衆議院

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第9号 平成27年6月12日(金曜日)

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平成二十七年六月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 江渡 聡徳君 理事 松本  純君

   理事 御法川信英君 理事 下地 幹郎君

   理事 遠山 清彦君

      青山 周平君    井上 貴博君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      大西 英男君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝沼 栄明君

      勝俣 孝明君    木原 誠二君

      木村 弥生君    小島 敏文君

      佐々木 紀君    笹川 博義君

      白石  徹君    鈴木 憲和君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      中谷 真一君    橋本 英教君

      原田 義昭君    平沢 勝栄君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      星野 剛士君    細田 健一君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      宮澤 博行君    武藤 貴也君

      務台 俊介君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山田 賢司君

      若狭  勝君    若宮 健嗣君

      足立 康史君    青柳陽一郎君

      太田 和美君    河野 正美君

      牧  義夫君    丸山 穂高君

      伊佐 進一君    佐藤 茂樹君

      浜地 雅一君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   中谷  元君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   防衛大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    石川 博崇君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山本 条太君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            平松 賢司君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   衆議院調査局我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別調査室長     齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     木村 弥生君

  白石  徹君     青山 周平君

  武井 俊輔君     藤井比早之君

  中谷 真一君     佐々木 紀君

  橋本 英教君     鈴木 憲和君

  平沢 勝栄君     鬼木  誠君

  宮川 典子君     大見  正君

  宮崎 政久君     井上 貴博君

  若宮 健嗣君     小島 敏文君

  青柳陽一郎君     足立 康史君

  太田 和美君     河野 正美君

  丸山 穂高君     牧  義夫君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     白石  徹君

  井上 貴博君     宮崎 政久君

  大見  正君     宮川 典子君

  鬼木  誠君     大西 英男君

  木村 弥生君     大西 宏幸君

  小島 敏文君     若宮 健嗣君

  佐々木 紀君     中谷 真一君

  鈴木 憲和君     藤丸  敏君

  藤井比早之君     細田 健一君

  足立 康史君     青柳陽一郎君

  河野 正美君     太田 和美君

  牧  義夫君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     平沢 勝栄君

  藤丸  敏君     勝俣 孝明君

  細田 健一君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     若狭  勝君

  鈴木 隼人君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     武井 俊輔君

  若狭  勝君     橋本 英教君

    ―――――――――――――

六月十二日

 集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回を求め、これに基づく全ての立法や政策に反対することに関する請願(斉藤和子君紹介)(第一八一二号)

 憲法違反の集団的自衛権行使のための関連法律の改正等を行わないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八四六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一八四七号)

 同(仲里利信君紹介)(第一八四八号)

 集団的自衛権行使のための立法措置を行わないことに関する請願(斉藤和子君紹介)(第一八四九号)

 同(畠山和也君紹介)(第一九二七号)

 日本を海外で戦争する国にする戦争立法反対に関する請願(畠山和也君紹介)(第一九二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員に対し、御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官山本条太君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、外務省総合外交政策局長平松賢司君、外務省北米局長冨田浩司君、海上保安庁長官佐藤雄二君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若宮健嗣君。

若宮委員 おはようございます。自由民主党の若宮健嗣でございます。

 本日は、トップバッターということで、残念ながら民主党、共産党の方々はお見えになりませんが、質疑をさせていただければと思っております。

 私自身、一昨年、二〇一三年の九月から一年間、二〇一四年の九月まで、今こちらの委員でもあられます小野寺大臣の下で政務官を務めさせていただきました。今回の法制は、この当時からあります国家安全保障戦略、そしてそれに伴う特定秘密保護法、そして大綱、中期防、それから防衛装備の移転に関する件、あるいは昨年の集団的自衛権に関する件、そして今回の法制と、日本国民を守るため、そして日本国家を守るための一連の日本の安全保障のあり方の流れの一環だというふうに認識をいたしております。

 さて、いろいろ議論が進んでございますけれども、今、安全保障環境の変化、これは北朝鮮のミサイルあるいは核開発はもちろんのことでもございますが、先般のG7でも取り上げられております、私は、きょうは南シナ海の問題について取り上げさせていただければと思っております。

 皆様方のお手元にもお配りをしてございます資料でごらんをいただければおわかりかと思いますが、現在、南シナ海におきまして、中国は大規模な埋め立てを推進いたしております。これはまさに、力による現状の変更、グレーゾーンの事態ではないかと私自身は考えているところでございます。また、近隣のフィリピンやベトナムなどの沿岸諸国では、大きな懸案事項ともなってございます。

 しかしながら、これらの周辺国一国一国では、個別の国力そして軍事力、それでは対抗し得ない。あくまでも、やはりここは、アメリカのリバランス政策、そしてまた私ども日本とアメリカの日米同盟がしっかりと機能してこそ、このアジア太平洋地域の安定に貢献するものと考えているところでございます。

 特に、先週、六月の三日、フィリピンのアキノ大統領がお見えになり、国会で演説をされました。間接的ではございますが、南シナ海に関する問題にお触れになり、日本が平和維持のため、より積極的な立場をとっていることを特に念頭に置き、本国会で行われている審議に最大限の関心と強い尊敬の念を持って注目をしている、このように述べられておられます。これはまさに、我が国における、地域の平和と安全に貢献をしてほしい、そして今回の平和安全法制への大きな期待のあらわれではないかと私も認識いたしているところでございます。

 そこで、まず岸田外務大臣にお尋ねいたしますが、この日米同盟、これまでもアジア太平洋地域での平和と安定のための公共財として大きな機能を果たしてきたと思っております。

 これまでの審議におきましては、あたかも、私ども日本が、アメリカが違法な武力攻撃をすることを前提として、そういった米軍の支援をするかのような議論が出てもおります。しかしながら、国際法上違法な武力を行使している国に対する支援は一切しないということ、そしてまた、地域の平和と安定を守り抜くためには、今も申し上げましたが、日米同盟が極めて重要だと私は考えておりますが、このところ、改めて御説明いただければと思っております。

岸田国務大臣 まず、国際法上、武力の行使を行うためには、国連憲章等によってこれは違法性が阻却されなければなりません。我が国としまして、国際法上違法な武力行使をしている国、これを支援するということは全くありません。そして、日米両国は、国連加盟国として、国連憲章を遵守する義務を負っております。違法な武力行使はできない立場にあります。我が国としまして、米国が違法な武力行使を行うことは考えておりません。

 その上で、日米同盟の重要性について申し上げますが、日米同盟は、アジア太平洋の平和と繁栄の礎であります。そして、我が国の外交にとりましても基軸であると考えています。私自身も、外交の三本柱に日米同盟の強化を掲げて今日まで仕事をしております。

 先般の安倍総理の訪米の際にも、オバマ大統領との間で、アジア太平洋や世界の平和と繁栄に主導的な役割を果たしていくことを確認したところであり、今後とも日米両国で緊密に連携していかなければならないと考えております。

 今般の平和安全法制ですが、日米の信頼のきずなを一層強固なものにするものだと思いますし、このことによりまして、重要な日米同盟の抑止力が一層強化される、こういったことにもつながる法制であると考えております。

若宮委員 ありがとうございました。

 私自身が政務官を仰せつかっておりましたときにも、実は東南アジアの方、シャングリラ会合等々の前にも出張させていただきました。その際にも、東南アジア諸国の首脳の方々とも、さまざまなレベルの方々と会談をさせていただきました。

 多くの方、あるいはほとんど全員と言ってもいいかもしれません、日本の防衛省・自衛隊に対する高い評価と、そして信頼を実際に多くの方々から私はいただきました。そして、日本がもっと大きな意味で貢献してほしいんだ、この地域での安定に大きな力を持てるであろう、だから期待しているんだ、私たちの期待に応えてほしい、そういった国々がほとんど全員でありました。

 中谷大臣にお伺いしたいと思っております。

 五月、先日のシャングリラ会合、この場で、改めて大臣はどのようなメッセージを発信されましたか。

 そしてまた、同じくASEAN諸国の方々、全体会議、それからまた個別の会談もたくさんなさったというふうに伺ってもおります。こういった形での、ASEAN諸国が南シナ海についてどのような懸念を持っているのか、実際のところ、中谷大臣のお感じになるところをお伺いさせていただければと思います。

中谷国務大臣 若宮議員が御指摘のように、中国は、南シナ海において急速かつ大規模な埋め立て活動を強行しているほか、一部の岩礁では、滑走路や港湾、これを含むインフラ整備を推進していると見られます。

 ASEAN各国は、南シナ海で行われている埋め立てが、相互の信用と信頼を損ない、平和と安全、そして安定を傷つけかねないという深刻な懸念について認識を共有しているということを承知しております。

 我が国としても、中国を含む各国が、緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づいて行動するとともに、公海における航行の自由や公海上空における飛行の自由といった国際法上の一般原則、これが確保されることが重要であると考えております。

 こうした観点から、せんだって、シャングリラ会合、アジア太平洋の防衛大臣会議でありますが、私、出席をしまして、私の方から、こういった南シナ海における動向も踏まえまして、三つの原則の重要性を強調いたしました。

 まず第一に、国家は何事か主張をなすときは法に基づいてなすべし、第二に、主張を通したいからといって力や威圧を用いない、第三に、紛争解決には平和的収拾を徹底すべし、この三原則を申し述べまして、地域の平和と安定を未来に託すためには、圧力によるのではなくて、対等の立場から協力をして未来を切り開いていく責任があり、中国を含む各国がこのような責任ある立場で振る舞うことを期待する旨の主張をいたした次第でございます。

若宮委員 ありがとうございました。

 今回の法整備では、この南シナ海の今申し上げております問題も含めまして、アジア太平洋地域の平和、安全を確保するためには、先ほどの日米同盟を強化することはもちろんのことでありますけれども、地域内外のパートナーとの信頼関係や協力関係を深めることが重要であると考えております。

 そこで、この南シナ海においてでありますが、今、皆様方のお手元にも資料をお配りさせていただいておりますが、今回の法制上の中で、重要影響事態や国際共同対処事態が発生しないとも言えないかと私は考えているところでございます。

 そうした場合に、ある事態、これがどういった事態かはまた具体的にはあれでございますけれども、法律上、重要影響事態と国際共同対処事態との優先関係、これはどういった形になるのか。そしてまた、事態が刻々と推移してまいるかと思いますので、この推移した状況において、例えば法の適用の中で、国際平和支援法から重要影響事態安全確保法へ法律の適用が、変更が必要だな、こういう場合もあり得るかなと思っております。

 そうした場合の対応措置では、現在、国会承認が必要ということになっておりますが、こういった具体的な状況の変化の中で、果たして政府は本当にスムーズに、シームレスなスイッチができるんだろうかなというところにちょっと私は疑問を持っているところではございますが、これは中谷大臣にお答えをいただければと思っておりますが、いかがでございましょうか。

中谷国務大臣 一般論として申し上げますけれども、ある事態が、重要影響事態及び国際平和共同対処事態、これのいずれの要件にも該当するということはあり得ますけれども、その場合、法律の適用につきましては、その事態が我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるものであり、その観点から優先的に対応する必要があることから、まずは重要影響事態法の適用を検討し、重要影響事態法の適用のない場合にのみ国際平和支援法の適用を検討することとなります。このような考え方を明確にするために、重要影響事態法が適用される事態には国際平和支援法の適用は除外をされる旨を法律上明記いたしております。

 また、国際平和支援法に基づいて自衛隊の部隊が国際平和共同対処事態に対応しているときに、その事態が推移して、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であると認められるに至った場合には、重要影響事態法に基づいて、基本計画の策定、国会の承認等の必要な手続を経て、同法に基づく対応措置を実施することになります。

 このような場合には、国際平和支援法に基づく対応措置を終了し、重要影響事態法に基づく対応措置を実施することとなるために、事態に切れ目なく対応することが可能になるわけでございます。

 こういう手順を踏ませていただきます。

若宮委員 わかりました。ありがとうございます。

 それでは、日米以外で、アジア太平洋地域の平和と安定に貢献する意思と、そしてまた能力と、そして日本との防衛協力を推進している国、これはオーストラリアがあり得るかなと思っております。

 もちろん、オーストラリアのアンドリュース大臣もこのシャングリラ会合にもいらっしゃり、さらに、その後訪日をされ、中谷大臣もお目にかかっていらっしゃるかと思います。私自身も昨年、小野寺大臣のもとで、当時、ジョンストン大臣と、やはり訪日された際にいろいろとお目にかからせていただき、お話もさせていただきました。

 このシャングリラ会合におけます日米豪の防衛大臣の会談の成果、これを、南シナ海に関連して、ちょっと中谷大臣の、もちろんお話しになれる範囲で結構でございますが、お話しいただきたい。

 さらに、あわせて、この平和安全法制の整備によって、日本とオーストラリア、あるいは日本とアメリカとオーストラリア、これが具体的にどういった協力が可能になってくるのか。私は、平時からいろいろな準備を万端備えておく、備えあればまさに憂いなしだなというふうに思っているところであります。平時から武力攻撃に至るまで、どのような段階でどのような協力ができるのか、あわせてちょっとお答えいただければと思っております。

中谷国務大臣 若宮委員も防衛省の政務三役のときに、日豪の防衛協力等につきましてオーストラリアの防衛首脳とも協議をされたわけでございますが、せんだってのシャングリラ会合におきましても、日米豪、この三カ国の防衛相会談を実施しまして、地域の安全保障情勢について意見交換を行い、南シナ海における中国による埋め立てに対する深刻な懸念を共有し、東シナ海及び南シナ海における力による一方的な現状変更に強く反対するとの日米豪三カ国の一致した認識を国際社会に示しました。

