衆議院

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第15号 平成25年11月19日(火曜日)

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平成二十五年十一月十九日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      池田 道孝君    池田 佳隆君

      小倉 將信君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    神田 憲次君

      小池百合子君    鈴木 馨祐君

      薗浦健太郎君    津島  淳君

      辻  清人君    寺田  稔君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 泰秀君    西銘恒三郎君

      野中  厚君    橋本  岳君

      星野 剛士君    前田 一男君

      牧島かれん君    町村 信孝君

      山際大志郎君    近藤 昭一君

      辻元 清美君    長島 昭久君

      渡辺  周君    今村 洋史君

      丸山 穂高君    山田  宏君

      大口 善徳君    遠山 清彦君

      中野 洋昌君    井出 庸生君

      赤嶺 政賢君    玉城デニー君

    …………………………………

   議員           後藤 祐一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           森   清君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   参考人

   (独立総合研究所代表取締役社長)         青山 繁晴君

   参考人

   (特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長)          三木由希子君

   参考人

   (評論家・ジャーナリスト)

   (一般社団法人アジア自由民主連帯協議会副会長)  西村 幸祐君

   参考人

   (首都大学東京法科大学院教授)          前田 雅英君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十九日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     前田 一男君

  津島  淳君     神田 憲次君

  松本 洋平君     小倉 將信君

  近藤 洋介君     辻元 清美君

  遠山 清彦君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     池田 佳隆君

  神田 憲次君     豊田真由子君

  前田 一男君     大塚  拓君

  辻元 清美君     近藤 洋介君

  中野 洋昌君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     松本 洋平君

  豊田真由子君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定秘密の保護に関する法律案(内閣提出第九号)

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(枝野幸男君外二名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定秘密の保護に関する法律案及び枝野幸男君外二名提出、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官桝田好一君、内閣官房内閣審議官鈴木良之君、警察庁長官官房審議官種谷良二君、外務省大臣官房審議官柳秀直君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、外務省北米局長冨田浩司君、経済産業省大臣官房審議官森清君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻元清美君。

辻元委員 本日、私は、特定秘密保護法案審議に当たりまして、この法案と報道の自由そして知る権利の関係、果たして報道の自由や知る権利がしっかりと守られるのかという観点から、具体的な事例も挙げまして質問をいたします。

 今、たくさんの反対の声が上がっていること、これは森大臣も御承知のとおりです。例えば、日本弁護士会、それから自由法曹団、さらには日本科学者会議、日本ペンクラブ、日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本雑誌協会、日本書籍出版協会、新聞労連、民放労連、出版労連、アムネスティなどのNPO、そして日本外国特派員協会までもが、反対や懸念の声明などを出しております。まだまだここでは紹介し切れないぐらいの団体が、慎重審議を求め、反対や懸念を表明しています。

 さてそこで、森大臣にお聞きしたいと思いますが、本法案の二十一条の二項、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。」というこの条文を入れたことによって、報道の自由を守ろうとしているんだという御答弁ですが、そのとおりですか。

森国務大臣 はい、そのとおりでございます。

辻元委員 果たしてこれで報道の自由が守れるのか、これから一つ一つお聞きしてまいりたいと思います。

 特定秘密をスクープした場合、そのときの捜査についてお聞きをしたいと思います。

 特定秘密をスクープし、それが報道された、こういう場合であっても、報道に携わる者にとっての取材源の秘匿、これは非常に大事なことで、記者の取材源の秘匿は何があっても守られるべきと私は考えますが、森大臣はいかがですか。

森国務大臣 取材源の秘匿については、本法二十一条の趣旨に照らして、尊重すべきだと思っております。

辻元委員 尊重をすべきであると。

 さて、それではさらにお聞きしたいと思いますが、特定秘密を漏えいした者を捜査する過程で、記者に対しては、取材源を明らかにしろというような捜査は、今大臣が取材源の秘匿は尊重すべきものという御答弁をいただきましたが、行われない、そういう理解でよろしいですか。しっかり答えてください。

森国務大臣 二十一条の趣旨に照らして適切に捜査が行われるものと考えております。

辻元委員 この二十一条を見ますと、不当な方法で取材をしたかどうか、これが一つの焦点になっております。

 不当な方法でない場合と不当な方法である場合、そうしますと、秘密を……(発言する者あり)

 委員長、不規則発言はやめていただきたい。いいですか。

額賀委員長 どうぞ、質疑を続行してください。

辻元委員 不当な方法でスクープをした記者に対して、その取材が不当な方法であるかどうか、これはどうやって捜査するんですか、森大臣。

森国務大臣 本法案二十一条二項の著しく不当な方法とは、取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しくじゅうりんするなど法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することができない態様のものである場合を指しますので、捜査機関が、この二十一条の精神に照らし適切に判断するものと考えております。

辻元委員 では、今、森大臣がおっしゃったような不当な方法であったかどうかということを、記者を対象にして捜査を行わないと、不当であったかどうかわからないですね。ですから、記者も捜査の対象になるということですね。

森国務大臣 記者が捜査の直接の対象になるかどうかというお尋ねでございますけれども、捜査の内容、方法についてはあくまで個別具体の事例に即して判断する必要がございますので、一概にお答えすることは困難でありますけれども、あくまでも、捜査機関は、二十一条の精神に照らして、国民の知る権利に奉仕する報道の自由、取材の自由を尊重して適切な捜査を行うものと思っております。

辻元委員 個別具体的にとおっしゃいましたが、特定秘密が漏えいしたと疑われる全ての場合において、当該取材が不当な方法であったのかなかったのかと確認するために、当該記者や周辺記者などに捜査することになるんじゃないですか。

 当該スクープが不当な方法だったかどうか、あらゆるスクープが出たときに、これは不当な方法で取材されたものかどうか捜査しないと、不当だったかどうかわからないじゃないですか。ということは、スクープした途端に全ての記者が捜査対象になるということじゃないですか。

森国務大臣 漏えいが行われた場合に、漏えいをした正犯である国家公務員等については捜査の対象となるというふうに思われますけれども、それに報道機関の方が関与しているような場合にあって、そこが捜査の対象となるかどうかというのは、個別具体的な事案に即して、捜査機関が二十一条の精神に照らして適切に判断するものと思われます。

 例えば、中国潜水艦の動向に係る情報漏えい事件のような事件が起こった場合を考えますと、この事件の場合は、漏えいを行った自衛官は自衛隊法で起訴猶予処分とされておるわけなのでございますが、取材を行った記者等は立件等はされておりません。

辻元委員 それは、この特定秘密保護法案のような法律がなかった時代の話なんです。

 森大臣は、ここに、法律にこの条文を入れたことで報道する側を守るとおっしゃったけれども、反対に使われる可能性が十分あるということなんです。不当な方法によらない場合はと、はっきり明文で入れているわけですよ。となると、捜査機関は、今おっしゃった事例はこういうような法律がなかったときですよ、報道機関に特化して一文を入れた、その中に不当な方法でない場合はということを挿入したことによって、捜査しなければならなくなるわけですよ。違いますか。

 今おっしゃった例はこのような法律がなかった時代の話です。いかがですか。

森国務大臣 この条文は、原案が出された後に、各方面からさまざまな御意見をいただいたことによって、報道の自由または取材の自由に配慮する、そういう趣旨で特に規定をしたものでありまして、その逆に解釈されるようなことはあってはならないものと考えます。

 この二十一条には、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈することはならないと書いてあります。そして、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことはあってはならないと書いてあります。さらに、国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分に配慮しなければならないと書いてあります。

 この二十一条は、捜査機関、それから法律を適用する行政機関、それから裁判での司法機関、あらゆる場面において解釈指針となるものでありますので、反対の方向に運用されるという御懸念は当たらないものと考えます。

辻元委員 それは甘いと思います。私は、この法文が入ったことで、全ての記者が捜査の対象にまず網かけされることを促す法文というように読めます。

 では、記者とそれから報道機関への捜査について、他国ではどうなっていますか。

 例えばフランスでは、つい最近、報道機関の情報源秘匿を保障する法案というのを通しました。これは、はっきりと取材源に関する捜査は禁じられたんです。そしてさらに、ドイツでは、報道の自由強化法というのが成立しております。これは、幇助の容疑でジャーナリストが捜査を受けることが多々あった、その中で、憲法裁判所の違法認定を受けて、昨年、ジャーナリストは報道目的ならば機密を公表しても違法としないという法改正をしているわけです。

 こうやって、取材源の保護や、そして本来のジャーナリズムの報道の目的を、社会の警鐘を鳴らす、権力をしっかりチェックするということを守っているわけです。

 こういう条文をお入れになるのなら結構ですよ。しかし、「不当な方法によるものと認められない限りは、」とわざわざ入れているわけですよ。こんなことをなぜ入れているんですか、森大臣。

森国務大臣 報道機関による通常の取材行為は、処罰対象となるものではございません。

 このことは、報道機関が公務員に対し根気強く執拗に説得ないし要請を続けることは、それが真に報道の目的から出たものであり、その手段、方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き正当な業務行為であるとされている最高裁決定からも明らかであります。

 しかしながら、取材の手段、方法が、贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合や、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しくじゅうりんするような態様のものである場合には、正常な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるとしておりまして、このような場合には、報道機関の取材も、特定秘密の漏えいの教唆や取得行為となる場合があり得ます。

 この最高裁決定の趣旨を踏まえて、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。」というふうに規定したわけでございます。

辻元委員 今るるおっしゃいましたけれども、今のようなことを調べるために、全ての、スクープなどをした記者は捜査の対象にはなるということなんです。

 では、不当な方法かどうかということについて、一、二、具体的な事例をお聞きしたいと思います。

 この二十一条で著しく不当な方法と言われていることと、二十三条、罰則の中に、人を欺き、人に暴行を加え、人を脅迫する行為、財物の窃盗もしくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為、その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為、これが罰せられると書いてあります。

 この不当な行為というのと、この罰則に列挙されていること、これは不当な行為ということですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 本法案二十一条第二項の著しく不当な方法とは、取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しくじゅうりんする等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することができない態様のものである場合がこれに当たります。

 一方、第二十三条は、同条に規定する、詐欺、暴行、脅迫や、財物の窃取等による特定秘密の保有者の管理を害する行為を対象としておりまして、本法案二十一条第二項の著しく不当な方法とは意味が異なります。

辻元委員 ということは、施設への侵入とか、それから管理を害する行為などとは意味が違うということですね。

 では、ちょっとお聞きしたいんですが、森大臣、最近、ジャーナリストの中には、福島第一原発に作業員の身分で入って現場のルポをしている、そういうこともございます。これは、刑罰に当たる二十三条との関係でいえば、人を欺き、施設に侵入したに当たりますか。

森国務大臣 原発事故に関する情報は、特定秘密にそもそも当たりません。

辻元委員 警備はどうですか。

森国務大臣 通常の警備の情報も特定秘密に当たりません。

辻元委員 先日の答弁では、原発の警備については特定秘密に当たる可能性が高いという答弁がありましたが、どっちが正しいんですか。

森国務大臣 辻元委員、議事録を正確にお読みになっていただきたいと思いますけれども、テロ等の警備に当たる場合ということで、別表にテロというふうに書いてあるところの、別表に該当する場合にはなりますというふうにお答えしたんです。

辻元委員 それでは、ジャーナリストが、原発の警備がちゃんとなされているのか、作業員で中に入って見聞きしたことを、こんな警備じゃ甘いじゃないかというように警備の実態を報道した場合、これは当たらないと考えていいんですね。

森国務大臣 まず、特定秘密に当たるかどうかでございますけれども、テロ等に対する警備の状態については、特定秘密に当たります。通常の警備について例えばスクープしたりしたことは、特定秘密にそもそも当たりません。

 テロ等に対する警備の状況についてということでありましたら、次の行為態様の方の該当性に論点が移ると思いますけれども、その場合も、潜入取材等は管理を侵害する行為に当たりません。

辻元委員 それでは、もう一つお聞きしたいと思います。

 この特定秘密の指定に当たっては、違法なことを隠すために特定秘密に指定するということは決してあってはならないと思いますが、森大臣も同じ認識ですか。

森国務大臣 はい。違法な行為を隠すために特定秘密にすることはあってはならないことと考えております。

辻元委員 ちょっと具体的な事例で質問をいたします。

 防衛大臣にお聞きします。

 十一月八日のこの委員会で、イラクでの自衛隊の活動の具体的内容などが特定秘密に当たるかどうかという質問がありました。そこで御答弁は、法案別表の第一号のイ、「自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究」に該当する可能性はあると。自衛隊の運用、イラクでどんな活動をしてきたかという例を挙げて質問されたわけです、それに当たる可能性があるという御答弁でした。

 そこでお聞きしたいんですが、実は皆さん、資料をきょうお配りしております、これを見ていただきたいと思います。この資料です。

 これは、二〇〇四年から二〇〇八年まで続けられた航空自衛隊によるイラク空輸活動の週間空輸実績、どこからどこへ何を運んだのか。この資料は、真っ黒の墨塗りになっております。政府は当時、イラクでの航空自衛隊の活動内容を明らかにしていませんでした。

 大臣、当時、特定秘密保護法案のようなものがあれば、これはかなり具体的な自衛隊の部隊の運用ということになりますが、特定秘密に当たる可能性はありますか。

小野寺国務大臣 御指摘の文書は、委員の求めに応じて、情報公開法に従って出した内容であります。

 この文書を見る限り、これは特定秘密には当たりません。

辻元委員 そうすると、どのレベルの秘密でしょうか。

小野寺国務大臣 ここにありますのは、注意レベルの文書ということに判断できると思います。

辻元委員 実は、これについて私は国会で質問をしてきました。この資料の上を見ていただきますと、二〇〇七年五月十四日、辻元清美提出資料というのが出ておりますが、質問したときなんですね。

 これに対して、さまざまな市民団体やジャーナリストなどが調べたところ、二〇〇六年からほとんど米軍の輸送を担っているという可能性があるということがわかってきたんです。

 そこで、私が、武装した米軍の兵士を運んでいるのではないか、復興支援でイラクに行っているということだが、何をやっているか情報開示がほとんどなされていない、私は、アメリカの後方支援をやっているように思うと、当時、安倍政権でした、大臣に質問しました。

 その答弁は、国連の職員や多国籍軍の職員あるいはそれに必要な物資を運んでいると。私が何回、武装した米軍の兵士を運んでいるということをあなたは自覚しているんですか、していないんですかと聞いても、一切お答えにならなかったんですね。

 この件で市民団体が裁判を起こしました。その結果、二〇〇八年、名古屋高裁で判決が出ました。その判決は、定期的にクウェートからバグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵士を輸送していることが見受けられる、米軍などの武力行使と一体化し、憲法違反という判断が出たんです。

 小野寺大臣にお聞きしたいんですが、今までも、これは特定秘密ではない、注意レベルの秘密でもこういうように隠してきたわけです。そしてさらに、イラクの自衛隊が現場でどういう活動をしているか。裁判所の判断で、これは確定しているんですが、憲法違反に当たるとまで言われているわけですよ、武装した米軍の兵士を運んでいると。

 これは、何回大臣に聞いても、武装した米軍の兵士を運んでいるのかと聞いても、違う答弁だったわけです。国連の職員を強調されていました。もしも大臣が本当に、武装した米軍の兵士をイラクで自衛隊が、国連の職員は一割しかいなかったわけですよ、運んでいると知らなかったとしたら、全くシビリアンコントロールがきいていないということになるんじゃないですか。

 小野寺大臣、いかがですか。なぜ、今までこういうことまでも国民に知らせてこなかったんですか。いかがですか。

小野寺国務大臣 まず、辻元委員のおっしゃった今の裁判、高裁の傍論ということで、控訴自体は棄却をされておりますので、そこは認識をしていただければと思っております。

 また、この文書については、注意レベルの文書ということであります。

 そして、ここで今、不開示になっている部分、黒くなっている部分でありますが、これは、相手国の人員等の情報がここに含まれております。当然、これを開示した場合、その安全等に影響が出ると判断をした中で、このような開示の状況になったと理解をしております。

辻元委員 開示の状況を言っているのではありません。

 武装した米軍の兵士を運んでいるという結果だったわけです。しかし、それを、当時の大臣は、国連の職員などだと言ってきたわけです。

 もしも本当に大臣が知らなかったのならば、知らなかったら、これは大問題です。そして、知っていて、わざとそういう答弁をしたということであるならば、それは国会に対しても虚偽の答弁をしているし、さらには、情報公開請求を何回してもこの黒塗りで出してきて、そして、傍論というのは当時からその答弁をされていました。同じ答弁です。何も変わっていません。

 しかし、一つの裁判所で憲法違反という判断が出た。法令違反などをしていることを隠していたということにもつながりかねないわけですよ。今でもこういう実態ですよ。

 ですから、これを市民団体やジャーナリストがいっぱい取材したり、自衛官に聞いたりして、実態がわかってきたわけです。ところが、特定秘密保護法案では、方法によっては、そういう人たちが情報をとろうとしたら教唆や扇動に当たるかもしれない。

 そしてさらに、このように、法令違反、または国会で虚偽答弁をしている。法令違反の情報を特定秘密などにして隠した場合ですよ、隠した側ですよ。森大臣、隠した側には処罰がありますか。

小野寺国務大臣 まず、本件にかかわる内容でありますので改めてお話をしますが、このような空輸実績については、注意レベルでありますので、特定秘密に指定するということ、今現在、防衛秘密に指定するということには当たらないということです。

辻元委員 注意でもこのレベルだから問題だと言っているわけですよ。(小野寺国務大臣「委員長」と呼ぶ)違う。森大臣、お答えください。もうあなたはいいですよ。全然いいですよ。

小野寺国務大臣 委員に改めてお話をさせていただきますが、これは相手国の、この情報については安全にかかわる内容でありますので、このような対応をさせていただいたということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

辻元委員 では、米軍の武力行使と一体化すると言われている米軍の輸送を大臣は知らなかったんですか、国連の職員とごまかしていたんですかということを問題にしているわけです。

 もういいですよ。森大臣にお聞きしたいと思います。(小野寺国務大臣「事実誤認がありますから」と呼ぶ)委員長、委員の指名によってやるんでしょう。

額賀委員長 事実誤認があるそうですから、その答弁の後に森大臣に話させます。(辻元委員「いいです、もう」と呼ぶ)いや、事実誤認だと言うから、ちゃんと説明をさせます。(辻元委員「私は意見を言っているだけですから、結構です。森大臣にしてください。もういい。森大臣、答えて。森大臣が手を挙げているんだから」と呼ぶ)いや、関連事項ですから。事実誤認だと言うから、ちゃんと説明をさせた上で、森大臣にさせます。(発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

額賀委員長 では、速記を起こしてください。

小野寺国務大臣 御指摘の中で、イラクにおいて米軍人についての輸送を隠しているというお話がありましたが、当時の国会でも、イラクにおいて米軍人を輸送していることはお答えをしているということであります。

辻元委員 私は何回も聞きました。答えていただいておりません。

 森大臣にお聞きします。

 例えば、先ほど、違法なことを隠した場合というのがありました。後でそれが違法なことを隠していたということがわかったときに、隠した側ですよ、行政の長及びそれを幇助した者、これは罰せられますか、本法では。

森国務大臣 まず、前提でございますけれども、御指摘の事案については注意レベルの文書ということでございますので、これが特定秘密になることはございません。

 また、その不開示の理由については、情報公開法上の理由があった。つまり、人命がかかっていたということでございますので、特定秘密だったとすればというような仮定の御質問になってしまうと思いますけれども、本件とは全く関係のないということをまず申し添えさせていただきまして、御質問の、違法の事実を特定秘密に指定した場合にはどうなるのかということでございますが、指定自体が無効になります。

辻元委員 指定した者は罰せられないんですか。

額賀委員長 指定した者というのは。

辻元委員 特定秘密に指定した者は罰せられないんですか。

 これは、故意に違法のものを隠そうとして隠す場合もある、考えられると思います。しかし、特定秘密が、これは問題だという問題意識でそれを公にしようとした、先ほど例えば記者の話がありました。不当かどうかで捜査の対象にもなる。そして、市民の場合も、特定秘密と知っていて、それを執拗に、方法によりますけれども知ろうとしたら罰せられる。

 しかし、違法なものを隠す目的を持って特定秘密に指定した側です。行政の長とか、それを幇助した官僚になるでしょう。これは本法では罰せられないことになっていますよね。これは、私は、仮に違法なことを指定したことに対してもしっかりと罰則を入れる、じゃないと不公平じゃないですか。いかがですか。

森国務大臣 そもそも前提が違っていると思いますけれども、違法な行為を特定秘密に指定したということ、私はないと思いますけれども、それが、そういう違法な行為……(辻元委員「あるじゃないか」と呼ぶ)それは特定秘密ではございませんで、注意文書でございます。それに、そこは情報公開法上の不開示の理由があったということです。

 ところで、私の答弁は、一般の方や報道機関の方が処罰される可能性があるのにというような御質問でございますけれども、違法な行為を暴こうとして取得をしたり取材をしたりした場合には、処罰をされることはありません。

辻元委員 知る権利を担保するとか報道の自由を担保するというのを甘く見てはだめですよ。それを侵害するようなこと、例えば意図を持って隠すようなことをした人も、しっかり罰するということですよ。その緊張関係が保たれない限り、私は、国民の知る権利が担保されないと。思いませんか。

 森大臣は、秘密をして注意レベルだとおっしゃった。では、あなたは何か秘密を指定したことがありますか。消費者庁を所管されていますよね。消費者庁に特別管理秘密は幾つありますか。

額賀委員長 今の辻元委員の質問は、特定秘密を指定した場合、それが違法の場合は、その指定した人が処罰されるのかどうかということですね。

辻元委員 そうです。

 それと、消費者庁であなたは秘密を指定したことがあるか、今だと特管秘だから、秘密を指定したことがあるかと聞いているんです。

森国務大臣 私は、消費者庁で特管秘を指定したことはございません。

辻元委員 消費者庁は一件もないですよ。取扱者は何人いるか、御存じですか。五人いるんですよ。

 森大臣は、防衛秘密を取り扱う人に、今回法案をつくるに当たって、何が問題点か、ヒアリングしましたか。

森国務大臣 御質問の趣旨がわかりませんけれども、防衛秘を取り扱うに当たってというのは、どういうような御質問でしょうか。

辻元委員 防衛秘密を扱っている担当者に、実際に、今の防衛秘密では何が問題点なのか、特管秘を取り扱っている官僚に、何が問題点なのか、あなたはヒアリングをしたことがあるかと聞いておるんです。

森国務大臣 ございます。

辻元委員 どういうレベルでですか。

森国務大臣 現在の特別管理秘密は、法律ではございませんで、運用基準になっております。省庁間で、基本方針に従って、それぞれ別個に基準を定めております。それがばらばらであること、その他さまざまな問題点がございます。

辻元委員 その運用を統一する、指定や解除や取扱者の適性評価、これは内閣の情報調査室が決める。内閣の情報調査室を、今後この法案がもしも成立してしまったら、これを統括するのは官房長官ですよ。あなたじゃないんですよ。これからこれを運用していくとか、解除をどうするか、これを決めていくに当たっての責任者は官房長官ですよ。

 私は、官房長官に、きょう答弁にここに出てきていただきたい。知る権利や報道の自由を侵害しかねない重要法案だから、官房長官が出てください。森大臣は、今答弁されていますけれども、この後これを責任持って運用を決めていく部署にはないわけですよ。

 委員長、最後に申し上げたい。

 これだけいろいろ問題が指摘されて、たくさんの団体、それも報道関係はほとんどですよ。ぜひ、この委員会では官房長官がしっかりと担当されて答弁する、これを次の委員会から担保していただきたい。理事会で協議してください。

額賀委員長 理事会で協議をしております。また再び、よく相談をさせていただきます。

辻元委員 終わります。

額賀委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 それでは、早速質問を開始します。

 かつて、一九八二年から三年にかけて、東芝ココム事件というものがございました。

 それはどういう事件だったかといいますと、東芝機械と伊藤忠商事、和光交易が、一九八二年から一九八三年にかけて、当時のソビエトに、東芝機械製の九軸同時抑制のスクリュー加工工作機械四台と、それとともに数値制御装置を、ココム規制に反して販売したという事件です。

 一九八五年十二月に、元和光交易モスクワ支店長がココム違反を暴露する形で発表したことから事が発覚し、それでアメリカが制裁を求めてきたということなんですね。

 この結果、東芝の会長と社長が引責辞任、それから東芝機械が二百万の罰金、それと担当者が執行猶予つきの懲役一年及び懲役十カ月という、これは外為法違反で罪をかぶったという事件なんですね。

 今回の特定秘密の法案において、私は、こういうココム事件のような、軍事技術に供されるようなものの漏えいというものが範疇に入るのかということをお聞きしたんですけれども、まず、そこをもう一度お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 民間事業者等が独自に保有している技術につきましては、行政機関が提供したものではなく、民間事業者等において厳格に管理されるべきものではあると考えますが、特定秘密の対象とはなりません。

今村(洋)委員 それは、公になっている情報、技術であるから、特定秘密にはならないということでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 行政機関が提供したものでないので、別表に該当しないということでございます。

今村(洋)委員 私が今回の特定秘密に期待するものは、国益に反するような情報、これは技術も情報だと思うんですけれども、そういったものが他国へ漏えいしてしまう、軍事安全保障上、国益を毀損するような事態が起こることを防止できるのかというところが期待するところなんですね。

 ところが、今のお答えですと、到底、民生技術であるから、つまり、政府側というか国側が供与した技術ではないので、特定秘密に当たらないということでございましたね。

 現実には、今世界で使われている軍事技術、軍事技術上の情報といったものも、民生技術から転用されたもの、つまり、昔は軍事技術が民生技術へスピンオフしていたものが、逆にスピンオンという状況が多くなっている。特にこの日本においては、民生技術が軍事技術へ転用されるといったようなことが多いということは、明らかになっているんですね。

 これは、技術に使う予算というものが、国がそこに予算、防衛省が充てて開発をする予算に比べて、民生の、いわゆる民間企業がそういう研究に用いる予算というものの方が、膨大な、何十倍にも値するようなものになっていて、当然ながら、その結果として、民生技術の方が先端を走っているという状況なのが事実なんだと思います。

 ですから、こういったスピンオンというような技術を守らなければ国防上問題があるというような事態が、今後多く起こってくると思うんですね。

 きょう、防衛省関係の方にお聞きしたいんですけれども、そういったスピンオンというような事態、事象が多いという事実を前提にして、そういった軍事技術、軍事情報といったものをどれだけ防止することができるのか、それに供される法案、法的な縛りというものはどういうものがあるのか、教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のように、戦闘機や護衛艦といった最先端の防衛装備品について、その仕様でございますとか性能などに関して、防衛上、特に秘匿することが必要であるものが含まれている場合には、防衛秘密指定を含め、必要な秘密保全のための措置をとっているところでございます。

 これにつきましては、今の法律に基づいてそういったところをやってございまして、特定秘密の保護に関する法律案が成立し、施行された場合にも、これまでと同様に適切な措置をとっていくということになると思ってございます。

今村(洋)委員 今お答えになった中ですと、我が国の秘密保全に関する現行法制というものの中に、まず、国家公務員法等で規制されている職務上知ることのできた秘密というもの、これが一番目ですね。二番目が、防衛秘密、これは自衛隊法に規制されるものです。三番目が、特別防衛秘密、これはMDA法と言われているものですね。それともう一つ、合衆国軍隊の機密(刑事特別法)というものがあって、大体この四つの法制によって秘密保全がなされているというのが資料として出ています。

