衆議院

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第6号 平成27年5月19日(火曜日)

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平成二十七年五月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 谷川 弥一君 理事 寺田  稔君

   理事 福田 昭夫君 理事 小熊 慎司君

   理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      加藤 寛治君    勝俣 孝明君

      黄川田仁志君    小泉進次郎君

      今野 智博君    新谷 正義君

      田中 英之君    武部  新君

      谷川 とむ君  とかしきなおみ君

      中谷 真一君    長尾  敬君

      野中  厚君    平井たくや君

      前田 一男君    宮川 典子君

      山田 賢司君    義家 弘介君

      緒方林太郎君    奥野総一郎君

      吉良 州司君    後藤 祐一君

      郡  和子君    佐々木隆博君

      寺田  学君    木内 孝胤君

      篠原  豪君    村岡 敏英君

      稲津  久君    濱村  進君

      田村 貴昭君    宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 木下 賢志君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   山下 和茂君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       佐藤 速水君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宮城 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           奈良平博史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 黒田 憲司君

   政府参考人

   (観光庁次長)      山口 由美君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     前田 一男君

  平口  洋君     新谷 正義君

  福田 達夫君     武部  新君

  奥野総一郎君     後藤 祐一君

  佐々木隆博君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     平口  洋君

  武部  新君     今野 智博君

  前田 一男君     長尾  敬君

  後藤 祐一君     奥野総一郎君

  郡  和子君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     福田 達夫君

  長尾  敬君     加藤 寛治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長木下賢志君、内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、内閣府地方創生推進室次長若井英二君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、文部科学省大臣官房審議官中岡司君、文化庁文化財部長山下和茂君、農林水産省農村振興局農村政策部長佐藤速水君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、国土交通省大臣官房審議官宮城直樹君、国土交通省総合政策局次長奈良平博史君、国土交通省道路局次長黒田憲司君、観光庁次長山口由美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 おはようございます。日本共産党の田村貴昭です。

 地域再生法の一部改正案について質問します。

 最初に、コンパクトビレッジと交通ネットワークの問題についてお伺いします。

 今回の地域再生法の改正案では、自治体の定める地域再生計画に、小さな拠点形成を初めとする地域再生土地利用計画を作成、記載できるというふうに定められています。政府の説明ポンチ絵では、生活・福祉サービスを一定のエリア内に集め、周辺集落と交通ネットワーク等で結ぶ小さな拠点を形成するとあります。説明ポンチ絵には、バスも走っています。

 交通ネットワークの維持というのは、まさに住民の足の確保のことを指し、小さな拠点づくりを左右する大変重要なものだと私は認識していますが、石破大臣の御所見はいかがでしょうか。

石破国務大臣 認識は委員と全く一緒でございます。

 もちろん、それぞれの集落がかつてのにぎわいを取り戻せれば一番いいと思っておりますが、当面、人口は減るわけでございます。そうすると、小さな拠点にいろいろなものを集約して、高齢者の方であっても、小さな拠点で、歩いて全ての用が足せるということが望ましいのですが、その小さな拠点への連絡というものがきちんとなければ、幾ら小さな拠点を整備しても何にもならぬというお話でございます。

 小さな拠点とともに、集落に住めるということも重視していかねばなりませんので、それをつなぐのは交通ネットワークである、かような認識でおるところでございます。

田村(貴)委員 国土交通省にお伺いをします。

 地方の公共交通を大きく担う路線バス、乗り合いバスですけれども、この輸送状況について、三大都市圏輸送人員数とその他の地域輸送人員数及びその合計について、一九七〇年と二〇一三年分を比較して説明をしていただきたいと思います。

宮城政府参考人 路線バスの輸送人員につきましてお答えいたします。

 一九七〇年度につきましては、三大都市圏の輸送人員は四十五億七千三百万人、その他の地域は五十五億になっておりました。一方、二〇一三年度でございますが、三大都市圏の輸送人員は二十七億三百万人、その他の地域は十四億七千三百万人となっております。

 増減ということでございますが、三大都市圏につきましては、一九七〇年と二〇一三年を比べますと、四〇・〇九%の減、その他の地域につきましては、同じく七三・二%の減、このようになってございます。

田村(貴)委員 今説明がありましたのが、資料一のグラフであります。答弁にありましたように、三大都市圏輸送人員とその他の地域輸送人員数ともに減少しています。特徴的なのは、三大都市圏、東京、千葉、埼玉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫以外の地方圏での減少が激しいということであります。この四十年間で輸送人員数の七三%が減少しました。

 続けて国交省にお伺いします。

 この数年間の路線バスの路線廃止キロ数について説明願えませんか。

宮城政府参考人 路線バスの廃止キロ数についてお答えいたします。

 平成二十一年度につきましては一千八百五十六キロメートル、平成二十二年度につきましては千七百二十キロメートル、平成二十三年度につきましては八百四十二キロメートル、平成二十四年度につきましては九百二キロメートル、そうしまして、平成二十五年度につきましては千百四十三キロメートル、このようになってございます。

田村(貴)委員 私は九州なので、九州の部分について見てみますと、同じ五年間で千九百五十二キロ、約二千キロ、廃止路線キロ全体の三割についてが九州というところになっています。

 こうした地方バス路線が撤退する中で増大してきた交通空白地域、これは資料三の絵の方に出ているんですけれども、この交通空白地域において住民のかけがえのない足となってきているのが自家用有償旅客運送であります。

 これは、資料二の方にグラフが載っております。市町村の運営が黄色い帯、NPOなどの運営がオレンジ色で示されています。これを合わせますと五百十四団体になります。自家用有償旅客運送は、このグラフにありますように、団体数で見れば、身体障害者の移動を担う福祉団体が多いんですけれども、輸送人員数で見れば、全体の七五%を運んでいるのが、この黄色の部分の市町村が運営する有償運送であります。こうした有償旅客運送は、それぞれの特性を発揮して、交通空白地域である住民の足として大変重要な役割を発揮しています。

 全国に過疎地集落が六万五千カ所ぐらいあるというふうに説明を受けています。この中で十数カ所の集落を一くくりにしますと、小さな拠点となるのは約五千ぐらいの集落生活圏になるというふうにも説明を受けています。これに照らしてみてどうなんでしょうか。五百十四団体の自家用有償旅客運送は、この集落地域に合わせてどの程度カバーできているのか、どのようなネットワークになっているのか。大まかでいいですけれども、わかれば御説明いただきたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、過疎地における生活交通の確保は極めて重要な課題と認識しております。これにつきましては、恐らく一つの手法だけではなかなか難しいというように考えておりまして、公的な補助を受けております路線バス、それから地方自治体等が運営いたしますコミュニティー、ディマンドバス、市町村、NPOが運営する、まさに御指摘のあったような自家用有償旅客運送など、さまざまな交通手段、地域の実態に合わせて最適な交通手段を選んでいくということが肝要であると思っております。

 これにつきましては、小さな拠点に取り組む積極的な市町村が、自家用有償旅客運送のみならず、先ほど申し上げましたようなさまざまな手法の中から適切な手法を選択して住民の足の需要というものをカバーしていく必要があるというように考えておるところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 カバーしていく必要があるとお答えになったんですけれども、どうカバーされているかについてはよくわかりませんでした。

 内閣府の方はいかがでしょうか。小さな拠点形成の重要な役割を担う交通ネットワークです。現行制度であまねくカバーできるというふうに認識されていますか。

 ごめんなさい、国交省と、私、間違えました。内閣府の方にもう一回聞きますね。では、あまねくカバーできるというふうに捉えておられるでしょうか。

内田政府参考人 申しわけございません。内閣府の方でございますが、一部繰り返しになりますが、まさに先生御指摘のように、これは先ほどの小さな拠点、今の手法のみで完全にカバーできるかどうかというのは、必ずしもカバーできるとは言い切れないとは思っております。

 ただし、先ほど御答弁申し上げましたようなさまざまな手法を組み合わせて、おのおの地方市町村が地域の実情に合わせた手法を組み合わせていくということで確保できるように、私どもとしては関係省庁との連携のもとに支援してまいりたい、かように考えております。

 以上でございます。

田村(貴)委員 まさに確保していただかなければならないというわけなんですけれども、国土交通省の地域公共交通確保維持改善事業というのがございます。これは、二〇一一年度から生活交通サバイバル戦略として新規に発足した事業と伺っています。過疎地域等におけるバスやディマンドタクシーの運行や駅のバリアフリー対策、離島航路、離島航空路の運航などを支援して、実績を積み重ねています。

 そこで、石破大臣にお伺いしたいんですけれども、自家用有償旅客運送にしても、地域公共交通確保維持改善事業にしても、その意義と役割は十分私もわかります。全国で集約とネットワークを今から進めていくと言われるのならば、やはりあまねくカバーするためには、地方創生の立場から、独自のネットワークづくりのアプローチが必要であると私は今考えています。

 現に生活の営みがある全国の集落を守るのであれば、全国六万五千の過疎地集落の住民の足が、地方路線バスやコミュニティーバス、自家用有償旅客運送、緑ナンバー、白ナンバー合わせて、どのように確保されているのか、あるいはいないのか、まずはここを掌握することが大事でありますし、その維持、充実の保障があるのか、ここをしっかり掌握すべきだと考えますけれども、大臣、御所見はいかがでしょうか。

石破国務大臣 これも委員のおっしゃるとおりで、それぞれの集落でそれぞれの事情がございます。バスがなくなっていったのは、結局、皆が車を持つようになりました。過疎地ほどとは言いませんが、そこで大事なのは、いわゆる軽トラというものがあれだけ走っておって、かなり高齢者の方も軽トラを運転されるのですが、そういう過疎地において、そういうようなものがかなり重要な交通の足になっているのだけれども、高齢化が進めば、運転すること自体が難しくなってくる、危なくなってくるということがございます。

 大事なのは、委員御指摘のように、それぞれの地域のそれぞれの集落で、九州、福岡県、北九州、いろいろなところがございますが、それぞれの実情をきちんと把握することが大事だというふうに思っております。

 フィーダー事業等々いろいろな形で政府としても考え、また今回の法改正をお願いしておるところでございますが、一番大事なのは、地域の実情をきちんと踏まえて、そこで暮らしておられる方々が小さな拠点に対するアクセスがきちんと確保されるということでなければ、小さな拠点、コンパクトビレッジの構想というのは意味をなさないものだというふうに考えております。

田村(貴)委員 大臣、そこで私、ちょっと気になる記事があったんですけれども、二月二十二日付の西日本新聞。私もこの日、読んで、おやと思ったんですけれども、石破大臣に西日本新聞社がインタビューをして、その記事であります。そこで大臣はこうおっしゃっているんです。「地方で生産性や収益を上げるには、コンパクトシティー化と企業の集積が必要だと思う。集落再編でなくなる集落はかわいそうだが、全ての集落に同じインフラを整備すると、いくらお金があっても足りない。切って捨てることはしないが、粘り強く住民の合意を得なければならない」、こうした一文がございました。

 なくなる集落というのはどういうところを指すんでしょうか。過疎地集落の住民を移動させて、別のところで住んでくださいという意味なんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、インタビューを西日本新聞さんでいろいろとまとめていただいたものなので、何かこういう血も涙もないようなことを私は言った覚えは全然ないのであります。

 結果的になくなるというのは、私自身、過疎の典型のようなところが選挙区であります。どんなに努力をしてもなくなっちゃうというところがないとは私は思いません。なくさないために最大限の努力はいたします。

 それは、結果的にという言葉が多分ここでは落ちているんですが、集落がなくならないように、そこに住みたいという方がおられる限り、これは居住の自由というか、そういうような言葉が明確に憲法にあるわけではございませんが、そこに暮らしたいという方々の御意向というのは最大限尊重はしなければならない。

 しかし、そこにおいて暮らしておられる方々が、例えば、今回でいえば小さな拠点の構想にどれだけ御理解をいただくか、そこの集落のそういう暮らしを守るために行政としては何をすべきなのかということは、お仕着せではなくて、その方々の御意向をよく聞かねばならぬということだと思っております。

 言葉が足りなければ大変申しわけないのですが、そこは、結果的になくなる集落はお気の毒です。ただ、なくならないために私どもとして最大限の努力をするのであって、切って捨てるようなつもりは全くございません。

田村(貴)委員 そこに住みたいという人がいる限りと、憲法のことも引き出されて、尊重するというふうに御答弁がありました。大臣、少し安心しました。

 全国の全ての生活の営みがある集落は維持していくというふうにも受けとめたわけでありますけれども、私はそこが大事だと思います。しかし、なくなっていく集落、それは自然現象として歴史的にはあったというふうには思いますけれども、これを人為的に政治力でやっていくのはやはり間違いじゃないかなというふうに思います。

 全国の全ての生活の営みのある集落は維持していく、基本的な立場は言明していただけるでしょうか。

石破国務大臣 これは、政府の中でも、あるいはうちの役所の中でもさんざん議論したことでございます。あえて憲法ということに触れましたのは、やはりそういうものは国民の権利なのだというふうに考えておりまして、それを人為的に、そこに住んではいかぬなぞということを申し上げることはしてはならないのだと思っております。

 一方におきまして、この厳しい財政事情の中において、そこの方々の御希望をいかにして、納税者の負担ということを念頭に置きながら、言い方は難しいのですが、最大の効果を上げるための最も効率的な仕組みというのは何であろうかということも考えていかなければなりません。

 そこにお二人住んでおられる、三人住んでおられる。実際に、私の選挙区でも、もう二人しか住んでいないとか、三人しかお住まいでない、そういうところは現にございます。そういった方々の暮らしをどのようにして納税者の負担をもって支えるかということはよく御理解をいただきながら、そういうところの集落の暮らしというものを維持していきたいし、なろうことならば、そこに人がまたやってくるような形もつくっていきたいと思っております。

 そこにおける人の暮らしを維持するとともに、そこは中山間地である場合が多いので、そこの国土、畑でありますとか田んぼでありますとか森林でありますとか、そういうものもいかにして守るかということが、その地域の暮らしということの大きな概念であって、人の営みであるとともに、そこにおける森林あるいは水田、畑、そういうものも維持をしていかねばならないのは、政府の責務であり、地域の責務であると考えております。

田村(貴)委員 わかりました。

 国土交通省に再びお伺いします。

 地域内フィーダー系統確保維持費補助制度において、運行費や車両減価償却費等への補助を行っています。運行費でいえば、収支差額の二分の一を補助しています。その実績並びにそのうち自家用有償旅客運送者に対する補助交付額の実績、これは対象事業者数と交付額合計なんですけれども、それについて説明していただけないでしょうか。

奈良平政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国土交通省では、地域公共交通確保維持改善事業を平成二十三年度に創設いたしまして、コミュニティーバスを初めとした地域内の生活交通の運行費等についても支援を行っておりまして、自家用有償運送を補助対象としております。

 その補助実績でございますけれども、平成二十三年度、事業者数が二十五、補助額が五千百五十五万円、二十四年度は、事業者数が八十、補助実績が二億八千九百十六万七千円、二十五年度が、事業者数が九十三、補助実績が四億八千六百十九万四千円、二十六年度が、事業者数が百七、補助額が五億四千八十八万円となってございます。

田村(貴)委員 今説明がありましたように、補助額が年々増加しています。年々増額となっているのは、地域交通維持の必要性が増している、そして、自治体での取り組みが広がっているということのあらわれではないかというふうに思います。

 運送に携わっている団体は、経営が赤字である場合が非常に多いわけであります。実際、自家用有償旅客運送を行っている団体へのアンケート調査の結果を見ても、運送を行うに当たって主な苦労、その第一位は、運送に対する費用面との回答でありました。

 そこで、大臣、費用の問題、財源の裏づけの問題についてお伺いしたいと思います。

 現在、経済財政諮問会議などでは、財政健全化目標の実現に向けた検討が行われ、その中では、地方交付税制度のあり方の見直しと効率化、各府省の補助金等について重複や縦割りの弊害の排除、地方創生に向けての一括交付金化、整理縮減を含めた改革が言われ、論議されています。石破大臣も、この特別委員会の所信表明で、地方交付税制度や補助金等の改革に当たる表明をされておられます。

 地域交通を維持するための補助金など、こうした財政措置が整理縮減の対象となることはあるのかないのか、ないと断言できるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 今回の地方創生の取り組みは、それぞれの基礎自治体において、どのようにしてその地域における雇用でありますとか生活でありますとか、そういうものを維持するかということであります。そこにおいては、あらゆる方々の参画、それは住民自治ということと多分ニアリーイコールだろうと思いますが、そういう方々の御意見をきちんと取り入れた上で、上から目線とか行政が勝手に決めるとか、そういうことでない総合戦略をお願いしたいと思っております。

