衆議院

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第4号 平成26年10月17日(金曜日)

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平成二十六年十月十七日(金曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 宮腰 光寛君

   理事 義家 弘介君 理事 渡辺  周君

   理事 重徳 和彦君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    伊藤 忠彦君

      伊藤 達也君    池田 道孝君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      河村 建夫君    木原  稔君

      坂井  学君    鈴木 俊一君

      鈴木 淳司君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君  とかしきなおみ君

      林  幹雄君    福井  照君

      務台 俊介君    小川 淳也君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      小熊 慎司君    村岡 敏英君

      稲津  久君    遠山 清彦君

      濱村  進君    桜内 文城君

      中丸  啓君    佐藤 正夫君

      宮本 岳志君    畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局次長)       麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理)            山崎 史郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     蝦名 邦晴君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     青山 周平君

  寺田  稔君     池田 道孝君

  宮川 典子君     岩田 和親君

  濱村  進君     遠山 清彦君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     務台 俊介君

  池田 道孝君     寺田  稔君

  岩田 和親君     宮川 典子君

  遠山 清彦君     濱村  進君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     金子 恵美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査の参考に資するため、来る二十二日水曜日、徳島県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 次に、政府参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局次長麦島健志君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理山崎史郎君、厚生労働省大臣官房審議官苧谷秀信君、国土交通省国土政策局長本東信君、観光庁審議官蝦名邦晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。

土屋(正)委員 おはようございます。自民党の土屋でございます。

 きょうは、今最も重要な課題である地方創生について、石破大臣に、基本的な考え方を二つ、具体的な政策を一つ、この三点をお尋ねいたしたいと存じます。

 石破大臣とは、長い御指導をいただいておりますが、この問題について、農水の政務次官をなさっておられたときに、都市と農山漁村とのバランスをどうするんだ、お互いにウイン・ウインの関係でいくにはどうしたらいいかということを語り合い、そして、大臣の御指導で、農水省の局長の皆さん、文科省の局長の皆さん、両省の局長の皆さんとこの問題の第一回の会議を、恐らくこういうテーマで開いた第一回の会議だと思いますが、もう十数年前のことになるわけであります。

 そのことを思い出しつつ、問題は深化し、深くなり、さらに切迫した状態になっている今日、国を挙げてこういう問題に取り組む、極めて大事なことだと改めて肝に銘じ、きょうの質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一点目にお尋ねしたいのは、都市は繁栄していても単立はできない、都市と地方の関係は、対立から協力、共存への関係に行かなければならないのではなかろうかという角度から質問させていただきます。

 都市、とりわけ大都市には金、物、人、情報が集まっているわけであります。これは、一万年前から農耕が生まれ、自給自足の経済が変化し、貨幣を介して物が交換される、いわゆる市が成立をし、それから人、物、金が市に集まるようになったわけであります。まさに都市の成り立ちだと我々は学んでまいりました。

 この潮流は、歴史を重ねるごとにますます速く、深くなり、今日では、国境を越えて、全世界が一つになって、物、金、人、さらに情報が流通し、一体化し、大きな流れになっていることを感じます。その途中では、産業改革があったり、いろいろな大きな時代の変化があったわけでありますが、この潮流はますます加速されることでありましょうし、とめようにもとめることのできない文明の原理であると思います。

 ある人は、現代の日本というのは、高速の新幹線に乗ったようなもので、誰も飛びおりることはできない、こういうことを言っておりましたが、まさにそういう大きな流れの中にいるんだろうと思います。

 こういう認識を持たないと、地方が何か鎖国状態になって、そこだけで自己完結的な経済圏を樹立していくということを想定しても、これはなかなか難しいわけでありますから、私は、この文明の原理に従って、大都市に集まっているエネルギーをどうやって地方に還流させるか、そして、地方の持つ元気をどうやって都市部に還流するか、こういう視点がないと、何か都市と地方が対立をしている、あるいは分離している、こういうような発想に立ってはならないと思うわけであります。

 その一つの証左として、今お手元にお配りをいたしました資料の縦長の統計をごらんになっていただきたいと思います。

 この縦長の統計は、国税庁の統計でありますが、実は一番偏在性が少ないと言われる消費税の分布を調べたものであります。

 この中で、色を塗っておきましたが、もとの原稿は国税庁でありますが、色を塗ったのは私どもでありますが、東京というところを見ていただきますと、全体で十二兆四千億のうちの五兆八千億という数字が東京国税局で納税されているわけであります。

 さらに、いわゆる東京圏というものの中には埼玉も入るわけでありますから、この埼玉分を入れますと、何と、合計して六兆一千五百七十四億という、つまり、首都圏だけで消費税全体の半分、四九%が東京圏に集まっているという現状なんであります。

 このことは紛れもない事実でありまして、さらに名古屋、大阪などを合わせますと、全体で七五%近くはこの三大都市圏に集まっているということになるわけであります。こういう現状を踏まえた上で、どうするかを考えなければならないと思います。

 しかし、都市は、二十四時間働き続け、雇用の機会にも恵まれ、一見繁栄しているように思えるわけでありますが、極めて脆弱な基盤の上に成り立っているわけであります。命や生活の源となる水、食料、エネルギーなど、地域内で調達することはできません。例えば東京都に限って言えば、水はわずか三〇%、電気は一〇%足らず、ガスは何と〇%、さらに食料の自給率は一%、これが実態であります。

 こういったことから考えると、都市の繁栄というものは、農林漁業、工業など、生産の町に支えられていると言っても過言ではないわけであります。都市は繁栄しているように見えるが、都市住民は時間に追い立てられ、狭い空間に閉塞状況にあるわけであります。結婚や子育ての心理的余裕すらなかなかつかめないといったのが実態ではないでしょうか。

 一方、地方は、戦後一貫して、産業構造の変化と科学技術の進展、自由貿易の徹底などにより、人口が域外に流出をし、一見衰退しているように思えますし、残念ながら、いまだ人口減少もとまらないのが現実であります。しかし一方、地方には、大都会にない、きれいな空気、緑なす山河、新鮮な食料、美しい星空、落ちついた家屋、歴史的建造物、人々の温かいきずななど、人間が我に返り、生きている実感を得ることのできる、かけがえのない必要条件が全てあるわけであります。

 地方創生の問題は、大都市のエネルギー、大都市の住民が、富、情報、活力を地方に還流するとともに、地方の持つ元気をいただくことに今日的な意味があります。この点の基本的な見解について、石破大臣の御見解を求めたいと思います。

石破国務大臣 都市と地方の相互理解というものが随分と欠けてきちゃったのではないかなという気が正直言っていたしております。

 情報でもそうなんですが、地上波であれ、あるいはそうでないものであれ、テレビを見ていても、東京発の情報というのはやたらめったら多いんですが、地方発の情報というのは、台風か災害か、そういうときには地方発の情報になりますが、平時は中央発の情報がやたらと多い。ですから、特に相互理解が欠けているというのは、都市の方々が、今委員が御指摘のような、地方のよさというものを余り御存じいただく機会に欠けているのではないだろうかと思います。

 後ほど御議論が出るんでしょうが、委員が市長在任中に、農の未来は都市にありということを唱えられて、私も随分といろいろなことを啓発されたのですが、都市が、農村といいますか地方といいますか、それの支えによって成り立っているということを都市の方々が御存じない。都市の子供たちが、田植えをしたこともなければ、稲刈りをしたこともなければ、海で泳いだこともなければ、ましてや、川で泳ぐと危ないよというので、昔は臨海学校とか林間学校とかあったものですが、もう今は、危ないとかいって、そういうものも随分なくなってしまいました。

 都市と農村が、あるいは農山漁村が共存共栄していくためには何ができるんだろうかということだと思います。都市の方々が、地方に移住したい、こういう人は非常に多いんですけれども、それが漠然たる地方に対する憧れということであったとするならば、地方に行ったけれども話が違うじゃないのということになるわけで、やはり、都市に対して農村のいろいろな情報を提供するということと、あわせて、何でこんなに人が都市に集まるかといえば、いろいろな要因はあるんでしょうが、地方に仕事がないというのが一番の理由です。

 地方に仕事をつくっていくためには何ができるかということが、この地方創生の議論の一番のポイントだと思っておりまして、委員初め皆様方に、地方に仕事をというのは一体どういうことなのか、地方と都市との共存というのはどういうことなのかということを、ぜひ御議論いただき、御教示を賜りたいと存じます。

土屋(正)委員 大臣がおっしゃったように、私は東京生まれ東京育ち、典型的な大都会側の人間でございますが、都市住民として、持っている脆弱性にも十分配慮しながら、自覚しながらやらなければならない、増長してはいけない、こんなふうには思っているわけであります。

 さて、今の点はまた後で発言させていただきたいんですが、大きな二点目としてぜひ確認をしておきたいことなんですが、今大臣がおっしゃった地方の仕事ということでございますが、地方の仕事をつくるということは、いろいろな特徴のあるユニークな仕事が全国であります、離島においても。

 例えば武蔵野市には高知県のアンテナショップ、高知屋というのがあって、有名なユズの名産のところなどの製品もありますが、しかし、それは十分条件であって、必要条件なのか、本当の意味の主流になるのか、産業の主流になるのか、雇用の主流になるのか、ここはきちっと押さえなければいけないだろうと思います。

 そこで、私は、地方といっても、この場合の地方というのは、いわゆる政令指定都市のような地方の巨大都市ではなくて、その外側にある、比較的雇用の機会に恵まれない、こういう都市をイメージしておりますけれども、さまざまな地域がありますが、やはり、今までと全く別次元の政策があるわけではないということをきちっと、これから創意工夫は大事だけれども、そこの必要部分のところを確認しておく必要があるだろうと思います。

 国民の命の源を提供する農林水産業、相当いろいろな工夫がなされるようになりました。あるいは、天災等から住民の安全を守るための土木建設業、そして住民生活を支えるための教育、医療、介護、こういうこと、もちろん、小売業や観光業など純粋に民間で行う産業もありますが、今述べた公共が関与するこの三大事業、これは昔から変わらないわけでありますが、ここはきちっと押さえて、これからも計画的に継続的にやっていくということが大事ではなかろうかと思います。

 地方創生の基本は、地域に密着した土木建設業を産業として、あるときはアクセルを踏んで、あるときはブレーキを踏むといったようなジグザグの産業構成ではなくて、ある程度、これからも安全な住民生活を守るために必要なんだという、中長期の、経営者が自分の息子を後継ぎにしたいと思うような方針を示すことだろうと思います。

 農水産業はさまざまな各論がありますので、私のような門外漢が言及する必要はないと思いますが、いろいろな動きが出てきて、大規模生産農業で企業性を取り入れる場所、中山間地で反当たり五、六俵しか収穫できない条件不利地域には消費者と直結する工夫、こういったことがいろいろあるだろうと思います。自民党には各分野の政策の専門家がおりますのでこれ以上申し上げませんが、しかし、農林水産業というのを基幹産業としてこれからも維持し続ける。

 さらに、医療、介護などのサービス型産業は全国でたくさんモデルがあります。例えば岩手県や山形県、あるいは秋田県などにもいろいろモデルがあって、私もこういったところも見てまいりました。これは、土地が安い分だけ丁寧な医療、介護、こういうことが適正な価格でできるわけであります。

 こういった、地方を支える三大の公共が絡んだ仕事をこれからも計画的にやる、このことをしっかりと確認しておく必要があるだろうと思います。

 私たちは、心ない人々のばらまき批判を恐れてはならないと思います。必要なものは必要です。日本が統一国家として歩むために、私たち祖国日本は、北は北海道の択捉島から南は沖縄の与那国島まで、四千キロにわたっている世界希有な自然に恵まれた国であります。

 地方創生のキーワードは、農林水産業の効果ある発展、哲学を持った国土計画と、それを支える土木建設業の産業としての自活、そして、その人材を育み育てる教育、医療、介護等のサービス産業の基盤などにあるんだろうと思います。これらが揺らげば地方創生はないわけであります。その上で、いろいろな、さまざまな工夫はあるんだろうと思うわけであります。

 何が必要条件で何が十分条件か、これらについて石破大臣の御見解を賜りたいと存じます。

石破国務大臣 何が必要条件で何が十分条件というのはよく精査をしなければなりませんが、今委員がおっしゃるところの、第一次産業、それから公共事業のあり方、そして医療、教育のあり方、それぞれについて、今まではよかったが、これから先、時代がどう変わっていったか、そして、今までよかったものが、これから先はどこをどう変えなきゃいかぬのかということをお話ししないと、地方創生は絶対にできないと思っております。

 私も、党におりましたときに地方を随分と回りました。あるいは、その前も、農林水産大臣や農林水産総括政務次官をやってきましたが、あえて言っちゃえば、今日の日本というのは、地方と第一次産業の持っている潜在力をあえて引き出さないままでつくってきた国家ではないのかという思いがするわけです。

 農業、漁業、林業というのを考えたときに、私はあちこちでお話をするんですが、日本ほど第一次産業に恵まれた国はないのではないか。農業というのは土と光と水と温度の産業で、その四つで日本は世界の中で最も恵まれた国である。日本の排他的経済水域の面積は世界第六位、水の体積で見れば世界第四位と言われる中で、何で漁業はこんなにだめになったのだろうか。世界じゅう木の切り過ぎで困っているのに、日本だけは木の切らな過ぎで困っていて、これを生かすというのはどういうことなのかといえば、今までの農業、漁業、林業に対する政策を根幹から変えていかねばならないのではないかという問題意識を、私は西川大臣と共有いたしておるところでございます。

 高い関税を張って外から物を入れず、そして補助金をどんどんつぎ込むということになれば、いかにして付加価値を上げ、いかにしてコストを下げるかというお話にはならない。魚と親のかたきは見たときにとれみたいなことを言っていたら、どんどん資源は枯渇するに決まっているということになるわけで、林業も、大規模林業のコスト削減というやり方、森林組合を中心としたやり方が、本当にこれだけしかないのかといえば、そうではないのだろうということであって、農林水産業はそういうものを見直していかねばならない。

 公共事業は、委員御指摘のとおりですが、これから先問題になるのは、かつてつくった公共インフラの維持補修というものがこれからどんどんかさむのであって、その部分をどのように考えていくか。維持補修の場合には、かなりの仕事が地元の会社におりるのであって、そのことをどう考えるかということは国交省とよくお話をしていきたいと思っております。

 医療については、安心した医療、介護が受けられるということは地方に行く場合に大きなポイントになりますが、地方の高齢化が都市に比べて十年から二十年先に行っているので、人間は不老不死ではありませんから、いつか、地方からそういう需要が消えるときが、このままいけば来るだろう。

 そうすると、地方で医療だの福祉だのに従事していた人が、まだニーズがある都市に行くということになると、地方は、高齢者はいなくなる、若者はいなくなる、そして、東京で高齢者の方々が天寿満ちたときが、ひょっとしたら日本の衰退のピークになるのではないかということで、時間差を持ってはいるのですけれども、地方と都市というものが同じく衰退に向かうというこの流れをどこでどうやってとめるんだということについて、委員の皆様方のいろいろな御見解を承りたいと思っております。

 従来の延長線上だと、間違いなくこの国は衰退するという認識でございます。

土屋(正)委員 きちっとした問題点の御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 私が申し上げましたのは、この十数年来、大臣が農水大臣になられたころ、相当思い切った発言をなされました。残念ながら、あのときは任期が短かったわけでありますが。私は、そのころも含めて、相当、あのころは今よりも、今のようなお話をするともっと抵抗があったんだろうと思います。私もそばで見ておりまして、これはもうなかなか大変なことをなさっておられるなと思っておりました。

