衆議院

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第5号 平成28年3月16日(水曜日)

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平成二十八年三月十六日(水曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 福井  照君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    江藤  拓君

      大野敬太郎君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    野中  厚君

      鳩山 邦夫君    平井たくや君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      牧島かれん君    宮川 典子君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 賢司君    緒方林太郎君

      柿沢 未途君    吉良 州司君

      佐々木隆博君    寺田  学君

      福田 昭夫君    角田 秀穂君

      樋口 尚也君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君    椎木  保君

      小熊 慎司君    村岡 敏英君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            佐々木 基君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長(政策統括官付))   天羽  隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宮城 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     蒲生 篤実君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     藤井比早之君

  野中  厚君     八木 哲也君

  福田 達夫君     青山 周平君

  山田 賢司君     宮崎 政久君

  村岡 敏英君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     福田 達夫君

  藤井比早之君     小泉進次郎君

  宮崎 政久君     山田 賢司君

  八木 哲也君     野中  厚君

  小熊 慎司君     村岡 敏英君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 この際、石破国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石破国務大臣。

石破国務大臣 昨日の地域再生法の一部を改正する法律案の提案理由説明につきましては、チェックミスがございました。結果として誤った原稿を読み上げたものであります。

 全国民の代表者であります国会におきまして、山本委員長初め理事、委員の皆様、関係者の皆様方に大変御迷惑をおかけいたしました。深くおわびを申し上げる次第であります。

 二度とこのようなことが起こりませんよう厳重に注意を行いますと同時に、再発防止のために、国会に用いる資料については、事務方幹部が確認を行い、複層的チェックをこれまで以上に徹底するということを指示いたしました。

 ということでありますが、責任は全て大臣たる私が負うべきものであります。深くおわびを申し上げます。

 今後、さらなる緊張感を持って審議に望むのは当然のことでありまして、引き続き、どうぞ御叱正のほど賜りますようお願い申し上げます。

 以上であります。(発言する者あり)

     ――――◇―――――

山本委員長 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。(発言する者あり)

 ちょっと座ってください。お座りください。

 委員長からちょっと説明します。

 先ほどの理事会におきましても、政府から陳謝があり、これは極めて重大な失策であるという指摘もあり、これをすんなりと受け入れるような状況ではないという指摘も野党の皆さん方からもありました。

 そういう意味では、政府・与党としては、非常に重く受けとめて、これを十分反省して、二度と再発をしないように、そういう意思表明はあったわけであります。それを含めて、大臣からの冒頭の発言となりました。

 したがいまして、これについては、与党側は厳しく反省をしてもらわなきゃいけないということでありますので、その点を十分認識した上で審議に臨んでもらいたいと思います。

 その意味で、審議を進めます。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長伊藤明子君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進室次長末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長麦島健志君、内閣府地方創生推進室長佐々木基君、総務省大臣官房審議官宮地毅君、総務省大臣官房審議官内藤尚志君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省大臣官房審議官浜谷浩樹君、農林水産省生産局農産部長(政策統括官付)天羽隆君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君、国土交通省大臣官房審議官宮城直樹君、国土交通省総合政策局公共交通政策部長蒲生篤実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 質問に入る前に、昨日の本委員会における石破大臣の法案の読み間違いの件について発言させていただきます。

 今、与党席の後ろの方から、野党が気がつかないのが悪いんだなんという、極めて遺憾な、大変心外な発言が飛びましたけれども、昨日、私と共産党の宮本委員と、さらには改革結集の村岡委員が気がついたんです。それで、委員部に対して、これはまずいと思って、大臣の説明をとめようと思って、アクションは起こしました。しかし、委員部も全く気がつかず、そういう怠慢なことについても先ほどは指摘させていただきましたけれども、そこで気がついていれば、大臣は少なくとも途中でとまっていました。そのことをまず申し上げたいと思います。

 私は、三月九日の質問でもこう申し上げたんです。地方行政の経験を生かして、地方創生が重要課題であるとの認識のもと、この委員会にかかわってまいりたい、こう私は申し上げている。隣にいる宮崎委員も、質問の最後にこう申し上げている。地方創生は重要課題である、さらなる地方創生の発展を願って質問を終わると。

 これはどういうことかわかりますか。野党とはいえ、この委員会は、与野党の垣根を越えた認識に立って、この地方創生というのは全国民が期待している大変重要な委員会なんです。そういう意味では、別に石破大臣の足を引っ張ろうなんて思っていない。そういう気持ちでやっているということをしっかり受けとめてもらいたい。そのことを強く申し上げたいと思います。

 ただ、やはり私も、地元の選挙区の方々から昨夜からけさにかけて幾つも問い合わせをいただいていますので、そのことを含めて若干発言させていただきます。

 まず、やはり石破大臣においては、一時間前の本会議で地域再生法の趣旨を説明しながら、一時間後の本委員会で昨年成立済みの法案を最後まで延々と読み続ける、これは本当に遺憾だと思います。この件については、菅官房長官も、石破氏、衆議院特別委員会での趣旨説明を読み間違える、まことに遺憾だと。まあ、その前後は省略しますけれども。

 これはやはり、私は前回の質問でも申し上げたと思う、大臣の所信に対する真意をお聞きしたいと。真意は書いてあるとおりだと。そうじゃない、その所信の裏側にあるこの法案に対する大臣としての思いが聞きたいんだと。私は、正直言って残念でしたよ、あの答弁は。

 石破大臣というのは、私の支援者も同じことを言っているんですけれども、知識と経験は非常にすばらしいと思いますよね。豊富な方で、私は、尊敬に値する政治家だと思う。ただ、答弁が非常に棒読み過ぎます。それは、御本人はそう思わないのかもしれない。だけれども、昨日のように棒読みをしているから、ああいう途中で気がつかないということだってあり得るんですよ。そのことはしっかり肝に銘じていただきたい。これは、所管する大臣の政治に対する姿勢なのか、法案あるいは地方創生に対する認識の欠落なのかわかりませんけれども、このことはしっかり受けとめていただきたいと思います。

 各社いろいろな記事が出ていますけれども、これだけはどうしても大臣の前でお話しいただきたいということなので言っておきますけれども、サンケイスポーツの記事に、「法案を読み間違い陳謝「こんなことは初めてだ」」。こんなのは初めては当たり前ですよ。こんなのは二度とあっちゃいけないです。二度とあったら、大臣なんかお願いできませんよ。やってもらったら困ります。このこともしっかり肝に銘じていただきたいと思います。

 そして、最後、支援者の言葉を、地元の声を二つほどお話しさせていただきます。

 どちらも非常に似たような言葉なんですけれども、一つは、大臣のきのうの読み間違いに対して、おっつけ仕事という言い方をされた人が一人います。もう一つは、やっつけ仕事。私、これはどういう意味なのかなと思って、ちょっと調べてみたんですね。やっつけ仕事というのは、間に合わせのいいかげんな仕事、その場しのぎの仕事。おっつけ仕事というのは、これは建築屋さんからの連絡だったので、調べたら建築用語なんですね、本当の仕事をしないでいいかげんな仕事をすること。少なくとも全国民の中のお二人はこういう認識だった。それ以上いるかいないかはわかりませんけれども、これだけはちょっと申し上げておきたいと思います。

 本当に、大臣への期待とこの委員会への期待、そういうものは全国民のほとんどの方が持っていると思いますので、それをしっかり肝に銘じてお願いしたいと思います。私たちも、本当にしっかり重要課題と受けとめてこの委員会に協力していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 三月九日に開催された本委員会において、昨年改正された地域再生法の企業の地方拠点強化の促進のための支援措置の追加に関して、以下の質問をいたしました。

 地方拠点強化税制について、昨年の答弁では、大阪は既に人口が集積していることから、税制優遇の対象地域から除外するとのことであったが、大阪副首都構想を掲げる大阪のような地域こそ支援対象とすべきであり、また、税制優遇の対象外となる大都市であっても、支援対象地域以上の人口減少が見込まれている例もあることから、地方拠点強化税制の対象地域の考え方が不合理ではないかと。以上、私の質問に対して、政府参考人からは、三年以内に見直すという規定にのっとって、引き続き予断を持つことなく判断してまいるとの答弁でした。

 今回の法改正について、我々おおさか維新の会としては、賛成する方向で私が党内調整を今取りまとめております。昨日も、政調の役員会で、この法案の説明、そして私の賛成の考えを伝えているところです。

 それらの前提をもって、地方拠点強化税制の対象地域の考え方について、再度、石破大臣の見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 委員冒頭の御発言、よく真摯に受けとめて、全て事務方の責任とかなんとかいうことを私は申し上げるつもりはございません、私の責任であります。深く反省をし、今後、より真摯に対応していきたいと思います。申しわけございません。

 今のお話ですが、結局、この間の国勢調査を見ましても、確かに、政令市でも人口が減少しているところはございます。大阪市はそうではございませんが、新潟市でありますとか神戸市でありますとか、政令市でも人口が減少しているところは確かにございます。ただ、それ以外の、いわゆる地方の都市と言われるものの人口の減り方は、尋常なものではないという認識を持っております。

 ですから、私は、大阪でも、人口は減ってはいないとはいうものの、そこにおいて人口増加の状況というのはかつての勢いがあるわけではないということをよく承知しておりますが、三年後に見直すということは、今の、非常に人口が減りつつあるところ、疲弊の度を強めつつあるところに対して、現時点の判断としては、より重点的な支援を行うべきではないだろうか。あるいは、東京とか大阪とか、そういうところに対しては、また別の方策でその地域の持っている特性をさらに伸ばすということで、どんどん疲弊の度を強めているところと、東京、大阪というような地域に対する施策は違ってしかるべきではないかという認識を私自身持っておるところでございます。

 ですから、三年以内の見直しというのは、いろいろな政策を打っていきながら、それぞれの地域がどのようにして変わっていくかということをよく見ながら、画一的ではない判断をすることが大事だと考えておるところでございます。

椎木委員 地域再生法は、平成十七年に制定されてから十年余りが経過しましたが、この間に、累計千九百六十六件の地域再生法の計画が認定されたと聞いています。

 地域再生法に基づくこれまでの取り組みについてどのような評価をしているのか、お尋ねいたします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありましたように、地域再生法に基づく地域再生制度につきましては、平成十七年に創設されたものでございます。

 この制度におきましては、従来より、地域再生の取り組みを総合的に推進するための交付金の交付、あるいは事業に必要な借り入れを受ける場合の利子補給等を行ってまいりました。それに加えまして、昨年は、小さな拠点形成のための手続上の特例を新たに設けるなど、その時々のニーズに応じた制度の改善を進めてきたところでございます。

 その成果でございますけれども、例えば、六次産業化に貢献する地元の人材育成の拠点整備の取り組みでございますとか、あるいは観光資源である古戦場の景観を再現する取り組みでございますとか、また、手続上の特例を活用した廃校の再活用の取り組みでございますとか、こういった取り組みにつきまして、先ほどお話ありましたように、約二千件の多様な取り組みが実施されてきているところでございまして、地域にとって利用しやすいものとなっているというふうに考えております。

 今回御審議いただいております支援措置のさらなる拡充も含めまして、一層活用されまして、地方創生が推進されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

椎木委員 次に、地方創生推進交付金に関して質問いたします。

 今般、地方創生推進交付金は法律に基づく交付金となり、地方公共団体に地域再生計画の作成を義務づけることとなりますが、このことが地方公共団体の負担とはならないのか、お伺いします。

石破国務大臣 今回、法律上に位置づけましたのは、より継続的、安定的にこの制度を使っていきたいというふうな思いに基づくものでございます。

 補正予算で対応しておりましたのは、今までは補正ですから、そのときの補正事由というものに沿った形で地方公共団体にお願いもいたしてまいりました。そして、それに対して対応してきたということでありますが、これを法律に位置づけますことによって、繰り返して恐縮です、安定的、継続的なものにしたいと思っております。

 これはやはり、それぞれの地域でKPIを定め、PDCAを回しということです。そしてまた、今までのように役所だけがやっていればいいということではなくて、産官学金労言と申しますが、いろいろな方々の知恵を結集してつくっていただくということなのですけれども、そこにおいて、そういうのをつくらなければいかぬということですから、自治体に当然負担は生じます。

 その際に、一括して申請することができるように、すなわち、地域再生計画の認定申請と交付金の交付申請は同時期に受け付け、二度手間とならないよう一括して国においてこれに対応するということが一つ。もう一つは、書式がばらばらですと、どのように書いていいのかということで迷いが生ずる、煩雑さが生ずるということがありますので、一定のフォーマットをつくりたいと思っております。そしてまた、電子申請というものも受け付けていきたいというふうに考えております。

 それは、手抜きをするとかそういうお話ではありませんで、それぞれの自治体においてよりよいものをつくっていただくために、手続の煩瑣さというものは極力除いていくべく、私どもとしてさらに努力をいたしたいと思っておるところであります。

椎木委員 今の答弁で網羅されているのかもしれませんけれども、これまでの補正予算における交付金とどう違うんでしょうか。

石破国務大臣 繰り返しになったら恐縮でございます。補正事由というものがありまして、それに対応するようなものということで今までやってきたものでございます。

 ですから、平成二十七年度補正予算におきましては、とにかく仕事だということで、仕事の創出というものに力点を置いていただいたということでございますが、これから先は補正予算対応ということではございませんので、その地域地域において何が一番喫緊の課題であるのか。もちろん、全国の自治体で状況は全部違うわけですから、そこにおいて仕事以外にもいろいろなものがある。もちろん最終的には仕事をつくるということでございますけれども、アクセントの置き方が変わってくると思っております。

 そういうことで、自治体の創意工夫というものをより生かした制度にしたいと思っておるところでございます。

椎木委員 では、法律化するメリットというのはどこにあるんでしょうか。

石破国務大臣 これは、制度が継続的になるということだと思っております。継続的であり、安定的であるということで、国会において法律を御審議賜り、成立させていただきたいというのが私どものお願いでございます。

椎木委員 次の質問に入ります。

 昨年の十二月二十四日、全国知事会を初めとする地方六団体の平成二十八年度地方財政対策等についての共同声明において、「新型交付金について、平成二十七年度補正予算「地方創生加速化交付金」一千億円及び平成二十八年度当初予算「地方創生推進交付金」一千億円を計上し、地方が強い決意と覚悟を持って地方創生をスタートできる額が確保されたことを評価する。」「今後の新型交付金の制度設計等に当たっては、地方の意見等を十分に踏まえ、自由度の高い内容とすることを求める。」とあります。

 今回の地方創生推進交付金について、地方六団体が要望するとおり、自由度が高く使い勝手がいいものとなるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

石破国務大臣 それはそのとおりでございます。ですから、私どもがよかれと思ってつくっても、ユーザーフレンドリーでなければ仕方がないお話でありまして、一応、地方六団体からは一定の御評価はいただいておりますが、これでよしとするつもりは私はございません。私のところにも毎週多くの自治体の長の方がいらっしゃいますし、週末ごとに、できるだけ多くの市町村長の方々、知事の皆様とお話をするように努めておるところでございます。

 ですから、実際に、言うなればある種の商品のようなものがユーザーにとってどうなのかということを承ることが一番大事だと思っております。自治体とすれば、なるべく使い勝手がよくて、自由度が高くて、金額が多いものということに決まっております。

 ですから、金額というのは、予算の中でございますので、そこはいろいろなやりくりもございますが、自由度が高いということについてさらに工夫の余地がないかどうかということは、私の問題意識の中にはございます。

椎木委員 地方公共団体が地域再生計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けた場合に、当該計画に記載された事業について地方創生推進交付金を交付することができるとなっていますけれども、交付金の対象事業選定に関しては、内閣府が単独で行うのでしょうか。

末宗政府参考人 お答え申し上げます。

 この交付金事務につきましては内閣府が対応いたしますけれども、その際には、知見を持っている関係省庁の参画も得ますし、特に先駆タイプにつきましては、外部有識者の知見も得て審査を行っていきたいと考えております。

椎木委員 今の答弁ですと、内閣府が単独でというわけではないということでよろしいんですか。

末宗政府参考人 お答えします。

 内閣府として行うんですが、そのプロセスにおいて、外部有識者なり、あるいは知見を有する各省庁の知恵をおかりするということでありますので、対外的には、一元的に内閣府の方で行っていくということが基本でございます。

椎木委員 次に、多くの地方公共団体からさまざまな分野にわたっての事業が交付申請されると考えられます。審査に当たっては、時間も要するし、多くの人手も必要となり、大変な作業となることが想定されます。各省庁との連携は不可欠であると思います。場合によっては、外部有識者の協力も必要であると考えます。

 そこで、お聞きします。

 公平公正を期するために、どのような方法、体制で審査を行うのでしょうか。

石破国務大臣 これは、公平公正であると同時に、幾ら公平公正であると言い張ってみても、透明性というものがなければそれを誰も実証はできない、検証はできないわけであります。

 今、担当次長からお答え申し上げましたように、先駆型のものにつきましては、知見を有する外部有識者の方々の審査を経るということにいたしております。もちろん最終的に内閣府が責任を負うものでございますが、知見を有している関係省庁の参画も得るということは当然のことでございます。

 ですので、これは、正直申し上げて、私が見ておって、膨大な作業です、大変な作業です。携わっている職員たちは、本当に、不眠不休、休日返上ということで全力で取り組んでまいりました。そこを評価していただければ大変に幸いだと私は思っておるところでございます。

 ですので、これが、だんだん重ねていきますと、地方公共団体も、なるほど、こういうことなのかと。例えば、地域間連携とはこういうことだ、政策間連携というのはこういうことだ、あるいは官民連携というのはこういうことだということで、だんだん公共団体のスキルというのも上がってくる。審査するという言い方をあえてするとすれば、私どもの方も、共同作業ですから、地方自治体に対してとにかく私も指示をしているのは、懇切丁寧にどんな問い合わせにも答えてくださいねということは申し上げております。私どもの方も忌憚のない意見というものを自治体に対して申し上げていくということで、ある意味、共同作業だと思っております。それを積み重ねていくことによってよりよいものが得られていくべく、今後さらに努力をしたいと考えておるところでございます。

椎木委員 私も、地方行政で、小さな自治体ではありますけれども、事務方の苦労というのは十八年経験してきた一人です。それが国の規模になればさらに何十倍も御苦労されていると思いますので、それは理解しています。

 その上で、今の質問に関連してですけれども、その審査の期間はどの程度を見込んでいるんでしょうか。

石破国務大臣 これは、地域再生法におきましては、三カ月以内に速やかに行うということが記されておるわけでございます。ですので、官民協働、地域間連携、政策間連携といった、そのようなものにつきましては、もちろん一定の期間を要するものでございますが、三カ月以内に速やかに行うこととされておりますので、この法律の範囲内でなるべく早く進めるべく努力をいたします。

椎木委員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、地方版総合戦略に基づく取り組みはまだ始まったばかりです。平成二十九年度以降についても一千億円規模の予算を確保する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 キーワード的に申し上げておりますが、安定的、継続的に支援していくことが重要であるということでございます。

 二十九年度以降につきましては今後の予算編成過程で議論をしていくことに相なりますが、これは、地方創生というのが半年や一年、二年や三年でできたら誰も苦労しないということなのですね。エクスキューズを申し上げるわけではありませんが、どんな成果が出たんだと言われますけれども、そんなものが簡単に出るようだったら日本はこんなになっていないというふうに私は思っております。

 これが安定的、継続的に確保できますように、また委員の御指摘も承りながら、国会の御意見をよく体してやってまいりたいと思っております。

椎木委員 大臣がおっしゃるとおりですよ。二年や三年で、成果なんかそんな簡単に出るものじゃないです。それは、国民や市民の期待というのは大きいでしょうけれどもね。ただ、しっかり期待に応えるように、引き続き取り組んでいただければと思います。私も一緒に取り組んでいきたいと思っています。

 次の質問に入ります。

 地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税に関してお尋ねいたします。

 寄附の見返りとして御当地産品を受け取ることができる個人版ふるさと納税と、今回創設される企業版ふるさと納税との違いは何なのでしょうか。

石破国務大臣 いわゆる個人版のふるさと納税という場合には、これは本質は寄附でございますので、税法上、寄附の使途に限定はございません。また、適用の下限額であります二千円を除きまして、原則としてその寄附の全額を個人住民税、所得税から控除するというのが個人版のふるさと納税でございます。

 企業版のふるさと納税はこれとは相当に趣を異にするものでございまして、これは、地方創生を推進することが目的である政策税制と位置づけをいたしておるところでございます。したがいまして、寄附の対象は、地方公共団体が実施する地方創生事業ということになっておるわけでございまして、何に使ってもいいというものではございません。これはこれに特定をされているわけでございます。

 と同時に、企業の寄附につきましては、その企業自身に企業イメージの向上などのメリットがもたらされるというふうに考えられておりますので、寄附額の六割を軽減するということで、企業みずから負担をするのは四割ということでございます。

 ですから、そういう仕組みにおいて、あるいは目的において、同じふるさと納税という言葉を使っていますが、企業版と個人版は大きく異なるものでございます。

椎木委員 地方創生を推進するためには、国や地方公共団体だけでなく、産官学といったさまざまな主体が連携して取り組むべきと考えます。今回の企業版ふるさと納税創設を契機に産官学の連携を進めようと考えたとき、企業の参画をどのように促すかも一つの課題であると思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 御指摘のとおりであります。

 まず、これが国会の御審議を経て成立をしました暁にはといいますか、今のところ、政府としてこういう法案を出しているという説明は企業に対してしておりますが、何だか個人版ふるさと納税と同じような理解をされちゃって、では、企業に返礼品が来るのかとか、社員全員に何かもらえるのかとか、そういうような話が出てくるようなこと、それはやむを得ないことなんです、個人版ふるさと納税のイメージで考えていますから。

 いや、違いますと。地方公共団体が総合戦略をつくります。それで、こういう総合戦略ですよ、ですから、企業の皆様方、どうぞこれに対して寄附をしてくださいという、もともと地方公共団体にも、そういうような商品をつくる努力とアピールの努力が求められる。

 では、それに関心を示す企業が、そうであればと、そこで得られる利益というのは、イメージの向上ということなのです。実際に何か経済的な利益がそれによってもたらされるものではありません。

 そうであるがゆえに、企業の側も、それだったらこうしたらいいではないか、ああしたらいいではないか、そういうような知恵は当然なければイメージアップにも何にもなりませんから、そこにおいて企業の参画というものはより積極的に行われるべきだと思っております。それは、大学においてもそうですし、金融機関においてもそうですし、言論機関においてもそうですし、そういう多くの方々の参画、お知恵によってよりよいものができていくということを目指さなければなりません。

椎木委員 これはやはり、企業が地方公共団体へ寄附を行う行為ですから、普通であれば、企業にとっては株主に対する説明が必要になると思うんですね。そういう意味で、企業が地方公共団体へ寄附をすることに対して企業側のメリットを明確に示す必要があると考えますけれども、この件についてはいかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、繰り返して申し上げるようですが、本邦初演でありますので、ではメリットって何ですかと言われますと、それは、そういういい事業を応援することによって、その企業が、社会的な責任というのか、そういうものを果たす企業なのだということを広く多くの方々に認識していただくということがメリットなのだと思っております。

 委員御指摘のように、企業は株主に対する説明責任がございますから、そんなことをして何になるんだというような話は、株主の側から出るかもしれません。ですから、企業は、株主に対する責任もございます。しかし同時に、社会に対する責任もございまして、このあたりをどのようにして、両立というのかアウフヘーベンというのか、そういうことをしていく努力というのはさらに企業に求められることになります。

椎木委員 最後、関連して一点だけです。

 地方公共団体から企業に対する働きかけというのはどうあるべきと考えていますか。

石破国務大臣 ここは、地方公共団体が企業に対して、その総合戦略で目指すべきことがどれほどすばらしいものなのかということを、きちんとしたビジョンに基づいて誠心誠意説明するということが大事なのだと思っております。

 さればこそ企業に対して思い切った税制優遇をするわけでありまして、それは結局、国民の税金になるわけですから、そうしますと、そういうような、ある意味国民全体の負担をもってそういうことをやろうとするからには、それがこの地域にとって、あるいは先駆的なものであるとするならば国全体にとって、どれほど意義があるものなのかということを、トップセールスのような形で首長みずからが企業に出向いて御説明をするということをお願いしなければなりません。

 首長が行くときに、何ですか、その企業版ふるさと納税はという反応を企業がしちゃったら、そこから説明しなきゃいかぬわけで、こういう制度がありますということを周知するところまでは私どもの責任でございます。それをどう活用するかは、自治体の皆様方にお願いをしなければならないものでございます。