 交付税のあり方、あるいは補助金のあり方、あるいは地方単独事業のあり方、それではカバーし切れない隘路のようなものがあって、それを解決するために新型交付金という概念が必要なのではないかというところまで今議論をしておるところでございますが、地域地域においてこのような形のものが必要である、そうでなければ、先ほど来委員が御指摘のような集落の人々の暮らしを守ることはできないわけでございます。こういうような制度があるのでそこの地域がそれに合わせるのではなくて、そこの地域に合わせていろいろな制度を組み立てていくという逆の発想というものが今回の地方創生には必要だというふうに思っております。

 ですから、最初に、これだけしか金がない、このように改革をする、それに合わせろということではなくて、その地域に最もふさわしいやり方をその地域に考えていただき、それに合わせた形で私どもは補助金やあるいは地方財政の改革というものをやっていくということの順番を逆にしてはいけないというふうに思っております。

 ただ、財政が厳しい中において、そこにおいて重複の排除、あるいは縦割りの排除ということは、やはり優先して考えるべきものだと思います。

田村(貴)委員 次の質問に移りたいと思います。

 人と施設の集約に向けての話なんですけれども、地域再生法の改正案では、地域における住民の生活及び産業の振興の拠点とされる地域再生拠点区域を形成するために、農地転用許可、開発許可の特例が付与されています。

 農水省にお伺いしたいと思います。

 昨年の地域再生法の改正では、六次産業化のための施設整備に関しては、農用地区域内農地を含む四ヘクタール超の農地転用の権限が認定市町村におろされ、都道府県の承認のもとで農地転用ができるようになりましたけれども、今回の措置も同様の仕組みのものと理解してよろしいんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般創設いたします地域再生土地利用計画に関しましては、昨年の臨時国会におきまして措置いたしました、委員御指摘の、地域農林水産業振興施設整備計画と同様、四ヘクタールを超える農地転用につきましても、地域再生土地利用計画に係る都道府県知事の同意をもって農地転用の許可があったものとみなすというふうにしているところでございます。

田村(貴)委員 農水の方からお答えがありました。

 引き続きお尋ねしますけれども、現行地域再生法では、内閣総理大臣は、地域再生計画に記載される事項について認定を行う場合、関係行政機関の長の同意を得なければならないというふうにされています。

 優良農地の保護は、まさに農林水産省の重要な仕事であります。今回の改正によって、地域再生拠点区域、この中心の地域再生拠点区域がつくられる場合、優良農地などを残すべきとして農林水産大臣が同意しない場合はあり得るのか、あり得るとしたらそれはどういった具体的な場合なのか、それについて説明していただきたいと思います。

佐藤政府参考人 今般創設いたします地域再生土地利用計画制度につきましては、農用地等の保全、利用の確保を図る農用地等保全利用区域、それと、診療所、日用品販売施設等の生活関連施設の誘導を図る地域再生拠点区域を設定することによりまして、生活サービス機能の維持とあわせまして農用地等の保全、利用を図るというものでございます。

 このため、市町村が作成いたします地域再生計画の内閣総理大臣の認定に際しましては、農林水産大臣の同意を要することとしているところでございます。農林水産大臣が同意を求められた場合には、農用地等の保全、利用を通じた地域の再生の実現に寄与するか否かということを判断して同意を行うということにしております。

 したがって、個々の計画の中身にはよりますが、一般論として申し上げますと、仮に集団的な農地の真ん中に地域再生拠点区域を設定するような場合、あるいは、圃場整備等の土地改良事業を実施中または実施する予定である土地に地域再生拠点区域を設定する場合、さらに、地域再生拠点区域の設定によりまして農業用の用排水施設の機能に著しい支障を来すような場合、そういった場合などにつきまして、農用地等の保全、利用に支障が生じるような地域再生計画について同意を求められた場合には、同意しないこともあり得るのではないかというふうに考えております。

田村(貴)委員 農林水産省は、優良農地を確保するためにしっかりと目くばせをしていただきたいというふうにも考えています。

 ただやはり、お話ししてまいりましたように、集約の方はやはりずっとかなりの力を詰めてやっていく、ネットワークづくりの方はその財源それから施策の方についても将来的に大変不安が残るような思いもいたしております。

 最後に伺います。

 小さな拠点形成が住民の参加と住民同意に支えられたものでなければならないというふうに思います。地域づくりやまちづくりに当たって、石破大臣、先ほど大臣も少しお述べになりましたけれども、住民自治の発揮が絶対に必要であるというふうに考えますけれども、御所見をいま一度お聞かせください。

石破国務大臣 これは、全国あちこち見させていただいていますが、この地方創生の取り組みができる以前から、例えば高知県なぞにおきましては、それぞれの集落の話し合いというのをきちんと大事にして展開をしてきたところでございます。また、鳥取県におきましてもそのような取り組み、島根もそうだと思いますが、そういうように、地域地域のお話し合いが大事だ。そこにおいては、今回のRESASもそうなんですけれども、経験と勘と思い込みではなくて、そこにおいて、データを提示しながら、納得をいただき、合意を形成するということが極めて大事だというふうに思っております。

 ここにおいて、一部の人ではない、できれば全ての住民の方々が参加をしていただき、きちんとした数字、あるいは過去への反省、将来への見通しを持ちながら合意の形成を図っていくということが最も肝要だと思っております。

田村(貴)委員 地域再生法の改正案なんですけれども、地域再生土地利用計画を作成したときは、あらかじめ、公聴会の開催その他住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとするとあるんです。これは、公聴会を開いたらそれでおしまいというふうにも読み取りかねません。

 議会との関係なんかはどうなっているんでしょうか。議会は、現行地域再生法も同意なしでできるというふうに、この法律はなっているわけです。住民の納得と同意に支えられて地域をつくっていくという考え方、その規定は、私はまだ十分ではないというふうに思います。議会もやはり関与すべきでありますし、やはり大いに住民が参加し、そして議論をしていかなければならないというふうに私は思います。

 きょう初めての質疑でありますので、この問題、三法含めてまた論議をしていきたいというふうに思っています。

 以上で質問を終わります。

鳩山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 きょうは、国家戦略特区法案、そして総合特区も含めた具体的な運用、地域の提案ができるだけ実現するようにするための、幾つかの現場でのやりとりを踏まえた運用改善も提案させていただきたいと思います。

 私は、これらの特区法の一番原点となっております構造改革特区法を経済産業省にいるときに発案し、日本じゅうの首長に提案を呼びかけるといった仕事を十五年ぐらい前からやっておりまして、十五年来、この特区の問題にはかかわってまいりました。

 それで、一つ建設的な提案をしたいと思います。

 それは、今回の法案でも、十幾つかの個別の玉がこうやって加わっているわけですね。その都度、法改正で、各地域から出てきた個別玉、各省がいいと言ったものについては加わっていくわけでございますが、大変手間がかかります。

 そこで、実は、構造改革特区というのは、個別の玉が何百と既にメニューがあります。構造改革特区で認められた個別玉については自動的に国家戦略特区では使っていいということにしてはどうかということを、実は、国家戦略特区法の法案審議のときに私から提案し、これは条文修正を受け入れていただきました。これは今、適用されています。

 それと、ついでに言うと、構造改革特区で認められた個別の玉は総合特区でも自動的に認められるという規定、これも我が政権のときに私から提案して、これも条文はそういう形に直っています。実際、これは、いわゆるどぶろく特区が高松で認められていたりとか、実際に使われています。

 そこで、提案なんですが、総合特区で既に認められている個別の玉については自動的に国家戦略特区でも全て認める、こういう条項をこの国家戦略特区法の中に入れることにしてはどうかというふうに考えますが、これについての御見解をいただきたいと思います。小泉政務官、お願いします。

小泉大臣政務官 後藤先生の質問にお答えをさせていただきます。

 後藤先生の地元は、まさに総合特区のさがみロボット特区もありますから、私も同じ神奈川県選出の議員として、大変取り組みに期待をしておるところでもあります。

 先生も御存じのとおり、制度に大変詳しいので、前提をちょっと飛ばして、御質問のところからいきたいと思いますけれども、総合特区で認められた規制の特例措置を、一律に国家戦略特区でも認めてはどうかと。これは、二つの制度、国家戦略特区と総合特区、この趣旨と目的が異なることを十分踏まえた上で、しっかりと検討して結論を得ていきたい、そういったふうに思っております。

 ただ、区域会議において、国家戦略特区で活用したいという具体的な提案があれば、総合特区の特例として認められていることを前提に、国家戦略特区諮問会議やワーキンググループにおいて各省庁と精力的に折衝して、規制の特例措置の実現に向けて努力をしていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 検討して結論を出したいということで、検討の対象にはなるというお答えでございましたが、これは、もしそういう一般則が入らない場合は、国家戦略特区においては面倒くさい手続をたくさんやらなきゃいけないわけです。

 もう既に総合特区で認められているわけですから、各省はそんなに抵抗しないと思うんです。国家戦略特区というのは総合特区よりも数少ない、限定された地域の話ですから、そうすると、ある意味形だけの手続をまた地域から、例えば、神奈川県であれば、国家戦略特区は全県域で認められているので、神奈川県庁がまた皆さんにお願いして各省に通してという一連の長い手続をやって、結局、総合特区のときに認めているから、各省はいいよと恐らく言うと思うんですよね。それでだめだということになったら国家戦略特区をなめているのかという話になるわけですから、その一連の長い手続を省略するには、たった一条加えるだけでできるわけですね。しかも前例もあるんです。

 ついでに神奈川について言うと、私のこれからお話しするさがみロボット産業特区なんかは総合特区です。と同時に、神奈川県は全域が国家戦略特区、東京圏に指定されていますから、では国家戦略特区のスキームの方でお願いするんじゃなくて総合特区の方のスキームでお願いすればいいのかとか、もう本当に手続に振り回される世界になって。実質的な判断は既に各省で終わっているんです。ですから、これは一条加えるだけで、膨大な無意味な、無意味とは言いません、慎重にチェックするということなんでしょうが、実質的には判断が終わっていることをだらだらやるというのは大変よろしくない。役所的にはそうなるかもしれませんが、これこそ政治家が決断すればできることではないかなというふうに思うんです。

 小泉政務官はこういった規制改革も非常に前向きに取り組んできておられますし、特区の現場でのいろいろなやりとりも非常に細かく聞いておられるというふうに伺っておりますので、これこそ政治主導で決断すればすぐできる話だと思いますが、ぜひ小泉政務官の決断をちょっとお伺いしたいと思います。

小泉大臣政務官 後藤先生のおっしゃっていることはよくわかります。

 例えば、私も、地元、神奈川県横須賀市、三浦市を選挙区に持っていますけれども、横須賀市、三浦市と先生の御地元の違いというのは、先生の御地元は、国家戦略特区でもあり総合特区でもある。ただ、私の地元は、国家戦略特区ではあるけれども総合特区や構造改革特区ではない。ただ、仮に、例えば私の地元で、国家戦略特区だけれども総合特区の中にあるような規制改革のメニューを使いたいとなって、国家戦略特区だけれどもそのメニューは使えませんよと言われたときに納得できるのかと言われれば、それは確かにおっしゃるとおりだなと思うこともあります。

 ですので、現実として、特別に、地域のかなり特有の事情があった規制改革のメニューに関しては、認められないというケースもあると思います。ただ、基本的に、今までの特区の中でやりたいということが国家戦略特区の中で実現できない、こういうことはちょっと考えられないんじゃないかなと私自身も思っております。

後藤(祐)委員 そうなんですよ。横須賀では認められないんですよ。まだ法案審議中ですから、採決までにこの修正についてはぜひ政治的決断をいただきたいと思います。

 それと、国家戦略特区法案の中の各論の一つとして、NPO法人の設立手続の迅速化というのがございます。

 これは、認証に当たって、申請書類の縦覧期間は今二カ月ということになっておりますが、これを大幅に短縮しようというものでございます。実は、これについては、NPO法の、これも含めたもう少し幅広い改正というものを議員立法で、与野党をまたいで議論されておるところでございまして、ほぼ合意されている状況だと伺っております。これは内閣委員会の方に出てくるのかもしれませんが、これは、国家戦略特区だけではなくて、当然、対象は全国のものでございます。

 小泉政務官はNPO担当でもございます。このNPOの設立手続の迅速化については、特区だけではなくて全国ベースでやるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。特に、議員立法の形で進んでいるので、そっちの手続が先に進むのかもしれませんが、ぜひ、この手続迅速化については、特定地域でなく全国で、何らかの形で実現するように御尽力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小泉大臣政務官 御指摘のNPOの開設というか、つくるに当たっての期間手続を短くする、今回、こういった提案が宮城県の仙台市から上がってきております。ついては、まずは一義的に、各区域会議がその効果を定期的に評価して、その評価結果を踏まえて、特区諮問会議がこの措置を全国展開するかどうか判断するものと承知をしています。

 今先生御質問をされたとおり、NPO法については、その性格から、制度にかかわることはこれまで全て議員立法で制定、改正がなされているところでありますので、御指摘の、縦覧期間の短縮を仮に全国で実施する場合についても国会で御議論をいただきたい、そういうふうに考えております。

後藤(祐)委員 これは自民党の方々も、ぜひやろうというふうにおっしゃっているようでございますので、むしろ大変詳しい小泉政務官が先頭を切って引っ張っていっていただきたいと思います。

 続きまして、先ほど申し上げた総合特区の、今、実際に行われている運用改善について触れたいと思います。これは、国家戦略特区がこれからうまく使われていくためにも重要だと思いますので、そのまま使える話だと思います。

 私の地元のさがみロボット産業特区で実際に起きている話を前提に申し上げたいと思いますが、春と秋、二回協議があります。つまり、こういった規制改革を新たにうちの特区でやりたいという話が地元の企業から提案されているんですけれどもいかがですかというようなことを内閣府にお願いして、内閣府が各省と交渉してという、一連の交渉が二回あって、二十五年春協議というものは、三月十九日に内閣府から選定依頼というのがあって、三月二十七日締め切りでした。二十六年は、二月十日、内閣府から選定依頼があって、三月二十七日締め切りでした。ところが、ことしの春の協議は、四月三十日になってようやく内閣府から選定依頼があって、五月二十二日締め切り、二カ月程度おくれているわけでございます。

 神奈川県に聞きますと、これはもしかすると年一回になってしまうのかなということを大変懸念されておられまして、今後も引き続き、年二回こういった提案を受けていただけるチャンスがあるというふうに理解してよろしいでしょうか。今後、年二回協議を継続するということについて約束をいただきたいと思います。小泉政務官、お願いします。

小泉大臣政務官 今回、平成二十六年度については、提案された規制の特例措置の実現を図るための協議などに時間を要したということでありますが、先生御質問の答えとすれば、年二回協議を実施することとしたい。今後とも、この総合特区において協議をしっかりと実施して、規制改革を適切に実現していきたい、そう考えております。

後藤(祐)委員 はっきりした答弁、ありがとうございます。今、神奈川県の担当者なんかは見ていると思いますが、大変安心していると思います。

 続きまして、農地の規制緩和に関連してなんですが、このさがみロボット産業特区では、都市計画決定に際して、県と地方農政局で、市街化区域に編入される農振農用地の代替地を求めることをしないという、これは省庁としての最終見解というものが示されています。

 実際に、神奈川県伊勢原市で進められている東部第二土地区画整理事業というものにおいては、地方農政局との事前調整の中で、このような趣旨に沿って、代替地を求めない形で順調に進んでいるというふうに伺っておりますが、これ以外の地区においても、今後、この特例を生かしながら進めていきたいと地元では考えておりまして、この農振農用地の代替地を求めないという運用は、ほかの地域でも引き続き、少なくともこの総合特区、さがみロボット産業特区の中では同じような運用で今後もやっていただけるということでよろしいでしょうか。これは佐藤農水政務官にお願いします。

佐藤大臣政務官 農地の市街化区域編入の際に、農振農用地の代替地を要求することはないかという御指摘でございましたけれども、都市計画法によりまして、都道府県が都市計画を変更して市街化区域に土地を編入することについては、国土交通大臣が同意しようとするときには、あらかじめ農林水産大臣に協議をすることになっているところであります。この場合、農林水産大臣は、地域において実施している土地改良事業等の関係など、農林漁業に及ぼす影響等について検討し、意見を述べることになっております。その際、農用地区域内の農地を市街化区域に編入する場合に、編入面積に見合う農用地区域内農地を代替地として求めることはしておりません。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 はっきりとした答弁、ありがとうございます。