 今回、特定秘密法案において私が期待するところは、この別表の四分野、一から四号というものの、第一号のチとかリとかというところですね。武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する、次は、武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供するものまたは研究段階のものの製作、検査、修理または試験の方法。

 これに該当しますかという質問を申し上げたところ、ココム事件に関してということで御質問しましたら、民生技術であるから、これは公のものであるので該当しないというお答えだったんですけれども、森大臣、そのとおりでしょうか。

森国務大臣 先ほど審議官がお答えしたとおりでございます。

今村(洋)委員 では、これは仮定の話としてお聞きしますけれども、そういった民生技術がスピンオンして軍事技術に供されるものは、これはどなたがお答えになっていただいても結構ですけれども、今後どのようにして守られていくのか。こういうココム事件のようなものが、最近も、もう何十件も起きているんですね。これは、申し上げますと、昭和三十八年から数えますと四十二件起きています。

 最近の主な違法輸出事例といったものを申し上げますと、株式会社M社がミサイルの運搬にも使用できる大型タンクローリー二台を、韓国向けを装って、許可を受けずに北朝鮮に向けて輸出した、それで輸出した会社の社長が逮捕されたとか、いろいろな、軍事上、本当は防止されるべき事例が、外為法でしか取り締まれないというのが事実だと思います。

 この点に関して、このままで仕方がないというふうにお考えになるのか、それとも何か方策があるのか、もしお答えできればお答えいただきたいと思っています。どなたかお願いします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 経産省は、外為法に基づく輸出管理を厳格に実施することで、我が国または国際社会の平和と安全の維持に努めております。

 規制対象となる貨物や技術につき、制度の改正や品目の見直しを随時行っております。また、今後随時行っていくつもりでございます。

今村(洋)委員 それは、今おっしゃったように、リスト規制品目というものが、外為法で禁止されるものとして挙げられていますね。

 ところが、先ほどから申し上げているように、民生技術が軍事技術へスピンオンする事例が非常に多いので、先日、小野寺大臣は、九月二十八日のことですけれども、最先端の兵器は、国際開発、つまり協調開発が主流であり、日本はその流れから取り残されている、武器輸出三原則を見直して国際協調開発を行っていく必要があるだろうというような御見解を述べられていますけれども、それは、そういう解釈でよろしいですか。

吉田政府参考人 お答えさせていただきます。

 小野寺大臣がお答えしたとおりだと考えてございます。

今村(洋)委員 としますと、今回の特定秘密でもそうですけれども、他国の信頼がないと、そういった情報のやりとりといったものはできないんだろうと思うんですね。

 ですから、こういった兵器の開発が、共同開発においても、民生技術が、先端を走っているものが主流となっているという御認識がおありになるのであれば、そういったいわゆる情報が、技術が漏えいしないような方策が必要だというふうに私は考えるんですけれども、きょうは大臣がいらっしゃらないので、その点は、防衛省の方は何かお考えがありますか。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

吉田政府参考人 済みません、先ほどの答弁をちょっと補足させていただきますが、民間の市場に流通しておりまして、広く一般的にアクセスが可能な民生品や民生技術について、これが仮に防衛装備品に使用されていても、これらの民生品や民生技術そのものについて、原則として、特定秘密に該当するとは考えにくいと思ってございます。

 他方で、先ほど申し上げましたように、そういった民生品も含めて、作製される武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供するもの、これについて、その仕様とか性能とか、こういったもので、防衛上特に秘匿する必要があるもの、こういったものについては、現在、自衛隊法に基づいて秘密をきちんと管理している、こういった対応をしてございますし、これを引き続き続けていく、そういうふうな御答弁をさせていただいたというわけでございます。

今村(洋)委員 特定秘密に該当するかどうかということは、該当しないということなので、私はそれで納得しておりますけれども。

 現実に、先般、川崎重工のガスタービンエンジン部品が英国へ輸出された、政府はこれを容認している。同部品は、海上自衛隊の護衛艦のほか、同じ仕様で民間の発電機にも使われているから、民生品だから武器輸出の三原則には当たらないということで容認されたということですけれども、では、これを取って返せば、この技術というのは民生技術であるから、ほぼ、交易のある国々でしたらどこへ出してもいいという話になるのかなと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

 つまり、英国以外の他の国々へ出しても、もう容認しているものだから、これはいい、三原則に反さないということで解釈してよろしいですか。

吉田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほどのエンジンの部品、これについては汎用品であるというふうなことでございますが、汎用品であることと、他方で、仕向け地がイギリスの特定の、海軍というふうなものに使われる、艦船の部分品として使われる、そういったものを確認した上で許可がされているというふうに承知してございますので、そういった状況のもとでの話というふうに思ってございます。

今村(洋)委員 今、汎用品とおっしゃった、そのとおりで、汎用品であるからということで、他国への軍事技術といいますか、それにもスピンオンするような事例が多くなっているというのは、中国製の地対空ミサイルに日本製の電子部品が使われている、これは中国メディアが報道しているんですね。ロケットミサイルに使われる部品のうち、経産省が定める仕様にあるものは輸出貿易管理令で大臣の許可が必要になりますが、汎用品である場合はそれにひっかからない場合もある、それも多くあると考えられるという論評もあるんです。

 ですから、こういった事例というのは、今申し上げたように、規制をかけているから大丈夫だというようなお話でしたが、これだけ民生と軍事という境界が曖昧になってきている、それも、軍事技術より民生技術の方が先端を走るような実態になっている状況において、今回の特定秘密の話からはちょっとそれますけれども、こういった軍事技術の漏えいというものが、国際安全保障上、日本の安全保障上、漏えいしてしまうと問題が起きてしまうということは実際に起きているし、あり得るんだ、今後もあり得るんだと僕は思います。

 ですから、そこのところを実は防衛大臣に来ていただいてお考えをお聞かせいただきたかったんですが、きょうは来ていらっしゃらないので、そういったことを今後の課題としていただきたい。

 特に、武器輸出三原則も見直しが必要だ、国際共同開発においてはそういった方向でいくというお考えでしょうから、そこに伴う秘密の技術の漏えいを防ぐような手だてというものが今回の法案とはまた別に必要になってくるのかなと。今回の法案でカバーできればよかったと僕は思うんですけれども、いかんせん、汎用に関しては、公になっているものは秘密に当たらないというお考えですから、それに当たらないんだろうと思って、ほかの方法が必要なんだろうというふうに考えております。

 では、次の質問に移りますけれども、次は、特定秘密の取扱者の制限についてお聞きいたします。

 第十一条において、秘密を取り扱う者は適性評価をパスしなければいけないというふうに規定されておられますけれども、それの例外として、除外として、たしか一から七に挙げる方々の、適性評価というものを免れるという規定があると思いますが、これはなぜそのように、政府関係者が適性評価を受けることを要しないというふうにお考えになっているのか、理由をお聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 本法案では、第十一条におきまして、特定秘密の取り扱いの業務は、原則として適性評価において特定秘密を漏らすおそれがないと認められた者でなければ行ってはならないと規定する一方、行政機関の長、国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官等につきましては、適性評価を要せず特定秘密の取り扱いの業務を行うことができる旨、規定しております。

 これは、国務大臣等につきましては、その職務の性格から特定秘密の取り扱いの業務を行うことが当然の前提とされることから、国務大臣等の任命に当たっては、適性評価の対象外であることを踏まえ、必要な考慮がなされると考えられるからであるためであります。

 なお、これらの者が特定秘密を漏えいした場合についても本法案の処罰の対象となることから、特定秘密の保護は確保されるものと考えております。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

今村(洋)委員 ちょっと今の話だと、よくわからないんです。

 資料の方に、これは三十ページに書いてあるものですけれども、一方、極めて高度な政治的性格を有する職、特別の任免の要件、手続が採用されている職等、それぞれの職の性格を踏まえ、適性評価の必要性を個別に判断することが考えられるとされている、そこで、本規定案においては、次の一から七、それは先ほど申し上げた、行政機関の長から始まって政令で定める者というまでの一から七ですけれども、一から七までの者については適性評価を受けることは要さないとされている、これだけの説明なんです。

 これは僕はよく理解できないんですが、これはトートロジーじゃないですか。つまり、特定秘密を定める者がそれだけの能力を有する者だから適性検査を受けなくていいという、最初の、ぐるっと、特定な秘密を指定する者だから、特定な秘密を知り得るだけのパスを受けなくていい。トートロジーじゃないですかね、これは。どうでしょうか、そこをお答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 国務大臣の任命等に当たりましては、先ほど申し上げましたように、適性評価を取り扱うことが前提となっておりますので、その取り扱いにふさわしい観点から考慮がされて任命されると考えております。

今村(洋)委員 では、他国の例を挙げて申し上げますと、確かに諸外国にも例外が設けられているんですね、そういう適性を受けなくていい、セキュリティーを受けなくていいという。

 アメリカなんかは、除外は、大統領、副大統領、行政以外の分野にある連邦議会議員、それから連邦最高裁判官、あとは大統領に任命を受けた連邦裁判官ということになっています。行政以外の分野にある連邦議会議員、これは、ほかのイギリス、ドイツなどでも、行政以外の分野にある国会議員とか、行政以外の分野にある連邦憲法機関の構成員、裁判官等とかという、行政以外の分野というのがうたってあるんですけれども、日本においてはそれが行政以外の分野に当たっているんですか、この一から七の方々は。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど申し上げました行政機関の長等につきましては、行政機関以外の者ではなくて行政機関内の者でございます。

 なお、司法機関、国会の者について適性評価をするかしないかにつきましては、先ほど申し上げましたように、適性評価は特定秘密の取り扱いの業務を行う者を対象としておりますが、本法案十条で、特定秘密の提供を受ける者であります司法機関の者あるいは国会議員につきましては適性評価を要しないとしております。

今村(洋)委員 済みません、この行政機関の長というのは、もちろん行政というのはわかるんです。あと、二、三、四、五、六というところまでは、国務大臣、官房副長官、総理補佐官、副大臣、政務官というふうになっていますが、これは、今お聞きしたように、他国に規定されている行政、行政というのは内閣のことですけれども、行政以外の分野にあるという者には該当しないんですよね。そこをお答えください。

 意味がわからなければ、もう一回言います。

 諸外国の除外に規定されている者と今回の本法案に除外されている者で、行政以外というところの文言について、日本はどうなのかということです。諸外国との違いがどうあるのかということをお答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 第十一条の適性評価の対象外としている者については、特定秘密の取扱業務を行う者を対象にしておりますので、原則として、行政機関の者のみを対象に考えております。

 そのために、一号から六号については、行政機関の者のうち適用除外となる者を記載してございます。

今村(洋)委員 ちょっとまだよくわからないんですが。

 わかりました。では、また後で戻りますけれども、次の質問に行きます。

 適性評価において、諸外国では、国籍といったところに、括弧して、帰化情報を含むとなっていますけれども、本法案では、過去に有していた国籍という言い方に変わっておりますけれども、これは、帰化情報ということで理解してよろしいですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 評価対象者本人につきましては、帰化情報につきましては、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項の中で調査することを考えております。

今村(洋)委員 この適性評価というのが、僕はどうしても、行政機関の長を初めとして一から七までの人が評価を免れるというところが納得がいかないと申し上げるのは、過去に、旧陸軍の大本営参謀二名が、戦後、それぞれ、ソビエト、それから中華民国のスパイ、エージェントとなっていたことが、最近のCIAの報告書とか情報開示によって明らかになっております。この二名のうち、一人は衆議院議員、参議院議員も務めて、また、もう一人は、臨調の委員、総理のブレーンだと言われているような地位まで上り詰めておられました。

 ですから、私が言いたいのは、ここの、国務大臣、官房副長官、補佐官、副大臣、政務官、こういった方々の中に、そういう、もしかしたら他国のエージェントとなっているような人物が、特定秘密に、それも何のチェックも受けずに携われるというようなことが起こらないように、免責として、きちんとそういった適性評価というものを、相互に認証するような形でも結構ですから、受けていただく必要があるのかなというふうに思っているんです。

 今の御説明では、なぜこの方々が適性評価を免れるのかが僕はどうしてもよくわからないんです。これはトートロジーじゃないかと思うんです。特定な、特別な秘密を扱う人間だから、そういったものは受けなくていいというような、おっしゃっていることはそういったことなんだろうというふうにしか聞こえないんですね。

 ですから、もう一度お聞きしますが、こういった、過去にそういう位をきわめたような方においても他国のエージェントと疑われるような事実があったということを踏まえて、こういった特定秘密を秘密と規定するような方々も適性評価を受けていただく必要があるのではないかということについて、もう一度、なぜこの方々が評価を免れるのか、お答えください。

森国務大臣 委員御指摘の諸外国の例でございますが、イギリス、ドイツ、フランスは、大臣を対象外としております。イギリスは、政務次官も対象外としております。

 諸外国はそのような状況ですけれども、我が国においては、大臣等を諸外国と同様に対象外にした理由は、トートロジーではないと私は思うんです。つまり、国務大臣の任命等に当たっては、先ほど審議官がお答えしたとおりでございますが、任命等に当たっては、このような条項がしっかりと必要な考慮がされて任命されている。国務大臣というのは、当然、秘密を指定する指定権者になるし、取扱者になるわけでございますので、それが当然の前提なので、任命をするときに当然そのことが考慮をされて任命をされているということから適用対象外にしているということでございます。

 そしてまた、これらの者が、つまり大臣を含んで、これらの者が特定秘密を漏えいした場合にはしっかりと処罰の対象になりますので、特定秘密の保護は確保されているというふうに考えております。

今村(洋)委員 同じ質問をこの前、参考人の意見陳述のときに、私もお聞きしました。そうしましたところ、四人いらっしゃるうち二名の方が、いわゆる身体検査を一から七の方に関してされるのであろうが、やはり一般の政府職員と同様の厳しい態度で臨まれることが必要だというふうにお答えになっています。もう一名の方は、厳密にやらないと、逆に官僚が大臣を信用しないということが起こる、きちっとした身体検査を行うべきというふうにお答えになっておられます。

 僕はやはり、国民に説明するに当たって、そういったものをなぜ受けられないのか。

 大臣、これはどうして受けられないんですか。もう既にスクリーニングを受けてそういった地位についているんだから必要ないというように今私は受け取りましたけれども、その上でも、では、そういったクリーンな方だったら建前上ももう一回受けてもいいと思うんですけれども、それはなぜ受けられないんですか。

森国務大臣 本法案において大臣等を適性評価の対象外にした理由は、今御説明したとおり、国務大臣等は、その職務の性格から、特定秘密の取り扱いの業務を行うことが当然の前提とされる。そして現行法でも、特別管理秘密、いわゆる特管秘というものを指定したり取り扱ったりしているわけでございます。この本法案においては、特別秘密、特定秘密の取り扱いの業務を行うことが当然の前提とされるということから、国務大臣の任命に当たって、適性評価の対象外であることを踏まえ、必要な考慮がなされるというふうに考えまして、対象外としたところでございます。

 なお、大臣等も、漏えいをした場合には処罰の対象としておりますので、現行法よりもしっかりと秘密の保護というものが確保されるものと考えております。

今村(洋)委員 処罰されるような事態になっては非常に困るので、そういうことがないようにしていただきたいんですけれども。

 最後に、この適性評価の中に精神疾患に関する事項というものがありますけれども、これはこの前もちょっとお聞きして途中で終わっちゃったんですが、あのときのお話では、てんかん発作とか、そういうことをお考えになっているんでしたか、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 精神疾患に関する事項に関しましては、特定秘密の保護のための措置を適切かつ確実に講ずるために、常に特定秘密の保護に係る各種の規範を理解し、自己を律してこれを実行する必要がありますので、精神疾患により意識の混濁、喪失等が生じたり、アルコール依存症の症状が見られたりする場合には、自己を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかもしれないことを示唆しておりますので、そういった状態にあるかどうかについて調査いたします。

今村(洋)委員 時間が来たので、これで終わりますが、精神疾患に関してはもう少し、これは非常に範囲が広いものですから、どういったものをどういうふうにお考えになっているのか、もっと具体的に示していただく必要があるだろうと思っています。

 どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 ここ数日、我が党も含めまして修正の協議がされているというのは、報道でも既に皆さん御存じのとおりだと思っておりますが、我々は、その修正の中で、法文の体裁ももちろん大事ですが、法律の曖昧な運用をなくしていく、運用を厳格にしていく、その中身を議論していくことが大事だと思っております。きょうは、そういった観点で、何点か質問をさせていただきます。

 まず一つ、私がこれまでもお伺いをしてまいりました、特定秘密の指定は各省庁の長が先頭に立ってやっていくと。そこは、私としては、政治主導、内閣総理大臣主導。そして、例えば政権交代があったときに、政権交代というのは、少なくとも、その前の政権が選挙によって一定の批判を受けて行われるわけですから、新しい政権による、これまでやってきたことの見直しというものが当然行われるべきであり、それはこの特定秘密でも私は当然だと思っております。

 きょうは、まず、この特定秘密に係る内閣総理大臣、政治主導、リーダーシップについて、森大臣の見解を伺います。

森国務大臣 特定秘密の指定においても、行政機関の長が責任を持って指定、そして、取扱者の範囲等の保護措置を定めていく段階において、行政のリーダーシップ、政治主導というものが適切に発揮されるべきであるものと考えております。

井出委員 行政のリーダーシップではなくて、そこに、ぜひ、選挙で信を得た国会議員、政治主導のリーダーシップが発揮されることを強く望んでおります。

 そういう意味では、現在の設計では、まず、専門性ということで各省庁の長が責任を有するということは理解をいたしますが、何かあったときに、総理大臣が、私は知らなかった、大臣が、役所がやったことだと。また、本当に難しい情報になってくれば、当然、総理大臣の判断も仰ぐことになる。責任の所在を明確にするという意味においても、内閣総理大臣をもっと前面に押し出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 総理大臣は、憲法によって、行政の指揮監督を行う立場でございますから、当然に、特定秘密の運用についてもリーダーシップを発揮していくものと考えております。

 また、本法におきましては、政府が有識者の意見を反映して運用基準を作成することになっておりますので、内閣で統一にその基準がつくられ、その有識者を総理大臣または内閣官房長官が組織をしていくわけでございますので、その段階の中でも総理のリーダーシップが発揮されるものと考えております。

井出委員 今、運用面について総理の関与、また、有識者の意見を反映させる、そういったところに総理、官房長官の政治主導が見られるというお話がありました。またそれが、ひいては、運用をしながら、また新しい情報を指定していくときに、運用をしてきた実績、経験を踏まえて、よりよい政治主導、リーダーシップを発揮していただくことをお願いしたい。

 次に、これも何度か我が党で指摘をしてきたことですが、最近、この法案が、国家の秘密を漏らした公務員を罰せられる、そういう枕言葉でよくテレビのニュースで報道をされております。きょうは、その公務員の立場に立ってちょっと質問をいたします。

 公務員とはいえども、やはり一生懸命仕事をした結果が悪い方向に転じてはいけない、そのように考えております。きょうお伺いをしたいのは、私がさきの本会議でも申し上げました一例をもとに御説明をいたします。

 テロの捜査において、国家にとって重要な情報を警察官がとってきた。これは即、特定秘密だ、よくやった。その情報をどうやってとってきたんだと根拠を問うたところ、これは実は、捜査令状をとらずに、GPSの端末をその関係者の車につけましたと。ちょっと待て、それは福岡地裁でその捜査手法が争いになっていた、こういうことが起こったとします。そのときに、その捜査員がとってきたテロに関する情報を特定秘密として指定をするのかしないのか。また、その捜査手法についても、特定秘密として指定をするのかしないのか。

 捜査の方法がまだ公判で争われている、違法性に疑義がある、そういったものは指定をするべきではないと私は考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 違法な事項について、特定秘密には指定できませんし、指定しましたとしても、その指定は無効でございます。

 ただ、個別具体的に行政機関の長がそれが違法であるかどうかを判断することになろうかと思います。

井出委員 指定が無効というのは、私が今例示した捜査手法も含めて指定できないということになるのでしょうか。それとも、残念ながら、そのとってきた情報はいい情報だったけれども、ちょっととり方に問題があったからだめです、そのかわり、今、捜査については、白黒はっきりしない、そういう状態で、そのとってきた情報は無効であると。

 どういう結論をつけるのか、もう一度お願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 お尋ねの件が、具体的な事例でどのような状態かというのが、ちょっと私、判断がつきかねますが、そういった場合でも、個別具体的な事例につきまして、行政機関の長が、別表該当性等この法案の要件を満たすものとして指定した場合であったとしても、その内容が違法である場合については、指定は無効ということでございます。

井出委員 この法律で特定秘密に当たると想定をされている別表は、あくまで国家公務員がとってきた情報です。国家公務員がとってきた情報には、どこからとってきたのか、そういう信憑性に係る情報が必ずついてくる。その情報の方がもっと私は秘匿性が高いものだと思っております。警察でいえば、捜査に協力してくれた人も当然そこの部類に入ってきます。そこの秘匿性は物すごく高いんです、情報の根拠となる情報の部分。

 しかし、ここが、現実として、例えば私が申し上げてきたGPSの件でいえば、裁判に諮って争点になるようなところもあるんです。そこの情報の指定を、じゃ、裁判で白黒決着していないから特定秘密にしちゃおうという運用をするのか、それとも、いや、これはちょっと、令状をとらなかったからまずいだろう、この情報はやめておこうという慎重な運用をやっていくのか、そのスタンスをもう一度お伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 捜査機関が取得した情報あるいは収集した情報については、あくまでも本法案の別表該当性によって判断されますが、これは、違法であることが公になることが不適切だという判断のもとで、それを隠蔽するために指定するような行為は無効でございます。

井出委員 今、隠蔽ということに関して無効である、そういうお話をはっきりといただきました。

 そして、情報をとってくる公務員の方、仕事を熱心にやるが余り、その結果、検証してみたら、ちょっとまずいということもあるかもしれないんです。

 ですから、私は、この特定秘密保護法案を制定するのであれば、これから特定秘密をとってくると想定される部署、役所の職員に対して、いま一度、情報収集職務に当たる職務規定、倫理規定を、これを機に新たにつくった方がいいと考えますが、いかがでしょうか。

能化政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたとおり、政府による情報収集活動につきましては、法令を遵守して適正に行わなければならないことは当然でございまして、情報収集を行う各機関は、常日ごろからそのような点を踏まえて情報収集に当たっているものと認識しております。

 ただいま御指摘のございました、情報収集活動に従事する者に対する規範の整備につきましては、今後、さらに情報機能強化のあり方を検討していく中で、情報収集活動の適正の確保がより一層図られるよう、必要な対応を行ってまいりたいと存じます。

井出委員 大臣にも一言伺います。

 今御答弁あったように、各省庁が情報収集に対してしっかりと規定を設けてやっているとそれぞれの省庁からは回答をいただいておりますし、また、国家公務員法の服務規定を前提にという御説明もこれまでいただいてきておりますが、国家公務員法や自衛隊法と違った法律を、特定秘密、秘匿性が特に高い情報を取り扱っていくんだ、そういう法律をつくるのであれば、ぜひこれを機に、情報収集にかかわる公務員、職員の情報収集の職務規定、倫理規定をつくるべきだと思いますが、大臣のお考えを伺います。

森国務大臣 特定秘密に関するさまざまな運用基準は、また有識者の皆様の御意見を聞いて定めていくものでございますけれども、委員の御指摘もございますので、情報収集活動に従事する者に対する規範の整備につきましては、今後、情報機能強化のあり方を検討していく中で、情報収集活動の適正の確保がより一層図られるように対応してまいりたいと思います。

井出委員 公務員の職務に関する規定というのは、私は、第三者や有識者に言われてやるのではなくて、この法律を運用していくのであれば、ぜひ、政府がみずから積極的に主体となって倫理規定、職務規定をつくっていただきますことを強くお願いいたします。

 次に、これは我が党に限らずですが、この法案が特定秘密の幅を際限なく広げてしまうのではないか、そういうことがずっと議論をされてまいりました。

 我々は、政府が政府案の中で掲げている別表をよく精査いたしまして、具体的に、別表の外交のハ、特定有害活動のロ、テロリズムのロの条項にあります、例えば外交のハで申し上げれば、「安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報」と。今申し上げましたように、文末に「その他の重要な情報」というのが、外交のハ、特定有害活動のロ、テロリズムのロについております。我々は、これを削除しても何の問題もないと思っております。

 まず、この三つの文が具体的にどういった情報を想定しているのかをお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 具体的に、各号全ての「その他」でしょうか。外交のところですか。(井出委員「はい」と呼ぶ)

 外交のイについては、「その他の安全保障に関する」ものというのは、例えば、外国による核実験の実施を抑止するための関係国との協力の方針等を指します。

 それから、ロにつきましては、「輸入の禁止その他の措置又はその方針」の「その他」につきましては、金融取引制限等を念頭に置いております。

 ハの「その他の重要な情報」については、情報提供者からの情報を考えております。

井出委員 「その他の」というのは、その前段にある具体的な例示と並列されるものをその他として一括でくくっておられるのかと思いますが、やはりここが曖昧だと、この法律がいつまでたっても不安だ。

 ですから、私は、その他というものは極力落として、具体的に想定するものがあるのであれば、多少法律の文が長くなってもいいから、しっかりと書き込むべきだ、そちらの方が厳格な運用がなされると思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 法令用語で「その他の」という場合については、並列ではなくて、前の言葉は例示としての位置づけになりまして、その例示を含みます総括的な言葉が「その他の」の後の言葉でくくられますので、全体として外延は明確ではないかと思います。

井出委員 ですから、現行の書き方ですと、最初の例示があって、それに類するもの、ベン図みたいなものをイメージしていただければ、その他というものがあって、その中に例示が幾つかある。

 この法案は特に情報の範囲というものが問題になっておりますので、私は、その他でくくるんじゃなくて、例示を出せるものを全部出した方が厳格な運用につながると考えておりますが、もう一度答弁をお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 法案の文言については先ほど述べたとおりでございますが、現在、関係者間で修正協議が行われていると承知しておりますので、それ以上の点については申し上げるのを控えたいと思います。

井出委員 秘密の範囲が際限なく広がるのではないか、そこを払拭、法案をつくっていく上ではそこが一番の肝だと思っております。

 政府の外交や防衛上どうしても秘密にしなければいけない、外交上の文書をやりとりする際の暗号ですとか、そういったものが秘密であるということは、これまでの議論でも大方の人が理解をしております。

 ですが、国にとって最低限の守るべき秘密、それと、国が取り扱ってきた情報をしっかりいずれ公開していく、検証の目が入るようにしていく、これが非常に難しいからこれまでさんざん議論をしてきているんですが、そこの両立が我々は肝だと思っておりまして、やはり、最初に申し上げましたが、運用を厳格にしていく、中身をしっかり詰めていく、それがこれからの議論、非常に大切だと思っておりますので、そこのところを引き続き議論させていただきますようお願いいたしまして、きょうの私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 特定秘密の指定にかかわって、現行の防衛秘密がどのように指定されているかについて質問をいたします。

 まず、防衛大臣に伺いますが、昨年末に大臣に就任されて以降、防衛秘密を指定したことはありますか。

小野寺国務大臣 あります。

赤嶺委員 具体的にどのような内容を指定したんですか。

小野寺国務大臣 具体的な内容については差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 防衛秘密の指定が妥当なものかどうか、これはどのように判断したんですか。