椎木委員 次の質問に入ります。

 生涯活躍のまち制度に関して質問いたします。

 地方創生の観点から、中高年齢者が希望に応じて地方や町中に移り住み、地域住民と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療、介護を受けることができる地域づくりを進めるための生涯活躍のまちの制度化を図るとのことですが、生涯活躍のまち構想の制度化により、生涯活躍のまちが全国にどの程度できると想定されているのでしょうか。

石破国務大臣 これはわかりません。というのは、今、二百数十の団体から手は挙がっています。手は挙がっていますが、それがどういうイメージをお持ちなのか。つまり、これまた本邦初演でございますので、五十代、六十代のアクティブなシニアの方々が、サービスの受け手ではなくて出し手としてコミュニティーをつくってくださいという、この全てが今までにない発想なわけでございます。

 そうすると、これを自分の町に置きかえてみたときに、事業者は一体誰になり、どういう人をどこから呼び込み、そして同じような世代の方を一遍に入れちゃいますとうまく回転しないことになるわけでございます。そして、コミュニティーといったところで、では、今いる住民の方々とどのように連携を図っていくかということもこれからのお話でございます。

 ただ、多くの自治体が強い関心を持っていただいておりますので、さればこそ、支援チームというのを立ち上げて、私どもも初めてのことでございますから、自治体とよくお話をし、関係の方々とお話をしながら、私は支援チームの初回の会合でも申し上げたんですが、これは、やってみました、だめでしたでは済みませんので、まして人の生き方にかかわることでございますから、やってみました、だめでしたでは済みません。

 ですから、今ここで幾らということを、数を決め打ちはできませんが、できるだけこれが多くのところに展開をして、新しい人生というものがそこで生まれる、新しい交流というのが生まれるということで、多くのところを期待はいたしております。政府として積極的に支援をいたしてまいります。

椎木委員 冒頭申し上げましたけれども、この法案に関しては、私は、制度的にも賛成の立場でいます。

 ただ、この法案のレクを受けたときに同僚議員からも心配があったんですけれども、どの程度の中高年齢者が生涯活躍のまちに移住すると考えているのか。例えば、私は移住したいんだ、ただ、うちの女房は絶対反対するという委員もいまして、この辺の見通しといいますか、そういうものもやはり把握はできていない、これからだということでよろしいんでしょうか。

石破国務大臣 御指摘のとおりです。

 ですから、東京に住んでいらっしゃる五十代の男性の五割は地方に移住するということを考えている、もしくは検討したことがあるということになるわけですね。そういうことは、男性は五割ですが、女性は三割しかいないんです。男性は、会社をリタイアして、地域に戻ると誰も友達がいない。奥さん方はいろいろなコミュニティーのつながりがある、行きたきゃあなた一人で行きなさいみたいなことになるわけであります。

 そこでいろいろなことが起こるわけですが、心配されるのは、移って仕事があるかないか、そして、そこにおいて医療とか介護とかいうものは本当にきちんとあるのか、交通の便はどうか、買い物の便はどうか。と同時に、東京にようやっと手に入れたマイホームを、移るはいいんだけれども、誰が借りてくれるか、誰が買ってくれるか、誰が住んでくれるかということがあります。ここのところのフォローはきちんとしなければなりません。中古住宅の流通という課題でございます。

 もう一つは、どうも奥様は来てくださらないことになりとせば、例えば今、大人の休日とか、いろいろな商品がございます。あるいは早割とか超割とかいう制度が航空会社にもございます。だとすれば、例えば、奥様が東京にお住まいで、移住した旦那さんのところへ月に何度でも行ける、あるいは、地方に行っても、東京に何度か行って歌舞伎も見られる、原宿も歩ける、そういうようなことができないだろうか。

 そういうふうに、ちゅうちょするような要因をいかにしたら除去できるかということを今議論しておるところでございまして、また御指摘をいただければ大変ありがたいと存じます。

椎木委員 次に、生涯活躍のまち形成事業のような事業は、各地域のそれぞれの事情に合わせて、地方公共団体や民間の事業主体が創意工夫を生かして自立的に行うべき施策であると考えますが、法律によって枠がはめられることでこうした創意工夫を阻害することになるのではないかと心配しています。この点についての見解を伺います。

石破国務大臣 結局、記載事項としては、中高年齢者の社会的活動への参加の推進に関する事項等々、一々読み上げませんが、四つが書いてあるわけでございます。もっと書けという御意見もあるんですね。そうでないと地方は何をやったらいいかわからないじゃないかということもあります。委員と逆のことをおっしゃる方もあるわけです。

 ただ、この基本的なことを定めました上で、これはやはりマストのことだと思っていますので、それ以外の部分は可能な限り創意工夫に委ねるということが必要だと思っております。

椎木委員 次に、地方公共団体の自主的、自立的な構想の推進を支援するために、国においても、既存の制度についての適宜適切な情報提供等を通じて積極的に支援をすべきと考えますけれども、これらについての見解を伺います。

石破国務大臣 それがまさしく支援チームの役割なのでございますが、そもそも一体何の補助事業が活用できるんですかという制度の情報提供をしなければなりません。あるいは、助言の実施というのもやっていかなければなりません。

 例えて言えば、石川県金沢にシェア金沢というのがあって、これはCCRCの一つのモデルと呼ばれているのですが、そこはいろいろな税制を活用してやっているところでございます。ですから、そこに生きがいがあり、にぎわいがありというふうに私は思っていますが、では、どうしたらば事業がうまくいくのだろうかというようなことを、私どもが教えてさしあげるなぞという話ではなくて、ともに悩んでともに考えていく、そういう支援チームでなければなりません。

 何にしても、第一回の会合で申し上げたように、人の人生がかかった話ですから、失敗することは許されないとよく認識をしておるところでございます。

椎木委員 私も、この法案の説明を受けたときに全く同じような質問を事務方にもしたんですけれども、やはりこの支援チームというのは非常に重要な役割だと思います。

 そういう意味で、生涯活躍のまち支援チームでの検討対象となる地方公共団体というのはどのように選定するんでしょうか。

石破国務大臣 これは、今、手が挙がっているのは二百六十三あるわけでございますが、やはりそれぞれにおいて、どことは申し上げませんが、かなり精密に考えているところがございます。土地をどうしましょうか、事業者は誰がやりましょうか、どういう人をどこから呼び込みましょうか、どのようにして交流を図りましょうかというところまで、かなり熟度の高いところもあれば、何だかそういうものをやってみたいなと。でも、それが、何か実は空き家対策だったりすることもあるわけでございます。

 ですから、制度の趣旨を御理解いただき、そしてさまざまな観点から検討が加えられた熟度の高いものからやっていきませんと、これは全体を失敗することになりかねないと思っております。そこに不公平がないようにしたいと考えております。

椎木委員 時間的に最後の質問になってしまうと思います。

 地域再生推進法人が生涯活躍のまちの担い手になることができるよう、平成二十四年に創設された地域再生推進法人制度について、これまで十分に活用されていないと聞いております。その原因がどこにあるのか、また、今回の法改正においてどのように改善しようと考えているのか、お聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 地域再生推進法人制度につきましては、地域住民により近い立場で地域再生事業を行う法人に地域再生推進のコーディネーターといった役割を担っていただくということを期待している制度でございますが、今お話がありましたように、平成二十四年の創設以来、五つの法人しかまだ指定されていないという状況にございます。

 この中で、特に営利法人についてございますけれども、これは平成二十六年度改正で追加したものでございます。政令でございますけれども、株式会社にあっては、地方公共団体の有する議決権の割合が三%以上であることを要件としております。したがいまして、これが制度の活用が少ない大きな原因ではないかというふうに考えているところでございます。

 一方、現在、地域におきましては、官民協働で地域再生を推進しようという機運が非常に高まってきております。地方公共団体が出資していない営利法人であっても地域再生推進法人として指定することができるようにすることで、地域再生を実施する中核的な担い手として活動できるようにすることとしております。

 特に、今お話がありました生涯活躍のまちにつきましては、事業主体が、社会福祉法人とか医療法人もありますけれども、民間企業といったところも主体として非常に期待されているところでございますので、このような制度改正によりまして地域再生推進法人制度が広く活用されるように期待しているところでございます。

 以上でございます。

椎木委員 時間が参りましたので終わりますけれども、最後に、冒頭いろいろちょっと私も申し上げたので、若干補足させていただきたいんです。

 私は、前回も申し上げましたけれども、この委員会は与野党の垣根はないという認識でいます、少なくとも私と我が党は。そういう意味で、我が党は、自民党の補完勢力と言われるときもあるんですけれども、何と言われましてもそんなのはどうでもいいんです。我々は自民党のためにやっているんじゃない、国民のためにやっているんです。それが、自民党がいい方向に進んだのであれば、我々は大いに応援したい。これは全て国民のため。

 そういう認識に立って、今後も、この委員会、大臣と建設的な議論を交わしながら、ある意味ではお支えしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 以上で終わります。

山本委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 改革結集の会の小熊慎司です。おはようございます。

 今回の地域再生法の一部を改正する法律案ですけれども、大きな項目の中で、私も地方にいる中でとりわけ大事だなと思うのは、生涯活躍のまち、これは新たな取り組み。海外を見ればこうした取り組みはもう行われているわけでありますけれども、新たに日本版ということでやるわけです。

 さはさりながら、これをやっていく上では、これは大ざっぱに言うと広域移住型と近隣転居型ということでありますけれども、いずれにしろ、都会でもコミュニティー、人間関係というのはありますけれども、大臣のところもそうでしょうけれども、やはり地域の人間関係がどうなっていくかということは非常に重要な点で、それは迎え入れる側の人間関係もそうですし、行く人たちのことも、両方、やはり心の折り合いをつけていかなければならない点で、これが実際、ハード面とかいろいろな支援体制とかというのもありますけれども、でも、一番重要なことは、人の心の折り合いをどうつけていくかというところが一番の成功の鍵を握っているんじゃないかというふうに思います。

 そういう意味では、今回のこの法改正、また支援体制についても、地域交流拠点というのを整備していってちゃんと交流を図っていきます、協働の体制をつくっていきますと言及はしているんですけれども、実際、ソフト的な面で本当にどう心の折り合いをつけていくのかという、ソフト、ハード両面で取り組んでいかなければいけないと思いますが、まず、その取り組みについてお伺いをいたします。

牧島大臣政務官 お答えいたします。

 今御指摘ございましたとおり、生涯活躍のまちにおいては、中高年齢者が地域社会に溶け込みながら健康でアクティブな生活を送ることができるコミュニティーづくりということが大変重要であると思っておりますし、地域住民の方と交流する、協働するということも大事なことだと考えております。

 ソフト面では、健康づくり、生涯学習など、地域における社会的活動への参加を促す各種のプログラムや情報を提供することを想定しております。例えば、大学などでの講座、または資格を取りたいという方の生涯学習の場、育児、子育て、介護、地域活動などの社会参加、農業、地元中小企業への就労など、いろいろな形があるかと思いますが、このような取り組みを通じて、地域住民と交流、協働した魅力的な生涯活躍のまちが実現されるよう、国としても積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。

小熊委員 資料どおりの答弁なんですけれども、それはわかっているんです。踏み込んで言うと、結局、地域の大学とかなんとかということですが、一番はやはり、これは地域の差があるかもしれないですけれども、町内会とか、集落ごとに単位があるわけですね。その町内会、自治会へのアプローチというのが欠けているというか、考えているんだけれども、そこが一番先に出てこなきゃいけないと私は思うんですよ。

 いろいろな機会をつくって大学でとか、NPOとか言っていますけれども、町内会、自治会に対するアプローチというのがやはり一番最初に来なきゃいけないと思うんですが、その点はどうなんですか。

牧島大臣政務官 町内会、自治会へのアプローチということも大変重要なものだというふうに思います。

 移住を決意された方々のお話を私どもも伺っていく中で、その地域に住んでいらっしゃる方たちといろいろな交流ができる、または、地元についての情報をいただいたことが新たな場での生活の道筋につながっていったというお話も実体験として伺っているところでございますし、そうした御示唆は受けとめてまいりたいと思っております。

小熊委員 それであれば、それを形に変えていく、形にというか、では支援体制としてどう支えていくんだというものは、メニューがなければいけないんですね。金が全てではないんですけれども、それは必要ですねというのは、必要性は訴えてくる、では具体的にどうなんですかとなると、ないんですよ、今回。実際、ないんですね。ありますか。

石破国務大臣 いや、その問題意識は強く持っていまして、同じ例を再度出して恐縮ですが、先般、金沢のシェア金沢に行ったときに、私、地域の方々に同じ質問をしたんです。自治会はどうなっていますかということを聞いたところが、私の記憶では、ここのシェア金沢自治会というのがあるわけではない、ここはここで別個独立した自治会をつくるんじゃなくて、前からおられる地域の方々の自治会というものの一部になることによって交流とか融和とかいうものを図っていきたいというお話でした。

 一方において、いや、そうではないのだ、五百人とか千人の単位で移り住むことによって初めて交流が生まれるんじゃないか、知らないところに行って肩身が狭いということではなくて、そこに一つのコミュニティーをつくることによって、一種の緊張関係もあるのかもしれませんが、初めて本当の交流ができるのではないかという御意見もあります。

 何にしても、コミュニティーではありますが、そこに旧来からお住まいの方々との関係というのが一番大事であるという問題意識は強く持っていまして、どういう形でこれをいろいろな支援チームの中で議論していくか、その自治体がそういうような問題に必ず逢着するはずですので、私どもとしても、自治会のあり方そのものの検討も含めて、この話はきちんとした答えを出したいと思っています。

小熊委員 大臣がおっしゃられたように、そういう視点で支援を、基本的には、一義的には市町村ということになってくるんでしょうけれども、その先にある町内会。町内会でも、地域によってですけれども、自治会、町内会があって、なおかつまた小学校単位で何々地区町内会連合会とかとあるわけですよ。

 今大臣が言われたとおり、町内会そのものに入るというパターンもあれば、別個にそれをまとまった単位でつくって近隣の町内会と交流していくというあり方もあると思いますけれども、その場合は、何々地区連合会みたいなものがあるわけですよね、市の中でも校区単位に分かれて町内会がまとまってありますから。ちっちゃい町村だと、そういう地区もなく、もう町内会と町役場となりますけれども。そういうことを想定しながら、これを成功にするために、地域住民との交流、協働というのをうたっているわけですから。でも、これで一番大事なのは、先ほどの、最初の答弁ではなくて、一番最初に来なきゃいけないのは自治会、町内会であるということを、ちゃんと形として、支援体制として見えるように今後は取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 次に移ります。

 都会から地方に行く広域移住型ではなくて、近隣転居型、地方の中でも町中に住んで医療とか行政サービスが受けられるようにしましょう、結局、コンパクトシティーみたいな考え方なんですけれども。一方で、大臣御承知のとおり、農水省の方では、集落機能維持という項目で予算立てもしているわけですね。あと、コンパクトビレッジというのもあります。

 残念ながら、全体的に人口が減っていくというのは、これは事実であります。全体的に薄くなっていくわけですけれども、人を寄せていきましょうというこの政策の中で、片や、いや、今までどおり維持しましょうという政策もあって、この整合性はどうなんだというところがあるんですよ。この点についてはどうでしょうか。

石破国務大臣 それは、ここにこれだけの議員がいて、みんな思い描くのは、自分の選挙区といいますか、委員であれば会津若松あるいはその周辺のことをお思いになるんでしょうし、私であれば、鳥取市、その近隣のことを思い浮かべるわけですね。だから、状況はみんな違うんですけれども、委員の御指摘はまさしくそのとおりなんです。

 私が思っているのは、新興住宅街というのがございますでしょう。昭和四十年代、五十年代に、田んぼだったところに何々ニュータウンみたいなものがいっぱい建った。ところが、そこが高齢化をして、子供も住まなくて、どんどん空き家がふえている。でも、そこも、道路も維持しなきゃいけないし下水道も維持しなきゃいけないしということを考えると、そこにすごい行政コストがかかって、自治体としては極めて厳しい。そうであれば、そういう方々はかつて住んでおられた市の中心部にお住まいいただけませんかというのがコンパクトシティーの基本的な考え方だと私は思っているんです。

 他方、小さな拠点、コンパクトビレッジと言われるのは、何とか郡何とか町とかいうように、本当に人口がどんどん減っちゃった、このままだと集落機能そのもの、町の機能そのものが維持できないというときに、でも絶対そこに住んでいたいという人がおられるわけです。そうすると、憲法上の要請から、そういうような御希望というのはかなえなきゃいけないということに相なっておりますし、そのことを私は別に否定的に解するつもりはございません。

 そうすると、そういう方々がどんどこどんどこ何々市に出ていくのではなくて、かつての町役場、村役場があったところに、医療とか介護とか教育とか生活とか、そういう機能を集約する、そしてそれぞれの集落との間は、バスが空気を運んで走っているのではなく、しかし、高齢者の方はもう車を運転できない方が出てきますから、そういうところにディマンドバスとかディマンドタクシーとか、そういうものを走らせて、町中に出ちゃうという選択ではなくて、そこの何々町、何々村というもので集落を維持しながらやっていくというのがコンパクトビレッジの発想でございます。

 ですから、何がコンパクトビレッジで何がコンパクトシティーでということはこれから明確にし、法律の中でも位置づけていきながら、地方の再生というものを図っていく。そこはもっと丁寧に御説明をする責任は私にあると思っております。

小熊委員 しからば、今回の生涯活躍のまちの中でうたっている近隣転居型というのは、この近隣というのはどういう範囲なのかということなんですよ。

 今、大臣のコンパクトシティー、コンパクトビレッジのことでいえば、一つの市町村単位の中でいえばその論理が通用するんですけれども、では、今大臣がおっしゃったように、鳥取周辺地域まで含めて近隣転居型というのであれば、結局は、そういう拠点に集まって、集落から出ていってしまうんじゃないかということなんですね。この近隣転居型というのは、市町村ごとの中での話なのか、生活圏域の市町村を飛び越えてある程度のエリアの中で近隣転居を進めていくということなのか、これはどちらですか。

石破国務大臣 これも、これが近隣型であるとかいうことを私が決め打ちで申し上げても余り意味のないことだと思っています。

 ですが、見たことも聞いたこともないところに行くというのは人間かなりつらいものがございまして、やはり、自分は福島県の出身なので、東京で五十代を迎えたけれども福島へ帰ろうとかいうのは、余り近隣とは言わないんだと思いますね。それから、むしろ、町中に住んでいた人が新興住宅街に行きました、そういう人たちがまた戻ってきますみたいなのも、一つの近隣型の典型的なイメージなのかなというふうに思っております。

 あんたは来ちゃだめとか、そんなことが言えるはずはないのであって、ただ、どういうものが一番その地域の再生というものに望ましいかという視点は、やはり行政のこれから先の、財政が厳しい中で住民に対してより高度なサービスを提供していくという観点を外してはならないものだと思います。

小熊委員 私が今イメージしているのは、近隣転居型の移住をやって、今言ったとおり、生涯活躍、また、老後を安心して暮らしましょうといったときに、では、大臣が私の地元のことに言及していただきましたが、会津若松市がこれをやりました、この拠点をつくりましたと。呼びかけをしたら、隣の町、また、もうちょっと離れた山の奥の町でコンパクトビレッジに取り組んでいるんだけれども、それと比べたらやはりこっちの方がいいからとなっちゃうんじゃないか、その整合性をどうするんですかということなんですよ。

 都会から福島だ鳥取だに行くという話じゃなくても、近隣転居型に限定して言うのであれば、その地方の中で移動がなされてしまって、町でおさまるという話じゃなくて、町を越えていくということが出てくれば、片や集落機能の維持、コンパクトビレッジということもやっているんですけれども、そことのまた比較になって、結局、今、人口問題というのは、これは東京一極集中だけの話ではなくて、地方の中でも、県庁所在地に集中していくとか、それなりの市に行くという話がありますから、そういう流れも出てしまうんじゃないか、そこはどうしていくんですかということの質問なんです。

石破国務大臣 これは、やってみなきゃわからないと言うと、いいかげんなことを言うなみたいな話になるんですけれども、委員御指摘のように、コンパクトビレッジ、小さな拠点は小さな拠点で頑張るんです。コンパクトシティーはコンパクトシティーで頑張るんです。そうすると、ではどっちを選ぶんだという場面は出てくるんだと思いますね。

 ただ、今のままだと、委員の選挙区も私の選挙区も事情は多分似たようなものだと思いますけれども、コンパクトビレッジにとどまるという発想がなくて、いきなり町中へ飛んじゃうか、あるいは、もういい、自分が生まれ育ったここで死んでいくんだということで、いろいろなサービスも受けられないままに年を重ねていくか、どっちかになっちゃうというのがあるんだと思うんです。

 私は、コンパクトビレッジであれコンパクトシティーであれ、国民に選択肢を提示するということは大事なことだと思っておりまして、結果として、コンパクトビレッジよりも、コンパクトシティーというか町中居住、町中でそういうコミュニティーに住みたいなという方が出られたとしたならば、それはそれで選択の結果である。しかし、選択がないよりははるかによいと思っています。

小熊委員 まさに大臣のおっしゃるとおりで、それをこれから我々政治家も言い切っていかなきゃいけないなというふうに思います。今のままだと、やはりまだまだちょっと右肩上がり時代の幻想が地域の方々にも残っていて、何とかなるんじゃないかということなんですが、もうこれは撤退戦ですから、残念ながらそれはもう難しいですよと言っていかなきゃいけない場面というのが出てきますし、日本の国土面積もありますけれども、各国、先進国を見ても、これだけ隅々までユニバーサルサービス、行政サービスを提供している国というのはないわけですよね。ほかの国もいろいろ調べましたけれども、どこかで区切って、日本人からすると冷たいなと思うけれども、やっているわけですよ。そうじゃないと、やはり限られた財源の中で市町村も国もやっているわけでありますから、どこかではっきりしていかなきゃいけない、ハードランディングしなきゃいけない分野というのも今後出てくるかなというふうには思います。

 そういう意味では、まだまだそこのところまで行かない部分もありますけれども、今回、この生涯活躍のまち、またいろいろな取り組みの中で差が出てくる、政策の成果にも差が出てきますし、地域ごとにも差は出てくるわけでありますけれども、その痛みをしっかり受けとめることというのも、大丈夫ですよと言わないで、やれないことはやれませんと言う場面が今後しっかりと出てこないと、逆に、集中して投資をして、この少子高齢化、人口減少を乗り切っていこうということが、覚悟して乗り切っていけないというふうに思いますので、これはまた、本当に深いテーマですから、今後も議論をしていきたいなというふうに思っております。

 次に行きますけれども、第六次地方分権一括法です。

 これはもう第六次まで来ていて、これまでの積み上げも重要だったというふうには思いますが、いきなりということではないんですけれども、そもそも地域の自主性及び自立性ということでいうのであれば、総理も具体的な条文については言及はしておりませんけれども、憲法改正にも総理も言及しているところです。

 憲法というと、国民の皆さんも含め、九条の話にすぐ行っちゃうんですけれども、九条は九条で議論するのは大事なんですけれども、それより前に、公明党さんが言っている環境権をどうするんだとか、真っ先に取り組むべき課題というのはもっとあって、特に私は、第八章の九十二条の地方自治の本旨というのを、憲法改正と言うのであれば、抜本的に九十二条を改正して地方自治の進展をやるということが、今後、第七次、第八次地方分権一括法というのも出てくるんでしょうけれども、それよりも、今総理も憲法改正ということに言及をしておりますので、であれば、地方創生担当大臣として、憲法改正の中でもこの九十二条をやって抜本的に地方分権を進めることが一番大事ですというふうに言っていくことも一つのあり方かな、アプローチかなというふうに思うんです。

 この憲法改正、地方分権に関して、大臣の見解をお伺いいたします。

石破国務大臣 我が党として野党時代に憲法改正草案を取りまとめましたということは、総理が国会で何度も答弁をしておることでございます。

 政府としてこのことに言及するのが適切だと思っていないというのは決まり文句でありまして、そういうことだと思いますが、私は、地方分権というもののもう一つの問題というか、その目指すべきところは、国が本来やるべきことに専念しないとまずくないですかということなのですよね。

 これはもう、私が当選一回、二回のころからずっとある議論で、小選挙区制というのもその流れの中にあったわけですけれども、やはり、外交、安全保障、通貨、財政、そういうものに国は特化しないと、地方のことは、ニア・イズ・ベターというんでしょうか、なるべくそこでやった方がいいのだということが、国は国がやるべきことに専念しましょうということと一体であるお話だと思っております。

 地方分権というものを憲法にどう書くかは、また我が党の中で議論されることでしょうし、憲法審査会において先生方の御議論を賜ることですが、それをやったときに必ず出てくる議論は、権限を渡すなら財源も渡せ、こういう話になるわけで、そこで財源の偏在があるものですから、さればこそ地方交付税というものが機能しているわけですが、この地方交付税こそ諸悪の根源みたいな御指摘もあるわけで、この話はずっと引きずってきているわけでございます。そこについて一つの解決を出していかないと、この議論はいつまでたっても進まない。

