衆議院

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第8号 平成26年11月5日(水曜日)

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平成二十六年十一月五日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 寺田  稔君

   理事 義家 弘介君 理事 渡辺  周君

   理事 重徳 和彦君 理事 石田 祝稔君

      伊藤 忠彦君    伊藤 達也君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      金子 恵美君    河村 建夫君

      坂井  学君    鈴木 俊一君

      鈴木 淳司君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君  とかしきなおみ君

      林  幹雄君    福井  照君

      藤丸  敏君    堀内 詔子君

      前田 一男君    宮川 典子君

      宮腰 光寛君    小川 淳也君

      後藤 祐一君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    岩永 裕貴君

      村岡 敏英君    百瀬 智之君

      稲津  久君    濱村  進君

      坂元 大輔君    中丸  啓君

      西野 弘一君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君    宮本 岳志君

      畑  浩治君    村上 史好君

    …………………………………

   議員           馬淵 澄夫君

   議員           柿沢 未途君

   議員           重徳 和彦君

   議員           佐藤 正夫君

   議員           畑  浩治君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   農林水産大臣       西川 公也君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  満田  誉君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        内田  要君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理)            山崎 史郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           舘  逸志君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月五日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     堀内 詔子君

  木原  稔君     前田 一男君

  宮腰 光寛君     藤丸  敏君

  小熊 慎司君     百瀬 智之君

  村岡 敏英君     岩永 裕貴君

  桜内 文城君     坂元 大輔君

  中丸  啓君     西野 弘一君

  宮本 岳志君     塩川 鉄也君

  畑  浩治君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     宮腰 光寛君

  堀内 詔子君     金子 恵美君

  前田 一男君     岩田 和親君

  岩永 裕貴君     村岡 敏英君

  百瀬 智之君     小熊 慎司君

  坂元 大輔君     桜内 文城君

  西野 弘一君     中丸  啓君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     木原  稔君

    ―――――――――――――

十一月四日

 国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案(馬淵澄夫君外七名提出、衆法第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案(馬淵澄夫君外七名提出、衆法第四号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外七名提出、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 まず、馬淵澄夫君外七名提出、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案について議事を進めます。

 提出者から趣旨の説明を求めます。馬淵澄夫君。

    ―――――――――――――

 国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

馬淵議員 ただいま議題となりました国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革に関する基本理念等について定めることにより、当該改革を推進しようとするものであります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革に関する基本理念として、当該改革は、地方公共団体において、個性豊かで活力に満ち、かつ、安心して暮らすことのできる地域社会が形成され、及び地域経済が自律的に発展するよう行われるべきこと等を定めております。

 第二に、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革を推進するため、国は、基本理念にのっとり、速やかに、道州制の導入を含めて、国と地方公共団体との役割分担の抜本的な見直し等を総合的に推進するために必要な法制上の措置を講ずべきことを定めております。

 第三に、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革が実施されるまでの間の措置として、国は、速やかに、国の一定の地方行政機関の事務等を広域連合等に移譲することを推進するために必要な法制上の措置を講ずべきことを定めております。

 第四に、同じく国と地方公共団体との関係の抜本的な改革が実施されるまでの間の措置として、国は、一定の地方公共団体に対し、毎年度、地方公共団体が自主的な選択に基づいて実施する事業等に要する経費に充てるため裁量的に使用することができる財源としての新たな交付金を交付すべきことなど、安倍政権によって廃止されたかつての一括交付金を、バージョンアップした形で復活させるために必要な事項を定めております。

 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 次に、ただいま議題となっております各案について議事を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官満田誉君、内閣官房地域活性化統合事務局長内田要君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理山崎史郎君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、国土交通省大臣官房審議官舘逸志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 貴重な時間をいただきまして、質問させていただきます。三十分しかありませんで、大事な時間ですので、ちょっと早口でやらせていただきたいと思います。

 資料を皆さんのお手元にお配りしております。三十分にはもったいない立派な資料を十二ページ用意してありますので、よくごらんいただきたいと思います。

 まず、私、この地方創生委、これは待ち望んだ委員会です。私は、政治が地方への光を当てなかったら変えられないと思っております。ほっておいたら、集中のメリットというのがあるんです、だんだんだんだんそうなっていってしまうんです。それは政治が変えなければいけない。だけれども、我々政治家が、その役割をちゃんと果たしているかどうか。

 これは実は、二度も同じようなことをしたくなかったんですが、麻生総理大臣のときにこの点を指摘させていただいたんです。余りぴんとこなかった方がおられるかもしれませんけれども、再びですから、やらせていただきます。

 資料をごらんいただきたいと思います。なぜこの資料をつくったかというと、我々政治家、政治、一極集中がひどいんですね。政治家の一極集中というのが物すごいんですよ。

 まず、二ページの安倍内閣のところを見ていただきたいんです。よくごらんいただきたいんです。結構時間をかけてつくったんです。身辺調査ですけれどもね。お金のことは余り私は調査しませんでして、どこで生まれて育ったか、価値観がどこでできるか。ませた人は小学校の上級学年でできるという人もいるかもしれませんけれども、大体は、多感な中学、高校をどこで送ったかによってその人の価値観ができるんだろうと思います。私なんかはぼけていますから、大学になってもまだできていなかったかもしれません。

 見ていただきたいんです。どこで生まれ育ったか。選挙区はそれぞれ違いますけれども、首都圏で生まれて、出身高校を見てください。わかりますかね。十九名の閣僚のうち、東京の高校が六名、首都圏の高校が九名です。物すごい偏りです。

 これはしつこく申し上げませんけれども、次のページを見てください。ちょっと安倍さんがおられたら見ていただきたいんですが、岸さん、おじいさんのときにどうだったか。

 これは実は、麻生太郎内閣のときにしたんです。四ページを見ていただきたいんですけれども、このときも石破さんは農林水産大臣でおられて、この話をちょっとは覚えておられるかと思います。

 四ページで大事なのは、一番下の注で、二世、三世閣僚は一人を除き東京ないし首都圏育ちだということなんです。これはやはりよくないんです。近藤洋介さん、今おりませんけれども、うちにも二世がおられます。このお二人は、両方とも二世ですけれども、ちゃんと地元の高校、沼津東高校と山形東高校を出ているんです。ちょっと褒めようと思ったのに、いないのでだめですけれども。

 おわかりになりますか。だから、皆さん、息子を、娘を政治家にするんだったら、ぜひお願いです。余りしない方がいいんですけれどもね、こんな稼業は。継がない方がいいと思いますけれども。いや、誰がやってもいいんです。ですけれども、それは地方の声をちゃんと肌で感じる政治家にしていただきたいんです。地元で育てていただきたいと思います。こんな偏りはないんです。

 いいですか。見ていってください。今度、ではこれはどうなのか。もっとひどいのが七ページ。

 七ページを見てください。ぎょっとしますよ、私は。氏育ちだけで判断してはいけないんですが、一つの基準ですよ。七ページに太い字で書いてあります、歴代総理がどこで生まれ育ったかと。地方度合い、こういう度合いはないと思いますけれども、私が勝手につけた名前です。

 わかりますか。かつては田舎で生まれて育って、そして、土のにおいのする政治家が山ほどいました。皆さん、おわかりになると思います。途中から東京生まれの東京育ちばかりになって、森さんが違うんですよね。だから、何となく親しみを持てるような雰囲気をお持ちになっていますよね。こういう感じですよ。やはり僕は、よくない、偏っていると思うんです。

 その次のページ、皆さん御存じの、アメリカは今、中間選挙ですけれども、見ていただきたいんです。戦後の大統領。真ん中に生い立ちと書いてあります。後でよくごらんいただけたらいいと思いますけれども、地方度合い、州が重なっているのはケネディ大統領と父ブッシュ、マサチューセッツ州だけです。大半が、地方のスモールコミュニティー、健全な地域社会で育って、そこのことを忘れずに政治をやっておられると思うんです。もちろん、学習というのはありますけれどもね。これをよく頭の中に入れておいていただきたいんです。

 そして、最後の方にありますけれども、ですから、首都圏にみんな政治家が固まっている。それだけじゃないんです。選挙区は地方だけれども、マインド、気持ちというか、そういうのはこのあたりだという方が物すごく多いんです。これでは、地方に思いをはせた政治はなかなかできないんだと私は思うんです。この点をよくお考えいただきたいんです。

 まず、のっけから、これは石破大臣の担当とは思わないんですけれども、こういうことの改善というのは何かありますか、ちょっとお答えいただきたいなと思うんです。

石破国務大臣 委員とは長いおつき合いになります、もう三十年近くになるでしょうか。いろいろな議論をさせていただいて、いろいろな御卓見には常に敬服をいたしております。

 言うまでもございませんが、どんな議員を選ぶかは、そこの選挙区の有権者が選ぶものでありまして、私も、私ごとで恐縮ですが、幼稚園、小学校、中学校は地元でございます。ですから、地元に友達もいますし、地元の言葉もネーティブで一部しゃべりますが、結局、委員がおっしゃるように、選挙区は地方であっても、東京で生まれて、東京で育って、だけれども、地元のことを何にも知らないよという人は、当選もしないし、連続して当選することも難しいんだろうと思っております。

 その地域のことをよく知悉するというのは、もう議員にとってイロハのイでございまして、選挙区を一軒残らず、もちろん公職選挙法の範囲内ですが、歩く。そして、できる限り選挙区に帰って、偉い人だけではなくて、本当に一人一人の人と話をする。根っからの地元の人間になれなければ、当選回数をふやすことはできないし、有権者の信任を得ることもできないんだろうと思います。

 ただ、議員たるものの心得は、選挙区、もちろん憲法によって国民全体の代表者ではありますが、そこに実際に投票してくださる方々が、何を考え、何に喜び、何を悲しみということに常に思いをいたすというのは、議員として当然の心得だと承知をいたしております。

篠原委員 わかりました。石破大臣はみんなおわかりになっていただいておると思います。

 しかし、こういうのだって、大胆な改革をやろうと思ったら、できないことはないんですよね。それは、政治家になる道を摘むことになるというのがあるかもしれませんけれども。

 地方自治体の議員は三カ月の居住要件というのがありますよ。ですから、例えば、私の理想どおりにするんだったら、地元の小学校か中学校か高校は出てなくちゃだめだ。それから、社会人になってから三年はその地元できちんと汗水垂らして働くことと。大学を卒業してすぐ何とか塾に行って、政治家になる学校へ行って、そこでぱっと落下傘で国会議員になるようなのは、それは余り好ましくない、そういう人ばかりになりつつあるということを私は憂えているわけです。だから、そういうところの歯どめとかいうのを私は考えてもいいんじゃないかと思う。

 私なんかは、今、何で政治家になったか。なりたくてなりたくてなったわけじゃないんです。羽田孜さんからさんざん、なってくれ、なってくれ、民主党を何とかして二大政党にしてくれとか言われて、唆されてなっているわけなんです。だけれども、なったからには一生懸命やっています。

 私は、地方を何とかしなくちゃと。ですから、今、この地方創生特別委員会に非常に期待していますし、石破さんにも期待しているわけです。これは絶対やってもらわなかったら、日本は沈没していくと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、いろいろな大臣に来ていただいていて、非常に恐縮しております。国土交通大臣からは、早目にということですので、順序を変えて質問させていただきます。

 資料の六、十一ページをごらんいただきたいと思います。

 木材の輸入自由化と地方の疲弊というのを見ていただきたいんです。一番右側、秋田県の人口というのがあります。秋田県は林業が盛んで、ずっと人口が減ってきている。皆さん、こういうのは覚えておられないと思いますけれども、一九七八年に、県別レベルでは初めて人口が減ったのが秋田県なんです。だから、日本の人口減を象徴する姿が秋田県を見ればわかるんです。

 何でそうなったかというと、これは、甘利さんがいたら甘利さんに言いますし、今、農林水産大臣が来ていますから、聞いていただきたいんですけれども、一番最初に自由化されたりしたのは、実は丸太なんです。丸太が一九五一年にGHQのもとで自由化されているんです。それで、一九六四年、オリンピックのときに、住宅ブームだったからしようがないんですけれども、高度経済成長で材木が足りなかった。だから、製材もゼロになったんです。今、材木関係で関税があるのは集合材の五%ぐらいで、完璧に自由化されているんです。

 その結果、どうなったか。日本じゅうの山村は限界集落です。だから、私は、TPPで農産物やなんかみんな関税ゼロとかになったら、日本じゅうの田舎の市町村は限界市町村になるというので、このノーTPPバッジをやって、ストップTPPネクタイをして、必死になってこれを食いとめようとしているんです。この気持ちを、ぜひ私はおわかりいただきたいと思います。

 しかし、木材関係はやりようがあるんです。我々の祖父母の時代、みんな真面目で、本当に山のてっぺんまで、こんなところまでどうやって植林したかなと思うところまで植林してあるんです。ところが、材木の値段が下がっちゃって、切り出す方にも金がかかってしまう。だから、ほったらかしになっているんです。ですけれども、日本の毎年使用する材木の全量が賄えるだけの分、大きくなっているんです。それを利用しないだけなんです。農業と違うんですよ、林業は。それを全然、国内のを使おうとしない。こんな冷たい国民、こんな冷たい政府は、私はないと思うんです。

 利用者の方、国土交通大臣にお伺いしたいんですが、これは絶対、直せばいいんです。みんな一番疲弊しているのがど田舎です。ど田舎なんて言っちゃ悪いんですけれども、田舎の市町村はほとんど、八割、九割が山林です。ここで何か生活できるようになったら、ぱっと明るくなるんです。それには利用してもらうことなんです、国産材を。このための方策を、相当強い手だてでやってもいいと思うんですが、ぜひやっていただきたいんです。

 これから、いろいろ、私の質問というか提案なんですね、やる気があるかどうか。やるというお答えを、ぜひ、手短に言っていただければ結構ですので、お答えいただきたいと思います。

太田国務大臣 木材、特に国産材を利用してということは、私は、やるということをまず申し上げたいと思います。

 平成二十二年に制定されました公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づきまして、木造化を積極的に進めてきました。三階以下の低層の建物、従来であれば鉄筋コンクリートでつくられたわけですが、二十四年度の国の公共建築物実績で前年比三五%増、四十二棟が木造化されてきているということもありますし、CLTがいよいよ動き出すということもありますし、あるいはまた、木造三階建ての学校をつくるということも決めさせていただきました。

 御指摘のように、これについては力を注いでいきたい、このように考えています。

篠原委員 地方といえば、一番山の中で林業ですけれども、次が農業なんです。

 西川大臣にお伺いしたいと思います。

 西川大臣は、典型的な田舎の生まれ、育ちの理想的な政治家だと思います。理想的な答弁をお願いしたいと思います。

 農業をちゃんと再生できずに、元気にできずに、日本の地方の創生なんてあり得ないですよ。石破地方創生担当大臣というのも、安倍総理が石破さんになっていただくときに、農政に明るい方だからということをわざわざつけ加えておられます。私はそのとおりだと思います。