 その上で、南シナ海で領有権を主張する全ての当事者に対して、自制し、埋め立て活動を中止し、緊張を和らげるための措置を講じ、挑発的な行動を控えるよう促すとともに、南シナ海における実効的な行動規範の早期合意に達するように求めたわけでございます。

 このほか、会談では、地域の危機に対して多国間で協調することが重要であるという認識で一致をしまして、今後とも日米豪三カ国の共同訓練などの実務的な防衛協力を強化していくほか、人道支援、災害救援、海洋安全保障、能力構築支援などの分野において、ほかの地域諸国とも緊密に協力をしていくことを確認いたしました。

 このように、基本的価値と地域における戦略的利益を共有する日米豪三カ国が防衛分野における実質的協力を強化することは、我が国の安全及び地域の平和及び安定にとって極めて重要でありますので、引き続き日米豪三カ国の間の防衛協力を進めてまいりたいと考えております。

 そして、この協力につきましては、今回、平和安全法制の整備によりまして、外国軍隊との協力は、例えば次のようなことが可能になります。

 いわゆるグレーゾーンの事態における米軍等の部隊の武器等の防護、国際平和共同対処事態における協力支援活動、重要影響事態における後方支援活動、存立危機事態、武力攻撃事態における支援活動。法律上、これらの対象としてオーストラリア軍が明記されているわけではありませんが、これまでの日豪の安全保障、防衛協力の進展を踏まえれば、今後、現実の事態に際して、お互いのニーズが一致し、かつ、これらの法律の要件を満たす場合であれば、日豪、日米豪の運用協力を進めることが可能となると考えております。

 このほか、オーストラリア軍とは、カンボジア、東ティモール、南スーダンなどの国連PKOにおいても協力して活動を実施しておりまして、また、改正後のPKO法に基づいて、国連が統括しない活動に自衛隊が参加する場合も、オーストラリア軍が参加していれば現場において協力して活動することが考えます。

 このように、日本とオーストラリア、日米豪、この協力を深化させていくことはアジア太平洋地域の平和と安定に資するものでありまして、平和安全法制も活用して今後とも一層推進をしていく必要があると考えております。

若宮委員 ありがとうございました。

 私、実際に、もちろん政務官のときもそうなんですが、それ以外のときも、何度も何度も沖縄の方にも出かけました。沖縄の離島、島嶼部のところにも出向いてまいりました。

 実際に、特に漁業に携わる方々のお話を伺ってみますと、漁に出るのも怖いんだと。それはなぜかといえば、中国の船が大量に、こちらは二、三十隻で出るけれども、あちらは三百隻ぐらいでいる。そんな中で、行こうとすると、これは現実に沖縄の漁業に携わる方々から聞いておりますが、本当にいろいろな意味で恐怖感を覚えている、こういったお話を、生の話を聞いております。この南シナ海の問題はまさに他人事ではないと考えております。

 この平和安全法制の整備によって我が国の対処能力を向上させて、そして、日本とアメリカ、日本とアメリカとオーストラリア、この協力を深化させることによって、もちろん、第一義的には日本国民を守り、日本国の平和を守るためでありますけれども、地域の平和と安定に寄与すること、そしてまた、紛争に巻き込まれないような抑止力を向上させること、ひいては世界平和につながることが最も重要であると思っております。

 この法案を一刻も早く成立できるよう、大臣におかれましても御尽力賜ることをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 当委員会が始まる前の五月二十六日の本会議におきまして、網羅的に質問をさせていただく時間をいただきまして、総理に十問お答えいただいたわけでございますが、きょうはぜひ中谷大臣また岸田大臣にしっかりと御答弁いただければありがたいと思います。

 まだ何回かこれから機会があると思いますので、きょうは一つのテーマに絞ってお聞きをしたいと思うんですが、それは、今回の国際平和協力法の改正について何点かお聞きをしたいと思います。

 これはもう長年の懸案でございまして、今から七年前の平成二十年に、当時自民党の山崎元副総裁、我が党の山口現代表が座長、座長代理として、与党の中に与党国際平和協力の一般法に関するプロジェクトチームというものが立ち上がりまして、九回議論をいたしました。そのメンバーの中には、現中谷大臣また浜田委員長、岩屋理事、さらに私もメンバーとして議論に加わらせていただいたんですが、九回、本当に内容のある議論をさせていただいたわけでございますが、そのときになかなか踏み込めなかった、そういう内容が今回の法改正で進めることになったわけでございます。

 それは、一つは、いわゆる駆けつけ警護を認めるということ、さらには、今回、安全確保業務という新たな任務をつけ加えまして、そして、任務遂行のための武器使用というものを認める、こういうことになったわけでございまして、国連平和維持活動等の国際貢献の現場で汗を流している、そういう隊員がしっかりとした任務ができるという意味では、私は大きな改善であり前進である、そのように考えているところでございます。

 そこで、まずは、いわゆる駆けつけ警護、これは本当に長年の懸案でございましたけれども、中谷大臣にぜひお聞きしたいのは、国連PKO活動の現場、あるいは今回新たに加わることになる国際連携平和安全活動において、いわゆる駆けつけ警護を何ゆえ認める必要があるのかということについて、まず大臣に御答弁をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 佐藤委員とは、七年前の自衛隊の国際活動に関する協議会において、まさしく、きょう御質問のありました駆けつけ警護とか、また安全確保業務につきましても、本当に専門家の見地から御意見をいただいて、協議をしてまいりました。そして、一年前も、自公の協議会で、それぞれの党の専門家がこの問題について非常に詳しく協議をされておりました。

 なぜ駆けつけ警護が必要かといいますと、例えば、一九九四年、ザイールのゴマ市内の難民キャンプで活動した日本のNGOが使用していた車両が難民によって強奪をされた際に、この当該NGOから、難民救援のために現地に派遣されていた自衛隊に対して救援の要請がありました。また、現在、自衛隊の活動の現場においても、平素から、国際機関またNGOの職員の皆さんとの情報交換や交流を初めとする各種の連携を図っております。

 このような状況を踏まえますと、今後、自衛隊が、危険に遭遇している活動の関係者から救援の要請を受ける場合もあると考えるのが自然でございます。

 このように、駆けつけ警護の必要性はこれまでも現実に発生してまいりました。この業務は、活動関係者との一層の協力関係を築き、我が国の活動を円滑に進めていくためにも必要だと考えられ、このようなことから、今回、法整備の対象といたしまして盛り込んでいるわけでございます。

佐藤(茂)委員 まさに、今まで二十年以上のPKOの、自衛隊、自衛隊だけではなく我が国PKOの活動の歴史の中で、現実にそういう要請があったことを踏まえて、今回一歩を踏み出すということには私は大変意味があると思うんです。

 ただ、新たな任務を、これから法改正して進めていくに当たって、やはり確認をしておかなければいけないことが何点かあろうかと思いますので、これから確認をさせていただきたいと思うんです。

 一つは、やはり憲法との適合性ですね。この七年前の議論のときにも、一歩前に進めなかった一つの要因として、やはりそれまでの政府の国会答弁というものがございました。

 きょうは、その代表例だけ私の方で用意して資料として出させております。これは、特に内閣法制局の皆さん方のそれまでの答弁を、代表的なものを資料として提出させていただいているんですが、いわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用であるとかあるいは任務遂行のための武器使用については、これは、国家または国家に準ずる組織に対して行った場合には憲法九条が禁ずる武力の行使に該当するおそれがあることから、国連平和維持活動を初め国際的な平和協力活動に従事する自衛隊の武器使用権限というのは、今まで、いわゆる自己保存型の武器使用さらには武器等防護に限定をしてきた歴史があるわけであります。

 この資料にもありますとおり、内閣法制局の今までの国会答弁というものも、相手方が国家または国家に準ずる組織である場合には憲法の禁ずる武力の行使に当たるおそれがある、あるいは憲法との関係で慎重な検討が必要である等々の慎重な答弁を繰り返されてきた経緯があるわけであります。

 今回、いわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用あるいは安全確保業務の際の任務遂行のための武器使用を認めるに当たって、憲法との適合性についてどのような検討をされて武器使用を認めることになったのか、内閣法制局長官の答弁を求めたいと思います。

横畠政府特別補佐人 従来からのこの問題につきましての考え方でございますけれども、憲法第九条一項の武力の行使というものがそもそも何であるかということでございますけれども、基本的には、我が国の物的、人的組織体による、国際的な武力紛争、すなわち、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いの一環としての戦闘行為をいうというふうに定義づけて用いてございます。そこでのポイントといいますのは、相手方が国家または国家に準ずる組織であるということが重要なポイントでございます。

 その上で、憲法第九条のもとで我が国が武力の行使を行うことができるといいますのは、我が国を防衛するためのやむを得ない場合における必要最小限度のものに限られて、それを超えるもの、それ以外の武力の行使は許されないという考え方でございます。この武力の行使の考え方については、今回の新三要件のもとにおいても、まさに我が国を防衛するためということで、その範囲は変わっておりません。

 その上ででございますけれども、相手方が国家または国家に準ずる組織である場合においても、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものと自衛隊の武器等防護のための武器使用というものは、憲法で禁じられている武力の行使には当たらないというふうに整理してきております。まさに不測の攻撃を受けたときに、要員がそのまま被害に遭う、生命を失う、そういうことまでさすがに憲法も命じているはずはないでありましょうし、まさに我が国を防衛するため必須の物的装備であります自衛隊の装備というものを、いわば相手方に奪われる、そのようなことを許しているはずもない、そういう基本的な考え方でございます。

 その上で、さらに、これらのものを超えるような武器の使用、御指摘の、任務遂行のための武器使用あるいは駆けつけ警護といった、これらのものを超えるような武器の使用につきましては、相手方がまさに国家または国家に準ずる組織である場合には、やはり武力の行使に当たり憲法上の問題を生じるというふうに整理してきたものでございまして、御紹介いただきました、当時の内閣法制局の答弁もその趣旨を申し上げているものでございます。このような考え方は今回も全く変えておりません。

 ただ、今般の法整備におきましては、PKO法の改正により、いわゆる自己保存のための自然権的権利というべきものである武器の使用等を超えるものとして、安全確保業務の実施を妨害する行為を排除するための武器使用、それと、いわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用という権限を新たに認めてございます。

 なぜそのようなことができるようになったのかということでございますけれども、これは先ほど申し上げたとおり、憲法第九条の禁ずる武力の行使に当たらないための理由は、まさに、国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場することがないということを確保しているからでございます。

 今回の法整備におきまして、いわゆる安全確保業務及び駆けつけ警護を実施する場合にありましては、領域国及び紛争当事者の受け入れ同意がこれらの活動業務が行われる期間を通じて安定的に維持されることが認められるということを要件としており、そのことを担保しているわけでございます。

佐藤(茂)委員 今、内閣法制局長官から、丁寧に憲法の考え方について御答弁いただきました。

 憲法との適合性を整理された上で、この法改正の中で、法制度上、さらにはこれからPKOの隊員が行ったときの部隊の運用上、具体的にどういう措置がとられて今の憲法との適合性が、例えば、いわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用あるいは安全確保業務の際の任務遂行のための武器使用という、武器の使用の際に武力の行使とならない仕組みがきちっと確保されているのかということについて、今回の法改正の中で具体的にどのように整備されたのか、安全保障法制担当大臣にお尋ねをしたいと思います。

中谷国務大臣 いわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用と任務遂行のための武器使用を行うに当たりましては、参加五原則が満たされており、かつ、派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意、これがPKO活動等及びいわゆる安全確保業務等が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められる必要があります。すなわち、国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないということが前提になっております。

 今般の改正PKO法におきましては、この受け入れ同意の安定的維持について、国家安全保障会議における審議等に基づいて内閣として確認の上で業務を開始することや、これに懸念が生じた場合の業務の中断、または万が一これが認められなくなった場合の業務の終了について規定をしております。

 なお、中途で業務の終了を余儀なくされることがないように、派遣に当たっては、特に受け入れ同意の安定的維持の判断に基づいて慎重を期すべきことは言うまでもありませんが、さらに、運用面におきましては、このような判断を適切かつ迅速に行うことができるように、関係各国や国際機関等からの情報を含めまして、十分な情報収集に努めていく考えでございます。

 このようなことから、御指摘のような武器使用が武力の行使にならないための仕組みというものはしっかり確保されているということでございます。

佐藤(茂)委員 ということでございまして、今回、内閣の判断も加わって、受け入れ同意というものが安定的に維持されているのかどうかもしっかりと確認するということまで含めて、法制度上、しっかりと武力の行使にならないように担保する、そういう法制度になっている、こういう御答弁でございました。

 もう一点、武器の使用の関連でお聞きをしたいのは、今回、いわゆる自己保存型の武器使用を超える武器使用を認めるものが、いわゆる駆けつけ警護と、そして安全確保業務なんですが、実は、国会の関与のあり方ということでいうと、二つが違うわけであります。

 安全確保業務の方は国会承認を必要とするけれども、いわゆる駆けつけ警護の方は国会承認を必要としない、そういう法律の仕組みになっているわけでございますが、この違いを設けているのはなぜなのか、御答弁をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 いわゆる安全確保業務というのは、防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止、抑止でございまして、その他の特定の区域の保安のための監視、駐留、検問及び警護を行うものでありまして、防護対象者は、PKO等の活動関係者に限定されておらず、財産も防護対象となるほか、保安のための各種の措置をとることも予定されております。また、安全確保業務は、現行のPKF本体業務と同様に、諸外国の軍隊における歩兵に相当する普通科主体で構成される部隊が実施することが想定されるものでございます。

