衆議院

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第17号 平成25年11月21日(木曜日)

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平成二十五年十一月二十一日(木曜日)

    午後一時五十分開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    池田 道孝君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    鈴木 馨祐君

      薗浦健太郎君    津島  淳君

      辻  清人君    寺田  稔君

      中谷 真一君    中山 泰秀君

      西銘恒三郎君    野中  厚君

      橋本  岳君    星野 剛士君

      牧島かれん君    町村 信孝君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山際大志郎君

      湯川 一行君    近藤 昭一君

      近藤 洋介君    長島 昭久君

      渡辺  周君    今村 洋史君

      丸山 穂高君    山田  宏君

      大口 善徳君    岡本 三成君

      遠山 清彦君    畠中 光成君

      三谷 英弘君    赤嶺 政賢君

      玉城デニー君

    …………………………………

   議員           後藤 祐一君

   議員           渡辺  周君

   議員           長島 昭久君

   総務大臣         新藤 義孝君

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     大串 正樹君

  小池百合子君     八木 哲也君

  中山 泰秀君     小島 敏文君

  西銘恒三郎君     青山 周平君

  橋本  岳君     宮崎 政久君

  山際大志郎君     工藤 彰三君

  遠山 清彦君     岡本 三成君

  畠中 光成君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     湯川 一行君

  大串 正樹君     大塚  拓君

  工藤 彰三君     山際大志郎君

  小島 敏文君     中山 泰秀君

  宮崎 政久君     橋本  岳君

  八木 哲也君     小池百合子君

  岡本 三成君     遠山 清彦君

  三谷 英弘君     畠中 光成君

同日

 辞任         補欠選任

  湯川 一行君     西銘恒三郎君

    ―――――――――――――

十一月二十一日

 秘密保護法制定反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定秘密の保護に関する法律案(内閣提出第九号)

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(枝野幸男君外二名提出、衆法第一号)

 特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律案(渡辺周君外二名提出、衆法第一一号)

 情報適正管理委員会設置法案(渡辺周君外二名提出、衆法第一二号)


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     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定秘密の保護に関する法律案、枝野幸男君外二名提出、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案、渡辺周君外二名提出、特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律案及び渡辺周君外二名提出、情報適正管理委員会設置法案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木良之君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷(元)委員 自由民主党の中谷元でございます。

 連日、この委員会で、特定秘密保護法案、民主党提出の法案の審議をいたしておりますけれども、この審議を通じまして数々の論点について質疑をさせていただきました。

 その論点の中で大きな論点の一つといたしまして、政府の秘密の指定、保持について第三者がしっかりとチェックをすることができるかということでありますが、いろいろなアイデア、御指摘がありましたけれども、私は、最高の第三者のチェック機関としては、国民の代表者である国会そして国会議員だと考えます。

 国会は国権の最高機関であって、両院はその内部手続に関して自律権を有することが憲法において定められております。そのような憲法及びこれに基づく国会法の精神にのっとれば、国会が特定秘密の提供を求めた場合には、政府は国会の要求を十分に尊重し、これを国会に提供するというのが本筋であります。

 他方、この特定秘密の提供を受ける国会においては、その取り扱いについて、国益を考えて慎重な保護措置を講ずるということは当然であります。そして、その保護措置は、国会の自律権の趣旨に鑑みれば、国会みずから講ずるべきこととするのもまた当然なことであります。

 もちろん、国会において自律的にそのような保護措置が講ぜられた上で、提供の可否の判断は、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれの有無をもとに政府が行うものであるというのは、行政権を預かる政府の権能としては否定はいたしません。

 しかし、国会と内閣との関係においては、このような憲法構造に十分留意しておく必要があります。

 以上の基本認識を持っておりますけれども、森大臣もこの認識を共有していると思いますが、いかがでしょうか。

森国務大臣 はい、そのとおりでございます。

中谷(元)委員 では、以上を前提といたしまして、具体的な点について伺います。

 この法律の十条の柱書きにおいて、政府案では「提供することができる。」となっておりますが、この点は、自由民主党は現在、日本維新、みんなと修正協議を行っておりまして、提供できる、この点を、提供するものとするとすべきだと考えておりますが、これはいかがですか。

森国務大臣 修正協議の内容を尊重したいと思います。

中谷(元)委員 尊重ですが、我々が言うことについてどう思いますか。

森国務大臣 適切な内容だと思います。

中谷(元)委員 これは、我々の考えと同様だという意味ですか。

森国務大臣 はい、そのとおりでございます。

中谷(元)委員 次に、民主党とも現在政策協議をいたしておりますが、本法の十条一号には「政令で定める措置」とありますが、先ほど申し上げました国会の自律権との関係を念頭に置いた場合に、政令で定める措置とは一体具体的にどのようなものをお考えでしょうか。

森国務大臣 これは、これまでも答弁をいたしてきましたとおり、保護措置の具体的内容については国会の自律権に委ねるべきだと考えております。

 政府としては、情報の保有者の立場からお願いしなければならない事項について、一般的かつ必要最小限度のものをお願いする、規定をするということになります。

 今まで御答弁申し上げてきたのは、例えば、目的外に使わないということを決めてくださいということで、その具体的な保護措置、誰に対してそれをかけるのか、その対象者の範囲でありますとか、具体的な内容は全て国会において御検討をいただくことになるものでございます。これは今までもずっと答弁してきたとおりでございます。

中谷(元)委員 ありがとうございます。

 そのような一般的、抽象的なものであるなら、少なくとも国会においては政令に委ねる必要はないのではないか。

 したがって、例えばこの「政令で定める措置」の下に、イに挙げる業務にあっては国会で定める措置と規定しても、その後段において、我が国の安全保障に著しい影響を及ぼすおそれの有無については政府は判断できるのでありまして、十分ではないかと考えます。

 どうしても国会で講ずる措置の基準について政令で定める必要があるとお考えでしょうか。

森国務大臣 国会で定める措置について、どうしても定めるということではなく、国会と並べて、それ以外の機関に提供する場合、または地方自治体に提供する場合も、全て同列に一般的にというふうにかけてありますので、国会については、今ほど申し上げましたとおり、国会の自律権を最大限尊重したいと思いますので、委員のおっしゃられるようなこともあるのかなというふうに思います。

中谷(元)委員 ただいま答弁で確認をいたしましたけれども、具体的な保護措置については国会において検討いただくものというふうな答弁だと思います。

 この政令措置はあくまでも一般的、抽象的なものにすぎずに、原則は、私が述べたとおりに、保護措置は国会が自律権に基づいてみずから定めるものであって、国会の情報提供要求に関しては、政府は国会の地位及び権限を十分に尊重して応ずるのが憲法、国会法の趣旨にのっとったものであると確認をさせていただきました。

 政府につきましては、その点を念頭に置いて本法を運用することを強く希望するとともに、我々国会としてもしっかりと監視していくということを国民の皆様にお約束をいたしますけれども、大臣、これでよろしいでしょうか。

森国務大臣 委員のおっしゃるとおりでございます。

中谷(元)委員 ありがとうございました。大事な点でございますので、確認をさせていただきました。

 次に、民主党提出の行政情報適正管理三法案について質問をさせていただきます。

 まず、政府提出の法案に対して対案を出されたということにつきましては、民主党の姿勢に対して敬意を表したいと思います。

 この対案の基本を読んでみますと、現行制度で不十分な部分を保全する、そして必要最小限の規定を置くとなっておりますが、それ以外は極力現行制度で維持をするという内容になっております。

 しかし、問題は、ことし一月のアルジェリア人質事件、このときに、海外における邦人を救出するために、どれだけの国際テロ、アルカイダの軍事情報が政府に教えられたのか。それは、非常に情報が貴重であれば貴重なだけ、例えばアルジェリアに詳しいフランス、イギリスの軍、外務省、情報機関、こういった国家機密情報を日本に提供される必要がありますけれども、しかし、情報が漏れる国に大事な情報を提供する国はありません。

 現在、我が国には、自衛隊法、国家公務員法など秘密保護に関する法律がたくさんありますけれども、保全に関する統一的な法律というものがありません。防衛秘密も含めて、国の安全保障に関する統一的な情報保全法の制定、レベルアップが求められておりますが、民主党の対案におきまして、日本の行政全体の保全レベルを上げるためにどのような工夫がされているんでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 まずもって、我が党が提出した法案に対し御質問をいただいたことに敬意を表したいと思います。

 中谷先生の「右でも左でもない政治」、拝見させていただきました。この中にこういう言葉があります。「先入観を捨て、個人の自由な思考や発想に対し、寛容であること。「代案」や「反証」を提案する機会を与えること。そして、独断的な主張や国家観の押し付けを退けること」。まさにそのとおりだと思います。ありがとうございます。

 その上で答弁させていただきたいと思いますが、まず最初にアルジェリアの件がございました。

 アルジェリアのことについては、NSC法案のときの宮家参考人から、あの事案について、「あそこで仕事をするためには、実はフランス語とアラビア語に堪能でなければいけないのでございます。」というお話がございました。そして、「情報機関の基本は、公開情報の十分な読み込みと総合的な分析が最初でございます。その作業をしないで、ただ単に情報だけをとってくるということでは、実は立派な情報機関はできないと思っています。」

 あのときにまさに示されたように、NSCをつくることは私は必要だと思いますし、こういった秘密保全体制をつくることも大事だと思いますが、そういった制度面を充実することとともに、今ここで議事録を読み上げたような、現場で情報収集できる人を育てる、ここが前提なんじゃないかなと思います。

 その上で、民主党案では、それでは秘密保護体制をどのように講じているのかということにつきましては、これは先週来議論がございましたけれども、現行の秘密保護体制のどこに問題があるのかということをいろいろ議論させていただきました。小野寺防衛大臣からも、今の防衛秘密、特別防衛秘密については特段の問題はないという御答弁もありましたので、我々はそこはそのままにさせていただいております。

 ただ、やはり問題なのは、特にクリアランスのところ、政府案では適性評価、我々は適格性確認と呼んでおりますが、ここが法律的な位置づけがないために、例えば信用機関に調べていただくといったことが権限を持って行えない。ここが問題でございますので、我が方の案でも、ここは法律の位置づけをさせていただいたところでございます。

 また、防衛秘密、特別防衛秘密についても、この適格性確認については、共通して、我が方の出した法案でも法律上に統一の位置づけをさせていただいておりますことを御確認いただきたいと思います。

中谷(元)委員 現状においても、日本に情報を出して大丈夫かという国が現にありますので、やはり国家として、こういう基準で、こういうルールで秘密は保持されているという枠は必要でございますので、この点は御検討いただきたいと思います。

 次に、法案の中で、我々の法案の適性評価、これが民主党案では適格性確認という言葉になっております。

 この意味を伺いたいと思いますけれども、この適格という言葉、適格性確認の適格という言葉は、資格にかなうという意味で広辞苑で書いていますが、一方、法律で、国家公務員法で適格性という言葉がありまして、これは、それを欠いた場合の降任、免職という処分要件として用いられております。これでは、適格ではないということで処分性があるように誤解されるのではないかと思いますが、なぜ適性評価でなく適格性確認としたのか、その理由をお伺いします。

後藤(祐)議員 現在、防衛秘密、特別防衛秘密以外のいわゆる特管秘、特別管理秘密については、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、これに基づいて運用で行われておりますが、この運用の名前がまさに適格性確認という言葉が使われております。つまり、これは現行の制度の名前なんです。

 ですから、もしこれが不適切ということであれば、現行の体制が不適切ということになるかと思われますが、現行のこの適格性確認が、今委員がおっしゃったような降格ですとかそういったところに使われているとは聞いておりませんので、私は適切だと考えますし、この名称を特段変更する必要もないと考えましたので、法律ではこのように位置づけさせていただきました。

中谷(元)委員 次に、法律は、適格性確認の苦情において、その申し出先を委員会としております。

 しかし、この委員会というもの、後ほど質問しますけれども、適性評価の実施に当たって取得する個人情報、これを入手する必要がありますが、個人のプライバシーにかかわる個人情報を第三者に提供することは個人情報保護の観点で問題があると思いますけれども、この個人情報保護で認められておられるんでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 適格性確認に伴ってこの委員会に情報を提供するケースとしては、苦情の処理、この場合が考えられます。

 つまり、行政機関の長が行った適格性確認に対して何らかの不満がある、おかしいと思った方が苦情を委員会に申し出るわけでございますが、このときに、この適格性確認に伴って行われた情報は、本来、むしろこの委員会に提供されてしかるべきだと思いますし、実際、我々の法案でも、そのような提供は条文上読めるようにしております。

 ただし、その際に、苦情を申し立てた方本人に、そういう形で提供してもいいですよという同意をとる必要があると思いますし、実際、委員会に渡された後、秘密をきちっと保護する体制をきちんと確保する。こういった条件が整った場合には、むしろ委員会にこういった適格性確認にかかわる情報を提供していただいて、この委員会が苦情に対しての的確な対応をすることの方が、まさに個人情報の保護で守られるべき法益であるこの申し立てをした方の意に沿うことになるものと考えております。

中谷(元)委員 続きまして、次の情報適正管理委員会設置法案、いわゆる第三者でチェックをしましょうという法案でありますけれども、この情報適正管理委員会というのは過大な権限があると思うんですね。

 この委員には非常に政治的な任用がされて、適格性審査を経ることもなく、国会で任命されます。このような組織に行政が保有する特別安全保障秘密の監督を委ねるということは大変危険なことではないかと思いますが、この点、大丈夫なんでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 現行の各種委員会等の委員であっても、国会の同意人事なんかになっている委員については、例えば情報公開・個人情報保護審査会の委員は同意人事でございますが、秘密に関してインカメラ審理をすることができるわけでございます。つまり、適性評価、今の制度では適格性確認を経ていない委員が、インカメラで現行の特別管理秘密のようなものを見ることも可能になっているわけでございます。

 ぜひ委員にはこの点については考えていただきたいと思うんですけれども、ここにおられる皆さんも考えていただきたいんですが、知る権利と秘密の保護というのは、ある程度緊張関係にあります。このバランスをどうとっていくかというのが、まさにこういった法制を考えるときの大事なところなんです。

 そして、行政機関、特に政治家でない役所の方々は、どうしても秘密の保護の方に走る傾向があります。それを、我々立法府の人間が大臣についたり政務官についたり、あるいは、こうやって立法府でこういった議論をすることでもって、私は、一方的に知る権利だけと言うつもりはありませんよ、知る権利と秘密を保護するということのバランスをどうとっていくかということを、まさに国民から我々国会議員が負託されているということなんじゃないでしょうか。

 そういった意味で、この委員会の委員は、国会が指名し、そして形式上、総理大臣が任命する形でもって、我々国会の意思をよりこの委員会の委員の人事に反映させる、このようにさせていただいたところでございます。