 我が党として憲法改正草案を持っておりまして、そのことを私どもはお願いする立場にございますが、個人的な問題意識を申し上げれば、そのあたりについてさらに詰めた議論というものを、私自身は今後したいものだなと思っています。

小熊委員 私の今回のこの質問の趣旨は、大臣に細かいところまで立ち入っていただきましたけれども、結局、憲法改正も国民投票で決めるわけですよ。まさにこういう議論をしなきゃいけなくて、憲法改正というのは九条の話題ばかりというのが、論憲をしなきゃいけないということであれば、ちょっとフォーカスが狭いなということです。

 憲法には大事なことがいっぱいある中で、今言った九十二条一つとっても、本当にきちっとやっていかなきゃいけない。簡単ではないというのももちろん大臣の指摘のとおりで、こういう議論を巻き起こすということが重要だというふうに思っていますし、戦後七十年の中で、これほど憲法改正というのが、ある意味、現実味というか、今までは本当に遠い話であったわけですけれども、現実感を持って憲法改正というのが語られているときに、大事な九十二条、地方自治のあり方というものの議論が少ないということが、私はまさに地方自治にとって不利益だなというふうに思っています。

 憲法改正の議論の中で地方自治のあり方というのは大事だともっと担当大臣として言っていくことが、九条もそれは議論しなきゃいけないんですけれども、憲法改正というと、ほとんどが、多分、半分以上が九条の話になっちゃうんですよ、国民も含めて。そうじゃないんだという話をどんどん情報発信していく。どうするかということは、いろいろな立場があるし、現実、いろいろなことがありますけれども、まず、論憲、憲法を論じるという上で、地方自治というものがあるんだという旗頭を上げていくことが担当大臣としては必要だというふうに思いましたので、今回の質問をさせていただいたわけであります。

 ですから、今回の一括法案というのも、今後も第七次、第八次とどんどん積み上げていくこともありながらも、また一方で、そういう抜本的な問いかけというのを国民の皆さんにしていく立場に大臣はあるんじゃないかということで、今回の質問をさせていただいたわけであります。

 ぜひ、その点からも、今後ともしっかりと国民の間で議論がなされるように、大臣が先頭に立って、情報発信、またいろいろなアプローチをしていただきたいなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 東京一極集中の解消については、これまでも取り組んでこられておりました。企業の地方移転なども税制のことでやってきているわけでありますけれども、その手前に、やはり高等教育、大学とかの一極集中というのもあります。

 もちろん、大学の設立の理念とか大学側の事情もありますから、一概に、東京に集中している大学をすべからく地方に移転しろと大なたを振るえるわけではないんですけれども、まず、大学などの高等教育機関が東京に集中しているという問題点をしっかりと捉える中で、しからばそれに対してどうしていくのかというときに、地方移転で企業に対するインセンティブを与えたように、いろいろな大学への支援策の中でも、地方に行けばもっと支援しますよといったようなことも必要なのではないか。

 東京一極集中を解消していく上で、大学の地方移転ということも私はやっていかなければいけないというふうに思うんですが、その点についてお伺いをいたします。

石破国務大臣 そもそも東京一極集中がなぜ起こるかというと、高等学校を出てから大学その他の高等教育機関に行くときにわっと東京に集中するわけですし、高等教育機関を出て就職するときに、地方の高等教育機関を出た人がまた東京に来るというので、若年層の流入というのが実は東京一極集中の正体なのであって、だとするならば、そうならないようにどうするんだという話です。

 ところが、多くの地方の県がそうであるように、そもそも高等学校を卒業した人たちを受け入れるだけの大学の定員がないということがあるわけで、では、そこをどうするんだいと。あるいは、秋田にあります国際教養大学のように、極めてユニークな教育を行って全国から学生が殺到する、やはりそういうものを地方に立地していくということが大事なんじゃないかなというふうに思っております。

 また、文科省におきましても、大規模、中規模の大学が三大都市圏に集中しているわけでありまして、これらの大学を中心に、入学定員超過を抑制するために私学助成や大学等設置認可時の基準の厳格化などの措置を二十八年度から段階的に講ずるということになっておるわけであります。

 実際、八王子なんかに行っていた大学が都心回帰を起こしているわけですよね。これを一体どう考えるんだと。移転税制のように、では何かインセンティブを設けたらどうなんだろうかという議論は、これから先、したいと思っています。とにかく、東京一極集中の正体がそれである以上は、何かの抜本的な策を講じないと、これはもうとまらないというふうに思っております。

 ただ、そこで、東京にある大学が地方に行ったらばこんな税制優遇がありますとか、こんな補助金を出しますとか、それはもう文科省の所管なんですが、そのことについては大学の自治がどれだけ絡むか、私ちょっとよくわかりませんが、相当の議論を巻き起こすことにはなるだろうと思っています。

 ただ、やはりこのことについて、当委員会におきましても、あるいは文部科学委員会におきましても、いろいろな御議論を賜り、方向性を出していかないと、東京一極集中は実はとまらないのだというふうに私は思います。

小熊委員 議論して方向性を出していかなきゃいけないという答弁、本当にありがとうございます。

 大きな流れの中では、大臣言ったとおり、地方の大学を出てもこっちで就職しちゃうね、そういう抜本的な、根本的なところをきちっと捉えて対処していかなきゃいけないというところもありますが、大学一個だけ地方に来ても、すごく大きな影響があるわけです、地域にとっては。百人、二百人の企業を誘致することでも、地方では大きなニュースになるわけですよね。大学が来て、鳥取に四年間しか住まないけれども、四年間、若い人が何百人とこの町にいるんだというだけで、その地域にとっては大きな影響なわけです。

 だから、東京一極集中の流れを抜本的にどうするんだというレベルではなくて、もう本当にちっちゃいレベルなんですけれども、一つの大学が地方に移転していくということだけでも、地方にとっては大きな起爆剤。だから、大手企業、大きな工場を誘致する以上の効果があるという点からも、ぜひ議論を起こしていただきたい。

 なおかつ、東京もいいところなんでしょうけれども、やはり若いときに地方の環境がいいところで勉学をしていく、青春時代を過ごすということでも、生徒たちも学生たちもいい体験をするなというふうにも思います。

 議論して方向性を出していかなきゃいけないということで答弁いただきましたから、文科省も含め、人口の動きのあり方の一つとして、大学がどうあるべきかというのはぜひ今後しっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。

 次なんですけれども、少子化対策で、これはこれまでの大臣の答弁、この委員会でもいただきました。もちろん、結婚、出産というのは個人の価値観にかかわる問題でありますから、政治がどこまで関与できるかというのは慎重にしていかなければいけないところでありますし、また、結婚したいのに社会環境に問題があってできないというのは、これは政治としてそういうのを改善しなきゃいけないですし、子育てがしにくい社会状況があるという意味では、それをやっていくのが我々政治家の責務だというふうに思います。

 ただ、価値観の部分まで踏み込んで、こうしなさいよというのは、やはりやるべきじゃないというのはそのとおりであります。

 そうした中で、今、メディア等で話題になっている大阪の茨田北中学の校長先生の発言。これは、読み込んでみると、最後の方には、子育てというのは男性側の問題もあるから、ともに育てるべきなんだということも言っているので、いいことも言っているんですけれども、女性の幸せが子供を二人以上産むことですと言っちゃっているというのは、それは、個人の考えは、思想信条の自由ですから、言論封殺みたいなことはよくないと思うんですけれども、教育者として、校長先生として全校生徒に向かって言ったということは、やはりこれは問題があるんだろうなというふうに思います。

 茨田北中学の校長先生のこの発言、女性に対する価値観の押しつけというか、言い切ってしまったことについては、これはどういうふうに大臣は捉えますか。

牧島大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の件につきましては、詳細な事実関係まで承知しておりませんので、本件に対するコメントは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、いずれにしても、出産などは個人が自由に選択すべきものであり、特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることがあってはならないというふうに考えております。

 政府としては、個々人が希望を実現できる社会をつくることを基本的な目標として少子化対策を進めることとしております。

小熊委員 ありがとうございます。

 大臣はどう思いますか。

石破国務大臣 今、政務官からお答えしたとおりなのですが、要は、人にはいろいろな価値観があるんです。それから、そのことについて、政府として、人間の価値観まで踏み込むことはしません。ただ、産みたいのに産めないよねという環境を除去するところは政府の責任です。

 この後、委員の御議論の中に出てくるのかもしれませんが、全国全ての自治体の出生率というのはこんなに差があるのか、そして、それと密接に関係する平均初婚年齢というのは、同じ県の同じような状況にある町村で何でこんなに違うんだというのがいっぱいあります。

 そうすると、全国にあまたある自治体で違う法律が適用されているはずはないのであって、同じ法律が適用されているわけで、では、何でこんなに違うのかというのを、それはそれぞれの自治体で見つけていただかなければどうにもなりません。

 ですから、これは、そういう、産みたいのに産めないよね、結婚したいのにできないよねという状況を取り除いていくというのも政府と自治体の共同作業であって、どっちがいいの悪いのと責任の押しつけ合いをしたって始まりませんから、これは全ての自治体にデータをお配りいたしてあります。見ていないというところも時々あるわけで、ぜひ見て、議会でも、あるいは市役所の中でも町役場の中でも議論していただかないと、ちっともこれがリアリティーを持って伝わらないし、実現にもつながらないと思います。

小熊委員 平均初婚年齢は、都道府県別でいうと福島県が一番早いんです。これは「ケンミンSHOW」という民間の番組で言っていましたけれども、結婚しなきゃいけないという意識が非常に高い県だというのもあって、もちろん、制度的なもの、社会環境というのもありますけれども、やはり意識というのも関係しているんだなとそのテレビを見たときに思って、確かに、私の周りを見ても、結婚するのが当たり前でしょうみたいな、保守的な地域なのかもしれないですけれども、あるんです。

 だから、今大臣が言ったとおり、私も言ったとおり、政治としては、しにくい環境というのを改善していくのはもちろんですが、やはり子供を産むというのは男にはできないわけであります。三世代同居に優遇政策をするというのも一つのアプローチなんですが、厚労省のデータにもあるとおり、専業主婦の家庭であると収入が高いから多子化しているとかというのも一つの要因ではあるんですけれども、一番の要因は、やはり男性が育児参加している家庭こそが、三世代同居していても旦那が育児参加していないところは多子化になっていないという状況もあって、最近、イクメンというのがちょっと傷つけられましたけれども、だから、イクメンをきちっとしていくということが非常に重要だということであって、今回、この中学校の校長先生が言うべきは、そこだけを言うべきであって、産むのが一番の幸せで、しかも、一回産んで育ててから大学に無償で入れるという考えに私も賛成しますとまで言っちゃっているというのは、教育者としてはやはりよくないし、大臣が言うとおり、価値観の押しつけというのは、やはり政治の立場でも教育の立場でもやっちゃいけないというふうに思うんです。

 時間がないので最後にしたいと思うんですが、一つ、ぜひ大臣に訂正していただきたいことがあります。

 一年半前のこの委員会で、与党の委員から、それはその人の価値観ですし、別に私もそこまで否定はしませんが、必ず子供は三人産み育てるのがいいんだというのを結婚式のお祝いで言うという話が出ていた。それはそれぞれですが、大臣も、今のスピーチは私も結婚式でやろうと思っていますと思わず言っちゃっている。その後、出産とか結婚というのは個人の価値観ですから踏み込むのは慎重にしなきゃいけないというのはあるんですけれども、和やかに進んでいた委員会、私もいたので、だから、誤解を受けますから、これはちょっと訂正をして……。一年半前、平成二十六年十月十七日のこの委員会でのやりとりの中であります。

 これは、同じだとは言いませんが、大ざっぱに言えばこの茨田北中学の校長先生と同じような意味にとられかねないですよ、うがった見方をすれば。とられかねない発言、答弁であったので、これはちょっと精査をして、何らかの機会に訂正する発言をされた方がいいなというふうに思っています。

 これは別に重箱の隅をつつく話ではなくて、このテーマというのは前向きにやっていかなければいけませんから、大臣も真剣に取り組んでいるところ思わず言っちゃったというところもあると思うので、そこはぜひ訂正していただいて、しっかりとした方向性の中で、この少子化についての、人口問題についての議論を進めていきたいというふうに思いますので、殊さら大ごとにするつもりも私にはありません。ただ、大臣にとっては、これは記録に残っている発言でもありますし、意地悪な見ようによってはちょっと訂正した方がいいなというふうに思いましたので、御指摘をさせていただきます。

 あえて何かあれば。

石破国務大臣 済みません、記憶にありませんというのを言っちゃいけないことはよくわかっておって、ただ、本当に記憶にないのですが、そういう価値観を押しつけるようなことを私は言ったことがないので、それを読んでみて、仮にそういうことであれば、何らかの機会にそれを直さなければいけない責任は私にはございます。

 一番が福島なんですよ、平均初婚年齢が一番若くていらっしゃるのが。二番が宮崎なんですよ。そういう一番、二番とかいろいろなところを並べてみると、やはり一つの考え方というのか、それは価値観とは申しませんが、その地域におけるいろいろな伝統的なものはあるのかもしれない。だけれども、それだけではないのかもしれないというのがあって、そういう分析を今まで自治体ごとにしたことがないんです。

 これは、静岡県が、静岡県の全部の市町村に対していろいろな分析をして、こうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃないかという手引みたいなものをつくっていまして、自治体の取り組みというのはやはり大事だなというふうに改めて思っているところでございます。

小熊委員 今回のこの茨田北中学の話が出たときにふと思い出したのは、あのときの大臣の答弁が、えっ、聡明な大臣がそういう言い方をするんだというふうにちょっとショックだったので、覚えていたのであれなんですけれども。でも、本心からではなく、思わず言っちゃったというところだというふうには感じておりますけれども、バランスのいい、すばらしい能力のある石破大臣が、えっ、それを言うのというので、私自身、すごいショックを個人で受けたので覚えていたというのがありますから、ここに議事録がありますので、この後にまた違う機会でもし訂正する機会があれば、ぜひそこは真意をはっきりして、正していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪でございます。

 私からも、質疑に入る前に一言申し上げたいと思います。

 本日のこの委員会冒頭に、石破大臣より陳謝がありました。昨日、地域再生法の審議にこれから入ろうという委員会を、そのためだけに立ち上げて、そして、さあ提案理由説明だということで、その一番大事な中身、それが昨年のものだったということであります。

 思い起こせば、昨年の議論で、この地域再生法、どういったことがあったかというと、東京の一極集中を企業として是正させていかなければいけない、そのときに、いろいろな税制措置を使って、横浜市とか大阪市とか、あるいは東海圏の大きい都市は入っていなかったんですけれども、それ以外のところにそういう措置をやっていく、結構議論になっていたと思うんですよね。ですので、そのような議論がかなりあった中で、わからなかったのかなということは残念です。

 そういった中で、こんな前例があるのかどうかわかりませんけれども、余りないことだとすると、これは大変な問題だというふうに申し上げざるを得ません。ですので、これは真摯に御反省をいただいた上で、これからしっかりとした質疑を丁寧にやっていただければと思います。大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、冒頭申し上げたとおりであります。それはいろいろなミスが積み重なったものでありますが、そんなことを言っても仕方がなくて、それはもう大臣たる私の責任であります。こういうことが起きないようにということと、責任は大変深く感じておりまして、国民の代表たる議会の前でそのようなことをしては絶対にいかぬということで、大変申しわけございません。

篠原(豪)委員 それでは、質疑に入らせていただきます。

 地方創生推進交付金について、冒頭、まず一点お伺いいたします。

 新型交付金として導入される地方創生推進交付金について、当該交付金の交付される対象事業、これが、地方創生事業全般として総合戦略に位置づけられた事業のうち、KPI、いつもおっしゃる重要業績評価指標の設定、そしてPDCAの整備によって効率的かつ効果的に実施される事業であって、先導的なものであるというふうにしています。そして、地方自治体の自主的、主体的な事業で先導的なものを支援することで地方創生を推進しようという名目のもと、導入されようとしているわけです。これは、自主的そして主体的な事業と言いつつも、内閣総理大臣が認定した事業に交付金を交付するという、従来どおりの仕組みのものではないのかというふうに考えます。

 事実、これは平成二十七年の会計検査院の報告書にありますけれども、「地域再生法に基づく事業の実施状況等について」、これを見てみますと、交付金を記載していた八百十六計画があるんですけれども、その中で、二千二百二十七の目標があって、達成されたというものが五二・五%、千百七十一目標なんです。

 このように、これまでの地域再生計画が目標未達であって、半分ですよ、そして必ずしもうまく機能していないということを踏まえますと、従来どおりの方法で予算を国から加算していく地方活性化策の効果が本当にあるのかどうか、もしかしたら薄いんじゃないかというふうに考えていますけれども、大臣の御所見を伺います。

石破国務大臣 二十七年十月の会計検査院の指摘に対しましては、PDCAサイクルの徹底を求める、あるいは中間目標を設定する、進捗状況の検証及び実施段階での目標見直しを図るためにそういうことを行うのだということで、運用の改善を図っておるところでございます。

 今度はどうなんだいという話でありますが、もちろん、会計検査院の指摘は大事ですし、政府を挙げてそれには取り組んでいかねばならぬのですが、地方創生というプロジェクトが始まって以来、これはもう意識を変えなきゃだめなんだ、PDCAでありKPIと言ったって、最初は何のことでしょうかみたいな話でした。それも、やはりまさしく会計検査院の指摘を踏まえた上で、KPIを設定し、PDCAサイクルをきちんとワークさせて、検証というものをやっていくということによって効果を上げていかなければなりません。それは、効果が上がっていないとすれば計画そのものを見直すのであり、それでもだめであったら計画を撤回するのであり、それでもだめだったら、やっている人をかえるということなのでしょう。

 これは、効果が薄いということがこの交付金の仕組みに起因するとは私は必ずしも思っていなくて、そこはやはり、我々も意識を変える、地方も意識を変えることによって効果が上がることを達成しなければならない、後がないのですから。そういうことだと思っています。

篠原(豪)委員 そうですね。本当に、PDCAというのを二、三年前までは聞いていなかったみたいな話を、大臣、昔はおっしゃったかもしれませんけれども、僕は、横浜市会議員をやっていて、そんなことはないと思います。普通にやっています。全部の自治体がやっているかはわかりませんけれども、先進的な自治体かどうかわかりませんが、そういうことはしっかりと議論されて、数値目標を立ててやっていかなければいけない。

 これは、地方議会で私たちが言っても、そして行政が本当にそれで動くかというのもいろいろと問題があって、そういう意味では、どんどんどんどん行政の側の事業評価に対して取り入れられていくというのは進めていかなければいけないし、これはどんどんやっていくべきだというふうに私も思っています。ただ、やっていく中でその効果が薄くなってしまうということは、やはり結果として新鮮さがないんだと。

 そもそもこの交付金は、意識が変わらなければ、結局はこれまでの考え方と一緒で、従来の仕組みどおりなので、対象は地方創生が加えられただけのものであって、そして、従来同様の交付金であれば効果は薄いんですというふうになってしまえば、やはり会計検査院も指摘していますので、ここは、意識を変えていくというのはいつもおっしゃっていますけれども、なかなか難しいかもしれない。でも、実際にこういう状況であるという数値目標があって、数値であらわせばこういう状態ですので、これをしっかりと捉えていただきたいと思います。

 本論に入ります。

 企業版ふるさと納税についてお伺いをします。

 地方創生応援税制、略称企業版ふるさと納税ですね、これは、地域格差の是正、地方産業の活性化、納税意識の向上、自治体の積極的な地元支援など、多くの可能性が秘められているというふうに言われる一方で、見てみると、やはり懸念する部分がいろいろあるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、この制度を国民の目線で見たときに、あるいは実施する側の自治体といった視点で見たときに、国側じゃないその二つの視点で見たときにどういった課題があるのかということでございますが、まず冒頭、この企業版ふるさと納税制度、これをどういう趣旨で導入なさったのか、これを石破大臣にお伺いいたします。

石破国務大臣 これは、地方公共団体が取り組む、効果が高い地方創生事業に対し企業が寄附を行った場合に、法人住民税及び法人事業税、以上地方税であります、国税であります法人税における税額控除の優遇措置を新たに設けるという仕組みでございます。地方税のみならず、国税におきましても優遇措置を新たに設けるということであります。これは、それには限りませんが、企業の創業地でありますとか、あるいは地方創生のプロジェクトに取り組むでありますとか、そういう地方に対する企業の貢献を促進するものであります。

 よくある話で、自分の出身地に工場をどうしてもつくりたいなというのを全国でいっぱい見ますですよね。あるいは、自分の出身地に何か寄附をしたいんだという、オーナー社長さんに多いパターンでありますが、そういうのがあります。そういうものに限らず、地方がこういうプロジェクトをやりたいんだと。もちろん、ゆえんのある、ゆかりのあるところへ行くでしょうけれども、そうじゃないところにも行くというのがあるんだろうと思うんです。

 どうしても従来型の企業の納税というのは、そういう縁のあるところに限られていましたが、むしろ、縁というよりも、プロジェクトの先見性とか、そういうものに対して企業が参画をし、お互いにいいイメージを得て効果を発現するというのが従来の制度と違うのだと思っております。

篠原(豪)委員 さて、そうしますと、企業にとっての寄附金というのが、これは国または地方自治体に対する寄附金というのがあって、指定寄附金、特定公益増進法人などに対する寄附金など、その寄附金の区分によって、これまで、必ずしも支出した全額が損金にならない。これも、そもそも寄附という支出が売り上げや利益につながる効果が見込めないと、営利を追求する民間の企業の活動においては、これは寄附することのインセンティブは薄いんだろうというふうに考えます。

 ですので、今回盛り込まれる企業版ふるさと納税制度そのものについては、企業から見れば、損金算入ができる、法人住民税などによって寄附額を税額控除できる、これは、従来の寄附金制度と比較するとインセンティブが大きいのはそのとおりだというふうに思います。

 そこで、まず、このような中で、現行でも企業から地方自治体への一定の寄附が行われているのは行われているんです。それで、その上に企業版ふるさと納税導入というのがあって、では、この企業の寄附行為が今後加速されるのかどうか。そして、規模としても増加するのではないか、これは何となく想像できるんですが、この点を、政府としては、現段階でどの程度見込んだ数値として計画を立てていらっしゃるんでしょうか。

石破国務大臣 これもやってみなきゃわかりません。

 実際そうなので、どれだけ魅力的なものが出て、それに対して、委員おっしゃるように、この税制では寄附額の三割の税額控除が講じられますので、軽減効果は倍になるわけですね。そうすると、いいことだ、いいことだ、寄附しようという話なんだけれども、他方、そんなことで株主に対して説明できるのかということがある。

 企業は営利ですから、これは何のもうけにつながるんだと言われると、これを説明する義務が生ずるわけで、そうすると、一体どんなプロジェクトが出てきて、企業がそれにどう乗って、株主に対してどう説明するかというのは、正直、今の時点ではわかりません。そういうのが多ければいいなと思います。

 ですから、先ほどもお答えしましたが、この制度の趣旨はあまねく徹底します。だけれども、どんなプロジェクトをつくるかは自治体です。そして、それに参画することでどれだけイメージアップができるかというのを説明するのは企業の株主に対する責任なので、そういうことをわからないまま、今これだけですなぞと言うわけにはまいらないという趣旨で申し上げております。

篠原(豪)委員 やってみないとわからないということなんですかね。

 まず自治体がプランをつくって、それを認めて、それに対しての寄附を実際に実施していくという順番だと思いますので、それはある程度そうなのかと思いますが、でも、やはりしっかりとやっていかなきゃいけないというふうに思っていますので、政府としても見ていっていただきたいと思います。

 ところで、気になるのが、企業版ふるさと納税の導入によって地方自治体がより多くの寄附を受けようというふうになったときに、許認可とか、物品の調達であるとか入札、こういった、特定の企業を不透明な形で優遇するおそれ、いわゆる便宜供与が図られるんじゃないかということが、お金を寄附していますので、民間ですから、あるんじゃないかということ。

 企業としても、それはいろいろな企業がありますから、私はないと思いますけれども、何かしらの見返りを目的に、経済的利益というよりも目的という意味で考える人も出てくるんじゃないかというおそれがある。だからこそ寄附をするのではないかということです。

 ですので、地方自治体と企業の間で、健全な寄附であるということをある程度しっかり担保しないといけないと思うんです。そのときには、当該寄附の要件を、内閣府令で、寄附の代償として経済的利益を伴わないものとしているんですが、具体的には規定としてはどういうふうにしていくつもりなのかということに対してお答えいただければと思います。

