衆議院

メインへスキップ



第7号 平成27年5月20日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十七年五月二十日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 福田 昭夫君

   理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      伊藤 達也君    今枝宗一郎君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      加藤 寛治君    勝俣 孝明君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      小泉進次郎君    白石  徹君

      鈴木 憲和君    田中 英之君

      谷川 とむ君  とかしきなおみ君

      中谷 真一君    野中  厚君

      平井たくや君    福田 達夫君

      前川  恵君    宮川 典子君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      義家 弘介君    緒方林太郎君

      奥野総一郎君    吉良 州司君

      佐々木隆博君    階   猛君

      武正 公一君    寺田  学君

      木内 孝胤君    篠原  豪君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣府副大臣       平  将明君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          三井 秀範君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     吉田 光市君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 亀水  晋君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     吉田 眞人君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           迫田 英典君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   飯塚  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           勝田 智明君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  小関 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 黒田 憲司君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     平垣内久隆君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     鈴木 憲和君

  勝俣 孝明君     秋本 真利君

  谷川 とむ君     前川  恵君

  宮川 典子君     今枝宗一郎君

  山田 賢司君     工藤 彰三君

  緒方林太郎君     階   猛君

  奥野総一郎君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  今枝宗一郎君     白石  徹君

  工藤 彰三君     山田 賢司君

  鈴木 憲和君     伊藤 達也君

  前川  恵君     宗清 皇一君

  階   猛君     緒方林太郎君

  武正 公一君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     宮川 典子君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、内閣府地方創生推進室次長若井英二君、金融庁総務企画局総括審議官三井秀範君、復興庁統括官吉田光市君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、総務省大臣官房審議官亀水晋君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長吉田眞人君、財務省大臣官房総括審議官迫田英典君、財務省理財局次長飯塚厚君、文部科学省大臣官房審議官中岡司君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省職業安定局次長勝田智明君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君、国土交通省都市局長小関正彦君、国土交通省道路局次長黒田憲司君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長平垣内久隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野敬太郎君。

大野委員 おはようございます。自由民主党の大野敬太郎でございます。

 大臣、副大臣、また理事の皆さん、委員の皆さん、本当に、連日御審議、大変お疲れさまでございます。また、質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。

 実は私、中耳炎になりまして、耳鳴りがちょっとしているんですけれども、きょうは、質問を通じて晴れやかな気持ちになったら耳鳴りも治るんじゃないかという思いも含めまして、ちょっといろいろな質問をさせていただきたい、そんな思いでございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 地方創生それから人口減少対策というのは、中長期的な課題としては本当に最大のテーマではないかな、そんな思いでございます。

 現在、人口は年間二十五万人前後減っているそうでありますが、実は、二十年ぐらいたつと百万人ぐらい減ってくる、急激にもっともっと減っていくようなことになってしまうと。百万人とはどんな数字なんだろうと思ったら、実は、現在の香川県の人口が百万人。一年間に百万人ということは、一年間に香川県がどんどんなくなっていくぐらいの勢いなんだな、すごい勢いだなと物すごく思うところでございます。

 二十年後というと、恐らく、大臣も含めて、ここにいらっしゃるほとんどの皆さんは生きていらっしゃって、まだまだ元気に活動されている時期だと思いますが、そんな近い将来にそんなことが起きるんだというのは、本当に大変なテーマだな、改めて本当に気合いを入れないといけないなと思う次第であります。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

 また、今すぐ対策を打ったとしても、実は、定常状態、定常人口というのは、二年ぐらい対策がおくれると、また百万人ぐらい定常人口が変わってくる。二年おくれるだけで香川県がいなくなるというのもちょっと寂しいなと思うんですけれども、いずれにせよ、それだけ気合いを入れなくちゃいけない、相当な対策を打っていかなくちゃいけない、そういう思いが強いわけであります。

 昨年末に、長期ビジョン、創生の総合戦略、こういうのが発表されましたけれども、私は、これは明確なKPIが設定されていますし、PDCAをどうやって回していくんだという明確なイメージが湧くような、非常に内容の濃い文書だなと、本当に政府の意気込みというのを非常に感じさせていただくわけでありますけれども、改めて、この政策の根幹になる言葉柄、ちょっと大上段に構えて恐縮なんですけれども、そのあたりについてまずは質問をさせていただきたいと思っております。

 これは、国家と国民の関係についてということに尽きるのかもしれませんが、いずれにせよ、日本というのは、国家主義でもなければ独裁でもないわけでありますので、日本国民というのは、自由とか幸福を追求するとか、そういうことを追求する主体であるわけです。それ以外の何者でも、何者でもないわけではありませんが、そういう主体であります。それらにもちろん公共の福祉という制約がかかりますけれども。

 人口減少対策に当たって、そういった公共の福祉を振りかざすまでもなく、あるいは制約がかかるというまでもなく、いわゆる押しつけになってしまうんじゃないかという議論だけで、もちろん押しつけがあってはいけません、絶対に押しつけというのはあってはいけませんが、一方で、押しつけがあるんじゃないかという危惧から、その政策の中身の議論が、ある種、萎縮しているところがあるのではないかというところがちょっと散見される部分が、散見されるわけではありませんが、一部見受けられるわけであります。

 この部分、では、人口減少という社会現象に対峙するに当たって、個人の権利、それから国家の存続、このバランスを誰が一体どのようにとっていくのだというような国民的議論がもうちょっとなされてしかるべきではないかと私は思うんですが、その点についてまずは御所見を賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

平副大臣 お答え申し上げます。

 確かに、例えば出生率を、数値目標を定めて、これを押しつけるということはあってはならないんだと思います。出産などは極めて個人の価値観にかかわるところであります。一方で、今大野先生御指摘になったように、人口減少はもう待ったなしで、対策がおくれれば、その分、人口減少に拍車がかかるということになりまして、このままいくと、二一〇〇年には五千万人を切るという試算もあるわけでございます。

 人口減少に関しては、これは経済にも大きな影響を与えますし、財政にも影響を与えますし、結果として、持続的な社会保障制度をどう構築していくかというところにも大きな影響があるわけであります。

 ですから、今回、地方創生というのは、まさに人口減少とどう向き合うか、人口減少と経済の停滞という負のスパイラルをどう断ち切るかということでございますので、広く、人口の推計また人口ビジョンなどを、国も、また、地域においても議論していただいて、国民と問題意識を共有し、国民的なコンセンサスをとりながら政策を進めていくということをこの地方創生の政策実現の過程で取り組んでまいりたいと思っております。

大野委員 ありがとうございます。

 国民的議論、コンセンサスを得るように御努力をされるということでございますので、ぜひともこの議論、どんどん進めていただければなと思うんです。

 先ほど副大臣がお触れになられました人口ビジョン、昨年、実は、出生率に関してでありますけれども、それもあわせて、経済財政諮問会議「選択する未来」委員会、これで人口一億人を目指そう、これが多分きっかけになって、それで骨太方針で示されて、人口ビジョンの中で年末に示されていらっしゃいました。

 その中で、例えば一億人を目指す、こう書いていらっしゃるので、てっきり国家の目標であると私は実はそのときは思っておりました。ところが、その後、よくよく聞いてみると、いや、目標ではないんだという話になって、目標ではないのなら何ですかとお伺いしたところ、ビジョンですとおっしゃるわけですね。では、ビジョンと目標とは何が違うんだろうなとちょっと思ったりもしなくもなかったわけでありますけれども。いずれにせよ、人口のビジョン、人口自体、これを目指すんだということ自体が果たして押しつけになるのかなというのが私の最初の問題意識のきっかけでございました。

 ところが、よくよくこれをブレークダウンして考えると、当然、人口を維持するためには出生率が絡んでくる。出生率が絡んでくると、当然、先ほど副大臣がおっしゃられたように、二人産んでくださいなんということは絶対言えないわけでありますし、そんなことがあってはならぬわけでありますが、そこでちょっと思ったのが、確かにそれは押しつけになってしまうのであろう、もちろん、それでちょっと嫌な思いをされる方もいらっしゃったり、あるいは押しつけに感じる方もいらっしゃるでしょうけれども、その中で、例えばビジョンの中ではすごくいい言葉をお使いになっていらっしゃるなと。それは、まさに、結婚、妊娠、出産というのは、国民の希望をかなえる、希望はあるんだけれども、その希望をかなえる環境をつくっていくことこそが、国家あるいは地方自治体の責務なんだろう、正確ではないかもしれませんが、そういう言葉で、まさしくおっしゃるとおりなんだろうな、そういう思いでございました。

 では、その希望とは何かといえば、例えば出生率の場合は、希望出生率、つまり、どのぐらいの方が全体の中で御結婚を希望されているのか、その中で何人子供が欲しいんですかという希望、これを計算すると希望出生率が出る。今現在一・八であるそうですが、その一・八を目指して整備をする、これはまことにそのとおりで、それはそれで大変結構なことではあるんですけれども、では、一体、その希望自体、希望出生率ですよね、単に、希望されている方が何人いらっしゃるんですかというところがベースになっている。この希望というのは、果たして押しつけになるのかしらというところは、私は、ちょっと微妙な線であるような気がするんですよね。

 これは何も出生率だけではなくて、昨日も本委員会で議論がありましたけれども、例えば、中核、拠点の都市をつくらなければいけない、整備をしなければいけない、促進をしなければいけない、あるいは、全国津々浦々全部インフラを整備していくというのは難しいという議論の中では、当然、我が村を捨てるのかというような議論があって、いや、そういうことでは決してないわけでありまして、そういうことにはなってはならないわけでありますが、そこに何かギャップを私は感じるわけですよね。

 では、そこで、次の質問なんですけれども、要するに、今後地方が、人口ビジョンなり、地方版の総合戦略を策定するに当たって、この境目というのは、ある種、まだ国家としては示していない。つまり、押しつけになるのかならないのか、あるいは、国民の権利と国家の存続、地方の存続というこのバランスですよね。ここのガイドラインというか、こういうのをある種お示しされることも一つ意味がないわけではないだろうなと思って、この質問を選ばせていただきましたけれども、この問題についてはいかがでございましょうか。難しい質問かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

平副大臣 難しい質問だと思いますが、まずは、一・八というのは、これは目標ではありません。結婚したい、もしくは、子供を何人持ちたいという希望が実現をすれば、そういう環境を整えれば達成ができるのではないかという一つの想定になってくるわけであります。

 これは、言い方を間違えると、国が出生率の目標値を設けて国民に強制するかのごとく誤解を与えてしまいます。産めよ、ふやせよというようなことは、我が国、現代のこの状況の中で、そんなことは全く考えていないわけであって、言い方は気をつけなければいけないんだというふうに思っております。

 一方で、やはり、現実を直視しなければいけないし、人口というのは手を打ってすぐに変わるわけではないので、人口推計というのはかなり将来予測ができるものでありますので、それによるインパクトというものをしっかり把握する必要があるんだというふうに思います。

 ですから、今後の政策立案に当たっても、やはり数値ベースで定量的な評価をしながら政策を進めていくというのは極めて重要なものですから、これは言い方は難しいんですが、押しつけではありませんが、仮置きで数値を置いて、その数値を実現するためにはどうしたらいいのか、何がボトルネックになっているのかをしっかり的確に判断しながら政策を打っていく。そして、それは国もやっていきますし、地方自治体においてもそういう検討をしていただきたいということだと思います。

大野委員 ありがとうございました。

 このビジョンの中でも大変すばらしい言葉を選んでいらっしゃるんだろうなということは十分わかりますし、大変誤解を生むような表現になっては元も子もない、こういう状態だと思います。そういった意味で、副大臣がおっしゃられたことというのはまさにそのとおりではあると思っています。

 いずれにせよ、例えば、県の中で、あるいは市の中で、なるべくコンパクト化したいので、この辺に住んでいただくように政策誘導を何らかの形でしましょうということになったら、それは、では果たして、周辺の、もっともっと田舎の人たちは、それはどういうことなんだ、それは移れということか、それは押しつけじゃないのかということになりかねないというこの事態。

 つまり、行政として、あるいは政治として、あるいは政策を立案する側としては決してそんなことを思っていないにもかかわらず、そんな議論になってしまうというところが、非常に問題が複雑な感じがしておりまして、御担当されている大臣も副大臣も、この点については物すごく慎重にならざるを得ない。それが逆に、大胆な政策を打てないということにつながってしまうんじゃないかというのが私の懸念でもございます。

 バランスをとって、ぜひとも誤解を生まないように、そして大胆な政策を生めるようにという、この両方を追求できるようなことができればと思っておりますので、一問ぐらいとおっしゃったので、大臣、もし何かこの点について御所見がありましたら、お願いします。

石破国務大臣 これは、ぜひ当委員会でいろいろな御議論をいただきたいと思うのですが、それはコンパクトシティーについての考えだと思います。

 つまり、人口はどんどん減っています。かつて人口がふえたときに、町は物すごく伸びました。田んぼを潰して住宅街になりました。下水道を引き、道路をつくりました。ところが、どんどん人口が減ってきました。同じようにそれを維持したとするならば、どれぐらいのお金がかかるだろうか。その市の財政でそれを続けることは、その市全体にとってどうだろうかということは、市長さんなりの判断の中に当然入ることでございます。人口が減ろうが何しようが、そういうところの道路も維持をせよ、公共下水道も維持せよ、そうだそうだということになりますが、そうすると、そこの財政そのものがサステーナブルではなくなるということに相なります。

 ですから、そこへ住むなとか、そんなことを申し上げるつもりはありませんが、そこで、中心市街地の部分をもう一度活性化させて、そこにネットワークを張って、そこへ来れば高齢者の方も歩いていろいろな用が済みますねというような、そういうようなコンパクトシティーはつくっていかなければいかぬのだろうと思っております。

 伸び切ったところに住んでおられる方々に、道路は荒れるがまま、下水道は放置する、そんなことを言うつもりはありませんが、そこにミニマム的なものは維持しつつも、その市全体のサステーナビリティーというものは考えていかざるを得ないだろう。それを全体に、市長さんの選挙なりなんなり、あるいは市議会の議論の中で、こういうふうに考えるんだということをおっしゃって、住民の広い理解を求めるというのは大事なことだと思っております。

 今までと同じようにできればいいのだが、そうではないということを所与のものとしながら、五年先、十年先、十五年先にどういう市をつくるかというのは、まさしく産官学金労言、皆さんが参加をして、共通のコンセンサスをなるべくつくりながらやっていくというのが今回の考えだと思っております。

大野委員 ありがとうございました。突然で恐縮でございました。

 今大臣がおっしゃられた、住民の希望と申しますか、意識というかコンセンサスというか、こういうところというのは、実は、地方にとっても、政策立案上非常に重要なことになるんだと思います。

 ちょっと質問の角度を変えて申し上げたいんですけれども、今申し上げた住民の希望を、地方自治体、地公体が把握していくことは、実は、何よりもまず一番最初に取り組まなければいけない課題なのではないかと私は思っているんです。

 先般も、地方創生交付金の中で、戦略立案のために幾らかぱんと出されましたけれども、まず、できればそういうところにそれを使ったらどうなのかな、ほかのものでもいいですけれども、というのが私の思いなんですね。要するに、一体、何を住民は希望しているのかというのさえ、いまいち把握が、ちゃんと統計的に出せない状態で物事を進めていくということはちょっと難しいんじゃないかなと思うんです。希望だけじゃなくて、見える化というのは非常に重要であって、これをもっともっと進めないといけないと思うんです。

 いずれにせよ、住民の希望という観点では、やはり調査ということをしないといけない。これは、ある種、国がしてもいいんですが、やはり地方がこの戦略を打つものでありますから、地方ごとに聞きたいことというのも当然変わってくるんだと思うんですね。

 なので、その調査、そういったものにまじめにちゃんと取り組んでいこうよ、やろうよという自治体があったら、それはどんな形、財政的なのか、人的なのか、情報的なのかわかりませんが、そういった形でサポートするというのは非常に重要かと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

平副大臣 今御指摘いただいた住民の意識調査は極めて重要だというふうに思っております。

 地方創生の政策をやる際は、まず何が問題なのかというのにしっかりフォーカスを当ててもらわなければいけませんし、そういった政策を打って、それが持続的にきいていくということが重要だと思います。

 基本的には、この後議論になるかもしれませんが、RESASでビッグデータを提供しますので、そういう数値に基づいた例えばKPIの設定、その後のPDCAを回すということも重要ですし、あわせて、住民が何を考えているのか、例えば、自分たちの希望を実現するために何がボトルネックになっているのかといった住民の意識調査は極めて重要だというふうに思っておりますので、ぜひ自治体はその地域に合った調査をしていただきたいと思っております。

 大野委員のお尋ねは、そういったところを財政的に応援すべきじゃないかという御指摘だと思いますが、先般の交付金で基礎交付金を既に出しております。都道府県については一団体当たり二千万円、市町村については一千万円、措置をしているところでございまして、どういった地方版総合戦略また人口ビジョンをつくるかというのはそれぞれの創意工夫が必要でありますので、ぜひこういう交付金を使っていただいて、必要な調査、またその地域に合った調査を進めていただきたい、そのように考えております。

大野委員 ありがとうございます。

 確かに私自身も、できればその交付金を使っていただいて調査をしてほしいなと思ったりするんですけれども、必ずしも、見える化を先にするというか、自治体によっては、見える化をそれほど重視していないところもあるんですよね。そうしたら、これも、ではそれをまずしろというのも難しいのかもしれませんが、なるべく促すような形でお取り組みを賜れればな、そんな思いでございます。

 次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、こちらは地方創生の交付金についてでございます。上乗せ分、それから新型の部分、両方です。

 先般、実は予算委員会の分科会でも多少質問させていただいたんですが、連携というのが非常に重要だと私も思っていまして、そのときには、連携を促進するような使い方の枠というのはできないのかなという質問でございました。その中では、そのとおりさせていただきますという御回答でございました。

 この議論を通じてだんだん明らかになってきました。それは、五原則が示されて、その中で連携というのをやっていきますよ、官民、それから地公体同士の連携が重要ですよ、だから、こういうのを重視していますよ、こういうことだと思っています。

 ただ、私がイメージしたのは、より連携を促進するためには、連携して、共同して提案していただく枠、共同して提案をしていただかないと受け付けない枠、これは地公体の連携でもいいですし、官民の連携でも結構ですし、そういうことをすることによってより進むわけじゃないかなと思うんですよ。

 それは、具体的な連携の形というのもしっかりとしたものが出てくるでしょうし、また今の枠組みだと、単独の地公体が提案をする、連携しますよという名目のもとに提案をするという形になっているかと思いますが、共同提案型にすると片思いもなくなりますよ。

 そういった官民連携という中で、例えば民間が主体となって市に共同で働きかける、そういう枠の主体となってやれるという枠もできなくもないような気がする、ちょっと範囲が拡大されていいような気がするんですけれども、改めて、こうした枠というのは、お考え、いかがでございましょうか。

平副大臣 今、大野委員御指摘のとおり、我々も、連携が極めて重要で、連携をすることによって付加価値を生み出す、もしくは生産性が飛躍的に向上するということが極めて重要、関心事項であります。

 上乗せ部分についても、そういった意味で、そういったベストプラクティスを応援していきたいと思っておりますし、また、新型交付金のお話がありましたが、これはまさに、総理から指示を受けて今検討しているところでございます。

 共同提案枠ということでありますが、民間が入る重要性は、補助金が終わったら事業も終わっちゃいましたみたいなことではなくて、その事業が持続性がある、持続性があるということは、すなわち経済合理性があるということなので、それはやはり民間の知恵を入れるべきだという発想にあるわけでありまして、そうした連携はしっかり評価をしてまいりたいと思います。

 現段階で、その共同提案枠ということは今想定をしておりません。大臣も言及をされましたが、地方版総合戦略をつくっていく中で、産官学金労言がみんなで議論をしてつくっていく、そこに民間もいるという中で地方版総合戦略をつくっていくわけでありますから、そこにいる民間の役割は、自治体から上がってくる計画に対して溶け込んでいる、そこで我々はしっかりとその連携を評価するということを考えておりますが、まさに新型交付金を今議論中でありますので、大野委員の提案も受けて、少し議論させていただきたいと思います。

大野委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 というのは、単独提案だと、そこに競争原理というのが内在されているわけでありますし、他市町にぬきんでて勝つぞということだと思うんですけれども、もちろん、そうじゃなくて、連携だよということをうたっているわけでありますので。いずれにせよ、ぜひいい制度ができますようにお願いを申し上げたいと思います。

 ちょっと時間になりましたので、最後に移りたいと思いますが、いわゆるRESAS、先ほども副大臣にお触れいただきました。

 先般、地元に帰って、結構やる気のある、もともとまちづくりで熱心にやられた方が市議会議員になって今活動されていらっしゃる、その方とちょっと議論をさせていただきました。

 その中で、やはり、このRESAS、特にいわゆる限定機能、この限定機能については、市役所の担当者、町の担当者、これが限定されているわけで、これは当然、秘匿性が高い情報でありますので、そうなると思います。ただ、この人の感受性に大きく左右されてしまう。この人が、ふうん、こんな高尚なものはようわからぬのうと言ってしまっては、もう先に進まないわけですよね。だから、ちょっと枠を拡大いただけないか、こういうお話でございました。

 それに対して私は、ぜひ、その担当を毎日のようにつかまえて、どうだこうだ、何ができないの、毎日のように報告してくれとか、あるいは、こういうのはできないか、そういうのができないか、こういう切り口で見てくれとか、そういうことを積極的にフィードバックをしてくださいというようなことを言って、それで話は終わっているんです。

 ただ、確かに、このRESASの物すごい可能性、将来性、これを考えたときに、より盛り上げていかないといけない部分があるんだと思うんですね。ただでさえ今、意識の広大なギャップがまだまだある中で、地方自治体の職員が、いかに、よし、そうだなと思ってくれるような方策というのはとるべきだと思うんですね。そういった意味で、枠の拡大というのはできないのかなと思うんですね。

 もちろん秘匿性の話がございますので、非常に難しい話だと思うんですけれども、何かしらルールを地方自治体の方でつくっていただくような、まあガイドラインなりにするか、あるいは国の方でつくるか、そういうことができないのかなとちょっと思ったりしているわけでありますが、この点について、副大臣、いかがでしょうか。

平副大臣 RESASの件、まさにおっしゃるとおりで、やはり、地方議会でやる気のある議員ほど、いろいろな情報を見て議論したいということになるんだと思います。

 一方で、かなりセンシティブな、各企業の仕入れ情報、売り上げ情報などもこれは含まれていますので、大きなところで見るとビッグデータなんですが、小さな自治体でいくと、ほぼ個別に特定をできる情報になりますので、これがさらされるということのリスク、そのことによって情報がとれなくなるというリスクもあるわけであります。

 RESASを入れることによって、今まで定性的な政策の評価しかできなかったものが、定量的に、KPIを設定して評価をしていくという、これは新しい政治の幕あけだと思いますので、この辺、何が使えて何が使えないのか、もしくはどういうルールで運用してもらうのかは、ガイドラインを含めて、やはり検討すべきことだと思いますので、しっかり問題意識として持って、検討してまいりたいと思います。

大野委員 おっしゃるとおり、今副大臣が新しい政治の幕あけだとおっしゃいましたけれども、確かに私も、これを初めてお伺いしたのは中企庁さんが扱われていた時代でありますけれども、そのときにも、物すごい可能性を秘めたツールだなと物すごくそれは実感をしたところなのですね。

 なので、あとは、それを受け取って使う方が、なるほどと思うようなことを気づいてもらう、気づきを気づく、気づけることを気づくこと、これをぜひ、手とり足とりと言ったら変ですけれども、なるべく寄り添って、千七百十八の自治体があるので、それは大変なことだと思いますが、ぜひ寄り添って、そういうことを、現場に行っていただいて、こうやったらこうなるんだよということをぜひお伝えをいただきたいな、これは大変、もう人海戦術になるかもしれませんが、ぜひお願いしたいなと思っています。

 あと一分だけあるので、ちょっと、通告はしておりませんが、事実関係だけの話でございます。

 ちょっとお伺いしたいんですが、前回、分科会で質問させていただいて、機能の強化、農業とか水産業とか金融とか、あるいはそういったものの機能強化の質問をさせていただいたんですけれども、今現状、次の世代に向けて、何か今おっしゃられることで、こんなことを検討していますよというようなことがあったら、ぜひおっしゃっていただければと思います。

若井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度補正予算で五億円の予算をいただきまして、第二期開発に着手をしてございまして、今大野先生から御指摘のございました農業関係、そして教育でありますとか医療、地域における資金循環などについても、これからデータとして盛り込んでいく予定でございます。

 さらに、今、地域に寄り添ってというお話がございました。実は、先週から、全国四十九カ所で市町村の職員を集めまして、RESASの使い方だけではなくてRESASを用いました分析の事例、こういったものについても、内閣官房、経産省の職員が行って、各三時間ほど実地に指導しておるところでございますので、よろしくお願いいたします。

大野委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

鳩山委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 五次一括法案、国家戦略特区、構造改革特区改正法案、地域再生法改正法案ということで質疑を行わせていただきたいと思います。

 大臣は御担当が国家戦略、それから諮問会議、また、地方分権、道州制ということで御担当でございますので、この間、地方分権、政府、そしてまた、政権交代後ももちろんでありますし、国会を挙げて地方分権というふうに取り組んできたわけでございまして、ある面、地方分権についての検証、総括、これは同時に進んでいるというふうに思っております。今回の五次一括法もいわゆるその一つというふうに認識をしておりますけれども、どのように、この地方分権について御所見を伺えればと思います。

石破国務大臣 委員は、御党におきまして地域主権調査会長として、これに一貫して携わってこられました。地方分権というか地域主権というか、そういう議論はおいておきまして、四次一括法までの経緯を繰り返すことはいたしません。

 今回、提案をしておりますのは、地方から手を挙げていただいて、御提案をいただいてということに重きを置いているものでございます。私は、基本的に、きのうも答弁申し上げましたが、外交、安全保障、通貨、財政、教育の基本等々は中央政府がやるべきものだが、そのほかのものは、可能な限り、身近な自治体にそれはお任せした方がよろしかろうというふうに考えているものでございます。

 今までの四次にわたる地方分権一括法により具体的な改革は進展をしておるところでございます。一通り検討対象にいたしましたので、昨年、地方分権改革有識者会議におきまして、「地方分権改革の総括と展望」が取りまとめられ、これまでの勧告方式にかえて提案募集方式を導入すること等の御提言をいただいているところでございます。これを受ける形で、昨年から提案募集方式を導入し、その成果として、第五次地方分権一括法案の御審議をいただいているということであります。

 基本的な仕組みというのはできているのですが、中央政府が気づかないこと、あるいは、気づいていながら具体的な成果が上がってきていないもの、そういうものを、地方からの御提案を受ける形で今回進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

武正委員 地方分権改革有識者会議では、地方分権のまだ果たされていない課題として、住民自治の拡充とか、あるいは財政的な自主自立等を今後の検討課題というふうにしておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

石破国務大臣 私は、地方において本当の意味での財政民主主義が機能するかどうかというのが一番のポイントではないかなというふうに考えております。

 地方の自治におきまして、どれだけ大きな事業をとってくるか、どれだけ補助率が高いか、あるいは、どれだけ交付税で負担がなされるか等々の議論があって、それを行うことがその地域においてどのような効果をもたらすのか、そういうような、歳入と歳出のバランスを考えながら議論がなされてきたかといえば、必ずしもそうではないと思っております。地方において財政民主主義が健全に機能するということがなければ、国全体の財政の改革というものはなかなか難しかろうというふうに思っております。

 いろいろな御議論があって、権限も財源も人間もみんな地方に渡すべきだ、それはそうなのですが、財源の偏在をどうするかということが地方交付税改革ということに直結しようかと思っておりますけれども、根幹は、その地域においていろいろな事業を行うことが一体どのような効果を持つものなのか。身の丈に合わないという言い方はいいかどうかわかりませんが、必ずしも効果を発現しないものというものが今まで随分行われてきたのではないだろうかというような感想を私自身持っておるところでございます。

 地域における財政民主主義がきちんと機能する、そしてまた、これはよく言うことでございますが、それぞれの地方の自治におきましてPDCAサイクルがワークするということが肝要なことかと私自身は認識をしております。

武正委員 そこで、現安倍内閣は、地方創生ということで言葉を使っておられますが、実際、これまで進めてきた地方分権改革とこの地方創生との関係はどのように考えたらいいのか、また、これまで進めてきた地方分権改革の取り組みをこの地方創生にどのように生かしていこうと考えておられるのか、伺えればと思います。

石破国務大臣 地方創生というのは、私はかなり時限性のある取り組みでなければならないと思っています。いつでもいいやではなくて、例えば二〇二五年問題、すなわち、団塊の世代の方々がいわゆる後期高齢者に全ておなりになるという二〇二五年問題は、これは首都圏も地方も大変に深刻な課題だと認識をいたしております。ですから、もうとにもかくにも早くやらねばならないのだということで、分権も、そしてまた、それにおける効果の発現も、なるたけ早くて効果的なものというものでなければいけないと思っております。

 また、この委員会で御議論いただきたいことでございますが、例えば農地転用にしても、四ヘクタール超で、物すごく時間がかかるねということであれば、機を逸するということがあったはずでございます。これは、規制の緩和ではなくて、まさしく権限の移譲ということになるわけですが、それが身近な地方公共団体におりてくるということで、迅速な判断がなされる。しかしながら、そこにおいては農地の管理というものが担保されねばならないというようなことで、時限性を持って効果を発現するということで、急がなければならない。そしてまた、それが、決して社会的規制というものを緩めるものではない。そういうものが全部関係するような改革だというふうに認識をいたしております。

 地方に権限を渡すことによって社会的規制が緩和をされるわけではない、しかしながら、効果の発現を急がねばならない、そういうものがたくさんあろうと認識をしております。

武正委員 時限性があって急がなければならない、規制改革しかりということで、今農業についてお話がありました。

 それを、これまで地方分権、地域主権ということで取り組んできたわけですから、それが、これまでの流れと地方創生は、流れが当然変わるわけではない、そして一体不可分であるということでよろしいでしょうか。

石破国務大臣 そういう御認識で結構です。

武正委員 そこで、先ほど手挙げ方式のお話がございました。これは、我々の政権のときも同様でありますが、やはり自治体によっては、分権に積極的な自治体もあれば、そうでないところもあるし、あるいは今言った、財政についての自主性ということに熱心なところもあれば、やはり先ほど大臣が触れられたように、できるだけ補助金も、まあ何というんですか、おいしい補助金というんでしょうかね、そういったところを何としてもというような自治体と、ある程度自主的な努力をして、また、行革にも熱心な自治体とそうでない自治体もあったというふうに思います。

