我が国において、秘密の解除を直接的に規定した法律はなく、あくまでも裁量的な解除がなされているにすぎないというふうに考えております。また、国家公務員法第百条第一項等の秘密漏えいの禁止をしている条文の対象となっている秘密につきましては、その指定範囲がこれまで国民に明らかにされてこなかったばかりか、行政機関は、みずからの裁量により開示する場合を除くと、永遠に秘密にしておくことができるのが現状ではないでしょうか。

 この秘密の解除を法律で定めてこなかったことが、我が国の大きな問題であると考えております。特に、機微性の高い機密であればあるほど、これを扱う官僚の皆さんは、みずからの裁量により秘密の解除をすることをちゅうちょするのではないでしょうか。

 本法案では、このような現状を改め、国家公務員法等で守秘義務が課されている秘密の中に、国家安全保障にとって特に重要な一定の類型となる情報、すなわち特定秘密を設けて秘密の範囲を限定し、一定の期間制限を設けて秘密を解除することを予定しております。これが本法案の大きな意義であります。

 なお、一言つけ加えますと、本法案における秘密指定の範囲は、米国における大統領令による秘密の指定の範囲に関する規定よりもかなり厳格なものとなっております。

 以下、時間の関係から、本法案におけるポイントについてのみお話しさせていただきたいと思います。

 まず、本法案では、特定秘密の指定が行政機関の長により行われることから特定秘密の範囲が広がるのではとの懸念から、第三者機関によるチェックが必要だとの議論がございます。

 この点につきまして、米国においては、行政府内部でのチェックがなされており、幾つかの制度が、先ほど春名先生が幾つか御指摘なさいましたけれども、設けられております。

 私は、このような制度の一部を我が国に導入することは可能であると考えております。例えば、内閣官房において、各行政機関の長による秘密の指定が適切であるか否かをチェックする組織をつくることが考えられると思います。

 ただし、この組織のメンバーは、米国でもそうですが、やはり国家機密、本法案では特定秘密を扱う行政府内部の人間に限られるべきだと考えます。なぜなら、このチェックをマスコミ関係者、学者、弁護士等の有識者に委ねますと、これらの有識者が外国のインテリジェンス機関に狙われることになるからです。これらの所属機関は、カウンターインテリジェンス能力を持っておりません。また、適性評価をこれらの有識者に課す必要性も、必要となります。

 次に、国会におけるチェックですが、一定の保全措置を定める立法や議院規則の改正等がなされた場合、行政機関による本法案の運用につきまして、一定程度チェックすることは可能であろうというふうに思います。いわゆる秘密会であります。米国ではそのような運用がなされており、かつ厳格な秘密保全体制がとられております。

 最後に、司法機関にチェックさせるということは可能でしょうか。

 米国では、連邦裁判所の裁判官として任命されるためには、大統領が指名し、上院の承認を得る必要がございますが、大統領による指名がなされる前に、実質的にセキュリティークリアランスと同様なチェックが行われております。また、連邦裁判所における秘密保全も厳格なものがございます。これらが整備されない限り、我が国では、インカメラ審理を通じた裁判官による情報公開法に基づく審査はできないと考えます。

 次に、本法案の適性評価制度について触れたいと思います。

 これは、特定秘密を保全するための予防的な制度であります。現在、内閣決定で運用されている制度が、その濫用を防ぐため、法律でこれを定めることには大きな意義があると思います。

 米国では、連邦公務員のうち国家安全保障職につく個人等や、米国政府の機密情報に接することになる民間人、請負人等の被用者等に対して、厳格な適性評価制度が運用されております。このような制度は、国家安全保障にかかわる重大な秘密を保全するために、必要不可欠な制度であると考えております。

 なお、米国では、閣僚等、PAS官職と言われている人々に対してもセキュリティークリアランスがかかっておりますが、本法案では、行政機関の長等に対しては適性評価を不要としております。第十一条に規定がございます。確かに、我が国でこれを実施しようとすると総理大臣による国務大臣の任命権を制約することになるので、困難な事態が生じるかもしれませんが、いわゆる身体検査は厳格に実施されるべきだと考えております。

 次に、本法案の罰則についてです。

 秘密漏えいを防ぐためには、一定の刑事罰を科す必要があると考えております。この点、本法案における第七章の罰則規定については、懲役十年といった刑期が、国家公務員法における現行の罰則との比較で厳罰化であるという批判がございます。

 しかし、この刑期の長さを国内法の現状比較だけで行うのは無理があると思います。外国のインテリジェンス機関や軍等との情報共有を考えれば、相手国と同じレベルの実効性のある刑事罰は必要となるからです。このため、本法案の原則を議論する際、日本国内における厳罰化という視点だけではなく、外国による法制度をあわせて検証する必要があります。

 なぜならば、相手国が自国民に非常に重い刑罰を科しているというほど秘密を守ろうとする制度が整っているわけでありまして、これに対して、我が国の現行の国家公務員法等における刑罰は相当軽いというふうに思われてもいたし方ないというふうに思います。

 最後に、民主党が提出された情報公開法改正案について意見を述べたいと思います。

 本改正案に関する問題点の多くは、先ほども触れましたが、公明党の大口善徳先生が指摘してくださったとおりであると思います。私は、大口先生の指摘に加え、本改正法案におけるインカメラ審理に対する問題点を指摘したいと思います。

 このインカメラ審理制度は、米国の情報自由法における同制度を参照したものだと思います。しかし、先ほど述べましたとおり、米国では司法府においても厳格な秘密保全制度が運用されており、そのような司法府における秘密保全制度がないままで本改正案を施行することはできないというふうに考えております。

 なお、米国のように、例えば、最高裁判所の裁判官に実質的な適性評価を実施する場合には、内閣による指名、憲法七十九条にございますが、に制約を課すことになりますし、裁判所における秘密保全等においても、多くの法改正が必要となります。私自身は、インカメラ審理の導入に賛成ではありますが、これらの課題が残されたままで本改正案を施行することはできないと考えております。

 以上で私の意見陳述とさせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)委員 皆様、おはようございます。自民党の中谷真一でございます。

 まずは、四名の参考人の皆様、高い見識からのお話、本当に勉強になりました。感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 また、私に対しまして質問の機会をいただきました、委員長初め委員の皆様、また関係各位の皆様に心から感謝を申し上げます。

 私、元自衛官でございまして、そういった経験も踏まえて本日の質問をさせていただければというふうに思います。

 私、やはり国には重要な情報がある、知られてはいけない情報があるというふうに思っております。例えば首相動静、これを詳細にわたって事前に知っているとか、さらに、例えば、今PKOで派遣をされている部隊の交代の時期であったりとか撤収の時期であったりとか、こういった危険な時期ですね。さらには、やはり日本国の持っている兵器の詳細な諸元であるとか性能であるとか、さらには政府間での交渉、これを外国に知られてはいけないこともあるんだというふうに私は思うんですけれども、ここでお尋ねを申し上げたいというふうに思います。

 田島参考人、この日本には重要な情報、また保護しなければいけない情報があるとお考えでしょうか。

田島参考人 私は、国にその種の大事な情報があるということを全く否定していません。そういう情報が適切な形で保護される必要もある、そういうふうに考えています。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 重要な情報があるということは、多分、ほとんどの方々が思っておられることだというふうに思っております。これをいかにして保護していくかというところでございますけれども、では、日本の今の保護の現状、また日本の置かれている環境について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、アメリカの情報機関がメルケル首相の携帯電話を傍聴していた、傍聴していなかったということがありました。また、さらには、テレビをにぎわせましたけれども、アンナ・チャップマンですか、ロシアの美人スパイなんというのもいたりとかして、非常に、スパイ活動というものは世界の中でやはりあるんだなというのを、みんな、つぶさに感じる機会は結構あると思うんですね。

 このスパイ活動なんですけれども、これというのは、私もこれは日常的にあるんだというふうに考えております。日本においても、幾つか情報漏えい事件があったりとかして、ああ、そういったものがあるんだなということがわかったというところでございます。

 私、自衛隊で情報を勉強させていただいて思うんですけれども、情報というのはやはり相手にわからないようにとるというのが基本でございまして、相手にわかった時点でこれは失敗なんですね。やはり、相手にわかってしまうと、これは対応されてしまったりとか、またそれを逆用されてしまったりとかするということでございますので、日本における五つの事案、これは私は相手の失敗例であって、氷山の一角だというふうに考えているわけでございます。

 そういった日本の現状について、私はそう認識しているんですけれども、これについて、永野参考人から、日本の現状をどのように認識されているか、お聞きをしたいというふうに思います。

永野参考人 私は法学者でありますので、具体的なスパイ事案等についてはよく存じ上げません。

 ただし、米国のインテリジェンス機関の使用している予算は二通りに分けられておりまして、国家インテリジェンス予算、これが一般のもので、そのほかに軍事インテリジェンス予算というものです。たしか資料を持っていると思いますが、物すごい金額であります。我が国は、そこまでの予算をつけていないし、また、そのような十分な情報収集あるいはカウンターインテリジェンス体制というものは、人、予算の面でもまだ不十分であると思います。

 お答えになっているかどうかわかりませんが、これで答弁とさせていただきます。

中谷(真)委員 ありがとうございました。

 以前、中曽根首相は、スパイ天国だというふうに言いましたけれども、私は、そういったものは今もこの日本の中にあるんだろうというふうに思っているところでございます。

 そういった意味で、やはり私は法制度の必要性があるんではないかというふうに思っておりますけれども、この法制度については、知る権利を侵害するとか、また、秘密に携わる方々に対して非常に厳罰になっていくという量刑の問題であったりとかということがございます。特に、この量刑の問題について言われることが多いんですね。これは、厳しくし過ぎるということで、だめだということをよく言われます。

 この量刑なんですけれども、今回、NSCというものをつくって情報の流通をやろうということでございますけれども、これは、海外から情報を入れてくるということを考えた場合に、私が海外の相手国だとしたら、情報を提供しようとする国の情報保全体制を見るんですけれども、それは何を指標とするのかというと、私は、自分の国と同等またはそれ以上の保全体制があるのかどうかというところを見るんではないかなというふうに思います。

 そういった観点から、この量刑について御意見を伺いたいというふうに思います。長谷部参考人、よろしくお願い申し上げます。

長谷部参考人 おっしゃるとおりでございまして、外国の法制度における量刑の程度がどうなっているか、これは十分参考にするべき点の一つでもあろうかと思いますし、また、日本国内に関して申しましても、例えば、営業秘密の漏示につきましても最高刑は十年ということになっておりますので、いろいろな点を考えてバランスをとっていく、そういう判断が必要ではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 さらに、秘密保護のあり方についてちょっとお伺いをしていきたいんですけれども、私は、先ほども申し上げたとおり、重要な秘密がある、そして、その重要な秘密をしっかりと、的確に保護をしていくという観点でちょっとお話をさせていただきたいんです。

 私も、自衛隊時代に情報を扱っていたときの経験からいきまして、本当に保護しなければいけない情報がこれぐらいだとすると、ちょっと大き目に網をかけてしまうというのは、これは、そういう特性はあるというふうに思います。これは経験上です。これを、やはり、できるだけ適正なサイズ、また、それが的確なものでなければならないということは、やっていかなければいけないというふうに考えております。

 大口委員もおっしゃっておられたんですけれども、このときに、これは、サイズがすごく大きくなってしまうと、すごくコストがかかってしまう。アメリカでは一兆円のコストをかけたりとか、莫大な人数をかけてこれをやっていくような形になります。これについては、春名参考人も、削減するためにアメリカも非常に努力をしているというお話をされておられました。

 私も、本当にそれが的確なものなのか、それが適切なサイズなのかというところは、非常に重要なことだと思います。それが間違っていれば、本当に重要な情報は何なのかわからなくなってしまったりとか、こういうこともあるのではないかなというふうに思います。