 なかなか運用上そうなのかどうかが皆さん心配しているところがあったものですから、確認をさせていただきました。

 続きまして、ロボットに関連して、国家戦略特区の体系の中で近未来技術実証特区といったものの検討が進んでいるというふうに伺っておりますが、総合特区の中で、さがみロボット産業特区は既に適用されて、実際、ロボット関連各社が集まって運用されているわけです。あと、つくば国際戦略総合特区というところでも同じようにロボットの特区が行われていると伺っておりますが、いわば先行している特区がある中で、近未来技術実証特区が後からできて、その後からできた特区でだけある特定の規制改革が認められるということになりますと、先行してやっている方としてはたまらないわけでございますね。

 ロボットに関連する規制改革が、よりいろいろなことができるようになるということは非常にいいことだと思いますし、実際、安倍政権でロボットに関連するところは非常に力を入れておられると思いますけれども、お願いは、近未来技術実証特区で認められた個別の規制改革にかかわることは、既にある、さがみロボット産業特区、あるいはつくばでも恐らく同じような状態だと思いますが、ここにおいても自動的に適用できるというような御配慮を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。これも小泉政務官、お願いします。

小泉大臣政務官 近未来技術実証特区の検討会を、平副大臣と私のもとで今検討を進めております。

 ドローン、話題になりましたが、ドローンもそうですし、自動走行車、また、さまざま近未来な新しい技術をどうやって社会に落とし込んでいくか、今これは検討を進めていますが、この結果として、近未来技術を実証していく、その出口となる、生み出していくところが、国家戦略特区に指定された地域なのか、それとも総合特区のところなのか、構造改革特区のところなのか、それとも、いきなりもう全国展開でやるのか、こういったことはそのケースによっていかなるケースもあり得ると思っています。

 つまり、今回、例えばドローンに関して言えば、秋田県の仙北市で、国有林野を開放して、そこで大胆な実証をしていただくフィールドを活用しようということでありますが、仮に、総合特区に指定されているさがみのロボット特区の中で、近未来技術実証特区検討会の中で規制改革として上がってきた玉、メニューを使いたい、そうなったときに、そこでも活用していただけるように、広い範囲で活用されるように、これから規制改革の実現に取り組んでまいりたい、そう考えております。

後藤(祐)委員 結局、個別にという話になると、またさっきと同じ議論になるわけです。

 さがみロボット産業特区は総合特区ですが、神奈川県全域は国家戦略特区でもありますから、そうしますと、今認められた近未来技術実証特区で新たに何か認められた場合、これは国家戦略特区ですから、さがみロボット産業特区の中でやっているんだけれども、国家戦略特区の地域指定も受けているから、では今の部分だけは国家戦略特区の方でお願いするかというような、もう極めて制度に振り回される状態に、さっきと同じことが起きるんです、実は。

 ですから、ここは、きょうも朝七時からNHKでドローンのこんな映像をやっていました。あれはつくばですよ。これは、競い合っていいと思うんです、いろいろなところが。ですが、後から来たところの方が有利になるというのは、これはちょっといかがかと思いますので、政務官、神奈川でもございますから、ここら辺の制度に振り回される状況にならないように、自動的にできるのが一番いいんですが、もし仮にそうでないにしても、同じようなことをやらせてほしいといったときには、スムーズに、通常の手続ではなく、超特急でさっと認めるとか、そこら辺の運用というのは政務官がえいと言えばできる話だと思いますので、ぜひそこは、先ほどの話も含めて、政治家による運用改善が鶴の一声で決まるところですから、よろしくお願いします。

 続きまして、介護ロボットの介護保険の適用に関して触れたいと思います。

 これはいろいろな介護ロボットが実際に開発されてきておりますし、ことしの二月の十日、ロボット新戦略というのが日本経済再生本部で決定されて、その中で、介護保険に適用される機器というものはどういうものかということについて、これは三年でしたっけ、しばらくタームを置かないと申請できないという状態だったものを随時受け付けるという形になりました。これは、かなり頑張って、前に進んだ成果として評価をさせていただきたいというふうに思います。

 実際、ことしの四月一日からでしょうか、この随時受け付けが開始されたというふうに厚生労働省から通知がありました。これを受けて、神奈川県でも、この特区内のロボット関連各社に対して再提案を呼びかけるということをしております。

 ここからが問題なんですが、介護保険適用の対象となる機器がどういったものになるかということについては、これは審査会にかかるんですね。介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会というところにかかって、そこで議論をして、社会保障審議会介護給付費分科会へ報告し、決定されるということになっておるんですけれども、残念ながら、これは明確な基準がないんですね。

 であり、かつ、こういったものにかけるときに、通常の役所のほかの手続においては、事前に相談をして、ああ、このままだとここはだめですよというようなことを言われて、そこを改善して、これでどうですかというようなやりとりをして、ある程度丸になったところでそういったところにかけて、最終的なチェックというかお墨つきをもらうというようなやり方だと非常にうまく運ぶんですが、現実、なかなかそうなっていなくて、どこが悪いと言われるかわからないけれども、えいといってかけて、だめでしたと言われるわけです。基準はない、そしてその議事録もない、どこが悪かったからだめと言われたかもわからないというのが実際の運用のようでございます。

 そこで、今、神奈川県の方から、事前に相談をさせていただいて、このままかけるとどうなっちゃうかということをちょっと相談させていただけませんかという打診をしているようでございます。

 まず、この事前相談、こういったやり方でうまく進めていっていただきたいなというふうに思うんですが、きょう厚生労働政務官に来ていただいておりますけれども、まず、この事前相談というやり方で進めていくということの是非についてお答えいただきたいと思います。

高階大臣政務官 お尋ねの介護保険の対象とする福祉用具の決め方でございますが、先生が今ほど御紹介いただきましたとおり、福祉用具・住宅改修評価検討会で有識者らの意見も反映させた形で、それを結果として介護給付費分科会へ報告する、その上で決定をしていくという流れになってございますが、提出するに際し、事前の相談、助言をぜひという話だと思います。

 そういうことになりますと、開発を支援するという目的で福祉用具・介護ロボット実用化支援事業というのを実施してございまして、介護ロボット開発についての相談やアドバイスなどをこの事業において行っている状況にございますので、要望を受け付ける前の開発あるいは検討会において保険給付の対象とされなかった開発についても、御要望いただきますれば、この事業を活用していただき、改善に向けたアドバイスなどの支援をさせていただけるのではないかと思いますので、事業の有効活用をぜひ普及いただければと思います。

後藤(祐)委員 事業というものが審査会との関係でどういう扱いになるのかが、ちょっと私がそこまで現場のことを知らないのであれですが、そこのアドバイスを受けて、そのアドバイスに従った形になっていれば、先ほどの評価検討会ではほぼ丸になるというような運用を、ぜひ、これも政治主導で、現場で徹底していただきたいと思います。

 ただ、それに当たって、いかなる基準でもってこの審査が行われているかというのが実ははっきりしないというのがどうも現場の悩みのようなんですね。

 実際、この福祉用具については、先ほどの検討会でどういう評価をするかということに関しては、平成十年八月二十四日の医療保険福祉審議会老人保健福祉部会の提出資料である介護保険制度における福祉用具の範囲の考え方という資料だけが、あえて言うとベースになっていて、ただ、これ以外に明確な基準そのものというものは存在しないと事務方から説明をいただいております。

 実際、申請するときには、介護保険対象福祉用具・住宅改修調査票というものを提出しなきゃいけなくて、その調査票の記載項目というものは明らかにされています。これはいいことだと思うんですが、ただ、その記載項目そのものが基準になっているというわけではないそうなんですね。そうしますと、これを提案する側は、どういう基準を満たせば丸になるのかがちょっとわからない。

 という中で、少し前向きな動きが出てきたのは、この介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会の配付資料として、ロボット技術の介護利用における重点分野に関連する福祉用具についてという資料が配付されていて、これは少しロボットの場合に特化したわかりやすい記述がなされていて、例えばこれを検討会における基準にしていくというような運用をすれば、少しはわかりやすくなってくると思うんですね。

 何を基準にするかということは、それ自体、非常に大事なことだと思いますが、少なくとも、この基準に基づいてこの評価検討会においてはマル・バツを決めるんだということを明らかにしていただかないと、なかなか現場での開発が進んでいかないと思うんです。

 この基準の明確化について、高階政務官の御見解をいただきたいと思います。

高階大臣政務官 お答え申し上げます。

 今ほど、平成十年の福祉用具の範囲の考え方という、このことを少し紹介いただいたところですけれども、この中には、例えば、「在宅で使用するもの」とか「治療用等医療の観点から使用するものではなく、日常生活の場面で使用するもの」といったようなぐあいで、非常に漠然としているというお尋ねなんだと思います。

 その上で、福祉用具といいましてもいろいろな種類があるということ、それから、最近の技術革新あるいは開発支援事業等によりましてさまざまな介護ロボット等の活用の道が開かれつつあるということで、ここをどういうふうな形で日常生活の自立につなげられるような保険給付の福祉用具として活用していくかという問題があるんだろうと思います。

 評価基準と申しますのは、先ほどの調査票の中で、実は、安全性とか有効性とか、御家庭で活用いただく際のそういった具体的な、安全に使っていただくための環境というのも評価していかなければいけないということでありまして、今後新たに開発されるロボットの有効性、安全性、こういったものについては、審議会の中でも専門家による評価が適切に行われるように工夫をしてまいりたい、そのように思います。

後藤(祐)委員 実は、その検討会のメンバーに、リハビリの専門家ですとかそういった方はいっぱいいらっしゃるんですが、ロボットの専門家と思われる方がいらっしゃらない。これはぜひ何らかわかる方を入れていただいた方がいいと思います。

 あとは、介護ロボットの導入支援事業というのがあって、これが、地域医療介護総合確保基金というものの中で、その内数で一機器につき十万円の補助というのが可能になっておりますが、これは、総額渡して、その中の対象の中に追加された話ですから、ちょっと十万円というのは、ロボットというのはいろいろな値段のものがたくさんございます、いかにも寂しい。総額がふえる話じゃありませんので、国から県に渡した総額の基金の中での運用の話ですから、この十万円という上限を外すですとか、いろいろできることがございますので、ぜひこれは、内閣府側も、あるいは経産省も関係すると思いますが、厚労省とぜひ一致協力して、現場の前向きな活動、保険対象になるということは、物すごく促進すると思いますし、この導入支援事業も改善していただきたいと思います。

 それで、最後に、これは通告が直前になってしまったんですが、今、JAの青壮年部の方々も外で頑張っておられますが、その皆様方の顔を見て、そういえばこの話があったなと思いついたんですが、東京都が都市農業に関して、石破大臣のところに舛添知事が二月に来られたという記事が出ておりましたけれども、こういうお話がございました。これは、佐藤政務官に内容は質問したいと思います。

 都市農業においては、当然、非常に広い地域でやるというのは難しいわけで、今、生産緑地については五百平米という、それ以上でなきゃいけないという制約がありますが、五百平米未満についても税制優遇が受けられる生産緑地の指定を可能としていただけないかという話と、あと、相続税の納税猶予、これが大変なわけです。

 特に都会においては土地が高いですから、ここが外れてしまうともううまくならないわけで、そのときに、今、都市農業基本法、私も実は民主党の中で都市農業の議連の幹事長をやっているんですけれども、これは議員立法で先日成立をいたしました。その中でも非常に重要なテーマとして、相続税の納税猶予を、特に農地をほかの方にお貸しするとその瞬間切れてしまうというのが今大変残念な状況になっておりまして、障害者の方ですとか、ちょっと特殊な場合もあるんですけれども、通常は切れてしまう、これを何とかできないかというところが非常に大きな課題になっております。

 東京都が、舛添知事が提案された中にどうもその話も入っているようでございまして、この相続税納税猶予を、もちろん農地として活用していただくということを前提でいいんですよ、農地を農地として生かしながら、借りてやる方に貸し付ける場合は相続税納税猶予を延長し続けることができる、そして生産緑地五百平米未満も認める。この二つの話というのは、東京だけではなくて全国ベースでぜひ御検討いただきたいところだと思いますが、突破口としてこの特区の中でまずやってみるというのは一つのアイデアではないかと思います。

 佐藤政務官、ちょっと突然のあれで申しわけないんですが、これについての御見解をいただきたいと思います。

佐藤大臣政務官 ただいまの御指摘は、三月の四日に東京圏国家戦略特別区域会議が開催されまして、東京都から都市農業特区の提案があったこと、そういうことで承知をしているところでございます。

 この提案につきましては、今後、内閣府が中心となりまして、国交省等の関係省庁とともに検討が進められるものと考えているところでございます。農林水産省としても、東京都の考えをよくお伺いさせていただきながら、内閣府を中心とした検討に積極的に参画してまいる決意でございます。

後藤(祐)委員 もう終わりにしますが、今の三月四日の東京圏の区域会議で石破大臣から、「だめなものはだめで、なぜなのかと聞くと返事がないという不思議な話が多くて、私どもとして、だめと言うなら、なぜだめなのかという説明、他でできるのであれば、どうしてできるのかという説明、これをきちんとしないと行政として仕事をしたことにならないので、そこはよく心してやりたいと思います」という御発言がありました。まさにそのとおりだと思います。

 きょうの介護保険の対象の話にしろ、いろいろ実際の現場ではこういったところで苦しんでおられますので、ぜひ個別の話に立ち入って、石破大臣の、そして小泉政務官も含めて、現場でのこういった運用、困っているところを、政治家として、これはどうなっているんだというところを少し聞いてみていただいて、運用改善、そして冒頭申し上げた法律の条文修正も含めて前向きな対応をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 国家戦略特区法及び構造改革特区法の一部を改正する法律案についてお尋ねをしたいと思います。

 この改正案は、大きく八府省十八項目に及ぶ重要な法改正を国家戦略特区、構造改革特区という観点から一括法案としたものでございますけれども、文科部門に係る項目一つをとってみましても、学校教育、義務教育、それから義務教育費国庫負担等において極めて重要な、従来の政府解釈とも異なる制度の改正を含んでいるわけでして、一括法案として地方創生特別委員会で審議すること、これは、そもそも国会における常任委員会の審議権を侵害するものというふうに言わざるを得ないと私は思っているところです。

 成長戦略の一環として規制改革を進めるに当たっても、個々の項目を見ますと、設計は極めて乱暴であり、そしてまた粗雑だというふうに言えるかと思います。教育改革や公務員制度をとってみましても、未整備な部分がとても多くて、しかも根幹的なことの多くが政省令に委ねられている、全体像と詳細がこの改正法案を読んでも判明しないという致命的な欠陥を内包しているということをまず冒頭に言わせていただき、質問に入りたいというふうに思います。

 学校教育法の特例を設けている第十二条の三関係でございます。

 憲法第二十六条は、国民にひとしく保障する教育を受ける権利をうたっているわけです。地域や家庭の経済力の格差によらず、全国どこでも良質な教育を国民の一人一人がひとしく享受できるよう公教育制度を運営していくことというのは、国、地方公共団体の共同の責務だというふうに思っています。

 この法案にあります、国際理解教育及び外国語教育を重点的に行うものその他の産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材の育成の必要性に対応するための教育を行うものとして政令で定める基準に適合するものの管理、これを民間に委ねるというふうなことになっているわけですけれども、この政令で定める基準というのはどういうものでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 国家戦略特別区域の目的は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成を目指すものであり、政令では、公設民営学校における国家戦略特別区域の目的に寄与する人材の育成の必要性に対応するための教育の基準を定めることとなっております。

 具体的には、法律の成立後、検討することとなりますけれども、例えば、外国語を通じたコミュニケーション能力や課題解決力といったグローバル人材に求められる素養を身につけ、グローバル企業で働ける我が国の人材を育成するための教育や、ビジネスで来日した外国人の子弟や我が国の児童生徒がともに学び合うことにより日常的に国際理解を深めることを可能とする教育といった、公設民営学校において行われる国際理解教育及び外国語教育などを実現するための学校体制の整備に関する内容を規定することとなると考えております。

郡委員 ですから、その整備の内容について、どういう基準なのだというふうに伺っている。この政令についても、具体的な検討も煮詰まっていないわけであります。

 学校教育法五条におきまして、学校の設置者は、その設置する学校を管理し、原則としてその学校の経費を負担する旨を規定しています。

 学校教育においては、入学の許可等の児童生徒の教育を受ける権利に直接かかわる措置、すなわち公権力の行使と、日常的な教育活動、事実上の行為とが密接不可分なものとして構成されているわけです。これは、公立学校について、設置者である各地方公共団体の教育委員会が、教育活動の事業主体として学校教育の目的を十分果たす観点から、設置する学校を適切に管理運営する責任を負うという設置者管理主義の考え方を示しているわけです。