 そういったところで、手挙げ方式ということが、やる気のあるところをやはり応援してやろうじゃないかということが出てきたと思うんです。

 ちょうど今月十八日、九都県市サミット、首都圏サミットが開かれまして、きのう、地元の新聞を見ておりましたら、その中で、国に対して地方分権のアイデアを自治体から募る提案募集方式に積極的に取り組むよう求める要望書をまとめたと報じられておりまして、何かというと、自治体もこれまで提案をしているんだけれども、権限移譲などについての自治体からの要望について、国からの答えが、検討を続けるというような、実現不明確なものが目立つという批判が相次いで、やはり地方のアイデアを積極的に活用するよう国に求めることにしたと。これが、おととい、九都県市サミットで決まり、国に対する要望書と。

 埼玉であれば、上田知事からは、多子世帯支援強化、三人以上お子さんがいる御家庭については、中古住宅などの手当てができるような、そんな提案があったり、清水さいたま市長からは、二〇二〇年東京オリンピックをにらんで、熱中症予防対策などが出されて、これを九都県市としても、サミットとしても採用を決定したという報道なんですけれども、こういった報道があるということは、大臣、この九都県市に限らず、手挙げ方式でいろいろ提案はしているんだけれども、国はなかなかそれについて積極的でない、そういう認識が自治体側にあるということはいかがでしょうか。

石破国務大臣 そういうようなサミットがあったこと、あるいはそういう報道があったことは承知をいたしております。

 私、この職につきましたときに、参議院の本会議で答弁を申し上げたことでございますが、私ども、この地方創生あるいは地方分権に取り組むに当たって、できません、なぜならばということはやめようと。できません、なぜならばという理屈を誰も聞きたいわけではなくて、どうしたらできるかということを、地方と中央が一緒になって考えるという姿勢が必要で、お説教することが私どもの仕事だと思っておりませんし、しゃくし定規に何でも取り扱うべきだと思っておりません。できるためにはどうするかということを一緒に考えるのであり、できないとすれば、なぜなのかということをきちんとお示しをして、御納得をいただかなければ意味がないと思っております。

 それから、あとは、これは私、防衛省におりましたときも、農水省にいたときもそうですが、役所の文書で、「検討する。」という文章は、それはだめだということを言ってまいりました。検討し、いついつまでに成案を得るということでなければ、検討しますというのは、やりませんというのとニアリーイコールですので、そういうような対応があってはならないということを徹底しておるところでございます。

 もう一つは、先ほどの答弁にも関連いたしますが、これは先ほどの大野委員の御質問にもありましたが、一年おくれれば、そのツケが後になって物すごく大きく出てくるという認識でございますので、今できることは、中央とか地方とかそういう立場を超えて、分権改革の最初の段階で、主従の関係ではなく、これも嫌な言い方なんですけれども、地方と中央は主従の関係ではなく対等の関係だということを打ち出しております。そうであれば、上下とかそういうことがなくて、いろいろな課題、例えば先ほどおっしゃいました熱中症にしても、多子対策、多子に対する手当てにしても、これは急ぐことなのですから、ともにやっていかねばならないことだと思っております。

 主従ではなくて対等の関係で国が抱えている課題について答えを生み出すということが、今回の地方創生の取り組みの一番の精神でなければならないと思っております。

武正委員 かねてより大臣からは、この地方創生がばらまきの批判を浴びないようにというようなことも発言の中であったというふうに思っておりますし、今の対等ということは、これまでも国会も挙げて求めてきた。そして、そのためにも、手挙げ方式のような自治体側のやる気を求めてきたわけでありますので、これまでの地域主権、地方分権でも取り組んできた、国と地方は対等であるといったこともぜひ堅持をしていただけるよう、お願いをしたいと思います。

 先ほど地域主権調査会のお話がございましたが、民主党も、平成二十二年十一月十八日には、ひもつき補助金の廃止と一括交付金化に関する提言をまとめ、また十二月二日には、出先機関に関する提言、これは国の出先機関は原則廃止、そして地方整備局、地方労働局、ハローワークなどについて特に特記をさせていただきました、こういった提言をまとめ、それが地域主権の戦略大綱や地域主権の三法案とも相まって取り組んできたところでございます。

 一括交付金については、ちょうど筆頭理事の新藤さんもお見えでございますが、新藤大臣のときにこの一括交付金は見直されたわけであります。

 ただ、使い勝手が悪いというようないろいろな発言がありましたけれども、当委員会でもありましたように、実は使い勝手よりも、総額の確保とか縦割りの弊害とか、そういったところが自治体からは注文がついているのであって、六十六団体、都道府県、沖縄を除き、また政令市のうち、五十二団体が評価する、ある程度評価するということで、八割が評価をしたということもあり、たしか大臣は、この一括交付金については、必ずしも否定するものではない、参考になるんだというようなことを述べておられるというふうに拝察をしております。

 お手元の方に、一ページ、二ページ、三ページということで資料がございますが、このときには、各省庁に移しかえて交付、ここを非常に苦労したわけですね。予算の概算要求は内閣府が行って、交付は各省に移しかえる、こういう移しかえということが一つ特徴だったと思いますが、改めて、この一括交付金についての検証、総括を大臣に伺えればと思います。

石破国務大臣 今、新型交付金の設計を行うに当たって、民主党政権が実際に行われた一括交付金というものがどうであったかという検証は、アンケート結果なるものも踏まえて、二十五年度予算編成を前に民主党政権で二十四年度にやられたことだと承知をいたしておりますが、検証し、検討いたしておるところでございます。

 御指摘のように、みんながみんな、だめだと言ったわけではありません。アンケートを子細に見れば、評価するというところの方が多いわけで、だめだったというところだけ取り上げて、ほら、だめだだめだと言うようなつもりは、私は全くないのでございます。

 ただ、問題は、これが、従来の補助金というものが対象として決められていて、そこにおいて広がりがなかったのではないだろうか、そしてまた、対象が、委員も御指摘になりましたように、都道府県と政令市に限られていたということで、ほかの小さな自治体にとっては余り御縁のないお話になってしまったのではないだろうか。それが、その性質によりまして、ちっちゃな自治体だと振れが大きいものですから、このようなものはかえって使いにくいので、結果的に都道府県と政令市になってしまったということはあろうかと思っております。

 そうすると、この考え方というものを敷衍しながら、どういうような新型交付金というものがいいのだろうかということを考えたときに、それぞれの自治体によって、何が補助金では対応できないのか、何が交付税では対応できないのか、何が地方単独事業では対応できないのか、いろいろなKPIというものを設定していただきますが、それを実現する上において、補助金ではだめで、交付税ではだめで、地方単独事業ではだめだという、あえて言えば隘路のようなものがあるのだろうと思っております。この一括交付金といいますか新型交付金といいますか、それは隘路というものを発見し、それを埋めるためのものでなければならないと思っております。

 民主党政権において行われました地域自主戦略交付金、これは評価すべき点は評価しつつ、そしてまた、その考え方自体、私は否定をするものではございません。小さな自治体にも使い勝手のいいものとは何か、それが実際にKPIを設定しPDCAを回すにおいてなぜ必要なのかというコンセプトをはっきりすることがまず先決だというふうに認識しております。

武正委員 この地域自主戦略交付金を行うに当たって、今お話があったように、それまで事業は継続しておりましたので、その事業の継続の中でこうした一括交付金化ということを目指したわけでありまして、二十三年度から三カ年で、投資に関する総額三・三兆円を何とか一括交付金化できないかということで、まずは一兆円を目指して二カ年取り組んで、お手元のような一兆円に近い額が一括交付金化されたわけでございます。

 小さな自治体ということで、一括交付金を中核市まで下げられないかという検討はいたしましたが、そこまで至らなかったということですが、徐々に徐々に一括交付金化を下げていくということは進めていたわけでございます。

 また、沖縄県は今も行われておりまして、当初、沖縄県の市長会、町村会からは、県が余り巨大に予算を持ってしまうと、何となく県が非常に力を持ってしまうことの危惧が随分述べられましたが、そこは、県も非常に市町村の声をしっかりと配慮してこの一括交付金化を進めようということで、大変沖縄では今評判よくこの一括交付金が進められておりますので、これはやはり一つの、今大臣が、小さな市町村に対する配慮ということについては、もちろん当初から制度設計もしておりましたし、今の沖縄の例がそういった心配は危惧される方向であるのではないかと思いますので、今度、新型交付金に当たって、大いにぜひ御検討を御参考にしてお取り組みをいただければと思っております。

 新型交付金についてはちょっと今触れていただきましたので、その前の、平成二十四年度補正予算以来の中小企業、商店街予算についてということで、資料の四ページでございます。

 きょうは経済産業省から山際副大臣がお見えでございますが、この四ページにあるような資料で、二十五、六、七あるいは二十四年度補正など、こうした中小企業、商店街に対して大変な額の予算が計上されております。これは当然、消費税引き上げを見込んだ地域経済対策といったことが第一であったというふうに思います。

 一方、例えばこれは当初予算の上の三カ年を見ますと、一件当たりの金額が、二十五年度は一千七百万、二十六年度二千六百万、二十七年度五千万、あるいは補正予算で、二十四年度補正、商店街については一千万、二十五年度補正九百万、ソフト事業の方は、二十四年度補正三百万、二十五年度補正四百万、また、小規模事業者持続化補助金ということで、これは大変件数が多いわけでありまして、これは二万六千件とかになってくるんでしょうかね、これは金額は小さいですけれども大変件数が多いといった特徴があります。

 商店街などに一千万近い補助金がぼんと、あるいは二千万、三千万というのが出てくると、ともすると、やはり、これまで都道府県、市町村の補助事業を受けていた商店街などがちょっと勘違いをしてしまうんじゃないのかと。これが持続的にこれだけの額が国から補助金として予定されるのであればいいんですけれども、二十七年度以降についてどういった形になっていくのかということも、来年度以降もまだ定かではないだけに、こうした心配の声があることについて、経済産業省として、あるいは中小企業庁としてどう御認識を持っておられますでしょうか。

山際副大臣 基本的な考え方としては、商店街が地域コミュニティーの中核をなす大変重要なものである、そういう考え方に基づいて、地域の経済を活性化させていく上で商店街を振興していくということは重要である、このような認識に基づいて予算づけをしているわけでございます。

 今委員が指摘していただいたように、平成二十四年、平成二十五年の補正予算に関しては、どうしても消費税増税を控えるということもあって、それに対して緊急対応的に行ってきた予算である、そういう性質のものであるということは間違いがございません。

 一方で、当初予算で私どもが商店街振興のために使っているお金というものに関しましては、日本全国津々浦々に、大変多くの、しかも、一つ一つ違った性質を持った商店街というものがあるわけでございまして、そういう商店街が、地域の経済を活性化させる大変有用な、先進的な取り組みというものをやっている商店街と、なかなか商店街として存続することが難しいといったような商店街まで含めまして、山ほど、いろいろなものがあるわけですね。その中で、できれば、成功事例となるような、先進的な取り組みをやっているような、そういう商店街に予算をつけることによって、その成功事例というものを全国津々浦々に横展開してまいりたい、そういうことも考えつつ予算をつけてきたところでございます。

 これは、これから先もこの考え方、すなわち、地域の経済を活性化させるための核として商店街を利活用していく、商店街が大事であるという考えに基づいて、有用な、先進的なモデルを一つ一つつくっていってもらうというその考え方についての当初予算をつくっていくという考え方は変えずにやってまいりたいと思っております。

武正委員 どちらかというと、これまでの予算は、アーケード、あるいは街路灯LED化、そして防犯カメラということで、これは本当に必要なことだというふうに認識しているんですが、今副大臣が言われたような、先進的な事例があり、そしてそれを横展開していくんだということでは、何かこういった事例があるという御紹介をいただけますか。

山際副大臣 全ての事例をお示しすることは不可能かと思いますが、二、三申し上げますと、例えば、愛媛県の商店街でございますけれども、NPO法人が空き店舗に高齢者コミュニティー、子育て支援施設を設置いたしまして、高齢者や母親に優しい商店街活動というものを行いました。こうした取り組みが、今度は、鳥取県の商店街における託児施設と親子、大人向け教室の開設や、あるいは茨城県の商店街における乳児用プレールームと多世代交流サロンの開設などにつながってございます。

 また、山口県萩市の商店街で、空き店舗を改修して農産物直売所と農家レストランを開店いたしまして、商店街のにぎわいと市民や観光客の交流につなげておりますが、こうした取り組みが、北海道の商店街における地産地消レストランとコミュニティーカフェの開設や、愛知県の商店街における海の幸、山の幸を提供する市場の開設などにつながっているというような事例がございます。

武正委員 これまでも空き店舗対策というのはずっとやってきているんですよね。

 ですから、これは全国どこもそうですが、大規模店、そして郊外店、中心市街地のドーナツ化、それに対してコンパクトシティーと、いろいろな手だてがこれまでも打たれている中で、引き続いての、今のようなことが本当に全国で横展開できればいいんですが、その根源的な全体状況が変わっていかないとというところは、我々も当然悩みながらこれまでもきておりますが、ただ、ちょっと心配なのが、お金が、かなりばかっと補助をつけているものですから、これが今後、この後触れるような財政の、これから財政健全化計画を政府がまとめる中で、地方自治体の、あるいはまた今のこうした経産省、中小企業庁からの補助金、この額が維持をできるのかどうかといったところの心配がありますので、そこに依拠しないで、どう地域経済に自立をしてもらえるのか、商店街、中小企業。こういったところの視点がやはり大事だと思うんですね。

 権限、財源の移譲、分権、これについてはまだ道半ばだという、先ほど、諮問委員ですかね、地方分権の有識者会議での意見もありましたけれども、やはりこうした点も、こうした中小企業、商店街予算についてもそうした視点が必要ではないかというふうに思います。

 特に、これから始まる地方創生先行型交付金、あるいは地域消費喚起・生活支援型交付金、これは地域では期待が大変大きいことは承知をしております。プレミアム商品券、一万円で一万三千円の消費ができる、商店街もそれに大変期待をされているわけなんですけれども、ただ、これも一回こっきりになってしまうおそれが多分に、これだけの額の予算ですので、心配なわけですので、その後どう持続をしていくのかというところが一番課題になってこようかと思うんですね。

 これについてはどうでしょうか、大臣。今のやりとりをお聞きになって、御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 確かにプレミアム商品券は非常に期待が高くて、私どもの鳥取県でも「とっとりで待っとるけん」というよくわからない名前のプレミアム商品券を出しましたところが、四分で売れましたというようなことで、最初は来ていただけると思うんです。

 私、この間、滋賀県に行っていろいろなお話を聞いてきたのですが、例えば滋賀でいうと、長浜市というのがあって、そこが黒壁の商店街というので、かつての黒壁の商店街というのをきちんと復元する形で、そしてまた、長浜市というのは余りガラスと関係ないんですけれども、ガラス産業というのをそこで起こして、本当にきれいなガラスの工芸品をつくって、大勢の人がやってくるというので、私、去年の暮れに見てきましたが、本当にそうだなというふうに思いました。

 そこの方が、今度は県都である大津市の商店街を何とかしようじゃないかということで、つまり、行政がこう言うからとか、補助金が出るからとか、そういう話じゃなくて、そこの商店街の方々がどうしようかということを主体的に考えていただかないと、結局、行政が悪いんだ、大手スーパーが悪いんだ、郊外店が悪いんだ、以上おしまいということになっている限りはどうにもならないと私は思っております。

 そこにおいて、では、何で空き店舗がそのまま残っているかといえば、商店主の方々がそれなりの資産をお持ちなのではないか、あるいは年金もお受け取りなのではないか、お兄さんは県庁に勤め、お姉さんは市役所に勤めということであると、何も無理して商いしなくてもということがありとせば、その商店街を何とかしようというインセンティブがひょっとしたらきかないのかもしれない。

 いろいろなプレミアム商品券とか交通の発達とかというのは、一度は来てくれるかもしれません。でも、一回行った町がシャッター通りだと、多分二度と来てくれない。どうやったら来てもらえるかということを考えたときに、では、その方々が、所有と経営の分離というのもあるんだと思います、これを法制度も仕組まなければいけないのかもしれません、どうやってそこの町に来て、そこにしかないもの、そこでしか会えない人、そういうものをそれぞれの地域で考えていただくかということがまず先にあって、国はそれに対していろいろな支援をしていくというような、そういう関係でない限り、私は、商店街の再生というのはないのだと思います。

武正委員 また、政府は予算の確保を、我々も中小企業予算を十倍、十五倍にというようなことも部門会議ではあり、また、我々政権時にも中小企業予算を数倍に拡充したということもありますので、先ほど言ったように、これが自立につながっていくような、そうした絵をやはり描いていく必要があるのではないかと思っております。

 では、経済産業副大臣、どうぞ御退席いただいて結構です。

 新型交付金については先ほど触れていただきましたので、地域分析システム、RESASですかね、先ほどもお話がございました。大臣もたしかこれに対する期待を述べておられることも報じられております。

 お話を伺いますと、GPS機能を生かした株式会社Agoopの情報も活用したりしているということで、特に人口移動などについて、私もホームページというか拝見させていただきました。

 例えば、私の住んでおりますさいたま市浦和区では人口移動が区の人口の二・一二倍であるということ、鳥取県鳥取市については一・三三倍である、あるいは横浜市中区は三・九〇倍である、この御当地千代田区は四十六倍である、こういうようなことが一目瞭然というような、見える化ということで非常に評価をするこうしたシステムの導入だと。これをそれぞれの自治体が活用して、これから、地域版のまち・ひと・しごと総合戦略をつくるということと理解しております。

 ただ、これは一つ、これまでの数字でいえば昼夜間人口比率というのがこれに当たるのかなというふうにも思いますので、ビッグデータの活用というのは大変大事な視点だと思うんですが、これまでの統計データの活用からも推察できる、類推できるところもあろうかと思います。

 このことと、ちょっとその後の求職情報の地方自治体への提供についてをあわせて伺えればと思うんですが、厚生労働省、きょうは政務官、お見えでございます。

 これは、かねてより、地方分権、地域主権について、私は、やはり地方自治体で、どうでしょうか、地方自治体に限らず、当時、古くなりますが、ブッシュ大統領、お父さんの時代でしょうか、あるいはまたサッチャー首相、日本に来日するときには、最近日本の総理も同じようなことになってまいりましたが、経済団体を引き連れて来日をされて、これはアメリカの州の知事なんかも同様でした。要は、トップセールスということで、総理や大統領や州知事などが盛んに日本企業の誘致を、そして雇用の創出をうたう、こういったことが当たり前でありました。

 こうした意味では、やはり今、全国の自治体にも、こうした職を求める県民、市民の皆さんに応える雇用政策、これまでは国の政策とされていましたが、やはり自治体にとっても大事だろうということで、特に求職情報を地方自治体へ提供するということを、民主党政権時代から、特に、その前の自民党政権時代から求め、当時川崎元厚労大臣なども前向きな答弁をいただいたこともありました。そういった流れでこれが実現をしてきたということであります。

 お手元には、五ページ、六ページに、そうした求職情報を活用して就職支援セミナーなどを行っている札幌市の例や、鹿児島県、鹿児島市、提供した情報を誘致を進めている企業、例えばコールセンター業務等で進出を考えている企業に参考資料として提示をしているということで、これまで厚生労働省がハローワークの情報は提供できないんだというところに風穴をあけたということだというふうに理解をしております。

 例えばこれは今どのぐらい実際に行われているかというと、平成二十六年までの状況を厚生労働省にいただきましたが、一般求職者を対象とする自治体の取り組みは合計で十八団体ということでありまして、もっと求職情報の活用があってもいいんじゃないかなというふうに思いますし、先ほどの地域分析システムについても、こうした求職情報を活用していく、あるいは自治体が活用しやすいようなシステムのリンケージというものがあってもいいんじゃないかなと思っています。

 今は、それこそ言ってこないと求職情報を提供しないというような感じになっていますので、案外、自治体が求職情報をハローワークから、個別の名前は別にしても、例えば鳥取市の二十代のAさんが自動車産業に就職を希望している、こういう情報を鳥取市なり鳥取県が得られれば、それによって、では自動車工場の誘致というか、あるいはそれを振興しようという形で活用できるわけですので、私は、厚生労働省政務官、お見えでございますので、積極的に、一般求職者の情報を自治体が得ることができるんだ、この宣伝はぜひ努めていただきたいということ、まず、これについていかがでしょうか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 今、武正委員御指摘のとおり、私どもとしては、ぜひ積極的に自治体の皆様方に求職者の情報というのを御利用いただきたいと考えております。

 状況をまず御説明申し上げますと、労働局やハローワークが保有する求職情報については幾つかのパターンがございまして、地方自治体の要望に応じて地域の求職者数などのデータ等を提供する場合というのがございます。これが、今、議員が資料六でつけていただいた表になりまして、一番下の「生活保護受給者等」というのを除いて、その上の数で言えば五十六団体に提供しているということになります。

 それから、別のやり方がありまして、国と地方自治体が同一施設内で一体的に業務を実施するために求職情報を共有する場合というのもございまして、これは、今の資料六の表でいうところの「一体的実施を除く。」ということになって、この数に入っておりません。

 今申し上げたような一体的実施施設において共有する場合については、平成二十六年度において百十六自治体で求職情報を共有し、利用者のきめ細かな職業相談及び職業紹介に役立てているところでございます。

 また、さらに加えて言えば、ハローワーク特区という枠組みがございまして、これは厚生労働大臣と都道府県知事が協定を結んで、知事の指示に基づいて労働局長がさまざまな連携等を行う、こういう枠組みが、これは埼玉県と佐賀県で行われております。これは武正委員も埼玉県のことは御存じだと思います。

 このような形で、求職者の情報をきちんと自治体の方々に活用していただこう、しかもそれを雇用の改善というのにつなげるだけではなくて、できれば、求職者情報というのは、言い方をかえれば、その地域にどんな人材が眠っているかというか、意欲を持って働こうと思っているかというような使い方もできるんだろうというふうに思っておるところでございまして、私ども厚生労働省では、三月十三日に、厚生労働省まち・ひと・しごと創生サポートプランというものを発表しております。

 これは、地方自治体の皆様方に、今後、まち・ひと・しごとの計画をつくるときにぜひ参考にしてくださいということで、私どもの省が所管をしている分野について、いろいろなものをまとめたものですが、この中でも、「産業・雇用創出」という欄におきまして、「外部の人材の活用やその定着支援にあたっては、ハローワークと連携して行うことも重要である。」などなどの記載をもって、ぜひそうしたことを進めていただきたいということをさらに進めていきたいということを出しているところでございます。

 また、さまざまな事例がございます。例えば奈良県では、労働局から提供された、年齢、性別や希望職種などの求職者動向データを分析し、県内で立地を検討している企業に提供するといった取り組みをしております。

 そうしたいい事例をまとめて、ホームページに掲載したり、自治体の雇用対策担当者にお送りをしたりすること、また、当省が開催する地方自治体の雇用関係担当課長会議における周知なども行っているところでございまして、私どもとしては、ぜひ使っていただきたいと思っておりますので、自治体の皆様方が、それぞれどういう目的で使われたいのかということをぜひ持って御相談をいただければ、積極的に連携をして図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

武正委員 今、政府は、求職情報を新たに民間の職業紹介業に提供するという方に、どちらかというとシフトされておりまして、これも一つの観点かと思いますが、まだまだ、この自治体、二十も満たないわけですので、せっかく厚労省が、求職情報を、これまで自分のところだけしかだめだよと言ったのを自治体に提供すると踏み切ったわけですから、私は、もっと積極的に宣伝もしていただきたいと厚労省にはお願いをしたいと思います。

 先ほどのRESASで、何か求職情報の共有ができないのかなと。何といっても、地方で人をつくり、その人が仕事をつくり、町をつくるという好循環を確立することが急務としての、まち・ひと・しごと総合戦略ということでありましたように、何といっても、仕事がそこで生まれる、そして、職を求める人と人を求める企業がマッチング、これはなかなか、ハローワークのマッチングの率というのは低いんですよね。

 ですから、こういったところを高くするためにも、RESASの活用でできないかというふうに思うんですが、これはいかがでしょうか、大臣。

石破国務大臣 御指摘ありがとうございます。

 このRESASシステムというのは、今まで行政が独占していた情報というのを、広く納税者あるいは議会の方々にもアクセスしていただけるようにしようということを目的としたものでございます。

 それは紙でもいいじゃんという話になるんですけれども、ではそれが、全ての住民あるいは全ての議会議員が、あれを出せ、これを出せといって市役所やら県庁やらに言っても、そんなものはありませんとか、出すのに三日かかりますとか、そんなことを言われてはどうにもならぬし、では、十年前はどうなのだろう、これを引き伸ばせば十年後にはどうなるのだろう。人、金、物がどこから入り、どこへ出ていき、それはどんな人であり、どんな物であり、どんな金であるかというのがわからないと、いろいろな政策が、データに基づくものではなくて経験と勘と思い込みで政策なんかをやられちゃたまらぬということだと思っております。

 RESASはそういうふうに活用しようと思っておりますが、どこにどういう職を求める人がいて、どこにどういうような職を求める需要と供給がマッチングするのかということは、これは個人情報のこともございますので、よく厚労省と御相談をしながらやってまいりたいと思います。

 だから、何の何がしが自動車製造業に希望しておるとか、何の何がしが医療、介護に希望しておるとかいうことが、これが、個人情報を含みますので、このRESASという広くあまねく誰とでも誰にでもということになじむかどうかという問題もございまして、今の御指摘を踏まえて、政府部内で検討はさせていただきます。

武正委員 この間も、厚労省からの御提供については、個人名は墨消しというか、そういう形で自治体にも提供されていると承知もしていますし、RESASにもし載せるとすれば、全体的な数とか、何か工夫ができるのではないかと思いますので、ぜひせっかくのこうした求職情報が自治体などに提供がされるということも御活用いただければというふうに思います。

 それでは、厚生労働大臣政務官、御退席ください。

 続いて、国交大臣政務官がお見えでございます。

 まち・ひと・しごと総合戦略では、人口減少などを踏まえた既存ストックのマネジメント強化、空き家対策ということをうたっておりますが、既に、中古住宅市場活性化ラウンドテーブルということで、三月三十日に、今この住宅投資額を五百兆円以上下回る評価損、これを何としても変えようということで取り組みをされておりますので、ちょっとこちらの御説明を国交大臣政務官からいただけますでしょうか。

うえの大臣政務官 人口減少、少子高齢化が進む中にありまして、空き家対策を含めて既存の住宅ストックをどういうふうに活用していくかということは非常に重要な課題だと認識をしています。

 御指摘のあった空き家につきましては、やはり利用できるものはしっかり利用していく、一方、除却すべきものについてはこれもきちんと除却をしていくということが大事だというふうに思っておりまして、御案内のとおりでございますが、空き家対策特別措置法、昨年十一月に成立をしておりますが、これは今月の二十六日に全面施行せられるわけでございますが、この法律に基づきまして、利用と除却の取り組みを国土交通省としても積極的に推進をしてまいりたいと思います。

 空き家の利活用ということについて申し上げれば、やはり、空き家を地域コミュニティーの拠点であったり、あるいは地域振興の拠点として再利用、再活用していくというような観点、これは地方創生にも資するものだというふうに思っております。

 一方、利用できる空き家につきましては、しっかりと住宅として市場で流通をさせるということが大事でございまして、先ほど、ラウンドテーブルという御指摘がございました。

 私ども、そうしたことを十分に活用しながら、例えばインスペクション、これは委員非常に御関心だというふうに思いますが、インスペクションであったり、住宅性能表示の普及、定着、こうしたことにしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 あるいは、エコリフォームにつきましてもポイント制度を設けておりますので、そうしたことをしっかり活用する、あるいは、不動産取得税や登録免許税等々の流通課税につきましても、所要の見直しをしっかりやって、空き家が住宅としてしっかり再生、また利用できるように我々としても取り組ませていただきたいというふうに考えているところでございます。

武正委員 ありがとうございます。

 既に指摘をされておりますのは、中古住宅購入と同時に行うリフォームに係る資金を融資するリフォーム一体型ローン、これが金融機関で四割、信用金庫で二割にとどまっているということで、これがやはり必要ではないか。リフォーム融資保険つき民間借り入れといったことが指摘をされているということも指摘をしておきたいと思います。

 政務官もどうぞ御退席ください。ありがとうございました。

 そこで、やはりこの総合戦略の目玉が東京一極集中の是正ということでございまして、七ページにありますように、地域再生法の一部を改正する法律案の概要の右上の地図でも、首都圏整備法、あるいは首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律、あるいは近畿圏整備法、こういったところを除いたところが、地域再生計画を作成することを前提に、地方活力向上地域として広く支援対象となると言われております。

 具体的には八ページに、想定される集中地域、ここの集中地域では対象外ということになってきたり、特に二十三区については、本社が二十三区から移転することについて税制上の優遇措置もあるというようなことが設けられて、東京一極集中の是正ということをうたっているわけなんです。

 片や、国家戦略特区では、国家戦略特区などを活用した規制改革などにより経済活性化を進めることということをうたっているわけなんです。

 片や、東京から、本社も含めて、二十三区、そして、私の住んでおる埼玉など一都三県、あるいは中京圏、近畿圏、これは先ほど触れました地域再生法の対象ではないというような中で、特に東京、あるいはこの国家戦略特区の対象が六地域ありますね、東京圏、関西圏、そして今度は中京圏も指定と。この整合性がとれるのかということについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 これは物理や数学ではございませんので、ぴしっと、かくかくしかじかこういうわけでという御説明は実はかなり難しいと思っております。

 ただ、今回の取り組みが、東京の一極集中の是正と地方の人口減少に歯どめをかけるということになっております。この両方を満たす、満足させるということを考えました場合に、どう考えても、東京の二十三区というものは、これは集中を是正していかなければならないし、その周辺もそうであろうと。それは、同じような状況はやはり中京圏とか近畿圏にも程度の差こそあれ言えると思っております。

 きのうも議論したことでございますが、例えば北海道でありますとか東北でありますとか山陰でありますとか九州でありますとか、本当に、消滅可能性というのか、二十代、三十代の女性の数が二〇四〇年には七割減ります、八割減ります、またそれがどんどんと近くに伝播していくという地域がある、二十三区がある、その周辺があるということを考えたときに、埼玉でも指定をしているところがございます。

 これは一々申し上げますが、秩父ですとか本庄ですとか深谷ですとか、そういう埼玉の中でも本当にどんどんと人口減少がとまらないようなところと、あるいはさいたま市、あるいはその近くでいえば川越、川口、所沢、そういうところとやはり違うんだろうというふうに思っております。

