衆議院

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第12号 平成27年6月19日(金曜日)

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平成二十七年六月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 江渡 聡徳君 理事 松本  純君

   理事 御法川信英君 理事 長妻  昭君

   理事 下地 幹郎君 理事 遠山 清彦君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      勝沼 栄明君    木原 誠二君

      笹川 博義君    白石  徹君

      武井 俊輔君    中谷 真一君

      橋本 英教君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    星野 剛士君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      宮澤 博行君    武藤 貴也君

      盛山 正仁君    山口  壯君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      若宮 健嗣君    緒方林太郎君

      大串 博志君    後藤 祐一君

      辻元 清美君    寺田  学君

      長島 昭久君    青柳陽一郎君

      太田 和美君    篠原  豪君

      鈴木 義弘君    丸山 穂高君

      伊佐 進一君    佐藤 茂樹君

      浜地 雅一君    赤嶺 政賢君

      宮本  徹君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   防衛大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    石川 博崇君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  土本 英樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            平松 賢司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   秋葉 剛男君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   衆議院調査局我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別調査室長     齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     山田 美樹君

  青柳陽一郎君     鈴木 義弘君

  丸山 穂高君     篠原  豪君

  志位 和夫君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 美樹君     橋本 英教君

  篠原  豪君     丸山 穂高君

  鈴木 義弘君     青柳陽一郎君

  宮本  徹君     志位 和夫君

    ―――――――――――――

六月十八日

 集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回を求め、これに基づく全ての立法や政策に反対することに関する請願(穀田恵二君紹介)(第三〇四八号)

 同(島津幸広君紹介)(第三〇四九号)

 同(本村伸子君紹介)(第三〇五〇号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第三二二一号)

 同(本村伸子君紹介)(第三二二二号)

 同(吉川元君紹介)(第三二二三号)

 集団的自衛権行使のための立法措置を行わないことに関する請願(本村伸子君紹介)(第三〇五一号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三一二六号)

 同(島津幸広君紹介)(第三二二四号)

 同(藤野保史君紹介)(第三二二五号)

 集団的自衛権閣議決定の法制化による海外で戦争する国づくりに反対することに関する請願(本村伸子君紹介)(第三〇五二号)

 憲法違反の集団的自衛権行使のための関連法律の改正等を行わないことに関する請願(辻元清美君紹介)(第三〇五三号)

 日本を海外で戦争する国にする戦争法案反対に関する請願(畑野君枝君紹介)(第三〇五四号)

 同(本村伸子君紹介)(第三〇五五号)

 同(池内さおり君紹介)(第三二二六号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三二二七号)

 同(本村伸子君紹介)(第三二二八号)

 同(清水忠史君紹介)(第三三三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三三八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三三三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三三四〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第三三四一号)

 安保関連法案の速やかな廃案に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三一二三号)

 同(本村伸子君紹介)(第三一二四号)

 集団的自衛権の行使を可能にする全ての立法や政策に反対することに関する請願(穀田恵二君紹介)(第三一二五号)

 日本を海外で戦争する国にする戦争立法反対に関する請願(畠山和也君紹介)(第三一二七号)

 同(本村伸子君紹介)(第三三三五号)

 戦争立法反対に関する請願(本村伸子君紹介)(第三一二八号)

 同(池内さおり君紹介)(第三三三六号)

 集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化する戦争立法を行わないことに関する請願(本村伸子君紹介)(第三三三三号)

 戦争法案である国際平和支援法案と平和安全法整備法案を廃案とすることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第三三三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官土本英樹君、内閣官房内閣審議官槌道明宏君、外務省総合外交政策局長平松賢司君、外務省国際法局長秋葉剛男君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻元清美君。

辻元委員 おはようございます。民主党の辻元清美です。

 さて、前回に引き続きまして、官房長官にもお出ましいただいております。最初三十分ということですので、冒頭、長官から御答弁を何点かいただきたいと思います。

 先日の党首討論でも徴兵制のことが問題に出ました。そして、昨日、石破大臣もテレビのインタビュー等で徴兵制について触れられているようなんですね。

 ここで、ちょっと官房長官に御認識を伺いたいと思います。

 安倍総理は、先日、徴兵制について、憲法が禁じるところの苦役に当たる、これは明快であるわけでございますと御答弁されたんですね。この苦役というのは、憲法十八条のことだと思います。「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」これだと思うんですね。

 これは、しかし、ここ、どこを見ても徴兵制は禁止していると書いてないんですよ。ということは、政府の解釈で禁止というような、政府が解釈をしているということでよろしいですか。

菅国務大臣 徴兵制は、本人の意思に反して、兵役と言われる役務の提供を強制されること等から、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨から見て、憲法上許容されるものではないということに解されています。

辻元委員 今、徴兵制は禁止すると明文はないけれども、十三条と十八条の趣旨からこれは禁止と解釈されているのではないかという御答弁だったと思います。

 さて、そこで、前回、菅官房長官に私は、今回の一連の政府お出しの安全保障関係の法案について合憲という学者の方はいらっしゃいますかということで、具体的には三名の方のお名前を挙げました。

 私、この三名の方の御主張を調べてみたんです。そうしますと、三名とも、徴兵制は憲法違反とする政府の解釈は間違いであると御主張されている方で、びっくりしたんですよ。御存じでしたか。三人とも徴兵制は、この政府の解釈じゃなくて、できると言っているんですが、御存じでしたか。その事実だけ、三人とも言っていたということを御存じかどうかだけお願いします。

菅国務大臣 そのことは私は知りませんでした。

辻元委員 例えば、最初に、トップバッターとして名前を挙げられた西修さん、政府の徴兵制に関する解釈はおよそ世界的に通用しない解釈と言わなければならない。そして、二人目にお名前を挙げられた百地章さん、意に反する苦役に反するから徴兵制はできないという議論は私は反対でありますとおっしゃっています。そして、もう一人、三人目に挙げられました長尾一紘さん、この方は、徴兵の制度と奴隷制、強制労働を同一視する国は存在しない、徴兵制の導入を違憲とする理由はないとおっしゃっているんですね。

 官房長官、私、ほかの方、十名ほどと言うので、憲法審査会等でお名前を自民党議員の方が挙げられた方も見ましたけれども、特にこの三名、ほかの方ももっとすごいことを言ってはるんです。非核三原則はもう要らぬのちゃうかとか、それからいろいろなことをおっしゃっていますよ。もっと、憲法は集団的自衛権のフルサイズと言われているものまで解釈できるんちゃうかとか。この三名のお名前を挙げられましたので、徴兵制もできる、解釈で変えられると言っているわけですよ。

 私、憲法規範というのは要するに長年の歴代の積み重ね、これを安易に、例えば中曽根総理はこうおっしゃってきました。

 ちょっと、後ろからやめてね。お願いしますね。官房長官、聞いてほしいんです。

 尊敬されていると思います中曽根総理は、憲法の解釈論は、この後なんです、政策論や願望でやるべきでないと思うと。時々政策を変えなきゃいけないかもしれないけれども、それはやはり憲法の枠内でできることを精いっぱい考えていかないと、もし政策論や願望でやれば、総理大臣がかわるごとに憲法の解釈が変わるという危険性もあると言っているわけですね。

 こういう中で、きのう石破さんの発言が飛び出しているわけです。よく似た御発言の趣旨だと思いますよ。石破さんが総理大臣になられるかどうかは知りませんけれども、なられてまた、いや、解釈で変えられるんじゃないか、こうなりかねないわけですね。

 総理は、国際情勢に目を向けると、従来の憲法解釈固執は政治家として責任放棄というように昨日おっしゃいました。

 歴代の総理は、やはり政策や願望はある、しかし、それで憲法解釈をころころ変えたらいかぬといってやって今日まで日本をもたせてこられたわけですね。

 今、合憲だと御主張なさっていると政府が頼りにしている西さんは安保法制懇に入っていましたよ。そういう方が、例えば徴兵制の一例を見ても、解釈で変えられるんだと。ころころ変えられるということですよ。

 こういう方々で、立派な方かもしれませんけれども、憲法とか政府の解釈に明記されていなければ、砂川もそうでしょう、自衛権と書いてあるけれども、集団的自衛権はだめと明記されていないから、これは集団的自衛権も含んでいるかもしれないという解釈でしょう。今政府のやろうとしていることはそういうことなんですよ。

 そして、これら三名の方は、御自身のイデオロギーや主張に合わせて、菅さんがこの間名前を挙げられた方ですよ、歴代政府が積み重ねた憲法解釈を変えても問題はないとお考えのようなんですね。

 徴兵制の件でも明らかなように、自己の主張に憲法を合わせようとする、このような方々が今回の法案を合憲と主張されても説得力に欠けると思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 それはあくまでも憲法学者の一つの意見だろうというふうに思っています。