 それをしていく上で、春名参考人は国会の関与について言われていたんですけれども、ここでお伺いしたいのは、国会議員の、このときの守秘義務についてお伺いをしたいというふうに思います。どうあるべきか。お願いいたします。

春名参考人 国会議員も、やはり守秘義務を持たせるということになると思います。

 アメリカの場合、例えば、九・一一テロの後に、実は、ビンラディンの国際衛星電話をとっていたんだということがばれたんですが、それを言われたのは、当時民主党だったと思うんですが、共和党にかわられたと思うんですが、上院議員なんですね。彼の責任を追及する声が上がったんですけれども、やはり、なかなか刑事的な訴追ということには至らないということであります。

 どうしても、議会スタッフの中でもセキュリティークリアランスを与えられていますので、議会スタッフからも漏れたんじゃないかということで、FBIが捜査することがかなり多いと思いますけれども、実際に訴追されたというケースは、ほとんど聞いたことはありません。

中谷(真)委員 今と同じ質問を、永野参考人にお伺いしたいというふうに思います。

永野参考人 お答えいたします。

 秘密の宣誓についてですか。

 まず、一般論を申し上げますと、上下院の各委員は、被用者に対して、機密適性評価のための身上調査と、同委員長による適性認定、機密不開示契約への署名義務、及び、同委員会により決定される、厳格な、知るルールの適用を行っております。

 上院と下院では機密保持宣誓について大きな違いがありますが、非常に細かいものでありますので、省略させていただきたいと思います。

 それから、上下院の保全課は、被用者による保全規則違反が疑われた場合には、協力して調査するということでございます。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、情報公開。やはり、保護と公開というのは表裏一体だというふうに思っております。このことについてお伺いをしたいというふうに思います。

 私は、情報というのは、大体、時間とともに価値を失っていくものだというふうに思っております。ですから、その情報は、ある一定の時限を切って、そこからは公開をしていく、原則公開であるべきだというのは、私もそう思っているところでございます。

 例えば、NSCにおける議事録について非常に議論になったんですけれども、そういったものをしっかりと担保することができれば、私は、NSCの議事録も作成は可能だと。今それが担保されていない状態で議事録をつくっていくと、それがどんどんどんどん出ていってしまう。こういうことでは、なかなかできない。その他の会議においてもそうだと思うんですね。しっかりとそういったものをつくって、そして、ある一定の期間で公開をして、それを事後の検証に充てるということは、私は必要だというふうに思っております。

 そういった意味では、情報公開のあり方についてでございますけれども、今回のこの法案では、原則公開だ、それで、五年ごとにおいては各省庁の長がしっかり見直しをしていく、それで、三十年においては政府が承認をするというふうになっております。

 私は、今のこの日本の政治体制は、政権交代が可能な体制になったというふうに思っております。そういった意味では、私は、この制度でもある一定の担保はとれるのではないかなというふうに考えておりますが、ここで参考人にお伺いをしたいというふうに思います。

 国会の関与とか司法の関与を求める声もございます。ここで御意見を、春名参考人、永野参考人にお伺いしたいというふうに思います。

春名参考人 三十年たった段階で、内閣の承認を得てさらに延長できるということになっていまして、かなりその辺の歯どめといいますか、外部の有識者の意見を聞いた方がいいのではないかというふうに今私は思っているんですね。

 その参考例として、国務省でやっている諮問委員会のようなものを日本でも設けてみたらどうかと。現代史の先生方から成る諮問委員会なんですけれども、私もそういう先生方を取材したことが実はありまして、彼らも、文書を渡されて、これはやはり公開した方がいいんじゃないかという場合には強い意見を述べるわけでありまして、その結果は、諮問ですのであくまでアドバイスという形になってしまうんですけれども、国務省側は大変なプレッシャーを受けるわけでして、かなりの場合、引き受けられることが十分にあるわけです。

永野参考人 お答えいたします。

 委員がさきに質問されました、NSCに関する文書でありますが、これは、私が既にネット上で公開している論文でも書きましたとおり、米国大統領府内の国家安全保障会議、NSCは、情報自由法における行政機関ではないと判断され、情報自由法の適用対象外となっております。つまり、外にあって、それに対する情報公開法の請求はできないという判例法理が確定しております。

 このため、私は、それに続いて論文で、我が国でも第二次安倍政権のもとで日本版NSCについての議論が始まっていることから、その設置法において行政機関情報公開法の適用対象外とするべきか否かについて議論がなされるべきであるというふうに書きました。

 今回のNSC法には、それが入っていないように思います。今後、委員のおっしゃるとおり、何らかの対処が必要であろうというふうに思います。

 それから、内閣の三十年という枠の承認につきましては、アメリカの機密指定の期間というのは、十年未満、十年、これは軽い方でありまして、原則は二十五年であります。朝日新聞が外務省の機密漏えい事案についてスクープした事案におきましても、二十五年の秘密期間の設定がなされておりました。

 これを超えるものとしては、暗号とか軍事計画等で、五十年、七十五年及びそれを超えるというものがございます。どんどん要件が厳しくなっていきます。

 ですから、実際に三十年というところで内閣の判断を仰ぐというのは、非常に重いおもしであるとは思いますが、そのときの類型を、諸外国の例を参考にしながら、関係有識者会議なり、あるいは先生方で考えていただければありがたいというふうに思います。

中谷(真)委員 ありがとうございました。

 非常に適切なお答えをいただきまして、心から感謝を申し上げます。非常に勉強になりました。

 これで質問を終わります。

額賀委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、各参考人の皆さん、貴重な御意見を賜ったこと、まずお礼を申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、田島先生にちょっとお伺いをしたいわけであります。

 この委員会でもいろいろと議論をされておるわけでありますけれども、本法案の一つの問題点といいましょうか、課題といいましょうか、論点の一つとして、立法根拠についても議論をされております。立法根拠が弱いのではないかという意見がある。そして、私もそういうふうに思っているのであります。

 田島先生は、本法案の立法事実について、どのように考えておられるか、お聞かせをいただければと思います。

田島参考人 差し当たり、二点、申し述べたいと思うんです。

 一つは、この種の情報あるいは秘密について、保護するメカニズムが全くないのであれば、また別な議論をしなければいけないのかなというふうに思うんですが、現実には、皆さん御承知のように、保護をしている立法措置が幾つかあります。そこから外れているものというのは、私が見る限り、ないのではないかなというふうに思います。

 一つは、一般的に言うと、公務員の守秘義務の規定。これは、職務上知り得た秘密が全てカバーされますので、秘密の、もちろん限定でということですけれども、広範な対象ということになります。

 それからさらに、それに、自衛官の場合は、防衛秘密法制、自衛隊法改正で特別に、自衛官の守秘義務の情報とは別なものとして、防衛秘密というカテゴリーが立法上用意をされていて、これは今回の特定秘密の保護のメカニズムにかなり似ている枠組みになっています。ただ、漏えいについては、罰則が半分の五年ということになっているわけですけれども。いずれにしても、防衛秘密については、もう現行法として、罰則はちょっと違いますけれども、通常の守秘義務の五倍保護しているメカニズムがある。

 それから、米軍の機密、それからアメリカから供与された装備品、あるいはそれに関する秘密、これについても特別の立法上の手当てがなされていて、これはかなり重い処罰になっています。

 ということで、私はむしろ、憲法研究者あるいはメディア法研究者の個人的な観点からいうと、防衛秘密法制そのものがあそこまで踏み込んで果たして妥当かどうかという問題意識を持っておりまして、いずれにしても、現行法上カバーするメカニズムというのは、一つだけではなくて、二重三重に用意をされているという点が一つ。

 それからもう一点は、では、日本が特殊な状況なんだろうかと。

 先ほどスパイに係る論点でも出たんですけれども、日本が非常に特殊な状況にあって、ほかの国以上に強力なものを求めなければいけない、そういう事情が果たして説得的な形で説明されているだろうかというと、私は、なかなか聞いたことがない。

 スパイがうようよしているという点では、ロンドンはどうだといったら、もしかしたら日本より、スパイも含めていろいろな人たちがいるんだろうな、ニューヨークとかそういうところもそうかもしれません。

 ですので、そのあたりのことについても、私は、具体的な事実をもとにした議論が必要なのかなというふうに思っています。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 この委員会でも、過去何年かに、訴追をされ、実際、有罪になった、また、その量刑についてもいろいろと議論された中でも、果たして立法事実が十分だろうかという議論はありました。

 また、この委員会で質疑をやる中で、担当の森大臣がよく、海外から情報をもらうに当たっては協定ではだめなんだ、協定ではだめだから法律をつくるんだ、こういう言い方をされていたわけでありますが、ただ、今、田島先生の御指摘にもありましたように、協定があって、その協定のもとに自衛隊法あるいは公務員法等の強化があった、特別法があったはずであると思います。

 さて、もう一点、同じく田島先生にお尋ねをしたいと思います。

 この委員会で質問させていただく中で、つまり、知る権利と、私も秘密を保護することは必要だという立場であります、ただ、そのバランスといいましょうか、それをどう図っていくかということ。

 そういう中で、国際的にもそうしたことはよく議論されていて、田島先生が著書で御指摘なさっている、国家の安全と表現の自由についてということで、有識者が集まって策定したヨハネスブルク原則について著述をされておられます。

 簡単に御説明をいただければと思います。

田島参考人 ヨハネスブルク宣言というのが、一九九五年に策定をし、公表されました。実は私も、今、訳のついたコピーを持ってきているんですが、法律時報という法律の専門雑誌の九六年あたりの号だったと思うんですが、そこに全訳されていますので、ぜひ、文書自体は御確認いただければというふうに思います。

 これは、アーティクルナインティーンという国際的な表現の自由団体、本拠はロンドンにあるんですけれども、研究者あるいは弁護士、あるいはさまざまな市民的な活動をしているような人たち、こういういわばNPOの一つであるんですが、そこへ呼びかけて、いろいろな国際的な諸団体、あるいは国連やEUに関連するさまざまな機関にも呼びかけて、それで、つくったのは、各国のいわばこの問題についてのエキスパートの人たちなんですけれども、三十六人が集まって、南アフリカのヨハネスブルクで議論をして公表したという形になっています。

 余り、それ自体を、詳細を議論できないんですが、一つは、やはり私がきょう述べたことにかかわるんですけれども、国家の秘密というのは認めないということでは全くないんですね。国家の秘密というのは保護する必要があるということは当然言っております。ただし、国家の秘密が先にあって、それ以外の情報公開や知る権利は残り物ですよ、そういう考え方ではないんですね。

 一般的には、国の安全に関する情報についても、これは、国民の知る権利がそこにあるのであって、基本的には情報を公開していく、そこが前提であって、ただし、公開をするに際して、あらゆるものが公開できるわけではない。そのうちの一つが、例えば国家の安全に関する情報、こういう組み立て方をしています。

 ですので、別の言葉を使うと、この考え方からいうと、国家の安全というのは、単独で、一方的に秘密にするということではなくて、今言ったような、国の重要な情報については、市民が十分アクセスできる権利があり、かつ、それを保障する情報公開という枠組みで担保されることが必要であるということを前提にして、それを前提に必要最小限度、保護される秘密をのべつ幕なし広げるのではなくて、できる限り限定をしていく、そこで調和をしていくというのが現代の民主主義のあり方ではないかということを言っているわけですね。

 それで、細かいルールはそれに基づいて、例えば、公共の利益というのも非常に大事なのであって、たとえ国家の秘密が保護されるにしても、公表することについて、公共の利益の観点から、それをさらに上回る利益があればそちらを優先すべきだとか、要するに、いろいろな形の歯どめを付して国家の安全に関する情報を限定していくということですね。

 それから、もう一点、実は、これは九五年段階のルールで、これはある種、その段階での国際基準だというふうに私は考えています。多くの外国の専門家もそのように考えているわけですが、いずれにしても、ちょっと古い状況のもとでつくられたというのは否めないわけですね。