中谷(元)委員 それでは次に、この委員会の役割の中で、特別安全保障秘密を見るわけですね。それがいいか悪いかという可否について調査をするということですが、例えば防衛省の画像なり電波の状況なり、それが適正かどうかを判断するには専門的な知識や経験を有するかという問題でありますが、これを判定するとなりますと、相当規模の事務局、人員、それから資料等、これは行政を考えますと非常に膨大な事務局を設けるようなことになるのではないかと思います。

 行政改革も言われておりますけれども、大体、この規模を運営する上においての構想については、何かイメージのようなものはお持ちなんでしょうか。

後藤(祐)議員 当然、外交に関する情報ですとかテロに関する情報ですとか、いろいろな形でチェックすることになるわけですから、こういった情報に実際役所の中なんかで触れられていた経験のある方、こういった方が今OBになられて、やはりこういったことは秘密にすべきだけれども、こういったことまで隠す必要はないんじゃないかといった客観的な目で見られる方はたくさんおられると思いますので、例えばそういった方に委員になっていただく。

 あるいは事務局についても、そういった経験のある方、OBの方でも結構ですし、現職の役所の方を全く否定しません。そういった方に来ていただいて、今の段階では、事務局としては三十人から四十人程度の規模を考えさせていただいております。

中谷(元)委員 これはもっと検討が要ると思うんですが、もう一問。

 法律によりますと、この委員会の委員の秘密漏えいの罰則、これは一年となっております。国家公務員の現在の規定と一緒なんですが、これは特別安全保障秘密の適正な管理法の罰則より低くなっていますけれども、同じ資料を見て、これはなぜ違うのか。非常に不均衡ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

後藤(祐)議員 特別安全保障秘密を行政機関からこの委員会が提供を受けて、その提供を受けた情報を仮に漏らした場合は、これはもともとの秘密の保護の法案の罰則が適用されて、上限で三年以下の懲役ということになります。

 この特別安全保障秘密以外の秘密、こういったものも取得することもあると思います。先ほどの個人情報ですとか、そういったこともあるかもしれません。これについては、委員会設置法の方で定めております懲役であります一年以下の方が適用されることになります。

中谷(元)委員 それでは最後に、第三の法律であります現在の情報公開法の改正について。

 これは知る権利ということが基本に据えられていますが、現在は、最高裁の判例で、認知されたというふうには至っておりません。本法に規定される知る権利というのは、どのような法的性質を有しているのか。

 また、具体的に、知る権利の明文化、これは不開示情報とか部分開示とか公益上の裁量的開示などの個別の規定に直接影響を与えて、従来の解釈が変更されるようになるのか。不開示情報で守る個人利益もありますけれども、その裁量というのはどのような影響を受けるものと考えたらよろしいんでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 まず、知る権利の総論としての、憲法上認められているかどうかということとの関係において、この法律の中で位置づけることについての是非でございますが、まず、政府案の二十一条でも「国民の知る権利の保障に資する」という言葉が触れられているのは、私としてもいいことじゃないかなと思いますし、我々はむしろ、知る権利というのは、先ほど申し上げたように、秘密の保護との関係でやはり非常に尊重しなければいけないものだということで、我々は一条の「目的」のところに記させていただいたところでございます。(発言する者あり)我々の出した情報公開法の方の一条にも加えさせていただいております。正確に言うと、そういうことでございます。

 では、個別のものが変わるのかどうかでございますけれども、今回の情報公開法の改正案で、部分開示の義務を課したり、あるいは非開示にする理由、ここを狭く解釈して開示の範囲を広げたりといった形で、実際に、知る権利がより保護される実態的な効果もある改正案となっております。

中谷(元)委員 次に、五条の五号、これは、不当に国民に混乱を生じさせるおそれのある審議、検討情報ということで、現行法においては、不当に国民に混乱を生じさせるおそれのある審議、検討情報について不開示情報として規定をいたしておりますが、提出法案ではこれが削除されております。

 この規定を削除することで、不開示情報の判断の際にいかなる変更が生じるのでしょうか。恣意的な解釈をなくすということであれば、むしろきちんと、具体的に何が変わるのか、具体的にどのような事例がこれまで不開示だったが今後は開示されることになるのか、明らかにしておく必要があると思いますが、この点はいかがでしょうか。

後藤(祐)議員 現行でも、申し合わせで、そういった場合はできるだけ開示するようにという申し合わせがあって、そのとおり運用されているんですが、そこの申し合わせで書いてあることをむしろ我々は条文の中できちんと書いたということなのでございます。

 実際、性善説に立てば、その申し合わせのとおり運用されていれば余り変わるところはないんですけれども、実際の運用がそうなっているかどうかはよく見てみないとわかりませんので、きちんと申し合わせのとおり運用してもらうために、あえて条文に入れさせていただいた、こういう趣旨だと御理解ください。

中谷(元)委員 ちょっと答えが抽象的な感じがしますが、しかし、本規定を設けた趣旨は、例えば特定物資が将来不足するということが見込まれる場合に、政府として、取引規制が検討されている段階でその検討情報を公にすれば、買い占め、売り惜しみ等が起こるおそれ、いわゆる不安ですね、そういう場合に、国民の間に不当な混乱を生じさせたりすることがないようにする必要があるという考えからつくっておりますが、この規定を削除することによって、こういう事態を生じさせる危険性もあるのではないかなと思いますが、これはいかがでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 実際に、今、情報公開法の五条の不開示理由に当たるところが幾つか挙げられておりますけれども、例えば、その中で、行政機関の事業を行う上で非常に不適切になるような場合ですとか、安全保障上の問題があるですとか、五条の一号で言われるところの個人情報の関係ですとか、あるいは法人の利益ですとか、こういったところに問題がある場合には、引き続き、そっちを理由に不開示とすることが当然できるわけでございますが、こういった別の、立っている理由がない、にもかかわらず、おそれだけでもって、例えば企業の利益みたいなものにも影響を与えない、個人のプライバシーとかそういったことにも影響を与えない、あるいは行政機関の適正な運営にも影響を与えないけれども、何となくおそれというようなものを不開示理由にしないようにという趣旨でございますので、そこはむしろ適正な運営がなされるのではないかと考えます。

中谷(元)委員 それでは、最後の質問なんですが、一番の売りでありますインカメラ、これの審理手続であります。

 これは、憲法の裁判の公開原則との関係で例外規定になると考えられますが、憲法の例外規定については極力限定されるべきであり、慎重な検討が必要であると考えます。

 今回、どのような考え方でインカメラ審理の手続の規定を盛り込んでいたのか、その考え方と、この手続と、訴訟法の基本原則であり、裁判手続においては主張を述べる機会が原告と被告の双方に平等に与えられなければならないとする双方尋問主義ですか、その関係をいかにお考えであるのか。

 例えば、国、これは防衛、外交、公共の安全、秩序の維持など、重大な利益を害する場合にインカメラ審理を拒否できる規定を設けておりますが、特定秘密についてはこの場合に該当して、インカメラ審理を実施できないということになるのではないでしょうか。

 以上の点について。

後藤(祐)議員 二ついただきました。

 まず、訴訟法との関係で、公開原則の御質問がございましたが、現行の民事訴訟法においても、口頭弁論の期日外で行われる訴訟上の手続については公開の要請がある意味で及んでいないとも考えられますけれども、この場合は、そういった非公開でやったことについては、その結果、その後公開の法廷で行われる口頭弁論期日において陳述されることによって公開主義の要請が満たされるというふうに理解しております。

 したがって、この場合のインカメラ審理についても、これを証拠資料とするためには、口頭弁論に顕出する手続、例えば口頭弁論期日においてインカメラ審理を行った旨を簡略に述べるといった形で行うことが当然必要であって、少なくとも、こういった手続が公開の法廷で行われることによって公開主義の要請は満たされるということから、憲法八十二条には違反しないものと考えます。

 また、双方審尋主義でございますけれども、今委員からも御指摘ありましたけれども、この観点から、インカメラ手続に行くためにはやはり双方の同意が必要だという規定を置かせていただいたところでございます。この同意が、まさに証拠調べに立ち会う権利の放棄、また証拠方法の閲覧、謄写権の放棄という性質も同時に有するものでございます。

 以上でございます。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

中谷(元)委員 ありがとうございました。

 今回の閣法の審査においては、当然、守るべき秘密と公開すべき秘密情報という両面の検討が必要でありますが、民主党はそういう意味では五つの法案に分けて提出をされておりますが、今回の論点とは非常に共通する部分がありますので、今後とも政策的な協議を通じてこの問題を明らかにしていきたいと思います。

 以上で終わります。

今津委員長代理 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 四十分間の時間をいただきまして、政府提出法案並びに議員立法の各衆法についても質問をさせていただきます。

 まず、一番最初に森大臣に質問をいたします。

 今回政府が出している特定秘密保護法案は、平成二十三年の八月八日、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」をもとにしてつくられたと伺っておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

森国務大臣 秘密保全法制については、民主党政権以前から検討を行ってきたところ、民主党政権であります菅内閣当時の平成二十二年十二月以降、内閣官房長官を委員長とする政府における情報保全に関する検討委員会のもとで検討が行われ、検討会議のもとの有識者会議において、平成二十三年八月に報告書が取りまとめられました。

 さらに、同年十月には、報告書の内容を十分に尊重の上、平成二十四年の通常国会への提出に向けて法案化作業を進めることが検討委員会において決定されております。

 政府においては、これら従来から行ってきた検討を踏まえ、特定秘密の保護に関する法律案について検討を進めてきたところであります。

大島(敦)委員 今回の法案について、森大臣が、法案の立法過程において御自身が関与されたかについて伺いたいんですけれども。

森国務大臣 私は、九月十七日に本法案の担当になりました。

 本法案の作成過程において、九月十七日に私が本法案の担当になってからも、特定秘密の指定の有効期間を三十年を超えて延長しようとする場合には内閣の承認を得なければならないこととする、また、特定秘密の指定、解除や適性評価の実施等を、外部の有識者の意見を反映させた統一的な運用基準に基づいて行うこととするなどの法案の修正を行ってきたところであります。

 また、私自身みずから、マスコミ団体を含む関係団体の皆様のヒアリングを実施いたしましてさまざまな御意見を賜ったところであり、その内容も参考としながら、本法案第二十一条に、この法律の適用に当たっては、国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分に配慮しなければならないという規定を盛り込みました。

 以上でございます。

大島(敦)委員 衆法の提出者に伺いたいんですけれども、衆法の提出者の皆さんも、一つには報告書、もう一つには、平成二十三年の十月七日にある、政府における情報保全に関する検討委員会決定、これに基づいて今回の法案を整備されたと理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

長島(昭)議員 そのとおりであります。皆さんのお手元にお配りをされているかもしれませんが、平成二十三年の十月七日に、「秘密保全に関する法制の整備について」という、政府における情報保全に関する検討委員会決定という決定がなされまして、そこにはこう書かれております。

 二項目めでありますが、この法制化の作業に当たっては、国民の知る権利や取材の自由等を十分に尊重し、以下の事項に留意すること。

 (1)高度の秘匿の必要性が認められる情報のみを対象とし、その範囲を法律上可能な限り明確化すること。

 (2)高度の秘匿の必要性が認められなくなった情報が秘密として指定されたままになることがないよう、指定の解除等の措置について制度化すること。

 (3)適性評価に関し、その対象者のプライバシーに十分配慮すること。

 (4)罰則に関し、漏えい罪における漏えいの主体を業務により秘密を取り扱う者に限定するなど、処罰の範囲を必要最小限に抑えること。

この四項目から成る決定をいたしまして、私どもの民主党政権下でも、当然、主権国家である以上、秘匿性の高い情報というものは一定程度あるし、一定期間そういう秘密のままに置かれるべきであり、そのための法制度というものをきちっと準備していたところでありました。

 ただし、その前提としては、情報公開法というものを改正いたしまして、情報公開制度をさらに充実させる、国民の知る権利の保障をより確かなものにする、こういった前提を付して、その上でこういった秘密保護の法制をするべきだ、こういう取り決めをいたしまして、準備に入ったところであります。

 それをベースに今回政府の案が出されてきたわけですけれども、私どもがやはりこだわっているのは、情報公開制度をきちっと改善する前にこの秘密保護の法制度だけが先に出てきたという点でありまして、国民の多くの皆様方も、この点、知る権利はどうなるんだ、あるいは取材や報道の自由はどうなるんだ、こういう御心配をなさっておられるんだろうと思っております。

 したがいまして、私どもとして、デモクラシーとシークレシーのバランスをとるために、合計五つの法案を出させていただいたわけであります。それは、公文書の管理に関する法案、それから情報公開制度の改善、そして国会によるオーバーサイトというものをきちっと貫徹する、そして秘密保護法制。この五つの法案というものを準備することによって、秘密保護に関して、情報公開にも配慮した、知る権利にも配慮した総合的な法体系というものを目指したということで御理解いただきたいというふうに思います。

大島(敦)委員 では、森大臣、同じ検討委員会決定でも、政府提出法案とそして私たちの衆法の間には、ベースは同じかもしれませんけれども、でき上がったものは大きな差があると思っています。

 一番最初に私が政府提出法案を読ませていただいたときには、行政の、行政による、行政のための特定秘密保護法案かなと思いました。

 なぜかというと、一つには、特定秘密の基準を決めるのも政府であって、その指定をするのも政府であって、その扱い、使途を決めるのも政府、そして、いつ解除し、いつ公開するのかも全て政府が決めるということ。確かに御答弁の中で、有識者会議の意見に基づいて一定の基準はつくるということなんですけれども、ここがポイントでして、ここに独立性を持たせることが極めて重要だと考えています。

 先ほど後藤法案提出者からも発言がありました、国民の知る権利と秘密の保全。これは長島昭久さんも、デモクラシーとシークレシー、難しい言葉なんですけれども、同じことなんです、この二つは。

 ここは、秘密を守りたいというのは行政全般に言えることです。できるだけ秘密を出したくない。例えば防衛省で、たしか三万四千でしたか、捨てられた。私たちの政権になってから捨ててしまったというのは、ひょっとすると公開してほしくないから捨てちゃったかもしれないんです。これは公開してほしくないから、役所の方が捨てちゃったかもしれない。私たちが行政から信頼を置かれていなかった、そういう気持ちも持ったかもしれないんですけれども。

 そこの、知る権利と秘密保全というのは極めて重要で、知る権利は立法府なんです。先ほどもここで中谷委員が、国民の知る権利、そしてその国民の知る権利を一番代表しているのが私たち国会議員でして、立法府と行政府との緊張関係が法律の中にあるかどうかということだと思っているんです。

 ですから、今回の閣法、森大臣が提出された法案を見ると、そこの緊張感がかいま見られないものですから、どうしても不安になってしまうんです。

 そこで、衆法の提出者にお伺いをしていきたいんですけれども、今回の中で情報適正管理委員会設置法案というのを出しております。これは本当に独立性のある機関だと思います。このことについての立法の趣旨についてお伺いをさせてください。

