衆議院

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第11号 平成28年4月22日(金曜日)

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平成二十八年四月二十二日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 山口 俊一君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    うえの賢一郎君

      江藤  拓君    大野敬太郎君

      勝俣 孝明君    神田 憲次君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    野中  厚君

      鳩山 邦夫君    平井たくや君

      細田 健一君    牧島かれん君

      宮川 典子君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    青柳陽一郎君

      緒方林太郎君    柿沢 未途君

      吉良 州司君    寺田  学君

      福田 昭夫君    角田 秀穂君

      樋口 尚也君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君    椎木  保君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          石破  茂君

   内閣府副大臣       福岡 資麿君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   農林水産大臣政務官    加藤 寛治君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 中村裕一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          佐々木 基君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           持永 秀毅君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    北村  匡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 志村  務君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 重田 雅史君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     うえの賢一郎君

  谷川 とむ君     宗清 皇一君

  福田 達夫君     神田 憲次君

  宮川 典子君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    菅原 一秀君

  神田 憲次君     福田 達夫君

  細田 健一君     井林 辰憲君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、内閣府大臣官房参事官中村裕一郎君、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久君、農林水産省大臣官房審議官山北幸泰君、国土交通省大臣官房審議官持永秀毅君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省水管理・国土保全局水資源部長北村匡君、国土交通省鉄道局次長志村務君、国土交通省航空局次長重田雅史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 本日は、国家戦略特区法改正案について御質問をさせていただきます。

 まず、全体的な話をさせていただきたいんですが、今回の特区法案には、大きく三つのセンシブルな論点があるだろうというふうに思っております。一点は、株式会社の農地保有です。次に、自家用自動車による観光客らの有償運送です。三つ目に、いわゆる薬剤師による遠隔での服薬指導であります。

 これらは、いずれも、今回の特区、地方創生という絡みから初めから出てきたものではない、もともとは、政府の規制改革会議あるいは産業競争力会議というところで、いわゆる急成長している企業といいますか、そういう元気のいい企業の方から、日本全体の国家戦略の中で、あるいは経済的な、経済成長を求める中でこういうことをやってくれという声が出て、いろいろあって、反対もあって、では特区でというふうになってきたものだというふうに認識しております。

 そうすると、これは単に特区の問題ではなく、最終的に全国展開を視野に入れたものであると言わざるを得ない。今法案はいわゆるアリの一穴として用意されたものであるということを、これは賛成する側も反対する側もそれぞれがそういう認識を持って臨んでいるということだと思っております。そうしますと、なかなか、これは過疎地に限定したんだからいいじゃないかというだけのことを言っていられない。

 もともと、私は、いろいろこの間の規制改革の動きについては、どうも疑問を持っている。

 といいますのは、例えば、これは二種免許の話ですけれども、二種免許がなくて有償運送ができるというようにするのであれば、そもそも二種免許は要らないんじゃないかということで話をしなきゃならない。薬剤師の服薬指導が必要ないというのであれば、これはいわゆる薬のネット販売の話から始まってきたと思うんですけれども、薬のネット販売でテレビ電話越しにやっているんだからいいじゃないかということであれば、町のいわゆる薬局さん、調剤薬局さんにも基本的に薬剤師は置かなくていい、そこにテレビ電話が置いてあって、別にそこでやってもらえばいいんだということでなければいけない。

 それを、何か、ある意味制度のすき間を使って、あるいはゆがみを残したままで、それを活用して一部の人だけがもうかるというような流れになってはいないか、こういう問題点を持っているわけであります。

 さて、まず、株式会社の農地保有について伺います。

 これまで、農地所有適格法人という要件に当てはまらなければ土地を保有できなかったというものでありますが、今回は、この特区の対象地域であれば株式会社が農地を持てる、こういう仕切りになっております。

 今回の解禁を突破口として、全国的に株式会社の土地解禁を進めるということになり得る可能性はあるのかどうか、あるいはならないというふうにこれは断言できるのかどうかを農水省に伺いたいと思います。

加藤大臣政務官 宮崎委員にお答えをいたします。

 今回、国家戦略特区で企業の農地所有を認める特例を講じることとしておりますが、これはあくまでも試験的に行うものでございます。

 具体的には、企業が農地として利用しなくなった場合の確実な原状回復措置を講じた上で、国家戦略特区の中でも一定の要件を満たす地方公共団体に限定をしまして、また、期間も五年間ということに限定をして実施することといたしております。

 法案が成立をしたとしましても、五年間の期間が経過した後はこの特例もなくなるわけでありますが、その後の取り扱いについては、現時点では何も決まっていないということでございます。

宮崎(岳)委員 この法案が試験的なことであるというのは当たり前のことです。この法案で試験をした後、その試験の結果として全国的にこれを認めることがないのかどうかということでありますが、今のお答えでいうと、このことについては何も決まっていない、つまり、やるかもしれないしやらないかもしれない、そういう理解でよろしいんですか。

加藤大臣政務官 先ほども申し上げましたように、法案が成立いたしましても、五年間の期間というのが経過した後はこの特例もなくなるわけですから、その後の取り扱いについては、現時点では何も決まっていないということであります。

宮崎(岳)委員 非常に苦しい御答弁だと思うんですが、つまり、この法案がうまくいけばやるかもしれないという趣旨ですよね。もちろん、この法案でじゃないですよ、ほかの法案をつくって、特区じゃないですから。私どもはこの点について大変危惧を持っているということであります。

 今回、農地所有適格法人というのを改正法で施行されて、これまでの農業生産法人から変わって規制が緩和された。

 その内容によりますと、株式会社は非公開会社に限るというようなことで、売上高は、これまでどおり売上高の過半が農業である、ただし販売、加工等を含む、こういうことになっております。

 構成員は、農業関係者が二分の一以上、そして農業関係者以外の構成員が二分の一未満、そして役員または重要な使用人、これは農場長等のうちということですが、一人以上が農作業に従事をしている、こういう話であります。

 株式会社が農業に参入するといっても、本社で必ずしもやるわけじゃなくて、多分、農業子会社みたいなことをやるんでしょう、大手の企業は。そうすると、真面目に農業をやっていれば、これは決して満たすのが難しい要件ではないと思うんですね。正直、もし本気で農業をやるのであれば、これを満たすということはできる。

 そうすると、では、これができなくて、株式会社が土地を持たなきゃならない、しかも、今リースができるのに、リースじゃなくて土地を持たなきゃならないというのは、どういうニーズがあるのかというのがよくわからないんです。

 私たちが問題にしているのは、農地法というのは農地の乱開発等を防ぐということが大きな問題であって、例えば農地を買って、そこの線引きを変えて転売をするとかそういったことがないのか、こういったことです。今回の法律の仕組みではできないのかもしれませんけれども。

 実際に、農地を持とうとする側の発想で考えれば、なぜ農地を持たなきゃならないかという理由が余りないんですね。一つは、やはり転用とか転売というものを見越して持つとか、あるいは節税対策で、黒字が出た場合に土地を買って黒字を減らすというところで取得をするとか、あるいは将来的に規制緩和を見越して、青田買い的に土地を持っておくとか、こういう直接農業の発展に関係しないものしか、頭の中でシミュレーションしてみても思い浮かばない。結局、不動産業として土地を、農地を保有しようとしているんじゃないかという疑いが否めないんですね。

 ですので、今制度のニーズはどこにあるのかということ、これを農水省の方からお答え願えますでしょうか。

加藤大臣政務官 今回の国家戦略特区における企業による農地所有の特例におきましては、特例を受ける個々の企業が所有権の取得を必要とする理由について公表をすることとしております。企業に具体的にどういった所有のニーズがあるかを見きわめるとともに、また今回の試験的事業の目的と考えておるところでございます。

 なお、今回の特例を用いて農地の権利を取得する場合においても、企業は、農地法第三条第二項第一号の要件を満たす必要がございます。また、企業は、取得する農地の全てを効率的に利用して耕作または養畜の事業を行わなければならないとされておるところでございます。

 そしてまた、今回の特区における特例措置においても、許可をするのは、企業が地方公共団体から農地の所有権を取得する場合に限定をして、企業が農地を適正に利用しない場合には、農地の所有権を企業から地方公共団体に移転する旨の書面契約の締結を義務づけておるところでございます。

 こうしたことから、企業が農地転用や転売しようとするなど問題があった場合には、地方公共団体が所有権を取り戻して、確実に原状回復できることとなっているところでございます。

 したがって、今回の特例は、御懸念の不耕作目的の農地取得を防止できるものと考えておるところでございます。

宮崎(岳)委員 委員長、定足数を満たしていないようですので、時計をとめていただけますか。

山本委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山本委員長 それでは、速記を起こしてください。

 宮崎君。

宮崎(岳)委員 ちょっと定足数が満たないということで中断をいたしました。

 どうも、今の話を聞いていても、こういうニーズがあるという具体的な話が一個も出てこないですね。本当に、申請してきた企業からどういうニーズがあるのか聞いてみよう、こういうお答えです。

 私は、これはちょっと、法律をつくるということでは、余りに詰めが甘過ぎるんじゃないか。当然、こういうニーズがあるということで、いろいろ意見を聴取したり、その結果として、こういう法律で今度は実証実験してみようというのならわかりますけれども、何もわかりません、ただ聞いてみましょう、そんなことはやはりあり得ないんじゃないかというふうに思います。

 先ほどの話もそうですけれども、将来的に農地を、株式会社にその保有を解禁して、普通の宅地や山林等と同じように自由にするということなのかどうか、あるいは、そういうことはやるべきではないというお考えなのか。そこについてもう一度、加藤農林水産大臣政務官から端的に、短く御答弁いただきたいんですが、いかがですか。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 今回の措置というのは、先ほども申し上げましたけれども、企業がどういう所有のニーズがあるのかを見きわめるということも、今回の試験的に事業を行う目的というふうに考えております。

石破国務大臣 今農水政務官からお答えをしたとおりでございますが、企業が農地を保有したからといって、今回の仕組みも、もちろんそれが農地以外の用に供するということができないように、ありとあらゆる方策は講じているものでございます。

 当然、委員御案内のように、所有権は絶対でございますので、利用形態としては一番広範なものを有しております。リースでだめなのかという御議論は前からあるものでございますが、やはりリースの場合に、その契約を延長するということにおいて一定の条件がかかっておりますので、所有権の方がより広範に、長い期間、いろいろなことが可能になる。

 しかし、それは、農地を農地として使用するということは絶対原則でございますので、これを実証的にやるものでございますが、将来的に、そういうことで農地が自由に、宅地になったり、あるいは甚だしきはごみ捨て場になったりということは、それは絶対にあってはならないことだと考えております。これから先、試験的に行うものですが、そういう本来農地があるべき姿というものがこれから先変わるということは、法律以前の問題として、あるべきことだと私どもは考えておりません。

 しかし、企業が農地の所有権を持つということによって、新たな事業の展開というものはあるのではないだろうか。企業は利益を追求するものでございますが、それが常に転売とかそういうことで利益を得るのではなく、まさしくこれから先、農業を利用していかにして利益を得、農業者の所得を増しということは、私ども政策として追求していかねばならないものだと考えております。

 農地を不適正に使用するということは、今後もございません。

宮崎(岳)委員 今の石破大臣の話、わからぬでもないんですね。農地を持った方が、より自由な使い方ができる、あるいはより長期的な視野でできる。しかし、そういうことであれば現在の農地所有適格法人でできるんじゃないですかというのが、今回の法案の趣旨であります。

 はっきり言って、今回の流れを見ると、どうも農業というよりは、農地を転用してあるいは転売して開発して、違う意味でもうけたいという思惑がどこかに働いているような気がしてなりません。今回の法律ではそれなりに手当てしていると思いますけれども、そういうことが絶対ないようにお願いをしたいと思います。

 二点目に行きます。自家用自動車による観光客らの有償運送についてであります。

 これも冒頭述べたとおり、アリの一穴として用意された規制改革会議や産業競争力会議での論点を出発点として、ある意味、全国的に展開するということを視野に入れたものと言わざるを得ない。

 ライドシェアというものが非常に話題になりましたけれども、政府の中にも、こういうライドシェアをやって東京オリンピック・パラリンピックの外国人観光客の需要を満たすというような意見をお持ちの方も一部にはいるようであります。これを踏まえて質問いたします。

 今回の制度は、交通空白地域を埋めるためということで言われておりますが、全国でこの交通空白地域というのに該当するような地域というのは、特区以外も含めてどの程度あるのか、どの程度の場所がいわゆる過疎地などの交通空白地域と言えるのかということについてお伺いをしたい。

 そして、今回の解禁を突破口として、これを全国的に全面解禁するという可能性はないのかどうか。ないならないで、断言していただきたいと思います。宮内国土交通大臣政務官、よろしくお願いいたします。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 今回、特例措置として新たに導入をしようとしております自家用自動車の活用拡大につきましては、一つの市町村の区域内における訪日外国人を初めとする観光客等の輸送を主な目的とする有償運送を、安全の確保、利用者の保護等を十分に図った上で、自家用車により行おうとするものであります。

 この特例につきましては、法文上、バスやタクシー事業によることが困難である場合に限って認められるということとされております。よって、この特例における事業は、過疎地域その他の交通が著しく不便な地域においてのみ行われるものと考えております。この特例が認められる地域の数をあらかじめ定めるというような性格のものではないというふうに考えております。

 このように、今回の特例は、バスやタクシー事業によるところが困難である場合に限って認められるということとされておることから、全国どこでも適用が認められるということにはなりません。

宮崎(岳)委員 これも先ほどの農水省への質問と同じなんですが、今法案でできないのはわかっているんです。

 しかし、今法案の結果を見て、当然、これを社会実験として、この結果を見て次の展開を考えるということなんでしょうから、あるんじゃないですかということも伺っておりますし、そういうこともあり得るんだから、では、どれぐらいの地域が全国で対象になるんですか、今回の基準を満たすというような地域はどれぐらいあるんですか、バスやタクシーを利用できないような地域はどれぐらいあるんですか、こういうことを聞いているんですが、もう一度、端的にお願いできますか。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、不便な地域、過疎地域、それに限ってのことでございますので、これから新たに幾つの地域を指定するかというような想定ではありません。

 現在あるところのルールに基づく交通空白地域ということで、現在やっておる自家用有償旅客輸送についてなんですけれども、現在は四百二十四市町村が実施をしておりまして、これらのところはどういう状況になってこういうことになっているかといいますと、例えば、電車が廃線になりました、その後は路線バスになりました、また、路線バスでやったけれども、なかなか使用する人は少ないというようなこともあって路線バス自体が廃止になったようなところで、こういうようなタクシーを使っての輸送ということになっておる、これが四百二十四地域になっておるということでございます。

宮崎(岳)委員 四百二十四市町村といいますと、やはり全国の中で四分の一ぐらいですね、二五%前後、もちろんこれは住民に限ってのことでありますが、こういう仕組みは既に導入されているということであります。

 そうしますと、こういったものが全面解禁されるということになりますと、公共交通の根幹を揺るがすことになるんじゃないかというふうに私は思います。

 それで、もちろん、地域でバスがない、タクシーがない、そういう地域もあるでしょう、しかし、例えば、タクシーに公的な補助を行うとか、市町村が委託を行うとか、デマンドバスを使うとか、あるいはどうしてもできないところは無償運送で対応するとか、そういうやり方は幾らでもあるんじゃないかというふうに思うんですね。

 かつ、例えば、今回の仕組みもそうなんですが、もともとこの自家用自動車による有償運送は、第二種運転免許の取得を義務づけていない、これは非常に問題であるというふうに私は思います。