 そういうこともありまして、非常に、早いというか、今から近いところでの話なんですが、ことし、二〇一三年なんですけれども、実は、このヨハネスブルク原則をさらに踏まえながら、新しいルールづくりというのが、国際社会の中でつくられていくということになりました。これが、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則という、これも、いわゆるツワネ原則というふうに略称されているんです。

 これはやはりヨハネスブルクの都市なので、そこで集まって発表したということで、こういう名前がついているんですが、これについても、これは国会図書館による「諸外国における国家秘密の指定と解除」という論文、これは「調査と情報」という雑誌の八百六号がそのツワネ原則の紹介をしております。

 これは、ヨハネスブルク原則よりもさらに詳細に、国家の安全に関するルール、情報の公開、表現の自由との関係でどうなんだということがかなり詳細に、私も実はかばんの中にプリントアウトしたものを持っているんですけれども、非常に詳細に語られていて、恐らく、今回の特定秘密法案の議論をするときは、ヨハネスブルク原則も非常に大事なんですが、今のツワネ原則、こちらの方をぜひ参照していただいて議論をされるのが私は望ましいのかなというふうに思っております。

近藤(昭)委員 田島先生、ありがとうございます。

 今、ヨハネスブルク原則についてお聞きし、その中で、ツワネと呼ばれているようですが、原則について言及をいただきました。私も、そこに書かれている原則の、特に、何が秘密かは秘密であるという今の状況、何が秘密かを、それが本当に特定の秘密であるか、このことをチェックする、その原則の一つにそのことが書かれている、私はそのことがやはり必要なんだというふうに思います。

 そうしましたら、先に進みたいと思いますが、長谷部先生とまた田島先生に、お二人にお伺いをしたいというふうに思います。

 この委員会でも、この法律によって知る権利が制限をされ、期待をしないというか、おかしな逮捕というか、そんなことになるのではないかというふうに心配する向きもあったりするわけであります。そんなことはない、そういうふうにしっかり取り組んでいくという御答弁があるわけでありますが、かつて、戦争中も、司法省は危険な運用はしないというような言い方をよくしたわけであります。

 そういうことでありましたし、御承知のとおり、レーン・宮沢事件というのがありました。あのときも、被疑者に対して、被疑者が持っていた情報はいわゆる公知、知られた事実だ、こういうことだったと言う弁護人でありました。しかしながら、当時の大審院でありますけれども、海軍が公表しない限りは秘密は秘密だ、こういうことで有罪になったということであります。

 今回も、この間も、日本の政府が持ってきた外務省等々の特定秘密、西山事件のときもそうであると思いますが、いまだにあれは、いわゆるそうした秘密があったとは言えない、ないというような答弁を政府がしているんだと思います。

 そういう中で、本法案についても、懸念をする向きは、戦前の治安維持法や軍機保護法、国防保安法との類似点を指摘する向きがあるわけであります。そのことについて、長谷部先生、田島先生、いかが考えられますでしょうか。

長谷部参考人 御質問に関してでございますけれども、戦前の日本、確かに、そういうことがあったということは事実でございます。

 ただ、戦前の日本と現在の日本は全く政治体制が異なっております。先生がおっしゃるような戦前の体制というのは、表現の自由もない、情報公開の考え方もない、さらに言えば、国民の権利をまずは保障しよう、そういう考え方もない、そういう体制でございますので、現在の日本でどうなのかということとは直ちに類比が可能な問題では直接にはないのではないかというふうに考えますし、また、戦前の日本の社会、あるいは戦前戦中の日本の社会がそうなっていたにつきましては、マスメディアの力も大いにあずかってあったのではないか、そういうふうにも考えております。

田島参考人 戦前と今の戦後の我々の社会が全く同じだということはもちろんありません。その状況が違うのは確かであると思います。

 ただ、私が心配するのは、やはり法律のつくり方が、秘密を限定していくということによって確保されるというのが情報の公開であったり知る権利を膨らませることになるんですが、何が言いたいかというと、今回の法案というのは、いろいろなレベルで、情報を狭くするのではなくて、広くする方向にいろいろな向きで行っちゃっているというのが私たちはちょっと心配なんです。

 例えば、秘密になる事項、四領域ですね。四領域それ自体が、国の情報の中で、防衛と外交、それに特定有害活動、それからさらにはテロリズムの防止といった、もうかなり重要な情報が対象になる。しかも、皆さん御承知のように、別表で列記されている事柄を見ると、特に防衛の部分とか、あるいは外交についても、特に最初の方の項目なんていうのはかなり広目にとられています。

 要するに、非常に広範な情報を秘密にし得る構造になっている一方で、秘密にするのが行政機関の長に一元的に集中をしているということになると、やはり懸念されるのは、先ほどの国際ルールの話にもかかわるんですが、国家の安全と政府の安全は違うということを非常に明確に言っているんですね。単なる政府の不都合なり政府の失態なり、そういうものを国家秘密の名のもとにやってはいけませんよということを、特にヨハネスブルク宣言ではそれを極めて明確に言っております。

 だから、そういうことがされないような秘密の指定なり、あるいは秘密の範囲の限定なりということをいろいろなレベルでしていかないと、やはり、本来の秘密からはみ出る部分を秘密としかねないような構造が生まれてしまうということなんですね。

 もちろん、政府が適切な政府であれば、そんなに濫用等なんということはないかもしれませんけれども、余り性善説をとって法律をつくるというのは、やはり法律家としてもよろしくないので、最悪のことも踏まえながら、濫用のチェックをするメカニズムもあわせてきちんと組み込んで、さらに対象を絞って、あるいは、さらにもうちょっと客観化するような形で秘密の対象を確定していく等々、こういうことがやはり必要なのかな。

 それにあわせて、さらに、本来の取材、報道の自由をきちんとカバーできるようなメカニズム、そこのものもしっかり担保をさせていく、それが大事なのかな。それがないと、私は、今のままの法案だと、やはりちょっと不安を拭い得ない構造になっているのかなという気がしております。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、私も、まさしくチェックをする機関がしっかりとないといけないということだと思いますし、そういうことでいえば、春名参考人がいろいろとアメリカのチェック機関のことを陳述していただいたこと、また、本当に四人の参考人の方に感謝を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 きょうは、四先生方、高い見識から貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

 それでは早速質問に入りますが、これは四先生方にお答えいただきたいんですけれども、今法案においての特定秘密の範囲ですけれども、これはもっと抑制した方がいいと思っておられるのかどうか、簡潔に御意見をお聞かせください。

長谷部参考人 最初の意見陳述で私申し上げましたけれども、原則は既に法案の中に書き込まれておりまして、それを具体の文脈に沿って、本当に特別の保護に値するものは何なのか、それはやはり具体的状況に応じて行政機関の長が的確、合理的に判断をしていかざるを得ないものであるというふうに考えております。

田島参考人 私は、今回の法律の対象から、防衛なり外交なりという、従来の国家秘密ですね、国家秘密の中のかなり重要なものというのは大体これでカバーされてきたと思うんですが、それに、最後の二つ、警察が取り扱うべき情報ですね、そこを同レベルのものとして法律に組み込むということについては疑問があります。

 それからさらに、やはり罰則についてもちょっと、例えばイギリスの例でいうと、スパイ的な行為をした場合に懲役十四年なんですね。公務秘密法という法律があって、第一条なんですが。それ以外の情報というのは二年なんですよ。だから、イギリスだけじゃなくて、ほかの諸国のいろいろな制度ももちろん考えてということではあるんですが、ちょっとそれもバランスを欠いているかなという気がしています。

春名参考人 四分野なんですけれども、外交、防衛については余り異論はないかと思うんですけれども、今、田島先生がおっしゃったみたいに、テロとスパイ防止、この二分野について多少異論があるかと思うんです。

 それはなぜかというと、やはり重なり合う部分がかなりあるのではないか。例えば、テロということで、原子力発電所の警備の問題なんかも議論になっていますけれども、その場合、住民の方々の不安などがあって、安全性についての関心が非常に強いわけですね。そうなってくると、これは一省庁だけに帰属するような文書じゃないのではないかと思われるわけですね。例えば文部科学省だとか、あるいは環境省にも回すべき文書ではないかと思われるわけです。

 そうすると、やはりテロ対策の部分については、どうしても出したくないということであれば伏せ字にするとかということで、逆に、国民の生活、住民の方々の安全にかかわるような部分については積極的に公開していくという形で、伏せ字にしたまま公開するというふうな形で、実質的に秘密を削減するというふうな方向で臨まれてはいかがかなというふうに思います。

 それから、スパイ対策についても、外務省もかかわるような問題であるわけですね、あるいは防衛省もかかわるような問題であって、これは警察庁とは観点が違うかと思いますので、文書を共有する、情報の共有ということもやはり官庁の間で肝心なことだと思いますので、そういった形で、秘密を削減するような方法を考えていかれたらどうかというふうに思います。

永野参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、我が国の今回の特定秘密の類型は、アメリカのものよりかなり厳密になっております。

 ちなみに、昨年発表した論文で公開しておりますが、オバマ大統領が定められた大統領令一三五二六号の一・四条で、この指定類型としましては、a、軍事計画、武器システム、または作戦、b、外国政府情報、c、インテリジェンス情報(秘密活動を含む)、インテリジェンス情報源、方法、または暗号等々、全部は読みませんけれども、これは相当概括的で応用可能なものであります。

 それと比べますと、今回の特定秘密の保護に関する法案における秘密指定の類型は、恐らく、与党の先生方が、何とか具体的に記して多くの先生方の賛同を得ようということで、私から見ると、大分書き込んだなというふうに評価できると思います。

 以上でございます。

今村(洋)委員 ありがとうございました。

 秘密の範囲ということについてですけれども、知る権利と秘密、国家機密というものはバランスをとらなきゃいけないということは、四先生方、同じお考えであると思いますけれども、知る権利の担保について、何かチェック機関、チェック機能というものが政府内に置かれた方がいいと思われるのか、それとも、やはり外部の第三者の意見、そういう機関があった方がいいと思われるのか。これも四先生方に御意見をお聞かせいただきたいので、よろしくお願いいたします。

長谷部参考人 御質問でございますが、これは永野先生がおっしゃったことと関連するかと思いますが、政府の中に置くか外に置くかということよりは、仮にそういう機関を設置するといたしまして、そのメンバーをどうやってリクルートするのか、仮にリクルートしたときに、その方々のクリアランスでありますとか、その方々がインテリジェンス活動のターゲットになるというその危険に対してどう対処するのか、さらには、リクルートする人的資源、そういったものが果たして、政府の外部、あるいはそういう特定秘密とされるべきものを扱う部署以外に本当にそういう人的資源というのが十分なだけ存在をしているのか、そういうことまで含めて考えていかなくてはいけないと思っております。

 私も、理想的にはあった方がよいと思います。ただ、我々が生きているのは現実の世界でございますので、現実の世界で実現可能な範囲の制度としてどういうものが考えられるのか、そこまで考えなくてはいけないのかなと思っております。

田島参考人 今回の秘密の対象をかなり広げてやるということであればなおさら、私は、いろいろなメカニズムをいろいろな形で可能な限り埋め込まない限りは、やはり懸念が残らざるを得ない。

 私は、政府の今の機構の中では二つ真剣に考える必要がある。

 それは、一つは国会ですよね、国会の監視機能。原則的に国会には情報を出さないわけで、提供して、秘密会など、そういう場合に限定する。これはしかも義務ではないので、それでいいのかどうか。もちろん、その場合には、では知り得た議員に対してどういう措置をとるのか、これはもちろん議論しなければいけないことではあると思うんですが。

 それともう一つは、最終的に事件等になったときの裁判所ですよね。裁判所が本当に実効的な公開裁判を担保できるようなメカニズムになるのかどうなのか、これもやはり私は大事なのかなというふうに思います。

