衆議院

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第5号 平成27年5月15日(金曜日)

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平成二十七年五月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 新藤 義孝君

   理事 谷川 弥一君 理事 寺田  稔君

   理事 福田 昭夫君 理事 小熊 慎司君

   理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田中 英之君

      武村 展英君    谷川 とむ君

      とかしきなおみ君    中谷 真一君

      野中  厚君    平井たくや君

      福田 達夫君    宮川 典子君

      山田 賢司君    義家 弘介君

      緒方林太郎君    奥野総一郎君

      吉良 州司君    佐々木隆博君

      寺田  学君    木内 孝胤君

      篠原  豪君    村岡 敏英君

      稲津  久君    濱村  進君

      田村 貴昭君    宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   総務副大臣        二之湯 智君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 長屋  聡君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳田 正一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            丸山  進君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     武村 展英君

  加藤 寛治君     池田 道孝君

  平口  洋君     新谷 正義君

  山田 賢司君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     加藤 寛治君

  新谷 正義君     平口  洋君

  瀬戸 隆一君     山田 賢司君

  武村 展英君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、内閣府地方創生推進室次長若井英二君、総務省大臣官房審議官長屋聡君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、総務省自治税務局長平嶋彰英君、文部科学省大臣官房審議官徳田正一君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、水産庁長官本川一善君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君、中小企業庁経営支援部長丸山進君、国土交通省自動車局長田端浩君、防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 安倍総理は、成長戦略の一丁目一番地は規制緩和で、岩盤規制にドリルであけると言っておりますけれども、しかし、私から見ると、日本人がつくってきたよいものを、市場原理主義、新自由主義の考えにだまされて、破壊しているのではないかと考えております。今回も、戦争協力法案を初め、安倍総理はみずから美しい国を破壊しようとしているのではないか、そうしたことに早く気がついてほしい、こう願っているところであります。

 それでは、質問に入ります。

 順序を変えまして、せっかく石破大臣に参議院との時間をやりくっておいでいただいたのに、大臣に質問できるところまでたどり着くかというのがあるわけですが、まず、地方分権を進め地方創生を図る上で、あってはならない政府の暴走があったのではないかということで、そのことについてただしてまいりたいと思います。

 それでは、二番目の、行政不服審査法の目的及び審査手続などについてであります。

 一つ目は、行政不服審査法の目的についてであります。

 昨年、行政不服審査法は、五十年ぶりに抜本的な見直しが行われました。まだ新法が施行されていないようでありますが、その目的は変わらず、新旧ともに、「国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保すること」、そうしたことで、変わらないと思っておりますが、総務副大臣、行政不服審査法の目的は間違いございませんか。

二之湯副大臣 今委員がおっしゃったとおりでございまして、行政不服審査法は、国民に対して広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことによって、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的としております。

福田(昭)委員 この行政不服審査法は、あくまでも国民の権利利益を救済する法律で、政府や自治体を救済する法律ではありませんね。いかがですか。

二之湯副大臣 行政不服審査法第四条第一項は、行政庁の処分に不服がある者は、審査請求または異議申し立てをすることができるとしておりまして、不服申し立てができる対象を国民に限定せず、処分に不服ある者に広く申し立てを認めているところであります。

 このようなことから、一般に、国や地方公共団体の機関が一般の事業者等と同様の立場において処分を受ける場合には、不服申し立ての資格を有するものと解されております。

福田(昭)委員 それは間違った解釈だと思いますね。

 行政不服審査法、旧法を読んでみますけれども、第一条、「この法律は、」省略しますが、「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」ということで、国や自治体を救済するとはどこにも書いてありません。縦から横から読んでも、書いてありません。どうしてそういう解釈になってしまうんですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今副大臣が答弁したとおりでございますが、行政不服審査法第四条第一項におきまして、審査請求または異議申し立てをすることができるものとしましては、「処分に不服がある者」ということで条文が規定されております。

 これにつきまして、国民はもちろん入るわけでございますけれども、「処分に不服がある者」は国民に限定しているという解釈はしてございませんで、いわば、一般の事業者と同等の立場に置かれているものであればこれに該当するであろうと。そこに自治体とか、あるいは外国人、法人などについても、いわば、一般の事業者と同等の立場であればこの法律に乗ってくるであろうということでございます。

 逆に申し上げますと、固有の立場、国でないとできないような立場で行う事柄につきましてはここに乗ってこないであろう、そういう解釈をしておるものでございます。

福田(昭)委員 それは間違いですね。

 外国人は含めても、それは可能かもしれませんが、だって、第一条の第二項に何て書いてありますか。「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」というんです。

 ですから、国や自治体を救済するための法律をつくらなくちゃだめじゃないですか。つくっていないんじゃないですか。どうですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員言われていらっしゃいます国とか自治体というその立場が、いわば固有の、国でしか立ち得ないような立場の国ということであればこの法律に乗ってこないわけでございますが、国が行う事業につきましても、一般の事業者等と同様の立場において、法律上そういう立場において行う事柄についてはこの法律に乗ってくる、そういうことでございます。

福田(昭)委員 では、今の答弁が間違っているということをこれから証明していきますから、よく聞いていってください。

 それでは、二つ目の審査手続についてでありますが、皆さんのお手元にも資料の一が行っておりますけれども、現行法では、現状、左の方を見ていただきますと、審査請求人から審査庁に対して申し立てがあって、審理をした上で裁決をする、こういう手続になっているんですけれども、これでよろしいですね。

長屋政府参考人 概略を申し上げれば、このような資料のとおりでございます。

福田(昭)委員 それでは、次に、防衛省にお伺いをいたします。

 防衛省は、今回、沖縄県知事が辺野古の海の埋め立てを停止した、そのことに対して、行政不服審査法に基づいて申し立てをして、農水大臣から許可をもらったわけでありますが、どうした根拠に基づいて申し立てをされたんですか。

原田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 三月二十三日、沖縄県知事から沖縄防衛局長に対して、代替施設建設にかかわる作業の全てを停止すること、また、これに従わない場合は、沖縄県漁業調整規則に基づく岩礁破壊許可を取り消すことがある旨の指示が出されました。

 これを受けて、三月二十四日、沖縄防衛局長から農林水産大臣に対して、指示の取り消しを行政不服審査法第五条の規定に基づき求める内容の審査を請求したところでございます。

 審査請求の裁決までの間、沖縄県知事の指示の効力を停止することを同法三十四条第三項及び第四項の規定に基づき求める執行停止の申し立てをそれぞれ行ったところでございます。

福田(昭)委員 今、行政不服審査法第五条の規定に基づいてということでありますが、沖縄防衛局長から林農水大臣への審査請求書によると、地方自治法の第二百五十五条の二に基づき審査請求すると書いてありますが、これは間違いないんですか、不服審査法の五条で申請したんですか、どちらなんですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま政務官から御答弁申し上げましたように、沖縄防衛局長は、三月二十四日、行政不服審査法第五条の規定に基づき審査請求を請求したところでございます。

 行政不服審査法第五条におきましては、「行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。」その第一項二号におきまして、「法律に審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。」とされております。

 今回の措置におきましては、この法律といたしまして、先生御指摘ございました地方自治法第二百五十五条の二でございますけれども、その規定によりますと、法定受託事務に係る処分に不服のある者は、行政不服審査法による審査請求をすることができる、それの一号といたしまして、都道府県知事の処分に係る事務を規定する法律またはこれに基づく政令を所管する各大臣とされているところでございます。

 沖縄県の漁業調整規則につきましては、水産資源保護法に基づきます法定受託事務というふうに理解をしておりますので、沖縄防衛局長は、水産資源保護法を所管される農林水産大臣に審査請求を請求したという経緯でございます。

福田(昭)委員 行政不服審査法第五条に基づいて審査請求するという文言はどこにもありません。沖縄防衛局長が農水省に出した文書のコピーを私はいただきました。しかし、そこには、行政不服審査法第五条に基づいて審査請求するという言葉はどこにもありません。まずあるのが、「不服があるので、下記のとおり地方自治法第二百五十五条の二に基づき審査請求する。」と書いてあります。この条文は、今、後半に説明がありましたけれども、法定受託事務については上級官庁に請求することができるという条文なんです。

 したがって、問題は、沖縄防衛局長が審査請求人として資格があるかどうかということなんです。私は、行政不服審査法あるいは行政手続法に基づく審査請求人としての資格が沖縄防衛局長にはないと言っているんですよ。どうですか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど総務省からも御答弁ございましたように、一般に、国や地方自治体の機関が、その固有の事務においてではなく、一般私人と同様の立場で処分を受ける場合には、行政不服審査法に基づく不服申し立ての資格を有すると解されると理解をしているところでございます。

 今回の沖縄県漁業調整規則において許可が必要であることは、国であっても特に区別はなく、沖縄防衛局は私人の事業者と異なるところはないということを踏まえますと、沖縄防衛局が農林水産大臣に対し審査請求等を行うことは法令上可能であるというふうに理解をしております。

福田(昭)委員 それは法令上可能じゃないと私が言っているので、この後、しっかりまた議論したいと思います。

 皆さんのお手元にお示しをした昨年の資料を見ていただくとわかりますように、行政不服審査法についても、今回の不服審査法や手続法なども改正する法律案が昨年成立したわけでありますけれども、その目的は何だったかというと、処分に関し国民が行政庁に不服を申し立てる制度について、公正性の向上、使いやすさの向上、国民の救済手段の充実、拡大の観点から見直しを行ったんですね。

 したがって、行政不服審査法も手続法も、手続法の一部を改正する法律案、一番下に書いてありますけれども、ここにも、「事後救済手続を定める行政不服審査法の改正に併せ、国民の権利利益の保護の充実のための手続を整備」と書いてあるように、国や地方自治体は除外をされているんです。

 それでは、そうした審査請求人としての資格がないのに、農水大臣はそれを受けて裁定して、認めてしまったわけでありますが、これについて質問をさせていただきます。

 農水大臣は、審査請求人としての資格のない者から申し立てを受け、行政不服審査法に基づいて、沖縄県知事の海底面の現状を変更する行為の全ての停止の指示の効力を停止する決定をしたことになりますが、それに間違いありませんか。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 国の機関である沖縄防衛局の申し立てを農林水産省がなぜ認めたのか。

 沖縄県の漁業調整規則の第三十九条でございますが、岩礁破砕を行うに当たっての必要な許可におきまして、国が事業者である場合を特に除外はしておりません。

 このように、国が事業者である場合も沖縄県知事の許可が必要であることは、私人が事業者である場合と変わりはなく、沖縄防衛局にも申立人としての適格が認められるというふうに考えました。

福田(昭)委員 それは全くの詭弁です。

 それでは、次に、農水大臣の決定書の問題点について指摘をしたいと思います。

 農水大臣の決定書、いただきました。これを読んで、理由もそうですけれども、大変びっくりいたしました。

 まず、その主文でありますけれども、主文が「裁決があるまでの間、本件指示の効力を停止する。」というんですが、裁決はいつまでにするんですか。

本川政府参考人 法令の規定により、いつまでに裁決をしなければという規定はございません。私どもとして、今慎重に審理をしておるところでございます。

福田(昭)委員 それは余りにも無責任じゃないですか。

 では、埋立工事が終わるまで裁決しないんですか。幾ら安倍総理がオバマ大統領と会う都合があったといっても、これはもう一カ月半過ぎていますよね、三月三十日付で出していますから。そろそろ裁決しなかったらおかしいんじゃないですか。

 いつまでに裁決するかわかりません、それじゃ回答になりませんよ、長官。

本川政府参考人 私どもとして、沖縄防衛局からの申し立てを受けまして、沖縄県に対して弁明書の提出を一カ月の期限で求めたところであります。それが提出をされまして、私どもとして、また沖縄防衛局に対して一カ月の期限で反論書の提出をこの五月二十八日までに求めているところでございます。

 それをいただきまして、私どもとしてさらに慎重に審理をしてまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 とにかくびっくりするような対応をしておりますが。

 それでは、その次、「本件申立ての適法性について」ということでありますが、まず一点目として、「行政不服審査法第二条第一項の「処分」に当たると解するのが相当である。」こういうふうに書いてありますが、これは、審査請求人としての資格があるかどうかは別として、多分、処分に当たるのは私も処分に当たると思います。

 しかし、こうした問題は、本来ならば、沖縄県から国地方係争処理委員会に提出されて、そこで審議がされて裁定される問題だと思います。ですから、行政不服審査法の申請をする資格がないんですから、これで適法性というのを言うのは実はおかしいというふうに思います。

