衆議院

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第11号 平成27年5月29日(金曜日)

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平成二十七年五月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 福田 昭夫君

   理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    金子万寿夫君

      木村 弥生君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田中 英之君

      武部  新君    谷川 とむ君

      津島  淳君  とかしきなおみ君

      根本 幸典君    野中  厚君

      平井たくや君    ふくだ峰之君

      福田 達夫君    宮川 典子君

      奥野総一郎君    吉良 州司君

      佐々木隆博君    鈴木 貴子君

      本村賢太郎君    木内 孝胤君

      篠原  豪君    村岡 敏英君

      吉田 豊史君    稲津  久君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣府副大臣       平  将明君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君

   参考人

   (東京大学大学院総合文化研究科教授)       松原  宏君

   参考人

   (宮城県東松島市長)   阿部 秀保君

   参考人

   (会津若松市長)     室井 照平君

   参考人

   (奈良女子大学教授)   中山  徹君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     根本 幸典君

  加藤 寛治君     池田 道孝君

  谷川 とむ君     木村 弥生君

  中谷 真一君     岩田 和親君

  平井たくや君     ふくだ峰之君

  平口  洋君     新谷 正義君

  山田 賢司君     瀬戸 隆一君

  義家 弘介君     武部  新君

  緒方林太郎君     本村賢太郎君

  寺田  学君     鈴木 貴子君

  篠原  豪君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     金子万寿夫君

  岩田 和親君     中谷 真一君

  木村 弥生君     谷川 とむ君

  新谷 正義君     平口  洋君

  瀬戸 隆一君     山田 賢司君

  武部  新君     義家 弘介君

  根本 幸典君     津島  淳君

  ふくだ峰之君     平井たくや君

  鈴木 貴子君     寺田  学君

  本村賢太郎君     緒方林太郎君

  吉田 豊史君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     加藤 寛治君

  津島  淳君     大野敬太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、東京大学大学院総合文化研究科教授松原宏君、宮城県東松島市長阿部秀保君、会津若松市長室井照平君、奈良女子大学教授中山徹君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言されますようにお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず松原参考人、お願いいたします。

松原参考人 東京大学の駒場キャンパスにおります、人文地理学教室で教員をしております松原宏と申します。

 このたびは、地方創生に関する特別委員会にお呼びいただき、感謝申し上げます。

 お手元に配付いたしました資料に従いまして説明をさせていただきます。

 私の専門は、経済地理学といいまして、産業立地と地域経済に関する理論、実態、政策を研究しております。

 お手元の図の一では、三角形の中を三つの産業部門、とりわけ、左上にあります、域外から所得を得てくる域外市場部門、これが地域経済の非常に重要な産業部門になるわけですけれども、そういうものを中心にしまして、三つの産業部門、これが循環することで地域経済が成り立っていることを示しております。

 しかしながら、黒い矢印で示しましたように、グローバル競争の激化や少子高齢化、人口減少などにより、地域経済を縮小させる外側からの力が働いてきております。これをはね返す政策の方向性を白い矢印で示しております。

 次の図の二ですけれども、地域経済に関してはさまざまなアプローチがありますが、私どものアプローチは、地域構造論といいまして、二つの点を特徴としております。

 一つは、日本経済全体というマクロ的な視点から地域と地域との関係を捉え、そこから東京一極集中のような問題を摘出し、政策的課題を考えていくという接近方法をとっております。

 お手元の図の二の上の太い四角では、少し網がかかっておりますけれども、太平洋ベルトのような産業地帯、関東や東北、九州などの円で示しております経済圏、そして、東京から名古屋、大阪にかけての太い軸を示しておりますけれども、そういう太い軸や、東京と、右上、札幌を意図しておりますけれども、東京と札幌や、あるいは左上の方にあります福岡などとの線で示される都市間の関係、これを都市システムと呼んでおりますけれども、こうした、産業地帯、経済圏、都市システムの三つの切り口から、国民経済における地域的分業の仕組みを考えてまいりました。

 もう一つの特徴は、図の二の下に示しましたように、日常生活圏、広域経済圏、国民経済といった大きさの異なる圏域によって重層的に構成されるものとして地域経済を捉えるという点にあります。

 以上の二つの視点、マクロ的な視点と重層的な視点は、地方創生を考えていく上で不可欠なのではないかと思います。

 そこで、本日は、図一のような三角形を単体で見るのではなく、三角形を、地域経済を三角形と言っておりますけれども、そういうものをどう組み合わせるのか、日本全体から見た地域と地域との関係、とりわけ東京と地方との関係はどうあるべきか、こうした点に焦点を置きたいと思います。

 この間の地方創生の議論、そして、今回の法改正の議論の中心には東京一極集中問題がありますが、東京集中の程度はどのように変化し、何が問題の核心なのか、この点についてまず確認しておくことが重要だと考えます。

 いろいろな指標で東京、大阪、名古屋の三大都市圏と地方圏の対全国比を比べてみました。

 お手元の図の三では、トレンドの異なる四つを示しております。それぞれの図の下のところに太い矢印で示しております。

 図三の一の左側は人口を示しておりますけれども、東京一極集中が長期にわたり進んでおります。ただし、こうした図が多いかというと、そうではありません。

 図の三の一の右側をごらんいただきますと、製造業の出荷額を示しておりますけれども、東京圏は黒く塗り潰しているものでありますけれども、そのシェアは徐々に下がってきております。むしろ、三大都市圏でいいますと、名古屋圏の方が上回っております。それとともに、白抜きで示しておりますけれども、地方圏での工業化が着実に進展していることが特徴的に見られるかと思います。

 図の三の二をごらんいただきますと、左側では、情報サービス業と広告業の従業者数を見ておりますけれども、ちょっと細かくて申しわけありませんが、一九八六年から九六年にかけて、黒く塗り潰しました東京圏のシェアが一度低下いたします。これで東京一極集中は弱まったかと思っておりましたら、二〇〇〇年代に入りまして、東京の再集中と言っていいかと思いますけれども、最近では、東京のシェアが再び上がってきております。これと同様のトレンドは、ここには示しておりませんけれども、卸売業の販売額等でも見られます。

 右側の図の三の二、これは学術、開発研究機関の従業者数を示しておりますけれども、地方圏でのシェアが上昇してきております。似たようなトレンドは全国銀行貸出残高や外国法人数でも見られます。

 ところで、今回の改正の焦点の一つは東京への本社集中ですけれども、なかなか本社の集中というのは見つけるのが難しいんですが、図の四では、オフィス人口という形でここで示しております。

 図の四で見ますと、東京一極集中といったような傾向はあるわけですけれども、その集中自体は最近は下がってきていることが見てとれるかと思います。三大都市圏と、それから地方の札幌等を挙げておりますけれども、桁が違っておりまして、ここにも大きな差が見てとれます。

 次に、産業の構造がどう変わってきているかということですが、時間が余りないので急ぎますけれども、言いたいことをはしょって言いますが、今、本社の話だったんですけれども、東京の内部の産業構造も変わってきております。

 一言で言いますと、サービス業が、特定の区、図の六に示しましたような港区、渋谷区、こういったようなところで、とりわけ情報サービス業であるとか図の七に示しました広告産業、若い人に非常に人気のあるそういうような雇用の場というのが東京でむしろふえている。ここにもメスを入れていく。こういったようなクリエーティブ産業の地方での創生といったようなものを非常に重視していく必要があるかと思います。

 図の八、文化産業が非常に東京に集中しているのがわかるかと思います。

 最後になりますけれども、図の九、図の十に示しましたように、今まではサービス業であるとか本社の話をいたしましたけれども、工業に関してもいろいろ変わってきております。

 地域イノベーションが非常に重要でありますし、図の十に示しておりますけれども、日本の企業の立地変化を見ていきますと、第一期から第四期、時計回りに見ていただきますと、今、第四期の中の二番目の同心円でいいますと、国内の地方が工場閉鎖であるとか非常に苦しんでいる部分はあるんですけれども、太い線で囲みましたように、本改正案の狙いになるかと思いますけれども、地方の工場のマザー工場化、本社の移転、そして地域イノベーション、こういったようなものをいかに生かしていくかということが重要だと思っています。とりわけ、地方の工場に開発機能を持たせていく、こういうことが地方創生にとっても非常に重要だと思っております。

 私の主張は以上であります。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 次に、阿部参考人、お願いいたします。

阿部参考人 皆さん、おはようございます。宮城県東松島市長の阿部と申します。

 初めに、入る前に、東日本大震災から四年と二カ月が経過しました。被災地でございます。これまで四年二カ月歩んでこられたというのは皆様方の御支援があってのことということで、改めて感謝申し上げます。お礼申し上げます。ありがとうございます。

 さて、このたびは、参考人として意見陳述の場にお招きをいただき、感謝を申し上げます。

 時間の関係もありますので、ポイントを絞って発言させていただきます。

 まず、第五次一括法案に関しましては、地方分権改革の新たな手法として昨年度から実施されました提案募集方式ですが、我々地方からの直接の提案により制度改正していただくもので、ありがたく思っております。また、国から地方公共団体への事務、権限の移譲等につきまして確実に取り組みを進めていただき、石破大臣を筆頭に、地方分権改革有識者会議の関係者の皆様方にも心から敬意を表します。

 とりわけ、第五次地方分権一括法案には、全国市長会の森会長の言葉をかりるならば、地方分権改革の天王山と言われていた農地転用許可権限について都道府県及び指定市町村に移譲することが盛り込まれました。これは、これまでの地方分権改革の取り組みの中で特筆すべき決断であり、地方分権改革の歩みを大きく進めるものとして高く評価をしております。地方は、移譲された権限に基づき、農業の再生と総合的なまちづくりを両立させ、地方創生の実現に尽くしてまいります。

 政府におかれましては、地方公共団体が円滑に事務を執行できるよう、十分な財源措置等を講じていただきますとともに、マニュアルの整備や研修など必要な支援を確実に行っていただきますよう、引き続きお力添えをお願い申し上げます。

 次に、新たな地方分権の改革の手法である提案募集方式が導入されて二年目を迎えました。昨年度は、意欲と知恵がある地方からの具体的な提案が数多く提出されておりました。昨年、地方からの提案に対する各省庁の回答が大変厳しいものでしたが、地方分権改革推進本部長の安倍総理、石破大臣を初めとする各大臣のリーダーシップにより、多くの提案が実現したことは記憶に新しく残っております。

 ことしの提案募集方式についても、地方分権改革有識者会議等を有効に活用しながら、引き続き、大臣のリーダーシップのもと、内閣府がしっかり調整を行うことにより、個々の提案をできる限り実現していただくよう、お願いいたします。その際、手挙げ方式を十分活用するなど、地方の提案が生かされるよう、柔軟な対応をお願いいたします。

 次に、現在、政府では、本年度を地方創生元年として、人口減少の克服と地方創生の実現に向けて、国として総力を挙げて取り組むという強い決意を示されております。我々地方においても、地方の創意工夫を生かした施策を盛り込んだ地方版総合戦略等の策定を進めているところであります。

 地方創生への対応については、それぞれの地域が、その特性を生かして自立的、自主的に取り組むことが求められておりますので、地方分権改革の提案募集制度を活用し、地方の提案に基づく改革を大胆に実行していただくことが肝要だと思っております。

 お手元の資料をごらんいただきたいというふうに思います。東松島市のこれまでの取り組み等をお示しさせていただきました。

 実は、私が市長を拝命して十年経過いたしました。その前は、議会議員を十八年務めさせていただきまして、議員の立場からは地方分権というそういった発言を数多くしてまいりましたが、自分が執行者になりまして、はて、これまで国に対して地方分権、地方分権と発言したけれども、自分自身は市民の皆さんに対して地方分権をやっていただろうかと、むしろ自問自答したところであります。

 首長でありますので、今度は自分がそれを具現化する番でございます。そういった意味で、地方分権から、まず地域内分権をしよう、それが、私の市長として就任したときの市民の皆様への公約でございます。

 どういった取り組みをしているかといいますと、一番は、何といいましても、地方創生もイコールなんですけれども、地方創生、地域内分権、そして住民自治、市民力ということを、順番に私としては受けとめているんです。

 まず、地方分権イコール地域内分権をするためには、それぞれ皆様のふるさとでは、多分、社会教育では、公民館、分館という、小学校区に分かれた中でのそういった施設が設置されております。東松島市では、全て八つの公民館を、あるいは分館を指定管理、要するに、地域で人、物、金、情報を皆様にお返しして、そして地域でその公民館を運用する、要するに利活用するということになります。そして、地域で自治組織を立ち上げていただいて、指定管理で市と契約して、議会の議決をいただいて、そういった中で、これまでの公民館という社会教育の土台からウイングを広げていただいて、来ると言われている宮城県沖地震の防災だったり、少子高齢化のための福祉だったりという、今そういった取り組みを平成二十一年から取り組んでおります。

 当初は、地域の皆さんから、行政の下請か、丸投げする気かと。それはそのとおりです、宮城県ではどこもまだやっていませんから。仙台市さんが、このたび、市民協働ということで取り組もうとしているわけでありますが。

 そういったことで、二十一年からスタートしました。二十一年からスタートして、何が間違いなかったなと思ったのは、お手元の資料のとおり、東日本大震災の対応でございます。

 避難所運営を市民が全てやられた。それから、移転先地は七つあるんですけれども、移転先地も住民が決めた、被災者が移転先地をお決めになった。

 ですので、そういった意味では、住民自治、要するに市民力がすごく高いということで、結論から言うと、それが機能するかどうか、理想的な言葉は幾らでも並べられるんですけれども、機能するかどうかが問題だ、ポイントだというふうに私は思っています。

 この資料の中でいろいろとお示ししておりますけれども、最後のページの地方創生まで具現化するためには、これまでの経験、一つの例なんですけれども、平成二十六年度補正予算で、プレミアムつき商品券、地域消費喚起・生活支援型という取り組みがありますけれども、これは私は、平成二十一年から、商工会と三年間やるぞと。

 要するに、なぜ三年間かというと、やはり結果、当然ですけれども、PDCAサイクル、しっかりと評価、改善する、そういったことによって、当初の反対、心配、要するに、商品券をやっても大型店だけに消費者は行くんじゃないか。それはそのとおりでした。当初はそうでした。当初は、大型店に大体半分くらい、小売店が半分。今現在は、大型店は二割切っています、地元店が八割。

 それは、創意工夫するわけですね。それは、単発で終わらないからです。最初から三年間というふうに市民の皆様にお伝えしましたので、改善しようという。

 私がここであえて取り上げて申し上げたのは、今回の地方創生でも、やはり単発ではだめだ、二年、三年くらい、そういった中で、PDCAサイクルの中で取り組んでいくということが大切なことなのかなということを皆様に御理解いただきたいというふうに思います。

 本当に限られた時間でございますので、あとは質疑等でお答えさせていただきますが、東日本大震災の中で、この地方創生というのは、最初お話を聞いたとき、ああ、ちょっと重荷になるかなと職員は思ったようですけれども、これまでの東松島市の取り組みがイコール地方創生の延長だというふうに思っておりますので、これからも御支援等をいただきたいというふうに思います。

 私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 次に、室井参考人、お願いいたします。

室井参考人 おはようございます。会津若松市長の室井照平でございます。

 本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。また、国会議員の皆様や政府の方々には、さまざまなアドバイス、御支援をいただいております。改めて感謝、御礼を申し上げたいと思います。

 私が市長に就任したのは平成二十三年八月、震災後でありました。いかに復興再生していくかというそのさなかでございました。会津若松市には、ICT専門大学、いわゆる情報通信の専門大学、会津大学が立地しているということを特徴として、スマートシティ会津若松を標榜し、ICTを有効にまちづくりに生かし、電力の見える化を初め、町の見える化を行うスマートシティー構想ということで取り組みを進めてまいりました。