 しかし、私が申し上げたかったのは、おかげさまで、時代とともに、いろいろな構造改革をやろう、時代に合った構造改革をやろうという機運が出てきたんだろうと思います。それは農林水産業もそうでありますし、同時に建設業も、今お話が出ました、インフラの維持をやるためにはどうしたらいいのか、従来型の手法でいいのか、あるいはさらに一工夫する必要があるのか、まあ、あるんですけれども、そういう方向にいろいろ問題が変わってきたと思います。

 これはすばらしいことなんでありますが、私がぜひ申し上げたかったことは、いずれにせよ、公共的な資源を要することでありますから、これからも、この三つの産業にかかわるものについては、しっかりとした、時代と構造改革に合わせたような資源を投入していくということを明示しないと地方は不安になる、このように思うわけであります。そうですからね。よろしく。

 次に、三点目の質問として、政策提言を含めて申し上げたいわけでありますが、今一番最初に大臣がおっしゃったことは、何で都市住民と農業に携わる者が相互理解が少なくなったんだということをおっしゃいました。私も、その断絶ということを非常に気にいたしております。

 先ほどのように、三大都市圏に七五%、首都圏だけで五〇%近い富が集まるときに、いずれにせよ、その富を使って地方を元気にする政策を打っていかなければならないときに、これに反対する政治家が大都市で出てきたら、これは相当抵抗感があるんだろうと思います。

 お互いに支える大都市住民と地方の相互理解を進めていくことが大事だと思って、具体的な提案をしたいと思います。

 私は、三十一年前に東京都武蔵野市の市長となりましたが、就任以前から農山漁村の持つ多面的な高い価値に注目をしておりました。緑豊かな山河、広大な海、とにかく気持ちがいいわけであります。癒やされるわけであります。日本一の過密都市武蔵野市では到底味わうことのできないものばかりでございました。

 また、農山漁村の市町村との防災協定を結ぶことも大切であります。就任したとき、富山県利賀村、現在の富山県南砺市と一市だけの姉妹都市でございましたが、二十年間に八つの都市を新しくつけ加えて、姉妹友好都市のネットワークをつくったわけであります。

 また、さまざまな形で市民交流を進めると同時に多面的な交流を進めてきたわけでありますが、石破大臣が当時は防衛庁長官のときのことでございましたが、この御縁で、鳥取の山と海に親子で行く家族の旅を企画、実施したのは二〇〇三年のことでございます。親子四人、五泊六日の旅で、一組十三万円、これは高いか安いか、五十八組百九十二人が参加しました。

 武蔵野市の都市交流事業は、原則、実費は参加者負担なんですが、とはいえ、このときは、夜行寝台特急を使い、帰りに飛行機を使ったので、一組三万円程度の補助をいたしました。また、現地のマイクロバスの借り上げなどは、各町のバスなどを提供してもらいました。私が市長を去った後も、この事業は参加者を半分にして現在続いているわけであります。

 委員、理事の皆さん、一組三万円ということは、これ全体にかかる費用はわずか二百万円足らずの公金の支出なのであります。

 その結果、どういう効果があったかと申しますと、例えば、子供たちの楽しかったことという感想文を、幾つかあるんですが、一、二読んでみますと、自分でつくった釣りざおでの魚釣り、滝つぼの滝に打たれたこと、竹を使った流しそうめん、一人っ子のために、民泊先のお兄さんと夜遅くまで遊んでもらい大家族の一員となれたこと、こういうことなどが、ずっと感激した様子が続くわけであります。

 では、大人の目から見たのはどうだったか。民泊した家族の優しさと温かさが忘れられない、日本にもまだ美しい自然が残っていて、自然と共存する方法は幾らでもあると実感した、コンビニ、自販機もない、東京で生活する生活を考え直した、家族のきずなを改めて、今までこんなにゆっくりしたことはなかったなどなどの、参加した親も深い感銘を受けているわけであります。

 また、当時の片山善博氏が私に話していたことは、あるとき空港で町のおじいさんに会った。そうしたら、どこに行くんですかと言ったら、東京の孫のうちに行く、こう言った。ところが、そのおじいさんはたしか東京には孫はいないはずだったがな、こう思ったら、実は民泊のときに泊まって一緒にしたその子供の東京の家に呼ばれていくと。東京の家は狭いですから、残念ながら泊まれないんですけれども、近くのホテルに泊まって、それでみんなで食事したりディズニーランドに行ったりするということを言っているんですよ。東京の親戚に行くということにまでなったんですよ。こういうのこそ、まさにウイン・ウインの関係ではないかと思います。

 もう一つの事例として、武蔵野市教育委員会がちょうど二十年前に始めたセカンドスクールを御紹介いたしたいと思います。

 これがパンフレット、資料でございます。ここには、「出会う・ふれあう・見つける・感じる 生きる力をはぐくむ セカンドスクール」、こういうことになっておりまして、生きる実感、これは簡単に申し上げますと、小学校の五年生全員が六泊七日で地方の自然に恵まれたところに行って、農山漁村で農作業に従事したり、あるいは自然体験をしたり、こういう授業なのであります。

 これは、教育委員会が相当思い切らないとできません。当時は労働組合の反対も強かったわけであります。労働強化ということであります。五月や六月、九月や十月の学期中に一週間行うわけであります。

 いろいろなところへ行きます。長野県、新潟県、富山県、群馬県、山梨県、ついこの間までは山形県、鳥海山の麓の遊佐町まで行ったんですが、三・一一の避難民との関係で、残念ながら、これが使えなくなりました。

 ここに参加した子供たちは長期間親元を離れるのが初体験なのですが、最初不安だった子供も日が増すにつれて元気になります。民泊を中心に、農林漁業の体験や地域のお祭りに参加したり、自然観察や満天の星を見たり、時には友達とけんかしたり、また仲直りして、これは一週間がいいんですね。二泊三日ぐらいだと、東京の仮面をかぶったまま帰ってきちゃう。やはり、一週間たつと、我慢し切れなくなって素顔が出てくるわけであります。一旦けんかしていたのがまた仲直りして、子供と子供の関係、子供と先生の関係が変わってくるわけであります。そして、これを見て、先生の教師魂にも火がつくわけであります。

 もちろん、二十四時間勤務ではばててしまいますので、各民宿の人々、地域の人々、生活指導員、看護師などの共同作業によって、子供たちは見違えるようになるわけであります。

 これにかかる費用は、一人九万円で、九百人で約八千万円。義務教育課程の正規の授業ですので原則無料ですが、一日二千円の食費を徴収します。自宅にいても食べるんですから、当然です。親は誰一人として、感謝こそすれ、不満を言いません。

 自然体験教育の推進は、文部科学省の学習指導要領に記載され、全国九〇%近い学校が取り組んでいますが、ほとんど一泊から二泊が多いのであります。市町村財政に余裕がないのが原因です。現在、全国で五年生は百十万人ですので、一千億弱でこれが全国一斉に、百十万人が六泊地方に行くことができたら、すごいですよね、六百万人が行くんです。

 都会生まれ都会育ちの人たちが地方に移住するのは大変です。仮に仕事が保証されても、思い切れません。地方創生には、都市部、とりわけ三大都市圏に住んでいる六千万人の都市住民に地方の魅力を知ってもらうことが大事であります。子供が目覚め、子供につられて大人も目覚めるんです。新しいタイプの公共事業なんです。ソフトの公共事業なんです。自然体験教育こそ、自然と農林水産業への理解を深め、人と人とのきずな、また家族のあり方と生きる意味を考える、国を救う教育ではないでしょうか。

 さらに、幼児も子供も青壮年も、そして高齢者も、国民全員が年に一度ふるさとや新しく見つけたふるさとに帰る大帰郷運動、大国民運動がこれから始まらなければならないと思うわけであります。

 この子供たちの感想もたくさんありますが、時間がなくなってまいりましたので割愛しますが、しかし、この子供たちが本当に感動しております。そして、子供たちが変わるんです、元気になるんです、生き生きとなるんです。この間、務台議員と一緒に現場に行ってまいりました。子供たちの声がでかいこと、でかいこと。こんにちは、あんな声は東京では聞けません。

 でありますからして、ぜひこういった新しいタイプの公共事業、ソフト事業でありますが、このことを推し進めていただきたいと存じます。大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。帰りなん、いざ、田園まさに荒れなんとすであります。

石破国務大臣 全く、一二〇%賛同をいたします。それをぜひやりたいと思います。

 私は昭和三十二年生まれですが、子供のころの一番強烈な体験というのは、無人島というか、人がいない浜で一週間、本当に火をおこし、水をくみ、カレーライス、別にカレーでなくてもいいんですが、つくったとか、自分で釣った魚をさばいて食べたとか、それが一番強烈な思い出で、家に帰ってガスがついたときに、何て便利なものが世の中にあるのだ、蛇口をひねって水道が出て、何て便利なんだと思ったことは、もう一生忘れることがありません。

 山、川、海のすばらしさを知らないということは、山、川、海の恐ろしさを知らないということになるわけで、やはり子供のときにその体験は絶対に必要なことだと思っていますが、労働強化であるとか、事故が起こったら誰が責任をとるんだということの方が大事だとは私は思わない。

 労働は、本当にきちんと労働者の権利が守られなければなりませんし、事故が起こらないように万全の配意をした上で、子供たちが農山村のすばらしさも恐ろしさも体験しないと、この伝承がどんどんなくなってしまうと、幾らかけ声をかけてもだめなんだろうと私は思っておるところでございます。

 そういう意味で、委員が市長でいらっしゃって、私が農林水産総括政務次官で、あのときに、文部科学総括政務次官は、もう引退された鈴木恒夫さんだったと思いますが、農水省と文科省でそれが一緒にできないかということが今の事業に発展をして、それに総務省もかかわっているのだと思っております。

 ぜひとも子供たちが地方の暮らしを、本当に一泊二日では絶対にわからないんです。やはり一週間いないとわからない。それは教師を変えることにもなると思うんですね。教師ができなくて大恥をかいたとか、やはりこれじゃいかぬなとか思ったという話も聞いたことがありますが、それは教師も変わる、子供たちも変わる、地方も変わることだと思います。

 そこで気をつけなきゃいかぬのは、地方がよそ行きばかり見せちゃだめで、子供たちがいなくなった後、ああ疲れちゃった、もうしばらく来ないでほしいなみたいなことは、これは絶対いかぬので、やはり地方はありのままの地方を見せるということが必要です。

 だから、それに幾らのお金がかかるのか、それを、それぞれの地域の、もちろん教育委員会がやることですから、国が全部やるわけじゃありませんが、子供たちが地方のことを学べる、そういうような仕組みをぜひ法律にしたいし、もう委員が議員立法も御用意しておられると聞いております。また御開陳を賜りたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋(正)委員 そろそろ時間もあと一、二分になりましたので、最後にお願いをいたします。

 きょうは内閣を代表して石破大臣に来ていただいたわけでございますが、今現在、文科省、農水省、総務省、それから環境省、この四省が共管をして予算立てをいたしております。ささやかな予算でございます。同時に、おかげさまで、この四省のチームが会ってまいりました。

 どうぞ石破大臣におかれましても、安倍総理とともに、この事業の推進方を強力に各大臣にもお願いしていただきますように、そして、やがて二年たち、三年たったら、毎年小学校の五年生が百万人以上、一週間みんな行って、元気になって帰ってくるんだよ、こういう国を救う教育を進めていただきますように心からお願いして、終わります。

 以上でございます。

鳩山委員長 次に、木原稔君。

木原(稔)委員 自由民主党の木原稔でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 私は、出身は熊本県熊本市であります。選挙区もそうであります。

 九州、熊本県というと、全国的な見方からいうと、ああ、これは地方だなと思われます。しかしながら、熊本市というのは、全国でも二十番目の政令指定都市になり、福岡市や北九州市と同様に、九州の中では、また熊本県の中では、都心部と言えるかと思います。

 同じように、今、全国的には東京一極集中ということが言われており、法案の中にもそういう文言があるわけですが、九州の中でも、また熊本県の中でも都心部というものが存在し、熊本県でいうと、熊本市は人口がふえてくる、そしてそれ以外の市町村、郡部では人が減ってくる。同じ県の中でも、また地域の中でも、人口の流出や流入が非常に激しくなってくる、そういう観点からきょうは質問をさせていただきたいと思っております。

 日本にとっての最大の危機は人口減少だということは、前回の委員会でも、これは大臣も表明をされました。今後、このまま出生率が改善しないとなれば、人口が大幅に減少する、五十年後には現在の三分の二程度、約百年後には現在の三分の一程度まで落ち込むと予想されております。

 もう何遍も言われておりますけれども、今大変売れている本で、民間機関の調査によれば半数の市町村が消滅可能性都市である、そのような指摘がなされておるわけです。

 前回、大臣は委員会の中で、この東京一極集中を避けるための政策として、やはり分析をしなければいけないんだ、それは、男性であるのか女性であるのか、どのような職業の人であるのか、また、若い人であるのか高齢者であるのか、そういうことを分析した上で政策を実行していかなければいけないとおっしゃいました。

 私の地元の熊本県は、出生率は比較的高いわけでありますが、若者を中心にやはり東京圏へ人口が流出しているというのは、これはデータで持っております。若者が向かった先、東京圏というのは、住宅価格が高い、待機児童が多いなどで、必ずしもこれは子育てを行いやすい環境ではないし、住環境としても、地方に比べると決していいものではないというふうに思われます。

 そこで、まず、地方及び東京圏における出生率の状況や、地方から東京圏への人口流出の状況、年齢層などについて、事実関係を御教示願います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、出生率でございますが、平成二十五年の全国平均でございますが、これは一・四三でございます。それに対しまして、東京、これは最も低いわけでございますが、一・一三、さらに埼玉及び千葉では一・三三、神奈川で一・三一ということで、東京圏では相当低い状況でございます。

 一方、地方でございますが、北海道や東北地方では出生率が低いところもございますが、中四国や九州などにおきましては一・六を超えるというところが七県ございまして、総じて地方の方が出生率が高い、こういう状況でございます。

 次に、人口移動でございますが、これも都道府県別の移動状況、転入者の数と転出者の数を差し引いた転入超過数で見ますと、東京圏、これは一都三県でございますが、年間十万人近い転入超過でございます。これに対しまして、地方の方は、逆に十万人近い転出超過ということでございまして、地方圏から東京圏への人口移動が生じている、こういう状況でございます。

 その内訳でございますが、東京圏の十万人の転入超過のうち、約二万七千人は十五歳から十九歳、いわば大学進学時でございます。加えて、約五万七千人は二十から二十四でございまして、就職時ということで、そういう形で、若い世代が進学や就職の際に地方から東京圏に移動する、こういう状況でございます。

木原(稔)委員 今、データを示してもらいましたように、この人口減少問題というのは、日本全体の少子化の進行とともに、若年層を中心に地方から出生率が極端に低い東京に人口が流出する、そういう問題があり、大変これが深刻な問題であるということが言えると思います。

 少し大きな観点の話になりますけれども、この人口減少の克服のためには、今データで示されたような人口減少問題と、また東京一極集中問題、これを一体的に取り組む必要があると考えますが、その点についてどう思われますでしょうか。

石破国務大臣 一体で取り組むことだと思います。

 今、山崎代理から説明いたしましたように、結局、大学に入るために、以前と違って男女とも大学に行く率が非常に高くなった、それが東京の大学に多く行くようになった、そこで人口がわっと抜けて、それが地方へ帰らないまま東京に滞留しているということが、毎年毎年大学生というのは生まれていくわけで、そうすると、どんどんどんどん地方は衰退していくということになるわけですね。それで東京に滞留しますから、どんどんと東京の人口がふえる。どうもこれが事の本質ではないだろうかということが押さえておくべき問題の一つ。