 第二種免許というのは、昔は難しくて、多くの方が取れるものではなかったんです。しかし、その後、解禁をされて、解禁というか緩和をされて、ある意味、昔に比べれば非常に取得が容易になりました。これは、運転代行という職種がグレーゾーンじゃないかという話がありまして、これをグレーからホワイトにしていく過程で、二種免許を教習所で取れるようにしたわけです。

 私の地元なんかは、公共交通が貧弱だと言われています群馬県ですが、自家用車を持っている人が非常に多い。お酒を飲みに行くにも車を運転して行くというようなことがありますから、帰りに運転代行で送ってもらうというケースが大変多いんです。

 そうすると、代行業者はたくさんいます、その中には、例えば夫婦代行といって、旦那さんと奥さんの二人で代行を営業しているような、本当に個人営業の弱小な業者さんがいっぱいあります。昼間は別のお仕事をしていて、夜、副業として運転代行をやっているような方々もたくさんいるんですよ。しかし、その方々も二種免許を取っているんですよ。つまり、これは取れるんですよ。取れるものを取らせないというのもおかしいんじゃないかというふうに思います。

 まず一点だけ、ここをお伺いします。

 二種免許を取らないでも大臣の認定の講習を受ければ有償運送のドライバーになれるということなんですが、この大臣認定の講習、期間はどれぐらいですか。

持永政府参考人 御説明申し上げます。

 自家用有償の運転をする第一種免許の保有者が必要といたします大臣認定の講習の日数でございますが、現在、一日でのコースとなっております。

宮崎(岳)委員 一日講習すればお客を乗せて走れるというんでしょう。こんなでたらめな話がありますか。

 これまでは、それでも、地域の住民が、ほかに何も、自動車がないという村人だけがその村の中で乗るんだから、万やむを得ず、仕方ないよねという話でありました。

 しかし、今回、観光客を乗せるんですよね。観光客とは書いてあるけれども、誰が観光客かは判定しないというんだから、全員誰でも乗せるということなんですよ。誰でも乗せるのに、その運転手に二種免許を取らせない、かわりに大臣認定の講習を受ければいいよ、その大臣認定の講習がたった一日だというんですよ。こんなでたらめな話は私はないと思いますよ。

 そもそも観光客を乗せるというのは、これは商売のためなんですよ。確かに、国土交通省なりは、いや、これは商売といっても実際に商売として成り立たないものなんだ、その実費をいただくだけなんだと言っていますが、観光客が行くのはどういうところですか。観光施設でしょう。観光施設は商売をやっているんでしょう。その商売をやっているところを回らせるために、車を運転して乗せてあげるわけじゃないですか。だから、これは営業の一環ですよ、広く考えれば。それをやるのに、たった一日の講習で済ませるなんというのは、これはとんでもない話。

 有償運送をさせるのに、やはり第二種免許の取得というのはもう絶対に義務づけるべきだと思います。もし大臣認定講習で十分だというんだったら、タクシー事業者もみんな大臣認定講習にして、二種免許を廃止したらどうですか。いかがですか、国土交通政務官。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、輸送の安全を確保するということは極めて重要なことでありまして、バスやタクシー事業の実施に当たりましては、その体制整備を前提として事業免許を取得するということを求めることといたしておりまして、運転者には第二種免許の取得を求めることとしておるわけであります。

 一方、近年の人口減少下におきまして、地方部を中心に、バスやタクシー事業における輸送サービスが廃止または不十分な地域が生じてきておる、そういう現状が実際にある。こういうことを踏まえまして、これらの地域において地域住民等の移動手段を確保するための例外的な措置といたしまして、平成十八年に、国土交通大臣等の登録を受けた市町村または非営利団体が自家用車を使用して有償の旅客運送サービスを行うことを認める自家用有償運送サービスが発足しているというのが現状のルールとなっております。

 今回の特例措置は、この制度を利用してということで対応しようということであるものでございますけれども、あくまでも、バスやタクシー事業を営む者がいないまたは不十分であるというその現実を前提としてこのようなことを考えてやっておるわけでありまして、まさに状況が成り立たないというようなことを前提として、今回、第一種免許取得者が国土交通大臣の認定の講習を受講することで足り得るとしているところでございます。

宮崎(岳)委員 タクシー事業者がないから、一種免許に一日講習をプラスして、お客を乗せてお金をもらって運送できるというのはやはりおかしいですよ。タクシー事業者があるないと交通の安全は関係ないじゃないですか。

 お金をもらってお客を乗せるんだから二種免許を取らなきゃならないし、それが物すごく難しい資格で、取れないというのならわかりますよ。しかし、はっきり言って、そこらの中小零細の代行屋さん、個人営業の方々だって、別に普通に取っているわけだから、市町村の職員にやらせるんだったら市町村がお金を出して職員に取らせればいいし、NPOがもしやるというんだったらそのNPOに市町村が補助して二種免許の免許を取らせればいいんですよ。どう考えても、私はこちらの方が正しいと思います。

 そして、先ほど宮内政務官が非営利団体にやらせるんだということをおっしゃいました。非営利団体というのは何ですか。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 今回の特例の実施主体となる非営利団体といたしましては、NPO法人、社会福祉法人等を想定いたしております。

 本特例に基づく事業におきまして旅客から収受する対価については、法令上実費の範囲内であるということとされておりまして、利潤を含めた対価を収受することはできません。よって、株式会社が今回の特例の事業の実施主体になるようなことも想定をしておりません。

宮崎(岳)委員 だから、観光客を乗せるということは、広い意味で商売のためでしょうというふうに言っているわけですよ。だって、別に観光客に来てもらう必要はないじゃないですか、地域でただ暮らすだけなら。

 地域で暮らすときに観光客に来てほしいというのは、そこでお金を落としてほしいから来てくれという話でしょう。それぞれ、自家用有償運送で、行く先々では営業しているわけでしょう。そういうところを回らせてお金を落としてもらうというためにやるわけなんだから、これは営業なんですよ。その営業の一端を収支とんとんでやればいい、こういう話であって、これを単に非営利なんだというふうに言い切っていいのか。

 きのう、私、国交省からレクを受けたときに、やれるところは例えばNPOとか社会福祉法人だという話が今ありましたが、そうではありませんでしたよ。プラスして、一般社団法人、一般財団法人、地縁団体、医療法人、社会福祉法人は先ほど言いました、生協、農協、商工会議所、商工会、そのほか任意団体。

 一般社団とか任意団体とか医療法人とかというのは、必ずしも、世間的には非営利だというふうにみなされている団体ではないですよね。それは、非営利なことをやっているところもあるし、やっていないところもある。営利事業をやっているところもある。あるいは一つの団体で非営利と営利、両方やっているところもある。しかし、持ち分の、つまり出資者への配当ができないというのはそうかもしれないけれども、これは営利事業をやっている団体ですよ。

 こういうところに任せるということは、将来的に株式会社に解禁するということにもつながるんじゃないかというふうに私は思うんですが、この法案でということではありませんけれども、これは非営利と言い切れないんじゃないかということと、これを株式会社に開放するということ、これは将来的にですけれども、これはないということで断言できるのかどうか、伺いたいと思います。

宮内大臣政務官 あくまでも非営利ということでございまして、実費の範囲内であることとされております。よって、営利目的で運送を行うことができないように担保されているものであります。

宮崎(岳)委員 質問にお答えになっていただいておりませんが、将来的に株式会社に解禁するということはないというふうに言っていただけるんでしょうか。

宮内大臣政務官 株式会社が今回の特例の事業の実施主体になることは想定しておりません。ありません。

宮崎(岳)委員 この法案ではないというだけじゃなくて、将来的にもこれは基本的にはやるべきじゃないというお考えだということでよろしいんですね。もう一度お願いします。

宮内大臣政務官 現状におきまして、株式会社が今回の特例の事業の実施主体になることは想定しておりません。ありません。

宮崎(岳)委員 ぜひその方向でしっかりお願いをしたいというふうに思います。

 それから、遠隔服薬指導について伺います。

 これも同じです。アリの一穴として、つまり、薬剤のネット販売、さらには調剤する医薬品のネット販売ということをやりたいというニーズがあって、しかしそれはさせられないという話があって、では離島や僻地ならというところで議論が始まってきました。

 先ほども同じような質問をしましたが、こういう対象になり得る地域というのは、これは特区外も含んでどれぐらいの面積があるのか。そして、今回の解禁を突破口としてこういったことが、つまり遠隔調剤、遠隔服薬指導というものが全国的に解禁されるという可能性はあるのかないのか、端的にお答えいただきたいと思います。太田厚生労働大臣政務官、よろしくお願いします。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁とほぼ同趣旨でございますけれども、今回の法案では、特例措置というものが法律上の要件に合致している場合に、それが離島、僻地というふうに定義されることになります。

 今回の特例措置においては、薬剤の使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大を防止するために必要なものとして省令で定める措置が講じられている地域を特定区域として指定することになる、こういうことでございます。

 これがアリの一穴となって全国に広がるのではないかという御指摘でございますけれども、平成二十五年の旧薬事法改正のときにも、この対面服薬指導についてさまざまな議論がございました。このときには、対面服薬指導は、薬剤師と患者の双方向で対面をして、臨機応変なやりとりを通じ適切な指導が行われることが重要という観点から、その趣旨が法文に盛り込まれたわけでございます。

 その際にも附帯決議がついておりまして、対面での服薬指導は堅持するべしということが付されておりますので、私どもとしては、今回の法案を含めて、慎重に議論をしていきたいと考えております。

宮崎(岳)委員 端的に言えば、今回の特例を拡大すべきではない、いろいろな地域に拡大していくということについては賛成ではないという趣旨かと思います。

 そういうことであれば、私は何も特定の業界を守ろうとか、その利益を代弁しようとか、そういうことで言っているわけではありません。しかし、経済的な理由だけで安全規制を揺るがしたりすることはいけないし、あるいは、もしその規制が必要ないというのであれば全面的に緩和をしていくべきであって、一部の業態の人とか一部の業者だけがもうけを得るような仕組みをつくってはいけない、こういうことを主張したいわけであります。

 それからもう一個、企業版ふるさと納税について、石破大臣に伺いたいんです。

 先ほどのいろいろな特区の規制緩和がありました。こういうのは、各地域がうちはこういう緩和をしたいというふうに申し入れて、指定をされるというようなものであります。

 そうすると、例えば、先ほどの自家用自動車の有償運送にしても、株式会社の農地保有にしても、あるいは遠隔の服薬指導にしても、正直言えば、特定の企業とかが、これをぜひやってくれという働きかけをいろいろな場で、審議会だったり、先ほど言ったような産業競争力会議、規制改革会議であったり、あるいは業界団体を通じてとか、いろいろな形で訴えているわけです。

 そうすると、こういう企業が、特区になっているような市町村に、おたくでぜひこの自家用自動車の有償運送をやってくれ、それをやってくれるんだったら、企業版ふるさと納税をしようじゃないか、そうやって全国各地に広げていくというような可能性も否定できないと思うんですね。これはロビーイング活動の一つですよ。

 確かにその企業は、その特区でやっているその事業には直接参加をしていないというような形かもしれませんけれども、政治的に意図を持って、こういう政策を広げようということでそういうところに、ある意味、対価として企業版ふるさと納税を申し込む。しかし、今、企業版ふるさと納税はその結果は公開されませんから、どこがどうやったのかというのはわからないけれども、対価として申し込むということはあり得ると思います。

 こういったことは合法ですか、違法ですか。あるいは、合法だけれども好ましくないんですか。好ましくないとも言えないんですか。いかがでしょうか。

石破国務大臣 法治国家において合法ではないことをやってはいけないのは当然のことで、それが一見、合法のように見えても、脱法行為的なものも、それは厳に慎まねばならないものだと思っております。

 委員十分御承知の上で御質問なさっておられると思いますが、経済的な利益を対価として与えることがあってはならないということは政令で定めたいと考えております。

 そういう直接の利益ではないにしてもというお話だと思っておりますが、そこは企業の名前を、これはマストではありませんが、なるべく公表するようにというふうにしないと、公正性、透明性というものに対して疑義なしとしないということだと考えておりますし、悪いことをしているわけじゃないんですから、むしろ、企業の側としては、その企業版ふるさと納税を行うことによって企業のイメージをアップしたい、陰徳を積むとかそういう話じゃなくて、アップしたいということがありますから、本来、外へ出てくるものだと思っております。

 実際、そこで行われたときに、委員御指摘のように、実は、ぐるっと回ってそういう利益を得ようとしているのではないかということに、私ども、よく注意をしていかねばなりませんし、自治体もそうだと思っております。

 企業版ふるさと納税というのは、本当に何度もお答えしておりますが、かなりハードルの高いもので、経済的利益も得られないし、株主にも説明もしなきゃいけませんし、なおかつ、地方公共団体のニーズに応えるものでなければなりません。そういうものでそういうことが起こるとは考えにくいのですが、制度の信頼性維持のためにも、委員御指摘のことが起こらないように、私ども、よく注意をしてまいりたいと思っております。自治体も同様であります。

宮崎(岳)委員 今回、特区ということですけれども、特区の範囲というのはすごく広いですね。ごく限られた地域が特区なわけじゃないんですね。東京圏とか愛知県とか、あるいは関西圏とか沖縄県とか、そういう一つの都道府県や、その区域を超えるそういった広大な範囲が特区になっているというのが現状かと思います。地方創生特区というのは、もちろん少ないのかもしれませんが、しかし、その中には、多くの市町村が含まれております。

 先ほど申し上げましたとおり、例えばライドシェアをやっている、あるいは海外で子会社で実際にライドシェアをやっていて、あるいはそういう会社の株を持っていて、国内でもライドシェアを発展させたいというような企業があって、そういうところが財政力の小さい市町村に、うちはこれだけ寄附をするから、企業版ふるさと納税をするから、おたくでこの自家用自動車の有償運送に手を挙げてちょうだいということをやって、続々全国各地で、この特区内ですけれども、手が挙がってくるというようなことだって、これはあり得ないとは言えないし、私が経営者の立場だったらやるかもしれない。当然、日本全国にそれを展開させたいという強い意欲があれば、そういうことをやってでも始めようというふうに思うかもしれない。

 そのときに、大臣おっしゃったとおり、今回、企業版ふるさと納税というのは、その企業とか金額が公開されない仕組みだというふうに伺っております、前回通ったときに。これは公表を義務づけてはいないはずであります。そういう仕組みだと、どんな意図があるものがあるかわからない。

 私は、ある意味、それが公開されれば仕方ないと思うんですよ。ある会社があって、うちは日本の規制は厳し過ぎると思っているからこういうふうにしたいんだ、だからどんどん寄附をするからやってくれと、公表して堂々と言うんだったらそれはしようがないじゃないですか、政治的主張ですもの。しかし、そうじゃなくて、こっそり寄附をしてこっそりやらせて、関係ありませんよというような形でやるとしたら、それはおかしな話になりはしないかと思っています。

 大臣、企業版ふるさと納税の企業名や金額の公表は義務づけたらいかがでしょうか。

石破国務大臣 この手の行為を法律上義務づけるというのはかなり難しいと認識をいたしております。

 これは絶対に法律的にできないとか憲法に抵触するとかそういうお話ではございませんが、私どもとして、企業に対しましてそれを公表してくださいなと、実際公表したいんだと思うんですよ、普通はね。だけれども、公表してください、運用ベースとして、企業に対しても自治体に対してもそういうお願い、指導というような上から目線のことは申しませんが、お願いをしていくということで、なるたけこれは公表するような形にしたいと思っております。