 これらの取り組みが形になったのは昨年五月でございます。地域活性化モデルケース、さらには本年一月に安倍首相より認定をいただきました、今回の改正法案の一つであります地域再生法に基づいた地域再生計画でございます。これらの計画の認定及び認定を通じたさまざまな御支援に対しまして、改めて御礼を申し上げます。

 また、会津若松市は既に地方版総合戦略策定及び公表をしておりますが、その戦略の中でも、スマートシティー関連の取り組みは重要な位置を占めております。

 このような流れで、最近の取り組みの一つを御紹介したいと思います。お手元の資料、新聞記事でございますが、一枚目と二枚目をごらんいただきたいと思います。地域再生計画に基づく地域再生戦略交付金、これを活用する事業でございます。今月の二十七日に記者発表を行わせていただきました。

 「ICT専門ビル整備」と記載されていますけれども、ICT関連企業は固定資産を持たないということが一般的でございます。また通信環境等を重視するために、そのような機能が備わったICT専門の貸しオフィスビルを整備するものでございます。このようなオフィスを整備することで、ビッグデータ解析等を行うICT関連企業を誘致することができると考えております。

 従来型の工場誘致とは異なっておりますが、新たな視点の企業誘致策であると同時に、ICT専門大学であります会津大学の卒業生が誘致企業の人材供給源となったり、大学がデータ分析教育の場となったりするなど、地方大学との連携、コラボレーションがさらに生まれていくと考えております。首都圏からの企業や人の移転に加え、若者の域外への流出防止や地方大学との連携などの効果が生まれると思っております。まさに地方創生のテーマに即した事業であると自負させていただいております。

 このような事業を推進すると決定できたのも地域再生戦略交付金によるところが非常に大きいわけであります。本交付金は、各省庁の補助制度等にはないものの、実施することで他の施策との相乗効果が見込める事業を補助するという、まさにすき間交付金という通称がぴったりであります。今までにないすばらしい交付金であります。

 しかしながら、ICT専門ビルを整備するには、用地選定等の、今回候補地として発表はさせていただきましたが、すぐに着工できるものではございません。また、大規模な工事となることから、単年度で竣工するものでもございません。よって、地域再生戦略交付金のような自由度の高い交付金が今後複数年にわたって継続されることを期待しているところでございます。

 また、本交付金の補助率は、市の事業であれば国と市で二分の一ずつの負担、民間が事業主体となる場合には間接補助ということで、国と市と民間が三分の一ずつの負担となっております。この交付金も地方創生の流れに沿ったものだと理解しておりますが、地方創生においては民間活力を利用することが不可欠だとさまざまな場で議論されております。そのような状況を踏まえて、民間が実施主体となる場合でも、国の補助率をもう少し上げて自治体の負担を減らしていただけると、より使いやすい交付金になると考えております。

 また、今回の改正地域再生法で追加されます企業の地方移転に伴う優遇措置につきましては、まさに先ほどから述べていますICT専門ビルを活用した企業誘致を今後行おうとしている本市にとっては、すばらしいタイミングで追加していただける制度であると考えております。移転型の方が支援措置が深掘りされているのも、地方創生の流れに適しているものと考えております。

 一方で、テレワーク等に抵抗感がなく、また、パソコン等があれば仕事の場所を比較的選ばないという観点から、地方への移転がしやすいICT関連企業は、先ほど申し上げましたとおり、固定資産を持たないということが一般的でありますので、オフィス取得に対する減税は使いづらいという現状もあります。

 つきましては、賃貸オフィス等でも使えるような支援措置、加えてICT専門ビルを経営する企業等が活用できる補助メニュー等も今後御検討いただけると、より使いやすい税制優遇制度になるのではないかと考えております。

 また、今回は国家戦略特区法案も審議されておりますが、会津若松市も、デジタルコンテンツにおける著作権の包括的利用承認、いわゆるフェアユースについて、以前から提案してきたところでございます。

 残念ながら、今回の改正法案の中では反映されておりませんが、現状の日本の著作権法のような限定列挙型の著作物の利用許可制度、例えば、教育目的であれば例外的に著作権者の許可がなくとも著作物を利用可能ですということを列挙している制度では、デジタルの世界は技術革新が速いわけでありますので、技術に法制度が追いつけていけないというふうに考えております。

 一例を挙げますと、グーグルに代表される検索エンジンは、検索の高速化のために世界のさまざまなウエブページをコピーしているわけであります。日本では、二〇〇九年の著作権法改正までは違法でございました。一方で、さまざまな世界規模のICT企業を生み出しているアメリカでは、フェアユース規定により著作権を限定しております。簡単に申し上げますと、著作権者に経済的損失を与えないなどの条件を満たせば、著作物のコピー等をしても著作権侵害にならないというものであります。

 このような著作権の違いのみが、日本とアメリカのICT企業の違いの原因とは言えないと思いますが、日本発の世界規模のICT企業が出現するためにも、また、日本が誇るアニメや漫画をデジタルの世界で世界へ売り込んでいくためにも、著作権法におけるフェアユース規定の導入は必要であると考えております。

 このような議論については、最近、国会でも御議論をいただいております。徐々に関心が高まっていると感じております。つきましては、今後とも、ぜひ継続的かつ前向きに御検討いただきたいと考えております。

 最後となりますが、会津若松市でございますが、人口規模も面積も、日本全土の約千分の一、十二万という大き過ぎも小さ過ぎもしない人口規模からいっても、ICTの素地があることからいっても、今後、世界の動向の中において中心になるICT、そしてエネルギーや交通、医療等のさまざまな分野をかけ合わせた、いわゆるスマートシティーの実証実験に適した場だと考えております。

 また、農業や観光が中心の典型的な地方都市でありまして、少子高齢化等の典型的な地方としての課題を抱えて今やっているところでございますが、会津若松市での地方創生を実現できれば、他の自治体にも展開可能なシステムを構築することが可能であると考えております。まさに地方創生のモデル都市になると考えております。

 地方創生関連の施策におかれましては、PDCA等を通じて成果をしっかり見きわめつつも、地方の特性や自治体の心構え、勢い等を考慮した、全国一律配分ではない、かつ、単年度ではなく一定期間継続される支援策や交付金を期待しているところでございます。

 今回の改正三法案も地方創生の流れをより加速化するものと理解しておりますが、今後ますますこの動きが加速化するように、国会議員の皆様や政府の方々の御支援を賜りながら、市長として会津若松市の地方創生に邁進していくことをお約束させていただきまして、意見陳述とさせていただきます。

 早口で大変申しわけありませんでした。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 次に、中山参考人、お願いいたします。

中山参考人 おはようございます。奈良女子大学の中山です。

 御承知のように、二〇一一年に奈良県の南部で紀伊半島大水害がありまして、そういったこともありまして、大学は奈良市内なんですけれども、奈良県南部の再生等々にもかかわっていますので、そういったことを念頭に置きながら意見を述べさせていただきたいと思います。

 皆様御承知のように、地方創生を考えていく場合の大前提があると思います。その大前提は、私がとやかく言うまでもありませんけれども、日本全体で大幅に人口が減っていくということです。

 人口が二十世紀のようにふえている時代の中で地方をどうしていくのかという話ではなくて、二十世紀は先進国の中で日本の人口増加率は一番だったんですけれども、二十一世紀は、このままいきますと、先進国の中で減少率が一位になるかもしれない。そういう時代の中で日本の地方をどう創生していくのか、それが今課せられた大きな課題ではないかなと思います。

 また、これから国際競争が進んでいくと思いますけれども、国際競争というのは、東京とか大阪だけで進めているものでは決してないと思います。日本の国際競争力が豊かなその根底には、日本の各地域の豊かな自然とか文化とか歴史、そういったものが積み重なって日本のこの強い国際競争力を持ってきているわけで、そういった地方をどう維持発展させていくのかということが、二十一世紀、日本が国際競争の中で生き残っていく大きなやはり原動力になっていくのではないかなと思います。

 そういったことを踏まえますと、人口が大幅に減少していく中で日本の各地域をどう維持し発展させていくのか、それが日本の地方創生にとっては非常に重要なポイントではないかなと思います。

 その上で、私、専門が都市計画なんですけれども、都市計画とか地方計画をやっている者から見て、日本の地方創生で何が重要かということなんですが、まず一つは、ここでも議論されていますように、地方における雇用であると思います。特に、地方の雇用で重要なのは、第一次産業と社会保障ではないかなと思います。

 第一次産業で重要というふうにいいますと、よく一般的に出てくるのは、第一次産業でどうブランド力を高めていくのか、もしくは高額な商品をどう開発していくのか、また、農産物で国際競争にどう勝っていくのか。そういったことの重要性というのは当然ですし、それを無視する気は全くありません。むしろ、日本のそういうブランド力をどう高めていくのか、これは大切なことだと思います。

 でも、多くの農産物というのは、ブランド力があるものとか高付加価値の農産物ばかりではなくて、私ども大都市部に住んでいる者でも、毎日毎日ブランド力のある野菜を食べているわけでは決してなくて、普通の野菜とか米とか魚とか肉を食べているわけですね。

 ところが、今の日本の農林漁業の中で困ったことは、普通に野菜をつくる、普通に肉をつくる、普通に鳥を飼っている、そういった普通の農業をしていて、子供を安心して育てることがなかなか難しい。普通に農業をしている中で、子供を大学にやって就職させていくことが難しい。そういった、普通の農業がなかなか成立しにくい、そういう状況が残念ながら広く発生してしまっているのではないかなと思います。

 ヨーロッパに行きますと、先進国といえども、自給率は日本よりも格段に高いです。でも、ヨーロッパの農業がすごい高付加価値でブランド力があって国際競争力があるかというと、必ずしもそうではなくて、普通に農業をされている方が普通に家族を養って、普通に子供を育てていける。

 そういう農業の成立ということが地方経済を支えていく上では決定的に重要なことで、もちろん、農産物のブランド力を高めていく、付加価値を強めていくということ自身は非常に重要なんですけれども、多くの農業を考える場合は、普通の農業で普通の暮らしができるような、そういう社会をどう築いていくのか、そこが非常に大きなポイントではないかなと思います。

 もちろん、地方創生という枠内では必ずしもありませんけれども、一方ではTPPの議論も進んでいるかと思います。TPPとかが進んでいく中で、もちろんブランド力をつけていくというのは重要なんですけれども、多くの普通の農家がなかなか生産ができない、そういう状況と、ここで議論されている地方創生というのがきちっと両立し合えるかどうかというところは、今後もう少し慎重に考えるべきではないかな、そのように考えています。

 また、私の専門は都市計画とか地方計画ですけれども、日本でも、一九六〇年代以降、国土計画がずっと行われてきました。政府・自民党がずっとされてきた国土計画というのは、一九六〇年代の旧全総、新全総、三全総、四全総とずっと続いてきています。今も国土のグランドデザインということが進められています。

 かつての政府・自民党がされてきた国土計画というのは、その当時の国土の持っている大きな問題点、それを国土計画でどう改善していくのか、それが当時の政府が進めてきた国土計画であったんですね。この基本的な考え方というのは、国土の抱えている問題、もしくは今後、国土で深刻になるだろうという問題、具体的には過疎過密の問題なんですけれども、この過疎過密の問題を国土計画でどう改善していくかというのが、かつて政府・自民党が進めてこられた国土計画であったと思います。

 ところが、この間、国土計画で検討されていること、また、きょうの法案にも出ていますけれども、この間、連携中枢都市圏そして定住自立圏、きょう出されてきているのは小さな拠点ですけれども、そういった小さな拠点というのも非常に考え方としては重要だと思います。

 ただ、かつて政府が進められてきた国土計画と今進められている国土計画の大きな違いがどこにあるかといいますと、かつては、先ほど言いましたように、国土で生じている問題をどう国土計画で解決していくのか、それが非常に大きな考え方だったわけですね。ところが、今の国土計画というのは、どちらかというと、全体で人口が減っていく、全体で人口が減っていく中で、東京、首都圏への一極集中がある程度今後も進むだろう、人口が全体で減る中で、首都圏全体の人口も減るけれども、人口の集中度合いはむしろ三大都市圏を中心に高まっていくのではないか。

 国土のグランドデザインの中で書かれているのは、全体で二四%の人口が減っていく中で、首都圏の人口減少率が大体一八%、地方圏に行きますと三〇%以上の人口減少というのが見込まれています。そのもとで、人口が大幅に減っていく地方圏の中で人々の暮らしをどう成立させていくのか、それが今の国土計画の大きな柱になっているのではないかなと思います。

 かつての国土計画というのは、国土のひずみというのを国土計画でどう改善していくかというような、そういう計画論になっていたんですけれども、この間の国土計画というのは、むしろ、全体として人口が減っていく中で首都圏の人口は集積度合いを高めていく、その中で地方は大幅な人口減少が避けられないけれども、そこで人々が暮らしていくためにはどうすればいいのか、そういう計画になってしまっているのではないかなと思います。

 むしろ、我々計画をやっている者から見ますと、国土のこういう大きなひずみ、それを解決していく一つの展望を示すのが国土計画であるわけで、残念ながら、そういう国土計画ではなく、どちらかというと人口の偏在を前提にした国土計画を立ててしまいますと、そういう国土計画とここで皆さん方が議論されている地方創生が両立し得るのかどうかというところはもうちょっと慎重に考える余地があるのではないかな、そんなように思います。

 最後ですけれども、地方創生というのは、もちろん、地方が中心になってやっていくものだと思います。でも、先ほどから申しますように、安定した農業ができるとか地方全体の人口減少をある程度食いとめていく、そういった大きな基盤の中で地方が各地の主体性を生かして創意工夫を生かせるような、そういう取り組みを進めていくのであれば、僕は地方創生は非常にすぐれたものになっていくと思います。

 ところが、一方で、なかなか普通の農業が成り立ちにくい、むしろ三大都市圏、首都圏の集積度合いが高まりそうである、そういうもとで地方が自己責任でやりなさいというような地方創生であれば、それは地方にとってはかなり厳しい地方創生になってしまうのではないかなと思います。

 むしろ、基盤を政府がきっちりつくる、その基盤のもとで地方が自主性を生かした創意工夫ができるように、そういった地方創生というものをぜひ今後御検討いただけたらと思います。

 以上です。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大岡敏孝君。

大岡委員 自民党の大岡でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様、わざわざ国会にお運びくださいまして、ありがとうございます。

 それでは、順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、きょうは、被災地であります東松島市長、そして会津若松市長、阿部市長、室井市長、それぞれお見えになりました。お二人の市長さんにお尋ねをしたいと思います。

 今回、国が、石破大臣を先頭に地方創生を進めるに当たって、進め方としまして、やはり自分たちで分析をし、自分たちで考えてもらうということをベースにしております。それをお支えする道具の一つとして、今回、RESASというものを地方創生本部で用意しているんですが、それは御存じでしょうか。あるいは、市長さんみずからお使いになったことはありますでしょうか。トップページがこういう「RESAS」というものでございますが、それぞれお聞きをしたい思います。

阿部参考人 勉強不足、あるいは情報の収集に少し努力不足があったのかなというふうに感じております。今初めて伺いました。

室井参考人 お答えをさせていただきます。

 RESASにつきましては、ことし四月からの導入ということでありますが、私どもも若干いろいろな形で先行させていただいておりますが、今後のPDCA、要するに、事業の見直し、新たな取り組みの強化というところで使わせていただくようになると思います。

 四月からは職員も対応しております。

大岡委員 ありがとうございます。

 少し残念でございましたが、きょうは総務省の人がいるのかどうかわかりませんが、このRESASというのは、実は国会議員も見られないページがあるんです。でも、市長さんは見られるんです。