小野寺国務大臣 上申を受け、説明を受け、私の判断で、妥当だということで指定をいたしました。

赤嶺委員 上申を受けて、妥当だと思って判断したというだけでは、全く、その妥当性について大臣の側から説明があったとはとても思えません。

 そこで、具体的に伺いますが、防衛省に提出していただいた防衛秘密の指定手続の資料、これを今、配付していただいていると思います。

 防衛大臣がおっしゃったように、上申、指定という手続の流れがありますが、これによりますと、局長級の防衛秘密管理者が上申を行い、これを受けて防衛大臣が指定することになっていますが、防衛大臣は具体的に何を指定するのですか。

小野寺国務大臣 私が上申を受けた中で指定するのは、防衛秘密の事項の指定をすることになります。

赤嶺委員 防衛秘密の事項になるわけですね。

 そうすると、防衛秘密の文書そのものではなく、概念をまとめた、例えばPAC3ミサイルの能力に関する事項といった概念を指定して、具体的な数値を記載した文書そのものを指定するわけではないという理解でよろしいでしょうか。

小野寺国務大臣 私が指定するのは事項ということになります。そして、その事項に基づき、文書等の作成その他は管理者である局長クラスが対応するというふうになっています。

赤嶺委員 事項を大臣が決めたら、その事項のもとにある文書そのものはほかの人たちが指定していくと。

 この資料によりますと、秘密文書そのものを作成したり廃棄したりするのは、局長級の防衛秘密管理者か、あるいは課長級の管理者補の承認で行うというポンチ絵になっています。防衛秘密文書の作成や廃棄に大臣の決裁が必要とされているというわけではない、そういうことでよろしいですか。

小野寺国務大臣 最終的に一件一件の廃棄その他について私が許可するとかそういうことではありませんが、私の権限で管理者にそのことについては委任をしているということであります。

赤嶺委員 ですから、生の指定された秘密の文書ではない、事項が大臣の指定するものだという、概念にとどまっている。こういう具体的な秘密文書の作成や廃棄は、局長級や課長級の判断で行う仕組みになっているということであります。

 ところで、外務大臣に今度は伺いますが、外務大臣は秘密の指定を行ったことはありますか。

岸田国務大臣 外務省の内部規則におきましては、まず、秘密指定区分として、機密、極秘、秘、この三つの分類がありますが、秘密の指定に関しましては、この内部規則上、機密及び極秘の秘密区分の指定は局部長級の秘密管理者、そして、秘の秘密区分の指定は課長等の秘密管理責任者が基本的に行うということになっております。

赤嶺委員 外務省の秘密保全に関する規則、これを私も丹念に読んでみました。極秘、機密の指定は今の御答弁にありましたように局長級が行い、秘の指定は課長級が行う。

 そうしますと、大臣は秘密の指定に関与なさらないのですか。

岸田国務大臣 現実において、外務省の秘文書、年間数百万単位の秘文書が存在いたします。一件一件につきましては、今申し上げました内部規則に基づいて指定が行われるわけですが、そもそも、この内部規則そのものが、外務大臣の承認を得て制定されるというものであります。

 ですから、外務大臣としましては、こうした秘文書のあり方そのものを管理するという立場でこうした秘文書にかかわっているということだと認識をしております。

赤嶺委員 今の外務大臣のお答えでしたら、この規則をつくるときにかかわっているから、かかわっているんだというお話でありました。

 この規則を読みますと、「秘密文書等の取扱いは厳に「職務上知る必要のある者」に限定する。」このようになっています。職務上知る必要のある者を、誰か、どうか、これを判断するのは誰がやるんですか。

岸田国務大臣 これは、内部規則に基づいて、先ほど申し上げましたような秘密管理者、秘密管理責任者、こういった立場の人間が行うと認識をしております。

赤嶺委員 そうしますと、職務上知る必要のある者に大臣は含まれますか、規則上。

岸田国務大臣 御質問が、職務上知る立場にある者……(赤嶺委員「ここに、知る必要のある者と書いてありますよね」と呼ぶ)

 ちょっと済みません、確認させてください。(赤嶺委員「時計をとめてくれますか」と呼ぶ)

額賀委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

額賀委員長 速記を起こしてください。

 岸田外務大臣。

岸田国務大臣 外務大臣も含まれます。

赤嶺委員 外務大臣も含まれると書いてありますか。

 さっき、外務大臣、参考人の御意見を聞いていたようですが、参考人はいらっしゃいますか。ちゃんと答えてくれますか。外務大臣も含まれるとこの規則の中に書いてありますか。何ページですか。

額賀委員長 誰ですか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

額賀委員長 速記を起こしてください。

 山田参事官。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 規則第十条におきまして、「文書等の取扱いは厳に「職務上知る必要のある者」に限定する。」というふうに規定しております。外務大臣について明示的な言及はございませんが、当然に含まれるものと考えております。

赤嶺委員 大臣については、明示されていないけれども含まれると。実際そういう運営をしてきたんですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 年間二百万以上の秘文書が電報でやりとりされておりますので、その全てを大臣にお見せすることは物理的にできませんが、大臣に見せる必要がある場合は、あらゆる文書を大臣に開示する、そういう方針で臨んできております。

赤嶺委員 明示されていないけれども、必要なものは大臣に見せているという、非常に苦しい、聞いている側が聞いても、今までの外務省のやってきたこと、核密約のときもそうでありました。外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、大臣には一部しか伝えていませんでした。しかも、引き継ぎの過程のどこかで文書を勝手に廃棄した可能性も高い。こうしたやり方が今に引き継がれている。そういうことであります。

 やはり、日米安保をめぐる秘密は絶対に隠し続ける。この規則の中で、大臣にさえまともに報告しなくてもいいような、そういう規則になっているということであります。

 規則には……(発言する者あり)委員長、質問しているときには、言いがかりとか、これは理事会で認められた質問ですから、次のことまでちゃんと聞いてから発言するようにしてください。

額賀委員長 質問を続行してください。

赤嶺委員 規則には、特管秘、特別管理秘密文書についても、大臣による指定は、手続がありません。特管秘文書の指定も、大臣ではなく、局長級の秘密管理者が行うことになっているのではありませんか。今度は特管秘の問題です。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 特別管理秘という制度は、そもそも、平成十九年八月九日のカウンターインテリジェンス機能に関する基本方針、これに基づいて設定されたものでございます。

 そこにおきましては、特管秘につきましては、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したものとすると明示されておりまして、これは、外務省の場合、外務大臣でございます。

 外務省の規則は、この申し合わせを踏まえまして、内部における事務の処理のあり方について規定したものでございまして、外務大臣が指定するという大前提は、これは当然、外務省としても大前提としているものでございます。

赤嶺委員 特管秘の指定は、二〇〇七年のカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づいて、各行政機関の長が行うことになっていると。それは、基本文書に書かれているわけですね。

 当然の前提と言いましたが、その行政機関の長のところが抜けているんですね。何で外務省は、基本方針と違う表記にしてあるんですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省の秘密保全に関する規則は、そもそもが外務大臣名の訓令として発出されたものでございます。したがいまして、これは当然のことながら、カウンターインテリジェンスの機能の強化に関する基本方針、政府全体の方針を踏まえて外務大臣が発出されたものでございまして、その内容は、外務省内における事務の分担のあり方等についてのものでございます。

赤嶺委員 今の外務省の仕組みだと、外務大臣の目に秘密が触れることはないわけですね。

 それで、岡田副大臣に最後に聞きますが、特管秘は行政機関の長が指定することになっているのに、外務省は局長級が指定する、こういうものになっています。これは非常におかしいと思いますが、外務省のやり方を認めるんですか。

岡田副大臣 お答えします。

 それは、外務省の方で、そういうルールを決めてやっているというふうに承知しております。

赤嶺委員 非常に恣意的なやり方であります。

 森大臣は、特定秘密の指定に関して、行政機関の長が技術的、専門的見地から責任を持って指定する、このように言ってきましたが、これが全く信用できない、外務省はそのような取り決めになっていないということが明らかになった。恣意的だということを指摘しまして、質問を終わります。

森国務大臣 現行法においては、各省申し合わせということで、基本方針に基づいて各省庁それぞれに基準を定めておりますが、本法案においては、これを法定し、行政機関の長が責任を持って指定をする仕組みにしたところでございます。

赤嶺委員 法定をしたとしても、これだけの秘密は見られないということを言っているわけですから、結局、形式的なものになって、官僚が恣意的に決めていくという結果になることを指摘して、質問を終わります。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーでございます。

 それでは、きょうは、特に、特定秘密の保護に関する法律案について、行政機関の情報共有体制と連携について質問をさせていただきたいと思います。

 本法案第三条では、特定秘密に関して、行政機関の長が指定する要件、これは別表に定める事項、第一号から四号に関する情報ということになっておりまして、その要件で、公になっていないもののうち、漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要であるものを指定すること、及び、第十条では、提供できる対象を厳しく限定しています。

 この特定秘密の保護に関する法律案は、特に情報漏えい、秘密の漏えいに対して厳しくそれを取り締まるといいますか厳罰化して、秘密を漏らさないということに主眼を置いている法案ではないかというのが本員の印象であります。

 他方、これまでに法整備されてきた例えば国民保護法、平成十六年六月十八日施行の、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、通称国民保護法では、まず、全体の中から第八条を紹介したいと思います。

 国民保護法では、「国民に対する情報の提供」という欄があります。第八条、「国及び地方公共団体は、武力攻撃事態等においては、国民の保護のための措置に関し、国民に対し、正確な情報を、適時に、かつ、適切な方法で提供しなければならない。」とあります。第二項では、「国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民の保護のための措置に関する情報については、新聞、放送、インターネットその他の適切な方法により、迅速に国民に提供するよう努めなければならない。」というふうになっております。

 つまり、国民を保護するために、その必要な情報は迅速にしっかりと伝えられなければならないということが明記されているわけでございますね。

 それから、これは平成十五年六月施行の、武力攻撃事態法、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律、こちらでは第五条の条文を例に挙げたいと思います。

 「地方公共団体の責務」、第五条、「地方公共団体は、当該地方公共団体の地域並びに当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することにかんがみ、国及び他の地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する。」とあります。

 そして、第七条では、「国と地方公共団体との役割分担」で、「武力攻撃事態等への対処の性格にかんがみ、国においては武力攻撃事態等への対処に関する主要な役割を担い、地方公共団体においては武力攻撃事態等における当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産の保護に関して、国の方針に基づく措置の実施その他適切な役割を担うことを基本とするものとする。」とあります。

 つまり、地方公共団体は、国と連携をして、住民の生命財産を含めた安全を最優先に守らなければならないということで、責任が明記されております。

 このことは、本特定秘密保護法案の意図することと実は重なっていることであり、地方自治体が担うべき役割の中には、特定秘密法案の別表一から四に掲げている事項とも切り離せないものがある、本員はそのように思っております。そのための連携網の接続や体制がどのようになっているのか、法案の条文からは、地方公共団体など、具体的にその名称が出ておりません。ですから、この本案からは、条文からはうかがい知ることができないわけですね。

 そこで、質問させてください。本法案において、そのような緊急事態への対応に関する情報が共有されるべき体制について、まず政府の見解を伺います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 地方自治体との関係のお尋ねでございますが、まず、本法案は、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、国の行政機関が特定秘密として指定し、その保護に関して必要な事項を定めるものでございますので、地方自治体との関係については特に規定しておりません。

 お尋ねの緊急事態、例えば、国内でテロが発生した際に都道府県知事が行う住民の避難措置のための不可欠な情報のようなものにつきましては、特に秘匿することが必要なものとは言えないため、特定秘密には該当せず、警察等から都道府県知事に当然に提供されるものと考えております。

玉城委員 この法案では、別表の一号から四号は、防衛に関する事項、外交に関する事項、特定有害活動の防止、いわゆるスパイ活動等に関する事項、そしてテロリズムの防止に関する事項、一号から四号まで挙げられております。

 防衛省では、この地方自治体との連携あるいはその対処に係る状況について、どのように考えているでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、その所掌事務を遂行する上で、地方との協力関係の構築が極めて重要となっていることに鑑み、地方公共団体と共有することが必要と判断される情報につきましては、その情報を提供する、あるいは説明を行い、関係する地方公共団体及び地域住民の理解と協力を確保することとしております。

 具体的には、地方公共団体への防衛白書の説明や、地域住民を対象とする防衛問題セミナーを実施するなど、さまざまな機会を捉え、防衛政策について広く国民の理解を深めるよう努めているところでございます。

 さらに、自衛隊等の部隊改編、装備品の配備、訓練の実施、施設の整備等に当たりましては、必要に応じて地元への説明や連絡調整などを実施しているところでございます。

 防衛省としましては、今後とも、地方公共団体等の理解と協力を確保することは極めて重要なことと考えており、各種機会を利用した説明など、さまざまな方法により、引き続き情報提供を実施することを考えているところでございます。

玉城委員 平時におけるさまざまな情報提供に関しては、確かに、そのような、今の答弁の形で相互の連携というものは行われているということは、これは疑う余地はないと思います。

 平成二十五年七月、基地対策に関する要望書が、渉外関係主要都道県知事連絡協議会、通称渉外知事会から出されております。これは要望書ですが、構成は、十四都道県、北海道、青森、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、広島、山口、福岡、長崎及び沖縄県です。

 この渉外知事会の要望書の中に、周辺事態安全確保法、自衛隊法の運用に係る要望の中に、内閣官房、総務省、外務省、防衛省にこのような要望があります。「(1)協力要請の際の適時・的確な情報提供等」「周辺事態安全確保法第九条に基づく協力要請の際には、適時・的確に情報提供するとともに、地方公共団体の意向を十分尊重すること。」というふうにあります。

 それから、「自衛隊法に基づく警護出動にあたっての知事の意見尊重及び情報提供」は、内閣官房と防衛省に出されておりまして、「自衛隊法に基づく警護出動の際の関係都道府県知事への意見聴取にあたっては、当該知事が責任ある意見を表明できるよう十分な情報を提供するとともに、その意見を尊重すること。」ということがあります。

 つまり、市町村長もそうですが、都道府県知事は、特にこの渉外知事会からは、いろいろな情報がふだんからやりとりされていることと、そして、いざ事が起こった場合についてのさまざまな対処の方針については日ごろからシミュレーションをしなければいけないということが、その行政の長の必須といいますか責務になっているというふうに思います。

 続いて、外務省に伺います。

 特に外務省は、沖縄事務所などもありまして、いわゆる米軍側との、さまざまな平時における情報の提供あるいは交流活動などを行っていると思いますが、外務省の方にもお伺いしたいと思います。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 外務省といたしましても、平素から、沖縄県内を初めとする地方公共団体に対しまして、秘密指定のされていない関連情報及び秘密とされている情報のうち地方公共団体に共有することが真に必要と判断される情報につきましては、当該地方公共団体に迅速に共有するように努めてきているところでございます。

 この点につきましては、在日米軍から得ている情報についても同様でございます。

玉城委員 では、法律の解釈の適用について。これは本法案の第十九条から二十二条にかけての条文に係ることですが、平時においては今説明があったとおりだと思います。

 しかし、やはり情報が提供されるかどうかというのは、緊急事態においてさまざまな、この別表についても、テロが起こった場合はどうするのかとか、そのための情報をしっかりと持っておこう、それを漏えいしてはいけないということがあるんですが、緊急事態発生時において、まず地域住民の生命、身体、財産を保護するための対応行動として体系的に可能となるのは、自治体の職員や消防隊員や所轄の警察官などが真っ先に行動することが考えられます。避難のための誘導、交通規制、救急搬送、消火活動などを迅速かつ正確を期して行うためにも、緊急事態における現場への情報の共有網が必要とされることは間違いありません。これは、ふだんの、緊急事態におけるそういう連絡体制において必要であると思います。

 しかし、例えば、事前に情報がもたらされていないテロ行為等によって生じた緊急事態であるとすれば、特定秘密として定められている条項に関連することが考えられ、緊急事態の場合に、報道機関や現地での対応に迫られている現場の職員や隊員が情報のやりとりをすることなども十分に考えられるものというふうに思料します。

 その緊急を要する場合、情報を入手しよう、情報がなければ全く動けないとなった時点で、関係情報機関等から入手した特定秘密にかかわるおそれがあると思われる情報で職員等が緊急に対処する行動を意図的にとった場合、本法案二十二条、二十三条の規定に照らされて、当該職員が処罰されることは想定されるでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 緊急事態において地方公共団体の職員が避難措置等に不可欠な情報を入手しようとする場合、その情報は、特に秘匿することが必要なものとは言えないため、特定秘密に該当せず、警察等から都道府県知事に当然提供されるものと認識しております。

 したがいまして、当該職員につきましては処罰されません。

玉城委員 では、考え方を広げていただきたいと思います。

 特定秘密の取り扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときには、第二十二条で罰則があります。

 例えば、防衛省の職員が、テロの、次に起こり得る可能性があるという事態の情報があり、それがある特定の市町村で行われるということが濃厚になった場合、その職員が市町村の長に対してその情報を漏らした場合には、それは罰則に抵触するということになりますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 避難措置のために必要な、不可欠な情報については、秘匿する必要がございませんので、もし仮に特定秘密に指定されている場合については、解除して提供することになろうかと思います。

玉城委員 ありがとうございます。

 その場合には、やはり都道府県知事あるいは市町村長に対しても明確にその指定を解除して通知をする、情報を提供するということが担保されていますか、本法案の中で。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定秘密の要件を欠いた場合については、直ちに解除しろということは法案に書いてございます。

玉城委員 特定秘密の要件を欠いた場合というのは、いつ、どのように、誰が判断されるのでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 行政機関の長が適切に判断いたします。

玉城委員 行政機関の長が判断をする場合だからこそ、ふだん、こういう法案が出てきたときには、都道府県や市町村がどういう行動を想定して、起こり得る事態に対処できて、どの情報が都道府県や市町村の行政の長にもたらされるかということがはっきりしていないわけですね。

 つまり、あれだけ国民保護法や緊急事態法ではしっかり明記されているんですが、この法律ではその内容が明らかになっていないということが、実は都道府県のさまざまな、緊急事態に対して我々がどのような行動をとり得るのかということの、その基本方針が定められていない。つまり、その中で読み取ることができないというふうになっているわけですね。

 通常の業務の中で、その特定秘密に関する情報を都道府県知事あるいは市町村長に提供することは想定できますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定秘密は国の安全保障に関する事項でございますので、通常は国の行政機関が地方自治体に提供することは想定しておりませんが、仮に、万一そういうような事態が生じた場合については、十条に基づいて提供することになろうかと思います。

玉城委員 国土の〇・六%に七四%の米軍基地が集中している沖縄からすると、ふだんからそういうことが担保されていないと、いざというときに国を守ることができないんですね。自衛隊と米軍が共同で行動しようとするときには、真っ先に住民を守るのは市町村長、県知事の責務なんです。

 それが与えられない、それを考えてから与えますということになると、しかも、特定機密はそういうことには関係ありませんというふうになると、では、基地が所在している理由、あるいはそれが抑止力と言われている理由そのものを根本否定しているという答弁ではないですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 住民の安全にかかわるような避難情報につきましては、特定秘密を解除して提供することになります。

玉城委員 まだまだ審議が足りませんが、時間が来ましたので質問を終わります。ニフェーデービタン。

額賀委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十三分開議

額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、特定秘密の保護に関する法律案及び枝野幸男君外二名提出、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、独立総合研究所代表取締役社長青山繁晴君、特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長三木由希子君、評論家・ジャーナリスト、一般社団法人アジア自由民主連帯協議会副会長西村幸祐君、首都大学東京法科大学院教授前田雅英君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に対しまして、一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 議事の順序について御説明申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと思います。

 なお、念のため申し上げますけれども、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。

 それでは、まず青山参考人にお願いをいたします。

青山参考人 きょうは、お招きいただき、光栄に思い、まず感謝いたしております。

 不肖私は、自由民主党からの推薦できょうここに参ったと承知しておりますが、初めに申し上げておきたいのは、それは関係ないということであります。あくまでも、先ほど額賀委員長がおっしゃったとおり、私どもの本来信ずるところを、支持政党、私はそもそもありませんし、自由に申し上げたいと思います。特にこの特定秘密保護法案については、政府・与党、野党を問わず、きょうは申し上げたいことがありまして、お招きいただいただけではなくて、みずからの意思としても参りました。

 まず、主として政府・与党の側に御意見申し上げたいんですが、今までのこの国会での貴重な審議、あるいはマスメディアに対する発言、全て総合しますと、この特定秘密保護法案並びに国家安全保障会議、NSC設置法案、いずれも、まるでアメリカ合衆国にとってより都合のいい日本になるかのようなイメージを少なくとも国民に与え、私もそれを懸念するということが、まず私が申さねばならないことだと思います。

 そもそも、NSCもこの特定秘密保護法案も、日本の自立のためにつくられるものであって、間違っても、敗戦後六十八年の歩みの延長線で、さらにアメリカにとって都合のいいシステムをつくることになってはならないと考えております。その上で、したがって、冒頭に申しますが、修正論議は国民の一人として歓迎しております。

 さて、なぜ政府・与党の側からアメリカとの関係が強調されることについて懸念を持つかと申しますと、そもそもインテリジェンスというものは、同盟国の間であっても、システムによっては加工されて伝えられるものです。したがって、国家安全保障会議、NSCをつくり、そこで、例えば、アメリカ合衆国の膨大な情報機関が集めたインテリジェンスが日本に来て、それを守るために日本の法制度として秘密保護法がつくられるのであれば、アメリカにとっては、日本の世論に対しても政界に対してもより影響を及ぼすことが可能になりますから、したがって、今まで以上に、現実に情報を加工してくると思われます。

 加工してきたときに、私たちがそれを現在の日本として特に検証することはかなり困難であって、したがって、もう一度申しますが、この特定秘密保護法の冒頭、第一条の目的のところに、あくまでも日本の自立をさらに促進するためであり、そして、この特定秘密保護というシステムは、本来、日本の独自の情報機関、戦争に一度負けたからといって情報機関を持ってはならないということは国際法にむしろ反しますから、本来国家として持つべき情報機関を持つ方向も、できれば第一条の目的のところに明記していただきたい。

 したがって、私が先ほど申しました、修正は歓迎しますというのは、必ずしも野党側からの修正だけではなくて、与党の側からもこの政府案に対して修正をさらに行っていただきたい。この衆議院においてもそうでありますが、国会は両院の府でありますから、できれば参議院においてもさらにそのような審議を、ここは衆議院の場ですから、それを言うのは適切ではないかもしれませんけれども、しかし、二院制である以上は、それも国民の一人として期待いたしたいと思います。

 そして、今申しましたことは、実は、この特定秘密保護法案は、本来はスパイ防止法の性格を持つべきものだと考えております。かつて、自由民主党におかれては、一九八五年に、スパイ防止法の精神を明記した法案が国会に提出されましたけれども、自由民主党内部からの反対もあって廃案になりました。

 それは国会の意思ですから、あくまで国民としてそれも尊重いたしますが、そのときの経緯を改めて振り返れば、その後、一九八五年から今に至る長い間、ずっと日本は、依然として外国人のスパイにとっては天国ともいうべき状況が続いてきたということを、改めて国会の、国民の選良の方々におかれては、謙虚に受けとめていただきたいと思います。

 したがって、今回の法案の最後、第二十六条に、外国人によるスパイ活動に関連すると思われる取り決めがわずかに盛り込まれています。それは、刑法第二条とも関連して、国民の一番大切な安全を損なう犯罪であれば、国の内外を問わず、責任を問い、罰するということが刑法第二条に盛り込まれていまして、それがこの特定秘密保護法の二十六条に反映されていますが、それでは不十分だと考えます。外国人のスパイが今後活動しにくくなるということを改めてこの法案に盛り込んでいただきたいと考えています。

 それから、野党に限りませんけれども、廃案の考え方について、私の個人的な意見を述べたいと思います。

 一旦この法案を廃案にすべきだという声は、特に、私は共同通信の出身ですけれども、マスメディアにも満ちあふれております。それは、言い方をかえれば、すなわち、日本の現状でよいということにつながります。

 しかし、敗戦後の日本の現状というのは、本当に平和国家であったでしょうか。

 例えば、具体的に拉致事件を考えていただきますと、北朝鮮の工作員が日本の原発でテロを準備するために情報を集めた、その帰途、たまたま出会ってしまった日本国民を誘拐、拉致した例もあると思われますが、同時に、その日本国民の技術、技能、そして人柄のよさ、あるいは、女性であれば、未婚の女性であって子供を産むことができるということもスパイ活動によって調べ上げた上で誘拐したケースも、実は、私なりに捜査の手順を追いますと、現実にあります。

 例えば、拉致被害者の家族が私に直接証言なさった内容によれば、これは日本海に面した町でありますけれども、今でもスーパーマーケットに行くと、うちの娘が手に職、技術があって、人柄もよくて、まだ未婚で、そして健康であるということを調べ上げて北朝鮮側に教えたと思われる人物とスーパーマーケットで毎日のように顔を合わせる、しかし、スパイ防止法がないために、個人的な恨みを果たすことは日本国民としてしないので、毎日血が出る思いで、この方は御主人でいらっしゃいますが、家内とともに買い物をしていますという証言もあるわけです。本当は参考人としてそういう方にもこの場に来ていただきたいというのが、実は私の本心でもあります。

 それを考えますと、拉致事件が起きた原因は幾つもありますけれども、そのうちの一つが、そういったいわゆる外国人による、あるいは外国人と連携をした日本人によるスパイ活動を残念ながら防止できなかった、それが長年の捜査によってある程度輪郭がはっきりしてきても、なお罪を問うことができない。ということは、これは過去の問題に限らず、朝鮮半島の情勢によっては、また新たな拉致事件を生むおそれも実はあるわけです。決して過去の問題ではありません。

 そして、もしも、今までの日本のあり方で、それが平和国家であって、よかったのであって、それを変えるならば特定秘密保護法に反対する、あるいは廃案にするとおっしゃる意見であれば、それは、その方とその家族がたまさか誘拐、拉致されなかっただけであって、平和国家と申しながら、日本の一番大切なポイントは、私たちこそ日本の主人公であって、私たちこそ最終責任者であって、恐れながら、国会の皆様も私たちの代理人にすぎません。

 その一番大事な主権者を実は区別して、北朝鮮に誘拐されたままの横田めぐみちゃんであれ、有本恵子ちゃんであれ、場合によっては百人を超えるおそれすらある拉致被害者の方々はそのまま放置して、敗戦後の日本の歩みは平和国家であったと言うならば、では、その方々は日本国民ではないんでしょうか。そのことをできれば謙虚に問うていただいて、それだからこそ、修正論議というのを活発にやっていただきたいと思います。

 そして、修正論議、今現在進行中のことでありますが、少しだけ具体的な意見を述べますと、まず、内閣総理大臣やあるいは閣僚たちだけで秘密の指定をし、その精査がなされないというのは、もちろんこれは問題であると考えます。必ず修正されなければいけないと思います。

 その上で、第三者機関そのものは、実は、既にこの法案の中に有識者の意見を聞くということも盛り込まれていますから、第三者機関は当然設置されるんだろう、これは個人的推測ですけれども、そのように考えております。

 問題は、その第三者機関の任務です。この特定秘密保護法あるいは法案に基づくシステムが動き出したならば、場合によっては、その指定された秘密は何十万件に達することもありますでしょう。それを有識者を中心とした第三者機関で、その指定が適切なのか、あるいは、例えば仮に三十年を経たときに、公開する、しないを一つ一つについて精査することは実際にはできません。したがって、修正は、必ず現実的な国民の知る権利や取材、報道の自由を担保する修正であってほしいと願います。

 その上で、三十年かどうかは別にして、一定の期間が過ぎれば公開すべきというのは、そのとおりだと思います。諸外国、特に民主主義諸国の秘密保護のあり方もそれが原則ですから。