 それから、東京で子供が少ない理由はいっぱいあるんですけれども、一つは、委員が御指摘の、家が狭い。なかなか、二LDKで子供五人という話にはならぬのでありまして、我々の議員宿舎も、子供をたくさんということになるとかなりつらいところもございますが、家の広さがありますでしょう。

 それから、通勤時間の長いところというのは、余り子供が生まれにくいという状況は明らかにある。それと関係するんでしょうが、男性が掃除、洗濯、炊事、これをやらないおうちというのは、第二子以降が生まれる率が低いのだということがありまして、東京が子供が生まれにくいのは別にゆえなしとしない。

 もう一つは、女性の方々が高学歴化になって、その分、晩婚化が進んできたということもございましょう。

 そういうことを一つ一つどうすればいいのかを考えたときに、地方で学んで地方で勤めることができる環境をどうつくるかということだと思います。委員の御地元でいえば、熊本大学を出て熊本で就職できる環境というのは何なんだ、長崎大学を出て長崎で就職できるというのはどういうことなんだ、信州大学を出て長野で就職できるというのはどういうことなんだということを突き詰めて考えていくと、少しずつ答えが見えてくるのではないか。

 ということで、一極集中とそれから人口減少問題、それはあくまでパッケージで論ぜられるものだと考えております。

木原(稔)委員 おっしゃるとおり、これはパッケージで論ぜられなければいけないと思います。

 大臣もたびたび東京一極集中という言葉をお使いになられて、法案の中にも書いておりますが、これは、私は必ずしも悪い言葉ではないというふうに思っております。というのは、やはり、世界の中の日本、日本のメトロポリタン東京、強い東京をつくるということもまた別の分野で大事なことであろう、東京が日本を牽引していくという側面もやはりあるんだろうと思う中で、それでも、この法案では、東京一極集中を是正する方向性が示されているわけであります。

 東京一極集中という、このことの負の部分を是正して過度な人口流出の流れを転換するためには、やはり私は、東京圏に集中する企業、会社をどうするか、つまり雇用の場をどうするかということを考えなければいけないのではないか。まち・ひと・しごと、一番大事な部分は仕事だということも先般おっしゃっていただきました。

 そういった流れの中で、昨今のこの景気不況、また地価の下落という流れの中で、大企業と言われている会社は、新しい本社をつくって、そしてその本社機能を一元化、つまり間接部門を統合して非常に機能的な会社になった、東京に大企業が集中したという側面もあるんだろうと思います。

 しかし、そういった会社の組織の中の、あえて東京、首都圏にある必要のない、例えば研究開発部門などを、その雇用の場を再配置するということも考えてはどうだろうか、そのように思っております。

 ただ、民間の会社に、首都圏に必要ない部分を地方に行ってくれと、ただで行けと言っても、なかなかそれは行ってくれるものではありません。大企業に対するインセンティブ、またはさまざまな税制上の支援など、そういったものが必要ではないかなと考えますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、東京圏の企業が本社機能の一部を地方に移転する、これにつきましては、東京一極集中の是正と人口減少社会の流れを転換するという面で大変重要だと考えてございます。

 実際に、コマツやYKKのように、創業地という縁があって、そういう地域に本社機能を一部移転するケースや、御指摘のように、東芝や日立ゼオンのように、地方の生産拠点に開発研究機能を一体化する、こういった例もございます。さらには、防災時の事業継続の観点から、人事、経理機能を分散するような例も出てきてございます。

 そこで、こういった事例をさらに加速するという観点から、現在、本部におきましてもこういう取り組みの支援方策について検討している、こういう状況でございます。

木原(稔)委員 ぜひ、それは研究を進めていただき、早急に施策を取りまとめていただきたいなと思っております。

 今答弁いただきましたように、地方創生のためには、やはり地方へ人の流れをつくるということが必要だと思います。東京圏へ人口が集中しているというのはデータ上でも出ておりますが、しかし、これは私の感覚的な判断でもありますけれども、東京に現在住んでいる人の中でも、将来は、自然豊かな、生活環境のよい地方で生活をしてみたい、会社を退職した後は穏やかに田舎で暮らしたい、そういう方も少なくないように思います。

 これもまた実態を教えてほしいんですけれども、現在、東京に在住している方の地方への移住希望の状況、希望があるかどうかとか、または、そういった人は年齢構成はどうなっているかとか、あとは、実際に移住したときの不安とか、そういうアンケートの結果のようなものがあれば、御教示願います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方で、本年八月に、東京在住者の今後の移住に関する意向調査を行ってございます。その結果を踏まえますと、東京在住者のうち四割の方が地方への移住を検討もしくは今後検討したい、こういう回答がございました。

 その内訳でございますが、特にこういった希望が高いのは、十代から三十代の男女、それと五十代の男性、この二つの山がございます。

 十代から三十代の男女でございますけれども、男性の場合は、就職もしくは転職のときにそういった移住ということを検討する機会がございます。また、女性の場合は、結婚、子育て、これをきっかけに、両者ともUターンという、自分の出身地に帰るということを検討する、そういう意向がございます。

 一方、五十代もしくは六十代の男女でございますが、これは、退職などをきっかけとしまして、東京に住みながらもう一つの地域で住むという二地域居住といったことを一つの希望ということで回答がございました。

 一方、こういう方々についての地方への移住に対する不安、懸念でございますが、一番多いのは、やはり働き口が見つからないこと、そして、地方におきます日常生活や公共交通の利便性が低いといった点を懸念として挙げてございます。

 また、Uターン以外の、いわば出身地以外の地方への移住の方でございますが、この方々につきましては、四割の方が、移住に関する情報がよくわからない、十分でないということを指摘されている状況でございます。

 以上でございます。

木原(稔)委員 ありがとうございました。

 十代から三十代の男女、まさしく子育て世代の若い年齢層と、あとは会社を退職した後の高齢者、穏やかなセカンドライフを送りたいという、そういう大きな二つの山があるということが今のデータからわかったわけであります。

 やはりそういうデータに基づいて政策はつくらなければいけないという中で、既に各地方自治体においても、そういったターゲット層を絞りさまざまな政策が打たれているというところも、私も聞き及んでおります。

 そういった、実際に成功している、先進的な地域で極めて有効的に機能している政策なども調査をしていただいて、それを今度は国レベルで、またそういう事例を他の自治体にも紹介しながら、施策を検討していく必要があるのではないかなと思っております。

 そういった中で、今度は、各省庁を束ねて、国の政策として全国の自治体に示していく上で、各省がばらばらではなくて、一体的な対策が必要だと思います。地方への移住を促進していくために、今度は政府としてどのような対策を実際に講じようとしているのかというのを、方向性でもお示しいただければと思います。

石破国務大臣 国としてやりたいことは、きちんとした情報提供を、移住したいなと思っておられる方々に提供するということだと思います。

 二週間ぐらい前に、東京国際フォーラムでそういうフェアがありました。私も行ってきました。日本国じゅう、あちらこちらの市町村が、うちに来てちょうだいねというのをやっているわけで、そこで話がまとまるのもあるんですけれども、年に一回とか二回そういうフェアをやるんじゃなくて、恒常的にそういう情報が提供できる場をつくるべきではないだろうか。

 あるいは、ネット上でそういう検索ができる、つまり、あなたは何を求めてそこへ行きたいですかと。何でもいいから田舎暮らしがしたいと言われても、あるいは、来たら百万円上げるよとか、そんなものはなかなか長続きするわけがないのであって、あなたは一体何をお望みですかと。

 例えば、旅館なんかを検索するときに、ずっと進んでいくと自分が望むところが見つかるというのがありますが、あなたは何を重視しますか、豊かな暮らしですか、それとも交通の利便性ですか、それとも医療ですか、福祉ですか、それとも第二の学びですかとかいって、そうやって絞り込んでいくと、例えば、どこでもいいんですが、何とか県何とか市こそ、あなたのお望みに最もかなった移住先ですというようなのが出てくるというのもできないんだろうか。

 私は、それはできるんだと思うんですね。そういうものを提供するためのいろいろな支援ができないだろうか。

 もう一つは、北海道でやっている例だと聞きましたが、おためし移住というものがある。実際に一回行ってみて、先ほどの土屋先生の話じゃないですけれども、一カ月ぐらい暮らしてみて、よし、気に入ったというんだったらそこへ住めばいいでしょうが、一カ月住んでみて、これはやはりだめかもしれないねということもあるわけで、そういうニーズがある。

 それから、五十代の男性が移住したいと思っているのは、地方でもう一花咲かせたいというのがあるんだと思うんですね。悠々自適の老後というにはちょっと早いのであって、大体五十代で、今の会社にいるとどこぐらいまで行くかなというのが見えてきた。だけれども、地方でもう一花、俺の才能を生かしたいねという人もいるのかもしれない。

 十代、二十代の男女が多いのは、やはり地方で子供を育てたいなということがある。そういう人たちに最も向いた情報というものを提供することによって、この移住は進んでいくのだ。

 最後にもう一つ申し上げれば、住だと思うんですね、住まい。空き家の流通というのがなかなかマーケットに乗らないのは何でだろうかというのは、これは研究の余地があります。そこは仲介手数料の問題もあるんでしょうけれども、都心も随分と空き家が出てきた、地方も随分空き家が出てきた、出てきてはいるんだけれども、それがマーケットに乗っていない。では、マーケットにこれを乗せるためにはどうすればいいんだというのも、私どもとして相当の工夫の余地があるだろうと思っております。

木原(稔)委員 石破大臣は賃貸議連の会長としても活躍をしていただいておりますが、非常にそのあたりのことも分析をされているなと今思いました。

 当然、このまち・ひと・しごと創生本部というところは、もうチーム石破になるというふうに私は思いますが、ぜひとも司令塔機能というものを発揮して、各省庁が本当にばらばらにならないように取りまとめていただくことを期待するものであります。

 それから、一つ事例を挙げさせていただきたいんですけれども、都市部から地方にどういった流れをつくっていくのか。自然の流れ、いわば摂理からいうと、人は、やはりにぎやかなところに集まってくるし、より便利なところに集まるという傾向があると思います。

 これにやはりブレーキをかける、歯どめをかけるということは、半ば、言葉は悪いですけれども、ある程度強制力を持っていかなければいけないのではないかな。しかし、そこにはやはり住む人の権利、居住、移転の自由というのが我が国では認められているわけですから、そういったことにも配慮しながらやっていかなきゃいけない中で、介護施設の問題というのを取り上げてみたいと思います。

 高齢化社会の中で、都市部では、介護施設の待機者が多く、施設へ入居できない状況にあるという部分があります。一方で、地方では、若者の働き場所がない、若者の都市部への流出が続いている、そして人口減少に拍車がかかっているという問題がありますけれども、一つ、都市部の高齢化対策に関する検討会報告書というものを作成しております。

 杉並区は、小学校の臨海学校や区民の保養所が静岡県の南伊豆町にあって、かねてより住民同士のつながりが深く、両自治体の間では、災害時に備えた協力協定を締結するなど自治体間協力が古くから進んでいるということを背景に、今後、七十五歳以上の高齢者の増加が見込まれる東京都杉並区では、選択肢の一つとして、静岡県南伊豆町に保有する施設の跡地を利用した保養地型特別養護老人ホームの設置を検討しているということがあるようであります。

 サービスつき高齢者向け住宅であるとか、有料老人ホームとか、そういったものを自治体間を超えてつくっていくということ、そしてそれを促していく。そこにはやはり入居者本人の意思の尊重が大事ということは前提として、例えば、今、そういった介護施設などは設置基準というものがありますけれども、全国一律の設置基準を地方についてはハードルを下げる、緩和するとか、そういったことも必要ではないかと思われますが、いかがお考えでしょうか。

苧谷政府参考人 お答えいたします。

 介護施設の整備につきまして、地元のニーズを踏まえた自治体の創意工夫を私どもといたしましてもできる限り尊重してまいりたいというふうに考えてございます。

 そのため、今御指摘ありました介護施設の整備につきましてですが、最低限の基準は国で示させていただきます一方で、それ以外の施設の基準につきましては、参酌基準として定める場合がございますけれども、指定権者である自治体の条例の方に委ねられております。

 加えて、大規模な介護保険施設等の整備につきましては、いわゆる三位一体改革により都道府県の一般財源とされているところでございまして、地域の実情に応じて実施することが可能という形になってございます。

 いずれにいたしましても、高齢者の方々が安心して生活ができるよう、自治体と意見交換をしながら進めてまいりたいと考えてございます。

木原(稔)委員 高齢化社会の中で、介護施設の入所待機者の解消とともに地方の働き場所を創設するということは、これは若者の都市部への流出に歯どめをかける、地方に雇用をつくるという一つの考え方ということで、ただし、全国一律の設置基準というものがあり、それはなかなか変更するのが難しいとはいえ、そこをやはり可能な範囲で基準を変更していくということ、そういう努力もしていかなければいけないのではないかな。

 今一つの事例を挙げましたけれども、ほかの省庁所管のさまざまなそういった基準の問題もあるかと思います、きょうはもう多くは語れませんが。そのようなことも全体的に見渡していただきたいなと思っております。

 先ほど大臣は、私の地元、熊本大学の話をしていただきました。

 教育の観点から質問を続けますが、例えば大学進学者について考えた場合に、教育行政を所管する文部科学省において、地元の大学で学び、魅力的なものにし、地域に残ることを選んでいただけるような取り組みも積極的に進めることが必要であるというふうに私も考えます。その点について見解をお示しください。

赤池大臣政務官 御指摘のように、大学を初め短大、専修学校、また高等専門学校もございますが、地域の特色を生かした魅力ある教育を提供するということが、まあ、高校生初め若者の進学先として地元の大学等を積極的に選択して、将来的にはその地域を支える人材として定着することが大変重要であるというふうに、文部科学省としても考えているところでございます。

 そのための事業として、平成二十五年度から、地(知)の拠点整備事業、これは、チというのは、地域の地と同時に、大学を中心とする知、知識の知ですね、これをあわせた大学COC構想、センター・オブ・コミュニティーという形で事業を進めているところでございます。

 これは、自治体と連携をいたしまして、地域をフィールドとした教育、地域の人材や地域の魅力や課題を教授する科目の設定、また、大学等の教員への地域に関する授業の方法等に関する研修など、積極的に取り組んでいるところでございます。

 既に八十二大学、木原先生のお地元の熊本大学や熊本県立大学も入っております。五年間。これは全ての都道府県で既に指定をされておりまして、進めさせていただいているところでございます。

 また、国立大学や私立大学に対しても、地域の強みを生かした教育研究の機能強化や、地域の発展に係る積極的な取り組みの支援も行っているところでございます。

 引き続き、地方の大学が地域の自治体や企業と連携をして、大学等での学びが若者にとって一層魅力的なものであるよう努めてまいりたいと存じます。

木原(稔)委員 四十七都道府県には必ず一つ以上の国立大学があるわけであり、大学という機関を使わない手はないわけでありますから、その大学という観点からも、本部ではさまざまな取り組みを考えていただきたいと思います。