 なぜしないのかと問われれば、そういうような行為を法的に義務づけるということはかなり難しいという判断をいたしたものでありますが、委員御指摘のように、そういうのを悪用することがないように、先ほど来政務官たちがお答えをいたしておりますように、実際に企業のニーズというよりも、現場で困窮しておられる方がおられるわけですね。先ほどの自動車運送のお話もそうです、服薬指導のお話もそうです、農地の場合もそういう方々、農業者がおられるわけであって。

 そういう方々、いわゆる生活者の立場に立って私どもはこれをやっていきたいと思っておるのであって、社会的規制を緩めてまでそういうことを全国展開するというのは、それは本末転倒のお話でございまして、私はそのようなことは一切考えておりません。

宮崎(岳)委員 時間もありませんので、最後の質問にしたいと思います。

 そうすると、今順次お伺いしてきました、株式会社の農地保有、それから自家用自動車による観光客らの有償運送、さらには遠隔の服薬指導、こういったものについて、私は、これは将来的に全国展開を前提としたものじゃないのか、あるいはそういったものを狙ったものじゃないのかというお話をいたしました。

 それに対して、農地の件については既に大臣から御答弁をいただきました。残りの二点、自家用自動車による観光客らの有償運送及び遠隔服薬指導についても、これはあくまで地方創生のためであって、今回の法律に限らずですよ、今回うまくいったから都市部も含めて全面展開しようとか、株式会社も含めて全面解禁しようとか、そういうことではないのだということであればそのように、そういう意図であるということを石破大臣からちょっと御説明いただきたいと思います。これを最後の質問にいたします。

石破国務大臣 これは、実際に企業が農地を所有したとして一体どれほど農業者の利益に資するものであり、そしてまた農業の発展に資するものであるかということをきちんと見たいと思っております。自動車運送の場合にも、そういう過疎地の方々、困窮しておられる方々の利便に資するものかどうかというのを見たいと思っております。服薬指導も、それがそういう地域において困難な方のプラスになるかどうかを見たいと思っております。

 それと、全国展開するかどうかは少し論理が違うのでございまして、ただ、その地域においてそういう形をやっても、薬を必要としている人の安全というものがきちんと実証される、あるいは農地の利用というものが企業が所有権を持つことによってさらに拡大されるということで、論理が一つ進むことはあり得るが、そういう論理を全部ぶっ飛ばして、だから企業の所有を全面的に認めていいとか、服薬指導をそういうような通信手段によって行っていいとか、そういうことにはなりません。

 ただ、こういうことをやることによって、安全性が担保されるか、あるいは農業者の所得が向上するかということを実証することによって、次のステップに移ることを私は否定はいたしません。ですけれども、そこで論理をぶっ飛ばして、だから全国展開だということにはそれはならないということだと思っております。

宮崎(岳)委員 今の大臣の御発言は非常に論理的なものだったというふうに思いますし、方向性としても、もちろん、これをやったんだから、でも、全国展開は絶対してはいけないというものじゃないかもしれないけれども、しかし、ここで実施をされて、アリの一穴としてただ単に広げるためだけにここで一回やってしまうということであってはならないというふうに思います。

 ここをぜひしっかりとチェックしていただきたいというふうにお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫です。

 本日は、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案についての質疑の時間でありますけれども、特区法の全般的な問題と地方創生にかかわる地元の課題等について政府の考えをただしてまいりますので、簡潔にお答えをいただければと思います。

 まず、国家戦略特別区域制度についてであります。私は、この制度は余りうまくいっていないんじゃないか、そういう考えを持っておりまして、基本的な問題を尋ねてまいりたいと思います。

 一つ目は、規制・制度改革の意義とその効果についてであります。

 これは、政府で構造改革と言われたころからだと思いますけれども、アメリカの新自由主義、市場原理主義の考え方が入ってきて、事前規制から事後規制へということで、規制緩和が実施をされてきました。しかし、事前規制から事後規制へということになると、事前規制よりもたくさんの規制をする人が必要になるという、とんでもないことが実は起きているわけであります。

 例えばでありますけれども、証券等取引委員会などは、当初三百人ぐらいの人数でスタートいたしましたけれども、アメリカなどを考えるとそれが三千人も五千人もいるということで、日本の規制等取引委員会の人数がかなりふえてまいりました。むしろ、事前規制の方がお金がかからないということがはっきりしてきたのかなというふうに思っております。

 そうした中で、安倍内閣では、成長戦略の一丁目一番地は規制改革だ、こう言っておりますけれども、私はそう思わないんですね。

 例えばでありますが、タクシーやバスを許可制から届け出制にして、その結果どうなったのか。大きな弊害が出て、むしろ規制をもう一回強化するということになりました。

 また、もしかしての話でありますが、今のところTPPの国会での審議はストップをいたしましたけれども、仮にTPPに加入して十年後に、P4が主張しているように、関税ゼロ、非関税障壁撤廃とされたときに、日本の農業、農村はどうなるのか。地方創生どころじゃないと私は思っております。

 そんなことを考えると、まさに規制緩和にはたくさんの問題点がある。

 そこで、石破大臣は規制・制度改革の意義とその効果についてどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。

石破国務大臣 規制というのは、その時代時代にふさわしい規制がなされるべきだと思っております。なぜその規制がなされたのかというところまでさかのぼって考えなければ、規制緩和はしてはなりません。それは、かつてケネディが演説の中で言ったことですが、なぜその垣根がつくられたかを知るまではその垣根を取り払ってはならないというふうに言っておりますが、そういうものだと私は思っております。

 その規制が時代に合わなくなりました、あるいは技術の進歩によってその規制というものが不要になりました、あるいは緩和をする事態が生じましたというような場合に限って規制は緩和をするものであります。ですから、国民生活を犠牲にしてまで、規制を緩和することによって経済の発展を図ろうなぞと我々政府として考えているわけではありません。

 必要なのは、国民の安全が担保されること、すなわち、社会的規制の必要性はいささかも変わるものではない。しかし、時代に合わない規制があることによって困窮する人が生じている、あるいは時代に合わない規制が現存していることによって経済の成長が阻害されているということはあってはならないというのが私の基本的な考え方でございます。

福田(昭)委員 例えばでありますけれども、大型小売店舗が解禁されてから、町の屋のつくお店はほとんどなくなりました。八百屋、魚屋、米屋ですね。それで、シャッター通りになったわけであります。あるいは、最近では薬のネット販売も許可されました。これで今度は町の薬屋が多分なくなっていくんだと思うんですね。

 こういったことを考えると、結局、規制緩和で、要するに、消費者が多少安く買えることにはなるかと思いますが、しかし、もうける人がかわるんですね。しかも、それぞれの産業界で寡占化が進んでいくということでありまして、これが果たして、それこそこれからの日本の社会にとっていいことなのか。

 それが極端に進んでいるのがアメリカだと思いますけれども、アメリカは、まさに一%の人が九九%を貧困にする経済をやっているわけですね。日本も、このままいくと、まさに一%の富裕層と九九%の低所得層に分かれていくということにつながっていくというふうに私は思っております。

 そういった意味で、規制・制度改革の役割というのを、今大臣が申し上げたように、本当に国民にとって安全が保たれるのか、あるいは国民の経済にとって本当にいいのかということを、やはりしっかり吟味した上でやらなければだめなんじゃないかなというふうに思っております。

 特に、アメリカでやられた規制緩和はどんどん日本でもやられておりますけれども、その中身を見ると、実体経済をよくしているものは多分ほとんどないんですね。大体、もうける人がかわっているだけというのが規制緩和の特徴かなというふうに思っております。ぜひ大臣には、その辺、よく目を光らせてやってほしいなというふうに思っております。

 次に、二つ目でありますが、二つ目は、平成二十六、二十七年度、二年間の集中取り組み期間の規制改革の進捗状況、成果の評価についてであります。

 平成二十六年四月の二十五日、東京圏、新潟市、関西圏、養父市、福岡市、沖縄県の六区域を指定して、二年間の集中取り組み期間の規制改革の進捗状況の成果をどう評価しているのか、全般的な考えをお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 済みません、事実関係ですので、答弁書を読んで恐縮です。

 これまでの二年間で、国家戦略特区では、長年改革ができなかった岩盤規制など、合計四十五の規制改革が実現をしたところであります。このうち、三十五の改革メニューを活用して、現在、十区域に上る国家戦略特区では、これまでの約二年間で合計百七十一の事業を進めてきたところであります。

 このうち、おととし五月に一次指定をいたしました六区域における百十三事業を対象に、このたび、本制度としては初めてでございますが、その評価を行いました。今月十三日に開催をいたしました特区諮問会議で総理に報告をいたし、公表しておるところでございます。これは委員も御高覧のことかと存じます。

 各事業につきましては、総じてでありますが、スピーディーに進捗していると評価はできますが、それぞれの特区において、本来活用されるべきメニューが活用されていないというような課題があると承知をいたしております。

 他方、具体的な成果としては、特区民泊がスタートしました、外国人家事支援人材を活用した女性の社会進出支援が行われております、公立学校運営の民間委託を認める公設民営学校の設置というものが挙げられておるわけでありまして、こういうものが、直接の経済効果にとどまることなく、ほかの地域への刺激となって、我が国経済全体の活性化に相当程度寄与しているというふうに考えておるところでございます。

 活用されていないのは、何で活用されていないのであろうかということをよく点検していかなければなりません。

 そういうようなことで、課題がないとは私ども全く思っておりませんで、これから先、成果が上がった上がったというようなことで、これに安住するつもりは全くないところでございます。

福田(昭)委員 質問の四番目まで答えていただいたような気がいたしますが。

 今大臣が掲げた民泊とか外国人の採用とか学校の民間の開設を認めるとか、これは私はそれほどいい話ではない、こう思っています。逆に日本の社会にとって、いいことにつながればいいですけれども、つながらないような気がいたしております。特に学校の民間委託などでは、今三重県の何とかという学校が問題になっておりますけれども、ああいうのが出てきて一つもいいことはないわけでありますので、ぜひ、国家戦略特区だから何でも認めるということになるといろいろな問題が出てくるということを指摘しておきたいと思います。

 私がもう一つ申し上げたいのは、政府がやることは余りにも期間が実は短過ぎるんです。二十六、二十七、二年間で、集中取り組み期間だからこれでやれというのは、私は余りにも短過ぎると思います。

 私も市長や知事を経験してきましたけれども、行政改革にしても三年で計画を立ててやれというのが当時の自治省、総務省からの指示でありましたが、私はそれを全て五年に直してやってまいりました。ですから、地方自治体がやることとしては、やはり一定期間、五年なり十年の期間が必要であって、二年や三年で成果を出すというのはなかなか難しい話であります。

 それは、そもそも、地方自治体の総合計画、振興計画が五年、十年のスパンで実は立てているんです。ですから、この計画期間と合わせることが、行政改革にしても何でも、実は成果を出していくということにつながっていくわけでありまして、二年で成果を出せ、あるいは三年で出せというのは、もし地方自治体にやってもらうということになれば余りにも短過ぎる。

 ですから、昨年立てた地方版総合戦略も、これは一年で計画をつくれという話でした。実質これは半年で、地方自治体は計画をそれこそ急いでつくったということであります。ですから、少なくとも二年与えないと、実質一年の計画をつくる期間を実は持てないんです。

 ですから、そういう意味で、どうも安倍内閣のやることは余りにも成果を急ぎ過ぎで、きっと余り成果が出てこないんじゃないかということで、心配をいたしております。

 そこで、二十八年度以降の取り組み方針についてお伺いをしたいと思います。

石破国務大臣 市長や知事を御歴任の委員の御意見ですから、私どもよく拝聴しながら足らざるは補ってまいりたいと思っておりますが。

 これは私が怠け者のせいかもしれませんけれども、ある程度期間を区切らないと本気でやらないというところが私なんかはあるものですから、そういう短過ぎるではないかという御指摘もありますが、そうであらばこそ本当にやるんだという面も、私はないわけじゃないし。

 それぞれの市町村においても、間違いなく、第何次何々市総合計画というのは今までつくってきたわけであります。そういうベースは間違いなくあるわけで、それに対して、国の総合戦略と整合する形で地方と中央がともにやっていこうという意味で、今回の総合戦略づくりというものには相当の意義があったと私自身は思っておるところであります。

 二十八年度以降の取り組みでございますが、集中取り組みは昨年度で終わっております。しかしながら、我が国における国際ビジネス拠点の形成でありますとか、産業競争力の強化を図ることを目的といたします国家戦略特区の役割は、これから先も変わるものではないと考えております。

 集中取り組み期間は終了しましたが、今年度からの取り組みに係る新たな目標については、今月十三日の特区諮問会議における評価の結果、評価をいたしておりますので、それを分析していかなければなりません。

 また、総理から指示が出ておりますので、これを踏まえまして、近々開かせていただきますが次回の会議、これは時期はまだ総理大臣の日程でございますので決定はいたしておりませんが、次回の会議で新たな目標というものを設定するということにしてまいりたいと考えております。

 岩盤規制なるものは、岩盤規制でありますがゆえにそう簡単に変わるものではございませんので、残された課題というものに着実に成果を上げてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

福田(昭)委員 私も、規制や制度の改革は、必要なものとそうでないものがあると考えています。

 例えばですけれども、筑波大学の山海教授が開発をした装着ロボットというのがありますけれども、これは残念ながら、厚生労働省から認可がおりずに、日本では企業化ができませんでした。ドイツの企業が会社をつくって装着ロボットを売り出すということになってしまいました。こういうものはきちっと、やはり政府がしっかり制度改革をして認める、そういうことが必要なんだと思いますが、そういうことができないのもまた政府であったということを申し上げておきたいと思います。

 次に、農地法等の特例につきましては、月曜日に何か合同審査があるようですから、これは省いて、地元の課題の方に行きたいと思います。

 次に、先日もただしてまいりました宇都宮市のLRT事業にかかわる軌道運送高度化実施計画の認定申請について、二点、確認をしておきます。

 一つは、今回は時速四十キロで審査するということでしたが、しかし、時速五十キロ、七十キロで走行するときは改めて国の手続が必要なのかどうか、お伺いをしたいと思います。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 今回、認定申請がありました軌道運送高度化実施計画におきましては、事業の内容といたしまして、運転最高速度時速四十キロメートルと記載されておりまして、国土交通省といたしましては、これを前提とした審査を行ってまいりたいと思っております。

 したがって、仮に運転最高速度について時速四十キロメートルを超える変更を行う場合には、軌道運送高度化実施計画の変更が必要になるものというふうに考えております。

 また、運転速度につきましては、軌道運送高度化実施計画の認定後、軌道法に基づく認可を受ける必要もあるところでございます。仮に、認可を受けた後、改めて運転最高速度について時速四十キロメートルを超える変更を行う場合につきましては、軌道法に基づく変更認可にあわせまして、軌道運転規則に基づく例外取り扱い許可を受ける必要があります。

福田(昭)委員 何か質問取りのときよりももっと明快な答えでした。ありがとうございます。

 それで、あくまでも四十キロで審査するんだと言っていますが、実は、宇都宮市の工事施工時の断面図を見ますと最初から五十キロ、七十キロで走る施工になっていますよ。ですから、申請書には、将来、五十キロ、七十キロで走るようにしたいと書いてあるんですよ。しかし、実際の施工図は当初から五十キロ、七十キロを想定して線路をつくるんですよ。だから、絶対、五十キロ、七十キロで審査しなきゃだめですよ。いかがですか。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、手続のルールというのがはっきりと示されておりますので、そのような手続にしっかりと基づいて行っていきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは、すぐさま変更手続をさせるようにしてください、もしこれが実施された場合には。実施されるかどうかはわかりませんけれどもね。