石破国務大臣 地域再生法施行規則、内閣府令はそういうことになりますが、そこにおきまして、地方公共団体が法人に対し、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することを禁止するというふうに書こうと思っております。法律が成立し、施行しますときには、これを内閣府令として定めてやりたいと思います。

 そうなってくると、企業の側からしてみると、では、経済的利益がないのに一体何でするんだよ、どうやって株主に説明するんだよ、こういう話になりますので、先ほど、やってみないとわからないと申し上げたのはそういう意味でございます。

 ですから、それによって利益が得られるから寄附しましょうということではないということは、内閣府令におきましてきちんと定め、徹底していくものでございます。

篠原(豪)委員 今も言ったように、内閣府令で法案上きちんと規定していくということで、そうであるならば、きちっとやっていただきたいと思います。やはり気にされるのは癒着の問題が出てくるんじゃないかというところですので、本当にしっかりと定めていっていただきたいというふうに思います。

 民間からの寄附の代償、見返りとして経済的利益を伴わないものと規定する予定の内閣府令、これを今つくったことで、これからつくります、では本当に地方の自治体でそういうことが行われないかどうかというのは、これはどうやってチェック体制をしきつつやっていくのかということが大事だと思っています。

 この点について、地方自治体に対してどうチェックしていくのかということ、これも大切なところだと思いますので、大臣にお伺いできればと思います。

石破国務大臣 それはこういうものですよということを自治体に徹底することが何より大事で、こういうプロジェクトに乗ってくれませんかというときに、企業の側から、では、何か利益があるのかいと言われたら、それはだめですということを言わないとどうにもなりませんで、自治体の側にそういうことは徹底をしなきゃいけないし、企業の側にも、こういうものですよということは、きょうもそういう会合がございますが、いろいろな経済団体との会合で、東京にいる偉い人たちはわかっていても地域地域の一人一人はわかっていないということはよくある話でございまして、そこは、この法律が成立をしますれば、この委員会の委員の方々にはぜひぜひそれぞれの自治体で御説明いただけたらありがたいなと思ったりするのであります。

 あわせて、地方議会におきましても、これはおかしいんじゃないかということをチェックしていただくことは、それは地方議会の役割の一つでもございますので、自治体並びに議会に対してもこの制度の趣旨というものを徹底するために、わかりやすい広報宣伝には努めてまいります。

篠原(豪)委員 自治体の方に徹底をして、そして議会の方でもチェックをしていただくということですね。

 仮に、今回導入される予定の企業版ふるさと納税による企業から自治体への寄附について、議会のチェックが働かない、それで、自治体もいろいろな捉え方をしていますから、果たしてそれを本当にきちっと指示どおりにできるかどうかといったときに、住民が、これは何かおかしいんじゃないのか、寄附行為の代償として何らかの経済的利益が与えられているんじゃないかといった場合には、これを住民監査請求の対象とすることは可能でしょうか。これは政府の方にお伺いしましょう。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 住民がチェックをする仕組みとして、住民監査請求制度というものがあるわけでございます。総務省の所管でございますが、地方自治法の第二百四十二条には、普通地方公共団体の住民は、当該団体の長や職員が違法または不当な公金の支出、財産の処分、契約の締結などをしたと認めるときには、監査委員に対し地方公共団体の住民が監査を求めることができる旨の規定がございますので、地方公共団体が御指摘のような行為をしたと住民が認めるときには、この規定に従いまして住民監査請求をすることができるものと考えております。

篠原(豪)委員 今回、癒着が行われているということが疑われている、これをとめるために、どこかで罰則規定とかというのが必要だと思うんですよ。その罰則規定があるのであれば、ある一定の力というのが働くと思うんですが、罰則規定については、あるかどうかというのはお答えできますか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 罰則規定はございません。

篠原(豪)委員 そうなんですよ、大臣。

 では、もう一つ伺いますが、現行法上、企業から自治体への寄附について、企業名と寄附額の公表義務を設けるのかどうかですね、一つは。もう一つは、その上で、企業版ふるさと納税を利用した企業が寄附をした場合には、企業名と寄附額について課す予定なのかということについて伺いたいです。現行法上、企業から自治体への寄附について、企業名と寄附額を公表するのかどうか。

末宗政府参考人 現行の地方制度におきまして、地方公共団体が寄附を受けた場合に、企業名と寄附額を公表することを義務づける規定はございません。

篠原(豪)委員 ですので、実は、罰則規定もないですし、どの企業が幾ら寄附したのかもわからないんです。こうなりますと、そもそも住民監査も、情報がないのでできないんです。ないんですよ。何にもないんです。

 そうなると、例えば、ある民間の会社が、エネルギーだか何だかわかりませんけれども、日本の都市部の構造を見てみますと、不交付団体というのはある一定の要件が結果としてあって、そういったところに対して、これは後ほどお話ししますけれども、見えない形で幾らでも寄附ができちゃう。誰もわからない、罰則がない。こうすると、もう一度申し上げますけれども、議会も住民も、住民監査もできないですし、チェックできないんじゃないかとなるわけです。果たしてそれで大丈夫なのかというので伺いました。

 これはもう本当に考えていただいた方がよろしいのではないかと思っておりますので指摘させていただきましたけれども、石破大臣、このことについて、今のお話を聞いた御所見をいただければと思います。

石破国務大臣 ただいま次長からお答えしたとおりでありまして、企業名と寄附額を公表する義務はない、寄附を受けた公共団体に対してこの義務を課すことも考えていないし、罰則もない。

 つまり、罰則を科すということになると、そのことの違法性というのは何なんだということになってきますよね。そうすると、隠れて寄附をすることによって指名を得ましたとか、そういうことなのかしらということになるんですけれども、どこが指名を受けたかというのは、それはもう非常に公正な仕組みの中で納税者にわかるようになっているわけですよね。

 そうすると、実際に罰則を科すに足るような違法性のある寄附とは一体何なんだということを考えると、かなりレアケース中のレアケースではないかと私には思われるのです。そんなことをして何の利益があるんだという気がいたしますね。

 ただ、理屈として、委員の御指摘は、なるほどねと思うところもございますので、済みません、検討させてください。

 私自身、今のところ、そういうところに寄附をしたいという企業は、ぜひぜひうちの名前を出してというところでないと趣旨には合わないんですよね。うちの名前を伏して、でも寄附するよという、いわゆる陰徳を積むような、そういうのもないとは言わないけれども、普通であれば、公表してねというのが想定される。そもそもそういうものを想定してやっているのですが、済みません、やや性善説的に立っているかもしれません、そういうことがあった場合にどうするのかということは、ちょっと預からせてください。

篠原(豪)委員 性善説的な立場であって、それは一ついいお話だと思います。しかし、やはり随意契約というのも存在しますし、もっと言えば、町全体を何か大きなお金でというような流れをつくるということもあるかもしれないので、これはぜひ御検討いただきたいと思います。ありがとうございます。

 このふるさと納税ですけれども、高市総務大臣が、平成二十七年の六月三十日、閣議決定後の記者会見で、地方創生を推進するとともに、地方法人課税の偏在是正の一助とするという考えに立って提案されたものだろうと受けとめていますと発言されています。

 これは石破大臣にもお伺いしたいんですが、企業版ふるさと納税は、税収移転による地方法人課税の偏在是正としての効果があるというふうに、同じように考えていらっしゃるでしょうか。

石破国務大臣 この仕組みからして結果的にそういうことは起こり得るし、それはあるべき姿だと思っています。

篠原(豪)委員 それよりも本質的な話に戻って、この偏在是正は、地方法人課税の観点からいったら、抜本的に税財源を国から地方へ移す、地方分権改革を行うことが本筋だというふうに考えた場合、石破大臣はこれに対してはどういうふうにお考えでしょうか。

石破国務大臣 委員の御指摘は、偏在是正の観点からいえば、税財源を国から地方へ移すのが本筋だという御指摘と承知をしてよろしいでしょうか。

 そういたしますと、国から地方へ移すのはいいんですけれども、財源そもそもが偏在をしているので、移されたところで、財源そもそもが地方にないよというところが山ほど出てくるはずなのですね。さればこそ地方交付税の財源保障機能みたいなものが機能しているわけであって、ここは地方交付税のあり方のそもそも論になってくるんだと思いますが、財源だけ移してもらっても困るよという地方はいっぱいあるわけでございます。もちろん県なんかは典型なのでありまして、そうすると、鶏と卵みたいな話なんですが、だからこそ、財源が生まれるような、そういう産業構造に変えていかなきゃいけないねと。

 私はあちこちで申し上げているんですけれども、要は、国に頼らなくても自主財源でやっていけるような、そういう地方をつくっていく、稼ぐ力のある地方をつくるというのはそういうことだというお話で、とにかく、補助金ちょうだい、交付税ちょうだいということばかり言っていた。というのは、経済が右肩上がりの時代だったから言えただけの話であって、これから先、そんな話は通用しないのだと。

 財源の移転というのはそうなんでしょう。そのときに税源も移転してくれないとしようがないねという話であって、地方創生の目指すは、究極の姿はそういうことではないかなと私は思います。

篠原(豪)委員 わかりました。

 もう一つ、では、この企業版のふるさと納税の制度が本当にうまくいくのかなというところに入っていきたいと思うんです。

 自治体が、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業を記載した地域再生計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けた場合、その計画に記載された事業を支援するため地方自治体に寄附を行った企業については課税の特例措置を講ずるとされています。先ほど最初にお話しいただいたとおりだと思います。だからこそ、時間がいろいろとかかってくる問題もある。ほかのことについてもいろいろあるかもしれないけれども。

 そこで、確認したいんですけれども、地域再生計画にまち・ひと・しごと創生寄附活用事業を記載できないこととなる自治体、この要件を教えてください。また、具体的に、当該事業、この事業ですよね、記載できない地方自治体、これはどこになるのか、お答えいただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、記載できない要件でございますが、地方交付税の不交付団体である都道府県、三大都市圏の既成市街地等に所在する不交付団体の市区町村といたしております。具体的には、東京都、二十三特別区、それから、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県に所在する十八市町の不交付団体の合計四十二団体が対象外になっております。

篠原(豪)委員 東京圏といえば、千葉、神奈川、埼玉、東京。なぜここだけこういうふうになっているのかということです。

 東京圏の不交付団体は、聞くところによりますと、庁舎もぼろぼろで頑張っているんだと。他方では、さっきちょっと言い方がわからなかったので言いましたけれども、ある地方の不交付団体に行けば、特定の産業があってお金が常に入ってきている。そういうところに対しては今回は対象外にしていないということなので、どうして真面目にやっている団体にとってはということになるので、ここのところを真剣に考えていかなければいけないんだろうと思います。

 去年の、東京にある企業の地方移転、事業所単位で箱物をつくって税制の優遇措置というのがありましたけれども、あれも、冒頭申し上げましたけれども、大阪圏、そして東海、我が神奈川もそうなんですが、横浜市はだめということでした。

 これはやはりしっかりと考えていかなければいけないと思うんです。何で不交付団体であればということを基準にしているのかがわからない。もう一つは、この自治体を選んでいる理由もよくわかりません。もう一つ言えば、財政力で判断するのであれば、例えば財政力指数を使ったっていいんじゃないですか。

 というので、これはよりよい方法があると思うんですが、このことについて、これはちょっと通告してないんですけれども、大臣、御感想をいただければと思います。

石破国務大臣 ここは、財政力指数というのも一つの考え方だと思っております。

 ただ、やはり不交付団体になるというのはめでたいことであって、本来、喜んでしかるべき話であって、交付団体は、いかにして不交付団体になるかということを努力しなきゃいかぬので、できるだけ交付団体でい続けようというのは、かなり病理現象ではないだろうかという気がするわけです。

 というのは、私の若いころ、過疎自治体の洗いがえというのがありまして、私の鳥取でも随分いろいろな町村が過疎に指定をされたんです。私はありありと覚えていますけれども、済みません、過疎になっちゃいましたといって新幹線の中から電話したんですよね。そうしたら、相手の某村長が、よかった、じゃ、花火を上げてお祝いだと言ったので、何が起こったんだと私は一瞬思った。でも、なるほどそういうことなのかというのはわかる気がします。

 つまり、インセンティブとして何なんだというと、やはり不交付団体になって国からのいろいろな支援を受けなくなった自治体が、よりそれを活用して、どのようにして先導的な役割を果たしていくかということではないかと私は思っているのです。

 ただ、不交付団体になっちゃってデメリットばかりだ、だからそうならないようにしようとすれば、これはかなり病理現象なのであって、そこについての改革の議論は、総務委員会あるいは総務省において行われることだと思います。どうすれば不交付団体になろうねというインセンティブがよりきいていくのかということと、多分ワンセットの議論だと思っています。

 ですから、不交付団体だけれども庁舎はぼろぼろで頑張っているというような実例も多分委員は御承知のことだと思いますので、またいろいろな知見を賜りたいと存じます。

篠原(豪)委員 後ほどお伺いしたいところと少しかぶるところもあるんですけれども、おっしゃるところ、大体そんなところなのかなと思います。

 導入予定のこの企業版ふるさと納税では、企業が集中して経済活動が活発な、今言った東京都、二十三特別区、東京圏の不交付団体十八、これが対象外となると、当該制度の、このふるさと納税の税額控除のない、寄附のインセンティブが薄い一般の寄附金による寄附しかこれまでどおりされないということになります。

 そこで気になるのが、今言ったようなこの事業を記載できない地方自治体から他の地方へとお金が流出する方が多い仕組みになっているわけで、これが、では実際にどの程度金額が流出すると政府は見込んで計画を立てているのか。

 財政の豊かな東京都などは、従来と比較して必ず減収になりますね。こういうことについてどうお考えか、お伺いいたします。

末宗政府参考人 御指摘のように、東京都等対象とならないところは、寄附収入が入らない一方で、法人住民税等の減収が確かに発生するわけでございますが、では、どの程度の減収になるのかにつきましては、これは、今回の企業版ふるさと納税をそれぞれの自治体が各地でどのように活用するのか、あるいは所在する企業がどこに分布しているのか等によって変わってき得ますので、東京都等の減収分を的確に見込むことは難しいと考えております。

 また、東京都等につきましては、今回、この制度を導入するに当たりまして、六団体にもいろいろと御意見を聞きました。その一環で、東京都の御意見も聞いております。

 私ども、これをつくるに当たっては、地方創生という、人口減少が著しい地方圏を支援することによって日本全体の発展にもつながるというような趣旨もよく御説明をいたしまして、そのようなことについての御理解をいただく努力をしているというところでございます。

篠原(豪)委員 事業シミュレーションが成り立たないというのはわかりましたけれども、では、その減収分について何らかの措置を講じるつもりがあるのかどうかということについて伺います。

末宗政府参考人 お答えします。

 不交付団体でありますれば、基準財政需要額への反映ということもございませんので、特段の措置はないわけでございます。

篠原(豪)委員 御参考までに申し上げますけれども、平成二十五年度版の国税庁統計年報において、全国の会社が、約二百五十六万社、日本にあります。うち五十二万六千社、これが、全体の約二一%なんですけれども、東京都に集中しています。東京圏、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、一都三県では約九十一万社、三六%。ですので、日本の三分の一以上の会社がここに集中しているんですね。

 企業版ふるさと納税が、寄附活用事業を地域再生計画に盛り込むことができる地方団体から、不交付団体である都道府県と三大都市圏の既成市街地に所在する不交付団体の市区町村を除くとしている。このように、不交付団体かどうかで企業版ふるさと納税の対象か否かの線引きをした理由、これは具体的に何だったんでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の企業版ふるさと納税につきましては、できる限り幅広く対象にしたいとは考えていたわけでございますが、やはり自主財源で事業執行が可能な財源超過団体である不交付団体に今回の税制優遇措置を適用する必要性は薄いものと考えております。

 また、三大都市圏の既成市街地ということになりますと、現在でも、人口集中がほかに比べまして著しい、あるいは企業集積によりまして比較的他よりも財政的に豊かであるということを考えますと、これらの地域について優遇措置を講じる必要性は薄いとの判断からそのような線引きをいたしたところでございます。

篠原(豪)委員 時間ですので、また引き続きの議論をさせていただきたいと思っております。

 不交付団体の中には、ぎりぎりで財源超過となっている団体がいっぱいあるんですよ。その観点から次回またやらせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

山本委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 冒頭申し上げます。

 委員会におきましては、それぞれの委員、特に野党の皆さん方の尊厳を損なうような不規則発言は厳に慎んでいただきたいということをお願いして、質疑を続行いたしたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。大臣、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは地方再生法ということで、四十五分質問をさせていただきます。

 まず、地方創生推進交付金についてお伺いをいたしたいと思います。

 昨日の宮崎理事の質問にもありましたが、本交付金、二分の一が経費対象でありまして、残りの二分の一は地方交付税ということになっております。いわゆる地財措置ということでございまして、こういう、交付金を地財措置で措置するということはよくあるわけですが、事実上の地方負担でありまして、こういう地方負担が生じることは地方創生の理念として理解をいたすところでありますが、どうしても、地方交付税で二分の一面倒を見てもらえますということを言われると、地方側からすると、何か全部面倒を見てもらえるのかなというような誤解を与えるところがあると思うんですね。

 こういったところは、明確に、残りの二分の一は全部地方負担ですというふうにはっきりと言い切った方がいいのではないかと私は思うわけですが、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 御提案ありがとうございます。

 今回、二分の一を地方負担としたのは、委員御指摘のとおり、地方の発展を図るということであれば地方の負担があってしかるべし、それに対しては地財措置をもって措置するということになっているわけです。

 そうすると、非常に割り切った考え方をすれば、委員のようなお考え、そういう自主財源ということもございましょう。ただ、自主財源ということになりますと、自治体も、千差万別というか、いろいろなものがありまして、そうであればとてもできないというところが出かねない。そこのところをどう考えるかということでございます。

 ですから、これはもちろん地財措置を講じますが、いつまでもいつまでも地方の負担というものがこういう形でいいかどうかというのは議論のあるところでございます。これは午前中の質疑でもお答えをしましたが、やがてやがて、それぞれの地域において、また新たな産業が起こり、雇用が創出され、そういうような、地財措置を講じなくてもできるような方向に持っていかねばならない。

 当面、地財措置を講じまして、地方創生をさらに深めていきたいと思いますが、問題意識は大変ありがたく承ったところでございます。

緒方委員 それでは、きょう、総務大臣政務官が来ておられますので、これはもしかしたら午前中あったかもしれませんけれども、地財措置分の一千億円というのは新規財源が存在しているということでしょうか、政務官。

森屋大臣政務官 先生から、ただいまは、地方交付税措置の財源をどこから持ってくるのかというふうな御質問でございました。

 先生御案内のとおり、地方財政計画についてちょっとお話をさせていただきたいと思いますけれども、その役割として、まず一つ目としては、国として、地方団体が標準的な行政水準を確保できますように地方財源を確保するということが大きな役割でございます。また、二つ目として、国の予算に計上された施策や事業を盛り込んで、これらが着実に実施できるようにすること。この二つが地財計画の大きな役割であるというふうに思います。

 それで、先生が御指摘をいただきました新型交付税も、国の予算に計上された施策、事業というふうな位置づけだというふうに思います。

 今般、そうした役割のもとに、地方財政計画の歳出において、国の一般歳出の計上の動向や、社会保障・税一体改革における社会保障充実分なども適切に反映させ、その上で、地方交付税を含む所要の一般財源を確保することとしております。先生がただいま御指摘をいただきました地方創生推進交付金の地方負担分につきまして、所要の額を地方財政計画に計上し、適切に財源を確保しているところでございます。

 これらも踏まえ、平成二十八年度地方財政対策において、地方の一般財源総額におきまして、前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保したところであります。

 この答弁は繰り返しでございますけれども、恐縮でございます。よろしくお願いいたします。

緒方委員 そうなんです。地方交付税の基準財政需要額のところに完全に積み上げてあるということは、それはもう当然でありまして、積み上げてあるんです。

 ただ、それは、これは前回も実は私は同じことを言っているんですが、総額が伸びない以上、ここに入っていますという、その積み上げている分を見せてもらえるだけであって、必要な財源が過不足なく計上されているとまで本当に胸を張って言えるかというと、なかなかそこは難しいと思うんですね。

 そうすると、何でも地財措置、地財措置ということで、そういう形で、地財措置のここに入っています、ここに入っていますというので、三位一体の改革のときからずっとこのお話が続いてきているわけですが、この話をずっと続けていって、私が危惧をするのは、地方交付税というものに対する信頼が損なわれるのではないかという気がするんですね。

 結果として、あそこに入っている、あそこに入っている、あそこに入っていると、これまでいろいろな政策をやってくるときの財政措置が、地財措置ですということでいろいろなものが押し込まれ、それは全てきちっとした形で、恐らく、自治財政局の専門家の方に聞いたら、この一億円の中のこの部分が地財措置ですという説明を受けるんですけれども、そういうものの組み合わせで成り立っているんだと思いますが、けれども、地方交付税で措置されています、措置されていますということを繰り返した結果として、上限がふえていないから、地方交付税なんてそんなものだよねという認識が広がることというのは、むしろ、地方交付税に対する地方の信頼を損なうのではないかというふうに思うわけですが、政務官。

森屋大臣政務官 先生御指摘をいただきました。地方交付税の信頼を失うのではないかというふうな御指摘でございました。

 基本的には、それぞれの地方団体からの、地方事情に即したいろいろな御要望というものがございます。それから、国の制度の中で示している義務的にやっていただかねばならないもの、それらをやはり総合して計算した中で、交付税として地方の中に、これはもともとは地方独自の財源でありますから、これをしっかりとした形で配らせていただくということが大切なことであるというふうに思っております。

緒方委員 公式な答弁はそうなると思うんですが、政務官も地方自治体で議員をやっておられたということで、その経験からもお伺いしたいんです。

 では、そういうふうに地財措置で積み上げたものというのが、各自治体の予算査定の過程において、それぞれ算定根拠はあるわけですけれども、この分がここに入っていますということですが、御経験がおありになると思います、地財措置で手当てされた分だけの財源がきちっと見合いの予算として各自治体で計上されるというふうに思われますか、政務官。

森屋大臣政務官 御質問いただきました。

 実は、私は、私立の幼稚園を経営しております。先生方は御存じだと思いますけれども、幼稚園の就園奨励費というのがあります。これは、子供たちのお母さん方の所得に応じて個々の御家庭に支援をするわけですけれども、実はこんなものも交付税単価に算定されているわけです。

 これは、実は実施の場面にいくと、それぞれの市町村において、それぞれの首長さん、市長様の考え方において、国の基準どおりにされるところもあれば、そうではない違う分野にそのお金を使われるということは十分あります。それは、それぞれの地域の中で、やはり市長さんの考え方、あるいは、地方の議会においてしっかりとそのことを見ていくということが大切ではなかろうかというふうに理解しております。

緒方委員 そういう答弁になるだろうと思いました。

 私が言いたいのは、地財措置で対応されていますというふうに言われ、けれども実際に来る額がそんなにふえていないということになると、結局、地方からすると、地方交付税の中が物すごいブラックボックスに見えていて、もっと言うとブラックホールに見えていて、いろいろなものが財源として吸い込まれていっているけれども、財源はふえない。そういう状態が続くことが実は地方交付税というものに対する信頼を損なうので、こういうものについては、きちんと措置されています、措置されていますということを強目に出すのではなくて、むしろ、地方の負担です、あなた方の負担なんですというふうにばしっと言い切る方が、親切ではないと思いますけれども、ただ、期待感と現実との乖離が少ないのではないかというふうに私自身は思います。

 ただ、なかなか政権運営上も、二分の一は用意します、二分の一は完全にあなた方の負担ですと言いにくいことはよくわかります。よくわかるんですけれども、ちょっと期待感が乖離してしまうと、地方交付税がどんどん悪者になっていっている。今、地方自治体の方と話をすると、また地財措置ですかというふうに、むしろ地財措置でやっていることを、せっかく算定根拠に入れたりして一生懸命やっていても悪者になっているケースが多いと思いますので、これはもう指摘にとめさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、質問をかえたいと思います。

 ちょっと、これは純粋に質問なんですけれども、平成二十六年度補正予算で行われた事業の一つとして、私の選挙区のすぐ近くにある福岡県鞍手町というところで、廃校になりました中学校を使って学校まるごとアニメ事業というのを行っているところがございます。ちなみに、この小選挙区選出の方は麻生太郎副総理でありますが、額は三千七百五十万円でありまして、廃校になった校舎を使ってコスプレの聖地化をしていこうという構想だと聞いています。