辻元委員 憲法学者の方、各種報道機関も世論調査をしておりますが、名前を挙げられた方とは別の方々の場合もあるけれども、大体、合憲はどんな調査も三人になるんです。百人以上の人がとか、また反対は二百人以上の方がいらっしゃる。

 要するに、政府が名前をお挙げになった方々などのように、他の解釈もその時々の情勢によって変えられると言う人しか今回合憲と言っていないということなんです。ここを心得てほしいんです。

 さて、そこで、横畠長官。横畠長官も徴兵制について過去答弁されているんですね。これも同じ答弁。十三条、十八条などの規定から見て許容されるものではないと御答弁されていたり、政府の閣議決定された答弁書もあります。

 しかし、集団的自衛権の行使などについても、歴代の政府が答弁書も確定し、大臣も、中谷大臣も答弁したり、もうさんざんやってきたわけです。それを、一部ならいいとか、限定的と切り出したり、砂川判決の自衛権に集団的自衛権は書いてないからいいんだとか、四十七年見解は後でやりますけれども、これは論理と当てはめだから反対の結果が出てもいいんだとやっているでしょう。

 横畠長官は徴兵制は許容されるものではないと今御答弁されていますけれども、安全保障環境や時代が変わったら、これから少子化ですよ、どんどん若い人は減っていきますよ。そして、もしも、こんなことはあってはならないことですけれども、後方支援だと言っていて自衛隊員に被害者が出た、そうすると、自衛隊員に募集する人が減るかもしれませんよ。また、日本の国の周りが大変だ、安全保障環境が危ない危ないと言いながら、それやったら必死で日本を守らなあかんのに、いやあ後方支援に行け、任務がどんどんふえてきたら、自衛隊員の数も足りなくなるんじゃないですか。

 そうすると、日本国憲法草案、自由民主党、ここにあります。この自民党の改憲草案には、国は、国民と協力して、領土、領海、領空を保全し、こう書いてあるわけですね、国民と協力してと。それで……(発言する者あり)今、当たり前だとおっしゃった人たちは、憲法十三条と十八条をよく見た方がいいと思いますよ。

 これは、自民党は、言ってみれば、国民に協力しろと言っています。憲法でそういう方向に変えようとしているわけです。

 横畠長官は、今できないと言っているけれども、今回と同じような手法で、徴兵制についても、時代環境が変わった、自衛隊員が足らぬ、安全保障環境が危ない、環境によって徴兵制を、一部限定的徴兵制とかを編み出してまたしけるようにできるんじゃないかとお考えですか、これは未来永劫できないとお考えですか。どうですか。

横畠政府特別補佐人 限定的徴兵制というものが全く思いつきませんので、このたび議論させていただいております、集団的自衛権一般ではなくて新三要件において我が国を守るための必要最小限度ということを明確に限定した集団的自衛権の議論とは全く別であろうかと思います。

 徴兵制そのものにつきましては、単なる環境の変化によって法的評価が変わるはずもないわけでございまして、今後とも違憲であるという判断に変更はあり得ないと考えております。

辻元委員 今答弁されても、この間、私と横畠長官との議論、やりとりで、誰が、昭和四十七年、一九七二年見解について、論理と当てはめだというような理解の仕方、今までの歴代の法制局長官及び政府がやってきたのかと言ったら、私が考えましたとおっしゃったんですよ。答弁していますよ。

 ですから、今長官がないと思いますと言っても、政府の憲法それから憲法解釈への信頼というのは、歴代内閣が積み重ねてきた議論の上にあるわけです。そうすると、今答弁されていることも、それから閣議決定されたことも変えられるんじゃないかというところが今回の大きな一つの問題なんです。これは憲法規範が揺るぐということなんですよ。ですから、中曽根さんは、政策や願望で憲法の解釈は変えてはならぬと言っているわけですね。その一線を越えているんじゃないか。

 官房長官、私の言っていること、わかりますか。憲法規範の信頼が今揺るいでいると思いますよ。いかがですか。

菅国務大臣 私たち政府の最大の仕事というのは、やはり国民の皆さんの命と平和な暮らしを守る、このことが政府の責務だというふうに思っています。

 今日までのさまざまな憲法の問題でも、自衛隊発足当時は、憲法違反である、まさに憲法学者の皆さん、大勢じゃなかったでしょうか。あるいは、PKO法案が国会で議論されたときに、自衛隊を派遣すべきじゃなかった、このことについてもまさに憲法学者の皆さんは多くの方が反対だったんじゃなかったでしょうか。

 しかし、今のこと、今日のことを考えているときに、自衛隊そしてPKO活動については、今、国民の皆さんの大きな御理解をいただいているというふうに思います。

 いずれにしろ、私たち政府の最大の仕事というのは、たびたび申し上げましたように、国民の皆さんの生命と平和な暮らしを守るために憲法の枠内の判断で何が必要かということを考える中で、今回法案を提出させていただいたということであります。

辻元委員 今までは、積み重ねの中だったんです。よく、戦争に巻き込まれてこなかったのはどうしてかという議論がありましたが、集団的自衛権の行使という一線を越えていなかったからだと思いますよ。例えば、朝鮮戦争のときに、日本は危ないかもしれぬ、今言われている米艦防護に行かねばならないといって行っていたら、戦争に巻き込まれていたかもしれませんよ。

 それは、いろいろな見方があります。日米安保もあります。しかし、集団的自衛権の行使という一線を踏み越えてこなかった、中曽根さんを初め歴代の総理がその線を越えてこなかったことが日本を守ってきたということは事実なんです。

 それで、お聞きしたいと思いますが、数ではないとおっしゃった。そして、この後、数ではないんだという根拠に、最高裁、憲法の番人は最高裁である、その見解に基づいてこの法案を提出させていただいたとおっしゃっているわけですね。砂川判決が根拠ですか。どうぞ。

菅国務大臣 まず、砂川判決というのは、最高裁の判断が判例として法的拘束力を持つという意味の根拠ではなくて、まさに法制局長官もそのことが前提である旨ということは述べているというふうに認識をしております。

 私たちは、まさに新三要件のもとで定められている限定的な集団的自衛権の行使、このことに限られるものであって、昭和四十七年の政府見解、そうしたものを踏まえて行ったことでありますし、砂川判決についても軌を一にしている、こういうふうに思っています。

辻元委員 この前は砂川判決のことだけ御答弁されていて、ちょっと軌道修正されているんですね、その後、記者会見で、昭和四十七年見解に基づいて。これは軌を一にして、中谷大臣も前回の御答弁でこうおっしゃっています。砂川判決そのものを根拠としたものではなくて、あくまでもこれまでの政府見解の基本的論理から導き出したものでございますと。しかし、砂川判決と軌を一にしているとおっしゃったわけですね。そのとおりですね、大臣。

中谷国務大臣 はい、申し上げました。この点は、内閣法制局長官と共通した部分でございます。

辻元委員 ということは、一番基本的な論理というのは昭和四十七年、一九七二年の政府見解をもとにしている、根拠にしている、そして砂川判決もそれと軌を一にしているというのが今回の合憲、憲法との整合性の柱であるということです。

 そこで、官房長官にお聞きしたいと思います。

 となると、この昭和四十七年、一九七二年の政府見解、そして軌を一にしている砂川判決と言われているこの論理が、矛盾があるじゃないかとか、政府の主張はおかしいじゃないかということが論証されれば、この法案は憲法違反ということになり、撤回される、それでよろしいですか。憲法違反になるでしょう。その論理がもしもおかしいということになれば憲法違反ということになる、裏返せばそういうことじゃないですか。

菅国務大臣 私たちは、全く合憲であるという自信を持って法案を提出しているというところであります。

辻元委員 その根拠は、昭和四十七年の政府見解をもとにしているということですね。

菅国務大臣 今回の法整備に当たっては、今、昭和四十七年の政府見解の基本的論理、これは全く変わっていないというふうに私たちは考えています。

 この基本的論理において、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている。砂川事件に関する最高裁判決、この考え方と軌を一にしているということでありまして、また、今回、この整備に当たって、集団的自衛権の行使、一部限定容認しましたけれども、それはあくまでも自衛のための必要最小限度に限定をいたしております。

 集団的自衛権の行使を日本は認めるものではなくて、他国の防衛それ自体を目的とする行使は認められなくて、あくまでも国民の生命と平和な暮らしを守ることが目的であって、極めて限定的なものでありますし、さらに、この点は新たな三要件が明確に示しておりまして、憲法上の明確な歯どめとなっております。その上で、今回の法制ではこの三要件は全て法律の中に盛り込んでおりますので、法律上の要件となっております。

 あくまでも昭和四十七年の政府見解の基本的論理の枠内である、こういうふうに考えています。

辻元委員 ということは、最後のあくまでもから結論だと思いますが、昭和四十七年見解の枠内ではないんじゃないかということになれば憲法違反になるということですね。

菅国務大臣 私たちは自信を持って、枠内という形で国会に法案を提出させていただいているところであります。

辻元委員 ここははっきりさせておいた方がいいんです。政府は何をもって合憲と言っているか。そのラインというか、それは何か。それは四十七年政府見解であると言っているわけですから、この枠内でないということになれば憲法違反、踏み出してしまうということでいいかと聞いているわけです。