長島(昭)議員 この情報適正管理委員会というものが、私ども民主党の提出法案の肝中の肝でございます。

 まさに大島委員がお触れになったように、政府案は、ともすれば、秘密を指定したい行政機関側が基準も定め、秘密の指定も行い、文書の管理もし、そして解除、あるいは公開するかしないかも決める。言ってみれば、行政府性善説に立っているような様相なんです。

 もちろん、行政の側も最善を尽くして業務をしている、職務を全うしようと頑張っておられることはよくわかっておりますけれども、しかし、それであっても、権力の側というのは時に間違いを犯す可能性があるわけで、その点、私どもの政権時代の失敗も含めて教訓にしながら、謙虚にこの問題というものを捉え直したときに、やはり第三者機関におけるチェック、つまり、行政機関の長以外の目できちっと、秘密の管理あるいは指定、解除、こういった一連のプロセスをオーバーサイトする機能が必要だ。

 こういうことにたどり着きまして、独立した行政委員会としての情報適正管理委員会というものを設け、あわせて、国会によるオーバーサイトの機能もしっかりと国会の自律権というものに基づいて整えさせていただこう、こういう提案をさせていただいたわけであります。

大島(敦)委員 今回の各党の与党側との修正協議の中でも、この第三者機関というのが結構キーだと思っています。どういう基準をつくるのかというのがキーでして、基準づくりを行政当局に任せるのではなくて、私たち立法府の関与を強めた方が私はいいと思っているんです。

 それで、今回の情報適正管理委員会の設置法案ですと、そこの七人の委員につきまして、これは国会が議決、国会で選ぶようになっています、最終的には総理の任命ですけれども。そこの立法の趣旨についてぜひお伺いをさせてください。

長島(昭)議員 この制度は、国会が任命をしていくというところに実はポイントがございます。

 もう一方で、国会法の改正案も準備をしているわけでありますけれども、行政に対する国権の最高機関としての国会の権威というものを最大限働かせていこう、そういうことでありまして、この点は、国民の皆さんから見てかなりの程度客観性が担保されるのではないか。つまり、この情報あるいは秘密の取り扱いについて、これが適正であるかどうかというところに国民の皆さんは多くの不安を抱えておられる。それに対して、制度的にそれを担保する、そういう仕組みになっています。

 先ほど、ちょっと私、言い忘れたことが何点かこの第三者機関にございますので、つけ加えさせていただきたいというふうに思います。

 まず一つは、秘密の指定の有効期間を三十年、まあ三十年、三十年という、それが三十年、六十年と。五年ごとだからいいのではないか、あるいは、三十年たったら内閣の承認があるからいいのではないか、アメリカに倣って三十年の倍の六十年、この期間についていろいろ、この間、与野党の間で修正協議が行われたということでありますが、私どもは、この三十年とか六十年とか、期間ももちろん大事ですけれども、それに加えて、三十年たってそれを延長したい場合には、今申し上げた、独立性の高い第三者機関である情報適正管理委員会に承認を求めなきゃいけない。行政機関の長だけではなくて、こういった第三者機関の承認を得て、ようやくこれが例外的に三十年を超えて秘密指定ができる、こういうことでございます。

 それからもう一つは、指定の解除に係る調査の制度を設けまして、この第三者機関にそれをやらせようということであります。これはどういうことかというと、先日も説明申し上げましたけれども、秘密を取り扱っている公務員の皆さんが、この秘密は本当に秘密にしておくべきなのか、そうでないのかということは現場で一番判断できるわけでありまして、この秘密指定についてその要件を欠いているのではないか。

 あるいは、私たちはまた別に条文を設けて、秘密指定禁止事項というのを設定しております、法定しております。例えば、違法な行為あるいは行政の瑕疵を隠蔽する目的で行われるような秘密指定、こういったものに当たるのではないかという疑いを持った公務員が、第三者機関である情報適正管理委員会にこの疑義の通知をいたします。この通知に基づいて適正管理委員会が、今度は、必要と認めた場合にはインカメラで審査をして、そして資料の提出などを行政の側に要求をして、指定を解除する必要があるという結論に至った場合には、行政機関の長に対して勧告をする。

 こういう一連のチェックプロセスというものを準備させていただいて、これでようやく国民の皆さんにも、ある程度、秘密の指定あるいは解除について、プロセスそのものに御納得をいただけるようになるのではないか、こういうことでありますから、ぜひ、今後の修正協議の中で、このことは十分しんしゃくをしていただきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 衆法提出者の後藤さんにお伺いしたいんですけれども、委員会設置法ですと、要は国会が選ぶわけですよね。これまでは大体、政府が各委員を選んで、国会の同意人事で、衆議院、参議院で承認をして選んでいます。

 今回は要は国会が選べるようにしたそもそもの理由は、今、長島さんがおっしゃっていたように、やはり国民の知る権利あるいは行政に対するチェックを強化したいという思いだと思うんですけれども、その点が一点と、もう一点は、たしか法文の中には、三人を超えて同一の政党に属しちゃいけないというところがあるんですけれども、これは別に議員ということではないと思うんです。そのことについて、二点、お伺いさせてください。

後藤(祐)議員 先ほど中谷委員への答弁でも申し上げたとおり、国民の知る権利と秘密保護という極めて緊張関係にある二つの要請を満たすために、やはり、行政がややもすると秘密保護の方に傾きかねないものを立法府である政治家がチェックをするときに、政治家そのものが個別のものをチェックするというのは私はふさわしくないと考えます。

 では、どうすれば立法府がこういった秘密保護の方に傾き過ぎないようにチェックできるかといったときに、この委員会の委員を立法府が指名し、形式行為として総理が任命するという形が、これは実は今までの行政府の委員会の例ではございません。そのぐらい、この案件というのは立法府の重みというものが違うというふうに考えております。

 二点目の、この委員会の人数というのは、委員長が一人、委員が六名でございます。この中で、同一の政党に所属する方、政治家という意味ではございません。この委員になる方の、党員になっておられたりということだと思います。同一の政党の方が三人以上になってはならないということで、特定の思想を持った方だけで固めるといったことのないような配慮をしておりますが、これは現行の他の行政委員会でもある例でございます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 今回の特定秘密保護法案、森大臣が出されている法案、私たちが出している法案も、ずっと続いていく法案です。この間もここで発言させていただいた、経済対策とかあるいは防災対策とか、緊急を要する法案と違っていて、ずっと今の政権が続くかもしれないし、ひょっとして将来、政権交代が起きるかもしれません。ですから、そういうことにもたえられるような十分な審議とお互いの合意形成が必要だと思っています。

 ですから、その点を踏まえてこういう法案、今、後藤さんがおっしゃっていたような、同一政党、三人を超えてはという規定ぶりに多分していると思うんです。私は、今後の日本のあり方を考えると、例えば、七人のうち、第一党が四人選んで、第二党が三人選ぶような、そういう選び方もあるかもしれないなとも思っています。

 というところで、今の管理委員会についての質問から、今回、あともう一つは、国民の知る権利の中で、これは私たち国会議員が持っている知る権利とともに、国民はマスコミの皆さんから多くの情報を得ております。マスコミの取材活動が物すごく大切だと思っています。この点が、多分、政府の法案と衆法との違いだと思います。

 まず衆法提出者にお伺いしたいのは、政府案と、国民の知る権利の代弁者としてのマスコミあるいは報道機関の取材についての法文上の差異がどこにあるのか、説明をお願いいたします。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 この特定秘密保護法案の議論が始まったとき、やはり国民から、そしてマスコミでも一番懸念されたのは、知る権利、特に取材の自由が侵されるのではないかという点でございました。

 この議論は、では、今、政府の法案では一体どの条文でその懸念があるのか、そして、我々の出している法案ではどの条文にその懸念がないのかということを具体的に特定する必要があると思います。

 役所の方が情報を漏らした場合、政府案では十年です。この役所の方に対して、主に公務員の方に対して、記者を中心とする外の方が情報取得行為を、取材ですね、行います。これに対しては、今でも、現行の国家公務員法百十一条というものがございまして、一年以下の懲役という刑罰が実はございます。これに対して、政府案は五年にすると思います。我々は、そこは三年にします。

 ですが、政府案ではここの範囲が広がっているんです。二十三条というのもございますし、あるいは過失犯、未遂犯、こういったもの、つまり、記者の方が情報取得行為をしようとして、取材をしようとして未遂に終わっても罰せられるんです。これは、現行の法体系では罰せられないんです。

 つまり、政府案では、取材行為の未遂、過失を罰するところ、ここが広がるところが大変懸念を感じております。ですので、我々は、公務員に対する取材行為については、未遂犯、過失犯は罰しないこととしております。

 また、政府の持っている情報を別の方に提供して、この提供を受けた方が漏らす場合もございます。これは、政府案では五年、我々の案では三年です。

 この方が漏らすのは当然罰する必要があると思いますが、この方に対する取材行為というのもございます。情報をいただいた方に対する取材行為、これは現行の法令では罰しないことになっておりますが、政府案では、これは処罰がございます。この部分が広がるんです。我々の案では、そこは広がらないことになっております。

 つまり、現行の国家公務員法上処罰される構成要件、この幅を一切広げないというのが我々の案になっておりますが、政府案ではそこが広がっており、特に、過失、未遂といったところまで広がっている。あるいは、著しく不当な行為、あるいは管理を害する行為、こういった曖昧な表現が含まれるということには大変懸念がありますし、知る権利の観点から、取材の自由が侵されるという点については大きな差があるということでございます。

大島(敦)委員 森大臣に伺いたいんですけれども、今の、取材の未遂とか、罰せられる範囲が広がってしまうことについて多くの方から御懸念がありますけれども、こういうところの法文についてはこのままなんでしょうか。

森国務大臣 私は、民主党案については大きな疑問がございまして、秘密を保護する必要性とそれから知る権利の保障のバランスを図ろうとする、そこを追求しようというところは同じだと思うんですけれども、秘密を保護する必要性の中に、特に取得行為については、通常の取材行為を罰することはございませんので、これは、スパイですとかテロですとか、国民の生命と国家の存立を著しく害する、そういう行為について処罰をするということで、それはやはり未遂であっても罰する必要性があるわけでございます。

 また、民主党案は、防衛秘密を全て除いておりますね。

 先ほどから、廃棄されてしまった四万数千件のうち三万四千件は民主党政権の時代に廃棄されたと。今、小野寺大臣が廃棄はとめておりますから、今、防衛秘密の廃棄は小野寺大臣でとめましたけれども、それまでに廃棄されたもののうち、ほとんどが民主党政権の時代に廃棄されたということで、それは行政機関の人が公開されるのが嫌で捨ててしまったというようなお話でしたけれども、これは防衛大臣が廃棄するものですから、やはり、政治主導であれば政治家の責任であると思います。

 そういう防衛秘が一番問題となっているのに、それが除かれておりますよね。先ほどの第三者機関のチェックも及ばない、それから、知る権利の保障の条文も防衛秘には及ばないということであれば、安全保障にかかわる、大きな部分を占める防衛に関する秘密を除外するということでは、私はこれはワークしないのではないかというふうに思います。

 それに比して私の法案では、取得行為については、やはりスパイやテロやそういうものを想定しており、そして、二十一条にきちっと書いてあるように、一般の取材、一般の報道については、国民の知る権利を尊重して、これは正当な業務行為にするということを規定しているわけでございます。

大島(敦)委員 私もこれまで何回か副大臣で答弁したことがあるんですけれども、前の政権のことについて触れたことは一度もありません。私は、自分の答弁の中で、前の政権がこうだということに触れたことはないんです。全ての責任を持って業務を行うのが政府に入っている者の役割だと思っているからです。その点はよく御理解ください。私は、自民党政権がこうだったからという答弁をしたことは一回もありません。全ての責任は私にあると思って答弁していました。これはやはり立法府に属する私たちのプライドだと思っています。

 それで、今の点について、衆法の提出者から御意見を伺わせてください。

後藤(祐)議員 まず、森大臣からの御答弁の中で、防衛省のことはこの法案では関係なくなっているではないかというお話がございましたが、適格性確認については防衛省が行うものについてもこの法案の対象となりますので、例えば、適格性確認、防衛省で行われたものがおかしい、苦情だといった場合にはこの委員会を使うということもございますので、やや、答弁は、我々の法案を読み込んでいただいていないのかなという感じがいたします。

 それと、大島議員の質問は、むしろ、処罰の範囲が広がることについて、特に記者の取材の自由というものが侵されるところがどうなるのかということについての質問ではなかったかと思うんですが、御答弁の中ではそこには触れずに別の話に行ってしまいましたことに、まさにそこの部分が広がることについて自信がないということなのではないかというふうに感じました。

大島(敦)委員 お忙しい大臣が二人いらっしゃいますので、ちょっと今の文脈とは外れるんですけれども、新藤大臣に。

 今、情報公開法も出させていただいております。この情報公開法は、一度閣議決定をさせていただいている情報公開法を、ほぼ同じ形で衆法として出させていただいております。この法案についてどう認識をし、何が必要なのかということについて、新藤大臣からの御答弁をお願いいたします。

新藤国務大臣 まず、先ほどから質疑を伺っておりまして、何か声の調子が悪そうで、どうぞ体に気をつけていただきたいと思います。同県の大島委員でございますから、余計なことでございますが、心配させていただきたいと思います。

 その上で、情報の公開、これはもう誰もが欲していることでありますが、行政が国民に対して説明する責務を果たす、その意味において大変重要なものである、このように考えております。そして、その情報公開につきましては、適正かつ円滑にこれが実施されるように引き続き取り組んでまいりたい、このように思っておりますし、制度の運用については私もきちんとウオッチをしているというふうに承知をしております。

 そして、御党が御提出いただきました法案につきましては、これは今、議会の中で御審議をいただいていることでありますから、政府の方としてはこれにコメントすることは差し控えたい、このように考えます。

大島(敦)委員 御答弁いただいて、ありがとうございました。お帰りになっていただいて結構でございます。

 あともう一点が、小野寺防衛大臣にも来ていただいておりまして、先ほどの三万四千三百件ですか、防衛秘密、もう一つ、特別防衛秘密があると思います。それについての、破棄されちゃったというのは、破棄された事実とか、あるとすれば、どのくらいのものが破棄されているかについて御答弁いただければと思います。

小野寺国務大臣 特別防衛秘密の文書の破棄件数ですが、これは、平成十九年から平成二十三年の五年間ということで、合計いたしまして五百七十件を破棄しております。

大島(敦)委員 小野寺大臣もありがとうございました。ここで退席していただいて結構でございます。

 質問を続けさせていただきます。

 今回の衆法の中で、一〇四条、要は国会の国政調査権、一〇四条について、もう一条追加をしております。その一〇四条の追加について、どういう趣旨で追加されたのかということについて御答弁いただければと思います。