 平成十六年の中教審の答申、「今後の学校の管理運営の在り方について」では、公立学校の管理運営を包括的に委託することについて、一定の意義が認められるとしながらも、さまざま課題、懸念があることから、全国的な制度として導入することは困難であるというふうにまずいたしました。

 その上で、幼稚園については、民間能力を活用した弾力的運営、高等学校については、多様な選択肢の提供の観点から、学校教育の質の確保に配慮しつつ検討することが適当というふうにされたわけでございます。

 この答申では、義務教育制度が国の根幹的な制度であって、その確実な保障は国及び地方公共団体の最も重要な責務の一つであって、義務教育諸学校を、保護者や子供の選択に基づき就学する幼稚園や高等学校と同等に扱うことは適当ではないというふうに、特に慎重に検討する必要があるとされたわけであります。

 つまり、義務教育については、公設民営学校等が普遍性、公平性、平等性を揺るがすことにつながるおそれがあるというふうなことを指摘したものだというふうに思います。

 教育において効率性や経済生産性を最優先として持ち込むこと、このことは、教育をゆがめて、教育の質の低下を招くおそれがあるのではないかというふうに思います。

 小泉内閣のときに導入された株式会社学校というのがありますけれども、特区外での教育活動を行って、また、その教育内容についても不適切な状態にあるとして、質の改善を促したはずではなかったでしょうか。

 本来、株式会社というのは営利法人ですからビジネスを行うことは至極当然のことで、まずは、教育にビジネスを持ち込んだ失敗、このことを正しく検証すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽副大臣 郡先生おっしゃるとおり、構造改革特区において、株式会社立学校については、英語教育や不登校生徒の受け入れなど、地域の特色のある教育の機会の提供等の面で事業の効果が認められる一方、学校経営面や教育活動面等について問題点も指摘されてまいりました。

 このため、平成二十四年八月の構造改革特区推進本部の決定において、運用の是正を政府として決定し、認定自治体が学校に対する助言指導体制を確保すること、また、面接指導、試験を特区区域内で行うことなど、指導に努めているところでございます。

郡委員 指導に努めているというふうなことですけれども、それぞれ個別案件についての調査というのは行われていないということも確認をさせていただきました。

 株式会社が経営する学校が、株式会社から学校法人の運営へと移行が進んだこと、それから、大半が通信制の学校ということでありまして、多くの生徒は特区認定を受けた地域にある学校に通学することはほとんどなく、地域おこしとしての効果も限定的であったこと、これはしっかりと検証していかなくちゃいけないというふうに思っていますよ。

 ですが、その検証をしっかりと行う前に、今回は、教育委員会の一定の関与というふうなことは前提としつつですけれども、公立学校の運営の民間開放というのを行うことになるわけです。公立学校を運営管理する委託先には、学校法人、準学校法人、一般社団法人、財団法人、NPO法人が挙げられています。ここでは株式会社は除かれてはいるものの、なぜ、民間に任せなければ、そもそも、グローバル人材の養成や個性に応じた教育ができないのだろうかという疑問が私は湧いてまいります。現在の学校教育制度を否定することにつながるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

丹羽副大臣 現在の学校教育制度においても、公立学校には非常に高い指導力を有する優秀な教員の先生方もおられます。それぞれ、創意工夫により、グローバル人材の養成や個性に応じた教育がその地域でも行われております。

 公設民営学校では、現在の取り組みに加え、さらに、公立学校の管理を民間に行わせることで、地方公務員制度にとらわれない柔軟な人事管理による民間の知見の活用や、高度で専門的な知識経験を有する教員や国際経験が豊富な教員などの任用を可能とするものでございます。

 これによって、国家戦略特別区域が目的に掲げる、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材の育成に資する新たな選択肢を用意するものでございます。

郡委員 丹羽副大臣、御答弁いただきましたけれども、伺っておりましても、グローバル人材の育成、これは必要だというふうに私も思いますけれども、何で現在の公立学校のままではできず、民間に運営を委託しなければならないのかという説得ある御説明はいただけませんでした。そう思います。

 とりわけ、義務教育である中学校も含む学校教育の大きな変更になるわけです。それにもかかわらず、中教審でその後の議論すらなく、また、政府内で教育制度の変更としての詳細な検討がなされた形跡、これは皆無であります。

 国際理解教育及び外国語教育を重点的に行うものを対象に、世界の競争に打ちかつための人材養成校、いわばスーパーエリート型の学校づくり、これを義務教育段階まで推進しようというのは、やはり義務教育の機会均等原則に反するのではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 義務教育は、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うものでございます。その教育機会の保障と水準の確保が必要とされるということは、委員おっしゃるとおり、当然のことだというふうに認識いたしております。

 そのことを前提に、今回創設される公設民営学校は、国家戦略特別区域において、国家戦略特別区域法の趣旨に沿った、極めて特色ある教育を行うことを目的としており、そのような教育内容を希望する者がみずから選択をして入学する仕組みとしております。このため、義務教育段階の公設民営学校は、就学指定の対象とならない中高一貫校のみを対象といたしております。

 以上によりまして、義務教育段階での機会均等に反するということは当たらないというふうに考えております。

郡委員 都道府県等は、当該指定公立国際教育学校等管理法人による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取り消し、または期間を定めて管理の業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができるというふうにありますけれども、契約の途中段階で契約解除、あるいは受託者の経営破綻等で学校が閉鎖された場合、転校や編入学、あるいは通学など、生徒の教育を受ける権利が侵害されることになります。また、教師の処遇についても不明であります。

 そもそも、この公立国際教育学校等管理法人とは、どのような知識と経験を有する人材を有するものを想定していらっしゃるのか。一般社団法人、財団法人、NPO法人、一般に義務教育を含む学校教育トータルの適切な管理運営が可能なのかどうか、どのように判断されるのでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、公設民営学校の管理を行わせることができるとしている法人につきましては、その管理を担当する役員が当該管理を行うために必要な知識または経験を有しているということを前提といたしまして、法人の指定に当たりましては、都道府県等の議会の議決を経ることとしております。議会による丁寧なチェック等を通じた慎重な手続を経ることによりまして、法人の質の担保がなされるものと考えております。

 また、当該都道府県等におきまして、条例によりまして公設民営学校の管理の基本方針や入学等の処分の手続及び基準等が定められることに加えまして、公設民営学校の設置後におきましても、教育委員会による報告の徴収や指示など、あるいは指定の取り消しや業務停止命令等の一定の関与等ができることとしてございまして、これらの仕組みによりまして適切な管理運営が保障されるというふうに考えております。

郡委員 簡単にできないというふうに思います。教育の質を客観的に評価そして検証する仕組みをしっかりつくっていかなければ、受託者が経営的な観点から経費を削減することも考えられますし、教育の質の低下のおそれもあるというふうに思っているところで、ここをしっかりしなくちゃいけないわけです。それなのに、評価、検証する仕組みがないままに、地方公共団体が設置する学校を外部に包括的に委託するというのは、学校設置、運営の責任放棄に等しいんじゃないだろうかと私は思うところであります。

 民間事業者が建学の精神に基づいて新しい学校をつくるのであれば、その責任と負担で学校を設置すればいいのであって、しかも、初めから外部に委託することを想定して地方公共団体が学校を設置するというのは、納税者に対しても、学校のステークホルダーに対しても説明がつかないというふうに私は思いますよ。

 地方公共団体が公立学校の管理運営を委託する際に支出する委託費、これは私学助成費とは性格が異なっているわけですけれども、学校教育事業への公金の支出に変わりはないわけです。公設民営学校の事業主体である法人が憲法八十九条による公の支配に属しているのかどうか、その法的根拠にも疑義がございます。私学助成における私学の監督、規制との比較においても、私は不十分だというふうに思っています。

 入学の許可、課程の進級、修了の認定、退学、停学などの懲戒処分や出席停止命令、そして教育課程の編成など、これは公権力の行使に当たるわけです。管理運営を民間に丸投げして、公立学校と位置づけることは本当に可能なんでしょうか。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 学校教育法において、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校ということとされております。今回、公設民営学校は、その設置者が地方公共団体であるため、公立学校でございます。

 その管理については、一定の要件を満たした法人を指定して行わせるものでございますが、公権力の行使や公の意思の形成にかかわるものであり、高い公共性を持って、公正中立に行う必要があるというふうに考えております。

 今回の特例について、こうした点も勘案しながら、やはり、管理を行わせる法人の要件、さらに、教育委員会の一定の関与を規定すること、また、条例により公設民営学校の管理の基本方針や入学等の処分の手続及び基準等を定めることにより、公立学校の管理の中立性、公正性を確保することができることとなるため、国家戦略特別区域において実現が可能となったものでございます。

郡委員 今こちらで座って御答弁を聞かせていただいても、うなるしかないんですね。

 公立学校教育というのは、設置者である地方公共団体の公の意思に基づき実施されるものであります。入退学の許可や卒業の認定等の公権力の行使と日常の指導等が一体として実施されるもの、公権力の行使と単なる事実上の行為との切り分けが困難であるということなどを踏まえれば、これを包括的に委託しつつ、なおこれを公立学校教育と位置づけることというのは、やはり私は困難だというふうに思います。平成十六年当時の中教審の答申は、まさにそのことを問題にしていたんだというふうに思います。そして、その後、この議論は進んでおりません。

 下村文科大臣もみずから会見で述べていらっしゃるように、自民党の部会でも反対が八割だったところを、下村大臣自身の強い思いで一任を取りつけ、導入に傾かせ、百八十七国会に提出されました。議論に入る前に衆議院解散によって廃案になったものですけれども、同じものがこの法案であります。

 株式会社やNPO法人に学校運営への参画を認める規制緩和の動きは、二〇〇四年の小泉内閣で文科大臣政務官についた下村氏が、教育特区の推進役を担って、これまで進められてきました。

 二〇〇五年十月、学校を設立した会社でつくる学校設置会社連盟、今は、新しい学校の会というのでしょうか、これが創立されますと、下村氏は顧問に就任をされております。報酬は一切ないというふうに御説明をされているわけですけれども、収支報告書によりますと、会員企業やその代表者、関連法人から累計でおよそ七百六十万円の献金を受けておられます。

 今回、公設民営学校というふうになるわけですけれども、これは、資金調達の問題で学校経営に参画できない学習塾などにとっては大きなビジネスチャンスが生まれることになります。下村大臣の資金援助を初め、応援団と大臣みずからが認める博友会の会員の多くが学習塾の経営者でありまして、どうでしょうか、庶民感覚としては、その関係性に疑念が生じるのは当たり前のことではないか、そんなふうに思います。丁寧な説明を尽くすべきは当然のことではないでしょうか。

 公の施設の民間委託は短期の指定管理期間の業務委託であって、中長期的展望に立って行われるべき公の施設には全くなじまないものであるということも申し上げなくちゃいけない。

 重ねて申し上げますけれども、特に義務教育制度は、国、地方公共団体の責任において行われるべきものと考えます。

 想定する公設民営学校の義務教育部分の教職員は公務員でありましょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 公設民営学校の管理を行う者は民間の法人でございまして、教職員は当該法人に雇用されるものでありますため、その身分は公務員ではございません。

郡委員 そうですよね。しかし、民間人でありますけれども、義務教育部分の教職員の人件費については国庫負担の対象となっているわけです。

 公立義務教育諸学校の教職員人件費の国庫負担を管理委託先の非公務員の教職員の人件費に回すのは、特例措置を講じたとしても法の趣旨に反するのではないですか。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 義務教育費国庫負担法において、義務教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、都道府県が負担する公立の義務教育諸学校の教員給与費等に要する経費の実支出額の三分の一を国が負担することと規定いたしております。

 公設民営学校である中学校についても、義務教育無償の要請や授業料不徴収等は他の公立学校と同様に適用されることに鑑み、非公務員である公設民営学校の中学校の教職員給与についても、他の公立学校と同様に、教職員給与費の三分の一を国が負担することが必要であるというふうに考えております。

郡委員 公設民営学校の教職員は公務員としての身分を失うんですよ。受託者によって雇用されるんですよ。そして、これは民間労働法制が適用されるんですよ。さらに言えば、限られた教育予算の中で行われることを考えれば、既存の公立学校を廃止し、勤務する教職員は配置がえや分限免職などで削減し、公設民営の運営委託費の一部に充てる画策も想定できなくもないわけです。

 このことは、実際、大阪府が出された当初の教育基本条例案に公立学校の学校法人化の規定が盛り込まれていたことからも、公設民営学校の非公務員型の教職員としての配置がえを進めることにつながるおそれを払拭できないと私は思います。

 次に、学校施設で事故が生じた場合の責任問題について問いたいと思います。

 施設整備の安全管理対策などの措置を講じるのは当然のことですけれども、もし学校で事故が生じた場合、責任は誰が負うのか、大変曖昧だというふうに思っています。公設民営学校の受託者が十分な安全策を講じず、設置者である自治体に国家賠償法上の損害賠償責任を負わせるのであれば、受託者のモラルハザードを生じさせ、安全対策は配慮されないおそれも生まれます。

 教員が生徒に損害を与えた場合、使用者である受託者が損害賠償責任をとることが、民法の七百九条、七百十五条に基づき、これは道理だというふうに考えるんですけれども、それでいいんでしょうか、どうでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 学校事故が起こった場合でございますけれども、一般の公立学校で学校事故が生じた場合におきましては、設置者でございます地方公共団体が賠償の責めを負うことになるわけでございます。

 この公設民営学校につきましても、私どもといたしましては、法人またはその教職員の不法行為等によりまして生徒などに損害を生じた場合には、当該学校の設置者でございます地方公共団体が損害賠償請求を受けることと考えております。その際は、当該損害につきまして法人またはその教職員に故意または重過失がある場合には、地方公共団体は当該法人に対し求償することができると考えております。

 先生御指摘のとおり、モラルハザードの部分でございますけれども、公設民営学校におきます学校の管理につきましては、そもそも、事故が起こらないように、受託法人の責務といたしまして、十分な注意を払いつつ行われることが必要と考えております。

 さらに、そういったことも踏まえまして、公設民営学校を設置いたします地方公共団体におきましては、管理の基本的な方針について条例で定めることとされておりますが、その中で、例えば、あらかじめ安全管理を十分に行うこと等について定めて、学校の管理を行う法人の注意を促すということは可能であると考えております。

 民法上の責任というのは、先ほど先生がおっしゃったとおりでございまして、さまざま生ずることになりますけれども、学校の管理運営を委託する、そういう委託契約の中で、さまざま、そういったことにつきましても注意をきちっと促せるような規定を盛り込んでいくということも考えられると考えております。

郡委員 まだそういうことは何ら決まっておりませんで、そういうふうにしたいという気持ちだけで、それを担保するものは何にもないんです。

 私学とも異なっている、公設民営という責任体制の曖昧なまま、委託制度というのは公教育制度にやはりなじまないというふうに私は申し上げざるを得ませんし、生徒の教育権の保障、教職員の雇用等についても取り扱いがまだまだ不明である、これを考えれば、ぜひ、中教審でこの議論をもう一度やり直していただきたい。慎重に、十分に時間をかけ議論することを求め、私の質問を終わります。

鳩山委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 維新の党、木内孝胤でございます。

 先週金曜日に質問に立たせていただきましてから、土曜、日曜、大阪に参りまして、大阪都構想の住民投票がございました。

 結果は御案内のとおりで、反対票の方が七十万票を挟んで五千票多くて、賛成票の方が六十九万四千票ということで、約〇・八%の差という僅差でございました。

 七十万五千名を超える方が反対を書いたということでございますので、そこの点を真摯に、謙虚に受けとめた上で、きのう、きょうの話でございますので、内容についてはまだ分析等も終わっておりませんけれども、謙虚に結果を受けとめたいと思います。

 一方で、六十九万四千八百四十四名の方が賛成という二文字を投じてくださいました。これはこれで非常に大きな数字だと思っておりまして、勝っても浮つかず、負けても下を向かずということで、投じてくださった方にきちっと報いるためにも、今回の選挙結果を踏まえて何ができるのか、こうしたことを整理して、きのうから、そしてきょうから、きょうの委員会から前に進んでまいりたいと思います。

 金曜日、宮本委員の質問の中で、これは大阪の話であるし、大阪のことは大阪で決めればいいという大臣の御答弁がございました。そういう中で、地方創生の観点から、今回の結果、大臣から御所見、もしあればいただきたいと存じます。