 自治体の職員は見られるけれども国会議員も見られないという、産業分析をしたページがありまして、私たちは見たことがないので何とも言えないんですが、やはり市長さんみずからがそれを見ていただいて、自分の地域を分析していただいて、自分の地域は一体どことつながっているのかというのを数字で捉えていただきたい、それを分析のベースにしていただきたいということで、国でつくったものでございますので、ぜひ御活用いただきたいと思いますし、参考人でお運びのお二人とも使っておられないということは、恐らく千七百自治体、ほとんど使っておられないんじゃないかなと思いますので、これは国としても、まち・ひと・しごと創生本部のみならず、総務省を中心にしっかりと伝えていっていただきたいというふうに思います。

 そこで、今回の地方創生のさまざまな計画は、自分で分析をし、そして産官学金労言、この六者が協議をして決めてほしいというのが大臣の意向なわけでございますが、両市長、会津若松市長はもうおつくりになったということでございますので、逆に、阿部市長には、今後どうやって進められるお考えか、室井市長には、つくられるに当たってこの六者の協議をどのように進められたのか、教えていただければありがたいと思います。

阿部参考人 今後の進め方という具体的な御質問でありますけれども、被災地の中で特に感じたことは、よく言葉の中で、官民連携とかという言葉が出るんですけれども、具体的に連携するためには、今回の東日本大震災は、特に民間活力が大切だなと。要するに、スピードを上げるためということで、連携するためということで。

 そういった、非常にとうとい命を失っての、学習という言い方はどうかとは思うんですけれども、東日本大震災で学んだことは大きいわけですので、やはり地方創生の中でも、官民連携の中でも具体的に、金融機関、報道機関も含めた、そういった本当の連携、連携の場合、全て機能するかどうかだと私は思っているんですけれども、そういった連携をしっかりと具現化するための機能、そういったものを求めながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

室井参考人 今おただしにありました産官学金労言でございますけれども、会津若松市の場合はいろいろな協定を個別に結ばせていただきました。それでも地方創生は進むというふうに思うのでありますが、それを包括したような地方創生包括連携協議会の創設に向けて、今動いております。予定としては、七月上旬ぐらいにつくらせていただきたいというふうに考えております。

 まさに、さまざまな要素、さまざまな皆さんが総力を挙げて結果を出していくというのが今回の地方創生でありますから、従来やっていた事業もさらに強化していくというのも必ず必要だと思います。全てが新しいものだけでいいというわけではないというふうに認識をしております。

大岡委員 ありがとうございました。

 最後にお二人にお尋ねしたいんですが、今回、三つの法改正をさせていただくわけでございますが、その中で、先ほどおっしゃっていた地方創生の新型交付金以外に、今回の法改正に絡んでお二人が期待をされている部分があれば、教えていただければありがたいと思います。どういった部分に期待されているか、あるいは、まだまだこういった部分が足りないんじゃないかと思っていることがあれば、教えていただければありがたいと思います。

阿部参考人 委員の適切な答弁にならないかというふうに思うわけですけれども、やはり、この地方創生のお話、我々地方自治体首長が受け取ったのは、正直、まず財源は大丈夫なんだろうかというふうに思いました。

 私も、少し述べさせていただきましたが、議員十八年、市長十年ということで、二十八年間、行政に近いところにおりましたが、いろいろな課題はありましたけれども、やはり財源が継続してということじゃなくて、三位一体改革を含めて、やはり我々地方の中で大変だった思いもあります。

 具現化するためには、やはり、今回、五年間という一つのお示しですけれども、こういった中で、しっかりと、我々、成果も求められています。もちろん、今回のKPI等々の取り組み等々も、これまでなかったことでございますので、受けとめ方はさまざまですけれども。

 ただ、こういった中で、私が特に申し上げたいのは、都市部はまた別な考えがあるかもしれませんが、地方の場合は特に、私が二十八年経験した中では、やはり農地の問題が一番ずっと上がってきたんですね。これは私たちのとりでと申しますか、本当に大きな大きな一歩だというふうに思います。要するに、開発ということはどうかと思いますので、まちづくりの中で、やはりどうしても農地が非常に我々としては課題となってくる、こういったものが今回の一番の大きな目玉だというふうに私は地方の首長としては思っております。

 あわせて、これを具現化するために、先ほど議員からの御質問のように、具現化ということにこだわるためには、やはり行政だけではなくて、他の皆さんの、もちろん市民も含めてなんですけれども、挙げて、連携して取り組むということが、この地方創生をなし遂げる部分だというふうに考えております。

室井参考人 先ほどお話ししたとおり、私どもの目玉の一つは、ICT関係の企業の地方移転ということでございます。

 今回、さまざまな特例措置、租税特別措置法等で規定していただいておるわけでありますが、先ほど申し上げたとおり、移転型の方が我々には効果があるというふうに思いますし、随時こういう後押しをしていただくことで我々の事業が進んでいくと思います。

 なおかつ、我々に必要なのは、国といろいろ協議をさせていただきますが、みずからも汗をかく、自分たちも誘致に汗をかくということが必要だと思います。

 会津若松の構想の中で、やはり、定住人口と交流人口という考え方がありますので、その両方ともふやしたい。であれば、地元も汗をかくというのが一つでありますが、それぞれ、額等について、オフィス減税、それから雇用促進税制、先ほども一端を申し上げましたけれども、その額について、少し拡充していただくことについてはぜひお願いをしていきたいと思います。よろしくお願いします。

大岡委員 ありがとうございました。

 阿部市長におかれましては、復興と地方創生、両立をするという大変困難なお仕事をされていると思いますが、ぜひ相乗効果を出せるようにしていただきたいと思いますし、室井市長におかれましては、きょうは小熊委員もいらっしゃいますけれども、会津若松という、大変恵まれた、歴史的にも非常に団結心の強い、また知の集積、社長同士の連携も大変強い地域というふうに聞いておりますので、その強みをぜひ生かしていただいて、モデルとなる地域づくりをしていただきたいと思います。私どもも全力でお支えをしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

 次に、松原先生にお尋ねをしたいというふうに思います。

 先ほどのペーパーで御説明をいただいたわけですが、この中でも特に二ページ目の左上の「地域構造論」という部分についてお尋ねをします。

 現在、残念ながら東京一極集中が進んでおりまして、日本人というのは、あるいは日本の会社というのはどうやら寂しがり屋のようでございまして、大体、集まっているところにどんどん集まってくる、海外展開するといっても、集まっているところに海外展開していくという傾向が特に強く見られるのではないかというふうに思っております。したがいまして、地方都市の取引状況を見ますと、恐らく近隣の大きな町よりも東京と多く取引しているということの方が多いんじゃないかなと思うんですが、この構造を変えない限り、なかなか私たちの望む地方創生というのはできないのではないかと思っております。

 先生のこのあたりに対する認識と、その方法論として、先ほどは研究開発拠点の地方移転をお話しになりましたけれども、研究開発もやはり寂しがり屋でございまして、集まっているところに集まってくる、どうしても知の集積をした方がよろしいという判断もありまして、それはそれで大変な困難が伴うのではないかと思います。この方法論について、もう少し具体的に教えていただければありがたいと思います。

松原参考人 御質問ありがとうございます。

 私も地域構造論の中で地域構造の国際比較をしております。日本と同じような進んだ先進工業国で、ドイツですけれども、ドイツは非常に多極分散型の国土構造になっております。本社の集中率というのは、ベルリンも一〇%もないかと思います。

 おっしゃられましたように日本企業の特性あるいは日本人の特性というのがあるかとは思いますが、今回、私、地方創生の中で、本社の移転というのは、非常に難しい課題にチャレンジされていると思います。もうずっと前から本社の東京からの分散政策というのは検討はされてきましたけれども、なかなか実行されずに現在来ているかと思うんです。いろいろな形で進んできている部分もあることはあるんですけれども、業務核都市ができるとかですね。しかしながら、地方にどうやって本社を移転していくかということについては、ある面では日本企業のあり方自体の考え方が変わっていくということが重要だと思っております。

 ただ、先ほど言われました研究開発の立地を最近私は見ているんですけれども、グローバル競争の中でいろいろな考え方はあるかと思いますけれども、開発の部分というのは工場に近いところで、工場と密着した形で製品開発を行っていく、これが非常に今進んできておりまして、そういう面では、地方への工場それから開発機能の移転というのは進んでいくと思います。

 それとともに、そういうところと本社とがかなり密接にやはりくっつく必要がありますので、本社自体も、東京に置くものもあるかもしれませんけれども、本社機能の一部分というのは、そういう意味では地方の生産拠点、研究開発拠点に近いところに置かれていく可能性というのは私はあると思っております。

 以上です。

大岡委員 ありがとうございました。

 私の選挙区、地元も、風光明媚な琵琶湖があり、その裏には比叡山がありと、研究開発をしていただく環境は大変すばらしいところがあるんですが、なかなかこの困難にも直面をしておりまして、ぜひまた引き続き先生からの御指導をいただきたいというふうに思います。

 最後に、中山参考人にお尋ねをしたいと思います。

 先ほど、大変示唆に富んだ御指摘をいただきました。地方で普通の農業では暮らせないという現状、私も残念に思っておりますが、それが現状でございまして、それをどう解決するかという問題に取り組んでいきたいというふうに思っておるんです。

 そうした中で、農業の最大の問題点は後継者がいない、一方で過疎化していく町を何とかしたいということで、今回の法改正の中でも、コンパクトシティーじゃなくて、コンパクトビレッジ化を進めていくというものも盛り込ませていただいているわけでございますが、先生からごらんになったこの政策の評価、何は評価をできるがどの部分が不十分と思っておられるか、その点についてもう少し教えていただければありがたいと思います。

中山参考人 今の御指摘の大きなところ、コンパクトシティーというのが今は進んでいますけれども、そういう人口が減少する中で市街地をコンパクトに集積していくことをどう考えたらいいのかというような、特に、今回の小さな拠点もそうですし、立地適正化という考え方もそういう考え方ですし、普通に考えますと、人口が広がるときには市街地を大きくして、人口が減ると市街地を小さくする、それは一般的には妥当な考えだと思います。

 ただ、もともとコンパクトシティーの考え方は、ヨーロッパとかで進み出したんですけれども、ヨーロッパで検討されているコンパクトシティーの大半は、一九八〇年代から九〇年代に郊外で広がった住宅団地を、人口が減少するとともにもう一度コンパクトにできないか、そういう議論が圧倒的に強いのではないかなと思います。

 ヨーロッパなんかでも、農村をコンパクトにするとか、もしくは旧市街地をコンパクトにするとか、そういった計画というのはほとんどなくて、大半のところは、日本でいいますと、一九六〇年代、七〇年代に、大都市周辺でだあっと広がっていった郊外の住宅地、そういったところを中心にもう一度コンパクト化を図れないかという議論が多いと思います。

 ですから、もちろん、小さな拠点をつくっていくという考え方自身は、一つの考え方として重視すべきものだと思いますけれども、世界的に見た場合、コンパクトというのは、決して、農村を縮小するとか、いわゆる地方都市の中心部を小さくしていくとか、そんなものではなくて、どちらかというと、郊外にべたっと広がってしまった住宅地を縮小する、そういった考え方が強いのではないかな、そのように思います。

大岡委員 ありがとうございました。

 時間でございますので終わらせていただきますが、先ほど、阿部参考人、室井参考人からもありましたとおり、この地方創生の取り組みは、この法改正で終わるものではなくて、二年、三年、場合によっては、五年、十年、しっかり粘り強く取り組んでいかなければならない課題でございますので、ぜひ引き続き、参考人の皆様には御指導、御支援賜りますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様に、大変お忙しい中お越しをいただきまして、加えて、先ほど来、大変貴重な御意見を賜りましたことを心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。

 その上で、私にいただいた時間の中で、各参考人の皆さんに質問させていただきたいと思います。

 きょうは、まず、阿部参考人と、それから室井参考人にお伺いしたいと思っております。それは、お二方は、それぞれ地方議員も経験されて、かつ現在、市長さんをされているということで、まず、お二人に共通の質問をさせていただきたいと思うんです。

 それは、地方版の総合戦略の作成についてなんです。現在作成中、またはもう既に作成されたというお話も伺いましたが、この地方版の総合戦略の作成の中で、もちろん、産官学金労言とか、いろいろな方々も加わってくるわけなんですが、最も苦労される点、あるいは、この点についてはやはりいろいろな意味で、我が町の総合戦略のために、ここは集中的にこういうことを一番注意して作成したということについて、まず、首長の立場から、お二方に御意見をいただきたいと思います。お願いします。

阿部参考人 まず、東松島市は、平成十七年の平成の大合併で誕生した町でございます。その前は、旧矢本町、人口三万一千余り、それから旧鳴瀬町、人口一万二千ということで、合わせて四万三千ということでございます。

 その合併の際、言うまでもなく、平成十二年四月から施行されました地方分権一括法、要するに、市町村合併によりまして、平成十七年に合併したわけでありますが、その際のまちづくりの中での町の基本は、特別名勝松島というか、日本三景松島の一角でございますので、一つは、やはり自然を生かす、自然、歴史、文化、伝統を生かしたまちづくりをしようということで、当然、当時の市町村合併につきましては、地方分権一括法の中では、やはり国の説明は、これから人口が二割減りますよ、皆さんどうしますか、納税者も減りますよ、そういったわかりやすい説明をいただきました。そういった中で、私たちがみずから自己決定、自己責任の中で市町村合併を選択したわけであります。

 そういった中で、特に今回の東日本大震災で被災して、復旧復興に向けて感じたことは、この復興まちづくりをつくるためにどういったまちづくりをつくろうかというときに、やはり未来ある子供たち、少なからず中学生ぐらいからやはり策定に入れてつくろうということで、前々から市民協働のまちづくり、地域内分権ということで、市民みんなでということを掲げて市がスタートしましたので、そういった取り組みをして、今現在、復興まちづくりが続いています。

 それを生かさせていただいて、やはりこの地方創生というのは、それぞれの関係する皆様に御参加いただいて、国の方からは、金融機関を巻き込み入れるんだよという御指導もいただきましたけれども、言われるまでもなく、私たちが活力あるまちづくりを具現化するためには、その関係者に委員として入っていただく、あるいは別な形で御意見を頂戴する、こういった機会というのは絶対必要だというふうに考えております。

 そこが私は一番、現場の声を聞くということが、そして連携するということが大切なことだというふうに思って、今現在、そういった策定に努めているところでございます。

室井参考人 今回、総合戦略も策定をさせていただきましたが、それとセットで人口ビジョンの公表もさせていただきました。

 その中で、人口が本当に減っていくんだということは、データをしっかり持っているとわかるわけです。国においても、一億人、九千万人を切るという衝撃的な数字を発表されたわけです。しかし、地方の皆さんは、まだまだ何とかなると思っている方も実は多いわけでありまして、実は私も、選挙前でございました、人口が二割ぐらい減っていく中で、どこで下げどまりの状態をつくっていくか、そのためにさまざまな戦略をつくっていくということを発表するとき、政治的な立場からいうと、多少悩みはありました。しかし、それは、市民の皆さん、地域の皆さんに知っていただく事実でありますので、今回、そういう思いで発表させていただきました。

 それと、従来あった長期総合計画等、それぞれの市町村で計画がある中で、この総合戦略をどういうふうに、議会もありますから、当然議論の中で整合性を問われるわけであります。私どもとしては、従来から行政評価もやっておりましたし、PDCAも行っていました。その中で、特に後押しをすべきもの、新規で取り組むものということで、今回、総合戦略を速やかに策定させていただいたわけでありますが、そういう意味でいうと、議会の皆さんの一定の理解も得ているのかなと思います。