菅国務大臣 政府としては、一年間さまざまな検討をして、閣議決定の後に今回法案を提出していますから、当然、憲法の枠内であるということの法的根拠の中で今回提出をしているということであります。

辻元委員 この憲法の枠内でという、はかる物差しというか、それは昭和四十七年見解だとおっしゃったので、この昭和四十七年見解の適法性というか論理性がおかしいなということになれば憲法違反になる。

 もう一回聞きますよ。今おっしゃっていることの裏返しですから、そこははっきりさせてほしいんですよ。じゃないと、要するに、今、憲法違反の議論があるけれども、政府は憲法に合うと言っている。では、それが合わなければ憲法違反なんだなというのは、この昭和四十七年見解とおっしゃったので、これが適合しないということになれば憲法違反ということでいいんですね。もう一回、官房長官。

菅国務大臣 今の四十七年の政府見解の基本的論理の枠内、そしてこのことは最高裁が判断しています砂川事件と軌を一にしている、そういうことでありまして、それと同時に、新三要件の中に明確に憲法上の歯どめも行っていますので、政府としては、間違いなく憲法の枠内という形の中で提出をさせていただいています。

辻元委員 では、枠内でなければ憲法違反ですね。

菅国務大臣 私たちは、今説明をさせていただきましたけれども、説明したとおりに、憲法の枠内であるという形の中で法案を提出しているということです。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 もう一度官房長官から答弁をさせます。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 たびたび申し上げていますけれども、今回の法整備に当たっては、四十七年の政府見解の基本的論理、これは全く変わっていないということです。そして、この基本的論理において、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている。砂川事件における最高裁判決の考え方と軌を一にしている、そういうことであります。

 私たちは、まさにその上に新三要件が明確になっておりますので、憲法上の歯どめにもなっているということで、今回の法案はこの昭和四十七年の政府見解の基本的論理の枠内ということであります。

辻元委員 簡単に聞きましょう。

 今るるおっしゃった、官房長官が最後に、これが憲法の枠内になっているということについておっしゃったようなことが、昭和四十七年見解、砂川判決が軌を一にしている、そこから新三要件を導き出した、これが合憲のラインであると。ですから、これが崩れれば憲法違反になるということでいいですね。ここは確認しておかないと。要するに、どこが合憲のラインなのか。だから、これが崩れたら、論理がおかしいなということになれば憲法違反ということになりますね。

 答えてくださいよ。もうここは答えておいた方がいいよ、官房長官。答えておいた方がいいですよ、堂々と。堂々と、自信があるんだったら答えてください。自信がないから答えないんじゃないの。そういうことです、そうでございますでいいんですよ。

菅国務大臣 堂々と、崩れないと考えています。

辻元委員 だから、崩れたら憲法違反だということでいいですね。もう一回。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

辻元委員 もう一回。はいとお答えいただければいいんです。(発言する者あり)

浜田委員長 冷静に願います。

菅国務大臣 先ほど来、論理については四十七年の話をしているじゃないですか。そういう中で私たちは堂々とこのことを、自信を持って枠内であるという形の中で提出させていただいているわけでありますから、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 辻元清美君。

辻元委員 今、四十七年見解の話が出ておりますが、これが唯一の根拠。そして、中谷大臣が、砂川判決そのものを根拠にしたものではなくて、これは軌を一にしているということですから、そぎ落としていけば、一九七二年、昭和四十七年の政府見解が合憲の唯一の根拠である、これでよろしいですか、官房長官。

菅国務大臣 私申し上げましたけれども、四十七年の政府見解の基本的な論理の枠内であり、そしてこのことは最高裁も述べています砂川事件と軌を一にしている、そういうことであります。

辻元委員 唯一の根拠は四十七年見解なんですよね。中谷大臣も、砂川判決そのものを根拠としたものではなくて、でも軌を一にしていると言っているだけなんですよ。ですから、四十七年見解が合憲の根拠であるということでいいですね。そこははっきりさせてください。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 一旦整理させていただきます。

 官房長官の記者会見の時間も迫っておりますので、もう一度、辻元清美君から質問をいただき、そしてそれにしっかりと官房長官に答えていただきたいと思います。

 辻元清美君。

辻元委員 合憲の根拠は、この昭和四十七年、一九七二年の見解が唯一の見解か。ほかに合憲の根拠というものがあるのなら示してください。

菅国務大臣 これについては、先ほど来私が答弁していますことと全く同じ答弁になります。

 それは、四十七年の政府見解の基本的論理、これは全く変わっていないわけでありますし、それと同時に、基本的論理において、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている。砂川事件に関する最高裁の判決、これとは軌を一にしている、そういうことであります。そして、今回、平和安全法制は、この基本的枠内で私たちは自信を持って法案を提出している、こういうことです。

辻元委員 砂川判決も、そうすると、私の質問の他の根拠に当たるんですか。

中谷国務大臣 この根拠ということでございますが、私が申し上げましたのは、最高裁の判断が判例として法的拘束力を持つという意味での根拠ではないという趣旨でありまして、法制局長官もこのことは前提である旨述べております。

 なお、砂川事件の最高裁の判決では、まず、国連憲章は、全ての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有しているということは承認していると述べております。

 そして、判決は、憲法九条によって我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないとした上で、「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」と述べております。

 この部分が四十七年と軌を一にしているわけでありまして、この憲法上認められる自衛の措置については、個別的自衛権、集団的自衛権という区別をして論じているわけではないということであります。新三要件で認められる限定的な集団的自衛権の行使は我が国の自衛の措置に限られるものでありまして、砂川判決の範囲内のものでございます。

 この意味で、砂川判決は、限定容認する集団的自衛権の行使が合憲であるということの根拠たり得るものであるということでございます。

辻元委員 根拠たり得るものであると今おっしゃいましたね。ということは、もう一回確認しますよ、砂川判決は、法的拘束力がないが、根拠たり得るわけですね。

中谷国務大臣 まず、昭和四十七年の政府見解は憲法の解釈の基本的論理を示したものでありまして、この基本的論理は維持をしている、そして憲法の範囲内であるということで、この四十七年の政府見解のいわゆる一の部分、こういった「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」、これは砂川判決で示された判決の部分でありまして、そういう意味では軌を一にしている、また範囲の中であるということでございます。

辻元委員 大臣、そうすると、砂川判決と集団的自衛権の行使が絡まるというか、いつ大臣はそういうことに気づいたんですか。

 私、先日、この間も名前が出た山崎拓さんに聞いたんですよ、砂川判決というのは今まで政府の中で集団的自衛権の行使の議論の最中に出てきたことがあるか。あの方は中曽根総理のときから官房副長官をされて、そんな話は政府で聞いたことがない、突然今回出てきたということなんですけれどもね。

 中谷大臣は、いつ、誰から聞いたの。高村さんに教えてもらったんですか。いつから知っていましたか。

中谷国務大臣 これは昨年でありますけれども、昭和四十七年の政府見解をもう一度じっくりと熟読いたしまして、この基本的な論理の中に、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」と。

 この文章は、まさに砂川判決の部分の「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」、まさにこの部分が四十七年の政府見解に書いているということで、これは軌を一にする、その範囲の中であるというふうに自分なりに理解したわけでございます。

辻元委員 昨年とおっしゃいました。だから、昨年以降なんですよ、この論理は。そうでしょう。それまでは違うわけですよ。

 では、ちょっと法制局長官にお聞きします。

 次は、砂川判決は昨年以降そういう理解になったと今おっしゃったわけですが、四十七年見解の方に行きます。

 長官は、「昭和四十七年見解の一、二の部分は変えようがない、変えることができない、憲法改正をしなければ変えることのできない、まさにそういうものである、」と、前回のこの委員会で、十五日、答弁されております。ですから、基本的論理の二の部分をきょうは質問したいと思います。本当に変えていないのかということなんですが。

 この二の部分、皆さんのお手元の資料の三枚目の、いつも出している資料ですが、二のところを見てください。「だからといって、」のところからですが、平和主義をその基本原則とする云々かんぬんあって、ここで波線を引いてある、これは以前も議論になっておりますが、あくまで外国の武力によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処して、そのときは武力行使していいですよということを示されていますが、昨年の閣議決定以前、以前ですよ、長官、以前は、この外国の武力攻撃というのは、外国の我が国に対する武力攻撃という理解だったと思うんですね。

 これは一ページ目を見ていただいたら、後で申し上げますが、安倍総理が昔から集団的自衛権の一部容認、限定容認はできるんじゃないか、できるんじゃないかと何回も質問してはるんですね。それに対して秋山長官の答えで、三のところの中ほど、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、これと軌を一にするように、自衛隊法でも直接侵略。