 その上で、それを考えるときに、実は第三者機関の設置とともに大切なのは、あらかじめ例外規定を設けることです。

 例えば、先ほどの拉致事件の解明に関連して申しますと、今から十一年前の日朝首脳会談があって、時の小泉総理が金正日総書記に拉致事件の実行を認めさせたそのときに、これは私の個人的な見解にすぎませんけれども、例えば朝鮮総連の内部でもその事実にショックを受けた方々がいらっしゃって、そこからこの十一年の間、拉致事件は解決はしていませんけれども、有益な情報も随分寄せられたと私は理解しております。

 そういう情報提供者、その人が亡くなった後にも、その親族や子孫のことを考えると、特に北朝鮮の体制がいつ変わるかわからない状況にあっては、例えばそういう情報提供者の氏名というのは、これは有識者の判断とか第三者機関の判断を問わず、必ず守られるべきものである。

 したがって、例えば情報提供者の名前であったり、あるいは防衛省・自衛隊で使われている暗号であったり、あるいは外交の現場でも実は暗号は使われておりますが、そのことについてはずっと秘とする。なぜかといえば、暗号を公開すれば、暗号のつくり方自体が実は国際社会に知れ渡ることになりますから、あらかじめ、国会の審議において、できれば与野党合意していただいて、例外規定をきちんとつくって、そして、その上で一定の役割を第三者機関が果たすようにしていただきたいというのが私の願いであります。

 そして、この委員会においては、枝野幸男先生方から提案されているところの情報公開法の改正案も審議されておりますから、それについて一言申しますと、情報公開法、現在の法律を新しいシステムがつくられるのに合わせて改正すること自体は賛成です。

 ただし、いわば司法に委ねて、インカメラ審理と普通は呼んでいますけれども、その秘密の中身にまで裁判官が踏み込んでその指定の適否を判断することになっています。日本は国際社会の中でも最も司法が独立した国です。その意味では、独立した判断を裁判所が下すことは期待できますけれども、しかし、裁判官はみずからの良心にのみ従って判断を下すだけに、その裁判官の判断を絶対視するというのは、僕は反対であります。したがって、情報公開法の改正についても、与野党の垣根を越えて、もう一度審議をしていただきたいと思います。

 あと一分ですけれども、最後に、私自身は、共同通信の出身で、記者を二十年務めました。政治部十年です。この国会に十年通いました。そして、今回の法案の原案を最初に見たときに、当然、取材の自由、それは記者が自由に動けるということではなくて、国民がメディアを通じて本当の情報を知ることができる法案なのかどうかというのが最大関心事の一つでありました。

 しかし、私の拙い経験に基づいて言えば、例えばどこかに不法に侵入したり、あるいは、まさか暴力を使ったり、おどしたり、だましたり、そのようにして情報をとったことはただの一度もありません。そしてさらに、国家公務員に対しても数知れず取材を行いましたが、そのときの罰則は例えば懲役一年であって、今回の法案は十年になる。前は取材ができて、今回は取材ができない、そんなことは記者の現場を知らない方のおっしゃることではないかと思います。

 すなわち、日本の公務員は、普通は定年になるまで勤め上げるためにむしろ公務員という職を選ばれている人も多い。たとえ懲役が一年であっても、職を失い、地域から断罪され、家族までおとしめられるというのが現状ですから、実は従前から国家公務員の方々は、非常に苦しみながら、国民に真実を知らせるために、記者とそれなりの信頼関係を築いてきたと思います。

 したがって、この法案においても、取材活動が不正なものに限られることがもう一度さらに強調されれば、私の後輩の諸君を含めて、記者が取材の自由を失うことはないと確信しております。

 以上でございます。

 委員長、ありがとうございました。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 次に、三木参考人にお願いをいたします。

三木参考人 情報公開クリアリングハウスの三木と申します。

 きょうは、このような機会を与えていただいて大変光栄でございます。と同時に、ここに私が呼ばれたということは、大変複雑な気持ちでもございます。

 私どもは、三十年以上にわたりまして、公的機関の情報公開を進めるという活動をしてまいりました。その立場から、本日は、特定秘密保護法案について意見を述べさせていただきたいと思います。

 お手元に資料を用意させていただきました。パワーポイントの資料ですね。少し部数が多くございますけれども、ぜひ御参照いただければと思います。

 まず初めに申し上げておきたいことは、私自身はこの法案には反対であるということでございます。

 私自身は、この法案を見てまず最初に考えたことは、特定秘密の保護という懲罰的な要素を強くした側面に関しては政府権限を最大化している、一方で、特定秘密の管理という政府の説明責任を問う部分については最小限にしか規定がされていないということについて、非常に危機感を持ちました。

 私自身は、政府が持っている情報について非公開や秘密を認めないという立場ではございません。一定範囲については非公開、秘密はあるというふうに考えております。

 問題は、秘密をそのままにしておけば、それは、政府は永遠に説明責任を果たさないということになるということであります。それは健全な政府とはとても言えないというのが私自身の理解であります。なので、秘密や非公開を持つのであれば、政府の説明責任の徹底がまず必要であるということを強く考えております。

 しかし、この法案は、その政府の義務は最小限にしか規定をされていない。そのことをもってしても、この法案については賛成ができないということであります。

 なぜ強くそれを申し上げるかと申しますと、私自身、過去、二年間くらいにわたりまして、防衛秘密がどういう実態なのかということを情報公開制度などを使いながら調べてまいりました。その中でわかったことは、防衛秘密に関しては公文書管理法の適用外になっていたということと、それから、防衛秘密の指定、解除、廃棄の実態についてはまとまった資料がどこにもなかったということでありました。

 八月の終わりに、どうも公文書管理法の適用ではなさそうだということに気づいて以来、ずっとこの法案がどういうことを想定して立案してきたのかということを改めて振り返ってみました。そうしましたところ、どこにも防衛秘密の課題を認識してこの法案を立案したという形跡がございませんでした。防衛秘密に関して私たちや報道機関が調べなかった限りは、この法案においても、防衛秘密と同じように公文書管理法は適用外とされ、秘密の指定の実態も公表されることなく、この法案自体が通っていたということを非常に危機感を持って受けとめました。

 そういうことを考えますと、この法案自体は、政府の説明責任ということをもともとの立案段階から埋め込まずに今に至っているということを言わざるを得ません。そのこと自体をもっても、やはりこの法案については賛成はとてもできないというわけであります。

 それともう一つ、防衛秘密の問題を調べていくうちに気づいたことがございます。それは、記録の管理とアクセス管理を完全に混同して議論されているということであります。

 秘密であればこそ、記録を作成して、管理して、そして時間をかけてでも公開をしていくというルールの徹底が必要だというふうに考えています。これは記録管理の徹底という観点だと思っています。記録管理が徹底されないと、政府は説明責任から逃れるということに結果的になるということであります。

 法案が規定をしていることは、記録の管理ではなく、記録にアクセスする人を管理するという意味でのアクセス管理であります。アクセス管理は、物理的にどのように扱うかということを考えてつくられているものでございますので、これは記録の管理という視点は完全に欠如しているというふうに思います。防衛秘密の管理の実態を見ましても、これは記録の管理ではなく、アクセス管理を重点に制度がつくられているということがよく理解できました。

 そういうことを考えますと、やはりここでやらなければいけないのは、記録の管理を徹底し、その上で、アクセス管理をどうするかということをまず検討していただくということが本来の順序ではないかというふうに考えております。

 それと、この間、審議等を拝見していまして、ずっともどかしく思っているところがございます。それは、議論、論点の混乱があるということであります。

 先ほど申し上げましたとおり、記録管理とアクセス管理は完全に混同されているというふうに考えています。

 それから、秘密の保護と秘密の管理というのは、これは本来バランスをとって行うべきものですけれども、そのバランスが認識をされていないというふうにも考えています。

 それからもう一点、法案では、今回、特定秘密というカテゴリーをつくるということになっておりますけれども、これ以外に省秘と呼ばれるものとか特別管理秘密と呼ばれるものがございます。それらとの関係は、何ら整理も検討もされずにここまで来ているというふうに考えています。

 一枚めくっていただきますと、特定秘密保護法案の範囲というのを、非常に大ざっぱな図でございますけれども、私なりに書かせていただきました。

 要件等を加味しますと、特定秘密や防衛秘密、特別防衛秘密というものを超える範囲で特別管理秘密の要件が記載されている。さらにその外側に省秘があり、さらにその外側に情報公開法による非公開という範囲もあるというふうに考えております。

 もう一枚めくっていただきますと、秘密指定の範囲をざっと整理したものがございます。これは、必要があってアメリカの大統領令が入っておりますけれども、日本の秘密の範囲について整理をしてみました。

 これを見ますと、私なりに理解をしたところは、特定秘密というものができましても、省秘と呼ばれるカテゴリーはこの法律の中に全て包括はされないということになります。そうしますと、秘密の範囲は、特定秘密というものがありながら、一方で、既存の内規や申し合わせで行われていた部分についてどうするのかということは、この間全く議論をされていないというふうに考えています。したがいまして、この法案ができましても、従来からの内規なども含めると、ダブルスタンダード、トリプルスタンダードということが起こり得るのではないかというふうに思っています。

 要は、秘密指定の範囲としてどういうスコープで議論しているのかということも明らかではない。その中で、記録の管理ですとか秘密の管理という観点が完全に欠落をしているということに対して、非常に危機感を私自身は持っております。

 さらに加えまして、議論、論点の混乱としては、秘密指定の解除と、解除された秘密の公開というものがどういう関係なのかということも一切検討がされていないということであります。

 情報公開法による非公開規定というものは、秘密の範囲よりもかなり広いものでございます。秘密の解除の要件は、秘密としての要件を満たさなくなったという条件でございます。したがいまして、素直に読みますと、秘密の解除イコール非公開の範囲ではなくなったというふうには読めないわけでございます。そこも、この間の審議の中では明らかではないということは指摘せざるを得ないということであります。

 それから、この特定秘密保護法案に関しましては、情報漏えいを取り締まるための法律というのが基本的な枠組みだというふうに認識をしております。その認識がかなり欠如したままこの間審議をされているのではないかということを強く懸念として持たざるを得ないということであります。

 私なりにこの法案を見ますと、秘密指定に関する権限に関しては、行政機関の長が独占をするという構造になっていると理解をしております。秘密指定に関しても、それから秘密の期間の設定、更新に関しても、それから秘密指定の解除に関しても、全て行政機関の長がその権限を独占するという構造になっています。

 それから、記録管理のルールについてどうなるのかということについても、この法案は明確に書いておりません。恐らく、各施行令から訓令というレベルで行政機関の長が定めるということになりますと、これも行政機関の長による独占ということになります。行政機関の長による権限の独占ということをどうやってコントロールしていくのかということに対する視点がこの法案には欠如していると言わざるを得ないというふうに考えております。

 そこで、私の配付した資料には、視点一ということで、十枚目に少し整理をさせていただきましたけれども、秘密指定の問題に関しては、私自身は秘密の保護という観点ではこの法案には反対ですが、秘密の指定を適切に管理するということについては、現状は管理がない状態ですので、ある程度政策的な対応をしていただく必要があるというふうに思っています。

 そういう視点から、秘密指定に関する権限をどうやってコントロールするのかということをぜひ真摯に御議論いただきたいというふうに考えています。秘密指定制度全体を監察するような機関をつくるということですとか、秘密指定の不適切な範囲拡大を抑制する効果的な制度設計というものもぜひ検討していただく必要があるだろう。その中には、指定禁止事項のようなネガティブリストもやはり必要ではないかというふうに考えています。

 過剰な特定秘密の指定が始まったときには、私は、単に秘密が広がる以上の深刻な問題があるというふうに考えています。それは、特定秘密は、情報漏えい等が発生した場合に取り締まりを行うという範囲であります。過剰な秘密の指定は、取り締まる範囲を拡大するということにもなるわけであります。

 過剰な秘密指定というのは、これは結果的に起こっているというふうに考えています。

 一枚おめくりいただいて、十二枚目をごらんいただきますと、これは、平成十六年に沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した際に、その経緯について外務省に情報公開請求をしたときに出てきた文書でございます。

 これを見ていただくと、いずれの文書についても、右上に「秘密指定解除」というふうに書いてございます。一件は「秘」、もう一件は「極秘」でございます。「極秘」の方は「無期限」というふうになってございます。

 これは、実際に文書がつくられた平成十六年のこの時点から数カ月後の情報公開請求です。これは、外務省の省秘による秘密指定制度でございますけれども、この時点で「極秘 無期限」というものがつけられていた、情報公開請求をしたらその秘密指定が解除された。これは、明らかに過剰な秘密指定がされているということであるというふうに考えています。

 情報公開請求をすればこのような形で出てくる場合もございますけれども、内部統制的に考えますと、この範囲については処罰の対象になる、取り締まりの対象になるというサインを各職員に対して出しているということでもあるということでありまして、私自身は、過剰な秘密指定は情報の内部統制を不健全に強化することにつながるのではないかということでありまして、政府の説明責任ではなく、秘密の抱え込み構造を強化するだけではないかということを非常に強く懸念をしております。

 それから、視点二としまして出させていただきましたのが、秘密指定情報の記録としての管理の問題であります。

 現在、防衛秘密が公文書管理法の適用外になっているということもございます。それから、特定秘密に関しても、この間の政府の説明によりますと、文書の廃棄のルールについては公文書管理法を適用する、ただし、管理のルールについては適用するとは明言をされておりません。

 管理のルールが適用されていないということは、文書の作成義務から行政文書としての体系的な管理のルールが適用されていないということであります。ここが、情報管理と記録管理が混同されていて、整理をされずに議論されているという問題であるというふうに思います。

 秘密であっても、政府職員は記録を作成するという義務は当然ございます。そうした法制度の適用を除外しておくということは、これは、単に除外ではなく、記録がつくられないことによる不利益というものも生むのではないかというふうに考えております。

 それから、視点三として出させていただきましたのが、秘密指定解除の権限の明確化であります。

 現在、解除の判断の引き金になることとしては、秘密指定有効期間の更新時、それから三十年超になった場合の内閣の了解というものと、情報公開請求が行われたときの三分類しかないかというふうに思います。この状態は、行政機関の長が権限を独占するということから、複線化ということをやはり考えていただく必要があるかというふうに考えています。

 それから、秘密指定の解除と情報公開の明確化は、これはぜひ国会の中で責任を持ってやっていただきたい。

 秘密指定解除イコール情報公開とは読めない法案になっております。ここをはっきりと、秘密指定解除イコール情報公開ということなのであれば、公開というふうにわかるようにしていただきたいということであります。

 それから、罰則も大きな禍根を残すというふうに考えています。

 そもそも、特定秘密が過剰に指定をされる可能性は当然あるわけでございます。その特定秘密に関して罰則を科すという形になっているという意味では、懲罰の範囲は曖昧であるということを言わざるを得ないというふうに考えています。

 そうしますと、特定秘密に指定をしてはいけないものも、禁止する規定がないということでございますので、やはり不適切な秘密指定、それから、適切ではない事柄が秘密に指定された場合に、情報を外に出すという機能が非常に制限をされるというふうに考えています。ジャーナリズムへの脅威であるというふうに私自身は言わざるを得ないところであります。

 そういうことを考えまして、公益通報者保護法というものが説明をされますけれども、公益通報者保護法は非常に保護の対象が限定的でございます。資料のところに並べさせていただきましたので、ぜひこれを見た上で、公益通報者保護法が本当に機能するのかということを考えていただきたいというふうに考えております。

 私自身は、秘密の管理と公開についての法制化をまずしていただくというのが先であって、秘密を懲罰をもって保護するということは、それがきちっとできてからのことではないかということであります。

 この間、アメリカの国立公文書館から日本の外交や安全保障に関する情報が大分公開をされまして、それをもとに、日本の外交、安全保障に関していろいろな検証が進んでおります。私は、あれを見ていまして、非常にもどかしく思っております。

 というのは、日本側の記録はなく、関係者からの証言をもとに、アメリカの資料に頼って検証が行われているということであります。歴史は、日米の問題であれば、日本とアメリカ、双方の記録をもとに検証されるべきものであります。アメリカの記録にのみ依存しているということは、これは大局的には日本の不利益につながる話であるというふうに考えております。

 そういうことを考えましても、やはりこの法案は一旦廃案にしていただいて、仕切り直しをしていただきたいということであります。

 このことについては、廃案は無理だという言い方をされる方もいらっしゃいますが、やはり政府の責任は一体何なのかということを国民との関係で考えていただいた上で、ぜひ賢明なる御判断をいただければというふうに考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 次に、西村参考人にお願いします。

西村参考人 西村幸祐と申します。

 きょうは、このような場にお招きいただき、大変ありがとうございます。

 私なりに、この特定秘密保護法案について所感を述べさせていただきたいと思います。

 きょう述べるつもりであるものは、お手元の紙には書いてございますが、まず最初に、特定秘密保護法案、要するに国家機密ということだと思いますが、それを保護する法案が日本にないということ自体が異常な事態である、それがまず一番この法案で感じることなんですね。

 それで、我が国は、昭和二十七年、一九五二年四月二十八日に独立をした、主権を回復した、つまり、敗戦後の六年八カ月の占領期が終わって、独立国家、主権を回復したということになっていますが、本当にそうだったんですか。この六十一年間の政治に携わってこられた方々に、私は強くそのことを申し上げたいですね。本当に主権国家だったのか。自分たちの国の国家機密も管理できる、保護しようという法律すらなければ、主権国家とは言えないではないですか。そんな当たり前のことがなぜ最初にこの法案を論議するときに問題にならないのかということは、まず大きな疑問として感じました。

 翻ってみれば、先ほど青山参考人からもお話があったように、実は、昭和六十年、一九八五年に、スパイ防止法というものが一度成立させるべく上程されましたが、廃案になっております。もし、あの時点でスパイ防止法ができていたら、ひょっとしたら拉致事件の進行はかなり防ぐことができていたのではないか、そういう類推も可能になるわけです。つまり、この二十五年間以上、そのままの状態でずっと来ているのが我が日本という国であるわけです。

 実は、冷戦崩壊後、ソ連が崩壊した後にKGBの秘密文書が流れました。そして、KGBの職員であったミトロヒンの文書が一冊の本となってイギリスでは出版されておりますが、驚くべきことに、その本の中を見れば、昭和三十年代からの日本の与党、野党を問わず、政治家の実名が列記されていて、つまり、それはKGBのエージェントとして働いていたということですね。それと同時に、各メディアの中には、多くのメディアですよ、コードネームで呼ばれる人物が存在していたんですね。これはもう歴然たる事実なわけです。そして、その状況は今も続いているということなんです。

 だから、どこかで歯どめをかけなければ日本はますます独立国家としての歩みを確保することができなくなってくる、そういう瀬戸際のぎりぎりの状況にあるということを最近は多くの国民も肌で感じてきています。それは、この十年間の政治の流れ、日本を取り巻く外交の変化、そして北東アジアの情勢、そういったものを見れば国民はわかるわけですね。

 まさに今申し上げた北東アジアの例ということで申し上げますと、具体的に言うと、今から九年前、上海の日本領事館で一人の職員が首をつって亡くなりました。その方は当時四十六歳、もし御存命なら五十五歳です。その自殺した方の遺書を発見した読売新聞はこう伝えていますね。

  自殺した館員は、総領事館と外務省本省との間でやり取りされる機密性の高い文書の通信を担当する「電信官」。遺書は総領事と家族、同僚にあてた計五通があり、パソコンで作成されていた。総領事あての遺書は計五枚の長文で、中国側の接近から自殺を決意するまでの経緯が個条書きで記され、最後に「二〇〇四年五月五日」の日付と名前が自筆で書き込まれている。

  それによると、情報当局は、まず〇三年六月、館員と交際していたカラオケ店の女性を売春容疑で拘束。処罰をせずに釈放し、館員への連絡役に仕立てた。

というように、要するに、完全に、よく言われるハニートラップの工作が上海領事館の職員に対して、しかも機密文書を扱う電信官に対して、明らかに組織的そして計画的に、中国共産党によって日本に対する対日工作の一環として行われているわけですね。しかし、これは氷山の一角にすぎないではないですか。

 なぜこういう悲劇を生んだのか。この職員は遺書に残した言葉で、「日本を売らない限り私は出国できそうにありませんので、この道を選びました。」という言葉を残してこの領事館員は自殺されているわけです。しかし、この領事館員とは別に、日本を平気で売っている政治家あるいは企業の経営者たち、そういう人たちは一体何人いたのか。そういう人たちのオンパレードが今のこの日本の状況をつくっているのではないでしょうか。

 そういう意味でいえば、この特定秘密保護法案は、こういった善良な、国のために働いている一公務員を守る機能も果たさなければいけないわけですね。

 特定秘密を保護するという、その保護ということは、相手国つまり日本以外の外国、あるいは敵国、戦後六十八年間、日本では敵国という概念はなくなって、敵国という言葉を恐らく使いませんね、外国、敵国の特定秘密をとる能力もなければ実は保護する能力もできないんですね。

 これは、最近盛んに言われております、今防衛省でも進められておりますサイバー攻撃に対する防衛の体制が整えられています。しかし、何人かの方を取材して私もはっきりわかっているんですが、サイバー攻撃に対して防衛の能力を高めるためには、実はサイバー攻撃で相手を攻撃する能力がなければちゃんとした防御もできないんですね。

 こういった二律背反性といいますか、そういったものを全て備えた上で今回の法案を、修正審議を進めるのであれば、そういった部分をもっともっと見詰めていただきたいというのが私の願いであります。

 日本国憲法の前文には、平和を愛する諸国民の信義と公正に云々ということで、みずからの生存を諸国民の信義と公正に任せる、つまり、自分たちのアイデンティティーを諸国民に任せるというのが日本国憲法の前文に書かれているわけですが、しかし、世界は腹黒いというその前提を何で日本人は忘れているのか。それがなければ、これからますます厳しくなるこの国際情勢の中で、本当に日本国民を政治家の方々は守っていけるのか、日本国が日本国民を守っていけるのかということを考えていただきたいと思います。

 もう一つ、これは盛んに出ている言説ですが、この法律によって国民の知る権利が侵害される、そういう報道が非常に多い。しかし、知る権利を侵害しているのは、実は、そういうことを言っているメディアにあるのではないか、そういう一面もあるわけですね。

 事実、例えば、三年前に、海上保安官の人が自分の職を賭して、そして、海上保安庁が特別に機密指定をかけたものでもない尖閣ビデオを時の政権が公開しなかったときに、なぜ海上保安官がビデオを公開したのか。ユーチューブになぜ投稿したのか。そして、彼はそれをなぜメディアに持っていかなかったのか。その後で、当時、海上保安官だった一色さんは、メディアの信頼性が疑われたからだということをはっきり言っているわけです。ですから、彼はユーチューブに尖閣ビデオを投稿したわけです。

 それと、これも一つの事例として、今回の問題を考えるときに私すぐ思い出した出来事があったのは、昨年の十一月に、経済学者の飯田さんという方が、インターネットのニコニコテレビの生放送とBSフジテレビの番組がジョイントした、コラボレーションになっている、そういった情報番組に出演したときに、民放のテレビに出演したときに、経済政策について選挙の争点になっていて、昨年の総選挙のことですね、ハイパーインフレになる、そして財政破綻するんだということを言ってくれ、そういうように各テレビ局から要請される、強い縛りがある、だから、なかなか自分の思ったことが言えないんだということを、そのBSフジとニコニコ生テレビのコラボレーションの特別番組のときにふと漏らした。そういう一例もありました。

 ということは、やはり、メディアの中で恣意的に情報を操作して国民に流していこうという力が働いたときに、国民は明らかに知る権利をそこで奪われるわけですね。

 例えば、ことし、これもつい最近ですけれども、靖国神社に放火しようとした韓国人のテロリストがいました。しかし、その報道は、何とNHKでは全国ニュースでは流さず、ローカルでしか流さなかった。なぜそういうようなことが行われるのか。それも、翻って言えば、国民にとって知る権利がやはり阻害されているということが言えるんじゃないでしょうか。

 そういったことも含めて、今回の法案を十分に考えて、修正協議に入るのであれば、その辺を議論していただきたいと思います。

 とにかく、これは日本人と日本国のための法律であるというその原則を忘れてはならないと思います。

 最後に、ちょっとつけ加えたいんですけれども、実は、特定秘密は、情報機関がやはりきちんと機能しなければそもそもあり得ないものですから、日本はここで、国家安全保障会議がどういう形になるかまだわかりませんけれども、ちゃんときちんとした情報機関を整備する。そして、その情報機関が防諜も行えば諜報も行う。先ほど申したように、特定秘密を保護するためには、特定秘密を奪取する力もなければ保護もできないというその原則を考えていただきたいということ。

 それと、外務省が主に行っておりますパブリックディプロマシー、つまり広報外交の分野が著しく日本は今劣っております。その辺も、どういう形で日本が情報を発信していくのか。これは、特定秘密を保護するということから始まって、そういったパブリックディプロマシーにもつながるような、日本の広報しなければいけない情報をどのように広報していくのかという国家戦略に基づいた、そういった機関をちゃんとつくっていただければと。それが私の一有権者としての切なる願いでございます。

 きょうは本当にありがとうございました。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 次に、前田参考人にお願いいたします。

前田参考人 私は、法科大学院で刑事法を研究それから講義をしている者ですけれども、刑事法の専門家という観点、専門家と自分で言うのはちょっと面映ゆいんですが、今回の特定秘密保護法案についての所感を申し述べさせていただきたいと思います。

 私、内閣の情報セキュリティ政策会議の委員を長くやらせていただいて、民主党のときにもやらせていただいて、いろいろな意味で議論は熟してきていると思うんです。秘密保護法案も、一部の意見では拙速だとかとおっしゃるんですが、八月ぐらいから議論を伺っていまして、公明党それから自民党の調整、それは初めから一枚岩ではなかったんですよね。それから、ここ一連の、みんなの党とか、そのほかいろいろ議論が進んでいますが、最新のことは僕らは伺っていませんけれども、その間の真摯な御議論に敬意を表したいと思うんですね。決して、上滑りでばっといっているという感じは、我々専門の側から見ていると、いたしません。かけている時間、エネルギーはかなりあるというふうに評価いたしております。

 それに比べまして、日本の秘密保護法制、刑事法というのは、非常におくれてきたといいますか、エアポケットに入っていたみたいな感じがあるんですね。そこに、皆様のお手元に配らせていただきましたけれども、現行の刑法というのは明治時代につくられたもので、百三十三条と四条にしか秘密保護の規定はないんですね。秘密漏せつ、漏えい、それから信書開披。非常に刑が軽い、一年以下。しかも非常に限られた。御承知のように、それ以外は、徐々にですけれども、地方公務員、国家公務員に関して秘密保護の形を刑罰法規をもってカバーしてきたんですが、やはり一年以下。

 ただ、それで済んできたのはなぜかというと、第二次世界大戦前のこと、それから戦後の日本の憲法の意識という中で、国はやはり国民に対して一歩引いてといいますか、国家が前に出ていろいろ行政を行い過ぎるのは危険だという意識が強かったし、それは正しかったんだと思うんですが、それが徐々に変わってきた。

 これはいろいろなことで変わってきて、先ほどから御指摘があったような拉致の問題なんかももちろん大きいと思うんですけれども、自衛隊の評価の定着とか、いろいろな問題の中で徐々に変わってきた。

 ただ、最近、今回の法案の背景として、議員の皆様方の言葉からは余り出ないんですけれども、サイバーの世界の急展開、これは非常に大きな問題だと思いますね。最近のサイバー攻撃、これはやはり国民の生活基盤を脅かす。