 それでは、二つ目ですけれども、今回の申請では地主の同意は許可の条件とはしないということでありますけれども、次の都市計画の事業認可申請の際には、市道として認定をしている専用軌道とする部分については地主の同意が必要なのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 手続のルールでございます。都市計画事業認可の手続におきましては、都市計画との整合性や施工期間の適切性などが認可の要件でありまして、地権者等の同意は要件とされておりません。

 一方、これに先行いたしまして行われる都市計画決定におきましては、地権者を含めた住民の意見を反映させる仕組みが設けられているところでございます。具体的には、公聴会を開催いたしまして、都市計画の案の公告縦覧を行います。これに対しまして、住民からの意見書の提出が可能となっているということでございます。続いて開催されます都市計画審議会におきまして、提出された意見書の内容を含めまして、都市計画案について審議されることとなっておるわけであります。

福田(昭)委員 おっしゃるとおり、事前に意見を提出することができるということで、反対している人たちも意見を出しているかと思いますけれども、しかし、それが少数意見として、認められなかったら、実際に事業認可がおりてしまうわけですね。

 反対している人たちは、自分の住宅や宅地がもろにかかる。しかも、人によっては、四百五十年もそこに住んでいる人が、急にルートを変更したためにかかる。絶対だめだという人たちが二十数人いるわけです。しかし、その人たちの意見が少数意見で、認められなければ、都市計画決定もされちゃうわけですよ。

 これは余りにも理不尽だと思いまして、私は、ぜひ、そういった意味では、日本の都市計画制度そのものも、もう少し事前に徹底的に話し合いをして、それこそ実際に仕事をやるときには反対運動が起きないように、ドイツのような、まず徹底的に話し合いをして、その上で都市計画決定をしていく、そういうルールが必要だと思いますが、いかがですか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 こういった事業は、それぞれの地域において、地域のためになるというようなことにならなければいけないということは当然のことでございまして、丁寧な手続及び丁寧な運営が重要なことだというふうに思っております。

 都市計画を進める上では、住民の意見をしっかり踏まえて、住民の理解と協力を得るということをしっかり大切に行っていきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは次に、四番目の、思川開発事業、南摩ダムの中止及び対策案についてであります。

 一つ目と二つ目は、私の方から一方的に申し上げます。

 栃木県には、株式会社エコシティ宇都宮の国庫補助金返還をめぐる一つの刑事事件と二つの民事事件がございます。これで、裁判所は驚くべき判決を下しました。国から言われて栃木県の知事が、国に、国からいただいた補助金相当額一億九千六百万を返しました。しかし、宇都宮市が県に返してくれないので、何と、知事が宇都宮市長を訴えました。しかし、つい先ごろ最高裁判所で、判決といいますか、不受理が決まりまして、知事が負けてしまいました。一億九千六百万、県は大変な損害を受けるということになったわけであります。

 それから、その次ですけれども、二つ目は、栃木県内の三ダム訴訟の結果についてであります。この三ダム訴訟では、県の公金支出をめぐってオンブズパーソンなどから訴えられて、裁判が行われました。この裁判では、県の方が勝ちまして、行政の裁量権の範囲内だということになりましたけれども、しかし、高等裁判所は、栃木県がやめるという選択肢も十分考え得るという判断をいたしました。

 次に、三ダム訴訟は、八ツ場ダム、湯西川ダムでありましたが、八ツ場ダム、湯西川ダムは、湯西川ダムは既に完成をし、八ツ場ダムは既に着工されておりますので、多分そういう訴訟が起きるかどうかわかりませんが、もし仮に思川開発事業に絞ってもう一度訴えられたのでは、私はもたないのではないかというふうに考えております。裁判所はこのところ公金の支出について大変厳しい判断をしているということをやはり認識しなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 先ほどのエコシティ宇都宮では、知事が宇都宮市長を訴えた民事事件、そして実はオンブズパーソンから訴えられた民事事件、知事は返す必要がないお金を国に返したんだから個人で返しなさいという訴訟をされて、宇都宮地裁は、何と知事に個人で一億九千七百万県に返せ、損害賠償しろという判決を下しました。

 県は早速、高等裁判所に控訴しましたけれども、判決文を読んでみたら、これを覆すことはなかなか難しいと私は思っております。まさに知事がポケットマネーで一億九千七百万返せという判決です、知事の管理監督責任が問われて。そういう判決が出ております。

 そうしたことも踏まえると、この思川開発事業もやはり慎重に取り組まないと大変だなということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、三つ目の、ダム見直しの基本的な問題点についてであります。

 本来なら、ダム事業の前提となっている計画や予測の見直しをするとか、第三者による見直しをするとか、ダム案と代替案との費用比較だけではなくて、ダム中止案も検証の対象にしてやるべきだと思いますけれども、ダムの中止案が検証の案に出てこないのはなぜなんですか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 ダムの検証につきましては、ダムの検証のルールにのっとりまして検討を進めているところでございます。(福田(昭)委員「わかりました、それでいいです」と呼ぶ)はい。

福田(昭)委員 前回も申し上げましたけれども、ダムの見直しのシステムそのものが間違っているんですよ。だって、現行のダム案と代替案のダム案等などを比較すれば、現行のダム案は残事業だけなんだから当然費用が安くて、現行がいいという話になっちゃうわけですよ。

 ですから、それ以外の、中止をした場合に、では、困るところは何なのかと。では、困るところに対する対策はとれるのかとれないのかということを検討して判断すべきだと思います。

 四つ目でありますが、四つ目は、思川開発事業の目的の変更と目的の必要性の低下についてであります。

 先ほども申し上げましたけれども、東京高等裁判所の判決は、参画判断の際に基礎とした事情に一部変更が生じていることや、水道用水供給事業としての今後の見通しなどに鑑みて、被控訴人、栃木県が思川開発事業から撤退すると判断することも政策的には十分考え得るところではあるとして、栃木県にとって思川開発事業の必要性はないんじゃないか、こう裁判所が言っているわけでありますが、どう思いますか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 思川開発につきましては、南摩ダムと二本の導水路から構成されてございまして、ダムによる洪水調節のほか、ダムに貯留した水によりまして、下流における流水の正常な機能の維持や新規水道用水を供給することを目的とした事業でございまして、現在、ダム検証中ということでございます。

 ダム検証において、治水面では、ダム案とダムの洪水調節効果に相当する複数の治水代替案とを比較検討することとしてございます。また、利水面では、利水参画者への参画意思を確認した上で、ダム案とダムの効果に相当する複数の利水代替案を比較検討することとしております。

 思川開発事業においても同様の検討を行っているところでございまして、引き続き、予断なく検証を進めてまいります。

福田(昭)委員 システムそのものが間違っているので、もう一つ選択肢をぜひ加えて検証するようにしてください。

 五つ目でありますが、これから策定される栃木県営の県南水道用水供給事業計画の実現性についてであります。

 栃木県では、平成二十七年三月に栃木県の水道ビジョンを策定し、平成四十二年、二〇三〇年に県南の広域化を進めるとしているが、県南の参画予定の自治体で人口が増加するところはどこかありますか。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘の栃木県内の、栃木県そしてあと四市町でございますか、この地域におきましては、人口が増加するという予測は出ておりません。

福田(昭)委員 それでは、資料の一をごらんください。

 これは、日本創成会議が、社会保障・人口問題研究所の今後の二〇四〇年に向けての推計と、それから東京一極集中が収束しない場合の二〇四〇年の総人口を推計したものでございます。黒丸がついているところが、今回、思川に参画する栃木県と茨城県の市町であります。

 これをごらんいただきますと、まず栃木市でありますが、栃木市が十四万五千七百八十三人が十万六千六百四十六人、鹿沼市が十万二千三百四十八人から七万九千八百四十八人、小山市が十六万四千四百五十四人から十五万一千七百二十五人、下野市が五万九千四百八十三人から五万一千二百八十七人、壬生町が三万九千六百五人から三万九百五十五人、野木町が二万五千七百二十人から二万百七十九人、岩舟町、今栃木市と合併いたしましたが、一万八千二百四十一人から一万二千五百二十三人。軒並み、人口は大幅に減少する推計が立てられております。

 また一方、茨城県も、古河市が十四万二千九百九十五人から十万九千八百六十三人、五霞町が九千四百十人から六千四百五十三人。こちらも大幅に減少することが推計されております。

 このことを考えますと、まさに栃木県が県南の栃木市、下野市、壬生町、野木町、岩舟町のためにこれから水道供給事業を県の企業局が担当してつくるんだと言っておりますが、とてもとても、さっきの質問でも申し上げましたけれども、どこの市も町も大体、本音では必要ないと言っています。ですから、協議会ができたそうですが、スタートしても、実際にお金がかかるということがわかったら、多分参加するところはなくなってしまうと思います。

 これでも本当にこの事業計画を進めるということを厚労省も同意してやろうとするんですか。いかがですか。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、近年、全国的にも人口、水需要は減少傾向にございますけれども、水源開発事業というのは、地域ごとの事情を勘案した水需要の予測というものに基づいて計画をされております。

 御指摘の県南水道用水供給事業計画について申し上げますと、確かに給水対象地区における水需要は近年横ばいでございますけれども、この地域は地下水への依存率が高く、地盤沈下や地下水汚染が危惧されるということから、代替水源を確保する必要があるということでこの事業が企てられているということでございます。

 こうした事由を踏まえまして、現在、県南広域的水道整備協議会が設立をされまして、関係市町によってこの水道事業を進めていこうと、水道普及率が全部一〇〇%になっていない地域もございますし、先ほど申し上げたような、地下水から河川水への転換を図ろうとする計画もございますので、これらを含めて、またそれらを裏打ちする事業に要する費用も含めて、現在、この協議会の場で議論が行われていると聞いており、本年一月には、事業主体を県企業局とするということも決定されました。

 引き続いて協議会において協議が進行して、この事業の実現が図られるものと認識をいたしておりますけれども、公共事業につきましては、完成までに長い時間がかかることでございますし、また、私どもは補助金という公金を支出しているという立場から、不断に事業の検証は行ってまいる所存でございます。

福田(昭)委員 太田政務官、これは平成二十五年七月十七日の控訴審裁判で、栃木県の責任者と嶋津氏の証人尋問が行われました。

 その結果、栃木県が急遽策定した栃木県南地域における水道水源確保に関する検討報告書の資料の扱い方は恣意的であること。水道ビジョンの前身ですけれどもね。

 それから、地下水は、汚染対策及び渇水対策の観点からいっても、表流水より安全であること。地下水から表流水に変える理由は全くないこと。

 それから、県南地域の地盤沈下は鎮静化しており、しかも、原因は水道用水ではなく、農業用水の取水であること。

 それから、水道用水供給事業の認可を得ることは困難で、仮に得ることができたとしても、その実現には多額の費用がかかること。先日も指摘いたしましたが、水資源機構の試算では百九十二億円、こう言われております。水道水源の負担金のほかに、そうした百九十二億円の追加投資が必要だと。

 そして、今後の水需要の減少によって、二市二町が高くてまずい表流水を受水することはあり得ないということが裁判で実は明らかにされております。

 ですから、またもう一回訴えられると大変だよと私が指摘をしているのは、こういうことであります。

 そこで、六つ目でありますが、六つ目は、十三年前の見直しの際の課題が解消されることについてでありますが、これは二〇〇一年度ですね、平成十三年。私は、この平成十三年のときに、栃木県知事として思川開発事業の見直しを行いました。その際、判断できなかったことが三つありました。

 一つは、人口減少がはっきり確信が持てなかったこと。人口が減るということは予測できましたけれども、確信が持てなかったこと。他者に対する訴えができなかったこと。

 それから、県南の首長が水が欲しいと要望してきたこと。しかし、これが、みんな本当は要望していないということがよくわかってまいりました。

 それから三つ目、茨城県も水が欲しいと要望してきたことであります。これは、さすがに古河市と五霞町は本当に必要だということは今回確認をしてまいりました。

 そのため、ダムの規模を半分にして私自身は参画することにしました、当時ですね。あれから十三年余りがたち、それらが全て解消できることがわかりましたので、今私が判断できる立場にあれば、南摩ダムを直ちに中止します。いかがですか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、現在、ダムの検証中ということでございますので、先ほど申し上げたように、ダム検証において、治水面、利水面、両方あわせて比較検討するということとしてございます。

 まずは、引き続き予断なく検証を進めるということでございます。

福田(昭)委員 この検証が進められて、なぜ三年半ストップしたんですか。それは、栃木県に県南の水道水供給事業の計画がなかったからストップしたんじゃないですか。その時点でやめるべきだったと思いますが、どうですか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の水需要についてでございますけれども、今回の検証の中で、各利水参画者に参画継続の意思、必要な水量及びその根拠について確認をしてございます。そういうことでございますので、御理解いただきたいと存じます。

福田(昭)委員 ですから、国土交通省もいつまでも、本当にダムをつくって、では、利水をしようとしたときに、どこも利水者がなかったというときには誰が責任をとるんですか。国土交通省が責任をとるんですか。栃木県が責任をとるんですか。どこが責任をとるんですか。厚労省ですか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 いずれにいたしましても、利用者、関係する機関がよく連携をいたしまして事業が成り立っているというふうに考えてございます。

 そういうことで、今回のダム検証におきましても、関係機関にきちっと、水道であれば水量、そういうものの確認、参画継続するかどうかというのをしっかりと確認した上で検証が進められている、こう理解してございます。

福田(昭)委員 ぜひ中止案も含めて検討してみてください。

 そこで、七つ目ですけれども、思川開発事業の開発水量を確保する中止対策案についてであります。

 前回もお示ししましたけれども、渡良瀬水系に水が余っておりますから、それを振りかえれば十分ですね。資料の三をごらんいただきたいと思いますが、幾らでも可能だということであります。

 渡良瀬川または渡良瀬遊水地から導水施設、これは導入施設と書いてありますが間違っています、導水施設を整備して小山市、古河市へ水を供給すれば十分可能だと思っていますので、ぜひ技術的に検討する必要があるんじゃないかなと思っていますが、いかがですか。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 思川開発事業は、現在、ダム検証中でありまして、御指摘の利水に関しましても全国共通のルールに沿っての検証を行っているところでございます。

 もう繰り返しになりますけれども、具体的には各利水参画者に参画継続の意思、必要な水量及びその根拠について確認をすることといたしておりまして、その結果、全ての利水参画者から参画継続の意思を確認いたしておるところでございます。

 また、渡良瀬川を含む利根川水系の全ての未利用水の所有者に確認をいたしまして、ダム使用権等を引き続き所有する等との回答があったところでございます。

 これらのことを踏まえましてダム検証を進めていきたいところでございますが、引き続き、検討主体であります関東地方整備局と水資源機構におきまして、ルールに沿って、予断なく検証を行ってまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 前回も申し上げましたが、栃木市、下野市、鹿沼市においては、もし実際に県の方から話があったときには、お金がかかるのでもう一度改めて考えたいとみんな市長が答弁しているんですよ。

 だから、本当に、この企業局がスタートして、では県南の水道用水を本当に使うのかというふうになったときに、高くてまずい水をわざわざ飲むことに転換するということはほぼ考えられないということだと思いますよ。

 そういった意味では、霞ケ浦導水事業なんというのもちゃんとありますし、あるいは、今度の思川開発事業でも、異常渇水時の緊急水の補給は、ポンプアップして大芦川や黒川に戻すんですよ。

 そういうことを考えれば、小山市やあるいは古河市にしっかり導水施設をつくって水を供給するということは十分可能なものというふうに考えておりますので、技術的にしっかり検討して、それこそ、より費用のかからない安全な水供給事業というのをやるべきだということを提案して、私の質問を終わります。