 また、二番目の、審査請求人の申し立てとしての適格についても、沖縄県の漁業調整規則第三十九条が、先ほど農水副大臣からありましたように、国が事業者である場合を特に除外していないからというのは、これはまさに詭弁であって、そもそも法律事項で審査請求人として認められていない。

 ですから、沖縄県の規則ではなく、行政不服審査法の第一条の目的にあるように、審査請求人となれるのは国民であって、国や地方自治体ではないということであって、まさに、そういう意味では、本件申し立ての適格性が沖縄防衛局長にはないというふうに私は判断をいたしますが、いかがですか。

本川政府参考人 私どもとしては、先ほど来総務省の方から御答弁いただいているような行政不服審査法の解釈に基づいて、適格性があるというふうに判断したところでございます。

福田(昭)委員 それでは、防衛省の審査請求書にもあるんですが、この三枚目に、「行政手続法における不利益処分に該当する行為である。」こう書いてあるんですね。

 しかし、行政手続法を読みますと、こう書いてあるんですね。行政手続法の第四条、「国の機関等に対する処分等の適用除外」というのがあるんですよ。いいですか、よく聞いてください。

 「国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において」、防衛省が主張しておりましたけれども、「固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。」と書いてあるんです。

 ですから、あなたと私は、まさに固有の資格において実はやれないんですよ。この法律は適用できないんですよ。この第四条、どういうふうに理解しているんですか。

本川政府参考人 これも先ほど来御論議いただいておりますが、「固有の資格において」になる場合には適用になりませんけれども、今回の場合には、固有の資格ではなくて一般私人と同じ立場に立って沖縄防衛局は処分を受けたということで、先ほど来議論されているように私どもとしても理解しております。

福田(昭)委員 どうも理解できませんね。まず基本的に、国が一般市民となるということはないんじゃないんですか。

 もし不服申し立てをするとしたら、この工事を請け負っている会社はどこですか。その会社が不服申し立てをするのならわかりますよ、基本的に。不利益を、工事をせっかくやろうとしているのに工事ができなくなってしまう、これでは工期もおくれて納付期限に納められない、だから、それこそ民間事業者が不服申し立てをするのならわかりますよ。

 防衛局長、防衛局は、これは私人じゃありませんよ。そう思いませんか。

本川政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど来総務省からも御答弁いただいているように、今回の場合には、固有の資格の場合に該当しない、一般私人と同等の立場に立っているというふうに私ども理解しております。

福田(昭)委員 これは、本当に国による違法行為、脱法行為ですよ。

 ですから、今度の新しく改正をした法律を読むと、除外法を、今度の新しい行政不服審査法には第七条の第二項で、「国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。」と、行政手続法にあった条文を今度は新しく行政不服審査法に載せたんですよ。

 これはやはり、国民の不服申し立て制度があっても国民を救済する割合が低いから、韓国よりも救済率が実は劣っているんですよ。ですから、隣の韓国程度、あるいはそれを上回るようにぜひ国民の不服申し立てを救済しようということでこういう条文が実は不服審査法にも入ってきたんですよ。それを全く、国までも適用させていくというのは余りにも拡大解釈し過ぎ。

 これは、これから裁判になればきっと裁判所が判断するのかもしれませんが、その前に法制局に聞かなくちゃならないかもしれませんが、きょうは法制局まで呼んでおりませんのであれですけれども、幾ら何でも法律の範囲を逸脱しています。

 安倍総理は、いつも何と言っているんですか、積極的平和主義の中で、法で支配される国々と仲よくすると言っているんじゃないですか。しかし、これはみずから法律を破っているということになりますよ。皆さん、そう思いませんか、総務省それから農水省、防衛省、それぞれどうですか。これは法律を破っているということになりませんか。

本川政府参考人 私どもとしては、現行の行政不服審査法に基づいて厳正に対応しているところでございます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、行政不服審査法等の趣旨にのっとって適正に審査請求を実施しているというふうに理解をしております。

長屋政府参考人 申し上げましたとおりでございますが、一般的に、行政不服審査法の解釈としましては、固有の立場にあって、国あるいは自治体でないと立てないような立場での行為については除外いたしておりますけれども、一般私人と同等の立場において処分を受ける場合にはその資格を有するという解釈をしてございまして、あとは、個別法の中でそれぞれにおいて解釈する、そういうことかと理解しております。

福田(昭)委員 長屋局長でしたか、私人の立場ということじゃないでしょう。

 この審査請求人の申し立ての理由、それから農水大臣が裁定した理由を読んでも、ここに書いてあるように、まさにこれによって、もし埋め立てを停止すると、国が大きな損害を受けると書いてあるんですよ。

 私人ならば、何でこんな国が大きな損害を受けるという理由を書くんですか。そうでしょう。私人なら、そんな、書けっこないでしょう。要するに、申請した理由も、国が大きな損害を受ける、裁定した方も、国が大きな損害を受けるという理由で裁定しているんですよ。これが何で私人なんですか。私人じゃないじゃないですか。どうですか。

本川政府参考人 沖縄県の漁業調整規則上、先ほど来議論が行われておりますが、国と、一般私人といいますか、一般の事業者と差別はされておりませんので、沖縄防衛局についても許可が必要である、そういうことでございますので、私どもとして固有の立場ではないというふうに判断したところでございます。

 それから一方で、この執行停止の要件で、重大な損害があるか、あるいは緊急の必要性があるかということにつきましては、まさにこれ自体、私どもの所掌にかかわる事柄以外にも、やはりその緊要性、必要性というのを判断する、ここは広く判断をするということでございますので、この普天間飛行場の代替施設建設といったような全体の事業目的から考えて、今御指摘のあった点について緊要性があるというふうに私どもとしては判断をしたところでございます。

福田(昭)委員 どうも理解できませんね。

 まさに公の理由で執行停止しているわけですよ。そうしたら、私人の人が公の理由を盾にして不服申し立てできないんじゃないですか。

 まず、法律の大原則によってください。目的は、国民を救済することですよ。どこにも国や自治体を救済すると書いてありませんよ。

 ですから、もしこの問題を解決するんだったら、ほかの法律ができていて、それで解決するならわかりますよ。しかし、この行政不服審査法、手続法を適用して執行停止にするというのは、余りにも無理なんじゃないですか。法律を破っちゃっているじゃないですか、これは。

 別に定めがあるという規定まであるんだから、別に定めをつくっておかなかったからこれを使っちゃったんでしょう。こういう事態を想定せずに、別な定めを、法律をつくっておかなかった、だからこういうことになっちゃった。そうなんじゃないんですか。自分たちが対応できるものがなくて、この行政不服審査法、手続法にすがるような思いでこういう申請をして、裁決したんじゃないんですか。違うんですか。

本川政府参考人 繰り返しになりますが、先ほど来総務省から御答弁いただいているような行政不服審査法に基づく解釈に基づきまして、私どもとしては法令にのっとって対応しているところでございます。

福田(昭)委員 わかりました。この問題は引き続きこれからまたやらせていただきますが、まず、やはり政府みずから法律を破るようなことをやっちゃだめです。今後さらに質問を重ねたいと思っています。

 時間がなくなっちゃったので、実はほかの質問もしようとたくさん用意していたんですが、公設民営学校につきましては後ほど文科部門の者が質問をするという予定もありますので、これは省略をいたしまして、せっかく大臣に来ていただいているので、地域再生法の一部を改正する法律案についてちょっと議論をしたいと思います。質問の要旨と違いますので、大臣、自由に答えてください。

 地域再生計画が先にあって、今回、後から地方創生の総合戦略ができたということで、さらに国家戦略特別区域法などもあって、どちらかというと整合性をとるのが非常に難しいような状況にあるのかな、こういうふうに思っております。大臣と私も何回か質疑をしておりますが、(三)の東京一極集中の是正と特区制度の考え方について議論をしてみたいと思います。

 それで、東京一極集中の是正を図るための本法律案による措置と、東京都等への国家戦略特区の指定といった地域活性化施策が、同一の地方自治体で同時に実施されるものと想定されることから、この一見矛盾しているかのように見える政府の判断についてどのように整合性が図られることになるのか、もう一度お答えいただきたいと思っています。

 大臣のたびたびの答えは、東京と地方がゼロサムの関係じゃないんだということをよくおっしゃいますが、しかし、御案内のとおり、日本の国は全国総合開発計画を立てて、幾次もの計画を立てて、地方が元気になるようにということでやってまいりました。そうした中には、農村地域工業導入促進法とか工業再配置促進法とか、そうしたことで一定の成果は上がっております。しかし、東京あるいは三大都市圏との格差はどんどん開くばかり。

 今までは、それこそ地方から東京へ、名古屋圏や大阪圏へやってくる人がおりましたけれども、地方圏でいよいよ子供を産んでくれる人がいなくなっている、地方から今度は東京や、あるいは名古屋、大阪圏にやってくる人さえも実はいなくなってしまうかもしれない、そういう非常に危機的な状況の中で、東京一極集中をどうやって是正するのか、この具体策が私はどうしても必要だと思うんですね。

 もう一度大臣から、そのお考えがありましたらお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 これは、地方に仕事がないというのが一番の理由だろうというふうに断ぜざるを得ないと思っております。

 東京に住まれる五十代の方、別に五十代には限りませんが、五十代の男性の半分は、できれば地方に行きたいんだという御意向をお持ちです。また、これはやや意外なところですが、十代、二十代の男女とも四七%が、できれば地方に移住したいと考えている。だから、金輪際地方なんかへ行きたくないと思っているわけではない。

 では、何でそれが地方に行かないのだろうかといえば、それは仕事がないのだ、あるいは、あってもそれが高い収入あるいは安定した雇用が得られないのだということだと私は思っております。

 昭和四十五年から五十二、三年にかけて、大体どこの地方もそうですが、人口が伸びた一時期があります。私どもの鳥取県もそうですし、あるいは栃木県もそうだったかもしれません。大体その一時期に人口が少しふえている。なぜかといえば、それは公共事業と企業誘致によって雇用と所得がもたらされた。だから、地方の人口増加というのがその時期にあった。

 では、今同じようなことができるかといえば、情勢を勘案して、極めて難しかろうと。

 そうすると、ミッシングリンクの解消とか、あるいは防災とか、マザー工場型の企業立地とか、そういうことはもちろんやりますが、かつてと同じことが無理だとすれば、どのようにして地域の生産性を上げ、今地方も人口減少が委員の御指摘のとおりありますので、地方に人がいっぱい余っていればそういう話は成り立たないのですが、地方の生産性を上げることによって、そこに高い所得と安定した雇用をもたらすということによってのみ地方の再生は可能となるのではないかというふうに概念的に私は考えております。

 地域地域において、まさしく総合戦略というのは、その地域のことはその地域でないとわからないので、ビッグデータあるいはRESASシステム等々を活用して、勘と経験と思い込みで政策を打つと間違えますので、数字に基づいて何をやるべきかということを的確に地方において立案をいただき、国としてはそれを支援するというのが今回の地方創生の考え方だと私は思っております。

福田(昭)委員 私も、大臣と共通する部分は非常に多いんです。

 ただ、私は、これから東京を国際都市として育てるという点については賛成ですけれども、やはりフランスのパリのように、今回は残念ながら国家戦略特区で既に容積率の拡大を認めちゃっているからなんですけれども、本来ならば、東京都は建ぺい率も容積率もこれ以上、現状維持で拡大させない、そういう縛りをやらないと、どんどん東京都は大きくなっていく。

 ですから、そういう縛りをかけた上で東京都を国際都市とするのにはどういうものが必要か、質の向上をさせるためにどういうものが必要か、そういうことをやはりやっていく必要があると思うんですね。

 今回、地方に進出する企業あるいは地方にある企業の拡充策、税制措置は、どちらも今までよりは物すごい税制措置になっていると私は思うんです。移転に対する考え方、また拡充に対する考え方、それこそどちらも、雇用促進税制も含めて、今までにないような対応になっていると思うんです。ですから、この対応で企業が本当に地方に移転してくれるのかということですね。

 ですから、このことに対しては、やはり石破大臣あたりから、グローバルな企業、世界的な企業はみんな地方に本社を持っていってくれ、それぐらいの宣言が必要だと思っているんですよ。

 御案内のとおり、日本の企業は日本国内だけじゃなくて世界を相手にして戦っておりますので、したがって、もうみんな地方に本社を持っていってちょうだい、地方で世界を相手に商売をするような、そういう会社として頑張ってほしい、そんなところまでいかないと、一番便利で、しかも権力が集中している東京に企業はやはり本社を置きたいんですよね。