 ですから、昨年の閣議決定までは、このいうところの基本論理二の外国の武力攻撃は、我が国に対する武力攻撃ということで歴代法制局も理解をしてきたということでよろしいですか。昨年までで結構です。第二次安倍政権が出てくる前まではどうだったか。

横畠政府特別補佐人 この昭和四十七年見解の一、二の部分は、まさに憲法第九条のもとで我が国として武力の行使ができる場合がある、極めて限られていますけれども、そういう場合があるんだという理由、根拠をまさに述べているところでございます。

 御指摘の二の部分でございますけれども、さすがの日本国憲法第九条も、国民が犠牲になる、まさに国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される、そういうときに日本国の政府なり国として何もしないのか、そんなことまで憲法九条が命じているはずがないだろうという、まさにその根本論理を述べているところでございます。

 その意味で、外国の武力攻撃という意味ですけれども、四十七年見解の二の外国の武力攻撃という部分については、まさに国家レベルのといいますか、そういう武力攻撃という意味でありまして、三の結論から振り返って見ますと、それは実質、我が国に対する武力攻撃がこれに当たるというのが、三の結論を踏まえればそうなりますけれども、二の論理そのものからしますと、先ほど申し上げたように、九条のもとで武力の行使ができる根拠というものを示しているわけですから、必ずしも我が国に対する直接の武力攻撃に限定されているものではない、二の論理としては限定されているものではないということでございます。

辻元委員 一ページ目の三でも、我が国に対する武力攻撃。ですから、長官、長妻さんとのやりとりでも、去年の閣議決定以前といいますか、第二次安倍政権が出てくるまでは、この外国の武力攻撃は、法制局の中でも我が国に対する武力攻撃であるというふうに捉えていらっしゃったと思いますし、政府の答弁は全部、我が国に対する武力攻撃なんですよ。

 ですから、別にその後の話を聞いているのではなくて、それ以前の政府の解釈は、我が国に対する武力攻撃という解釈で来たということでよろしいですねとお聞きしております。

横畠政府特別補佐人 二の論理の解釈そのものをしたことはないわけでございます。三の結論まで至った場合について、それがどれに当たるかということになりますと、三の結論で言っていることを踏まえますれば、我が国に対する武力攻撃というものが二の外国の武力攻撃に当たる、そのように考えていたわけでございます。

辻元委員 もう一度聞きますよ。一、二は基本論理であるとおっしゃっています。ただ、今までの政府は、ここで言うところの外国の武力攻撃、そのときは日本は反撃していいですよというこの外国の武力攻撃の解釈は、昨年の閣議決定以前は、秋山答弁だけではありません、自衛隊法三条でも直接侵略と出ています、ですから外国の我が国に対する武力攻撃という理解で今までは来ましたねということ、解釈してきましたねということだけお聞きしています。この論理を議論したとかしないじゃないんですよ。そういう解釈で我が国は来ていますねということを確認しています。

横畠政府特別補佐人 昭和四十七年見解の二の部分の解釈として三を述べているわけではなくて、この点はるる御説明しておりますけれども、一、二に該当する場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという事実認識を前提として三の結論を導いているということを説明させていただいております。

辻元委員 事実認識を認定してということであるから、昨年の、昨年の……(発言する者あり)

浜田委員長 では、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 内閣法制局長官、再度答弁願います。

横畠政府特別補佐人 昭和四十七年見解の一、二は基本論理でございます。二の部分の外国の武力攻撃ということについての解釈の結果として三の結論が出てきたということではございませんで、これもるる御説明しているとおりでございまして、この一、二の要件に当てはまる、そのような場合はどういう場合があるのかというこれは事実認識でございますけれども、その点につきましては、当時以降昨年までは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこの一、二の要件に当てはまるのだという事実認識のもとで三の結論を導き出していたということでございます。

辻元委員 そうしたら、長官、別の角度から聞きます。

 昨年の七月以前も、ここに、外国の他国に対する武力攻撃も読める、入っているというように法制局は理解してきたということでいいですか。

横畠政府特別補佐人 ですから、この二の部分は、実質的に、何で憲法第九条のもとでも武力の行使ができるのだというその理由をまさに説明しているところでありまして、先ほども申し上げましたけれども、国民が犠牲になる、そういうときに本当に武力の行使まで禁じているのかというとそうではない、そこの根本的な理由、かつ、それがまさに限定されるんだというそこのところを述べた肝のところでございます。

 ここに言う外国の武力攻撃ということについて、それ自体の解釈ということで、それがまさに我が国に対する武力攻撃に限るということを申し上げたこともございませんし、その意味で、ここの外国の武力攻撃というものは……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。ちょっと抑えて。

横畠政府特別補佐人 国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される、その原因となるようなまさに国家レベルの武力攻撃、そういうような意味にこれは当然とれる、解されるということでございます。

辻元委員 これは肝なんですよ、長官がおっしゃったように、二のここは。どんな攻撃を受けたときに我が国は武力行使ができるのかという肝が、この外国の武力攻撃にある意味集約されているんです。ここをどう読んできたかということなんです。

 そして、去年の七月までは全て、外国の我が国に対する武力攻撃という解釈で、答弁書も答弁も統一されておりました。そして、先ほど申し上げた自衛隊法三条でも直接侵略に対する。軌を一にしているんですよ。ですから、去年の七月までは、外国の我が国に対する武力攻撃のときだけよと解釈をしてきた。しかし、去年の七月、何とかしなきゃということで、ここに外国の他国に対する武力攻撃も、書いてないから読めますよというように変えたんじゃないですか。

 参議院の答弁で、我が国でない他国に対する外国の武力攻撃ということも含まれると考え出したのは横畠長官が初めての法制局長官ですかという質問に対して、同様に考えていた者がいたかどうかは存じませんと答弁されている。

 ということは、ここの解釈をあなた自身が編み出した。ああよかった、外国の武力攻撃としか書いてない、我が国はここには入っていない、だから我が国の武力攻撃のときだけ日本は武力行使できるという基準をこれで動かせるな、やったと。さっきの砂川と一緒ですよ。自衛権に集団的自衛権はだめよと書いてない、だからこの外国の武力攻撃を他国も含まれるというふうに、ほかにそう考えていた人は知りませんと。あなたが考えたんですね。

横畠政府特別補佐人 私が考えたわけではなくて、もともと書いてあるということを申し上げたわけでございます。

辻元委員 どこに書いてありますか。今までの答弁書、答弁、それから政府のいろいろなさまざまなところのどこに外国の他国に対する武力攻撃という言葉が書いてありますか。示してください。

横畠政府特別補佐人 過去の答弁でいろいろ申し上げているのは、昭和四十七年見解の三の結論までたどり着いた後の、その状態を前提として御説明しているわけでございます。

 なぜそのような武力行使が許されるかという理由、根拠を述べているのが一、これは砂川判決と軌を一にしている、ちょっと広いんですけれども。二のところでまさに憲法第九条を前提として絞り込んでいる、そういう論理構造になっているわけです。三の結論に至るのは、この二の外国の武力攻撃という文言を解釈してそうなっているということではないということをるる申し上げているわけです。まさに実質的な理由が一、二でございます。

 これまでの、従前の事実認識として、その一、二に該当するようなことというのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合しかないのだという、それは事実認識でございます。それを前提にしますと従前の三の結論になるんだ、そういう論理構造であるということを申し上げているわけです。

辻元委員 寺田委員に少し時間をもらいましたので。

 今、三をもとにとおっしゃいましたが、三の結論を導き出す一と二は基本的論理、物差しなんですよ。物差しの解釈を政府はどうしてきたかということを私は問うておるわけです。そうでしょう。

 前回の私の質疑で、この一と二は基本論理で三は当てはめ、こういう理解の仕方、何代か前の法制局長官もそんな理解の仕方をしたことはないとおっしゃっているから、誰がやったのと言ったら、私ですと答弁されたんですよ。あなたが理解の仕方も変えて、そしてその基準となっている、あなたが言うところの一と二の論理の部分の一番肝の、どういうときに武力攻撃ができるかというところの解釈の仕方、外国の武力攻撃、我が国に対する武力攻撃のときだけよというのが基本論理の解釈であって、その他国というのを、そうすると、今までここに他国を含めてきたということを証明できないじゃないですか。わかりますか、言っていること。

 あなたが、基本的構造も私が考えました。そして、この外国の武力攻撃に他国も含まれているということもあなたが考えました。先ほど申し上げました基本的論理の物差しの解釈の仕方というのは非常に重要だと思いますよ、今まで。それを、我が国に対する武力攻撃というのを他国に対する武力攻撃もオーケーよというように、ここの部分の解釈を、誰かが解釈しないと導けないわけですから、変えたのはあなたですね。同じようなことを言っていた人は他に存じ上げておりませんと言っているから、今まであなたと同じように外国の武力攻撃しか書いてないから他国も含むと言っていた人がいたら教えてください。そして、そういう文献とかがあったら提出してください。どうですか。