 以上です。

山本委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 質問に入る前に、さきに発生した熊本地震に際し、犠牲となられた方々に衷心より哀悼の誠をささげます。また、被災者の皆様に対し、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い御回復を祈念申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 民間と連携した出入国手続等の迅速化についてお伺いします。

 外国人観光客に対する空港等での手続を迅速、快適なものにするため、出入国に際して必要な手続について、民間事業者等と十分な連携のもと必要な施策を講ずるとの規定があります。

 現在、我が国においては、空港等での出入国の際、航空運送事業者による保安検査、入国審査官による出入国審査、検疫官による検疫検査、税関職員による税関検査等が行われています。

 政府は、観光立国実現に向けたアクション・プログラムにおいて、二〇一六年度までに空港での入国審査最長待ち時間を二十分以下に短縮するとの目標を掲げておりますが、日本国内の主要空港等における出入国手続に要する時間は、手続する時間帯、曜日、季節等によっても多少違うと思いますが、現在どのような状況なんでしょうか。

佐々木(聖)政府参考人 御報告いたします。

 平成二十七年の主要空港におけます最長審査待ち時間の平均でございますが、昨年の外国人入国者数が前年比三九%増と急増しております中で、成田空港が対前年比七分減の十八分、それから羽田空港が対前年比一分増しの二十四分、中部空港が対前年比同値の二十六分、そして関西空港が対前年比十一分増しの三十八分となっておりますことを御報告いたします。

椎木委員 ちょっと質問の趣旨と答弁が何かずれているような気がするんですけれども。

 では、ちょっと質問の言い方を変えますね。これは、民間事業者等と十分な連携のもと必要な施策を講ずる、こういう規定ですけれども、一体どんな連携を図って、何を緩和されるんですか。

佐々木(聖)政府参考人 お尋ねの規定でございますけれども、入国審査に限らず、空港、港湾におきまして外国人が出入国する際に、必要な手続全体を迅速かつ効率的に行うために必要な措置を講ずることとするものでございます。

 法務省といたしましては、現在、バイオカートという、個人識別情報、指紋それから顔写真をお客様が列の中で待っていらっしゃる間に取得することによって、その迅速化を図るなどの策を準備しているところでございます。

 なお、法務省といたしまして、国家戦略特区に限って実施を予定している施策というのは、現時点ではございません。

椎木委員 きょうは時間が短いので、次に行きます。

 では、仮にバイオカートを導入した場合、入国審査時間の短縮についてはどのような効果が見込まれているんでしょうか。

佐々木(聖)政府参考人 ただいま言及をいたしましたバイオカートでございますけれども、これまでは審査ブースで行っておりました指紋及び顔写真といった個人識別情報の取得を審査待ち時間を利用して行うことができ、審査ブースでの審査時間、それから審査待ち時間が短縮されることになります。

 今、秋の導入に向けて準備をしているところでございますけれども、審査時間の短縮効果、個々の審査状況によって異なりますが、約三分の一程度の短縮を目指していきたいと考えてございます。

椎木委員 また今度、時間があるときにちょっと深掘りさせていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 外国人観光客をさらにふやし、我が国の理解者をふやすことは、経済活性化だけではなく、我が国の理解者をふやす点で草の根安全保障、そういった意味合いも持つことになると思います。この意味で、私も国際観光の推進はどんどん進めるべきと考えております。

 一方で、国際テロ対策に抜かりが生じてはなりません。特に、入国手続の際の水際対策というのは極めて重要であると考えます。

 そこで、入国管理行政において、国際テロ対策の強化と外国人観光客の受け入れ拡大、これらを両立していくために、どういった考え、あるいは施策を講じようとしているのか、政府の見解を伺います。

田所大臣政務官 椎木委員には大変重要な御指摘をいただきました。

 現下の非常に厳しいテロ情勢を踏まえた厳格な入国管理を求める要請と、観光立国の実現に向け、訪日外国人の増加が著しい中で円滑な入国管理を求める要請があって、法務省としてはこれらを高度な次元で両立させる必要があるというふうに認識をいたしております。

 現実には、必要な人的体制の充実や物的設備の強化等に計画的に取り組んでおります。具体的には、円滑な入国審査のため、入国審査官の機動的配置や上陸審査場案内の充実、自動化ゲートの運用等を行っております。

 厳格な入国管理のためには、個人識別、いわゆる顔写真あるいは指紋を活用した入国審査や、航空会社に対して乗客の予約記録、いわゆるPNRの報告を求め、昨年十月に設置した出入国管理インテリジェンス・センターにおいてその情報を分析して、不審者を発見する手法の活用等を行っております。

 今後、入国審査体制の強化とともに、顔写真照合機能の活用の強化等による入国審査、入国管理の高度化に努め、安全を最優先にしつつ観光立国の実現を図りたいというふうに考えております。

椎木委員 田所政務官には大変丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次の質問に入ります。

 今回の国家戦略特区法からは少し離れると思いますが、我が国の航空保安検査に関してお尋ねしたいと思います。

 航空保安検査等の実施主体の決定については、国際民間航空機関が定めている国際ルールにおいて、締約国に委ねられております。我が国は、航空運送事業者による保安検査が行われています。各国の航空保安検査の実施主体を見てみますと、米国では国の機関である運輸保安庁、ドイツは連邦警察、シンガポールは空港警察、韓国、カナダ、イギリス、フランス、イタリア等は空港設置管理者となっています。

 近年、国際的テロリズムの発生や訪日外国人旅行者の激増に伴い、保安検査体制を強化することが必要と考えますが、その際、航空運送事業者に任せるのではなく国の責任で対応すべきと考えますが、それらの実施する体制を整えるべき考えについてお伺いします。

重田政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃったとおり、各国におけます航空保安検査の実施主体は異なっておるところでありますが、我が国におきましては、航空保安検査は、旅客と貨物を安全に輸送する責務を有する航空会社が一義的な責任を持って実施しております。

 しかし、民間任せということではなく、その実施に当たりましては、航空保安の重要性に鑑みまして、国際情勢を踏まえて国が基準を定め、措置内容については事前に審査を行い、その後の実施状況の監査により確認しております。また、航空会社の対応に不足があれば、厳しく指導監督しております。

 今後も、航空のテロ対策が求められるもと、航空会社を初め関係者と連携を深めつつ、国として責任を持って航空保安対策に万全を期してまいりたいと考えております。

椎木委員 国の責任というその言葉だけじゃなく、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 時間が来ましたので終わりますが、いつもは石破大臣に非常に丁寧な、細かな答弁をいただいていますけれども、きょうは、政務官にも本当にありがたい答弁をいただいたと思っています。今後ともよろしくお願いします。

 以上で終わります。

山本委員長 次に、中谷真一君。

中谷(真)委員 自民党の中谷真一でございます。

 委員長初め委員の皆様、質問の機会をいただきましたことに対しまして、心から感謝を申し上げます。

 まずは、何といっても、あの熊本を中心とする大地震によってお亡くなりになられた方々に心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 私は、こうやって大きな地震があるたびに思うんですけれども、これがもし東京だったらということを考えるわけであります。今回は熊本だったということで、今、十九万人の方々が避難をされているというふうにお聞きをしているところでございます。

 この方々に対して支援を行うということは、大変なことであります。これは、食事の問題だったりとか住居の問題だったりとか、こういうことをやっていっているわけでありますけれども、これがもし東京だったらもう大変なことになるのではないか、でも、やはり我々はそういったところから目を背けてはいけないのではないかということも、これは強く感じるところであります。

 東日本大震災のときにも、東京も少々影響があって、そのときは電車が全部とまって帰宅困難者がたくさん出たりとか、また、私は地下鉄も非常に危険だなというふうに当時感じたのを覚えております。また、今回は余り起きませんでしたけれども、火災だったりとか、では、もし避難する方々が出たときに、どこへ避難所を設けていってどうやってそれを収拾していくかというようなことを想像するだけで、これは大変なことだろうというふうに思うわけであります。

 私は、東京というのは非常に魅力的なところだというふうに思います。私は、国際社会の中で競争力を維持していく上では、やはり集中というのは力だなというふうに思っております。ただ、どこまで集中させるのかという議論も行っていかなければいけないのではないかというふうに思います。集まったものを守るというのは非常に難しいです。そこで起きたときにこれを守り切るというのは非常に難しいことだなというふうに思います。

 やはりリスクを考えたときに、そのリスクを軽減するのは、私は一番は何といっても分散だろうというふうに思います。分散させるということが一番のリスク軽減につながっていくんだろうというふうに思います。

 私は、今東京に住んでおられる方々に出ていってくださいということを言っているわけではありません。ただ、これ以上の集中はということを考えたときに、東京はこの十年間で百万人ふえているんですね。今一千三百五十万人ぐらいですか、この十年間で百万人ふえているわけであります。一千三百五十万人のうちの百万人というと余り大したことはないような感じがするんですが、そんなことはなくて、私の山梨県は八十三万人でありますから、山梨県より多い数が東京で一気にふえているというところであります。

 そろそろ、こういった災害に対してのいわゆるリスク分散ということを考えても、首都への人口の増加というものはやはり対処していかなければいけないんだろう。例えば建物の高さ制限を行うとか、こういったことも含めて、私はやはり検討していかなければいけないんじゃないかというふうに思いますけれども、これについて御見解を伺いたいと思います。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、日本の総人口が減少する中で、地方圏から東京圏への若年層を中心といたします人口の流出超過が継続しておりまして、東京圏への一極集中が依然として継続している、そういう状況にあると認識してございます。また、他方、首都直下地震による巨大災害が高い確率で予測され、国土の強靱化の推進に取り組むことが必要というふうに認識してございます。

 このような国土を取り巻く潮流と課題を踏まえまして、昨年八月に閣議決定いたしました、新たな国土形成計画全国計画におきましては、東京一極集中の是正というものを重要な課題として位置づけているところでございます。

 具体的な記述で申しますと、例えば、「諸機能及びネットワークの多重性・代替性確保等による災害に強い国土構造の構築」という項目の中におきまして、「首都直下地震や南海トラフ地震等による被害を最小化し、迅速な復旧・復興を可能にする観点から、まず人命を守ることを第一に対策を進めつつ、東京圏に集中する人口及び諸機能の分散を図る」としているところでございます。

 東京一極集中の是正、安全な国土づくりといいますのは重要な課題であるというふうに認識してございまして、必要な施策に取り組む必要があると考えてございます。

中谷(真)委員 今お答えいただいたんですけれども、ネットワークをつないでいくというのは確かにぜひやっていただきたいと思いますけれども。ただ、これは今どんどんやっているわけですね。この間、函館に新幹線を通したりとか、こういったことをやっているんですけれども、常にこれは続けてきていますが、流入がとまっていないという事実もよくこれは踏まえていただきたいというふうに思います。

 ですから、今そのネットワークをつないでいくことだけでいわゆる分散が行われていくのか、これは私はちょっとまた違うのではないかということも感じていますので、私は、やはりもっと具体的に、どうやって一極集中を排していくのかということは、ぜひ今後御検討いただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 一極集中というのは、確かにリスクの問題もあるんですけれども、これは、地方創生においても非常に問題になってきているというふうに思っております。

 私の地元でも、十八歳で高校を卒業した後に大体大学で東京に出てきて、そして東京でそのまま就職をして、それで生産年齢はずっと東京にいてしまうというような。これは、多分、私の地元だけではないと思うんですね、先生方の地元でも多分そうなっているんだろうというふうに思います。その先はどこかというと、大体東京なわけでありまして。私は、地方を活性化させるための人材というものを考えたときに、これをある程度やはり緩和をしていかなければ、なかなか地方創生というものは成っていかないのではないかというふうに思います。

 私の山梨県はすぐ東京の隣にありまして、そういう意味では、どっちに行くかという、東京との比較になるんですね。そうなったときに、山梨にぜひ残ってもらいたいということで、我々は山梨をよくしようということをやっていくわけなのでありますけれども、なかなかそれに勝つことができずに、東京にどんどん出ていってしまっているという現状があります。

 もう四六時中考えているわけですよ。どうやってこの地域の人口減少を緩和をしていくか、もしくは人口増加に転じさせるかということを、もう四六時中考えているんですけれども、一体どうすればいいのかなと。電車を通してほしいとか、道路を通してほしいとかということをいろいろやっているんですけれども、なかなかそれではうまくいかない。

 何でなのかな、これは何が原因なのかなということを考えるんですが、例えば、住宅を一つとりますと、私はここで秘書をやっていたときに、東京に近い千葉に住んでいまして、そこから通っていたんですけれども、そのとき、家族五人で住んでいました。その住居が大体十万円ぐらいでした。

 今、私は、山梨の韮崎というちょっと片田舎に住んでいるんですけれども、ここは、私が今住んでいるアパートは七万円であります。これは、ほとんど広さは変わらないんですね。というか、三万円ぐらいしか変わらない。

 そう考えますと、東京というところはすごいな、これだけたくさんの人が住んでいるのに、東京周辺も含めてですけれども、私は、結構安価な住宅を提供できる体制をつくっているなということを非常に感じます。

 大学生なんかもそうだと思うんです。余りに高い住宅しかなければ、東京に出てきて大学に行ったりとか、こういったことはできないんだと思いますけれども、そういうことができる、そういった環境をつくっているなということを感じます。

 また、食事なんかを考えますと、高いものを求めていくと、東京はどこまでも高いものもあるんですけれども、ただ、安いものを求めていけば、実は、結構安いんですね。私は、地元で昼にどこか食堂に入って御飯を食べるよりも、東京で食べた方が多分安いんじゃないかなというふうに思うこともあるぐらいです。

 そういう意味では、物価も、安いものを求めていけば、高いものもありますけれども、私はそんなに変わらないのではないかということを感じております。

 あと、仕事は、これもこの間、職がなきゃ帰ってこられないよということをよく言われまして、東京にいる先輩の、いわゆる経営者の方に、先輩はIT企業ですから山梨に持ってきてくださいよ、先輩の業種では大丈夫でしょうということを言うと、わかった、では、俺がおまえのその地元に事業所を出して、俺が百人募集したら来るかと言うわけですね。ところが、もうその人がいないという状況なんです。これは、鶏と卵みたいな話になっているんですね。

 ですから、もうそろそろこれは考えていかなきゃいけないんですけれども、全体を俯瞰した場合に、私が思うのは、やはり山梨をよくしていこうということはすごく感じて、誰かにやってもらうんじゃなくて自分たちでやるんだという思いはあって、一生懸命やるんですけれども、ただ、それよりもすごいスピードで東京が住みやすくなっていっちゃうと、これは比較の問題ですから、ここは非常に難しいなということを感じているところであります。

 リスクの問題と、この地方創生の問題も含めて、人口一極集中について御見解を伺いたいと思います。

福岡副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど、災害のときのリスクのお話もいただきましたが、委員御承知のとおり、地方におきましては、少子化により人口減少が進んでいるのに加えて、東京圏等に人が流れ出ていることによって、より人口減少に拍車がかかってしまっているというような状況があるというふうに認識をしております。

 東京圏に目を投じてみますと、通勤時間が長かったりとか、また待機児童が多いということもありまして、若い人がそこで集まっても、結局、出生率は全国最低ということでございますから、そういった問題もあるというふうに承知していますし、また、この先、二〇二五年以降に、大都市圏、特に東京圏におきましては、高齢化に伴う医療、介護、住まいなどの問題が極めて深刻になるということが想定をされていることでございます。