 その中で、外国との情報共有の重要性というのは非常に高まっている。もちろん、全部外国に出すとか、外国の言うことを全部信じていいというようなことではなくて、どなたかおっしゃいましたように、外国はある意味で腹黒いと思わなければいけないんですが、だけれども、情報共有を前提に政策を立てていかなきゃいけない。

 その中で、この間、これは日弁連の側で随分強調されたので話題になっていますが、ツワネ原則というのが出て、これは秘密保護の関係で厳しい条件があって、今の法案審議は拙速だということに使っていらっしゃるんですが、逆ですね。

 ツワネ原則の中で、ある意味で一番大事な、我々が着目すべきなのは、そこに書きましたように、防衛計画とか、兵器の開発とか、諜報機関とかそのニュース、これを国が制限するのは当然だ、合法的に制限していい。あそこで言っているのは、差別的な言い方になるとまずいんですが、国によっては、大量虐殺をして国家が握り潰す、そういうことをしちゃいけないということに主眼のある議論ですね。逆に、欧米の先進諸国の中で、先ほどもありましたけれども、防衛とかテロ対策とか、法規制のない国というのはないんですね。

 その中で、ですから、今回の法案というのは、私は基本的には問題のないもの。ただし、法律の観点からいって、今修正されているようなことをぎりぎりまで詰めていただいて、やはり穴のないようには進めていただきたいと考えております。

 第二点として、特定秘密保護の必要性、もう既にそちらに入って御説明申し上げたわけですけれども、秘密の保護というか、いろいろな刑事の法益の保護というときには、重大なものであればあるほど、やはり、より厳しく罰するだけじゃなくて、軽微な侵害の方法でも処罰する、逆に、軽い法益であれば、重大な侵害でなければ処罰しないというバランス論というのは常にあると思うんですね。

 秘密の保護で、今までの秘密というのは、後で申し上げますように、構成要件が不明確じゃないかみたいな議論はあるんですが、今は機能している、これからもまだもちろん特定秘密の外側はこれが生きていくわけですけれども、要するに、非公知の事実で実質的にも秘密として保護に値するものは全部秘密だというのが最高裁の解釈ですね。職務上知り得た秘密という以上の枠はないわけです。それを、ただ解釈で一定の範囲、そんなに不当にならない範囲でやってきた。

 今度の特定秘密というのは、その中の一部を繰り出して非常に明確にしたと思いますね。ただし、十年という非常に重いものにした。重いものにするかわりに非常に明快な枠をはめた。もちろん、明快な枠というところで、後でまた議論に戻りますけれども、別表みたいなものを定めているわけですが、その他がついているから不明確だというような議論がありますけれども、今までの刑事法制の中で、これが不明確なら、不明確なものだらけになってきますよ。構成要件解釈というのはそういうものです。

 もちろん、それがなぜ増幅されるかというと、表現の自由ということを強調されるマスコミの、取材する側は非常にやはりナーバスになられて、ひょっとしてこれをやったらまずいんじゃないかということで、ともかく明確に出してほしいというのはよくわかるんですが、この問題だけ構成要件が特別に明確でなきゃいけないという要請は余り説得力がないと思いますね。

 その意味で、保護の必要性、それから秘密保護の要件の明確性ということを考えますと、私は、基本的には、今の段階で特定秘密保護法案を通すということは合理性があると考えております。

 具体的に、二ページのところで論点、これは今まで出されたものについてさらっと並べてあるんですけれども、今申し上げたように、構成要件が不明確ではないか、罪刑法定主義、明確性の理論からいって問題ではないか。これは、もう先生方は常に経験されておられると思いますが、刑事立法をするときには必ず出てまいります。

 どこまでが明確なのか。あと、その他というのがついていたら、これは結局尻抜けで、要件を解釈するといっても全部その他に入るよと。ただ、法律家から見たらそれはあり得ないことで、その他というのはその前に書いてあることと同視できるという縛りがかかるわけですね。

 もちろん、別表の四つのさらに外側のその他というのをどうするか、議論はあって、そこはなかなか鋭い御指摘だと思いますし、詰めていただいて、ただ、やはりそれも、先ほど申し上げたように、国際社会から見たら、この中で特定秘密にされたような類いのものを保護しないということは異例なことだということを前提にして、ただし行き過ぎてはいけない。

 処罰範囲、これを厳格にそぎ落とすということはぜひやっていただきたいと思うんですが、基本的には、この別表を我々が見させていただいた中ではそんなに問題ないのではないか。もちろん、現場で細かく見ているわけではないので、出過ぎたことは申し上げるべきではないと思いますけれども。

 あと、行政機関の長が特定秘密として指定すれば、結局、自分たちで隠したいものを勝手に秘密にして、国民は知る権利が奪われてという議論をされるんですが、これも先ほどのことと関係するんですけれども、まず、縛りとして、安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるために特に秘匿することが必要だという解釈が必要なんですね。これは、後での司法のチェックにしろ、かかってくるわけですね。

 それと、先ほど申し上げた、項目は確かにたくさんありますけれども、別表があるわけですね。この別表のこの部分が行き過ぎだというのはまだわかりますけれども、ただ、一部の御議論の中で、防衛関係は落とした方がいいというような議論があるんですが、これは、先ほど言った、世界のスタンダードからいくと一番最初がディフェンスですからね、もちろんインテリジェンスも入ってきますけれども。国防秘密は別にするみたいな議論は、これは通らないと思います。

 あと、法定刑は重過ぎないかという御議論ですけれども、これは、御承知のように、アメリカなんかは物すごく極刑が待っているわけですね。

 それから、日本でも十年というのをどう見るかですけれども、今までが一年だった。一年というのは非常に軽い刑なんです。窃盗罪、物を盗めば十年です。いろいろなものがありますから、その十年というのも幅があるのは当然なのかもしれないけれども、国家を揺るがすかもしれないような秘密を漏らして上限が十年、そんなに重くないと思います。というか、これはもちろん、重いかどうか、最終的には国民だし、その中間には先生方の御判断だと思うんですが、私は決して重過ぎるものではないと考えます。

 あと、教唆とか、処罰範囲が不当に広がること、共謀とかいろいろありますけれども、それも解釈で、そんなに広がるものではないと思いますね。

 国民の知る権利を害するという議論も常に出てきますけれども、片一方で大事なのは、国民が国家から守ってもらう権利だと思います。安心して日本で暮らしていける状態をつくっていく。その基盤になるような情報を外国に漏らされたら、というか漏れる形で報道されたら、やはり困るわけですね。

 もちろん、私は、秘密を守れば守るほどいいといいますか、広げれば広げるほどいいというような議論は間違い、バランスだと思います。どこで線を引くか。だから、今回のポイントは、やはり、ここに示された特定秘密の範囲内に限って十年のものをつくるということが妥当かどうか。秘密の範囲を広げるということでは全然ないと思いますね、今までの中のごく一部を重くするという法律ですので。

 あと、重要なのは、この法制、先ほど申し上げた私がお手伝いしてきたことの関係からいうと、急ぐのは、やはりサイバーの世界とか、国際的な機密性の度合いというのは物すごい勢いで動いていっています。その中で、一年以下の刑罰というのを外国から見たらどう見えるかということですね。

 もちろん、先ほど御指摘あったように、公務員にとって一年でも首になったら決定的だというのはそのとおりなんですが、外国から見て、この程度の軽い刑でしか国家秘密を守らない国に情報を与えますか。これは別に、アメリカと組んでやりやすくするとか、そんなことよりもっと一般論として、国際的に、犯罪捜査を含めてもそうです。サイバーなんかはどんどんどんどん国際化していくわけですけれども、国際的信用の問題だと思いますね。

 その意味で、私は、今回の法案、十分合理的な内容だと思いますが、さらに国会の場で先生方の英知を集められて、よりよいものにしていただくということを希望いたします。

 以上でございます。(拍手)

額賀委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。薗浦健太郎君。

薗浦委員 よろしくお願いいたします。

 自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 まずは、きょう、参考人の四人の先生方には、大変貴重なお話をお伺いさせていただきました。心から感謝を申し上げます。

 その上で、今お話をお伺いしていて思ったこと、それから、今ちまたでいろいろ話題になっていることを含めて、もう一度原点に返って、素直な気持ちでお尋ねをしたいと思っております。

 まず、青山先生にお伺いをしたいと思いますけれども、実は、私も新聞記者をやっておりまして、官邸にもいたことがございますし、そういう意味では、大変な後輩に当たるわけでございますけれども、先ほど、先生の方から、マスコミ取材への懸念、それから、知る権利との関係で、そうした懸念は当たらないというお話をお伺いできました。

 やはり、メディアに身を置く者、現時点で置いている者、それから、そこから情報を得ている国民というのは、そこに大変な関心事があると思うんですけれども、そこの懸念をすることはないのだという結論に至られた論拠と、そこの御説明をもう少し詳しく、まずお教えをいただければと思います。

青山参考人 お答えいたします。

 まず、この法案の中に、事実上、取材の違法性が認められる場合が明記してあります。先ほども申しましたが、だましたり暴力を用いたり、あるいは不法に侵入したりということがいずれも明記されていて、先生も、御自分の記者生活を振り返られると、暴力とかおどすというのは論外ですけれども、その他、結果としても、だますことに当たったり、そういうことはなさらなかったんじゃないかと思います。そこに渡辺周先生もいらっしゃいますが、渡辺先生も読売新聞ですけれども。

 私たちの記者生活をフェアにありのままに振り返ると、まず、そうやって不正に入手した情報というのは、組織の中で上がっていかないですよね。フリージャーナリストの方にはその重大な役割がありますけれども、薗浦先生も含めて、組織にいるジャーナリストというのは、記者というのは、必ず、キャップ、デスク、そして整理本部を通っていくわけですね。

 そのときに、例えば、私自身の経験ですと、情報源はあくまで守りました、社内においても。しかし、どのように取材をして、国家公務員法の守秘義務とどういう兼ね合いで乗り越えて、本来は秘とされているけれども本当は国民が知らなきゃいけない情報を入手したのかということは説明いたします。説明を求められないということはあり得ないですね。したがって、実は、この法案ができる前から、そういう不正な取材による情報というのは国民に伝わることがないんです。

 逆に言うと、国民に伝わる本来の情報は必ずまともな取材によって行われているのであって、この法案に入っている取材が合法と認められる要件というのは、いわば健全な常識の法案化したものであって、もともと法律というのは、空理空論ではなくて、世の健全な常識に基づくものであり、あるいは日本という長い歴史を持った国の本来の考え方に沿ったものが法案になると理解していますから、したがって、そこを幾ら読み返しても、自分自身、あるいは同僚であったり、あるいは先輩方、後輩であったり、記者生活と矛盾するものがないんです。

 その上で、先ほど、国家公務員、地方公務員も含めて、公務員の方々と、それは実は国会議員も含みますけれども、あるいは閣僚や内閣総理大臣まで含めて、僕は政治部でしたから、そういう人たちにぶつかっていって情報を得るしかなかったわけですけれども、垣根を越えて、情報は正直、提供されました。もうやめたからはっきり申しますが、特だねも随分書きましたし、それから、記事にする前に、公務員、あるいは政治家、あるいは閣僚、あるいは本当は総理も含めて、記事が出た後、あなたはどうなるのか、あなたの立場はどうなるかということも十分協議した上で、初めて原稿にして社に上げましたよね。

 そういうことを考えますと、罰則が、今、前田先生から的確な指摘もありましたけれども、ただ、現場で取材をし記事を書いてきた立場からすると、相手の方は、罰則一年で軽いから、それは諸外国に比べれば明々白々に実は軽過ぎるけれども、しかし、だからといって、新聞記者にぺらぺらしゃべったり情報を漏らすということは、そんなことは実際にはありませんね。一度もなかったです。常に、立場、法律、そして国民に知っていただきたいという志との間で厳しい相克があって、そして、その記者が、私利私欲で情報を望んでいるんじゃなくて、国益や国民のために情報を望んでいるとわかった場合に、本当の情報を下さいました。それが、罰則一年、罰則十年ということで変わるというふうには僕は思えません。

 したがって、この特定秘密保護法は、取材の制限や国民の知る権利の侵害に主眼があるのではなくて、先ほど、これは西村さんから指摘があったかと思いますけれども、本来、国家の機能というのは国民の安全を守ることですから、今のような拉致事件の続発も含めて、国民の安全が損なわれているところをまずきちんと直しましょうということに主眼があると思いますから、申しました。

 それと、本来は自分個人の経験など軽々にこの審議で申すべきじゃありませんけれども、しかし、薗浦先生がおっしゃったことの中には、一つ、日本のマスメディアの大きな問題点として、自分の手のうちは見せない、他人のことは幾らでも批判するけれども、自分がどういうプロシージャー、手続を経て取材して原稿を出しているかという、その手のうちを見せませんね。したがって、国民はそれがわからないから、この法案によって阻害されるという誤解もむしろ生んでいるんじゃないか。

 したがって、マスメディアのこの法案に対する一つのフェアな姿勢は、本来あるべきは、この際、どのように取材をし、どのように法的な制約と相克をしながら情報を出しているか、記事にしているかということも明示した上で、国民の判断を仰ぐべきだと思います。

 ありがとうございます。

薗浦委員 ありがとうございました。

 裏をとれとか仁義を切れと言われていた日々を思い出しながらお話を伺っておりましたが、同じ質問を、ジャーナリストの立場で活動されている西村参考人にもお伺いしたいんです。

 我々は、確かに組織に属する立場で、上からそういうチェックがかかるわけですけれども、西村参考人の場合は、御自身で取材をされ、御自身で執筆をされ、それが原稿になるという、ちょっとまた違った立場だと思うんですが、そのお立場で今の質問にお答えをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

西村参考人 お答えいたします。

 基本的には、フリーであっても会社員のジャーナリストであっても、基本的にはスタンスは同じだと思いますね。要するに、情報のとり方がどういう部分で問題になるかということを考えたときは、やはり西山事件のことを考えれば一番よくわかることであって、あれの判決文、上告が最後に棄却されたときの判決文がありますので、それは非常に簡潔に書いてあります。要するに、取材する側の倫理と、どのように違法な情報を入手するかということが極めて論理的に示されているものだと思います。

 以上でございます。

薗浦委員 ありがとうございました。

 次に、今、いろいろな議論の中で、いわゆる特定秘密を指定できる役所、つまり省庁を限るべきではないかという話も出てきております。

 いろいろな技術が、先ほど原発の話を青山参考人からおっしゃっていただきましたけれども、限ることによって、プラスになる面とそれからマイナスになる面というのは当然出てくると思うんですけれども、この特定秘密を指定できる省庁を限るという考え方について、青山参考人にちょっと御意見をお伺いしたいと思います。

青山参考人 特定秘密を指定できる省庁を限るという考え方は、全く反対です。

 例えば、独立性の高い原子力規制委員会であっても、それは大きく言えば政府の一部であって、そして現在、国際基準に合致するためにテロ対策の新たな検討も進められておりますけれども、そういうところが特定秘密として保護できないのであれば、日本にとっては、むしろ一番現実的な、重大な脅威に直面することになります。

 日本は、今はほとんど動いていませんけれども、五十基以上の原子炉をこの国土に有して、そして、先ほど申しましたのはあくまで私なりの分析ではありますけれども、ちょっと具体的に申しますと、今から九年ほど前に、北京で中国人民解放軍の将軍と議論したときに、日本の原子力発電所に北朝鮮が実は入り込んで、つまり関連会社の作業員として入り込んだ例があって、そして北朝鮮は現実に原発テロを準備していて、それで、もしも例えば福島原子力災害とも比較にならないほどの被害が起きた場合、偏西風だから普通は中国に影響は起きないと思いたいけれども、実際は風の向きもそう単純ではないので、被害が及ぶから、あなたは自由な民間人だから、日本政府に注意を喚起してくれという話もあったわけです。

 福島原子力災害のもたらしたいわば新たな被害の一つが、実は、テロリストに情報を与えた。一つは、原子炉建屋、原子炉のある建屋という頑丈な建物を直接襲うことがなくても、例えば冷却ができなくなれば甚大な被害が出るということや、あるいは放射性物質が外部に漏れると、日本では、はっきり申しますと、科学的な根拠よりも、つまり国連の科学委員会がチェルノブイリと比べても害は少ない、実際の健康被害は考えられないとまで言っても、住民の不安はむしろ正当な不安として考えるべきであって、それを考えると、テロの目的というのは、相手の国、この場合ですと日本を占領することが目的じゃなくて、社会不安を惹起することですから、したがって、新幹線やあるいは航空機を狙うよりも、原発を狙う方が一番テロとして費用対効果が大きいということがもう実は確定してしまったような状況があるわけです。

 それが、逆に、この特定秘密保護法が仮に成立して、その際に、例えば防衛省や外務省、あるいは内閣官房だけに限るということになってしまったら、原発のテロ対策はどこから漏れても不思議ではないようになり、そして、実際には、日本の公務員はモラルが高いですから、簡単に漏らすことは、もちろん原子力規制委員会や規制庁を含めて、ほとんどないとは思いますが、少なくとも抑止力を失います。

 常に、情報においても、抑止力が安全保障にとっては一番肝要なことであり、つまり、例えば、北朝鮮であっても、朝鮮民主主義人民共和国という国連の加盟国の主権国家であって、その北朝鮮にいわば間違ったメッセージを送って、原発テロにかかわるようなことをむしろ北朝鮮にさせないためにも、どこの省庁と限るのではなくて、今たまたま原子力の問題を挙げましたけれども、むしろ包括的に政府にそういう義務を課すことが肝要だと考えます。

 ありがとうございます。

薗浦委員 ありがとうございました。大変心強いお話をいただいたと思います。

 次に、前田参考人にお伺いしたいんですけれども、罪刑法定主義、刑法、刑訴法の大家でいらっしゃる先生でいらっしゃいますので、罪刑法定主義の観点から、この法律は少し問題をはらんでいるのではないか。先ほど少し触れていただきましたけれども、ここのところがまだクリアになっていない部分があるという指摘がありまして、罪刑法定主義とこの法律との観点で、もう少し詳しい御説明をいただければと思っております。

前田参考人 御質問ありがとうございました。

 先ほどもちょっと触れさせていただいたんですけれども、確かに、ぎりぎりの例を考えますと、特に新聞の取材する側からいけば、どこまでが特定秘密か、ぎりぎりは解釈が分かれるものなんだと思いますね。不安があるというのもそうだと思うんですが、それはどんな条文でもそうなんですね。人を殺す、人とは何かといったって、解釈が分かれる部分というのは必ず出てくるんですね。

 今まで、先ほど申し上げましたように、秘密一般を侵しただけで処罰する、一年以下ですけれども。その秘密に関しては最高裁の基準があって、非公知のもので実質的に秘密として扱うものというような解釈でやって、それは曖昧だという議論ももちろんあるわけですけれども、今回の特定秘密、特定性があるものの要件が、従来のものと比べてそんなに不明確だという議論は成り立たないと思います。

 ですから、もっと実質論として、国家秘密みたいなものを刑罰をもって守るということが、従来の議論だと、やはり個人の権利を守るために刑罰法規とか憲法というのはあるのであって、国家そのものを保護してはいけないという感覚もかなり強かった時期はあると思います。そういう議論ならわかるんですが、この条文が罪刑法定主義に反するほど不明確であるという議論、先ほど言った、その他という言葉が入っていると罪刑法定主義で問題があるとかというような議論がありますが、それは我々から見ると説得性はないと考えています。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

薗浦委員 ありがとうございました。

 それともう一点、やはりまだ言われるのが、十年という刑罰の、相場観と言うのはおかしいですけれども、この十年というものなんです。

 よく外国との比較では無期刑もありますよとか、いろいろな話が出てくるんですけれども、やはり我々は日本国ですから、日本の刑法その他に含まれる、日本の国内のほかの法制、法律との兼ね合いで見たときに、この十年というのがどういう議論の中で出てこられて、これが妥当なのだという結論になったのかという部分を少しお教えいただければありがたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 十年というのは、いろいろな、我々の感覚からいくと、重大な犯罪、重い犯罪の一つの基準になるスタンダードなんですね。窃盗や詐欺や恐喝や、みんな十年以下と。それとの並びで、ただ、今までは秘密保護は非常に軽かったですから、自衛隊法でも軽かった。その中で最大限重くしてということなんだと思います。

 ただ、相場観という言葉は難しいかもしれませんけれども、先ほどいろいろお話が出ましたように、テロリズムにつながるとか国の安全が脅かされるような情報を漏らすということは、一部の感覚からすれば十年でいいのかという議論もかなりあると思います。

 ただ、今までの経緯からいって、十年あたりが、やはり我々が見るところ、妥当な線といいますか。ただ、そういう形で、例えば交通事故なんかについて国会でお決めいただいて、いろいろ議論してきましたけれども、常に後追いで、軽過ぎる、軽過ぎるで、自動車運転の問題なんかはどんどん重くなっていきますね。最後は国民が決める問題だと思います。

 ただ、今の感覚でいけば、十年に上げておくというのは、国際的なスタンダードからいってもやはりリーズナブルで、通用するものなんだと思います。決して重過ぎることはないと思います。

薗浦委員 ありがとうございました。

 次に、三木参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほどいろいろお話をお伺いしている中で、保護と管理のバランスという言葉が出てまいりました。

 この保護と管理のバランスというのは、いろいろ話の脈絡の中で出てきた話なんですけれども、保護と管理のバランスというものの概念をもう少し詳しく教えていただくことはできますか。どういう状態が一番好ましいとお考えになっているのかということも教えていただければありがたいと思います。

三木参考人 保護と管理のバランスと申し上げましたのは、この法案に関しては管理ということを考えていない、それは先ほども申し上げたとおりです。記録としての管理ということを、まず想定を十分されていないという意味で、管理と保護のバランスが悪いと申し上げました。

 保護に関しては、やはり、先ほど来ほかの参考人の方がお話しされておりますけれども、懲罰的な要素を持って、記録を保護するということをこの法案そのものは最大化をしているというところがございますので、そこのバランスは明らかに欠いている。

 私自身は、罰則を伴うこのような法案に関しては、冒頭申し上げたとおり、基本的に反対でございまして、それはやはり、情報漏えい体質がよいとは全く思っておりませんけれども、一方で、適切な情報が遮断をされずに流通をするという状態も非常に重要だというふうに考えています。

 ですので、むしろアクセス管理を適切に行うことによってこそ、情報流出と情報流通というものを適切に分けていくことができるのではないかということを考えておりまして、そういう意味では、そういう視点で保護と管理のバランスということを申し上げております。

薗浦委員 時間が参りましたので、終わります。

 先生方、大変真摯に御答弁をいただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

今津委員長代理 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 きょうは、四名の参考人の皆様方、貴重な時間をいただきまして、また、それぞれのお立場からそれぞれのお考えをお聞かせいただきまして、大変参考になっております。心から感謝を申し上げます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、三木参考人にお尋ねをしたいと思います。

 私どもも、三木さんの書かれたものや、あるいは直接お話を聞くことによって、今の政府提出の特定秘密保護法の問題点を深掘りさせていただきました。その上で、私どもは、先ほど十二時半にこの衆議院に対案を出しました。新法が二本と、公文書管理、国会法の改正案、そして既に出ております情報公開法と合わせまして、五つの法律案を、我々としての考えをまとめて出しているところでございます。

 その中に、きょうの三木参考人の御指摘にもありましたが、いわゆる指定禁止事項、ネガティブリスト、これをやはり書くべきだというような御意見もかつて拝聴いたしまして、そして、我々のこの法律の中にも、行政機関の長は、違法行為、行政機関の不作為、もしくは過失、もしくは既に公になっている情報を隠蔽し、もしくは公正な競争を阻害する目的で、または、我が国及び国民の安全の確保に必要と認められない情報について指定をしてはならないということを書き込みました。

 つまり、政府案が持っているのは、本来秘密にしなくてもいいことを行政の恣意的な判断で秘密にされる、あるいは、本来国民が知らなければいけない行政のいわゆる違法行為を初めとして、こういう問題が行政の失態隠しのために使われるのではないか、やはりこの不安があるから、正直、国民的な理解が今広がっていない、これも一つ大きな理由だろうと思います。

 その上で、今回の法律案も出したばかりでございますけれども、こうしたことを書き込んだということで、どのように評価をしていただいているかということを一点伺いたいと思います。これが一問目です。

 では、一つずつ聞きますので、あと二問ございますから。

三木参考人 先ほどいただきましたので、実は全く拝見できておりません。大変申しわけございません。

 先週伺って、お話をさせていただきました。その際に、やはり秘密の指定の範囲に関しては、やってはいけないことを明記すべきであるということは、私も申し上げたところでございます。ですので、この法案という前提で考えますと、やはり、何をしてはいけないかということを明確にすることは一定の前進ではあるというふうに考えてはおります。

 ただ、私自身は、先ほど申し上げましたとおり、そもそも秘密の管理についてまだまだこの法案は弱いと考えておりますので、それをもってこの法案をなかなかよしとするということにはならないということは御理解いただければと思います。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。

 また三木参考人に伺いますけれども、三木参考人にきょういただいた資料の中に、秘密の指定の解除には、情報公開請求が行われたときというのが一つの引き金、判断のトリガーになるというふうに書かれています。

 御自身の経験から、情報公開を請求する上で、今までの、もちろん行政の情報がなかなか出てこない中で、どれぐらいの労力と時間といいましょうか、時間も含めて労力を使って、今の日本の情報公開制度のあり方、この点について御経験から何かおっしゃりたいことがあれば、一点伺いたいと思います。

三木参考人 ありがとうございます。ぜひ情報公開法についても話したいと思っておりましたが、先ほど話せずに、大変ありがとうございます。

 私自身も、年間数十件から、場合によっては百件近く、情報公開請求をしております。これは、自治体、国を問わず、やっております。

 そのときに大変難しいのは、政府の判断としては非公開という判断が、市民にとっての必要性と一致しないということがございます。市民にとっては必要な情報であっても、政府の判断としては非公開ということがあり、その非公開の妥当性を、市民自身が実際に文書を見るわけではございませんので、なかなか判断がつかないというところがございます。

 そういう意味では、実は、情報公開制度は非公開そのものを否定していない仕組みでございますので、非公開をどういうふうに適正化していくのかということは、この制度が持っている永遠の課題であるというふうに考えております。

 特定秘密保護法案は、特定秘密に関して情報公開請求の対象外とはしておりませんが、既存の情報公開制度に基づいて請求をしますと、特定秘密よりも非公開の範囲が圧倒的に広いわけでございます。請求した側は特定秘密かどうかということは認識せずに情報の非公開を受けるということになりますので、政府の内部としては特定秘密であっても情報公開できるかどうかという判断をしますが、それが請求者にとっては特定秘密であるという認識は恐らくされないままに制度が運用されるであろうというふうに理解をしております。

 ですので、実は情報公開制度を使っていて一番難しいのは、非公開の範囲が果たして適当、適切なものであるのかどうかということを、請求者自身が理解するのが困難である。それが、請求者側の情報の必要性と政府の情報に対する保護の認識の大きな差がそこにあるというところが一番難しいと理解しております。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。

 それでは、三木参考人への三つ目の、これで結びにしますけれども、「オピニオン」という、これは毎日新聞だったでしょうか、十一月の十三日にお話をされています。そこには、アメリカの国立公文書館と日本の公文書の管理について言及をされております。私どもは、この公文書の管理法につきましても改正案を出しておりますけれども、アメリカはスタッフと権限、予算がこれだけある、そして、大統領令による秘密指定の解除についても、一定の条件つきだけれども審査する権限もあるということも触れて、大変いろいろな御見識を持っていらっしゃると思います。