 しかし、農村は今どうですか。米価が下がって疲弊し切っていますよ。今、政府は何も手を打とうとしないんですよ、ナラシ対策がありますとか言って。ナラシ対策なんていったって、農水の委員以外、何のことだかわからないですよ。それで、だめなことをしているんですね。

 我々の政権時代に私が相当中心になってつくりました、名前はちょっと悪いんですけれども、言わせていただきますと、農業者戸別所得補償、これは制度としては残っているわけですよ。わざわざ一万五千円を七千五百円に下げて、ほかの対策があるとか言っているわけですよ。私は、こういうふうに乱高下があるので、そういうときにもしっかりやっていけるように、直接所得を補償して、田舎でもちゃんと米づくりをしてください、それが一番安心感を与える政策だということでやったんです。

 ですから、この際、これだけ疲弊しているんです、概算金は史上最安値です、一俵当たり平均三千円も下がっているんです。ほかの物価が二%ぐらい上げるとかなんとか言っているときに、米は相当下がっているわけですよ。こんなの簡単なんです。一万五千円のを七千五百円に下げましたけれども、三万円にしていただければいいんですよ。簡単なことですよ。そのぐらいやらないで、何で地方の創生ですか。

 そして、十七日の金曜日に公明党の遠山さんが質問されていました。覚えておられると思います。びっくりしたと。北欧に行ったら、あるいはロシア、カムチャツカ、シベリア、それから北方領土、いろいろなものがみんな、へんぴなところだから二倍だったと。これは農業の世界で言われている直接支払いですよ。

 なぜヨーロッパの中山間地域に限界集落がないか。条件不利地域ということで、暮らしていけるようにということで、直接支払い、フランスもドイツも一農家当たり二百万円ほどやっているんです。この事実を国民の皆さんは知らない。地方創生の始まりは、農政の再生、創生です。

 この点について、やられるか、やられないか、どちらでしょうか。

西川国務大臣 米価が概算金払いで下がった、これは私もしっかり受けとめております。

 そういう中で、何をやれればいいかということも検討しておりますが、今の段階では、収入減少影響緩和対策、ナラシしかない。あとは早期の支払いをいかにやるか、こういうことだと思います。

 私どもも、一万五千円から七千五百円にするとき、多くの議論をやりました。議論をやりましたけれども、そういう中で、他の作物をつくっている人々、さらには納税者の皆さんの御理解、こういうことが得られるかどうかということで七千五百円に、半額にさせてもらったわけであります。

 相場が変動した場合、生産費を全額補填する、こういうことも趣旨としてはよくわかるのでありますが、これがモラルハザードにつながっていくだろう、さらには、いつまでたっても需要を上回る生産量、これから抜けられないということで決断をした、こういうことであります。

 ただ、この米価の変動の中で農業者が大変困っておる、こういうこともよく承知しておりますので、そういう状況を踏まえながら、対応はこれから議論をしていきたい、こう思っています。

篠原委員 余りぱっとしないですね。これは農家が困っていて、朝、我々はちょっと北海道の農業者から意見を聞く機会があったんですけれども、大規模農家ほど困っているわけですよ。

 だから、二十ヘクタールもやっている人は何百俵も米を生産できるわけです。それが、一万五千円がずっとあるからといって経営計画を立ててうまくいっていたのに、七千五百円に下がっただけでも困っているところに米価が大暴落しているわけですよ。この人たちを何とかしてやらなかったら、農村はがたがたですよ。石破大臣と相談して、きちっとやっていただきたいと思います。

 それから、地方創生で一番大事なものというか、一番、二番というのはないんですけれども、やはり大事なものはあります。総務大臣にお伺いしたいと思います。

 総務大臣も、畝傍というのは田舎ですか、都会ですか、どちらかわかりませんけれども、立派にお育ちになっているんだと思います。

 ふるさと納税というのは、あれは非常にいい仕組みだと思います。しかし、納税とか言われていますけれども、あれはうそでして、寄附なんですよね。寄附金のところの、寄附の控除の問題なんですよね。

 私は、こういうものを前から考えておりました。全部とは言いませんけれども、せっかくあれがうまくいっているというんだったら、なかなか、不交付団体というのはそんなに多くないんですけれども、典型的な、都道府県でいえば東京都ですよ。こんなけちなことを言っていないで、いっぱいいると思うんですけれども、東京に来ていろいろ成功している、だけれどもふるさとが気になるな、自分を育ててくれたふるさとが疲弊して、集落が一つ、二つ消えていっている、これは忍びない、何とかしたいと。それは寄附もされるでしょうけれども、ですけれども、地方で払っている住民税の半分は、指定して、自分のふるさとに回してくれと。貧乏な市町村でそれをやられたらたまらないですけれども、少なくとも不交付団体はいいんじゃないかと思います。

 こういう大胆なことをして地方に財源を与えてあげなくてはいけないと思うんですが、こういった大胆なことをやられる、やっていこうということを検討されておりますでしょうか。

 何かこの間新聞を見ておりましたら、地方創生に政府報告書と。検討チームが何か出していましたけれども、こんなちょっとやそっとの、農地の転用の権限を地方自治体に移すとか、そんなので何が地方創生ですか。ばかなことを言うんじゃないというふうに僕は言いたいですよ。財源をきちんと与えなくちゃいけない。

 まず、総務省が先頭に立って考えなくちゃいけないと思うんですが、官房長官が総務大臣のときに、ふるさと納税制度というのができました。高市総務大臣のときに、何か、将来に名を残し、地方がみんな喜ぶような大政策をやっていただきたいと思うんですが、今のについていかがでしょうか。

高市国務大臣 委員がお尋ねの件でございますけれども、まず、畝傍高校は、奈良県の南の方に属する、どっちかといえば田舎でございます。

 そんな中で育ってまいりましたけれども、ふるさと納税は、私も、やはり、地方が独自に財源を確保できること、それからまた、納税者の方も、自分のふるさとであったり、ふるさと以外にも認められておりますので、応援したい地域に対して税金を払える、つまり寄附ができる、そういったメリットのある制度だと思います。最近ちょっと過熱していますけれども、特産品などを通じて、ふるさとのことも知っていただける。

 ただ、六月の二十四日の閣議決定されました骨太の方針で、ふるさと納税拡充の方向性というのはしっかり打ち出されておりますし、今、私は、とにかく、ふるさと納税、納めていただきやすいように、使い勝手をよくするためにいろいろ新しいプランを既に検討中で、関係省とも協議を始めております。もうじき御報告ができると思っております。

 ただ、やはり、地域社会の会費という、ある程度、個人住民税の性格というものを踏まえますと、今の住所地の団体に納付される税額が大幅に減るような形というのは、一定のやはり上限額を定めているということからもわかっていただけるかと思います。これは、ふるさと納税制度導入時に設置されておりました研究会の報告でも、そのような方向が打ち出されました。

 とにかく、今は、ふるさと納税を拡充していくために、使い勝手のよさというもの、それからやはり、地域で新しい産業をそれぞれ起こしていく、そこで働く場所があるというような形をつくるために、新たな政策を提案しております。

篠原委員 ちゃんとお答えになっていない。制度的にビルトインして、半分の地方税を地元に返してもいいんじゃないかというのをやったらできないことはないんです、不交付団体、お金持ちの団体からそうすると。

 現に、我々国会議員全部、地元に住所を置いているはずです。地元の方にみんな税金を納めているんです。我々は許されますけれども、田中康夫長野県知事は、自分の大好きな首長の村に住所を移していったらこれはアウトでしたけれども、我々国会議員は、ほとんどここにいても、地元でみんな税金を納めているはずです。みんなが、心ある人がみんなそういうことをやったらどうなるんでしょうか。それはおかしいですよ。我々だけが許されているんです。だけれども、それを制度的にやってください。それはできるはずですよ。

 財源のことについて言いますと、財務大臣においでいただいてどうも済みません、お忙しいところ。

 ガソリン税とか環境税がありますけれども、地方に何か金を、何というか、やっていけないからやってやるというのはやはり失礼に当たるんですね。いっぱい働いているんですよ、一生懸命やっているんですよ。

 ですから、ちょっとした工夫をすればいいんですよね。ガソリン税ですよ。暫定税率のことをここでやりましたけれども、ほとんどガソリン税を払っているのは、地方では車が絶対必要ですから、使う、田舎の人たちが払っている、大半は。都会の人たちは、東京都中野区が車の台数が一番少ないそうですけれども、長野県なんて車なしでは生活できない。

 だから、配分のときに、配分でも苦労されているんでしょうけれども、それで、木がみんなCO2を吸収してくれる。それだったら、そこに返す、森林面積に応じて配分するといったら、田舎ほどいっぱい配分されるわけですね。こういったこと、こういう工夫をちょっとしただけでいいんですよ。それで合理的な理由だと思うんですが、財務大臣の英断でもって、こういうことをできませんでしょうか。

麻生国務大臣 ガソリン税、揮発油税ともいいますけれども、これにつきましては五十三円だったと思いますが、そのうちの約一割が地方に回っているんだと存じます。

 これを地方に譲与する仕組みは既に存在をしておるんですが、この地方の揮発油税分を、財政力の強い団体に対しては譲与額を減らすという仕組みになっていて、相対的に地方の自治体に多く配分される仕組みとなっておりますのはもう御存じのとおりです。

 これに加えて、さらにガソリン税の地方への譲与をふやすべきということなんだと思いますが、これは国としては、総額にして約二兆五千四百億ぐらいになりますので、やはり国の基礎的財政収支は目下大幅な赤字ですから、他方、地方の基礎的財政収支は近年黒字となっておりますのは御存じのとおりなので、地方に比べて国の財政状況の方が悪いということはもう御存じのとおりだと思います。

 したがって、厳しい財政状況に照らせば、新たに国から地方へさらに財源を移すということはなかなか難しいところだと思うんですが、ただ、地方の間で、いわゆる地方財源の偏在是正というのがあります。地方といったっていろいろな地方がありますので、長野県がどのくらいの地方かよく知りませんけれども、知事に恵まれなかったとか、いろいろ嘆いておられましたのは知っていますけれども。今の知事はいいんだとも言っておられましたが、そういえば。

 したがって、二十六年度は地方法人税というのを創設しております。このうち、法人住民税の一部がいわゆる交付税の原資となるなどの改革を行っておりまして、引き続き、これは総務省と詰めていただかないかぬところなんだと思いますが、地方財政の偏在是正というところをもう少し、さらにやる方法はあるのではないか、そちらの方が私は現実的だと存じます。

篠原委員 そうなんです。それは配分のもので、簡単に言うと、東京都とかお金持ちのところはやらなくたっていいと。ちょっと悪いんですけれども、原発があるようなところは不交付団体になっていますよね。そういうところではなくて、本当に困っている田舎にいっぱい行くようにしてくださいということです。

 最後のページ、十二ページの資料を見ていただきたいんですが、「地方に思いを馳せた首相のスローガンと政策」というのを、私がつくった表ですけれども。

 これを見ていて、これは今までの議論のところでもさんざんあると思います。地方に思いをはせたもので、田中角栄さんの列島改造論、大平正芳さんの田園都市、家庭基盤の充実、それから竹下さんのふるさと創生事業、みんな忘れていただきたくないんですが、鳩山由紀夫さんの、我々が政権のときの地域主権改革というのがあるんです。これは一兆五千億ほど地方に一括交付金で行ったんです。我々はそれをちゃんとやるべきだというので、馬淵さんが提案理由説明をしましたけれども、やっているんですよ。いいことをやっていた。

 いろいろな政策、私は、心情的には大平さんの、安定した家庭とその集合体である田園都市、これがきちんとしていなかったらしていくべきなんだ、これに一番親近感を感じます。だけれども、政策的には余りぱっとしたものがなかったんですね、残念ながら。これは非常に大事だと思います。

 そういう点、安倍晋三内閣になってこれが、地方創生が出てきたんですけれども、僕は本当に、これは鈴木克昌さんがこの間の質問でちょっと言っておられましたけれども、石破さんは相当大変だと思いますけれども、みんな、どの政権も、政権奪取と同時にこれをばっと打ち出したんです。一年八カ月、二年近くたってから慌ててこういうことを言い出すんだ。それで、まだ何も具体的な政策がない。僕はこれは問題だと思うんです。

 それで、委員長に提案ですけれども、今までの質問も、質問したってしようがないから、何か非常に宣言法みたいになっていますので、提案の質問ばかりだったんです。ですから私は、この地方創生委員会がどうやってやられるのかわかりませんけれども、何回かは憲法調査会と同じようにラウンドテーブルで、それぞれの議員が一つぐらいアイデアを出して、三つぐらいか四つ出して、それについて議論しようとかいうことをやっていただきたい。後で理事会で検討していただきたいと思います。それをお願いしておきたいと思います。

鳩山委員長 それは理事会で協議します。

篠原委員 はい。

 最後、私、都会生まれの都会育ちの人をいろいろ非常にディスカレッジというか、させてしまって、悪いと思っているんですけれども、別にけちをつけているわけじゃありません。ちょっとこの話をして終わらせていただきます。

 唐の時代に、李白と杜甫、両方とも立派な詩人だった。どっちが偉いかという議論のときに、両方とも庶民の詩を詠んだ。しかし、杜甫は最も貧乏人の出身で、庶民の気持ちがわかっていた。李白は裕福なうちのせがれで、そんなことはわからないのに、自分みずから勉強してというか、気持ちになって、同じような詩を詠んだということで、李白の方がすぐれていると結論が出た、そういう文書を読んだことがある。私はもっともだと思います。

 さっき、石破さんが冒頭言われたとおり、それは別に生まれ育ちだけじゃないんです。その後どれだけ研さんをしてそういうことをするか。それは我々政治家の使命だと思いますので、皆さん、力を合わせて地方を創生いたしましょう。

 以上で質問を終わらせていただきます。

鳩山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、地方創生に関する特別委員会、法案審議ということで、また、もう一つ、民主、維新、みんな、生活提出の国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案、この両案に関して質問したい、このように思っております。

 先ほど、篠原先生のお言葉を聞いていて、二つ私も引っかかっていまして、二世議員でありながら、また、秋田の人口減、全国で初めてということで、ど田舎という表現もしていただきましたし、大変話題に上げていただいたと思っております。

 ただ、私、篠原先生のを聞いていて、二世議員であろうと、初めてなった人であろうと、一番地方にとって今大変なのは、実は選挙に出る人がいなくなっているんです。県会議員、地方議員、市町村長、その人たちが、無競争というのが我が秋田県も大変多いですし、各地でそういう状況が起きています。