 今の公開裁判の話についてはツワネ原則の中に書かれていて、特定秘密を公開して審理できることを保障するような、そういうメカニズムをやはりとるべきであると。必要な場合に情報を開示するということも言っているんですね、このツワネ原則の中では。

 それも含めて、要するに、裁判での実効的なチェックというのをもう少し考えないといけないということですね。

 それからもう一つは、安全保障にかかわる機関についての内部のチェックのメカニズムというものも、これもやはり非常に大事だというふうに思います。

 ツワネ原則の中ではその点も言っていて、チェックする監視機関がなければいけないということを言っていて、その監視機関は特定秘密にアクセスできる、入手してアクセスできることが必要である、そうでないと監視ができないわけですから、そういうことも言っています。

 それとさらには、外部の第三者あるいは専門家等々から成るそういうチェックのメカニズム。

 私は、いろいろな形でそういう努力をやっていかないと担保にはならないだろうなというふうに思います。

春名参考人 チェックの問題なんですけれども、やはり政府内の管理組織といいますか省庁間委員会のようなものはまず必要かと思うんですね。全体的な、秘密がもう膨大になってしまうようなことは抑えていく。ほかの省庁からの意見も聞いて、これはやはり秘密を解除した方がいいんじゃないかという意見もほかの省庁から出るおそれもありますので、そういった省庁間委員会というのはまず必要かというふうに思うんですね。

 それと、個別具体的な文書の公開、非公開をどう監視するかという問題があると思うんですけれども、それについては非常に難しいんですけれども、やはり一定限度のセキュリティークリアランスを与えた外部の有識者の意見も聞いてみるというふうなこともあっていいんじゃないかと思うんですね。これはあくまで秘密を漏らしてはいけないので。

 それに対して、スパイ工作があるんじゃないかというお話があるんですが、しかし、そうなりますと、政府の職員全員に、特定秘密保護のセキュリティークリアランスを持った人に対してもカウンターインテリジェンスの措置をなさねばならないということも明らかですので、やはり同じように考えた方がいいと思います。

永野参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の点は非常に重要な点でありまして、先ほど私も自分の見解を述べさせていただきました。

 私は、春名先生が御指摘になったアメリカの国務省における外部有識者委員会、学会の中から選出してクリアランスをかけるというものなんですが、相当歴史を経過した事実に対してアクセスを認める制度です。一般の大統領令に基づく機密の指定、保全とは別制度になっておりまして、この点については私の論文に記載したとおりであります。

 そう考えますと、民間人を第三者機関として入れるというのは、先ほど御指摘申し上げたとおり、私は、もし、永野やってくれと言われたら、お断りすると思います。そんなもの見たくもないし、法政大学にカウンターインテリジェンス組織はないので、一生、外事警察の方が私の周りをうろうろするというようなことまで想定してしまう次第であります。ですから、それはやはり情報をわかっていらっしゃる専門家の方にやっていただくのがよろしいかと思います。

 春名先生が御指摘になった省庁間機密指定委員会というのは、全部、インテリジェンスの上部機関の長に任命された組織から構成されております。読み上げますと、国務省、国防総省、司法省、司法省はFBIの上部機関であります。それから、国立公文書館、これは違いますけれども、国家情報官室及び国家安全保障問題担当大統領補佐官でありまして、もともと秘密に責任を持っている方から委任された方々が担当しております。

 なお、国会については先ほど秘密会で申し上げましたので、司法の問題について申し上げますと、実はこれは裁判の問題と非常に、特に刑事手続の場合には難しい問題があります。

 アメリカでも、機密情報を漏えいしたことに関して訴追した場合、相手が、公開の裁判において、もっと漏らすぞというおどしを使って訴追を取り下げたという例がありました。これに対応するため、一九八〇年に刑事情報手続法、これは私、論文として公表したものの中に書いておりますが、こういうおどしをグレーメール問題というふうに呼んでおります。ここで、刑事被告人の憲法上の権利を保護するということと、秘密情報を守る、それから弁護士の方をどうするのか、こういうことがこの法律と判例によってきっちりでき上がっております。

 これは本法案とは関係ございませんが、今後非常に重要な問題でありますので、先生方に御議論いただければありがたいと思います。

今村(洋)委員 先生方、ありがとうございました。

 今、先生方のお話をお聞きしますと、セキュリティークリアランスというものを受ける人たちというか対象というのが非常に大事なものになってくるだろうと思います。国家機密ですから、やたら何でもかんでも秘密というわけではなくて、非常に限られた本当に重要なものが国家機密になって、それが、セキュリティークリアランスをパスした方々が手にすることができるというふうに考えております。

 そのセキュリティークリアランスなんですけれども、今法案の中では、これは、海外でのこういう法案についても、秘密に触れる人たちの対象でもそうですけれども、ちょっと読み上げます。ただし、次に掲げる者については、適性評価を受けることを要しないものとすること。つまり、セキュリティークリアランスを受けなくてもいいよと言われている人たちに、一、行政機関の長、二、国務大臣、三、内閣官房副長官、四、内閣総理大臣補佐官、五、副大臣、六、大臣政務官、七、一から六までに掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、適性評価を受けることなく特定秘密の取り扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者というふうになっておりますけれども、私個人の考えでは、なぜ今読み上げた人たちがセキュリティークリアランスを受けずにいいのかというふうに疑問に思うのです。

 その点について、申しわけありません、四先生方、また御意見をお聞かせください。

長谷部参考人 確かに先生がおっしゃるように、制度自体、穴があるように見えるところはございます。

 ただ、今おっしゃった適性評価の対象にならないという規定は、この法律の適性評価の対象にはならないということだというふうに私は理解をしておりまして、例えば政務官等、政府のメンバーの方々がこの法律以外の事実上の適性評価の対象になるということは十分あり得るのではないかと思います。

 ただ、そういう方々は、言ってみれば、人権として、何かセキュリティーと対抗するような利益を持っているというわけではないんだろうと私は思うんですね。普通の国家公務員でありますとか契約で働いている方々でありましたら、その方々の憲法上の権利、その他の権利、十分考えないといけない。そういう方々ではない方と、扱いが少なくとも制度上違うということは十分あり得るのではないかというふうに考えております。

田島参考人 あそこで列記されている、例えば政務三役、入っていますよね。それからNSCの補佐官の方々も入っていると思うんですが、いわばこれは政策形成をする立場で、秘密を、ある意味で、つくるのは事実上は官僚のトップが指定をするにしても、そういうことで恐らく除外をしたのかなというふうに思います。これはわかりません。政党や国会とかでどういう議論をされたのか、私、よく承知していないんですが。

 それともう一つは、私がちょっと懸念をしているのは、実際に秘密を取り扱う人たち、これは国家公務員、警察官、それから契約関係にある契約業者の職員の人たちということになると、膨大な数、恐らく適性評価の対象になると思うんです。

 何を注意しなければいけないのかというと、私の関心からいうと、余りこれのチェックをやると、結局、本来の内部告発をするような回路が適性評価のチェックの仕組みによって非常に狭められてしまわないのかな、使い方いかんによっては。これはやはり非常によく考えなければいけない。

 それはどういう問題とかかわるかというと、例えば国家公務員が情報を取り扱うという中で見て、これはどうも国家秘密とは言えないんじゃないか、政府の秘密、政府を隠すための形になっているんじゃないかという疑念を抱く人たちが、これはむしろ国民にとっては大事なわけですよね。だけれども、そういうようなことを、適性評価、すなわち、ある部分、内部告発という形で漏らすことになるから、漏らすような傾向のないというのが全体のチェックの仕組みですから、それをそういう形で使われるということになったら、これは逆に、本来の内部告発の、我々の民主的な国にとって大事な仕組みというのが事実上骨抜きにされかねないことになるといけないということなので、その辺もぜひ御議論いただけたらというふうに思います。

額賀委員長 参考人に申し上げます。

 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いをいたします。

春名参考人 私も、実はその点を疑問に思ったんです。

 先ほども永野先生からあったと思うんですけれども、いわゆる身体検査とのかかわり合いで免除されているんじゃないかというふうなことをおっしゃっていたんです。

 どのような身体検査が行われているかがよくわからないんですけれども、これもアメリカとの比較で申しわけないんですけれども、次官補以上の人たちは議会の承認を受けるわけですね。上院で承認を受けるわけですが、その際にFBIの身上調書のようなものが提出されて、それで漏らしてはならないことも漏れて国防長官を棒に振った人ですけれども、この人は酒癖が悪いとか、そういうことが漏れて、結局辞退されました。そういうことで非常に厳しいわけであります、向こうの場合は。

 したがって、このセキュリティークリアランスが免除されても仕方がないのかなというふうに思うんですが、この辺のところ、私も理由がわかればお答えできるんですけれども、やはり一般の政府職員と同様の厳しい態度で臨まれることが必要だというふうに思います。

永野参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 アメリカにおきましては、先生御指摘の類型に入る方々に関しては、機密レベルと同様のセキュリティークリアランスがかかっております。ただし、これに要する期間は、場合によっては百日を超えるものでありまして、大統領制ですから、組閣を、どこからどんな人を持ってきても構わないわけですが、我が国の場合には、議院内閣制で、内閣の半分は国会議員の先生方でなければならないという縛りがございます。そして、実際、内閣総理大臣が指名されてから組閣までの期間が非常に短いという一つの憲法慣習でありますし、それを変更することが難しかったのではないか。

 私は、仮クリアランスという制度もアメリカはあることはあるんですけれども、それにしても非常に期間が短いのが原因ではないかというふうに思いまして、先ほど述べたように、それで短期間にやるのを恐らく身体検査と呼んでいるんだと思いますが、それを厳密にやらないと、逆に官僚が大臣等を信用しないということが起こってくる。あの人、大丈夫かということですね。

 ですから、その点は、政治による指導力を発揮するためにも、短期間で担当される方は大変かもしれませんが、きちっとした身体検査を行うべきだというふうに考えております。

今村(洋)委員 済みません。これで質問を終わりますが、今の質問を申し上げたのは、私も含めて政治家というものがいかに怪しげで、何か素性がはっきりしないという人間も大いにまじっているという印象からお聞き申し上げました。

 どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 本日は、長谷部参考人、田島参考人、また春名参考人、永野参考人、ありがとうございます。

 それでは、早速お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、特定秘密保護法というものが現在こうやって議論されているわけでありますが、この必要性について、田島参考人は、必要はない、むしろ自衛隊法改正の防衛秘密保護についても必要はない、こういうお考えだ、こういうふうに思っております。それに対して、ほかの御三人の参考人の方は、この特定秘密保護法の必要性については、ある程度必要性を認めておられる、こういうふうに考えております。

 国民に、やはりこの特定秘密保護法が必要であるということをわかりやすく、長谷部参考人、そしてまた永野参考人にお伺いしたいと思います。

 そして、田島参考人でございますけれども、今回の法案がなくても、公務員の守秘義務、それから防衛秘密、あるいはMDAの特別防衛秘密や米軍の軍事機密の罰則があるということですが、例えば大臣とか、特別公務員は対象になっていないわけですね。これについて、秘密を守るということを課さなくてよろしいのか。それから、現在も、特別管理秘密について保護をしている、そして、それを担う取扱者についてはセキュリティークリアランスをしている。これは法的な根拠はないんですね。こういう法的根拠はなくてよろしいのか、お伺いしたいと思います。

長谷部参考人 どうもありがとうございます。

 この法律の必要性ということですが、必要性というのは、あるかないかという二者択一というよりは、いろいろな利益、場合によっては対立する利益を考えた上で、ある程度の必要性はある、そういう話なのではないかというふうに思います。

 政府の保有情報の中に、やはり特別な保護の必要がある情報がある、これは私は否定しがたいことであります。そういった情報につきましては、何しろ、かつてとは違いまして現在は高度情報化社会でございまして、一旦その情報が漏えい等の形で外に出ていきますと、大げさに言いますと瞬く間に世界に広がりかねないということがございます。そこはかつてとは時代状況が違っていると思います。