 その辺のところをどういうふうに誘導していくかというのが難しい問題だと思いますが、その辺、いかがでしょうか。

石破国務大臣 企業は企業の論理で動きますので、霞が関、永田町で考えてもわからないことはいっぱいあるんだろうと正直言って思っております。

 経団連なり、経済同友会なり、あるいは日本商工会議所にお願いしていますのは、委員が御指摘いただきましたように、優遇税制は思い切ってしきました。これはもうすぐデビューというか、しますが、こんなにお得みたいなポスターを私はあちこちに張らせていただこうと思っています。それでもなお移転しないとするならば、それは一体なぜなんだろうかということは、民間に聞かないとこれはわかりません。

 よくコマツの例が挙げられるんですが、先般、私、大分県中津に行ってまいりました。そこはダイハツ車体が群馬から中津に移転しました。ダイハツの自動車としては、本社はもともと大阪なんですが、実際組み立てているダイハツ車体は群馬県から中津に移りました。そうすると、年間百人の社員が結婚をし、年間百五十人のお子さんが生まれました。

 ということで、地方の方がいかに優位かということ、何となく感覚として、花のお江戸にいた方が何となく格好いいものねというようなところがありはしないだろうか。では、教育はどうなんだろうか、医療はどうなんだろうか、介護はどうなんだろうか。どうすれば企業が合理的判断の結果として地方に移っていただけるかというのは、相当に詰めて考えなきゃいかぬことだというふうに思っております。

 ここはもう、連合の方々にも御意見を承って、労働者の観点からしてどうなんだということも私どもよく把握をして、実効性ある政策を早急に講じなければいけないと認識しております。

福田(昭)委員 私も、知事のときに、実は、全国初で、本社機能とか研究開発機能を持ってきたらば助成するよという仕組みをつくったんですよ。そしたら、それが新聞報道になったら、あっという間にみんなまねするようになっちゃったから、全く差別性がなくなっちゃったんですよ。何社かは立地してくれましたけれども。

 そういう意味で、今までにない税制措置が今回なされるということで、これは大歓迎なんですが、問題は、これで本当に誘導されるのかというのが、これからだとは思いますけれども。

 それからもう一つ、やはり大事なのは雇用の場。

 私は、若いときにどこで勉強したかというのが重要だと思うんですよ。大学とか高等専門学校とか、それが地方にあって、そこで勉強すればそこへの定着率というのは実は非常に高くなるんです。

 ですから、この辺、地方の大学に対する支援が今回ありますけれども、私立大学もみんな東京なんかに随分集まってしまったので、子供が減る中で地方に移転しろというのは、今は大変難しい環境にあるかと思います。しかし、五十年、百年先を見据えると、地方に大学が立地できる環境というのを地方の大学を応援する中でつくっていくことが大事かなというふうに思っているんですが、この辺、いかがでしょうか。

石破国務大臣 どこもかしこも同じ大学をつくるんだったら、結局東京の方がいいだろうというお話になるわけであって、では、東北大学なら東北大学、あるいは宇都宮大学なら宇都宮大学、鳥取大学なら鳥取大学、どこでもいいんですが、そこでなければ学べない学問というのがあるはずではないのか。そこで学んでそこにおいて就業するということが非常に有機的につながるような、そういう教育を行ってくれる大学に対しては、それは支援を厚くするというのが文科省のお考えだというふうに承知をいたしております。

 私ども、文科省ともよく連携をしながら、そういう地方の学校というのを応援していかねばならない。

 そして、地元へ就労してくれる子供たちに対して、奨学金の全部または一部を返還しなくてもいいという制度をスタートさせたいと思っております。

 これは、東京に学んで地元へ帰ってきていただいてもいいのですが、やはり地元で学んで、みんなが大学に行くようになったといっても、まだ行けないお子さんもたくさんあります。経済的に行けないお子さんがいっぱいいます。そういう方々に対して、奨学金の負担を全部または一部免除するという形によって地元の就労というのを促進する、そして地元特有の教育を行う、そういうことをやってまいりたいと思っております。

 また、委員も、知事の御経験がおありであります。どうか御知見を御教示賜りたいと存じます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 またいずれ質問をさせていただきます。

鳩山委員長 次に、佐藤ゆかり君。

佐藤(ゆ)委員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 大臣は五十五分に参議院本会議ということでございますので、時間が七分弱しか残されておりませんが、質問させていただきたいと思います。

 今回の一括、そして三法案の中の地方再生法案に盛り込まれました特例税制、これは、地方に拠点を設ける場合に優遇税制をする、あるいは東京二十三区から移転して地方の都市に拠点を設ける場合に優遇税制をする、二類型あるわけでございますが、いずれも、残念ながら、京都市ですとか大阪市、名古屋市といった地方のいわゆる大都市の政令指定都市が対象外になっているという問題がございます。これは、根拠法としては、線引きは、首都圏整備法等の五十年以上前の法律、首都圏の当時の人口密集を避けるためにできた法律を根拠に使って線引きをしたという経緯がございます。

 ただ、私はやはり、地方創生にとりまして、これからいよいよ政令指定都市の時代だというふうに考えております。というのは、県単位での動きというのは余りに地方創生にとってエリアとして大き過ぎる。そうしますと、権限は移譲しますけれども、基本的に、地方創生の核となるクラスターとして産業を集約し、オフィス機能というものを集約するためには、サービス産業などがそろっていなければ効率的なオフィス業務というのはできないわけでありまして、私は、これからは政令指定都市がリーダーシップをとっていくべき時代だと思っております。

 この観点で、実は、大阪では今大阪都構想というものが進められておりまして、まさに住民投票をやっているわけでございますけれども、大阪都構想は大阪市を解体して五つの特別区をつくるというものでございまして、そうしますと、これまでの大阪のよさ、政令指定都市としてのより大きな権限というものがなくなってしまうわけでございます。

 石破大臣にお伺いしたいんですが、政令指定都市としての核をつくることが創生にとって大事である、私はこういう意見なんですけれども、そのことにおいて、税制を、三年後の見直しにおいて、対象地域から今回除外されているこういう地域も見直す思考がおありになるか。

 そしてまた、都構想について言及いただけるかどうかわかりませんが、やはりこういう大阪のような伝統のある町の政令市というものは近畿経済を支える上で非常に大事であると思っておりますが、御所見があればお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 三年後の見直し規定というのは厳として存在をするわけでありまして、その間に今委員御指摘のようなことがどうなのかということは、私どもとして、思い込みを排除して虚心坦懐に見ていかねばならないことだと思っております。

 委員はあちらこちらの現場に精通していらっしゃいますから、私があれこれ申し上げることでもありませんが、では、例えば大阪というのを考えたときに、山形とか鳥取とかと比べてどうなんだろうねということを考えると、そこを支援の対象として残した場合には、山形に行くより、鳥取に行くよりも、やはり大阪だよねみたいなことになりはしないだろうか。やはり過密の度合いという形からいえば、より深刻なのは、いわゆる過疎地と言われるようなところではあるまいか。

 そして、先ほど東京の御議論もありましたが、関西圏に対しましては、大阪にしても兵庫にしても、いろいろな特区等々で支援を行い、医療として発展をする、あるいは製薬として発展をする、そういうような支援も行っておるところでございます。それを三年間見て、どういう形になるかということは、虚心坦懐にそのとき判断をすべきことだと考えております。

 地方分権推進法に何と書いているかというと、地方公共団体においては住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨とするというふうに書いてあるわけで、また分権も、都道府県から政令市に、あるいは能力のあるところはほかの自治体にもという形が流れとなっておるわけでございます。

 そうすると、住民に身近な自治体というのは何だろうか。やはり都道府県というのは茫漠というか、かなり広くて、住民に身近ということにはならぬのではないか。仮に、それが特別区ということで、住民が新しい区長を民主主義によって選ぶとすれば、一体どういう形になるのか。要は、ユーザーフレンドリーとして、住民に身近な自治体とは何であるかということが問われているんだろうと思います。

 国としては、やはり政令市というものに重きを置いて考えておるのは分権法の考え方だというふうに私は理解をいたしておりますが、まさしく大阪の府民の方々が、何をもってして住民に身近な自治体がそれぞれの問題を的確かつ迅速に判断してくれるかということが問われているのだろうと私は思っております。

 全ては住民投票によって決められることですので、私があれこれ申し上げることではございませんが、これは感覚によって決めるのではなくて、本当に何が府民の方々、市民の方々に身近な行政が迅速かつ的確な課題処理をするのに適しているかということが問われているのであろうというふうに考えておりまして、国として、政令市というものに権限を移譲するという考え方、身近な自治体が機能をより果たすべきだという考え方には変わりございません。

 ただ、やり方を変えれば全部解決するなどということは世の中にあるはずはないのであって、真摯な、本当に感情的ではない議論というものがいずれの立場においてもきちんとなされ、選択に資するものになることがあればいいなと個人的には思っております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 実際に今回の分権一括法でも、権限がまず国から都道府県に移譲されるものと、従来都道府県にあった権限が政令指定都市に移譲されるというふうになっております。

 ですから、大阪市の場合に、政令指定都市でなくなると、大阪府から大阪市に従来移譲すべきであった権限が、政令市がなくなるわけですから、移譲できずに、権限が残る形になります。そうしますと、大阪府は国から権限をもらい、従来のものは大阪府でとどめというと、かなりの権限が大阪府に集中する結果になるわけでございます。

 後で私申し上げたいんですが、府としてのいろいろな、これは大阪府に限らずさまざま都道府県でもありますが、国からの交付税のいわゆる流用の問題、国の政策というものをきっちりとそのとおりに実施していただけていない問題、こういうものもある中で、一方的な権限強化というものがどうなのか。特に大阪の場合には、政令市としての二重体制というのは極めて重要ではないかと私は思っているところであります。

 大臣のお時間は、まだ大丈夫でいらっしゃいますか。

鳩山委員長 参議院本会議出席のため、石破大臣は御退席いただいて結構でございます。

佐藤(ゆ)委員 大臣には、ありがとうございました。

 それでは、質疑を続けさせていただきたいと存じますが、今話をし始めておりました、地方交付税のいわゆる流用問題でございます。

 地方分権が進みますと、自治体に権限が進む。そうしますと、やはり自治体の、都道府県の独自の判断基準で政策の可否も判断をする。

 国の政策で基本的な政策、いわゆる地方交付税というのはそもそも何かといいますと、ある程度全国で国が守るべき、ある意味ナショナルミニマムのような、社会保障の最低水準ですとか最低の賃金レベルですとか、さまざまなそういうナショナルミニマムというものが自治体間でばらつきのないように、まずは国が税というものを徴収して、それを自治体に再配分していくというのが地方交付税のそもそもの位置づけになるわけであります。

 その国としてのナショナルミニマムの提供である地方交付税が、基準財政需要ではきちっと要求をされていながら、決算額の段階になると、その要求額どおり支出がされていない、いわゆる目的外使用をされている部分があるという問題がございます。

 例えば、具体的には、幾つかありますけれども、まず、小規模事業者向けの経営改善普及事業というのがございます。

 これは、小規模事業者支援促進法の第四条第一項で規定されておりまして、商工会もしくは商工会議所が実施する経営改善普及事業に必要な経費というものを都道府県が補助し、その場合には都道府県に対して国が補助することができるという法律になっております。これは、基準財政需要額の商工行政費に国から地方への補助の金額というのを算入して予算要求がなされているものでございます。

 実際に配付資料をごらんいただきたいんですが、一番最初のもの、これは大阪府における交付の要領でございまして、大阪府の場合の実施は、いわゆる経営指導に当たる経営指導員の人件費というものを人件費として計上しない形に変えております。ですから、これらの事業区分で、事業費の中に経営指導員の給与も全て込み込みで入れて、結果としてトータルで人件費を浮かしているという形になっております。

 一方で、おめくりいただきまして、これは福岡県からも資料をいただいたんですが、福岡県の同じ交付金の要綱ですけれども、これは人件費をそのまま支払う形式をとっておりまして、俸給ですとか扶養手当、調整手当、通勤手当というように、さまざま人件費を網羅する形式になっております。

 私は、優秀な経営指導員をこれから自治体間競争で各地から集めるときに、やはり人件費をしっかり見るという福岡県モデルの方が有能な人材を獲得しやすいのではないかというふうに思います。自治体間でこういうやりとりの要領に違い、ばらつきが出るということは、少々国の政策としては問題ではなかろうかというふうに考えております。