石破国務大臣 今回の結果を地方創生の観点からということでございます。

 それは、二重行政の打破ということが最も論ぜられたことだと思っております。

 そうすると、大阪府というものが、仮にそれを大阪都という名前にするにしても、今の二十四ある区が五つに再編される、そこにおいて首長が選ばれ議会ができるということが住民に身近な新しい特別区という御主張だったと思います。

 そうなったときに、では、今の大阪府と大阪市で、これは先般、宮本議員にもいろいろな御発言がございましたが、では、それが仮に大阪都と特別区になったとしたら二重行政というのはなくなるんだろうかというような疑問も当然あるわけで、いやいや、そうではない、そこにおいて、大阪市という大きなものではなくて、特別区で区長さんが選ばれ、議会が選ばれるところに意義があるのだという話もあり、何かうまく議論がかみ合っていなかったのではないかなという気が、私ども見て、しておりました。

 ですから、今回、こういう結果が出ましたので、賛成に回られた勢力も、反対に回られた勢力も、まさしく勝っておごらず、負けて下を向かずで、こういうふうな枠組みの中で、どうすれば住民に身近な行政がなされるかということを、この結果を踏まえて議論していただき、結論を出すのが一番肝要なことではないかというふうに思っております。

 お互いにいろいろな教訓を得た選挙だったと思いますが、出口調査しか見ていませんので、私は本当のところはわかりませんが、年代によって賛成、反対のばらつきがかなり大きかったということをどのように考えるかというのが重要な視点だというふうに私は、感想めいたもので恐縮ですが、思っております。

木内(孝)委員 今、年代別のお話をいただきました。年代別、出口調査でございますので、どこまで正確かはわかりませんけれども、二十代が六一%の賛成票、三十代が六五、四十代が五九%。実は五十代、六十代も五四と五二と賛成票が上回りました。したがいまして、区分けでいうと七十歳以上ということになりますので、七十歳以上が三九%という結果になっております。そういう結果から見ると、七十代の方への住民サービス、行政サービスの低下が非常に懸念されたのかなと思っております。

 私も大阪に行って、本部に詰めるとかそういうことではなくて、桃太郎といいますか、一緒に三万歩ぐらいずっと地元の議員なんかと一緒にやらせてもらったり、あるいは、普通の選挙と違いまして、投票日も投票箱の前に立つことができますので、その前で、各双方、反対派、賛成派の陣営がいろいろ説明をしたりということで。

 そのときに私、四名か五名ぐらいから聞かれたんです。バスの無料パスがなくなるんじゃないのというふうに聞かれましたので、別になくなるということでも何でもなかったわけですけれども、都構想が進むとそういうサービスがなくなるというような、ある話が広まっていたりとか、なかなか、七十歳を超える方あるいは御高齢の方にきちっとしたお訴えができていなかったのが反省かなと思うんです。

 きょうも先ほど郡委員から教育の話が出ましたが、我が国の政策というのは、御案内のとおり、児童手当、家族手当、そうしたさまざまな家族政策関連あるいは教育関連の支出というのが、OECD加盟国の中でも下から一番目だったり二番目だったりというような状況でございます。

 今回、地方創生の大きなテーマでもあると思うんですけれども、やはり年代別にどのような行政を重点化させるのかというのは一つ大きな視点だと思っておりまして、今回は、私どもは、別に高齢者の方のサービスを削るとかいうことではなくて、あくまでも、二重行政で無駄があった部分をなくして、それを財源に、御高齢の方に対してもよりサービスを手厚くするというつもりで説明していたわけです。

 ただ、今回の結果を見ますと、ちょっとまだ正確に年代別の投票率が出ていないのであれですけれども、やはり七十歳以上の方の投票率が非常に高い傾向があるという中で、各年代全てが賛成だったのに、七十歳以上の方だけが反対したことによって、トータルで僅差で負けたということなんです。

 こういう点を踏まえて、地方行政でも、やはり年代別、どういうふうに世代間に資源を再分配するかという点が、今後非常に、もしかしたら一つ焦点が当たる可能性があると思っております。

 とりわけ少子高齢化ということに関して言うと、やはり二十代、三十代、あるいは四十代の方が非常に子育てで御苦労していたりという状況でございますので、先ほどの年代別ということも踏まえた地方創生の観点から、世代間格差といいますか、世代間の政策のあり方、この点につきまして、大臣、もし御所見がございましたらお願いいたします。

石破国務大臣 これは、それぞれの基礎自治体によって、そこの方々が選ばれた首長、あるいは、そこの首長の方々と住民との間のいろいろなお話し合いがなされるべきもので、国として今の委員の御質問に明確に答えるのはとても難しいんだと思います。

 ただ、幾つかのことを申し上げさせていただければ、やはり若い方々が安心して就労できる環境づくりというのはやらなきゃいかぬので、そこにおいて大事なのは、安定した雇用、そして安定した収入、この二つを大前提として、できれば、やりがいというものも持った仕事をつくるにはどうしたらいいだろうか。そこにおいて、職能訓練のようなことに対して国はどのような支援ができるだろうかというようなことは、国がやるべきことだと思っております。

 もう一つ申し上げたいのは、これは幾つか、例えば、子供が一番生まれて、長生きの町でもあります鹿児島の伊仙町というのがございます。そこにおいて、町長さんは県会議員であり、またお医者さんであった方でありますが、この方が高齢者の方々に対して、あなた方に対する町の支出というものを減らして、若い人たちあるいは子供たちに回したいんだということを言ったらば、高齢者の方が、それはいいことだ、我々に対する支出を減らしてでも若い世代や子供たちに対して回してくれということを、彼らの側から町長に対して提案があったということは、やはり、行政に携わる者がみんなにいい顔をしていたら、みんながだめになるということだと思います。

 あるいは、同じようなお話は、先般、隠岐諸島の中ノ島にあります、有名な海士町というところでありますが、そこで聞きました。やはり、まず町長が自分の給与を削減したというところから話は始まるんですが、高齢者の方々が、自分たちがバスに乗るときの割引を、こんなに割り引かなくてもいい、何とか町が再生するために自分たちのできることは何だろうかというふうにおっしゃったということがあります。

 ですから、あっちにいい顔、こっちにいい顔をするのではなくて、次の時代にどうやってその自治体を残すのかということは、全ての世代に対して御負担も求めなければいけないし、その世代がそれぞれできることは何であり、それに対して行政はいかなる支援をすべきかということを、基礎自治体であるがゆえに本当に真摯なというか、隔靴掻痒ではない、真剣な話し合いがなされるということが一番大事だというふうに、私は最近、確信めいたものは持っておるところでございます。

木内(孝)委員 今回いろいろな議員と話していますと、例えば神奈川の議員であれば、県と横浜市の二重行政の問題等の議論があったり。でも、私は地元が東京でございますので、東京でも、特別区、二十三区の首長の方と話していましたらば、やはり、東京都との関連で、権限のあり方について、大阪都構想、今議論されていることが非常に参考になったというような話を頂戴しました。

 荒川区の西川太一郎区長が、今回の都構想を非常に注目している、とりわけ、東京都も区との間でいろいろ、権限の問題で提言したいこともあるというような話がございまして、もし、こうした役割分担等について、今回の住民投票を通じて、東京都あるいはほかの行政区でも参考になる論点等ございましたら、お聞かせをいただければと存じます。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 大阪府・大阪市特別区設置協議会が作成いたしました特別区設置協定書におきましては、大阪市の区域に設置されることとなります特別区は、現に東京都の特別区が処理することとされている事務に相当する事務に加えまして、地方自治法の規定に基づく条例による事務処理特例制度によりまして、中核市等の事務を処理するということとされていたものでございます。

 現在、東京都におきましても、条例によります事務処理特例制度に基づきまして、特別区に対して、まちづくり、あるいは福祉などの分野で事務権限の移譲が行われていると承知をしております。

 今後、都から特別区へのさらなる権限移譲も想定されるところでございますが、第三十次の地方制度調査会答申におきまして、都とそれぞれの特別区の協議により、条例による事務処理特例制度を活用する方向で検討すべきとされているところでございまして、今後、そういう権限移譲の場合には、東京都と特別区という地域の実情に応じて、地域の判断によってそういった判断が行われていくのではないかと考えているところでございます。

木内(孝)委員 ありがとうございます。

 続いて、先週も少し触れた件でございますけれども、地域再生法、東京一極集中の是正についてお伺いをいたします。

 山間部まで含めるかは別にしまして、全ての地域に人口減抑制のために資源を投下するのではなくて、地方中核都市に資源を集中的に投下し、そこを最後のとりでとして再生を図っていく方針というような認識でおります。しかしながら、金曜日に質疑をさせていただいた際も、一極集中のところは考え方が一致はしているけれども、中核都市に資源を集中させるのか否か、この点がまだ極めて曖昧であったのかなと思っております。

 この点につきまして、今回の法案の中身ですと、東京及びそれ以外ということになっておりまして、中核都市にある程度選択的に資源を集中させないと、なかなか総花的になって、選択と集中が、しなくてもいいという考えももちろんございますけれども、私はある程度選択と集中を図って地方創生を実現させる方がいいのではないかと思っておりますけれども、この点が相変わらずちょっと曖昧なものですから、いま一度御答弁をいただければというふうに思っております。

若井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯どめをかけるために、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保することが重要であると考えてございます。

 このため、地域再生法による地方拠点の強化施策におきましては、こうした良質な雇用の創出に計画的、戦略的に取り組んでいる地域に対して、できるだけ広く恩恵が及ぶように配慮をすることとしているところでございます。

 そうした趣旨から、地方拠点強化税制におきましては、東京からの移転ということだけではなく、地方における本社機能の拡充も支援をすることといたしてございます。

 なお、先日来御議論いただいておりますように、一部の、既に人口や産業が著しく集中している地域については、周辺地域からその地域への移転が促進される、こういった弊害が生じるおそれもある、このように考えておりますから、限定的に支援対象外とはしておりますが、そのことをもちまして、この制度が政令指定都市から企業機能の分散を目的とする、こういうふうに整理をするという考え方ではないのではないのかなというふうに考えてございます。

 今後さらに議論を深めて御理解を賜りたい、このように思ってございます。

木内(孝)委員 まだちょっと若干わかりにくいかなとは思いますが、いずれにしましても、ある程度選択と集中を進めながらやっていかないと、結局どこも効果が上がらないというような結果になってしまうのかと思いますので、ぜひそこの明確化を今後お願いできればというふうに思っております。

 続きまして、金曜日の質疑におきまして、大臣の国土観、国土ビジョン等についてお話をお伺いいたしました。

 先般も申し上げましたが、私は大臣の本を読ませていただいたことがあるものですから、どちらかというと安全保障についてのことが書かれていて、余り経済政策のところは、私が読んだ本の中では書いてなかったのですが、先般、大臣がよく参考にしている経済学者等で、加藤寛慶応大学教授の名前が出てまいりました。

 加藤先生というのは、御案内のとおり、JRの民営化ですとか、あるいは、政府の税調のトップをやられたりとか、政府とも関与しながら、さまざまな経済政策のアドバイザーとして活躍をしてきました。加藤先生の政策の柱の一つが公共選択論、レントシーキングという考え方でございます。

 私は、地方創生の一つ一つ出てきているアイデアの中に、例えば規制緩和なんかも入っていますし、余り官が介在しないようにというようなこと、あるいは民の活力を吸い上げてということは入ってはいるものの、一方で、割と官が介在し過ぎている部分というのも同時に感じておって、あしたもちょっと政府資産の売却等あるいは民営化等についてもいろいろお伺いする予定なんです。

 これはもしかしたら地方創生あるいは石破大臣のお考えではないのかもしれませんけれども、今回の国会においては、郵政の民営化は進んでおりますけれども、例えば、商工中金あるいは政投銀、これも完全民営化するという方向で今まで進んでいたのが、結果として、三月末に、これは私から申し上げれば、実質的に民営化先送りというような状況になっております。

 こうしたことを踏まえて、大臣の、公共選択論、レントシーキング、あるいはこうした加藤寛先生の経済政策における考え方を割合と支持しているのかいないのか、あるいは、現状の地方創生のこうしたさまざまな政策との整合性をどのようにお考えになっているのか、やや唐突なところもありますけれども、御意見をお聞かせいただければと存じます。

石破国務大臣 私、加藤先生から直接御指導いただいたことはございません。学部が違ったせいもございまして、直接御指導はいただいていないので、書かれたものについて読む、あるいは、何かの審議会で御意見を拝聴するぐらいの話であります。

 そこにおいて、レントシーキングなるものがいかなるものを指すのか必ずしも明確ではありませんが、官というのは、恐らく、行政のみならず政治も指しているんだろうと思っております。それがいろいろなことに介在する、あるいは介入することによって政策の正当性がゆがめられるということがあってはならないということは、加藤先生がよくおっしゃっておられたことではないかと私自身記憶をしておるところでございますが、本来、私は別に、必ずしも自由経済万能論に立つものではありませんし、新自由主義に立つものでもありませんが、行政あるいは政治の過度な介入というものはなるべく排されてしかるべきものだろうと思っております。

 今回のJA改革でも私は思っていることなのですけれども、かつて正しかったものが今正しくないということはあるのだ。情勢の変化によって、そもそも法律ができたときの法目的というものがどこかの時点でもう成就されていて、状態が変わったとき、法目的そのものを変えなければいけないということが現出するにもかかわらず、そういうものを怠ってきたというのは、やはり政治の責任であり、行政の責任であるというふうに思っております。

 商工中金等々について今言及すべきだとは思いませんが、私どもとして、そういうような制度、仕組みができたときのそもそもの法目的、それと今の社会状況の変化、こういうものには常に敏感でなければいけないし、対応は怠ってはならないと思います。

木内(孝)委員 地方創生、一つ一つ個別に政策を進めていますと、そこの根本のところの考え方が、何か時々ぶれてしまうのではないかと危惧しておりまして、あえて今の質問をさせていただきました。

 先般も、自然再生エネルギーの推進と地方創生という点につき質問させていただきまして、最後、質問時間がなくなってしまいましたので、ちょっと残った質問について触れたいのです。

 米国は、二〇五〇年までに風力発電を四〇%にするという目標を掲げております。我が国も、再生エネルギー、一生懸命取り組むということにはなっておりますけれども、我が国の風力発電は大体二%とか三%、物によって若干幅はございますけれども、ある意味、非常に慎重といいますか、控え目な目標となっております。

 もちろん、地理的要件、さまざまな要件が異なるわけで、一概に比較はできませんけれども、先般申し上げました、送電網の整備がされていないというのがやはり一つ大きな障害になっているのかなと。

 それ以外に、風力発電に関しては、環境アセスメントの問題がございます。環境アセスメントは、当然、その地域の自然の状態とか、さまざまな環境問題を見ないといけないわけでございますけれども、これにつきまして、風力発電の環境アセスメントの導入の短縮化等についての取り組みについてお聞かせいただければと思います。

木村政府参考人 風力発電等の環境アセスメントの件でございます。

 例えば、風力発電の設置に当たりましては、環境アセスメントの手続迅速化は非常に重要な課題だと考えてございます。通常、三、四年程度かかっておりますけれども、これを半減することを目標といたしまして、迅速化に現在取り組んでおります。

 まず一つは、方法書といったさまざまな審査がございますけれども、環境省あるいは自治体の協力のもとで、百五十日程度要しておりましたこれを四十五日程度に短縮したいということでございます。

 ただ、環境アセスメントの中で一番時間がかかりますのは、事業者さんみずからが行われます環境影響調査でございまして、これを前倒しして、事業計画を策定する段階、あるいは方法書などの審査の手続と並行して実施をするということができますと、全体としてアセスメントの期間がかなり短くできるのではないかということでございます。

 他方、前倒しでやりますと、どうしても、調査結果が後で、プロセスの中で生きてくるのかどうかということについて、やはり懸念が払拭できないということもございますので、前倒しして行う場合の課題を特定いたしまして、その解決策を見出すための実証事業、これは予算事業として手当てをして、今やっているところでございます。

 今後も、こうした取り組みによりまして、迅速化を進めてまいりたいと考えてございます。

木内(孝)委員 いろいろな再生エネルギーがございます。太陽光、風力、バイオマス等々ございますけれども、それぞれに地域で雇用を生むわけでございます。各エネルギーを導入した場合、雇用創出などの経済的な効果、それぞれどの程度と見積もっていらっしゃるか、お聞かせください。

木村政府参考人 御指摘のとおり、再生可能エネルギーは地方創生に寄与するというのは、もう言うまでもございません。もともと再生可能エネルギーは地域に賦存する資源を使うものでございますので、親和性が非常にあるというふうに考えてございます。