 今回の、我々も出しましたが、日本の公文書のあり方について、アメリカと比較しても結構ですが、どうあるべきだというお考えがあったらお聞かせください。

三木参考人 二〇一一年に公文書管理法が施行されまして、それ以来、以前に比べれば大分、記録を管理し、保存をし、それが国民の知的共有資源であると目的規定に公文書管理法は書いてございます。つまり、政府による独占物ではなくて、私たちみんなの共有資源であるということが初めて法律に明記をされまして、公文書そのものの位置づけが以前に比べてかなり明確になったというふうに考えております。

 そういう意味では、一定前進をしているとは思うんですが、日本の制度の問題点を申し上げますと、やはり、公文書の管理というのは各行政機関を基本として行いますけれども、それが適正に管理がされているのかということと、それから、必要なものをきちんと歴史的に残すということの機能をうまく運用していく仕組みがまだ弱いというふうに考えております。

 というのは、現在、内閣府が公文書管理法を所管しておりまして、そこで必要な運用上のチェックなどは行われておりますけれども、やはり、スタッフも限られている、かつ、権限も限られている。さらに、国立公文書館に至っては、非常にスタッフも限られており、かつ、歴史文書の受け皿以上の役割をなかなか与えられていない。

 歴史文書というのは、その前の文書の管理が適切にされている、さらにさかのぼれば、必要な文書が記録されているというところから始まって、やっと歴史文書として体系的な、検証可能な記録になるというところでありますので、それは、単に各行政機関にとって必要かどうかや都合ではなく、国にとってどういうものが必要なのかということをきちんとチェックしていく、そういう機能はやはり日本の政府の中に必要なのではないかというふうに考えております。

 アメリカの国立公文書館のようにはなかなかいかないのは承知をしておるんですけれども、どこにどういう権限と役割を持たせて、そこに必要な資源を投入するのかということは、やはりもっと真摯に議論されるべきではないかというふうに考えております。

渡辺(周)委員 三木参考人、ありがとうございました。大変参考になる御意見をいただきました。

 この後、青山参考人と西村参考人にお伺いをしたいと思います。

 今の薗浦議員とのやりとりも聞いておりました。私もかつて同じ職業をしておりましたけれども、かつてのようなマスメディアから、今、一人一人がメディアになります。それは、先ほど例示されましたように、例えば、ユーチューブに投稿したものが、大手メディアが報道する以上に、視聴者の数としては百万をすぐ超えるような、そうしますと、テレビで数分、あるいは新聞でべた記事が出てくるよりは、こういうネット上で出てきた方がはるかに多くの方にいろいろなことを伝えることができる、こういう新しいメディアがもう当たり前になってきたわけです。

 実は、ここの委員会でも、政府案に対して議論をしました。それは何かといいますと、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」と書かれていて、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為」と。では、言ってしまえば、報道と規定をするとなると、これは、大手新聞社、大手テレビ局だけじゃなくて、最近は、ネットジャーナリストとでもいいましょうか、ブロガーとでもいうのでしょうか、こういう人たちも定期的に更新をしていれば対象になって、罰せられないんだというような一つの目安が回答として示されたんです。

 この定義というのは難しく、逆にこれが全て許されると、自称ジャーナリストという人たちがたくさん誕生して、どこかの国が、日本の秘密、機密をとりたいがために幾らでも増殖をしてくるということもあり得るんです。ですけれども、知る権利も守らなければいけないし、報道の自由はやはり保障されなければいけない。しかし、その報道というもの、これは、アメリカでもジャーナリスト保護法が議論をされたときに、ジャーナリストの定義というのは州によって違うんですよね。

 ですから、ここのところは非常に悩ましい問題ですが、この知る権利がやはり拡大をされると、取材と称して、もっと言うと、在外公館もそうですけれども、在外公館で、刑法の第二条に当たる、では、そこの国にいる、本当に報道機関という人たちは、当然、どこかの独裁国家の命を受けて取材が許されているということを考えれば、彼らは、日本で考えられる報道とかメディアとは違って、それは、一種の国家を背景にした情報収集要員だということは我々も理解しているんです。

 マスメディアから、個々がメディアになる時代において、どのような形で、ここのところの、非常に難しい質問かもしれませんけれども、知る権利との境目を考えていくかということについて、お二方から何か御意見がございましたら伺いたいと思います。

青山参考人 お答えします。

 まず、今、渡辺先生が御指摘になった部分については、法案の書きぶりに僕は不満足あるいは賛成しかねます。

 といいますのは、思ったままを申しますけれども、今の法案の書きぶりというのは、この法案に対する強い反対を和らげるための大手メディアとの取引のように見えます。すなわち、既存のマスメディアを中心に、既得権益はちゃんと守ってあげるから、そう心配しなくてもいいんだ、記者クラブを中心とした今までの取材のあり方でやるのであれば、強制捜査とかそういうことはなかなかしませんよというふうに、元共同通信の記者としても、そう読めます。

 それはアンフェアであるだけでなくて、今、渡辺先生が御指摘になったとおり、メディアのあり方が一番音を立てて変わっているのに、日本が旧態依然たる端的なところは、実はメディアのあり方であって、いまだに、例えば組織の見直し、厳しいことを言いますが、リストラも含めて何ら行われていないのが、僕の古巣も含めた大手のマスメディアのあり方であって、そういうところといわば談合するかのような法案の書きぶりになっていると思います。

 できればここも与党の側からも修正していただきたいところであって、ニューメディアという言葉は今使いませんけれども、むしろ、知る権利というものの概念も変わって、知る権利は、大手メディアから国民に伝わってくるんじゃなくて、特に日本ですと、一人一人の有権者が唯一の主人公として、自分の知る権利を、インターネットというツールを、いわば悪用するんじゃなくて活用して、善用して情報をとるということが行われていますから。

 ネットにはいろいろな負の面もあります。今、渡辺先生御指摘のとおり、インターネットの大きな影響力を使って、特に独裁国家においては、報道の自由が逆に存在しなくて、報道機関こそ宣伝機関であり工作機関ですから、それがネットを多用している事実もあります。

 しかし、できればこの法案、その得た情報が何に使われたのか、それが国民の利益にあるいは国家の国益に資するものであったかどうかという検証を行う機関をつくることを、僕は実は個人的には提案いたしたいと思っております。

 渡辺先生の質問によって、僕の個人的な提案が今引き出された形になってしまいましたけれども、もう一度申しますが、普通の国民、つまり、メディアの内情に詳しくない人であっても、この法案をきちんと読めば、これは一種の談合であるということが伝わると思います。それが、この特定秘密保護法案に対するいわば誤解の一つにもなり、そして、本来提出された志をおとしめることにもなると思いますから、あくまでも、大きな組織がちゃんと取材したんですかということではなくて、何に使われたかということをフェアにチェックできて、それをもって、罰則を適用するかどうか、罰するかどうかを決めるというシステムに、できれば修正していただきたいと思います。

 ありがとうございます。

西村参考人 お答えいたします。

 今、渡辺先生から非常に本質をついた御質問を受けたんですけれども、端的に申し上げますと、今、要するに情報回路そのものが大きく変わっているときですね。それが、この十年間、特に激しい勢いで、情報の流通回路が変わっているわけです。ですから、先ほども申し上げたような、一色正春さんによる海上保安庁尖閣ビデオのユーチューブ投稿もあったわけです。

 その情報の回路の変化というのを簡単に御説明しますと、従来のいわゆる情報貴族という立場であるメディアから、それが上流にあるとして、下流に向かって情報を流す、そしてその下流に受け手がいる、視聴者あるいは読者がいる、そういった従来の情報の流通回路が完全に今もう変わっていて、受け手と送り手がパラレルな状況で、同じ水平上において情報がそこで回るというようなことになっているわけですね。

 そこで、そういった中で、では、果たして多種多様になった中でどこにリライアビリティーを置くのかという問題は、これはまた、情報リテラシーというものが、メディアリテラシーの次に出てくる問題であります。

 メディアリテラシーは、ある意味、もう終わっておりまして、今度は情報リテラシーというもの、メディアあるいは個々人、個々のパーソナルメディアを含めた、そういったところから出る情報のリライアビリティーをどうやって高めていくのか、そういう次元に今、移っている最中です。そういう中で、今回の取材の問題も考えるべきだと思います。

 以上でございます。

渡辺(周)委員 それでは最後に、前田参考人に伺います。

 前田参考人は、各地でいろいろな形で専門家として御発言をされていますけれども、お二方に聞いたのは、今は、新しいメディアという部分、これからの私たちは、まさにサイバーも含めた、いわゆるサイバー攻撃、第五の空間、私は防衛省の副大臣時代に随分、この対応を何とかすべきだと言ってきたんです。しかし、これと刑法が実は追いついていないという中で、今後、民間とも協力をしながら、あるいはウイルスの対策なんというものもとにかくやっていかなきゃいけないけれども、かといって、海外企業に余り頼るわけにもいかないんだと。

 そんな中で、いわゆるサイバー犯罪の進展に刑事法がおくれをとってきたということの中で、今後どうあるべきだということについて、もしお考えがございましたら、最後に伺いたいと思います。

今津委員長代理 時間の関係がありまして、簡潔にお願いいたします。

前田参考人 御質問ありがとうございました。

 渡辺副大臣のときにもお手伝いさせていただいてあれなんですが、サイバーの世界、先ほど申し上げたように、御質問に対してちょっとずれるかもしれませんけれども、そのためにも特定秘密保護法は非常に重要だと私は考えています。

 やはり、サイバーの問題の解決につながるには、外国との情報共有も大事ですし、そのために国際的に日本が信頼感をある意味でかち得るためには、情報はきちっと守る、非常に大事なものは守るということを示すことは非常に重要だと考えております。

 以上です。

渡辺(周)委員 ありがとうございます。

 済みません、時間がなくなりました。終わります。

今津委員長代理 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 まずもちまして、四人の先生方、参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、お時間をいただきまして、また、すばらしい、大変参考になる御意見をいただきまして、ありがとうございます。それを踏まえまして、何点か御質問させていただきたく存じます。

 まずは、委員各位もお話しであったように、今、くしくも、自民党さんや公明党さんの案と、そして、みんなの党さんは修正合意に至ったという報道もありますが、我々維新の会は今ちょうど与野党間で協議中でございまして、その観点から、少し、我が党の修正の部分につきましての参考人の皆さんの御意見を伺えれば、より、今後の審議も含めまして、かなりすばらしい内容を目指すことができると思いますので、そのあたりをお伺いしたいと思います。

 まず最初に、青山参考人にお伺いしたいんです。

 青山参考人のお話の中で延長の期限のお話がございまして、我が党の、まず最初に修正案としてお話をしているものは、延長は最長三十年にするべきだ、そして、保存期間の終了後には全て国立公文書館に移管すべきだという修正案を出しておるんですが、この背景には、やはり、しかるべきタイミングには、後世の史家に歴史的な判断というか、それがよかったのか悪かったのかも含めて、判断を委ねるべきだ、そして、それが為政者に対して緊張感を生んでいくという部分が大前提にあるんです。

 やはり、審議もさせていただいて、森大臣も含めましてお話をしていると、先ほども少しお話がありました、情報提供者を守る必要がある、また、もしくは、暗号の部分に関しましてはとか、幾つかの点で、三十年を超えても延長しなければならない部分もあるんじゃないかというのは、実は私、個人的にはずっと思っている部分でございまして、その意味で、青山参考人がおっしゃったことは、我が意を得たりと、伺っていて思ったところなんです。

 ただ一方で、何でもかんでも指定されかねない可能性が出てくるわけで、そこはやはり、お話のあった、あらかじめ例外規定を設けておくべきだというのは本当にすばらしい御知見だと思うんですけれども、他国の例を私も勉強する中で調べていくと、やはり多くの国が、これは立法府の方で、条文上定められているものが多いんです。

 このあたりの定め方につきまして、青山参考人、どのようなお考えをお持ちでお話をされたのか、もう少し詳し目にお話を伺えればと思うんですけれども。

青山参考人 先生の御質問にありますとおり、まあ三十年かどうかは、まだ確たることは言えないと思うんです。なぜ三十年というふうに国民からも聞かれると思います。国際社会の常識を勘案すると大体三十年ぐらいという判断でいいと思うんですが、そのときに、これも国際社会の常識として、特に民主主義国家の常識として、情報提供者や暗号は特に例外扱いとするというのは、もう既に行われていることです。

 ただし、日本において初めてその原則を使うとなると、情報提供者の名前のはずが実はほかのものにすりかえられていたり、それから、暗号と呼ぶにふさわしくないものが、これは一種の暗号なんですと拡大解釈されることも当然あり得ますから、先ほどはこれを指摘する時間がありませんでしたけれども、例外が例外として必ずそのとおり運用されているかというチェックは、まずどうしても必要です。

 ということは、そのチェックのシステムをつくる前に、当然外部の有識者も入れて、何をもって情報提供者を特定できる情報とするのか、それは名前だけなのか、あるいはバックグラウンドも含むかということも含め、それから、暗号といっても、実際は極めて多様化しています。これも、インターネット技術の発達に合わせて、第二次世界大戦当時と、現在の暗号というのは随分多様化していますから。

 それを具体的に定める検討は、この法案が仮に例えば修正を経て成立しても、具体化されるまでには、この法案の附則によると最大一年間の猶予があるわけですから、その一年間の間にさっさと新しい有識者を含めたシステムを立ち上げて、それも、その有識者の会議というのが、僕も時々かかわっていますけれども、官僚から案が出てきて、それをのむかのまないかという有識者の会議になるんじゃなくて、本物の、実務の専門家を集めて、まずその定義と範囲を定め、それが定まったら、実際にその定義がふさわしいかどうか、できれば国会審議にかけていただきたいんです。これは、場合によっては秘密会とすることもあるかもしれませんが、いずれにしろ、立法府を通さないといけないです。

 立法府を通して基準が確定したら、その次に、その基準どおりに運用されているかどうかのシステムをつくらなきゃいけない。逆に言うと、これは法案が成立したら一年以内に必ずやっていただかないと、そこが曖昧なまま出発をして、三十年先に最初に問われることになるという考えでは、国民の信頼を裏切ることになると思います。

 そういう基準の作成と、それから、守秘義務を負ってその基準が運用されているかどうかチェック機関をつくるというのは、いずれももちろん可能だと思います。

 そのつくり方には、例えば、その中に司法、特に裁判官としての判断を、これは訴訟が提起したときだけ裁判官に仰ぐというのが本来のあり方ですけれども、しかし、何らかの形で司法の側から見たらどうかということも、実は、少なくとも検討には値すると思います。

 何を申しているかといいますと、今までにないものを日本の長い歴史で初めてつくるんですから、そこを急いでつくらないと法律の施行に間に合わないと考えております。その意味からも非常に重要な御指摘だと思います。

 ありがとうございました。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

丸山委員 非常に歯切れのよい、すばらしい御回答をありがとうございます。

 余談でございますが、私、地元が大阪でございますので、先生の出られているテレビをいつもうちの両親が拝見しておりまして、それで、いつも、青山先生がこう言うとったという話を言うていますので、大変光栄でございます。済みません、脇にそれました。

 そして、我が党が幾つか出している中で、次にお伺いしたいものが、罰則の規定でございます。

 まずは西村参考人にお伺いしたいんですけれども、今回、我が党は、罰則の規定に一文追加する旨の修正案を提示しております。それは何かと申しますと、目的を追加するというところでございます。

 具体的に申しますと、現在は、目的は条文上、書かれておりません。ただ、その行為に対して、「人を欺き、人に暴行を加え、」云々、脅迫も含めてですね、やった者に対して罰をということなんです。

 一方で、我が党としましては、先ほど来、西村参考人もお話しになりました、スパイ防止法という観点をやはり目的として明示化すべきだという点から、その罰の部分に、条文として、我が国及び国民の安全を害する用途に供する目的もしくは外国の利益を図る目的であってということを並列でその行為に置くことで、外国の利益を図る目的であれば取得行為の様態も問わない、逆に、目的がなくてももちろん違法な行為であれば罰するんですけれども、という形のものをつけるべきじゃないかという主張をさせていただいているんです。

 このあたり、西村参考人の御意見を伺いたいんですけれども、よろしくお願いいたします。

西村参考人 お答えいたします。

 維新の会の修正案は拝見しております。

 それで、私は非常にいいと思います。もっともだと思います。そういったものをはっきり言葉で明確に、外国の利益に供する、つまり、それは日本及び国民を危険にさらすことにほかならないわけですから、やはりそれを罰則のところに明記することは非常に的確だと思います。

 以上でございます。

丸山委員 ありがとうございます。

 前田参考人にも、ぜひ、専門家のお立場から、この規定に関しましての御意見をいただきたいんです。

前田参考人 お答えいたします。

 申しわけございません、資料としてそれをいただいていなくて、勉強していなくてあれなんですが。

 伺った範囲で、今の刑法の条文には外患罪の中に同じような目的規定がありますけれども、ただ、それによってほかのところがどう動いていくかですね。条文は寄せ木細工みたいにできていますので、目的規定だけ入れるとどう波及するか、ちょっと時間をかけて検討しないと、もちろん時間というのは何日もというんじゃないんですが。本当に申しわけないんですが、ちゃんと勉強いたしていなくて、政府案と、それからある程度のものまでしかいただいていなかったもので、本当に申しわけないんですが。

 スパイ防止の方向で考えられるということ自体は間違えているとは思わないんですが、やはりテクニカルな意味での詰めも、それを入れると動く可能性がありますので、詰めていただいた方がいいかなという気がいたします。

 不十分なお答えで申しわけございません。

丸山委員 いいえ、突然で申しわけございません。ありがとうございます。また、ぜひ御指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今、最初の青山参考人にお話を伺ったときに、第三者機関のお話が出まして、これは実は我が党も第三者機関の設置をすべきじゃないかという修正案を出させていただいているんですけれども、まさしく三木参考人にお話を伺っているときになるほどと思ったところが、全てをオーバーサイトするような機関がないんだと。そこには内部通報機能も含めたものである必要があるし、そして、そこには、先ほどは開示の際の例外規定の指定のお話は少しさせていただきましたけれども、一方で、指定の禁止事項をそこで定めるようなものも必要じゃないかというお話があったんです。

 この指定の禁止事項に関しまして、ふだん市民運動をされてこられて、情報公開をかなりやられてこられたというお話なので、このあたり、どのようなものをイメージされているのか、この第三者機関のイメージと、そして、特に指定禁止事項に関しまして何か御知見がありましたら、お話を伺いたいと思います。

三木参考人 第三者機関なんですが、先ほど法案の件についてちょっと触れなかったので、簡単に触れさせていただきたいんです。

 現在の法案に書かれている有識者というのは、第三者機関だと私は全く思っておりません。第三者機関とは、権限と役割を明確にして、法律上位置づけられているというのが最低条件でございます。ですので、今回の法案では第三者機関は位置づけられていないという理解であります。

 私が第三者機関と申し上げたのは、この法案というよりも、秘密の管理のためには第三者機関のチェックなしにはそれは困難であるということで、第三者機関ということを申し上げております。

 この法案をよく読みますと、情報公開法や公文書管理法には運用状況の報告義務と公表義務というのがございますけれども、この法案は、実はないんです。もともと、全体をオーバーサイトして情報公開をし、運用状況について一定情報を提供した上で国民のチェックを受けるという機能そのものがないんですね。

 さらに、適正に情報をチェックするためには、こういう秘密の管理に関しては、全ての情報を私たちの前に出していただけるわけではどうもないだろうということがございまして、私たちの目になるかわりのものとして、やはり第三者機関というものが必ずなければいけないというふうに考えています。

 そこでやるべきことは、私自身の私見ではございますが、やはり指定の基準なり、指定が適切になされているかというチェックが一番大事だと思います。それは、先ほど触れていただきましたとおり、例えば違法行為とか、それから不正行為ですとか、それから深刻な人権侵害とか、そういったものが秘密の中に隠されてしまっては、被害者が被害者のまま泣き寝入りをしてしまうということにもなりかねないわけであります。そういうものが一たび明らかになれば、それは政府に対する重大な不信感を生むわけでございます。

 ですので、そういったものをやはり秘密指定してはいけないということと同時に、それから、秘密指定の基準に関しては、今、分野と事項で区切って、かつ、重大な支障のおそれということで要件を加味しています。そこのおそれをどう判断するのかということは、そんなに単純な問題では私はないと思っております。

 ですので、絶えず指定基準についても適切に機能しているかどうかを見直すという役割は、やはり第三者機関として必要だろうというふうに考えておりますし、それから、秘密の解除に関しても、今、行政機関の長が権限を独占しておりますけれども、そうではなくて、やはり第三者という立場から秘密の適切な解除ということを進めることも非常に必要だというふうに考えておりますので、それは第三者機関の役割であるというふうに考えております。

丸山委員 ありがとうございます。

 我が党の案では、この第三者機関を置くのに必要なための方策について検討すべきだという条文をつけるということなので、この検討の際にかなりそういった部分の御知見が重要になってくると思いますので、ありがとうございます。

 重ねて三木参考人にお伺いしたいんですけれども、我が党の案では、指定できる行政機関を絞るべきだという案を出させていただいて、先ほど、恐らく青山参考人だったと思うんですけれども、絞るのは反対だというお話をされていたと思うんですけれども、三木参考人、このあたりはどのようにお考えでしょうか。

三木参考人 指定機関を絞るということについて、具体的にこうすべきという意見は今のところまだ持ち合わせていないんですが、ただ、重要なのは、例えば特別管理秘密というのが現在ございます。どこが特別管理秘密を持っているかということ自体を把握することが非常に困難であるという現状もございます。ですので、どこが特定秘密なり秘密を持っていて、どれくらい持っているのかということがわかるような状態にするのがまず第一歩だろうというふうに考えています。

 秘密指定をする機関を絞るというのは、逆に抜け穴ができるという、つまり、秘密指定の規制を受ける外に出てくるものがたくさんふえてくるという可能性もありますので、そこは、ちょっと今具体的に、それがよいということの判断はなかなかつきかねるというところで御容赦いただければと思います。

丸山委員 ありがとうございました。

 逆に抜け穴ができかねないという視点は大変大事な視点だと思いますので、ありがとうございます。

 時間もありますので、最後、どうしてもお伺いしたいなと思ったことが、たしか西村参考人もお話がありましたし、青山参考人からもお話があったんですけれども、やはりこの国はスパイ天国だと言われてきて、その中で、特にインテリジェンス機能がこの国には必ず必要なんだという御指摘が、私も、実はこの委員会で、この特定秘密保護法案の前にNSCの創設の法案をやったときにずっと、官房長官を初め、お話をさせていただいた点でございます。

 このあたりにつきまして、最後、お二人の参考人に、青山参考人とそして西村参考人のお話を伺いたいんです。特に青山参考人は、たしかNSCの創設に関する有識者のメンバーに入っていらっしゃったと思うんですけれども、このあたり、この議論はなされたのかどうかという点も踏まえまして、まず最初に青山参考人にお話を伺いたいと思います。

青山参考人 今先生からお話がありましたとおり、NSC、国家安全保障会議をつくるための有識者会議のメンバーでありました。

 その中で、例えば他の委員の発言とか総理の発言については守秘義務がありますが、私自身が何を申したかについては、今この場で申すことができると思います。

 私がその有識者会議で常に強調しましたのは、このNSCだけで終わると、それは本当は車の片輪であって、むしろ機能不全を起こしたり、あるいは、NSCがあるから、逆に、例えば尖閣諸島で何かあったときに機動的な判断ができないことにもなりかねない。必ず自前の情報組織があって、もっと具体的に言うと、敗戦後、日本がなぜか、いわばオートマチックのように否定してきた諜報員の存在、外国における諜報活動、これは国際法で必ずしも規定はされていないけれども、実際は、国連加盟国百九十三カ国ある中で、主要国は全てお互いに諜報活動を行っています。

 国会審議にふさわしくない、どぎつい言い方かもしれませんけれども、例えば、西欧諸国の中には、情報機関が殺人を行う例も実際あります。謀殺を行う例も現にあります。そういうことは、私たち日本は、古来からの、民主主義国家として、そういうことは行いません。

 しかし、実際の外国での諜報活動というのは、例えば丸山先生が諜報員になってどこかに行くんじゃなくて、九九%、その国の人間を協力者として得ることであって、謀殺とか、そういういわば工作、つまり、その国を好きなように動かしていくんじゃなくて、正当な情報を得るインテリジェンスというものは、必ず日本につくられなきゃいけない。それがないままNSCだけあると、きょう冒頭の意見陳述で申したとおり、例えば、同盟国であっても、アメリカのさらに意のままに動くような日本になりかねないので、NSCをつくったら、必ず情報機関をその後につくらなきゃいけない。もっと具体的に言うと、遅くとも再来年の通常国会にはその設置法案を出すべきだということも実は申しました。

 私なりに理解しているのは、今回の特定秘密保護法案はそれへのステップだ、少なくともファーストステップ、ワンステップであると理解しています。したがって、先ほど、第一条の目的のところに外国のスパイ活動を防止するという概念は入れるべきであると申しましたし、先ほど先生から御開陳のあった日本維新の会の修正、そこは僕は賛成なんです。

 したがって、今、車の両輪ということがメディアで間違って伝えられていて、NSCをまともに動かすためにはアメリカの情報をいただかなきゃいけない、アメリカの情報をいただくためにはこの特定秘密保護法案が必要なので、そういう意味で車の両輪だとメディアで主に伝えられていて、残念ながら政府・与党のお考えの中にもそういうことが散見されますが、それは間違いです。

 車の両輪で欠けているのは、実は新しい情報機関であって、その情報機関の礎の一つになるのが今回の法案であるべきです。したがって、そこの修正が与党側からも必要だと何度も申したわけです。

 ありがとうございます。

丸山委員 時間がもう来てしまったので、最後、西村参考人から一言だけいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

西村参考人 そもそも、特定秘密保護法案はNSCと対になっているものだと理解しておりましたけれども、先ほど申し上げたように、もっと必要なものは、日本の自立した情報機関ですね。それがあって初めて、またこの特定秘密保護法案と、機能的になっていくんだと思っております。

丸山委員 ありがとうございました。これで質疑を終わります。

額賀委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 このたびは、青山参考人、三木参考人、西村参考人そして前田参考人、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 まず、青山参考人、もう共同通信で二十年やっておられて、なおかつ、さまざまな、政府のいろいろなお務めを、審議委員等をやられておったということで、今回の特定秘密保護法では、確かに外国との情報の共有ということもあるんですが、もう一つ、例えば、防衛省あるいは自衛隊の情報がなかなか、外務省に渡すと心配だね、また逆の場合もある。あるいは、警察の公安の情報が、外務省に渡すと心配だね、こういうものがあると思うんですね。そのあたりの実態について多分お詳しいんじゃないかと思うとともに、この秘密保護法を制定することによってそこら辺が解消されるのかどうか、そこをまずお伺いしたいと思います。

青山参考人 おもねるわけではなく、今の大口先生の質問は、僕にとって一番聞いていただきたかったところであります。

 実は、最初の意見陳述のとき、十五分という時間制約がありましたからそれは申しませんでしたが、例えば、拉致問題対策本部が我が日本にあります。政府にあります。厳しいことを言うようですが、本来の機能を果たしていません。

 それはどうしてかというと、これは先ほど意見陳述の中で少し申しましたが、十一年前の日朝首脳会談の後、朝鮮総連の内部からも協力者があって、拉致被害者が今どうしていらっしゃるかも含めて、公開されざる情報、実は、日本の交渉のカードとしても、少なくとも日朝首脳会談が開かれるよりはずっとあります。