 実際に、この基準財政需要額で商工費に計上された大阪府の予算でございますけれども、要求額としては、この五、六年間、大体、小規模事業経営支援事業費として、三十九億円から、年々下がっても、最近は三十二億円あたりで推移しております。一方で、同じ事業費の決算額ですけれども、同じこの五、六年間で二十億円前後で推移しております。

 要するに、要求額に対して決算額が二分の一から三分の二程度にとどまっている、その残りの額というのは使途目的外に使用されているということでございます。ですから、国の政策がきっちりと自治体によって実施に移されていないという問題がある。

 もう一つ事例があります。それは、運輸事業振興助成交付金。

 営業用のトラックやバスというのは公共性が高い交通機関や輸送機関であるので、輸送コストの上昇を抑制する観点から営業用自動車と自家用車で営自格差を税率に設けたい、そういう議論が昔からありまして、そのかわりに交付金で戻そうという制度として始まったものであります。これも、地方交付税の基準財政需要額の商工行政費に予算が算入されているわけであります。

 配付資料の最後のページをごらんいただきますと、これも、私地元が大阪なものですから大阪の事例が多いわけでございますが、最近の「運輸事業振興助成交付金の削減状況について」という全国都道府県の一覧表でございます。

 これは、地方分権が始まって、一時地方自治体が反発をしたことがありまして、大幅削減に遭いました。例えば大阪府でございますと、中段ですけれども、平成二十三年に一〇〇%削減。要するに、基準財政需要の商工行政費でもらっている予算を一〇〇%ほかの使途目的に使っている、ゼロ円をこの交付金として出したということでございます。

 いよいよ、そういうすったもんだがあったものですから、打開のために、平成二十三年には運輸事業の振興の助成に関する法律というものを正式に制定しまして、そして九月に施行したことによって、これは努力義務として、都道府県というものは交付金を交付するように努めなければならないというふうに法的な根拠を与えた経緯があります。

 それ以来、大阪府についても、今年度、二十七年度の動きとしては四一・六%まで削減率が減ってきた、半分以上使うようになりましたということでございまして、ほかの都道府県ではほとんど今年度は基準財政需要額の算定基準どおりの交付になるであろうというふうに改善をしてきているわけでございます。

 そこで、きょうは国交省の方が陪席をしておられると思うんですが、手短に確認したいと思いますが、こうしたてんまつは、やはりこの法律を制定したことによって、交付金に法的根拠を与えることによって事態が改善したというふうに捉えてよろしいのでしょうか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 この法律は、制度の透明性の向上と交付基準額の確実な交付を確保するため、二十三年に制定されました。

 私どもといたしましては、法的な根拠に基づく届けの努力義務ということでありますので、交付金の確実な交付が行われるように、これまでも都道府県に対して働きかけを行ってきたところであります。

 今後も、確実な交付に向けまして、この法律の趣旨を理解していただくよう、都道府県への働きかけを行ってまいりたいと考えております。

佐藤(ゆ)委員 やはり法律の根拠がないと、この法律ができる前は単に交付金をやってくださいという行政通達で行っていたわけでありますが、それに対して地方自治体が反発して、削減をしたという経緯があります。

 ですから、これから地方分権を進めて、地方には地方で、独自の政策で、その地域地域のいい面をうまく生かしながら地方自治の時代に向かっていっていただきたいと思うと同時に、国の政策をその中で整合性をどうとるかというときに、すみ分けとして、国の政策で交付金はきちっと地元におろして、自治体で実施をしてくださいというときに、単なる行政通達などでなくて、やはりそれぞれの法律の、根拠法の中に、できれば努力義務ですとか、あるいは義務化とか、そういった自治体に向けての規定というものを条文に一言加えることで明確化するのではないか、こういう問題を避ける一つの策ではないかというふうに考えるわけであります。

 私がなぜこの問題にそれだけこだわっているかというと、実は、もう一つ重大と思う問題があるからでございます。

 それは、臨時財政対策債の問題でして、いわゆる臨財債の積立金の問題でございます。

 臨時財政対策債というのは、地方公共団体が、基準財政需要額に対して基準財政収入額を差し引いて、その差額である不足額について、臨財債を発行して一時的に財源の不足額を補うという趣旨の債券でございます。

 この債券を発行する際に、これも基準財政需要額の公債費というところに計上をして、この公債費の額を毎年国は地方に地方交付税という形で渡しているわけでございます。この渡された額というのは、地方自治体は、逆に今度は債券が一括償還期を迎えたときに元利一括償還ができるように、減債基金というそのための積立基金に回して積み立てておかなければいけないことになっております。

 ただ、ここが問題でして、実は、地方交付税で渡しているものですから、ある自治体からすると、これは地方の自主財源だということで、積立金に回さず、ほかの使途目的に使ってしまっている。要するに、将来満期を迎える、元利一括償還を迎える債券の残高に対して積み立て不足になっているという問題、深刻な財政問題を来している都道府県があるわけでございます。

 例えば、実は、これは残念なんですけれどもやはり大阪府でございまして、いわゆる交付税の流用問題で全国最多の額を抱えるのが大阪府でございまして、二〇〇二年度から二〇一二年度までの累積で流用金額が大阪府は四百二十五億円に上っているわけでございます。

 ですから、こういう問題を考えますと、いざ臨財債の償還を迎えて資金が足りないということになるとやはり大変な自治体の財政問題になりますし、そもそもきちっと管理をしていかなければいけない問題でありまして、そうしますと、もとを正して、私は、根本的に臨財債の財源を地方交付税という一般財源で渡すことに誤りがあるのではないか、根本的な問題がそこにあるのではないかというふうに考えるわけであります。

 そこで、二之湯総務副大臣にお伺いしたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、地方交付税というのは、そもそも、国が、ある意味いろいろな分野でのナショナルミニマムというものの地方のばらつきをなくすために一旦国で税収を集めてそれを地方に再配分する、そういう位置づけで始まっているわけでございます。

 そういう位置づけで基準財政需要額に乗せられて国から地方に渡している金額、そういう政策的な趣旨のものが違う目的に使われているとなりますと、それを防ぐためには、先ほど国交省の方からも御答弁いただきましたけれども、運輸事業に関する交付金については、平成二十三年に法的に立法措置がとられて、根拠法ができて努力義務が規定としてなされて、それである程度問題が解決してきた、改善に向かっているということがあるように、ある程度やはり法的な根拠、きっちりと義務化なり努力規定というものを設けて、自治体にそれを課すというような条文の変更。

 あるいは、一定の期間、継続的に予算のいわゆる流用を続けているような費目があれば、それに対する基準財政需要額の積算はある程度もう国から削減をする措置をとる。

 あるいは、それでも是正されない場合には、やはりこれから分権化で地方にますます権限が移譲されて地方で自由にやってくださいという時代になるわけですから、国が最低限やらなければいけない政策あるいは国のグランドプロジェクト、こういうものについては、大事なものはかつての時代のように国庫補助金で直接やるとか、その辺のめり張りのある資金繰りというものをやっていかなければいけないのではないかなというふうに考えておりますが、二之湯副大臣、もし御所見があればお願いいたします。

二之湯副大臣 お答えいたします。

 今の佐藤ゆかり議員の地方財政に対する考え方、おおむね私も、同感するところが大変多いわけでございます。

 しかし、現行の法制度の中では、地方に配分された地方交付税は、いわゆる地方自治の自主自立という精神のもとで、地方自治体が自由に使える、こういうことになっておりまして、今先生がおっしゃっていますように、事実上使途が限定されたものを補助金化するということは、やや地方自治の趣旨に反するものではないか。こういうことでございまして、なかなかこれを国庫補助金化するということはできにくい、このようなことを思うわけでございます。

 そして、先ほど大阪府の例をとられましたけれども、いわゆる臨時対策債、これに対する減債基金を取り崩して使っているということ、そのためには、やはり議会にもあるいは府民にも、大阪府の財政状況を明らかにするというか、見える化するということが非常に重要であるわけでございます。

 総務省の方も、最近は総務大臣が各地方自治体に、発生主義と複式簿記を導入するようなことを要請したところでございまして、これからこの三年ぐらいにかけて、地方自治体の財政状況が非常に明らかになって、お金の使い道も非常に厳しくなってくるのではないか、このように考えております。

佐藤(ゆ)委員 補助金に戻すというのは若干時代をさかのぼるような話でございまして、今副大臣から御答弁いただいたとおりでございます。

 むしろ私が提言をしたいのは、運輸事業の交付金について法整備をした後改善に向かいましたように、地方自治の時代というのは、平成十二年の分権化の一括推進法のときに、それに合わせて、国の地方への関与の仕方というものを法定主義という形で、法律で決めた枠組みの中で国と地方がつき合いましょうという、法定主義という規定を地方自治法の中に置いたわけでございます。

 そういう意味では、法律的に決めれば国と地方の関係というものはきっちりとこれからもうまくタッグを組んでいけるということだと思いますので、平成二十三年に制定した運輸事業の振興助成金に関する法律、こういう努力規定というものを個々の法律に設けることによって、使い道についてはかなり問題解決に向かうのではないかということをぜひ提言申し上げたいというふうに思います。

 そして、最後に、先ほど副大臣からあわせて言及をいただきました複式簿記への移行の件でございますが、私はこれは大賛成でございます。ぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

 ちょうどことしの一月に、総務大臣通達で、全国の地方公共団体に、これまでの現金主義、単年度主義の公会計から発生主義そして複式簿記の地方公会計への移行を促す要請というものをしたということで、二十九年度までにこれを全国の地方公共団体で導入してくださいという通達が出たとおりでございます。

 これは、先ほどの臨財債、こちらに新藤前総務大臣もおられるわけでございますけれども、臨財債の問題も、要は、負債を抱えていながらどれだけ積立基金があるかということは、今の単年度主義の簿記の現金主義ではなかなか見えないんです。どのぐらいの財政状況になっているか、あるいは減価償却費とか職員の年金の引当金とか、こういう将来的な債務というものは今の公会計ではなかなか見えない。

 ですから、やはりトータルに見ながら、その中で、地方創生についても、財政をにらみながら地方とつき合っていくということが極めて大事だと思っておりますので、ぜひ、総務省におかれましては、複式簿記化というものを積極的に進めていただきたい。

 そういうことで、私の質疑を終わらせていただきます。

鳩山委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時五十九分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 いよいよきょうから、地方創生三法案、地方分権一括法案、地域再生法改正案及び国家戦略特区改正案の審議が始まりました。

 きょうは、地方分権にかかわって、今最もホットな話題であります大阪市における住民投票について質問したいと思います。

 石破大臣は、三月二十七日の当委員会で、自民党のとかしき議員が大阪都構想について、目的と手段を取り違えている、統治機構を変えれば全部がバラ色になる、そんなことは絶対あり得ない、こう指摘したのに対して、「手段さえ手に入れれば全部うまくいくんだというような、そういうような錯覚に陥ってはならない」と御答弁されました。

 まず確認いたしますが、この認識は変わっておられませんね。

石破国務大臣 全く変わっておりません。

宮本(岳)委員 しかし、橋下氏と大阪維新の会は、大阪都で大阪の未来はバラ色と、何もかもうまくいくような、そういうことをおっしゃっております。二重行政の無駄をなくせば年間四千億円の財源が生まれると一方的に説明をされております。

 まず、大阪府と大阪市の間に二重行政の無駄というものがそもそも存在するのかという問題であります。

 きょうは、資料一に大阪維新の会のビラをつけておきました。二重行政解消のための改革として、大阪市民病院と府立病院の統合、大阪市立大学と大阪府立大学の統合等々が掲げられております。

 そこで、きょうは文部科学省に来ていただいておりますけれども、まず確認いたしますが、大阪市立大学と大阪府立大学は、それぞれ独自の歴史と伝統、役割を持ち、大阪で重要な役割を果たしてきたと私は思います。文部科学省は、そのどちらか一方が無駄だと考えておられますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 公立大学は、制度上、地方自治体が設置する及び管理するものでございまして、その存在意義につきましては、設置する地方自治体が主体的に判断するものと考えておるところでございます。

 御指摘のように、大阪府内には、大阪市が設置する大阪市立大学と、大阪府が設置する大阪府立大学の二つの公立大学がございますけれども、両大学は、それぞれの機能、特色、歴史的な経緯を踏まえて多様な教育研究活動を展開しているものと認識しておるところでございます。

宮本(岳)委員 当然です。

 全国に都道府県立大学と政令市立大学の両方を持っている県は、大阪以外に、北海道、神奈川、愛知、京都、兵庫、広島、福岡と七道府県あります。愛知や京都は府県立二大学、政令市立一大学、福岡に至っては県立三大学、政令市立一大学、合計四大学存在しております。