 一方で、いわゆる駆けつけ警護というのは、現地の治安当局等が対応できないときに、平素は施設活動等の業務を行う部隊が、国連PKO活動に従事する者等から緊急の要請を受けて、その侵害や危難から救うというものでございます。このように、駆けつけ警護は、その人道性及び緊急性に鑑みて、本来の業務とは別に、活動関係者を保護するために必要な限度で行うものでありまして、また、普通科主体で構成される部隊が実施するものでもなく、したがって、安全確保業務というのとは性格及び業務の範囲が異なるということであります。

 実施主体及び業務の相違を踏まえて、安全確保業務は現行のPKF本体と同じく事前の国会承認を求めますが、駆けつけ警護は国会承認の対象としていないということでございます。

佐藤(茂)委員 明快に答弁いただきまして、ありがとうございます。

 時間が迫ってまいりましたので、もう一つ。

 今回の法改正で、従来の国連平和維持活動に加えまして、国際連携平和安全活動という非国連統括型の活動が加わったわけであります。

 五月二十六日の本会議でもこのことを、安倍総理に、なぜこういうことに参加する必要性があるのかということについてお尋ねしたんです。

 ここで大事なことは、やはり新しい任務でございますので、今までの国連平和維持活動というのは、国際連合の総会または安全保障理事会が行う決議に基づいて、国際連合の統括のもとに行われる活動でございました。今回、新たに行う国際連携平和安全活動というのは、国際機関や、当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づき行われる、まさに国連とは余り関係のないところからの要請でも活動が行われるということになるわけですね。ですから、そのときに大事なのは、今回、我が党も強く主張して、自衛隊を海外に派遣するときの三つの原則ということを強く主張いたしましたけれども、国際法上の正当性の確保ということを政府としてどのように考えておられるのかということが大事になってくるのではないかな。

 国連が統括しない活動に参加する、こういう場合に、国際法上の正当性をどのように確保するというように考えておられるのか。これは外務大臣、御答弁いただけましたらありがたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、ある国の領域において他国の軍隊が活動する際には、国際法上、一般的に当該領域国の要請または同意が必要であります。このため、今回の国際連携平和安全活動ですが、当該活動が行われる地域の属する国の同意があること、これをまず大前提にしています。

 そして、その上でさらに、改正PKO法案におきましては、当該活動の国際的な正当性を確保するために、一つは、国連安保理等の決議に基づくもの、二つ目として、国際機関の要請に基づくもの、三つ目として、当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づくもので国連の主要機関の支持がある場合、この三つの場合に限定しているということであります。

 一つ目の国連安保理等の決議に基づく活動については、当然に国際的な正当性を有しているわけですし、二つ目の国際機関が要請する活動につきましては、国連難民高等弁務官事務所等の国連の機関や、EU等の、実績、専門的能力を有する国際機関が要請するものに限定をしております。これによって、国連憲章の目的に合致する、または国連を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与するものであり、国際的に正当性を有すると考えております。そして、三つ目の当該活動が行われる地域の属する国の要請に基づく活動については、国連の主要機関が支持を与えているものに限定しております。

 こうした、要請と、そして国連の主要機関の支持が加わる活動につきましては、国際的に十分な正当性を有する、このように考えているところであります。こうした考え方に基づいて、今般の国際連携平和安全活動ですが、国際法上合法性を備え、それに加えて正当性も加わっている、こういった考えに基づいて御議論をお願いしている次第であります。

佐藤(茂)委員 まさに、最後に言われた、合法性プラス正当性を加味したものをしっかりと参加する対象にするんだ、そういう御答弁をいただきました。

 御丁寧な答弁、ありがとうございました。

浜田委員長 次に、民主党・無所属クラブの質疑時間に入るのでありますが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより午前中の民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕

    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕

浜田委員長 これにて午前中の民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより午後の民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

 これにて民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 牧義夫君。

牧委員 維新の党の牧義夫と申します。

 この法案については初めて質問させていただきますし、もとより私は余り外交、安全保障は得意分野ではございませんけれども、ただ、我々維新の党は、全員野球でバッターに立つという方針でございますので、きょう厚労委員会で派遣法の審議もやっておりますけれども、そちらを抜けてこちらへ参りました。こちらもまた自衛官の海外派遣ということで、くしくも派遣と派遣で今、国会が大荒れという状況でございますし、残念ながら野党第一党の出席が得られない中での質疑ということで、本来、私は、ちょっとこういう状況は余り好ましくないなとは思っております。

 ただ、私どもは、この法案が成立をしたら実際現場がこの運用によってどうなるのかということに思いをいたしながら粛々と質疑を進めさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ここで褒められても特にうれしくはないんですが。

 この法案の審議、もう三十数時間ですか、四十時間近く、山でいえば三合目ぐらいまで来たのかなという感がございますけれども、これだけ時間をかけながら、まだまだ国民の皆さんの理解が進んでいないというのは、これも紛れもない事実だと思います。

 どうしてこういうことになるのか、私も私なりにいろいろ考えてはいるんですけれども、やはりこれまでの、この法案が日の目を見るまでの、法案として国民の目にさらされるまでの手順というか、その経過が見えないところに私は大きな原因があるんじゃないかなと思っております。

 せんだって、安倍総理がアメリカ上下両院合同会議において演説をして、結構スタンディングオべーションで、上機嫌で帰ってこられたわけですけれども、ここで、夏までにこの法案を成立させるということをおっしゃられて、そのことが国会軽視じゃないか、いろいろそういう御批判も出ております。

 ただ、私が思うには、それ以前の問題として、そもそもこの十八年ぶりのガイドライン改定、これが先にあって、それによって安倍さんがアメリカで約束をしてきたということでありますから、そもそも順序からすると、そっちの方が先にあるわけですね。その辺から私はきちっとただしていかなければならないと思います。

 ことしの四月二十七日にガイドラインの改定に合意、その翌々日の上下両院合同会議であります。そして、五月十四日の閣議決定ということで、この国会にこの法案が出されたんです。

 そもそも、これは別にアメリカと日本が主従関係とかそういう意味ではないんですけれども、ただし、軍事的な作戦、オペレーションにおいては、どっちが主でどっちが従ということはやはり技術的にあろうかと思います。そういった意味での、悪い意味じゃなくて主従関係の中でこのガイドラインというものが策定されているんだとすると、この辺のいきさつについては、どういう手順で決まって、どういう形でこのガイドラインが策定されたのかという、そこからやはりきちっと説明していただかなければ、私は、国民の理解は、これまで、これから、ずっと議論を重ねても得られないんじゃないかと思います。

 まず、そもそもその辺のところから説明をしていただければと思います。

中谷国務大臣 牧委員におかれましては、防衛庁の時代から広報のお仕事をしていただきまして、非常に、防衛政策につきましても大変お詳しい方だと伺っているわけでございます。

 日米のガイドラインにつきましては、自民党政権の前から、日米間で、やはり今の日米をより強化していこうというような趣旨で協議をされていたようでございますが、二〇一三年の十月の2プラス2におきまして、局長級の防衛協力小委員会に対して、二〇一四年の末までに作業を完了することが指示をされ、昨年十月には、ガイドラインの見直しについて国内外の理解を促進するために、それまでの作業を要約して中間報告を公表しました。そして、昨年の十二月に、この平和安全法制の整備の進展を踏まえるために、二〇一五年の前半における見直し完了に向けて議論をさらに深めることを決定いたしたところでございます。

 こうした経緯を経た上で、本年四月の2プラス2におきまして、新ガイドラインにつきまして、日米政府でこれを合意し、公表するに至ったものでございます。

牧委員 つまり、平たく言うと、事務方でまとめたものを2プラス2で合意した、単純にそういう話ですね。

 その結果の骨子というのもあるんですけれども、この骨子そのものを読み込むと、まさに今回の法案そのものなんですね。そのものなんですよ。だから、閣議決定するよりも何よりも、その前にもうできていたと言っても言い過ぎじゃないぐらい、このガイドラインに沿った今回の法改正であるわけです。

 しかも、その法案そのものが、憲法学者からは違憲というような意見も出されるような、合憲であるか違憲であるかということが争点になるような、そんな重要な中身を本当にこの2プラス2で決めてしまっていいのか。その前にきちっと国会で説明をして、国会における承認というものが私はあってしかるべきだったと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、2プラス2の議論の積み重ねの経過につきましては、今防衛大臣からあったとおりであります。

 そして、国会の議論と2プラス2の関係で申し上げますと、まず、2プラス2の文書、委員にも見ていただいたということでありますので、もう御了承かと思いますが、その文書の中に、まずこの2プラス2というものがそれぞれの国の憲法や法律に従うということ、そしてこのことが、予算においても、立法においても、行政においても何ら義務を生ずるものではないということ、そしてそれぞれの国の基本的な安全保障の方針には変わりはないということ、こういったことは明記をしております。

 こうした内容が文書の中に盛り込まれているわけですが、日本の国の自衛隊を動かすに当たっては、日本の国の法律、裏づけとなる法律がなければだめだということにつきましては、長い議論の中で、日本とアメリカの中において共通の理解として確立をしています。

 こうしたガイドラインの中身が盛り込まれ、そして両方の共通の意識があるわけですが、そもそもガイドラインにつきましては、十八年前の議論におきましても、これはガイドラインについて合意を得た後、それの裏づけとなる法律がつくられる、こういった経緯もたどっております。

 こうしたことを総合しまして、今回においても、御案内のような取り扱いを行い、議論を行い、手続を進めた次第だと認識をしております。

牧委員 今の外務大臣のお話は当たり前の話なので、あくまでもガイドラインですから、指針ですから、それは当然、それに縛られるものではないというのは当たり前のお話だと思います。

 私が言いたかったのは、結局それをそのまま法律の形にするだけのことであって、事日米の関係においては、後で申し述べますけれども、そういった、本来あるべき国会における手続、これよりも先に、物事がその主従関係の中で決まってしまっているのではないかということを私は申し上げたかったわけであります。

 だから、あくまでも指針であって、決して縛られるものではないと言いながらも、結果そうなっているじゃないかというのが私の問題意識でありますので、そのことだけははっきり申し上げておきたいと思います。

 それと似たようなケースとして、日米地位協定がございますよね。これは日米安保条約に基づくものですけれども、この中身についてもこれまでいろいろな議論があったと思います、米兵による事件があったり事故があったり、その都度国民的ないろいろな議論があったと思いますけれども、その中身の改定はついぞなされないまま現在に至っているわけで、運用改善という形でこれまで来ているわけですけれども、これも日本とアメリカとの間の、二国間の非常に重要な取り決めであることは間違いないわけです。

 運用そのもののやり方を改善していくというその手続については、これは二国間の手続でありますから、きちっと国会で議論をして進めていくのがしかるべき話だと思いますけれども、実態としては、日米合同委員会、ここで話し合われて物事が決まっていくというのが実情のようであります。代表は、外務省の北米局長と、アメリカ側が在日米軍司令部副司令官ということでありますけれども、この人たちだけで二国間の重要な取り決めを決めてしまっていいのかどうなのか。

 さっきのガイドラインもそうですけれども、この日米地位協定についても、私は、事日米の関係においては、こういった重要な手続がなされないまま、ともすると物事が進んでいるんじゃないかなという危機感を持っておりますので、その辺のところを、ちょっと外務大臣からの所見をお話しいただきたいと思います。

岸田国務大臣 日米地位協定と、そして運用改善、そして国会との関係について御質問をいただきました。

 日米地位協定の実施、運用に際しては、その時々によってさまざまな問題が生じます。よって、この協定の実施については、協議するための機関として日米合同委員会を設置しているということになっております。日米地位協定上、この合同委員会での政府間協議を通じてこうした問題を解決していく、機敏に対応していく、こういったことが想定されているわけです。

 そして、まず国会との関係でいきますと、日米地位協定そのものは、一九六〇年に発足しました。これは国会の承認をいただいた協定であります。そして、協定と運用改善、さらには合同委員会との関係ですが、合同委員会合意は、協定の解釈あるいは手続細則等を定めるものであって、これはあくまでも地位協定の枠内にとどまるものでなければなりません。合同委員会において、政府の権限を越えて国会の承認を要するような合意をすること、これはそもそも権限として認められていない。国会において承認をされた日米地位協定の範囲内において合同委員会は合意をすることができる、こうした理屈になっております。

 こういったことから、日米地位協定と、そして運用改善、そして国会との関係が整理されますので、この運用改善一つ一つ、日米合同委員会の合意一つ一つについて国会の承認は得ることは考えていない、こうした結論になると考えます。

牧委員 私の考え方とちょっと違うので、今後はぜひとももっと、なぜそれを言うかというと、そもそも今回の法改正についても国民的な理解が進んでいないということから、そこから発しての話なんですね。だから、やはりもっともっと国民を巻き込んで話を進めていっていただかないと、例えば運用改善一つとっても、せっかくいい形で改善するにしても、ほとんどの国民には何にもわかっていない状況の中で物事が進んでいる、疑心暗鬼がますます深まるばかりというようなことにもなりかねませんので、今後はもう少し、国民的な議論とまでは言いませんけれども、国会を巻き込んでの話を考えていただきたい。特に、今沖縄の問題もクローズアップをされておりますので、もう少しそういった姿勢をとっていただきたいということを私なりにお願いをさせていただきたいと思います。このことについての御返事は結構でございます。

 ここから先、ちょっと個別具体的な質問をさせていただきます。私も、余り防衛関係、これまで国会でやってきておりませんので、専門家でない分、両大臣から見ると程度の低い質問だと思われるかもしれませんけれども、ただ、やはり国民目線で私は質問させていただきますので、しっかりとお答えをいただきたいと思うんです。