 私は、特にそういう町おこしをすることを否定するものでも何でもございません。これは明確にしておきたいと思います。ただ、例えばこの事業に中には、図書の購入ということで同人誌みたいなものを買いそろえるとか、そういうことがあって、そもそも要綱との関係でどこに当てはまるんだろうなと思ったんですね。

 対象事業ということで、地方創生先行型の交付金、これは何の事業なんでしょうか、内閣府。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 先行型交付金につきましては、二十六年度の補正で措置をしたものでございますけれども、ソフト事業を対象としてございますので、今委員御指摘のような経費等も対象になっているということだと思います。

緒方委員 事業分野として幾つか書いてあるんですけれども、仕事づくりに資する人材の育成とか、コンパクトシティーとか、小さな拠点に関する事業、プレミアム商品券、いろいろなことが書いてあるんですけれども、何の事業分野なのかということなんです。もう一度。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まち・ひと・しごとは、仕事の創出ですとか出産、子育て、あるいは移住、定住、そういった分野が対象になっておりまして、学校まるごとアニメ事業につきましては、その狙いは、観光振興と産業振興を組み合わせた政策間連携あるいは廃校の有効活用ということでございますので、一番のポイントとしては、雇用の創出なり観光、交流人口の増というものを目指しているものでございます。

緒方委員 これは、地元で、そもそも何なんだと聞かれたので、あえてこの場で聞かせていただきました。地元で、地方創生というのは結構範囲が広いねということを言われ、ぜひこの件を聞いてほしいと言われたので、あえてお伺いをいたしました。

 質問をかえたいと思います。

 地方創生推進交付金なんですけれども、平成二十七年度の補正では、加速化交付金ということで同じく一千億が計上されています。二十七年度補正でついたものと今回の推進交付金、これの違いというのは何でしょうか、内閣府。

末宗政府参考人 お答えします。

 両方の交付金で、自主性、主体性を重視する、あるいはKPI、PDCAというところは共通をしておりますけれども、今回の加速化交付金は、一億総活躍社会の実現のための緊急措置ということでございますので、仕事に重点を置いた形になっております。

緒方委員 済みません、現時点までに、この加速化交付金、平成二十七年度の補正でありますけれども、もしわかればですけれども、どれぐらい使われておりますでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 二十七年度の加速化交付金は、申請を今いただいておりまして、三月の下旬に交付決定を行いたいと考えております。今、審査中でございます。

緒方委員 これは、最近、予算委員会をやると毎年毎年上がってくるネタでありまして、必ずしも補正でやらなくてもいいものが補正に入っているということの一つの例ではないかなというふうに思います。

 一般会計予算、当初予算が非常に苦しいということもあって、補正という形でお金を積んで、けれども実際に使われるのは四月からでありますので、これは、毎年毎年、予算委員会をやると、どこの政党が与党であろうとも必ず出てくるテーマでありまして、財政フレームの観点からも、こういうふうにたくさん名前が出てくるんですね、先行型交付金とか加速化交付金とか推進交付金とか。年度と補正とによって、名前が物すごく似ていて、けれども何となく似たようなものが並んでというのは、何度も言い古されたことですけれども、財政の規律等々を損なうんじゃないかな、そういうふうに思います。

 今回の推進交付金なんですけれども、本来の意味での推進交付金というのは五百八十四億円で、その残りの四百十六億円については、地方創生整備推進交付金ということで四百十六億ということになっております。

 地方創生整備推進交付金というのは、その対象施設は、これまでの地域再生基盤強化交付金、道路とか港とか汚水処理施設とかいうことだと聞いておりますが、ちょっとタイプの違うものを二つ並べて一千億で推進交付金と言っているように見えるわけでありますが、この二つは一体としてきちっと運用することができるんでしょうか、内閣府。

末宗政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の旧地域再生基盤強化交付金を含めまして、一体的に運用することを考えてございます。

緒方委員 しかしながら、片方は、道路、港、汚水処理施設ということで、箱物にすごく焦点が置かれたもので、こちらについてはどっちかというとソフトの事業も含めてということなんですけれども、恐らく、これを一体として運用していくことで地方創生推進交付金ということになっているはずなんですね。

 今、一体として運用していくようにしたいと思いますと言っていますが、それはどういうことなんですか。いわゆる施設物があってその上にソフト物をつけるとか、どういう意味での一体的な運用だということなんでしょうか、内閣府。

末宗政府参考人 まず、ソフトの事業とハードの事業、両方ございますけれども、地域再生基盤強化交付金につきましても、ハードとあわせて、ソフトと組み合わせて事業を行うことを基本としております。

 そもそも地域再生基盤強化交付金につきましては、以前は、道路なら道路、あるいは港湾なら港湾を組み合わせてやるということだけだったんですが、今回は、地方創生推進交付金の中に位置づける際に、地方版総合戦略に位置づけなければならないということにいたしましたので、地方版総合戦略の中に位置づけられることによってソフト事業とハード事業を一緒にやる、そのハード事業の位置づけである旧来の地域再生基盤強化交付金が組み合わされながらやる、そういうことでございます。

緒方委員 そうすると、今回は、五百八十四億円がいわゆるリアル推進交付金みたいな感じで、残りの四百十六億については地方創生整備推進交付金ということなんですが、これはソフトとハード組み合わせながらということでありますが、額が固定された状態で、これについてはハードです、残りの分についてはソフトも含めていろいろやれますということであると、ことしはそれでいいのかもしれませんけれども、将来的には、こういう、額が決まった形で、ミシン目がついて二つに分かれているということになると、運用がすごく硬直的になると思うんですね。

 将来的な姿として、今、五百八十四億、四百十六億、この二つを足して一千億となっているものを、完全に一つの交付金として統合することについていかがお考えですか、内閣府。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 これはニーズに応じて対応していくものでございますので、額を固定するというようなことを考えているわけではございませんけれども、ただ、予算のたてつけといたしましては、四百十六億の方はいわゆる公共事業でございますので、予算の区分上は別のものになりますが、ただ、先ほど来申し上げていますように、一体のものとして運用していくことを考えています。

緒方委員 いやいや、なので、まさに四百十六億の分は公共だというふうに私はさっきから申し上げているわけであります。けれども、これからこの事業をいろいろやっていくときに、もう四百十六億については確実に公共だというふうになってしまうと、いろいろな事業を展開していくときにフレキシビリティーを損なうんじゃないかと思うので、こういう公共の分とそうでない分を組み合わせて一千億ではなくて、もうちょっと使いでのいい一千億にするおつもりはありますかということを聞いています。もう一度。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 四百十六億の事業につきましても、予算の性質上は公共事業ということでございますが、これそのものも、例えば市町村道と農道を組み合わせるというような形で、いわゆる政策間連携として先導的なものだと考えております。それとそのほかの観光振興と組み合わせてソフト事業をやっていくという意味では、両方を組み合わせるということなので、予算のたてつけ上は別にはなっておりますが、先ほど来申し上げていますように、全体を一体としてソフトとハードを組み合わせながらやるということは基本にしてございますので、そのような運用をしていきたいと思っています。

緒方委員 ちょっと質問の趣旨が伝わっていないんですけれども、もうこれで公共だということで一定の額を固定してしまうと、例えば、ソフト事業をこの一千億の中で七百億やりたいとかいうときには、これはできないですよね、すごく極端なことを言うと。そういう硬直性がないように、将来的には、これが公共だ、これが公共でないとかいうような分け方でなく、一体のお金としてやることが望ましいのではないですか、それがむしろ政策運営をしていく上で適正な姿ではないですかということをお伺いしております。もう一回。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 財政法上は、予算書の記載として公共と非公共の区分が必要になっておりますので、そこは分けざるを得ないんですが、ただ、最初に公共の額はこれでありきということではなくて、ニーズに応じて変動し得るものだと考えておりますので、そういう意味で、一体として対応していきたいということを申し上げております。

緒方委員 納得したところもあり、納得しないところもありますが、頑張ってください。

 質問を移したいと思います。CCRCについてお伺いをいたします。

 今回の地域再生法で、昨日、宮崎議員からの質問で、石破大臣から、CCRCについては、手続の簡素化とか、あと、推進交付金が使いやすくなるとか、そういった答弁がありました。嫌みを言うつもりはないですが、これだけでCCRCが推進されていくというような御理解ではないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 もちろん、これだけでできるものではありません。ですから、これは、いろいろな制度を組み合わせて、試行錯誤、まあ錯誤しちゃいけませんけれども、地元と中央と事業者と、そこでどうすればこの事業は成功するんだろうねみたいな話を支援チームを通じてやっていきます。

 その中で、さらに追加をして支援することがあるとすれば、それはちゅうちょするものではないと思っておりますが、厚労省等々ともよく相談をしながら、また、それが行ったところの財政負担が過度になることがないように、その議論も厚労省で行っておるところでございます。

緒方委員 今回の制度がいわば土台になって、各地方ごとにそれぞれの特色とか課題とかがあって、もしそれにいろいろな制度が上積んでいくことで推進されるのであれば、内閣府として総合調整で頑張っていただける。そのツールの一つとして、恐らく特区というものもあると思います。我が町も、CCRCを進めるための特区制度等々を提案させていただいておりますので、今回の地域再生法の土台というか、そういうものに乗るメニューについては、積極的に取り上げていただけるようお願いをいたしたいと思います。

 そして、CCRCについて先般私が質問したときに、裕福な方が住むゲーテッドコミュニティーみたいなものは国の支援対象からは外すというような話でありましたが、そうであっても、もともとお金を持っている方を中心に、ゲーテッドコミュニティーみたいなものというのは、ある程度は地方にぽつぽつと出てくると思うんですけれども、これまで、そういった形でのゲーテッドコミュニティーをやってきたアメリカでも失敗例があるというふうにお伺いをいたしております。

 過去に、失敗ケースでどういうものがあったのかとか、倒産して、そもそも住んでいる方が立ち行かなくなったとか、そういうケースがないんだろうかということを思うわけですが、これは事務方に聞いた方がいいですかね。

伊藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 アメリカのゲーテッドコミュニティーの失敗事例について私どもつまびらかにわかっているわけではございませんが、日本の制度と違うところは、やはり、介護保険、医療保険等の公的なセーフティーネットがしっかりあること。

 それから、我が国においても、かねてより、有料老人ホームの倒産のときに、その後、どういうふうに人をあっせんしていくかということで、公共団体がいろいろと御苦労された例が実態問題としてあるものですから、そういうことを踏まえて、例えば、有料の老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅、これは多分、生涯活躍のまちの住まいの受け皿として結構有力視されるものではないかと思いますが、そういったものについても、例えば、家賃の前払いをするものについての保全措置を改正されていたり、あるいは、サービスつき高齢者向け住宅なんかも、事業者が破綻されたときに、公共団体が住宅の情報提供をされたりするような措置をされております。

 そういうことも含めると、現時点では、生涯活躍のまちとして、破綻をされて何か大変なことになるということが起こり得るような状況にはないのではないか、このように思っております。

緒方委員 たしか、CCRCを検討しているときの専門家の会合のときに、専門家の先生から、破綻したケースをよく調べてくれというような御下問があって、調べたらアメリカにそういうのがあったと。ただ、そのときは、事業の継承がある程度うまくいったので、別の事業者に継承したことで事なきを得たということでありますが、このCCRCのゲーテッドコミュニティーみたいなものというのは、それを運営する事業者からしても若干特殊なビジネスモデルになるのではないかと私は思います。

 ある程度、高齢の方に戻ってきていただいて、その町が活発であるために、例えば、これは私の想像ですけれども、最初はみんなでお掃除しましょうということでやっていたけれども、年がたっていくとだんだんお掃除ができなくなって、やはりそこは事業者が面倒を見なきゃいけなくなったとか、いろいろな可能性があって、将来的に事業者の負担がふえていくことというのはゲーテッドでも出てくるのではないかというふうに私は思うんですね。そうすると、先ほど事務方の方からもありましたけれども、一定程度規制を設けないと、将来的に事業者から放棄をされてしまうゲーテッドコミュニティーみたいなものが出てくるのではないかということを懸念いたします。

 規制のあり方を検討することについて、石破大臣、いかがお考えでしょうか。

石破国務大臣 それを規制と言うかどうかは別として、そのコミュニティーがサステーナブルでないとだめだと思っております。いっときはもうかるんだけれども、同じ年齢層の方をどんと入れちゃいますと、それが同じような時期に同じような状況になってサステーナブルではなくなる。では、どういうふうにして世代を少しずつずらしていくかということも考えていかなければなりません。

 そこで、天寿満ちてお亡くなりになった場合どうするか、あるいは要介護になったときにどうするか。

 このCCRCの特徴は、要介護になってから地方に行くのではなくて、元気なうちから行こうということです。ですから、できるだけ要介護にならないで天寿満つるようなことは考えていかねばなりませんが、そうでないことも当然起こり得るのであって、いろいろなケースを想定し、シミュレーションはやっていかなければなりません。そこにおいて、規制と言うかどうかは別として、運営指針のようなものは私どもとしてお示しをしていかなければいけないという認識を私自身持っております。

緒方委員 規制という言葉がいいかどうかというのはわかりませんが、国として支援はしないとしても、よく注視をしていかないと、気がついたら、そもそも事業として立ち行かなくなって、がしゃんと全部丸ごと下に落ちてしまうというようなことになっては、まさに大臣の言うとおり、サステーナブルではなくなるということですので、ここは、規制と言うかどうかはともかくとして、仕組みについてはぜひ考えていただければと思います。

 次に、今回は企業版のふるさと納税制度が導入をされるということでありますが、これまでの個人向けのふるさと納税制度について少し質問させていただきたいと思います。これは総務省、農林水産省です。

 ふるさと納税制度のサイトを見てみると、一番の人気は大体お米なんですね。お米というのが物すごい人気でして、一万円寄附してそのうちの手出しは二千円です、二千円出すと二十キロのお米がもらえます、そんなページがインターネットを引くとどっと出てきます。

 二千円で二十キロのお米がもらえるというのはすごくメリットのあることだと思うんですけれども、その中で、いろいろな経験者のブログとか書き込みを見ていると、もうお米は買うものではなくてもらうものだというような書き込みがされているようなものもあるんです。二千円負担すれば二十キロもらえるということになると、ああ、そういうものなんだという意識が根づくのは、これは一つの真実だと思うんですね。

 まず、農林水産省にお伺いいたしたいと思いますが、現在、個人のふるさと納税制度で返礼品として使われているお米はどの程度の量がございますでしょうか。

伊東副大臣 緒方委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘のとおり、最近、ふるさと納税の返礼品として提供されるお米の流通量というのが大変にふえておりまして、その実態を把握するために、農水省といたしましては、ことしの一月から二月にかけて市町村に聞き取り調査をいたしました。全国の自治体、これは四十七都道府県プラス千七百十八市町村ありますけれども、このうち七百を超える自治体で、ふるさと納税の返礼品としてお米を送っておりました。回答いただいた七百二十四の自治体が昨年の一月から十二月までに提供されたお米の量は約一万三千トンであったということがわかったところでございます。

緒方委員 日本全体の米の生産量が大体七百五十万ぐらいですので、一万三千、私が数字を見たときはたしか一万三千百トンという数字でしたが、これを多いととるか少ないととるかですけれども、一万三千百トンのお米というのは結構な数量でありまして、これがふるさと納税制度の返礼品として行っている。

 しかも、それを受け取る方の意識としては、みんながみんなそうじゃないですけれども、二千円出せば二十キロだというような意識になってくると、私、非常に心配をしているのが、これが、米だけじゃなくていろいろな農林水産物に対する意識とか評価とか、そしてつくっている方への感謝の気持ちとか、そういったものを下げるんじゃないかということを懸念するんですね。私がそう思っているということではなくて、お米は買わなくても、二千円の負担を出しておけばお米をもらえるんです、別にもうスーパーで買わなくても、お米屋さんで買わなくてもいいんですという意識がこの制度を通じて広まるというときに、日本の農林水産業の足腰をむしろ弱める方向に機能するんじゃないかということを危惧いたします。

 これを言うと、例えば、ふるさと納税の返礼品としてその地域のお米を食べて、おいしいと思えば、そのブランドが広まって、そしてそれによって地域の振興につながる、大体そういうプレゼンがなされるんですけれども、本当にそうかな、実は農林水産物に対する評価を下げているのではないかという危惧を持つわけでありますが、副大臣、いかがでしょうか。

伊東副大臣 委員御指摘の側面もあろうかと思います。

 しかしながら、お米を初め、肉、野菜を含め地域の農林水産物が大変な人気を呼んで、このふるさと納税の額も積み上がってきているという形の中で、一方では、納税者の皆さんに、納税を受けた側の市町村が正規のお金を払って地元の農林水産物を返礼品として送っているということからいきますと、地域経済の活性化あるいは地元産品の大変なPRになっている、そういう思いもあるわけでありまして、二千円というのは基礎控除の部分のお話でありますから、その町村にとってみれば、自分のところの一年間の税収を上回る、あるいはそれに匹敵する税収があったそのお礼という、感謝の意味で地元をPRしているものだ、このように思うところであります。

緒方委員 そういう答弁だろうなと思っておりましたが、個人のふるさと納税制度というのは、制度を少し勉強すればわかりますけれども、あれを支えているのは何かというと、国税で支えているんですね。所得税の分の控除分があることによってある程度バッファーがきいていて、だから、その分がなければ、ふるさと納税制度で、恐らく、各自治体から、特に出ていく側の自治体からすると物すごいブーイングが出ると思うんですね。居住自治体側からすると、所得税分の控除のバッファーがなければ多分成り立たないか、地方から反乱が起きるような、そんな制度だと私は思います。国の税収の分で支えてこういうことをやっている。

 そして、もしかすると、これは私は自分自身で考えてみたんですけれども、国と地方の税収というのを全体で、マスで見たときでは、実はマイナスということもあり得るんじゃないかなという気もいたしておりまして、そんなに簡単なことではない。

 そして、先ほど生産者側からの説明をされましたが、消費者側からの意識として、この言い方をするのは私、好きじゃないですが、お米なんて買わなくてもいいんだという意識になることは日本の農林水産業のためにならないんじゃないかと思っているという問題意識をもう一回だけ伝えさせていただきますので、あとはぜひ御検討いただければと思います。

 それでは、質問をかえたいと思います。

 うちの町の話でありまして、我が町には安川電機というロボットの会社がございます。最近は、日本でも、世界的にも有名になってきているロボットの会社ですが、介護についてもロボットをどんどん活用しようということで、我々の町から政府の方に提案を出させていただいたのが、特養の配置基準で、本来は一対三で配置をするということに対して、一人足すロボットで四人という配置基準で緩和してほしいという提案を出させていただきました。

 これに対する対応、これは内閣府ですかね、厚生労働省ですかね、御答弁いただければと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の提案でございますけれども、当初は先生の御指摘のような提案でございましたけれども、現時点において提案されておりますのは、ユニット型介護老人福祉施設の共同生活室、いわゆるリビングスペースについて、現在、ユニットごとに設置することとなっておりますところ、北九州市からの御提案におきましては、国家戦略特別区域において介護ロボットを導入し実証実験を行う場合には、この共同生活室を隣接する二つのユニットが共同して利用できるようにするというものになっております。

 この提案につきましては、今月二日に開催されました国家戦略特別区域諮問会議におきまして、当該提案を実施する方針が決定されたところでございます。

 現在、その具体的な措置方法につきまして検討中でございまして、関係省庁との調整が終了次第、速やかに対応してまいりたいと考えております。

緒方委員 それも知っておりますが、当初の提案を厚生労働省として断った理由は何ですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度の調査によりますと、施設における実際の人員配置につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、最低基準、入所者三人に対しまして介護・看護職員一人でございますけれども、実際は最低基準よりも手厚い配置になっておりまして、現行の基準の範囲内におきましても介護ロボットを用いた実証実験を行うことが可能であるということが理由でございます。

緒方委員 そういうことなんです。単に厚生労働省の方から実需がないだろうということでぱんとはねられているというのが実態でありまして、できるだけロボットを介護に導入するために、試験的に一人プラスロボットで四人の方を見ることができるようにとせっかく提案を出したのに、我々としてやりたいと思っているから提案を出したのに、実需がないということでぱんとはねられているというのが現状なんです。

 それによって、今出しているのは、共同生活室というか談話室みたいなところを、これまで一ユニットでやっていたものを、二つくっつけて、そこにロボットを置いていいですよというようなことで、これだと、別にロボットを活用しなくても全く問題ないわけです。実際に使ってどうかとかいうことの判断も多分これだとできないでしょう。そこにロボットを置くだけのメリットも余り感じられないんじゃないかと思います。これでは、実際、ロボットを使って介護ができるかどうかという、いわゆる特区的な、試行的なことをするのに全く役に立たないし、厚生労働省はちょっとかた過ぎるというか、これだと、せっかくの特区という制度が進んでいかないんだと思うんですよね。これを全国展開するというのであれば、それは今のような御懸念があると思います、いろいろな問題があるので。そのために特区があるんじゃないですか。

 こういうチャレンジングなものについて、今のように、うちとしてやりたいと思っているのに、はねている理由が、実需がないという言われ方をされてしまうと、地方からすると、そもそも特区なんか申し込んでやるものかという気が起きてくると思います。これは山本委員長もわかっていただけると思います。

 では、これは石破大臣にお伺いをいたしたいと思います。特区の提案のときに、いろいろ提案をするんですけれども、結局返ってくる答えの一つのいい例がこれだと思うんです。特区が認められた後の具体的なメニューのところでこういう感じになってしまうと、地方の特区に対する熱意が冷めていくのではないかというふうに思いますが、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 ニーズがないからということでお断りをしたとは私は承知していない。私が報告を受けているのは、必ずしも緩和をしなくても実証が可能であるということで対応させていただいたので、これが、ロボットができないからこのユニットでという、そういうような対応をしたとは承知をしておりませんが、委員のそういう御指摘ですので、もう一回確認をさせてください。

 問題はやはり、やりたいと思って地方から出てきた提案をニーズがないということで断る。ニーズがあるから提案しているのであって、ニーズがないということで断るというやり方は、私は決して適当だとは思っておりません。地方の御提案のそういうような御趣旨をよく理解しながら、意欲をそぐようなことは断じてしてはならないと考えております。

緒方委員 もう少し質問を残していたわけでありますが、そろそろ時間が終わりますので、私の出番はここで終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主・維新・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 昨日は、代表質問をさせていただきまして、石破大臣からもお答えをいただいたわけでありますが、その後、本会議散会後に開かれました当委員会では、大変残念なことがあったということであります。私も理事の一人でございますので、この間の経過をまず冒頭整理させていただきたいというふうに思います。

 昨日、この委員会におきまして、大臣が今法案の趣旨説明を読み上げられました。そのときに、私どもの手元には当然こういう資料が配られていて、この一ページのところ、最初のところに趣旨説明の本文が載っている。我々は、これを見ながら石破大臣のお話を聞く。これはほかの法案と全て同じでありますが、読み上げるスピードというのはかなり速うございますので、これを読みながら確認をしていく、こういうことかと思います。

 その際に、どうも原稿と違うなというのは私どもも当然認識をしておった。各野党の皆さんも、あるいは恐らく与党の皆さんの一部の方々も、どうも違うものを読んでいるんじゃないかという認識であった。しかし、最終的には、これが昨年通りました今法案の趣旨説明の方を読まれていた、昨年の四月二十四日、地方創生に関する特別委員会、ここに会議録がございますけれども、これを読み上げられていたということでございました。

 冒頭のところというか、最初の方は大変似ているんですね。同じ法案の改正案ですから、もちろん改正の内容は違うんですけれども、中身は、いわゆる人口減少と東京への一極集中という背景説明から始まっております。こういったところは確かに似ている。

 ですから、何か違うなというふうに思っても、でも、似たような話を言っているので、例えば、別バージョンがあるのかなとか、あるいは未定稿みたいなものが読まれているのかなとか、いろいろ想像をめぐらせたわけでありますが、最終的に、最後の方に行くと全く違うものになっている。当然、今法案は、第一に地方創生推進交付金の話、それから企業版ふるさと納税の話、そして日本版CCRCの話、この三本柱ということだと思いますが、前回改正は全く違う、こういう話になります。

 それで、野党の方からも違うんじゃないかという指摘はいろいろあったんですが、最終的に委員長の方までその指摘が届かずに、与党席の方からもそういう声が上がりまして、そして、大臣の方が読み上げ終わったものが間違えたということに気づいて、委員長の指示のもと、再度読み直した、こういう経過であったと思います。

 こういうことがありまして、大変な問題であって、読み上げ終わって、昨日の委員会が終わった段階では、間違ったということはわかっていたんですが、何を間違ったのか、何と間違ったのかということはわからない状況であった。その後、与党の方からもお話を伺って、政府の方からもお話を伺って、どうも昨年の法律改正のものを読んだようだ、こういう話になりまして、けさの理事会でそこを野党側からもたださせていただいた。