 東京には東京、あるいは近畿には近畿、そこの活力を引き出すという意味で、いろいろな特区というものを活用してそこの地域の特性というのは伸ばしていかなければならないと思っております。

 その地域地域の持っているようないろいろな状況を勘案しながら、東京二十三区、あるいはその周辺部、そして中京圏、近畿圏、そしてそのほかの地方と言われるところ、そういうふうな感じで分けさせて政策を展開してまいりたいと思っております。

武正委員 今、埼玉のことをちょっと触れたわけでありますが、こうした国家戦略特区について今大臣が挙げたのは、先ほどの同じ埼玉でも対象から外れている地域の市町村名でありまして、大方の埼玉県、あるいは東京都、それから神奈川県、ほとんど包含されて、地域再生法の改正案の先ほど言った支援対象の対象外ということになっております。

 片や、国家戦略特区でも我が埼玉は対象に入っておりませんので、そうすると、地域再生でも対象外、国家戦略でも対象外、ちょうどこのはざまに置かれていて、一体何なんだろうというふうに思ってしまうわけなんです。

 国家戦略特区の例えば追加指定、三地域が既に、秋田県仙北市、仙台市、愛知県が追加指定されていますけれども、そうはいっても、先ほど大臣が言ったようにスピード感ということで、特に二十六、二十七年度を集中期間としておりますので、実際、この追加指定というのはこれからもどんどんこ行われていくのか、それが当然、地方創生特区に今度進化していくということなんですけれども、そういったことでよろしいんでしょうか。

石破国務大臣 そういうことは否定はいたしません。

 ただ、まだ指定したばかりでございまして、仙北にしても、あるいは愛知県にしても、そういうような指定したところがこれから先、どのような取り組みをし、効果を上げるかというのも見ていかねばならないと思っております。

 これから先の追加指定というものも全く否定はいたしませんし、埼玉県におきましても、いろいろな事例、いろいろなお取り組みの提案をいただき、私どもとして議論をさせていただいて、そういうような形になる、そしてまたそれが大きな効果を発現するということは当然期待をいたしております。

武正委員 埼玉県からもさいたま市からも申請があるように、新藤筆頭理事とも含めて取り組んでいきたいと思っております。

 それで、ちょっと質問をはしょりましたが、最後、財政健全化計画との関係について伺いたいと思います。

 資料九ページをごらんください。これは内閣府がまとめた国、地方のプライマリーバランスの見通しでございます。二〇二〇年、経済が再生したケースであっても黒三角九兆円という赤字、そしてまた、ベースラインケースの場合は十六・一兆円のプライマリーバランスの赤ということでございまして、これを何としても国際公約以上、コミットメントということを述べておりますので、六月には政府は財政健全化計画をまとめると。

 報道によると、経済財政諮問会議の議員の皆さんはちょっと楽観的過ぎないかということで、自民党の特命委員会の方が非常に熱心にこの財政再建に取り組んでおられるという報道がございます。

 私がすばらしいなとぜひ御期待を申し上げたいのは、私どももマニフェストにはうたわなかったと大変御批判を受けましたが、やはり日本の財政を考えて政権交代時にそういった問題意識を持って政権を預かり、だからこそ、社会保障・税一体改革を民主、自民、公明三党を中心に協議をして、そして法律を通して今日に至るということでありますので、この財政再建あるいは財政健全化の思いというのは与野党の垣根を越えて共通であり、ぜひ与党としての矜持を示していただきたいというふうに思います。

 ただ、そのときにやはり気になるのが、この上の経済再生ケースを見ても、国は十三・六兆円の黒三角なんですが、地方は四・六兆円プラスということになってまいりますので、地方への切り込みということは当然既定の話になってくるのではないかと想像されます。財政支援あるいは財務省などもそういう発言をしております。

 そうしたときに、先ほど来から話があるような、これまでの補助金あるいは予算、かなりこの二十四、五、六と、消費税引き上げも踏まえて予算をつけてきた経緯もありますので、ここで一挙に、この財政再建、健全化でこれが縮小する懸念があるわけであります。ですから、ここについてはよっぽど工夫をしていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 私は、この場でも議論がありますが、今の東京一極集中の是正も大事だと思うんですが、やはり、このたびの大阪都構想の、あれだけの大阪市民の皆さんの声なども含めて、あるいは、横浜市などから出ております政令市のさらなる格上げ、こうした点、これはたしか税収を全部横浜市でということで、これまで三分の一ぐらい神奈川県に行っていたのも全部横浜市にと。そうすると、当然、都道府県のあり方さえ問われるような、こうした提案になってくるわけでして、かなり大きな話として、財政再建、健全化で、地方の財政のあり方を捉えていかなければならないというふうに思うんですが、こうした点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 冒頭の御質問にもお答えをいたしましたが、私は、地域地域で財政民主主義がきちんと機能するということが大事で、そこにおいては、財政民主主義の根幹は、結局、使ったものの効果がどう発現したのかというのが本当にチェックされていますかということだと思っております。

 そしてまた、自分の庭先だけきれいにされても困るので、国家財政全体を考えたときに、今でも地方財政は黒字なわけで、国の財政は大赤字なわけで、地方が黒ならそれでいいやというお話には全くなりません。

 そういうときに、社会保障の改革というものをどのように行うべきなのか。それは、自治体の負担において行うべきなのか、あるいは、ナショナルミニマム的な観点で国が行うべきなのか等々、そういうような一つ一つの各論を詰めていかないと、私はこの問題に答えは出ないんだというふうに思っております。

 わけても社会保障というものが、選挙のたびに、医療費を無料化します、はい、中学生まで、はい、高校生までとかいってどんどんやっていきますと、それはもう選挙によって、それをよりよい方を言った方が当選をする、そしてまたどんどんと地方の財政も厳しくなるというようなことも、地域によっては見られることでございます。ですから、そこはもう、国対地方という関係ではなくて、全体をどうするかというお話がなされなければなりません。

 もう一つは、今回我々が考えておりますのは、地方が稼ぐ力というものをどう持っていくかということだと思います。

 国からの補助金、あるいは、調整機能、保障機能を持っております交付税のみならず、今回の新型交付金というのは、地方が本当に稼いでいく力というものをどれだけつけるかということも、私はこれから先、国の財政を考える上において極めて重要なことだと思っております。

 そういうような観点から、新型交付金の議論につきましては、ぜひ委員の御見解も承りながら、地域の稼ぐ力、そしてまた財政民主主義、そういうものが機能する形に設計をしてまいりたいと思っております。

武正委員 以上で終わります。

 どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪でございます。

 昨日、代表を交代させていただきましたけれども、その際にも皆様にお伝えさせていただきましたとおり、我々維新の党の一丁目一番地は、中央集権を打破して、分権改革、地域主権改革を実現することです。そして、将来には道州制を導入して、この国の形を根底から変える、そうしなければこの国の未来は開けないだろうということで、大阪都構想を進めてまいりました。

 僅差で実現成りませんでしたことは残念でありますけれども、全国で初めて、地域からこれまでの行政のあり方を大きく変えるための、大阪の全市民の皆さんの手による住民投票、これを歴史に刻まれる取り組みであったと考えておりますし、決して無駄なことだったわけではないと考えています。そして、今度は、国のレベルで、維新の党として全身全霊で一丁目一番地を目指して取り組んでいきたいと考えています。

 そして、この実現に向けて、改革政党として、松野頼久新代表のもと、引き続き一丸となって、本日より新たな一歩を踏み出してまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。

 さて、きのうの審査において、我が党の木内、小熊両議員からも質問させていただきました。その際、第三十次地方制度調査会についての話も出ましたけれども、やはり、きょうも話があるとおり、改めて、三十八年には一億二千万人の人口を下回り、そして六十年には一億人を下回ると推計されています。そういった中、集落の数自体は人口ほど減少せず、単身世帯が増大することが予想されているというふうに書かれています。人々の暮らしを支える対人サービスの重要性はますます高まっていくというふうに言われていて、地域、基礎自治体によるサービスの提供体制をいかに持続可能なものにしていくのか、今、まさに求められている大切な時期であるということは共通認識だと思います。

 このような将来において懸念されているのが、税収減に伴って財政支出を借金で賄うことであって、借金を積み重ねた結果、自治体が破綻してしまえば、そこに住む住民の方々は、大げさじゃなくて、命にかかわるような問題が噴出してくる。大変苦しい状況にいやが応でも巻き込まれていくということになります。

 そういった意味で、行政も、国もそうですし、議会も、我々議員も、非常に大きな責任を今負っているんだというふうに考えています。

 そういったことを考えるときに、やはり、まず過去の経験として考えていかなければいけないのが、その教訓を生かすという意味でも、このタイミングだからこそしっかりともう一度伺いたいと思うんですけれども、北海道の夕張市の問題を考える必要があるんだろうというふうに思います。

 御承知のように、夕張市は、唯一の財政再生団体です。鈴木市長によれば、財政再生団体になった夕張市は、市民の負担もふやされ、サービスも削減をされた上に、市民は十八年間ただ借金を返すために暮らしていくことになった。こういったときに、この夕張市、何が原因で破綻したのか、住民サービスが今どういうふうになっているのか、加えて、行政運営が今どのようになっているのか、とりわけ職員の方々が、幹部でどうなって、幹部じゃない一般職員の方々がどういうふうになっているかということをまず伺います。

亀水政府参考人 お答えいたします。

 夕張市は、炭鉱閉山に伴う大幅な人口減少によりまして歳入が減少いたしましたが、これに対応した行政サービス水準の見直しや組織のスリム化が大きく立ちおくれたところでございます。また、石炭産業にかわるものとして観光事業等への過大な投資を行い、さらに、不適正な財務処理を行ったことが、多額の赤字を抱えることになった原因であると認識しております。

 次に、住民サービスの現状についてでございますが、夕張市の財政再生計画には、市税の税率等の引き上げや手数料の見直し、施設の統廃合など住民サービスに影響が及ぶものも含まれております。しかしながら、法律で義務づけられた事業は実施しており、また、まちづくりの推進及び子育てなどへの配慮も行うなど、住民に対する基礎的な行政サービスの提供を維持できるように取り組んでいるものと認識しております。

 続きまして、夕張市の職員体制についてでございますが、財政再生計画におきまして、職員数は人口規模が同程度の団体で最低水準とするとされておりまして、平成二十七年四月一日現在、夕張市の職員数は百四十八名となっております。また、副市長級の理事二名は、北海道及び東京都からの派遣職員となっております。

 次に、給与についてでございますが、財政再生計画におきましては、夕張市職員の給与は全国最低水準とすることとされているところでございます。

 夕張市では、給与水準の低さを一因とする士気の低下や将来の不安から、若手、中堅職員の退職が後を絶たない状況であると聞いております。

 このことから、職員の退職を食いとめ、インセンティブを高めることで財政再建と地域再生を加速させるために、平成二十七年度から、試行的な人事評価の結果をボーナスに反映することを含めた、実質三%程度の給与改善について、本年三月に総務大臣が同意し、既に実施されているところでございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 夕張市、私も前に行ってきて、いろいろとお話を聞いてきました。

 職員さんの数の話が今ありましたけれども、半分以下になっているし、今お給料が三%上がったと言っていましたけれども、もともと四〇%カットしているわけですね。当初の予定では、十七年間それが続いて、上げないという話だったわけです。

 聞いたところによりますと、優秀な幹部の方々は先に退職をして、なかなか移りづらい若手の方々がそのままいる。幹部職員がみんないなくなってしまったので、これは大変だ、どういうふうに運営したらいいかということになりまして、そのときに、東京であるとか北海道の方々が、鈴木市長もそうですけれども、もともと職員さんだったんですけれども、猪瀬知事のときに、応援していってあげなければいけないということでやってきたというふうに聞いています。

 実際に聞いてきて大変だなと私が思うのは、それこそ鉛筆の一本も自分たちで買うことができない、全部大臣の許可が要るというふうに聞きました。

 それで、住民サービスからすれば、博物館とか公園とかプールとかいろいろあったと思うんですけれども、除雪が、今まで十センチでやっていたものを、お金がないので、かさを上げて十センチ以上、十センチの積雪があったら除雪車を出していたものあるいは雪かきしていたものを、お金がなくなってもうできなくなったということで、最長で十五センチだったか、うろ覚えですけれども。いろいろと、建物が雪の重みで潰れていく。

 公園も、御承知のようにもう全然管理ができなくなって、草が生えて。そして、学校も、十校近くあったものが一校か二つになって。たしか縦に三十キロとか三十五キロ、横は二十五キロとかあったと思いますので、そういった中で、小学校がそれぐらいの規模で一校しかないとか二校しかないということになって、不登校の子たちも生まれたんだというふうに聞いています。

 こういったことが日本の中で唯一あって、この中で鈴木さんが言っているのが、世界の長寿国であって、つまり高齢化率の高い日本の中で、夕張は最も高齢化率が高い地域の一つ、日本には国と地方を合わせて一千兆円の借金があるけれども、中でも夕張は唯一の財政再生団体で、かつ、財政規模に比してこれだけの赤字をつくり破綻した、例を見ない自治体です、つまり、夕張が抱えている課題は日本の課題なんだということを言っています。

 今言ったようなことを踏まえて、石破大臣、この教訓をもう一度振り返った上で、地方創生というものに対してどういうふうに生かしていくのかということをお伺いできればと思います。

石破国務大臣 夕張というのは何か天地果つるところみたいに思っている人がいますが、それは全然そうではない。新千歳空港からも一時間ぐらいで行くわけですね。札幌でも高速を使えば一時間ちょっとで行くわけで、決して交通不便なところでも何でもないということでございます。夕張メロンなんぞという特産品もある。そういうところが何でこんなことになっちゃったのか。

 実際見てみると人口はピークの十二分の一に落ちているわけで、ピークのときのいろいろな、道路であるとか下水道であるとか、そんなインフラがピーク時と同じように維持されていて、もつわけはないだろうということだと思います。

 そしてまた、いろいろな事業も打つ、テーマパークもやりました。ところが、多分、そこにおいてKPIの設定もPDCAサイクルも全然機能していなかったのだろう。ですから、やるだけやってみようみたいなことで当たらなくて、大変な借金だけが残りましたという一番悪い例を全部積み重ねるとこういうことが起こるので、今の市長の苦労たるや大変なことであって、私どもとして、市長が取り組んでいる取り組みに対して最大限の支援はしていかなきゃいかぬと思っています。

 恐らくこの後、委員からお話があるんだろうと思いますけれども、では、似たようなお話で、島根県の海士町というのはどうなるんだいということですよね。

 やはり、同じように、もうあと一歩で財政再建団体に指定されるという状況だった。町長は給料を二分の一にカットした、議員もあるいは職員もどんどんと給料をカットした。そこが今、地方再生の、町長の言葉をかりれば、まだチャレンジ段階だ、成功例でも何でもないということを町長はおっしゃっていますが、そういうところとこの夕張と何がどう違うんだということはよく検証しながら、今後の地方創生のあり方というものをさらに充実したものにしたいと思います。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 夕張は、確かに、おっしゃるように、インフラ資産をそのまま、もともと炭鉱会社がやっていたものを引き継がなければいけなかった。そのときにちゃんとデューデリジェンスというか、やっていなくて、何も考えずに、炭鉱がなくなったんだけれども、そのまま住民サービスを何とか維持しなければいけない、次は観光だというふうにやって、何とか人を呼び込もうといっていろいろなものに、それこそ余り計画性のない中で、行政が普通民間がやるようなことを。

 夕張の炭鉱博物館というのはなかなかできがよくて、行ってみるといろいろと勉強になるところではあるんですけれども、それも今、お客さんがいないときは閉鎖している状態で、電気をつければ動くのは動くんですよ。なかなか難しい状態だなというふうに思いました。

 海士町の話、今いただきましたけれども、私も、実は海士町へ行って、町長にもお会いしましたし、島留学をやってきた方々ともお話をしました。これは二年ぐらい前だったですかね。

 島留学に関して僕が感じたのは、リーダーシップがあって、ある民間の会社だったと思いますけれども、普通の一流企業のリーダーの方が、何とか隠岐というところで、今の日本の過疎化の現状も踏まえ、また、田舎をどういうふうに取り戻していくか、町を好きになってもらって、子供たちにどうやってやっていくか、そういったことをつくった上で町長と組んで戦略的に、今度は、この町に入ってきた人たちがこの町に育って、誇りに思って育っていって、いずれまた戻ってきてくれるんじゃないかというようなお話を聞いたので、やはり町長さんはなかなかすばらしい方でして、リーダーシップの違いというのがあったのかなというふうに思います。

 そのリーダーシップというのを考えたときに、やはり大事だったと思うのが、今、夕張の話で、失敗した一つの原因というのが、行政がインフラ資産をそのまま引き継いで、ライフサイクルコストを考えないで。いまだに住民住宅というのが何も建てかえられなくて、穴があいたようなところもあって、一方で、コンパクトシティーみたいなのは県費でやっていたりもするんですけれども。

 ただ、なかなか実際に、おっしゃるように、夕張メロンもあって、地域に潜在能力があるのかもしれないですけれども、あの夕張メロンの話も、もともと炭鉱の時代には、炭鉱の方々がどちらかというといい会社に勤めている人たちで、夕張メロンをつくっている人たちは端の方、端というか、わからないですけれども、こつこつとやってきて、今は夕張メロンはよくなったけれども、当時は大変だったというふうにも聞いていて、なかなか難しいんだなというふうに思うんです。今のはちょっと余談ですけれども。

 そういったいろいろなものがある中で、考えなければいけないのは、やはり、いろいろな箱物をつくってきて、行政が失敗した経験、ホテルも買って、今はある観光会社に引き継ぎましたけれども、スキーリゾートまでそのままで、何とか経済を自分たちの手で、夕張を人が集まるところにしなきゃいけないというので、無謀なプランというか、普通だったら、行政がホテル、スキーリゾートとかを買ったりしないと思うんですよね、そういうことまでやってきた。第三セクターをつくってですけれどもね。

 ということで考えたときに、ちょっと資料を見ていただきたいと思うんですけれども、やはり大阪の問題。

 私、実は横浜で市会議員をやっていまして、横浜からすれば、今回の大阪都構想、一緒に一丸となって戦った中で、すごいなというふうに感じたのが、まずこの負の遺産という紙でございます。

 これも、ラスパOSAKAというのが左上にあって、これはスーパー銭湯みたいなものだと御理解いただければと思います。右下にフェスティバルゲートというのがあって、これはジェットコースターがついた遊園施設みたいなものだと思います。これは、つくってだめになってしまった、こういうふうに次から次にやってきたわけですね。

 損失もいろいろあって、例えば、アジア太平洋トレードセンター、ワールドトレードセンター、これは、似たような施設のものを、例えば、海外からわあっと、大阪を国際ハブ都市にする、メトロポリスにするといったときに、こういった箱物をつくっておいたらいいんじゃないかとか、いろいろなものをやってきました。

 今でも、右下のオーク200というのがあるんですけれども、これは、事業費が一千億円かかっていて、事業がうまくいかなくて、結局、お金を出した側の金融の方に市が訴えられて、今、六百億円を超える額を返していかなければいけないという訴訟があって、大阪地裁で大阪市は負けたんですよ。だから、それは市民の皆さんの税金で払っていかなければいけない。

 遊園地だったりホテルという意味では何かかぶるところがあって、横浜だと、多分こういうことは想像できない話だったんだと思うんです。

 そういった中で、結局十一兆円にも借金が府と市でなってしまって、この負担を誰が背負っていくかといえば、これからの大阪の市民の皆さん、府民の皆さんだというふうに思います。

 こういった問題がある中で、大阪は、もう一つ気になるデータが、みずほ総研が二〇一三年の十月に、今後の三大都市圏の展望というのをまとめていて、これによると、実は人口が、日本のピークは二〇一〇年ですか、そのときから比べて、三十年後の二〇四〇年には百二十万人もの人口が減って、最も厳しい状況に置かれた三大都市圏、大阪は三大都市圏でなくなるというふうにみずほ総研は言っているんですね。

 だからこそ、効率的な行政体制を整備するために、指定都市と都道府県との実際の行政運営の中で、いわゆる二重行政の解消を図ることが大切です。

 その解消のために、さっき横浜の話もありましたけれども、とにかく、形からして、指定都市の存する区域において、これは第三十次地方制度調査会でも言われていることですけれども、できる限り同種の事務を処理する主体を一元化するとともに、事務処理に際して指定都市と都道府県の間の調整のあり方を検討することが必要だ。

 これに加えて、住民意思を的確に反映させるために、指定都市は人口が大き過ぎるので、住民に身近な行政サービスを住民により近い組織でやろうということで、特別区制度を大阪に適用しようということで、本当に議員立法で大都市地域特別区設置法を制定していただいて、二百万人以上の大阪のような都市に特別区ができる手続を確定して、この二つの意味から都構想をぜひやろうというふうにしてきた、突破をしていこうということが大阪の都構想だったので、形はともかくとして、取り組みとして、私、やはり大事だったんだなというふうに思います。こういったホテルまでつくっているところを見ますとね。

 きのうの質疑の中で、石破大臣からは、都構想がうまくいかなかった理由というのを幾つか伺っていまして、一つが、二重行政の打破が論点となっていた中で、区が五つに再編されて、そこに首長が選ばれるという住民に身近な特別区という主張がうまくかみ合っていなかったんじゃないかと。

 あともう一つ、今回の投票結果を受けて、投票所でのメディアの調査について聞いて、七十歳以上の方々が反対になってしまったということについて、世代間における資源配分も含めた政策決定をどうするかということが投票行動として顕在化してきたんだろうという顕著な例だったということになった中で、基礎自治体の首長と住民で話し合われるべきだけれども、明確には難しい答えであり、それで、先ほど海士町の話をいただきました。あと、鹿児島は、たしか伊仙町の話もいただいたんです。

 その話はわかるんですが、大都市をどうするかという話が一方でありまして、小さな単位で手の届くところだったらまだいいんだと思うんです。ただ、大都市という大きな課題を抱えて今やっていて、第三十次地方制度調査会どうするかといったときに、大都市において本当にどうしたらそういうことができていくんだろうかということを、今回住民投票がうまくいきませんでしたので、改めて思っているんです。

 今後の方向性を考えたときに、石破大臣からは、きのう、国家というものは夜警国家であればいいというぐらいの役割をやっていくべきだろうというお話をなさっていて、その後に、道州制にするかどうかというのは全国町村会が反対しているわけで、こちらも今ロジカルに話がかみ合ってないという問題があるんだということをおっしゃっていました。今の中央の省庁がどう変わるのか、国と地方政府の議会がどういう関係なのかという議論がほとんどされていないことが問題だろうというふうにおっしゃって、私もそう思うんですね。そういったときに、時間だけが過ぎていくというのは物すごくもったいない。

 お金だけは、借金、大阪の場合は、借金が十一兆円で、利息だけで一日四億円なんです。利息ですよ、一年で一千四百四十億、十年で一兆四千億という感じなので、そういったものも含めて、いろいろな自治体がこうやって、ある意味倣うんだと思うんですけれども。

 そこで、基礎自治体による住民自治を身近にするためにどうしたらいいかということで、ちっちゃな、観察単位が違いますから、海士町とか伊仙町じゃなくて、二五年の問題というのもお話しされていましたけれども、これは大都市においては急速に進むという問題でありますので、では、そこに向けて大都市はどういうふうに変わっていくべきなのかということについてのお考えを伺います。

石破国務大臣 私は、海士町であれ伊仙町であれ、この取り組みというものは、自治体の規模の大小を問わず、やはりこの教訓はきちんと学ぶべきだと思っております。

 今委員がいろいろお示しをいただきました二重行政の弊害は、確かにそうなのでしょう。そうであれば、知事さんは維新の会の幹事長であられる、市長さんは代表であられる、どちらも維新であるならば、二重行政の解消が何で府と市の間でできなかったのかなという気がしないでもない。それに対するお答えもお持ちなのでしょうが、よくわからない。ですから、その議論がかみ合わなかった部分もある。

 そしてまた、仮に特別区というものができたとしても、府対特別区というのは残るわけで、特別区は、それぞれ選挙によって区長が選ばれ、議会があるわけですから、特別区にして大阪市を廃止したら二重行政が論理的になくなるかといえば、それは論理的にはそうはならないのだろうと思っております。

 しかし、身近な自治体であることは事実で、そのメリットはあるのだろうというような、我々、中央政府として、住民の方がお決めになることですので、いいとか悪いとかいうことは一切申し上げないでまいりました。ただ、今申し上げたようなことに対して、一票を入れられた方々が皆さん得心して入れられたかというと、どうもそうでもないのかなという感じを持っておって、これは、賛成された側も反対された側も、これを大きな教訓として、どうやって一歩前に進めるかということだと思います。

 そこの上において、やはり委員が御指摘になったように、今の海士の町長というのは、電電公社に入られて、NTTに転じられて、そして海士に戻って町会議長から町長になられた方で、私も大変な方だと思って、とても好きな方であります。今の町長が書かれた本というのは、私はぜひ復刻をして大勢の方にお読みをいただきたいと出版元にお願いをしておるところなのでございます、十の挑戦という本ですが。

 やはり、やっちゃいかぬのは、建物さえつくれば人が来るというのは間違いで、これを役人がやっても人が来るとは私は思いません。どうやったら人が来るかということは、実際に商売をやった人が、KPIを設定して、PDCAを回してというのは民間では当たり前の話なので、そういうのがあったので、この両方、もう全然人が来ないということは、それは夕張だろうがここだろうが、規模の差はあろうが、同じことだと思っております。

 ですから、どこにおいても大事なのは、もちろん、維新の会の方がいつもおっしゃいます身を切る努力というのも、やはりそれがないと感動が伝わらないので、それもございましょう。もう一つは、自分たちがどうやって産業を起こしていくのかということだと思います。

 海士町の隠岐牛の取り組みにしても、あるいはカキの春香の取り組みにしても、どうやって稼ぐかというマインドであって、建物を建てたら人が来るという話じゃない、どうやって物をつくって稼ぐかという話であって、やはりそれでなければ人は来ないのではないでしょうか。そこにおいて綿密なマーケティングを行い、そしてそれをブランド化することによってどれだけ価値が上がりというのをきちんと綿密に計算するという手法は、自治体が小さかろうが大きかろうが一緒だと思います。

 そして伊仙町について申し上げれば、町長さんが、あそこは長寿の町であり、そして子宝の町ですよね。そして、高齢者の方々に対して、高齢者に対する施策を少し削って若い人や子供たちに回させてくれということを言ったときに、高齢者の方々が、そうだそうだというふうに言ってくださった。それを言うと票が減るから言いたくないという人はいっぱいいるんですけれども、本当に行政が真摯に住民に向き合ったときに、私はそれに応えてくださる方は必ずいると思っております。そこはやはり伊仙町の町長の見識であり、そしてまた今までの御経験であり、リーダーシップであって、そこも海士町と通じるところだと思います。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 そうですね、海士町のカキ、おいしいですよね。本当に努力していて、それが広がっていくのか、さざえカレーとかいろいろとあると思うんです。

 今お話を伺っていて、私どもとしても、伊仙町の話じゃないですけれども、何が違うのかなというふうに思っているんです。

 というのは、私たちは、敬老パスを今まで無料だったものを値上げした。そして、一回乗ったら五十円ということを高齢者の方々に御負担をお願いしました。これはやはり財政的に厳しいところがあるので、先ほどの方の質問のときに、集票と、本当にこれからどういうふうにしていくかというのが大分違うんだろうというふうに話をしたと思うんですけれども、そこから考えてみて、やはりなかなか難しいなというふうに思っています。

 実際にやってきたのは敬老パス九十億円赤字だったので、赤字を、二十七億円、財源で捻出することができたんですけれども、それで買えたものを、大阪は学力が一番低いという町だったので、子供たちの学校にエアコンがついていなかったのでエアコンをつけて、夏休みを短縮して、それで学校に来てもらえれば我が町の子供たちにとって資することができるのかなといって、若手の方に回していたと思うんですけれども、私たちも住民投票をやってみて、敬老パスの話を結構言われましたので、なかなか難しいなと。済みません、感想です。ありがとうございます。

 あともう一つ、大臣がきのうおっしゃった中で、きょうもおっしゃっていましたけれども、経験や勘、思い込みに基づくこういった政策決定というものはもはや時代に合わないし、しっかりと数量的な、量的なものを見ながらやっていかなければいけないというふうにおっしゃっているんですが、オープンデータの取り組みというのは、実は私、横浜市会議員をやっていましたので、横浜でもやっていたんです。それも、行政内に、CIOの方といろいろと、総務省から出向で横浜市の職員として来ていただいて取り組んできたという自治体でもあるんですけれども、なかなか難しいなと感じているんです。

 実際に今おっしゃられたようなことを、ちょっとこれは質問通告はないんですけれども、どうやって、地方自治体千八百、七百ですか、あまねくある中で、うまくできるところとできないところがあると思うので、それをどういうふうに伝えていくのか。職員さんも、パソコンが得意な人とかそうじゃない人で、一人かわったら突然とまったりするんですよ、実態として。その辺について少し御所見をいただければと思います。

石破国務大臣 先ほど大野委員からも御質問がございましたが、このRESASシステムというものをそれぞれの自治体できちんと使っていただけるように、研修というのも行います。また、地域の、それぞれのブロックの、政府の経産省なりあるいは国交省なりそういうものの出先機関が、担当の方々にお出かけをいただいて、こういうふうに使うんですよということも今、ずっと交渉しておるところでございます。

 これは、パソコンの使い方でも何でもそうなんですけれども、こんな分厚い説明書を読んでも、まずわからない。特に、おじさんにはというか、我々の世代ですね、こんな分厚いのはよくわからないので、動画で、こうすれば使えますよみたいなものを動画にして配信もし、それの映し方もわからないという人が多分中にはいるので、それはもうDVDに落として、とにかくこれを見ればわかりますということにしなければいけない。宝の持ち腐れみたいなことになってはどうにもならぬというふうに思っております。

 これは私、実際に、毎週末あちらこちらの会合に行って、お話をさせていただくんですが、このRESASの話を聞いて、首長の方々はふんふんとかと言っておられるのですけれども、そこにおられる、例えば商工会議所の方々、商工会の方々、あるいはJAの方々等々、何でもいいんですが、一番これがあることを知っておられるのは首長、それから行政の担当者。もう一つは、地銀と信用金庫の方々はこれに対する関心が物すごく高いですね。それは、今までもそういうものを使って商売をしてきたということもあるのでしょうが。