 まず、日米安保と集団的自衛権の関係について、ちょっと初歩的な質問ですけれども、今回の法改正というのは日米安保条約の外へ出るものですよね。日米安保条約の枠内で、日本の自衛隊と米軍との関係、運用について、そういうものを議論するというよりも、むしろその外に出るもの。

 例えば尖閣の問題がいろいろお話の中に出てきますけれども、尖閣の話というのは、別に特段この法律を改正しなくても、尖閣というのは我が国の施政下にあるということで、これまで、従前どおりの日米安保条約の枠の中で処理できる話という認識でよろしいんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日米安全保障条約第五条において、日本国の施政下にある領域に適用されるとされています。

 そして、尖閣について御質問いただきましたが、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しており、我が国の施政下にあります。したがって、日米安保条約五条は尖閣諸島に適用をされます。このことについては、累次米国のコミットメントを確認してきているところです。

 そして、集団的自衛権についても触れられましたが、集団的自衛権との関係で申し上げますならば、これは日米安全保障条約第五条のもと、我が国の施政のもとにある領域における日米いずれか一方に対する武力攻撃が生じた場合、日米は共同対処行動をとるということになっているわけですが、この共同対処行動としてとられる我が国の行動は、我が国の施政下にある領域における米軍に対する武力攻撃が生じた場合も含めて、これはあくまでも我が国に対する武力攻撃への対処にほかならないと理解されています。ですので、国際法上、我が国による個別的自衛権の行使としてこれは説明されるとされています。

 よって、この第五条に基づいて日米が共同対処する場合は、これは我が国による集団的自衛権の行使には当たらない、あくまでも個別的自衛権という形で説明をされます。

牧委員 ということは、尖閣に対する何らかの他国による侵攻というか武力行使があったときに、これは個別的自衛権で対処する、そういう理解でよろしいわけですよね。

 よく米軍が助けてくれるんだというような話がありますけれども、そうじゃなくて、我が国の自衛隊が個別的自衛権を行使する中でこれに対処するという理解でよろしいんでしょうか。

岸田国務大臣 今御説明したように、日米安保条約第五条に基づいて、我が国の施政下にある領域における武力攻撃が生じた場合には日米で共同で対処するということが定められています。

 そして、この日米の共同対処としてとられる我が国の行動については、あくまでも個別的自衛権というふうに説明をされています。

 その点につきましては全く変わらない。この平和安全保障法制の議論をお願いしているわけですが、今申し上げた点につきましては全く変わらないということであります。

牧委員 わかりました。

 そういう頭の整理をさせていただきますが、これは、ここから先は話が長くなるのでやめておきますけれども、そのときは米軍が助けてくれるという話を否定する話として、この条約五条、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処する」というお話になっていますから、アメリカが即座に対応してくれるわけではないという話だと、私はこの五条を読む限り、読めるんですけれども、それはちょっと、通告にもありませんし、時間がもったいないので、これはまたの機会にさせていただきたいと思います。

 もう少し具体的、個別のお話をさせていただきますが、全然違う次元の話です。

 今回、この法律が成立をして実際に運用されることになると、自衛官のリスクが今まで以上に高くなるということは、これは当然の話だと思います。リスクが高まるか高まらないかという議論は不毛な議論でありますので、ここでは差し控えたいと思います。

 現実に、イラク戦争においても、アメリカの死者の数が四千五百名ぐらい、そのうち非戦闘員も千人ぐらい含まれているんですね。その他、イギリスが百八十名ぐらい、イタリアが三十三名、ポーランド二十三名、ウクライナ十八名、ブルガリア十三名、大体、その派遣人数に比較すると、百人に一人から、多くて三、四十人に一人ぐらいが亡くなっている、戦死をされているというのがイラクにおける現状だと思います。間違いなくリスクが高まるというのは当然のことだと思うんですけれども。

 そこで、自衛官が、中谷大臣ももともと防大卒業でありますけれども、そもそも最初に入隊されたときの大前提というのは専守防衛であったと思います。個別的自衛権を行使するだけの、本当に、日本の国が他国から直接武力攻撃を受けたような場合に自衛官がまずは盾になって戦うんだ、そういう覚悟を持って入隊されたと思うんですよね。

 ただ、今回、この法改正によって、周辺事態が周辺だけじゃなくなって、武力攻撃事態というのも、これは我が国の経済的な意味も含めての存立の危機だという状況にまで非常にエクスパンドされているわけですけれども、こうなると、入隊した自衛官が、そもそも入隊したときの前提と全然違うじゃないかという思いを抱いている人が、これはいてもおかしくないと思うんですね、大勢いる中には。その辺についてちょっとお聞きをしたいと思うんですね。

 これは、民間であれば、労働契約が違ったという話になるわけですね。会社に入ったときと、会社が求めるものが全然違うじゃないかと。これは労働契約法違反ですよね。これは自衛官ですから、労働契約法みたいな私法は適用されないんでしょうけれども、まず大前提が違う。こういう中で、例えば入隊するときに、自衛官の皆さんに、今回法改正されたときにそういう説明をきちっとするのかどうなのか。

 それともう一つは、今現状、現行の自衛隊法第四十条に、防衛大臣は、「自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。」こういう定めがあります。

 今回法改正がなされて、もし、例えば集団的自衛権の行使だということで、今まで予期もせぬ任務を与えられた隊員が、それではちょっと、そんなつもりで自分は自衛隊に入ったんじゃないということで退職を申し出たときに、この四十条が適用されると、無理やり首に縄をつけてでも飛行機に乗せられてどこかへ連れていかれるということも理屈上あり得る話になると思うんですけれども、今後、そういうことを入隊時に説明されますか、されませんか。

中谷国務大臣 まず、隊員の安全とかリスクの問題は大変重要な問題でありまして、今回、法律によって新たな任務がふえるわけでありますので、やはり、リスクにつきましても、新しいリスクが生じる可能性もあるわけでございます。しかし、そのリスクをいかに極小化するか、これは我々にとりましては大変大事な問題でありますので、リスクが生じることがないように送り出すということでございます。

 自衛隊の任務というのは、我が国を防衛するということが一番の基本でありますが、今の自衛隊法の中の三条に自衛隊の任務が書かれております。これは、我が国の防衛と、また国際貢献の活動。また、災害派遣などのそういった付随任務も書かれております。

 こういった任務があるということにつきましては、隊務を通じまして隊員にも徹底をいたしておりますし、そもそも募集の段階から自衛隊の任務、役割等はもう公表しておりますので、そういう前提で入隊をされております。通常の勤務におきましても、それぞれの任務におきまして、自衛隊につきましては、国家にとって非常に大事な組織でございます、いざというときに国家国民のために役に立つ行動ができる、例えば東日本大震災とか、また御嶽山とか、そういった不測の事態に対しても自衛隊は国民のために機能するわけでございますので、そういった事態に自衛隊は対応するものだという認識で隊員は勤務をしているということでございます。

牧委員 リスクを極小化しなきゃいけないというのは当然の話でありましょうし、また、災害派遣等についても、これは本当に大きな危険を伴うとうとい仕事だということも承知をしているつもりですけれども、他国へ赴いて戦闘に参加をする可能性もあるというその仕事と、危険ではあってもこれまでの仕事とは、私はかなり質的に違うものがあろうかと思っております。

 そういった意味で、これから入隊される方にはきちっと説明をされるんでしょうけれども、もう既に入隊している方たちというのは、私が言いたかったのは、そういう前提で自衛隊に入ったんじゃないぞという人もいると思うんですよね。そういう人たちが、では、今度海外派遣を言われたときに、徴兵とはこれはもちろん違いますけれども、憲法十八条で言うところの、何人も自分の意に反して苦役を強いられないんだということに、場合によっては抵触しかねないんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、その辺、政府の答弁をお聞かせいただきたいと思います。(発言する者あり)

 現実にあり得ないとは思うんですけれども、理屈の上ではそういうことが成り立つんだということを私は言いたいんです。

横畠政府特別補佐人 憲法十八条についてのお尋ねでございますが、まず、前提といたしまして、今回の法改正におきまして自衛官の業務の内容が大きく変わるのかという前提のところからちょっと御説明させていただきたいと思います。

 新三要件のもとで新たに加わります、限定的な場合における集団的自衛権の行使でございますけれども、これは、他国の防衛のために武力を行使することができるという国際法上の集団的自衛権一般を認めたものではございません。あくまでも、我が国を防衛するために必要やむを得ない場合において必要最小限の武力の行使ができるということにとどまるものでございます。そのことは、改正後の自衛隊法第三条や、改正を行わない自衛隊法第八十八条の規定によっても明らかでございます。

 したがって、御指摘のございました宣誓でございますけれども、宣誓の冒頭には、「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、」とありまして、それが大前提になっておりますけれども、その大前提は全く変わらないという理解でございます。

 したがいまして、退職についての承認の制限というのは、これは実は一般職の公務員にもございます。それと裏表、ちょっと書き方は違いますけれども、同様の退職規制でございまして、これまでの自衛官の場合においてそれが苦役に当たらないのと同じように、今後それが苦役に当たるということにはならないと考えております。

牧委員 その辺は人それぞれ受けとめ方が違うんじゃないかなと思います。せんだっての質疑の中でも出てきましたけれども、民生協力で赴いた方の中にも、帰ってこられてからPTSDでみずから命を絶つような方もたくさんいるわけですから、本当に自衛官の立場に立って、その人たちが本当にまず安全でなきゃいけないということと、これまでと今、あくまでも我が国の存亡の危機に対処する、それは変わらない、それはわかりますよ、わかるけれども、今までと全く質的に違う任務に当たるということは、私は、それは避けて通っちゃいけない話だと思うんですね。PKO一つとってみたって、これまでとまた質的に変わるわけですよね、中身的に。

 そういった意味で、さっきちょっと大臣が手を挙げかけたので、大臣のお考えもお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 やはり自衛隊というのは我が国の平和と独立を守るためにある組織でありますが、しかし、日本の平和を守るということについては、直接侵略だけ考えているわけにはまいりません。やはり、こういった時代になりまして、国際的な平和活動の中で我が国としても貢献をしなければならない分野がありまして、平成二年以降、PKO活動を実施するということで、そういった業務も加わりました。海賊対処も加わりました。

 そして、今回も、新たな任務として、こういった国際活動に対して自衛隊が参画をするというような任務も付随をされるわけでございますが、やはり目的は我が国の平和と独立を守るということでありまして、こういった目的の中で自衛隊はしっかり対応していくということを日々訓練いたしております。

 そういうことを通じて、隊員の皆様方にも、日本の国の平和と独立を守る、そのためにはいろいろな任務があるんだということを理解していただきたいというふうに思っております。

牧委員 次に、予備自衛官についてちょっとお聞かせをいただきたいんです。

 予備自衛官についても、防衛大臣が、防衛招集命令書ですとか国民保護等招集命令書あるいは災害招集命令書を発することができると自衛隊法七十条にあります。また、七十条二項では、「招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、招集に応じなければならない。」とされております。

 この招集命令も、今回の法改正で、これまでの防衛招集命令とか国民保護以外の、何か新しい招集命令のカテゴリーというのはできるんでしょうか。そして、その場合、やはりこれに従わなければいけないということになるんでしょうか。

真部政府参考人 まず、招集命令がふえるのかどうかということについて申し上げたいと思います。

 今委員御指摘のとおり、現在、予備自衛官には、自衛隊法七十条の一項及び七十一条第一項の規定に基づく防衛招集命令等の各種の招集命令の定めがございます。

 ただ、この招集命令につきましては、今回の改正法によりまして新たな招集命令が設けられることはございません。

 ただ、一つだけつけ加えさせていただきますと、存立危機事態、これに際しましての防衛出動命令が発せられた場合などにおきましては、必要がある場合には、必要があると認められるときは、防衛招集命令を発することとなるところでございます。

牧委員 わかりました。

 そうすると、防衛招集命令で派遣が命ぜられる可能性があるという理解でよろしいんですね。

 それからもう一つは、これまでも、毎年毎年、訓練等で殉職される自衛官の数というのが相当な数に上っているということも改めて知るところになったわけですけれども、職務の内容によっていろいろな補償があると思います。

 今回、この法改正によってさらに危険、リスクが増すということは先ほど中谷大臣もお認めになったところでありますけれども、今まで以上に、より危険な仕事をする、そういう認識のもとで、この補償のあり方についても何らかの考え方があるんでしょうか。

真部政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在の制度等について申し上げます。

 自衛隊員が誇りを持ちまして安心して職務に従事することができるよう、任務に従事する自衛隊員が公務に起因して負傷した場合、こういった場合には、療養補償として治療費の全額を国が支給することとなっております。また、障害の状態になった場合には、障害補償、こういったものが支給されるところでございます。またさらに、万が一でございますが、不幸にも自衛隊員が死亡した場合には、遺族に対して、遺族補償あるいは葬祭補償、こういったものが支給されることとされております。

 また、自衛官が、生命または身体に対する高度の危険が予測される状況のもとにおいて職務に従事し、そのため障害の状態となった場合または死亡した場合、こういった場合には、特別公務災害といたしまして、先ほど申し上げました、通常の障害補償または遺族補償の額に五割加算した額が支給されるところでございます。

 今回の平和安全法制の整備に伴いまして、新たな国家補償制度を新設することは考えておりませんけれども、拡充される任務に従事する隊員に対しましては、現行の制度に基づきまして、その任務にふさわしい補償が実施されるようにいたしたいというふうに考えております。

牧委員 今、事務方から、新たなそういったものを創設するつもりはないというお話がありましたけれども、これは事務方から答えるべき話じゃなくて、私は、これは全然今までとは違う、今まで殉職だったのが、殉職と戦死が一緒か一緒じゃないかという考え方もあるかもしれないんですけれども、その辺のところをやはりちょっと大臣からお聞かせを、あるべき補償のあり方について、お考えで結構です、できる、できないは別として。