 また、PDCAの中で見直しをすべきKPI、それぞれの指標についてでありますが、今まで我々も想定していなかった、いわゆる婚活といいますか、子供を産み育てやすい環境をどうやってつくったらいいんだ、出会いをどうしたらいいんだというところまで今回踏み込ませて、交付金も頂戴しましたので、取り組みを進めているところであります。

稲津委員 ありがとうございました。

 それで、今お二方から大変大事な視点のお話をいただいたんですけれども、もう一度、またお二方にお伺いします。

 それは、議会の議員を経ていらっしゃるので、今度はそういった視点からのお話を伺いたいと思うんですが、特に今、室井参考人の方からは、総合戦略の作成ができた、その過程の中で議会の理解もいただいたというお話がありました。

 ともすれば、産官学金労言の中で議会はどうかかわってくるんだ、議員はどうかかわってくるんだというのは非常に大事な問題で、私は、むしろ積極的に、総合戦略の策定、あるいは策定後の施策の進捗状況とか、そういう中で議員の役割は遺憾なく発揮していただいた方がいいんじゃないだろうかと思っています。

 ただ、ともすれば議員の方は、これまでの議会の議論の中で、例えば、どうしても行政のチェック機能ということで、質問することだけに走ってしまう。本来、地方議会の議員の役割というのは、行政に対するチェック機能もあるけれども、もう一方で政策立案機能がある。条例も制定できるし、それから予算の修正だってできるわけですね。

 だから、議会の機能を本当に果たしていくということを考えたら、やはり住民の声を一番反映できるのは議会であるという立場から考えると、総合戦略の策定、あるいはその後についても議会や議員のかかわりは非常に大きい、大事だと思うんですよ。その点についてどうお考えか、お話をいただければと思います。

阿部参考人 お答えいたします。

 私も、十八年間地方議員を務めさせていただいて、公選ということで、首長とは対等だという強い思いも持ちながら質問等をしたわけでありますけれども、そういった中で、まず議会、当然、それぞれの地方ではいろいろな意味で職業の経歴を持ったり、やはり一言で言うと、議員は複眼の目があるというふうに、私はそういうふうに理解しています。

 ですので、今回、幸いにも宮城県の場合は、県議会の議長さんに音頭をとっていただきまして、宮城県内の各議会にこの地方創生の説明会からスタートして、国の方からもテープ等々もいただきましたので、DVDをいただきましたので、それらも皆さんと一緒に見させていただいて、同じ目線、温度差なく進めていきたい、そういった努力はしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

室井参考人 議員の皆さんの理解、すなわち、やはり町の理解、それから市民の皆さんの理解は当然だと思っております。

 今回、交付金をまずいただきまして、三月に議会の皆さんに議決をいただきました。消費喚起型と地方創生先行型ということであります。

 これについては、我々もしっかり事前に取り組みをやらせていただいていた流れもありましたので、なるべくさまざまな分野に効果のあるところということで、先ほど申し上げた、今まで踏み込んでいなかった、新しく出会いの場を設けたりするところまで取り組みをさせていただきました。

 その過程で総合戦略等について発表をさせていただいたわけでありますが、大きな新しい総合戦略の事業はこれから動いていくわけでありますので、私ども、その作成したものを事業として具体化していく中で、当然、予算措置も伴うわけでありますので、そのあたりはしっかりいろいろな提言を受けながら事業化をさらに進めていく。

 全てをまとめなければ総合戦略にならない、どれ一つ欠けても地方にとっては地方創生がかなわないという思いで、これから取り組んでいきたいと思います。

稲津委員 ありがとうございました。

 やはり、いわゆる二元代表制ということを考えていったとき、市長さんのそうした役割と、また議会の役割というのは、今回のこの地方創生というテーマでは、ある意味、特に議会側の取り組みが、あるいは議員の取り組みがこれから注視されるべきだというふうに思っておりますので、大変貴重な御意見をいただいたと思います。ありがとうございました。

 次に、松原参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどの御説明をいただいて、本当になるほどなということで、非常にわかりやすい御説明をいただきまして感謝を申し上げます。

 従来は、町おこしをどうするんだとなると、企業誘致だ、企業誘致のための工場の団地を整備するんだ、固定資産税の減免をやるんだとかをやってきたんですけれども、だんだんそういう時代でもなくなってきている可能性もある。

 私も、炭坑のあった町、産炭地域で、その炭鉱の合理化、閉山の中で人口が流出していく、しかし何とか町の機能を残そうということで、国のさまざまな政策的な支援をいただいて、企業誘致ということをやってきた。それは全然間違っていなかったと思うんですけれども、ただ、これから人口減少時代の社会に入っていったときに、それはなかなか難しいんだろうなと思っておりまして、参考人もその辺のことについてはいろいろな論文の中でも書かれているというように承知をしております。

 それで、一つは、人口減少社会の中で果たして従業員の確保が本当にできるのか。こういうことがあって、やはりこれから地方創生の中での新たな企業誘致というわけじゃないですが、そういう物づくり産業も含めて事業化していくに当たっては、やはり違う視点、参考人は、農林水産業の六次化とか観光とか、それから先ほどはマザー工場とかお話がありました。この点について、本当に時間もありませんので簡潔に先生の思いをお話しいただければと思います。

松原参考人 御質問ありがとうございました。

 おっしゃるとおりに、企業誘致だけでは今はなかなか難しい時代になっております。そういう面では、既存に立地している企業の工場の進化というのをどうやって促していくか、あるいは地域に定着させていくということが非常に重要だと思っています。

 そういうような観点から見ますと、結構、私も地方にいろいろな工場を訪問するんですけれども、従業員をしっかりと確保している工場が、割合中小規模の都市にもございます。そこに開発機能なども出てきておりまして、そういう面では、単純な物づくりだけではないような工場が出てきておりまして、そういう面では、いろいろなタイプの雇用を確保できる、そういう展望は、私はあると思っております。

稲津委員 大変済みません。中山参考人にもお聞きしたかったんですけれども、時間の関係上、また私の質問の趣旨が大体終わりましたので、以上で終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 きょうは、参考人の先生の皆さん、貴重な御意見を本当にありがとうございます。

 時間もありませんので、早速お伺いしたいんですけれども、まず阿部市長に伺いたいんです。

 今回の五次一括法案について高く評価されていると伺いました。農地転用許可を例に挙げておられました。確かに政府の方もかなり頑張られたところはあると思うんですが、一方で、積み残しもあったり、当初の要望の趣旨とは違う形で決着したものも、できたというふうにカウントしている例もあるやに承知しております。

 そうした中で、評価しつつも、より柔軟にとか、あるいは、提案に基づく改革をもっと大胆にというような発言を先ほどされていたと思うんですが、具体的にこれからのあり方をどのようにお考えでしょうか、地方分権の。

阿部参考人 お答えいたします。

 本当に、地方にいますと、よく、企業誘致も含めて企業の進出がありますと、そこが農地だったり。委員も御理解いただいていますが、つい最近までは、医療関係については非常に緩和されたとかということで、そういった経緯、経過がありました。そういった中で、正直なところ、私が行政に携わって二十八年間の間で、本当に時間もかかるし、難しいなと、多分、各地方の自治体の首長なり議会は、農地転用についてはそのように実感をしておりました。

 今回、一つ、今後課題として注目したいのは、四ヘクタール以上は大臣と知事が協議という形では残りました。そこはやはり地方としては、速やかに、時間を費やすことなく、スピード感を持って、そういった思いは今回の中で感じております。ただ、やっと動き出したなというのが実感でございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 言葉を選んで言われていましたけれども、一歩一歩進めていくということだと思うんですね。

 ただ、気になるのは、提案募集をして、提案が結構いっぱい出てきて、出尽くしてしまって、整理されて、もうこれ以上前に進まないということになるのを私は懸念しているんですね。まあ、ぎりぎり安倍総理も頑張られて、岩盤規制というふうに、農地転用許可なんかはそうなんだと思うんですけれども。ただ、あれだけ要望が出てきて、各省折衝して、もうこれで打ちどめという形になっても困ると思うんですね。

 だから、今、やっと動き出したなとおっしゃっているのはそういう趣旨で、もっと前に進めてほしいというふうに理解しましたが、そういうことでよろしいでしょうか。

阿部参考人 これは例えば東松島市の例ということで御理解いただきたいんですけれども、よく、まちづくり、毎年、住民のアンケートをとるんです。東松島市の場合は、ブルーインパルスの航空自衛隊があります。そうしますと、航空祭では人が来るんですけれども、日常の中でどうしても騒音という、苦情と申しますか、気になる部分があります、騒音。それから、もう一つは、やはり地方は皆、これは被災地も同じなんですけれども、震災前から、雇用の問題、働く場があります。あわせて、東松島市、地方の場合では足、弱者ですね、要するに交通の問題。これが、アンケートをとると、東松島は、つい最近までワーストスリーということになっていました。

 例えばの例なんですけれども、ワーストスリーですので、騒音対策なり、交通弱者なり、具体的に何とか解消しようという取り組みを当然考えます。そういった際に、必ず許認可の関係が出てきます。

 足を確保するために、幸い、あした、仙台から石巻まで仙石線が運転再開しますけれども、その野蒜駅の町なんですけれども、線路で、レールで結ばれていればいいんですけれども、横の部分になるとバスとか、そういうことになります。今回の特にコミュニティーバスとかという話になりますが、自家用有償旅客運送者による貨物の運送等の特例ということで、こういった部分については、この私も経験の中ではなかなか難しかった。それが今、震災とは別なところで、この特例の中で、バス等もこれまでの許可から届け出だけでなるようになる。そういったことでは、やっとと言うとどうかとは思いますが、そういった思いもあります。

 ですので、本当に今回、地方創生の中で進めるに当たっては、法改正、そういった環境整備もしっかりと皆様方にお考えいただきたいなというふうな考えで今いるところでございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 一歩一歩進めていくということで、評価されているというのはよくわかりましたし、これで終わっちゃいかぬということもそうだと思うんですが、次のステップとして、ちょっと話がそれます、この間、大阪都構想があって、あれが否決されてしまってちょっと心配しているのは、これでいろいろな議論がとまってしまうのを逆に心配しているんですね。都構想がいいと言っているわけではないんですが、議論をもっとしていかなきゃいけないと思うんですね。

 そこで、ちょっと室井市長に伺いたいんです。

 後ほどまた福島バレーの話を伺いますが、地方分権について、例えば道州制についてはどのように思われますか。

室井参考人 道州制の議論については、目の前の枠組みに今取り組んでおりますので、大きな枠組みの中で私がどう発言するかということは、立ち位置が今非常に微妙でございますので、ちょっとお答えしづらいので御理解いただきたい。

 ただ、やはり、効率的で、皆さんが納得いく体制に移行するということは当然想定されます。当然、そういう道州制の議論がされていたというのはありますけれども、会津若松市も合併して十年たった、一町一村と合併しておりまして。まずは、新市一体性を持たす、または事業として広域で連携してやっていくということで、それぞれの特性のある事業はしていただきますが、広域でできるものは広域でというような考え方で今取り組ませていただいているということで御理解いただきたいと思います。

奥野(総)委員 よく理解できました。

 申し上げたいのは、地方分権、我々でいうところの地域主権をもっとさらに前に進めるべきだということを伺いたかったわけであります。

 それから、松原先生に伺いたいんですけれども、大都市圏への一極集中ということで、とりわけ東京圏の話をされていました。工場については地方移転が大分進んできたということなんですが、情報、サービス業関係あるいは広告の関係がまだ東京都にむしろ集積をしているということなんです。これは、理由は何なんでしょうか。

松原参考人 まだまだしっかりとした分析というのは十分にはできておりませんけれども、例えば広告業の地図を出しておりますけれども、対面接触、フェース・ツー・フェースでビジネスをしなくてはいけない、そういったようなものについては、やはり東京でなければならないというものもあると思います。

 それから、人材ということになると思いますけれども、やはり東京にいろいろなタイプの多様性のある人材、才能のある人材、こういった者が多く集まっているといったようなことが集積というものの背景にはあるかと思っております。

 そういう面では、特にこういった若者に人気のあるようなクリエーティブ産業自体、これは東京の国際競争力の源泉でもありますので、ここは強めつつも、ただ、情報通信手段が発達してきておりますので、創造性を生かす地域というのは別に東京でなくてもやっていける、才能のある方が自然のある地方都市であるとか過疎地域でも仕事をやっていける、そういったような分野も出てくると思いますので、そういう面では、こういうような創造的な産業というのを地方で創出していくということが重要だと私は思っております。

奥野(総)委員 ある人から伺ったんですが、テレワークがいまいち普及しないのは、結局やはり対面が大事じゃないか、大事なところは対面して話し合っていかないとイノベーションは生まれないんじゃないか、こういう意見もあるんですね。

 今ちらっとおっしゃいましたけれども、広告に限っておっしゃっていましたけれども、やはりある程度フェース・ツー・フェースは大事ですと。だから、幾ら地域イノベーションといっても、やはりある程度人が集まってきて、いろいろなタレントを持った人が集まってこないと地域イノベーションということが生まれない。

 さっき地域イノベーションとおっしゃった言葉の定義は、私は余りよく理解していないんですが、字義どおり捉えたときに、何かブレークスルーを起こすということであれば、やはり一定程度の人の集積がないと無理だという印象を受けるんですが、そのあたり、いかがですか。

松原参考人 私自身の考えですけれども、地域イノベーションは、どちらかといいますと、物づくりの、あるいはサイエンス型の産業もありますけれども、大学とか、そういうような技術革新の話で考えております。

 今先生御指摘の話というのは、創造性、クリエーティビティーといったようなものを考えるような分野かと思っております。イノベーションとクリエーティビティー、少し分けた方がいいかなとは思っております。

 クリエーティビティーに関して言いますと、必ずしも大都市圏の中でなくても、かなり立地し得ると思っております。福岡の地方都市なんかの広告産業を見てみますと、むしろ東京に仕事をとりに来ているような、そんなような企業も出てきております。そういう面では、そういう地方都市というものの可能性というのは大いにあると思っております。

奥野(総)委員 なぜ伺ったかというと、会津若松の福島データバレー構想ですか、これについて関連して伺いたかったんです。

 今のお話を伺う限りは、交付金をもらって建物をつくろうというところまでは決まっているようなんですが、やはり、そこにある程度人が集まってこないと、まあ、すばらしい人材がいる大学がもともとあるようですけれども、一定のテナントが入って集まってこないとなかなか立ち行かないというように思うんですが、これは具体的にテナントとか、グーグルとかが出ていますけれども、もう誘致のめどは立っているんでしょうか。

室井参考人 お答えをしたいと思いますが、その具体的な手順については、こういう言い方をまずさせていただきたいと思います。鶏が先なのか、卵が先なのか。

 行政として、地元として、受け入れる体制整備は極力やっていきます。あわせて、関連する皆さんに、こういう条件では来ていただけないですかというような地道な営業も、実はここ二年間ぐらいやってまいりました。その中で一定程度方向性が見えてくるかなというところで、今回あえて、ICT専門ビルですか、我々はホルダー企業と呼んでいるんですが、このビルの整備をすることで、その方たちとしっかりとした関係を築きながら誘致に動いていくということになろうかと思います。

奥野(総)委員 いっとき、地方にいろいろな工業団地が立地されて、あるいは研究開発都市みたいな、補助金をつくって地方に乱立したことがあって、うちの選挙区にもありますけれども、今そこはもう整地された団地、団地だけは残っていて何もないということがありました。そういう心配、そうならないように、今度こそ成功させなきゃいけないと思うんですね。

 国家戦略特区にも手を挙げておられるようなんですが、先ほど来盛んに財政支援のお話をされておられました。

 この前、私も質問で申し上げたんですけれども、国家戦略特区法の中では財政支援の話はないですね、規制緩和だけなんです。きちんと来てもらう、グーグルでも何でもいいんですが、来てもらうには、やはりそれなりの覚悟を持って国が支援する、あるいはきちんとお金をつけてあげないとなかなか難しいと思うんです。そうしないと、一過性にお金をぼんともらって箱物をつくっても、かつてのように、結局テナントが入らないということになりかねないと思うんですね。