 他方、明確な形での統計等はございませんので、はっきりしたこと、ちょっとどこまで御答弁できるかというのはございますけれども、例えば太陽光発電につきましては、二〇一〇年度には全国で五千億円程度の市場規模で三万人程度の雇用者数だったというものが、二〇一三年度には二・五兆円に成長し、雇用者数は九万人に増加した、そういう試算がございます。

 それから、風力でございますけれども、これはちょっと将来の数字、見通しになりますけれども、約一千万キロワット程度導入をされた前提で考えますと、経済波及効果としては約一・一兆円、約七万人の雇用が生み出される、そういう試算もあるところでございます。

木内(孝)委員 中身によって大分雇用者数というのは違うかもしれませんけれども、短期間にこれだけ効果があった話でございます。

 雇用を生み出すと同時に、エネルギーが安価な形で入りますと、それは、安全保障上の問題、あるいは地域分散、地産地消という形で、本当に地方創生にとりましてもいい形で経済が好転するものと考えております。

 いずれにしましても、私は、この自然再生エネルギーと地方創生の関連性ですね、一つ一ついろいろなことを丁寧にやるのに加えまして、非常に大きな線を一本国内に張りめぐらせれば、全国じゅうに電力の融通もできるわけですし、ちょうど電事法の審議も進んで、間もなく可決もされるんだと思いますけれども、ぜひ、あわせて、この地方創生と再生エネルギーの関連性、これをより強化をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

鳩山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 今、同僚の木内議員からもありましたけれども、おとといは、都構想、残念ながら否決をされました、僅差でありましたけれども。ただ、やはり、今特区なんかでもやってはいますけれども、国と地方とのあり方を見直していく、地方創生のためには、いろいろな仕事とかそういう側面もありますけれども、制度として国と地方とのあり方を変えていくということが地方創生の重要な観点の一つであるというふうに思いますし、大阪都構想、否決はされましたけれども、対案として大阪の自民、公明の方々が出していた総合区制度も、逆に橋下市長も取り組んでいこうということで、新たな取り組みを始めているところであります。

 そもそもの根幹にかかわるところとして、統治機構の改革というのは、大阪のああいう結果が出たとしても僅差でもありましたし、現状を維持していくということであってはいけないというふうに思っています。どう改革していくかの手法で今回明暗が分かれましたけれども、いずれ、地方を強くしていく、権限を強くしていくという方向性はとめるわけにいかないというふうに思っています。

 そうした観点から、雑駁ではありますけれども、今後の地方創生のために、国と地方とのあり方を変える、統治機構を変えていくという観点について、大臣の御所見をまずお聞きいたしたいと思います。

石破国務大臣 これはあちこちでお話もし、答弁もしておって、重複になったら申しわけないのですが、私、中央政府というのは、外交と安全保障と通貨政策、教育の基本、そういうものをやるべきなんだろうねというふうに思っております。

 財政をどう考えるかというのは、まさしく国と地方との関係で議論のあるところですが、やはり、外交と安全保障と通貨政策と教育というのは中央政府でなければできないことだ、独立主権国家においてはそういうことだと思っております。

 それ以外はなるべく地方にお任せをした方がよろしかろうということですが、そこで、道州制なのか、今の、これは全国町村会というのは絶対反対ですからね。何で全国町村会が反対なのかといえば、あの平成の大合併のいろいろな教訓とか反省とかいうものがあってということで、どうもお話がロジカルにかみ合っていないなという感じを私自身持っております。

 では、道州制にした場合に、今の市町村という基礎自治体はどうなるのか、都道府県というのはどうなるのか。中央政府のあり方が先ほど申したようなものに限定をされるべきだとせば、今の中央省庁はどのように変わるのか、そうなったときに国会と地方政府の議会というのはどういう関係なのかということの議論がほとんどなされないままに、道州制にすればよくなる、道州制にしたら日本は終わりだというような、そういうような、お話が交わらないままに時間が徒過するというのは、私はちっともいいことだと思っておりません。

 きのうも九州でお話をしておったらそんな話になったのですが、やはり、私どもの地方創生というのは基礎自治体というのをベースにして進めております。この基礎自治体がどうなっていくのかというお話は、これはこれで地方創生の手法はこのままやらせていただきたいと思います。

 しかし、では、これと道州制において基礎自治体をどういうような役割として位置づけるかというようなことは、道州制を強く提唱しておられる御党からもまたプレゼンをいただき、議論をさせていただき、御教示も賜りたいと存じます。

小熊委員 大臣おっしゃったとおり、今回、大阪都構想の住民投票も、ある意味、いろいろな議論、市民レベルで議論を起こしたという意味では一定の成果があったというふうに思います。

 ただ、そういった中で、我々も大阪に行っていろいろな運動、活動をして、また大阪の方々と意見も交換しましたけれども、今大臣がおっしゃったとおり、しっかり議論ができた部分もありましたし、橋下さんも会見でも言っていましたけれども、また一方で、なかなか御理解いただけなかった、論理的に議論がかみ合わなかったというのも、これもありました。また、反対派の意見の方から、七十歳の方々の無料パスがなくなって五十円取られるということだけで反対というのもあって、それはそれでいいのかなとも思ったんですけれども。

 今後、こうした、やはり国民を巻き込んで地方創生ということもやっていかなきゃいけないという意味では、今回の都構想、住民投票を契機に、我々政治家全体がどう国民と向き合って議論を深掘りしていくか。私自身は、やはり、この道州制というのも幅広いいろいろな手法があるというふうに思っています。

 ただ、現状として、今の四十七都道府県制度がいいんですかということを町村長さんに言うと、それはそれでやはり問題があるよねということは言っていただけるので、まずは、どう問題提起をしていくかということが先にあれば、問題意識はみんな共有しているはずですし、気づいているはずですから、では、どう変えるかということに多分心が向いていくというふうに思います。

 今回のこの住民投票を契機に、これは私たちもしっかり努力をして、地方自治制度の理想に向かってやっていかなきゃいけないなというふうに思っていますので、ぜひ、この議論を恐れずに、また改革をすることはしなければいけない、日本は大きく社会状況が変わっていくわけですから、ぜひこれは与野党の枠を超えて取り組んでいきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に移りますけれども、地方活力向上地域特定業務施設整備計画、これは、五年間で七千五百カ所、七千五百社を首都圏から移転をさせて、東京圏から移転をさせていくという壮大な事業でありますけれども、これは一定程度評価をしたいなというふうに思っています。

 ただ、これを具体的に進めていく上では、この膨大な数、本当に五年間で達成できるのかというのは一抹の不安があるところではありますけれども、ただ、この際に、地方創生の一つの言葉として、東京一極集中の是正だ、これはそのとおりです。

 しかしながら、ほかの大都市圏について明確な言及がない中で、今回のこの計画では、近畿圏整備法とかがあるということで東海圏と近畿圏はまた除外をされているわけですけれども、これについて言うと、東京一極集中の是正しか言っていない中でこういう枠をはめましたから、これは政令指定都市の市長会からも、この外すという件については反対の意見も出ているということを一部報道で私も確認をしました。

 大臣もそこは聞いているというふうに思いますけれども、改めて、東京一極集中の是正しか言及していない中で、ほかの三大都市圏の、近畿、また愛知を中心とする東海圏の除外をしたというその根拠をまずお示しください。

石破国務大臣 これは、東京の一極集中に歯どめをかけるということと、もう一つは地方の人口減少に歯どめをかける、この両方が今回の地方創生の目的でございます。それは単に東京の富とか人を地方に移せばそれでいいというものではなくて、東京より安全で安心で活力ある都市とするということなので、そこはお間違いのないようにという話なんですが。

 地方の人口減少に歯どめをかけるということを考えたときに、一番深刻なのは、それは福島県でもそうでしょう、あるいは栃木県でもそうです、広島県でもそうです、鳥取県でもそうです、いわゆる本当の、本当のもうそのもないんですが、地方と言われるところを頭に思い描いたときに、それは名古屋も地方でしょう、近畿も地方ですが、地方といったときに思い浮かべるのは、やはり福島であり、鹿児島であり、宮崎でありというところなのではないだろうか。三大都市圏、四大都市圏と言われるところ以外のところではないだろうか。

 仮にそういうところを、三大都市圏、四大都市圏も指定をしたとすると、それは、そっちの方へ移って、地方の人口減少に歯どめをかけるということに対する効果的な施策には全体的にならないのではないかというふうに思っております。

 根拠はそれぞれの都市圏の整備法でございますし、それについての御議論はまたこの委員会でも賜っておるところですが、私どもとして強く認識をしておりますのは、食料、エネルギー、あるいは人材の供給源であるところの本当の地方というか、地方らしい地方という言い方をあえてするとすれば、そういうところのどんどんと衰退していくのを早くとめなければいけないということであります。

 名古屋あるいは近畿に対しましては、その地域にふさわしいいろいろな支援策というものを特区制度等々を活用してやっておるところでございまして、今回のそういうところを外したということは、そういう趣旨に基づくものだと私は考えております。

小熊委員 これはもう少しどんどん言っていっていいと思うんですよね。今の大臣の方向性というのは、私は了とするものですよ。ただ、明確に言っていないので。これはマスコミの問題もあると思いますけれども、東京一極集中是正だけを言っていたので、名古屋圏、近畿圏の人が何で外すんだということになるわけですよ。だから、政令指定都市の市長会でもそういう会談になってきます。

 でも、現状を言えば、日本の全体が、二〇五〇年、六〇年にも一億を切るというふうに人口推計も出ている中で、今一億二千七百万人余りということであれば、二割以上減るわけですね、これは撤退戦ですから。

 でも、そういいながらも大都市は、ほかの、今私の地元も挙げていただきましたけれども、大臣のところも半分近く、六割ぐらいになるという推計も出ているわけですよ、今から。同僚の秋田の村岡議員のところなんかは半分以下になる、一番減少率が激しいという推計が出ていますけれども。そういう中でいうと、名古屋圏、近畿圏はまだ減少率はいいでしょう。ただ、大阪は七割ぐらいになるというのが出ているんですね、実は、意外と。だから三大都市圏から転落してしまう。近県の滋賀県は減少率が八割ぐらいで終わるみたいなのが出ています。

 そういう中で、ただ、人口のあり方についても、国がある程度の方向性を示すべきじゃないかということを再三大臣とやりとりしていますが、これは自由競争もある、国は大きな縛りはかけないという大臣の言葉もあったんですけれども、でも、今の答弁を聞くと、今回のこの法律も、担当者とお話をしたら、何で外すんだと言ったら、定量的なところもつかんでいるわけですよ。人口に対しての事業所が近畿はやはり多いので、ポテンシャルがあるからそれはほかの都市とは違うでしょうと。今の大臣の答弁と一緒です。例えば、そういう観点があるわけですから、やはりこれはもっと踏み込んで、一つ一つの市町村ごと、都道府県ごとにこうすべきということはないとしてもですね。

 やはり、競争といいながらも、何千人かの町、一万、二万人の町、数万人の市と、百万、二百万という市と、無差別級で戦うというのも、これはまた詮ない話で、無差別級ではなくて、多少階級に分けて支援制度があったりしていかないと、この人口推計でいうと、小さな市町村から、東京に行くことはないとしても、結局、仙台に行ってしまう、札幌に行ってしまう、広島に行く、博多に行くということになるわけですよ。

 全体としては二割減る。だけれども、中身を見てみればかなりでこぼこがやはりふえた、都市生活者がふえた、東京ではないけれども都市生活者がふえたというのであれば、これは日本の国の発展を考えると、人口のあり方というのはいびつになってはいけないというふうに思いますから、大臣、今言った方向性、私はいいと思うので、もっと色濃く出していくべきだと思います。余り自治体に人口はどうだということを言うことは、まさにそれは避けなければいけませんが、今言った、大都市圏がどうあるべきか、あと、核となる仙台とか札幌みたいな市もどうあるべきか、ほかの市町村とは違うよねというあり方は、方向性を示すべきだと思います。

 方向性を、国の考えを示した上でこういう制度が出てくれば、そういう方向性があるからこそ、近畿圏が外れるよねとか、もしくは政令指定都市はこういう優遇制度を受けられないよねというのが、すとんと落ちてくるんですよ。そういった方向性を打ち出すべきだと思いますけれども、まず、どうですか。

石破国務大臣 委員の御主張、よく理解できました。何か、先週までは何となく議論がかみ合っていないような気もしたのですが、私と問題意識が一緒なのだということが今の議論を聞きましてよく得心をしたところでございます。

 要は、説明の仕方なのでありまして、東京が人が集まっている、それが名古屋にかわりました、あるいは近畿にかわりましたというだけで、いわゆる本当に過疎を含む地方にとっての状況は何も変わらぬと。東京に行っていたのが、名古屋に行きます、横浜に行きます、大阪に行きますということになっちゃったらば、地方にとっては状況は一緒になってしまうので、それはその地域地域にふさわしい支援の仕方があるのだということをもう少しわかりやすく御説明をしないと、無用の混乱、無用の反発を招くというふうに思っております。

 やはり一番深刻なのは、過疎地を含む、三大都市圏、四大都市圏ではない地方が一番深刻だし、そこが一番時間が残っていないということだと思います。

 一方において、時間が残っていないのは東京並びに首都圏も一緒なのであって、東京、首都圏の二〇二五年問題というのは、本当に大変に深刻な状況として間もなく明確な姿をとって現出をするわけであって、その地域地域の時間軸に合ったふさわしい政策の支援ということはもう少し明確に示したいと思います。

小熊委員 その内容を見れば、東京は人口がいても世代間の比率の格差の問題もありますから、ただいま、まずは量の問題をちょっと提起させていただいているので、これは今後定量的なものをどう切るかというのは、はざまに入ったところは文句も出るでしょうけれども、やはり、階級別ではないですけれども、まず量としての、何万人以上の市と何万人クラスのと、同じ市といったって、政令指定都市以外でも、同じ市でも三十万の市と五万の市で一緒に競争しろと言ったって、まあ、それも言い切るかどうかなんです、それも競争ですと言い切っちゃうかどうかです。ただ、そういうことを明確にそこは言わなきゃいけないと思うんです。

 その方向性を今後、より国民にわかりやすく、自治体にもわかりやすく、どう国が考えているかという方向性を示した上であれば、いろいろな制度が理解を得られるというふうに思いますので、ぜひ明確な方向性を今後大臣のもとで検討していただいて、しっかり打ち出す、国民に説明をするということが必要だと思います。

 今の大臣の方向性を聞いて、これは私は正しい方向だと思っていますので、それをよりよい言葉にかえてこの基本方針にもしっかり入れていって、今のままだと、概要版を見ると、東京一極集中の是正しか出ていませんから、今みたいな話は出ていないんですよ。そこに不安があるわけですよ、我々は。大臣の地元もそうだと思いますけれども、同じ地方といっても、本当にポテンシャルのある地方がありますから、これはやはりその方向性を明確に打ち出した上で具体的な制度を出していく、これはしっかりやっていっていただきたいというふうに思っています。

 さはさりながら、これはいろいろな制度をやったとしても、残念ながら、やはり都市集中というのは世界的な流れでもあります。都市生活者がふえていくというのは、世界でも二〇三〇年ぐらいに六割ぐらいが都市生活者になるという推計も世界の中で出ていますから、あるわけでありますけれども、まして、日本の人口が北海道から沖縄までどの市町村も二割平均的に減っていくという状況はあり得ません。それはでこぼこはできてしまいます、残念ながら。

 そういったときに、やはり、人口が半減しても、下手すれば三分の一になるような市町村も出てくるというふうに思います、今後、二〇五〇年、六〇年までの間に。そうすると、支援策もありながらも、こうした大幅に減ってしまうセーフティーネットもつくっておかなきゃいけないと思うんですよ、自治体のあり方として。そこを、今はとにかく、何とか人口問題を解決しましょうという前向きな支援ではあるんですが、だめになってしまうということも想定をして、そうした市町村への支援策というのも今のうちからつくっておかなきゃいけないというふうに思います。そうした、ちょっと前向きな議論にはならないんですけれども、でもこれは大事なことですから、国家の危機管理として。こういうところの検討というのはどうでしょうか、大臣。

石破国務大臣 それは考えておりません。

 もちろん、今まで、過疎債でありますとか中山間地直接支払いとか、いろいろな政策は用意をしてまいりました。ですから、そういうような非常に条件の悪いところ、これから先、状況が厳しくなるところは、例えば過疎債、辺地債あるいは中山間地直接支払い等々で対応し、それなりの実効性を得てきたと思います。