 ところが、それが、拉致問題対策本部の中では情報共有がほとんどされていません。なぜかというと、特定の省庁のことを言うわけじゃありませんが、拉致問題対策本部も予算をつけなきゃいけない、あるいは予算をとらなきゃいけないですから、財務省の方も当然来られていますが、財務省と、例えば警察庁なら警察庁と、省庁の縦割りということももちろんありますけれども、それよりももっと大きいのは、財務省から来ている人を信用しないわけじゃないけれども、しかし、担保がないからその情報を共有できないので、したがって、予算をつくるときに、拉致問題対策本部で、本当に拉致被害者を取り返すために、奪還するためにどんなお金が必要なのかということが協議できないでいるわけですよ。それがずっと続いているわけです。民主党政権下でも自民党政権下でも実は同じであって。

 そういうことからすると、まず私たちの一番大事なテーマであるところの拉致被害者を最後の一人まで取り返すためにも、特定秘密と指定されたものについてはちゃんとルールができて、そうすると、恐らくは、これは本当に僕の実感として申しますが、拉致問題対策本部は初めて本当の力を発揮するようになり、十一年間続いてきた、例えば、朝鮮総連だけを取り上げるわけじゃないですけれども、そこから得た、いわば志のある、つまり、在日朝鮮人の方々も、間違っていることは間違っていることとして、フェアな正義のため、あるいは、本当は生まれ育った日本のために役に立ちたいと思っている方もいらっしゃる。そういうものが生かされるような予算がつくられたら、拉致問題対策本部は初めて機能するようになって、交渉のカードが実は何倍にもなるわけですね。

 もう時間があれですけれども、先生がおっしゃったことの中で、あるいはほかに本質的なことは、日本は、かつて外務省と防衛庁でありました。そのときは、いわば軍事力を一切背景としない外交だけでしたから、外務官僚だけ悪者にされますけれども、世界のどこに軍事力をバックグラウンドとしない外交があるでしょうか。あの悲惨な第二次世界大戦を経て人類が得たことは、もはや軍事力は、戦争のツールというよりも、侵略戦争の道具ではなくて、むしろ外交のツールなんですね。

 防衛庁の時代にはそれがほとんど発揮できなくて、防衛省になってようやくそこもいわば車の両輪になって、ある程度防衛力も抑止力も背景にした外交ができるはずですが、ところが、その防衛機密について外務官僚がタッチできる部分がなくて、本当は、在外公館、日本を離れた場で個人的にわずかにやりとりされていたりするだけで、本省レベルではそれがもう全く、巨大な壁が立ちはだかっていて、防衛庁が防衛省になっただけで、日本の外交は何ら改善されていないという現実があります。

 したがって、特定秘密保護法を、修正を経て、よき形で成立させれば、日本外交にとっても実は有益になる、これは私のささやかな信念として考えております。

 ありがとうございます。

大口委員 今、青山参考人ならではの視点からの特定秘密保護法についての必要性、もちろん修正もしなきゃいけませんよという条件つきではありますけれども、御意見を賜ったと思います。

 次に、特定秘密につきましては、一応、我々の案では、三十年が経過しましたら、内閣の承認を得て、特にその更新が必要なものについてだけ更新をする、原則としては三十年で公文書館に全部移す、こういう提案を今させていただいています。

 そういう中で、では、これは百年たっても公開しないのか、六十年、八十年、百年と、そういうような御指摘も維新の会さん初め皆さんからいただいているわけです。

 そういうことで、内閣が承認できる場合をやはり限定列挙すべきだというようなことが青山参考人からもありました。私どもも、それもいろいろ工夫していかなきゃならないな、こう思っているわけでありますが、アメリカにおきましては、二十五年、しかし、五十年超で自動機密解除というのを、五十年あるいは七十五年という形でやれるようになっている。

 ですから、ある一定の事項以外はもう原則として二十五年でオープンにすべし、こういうことで、その例として、秘密の人的情報源、人的インテリジェンスの情報源、あるいは大量破壊兵器の開発、生産、利用に寄与することになるような情報開示、あるいは暗号、あるいは兵器システムの最新技術、あるいは作戦関係の計画、外国との関係、あるいは、大統領、副大統領、あるいは国家安全上の利益の観点から警護を要するその他の個人を保護することについての連邦関係者の現在の能力を損なうことになるような情報開示等々、いろいろ項目があって、この項目については、その二十五年の例外、あるいは五十年超の例外、七十五年の例外という形になっているわけでございます。

 こういう特定秘密の期間、三十年たちましたら原則公開でありますとか、ある一定の場合は更新を認める、ただ、その更新を認めるという場合、限定列挙すべきだということについて、前田参考人、我が党にも来ていただきましたけれども、お伺いしたい。そしてまた、青山参考人にもこの点についてお伺いしたいと思います。

前田参考人 お答えいたします。

 刑罰法規のことではございませんのであれですが、法的な感覚からいいますと、具体的に限定してというか、例示列挙にした方が明快になるというのはそのとおりなんですが、そこのところは、やはり結局は、法益衡量といいますか、どれだけ重要なものかというのと、それから、それが出てしまうとどういうマイナスがあるか、もう一つは、それを国民に知らせなければいけない必要性がどれだけあるかというバランスで、今まで出てきたような、情報源の人の名前とか暗号とかというのは類型化できるのかもしれない。

 ただ、それは、今まで御議論を我々が伺っていた範囲では、三十年で切って、内閣なりがそれなりのチェックをするという形で判断するというやり方で十分といいますか、あらゆるものをそういう具体的な例示として出していくというアメリカ型のやり方が日本の法制度としてぴったりかどうかというのは、ちょっと考え方がいろいろあり得る。

 もちろん、そうすると逆に曖昧性が伴うということなんですが、その判断の基準で、判断者に対しての信頼度とか、やはり文化の問題がありますので、私は、単純に全部を書き上げることがいいことだというふうには必ずしも思っていない。できれば可能なんですが。あと、動いていきますし、新しい問題も出てきますし、その辺の判断はあり得るんだと思っております。

青山参考人 お答えします。

 二点あります。

 一点は、永遠に秘とされる情報はあると考えています。

 例えば、情報提供者の氏名やその身辺情報。百年たったら、その人はもちろん生きていないだろうし、親族ももう入れかわっているからいいだろうという考え方は、考え方としてはあるようでいて、特に、例えばアメリカ社会と日本の違うところの一つは、名誉を重んじるということもあります。したがって、百年先には情報が出てしまって、しかも、逆に、百年たったときには、自分がなぜこの情報を例えば日本政府に提供したかということが恐らく非常につかみにくくなると思います。

 したがって、安定的に信頼度の高い情報提供者を確保するためには、あなたの個人情報、個人情報というのはいわゆる個人保護法と違う意味ですけれども、あなたの身辺の情報については永遠に公開することはありませんから日本国民のために例えば秘とされることを教えてくださいというのでないと、実際のインテリジェンスは機能しなくなります。

 したがって、永遠の秘密というのは存在しますから、逆に、最初に、この部分はいわば絶対の例外なんですということを非常に具体的に、細かく決めませんかと提案いたしたわけです。

 それからもう一つは、さっき言いましたとおり、日本にとっては新しい取り組みでもありますから、例えば、二十五年、それから五十年、七十五年というふうに細かく区切っていくというやり方は、僕は賛成できないです。

 あくまでこの法案は実務に供するものです。理念は、さっき言いました一のところに盛り込まれていて、それも日本にとって大切な変革ですけれども、実際に使うものですから、わかりやすく、一般の、関心がひょっとしたら薄いかもしれない人々にとっても、主権者ならわからなきゃいけないので、原則五年で公開するか、あるいは、三十年を過ぎても公開しない、永遠に続くか、わかりやすい仕分けにした方がいいと思いますから、細かくカテゴライズ、分類することは、僕は賛成できないです。

 ありがとうございます。

大口委員 ありがとうございます。

 三木参考人、防衛秘密についていろいろ研究をされたということでございます。

 防衛秘密は、公文書管理法の適用除外を三条でしているということですから、廃棄も防衛大臣ができる。これは、総理の同意は必要ない。今回、そういうこともありまして、私ども、特定秘密につきましては、これは公文書管理法の適用を受けるようにすべしということで、そうなります。その防衛秘密についていろいろ研究をされた中で、御示唆いただけるものがあればと思います。

 そして、西村参考人、これからサイバーの攻撃ということについてもいろいろ対応しなければならない、こういうふうに思っておりまして、そういう点で、この法案との関係で、やはり、サイバー攻撃に対して防御をするためにも、こういう方法が必要だということをお教え願えればと思います。

三木参考人 防衛秘密は、確かに、私、大分調べさせていただきました。

 おっしゃられたとおり、公文書管理法の適用除外ということで、その問題が明らかになってから、とりあえず防衛秘密についても廃棄を凍結ということになりましたので、出口のところについて、今、大出血状態だったものは一応止血はされたということで、それは大変前進だというふうに理解をしております。

 ただ、やはり、この間、公明党のプロジェクトチームで提供された資料などは、議員がホームページで出しておられたのでよく拝見させていただいておりますが、政府の説明によれば、管理のルールではなくて、廃棄と移管のルールだけ適用するということをずっと説明されていると理解をしております。

 記録の管理、特に廃棄と移管というのは、これは、公文書管理の中では、文書の作成と一体管理というのがあって初めて適切に廃棄と移管の判断ができるということを前提につくられているものです。現在の防衛秘密は、その前の段階の記録の管理、それから作成の部分について明確な法的なルールがないということが非常に問題であると思っています。

 防衛秘密は、この間、訓令ですとか、あとは事務次官通達による解釈運用基準とか実施要領とか、いろいろと見させていただいたんですが、記録をどう利用するかとか、どういうふうに物理的に管理するか、あとはアクセス管理をどうするかということには物すごく細かいルールがあるんですが、肝心の、記録としての一体管理というルールが全くありませんでした。

 例えば、大臣が決定権者で指定をされますので、大臣の手元にどのような記録が残るかというと、指定した秘密の事項の内容とか、それからあと、別表のどの号に該当するのかというものは残るんですが、例えば保存期間ですとか秘密の指定期間のようなものは、実はその記録簿には記載項目がないんです。局長級が持っている記録簿にも、明確に保存期間とか秘密の指定期間の記録がない。全体を見ていると、いろいろな登録簿や管理簿がございまして、幾つか重ね合わせるとどうもわかるようだというところまでしかやはりわからなかったんですね。

 ですので、秘密であっても、国民の知的共有資源としての記録の管理ということはやはり必要なのではないかと思います。

西村参考人 お答えいたします。

 サイバーに関しては、一つ問題になってくるのは、先ほどちょっと時間がなくて申し上げることができなかったんですが、民間企業との連携といいますか、それが非常に重要になってきます。というのは、当然、それはコンピューターのメーカーであるとか、あとインフラの部分、そういった企業とどれだけ特定の秘密を共有して守っていけるかという、その視点もぜひ考慮していただきたいなと思います。

 それと、繰り返しになりますけれども、サイバーの場合も、防御するためには、ノウハウとして、要するに攻撃するノウハウがないと防御できないんですね、こちらが攻撃するということではないにせよ。その辺が、もし、例えば防御を研究するときに、従来の、戦後日本のならわしで何らかの縛りがあって攻撃の研究ができないとか、そういうことになると実は防御もできないということが、特にサイバー空間においては非常に顕著であるということを、ぜひ御理解いただければと思います。

大口委員 前田参考人に、刑事法学者として、お伺いします。

 今、維新の会さんからもお話がありました。スパイ目的の場合は、違法な目的であるけれども、特定秘密を取得する行為の態様は問わないで罰する、こういう考え方もMDA法なんかにはあるんですが、私は、どちらかというと、そういう違法な目的だけで罰するというのはいかがなものかという感覚があるんです。どうしても法律家としてはそういう感覚があるわけですね。

 今、私どもが提案しているのは、この取得行為というのは、目的犯としてやる、要するに、ちょっと目的が広くなります。外国の利益もしくは自己の不正の利益を図り、または、我が国の安全もしくは国民の生命もしくは身体を害すべき用途に供する目的で、人を欺き、人に暴行を加え云々、そういう違法行為によって秘密を取得したと。

 こういうことで、目的を取得行為の全部に課するという形になれば、報道目的の場合は、手段が違法の場合は、住居侵入とか器物損壊とか、そういうものでは罰せられますけれども、取得行為では罰しないということを、今回、与党では提案をしているところなんですが、この点につきまして、前田参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

前田参考人 御質問ありがとうございます。

 目的で絞るか、ただ、目的の認定はやはり客観的な行為態様みたいなもので挙証していかなきゃいけないことにはなると思うんですが、一つのやり方だとは思います。

 ただ、それは御判断で、各政党間の調整だとは思うんですが、今までのものの態様を動かしてまでそこの目的規定を入れるメリットがどこまであるかなと。あと、やはりさっき申し上げたことなんですが、今まで積み上げてきたものを動かすと、法律の構成要件というのは穴ができる可能性もありますので、ちょっと時間がかかる。ただ、余りそこのところに時間をかけるだけのメリットがある修正なのかという感じが、私は、法文自体は勉強を十分していないのですが、伺っていて感じました。

大口委員 時間になりました。ありがとうございます。

額賀委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野県の井出庸生と申します。

 きょうは、四人の参考人の皆様、お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 我々みんなの党としましては、国家に秘密としておかなければいけないものは確かにあるだろう、しかし、秘密というものは、時に歴史として公開をされて検証される、その公開と検証の仕組みもしっかり担保していくことが必要だ。今、修正の議論もやってまいりましたが、法的な枠組みをしっかりつくる、それとともに、法律の厳格な、多くの方に不安を与えないような慎重な運用もしていかなければいけない、つくっていかなければいけない、そういう思いでおります。

 きょう最初にお伺いをしたいのは、今、この法案については、大変私のもとにもたくさんの不安のメールをいただいておりますし、ファクスなんか、本当に物すごい数をいただいております。この審議も見た上でファクスをいただくような方もいらっしゃいます。そういった状況を踏まえれば、今、国民の皆様の理解をまだ得られていないのかなと受けとめております。

 そういった中で、青山参考人からは先ほど、アメリカ寄りの発信をし過ぎているのではないかと、拉致問題の実例を挙げて、法案の必要性のお話がありました。

 この法案に肯定的な御意見を最初に述べられた西村参考人と前田参考人にお伺いをしたいんですが、なぜ今この法案がまだ国民の理解を得られる状況に至っていないとお考えか、それぞれのお考えと、そこにどう説明をお二方だったらされるのか、それぞれちょっと端的に教えていただきたいんですが。

西村参考人 お答えいたします。

 まず、国民の不安が大きいとおっしゃいましたけれども、実際に先生のところには、そのような、みんなの党が修正協議に応じているというニュースをもとに、そんなことはやめろというようなメールとかファクスとか、そういうものが来ているんですか。(井出委員「来ております」と呼ぶ)ああ、そうですか。それは個人の方から来ているんですかね。あるいは、何か組織的な動きでもってそういうものが来ているのかどうなのか。

 その辺、ちょっと私はあずかり知らぬところですが、国民の理解が余り得られていないと先生御指摘になったんですけれども、私、その一番大きな原因は、ちゃんとこの法案の中身が伝えられていないからだと思います。

 というのは、例えばテレビの討論会にしても、大体出てくるのは、討論会ではなくてもニュース番組にしても、反対派の人しか話しません。それで、何と言っているか。これは治安維持法の復活ですよ、国民の知る権利が、メディアの知る権利が侵害されるんだ、それだけですよね、言っているのは。それだけ聞かされれば、しかも根拠なしにそういうことを聞かされていれば、自然にそういうように思う方がふえるということは仕方がないのではないかなと思いますね。

 ですから、問題なのは、この法案の中身をきちんと説明することだと思いますし、なぜ今必要とされているのかという先生の御質問にお答えすれば、それはまさに今、日本は本当に、先ほど申し上げたように、独立した、自立した主権国家として、独立国家としてやっと歩んでいけるんじゃないのかな、そういう時期に来ているからこそ必要とされるのではないかと私は考えております。

 ですから、青山参考人がおっしゃっていた、アメリカ寄りになるのではないか、そういう危惧といいますか、そういう意識は当然持たなければいけないと思います。しかし、その上で、やはり日本がちゃんと二本足で歩いていけるようになる、その第一歩になるのではないかなという気がしますね。

 先ほど最初の意見陳述で私が申し上げたときに、果たして日本は独立国家なのかということを申し上げたという記憶があるんですけれども、なぜそんなことを言ったかといいますと、国家としての秘密を、つまり国家機密を守るような法律すらなかったということは、これはやはり国家として独立はしていなくて、どこかの国の属国かあるいは自治領にすぎないのではないか、だからそれで済んでいたのではないのか、そういった疑問が出てきてもおかしくないと思うんですね。

 しかし、もうそういう時代ではなくなっている、それがこの十年間の国際環境の変化でもあるわけです。

 以上でございます。

前田参考人 御質問ありがとうございます。

 私も実感として、マスコミの数字なんかを見ていると反対もあるという感じなんですが、そういう感じがしないんですね。

 秘密保護関連のことというのはずっと長く実は動いてきて、私は直接は麻生内閣のころからいろいろお手伝いしていて、あのころの風とは全然違うと思いますね。パーセンテージでいいますと、今の日本の治安はいいですかと思ったときに、七割の人が不安だと言っても、大きな流れから見ると今は、要するに、そういうアンケートのとり方で数字はかなり動いてしまいます。

 その中で、やはり今の状況は、ずっとこの問題におつき合いしてきた関係から見ると、風向きが変わってきた。それは、根本のところは、るる御説明があったような拉致問題とかいろいろな肌で感じるようなものがあるし、尖閣の問題が何だとかという話もあると思います。やはり、国家が秘密を保持して国民を守る、守ってもらう主体としての国家という意識、それだけが強調され過ぎてもいけないんですが、そのバランスが変わってきたと思います。

 その意味で、今でも圧倒的に逆風が吹いていてこの法案をというよりは、マスコミの論調なんかも、今は、審議が不十分だから今国会では決めるのをやめて延ばしたらどうかというような感じの議論が一番強いですよね。だけれども、初めは全然違っていた。ただ、それは、やはりマスコミの側も世論のそういう全体の大きな流れは認めざるを得ないようになってきているんだと、私は、これは個人的な私の見方が入っていますけれども、考えております。

井出委員 ありがとうございます。

 では、きょう、この法案に対して否定的なスタンスでさきにお話しいただいた三木さんにお伺いしたいんですが、三木さんはもう長い間情報公開に取り組んでこられたということは私も承知をしているんですが、三木さんが情報公開に取り組まれようと思った何かそのきっかけというようなものを簡単に教えていただきたいんですが。

三木参考人 ここで個人的なことをお話しすることになるとはちょっと思っておりませんでしたが、私がなぜ情報公開にかかわるようになったかと申しますと、これは自分の問題から始まっております。

 私、受験生のときに、受験生までさかのぼってしまうんですが、大学入試センター試験というものを受けまして、あの得点を本人に教えてくれないという仕組みがどうしても納得できなくて、当時、国には行政機関個人情報保護法というものがございましたが、教育と医療が本人開示請求の対象外ということがございまして、国に請求ができなかったんですね、大学入試センターに。それで、たまたま私、公立大学へ進学をいたしまして、公立大学に行きますと、自治体の個人情報保護条例というものがございまして、自分の得点について、自分の通っている公立大学の自治体に対して開示請求ができるということを知りまして、大学へ入ってすぐに本人開示請求をしたというのが実はスタートでございます。

 不開示になりまして、在学中に不服申し立てをし、さらに在学中に訴訟にまでなりまして、十数年かけて最高裁で上告不受理ということで決着をつけまして、私は敗訴をしておりますが、途中で情報公開法の施行などがございまして、国公立大学については入試情報の本人開示というのが始まりましたので、裁判では負けましたが、制度そのものはこちらが望ましい方向には動いたというところから、情報公開や個人情報もそうなんですが、情報を知るということ、あるいは知らされないことをちゃんと追及していくということが、やはり社会や仕組みをよくするためにとても重要であるということを、実は身をもって経験したというのがスタート地点でございます。

 以来、情報公開や個人情報、あるいは公的機関における情報公開をどうやって進めるか、進めることによって個人個人の権利がより保障されるようになるんじゃないかという信念を持って活動しております。

井出委員 ありがとうございます。

 私もセンター試験のときに、そういうことに気づかず、私は至らなかったなと今思っておるんですが。

 それで、長い間三木さんが情報公開に取り組まれてきて、日本の情報公開のあり方、いろいろお考えはあると思うんですけれども、今、民主党さんの方から改正案も出ておりますが、日本の情報公開、ここをまず、ここだけは変えるべきだというものがあれば、一、二点教えていただきたいんです。

三木参考人 先ほど、非公開規定についてはやはり合理化をどんどん図っていくべきである、非公開範囲の合理化が必要であるということを申し上げさせていただきました。

 それから、制度を使う観点からいうと、実は、日本の情報公開制度はそんなに使いやすい仕組みではないんですね。開示請求するときに三百円の収入印紙を張らなければいけないという問題もありますし、あと、これは多くの請求者の方が経験するんですが、コピー代も収入印紙での納付になるんですね。そうすると、十円単位の収入印紙というのを購入しなきゃいけなくて、この十円単位の収入印紙というのがそこら辺の郵便局では売っていないという問題がございまして、結構大変な思いをしたりという意味では、実は、そんなに請求者にとって使いやすいというわけではないんです。

 なので、やはり手数料の問題ですとか、それから、請求手続についてはより迅速に簡便にという、要は請求者にとって使いやすい仕組みにしていただくというのが、まず私がお願いしたい第一点でございます。

 それから二点目としては、やはり、非公開になった場合の権利救済というのをしっかり充実していただくというのがとても大事だと思っています。

 現在、情報公開・個人情報保護審査会というところで不服申し立てを審査するという手続と、それから訴訟という手続と、二つの救済手段がありますけれども、審査会も運用上いろいろと問題がございます。司法においても、非公開文書を見ずに裁判官が原告、被告の双方の主張をもとに公開、非公開の妥当性を判断するということがございますので、やはり、実際に非公開文書を見て審理をするインカメラ審理というものはぜひ導入をしていただきたいというふうに考えております。

 その二点について、ぜひ、今回、改正情報公開法案が提出されておりますので、皆様で御審議いただければと思っております。

井出委員 ありがとうございました。

 秘密保護法の方にちょっと話をまた戻しまして伺いたいんですが、今までの皆さんの御意見、また私も今までいろいろ考えてきたんですが、今回、知る権利という問題が出ております。私は、こういう言い方が正しいのかどうかあれですが、先ほど西村参考人のおっしゃった西山事件によって、取材のやり方というものが最高裁判例で一つ基準がつくられたと思っております。ですから、特定秘密保護法案があってもなくても、その一つの基準というのがあるのかなと思っております。

 特定秘密保護法ができて、知る権利との絡みでいえば、やはり罰則、懲役の十年というところが一つ変化かなと。秘密の範囲に関しては、今回で限定されるんだという御意見もありましたし、また不明確だという御意見もいただきましたが、その十年のことについて前田参考人にお伺いをしたいんです。

 国が持っている情報で、今までの議論で、政府はそういう違法性のあるようなものは指定はしない、そうは言っているんですが、過去の歴史を振り返ってみれば、一〇〇%そうなのか。それは日本によりませんが。

 私は、窃盗罪や企業秘密を漏らす、それで懲役十年になるのと、本当に故意犯、悪意を持って国の情報を漏らすというのであればそれは同等でもいいと思うんですが、何か国家公務員の方が、これはちょっとおかしい、問題がある、義憤に駆られてそういう情報を出すということを考えると、そこは知る権利の部分なのかなと思うんですけれども、その十年という量刑についてはもう少し議論があるべきではないかなと思って、これまでもいろいろなところで問題提起をしてきたんですが、前田参考人に改めて御見解をいただきたいと思います。

前田参考人 御質問ありがとうございました。お答えいたします。

 おっしゃるとおり、義憤に駆られて違法な情報をというのはよくわかるんですが、一つは、全員十年にすると言っているのではなくて、極端に重いのが十年、最高で十年ですね。それと、今回、特定秘密という、国防とかそういう特殊、重要なものだけを選んで十年にして、ただ、それ以外のもので、行政の秘密、国家公務員が知り得た秘密は依然として一年以下で処罰するわけですね。その中にはいろいろな秘密があって、外務省のものはそれでやったわけですけれども。こんな密約、国民にとって出すのは当然だと。

 ただ、先ほどおっしゃったように、最高裁の判例が確定して、意見はいろいろありますけれども、ああいう内容であっても、ああいうとり方をしたらアウトだというのはもう確定したわけですね。もちろん、最高裁の判例でも不満をおっしゃる方はいるけれども、司法の世界では固まっているわけですね。今だってマスコミは、一部は、いや、西山事件のあの判決は間違えているみたいな報道もされる。それは自由なんですが、やはり立法をするときの前提事実として、今回の法文も、ほぼあれに倣って、ここまでのことをしなければ処罰しませんということを明示したというのはかなり異例のことで、処罰範囲を限定されたんだと思います。

 刑の重さに戻しますと、普通の、今おっしゃったような、仕事を公務員としてやっていて、これは国民に知らせなきゃおかしいという程度のものはいっぱいあると思うんですが、それを全部やっているわけではなくて、実質的な考慮をして、運用をして、最高裁の判断まで行って。特定秘密というのはそれとは別枠で、非常に明確に類型を決めて、この別表にあるものないしはそれと同等のものに限って十年、しかし、十年も上限だということなんですね。

 もちろん、なぜ最高十年までにするかといえば、いろいろるる御説明あったように、それは、共有をしなければいけない外国とのバランスからいっても、国をその根底から揺るがすような秘密を漏らしていいんですか、それが一年なんですかという批判に応えるために十年になって、どんなものも全部十年にしているわけではないということなんだと思います。

 ただ、私も、十年の重さが絶対的にいいかどうかというのは、もちろんそんな申し上げられる立場ではない。ただ、今までの比較からいったら、そんなにおかしくないですよ。少なくとも、御疑念のような、重過ぎるのではないか、ちょっとしたことで十年になっちゃう、それはやはり違います。そんな、ちょっとしたことで十年ということはあり得ないです。

井出委員 ありがとうございます。

 時間になってしまったので、終わります。本当にきょうはありがとうございました。

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、四人の参考人の先生方、本当に御苦労さまでございます。

 三木参考人に伺います。

 秘密保護法案については、審議の前提として、その立法経緯について明らかにすべきであり、有識者会議報告書がつくられるその過程の文書を開示すべきだと求めてまいりました。ところが、開示された資料の中には真っ黒な資料が多数あり、これをお墨つきというのかどうかわかりませんが、有識者会議の議事録は作成さえされていませんでした。

 法案の経緯についての説明責任が果たされていないと私はそのとき思いましたけれども、この点について、参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

三木参考人 ありがとうございます。

 私自身も、立法経緯については、やはりこうした法案は運用状況をチェックするというのがかなり難しいという前提で考えざるを得ないと考えておりましたので、立法政策過程というものの情報公開は私自身も求めてきております。

 有識者会議については、民主党政権下でございますけれども、資料の一部が真っ黒に塗られているというのと議事録が未作成であるということで、議事録については、先月だったと思いますが、私、不服申し立てをしておりまして、審査会より不存在妥当という答申をいただきまして、内閣総理大臣の裁決もいただいております。

 それからあと、旧自公政権時代と言ったらよろしいのかどうかわかりませんが、二〇〇八年から、検討チームと作業グループというのが設けられまして、秘密保全法制の検討というものがされておりますが、それについては、さらに、基本的な考え方という取りまとめ内容そのものも非公開でございます。私、訴訟をしておりまして、十月の二十四日の日に第一回口頭弁論がございまして、これについて、情報公開法の解釈の問題としてしっかり争おうと考えております。