 そのあたり、私、せっかく地方創生あるいは国家戦略特区といっているわけですから、しっかりした財政支援をやはり国に求めていくべきだと思うんですが、いかがですか。

室井参考人 まことに先生のありがたい御支援の声だと思います。そのあたりは国の方のすき間交付金等でしっかり支援していただくことで、このICT専門ビル等の整備をさせていただきたいと思います。

 若干、グーグルさんのお話が出ていますけれども、どちらかというと、データセンター単独での立地というふうな想定をさせていただいています。これは、ですから、先ほど言いましたICT専門ビルとはちょっと分けていただく。

 なぜかといいますと、データセンターはやはり電気をたくさん使うところであります。会津の場合は再生可能エネルギーがほぼ充足しておりまして、十分供給できるグリーンデータセンターとして立地が可能なこと、また、大学がありますので、その人材活用ができる、または、先ほど言ったフェアユースという観点からも対処できる人材があるということと、あと国土強靱化の関係で、例えば太平洋からいわき、郡山、会津若松、新潟と高速回線を引くことで国際回線の分散化、いわゆる国土強靱化につながるものかなというふうに考えて、提案をさせていただいているものでございます。

奥野(総)委員 中山先生に、普通の農業をどうやって成り立たせるか伺いたかったんですが、時間でありますので、以上にしたいと思います。どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。維新の党の小熊慎司です。

 それぞれの参考人におかれましては、大変お忙しい中、また、急遽の参考人質疑に御出席をいただきまして、御礼を申し上げる次第であります。

 早速質問に移りたいと思いますけれども、地方の人口問題というのは今に始まったばかりではなくて、従前から都市部に集中をする。東京だけではない。阿部市長のところでいえば、東北の中では仙台集中というところがありますし、各県ごとを見ても、県庁所在地に集中をしている、福島県はちょっと分散しているんですけれども。そういった日本全体の集中度合いもあれば、地域における集中度合いもあります。

 私の地元の会津から室井市長が来ておられますけれども、会津においても、市長が生まれたころは四十四万人ぐらい会津にいたのに、今もう二十七、八万人台になっていますが、そういう中でも、会津若松市は周辺町村から寄ってきていた。地方の人口のダム機能と言う方もいらっしゃいますけれども、ダム機能も今もう危うくなっているし、周辺町村が減り続けることによって、拠点となる都市の人口減少も加速度的に進んでいるというのが、今あちこちで起きている現象です。

 そういう中で、今、まち・ひと・しごとということで、仕事を地方にということで、今回の地方再生の中でも、七千五百社の企業を地方に移そうということで、あと、大都市だからまあまあいいだろうということで名古屋とか大阪を外して、それ以外のところでやる。

 これは石破大臣も、やはり同じ市といっても、東松島市四万前後で、会津若松市十二、三万で、同じ市でも全然違いますし、まして、隣が仙台で大きいのがあって、競争しろと言ってもなかなか、無差別級でやらされたって、階級別にしてもらわないと本当はよくないと私は思っているんですけれども。

 そういうことを政府の方ともしゃべっていたら、広域的に取り組んでもらうような仕組みもありますから、ちっちゃい市町村で企業誘致に取り組むんじゃなくて、圏域でやってくれという話があったんですけれども、実際、そんなことに現場でなっているかといえば、難しいと思います。

 私も地方議員出身ですけれども、その市の予算でやる、連携してやるんだけれども、でも、誘致企業は隣の市に行っちゃった、こちらは住宅地をちょっとつくってもらったというので、なかなか税金、行政が違うと、連携といってもなかなか難しい部分があるというふうに思うんですね。

 今回の企業誘致、東松島は定住自立圏構想も取り組んでおられていますけれども、会津においては、会津は一つという旧来ながらの言葉があって、ほかの地域より地域のまとまりはあるんですが、市町村を越えてこういう企業誘致をやっていかないと、これは確かに、東京だけじゃなくて、ほかの地方の大きい都市と競争するというのでは、なかなかしんどいですから。それなりの市町村がまとまりになってこういうことに取り組んでいかなきゃいけない時代だというふうに思います。

 その上で、いろいろなテーマはありますけれども、とりあえず企業誘致に限ってちょっと御質問しますが、広域的な取り組みをしていく上で、課題となるべきものというのはどんなものがありますか。阿部参考人と室井参考人にお聞きいたします。

阿部参考人 まず、東松島市の場合は、もう本当に隣接で石巻市、それから三十五キロで仙台市ということになります。

 当然、私たちは、人口減少の中で、働く場の創出ということで、企業誘致も含めて、歴代あるいは近隣の町でも努力中でありますが、一番、宮城県の場合でありますと、例えばトヨタ自動車が進出しまして、関連する企業がふえました。しかし、相当長い時間がかかりました。県議会では、あの用地をススキが原というふうにさえ呼んでいました。要するに、秋になるといつもススキが生えて、きれいなところだというような。そういったところが一変して、今は非常に活気があって、東松島市内からもそちらの方に子供たちがお世話になっています。

 ですから、遠く離れても、うらやましいなと思うだけでなくて、必ず関連しますので、そういった意味では非常にありがたいことだ、大歓迎だなというふうに思います。

 そういった中で、やはり環境整備なんだろうなと。

 東松島市の場合は、隣が石巻、そして自分たちも努力する、そういった中で、物づくりが一番わかりやすいかもしれませんが、やはり観光部分がこれから国際的にも、外国人も含めてなんですけれども、期待しているといいますか、そういったことでは観光産業ということで、これはやはり連携しないとなかなか難しい。松島湾があって、松島湾ダーランドということで松島湾の周辺で、我々もそうですけれども、やはり連携してこれからはやっていく。

 それには、環境整備の中で、あす、おかげさまで運転再開しますけれども、仙台から石巻の電車が四年二カ月でやっと動き出す。これは、仙台から石巻、さらにその先の女川まで、やはりその圏域の経済の波及効果があるんです。それから交流人口の増加も期待できる。ですので、やはり鉄道も含めたそういった環境が必要だろう。それから、その横の中で民間のバス会社との連携とか。

 観光であれば、我々はそういった初めて鉄道が四年二カ月も寸断された中でいろいろ考えることがありまして、再開したらこうしようとか。そういった中では、ただ単に待っていただけではなくて、皆さん非常に、今後の地方創生に向けた環境整備どうあるべきかというのは、多分、隣接、お考えだったんだろうなというふうに考えております。

 私は、端的に言いますと、やはりインフラ等々の整備は欠かせないのかなというふうに思っております。

 以上です。

室井参考人 お答えをいたします。

 私が就任してからの数字を申し上げますと、新規の企業が間もなく九社立地します。それから、実は増設の方が多いわけでありまして、二十二社。そういう形で、やはり既存の企業さんへの支援というのは非常に有効だというふうに思います。

 特に、福島県の場合は、立地の補助金、これは国そして県のものがございましたので、その後押しもございました。そのおかげだとは思いますけれども、地方は働く場所がないための人口流出というのが非常にありますので、土地利用も含めてさまざまな総合的な戦略を展開することで、まずはみずから、首長もトップセールスを行いながら誘致をしていくというのがこれからも継続的に必要なのだと思います。

 ただ、いろいろなもののとり合いだけに終わるというようなイメージではなくて、地域全体がよくなる、先ほど小熊先生がおっしゃったように、隣接する町村とは物づくり企業では連携して誘致をしましょう、そういうことは積極的にさせていただいております。

小熊委員 これは、今お二人の市長さんからの話を聞いたとおり、東松島は、仙台経済圏の中で、その衛星の中でいろいろな条件も整っている部分もありますし、全国を見れば、近年でいえば、盛岡の近くの滝沢村というのは、ベッドタウン化して、市にいきなりなっちゃったというのもあります。そういう生き方をしていく、そういう連携の中で生きていくというやり方があります。会津は会津で一つ独立して、ほかのところからベッドタウン化なんということはできないところで、その地域の連携をしていかなきゃいけないんですけれども。

 松原参考人と中山参考人にお聞きしたいのは、中山参考人も、いろいろな論文の中でコンパクト化とネットワークという言葉も使われております。やはりそれぞれの地域で、背景がいろいろありますけれども、集約化していくもの、そしてネットワーク化していくものというのが非常に必要になってくるというふうに思います。その結果がさらなる市町村合併、道州制なのかということはまた議論をしなければいけません。

 いずれにしろ、集約していく中でも、先ほど阿部参考人が言われた都市内分権というのはしっかりしていかなきゃいけない部分でもあるんですが、とりあえず、地方が生き残りをかけていく、ある意味、地域間競争もあるわけです。本当は政府の責任であるのに、地域が頑張らなきゃだめになるんだみたいな乱暴な意見もありますけれども、とりあえず、競争をやっていく上では、市町村を飛び越えたネットワーク化というのが必要になってくる時代でありますし、人口問題というのも、一つ一つの市町村で汗を流すんじゃなくて、その圏域の中で考えていかなければいけないということがあります。

 このネットワーク化に関しての取り組むべき課題というものについて、松原参考人と中山参考人からお聞きいたしたいと思います。

松原参考人 今までの質疑を聞いていまして、私も、一極集中の三極構造と言われたことがあります。日本全体では東京、地方ブロック圏域では地方中枢都市、そして県内では県庁所在都市、こういう問題点というのはもう八〇年代あたりから言われておりました。

 ただ、私は九州に十二年おりましたけれども、その間、やはり福岡一極集中というのがかなり問題にされました。数字を見ていますと、地方ブロックの中で福岡一極集中が進んでいるかというと、数字の上ではそれほど進んでおりません。

 どうしてなのかなというふうに思っておりましたら、ネットワーク化と今御質問がありましたけれども、御承知のように、九州新幹線ができまして、高速交通体系によりまして、それぞれの地方都市間の連結がかなり強まってきております。これは、東京との関係ではなくて、地方圏の中でそういう地方都市間の連結というのが、高速交通体系、それから情報通信体系の整備によりまして進んできています。そういう面では、ネットワーク化によりまして、地方ブロックの中での一極集中は変わってきていると私は思っております。

 そういう面でいいますと、いろいろなところに住んで、例えば地方中枢都市を利用しながら、あるいは東京も利用しながら、いろいろなところで、ネットワーク化の中で、地方の中小都市にも可能性はあると私は思っております。

中山参考人 今御質問のコンパクトとネットワークの関係ですけれども、そもそも大前提として、コンパクト、ネットワークが重視されているのが、今、地方だと思います。ただ、コンパクトとネットワークが重視されている前提として、地方では今後大幅な人口減少が避けられない、それが大前提になっていると思うんですね。

 私の場合、そもそも、日本全体で人口が減るのはやむを得ないと思うんですけれども、人口を減らしていくとすれば、地方よりも三大都市圏、そちらの方での人口削減はあり得たとしても、むしろ地方ではできるだけ人口を維持していくというのを前提に考えた方がいいのではないかなと思います。

 もし、地方で人口を維持するというのを前提で考えた場合、コンパクトのネットワークは地方で考えるというよりも、むしろ三大都市圏でそういう話をどう検討していくのか、そちらの方が重要になるんじゃないかなと思います。

 ただ、三大都市圏の場合は、御承知のように、日本というのはヨーロッパなんかと比べてもかなり人口密度が高いですから、むしろ市街地を縮小するというようなコンパクトというよりも、防災性を強めていくとか、災害に脆弱なところはできるだけ自然に戻していくとか、いわゆる市街地を小さくするというよりも防災を高めるというような、そういうふうなコンパクトといいますか、そういう方向性をむしろ大都市圏では考えていったらどうかなと思っています。

 ですから、地方で大幅に人口が減るということを前提にしてしまいますと、どうしてもコンパクトとネットワークということになりますけれども、そもそもその前提で考えるのが妥当なのかどうか、その辺を地方では検討すべきではないかなと思っています。

小熊委員 ありがとうございました。

 中山参考人が言われたとおり、本来であれば、三大都市圏をどうするかとメスを入れなきゃいけないんですけれども、推計でいうと三大都市圏はまずまず人口が微減か維持をされて、日本全体は二割以上減るわけですから、その分のへこみは各地域においては二割以上、もう三割、四割というふうな推計も出ているところもありますから、これはしっかり考えていかなければいけないなというふうに思っています。

 参考人の皆さん、本当にありがとうございました。

鳩山委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、四人の参考人の先生方、まことにありがとうございます。私の方からもお礼を申し上げます。

 早速質問に入るわけですけれども、きょうはお二人の市長様に来ていただいておりますが、どちらの町も合併を体験されておられます。それで、もちろん合併というのはそれぞれの町の判断でありますけれども、随分、やるときには事前に、合併すればこういうふうに支援するという枠組みをつくってやったわけでありますけれども、同時に、それと一体に三位一体改革ということもやられまして、逆に地方交付税の方は随分減らされるということもございました。

 当委員会でも随分、やはりこれからのことを考える上で、これらの施策がどうだったのかということをしっかり見きわめる必要があると私たちは主張してきたわけでありますけれども、今では、これを進めた地制調の西尾勝会長なども、三位一体改革はこんなはずではなかった、惨めなる結果に陥った、大失敗としか言いようがないと国会に出てきて語られたこともありますし、平成の大合併についても、もう少し、編入合併される側の町村の小さな自治を大事にするということもやった方がよかったんじゃないか、こういう御発言もございました。

 率直に、合併されて、そして三位一体改革というものも経験されて、各首長としてこれをどう受けとめておられるか、お二人の首長さんからお話を聞かせてください。

阿部参考人 まず、市町村合併についてでありますが、平成十七年に合併した自治体はちょうど合併十周年という年になります。今、そういった中でどうだったんだという御質問でありますが、東日本大震災で、東松島市については小さな合併でありますので、きめ細かに住民自治に力を入れていましたので、後で調査していただければ御理解いただけると思いますけれども、東松島市では合併が非常に力を発揮した部分が大きかったのかな、そう思います。

 そういった中で、三位一体改革のお話も出ました。この件につきましては、平成二十年十一月に全国市長会の方で、地方交付税の減額について不満を表明しておりますので、組織としても、六団体の中でも全国市長会についてはそういった表明をさせていただきました。

 東松島市ではどうだというと、これは各自治体の皆さんそうなんですけれども、実は、地方交付税で地方創生と同じようなそれぞれのまちづくりに取り組んでいるんですね。ですから、恥ずかしながら、この地方交付税がやはり我々にとっては生命線かな。要するに、地方税ゼロの自治体もあるわけですので、これをいただいて、どうだと威張って言えることではございませんけれども、ただし、地方交付税、総務省からそういった配慮いただいている自治体にとっては生命線なのかなというふうに感じております。

 以上でございます。

室井参考人 お答えをいたしたいと思います。

 三位一体改革での交付税のお話がありましたが、やはり交付税、予算化するときの算定が非常に微妙なところがございます。ですから、それがもうちょっとクリアになったり、要するに、しっかりと予算組みができる、やってみたらば足りなかったということになると、自治体はやはり財政力が弱いわけでありますから、その辺に関しては、実はこの三位一体改革で非常にいろいろな面で自治体は苦労したわけでありまして、今後も、国におかれましては、その辺の御配慮をぜひお願いをしたいと思います。

 平成の大合併についてでありますが、私どもも十年でございます。新市としての一体的な事業もしっかり進んでおりますし、合併特例債につきましても、私どものところは震災地ということで十年延長をお認めいただきました。残された期間、特例債事業をしっかりやっていくということが一番大事だというふうに思っています。合併したときのお約束というふうに申し上げています。それぞれ、社会基盤が多いわけでありますが、やるべきことはしっかりやることが新市としての新しい未来が開けるものと思います。