中谷国務大臣 やはり、隊員が誇りを持って安心して職務に従事するということは大変大事なことでございます。

 これらにつきましては、公務に起因して負傷した場合のこういった補償制度、現在もございます。これをもちましてPKO活動また海賊対処活動、こういった規定で勤務をいたしております。拡充される任務に従事する隊員に対しては、こういった、現行の制度でございますが、その任務にふさわしい補償が実施されるものだと考えております。

 そして一点、ちょっと訂正ですが、先ほどPKO法を平成二年と申しましたけれども、平成四年から開始されたということを訂正させていただきます。

牧委員 時間がないので、最後に一つだけ聞かせていただきます。

 二十世紀型の紛争ですとかそういうのは国対国の紛争だったりすると思うんですけれども、近年の紛争を見ておりますと、イスラム国等々、相手が国じゃない場合が結構あるわけですね。そういうときに、例えば捕虜になった、捕虜になったらジュネーブ協定等々でいろいろな保障というのはあるんでしょうけれども、相手がそういう無法者のテロ集団だったりした場合に、ヨルダンのパイロットなんかも無残な殺され方をしましたけれども、こういうことだって起こりかねない話だと思います。

 では、果たして日本の国は、こうなったときに身の代金を払ってくれるんだろうかどうなのか、そういう心配もあるいは出てくるかもしれません。そのことについて大臣のお考えをお聞かせください。

中谷国務大臣 まず、自衛官が捕虜となった場合でございますが、補償としては、引き続き自衛官としての身分が保障されることによりまして、残された御家族等の生活に必要な給与等は支給するとともに、仮にこれによって病気になられた場合につきましては、事後の療養費等につきましても補償することになります。

 また……(牧委員「いや、身の代金は払ってくれるか」と呼ぶ)人質等につきましては、まずそのようにならないように政府として万全を期してまいりますけれども、あえて御指摘のようなケースが生じた場合について申し上げましたら、まず、政府としては、人質になった自衛官の救出のために、関係国とともに緊密に連携するほか、組織を挙げてこういった隊員の状況把握をして最善を尽くすということで、例えば人質になった自衛官の情報掌握のための情報収集を行ったり、拉致した者に対する説得を試みたりするようなことも考えておりまして、個別具体的な状況になるため、一概にお答えすることは困難でございますが、こういった身の代金等につきましても、政府としては、テロ等の犯罪に屈することは決してございませんが、万が一自衛官が人質になった場合には、救出のために、関係国とともに緊密に連携するなど、最善を尽くしてまいりたいと思っております。

牧委員 時間が過ぎましたので終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 私、ことしに入ってから、安全保障関係の仕事からしばらく離れておりました。昨年の臨時国会で安全保障委員会の理事を務めさせていただいておりましたが、いろいろお騒がせをしまして、江渡筆頭理事、岩屋理事初め皆様方には、この場をおかりして、そういうことがないように、私もいたしますが、皆さんもぜひしていただきたい、こう申し上げておきたいと思います。

 きょうは民主党がいらっしゃらないようでありますが、大変残念でありますね。我々維新の党は、今最高顧問の橋下徹当時代表が日本維新の会を立ち上げたときから、実質国会、実質国会ということを党として銘打ってやってきました。大体、スケジュールで争うとか、かつて五五年体制のときにはやったやり方、こういうやり方をやっているものですから、きょうは厚生労働委員会で五五年体制の亡霊が徘回している。本当に厚生労働委員会には徘回をしていたんですけれども、この委員会にはどうも徘回していませんので、しっかり与党とそして維新の党で議論を深めてまいりたい、このように存じます。

 ちょっと順番を変えますが、まず憲法学者の話ですね。これはもう、チャンネルをひねると、テレビをつけると出ています。

 私、この学者という言葉にはちょっと思い入れがありまして、ことしの五月十七日、住民投票に向けて、我々維新の党としても、大阪維新の会の活動を一生懸命頑張って、私も大阪でありますから頑張ってまいりましたが、そのときも、学者と名乗るよくわからない人たちが百人集まって、署名か何かわからないけれども、連名で、百人以上の学者が大阪都構想反対とのろしを上げて、別に学者であっても言論は自由でありますから何をやっていただいても構いませんが、あたかも反対派は百人、賛成派は三人みたいな、実際そうだったようでありますが、そういうようなことで何か議論を進めることは私は本当によくないと思っています。

 今回の安全保障法制については、きのうちょっとテレビで見たところでは、違憲だと言う方が二百人以上集まっているのかな、そして、違憲じゃないと言う方は十人か何かだと。私は、数じゃないと思うし、憲法学者という方々の、まあ、立派な先生方もいらっしゃるのはよく承知をしていますが、この憲法学者の意見というのを、この国会で、国会議員たる我々は、一体どのように憲法学者の皆様の意見を受けとめていったらいいか。

 防衛大臣、そして、できれば外務大臣も、さらには内閣法制局長官にも、ぜひその点、御見解、御見識を披露いただきたいと思います。

中谷国務大臣 国会の使命というのは、国民に選ばれた議員が国の施策を決定するわけでありまして、そのときのために幅広く意見を聞く必要がございますが、その際には、見識を持った方々、学者の方もそうですが、それ以外の幅広い方から御意見を聞く、そういうものの参考の一助であるというふうに私は思っております。

岸田国務大臣 憲法学者の方々の意見についても、これは耳を傾けることは重要だとは思いますが、ただ、憲法の議論を考えました際に、憲法というのは、国民生活、幅広い分野にかかわるものであります。ですから、例えば政治学者あるいは国際法学者初め、さまざまな分野の識者の意見にも耳を傾けなければならないと思いますし、さまざまな実務に通じた方々の意見も幅広く聞くことは大切なのではないかと思います。

 そういった点から、今回、昨年の七月の閣議決定に至るまでも、安保法制懇等を通じまして、幅広い分野の有識者の方々に意見を承ってきた、こういった対応は大切なことであったと思っています。

 いずれにしましても、今回御審議をお願いしている法案につきましては、昭和四十七年の政府見解の基本的な論理に基づいたものであり、憲法解釈との論理的整合性は保たれていると私は考えております。

横畠政府特別補佐人 憲法第九条の文言からいたしますと、一見すると、我が国が国際関係において一切の実力の行使を禁じているように見えます。そういうこともございまして、伝統的に、憲法学者の間においては、自衛隊の存在につきまして、憲法第九条二項が明文で禁じております陸海空軍その他の戦力の保持、それに当たるということで、違憲であるというのが大変多かったのが事実であります。

 では、現実はどうなっているかということでございますけれども、そのような伝統的な学者の意見の中にありまして、政府は、国と国民を守るという、まさに重大な責務がございます。その責務を前提といたしまして、国権の最高機関である国会の御理解を得つつ、これまでも、自衛隊法を初めとしてさまざまな法整備を行ってきたところでございます。

 その場合の、憲法九条のもとで許される武力の行使についての考え方といたしましては、自衛のためのやむを得ない場合の必要最小限度の武力の行使は許される、憲法第九条も禁じているわけではないという考え方でございまして、そのことは昭和四十七年の政府見解において明示したところでありまして、今回もその考え方をそのまま踏襲しているということでございまして、別の言い方をすれば、そのような場合にまで自衛のための武力の行使を禁じて、その結果、国民が犠牲になるということまでも憲法が命じているのではない、そのように解しているところでございます。

足立委員 今内容についておっしゃったことについてはちょっとおいておきますが、いわゆる憲法学者の意見、これをどう捉えるべきかという御見識についてはよくわかりました。

 私も、これは憲法学者の意見、某党の枝野さんという方もいらっしゃいますが……(発言する者あり)ああ、民主党の。憲法学者の言っていることが本当に正しいのであれば、これは場合によっては、自衛隊も日米安保も違憲という意見も少なくないわけでありまして、これはやはり国会でしっかりと議論をしていく必要があると思います。

 ただし、私は、憲法学者の意見はさておいて、しかし、先ほどまさに防衛大臣が、幅広い方々の意見を聞くと、これは本当に大事なことだと思っています。そうしたときに、例えば、法制局長官は法制局長官の歴代長官OB、あるいは防衛大臣も歴代の総理、歴代の防衛大臣にしっかり意見を聞く、これは絶対私はやるべきだと思います。

 今回の解釈改憲、そしてこの安保法制、全て、これはまさに、私から繰り返すまでもなく、これは国際的な安全保障環境、日本を取り巻く安全保障環境が変化したことに伴う部分が非常に大きいわけでありまして、歴代の法制局長官、あるいは総理、あるいは防衛庁長官、防衛大臣に聞いても、この環境の変化をしっかりと説明すれば、おおむね皆さんの意見は一致するんじゃないかな、こう思いますが、皆さん、そういう御意見交換をしっかりされてこられたのか、そしてその結論はどうだったのか、ぜひ御紹介をいただきたいと思います。防衛大臣からお願いします。

中谷国務大臣 去年の今ごろはこの法律を作成する過程にありまして、非常に議員同士での議論は行っておりましたけれども、私の場合は、いろいろ討論会とかシンポジウムに出まして、いろいろな考えの方と議論をいたしました。

 また、防衛庁長官また防衛大臣の先輩として山崎拓先生がおられますけれども、山崎先生もしっかりとしたお考えを持っておられますけれども、そういう方々にもお会いをしまして、なぜこの法律が必要であるのか、どのようにして政府が責任を持って防衛に対応するのか、そういうことを謙虚に私なりにも説明をいたしておりまして、幅広くいろいろな方々とお会いして、御意見は聞かせていただいている次第でございます。

横畠政府特別補佐人 まさに現在進行中の問題にいかに対処するか、判断をするかというのは現職の責任でございます。その意味で私が責任を負っているわけでございますけれども、先輩諸氏との意見交換ということでございますけれども、なかなか、そのような生々しい問題の中身につきまして、既に退職された方々を煩わすというか、中身について余り議論するということはしておりません。

中谷国務大臣 済みません。先ほどの私の発言の中で、昨年の今ごろはということで、閣議決定を行いましたのは七月一日でございまして、昨年の今ごろは閣議決定に至る前の議論の過程でございました。一点、修正させていただきます。

足立委員 防衛大臣はいろいろといろいろな意見を聞いてこられたということですが、いろいろ御就任の経緯もありますので余りあれですが、例えば、過去を振り返るときに必ずテレビというかマスコミのあれでレビューされるのは、例えば小泉総理。一度、安倍総理でも防衛大臣でもよろしいんですが、例えばですよ、別に小泉さんでなかったらいかぬというわけではありませんが、小泉総理の意見をちょっと改めて聞いていただいて、そしてどういう議論になるのか、これをちょっと開陳いただく、こういう御検討をいただけないですか。

 これは、決して私、この議論を何か混乱を来すことを期待しているのではなくて、広く国民の皆様の御理解を深めるために大変有用であると心から思っているわけでありますが、大臣、総理でも結構ですが、大臣のイニシアチブで小泉元総理とぜひ討論していただいて、その結果を国民の皆様にしっかりと開陳をしていく。いかがですか。

中谷国務大臣 国会の議論の場でございますので、国会の運営等につきましては、理事会とか、また国会でお決めいただくことではないかと思います。

足立委員 いやいや、余り国会でというか、政府として国民に理解を深めていただくために大変有効な手法ではないかと。手法と言ったら小泉元総理に失礼でありますが。

 小泉元総理に限らない。元総理、元防衛大臣、防衛庁長官、ぜひその方々の声というものをやはり国民の皆様にお伝えしていくことが、これは安倍政権が、安倍政権だけで、安倍政権の思いつきで、まあ、思いつきなんということはないと私も思っていますが、国民の皆様が疑念を抱いているわけだから、歴代の政権を担ってきた当時の責任者たちがみんな今のこの安全保障環境のもとでは同じようなことになるんだということを示すことが絶対に私は有効だと思いますので、改めて、これは理事会の事項ではないと思いますので申し上げませんが、この場で、カメラもある場で提言を申し上げておきたいと思います。

 それから、法制局長官、私は、長官は本当に立派な政治家、政治家じゃないな、かと思われるぐらい覚悟のある御発言だと思いますが、法制局についても、むしろ私は、法制局であればなおさら、内閣法制局であればなおさら、OBの皆様方の長官、法制局長官、閣議メンバーであったところの法制局長官の御意見をしっかりと聞いていく必要があると思います。

 長官、現職で俺は責任を持ってやっているんだと。その心意気はわかりますが、繰り返しになります、国民の皆様に理解を深めていただくために、歴代の法制局長官と御意見交換をしていただいて、歴代の法制局長官がこの今の安全保障環境下でどう考えるか、ぜひ公にしていただくことを御検討いただけませんか。

横畠政府特別補佐人 別段、私ども、OBと疎遠になっているわけでは決してございませんで、お話をする機会も時々、もちろんございます。

 諸先輩からはアドバイスもございまして、体に気をつけて頑張れよということはよく言われております。私からも、内閣法制局の名を汚さないように頑張りますと。そういうやりとりは行っていますけれども、やはり中身の問題ということになりますと、やはり現職とOBということで、余り突っ込んだ話はなかなかふさわしくないというふうに考えております。

足立委員 大変ウイットのきいた御答弁、結構だと思いますが、今、いろいろ接点はある、決して孤立はしていないということでありますし、健康を心配する声もあるということであります。