 本当は、政治家というのは、一番厳しいところ、今大変つらいところに出るというのが政治だと思うんです。しかしながら、この減っているということが地方創生にも大きな問題があると思います。固定化した人が出続け、そして新しい人がやはり議論をしかけていかない。そういう問題がこの地方創生をなし遂げるためにも大変大きな問題だと思っておりますが、石破大臣はどう考えていらっしゃいますでしょうか。

石破国務大臣 あちらこちらで無投票というのが起こるようになりました。それは、広域合併をしたので出にくくなったということもあるのかもしれません。

 合併前は、私の県でも、日本で一番ちっちゃな県ですが、こんな無競争なんてなかったです。ところが、広域合併してから、それだけ多くの票をとるのが困難になってきたのかもしれない。いろいろな事情がありますが、地方選挙においてそういうことがあちらこちらで頻発するのは決していいことではございませんで、どうすれば大勢の人が出られるようになるか。

 私どもが政治改革というのをやった、それはいろいろな御批判はありますが、二世じゃなくても、私も二世ですけれども、二世じゃなくても、大金持ちじゃなくても、タレントじゃなくても、高級官僚じゃなくても、志のある人は誰でも出られるというような形で政党助成というものを組み合わせ、公職選挙法の厳格化ということも組み合わせてこういうことにしました。やはり、地方から出られる、地方から地方議会に出られるということをより容易にしていく、そういうような工夫は必要なのだと思っております。

 所管外でございますが、そういうような形で大勢の人の知恵が出せる、そういうような議会になるべく、またいろいろな方のお知恵を結集していくべきものではないかと個人的には考えております。

村岡委員 ありがとうございます。

 もちろん合併が進んで、そういうこともあるんです。しかし、私はそうは思っていないんですね。やはり、地方の議会に出る人が少なくなってきたという原因の中に、本当に権力構造が固定化しているんです。権力構造が固定化すると、それは幾ら意欲があっても、最初から負けというんじゃなかなか出ないというのが現実です。

 そこの大きな原因に、今までやってきた政策の中で、この地方創生も、日本列島改造論から今の地方創生までいろいろな、東京一極集中を避けていこう、そして全国を均一的に、それぞれの地域の努力でそれぞれ発展していただくということがあります。しかしながら、それで選挙にも出ないということの中の、原因の一つに、やはりいろいろな政策をとってもばらまきになるんです。それは、石破大臣が前回の質問のときに、走りながら考えると言いました。走りながら考えているのが今までの政策全部なんです。走りながら考えると、どうしてもばらまきになるんです。

 例えば、先ほど言った地方の中の地方と言われる我が秋田県ですけれども、その秋田県の新聞の中で、自民で組織乱立、ばらまき懸念というのがきょうの新聞に載っているんです。それは何かというと、自民党の中で、河村建夫元官房長官が本部長を務める地方創生実行統合本部、それから稲田朋美政調会長が率いるどこでも政調会、町村信孝元外務大臣が会長の人口減少対策議員連盟、次々と誕生した背景には、予算を獲得するためにこれを三つやった。そして、それぞれ地方の中で誰が一番主導権を握るか。

 もうこれはまたぞろなんです。私も自民党の議員の秘書を十六年やりましたし、いろいろな形、これはまたぞろ出てきたなと。石破大臣が懸念していたことがもう出てきたんです。決まっていないと、どんどん、それは中央官僚に、そして国会議員の口ききということになって、結局しっかり考えなくなっちゃうんです。

 それは何かというと、この前、地方公聴会をやったときに、ある市町村長が言いましたけれども、それぞれ国会議員に陳情しに行くと、何も中身を見ないで、はい、わかった、これは予算、何々省に連絡しておくから。これがほとんどなんです。それを町村長の方々が言います。

 やはり、しっかり現場を見て、どういう状況で、もしかしたら市町村の要望も違っているかもしれません。いや、よくこういうことを調べなさい、ああいうことを調べなさい。真剣に国会議員が地方を創生するといったら、中身を見なきゃいけない。

 ところが、こういうのがどんどん出てくると、結局予算づけで、わかったわかった、何々局長に連絡しておく、何々課長に連絡しておく、こんな感じで全てが終わるから、これは二、三年続けば、後は、次はもうないんだなという感覚になります。そのときだけよければ、これが地方創生を今までなし遂げられなかった大きな原因だ。

 石破大臣、どう考えられていますか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。

 これは、私も長く議員をやっていますが、地方から首長さんがおいでになる、はい、何々局長に連絡しておくということは、もう何百回やったことかと自分で思います。これがうまくいくと、あの代議士は力があるなんぞという話になって、地元でそういう話が広まり、次の選挙にいいことがあるかもしれないというようなことは、与党であろうが野党であろうが、みんな経験したことであります。

 今回の法案でお願いをいたしておりますのは、全部の都道府県そして市町村に、五年を目途とした総合戦略をつくってくださいということを努力義務としてお願いしておるという、かなり異例の構成を法律としてはとっておるわけでございます。

 PDCAと言うから何のことだかよくわからないんですけれども、要は、プラン、企画をする、ドゥー、実行する、C、チェックをする、A、アクト、アクションを起こすということで、首長さんにしても、どれが一番補助率が高いですか、どれが裏負担を後で交付税で見てもらえますかということが重要で、あの市長はよくやっているというのは、どれだけ高補助率の補助金を、地元負担を少なくしてとったかということで問われる。議員も、それにどれだけ尽力をしたかで問われる。結局、それがどういう効果をもたらすかということがきちんと検証されていない。そして、それが終わった後にどういうような効果を上げたかという検証もなされていない。

 だからそういうことが起こるのであって、今回の総合戦略を立ててくださいということは、企画をし、実行し、そしてこれを点検し、もう一度それを行う、そういうサイクルがきちんと回るかどうかなんです。それがないものは、それはばらまきと言われても仕方がないでしょう。

 つまり、ばらまきの定義とは何かといえば、効果検証を伴わないもの、そしてそれがどういう効果を上げるかというのがきちんと提示されないもの、そういうものはそもそも地方創生ということにはなじまないものだということで、これを徹底させなければいかぬ。

 ですから、地方と中央との関係というのは、一種の予定調和みたいにうまくいっていたところがあるんですけれども、それで地方はよくなったかといえば、よくなっていないわけで、このPDCAをどうやって動かすかということが問われるし、それがこの法案の大きな眼目だと私は承知をいたしております。

村岡委員 基本的にはそうだと思うんですが、そこが起きてくるのは、どういうふうにこの地方創生をやっていくかという具体的なものを決めていないから、やはりそれぞれが、こういう組織が立ち上がって、それぞれ自分たちで考える、地方創生をやり始める、そこに問題があると思います。

 やはり将来を見据えなきゃいけない。この地方創生の一番大きな問題は、やはり地方分権、そして、長期的なビジョンで考えれば、我々の党も、道州制を含めて考えていくということになっています。

 きょう、民主党の馬淵先生も来ていますので、ちょっと御質問させていただきますけれども、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案において、三条で、道州制の導入を含めた国と地方公共団体との役割分担の抜本的な見直しの総合的な推進をうたっていますが、この中で、速やかに道州制の導入を含めた法制上の措置を講じるというような形で書かれておりますけれども、この道州制に関してはどのように思われていますでしょうか。

馬淵議員 お答えいたします。

 御案内のように、民主党政権では、地域主権戦略大綱、これを閣議決定いたしました。それによって、いわゆるひもつき補助金の一括交付金化、並びに、義務づけ、枠づけの見直し並びに条例制定権の拡大など、こういったことを進めてきたところであります。野党に転じてからは、原口一博議員を会長といたします地域主権改革の調査会を設置いたしまして、また議論を行ってきたところであります。

 今先生の御指摘の、我々の道州制の導入についてということの質問でありますが、これも含めて、広域連携のあり方、またさまざまな検討課題というものを抽出しながら、この調査会の中で、国と地方の関係の抜本的な見直しということは不可避でありますので、まずは地域の声をしっかりと聞くこと、道州制を含めまして、地域の自主性、自立性というものをしっかりと発揮できる制度構築に努めてまいるという検討状況の段階にございます。

村岡委員 ぜひ、この共同提出した対案というのは、地方分権を進めながら、もちろん地方自治体から反対もあるということですから、いろいろな御意見は聞かなきゃいけないです。しかし、将来的に、やはりしっかりと目標を持ってやることが地方創生にとって大事だ、こういうふうに思っております。

 その意味で、きょう、生活の畑先生も来ていますけれども、この地方分権、道州制というのはどのようなお考えをお持ちか、お聞かせ願えればと思います。

畑議員 村岡議員の質問にお答えいたします。

 地方行政というのは、これは一番理想は、住民に身近なところの自治体がやれれば一番いい。それができない場合に、まさに上の広域自治体ということになると思います。そういう補完性の原則が私は大事だと思っておりますが、もちろん、小さい基礎自治体で完結しないことが今のグローバルな世の中の常でありまして、例えばインフラ整備一つとっても、当然、今の県の枠では難しいし、また産業政策一つとっても、これは一つの県なり基礎自治体では難しい部分があろうかと思います。

 そういう意味で、広域行政の一環として道州制を検討することは当然あり得べきだし、道州制というのは私は否定するものではなくて、意義があるものだと思っております。

 問題はやはり、基礎自治体、特に町村あるいは市の、厳しい地域の自治体に対しては、これは、道州制をつくることで、基礎自治体が、田舎がより衰退するんじゃないか、その道州の中に一極集中を招くんじゃないかという懸念があるので、基礎自治体の不安、反対もあるのだろうと思います。そこは、まさに村岡先生がおっしゃるとおり、自治体の考えをしっかり聞いた上でいいものをつくっていかなければいけない。

 いずれにいたしましても、広域自治体の一つとして、道州というのは当然検討の必要があって、その検討の価値があるものだと認識しております。

村岡委員 道州制を進める上に、もちろん手順を踏んでいかなきゃいけない。しかしながら、将来、見据えるものが、方向性がないと、やはり地方はしっかりとこの政策に関して一緒にやっていこうという気にならないということは大切だ、こう思っています。

 維新の重徳議員にお聞きいたします。

 対案では、東京一極集中の根本原因である中央集権体制を抜本的に改革する、道州制の導入を含め、徹底した地方分権を進め、地方の自立を実現しよう、こういうことですけれども、その点、地方の自立というのはどのように考えていらっしゃるか。

重徳議員 委員の御質問にお答えいたします。

 今回の対案提出に当たりまして、その前提として、政府提案の、まち・ひと・しごと創生法案の問題点、問題意識を持ったがゆえにこのような対案を出させていただきましたので、まず、政府提案の法案につきましての問題点について指摘をいたしますと、大きく四つあると思っております。

 まず一つは、法文中の規定が、基本理念、責務、計画策定、本部設置といった、政府部内の手続がほとんどでありまして、地方創生に向けた具体的な政策には何一つ触れていないという点であります。

 二つ目に、まさに、今、村岡委員の言われる地方の自立に向けた地方分権という文言、観点が、法文上も全くこれは見当たらないという点でございます。

 先ほどからるる議論ありますように、これまで繰り返し繰り返し行われてきました中央集権体制によって、財源、税源を国に集めてそれを地方に配分する、ばらまく、こういうことによりまして、長期的に東京一極集中、そして地方の疲弊ということが逆にもたらされてきたわけでありまして、この反省に立った規定が何一つないということでございます。

 三つ目には、これは、政府との質疑の中でも、総合戦略や五十年も先の長期ビジョンの中に道州制という文言が何一つ検討すらされる様子がないということでございます。これは、与野党のほとんどの政党が選挙公約には道州制の実現といったことに触れているにもかかわらず、検討すら行う姿勢が見られないというのは明らかに不合理な点だと思います。

 そして、四つ目は、これは、安倍総理、石破大臣ともに繰り返し言われている異次元の地方創生という割には、政府答弁においては従来からの課題を少々改善するという程度にとどまっておりまして、とても異次元だとは言えない。

 例えば、効果の検証ということも、先ほど石破大臣も言われましたが、それはもちろんこれまでも検証していなかったわけではありませんけれども、やはり国からお金が来る、そして、今も実際首長さん方から求められているのは一括交付金のような自由度の高いお金だと。これも、一括交付金という考え方も、過渡的には望ましい点もあるかもしれません、個々の縦割りのひもつき補助金よりはいいかもしれません。

 しかしながら、やはり国からおりてくる、降ってくる財源である限りは、これは、そういう使い勝手のいい、そして地方の負担の少ない財源に飛びついてしまうのは、それはもう地方はどこも財政が厳しい状況でございますので、そういう意味では、そういうお金に飛びついた上で、効果は極めて有効であった、こう答えるに決まっているわけでありまして、この点を根本的に、抜本的に改めるのが、今回の野党四党により提出しました、道州制の導入、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案でございます。この点が、今政府が提示されている法案、あるいは考え方に対する大きな対立軸、あるいは相違点でございまして、この点について野党四党一致してしっかりと取り組んでいくという姿勢を示したところでございます。

村岡委員 実は、衆議院選挙の前は、自民党、公明党も含めて、与党も道州制を言っていたわけですよね。本当は、この議論、お互い、対案というよりは一緒になって道州制を進めるべきだ、こう思うんです。今回の地方創生委員会というのは、もう大変時間が迫って、地方公聴会も一回、そういう状況で、各地方の方々の御意見をもっと聞く、いろいろなことをしなきゃいけなかったと思うんですが、やはりこれは、まあ、新聞が言っていることですから、統一地方選挙に向けていろいろな予算を組んでいくために早目に仕上げなきゃいけない、こういうふうに言われているわけです。

 しかしながら、そうであっては、この地方創生は、石破大臣は、これをラストチャンスだと思ってやらなきゃいけない、こう言っていたはずです。そういう意味では、この議論が深まらなかった、やはりこの法案だけではなかなか、それから議論の時間も少なかった、こう思っております。

 そして、一つお聞きしたいんですが、道州制特区推進法についてですけれども、北海道を先行的に道州制特区として、国の事務、権限や出先機関の移譲を進めていこうという道州制特区推進法が平成十九年に成立しているわけですけれども、進展がないことが現実です。北海道開発局など大きな権限を持つ出先機関が残ったままでは、道州制特区としてこの成果は上がっていないと言わざるを得ない。

 この実情に関して、やはり道州制を進めていく上で、先ほど言ったように、まずは地方分権、それから将来的なものでいろいろな弊害があることは直していかなきゃいけない、そういう思いがありますけれども、この北海道も進んでいないことにはどういうふうに思われるでしょうか。