 そういう方々のみならず広く、例えば、委員もそうでいらっしゃいましたが、市議会議員がこれを使うというのは、今まで一々市役所や県庁に行かなきゃ手に入らなかった情報が、おうちのパソコン一つで市会議員さんや町会議員さんにそういう情報が手に入る。それを使って、では一体、これから先、何年先の我が町は、我が市はこうなるのかということを、それは市議会によって違うんでしょうけれども、実際に図表にして示すということによって随分と変わってくると思うんです。

 市長、こう言うけれども、このデータによればこうではないかというような指摘が、経験や勘や思い込みではなくて、データをもとにした指摘が、これから先、与党であろうが野党であろうが、市議会にできるようになる。

 もう一つ考えてみると、その市議会の方々を支えておられる後援会の方々が、議員、これはこうじゃないのかと。今まで行政やあるいは議会しか手に入れられなかった情報が一人一人の納税者が得られるようになるわけで、これはこうじゃないか、ああじゃないかという形で、まさしく納税者、主権者が地域の行政に参画できる、そういうような手法としてこのRESASは画期的なものを含んでいると思っております。

 そうでありますがゆえに、我々として、これの使い方について、これでもかというほど説明をしなければいかぬだろう。一人一人の方々に、これを使うことのおもしろさというのか、意義というのか、それに気がついていただくために、私どもとして可能な限りの努力をしたいと思っております。

 これは、与党も野党も関係なくて、それぞれ地方創生委員会のメンバーの先生方が、それぞれの選挙区にお帰りになって、これはどうなんだい、うちの市役所でこのRESASはどう使っているんだい、市議会でどう使っているんだいということを聞いていただくだけでも随分違うと思うんですね。それは、委員の先生方がそれぞれの地域にお帰りになって、どうなんだということを確認していただき、あるいは、それぞれの先生方の国政報告会で、こういうものがあるんだ、自分はこれを見るとこう思うんだと言っていただくだけで随分と違うと私は思っているのです。

 それを見てどういう政策を展開するかは別の問題ですが、これを生かすということに与党も野党もないわけで、ぜひ、このことにつきましても委員の先生方のお力を賜りたいと存じます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。早速。

 では、法案そのものについて伺ってまいります。

 まず、小さな拠点事業についてお伺いします。

 これは、過疎地の場所があって、それをまとまったところに商圏を動かして住もう、コンパクトシティーみたいなことをやっていこうというふうに見えます。

 きのうだったか、お話の中で、過疎債だとか、山間地域に対してこれからどういうふうにやっていくんですかという我が党の議員との話の中で、そこに対しての積極的な、今までのようなやり方の応援というのはしないというふうにおっしゃっていたと思います。

 そういった中で、これを見てみると、この事業そのものが、ちょっと申しわけないんですけれども、何を本当に目的にしているかというのが僕の中ではよくわからなくて。

 そこで、まず、この小さな拠点が今何で必要で、実際にどういう特徴を持っているかというのをもう一度教えていただければと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案で目的としているところということでございます。

 中山間地域等の集落、先生御指摘のように、過疎集落の比率が非常に高いわけでございますが、そこで、人口減少に伴いまして、住民に必要な最小限のサービス、例えば診療所が撤退いたしましたり、日用品店が撤退したり、また、ガソリンスタンドが撤退して住民の足の確保も非常に困難になってくる、そういうような状況あるいは背景を踏まえまして、幾つかの各地では、取り組みといたしまして、御提案しておるような小さな拠点、コンパクトビレッジでございますか、こういう形成をなさっておる。

 そういうことで、基幹集落への各種機能の集約でございますとか、サービスの提供でございますとか、周辺集落との交通のネットワークの確保というものを促進するというようなことで、この法案として御提案させていただいたということでございます。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 ガソリンスタンドとかいろいろとお話しいただいたんですけれども、これを進める上で、具体的に今おっしゃられたようなものを集約していくということになれば、病院であるとか、ガソリンスタンドとか、いろいろと最初から箱物をつくらなきゃいけないことも想定されると思うんですよ。つくった上で寄せていかなければならないということのケースが想定される中で、いろいろとつくりますよね、道の駅か、スーパーだか、商圏がいろいろあります。

 そうなったときに、多大な投資をして、結局やっていくことになると思うんですね、ちっちゃな過疎の村に。そうなったときに、一体全体、そもそも設計として何年それをもたせていくから今このお金を使うんだという話になるわけです。

 そのときに気になるのは、読んでいて、人口流入策とか若者の定住策というのが見当たらないんですよね。なので、そういうことであると、これはどういうことだというふうに思いますので、ちょっとその辺のところを御説明いただければと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に盛り込まれた措置でございますね。それは、御指摘のように、サービス施設を集約していって、これも、既にあるものを強制的に集約するというような、そういう強行的なことは別に措置としては含まれておりませんが、それでございますとか、交通ネットワークを確保とか、あるいは、地域の産業である農業の振興の観点から、地域のブランド野菜の栽培等を促進するような措置を盛り込んでおります。

 こういうことによりまして、お尋ねのような若者の地方への定住策とか、そういうものは具体的な法律措置としては盛り込まれてはございませんが、このような措置を活用することによりまして、例えば、地域ぐるみでブランド野菜をつくって農家レストランをやるとか、あるいは、道の駅を拠点といたしまして、高付加価値の商品をつくって若者を呼び寄せるとか、そういう単なる延命策にとどまりません、持続可能な地域の経済が生まれて、若者の移住、定着というような取り組みも促進されるというように考えておるところでございます。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 こういうふうに質問すればそういうふうにお答えになるのかなと思いますけれども、ちなみに、別に僕は延命策とは言っていないですよ。

 そうであるとすると、本当にできるのかというのがあって、さっき大臣がおっしゃっていたように、強力なリーダーシップを持っている方々がいて、それも、自分たちの町が好きで、自発的に取り組もう、今ある中でやろうという話なんですよね。逆に、これは、そういう人たちがいるかもわからないんだけれども、そういったことの取り組みがリーダー抜きにしても多分できるということになると思うので、手挙げすれば。そうだとすると、効果があるのかなというふうに思います。

 幾つかやって、本当に日本の自治体の過疎化しているところでうまくいった例というのはそんなに多くないので、だとすると、少なくともそれがうまくできるような仕組みまで考えてお金を打たないと、やはりそれは、僕は言葉は使わなかったですけれども、延命策というふうにとられても仕方ないんじゃないかと思います。

 逆に言えば、そのお金を、二十年とか、三十年か、十年かわかりませんけれども、前提条件として、高齢化が進んでいる過疎の町、村ということが基本ですから、そうなったときには、お金の使い方というのは、別に集約しなくたって、ガソリンがなければガソリンを運べばいいし、きっと今でも運んでいるところはあるわけですよね。郵便局であるとか、あるいはお医者さんに来ていただくといったって、それこそ何十年この町はもつんですか、このプランはというふうになったときに、彼らは民間人ですから、まあ、お医者さんは民間人じゃないかもしれませんけれども、一応、経営者ですからね。そうなったときに、本当に人が来てくれるのかというのを危惧します。

 そういうことも含めれば、例えばそれこそ移動、ちょっと気になったのが、箱物も含めて、別に、あるものはあるもので使うし、一方で無理やり集約するわけでもないということになると、結構、中途半端じゃないかと思っていて。

 先ほどの、僕じゃない方の、前の委員、前の前か、コンパクトビレッジをやるときに、それこそ、財の移動というのは、憲法で、自分たちで、国民に保障されていますから、我々が強制的にやるわけにはいかない。そうなったときに、やはりそういった面を含めて、今回のこの計画は、さらによくなるようにもう少し御検討をしていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。例えば、二世帯住宅をつけてあげるとか、関連して子供のアパートを借りてあげるとか、そのぐらいのことはやはり入れておかないと、若者は入ってこないですよ。というふうに思います。

 財源はないですからね、無限にないわけですから、単なるばらまきになる、そうすると、もう一度言いますけれども、さっき石破大臣がおっしゃっているような話とも、そこは逆の計画なのかなというふうに思いますので、一応そのことを指摘させていただきます。

 そもそも、小さな拠点事業から考えたときに、もう一つ気になるのは、コンパクトシティーそのものですよね。

 コンパクトシティーというのは、私たち横浜市でも、当然、構想には書いてあるんですよ。その計画をどうしていくかというのもあって、モデル事業もやっていて、具体的に言うと、磯子区の洋光台という町と青葉区でたしかやっていたと思うんです。それは老朽化の建物とあわせてですけれどもね。

 そうなったときに、コンパクトシティーというのが果たして本当に、そもそもこれからうまくいくのかどうかというところが少し気になっていて。

 というのは、現状、市町村単位で手挙げすると、市町村でぽこぽこぽこぽこと、どの市町村でも恐らく一つつくっていくということにもできるというふうに理解していて。

 そうだとすると、例えば、僕なんかは神奈川ですから、神奈川だと、電車の便というのは、別に中核市じゃなく、もっとちっちゃなところでも電車はいっぱい通っているわけですよね。商圏だとか、いろいろなこういうものが利便性がいいといったって、ちょっと田舎に行くと、電車は通っているんだけれども、家が、周りが結構遠くて、ある一カ所に集積させるよりは電車に乗って、それこそ東京に出たり、横浜の都市に出た方が便がいいという人が結構いると思うんです、各駅電車がいっぱいとまっていたりしますから。

 そういうふうになったときに、コンパクトビレッジは、やはり、今のこの基礎自治体単位で考えるんじゃなくて、しっかりとある程度広域で、それは人口なのかわかりません、面積なのかわかりませんけれども、都市部と準都市部と農村部と準農村部では全然違いますから、そういったところをしっかり考えて、各市町村じゃなくてやっていった方がいいというふうに思います。

 そこで、やはり思うのが、今後、コンパクトシティーを国と自治体が連携して進める上で一番大事なのは、市町村単位で今考えてつくることじゃなくて、市町村を越えて連携して計画を立ててもらうような仕組みづくりがあるんじゃないかと思いますけれども、このあたりのことは、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それは、コンパクトシティー、コンパクトビレッジに限らず、例えば、DMOにしてもそうですが、市町村の単位というのは、もちろん川で隔てられているとか、山で隔てられているということはございますが、むしろその圏域を越えて連携した方が効果的だということは、実はたくさんあるはずだと思っております。ですから、コンパクトシティー、コンパクトビレッジにしても、その行政の単位にとらわれることなく、近くのところと連携をする。場合によっては、それは県を越えることだってあっていいと私は思っております。

 そちらの方がより効果的なのだ、なぜならばという立論がきちんとなされることが大事で、町長が仲がいいからとかそんな話をされても困るのでありまして、そこは、どういうふうにして連携をするかということは、特にコンパクトシティーの場合には、実は肝要なことなのかもしれません。

 それから、ともすれば、コンパクトシティーという場合に、富山市の事例がよく挙げられます、あるいは熊本市の事例も挙げられるわけでございますが、そういう先行事例というかそういうものもよく検証しながら、これから先、先ほど御質問にもお答えしましたが、夕張の例を最初お取り上げになりましたこともございますが、要するに、人口が多かったときに延び切ってしまった道路とか、あるいは下水道をどうしていくんだという話を考えたときに、延び切ってしまったとするならばそれを縮小するのか、それとも、またほかのところも活用できるようにするのかとか、いろいろな考えがあるのだろうと思います。

 余計なことを申し上げましたが、広域連携というものは、コンパクトシティーとかコンパクトビレッジを総合戦略に組み込む上において、一つの有用な考え方だと思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、私もそう思いますので、そういった方向で今後もいろいろと議論させていただければ幸いでございます。

 次に、地方拠点の強化の方の企業誘致について伺います。

 これは、今回、大都市からの企業の本社機能移転に係る措置を講じようとしておられて、要するに、大都市から外に企業が出て行くという施策であります。

 大都市といっても、ちょっと時間があれば、また後日になるかもわからないですけれども、特区の話もしたいんですけれども、大阪なんかは、横浜もそうですけれども、大都市で国際戦略特区になっていて、やはりこれは国際的に何とか頑張っていかないといけないという都市であります。

 実際、私は横浜だったんですけれども、繰り返しまして申しわけないですけれども、例えば、アップルの研究所が横浜に移ってくださるとか、日産がいらっしゃっていただいて、税金が高い町でもいていただけるというふうなことがあります。

 そういったことというのは、努力をして大都市としてもやってきているわけでありまして、その大都市の観点からすれば、この移転を支援するようにも見える、大都市の再生という観点からすれば、これは逆行することになるんじゃないかというふうに思うわけです。

 大阪も都構想を進めてきて、広域連携にして、いろいろと市営地下鉄も、今は市の皆さんが税金を多く払っているので、府民の皆さんも使うし、ほかの市の方々も使うしということで、そういうことも恐らく目指したんだろうと思います。残念ながらできませんでしたけれども、終わりじゃないと思っています。

 これは、政府が進めている国家戦略特区の指定の趣旨としては、こっちを見てみると違うのかなというふうに思います。ですので、大都市の一極集中を解消させるためのものでありますけれども、大都市としての体力がそがれる方向へということにもやはり働くと思いますので、この矛盾に対して整合性をどう考えているか、お伺いします。

若井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方拠点強化税制の支援対象区域と特区の関係について、こういうことで御質問でございますけれども、今回の地方拠点強化税制におきましては、全国で良質な雇用をつくっていく、こういう観点から、特に、その結果として、人口減少に対処するために良質な雇用をつくっていく、こういう観点で制度を設計しておるわけでございます。

 そうした観点からいたしますと、既に一定以上の産業の集積、人口の集積がある地域については、そういったことを総合的に勘案いたしまして、支援の対象から外させていただいているところでございます。こういった地域を国が支援してさらに集積を促進するということになりますと、ちょっと他の地域とのバランスを欠くかな、このように考えているわけでございます。

 他方、国家戦略特区制度については、既にございますそういった集積の活力をさらに上げていくために規制緩和等の措置を講じるということで、国際的な経済活動拠点の形成の推進、そして日本経済の成長のエンジン役、こういった形で、その効果を全国に波及させていくものでございますので、この二つについてはしっかりと整合的な考え方のもとに整理をされておる、このように考えてございます。

鳩山委員長 政府参考人の方に申し上げますが、マイクをうまく使っていただきませんと、大臣は完璧に使われているし、内田さんのはよく聞こえるんですが、あなたのは聞こえないんだよ。これからもっとマイクをうまく使ってください。

篠原(豪)委員 委員長、よく聞こえるようにしていただきまして、ありがとうございます。

 そうはいっても、よく理解できない話だというふうに私は思っていまして、ちょっとそれはまた後日にさせていただきたいと思います。

 我が党の議員からもきのうお話しさせていただきまして、例えば、地方で新しい産業をつくるということであったらそれはあり得るのかな。特に地域分散型のエネルギー、再生可能エネルギーあたりは可能性のあるところですし、雇用がふえているというお話もありました。

 ちゃんとそういったところに対しての措置だったらいいんですが、そういうことにはなってなくて、まして、集積地域に対して認定していくんですけれども、この線引きも基準がどうなっているのかというのがよくわかりづらいというふうに言われています。この線引きのあたりは、ちなみにどういうふうにお考えなんでしょうか。

若井政府参考人 お答え申し上げます。

 その線引きについてということでございますけれども、この線引きの根拠といたしましては、私ども、首都圏整備法でございますとか近畿圏整備法に基づきまして、既に人口などが集積をしております既成市街区域等を除外させていただいているところでございます。

 こういった地域につきまして、現況における人口や産業の現状などを改めて調査した結果を反映して、整理させていただいたものでございます。

篠原(豪)委員 線引きの話とその調査という話は後ほどさせていただきますけれども、その前に、気になるのは認定要件ですね。これも少し気になります。

 これはよくよく見てみると、これまで議論になってきたかはわかりませんけれども、拡充型、移転型の方は、オフィスに係る建物等の取得価額についてオフィス減税ということになっていて、要は、今回、箱物を新たに用意しないと、これはセットとして特例措置が受けられないというふうに理解します。

 何で計画に、雇用促進策なのにハード整備をセットしていただくことになっているかというのがちょっとわからないところがあります。東京の過度な集中を是正するためには地方で安定した良質な雇用の確保が必要というのであれば、別にわざわざ箱物をつくる必要はないだろうと思います。不思議な話だなと思っています。

 この税制措置を受けるために、何で事業者の計画認定のためにはハード取得が前提となっているのか、何で賃貸じゃいけないのかということを教えてください。

若井政府参考人 地域再生計画の認定要件につきましては、これからさらに詰めていくところでございますけれども、今委員が御指摘いただきました賃貸の場合ということでございますが、地域再生法に基づく地域再生計画の認定に当たりましては、必ずしも施設の新増設といいますか、取得を必要としないケースもございます。

 ただし、この計画の認定の効果でございます設備投資減税につきましては、初期投資の負担を軽減するという観点から新増設に限らせていただいてございますけれども、賃貸で本社機能を拡充して雇用をふやす、こういった場合には雇用促進税制の特例の適用があり得るもの、このように考えてございます。

篠原(豪)委員 そうすると、この税制措置そのものを今回の地域再生法にわざわざ絡めなくても、別にほかの税制措置を、例えば今言ったような再生可能エネルギーとか、地方の活性化に対して本当に実際に資するものですよね。そういうふうに考えてやればいいような気もするんですけれども、何でこれは地域再生法に絡めなければいけないのかということをちょっと教えていただければと思います。

石破国務大臣 それは、今回審議をお願いしております地域再生法の目的が、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取り組みによる地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他地域の活力の再生ということになっておるわけでございます。法目的がそのような法律でございますので、今回のいろいろな税制というものは、ひっきょう、この法目的に適合するようなものとしてつくらせていただいておるものでございます。

 ですから、先ほど来事務方からお話をしておりますように、既に工場の移転税制はできているわけで、それなりの効果も発現をしているわけですが、はたと考えたときに、それでは、本社全てを移すとは申し上げておりません、本社の機能の中で東京になくてもいいものがございましょう、それを地方に移した場合に、もちろんそこで雇用も生まれます、あるいはそこにおいて所得も生まれます。と同時に、同じ会社で東京本社と地域の事業所を比べましたときに、婚姻率とか出生率とかいうものを掛けてみますと、東京と地方においては五倍の差があるということが、例えばある企業においてはございます。

 会社の本社機能の地方移転等々、これを促進します税制は、そのままこの法律の目的に資するところが大きいということで、別に無理やり絡めたものではなくて、法目的に合ったような税制をお願いしておるところでございます。

篠原(豪)委員 わかりました。ありがとうございます。

 では、例えば本社機能の一部を移転するとかいう話についてお伺いするとすれば、恐らく、こういった税制措置を、特に新たに箱物をつくれるような会社でそれを受けていこうというようなところは、それなりの企業だというふうに理解します。それなりの企業であるということは、社員さんも、それなりの学歴と、しっかりしたお給料をもらっている方々が恐らく多いんだろうというふうに思います。そうなると、今家を持たれている、マンションか一戸建てかわかりませんけれども、恐らくそういった方々が多く勤めていらっしゃる会社なんじゃないかなというふうに推察します。

 そのときに、では、今回、この税制でもって、この特例措置でもって、鹿児島とか北海道に本当に事業者が新たに、自分たちの雇用している職員がみんなそういう状態で、ベッドタウンに住んでいるかわかりませんけれども、いる中で、ぽんと移して、従業員を移動させるような決断にまで至るのかなというふうに思っていて。

 確かに、新規産業をやっていって、現地で雇用できるものというのがあればいいんですけれども、そういった大きな取り組みというのはなかなかそんなに、新たにこの税制措置で出るかどうかわからない。

 その中で、やはり思うのは、企業のニーズをどのぐらいヒアリングしてやってきたのかということをちょっとお伺いしたいと思います。

若井政府参考人 それでは、お答えを申し上げます。

 まず、本制度の設計をいたしますに当たりましては、しっかりと個別企業のヒアリング、そして、経済団体などにも御意見を聞かせていただいてございます。

 委員御指摘のように、企業からお話を聞かせていただきますと、地方に移る、一部の機能を移すに際しましては、やはり社員の方そして御家族の方の教育でありますとか、医療、介護、こういったところの生活環境が非常に御心配である、このような声は確かに私どもも伺っておるところでございます。

 したがいまして、今回、この地域再生法に基づきます計画、これを都道府県や自治体につくっていただくわけでございますけれども、そういった場合には、こういった環境整備も含めまして、しっかり企業を呼び込む、そのための生活環境を整えるということも含めて記載をしていただく方向で今調整をしておるところでございます。

 いずれにいたしましても、国と地方と民間一体となりまして、こういったしっかりとした環境がつくられるように、私どもも運用に当たって努力してまいりたい、このように考えてございます。

篠原(豪)委員 企業の調査をしていただいた上で、そういったような懸念があったと。

 私も、例えば横須賀とか藤沢とかあるいは幕張とか、そういったところに移っていくのであれば、各事業所ですからね、それは僕でも想像できるんですけれども、そういうふうにおっしゃられても、では、鹿児島とか北海道とかに東京の会社が行くのかなとすごく思っています。これは意見の違いかもしれませんけれども、本当に、これは机上の計画にならなければいいなというふうに思っています。

 それは、やらないよりはやった方がいいですよというのは恐らくあるんだと思いますけれども、これが七千五百社ですか、本当にそこまでいって、七千五百事業所というふうにやっていけるのかということを、最後ですので、この辺の担保をよろしくお願いします。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、七千五百社という目標でございますけれども、今委員御指摘の、東京や大都市圏からの移転に限らず、地域における、地方の企業の機能の拡充ということも含んでございます。どちらかといいますと、全体七千五百件のうち六千五百件程度についてはそういった事業を私ども見込んでございますので、そういったものも含めまして、自治体と企業、しっかり連携をとりながら、この政策の実が上がるように努力をしてまいりたい、このように考えてございます。

石破国務大臣 委員の御指摘と少し、私は認識を異にいたしますのは、中小企業ほど地方に行った方がよりビジネスがしやすいということも、私はあると思っているのです。この税制は大企業というものを対象に限ってはおりません。

 地方に移られた方々のお話を聞いてみると、まさしく中小企業こそが地方に本社を置き、クリエーティブな仕事ができるのだと。

 それは、東京にいなきゃいろいろな情報が入らないという話がありますけれども、このスキルはうちの会社にしかないというものがあれば、それは向こうから来ますよ、どこであろうと、かしこであろうと。

 ですから、それが鹿児島、あるいは、委員は遠慮しておっしゃったのかもしれませんが、鳥取でもいいです、そういうようなところであっても、本当にそこにおいてクリエーティブな仕事をするということであれば、そういうところの方がよりいいということは、私はあるんだろうと思います。

 そこにおいて、例えば光ファイバーがどうであるとか、今事務方が申しましたように、医療がどうであるとか、教育がどうであるとか、そういうことをきちんと御説明するのはまた地域の責任であり、それは基礎自治体と県が連携をしてやっていただくものだと思っております。

 私は、この移転税制あるいは移転の制度というものにかなり大きな効果を期待しておるものでございます。

篠原(豪)委員 時間ですので終わりますが、また引き続いて、残りの質問についてはやらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

鳩山委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十六分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 民主党の階です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 国家戦略特区に関して議論がされていると思いますが、同じような仕組みで、復興特区ということをちょっと触れてみたいと思います。

 資料の一をごらんになってください。

 復興特区というのは実は三つのパートから成っておりまして、国家戦略特区に似た仕組みが、この真ん中のあたりに書いております復興推進計画の作成という部分になります。ちなみに、あとの復興整備計画は、復興のまちづくりのために土地の利用規制を緩和したりワンストップにしたりというものでありまして、復興交付金事業は、昨今、これをちょっと地域負担を求めるというような議論もありますけれども、これはまたちょっと別なものですが、復興推進計画を考えてみたいと思います。

 復興推進計画の中で、国と地方の協議会というところで議論をして新たな規制改革のメニューを入れていこう、こういうたてつけになっておりますけれども、実際のところ、国と地方の協議会に基づいて復興特区の中で新たな規制や手続の特例等が認められたケースというのはどういうものがあるのか、そして件数はどの程度かということをお答えいただけますでしょうか。

吉田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 復興特区法に基づく国と地方の協議会でございますが、平成二十四年八月に宮城県で、平成二十五年の九月には岩手県におきまして、それぞれ協議会が開催されてございます。

 宮城県の協議会におきましては、具体的に二件の提案が実現してございます。

 一点目は、防災集団移転促進事業による、用地買収に係ります五千万の特別控除でございます。二点目は、復興特区法第四十条に基づきます、新規立地促進税制における適用要件の緩和措置が実現しているところでございます。

 また、岩手県の協議会におきましては、再生可能エネルギーによる発電事業のための特例が提案されましたが、これにつきましては、全国的な制度として農山漁村再生可能エネルギー法という形で実現しているところでございます。

 以上でございます。

階委員 今お聞きしたところによると、復興特区の仕組みができて四年近くたつわけですけれども、二件程度だと。そして、その中身も、今お聞きしますと規制改革ということとはちょっと離れているのかなという気がします。

 他方、今回の法案の中で、構造改革特区であるとか国家戦略特区で多くの規制改革のメニューが並べられておりますけれども、なぜこの国家戦略特区であるとか構造改革特区に比して復興特区では規制改革が進まないのだろうか。

 この点について、小泉政務官、お答えいただけますか。

小泉大臣政務官 今、階先生の御指摘がありました復興特区、さまざまな要因があると思います。

 一つは、復興特区をつくるに当たって、相当地元の自治体の皆さんの意見も、相談をしながらお聞きをしました。広くとったがゆえに、その後、その中でカバーしている部分もかなりあるというふうに一つは見ておりますが、やはり件数は、これから新しい取り組みをする中で、出てきた方が望ましい、そういうふうに私も期待をしています。

 ちなみに、国家戦略特区や総合特区、そして構造改革特区、いろいろな制度を見ていますと、構造改革特区は個別の事業、総合特区は、民主党政権時代ですけれども、地域の中でのメニューを上げてくる、国家戦略特区に関しては国が主導する形もとる。

 その中で、復興特区に関しては、二百二十七の市町村が特区の中に入っているということと、私が今特区を担当している中で、感覚として少し共通点があるのかなと思うのは、国家戦略特区も、例えば県全域を国家戦略特区の指定をしているケースもあります。その中では、具体的に県の中とかの自治体を見ていれば、国家戦略特区のメニューを活用している自治体とそうではない自治体があるように、今回、復興においても、被災地の中で、二百二十七の市町村の中で、それぞれ取り組みや意識の違いとか、そういったことも今の現状につながっているのかな、そう感じております。

階委員 今、小泉政務官からは、当初復興特区法に定められた規制緩和のメニューが充実しているから、それほど追加というニーズは起きないのではないかということをお話しいただきましたけれども、私が思うに、被災地では、大変社会的な課題が多い地域でもありますから、これから産業、新たな仕事をつくっていこうとすればメニューが出てくるはずだと思っているんですが、まだそもそも、産業の復興というよりも、被災者の生活再建であるとか、住宅の再築であるとか、あるいはインフラの整備、こういったところに皆さん関心があって、産業の復興のために独創的な規制の改革の提案というところまで至っていないのではないか。これも一つの要素ではないかと思っています。

 そういう中で、今回、復興特区の効果促進事業に係るお金であるとか、それ以外にも資料二とか三をごらんになっていただきたいんですが、資料二は、先日復興庁で発表された「二十八年度以降の復興事業の考え方」ということで、いろいろ細かく書かれておりますけれども、一番下に注とありまして、「上記分類のうち、「四―二」及び「五」に分類される事業であって、本来、自治体負担のある事業(下線のある事業)については、実質的な自治体負担の導入を検討。」とあります。今まだ検討中で結論は出ておりませんけれども、下線が引いてある事業についてこれから地方負担が考えられる。米印で下に書いておりますように、「ただし、原子力災害被災地域十二市町村の事業は除く。」ということでありますが。

 今申し上げたような、産業復興がまだまだこれからだという中でこういう地元負担を求めるということになりますと、産業が復興しなければ自主財源というのはふえてきません。住民税であるとか法人市民税であるとか、あるいは、土地の価格が上がらなければ固定資産税というのも入ってこないわけでございまして、今の段階で地方負担を求めるというのはちょっと早過ぎるのではないか。この段階で地方負担を求める理由について、政務官、お答えいただけますか。

小泉大臣政務官 まず、今までの五年間、集中復興期間のさまざまな措置が、今までの災害と比しても相当異例なことであることは委員も御承知のとおりだと思います。

 そういった中で、今まで自治体負担ゼロ、十分の十と言われるこういったことは特にそうでもありますが、今、発災から四年以上たった中で、復興のステージも、まだまだおくれが見られるところも、復興が感じられない地域があることは事実ですが、ステージが変わってきたな、そう思われる状況が生まれつつあることもまた同時にそのとおりだと思います。

 例えば、これからの五年間の名称として、総理の方からも、また大臣の方からもお話がありましたが、復興・創生期間という形で今後の五年間を取り組んでいこう。そういった中で、復興から地方創生へ、そういった歩みを始めた自治体も出てまいりました。実際に、地方創生人材支援制度を活用して、山田町にも地方創生人材を送らせていただきました。

 そういった形で復興のステージが変わってきた中で、まちづくりを自分たちの自立に向けた覚悟を持って進めていただくことが真の復興につながるという中で、自治体負担が一部出るものを今回整理させていただきましたが、大臣が再三答弁されているとおり、仮に一部負担が出てくるような事業の中であっても、全国の同趣旨のような負担の割合と比べて軽くしていくような方向性でこれから具体的に詰めていく。ですので、個別の事業もいろいろあると思いますから、自治体の皆さんとしっかりと意見交換をして具体化を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

階委員 先週も被災地に行ってお話を伺ってきましたけれども、十分の十というのは確かにイレギュラーですけれども、それを前提にしていろいろな計画を立ててきたわけですね。国が全部出してくれると思っていたら、ここに来て請求書が出されるということになると、橋下市長ではないですけれども、新たなぼったくりバーではないかという気も被災地の方はしているわけです。

 それで、これから検討するに当たって、確かに国の財政負担ということも考えなくてはいけないですけれども、個別の市町村によって、今、小泉政務官もいい動きも出てきているというお話でしたけれども、かなりばらつきがある。

 その点、資料三を見ていただきたいんですが、これは、岩手県と宮城県の沿岸被災市町村の税収などを被災前と被災後の、直近が二十五年度ですけれども、比較したものであります。

 例えば、岩手十三市町村トータルでいうと六・一%減ということなんですが、陸前高田市で見ますと、まだ、二六・七%ポイント減、それから大槌町などで見ますと三二・三%ポイント減というようなことになっております。