 その際に、そういう方々から、これは違憲だよというような御意見が出たことはありませんか。

横畠政府特別補佐人 なかなかこの問題は、中身に踏み込んでどういうことなのかということを踏まえないと、単に集団的自衛権という言葉を使ったから違憲だとか、そういう単純なことではございませんので、そういう意味で、見た目違憲だ、そのような意見はありません。

足立委員 長官、当然でありまして、私が現職の長官と長官のOBとが御意見交換することをお勧めしているのは、まさに今おっしゃったような議論に、国会でさえ、特にマスコミは、今おっしゃったそういう安易な、何か言葉尻で、レッテル張りの議論が横行しがちであるから、プロである、閣議メンバーでもあった法制局長官、歴代の法制局長官が意見交換するのであれば、わざわざ基礎的なことから説明しなくても、目が合った途端に全て理解し合えるんじゃないですか。ぜひやってください。

横畠政府特別補佐人 この国会を初め、国民の皆様に御理解をいただくというのは、私ども政府の責任であると理解しております。

足立委員 私は、ちょっとこだわるようでありますが、責任は現職にあるのは当たり前であります、現在、安倍政権でありますから。

 しかし、繰り返しになりますが、必ずしも国民の理解が深まっている状況にはないわけでありまして、実際にそれはもう明らかであります。私が地元で聞くのもそうです。

 決して頭から、私も衆議院の安全保障委員会で理事を務めたこともありますので、これはもう基礎的なことはわかっています。しかし、私が申し上げているのは、今、安倍政権が推進をしているこの安保法制について、広く国民の皆様の要らぬ疑念を払拭するためには、歴代の法制局長官の意見をしっかりと現職の長官が、いや、俺は聞いていない、現職だから現職が責任を持つ、その心意気はいいですよ。しかし、長官の御健康のアドバイスだけではなくて、安保法制の合憲、違憲だという議論になっているんだから、それはもう一回、長官、OBの御意見もしっかりと聞いてみると。

 御答弁ください。

横畠政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、政府として一体的、統一的な御説明をしていくのがベストであると考えております。

足立委員 これは尽きませんので、時間の関係もありまして次へ行きますが、きょう、資料を一枚お配りしてございます。

 私は、自衛隊の皆様、本当に厳しい環境の中で訓練等に励み、また、イラクを初めとするさまざまな公務に、海外に出向いての公務に危険を顧みず取り組まれていることに心から敬意を表するものでございます。

 ここにお示しをしていますのは、自衛隊の皆様方が不幸にして、その公務、これは、ここで書いておりますが、私の理解が間違っていたら訂正いただきたいと思いますが、公務は、国内の公務で、公務というのは訓練とかそういうことだと承知をしていますが、亡くなられた隊員の皆様、不幸にしてお亡くなりになられた隊員の皆様の数が千八百七十四人に上るということでございます。

 これを原因別に分けると、車両事故が三百五十三件、航空機事故が五百八十六件、演習訓練の際のものが三百九十四件、その他五百件、それから艦船の事故が四十一件、こうなってございます。本当に残念でありますし、こういうことができるだけ少なくなるように御努力をいただきたいと思いますが、少なくともこれが現実の数字であります。

 そういう中で、これまで海外の公務、例えばイラク特措法でも、たくさんの自衛隊の皆様が、現地の、危険と隣り合わせの場所に出向いて任務を遂行してこられた。そして、例えばイラクであれば、皆様が無事お帰りになって、本当に御家族の皆様も御安心になられた、こう思うわけでありますが、ある自衛隊のOBの方が、テレビか何かマスコミの報道で、それは僥幸だと。僥幸、すなわち、極めて奇跡的な幸運なんだ、こういうことをおっしゃっています。私も実はそう思っています。思っています。

 まず、今までそういう海外の公務で亡くなられる隊員の方が出なかったことについて、これは僥幸だと私も思いますが、大臣はどう思われるか。そして、そうであれば、この法案の成否にかかわらず、仮にこの法案がこの法案のまま、いや、我々、態度は決めていませんよ、ただ、この法案のまま成立をして、今の自衛隊員の皆様がオペレーションをしていくに当たって、そういう海外の公務で不幸にして万々が一亡くなられることは、大臣の想定の中に入っていらっしゃるんでしょうか。過去の認識と、そしてこれからの考え方、御認識、これを御答弁いただきたいと思います。

中谷国務大臣 これまで海外において公務で亡くなられた方がなかったということにつきましては、私は、大変な努力をしてきた結果があるのではないかと思っております。

 自衛隊の海外派遣に当たりましては、事前の調査チームまた連絡官の派遣、関係国や関係機関との情報交換を通じまして、まず活動地域の情勢等についての情報収集に努めます。

 それから、特性など、隊員の安全確保に十分な自己防護用の装備を携行します。

 また、派遣先国の社会的な、文化的な習慣を尊重して、まず地域の住民との良好な関係をつくる、また、派遣前に適切な教育訓練を行うなど、隊員のリスクを極小化するための措置をしっかり実施して派遣をいたしております。

 また、それぞれの日ごろの訓練、そういうことを想定した訓練、こういうことも実施をいたしまして、派遣する際におきましては、そういった不慮の事故がないように、これは通常の訓練でもそうですけれども、そういった事故による犠牲者が出ないというのを前提に実施をしているわけでございます。

足立委員 もしそうであれば、これはどうして国内の訓練で千八百七十四名の貴重な隊員のお命を亡くしているんですか。これは、年ごとに数えても、多い年には三十名を超える隊員の貴重なお命が亡くされているんですよ。

 今、海外で、この任務で、オペレーションでおっしゃっていること、これは国内はどうなんですか。

中谷国務大臣 公務災害の発生の状況は多種多様でございまして、千八百七十四人の方が亡くなったことについては一概にお答えすることは困難でございますが、これまで多くの隊員が、国民の命と平和な暮らしを守るという任務の遂行のためにとうとい命を落とされたことについては、大変な、残念なことでございます。

 私も、自衛隊員として訓練を受けますけれども、全く物が見えない真夜中に歩いたり、また車に乗ったり、また、パイロットや潜水夫にしましても、非常に危険な状況の中でも訓練をして、いざというときに役立つための能力を向上しているわけでございまして、そういった日ごろの訓練、非常にそういったリスクの中でも隊員が実施をしているというようなことでございます。

 いずれにしましても、こういった事故が起こらないようにということが前提で訓練を実施しておりますけれども、不幸にして亡くなられた方々には、心から御冥福をお祈りすると同時に、哀悼の意を表したいと思います。

 そして、先ほど、海外の公務について亡くなられた方については四名いるということで、この点、ちょっと訂正させていただきます。

足立委員 今、千八百七十四名の亡くなられた方について、私も、隊員の皆様の命の問題、これは軽々に取り扱うつもりはございません。

 ただ、大臣初め総理も含めて、今回の法案のリスクという、抽象的なリスク論はいかがなものかと思いますが、しかし、そもそも、国内の訓練を含めて、大変危険な任務につかれているんです。そして、現場のオペレーションに行けば、それは、訓練はその現場のオペレーションをより安全に完遂するためにあるわけですね。でも、その訓練でさえ、こうして亡くなられる方がどうしても避けられない。これは、年ごとに見て、そういう方がゼロにとどまった年はないんです。

 これは、来年、大臣、ないようにできますか。

 ちょっと質問が悪いですね。質問が悪いですが、私が申し上げたいことは、これはリスクはあるんです。これはもうお認めになっています。当たり前です、それは。当たり前だけれども、もちろん、それを低減させる努力をされている、それはもうわかっています、繰り返し。でも、国民の皆様に、やはりある種の覚悟、それは、自衛隊がなければもっと大変だし、国民の皆様の命、生命財産、これをお守りしていく、そのとうとい任務に当然リスクはあるんですから、それを何か言葉を避けて、それがないかのように表現をされることに大変違和感を持っているわけです。

 国内で結構です、国内の、これは毎年毎年、残念な数字が出ています。来年どうされますか。

中谷国務大臣 自衛隊員の事故が起こらないということは、常々、訓練においては最重要でございまして、そのような心がけで行っているわけでございますが、しかし、いざというときに国民のために仕事をしなければならないということで、国民からの負託に応えるべく、いろいろな訓練を実施しているわけでございまして、これはやはり、国民の期待に応えるべく、自衛隊もその意識と使命を持って訓練を重ね、任務をいたしております。

 もちろん、そういった事故がないようにということで、これは万全の体制をとっているわけでございますが、そういった任務を果たせるような心がけは持って実施をしているわけでございます。

足立委員 この法案、仮にこれが成立をして、多くの自衛隊員の皆様がこの法律に基づいて、今審議をしている法律に基づいてオペレーションを遂行する、そのときに、防衛大臣は、その公務で、この法律に基づく公務で隊員の皆様が命を、貴重な命であることは当然でありますが、日本の国を、国民を守るために命を落とされることは想定外ではないですね。

中谷国務大臣 今回も、私、就任しまして真っ先に、南スーダンと、ジブチの海賊対策の現場へ参りました。アフリカの大変厳しい状況の中で、国を代表して立派な仕事をしておりまして、そういった中で、事故が起こらないようにくれぐれも安全に気をつけろということで訓示もいたしました。

 新たな任務というのは確かに新たなリスクが生じる可能性はありますが、やはりよくよく、やる場所、条件、そして隊員の能力、そして安全対策、こういうことを講じた上で計画をつくり、そして政府で決定をされて送り出すわけでございますので、そういった任務を与える際におきましては、まず事故が発生しないということは前提として送り出していくわけでございます。

足立委員 全然答弁になっていません。私が御質問しているのは、想定内か想定外かです。どっちかを答えてください。

中谷国務大臣 本当に隊員の命というのはかけがえのない大事なものでございます。そういったものを、送り出す側としては、そういうことが起こらないように最善を尽くすということでございます。

足立委員 いや、だから、答弁になっていないんですよ。もう二分しかないので……。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 お答えをいたします。

 自衛隊を海外に派遣するに当たりましては、オペレーションの内容や派遣する場所の状況に応じて、不測の事態に対応するためのあらゆる準備を行っております。かかる観点から、事件、事故等も含めまして、隊員の死亡を伴う事案が万が一生じた場合に備えまして、御遺体を本邦まで輸送するのに必要な用意も含めて、さまざまな準備は行って、行ってきております。

 しかし、こういった準備の具体的な内容とか、具体的な要領等につきましては、これを明らかにすると、自衛隊の脅威の見積もり、また不測の事態に対しての備えの内容が推察をされるおそれがございますので、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私も、こういう御質問をさせていただいたのは、まさに自衛隊員の皆様にしっかりと敬意を表する、そういう観点からである旨申し添えておきたいと思います。

 今、リスクに絡む話を、リスクの抽象的な話ではなくて、しっかりと国民の皆様に、ある意味での深い御理解を、それは安全保障に関する、あるいは自衛隊に関する、自衛隊員の皆様に係る深い理解を促したいという私の思いをぜひ御理解いただきたいと存じます。

 最後に、幾つか本当はやりたいことがありましたが、ホルムズ海峡の話もやりたかったんですが、時間がございませんので、あと一点。

 抽象的なリスク論を余りやってもという思いはありますが、一方で、今なされています、国会で。実は、今この場に立っていただいている委員の皆様の三人に一人はリスク論をやっているんですね、数えましたら。もう終止符を打ちましょう、この話。

 リスク論というのは、自衛隊員の皆様の生命、これは一つのリスク論です。それから、自衛権発動の可能性、要は、日本が急迫不正のそういう事態に陥るようなリスクです。さらに言うと、ISのような、テロにさらされるリスク。私は、三つのリスクがあると思っています。この三つのリスクについて、もう時間もありませんから簡潔で結構でございますが、防衛大臣の御認識を開陳いただければと思います。

中谷国務大臣 国家のリスクにつきましては、まさにこの法案を出しておる意味でございます。やはりそういった事態がなくならないように、法律でしっかりと基本的なことを定めて、我が国の平和と安全保障を定めるということでございます。

 隊員につきましては、先ほどお答えをいたしましたが、法律に伴うリスクがふえる可能性というものはございますが、やはり、いかなる任務をさせるのか、その中でいかにこのリスクを縮小化させるのか。特に運用、現場においてもそうですし、また管理の方もそうでありますが、任務をさせる上においてはリスクを極小化させるということで、しかし、目的というのは、国にとって大変重要な目的、目標がございますので、そういった任務をしっかりと遂行する、そのことによって国民の命、財産を守る、そういうことができるようにしてまいりたいと思っております。

足立委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 初めて平和安全法制特別委員会で質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 既にさまざまな観点から繰り返し議論が行われていることと思いますし、一方で、いまだ国民の過半数の方が納得できていないという調査結果もあるようでございます。八割の方が説明不十分であるというような結果もあるというふうに思っております。また、憲法の専門家が違憲と言われたり、中谷大臣の御著書「右でも左でもない政治 リベラルの旗」というのも、一昨日ようやく入手いたしましたが、まだつまびらかには読んでおりませんので申しわけございませんが、そういった中で議論が行われているかと思います。

 私も、専門というわけではありませんけれども、非常に、今回の議論を見ていて、最初から何か食い違っているんじゃないのかな、そのことがわかりにくい原因じゃないのかなというふうに思っているところであります。初めての質問ですので、ちょっと自分なりの視点でお尋ねしたいと思いますので、よろしくおつき合いのほどお願い申し上げます。

 まず、自衛隊への信頼感について伺いたいと思います。

 社団法人中央調査社が、「議員、官僚、大企業、警察等の信頼感」調査というのを継続して行っておられます。この調査では、国会議員、官僚、裁判官、マスコミ、銀行、大企業、医療機関、警察、自衛隊、教師に対する信頼感を五段階で評価しているということであります。