 また、これはアメリカの九・一一のテロ事件についてよく指摘されていることでございますが、本当は、アメリカのFBI等の各情報機関が持っていたテロ活動に関する情報を突き合わせていれば実はあれは防げたのではないか、そういうことも指摘されているところでございまして、やはりこういう形で、クリアランスを経た政府機関の人々が一定の情報、重要な情報を共有する、そして政府としての方針を考えていく、そういう制度の基盤をつくることには必要性があるというふうに考えております。

永野参考人 お答えいたします。

 先生からの、まず必要性に関する御質問ですが、先ほど答弁させていただいたとおり、秘密の指定、保全、そして将来それを解除して、後世にその判断が正しかったかどうかを仰ぐという、非常に意義のある法案と考えております。

 それから、たしか刑法関係の御質問があったと思うのですが、今の一般職の公務員の皆さんに対して国家公務員法第百条で科されている刑罰が、外国から見たら恐らく軽過ぎる、そして実務的には執行猶予がほとんどの場合つくであろう、これで守れるのかという目で見られてしまうと思うんです。

 今回の法律で、十年及び五年ということで一定程度実刑を担保する形、かつ、アメリカの加重類型のように、軍人に対して場合によっては死刑を科すというような、日本が急にそういうことをやるとやはり刑の均衡を失すると思いますが、この十年、五年というのは非常にバランスのとれた実効的なものとして、情報共有をする場合に外国政府に説明できるものだと考えております。

 それから、クリアランスに関しましては、先ほど意見を述べさせていただいたとおりでございます。

田島参考人 時間が長くならないように気をつけて話をさせていただきます。

 私は、国家の秘密が要らないということは全然言っていないんです。秘密は認めるけれども、その保護の仕方については、いろいろな国際的な経験なり諸外国の経験も踏まえて、それにふさわしい形で保護のあり方を探求していく。それは、知る権利や情報公開を深刻に傷つけないような形で、知る権利や情報公開を大事にしつつ秘密の保護のあり方をどうするかという形の、やはり今回の法律だけではなくて、日本の現行法の仕組みも全部含めて、私は、全体的に精査をして検討をするということが必要かな、その手がかりの一つになるのが先ほど言いましたツワネ原則などで示されているルールなのかなという気がします。

 そういうトータルに議論をした中で、例えば大臣にセキュリティークリアランスのチェックが要るかどうか、そういう大きな議論の中で位置づけて議論をしていくということで、要らないとか要るということを今直ちに私は言いませんけれども、そういう全体の中での位置づけをした上でやっていくのが必要かなというのが現段階での私の意見ということになります。

大口委員 そういう点では、アメリカに十二年おられた春名先生、この秘密の保護はシークレシーということが一つの要請だ、ただ、やはりデモクラシーとのバランスが大事だ、できるだけデモクラシーを優先させてシークレシーの方は抑えて、こういうお考えであったかと思います。

 この特定秘密保護法案を政府が出しているわけですが、これについての評価といいますか、必要性についてお考えをお願いします。

春名参考人 これまで、政府の中でこういう形の手続的なものが定められていなかったので困ったという話をたびたび聞いてきたわけなんです。したがって、ある程度そういった形で機密指定の問題を合理化するという点では前進があったというふうに思いますし、それから、適性評価という形のものをつくるということも、政府職員の間ではやはり一定の安心感といいますか、そういった戸惑いがなくなってきたということがあるんじゃないかというふうに想定されていると思います。さらに、国会の関与というのを一定程度認めつつあるということで、その点も、代議制ですので、それは前進があったと思うんです。

 ただ、やはり私のような立場ですと、基本的に言いまして、やむを得ないというふうな言葉になってしまうわけです。したがって、できるだけ秘密は少ない方がいい、将来の公開もしてほしいというふうなことを申し上げている、こういうことでございます。

大口委員 我が国は法治国家でございますので、やはり、こういう人権に関係する問題につきましては、法律できちっと規定するということが大事だと思います。絶えず見直しはしていかなきゃいけないと思うんですけれども、大事だと思います。

 そこで、私ども公明党におきましては、二十一条の一項、二項、一項につきましては、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」これを入れさせていただきました。また、二項におきましては、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。」正当な業務行為ということですから、刑法三十五条とあわせて、これは罰しないということでございます。

 何か雑則に書いてあるからというようなお話がございますけれども、ちょうど刑罰の前に書かれている。しかも、「この法律の解釈適用」ということで、これが、解釈が適用になるんです。

 ですから、もちろん、最高裁につきましては、五十三年の外務省の漏えい事件、西山事件があって、あるいは後の裁判を事実上拘束するということがありますが、法律できちっと書くということも大事。

 そしてまた、捜査機関でありますとかあるいは行政が、知る権利に配慮し、報道の自由、取材の自由に配慮するということで、秘密の指定や解除等についても当然これを基本としてやっていくということで、全く意味がないということではないんじゃないかな、こういうふうに思っているところでございます。

 この点につきまして、永野参考人、お願いいたします。

永野参考人 お答えいたします。

 私は、先ほど、知る権利を直接に規定するということにはやはり問題がある、逆に縮減効果等を生んでしまうというところで、公明党が提案されて、その条文に報道及び取材の自由について書かれたことは非常に意義があることであると思っております。

 一方、報道と取材の自由をもっと平文で書いたらどうだという御意見もあるかもしれませんが、私は、アメリカの方を見ておりますと、それは実務上難しいところがあるというふうに考えております。

 先ほど春名先生が御紹介になった、二〇一三年情報法の、何と訳していいんでしょうか、自由に流すための法律というのが、上院の司法委員会で可決されました。アメリカの国会も今もめておりますので、上院で可決されるかどうかわかりませんが、問題となるのは、報道機関あるいは報道関係者の範囲です。

 先日、私、この委員会の中継を見ておりまして、岡田副大臣だったと思いますが、一定の見解を示されたと思います。

 ただ、この委員会で触れられていない点につきまして申し上げますと、メディアとか報道関係者の定義から、外国の権力あるいはそのエージェントというのが排除されています。これは何を意味するかといいますと、報道機関の、例えば新聞記者として来ているという人が外国のエージェントである場合がある、あるいは、例えば日本の新聞社の方が、何か弱みを握られて外国のインテリジェンス機関の手先になってしまっている、こういう事例を、先生、法曹資格をお持ちですからおわかりだと思いますが、全く排除してしまうということはできないわけであります。

 そこで、これは情報秘匿特権を正面から定めたものなんですが、そこのところだけはどうしても定義で書いておかざるを得ない。ほとんどないと思いますけれども、やはりそういう配慮も必要だというふうに考えております。

 以上であります。

大口委員 田島参考人、この点についてお願いしたいと思います。

田島参考人 全部、全くゼロかどうかというと、ゼロではないかもしれないですね。だけれども、本質的な意味はないというのが私の理解の仕方です。

 それで、私は、一つは、国家秘密法というのが八〇年代半ばにありまして、あのときにはちゃんと処罰規定が入っていました。なぜ今回そうならなかったのかというのは、ぜひ皆さんで御議論をいただきたいというのが一つ。

 それからもう一つ、先ほどのツワネ原則の中では何と書いてあるかというと、非公務員、ジャーナリストや市民も含むんですけれども、これに対して処罰はしてはいけないということを明確に書いてあります。しかも、情報が流出した際に取材源、情報源をたどるようなこともいけない、禁止する、そういうことも言っております。

 ですから、本当に取材の自由や報道の自由をきちんと担保するのであれば、やはりそういう形でやらない限り保障にはならないのかなと思います。

大口委員 この指定につきまして、やはり恣意性を排除する必要があるということで、第三者機関のチェックということが先ほどからも議論になっているわけです。

 それで、アメリカの制度、情報保全監督局という、これはアメリカの国立公文書館に所属しているわけです。アメリカの場合は独立性がある。ただ、日本の場合は、公文書館というのも内閣府に所属するということで、ちょっと質的に違うと思うんです。

 ただ、この情報保全監督局というのは二十八名だそうですね、この部署の方というのは。しかも、これは大統領令に基づいてやるということで、大統領国家安全保障担当補佐官と連携をしながらやるというので、純粋な第三者的な機関なのかどうかということが一つ。

 あと、省庁間の上訴委員会、これにつきましても、今、永野参考人からもお話がありましたように、メンバーがまさしく行政の秘密を扱うメンバーであって、朝日新聞等には、こういうものを参考にすればいいんじゃないかということが書いてありましたけれども、これもまさしく行政機関の中枢がメンバーの委員会だということですので、なかなかアメリカのデータを参考にしづらいなと。

 そういうこともありまして、私どもは、まず、特定秘密の指定、解除、更新の各手続、あるいは指定期間の基準ですとか別表の細目ですとか、それから、定期的にそういう指定、解除、更新状況を報告するということのチェックで有識者会議というのを設けたわけなんですね。

 この点につきまして、アメリカの制度というものについて日本に導入できるのかどうか。日本においては、どうしても内閣官房、内調が中心になって、それを第三者の目ということで有識者会議でやるわけでありますが、内閣官房でさらにチェックできる仕組みというものが、この有識者会議との関連も踏まえて、永野参考人にお伺いしたいと思います。

永野参考人 お答えいたします。

 アメリカにおきましては、大口委員が御指摘のとおり、実は、情報保全監察局長というのは、行政内部、国立公文書館の館長から指名されて大統領が任命している職です。

 委員が御指摘になったとおり、ホームページ等に掲載されている人数も二十八名です。それほど予算も多くなくて、大体日本円で九十八円換算でいきますと四億三十三万円でありますから、全部の機密をチェックできるわけはないわけですね。そこで、サンプリングとか、重要な部門を、大統領令が確実に施行されているかどうかをチェックする機能を担っているのだと考えております。

 ちなみに、現在の情報保全監察局長の前職は、国家情報官にインテリジェンスの方法等を進言する国家情報副本部長補でした。それ以前は中央情報局、国家偵察局に勤務しているということで、御出身は情報機関の方であります。

 こういうことを考えますと、やはり情報をどういうふうにチェックし分類するかということは、インテリジェンス関係の御専門の知識があった方がいい。それが内部で実際に施行されているかどうかのチェックだと思います。

 それと、今回の法案の有識者会議は、恐らく、機密解除の期間等とかあるいはそれに伴う方法等を決める、直接に機密解除の是非を判断するところではないというふうに認識しております。

大口委員 時間が来ましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野県の井出庸生と申します。

 きょうは、四名の参考人、お忙しいところ、ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 私は、国の秘密というものは少なからずある、そのためにはその法整備をすることの意義、意味というものも感じております。しかしながら、今の政府案は、論点整理、数々の問題点があると思っておりまして、そういうスタンスで、きょうは幾つか質問をさせていただきます。

 まず、秘密の範囲なんですが、先ほど永野参考人が、国家公務員法の秘密が広過ぎるところからすれば、今回、類型ときちっと限定したものは評価できるというお話がありまして、また、春名、田島参考人のお立場からすると、秘密はできるだけ狭い方が、きちっとした方がと、特に田島参考人からそういうお話がありました。

 長谷部参考人にお伺いをしたいんですが、やはりケース・バイ・ケースだ、厳密に今から決めるのは難しいと。でも、少なからず、類型ですとか範囲を決めていくということは、私は必要ではないかと思うんですが、そういう意味では、政府案というものをどのように評価されていますでしょうか。

    〔委員長退席、中谷(元)委員長代理着席〕

長谷部参考人 まず第一に、私も、不必要な情報まで特定秘密として指定すべきではない、それは当然のことであるというふうに考えております。

 ただ、どういうものが指定の対象になるかについては、別表等で基本的な、私はかなり具体的と言っていいのではないかと思っておりますが、範囲は定められております。それ以上に具体的に、では何を指定するのかと、そのレベルになりますと、それはもう、法律であらかじめ決め切ってしまうことは極めて難しい、そういう考え方でございます。