 結果としては、問題であるということをお認めになって、牧島政務官から状況の説明があった上で、冒頭で大臣に陳謝をいただいた、こういう流れであったかと思います。

 そして、その陳謝で終わればよかったんですけれども、その際に、与党席の方から野党をやゆするような不規則発言がありましたものですから、そこでまた紛糾して、そして午後の再開前の理事会で委員長にいろいろ整理をいただき、委員長に当該委員の方からお話を聞き取っていただき、いろいろ誤解があって、また失礼な発言があった、申しわけないということを御本人が謝罪されているということを野党の各理事の皆様にお伝えいただいた上で再開を行い、そして、再度この委員会の冒頭で委員長の方から御注意があって、品位を保った形で行うようにという御指摘があった。こういう流れであったかと思います。

 今回のお話を私が説明を受けたところによると、前回のフォーマットを参考に今回のものをおつくりになったので、手元にたまたま前回改正のものがあった、それが紛れ込んでしまって、大臣のお手に渡るところで間違ったものが渡された、こういう経過だという説明を受けました。そういうことは、もちろんあってはならないことですが、あり得ることかなとは思います。

 一方で、ちょっと私どももわからなかったのは、冒頭のところは似ているので、読み始めるということはあると思うんですが、なぜ大臣が最後までお気づきにならなかったのかなと。大臣のみならず、その周りの事務方の皆さん、特にこの法案の作成にかかわった役所の方々、こういった方々がここで随分な数聞いているはずなのに、なぜお気づきにならなかったのかなということに大変疑問を持っているわけであります。

 特に、昨日は本会議がありまして、そこで大臣は今回の法案の趣旨説明を読み上げていらっしゃる。それに基づいて私も質問させていただいて、大臣からも御回答が当然ありますので、当然、法案の内容については熟知をされていることと存じます。

 そして、もっと言えば、昨年のこの委員会でも大臣みずからが趣旨説明をされているわけですから、その内容についても当然、質疑応答もされていて熟知をされているということであったんですが、なぜ大臣がお気づきにならなかったのか、そして、事務方の方が少なくとも途中で気づいて、これは違うんだと。後半になると随分出てくる単語が違いますから、ここがちょっと疑問であります。

 この経過、改めて御説明を願えますか。

石破国務大臣 大変御迷惑をおかけいたしました。幾重にもおわびを申し上げる次第であります。

 経緯は今委員が御指摘のとおりでありまして、私はもう、誰がどうのこうのと言うつもりはございません。全て私の責任であります。申しわけございません。

 私も読んでおって、最初は一緒なんですね、ほとんど一緒なんです。途中でこれは変だということに気がついておりましたが、どこかでまたぐるっと回ってちゃんとした文章が出てくるのではないかと期待して読んでいたら、とうとう最後まで出てこなかったという、実に、ばか者とお叱りをいただけばもうそれまでの話であります。これは、参議院でも寺田典城委員から大変厳しい御指摘をいただきました。

 やはり私、自分に対する反省として思うのですが、長く大臣をやっておりますが、このようなことは初めてでありまして、どうもきちんとした危機対応ができなかったという反省を持っているのと、やはり、法案の趣旨説明も、私、何度もやっていますが、どうやったらわかっていただけるかというふうにかみ砕いて書けていないという感じがございます。法案の趣旨説明も、事実を正確に御説明しなければいけませんが、やはり右から入って左に抜けちゃうというところが、どうしても法律用語がだっと入ってまいりますので、わかりやすく自分で書かなければいかぬなという反省をすごく持っておるところでございます。

 私自身、危機対応というものに至らぬ点があったということ、そして法案の趣旨説明も自分できちんと書かねばならないというのが、私が今回の教訓として学んだことで、いずれにしても、委員初め皆様方に大変御迷惑をかけましたことは、幾重にもおわびを申し上げます。

宮崎(岳)委員 大変いろいろありましたけれども、私は、大臣がこの法律の内容を理解していないとか、あるいは、不真面目であってこういうことを勉強していないということは、正直、つゆほども思っておりません。けさも、私も議員宿舎の食堂にいたんですけれども、質疑の書類なんでしょうか、大臣が一生懸命読み込んでいらっしゃるのかなというふうなところもお見かけしたところでありますし、いろいろな方から、夜も大臣が勉強していらっしゃる姿を見ているという話も伺っております。ですから、恐らく、内容も知っていらっしゃったし、真面目に取り組んでいらっしゃるんだろうと。中身については私も当然いろいろ異論があるわけですけれども、そういう姿勢についてこれまで疑ったことはほとんどなかったわけであります。

 しかし、それは、大臣のみならず、今回、そこにいる役所の皆さん等も、誰もこのことについて途中で指摘されないというのは、私は正直非常に残念であります。逆に言えば、我々野党の立場から見ますと、結局、これだけ与野党の数の差があって、どんな審議をやろうが最後まで行けば必ず法律は通るんだ、そういうおごりがあるんじゃないか、与党のみならず、法案の作成にあずかる役所の方にも緩み、たるみがあるんじゃないか、そういう意味でゆゆしきことだというふうに感じているということをもう一度御指摘させていただきまして、これはお答えは必要ございませんが、野党の立場として、委員長にも、本当に充実した中身のある審議をしていただきたいということを改めてお願い申し上げたいというふうに思います。

 さて、地方創生の法律の方の質問に入りたいと思うのです。

 まず、これは質問通告はしておりませんけれども、ちょっと総論として申し上げたいんですが、大臣、JRの三江線という電車を御存じでしょうか。

石破国務大臣 存じております。済みません、実際に乗ったことはございませんが、その路線があるということはよく承知をいたしております。

宮崎(岳)委員 これは質問通告をしておりませんので、もちろん詳しくお答えしていただく必要はないんですけれども、三江線というのは島根と広島を結ぶ鉄道でありまして、しばらく前に、これを廃止するかどうかという新聞報道が載っています。JR西日本の路線でありますが、JRの方は廃止をするということをまだ公式に打ち出しているわけではないんですけれども、持続可能な交通網をつくるために、地域の、つまり自治体等との協議をしたいということで開始をしている、こういう路線なんですね。この路線の廃止や否やということが、やはり全国の鉄道にかかわる方々を含めて、非常に関心があるんです。乗客数がとても少ない路線です。

 一方で、これまでのいろいろな路線の廃止とはちょっと違うところがある。三点ほど違うところがあります。

 一つは、距離が長いんです。百八キロあります。広島から日本海まで行っている、こういうことであります。

 二つ目は、つまり、どん詰まりの鉄道ではないんですね。これまで、いろいろ廃止されて、第三セクターになった、あるいは完全に廃線になってしまった、いろいろありますけれども、多くは、つながっている線路ではない、どこからか端の方、端の方と言ったら失礼ですかね、先の方に行って、そこからは鉄道がなくなっているということでありますが、これはいわゆる本線と言われるものの間をつないでいる線路である、これが二つ目です。

 三つ目は、やはりJR西日本の路線だということなんですね。これまで、例えばJR北海道なんかは経営状況が大変苦しいということで、比較的そういう廃線みたいなことになりがちであった。それはもちろんいいことではないんですが、そういうことですが、西日本というある程度経営体力のある会社の路線の話だ。

 この三点ほどが、全国で大変関心を持たれているということがあります。

 この路線の廃止自体が大変な問題であることはもちろんでありますが、逆に、それだけではなくて、今の三つの条件がありますから、結局、こういうものが皮切りとなって、口火を切る形で、いろいろなところに波及していくんじゃないかという御心配をいろいろな方が持たれている。もちろん、民間企業がやることですから、しかも、所管ではない大臣がこれについてどうこう言うということではないとは思うんですけれども、逆に、今、地方創生を進める上で、交通網の確保などは大変重要な問題であるということも考えております。

 この問題に関してでなくて結構なんですが、所管として、大臣の見識の中で、地方の交通網をどうやって守っていくのかということをちょっと一言いただければと思います。

石破国務大臣 所管外ではございますが、要は、モーダルシフトというのをどう考えるかということだと思っております。

 鉄道も必要だ、高速道路も必要だ、飛行機も必要だという話になりますが、それはフルセット全部そろえばいいんですが、それぞれの交通機関の持っている特性というものをいかに生かしていくかということだと思っております。北海道でローカル線がばんばん廃止になっているのは、横に高速道路が走ればローカル線はやめになるに決まっているので、それはどういうふうな判断をするかということであります。

 他方、鉄道の優位性というのは私は今でも不変のものだと思っておりまして、一つは定時性であります。もう一つは、非常に環境に負荷が少ないという点でございます。そして、それは自動車と違って一つのシステムでございますので、鉄道がつながっているということは、それが、システムとしてその地域全体の公共財ということがあろうかと思っております。

 そういうときに、ヨーロッパのように上下分離という形の経営思想なのか。日本はそれとは異なる経営思想でございますので、そこをどう考えるかということが事の根本にあって、鉄道であるともうからないから廃止だという話になりますが、道路は、もうからないから廃止だという話は寡聞にして聞いたことがございません。そこにおいて両方そろえばいいんですが、その地域において本当に必要なものは何だろうかということを地域住民の方々のお立場に立って考えるということが必要だというのは、私、十数年前に運輸委員長をやっていたときからずっと考えておることでございます。

 まだきちんとした結論が出ているわけではありませんが、また委員のいろいろなお知恵をいただきながら、見識を深めさせていただければ幸いに存じます。

宮崎(岳)委員 私もこの路線に乗ったわけではないわけでありますが、話を聞いてみますと、やはり、並行するように道路ができて、利用者が減ってという流れはあるようでございます。

 ただ、これはどこの路線も同じかと思いますが、結局、最後に残るのが交通弱者なんですね。つまり、子供、学生、あるいは高齢者という方々、つまりマイカーを運転されない方々が最後に取り残されるという流れがあるのかなというふうに思っております。

 大変重要な問題でございますので、大臣にもこの問題を含めて御関心をぜひ持っていただきまして、地方創生の中でどう位置づけるかということをもう一度お考えいただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 さて、総論として申し上げましたが、次に、企業版ふるさと納税についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 昨日、企業版ふるさと納税について代表質問をさせていただきました。そのときの私の質問は、財政力の弱い、例えば大臣の地元鳥取あるいは私の地元群馬というところの小さな自治体に工場なんかがあったりとかしますね。本社は都会にありますけれども工場が地方にある、こういうパターンは結構あると思うんですね。そういう場合も当然収入が会社から地元の自治体に入ってくるわけですが、そこからまた全然違う自治体にふるさと納税が行われたという場合になりますと、その財政力の弱い自治体のさまざまな税収が減ってしまうということだと思います。

 そういう中で、大臣のお答えでしたが、その分が基準財政収入額に計上される、地方交付税における基準財政収入額のところから差し引かれるので、結局、基準財政需要額との差額のところは最後は交付税で埋めることになると。税収の四分の一が留保財源でこの枠外になるわけでありますが、つまり、四分の三は補填をされるという意味だと思うんですね、私の理解が正しければ。これは総務省の方にお伺いした方がいいかもしれません、ちょっとどっちにお答えいただいたらいいかわかりませんが、そういうことだと思うんです。

 そうすると、逆に、基準財政収入額に乗るような寄附がふえたというときも、つまり、企業版ふるさと納税が行われた場合も、これは基準財政収入額の方に乗ることになるのか。つまり、乗ることになるとすれば、基準財政需要額との差額が減っていきますので、国から来る地方交付税の方は少なくなって、つまり、実際は四分の一は自分のところの収入になるけれども、四分の三は実は余り関係ないよという結論になるのかなという気もするんですね。

 これはどうなんでしょうか。企業版ふるさと納税で自治体が受けた寄附というものは基準財政収入額に乗ってくるんでしょうか。どちらがお答えいただいても結構です。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 寄附金収入は、基準財政収入額には入りません。

宮崎(岳)委員 そうしますと、税収が減った側の方は交付税措置で四分の三がカバーされるであろうというふうに推測します。ふえた方は、基準財政収入額に乗ってこないということですので、全額丸々使えると。そうすると、そこの差額が出てきてしまうんですが、これは、国が一般会計の中で負担をする、こういうことになるわけですか、財政全体の仕組みでいうと。ちょっとお答えいただけますか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 寄附金収入については標準的な収入という扱いではございませんので、いろいろ努力した結果、多い寄附金収入を得る、あるいはそうでないというのは、交付税制度上は、先ほど申し上げたようにカウントしないということですので、その点についてはそのとおりでございます。

 ただし、企業版ふるさと納税等で税収の減が生じる、税が出ていく、その分については、税の世界の話なので、そこは基準財政収入額の方に反映されて減る、そういう制度になっているということでございます。

宮崎(岳)委員 質問の意図が十分通じていなかったようであります。

 減った方は基準財政収入額が減る、そうすると、基準財政需要額との差額が広がって、そこが国によって補填される。めでたしめでたしかどうかわかりませんが、減った分の四分の三はそれで補填をされるということだと思います。

 そして、逆に、もらった側は全額をもらえるということでありますが、そうすると、そこに差額が生じてまいります。もちろんこれは、全部で六割カバーするという、税額控除を含めて六割という仕組みでありますので、四割残るので、それは納めなきゃならないということなのかもしれませんが、そこは国全体の枠内で、税収は税収でこれは基準財政収入額に影響してくる、寄附金は寄附金でこれは基準財政収入額には影響してこないというと、そこが差額が生じてくるということなんですが、全体の中の仕切りは、例えばこれはどれぐらいプラスになるとかマイナスになるとか、そういった計算はされていたりとかするんでしょうか。わかりますか、総務省。わからないですか。

森屋大臣政務官 申しわけございません、通告いただいておりませんので答えることができませんけれども、よろしくお願いいたします。

宮崎(岳)委員 済みません、交付税制度についてということで通告はさせていただいているんですが、ここまで詳細な通告はしておりません。そういった意味で、ちょっと難しい話かなというふうには思うんですが、逆に言うと、きのうの質問を受けて、その速報が上がってきてからの質問でございますので、通告のしようもないわけであります。

 ただ、視点的には、私は交付税についての問題点をいろいろ申し上げましたけれども、つまりはこういうことなんですね。つまり、基準財政需要額に何をカウントする、基準財政収入額に何をカウントする、支出があってもそれを全額自分で持たなきゃならないというわけでもない、収入があってもそれが全額自分のところに来るのかどうかわからない、それが結果としてどこかから減らされているのかもしれない、最終的に何が何やらわからなくなっていく。

 そうすると、財政を預かる方としては、この事業をやると、実は、最終的には、表ではよく見えないけれども、国からこんなお金が来るんだよなんということを期待しながらその事業をやったりするわけですね。今回のことに限ってではありませんけれども。

 そうすると、実際幾らこの費用対効果を見積もればいいのかという、目に見える形でコストというものが出てこない。費用対効果を見積もるときですね。そうすると、費用対効果も見積もれない。こういったところが問題じゃないかなというふうに私は問題意識として思っている。

 それで、昨日の質問の中で、そもそも地方交付税の算定というものに切り込まなければいけないんじゃないかと。これは、昨日もそうですし、その前の一般質疑でも大臣の方に御質問申し上げたところであります。

 さて、そこからちょっと離れます。企業版ふるさと納税の見返りの話です。これも昨日やらせていただきました。

 企業版ふるさと納税をやった企業が自治体から見返りを受ける。そのときに、経済的利益については、これはだめだ、認めないと。罰則があるかないかなんという議論がありましたけれども、これは税を控除するかどうかという問題でありますから、税の控除を認めないということがあれば一定の歯どめはかかるんだろうというふうに思いますね。罰則がなくても、そもそも控除を認めなければいいということだと思います。

 さて、一方で、経済的利益がかかっていないもの、例えば、私が例に挙げたのは、うちの社長を名誉村民にしてくれとか、うちの社長に市立大学の名誉博士号をくれとか、こういうものは必ずしも経済的利益とは言えないのでいいのかということで質問いたしましたら、基本的には自治体の判断ではないかという御答弁が昨日ございました。

 まず、前者について、経済的利益が伴うものについて伺いますが、昨日、内閣府令でこれを禁止するというような御答弁がございましたけれども、どういう条文というか、具体的にはどういうものをどういう形で禁止するというものになるんでしょうか。

石破国務大臣 これはまだ、案文というか、それを決定したわけではありませんが、内閣府令、正式名称は別の名前になりますが、そこにおいて、企業版ふるさと納税を行う場合には、ここもきちんと正式な名前を書きますが、経済的な見返りを求めてはならない、あるいは、経済的な見返り、見返りという言葉も対価という言葉になりますかね、与えてはならないという形で、経済的なということと、そういうことをやっちゃだめ、この二つの点はきちんと押さえなければならないと考えております。

宮崎(岳)委員 私は、実は、これをとめるのはかなり難しいというふうに思うんですね。

 というのは、もちろん、一対一対応で、このふるさと納税をするからこれをやってくれ、こっちの固定資産税をまけてくれとか、そういうことをあからさまにやればもちろん違反だということになるでしょうけれども、いや、たまたまこっちはふるさと納税をしたんだ、たまたまこっちでは別の減税があったんだとか別の補助金があったんだとか、あるいは、きのう私が例に出したのは、そこの企業の地方工場があって、そこへの接続道路が行政の負担で、例えば市町村道というような形でできる。その先にその工場しかなければこれは経済的利益だろうという話になりますが、その先に別途集落があるというようなこともあって、拡幅をしてダンプが通りやすいようにする、こんなこともあり得るのかなというふうに思うんですね。そうすると、これが経済的利益なのか利益じゃないのかというのを判断するのはかなり難しくなるだろうというふうに思います。

 個人がやるものであれば、つまり、個人版ふるさと納税にもいろいろ問題点が出ておりますけれども、額にも限りがありますし、しょせん個人がやることだということで、ボリューム的にもある程度の限界があるのかなというふうに思いますが、今回は企業であります。そして、その上限はございません。もちろん、一部自己負担の部分が出てきますので、そんなに多額にできるかどうかわかりませんが、さはさりながら、利潤の最大化をしようとするのが企業の本質だというふうに思いますから、当然、こういう制度ができれば、これを活用してどうやって自分の会社の利益を高めようかということは発想すると思うんですね。そうすると、とにかく自治体当局との間でいろいろな話が行われるんじゃないかというふうに思ってきます。

 これを具体的にどういうふうに防ぐかというのを、それ以上踏み込んだ形で何かお考えでしょうか。

石破国務大臣 例えば、そういう道路の拡幅、道路の建設というのはだめだということになります。そうすると、企業の側からすれば、では、やめておこうかという話にもなるんでしょう。企業は営利性を伴う、当然それを本質とするものですから。それなしに寄附をしてくださいというのは、その企業にとってはかなりかなりハードルの高いお話だと実は思うのですね。もし、そこに企業が寄附をした、そこで道路が拡幅になった、そこにおいて安定的な雇用が確保されたとしますと、それがそんなに悪いことなのかしらというと、一概にそうとは言い切れない部分がありますが、そういうものは経済的な利益だからだめということになっておるわけでございます。

 そうすると、これはかなりハードルが高くて、そういう寄附を受けようとする側は、総合戦略においてよほど魅力的なものを提示して、企業が寄附をする、経済的見返りは何もないけれどもイメージアップが図られるというようなことを、ここは知恵の出しどころであります。

 ここは私、すごく悩むところで、何の経済的利益もないのに寄附してちょうだいというのはなかなか難しいが、しかし、それをやってみる価値は大いにあるだろうと思って、今、法案をお願いしておるところでございます。

宮崎(岳)委員 恐らく大臣の想定されているのは非常に理想的なケースで、例えば、非常に先駆的な地域再生の取り組みがある、それに資金が足りない、そういうところで、企業がこれを応援しようということで、当面、直接的な見返りはないんだけれども、例えば、創業社長がいて、自分の出身地のためだから何とかしてあげたい、あるいは、余り縁はないけれども、そういう新しい取り組みを支援している企業ということで自分たちも社会的なイメージを向上させたい、こういうことで取り組まれるようなケースを恐らく想定されているんだと思います。

 一方で、これは、全額の六割が基本的には控除される。実際の持ち出しは四割なんですね。逆に言うと、その四割分の経済利益が得られれば、企業としては、ふるさと納税をしても別に痛くもかゆくもないということになります。町としては、その四割のことを何とか工面すれば、あるいはそれが四割五分とか五割でもいいと思いますが、先ほどお話がありましたけれども、十割分の収入が基準財政収入額に乗ってこないということは、非常に純度の高い、純粋な収入が十割乗ってくる。ですから、四割、五割、何か経済的利益を与えるようなことをやってもつじつまが合うというふうに考えるんじゃないかというふうに私は危惧をするんですね。

 そういったことは、どうなんでしょう、あり得ないですかね。

石破国務大臣 非常に想定しにくいお話だと思います。思いますが、絶対にあり得ないと断言はできませんので、そういう場合にどう対応するかは、内部で検討させて、また委員と御相談させていただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 個人版ふるさと納税でいろいろなひずみが出ているのは、寄附をした人が二千円分だけしか負担をしない、こういう仕組みにあるわけですね。企業版の方はそれが二千円でなくて四割ということになっておりますので、確かにそういう意味では問題は防ぎやすいのかなというふうには思えるんですが、さはさりながら、純粋に経済原理だけにのっとっていけば、例えば、十割を払うけれども、六割が税額控除あるいは損金算入で税金が減る、そして、プラス、四割以上をキックバックしてもらえれば企業の方としては利益が出る、恐らくこういう仕組みだと思うんですね。

 ですから、ここについては、もしかしたらまた聞かせていただくかもしれませんけれども、ひずみが出る可能性がある制度だということはお踏まえいただきたいと思います。

 もう一点、お伺いいたします。先ほど申し上げた経済的利益を伴わないケースです。

 私は危惧をするんですね。今でも、例えば、ある村出身の方が東京へ出て会社を起こし、そして会社を大きくして、功成り名を遂げて、故郷に錦を飾るために多額の寄附を生まれ故郷の自治体にする、こういうことはあり得ることだと思いますし、恐らくあるんでしょう。そのときに、村長さんなり村の議会の方々が喜んで、有名な、我が村のスターである社長さんにぜひ名誉村民になっていただきたい、こういうことはあると思うんですね。

 その際に、ほかの、自治体以外のところにも寄附した場合も、当然、例えば公共性の高い場合は寄附の一部を損金算入するみたいな制度がありますから、こういった普遍的な制度の中で寄附をして、最終的に、何かそういう称号をもらうとか、名誉のある肩書をもらう、こういうことはあるかもしれませんし、これはもちろん、自治体に限らず、例えば学校法人だったりとか、そういうことでもあるのかもしれません。

 ただ、今回は、特段、三割の税額控除というこれまでにない新しい特典がついてくる。そうすると、これまでの寄附とはやはり性格が違うのかなと。そして、そういった特典を使って寄附をしているのに、例えば、社長が名誉村民の称号をもらうとか名誉博士号をもらうとか、ほかにも何か考えつくのかもしれませんが、そういうことになると、どうも、本当にそれでいいのかなという感じもしてしまうんですね。これまでと同じじゃないかといえば同じなんですが、特典がつくということからしてみると、完全に同じとも言えない。

 これは基本的に重要なところなので再度確認させていただきたいんですが、本当にこういったことはオーケーということでよろしいんでしょうか。

石破国務大臣 ちょっと私の理解が十分ではないのかもしれません。私はオーケーだと思っているのですよ。

 名誉村民になるに当たっては、例えば奈良県の明日香村なんかは、名誉村民条例というのをつくって、何でもいいから寄附をもらったらば名誉村民にしちゃうとかいうんじゃなくて、多くの自治体においては、そういう条例を議会を通してつくっているのだと思います。それが、議会における議決を通して、その地域の方々の総意という形で、どういう方を名誉村民にするかというのが決まっていれば、それによってそういう称号を受けるということはあってもよいのではないか。

 また、実際に名誉村民になっても、本当に尊敬される人と、要するに、金で買ったじゃないかという人とは、やはりそれは村民の敬慕の情というのは違うのじゃないかなというのは私の個人的な思いでございます。

宮崎(岳)委員 よくわかりました。

 考え方としては、私たちもこれを議論しておりまして、これはどこまで許されるんだろうという話はやはりあるんですね。寄附をして何か称号をもらうなんということはこれまででもあることだし、賞状を一枚もらうとか、そういうのと変わらないんだからいいじゃないかと言う人もいますし、逆に、そうはいっても、三割の税額控除というものが今回つくんだ、それをこれまでの寄附と同じにはできないだろう、こういう意見もあります。