 二〇〇〇年三月から調査が始まり、自衛隊に対する平均評点は一貫して高い信頼を受けているということがあらわれております。おおむね三点台ですか、直近の調査では、二〇一二年五月三・七ということで、東日本大震災の翌年に実施されていますので、被災地での活動などが高く評価されたのではないかなというふうに思います。医療機関への信頼もおおむね三・三前後ということですから、国民の皆さんにとって、みずからの健康や生命、そういったものにかかわるものとして、やはり自衛隊に対する信頼というのは大きいのかなと思います。

 まず最初に、中谷防衛大臣は、御自身も防衛大学校の御出身で、陸上自衛官を経験されていると思います。御自身の経験を振り返って、自衛隊がなぜこのように国民の厚い信頼を獲得しているのかをお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 私も自衛隊勤務をいたしましたけれども、非常に意識の高い中で、国民の負託に応えたいということ、日ごろから訓練をし、そして厳正に勤務をし、そしていざというときの対応等については練度を増しております。その結果、いろいろな事態で自衛隊が活動する場面がございますが、そのときの自衛隊の行動、活動等につきまして、率直に国民の皆様方が感謝をし、そして評価をしていただける、そういう積み重ねによりまして、国民の信頼を増しているというふうに私は思っております。

河野(正)委員 一方で、この調査では国会議員に対する評価というのもあります。御想像のとおり、国会議員は常に低い評点であるというふうになっております。しかも、官僚と最下位争いを繰り広げているということであります。

 国民からすれば、信頼の高い自衛官を、信頼に欠ける国会議員が指揮するという構図とも受け取れるのかなと思います。いわゆる文民統制というのは、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味することであります。つまり、我が国では、軍事への高い信頼があり、一方で、政治への低い信頼という状況が存在していると言えます。

 こうした状況について、自衛官と政治家双方を経験された中谷防衛大臣の受けとめを改めて伺いたいと思います。

中谷国務大臣 政治家が評価をしていただく数字が低いということは、私自身にとりましても反省の材料とさせていただきますが、今後とも、国民の皆様からさらに信頼していただけるように、しっかりと一つ一つ、真面目に、丁寧に行動してまいりたいと思っております。

河野(正)委員 我が国の歴史を振り返りますと、こうした状況は過去にもあったのではないかというふうに考えられます。

 いわゆる大正デモクラシーを受け、当時の政友会、民政党が二大政党として政権交代を繰り返しながら権力闘争を重ねた結果、徐々に国民の支持が失われていった。一方、軍部は、一定の戦果を上げることで国民の喝采を受けることになってきた。政治は、国民からの支持を獲得するため、国を代表して生命を賭して戦う軍に対する国民の高い支持を利用しがちでもあり、ともすると軍におもねった政策をとりかねないということも危惧されるのかなと思います。政治は、一定の距離を保ちながら、国民の生命財産を守り国家を守っていく、そうした微妙なかじ取りをしていかなければいけないんじゃないかなと思います。

 我が国の歴史を振り返りまして、政治と軍の関係について、中谷防衛大臣、そして岸田外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

中谷国務大臣 先ほども申しましたが、自衛隊が国民の皆様から評価が高い結果を得られているということにつきましては、ひとえに個々の隊員の真摯な職務遂行の積み重ねの結果であろうかと思います。

 このような自衛隊に対する信頼と、また、自衛隊の統制を担う政治につきましての信任につきましては、あくまでも別個のものであるという認識のもとで、やはり、自衛隊を預かる防衛大臣といたしましては、みずからの職務について深く思いをいたしまして、国民の皆様方から信頼が得られるように、全力で職務に努めてまいりたいと思っております。

岸田国務大臣 私も、国会議員に対する厳しい評価については、これは謙虚に受けとめなければならないと思いますし、また自衛隊に対する高い評価、これは自衛隊の日々の活動に対する国民の皆様方の敬意であり評価であると受けとめます。

 そして、歴史を振り返った際に、政治家と、そして軍との関係について御質問がありました。

 国民の高い支持を得ている自衛隊と、政治家との関係において、高い支持を得ている自衛隊を政治家が、例えば恣意的に利用するなどということはあってはならないと思います。

 自衛隊が活動するに当たっては、明確な法律上の根拠が必要であります。また、必要に応じて国会の承認も得なければなりません。やはり、自衛隊の活動において、法治国家としてふさわしい、明確な法律上の根拠、こういったものがしっかり設けられて、それに基づいて自衛隊が活動している、こうした制度上の信頼を得ることが、自衛隊と政治家の関係についても国民からしっかり信頼を得ることにつながるのではないか、そういった思いで、しっかりとした法整備や制度づくりに努めなければならないと考えます。

河野(正)委員 次に、移ります。

 憲法審査会において集団的自衛権の行使は憲法違反と指摘されたことが大きな論議を呼んでいます。

 昨日の衆議院憲法審査会では、自民党の高村正彦副総裁が出席され、自衛のための必要な措置が何であるか考え抜く責務があり、これを行うのは、憲法学者ではなく、我々のような政治家だというふうに断言されたと思います。

 国権の最高機関である国会は、国民から選ばれた代表である国会議員が議論を重ねて法律を定めることになります。政治が責務を負うということ自体には異論は全くありません。ただし、その際に重要なことは、必要な自衛の措置とは何か、今の法制度で何ができて何ができないのかといった点を、正確な事実と情報に基づき議論を重ねる過程であると思います。自分と異なる意見や少数意見をないがしろにする姿勢というのは、決して看過することができないというふうに思っております。

 二百人を超える多くの憲法学者が、この法案は違憲であると考えているというふうに言われております。残念ながら、これが現実だろうと思います。憲法を詳細に研究されている学者がなぜそのように判断しているのか、その事実を正面から受けとめ、正すべきところは正していく、そういった姿勢が政府・与党に求められるのではないかと思います。

 安倍総理からしばしば、私が総理大臣なんですからという御答弁が認められております。決めるのは政治家だということで、口出しするなと言わんばかりの姿勢であるとすれば、全くこれは容認できないというふうに思います。

 安全保障法制を担当されている中谷大臣の見解を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは、政府の最も重要な責務でございます。そのために、憲法の範囲内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な安全保障政策を具体化するのは、我々内閣と国会の責任でございまして、この点は高村委員の述べたとおりだと私は認識をいたしております。

 平和安全法制につきましてはさまざまな御意見があるということは承知をいたしておりますが、政府の立場といたしましては、これまでも繰り返し述べているとおり、すなわち、この新三要件、これは昭和四十七年の政府見解の基本的な論理の枠内でありまして、従前の憲法解釈と、論理的整合性、これは十分保たれております。

 政府といたしましては、さまざまな御意見に耳を傾けつつ、多くの国民の皆様、そして与党のみならず野党の皆様の御意見また御質問をいただきまして、法案の趣旨を御理解いただきますよう、幅広い支持が得られますよう、引き続きわかりやすく丁寧な説明に努めてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 中谷大臣の御著書、まだ一昨日届いたばかりで、詳しく読んでいないので申しわけないんですが、やはりしっかりと憲法改正とかも含めて議論をしていくべきなんじゃないのかな、それが一番わかりやすい政治になるんじゃないのかなと思っているところであります。

 憲法違反かどうか、最終的に判断するのは最高裁判所である、だから憲法学者が何を言おうが関係ないというような趣旨に受けとめられるような発言もあったかと思います。

 では、最高裁判所が違憲状態と判断しているいわゆる一票の格差訴訟、これに対する政府・与党の対応ぶりはどう受けとめればいいんでしょうか。この判決を受けて、参議院では選挙制度改革の議論が現在続けられているところですが、自由民主党は極めて後ろ向きな対応に終始しているんじゃないのかなというふうに思うところでもあります。つまり、最高裁が違憲状態と判断を示しても、政府・与党にはその判断を尊重する姿勢が欠けているんじゃないかなというような受けとめもあるようですけれども、この点について、中谷大臣の見解を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 一票の格差の判決への対応につきましては、これは国会の場で御議論いただくものと認識しておりまして、政府の立場からコメントは差し控えたいと思います。

 本件につきまして、砂川判決を引き合いに出しているがというお話がございましたが、政府としましては、この平和安全法制、昭和四十七年の政府見解における憲法九条の解釈の基本的な論理の枠内で、憲法解釈としては論理的整合性、法的安定性が確保されており、違憲との御指摘は全く当たらないと考えております。

 また、合憲か違憲かを最終的に判断するのは、憲法で違憲立法審査権を与えられた、法の番人でございます最高裁判所であります。この最高裁判所は、砂川判決において、「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」と考え方を示しておりますが、これは、昭和四十七年の政府見解と軌を一にするものでございまして、その点におきまして、違憲との御指摘は全く当たらないと考えているわけでございます。

 いずれにしましても、御質問がございますけれども、さまざまな御意見に耳を傾けつつ、こちらも丁寧に説明をいたしまして、議論を重ねることによりまして御理解をいただいて、また、必要に応じて丁寧な説明を心がけてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 何か、非常に文言にとらわれて、難しくなっていっているような気がしております。

 もし仮に、本法案が成立、施行後に、仮にですけれども、最高裁で違憲というふうに判断をされた場合、政府はどのような対応を求められることになるのか、内閣法制局長官に伺いたいと思います。

横畠政府特別補佐人 政府においても慎重に検討し、かつ国会においても十分な御論議をいただいた上で可決、成立した法律という前提だと思いますけれども、私どもが考えているところでは、なかなか違憲の判決というものは想定しがたいと思っておりますが、仮に、一般論として、違憲の判決ということでございます。

 司法と申しますのは、あくまでも、事件性といいますか、具体的な事件を前提といたしまして、その法律上の争いを解決するために法令の解釈、憲法の解釈をして、その過程におきまして違憲であるということになりますとその法律の適用ができない、そういうことで結論に影響する、そういう判断をするものでございまして、法律そのものが違憲無効であるというような判決をするわけではもともとございません。

 ということでございまして、仮にということでございますけれども、最高裁判所において、具体的に、どのような事件につきまして、何が争点となって、どの法律のどの条項が問題になり、どういう判断で、どういう理由によってそれが違憲なのだ、そういう、どういう判断が示されたというその個々の内容を見ませんと、どういう対応をするのが適当であるのかということはなかなか決められないということでございます。

 また、裁判といいましても、確定した裁判が効力を持ちますのはまさに当該事件のみでございまして、一般的効力というものは有していないわけでございます。

 そういうことも含めまして、仮に違憲という判断が出た場合にどういう対応をするかということは、まさにその中身次第ということでございます。

 もとより、司法の判断を適切に尊重して適切に対応するということは当然でございます。

河野(正)委員 今、各種調査で出ておりますように、国民の過半数の方がまだまだこの法案をよしとしていないような状況でこれが成立するということになれば、当然のことながら、そういった司法手続に訴えられる方もいらっしゃるでしょうし、この点はしっかりと議論をして、また検討しておかなければいけない問題じゃないかなというふうに思います。

 次に、離島防衛とグレーゾーン事態への対処についてお聞かせいただきたいと思います。

 私の出身地であります福岡県は、今、アジアのゲートウエーといたしまして、その地の利を生かして、成長を続けるアジアの経済力を取り込むことで大きな発展を目指しているところであります。頻繁に大型クルーズ船が寄港し、埠頭にたくさんのバスが毎朝迎えに来る、そして、一気に福岡の商業施設に人が出ていく。さまざまな外国語が飛び交い、いわゆる爆買いというんでしょうか、多くの経済効果がもたらされているというところであります。

 一方で、韓国、中国と国境を接し、緊張が高まる東シナ海に面しており、東アジアの国際情勢の緊迫化によってすぐに大きな影響を受けてしまう土地でもあるというふうに思っております。実際に、一時期、クルーズ船どころか、外国人観光客の姿を全く見なくなってしまうような時期もございました。今、V字回復ということで、また再び見られるようになってうれしく思っているところでありますが、そういった影響を受けやすいところでもあります。

 最近になって、離島防衛という必要性が声高に叫ばれるようになってきたかなと思います。新聞記事を検索してみましても、離島防衛という言葉は二〇〇〇年前後から頻繁に用いられるようになっているかと思います。

 まず、防衛省・自衛隊が離島の防衛についてどのような考え方で臨んでいるのかを伺いたいと思います。

中谷国務大臣 我が国周辺国が活動を活発化そして拡大させる中で、我が国を取り巻く安全保障環境、一層厳しさを増していることに伴いまして、島嶼防衛の必要性が多く国民に実感をされてきていると認識をしております。

 防衛省におきましては、離島は、我が国の領海や排他的経済水域の基点となり得るものでありまして、また、各種兆候を早期に察知する基盤として大きな意義を有することから、従来から、離島防衛に万全を期すことが安全保障上の重要な課題であると考えてまいりました。

 このため、防衛省・自衛隊では、二十の離島に駐屯地やレーダーサイト等を配置いたしまして、国民の生命と財産と領土、領海、領空、これを守り抜いていく体制を保持することに加えて、陸上自衛隊の配備に空白が生じている先島諸島、奄美諸島への部隊配置を推進しまして、離島における防衛体制の一層の充実に努めているところでございます。

河野(正)委員 島国であります我が国にとって、離島を守ることは本当に極めて重要なことであり、今おっしゃったように重要であり、その体制を整えていくことが必要であるというふうに思っております。

 自衛隊は、そもそも専守防衛の組織であり、必要最小限度の実力を持つことを基本とされているかと思います。したがいまして、離島の防衛に当たっては、航空優勢、海上優勢、つまり制空権や海上輸送路を確保すれば十分であり、離島を陸上勢力により奪還するための実力は必要最小限とは言えないとの判断もあって、上陸作戦能力を持ってこなかったのではないかと思います。実際、上陸作戦能力は海外派兵につながるおそれがあるともされ、つい十数年前まではタブーだったと、自衛隊の元幹部の方が国会で発言もされております。