井出委員 ありがとうございます。

 次に、田島参考人にお伺いをしたいんですが、秘密はできるだけ少ない方がいいと。今回、防衛、外交、テロ、スパイ・有害活動という四つの分野が挙がっておりますが、削れるものがあるとすれば、もし御所見があれば伺いたいんですが。

田島参考人 今の質問のなかなか難しいところは、現行法でカバーをされていて、ある部分、防衛秘密プラスアルファでカバーをされている、それ以上に、防衛秘密と違うものを特別に保護するということが、いかなる意味で必要であるのかということですね。あとは、本当にプラスアルファで必要であれば、同じような種類の情報を同じような刑期でやるということでは恐らくないはずだと。

 イギリス、先ほど例に挙げましたけれども、公務秘密法という法律は、一条でスパイ行為を処罰の対象にしているんですね。十四年です。それと、二条以下で一般の公務上の秘密の保護を扱っている。それは二年、先ほど言いましたように。全然違う扱いをしている。同じ法律の中でも違う扱いがされているわけなので、そこのところもやはり丁寧に、私は、同じようなものと全部くくって議論をしない方がいいだろうな、そういうふうに考えております。

井出委員 ありがとうございます。

 引き続き、もう少し、法整備の必要があるのではないかという観点から伺いたいのです。

 私、この法律が成立をしたときに、特定秘密を各行政機関の長、大臣、長官が指定をする、そういうことになっているんですけれども、その秘密の指定や管理に、少し政治主導といいますか、内閣が、ある程度、もっとこうした情報はないのかとか、内閣の権限というものを確保する必要があるのではないかと思っております。

 永野参考人は先ほど、閣内に組織をつくられた方がいいというお話がありましたし、春名参考人からは各府省間委員会という組織のお名前が挙がりました。

 お二方にお伺いしたいんですが、お二方が想定している、そういう組織や情報管理運用の中で、各省庁に対して内閣が政治主導を発揮していくというようなことも想定されているかどうか。お二人にそれぞれお伺いします。

永野参考人 お答えいたします。

 現在の法案に基づきまして、基本的に、機密指定を行うのは行政機関の長であります。または委任された者であると思いますが、たとえ有識者会議がかなり実効性の高い基準等を立てた場合でも、長年の運用にわたっては、例えば防衛省、警察庁、公安調査庁等で、運用の実態がずれてくる。

 もちろん分野が違うので、はっきりは申し上げられませんが、それは一回、こういう運用になっているということを、各省の責任者、行政機関の長から委任された方が、内閣官房で定期的に、これはちょっと行き過ぎだとか、そんなの公開してどうするんだ、機密指定しろということを調整するような、基準が各省庁間でずれないような仕組みを内閣官房の内部につくった方がいいと考えております。

春名参考人 省庁間委員会、ISCAPというのがアメリカにあるんです。私は、中身は見ていないんじゃないかと思ったんですけれども、近年公開された文書を見ますと、文書の中身も見ているようでして、やはり、ほかの省庁の方々との調整とか連携だとか、あるいは牽制ということもあると思います、権限争いもありますので。

 そういう形で、お互いに切磋琢磨ということもあり得るかと思うんですが、しかし、場合によっては政治主導を徹底することも可能かと思います、そのような省庁間委員会が設けられれば。その場にやはり政治家が出席するということも有益なのではないかというふうに思います。

井出委員 ありがとうございます。

 今、永野参考人の方から、内閣で定期的にチェックをしていくことが必要だというお話がありました。

 私も、例えば、政権交代があった、内閣改造があった、それで行政機関の長や総理大臣がかわったときは、やはり、どこまで丹念にやるかという問題はありますけれども、少なくとも、指定になっているものを一度、一定期間で洗った方がいいのではないかと思っておりますが、そういった私の考えには御賛同いただけるのかいただけないのか、ちょっと永野参考人にお願いいたします。

永野参考人 お答えいたします。

 私が既に公表している論文に記述したところでございますが、アメリカの機密指定の制度も、共和党、民主党の政権交代を繰り返すたびに大きく変更しております。

 一般化して、共和党は、秘密を拡大しよう、民主党は、アメリカ民主党でございますけれども、秘密を縮小しよう、どんどん情報公開しようということが繰り返されて、実は今、オバマ大統領の機密指定に関する制度は、ちょうどバランスのとれたよいものになっております。例えば、一番情報公開をやったのはクリントン大統領なんですが、余りにも自動機密解除をやり過ぎて、後で大問題となりました。

 等々ありますので、委員のおっしゃったとおり、制度も変えられると思います、ある程度、立法でいろいろ、今回の指定の範囲だとか。

 それと、実際に政治家として指導力を発揮されて、それはやり過ぎだろうということも十分考えられるというふうに思います。

井出委員 ありがとうございます。

 続きまして、やはり大きい論点である、知る権利ですとか、報道、取材の自由等を守っていくという観点からお伺いをしたいんです。

 先ほど、田島参考人のお話の中で、情報を発する人を守っていかなければいけない、取材の、報道の自由もそうなんですけれども、そこにまさに情報を提供する、発する人が肝だと。私も、先週の本会議でそういった趣旨の質問をさせていただいて、本当に改めてそう思ったところなんです。

 そういう観点から、今、二十一条の解釈のところで、報道、取材の自由、また、報道機関に対する、正当な業務をしっかりと規定する文言があるんですが、私はそこに、もっと広い概念で、公益通報の保護をしっかり図るという文面が必要だと思っておりますが、田島参考人に御意見をいただきたいと思います。

田島参考人 もし、この法を修正する、アイテムの一つとして、そういう枠の中でやるとすれば、公益通報との関係をどうするかというのは極めて大事なことなんですよね。ですから、当然、それについてのきちんとした規定を用意するということになると思います。

 ツワネ原則も、内部告発者は、明らかにされた情報による公益が秘密保持による公益を上回る場合には報復を受けるべきではないということをちゃんと書いてありますし、情報漏えい者に対する訴追は、情報を明らかにしたことの公益と比べ、現実的で確認可能な重大な損害を引き起こす場合に限って許されるという趣旨の規定を設けております。

 だから、もしこういうことがきちんと明記されれば、内部告発の法的な保護というのはそれなりにカバーされる部分があるのかなというのが一つと、再三言っているように、情報源の規制を今のままでやると、今言ったような公益通報の規定とかジャーナリストは除外するとか、もっと明確な規定を設ければ別ですけれども、今の法の枠の中でいろいろな手当てをしても、やはりかなり限界がある。

 すなわち、情報源のところをもう少しきちんとした枠組みで規制するということをしない限り、要するに、取材をしようと思っても取材すべき情報がないということであったら、報道もできないし、知る権利も実現できない、そういうことだと思いますね。そこの根本的な部分は、ぜひ御検討いただきたいということです。

井出委員 ありがとうございます。

 また、永野参考人にお伺いしたいんですが、先ほど、二十一条の関係のところで、大口委員とのやりとりで、今の二十一条を肯定的に受けとめられているというお話、やりとりがございました。

 私が申し上げている、公益通報の保護を図るという観点をそこに入れても、今つくってある二十一条の趣旨がもっとよくなるのではないかと考えているんですが、もし御所見をいただければ、お願いいたします。

永野参考人 お答えいたします。

 公益通報者保護法は、我が国においてこれをできる場合は、米国と比べて非常に限定されております。違法行為が中心だと。条文を見ておりませんので、確かではございませんが。

 アメリカはどうなっているのかといいますと、内部告発者保護法では、たとえ法令違反の告発行為であったとしても、その内部告発が法により禁じられており、かつ、当該情報が、大統領令により国防上の利益または外交関係の行為として機密保持が認められている場合には、同法に基づく内部告発に関する保護を受けることができないということで、原則、内部告発、日本で言う公益通報者保護法の範囲から外れます。

 すなわち、インテリジェンス機関等に働いている人たちには、一般法としての内部告発者保護法がない。しかし、それではやはり問題だということで、特別法がインテリジェンス機関向けにつくられてきました、内部告発の制度が。

 これに関して、いろいろな事案等があったのですが、現在は、オバマ大統領による大統領政策指令十九号という非常にすばらしい指令が出ております。ただ、ここは、内部告発できずに、インテリジェンス機関の上層部に、おかしいですというところが上がっていくわけですけれども、最後の行き場が議会なんです。議会の情報委員会だったと思いますが、もちろん秘密保持を確保して、そこでやるということであります。

 そういうふうにしないと、やはり、インテリジェンス機関から記者さんとかにどんどん機密漏えいができるというのは、場合によってはあるかもしれないですけれども、一般的な事態ではないから、例外となっても仕方がないのかなというふうに考えております。

    〔中谷(元)委員長代理退席、委員長着席〕

井出委員 ありがとうございます。

 次に、罰則の量刑のところで伺いたいのですが、海外との整合性、また、企業秘密ですとか、MDA、刑事特別、そういったものとの整合性を考えると、今の十年が妥当だという御意見を私はいろいろなところで伺ってきて、ただ、十年となると、今、自衛隊法が五年ですので、実際、漏えい事件があって裁判になったときに、かなり、裁判上の実態としては、実刑判決の確率というものが高まってくるのではないかなという一つ懸念をしております。

 先ほど、田島参考人が、イギリスを例にとって、一つの法律でやるにしても、情報の重要性によって十四年と二年で差をつけているというお話がありましたが、やはり、よりよいものをつくるのであれば、そういう細かなところもやっていくというところは大事なんでしょうか。再度、お願いいたします。

田島参考人 スパイ条項の場合は、敵を利するような形で情報を入手したり外に出したり、あるいは基地の中に入ったりとか、そういうことなんですね。ただ、これは歴史がかなり古いから、昔の、一九〇〇年代の前につくった部分で、要するに、典型的にはスパイ罪を規定するということで、かなり重い処罰がつくられている。

 他面で、それ以外の公務に関する情報については、警察の関係であれ、盗聴に関する事案とか、これもみんな二年なんですね。ですから、量刑は、もうちょっと慎重に御議論をぜひ、いろいろな海外の例も含めながらやっていただくということが大事かなというふうに考えております。

井出委員 ありがとうございます。

 次に、長谷部参考人にお伺いをしたいんですが、この法整備が仮になされたとすると、これまでの情報収集活動、情報の中身によっては特定秘密になって、それを漏らせば刑罰がつく。そうすると、この法案とは直接関係はないんですが、情報収集のあり方が、違法なものはそもそも論外だと思いますけれども、情報収集の仕方が余り不適切であれば、秘密の指定もしくは情報の信憑性そのものも議論があるかもしれません。

 ですから、情報の収集においても、そこに携わる職員の職務規定、倫理規定みたいなものを今まで以上に整備する必要があるのではないかと私は考えておりますが、その点、もし御所見を伺えればと思います。

長谷部参考人 この法案自体は、政府保有情報が存在するということを前提として、それが外部に出ていったり、あるいは、それを外部からとりに来る人がいないように、それを設けている話ですので、先生のおっしゃる視点は、大変重要な論点ではあるかと思いますが、この法案の中に書き込むようなお話かというと、恐らくそうではないんだろうと思います。

 ただ、それは重要な論点でございますので、別途検討し、考えていく必要は大変あるかと考えております。

井出委員 私も、別途、少し考える必要があると思っております。

 時間が来たので終わります。本当に、きょうは四名の皆様、ありがとうございました。

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 四人の先生方、きょうは、本当に参考になる御意見を聞かせていただきました。ありがとうございます。

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に長谷部先生にお伺いをしたいんですが、実は私、沖縄県の出身でありまして、日本の現実がどうなっているかということに常々直面をしているわけですが、我が国というのは、日米安保のもとでさまざまな秘密がつくられて、核兵器持ち込み密約、沖縄返還密約など、国民に隠されてきました。