長島(昭)議員 国会法一〇四ですね、百四条でございます。

 百四条、現行の規定では、行政府の側が、国家の重大な存立にかかわるという場合においては、これは提出しなくてもいい、こういうことになってしまうわけであります。

 今回の政府の提出法案でも、最終的には、保護措置を定めた場合に提出されることになるんですけれども、その保護措置のもとになる基準というものを、政令でこれを定める、こういう規定になっておりまして、あたかも行政府が、立法府の保護措置も含めて、立法府の審議に資するための情報提供というものの裁量の余地を行政府の側が持っているかのような条文になっているわけでありまして、これはやはり立法府として看過することはできない。主権者国民から直接選ばれた代表者によって構成される、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会において審議するための情報というものは、これは押しなべて提供されるべきである。

 そして、国家の存立あるいは安全保障にかかわる問題で、これは提出するべきでないという判断も、最終的には国会の側、私ども、百四条の二という条項を設けましたけれども、最終的には国会の議長、衆参の議長が衆参の副議長に諮ってこれを決める。つまりは、行政の側が決めるのではなくて、あくまでも立法府、国会の側が決める、国民の代表として決める、こういう制度設計にさせていただきました。

 ここは、形式的なものに聞こえるかもしれませんけれども、やはりあくまでも、三権分立、あるいは国権の最高機関としての国会、あるいは議院の、つまりハウスの自律性、こういったものを、しっかりとした憲法の原理原則を担保するという意味で、これは譲れない一線として私ども提案をさせていただきました。

大島(敦)委員 一〇四条の二の規定の中に、政府の秘密につきまして、インカメラ、要は、一回、国会に提出するかどうかを議長、副議長が見るという規定ぶりがあると思うんですけれども、その点についてのお考えを伺わせてください。後藤委員からお願いいたします。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 政府の秘密情報を国会が見るといった場合、我々の案では、ある意味、三段階あるということなんだと思います。

 まず、一番オープンなケースというのは、全議員が見られる。こういった委員会にオープンな形で示す、あるいは本会議で示す。これは、インカメラを議長がやって、もうこれは世の中に出ている情報です、ウィキリークスに出ていますというような場合は、全く問題ない。これは一番多くの方に見ていただくケースだと思います。

 それと、まさにこの百四条の二で一番念頭に置いているのは、議長がインカメラで見て、ああ、これはそこまで、国家の極めて重大な利益に回復しがたい悪影響、百四条の二第六項というところまではないな、では秘密会できちっと、ある限定をかけて見ていただくのならいいんじゃないかという場合、これが二段階目なんだと思います。その場合は、きちんと秘密会という形でやることになるわけです。

 その前提として、その判断をする、まさに両院の議長、副議長が見て判断する。ここは今までの規定にないところでございまして、インカメラとしての議長、副議長が見るというところも拒むというところについてはそれ相応の説明責任があるんですが、これは議長側がむしろ判断して、見せろという場合は見せなければならないという規定になっているところ、このあたりが大きく現行の百四条とは異なるところでございます。

大島(敦)委員 森大臣、今回、政府側の法案を見させていただいて、この間も質問をさせていただいたんですけれども、どうも行政の方が立法府よりも上のような法律の立て方をしていると私は受けとめざるを得なかったんです、行政の方が立法府よりも上の立場にあると。

 それで、一〇四条についてもう一条加え、全ての行政の秘密あるいは文書情報に対して、ハウスが、議会がアクセスできるような道を開く。もちろん、そこには、三権の長の議長、副議長が、本当に秘密会に提出していいかどうかを一旦判断できるというような法律の立て方をさせていただいております。

 もう一つが、これまで議論させていただいた情報適正管理委員会の設置法の中においても、行政が決めるのではなくて、ハウス、私たち国会議員の見識に基づいて七人の委員を決めて、その人たちに委ねるという、極めて独立した組織にさせていただいております。

 ですから、今後の、こういう秘密、国として守らなければならない秘密があると思うとともに、行政と立法との緊張関係を保つためにも、すぐれて衆法の考え方も私は閣法と並んでより強くなっていると思いますので、そのことを述べて、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

今津委員長代理 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 それでは、早速質問を始めさせていただきます。

 前回の質疑で、森大臣は、私の特定秘密の取扱者の制限についての質問に、特定秘密の取り扱いの業務を行うことが当然の前提とされるということから、国務大臣の任命に当たって、適性評価の対象外であることを踏まえ、必要な考慮がなされるというふうに考えまして対象外と、つまり、適性評価の対象外にしている理由をお答えになりましたけれども、この国務大臣等の任命に当たっての必要な考慮がされているという、この必要な考慮というのは、具体的にはどのようなものを指すんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 国務大臣等の任命に当たりましては、その職務の特性から、特定秘密の取り扱いの業務を行うことが当然の前提とされておりますので、その任命に際しましては、特定秘密を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認を含めまして判断がされているというふうに考えております。

今津委員長代理 鈴木審議官、もう少し大きい声で発言をしてください。

今村(洋)委員 前回の質疑でもそうでしたけれども、今、通り一遍の話で具体性がないです。

 そこははっきりと、では、どういう信用に足る証拠を得ているとか、信用調査をしているとか、そういったことを、あるのかないのか、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 国務大臣等は政治任用でございますので、先ほど申し上げました、特定秘密の取り扱いの場合も含めまして総合的に判断して任用されていると考えております。

今村(洋)委員 政治任用という一言に尽きるということですね。

 秘密保全のための法制の在り方という冊子がありまして、その概要では「内閣総理大臣及び国務大臣は、極めて高度な政治的性格を有する職であることから、適性評価の対象外とすることが考えられ、その他特別の職については、適性評価の必要性を個別に判断することが適当である。」とありまして、もう一つ、本特別委員会参考資料では「極めて高度な政治的性格を有する職、特別の任免の要件・手続が採用されている職等、それぞれの職の性格を踏まえ、適性評価の必要性を個別に判断することが考えられる」というふうにあるんです。

 ですが、こういう文言を読んで、僕はちょっと、余りよく理解できないんです。今申し上げた「極めて高度な政治的性格」、もう一つは「特別の任免の要件・手続が採用されている」、また、職務から特定秘密の取り扱いが前提というような文言だけでは、論理的な説明になっていないと僕は思っているんですね。

 つまるところ、その政治任用される職についたら、適性評価にパスできるできないは関係なくて、適性評価から、もう最初から前提として免れるというようなことをおっしゃっているんじゃないかと思うんですね。ですから、政治任用されれば、もう、どんな人間であったって、信用が前提なんだから、適性評価を受ける必要はないということに結びついているんじゃないかと思うんです。

 確かに、行政機関の長が秘密の指定の役割を持つことは自明でありますが、行政機関の長に任命される人物が秘密の漏えいを担保されるかどうかということとは全く別問題だと思うんです。ましてや、漏えいした場合には処罰の対象としていると森大臣はお答えになりましたけれども、そういう御答弁では、漏えい防止を目的とした適性評価を行う必要がないという理由にはならないと思うんです。

 今お手元に資料が配付されているかと思いますけれども、前回も私は、旧陸軍の大本営の参謀二名が、戦後、ソビエトのエージェントであったり、中華民国のエージェントであったりというようなことが取り沙汰されています、そういう方々が、戦後、衆議院議員、参議院議員、もしくは臨調の委員長代理を務めるような、位をきわめるようなところまで、政府の中枢に近いところにおられたというようなことも申し上げました。

 今お手元にお配りした資料が、これは有名な話ですけれども、レフチェンコ・メモというものがありまして、これは、旧ソビエトのスパイマスターと言われているような人が、アメリカへ亡命し、自分の経験を明らかにした。特に、このレフチェンコは東京に駐在しておりました。ですから、日本へ対しての諜報活動というものをやっておったわけですけれども、そのレフチェンコ・メモの中身というもののコピーを今お手元にお配りしております。

 この中に、一から大体四あたりまでは「意識的にKGBに協力している。」というふうに、ここに書いてあります。これが必ずしも真実であるというふうには私は思いませんけれども、こういう疑いを持たれるような方でも、ここにあるように、議席を持ったり、ある党の委員長であったりとかというような、非常に政権の中枢に近い、今、本法案で問題になっている特定秘密といったような機密に触れる機会があるような位置までおられるということがあるんです。

 ですから、特に、何のために適性評価をやるのかという根本に立ち返っていただいて、どういう人物でも、そういう適性評価というものを原則的には受けていただいて、それにちゃんとクリアしていただくということが必要だと思うんです。

 それをなぜ免れるかというところに、政治任用であるからという理由では、先ほどの参考人の御答弁では、具体性が全くないと僕は思います。どういう調査をして、どういう結果が出ているから、この人はもうこれ以上調べる必要はないんですというようなことでしたらいいんですけれども、政治任用しているから、信用に足る人物ですからといったようなことでは、行政機関の長が特定秘密を認定する、決めるというところはわかるんですけれども、それと、秘密を漏えいするという問題は、これは別問題だと思うんです。

 この適性評価というものは、秘密を漏えいするおそれがあるかどうかを知りたい、そこで、それを担保して、信用して、では、あなたは秘密に触れてもいい、取り扱ってもいいということになるんですから、これが秘密であるかどうかを決めるということと、漏えいするおそれがあるかどうかということは、これは別問題だと思いますので、行政機関の長以下の一から七の項目の方々も適性評価を普通にパスしていただく必要があると思うんですけれども、参考人でも担当大臣も結構ですが、もう一度、その辺のところをお答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 行政機関の長は、特定秘密の指定や職員の適性評価を行うこととなっておりまして、特定秘密の保護に責任を負っております。したがいまして、そうした者の任命に当たりましては、それにふさわしい者ということで政治任用がされると考えておりますので、その政治任用を尊重したいと考えております。

今村(洋)委員 ここにありますように、適性評価の概要というものは、いろいろ調査事項とかというのがあるんですよ、一から七まで。こういったものを、きちんと本人の承諾をとって、特定秘密を取り扱う人というのは、厳正な手続をとった上でその秘密に触れていいよということになっておるんですから、今のような、具体性を持たないようなお答えでは、到底国民は納得できないだろうと思うんですよ。

 それで、本法案が世間から危惧される原因の一つに、国家は国益を守るために機密としなければならない事項が存在する、これは僕はそう思っています。こういう理念の表明とか決意の表明、これが余り打ち出されていない、この法案の中に欠落している、そういったところに、国民が不安に思う、この法案に対して懸念を抱く原因の一つがあるんじゃないかと思っているんです。

 今般の特定秘密を扱うことになる人は、契約業者、これは一般の人ですね。一般の人、契約業者も含め、事この役割においては、公僕であるという自覚を持って適性評価を受けていらっしゃるんだと思います。

 ゆえに、この除外されるとされている役職の方々も、もとより公僕であるわけですから、この適性評価を受けて、きちんとそれをクリアして、パスしていただく必要があるというふうに思いますが、森大臣、どうでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 繰り返しになり、恐縮でございますが、政治任用される行政機関の長等につきましては、その職務の性格から、特定秘密の取り扱いの業務を行うことが当然の前提とされておりますので、そうしたことを踏まえて考慮がされて政治任用がされると考えておりますので、その政治任用を尊重したいと考えております。

今村(洋)委員 では、行政機関の長以外の、ほかの以下の方はどうなんですか。同じことなんですか。

今津委員長代理 鈴木内閣審議官、大きい声で答えてください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 行政機関の長以外の者であっても、副大臣等につきましても、その職務の性格から、当然に特定秘密を取り扱うことが予定されておりまして、それを前提にして任用されていると考えております。

今村(洋)委員 これは前回の質問でもお聞きしましたけれども、諸外国でも、確かに、行政機関の長とか、あとは総理、首相、そういった方は、大統領も含めて、こういうパスを、免れるということになっておるんですけれども、その除外の中に、行政以外の分野にある連邦議会議員とか、これはアメリカの場合ですね、イギリスの場合も、行政以外の分野にある国会議員等々というふうになっているんです。

 ところが、本法案では、行政分野にしっかり入っていると思われる方が二以下の部分に含まれていると思いますけれども、そこはどうでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 諸外国の事例におきましても、行政機関の長等が適性評価の対象外となっている例もあると承知しております。

今村(洋)委員 本法案、我が国の、もうこれは決定が前提ですけれども、それについてお聞きしているんです。

鈴木政府参考人 お答えします。

 行政機関の長と同等レベルの者について適性評価の対象外としている国については承知しておりますが、それ以外については、詳細は承知しておりません。

今村(洋)委員 それでしたら、もう具体的にお聞きするしかないですけれども、例えば総理補佐官、これは行政分野の、議席を持っている議員ではないですか。行政分野ですか、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 補佐官は行政分野と考えております。

今村(洋)委員 そうすると、そういったところがやはり主要な、今回の法案をもって秘密の共有を行うという、諸外国とは異なる点だというふうに思いますけれども、その辺、それはどうでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 諸外国におきまして補佐官が対象となっているかどうかについて、手元にちょっとデータがございませんので、申しわけありません。

今村(洋)委員 わかりました。それはまた後ほど教えてください。

 私も医者ですけれども、医師に強く戒められているのは自己診療なんですね。自分で自分の病気を判断して治療してはならない。これは、保険を用いて、自分が治療を受ける場合、自分で判断して自己処方を行ってはいけないということは、これは一番戒められているところなんです。

 そういう職能から考えますと、今回の……(発言する者あり)

今津委員長代理 どうぞ続けてください。

 傍聴人に申し上げます。御静粛に願います。傍聴人の方、御静粛にお願いします。

今村(洋)委員 ですから、行政機関の長も、いわゆる診断を下す、これが秘密であるというふうに決めるわけですから、そういう決める方は、自分がその情報の漏えいがあるとかないとか、そういったところに含めても、これは診断ではないですが、他者からの信用を得て手続をきちんととっていただきたい。

 ここに挙げてある適性評価の内容というものが、これはかなりの数の方がその評価をパスしなければいけないわけですから、ここに書かれている除外されるという方々も、受けることにそんなに困難はないというふうに僕は思うんですね。

 ですから、きょう、外務大臣、防衛大臣の二先生にも来ていただいていますが、外務大臣におかれましては、この適性評価、行政機関の長が、これは個人的な意見で結構です、受けるべきだと思いますねということなのか、それともやはり政治任用だからこれは任命する方の判断に任せますということなのか。

 そこをお答えいただいて、済みません、お忙しいところ申しわけありませんが、外務大臣はこれでお帰りいただいて結構ですので、どうかお答えください。

岸田国務大臣 政府としましては、今、国会に法案の審議をお願いしております。そして、この法案におきましては、先ほど政府参考人から御説明させていただいた、こういった内容になっていると承知をしております。

 私の立場からは、この法案、お願いしている法案について、しっかり御審議をお願いしなければならないと思っています。

今村(洋)委員 小野寺先生にもぜひお願いいたします。

小野寺国務大臣 外務大臣と基本的には同じですが、私ども、国民から選ばれた国会議員、政治家でありますので、やはり、少なくともそのような懸念が持たれないように、しっかりと日々の、例えば情報管理について、もって銘ずべしだと思っております。