 また、先ほど委員も具体的におっしゃいましたけれども、ずっと東京圏は転入超過だったんですが、二〇一二年以降四年連続でその転入超過の数がずっとふえ続けているということでいうと、東京一極集中の傾向が減速するよりもむしろ加速化してしまっているというような問題というのもあって、これをどう食いとめていくかということについては、極めて大きな課題であるというふうに感じております。

 先生、先ほどおっしゃいましたように、やはりこれは地方の取り組みも大切でございますが、国といたしましても、地方に移住希望をする方々の支援を行ったり、また、先ほど先生もおっしゃいましたように、企業が地方拠点をつくっていく、その機能強化をしていくということであったり、政府関係機関の移転を行っていく、こういったことによって、地方への新しい人の流れをつくっていくということに取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 それに当たっては、地方版総合戦略というのをつくっていただいていますが、財政支援、情報支援、人的支援、こういったものを積極的に進めてまいりたいと考えています。

中谷(真)委員 ぜひ、よろしくお願いをいたします。

 私、地方創生と、一極集中を排すというのは非常に強い関係があるのではないかということを感じているところであります。

 私、この間、ロンドンに行ったんですね。そのときに、向こうの日本の外交官の女の子に家賃を聞いたんです。そうしたら、四十万だと言うんですね。すごく高いんですよ。何でこんなに高いのかなと思ったんですけれども。ロンドンは、多分、高さ制限をしているのか余り高い建物もないし、あとは、住宅を余り壊させないというか、あのきれいな古い町並みを維持するためなんでしょうね。私は、これは住宅戸数が少ないんだろうなということをすごく感じました。そんなことも含めて、だから余りわっと集中していないんだろうということも思うわけであります。

 リスクの問題もありますので、さまざまなことを行いながら、この一極集中を排していくというところをぜひお願いしたいというふうに思います。

 三つ目の質問に移ります。

 昔よく議論された遷都についてお伺いをしたいと思います。

 これは結構盛んに議論されていたんですね、国会で。ところが、私がここに来てからは、ほとんどこの議論をすることはなくなってしまっているというものであります。

 平成十六年に、国会等の移転に関する両議院での決議、これを最後にほとんど議論されなくなった。一九九九年に石原都知事が大反対だと言って選挙に出て、それが当選したというのも何か影響しているなんということもお聞きをするところでありますけれども。二〇〇三年ぐらいに事実上のこの議論の凍結を、三つの地域、栃木、茨城、そして三重、この三つの地域を候補地としたんですけれども、これが絞り切れないということを言って、一回凍結をしているというものであります。

 ただ、私は、今回の熊本の地震とかも受けて、やはりもう一回議論するべきではないかというふうに思いますけれども、これについて御見解を伺いたいと思います。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 国会等の移転につきましては、一貫して国会主導で検討が行われてきたところでございますが、議員御指摘のように、平成十六年十二月に、国会等の移転に関する政党間両院協議会におきまして、座長とりまとめがなされました。その後、国会での議論自体が進捗していない状況であるというふうに私どもは認識しておるところでございます。

 いずれにしましても、このような国家的課題につきましては、まずは国会における議論が深まることが必要であるというふうに認識してございまして、国土交通省といたしましては、国会から協力の要請があれば、国民への情報提供や必要な調査を行うなど、適切に対応してまいりたい、かように考えてございます。

中谷(真)委員 ここに国会等の移転に関する法律というのがあるんですけれども、やはりここでもうたっているんですね。阪神・淡路大震災の未曽有の災害の発生によりとか、あとは、一極集中を排して多極分散型国土の形成とか、こういうこと、これはまさに今議論しているようなことではないかというふうに思います。

 こういった理由からも、私はやはり今後考えていく必要があるんだろうというふうに思いますので、私も思っているんですけれども、また先生方も、ぜひこのことについて議論をするような機会をつくっていただいたり、また深めていくことができればなというふうに思うところであります。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 地方創生の中の革新的医療機器の開発迅速化の部分について御質問をしたいというふうに思います。

 今回、そういったものに対してのいわゆる承認だったりとか、こういったことに対して支援をしていくというものでありますけれども、いわゆる特区指定をしていく上で、今回は臨床研究中核病院というものを指定するというものであります。全国に八カ所ありまして、そのうち七カ所が特区内だというふうに言っています。これは、手を挙げればどこでもその病院を指定しますよということを言っているんですけれども。

 ただ、私は、やはり地方創生というぐらいですから、その地域に指定することによって、例えば、これは東北大学が入っているんですけれども、東北大学のある仙台市を指定するというふうにやれば、仙台市にそういう病院が集まってくるんじゃないかと思うんです。ところが、七カ所も八カ所も全部指定しちゃうと、これは分散しちゃいますよね。

 産業集積、産業の国際競争力を高めるという目的があるんですけれども、産業集積という意味でも、余りたくさんばらばら指定するのではなくて、この地域でやりましょうと。シリコンバレーとか、あとはピッツバーグの医療の集合クラスターみたいなものがありますよね、ああいうものを形成するような戦略的な指定の仕方に変えたらどうかというふうに思うんですけれども、これについての御見解を伺いたいと思います。

福岡副大臣 お答え申し上げます。

 委員の問題意識については十分認識をした上で、国家戦略特区につきましては、御承知のとおり、地域から寄せられる具体的なニーズに即した提言、要望を実現させるというようなことのプロセスで進めさせていただいています。

 御承知のとおり、今、十の特区を指定させていただいていまして、特区はその特区の中ごとにニーズを把握されるということですが、例えば、関西圏の医療等イノベーション拠点や、養父市であったら中山間農業の改革拠点のように、重点的に取り組むテーマというのを特区ごとに定めていただいておりまして、こうした点というのは、集中的に取り組むべきという議員のお考えに近い部分もあろうかというふうに思っております。

 いずれにしても、しっかりそういった問題意識を持って取り組んでまいりたいと思います。

中谷(真)委員 私は、規制緩和というのは、そこに行ったらその規制を受けなくて済むという意味では、集めることができる一つの手段ではないかなというふうに思うわけであります。

 この特区法の中にも、「目的」のところに、国際的な経済活動拠点の形成をとか、こう書いてあるわけでありますから、私は、産業というのは集積するとやはり強いと思うんです。

 ある企業の方が言っていました。単独でどこどこへ行けとかと言われますけれども、それだとよくないんだ、同じような業種が集まっているところにやはり行きたい。何でかというと、夜仕事が終わった後にみんなで集まって、違う会社の人とかと集まって、一杯やりながらいろいろな意見交換、ブレーンストーミングができるとか、こういうことが発展性につながっていくんだよということを言っているんです。

 ですから、私は、産業を集積させるというような観点でも、今後、この指定の仕方というのはぜひ検討していっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 過疎地等での自家用自動車の活用拡大におけるところで御質問をしたいと思います。

 これは先ほど宮崎委員も言っておられましたけれども、やはり安全性をどう担保するか。これは一般の方が運転をする可能性があります。乗客の安全性の確保。

 あとは、やはりその地域にある、既に事業をされているタクシー業者だったりバス業者だったり、そういった方々はいわゆる規制というものに縛られながら今事業を行っておられます。それは、安全性もそうでありますし、免許もそうですね、二種免許を取りなさいとか多分やっておられるし、車の整備も多分義務づけがあったりとか、こういうことで、そういう規制を受けながらやっておる。これに対して、そうでない人たちが入ってきていろいろ事業をやるということは、私は不公平感も出るんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 これは非常に、いわゆる民業圧迫という可能性もあります。そこをどうクリアしていくか、どう対処されるのかというところをお伺いしたいと思います。

持永政府参考人 御説明させていただきます。

 まず、今回、国家戦略特区の特例措置として導入しておりますものは、御指摘のような、安全の確保、それから利用者の保護を図りながら、訪日外国人を含みます観光客の移動の手段ということを主な目的として自家用車を活用していこうというものでございます。

 この中におきましては、現行既に道路運送法の枠組みで行われておりますところの自家用有償運送の制度と同様の形で安全の確保等を図ることといたしておりまして、例えば、車両整備ですとか、運行管理を行う者をちゃんと置く、それから、運転手としては、二種免許を持つ、または大臣認定を修了するといったことを新しい特例措置の実施主体に義務づけることといたしております。

 それから、既存のバス、タクシー事業者との関係については二点申し上げたいと思います。

 まず、一点目は、今回の制度は、既存のバスでありますとかタクシーといったような公共交通機関の利用が大変困難であるようなところに限って認められるものでございますので、そういう意味では、競合するということではなくて、そういう方たちを補完するような形になるんだろうと思っております。

 それから、二点目として申し上げなければならないのは、そこら辺の確認も含め、地域で計画をつくっていただく前段階で、市町村、それから事業を行おうとする者、それからバス、タクシーの事業者の三者においてきちんと協議を行って、その中では、当然のことながら、地域の公共交通のネットワークのことでありますとか輸送の安全なんかも含めて議論をしていただいて、その後に地域の計画をつくっていただくという枠組みになっております。

 国土交通省といたしましても、大変重要な協議でございますので、建設的な協議が進みますように最大限努力していきたいと思っております。

中谷(真)委員 今おっしゃったところでも、私は、一番大事なのは、やはり既にやっている事業者との協議というのは非常に重要だろうというふうに思います。ですから、そこはしっかりやっていただいて、調整をして、それで足らざるを補うという観点でぜひやっていただきたいなというふうに思います。

 最後の質問に移ります。

 企業による農地取得について御質問をさせていただきたいと思います。

 これは、農地取得については、うんっというふうに私も最初思ったんですね。既に賃貸はできるんですよね、企業は。借りることはできるわけです。なぜ取得しなきゃいけないのかというところが問題なんだろうと。

 それは、例えば何か大きな加工処理施設をつくったりとかするときに、賃貸だと時限が切られるのでということが理由だというふうには聞いております。

 ただ、ちょっと悪い考えをしますと、やはりこれは転用期待を持って、いわゆる大量に土地を購入する事業者が出てくるのではないかということを恐れるわけであります。例えば、不動産屋さんが非常に大きな土地を買って、転用期待があるような地域に何ヘクタールとかいう土地を買って、そして転用が起きるまでの間はどなたかに農地を貸して農業をやっておいてもらう、そして転用になったらそれを売るとか、こういうふうになっては困るなということをすごく思うわけであります。

 また、いわゆる転用に関しての権限も、国が強い力を持っていたんですけれども、昨年いわゆる市町村に大分移譲していくような方向で調整が行われているところもあります。

 こういうことも含めて、これは今申し上げたような、企業の転用期待を持った農地取得、これをどう防いでいくかというところが焦点だろうと私は思います。これに対しての対策をお伺いいたしたいと思います。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 国家戦略特区におきます特例を用いまして農地の権利を取得する場合におきまして、今回の場合でございますが、企業は、農地法第三条第二項第一号の要件、具体的には、企業は取得する農地の全てを効率的に利用して耕作または養畜の事業を行わなければならない、こういった要件を満たす必要があるというふうにされているところでございます。

 また、あわせまして、今回の特区における特例措置におきましては、許可をする場合は、企業が地方公共団体から農地の所有権を取得する場合に限定した上で、企業が農地を適正に利用しない場合には農地の所有権を企業から地方公共団体に移転する旨の書面契約の締結を義務づけているところでございます。

 そういうことによりまして、例えば企業が転用しようとするなど問題があった場合には、地方公共団体が所有権を取り戻し、確実に原状回復をできることになっているところでございます。

 したがいまして、今回の特例につきましては、転用期待を持った農地取得といった点につきましては防止できるようにされているというふうに考えているところでございます。

中谷(真)委員 ちょっともう一回お伺いしたいんですけれども、転用期待、転用というのは、いわゆる、取得した企業が転用願いを出さなければ転用できないということでいいですか。

山北政府参考人 お答えいたします。

 転用につきましては、もちろん農地法上の許可が必要ということが大前提でございますが、今回の特例措置につきましては、そのまま転用というようなことはできなくて、もし、取得した企業が農地として適正に利用しないという場合には一旦地方公共団体に所有権が戻る、そういう書面契約を締結した上で取得するという仕組みにしているということでございます。

中谷(真)委員 わかりました。ありがとうございました。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただいたこと、心より感謝申し上げます。

 それでは、国家戦略特区法の一部を改正する法律案について順次質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正は、東京オリンピック・パラリンピックをにらんで、平成二十七年度末までの二年間の集中取り組み期間の集大成として、地方創生の推進や一億総活躍社会の実現等の観点からも、必要な規制改革事項を追加するために行うとのことであります。まず、創意工夫を発揮する上の障害となっている規制、制度を改革する突破口を開くためのこの集中取り組み期間の国家戦略特区制度の成果について、どのように評価をしているのかということについてお伺いしたいと思いますけれども、特に、産業の国際競争力強化、国際的な経済活動の拠点形成という目的に照らして、どのような成果があったと考えているのか、お伺いしたいと思います。

福岡副大臣 お答え申し上げます。

 平成二十七年度末までの集中取り組み期間におきまして、医療、福祉、雇用、教育、農業、観光、都市再生などの幅広い分野におきまして、提案を全国で措置して実現したものも含めまして、五十項目以上の規制改革を実現してまいりました。また、指定した十の特区におきまして、規制改革メニューを活用した百七十一の事業を認定してきているところでございます。

 具体的には、東京圏では、世界一ビジネスのしやすい環境をつくるための東京都の都市再生プロジェクトというのがあるということは御承知と思いますが、これは、都市計画の認可手続をワンストップ化いたしまして、このときまでに全ての調整を終わらせようというその終わりの時期、終期を定めることによりまして、これまでにないスピードで進捗をしております。これによりまして、約二・五兆円の経済波及効果が見込まれるというふうにしているところでございます。

 また、養父市におきましては、輸出も可能となる新たな農業モデルの構築を目指した農業分野の規制改革を行っていただいておりまして、市外からの進出企業が、特区指定前の十年間でわずか四社であったものが、指定後の一年半で十社に上っているというような実績も上がっているということでございます。

 このように、長年実現できなかった規制改革や活用した事業を数多く実現しておりまして、大きな貢献を果たしているというふうに考えております。

角田委員 ありがとうございます。

 それで、今後、この集中取り組み期間の実績も踏まえてどのような展開を図っていくかということについてなんです。

 特に、国家戦略特区というものと地方創生特区、この二つの特区が今行われているわけですけれども、一方は世界における日本の活力を高めるというようなことが目的であって、またもう一方の地方創生特区については、日本の中でも地方の活力を高めていこう、こういう趣旨で行われていると思います。そもそも目指す方向が二つある中で、それが同じ仕組みの中、制度の中で行われているということについて、それほどそんなに大きな違いがあるようにも私には思われないんです。

 今後も、この国家戦略、そして地方創生のそれぞれの特区の二本立てで展開を考えているのかどうか。もしそうであるとすれば、特区制度を何のためにやるのかという当初の目的、理念に照らしても、もう一度、制度そのものの整理というものも必要になってくるのではないかと思いますけれども、この点も含めて、お考えをお伺いしたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区につきましては、産業の国際競争力の強化、国際的な経済活動の拠点の形成ということを目的としているものでございます。

 地方創生特区というものにつきましては、これはあくまでも国家戦略特区でございますので、当然、基本的な目標としては、国際競争力の強化でございますとか国際的な経済活動の拠点の形成を図るという中でのものでございますけれども、国家戦略特区の規制改革手法を活用いたしまして地方創生を実現しようとする、その熱意のある自治体を指定いたしまして、全国の地方創生の新たなモデルを構築しよう、そういう考えでやっているものでございます。

 一例を申し上げますと、秋田県仙北市という特区がございますけれども、ここにつきましては、国有林野を農業の六次産業化とか近未来技術実証の場として活用しようとしておりまして、このように、地域の固有の資源等を活用して、規制緩和により実現が可能となる新たな事業や雇用の創出を図って、地域における産業競争力の強化等を実現しようとする、その意義は極めて大きいと思っています。