 米軍地位協定にかかわる取り決めというのは、いまだに全く明らかにされておりません。住民の生活や安全に密接にかかわる問題ですら、明らかにされていないわけであります。

 私、実は、きのうの質疑でも取り上げましたけれども、「日米地位協定の考え方」という外務省の解説文書が、このように既に出版をされているわけですが、外務省はいまだに公表をしておりません。それどころか、きのう私が伺いましたら、今回の法案によって特定秘密に指定する可能性もある、このような外務省の答弁でありました。

 あと一つ、これもきのうの質問で取り上げたんですが、法務省の刑事局が、沖縄返還の前に、沖縄の広大な、膨大な基地が返還されてくるそのときに、米軍犯罪、基地に絡まる事件、事故、これに対する取扱要領をまとめた「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」という、これはちょっとコピーでありますが、冊子になって、国会図書館で閲覧されているものでありましたが、国会で聞いても、それには答えられないということで、存在を認めてきませんでした。

 日米安保にかかわるこのような問題、特に沖縄の人権や権利や尊厳にかかわるようなことが、ことごとく秘密にされてきた、国民にそういう問題について隠してきたという歴代政府のもとで、事今回、日米安保にかかわる秘密が横行している。そういう現実を、先生のお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。

長谷部参考人 先生が今御指摘の地位協定等に関する具体の情報については、申しわけございません、私、勉強不足でございまして、具体的な知識を持ち合わせておりません。そのために、一般論、抽象論でお答えすることになってしまいまして、申しわけない次第でございます。

 一般論としては、やはり特別の保護に値する、しかも、それを特定の秘密として指定することが適切で、現時点において合理的である、そういうものだけが指定されるべきものである。そのことは、この法案もやはり大前提にしていることであると思いますので、その考え方に従いまして、何がそういう特定秘密として指定されるのか、そういう運用が期待される、そういうものであるかと考えております。

赤嶺委員 私たちから見ましたら、適切性もない、合理性もない、一般的に不平等な日米関係、それによって起こされるさまざまな米軍の事件、事故が、米軍の特権的地位を保障するというのが今でも秘密にされているわけですよ。

 特定秘密になったら、それが合理的で適切なものになるかといったら、今まで国民に不都合なものを隠してきたことを、合理的なものだけ保護されるということではなくて、より一層厳しく真実が国民に隠されることになるのではないかという懸念を私は持っております。

 そこで、長谷部先生は有識者会議の一員であられたわけですが、最高刑について、当初、懲役五年の案が、懲役十年にされたわけですが、これはどのような議論の経過を経てそのようになったのでしょうか。お答えをお願いしたいと思います。

長谷部参考人 数年前のことでございまして、正確な記憶を持っているかどうか定かではございませんけれども、たしか報告書の中で提案をされておりますのは、五年あるいは十年ということであったかのように考えております。

 五年か十年かというのを、あの有識者というんでしょうか、あの会議で、これまで結論を決め切ってしまうということが本当にいいのかどうか。そこはやはりいろいろな、本日の議論の中でも出てまいりましたけれども、外国の法制はどうなっているのか、あるいは、国内のほかの各種の秘密を保護する法制はどうなっているのか、そこを含めて、やはりバランスを考えていかなくてはいけないものでございますので、五年ということもあり、あるいは十年ということも考えられるのではないかというふうに考えております。

赤嶺委員 やはり懲役五年が十年になったという経過について、私たちも釈然としないものを強く抱いているわけですが、米軍の刑事特別法、普通に刑特法と呼んでいる法律、それからMDA法、これは米軍の秘密、罰則十年ということで、これに合わせたのではないのかというような懸念も持つわけですが、その点はいかがでしょうか。

長谷部参考人 先生御指摘の、私が属しておりました研究会でしたか、それは、この法案をつくったという研究会ではございません。もし仮に、特別な保護の必要性のある、そういう政府保有情報について特別の仕組みをつくるとすると、一体どういう仕組みが考えられるのか、その基本的な考え方をお示し申し上げたということでございまして、この法案を作成する段階でなぜ十年になったのかに関しましては、申しわけございませんが、私は知識を持ってございません。

赤嶺委員 それでは次に、関連しまして春名参考人にちょっとお伺いしたいんですが、日ごろ、日米同盟その他いろいろな論文、著書にもお目にかかっております。ジャーナリストとして、日米同盟の問題の精力的な取材もされているというぐあいに認識しておりますが、核密約や沖縄返還密約の調査にもかかわっておられました。

 日米安保や、あるいは安全保障をどうしていくかというのは、主権者国民が判断すべき基本的な問題だと私は考えるわけですが、これらの密約というのは主権者国民の判断を阻害したのではないか、このように考えるのですが、この点、春名参考人はどのようにお考えでしょうか。

春名参考人 密約は、有効性が常に問われると思います。つまり、国会で承認をされたわけでもありませんし、それでいて効力を持つということであれば、住民の不利益になってしまうおそれがありますので、やはり密約というのはしない方がまさにいいわけであります。

 アメリカという国は、核兵器の開発をして以後、膨大に秘密が増大しまして、核に関する情報がずっと秘密にされてきたという傾向があるわけですけれども、今言われた秘密について、密約の文書というものがどこにあるかというのはずっとわからなかったわけです。

 例えば、核搭載艦船の入港に関する密約ですけれども、これにつきましては一九六〇年の安保条約の締結時に結ばれたものでして、実は、アメリカ国務省が発行しているFRUSという本があるんですけれども、アメリカの外交関係、日本版というものなんですけれども、その中に機密を解除されていない文書として含まれていました。

 やはり、結局、密約が結ばれて、存在そのものがわからないということがずっと続くものですから、そういう形で示されていると、ああ、あれがこれではないかという推測をつけることができるわけですね。

 アメリカの公文書館でその文書の請求をして出てくるフォルダーを見ますと、公表できないものについては、往々にしてピンクの紙なんですけれども、かくかくしかじかのような文書が、かくかくしかじかの理由で、A、B、C、Dだったと思いますが、公開できないということが書かれているわけです。

 そういうふうなことが、機密を解除されない場合でも、推定ができるような形で、公開されない理由も書かれているという、アカウンタビリティーといいますか、そういうものが今回確保されるのかどうかというところも一つの注目点かというふうに思います。

赤嶺委員 今のアメリカでの経過、日本政府に引き寄せて考えてみますと、日米の密約というのはほとんど、アメリカの国立公文書館から研究者の血のにじむような努力によって明らかにされてきたわけですが、ところが、日本政府は認めてこなかったわけですよね。

 そういう歴代政府、とりわけ日本の外務省という中で、今回の法案がさらに秘密体制を強化していくのではないか、このような懸念を持つわけですが、先生はいかがお考えでしょうか。

春名参考人 したがって、そのような、何といいますか、恣意的な、あえて恣意的という言葉を使って妥当かどうかわかりませんけれども、そういうことにならないような仕組みをつくっていくことが肝心かなというふうに思うわけなんです。

 やはり密約というものは困るというのは、外務省の公開した文書の中でも、佐藤栄作総理が結ばれたような、公開されたようなことがあるわけですけれども、その際の外務省の発言を見てみますと、密約は避けたいというふうな本音を漏らしている文書もありますし、そのような形で、密約は結ばないという原則を守ってほしいと思います。

赤嶺委員 どうもありがとうございました。

 密約によって、被害がないどころか、不条理な現実が、日本の国というのは、沖縄の基地問題を抱えて、この不条理さというのは幾ら言葉を尽くしても説明できないほどの現実を抱えていると思います。そういう中で、非常に恣意的な秘密の範囲というのが一方的に決められようとしていると思うんです。

 そこで、田島先生にお伺いをいたしますが、秘密保護法制の経過の中で、重要な要素として、二〇〇七年のGSOMIA、この締結を指摘されておられます。今回の法案と日米同盟との関係について、お考えを伺いたいと思います。

田島参考人 二〇〇七年に日米政府間の軍事情報の包括保護協定、一般的にはGSOMIAと称されるものが結ばれて、多くの国民は恐らく知らないと思います。なぜかというと、当時ほとんど報道されなかった。小さい、こういうぐらい。たしか八月だったと思うんですが。

 それはどういう状況を想定したかというと、やはり日米間の軍事的な緊密な関係をより強化していくというのが、この間の、どういう立場であろうと客観的な事態だと思うんですが、それには、要するに、日米の軍事的な協力と、あるいは別の観点からいえば一体化、そういう観点からすると、情報の提供と受け取りということがふえていかざるを得ない。

 そうすると、同じ情報を共有するということがやはり必要になってくるので、アメリカがちゃんと法律で、厳罰で保護しているのに、受けた日本はそういうものではないとしたら、それはよろしくないよということなんですね。

 ですから、その意味では、恐らく今回の法律も、そういうGSOMIAを念頭に置いて、ある種の国内的な措置としての側面を持つだろう。

 ただ、注意しなければいけないのは、GSOMIAというのは一般的には軍事的な情報というのが射程なんですけれども、安全保障の問題というのは軍事だけにとどまらないわけでして、食料の安全保障も当然大事ですし、外交における情報も物すごく大事なわけで、したがって、今回は、GSOMIAの射程をちょっと踏み越えた形での保護の強化が進んだ、そういうふうに私は認識しております。

赤嶺委員 先ほどから議論になっている点で、これも田島先生にお伺いしたいんですが、国民の知る権利という言葉が盛り込まれております。秘密保護法制と国民の知る権利は一体、両立するものなのか、その関係について、お考えを伺いたいと思います。

田島参考人 秘密を強める、広げるというのが今回の提案なんですね。ですから、知る権利を明記したとしても、法律の本体の方向はそうではないわけですね、秘密を広げて強化をするということになるので。したがって、本来の意味の知る権利の趣旨を生かせるような形で使うことにはならないのかなと。

 本来、知る権利というのは、情報の公開を広げる法律を強化し、徹底をするという文脈の中で、情報の公開というのは、権利の基礎として知る権利というものがあり、それに仕えるために情報公開制度というのがある、そういう文脈で本来の知る権利の機能というのは果たされるのではないかな、そういうふうに思います。

赤嶺委員 ちょっと時間が来てしまいまして、永野参考人には質問できませんでした。

 ただ、私は、国家は保護すべき秘密があるという議論より先に、国家は国民の人権や生活を守るために公開しなければいけない不合理な秘密をたくさん持っている、この現実をどう考えるか、国民生活とのかかわりで、というぐあいに常々思っているところですが、きょうまた四人の参考人の先生方のお話も参考にして、より深く委員会の質疑に臨んでいきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーでございます。

 最後の質問者となりますので、先生方、どうぞよろしくお願いいたします。

 本当にきょうは、いろいろな角度から、高い知見を、参考意見を拝聴させていただきました。その中で、やはり幾つか、私自身が今回の特定秘密の保護に関する法律案に対して持っている問題点もクローズアップされてきたなという実感も持っております。

 質問をさせていただく前に、まず、最後の質問者ですので、先生方に、簡潔にお願いしたいんですが、この法案への思いというもの、法案を制定するに当たって、先生方の本音というものをぜひ一言ずつお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

長谷部参考人 申しわけありません。御質問の趣旨がちょっと、にわかには理解できないんですが、思いは特にございません。

 どういう考え方を持っているかということは、冒頭に申し上げたとおりでございます。

田島参考人 思いは難しいんですが、一応、私の認識は、一法律にとどまらず、やはり、知る権利とか、取材、報道の自由とか、そういう極めて、日本の民主主義、自由で民主的な、国を支える部分がかなり大幅に変えられるという非常に強い危惧を持っていますので、注意深くウオッチをしていきたいというふうに思います。