今村(洋)委員 どうもありがとうございました。

 私は、本法案が秘密を保全することによって国益に資すること大と思いますが、反面、本法案は秘密を保全することに主眼を置いた極めて受動的な法案だと思っています。本法案は中曽根政権時代に考えられたスパイ防止法案と重なる部分も多いものですが、私は、今後もう少し能動的な、本来の意味でのスパイ防止法案や、政府がインテリジェンス機能を持った組織というものを保持するということが今後の日本には必要になっていくというふうに思っています。

 では、次の質問に移ります。

 適性評価において、精神疾患に関する事項というところを前回、途中までお聞かせいただいていましたが、これは具体的にどういうものを指すのか、お答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定秘密の保護のための措置を適切かつ確実に講ずるためには、常に特定秘密の保護に係る各種の規範を理解し、自己を律してこれを実行する必要がございます。

 精神疾患により意識の混濁、喪失等が生じたり、アルコール依存症の症状が見られたりする場合、自己を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかもしれないことを示唆しておりまして、本人にその意図がなくても、特定秘密を漏らすおそれが否定できません。

 したがいまして、本項目におきましては、具体的には、精神に係る事由を原因として意識や記憶を失うことがあるか、アルコール依存症、統合失調症等、自己の行為の是非を判別し、またはその判別に従って行動する能力を失わせ、または著しく低下させる症状を呈しているかという二つの観点から調査することを予定しております。

今村(洋)委員 前回の私の質問で、鈴木参考人は御答弁で、精神疾患により意識の混濁、喪失等が生じたり、アルコール依存症の症状が見られたりする場合には、自己を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかもしれないことを示唆しておりますので、そういった状態にあるかどうかについて調査いたしますと述べられております。

 ここでおっしゃっている意識混濁や喪失というのは、どういう疾病、疾患を考えておられるんでしょうか。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木政府参考人 お答えします。

 これは精神疾患全般に関連しての事由ということで、特に特定の精神疾患を念頭に置いているものではございません。

今村(洋)委員 では、先ほどおっしゃられた、統合失調症についてもお調べになるとおっしゃっていましたけれども、統合失調症において意識喪失や意識混濁があるとお思いになられますか。

鈴木政府参考人 先ほど、統合失調症等については、自己の行為の是非を判別し、またはその判別に従って行動する能力を失わせるかどうかを調査すると申し上げました。

 それで、意識を失うかということでございますが、具体的な状況については、具体的な症状に従って判断することになりますので、現時点では確たることは申し上げられません。

今村(洋)委員 今お聞きしたのが、統合失調症において意識混濁や意識喪失、いわゆる意識に問題が生ずるということは、教科書的にはないということになっているんですね。意識混濁や喪失が起こる可能性があるものは、いろいろ疾患は考えられますけれども、代表的なものにおいては、てんかんとか、そういったものが考えられるんです。

 今おっしゃられた、自分の行動の是非を的確に判断することができない可能性がある方をチェックしたいんですね。これを一体、適性評価を受ける方がどのように申告されて、誰がどのように判断するのか。これは、医師に診断書を求めるのか、自己申告で済むのか、それとも、いわゆる面接みたいなものまで行うのか。その辺はどうお考えになっているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 原則としまして本人の自己申告を前提にしますが、必要に応じまして専門科医の所見を求めていきたいと考えています。

今村(洋)委員 必要に応じてということですと、やはり御本人の言動、行動を見て、これは自己申告だけでは足りぬなと思ったときは、診断書を持ってきてくれということなんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 個別の事情によりましては、そういうこともあり得るかと思います。

今村(洋)委員 この適性評価の項目の中に、精神科的なかかわりを持つというような項目が結構多いんです。薬物の乱用及び影響に関する事項であるとか、五はもう精神疾患そのものに関する事項である、あとは、飲酒についての節度に関する事項である、そういったことが入っておるんです。

 こういった項目について、既に専門家、これは主に精神科であろうとは思いますけれども、そういった専門家とのお話というか、詳細を詰める、どういったところをポイントにしてチェックしていくとか、そういったことはもう既にやられているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 今後、運用基準を策定するに際しまして有識者の意見を拝聴いたしますので、その中でお聞きしたいと考えております。

今村(洋)委員 済みません、私は精神科医ですので、この点にこだわるんですけれども、精神科というのは、例えば内科や外科と違って、写真を撮ったらここが折れている、血液検査をしたらここが悪いというような客観データを非常に持ちにくい分野です。ですから、診断についても、三者三様、三人の医師が診察すれば三通りの病名が出てくる可能性もあるような分野なんです。

 ですから、今回、この適性評価の中に精神科にかかわるような項目が数項目入っているというのは、ここに対しての、今僕が申し上げたような、非常に客観性を持ちにくい、客観データを得にくい分野であるということを心にとめておいてというか、そこをきちんと踏まえた上で適性評価を下していただかないと、非常に大きな間違いが起きる可能性があると思いますので、こういった御質問を申し上げました。

 それと、調査事項といったところに一から七まで挙げてありますけれども、こういったものの調査を行ったときに、これは点数化して何か評価するのか、それとも、今のお話をお聞きすると、まだ詳細は詰まっていなくて、とりあえずこういった項目を調べますよといったところにとどまっているんじゃないかと思いますけれども、調査方法とその評価としてはどういったことまで現時点で考えておられるのかどうか、おわかりになればお答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 適性評価の実施に当たりましては、特定の事情があることをもって直ちに特定秘密を漏らすおそれがあると認めるものではなく、関連するさまざまな要素を勘案しながら、特定秘密を漏えいする蓋然性を示唆する行動または状況が具現化しているか否かについて総合的に判断することとしておりますので、必ずしも点数化するということを前提にはしておりません。

今村(洋)委員 そういったところもなるべく早く明らかにしていただかないと、先ほど申し上げたように、この適性調査を受ける人は、これは本人の承諾をとって家族のことまで調べるということですから、覚悟を持って、自分は公僕である、公僕であるからこそこの国の秘密に触れるんだという思いで承諾をされるんでしょうから、きちんと詳細まで詰めて承諾がとれるように、早急にやっていただく必要があるだろうと思います。

 では、次の質問に移ります。

 去る十月二十九日に、小野寺防衛大臣は武器輸出三原則について触れられ、新しい装備の開発というのは多国間が共同して行うことが多くなっている、また、多国間でそれぞれ技術を持ち合って新装備をつくる流れができているというふうに述べられています。

 このようなお言葉の中には、自衛隊法第九十六条の二関係に定められる別表第四、ここにおっしゃっている技術とかそういったところ、テクノロジーが別表第四に含まれるのでしょうか。その辺をお答えください。

 この前、僕が同じ質問を申し上げたときに、十一月十九日ですけれども、鈴木参考人は、行政機関が提供したものではないので別表に該当しない、つまり、そういった民間の技術というものは別表に該当しないという御答弁でした。吉田参考人は、同じとき、仮に防衛装備品に民生技術が使用されていても、これらの民生品や民生技術そのものについて、原則として特定秘密に該当するとは考えにくい、防衛上秘匿する必要があるものは自衛隊法に基づいて秘密管理しているというふうにお答えになっています。

 そうすると、民生技術とかそういったものは、別表というのは、自衛隊法九十六条の二関係、別表第四、これが今回の特定秘密の指定の第一号に丸々入っているんですね。

 わかりやすく言いますと、鈴木参考人は、この特定秘密の別表で第一号に該当するところ、自衛隊法では別表第四に該当するところに含まれていないものは当然ながら特定秘密ではないとお答えになっていて、吉田参考人は、民生技術が使用されていても、民生品や民生技術そのものについて、原則としては特定秘密に該当するとは考えにくいとおっしゃりながら、防衛上秘匿する必要があるものは自衛隊法に基づいて秘密管理している。

 ここにおける自衛隊法に基づいて秘密管理しているというのは、この九十六条の二関係のことなんだと思うんです。

 そうすると、一方ではこっちに含まれていると言いながら、秘密を管理するとおっしゃっていながら、特定秘密の今回の法案の別表の第一号には該当しないとおっしゃっているということで、ちょっとその辺がわかりにくいことになっているので、よろしくお願いいたします。

小野寺国務大臣 委員がおっしゃるように、今は装備技術が大変進んでおり、そして、実際の防衛技術あるいは民生の方の技術のデュアルユースみたいな、非常に境界がボーダーレス化していることが事実であります。

 ですから、その技術一つ一つが、これは民間の派生型なのか、あるいは、むしろこれは防衛技術の方の派生型なのか、そういうことを照らし合わせて判断をするということになるんだと思います。

 従前と違って、やはり、純粋にこれは防衛技術だというだけで規定しにくくなっているのが今の状況だと思います。

今村(洋)委員 今大臣がおっしゃられたとおりのことなんですけれども、昨今では民生技術の方が先端的になってきており、国や政府、自衛隊が開発した技術というものが民生技術によって転用されて、スピンオンして防衛装備品にそれが反映されるといったようなことが多くなっているんですね。

 ですから、そういった防衛装備品に関しても、今後は多国間との共同開発といったようなものが大臣がお考えになっていることなんだと思いますけれども、そこに国同士が、先端技術、つまり大事な情報というものを持ち合って装備品を共同開発するというときに、日本においては、これは民生技術、汎用性があるからまるっきり野放しです、外為法のリストにあるものとか、あとは、今申し上げた自衛隊法の別表第四に含まれるもので何とか保護していますと言いつつも、同じ表が含まれる特定秘密の方には含まれませんといったような、ちょっとまだ整合性がとれていないような気がするんですね。

 ですから、今後は、そういったところをもっときちんと詰めて、時代の、世界の情勢のニーズに合ったような、法案、法形態を整えていただく必要が、特に大臣がおっしゃったような武器三原則の見直しも含めて、懸念する点があるんだろうというふうに思って、御質問いたしました。その点について、大臣、お答えください。

小野寺国務大臣 大変重要な指摘だと思っております。

 基本的には、その判断というのは最終的に、別表を含めて、それがどの事項に当たるかということで、防衛機密として判断をするのか、あるいは民生品として判断をするのかということですが、今、ボーダーレス化が進んでおりますので、すぐれた装備品の研究開発のために先進の民生技術を活用する必要があり、また、汎用技術であっても軍事転用されることを防ぐことが大切だと思っております。

 今後、国際共同開発を行っていくに当たりまして、引き続き、今、経済産業省が一義的には所管しますリスト規制というのがありますが、この輸出管理規制に防衛省としても専門家の視点からしっかり協力していきたいと思っております。

今村(洋)委員 どうもありがとうございました。

 僕は、前回の質問でも、東芝ココム事件といったようなことに言及いたしましたけれども、これは、ソビエトの潜水艦のスクリュー音というものが静粛性を持ってしまった。それに関しては、日本の東芝機械の工作機械と、それを制御するソフトが、外為法に違反して輸出されたという事件でした。

 最初の質問に戻りますけれども、その東芝ココム事件に関しての商社、そういったところの中に、実はソビエトのエージェントがかかわっていた。つまり、その商社の会長を務めるような人がそういった疑いを持たれていた。そこの商社が取り扱う製品がココム違反をして、ソビエトの潜水艦の性能が上がってしまった、そういう事実があるかもしれないという疑惑があるものですから、諸事、そういったことを含めますと、インテリジェンス、情報の管理というものは、やはり最初に戻ってしまいますが、行政の長、政府の中枢に置かれる人においても互いのチェックといったものは必要になるだろうと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

額賀委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、こちら、国家安全保障に関する特別委員会に初めてこうやって出席をさせていただくという機会をいただいたこと、まずもって同僚の議員の皆様、そして各委員の皆様に心から感謝を申し上げます。

 この特定秘密保護法案というものに関する有権者の方々の視線そして関心がこれだけ強く高いという中で質問をさせていただくというのは、本当にその責任の重大さというのを改めて実感しているところでございます。

 まず、今、森大臣がちょっと花を摘みに行かれるというような状況でございますので、私の思いから述べさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、私は、ずっと弁護士の仕事をしてまいりました。十年にわたってやってまいりました。その中で、もちろん、基本的な人権の尊重ということは常に肝に銘じておりました。また、そういう国家の力というものと、先ほど後藤議員が提出者としておっしゃっておりましたけれども、知る権利との緊張関係というものは極めて強いものだというふうに理解をしております。

 しかしながら、その一方で、私は、知的財産権に関する仕事をずっとやってまいりました。近時、いわゆる産業スパイというふうに言われる者が日本の国内に入ってきて、極めて重要な営業秘密等々をまさに国外へ持ち帰っていくというような事例が多発しているというようなところでございますし、それを何とか防がなければいけないという観点からさまざまな法改正というものがなされているということもまた御案内のところかというふうに考えております。

 その意味では、民間のそういった情報というものを、何とか防いでいかなければいけないということもこれだけ重要ということでございますから、同時に、国民の生命ですとか身体、そういったものを何とか守っていくための情報の管理の必要性というのもまた極めて重要なものではないかというふうに感じているところでございます。

 その中で、とはいえ、本当に多くの方々が極めて心配されているこの法案の問題点、中身についてもろもろの御質問をさせていただきたい、このように考えております。

 それでは、この法案ができることによって、多くの方々が、非常に心配だ、まさに戦前の、何か言ったら逮捕されてしまう、そういうような状況になってしまうのではないかというような不安を持たれているところではございますけれども、まずは現行法での取り扱いというものを改めて確認させていただきたいというふうに考えております。

 現行法においても、各省庁は、いわゆる秘密の情報を保有しております。この秘密の内容に応じて特別な取り扱いをしているというふうに思われます。ここで、国家公務員法上の秘密のほかに特別管理秘密というものがあるというふうにされておりますけれども、まず、この特別管理秘密とは何か、その定義について確認させていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密制度は、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づきまして、特別に秘匿すべき情報につきまして、物的及び人的管理を厳格に行い、情報の漏えいの絶無を期するためのものでございまして、平成二十一年四月から導入されております。

 各行政機関の長は、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づきまして、各行政機関が保有する情報につきまして、一、国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、二、公になっていないもののうち、三、特に秘匿することが必要なものという基準の該当性を判断し、全ての基準を満たす情報を特別管理秘密として指定しております。

三谷委員 特別管理秘密の指定、今、各行政庁の長が指定できるというふうにおっしゃっておりましたけれども、具体的にどの省庁でもそういったものが指定できるのかという点と、また、指定できる省庁だとして、その中で具体的に誰が指定しているのかということについてお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密は、全ての行政機関の長が指定することができます。実際の指定につきましては、それぞれの各行政機関ごとに規定を設けておりますのでそれぞれ異なりますが、最終的な判断というのは各行政機関の長の責任で行われていると承知しております。