 重ねて聞きますけれども、大阪市以外から、これらの大学が二重、三重行政であり、無駄だという声が上がっている事実がありますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省に対して、同一県内に複数の設置主体による公立大学について、二重行政というふうな御指摘をいただいているところはございません。

宮本(岳)委員 一つもないということであります。当然であります。大体、大学が無駄だという議論がどこにあるかと言わなければなりません。

 東京では首都大学東京一つではないかというわけですけれども、東京は条件が全く違います。

 重ねて文科省に聞きますけれども、東京に国立大学は何大学ありますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 東京都内に設置されている国立大学は十二大学ございます。

宮本(岳)委員 首都であるからこそ、東京には国立大学が十二大学も存在いたします。大阪には大阪大学と大阪教育大学、たった二つなんですね。

 次に、図書館についても、大阪維新の会は、大阪府立図書館と大阪市立図書館が二重行政だ、こうおっしゃっております。

 しかし、この二つが隣り合って建っているというのであればともかく、それぞれ別の場所に建てられております。市立図書館のうち最大規模のものは大阪市立中央図書館でありますけれども、これは大阪市西区に、大阪府立図書館はもともと北区中之島にありましたが、今は大部分が東大阪市、こちらに移っておりまして、大阪市外に移転をいたしました。

 これも文部科学省に確認をいたしますが、図書館が住民の身近に数多くあるということは、もちろん、先ほどの答弁のとおり、自治体が判断するものではありましょうけれども、文部科学省として、生涯学習推進上よいことだと私は思いますけれども、いかがですか。

徳田政府参考人 お答えいたします。

 図書館は、国民の教育と文化の発展に寄与することを目的としておりまして、図書館の設置や運営のあり方については、社会教育のための機関として住民に対して適切な図書館サービスを行うことができるよう、それぞれの地方公共団体によって地方の実情に応じて判断されるべきものと考えております。

宮本(岳)委員 ここに、東京の図書館の資料をいただいてまいりましたけれども、東京都は中央図書館と多摩図書館、都が二つの図書館を持っております。区が持っている図書館に至っては膨大な数があるわけで、もちろん、図書館の数というのは、住民の身近に、大いに役立つものが必要なわけですね。

 次に、スポーツ施設を聞きましょう。

 先日、スポーツ庁の設置法案の質疑でも私は指摘をしましたが、大阪維新の会の皆さんは、府立難波体育館と大阪市立中央体育館が二重行政である、こう主張されております。

 しかし、この二つの施設は、府立体育館は主にプロスポーツの利用が多く、市立中央体育館はアマチュアスポーツのメッカとして役割を果たしてきました。これを一つにまとめてしまいましたら、大相撲大阪場所の間は体育館が使えないということになってしまいます。

 質疑でもただしましたけれども、これらのスポーツ施設は、スポーツ基本法の立法趣旨に照らしても、決して無駄ではありませんね。

久保政府参考人 スポーツ基本法におきましては、国及び地方公共団体は、国民が身近にスポーツに親しむことができるようにするとともに、競技水準の向上を図ることができるよう、スポーツ施設の整備等、必要な施策を講ずるように努めなければならないとされておりまして、この趣旨を踏まえて、大阪府及び大阪市におきましても、地域の実情に応じて住民がスポーツに親しむことができる環境を確保する観点から整備に取り組んでおられるものと考えております。

宮本(岳)委員 それぞれに独自の役割があるわけですね。

 次に、二重行政を排除するという名目で、大阪府と大阪市の信用保証協会が統合されました。府内事業所の四六%が集まる大阪市が独自に信用保証業務を行う意義は小さくなかったと私は思います。

 全国には、神奈川県と横浜市、川崎市であるとか、愛知県と名古屋市など、県と政令市の両方が信用保証協会を置いている例はほかにもあります。これらはそれぞれに重要な役割を果たしていると私は思いますけれども、中小企業庁、いかがですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 信用保証協会は、各地域の発意などにより、信用保証協会法に基づく手続を経ることで設立することができます。実際に、各地の信用保証協会は、地元の地方自治体関係者や商工関係団体等が中心となって設立されております。

 御指摘いただきました四つの市の信用保証協会につきましても、神奈川県に二つ、横浜、川崎、それと愛知の名古屋市、あと岐阜県にございますが、昭和二十年の前半に県の信用保証協会に先駆けて設置されたという経緯がございます。

 各地の信用保証協会は、現在も、地方自治体や地元の地域金融機関との緊密な連携をしながら、独自の取り組みとして、みずからも事業者への経営支援に取り組んでいるというふうに承知をしております。

宮本(岳)委員 独自の意義を持って仕事しているということでありました。

 大学、図書館、体育館、信用保証協会、大阪維新の会の皆さんが二重行政の無駄と主張されているものは、ことごとく二重でもなければ決して無駄でもないということが明らかになりました。

 結局、唯一残ったものは、大阪市が建設した旧WTCビルと大阪府が建設したりんくうゲートタワービルという二つの超高層ビルの失敗だけであります。

 しかし、これは二重行政の失敗ではありません。バブル型の無駄な大規模公共事業の典型であって、だからこそ、我が党は当初から、そのどちらにも反対をしてきたわけであります。この二つのビルは、二つあるから無駄なのではなくて、たとえ一本だけでも無駄遣いだと私たちは言ってまいりました。今では、これを推進してきた党派の皆さんも、維新が言う旧WTCとりんくうゲートタワービルの失敗は、二重行政によるものではなく政策の誤りによるものだと認めておられます。

 ところが、維新の会は、資料二につけましたけれども、維新プレスという出版物で、「これまで市役所のムダ遣いを許してきたのは、自民党、民主党、公明党、共産党です。」などと書き、事もあろうに、我が党までこの二つのビルの建設に賛成したかのような事実無根の宣伝を行っております。

 このビラは、もう一つ注意していただきたいのは、安倍内閣の与党である自民党や公明党を今申し上げたように攻撃しながら、下には、安倍首相の一月二十七日の本会議答弁を引いて、「政府はしっかりと都構想をバックアップしてくれます。」と書いてあります。

 石破大臣、こういう主張を政府はバックアップするんですか。

石破国務大臣 総理が申しておりますのは、住民投票で賛成多数となればということを総理は申し上げております。これは、あくまで住民の皆様方がお決めになるものなのであって、大阪の住民の方々が地域の主権者として権利を行使されて、そうなったとすればということを総理は申し上げたわけでございます。

 これは、私も総理じゃないのでわかりませんが、「政府として必要な手続きは進めると答弁。」そこまでですから、そこまでは間違いない事実であって、そこから先のお話は、大阪維新の会が総理の意向をそんたくしてお書きになったのではないかと推測をいたします。

宮本(岳)委員 はっきり申し上げて、徹頭徹尾事実をねじ曲げて、逆に、反対する自民、公明、民主、共産、全ての党に対して、反対派の情報は全てうそ、こう吹聴して今住民投票をやっている。

 では、どちらがうそか、一つ一つこれから確認をしたいと思います。

 今回の住民投票は大阪都をつくるものではありません。大都市地域特別区設置法に基づいて、政令市である大阪市を廃止して、五つの新たな特別区を設置することを問うものであります。

 高市総務大臣も、先日五月十二日、参議院総務委員会での答弁で、これによって大阪府という名称が変更されるものではないこと、この住民投票で賛成派が多数となった場合、大阪市は廃止されると明確に答弁されました。

 これは総務省の副大臣にお伺いしますが、この答弁は事実ですね。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 五月十二日、参議院総務委員会で高市総務大臣が答弁したとおりでございます。

宮本(岳)委員 ところが、資料三につけました、「大阪に、大きなチカラを。」と題された大阪維新の会のビラを見ていただきたいんです。

 協定書が住民投票で賛同されれば、矢印をして、「大阪都になる」と、まるでそれだけで大阪都が実現するかのように書いてございます。また、「五つの特別区ができる」と書いてはありますけれども、大阪市が廃止される、このことには一切触れていないわけですね。

 これは、総務省に聞きますけれども、住民投票の説明としては極めて不正確ではありませんか。

時澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 総務省といたしましては、国に提出されました協議書につきまして同意を与えるべく、その中身について詳細に判断をしたところでございますけれども、その後の広報等につきましてコメントする立場にはございませんので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 いやいや、しかし、このビラは冒頭に「速報!」として、「総務大臣から、大阪都構想の設計図の内容について問題なしとの意見が出されました!」こう書いてありますから、あたかも総務大臣がお墨つきを与えたかのような表現になっております。このことについては、先ほど答弁があったように、先日の参議院総務委員会でも高市総務大臣御自身が明確に否定をされました。

 しかし、そういう説明のもとで、大阪都詳細設計図が住民投票で賛同されれば大阪都になるのだとこのビラは書いているんですが、これは不正確な説明だということでいいですね。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 大都市地域特別区設置法第十条におきまして、同法に基づき道府県に特別区が設置された場合、法令の適用につきましてはその道府県を都とみなすとされておりますが、同法には、道府県の名称については特段の規定は盛り込まれておりませんで、仮に、同法に基づきまして大阪府に特別区が設置されることとなった場合におきましても、大阪府という名称が変更されるものではございません。

宮本(岳)委員 極めて不適切な説明だと思うんですね。

 今、維新の会の皆さんは、五つの特別区というものは東京二十三区を上回る権限を持つ一般市以上の自治体です、こういう宣伝をされております。果たしてそうか。

 これも総務省に確認をいたします。

 普通、一般市であれば、行う事務のうち、今回の協定書に特別区がやらないと定めているものがあると思うんですけれども、それは何ですか。

時澤政府参考人 大阪府・大阪市特別区設置協議会が策定いたしました特別区設置協定書によりますと、通常、市区町村が処理する事務でございますが、都道府県が処理することとし特別区が処理しないこととした事務といたしまして、下水道の整備、管理に関する事務、用途地域等に係る都市計画の決定に関する事務、消防、救急に関する事務が挙げられるところでございます。

宮本(岳)委員 当然、一般市ならば行う事務のうち、特別区にはできない、やらない事務は厳然としてこうして存在するわけですね。到底一般市以上などと言えないことは明らかだと思います。

 今、大阪維新の会の人たちは、私たちが大阪市を廃止して五つの特別区に分割したら税収が四分の一に減ってしまうと指摘していることについても、全部うそだと言っております。財政調整交付金の話を持ち出すわけですけれども、調整交付金は税収とはいいません。

 正確を期するために確認をしますけれども、平成二十五年度決算で、大阪市の税収は市町村税の合計で幾らか。仮に、大阪市を廃止して五つの特別区にした場合、特別区が直接徴収することになる市町村民税は、平成二十五年度決算額から計算すれば幾らになるか。そして、それは現状、大阪市である場合の何%になるか。自治税務局からお答えいただけますか。

平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、平成二十五年度決算額で、大阪市の市税収入は約六千四百十一億円となってございます。

 今回の、もしなった場合にどうなるかというのは、それぞれ、その後にどういう超過課税をするかとかもございますので断定的には申し上げられませんが、現行の都の特例でいきますと、特別区財政調整交付金の対象となる普通税である法人の市町村民税、固定資産税、特別土地保有税を都は特別区の存する区域において課するものとするとされておりまして、また、目的税である事業所税、都市計画税を課することができるとされております。

 これを今、現行のまま分割されるといたしますと、都区財政調整交付金の対象である普通税で約三千九百二十四億円、目的税で七百九十億円となります。よって、現在の大阪市の税収のうち特別区の税収となるものは約千六百八十九億円、その税収に対する割合は約二六・三%となるところでございます。

宮本(岳)委員 約二六・三%、四分の一になるということですね。税収で論じるならば、紛れもなくそういう数になる。これはまさに事実が確認されました。

 残りの四分の三は大阪府が徴収し、財政調整交付金として特別区に戻すというわけですけれども、これとて全額ではありません。

 さらに、大阪が東京と単純に比較できないのは、東京都は地方交付税の不交付団体であるのに対して、大阪は、大阪府も大阪市も交付団体であるということですね。

 普通地方交付税の交付額は、平成二十六年度で、大阪府に二千七百四十五億円、大阪市には三百五十七億円、国から直接交付されております。これが五つの特別区になったら、この大阪市に交付されている三百五十七億円の地方交付税は、国から五つの特別区に直接入るということになりますか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づきまして、特別区を包括する道府県は、地方自治法を初め法令の適用上、都とみなされることになります。