 ただ、残念なのは、いろいろなお約束の中で、一定期間後に縮小しなければいけないようなものもあるわけでありますが、地域文化、お祭りであったり地域固有のものについては、やはりこれはコミュニティーですから、しっかり残すような努力を新市の対応としてとるべきだというようなスタンスで、今周りの皆さんとはお話をさせていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。そのとおりだと思うんですね。

 それで、とりわけ、人口減少社会と言われる中で、どう国土を守っていくのかというのは非常に大きな課題だと思います。災害も非常に多い。それで、防波堤などのハードな構造物で防ぐという考え方もあるわけですけれども、大事になってくるのは、災害に強いまちづくりをいかに進めるか。この点で、阿部参考人からも、随分先駆的な取り組みのお話をお伺いいたしました。また、中山先生は、奈良県南部の復興支援にこの間取り組んでこられたという話も冒頭のお話でございました。

 そこで、阿部参考人と中山参考人に、災害に強いまちづくりという点で、地域住民の自治の力をどう発揮させていくか、お二人の御見解をお伺いしたいと思います。

阿部参考人 実は、宮城県は、宮城県沖地震ということで、大体三十五年前後に一度は大地震が発生するというふうに政府の地震調査委員会でも発表されております。ちょうど私が市長を拝命した平成十七年では、当時、政府の地震調査委員会では、この十年の確率五〇%というふうに言われました。二十年で八〇%、三十年で九〇%というような、そういった政府の調査委員会がありましたので、やはり市長の使命は安全、安心なまちづくり。

 昭和五十三年に宮城県沖地震がありました。そして、平成に入りまして、平成十五年に、死者が出なかったので余り目立たなかったんですけれども、私ども東松島市を中心とする直下型、要するに、震度五強、それから震度五弱二回、一日三回の地震がありました。今回の東日本大震災よりは、建物の被害が非常に大きかったです。時間は短かったんですけれども、直下型ですから、下からですから。

 そういったことで、それが今回の東日本大震災の対応には生きたわけですけれども、そのときに思ったことは、やはり、自助、まず自分たちの命を守る自助、それには、プラス共助で、地域で自治防災をつくっていただくということで、みずから自分の命、地域で助け合う共助、それを全部市内でつくっていただきました。これは宮城県で一番最初だったというふうに思います。

 そういった中で、今回の東日本大震災で、さらに、沿岸部よりは比較的被害の少なかった内陸部がお互いに助け合う共助、そして震災後には、お互いに地域の中で、町の中で災害協定を結ぶ、地域の協定を結ぶというような、そういった取り組みまで今いっています。

 ですので、私は、これは行政がしかけたんじゃなくて、住民の皆さんがみずから、これまでの経験とかそういったもので、命を守るために、あるいはこれからの防災、減災のために何が必要なのか、そういうことで、これまでの宮城県の、あるいは東松島市の教訓を生かして、今後の防災、減災に生かしてきたというのはそういった考えでございます。

 私は、やはり、行政がしっかりと皆さんと情報を共有しながら、国、県と連携しながら取り組んでいくことが生命財産を守ることだというふうに思っております。

 以上でございます。

中山参考人 自治の力をどう引き出すかということなんですけれども、自治の力を引き出す場合、やはり最も重要な役割を果たすべきは行政だと思いますね。

 今回の自然災害にしましても、市民がきちっと立ち上がって自主的にいろいろなことをしていく場合、それをきちっと支援していく行政が存在しているかどうか、やはりそこが復興についても大きな明暗を分けているんじゃないかなと思います。もちろん合併に対する評価はいろいろとあると思いますけれども、小さくても役場が存在していたかどうかということが、その後の復興にとっても極めて大きな違いを出してきたのではないかなと思います。

 ですから、市民とか地域の人の自治の力を高めていくときに、やはり行政の果たす役割というのは極めて重要でして、行政の力をどう高めていくのか。特に地方創生なんかでも、この間頑張っておられるところは、やはり行政が頑張っているところだと思います。もちろん、先ほども企業の移転とかもありましたから、そういうことは大いにやったらいいと思うんですけれども、やはり地域の自治力を高めていくために一番早いのは、むしろ行政職員をふやしていく。

 だから、いろいろと補助金をつけて民間企業の誘致もやったらいいと思うんですけれども、同じお金をかけるのであれば、行政職員をふやしていくということをきっちりやって、行政が核になって地域の活性化を考えていく、防災力も高めていく。やはり行政が地域のかなめになるという、そこの視点が重要ではないかなと思っています。

宮本(岳)委員 ありがとうございます。

 そういう力を本当に地域で高める上で、私は、地方国立大学、地方大学の役割というのは非常に大きいと思うんです。

 資料を見せていただきますと、室井市長の会津若松でも、地元の会津大学、それから国立大学でいいますと、東京農大と一緒になっていろいろな町おこしに取り組んでいるという話もありました。

 ただ、私がこの委員会でも明らかにしたんですが、今、地方国立大学が運営費交付金がどんどん削られて、さっき地方交付税交付金の話がありましたが、大学の方も運営費交付金が、基盤的経費が削られて、各地の国立大学から、このままではそういう地方創生の知の拠点としての役割すら果たせないという悲鳴の声が上がっているということを御紹介申し上げました。

 そこで、そういうお話のあった会津若松の市長さんと、それから国立大学で教鞭をとられている松原先生、そして中山先生から、地方国立大学の基盤的なそういう経費をきちっと確保することについての御意見をお伺いしたいと思います。

松原参考人 私の資料で図の九というのはちょっと駆け足でしたので説明いたしませんでしたけれども、この図にあるんですけれども、産学官連携が、東京だけではなくて、三大都市圏だけではなくて、地方圏でも活発に行われております。そういう状況をこれでは示しております。

 特に理工系の大学の学部が割合、地方の工業都市に多くあります。例えば山形県の米沢、ここには山形大学の工学部があるんですけれども、そこでは有機ELの研究というのが非常に熱心に行われております。長野県上田ですけれども、信州大学の繊維学部があります。その繊維学部では、ナノテクノロジーの立派な研究成果というのが出てきております。

 たくさん、例を挙げれば切りがないんですけれども、地方国立大学の特に理工系の学部、そこが産学連携の核になっております。昨年も福井大学を訪問いたしましたけれども、福井大学で、公設試、福井県の工業センターですか、公設試験研究機関、地域の中小企業と一緒になりまして、炭素繊維の新しい製品なども生み出しております。そういう面では、地方国立大学の地方創生に果たす役割というのは非常に大きなものがあると思います。

 財政的な支援も大事ですけれども、卒業生をどうやって地域に定着させていくか、卒業生の就職先として地方都市のあり方というものを考えていく必要があると思っております。

 以上です。

室井参考人 お答えをしたいと思います。

 会津大学は単科大学でございます。情報通信専門ということで、二百四十名の定員で四カ年ということでありますので、そういう意味でいうと、会津若松市のみならず福島県にとっては大きな力でございますが、実は、六割が県外から来られまして、八割が県外に行かれます。ですから、県内の方までよそで御活躍されるということで先ほどのシナリオになっているわけでございますので、今後もそういう意味での御支援をいただきたいと思います。

 今回、私の資料の四枚目でございますが、農作物の鮮度IT管理ということで、イオングループ、これは、震災以降風評被害もございました、それをしっかり応援していただいて、それに今回は東京農大さんのさまざまな知見をいただきまして、新規参入まで可能にする科学的な裏づけをつくっていただきたいということでやっております。

 また、農業は地方にとっては新しい産業の一つという位置づけで、六次化も含めて、農産物の一次加工場、カミサリーという言葉がありますけれども、その誘致の方もイオングループの方に今お願いしている経過にございます。

 いずれにしても、大学の知というものは普遍的なものであります。ぜひ、活用させていただけるような御支援を国にもお願い申し上げたいと思います。

中山参考人 御指摘のように、地方の大学がその地方の創生にかかわっていくということは非常に重要なことですし、それが大学にとってもプラスになりますし、その地域にとってもプラスになると思います。

 ただ、現状では、そういったかかわり方というのは、どちらかというと三年から五年のプロジェクト単位でやっていくものが圧倒的に多くて、一方では経常的な経費が減る中で、そういった短期間のプロジェクトで進めざるを得ない、そういう大きな問題があるのではないかなと思います。

 やはり大学が地域にかかわるというのは、お金がついたときだけかかわるのではなくて、経常的にずっとかかわっていくということが大学にとっても重要だし、地域にとっても重要だ、そう理解しています。そのためには、三年とか五年のプロジェクトを重点的にやっていくというよりも、そういったものが安定的に続けられるような経常的な財政保障というのがどうしても必要ではないかな、そのように思います。

宮本(岳)委員 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

鳩山委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して心から厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鳩山委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、内閣府地方創生推進室次長若井英二君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、地方創生関連三法案の締めくくり質疑ということですので、今後のことを踏まえた総括的な質問をさせていただきますので、石破大臣初め政府関係者におかれましては、ぜひ簡潔にお答えをいただければと思います。

 まず一つ目でありますが、人口減少時代に対応した生活圏の整備についてであります。時間がありませんので、括弧一と括弧二と一度に質問させていただきます。

 資料は一から七まで用意をいたしましたが、これは全て総務省、内閣府、そして国土交通省がつくった資料でございまして、これらは地方創生にとって欠かすことのできない面的な整備、つまり、第一次生活圏、第二次生活圏、さらには第三次生活圏、広域生活圏をどうつくっていくのかということにかかわる応援の仕組みでございますので、こうしたことについてまずお伺いをいたしたいと思います。

 まず最初に、定住自立圏と連携中枢都市圏の指定条件について、特に昼夜間人口比率の取り扱いが違うのはなぜなのか。また、財政支援について、定住自立圏は特別交付税のみ、連携中枢都市圏は普通交付税と特別交付税の対応と大きく違っているわけでありますが、その理由は何なのか、お伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

あかま大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、連携中枢都市圏の昼夜間人口の要件比率がおおむね一以上だ、一方で、定住自立圏の昼夜間人口比率は一未満にすべきじゃないかというお問い合わせでございます。

 お尋ねのとおり、連携中枢都市圏の昼夜間人口比率は、今、おおむね一以上としているんですが、対象となる都市圏、これらについての条件は今年度中に確定をさせるものとしております。

 あわせて、定住自立圏の中心市における人口比率の要件については、地方分権改革に関する提案募集の実施方針、これにのっとって提出された地方からの提案を受け、連携中枢都市圏における要件の考え方も参考に、必要な検討を加えるというふうに今考えておるところでございます。

 あわせて、財源措置の違いについてお尋ねがございました。

 定住自立圏、これには特別交付税措置だ、連携中枢都市圏については普通交付税もあるという話でございますけれども、この違いでございます。

 定住自立圏、これにおいては、必要な施策をみずから選択して取り組むことによって圏域ごとに必要な財政需要が異なるという事情。一方の連携中枢都市圏についてでございますが、経済成長の牽引役となるという役割であるとか、高い機能の都市機能を集積、強化するといった広範囲な取り組みであるとか、さらには、多くの分野にわたる幅広い取り組みをするということでの違いでございます。

福田(昭)委員 今の説明は、今まではそれでいいんだと思うんですよ。今まではですよ。しかし、これから本格的に、消滅可能都市が全国の市町村の約半分あるという中で、では、どうやって地方を創生させるということについては、これはやはりちゃんと見直しをしないとだめだと思うんですよね。

 ですから、私はもともと、昼夜間人口比率一については、自治省の時代から総務省が指定して推進してきた広域行政圏というのがある、広域行政圏の中心都市は、もし一を下回っていても、やはり定住自立圏として指定をして応援すべきだ、そういう提案をずっとしてまいりました。

 今回の市町村合併を踏まえて、千七百十八の市町村のうち、実は五万人未満の都市が約七割なんですよ、市町村が。ということを考えると、五万人以上という人口の規模も、もしかするともうちょっと下げて三万人以上とかそれぐらいにしないと、本当に、それこそ、国土の均衡ある発展は捨てちゃったのかどうかわかりませんけれども、国土の均衡ある発展をやはりこれから地方創生のために実現していくということになれば、人口規模もそうですし、昼夜間人口比率もそうですし、さらには経済成長の牽引役、こういう話がありました。

 それは確かに、人口二十万以上の都市にはそういう役割を果たしてほしいと思いますけれども、しかし、人口三万の中心都市であっても、五万の中心都市であっても、ここに必要なのはやはり雇用の場、働く場なんですよね。やはり、そこは、小さな生活圏であっても、その中でしっかり産業を起こして経済を引っ張っていく、そういうこともなければ私はだめだと思っているものですから、そういった意味では、お答えは要りませんけれども、定住自立圏と連携中枢都市圏は非常に私は重要な仕組みだと思っていますので、今後の地方創生に向けて、ぜひ、さらなる御検討、見直しをしてほしいというふうに思います。

 二つ目は、小さな拠点形成、これは内閣府の、中山間地域等向けだと。さらに、国土交通省の、都市再生特措法に基づいて、多極ネットワーク型のコンパクトシティーの形成という仕組みもあります。そこに、今回法改正の中にもありますけれども、地方活力向上地域の形成ということで、三大都市圏を除く地域から企業の移転、あるいはもともと地方にあるものの拡充型、移転型ということで企業を応援して、それこそ地方の活力を向上させようということであります。

 こうした仕組みをしっかり組み合わせたことによって、自分たちの町の生活圏あるいは経済圏を整備していくということは非常に大事だと思いますけれども、こうした組み合わせのモデル例について自治体にお勧めしたらどうか、こう思うんですけれども、石破大臣の御所見をお願いしたいと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

石破国務大臣 モデル例というのは、まだ、コンパクトシティーとか、コンパクトビレッジとか、そういうものの概念がいま一つよく伝わっていないところがあるというふうに私は承知をいたしておるところでございます。

 これをどういうような形でやっていくか。そこにおいて必要なのは、特にコンパクトビレッジはそうだと思うんです、小さな拠点はそうだと思いますが、地域におけるきちんとしたお話し合い、ボトムアップの手法が必要だと思っておりまして、その際に、こういう例がある、こういう例があるというようなことはきちんと周知をさせていただいて、そういう御理解のもとにボトムアップをしていかないと、この小さな拠点というもの、ネットワークというものは機能しないと思っております。そのように心がけてまいります。

福田(昭)委員 今、石破大臣のお答えのとおりだと思いますが、そうだとすると、今年度中に地方版の総合戦略をつくるというのは、実は時間がないんですよね、足りないんですよね。それこそ、大臣が嘆いているように、地方に行ったらKPIもわからなかったとかそういう話があるようですから。本当に地方がみずから考えて、みずから自分たちの地域をこれから維持発展可能な町にしよう、都市にしようというのには少し時間が足りないというのは、私は最初から思っている話なんですが、後追いでもできればいいのかなというふうに思っております。

 次に、二番目の、三つの特区の一本化についてでありますが、事務局にお伺いすると、構造改革特区が三百七十四、総合特区が四十八、国家戦略特区が六、合わせて四百二十八の特区が実はあるということであります。これではちょっと、今までの質問にもありますように、国家戦略特区の中に地方創生特区も出てきちゃって、何が何だかわからなくなってきちゃったという与党の方からの質問もありました。

 そうした中で、我が党の佐々木委員からも、ぜひ三特区の一本化をすべきではないか、こういう提案がありましたが、私もその考え方は非常に賛成であります。そして、やはり地方にとってわかりやすく、しかも使いやすくすることが大事だと思っておりますが、改めて石破大臣の御所見をお願いします。

石破国務大臣 それぞれ目的が違っておりますもので、これを一本化するということが必ずしもいいことだとは思いませんが、委員御指摘の、わかりにくいというのは、これは事実であります。