石破国務大臣 御指摘のように、平成十九年に施行されました道州制特区推進法ですが、成果が上がっていないと断定を私はいたしません。それまで国道と道道というのが、この言い方は難しいんですけれども、いわゆる県道というものが、ばらばらに管理されておったのが一括して管理されるようになりました等々、地域の方々の使いやすさ、あるいは二重行政の解消というようなことは、幾つか前進を見ているのだと思います。

 ですから、この特区推進法というものをさらに活用することによって、道州制なるものの効果というものを推しはかるというのか推量するというのか、そういう意味はあろうかと思っております。

 御質問いただきましたので、私はぜひ道州制を唱えておられる方々にお願いをしたいなと思っておりますのは、これはもう主に議会でお話をされることでございます、政府としてあれこれ申し上げるべきではありませんが、今の重徳提案者の答弁の中にもあったかと思いますが、何で基礎自治体がみんな反対しているんでしょうということ。そして、統治機構というものはどうなっていくのか、国会は、では衆議院、参議院がどうなっていくのか、各中央省庁は設置法を含めてどのように変わっていくのかという具体のイメージがなかなか描きにくいというところがあろうかと思います。

 私自身、いろいろな文献を読んでみましたが、そこまできちんと具体の姿を示しておられるものを寡聞にして存じません。そういうものを出していくということがこの道州制の議論をさらに深めることになるのではないかと思っておりまして、私自身、さらに勉強はいたしてまいりますが、どうかその点につきまして、国民の議論に供するような御提案をさらに賜れれば幸いに存じます。

村岡委員 もちろんその議論は進めていきますけれども、自民党も公約で道州制を言っていたわけですから、それはちょっと違うんじゃないかと思います。

 そこで、民主党の法案提出者、馬淵先生にお聞きしますが、地方分権一括交付金、そして将来、道州制にという、地方分権のあるべき姿というものをこの法案の中でどのように考えていらっしゃるか、お聞かせ願えればと思います。

馬淵議員 お答えいたします。

 基本的に、財政構造改革というこの取り組みの中で、広域連携等も含めて、もう既に地域で自主的に取り組んでいるということもございます。

 その上で、国として、まさに道州のあるべき姿ということにつきましては、地域の自主性ということをしっかりと担保しながら進めていくことが必要である、このように考えておりまして、これを実行していく上においては、我々も政権時代にさまざまな取り組みを行ったわけでありますが、現在、野党に転じた状況の中で、まず地域の自主性、そして、その中での、特性をしっかりと、本来持てる潜在的な魅力度を高めるということを発揮できる仕組みというものの検討が必要だということだと思います。

 ですから、私どもとしても、まず地域の声を聞くということ、ここから始めなければならない、このように考えております。

村岡委員 ありがとうございます。

 それでは、重徳議員にお聞きしたいんですけれども、道州制を将来的に進めていくときにやはり財源というのが出てくると思います。その財源で、税源も含めてどんなふうなお考えを持っているのか、ちょっとお知らせください。

重徳議員 お答えいたします。

 税源につきましては、これまで長らく、中央にまず主たる税源は一旦集めて、それを地方に配分するという、中央集権、中央依存の構造が続いてまいりました。まさに税源のあり方そのものが、道州制にしろ地方分権にしろ、本当に基本となる、幹となる部分だと思っております。

 道州制を導入するに当たりましては、やはり税源配分についての課題が非常に大きな問題だと思っておりますが、とりわけ、これまでどうしても小出しにしか地方に税源を配分できなかったのは、とりもなおさず、都道府県のあり方を見ても、四十七という、明治初期から百四十年来続いてきている細分化された体制なのでありまして、道州制という議論とあわせまして、国が今集めている税源を地方に大幅に移譲するということが初めて現実的に考えていけるものと考えております。

 これは各党さまざま考え方があると思いますけれども、維新の党といたしましては、消費税の地方税化ということを、これは、どの基幹税目よりも偏在性の少ない税源であるという理由で、地方の税源としてふさわしいのではないかという考え方を打ち出しております。

 一方で、もちろん道州間の財政規模に違いも出てまいりますので、その間の財政調整というものは、これは恐らくこれから、今のように国が中心となって都道府県間、自治体間の財源調整をするというよりは、道州間の自主的、主体的な協議、ルールを定める中で財政調整がされていく、このように考えております。

村岡委員 石破大臣も言われたように、やはり道州制を進めていく上で、基礎自治体の反対というのはどこにあるのかというのはしっかり検証しながら、また、財源を移すのでも税源が必要でありますから、そこの点は、我々の党もしっかりとそこを、財政の調整機能も含めてきっちりやっていかなきゃいけない、こう思っています。

 そこで、道州制まで議論を進める前に石破大臣にお聞きしたいんですが、出先機関を統合していこうとか、いろいろなことはこれまでも自民党政権の中で、また、大きくは首都機能移転だとか、いろいろなことをやってきました。しかし、なかなか現実には進んでいない。その中で、特に防災機能というのが多分いろいろなところで、自治体にあると思います。

 東日本大震災のときに東北整備局が、くしの歯作戦ということで非常な災害時の対応をとった、それはすばらしいことだと思うんです。しかしながら、それが絶対に広域圏や道州になったときにできないというわけじゃなくて、そういうものは生かしながら、いろいろな意味で、将来、二十年、三十年後の日本の姿を考えたときに、今現実がいいからあとは変える必要ないとなったら、異次元の政策なんというのは全くなくなって、今までどおり進めるということになります。そういう意味では、道州制までの、出先機関というのには、どのように思っていらっしゃるか、お聞かせ願えればと思います。

石破国務大臣 東北建設局が実行いたしましたくしの歯作戦というのは、実に対応として正しかったと思っております。であるからして出先機関が今のままでいいなぞということを私どもは申し上げているのではございません。ですから、結節点は少なければ少ないほどいいという見方もそれはもちろんあるわけで、それは建設局もそうでしょう、農政局もそうでしょう。ですから、結節点を少なくするということのメリットというのはあるんだろうと思っております。

 ですから、災害対応でうまくいったからこれを必ず残すべきだということを私どもは申し上げているのではございません。しかしながら、そういうようなメリットもありました、では、そのメリットを残しながら、なるべくそういうような結節点を減らしていくという工夫は何ができるのかという議論。それは先ほど篠原委員の御提案にもありましたが、そこは委員の皆様方でそういうような闊達な御議論をいただいて、何が要するに地方創生に資するものなのかということについて、私どもは、予断を持って臨んでいるつもりも、予見を持って臨んでいるつもりもございません。

村岡委員 ぜひそのように考えていただければ、こう思っております。

 もう時間がないのでまとめてお話しさせていただきますけれども、先ほど篠原議員からも言った、我が秋田県、最初に人口減少が始まった、日本の中で一番人口減少率が高い、高齢化も高い、そして雇用の環境も悪いということですけれども、この秋田県を含めた地方というのが、例えば官僚の人たちが百人単位で来る、この官僚の人たちはほとんど、ただ官僚の人が勉強になっていくだけじゃないか、こういう感じなんですね。そこの地域に来ていろいろなおいしいものを食べて、いいところだねと思って、中には、暑いところへ行けばゴルフがうまくなって帰ってくる、そういう状況をしても、官僚というものが百人来たからどうなるかと。

 こういう部分は本当に考えていただかないと、やはりその地域の人たちと一緒にやるんだという気持ちが本当にあるかどうか、ここが今までないから、なかなか難しいんです。そこが、大臣、百人も官僚を行かせることに関して、どのような思いで行かせるのか、もう一度お聞かせ願えればと思います。

石破国務大臣 秋田は、新幹線は走るわ、高速道路は相当整備されたわ、県内に空港は二つあるわ、食べ物はおいしいわみたいなことで、何であそこで人口の減少率が日本一なんだと。数でいえば北海道が日本一で、何で静岡が日本で第二に人が減るんだという、よくわからないことがあちらこちらで起こっているわけですね。

 そうすると、秋田の知事もおっしゃっていますが、そこを徹底的に分析して、どうすればいいかという処方箋を出していかねばならぬわけです。そこにおいては、やはりそこの人たちが考えていくということが大事であって、官僚百人、全部が官僚とは限りませんが、それは、東京から行って教えてやるみたいな人は行かなくていいです。その人たちと一緒に、地域の人たちと一緒に、本当に汗かいて地域をよくするんだという情熱と見識がない人は出しません。そのようなことはいたしません。

 と同時に、今委員が御指摘のように、中央から地方にいっぱい出ています。秋田へもいっぱい出ているんだろうと思います。どこに何人出ているかと今全部調べていますが、それが中央官僚のお勉強のためということであれば、そこは考え直す必要があるんじゃないだろうか。

 もちろん、お勉強をするのはいいことです。いいことですが、それがその地域にとってもきちんとしたメリットがないんだったらば、これは中央の理屈だけでやっていると言われても仕方のないことなのでございましょう。中央官僚の地方への出向という形は、もう一度よく検討しなければならないと思っておるところでございます。

 ですから、食べ物がおいしかったとかゴルフが上手になったとか、そういうようなざれごとを言っているようではしようがないのでありまして、本当に地域のためになるということでなければ出す意味がないと私は思っております。

村岡委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 もう時間がないので終わりますが、これは本当に地方創生のラストチャンスだと思いますので、しっかり、分権、そして将来的には道州制ということで我々も議論を深めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 次世代の党の西野弘一でございます。

 まず冒頭に、言葉遊びみたいになってしまって申しわけないんですが、今回、地方再生ではなくて地方創生という言葉を、あえて再生ではなくて創生という言葉を使われた意味というのは、深い意味はあるんでしょうか。

石破国務大臣 これは前回もお答えをしたような記憶がございますが、再生というのは、一回だめになっちゃったものをどうしますかということなんだと思うんですね。地方創生というのは、もう一回つくり直しだ、つまり、だめになったものをリフォームするということではなくて、いろいろな価値観を転換して、今まで地方が主役とかいろいろなことを言ってきました。本当に地方が主役だったことが一度でもあるだろうかといえば、それは美辞麗句の類いであったという部分が否めないだろうと思っております。

 地方は大変だよねとか、第一次産業は大変だよねという、どちらかといえば、きれいな言葉で言えば、温かいまなざしを持って地方に対処するとか第一次産業に対処するとかそういうお話ではない。明治維新だろうが何だろうが、中央が国を変えたことなんて一度もないのであって、これは世界でもそうなんだと思います。地方が国を変えるんだということで、創生という名を冠したのはそういう意味であります。

 地方創生というのはすなわち日本創生でもあるわけで、今回、地方さえよければいいなんぞという話を私どもはいたしておりません。これは法案にも書いてございますが、東京をより安全で安心で活力のある町にしていくということと地方創生というのはワンセットなのでございまして、地方創生というのは、すなわち日本創生、そういうような試み、事業だと思っております。

 試みたけれどもだめでしたではしようもないのでありまして、先ほど村岡委員からお話がありましたが、これが最後の機会だ、そういうようなつもりで私ども政権として臨んでおるところでございます。

西野委員 さすが石破大臣だなというふうに思いました。

 私は、それこそ二代目でございますので、先代の秘書をしておるときから、先生の政治の姿をいろいろ拝見しておりました。

 そういう中で、石破大臣を見て正直怖いなと思ったときが、一番怖いというか恐ろしいというか迫力を感じたシーンがありまして、実は、それは去年の参議院選挙の最終日だったと思うんですが、当時、分党前でしたので、日本維新の会に所属をいたしておりました。いわゆる第三勢力と言われたところに所属をいたしておりまして、衆議院選挙から勢いはよかったです。ところが、参議院選挙あたりで急に減速をしました。それはやはり、自民党の力に完敗をしたというのが僕の正直なところなんですが。

 それが、最終日に、当時の、石破大臣が各党の選挙の責任者と並んでテレビの画面に出られたときのあの顔、真っ黒に日やけされて、それも恐らく、そういう自分の姿とか身なりとかに気を使っている時間もないというか、多分、日やけどめも何にも塗っておられないような感じで、やけただれておられた。その姿を見て、当時、自民党も勢いがあったわけですよ、普通だったら、そこまでせぬでも、それなりに戦えるよなという選挙にもかかわらず、党の代表、トップの方が恐らく地方を全部回られて、あの暑い中、街頭に立たれて、本当に前線で戦ってこられたんだなという姿を見たときに、ああ、これは正直負けたなと思いました。その怖さを感じました。

 そういう大臣であるからこそ、僕は、今思いをあえて語っていただいたんですけれども、地方創生こそがまさに日本の創生でもあるんだ、日本を創生するためには地方の創生が必要なんだという思いで、これだけ地方も、どんな自分の立場にもかかわらず、そうやって回ってこられて、また、御出身も、比較的都会ではないところの御出身でもありますので、そういう意味では、地方の声もよく聞いてこられていると思うので、期待をしているところでありますし、頑張っていただきたいなと、素直に心からエールを送りたいなと思っております。

 先ほども質疑にありましたけれども、僕は、この法案が出たときに正直思ったのは、地方で企画を立ててきなさい、でも、その企画を選ぶのはあなたたちじゃなくて、国がその企画のよし悪しを見ますよ、いい企画にはお金をつけてあげますよ、応援してあげますよ、ただし、その出してきた企画はあなたたちが出してきたんだから、お金を応援はしてあげるけれども、結果が伴わなければ、その責任はあなたたち地方にあるんだろうということなのかなというふうに思ったんです。

 これは、ある意味で見ると、国の傲慢ともとれるし、また無情なところともとれるのではありますが、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、しかし、それぐらいの覚悟を持って、地方がこれから創生、新たな地方として生まれ変わっていくんだ、創生をしていくんだという決意を持って臨まないと、ひいては、この国も生まれ変わっていくことができないんだということだと思います。

 その言葉の中に厳しさがあるということなんですが、それは、一定、今、この国の中で、全ての地方、全部の地方を同じように、かつてやったように同じように応援をして、みんながみんな再生、創生できるということは、残念ながら、もうこれはないと思うんです。

 政治家としては、例えば、自分の選挙区にそういう地域がたくさん含まれた場合には、いやいや、皆さんのところも再生しますよと言いたいところではありますが、そこをあえて言わずに、申しわけないが、もうここから先は、みんなをみんな応援して、みんなをみんな立ち直らせるということは、残念ながら、そういう国の状況ではないんだ、だから、とにかく皆さん方がそれぐらいの気概と責任を持って、生まれ変わるんだというものを出してきてほしいんだ、そのことに対しては国がしっかりと応援をしていくんだということだというふうに思うんです。