 これは、地域の産業競争力の強化になるんですけれども、同時に、日本全体の産業の国際競争力の強化でございますとか経済活動の拠点となるということを考えておりまして、そういう意味では、こういった地方創生特区につきましても、今後、こういった規制改革による地方創生に挑戦する自治体を強力に支援していきたいというふうに思っているところでございます。

角田委員 次に、遠隔診療が行われた場合に、患者に対して、対面でなくテレビ電話等を活用した薬剤の指導等を行うことができるようにするということに関して、少しお伺いをしたいと思います。

 そもそも、この薬剤の遠隔指導は、遠隔診療を受けている患者が対象となると思いますけれども、こうした患者は現在何人いるのか、遠隔診療の普及状況についてお伺いをしたいと思います。

 また、遠隔診療を受けている患者で、なおかつ近くに薬局がないためにテレビ電話等による薬剤指導を受けなければならない患者はどの程度あるのか、また、今回この特区で行われるテレビ電話等を使った遠隔指導を利用する患者というのはどの程度見込まれているのか、お伺いをしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問をいただきました遠隔診療についてでございますけれども、平成二十六年の医療施設調査によりますと、平成二十六年九月中に遠隔在宅医療、療養支援を受けた全国の患者の延べ数でございますが、病院で千六十七名、診療所で一万五千六百三十二名となってございます。

 この遠隔診療を受けておられる患者様のうち、特区制度の活用による遠隔服薬指導のニーズを有しておられる方の具体的な数につきましては、まだ把握をしてございません。

 しかし、例えば、兵庫県養父市から、タブレットを活用した遠隔診療、遠隔服薬指導に関する提案がなされているというふうに聞いておりまして、今後、実証的にこの事業を実施する中で、具体的なニーズについて検証してまいりたいというふうに考えてございます。

角田委員 このような質問をしたのは、規制緩和の有効性を検証できるのかどうか、それだけのニーズが見込まれるのか、確認をさせていただきたかったわけですけれども、ニーズについてはこれから把握をしていくということです。

 こうしたあくまでも対面の例外的な措置としての遠隔による指導というものは、一つには、現在進められようとしている地域包括ケアシステム構築の中でも、その利用方法、あり方についてこれから積極的に検討されなければならないようになってくるのではないかということを思っております。

 そうした意味からも、一点質問させていただきたいと思うんですけれども、本事業の実施要件とされている、薬剤師が患者の居所を訪問することが容易でない場合とは、具体的にどのような場合なのかお伺いしたいと思います。

 さらにあわせて、医師からの処方箋をもとに薬剤等を患者宅に訪問して服薬指導を行うサービスというものは、今後、地域包括ケアシステムの重要なサービスとしてニーズが高まっていくと考えますが、現在、このようなサービスを提供する薬剤師そのものが、これは離島、僻地に限らず都市部においても不足している状況があります。

 理由は、施設に何十人分もの、時には百人分の薬をまとめて届けるのに比べて、一人一人の居宅を訪問して薬剤を届け指導をするということは、はるかに手間がかかるし割に合わないといったことから敬遠されがちであって、一部の熱意を持って取り組んでいる薬局の負担ばかりが重くなっているという現場の声も伺っております。

 これはこれでもちろん慎重に検討されなければいけませんけれども、将来的にはこうした手法の活用というものもやはり検討されていかなければいけないだろうと思います。

 そうした意味からも、今回対象となる場所とはどういうものを想定しているのか。また、仮にこれは、対象地域としては都市部についても指定される可能性はあるのかどうか、確認の意味でお伺いをさせていただきたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 まず、薬剤師が患者の居住する場所を訪問することが容易でない場合というところについてでございますが、この事業の対象となる調剤済みの薬剤につきましては、その不適切な使用による健康被害の発生を防止する観点から対面での服薬指導が義務づけられておりまして、「日本再興戦略」改訂二〇一五に基づく特例措置においても、薬局または患者の居宅で対面による服薬指導を行うことができない場合に限られるというふうにしておりまして、法律上、薬剤師に利用者の居住する場所を訪問させることが容易でない場合というふうに規定しております。これが、まずその前提でございます。

 具体的には、患者の居宅が薬局から遠く、アクセスが困難な場所にある場合などに、薬局と患者を結ぶ距離あるいは時間等といった要素を勘案して厚生労働省令で定めるということにしてございます。

 それから、テレビ電話等による服薬指導の対象地域を都市部にも広げる可能性があるのかという御質問につきましては、現在、薬剤師による服薬指導は医薬品医療機器法により対面で行うことが原則とされておりまして、この法律案が、平成二十七年六月の「日本再興戦略」改訂二〇一五に基づきまして医薬品医療機器法に定める対面での服薬指導の義務の特例ということで、遠隔診療のニーズに対応するために、国家戦略特区内で医療機関や薬局といった医療資源の乏しい離島、僻地等という範囲で実証的に実施するということにしておるものでございます。

 したがいまして、御指摘のような都市部の指定ということについては、現在想定はしてございません。

角田委員 続きまして、障害者雇用促進のため、障害者雇用率の通算が可能となる組合に、中小企業を組合員とする有限責任事業組合、これを追加することについてお伺いをしたいと思います。

 大企業に比べて障害者雇用率、法定雇用率の達成割合が低い中小企業の障害者雇用を促進するための方策の一つとして盛り込まれたものと理解しますが、初めに、中小企業の障害者雇用の現状について、今どのような状況にあるのか、まずお伺いをしたいと思います。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 現在定められております企業における障害者の法定雇用率は二・〇%でございます。昨年六月一日時点におきまして、全体の平均は一・八八%でございますが、報告を求めております五十人以上の規模の企業で見た場合でございますが、まず、五十人から百人の企業では実雇用率が一・四九%、百人から三百人の企業では実雇用率が一・六八%でございます。その一方で、千人以上の企業では実雇用率が二・〇九%でございます。

 これを十年前の実雇用率と比較してみますと、当時の法定雇用率は一・八%でございまして、報告を求めていたのは五十六人以上の規模の企業でございますけれども、同じように、五十六人から百人の企業では、十年前には一・四六%で、十年後の現在は一・四九%。他方、千人以上の規模の企業につきましては、十年前には一・六五%でございましたが、十年後の現在は二・〇九%となっております。中小企業の実雇用率は伸びてございません。

 繰り返しになりますが、このように、中小企業の障害者雇用に関しましては、全体の平均の実雇用率が一・八八%であること、千人以上の大企業の実雇用率が二・〇九%であることに比較いたしますと、五十人以上の企業は一・四九%、さらに、十年前に比べて伸びていないことから、その取り組みがおくれていると認識してございます。

角田委員 次に、通算可能とする対象を拡大することによってどの程度の効果があるとお考えなのかということについて、お伺いしたいと思います。

 中小企業の障害者雇用の現状、法定雇用率の達成割合、これまで実施してきた向上策、例えば事業協同組合算定特例というものを既に実施されておりますけれども、雇用率向上の効果について、これまで行ってきた施策がどのように効果があったと評価をされているのか。その上で、今回、特区での規制緩和でどの程度の効果を期待していらっしゃるのかという点についてお伺いをしたいと思います。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業におきましては、障害のある方に行っていただく仕事量の確保が、一社のみでは困難な場合がございます。

 このため、中小企業の要望を受けまして、平成二十一年度から事業協同組合等の算定特例を設けてございます。しかしながら、活用実績は今のところ四件と、少数にとどまっております。この理由につきましては、事業協同組合は、設立の手続や内部統制について厳格に定められていることや、同業者が集まって設立する傾向にあることが、こうした仕組みの周知と相まって低調になっているものと思われます。

 今回の特区制度の効果につきましては、いわゆる手挙げ方式、つまり申請主義でございますことから、数量的な効果を見積もることは困難ではございますけれども、今回の有限責任事業組合は、これまでの事業協同組合に比べまして、異業種の事業主の参画も期待できますし、設立も簡便でございますので、中小企業にとっても活用しやすい利点があること、さらに、特区制度を活用しようとする意欲のある自治体が提案するものでございますので、特例措置の周知や活用促進の取り組みが可能であることから、今般の特例措置を創設することで、課題となっております中小企業における障害者雇用の促進につながることを期待しております。

角田委員 今回、特区での取り組みが中小企業の雇用率向上、障害者の雇用の促進につながるよう、今後の推移をしっかりと見守っていきたいと思いますけれども、中小企業の、大企業に比べて低い障害者雇用、この改善というのは、規制緩和の問題というよりも、就労後の支援をいかに手厚く行っていくかだというふうに思っております。

 この観点からお伺いしたいと思いますけれども、これまで障害者の就労支援のための施策が講じられておりますけれども、それらは、どちらかといえば、職業相談であるとか就職先の紹介であるとか施設等での訓練など、実際の社会での就労のいわば入り口までの支援策というものが主であって、その後のことについては就職した先の企業などに任せられているために、せっかく訓練で身につけた能力が実際の現場、職場でうまく発揮をできない。また、コミュニケーションがうまくとれなくて人間関係に悩む。また、採用した企業の側でも、障害者がどのような適性や能力を持っているかについての判断が難しく、対応に戸惑ってしまう。結果として、多くの関係者の支援も受けて就職したけれども、職場に定着できない。

 私も現場を回って話を聞く中で、これが大企業であるならば、人事担当のスタッフなども充実をしており、各部門への障害者の配置について、どのような作業があるのか真剣に研究をして障害者の働きやすい環境を整備したり、また、ある企業では、障害者雇用のためにプロジェクトチームを立ち上げ、検討をして、そうした中で、そもそも、社員が障害者の面倒まで見るのは現業を持っている中でなかなか難しいと。そのためには、あくまでも障害者雇用に精通している人をやはりリクルートしようということで、ジョブコーチを独自に採用して障害者を専門に担当するようにしたりとか、さまざま、就職した後にいかにその職場に定着してもらうか、こういう手だてを講じているところもありますけれども、中小企業ではなかなかそういうところまではできない。

 であるからこそ、中小企業の障害者雇用率の向上のためには、まず定着のための支援というものを国としてもしっかり考えていくべきだと考えますけれども、この点について、今後の取り組みを含めてお考えをお伺いしたいと思います。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、雇い入れ後の定着支援の充実は特に重要な課題であると認識をしております。

 このため、従来から、ハローワークが中心となりまして、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所等の地域の関係支援機関が連携し、就職から職場定着まで一貫して支援を行うチーム支援を実施してきたところでございます。

 平成二十八年度予算におきましては、今委員御指摘の、職場に専門のスタッフが出向き、障害者及び事業主に助言指導を実施するジョブコーチに関して引き続き助成をいたしますとともに、特に、仕事をしていく上での障害者の悩みや日常生活の課題について一体的な相談に応じ、医療機関等と連携して支援を行うため、身近な地域である障害保健福祉圏域ごとに設置されます、先ほど申し上げました障害者就業・生活支援センターの実施体制の拡充を行いました。具体的には、就業支援担当者を全国で百一人増員するなど、予算額を五十八億円から七十五億円に増額いたしました。

 今後とも、ハローワークと地域の関係機関とで密接な連携を図りつつ、障害者の職場定着を推進してまいります。

角田委員 ありがとうございます。

 続きまして、過疎地等での自家用自動車の活用拡大ということについてお伺いをしたいと思います。

 これは訪日外国人等の観光客の運送需要に対応するために、現行の自家用有償運送制度の拡充を図るというものですけれども、そもそも、現行ある有償運送、この仕組みで対応できない理由について、具体的な手続も含めて少しお伺いしたいと思うんです。

 現行の自家用有償旅客運送には、市町村が運営主体となるものと、NPO法人等が主体となるものと、大きく二つあって、それぞれに路線バスなどの交通空白地を対象とする交通空白地運送、介助なしで移動することが困難な身体障害者等を対象とした福祉的な輸送とが認められておりますけれども、これらはいずれも、その事業を実施するためには、地方公共団体であるとか地方運輸局、地域住民のほかに、バス、タクシー事業者等で組織する団体で構成する運営協議会の合意が必要とされております。

 具体的には、有償運送事業を行うためには地方運輸局に登録申請をする必要があり、その申請をするためには、有償運送運営協議会において事前審査を受けて、運営協議会において協議が調ったことを証する書類を添付して提出する必要があります。要するに、バス、タクシー事業者が首を縦に振らない限りはこの事業を実施することはできないというのが現行の仕組みでございます。

 これに対して、特区においてこれから可能としようとする有償運送の手続は、ちょっと現行の仕組みとは違うようですけれども、この現行との比較でどのような違いがあるのか、説明をいただきたいと思います。

持永政府参考人 御説明いたします。

 まず、現行の自家用有償旅客運送の制度でございますけれども、委員御存じのように、これは過疎地域その他の、交通が大変不便な地域におきまして、通院ですとか買い物といった地域住民の足を確保するためのものということでつくられている、道路運送法に基づく制度でございます。

 一方、今般、国家戦略特別区域におきまして導入しようとしております特例措置につきましては、交通が著しく不便な地域ということは一緒でございますが、訪日外国人を初めとする観光客の輸送、こちらを主な目的とするという意味において、まずその制度の目的が違っておるところでございます。

 外国人観光客につきましては、委員も御存じのように、地方でも大変大幅に増加しておりますので、こういった制度も活用しながら、訪日外国人等の移動ニーズに応えていきたいということでございます。

 それから、もう一つ、手続についての御質問でございます。

 今回の特例措置に係る手続につきましては、特区の枠組みに乗っかっておりますので、国家戦略特別区域会議におけます区域計画の策定、それから国土交通大臣の同意、それから内閣総理大臣による認定ということを経て、その上で、先ほども御指摘ありましたような、国交大臣の登録といったことで事業がスタートするわけでございます。

 重要なのは、その区域計画の策定の前段階でございますが、先ほど、道路運送法の現行制度では運営協議会があってそこで全部協議をするという御指摘いただきましたけれども、それと一緒ではございませんが、こちらの特例措置におきましても、区域計画に先立ちまして、市町村、それから事業を行おうとする者、それからバス、タクシーといった地域の交通事業者、こちら三者におきまして協議を行わなければならないということが義務づけられておりますし、この協議といいますのは、地域におけます地域公共ネットワークの形成ですとか、輸送の安全、旅客の利便等の観点で行われるものでございます。

 国土交通省といたしましても、このような協議、大変重要なものと考えておりますので、建設的で前向きな協議が行われるように努めていきたいと考えております。

角田委員 有償運送に関してもう一点お伺いします。

 事業を実施できる範囲についてなんですけれども、この事業の定義では、一つの市町村の区域内における外国人観光客その他観光旅客の移動のための交通手段を提供することを主たる目的としております。

 実施区域というのは一つの市町村の区域内に限定されてしまうのかどうか。地方創生においても連携の重要性というものが強調されておりますし、観光においてもこの視点を生かした取り組みが求められているのではないかというふうにも思います。また、観光に訪れる人は、行政の区域なんかは別に意識することがなくて、どれだけ魅力的な観光コースが設定されているのかが重視されるのだろうと思います。

 そうした観点からも、今回特区でできるようにするこの事業を一つの行政区域内だけに限定してしまうということは、十分な効果が見込めないのではないかとも思いますけれども、実施区域は一つの市町村の区域に限られるのか、また、そうだとすれば、その理由についてもお伺いしたいと思います。