横畠政府特別補佐人 何度も申し上げていますけれども、その一、二の部分は物差しでございます。

 従前は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、それに物差しを当てればよかったということでございます。つまり、物差しを当てるもの、対象は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合だけだったわけです。その意味で、この物差しを集団的自衛権に当てようと試みたことはなかったかもしれません。

 今回は、集団的自衛権一般ではなくて、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるようなまさに究極の状況にある、そういう場合における他国に対する武力攻撃が発生して、まだ我が国に対する武力攻撃に及んでいないかもしれませんけれども、そういう場合があるんだという認識のもとに、それにこの一、二の物差しを当てはめることにした。当てはめてみたら、ちゃんとその範囲におさまっているという判断ができるんですよということを申し上げているわけです。

辻元委員 わかりやすく御説明いただきましたが、横畠長官がやったことは、物差しの目盛りを変えたということです。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

辻元委員 歴代がつくってきた物差しの目盛りを、集団的自衛権の行使を何とか認めようということで、目盛りの幅とかを変えちゃったんですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

辻元委員 これは、続きはまた引き続き行いますが、要するに基本論理二の肝のところの解釈の仕方を変えた。これは、物差しの目盛りを変えた、また形を変えたんです。これは後でやりますが、我が国への武力攻撃で線を引いてきたのを、自国防衛ということで広げたんですよ。これはまたやりますよ。物差しの目盛りを自国防衛に変えたんですよ。

 最後ですけれども、長官はこうおっしゃっています。「意図的、便宜的な解釈というのは何だというお尋ねでございますが、具体的に言いますと、例えば、これは」「昭和四十七年見解の一、二の部分を変えるような解釈であろうかと思います。」変えるような解釈をしているんですよ。今まで誰も、外国の我が国に対する武力攻撃だけで、他国のなんて入れていない。解釈を変えたわけですよ。

 ですから、この四十七年見解の一と二は物差しで、当てはめというのもあなたがお考えになった。そして、一と二の物差しの目盛りもあなたは変えて結論を導き出そうとしている。ですから、私は、四十七年見解は根拠にならないし、中谷大臣が砂川判決は去年聞いたとおっしゃっていた。そんなもの、論理になりますか。だから違憲だと言っているんです。

 最後にもう一回申し上げます。来週の二十四日、会期末ですが、それまでよく考えて、撤回してください、この法案。

 終わります。

浜田委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 引き続き質疑をさせていただきます。

 今、最後に、辻元委員と法制局長官の中でお話がありました。その議論の内容自体を深めていくことはまたやりたいですが、まず、御答弁の中で一点だけちょっと気になった部分がありましたので、確定をさせたいと思います。

 長官が先ほど御答弁の中で、いわゆる四十七年見解において「あくまで外国の武力攻撃によつて」というところに関し、我が国に対する攻撃と限ったような答弁、見解はない、したことはないと御答弁されましたが、それでよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 従前の議論は、三の結論まで行って、その上での議論をしているわけです。ですから、物の言い方として、当時から、二の要件に当てはまるものは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限るという前提でのいろいろお答えぶりをしていたかと思いますけれども、それは二の解釈を述べているわけではございません。

寺田(学)委員 ごめんなさい、内容云々というよりは御答弁をされた内容、御答弁の確認をしたいのです。

 外国の武力攻撃というものに我が国に限ったという見解は今までないというような御発言でしたので、そういう御発言はそのままでよろしいですかということをまず確認したいんです。内容に入るつもりはないので、そこだけ確認させてください。

横畠政府特別補佐人 三まで行きますと、まさに我が国に対する武力攻撃になるわけでございます。純粋に物差しとしての二について、そのようにお答えしているわけではないと思います。

寺田(学)委員 内容をお伺いするのではなくて、先ほど御答弁されましたので、その確認をしているんです。

 もう一度お伺いしますが、基本的論理二の「外国の武力攻撃によつて」というところに我が国という形で限定した見解は今までないという御趣旨で御発言されましたが、その御発言でよろしいですかということを確認しているんです。よろしいか、よろしくないかだけです。

横畠政府特別補佐人 ですから、三の結論まで行ったことを前提としての答えぶりとして、二に該当する場合における外国の武力攻撃というのは我が国に対する武力攻撃なのだという言い方になることも、それは否定はしません。

浜田委員長 法制局長官、今の質問に対して、質問者の意図をちょっとよく考えて答弁願えますか。このままで行くと、ずっとすれ違いになりますので。

 もう一度、内閣法制局長官。

横畠政府特別補佐人 物差しとしてそのようにお答えしたことはないと思いますが、何か具体的な過去の答弁がありますなら、具体的に御指摘いただければ、御説明はできると思います。

寺田(学)委員 それでは、辻元委員の資料の一ページ目にあった平成十六年の秋山答弁三のところで「我が国に対する武力攻撃が発生」とありますけれども、これは、先ほどの御答弁の中にある基本的論理二、外国の武力攻撃に我が国と限ったという見解ではないという整理でよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 まさに御指摘の部分は、昭和四十七年見解の三の結論を前提とした答弁であろうと思います。

寺田(学)委員 では、入らないということでよろしいですか。

 もう一度質問します。

 基本的論理二、四十七年見解の外国の武力攻撃に関して我が国に限定したような見解は今までないというお話で、私どもとしては平成十六年の秋山答弁、見解というものはそれに入っていると思っているんですが、ここに書かれている我が国に対する武力攻撃の発生と明確におっしゃられていますけれども、これは我が国に限ったというような見解ではないということでよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 我が国に対すると申し上げているのであれば、もちろん我が国に対するものでございます。

寺田(学)委員 議事録を精査した上で、再度質疑したいと思います。

 まず、きのうの予算の集中ですか、総理の御発言がありました。国際情勢に目をつむり、従来の憲法解釈に固執するのは政治家の責任放棄、読み方も含めてこのとおり言われたと思います。小野寺委員、与党側からの質問にお答えされているので、御用意された答弁なんだろうなと思っていますけれども。

 中谷大臣、国際情勢に目をつむり、従来の憲法解釈に固執するのは政治家の責任放棄だという総理のお考えと同じですか。

中谷国務大臣 そのとおりでございます。

 政府といたしましては、国民の命そして平和な暮らし、これを守り抜くというのが一番大きな責務であると考えております。

寺田(学)委員 ついこの間まで御著書に、これ以上憲法解釈を広げることは今までの答弁というものと整合性がなくなってしまって云々と言われた割にはあっさりと、総理がそう言われるとお認めになられることにいささか残念な気持ちになりますが。

 それでは、同じであればお伺いするんですが、どのような場合、憲法解釈を変更することが許されるとお考えなんですか。

中谷国務大臣 私のことに言及がありましたが、集団的自衛権というのは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利、このことを考えておりました。

 しかし、やはり政府といたしまして、国民の安全、命を守る上においてどうするのか。これは当然、憲法の範囲内で物事を考えるわけでありまして、先ほど御説明がありましたけれども、従来の政府見解の基本的な論理、これをもとに引き続き堅持した上で、そして現在の我が国を取り巻く安全保障の変化に当てはめをいたしまして、この論理を維持した上で結論が出たということでございます。

寺田(学)委員 安全保障環境の変化というものが憲法解釈を変更する上での理由になり得るということでよろしいですか。

 これは確認なので、もう本当に端的でいいです。

中谷国務大臣 基本的な論理は維持した上で、我が国を取り巻く安全保障環境、当時、四十数年前は冷戦構造でありまして、米ソ二大大国がいて世界秩序の安定は保たれていたわけでありますが、その後、グローバルなパワーバランスが変化しました。また、北朝鮮は我が国を射程におさめる弾道ミサイルを保有し、核開発をし、そして中国も東シナ海、南シナ海における急激な活動が活発化しておりますし、テロも発生をしておりまして、やはり脅威というのは容易に国境を越えてやってくる時代になり、一国のみで平和を守ることができない。そういうことで、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしてもその内容、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るものと考えて、こういった認識を今の四十七年の憲法の基本的論理に当てはめたということでございます。

寺田(学)委員 石破大臣、ありがとうございます。後ほど徴兵制についてお伺いしたいと思いますので。

 その前にちょっと一点、二点だけ、確認したいことだけ手短に確認をしていきたいと思います。

 先ほど辻元委員の中でも議論のありました、政府が砂川判決をどのように捉えているのかということを、前回の委員会でも整理しましたけれども、もう一点だけ整理したいんですが、大臣も含めて、四十七年見解は砂川判決と軌を一にしているというお話がありました。

 まず、軌を一にするということはこの文脈においてはどのような意味をなすのか、それだけ御答弁ください。

中谷国務大臣 四十七年の基本的な論理のまず最初の段落に、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」と。この文は、まさに砂川判決で示された「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」、この内容そのものでありまして、そういう意味で軌を一にしているということでございます。