 それに当たって、私は、もともと自民党ではありましたけれども、自民党から、大阪の府会議員のときに大阪維新の会というのをつくりました。これは、当時、我々の言い方で言うと、いわゆるローカルパーティー、地域の政党だということを言いながらやってきたんですが、やはり、地域の声をまとめ上げていくには大変有効な方法だったと僕は思います。しかし、一方で、国からいろいろなそういう応援をいただこうと思うと、ローカルな活動だけではなかなか難しくて、国政にも出てこざるを得なかったというのが僕の当時の思いであります。

 そういう中で、これは御答弁は別にいただかなくて結構ですけれども、こういう地域の創生という中で、先ほど、サイクルを回していかなければいけないということもありましたけれども、では、そのサイクルの検証をしてみたりとか、企画をする部分にも、議員も議会も含まれてくるわけでありますけれども、そういう地方議員の役割というのも、当然、今まで以上に重要になってくると思いますので、別の機会でもまた一度大臣に、きょうはちょっとこの通告はしていませんでしたので、お答えは結構ですけれども。

 こういう政党そのものも、今、国会議員が五人以上いなければだめとか、直近の選挙で何%以上の得票をとっていなければだめとかいう政党要件があります。その政党要件を満たしたところにすごく多くの税が政党助成金という形で投入されています。

 それはそれでいいんだと思うんですが、それとあわせて、こういう地方議員を、例えば五十人以上いればローカルパーティーとして、政党として認めてあげるんだというようなこともやっていかないと、本当の意味で地方の議会が成熟していくこともなくて、地方の議会が成熟しないと、行政と議会という両輪でありますから、なかなかうまく地方の政治も回っていかないかなという思いをしながら先ほどの御答弁も聞いておりました。

 長々と前振りをしていましたら、もう質疑時間があと五分になってしまいましたので、質疑に入りたいと思います。

 そういう中の活動で、明治以来、国と都道府県、各市町村という形は変わってきませんでした。もっと言うと、都道府県は今四十七といいますが、しかし、そこは、二十の政令市も含めて六十七という考え方でいいんじゃないかなと僕は思っています。

 政令市制度というのは、都道府県と同じような権限、財源を渡して都道府県から独立をさせてしまおうじゃないかというのがそもそもの趣旨だったというふうに書かれている文献もございまして、そのときに都道府県が、それでは困る、政令市に独立されてしまえば周りのところだけで都道府県が行政を回していけないということで大抵抗があって、今の中途半端な形になってしまったというようなことが書かれてある文献がありました。

 大臣に伺いたいのは、今の政令市と都道府県の関係は二重行政と言われておりました。大阪府では、大阪府と大阪市、二つ合わせて、府、市でフシアワセと言われた時代がずっと長く続いておったりもしますが、この点について、都道府県と政令市の二重行政について、これから地方創生をしていくに当たって問題があるというふうに私は思っておりますが、大臣はいかがでしょうか。

石破国務大臣 さきの常会におきまして地方自治法改正をいたしました。御案内のとおりであります。政令指定都市と都道府県の事務の処理について連絡調整を行うために必要な協議を行う指定都市都道府県調整会議というものができましたということは、調整をしなければならぬということで会議をつくったところに、やはり何か問題があるんだろうねということなんだと思っております。

 その政令市というのはほとんど県庁所在地なのでございまして、そうすると、何なんだこれはという話が出る。それは、政令指定都市たる県庁所在地と都道府県との間にかなりのあつれきが起こって、これは何なんだという話になるわけでございます。

 この調整会議がどのようにして運営されるかというのは、まだスタートしたばかりですのでよくわかりません。これの推移というものは見なければなりませんし、政令市のあり方というのは、これから地方創生において、二重行政を排して、限られた財源をいかにして有効に地域住民の福祉の向上につなげるかということから議論されるべきであって、両方が張り合っておっても仕方がないお話だと思います。

 要は、住民にとって何が一番いいサービスの享受につながるのかという観点から論議されるものであって、まずこの調整会議の運営というものをきちんと見たいと思っております。

西野委員 この二重行政の問題というのは、すごく解消に向けて長年頑張ってきてもなかなか前に進まなくて、ようやく今大阪ではその議論が活発になっているところでありますので、これを機会に、よりよい住民サービスのためにも、この二重行政の解消に向けてありとあらゆる方法を使っていかなければいけないなというふうに思っております。

 最後になりますけれども、今回の法案の中で、国が総合的なパッケージを示して進めていかなければならない中で、認定の手続であったりとか、提出手続のワンストップ化ということがうたわれておりますが、手続の窓口を一本化しても、結局、その先が従来どおりの縦割りでは、画竜点睛を欠くのではないかなと思っております。

 例えば、各省庁の法案でいうと、都市再生整備計画であったりとか立地適正化計画、地域住宅計画、農山漁村活性化計画、広域的地域活性化基盤整備計画、地域公共交通網形成計画、ちょっと読んでいっても時間がどんどんなくなっていくばかりなので。

 要は、時間がなくなるぐらいに、ワンストップ化といいながら、その先で、窓口が同じでも、いろいろな計画で、縦割りにばらばらに分かれているということでは、本来の法の趣旨というものに沿っていないのではないかなというふうに思っております。

 これは、計画だけでなくて、例えば少子化対策なんかにしましても、いろいろな法律があるわけでありまして、そういったものをできるだけ統廃合して、一本化していくということが僕は必要だというふうに思っておりますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 要は、地域が使いやすければそれでいいんです。地域が使いやすいようにするためにワンストップ化ということを今回やろうといたしております。

 わかりやすい例でいえば、今、熊本で、地域再生計画の作成とあわせて、コンパクトシティーを形成する、地域公共交通網を整備する、中心市街地を活性化するということ、それぞれの省ばらばらの話なので、それぞれに申請をし認可を得ていると、手続も煩雑なら時間もかかるしということになる、時間的なずれも起こるかもしれない。だったら、それを一遍に内閣府でやりましょうということがワンストップ化ということの意義なのでございます。

 しかしながら、三つばらばらを一つにすればそれでいいかというと、必ずしもそういうものではなくて、一つどうしてもやりたいけれども、ほかのものは、まあいいんだよということもある、そういう選択の自由というものも自治体の側にあるべきではないだろうか。

 だから、手続をワンストップにするんだったら事業も一つにしてしまおうではないかというお考えは、それなりに合理性もあると思いますが、使う側にしてみると、いやいや、何も、手続をワンストップにしてくれと言ったのであって、事業を一つにしてくれと言ったわけじゃないということもあろうかと思います。

 ですから、私どもとして、とにかくワンストップ化をして、時間の短縮を図りたい、煩雑さを除きたいと思っておりまして、その次の段階で、事業の一体化というものが本当に地域の御要望に資するものであるかどうか、それは検討させていただきたいと思っております。

 今のところ、地方の皆様方の御意向を反映いたしまして、手続のワンストップ化ということを考えておるところでございます。

西野委員 時間が来ましたので、御答弁にもありましたように、地方に選ぶ自由を与える、そのかわりに地方に責任があるというような施策になっていくように期待を申し上げて、お願いをして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

鳩山委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 この委員会では、せんだって、十分のお時間で地元のPRを随分させていただきました。お時間をいただきましてありがとうございました。

 石破大臣、今まで、いろいろな国の政策の中で、過疎対策をいろいろやってきたと思います。一九七〇年に過疎法ができて、ずっとやってきたんですけれども、結果的に見ると、それで過疎が再生をしたのかどうか。この辺がいろいろなところで随分議論になるわけでありますが、実際、石破大臣、どうなんでしょう。過疎法をつけて、今まで過疎債も発行し、いろいろな政策を何十年とやってきましたが、人口減はとどまっておりません。それについて、大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。

石破国務大臣 私は、過疎対策というのは相当において成功したのだろうと思います。

 それは、うまくいかなかったじゃないかと言われますが、では、対策をやらなかったらもっとひどくなっていたでしょうという話であって、この薬を飲んでも熱が下がらないといったときに、では、飲まなかったら死んでいたでしょうというのと似たようなお話でありまして、成功したかどうかということだけを議論しても余り意味のないことだと。

 ただ、私が思いますのは、私が当選二回のころでしたが、平成になったばかりのころだと思います。過疎の洗いがえというのをやりまして、私は地元の町村に、ここは過疎になりましたと連絡をしたら、おお、過疎になったんだ、お祝いだと言ってどえらく喜ばれたことをよく覚えております。何か変だねという気はしました。その後、過疎から脱却をすると、何だか、過疎から脱却ということが何かよくないことみたいに言われて、町長が何でうちは過疎から外れたんだと言うのに、違和感を感じたことが正直言ってございます。

 ですので、過疎を脱却するために地域が頑張ったとする、それに対して何らかのメリットというものを与えるような仕組みというものがないと、過疎対策というのはさらに進んでいかないのかもしれないと思っています。

 私は、この仕事をするようになって、全国を、北海道から九州、沖縄まで、いろいろなところの事例を見たんですけれども、過疎が行き着いたところほど新しいことが生まれているというのを随分見ました。

 世の中にこういう例がたくさんあるんだというのは、過疎の過疎だけれども、そういうところで、民間の方々が新しい考えのもとに、ここにしかないというものをやったところ、いつでも、どこでも、誰にでもというのがあるんだったらば、それはそこに人なんか来ませんって。

 どんなに過疎の地域であっても、ここにしかないもの、この間、渡辺委員から御紹介をいただいた島根県大田市の中村ブレイスもそうですよね。あるいは北海道の音威子府村というのもそうです。あるいは島根県の邑南町というところもそうです。海士町もそうです。それは過疎の過疎と言われたところだけれども、国のいろいろな対策もあるんだが、それぞれの地域において、自分が、世界でここ一つのものをつくろうというところは、どんなに過疎であろうとも、それを反転させてきた、そういう実績があるんだと思っております。

 国がいろいろな施策も考えますが、地域のそういう創意工夫というものをどうやって私どもとして支援をしていくかという考えに改めねばならぬのではないか、私はこの質疑を通じましてそのようなことを学ばせていただいたような思いがいたしております。

佐藤(正)委員 過疎だけでもなくて、私がずっと問題提起しております、いわゆるまちづくりをやるにおいて、国から補助金をもらってやりますよというところはだめなんですよ。過疎法もそうなんです。過疎債もそうなんです。基本的に、そうではなくて、自分たちの町、村をしっかり理解して、そして、この町でできるものは何だということで立ち上がったところが成功するんですね。ですから、今回ずっと私が問題提起をしてきたのは、補助金ではないということだと思います。

 これは言っていいかどうか、ある会合で、あなたは補助金やめますか、人間やめますか、こんな題材で会議をやったところがある、それは民間のプロジェクトチームをやるときに。まさにそこだと私は思っています。だからこそ、いろいろな提案を実はさせていただいて、今の過疎もそうです。

 となれば、今回の地方創生をやるに当たっても、やはりその根底を考えた中で組み立てていかなきゃならない。国が総合戦略をつくって、都道府県に渡して、そして市町村に渡してやったらどうなるんでしょう。私は、余り今までとそう大差のないことになっていくことが心配です。それは、そういうメニューの中で補助金をいただける、そうすると、やはりどうしてもそっちの方向に走ってしまう。

 民間はそうじゃないんです。民間は、何が大事なのか。

 この間、私はスーパー公務員というお話を提案させていただきました。スーパー公務員というのは一体何なのか。それは、民間の方々が補助金なしでまちづくりを再生してやっていこう、そうすると、条例だ、法律だというのが壁になってくる。そのときに、よく役所に行ったら、あなたはこんなことも知らないんですか、これぐらいわかってからこういう計画をしてくださいよと。

 民間はそうじゃないです。やりながら壁に当たっていくんですね。そのときに、そのスーパー公務員というのは何をすべきか。いろいろな法律があり、条例があり、警察にもかかわっていることもある。だったら、あなたがやろうとするまちづくりに対してどういうお手伝いができるのかというと、そこは、その法律や条例を解釈してできる方向性に持っていくことこそ、実は必要な方だと私は思っています。

 先ほど村岡さんが話をされていましたけれども、今回、国が地方に百名、いろいろな方々を送り出すということですが、そういう方をつくっていただきたいと私は実は思っています。質問とかぶってしまったんですけれども、そういう意味で、地方創生には民間活力が絶対不可欠だと思います。

 それで、石破大臣は民間活力を活用するためにはどういうふうにお考えなのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

石破国務大臣 民間です。民間活力が一番大事。間違いないです。

 余り感激したので同じ例をいつも言いますが、その島根の中村ブレイスというのは、国からの補助金も県からの補助金も、何にももらっていないということなのですね。

 今回、地方創生をやるに当たって、幾つかの原則を定めましたが、その中に自立性というのを入れました。つまり、国からの補助がなくなったらもうおしまいみたいなものは、そんなものは地方創生の名に値しないということなのです。

 やはり民間の活力をいかにして引き出すかであり、ただ、そのときに、法律の壁とかなんとかそういうものがありまして、法律を知らないがゆえに民間の創意工夫が生かされないということがあります。あるいは、書類が余りに膨大で、それを読むだけでもう何か元気がなくなっちゃうということは山ほどあるわけですね。

 私、農林水産大臣のときに、とにかく書類を半分にせよ、こう言ったことがありますが、そうすると、字をちっちゃくして、与えている情報量は一緒みたいなことで、すごいなと思って感心したことがあるんですけれども。

 要は、使う側が使いやすいようにしないと意味がない。易しいことを難しく言って悦に入っているような、そんなことがあったら話にならぬということであって、委員おっしゃるように、スーパー公務員、すなわち、いろいろな条例がきちんと読み解ける、法律が読み解ける、そういう人も必要なんでしょう。そういう人を育成すべく私どもも努力をいたしてまいりました。ただ、同時に、使う側がわけのわからないようなことを言っても仕方がないということでございます。

 ですから、スーパー公務員が必要とされるといえばそうなんですけれども、スーパー公務員がないと仕組みがわからないというようなことは決していいことだと思っておりません。もちろん、国の規律も秩序も保たれることは必要です。必要ですが、何が民間にとって一番使いやすいのかというのは、民間の立場に立って考えなければいかぬということだと思っておりまして、それは、私ども、大いに反省、改善の余地があると思っております。

佐藤(正)委員 大臣、実は、町を創生したり再生するときに、どうも議論が、役所は別のように考えていらっしゃるんですね。じゃないんですよ。国や役所というのは大地主なんですよ。日本一の地主さん、大家さんなんですよ。だから、そういう感覚、そういう思いで一緒にまちづくりに入れば、一緒のことを考えるんです。どうしたらこの町がもうけることができるのか、どうしたら人が集まってこれるのか。これは、役所が外から見て今までどおり指導する立場であったら、一切これまでと変わりません。今からやるべきところは、意識改革をしなきゃならないんです。