 何が言いたいかといいますと、被害が大きい自治体ほど事業規模が大きくなります。他方、今見ていただいたように、税収の落ち込みも激しい、自主財源が乏しい、こういうことになるわけです。地方負担を求めるときに、仮にほかの地域に比べて低い比率で何%という比率だったとしても、そもそも事業規模が大きい被災地では、そこから計算される負担額というのは大変大きなものになるだろう。また、被害額が大きいだけに税収の落ち込みも激しいので、その金額を捻出するのは容易ではないということです。

 私は、建設的な提案をさせていただくとすれば、個人的な考えですけれども、事業規模に関係なく、自主財源が被災前と比べて回復した地域、この回復した地域から増収分の一定割合を国庫に事実上入れるような仕組み、例えば、地方交付税の配分のときにそうした部分を加味して配分するとか、つまり、少し通常の配分より減らして、税収が回復した分は国に戻していただくような考え方、こうしたことを通じて、被害が大きく、また自主財源が回復がまだ進んでいないところについては配慮するようなことも考えた方がいいのではないかということを御提案したいと思いますが、これについて小泉政務官のお考えを聞きたいと思います。

小泉大臣政務官 階先生と共通する思いというのは、今、時期である程度の一定の負担を負っていただこうという発想を私たちは持っておりますが、それぞれの自治体の被害の規模、そして復興事業の進捗、こういったものに対する配慮が必要だ、そういった部分での認識というのは共通する部分がかなりあると思います。

 ですので、結論から申し上げれば、六月の末に向けて、これからの五年間の負担のあり方、そして取り組みのあり方を具体的に決めていく中で、個別の自治体ともしっかりと相談をして、少しでも理解をしていただきながら形にしていくということに尽きると思います。

 実際、先週の十五日の金曜日、岩手県と宮城県において、復興庁も伺いまして、各自治体にも説明をさせていただきました。月曜日には福島にも伺いましたが、こういった形で、私もこれからも足を運びますし、しっかりと相談をしながら理解を得る中で形をつくっていきたい、そう考えております。

階委員 最後にこの点を申し上げますけれども、地方負担をふやして、一瞬国の財政面ではプラスになるかもしれませんが、結局、復興が進まなければ自主財源が回復せず、その分、地方交付税で、ミルク補填みたいな形で入れなくちゃいけないわけですね。だから、その辺は、くれぐれも拙速に地方負担を求めることのないようにお願いを申し上げます。

 本題に移っていきたいと思います。

 石破大臣に伺いますけれども、地方創生特区、今回、マスコミ報道などではその名前を見ました。しかし、法文上は、地方創生特区という言葉は国家戦略特区の改正法上は出てきておりませんし、その定義というのも、余り正式なものは見たことはありません。

 資料四をごらんになっていただきたいんですが、これは大臣の国会答弁でありますけれども、地方創生特区は、熱意のある自治体が、規制改革により地方創生を実現できるよう、国家戦略特区をさらに進化させ、手続の簡素化や専門家の派遣など、国が総合的な支援を行うものとして指定をするものであるというふうにおっしゃっております。

 国家戦略特区の中に地方創生特区が含まれるような言い方でありますけれども、国家戦略特区法の定義におきまして、真ん中あたりに書いていますが、第二条で、「「国家戦略特別区域」とは、」云々かんぬんとありまして、「産業の国際競争力の強化に資する事業又は」「国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業を実施することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に相当程度寄与することが見込まれる区域」だと。途中、ちょっとはしょって読みましたけれども。

 そういうことで、国際競争力あるいは国際的な経済活動の拠点というのがキーワードになっているわけですね。ここからなぜ地方創生特区というのが導かれるんだろう。

 また、他方で、私どもの政権のときに総合特区法というものをつくりまして、この総合特区には、国際戦略総合特区と地域活性化総合特区、二種類あるわけですけれども、地域活性化総合特区の方は、資料四の一番下のあたりに、総合特区法の三十一条の一項二号に書いてありますけれども、「当該区域において地域の活性化に資する事業を実施することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に相当程度寄与することが見込まれる」というようなことを総合特区法の中では規定しているわけです。

 どちらかというと、地方創生特区的なものをやるのであれば、国家戦略特区というよりは、総合特区でやった方が私は親和性があるのではないかと思っていますけれども、なぜ国家戦略特区の中に地方創生特区というものを設けられたのかということについて、大臣の御答弁をお願いします。

石破国務大臣 定義にかかわることですので、答弁書を読み上げて恐縮ですが。

 国家戦略特区とは何かといえば、大胆な規制改革を実行するための突破口であります。これは、東京圏を初め、全国で六地域が指定になっております。

 他方、地方創生特区とは、規制改革により地方創生を実現しようとする熱意のある地方自治体を指定するものであります。三月十九日、国家戦略特区諮問会議において選定した仙北市を初めとする三地域の総称ということで、委員御指摘のように、国家戦略特区の二次指定。ですから、カテゴライズをすれば、国家戦略特区以外の何物でもないということでございます。

 仙北市にしましても、仙台市にいたしましても、あるいは愛知県にいたしましても、これは委員が御指摘になりましたように、国際性というものを重視して指定をしたものでございます。それをやることによって、例えて言えば、医療ツーリズムでありますとか、あるいは自動車、航空機等の先端産業でありますとか、そういうものの発展を期し、国際的にそこに人を呼び込み、にぎわいを創出するというような形で、国家戦略特区の一つのバリエーションとして、この地方創生特区で三つを指定したというふうな理解を私自身しておるところでございます。

階委員 その話を聞いて、思ったんですけれども、これからも、地方が、地方創生特区をやりたいと思って手を挙げるということがあると思うんですよ。でも、そのときに、今の大臣の御答弁だと、国際的な競争力の強化とか、国際的な仕事にかかわるものでないとなかなか認められないのかなと思ったんですが、その認識で正しいですか。

石破国務大臣 それは、このベースとなっております法律が、そのように、国家戦略特別区域とは何であるかということで指定をしておるところでございます。

 これから先、この国がグローバル化していく上において、やはり国際性というのは一つのキーワードであるというふうに考えております。私どもとして、これから先、地方創生特区に手が挙がる場合には、それが国際性を有するものであるか、そして、それが結果として、地域のにぎわいの創出、あるいは世界的に新しい新産業の創出、そういうものに資するものをこれから先も選定していきたいと思います。

階委員 そういうことに気をつけないと手を挙げてもなかなか認められないということは、我々としても注意しなくちゃいけないと思っていますが、そもそも、地方でそういう国際的なグローバルな仕事をしているかというと、これは大臣も御承知のとおり、冨山和彦さんがおっしゃったGとLということで、地方では圧倒的に、L、ローカル型産業、つまり、サービスや小売の産業で、中堅・中小企業が担っているもの、これが日本全体でいうと、雇用の八割がそういうL型の産業だと言われているわけですよね。

 そういう中で地方創生を考えるときに、国家戦略特区を使うのなら、確かに、法文の定義上も、さっき大臣がおっしゃったようなことに気をつけなくてはいけないだろう。しかし、必ずしもグローバルな仕事がメーンというわけではありませんから、このL型産業をどうやって伸ばしていくのか、ここにスポットを当てなくてはいけないと思っています。

 ちょっと時間の関係で、二つばかり質問を飛ばして、今の点に絡んでお尋ねします。

 実は、このGとLの話、これまで私、大臣と、ことしの予算委員会、あるいは去年のこの委員会でも御議論させていただいたときに、大臣から次のようなお答えをいただいているんですね。

 例えば、先日の予算委員会では、地方が人手不足であるがゆえに、生産性を上げ、雇用を確保し、賃金を上げていくことにおいて地域のお知恵を賜りたいというようなことを三月六日の予算委員会でおっしゃっていました。

 また、去年のこの委員会では、これはオガール紫波のことを取り上げたときに大臣からお話があった件ですけれども、どのようにして地域の生産性を上げ、地方の生産性を上げることによって、そこに高い所得と安定した雇用をもたらすか、そのことによってのみ地方の再生は可能となるのではないかといったような御発言もありました。

 地方の生産性という言葉を大臣からはたびたびお聞きしております。先日の福田委員との御議論でもこの委員会でありましたけれども、この地方の生産性という言葉の意味なんですが、私は労働生産性という意味で受け取っておりますけれども、まず前提として、その認識でいいのかどうか、お答えいただけますか。

石破国務大臣 私自身はそういう認識で生産性を上げるという言葉を使っております。

階委員 それで、地方の労働生産性を上げることが必要だということで、私もそれは大変重要で、やらなくてはいけないというふうに思っていますけれども、労働生産性は、分母が労働投入時間、そして分子が付加価値生産額になるわけですね。

 分子の方、これはもうちょっと詳しく言うと、要するに売上総利益であって、売り上げから、小売でいえば仕入れ額を引いたもの、サービス業でいえば、仕入れはないのでほぼ売り上げです。売り上げというのは単価掛ける数量で決まりますから、この単価とか数量を、地方の、特に人口が減っていくところ、経済が疲弊している所得が低いところ、こういうところで、分子の付加価値生産額、すなわち売上総利益を上げていくのはなかなか容易ではないのではないかと思っています。

 他方、分母の方は労働投入時間でありますから、これは労働者の数掛ける労働時間になるわけですね。労働時間を減らしていけば当然収入も減ってしまうわけですから、ここはどちらかというと、分母を減らしていくためには、今まで三人でやったところを、人数を減らして二人でやる、こういうところを目指していかないと、地方のL型産業において労働生産性向上につながっていかないのではないか。

 大臣の言わんとするところは、これを今やるということは、一見、リストラによって人が、首が切られるように見えるけれども、人手不足だから、その人たちも行くところがあるから、今は、その労働生産性向上のための、三人を二人にするということをやりやすい環境ではないかという御認識だと伺ってよろしいですか。

石破国務大臣 委員が的確に御指摘なさったとおりです。

階委員 これは、確かに三人を二人に減らして、余った一人が、今、人手不足で行く先がある、一見そう思います。ただ、どこの企業も労働生産性を上げようとしていくと、どこの企業も三人を二人にして労働生産性を上げていく。余った人というのは、どちらかというと、そういう労働生産性を上げるときについていけないような、労働市場での、ちょっと言い方に気をつけなくてはいけないですけれども、やや労働市場という部分においてはちょっと力が劣る人です。もちろん人間の価値を言っているわけではありません。

 ただ、この労働市場においては、必ずしも競争力が高くない人材においても、そういう人の行き場もつくらなくちゃいけない。そういう中で、この三人を二人にということを安易に進めていっていいのかどうか、私はここが気になるんですね。

 労働生産性を上げるという中で、私はそこが最大の課題になるような気がします。大臣のお考えと、何か前向きな解決策などあればお答えいただけますか。

石破国務大臣 まことに的確な御指摘ありがとうございます。

 地方においても、今までは人手が余っているので、余っているという言い方は気をつけなければいけませんが、ワークシェアリング的な考え方で、一人でできることを二人でやりましょうとか、二人でやれることを三人でやりましょうとか、そういうことがあったと思います。そうすると、これは経済学の概念ではないのかもしれませんが、そこにおいて提供されるサービスの質とは何であろうかということを考えたときに、やはり一人でできることを二人でやっていた、それを一人でできることによって、提供されるサービスの質自体が向上されるのではないだろうかという感じを一つは持っております。

 もう一つは、分母と分子の関係でいえば、分子の部分で何かいろいろな工夫はできないだろうか。分母だけではなくて、定住人口は減るわけでございますから、そうすると交流人口をふやすことによって、たとえL型の経済であったとしても、この労働生産性を上げるということは十分に可能なのではないだろうかと思います。

 もう一つは、今随分気をつけておっしゃいましたが、人の優劣とかそういうことは全く考えてはおりませんけれども、そういう方々が地域においてかけがえのない存在として働けるようなやり方というものが今全国で出てきているというふうに思っております。そういう方々が一つの仕事に従事することによって、いろいろな障害をお持ちの方でもかけがえのない存在としてその地域で働いていただけるというのは、それは労働生産性とは違う概念ではないだろうかというふうに思っておりまして、これは滋賀県の例で、私はちょっと名前を失念いたしましたが、そういう方々がその地域において働くことによって、それが総務大臣から何か表彰を受けたという例が昨年ございました。

 そういうように、労働生産性だけではなくて、地域のにぎわいを取り戻すという観点も私は地方創生においては不可欠なことだと思います。

階委員 大臣の後半の方でおっしゃられたことは全く私も同じような考えを持っていますが、問題は、今の与党の政策体系がそれに沿っているのかどうか。農協の改革であるとか農業の産業的な方向性、あるいはこの総合特区法の中でもシルバー人材センターの活用なども、実はこれは、どちらかというと、労働生産性の向上というよりは、むしろ安価な労働力の供給をふやすような方向になっているような気がします。

 他方、大臣が最後におっしゃられた、居場所をどうやって労働市場には余りマッチしない方にもつくっていくか、ここの視点もまだまだ不十分なような気がします。

 そうしたあたりを我々も考えていきますし、ぜひ大臣初め皆さんの方にも考えていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 質問のお時間をいただきまして、感謝をいたします。

 通告しておりました質問は、今、階委員と最初のところはダブってしまって、やはり考えることは一緒なんだなと思ったんですが、要するに、国家戦略特区の中に地方創生特区があり、その地方創生特区の中にさらに近未来技術実証特区がある、この関係がよくわからないという趣旨の質問をしようと思っていたんです。

 目的規定を見ると、国家戦略特区というのは、産業の国際競争力を強化し、国際経済活動の拠点を形成する、それによって国民経済の発展を、要するに経済成長をしていこうということですね。国際競争力をつけ、その拠点を日本国内につくって経済を引っ張っていこうというのが恐らく国家戦略特区の意義。その国家戦略特区の意義に資するもののうち、さらに地方創生に資するもの。

 地方創生って何ですかというと、まち・ひと・しごと創生を見ると、要するに、東京圏への過度の人口集中を是正して、それぞれ地方で住みよい環境をつくって、そこで人口の増加を図っていくと。もちろん、そのためには雇用もなきゃいけないということですよね。だから、重なる部分は確かにあると思うんですね。国家戦略特区の中で仕事ができて、そこに雇用ができれば人も集まってくるということで、重なる部分は確かにある。

 さらに、近未来技術実証特区ですか、これも、地方創生にも資するけれども、国際競争力の向上にも資する。何となくわかるような気がするんですが、そういう理解でいいんですか。その三つの関係ですね。

石破国務大臣 そういうような理解であると私自身は思っております。

奥野(総)委員 そうすると、地方創生でも、そういう、もう少しローカルな、国際競争力の向上に資さない、あるいはグローバルな経済と直接関係しないようなものについては国家戦略特区の中の地方創生特区に入ってこない。今さっき答弁なされたとおりだと思いますし、同じ近未来技術の実証でも、例えば、ローカルに農業に使っていく、ローカルに林業に使っていくような技術については恐らく国家戦略特区の中に入ってこないという理解だと思うんです。

 では、漏れたところをどうするのかといえば、漏れたところについては、先ほど階委員がおっしゃっていたように、総合特区制度であるとか、あるいは構造改革特区制度の中でやっていくという理解でよろしいですか。

石破国務大臣 それぞれ制度の趣旨、目的が違いますので、漏れたからといってその地域がだめだとかそういう話ではない。ほかの制度でそういうところに対して的確な対応をしていくということでございます。

 今回の、例えば、愛知県はともかくといたしまして、仙台市でありますとかあるいは仙北市を見た場合に、特に仙北市なんかはかなりローカルといえばローカルなところであります。

 そこにおいて、その地域の特性を生かしながらいかにして人を呼び込むかということを考えたときに、国際的な視点あるいは近未来技術の実証ということを、その地域であるがゆえにできるというところがたくさんあるので、決して国際性という、そういうひらめきとか、そういうインターナショナルな感じがなくても、ローカルな地域であるがゆえにこの制度の適用ができるところというのは、日本国じゅう相当に多くあると私自身は考えております。

奥野(総)委員 それはやはり制度の趣旨が確かに違うかもしれないんですが、この三つに共通しているのは、規制改革、規制緩和が共通している。規制改革、規制緩和を通じて地域の住民の生活をよりよくしていく、あるいは、ひいては国民生活をよりよくしていくということで共通の構造があると思うんですね、その部分については同じと言ってもいいと思う。あるいは、総合特区では、それにさらに財政支援とか税制の支援とかがついてくる。今回、後ほど伺いますけれども、地域再生法でも税制の話が出てきます。

 私思うんですが、今回三本一括で審議していますし、さらにこのほかにも総合特区法とかありますけれども、この際きちんと整理をして束ねていく、そういうことは考えられるんでしょうかね。

 要するに、財政、税制、規制改革を総動員して、一つは地域の発展、それからもう一つは日本の国際競争力の発展に資するという形で、大くくりにしてやっていくように束ねるということは考えられないんですか。

石破国務大臣 それは当然、法改正を伴うことになりますので、また議会における御議論もいただかなければなりません。

 私どもとして、この特区の制度も随分長い歴史を持っております、いろいろと新しい特区がふえてまいりましたので、どうも余りユーザーフレンドリーではなくなってきたかな、一々一々手引書を見ないと何だかよくわからぬねというようなことになってしまっているかもしれないというような御指摘を民間委員からも賜っておるところでございます。

 私が今政務の中で話をしておりますのは、この特区というものがどういう地域にどういうものがふさわしいのか、そしてどのような支援が受けられるのか、それぞれの特区ごとの関係はどのようになっているのかということをビジュアルな形で発信するフォーラムのようなものを一回やらないと、どうもこの制度の趣旨が生きないのではないかと思っております。

 それから、束ねるということがどういうことを指しておられるのか、ちょっといま一つよく理解をいたしかねますが、要は、使いやすいもの、効果を発現しやすいもの、まさしく地域に親和性を持つものという形で、いろいろな自治体が手を挙げやすいもの、あるいは私どもの方として選定しやすいものという形で進化をさせていくというのは重要な論点だと思います。

奥野(総)委員 我々の政権のときに総合特区というのをつくったんですが、あれが一つの我々なりの答えだったと思っているんですね。それをさらに強力に推し進めていくのがこの国家戦略特区ということかもしれませんけれども、であれば、その二つをきちんと整理して、より使い勝手のいいものにしていく。やはり財政の支援なんかも必要だと思うんですね。

 お隣の韓国なんかは、投資をした企業に対してどうもキャッシュバックをしている。投資額に応じて、あるいは技術の難易度に応じて率を変えて、投資額の何%という形でキャッシュバックをしているとか、あるいは向こうの役人、省庁の担当者がいて、規制について問題はありませんかと外国企業に聞いて回って規制改革をしていく。

 私、ある日本企業の方とお話ししたんですが、非常に韓国は使い勝手がいい、外国企業から見ても行きやすいんだ、日本と韓国と今どちらに投資をするかといえば韓国だとおっしゃっている企画部長の方もいらっしゃいました。そういった思い切った視点も必要かなと。

 今回は規制改革だけに特化しているんですが、なかなかそれだけだと実際雇用がふえないと私は思うんですが、いかがですか。そういう意味で、もう少し、スーパー国家戦略特区、あるいは我々の総合特区をさらに発展させるという形での改革を求めていきたいと思いますが、もう一度お聞かせください。

石破国務大臣 それは、当委員会においていろいろな御指摘をいただき、私どももよりよいものを目指してまいりたいと思っております。

 今韓国の例を挙げられまして、財政支援というものも必要ではないかとお話しになりました。そうすると、それって総合特区じゃないのという話になってくるわけで、いや、国家戦略特区というのは、国家として岩盤にドリルで穴をあけて全体的に構造を変えていくのだという趣旨とまた違ってくるんじゃないのというようなことで、どうも、長い歴史の間にそれぞれの特区の連関性がよくわからなくなってきているというところはあるんだろうと思います。

 それは、私ども政府として、政府なりにそれぞれの特区を、一長一短ございますが、こういうものですということを切り分けてお示しすることは、理屈の上ではできるのですが、使う側からして、今韓国の例をお挙げになりましたが、だったら韓国の方がいいじゃないかというようなお話になったら、それは何のための特区なんだということになりますので、今回はこの法律の御審議をお願いし、何とか成立を御理解を得たいと思っておりますが、これから先どうするかのことについては、また御提案を賜り、私どもの方としても検討いたしてまいります。

奥野(総)委員 なぜそんな話をしたかというと、結局、国家戦略特区の中に地方創生特区が入ってきたりして非常にわかりにくいので、だったら全体を見直したらどうですかという中で、もう少し、目標は一つですから、経済を発展させていく、同時に地域を疲弊から救っていく、そして人口をふやしていくということですね、大体言えば。それに向かって何が有効かということで、やはり大胆に考えていただきたいということでこういう御質問をさせていただきました。

 その上で、国家戦略特区についてですが、今、現時点、六地域が区域計画ができていると思いますが、進捗状況はどうなっているんでしょうか。

内田政府参考人 事実問題をまず事務方から御答弁させていただきます。

 昨年の五月に、国家戦略特区、六区域、指定させていただきました。この一年間、約一年間たつわけでございますが、十四回の区域会議が開催されまして、合計五十もの事業が認定されて、目に見える形の規制改革が進み始めているなという評価をしております。

 具体的に例を挙げさせていただきますと、例えば東京圏では開業のワンストップセンターを設置いたしましたり、また、東京圏に加えまして、関西圏や福岡市では、雇用ルールの明確化等を目的といたしました雇用労働センターを設置いたしまして、今韓国の例もございましたが、外国人を含めました起業の促進を行っているところでございます。

 また、農業分野でございますけれども、新潟市や養父市におきまして、農業生産法人の役員要件緩和の特例の活用等によりまして、六次産業化でございますとか企業の参入拡大等を進めている、こういう状況でございます。

奥野(総)委員 ちらほら進み出しているとも言えるんですが、これは法律が通っているのはたしかおととしの秋でありまして、もう一年半たっているんですね。

 進み出したところもあるのかもしれませんが、例えば沖縄について言えば、まだ区域計画も定まっていませんが、これはなぜですか。沖縄は今どうなっているんでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄は、御指摘のとおり、昨年の十月に第一回の区域会議を開催させていただきました。そこで、区域計画の素案を盛り込んだ規制改革について、今具体化の検討を進めているところでございます。

 このうち、道路法の特例措置でございますエリアマネジメント事業につきましては、ほぼ内容が固まりつつあるので、区域計画の作成を急いでまいりたいというように考えております。

 その他、今回御提案させていただいている案に盛り込ませていただいております地域限定保育士などについても、活用する用意があるというように聞いているところでございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 よもや政治的な要因があろうとは思えないんですが、沖縄というとどうしても聞いてみたくなってしまうので聞いてみましたけれども、ただ、沖縄だけ区域計画が決まっていないのもまた事実なんですね。

 それから、次に私の地元の話も少しさせていただきたいんですが、東京圏について、成田市がなぜか入っているんですね。

 東京圏になぜ成田が入ったかというのは、ちょっとびっくりしたんですが、ところが、東京圏の区域計画を見ても、成田という言葉が一言も出てこないんですね。東京の話ばかり出ていて、成田も入っているはずなのに、成田という言葉が一切出てこないんですが、成田市について、今どういう状況で、なぜ区域計画に入っていないんでしょうか。

内田政府参考人 お答えを申し上げます。

 成田のことでございますが、東京圏の一部といたしまして現在検討が進められておりますのは、医学部の新設の関係、それから、東京国際空港を活用いたしましたアジアのゲートウエーという関係の事業というものを検討なされているところでございます。

 このうち、医学部の関係につきましては、昨年の十二月に東京圏の区域会議のもとに関係者が集まる成田市分科会を設置いたしまして、昨年の十二月、今年の二月と、二回にわたりまして関係省庁を交えた議論を行っているところでございます。

奥野(総)委員 成田の提案は、分科会で見ると医学部の話だけなんですが、念のため、アジアのゲートウエーの方というのはどういう改革が入っているんですか。これは通告していないですけれども。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 アジアのゲートウエーの方でございますが、先ほど申しましたように、成田空港がございます。国際ビジネスイノベーションの拠点といたしまして、医療、雇用等の分野も含めました総合的な規制改革というものを実現することを期待して指定されているものということでございます。

 具体的には、成田市からの御提案でございますが、創業人材の受け入れ、外国人の受け入れでございますとか、輸出手続のワンストップ化というようなものの御提案を今いただいているところでございます。

奥野(総)委員 その部分はあれですか、今医学部の話だけ聞こうと思ったんですが、その部分も今頭出しされていないですよね、区域計画に。それは進んでいるんですか。

内田政府参考人 現在、ワーキンググループにおきまして御議論が進みつつあるという状況でございます。

奥野(総)委員 話を聞くと、やはり、医療ツーリズムとか、医療関係の人材を受け入れるとか、そちらの方に力点がどうもあるようなんですよ。

 大学医学部の新設とそれの附属病院の設置というのはやはりコアなんですよね。これなくしてほかの部分というのはなかなか成り立たないと思うんですね。ゲートウエーというのは、国際空港ですから、それは当然のことなんですけれども、その上でさらに人を呼び込んでいく、成田独自に呼び込んでいくという話になると、これはやはりそういう新しい仕掛けが必要だという意味で、医学部の新設が前提だと思うんです。

 では、分科会をつくっているのはわかりましたけれども、医学部の新設の進捗状況はどうなっていますか。認可、告示の改正が必要だと思いますが、具体的な見通しはいかがですか。

丹羽副大臣 奥野先生にお答えいたします。

 先ほど成田市の分科会のお話がございましたが、今後、文部科学省といたしまして、成田市分科会での議論を踏まえて、高齢化社会に対応した社会保障制度や、全国的な影響等も勘案しつつ、医学部新設に関する基本的な考え方や方向性等について関係府省庁と協議の上、必要な法令上の手当てについて検討していきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 ずっとこれは検討になっていまして、そもそも、国家戦略特区の規制改革事項等の検討方針、平成二十五年十月十八日という文書があって、その中で、医療については、医学部の新設についても、たしか検討するという書き方になっていたと思うんですが、そこで検討するという言葉が使われて、ずっと検討されているということですよね。

 一方で、東北の方は新設のために告示が変わっているんですが、これは、ずっと検討して、検討の結果、認められない、要するに、これは今告示がありますね、少なくとも大学の設置の認可要件として、医師の養成に係る大学は認められない、医学部つきの大学については認可できない、こういうたてつけに今告示がなっていて、今回、東北についてはその告示の特例として、このもとの告示は生かしつつ特例としてやっているということなんですが、これは成田の場合も同じように特例の告示で考えておられるのか。

 そして、検討の結果、これはいろいろなところから意見があるようですが、いろいろなところというか、ありていに言えば医師会なんでしょうが、意見があるようですけれども、検討の結果、認められないということもあり得るんでしょうか。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 成田市分科会の議論を踏まえて、今、仮に何らかの法令の手当てを行うことが必要となった場合にはどのような形で対応するかについては関係省庁と協議の上検討してまいりたいと思います。東北の医学部設置のように特例として扱うのか、あるいはそのほかの形で扱うのかについては今後関係省庁と検討してまいりたい、そういう状況でございます。

奥野(総)委員 今のは、認められる場合はそういうのを参考にするということだと思いますが、政府の方針も、検討するとしか書いていないんですね。検討の結果、告示の改正をしないという判断はあるんですか、あるいは特例告示を設けないという判断もあるんですかというのが二問目の問いです。

佐野政府参考人 お答えさせていただきます。

 これは今後、現在、成田市分科会で議論を進めていただいていますので、その結果を踏まえて考えていきたいと思っているところでございます。

奥野(総)委員 答えにくいとは思いますが、いろいろな関係団体の意見を聞きつつ、結果、認められない、結論として難しい、調整し切れないということもあり得るという今の答えだったと思うんですね。その場合は告示改正できないよという、もう一回聞きますけれども、そういうことですか。

佐野政府参考人 現時点におきましては、繰り返しになって恐縮ですが、成田市分科会で議論をしている最中でございますので、そこの点についてどのような形で法令の手当てを行うかについては今後関係省庁と協議の上決めていくということでございます。

奥野(総)委員 先ほどゲートウエーの話もしたんですが、この成田特区というのは、医学部ができて、そこに大学病院が併設されて、そこに外国からお医者さんが来たり、外国から研修生が来たり、患者さんが来るというのが前提なんですね。だから、ここが認められないと、そもそも特区である必要がない、特区として成り立たないんじゃないかと思うんですよ。

 国家戦略特区制度というたてつけは、まずメニューを政府が用意する、実際どうかはともかくも、まず政府がメニューを用意して、法律改正をして、こういう規制改革をしていきます、あるいは、法律にかかわらず、政令、告示レベルもそうなんでしょうけれども、こういうメニューがあって、このメニューについて手を挙げてください、こういうたてつけだったと思うんですね。だから、成田が選ばれた。選ばれた時点で、恐らくそういう告示改正を視野に入れつつ選ばれたんだと思うんですね。逆に、これがもし、今言ったように調整し切れなくて、告示改正にならなかったとした場合に、成田というのはどうなるんですか、国家戦略特区から外れてしまうんですか。どうなんですか。

石破国務大臣 極めて難しい御質問でありますが、今事務方からお答えをいたしましたように、多方面で検討いたしておるところでございます。

 仮にそうならなかったらというお話を、今の時点ですべきではないという答弁は私は余り好きじゃないんですけれども、そう言わざるを得ないということだと思っております。

 これが、委員御指摘のように、確かに、ゲートウエーとしての構想、いろいろございますが、やはりここにおいて、医療ツーリズムというのか、そういう点に着目をしてこの議論はなされているというふうに思っております。

 私も、成田市の市長さん初め関係者の方々のお話、いろいろ承っておりますし、そしてまた、そこで新しい医学を志しておられる、そういうような方々、あるいはそこにおいて教育を展開したいと思っておられる方々、まさかテントを張って病院をつくるわけにもいきませんものですから、いろいろな御都合もあろうかと思っております。

 これは、今本当に検討を行っているところで、もしできなければどうするかというお話をすべきではございませんが、これをそのように特区として扱うことによって、これから先、日本の産業がどうなっていくか、成田市のみならず、日本全体の産業構造がどのように変わっていくかという点から、いろいろな議論がなされていることだと思います。