 アメリカなんかでは、私も実際に確かめたわけではありませんが、聞いた話でありますと、例えば、自治体によっては多額の寄附をすると自動的に何か称号がもらえたりとか、そういった自治体もあるやに聞いています。日本国内で、一風変わったような方が、いろいろな称号が欲しくていろいろなところに寄附をして、いろいろな称号をコレクターのように集める、こういった例も実際聞いたことがあるわけであります。

 これはどの程度普及するのかにもよると思うんですが、余りにこういったものが過熱をするようであると問題が生じるんじゃないかなということを正直思っているということをお伝えしたいと思います。

 それから、ちょっと次のお話にいきたいと思います。地方創生推進交付金の中身であります。

 この地方創生推進交付金は総額一千億円だということで伺っておりますが、これまで地方創生の基盤強化交付金というものに使われていた部分も統合される形で一千億円が確保されているはずであります。

 従前の基盤強化交付金と地方創生推進交付金の中身の違い、また額の状況など、御説明をいただけますでしょうか。

石破国務大臣 従来の地域再生基盤強化交付金というのは、委員御案内のとおりですが、道路、汚水処理施設、港の施設整備であって二つ以上の事業を総合的に行うということでございますから、当然、政策間連携を伴うものでありまして、先導的な事業に該当し得るものであったというふうに考えておるわけでございます。

 私どもが考えています地方創生推進交付金は、先導的な事業を支援する、それは地方版総合戦略に位置づけられたものでありますが、そこに言う先導的とは何かといえば、官民協働であり、地域間連携であり、政策間連携の要素でありますということで、かなり考え方が似通ったものだというふうに思っておるところでございます。

 したがいまして、再編に当たりましては、各地方公共団体におきます地方版総合戦略に位置づけられた事業に限り交付対象にいたしますということで、従来の地域再生基盤強化交付金とは位置づけが変更しておるものであります。

 ですから、これは緒方議員とも議論させていただいたことでありますが、本当の新型交付金というのは五百八十四億だけじゃないかということで御指摘をいただくこともあるのですが、それが総合戦略の中にいかに位置づけられているか、総合戦略に全然位置づけられておりませんということであればこれは対象とならないものでございますので、私どもとしてそのような趣旨でお願いをしておるものでございます。

宮崎(岳)委員 御説明としてはわからないでもないんですが、とはいえ、道路と汚水処理施設と港、こういうハードを一体的に整備すると。計画は計画でございまして、紙に書くことはそう難しいことではないということだと思うんですね。

 今回の地方創生推進交付金一千億、恐らく一般的な受けとめでは、非常に先駆的な、しかもソフト中心のものにその一千億が使われて、地方創生に大いに効果を発揮するものだろうというふうに受けとめられているのではないかというふうに思う。しかし、実際には、四百億円余りは既存のものであって、かつ、そこに連携があるといえばあるのかもしれませんが、しかし、ハード整備のお金であるということであります。

 そして、新型交付金の分の五百八十億円余りについても半分はハードで使える、こういう話のようでありますし、基本的には、ハードの方がお金がかかるものは単純に言えば多いのであろうというふうに思いますので、そうすると、実際にソフト事業に使われるお金というのは三百億とかそういうことになってしまうのかなという危惧があります。そうすると、確かにソフト事業で三百億というのはかなりのボリュームだとは思いますけれども、しかし、目玉政策というような規模であろうかということについては疑問も残るわけであります。

 これについて、緒方議員からの御質問とかぶる部分もあるのかもしれませんが、いかがでしょうか。確かに、地域再生計画に位置づけているから先駆的だといえばそうですが、道路、汚水処理施設、港を一体的に整備するというかなり限定的な枠の中で、それが本当に先駆的と言えるんでしょうか。

末宗政府参考人 まず、一千億でございますけれども、旧来の地域再生基盤強化交付金は二十八年度は四百十六億でございますが、ほかの五百八十四億の半分までがハードとまでは考えておりませんでして、これは、実際これから出していただくことになりますので、最初から枠をはめているわけではございませんが、全体一千億の大体半分の五百億ぐらいはソフトが出てくることを期待しております。

 そのソフトとハード、ハードといっても、今、余り箱物をつくるというようなことを想定しているわけではありませんでして、施設を改修するとかしながら、できるだけ効率的な形で事業をしていただくことを想定しているところでございます。

宮崎(岳)委員 上限が五〇%であるが、別にそれを全部ハードに使わなきゃならないわけでもない、こういう御指摘であろうかというふうに思います。

 それもわかるんですけれども、とかくこれまでハードに偏ってきたというか、それが補助金というものの本質であろうというふうに思っていますので、自由にということであっても、どうしてもそちらに偏っていくことがあるのかな、逆に、ハードをつくるためにソフトを考えるみたいなことになりはしないかということを大変危惧しているところであります。

 最後に、日本版CCRCについてちょっとお伺いをしたいと思います。

 これも先ほどの緒方議員の質問ともかぶるんですが、例えば、日本版CCRC、生涯活躍のまちを普及させるために、手引をつくりました、支援チームをつくりました、あるいはお金が扱いやすくなります、手続が楽になりました。しかし、これは、一つ一つでいえば、それほど大々的なことではないと思うんですね。もちろんこれだけでできるわけじゃないということで、これだけでできるわけではないと思いますという御答弁を先ほどもされました。では、その先に何があるのかということが大変重要だと思います。

 大臣、もう一つ、これは、既に政策になっているものは今の四点だと思うんですが、まだ政策になっていないものを含めて、どういう思いでこれに取り組んでいこう、あるいはどういうアイデアがあるんだということがあればお教えください。

石破国務大臣 これは、そういうところへ行きたいなと思ってもらわなければどうにもなりませんで、行きたいなと思っている人は東京にお住まいの五十代の男性のという話をいつもしますが、間違いなくいる。五十代の男性の五割が行くなんということはあり得ないのであって、それは、五%だろうが一〇%だろうが、それだけで世の中はがらっと変わると思っているのですね。

 そのときに問題になるのは、受け入れ先の医療であり、介護であり、教育であり、買い物であり。例えば、勉強したいという人はいるわけですよね。そこへ行っても地方大学も何もありませんではどうにもならぬということもございましょう。そして、東京にせっかく手に入れたマイホームを誰が借りてくれるんだ、誰が買ってくれるんだという問題もございましょう。

 そういう、行きたいなと思っている人たちのいろいろなひっかかりというものを除去するということがとても大事だと思っております。まず、行きたいという人たちの条件を整えること。

 そして、実際にその事業を運営するに当たってどのようなビジネスモデルを構築するかということは、これから議論していかなければなりません。これも幾つかの考え方があるのですが、私は、国民年金と厚生年金の受給者が暮らしていけるだけのものをつくりたいなというふうに思っておりますが、そうすると、ビジネスモデルはどのようなことになっていくのであろうか。

 そこにおいて、例えば、いろいろな障害をお持ちの方々が働いていただけるということを組み合わせるというのも一つのユニバーサル社会の実現だと思っていますので、今申し上げただけでも山ほど論点はございます。そこに各省のいろいろな施策があるんですが、自治体はそういうのをよく御存じないところもありますし、私たちが自治体の状況を知らないこともありますので、とにかく支援チームをつくって、かんかんがくがく議論をして、足らざるところは補っていかねばならぬ。

 今回の法律には基本的なことを書かせていただいたのでございまして、ただ、これが余りまた微に入り細にわたって書きますと独自性というのを損なうことになりますので、今回はこの内容でお願いをしておるところでございます。

宮崎(岳)委員 時間となりましたので終わりますが、今のお話、大変遠大な話を、また深く考えておっしゃっているということは私も理解できたところでございます。これを政策に落とし込むのは正直なかなか難しいなという感覚も今のお答えを聞いていてあったわけでありますが、ぜひ成功させていただきたいというふうに思います。

 これで質疑を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。きょう最後の質問者です。よろしくお願いします。

 最初に、バスの運転手さんが不足している問題について質問をします。

 日本を訪れる外国人旅行者の方が急増されています。そして、この間、地方創生の関連交付金に観光振興事業で手を挙げた自治体も少なくありません。そんな中で、観光バスを中心とした運転手の不足が新聞等々で報じられているところであります。

 まず最初に、国土交通省にお伺いします。バス運転手の数について、貸し切り、乗り合い合わせてでもいいですけれども、ここ十年間の推移は、増減についてはどのようになっているでしょうか。

宮城政府参考人 お答えいたします。

 バスの運転者でございますが、これは、昭和五十一年ごろをピークといたしまして、それからずっと漸減傾向にございました。最近十年について見ますと、最近少し持ち直してございまして、平成十六年度、このときが十一万四千二百一人でございます。内訳を申しますと、乗り合いが七万二千三百三人、貸し切りが四万一千八百九十八人。その十年後、ある数字で一番新しい数字でございますが、平成二十五年度、二十六年の三月でございます、このときには、全部で十三万七百八十人、乗り合いが八万三千百九十九人、貸し切りが四万七千五百八十一人でございまして、この十年間だけをとりますと一五%の増、このようになってございます。

 以上でございます。

    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕

田村(貴)委員 微増か横ばいかというようなところかもわかりません。

 九州運輸局が、昨年、事業所アンケートを行いました。そうしたら、六三%が運転手不足だというふうに答えておられます。また、運転手の半数が五十一歳以上で、三十歳以下はわずか三%だったという回答を得たというふうに伝えられています。

 テレビでも新聞でもあちこちでバスの運転手の不足が報じられているんですけれども、この運転者不足の原因はどこにあるというふうに考えておられますか。

宮城政府参考人 お答えいたします。

 バス業界における運転者不足の原因といたしましては、一つは、この業界が全産業と比べて労働時間が長い、約一五%増しでございます。その一方で、年間所得が逆に全産業の平均の八五%、要するに低い水準にある、これが第一かと考えております。

 また、そもそも、バス運転手の担い手となります大型二種免許の保有者でございますが、これが平成十七年には約百十五万人でございました。これが、平成二十六年になりますと九十八万人まで減ってございます。このような基本的な数字の減少がございます。

 さらに、これに加えまして、今お話がありましたように、全国的な少子高齢化の進展によりまして働き盛りの方の人数も減っておる、このようなことが原因である、このように考えてございます。

田村(貴)委員 いずれにしても、急増する需要に対して運転手さんが不足しているというのは大きな問題だというふうに思います。

 資料をお配りしています。資料一は、バス運転手の離職率を書いたものです。国土交通省の資料をもとにして作成をいたしました。一年目で二九%であります。四年目になると四八%の離職率になっています。志望者が減っているというだけでなく、多くの人が働き続けられないというような状況になっているわけであります。

 一方で、外国人観光客の増加などで需要はふえているため、そのしわ寄せというのが現職の運転手さんに及んでいるわけです。

 三月七日の毎日新聞の記事にこういうのがありました。「バス業界 特需の九州は運転手不足深刻」と題して、実態を伝えています。

 人手不足で、急遽、単身赴任を命じられた、右も左もわからない土地で正直不安、OBや七十過ぎの人が運転することもある、休みの日に呼び出されることも、悲鳴が上がっているというふうに報じられているわけであります。

 そこでまたお伺いしますけれども、バス運転者一人当たりの年間労働時間について教えていただけますか。平成二十六年、二〇一四年時点では何時間ですか。また、全産業平均と比べてはどうなっていますか。

宮城政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年の平均労働時間でございますが、全産業労働者、これは二千百七十二時間でございました。これに対しまして、バス運転者は二千四百九十六時間となっており、これを比べますと一五%増ということになってございます。

    〔福井委員長代理退席、委員長着席〕

田村(貴)委員 これも資料をお配りしています。資料の二であります。バス運転者一人当たりの年間労働時間。もう一目瞭然であります。一人当たりの年間労働時間が二千四百九十六時間。全産業平均が二千百七十二時間でありますので、バス運転者の方が年間三百二十四時間長いということです。ほかの労働者より、単純に見て一日に一時間程度多く働いているというような状況であります。

 この対策についてお伺いしたいと思います。

 バス運転者の高齢化それから人手不足、このことによる国の方の対応策については、どのようにお考えになっておられますか。

宮城政府参考人 バス運転者の高齢化と人手不足に対する対策について、お答えいたします。

 まず、バス運転者をふやすためには、何よりもまず、事業者の収益構造を改善いたしまして、運転者の方々が受け取るお金、賃金、これを上げること、それに加えまして、例えば泊まりがけの仕事だとかこういったものを減らす、仕事の魅力を高める、このようなことが大事というふうに考えてございます。

 ちなみに、貸し切りバスにつきましては、平成二十六年の四月から、安全コストを反映した新運賃・料金制度を導入しております。また、今回、軽井沢のスキーバスの事故を踏まえまして、対策検討委員会におきまして、さらにその検討を踏まえて、今後、届け出運賃とか料金の遵守の徹底を図ってまいりたい、このようなことで、事業者の収益構造を改善し、かつ運転者の方々の収入をふやす、このようなことを考えてございます。

 さらに今年度は、今ございました女性や若年層のバス業界への新規就労あるいは定着につきまして、先進的な取り組み事例の調査でありますとかモデル事業を実施してございまして、このような取り組みを通じましてバス運転者の不足の解消に努めてまいりたい、このように考えてございます。

田村(貴)委員 人手不足のそもそもの原因というのは、規制緩和にあったわけです。一九九九年の規制緩和によって、バス事業参入がふえました。過当競争が起こりました。それで、私のいる九州では、二〇〇〇年から二〇一五年でバス事業者は倍化、四百六十九事業所までふえたわけであります。そして、低賃金、非正規化が進んで、労働環境が大きく悪化したというのが経過であります。

 このまま抜本的な改善が進まないままに、やれ観光立国だと、バスの需要をふやすことだけをやっていては、現場はますます、過重労働、そして離職、さらに過重労働の悪循環に陥ってしまいます。

 それは何を指しているかといいますと、国民の安全、乗客の安全が脅かされることにつながってまいります。せんだってのバスの事故は、その最たる例であります。低賃金と長時間労働、この最悪の労働条件、労働環境を改善することが今一番求められているというふうに考えます。

 そこで、厚生労働省の方にお伺いします。

 現行の大臣告示、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる改善基準を守っても、かなりの長時間労働になります。これは我が党議員団がかねてから指摘してきましたけれども、十三日連続で勤務することも可能であるという基準なんですね。私は、労働条件の改善のために、やはり長時間労働のさらなる規制を行う必要があると思います。

 例えば十一時間のインターバル規制など、改善の必要性について、厚労省、いかがお考えになっておられますか。

大西政府参考人 改善基準告示に関する御質問をいただきました。

 改善基準告示につきましては、委員御指摘のとおり、全ての産業に適用されている労働基準法に加えまして、拘束時間の制限、あるいは休息時間の確保等の規制のあり方につきまして、自動車運転者の乗務の特性を踏まえまして、関係労使に御議論いただき合意形成を図りながら定めた、そういう経緯がございます。

 この改善基準告示につきましては、労働基準法による一律の規制に上乗せ規制というものも課しているというものでございまして、これをより厳しく見直すことにつきましては、事業の運営にどのような影響を与えるかということも踏まえながら、関係労使の意見を伺いつつ、慎重に対応していく必要があるというぐあいに考えているところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、過重労働の防止につきましては、私どもといたしましても大変重要なことと考えております。

 この改善基準告示につきまして、関係労使団体を通じた周知啓発はもとより、労働基準法等の法令違反がないかどうかにつきましては、全国の労働基準監督署におきまして、バス事業者に対しまして的確に監督指導を行ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。

 今後とも、厚生労働省の労働基準監督署あるいは国土交通省とも緊密な連携を図りつつ、そうした法令の遵守の徹底に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 前に進めていただきたい、さらに規制を進めていただきたい、そして、バス運転者の過重労働を改善する、このために力を尽くしていただきたいというふうに思います。

 思い出すのは、やはりせんだっての長野県軽井沢町のバス転落事故でありました。大勢の若者が命を奪われました。亡くなったのは乗客だけでなく、運転手さんも亡くなったわけであります。あの運転手さんは六十五歳でありました。大型バスになれていませんでした。そして、深夜の運転経験も乏しかった。非常に過酷な労働状況の中でこの事故が起こったわけであります。

 人手不足の中で、無理してこうしてなれない仕事についているドライバーが全国各地におられます。そして、今この時間もハンドルを握っておられるわけであります。厚労省、急いで改善の仕事を進めていただきたいというふうに思います。

 やはり、先ほども言いましたように、バス運転手の、そもそもの原因は、規制緩和から始まったわけであります。過当競争を生じさせ、コストカット、そして人件費が削られてきた。寝る間も惜しんで働かざるを得ない、そして賃金を稼ぐ、そういう状況は一日も早く打破していかなければならないというふうに思います。

 この問題の最後に、石破大臣にお伺いします。

 政府は観光客をふやそうとしています。そして、地方創生推進交付金では日本版DMOを対象の一つともしているわけであります。観光をまさに足元で担っているのはバスであり、バスを運転しているのはバス運転手であります。安全をしっかり確保して、そして人手不足を解消する、改善を図っていかなければならないと私は思います。

 交通機関に一番求められるのは、何といっても安全性であります。それがなければ、外国から日本にやってくるお客さんも、そして行楽で旅をする国民にとっても安心できるものでもありませんし、観光そのものが成り立ってまいりません。

 観光については、内閣府、国土交通省、厚労省、そして観光庁、あるいは文部科学省、その他多くの省庁にまたがっていく分野であります。政府を挙げて労働条件の改善そして運転手不足の解消に向けて取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、大臣、所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 委員の御指摘は、まことにそのとおりであります。全く異論はございません。何よりも安全が優先するのでありますし、外国から人を呼ぶ、あるいはシニアになられた方々にあちらこちらに行っていただいて幸せな老後を送っていただきたくても、事故が起こったら全てが吹っ飛ぶわけですから、それは安全が全てに優先するに決まっております。

 バスも、例えば、これは委員も御案内かと思いますが、東北でみちのりホールディングスというバス会社がございます。幾つかの系統のバスを運行しております。つまり、従来にはない経営形態で、ともすればバス会社というのは、貸し切りとまた乗り合いバスと違いますけれども、いろいろな新しい形態の、労働者の処遇というものをきちんと維持しながら、向上させながら、バス事業というものの収益性を上げているというモデルもございます。

 どんどんと過当競争を行い、労働者の処遇を悪化させてもうけるというようなものが世の中を幸せにするはずはないのであって、そういうような意味で、新しいバス会社のモデルというものも私どももよく研究をしながら、労働者の方々のそういう過酷な労働を除去するように、私どもとしては努めていかねばならないと考えております。

田村(貴)委員 これから本格的な行楽シーズンを迎えます。春もやってまいりました。

 委員長も御存じだと思うんですけれども、私は、国会に来る前は、博多駅からバスに乗って通勤していた期間がありました。バスに乗ったらびっくりしたことがあるんですけれども、お客さんが日本語を話していないときが結構あるんですね。韓国語と中国語、特に福岡ですから、たくさん観光に訪れておられます。本当にたくさんの商品を買われて、町のにぎわいなんかもつくっているんです。

 そして、今からまさに観光シーズンが始まる。その楽しい時期にやはり悲劇が起こってはならないということで、このバスの運転者の確保そして育成、そのためには何といっても労働条件の改善が何よりも必要だということを強調させていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に入ります。次は、小さな拠点と交通ネットワークについてお尋ねしたいというふうに思います。

 まず最初に、交通ネットワークであります。

 地方版総合戦略の策定を踏まえて、地方創生の本格実施となってまいります。集落と小さな拠点を結ぶネットワーク対策というのは、どのような状況になっているでしょうか。

 昨年の五月十九日の地方創生特別委員会で、私はネットワークのことについて質問をしました。石破大臣は、交通ネットワークが重要だということで、次のように答弁をいただいたわけであります。小さな拠点への連絡というものがきちんとなければ、幾ら小さな拠点を整備しても何にもならぬというお話でございます、小さな拠点とともに、集落に住めるということも重視していかなければなりませんので、それをつなぐのは交通ネットワークである、かような認識であるというふうに答弁をいただいたところであります。

 国土交通省にお伺いをいたします。

 昨年私は、質問の中で、バス路線の廃止があって、その後、ディマンドバス等々の交通が非常に重要となってくる、その充実について質問をいたしました。そのときに、国交省の方からは、現状では全ての集落をネットワークでつなぐことを網羅できていない、そういう答弁でありました。

 一年たってまたお伺いするんですけれども、集落を結ぶネットワークというのは前進しているんでしょうか。今の実態について教えていただきたいと思います。調査は当然されていることと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 内閣府の方からお答えさせていただきます。

 中山間地域における生活交通の確保では、路線バスに加えまして、今先生おっしゃいましたように、コミュニティーバスとかディマンドタクシーとか、あるいは最近では、市町村やNPOが運営する公共交通空白地有償運送というものがございまして、それぞれの地域で、実態に合わせていろいろな試みがなされているというふうに承知しております。

 小さな拠点を制度化したのは昨年でございまして、かつ、先生先ほどおっしゃいましたように、毎年バス路線がどんどん減っているというような状況の中で、この一年でどのくらい前進したのかという検証はなかなか難しいのでございますけれども、例を挙げさせていただきますと、佐賀県伊万里市波多津町というところがございますけれども、そこでは、小さな拠点の形成に向けまして、地方創生の先行型交付金、上乗せ交付金を活用いたしまして、公共交通空白地有償運送として、住民主体で運行及び運営を行い、地域の実情に即した交通網を形成しよう、こういう事例が出てきているところでございます。

 一般的にも、公共交通空白地有償運送につきましては、毎年毎年車両数が増加しているという状況でございまして、交通手段の確保に向けた地域の取り組みが進んでいるとは思っております。しかし、公共交通の空白地域というのが今後ますますふえていくということも懸念されておりますので、小さな拠点づくりの一環といたしまして、交通ネットワークの確保に努める地方公共団体を関係省庁と連携して精いっぱい応援していきたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 ちょっとがっかりしました。

 やはり、交通ネットワーク、小さな拠点、集落を結ぶという計画があるにもかかわらず、現状について把握されていない。去年も伺って、ことしも伺って、この調査については難しいと。これでは次に進まないのではないかな、そもそもの議論がちょっとできないなというふうな思いもするんです。

 予算面についてはいかがでしょうか。こちらは国交省の方ですかね。国交省の地方創生関連予算の中にある地域公共交通確保維持改善事業、これの予算について、今、二十七年度、二十八年度、どういう状況になっているか、教えていただけますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通確保維持改善事業でございますが、これは、多様な関係者の連携によりまして、乗り合いバスやディマンド交通などの地域内の生活交通のネットワークの確保、維持等に向けた取り組みを支援するものでございます。

 その予算額でございますが、平成二十七年度が約二百九十億円、平成二十八年度、これはまだ予算案の段階でございますが、約二百二十九億円となっております。これに加えまして、平成二十七年度の補正予算、これを約四十九億円いただいております。これと二十八年度の予算案を足しますと約二百七十八億円ということで、対前年度比〇・九六ぐらいの率となっております。

 以上でございます。

田村(貴)委員 もうちょっとふやしてもらってもいいのではないかなと思うんですけれども。そのうち、中山間地を抱える自治体などが独自に運営しているディマンド型交通などへの補助金、フィーダー補助金については今どういう交付状況にありますか。教えていただけますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通確保維持改善事業のうち、乗り合いバスやディマンド交通などの地域内の生活交通の運行に関する支援でございますが、これは二十六年度の交付実績ベースになりますけれども、約三十一億円となっております。

田村(貴)委員 去年お伺いしたときも三十一億円で、その数字が変わっていないということなんですけれども、お伺いしたときは、事業者、事業団体、これはほとんど赤字だということでありました。これでネットワークが築いていけるんだろうかなというふうに思います。やはり全ての集落、ここを視野に入れて、そして小さな拠点と結んでいく、集落の方が日常生活に苦労しない、そうした面で、予算面でもやはり拡充すべきだというふうに思います。政府として、しっかりネットワークを結ぶことについて御努力いただきたいというふうに思います。

 それから、ディマンド型交通への支援について、前進点あるいは改善点はあるでしょうか。交付が、補助金の額が三十一億、それから予算についてはちょっと減ったという中で、例えば、ほとんどこれは人件費なんですよね。人件費なんだけれども、バス運営で人件費がほとんどを占めるんだけれども、人件費等々で活用できるような制度はあるのか、検討なんかはされているのかということについてもお伺いしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 乗り合いバスやディマンド交通などに対しましての地域公共交通確保維持改善事業の改善策といたしまして、今年度、平成二十七年でございますが、地域公共交通活性化再生法に基づきましての地域公共交通ネットワーク、これを効率化するための再編計画等をつくるような取り組みに対しまして、定時定路線型からディマンド型へ運行形態を変更するような場合、そういった場合に必要になる小型の車両とか予約システムのような設備に関しましても補助対象にするなどの措置を講じております。