三谷委員 各行政機関の長の責任において行われているというふうにお答えをいただきました。

 どういう情報がどういう基準で特別管理秘密に当たるというふうに判断されているか、その基準というのは具体的にございますでしょうか。それが各省庁統一的なものとしてあるのか。それが統一的なものとしてないのであれば、ない。ないのであれば、その基準が公開されているかということについてお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密の指定基準につきましては、先ほど申し上げました、国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものという三要件についてのみ統一した基準がございまして、それ以外の詳細な基準につきましては、統一基準はございません。

三谷委員 若干曖昧模糊とした統一的な基準というものによって各省庁で指定されている特別管理秘密というものですけれども、特別管理秘密についての取り扱いというところでございますけれども、まず、この特別管理秘密について情報公開請求というものがなされた場合、どのような回答になるでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密を記録する文書について情報公開請求がなされた場合につきましても、情報公開法の適用がございますので、情報公開法に基づきまして開示、不開示の決定を行います。

 特別管理秘密に係る部分につきましては、その性格から不開示と判断されるものと考えられますが、当該不開示決定について不服申し立てがなされた場合、行政機関の長の諮問に応じ情報公開・個人情報保護審査会が調査審議を行うこととなり、必要があるときは、審査会によるいわゆるインカメラ審査が行われます。仮に、審査会の調査審議の結果、特別管理秘密を開示すべきとの答申がなされた場合には、答申を踏まえ、特別管理秘密の指定を解除し、開示することとなります。

三谷委員 ありがとうございます。

 続きまして、この特別管理秘密について、公文書管理法というものが適用されるのかについてもお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密につきましても、公文書管理法が適用されます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今のお答えの中でも、ある程度特別管理秘密というものの概要が明らかになったのではないかというふうに思っております。

 どうしても答弁というものではすらすらすらというふうな話になってしまうので、要点というのはわかりにくいかというふうに思いますけれども、そういった秘密、いわゆる国家公務員法上の秘密ではないというような秘密があるんだということで、そういったものについては、情報公開請求の対象には基本的にはならないというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密も情報公開請求の対象となりますが、先ほど申し上げたのは、その性格から不開示等の決定がされるものと考えております。

三谷委員 そうなんです。情報公開請求を幾らしたところで、不開示、不開示というようなことになっているというところでございます。

 あと二つばかり特別管理秘密について伺いたいと思いますけれども、この特別管理秘密というのは、具体的に、この秘密が発生した、もしくは取得されたときから何年というような指定というのはあるのでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密につきましては、指定の有効期間はございません。

三谷委員 もう一つ伺いたいと思います。

 この特別管理秘密についてですけれども、今、行政機関の長が責任を負っているというような話でありましたけれども、具体的には、全てのそういった判断というものを、現実問題、その省庁において、その長、一般的には大臣だと思いますけれども、大臣が判断をしているというふうな理解なのか、それとも、委任によってその各担当者にまでおろされている場合というのが多いのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど、行政機関の長の責任において最終的な判断、指定がされているというふうに申し上げたのは、委任も含めまして最終的な判断ということを申し上げましたので、実際の指定につきましては、委任等を通じまして、行政機関の長の補助機関が行われている場合もあると承知しております。

三谷委員 事前の確認等々、いろいろ伺ったときには、そういった例もあるというふうに承知しているというどころではないというふうな話だと聞きました。

 現実問題、全ての情報、各省庁が保有している情報というのは数多くありまして、その中で、特別管理秘密に当たるというのを一件一件全部確認していくということは極めて現実的じゃないという部分もあるんだろうというふうに思いますけれども、そこを、その各担当者に委任によっておろしていく、そこの判断を任せているというようなことだと考えております。

 そういう意味では、今の現行法においても、そういう特別管理秘密に該当するようなもの、これは国家安全保障に関する情報が多々含まれているというふうに承知しておりますけれども、そういった情報については、もう既に、期間の定めなく、基本的に、幾ら情報公開請求をしたところで開示してもらえないような状況にあるんだろうというふうに考えるのが、今の答弁からわかることかなと考えております。

 それを踏まえて、今回の改正法について伺いたいというふうに思います。

 今回の特定秘密保護法が成立した後、特定秘密というものが指定された場合にはそれが保護の対象になるというふうに理解をされますけれども、この特定秘密と先ほど伺った特別管理秘密、これはどちらが大きいか小さいか、もしくは、その二つの関係について伺えればと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密には、安全保障以外の国の重大な利益にかかわる情報も含まれておりますので、特定管理秘密の方が狭い、少ない秘密となります。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、特定秘密というものの方が少ないというような話でございますけれども、今、この特定秘密としての指定期間を何年にするというようなさまざまな議論がなされているというふうに理解をしております。

 その中で、特定秘密としての指定期間が終了した、または指定が解除された場合の情報の取り扱いですけれども、それは一般の国家公務員法上の秘密として取り扱われるのか、それとも特別管理秘密というものにスライドするのか、そこについてどのようにお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 御質問は、特定管理秘密が解除された場合という……(三谷委員「特定秘密」と呼ぶ)特定秘密ですね。

 特定秘密が解除された場合についてはどういった取り扱いになるかについては、個別具体的に判断されますが、通常は、秘密であるとかあるいは特別管理秘密になるということは考えにくいと思います。通常の文書になるのが一般的だと考えております。

三谷委員 通常の文書になるということは、特定秘密というふうに指定をした方が、先ほどの答弁ですと、特別管理秘密の場合は期間の指定がないという話でしたよね。今回の、特定秘密の指定が解除された、またはその指定の期間、所要の期間が終了した場合には、それは通常の秘密にもならない、一般の文書になる、こういう理解でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定管理秘密は、有効期間の更新が認められておりますので、秘匿の必要が継続するものについては有効期間を更新しますが、先ほど申し上げたのは、解除された場合の取り扱いでございます。

三谷委員 わかりました。ありがとうございます。

 そういう意味では、今の特別管理秘密とこの特定秘密との関係というものを考えたときには、今は特定秘密というものはないわけですから、基本的には、まるっと全部特別管理秘密としてずっとそういう保護をされていくということになりましょうし、情報公開請求の対象になってもそれは非開示だ、存在すら明かされないというような取り扱いになることが一般的だろうというふうに思うんです。

 逆に、この法律ができてしまうと、特定秘密というものに指定されたときはもちろん開示されないんでしょうけれども、その指定が解除されたり一定の期間が経過した場合についてはそれが開示されていくということでは、何か特定秘密というものの指定があった方が、期間が明確になって、公開に資するというようにも聞こえるんですけれども、そういう理解でよろしいですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定秘密の指定の期間につきましては、原則三十年という基本的考え方をこの法案に盛り込んでおります。

三谷委員 今、質問には答えていただいていないんです。原則三十年というふうには理解をしておりますけれども、その三十年が過ぎた後ということであります。

 今の話ですと、特定秘密というものができてからの方が、その期間が三十年というものになるということで、それを過ぎた場合には開示されることが多いということになっていくというふうになるとすれば、逆に、情報開示という点では何かプラスになるとも考え得るように聞こえてしまうんですけれども、そういう理解でいいんですか、森大臣、お答えください。

森国務大臣 現行法は特別管理秘密、そしてこの法案は特定秘密でございます。国家公務員法の秘密が広くある中で、また一般の行政文書がある中で、特別管理秘密という、今、現行法の特管秘というのはその中の一部分です。さらに、その中に特定秘密というものがあります。つまり、国家の安全保障にかかわるものだけで、非常に限定されたものです。

 これについては、やはり現行法の、現行法じゃない、法律でもない、単なる運用基準である特管秘というのが、省庁ばらばらでもありますし、おっしゃるとおり、有効期間も決まっていない。ただ、公文書管理法上の保存期間は定めなきゃなりませんから、期間が全然ないのかというと、そうではないんですけれども、やはり現行の制度の不備をしっかり認識して、特定秘密については、しっかりと情報公開法の適用、公文書管理法の適用もした上で、範囲も限定していく、委員の御指摘のとおりでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、しっかりと情報を管理していくということになるんだと思うんです。

 多少ちょっと質問の観点を変えます。

 今回の特定秘密に関してですけれども、今までの国家公務員法上、秘密を漏えいした場合には一年の懲役刑というふうにあったと思いますけれども、今回の特定秘密の場合には、それが十年または一千万円以下の罰金というようなところでございますが、そういう意味では、今まで以上に刑罰が非常に重くなるというところであろうかというふうに思っております。

 その意味で、とある情報がより重い刑罰をもって保護されていくには、それだけ、国側としても、やるべきことを尽くしていかなければならないのではないかというふうに考えておるんです。

 例えば、先ほど申し上げた営業秘密の場合は、保護の対象となるには、物理的管理や技術的管理、人的管理、さらには組織的管理、そういったものをしっかりとやっていかなければ、なかなか保護すべき営業秘密として認められないというような話はあるんですけれども、その点、この特定秘密として保護されるためには、今までのいわゆる国家公務員法上の秘密とは異なった、そういう管理体制というものをしかれる予定というのがあるのかどうか、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 これまでも、特別管理秘密につきましては、各行政機関が作成した物的、人的管理等に関する規定により厳格な管理を行っておりますが、特定秘密に関する本法案が施行された段階におきましては、より厳格な対応をしていきたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 済みません、先ほどの関連でちょっと時間を費し過ぎてしまいましたので、ちょっと問題を先に進ませていただきます。

 首相の権限というところについて簡単にお伺いしたいと思います。

 現行法は、先ほどお伺いいたしましたけれども、この特別管理秘密に関しては、各行政庁の長というものが責任を負っているとはいいながらも、それが、各担当者に委任により落としていく、事実上そこで回しているというようなところで、責任者が明確ではないというところがあったんだろうというふうに思いますけれども、今回のこの特定秘密保護法案の中でも、正直言って、今のその原案の中では、やはりこの特別管理秘密と同じような考え方というものがとられているのではないか、このように考えているわけでございます。

 結局は、政府がそういったものを判断するといったところで、各行政庁の長というものが判断すれば、それは政府の考えだよというようなことになっていたと思うんですけれども、ここにもう少し内閣の関与というものを強くしていくというために、みんなの党は、内閣がしっかりとその基準を設けるというようなことも含めて考えているところでございますが、そこについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

森国務大臣 現行の特別管理秘密では、各行政機関の権限のみによって指定や有効期間が決められておりました。その適正を確保するために、内閣の首長である内閣総理大臣がどのような役割を果たすことができるのか検討することは重要であるというふうに考えております。

 秘密の指定及び解除等における内閣総理大臣の指揮監督権について、与党とみんなの党との間において修正協議が行われていると承知しておりまして、みんなの党の御意見を踏まえ、必要な修正が行われるものというふうに承知をしております。

三谷委員 ありがとうございます。

 続きまして、過去の弁護士としての経験というものを踏まえまして、今回の、裁判が起きたときの争い方ということについて、残りの時間、確認させていただきたいというふうに思います。

 まず、現行法は、国家公務員法上の秘密漏えいの罪というものがありまして、そういった事件というものがあるところではありますけれども、この中で、過去に何件あったかというのはともかくといたしまして、事案として、無罪を争った事件、特に、その中で、自分が漏らした秘密というのは秘密に当たらないんだというようなことを争った事件というのは過去にあったかどうか、お答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 個別の事案については網羅的に承知しているわけではありませんけれども、過去の判例では、例えば外務省機密漏えい事件では、裁判所は秘密の実質秘を認定しておりますので、その部分について裁判所が判断しておりますので、明確に被告人の方が主張したかどうかについては記録が残っておりませんが、争った可能性はございます。

三谷委員 結局、今、実質秘というような話はありましたけれども、過去の例を私もいろいろ見ているんですけれども、一年というような低い法定刑というところもありましょうし、その漏らしたものが比較的明確なものが争われてきたという意味では、自分が漏らしたものは秘密に当たらない、それを主要な争点として無罪が争われた事案というのは基本的になかったというふうに理解をしております。

 その中で、今回、特定秘密を漏えいしただの、それを教唆しただのという話があったときに、いやいや、自分が漏らした、または唆した、そういう情報は特定秘密に該当しないという主張というのは、当然ながら数多く出てくるだろう。一年の法定刑ではなく、今回は十年です。そういう意味では、十年の法定刑を食らうよりは一年で何とかおさめたい、みんな当然そういうふうに思うわけです。

 その中で、二つ問題が今回あるんだろうというふうに思っております。

 一つは、自分が漏らしたものというものを指定された特定秘密と照合する必要があるんだろうと思うんです。照合するときに、もちろん、被告人としては、自分が漏らしたものは何かわかっているわけです。しかしながら、その指定されたものが何かというのがわからなければ、それは争いようがないというところがあるんだろうというふうに思うんですけれども、そこについてどのように考えているか、どのように争ったらいいのかというのが一点。

 あともう一つ、何らかの形で特定秘密として指定されたものが見えた、その中で、しかしながら、確かにその情報は特定秘密として指定はされているけれども、あの別表の四つの中に掲げられているようなものに到底当たらないような、ある意味、裁量の範囲を逸脱して特定秘密だと指定されているものとわかったときに、それをどのように反論して裁判所に認定してもらうかというのは、実は、これは、特定秘密とは何かというのを判決文にまで書いてもらわないと、なかなかその判断というものができないだろうというふうに思っているんですけれども、その点についていかがお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 御質問は、刑事裁判において証拠となる特定秘密の指定の適合性を争うことが可能かという御趣旨かと思います。

 刑事事件における手続は、被告人の防御権を侵すことのない形で進められるべきと考えております。刑事裁判におきましては、立証責任は検察側にございますので、検察側が立証に失敗した場合については有罪とされません。

 したがいまして、検察側の立証方法がポイントとなりますが、これまでの秘密漏えい事件の刑事裁判におきましては、立証責任を全うしつつ、かつ秘密の内容が明らかになることを防止するために、秘密にする実質的理由として、当該秘密文書等の立案、作成過程、秘指定を相当とする具体的理由等を明らかにすることにより実質秘性を立証する方法がとられております。

 特定秘密の事件におきましても、このような立証方法により、当該特定秘密の内容そのものを明らかにせず実質秘性を立証することが可能であると考えております。

三谷委員 今のお答えは、半分しか答えていただいていないんですね。

 実質秘性というのが仮にあったとしても、自分が漏らした情報というのがそれに該当するかどうかということが大事な部分でありまして、被告人としては、何の情報が特定秘密に当たるかということはわからないんですけれども、自分が第三者に漏らした情報が何かというのはわかるわけですよ。そういう場合に、被告人が一生懸命防御をしよう、無罪をかち取ろうということをするときには、自分が漏らした情報というのがあの別表の四つにいずれも該当しないというようなことを、ある意味全部主張して立証していかなきゃなかなか難しいというような話になるわけです。

 先ほど、実質秘という話で、特定秘密がそういう秘密だということはわかったとしても、自分が漏らしたものとの照合性がとれないわけですから、幾らこっちの方が実質秘だというふうに言われたとしても、この漏らした情報が、それを漏らしたことで処罰されるに値するかどうかということ、それをしっかりと、防御権を確保するためには、例えば弁護人なり当事者にはその情報を開示する。