 大学生だけではなくて、中学生や高校生に対しても、その区域におけるいわゆるキャリア教育を推進する必要があるというふうに私は考えております。

 キャリア教育という言葉は新しい概念でありますけれども、あえて定義をつけさせていただきますと、国民の社会生活及び職業生活における自立を図るため、これに必要な基盤となる能力及び態度を養うことを通じ、その者が、社会の中で自分の役割を果たしながら主体的にみずからの個性及び適性に応じた生き方を選択し、これを実現していくことを促す教育というふうにさせていただきます。

 一つ、このキャリア教育の取り組みを申し上げますと、インターンシップというものがあります。

 インターンシップ制度を通じて、地方独自の職業に関心を持ってもらう、そして地方の仕事に誇りを持ってもらう。例えば、第一次産業である農業や漁業、そしてその地方独自の伝統工芸の職人、また文化、芸能の担い手、そういった職業を担う者として子供を育てていくということ。

 都会でサラリーマンをすることが決して格好いいわけではない、それだけが仕事ではないんだよ、きらびやかな世界だけが誇りある仕事ではないということを、子供の教育の中で、またインターンシップ制度というのを通じてやっていただきたいなと思っておりますが、このキャリア教育というものについての見解を文部科学省に問います。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、学校におきましては、児童生徒一人一人が、主体的に生き方を選択できる能力や態度を培いまして、みずから勤労観や職業観を形成していけるよう、委員に定義していただいたとおり、文部科学省としてもキャリア教育を推進しているところでございます。

 このようなキャリア教育を実施する上で、中学校での職場体験活動、これは既に、平成二十五年度、公立中学校では九八・六%が行われているところでございます。また、高校でのインターンシップや地域での職業人による講話等を通じた職業理解を図ることが極めて重要であり、学校や教育委員会においては、地域の産業界との連携を進めてきたところでもございます。

 一方、地方創生の観点からも、議員御指摘のように、これらの職場体験やインターンシップ等の活動を通じて、地域社会や地域の産業界に関する理解や愛着を深める効果があるものと承知をしているところでございます。

 文部科学省では、来年度、平成二十七年度の概算要求においても、地域を担う人材育成のためのキャリア教育の推進に必要な要求を行っております。

 今後とも、児童生徒が個性に応じてよりよい進路や職業が選択できるようキャリア教育を推進していくとともに、これを通じ職業や地域の産業界の理解を深められるよう努力をしてまいりたいと存じます。

木原(稔)委員 キャリア教育について、法律を整備しようという動きも議員連盟の中であるように聞いておりますので、ぜひそのフォローアップもお願いしたいと存じます。

 次に、これはちょっと地方自治体の声を紹介したいんですけれども、現時点でも、国と地方一体となった地方活性化の取り組みとして、政府は、地域活性化統合本部というものを設置し、都市機能の増進や規制緩和、地域再生法等による特定政策課題への対応を進めてきているわけであります。

 そういった中で、これまで地方活性化の推進役を担ってきた地域活性化統合本部と、今回設立されますまち・ひと・しごと創生本部の関係というものはどのようになっていくのか。そして、それは一体、これから今後、統廃合していくのか、それとも違う役割を担っていくのか。私が思うのは、それは決して屋上屋になってはならないし、地方自治体が、この案件はどっちに相談していいのだろうというふうに迷ってしまってはいけないし、よもやたらい回しになってはいけないと思いますが、その点について見解を求めます。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の地域活性化統合本部でございますが、これは、例えば地域再生法でありますとか都市再生特別措置法、こういった法律に基づきます地域再生や都市の再生、これに関する具体の事務を行っているところでございます。

 それに対しまして、今回設置されましたまち・ひと・しごと創生本部でございますが、これはいわば全体の司令塔の役割でございまして、人口減少の問題、地方創生のための、まさに政府全体を挙げた多分野にわたる政策の基本的な方向等を定めていく、実はこういう取り組みとなってございます。

 いわば全体にわたるものにつきましては、まさにこの創生本部であり、さらに、各法律に基づきます具体的事務を、まさに地域再生の統合本部がやってきている、こういう状態でございます。

 そして、両者はある面、役割も若干違いますが、まさに地方創生という面で全く同じ方向でございますので、当然十分な連携が必要だと考えてございます。

 現実に、私ども、まさに一緒に仕事をしている状態でございまして、特に、今から地方公共団体に対しましていろいろな総合戦略等を、これは一緒に策定を支援してまいりたいと思っていますが、その中で、大きな総合戦略の策定に加え、各地域ごとの地域再生、これも一緒にあわせて、例えば、必要であれば我々一緒に支援をしていくという形で、まさに補完し合いながらこれは対応していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

木原(稔)委員 ありがとうございました。今ので不安が払拭されたと思います。

 続きまして、地域再生法改正法案について質問を続けさせていただきます。

 この法案は、まち・ひと・しごと創生法案が目指す地方創生の取り組み、これを具体的に推進するための第一弾の施策として取りまとめられているものと承知をしております。九月十二日に、まち・ひと・しごと創生本部決定の基本方針というものが示されましたが、その関係について伺います。

 「取り組むに当たっての基本姿勢」では、縦割りの排除について強調がされております。この地域再生法改正案によって、縦割りの排除というものは一体どのように図られていくのかということを、方向性をお示しください。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地域再生法の改正法案でございますが、地域の主体的な取り組みを政府一体となって御支援申し上げることによりまして、省庁間の縦割りが地域再生の実際の地域の取り組みの妨げにならないようにしていきたいと考えているところでございます。

 法案の具体的な中身の中で、一つは、地方公共団体からの照会とかまたは御提案に対しまして、内閣総理大臣が一元的に対応させていただくこととしてございます。また、地域活性化関連の計画の認定とか提出手続、これをワンストップで実施してまいりたいと思ってございます。また、計画の実施段階でございますが、公共団体の御要請に応じまして、総理大臣が関係省庁を調整するといったような仕組みをこの改正法案に盛り込ませていただいているというところでございます。

木原(稔)委員 今ワンストップという言葉が出ましたけれども、この基本方針では、「ワンストップ型の政策を展開する。」とされております。

 一つ事例を申し上げます。

 私の選挙区は熊本市ですけれども、熊本市は、新たなまちづくりの方策として、コンパクトシティーの形成、そして地域公共交通の再生、中心市街地活性化というようなことを掲げており、これは国土交通省や経済産業省をまたぐ施策であります。

 こういったものを、ワンストップ型の政策を展開するという観点から、今回の地域再生法改正案ではどのように図られることになるのかをお伺いします。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地域再生法の改正案でございますが、先ほども少し申し上げましたが、地域再生計画の認定の手続と他の地域活性化関連の計画の認定、提出手続を内閣官房の方で一括して実施をいたしまして、ワンストップで運用するという仕組みを盛り込んでございます。

 これによりまして、公共団体の事務負担の軽減が図られるということとともに、地域再生を推進するための各種計画を一体的に作成しやすい環境が整備されるというふうに考えているところでございます。

 これは、各省庁にまたがって複数存在してございます地域活性化に関連する計画の一体的な運用を求める地域からの声が上がってきたことを踏まえまして、これに応じる形で制度を改正させていただくというものでございます。

 先生の御地元の熊本市でございますが、地域再生計画の作成とあわせまして、コンパクトシティーの形成、地域公共交通網の整備、また中心市街地の活性化に一体的に取り組まれているという状況でございます。今回の改正案は、そうした取り組みを後押しさせていただくものというふうに考えているところでございます。

木原(稔)委員 ありがとうございました。

 では、最後の質問ですが、地域のにぎわいを取り戻すためには、日本国内だけではなくて、アジアを初めとする海外の活力を地方に取り込むということもあわせて考えなければいけないと思います。

 観光交流人口の増大を図るために、地方空港の交通基盤の強化などの取り組みを支援するということも必要と考えますが、今現在、観光庁では、ビジット・ジャパンといって、観光客、外国から約二千万人を目指すということを企画されております。

 地方空港というものをフルに活用して、地方と海外を結ぶ直行便や、国際空港から地方空港への乗り継ぎ便の利便性を高めなければ、この二千万人というのはなかなか達成できないだろうと考えております。

 そこで、地方公共団体が現在積極的に行っている国際定期便やLCCと言われているローコストキャリアの誘致に関して、国として何か積極的に支援をする考えはあるのか、お尋ねします。

うえの大臣政務官 お答えいたします。

 現在、私ども、訪日外国人二千万人の実現を目指しているわけでございますが、地方創生という切り口からすると、委員御指摘のとおり、地方への外国人旅行客の大きな流れをつくっていくということが非常に大事だと思います。

 御指摘のとおりでございますが、海外からの直行便あるいは首都圏空港等での国内線への乗り継ぎによって、地方空港へのアクセス向上を図るということが非常に大事だと考えているところでございます。

 このような観点から、地方空港において、空港施設の機能強化あるいはCIQ体制の充実などの受け入れ体制の整備につきましては、関係省庁としっかり連携をして取り組んでいるところでもございます。

 また、首都圏空港におきましては、国内線あるいは国際線の乗り継ぎの利便性の向上を図る、そうした取り組みも進めさせていただいております。

 さらに、航空ネットワークの充実を図るため、国際線定期便やLCCが使用いたします小型機材の着陸料につきまして、割引制度の導入等の措置を講じているところでございます。

 いずれにいたしましても、こうした空港の受け入れ環境の整備に加えまして、地域における観光需要の掘り起こし等、全体一体となった観光政策の取り組みというのが非常に大事だと思っておりますので、私どもとしても、そのことに十分意を用いて取り組んでいきたいと思います。

木原(稔)委員 ありがとうございました。

 地方空港にたどり着いたはいいが、そこから町の中へ、また、地方空港から観光地へ、そういった二次交通の未整備があってはこの波及の妨げになってしまうので、そういった点も含めて、国土交通省にはぜひ施策をお願いしたいと思います。

 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 速記とめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

鳩山委員長 速記を起こしてください。

 次に、加藤寛治君。

加藤(寛)委員 自由民主党の加藤寛治でございます。

 石破大臣には、地方の出身であると同時に、数多くの地方を回られておられる。もちろん、我が長崎県にも幾度となく訪れていただきました。そうした地方創生大臣として余人をもってかえがたしという思いの石破大臣に質問する機会を得まして、感謝をしながら質問に入りたいと思います。

 私は、政治を目指した三十数年前から、地方に活力を与える地方創生が日本の国力の向上につながるとの思いを持ち続けてまいりました。

 さるときある知事が、日本の国は東京さえちゃんとしっかりしておれば大丈夫だという発言をされたことが幾度となくありました。そのとき私は、テレビの画面からではありましたけれども、知事、あなたは間違っておるという反論をしたことがありました。

 その後、三・一一、東日本大震災が発生をしました。その後は、そのような発言はされなくなりました。食料、エネルギー、水等、人間が生きていく上で欠くことのできない資源が東京でいかほど自給できているか、再確認をされたのだと思います。また、一極集中がいかに危険なことであるかを証明したものとも思います。

 そこで、今国会で地方創生に向けて本格的に取り組むということであります。遅きに失した感はありますが、我が意を得たりという思いであります。

 また、一昨日の石破大臣の答弁の中で、地方創生は一過性のものであってはならないし、また、一朝一夕で達成できるものでもない、恐らく四十年、五十年必要かもしれませんという答弁をされました。

 私も、考え方としては同じ思いをしております。しかし、何年かかろうとも、千里の道も一歩からという思いで粘り強く取り組み、達成しなければ、日本の国は衰退の一途をたどると思います。

 それぞれの地方の活力の集合体が日本の国力だと私は確信をしております。地方創生の実現こそが我が国の進むべき道だと信じて疑わないものでありますが、そこで、石破大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 ある意味、東京が栄え続ければ、その知事が言ったようなことも全否定されるものではないんだろう。ところが、今や、地方も衰退し、何年かおくれで東京も衰退し、東京も地方も衰退に向かって進んでいるということが問題だと思っております。

 これだけ飛行機が発達し、鉄道が発達してくると、飛行機が発達して鉄道が発達すれば地方が栄えるはずだったんだが、必ずしもそうはなっていない。あのころからストロー現象とかバキューム現象とか言われておって、交通網の整備が地方の衰退に歯どめをかけたかといえば、そうでもないだろう。

 長崎もそうですし、鳥取もそうですが、あちこちにあった電機メーカーとか自動車メーカーというのがどんどん畳んで、跡には廃墟が残っているというようなことで、時代が変わってきたのですから、今までと考え方を改めなければいかぬだろうということでございましょう。

 ですから、私は委員ほど長い政治経歴を持っているわけではありませんが、地方の何をどう変えればいいのか、それに対して、今までは正しかったが時代に合わなくなった第一次産業政策であるとかあるいは観光政策であるとか、そういうものを根本から変えていかなければいけない、その効果が出るのが、一年や二年で出れば誰も苦労しないのであって、恐らく我々が見ることはないであろう三十年先、四十年先に、あの平成二十六年というときにこれをやっておいてよかったねと言われる成果を我々政府も議会と一緒になって何とかつくらせていただきたいと思っております。

加藤(寛)委員 ありがとうございました。

 次に、地方創生、すなわちまち・ひと・しごと創生法案、名称のごとく、仕事があって人が集まり、人が集まって町ができる、このことは必然の理であると思います。

 そこで、地方の雇用は主に第一次産業だと思います。もちろん、第二次、第三次産業の雇用もあります。新たに雇用を創出することも大切なことではありますが、まずは現在の事業を継続して雇用を守り、加えて新規事業、新しい雇用を創出して初めて、その地方は一層活性化するものと思います。新規事業は生まれたけれども旧来の事業がなくなっては、何の意味もなさないと思います。

 そこで、私の地域を考えてみましたときに、地方活性化の基盤となるべき社会資本の整備が非常におくれております。このことは、私の地域に限らず、全国的に地方は同様ではないかと思います。

 これは、これまで国策として大都市部の過密対策には取り組んできたけれども、地方の過疎対策をおろそかにしてきた結果だと考えております。また、このことが、最重要課題である少子化、人口減少にも至ったものと考えております。

 しかし、大都市部の社会資本の整備が大方終わり、これから地方の整備に取り組む時期になって、公共事業は悪みたいな意見をあたかも真実みたいに話をする人がおりますが、とんでもないことだと思います。

 国土の均衡ある発展が原則でありますし、また、同じ国民であるならば、同じ豊かさを享受する権利があると思います。また、そのことを実現することが政治家の使命であるとの思いから、私は、政治を目指したときから、千里同風を座右の銘にしております。

 地方創生の基盤となる社会資本整備を図り、地方が全国津々浦々まで活性化することが、地方の集合体である日本の国力がなお一層強化されるものと思い、これが一石二鳥にも三鳥にもなると思います。

 また、技術的な政策ももちろん大事なことではありますけれども、まず基盤、土台が整備されるべきだと思います。技術だけでは限度があると思います。

 そこで、石破大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 社会資本の必要な整備は急がなければなりません。

 我々日本海側、京都から兵庫、兵庫から鳥取、鳥取から島根、島根から山口というところは、道路の整備が著しくおくれておりまして、地図を見るとすぐわかるんですが、これを、ちんたらというか、遅々とというか、そうしてやっていますと、できたときにはもう人がいないということが起こるわけです。

 社会基盤整備はできたが、もうそのときは人はいなくなっていましたということは絶対あってはならないので、社会資本の整備というのは急がなければならない。なかんずく、ミッシングリンクというものは、道路でも鉄道でもつながって何ぼですから、そういうものは急ぐというのは当然のことだと思っております。

 ただ、公共事業をやることそのものに意義があるのだというようなお話はだめで、かつてケインズが言っていたように、穴を掘るだけでも立派な公共事業であるみたいな話をしておっても仕方がないのであって、それは、公共事業それすなわち目的であるというようなことは断固排していくべきものであろう。