 ただ、今回の法案については、先ほど、防衛秘密のことをよく理解した上でつくったのかということを申し上げましたけれども、やはり、どういう枠組みとどういう前提で議論してきたのかというのが全く見えないところでございます。その中で法案が出てきているというところで、どういう枠組みで何を決めようとしているのかということのプロセスが見えないところが、やはりこの法案に対する不安なり不信感の大きな原因になっているというふうには思いますので、そこの情報公開の不十分さも指摘しておきたいというふうに思います。

赤嶺委員 今、防衛秘密のことをおっしゃっておられましたが、その防衛秘密やあるいは特別管理秘密に関して幾つか情報公開活動を行ってきた、このように承知しております。

 三木参考人が配付された資料の十二ページに、先ほど御説明がありましたけれども、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落にかかわって、「川口大臣とパウエル国務長官の電話会談」という何でもない文書が、極秘そして無期限指定されていることに実は驚きました。

 けさ、私は外務省に質問をしたんです。外務省というのは、秘密の取り扱いについて、外務大臣に一切見せる必要もなければ、指定の際に相談する必要もなければ、とにかく、局長クラス、課長クラスでどんどんどんどん秘密が膨れ上がっていくと。防衛省において、事項については防衛大臣に見せるというお話でしたが、それ以降、秘密の指定が膨れ上がっていっても、防衛大臣が一つ一つの生の秘密資料について見ているわけではない、こういう答弁をいただいたわけです。

 防衛秘密などの秘密の指定の現状、これについて、三木参考人、どのように考えておられるのか、御意見をお伺いしたいと思います。

三木参考人 防衛秘密という法定事項と、内部ルールに基づく、外務省なんかは省秘ということになると思うんですが、それはやや、かなり風景が違うとは思うんですが、基本的な構造はそんなに違っていないのではないかと考えています。

 それは、防衛秘密に関しては、確かに決定権者は防衛大臣でございますが、実際に防衛大臣が一枚一枚、秘密指定に該当するかどうかを見て判断するという形には、形式上はやはりなれないんだと思います。なので、決定権者としては防衛大臣ということにはなっておりますが、実質的には、局長級ですとか、一定の役職級以上の職員というかスタッフに一定の権限が事実上あるということだと思います。

 それから、外務省に関しては、秘密指定について、かなりいろいろな方に権限が委譲されている。極秘については秘密管理者、秘については秘密管理責任者ということで、いろいろと規定等を見ると、どういう人が該当するのかというのが書いてあります。

 基本的には、防衛秘密も外務省の省秘も、決定を事実上行っている人については構造的に一緒だと思うんですが、では誰がそこの適正性を担保するのかということについては、特に規則等を見ても何も書いていないということなので、誰が全体を統括してちゃんとしたグリップをきかせているのかということがわからないというところで、やはり秘密の管理というかマネジメントは極めて不十分なまま、事実上の必要性で秘密指定がされているというふうに理解してよろしいのではないかというふうに思っています。

赤嶺委員 その中から特定秘密を指定するといっても、どんどんどんどん膨れ上がっていくという構造になっているんじゃないか、その辺の問題をお伺いしたいんですが、今回の法案の最大の問題の一つだと思うんです、政府が勝手に秘密を指定する仕組みであります。

 法案の別表の事項がありますが、これは、政府は、この事項を挙げたことによって限定列挙しているんだ、このように言ってきました。

 しかし、例えば防衛に関する事項を見ていくと、およそ、自衛隊の運用に関すること、防衛に関して収集した情報など、あらゆる情報が指定可能になっていく、このように思います。当委員会の議論の中でも、防衛に関するあらゆることが秘密になり得ることが明らかになってきました。

 過剰な秘密指定が行われることは容易に想像されますが、この点、やはり重大な問題だと思います。この点についての御意見はいかがですか。

三木参考人 これは法律の専門家の方が適切なことをおっしゃれるのではないかと思うんですが、私が少なくとも理解している範囲では、法律に限定列挙という形で列挙しますと、そこから漏れると逆に指定ができないというような制度のつくりに結果的になるということでございます。例えば防衛秘密に関しては、包括的に自衛隊活動が含まれるように列挙しておかないと、そこから漏れたものについては秘密指定ができないという構造になりますので、結局はかなり包括的な分野と事項の列挙になってしまうという問題が、そもそも法律制度の限界としてあるのではないかと考えています。

 そうしますと、やはり事実上の指定を決めているのは、著しい支障のおそれ、そういう要件になってくると考えています。そうしますと、そこをどう判断するのかということそのものが適正に判断できる仕組みにしていないと、もともと分野や事項ではそんなに限定をしませんので、結局膨らむ可能性があるというところがやはりすごく大きな問題ではないかと思います。

赤嶺委員 別表の分野と事項で限定されているという政府側の説明がありましたけれども、けさ私も質問をして、また今の三木参考人のお話も伺って、これは何の限定にもならないということがよく理解できました。

 この法案の検討経過の情報公開も不十分ですが、全体として、三木参考人の資料の最後のページにありますが、「情報公開法VS行政文書ファイル数」、非常におもしろいものを見せていただいたんですが、ここで示唆されていること、政府の情報公開の現状、これは国民の知る権利に応えるものにはなっていないのではないか。その上に、今回の法案であります。

 情報公開を推進してきた立場から、この法案が成立すると情報公開の活動にどのような影響が出るとお考えでしょうか。

三木参考人 時間がなくて飛ばしてしまいましたが、最後に「情報公開法VS行政文書ファイル数」というのをあえて載せさせていただきましたのは、二〇一二年度、平成二十四年度に関しては約十万一千件の情報公開請求があるのに対し、二〇一一年度現在で行政文書ファイルの総数は一千四百六十七万二千七百五十七件である。実は、情報公開請求が多いとか処理が大変と、いろいろと政府の側からお話も聞こえてまいりますけれども、実際には、情報公開請求は、政府が持っている情報からすると、ごくごく一部にしか及んでいないということは言えると思います。

 この法案が仮に通ったとしまして、情報公開請求そのものにどのような影響があるかということについては、なかなか予測がつかないところはございますが、基本的には、非公開の範囲の中で特定秘密があるという前提で動くのであれば、非常に見えにくい形でしか私たちは認識できない可能性はあると考えています。

 それからあと、この間、情報公開請求を特定秘密にすると捕まるのではないかという懸念をおっしゃる方が大分おられます。私は、それで捕まってはたまらないというふうには思うんですが、ただ、そういう意味での自主規制とか抑止効果のようなものを不必要に生んでしまう可能性があるということがありますので、やはり特定秘密についても一定の運用上の公開性、透明性みたいなものを担保しない限りは、自主規制を生むのではないかということを強く懸念しております。

赤嶺委員 ありがとうございました。

 それでは次に、前田参考人にお伺いいたします。

 前田参考人は、この法案は時間をかけて検討されてきており、拙速という批判は当たらないのではないか、このようにおっしゃいました。

 しかし、国民の側から見ると、九月三日に法案概要が示されて、具体的な法案は十月二十五日に初めて明らかになったわけですね。最高刑十年という重い刑罰が新しく設定をされ、そして、国民の権利義務に極めて重大な影響を及ぼす法案であるにもかかわらず、立法過程における有識者会議の議論や省庁関係の議論も全く明らかにされていないわけです。そのため、国民の多くが慎重審議を求めていると思います。

 このような状況で今国会で成立を図るというのはまさに拙速ではないかと考えますが、先生の御意見を伺いたいと思います。

前田参考人 御質問ありがとうございました。お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、従来、私は国会のことはそんなに詳しくないので、ほかの法案の同じようなものと比べて審議の時間がどれだけかかったか、それが短いか長いかということはにわかに申し上げにくいところはあるんですが、ここ一連、パブコメの関連とかいろいろ見せていただいて、議論をして、その後、マスコミでも報道されたもので各党間の折衝とかいろいろ見ておりますと、やはりポイントになるところに関してはかなり議論されている。

 先ほども御指摘がありましたけれども、マスコミは物すごい数を報道しておりますが、この法案の中身について詳しい説明がどれだけあったかというのは確かに不十分なところはあるかもしれませんけれども、九月の頭からこれだけ時間をかけて、それではあとどれだけやれば審議を尽くしたことになるんですかということだと思いますよ。

 実質的に、あれだけ議論して、現にきょうも真剣な御議論をいただいて、みんなの党さん、維新の会、いろいろお考えなんだと思うんですね。それはやはり非常にポイントをついたところで折衝されておられると思います。ただ、大きな流れとしては、今の日本の状況で、こういう特定秘密みたいなものを国民の利益のために法律で守らなければいけないという方向性は大方固まってきている、我々が見ていても。

 そうすると、具体的な議論として、いや、そこが揺れていれば、そこが世論調査や何かのところで過半数が、この中身、やはりまだ日本が秘密保護をするのは早過ぎるというような議論がかなり出ていれば、早過ぎるという議論はよくわかるんです。だけれども、全体状況がある程度固まった中で、あとは、秘密の年数を何年にするかとか、どこまで入れるかというような議論になってきますと、もう収れんする方向に向かっていると我々は見ております。

赤嶺委員 法案の中身が国民にとってわかりにくいのは、森大臣、審議が始まるときに明快な答弁をして、法案審議過程の黒塗りの資料、すぐ開示しますと。この委員会におられた先生方はみんなその答弁を聞いておられるんですが、きょうに至るも開示されていない。やはり、法案の中身を知りたくても知れない、黒塗りの資料ばかり出されると、議論が煮詰まったと言われても果たしてそうなのかと思う。だから、今国会はやはり成立させるべきではないという人が七割、八割にも、けさの産経新聞なんかにも出てくる。

 私たちは、やはり徹底した審議という意味では公聴会も地方公聴会も開くべきだ、このように思っているところでありますが、この点は先生の御理解も、まだまだ審議は必要なんだという御理解をお願いしたいと思います。

 それで、もう一問御質問したいんですが、刑法は、先ほど先生の方からもお話がありましたが、国民の権利である私的行動の自由を守るために、何が犯罪行為となるのか成文法によって明示するというのが大前提になっています。国民にとって何が秘密かわからない、そういう状況で処罰対象とされるのは刑法の大原則に反するのではないか、このように考えます。

 参考人は、何が特定秘密かは別表に明示されていると言われましたが、先ほどもちょっと私、意見を申し上げましたが、別表の「一 防衛に関する事項」「イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究」、事項というのは極めて曖昧な規定であるわけですね。この間の政府答弁でも、およそ自衛隊のあらゆる活動が指定の対象となる可能性があることが明らかにされました。

 こういう状態で、どうしてこれが明確性が担保されていると言えるのでしょうか。参考人の御意見を伺いたいと思います。

額賀委員長 前田参考人、質疑時間が来ておりますので、簡潔に明確にお答えください。

前田参考人 わかりました。

 先ほどもこれは触れたので、では一言であれですけれども、特定秘密は、その土台になる秘密というのがありますね。これは実質的に秘密として保護に値するようなもので、明快だと最高裁は言っているわけですね。今回はそれをさらに絞って、ああいう条件のものを特定秘密としていて、今までの広い秘密が明快で、今回、特定の具体的に絞ったものが不明確だというのは論理的に成り立たないと思います。

赤嶺委員 どうもありがとうございました。

 政府は秘密が多過ぎて、特定秘密以外の、外にあるのも本当に秘密だらけであるということを申し上げまして、やはり徹底審議、公聴会、地方公聴会も開くべしということを申し上げまして、参考人への御質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーと申します。

 私で最後の質問になりますので、二十分間、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、十月十五日に今臨時国会が開会し、NSC法案は十月の二十五日から審議に入り、十一月七日までの九日間、そして、本特定秘密保護法案は十一月八日から審議入りして、きょうで七日目です。二回目の参考人質疑ということで、きょうはいろいろな御意見をお伺いしておりますが、まず最初に、西村参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 きょうは、参考人の皆さんの御意見を拝聴しながら、私がここは聞いてみたいなということを少し書き取ったんですが、この資料の中から、やはりこの法案の内容を国民に対して十分説明することなんだ、その時間が足りないんだということをおっしゃっていました。そして、メディアでは、ある意味でいうと、この法案が成立するとマイナス面が誇張されて報道されているんだということですが、一方で、参考人からのお話では、一色さんの例をとりまして、メディアに対する信頼度がないのでユーチューブに載せたんだというふうなことで、大変、私は、メディアの中におけるいろいろな構造的な問題がそこにはあるんだろうというふうに思うんですね。

 ですから、決してメディアというものを一面的に捉えるのではなく、いろいろな角度から、なるほど、そういうふうな捉え方をしなくてはいけないのだなというふうに思いましたが、その中で、やはり独立国家として国家の秘密を守るということは、これはもっと広く国民に知らすべきではないかという御意見でした。その御意見について、改めてお伺いしたいと思います。

西村参考人 お答えいたします。

 今、先生御指摘のように、情報回路が大きく変わっている最中なので、今の御質問にもあったように、一元的な見方でメディアを捉えることができなくなっていることは確かです。

 従来の既存の大メディアと小さなメディア、しかも、媒体の種類が電波あるいは紙というものだけではなくて、もっともっと多種多様なものがそれぞれ複雑に絡み合いながら新しい情報空間をつくっているという状況ですので、その中で、要するに、私たちがいろいろな情報を得て、そして、ニュースにしろ政治の動きにしろ、あるいは外交の動きにしろ判断していく、そういう時代に今直面しているわけですね。

 ですから、その中で、特定秘密というものをどのように守っていくのかということが重大だということを申し上げたわけです。

 それで、一色さんの例は、要するに、もう自分が信頼して出せるメディアがなかったので、そこでユーチューブに投稿したということなわけですね。それは、御指摘のような、その構造の変化というものを、現場の海上保安官が、実際の現場の厳しさを知って、それと、そのときに国民に伝えないものを、伝えられなかった、本来だったらば時の政権が伝えていればよかったんでしょうけれども、それができなかったというもどかしさから、どうしても多くの国民に事実を知ってもらいたいということで出した映像だったと思います。

 ですから、これからもそういったせめぎ合いが起こるのだと思います。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 国民に知らせるための手段であるということを考えると、メディア、ひいてはジャーナリズムの、やはりこれからの、もっと政府が持っているものを政府がしっかり出していくという方向性が正しい方向性ではあるんですけれども、では、そのジャーナリズムは、国民に対してどのような方向性を見せるのかということについて、今度は青山参考人にお伺いをしたいと思います。

 この法案でもやはり、ジャーナリズムでどのように受けとめるといいますか、いわゆる情報を収集するための活動が、さまざま、ここでは雑則規定で置かれていて、しかし、それは条文の中でも、十分配慮するというふうな、少し曖昧な書き方ではあるんですが、それが入っているということで、これもまた二つの論があるわけですね。いいと言う方と、それを入れちゃだめだと言う方がいます。一方で、これが最も聞きたいところと申しますか、情報を知らせなければという、いわゆるジャーナリズムの使命感というものは、私は、国民にとっては物すごく大義のあることにもなると思います。

 私は実は沖縄県選出でございまして、沖縄には、先ほど赤嶺政賢委員からも話がありましたが、さまざまな外交文書、これが文書ではなく公電であったり、あるいは電話でのやりとりであったり、その記録が残っているはずなのに開示されないということを、やはりどうしても、これをもとにして、両国間の関係、その中で国民に知らせるべきものは知らせるべきだというジャーナリズムの、ある意味でいいますと、私は真髄に近いものがあるのではないかと思うんですね。

 この法案について、罰則規定が置かれている、しかし、一方で、やはり国民には知らせるというジャーナリズムがあるんだということにおいて、この法案に対する考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

青山参考人 現在の私はシンクタンクの社長として実務に携わっておりますので、ジャーナリストという立場ではありませんが、一民間人として、ジャーナリストであった記者時代、そして実務者の今も、もう一回言います、一民間人ですけれども、国際社会の中でも情報、インテリジェンスとそれなりのかかわりを持ってやってきました。

 今、玉城先生御指摘の沖縄について言いますと、記者時代、外務省を担当し、そして現在は、普天間の問題も含めて、沖縄をよい方向に持っていくためにはどうしたらいいかということを、一民間人として勝手に動いているわけですけれども、特に、残念ながら、外務省においては、はっきり言うとどうでもいいものが全部秘にされていて、これはむしろ公開した方が、つまり、日本外交として、一九七二年の沖縄返還まではどうで、返還以降こうだったということを明示した方がむしろ日米交渉もやりやすくなると幾ら申しても、本当にくだらないものまで全部秘だ秘だとなっているわけです。

 そのことからすれば、これはあえて申しますが、空理空論じゃなくて実務の立場からいえば、守るべき秘はこうであって、それを漏らした場合はこういうことが起きるということを明示された方が、少なくとも、現在まで続けてきた私なりの、一民間人、一国民としての情報活動からしたら、楽になるだろうと思っています。

 もちろん、それなりに難しいことが出てきます。ただし、アメリカを初めとした、インテリジェンスや情報について非常に厳しい国々でも仕事をしてきましたけれども、うろんなことを言うようですけれども、こちらの志、つまり目的がはっきりしていれば、長い長い時間と労力はかかります、水面下での努力は必要ですけれども、一定の情報は必ず出てきます。日本のように、さしたる基準もなく、目の前の官僚たちの保身だけで何もかも秘にされているのと比べると、こうやって、少なくともファーストステップで、これが国家にとっての情報なんですと明示された方がはるかにましになるということも感じております。

 特に沖縄をめぐっては、まさしくそのとおりだと思います。これをもって、いわば、情報は本来は五年をもって公開とするということも行われるはずです。

 その意味では、きょう、しきりに修正の必要を申しましたけれども、現在の法案の、特に雑則のところで、例えば国民の知る権利を担保し、それから不当に拡張解釈はするな、報道の自由は守れということが、一応、精神論のような規定ですけれども書かれています。そこに、もう一段踏み込んで、先ほどの、違う先生の御質問にも答えましたけれども、大手メディアのイメージの報道だけではなくて、例えば沖縄の一県民が知りたいと思ったことについて、その目的が日本国沖縄県の前進につながり、あるいは尖閣を守ることにつながるという目的が最終的に確認されれば、実はその情報を得たこと自体は罰せられないという、一段踏み込んだ雑則規定が僕は必要じゃないかと考えています。

 ありがとうございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 正直申し上げまして、私たち、私たちという言い方は語弊があるかもしれませんが、少なくとも私と考えを同じでいる立場の人たちは、この情報があるかないかによって身の危険を感じるか感じないかということが、本当に毎日の生活の中にあります。

 頭上から、当然ですけれども、米軍の爆音、けたたましい爆音をまき散らして飛び立ったり着陸する、そういう戦闘機が毎日飛んでいる中で、子供たちをどうやって育てていこうとか、あるいはこの地域をどうやって発展させていこうという以上に、命や安全の危険がすぐ横にある、それに関しての必要最小限度の情報はやはり欲しい、持ちたいというのが国民の本当の思いであると思います。

 そういう意味では、本法案の中で別表に掲げている一号から四号までの項目がありますけれども、その中でも、やはり広げ過ぎではないかというふうな話もあり、いや、これは妥当なんだという意見がある。私は、まだまだ審議は足りないというふうに思うんですね。

 先ほど申しましたけれども、十一月八日から始まって、たった七日間です。七日間で機が熟しているとは、私は到底思いません、感じません。なぜなら、まだ私たちが明らかにしたい政府の答弁は山ほどあるわけです。それをきちんと国民に出さないから国民の不安は八割方あるんだという、きょうに至ってのこの現実ですから、そのことにおいては、私はもっと情報公開もしっかりしていくべきであるというふうに思う次第です。

 では、済みません、三木参考人に、その情報公開の専門として、お話を聞かせていただきたいと思います。

 きょうは、このたくさんとじていただいた資料を、本当は一枚一枚全部、説明を聞いていきたいところなんですが、その中で、やはり、せんだって防衛省が三万四千点の文書を廃棄したという問題は、私は看過できない話だと思います。

 そこで、これは三ページにありますが、政府の説明責任を想定していない法案であるということと、次の四ページの、記録の管理とアクセス管理を混同しているんだということについて、お話を聞きたいと思います。

 公文書管理法の適用除外、これは自衛隊法の防衛秘密なんですが、解除ではなく廃棄の運用になっている。つまり、適用がもう外れましたよといったものは、それを解除ではなくて廃棄に持っていく、解除したらオープンにしないといけないという方向ではないということかと思います。

 これは、私も実は委員会の質問の中でも、いつになったら解除して、いつになったらそれを公開するんですか、それはいつですかということを繰り返し聞いているんですけれども、大臣の答弁ですと、情報公開法で特に歴史上重要なものであれば公文書に移管するんだという言い方をするんですが、それ以外のものについては、知らせるかどうかということは実は明確に言わないんですね。

 そういうところが、私は、記録の管理とアクセスの管理の混同ともなっているのではないかというふうに思います。この政府の説明責任について、ぜひ見解をお伺いしたいと思います。

三木参考人 政府の説明責任ということを考えますと、やはり記録なくしては客観的に説明責任が果たせない、そういう構造にあると考えているんです。それは、もちろん口頭での情報提供とか、そういうことも説明責任の一端ではあるとは考えておりますけれども、基本的には、やはり、客観的に記録されたものをもとにした説明責任というのが非常に重要であると考えております。

 防衛秘密については、私、なぜこういうことが起こったのかというのを、実は公文書管理法自体は二〇一一年度からの施行でございまして、廃棄等については二〇〇七年から二〇一一年の数字でございます。ですので、法施行後どれくらい捨てられたのかという厳密な数字というのははっきりはしておりませんが、ただ、構造を見ておりますと、秘密の指定期間と文書の保存年限というその関係が非常にはっきりしておりませんでした。秘密の指定期間に比べて文書の保存期間が短ければ、秘密指定を解除せずにそのまま捨てるということができるという構造であるということ。

 それから、これは防衛省に電話をして確認をいたしましたが、秘密指定したまま歴史文書化することができるのかということについては、できませんというふうに答えておられました。つまり、文書の保存期限が来たら廃棄ということ以外の選択肢はほとんど想定していないということが、そのやりとりを通じて理解をされたわけでございます。

 そのときに、歴史文書として重要かとか、後世、検証に付す必要があるかという判断基準が、その時点では防衛省には存在しなかったということでございまして、結果的には説明責任の源泉である記録が失われたということでありまして、そのようなことが二度と起こってはならないというふうに思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさに、検証せず、秘密が秘密のまま葬られてしまったということですから、その中には、国民に開示をしておけば、もっと国民の安全保障に関するいわゆる気持ちの醸成といいますか、国家に対するその醸成に恐らく寄与するものもあったのではないかと、私自身は前向きに捉えなければならないのではないかと思うんですが、しかし、なくなってしまったものはいかんともしがたい。これが、誰が責任をとるのかということを問われても、何に責任をとればいいのかということになってしまいますから、非常にあやふやな状態であったということは、これはしっかりやはり追及しなければいけないのではないかなというふうに思います。

 もう一点、参考人にお伺いいたします。

 過剰な秘密指定が深刻な問題を呼ぶということですね。これは、特定秘密情報漏えい等が発生した場合に取り締まりを行う範囲を、過剰な秘密指定が取り締まり範囲を拡大しているということで、これは政府の説明責任ではなく、逆に言うと、先ほど青山参考人がおっしゃったように、秘密の抱え込みの構造、何でも秘密にしておけというふうなことになってしまっている現状だと思うんですね。

 それが、やはり特定秘密に対しては、これですよということが明確になり、国民も、ああ、これは多分特定秘密かな、そうじゃないかなということが判断できるような、そういう基準はもっと明確になるべきだというふうに思います。

 この辺の問題について、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

三木参考人 秘密指定の仕組みをどういう枠組みで理解しているかということが、まず、とても大事なポイントではないかと考えています。

 それは、冒頭の意見陳述でも申し上げましたが、この特定秘密という仕組みができることによって、既存の省秘なり特別管理秘密なり、そういう仕組みがどうなるのかということは一言も説明をされていないというふうに承知をしております。

 つまり、特定秘密というカテゴリーをつくって懲罰の対象ははっきりさせますけれども、秘密指定という仕組みそのものは、もっとぼわっとした形で膨らんでいるわけでございます。そこをもって特定秘密だけ懲罰の対象をはっきりさせたからいいじゃないかという議論は、少し議論のスコープとしては問題があるのではないかと考えております。

玉城委員 その秘密指定、あるいはその周辺の割と膨らんでいる指定の部分に関しても、これからは、例えば、故意であれ過失であれ、その懲罰が重くなるということと、それから、当然ですけれども、未遂についてもこれからは罰せられるということが、この法案では明確になっています。

 前田参考人にお伺いをいたします。

 先ほど、前田参考人のお話の中では、資料の中では、国益、これは法益から見て、この十年、五年というのは妥当であるというふうに受けとめているというお話でした。

 ところが、自衛隊法でも現行法でも、漏えいに関しては五年というふうに、刑法の一年という、明治につくられた法律である刑法よりは、自衛隊法はやはり少し処罰を重くしています。

 私は委員会でも発言しましたが、最も重い処罰、公務員の処罰は、やはり免職です。それは、免職、降任、停職というふうに段階によって処罰があるんですが、最も重たいのは免職で、しかも、過去十五年間、五件の情報漏えいの事件が起こり、実刑判決はうち一件、懲役十カ月、あとの三件は懲戒免職、一件は退職です。自分で退職しています。それを考えると、決して情報漏えいについては意識は緩くないというふうに思うんですね。

 それで、なおかつ、やはりそういう刑罰を重くする方が、いわゆるグローバルスタンダード、情報提供国と肩を並べることになるんだということが、担当大臣からもそういうコメントがあったんですが、私は、決してそういう懲罰化で秘密が守られるものではないというふうに思っておりますが、参考人の御意見をぜひお伺いしたいと思います。

前田参考人 御質問ありがとうございました。

 おっしゃるとおりの面があるんですが、ただ、やはり秘密の種類によって、十年というのは世界の中では決して重いものではない。今までのものは、刑法の秘密とか一年というのは、非常に特殊な限られたものなんですね。刑法典では事実上、秘密の保護はやっていません。

 実際上は公務員のもので、だけれども、それも軽過ぎるという議論があって、ただ、なぜ上がってこなかったかというと、自衛隊法の罰則規定が非常に上限が縛りがあったり、それが動いてきた面もあるんですが、これからネットの社会とかいろいろなことがある中で、余り国際化を強調し過ぎてはいけないんですが、やはり常識的な処罰ができないと情報の共有はできないという問題が起こってくると思います。

 もちろん、日本は日本だというお考えもあろうかと思いますが、決して十年というものが重過ぎるというか、全部を十年にするということじゃないんですね、一番重いもので十年だということをお考えなんだと思います。

 ですから、死刑まであるような国から見れば、十年というのは軽過ぎるという御議論も当然ある、今までのスタンダードからいえば。ただ、日本の刑法典は特殊で、百三十三条、四条の秘密関係というのは非常に軽い規定で、それだけをつくっていたんですね。

 それを、ある意味では、国際社会が緊密化する中で、情報共有する中で、やはり相手からつき合っていただけるだけの重さにしなきゃいけない。国益中心にやらなきゃいけないというのはそうなんですが、外国と、ある意味で情報共有できるということも国益なんだと思います。

玉城委員 参考人の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

額賀委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人に対しまして一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。委員会を代表して心からお礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることにし、本日は、これにて散会をします。

    午後六時二分散会


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