 それが、最近では、離島奪還能力などの議論が当たり前のように行われているかと思います。この間、防衛省・自衛隊の内外でどのような議論の経過、認識の変化があったのかを中谷防衛大臣に伺いたいと思います。

中谷国務大臣 これは、現在の防衛大綱また中期防におきましても離島防衛につきまして記述をいたしておるわけでございますが、防衛省・自衛隊として、こういった安全保障環境の変化を踏まえまして、水陸機動団、これを可能な限り速やかに新編できるように、水陸両用車の取得、また所要の教育訓練施設等の整備のほか要員養成により早期の戦力化に努めているところでございます。

 また、自衛隊は、これまでも島嶼防衛に係るさまざまな訓練を実施しておりまして、水陸機動団が新編をされた後も、このような訓練を実施することによって水陸両用作戦に必要な能力の維持向上に努めていくようにしてまいっております。

河野(正)委員 離島防衛能力を高めていくことの必要性は理解しておりますが、この能力は、今後、必ずしも日本国内だけでの活動にとどまらないのではないかとも考えられます。平和安全法制が成立すれば、今後、他の軍隊の活動を支えるために自衛隊も行動できるようになり、かつて懸念されていた海外派兵の可能性がますます高まってくるというふうにも思います。

 離島を奪還するために陸上での対応能力を高めることが、専守防衛を基本方針とする自衛隊にとって必要以上の実力を持つことになるのではないか、こうした懸念は完全には払拭できないのではないでしょうか。

 まず、我が国が憲法上持つことができる自衛力とは、自衛のための必要最小限度のものとされています。具体的にはどのようなものとされてきたのでしょうか。そして、今回の法案によって、持つことができる自衛力の中身も変わると考えていいのでしょうか。内閣法制局に伺いたいと思います。

横畠政府特別補佐人 憲法第九条第二項は、陸海空軍その他の戦力の保持を禁じております。この戦力につきまして、政府は、従来から、憲法第九条は、我が国が主権国として持つ固有の自衛権まで否定しているものではなく、この自衛権の行使を裏づける、自衛のための必要最小限度の実力、自衛力を保持することはもとより同条の禁ずるところではない、同条第二項で保有することを禁止している戦力とは、自衛のための必要最小限度の実力を超える実力をいうものと解すべきというふうにしてきているところでございます。

 今般の新三要件を満たす場合は、他国ではなく、あくまでも我が国を防衛するための必要最小限度の実力を行使するにとどまるものでございますことから、我が国が憲法第九条第二項でその保有を禁じられている、自衛のための必要最小限度を超える戦力を持つことになるということはないと考えております。

河野(正)委員 先ほど大臣の方の発言にもありました水陸機動団というのができますけれども、これについて、必要最小限の実力の範囲におさまると考えられているのかどうか、どういった実力をつけるとその限度を超えてしまうのか、見解を法制局に伺いたいと思います。

横畠政府特別補佐人 我が国の離島についての奪還能力ということでございますれば、これはあくまでも我が国を防衛するための必要なものという評価ができるのでございまして、その限りで問題はないのだろうと思います。

河野(正)委員 このような離島防衛能力、上陸作戦能力が向上していくことになりますと、我が国が国際社会からそうした能力を生かした支援を求められる局面も出てくるんじゃないかなと思います。平和安全法制において拡大する自衛隊の役割の中で、こうした能力はどのように活用されると想定されているのでしょうか。

 具体的に申し上げますと、南シナ海、スプラトリー諸島、南沙諸島では、中国とフィリピン、米国の間で緊張が高まっているというように思います。外務省は、中国が南シナ海において力による一方的な現状変更の試みと目される行動を続けていると指摘されており、尖閣諸島における中国の船舶による領海侵入もその一環と位置づけられておると思います。今後、南シナ海では、偶発的なものも含めて武力衝突の可能性が高まりつつあり、同盟国である米国やフィリピンが攻撃を受ける可能性も十分に考えられます。また、この海域はいわゆるシーレーンでもあり、我が国の安全保障上看過できない事態であります。

 そうした事態が生じた場合、平和安全法制が成立した後、法的にはどのような対応をとることができるか、中谷防衛大臣にお聞かせ願いたいと思います。

中谷国務大臣 ある事態に対して自衛隊が具体的にどのような対応をすることになるかにつきましては、限られた前提条件だけで判断し得るものではなくて、また、特定の地域を挙げた上での仮定のお尋ねについてお答えすることは差し控えたいと思います。

 特定の事態が、例えば存立危機事態また重要影響事態などに当たるか否かにつきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断することになります。その際は、法律で定められた要件や手続に従って、我が国として主体的に判断をしてまいることになります。

河野(正)委員 離島の安全を確保するために、やはり海上保安庁も含めてしっかりとこういった問題に対応していただかなければいけないと思いますし、グレーゾーン事態への対処というのを至急検討しておくべきだというふうに思うところであります。

 時間もありませんので、次に移りたいと思います。

 離島防衛では、空からの警戒監視活動、海からの輸送支援活動など、陸海空が文字どおり一体となった対応が求められます。

 このように、およそ組織が複数であれば、そこに縦割りの弊害が生じ得るものであり、離島防衛にあっても、警察機関と自衛隊、自衛隊内でも陸海空と縦割りになってしまう懸念が存在いたします。

 それを乗り越えるためには、日常からの情報共有、活動における連携が重要と考えますが、どのような取り組みを進められているのか、縦割りの弊害は存在しないと受けとめてよいのかどうか、そういったこと、あるいは、離島を守ることに対していろいろな情報収集というのもあるでしょう、そういったことについての見解を、中谷大臣、山谷大臣、そして海上保安庁長官から伺いたいと思います。

深山政府参考人 まず、現在、防衛省・自衛隊と各機関との関係につきまして、事務的に御説明したいと思います。

 まず、平素の協定等でございますけれども、警察との間におきましては、治安出動に関します協定というのを持っております。また、海上保安庁との間におきましても、共同対処マニュアル、協定的なものでございますが、こうしたものを平素から結びまして連携を深めております。

 また、例えば、我が国周辺海域におきましては、海上自衛隊の航空機、艦艇も警戒監視活動を行っておりますが、そうした際に得られた情報につきましては、海上保安庁とも速やかに情報を伝達できるようなシステムを装備しております。これは、秘匿がかかった情報を送れるようなシステムを既に装備しているところでございます。

 また、訓練におきましても、こうした協定やシステムが有効に生かせますように、治安出動に関する共同訓練、警察との治安出動に関します共同訓練、海上保安庁との不審船対処などの共同訓練等を実施しておるところでございます。

 また、自衛隊内も陸海空と分かれておるところでございますが、部隊運用に関しましては、平成十八年三月から統合運用を基本とする体制に移行しております。すなわち、統合幕僚長が、陸海空自衛隊を含めた統一的な運用構想を立案して、自衛隊の運用に関する軍事的、専門的見地からの防衛大臣の補佐を一元的に行うという体制を整えておるところでございます。

 こうした体制をとりまして、自衛隊内はもとより、各機関との連携に意を用いているところでございます。

山谷国務大臣 警察では、平素から、離島への不法上陸等の事案に備えて所要の部隊を編成し海上保安庁の巡視船に乗船させるなどして、対処体制を構築しているほか、自衛隊との間で、平成十四年以降、武装工作員の侵入等を想定した共同訓練を実施しているものと承知しております。こうした取り組みによりまして、関係機関同士の連携や情報共有が十分に図られているものと認識をしております。

 今後とも、こうした取り組みを推進しまして、海上保安庁や自衛隊等の関係機関との連携の一層の強化に努めるように警察を指導してまいりたいと考えます。

佐藤政府参考人 武力攻撃に至らない侵害に対応していくためには、海上保安庁と警察、自衛隊との連携が重要であると考えております。

 このような観点から、海上保安庁と警察、自衛隊との間では、平素から、情報共有や共同訓練、通信訓練などを実施しているところであります。

 海上自衛隊との通信訓練は、過去五年間、年平均約五百九十七回実施しておりますし、海上自衛隊との不審船共同対処訓練は、平成十一年度以降十三回実施しているところでございます。また、警察との原子力発電所前面海域での訓練は、昨年二十四回実施しているところでございます。

 今後とも、警察、自衛隊を初め、関係省庁と緊密に連携しながら、対応に万全を期していくこととしております。

河野(正)委員 時間がなくなりましたので、質問をたくさん用意していたんですけれども、割愛させていただいて先に進みたいと思います。申しわけありません。

 自衛隊の人員あるいは財政についてちょっとお聞きしたいと思います。

 平和安全法制のもと、自衛隊の海外での活動はさらに拡大していくというふうにも思われます。これが一般的な、率直な印象だと思います。より困難で過酷な訓練がふえ、厳しい現場での活動がふえることになるとも思います。

 平成二十四年度までは隊員数が減少しておりましたが、二十五年度から再び増加をしております。今後も要員をふやしていかれるのかどうか、確認させていただきたいと思います。

中谷国務大臣 新たな法制によりまして自衛隊の役割はより一層重要になってきますが、他方、基本的に、これによって全く新しい装備が必要になったり、装備の大増強が必要になるということではございません。

 自衛隊の装備や予算につきましては、今回の法整備とは別途、一昨年末に防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画を閣議決定しておりまして、厳しさを増す安全保障環境を踏まえて、自衛隊の体制の充実強化は図っておるわけでございます。

 このうち、中期防においては、人件費を含む五カ年の防衛費の総額を明示しておりまして、閣議決定しましたが、五年間、実質、平均〇・八%防衛費を伸ばす計画となっているわけでございます。

 政府としましては、今回の法整備によってこれらの計画を見直す必要があるとは考えておらず、引き続き、現行計画に従って着実な防衛力の整備を図っていく所存でございます。

河野(正)委員 実は昨日、我が党で、陸上自衛隊の朝霞駐屯地を松野代表とともに訪問させていただきました。そこでいろいろなお話を伺ってきたんですけれども、やはり安全に任務を遂行するためには、リスクは別として、安全に任務を遂行していくためには、しっかりと事前の調査が必要である、情報収集をしなければいけない、そしてまた、その土地に合った、海外はどんな土地かわかりませんので、土地に合った装備を持っていかなければいけない、準備をすることが極めて重要だということをお聞きいたしました。

 そういった面も含めて、今、余り予算はということでしたけれども、しっかりとやはり、今後のことを考えるならば予算も確保していただかなければならないのかなというふうに思っております。そうしないと、実際にそこに出ていかれる自衛隊の方々が本当に厳しい状況に陥るのかなと思っております。

 そしてまた、もう一点懸念は、先ほど一番最初にお話ししたように、国民の皆さんは、やはり災害救助とかに自衛隊に対する期待が大きいというふうに思うところであります。それがやはり、東日本大震災以降自衛隊の評価が上がったということにもつながるのかなと思います。こういったことを考えますと、海外にそういったことで自衛隊が赴かなければいけないということになれば、そういったときに、万が一災害が起きてしまった、不幸にして国内で災害が起きた場合に、その国内の災害復旧に対する自衛隊の支援がどうなるのかという懸念があると思います。

 そういった意味を考えますと、人員というのはしっかり確保していかなければいけないのかなと思いますが、大臣の考えを伺いたいと思います。

中谷国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、我が国を防衛するにしましても、また不測の事態に対処するにしましても、常時ある一定の隊員の所在確保というのは必要でございます。この点につきまして、万抜かりがないように計画を実施して、また国際的な活動等にも対応できるようにしてまいりたいと思っております。

河野(正)委員 やはりしっかりと、安全な任務遂行のためにはお金がかかる、人も要ると思いますので、その点はしっかりと検討されていただきたいと思っております。

 本当は、私は精神科の医師でありますのでこの点を一番お聞きしたかったんですが、もうほとんど時間がないので簡単に伺います。

 自衛隊員の方々も、やはり過酷な環境に置かれたり、いろいろな問題もありますので、心身の故障を理由に病気休職されたり、自殺される方というのがたくさんいらっしゃると思います。私の身近にも、自衛隊病院勤務、あるいは、かつてしていたという精神科医がたくさんおりますし、私自身も、精神科医として自衛隊員の方々のメンタルヘルスということを診てまいりました。国を守る最前線に立つ者を、こういったことによって、精神の不調によって失っていくということは非常に看過できない状況かなと思います。

 もう時間がなくなりましたので、最後に一点だけお聞きいたしますが、こういった自衛隊員の心身の健康についてどのように対策をとられているか、お願いします。

塚原政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊の精強性を維持するため、隊員の心身の健康を維持し、任務が支障なく遂行できる体制を整えることが非常に重要だと認識をしております。

 防衛省・自衛隊におけるこれまでのメンタルヘルス施策の自殺防止対策につきましては、メンタルヘルス施策強化月間の設定や、啓発促進のための教育資材の作成、配布を行うとともに、カウンセリング体制の充実、自殺事故発生後のアフターケアの実施などに努めております。

 具体的には、各駐屯地、基地におきまして、部内のカウンセラーでありますとか相談員を置くなど、内部の体制を整えますとともに、部外有識者や部内の心理専門家による教育というようなものも行っております。

 メンタルヘルスケアは、長期のフォローを含めまして非常に重要でございますので、継続した取り組みが必要だと思います。今後とも取り組んでまいりたいと思います。

河野(正)委員 まだまだ用意しておりましたが、時間が来ましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、日本共産党の質疑時間に入るのでありますが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕

    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕

浜田委員長 これにて日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


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