 過去のいきさつもよく頭に入れながら、日本全体がよくなっていくことを念頭に、いろいろな議論がなされているというふうに承知をいたしております。

奥野(総)委員 何も私は、これをだめにしよう、野党だから潰そうと言っているわけではなくて、やや反語的に言っているんですが、だからこそ、こういうたてつけで、メニューを用意して手を挙げてくださいと。認めた以上は、区域指定した以上は、やはり政府もそこは力を入れていただいて、きちんと、最後にうまくいくようにやっていただきたい、こういう話なんですよ。これは、なくなったら特区から外れてしまいますからね。こんな地元として恥ずかしい、まあ隣の選挙区ですけれども、こんな恥ずかしい話はないし、成田というのは私、もっと生かすべきだと思っているんですね。

 さらに、千葉県というのは、資料をごらんでしょうけれども、全国的に見て医師数が少ないんですね。ですから、大学設置というのは意義があると思いますし、世界的に見ても、人口当たりの日本の医師数というのはなかなか少ないんですよね。これだけ医療が高度化する中で、やはり医師の養成もきちっと行っていくべきだと思いますし、医療産業というのを日本の、一つ次の産業の柱にするというのは私は大事なことだと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたい。

 最後に、この話のまとめとして、沖縄もそうなんですが、スピード感を持って進めていただきたい。もう一年半たっていますから、大臣、本当に全力で、一生懸命やっておられると思いますが、なお力を入れて、スピード感を持ってやっていただきたいとお願いしたいんですが、いかがですか。

石破国務大臣 私自身、事務方に言っておりますのは、スピード感が大事であるということでございます。

 私どもが安穏としている間に各国はどんどん進んでおるわけでございますし、先ほど韓国の例も挙げられましたが、議論のための議論をしておっても仕方がないということでございます。やはり果断に取り組んでいく、スピード感を持ってこの議論を重ねるように。何も粗略な議論をするという意味ではなくて、濃密な議論を行って成案をきちんと得るということが戦略特区に課された課題の一つだというふうに認識しております。

奥野(総)委員 ぜひ、この医学部の話は一つの例示でありますから、沖縄も含めて、スピード感を持って、全体、お願いしたいと思います。

 それから、地方拠点強化税制について、残り質問したいんです。

 制度の趣旨というのは、こういう質問をしていると時間がなくなってしまうので、伺いたいんですが、これは、東京二十三区から移転する場合に減税の割合が高くなるという仕組みなんですが、ただ、集中地域というところ、これは首都圏とか中部圏と関西圏、集中地域に行った場合は適用にならないということですね。だから、集中地域に指定されてしまうと、東京からはやってこない。逆に、減税のインセンティブもないので、集中地域からさらに別のところの、地方活力向上地域に行った場合はメリットがある。そうすると、集中地域から逆に逃げる、来ないけれども逃げる可能性もあるわけです。

 地域によっては、同じ市町村の中で集中地域と地方活力向上地域がまざっているような地域があるというふうに伺ったんですね。

 心配なのは、私の地元もそうなんですが、千葉は東京圏であるんですが、では、例えば千葉市はどうなんですか、あるいはそのぎりぎりのところなんです。千葉県の中で、では、どういうところがその境目になっているのかというのを伺いたいと思うんですね。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 千葉県におきます集中地域の場所でございますけれども、奥野委員の御地元で申し上げますれば、千葉県においては、例えば、千葉市、佐倉市、四街道市、これらについては支援の対象外となってございますが、八街市については支援の対象となっておるところでございます。

奥野(総)委員 例えば、千葉市は全体が集中地域なんですか。

若井政府参考人 千葉市につきましては全域が集中地域ということで、支援の対象除外となってございます。

奥野(総)委員 聞いたところでは、同じ市町村で二つの地域がまたがっているというような、それはあるんですか。

若井政府参考人 個別に、場所は細かにはお答えいたしませんけれども、例えば市町村合併などによりまして新しくできました市については、一部が集中地域に入り、残りについて集中地域でない場合もございます。

奥野(総)委員 だから、例えばそういうところだと、同じ町の中でも引っ越してしまうとか、そういうことも起こりかねないですね。

 では、千葉市とか佐倉市というのは、私の選挙区の話ばかりして恐縮ですが、一番わかっているので言いますが、そんなに会社がいっぱいあるかとか、そんなに栄えているかというと、そうではないわけですよ。ほぼ農業県、半分農業地域だし、むしろ、そこに企業に来ていただくということが必要だと思います。

 ですから、この仕組み、私は集中地域というのはむしろ見直していただきたいと思うんですが、そのあたり、大臣、最後にいかがですか。

石破国務大臣 それは、いろいろなところを見れば切りがないのであって、どこかで線を引かないと、こういうものはできないものでございます。やはり東京二十三区、特に港とか中央とか千代田とか、そういうのは誰でもわかる話なんですが、そこからするとまた違う、同じ千葉県でもいろいろなところがあると思います。

 今やらなきゃいけないのは、同時に、このままいくとどんどんどんどん疲弊をしてしまうような過疎地域というようなものをどうするか、あるいはその周辺をどうするかということも考えていかなければなりません。これはまた、地域の見直しというのは一定年限を経たうちに見直すことにいたしておりますが、今回はこの形でやらせていただきたいと思っております。

 千葉でもいろいろなところがあることはよく承知をいたしておりますが、しかしながら、東京に近いという立地の便、あるいはいろいろな交通の便益の高さ等々考えますと、それ以外の、本当にこのままいけば消滅しかねないところに対してどのような支援を行うべきかということも考えていかねばならないことでございます。

 それは、単なる市町村の基礎自治体ではなくて、県というものが必ず関与をいたしてまいりますので、そこの県を総合的にどうするかということは、県の御判断もよく承らなければならないことだと思います。

奥野(総)委員 きょうの質問は、日本全体がよくなるようにいろいろ考えていただきたいということに尽きると思いますけれども、時間が来たので以上にしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 維新の党、木内孝胤でございます。

 いろいろな委員会に出席させていただいていますけれども、実は、地方創生委員会、若干アウエー感というか、もともと野党でございますし、少数野党ではあるんですけれども、質問の内容も、東京からの一極集中是正というのが一つ大きなテーマなものですから、東京の立場からすると、何となく若干悪者扱いな気がしないでもないという気が時々いたします。

 その中で、私はやはり東京の活性化も実は大変重要な地方創生ではないかというふうに考えております。東京一極集中の是正、私も国家的見地からは大変重要な課題だと思っている一方で、国際競争の観点からの、国際金融センターとしての東京を大事だと思っておりますけれども、大臣、この国際金融センター化、東京について、もし御所見があればお願いいたします。

石破国務大臣 これはまさしく委員が御専門ですから、東京が国際金融センターとして、時間にせよ、能力にせよ、もっと海外の金融関係者にとって使いやすい町になっていくということは大事なことでございます。これは、ハードのみならず、ソフトにおきましても、東京が金融センターとしての役割を果たすような、そういうような政策は民間とともに私どもやっていかねばなりません。

木内(孝)委員 私も二十年間金融機関に勤めてまいりましたので、日ごろから、昔の仲間等々、金融関係者と懇談する機会が多うございます。

 一つ現場から聞こえてくる声が、ハード面、ソフト面、両面において、東京の金融市場としての働きにくさという声が多く聞こえております。

 これは、一つは税制面ですね。法人税や所得税、あるいは証券関係の税制で証券譲渡益課税や配当課税、こうした税制面においても、シンガポールあるいは香港等と比べても、非常に劣後して厳しい国際競争環境であるというのが一点。

 その中で、今回、国家戦略特区の中で、ソフト面でいろいろプラスが期待されるかなと思って幾つか見ておりましたらば、例えば、お手伝いさんを雇いやすくする環境、あるいは外国人のお医者さんを雇いやすくする環境、あるいはさまざまな登録事務、外国人登録とか、さまざまな事務登録をする際にこれをワンストップでできるような環境とか、いろいろ盛り込まれていて、これはこれでありがたい話だとは思うんですけれども、正直申し上げて、ほかの面でなかなか今厳しくなっているところに、そうした不都合をカバーするほどの大した効果はないのかなという感じを持っております。

 ここ十年来、例えば、対日投資を促進するとか、さまざまな面での環境面の整備が図られてまいりました。ことしもたしか三月十七日ですか、関係閣僚で集まって対日直接投資を促進する会議なども開かれております。

 私、今回の国家戦略特区の中身を見ていましても、なかなか東京が国際センター都市として競争力を強化して立場を強化するという道筋が正直見えない中で、一つ、これをやれば必ず短期的に効果があるのではないかという案がございます。

 それは、税制面とかそういうのは当然そう簡単にはいじれないのは承知しておりますし、あるいは証券税制ですら、これぐらいはいじってもいいのかなとは思いますけれども、財政難の折、そう簡単ではないという理解でございます。

 その中で、私、これをやれば確実に東京市場が復活すると思っておりますのは、今日本が保有しているさまざまな資産がございます、この政府資産を徹底的に洗い出して売却をさせるべきではないか、そのように考えているわけです。

 これは必ずしも、地方創生あるいは国家戦略特区の話とはずれるかもしれませんが、この国の経済のあり方、経済政策のあり方、私は、日本というのは本来自由主義経済であると思われるところを、非常に官僚主導国家といいますか、官僚主導の経済システムが今なお色濃く残っていると考えております。

 具体例を幾つか出したいと思うんですが、日本たばこという会社がございます。これは民間会社でございますけれども、国がまだ三三・四%、三分の一超の株式を保有しております。なぜ日本たばこの株式を国が三分の一超保有し続ける必要があるのか、この理由をお聞かせください。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 JT株式についてのお尋ねでございますけれども、たばこ事業は、葉たばこ農家やたばこ小売店など、たばこ関連産業の健全な発展を通じて地域の雇用や経済の発展に貢献するとともに、国と地方の財政収入の安定的確保に寄与していると考えております。

 そういった中で、JT株式につきましては、先生御指摘のように、法律に基づきまして、政府は発行済み株式総数の三分の一超を保有することが義務づけられておるわけでございますけれども、このような政府によるJT株式の保有につきましては、たばこ事業法に基づいて、葉たばこ農家の経営安定を図るためにJTが行っております国産葉たばこの全量買い取りや、あるいは、それと一体の関係にございますたばこ小売店の経営の安定のための一定のマージンの確保など、こういったものを実質的に担保するという意義を有しているところでございます。

木内(孝)委員 日本たばこさんは、国際価格の大体三倍から四倍の葉たばこを日本の農家から購入しているということになっております。完全民営化されてしまうと、国際価格の三倍、四倍で購入している葉たばこ農家が潰れてしまうからという理由でこの三分の一超を維持しているという説明だというふうに理解しております。

 私は、そういう葉たばこ農家を切り捨てるべきだとかそういうことは一切申し上げません。しかしながら、自由主義経済において、国際価格の三倍、四倍の価格の葉たばこを買うために、国が三分の一超株式を保有し続けるというのは、私はどうしても説明として納得感がありません。

 今、時価総額、大臣、御存じでしょうか。これは九兆円なので、お答えいただく必要はございません。今この三四%の株式を売却すれば、三兆円資金が捻出できます。葉たばこ農家を保護するためにこの三兆円を売却しない理由というのは、大臣から見て、これは納得感がある今の説明でしょうか。

石破国務大臣 これは、たばこ農家というものがここ数年非常に統合もやってきました、合理化もやってきました。その中において、ほかの農産物と比べて、これから先いろいろな構造改善の余地があるかといえば、かなり厳しい状況だというふうに認識をいたしております。これは農林大臣風の答弁になって恐縮ですが、そういうふうに考えております。そしてまた、たばこ農家がほかの産物に転換できるかというと、砂地でつくっておりますのでなかなかほかのものに転換しにくいという事情もございます。

 そういったときに、政府の関与というのがなくなった場合にそういうものがどうなるかということと、一方、今事務方から答弁申し上げました税収の観点からいって、国の関与というものがこれから先もある程度はあるべきではないかという論点はあるだろうと思っております。

 私自身は、たばこの健康に対する害悪でありますとか、たばこ吸いが言うことでもありませんが、でありますとか、あるいは税収の観点でありますとか、たばこ農家の経営でありますとか、ほかに転換する作物がありますかとか、そういうようないろいろな論点がこれにはございまして、国の税収あるいは財政の観点からもこれは貴重なものだと思っております。

 ですから、委員はそういうような上っ面なことをおっしゃっていないことはよくわかっておりますが、それだけの資産があるので、はい、それを売却しましょうということで、はあ、そうでございますかということにはなかなかなりにくいと思います。

木内(孝)委員 先ほども申し上げましたとおり、私は市場主義万能という立場はとりません。弱い方をきちんと助けたりとか、あるいは再分配ということも非常に重要視はしております。

 しかし、日本は、株式市場、資本市場において、いわゆる自由主義経済でないという見方をされているんです。ですから、なかなか対日投資がふえない。そういう問題があって対日投資がふえない、したがって東京の市場も活性化しない、だから雇用も減っている、こういう悪循環にどんどんなっています。

 続いて、質問いたしますけれども、NTT、やはり三分の一超政府が保有し続けていると思いますけれども、これはなぜ保有し続ける必要があるのか、教えてください。

吉田(眞)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、NTT、いわゆるNTT持ち株会社につきましては、NTT法上、政府による三分の一以上の保有が義務づけられておりますが、この政府保有義務につきましては、NTTが、電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与する責務、あるいは電気通信技術に関します研究の推進、成果の普及を図る責務を有するなど、公共的な役割を担っていることから、特定の者にその経営を支配されることを防止いたしまして、会社の経営の安定と適正な事業運営を確保する、そういう趣旨で設けているものでございます。

木内(孝)委員 公益性の高いこういう民間会社の扱いというのは、難しい面があるということは承知しております。しかしながら、海外におきましてもこういう通信会社は非常に公益性が高い。

 国が保有し続けているような海外の事例というのは御存じでしょうか。

吉田(眞)政府参考人 海外の事例につきまして網羅的に承知しているわけではございませんけれども、恐らく、国によりまして、さまざまな制度的な背景、あるいは歴史的な事情等によって区々さまざまであろうかと存じますが、例えばドイツやフランスなどにつきましては、一定程度、主要な受託事業者の株式の一部を政府が保有するというふうに承知をしております。

木内(孝)委員 いろいろ法的措置を講ずれば、そうしたリスクを十分に回避できるということは明らかでございます。

 私は、政府が三分の一超を保有する意味は全くない、同じく株式市場、資本市場は官僚統制経済の結果こういう状態が続いているというふうに見ている、これが構造改革のおくれの証拠だというふうに見ている。そういう認識、これが正しいかどうかというのは、またいろいろ意見はあるかもしれません。しかしながら、こうした形で構造改革がおくれているというのは間違いないと思います。

 続きましてお伺いしたいんですが、日本政策投資銀行と商工中金。

 これは、リーマン・ショック、震災がございましたので、危機対応ということで完全民営化の方針を一旦延期して、ことしの三月までにこれをどうするかという方針を決めました。ペーパーを見ると、一応、完全民営化の方針は、旗はおろさないというようにも読み取れはしますけれども、また再延期で、実質的に民営化は骨抜きになっているのが実情でございます。

 これは、二〇〇五年、二〇〇六年のころに完全民営化の方針が決められて、結局、十年たってもなお、これも民営化されないというのが現時点の状況です。もちろん、危機対応ということで、当時、震災直後、東京電力さんに貸し出しをしないといけないとか、いろいろな状況は理解していますし、DBJさんあるいは商工中金さんの役割については高く評価しているところです。だからといって、民営化をやめる意味というのが到底理解できない。これも、ある日気づいたら、構造改革の路線というのが明らかに今逆行しているのではないか、そのように私は感じております。

 DBJ、商工中金、所管は別々でしょうけれども、本当に民営化を延期しないといけないんでしょうかということを改めてお伺いしたいと思います。

迫田政府参考人 お答えをいたします。

 五月十三日に改正政投銀法が成立をいたしておりますけれども、その中身で申し上げますと、成長資金供給業務を実施する間は政投銀株式の二分の一以上を政府が保有、そして、危機対応業務を義務づける間は同株式の三分の一超の保有義務ということで法律上措置をいたしておるわけでございますけれども、一応、政府保有株式の処分ということについて言いますと、附則の第二条で、「できる限り早期にその全部を処分するものとする。」ということもまた法律に明記をしてあるわけでございます。

 それで、先ほどの二分の一以上あるいは三分の一超の保有義務につきましては、これは、当面、政投銀に求めます成長資金供給あるいは御指摘のあった危機対応の機能、そういうものに着目をいたしまして、それに伴って必要となる株主総会での議決権を確保するという考え方に基づくものでございまして、具体的には、今後、民間株主が参画してくることを考えますと、法律により政府が政投銀に求める役割と政府が保有する議決権のあり方、この間に整合性を確保する、そういう観点から定めておるものでございます。

佐藤政府参考人 商工中金についてお答えを申し上げます。

 本日午前中に行われました参議院本会議において成立いたしました株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案では、将来的な完全民営化の方針は堅持しつつ、民間金融機関による危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金が危機対応業務を的確に実施するために、政府に対して必要な株式を保有することを義務づけているものでございます。

 それで、保有株式を売却したらどうなるかという御質問でございますが、仮に政府保有株式を売却した場合、商工中金自体の格付の低下により資金調達コストの増加につながり、危機時はもとより、平常時につきましても、中小企業金融の円滑化という商工中金の役割を果たすことが困難になるおそれがありまして、このような改正案が成立したというふうに承知をしているところでございます。

木内(孝)委員 今の御説明は、要するに、日本の経済は市場経済が機能していない、させないという宣言に、申しわけなく聞こえてしまっております。

 今回のDBJあるいは商工中金の話というのは、資本市場も物すごく深く見ています。全銀協の説明では、例えば、政投銀は非常に震災のときもいい役割をしたというような前向きな答弁も出ているのは事実なんですが、これはあくまでも、バッドローンを押しつける箱ができたからという意味で評価をしているという内部からの声もございます。したがいまして、正直申し上げて、市場主義からかけ離れた官僚統制型の経済を続ける、まさに象徴的なDBJであり、商工中金だと私は思っています。

 私は、DBJさんがやっている役割、商工中金さんがやっている役割、非常に役に立っていますし、それはそれで、繰り返しになりますけれども、評価しています。なぜ民営化させちゃいけないのか。それは金利が上がるかもしれない。そうしたら、金利が下がるようないい仕事をすれば、きちっと市場原理が働いて金利は下がります。

 特に、二〇〇六年当時ですか、これは全く関係ない話なのかもしれませんけれども、当時の小泉元総理が、相当いろいろ内部でも意見が分かれる中で完全民営化の方針を決めたというふうに私は理解しております。その十年後、今こうしたいろいろな話を聞いてみて、私は当時の構造改革路線が、明らかに逆行しているというふうに感じているわけですけれども、もし、大臣政務官、この件につきまして御所見がございましたら、ぜひお聞かせいただければと思っております。

小泉大臣政務官 完全民営化ということは変わっていないので、そこは逆行とまで言えるかというのはさまざまな議論はあると思いますが、方向性として、民間主導の経済をつくる、そういったことは今も全く変わりはないと思っております。

 それに、小泉内閣のときの構造改革特区という特区もありましたが、その構造改革特区と比べても、今の国家戦略特区というのはバージョンアップ型の特区制度もありますので、やはり、民間の活力をどうやって生かすのか、これは不変だと思っております。

 そして、今私も中にいますが、政府というのはほっておけば肥大化してしまうものだと思うので、それを常に意識しながら、どうやったら民間を生かすことができるか、これは変わっていないと思います。

木内(孝)委員 丁寧な答弁、ありがとうございます。

 いろいろ今幾つかあって、一つ一つ進めるのはそう容易ではないのは承知しておりますけれども、せめて、日本たばこ、残り三三・四%、何らかの葉たばこ業者さんへの支援措置は講じることをすれば、三兆円の資金が売却できます。これはぜひ実現していただきたいと存じます。

 続きまして、政府資産の売却に関連してですけれども、国有地もいろいろ残っているかと思いますけれども、それの過去三年程度の売却状況、今後の売却見込み、土地の価格もまあまあ上がっておりますので、その状況についてお聞かせいただければと思います。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 国として保有する必要のない未利用国有地につきましては、従来から積極的に売却に取り組んできております。未利用国有地のストックは、その結果、現在大幅に減少してきております。また、フローの売却収入も、平成二十二年度までは減少基調で推移してきておりました。

 こうした中で、御質問にございますように直近三カ年の国有地の売却実績でございますけれども、国家公務員宿舎の削減に伴う跡地等の積極的な売却に努めた結果、二十三年度で七百八十九億円、二十四年度で九百九十六億円、二十五年度で一千二百九十七億円と各年増加してきておるところでございます。

 今後でございますけれども、税外収入確保の観点から国有地の売却は重要であると認識をしてございまして、今後とも、社会福祉目的などの公的なニーズに対応した定期借地権などの有効活用にも配意しながら、積極的に売却に取り組んでまいりたいと考えてございます。

木内(孝)委員 政府資産の売却、続いて、しつこくて申しわけありませんけれども、空港についても、売却状況、あるいは、運営権等の売却等の取り組みの御努力をなさっていると理解しております。

 成田空港、中部空港、関空、三つございますけれども、それぞれどのような状況か、お聞かせいただければと思います。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、成田国際空港株式会社の株式につきましては、同社の経営のあり方について、平成二十三年四月八日に閣議決定した規制・制度改革に係る方針において、今後、首都圏空港における容量拡充の推移等も踏まえ、所要の検討を行うこととされております。

 続きまして、新関西国際空港株式会社につきましては、経営統合法において、株式売却でなく関西空港、伊丹空港の運営権の売却、いわゆるコンセッションを実施するとされておりまして、現在、鋭意手続を進めてございます。

 中部国際空港株式会社につきましては、中部国際空港が開港後十年を経過したばかりであり、今後の需要動向を踏まえつつ、同社の長期的な経営計画あるいは財務状況等を見きわめながら、国と地元関係者が協力して経営改善などに向け取り組みを充実させていく必要があることから、現時点においては株式の売却を予定しておりません。

 以上でございます。

木内(孝)委員 関空の運営権、コンセッションの売却は、価格はまだ決まっているかわかりませんけれども、大体、見込みの価格を教えてください。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 関空のコンセッションにつきましては、現在、市場関係者といろいろ対話を行っております。

 という状況でございますので、売却の値段等は、その辺の、売却の対話にかかわってきますので、お答えを、申しわけございません、差し控えさせていただきます。

 手続的には順調に進んでおります。

木内(孝)委員 ありがとうございます。

 必ずしも私は株式の売却にこだわっているわけではなくて、こうした形でのコンセッションの販売につきましても評価をさせていただいております。

 一説によりますと、その期間は長い、四十五年程度で二兆円を超えるというような話もございますけれども、最終的な価格は別としまして、それぐらいの価格で売れるということでございますので、引き続き御努力いただければと思っております。

 また、続いて政府資産の売却ですけれども、高速道路の売却につきましてはどのような状況か、お聞かせください。

黒田政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路株式会社の株式についてでございますが、平成十五年十二月二十二日、政府・与党申し合わせにおきまして、「会社は将来、株式の上場を目指すものとし、その時期、方法等については民営化後の経営状況等を見極めた上で、判断する。」とされているところでございます。

 高速道路株式会社の株式の売却につきましては、高速道路の債務の返済を初めとする経営の状況を見きわめた上で、また、出資をいただいております地方公共団体とも調整しながら検討していくことが必要であると考えております。

木内(孝)委員 いろいろ御努力いただいてありがとうございます。

 国際金融センター化は、本当に税制面等いろいろ足かせがある中で、今、短期的、即効性のある、実効性のあることをやるには、今申し上げているようなこと、これをほとんど、私は進められないものは何一つないと思っております。全部が全部ではなかったとしても、それのうちの二つ三つ進めるだけでも、ああ、大分構造改革は進んでいるんだなということで、東京の国際センターとしての機能が強化された、そのような評価をもらえるものだというふうに私は考えております。

 法案の中身から一部ずれはあったかもしれませんが、お手伝いさんを雇えるようにするとか外国人のお医者様を雇えるようにするとか、そういうのも非常に結構で、丁寧な、大事な作業ではあると思いますけれども、やはり、今これだけの危機的状況の中で、国家戦略特区の中から出てきた法案で金融センター都市の強化に資するものというのは残念ながらほとんどなかったということで、私はあえて、最近も仲間といろいろ話していましたら、この程度のことができなくて一体どうやって活性化させるんだ、そういう私の仲間の思いを入れて質問させていただきました。

 最後に石破大臣から、もし何か、今のやりとりを全部総合してコメントがあればいただければと存じます。

石破国務大臣 海外投資が日本経済に占める対GDPですが、百九十九カ国中百九十六位であるというのは、これは意外と人が知らない話であります。日本よりも下というのはネパール、アンゴラ、ブルンジだけでありまして、これは一体何なんだということを、やはり私ども、もっと真剣に考えねばならないことだと思っております。

 海外からもっと投資していただけるようにするためには、いろいろな規制緩和も必要でしょう。また同時に、我々の側が海外に打って出て、どうぞ投資してちょうだいねということをどれだけ言ったかというと、甚だ怪しいと思っております。

 ですから、高い関税を張ってよそから物を入れず、国内でカルテルみたいなことをやっていたら、産業は一般的にはうまくいかないのでありまして、これから先、総理が昨年ニューヨークで発言をしたこともございますが、いろいろな自治体において、海外に対して、例えば、和歌山県に投資しませんか、京都に投資しませんか、青森県に投資しませんか、そのときになってみて一体何が足りないのだということは我が事としてわかってくるだろうと思います。

 東京のみならず、いろいろな地域においてうちに投資してねというのは、別に今に始まった話じゃなくて、昔から日本に対する投資というのはなかったと思います。それは日本が独特の技術なりスキルなりを持っていたということもありますが、これから先はそれでは通用しないということですので、また委員のいろいろな御見識を賜りたいと存じます。

木内(孝)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 昨日も大臣とは、私ながらにはいい議論ができたなというふうに思っておりますけれども、きょうも引き続きよろしくお願いをいたします。

 こういう午後の時間帯になってきて、だんだん睡魔に襲われそうな方々もいっぱいいらっしゃいますけれども、目の覚めるような議論とまでいくかどうかわかりませんが、しっかりとやっていきたいというふうに思っています。

 きのうも大臣との質疑の中で話題に出た教育の部分なんですけれども、違うところ、予算委員会とかでも地方創生にかかわって、地方創生は雇用とかも大事ですが、やはり教育、人づくりこそ地方創生の根幹だというふうに私は思っています。

 教育のあり方、これは、残念ながら、人口の格差によって教育条件、また背景の格差も出てしまっています。

 私の地方議員時代も、また国会の中でも、三十人学級だ、三十五人学級だ、四十人学級だなんという話もあるんですが、大体、山間部の学校はもうそんな話でもなくて、学校全体で三十人なんだとか、そういう状況下にあります。

 今も修学旅行生がたくさん来ています。私の地元からも来ていますけれども、学校全部でこれですかと言うと、二十人だとかということがあったり、一学年で十何人だというのもあったりしていく中で、統合もしたりして町や村で努力したとしても一学級数名だという状況下も、全国に多々見受けられるわけであります。

 そこで、人材をどう育てるか、非常に大事な地方創生の観点から、小規模自治体の小規模の学校において教育をしっかり担保していかなきゃいけない、質を向上していかなきゃいけないということから、今、現時点でどのようなものが課題で、それに対してどう取り組んでいるのか、お聞きをいたします。

丹羽副大臣 御質問ありがとうございます。

 小熊先生の、今ちょうど国会の方も修学旅行の見学シーズンでございまして、私も子供たちに触れ合う機会があって非常にうれしく思います。

 小規模学校のさまざまな課題というのは一概には言えないというふうに思いますが、やはり、学校運営上の問題といたしましては、例えば、クラスがえができずに人間関係が固定化してしまうとか、また集団行事、大きな運動会が開催できないとか、あとは部活動の種類が限られてきたり、さらには授業で多様な考え方を引き出しにくいとか、さまざまな課題も生じているというふうに思っております。

 そういった中で、今後、小規模学校を統廃合するに当たり、やはり地方創生においても、学校が核としてその地域に対してどのようなコミュニティーをつくっていくかということ、これが本当に大きな問題でもあるというふうに考えております。

小熊委員 課題は、今言われたとおりです。私も町の教育長とか学校の先生としゃべると、今言った、クラスがえができなくて競争性がなくなる。

 そういうちっちゃい中学校、小学校が来たら、本当に純朴なのでいいですねと言ったら、小熊さん、それはいいんだけれども、こういう子たちは社会に出たときにちょっと弱いんだ、ちゃんとする子もいるけれども、やはりなかなか臆してしまう子供たちになる。

 別にマンモス校じゃなくても、文科省も標準規模は十二学級と言っていますけれども、小学校であれば二クラス、中学であれば四クラスですかね、というところが理想なんでしょう。そういうところで、クラスがえがあったり、いろいろな多様な人間関係の中で学んでいくものも多い。また、学校の教員配置においても、少なくともいろいろな幅ができてきますから、それが制限されてしまうという中では、やはりある程度の規模が欲しい。

 ここで、私はちょっと文科省で検討していただきたいのは、私は小学校のときは十二学級だったんです。二クラスで六学年までありました。中学校へ行ったら、四つの小学校が集まって、一つの町で一つの中学校でしたけれども、九学級です。十二学級以下と一くくりに言えないと思うんですね。十二学級以下でも、私が通った中学校のように九学級の場合、あと三学級の場合、二クラスで三学年で六学級の場合とは背景が違いますから、十二学級以上十八学級以下とか大くくりではなくて、もうちょっと細かくやって、市町村に対しての教育のあり方というのをしっかり支えていくということをしていかなきゃいけないと思うんです。

 特に、十二学級以下なんというのは地方に行ったら多いですよ、一つの学校。そういうきめ細かな視点というのを持つべきじゃないですか。そうじゃないと、それに対する施策も反映できませんから。そういうふうに、ちょっと十二学級以下のところをもう少し細かく割り振りをして、視点を持つということに対してはどうでしょうか。

丹羽副大臣 ありがとうございます。お答えさせていただきます。

 十二学級以下、いわゆる小規模校を活性化させるためには、小規模という特性を最大限生かす方法もあるというふうに思っております。課題をできる限り緩和する方策を講じる必要もあるというふうに思っております。

 ことし一月に策定いたしました公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引におきまして、小規模の特性を生かす観点から、個別指導や繰り返し指導の徹底、学校全体での年齢の違う子供たちの協働学習の実施、さらには総合的な学習等における個人課題の特定、また地域との密接なつながりを生かした特別な教育課程の編成など、さまざまな工夫をやらせていただいておりますが、さらに、やはりこれからはICTを活用した授業等も活用できるかなというふうに考えております。