 御質問の地方交付税の取り扱いですが、地方交付税法の規定によりまして、特別区を包括する道府県及び特別区に係る基準財政需要額と基準財政収入額を合算して算定する制度、これは現行の都区合算制度と言っておりますが、これが適用されまして、この合算して算定された交付税は、当該道府県、今回では大阪府に一括して交付されることになります。

 なお、地方自治法におきましては、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図る観点から、特別区財政調整交付金制度が設けられており、この制度も適用されることになると承知をしております。

 以上です。

宮本(岳)委員 一般市はもちろん、どんなに小さな村でも、地方自治体というものは、国から地方交付税交付金を直接受け取る権限を持っております。しかし、特別区になればそれすらない。まさに、一般市以下の半人前の自治体だと言わなければなりません。

 先日の参議院総務委員会の質疑で、高市総務大臣は、一旦大阪市を廃止して特別区をつくってしまったら、後で、失敗だった、もう一回政令市に戻りたいといっても、今の法律上ではできないということでよいかと問われて、そういうことになりますと明確に答弁いたしました。

 ところが、これについて大阪維新の会は、資料四につけましたけれども、自身のホームページで、地方自治法二百八十一条四の規定を根拠に、特別区の廃置分合が可能とされていますので、特別区を市に戻すことや政令指定都市になることは可能だと主張しております。

 しかし、地方自治法二百八十一条四の規定は、特別区同士の合併や境界線変更のことを定めているのであって、特別区が一般市や政令指定都市になることを可能にした条文ではないと私は考えますが、自治行政局の答弁を求めたいと思います。

時澤政府参考人 地方自治法二百八十一条の四の規定でございますが、これは、市町村の廃置分合を伴わない特別区の廃置分合等の手続を規定したものでございまして、特別区を廃止し、その区域に新たに市町村を設置する手続を規定したものではございません。

宮本(岳)委員 改めて、重ねて確認しますけれども、現状で、東京二十三区も含めて特別区というものが一般市や政令指定都市になる、そういう道、方法は法律上存在するんですか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 現行法上、特別区を廃止し、その区域に新たに市町村を設置する手続は設けられておりませんで、大都市地域特別区設置法に基づき特別区を設置した後に、特別区が市町村に戻ることはできないことでございます。

宮本(岳)委員 法律がないんですね。やりようがないんです。一方通行なんです。特別区というのは、つくれば最後、その先の法的な規定はないわけですね。

 ですから、あさって投票で問われていることというのは、これだけ重大なことだということを申し上げなくてはなりません。後戻りできないと私たちが言うのに対しても、これは全部うそだという宣伝が大阪ではやられておりますよ。

 では、この二度ともとには戻れない大阪市廃止住民投票が賛成多数で可決されて、五つの特別区が設置された場合、その後に、大阪市に隣接する、例えば堺市や吹田市や八尾市などが分割せずに丸ごと新たな特別区になろうということになった場合、今回のような住民投票は必要でしょうか。

時澤政府参考人 大都市地域特別区設置法によりまして特別区を設置した後に、追加的な特別区の設置により従来の市町村の区域が分割されない場合につきましては、同法十三条二項の規定によりまして、道府県に特別区を設置する手続のうち、住民投票を実施することは求められておりません。

宮本(岳)委員 実は、あさっての投票は大阪市民だけが投票するんですけれども、これは大阪市だけの問題じゃないんですね。これで特別区となった場合には、その他の町では、今度は、丸ごと特別区に後で合流しようというときには、もう住民投票すら必要ないという法の仕組みになっているわけです。

 しかし、堺は大きいから分割せずに丸ごとということはなかろうと言うかもしれませんが、いいですか。丸ごと特別区になった後、この丸ごと特別区になった特別区を二つ三つに分けるという場合は、先ほどの地方自治法二百八十一条四の規定によって、まさに廃置分合ですよ、後からならば分けられるわけですから。つまり、あさっての投票で、大阪全体にとって他の町も他人事と言っておれないことが決められようとしている、これが私は実態だと思うんですね。

 こういうものについて、本当に大阪全体の人たちに知らされているのか、ましてや、大阪市民に対して正確な情報が提供されているのかという点では極めて疑問が残ると私は思うんです。

 最後に、きょうのこの審議を聞いていただいて、石破大臣、どういう御感想をお持ちかをお伺いして、私の質問を終わりたいと思うんです。

石破国務大臣 感想を述べる立場でもないのですが、委員が御指摘のように、投票ですから、どうも選挙のような色彩もないではない。だから、デフォルメしたようなお話があるのかもしれない。今、委員と政府参考人とのお話を聞いていても、このビラとのそごというのがある。では、そこをどのようにしてきちんと判断材料として正確なものを提供するのかということは、極めて重要なことだと思っております。

 私はどっちがいいとか悪いとか言うつもりは全くありませんで、それは住民の方々がお決めになるものですが、少なくとも、正確な情報に基づいて御判断をいただくということがなければ、住民投票というものがその意味をなさないのではないだろうか。正確な情報に基づいて御判断をいただくということは、主権者に対して実際に投票を行う立場のものが果たすべき義務なのであって、これがまだ、きょう、あすとあるわけでございます。正確な情報に基づいて住民の方々の判断がなされるということが何よりも肝要だというふうに感じた次第でございます。

宮本(岳)委員 まさに正確な情報が必要だ。極めて恣意的な情報を振りまいて、反対派の言うことは全てうそだ、デマだと決めつけて、二度ともとには戻れない大阪市廃止、解体の片道切符を大阪市民に売りつけることは断じて認められないということを申し上げて、私の質問を終わります。

鳩山委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 維新の党、木内孝胤でございます。

 歴史的な住民投票があさって五月十七日に行われます。私も、先週土曜日、日曜日、大阪に応援に行ってまいりました。梅田の駅のヨドバシカメラ前、私が街宣車で回っていましたらば、今三十分間御質問に立たれていらした宮本委員が、非常にお背が高いので目立つところに立っていらっしゃいまして、気がついたらお近くにほかの党の議員も複数立っていて、これは非常に珍しい光景だなということで、私も五・一七のオレンジ色のTシャツを着ていたわけですが、着たままだとやや場違いかなということで遠慮をして、Tシャツを脱いで聞きに行きました。

 いろいろ賛成の意見、反対の意見あろうかと思います。ただ、きょうもこうして地方創生委員会におきまして、国政の場で三十分間質疑がなされること、いろいろな意味で地方自治について問題提起がなされること、私は非常に結構なことだと思っております。

 たまたま大阪の梅田で、自民党の竹本議員だと思うんですが、非常に短時間の演説でございましたので、ある意味どうしても情緒的というか、余り論理的ではないというような感じの印象の演説でございましたけれども、大阪維新の会は六百回以上集会を開いております。

 これは、大阪の橋下市長そして松井知事中心にやっているわけでございますけれども、私もその日、磯路中央公園というところに午後一時に行きましたら、大阪市長がやるというので、私もどんなことを言っているのかのぞきに行ったんですが、最初は余り動員がかかっていないのかなと思っていましたら、演説が始まるころに急に人がふえて、ちょっと正確な人数はわかりませんけれども、かなりの大人数がそこで集まっていました。橋下市長が大きなパネルを持って一つ一つ、なぜ二重行政を廃止するべきなのか等々について話をしていたわけですけれども、非常に天気がよかった、ある意味炎天下の中で二時間説明をして、一時間は本人の演説、一時間は丁寧に質疑の時間。

 これを六百カ所でやっている影響というのは、最終的に住民の皆さんがどう判断するのかわかりませんけれども、ああして誠実に丁寧に、回数も重ね、大勢の方に注目を浴びているという時点で、非常に地方自治、地方分権等にとって私はいいことではないかと思います。

 あとは、あさって投票日で、あしたから私も二日間また応援に入りますけれども、非常に注目をしているところでございます。

 地方創生委員会でございますので、ちょっと質問に戻りたいんですが、その前に一つ、きのう安全保障法制の閣議決定と記者会見がございました。

 これは質問通告していないので、もしお許しいただければお伺いしたいんですが、時代の変化に対応して安保法制を見直すのは当然重要なことだと考えております。集団的自衛権行使容認、今の平和憲法の枠組みの中、あるいは専守防衛という枠組みの中であるならば、私は前から賛成の立場でございます。

 ただ、一方で、きのうの閣議もそうなんですが、一連の動き、いろいろ丁寧さに欠けるというふうに思っておりまして、一昨年来の、特定秘密保護法案の強行採決、あるいは国会閉会後、集団的自衛権行使容認をいきなり閣議決定すること、あるいは沖縄の知事初め地元が反対している中で工事を強行する。

 あるいは、さらに言いますと、先週の米国議会におきまして、米国議会で安倍総理が期限を区切って安保法制をやり抜くというような決意を示すということは、実質的な公約であり、努力をするという表現であればまだしも、期限を区切っての公約。さらに言いますと、TPPについても、米国の議員はこれを閲覧することができて、日本の議員は条約の内容、文書の内容を閲覧することができない。私、全てこうした一連の動きが乱暴だと思うわけです。

 大臣、非常に長い間こういう安全保障の問題に取り組んでいらっしゃいました。私、一つお伺いしたいのは、夏までにということで期限を区切って米国の議会で約束をしたということは、日本の国会あるいは日本の国民の軽視に当たるというふうに私は考えるわけですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

石破国務大臣 これは、もう委員百も万も御案内のとおりで、自衛隊というのは、法律がなければ一センチ、一ミリたりとも動くことはできません。

 閣議決定を先に行うとは何事であるかというお話であります。つまり、憲法解釈変更の閣議決定を先に行うとは何事であるかという御叱正をいただくわけですが、これは、憲法解釈の変更を加えませんと法律が書けませんもので、憲法解釈を変更ないままに法律を書くなぞということができるはずはない。ですから、昨年の七月に解釈についての閣議決定があり、それに基づいて法律を書き始めということで、きのうの閣議決定で国会における御審議をいただくわけでございます。

 これは当たり前の話であって、国会で可決をいただかない限りはそんなことはできません。当然のことであります。ですから、私ども政府といたしまして、国会に対して常に真摯に、誠実に御説明を申し上げ、多くの御賛成を得るべく努力をしていかねばならない。

 総理が外国でいろいろなことをおっしゃっても、国会で法律が通らない限り何もできないということは、それは総理も長い経験でよく御存じのことであります。ですので、これから先、きょうも訪米報告の質疑がございますが、当然、国会に対する真摯、丁寧な説明。

 あわせて、やはり世論というものが一番大切で、どうしても安全保障法制というのは抽象的な概念でございます。ただ、これが具体的な概念となって、まさしく脅威が現実のものになってから法律を整備するなぞということがあってはなりません。

 そうであるがゆえに、いかにして国民の方々お一人お一人にこの抽象的な概念である安全保障法制を御理解いただくかということは、私ども政府として、これは安全保障の担当であるとかないとかいうことではなくて、政府全体としてやっていかねばならないことだというふうに理解をいたしておるところでございます。

木内(孝)委員 今御説明をいただきましたけれども、それでもなお、米国の議会でああいう形で実質的な公約をすると、条約が発効するまで効力がないとか、そういう意味はわかりますけれども、私は明らかな国会軽視だと考えております。

 それと、きのうの記者会見において、米国の戦争に巻き込まれることは絶対にありませんという表現を安倍総理がなさいました。もちろん、全体の文脈もございますけれども、私はこれは事実ではないというふうに考えているわけですけれども、大臣、この安倍総理の記者会見についてどうお考えでしょうか。

石破国務大臣 それは全体の文脈の中から考えねばならぬことでございますが、仮に米国の戦争というワーディングをやったとして、それは一体何なのだろうか。

 例えば、ベトナム戦争というものをどう考えるかで、これは自民党の中でかんかんがくがくいろいろな議論をいたしました。それは、当時の南ベトナム政権なるものが、言葉を選ばずあえて申し上げれば、かぎ括弧つきで申し上げますが、一種のかいらい政権だったのではないか。かいらい政権からの援助要請というものは、本当にそれが援助要請になるかどうかということは国際法の中で相当の議論があったところだと承知をいたしております。

 ですから、それを米国の戦争と言うかどうかということについて、この法制の中でも、日本国にとって本当にそのような形で武力行使がぎりぎり必要な場合ということを、新三要件ということによって御説明をこれからしていくことになるのではないかと閣僚の一人としては思っておるところでございます。

 巻き込まれるというのはどういうことなのか、と同時に、安全保障条約というものはどのようにして抑止力を保つか、合衆国というものがどういう場合に日本の安全保障に実際に力を発揮していくのかということは、まさしくリアリズムの中で議論をせねばならぬことでございます。