寺田(学)委員 内容が一緒だということでよろしいですか。

中谷国務大臣 その範囲内におさまっているということでございます。

寺田(学)委員 それで、軌を一にする部分、砂川判決と四十七年見解はどういう部分が軌を一にしているんですかということを前回お伺いしました。

 中谷大臣は、軌を一にするのは、基本的論理一、二のどちらですかという質問に対して、一であると。一の部分でございますというように御答弁されています。

 ただ、同じ日に長島委員の方から長官にお話を聞いたときに、一の部分というものは軌を一にしているというお話がありましたが、二の部分はということでるるお話しされて、ぎりぎりの場合に限って武力の行使というものが自衛のためといっても許される、それに限る、そこまでの考え方でございまして、そこの基本的な考え方は現在も全く変わっていないし、それは砂川判決と軌を一にするということで述べているわけでございますと。二も含まれる、二も軌を一にしているというようなお話がありました。

 内容をお答えされるのは結構ですので、大臣は一だと言われ、長官は一と二だと言われていますので、整理をして御答弁していただきたいです。

 大臣、お答えできますか。(中谷国務大臣「長官に」と呼ぶ)では、長官の方でどうぞ。

横畠政府特別補佐人 御指摘の答弁、不正確で申しわけございませんでした。

 軌を一にするのは一の部分でございます。

寺田(学)委員 御訂正いただきました。了解いたしました。

 それではもう一つ……(発言する者あり)そう言いたいところですが、十分そこは御配慮いただけると思って質問を進めますが、概念の整理をまず一つしたいと思います。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

寺田(学)委員 集団的自衛権というのを今まで議論して、歴史的な議論をしてきましたが、今回においては言葉としては、フルスペックの集団的自衛権と限定的な集団的自衛権という概念が議論の中で生まれてきているんですが、それがどのような関係にあるのかということを、ぜひ国民の皆さんにもお伝えしたいなというふうに思います。

 ちょっと人の資料で申しわけないんですが、辻元委員が先ほどお配りしたものの中に図がついています。長官が言われるフルスペックの集団的自衛権と今回政府が認めようとしている限定的な集団的自衛権というのは包含的な関係にあるのかどうかということをちょっとお伺いしたいんですが、包含的な関係であるかどうかだけ、まずお答えいただけますか。

横畠政府特別補佐人 包含関係といいますか包括関係といいますか、どういう物差しでそれを見るかによってちょっと見え方が違うと思います。

 国際法上の概念としての集団的自衛権という枠の中で見ますれば、今回の新三要件で限定しております集団的自衛権というのは集団的自衛権一般の一部でございます。他方、我が国の自衛のための措置という物差しで見るならば、今回新三要件で限定しております集団的自衛権というのは我が国を防衛するための必要やむを得ない措置でございますけれども、集団的自衛権一般、それを超えるものは我が国を防衛するための必要やむを得ない措置の外に出る、そういう関係だろうと思います。

寺田(学)委員 ある種フルスペック自体の前提をちゃんと確定させないと概念関係が決まらないのかなと思いますが、あえてそれを聞かなかったのは、長官は今までも、フルスペックの集団的自衛権の御説明の中には今言われたような一節はありましたけれども、他国を守ることを目的とした他国を防衛する行為を含んでいるのがフルスペックの集団的自衛権だということでした。

 まず、この理解でよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 国際法上言われます集団的自衛権の肝のところ、私の理解するところは、他国防衛の権利というふうに考えております。

寺田(学)委員 石破大臣が首をかしげられながら私の質問を聞かれているのがちょっと。ただ、こういう概念は政府が出してきたんですよ。それを整理しなければわからないもので、今御質問させていただいております。

 それで、限定された集団的自衛権ということを長官はお使いになられていますが、この限定したものというのは、どこを守るかという目的を限定した、言ってみれば、それ以外に限定するものがあれば述べていただきたいですが、限定したのは目的ということでよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 新三要件でお示ししているとおりでございまして、第一要件にあるとおり、つまり前提となる状況、我が国に対する危機が及んでいるという状況で限定しています。次に、第二要件におきまして、我が国の存立と国民を守るためということで目的の限定がございます。さらに、第三要件で必要最小限ということで、これは従前からの我が国に対する武力攻撃が発生した場合における必要最小限度と同じ、そういう絞り込まれた限定のある必要最小限。そういう三つの限定があるということでございます。

寺田(学)委員 いろいろ御答弁いただいて、ありがとうございます。

 それで、なぜ概念的なことをお伺いしようかと思ったかなんですが、この間の委員会の質疑の中で、長島委員からの御質問の中で長官が御答弁されているんです。

 他国を守ることを目的としたフルスペックというものは今まで禁止されてきたという話の流れの中で、去年の七月一日にそこから切り出して限定的な集団的自衛権は認められるというような話になったということを御答弁されました。この切り出したという言い方がフルスペックの集団的自衛権と今回認める限定的な集団的自衛権をあらわす一つの表現だと私は思っているので、包含関係にあるんですかということをお伺いしたんです。

 聞きたいのは、国民の皆さんも何が合憲で何が違憲か、それを政府がどのように説明しているのかちょっと聞きたいと思うのであれですが、ある種フルスペックの集団的自衛権というものは憲法違反だと今まで言っていて、かつ長官も、それも今、違憲かどうか聞かれればそれは違憲だ、その中から切り出したものは合憲だという言い方をされています。

 例えがどういうのがあるかというような話がありましたけれども、いろいろ考えたんですが、ある種、もう腐っちゃったみそ汁の中から一杯だけ限定してとったところで、腐っているものは腐っていると思うんです。

 なので、長官、その関係を知りたいんです。フルスペックの集団的自衛権は憲法違反にもかかわらず、その中から切り出した限定的な集団的自衛権が合憲であるという理由をぜひ教えてください。

横畠政府特別補佐人 理屈でるる述べても、なかなかわかりにくいと思います。例え話をされましたのでちょっと申し上げますけれども、お許しをいただければ。(寺田(学)委員「どうぞ」と呼ぶ)

 要するに、集団的自衛権というものをどういうふうに理解するかということでございます。

 仮にそれが毒キノコだとすれば煮ても焼いても食えないし、その一部分をかじってもあたります。では、フグかもしれない。フグだと毒があるから全部食べたらあたりますけれども、肝を外せば食べられる、そういうこともあるということでございます。

寺田(学)委員 きょうは石破大臣が来られているので、その後の議論があるので、今の御答弁をもとにまた議論したいとは思います。フグ理論。

 それで、徴兵制に移りたいと思います。

 私自身、昨年の閣議決定がある前に関しては、徴兵制があるかどうかという議論、先ほど辻元委員の質疑の中で徴兵制の議論をしていると、ある自民党の委員から、そんなものは神学論争だというような言い方のやじが飛んでいました。私自身、神学論争とは思っていませんが、ある種徴兵制がこの国にしかれるかどうかということに関しては、余り現実味を持って昨年の閣議決定前は考えていませんでした。

 ただ、この閣議決定がなされて今議論が進んでいる中で、私、そろそろ二歳になる男の子の子供がいるんですが、妻に聞いたところ、何が一番心配と言われると、この子が将来徴兵制にとられるんじゃないかと怖いと言いました。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

寺田(学)委員 これは男性にはもしかしたら感覚としては乏しいものなのかもしれませんが、他の方に聞いても、やはり徴兵制というものに関して敏感になっている部分もあると思います。

 それとともに、自民党の今までのOBの方々、加藤紘一先生を含めてですけれども、これはこのままいったら徴兵制になるんじゃないかという議論は必ず出てくるということをお話しされていました。

 そういう空気を感じ取ってかどうか、自民党の今回つくられたビラの中にも「戦争に巻き込まれることも徴兵制も、決してありません。」というような書き方をあえてここで明示しているということは、そういうように……(発言する者あり)

浜田委員長 静かにしてください。静粛に。

寺田(学)委員 内部に考えている方々がいるんだと私は真摯に思っています。そういう方々の懸念というものを政府がどのように払拭するかということが大事なことだと私は思っています。

 それで、まず中谷大臣にお伺いしたいんです。今回の法改正が仮に可決し成立した場合、自衛隊の方々、募集をされると思うんですが、自衛隊員の確保に関してどのような影響が出るかということを現時点において御推察されているでしょうか。

中谷国務大臣 まず、徴兵制につきましては、私は憲法上容認されるものではないと考えております。

 そこで、今回の法案を受けてということですが、この法案自体が日本の平和と安全を確保するためにつくるものでございまして、この法案の実施によりまして我が国の平和と安全のために努力をする、そして自衛隊員におきましても、自衛隊の今までの目的であります我が国を守るということを念頭に募集をするわけでございますので、引き続きこういう姿勢で募集を実施してまいりたいと思っております。