 地方におきましてこれから先お願いをしていかねばならないのは、その公共事業をやることによってその地域がどのようになっていくのかというビジョン、これをお示しいただくことなんだと思っております。

 委員が御造詣の深い農業の分野の土地改良、基盤整備にいたしましても、それをやることによって、どれだけ分散錯圃が解消され、どれだけコストが下がり、あるいはどれだけ付加価値を増すことができるのかという、何のために基盤整備をやるのだということについて、さらに強い問題意識も地方が持っていただくということも肝要なことであり、公共事業が悪だという考え方には私は立っておりません。

加藤(寛)委員 ありがとうございました。全く私もそういう思いでこれまでも来ております。

 次に、社会資本の整備については、先ほどお話ございましたような交通網の整備、並びに、農業については農地の圃場整備と土地基盤整備がございます。そのほかにもいろいろな社会資本の整備というのはございますけれども、特に地方は、第一次産業の発展なくして地方の振興は望めません。

 そこで、農業を取り上げてみましたときに、国は、基幹的農業者に、耕作面積、現在の全農地の五〇%、二百三十万ヘクタールから八〇%に上げるとの計画を十年間で達成しようとしております。全農地約四百五十万ヘクタールの八〇%でありますから、三百六十万ヘクタールとなります。

 現在の圃場整備の完成は、水田で百六十万ヘクタール、畑地で五十万ヘクタール、合計二百十万ヘクタールと統計で示されております。そこで、三百六十万ヘクタールから二百十万ヘクタールを差し引いた未整備の百五十万ヘクタールが完成をして初めて機械化できますし、規模の拡大が可能となります。

 そこで、未整備である百五十万ヘクタールを年次計画で圃場整備することが、地域農業の振興につながり、ひいては地方創生実現に向かうものと考えております。また、道のないところに産業の発展はないと思います。

 そこで、石破大臣の御所見をお伺いできればと思います。

石破国務大臣 これはいろいろなお考え方があろうかと思いますが、我々が政権にないときに、圃場整備というものががたんとスピードが落ちたということがありました。そこを何とか取り返していかなければなりません。

 圃場整備というものは、それ自体が目的なのではなくて、それによっていかに農地を集積し、いかにしてコストを下げるか、そしていかにして基幹的農業従事者に農地を集積していくかということが目的なのでございます。ですから、限られた期間、十年なら十年の間にこの目標を達成するというのは、何が何でもやっていかなければならないことだ。

 やはり地方の基幹産業は農業、漁業、林業でございますので、そこにおいてコストを下げる、そして担い手に集積するための圃場整備事業というのは何としてもやり抜かねばならないし、それは時限性のあるものだと認識をいたしております。

 西川農林水産大臣におかれまして、そういうようなことを断固進めるということと承知をいたしております。

加藤(寛)委員 次に、地方創生、すなわち日本国創生の最眼目は、私は、少子化対策、すなわち人口減少に歯どめをかけることだと思います。

 そこで、政府は五十年後に一億人程度の人口を維持することを目指すと将来の展望を示されておるわけでございますが、具体的な対策についてお伺いをしておきたいと思います。

石破国務大臣 これは、考えられることを総動員していかなければなりません。

 結婚、妊娠、出産、子育てに対して切れ間のない支援を行う、多子世帯、三世代同居の支援を行う、育児休業など働き方の改革を行う、企業、業界の取り組みを支援するという、羅列すればそんな話ですが、委員のお宅のように、お子さんがたくさんおられ、お孫さんがたくさんおられということがどうすれば実現をするのだろうかということを、私たちは空理空論を言っていても仕方がないのであって、どうすればお子さんがふえるのだろうかということについて、考えられる限りの知恵を出してやっていかねばならぬだろうと思います。

 昔は子供が多くてよかったねなんというような話をよくするんですが、昔は子供は稼ぎ手であり、あるいは老後の保障でありということがありました。ですけれども、豊かになった、いろいろな社会保障が充実してくると、そういうもののウエートが下がってきたのであって、昔を懐かしんでいても仕方がない。

 今の時代に合った、どうすればお子さんがふえるだろうかということは、女性の働き方を変えることであり、裏返せば、男性の働き方、生き方を変えるということであって、かなり根源的な問題だと思っております。

加藤(寛)委員 せっかく私の家庭の子供について触れていただきましたので、私ごとではありますけれども、少し触れさせていただきたいと思います。

 私は、子供は六人おります。五人は嫁ぎました。その嫁ぐときに、私はそれぞれの夫婦に約束をさせたことがあります。

 そのことは何かというと、必ず子供は三人以上産み育てるように。何で三人以上かというと、二人は、二人でつくるわけだから、自分たちのためだ、三人以上は、世の中には諸般の事情でどうしても子供に恵まれない方々がおられる、そうした方々に無理を言うわけにはいかない、だから、その三人目以上というのが世のため人のためということなんだと。そういうことを理解して、今、それぞれが、順調よく孫が生まれておるようであります。

 何でそうした思いになったかということは、私は、二十数年前に結婚式に出席をしたことがございました。そのときに、若いお嬢さんを捉えて、あなた方も間もなく結婚しますねと話をしましたところ、ある若いお嬢さんが、いえ、私は結婚しませんという人がおりました。

 そこで尋ねました、年老いたらどうするんですかと。そうしたら、その人いわく、私は老人ホームに行きますと。へえ、年をとったら老人ホームに行くんですかと尋ねたところ、はいと言うものですから、そうしたら、老人ホームは誰が運営、経営をしておるんですかと尋ねたら、それは国でしょうという答えが返ってきました。なるほど、そうしたら、国は誰が、どなたが運営をしておるんですかと尋ねたら、返事が返ってきませんでしたので、私が、国はあなた方若い人たちが働いて税金を納めて運営されておるんですよ、そういうことですから、あなたに子供がいないということは、人様の子供の税金で老人ホームに行くことになりますよねと言いましたところ、はっと、やはり気づいたんでしょうね。

 私も、知り合いの人の娘であったものだから、その後を見ましたところが、ちゃんと結婚をして、子供も生まれておるようです。

 だから、私は、よく結婚式に出席しましたときに、人生は順送りですよということを申し上げるんです。新郎新婦に、あなた方がきょうこうしてめでたく結婚できたのは両親のおかげです、しかしながら、両親も間もなく、近い将来年老いて、一人では自分を支えることができなくなります、そのときに、きょうの感謝の気持ちで両親を支えてやるんですよ、しかし、あなた方も遠い将来同じ道をたどります、だから、自分たちを支えてくれる子供たちをちゃんと三人以上産み育てることが必要なんですよということをよく申し上げるわけでございます。

 そういうことで、やはり、三つ子の魂百までと言われますように、家庭教育、社会教育、学校教育、三位一体となってこのようなことを、それぞれの年齢に応じた教育がなされるべきではないかなという思いがいたしております。

 一言、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 ありがとうございました。私も結婚式のスピーチでは今のお話をやろうと思っております。

 そのときに気をつけなきゃいかぬのは、国が、子育てというか、お子さんを産むというか、奨励しているというと、一昔前の産めよ育てよ地に満てよみたいな、そういうことに誤解されかねないのであって、私どもとしては、実際に子供の数は少ないんだけれども、では、若い方々が結婚したくないかというとそうではない、子供が要らないかというとそうではない、できたら結婚したい、できたら子供は二人以上欲しい、そういうような希望が国民の若い世代にある以上、それをどうやってかなえるかということは政府の責務なんだと思っております。

 私どもは、国として一つの価値観を押しつけるつもりはありません。実際に、若い世代の国民の方々にそういう望みがある以上、それをかなえるのは国の責務だという認識のもとに、今の委員のお言葉を拳々服膺しながら努めてまいります。

 ありがとうございました。

加藤(寛)委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、高木宏壽君。

高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽でございます。石破大臣、よろしくお願いをいたします。

 私は子供が二人ですので、何とか、人口置換出生数ですか、ぎりぎり貢献しているのかなと思っております。

 今回のまち・ひと・しごと創生の取り組みを進める契機の一つとなったものに、日本創成会議の提言がございます。ここで増田座長が、人口減の要因として、若年女性人口の減少と東京一極集中、二つ要因を挙げております。

 首都への人口集中、私、ちょっと歴史をひもといてみましたら、首都への人口集中と地方の疲弊というのは歴史的にこれまでも何度か発生してきている。江戸時代にさかのぼりますと、寛政の改革で旧里帰農令というものが出されております。そして、それから時代を下って、天保の改革で人返し令というのが発せられました。これはいずれも江戸から農村への人口移転を狙ったものなんですけれども、なかなか期待したほどの効果はあらわれなかったようでございます。

 現代になって、地域間の均衡ある発展を目指した最初の全総計画以来、多極分散型国土を目指した四全総、そして二十一世紀の国土のグランドデザインまで、累次にわたる国土計画が進められてきたわけですが、いわゆる東京への人口の集中、今日までなかなか是正はされておりません。そして、今や人口減少の進展で市町村が消滅するという警鐘が鳴らされている事態にまでなっております。

 石破大臣がよく使われる言葉に、残された時間は少ないということでございますので、今回の平成の地方創生、これは何としても成功させなければいけないと思っております。地方部に安定した人口とそして安全、安心な地域社会があるというのは、国民が生活を営む上でも、領土やそれから領海を守るという国家経営を図る上でも、極めて私は重要であると考えております。

 これまでも、歴代内閣でも、人口減、東京一極集中、あるいは地方の活性化、重要課題としていろいろと取り組まれてきたわけですけれども、今回改めて法律をつくって、まち・ひと・しごと創生への取り組みを進める意義と、それから、創生本部で決定されました基本方針、従来の取り組みの延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を実行していく、安倍総理も、従来の取り組みの延長線上にない大胆な政策に取り組んでいくと強調されておりますけれども、この地方創生の取り組みの具体的な方向性と、それから異次元の大胆な政策、具体的にどういったものを想定されているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 従来と違うのは、もう時間がないということでございます。

 有名になりました増田レポート「二〇四〇年、地方消滅。」これは、去年の中央公論の十一月号だか十二月号に出たのが一番最初でございまして、私、ことし初めの通常国会の本会議の代表質問でもこれを取り上げたという記憶がございます。最近、いいことか悪いことか、大はやりになりました。

 二〇四〇年になると、大方の市町村において若年女性の数が七割から八割減る。そうすると、人口の再生産が行われないわけで、では、東京に行くからいいじゃないのといっても、東京が一番出生率が低いわけで、そうすると、少しの時間差はありますが、東京も衰退、地方も衰退である。これはとめないと国全体が衰退するという危機感は今までにないものですし、時間がないという危機感も今までにないもので、そこが違うんだと私は確信をいたしております。

 では、異次元とは何かということは、従来の政策がどこが時代に合わなくなったのかということを、まち・ひと・しごと創生本部は全大臣が本部員でございますので、これはもう安倍さんと石破さんがやっていればそれでいいやという話になりません。農水は農水で、厚労は厚労で、国交は国交で、どうやって地方に仕事ができ、地方に人が帰っていくか、地方に人が定住するかということについて、あらゆる政策を総動員し、今までと何が違うんだということを明確にしなければ、こんなものは異次元でも何でもありません。

 そして、中央から地方に対するやり方として、今まで、補助金、交付税、交付金というこの三点のセットがあったわけですが、この三点セットの仕組みをどうやって変えていくのかということは、それぞれ皆様方は地方の選出でいらっしゃいますので、補助金のあり方、交付税のあり方、交付金のあり方、これをこういうふうに変えるのだということを出しませんと、これは異次元にも何にもならないのであります。

 異次元とは名ばかりでという話じゃなくて、それぞれの政策が今までと何が変わったのかということを明確に示して、地方創生の流れをつくりたいと考えております。

高木(宏)委員 ありがとうございます。

 私の地元は北海道でありますが、石破大臣も何度もお越しいただいておりますけれども、昨年、全都道府県で最多の約二万九千人、人口が減少いたしました。これは三万人規模の市町村が消滅したと同じことでありますけれども、北海道の人口のピークは一九九八年でございます。そして、ことし一月時点の人口と比較すると二十六万人ぐらい減っております。日本全体の人口のピークは二〇〇八年でありますから、十年ぐらい北海道は早く人口減少社会を迎えていると言えます。

 そして、札幌圏への一極集中の度合いというのも、東京圏への一極集中以上に進んでおります。国立社会保障・人口問題研究所、社人研の将来推計で、北海道の総人口に対する札幌圏の人口割合は、二〇一〇年の三四・八%、もう既に三割を超えておりますけれども、二〇四〇年には四〇・九%、六・一ポイント上昇いたします。東京圏一極集中といいますけれども、東京圏の人口割合は、二七・八%から二〇四〇年には三〇・一%、二・三ポイント上昇する。

 札幌圏への人口集中度というのは東京への集中以上に激しいわけでありまして、まさに、北海道は人口減少社会日本の縮図ではないかなと私は思っております。

 その意味で、北海道の地方版の総合戦略、来年度策定することになると思うんですけれども、これが成功すれば一つの有効なモデルケースになるのではないかなと私は考えております。

 地方の実情をしっかりと勘案して、地域の人口動態を徹底的に分析した緻密な総合戦略、これが必要と考えるわけですけれども、十二月に国が策定される総合戦略、この国からの総合戦略でどのような方向性が提示されるのか、そして、当然、地方の総合戦略をつくるに当たって、情報提供などの支援も絶対に必要だと思うわけですけれども、大臣の所見を伺っておきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 国の方におきましては、本年末でございますけれども、長期ビジョンと、さらに五カ年の総合戦略を策定してまいります。これを踏まえた上で、勘案していただきまして、地方におきましては、来年度に、まさに地方版の地方人口ビジョンと地方の総合戦略を策定する、こういう作業に入ってまいります。

 当然、国の方におきましては、総合戦略において、現在、さまざまな施策についてこれを検討してございますが、これは一つの参考というふうに考えてございますが、一方、委員御指摘のように、地域によってそれぞれ人口状況は大変異なってございますので、これは私どもの方で、今現在、各県単位もしくは市町村単位においてどういう人口構成になっているか、この情報提供を今進めているところでございます。

 実際に、それを踏まえまして、例えば北海道におきましても、道における総合戦略の策定、さらには各市町村における総合戦略の策定のときに、いわば人口の自然増と社会増減、両方の面からどういった対策が有効であるかという基礎データを私どもは提供してまいりたいと考えている次第でございます。

 その作業を年内に進めまして、いわば来年度の地方版の総合戦略の策定の基礎資料として活用していただく、こういう形で進めているところでございます。

高木(宏)委員 市町村においても、都道府県の総合戦略を勘案して、当該市町村の総合戦略を定めるように、この法案では努力規定が設けられておりますけれども、さまざまな課題に対応していく上では、市町村の区域にとどまらない広域的な連携とか役割分担が私は重要になってくるんじゃないかな。

 いわゆる人口流出を防ぐために、地方の中核都市を中心に、近隣市町村でネットワークを形成するというような考え方ですけれども、その意味で、市町村の計画も当然あるんでしょうけれども、そうした広域連携の中核都市を中心とした総合戦略みたいなものが私は必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。県単位の方が解決により資するような場合には、複数の市町村が連携して総合戦略をつくっていただくということは当然ございます。