 ですから、それは、見捨てられる危険というものと、巻き込まねばならないということと、いろいろなことがあって、いかにすれば抑止力が発現されるのかということを常に念頭に置いてやっていかねばならないというような議論が、今まで自民党の中で、あるいは与党間の協議の中で行われたというふうに私自身は理解をしておるところです。

 これから先、担当大臣のもとで、あるいは総理のもとで、そういうような各党からの御議論を賜り、日本の安全と平和、抑止力の維持に努めるということが私どもの責務かと心得ております。

木内(孝)委員 いずれにしましても、近々審議入りして丁寧な質疑がなされるかと思いますけれども、本当に国の将来を決定づける話がきのう閣議決定されたわけで、国会におきましても丁寧な議論を進めてまいりたいと思います。

 地方再生法についてお伺いをいたします。

 その前に、大臣の国土ビジョンといいますか、私、大臣の本を実は何冊か読ませていただいたことがありまして、何となくこんなイメージを持たれているのではなかろうかというイメージは持っているわけですけれども、歴代総理大臣の多くは長期的なビジョンをきちっとお示しして、中には国土ビジョンと言えるようなもの、例えば、田中角栄総理であれば「日本列島改造論」、あるいは大平正芳総理であれば「田園都市国家の構想」、総理ではありませんけれども、小沢一郎議員の場合は「日本改造計画」、いろいろ印象に残る本とか書籍、あるいは考えを発表しております。

 大臣の考える国土のあり方。先ほど佐藤委員から政令指定都市を中核にというような話があったりとか、やはり国土の話をしますとみんなそれぞれに思い入れがあって、いろいろな形でいろいろな意見を言います。今、地方創生委員会におきましても健全ないい形で建設的な議論がなされていると思いますけれども、やはり多種多様なアイデアがある中で、大臣御自身が国土についてどういうふうにお考えなのかというのが一点。

 もう一つは、過去のさまざまな書籍、あるいは大臣御本人の書籍でも結構なんですが、国家観あるいは国土観、こうしたものに対する政策ブレーン的な方、そういった国土ビジョンと政策ブレーン的な方、もしいらっしゃるのであれば御開示いただければと思います。

石破国務大臣 それはどうお答えしていいのか、ちょっと逡巡するところでございますが、私も有権者のおかげでこの仕事をやらせていただいてもう三十年目に近くなりますが、いろいろな総理にいろいろなお教えをいただくことがございました。

 あるいは、同じ山陰ということもあって、竹下登総理が、ふるさと創生事業のときに、ばらまき、ばらまきという批判がなされたときに、いや、それは違う、みずから考えみずから行う、これで自治体の知恵と力がわかると言われたのは私は強烈に印象に残っておりまして、今回の総合戦略というものもそういうような考えを多分に含むものだと思っております。

 また、我々山陰人はそういうところがあるんですが、例えば、竹下総理がよくおっしゃっておられた、島根に生まれ、島根に育ち、やがて島根の土になる。

 私ごとでまことに恐縮ですが、私の父親が中央官庁から地方の政府に移りますときに、私は鳥取県人である、貧しくても小さくても鳥取県は我が県である、鳥取に生まれ、鳥取に育ち、鳥取に死ぬのであるといって、そのとおりに生きた父親を私は持っておるのでありますけれども、そういう地方の思いというものは、私は常に政治家の原点として持っていたいというふうに考えております。

 田中角栄先生の列島改造論のときに私は高校一年生で、「日本列島改造論」というのは本当に何度も読みました。そのときに、やはり私ども日本海側、当時は、信じられないような話ですが、裏日本という言葉が本当にありましたからね、天気予報できょうの裏日本の天気はと本当にやっていて、あれを聞くたびに、悲しいというか悔しいというか、怨念とは言いませんが、そういうものは持っているわけでございます、もう今は誰もそんなことは知りませんが。

 そのときに、せめて同じ競争条件のもとで地域が発展するということは、やはり政治の仕事として必要なことではないだろうかというふうに思っております。そこで狂乱物価とかオイルショックとかいろいろなことがあって、その計画がそのとおりにはなりませんでした。だけれども、同じ競争条件を整えるということは、やはり国家として必要なことではないかと思っております。

 いろいろな方にいろいろなお教えをいただきます。最近は、増田寛也先生、これは福田内閣で一緒に仕事もさせていただきました、いろいろなことを御教授いただいております。あるいは島田晴雄先生なんかもそうでありますし、加藤寛先生のお書きになったものにも多くの示唆をいただいておりますが、物事の考え方からいえば、私自身が一番影響を受けているのは田中美知太郎さんではないかなというふうに思っております。

木内(孝)委員 大臣の日ごろの答弁の丁寧さとかを聞いていますと、各地域地域を非常に大切になさっている誠実さを感じるわけでございますけれども、ちょっと今回の地域再生法の企業の地方拠点強化の推進について何点か気になることがありますので、これは御担当の方からお答えいただければと思います。

 地方創生や東京一極集中の是正を言って反対する人というのは余りいないと思うんですね。私は、東京の議員ではありますけれども、仮に東京から財源あるいは富が再分配されたとしても、国家全体の健全な発展さえあれば、国政の立場でございますので、当然のことながらそれは当然だということで賛成する立場でございます。

 しかしながら、今回少し気になっているのが、地方創生というのは、地方からの視点、構想が非常に大切、大臣も所信の中で「国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権を目指し、」とおっしゃっています。ただ、本法案について、東京の会社を地方に移転させるという部分でございますけれども、この法案を決めるときに、きちんと地方の声を聞かなかったのではないか。

 一応いろいろ確認しましたところ、知事会には簡単にヒアリングはしたということのようでございます。

 しかしながら、おとといも政令指定都市会議というのがありまして、その中にペーパーがあるんですが、別に反対の決議とまでは言いませんけれども、指定都市が近隣自治体や過疎地域を抱える自治体との水平連携により、域内における地方創生を牽引する役割が果たせるように、全ての指定都市を地方活性化の拠点として位置づけることとしているというふうに書いてあります。ちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、政令指定都市が外されているので入れるべきではないかというふうに私は解釈をしております。

 先ほども質問がありましたけれども、東京からそれ以外の地域に事業所を移転させるというのは、これは一つあり得る考えですけれども、地方の中核都市にある程度集約をしながら国土全体を発展させるのか、それとも、いきなりそういう政令指定都市も飛ばして違うところにこうした事業所を持ち込もうとしているのか、そこら辺のビジョンがいま一つ明確でないから、こういうやや混乱することが起きているのではないかと思っているわけです。

 ここについて、そもそも線引きをどういう根拠でなさったのか。五十年前の法律に基づいてされたという理解ですけれども、その線引きの定義と根拠についてお聞かせください。

若井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこの地方拠点強化税制におきます移転を促進する地域、そして支援の対象とする地域につきましては、現状におきます人口でございますとか産業の集積の度合いを総合的に勘案して定めさせていただいているものでございます。

 そして、これにつきまして、法律自体については確かに委員御指摘のとおり昭和半ばに制定をされたものでございますけれども、その各区域におきます現状の産業の集積、人口の集積の度合いについては、当然確認をいたした上で設定をしたい、このように考えておるわけでございます。

木内(孝)委員 事業の集積度とか人口とかいろいろ考慮してという話でございましたけれども、東京二十三区を一つとして捉えるというのは非常に乱暴、雑な議論ではないかと思っております。

 といいますのは、余り地元の事例を挙げるとよくないんですけれども、私の地元練馬区は武蔵野市に隣接しております。先般も、どこの市町村が所得が一番高いかというところで、武蔵野市なんかがかなり上位に入っておりまして、どう見ても、農地面積が二十三区で一番多い練馬区よりも武蔵野市の方がよほど事業所は多いのではないかと私は思って確認をしましたところ、居住可能面積一ヘクタール当たりに、武蔵野市は七・五、それに対して練馬区は四・五というふうになっております。

 もちろん、うちの区は入れろ、入れない、そういうけちな議論をする気は毛頭ございませんけれども、先ほど昭和半ばとおっしゃいましたけれども、昭和三十一年に制定された法律、そのときの区割り。地域指定は昭和四十一年ですけれども、それでも四十八年前の話。

 これは、私からするとやはり、東京の富を違う地域にというときに、ここまで乱暴な線引きをされていると、私は再分配大変結構だとは思っていますけれども、あくまでも公正という前提の上での再分配であるからこそ認めているわけで、ちょっと線引きが乱暴なのではないか。

 あるいは、この間特区指定された九区に限定するとか、いろいろそこら辺の線引きについてどういう工夫があるのか、あり得るのか、お聞かせいただければと思います。

石破国務大臣 必要であれば、また事務方から補足をさせていただきます。

 特区については、東京全体で展開をしていただきたいと私どもは考えております。九区だけに特定するのではなくて、広くあまねく東京全体で特区を展開していただきたいという形で東京都にはお願いをし、以後も議論をしておるところであります。

 委員御指摘のように、あそこを入れてあそこを外すとかいうけちな議論をするつもりはございません。ただ、どこかで線引きをしなきゃいかぬことでございまして、この線引きがどういうような意味を持つものかということは、またこれから先議論をさせていただきたいと思っております。また、将来的に見直しを否定するものでも決してございません。

 あわせて、東京は東京のまさしく先ほど申し上げた特区を活用して、いかにして国際都市、あるいは、委員は金融の専門家でもいらっしゃいますが、金融センターとして伸びていくのかという、東京の持っている特性を最大限生かすということと、国土交通省の資料によれば、世界の主要都市の中で最も危険度が高いと言われる東京が五年先にオリンピックを迎えるわけであって、いかにして、国際金融センターであるとともに、多くの危険というもの、そのリスクを低減していくかということもあわせて考えていかねばならないことでございます。

 東京が首都として安全、安心、なおかつ活気があるということのために、私ども、必要な施策は、東京都並びに東京都の議員の皆様方、これは与野党を問わず一緒にやらせていただきたいと考えております。

木内(孝)委員 東京の区割りの問題もありますけれども、あともう一つは、移転先の対象地域の指定です。

 政令指定都市を外す議論と外さないという議論がございますが、ここについてはどのように整理をしているのか、お聞かせください。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 移転もしくは強化を行った場合の支援を行う地域ということでございますけれども、これにつきましては、今回、近畿圏の中心部そして中部圏の中心部につきましては、東京二十三区ほどではございませんけれども、周辺のその他自治体に比較をいたしますと、やはり相当突出をして人口そして産業も集中をしておるところでございます。

 したがいまして、こういったところに国が支援をしてさらに集中をするというようなことを支援いたしますと、弊害が生じるおそれもございますし、また、東京からの移転が特定の地域へ集中するおそれもある、このように考えまして、今回は、近畿圏の中心部そして中部圏の中心部というものを支援の対象から外させていただいたということでございます。

木内(孝)委員 今の説明ですと、整合性がとれていないような気がいたします。

 先ほど大臣からも、例えば東京に国際金融センターとして競争力を持たせるというような話もありましたし、あるいは、名古屋は名古屋で、大阪は大阪で、京都は京都で、それぞれに競争力を持たせなきゃいけないということで、海外のライバル都市を意識しながら、いろいろ都市としての競争力を高めているさなかに、やはり税制上の、事業所税とかいろいろ税負担が非常に厳しい面がある中で、この日本という国を、地方の中核都市を活性化させて発展させようとしているのか、それとも地方の中核都市のさらにその先をやろうとしているのかとか、そこのイメージが結局のところまとまっていないので、議論をしていても、何かばらばらな議論でずっと終わったままというふうな気がいたしております。

 そこの整理ができていないので、私はきょうあえて国土ビジョンについて大臣にお伺いしたわけですけれども、大臣が非常に地元を大切にして、緑を大切にして、そういうイメージは非常に伝わってきます。しかしながら、今人口が非常に急速に減少して、ある意味、選択と集中を図らなければならないときに、中核都市にきちっと集約させて、それで外国と競争して打ちかっていくのか否か、そこが全然方向性がまとまっていないので、私は、答弁自体に整合性がとれていない、そのように感じております。その点はいかがでしょうか。

石破国務大臣 ここはよくこれからも議論をさせていただきたいと思います。

 地方創生という部局を設けて、担当大臣を置いてというのが何せ去年の九月の話でございまして、それまでいろいろな議論はあったのですが、まだなお整理途上の部分があることは私として率直に認めねばならないことだと思っております。

 今まで、列島改造論あり、田園都市構想あり、ふるさと創生あり、いろいろな事業があったんですが、前も答弁したと思いますが、今回はこれをしくじると国の持続可能性そのものが失われるという危機感を私自身持っております。