寺田(学)委員 答えていないんですけれども。

 もう一回聞きます。

 どのように募集を実施するかではなくて、この法案が通った場合に自衛隊員の確保に関して変化があるとお考えになられているのか、いやいや、変化はないとお考えになられているのか、それを御答弁いただきたいんです。

中谷国務大臣 変化と申しますけれども、自衛隊の募集につきましては、まず景気とか雇用とか、そういう強い影響を受ける傾向がありますが、特に有効求人倍率と強い相関関係もございます。

 平和安全保障法制の整備によりまして自衛官等の募集の活動を変更するものもないわけでございますので、今後とも、自衛官の募集及び採用につきましては、自衛隊の任務、職務の内容、勤務条件などを丁寧に説明した上で、募集対象者に対して自衛隊が正しく理解されるように募集活動を行って、優秀な人材の確保に努めてまいるということでございます。

寺田(学)委員 本法案が可決された場合にどのような影響があると思いますか、またはないと思いますかということをお伺いしているんです。景気の上下によってさまざま就労関係、指標が変わってくるということは当然わかった上でですけれども、本法案が可決された場合の影響はあるのかないのかということをお伺いしているんです。

中谷国務大臣 それは今後のことで、今一概に申し上げることはできないわけでございますが、自衛隊の姿勢といたしましては、法案の内容をしっかり説明いたしますし、自衛隊の処遇、対応につきましても丁寧に説明しているということでございます。

寺田(学)委員 それでは、影響がある、ないに関しては今のところわからないということでよろしいですか。確認です。

中谷国務大臣 あるとかないとかは一概に言えるものではございません。

 ただし、募集の姿勢といたしましては、法案の内容にしても、また自衛隊の処遇にしてもしっかりと説明した上で募集をかけていくということで、今までの姿勢とは変わらないということでございます。

寺田(学)委員 それで、これも本当に純粋な疑問なんですが、ほかからも寄せられました。影響がどうなるかわからない、減るかもしれない、ふえるかもしれない、変わらないかもしれない、そのことはわからないけれども、もし足りなくなったらそういうことが起こるのかな、徴兵制みたいな話になるんじゃないかなという疑念を持っている方がいることは事実だと思います。

 一般的なことをお伺いします。募集人員、さまざま防衛の規模、態様というものを考えながら自衛隊員の数というのをお考えになられていると思うんですが、足りない場合は防衛省としてどのような対策をとられるということをお考えになっているのか、ぜひ御説明いただければと思います。

中谷国務大臣 現在でも自衛官数という定員に基づいて募集をいたしておりまして、現在の状況におきましては、それ以上に募集される方がいますので、そういったことは考えておりません。

 また、PKOが始まるときもそうでしたけれども、PKOがあるということで戦争に行くのかとか憲法違反とか言われましたけれども、実際二十年たちましたけれども、そういった御懸念はないままに、やはり国を守る、そして世界に貢献する、そういう意識を持った方が自衛隊に募集をしていただいている、その数は非常に今でも多いという現状についてもお話しさせていただきたいと思います。

寺田(学)委員 現状において定員を上回る募集というか応募があるので、それが足りない場合のことに関しての言及はなかったようですが、そういうことであれば、募集している定員よりも少なくなった場合に防衛省としてどのような対策をとられるかということは、現時点において検討はされていないでよろしいですか。

中谷国務大臣 現時点におきましては、募集の方が非常に多い中で選抜しているということでございます。

 いずれにしましても、徴兵制をとるということは憲法上もできませんし、防衛省としてそれ以上のことも強制的にできるわけではございません。そういう中で適切な、優秀な人材を募集していく、志願制でございますので、そういうことでございます。

寺田(学)委員 今、憲法上許されないのでというお話がありましたし、今までの御答弁もそれだったと思います。

 ただ、それでも徴兵制への懸念というものが完全に払拭されないというのは、さまざまなところで、いやいや、憲法上認められるのではないかということを、先ほど辻元委員は学者さんの名前を挙げて言われていましたけれども、今の政権与党の方々の中にもいらっしゃるということで、懸念されている方は多いと思うんです。

 石破大臣には後ほどお話しいただきたいと思うんですが、憲法に関して党の中の責任者であります船田先生ですが、いろいろ調べてみますと、去年のちょうど今ごろですけれども、テレビの「モーニングバード!」という番組の取材に応じたというような記事があったんです。

 その番組で、当時でしょうか、今もかもしれませんが、自民党憲法改正推進本部本部長船田氏にインタビューということで、集団的自衛権を容認したように憲法九条について解釈の変更が可能なら、憲法十八条の解釈も変更し徴兵制は実現できるのではないですかという問いに、船田氏は、理屈で言うとそれは可能性はあると思いますねとお答えになっています。

 石破大臣、当時御発言があったからかもしれませんが、憲法十八条の意に反した苦役ということですが、それに対し石破幹事長が徴兵は苦役ではないというふうに発言していると。そういう考えの人が総理になっちゃったら、苦役じゃないんだから徴兵は何ら憲法違反ではないよねという解釈で徴兵ができるようになるんじゃないですかねという質問に関して、船田氏は、そういう意思があってやろうと思ったらできないことはないと思いますと。自民党の中の憲法を推進する責任者の方が述べられているので、疑念というものは払拭し切れていないんだと思います。

 それで、石破大臣、前回の委員会で、憲法調査会の中で御発言された内容というものを引用させていただきました。さまざまお話をされているんですが、当時、国を守ることが意に反した苦役とは考えない、そういうことを考えたら国家の名に値しないと御主張されました。その御主張の趣旨をまず御答弁いただけたらと思います。

石破国務大臣 所掌外でまことに恐縮でございます。

 これは、内閣の一員として、我が政府のとっております見解、すなわち憲法第十三条、第十八条のあの規定の趣旨から見て許容されるものではないということは堅持をいたしますし、私もその立場でございます。

 そして、念のために申し上げておきますが、私は徴兵制が合憲だと申し上げたことは一度もございません。どうぞ全てお調べください。一度もそのようなことは言っておりません、そしてまた防衛庁長官当時も防衛大臣当時も。

 これは委員もあるいは御案内かもしれませんが、今の陸海空というのは本当にコンピューター、ハイテクの塊のようなものでございます。徴兵制というものをしいていろいろな方を採用したとして、本当に使いこなせるまでスキルが上がるのは相当の時間、相当の労力を必要といたします。ですから、今まで徴兵制をとってきたフランスでもドイツでも徴兵制というものを停止しておるわけでございます。

 私が申し上げたのは、憲法に反するという根拠を述べよと言われたときに、奴隷的ということと苦役ということはもちろん分かれていますが、それを根拠とするということについて違和感を感じるということは申し上げたことがあります。

 それは、委員も御案内かと思いますが、軍隊における民主主義というものを調査しにドイツへ参りました。そこで言いましたのは、与党も野党もドイツは絶対に徴兵制を維持すると言っていました。なぜだろうか。ナチス・ドイツみたいなものを絶対につくらないために徴兵制を維持する。私は物すごく衝撃を受けたんですね。つまり、軍隊というものは常に市民社会の中にあらねばならない、軍人は軍人である前に市民であらねばならない、それが隔絶したことがあのナチスのヒトラーというものを生んでいったのだということは与野党ともに極めて厳しく言っておられました。私はそのことは強く印象に残っております。

 ですので、政府の立場、それは堅持をいたします。私もそれに従うのは当然のことであります。しかしながら、世の中にそのような考え方がある。同じ敗戦国のドイツ、あるいはフランスにおいても違う考え方を持っており、そしてスイスが先般、国民投票において徴兵制廃止というものを圧倒的多数で否決したということも御案内のとおりでございます。

寺田(学)委員 徴兵制が有用であるかどうか、ハイテク機器云々というお話がありましたが、そこの部分は私は省いて、憲法上許されるかどうかということに関してお伺いをしたいというふうに思って、御答弁をお願いしたところです。

 その中で、私は今まで徴兵制が合憲であると言ったことはないというお話でした。

 私の手元にある憲法調査会の御発言を切り抜いて御紹介すると、「徴兵制が憲法違反であるということには、私は、意に反した奴隷的な苦役」、ちょっとここはつくっていますね、「苦役だとは思いませんので、そのような議論にはどうしても賛成しかねる」と。徴兵制が憲法違反であるということには、奴隷的な苦役に当たらないと私は思っているから苦役に当たるというような議論には賛成しかねると言っています。

 ですので、今政府としては意に反した苦役に当たるということで違憲だ、認められないというお話がありますが、その根幹部分に関して石破大臣は「徴兵制が憲法違反であるということには、私は、意に反した奴隷的な苦役だとは思いませんので、そのような議論にはどうしても賛成しかねる」というお話をされております。

 賛成しかねるという御答弁が、私は合憲だとは言っていないということをもって何か説明がついているとは私は思いません。ですので、改めてお伺いします。

 徴兵制が憲法違反であるということは、私は、意に反した苦役だとは思いませんので、そのような議論にはどうしても賛成しかねる。これは、ある種徴兵制が認められ得る余地というものはあるということを当時御発言されたのかなと思っていますが、その御趣旨を御答弁いただきたいと思います。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