小熊委員 丹羽副大臣は真面目だから。役所のつくったトーキングペーパーはどうでもいいんですけれども。

 十二学級以下もいろいろなのがあるでしょう、いろいろなカテゴライズをしなきゃいけないんじゃないんですか。十二学級以下一くくりでも、さっき言ったとおり、一学年一学級で三つでも十二学級以下、二クラスずつでも十二学級以下、三クラスずつ三学年でも十二学級以下というのは、学校のあり方が全然違うわけです。だから、それをちゃんと仕分けをして、そういう視点を持って、きめ細かな対応が必要じゃないですかということです。そういう視点では、十二学級以下一くくりじゃない区分けをしてやるべきじゃないですかという点について副大臣の答弁を求めたんです。

 もう一回お願いします。

丹羽副大臣 繰り返しになるかもしれませんけれども、小中一貫教育の導入により一定規模の集団規模の確保、委員おっしゃるように、いろいろな規模の十二学級というのがあるというふうに考えております。そういった中で、規模を、無理に統合させたりすることも、もちろん地域の自治体の財政力等もございますけれども、そういった観点からも、やはりその地域に即した学校規模をつくっていくことが大事かなというふうに思います。

小熊委員 ちょっと次に進みますけれども、きのうも石破大臣と広域連携という話が出ました。これは本当に、小規模自治体、これからいろいろな分野で広域連携していかなきゃいけないと思います。

 既にもう昔から、消防とかごみ処理とか、新たな時代になって介護保険とかも広域でやっていたりしますけれども、今言ったように、本当に、自治体の判断もあるんですけれども、町の中、村の中で統合しても一学年十人しかいないというところで、教育が大事だ、地方創生が大事だという中で、これはやはりちょっと酷な話です。

 うちの田舎でも、Iターン、Uターン、Jターンを促進していて、結局、二十組ぐらい来た家族が、五年たったら一組しかいなくなったという話があって、雪深いところですから、やはり雪でだめなんですかねと地元の人に聞いたら、教育だと言うわけです。

 さっき、これまでの質疑の中で海士町の取り組みがいろいろ出ていますけれども、あれも、雇用の話が出ていますが、やはり教育の部分もしっかり町としてやっていたから若者が安心して行くわけですよ。

 私も地元の人としゃべっていて、複式学級になるような地域にはやはり住みたくないと。例えば私の出身の喜多方市でも、そういうところだって町中に出てきてしまう、そういう傾向があるというふうになっていますから。

 学校のあり方というのは、人を呼び込む、人を戻してくる、若者を定着させていく、そこで安心して子供を産み育てていくという中においては、本当にこれは、確かに学校が地域からなくなると大変なことになるんですけれども、でも、学校は、一番の目的は子供たちの教育のためですから。ということを考えれば、大臣は広域的な視点ときのう言われましたけれども、教育の分野においても、近隣町村でまあまあの規模をつくっていくという選択肢も選べるように制度的に検討しなきゃいけないんじゃないですか。そうした考え方についてどうでしょうか。強制ではなく、選択肢として用意しておくということです。

丹羽副大臣 小熊先生の御質問にお答えさせていただきます。

 先ほども申しました、小規模の学校に対して、さまざまな工夫の中で、例えば小規模校支援のための教員の加配、さらには、スクールバスを活用した、学校の子供たちの安心と安全につなげていく、これは、スクールバスというのはもちろん山間地なんですが、島とか離れたところにおいてはスクールボートというものの購入費の補助とか、また、小規模校の教育活動の高度化も肝心、大事かというふうに思っております。小規模校だからのほほんとする教育だけじゃなくて、やはりしっかりとした教育を、教育の質を高めていく、そういったモデル事業も生かしながら、支援の充実を図っていく予算も文部科学省としてはしっかり取り入れていきたいと考えます。

小熊委員 今やっていることは、それはいいんです。ただ、どうしても、現場の声を聞いても、地域の人たち、親御さんの声を聞いても、やはり量的な問題というのはそうやっても解決はできないんです。それは小規模校に対する支えであって、量の解決にならないんですね。どうしてもやはり、規模があるがゆえに達成される条件というのがあるわけです。ですから、今の小規模校に対する支援は、それはそれでいいんですけれども、一つの選択肢として、広域的な連携のもとに小中学校を運営するという選択肢も検討すべきじゃないですか。

 大臣、きのう、広域連携はいろいろなことで大事だと言っていますから、こういう教育の分野においての広域連携というのは、大臣はどういう見解を持っていますか。

石破国務大臣 これは今副大臣からるる答弁があったとおりでございますが、今の制度でも、当然、市町村を越えた学校の運営というのはございます。平成の大合併前ですが、私の選挙区でも、三つの町村が一つの学校を運営いたしておりました。

 ただ、私、教育の問題は余り存じ上げないのですが、では、どの辺が適正なのかねというのは難しくて、少なければ少ないほどいいのかというと、そうでもあるまいて、多ければ多いほどいいのかというと、そうでもあるまいて。

 もう一つ、これは確かなこととして言えるのは、地域から学校がなくなっちゃうと、かなりその地域の衰退にドライブがかかりますので、やはり、学校というものを残していきながら、どうやってそこにお子さんをふやしていこうかねというのが、結果として、地域創生の結果はそういうことなんだと思います。学校がたとえ休校ということになったとしても、子供たちがまたやってきてその学校が再開できる、それが地方創生の究極の目的として結果としてはあるような気も、私はいたしております。

 ですから、直接のお答えを申し上げれば、市町村、行政単位を越えた学校の運営というのは当然あり得るし、そういうことも思考していくのは大事なことだと思っております。

小熊委員 今大臣が言っていた方向性、これはまたしっかり、それは選択肢の一つ、選択するのは結局地域ですから。

 大臣の言った、確かに、地域からなくなる、さらに拍車がかかるということなんですが、でも、私は、大臣は易しく言い過ぎているなと思います。現状は、日本全体が人口が減っていくので、もう一回そこへ戻ってきて、そこに移住者がふえて、複式学級の学校がまた普通の学校に戻るなんというぐらいの時間が残されているとは思いません。逆に、そういう複式学級の状況をつくるからこそさらにどんどん人が出ていってしまうということで、これが一年、二年で解決できる問題ではありませんから。

 本当に、学校がなくなるとさらに拍車がかかるという側面もあるのも、私も認めます。しかし、それをふやして戻そうということもなかなか、現実難しいというのも一つの側面です。

 一番は、今言ったとおり、地域の活性化のために学校があるのではないんです、子供たちの教育がどうあるべきかです。そこの視点だけ第一義に置いて、その上で、本当に、地方で人をどう育てているか、安心して納得のいく教育が確立されるということが経過して、若い人たちが出ていかない、戻ってくる、定住をするということになると思います。

 私は、一つの制度に縛る必要はないし、一つの形に押し込める必要はないと思います。ただ、政治はやはり選択をしっかり用意して、あとの選択はそれぞれです。でも、今、こういう山間部、過疎地域においては選択肢が限られていますから、選択肢をきっちり用意していくということの方向性で、ぜひ多様な教育の機会が得られるような制度、支援体制をつくっていただきたいというふうに思っています。

 地方創生においての人づくりというのは本当に根幹でありますし、若い人たちが地方に定着するというのも、雇用もありますけれども、やはり、私も三人の子供がいますけれども、子供たちをその地域でどう育てていけるかというのは大きな観点ですから、ぜひここはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ただ、特に山村部での人口の減る率は加速度的ですから、そんなに時間をかけて検討すべきことでもありませんので、しっかりと、早急に決断もしながら、対応していっていただきたいというふうに思っています。

 次に移ります。

 文科副大臣は、あとはもう結構です。

 次に、さっき廊下で小泉政務官としゃべったら、それは大臣が行きましたよと言いましたけれども、大臣、鹿児島の鹿屋の「やねだん」という取り組みを見てこられた。小泉政務官もことし八月には視察に行きますと言っていましたけれども、小泉政務官が行ったのは、岩手の紫波町の取り組みでありました。いわゆる補助金に頼らないで地域活性化をしているというのが全国に幾つか事例があるわけです。

 私は、これは人の考え方、表現ぶりですから、全て否定するわけではありませんが、地方に光をとかという言葉は嫌いなんですよ。よく使います。我々政治の業界では、光を当てますと言うんですけれども、それは結局、上から目線で、中央集権の考え方なんですね。それぞれが光になればいい話であって。これは結局は、補助金を上げて、はい、はいというような発想に私は捉えられるので、地方に光をというのは、私はそういう言葉は使わない。皆さん自身が光になるように政治が何をすべきかということを考えますという言い方をしているんです。

 そういう意味では、これは全てが魔法のつえだとは思いませんけれども、補助金に頼らない、そういう行政に頼らない地方活性化というのは、私はやはり一番本来的なあり方かなというふうに思っています。

 まず、「やねだん」、大臣も行かれたわけでありますから、こうした補助金に頼らない地方創生についての御見解をお伺いいたします。

石破国務大臣 鹿児島県鹿屋市の柳谷集落、通称「やねだん」、これはぜひ一人でも多くの方がごらんになるべきものだと思います。

 そこで、ここの自治公民館長として地域再生に大きな役割を果たされた豊重さんという方の言葉を一言で言っちゃえば、補助金をもらえば地域がだめになる。これはずばっと言っていました。

 サツマイモを植えるところから始め、焼酎をつくり、土着菌で、周りに与える影響の非常に少ない畜産を営み、今はトウガラシをつくってみたいなことでありますが、そこにおいて、補助金というのは一円ももらっていない。そうであるがゆえに、その地域は、行ってみればわかります、委員が先ほどおっしゃっているような、子供がとにかくいっぱい出てくる。

 昔はこういう地域ばかりだったと思います。私は委員より少し年は上なのですが、自分が育った地域のことを考えてみると、お祭りにいっぱい子供たちが集まって楽しかったことを今でもありありと思い出しますが、こんな地域は日本国じゅうにあったのに、何でこんなことになっちゃったのだということは、やはり、そこにおいて、今の言葉で言えば、KPIも設定せず、PDCAサイクルも回さず、補助金が切れたらもうおしまいよというような経営をあちらこちらでやってきたのではないかというふうに思います。

 他方、では、島根県の隠岐諸島の中ノ島、あそこのカキの取り組みを見ると、最初の取り組みだけは補助金をもらってやっている。それは、岩ガキというものを養殖し、それが一年たっても二年たっても生とほとんど同じ鮮度を持って味わえるというのは、セルズ・アライブ・システム、CASシステムというのは非常に高いものだったので、最初の導入だけは補助金を使った。しかしながら、その後、それをいかにしてビジネスするかというのはきちっと考えている。

 だから、補助金が全部だめだと言うつもりもありません。また、PPPとかPFIの使い方もあります。補助金全て悪なのではなくて、それが切れたら、はい、おしまいよなのか、それを使ってどうやってビジネスを展開するのかということには、歴然たる差があると思います。

小熊委員 まさにそのとおりなんです。きょうはちょっと距離が遠いんですけれども、でも、中身はちゃんと近くなっていますから。

 今私も言おうとしたのは、補助金もそうなんです。滑走路としての補助金というのは、私もありだと思います。でも、今言ったとおり、私も秘書をやって、逆に陳情を受けていて、地方議員になって陳情する側になって、こんなことをしたって決してよくならないなと。補助金が切れれば終わってしまうということの方が、定量的に調べているわけではありませんが、数多く見ています。

 今回の地方創生についても、私、地元の首長さんたちとしゃべると、それは政府のことを悪く言っているんじゃないんです、ちょっと将来不安だと言うんですね。その予算がなくなるのであれば手をつけられないと。発想が補助金前提で、その補助金を使ってテークオフしようということでもないわけです。

 本来的な補助金のあり方というのは、私は、滑走路で、そこから後は自立していくというのが理想だと思いますし。まあ、本当にできるのは、補助金もなしで最初からやれちゃうというのも必要だと思います。

 だから、そういう意味では、過去の補助金というのも、大臣も今いみじくもおっしゃったとおり、切れたら終わってしまうというのも、失敗事例が累々としてあるわけですよ。これはやはりもう一回立ち返って見ていかなきゃいけない。

 残念ながら、私の地元の首長さんたちも、補助金が切れたらなくなるから不安だという、まだそういう中央集権志向、お上志向がしみついちゃっているので、こうした意識改革からやらなきゃいけないというふうには思います。

 内閣府の出している、東京圏への一極集中に関する論点ペーパーでも、国民意識の改革の観点というところがあるんですが、でも、そういうところは書いていないんですね、国民意識の改革は必要だということで項目は立てているんですけれども。

 こうした、他人任せ、他力本願思考というのを変えていくこと、精神的なものというのは非常に難しいですけれども、これはやはりやっていかなきゃいけないですし、今大臣おっしゃったように、「やねだん」みたいなところに行くというのも一つの意識改革にもなってくるというふうに思います。ここが本当に地方創生の、まさに自治体、地域の人たちの発想の転換をまずする、そこから始めないと、いろいろな制度をいじっても、結局は魂は入っていかないなというのは大臣も重々承知だと思います。

 そういう意味でも、地方に光をなんということで地方創生じゃなくて、まさに、抽象的な表現なんですけれども、俺たちが光になるんだというところからの意識、言葉遣いからも変えていくというのが私は必要だというふうに思います。

 民間での成功例とかというのは、これは官の人たちは情報収集がなかなかできにくいと思うんですよ、官からお金が流れていませんから。ですから、今回この質問立てをしたのは、大臣はこの意識はしっかりしておられるとわかっていましたけれども、情報収集がとりにくいと思うんですね、民間でやっていることですから。こういう民間での成功事例は超有名にならないとわからない。でも、見たら、意外と民間活力でやっていたというのはごろごろあると思うんです。

 省庁の方も、自分で補助金を出してから報告書は見ますから、そういうデータはたくさん見ているとは思いますけれども、民間だけで完結してしまっている地方活性化のいろいろな成功事例というのは、意識して集めないとだめだというふうに思いますので、ぜひそういうところの、補助金に頼っていないで成功しているというのを、情報収集にぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思っています。

 また、この失敗事例もしっかり、今もコンパクトシティーというのに取り組んでいますけれども、ちょうど私も地方議員のときに、富山だ何だと成功事例はあったんですが、思い出してみると、同じころ言われたのは、東北では青森があったんですよ。これも失敗しちゃっているわけですよ。今赤字で大変になっている。やはり、失敗から学ぶということもありますから、しっかりその情報収集というのはやっていかなきゃいけないなというふうに思っています。

 時間があれなんで、次に移ります。

 地方創生、先ほど民主党の階議員も東日本大震災の中での地方創生を語りました。小泉政務官が復興から地方創生と言ったんですけれども、ちょうど起きた年に、縁があって、元官房副長官の上野公成さんの勉強会に行ったら、阪神・淡路大震災当時の国土事務次官の三井さんという方の勉強会に参加することができて、勉強会が終わった後ちょっと二人きりでお話しする時間があったので聞いたら、とにかく阪神・淡路の成功体験を生かせるものもあるから、これはしっかり勉強して、何かあれば相談に乗りますよ、ただ最大違う点がある、都市の災害と地方の災害だ、復旧復興というけれども、復興どころか復旧に持っていくまでだってこれはなかなか大変だよ、過疎化が進むよということをその当時から三井さんはおっしゃっていました。

 結果として、今そうなっています、仙台は別ですけれども。あと、福島県のいわき市も、ちょっと異様な状況なんですが。

 原発事故がなくても、三陸とか宮城県のさまざまな周辺町村というのは進んでいます。そういう震災のハンディを負いながら、その中でまた地方創生も果たしていかなきゃいけないという意味では、ほかの災害地でない地域とはポテンシャルの違いが出ています。

 そういう意味では、復興政策はありますけれども、まさに地方創生という観点でも人口流出が加速しているわけです、ほかの地域よりは。今、人口減少の中で、進んでいってしまったわけです。これを何とかしっかり捉えていかなきゃいけない。より強く人口流出対策をしないと、ほかの中山間地域とか人口流出地域と同じことをやってもだめだと思うんですね。

 復興政策があるじゃないかと。それでももっと深掘りしていかなきゃいけないというふうに思うんですが、大臣、その辺は。ちょっと雑駁なあれですけれども。

石破国務大臣 これは竹下大臣あるいは小泉政務官からお答えするべきことだと思いますが、それは、復旧で同じものをつくっても多分だめなんだろうと思います。

 だから、震災発災当時、私は野党の政調会長でしたが、これを新しい日本のモデルにするんだ、復旧ではなくて、復興というのは、農山漁村であり、あるいは過疎地域であり、日本国こうあるべしというモデルをここにつくるんだということで、当時の菅政権、あるいはその後の野田政権ともいろいろな議論をさせていただきました。そういうようなつもりで私どもは取り組んできましたし、政権をお預かりするようになってからもそうであります。

 と同時に、これから先、福島の場合には特に原発被害がございますもので、これから十年先、二十年先に、雇用はどうなる、土地の値段はどうなるということに直面せざるを得ない。どんなに高い理想を掲げてみたところで、原発がそんなに簡単に収束するはずもないでしょう、雇用が回復するはずもないでしょうというところに政府として何らかの決断を示していかないと、かえって時間が過ぎるばかりで、その地域にとっても、人々にとっても何一ついいことはないということだと思っております。

 ですから、新しいモデルを示すというときに、そこに、どういう人たちがそういう状況、全く今までと違う状況、例えば漁業にしてもそうです、農業にしてもそうです、全く新しいモデルに賛同して一緒にやろうねという人たちをどれだけつくるか、そんなものにはとてもついていけないという人たちに対してどうするかということでなければ、新しい日本の姿を描くことはできないという、一種、何か非情な部分を含みますけれども、そういうことでなければ新しい日本を被災地から展開することはできないのではないか。

 そして、新しい日本をつくっていかなければ、被災において命をなくされた方、あるいは多くの傷を負われた方々に対して申しわけないのではないかという思いを、私は発災以来ずっと抱き続けておるところでございます。

小熊委員 最後になりますけれども、私のところは原発から大分遠く離れていますが、風評被害とかいろいろ、これも深刻な状況ですけれども、私のところは会津ですから、百四十七年前、戊辰戦争からもしっかり立ち上がった。でも、そこはやはり、日新館の流れをくむ教育、人を育てるという風土が日本の中でも本当にピカ一で残っているというふうに私は思っています。

 そういう意味でも、先ほど冒頭の質問のとおり、しっかり人づくりをしていく、そして自分自身たちが光となっていく、自立をしていく、まさにその精神で私も頑張っていきたいと思いますので、また引き続き議論をよろしくお願いいたします。

 以上です。

鳩山委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十六分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回質問で取り上げた大阪における住民投票は、約七十万五千対六十九万五千と一万票余りの差で反対が勝利し、大阪市の廃止分割は辛うじて食いとめられました。

 私は、この住民投票に示された大阪市民の皆さんの良識と、大阪市を守れという一点での党派や立場を超えた共同に、心から敬意を表したいと思います。

 同時に、投票率は六六・八三%と、有権者の三人に二人が投票に参加をいたしました。この住民投票の実施に至る経緯については到底賛成できるものではありませんが、百四十万人を超える市民が、百二十六年の歴史と伝統がある豊かな文化を育んできた大阪市を本当になくしていいのかと一人一人市民が真剣に考えた結果が高い投票率にあらわれたと思います。これは、賛成、反対いずれに投票したかにかかわらず、大阪市民にとって、自分たちの町の未来をみずから選び取る、地方自治の担い手としての行動だったと思います。

 そこで、大臣にお伺いするんですが、ここにこそ、都市部、中山間地を問わず、町を再生、創生する力があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それは委員のおっしゃるとおりです。

 さきの統一地方選挙で、極めて投票率が低かった。同時に、無投票あるいは定員割れみたいなことが起こった。地方の自治あるいは地方の政治に国民は無関心だという話ですが、決してそうではないのだということでございます。

 ですから、今回の地方創生もそうですが、いろいろなお立場はおありかと思いますが、本当に住民の方々に論点をわかりやすく提示すれば、必ず住民の方々は応えていただけるということであって、このような形で住民の方々、主権者の方々がきちんとした意思を表示されるということは、私どもの方も、いかにして論点を提示するかということについて大きな示唆を含むものだったと思っております。

宮本(岳)委員 大臣は、前回の私の質問でも、統治機構を変えれば全部がバラ色になるというような錯覚に陥ってはならないという答弁をされました。私ももちろん同感でありますけれども、私は、今回の住民投票を戦ってみて、この統治機構論というものについて深く考えさせられました。

 統治機構改革というわけですけれども、なるほど、統治する側は、二重行政だとか、効率がよいとか悪いとか、いろいろ言うわけです。しかし、そもそも、人は統治されるために生まれてきたわけではありません。統治されるためにそこに住んでいるわけでもありません。統治の都合などとは関係なくそこに生まれ、そこに育ったわけであります。暮らしているわけであります。だから、統治する者の、統治する側の都合で、こうした方がよいとか、ああした方が効率的だ、こう言うわけですけれども、それは少し違うのではないかということを強く感じました。

 そうではなくて、やはり、そこに生きる人の暮らしをどう支えるか、そこの人々の住民としての主体的な力をどう発揮してもらうか、これこそまさに地方自治の本旨の内容だというふうに実感するわけですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 それもそのとおりでございます。

 ですから、私の理解が浅薄なせいかもしれませんが、住民に身近な自治体でいろいろなことを解決すべきだというのは、原則論としてはそのとおりでございます。一方において、二重行政の打破というか弊害除去という論点があって、それと統治機構がどのように関係するのかということがうまく議論としてかみ合っていなかったのかなという感じがいたしております。

 すなわち、大阪府という大きな自治体を廃して特別区をつくるのです、そこの区長さんは住民が選ぶのです、そしてまた議員も住民が選ぶのです、それはそうでしょう。そうすると、では、大阪府との間の二重行政は生じないのかといえば、それはそんなことはないはずだと私は思うのですね。

 そういうようないろいろな素朴な疑問というものがあって、統治機構さえ変えれば何でも魔法のように解決するわけではないということにどう応えるか、それはやはり住民の意識であり、そしてまた自治体を運営する者の意識の問題であって、統治機構が必ず論理必然的にそういうような問題を解決するわけではございません。

宮本(岳)委員 そういう意味では、賛成に投じられた方も七十万人近くおられた。つまり、今のままの大阪市に対する不満というものは非常に高いわけですね。

 ですから、私たちは、大阪市はなくすのではなく、よくしようではないか、こう訴えてきたわけですから、当然ここで立ちどまるわけにいきませんから、本当に、今度の住民投票で賛成も反対も両方お示しいただいたその力で、しからばどういう大阪をつくるのかということにしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 それで、住民投票の結果、大阪都構想というものにはひとまず終止符が打たれました。しかし、私は、大阪からこういう議論が出てくる背景ということを考えたときに、総務省を初め政府がこの間一貫して進めてきた自治体政策があるのではないかということをきょうは議論せざるを得ないんです。

 石破大臣は、昨日、我が党の田村貴昭議員の質問に答えて、こういうような制度があるから地域がそれに合わせるのではなく、そこの地域に合わせて制度を組み立てる逆の発想が地方創生には必要だ、こう答弁をされました。

 しかし、今まで政府がやってきたことはどうだったか。

 例えば、今回の連携中枢都市圏構想の土台になっているのは、言うまでもなく、総務省が打ち出した地方中枢拠点都市構想と定住自立圏構想であります。そして、これらは、その前に進められてきた、いわゆる平成の大合併の結果とその総括を受けたものにほかなりません。

 二〇〇〇年に、当時の与党であった自民党、公明党、保守党の与党行財政改革推進協議会において、「基礎的自治体の強化の視点で、市町村合併後の自治体数を千を目標とする」との方針が打ち出されますと、税制の優遇から合併特例債による誘導、住民投票まで導入して大々的に市町村合併というものが進められました。二〇〇五年以降は、合併特例法までつくり、国や都道府県の関与のもと一層強力に推進をされました。

 そこに追い打ちをかけたのが小泉内閣の三位一体の改革であります。地方交付税を二〇〇四年から二〇〇六年の三年間で約五兆円も削減するというもので、これが自治体に対するいわばおどしの効果を持ちました。

 先ほどの合併特例債に代表される手厚い財政措置の期限が二〇〇五年度までの合併となっていたこともあって、駆け込み合併と言われる雪崩現象が生じまして、その結果、一九九九年三月に三千二百三十二あった市町村は、二〇一〇年三月には千七百三十へとほぼ半減をしたわけであります。

 以上が、総務省が二〇一〇年三月五日に平成の合併についての総括として取りまとめた「「平成の合併」について」に書かれた内容でありますけれども、総務省に聞きますが、この報告書の四ページでは、総務省自身が「財政的な理由で合併を選択する市町村が多かったと考えられる。」と述べておりますが、事実でありますね。

佐々木政府参考人 お答えを申し上げます。

 市町村合併の背景としてはいろいろなことがございますけれども、財政措置がいろいろと講じられたということもございますし、また、財政状況が非常に厳しかったということも一つの背景にあったというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 そのように分析をしております。

 その上で、この文書では十ページで平成の合併の評価を行っております。そこでは、行政側の評価と住民側の評価が必ずしも同じものとはならないことを指摘するとともに、全国町村会が二〇〇八年十月にまとめた「「平成の合併」をめぐる実態と評価」にも触れております。

 そこで、総務省に紹介していただきたいんですが、住民の反応はどうだと言っているか、また全国町村会の評価はどうだったか、お答えください。

佐々木政府参考人 委員御紹介いただきました総務省の公表の「「平成の合併」について」におきまして、まず住民の反応につきましてでございますが、「「合併して悪くなった」、「合併しても住民サービスが良くなったと思わない」、「良いとも悪いとも言えない」といった声が多く、「合併して良かった」という評価もあるが、相対的には合併に否定的評価がなされている。」こういったような記述がございます。

 それから、全国町村会の評価につきましては、平成二十年十月に「「平成の合併」をめぐる実態と評価」をまとめておられまして、「「平成の合併」について」の中では、「その中で、合併によるプラス効果として、「財政支出の削減」、「職員の能力向上」を挙げる一方、マイナス効果として、「行政と住民相互の連帯の弱まり」、「財政計画との乖離」、「周辺部の衰退」を挙げ、「市町村を合併に向かわせたのは、財政問題、国・府県の強力な指導」であり、国の合併推進策の問題点を指摘している。その上で、今後の市町村の課題として、地域共同社会の実現が必要であるとしている。」こういった記載がございます。

宮本(岳)委員 全国町村会からも、国の合併推進策の問題点が指摘をされております。まさに大臣が昨日答弁された、制度に地域を合わせるというような面が批判をされているわけですね。

 この平成の大合併について、我が党の塩川鉄也議員が昨年の当委員会で、またことし三月六日の予算委員会で、平成の大合併は失敗だったのではないか、こういう趣旨の質問をしたのに対して、石破大臣は、物事には何でも光と影がある、合併すなわち全てだめだということにはならない、合併しなければどうなっていただろうかということも考えなければならない、こういう旨の答弁をいたしました。

 しかし、合併しなければどうなっていたかなどとのんきなことを言うわけですけれども、平成の大合併は、全国町村会が言うように、国の合併推進策によって現に強力に進められてきたわけですよ。そのときの理由もこの報告書にははっきり出ていますけれども、人口減少、少子高齢化等の社会経済情勢の変化や地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立を目的として進めるんだ、こう言われてきた。そして今、またこの地方創生ですけれども、相も変わらず、人口減少、少子高齢化等の社会経済情勢の変化というのが理由になっている。

 まずは、この平成の大合併、潔く失敗をお認めになるべきではないでしょうか、大臣。

石破国務大臣 それは、合併にもいろいろなスタイルがあったと思います。

 例えば、私の、日本で一番ちっちゃな鳥取県を考えてみたときに、三つの町が合併したというパターン、あるいは一つの市と一つの町が合併したというパターン、あるいは一つの市に多くの町村が合併したというパターン、いろいろなものがありまして、これは、例えば、似たようなサイズの町、村が三つ合併したというようなところは、いろいろな影の部分というのが余り感じられません。しかしながら、大々的に合併をしてしまったというようなところは、かなり影の部分というのが出ております。ですから、平成の合併全てどうやらこうやらという論評はやや正確を欠く。大変失礼な言い方で申しわけありませんが。

 どういう合併がよかったんだろうねというような考え方も私はあるべきだと思いますし、同時に、合併していろいろな影の部分ができました、あえて弊害と言ってもいいのかもしれません、では、それをもうとにかくこのまま朽ち果てるに任せるという話ではなくて、どうやってそれをカバーするやり方があるだろうかという議論もまたしていかねばならないし、委員の表現をかりれば、そんなのんきなことを言っていないでということだと思います。どういう手だてがあるんだということは、この地方創生の中でも議論をさせていただきたいと思っております。

 私は、農林水産大臣当時に、地域マネジメント法人というものが必要なのではないだろうかと。それは例えばJAでありますとか、土地改良でありますとか、社会福祉協議会でありますとか、あるいは郵便局でありますとか、そういう残っているインフラというものがあるはずであって、それを地域再生の法人としてNPOも合わせて活用できないかという法案を書き始めたんですが、残念ながら政権交代がございまして、まだ実現するに至っておりません。

 地域のいろいろな影の部分を救済するという形のいろいろな考えも、私は地方創生の大きなポイントだというふうに思っております。

宮本(岳)委員 いや、そうおっしゃるわけですけれども、第二十七次地方制度調査会にいわゆる西尾私案というものを提出して、平成の大合併を先頭に立って進めてきた西尾勝第三十次地方制度調査会会長御自身が、ことし三月四日の参議院国の統治機構に関する調査会に参考人として出席されまして、我が党の倉林明子参議院議員に、三位一体の改革は、結果を見て唖然とするような、こんなはずではなかったといいますか、惨めなる結果に陥ったわけで、大失敗としか言いようがない、こうお話しになりました。

 みずから進めた平成の大合併についても、もう少し昭和の合併の経験を踏まえて、編入合併される側の町村の小さな自治を大事にしていくという方策をもっとみんなが力を入れてやらなければいけなかったのではないだろうか、余りメリットのない結果に終わったんじゃないかと、これははっきり、国会に出てきて、議事録から私は今紹介したわけですから、こう語っておられます。

 大臣、なるほど、これからどうするかという議論は大事なんですよ。しかし、そのためにも、今までの平成の大合併と三位一体の改革については、やはりまずかった、失敗だった、まあ西尾さんもこうおっしゃるわけですから、そういう認識がなければ前に進まない、今度失敗しない保証がない、こう思うんですが、いかがですか。