 私どもとして、とにかくキーワードはユーザーフレンドリーだと思っていまして、実際の自治体にとって使いやすい制度というものを念頭に置きながら、これから先、フォーラム等々を開催して、制度があっても、あることもわからない、どう使っていいのかわからないということでは活用のしようがないわけで、どういうふうにして今後手直しをしていけば、さらに使っていただきやすくなるか、政府の理屈ではなくて、自治体の御理解の促進というものを念頭に、これから先また検討してまいりたいと思っております。

 今回、一本化というのは極めて難しいのですが、より使いやすい制度は目指してまいります。

福田(昭)委員 大臣の御発言ですけれども、しかし、総合特区には国際戦略特区もあるし地域活性化特区もあって、そういう意味では、国家戦略特区が狙いとしているものもそれで対応できますし、構造改革特区はどちらでも対応できるということでありますから、先ほども会津若松の市長さんも言っておりましたけれども、問題は、規制緩和と、制度改革と、そして財政、税制、金融、この四つの支援策をどの仕組みにも導入するということが実は私は大事だと思っていまして、そういった応援策の面からも、支援策の面からも、やはり一本化をしていくということが大事かなというふうに思っておりますので、御指摘をさせていただきます。

 次に、時間の関係で、地方創生のための財源確保については、お願いだけしておきたいと思います。

 まち・ひと・しごと創生事業費の拡充と一般財源の確保、そして新型交付金の創設について、全国知事会から、要望書というんですか、それが出ているかと思いますけれども、そういった意味では、新型交付金については、既存の歳出の振りかえで〇・五兆円、また、新規財源で、法人税の見直しで〇・一兆円ということで恒久的な財源は〇・六兆円は確保されているのかなと思っていますが、残り〇・四兆円、やはりこれも、法人税などの偏在是正によって恒久財源を確保する、こう総務省が言っておりますので、ぜひこの辺も頑張ってやってほしいと思っています。

 また、平成二十六年度の補正では、先行型交付金が千七百億円でありますが、平成二十七年度はゼロ円であります。二十八年度以降、これを大幅に上回るような額を確保するようというような要請もありますので、ぜひ御努力をお願い申し上げたいと思っております。

 次に、四番目の国家戦略特区法の提出項目についてであります。

 今回、それぞれの審議会や政府内で十分な議論が行われていなくて、内容を政省令や基本方針に任せてしまうような項目が提出をされました。例えば、公設民営学校、外国人の家事労働、外国人の医師等が行う臨床修練等であります。こうした項目は、ぜひ今後、国家戦略特区法での改正項目として提出するのは、ちょっと慎重に扱うべきではないか、こう思っておりますが、石破大臣の御所見をお願いしたいと思います。

石破国務大臣 多くの御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。

 政府内で十分議論されていないという御指摘でございますが、それぞれの地域からニーズとして上がってきたものに特区として応えるという形でこのようにさせていただいておるものでございます。

 いずれにいたしましても、これの施行までにはよく、いろいろな御指摘いただきました問題点、政令に委ねられております部分、そこを、御議論の趣旨をきちんと体して明確にしながら、この制度の特区の運び方に御指摘、御懸念いただくことのないように努力をしてまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 大臣からそのような答弁をいただきましたが、今回、政省令や基本方針に細かいことを任せるというのは、話としてはわかりますが、しかし、その任せる内容も決まっていない、これでは議論のしようもないということでありまして、少なくとも、これとこれとこういうことについては政省令で規定する、基本方針はこんなふうに考えているとか、そういう説明ぐらいできないと全く議論にならない、このように思っております。

 それぞれ、先ほど申し上げた事例については、大変重要な案件なので、できれば個別法の改正でしっかり対応してもらうというのが日本のためかなというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っています。

 そろそろ時間がなくなってきましたので、終わりに、今後、地方創生にかかわる自由な討論の場や、元気な地方を視察することなどをぜひ検討していただくよう、鳩山委員長並びに各党の理事にお願いをして、私の質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

鳩山委員長 その件は、理事間で、各党間で御協議を願いたいと思っております。

 次に、小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 これまで大臣とも地方創生についてさまざま議論をしてきて、まだまだ議論は尽きない中でありますが、法案の採決もしなければならないということで、今後も、今ほど福田委員からありましたとおり、また違った形でいろいろなことをしていかなければいけないし、大臣自身も、「やねだん」をぜひ皆さん見に行ってくださいと言いましたから、そういった現地調査も我々はしていかなければいけない。また、地方創生も、この法律で完成するものではなくて、今後も絶えず取り組んでいかなきゃいけない課題でありますので、いろいろな機会で大臣とも議論をしていきたいなというふうに思っています。

 きょうは、これまでもしてきましたけれども、企業の地方移転、七千五百社を五年間でやるという中で、各自治体間での競争があるわけでありますけれども、この中で、人口規模の少ないところはどうするんだということを担当者の皆さんとも議論してきましたら、やはり広域連携でやってもらうんだということを言っているんですが、では、その広域連携の仕組みが明確にあるのかといえば、漠然としている中で、先ほど参考人の質疑の中でも、広域連携のあり方というのは、企業誘致に関しては明確なものが今仕組みとしてはありません。

 そういう意味においては、大きい都市が企業誘致というのはやりやすかったりするんですけれども、とりわけ小規模の自治体が連携をして広域的に企業誘致をするといった場合、国としてどのような支援策があるのか、まずお聞きいたします。

石破国務大臣 どのような企業を誘致するのがいいのかということは、その地域に今どのようなインフラがあるか、あるいはどのような取引があるか、あるいはどのような教育基盤があるか等々、いろいろな要素があろうかと思っております。そこにおいて、一つの自治体だけで全てを備えているというものがあるわけではない。これは国会でも累次答弁を申し上げましたが、地域経済分析システムというものを見ることによって、どことどこが連携をすれば一番有機的な企業誘致ができるだろうかというのは新しく見えてくる部分があるんだろうと思います。

 従来、企業誘致といえばどうしても一つの市町村だけで考えてきた、町長さんや市長さんがいろいろな企業にお願いして、うちの町にこれ来てくださいみたいなことがあったわけですが、これから先、広域連携をきちんとした数字分析に基づいて行うことによって、どこに来てもらうのが一番いいだろうか、町にとってだけではなくて、その企業にとってどのようにいいことがありますというのを提示しないと、単なるお願いベースで終わってしまうわけでございまして、そういうものを、広域連携によって企業の側にとってもメリットがあるということを示していくことがこれから先必要だと思っております。

小熊委員 その際に財源的な問題が必ず出るというふうに思います。今でも消防とか広域でやっていて、人口割りで負担額を決めたりいろいろしていますけれども。私も地方議員として、そういう広域的なお金の出し方の中で、負担割合というのを人口規模で決めたりはしているんですけれども、その中でもやはり、町より大きい市からすると、負担が少ないのに町の方はとなるし、町の方からすれば、いやいや、市はいろいろな恩恵を受けているだろうというのがある。

 そういう各市町村ごとに予算が分けられていますから、この予算のあり方というのも、今言われた、いろいろカテゴライズしていくのはそういうやり方でいいと思います。では、その際に、それぞれの負担金という中で、地域の方々、またそれぞれの議会が納得感が出るような仕組みをつくらないと、結局、まとまっているようでお互い疑心暗鬼になったり、ねたみやそうしたものが出てしまうということもありますが、財源的なものとしてそういう壁を乗り越えるにはどうしたらいいですか、大臣。

石破国務大臣 そこは地域のお話し合いでお願いするしかないんですが、先ほどの福田議員の御質問にも関連をいたしますが、新型交付金なるものをどう活用していくのかということだと思っております。

 新型交付金は今制度設計しているところですが、恐らくキーワードは、地域間の連携と民間の活力を引き出す。そこにおいていろいろなKPIを設定するんですが、従来の補助金あるいは地方交付税制度、これではどうしても連携が難しかろう、そのような負担のばらつきも出てくるだろう、そうすれば、広域連携をし、そこが新型交付金を活用することによって、結局、委員のお言葉をかりれば、ねたみやそねみや不公平感みたいなものを解消していって、地域全体として企業を誘致しましょうというお話になっていくのではないだろうか。漠たるお答えで恐縮ですが、そのように思っております。

 ですので、新型交付金の設計に当たっては、まさしく今委員が御指摘になったような問題点が隘路であるとせば、それを打開するためにこういうような使い方があるというような設計が一番大事だというふうに思っておりまして、最初に額ありきなのではない、大事なのはコンセプトを確立することだと私は考えております。

小熊委員 その方向性は私もいいというふうに思います。

 これはまた、先ほどの福田委員の質問でもありましたとおり、定住自立圏構想とか、これは検証して、いろいろ整理をしていかなければいけないというふうに思いますし、先ほど参考人の質疑でも、東松島市は仙台という大きな都市の衛星市みたいになっていて、あとその周辺でネットワーク化をしていく、そうやってどうやって生きていこうかという背景がありますし、そこはそこのやり方があります。会津若松市は、私の地元の会津というのも、自然の状態でもう城壁みたいになってそこで自己完結していて、どこかの大きな都市のベッドタウン化もできない、そこで自立をしていく、ネットワークを組んでいく。同じネットワークでも、やはり地域によっていろいろ変わってきますし、これはきめ細かな柔軟な対応ができる制度をつくっていかなければいけません。

 そういう意味でも、これまでの定住自立圏構想とか中枢都市とかという発想、ネットワーク化という言葉も、先ほどの参考人質疑で出ていましたけれども、まさに地方創生、人口問題に対応していくという意味で、今までの制度も検証しながら、新たにネットワーク化、各自治体間のネットワーク化がしやすいということを、全面的にもう一回考え直した方がいいというふうに思っています。

 それぞれ地域間競争はしながらも、千何百の自治体がそれぞれやってもしようがない、力を合わせるところは合わせなきゃいけないという方向性は誰も必要だというふうに思っていると思います。

 そういう意味では、制度をもう一度見直して、市町村間の連携が促進されるような、それがひいては地方創生、人口減少に対応できるような仕組みを、もう一回、今の既存の制度を検証する、そしてその上で新たな制度を検討するということが私は必要だというふうに思いますが、御所見をお伺いいたします。

石破国務大臣 この委員会でも随分御審議をいただきました連携中枢都市圏構想あるいは定住自立圏構想、それぞれ支援の仕組みが異なっております。要件も異なっております。そういうものが実際に機能するかどうかはこれから検証していかねばなりませんし、その要件を今回提案し、運用しておりますものもございますが、それをもう少し変えた方がより効果が発現しやすいのではないかというような例の御指摘もいただいておるところでございます。

 何が何でもこれで決まりだというお話ではなくて、要件をもう少しフレキシブルに運用できることはないものだろうかという視点は、私どもとして持っていかねばならぬことでございます。

 各地からいろいろな御提案もいただいておりますので、そういうものを踏まえまして、制度によりよきを期すべきは当然だと思っております。

小熊委員 その際に、短期的には、最初に出した企業の地方拠点強化、これも各市町村間で連携しながらやってもらいたいんですと担当者は言うんですけれども、では、既存の制度で、今ある制度で企業誘致、この七千五百社を東京から地方に呼び込むときに連携してやっていこうとしたとして、何か使える制度というのは今あるんですか。

 なかなかこれは音頭をとれていないんです、現場では。これは大きな話です、七千五百社を五年間で移転。地方も大いに期待をしているんですが、この件について連携してやろうよという雰囲気まではまだ高まっていません。そうすると、本当に市町村間ばらばらで競争したり、ちっちゃい町村ではうちはもう無理だなという諦め感も出ていたりしますから。今の制度で七千五百社を誘致するための仕組みというのはありますか、連携して。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今御審議をいただいております地方拠点強化税制でございますけれども、地方の企業がその場におきまして本社機能を拡充する場合の拡充型の税制につきましては、おおむね人口十万人程度になりますように各市町村で連携をして計画をつくっていただくように、この法律の下位規定においてそれを定めるように考えているところでございます。

 あわせまして、既存の制度でどうかということでございますけれども、工場誘致を行いますような企業立地促進法、これも計画を自治体に策定していただくわけでありますけれども、これについても市町村が共同でおつくりいただいている例も多数ございます。

小熊委員 これは再三再四これまでも述べさせていただきましたけれども、人口問題は日本が取り組まなきゃいけない最大の課題だというふうに私は思っています。その上では、国としても一億人を維持するというところで目標を掲げている中で、今ある市町村の形がそれぞれどうなっていくのか、やはり人口規模によってある程度の政策が変わっていくということ、きめ細かな制度設計、なおかつネットワーク化に関してもやはり地域地域によってネットワークのあり方も変わりますから、そうした場面場面に応じた制度構築をこれからぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 今回の法律、残念ながら、三大都市圏を意識はしていますが、東京一極集中是正という中だけで訴えてきて、三大都市圏に本当は言及がなかった中でこの枠がはめられているということでありますから、そういう意味では、過日の質疑の中でも、事業所の密度が濃いということで大阪、名古屋を外すんですが、人口規模でいえば大阪もかなりへこむというところでもありますので、やはりいろいろな指標を使って、そしてその上でいろいろなカテゴリーにおいて区分けをして、支援策を今後詰めていかなきゃいけないという意味です。

 きょうで採決になって、今後、委員会はどうなるかわかりませんが、福田委員がおっしゃったとおり、自由討議とかいろいろな形でこれからも議論して、いろいろ検討していかなきゃいけないというふうに思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 時間が少しありますけれども、以上で終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 安倍内閣の地方創生というものは、地方から活力と魅力を奪った自民党政治への総括も反省もなしに、人口減少と地方消滅のおどしで危機感と諦めをあおり、選択と集中を地方に押しつけるものにほかならないと思います。

 先ほども参考人から数々の貴重な御意見をいただいたばかりであります。我が党は、地方創生三法案の審議は到底尽くされてはいないと考えます。しかし、けさの理事会では、私の反対を押し切って、この質疑の後、質疑を終局することが決められました。改めて、我が党は質疑終局に反対だということを申し上げておきたいと思います。

 なぜ安倍内閣の地方創生はそのようなものにしかなり得ないのか。それは、あなた方が今日の人口減少と地方の衰退という事態をつくり出したこれまでのみずからの政治に全く無反省だからだと言わなければなりません。

 石破大臣は、平成の大合併、三位一体改革が失敗だったと認めた西尾勝氏の国会発言を引いての私の質問にも、口が裂けても失敗だったとはお認めになりませんでした。

 改めて聞きますけれども、それでは、今日、地方がこのような事態になっているのは、自民党がこれまでやってきた政治の結果である、このことについてはお認めになりますか。

石破国務大臣 それは、長く我が党が政権を担当させていただいております。今日、日本国に起こっておりますことの全ての責任は、与党であった我が党が負うべきものであります。それを人に責任転嫁しようなぞとは思っておりません。

 ただ、私どもが思っておりますのは、均衡ある国土の発展という言葉があり、そして全国に高速道路であるとか鉄道であるとか、そういうネットワークを張ってまいりました。できるだけ同じような利便を享受していただくようなインフラも整備をしてまいりました。そこにおいて、委員のお言葉をかりれば、選択と集中ではないか、けしからぬではないかというお話になりますが、その地域地域において、その発達したインフラを用いて、今だけ、ここだけ、あなただけみたいなまちづくりというものに対して私どもがどれだけの支援をしてきたであろうかということについては、私自身、内心じくじたるものがございます。

 ですので、世の中に起こっておりますことのあらゆることは、政権を担当してきた者たちが負うべきものであります。ですから、私は、今までの政策が全部失敗だったとは思っておりません。ただ、改めるべきものは常に改めるという真摯さを持っておらねばならないと考えております。