 これは、営業秘密に関しても、民事裁判でも、インカメラ手続の先に、秘密保持命令というものを課す。秘密保持命令を課して、確かに相手方には情報は提供します。でも、そのかわり、開示された相手方当事者というのは、その情報を裁判以外の目的に使ったら、それは制裁が科せられますよというような、そういう制度があるわけですよ。

 そういう意味では、本当に被告人の権利を守っていくということを考えるのであれば、ほかの制度でもそうやって導入されている制度を、今回の特定秘密の保護というものにも、被告人の権利をしっかりと防御していくという観点から導入するべきだと思うんですけれども、その点、大臣はいかがお考えでしょうか。

森国務大臣 三谷先生も弁護士でございますけれども、今おっしゃった、特定秘密の中を見ることができなければ別表のイからニまで全部反証しなければならないというのは違うと思います。

 起訴状に公訴事実を書くときに、もちろん、ある程度の明確性、法の要求にのっとったものを書きますね。このときに、特定するには、別表の何の事項に当たるものであって、しかも、過去の事例では、例えばイージス艦のこれこれのこういう事項です、そこまでは特定されているんですよ。

 ですから、別表の該当性を全部打ち消していかなきゃ被告人の防御権が達成できないということはないと思います。これは、現行の秘密漏えい罪の、刑事訴訟法の立証方法でとられている方法です。

 先ほど審議官が述べたとおり、外形立証というのは、例えば、この紙一枚を漏らしましたというときに、どんな紙であって、例えばどの程度の番号が書いてあって、大きさとか、それからその作成過程とか、そういったものは全部出しますよね。これは、出せなかったら検察側の負けですから。そういうものを見て、自分が漏らしたと疑われているものと同一かどうかというものを争っていくわけです。防御していく。

 その中で、弁護人がこれでも足りないと思ったら、証拠開示請求ができるじゃないですか。その証拠開示請求の中でインカメラが入るんですよ。そこで裁判官が、この秘密の中身まで出さないと、この証拠を開示しないと裁判できないと思えば開示命令が出ますし、そこは開示しなくても足りると思えばそうなるわけでございますから、私は、現行の秘密漏えい罪で使われている制度をしっかり運用していく、それが大切であるというふうに思っています。

三谷委員 もう時間ですので、最後に一言だけ述べたいと思います。

 先ほど、インカメラ手続で開示すればいいというような話がありましたけれども、それは、Aという情報ではないかもしれないけれども、Bという特定秘密かもしれない。Aという情報ではないからBという特定秘密について開示するというような判断を裁判所がするとは思えないので、今の答弁は、必ずしも妥当するとは思えません。

 以上です。ありがとうございました。

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きのう、適合事業者の問題について、時間が不足して十分に聞けませんでした。改めて、防衛大臣に伺いたいと思います。

 きのうの委員会で、防衛秘密の取り扱いを含む契約を結んでいる契約企業は、どのような業種で、何社程度あるのかを質問いたしました。防衛大臣の答弁は、主として装備品の製造を行うメーカーが現時点で三十社ある、このような答弁でありました。三十社というのは、直接契約を結んでいる契約企業だけなのか、それとも下請企業を含むものなのか、どちらですか。

小野寺国務大臣 昨日の私の答弁で、自衛隊法上の防衛秘密を取り扱うのは、現時点で三十社程度の事業者である旨、答弁をさせていただきましたが、この中には下請企業も含まれます。

 このような防衛秘密を取り扱う事業者の適合性の確認については、省令で定める契約者の適合性の審査基準に基づき実施をしております。

 御質問にありました下請企業については、含まれる数であります。

赤嶺委員 資料を用意してまいりました。経団連の防衛生産委員会がまとめた防衛産業の現状という資料から抜き出したものでありますが、装備品の製造には非常に多くの企業がかかわっていることがこの資料の中で示されております。

 よく、戦車は千社、戦車一つつくるのに一千の企業がかかわっている、そういう言葉で言われてきましたが、九〇式戦車の製造には、この図では、全体で約千三百社がかかわっている。内訳は、直接契約社が六社、一次下請が三百二十九社、二次下請が九百五十三社となっています。護衛艦の場合は、約二千五百社がかかわり、内訳は、直接契約社が七十二社、一次下請が千三百七十八社、二次下請が千七十三社となっています。

 護衛艦の直接契約社だけでも三十社をはるかに超えているわけですが、なぜ下請も含めて三十社ということになるのですか。

小野寺国務大臣 これは、昨日の委員の質問もありましたので、再度、私、役所の方で確認をさせていただきましたが、やはり、自衛隊法上の防衛秘密を取り扱うというのは、下請企業も含めて現時点で三十社程度の事業者であるということであります。

赤嶺委員 この三十社というのは、経団連が出しているこの図でいいますと、この資料にある装備品ごとに、それぞれ何社入っているか御存じですか。

小野寺国務大臣 きのうの御質問で、防衛秘密を取り扱う業者というのは三十社ということを言わせていただきましたが、それ以上につきましては、それぞれどの装備に何社がかかわっているかということについては、答弁は差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 答弁をしてもらわないと、まだ秘密保護法というのはできていないんですから、ちゃんと答えてくれないと困りますよ。資料を求めたら真っ黒、答弁を求めたら控えさせていただきます。

 防衛省の秘密には、防衛秘密だけではなく、特別防衛秘密、そして省秘などがあります。それじゃ、これらを取り扱う企業、それはそれぞれ何社あるのですか。

小野寺国務大臣 急な御質問ですが、特別防衛秘密については、どのぐらいあるかは確認をさせます。

 そして、省秘については、恐らく、通常、さまざまな装備その他が省秘に多分該当すると思うので、その数というのは相当の数になると思いますので、ちょっとここで数を調べるというのはなかなか難しいことだと思います。

赤嶺委員 三十社という答弁が出まして、それで、私、にわかには信じられないものですから、どんなふうにそれを押さえていったらいいかと思いまして、さっき、省秘のところまでぜひ調べていただきたいなと思って質問しているわけですが、防衛省でもつかみにくいというんですが、それじゃ、メーカー以外はどうなっているか。

 例えば、米軍や自衛隊の施設整備がありますよね。この施設整備にかかわって防衛秘密を取り扱う契約企業、これはないですか。

小野寺国務大臣 御質問の自衛隊や米軍の施設整備につきましては、適合性の確認を要しない省秘を扱う契約を締結する例はありますが、現在のところ、防衛秘密を取り扱う契約を締結している事業者はありません。

赤嶺委員 ないということですか。省秘だけしか取り扱っていないということですか。

小野寺国務大臣 繰り返しますが、自衛隊や米軍の施設整備につきましては、適合性の確認を要しない省秘を取り扱う契約を締結する例はありますが、現在のところ、防衛秘密を取り扱う契約を締結している事業者はありません。

赤嶺委員 その秘密を取り扱っている企業というのは何社ですか。

伊藤政府参考人 現在、自衛隊法第五十九条によります秘密、省秘を含む建設工事につきまして、現時点においては、五社との間で六件の契約を締結しております。

赤嶺委員 これはまたいずれ調べていきたいと思うんですが、きのう、その企業の数を聞いたのは、実は、適合事業者の従業者として何人適性評価を実施するか、その想定を、規模を聞きました。答弁はいただけませんでした。

 経団連のもう一枚の資料を見ていただきたいと思いますが、航空機メーカーのA社は、設計技術者千人、現場技能者千三百人とあります。ミサイルメーカーのG社は、設計技術者四百人、現場技能者五百五十人とあります。一体、何人の従業員の適性評価を行うことを想定しているのですか。

小野寺国務大臣 昨日の質問の中で、三十社程度の、これは私どもが答弁したんですが、その中の、防衛秘密の取り扱いの業務に従事する役員及び職員の人数ということですが、これは、現在確認をしております。

赤嶺委員 まだ規模は答えられないということですか。

小野寺国務大臣 正確を期す答弁をするために、今調査をさせております。

赤嶺委員 森大臣に伺いますが、今までは、各企業が適性評価をやっていたんですよね。今回皆さんが考えている方法でいいますと、直接国が契約企業の従業員の適性評価を実施することになるわけですよね。そうなれば、従業員のさまざまな個人情報、この法律で調べられるのは国家公務員だけじゃないんですね、軍需産業に携わっている従業員、そういう人たち、派遣労働の人たち、いろいろな個人情報が国に集約されることになってきます。

 しかも、今防衛大臣は、正確を期するために数は言えないというお話でありましたが……(小野寺国務大臣「調査中です」と呼ぶ)調査中というお話でありましたが、規模は相当数に上ると思うんですよね。

 かつて、ここに中谷先生がいらっしゃいますが、中谷防衛庁長官のときにリスト問題というのがありました。覚えていらっしゃると思いますが、当時、防衛庁が情報公開請求者名の個人情報を集めてリストを作成していたという、大問題になりました。リストには、市民オンブズマン、反戦自衛官などの情報が記載されて、情報保全隊の前身である調査隊を含む関係部局に配付されておりました。

 今度は、この法律に基づいて、適性評価を通じて、国が正面から契約企業の従業員やその家族、同居人の思想、信条に関する情報を収集すること、これが可能になるのではありませんか。

森国務大臣 それは可能にはなりません。適性評価の評価の事項は、条文に記載をされておりますとおり、十二条に書いてある七つの事項に限られます。思想、信条については調査されません。

赤嶺委員 思想、信条について調査している内部告発の文書を私がここで見せても、それに対応する資料を出せと言ったら黒塗りの資料しか出せずに、しかし、答弁は、思想、信条にわたりませんといっても、根拠が非常に曖昧であります。やはり、憲法が保障している内心の自由、思想、信条の自由、基本的人権を侵害するおそれが出てくるということを指摘しておきたいと思います。

 次に、特定秘密の提供について質問をいたします。

 防衛大臣に伺いますが、自衛隊や米軍の施設を整備する際には、地方公共団体に対して建築確認の申請を行っていると聞いていますが、その点は、そのとおりですね。確認できますね。

小野寺国務大臣 これは、建築基準法十八条の規定によりまして、当該工事に着手する前に、その計画を建築主事に通知し、確認を受けることが必要となっております。この手続は、防衛省が建設する建築物等についても同様であります。

赤嶺委員 その建築確認を受ける、整備する施設に防衛秘密が含まれている場合には、どのような手続を踏んでいるのですか。

小野寺国務大臣 それは、防衛秘密の場合ということでありましょうか。

 御指摘のような、防衛秘密に含まれるものを建築確認で申請するかどうかというのは、ちょっとなかなか、まれなケースなんだと思いますが、いずれにしても、防衛の用に供する施設の設計、性能または内部の用途が御指摘の防衛秘密に該当することとなる場合が考えられる場合には、現在の防衛秘密の保護に関する訓令の規定によるということになると思います。

赤嶺委員 自衛隊が建築確認申請をする施設には防衛秘密は一切含まれていないということはあり得ませんでしょう。それはあり得るわけですよね。その場合に、訓令によるというのは、具体的にどんなことをやるんですか。

小野寺国務大臣 恐らく、極めてまれな話だと思いますので、ちょっと、その訓令の詳細な規定が必要であれば、後でお届けさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 通告してあるんですが、なかなかお答えにならないようですけれども。

 那覇市に自衛隊が対潜水艦戦の関連施設を建築しようとして確認申請をとって、それが情報公開されたら、秘密が入っているということで、防衛省から那覇市が訴えられた事案があったんですよ。

 だから、防衛秘密を含む施設を地方公共団体に確認申請する、そのときにどんな手続をとるかということを、もう一度改めて伺います。

小野寺国務大臣 委員が今御指摘された内容については、恐らく、防衛秘密ではなく、省秘に当たる内容のことだと理解をしております。

赤嶺委員 省秘でもいいんですけれども。省秘と言いますけれども、最初出されたときは省秘でも何でもなかったんです。情報公開されたら、これは省秘だと後から言い出したんですよ。要するに、秘密の後づけだったんですね。それで、裁判は最高裁まで行って負けたんです、皆さんは。

 森大臣に伺いますけれども、今回の法案では、建築確認申請に伴う地方公共団体への特定秘密の提供、これは書いてありますか。

森国務大臣 建築確認のような業務において、特定秘密の提供をする必要があるかどうかということは、通常は余り考えられないと思いますが、建築確認に限らず、一般的に地方公共団体に特定秘密を提供する場合について申し上げれば、十条第一項に規定がございます。

赤嶺委員 地方公共団体に特定秘密を含んだものを提供する場合には、十条一項にあると。

 特定秘密の提供を受けた地方公共団体の担当者がその秘密を漏えいした場合はどうなるんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 長期五年の懲役の処罰の対象となります。

赤嶺委員 地方公共団体の職員も、特定秘密の提供を受けて漏らした場合は懲役五年、処罰の対象となる可能性があるわけですが、地方公共団体への秘密の提供というのは、法案には明示的に書かれていません。先ほど大臣が指摘した場所は、「公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務」という規定から読み込んでいるわけであります。

 これを読んで、地方公共団体の職員が、自分たちのことを書いてあるんだなとわかる人は、およそいないと思います。処罰される可能性があるのであれば、きちんとそのことを明記するのが当然ではありませんか。何でそういうことも書かないでやろうとしているんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 本法案は、国の安全保障に関する秘密を保護する法律でございますので、通常、地方自治体に提供することは余りないということで、第十条の規定で読むこととしております。

 また、地方公共団体に国の行政機関が特定秘密を提供する場合につきましては、それが特定秘密であることを明らかにして、その場合、処罰の対象であることを明確に伝えた上で提供することになると思います。

赤嶺委員 まれにしかないと言いながら、地方公共団体が処罰される。この法律を読んで、地方自治体の職員が自分たちのことも書かれているなんてわかる人は誰もいませんよ。

 そういう形で、法案全体をベールに包んで一気に通そうとする、そういうようなやり方は絶対に許されない、この法案は廃案にすべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 これまでも政府提出の特定秘密の保護に関する法律案について審議を進めさせていただきましたが、きょうは民主党提出法案について、それを中心にお話を聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、民主党からは、特別安全保障秘密適正管理法案の三法案、それから、それ以外にも、行政情報適正管理の法案などが提出されています。

 昨日、民主党の長島委員から質問があった際に拝見させていただいた資料には、安全保障に著しい支障を及ぼすために秘匿する必要がある秘密、いわゆる特定秘密の基準を決めるのは行政の長、つまり政府であり、指定するのも政府、扱い者を決めるのも政府、情報の公開の判断も政府、解除の判断も政府であるというふうになっていて、例えば国民が知る権利ですとか、あるいは憲法で明記されている国会の位置づけなるものが、非常に、私の表現でおこがましいんですが、曇ったような、法案と憲法、法案と国会との関係みたいな形に思えるわけですね。