石破国務大臣 それは、単独町で残ったところが、単独町だからもうだめなのさということではなくて、単独町で残ったところが、いろいろな困難な状況に直面しながらも、そこの町を維持するために一生懸命やっているという事例も日本国じゅうにございます。

 そこはもう、今までのように地方交付税できちんと財政的な調整もなされ保障もなされる、そして公共事業もとり行われる、それが、公共事業は激減し、そして三位一体改革によって地方交付税が大幅に減額になったという事態に直面して初めて、何をしなければならないのかということをみずから考えるようになった、三位一体改革なり公共事業の削減なりというのは本当にひどいと思った、自分の町はどうなってしまうんだということを思った、でも、そこまで来なければ新しく自分たちの町を自分たちでつくり直そうという機運は生じなかったであろうと言っておられるところもありました。

 私は別に開き直ってこの例が全て正しいとかそんなことを言っているわけでもありませんし、全部にそれが適用されるというわけではございませんが、私は、この地方創生の議論の中で、この委員会で主体的に扱うべきことかどうか、それは議会がお決めになることですが、地方交付税のあり方あるいは新型交付金のあり方ということを議論する際に、合併したところ、しないところがどのようになっていったか、それぞれの町が自分たちで自分たちの町をつくっていくという、委員が冒頭おっしゃいました、それぞれの地域の住民の方々が、自分たちが町の主権者であり、そしてまた町をつくっていくんだという意識を覚醒させるためにどのような財政措置や国の支援が必要かということもまた議論の対象として重要なことだと思います。

 ですから、全部正しかったとか開き直るとか、そのようなつもりはございません。全て物事は成功だったはずはないのであって、失敗事例に学ぶということも私は大切なことだと思います。

宮本(岳)委員 初めてそれでまちづくりを考えたという話でありますが、先ほどの住民投票だって、それでみんなが真剣に考えたわけですよ。

 ただ、そういうところへ追い込まれないと考えないので追い込むのだという話はないのであって、やはりみんなでそれを、追い込むとかじゃなくて、まちづくりを考えていくということが基本だと思うんですね。

 それで、失敗例を私は紹介したいと思います。

 私は、今月の初めに、二〇〇五年七月一日に旧浜松市を中心に十二市町村が合併し、二〇〇七年四月には政令指定都市に移行した浜松市を視察してまいりました。

 二〇〇二年、浜松市が、浜名湖を取り巻く四市六町に対し、環浜名湖政令指定都市構想を提唱したのをきっかけに、合併による政令市移行が目指されました。二〇〇三年九月、三市八町一村で法定協議会である天竜川・浜名湖地域合併協議会が設置され、二〇〇四年十二月、合併協定書に調印、十二市町村議会で合併関係議案を可決して、二〇〇五年四月には、南北約七十三キロ、東西に約五十二キロ、面積千五百十一平方キロメートルという大浜松市となりました。政令市としては日本最大の面積でありますけれども、このうち九百四十四平方キロメートルを占めるのが天竜区であります。一市三町一村、長野県の県境までを含む天竜区という広大な区が誕生することになりました。

 私は、この天竜区にも入りまして、この目で現場を見てまいりました。合併、政令市移行時の都市ビジョンは、環境と共生するクラスター型政令指定都市、つまり、各地域をブドウの粒のように一つ一つしっかり残し、それが房となって新浜松市を形成するというものでありました。そのために、旧自治体ごとの役場が地域自治センターとなり、それぞれ旧自治体ごとに地方自治法上の地域自治区を設置して、それぞれに地域協議会を設置いたしました。

 総務省に少し法的な関係をお伺いしますが、地方自治法二百二条の四に定める地域自治区というのはどのようなものですか。

佐々木政府参考人 地域自治区でございますが、地方自治法の第二百二条の四第一項がございまして、そこで、「市町村は、市町村長の権限に属する事務を分掌させ、及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため、条例で、その区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができる。」とされているものでございます。

宮本(岳)委員 合併協議会では、地域自治組織、組織内分権、一市多制度を掲げて、新市が目指す都市内分権を推進するには恒久的な制度の導入が必要だとして、設置期間の定めのない、今答弁のあった地方自治法上の地域自治区を設置いたしました。

 出発点では、区役所や地域自治センターが区や地域自治区にかかわる予算要求を行う際には、区協議会または地域協議会で協議した上で予算要求するという浜松型予算編成の仕組みと言われるものまで創設する徹底ぶりだったわけであります。

 ところが、この浜松市は二〇一三年に人口の社会減に陥ります。これは静岡全体の現象でもあり、県全体でも、静岡は北海道に次ぐ全国ワーストツーの社会減を記録しております。原因の一つは、これまで地域経済を支えてきたホンダやヤマハなど、輸送用機械や電機機械等の工場の閉鎖、撤退、縮小が相次いだこと、そして、もう一つは平成の大合併による影響ですね。

 総務省に聞きますけれども、浜松市天竜区の旧水窪町、旧龍山村、旧佐久間町は、平成二十二年国勢調査における人口は平成十二年比でそれぞれ何%減少しておりますか。

佐々木政府参考人 平成十二年と平成二十二年の国勢調査人口で比較いたしますと、旧水窪町におきましては三〇・七〇%の減少、旧龍山村におきましては二九・五三%の減少、旧佐久間町におきましては二四・二八%の減少となってございます。

宮本(岳)委員 この十年間で軒並み三割前後の激減となっております。

 私はこのうち、旧龍山村、旧佐久間町という二つの地域を訪れました。惨たんたる光景であります。地域の自治の担い手となるはずだった地域自治区や地域協議会は各区に集約され、各区役所は市の出先機関となりました。旧市町村単位に置かれた地域自治センターは、協働センターとして公民館的な役割になってしまっております。

 旧龍山村では龍山郷土文化保存伝習施設という建物を、旧佐久間町ではさくま郷土遺産保存館という建物を見せてもらいましたが、鍵がかかり、廃止されておりました。これらの施設は廃止される以前はどういう役割を果たしていたか。郷土の文化遺産を保存し、子供たちや住民に伝承するという役割であります。

 龍山郷土文化保存伝習施設には、村が農林業を中心に生活してきたこと、時代の流れとともに伝統的文化や歴史的産業文化財が失われようとしていること、こうした状況を踏まえ、龍山村に生まれ育った貴重な生活や産業文化を保存し、展示し、後世に残すために、そして脈々と続いた生活技術の伝承の場とするため、この施設がつくられたという、村長さんの書いた大きな看板が掲げられておりました。それが打ち捨てられている光景に本当に胸が痛みました。

 大臣、なぜこんな状況になっていると思われますか。

石破国務大臣 それは、合併する前は、そういうことがないようにということでいろいろな仕組みをつくったのだと思います。それが、浜松市は政令市ですから、天竜区というものができ、旧町村のところには多分支所みたいな形で、今までと遜色のない行政が行われるように、いろいろな効率化も図りながら、でも遜色ない行政が行われるようにというふうに企図されたのだと思いますが、実際に動かしてみると、今まで自分たちが選んだ村長さんや町長さん、あるいは議員の方々、そして、すぐ自分たちの身近なところにいる人々が職員となって働いていたのが、もう町長さんもいません、村長さんもいません、議員さんもいませんと。

 そこの行政の出先にいる人たちはあくまで出先でしかなくて、これはさっきの大阪の話と非常に関係するようで、なかなか言い方は難しいのですが、出先でしかなくて、そこにおいていろいろなことを主体的に決めるに至らないというようなことで、そういう最初に企図したこととは異なるような、行政のいろいろな手だてというか、そういうのが行き届かないような状況が現出をしているのだろうというふうに思っております。

 だとするならば、どういう形でそういうのをカバーしていくのかということをまた議論としてしなきゃいけなくて、平成の大合併は失敗であったので、あれをもとに戻すというような選択肢を私どもは持っておりません。もし仮にその住民の方々が希望されたとすれば、それなりの地方自治法の手続があろうかと思いますが、私どもとして、平成の大合併のいろいろな問題を所与のものとしながら、それをどうやって最初に企図したとおりにやっていくかということにも知恵を絞らねばならないことだと思います。

宮本(岳)委員 私は、現場で実感した、学んだことがあるんですね。こういうふうになる決定的なきっかけとなったのは、やはり学校がなくなったことですよ。

 要するに、伝習館というのは、子供たちが授業でここを訪れ、歴史や文化を学習し、伝承する場としてつくられました。そのときまでは、伝えようとして村長さんも看板まで書いた。しかし、肝心の子供がいなくなったんですよ。龍山村では、村内にあった幼稚園、小学校、中学校の全てが廃園、廃校となって、近隣のところへ統廃合された。子供がいなくなり、学校をなくしたときに、もはやその町には未来がなくなったというのがこの村の状況でありました。

 私、時間が来ましたから、なかなか最後まで行きにくいんですが、この浜松市は、総務省の地方中枢都市圏構想の策定の場となった基礎自治体による行政サービス提供に関する研究会、ここが昨年一月に出した報告書でも、「先進的な都市における取組等」として取り上げられております。

 この報告書、六ページの「一 浜松市の事例」の一つ目には何と書いてあるか。総務省、お答えいただけますか。

佐々木政府参考人 総務省の基礎自治体による行政サービス提供に関する研究会が昨年一月に出しました報告書の六ページの「浜松市の事例」の一つ目のところに、「取り組み中の連携テーマの一つとして、公共施設の適正配置等の共同研究がある。今後、公共施設が一斉に更新時期を迎えることを考えると、市域を越えた公共施設の適正配置が重要な課題である。特に小規模な市町村があらゆる種類の公共施設を維持するのは負担が大きい。市町村間での施設の相互利用の検討も重要である。」こういった記載がございます。

宮本(岳)委員 やはりこういう議論の上に立って、小規模な市町村があらゆる種類の公共施設を、学校も含めて維持するのは負担が大きいと。とにかく集約化、集中化していくということで、学校までも、未来までも奪われてきたといういきさつがあると思うんですね。

 ですから、私は、政府が今進める連携中枢都市圏というもの、あるいは今あなた方が進めようとしているこの進め方というのは、現場へ行くとこういう現状を生んできている。ですから、やはりしっかり、それぞれの村や町に住んでいる人たちをどう支え、その力をよみがえらせていくかということを、その町に即して考えることこそ必要だと思うんです。

 残された問いはまた次回にやらせていただきますが、最後に大臣の御所見を伺って、きょうは終わりたいと思います。

石破国務大臣 私の選挙区の鳥取市というのは、周りの町村をほとんど合併して大鳥取市になって、政令市ではありませんが、人口二十万というふうにいったわけでございます、サイズがちっちゃくて恐縮ですが。そこにおいて、村もなくなりました、村長さんもいなくなりました、村会議員さんもいなくなりましたというところ、私自身、多分、委員と同じような経験を持っております。ですから、それをどうしたらいいのだろうかということについて、いろいろな方法論があるのだろうと思っております。

 ですので、そこへもう一回にぎわいを取り戻したい、どうすればいいだろうかという方策について、私自身、自分が三十年前に最初にそこを一軒残らず歩いたときのそういう村がなくなっている、人がいなくなっている。それは本当に、胸が締めつけられるというのか泣きたくなるというのか、それを何とかしたいという思いがございます。

 ですので、方法論についていろいろなやり方を御提示いただいて、私どもも足らざるを学ばせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 ありがとうございました。

 終わります。

鳩山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭でございます。

 きょうは、地方における雇用の創出、そしてその雇用のあり方についてまず質問をしたいというふうに思います。

 地方からの人口流出をとめて、そして東京への過度な集中を是正するためには、何といっても、地方での雇用の確保が大事であるというふうに思います。地方創生を論議するときの根幹をなす課題であるというふうに考えております。

 本委員会でもたびたび石破大臣が紹介されている東京在住者の今後の移住に関する意向調査、この調査では、四割が地方への移住を考えている。五十代男性では五〇・八%、五割の方が移住を考えて、十代、二十代の割合が四六・七%と比較的高い。若い人たちは男女ともこういう数値ですけれども、ここが特徴であります。

 しかし、現実はなかなかそうはなりません。それはやはり、地方での雇用の確保の問題があるからであります。

 政府が策定したまち・ひと・しごと総合戦略のアクションプランでは、地方への新しい人の流れをつくるためとして、企業の地方拠点強化、企業等における地方採用、就労の拡大が掲げられています。その中で、企業の地方拠点の強化の一環として雇用促進税制の拡充が挙げられていますけれども、これはどのような制度ですか。説明をいただきたいと思います。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方における企業の拠点の強化を促進するため、御審議いただいてございます地域再生法の改正案による枠組みを前提に、雇用促進税制の特例を設けることといたしておるところでございます。

 具体的には、事務所等の本社機能の移転、新増設を行う計画を企業が策定した場合に、その計画を知事が認定いたしまして、その認定を受けました場合には、原則として従来の雇用促進税制の要件を満たすことを前提に、当該企業全体の雇用増を上限に、計画の対象となった事務所における雇用者数の前年度比の増加について、一人当たり最大五十万円の税額控除を認めるものでございます。

 さらに、その計画、企業の計画でございますが、これが東京二十三区からの移転に係るものである場合には、企業全体そして計画の対象になった事務所での雇用者数が前年度比で減少している場合を除きまして、当該事務所における雇用者数の計画認定の前年度と比較した増加につきまして、一人当たり三十万円の税額控除を上乗せする制度となっておるところでございます。

 このいずれの税額控除も、計画認定以後三年間が対象でございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 この税額控除制度なんですけれども、この制度は、正規雇用でなければならないといったような要件はあるんでしょうか。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般設けることといたしました特例も含めまして、雇用促進税制におきます税額控除の対象となる雇用者につきましては、雇用保険の一般被保険者ということといたしておるところでございます。

 この雇用保険の一般被保険者とは、一週間の所定労働時間が二十時間以上であって、同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれる者でございますので、必ずしも全てが正規、いわゆる正社員ということではございません。

田村(貴)委員 正規雇用でなくても一定の労働時間があれば対象となるということであります。これは確認したいというふうに思います。

 次に、キャリアアップ助成制度について伺っていきたいと思います。

 総合戦略では、多様な正社員の普及拡大によるさらなる正社員化の実現を進めるとされ、アクションプランでは、地方採用枠の拡大ではキャリアアップ助成金で勤務地限定社員制度を導入する企業に助成するとされています。これを活用した多様な正社員の普及拡大というのは一体どういうことを指すんでしょうか。

 コースにある、助成対象となる多様な正社員というのはどういう正社員を想定しているのか、説明を求めたいと思います。

勝田政府参考人 お答え申し上げます。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、企業等における地方採用、地方における就労の拡大のため、多様な正社員、育児や介護等の事情で転勤が難しい方、あるいは地元に定着した仕事を希望される方、こういった方が地域で正社員として働くことができる勤務地限定正社員の普及拡大を図ることとしております。

 このため、キャリアアップ助成金におきましては、平成二十七年度から多様な正社員コースを創設いたしました。この中では、有期契約労働者等から勤務地限定正社員等に転換した場合に新たに助成の対象とすることとしております。

 また、キャリアアップ助成金では、多様な正社員コースの対象としまして、勤務地限定正社員のほか、職務限定正社員あるいは短時間正社員についてもその導入支援を行っているところでございます。

田村(貴)委員 転勤が条件となって正社員として働けない人が、勤務地限定でその居住地域で正社員になれるようにする、こういう制度だと思います。しかし、地域限定、そして職務限定という正社員については、負の側面があります。

 規制改革会議の雇用ワーキンググループの報告書には、次のような記述があります。勤務地や職種が消失した場合、整理解雇の四要件を適用しつつも、職務や勤務地が限定される点を考慮し、無限定正社員とは異なる判断を行い、解雇を有効とする判例が多いなどとして、限定正社員イコール解雇しやすいという見方が示されているわけであります。

 そこで、厚生労働省に伺いたいんですけれども、地域限定、職務限定の正社員は、従来からある正社員よりも簡単に解雇したりすることができるんでしょうか。給与等に不合理な格差をつけていいものということなんでしょうか。

大西政府参考人 委員から解雇についての御質問をいただきました。

 私ども、昨年の七月に、「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会というのを開きまして、その際、解雇に関しましても、実態調査や裁判判例の分析結果を踏まえまして、雇用管理上の留意事項を取りまとめたところでございます。

 そうした中で、御指摘の整理解雇につきましては、勤務地や職務の限定が明確化されていれば、事業所の閉鎖や職務の廃止の場合に直ちに解雇が有効となるわけではなく、整理解雇法理を否定する裁判例はない、整理解雇法理またはこれに準拠した枠組みで判断する裁判例が多い傾向にある、こういうまとめをしたところでございます。

 また、限定正社員と正社員との賃金格差についても御質問をいただいたところでございます。

 多様な正社員といわゆる正社員の双方に不公平感を与えず、またモチベーションを維持するため、多様な正社員といわゆる正社員の間の処遇の均衡、こういったものを図っていただくことが望ましいというぐあいに考えておるところでございます。

 この内容につきましては、個別に企業ごとに労使で十分話し合っていただいて、納得性のある水準とすることが望ましいと考えております。

田村(貴)委員 限定正社員だからといってそういう差別があってはならないということであります。

 多様な正社員、限定正社員が、地域の雇用に、また非正規雇用労働者の処遇改善に一定の役割を果たすかもしれません。しかし、いつやめさせられるかわからない限定正社員が普及したのでは、これでは地方では安心して働き続けることはできません。厚生労働省は、こうした点をしっかりと監督、対応していただきたいというふうに思います。

 もう一つ伺います。

 キャリアアップ助成金制度ですけれども、従来の正社員であった人をこの地域限定、職務限定正社員に置きかえた場合、キャリアアップ助成金の対象となるんでしょうか。

勝田政府参考人 正社員から地域限定正社員に転換した場合が助成金の対象になるのかという御質問にお答えしたいと思います。

 キャリアアップ助成金は、あくまでも有期契約労働者やパート労働者といった、現時点において非正規で働いていらっしゃる方々のキャリアアップを行う、そういった取り組みを実施した事業主に対して助成を行う制度でございます。

 このため、先生の御指摘のような、現在ももう既に正社員のお方を勤務地限定正社員に転換するといったような場合については、助成金の対象とはなっていないものでございます。

 私どもとしましては、助成金を活用しまして、一人でも多くの方々が希望に即した働き方で、正社員を希望する方々を非正規社員から正社員へということで進めてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 わかりました。

 冒頭述べた東京在住者の移住に関する調査なんですけれども、移住する上で不安や懸念の項目があります。十代から三十代の若年層は、雇用がないことのほかに、給料が下がる可能性を多く挙げています。

 それから、大手就職支援会社のマイナビが行った就活者に対するアンケートでも、企業選択のポイントの項で、給料のよい会社が三年連続で上昇しています。安定している会社も同様の結果となっています。

 そこで、石破大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど限定正社員の問題に触れたのは、まさにそのことなんです。仕事はある、雇用は確保される、だけれども不安定雇用であったらこの問題は解決できないんですね。質も重要、量とともに雇用の質も非常に重要であるというふうに思うんですけれども、大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。

石破国務大臣 何をもって質というかですが、やはり安定した就業形態というのは極めて大事なことだと思っております。

 限定正社員ということが、例えば地域限定ということを考えたときに、全国各地に展開する会社が、北海道に行ったかと思えば九州に行き、九州に行ったかと思えば北陸に行きということであれば、それは雇用も安定しない、そしてまた生活も不安定になる、家族のきずなも弱まる。かてて加えて、そこにおける社員のモチベーションというものも下がっていくだろうということで、地域限定の正社員ということに。会社の業績も上がっていく、安定的な雇用も確保できる。

 やはり社員のモチベーションというのは非常に大事だと思っていて、限定正社員ということが、ほかの正社員と遜色なく取り扱われるべきものだということになっていかなければいけないと私自身は考えております。厚労省の答弁も大体そういう線ではないかなというふうに思っております。

 そのときに、雇用が安定するということ、そして給与がそれなりに高いということ。ただ、そこにおいて考えなければいかぬのは、地方の二十万円は例えば東京の三十万円ですとか、そういうことがございますので、それが、いろいろな地域によって差はありますが、必ずしも東京本社の賃金と限定正社員の地方の方の賃金が同一でなければならないということにはならないと思っております。

 しかしながら、そこにおいて、本当に人間らしいゆとりのある暮らし、やりがいを持って仕事にもつけ、そしてそのような暮らしが営めるということは、地方に人々が帰っていく上において極めて重要なファクターだと思います。

田村(貴)委員 安定的でそして人間らしい働き方ができる雇用を保障するということは、出産や子育ての希望をかなえることにもつながってまいります。

 それは、正社員にとっても同じことが言えるわけであります。頻繁な転勤や長時間労働が押しつけられてしまったら、これは労働者にとってみたら、私生活を脅かす大きな負担となってまいります。

 地域限定、職務限定、あるいは勤務時間限定のメリットとして、短時間勤務や転勤がない、そういう働きやすさというのが限定正社員のところのメリットとして言われているわけです。しかし、その対比として、では正社員はどうなのかと。頻繁な転勤は当たり前、長時間労働も当たり前、それが正社員の働き方として肯定され、それが限定正社員との対比として温存されていく、こうした流れは絶対あってはならないというふうに思います。

 そこでまた、厚労省にお伺いします。

 従来の正社員においても、過労死ラインに達するような長時間労働や、労働者の事情を考慮しない無謀な配転、例えば子供も小さく、親も介護しなければならない、そうした大変な事情にある方を強制配転させるようなことは、法律や判例で規制されているというふうに私たちは受けとめていますけれども、どうでしょうか。

大西政府参考人 まず、長時間労働の関係でございます。

 これは、労働基準法におきまして、原則一日八時間、週四十時間で、これを超えて働かせる場合には労使協定が必要であると。この労使協定につきましては、時間外労働が一カ月四十五時間、一年三百六十時間などの、これは告示の基準でございますが、これに適合しなければならないというぐあいにされているところでございます。

 労働基準監督署におきましては、過重労働の健康障害を防止するため、月百時間を超えているような、こういった残業を把握した全ての事業所に対する監督指導を徹底するとともに、先ほど申し上げた告示の基準の時間を超えている場合には、その削減に向けた指導を行っているところでございます。

 また、配置転換についても御質問がございました。

 いわゆる正社員の配置転換については、我が国では一般的に行われているところでございます。これについて、裁判例の御指摘がございました。

 裁判例では、使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるが、使用者の転勤命令権は無制約に行使できるものでなく、これを濫用することは許されないというぐあいにされておりまして、個別にそういった事情を判断されるものと承知しております。

田村(貴)委員 法律では、規則では守られているんですけれども、それが守られていないと。非常に厳しい実態があります。人間らしい暮らしができる雇用が維持されるように、厚生労働省はこれまで以上にしっかりと法規制に従った監督を行っていただきたいというふうに思います。

 今、安倍政権が進める労働法制の規制の改革については、全国からたくさんの不安の声が上がっています。

 地方議会からの意見書についてちょっとお話ししますけれども、雇用の安定などを求めた意見書のうち、先ほどお話しした限定正社員あるいは多様な正社員の普及に反対あるいは慎重な意見が記載されているものが、昨年の通常国会から今国会の五月十五日までに三百二十七件に上がっています。

 限定正社員に限らず、雇用の安定や非正規雇用の改善を求める地方からの声はもっとあります。相当なものになっています。安定した雇用の確保なしに、人口流出問題も少子高齢化対策も解決できません。

 大臣にお伺いします。

 これらの地方の声に応えて、地方の雇用の量、そして質の量をやはり図っていく必要があると思いますけれども、私は大臣にこの決意をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 それは、総理、厚労大臣初めこの関係の政府の者が申しておりますように、地域に安定した雇用、そしてまた安定した所得、そしてやりがいのある仕事、それがなければ地方への人材還流は起こらないということは間違いないことでございます。

 ですから、地域限定ということに限局して申し上げれば、私自身、今の日本の労働法制の組み立ての中で、地域限定であるがゆえに解雇しやすいよというようなことは、私自身、寡聞にして存じません。またよく調べてみたいと思いますが、そういう地方において安定した雇用、質の高い雇用というものが確保されるということは何より大事なことだと思っておりますし、これは、中央であれ地方であれ、労働者を大事にせず、そしてまた、消費者、お客様を大事にしないという企業は、そういうものはサステーナブルではないと私は思います。

田村(貴)委員 先ほどは意見書の一部を紹介したんですけれども、やはり労働法制の改悪が大変懸念されます。期間の制限を撤廃して、そして生涯派遣をつくっていく労働者派遣法の改悪、それから、残業代ゼロの高度プロフェッショナル制度、こうしたやり方に対して、全国、地方から多くの意見書、そして、それはやめるべきだという請願もたくさん寄せられています。

 正社員が当たり前の社会、人間らしい働き方ができる、そういうことが可能になってこそ、雇用がふえて、そして安心して地方で働くことができるというふうに思いますし、それがあってこそ地方が発展していくということを指摘したいというふうに思います。

 残った時間で、連携中枢都市圏構想について質問したいと思います。

 現在、姫路市・播磨圏域、倉敷市・高梁川流域圏、それから福山市・備後圏域、宮崎市・宮崎広域圏の四つで、中心市の連携中枢都市宣言、都市圏ビジョンの策定、周辺市町村との連携協約の策定が行われています。

 私は、四月に、連携中枢都市圏で論議している、連携中枢都市宣言を予定している熊本市とその周辺自治体を訪ねて、幹部の方から取り組みについてのお話を聞いてまいりました。その中で、周辺自治体から次のような声が出されました。非常に率直な声です。

 なぜ中心市に二億円の普通交付税が交付されるのか、なぜうちは一千五百万円の特別交付税なのか。これは国の財政措置を指してのことであります。企業誘致も頑張ってきた、企業が事業拡張などによってうちの町の人口はふえて、雇用の場も若い層も広がってきた、それに応じて基盤整備もしっかり行ってきた。自分たちとしても、自治体の経営や企画、そして行政努力をしっかりやっていると言われました。もっともなことではないかなと思います。

 そこでお伺いしたいんですけれども、自治体の努力の結果、普通交付税は、人口増など、自治体の前進の姿に応じて算定、交付されるのが筋ではないでしょうか。圏域人口七十五万の経済、まちづくりやネットワーク化に必要な経費は特別交付税で措置されるべきではないでしょうか。普通交付税と特別交付税の使い方が間違っているのではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 連携中枢都市圏としての取り組みのうち、経済成長の牽引、それから高次都市機能の集積、強化というものにつきましては、圏域内の多くの通勤通学者が集い、多様な企業、教育、文化活動等が営まれている連携中枢都市を中心に取り組みが求められるものと考えております。

 また、こうした経済成長の牽引や高次都市機能の集積、強化につきましては、連携中枢都市圏構想推進要綱に基づきまして、連携協約において地域の実情に応じた取り組みを極力広範囲に規定すべきとしているところでございまして、また、圏域の人口規模に応じた標準的な財政需要としても捉えることが可能であるというふうに考えたところでございまして、連携中枢都市に普通交付税による財政措置を行うこととしたものでございます。

 一方で、圏域としての取り組みのうち、生活関連機能サービスの向上につきましては、連携中枢都市のみならず、連携市町村も積極的に取り組むものでございまして、これは幅広い政策分野から地域の実情に応じた取り組みをそれぞれの市町村が選択をして実施する、こういったことから、各市町村に対しまして特別交付税による財政措置を講じる、こういうことにしてございます。

 こういった考え方で連携中枢都市圏全体に対する交付税措置を行っているところでございまして、連携中枢都市には圏域全体のために事業を行っていただくものであることをよく周知してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 なかなかちょっとわからないところがいっぱいあるんですけれども、中心市とその周辺の自治体、これは主従の関係ではありません。熊本に行ったんですけれども、この当該自治体は非常に元気のある自治体で、熊本市から通勤者が流れてきているというところで、合併にも頼らず頑張って、非常に自負されておられました。私は北九州市なんですけれども、北九州市とその広域圏もこの連携中枢に候補となっていくんじゃないか、頑張っていくんじゃないかと思うんですけれども、しかし、政令指定都市の隣町の方が財政力があったり、あるいは元気なまちづくりをやっているというようなところもあると思うんです。ですから、やはりその自治体、自治体の取り組みなんかは非常に尊重されなければいけないというふうに思います。

 調査に行ってやはり考えさせられたわけなんですけれども、その町の住民自治、行政内容を、よその自治体である中心市が、圏域全体の役割を果たすといって検証したり検討したりすることについて、非常に違和感を感じています。その必要経費として二億円の普通交付税をなぜ出すのかという思いは、周辺自治体にとってみたら、まさに疑問となるところではないかというふうに思います。

 従来の定住自立圏構想とは、今度の場合は違うのではないかというふうに思います。連携中枢都市圏構想の連携協約が進めば進むほど、中心市は、圏域全体の立場から、周辺市町村が行っている行政機能に対して変更や縮小、放棄を求めていくことになるのではないか、そんな懸念を持っています。

 連携中枢都市圏の中心市というのは、圏域全体の経済の牽引力、高次都市機能の集積、強化の役割を担うというような前提があるんだったら、何か私は、これは吸収されてしまうんじゃないか、主従の関係になってしまうんじゃないか、声を出せないのではないか、周辺自治体にとっては。そういう懸念がつきまとったというふうに思うわけなんです。

 今ちょっとお話をした中で、石破大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

石破国務大臣 私は、姫路を中心とする連携中枢都市圏、これの協定が結ばれる日に姫路に参りまして、いろいろなお話をさせていただきました。

 そこで、いろいろな市長さん、あるいは町長さんがお集まりでしたが、もし仮に姫路市がそういうことをやろうとしたらば、この連携中枢都市圏というものはすぐ瓦解をするねという感じがいたしました。それは熊本でもそうだと思います。私は熊本にここ一、二カ月行ってはおりませんが、先般行ったときにそのように思いました。

 ですから、姫路なら姫路、倉敷なら倉敷、熊本なら熊本というところにそういうものを集中するとするならば、この連携中枢都市圏の妙味というものは一切発揮をされなくなるというふうに思っております。それは、協定を結んだときに、そのことは全部承知の上で協定に参加をしておるわけでございまして、そういう御懸念は当たらないと思いますし、そういう御懸念があるようであれば、これ自身が瓦解をするということだと思います。

田村(貴)委員 私はすごい懸念を持っております。新たな連携協約の仕組みが導入されました。政府は、国家間の条約のように、対等なものというふうに打ち出してそれを述べてこられましたけれども、私は決してそのようなものにはなっていかないというふうに思っています。

 まだ地方創生特は続いていきますので、また議論させていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

鳩山委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.