 人口が減るというのは、それぞれの地域にそれぞれの事情がありまして、委員がおっしゃいますように、一番減っているのは北海道です。わからぬでもない。二番目が何で静岡なんだという話になるわけですね。何で静岡が日本で二番目に人口が減るの。北海道と全然状況が違う静岡が、あれだけ暖かくて、高速道路があって、新幹線が走って、飛行場もあって、何なんだこれはということになるわけで、それは、静岡は静岡の事情があるんでしょう、北海道は北海道の事情があるんでしょう。

 それが、一つ一つの市町村ではなくて、連携して広域でやっていただいた方がいい場合は当然あり得ることでございまして、そういう場合にはそういう形でお願いをしたいと思っております。

高木(宏)委員 法案の第二条の基本理念で、日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスについて、需要及び供給を長期的に見通し、現在及び将来の提供確保ということが挙げられております。

 こうした基盤的なサービスというのは、当然、電気、ガス、水道などのライフライン、それから医療や福祉、行政等のサービス、あるいは道路といった社会資本が含まれるものと思いますけれども、限られた財源の中、拡大した市街地をコンパクトシティーにつくりかえていくというまちづくりが必要ではないかなと私は思っております。

 しかし、現状はまだまだ、開発許可を受けて、新市街地の方へ住宅建設を進める動きも見られます。私の地元は雪国ですので、新市街地の開発は道路の除雪延長の増大につながって、当然、行政コストの増大を招くということにもなります。新市街地の開発を抑制して、既成市街地、特に郊外部に広がった部分を集約するといった都市のコンパクトシティー化、これは地方創生の一つの有効な手法と私は考えるわけですけれども、除雪について言えば、郊外の住宅が一軒でもあれば、生活を営む上で必要となってくるわけです。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、都市や地域のダウンサイジングについてどう考えるか、そしてその過渡期の行政サービスのあり方をどう考えるか、お聞きしたいと思います。

石破国務大臣 コンパクトシティーというのは、言葉はいいんですけれども、それをやるのには多分四十年から五十年かかるんだと思うんですね。かなり拡散していますので、その部分をコンパクトにするということについて、まさしく委員おっしゃったように、どれぐらい行政コストがかかるんですか、そこにおいて住民の合意は得られるんですかということであります。

 ですから、札幌は余りにも大きな町ですので、それでは小樽とかあるいは北見とか網走とか、どこでもいいんですけれども、そこをイメージしたときに、コンパクトシティーにするためには一体どれぐらいの行政経費がかかりますか、そのときに公共交通のあり方はどうなりますかということを一つ一つ綿密に詰めていって、コンパクトシティーというものは一つの理想像なのですが、そこにかかる年数、かかるお金、そしてまたそこにおいて住民の合意の得方、私は遠いところに住んでいる、でも、同じ行政サービスを得たいよという方が遠くに、離隔した地にいるとするならば、どれだけ近くに来ていただくかということも考えねばならぬのであって、コンパクトシティーについて一度まとまった御議論をいただきたいな、少なくとも政府の中ではきちんとしたものを示したいなと思っております。

高木(宏)委員 以前、日本の家庭は、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、そして子供、あるいは兄弟姉妹、多世代が同居しておりました。子供を産んでも、子守をする人が家庭の中に多く存在していたわけですけれども、今、核家族化が進んで、子育て世代の女性が働きに出ようとすると、子供の預け先の有無、これが大きな障害となっており、これが少子化や都市部への人口流入の背景となっております。

 また、先ほども話が出ましたけれども、都市部では地価が高いため、新たに供給される宅地は、従前の宅地を分割して販売される例が散見されます。このため、子育て世代が購入できる住宅というのは狭くならざるを得ず、多世代が同居する居住環境の整備はなかなか進められておりません。多世代が同居することで、高齢者を家族が見守ることも可能になりますし、仮に病気になっても、早期治療、家庭での簡易な処置も可能となって、医療費や介護費の縮減にも私は資すると考えております。

 このように、多世代同居は地方での暮らしを安定させて定住人口の増加に寄与すると思うわけでありますけれども、大臣、多世代が同居する住宅の整備、多世代が同居する世帯の税制上の優遇措置、こうしたものを講じることが地方創生を図る上でも重要と考えますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 そうだと思っております。

 ただ、同居すると、それなりのもめごともあったりいたしまして、そうすると、では、近距離に住む、スープでもみそ汁でも何でもいいんですが、それの冷めない距離に住むということが昔言葉としてはやったことがありますが、同居ではなくて近居というものもあるのではないか。そのときに、税制のみならず、融資というものをどのように考えるかでございます。

 ただ、海外のホームドラマというのは私は余り見ないんですけれども、多世代が一緒に住んでいる海外というのは、少なくとも欧米では余り聞いたことがないんですね。それは、同居とか近居ではなくて、そういうコストは社会で見るんだという考え方なんだと思います。

 ですから、子供をふやしていくということにおいて、その負担を一体誰がどのように行うのかということについて、また御議論をいただきたいと思いますし、政府としても参考にさせていただきます。

高木(宏)委員 最後の質問ですけれども、今ちょうど、私の所属しています内閣委員会で国家公務員の給与に関する改正案が審議されておりますけれども、給与については、人事院勧告で、地方部における官民の給与較差を是正することを目的に、国家公務員の給与改定、都市部を手厚くして、地方部を減額することになっております。

 給与については、公務員準拠の民間企業も多数あるわけでして、この都市部手厚く地方減額というのは、一見すると地方創生と矛盾するのかなという気もするわけですが、大臣も、地方創生の核は仕事づくり、雇用の確保、そこで暮らし続けることの手だてを講じることだと言っておりますが、地方における仕事づくりと相応の賃金などの措置が重要と考えますが、大臣、所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 これは、委員はもう本当に地方のことに精通しておられますので、私ごときが言うことじゃありませんが、要は、地方公務員法において公務員の給与のあり方というものは定められている。そこにおいては、民間準拠というか、言葉はそのとおりではありませんが、そういうのが基本的な考え方になっているわけで、国家公務員が下がりました、地方公務員も下がりましたということになると、なかなか地方は活性化しないんじゃないのという話なんですが、私も、党におりましたときに、お願いですから給与を上げてくださいといって経団連に行き、あるいは経済同友会に行ったときに、公務員の給与も一緒に上げてくれよと言われたような覚えもあって、まあ、これはどっちが先でどっちが後だかわかりません。

 ただ、私どもとして、公務員の給与というものはあくまで民間というものを見ながら決めていくものであります以上、まず民間の給与がどうしたら上がっていくんだろうかということを考えるのが順番ではないのかなというふうに思っております。

 民間の給与が上がっていけば、当然、公務員の給与も上がるわけでありまして、ある意味、公に奉仕する公務員よりも民間の方に重点を置いて考えるべきではないかと思っております。

高木(宏)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。通告に従いまして、順次質問させていただきたいと思います。

 最初は、地方創生とICTの活用についてということでお伺いしたいと思うんです。

 本会議の質疑、それからこの委員会での質疑の中で、当然のことですけれども、いかにして人口減少に歯どめをかけるか、それから、東京圏への過度な一極集中をどう是正するか、地方の雇用の場をどう確保していくのか、あるいは、地方の地域間連携をどうするのか、そのためのいろいろな方法というか、取り組みの知恵を振り絞っていかなくちゃならない。

 その中の具体的な一つのツールというか考え方として、私は、ICTの活用促進というのが地方創生の大事な一つの鍵になるだろう、このように考えているところでございます。

 そこで、まず、端的にお伺いしたいんですけれども、この基本的な考え方、地方創生とICTの活用に対する大臣の見解をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 ついこの間までITと言っていたはずなんですが、最近はICTになりまして、インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーということでありますが、よく例に挙げられるのは神山町であります。必要であれば、小泉政務官から答弁申し上げます。

 ICTを使った地方創生というのが、まだ大はやりになっていない、まだ点であって、横展開されていない。とすれば、一体どこに問題があるのだろうかということでございます。

 在宅勤務ができるよという話なんですが、では、どういう業種がどのように在宅勤務をし、それがICTを使ったそういうことにつながっていくのかということが、済みません、まだ具体的にイメージとして私はつかめていないんです。

 こういう業態はICTを使うことによって地方にいろいろな雇用というものは生まれるはずだというものを、何とかこの委員会中に、委員のお知恵もかりながら、具体的なイメージとして持っていく、そしてまた、それに必要な支援というものは国としてやっていきたい。

 神山町が、非常にブロードバンド等々が発達しておって、光通信も発達しておって、それが低廉なお金で、都市よりも高速で利用できる、そういうようなものが、地方創生にどのように役立ち、横展開できるかということについて、さらに議論を深めさせていただきたいと考えております。

稲津委員 点から今度は横展開へというお話がございました。神山町のお話もありました。

 確かに、最近は、農業の現場に行くと、無人のトラクターを使って農作業をしたりとか、あるいは中山間地の、特に棚田みたいな、あるいはそれに近いようなところで、雑草を刈り取るロボットみたいなものが出てきたりとか、これは非常にこれから楽しみな面もあるんです。

 いずれにしても、ICTの利活用というのはこれから大事な課題になってくるということは、大臣からの今の御答弁でも確認させてもらいました。

 政府もこれまで、さまざまなICTにかかわる事業を展開してきているのは事実でございまして、総務省のモデル事業では、例えば、高速ブロードバンド環境の整備によるICTベンチャー企業の誘致で地域の雇用創出、こんなこともある。それから、これは北海道の例だと思うんですけれども、台湾のケーブルテレビを通じて観光PR番組の放映をした結果、台湾からの観光客が大いに増加した、それで、結果として、地域雇用が少し弾みがついてきたとか、そういうことがいろいろと出てきています。

 そこで、これはぜひお伺いしたいんですけれども、ICTの地方創生に与える影響、これまでの取り組み、それから、今後どのような方向でICTの利活用の施策を行っていこうと考えているのか。あわせて、他省庁との連携というのもあると思うんですけれども、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。

西銘副大臣 先生がただいま御指摘されましたとおり、地方の創生に向けて、イノベーションの源泉であり、また成長のエンジンとも言われているICT分野を横断的に活用することが極めて重要だと認識をしております。

 これまで総務省では、ICTを活用したまちづくりの観点から、平成二十四年度より、全国二十七地域において、地域実証プロジェクトを進めてきております。

 例えば、長野県の塩尻市で、鳥獣被害対策として、センサーを活用し、クラウドも活用して、鳥獣被害の面積を大幅に縮減をし、農業収入が、平成二十三年度で三百五十四万円だったところが、平成二十五年には二千三百六十二万円、六倍近く伸びて、対策がうまくいっているという実例もあります。

 さらに、愛知県の豊田市では、医療と交通の両分野で利用できるICカードを高齢者の方々に配付をして、病院や診療所、またコミュニティーバス等で利用していただいて、利便性、安全、安心の向上を図るプロジェクト等もあります。

 もう一点、岡山県の真庭市におきましては、森林資源の現状把握という視点で、ラジコンのヘリコプターを利用しまして、写真を撮って、クラウドを活用しながら、現状を把握し、これまで一区画の点検に二人がかりで一日かかっていた作業が、ICTを利用することによって数分間で把握できるという実例等も出ております。

 先ほど先生が指摘された北海道の事例等も、番組を台湾で放送しまして、十年間で観光客が五倍ふえているという実例等もあります。

 今後、総務省としましては、ICT街づくり推進会議等の検討の場を活用して、地域の意見を聞きつつ、石破大臣のまち・ひと・しごと創生本部を初め農林省、厚生労働省など関係省庁と相談をしながら、地方の熱意と創意を生かした実効的な政策を推進してまいりたいと考えております。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、これまで総務省としても取り組んできたことを、今度、地方創生につなげていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、最近はスマートフォンなんかが非常に普及していて、高校生なんかは九割ぐらいスマートフォンを持っている。議員の多くもスマートフォンを所有していると思うんですけれども、残念ながら、WiFiが国会では使えなかったり、議員会館でもそうでなかったりしているんです。これはここで議論する話じゃないんですが。そういったことも含めて、これから、別な機会にそんなことも要請したいと思っています。

 いずれにしても、ICTの利活用について、ぜひまた、さらなる検討を進めていただきたいと思います。

 二番目の質問は、これは既に何人かの方も質問されていますけれども、合計特殊出生率についてです。

 合計特殊出生率のいわゆる都道府県格差について、これをお聞きしておきたいと思うんですけれども、厚生労働省の平成二十四年の人口動態統計、これを見ますと、もう既に御案内だと思うんですけれども、東京、京都、北海道、合計特殊出生率が低い。一方で、例えば、福岡を除いた九州全域、沖縄、それから島根、鳥取、さらに福井とか山形ですか、こういう、西日本というか、それから日本海側というかは、比較的、合計特殊出生率が高いというか、低くないというのが一つあります。

 これはどういう理由なんだろうかな、こういうことになるんですけれども、それはそれで、多分いろいろな理由があると思うんです。

 大臣も、きょう、先ほどの御質問の中でも御答弁されておりましたが、厚労省の統計データというのが、調査研究がありますけれども、ここで一つ二つ指摘されているのは、一つは、通勤時間も含めて男性の平均就業時間が短いほど、データとしてはですよ、特殊出生率が高い、こういうのがありました。それからもう一つは、三世代の世帯率が高いほど、これも出生率が高いという報告。

 要因は、そのほかにもいろいろあるんだろうと思うんですね。私は、例えば夫婦共働きの実態とか、今あった三世代の世帯とか、保育所の整備だとか、それから医療機関の体制だとか、そういうことについてもう少し精査した調査も必要ではないのかと思うんです。

 ぜひ、これを地方創生の中で一つのデータとしてきちっと整理をして、調査をしていくことも必要じゃないかなと思うんですが、この点についての御見解を伺いたいと思います。

小泉大臣政務官 ただいま稲津先生から御指摘のありましたとおり、合計特殊出生率の都道府県の差というのはやはりある、そういったことは分析で明らかになっております。特に、全国平均では今一・四三、そういった中でも、東京は一・一三、これは最低であります。その中で、沖縄が一番高くて一・九四。

 それで、きょうは委員の中で金子先生がいらっしゃいますが、この前、金子先生の御地元の徳之島、伊仙町の町長にお話を伺ったところ、伊仙町は特殊出生率二・八ということで、今、三を目指して頑張っているという、まさに異次元の状況がある町もあります。

 そういった中で、今先生がおっしゃったように、例えば男性の勤務時間、そして家事、育児、こういったことに対する貢献、そういったことも影響しているというデータもありますし、先ほどの御質問にもありましたが、三世代同居率、これも影響している、そういったことも考えられます。

 ですので、おっしゃるとおり、ビッグデータ等さまざまデータをしっかりと精査しながら、都道府県や地域によって違いもあるということを踏まえた上で、きめ細かい対応をしなければいけないと考えております。

稲津委員 私は、合計特殊出生率を上げなきゃならないとかそういうことだけではなくて、むしろ、やはり、子供を産む、育てることを本当に希望している方々が、具体的にそこを支援するような社会の仕組みというのが、ある意味、地方にあるということも、これはしっかり見据えていかなきゃならない。そういう意味でこの質問をさせていただきましたが、ぜひそのような調査も今後検討していただきたいというふうに思います。

 次の質問ですけれども、地方の大学と企業の連携ということで、これも先ほど御質問がありました。地方の大学のノウハウをもう少し生かしていった方がいいんじゃないだろうかという、大変そのとおりだと思って先ほども質問を聞いておりました。

 地方の大学は、いわゆる子供の数が減ってきた中で、これから、大学の存続そのものが大変難しいところに来ている。ただ一方で、地方の大学の入学希望者、進学意欲をかき立てるというか、そのためには、卒業した後に具体的にどういうような仕事についていくのかというところも少し見せていかないといけないところに来ているんだろう、特に地方の大学にはそのことがまさに求められているんだろう、このように思うわけでございます。