 私が今お願いをして歩いておりますのは、条件の悪いところでも、人口を維持するとか、あるいはふやすとか、そういうことをやって成功したところがいっぱいありますねということに、私不勉強で知らなかったんですが、例えば、日本で千七百十八、基礎自治体というものが東京の特別区を除いてございます。その中で、合計特殊出生率が一・八を超える自治体が百二十あるんですよね。一・八なんかできるわけないだろうとかいろいろな御批判をいただくんですけれども、では百二十の自治体は何でできたんですかということだと思います。

 それぞれが、いろいろな経験と勘と思い込みではなくて、いろいろなデータに基づいて分析する、地域のみならず、ではそこの自治体に所在している企業はどうなんだろうかということを分析する、新しい産業を呼んでくるというのはどういうことなんだろうか、観光で新しい雇用を起こすというのはどういうことなんだろうかということを、本当に、それぞれの地域でどこまでぎりぎり考えていただいたかというと、そういえばそうでもなかったよねというところがあるはずです。間違いなく私はあると思います。

 そこに対していろいろな、私どもで情報面、財政面、人的面で支援を打っていって、なおかつ、今の委員の御指摘のようなことがあったとするならば、そこは何らかの救済というのか、セーフティーネットというのか、リスクヘッジというのか、それが必要なのかもしれません。

 ただ、今から、こうなったらこうなるよということを言えば、それでいいじゃないのみたいなことは、やはり人間のさがとして起こり得ることだろうと私は思います。いろいろな条件に恵まれないところが、補助金とか財政支援とかそういうのに寄らずして、集落が、地域がよくなったという実例を見るにつけ、私どもはそれにチャレンジをする、今がその機会ではないかと思います。

 セーフティーネット、リスクヘッジにつきましては、また議論をさせていただきます。

小熊委員 私は、まあ、もう少し言葉がうまければよかったんですけれども、何とか手厚く保護しろということでもなくて、今現状でも、私の地元で山奥の町なんかは、十年間で二五%人口が減っちゃったんですよ。今から始まる話じゃなくて、もうこの十年で四分の一も減るということは、すごい激変です。今後ももっとそれ以上加速して減っていくという中で努力しています、町の人たちも、町長さんも、議員さんたちも。でも、なかなか結果が出せない。

 今も、百二十の自治体は出生率がいいですよねというのは、それもあるでしょう。でも、多くの自治体がなかなかやり切れていない。これまでの過疎対策も、私は、一年ぐらい前に、福島の震災も、これは過疎問題も発生しているので、人口率があるので、ちょっとそういうので成功事例があれば、これは震災復興のためにも生かしたいから話を聞かせて、成功事例を教えてと言ったら、明確な成功事例はありませんとそのときの担当者は言っていたんです。そもそも、過疎対策は人口増加ではなくて激変緩和なだけですよと言われちゃって、そんなものかと思ったんですけれども。

 今までも過疎対策、国もやってきましたよ、これは。だけれども、成功事例というのはそんなに多くはないし、人口が、横ばいになっているとかではなくて、やはり緩やかに減っているぐらいで、ほとんどが激減しているという状況でありますから、手厚く保護しろというのではなくて、まさに増田レポートにあったとおり、消滅自治体じゃないですけれども、もう本当にギブアップ、住民サービスが全然できなくなるぐらいの状況に陥ったときに、これをどうするのかということですよ。

 そこに補助を入れろという話ではなくて、ギブアップ、タオルを国が入れるのか、本当にノックダウンするまでやらせておくのかというところで、これは、今すぐ答えを出す必要はないんですけれども、ここは、そうなったとき、なるところが私は出てくるというふうに思いますから、もう自治体がほぼ破綻という状況が。そういうときのことを想定して、水平補完なり垂直補完なりをして、その町や村を維持していくという制度も考えていくべきだと。

 そこに私は税金をじゃぶじゃぶ投入しろという話じゃないんです。そこの住民サービスを続けていくためには、今の市町村制度ではなくて、また違った制度もあって住民サービスを生かしていくということの検討はすべきだというふうに思うということで、何かあれば、大臣、またお願いします。

石破国務大臣 今回、新型交付金という議論をさせていただいております。二十六年度補正でそういうような交付金を仕組ませていただきました。

 これの本格設計をこれから概算要求あるいは年末にかけて行いますが、そこにおいて必要な視点というのは、従来の補助金あるいは結果平等を志向した交付税制度あるいは地方単独事業ではない新しいタイプの交付金というものを考えております。民主党政権時代の一括交付金というのを全部切って捨てるとかそんなことを言っているのではなくて、そのいいところは学ばねばなりません。そこにおいて必要な視点は、広域連携だと思うんです。

 自治体の枠、場合によっては県境を越えてほかの県と連携をする総合戦略というのはあるべきだろう。河川の流域とかそういうことを考えたときに、当然そういうことは起こり得ることであろう。そうなったときに、やはり地域間連携というのが、今の市町村の枠、都道府県の枠を越えた新しいコンセプトになると私は思います。

 それと、あとは民間との連携ですよね。お役所が採算を度外視してあれやこれや言っていても、本当に地域の稼ぐ力なんてできるわけがないのであって、それに対して新型交付金というものをどのように生かすかというお話だと思います。

 ですから、委員の今の御指摘は、これから先、新型交付金なるものの設計、あるいはそれがもたらす効果というものに非常に大きな示唆を持つものだと思っております。

 それは、国がああせい、こうせいとかいう話じゃなくて、地域で考えてみたときに、では、岡山と鳥取はこうやって県境を越えて連携した方がいいではないだろうか、あるいは福島と宮城はこうやって連携したらいいではないか、会津で考えればまた別の考え方があるのかもしれません。そういうようなアイデアを出していただくのはあくまで地域であって、国が机上の空論を振り回しても仕方がないことだと思います。

小熊委員 今、広域連携というのは、まさにそれは次に質問しようとしていたんですけれども、この取り組みが、特に大都市のところ、地方といっても大きな人口を抱える市ではなくて、大臣のところとか私のところのように、市町村がいかに連携をしていくかというのは大事だと思います。

 担当者としゃべったら、今回の企業移転、地方の強化も、ちっちゃい町や市でどうやって競争するのと言ったら、それは広域でやってもらうようにしていますからと言っているんですけれども、地元としゃべると、まだそういう話は聞いていないと言うんですね。

 でも、地方の人たちもやはり危機を感じていて、もう今、市や町や村で単独で企業誘致なんということよりも、この圏域内でどうするかということを話し合わなきゃいけない。

 それは、いい悪いは別として、合併して一つの議会で一つの行政でやって、あとは都市内分権して、昔の村は守っていくという方が本当はすっきりするんですけれども、そういうふうには飛び越えていきませんから、当面は広域連携していかなきゃいけない。これはいろいろな分野で生かしていかなきゃいけないと思っています。

 今も、修学旅行生が私の地元から来ていますけれども、一つの町で一つの中学校で十数人しかいない。でも、先生たちも、これは競争性がない、やはり子供たちにはある程度の規模で勉強させたい。こうなると、もう町村を飛び越えて中学校をやるとかということも出てくるわけです。

 これは今後、いろいろな分野で、まさに日本の中で、地方といっても、いろいろな、先ほど言った、量でいえば格差がありますから。となると、これは人口の少ない、量的に薄い地域というのは、やはり市町村連携をしていく中で、将来ビジョンをお互いに共有して、取り組みもしっかりやっていく。ただ、これは、行政も議会もそれぞれ税金の使い道を決めるわけですから、となると、財布が一つじゃないということがやはり一つのハードルになってしまうんですね。

 そうなると、やはり会津なら会津で会津市というのをつくってやっちゃった方が早いだろうということにもなるんですが、当面はならないので、やはり今大臣がおっしゃった広域連携をどう進めやすくするか。住民感情もあるはずなんです、これは。そっちの市には、広域連携と言いながら、いろいろな事業をやって、恩恵を受けているのはそっちだけだよねというのは間々あります、広域連携の事業をやったときに。

 そういうことも勘案しながら、今後まさに、大臣のところとか私のところのような本当の地方中の地方みたいなところのことを考えると、いろいろな分野で、この地方創生の分野で地域連携にどう取り組むかということが一つのテーマになってきますから、これは、制度面もあわせ、また自治体の理解を深めていくこともあわせ、ぜひ進めていって、いろいろな仕組みを今後検討して打ち出していっていただきたい。

 今の段階では、まだこれはそういう機運ではないです。そういうつもりでこの制度もあるというのは聞きましたけれども、地元としゃべると、もう全然そんな意識ではありませんから、だから、これはしっかりと進めていかなきゃいけません。最後に一言、何かあれば。

石破国務大臣 委員がおっしゃったことの危機感を私はかなり強く持っていまして、そんな話は初めて聞いたとかいう人がいっぱいいるわけですよね。

 私、きのうは福岡にいて、おとといは滋賀にいて、その前の日は徳島にいて、五百人とか八百人とかそういう方々を相手に、中には市町村長さんとか議員さんも大勢おられるわけですが、こういう今みたいな話をするわけです。総合戦略というのはこういうものですとか、産官学金労言、みんなが参加するんですとか、KPIを設定するんですとか、PDCAをきちんとワークさせてくださいとか言うと、何のことでしょうか、そんな話は聞いたこともありませんということが、何でこんなことが起こるのか。

 それはもう、通達とか何とかいろいろな形で流していますし、私なり伊藤補佐官なり平副大臣や小泉政務官なり、あるいは官僚たちも回って説明もしますし、総務省がつくっているシステムを使って全国一斉中継もしているはずなんだけれども、見たことも聞いたこともないというのがなぜ起こるのかというのは、どんなにこっちがよかれと思って考えても、受けてくださるところが知りませんということになると、これは実際うまくいきません。

 ですから、この委員会の委員諸兄にも、うちの地域はこうなっているよ、こうしなきゃみんなわからないよというお話をぜひお教えいただいて、それを御判断になるのは地方なんです。基礎自治体なんです。そこはどうせいつかは国が何とかしてくれるだろうということであれば、本当にその地域の地方創生は完成しません。どうか、地域地域の実情をまたお教えいただいて、私ども、足らざるを改めてまいりたいと存じます。

小熊委員 どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、大要五点にわたって時間の中で質問させていただきたいと思っています。早速質疑に入らせていただきますが、まず第一番目は、企業の地方の拠点化の促進についてということで伺いたいと思います。

 本社機能の地方の移転促進、それをするためには、もう一方の考え方として、国の機関も地方に移すべきではないか、そういうことがまず質問の趣旨なんですけれども、これは、大臣も何回もお話しされています、この地方創生のまさに一丁目一番地、東京の過度な人口の一極集中を是正していく、そのためには、やはり地方に雇用の場をしっかり確保していくということが大前提になっていくんだろうと思うんです。

 では、そのためにはどうするかということで、今ある地方の企業の、その地方における本社の機能を高めていくということもあるし、もう一方では、東京に本社があるという場合においては、今度は本社機能を地方の方に移転するとか、そういうことも考える。これは既に報道等でも、また大臣も折々に触れていらっしゃるというふうに思っています。

 本改正案が今国会で成立すれば、この地方移転の促進税制、これを活用していろいろと進んでいくんだろう、こう思っています。特に今、報道等では、ファスナー大手のYKKという会社が、大手町から本社機能の一部を富山県の方に移す、適用の第一号候補であるというような報道もされておりますけれども、私は非常に期待をしていきたいというふうに思っております。

 それで、まず基本的なことをここでしっかり確認をしておく必要があるというふうに私は思っているんです。それはどういうことかというと、そもそもなぜ東京に本社が集まってきたのかということなんですね。いろいろ理由はあると思うんですけれども、一番言えることは、これは霞が関に代表されるように、省庁がここに集中をしている、それから取引する会社の企業もおのずと首都圏に集まっているということ、非常にそういう意味では利便性が高いということなんですけれども、このことをもう一回しっかり分析をする必要があるんだろうと。

 そこで、やはり突き詰めて考えていくと、これは本当に極端な話かもしれませんが、場合によってはもう一省庁を丸ごと地方に移転するような、国の機関の地方への移転も真剣に考えるべきか、こう思っていますが、まず、その考え方について大臣にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 これは、政府として、民間企業に対して本社機能を地方に移転してくださいと言っても、ではどうなんだよ中央政府は、本当にみんな東京になきゃいかぬのか、言ってみろと言われたときに、いや、何となくとか、国会が東京にあるものでとか、みんながみんな国会対応をしているわけじゃないのでありまして、そうすると、これはもう地方に対して何ら説得力を持たないのだということがございますが、できれば今のままがいいなというのが官僚機構の大体習性のようなものであります。

 そうすると、私どもとしても、今までいろいろなことをやってきましたが、と同時に、それぞれの地域において、こういうものが我が町に来た方が、我が市に来た方が、最低でも東京に置いたものと同じ効果が発現できる、場合によってはより大きな効果が得られるかもしれないということは、それぞれの地域でないとわからぬわけでございます。

 私どもは気をつけながら物をしゃべっているつもりですが、本社を全部移転してくださいということを申し上げているわけではありません。コマツでも全部が移ったわけではありません。コマツでも、本社はあそこの溜池にあるわけですよね。でも、本社機能というのはいろいろなものがあって、人事があって経理があって企画があってと、いろいろなものがあるわけです。そうすると、機能の中で東京に置かなくてもいいものがあるだろうがということを本当にそれぞれの企業で検討したかというと、実は本社なるものはみんな東京にあるのだと思っているところがありはしないかということで、そこは分析してくださいということをお願いもしています。

 地方に移ればこんなにお得みたいな税制も今回やっているわけで、いやいや、そういう銭金の話だけではなくて、従業員の子弟の教育はどうしてくれるか、あるいは親御さんの介護はどうしてくれるかとか、そういうものにもお答えをしなければなりません。

 しかし、それとあわせて、政府機関の中でも、何々省丸ごとというのは無理かもしれません。実際、国会対応もございますし、大臣はいなきゃいけませんので。では、そうすると、外局あるいは研究機関というのはどうだろうか。私も全部を知っているわけじゃないが、例えば岩見沢に政府のこういう研究機関を持ってきたら今あるよりももっといい効果が出るよというのは、これは岩見沢でないとわからない、北海道でないとわからない。

 きのう私は九州の某市に行っていたのですが、そこは先進的な水ビジネスの町であると。いろいろな水道のシステムなんかを海外に輸出もしている。では、そこは厚生労働省なのか国土交通省なのかあるいは環境省なのかわかりませんが、水について研究する機関はうちに来た方がよりいいよとか、そういうことは地域の方からも御提案をいただきたいんです。そういうことを申し上げるからには、どういう機関があり、何をやっており、どれぐらいの人がいてみたいなリストは全部都道府県にお渡しをしてありますので、一度お考えをいただけないかということなのでございます。

 国がいつかやるだろうと言っていて、全然できなかったのがここ数十年です。これを一歩進めようと思えば、まさしく地域の側から、これはうちに来た方がよほどいいという御提案をお待ちしておるところでありまして、ぜひ北海道においても、北海道にふさわしいものというのはあるはずだと思います。委員各位の御地元におかれましても、そういうことを検討してみたことがあるかということは、ぜひお聞きをいただきたいというお願いであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 私の二つ目の質問についても大臣少し触れていただきました。

 通告してあったんですけれども、まさに国の特に研究機関を地方に移転していくというのが非常に具体性があって取り組みやすいんだろう、そのようなことを実は考えておりまして、研究機関が移動すると、今度は、当然、携わっている人も動いていきますので、そういう意味では、研究機関に関連した企業も、では、そこに集まってこようかとか、そこに会社の機能の一部を少し移転しようかとか、そういったことが期待されるんじゃないだろうかな、このように思っております。

 この質問をお聞きしようと思いましたけれども、もう既に大臣の方から、ぜひ地方から提案をしてほしいというお話がありましたので、これは、私の意見も付させていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 それで、今度は、国からの支援ということで、地方創生交付金についてお伺いをしておきたいと思います。

 これは先ほども議論のあったところですけれども、この交付金について、二十六年度の補正で一千七百億の先行型交付金。その上で、今非常に注目されているのが、上乗せの三百億円の配分基準についてということで、今後のスケジュール、それからどのような基準、審査を経てその配分が決まっていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の三百億円の上乗せ交付の対象事業でございますが、二つのパターンを考えてございまして、一つ目は、他の公共団体の参考となるような先駆性のあるものでございます。それから二つ目でございますが、これは、本年の十月末までに地方版総合戦略を策定していただくという二つのパターンを考えております。