 来年度でございますが、これに加えまして、地域公共交通ネットワークの再編の取り組みをさらに支援する、そういう観点から、補助対象となります小型車両に関しまして範囲の拡大、例えばバン型に加えましてセダン型も加える、そういった面での措置も講じていくこととしております。

 今後とも、地域の実情やニーズに応じまして、生活交通の確保に向けてしっかりと必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

 よろしくお願い申し上げます。

田村(貴)委員 大変苦労されて、おでかけ交通とかされているんですけれども、人件費を助成するような制度はございませんか。

蒲生政府参考人 地域のディマンド交通等の生活の足に関します補助でございますが、それに関しましては、運行費の補助をしておりますので、そういった意味では、運行費に関しましては必然的には人件費も入っていくというふうに承知しております。

田村(貴)委員 去年の質問でも、わざわざコンパクト・アンド・ネットワーク、こういうふうに位置づけているわけですね。コンパクト・アンド・ネットワーク。だったら、バス路線のディマンド交通の整備についてしっかりと取り組んでいただきたい。内閣府としても独自の取り組みが求められるのではないかなというふうに私はお尋ねしたところであります。

 せんだって、都内で、小さな拠点についてのフォーラムが開かれました。大臣御存じだと思います。小さな拠点形成にかかわりの深い有識者の方から、まずはネットワークで集落を結ぶことが絶対的な条件、そういうふうに強調されておられました。

 今ちょっとお話を進めてきたんですけれども、石破大臣、やはり、実態把握の面でも、それから予算額の面でも弱いんじゃないかな、制度改善の面でもおくれているんじゃないかな、率直に思いました。御認識を伺いたいと思います。

石破国務大臣 小さな拠点というのを進めてまいる上において、ネットワークというのは極めて重要な役割を果たすと思っております。それがないと小さな拠点の意味がないので、小さな拠点をつくっても、集落へ行けなければどうにもなりません。そこにおいて、実態を把握するべく私どもとしても努めてまいります。

 あわせまして、これはディマンドバス、ディマンドタクシーのほかにも、あるいは自動走行、これはまだレベルを上げた実証実験中でございますが、自動走行のバス、自動車でありますとか、あるいはドローンでありますとか、いろいろな先端的な技術というのはむしろそういう過疎地、地方において活用の余地があるのではないかと思っております。

 委員が冒頭御指摘になりましたように、そこにおいて安全性が最大限確保されねばならないのは当然のことでございますが、実態把握とともに、ディマンド交通の普及とともに、あわせて、そういうような先駆的な技術というものも取り込んでまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 自動走行バスが出てくるとはちょっと思わなかったんですけれども、やはり山間地ですね。そして、人里離れたところの集落から町中に出ていく。小さな拠点で用足しに出かけていくといったときに、これは人と人との触れ合いが基本であるというふうに私は思っていますので、やはり、実態把握の面、予算額の面、制度改善の面、今三つお伺いしましたけれども、全く進んでいないし、納得できるものがないといったところで、大きな改善、そして制度の促進をお願いしたいというふうに思います。

 次に、小さな拠点の方について質問をいたします。

 総合戦略二〇一五改訂版においては、小さな拠点について全国で一千カ所、地域運営組織の形成が三千カ所、地方版総合戦略の集計をもとに五カ年の国の目標、KPIを定めました。一方で、国土交通省の国土のグランドデザイン二〇五〇では、集落六万五千戸に対して、小さな拠点は約五千カ所と示されているところであります。

 小さな拠点が千と五千という数字があるんですけれども、五千カ所をめどとする、この考え方は維持されていくんでしょうか。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年七月に国土交通省が取りまとめました国土のグランドデザイン二〇五〇でお示しいたしました五千という小さな拠点の想定箇所数でございますけれども、これは、現在の全国の過疎地域におきます集落の数、市町村役場及び支所、出張所の数、過疎地域にある小学校の数などを勘案いたしまして、仮に現在の状態で小さな拠点を全国に設置すると想定した場合の数の規模感をお示ししたものでございまして、具体的な目標として設定したということではございません。

 したがいまして、昨年十二月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一五改訂版におきます目標数とは性格が異なるものというふうに認識してございます。

田村(貴)委員 今、一千というのが決まっているんですけれども、五カ年計画でふやしていく、その最終地点が五千ということではないんですか。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの千といいますのは、二〇二〇年までの目標というふうに認識してございますけれども、当然、それで終わるというものではないと認識しておりますけれども、五千が最終目標かということになりますと、私どもはそういう意図で五千という数字を算出したものではなく、あくまで数の規模感として大体どのぐらいかということをお示しするために五千という数字を出したということで御理解いただければと思います。

田村(貴)委員 規模感ということですね。

 国土のグランドデザイン二〇五〇、二〇一四年七月、国土交通省の文書ですけれども、次のように書かれています。「中山間地域から大都市に至るまで、コンパクト+ネットワークにより新たな活力の集積を図り、それらが重層的に重なる国土を形成する」「まず、サービス機能の集約化・高度化を進め、交通及び情報ネットワークで住民と結ぶとともに、その後、一定の時間軸の中で、誘導策等により居住地の集約化を進める。」とされています。

 「一定の時間軸の中で、誘導策等により居住地の集約化を進める。」と書かれているわけです。読みようによっては、小さな拠点も集約化の対象となってしまうのではないかなと思うんですけれども、集約化してしまうんですか。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年七月に国土交通省が取りまとめました国土のグランドデザイン二〇五〇におきます御指摘の記述でございますが、こちらの方は、国土構造、地域構造の全体的な方針でありますコンパクト・プラス・ネットワークの概念を説明した文章でございます。

 その後、平成二十七年八月、昨年の八月でございますが、閣議決定されました国土形成計画全国計画におきましては、居住地のあり方につきまして、都市地域と集落地域とに分けてきめ細かく記述しておるところでございます。その中では、集落地域におけるコンパクトとは、「防災上の必要性や地域における合意がある場合等は別として、居住機能の集約までを本来的な目的とするものではない。」と記載してございます。

 したがいまして、いわゆる集落地域におきましては、防災上の必要性や地域における合意がある場合等は別といたしまして、居住地の集約化を進めるべきという認識には立ってございません。

田村(貴)委員 新しい文書が出た、その中ではちゃんと位置づけていると。

 そうすると、グランドデザイン二〇五〇の、誘導策等により居住地の集約を進めるというのは、非常に誤解を与えますよね。余りよくないと思います。六万五千の集落は維持して小さな拠点をつくっていく、そういうことに変わりはないですね、確認です。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにそのとおりでございます。

田村(貴)委員 次に、内閣府地方創生推進室にお伺いをしたいと思います。

 小さな拠点づくりの手引というのがありまして、この中では、「住み慣れた地域で暮らし続けるために」というふうに記されています。集落を維持していくとかじゃないんですね。集落を維持するためになどのはっきりした表現がないわけなんですけれども、集落の維持は、小さな拠点の前提であると思います。

 集落の維持ということが前提になっているかという確認の質問なんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話ありました、「住み慣れた地域で暮らし続けるために」という小さな拠点づくりの手引は、将来にわたり集落が維持するという前提のもとで、その集落で持続的に暮らし続けていくための取り組みを進めるための手引ということでつくらせていただいているものでございます。

田村(貴)委員 石破大臣もよく御存じの、島根県の雲南市、山形県の川西町、小さな拠点の先進事例として紹介されています。学校もなくなった寂しい地域などを、小さな拠点をつくって、そして再生していこうという取り組みであります。住民や自治体の努力が始まっていることは非常に大事ではないかなというふうに思います。

 石破大臣は、三月一日の記者会見で次のように述べておられます。町村合併で合併されてしまった側の町村において、相当行政の能力が落ちている、そして、そこで急激な人口減少が進んでいるのは否めない事実であると述べて、地域運営組織の必要性を強調されました。

 大臣が市町村合併の結果についてこのように述べたことについて、私は重要であると思いますし、それから注目させていただきました。大臣、平成の大合併がもたらした一つの教訓というふうに捉えていいんでしょうか。

石破国務大臣 数字として事実ですので、そのように申し上げたところであります。

 ただ、何でもそうですけれども、物事には光と影がございまして、合併をしたからこそ得られたメリットというのも当然ございますが、私の選挙区を見ておりましても、合併されちゃった町村、ましてやそこの集落になると、相当に行政の光が当たりにくくなっているなというのはあります。それは、合併そのものがそうであったのか、合併に伴ういろいろな諸制度の運営がなお改善を要する点があるかといえば、それは私は後者ではないかというふうに思っております。

 先ほどの雲南市でもそうですし、あるいはそのほかの地域でもそうなのですが、市町村合併をもとへ戻すという話には全くなりませんものですから、そこにおいて、ミニ役場的なという言い方を使われる方もありましたが、どうやって集落の、いろいろな地域の方々に行政の光が当たるようにするかということは考えていかねばなりません。

 合併の教訓というのは、この合併そのものが、本当にしてよかったねというふうに思ってもらえるためにいかに知恵を出すかということで、そこのところがややフリーズをしておった場面があったのではないかと思います。

田村(貴)委員 地域運営組織を探求するのであるならば、やはり、町村合併によって行政能力が低下し、大臣が言われる急激な人口減少に至った、そこのところは、やはり教訓、反省点としてしっかり分析することが必要ではないかなというふうに思います。

 私は、九州のいろいろな自治体を訪ねて、合併が大きく進んだ例えば大分県であるとか長崎県であるとか、市役所に行って担当者の方からお話を聞くんですけれども、総括があるところもあります。ただ、デメリット、メリットを含めて総括がない。吸収された町やあるいは島なんかはどうなっていたのか、人口がどういうふうに動いているのかということを聞いても、ぱっと返ってこないところも結構あります。

 私は、ちょっとお考えが違うかもわかりませんけれども、やはり、行政能力が低下した、人口減少を招いた、そして何とかしなければならない、またもとの姿に戻すことができないんだったら、何でこういうことになってしまったのかといったところの反省があるんだったら、ちゃんとそこは教訓として論議すべきだというふうに思うわけなんですけれども、いかがでしょうか。

石破国務大臣 そのとおりです。

 私、自分の先見性をこんなところで申し上げるつもりもございませんが、麻生内閣で農林水産大臣をいたしておりましたときに、地域マネジメント法人というのがつくれないかということで、地域の実態を把握する、そして法案の条文を書くという作業を始めました。それは、私が先ほど申し上げた鳥取市の大合併の例がどうしても強烈に私の中にあったからでございます。

 そこにおいて、私は、JAというのが大きな役割が果たせるのではないかと思いました。それは、協同の理念というのは、一人は万人のために、万人は一人のために、そういう理念でございますので、合併になってしまったんだけれども、例えば、JAであるとか、ユニバーサルサービスを維持する郵便局でありますとか、あるいは土地改良でありますとか、社会福祉協議会でありますとか、そういう社会インフラがまだ残っているはずだと。そういうものをいかなる形で活用して地域マネジメント法人というものがつくれるかということを努力したのですが、時間と私の能力が足りなくて、具現化には至りませんでした。

 もう一度そういうものをやってみたいと思っておりまして、今有識者の方々にも御議論をいただいておりますが、それが、NPOがよろしいのか、あるいは株式会社がよろしいのか、合同会社がよろしいのか。どういう形で地域マネジメントの組織というものをつくることができるか、それに対してどういう財政支援ができるか。もちろん総務省あるいは国土交通省において随分議論されたことでありますが、地方創生の観点から、両省にも加わっていただいて議論をさらに詰めてまいりたい、そして結論を得てまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 先ほど大臣は、合併してよかったねというふうに言えるように、そこが大事じゃないかなと言われたんですけれども、合併していいことなかったねというのも結構ありますよね。それは、一つの役所、役場がなくなるということは、お金の域内循環、地域循環というのが一つなくなってしまうわけなんですね。そこで相当な商いがあった、人の出入りがあった、それがぱっとなくなったわけなんですからね。

 私は、地域の再生で、地域経済循環を絶対に破壊してはならない、それがやはり平成の大合併の一つの教訓、反省点ではないかなというふうに思っているわけであります。いろいろな先進事例が出てきましたので、地域運営組織は、視察もさせていただいて、また論議をさせていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 次は、いわゆる地方消滅論、増田レポートについて、大臣のお話をちょっとお伺いしたいなというふうに思います。

 人口減少、少子化問題とのかかわりで、地方創生論のいわゆる議論のはしりとなった、地方消滅、増田レポートであります。増田氏の主張では、二〇一〇年から二〇四〇年にかけての、若年女性、二十歳から三十九歳の人口減少率が五割を超える八百九十六自治体が消滅可能性都市に当たり、さらに、二〇四〇年に人口一万人未満、推計の五百二十三自治体については消滅可能性が高いとしている、そういう主張であります。

 読んで私もショックを受けたんですけれども、人口一万人以下の自治体というのは、今でも五百はあるんですね。自治体の人口が一万人を切ればなぜ消滅可能性が高いとなるのか、これは甚だ私は疑問であります。

 最初に総務省の方にお伺いします。

 人口が減って、なくなった自治体というのはこれまであるんでしょうか。自治体が名前を返上する、自治体がなくなるというのはどういうときを指すんでしょうか。よろしいですか。

宮地政府参考人 お答えを申し上げます。

 市町村の廃止を伴う廃置分合ということになろうかと思いますが、この市町村の廃止を伴う廃置分合につきましては、地方自治法の第七条にその手続の規定がございまして、関係市町村の議会の議決を経た上で行われました申請に基づいて、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経て定めることとなっております。

 これまでの状況ということで、所管をしております地方自治法の施行後の状況についてお答えを申し上げますと、それぞれの廃置分合の理由につきましては種々あると思われるところでございますが、いわゆる他の市町村との合併であります編入やあるいは新設を伴わないで、市町村の廃止だけが行われたという例は承知をしていないところでございます。

田村(貴)委員 地方においては、長く、人口減それから高齢化は続いてきたわけであります。しかし、人がいなくなったからといって消滅した自治体は、今御答弁あったように、ないわけであります。それを、固有の自治体名がつけられて、あなたのところは消滅可能性が高い、消滅してしまうのではないか、そう言われたら、やはりびっくりしてしまうものであります。

 政府はそうではないと思いますけれども、確認のために質問をさせていただきます。政府も、地方消滅の立場をとられるんでしょうか、地方消滅論の立場をとられてきているんでしょうか。これはちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 それは消滅可能性ということを増田先生はおっしゃっておられるのであって、それは言葉が、消滅という言葉がなかなかセンセーショナルというか刺激的というか、でも、問題はこういうことだと思うんです。

 百年先とか二百年先とか三百年先とか、そういうことは非常にイメージしにくいです。日本全体と言われてもイメージしにくいです。私は増田論文というのを最初に読んだ一人のつもりですが、あそこのユニークというか説得力のあるところは、日本にあるそれぞれの市町村、基礎自治体の二〇四〇年という、その当時の勘定からいえば二十六年後だったと思います、今からいえば二十四年後になりますが、二〇四〇年の二十代、三十代の若年女性の数はどうなりますかというところから論を起こしているところに、私は大きな説得力があると思っております。

 それから、委員も御案内のとおり、これから先の日本が迎える人口急減期というのは、恐らく人類が今まで経験したことのない規模とスピードで起こるのであって、今のままいくと、西暦二一〇〇年には日本の人口は半分以下になる。二百年後には十分の一になる。三百年後には日本人は三十分の一になる。この計算をずっと続けると、西暦二九〇〇年には日本人は四千人になり、西暦三〇〇〇には千になる。コンピューターにかければそう出てくるわけで、これはやはり消滅という言葉、国家消滅と言ってもいいです。そういうような事態なのではないだろうかと思います。

 増田先生が言いたかったのは、そういう世の中を驚かせて恐怖に陥れてということではなくて、こうならないためにどうするかということでございます。

 ですから、委員が多分よく御認識の島根県の邑南町というのがございますが、そこの町長さんがおっしゃるのは、一生懸命努力をした、そうすると移住者がふえ、高齢化比率は社人研の予測よりも低くなったということでございます。

 ですから、そうならないためにどうするかということを皆で考えるのであって、何も悲観論に立ったり、おどかしをしたりというようなつもりは政府はございません。

 しかしながら、基本的な考え方は、増田先生と少なくとも私は軌を一にするものでございます。

田村(貴)委員 創成会議の悲観的な未来と対照的に、邑南町の人口減少への取り組みが邑南町からは報告されているというのも事実なんですよね。

 大臣もやはり、二十年後、三十年後、百年後、このままいけばといったところの話をされるんですけれども、悲壮感で悲観的な話ばかりでは解決しないというふうに思うわけであります。

 それと、増田レポートは一つの問題があります。なぜならば、二〇〇五年から二〇一〇年の国勢調査の人口動態、社人研の推計をもとにシミュレーションをしているということです。

 これはもうよく御存じだと思うんですけれども、いわゆるこの創生特委員会があるし、地方再生とかそういう議論がまだないときの数字であります。

 それから、東日本大震災が起こる前のデータを使っています。この間も私、東京一極集中のときに大臣にグラフをお見せしたんですけれども、社人研の予測と東京都の予測と民間団体の予測は大きな差がある、それはとっている人口の幅が違うからだというお話をしました。ですから、推測するには少し古いデータを使っているということであります。

 また、東日本大震災、原発事故を受けて、国民の中に地元志向、田園回帰といった意識も出てきました。

 加えて、今いみじくも大臣がおっしゃったように、島根県の中山間地や離島での人口定着あるいは出生率向上などの地道な努力、そして成果が得られているということもありました。

 こうした変化が捉えられていないといったところはやはり大きな問題ではあると思うんですけれども、軌を同じくするとおっしゃったけれども、大臣はいかがでしょうか。私はそう思うんですけれども。

石破国務大臣 今委員の御指摘は、増田先生もよく認識をしておられるところであります。ですが、そういうところが、少しデータが古いとか、東日本大震災前のものであるということですが、そのことがあったとしても、増田論文の正当性は私はいささかも揺らぐものではないと思っております。

 増田論文というものを見て、自治体によっては、もうこんなところにはいられないみたいな議論が沸騰したところもあるんでしょうけれども、そういうのはないとは私は言いませんが、しかし、自治体によっては、今御指摘の邑南町であるとか、あるいは海士町もそうでしょう、あるいは雲南市もそうなのでありましょう、あるいは、島根県に限らず、全国にそんなお話はいっぱいあります。逆にこれをばねとして、消滅してたまるか宣言みたいなことをやっているところもたくさんあるわけでございます。

 要は、物事をきちんと冷静に見て、どのようにしておのれを鼓舞するか、そして行政はそれに対して、国の行政もどうやって支援をするかということであって、決して悲観論に立っておるわけではございません。

田村(貴)委員 でも、大臣からはどうしても何か悲観論が聞こえてくるような感じがするんですよね、本会議でも百年後と言われたので。

 島根県の邑南町も、予測に反して、人口の社会増が三年連続達成していますよね。それから、宮崎県の西米良村というところ、九四年、当時の厚労省の人口予測で二〇一〇年に七百四十八人になるというふうにされていたんですけれども、二〇一三年に一千二百四十九人にふえて、維持されているということです。村民の幸福度を上げること、これが村づくりの結果だというふうに村長はおっしゃって、山をおりる人が減ったというふうに言われています。

 機械的に、血も涙もない人口シミュレーションを聞くよりも、こういう話を聞く方が、よし、やってみようじゃないかと自治体も前に進むのではないかなと思うわけです。

 私はやはり、自治体職員とか、そこに住む住民の方に諦め感が広がってしまうのが一番いけないというふうに思います。人口シミュレーションというのはコンピューターがはじきます。それは、ある意味ではかなり乱暴なアイテムではないかなというふうにも思います。

 少なくとも、消滅という言葉は使うべきではないし、消滅論の立場はとっていないと政府からは回答がありました。人口シミュレーションで自治体が焦ることがないように、重ねて要求させていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 何で人口が減ってくるのか、この要因をしっかりと分析する必要があると思います。社会的な要因の分析を持たずして、この問題は解決できません。その一つは、私は雇用問題であるというふうに思います。

 この間から東京圏の一極集中の問題を議論しているわけでありますけれども、仕事がある、そこでの給料が高いとなれば、人はおのずとそちらの方に流れてまいります。特に不況においてはそうであります。

 ここでは最低賃金の問題を取り上げたいというふうに思います。

 私がいます福岡県の最低賃金は、時給七百四十三円であります。福岡であっても、全国加重平均の七百九十八円よりも五十五円低いということです。ほかの九州の六県は六百九十三円か六百九十四円で、これは最低賃金の中でも一番最低のランクにあるわけであります。鳥取県も六百九十三円ではないかなというふうに思います。

 この認識について、大臣、いかがでしょうか。やはり賃金が高いところに行くと思うんです。この間、我が党の議員が予算委員会でも質問したんですけれども、橋を渡って隣の自治体に行ったら給料が高い、同じこちらのコンビニと向こうのコンビニで時給が違うんだったら向こうに行くと、わかりやすい話をしていました。

 例えば佐賀県の鳥栖市というところは福岡県と隣接しているんですけれども、行き来がしやすいですよね。そうすると、どうしてもやはり福岡に行って働いてみようじゃないかという意識が働いてくると思うんですけれども、この最低賃金と雇用、そして地方の問題を考えるときに、大臣はどういう御所見を持っておられるでしょうか。

石破国務大臣 政府といたしましても最低賃金の引き上げは重要であると考えており、三年連続で合計五十円の引き上げを行ったところであります。政府として、最低賃金について、年率三%程度をめどとして引き上げ、これにより全国加重平均が千円になるということを目指しておるわけであります。

 ですから、これが全国加重平均でありますので、委員の御指摘は、多分、加重平均ではなくて、鳥取県だろうが鹿児島県だろうが山形県だろうが、とにかく千円だというお考えだと承知をいたしております。ただ、そうなった場合に、その地域地域のいろいろな状況が反映をされないのではないかという御批判もありまして、最低賃金額を全国一律とすることをKPIと思って取り組むべきではないという考え方もあるわけです。政府は、どちらかといえばそういう立場に立っております。というのが政府の立場であります。

 ですから、確かに、委員御指摘のように、川を渡ったらばそんなに状況も違わないのに最賃が違うのは変ではないか、そうしたら高い方に行くでしょう、そのとおりであります。

 では、鳥取県と東京、それから福岡県と鹿児島県、一緒でいいかというと、そこはやや違和感があるのではないだろうか。

 そこで、委員も聞いておられると思いますが、最低賃金千円なんかにしたら経営できなくなっちゃうよという中小企業の方々も大勢おられるわけです。そうであれば、いや、それでいいと、そこで雇用の流動性が起こり、より労働環境のいいところに人が移っていくからそれでいいのだという所見も世の中にはございます。

 私自身、そこはまだうまく整理をできていないところでございますが、とにもかくにも、現状として加重平均が千円になることを目指すというのが政府の立場でございます。

田村(貴)委員 東京と地方と条件は違うという議論はあるんですよね。例えば東京におりますと、やはり公共交通機関が物すごく発達していますので、マイカーも乗らなくていい。しかし、地方に行きますと、必ず車は生活の必要手段になってくる。この維持経費なんかを考えたら、やはり東京はお金がかかるという言い方は一概には言えないのではないか。それから、家計消費、支出についても、あるいは大都市の方が低くて地方の方が高いというデータもあるわけなんです。

 大臣の方から言われたんですけれども、私たちはやはり全国一律の最低賃金を果たすべきだというふうに思いますし、それが中小企業にとって無理だというのは重々知っています。だからこそ政府の出番だ、行政の支援が必要ではないかなということであります。そのことは強く要求させていただきたいと思います。

 もう一つは、やはり正規化を図らなければいけないということであります。

 内閣府の結婚・家族形成に関する調査報告書、平成二十二年度を読ませていただきました。男性は収入が低いほど既婚率は低く、年収三百万円未満の三十代では九・三%、五百万円から六百万円の三五・三%の約四分の一という状況であります。所得があって生活が安定してくると結婚もできるというような指標でありますけれども、やはり地方創生を論じるときに重要なテーマだというふうに思います。

 非正規雇用をなくして正規雇用をふやしていく、政府の目標でもあるんですけれども、どうやって加速させていくのか、最後に大臣にお答えいただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 それは、やはり若い方々の生活を安定させる、より高い収入とともに、よりよい雇用環境というものを実現するために、非正規というものを減らし正規職員をふやすということをやっていかなければいけないと思っております。これは、労働者の方々あるいは企業の方々、それぞれの思いがあろうかと思いますので、そこを捨象して議論することはできませんが、基本的な方向として、非正規を減らし正規をふやすということは政府として取り組んでいかなければならないことであります。

田村(貴)委員 時間が来ました。また次回、議論させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次回は、明十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十六分散会


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