 そこで、一番大事なことは、地方の大学とその地方の地域にある企業との連携ということがこれから図られていく、このことを非常に大事な視点だと思って考えています。

 この間、調べてみますと、福井大学では、地域産業界の技術と人を結ぶ活動ということで積極的に展開をしていて、地元のいわゆる技術力の高い企業などを初め、全部で二百社ぐらいの地元企業が大学との連携を深めている。聞くところによると、会員企業の協力会みたいなものをつくって展開しているという話がありました。結果として、県内での就職あるいは人材育成に大きな成果を上げているということもお聞きしました。

 こうしたことから、今後、地方の大学とその地元の企業との産学連携をしっかり図っていくべき、そのことについても国としても支援をすべき、このように考えておりますけれども、所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 委員が、先ほど福井大学の例を御紹介いただきました。こういうことはあちらこちらでやらなきゃいかぬのだと思います。それぞれが、私のところでいえば鳥取大学になりますが、秋田大学でも富山大学でも福井大学でも、どこでもそうなんですが、そこの地域の企業、それは決して大企業ばかりじゃないかもしれない。中企業、小企業もあるだろう。だけれども、そういうところを実際に知らないまま東京や大阪に行って、仕事がないよみたいなことではだめで、やはり、地域における企業の紹介あるいは交流、インターンシップ、そういうものに対して、国が支援をできることがあれば支援をしたいと思っております。

 また、文科省におきまして国立大学改革プランというのをつくっていらっしゃいますが、これをさらに強力に推進する。もう一つは、地域の最高学府としての国立大学というものをどう位置づけるか。地域との交流が国立大学にあるというのも大事なことで、昔みたいに地域における象牙の塔ではなくて、地域における最高のシンクタンクとしての国立大学のあり方。

 地域学とかそういう学問があるんだそうで、そこで学者の中で満足していてもしようがないので、これから先、いろいろな市町村にシティーマネジャーというのを出そうと思っていますが、国立大学からも、地域を立て直す人材と知恵、そういうものを出していただくことによって、地域と一体となった国立大学が地域を担うのだという考え方は、委員のいろいろなお考えのもとに推進してまいりたいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 この点については、今大臣が明確に御答弁いただいて、シティーマネジャーのことも関連してお話しいただきましたので、時間があれば、そこも含めて後ほどお伺いしたいと思っております。

 さて、次の質問は、極めて地域に限定したお話ですので大変恐縮ですけれども、一つの具体的な例として挙げさせていただきながら、議論を深めていきたいというふうに思っています。

 一つ目はというか、二つあるんですけれども、両方ともそうなんですが、創業支援の必要性、事業を立ち上げるときのそういう支援が必要だというお話なんですけれども、まず一つ目は、ワインのお話を申し上げたいと思います。

 私の住んでいる北海道の空知地方というのは、米どころと言われているんですけれども、一方では転作も進んでいる。しかし、もう一方で、近年、ワインの一大生産地になってまいりました。これは、私もここに長く住んでいて、本当に意外というか、随分変わったなということを実感しております。

 ワイン用のブドウの生産量も拡大しまして、ワイナリーが五カ所、それからビンヤードが四カ所、質、量ともに他の産地に肩を並べるまでになりました。今ではもう生産が需要に追いつかない状況にもなってまいりまして、さらに、ブドウ畑でワインの直売もやっている。それから、直接ワインを購入するお客さんがたくさん来られて、観光地化もしてきています。こういう積み重ねがあって、実は先般、この空知地方のブドウ畑を舞台にした映画も作成されて、全国ロードショーで出てくるようになりました。「ぶどうのなみだ」という映画ですけれども。

 ただ、ここに至るまでは相当な苦労をしてきたというふうに承知しています。まず一つは、豪雪地帯でのブドウづくりですから、相当な手間がかかる。それから、もちろん農地の拡大、そういうことを重ねてきたわけですけれども、もう一つの問題は、ブドウの苗木から作付して収穫するまでの間に、これは果樹栽培ですから、すぐに収入になってこない。最低でも大体四年間ぐらいは必要ということで、その間、ブドウに関しての収益がほとんどないというのが現状です。これは、ワインに限らず、果樹園芸等の共通の課題でもありますけれども。

 私は、こういった分野というのは、もちろん地元の気候風土とかたくさんあると思うんですが、うまくマッチして、六次産業化も期待されますし、さらには雇用の場も確保できていくことも考えられます。

 農水省としても、生産安定対策事業ということで、ブドウとか梨に関しての、今私が申し上げましたような、なかなか収入にならないところを支援することを強化するというふうにも聞いております。

 別にワインに限った話じゃないんですけれども、いずれにしても、私は、地方の産業が立ち上がるところの創業支援というのはやはり今改めてしっかり見ていかなきゃならない、このように思っておりますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、創業支援でございますが、これは地域におきます雇用、さらにはサービスの創出という点で大変重要だと考えてございます。

 現在、既に経済産業省及び農水省等におきまして、御指摘のように、特に資金確保の面で非常に難しい面があるということでございますので、こういう新たな雇用を創出するという事業に対しまして創業促進補助金、さらには日本政策金融公庫から新創業融資といったようなことを今進めているところでございます。

 今後とも、こういった関係省庁と一緒に、あわせまして、私どもの方におきましても、創業の支援についてきめ細やかな支援方策、これについて検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。

稲津委員 もう一点、このことに関連して伺っておきたいんですけれども、地方創生の取り組みに対する規制緩和ということで伺っておきたいと思うんです。

 今、私、ワインの話を申し上げたんですけれども、実は、御案内の方もいらっしゃると思うんですが、お酒を製造する場合は、所管の税務署長の免許を受けなければならないというのがあるんですね。この免許の基準というのは、法定最低製造量といいまして、一年間に少なくともこれだけのお酒は製造しなきゃならない、例えば日本酒でいうと六十キロリットルとか、ワインでいうと六キロリットルとあるんです。

 これを、実は、構造改革の特区で酒税法の特例措置を講じて、ワインでいうと六キロから二キロリットルに下げたんですね。そうしたら、どういうことが起きたかというと、私の持っている資料によると、このわずか五年、六年ぐらいの間で、ことしの七月時点ですけれども、いわゆるワイナリーが全国で三十五ふえている。

 こういう産業の創生に結びつくような規制緩和というのは、私は、これからも大胆かつ、もちろん慎重にやらなきゃいけないですけれども、そういう取り組みが必要だと思うんですけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 いわゆるどぶろく特区のお話でありますが、要は、何でそんな規制があったのかというと、ちゃんと税金取ろうぜみたいなところがあったとするならば、それはやはり緩和をすべきものでしょう。

 ですから、委員御指摘のように、六キロリットルであったものが二キロリットルになりましたということになると、どぶろくだのワインだのというものがあちらこちら、農家民宿等々で出されるようになりました、人が来て大いに喜びましたということであって、一体その規制は何のために行われているのだという、規制をしたからには何かの理由があるのであって、それは、ほかに有意な価値観があるとすれば、その規制は緩和すればいいじゃない、撤廃すればいいじゃないということに相なるんだろうと思います。

 もちろん、規制は社会的規制と経済的規制とあるわけでありまして、安全、安心を確保するための社会的規制というのはそんな簡単に緩められるものではありませんが、そのほかの理由による経済的な規制であれば、なぜそれを残さねばならないのかということがきちんと立証されない以上、緩和もしくは撤廃を行うというのが原則だと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 時間の関係上、最後に一つだけお伺いしておきたいと思いますけれども、これも今ほどの話に連係した話でございますが、夕張市の地域活性化の取り組みについてということでお聞きしておきたいと思います。

 一昨日、財政制度等審議会の分科会におきまして、人口減少下における持続可能な都市形成に向けた夕張市の取り組みと題して、鈴木夕張市長にヒアリングを行ったということを承知しております。

 御案内のとおり、夕張市は平成十九年の三月に財政再建団体に指定をされました。そして、平成二十一年から十九年かけて三百五十三億円を返済していくという、今その過程にございます。

 かつては二十余りあった炭鉱も今は全部閉山をいたしまして、人口も、最盛期は、昭和三十年代の半ばですけれども、十二万いたのが、今一万人を切りました。さらに、財政破綻の前年の平成十七年に一万三千人いた人口が、今は一万人を切りまして、実に二六%減でございます。

 この中で、財政再建団体ですから、当然といえば当然、人件費も職員については三〇%あるいは二〇%減、各種手数料、市民が使う使用料についても、これも負担増、市の職員も一斉退職で半分になりまして、今は、ほかの自治体からの応援もいただいて、二十三名の応援いただいた職員で夕張市の行政の運営をしているということです。

 コンパクトなまちづくり、小中学校の集約、炭鉱住宅の民間企業による改修とか、いろいろやっていく中で今日を迎えていますけれども、一つは、夕張メロンを使ったふるさと納税というのが取り組まれて、これも注目を浴びて、平成二十六年には約五千万円のふるさと納税。

 もう一つお話ししておきたいのは、では、ほかに何か地域の資源はないのか、夕張メロン以外にないのかといろいろ探していった結果、実は、意外なところに意外なものがあった。それは、炭鉱のボタ山、ズリ山の話でございます。

 近年、このボタ山、ズリ山が、大小六十あるんですけれども、春の雪解けとか大雨で崩れてきて、災害が起きている。私も現地に行きましたけれども、大変な問題で、しかし、お金がない。ところが、そのズリ山の中には、きちんと調べてみると、使える石炭が三〇%ぐらい含まれている。昔、選炭技術が余り整っていなかったんですね。では、これを出して石炭として生産しようという話になって、今度は民間事業者が、治山事業をやりながら、なおかつ石炭を生産する。今の大体の想像ですけれども、百五十万トンぐらい石炭があるんじゃないかと言われています。

 そういうことで、これをいよいよ、地元も含めて、金融機関、それから北海道大学、さらに夕張市、国にもさまざまなお知恵もおかりしたい、こういう取り組みをしています。

 こういう地域の課題と真剣に向き合って、そこで地域の資源が本当にないのかあるのか、そして、見つけたらそれをどうするのか、ある意味、せっぱ詰まった町だからこそ考えついたのかもしれませんけれども、そういった考え方あるいは取り組みというものに対して、大臣の所見をぜひお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 総理からも、現場に出ろという指示をいただいておりまして、済みません、私も夕張メロンは食べたことがあるんですけれども、夕張市というのは行ったことがなくて。

 おっしゃるように、ぎりぎり追い詰められるといろいろな知恵が出るものだろう、別に追い詰められなくても出なきゃいかぬのですけれども。

 私は、夕張というのは、いろいろな面で少し研究してみたいと思います。特に私は夕張の医療というものにかなり関心を持っておるのですけれども、どうやってそういう地域を再生するか、今の石炭の例もそうです、あるいはふるさと納税のお話もそうです。

 ふるさと納税をこれからどうすべきかというのは、またここで御議論をいただくことなのかもしれませんが、こういう地域、夕張というのはそんなに交通アクセス上どうしようもないところにあるかというと、そうではないはずなんですね。交通のアクセスはいいが、何でこんなことになっちゃったんだということでありまして、夕張を再生するということは、地方再生の、地方創生の一つのモデルだと思っております。

 そういう通暁された皆様方にいろいろな御意見を聞きながら、やはり一つ一つ地方創生というものは実現をしていかねばならないし、待っていれば国が何とかしてくれて、全国一斉によくなるよというようなことは絶対にありません。その地域において、どんな知恵を出し、どのような努力をしていただき、それに国がどうやって全力で応えるか、そういうような総力戦の取り組みであります。

稲津委員 終わります。

鳩山委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 当委員会では初めて質疑に立ちます。石破大臣がそちらの席におりますと、生理的には、すぐ自衛の措置の限界とかを議論したくなってしまうわけでございますが、きょうは地方創生の特別委員会ということでございます。

 私は、九州・沖縄比例ブロック選出議員としましては、このブロック内の私が今まで回った市町村の数は、二百三十を超えました。この五年間で回ってきたんですけれども、現場を回る中では、やはり地方創生ということが非常に重要で、この政権で真剣に取り組まなければいけないということを痛感しているところでございます。

 また、本日は、質疑時間を使いまして、ちょっとずれ込んでおりますのでなるべく簡潔に質疑をしたいと思いますけれども、離島振興について伺いたいと思っております。

 私は、四年前に公明党本部内に設置をされた離島振興対策本部の本部長の任にございまして、今日まで、これは私が国会に初当選した十三年前から今日までですけれども、日本の有人離島九十九島、私自身回ってまいりました。自民党の席には、私と同じようにずっと島を回っている宮腰理事もおりますし、新藤前総務大臣も相当島を回られていると思いますけれども、私も九十九島回っておりました。

 大臣には釈迦に説法でございますが、日本には、無人島を含めますと島の数が六千八百五十二島ございます。有人離島は戦後減ってきました。後でグラフでお示ししますけれども、今、四百十八島。そして、日本の離島を支援するための法律というのは四つございます。離島振興法、それから沖振法、奄振法、小笠原の特措法、この四つの法律。この離島関係四法で支援している島の数は、三百五ということに今なっているわけでございます。

 大臣御承知のとおり、日本の陸地面積は約三十八万平方キロメートルでございますが、六千八百以上の島がございますので、EEZを含めた海域の面積というのは四百四十七万平方キロメートル。これは世界第六位の広さでございますから、日本はまさに海洋大国ということになっております。

 ただ、私、離島振興を進めてきた立場から申し上げますと、島というのは、人が住んでこそ国土としての価値が非常に高い、このように考えているわけでございます。ところが、この島国である日本の離島の人口は減少の一途をたどっており、また、その過程の中で、当然でございますが無人島化という現象が進んできております。

 お手元の資料、グラフの、一枚目の資料を見ていただきたいと思います。

 これは、一九五五年、昭和三十年のときに、日本の四つの大きな島、本土以外に住んでいる人口は百三十万人を超えておりました。これが、今日、これは二〇一一年ごろのデータでございますが、六十三万六千人ということでございますので、半減以下に離島の人口はなっております。

 そして、このグラフの中に点で示しておりますが、この島々が全部無人島化した島でございます。青色のドットが外海離島、そして赤いドットが内海離島、瀬戸内海とかですね、内海の離島になっております。この数は全部で約五十島、昭和三十年から今日まで無人島化をし、そして、人口自体は半分以下になってしまっているということでございます。

 資料を一枚おめくりをいただきたいと思います。

 今から二年前、当時、民主党政権ですけれども、民主党、そして自民党、公明党、その他の政党で与野党協議を立ち上げまして、離島振興法を改正させていただきました。

 その第一条に、今、資料の二枚目にお示しの表現を初めて入れさせていただいたわけでございます。この中で一番大事なところは、これは上から三行目ですが、「居住する者のない離島の増加及び離島における人口の著しい減少の防止」を国の責務でやらなきゃいかぬということを法律で明記したわけでございます。

 大臣、御答弁いただく前に、もう一枚資料をめくっていただきたいと思います。

 大臣は安全保障の専門家でございますので、これを見れば一目瞭然でございますが、現在有人離島である島が無人島化した場合、さまざまな問題が発生するんですが、そのうちの一つは、この安全保障の構築にかかわるコストでございます。