 それで、特に基準というお尋ねでございます。先駆的な事業を有する事業につきましては、事業分野と仕組みというものを考えていただくというふうに想定しておりまして、事業分野といたしましては、人材の育成とか確保、あるいは農林水産業とか観光資源の開発というような事業分野におきまして重要な仕組みであろうかと思っておりますが、地域における関係者との連携体制、あるいはアウトカムベースのKPIの設定とかPDCAというような仕組みをきっちりと備えた事業というものを対象としたいと考えております。

 また、さらに、政策五原則、先ほどから御議論もございますが、地域間の連携でございますとか、官民の共同のようなものが先駆性を有する事業というものを対象に考えております。

 スケジュールにつきましては、その両パターンにつきまして、先駆的事業については八月の下旬、地方版総合戦略については八月の中旬までに実施計画をお出しいただきまして、できるだけ速やかに交付決定に運んでいきたいというような状況でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 今、具体的にお示しいただきましたので、地方の方々も少し明確になっていただけると思います。

 その上で、今度は、地方創生交付金の制度設計について、地方の側からの意見、要望について、これは大臣にお伺いをしておきたいと思うんです。

 三月の十六日に、全国知事会の地方創生対策本部から大臣に書面で要請があった、このように承知をしています。その内容は、先行型交付金の実施計画の協議段階で、事後的に数次にわたって国からの指摘を受けて、事業内容の変更を余儀なくされるなど、対応に苦慮した自治体が生じた、こんなことも書いてある。

 これは初めてのことですからしようがないんですけれども、実は、私も地元の自治体から同様の相談を受けました。同じようなことも自治体では散見されたんじゃないだろうかなというふうに思っております。

 要請では、これは今お話がありましたけれども、今後、上乗せ交付金の配分ですとか、それから今度は、二十八年度以降の新たな交付金の制度設計、それについては、ぜひ十分に地方の意見を聞いていただきたい。

 それから今、上乗せの方のスケジュールをお聞きしましたけれども、内容を明確かつ速やかにお示しいただきたい、こんなことが書かれてありました。

 それからもう一点は、今回の交付金のケースでいえば、ハードのところの範囲について、もうちょっと柔軟な運用を認めてほしいというのも意見として聞いております。

 いろいろ言いましたけれども、今後、地方からの要望について、二十八年度、その交付金の制度設計に向けてどう応えていただけるのか、これを大臣にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 きょういろいろと御指摘をいただいております新型交付金ですが、これは総理から、地方主体の取り組みをさらに推し進めるため、二十八年度からの新型交付金の検討を行い、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五に盛り込めという御指示をいただいたところであります。これは、六月中を目途として一定の考え方を示すべく取りまとめを行いたいと思っています。といっても、もう五月も終わりですから、六月中を目途というのはかなり時限性のあるお話であります。

 これは、私、できる限り多くの知事さん、あるいは市町村長さんとお話をするように努めておりまして、六団体の長のみならず、全国知事会長とか全国町村会長とか、そういう方々ともしょっちゅうお話はしていますが、できるだけ現場に行ってお話を聞こうと思っております。ですから、土曜も日曜も、私のみならず、先ほど申し上げましたように、補佐官、副大臣、政務官、みんな回って聞いております。

 とにかく、それぞれが望むことがパーフェクトにできるとは限りません。世の中にそんなことはめったにありません。だけれども、意見も聞かなかったねというのが一番よくないので、可能な限り御意見を聞きたいと思っております。補助金も今のまま、地方交付税交付金も今のまま、地方単独事業も今のまま、かてて加えて自由に使えるお金がたくさん来たらうれしいな、それが一番うれしいに決まっているんですけれども、そういうようなことには相なりません。

 まさしく、それぞれの自治体において総合戦略をどうつくっていただくか、そこにおいて、地域間連携であり、あるいは民間の活力の連携であり引き出しであり、何よりも、中央政府が示した総合戦略を見たこともなければ、そこにおいて示されたKPIも見たこともないというのは、それでは何の整合性もとれません。ですから、それぞれの地域においてそれをよく御理解の上で、新型交付金の設計について議論をさせていただき、成案を得たいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今大臣から地方の声をしっかり現場で聞いていくというお話も伺って、心強く思っていますけれども、国会の審議の中で、土日を使って各地方に行っていただいている、大変な御努力をいただいていることに対して敬意を表させていただきたいと思います。

 それと、先ほど質問がございましたけれども、この交付金のところで、大臣も触れましたが、私、先ほど御答弁を聞いて、まさにそうだと思って非常にうれしかったのは、これは総合戦略の策定のところにもかかわるんですけれども、地方に行けば、雇用をふやしていく、まちづくりを今後こうしていくというときに、やはり基幹産業だよねと。しかし、基幹産業といっても、やはり農業と漁業しかない、その農業も酪農しかないとか、漁業も本当の沿岸漁業しかない、そういう自治体が幾つもあって、そこで総合戦略を町ごとにつくる、あるいは交付金はどうなるんだろうかと。まさに、少し広域で、同じような基幹産業とか同じような自治体のなりようの中では、私は、そういうくくりでの交付金とかいうのは非常にありがたいな、有効に使っていけるだろうなということを思っておりまして、そのことも含めてまた御検討いただきたいと思います。

 次に、東京圏における高齢化の問題についてということで、少し触れながら、日本版のCCRC構想についてお伺いしたいと思っています。

 東京圏、首都圏の高齢化については、今後ますますスピードアップして進んでいく。二〇二五年には、七十五歳以上の後期高齢者の方々が一都三県で百七十五万人増加するというデータもあるというふうに承知をしております。

 高齢者がふえるということで、医療、介護などのサービスが当然ふえてくる、整備しなきゃいけない。そうすると、今度、サービス提供者のマンパワーの問題が出てくる。そうすると、当然、介護人材が東京に集中してくる可能性もあるということで、そうしたことについては、これから早急に対策をつくっていかなくてはならない、そう思っております。

 その対策というわけではないんですけれども、流れの大きな一つとして、米国におけるCCRCの現状、それから日本版をどうするかということは、私は非常に大事な視点かなと思っています。

 そこで、まず、米国で真剣に取り組まれているこのCCRC、これは、元気なうちから、そして途中で介護が必要になってきても、継続してそれを受けながら暮らしていける。アメリカでは、このCCRC、あるいは、的な共同体が既に二千カ所も存在しているという話も聞いておりますし、それから大学連携型のところも大変ふえている。

 この米国におけるCCRCの現状、それから特に大学との連携型のメリットはどういうところにあるのか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの、米国におけるCCRCの現状と、それから大学連携型ということでございますけれども、アメリカにおきましては、高齢者が移り住み、また、先ほど委員おっしゃいましたように、健康なときから介護、医療が必要となる時期まで継続的なケアを、あるいは生活支援サービス等を受けながら生涯学習あるいは社会活動等に参加するようなCCRCが約二千カ所存在しております。その中には、近郊の大学と連携をした、いわゆる大学連携型CCRCというものも存在すると承知しております。そうした大学連携型のCCRCにおきましては、大学での生涯学習等を通じまして、高齢者が求める知的刺激、あるいは学生との多世代交流といったことを実現できるなどのメリットがあるものと思っております。

 日本版CCRC構想におきましても、こうした移住した高齢者の方々が、健康づくりとともに、地域の大学における生涯学習などへの参加を通じました、健康でアクティブな生活ということを実現することが非常に重要であると考えております。既に幾つかの自治体では、大学の方も参画をして、CCRCについて検討したいというふうに考えておられるところが出ておりまして、そうした取り組みが加速化されるよう、現在、日本版のCCRC有識者会議というのを開いておりまして、そうした中で具体的な支援方法などについて検討してまいりたいと考えております。

稲津委員 そこで、今度は日本版のCCRCを進めていく上での考え方について、ひとつまず先に伺っておきたいんです。

 首都圏から離れて、そういったCCRC的なところに例えば住みかを変えていく、居住地を変えていく。それは、やはり自分の希望というか、そうした望みみたいな暮らしを、地域社会の中で本当になじんで暮らしていけるかどうかということが大事な視点なのかなと思っています。特に、そういう意味では、お試し居住とか、そうした細やかな支援が必要かと思うんですけれども、この点について政府の見解をお伺いしたいと思います。

木下政府参考人 移住に向けた支援ということでございますけれども、先般、昨年の八月に内閣官房で実は調査をいたしまして、特に東京在住者の方々にお聞きをしたわけでございますが、五十代男性の半数以上、また五十代女性及び六十代の三割が地方への移住ということの意向を示されております。しかし、地方移住の検討に当たりましては、非常に情報が十分でないといった問題、あるいは何から着手をしたらよいかわからないといったような課題となっております。

 こうしたことから、東京圏の高齢者等が、みずからの希望に応じて地域になじみながら移住できるよう、一つ目は、やはり移住希望者に対する情報提供、事前相談、マッチングの支援、それから、委員今おっしゃいましたように、特に地域になじみながら定住を進めることができるように、一定期間、例えばお試し居住ですとか、あるいは二地域の居住ですとか、そういったことによって入居を判断できる仕組みというのも導入が大事だと思っております。

 また、現在、特に高齢者の居住用資産、お持ちでございますけれども、若い方々がそれをまた買ったり借りたりできるような、そうした環境整備、住みかえ支援の方策などについても、今後、日本版CCRC有識者会議におきまして検討して、具体化を進めてまいりたいと考えてございます。

稲津委員 そこで、これは大臣にお伺いしたいと思うんです。

 この日本版CCRCについての大臣の考え方について触れていただきたいと思うんですが、私は、CCRCというのは、やはり、現役として活躍できる第二の場という位置づけも必要なんだろうと思っているんですね。特にそこで、一つのコミュニティーの中で自分がどんなふうに貢献できるのか。ボランティアであったり、これまでの仕事を生かしたちょっとした取り組みができたりとか。

 それから、もう一つ大事なのは、これは大臣に予算委員会のときにも質問させていただいて、大臣からも答弁いただきましたけれども、地方の大学の活性化の問題。これは、地方の大学に行っている学生の地元での就職ということもあるんですけれども、もう一方では、地方の大学が経営的に非常に難しいところにありながら、そこで例えば生涯学習として、高齢者の方々の学びの場として受け入れる。

 それから、私も自分の老後を考えたときに、できればもう一回、少し勉強し直したいなとか、どこまでもやはり学ぶことを考えていきたいなというのは、これは人間の要求というか、あると思うんですね。

 ちょっと私の意見を開陳しましたけれども、大臣の日本版CCRCの見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 これは、まさしく委員がおっしゃるように、やはり人間というのは勉強したいんですよね。

 今、地方の大学が、あちらこちらで定員割れみたいなことを起こしております。これから先、これはそうよくなることはないだろうと思います。

 では、それは朽ちるに任せるという話には全然ならなくて、そこで、もう一回勉強したいよねという人たちがそこで学ぶことも大事でしょうし、それから、人生五十年、六十年やってきて、自分が学んだことを若い学生さんたちに教えたいということもあるんだと思うんです。

 CCRCのCの一つは継続のコンティニューなのであって、そこにおいて生涯現役というのを継続していく、そしてまた、自分が地域において学ぶと同時に、自分が今まで学んだことを人々に教えるということは実に重要な視点だと思っております。

 これは、困っている大学の救済とか、そういうようなちゃっちい話ではなくて、本当にその地域をどうやって活性化するかということにおいて、それぞれ委員の御地元、皆様方の御地元にもいろいろな大学があるだろうと思います、いろいろな経営の問題もあるだろうと思います、そこにおいてCCRCなるものを御地元の問題として考えていただいたときに、いろいろな問題がまた出てくるんだろうと思います。

 これは、先ほど来議論があるように、アメリカのCCRCと同じものを入れようと思っていません。もっと大勢の方々、普通に老後を暮らされる方々がCCRCによって新しい人生というものをつくっていただくことを企図しているものでありまして、それぞれの地域において、香川なら香川、滋賀なら滋賀、長崎なら長崎、どこでもいいですが、我々の地域でCCRCを入れるとしたらどんな形態かということを、ぜひまたこの場で御開陳を賜りたいと存じます。

稲津委員 ありがとうございました。ぜひCCRCの導入に向けて、また具体的な地方からの意見、それから導入に向けての支援策もまた講じていただきたいと思っております。

 それで、時間がもう大分参りましたので、通告の中でもうあと一点ぐらいしかお伺いできないと思うんですけれども、小さな拠点に関してお伺いいたしたいと思うんですけれども、これに関連して、道の駅のことなんです。

 道の駅の現在における役割と全国モデルの選定の意義についてです。きょうは国交省さんに来ていただいているので、お伺いしたいと思うんですけれども、私が今申し上げました小さな拠点の一つの視点として、ぜひ道の駅を今後考えていきたいと思っています。

 今、我が国は、大体千カ所を超えるぐらい道の駅があるというふうに承知をしています。もう経過は、導入から二十二年たっていて、二十四時間利用可能な駐車スペース、トイレ、また電話がかけられるとか、情報が常にそこに集中しているとかあると思うんですけれども、最近少し変わってきていまして、地元の名産品の販売、観光資源との連携、それから地域経済の活性化、住民サービスの向上に貢献している、こういうことが言われていまして、道の駅で働く人の雇用の場にもつながってきている、こういうことなんですね。

 国交省は、全国モデルを六カ所選定した、それから今後についても、いろいろまた検討していくということなんですけれども、どのような考えでこれを選定して、またさらに重点的に支援する駅ということも言っているので、これを伺いたい。それから、道の駅の二十二年前の導入時の考え方と今とどういうふうに違いがあるのか、明確にお答え、簡潔にお答えいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、道の駅の役割についてでございます。

 道の駅は、平成五年の制度創設当初におきましては、ドライバーが安心して立ち寄ることができる休憩施設、そういう役割が主なものでございました。最近では、地域の特産品の販売拠点、あるいはインバウンドを含めた観光拠点、さらには防災拠点としての役割など、多様な役割を担うようになってございます。さらには、中山間地の生活を支える役場ですとか診療所、そういったものを併設いたしまして、小さな拠点としての役割も担い始めていると考えております。

 このように、道の駅は、市町村がみずからの創意工夫によりまして地方創生を具体的に進めていく有力な手段になっているのではないか、そのように考えてございます。

 それから、全国モデル「道の駅」などの選定についてでございます。

 国土交通省におきましては、道の駅の新たな展開といたしまして、すぐれた道の駅を選びまして、関係機関と連携して重点的に支援をする、こういった取り組みを始めてございます。

 本年一月三十日には、地域活性化の拠点として特にすぐれた機能を発揮し続けている、そういった道の駅を全国モデル「道の駅」として六カ所、それから、今現在すぐれた企画をお持ちで、今後重点的な支援をさせていただくことによって効果的な取り組みになる、そう期待できる道の駅を重点「道の駅」として三十五カ所選定をいたしました。この重点「道の駅」の選定に当たりましては、全国から提案を募集いたしまして、先駆性、実現性、地域活性化の効果、そういった観点から評価し、有識者の皆様の御意見も伺って選定をいたしました。

 国土交通省といたしましては、関係各省庁と連携いたしながら、こうしたモデル的な取り組みが全国に広がっていくように、ハード、ソフト両面からしっかり支援してまいりたいと考えております。

稲津委員 時間が参りましたので、最後に大臣にこの小さな拠点と道の駅の活用について一言触れていただいて、終わりたいと思います。

石破国務大臣 道の駅というのが本当にこんなにいろいろな可能性を秘めたものだったんだというのは、私、今さらながらに思っておるところでございます。

 それぞれの地域が、ただ漫然といろいろなものを並べて、人が来ないかなというようなところには間違っても人は来ないのであって、創意工夫をして、いかにしてそこでしかないものを売るか、そしてそこでしかできない接客をするかというところには人は来る。でも、どこにでもいつでもあるようなものをやって並べているところには多分人は来ないということに相なります。

 もう一つ、きょうの新聞で見たのですが、これは道路局が音頭をとっていただいたことだと思いますが、そういう道の駅の協会とそれから大学が連携をして、夏休みに道の駅でいろいろなことを体験してみませんか、いろいろなものを売ってみる、あるいは接客してみる、商品を探してみる、夏休みにそれは物すごい体験になると思うんです。その子たちがそこで学んだものが、また彼らがその地域を発展させる、そういうのは学問の糧になると思っています。道の駅と地域の活性化ということなんですが、今度は道の駅と教育という新しい観点もあるなと、きょう思ったことでございました。

 道の駅は無限の可能性を秘めていますが、そうであるだけにどう取り組むかで歴然とした差が出る、それはもう地方創生と多分軌を一にするものだなというふうに思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 通告しておりましたが、残余の質問についてはまた別の機会にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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