 道路も持っています。しかし、その道路をどういうふうに活用したらその町が活性化するのか。

 前回私が申し上げましたが、北九州の小倉というところ、私の生まれたところですが、日本で初めて商店街にアーケードをつくった。そこは公道ですから、つくれないんです。しかし、商店主がみんな集まって、お金を出し合って、この東京に出向いてきて、そのときの小倉市を飛ばして東京に来て、直談判をして、帰らずに、そして試験的にオーケーだといって、町に帰って、それでも町の方は、市の方は、そんなことを言うはずがないとびっくりしたんですね。結局やったんです。今回は、そのアーケードを取っ払ってやろう、そして、そこに芝生を植えて、その道路を使っちゃおうという案もあるんです。ところが、その道路を使用しようと思いますと、市町村は道路占用許可を出しますよ。警察がだめなんですよ。

 本当に身近なところであるんですね。こういうところこそ、役所が家主になっていただければ、どういう方向性を出せばいいのかというのはおのずとわかるはずなんです。

 小泉政務官もいろいろなところに行かれて民間の力を十分見てこられたということも、この間お話を聞きました。まさに、行かれれば、今私が申し上げたようなことがまことしやかに議論されていると思います。

 だからこそ、そういう意味で、石破大臣、スーパー公務員というものが実は必要なんだ。そういう会議に一緒に入って、大家、たな子と一緒にやりましょうというまちづくりをやらない限り、私は、地方の創生はあり得ない。だから、過疎も同じだと思います。

 せんだって安倍総理は、私がこの話をしたら、やはり人なんですよね、まさにそうだと思います。人が変わらないと町も変わりません。

 ですから、今回の地方創生がラストチャンスというふうに言われましたが、私はラストチャンスなんて決して思っていません。まだまだその前にやるべきことがたくさんある。さらに言うならば、地方がそれだけ頑張っていくためには、やはり地方で決められなきゃならないんですよ。実は、もう国にお伺いを立てていく暇はないんです。

 私が地方議員をやっているときに、参勤交代で地方が国に上がっていく、その旅費を調べたことがあります。地方から東京に上がっていく、年間一兆円を超えるんですよ、旅費だけで。こんな無駄なことをする余裕は、今、我が国にはない。であれば、今回、我々四党が提案をさせていただきました、道州制を基準とする、基軸とする、国の形、仕組みを変えなければならないということを最後にお訴えさせていただいて、もう一度石破大臣から、私が先ほど言ったスーパー公務員ということを御理解できたのであれば、もう一つ御答弁願いたいと思います。

石破国務大臣 ありがとうございました。

 道州制については、いや、それは自民党も公約しているんだからちゃんと考えなという御指摘を場外発言からいただきました。それはそのとおりでございます。

 私の問題意識は、憲法に言います地方自治の本旨なるものと、この道州制というのはどういう関係に立つのだろうかという問題意識も実はございまして、これは党の公約でもございますし、党の中できちんと議論もされまして、私もさらに、委員の御指摘を踏まえて研究させていただきたいと思います。

 なお、スーパー公務員ということに対する考えは、ほとんど委員と認識を一緒にいたします。

 要は、行政が傍観者みたいなことで入れられちゃ困るんです。やはり行政は一つの自治体の経営者なのであって、納税者が減ったらば経営は成り立たないんです。どうやったらば納税者の立場に立って納税者の納税がふえるか、額もそうですし、人もそうなんです。ですから、自治体において経営者の視点というのは絶対に必要なはずだ。

 それはもう行政すべからく言えることであって、納税者はみんなありがたいお客様なので、我々行政というのは最大のサービス産業であるべきであって、どうすれば納税者のために働けるかということであって、そういうようなふうに意識を改革していかなければいかぬ。その場合に必要なのはやはり経営者としての視点であって、そういう意味から、スーパー公務員というものはつくっていかねばならぬ。そして行政の側も、どうすれば使っていただきやすいかということをもっと考えねばならぬことだと思っております。

 御指摘ありがとうございました。

佐藤(正)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、人口減少問題における自治体の役割に関連して質問をしたいと思っております。

 最初に、国交省にお尋ねいたします。

 離島における人口の動態、減少の問題についてお尋ねしますけれども、国勢調査、平成十七年と平成二十二年の人口変化率に関して、全部離島と一部離島、それから平成十二年から二十二年の間のいわゆる平成の大合併により全部離島から一部離島になった離島、この三つについて、それぞれ十七年―二十二年間の人口の減少割合がどうなっているのか、この点についてお答えください。

舘政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年から二十二年の五年間における人口の変化でございます。

 全部離島で八%の減少、一部離島で一五%の減少、平成十二年から平成二十二年の間に市町村合併により全部離島から一部離島となった離島は一七%の減少でございます。

塩川委員 今御答弁ありましたように、全体として人口減少というのは深刻だということ、離島の実態がそこにあらわれているわけですけれども、しかし、そういう中でも、全部離島としてあるところに比べて、一部離島、つまり、本土と合併をしている離島、あるいは全部離島だったものが本土と合併して一部離島となった、こういうところの人口減少割合がより高くなっているというのが今の答弁にもあったとおりであります。

 ですから、平成の大合併によって本土の自治体と合併し周辺部分となった一部離島は、人口減少が一層深刻だということを示しているものであります。

 次に、総務省に、過疎地域の問題についてお尋ねをいたします。

 先ほどの国交省の離島と同じように、平成十七年と平成二十二年の間での人口の増減についてお尋ねしますけれども、過疎地域においては、一部過疎地域というのがございます。これは、過去の合併において、しかし、旧自治体の単位で過疎地域であるような場合に、過疎対策についての支援策が継続されるように一部過疎地域とするという措置があります。

 そこで、お尋ねしますが、平成十七年と平成二十二年の国勢調査における人口の増減の率について、総人口と、それから過疎地域と、今お話ししました一部過疎地域を有する市町村の過疎区域、いわゆる一部過疎における人口増減率がどうなっているのかをお願いします。

原田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年四月一日現在の過疎地域を前提に人口の増減を比較いたしますと、平成十二年に対します平成二十二年の人口の増減率は、総人口は〇・九%の増、過疎地域の人口は一二・三%の減、そのうち、一部過疎を有する市町村の過疎区域に係る人口は一五・一%の減となっております。

 次に、平成十七年に対します平成二十二年の増減につきましては、総人口は〇・二%の増、過疎地域の人口は七・一%の減、そのうち、一部過疎を有する市町村の過疎区域の人口は八・七%の減となっているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 合併によって一部過疎となった地域では、過疎地域全体の人口減少割合に比べても、より大きな人口減少の現状ということが今の答弁でも明らかであります。

 そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、平成の大合併が、合併自治体の周辺部に当たる一部離島や一部過疎の地域などのいわゆる条件不利地域においてより大きな人口減少をもたらしたというのは、今の例でも明らかじゃないでしょうか。このような認識をお持ちですか。

石破国務大臣 今、総務省から答弁がございましたように、過疎地域の人口、いわゆる純粋過疎地域というんですか、これはマイナス一二・三である。これに対して、一部過疎を有する市町村の過疎区域の人口は一五・一も減っちゃったということでありますから、数字だけ見れば、委員御指摘のようなお話があるんだろうと思っております。

 これは何でこういうことが起こっているのかということは、少しというか、かなり精密に分析をする必要があると思っておりまして、合併しなかった、単独で残ったところの方が元気なんじゃないのという事例は、かなり日本国じゅうで起こっているのかもしれない。合併をしたがゆえに、より人口が減っちゃったということがあるとせば、それは一体何に起因するものであろうかということは、私ども政府として、よく分析をしていかなければいけないことだと思っております。

 委員の問題認識と同じようなものを私自身も持っておりますが、何でこういうことが起こったかということをきちんと分析しないで評価をするということは、ちょっと今、してはならないと思います。しかし、このことは、これから先の地域政策を論ずるにおいて極めて重要な視点だと認識をいたしております。

塩川委員 よく分析することが必要だというお話、同時に、やはり合併によって周辺部となった一部離島や一部過疎の地域というのが、より減り方が大きいというところが実態であります。

 これは、当委員会でも徳島の地方公聴会に行きまして、飯泉知事もおっしゃっておられたとお聞きしました。

 新しい市町村ができ上がった場合には、中核部分と周辺部分ができる、その周辺部分が想定以上に疲弊をしてしまった、逆に、合併しなかったところは、人口の少ないところは確かに厳しい面はあるが、それはそれなりに頑張っていけた。

 これは合併における実際の地方の認識だと思います。その点では共通するものがあるんだと思うんです。

 その点で、やはり平成の大合併というのが、結果として条件不利地域の大きな人口減少をもたらしたんじゃないのか、こういう認識から出発しなければいけないということであります。

 そこで、大臣に重ねてお尋ねしますが、大臣の本会議の答弁で、地方中枢拠点都市圏や定住自立圏などの圏域において、集中とネットワーク化の考え方により、都市機能、生活機能等の確保を図り、人口のダム機能が果たせるよう取り組んでいくと述べておられます。

 大臣は、自民党の幹事長時代、ことしの一月の通常国会の代表質問におきまして、増田リポートを取り上げて、「地方中核都市に資源を重点的に配分して、これを最後のとりでとし、そこから再生を図るなどの施策も必要」と、人口のダム機能論を評価しておられます。

 しかしながら、地方中枢拠点都市圏や定住自立圏などの圏域に資源を重点配分するという人口のダム機能論というのは、先ほど合併の話で紹介したように、周辺の小規模自治体からの人口流出というのがいわば仕方がないという仕組みとならざるを得ないんじゃないのかと率直に考えますが、いかがですか。

石破国務大臣 そういう御指摘は当然あろうかと思っております。どこかでとめなければ、そのままどんどんと人口が流出するということになりかねないということは、やはり私は認めなければならないことだと思っております。どこでとめるかという議論はきちんとしなければならない。

 これから先、人口が減少していく社会において、すべての集落、全ての自治体に、同じように、今までと同じような資源配分ができるかというと、かなり難しい部分があるんだろうと思っております。それは、地域を、そういうようなところを見放すということを意味しません。ほかの何か手だてがあるのではないだろうか。

 つまり、今までつくりましたいろいろな社会資本は、これから耐用年数を迎えます。老朽化も進んでまいります。それを維持していくだけで大変なお金がかかります。そういうようなものはきちんと維持をしていかなければなりませんが、これから先、資源を配分するときに、そういうところを見捨てるとかそういうことではないが、ダム機能というものを維持しなければ人口の流出がとまりません。そのことは認識をする必要があると思っております。

 そのほかの、今委員が御指摘のような自治体に対して、あるいは集落に対してどのような対応ができるかということは、ハードだけではなくて、いろいろなソフトの対応もあろうかと思っております。

 地域に暮らす人々のいろいろな権利というものを守っていかねばなりませんが、それと同時に、人口の流出をとめるためにはどこかがダム機能を果たさねばならないということの認識は、私自身、強く持っておるところでございます。

塩川委員 ダム機能の役割は評価をしながらも、周辺部分を見捨てるということではない、ほかの手だてがあるのではないかという話なんですが、ただ、こういった法案が出てくる前提にも、骨太方針の二〇一四もあります。その経済財政諮問会議の議論などを見ていますと、例えば、五月十九日の諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、民間議員の皆さんがペーパーを出されました。そういう中に、「地域経済の活性化と構造調整の推進に向けて」というペーパーにおいては、「人口規模が小さな自治体ほど、公需等への依存度が高く、財政力が低いが、これは持続可能とはいえない。」ということを述べておられます。

 そうではないだろうと。私は、率直に、こういった小規模団体でのこういう積極的な独自の取り組みこそ大いに評価をすべきことではないのかと。この点では、合併しないで頑張ってきた小規模自治体が奮闘しておられるというのは、安倍総理の所信表明演説で島根県の海士町を紹介していることにも端的に明らかで、合併せずに頑張り、今では人口の社会増にも結びつけているわけであります。

 このように、過疎や離島など条件不利地域の人口減少問題に正面から取り組む上で、この自治体の自治、自主的取り組みというのが非常に重要だ。つまり、小規模な自治体だからこそ、その自主性、自治を尊重することによって、人口減少問題でも正面から立ち向かうことができる。こういうところこそ積極的に評価をし、支援をしていくということが重要だ。

 その点で、今回の法案での総合戦略についても、十月三十一日の第二回まち・ひと・しごと創生会議の資料に基本政策検討チームの報告書案が出ています。ここに、自治体の地方版総合戦略策定支援のために、ビッグデータを活用した地域経済分析システムを開発するとしています。

 経済産業省の中小企業白書では、地域経済活性化の鍵を握るコネクターハブ企業、地域中核企業を抽出、選定し、地域経済の産業構造分析を行うのが地域産業構造分析システム、つまり地域経済分析システムと紹介しています。

 しかしながら、地域経済活性化の鍵を握るコネクターハブ企業というのは、中小企業白書では三千六百社余り、数として挙げているわけです。その本社は東京に四分の一が集中をし、例えば島根県では八社ぐらいしかないんですよね。佐賀県は三、沖縄は二つだけなんです。条件不利地域の小規模自治体には皆無という状況であります。

 ですから、いわゆるビッグデータを使った取り組み、コネクターハブ企業の活動の活性化を基本とする地域経済分析システム活用による地方版総合戦略づくりというのは、地方中枢拠点都市圏の中心市への支援に限定をされて、周辺自治体や条件不利地域の小規模自治体の自主的な経済政策に生かされないんじゃないのか、こういう懸念を覚えるわけですが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 そういう御懸念がないように、工夫をいたしてまいります。何か切って捨てたような答弁になって恐縮なんですけれども。

 実際に、そういうところこそ支援をしていかなければならない。そういうところにそんな企業はないということであれば、これは困っちゃうわけですね。

 ですから、東京に本社があるようなところ、その出先だけではないと思うんです、その中核企業というのは。ビッグデータにおきまして地域をまさに興していくような企業というのはそれに限定をされないのだと思っておりまして、そういうものも地域の総合戦略づくりに生きていくように、これからビッグデータというのは、まだ完成しておりません、開発途上でございますので、委員の御指摘も踏まえてやってまいりたいと思っております。

 それから、質問の前段にありました、合併していないところほど元気じゃないかと。そうなんです。そういうところがあるんです。合併しちゃったところは、もう村役場もなくなっちゃいました、村長もいなくなりました、どこで何が起こっているかわからないという話が起こっておるわけで、そういうところに対してどういうケアをしていくかということにつきましては、私自身、強い問題意識を持っております。

塩川委員 中核企業というのは、実際には資本金一億から十億ぐらいのところを想定しているという話であります。そういった規模のものが実際にこういった条件不利地域の自治体に存在し得るのかという問題です。