春名参考人 やはり、民主主義を最大限に、効果的に生かすという方向で議論していただきたいというふうに思います。

永野参考人 私は、先ほどから本法案の意義を申し上げているとおり、秘密を指定する、保全する、そして解除するという、これまで行政機関によって行われてきた行為について、先生方、国会が法による民主統制を行うということが非常に大きい意義であると考えておりまして、ぜひとも早期に成立すべきだというふうに考えております。

玉城委員 大変失礼をいたしました。思いといいますか、考えといいますか、御意見といいますか、いわば表現に少し足りないところがあったことはおわび申し上げたいと思います。

 では、少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず、春名参考人にお伺いしたいんです。

 きょうのこの資料の中で、大変、特定秘密の保護に関する法律案の一番根幹の部分、つまり、特定秘密にするところは限定的であり、やはり、国民の知る権利を広くしっかり担保するものでなければならないということですね。これが、可能な限り民主主義を守り、可能な限り秘密を少なくし、国民の知る権利に応える、これは、ツワネ原則にも通底する、世界常識であるというふうに思います。

 ところが、今回の特定秘密の保護に関する法律は、防衛、外交、スパイ活動、テロ行為など、とにかく範囲が果てしなく広がっている。第一号の防衛に関する事項は、そのまま自衛隊法で運用すればいいことなんですが、それをわざわざ削除して、この法律に入れて、さらに広げて、それを一体化するというふうなことを言っているわけですね。

 これは、私は、限りなく、秘密にできる行政の長の権限が強まるとともに、その中身についても、国民の知らないところで、つまり民主主義が侵されていくのではないかという大変強い危機感を持っています。

 そのことについて、デモクラシーとシークレシーの観点から、この法律の問題点を改めてお伺いしたいと思います。

春名参考人 私は法律家ではないので、かなりわかりにくいところも結構多いわけですけれども、日本とアメリカとをまた比較して申しわけないんですけれども、柔軟に対応するというところを、やはり国民の声を聞きながら対応していくというところも考えていただきたいなというふうに思うんですね。

 例えば、九・一一テロの三週間ほど前に、CIAは、ブッシュ大統領に対して、ビンラディンはアメリカでの攻撃を決意しているという文書を渡しているんですね。その存在が、これは具体性を欠くものではありましたけれども、それを受けて対応していればテロ事件がなかったかもしれないんですが、その文書の存在が知られて、議会でも、あるいは国民の間でも公表要求が物すごく高まったわけであります。

 それで、いろいろ議論があったんですが、当時のライス補佐官の決断で公表しているわけですね。やはり、そういう形で柔軟性のある対応をして、国民が本当に知りたい情報を、規定はともかくとして、公表していくという姿勢が望まれるというふうに思うんです。

 先ほどの赤嶺議員のお話で沖縄のお話があったと思うんですけれども、あれは五・一五メモのことをおっしゃっているんですか。

 五・一五メモについては、公表されていないというのは県民の生活が不利益をこうむっているおそれがありますので、やはり公表してほしいというふうに思いました。

玉城委員 ありがとうございます。

 国民にとって、それはたとえ大きな混乱を招くかもしれないと思うことであっても、やはり、持つべき情報は知らしむべき情報であるということが、イコールでないといけないのではないかと思います。

 今、五・一五メモの話が出ましたが、一九七一年十一月の沖縄国会だったかと思いますが、そこでも、上原康助委員が委員会の中で、嘉手納基地における核の密約についての質問をしようということもその議事録の中に残っておりますが、しかし、途中で休憩になり、採決に至る段になって、結果的には、その質問も答弁も残っていないということになります。

 しかし、やはりそのことに関しては、非核三原則、我が国の最も基本的な、安全保障に対する国民的な理解の上で成り立つその法律こそ、つくられ、守られるべきものであり、その範囲を広げ、秘密をさらに広げていくというような内容であっては、私は、国民の信頼に足る政府、あるいは立法府の責任を果たせないのではないかということを思います。

 もう一点、お聞かせください。

 例えば、情報の有効期限ですが、私も、昨日、森担当大臣に質問をしたところ、三十年まで延長した特定秘密はどういうふうになりますかと聞いてみたら、三十年たったら内閣で相談をする、そして、歴史的に重要であるものは公文書館等で公文書として管理をする、しかし、総理の判断で、そのほかの文書については廃棄をするというふうになったんですね。

 つまり、国民の知らないところで、何が秘密に指定され、何が廃棄されたのかすら一切わからない。その中には、恐らく、公開している方がより国民の高い安全保障の意識の醸成にもつながっていたのではないかということも十分、きのうの答弁を聞いていて、そう考えました。

 ですから、この資料の中で、三十年を超える場合は内閣の承認を得なければならないとしている点について、委員の考えをぜひ聞かせていただきたいと思います。

春名参考人 この点については、やはり国務省がやっているような諮問委員会の設置というのが望ましいのではないかと思います。これは、民間の有識者で、学会の代表などが、全員で九名なんですけれども、会合を開いて、諮問を受けて意見を述べるという形になっていまして、この九名の方々にはセキュリティークリアランスもかけられておりますので、そういう形で、代表者、これは国会でもいいんですけれども、国民の代表、そういう方々の判断を仰ぐというところもあってもいいんじゃないかというふうに思います。

玉城委員 ありがとうございました。

 この法案の中では、セキュリティークリアランスが免除されているという方々も書かれておりまして、一般公務員、特別公務員という、そういう枠組みの中では、特に、身体検査はするけれどもという御意見が委員の中からありましたけれども、国会議員も当然、守秘義務規定、それから、セキュリティークリアランスは、この役職に当たる全ての者は適格性審査を受けるという強い方向性でないと、国民はなかなか納得できないのではないかなと思います。

 次に、田島参考人にお伺いいたします。

 きょう、この参考人質疑に資するために、参考人の著書が資料として提供されております。「秘密保全法批判 脅かされる知る権利」という本の中で、私は、先ほどの赤嶺委員の質問の中にもありました、これはまた別途、外務委員会でも質問しなければいけないことだと思うんですが、アメリカの安全保障体制と日本の安全保障体制の緊密なつながりです。

 それは、委員の著書の中で、先ほどから出てきておりますGSOMIA、ゼネラル・セキュリティー・オブ・ミリタリー・インフォメーション・アグリーメント、軍事情報包括保護協定ですね。二〇〇七年八月、日本国政府とアメリカ合衆国政府との間で協定を締結した。これは、二〇〇七年の共同発表文「同盟の変革」に追加的措置として明記されたのを受けて取り結ばれたものであるということですが、アメリカは、こういうGSOMIAという一連の協定を二国間協定として六十数カ国で締結している。

 そして、ここが最もこの後の質問につながるのかなと思うんですが、「米国と他の国との間で相互に軍事秘密を提供した場合に、相手国の了承なく勝手に第三国に提供するなどということを防止し、両国間で秘密保護を確保しようとするもの」「一つは日米の軍事協力の進展」「軍事的な役割を強め、アメリカとの軍事的な関係をより一体化していく、」という文脈です。

 かねてから、この特定秘密の保護に関する防衛、外交、テロ行為、それからスパイ活動、これの範囲を広げるということが、つまりは軍事協定の重点化に向かっているものだということが最も危惧されております。

 このGSOMIAと日本との関係について、日本はどうしてもこの刑罰をアメリカと同じように、比肩するような形に厳罰化しなければいけないのか、その協定の内容と日本のとるべき本来の形といいますか、そういう形があるのであれば、ぜひ御説明をお願いしたいと思います。

田島参考人 やはり、基本的には、GSOMIAというのは、軍事的な情報の共有を保護し、秘密を保護するということだと思いますが、先ほど言いましたように、それはかなり実態上広げられているんですね。

 今回の法案について言うと、国の安全保障という射程にかかわってくるわけなので、防衛だけではなくて、外交、それからテロリズム防止の関連の情報、それから特定有害活動の防止についての情報という形になっていて、こういう軍事同盟関係を強める手当てとして秘密保護を重視するというのが、果たして、今の日本の憲法、平和主義の憲法にふさわしいことなのかどうなのか。それが、しかも、本当にそういうことが市民の自由とか人権に資することになるんだろうかということについては、やはり私は疑問を提示せざるを得ないというふうに思います。

 それともう一点、共有なんですが、アメリカは、御承知のように、日本に対しても監視をしているわけですね、ドイツとかフランスとか、それだけではなくて。でも、そういう情報は日本に出てこないんですね、だから、共有もしようもないわけですけれども。そのあたりのこともぜひお考えをいただきたいなというふうに思います。

玉城委員 いみじくも、この間、例えば麻生副総理のナチスに学べ発言ですとか、あれは後ほど御本人から訂正のお話もありました。しかし、かようにして、日本国の国民は、憲法改正に大変慎重な姿勢を持っていると同時に、憲法改正せずとも集団的自衛権などの安全保障を進めていくということには、もっと大きな懸念を持っているというふうに思います。

 ですから、今回の特定秘密の保護に関する法律案のいろいろな角度からの検討を進めるに当たっては、先ほどこれは春名委員からもありましたけれども、やはり国民の声を聞くということが最も重要で、理事会の方でも、野党の理事からは、やはり公聴会、中央公聴会、地方公聴会、いろいろな形で国民の声を聞くべきである、慎重に審議するべきであるという意見が提案されています。これは理事会の中でまた協議されるものと思います。

 そこで、今回は、漏えいの教唆、扇動についても重罰が科せられるということになります。これを、田島委員の著書をおかりすると、財物の窃取、不正アクセス、管理場所への侵入やそのほかの行為、暴行、脅迫などの取得なども禁止、処罰することが想定されている、これは、記者やジャーナリストも含め一般人も処罰の対象になるという懸念が示されています。

 つまり、公務員やその業務に当たる人たちに対する五年から十年という懲役刑ではなくて、一般の人たちがその情報をとろうとしたこと、あるいは、とろうとして唆したこと、みんなでそれを共謀といいますか共同で取り組もうとしたことについても、やはりこういう重たい、やったことではなくて、やろうとしていることに踏み込んでいるということも大変危険なものがあると思います。

 ジャーナリズムの観点から、そのことについての考えをお聞かせください。

田島参考人 取材で情報がただ出ないだけではなくて、厳罰のおそれがあるということは、やはり、萎縮をするのに加えて、直接、ダイレクトに規制が及ぶ。それが、取材源の人の漏えいについて、働きかけをする行為、これはジャーナリストが普通やることです。働きかけをしないと、はい、下さいといって出すものではないわけですね。そういう行為に対して、共謀、教唆、扇動、しかも、実際に漏らさなくても、それだけで処罰が可能になるという形になってくるわけですね。

 さらには、取得行為。しかも、この取得行為が犯罪にされているんですが、非常に曖昧なんですね。特定秘密を保有する人の管理を害するような行為でもって取得するのが犯罪ということになるわけで、管理を害するといったら、大体何でもかんでも入る可能性が大いに強いなと。しかも、その働きかける人たちは、記者だけではなくて、我々研究者、あるいはいろいろな市民運動をやっている人たち、そういう人たちも同じように処罰の対象にされているということになると、やはり本当に、こういう秘密について働きかけたりアクセスしたりするということ自体をはばかられるような、そういう非常に暗い社会に我々がなっていかないかということを私は非常に恐れています。

玉城委員 ありがとうございました。

 きょうは、時間の関係で、少し絞って質問をさせていただきました。長谷部参考人、永野参考人には特に質問することができませんでしたが、大変失礼をいたしました。

 この各委員との質疑は、必ず、我が国のこれからの立法府における議論の中では、大変貴重な御意見を承ったものというふうに思っておりますし、また、私は、やはり沖縄という、どうしても我が国の安全保障において米軍との関係性については深めていかないといけないという、その理念といいますか責任があると思いますので、また今後とも立法府への御助言等を賜りますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

額賀委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に対しまして、一言御挨拶を申し上げます。

 各位におかれましては、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会、委員を代表いたしまして心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、明十四日木曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後零時三十一分散会


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