宮本(岳)委員 この半世紀、自民党がやってきた国土計画というものは、一体いかなるものであったか。

 一九六二年の全国総合開発計画、旧全総以来、一九九八年の五全総に至る全総路線は、計画の内容は異なっても、目標は過疎過密の解消であり、行政主導で地方の開発を進めるというものでありました。

 やがて国家財政の悪化によってそのような公共事業政策の維持が困難になりますと、多国籍化した経済界からは、国際化に役立たないような地方向けの公共事業の削減が求められるようになりました。

 小泉構造改革が進めたのは、従来のような公共事業を通じた地方経済の維持ではなく、限られた財源を大都市部の国際競争力強化に割り振るということでありました。そして、これと軌を一にして進められたのが、平成の大合併という地方の集約であり、三位一体改革という地方交付税の削減であったわけであります。これが都市部への人口集中と地方の疲弊に一層拍車をかけて、これが地方経済まで疲弊をさせてしまった。

 石破大臣、おおよそこういう流れだったわけですね。

石破国務大臣 結果平等を志向する地方交付税制度、そしてまた、それぞれの地域に必ずしもジャストフィットしているとは言えない補助金の制度というものは、やはり常に見直していかねばならないものだと思います。

 私が反省をしておりますのは、道路さえつくれば、インフラさえ整備すればみたいなところがあったのではないだろうか。そしてそれぞれの地域において、ある意味、その地域に必ずしもふさわしくない補助金を、事業が大きい、補助率が高い、自己負担が少ないということで選ぶ傾向があったのではないだろうか。あるいは財源保障機能にしても、財源調整機能にしても、それが結果平等を志向するものであったがゆえに、その地域地域のいろいろな創意工夫を、結果として、それを十分に発現するようなものであったであろうかという反省は私自身持っております。

 今までが間違っていたとは申しません。しかしながら、これから先、さらに地方の創意工夫、あるいは民間の活力、地域間連携、それが発現されるような努力はしていきたいと思っております。

宮本(岳)委員 昨年七月に、国土交通省は国土のグランドデザイン二〇五〇というものを発表いたしました。これが今回の地方創生の下敷きの一つになっております。

 ここで打ち出されたキーワードがコンパクト・プラス・ネットワーク。国交省のペーパーには、国土の細胞としての小さな拠点と高次地方都市連合等が掲げられております。

 この高次地方都市連合というものが、この前議論した総務省の地方中枢拠点都市圏構想と合わさって、地方創生総合戦略に言う連携中枢都市圏構想ということになっております。

 国土交通省に聞きますけれども、この高次地方都市連合というものは、人口何万人以上を基準にしているか。また、二〇一〇年時点で、人口三十万人以上の都市圏は全国に何カ所ございますか。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月に国土交通省が策定いたしました国土のグランドデザイン二〇五〇におきましては、高次地方都市連合が確保すべき人口規模の例といたしまして、人口十万人以上の都市の一時間圏に人口がおおむね三十万人以上となる都市圏ということで挙げさせていただいております。

 そして、何カ所あるかということでございますけれども、三大都市圏を除く人口十万人以上の都市から自動車で六十分以内に到達できるエリアの人口が三十万人以上となる都市圏の数は、二〇一〇年時点では六十一カ所あるという試算でございます。

宮本(岳)委員 では、この人口三十万人以上の都市圏は、四十年後、二〇五〇年には何カ所となる推計をしておりますか。

北本政府参考人 国土のグランドデザイン二〇五〇におきましては、同様の定義の人口三十万人以上の都市圏の数は、二〇五〇年には四十三カ所になると推計してございます。

宮本(岳)委員 現在三十万人を超えている六十一都市圏のうち、十八都市圏は二〇五〇年には人口三十万人を維持できなくなる。そこで、人口三十万人を守り、都市圏の機能を維持するために高次地方都市連合というものが打ち出されております。

 一例として、石破大臣の地元、鳥取県の米子市と島根県の松江市を高速道路でつないで、松江・米子都市圏をつくれというような話であります。

 しかし、このグランドデザインにおける二〇五〇年時点での地域ごとの将来推計によりますと、全国の人口が九千七百七万人、三大都市圏が五千三百六万人、それ以外は四千四百一万人となっておりまして、人口減少率は、全国で二四%の減、三大都市圏は一八%の減、それ以外は約三割の減。結局、三大都市圏の人口比率は上昇する推計となっております。

 国土交通省、この推計に当たって、将来推計の全国値と二〇四〇年までの地域別推計はどのようなデータを用いて計算いたしましたか。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の総人口の将来推計につきましては、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口、平成二十四年一月推計のデータを用いております。そうしまして、地域別の将来人口推計につきましては、同じく国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口、平成二十五年三月推計、及び総務省の平成二十二年国勢調査のデータを用いております。

宮本(岳)委員 結局、社人研の推計に基づいて、三大都市圏以外では今後三割程度の人口が減少するという将来人口予測を与件とした上で、そのように変化した場合、地域でどのように生活を支えるべきかという議論にすぎないわけであります。

 国土交通省に聞きますけれども、三大都市圏以外では三割も人口が減少するという前提をそのままにして、スーパーメガリージョンなどといって、三大都市圏である東京、名古屋、大阪をリニア中央新幹線で結んだら、一層、東京一極集中が進むのではありませんか。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の整備によりまして、東京―大阪間は約一時間で結ばれ、いわば都市内移動に近いものというふうに認識してございます。三大都市圏の経済、産業、文化等が一体となりまして、それぞれの個性を発揮させながら、新たなイノベーションを持続的に創出するスーパーメガリージョンというものを形成することによりまして、世界から人、物、金、情報を引きつけまして、世界を先導していくことが期待できるというふうに考えてございます。そして、このスーパーメガリージョンの効果を、リニア中央新幹線と他の交通ネットワークとの結節の強化でありますとか、全国各地の創意工夫等によりまして、全国に波及させ、地域の活性化を促すことが極めて重要というふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 一時間で結んだからといって一体化される保証など、どこにもないんですよ。今でも名古屋と新大阪は東海道新幹線の「のぞみ」を使えば五十二分間で結ばれております。結ばれて既に随分時間がたちますけれども、名古屋と大阪が一体化したというようなことはないわけですね。

 結局、全総路線を初めとする自民党政治への総括も反省もないまま、相も変わらずスーパーメガリージョンといえばリニア新幹線、ネットワーク化といえば高速道路というような話しか出てこないわけです。

 グランドデザインは、今お話があったように、世界最大のスーパーメガリージョンたる三大都市圏のインパクトを地方拠点都市に波及させ、地方都市のインパクトを農山村の小さな拠点に波及させるという発想であります。これは、大企業が栄えれば中小企業も栄え、やがて労働者、国民の所得も上がるでしょうというトリクルダウン理論の地方版にすぎないと言わなければなりません。

 大臣、本当に地方を活性化させようと思ったら、全く逆の道を行かなければなりません。農山村で安定した雇用を確保し、それで得た所得で小さな拠点を維持する、そのような集落が地方都市の公共施設や学校、商業施設を支え、それらの地方都市が地方拠点都市を支えるように考えなければなりません。インパクト効果は小規模から大規模へというのが二十一世紀にふさわしい国土計画ではありませんか。

石破国務大臣 かつて地方が活性化した時代というものがあって、それは公共事業と企業誘致によるものだった。それと同じものを再現するというのは、今の日本の状況からして不可能である。そうであるがゆえに、まさしく小さなもの、地域にしかないもの、これをどうやって最大限に引き出していくかということを考えなければ、地方創生というものはないと思っております。

 いろいろな新幹線もできますでしょう。高速道路もできますでしょう。そしてまた、やがてはリニアも走るのでしょう。ですけれども、この日本国じゅう、あちらこちらを見てみて、本当に活力のある地域というのは、必ずしも交通が便利なところではない、あるいは大資本があるところでもない。そうではないところこそ活力があるというのを、私、随分見てまいりました。

 そういうような取り組みを全国に広げていくということは地方創生において必要なことだということであり、それが小から大へという方向性を持ったものかどうかは存じませんが、必ずしも交通至便なところが活力があるわけではない。その地域における創意工夫をどれだけ我々として支援するかがこれから先の政府の役割だと考えております。

宮本(岳)委員 最初に着目し整備するべきは、最も小さな農山漁村でなければならないと思います。そこを限界集落のような姿で放置しながら、上から選択と集中を迫るというやり方では地方創生など望むべくもないということを厳しく指摘して、私の質問を終わります。

鳩山委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 この際、内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案に対し、木内孝胤君外一名から、維新の党の提案による修正案が、また、内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対し、福田昭夫君外一名から、民主党・無所属クラブの提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から順次趣旨の説明を求めます。木内孝胤君。

    ―――――――――――――

 地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

木内(孝)委員 ただいま議題となりました地域再生法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、維新の党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、東京一極集中是正のため、企業の地方拠点強化を促進するための支援制度の対象となる地方活力向上地域の範囲を拡大し、東京二十三区以外の地域とするものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鳩山委員長 次に、福田昭夫君。

    ―――――――――――――

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

福田(昭)委員 ただいま議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 本修正案は、国家戦略特別区域法に法律の特例を加える改正項目中に、その適切性の点で種々の問題が認められる事項があるため、これらについて削除するとともに、国家戦略特別区域計画に総合特別区域法に規定する一定の特定国際戦略事業または特定地域活性化事業等を記載できるものとする規定等を追加しようとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、公立国際教育学校等管理事業について、学校教育法等の特例を設ける規定を削除することとしております。

 第二に、国家戦略特別区域家事支援外国人受け入れ事業について、出入国管理及び難民認定法の特例を設ける規定を削除することとしております。

 第三に、国家戦略特別区域臨床修練診療所確保事業について、外国医師等が行う臨床修練等に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律の特例を設ける規定を削除することとしております。

 第四に、国家戦略特別区域会議は、国家戦略特別区域計画に、総合特別区域法に規定する一定の特定国際戦略事業または特定地域活性化事業、規制の特例措置の内容等を記載することができるものとし、内閣総理大臣から認定を受けた当該計画については、当該認定を総合特別区域法に規定する認定とみなして同法に規定する規制の特例措置を適用するものとすることとしております。

 第五に、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、修正案に賛成の立場から討論を行います。

 本法案は、各府省に散在する規制改革の特例を国家戦略特区等で一括して実施するものでありますが、個別の項目を見れば、特区という一部の地域に限った規制緩和であっても、未整理な部分や制度の根幹にかかわる重大な改正があります。

 第一に、公立学校運営の民間開放について、教育において効率性や経済生産性を優先課題として持ち込むことは教育の質の低下を招くことになり、学校設置者と学校管理運営者の分離は、義務教育を含めている本法案としては、公教育制度の根幹である公正性と平等性を揺るがす可能性があります。

 第二に、外国人家事支援人材の活用について、当該措置が実現してしまうと、単純労働分野での外国人受け入れ解禁に道を開くこととなり、日本人の雇用や不法就労外国人の増加等の悪影響を及ぼすことが懸念されます。

 第三に、臨床修練制度を活用した国際交流の推進について、指導監督に係る体制が確保されているものとして特区計画で定められた診療所に拡大するとしていますが、そもそも指導監督体制が確保されているような診療所が存在するのでしょうか。また、一口に外国人医師といっても、それぞれの国で医師免許制度はさまざまであり、現在行っているように、二国間協定における合意を基本として受け入れを行い、適切な研修制度を行うべきです。

 これらだけでもさまざまな問題を抱えています。

 修正案は、以上の三点について改正項目から削除し、また、総合特区制度で認められた規制緩和項目について、国家戦略特区でも認めるようにすることで、より適切な国家戦略特区の整備が図れるものと考えます。

 以上が、修正案に賛成する理由であります。

 なお、仮に修正案が否決された場合には、評価すべき項目があるとしても、先ほど申し上げたような懸念があることから、総合的に判断して、政府提出原案には反対することを申し上げ、討論を終わります。

 以上です。(拍手)

鳩山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 私は、維新の党を代表して、ただいま議題となっております地域再生法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論いたします。

 この法案の集中地域については、現時点では、いわゆる三大都市圏の一部が想定されておりますが、政府は、地方創生の長期ビジョン、総合計画で、東京一極集中の弊害をあれほど強調しながら、企業が東京から名古屋、大阪、神戸、京都へ移転しても、税制上の支援はなされません。

 具体的には、首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏整備法で規定される地域を参考にするとのことですが、高度成長期にできた古い法律が基準では、その後、東京一極集中が進むばかりとなっている現実に十分応えられるとは思えません。

 社会保障・人口問題研究所の、二〇四〇年時点の人口推計によれば、先ほどの基準では、税制優遇措置を受ける都市より受けられない都市の方が人口減少の問題が大きいという逆転現象が予想されます。指定都市市長会も、地方拠点強化税制で一部の指定都市が対象から外れているとして批判をしています。

 支援対象となる地域活力向上地域についても、政府の基準が見えません。日本の国土全体でどのような成長のビジョンを描いているのかを示されておらず、過去に繰り返されてきた地域政策の失敗を踏まえていないのではないかと懸念します。

 その他にも、政策の目標として、地方への企業移転件数と追加雇用の数しか挙げられておらず、地域経済への最終的効果が考えられていないこと、本社移転等の際の借入では、独立行政法人中小企業基盤整備機構の、廃止予定だった債務保証業務が復活していることなど、政策の目標、手段ともに問題があると考えます。

 政府は、本法案の企業の地方拠点強化税制について、地域指定の方針を再検討の上、明確化し、成果目標と政策手段も見直すべきです。

 以上の議論をもって、私たちは本法案に反対することを表明いたします。

鳩山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、地方創生関連三法案に対する反対討論を行います。

 政府が地方の再生や創生を言うのであれば、そもそも地方から活力と魅力を奪ったこれまでの自民党政治への総括と根本的な反省が必要です。しかし、安倍内閣の地方創生は、財界や大企業が主導して策定した骨太方針や日本再興戦略改訂版、規制改革実施計画を実現するために選択と集約を押しつけ、地方の構造改革を進めるものであります。

 以下、各法案の反対理由を述べます。

 第一に、地域再生法の改正案です。

 企業が本社機能の移転等を実行に移すのは、地方を拠点にした利益獲得が具体的になる場合です。安倍内閣の成長戦略を担う企業の地方拠点強化を税制面で支援するものであり、反対です。

 生活・福祉サービスを地域再生拠点に集約し、周辺集落を交通ネットワーク等で結ぶ小さな拠点形成では、農地転用許可や開発許可の特例、施設の立地誘導等の仕組みをつくります。一方、地方路線バスの撤退で広がる交通空白地域において住民の生活を支える自治体やNPOなどのバス事業等に対する財源保障は明らかではありません。財政の効率的運用等を理由に、地方自治体に交通ネットワークの合理化や周辺集落の再編を迫ることにもなりかねません。

 第二に、地方分権改革の第五次一括法案です。

 農地転用許可の事務、権限を都道府県に移譲する農地法、農振法の改正は重大です。農地転用規制は、野方図な農地転用による開発を防ぎ、農地の総量を確保して自給率や農地の多面的機能の維持向上を図るためのものです。事務、権限を移譲して国の関与を後退させれば、転用、開発が乱発される懸念があります。

 第三に、国家戦略特区法の改正案は、財界の意のままに規制緩和を行う体制づくりを進めるものです。改正案は、特区に進出する企業への国税、地方税の税制優遇措置を用意するほか、財界、大企業の要望に応えたさまざまな規制緩和を盛り込んでおり、反対です。

 なお、維新の党提出の地域再生法改正案に対する修正案、民主党提出の国家戦略特区法改正案に対する修正案は、全体としてこれらの問題点を修正するものでなく、いずれも反対であります。

 以上です。

鳩山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、木内孝胤君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、福田昭夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鳩山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会


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