 そういう点でも、今大臣がおっしゃったような、小規模自治体が自立して頑張っていく、まさに地域資源を活用していく、こういうことを進めていくことこそ重要であって、今回の法案で、総合戦略を国がつくって、都道府県でも市町村でもよろしくという枠をはめた、こういう枠組み自体に問題があるんじゃないのか、こういった枠組みをつくることがかえって小規模自治体の自主的な取り組みを阻害することになるのではないのか、こういう懸念を申し上げて、質問を終わります。

鳩山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 きょうは、最後の質問者ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 閣法並びに衆法について、それぞれお尋ねをしたいと思います。

 それでは、まず、民主、維新、みんな、生活の四党共同提案の国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案について伺いたいと思います。

 この法案は、政府案のどこに問題点があるのか、そして、それに対してどのように対応をしようとされているのか、わかりやすく御説明いただきたいと思います。

畑議員 村上議員にお答え申し上げます。

 これまでも、地域活性化政策というのは累次行われてまいりました。ただ、それが政府主導の政策という、中央主導で進められてきたということであって、これはそれぞれの時代背景があったとは思いますけれども、結果として今の現状になっている、地方の衰退がとまっていないという状況がございます。

 であればこそ、今この地方創生が国の重要課題になっているわけでありまして、これをしっかりと、今まで何が悪かったのか、そして、今までの地域立法がどうなのかということを抜本的に整理した上で、その検証をした上でやらなければ、やはり真の地方創生にはならないだろうと思っております。

 個別に申し上げますと、政府案は、基本理念は、これはもちろん反対するものではなくて、もっともなことが書かれているだろうと思います。さはさりながら、それを具体化する内容が全く書かれていないと言ってもいいなという認識を持っております。

 例えば、本部の設置とか総合戦略の策定とか、これは、会議体とか計画の数をふやすだけであって、石破大臣も新たな一括交付金なるものはおっしゃっておられますが、残念ながら、法律にはこれは全く触れられていない。こういうことを見ると、やはりなかなか問題があるだろうと思っております。

 それからもう一つ、先ほど来も議論がありましたが、法案全体が国主導の上から目線になっているだろうなと思っております。

 政府案では、国が総合戦略を策定して、都道府県や市町村はそれを勘案して地方版の総合戦略を策定するということが努力義務になっております。もちろん、ある程度の国の枠組みは必要であろうとは思うんですが、ただ、このスキームだと、やはり従来のスキームから抜けていないのではないかなという認識を持っております。結局、実質的に、地方は国の枠にはめられるという弊害が出てまいります。

 こういうことを勘案した上で、一方、私たちが提出いたしました野党四会派案でございますが、これは、まず、自公政権によって廃止されましたが、一括交付金を改良してリニューアルさせるものであって、そこから第一歩を始めようという思想になっております。

 この一括交付金の復活を皮切りにいたしまして、これは、道州制の導入を含めた、本日議論が多々ございましたが、国と地方公共団体との関係の抜本的見直しを図っていく。そういうことによって、地方がまず必要なことは、主体的に再生に動き出すという環境をつくるということであります。そこの環境をしっかり条文で担保してあげるという思想でつくっております。

 これまでの地方政策の失敗というのは、突き詰めるところ、やはり、一貫して、中央集権、各省の縦割り、あるいは地方自治の本旨が必ずしも尊重されてきたのかなというところだろうと思います。これは、もちろん時代背景がございます。高度成長の時代と今では違いますが、むしろ、今のこの時代だからこそ、それがより妥当とされる、地方自治の本旨が尊重されなければいけないだろうと思っております。

 結局、こういうことを踏まえまして、私たちは、地方公共団体と住民の発意、知恵とアイデアを引き出して、地域資源を生かして、地域の持てる力を最大限発揮させるための具体策が必要であって、そのためには、結論を申し上げますと、財源と権限を保障することが何よりも重要だと考えて、この法案を提出したところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まさに、日本の地方を活性化させていく、あるいは東京の一極集中を改善していく、その大もとは、今、畑議員も言われましたように、地方分権、いわゆる日本の統治機構を根本的に変えるところから出発しないと本当の意味での地方再生はない、私も同感でございますし、そういう法案のたてつけになっているということがよくわかりました。

 それでは、なぜ権限と財源を地方に大幅に移譲する抜本的改革が地方創生の観点から必要なのか、また、野党四党提出の法案において、抜本的改革との関係はどのようになっているのか、お尋ねしたいと思います。畑委員にお願いします。

畑議員 国の一律の基準、あるいは、中央が地方にぎちっと枠をはめるというか、そういうことで配分する予算を余りにも決め過ぎてしまいますと、地域の細かいニーズに応えることができないということが、もうこれはどなたでもおわかりになるだろうと思います。したがって、地域のことは地域で決められるシステムをつくらなければならない、それが抜本的改革の本旨であります。

 そのためには、まず、政策的補助金を一括交付金化していくことが必要だと思っておりますが、これだけではなくて、地方が目指す地域づくりが自主的に進められて、なおかつ安定した財源が得られるような地方財政システムをつくる、このことが究極の課題、目標だろうと思っております。

 いずれにいたしましても、一番身近な行政主体が、地域のニーズに応じて、そして、かつ、全国一律の基準ではなくて、地域に合わせた行政需要によって施策を行えるようにするということが必要だと考えております。

 このことは、実は、地域主権だけではありませんで、財政的な観点からも重要なことであります。

 財政制約、今、財政状況が厳しい時代であります。であればあるほど、無駄遣いを排して、地域の実情に細かく応えなければいけない。そのためにはどうすればいいかというと、やはり、一定の財政支出の中で有効に使うためには、地域に判断してもらう、このことが、財政の支援というか、財政のお金を有効に使うことにもつながるだろうと考えております。

 野党四党提出法案は、これは抜本改革が最終的には必要だという認識のもとで、国と地方公共団体との関係の抜本的改革を行うということをまず法案で義務づけております。もちろん、すぐにはこれはできないことはありますが、それまでの間として、当面、現実的な手法を考えておりまして、つまり、地域の実情に応じた一定の事業や事務を行えるようにするために、一括交付金の導入を行うというところをまず具体的に措置しようという考え方でございます。

 特に、民主党政権時代に創設されました一括交付金、そして、被災地の復興交付金もその延長線上にあるものでありますけれども、これはもちろん改善の余地はあるとは認識しておりますが、地方がみずから重点に据える事業を進めやすくしたことは事実であろうと考えております。これを出発点として、この問題を改善していく中で現実的に対応していくことが、地域主権とそういう現実的な要請をすり合わせたいい方法だと考えております。

 結局、政策的補助金の相当部分を一括交付金化していくことが望ましいわけでありまして、この改善の方策も、野党案においては、第五条の四項から六項までにおいて、その改善策を盛り込んでおります。すなわち、単なるばらまきではありません。地方が計画をしっかり策定して、そしてその検証をする、第三者のチェックを受ける、議会のチェックを受ける、そういうことをしっかりと組み込んでいるところであります。

 現行、この一括交付金もございますが、沖縄の一括交付金制度もありまして、こういうことを含めれば、構成、仕組みをしっかりとつくることによって、一括交付金は合理的な制度たり得るだろうと考えております。

 この野党四党案が成立するならば、国は、地方の声を聞きながら、使い勝手のいい一括交付金制度を設計、検討することになろうかと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 本当に、今お聞きしておりまして、政府案に対して、より具体的な施策を盛り込んでいるという点ですぐれている法案ではないかな、私もそのように考えております。

 続きまして、石破大臣にお伺いしたいと思います。地方創生のための法人税改革についてお伺いをしたいと思います。

 地方に企業の立地を促す場合、例えば工場なんかもよく立地を促すわけですけれども、工場の場合は、景気の変動によって撤退することもよくございます。また、有利なところにすぐ移動してしまうというケースもよく見受けられます。

 私は、本社あるいは物流拠点の立地を地方に促進するためには、インセンティブの働く支援措置が必要だというふうに考えております。

 欧米では、大企業の本社が一都市に集積しているという割合は極めて低いと言われております。この点の支援として、法人税を一律に低くするのではなくて、地方に立地する場合に政策的に低くするという手法がとられている。また、アメリカなどは州によって税率が異なるということは、御承知のとおりだと思います。

 しかし、我が国の場合は、法人税を上げるにしろ下げるにしろ、全国一律ということになっております。でありますから、どこに本社を構えても同じだということで、結局、一極に集中をしてしまうのではないか、そのように思っております。

 やはり、諸外国のように、それぞれの自治体によって税率を設定できるようにすることが抜本的な異次元の法人税改革のあり方だと考えますが、当面、東京都とその他の地方、地域での税率に差をつける、あるいは地方に本社並びに物流拠点を設ける場合は法人税の軽減を行うなど、現実的な施策が必要だと思いますけれども、石破大臣の御見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 法人税は国税でございますから、そうすると、一国二制度みたいなことをやっていいのかいという反論が必ず出るわけで、そしてまた、既に地方へ移しているところ、既に地方で立地しているところと、これから出るというところに差がついていいのかいとか、いろいろなお話が出るわけです。

 そういうことを言っていたら全然前に進みませんので、何が一番企業にとっていいでしょうかと。よく石川県の小松市、コマツの例が挙げられますが、では、何か優遇策があったからコマツはああいうような行動に転じたかといえば、そうではないわけですよね。

 この委員会でもお答えしたかもしれませんが、そんなにいいことがあるんだったらほっておいてもいろいろな企業が地方に立地するはずなんだが、それが進まないのは何でなんだろうかということは、私どもとして、よく経済界のお話を聞かなければいかぬことだと思います。

 議員おっしゃいますように、こんなに首都に本社が集中しているなんというのは、世界の中で日本と、韓国が似ているかもしれませんが、それだけの現象でありまして、これはユナイテッドステーツであります合衆国とは一緒に論ぜられませんけれども、ああいう国家ではなくても、地方に分散していっているところはたくさんあるはずですし、これから先の国家を考えたときに、大災害があったときに東京に集中していて本当にいいのかいという話は、国家の運営からもあるはずなんです。

 どうやったら分散が進むか、どういうのが一番有効かということについて、政府も考えてまいりますので、どうかこれからも御提言をいただきたいと存じます。

村上(史)委員 もちろん、法人税だけでインセンティブが働くというわけではないことは承知をしておりますけれども、より積極的に地方に本社機能あるいは物流拠点を移していこうとするインセンティブとしては、当然その問題も避けて通れないのではないかという視点から、今質問をさせていただきました。

 もう時間が参りましたので次の質問はちょっと割愛をいたしますけれども、いずれにしましても、私、きょうが初めての委員会の質問なものですから、いわゆる事前の流れというのはほとんど承知はしておりませんけれども、やはり、今問題になっているのは、上から目線で本当に東京の一極集中が是正できるのか、地方の創意工夫、また地方に合わせた、ニーズに合わせた施策が展開される必要がある、そのためには大幅な地方への権限そして財源の移譲が必要だということを強調いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 この際、内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案に対し、中丸啓君外一名から、次世代の党の提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂元大輔君。

    ―――――――――――――

 まち・ひと・しごと創生法案に対する修正案

 地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂元委員 ただいま議題となりましたまち・ひと・しごと創生法案に対する修正案及び地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 初めに、まち・ひと・しごと創生法案に対する修正案につきまして御説明申し上げます。

 これは、まち・ひと・しごと創生法案の附則に新たに二項を追加するものであります。

 第一に、政府は、まち・ひと・しごと創生には国と地方公共団体との関係の抜本的な改革が必要であることに鑑み、この法律の施行後一年以内に、道州制の導入を推進するために必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の道州制の導入の推進に関する規定を追加することとしております。

 第二に、政府は、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを通じて急速な少子高齢化の進展に的確に対応することが必要不可欠であることに鑑み、この法律の施行後一年以内に、当該施策と少子化社会対策基本法及び高齢社会対策基本法に基づく施策の統合を図るため、この法律の規定の充実、少子化社会対策基本法及び高齢社会対策基本法の廃止その他必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の少子化社会対策基本法等に基づく施策との統合に関する規定を追加することとしております。

 次に、地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして御説明申し上げます。

 これは、地域再生法の一部を改正する法律案の附則に、政府は、地域再生に関する施策とこれに関連する施策との連携の一層の強化を図ること並びに国及び地方公共団体を通じて行政の効率化及び一体化を図ることの重要性に鑑み、この法律の施行後一年以内に、地域再生計画に都市再生整備計画等を統合するために必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の地域再生計画とこれに関連する計画の統合に関する規定を追加するものであります。

 以上が、両修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮川典子君。

宮川委員 自由民主党の宮川典子でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、内閣提出のまち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案について賛成、また、民主党、維新の党、みんなの党及び生活の党提出の国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案並びに次世代の党提出のまち・ひと・しごと創生法案に対する修正案及び地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案について反対の立場から討論を行います。

 我が国は人口減少時代へ突入しており、今後さらに人口減少が進行すると予測されております。我が国の人口減少は、少子化の進行とともに、地方から出生率が低い東京に人口が流出することによって深刻化しております。このため、人口急減、超高齢化という課題に対処するためには、人口の減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保する地方創生が必要です。

 内閣提出のまち・ひと・しごと創生法案は、総合戦略の策定を通じて、国と地方が一体となって人口減少克服、地方創生のための取り組みを進めるとともに、政府における継続的な推進体制を整備すること等を目的としており、この法案の成立によって、人口減少克服、地方創生に向けた取り組みが強力に推進されます。

 また、地域再生法の一部を改正する法律案は、各省庁が持つ各種の地域活性化関連施策のワンストップ化等を目的とした法案であり、地方創生の実現のためには大変必要な法案です。

 これに対して、民主党等提出の法律案は、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の内容が不明確であり、また、新たな交付金制度を含め、人口減少克服、地方創生という課題に直接対応する内容とは言いがたいものです。また、道州制の導入や国の出先機関の地方移管など、地方自治体等の関係者との間で十分な調整が行われていない内容が規定されているなどの問題があり、賛同することはできません。

 また、次世代の党提出の修正案につきましても、地方創生と連携して推進していくべき少子化社会対策基本法等の廃止や、地域再生計画とほかの法律に基づく計画との統合、また道州制の導入について規定していることから、賛同できません。

 人口減少克服、地方創生は我が国にとって喫緊の重要課題であり、政府においては、内閣提出の二法案に基づいて、地方でこの法案に対して大きな希望と夢を抱いている地方の皆様の声をぜひ受けとめていただき、強力に取り組みを進めていただくことをお願いいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)

鳩山委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党・無所属クラブ、維新の党、みんなの党、生活の党提出の国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案に賛成し、政府提出のまち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。