 ここに書いてあるのは、私ではございません、東海大学の山田吉彦教授が示した試算でございますが、南西諸島、奄美大島以南の離島人口が激減をして無人化した場合に、どれぐらいの安全保障のコストを追加で要するかということで、ここには、陸上自衛隊及び海上保安庁の経費増が大体年間一千億円に及び、その他の設備費等を考慮すると一兆円は必要になるのではないかと。そのほか、当然、海上自衛隊の増強も検討する必要があるということでございます。

 大臣、もう一枚、最後に、ちょっと時間もありませんので続けて申し上げたいことを申し上げますが、この最後のところが私が大臣にまず質問をしたいところでございます。

 実は、先ほど、今現在人が住んでいる島は四百十八あると申し上げましたが、この四百十八ある島の中で幾つの島が今無人島化の危機にあるか。

 私が用いている指標は、ここに書いてあります。人口が現在百人未満であって、高齢化率が五〇%以上の離島。しかも、その下に書いてありますが、「学校が存続している離島は数島のみ」と書いていますが、私の調査では、この約六十島の島のうち、三島しか小学校がないんですね。小学校がない島で、高齢化率が五〇%以上で人口が百人未満ということは、これは、若い夫婦がそこに移住するとは想定できません、学校がないんですから。そうすると、今住んでいる方々がお亡くなりになるとそのまま無人島化してしまう可能性の高い島が、今六十島あるということでございます。

 よく、国境離島の話で、無人島も何とかせないかぬという話がありますが、これは、実は、今現在無人島のところというのは、外国人が仮に密入国してそこに上陸しても、長期間住むというのは難しい環境にございます、無人島ですから。ところが、今現在人が住んでいる島が無人島化すると、ここは、電気も通っていた、水道もある、下水もある、住まいもある、そういうところが無人化すると、外国人が上陸してひそかに住むということが、より可能なわけでございます。

 よって、私は、今人が住んでいる島を無人島化させないという政府の意思を持つべきだと思いますし、私は、何も、現実に危機がないから言っているわけではなくて、ここに示しているとおり、約六十島、放っておけば、十年、二十年の間に無人島化してしまう島がある。そろそろ政府も本気でこの無人島化防止のための施策について具体的な検討を始めるべきではないかと思っておりますが、少々長い前置きで済みません、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 委員とは、随分、安全保障の議論もさせていただきました。これは、千億なんかで済むはずはないのであって、多分、兆円単位のお金がかかります。

 そして、実効支配、我が国の実効支配とは何だというときに、やはり、人が住んでいるということが実効支配の大きなファクターであります。

 そのように考えてまいりますと、私も気がつかなかったんですが、確かに、人が住んでいたというところは、外国人勢力がこっそりやってきてそこに住まっちゃうということになると、これは、いわゆるグレーゾーン法制の問題もございますが、それを退去させるのに十分な法整備というものをこれからまた議会で御検討いただくことになるんだと思っております。

 今々の話からすると、それを無人化させないということは、国家主権を守る上において極めて重要な要素でございますので、ここは、我が党におきましても、宮腰議員を初めとして、あるいは新藤議員、さらには佐藤参議院議員、私も政調会長としてそこの議論には加わりましたが、国家主権そのものの問題でございますので、今の委員の御指摘を踏まえて、政府の中でもよくこの注意を喚起し、実効支配の確立に努めてまいる要があると考えます。

遠山委員 ありがとうございます。大変前向きな御答弁だと思います。

 大臣、今、実効支配というお話とか、安全保障法制の整備に絡めたお話がありましたが、私は、もう少し、今現在人が住んでいる離島において定住人口を維持する、究極は無人島化を防ぐためでありますから、ですから、安全保障の観点も入れながらも、同時に離島振興、今離島に住んでいる方々への生活支援、これはまさに地方創生とかかわってくるところなんです。

 大臣、一つ御提案があります。これは簡単ではないことを承知で申し上げますけれども、私も、離島振興にかかわってもう五年になるわけでございまして、この間、沖振法の改正もやりました、離振法もやりました、奄振も今年やらせていただいて、法律を大分変えたんです。規制も変えてきました。しかし、それだけでは、なかなか離島はよくならない。島に参りますと必ず言われるのは、遠山さん、すばらしい理念を法律に書いていただいたけれども、やはり予算をもう少しふやしていただきたいという話が多いんです。

 その関連で、大臣に一つ御指摘申し上げたいのが、私、この夏に初めて北方領土に行って上陸をしてまいりました。国後島と択捉島、両方上陸をしてまいりましたけれども、もちろん、日本の固有の領土ということを改めて認識した視察でございましたけれども、そのときに私が、済みません、浅学で余り知らなかったことが一つありまして、今、北方領土に居住しているロシア人に対するロシア政府の支援というものがいかなるものかということが初めてわかりました。

 戻ってまいりまして、今、手元に外務省のロシア課からもらった資料があるんですが、これによりますと、北方領土だけじゃありませんよ、ロシアの北極海沿岸地域、チュコト自治管区、サハリン州の一部、サハ共和国の一部、カムチャツカ地方の一部に住んでいる住民に対してはさまざまな支援をしておりまして、一番象徴的なのは、労働年金を通常の二倍で受給できるようにしております。それから、給与等の勤務環境につきましては、給与の割り増し、これは、モスクワで同じ仕事をしている公務員が、北方領土等にいますと大体十年で給与がモスクワの倍になるということでございますし、また、基礎給与が原則としてロシア本土に比べると二倍、こういうふうに決められておるということがわかったわけでございます。

 私は、何も、日本において、端っこの離島に住んでいる方々のお給料とか年金をいきなり二倍にせよということを言いたいのではありません。ただ、他の国においてそういうことが行われているということを例示として申し上げたいと思います。

 その上で、私が今、より現実的にできるのではないかと思っていることは、政府において離島振興及び無人島化防止のための新たな基金をつくれないかということでございます。もちろん、ばらまきはもう今の時代にそぐいません。よって、離島の方で知恵を出して努力をして、定住人口の維持に資するようなプロジェクトを政府に提言するところにつきましては、この基金から自由度の高い交付金を出していく。

 私も、離島振興予算の獲得のために、与党議員として毎年頑張ってきているわけでございますが、やはり、一般会計の中の単年度予算では限界が多い。先ほど来申し上げているように、無人島化したら困るのは国ですからね。

 だから、複数年度にまたがって使える基金をぜひつくっていただきたい、その検討を始めていただきたいと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 平成二十五年度に離島活性化交付金をつくりました。これについては、随分委員が御尽力なさったということはよく承知をいたしております。それを複数年度で使いやすいようにするために、基金という考え方は私はあってしかるべきだと思っております。

 私どもが直接所管をするわけではありませんが、この点にも御関心の高い太田大臣等々とよくお話をしながら、どっちが安いんだということを言うつもりはないんですけれども、やはり、基金というものの持つ意味は、これは大きいんだろうねというふうに考えております。

 あわせて、委員もそんなことをおっしゃっているわけではないということは百も万も承知ですが、例えば隠岐の島で、島前高校というものに生徒がたくさん来るようになりましたね、あるいは岩ガキというものを新しい技術によって鮮度を保ったまま出せるようになりましたね、あるいはナマコを乾燥したビジネスというのがありますねということで、離島であるがゆえにいろいろなハンディキャップはあるんですが、それを乗り越えるだけのメリットのある教育あるいは産業というのもあるだろう。

 そのときに、委員がおっしゃっておられるのは、その基金をどういうふうに使うかということだと思います。こういうふうに使うべきだ、ああいうふうに使うべきだ、よってこれはばらまきではないということをきちんと立証した上で基金というものは設けられるべきであり、それが国益だと考えております。

遠山委員 大臣、基金をつくるにしても、今現在、離島振興関係でついている予算に追加して、新たな財源として検討していただきたいということと、もちろん、こういうことを言うと、また公明党が何か金のかかることを言っておるということなんですが、私は、例えば財源として考え得るのは、例えばです、これはあくまでも。それがいいと言っているわけじゃなくて、たばこ税が今後さらに、欧米の水準を考えると増税されるかもしれない。それがされるならば、そのたばこという嗜好品にかかる税の一部から、毎年一定の歩合で、財源として、例えば、特別会計の勘定の中にそういう無人島化防止の会計ができて、そこに財源として入って、それを利用して使う。

 とにかく、恒久的に離島の振興や無人島化防止に使える財源を国として、私は、規模は最初、スタートは小さくても、つくるべきではないかということを申し添えさせていただきます。

 その上で、ちょっと時間もございませんので、済みません、国交省への質問等割愛をさせていただいて、最後に、今大臣がお触れになった教育関係のところで質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど御紹介した改正離島振興法の第十五条には「教育の充実」という項目がございます。ちょっと御紹介しますと、離島振興対策実施地域における教育の特殊事情に鑑み、子供の修学の機会の確保に資するために、適切な配慮、特別な配慮をすべきだ、こう規定をされているわけでございます。

 実は、私ども公明党の議員が、二、三年前からいろいろな国会での質疑や要望を通しまして、文科省さんの予算を使って、高校がない島から本土とか島外の高校に行くお子さんがいる御家庭に、現在月二万円の修学支援金を出すという制度を二年前からスタートさせることができました。大きな第一歩だと思います。ですから、年額でいうと二十四万円入るということでございます。

 もう一方で、先ほど大臣が御指摘になった隠岐諸島、特に隠岐島前高校、私も、実は総理が所信で取り上げる前の週に行ってまいりました。行ったら、新藤当時総務大臣も行かれたということで、授業もされたということで、私は授業の機会はありませんでしたが、海士町に一晩泊まりまして、いろいろなところを視察して、いろいろな御意見を伺いました。

 これはもう石破大臣も、恐らく総理も含めて、今、海士町の取り組みは御存じだと思いますが、私、一番個人的に感動しましたのは、島におりますときに、町長さんから、「故郷」の歌を一緒に歌いましょう、ただし、歌詞の中で一カ所だけかえてくださいと。「志をはたして、いつの日にか帰らん、」というのがオリジナルの歌詞でございます。それを、志を果たしに、いつの日にか帰らんと歌詞をかえて「故郷」を歌ってくださいということで、山内町長と町の職員の皆さんと学校の先生と一緒に、歌詞をかえて「故郷」を歌いました。

 その後に私が説明をされたのは、遠山さん、いいですか、結局今までは、この戦前から親しまれている「故郷」の歌詞にあるように、島で優秀な子供は東京や都会の優秀な大学に行って、そこで立身出世をして、志を果たして、偉くなって島に帰ってきて錦を飾るという発想でしたね、それじゃ島は衰退するしかない、優秀な人が若いうちに出身の島に帰ってきて、島で志を果たしてもらいたいということを説明されて、本当に震えるほど感動いたしました。

 大臣、私さらにびっくりしたのは、その後に、町が、あそこは町営塾をやっていますね。東京から優秀な教育者を呼んで、塾を町の経費で経営して子供たちをやっている。その結果、今、島前高校からは、学年三十九人の卒業生のうち十三人が大学に進学をし、その中には、早稲田、慶応、筑波。一流大学に現役で行く高校をつくったわけでございます。驚異的な、ほぼ奇跡に近い話で、人口二千四百人の島の高校です、県立の。

 そのときに私が一番感動したのは、私が今申し上げた東京の一流大学に進んだ一人の子供が、どうして東京の大学に行きたいかという理由を説明しているビデオを見ました。この子供は、島の畜産業をさらに発展させて、将来は海外にも、今、隠岐牛というのがおいしいんですね、海外にも隠岐牛が売れるように、つまりグローバルな産業を島でつくるために、自分は東京の一流大学に行って勉強してくるということを高校生のときに意識して勉強して、本当に今、東京の大学に進学しているんですね。

 つまり、何が言いたいかというと、こういう中学生や高校生の教育段階から、勉強する目的は、都会に出て偉くなるためではなくて、先進的な知識や経験を身につけて、島にある程度働き盛りで戻ってきて島をよくしていく、こういう目的意識を持っている子供たちをつくる。これは恐らく、大臣、島だけじゃなくて、今地方に求められているのはこういう発想転換ではないかというふうに思いますが、大臣の御見解を改めて伺って、私の最後の質問といたしたいと思います。

石破国務大臣 ありがとうございました。

 先ほどの「故郷」の歌というのは、私もすごく心を動かされたものがあります。

 この歌はたしかうちの県の人がつくった歌なので、鳥取県的には、志を果たしていつの日か帰るんだ、こういう雰囲気になるわけですが、結局、仕事がないから地方を離れるというのが今までのパターンだったわけで、そうじゃないんだ、仕事をつくりに地方に行こうという、ここは発想を全く転換するんだと思います。

 それは、先ほどの議論にもありましたように、そういう人たちをどうやって支援するんだ、創業支援のようなものが、補助金のほかに地方税の世界でそれができないかという議論もあるんだろうと思いますが、仕事をつくりに地方に行こうという流れを支援する、そういう成功事例が島前高校だと思っていますし、隠岐の島だと思います。

 隠岐の島の話で私聞いたのは、あの高校もなくなるという話があったんですね。島の最高学府をなくすなという、そこから話は始まるわけで、この島で一番学問を修めるとすればこの高校だろう、これをなくしちゃだめなんだという地域の人たちの熱意があちらこちらから学生を呼んだんだと思っております。

 そこはやはり地域の誇りなんだと思う。失われているのは、仕事と同時に誇りが失われているので、こんな田舎に来たってしゃあないですよということだったらば、そんな田舎が栄えるわけはないのであって、やはりこの地域の誇りというものを島民が、住民がいかに共有するかということであって、誇りのないところに仕事はない、仕事がないところに町もなければ暮らしもないということだと思います。

 そういうようなものをやりたい人たちはたくさんいて、委員が感動したとおっしゃったように、ああ、そうなんだと目覚める人はいるんだと思うんですね。それをどうやって国として最大限支援をするかということが、私は肝要なことなんだと思っております。

 大変いいことを教えていただきました。ありがとうございました。

遠山委員 一言だけ。

 大臣、私も島をたくさん回っているので、今の大臣のお話を伺ってぱっと思い浮かんだのが、奄美の与論島に最先端のIT関係の工場がありまして、人工衛星「はやぶさ」の部品に使われている極小の製品をつくっている、たしか神奈川に本社のある会社が、与論島に工場をつくっております。そこを私二回ほど訪れました。そこは、人口五千人の与論島の中では、町役場に次ぐ雇用数が多い場所に今なっております。

 私は、その工場に行って、素朴な疑問を二つ聞きました。

 一つは、奄美の端っこの、人口が少ない、台風も来る与論島にそういう工場をつくって、会社側にコストの増加とか不便さはないんですかと聞きました。そうしたら、工場の責任者の方がはははと笑って、遠山さん、うちでつくっている製品は物すごくちっちゃくて軽いので、たくさんつくっても宅急便二箱で本土に送れますから、大したことはありません。これが一つ。

 二つ目。それでは、人材の確保はどうですかと聞きました。その答えが私は感動したんですよ。その答えは、遠山さん、いいですか、神奈川の工場で都会の若者を工場に入れると、うちの製品をつくるには、顕微鏡を見ながら長時間物すごい集中力が要るので、離職率が高い、ところが、与論島につくって、与論高校の卒業生を入れて訓練をしてやらせたら、真面目に、全くやめることなく続くので、製品の質も向上し、生産性も上がりました、与論島に来てよかったと言って、今もあります。

 ですから、実は、海の中に浮かぶ小さな島だから最先端の工場が来ないというのはうそなんですね、この例にあるように。ですから、こういった事例をふやすために私も努力をしていきたいと思いますし、また、大臣のリーダーシップのもとに離島振興もぜひよろしくお願いをしたいということを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次回は、来る二十日月曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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