 そういうことがあってはならないということは、もちろん前提ではありますけれども、まずお尋ねしたいのは、民主党案の中で、例えば今、国民の大きな話題といいますか不安の根幹になっているのは、プライバシーの問題ですとか、知る権利ですとか、さまざまないわゆる国民主権への意識について、政府提出の法案が審議の中でもなかなか読み取れないなというふうなところも感じているのではないかと思います。

 民主党提案のこの法案で、全体部分における、まあ総論的な話になりますが、憲法に対する、いわゆる合憲の基本姿勢、国民主権への意識などについて、まずお聞かせいただきたいと思います。

渡辺(周)議員 私どもの提出いたしました法律案の第一条、まさに目的の中には、「国の保有する情報は本来国民のものであるとの国民主権の理念にのっとり」と、国民主権という言葉を明記いたしました。また、そして情報適正管理委員会の設置法においても同じように、これは「国民主権の理念にのっとり」と改めて書いております。

 政府の政府による政府のための法律とならないように、私どもは、この法律は、あくまでも特定の秘密は守る、特定のものはあるだろう、しかし、それが、国民が本当は知らなければいけないこと、あるいは知っておいて当然のこと、これが隠蔽されることがないように考えまして、つくりました。

 やはり、そもそもの政府案の懸念される点というのは、特定秘密の名のもとにおいて、行政側の例えば失政であるとか失敗であるとか、あるいはミスであるとか、さまざまなことが隠蔽されるのではないか、そして、それが幅広く際限なく進められることによって、国民の知らないところで行政が物事を決めていく、こういう不安が、懸念があろうかと思います。

 ですから、私どもは、知る権利という理念のもとに秘密を限定する、そして国権の最高機関たる国会、国民の代表者による国会が必ず関与するということを関連法の中でも位置づけたところでございます。

玉城委員 確かに、この法案の第一条の方には、さまざまな「国の保有する情報は本来国民のものであるとの国民主権の理念にのっとり」という、政府提出法案の中では、ややもすると、いわゆる配慮規定になっているようなところが、第一条ですから、理念にしっかり置かれているということは、まさに全体の骨格をまず読み込んでいくに当たっての入り口かなということで、そのことを聞かせていただきました。

 では、さらに続けてお伺いいたします。

 政府提出法案では、第十条のイの項目で、いわゆる秘密会の設置についての記述があります。しかし、民主党提出の法案では、その部分を削除しているというところが見受けられます。

 当然、憲法五十七条では、国会における秘密会の権利、それから四十一条では、国権の最高機関として、国会が唯一の立法府として置かれているわけですね。国会の立法の立場における尊重、そして責任など、この法案の中で述べていることについてお聞かせください。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 行政府が持っている情報を立法府に提出いただくことについて、その条件を行政府がつけることはやはりおかしいのではないかということは、この委員会でも明らかになりました。先ほど森大臣の答弁にもあったと思います。

 そこで、我々は、むしろ国会法の規定で、今、百四条というところで政府の情報を出していただく規定がございますが、これも最終的には、国家の極めて重大な利益に回復しがたい悪影響を及ぼすこととなるというのを行政側が認めるかどうかなんですね。そこを、権限を移して、立法府側が同じことを認める。立法府側の判断で、当然、限定された場合ですし、秘密会にしてということだと思いますが、出していただくという規定を、国会法百四条の後に百四条の二というものを加える国会法改正案を提出しているところでございます。

玉城委員 私も、政府提出法案の中で、ややもすると、国民の皆さんが、では国会議員の立場というのはどういうふうな立場なんだというふうなことについての御懸念や関心も高いと思います。

 ということは、そこに置いているという民主党の法案は、我々、国会及び国民の代表たる国会議員に対しても、その責任を共同して負うということで認識しているということでよろしいですか。

後藤(祐)議員 先ほどの中谷理事の御質問のときにもありましたが、秘密の保護と知る権利というものの緊張関係をどうするか。行政の中にいる政治家以外の行政職員の方がどうしても秘密の方に偏りがちなところを、我々政治家が、行政府の中に入っている政治家も含めて、立法府たる政治家も含めて、できるだけ、知る権利側の立場に立って、ですが、そこはバランスが必要です、物によって違いますから、ということが必要だと思います。

 具体的に、この法案の中でいいますと、我々は、新しい委員会を設置して、その委員を誰にするか、立法府が指名をして、形式的に総理大臣に任命していただきますが、やはり、行政府の中にある秘密に関してしっかりチェックしていただく委員会の委員の指名という形を通じて、立法府がチェックしていく必要があるというふうに考えております。

 また、それのみならず、この法案の中には「行政機関の長」という言葉がたくさん出てまいります。ほとんどは大臣、すなわち政治家がその行政機関の長になっている場合が多いわけですから、きちんと、行政府の中にいる政治家たる大臣が、知る権利、これに基づいた判断をしていただくということも当然必要なことだと思います。

玉城委員 では、今の答弁に関連してお聞かせいただきたいと思います。

 確かに、行政機関の長が定めるということを、私が冒頭で、いろいろなものを指定し、それを決め、解除するのも決めというふうな形になっていて、余りにも行政機関の長の権限が膨大といいますか、偏重しているというふうに思えるわけです。

 そこで、例えば、性悪説に立つわけではないんですが、行政の長による恣意性、恣意的な利用、運用への注意について、その権限の集中に対する国民の側からの注意などについて、それをお聞かせいただきたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 幾つかあります。まずは、秘密指定をしてはいけない事項というものを禁止事項として、これは政府案には入っていないんですが、例えば政府が違法行為を隠す、あるいは不作為を隠す、こういったことをしてはなりませんよということを三条二項で定めております。

 また、行政機関の中で公務員の方が、これは今申し上げた指定禁止事項ではないかとか、あるいは、もうこれは公になった情報ではないかとかいうことをわかってしまう場合があるんですね。その場合には、新しく設置される委員会に通知する義務というものをかけております。

 実際、委員会が何万件もの情報を一々チェックすることはなかなか難しいですから、実際に行政の現場で働いていらっしゃる方が一番わかっているんです、指定しちゃいけないものを指定している場合というのは。その方が通知するような仕組みをシステムとしてつくっていくことが、不必要な指定をしない、恣意性を排除するために必要なことだと考えて、このような規定を置いております。

 また、そのほか、それで発見しました、通知しましたといった後には、委員会が、これはどうなっているんですかと報告を求めたり、あるいは最終的には、これは秘密にしておくのはおかしいんじゃないですかといって勧告をする、こういった権限も付与しているところでございます。

玉城委員 やはりこの法案、政府の法案についても民主党の提出されている法案についても、第三者委員会のチェック機能というものが、委員会の質疑でもたくさんの委員の質疑の中で上がってきております。それは、とりもなおさず、国民の関心がやはり高いということで、政府の中だけでいろいろなことを決め、まあ言葉は語弊があるかもしれないんですが、いろいろな委員会をつくって、例えば、一般的に、マスコミの言葉をかりますと、御用学者というような方々がその席に座っているということになるのではないかということが懸念されているわけですね。

 そのことについては、私は、民主党の第三者委員会の設置についても、しっかりとその中身を、中身といいますか、形についてお尋ねしておきたいと思います。

 情報適正管理委員会というふうな名称で位置づけられておりますが、この情報適正管理委員会のあり方、それからその構成員等について、どういうふうな内容で置くべきなのかというふうなことの予見を、あらかじめこういうことであるというふうな見解があれば、お聞きしたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 この委員会設置法に基づいて、委員長一人、そして委員六人を国会が指名し、これに基づいて総理大臣が形式上任命をするということにさせていただいております。これによって、国会からの行政に対する、先ほどおっしゃったような行政の言いなりの方を委員にするということのないようなチェックをすることとしております。

 ただ、この委員会は、相当専門的な知識が必要な場合があると思います。外交ですとか、あるいはテロの関係の情報がどういった形になっているのか、そういった御経験のあるような方で、今は役所をやめられているような方に例えば委員になっていただくですとか、そういったことが必要になるのではないかと考えます。

玉城委員 では、今、後藤委員からテロという言葉が出てまいりましたので、これもまた一つ懸念になっている点を聞きたいと思います。

 何が懸念になっているかというと、いわゆる政府提出案の特定秘密の保護に関する法律案の概要の別表で、第一号、防衛に関する事項、第二号、外交に関する事項、第三号、特定有害活動の防止に関する事項、そして第四号、テロリズムの防止に関する事項という、この四つの中で特定秘密をさらに絞り込んでいくというふうな形になっているやに聞いておりますが、その中で、この別表のいわゆる一号、防衛に関する事項と、そして、最も、実はこの法案の、私は、政府というよりも与党の一番織り込んでおきたいというのが、この第三号の特定有害活動の防止に関する事項、いわゆるスパイ活動の防止ではないかというふうに思うわけですね。

 ところが、民主党の提出されている法案では、この特定有害活動の防止を組み入れていないということがあります。あえて組み入れていないという、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 我々は、今の体制できちんと秘密の保護がなされている部分については、必ずしも変更する必要はないと考えました。今の体制では不足している部分に限って新しい法案で対象にすべきと考えました。

 今おっしゃった特定有害活動については、むしろ、我々、今の体制で何が不足しているかと考えたときに、海外との、あるいは国際機関との情報共有の観点から、必要な部分に限って指定しようと。そう考えた場合に、今おっしゃった特定有害活動というのは必ずしも入らないのではないかというふうに考えて、外しております。

 ただし、こういった活動をされておられる方というのは、そういった方が秘密を扱うということがあってはなりませんので、適格性確認、秘密を扱う方の適格性確認をする際には、その調査項目に、きちんと、特定有害活動を行った過去があったりしないかどうかというものは調査内容に加えております。

玉城委員 その一つに、いわゆる政府法案の適性評価に、名称が適格性確認、適格性の確認ということで、民主党の法案の中ではこの名称で置かれています。ところが、その内容はほとんど政府提出の法案と一緒になっていますね。

 しかし、国民の側からすると、政府がそもそも出しているいろいろな調査項目については、大変プライバシーの侵害につながるのではないかということも、これもまた、ある種、新しい憲法の形といいますか憲法の考え方からすると、もっと国民の側に立って、そこまで踏み込むことが必要なのかなというふうな意見もあるというふうに承知しております。

 この適格性確認、本法案、政府提出法案の適性評価をあえて設置しているという件について、改めて御説明をお願いします。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 秘密を保護する上で、適格性確認は必要だと考えます。現行でも、カウンターインテリジェンスの機能強化に関する基本方針に基づいて、法律には基づいておりませんが、運用として行われております。そして、実際、今行われているものと同等のものをやっていただくということが念頭でございます。

 ただ、政府案と何が違うか、ほとんど同じというふうにおっしゃいましたが、一つ重要な違いがあります。それは、まさにプライバシー侵害が行われたですとか、こんな形で適格性確認の調査をやられて困ったといった場合には、苦情の申し出ということができるんですが、政府の提案では、行政機関の長、つまり自分の働いている役所の上司に対してその苦情を申し出ることになっておりますが、なかなかこれは本音で言いにくいところがあると思うんです。

 そこで、我々は、新しく設置する委員会に対してこの苦情の申し出をし、この申し出を受けた委員会は、その当該行政機関の長に対して、こういう通知が来ましたよ、ちゃんと誠実にやってくださいといって、誠実な処理としてどういったことをやったかということについて、御本人とそして委員会に対する報告をしていただく、こういうことにさせていただいております。ここが大きな違いだと思っております。

玉城委員 今、委員会とおっしゃっているのは、先ほどの情報適正管理委員会ということで認識をさせていただきたいと思いますが。

 ということは、つまり、不服の申し立てが、行政の長に直接するのではなく、委員会に対して申し立てをし、委員会の方からその行政の長に、きちんと適切に対処するようにということで、その報告を、届け出た本人と、その委員会へも報告を義務づけているということでよろしいですか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 委員会に御本人から苦情の申し出が来ました、それで、行政機関の長に対して誠実に対応してくださいということを言います。それで、実際にどういった対応をしましたかということを、行政機関の長が、申し出者と委員会に対して両方に報告をしていただく、こういうことになっております。

玉城委員 では、時間の関係で、あと、最後に一点お聞かせください。

 いわゆる特定秘密の指定、政府案の指定の有効期限と解除ですが、民主党案では原則三十年ということになっておりまして、それが超える場合には委員会の承認を得るというふうに見ております。そして、この解除手続の法定を、取扱業者などが指定要件を欠くまたは指定禁止事項に該当すると思料するときは、委員会に通知する義務を負うというふうにあります。

 原則三十年、超える場合は委員会の承認を得るというふうになってはおりますが、民主党案では、三十年から先の年限が特に指定されていないというふうに思料されます。そのことについては、この民主党案の中では、三十年を迎えた場合の特定秘密の取り扱いをどういうふうに考えていらっしゃいますか。

後藤(祐)議員 まず、最初、五年が来ます。更新をします。それを五、五、五とやっていって、三十が来ます。そこまでは委員会の承認は必要ないんですが、三十年の段階で委員会の承認が必要となります。そこで、今度は、三十を超える新しい有効期間を設定するわけです。

 それは別に五年に限らなくてもいいんですが、それは第四条二項に基づいて、指定の有効期間が満了した場合には「五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。」となっておりますので、三十年になったら、次は三十五年までしか延長できません。三十五年にして、これはまた、三十年を超えておりますから、その時点で再度、委員会の承認が必要になるものと考えます。三十五、四十、四十五と、その都度、承認が必要になるものと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 時間ですので質問を終わらせていただきますが、最後に、森大臣に一言お伺いしたいと思います。

 こういうふうに、つまり、現行法で対処できるものは現行法で対処して、それに足らざるものを足していこうというのが民主党提案の法案かというふうに思います。

 そういうことを、私もこの委員会の中で、足らざるものを補う最小限度ですべきだというふうにすることによって、特定秘密の不安が広がっていかないということではないですかというふうに繰り返し質問させていただきました。その件について、御所見をぜひお伺いしたいと思います。

森国務大臣 今、修正協議がなされていると思いますが、私は、防衛秘密について除外されているので、安全保障にかかわる一番重要な部分の防衛秘密が、民主党の案ですと、適性評価を除いて、第三者機関のチェックも適用されない、それから、報道の権利、取材の自由というところもかかっていかないわけでございますので、やはりそこがちゃんとワークするのかなというところは私の大きな疑問であります。

玉城委員 済みません、それについて、最後に、提案者からどうぞ。

額賀委員長 後藤祐一君、簡単に言ってください。

後藤(祐)議員 これは、先ほどの大島委員のときにも御答弁申し上げましたが、大臣、防衛秘密は対象にならないんですが、適格性審査ですとか、この委員会は、防衛省のことに関しても適用されるんですね。ですから、そこはやや誤解があるようなので、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。

玉城委員 質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

額賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることにし、本日は、これにて散会します。

    午後四時五十八分散会


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