 今、日本の地域社会は、若年層の東京圏流出等に伴う高齢化に加え、人口自体が減少し、地方自治の消滅すらまことしやかに論じられているように、危機的な状況にあります。

 これまでも、地方活性化構想として、古くは日本列島改造や、ふるさと創生、また、新産業都市やテクノポリスといった工場分散政策もありました。しかし、それらの政策はことごとく失敗し、地方の衰退をとめることはできませんでした。

 地方再生は国の重要課題であることは当然なのですが、政府が今回提出した法案では、これまでの政府の地域再生策を総括しているのか、そして、真の地方再生につながるものか、甚だ疑問を持たざるを得ません。

 政府提出のまち・ひと・しごと創生法案は、理念はもっともなことが書かれていますが、それを具現化する中身がほとんどないものと言わざるを得ません。

 また、その中心的内容は、地方の手足をさらに縛る、国の総合戦略を勘案して作成するとした、都道府県、市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略策定の努力義務であり、地方分権や規制緩和といった観点の規定はなく、安倍内閣の地方創生は、お上主導の上から目線のアプローチであり、分権改革の視点を全くかいま見ることができず、反対いたします。

 一方、野党四会派提出の国、地方関係抜本改革推進法案は、自公政権によって葬り去られてしまった一括交付金を改良してリニューアルさせるものであり、この一括交付金の復活を皮切りに、道州制の導入を含めた国と地方公共団体との関係の抜本的な見直しを図ることによってこそ、地方は再生へと動き出すものです。

 その土地で生まれ、育ち、日々その土地で暮らしを営んでいる地域住民の皆様の真摯な思いに応え、地方の知恵とアイデアを引き出し、地域資源を生かし、地域の持てる力を最大限に発揮させるための具体策として、時計の針を再び力強く前に進めるための第一歩となるものから、賛成いたします。

 なお、地域再生法の一部を改正する法律案は、まち・ひと・しごと創生法案と一体のものとしていることを鑑みて、反対いたします。

 また、次世代の党提出の政府提出二法案に対する修正案は、提示を受け検討いたしましたが、趣旨には賛同するものの、年限の規定等に同意できず、反対いたします。

 以上、討論を終わります。

鳩山委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 私は、維新の党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提案のまち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案について反対の立場から、また、民主党、維新の党、みんなの党及び生活の党共同提案の国と地方との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案について賛成の立場から討論を行います。

 まず、政府提案の二法案について、以下の四点から問題があることを指摘させていただきます。

 一点目は、二つの法案の内容が余りに乏しいことです。

 二法案には、基本理念、計画策定、本部設置、その他法律で定める必然性の乏しい規定ばかりが並んでおり、この法案が成立したところで、一体、地方創生に向け、どんな具体的な政策効果が期待できるのか、さっぱりわかりません。

 二点目は、地方分権、地方の自立の観点が、法文上、全く存在しない点です。

 過去における地方の活性化策は、長期的に東京一極集中を加速し、地方は疲弊する一方でした。国が大きな権限、財源を持ち、地方が国に依存する構造が続く限り、地方創生はありません。地方創生と地方分権、地方の自立は一体不可分なのです。

 権限と財源を地方に移譲し、自立した地方を制度的に構築することが不可欠です。過去の反省に立つことなく、中央集権体制を温存したままでは、何度やっても過去と同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。

 三点目は、まち・ひと・しごと創生法案に基づき策定されることとなる総合戦略と長期ビジョンに道州制の文言を盛り込むことについて、政府が検討する様子が全くないことです。

 四十七ある都道府県の姿は、明治時代から全く変わりません。国の意向を受けて市町村の指導や取りまとめを行う都道府県の姿は、中央主導の発展途上国型モデルの象徴であり、この国、県、市町村の三重行政は明らかに見直しが必要です。

 与党の公約に道州制を堂々と掲げているにもかかわらず、自治体からの反対意見があることなどを理由に、五十年も先の長期ビジョンに道州制の文言を入れることを検討する姿勢すらうかがわれないのは、明らかに不合理です。

 四点目は、安倍総理や石破大臣が繰り返し宣言しておられる、縦割り、ばらまきを排するとか、従来の延長線上にない、異次元の地方創生について、審議を通じて何度確認しても、従来の課題を多少改善する程度の内容の答弁しか出てこないことです。

 縦割り解消のためのワンストップ支援は、従来から内閣府などで何度も行われてきました。

 事業の効果検証を行うといっても、各省は既に地方創生の名目で空前の予算要求をしており、全国に国の財源をばらまく構造に変わりはなく、この法案が、ばらまきの法的根拠を与えるようなものです。

 自治体への国家公務員の派遣に至っては、従来型の仕組み以外の何物でもありません。

 一方、野党四党共同提案の法案は、こうした政府提案の二法案の問題点を踏まえ、東京一極集中と、その根本原因である中央集権の国家構造を転換することを基本理念とするものであり、法施行後速やかに、道州制の導入を含む国と地方公共団体との役割分担の抜本的な見直しや、権限、財源の移譲などを総合的に推進するために必要な法制上の措置を講ずることを国に義務づけるものです。

 その内容は、まさに地方分権と地方の自立に向けた本質的かつ長期的な展望に立った内容になっており、安倍総理や石破大臣のお言葉をかりれば、まさに国を挙げた異次元の地方創生にふさわしいものであると考えます。

 なお、次世代の党提案の修正案については、趣旨には大いに賛同いたしますが、野党四党提案の対案とのすり合わせが十分でなく、残念ながら、採決においては賛成いたしかねます。

 そもそも、地方の活性化、地方創生という政策目的に反対する政治家は与野党問わず一人もいません。だからこそ、これまで地方が疲弊してきた根本原因に対する答えを出す必要があるのです。

 今政府が提案している程度の政策では、消費税を増税して国の財源に余裕のできた分だけ、地方創生に名をかりたばらまきに充てられ、負の遺産だけが残る懸念があります。莫大な規模の予算編成を行う一方で、国会議員定数削減や行革努力を一向に実現しないままの再増税に誰が納得するでしょう。

 維新の党は、昨日、消費税増税凍結法案を提出いたしました。国民に負担を求める前に、国としての責任を果たすべきであります。

 維新の党は、地方が本当の意味で主役となり、自立した地方を構築することを目指すことを宣言いたしまして、討論を終わります。

 以上です。

鳩山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 私は、次世代の党を代表して、政府提出のまち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案、民主党・無所属クラブ、維新の党、みんなの党、生活の党の四会派提出の国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案、次世代の党提出のまち・ひと・しごと創生法案に対する修正案及び地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案について、次世代の党提出の修正案及び政府原案に賛成、四会派提出法律案に反対の立場から討論を行います。

 まず、政府提出のまち・ひと・しごと創生法案について申し上げます。

 まち・ひと・しごと創生法案は、その趣旨については評価できるものの、地方創生に係る具体的施策について全く規定がないばかりか、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革や、まち・ひと・しごと創生に関する施策と少子化社会対策基本法及び高齢社会対策基本法に基づく施策との統合など、まち・ひと・しごと創生のために不可欠である事項についても何ら方向性も示されておらず、不十分であると言わざるを得ません。

 そこで、政府案に対して次世代の党が提出した修正案では、道州制の導入を推進するために必要な法制上の措置や、まち・ひと・しごと創生に関する施策と少子化社会対策基本法及び高齢社会対策基本法に基づく施策との統合を図るため、この法律の規定の充実、両法律の廃止その他必要な法制上の措置について、それぞれ、この法律の施行後一年以内に講ずるものとしております。

 これにより、国と地方公共団体の適切な役割分担のもと、少子高齢化の進展に政府一体となって的確に対応することが可能となり、まち・ひと・しごと創生の取り組みが着実に前進するものと考えます。

 次に、政府提出の地域再生法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 我々次世代の党としては、地方の創生の実を上げるためには、地域再生に関する施策とこれに関連する各省の施策の一層強力な連携、国と地方公共団体を通じた行政の効率化及び一体化を図ることが必須であると考えます。この点で、政府案につきましては、その趣旨については評価できるものの、各省庁との一層の連携や行政の効率化及び一体化への取り組みがまだまだ十分ではないと考えます。

 そこで、政府案に対して次世代の党が提出した修正案では、政府案において、地域再生計画とあわせて提出することができることとされる別表の上欄に掲げる七つの計画について、政府案の施行後一年以内に地域再生計画に統合するための必要な法制上の措置を講ずるものとしております。

 これにより、政府間の連携や行政の効率化、一体化について、本修正案を通じて一層の推進が図られ、地方の創生の実を確実にするものと考えます。

 なお、四会派提出の法律案につきましては、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革について規定しており、この点については大いに評価しておりますが、一方で、市町村にとって必ずしも使い勝手のよくない一括交付金制度の復活を推進するものであることから、反対するものであります。

 以上をもって、私の討論とさせていただきます。

鳩山委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 私は、政府案に反対、野党四党提出の対案に賛成、次世代の党の修正案に残念ながら反対の立場から討論いたします。

 政府案に反対の理由その一。

 政府・与党案には道州制が一切盛り込まれていない。私たちみんなの党は、今後五十年の国と地方の形を決める法案に地域主権型道州制を盛り込み、権限、財源、人間の三ゲンを霞が関から地方に移し、地域のことは地域で決め、新たな成長を目指すのは当然と考えています。しかし、政府案では道州制のことは全く触れられていません。

 政府案に反対その二。

 政府案では、政府がまち・ひと・しごと総合戦略をつくり、これに沿って都道府県が基本的な計画をつくり、都道府県の計画に沿って市町村が基本的な計画をつくることとなっています。これこそ中央集権体制。国に右に倣えの発想で、地方が国の補助金頼み、交付金頼みの体制を維持したままです。これまでのばらまき政治と何も変わりません。

 加えて、審議について問題があります。

 まち・ひと・しごと創生法案が重要法案だということから特別委員会をつくりましたが、実際には、政府に対する審議時間はわずか十七時間十五分。これでは審議は不十分です。

 さらには、地方創生のためには本来、地方の声を聞かねばなりません。石破大臣も、地方には宝があると発言しています。そこで私は、地方公聴会を一回ではなくもっと開催すべきと主張してまいりましたが、残念ながら、与党側には全くその考えがありません。

 以上、政府法案の内容と審議の進め方から政府案に反対、野党四党案に賛成、次世代の党の修正案に残念ながら反対として、討論といたします。

鳩山委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、地方創生関連法案に対する反対討論を行います。

 今回の法案で、安倍内閣は一体何を行おうとしているのか。

 安倍総理が復活させた経済財政諮問会議などでは、人口減少の現状への危機感と諦めをあおり、こうした現状では行政サービスの集約と経済活動の活性化が重要だとして、集約と活性化を合い言葉にした議論が繰り広げられてきたのであります。

 本委員会に付託となった地方創生関連法案には、具体的な施策内容はほとんど入っておりません。しかし、基本方針や長期ビジョン、総合戦略に関する論点にはその一端が示されていることが、我が党の論戦によって明らかになりました。

 すなわち、「地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏における地域インフラ・サービスの集約・活性化」として、コンパクトシティーの形成や優良農地を含む農地転用の特例措置等の規制緩和の導入、公共施設等総合管理計画による施設等の集約とPPP、PFIの推進などが地域づくりの柱とされているのであります。

 また、医療や介護の制度から住民を追い出して、地域の自助、互助に委ねる動きが強められていることも重大であります。

 行政サービスを縮小し、住民の意思を置き去りにして民間参入とその利益を優先するやり方は、住民サービス、福祉の後退につながるのであり、断じて容認できません。

 そもそも、農業破壊や中小企業切り捨て、市町村合併などにより地方の産業と雇用を壊し、地方から魅力と活力を奪い、大型再開発のための規制緩和策で東京一極集中をつくり出したのは、自民党政治そのものであります。

 ところが、その総括も反省も全くないまま、財界、大企業が主導して策定した骨太方針や日本再興戦略改訂版、規制改革実施計画を実現するために集約と活性化を押しつけ、安倍内閣の成長戦略のための地方の構造改革を進めるなどというのは、本末転倒も甚だしいと言わねばなりません。

 今行うべきことは、農林水産業や再生可能エネルギーなど地域資源の活用により雇用と所得をつくり、医療と介護を確保して地域の安心を築くなど、住民自治の力を発揮して頑張る地方自治体の努力に応えることです。条件不利地域への地方交付税の大幅拡充、大都市圏への大型開発の見直しと、地域密着、防災、維持管理優先の公共投資への転換こそ行うべきであります。

 なお、民主、維新、みんな、生活の各党提出の法案及び次世代の党からの修正案は、道州制の導入を求めるものであり、いずれについても反対いたします。

 以上でございます。

鳩山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党を代表して、民主党、維新の党、みんなの党、生活の党、四党共同提案に賛成し、政府提案二法案に対して反対の立場から討論を行います。

 まち・ひと・しごと創生法案は、その内容に法律事項がなく、この法案がなければ地方創生が進まないという内容になっておりません。法案の中に実効性ある調整手続、推進手続さえ盛り込まれておらず、省庁の縦割りを打破して地方創生が進められるか疑問です。従来のように、各府省の施策の寄せ集めになるおそれがあります。

 私たちは、地域のことはその地域にお金も権限も任せるといった大胆な改革を行わない限り、地方創生は実現できないと主張してまいりました。地域に大幅に権限と財源を移譲して、財政措置の相当部分を地方がみずからの裁量で自由に使えるように措置してこそ、地域事情に即した効果ある施策を行うことができますが、本法案にはそのような内容が全く盛り込まれていません。

 また、今必要なのは、単なるワンストップの運用や一部の規制緩和ではなく、従来の地域活性化計画制度の抜本的な整理です。政府案は、従来の延長線上のものであり、とても異次元の地方創生策とは言えません。従来の地域計画制度の効果の検証を行った上で、その抜本的な整理を行いつつ、真に効果のある地方創生制度を立案すべきですが、政府案はそのようなものになっていません。

 私たちは、当然のことながら、地方創生は国政の重要課題と認識しています。しかし、政府案はそのようなものになっているでしょうか。その熱意が感じられるものになっているでしょうか。残念ながら、そうはなっていません。余りに内容がなく、問題が多いものであるため、政府提案の法案では地方創生が進まないことが明らかです。

 これに対して、私たち生活の党は、実効性ある施策を盛り込んだ法案として、民主、維新、みんなの党と共同で、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案を提案しましたが、与党の賛同が得られなかったことはまことに残念であります。

 私たちは、これからも真に効果のある地方創生策を引き続き提言していくことをお誓いして、政府提案の二法案に対する反対討論といたします。

 なお、次世代の党提出の法案につきましては、方向性は同じで、理解する部分も多いものの、異にするところもあるため、反対といたします。

鳩山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、馬淵澄夫君外七名提出、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、中丸啓君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、中丸啓君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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