 私も長く議員をやっていて、本当にこれは大変なことだという、一種慄然たる思いをしながらこの仕事をやらせていただいているのですが、このままいくと何が起こるかというと、昭和三十年から四十五年までのたった十五年の間に八百万人の地方から大都市への人口移動が起こった。五百万人は東京に来た。ことしは昭和でいえば九十年ですから、そういう、十五歳で来た人がことし団塊の世代になるのだ、二〇二五年問題というのは団塊の世代の方々が全ていわゆる後期高齢者になるのだということを考えたときに、どういう国土をつくるかということを念頭に置くと、このまま地方の衰退が続いていくということになれば、エネルギーの供給も、食料の供給も、人材の供給も、その供給力自体を地方が失うのではないか。

 そして、東京の高齢化が地方に比べて十五年から二十年おくれておりますから、そこに若い人材が職を求めて東京に集まるということになると、時間差を置いて地方も東京も消滅、衰退に向かうことは、このままいけば必定なのであって、どうやってこれをとめるかは、東京がどうしたの、地方がどうしたののゼロサムの話ではなくて、国家全体として設計をしていかねばならないと思っております。

 東京が引っ張るとか地方が引っ張るとかいうことではなくて、地方はなお引っ張る力をこれから先持ち得るのではないかと私は思っております。そこは福田議員との議論の中でもお答えをいたしましたが、いかにして地方の生産性を上げるかということは今まで正面から議論をされてきたと私は思いません。どうやって地方の生産性を上げ、地方が国を引っ張るということをやることができるか。

 あわせて、東京において、高齢化問題ということをいかにして地方と連携しながら解決するか。そして、東京の持っている多くの国際金融センターを初めとする力をまだ引き出すことはできるはずだと思っております。それが特区制度だと思っています。

 地方も東京もあわせて引っ張るのであり、しかし、食料とかエネルギーとか人材の供給という地方の力が本当に失われつつある現状は、何としても今とめなければもう取り返しがつかないことになる。

 何か茫漠たる答弁で恐縮ですが、それぞれ地域地域が何を国家のためにすべきなのかという危機意識を持つべきだと私自身は思っております。

木内(孝)委員 中核都市あるいは東京などの都市と地方がゼロサムでないというのは、私もそのとおりだと思いますけれども、ある程度ゼロサム、すなわち選択と集中をしない限り、総花的な議論になってしまって、結局、どこにも予算がつかない、全体が全部薄まって、だからどこも成長しないということになってしまいます。

 私は、先ほど大臣が御答弁になりましたけれども、昨年九月に立ち上がって、まだ途上のところがあるということであるならば、こうした地方の中核都市、政令指定都市等を初めとした地方の中核都市のあり方についてもう一回議論していただいて、今ははっきり言って方向が定まっていません。大臣の答弁自体が、私は方向が失礼ながら定まっていないと思っています。そこの集積、選択と集中をきちんと行って、どういう方向に進むのか、こっちを諦めるのか、諦めないのかということも含めて、丁寧に議論を進めていただければと思います。

 大臣、危機感があるというお話をなさいました。

 人口減少の問題、これは今回の委員会でも何回も議論されておりますけれども、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保するという中長期の展望を示した。

 国が成熟化しますと、当然のことながら、出生率が下がります。その下がった出生率を〇・一でも上げる努力を継続的にするのは当然のこととして、これは、日本の場合、一・八というかなり非現実的な目標、目標なら目標で結構なんですけれども、やはり現実的な目標、強気の目標、慎重な目標と三つぐらいつくるとするならば、私は、強気な目標を超え過ぎている一・八の出生率ではないかというふうに思っております。

 本当に危機感を持っているとおっしゃっている割には、私はこれには反対の立場ですけれども、例えば結婚しない形で税制上の優遇をフランスみたいに認めるということをするのかしないのかということ。あるいは、外国人材の受け入れについて、経団連なんかは、例えば、年間十万人ぐらい入れて、二〇三〇年代には二百万人を四百万人にするという具体的な提言を行っておりますけれども、人口問題について言うと、高い目標、一・八という高い出生率を前提にしているために、結局、そういう誰もが避けたい問題、例えば外国人材の受け入れというのは、必ずしも私の地元でも人気のある政策だとは思っておりません。しかしながら、これをどっちの方向に進めようとしているのか。私は、石破大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいんです。

 外国人材の受け入れのペース、数のイメージ、これをどれぐらいにしようとしているのか。あと、先ほどの婚外子の件。この二点について、もし御見解があればお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 これは注意して答弁を申し上げますが、一・八を目標としたことはございません。私どもとして一・八を目標としたことはございませんし、政府として、合計特殊出生率一・八とか二とか、そういうことを申し上げる立場にもございません。

 ただ、私どもが考えておりますのは、長期ビジョンにおきまして、このように申し上げております。長期ビジョンにおきましては、若い世代の方々が結婚、子育てのいろいろな希望をお持ちでいらっしゃいます、それを実現することによって、仮に、二〇三〇年に合計特殊出生率が一・八程度、二〇四〇年に二・〇七程度まで改善された場合の中長期の展望を示しているものでありまして、目標値を示してはおりません。

 私どもとして、若い世代の方々の御希望をかなえるということは必要なのであって、例えば、結婚したいよねという方々が九割おられる、御夫妻の平均予定のお子さんの数というのは二・〇七である、未婚の女性の方の平均希望のお子さんの数は二・一二ということがあって、では、このいろいろな御希望、例えば結婚したい、子供が二人欲しいというものを妨げているいろいろな事象を取り除くのは、これは政府の仕事だ、もちろん自治体の仕事でもありますが、それはやっていかねばならないだろうと思っています。

 合計特殊出生率の概念をどのように考えるか。そして、仮にお子さんが二人生まれるようになったとしても、そのお子さん方がお子さんを産んでいただくのに普通二十年かかるわけですから、そうすると、その間人口は減り続けるわけで、その間の日本の設計をどうするのかというお話。

 そして、お子さんを産んでいただくに当たって、一体何なんだ、企業別に見たらどうなるんだ。企業によって、例えばコマツの例なんかで見ると、同じコマツという会社であっても東京本社と小松の工場と全く出生率が違うわけであって、なぜこのようなことが起こるのかということは、自治体の単位で考えるということも大事ですが、企業体で考えていただくとどうなるのだ。例えば三菱銀行だとどうでしょうねとか、そういう議論というのはなされたことがあるかというと、多分ないだろうと思っております。

 ただ、それは自治体という属性を考えるか、それとも企業という属性を考えるかということによって随分と見えてくる景色は変わってくるだろうというふうに私は思っておって、いろいろな形でこれはやっていかねばならないし、民間にお願いするからには政府はどうなんだいということも当然問われるべきことだと思っております。

 それから、移民政策につきましては、これはいろいろなお考えがあるだろうと思います。やはり女性の持っている力、日本の場合に女性の就業率、M字カーブの問題もございまして、十分日本国の有能な女性の方々に働いていただき、なおかつお子さんを産んでいただける環境というものをどう整えるかというお話、そして高齢者の方々の就業というものをいかに促進するかというところなくして、いきなりこの出生率の問題とか労働力減少、ぽんと移民の話に持っていくのは論理の飛躍が相当にあるねというふうに私自身は思っているところでございます。

 しかしながら、外国の方々がその高いスキルを生かして、あるいは高いスキルを習得するために我が国のいろいろな資源、力を活用するというのは、国際社会にとってこれまた我が国の果たすべき責任ではないかというふうに思っておりまして、その辺は目的と手段というものを余りごちゃごちゃにして考えるべきではないというのが私の考えでございます。

木内(孝)委員 大臣、移民政策という言葉を使いましたけれども、外国人材受け入れということと移民政策というのは私は完全に分けて考えておりまして、私も外地に十六年住んでおりましたけれども、やはり移民政策の難しさ、社会政策の難しさというのを感じておりますので、移民政策に関しては私は極めて慎重な立場でございます。

 先ほど、東京は東京で国際金融センター等としても非常に大切だという御答弁をいただきました。危機感も持っているというお話でございましたが、ほかの都市、シンガポールとか香港、ほとんどタックスヘイブンと言っていいぐらいの税制の国と戦わなければならない状況の中で、日本の法人税率は御案内のとおり非常に高い状況、個人の所得税率も住民税等合わせて五割を超える、そういう中で、シンガポールとか香港というのは二割を切る水準。それ以外にも、証券譲渡益課税とか配当課税、日本は一〇%だったものが二〇%に引き上げられ、一方で彼らはゼロという状況になっております。

 もちろん、日本食がおいしいとか治安がいいとか、あるいは文化があるとか、そういう総合力で何とか引きとめているという状況でございますけれども、こういう税金を非常に、消費税なども上げながら、私は、例えばプレミアム商品券についてけちをつける気はございませんけれども、これだけ予算がない何がない、それで増税をしておきながら、当時は累進性対策とか景気浮揚策ということで短期的にやったのでプレミアム商品券ということでございましょうけれども、こういう政策というのは、長もちする政策でもないし、需要の先食いの政策だと思っております。

 もう少し地方創生らしいという意味でいうと、ミクロの政策はいろいろないいアイデアがもう既に出てきておりますし、これは着実に一つ一つやればいいと思うんですが、国を挙げてできる地方創生のアイデアという場合、私は、一つ、エネルギー政策があると考えております。

 大臣、たしかバイオマス発電の視察にいらしていたというふうに記憶しておるんですが、私も、バイオマス、太陽光そして地熱発電、落選中にいろいろ事業を直接やっていた時期がありますけれども、やはり一番ボトルネックとなっておりましたのが、送電網がない。結局、例の九電ショックのおかげで、いろいろまちづくり的に、地方創生的にやろうとしていた事業が軒並み頓挫して、吹っ飛んだ事案がたくさんございます。

 何よりもこういうはしご外しをする。当時は、買い取り価格が非常に高目に設定されて、足りないから仕方ないという面等は理解はするものの、やはり送電網がないために、結果として今自然再生エネルギーが非常に途中で尻すぼみになっている。

 今、一つの試算でいいますと、北海道から福島まで、例えば、風力に相性がいい北海道・東北エリアに風力発電をやって、送電線を持ち込むと、大体一・一七兆円という試算がエネ庁さんから出ております。こういう大幹の電線を入れるなどして、その結果、あとは民間活力を活用して地方創生をする。

 太陽光パネルの場合、なかなか雇用に結びつかないという面もありますけれども、例えばバイオマスなんかですと相当雇用にも結びつきますし、風力発電も百以上の部品を使ったりということで非常に効果もございます。

 私は、この一・一七兆円の送電網、特に今発送電分離の自由化等の議論がされておりますけれども、これが終わった段階で、これは今後議題になると思いますので、ぜひ地方創生の柱の一つとして、送電網を経済産業委員会、エネ庁等と連携しながら一つの柱にしていただくということを期待しているわけでございます。

 そこの送電網のこと等について、もし御所見がございましたら、お願いいたします。

木村政府参考人 送電網の整備でございますけれども、再生可能エネルギーの受け入れにとって非常に重要な課題であるというふうに認識をしてございます。

 御指摘のように、太陽光のようにさほど場所を選ばないものももちろんございますけれども、風力発電あるいは地熱発電といった資源が偏在しているようなものにつきましては、やはり非常に重要な要素であると考えてございます。

 課題は、先生も御指摘いただきましたように、やはりコスト、それからそれをどういうふうに負担してつくっていくのかという問題かなというふうに思っております。

 電力システム改革の中で、この四月に広域的運営推進機関というものが発足をいたしまして、そういうところで、まずはそこが適切に機能することでこういった問題に道筋がついていくということを期待しておりますし、私どもとしても、あわせて積極的に勉強していきたいというふうに考えてございます。

木内(孝)委員 今、経済産業委員会で電気事業法について質疑されているわけですけれども、これが決まった段階で一気にいろいろ動きがあろうかと思います。ぜひ、地方創生委員会でもこれを中心に取り上げていただくようお願い申し上げて、答弁を終えたいと思います。

 あさって、五月十七日、非常に歴史的な住民投票となるわけでございますけれども、もちろん反対の方も結構です、できれば賛成の方だけに行っていただければいいわけですけれども、とにかく投票所に足を運んでいただいて一票を投じるという行為が非常に大切だと思いますので、ぜひ投票所に足を運んでいただきますことをお願い申し上げて、私の答弁を終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鳩山委員長 質問ではありませんか。答弁ではなく質問ではありませんか。

木内(孝)委員 そうです。質問を終わります。

鳩山委員長 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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