持永政府参考人 御説明申し上げます。

 御指摘のように、今般の特例措置につきましては、外国人観光客を初めとする観光客の輸送を主たる目的としております。

 一方で、法文におきましては「一の市町村」という文言が出てまいりますし、この特例措置の基本的な考え方は一の市町村ということになっておりますが、まさに委員御指摘のとおり、地域の観光需要ということを考えますと、一の市町村でクローズすることばかりではございません。そういったことも鑑みまして、一の市町村に限らない路線でありますとか区域の設定を行うことも可能といたしております。

角田委員 時間がないので最後の質問になるかと思います。

 この有償運送、交通空白地の運送を想定しているということですけれども、例えば、外国人観光客の中でも車椅子の外国人の方が訪れた際にも対応できるように、現在の社会福祉法人などの福祉の有償運送の運送主体も、こういった事業に参画できるような枠組みになっているのかどうかということだけ確認をさせていただきたいと思います。

持永政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、今回の制度、先ほど来申し上げておりますように、観光客の輸送を主たる目的としておりますので、体に障害のある方も当然想定の対象としております。

 それから、福祉法人でございますが、現行の道路運送法でも同様でございますけれども、自家用車による輸送を行うことができる非営利の法人として想定をしております。

角田委員 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 国家戦略特区法の一部改正案、自家用自動車の活用拡大について質問をいたします。

 改正案によれば、主な運送対象者は訪日外国人を初めとする観光客とありますけれども、これは訪日外国人に限定するのでしょうか。日本人旅行者やあるいはビジネスマンも運送していいのでしょうか。説明を受けたいと思います。

持永政府参考人 御説明申し上げます。

 今般、国家戦略特別区域における特例措置として設けようとしておりますものは、交通が著しく不便な地域におきまして、訪日外国人を初めとする観光客の輸送ということを主な目的としております。

 具体的な輸送の対象でございますけれども、外国人観光客だけではなくて日本人観光客が含まれておりますし、このほかに、御質問のありましたようなビジネス客等の利用も排除するものではございません。

田村(貴)委員 一の市町村、すなわち、運送主体の地域住民も、これは乗っていいということでしょうか、イエスかノーかで結構です。

持永政府参考人 地域の住民につきましても、その利用を排除するものではございません。

田村(貴)委員 では、なぜ訪日外国人というところが一番目立ってしまうんでしょうか。だとするならば、なぜ、地域住民が事前協議にも、そして国家戦略区域会議にも参加する仕組みになっていないんでしょうか。

 これまでの、地域住民を対象にした自家用有償運送では、地域関係者による合意が必要とされ、地域公共交通会議ないし運営協議会には地域住民等が参加する仕組みになっていたはずであります。ここが変わってしまいました。なぜでしょうか。

持永政府参考人 御説明申し上げます。

 今回の特例措置につきましては、訪日外国人を初めとする観光客の輸送、これを主な目的として創設するものでございます。

 そういった意味におきまして、従来のその制度、こちらの方は通院ですとか買い物といった、地域住民の生活に必要な足ということでの有償制度でございますので、まず目的を異にしておるところでございます。そういった意味で、その目的が違う、それから主たる対象が違うということで、その目的の違いに即した制度設計になっているということでございます。

 なおでございますけれども、今回の特例措置の中におきましても、御指摘のとおり、地域住民が区域会議等に参加するといったスキームとはなっておりませんけれども、地域の足の確保について責任を持ちますまさに自治体が事前の協議ですとか区域会議の構成員となっているところでございます。

田村(貴)委員 しかし、地域の自治体といっても、これは首長さんですよね。地域住民がちゃんと直接意見を上げる、私たちの自治体の中におけるいわゆる運送、交通事業に対して物が言えないというのは、私は不思議でなりません。

 不思議でならないのは、大臣、特区の提案なんですけれども、私はなかなかよくわかりません。バスやタクシーも利用できないようなところの観光地域に、果たしてどれだけの外国人旅行者の方が出かけられるんでしょうか。また、その運送を担う自家用自動車にどれだけの需要があるんでしょうか。そして、運転手さんは、先ほども議論がありましたけれども、一日講習を受けたらお客さんを乗せていい。安全性は担保されるんでしょうか。初めて会うお客さんが外国人です。言葉は通じるんでしょうか。

 いろいろと疑問と心配は尽きないわけであるんですけれども、大臣、後でお伺いします。

 今言いましたように、その運送主体は市町村なんですよね。そして、非営利団体と変わらないわけなんです。市町村が行い、その地域の住民も対象とするのであれば、実施計画の協議の段階からなぜ住民の声を聞かないのか、あるいは、地元の交通事業者等々の声を聞かないのか、こうしたところは、私は本当に不思議でならないわけなんです。

 聞くべきではありませんか。制度はやはりそこに住民参加を入れるべきではないですか。どうでしょう。

持永政府参考人 御説明を申し上げます。

 先ほどと重複いたしますけれども、やはり現行の地域の足を守る、買い物とか通院の足を守るといった制度と異なりまして、今回は、外国人を初めとする観光客、こちらを主な目的とした制度設計となっておりますので、そういった意味におきまして、その違いに着目もしつつ、御提案のような制度設計になっているところでございます。

田村(貴)委員 この制度は、最終的に担当大臣と、そして首長と事業者が合意すれば、ゴーなんですよ。そういうあり方というのは、まさに規制緩和、そして安心、安全性に対してのやはり担保がどんどん落ちていくのではないかな、そういう危惧感もあるわけであります。

 地方創生を預かる石破大臣としては、御所見はいかがでしょうか。

石破国務大臣 委員御指摘のような議論というのは確かにあるし、それは重要な論点だと私は思っております。

 平成二十六年の二月の二十五日閣議決定でございますが、国家戦略特区法第八条第一項に規定する区域計画の同条第七項の認定に関する基本的事項という閣議決定がございます。この閣議決定におきまして、区域会議というのを構成するのは、確かに地方自治体の首長でございます。そこで区域計画をつくり、それが総理大臣の認定を経てと、こういう仕組みになっておるのは御案内のとおりですが、今申し上げました閣議決定によります基本的事項におきましては、区域計画の作成に当たり、地域の実情や住民の声は関係地方公共団体の長の参画を通じて適切に反映されるよう努めるものとする。原文は「反映するよう」となっていますけれども。

 要は、地域の実情、住民の声というものは、地方公共団体の長の参画を通じてということですから、それがこう、彼らが参画をすれば反映されるということを言っているわけではなくて、その長たちは、当然、住民によって選ばれているわけですし、彼らはそこにおいて計画を作成するに当たって地域住民の声というものをきちんと反映しなければいけないという含意も私はあるものだと思っています。単に参画すればそれでいいという話ではございません。

 そこにおいて実際に地域住民の方がどう思っておられるかということが反映されなければ、それは、委員がおっしゃるようなことも懸念なしとしないと思っております。地域の住民の声というものが反映されない、そういうような国家戦略特区というのは、そもそもあるべきだとは私は思っておりません。

田村(貴)委員 地域の住民の声は反映されて当然であると思います。従来の運営協議会が不要ということになれば、一般交通事業者が反対するなどのハードルが低くなってしまう、白タク行為がしやすくなるということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 続いて、ライドシェアについて伺います。

 昨年二月から三月にかけて、私の地元、福岡県福岡市、その周辺でライドシェアの検証実験が行われました。道路運送法の事業許可がない旅客運送、白タク行為は違法であります。国土交通省は、検証実験を行ったウーバー社の日本法人に対して中止指導を行ったわけでありますけれども、その中止指導の理由について、簡単でいいですから、説明していただきたいと思います。

持永政府参考人 御説明を申し上げます。

 福岡では、ウーバー社のアプリを使ったライドシェアということでございますが、これは委員御存じのように、タクシーの事業許可を得ていない一般のドライバーの方と利用者の方をアプリで仲介する、ドライバーに対してはウーバー社が一定の対価を払うといった形でございます。

 これも御承知のように、お客様を運ぶということでございますので、安全確保、それから道路運送法を守っていただくことは当然のことでございますが、今般の実証実験につきましては、この道路運送法に抵触するということと考えられましたので、中止を指導いたしております。

 また、保険の問題もございまして、実は、事故が起きた場合の保険の適用の有無についても不明確であったということで、利用者の保護も問題がありましたので、こういったことも含めて中止指導をしたところでございます。

田村(貴)委員 違法の白タク行為が大都市において一カ月以上にわたって堂々と行われていたということであります。中止としたのは当然のことであります。にもかかわらず、ウーバー社は、利用者にも高い評価をいただいた、データをとることで都市交通の課題もわかったというふうに評価をしています。アメリカの資本や、それから日本の企業が規制緩和を次々と求めているところです。

 言うまでもなく、道路運送、旅客運送で一番求められるのは、安心、安全であります。運賃ダンピング、それから規制緩和の流れが、取り返しのつかない重大事故をずっと繰り返し引き起こしてきたということであります。こうした白タク行為は絶対に認めない、そして安心、安全を脅かす規制緩和はいささかも認めない、政府としてはその立場を強く堅持していただきたいというふうに思います。

 次に、地方復興、地方再生、それから地方創生、地域振興、そのいろいろな取り組みが寸断されてしまった熊本の大地震、そして被災者の支援について伺いたいというふうに思います。

 熊本市における複数の避難所が耐震上の問題で閉鎖されました。そして、被災者が出ていかざるを得ない事態となっている。だから、早急に避難所を確保すべきだというふうに、私は一昨日この委員会で取り上げました。しかし、内閣府の中村参事官は、その事実は確認できないというふうに、私も驚いたんですけれども、そういう答弁でございました。

 そこで、私、一つ一つの学校に確かめました。ある学校では、体育館を閉鎖し、別の教室に移動してもらった。また、ある学校では、ほかの施設を三つほど案内したけれども、その容量が少なくて、全ての被災者を受け入れるには限界があったというふうに報告をもらいました。また、全く代替施設が案内されなかった、そうした学校の体育館もありました。

 十六日の本震で体育館の壁が落下するなど、避難所が危なくて、十八日を中心に体育館の避難所が閉鎖されたのは事実であります。避難場所を失った被災者が大勢生まれているのは事実です。テレビや新聞でも報道されています。(写真を示す)現地の学校です。誰も被災者はいません。体育館です。張り紙を張っています。撮影は二十日の日です。発災直後です。「この体育館は、耐震上問題があるため、避難所を閉鎖しました。」と。おわかりいただいたでしょうか。

 内閣府、連絡とれたでしょうか。この現状認識を今私と共有できているでしょうか。お答えいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 今回の地震におきまして、耐震性に問題があり、閉鎖された避難所というものがあったかどうかということにつきましては、先生の御指摘のほか、さらに報道等も見ておりますし、また、昨日も一件、報道を見て、自治体の当局に確認したような事例もございまして、これはあったものと認識をいたしております。

 おとといの答弁でございますけれども、昨日の前日の時点におきまして、避難所の問題というものが個別具体的には関係の自治体でまずは対応をとっていただくものという考え方で連絡をとった際の経緯についてお答えをしたものでございまして、もとより御指摘のような事実がそのことによって存在しなかったという趣旨でお答えしたものでもございませんので、御理解をいただければと存じます。

田村(貴)委員 後段の部分は必要ないことですよ。ここはもう、時間もあれですから、これ以上言いません。

 ただ、私、十八日の日に一報を入れているんですよね。そして、国会で取り上げていることです。すぐに学校に一つ電話をすれば、私も電話したんですよ、それで済む話なんですね。こういう状況では、危機管理意識は共有できませんよ。被災地の復興、やはり政府を挙げてというところに、まず連絡をとって、情報を共有しないといけないということだけは指摘させていただきます。

 そこで、大事なのは、避難所の確保であります。

 熊本市内の避難所は、一カ所平均で二百人であります。それから、一千人を超す避難所もあります。私も、この間の金曜日、土曜日に行って、見て回ってまいりました。どこもすし詰め状態であります。段ボールと毛布だけで廊下で過ごす被災者というのは、一週間たってもテレビの映像に出ています。変わらないんですよ。政府のやること、自治体と一緒に、公共施設、企業、民間施設、船舶、公営住宅、あるいは民間の一時借り上げ、もう何でもいいです、政府が率先して居場所を確保する、これが今一番求められています。

 その決意について再度お伺いしたいと思うんですけれども、できるだけ努力をする、そんな答弁では困ります。安倍首相も、あらゆる手段を講じていきたいと言っています。避難所をつくる、追い出された被災者の居場所を確保する、そういう決意をぜひここで言明していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 避難者の方々の行き先の確保というものにつきましては、住宅ですとかあるいは避難所の確保を含めまして、県庁内においてもプロジェクトチームが立ち上がっていると伺っております。そちらの方ともしっかり連携をとって、国としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

田村(貴)委員 きょう、あした、何ができるか。時間を争って進めていただきたいというふうに思います。

 なぜそれを進めていただかなきゃいけないのかというと、被災者の健康が今脅かされています。昨日、我が党の志位和夫委員長は記者会見して、緊急の課題として、震災関連死を防ぐための提起を行ったところであります。エコノミークラス症候群を初め、被災者の健康が損なわれています。避難所における感染の心配が今生じています。足を伸ばして寝ることができない、車中泊、そして毎日、きのう雨も降りましたけれども、過ごされておられる被災者の気持ちにやはり寄り添うことが必要です。せっかくあの大地震で助かった命です。災害関連死を政治の責任で防がなければいけないと思います。

 そこで、私、一昨日、内閣府にも直接要請させていただいたんですけれども、テントを大規模に確保することが望まれています。状況を心配された民間のテント業者が今善意で提供されています。それから、テントは災害救助法の対象にもなっているはずであります。自衛隊、官庁、民間等々、政府として要請をしていただきたい。急いで確保していただきたい。今、現状、どうなっておられるでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 現状におきましては、御指摘のとおり、災害救助法による国庫負担の対象となるところでもございますので、テントの確保につきましては、現場の自治体からの、現場の判断による要請があれば調達に着手できる状況はございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 判断できる状況にあるんじゃなくて、今、私どももおととい申し入れて、災害救助法の対象になっていて、そしてこれは必要であるといったところだから、きょうまた仕事で頑張っていただきたいというふうに思います。

 避難所の生活改善も喫緊の課題であります。テレビを通じて飛び込んでくる画像にやはり胸が痛みます。プライバシーもない、かたい床に毛布をかぶって過ごしている方の姿がどんどん映されています。衛生上も、精神衛生上も非常によくない状況が続いています。メンタルケア、メンタル支援も必要だし、メディカル支援も必要なんですけれども、避難所の生活改善、パーティション、簡易ベッド、それから椅子、ベッド、ソファー等々、こうした必要な備品について必要な部分が手だてが打たれているのか、このことについてもお尋ねしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましては、発災当初より、避難所の生活環境の確保に関する通知を熊本県に発出しております。この中で、御指摘のように、プライバシー確保のためのパーティションですとか、あるいは腰をかけることができるものということでは簡易ベッドの設置などの配慮のお願いを県の方に出しております。また、こういったものは、先ほどのテントと同じように災害救助法による支援の対象ともなるものでございますので、今後とも、生活環境の改善のため、自治体に対し、物資確保の支援ですとか必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 政府が率先して取り組んでいただきたいと思います。体を伸ばせて心身ともに落ちつける避難所へ、そして避難施設をふやす、テントを確保する、被災現地と連絡をとって、きょう、私、緊急の対応について申し上げました、政府として全力を挙げていただくよう強く要望して、きょうの質問を終わります。

山本委員長 この際、申し上げます。

 農林水産委員会との連合審査会は、来る二十五日月曜日午後一時から開会することとなりましたので、御報告申し上げます。

 次回は、来る二十五日月曜日午後零時五十分理事会、午後四時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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