石破国務大臣 そのようなことは全く申し上げておりません。

 徴兵制というものをとる意味が、近代的な軍隊、つまり今日のような軍隊においてはございません。そのようなことをやっても意味がございませんから。そしてまた、憲法の解釈というものは、先ほど来申し上げておりますように、十三条、十八条を根拠としているということでございます。そのことに何ら問題はございませんし、では、これから先、徴兵制はあり得るのか。その必要性がない以上はそのようなことはございません。

 そしてまた、根拠としてどうなのですかということを委員はおっしゃいますけれども、では、どうなんでしょう。スイスで、あるいはフランスで、あるいはドイツでそういうことを申し上げたときにどういうような反応があるだろうかということも、私どもは国際社会の中で生きていく上において、日本の根拠として十三条、十八条であるということはそうでしょう。しかしながら、国際社会においてそれがどのように受け取られるかということは、我々は念頭に置いた方がいい。

 国を守るということはどういうことなのか。そしてまた、危険を顧みず、職務の完遂に努め、もって国民の負託に応える、そのように言っている自衛官たちを……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に。

石破国務大臣 どのように考えるかということは、私どもは、立場の違いこそあれ、国会に籍を置く者として当然のことだと思います。

寺田(学)委員 御自身のお考えが少し吐露された部分があったと思います。徴兵制をとるような必要性がない以上というお話をされました。憲法上許されるかどうかという議論だったんですが、やはりどこかで、石破大臣、政策的な判断をそこに持ち込もうとする節が今の御答弁の中にはありました。

 この憲法調査会を引用した部分の、その前の部分に「徴兵制についてですが、徴兵制をとるかとらないかはその国の政策判断だと私は思っています。」と断言されています。政策判断の問題なんでしょうか。

石破国務大臣 それは、先ほど来申し上げておりますように、ドイツであれフランスであれ、あるいはヨーロッパの諸国において政策判断としてそうであり、日本人が永世中立平和国家というふうに考えておりますスイスにおいては主権者たる国民の投票においてそのことが否決をされたということでございます。それぞれの国はそれぞれの政策判断を行っております。我が国においては憲法上認められないというふうに言っておりますので、これは政策判断ではございません。

寺田(学)委員 では、当時言われていた「徴兵制についてですが、徴兵制をとるかとらないかはその国の政策判断だと私は思っています。」ということは、考え方が変わられたんですか。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

石破国務大臣 言っていることをよくお聞きいただきたいのですが、ドイツにおいてもフランスにおいてもスイスにおいてもそれは政策判断、あるいは憲法に兵役は国民の神聖な義務であるというふうに書いてある国もございます。それはその国の憲法の判断でしょう、政策判断をしておる国もあるでしょう。ですから、国によって違うということを申し上げております。

 我が国においては、憲法によって徴兵制をとらないという考え方でございます。その考え方の根拠に何を持っていくかというのは、それぞれの考え方がございましょう。しかしながら、日本国憲法においてそれは認められないという話になっておりますし、実際に安全保障というのは政策判断の部分が相当にございますのでそういうような合理性は全くない、徴兵制をしく合理性は今の軍隊において、実力組織において全くないということはよく認識して御発言をいただきたいと存じます。

寺田(学)委員 一点ちょっと長官にお伺いしたいんですが、徴兵制が憲法に違反をするという基本的な論理というのは何なんでしょうか。改めてですが、御答弁ください。

横畠政府特別補佐人 憲法は人権を保障しておりまして、第十八条に書いてある意に反する苦役に当たる、そのものでございます。

寺田(学)委員 いや、集団的自衛権が認められるか認められないかを四十七年見解に基づいて議論して、基本的論理と当てはめというところの話がありますので。

 余り多くは要求しない方だと思うのでぜひ委員長にお願いしたいんですが、徴兵制が認められないとする政府の基本的な論理というものを委員会の方に御提出いただきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議いたします。

寺田(学)委員 それで、石破大臣にもう一つお伺いしたいんです。

 大臣が憲法調査会の中でお話しされているのは、日本で徴兵制が憲法違反だということであれば、なぜですかと聞くと、意に反した苦役だからだ、国を守ろうとすることが意に反した奴隷的な苦役だという国は私は国家の名に値しないと思いますと。苦役が何であるかということに関して御自身のお考えを持って、それが当てはまるかどうかということも御意見を述べられています。

 徴兵に関して、制度じゃないですよ、徴兵自体が苦役に当たるか当たらないか、大臣の憲法上のお考えを述べていただいてよろしいですか。

石破国務大臣 意に反すればそういうことはございましょう、それは。ですけれども、それは意に反した、でも、みんな人間は意に沿って生きていけるか、そのようなことはございませんでしょう。みんなそれぞれ、いろいろなつらいこと、苦しいことを我慢しながらやっているのでございますよ。

 ですから、意に反して、それは委員も御案内かと思いますが、自衛官の訓練というのは極めて過酷なものでございます。それは一緒にやってみればよくわかります。そして、国家の独立、国民一人一人の生命、それを守るために危険を顧みずに行動するということがどれほど大変なことかということでございます。それを私はやりたくないという場合にそれを強制することは幸福追求権に反するというのが政府の立場でございます。

寺田(学)委員 意に反したという部分を除いて御答弁いただきたいんですが、徴兵自体、兵役自体が苦役に当たるか当たらないか。意に反する云々は今御答弁をいただきましたからいいです。苦役に当たるかどうかということはどのようにお考えですか。

石破国務大臣 この憲法の条文はそのように分解して考えるものではございません。意に反した苦役ということでワンフレーズなのであって、それを分解して議論をすることに意味があると私は思いません。

寺田(学)委員 それではもう一点、やや憲法議論になってしまいますが、この十八条に関して、公共の福祉の制限というものはあるとお考えですか。

横畠政府特別補佐人 「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」というのが憲法十八条の規定でございます。

 憲法自身、犯罪による処罰の場合を除いてと限定しているわけでございまして、一般的な公共の福祉による制限というものは及ばないというか、一般的な公共の福祉の考え方によってこの十八条が適用されないということにはならないと思います。

寺田(学)委員 一般的なというお言葉を使われましたが、政府の答弁書の中には、徴兵制が禁止されている理由、本質という書き方ですが、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役と言われる役務の提供を義務として課される点に本質があると。

 公共の福祉の考え方、それこそ政府の解釈いかんだと私は思いますが、それによって答弁書の中はつくられて、許容されるものではないということになりました。ですので、この公共の福祉というものが、先ほど一般という言葉をされましたが、例外もあり得るわけで、その点においてしっかりとした政府の説明を求めたいと私は思いますので、引き続きやります。

 いずれにせよ、今まで行使できなかったという集団的自衛権が限定的とはいいながらいきなり行使されることになり、従来の憲法解釈に固執するのは政治家の責任放棄と言う総理・総裁がいて、憲法で明示的に禁止されていないから合憲だなんと言う高村副総裁もいらっしゃって、党の中の責任者の方は理論上あり得ると言い、きょうさまざま御答弁いただきましたが、以前、徴兵制は憲法違反だというのには私は賛成しかねるというようなお話をされている方々が現時点において徴兵制はありませんと言ったところで、私はおよそ信じがたいなと。

 しっかりとその部分は説明していただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

浜田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 私は子供のころ国語が苦手で、言葉の解釈というのがよくわからないので、私の質問は易しい質問ばかりなので明確に御答弁いただきたいと思います。

 まず一つは、集団的自衛権を行使するときに当たって、それ以外のときもいろいろな支援をするんだということになっているんだと思うんですけれども、そのときの費用というのは、我が国が負担するものなのか、後からお金を返してもらえるものなのか、そこをまずお尋ねしたいと思います。

中谷国務大臣 自衛隊に属する物品を提供する際は、国の財産管理または財政負担の観点から、財政法上の原則のとおり、物品は適正な対価をもって譲渡し、または貸し付けるべきでありまして、平和安全法制におきましてもそのような原則は変わりません。

 この原則の例外としてACSAというのがございますが、このACSAに基づく物品の提供と、国際平和支援法における枠組みがございます。これらにおいては、支援の対象となる諸外国の軍隊等からの申し出に応じて無償または時価よりも低い対価で物品を譲渡したり無償で物品を貸し付けたりすることができますが、このうちACSAに基づくものは同一物品の返還等を行うことといたしておりまして、多大な費用がかかるということはありません。

 一方で、今回の国際平和支援法に基づく譲渡、譲与につきましては、旧テロ特措法で実施した洋上補給の例があります。これは燃料を外国に譲与したということでございます。

 これは、戦闘行為に参加しない我が国が、国際社会における適切な役割分担のもとで諸外国の軍隊等の活動に効果的な貢献を行うことによりまして国際社会の平和と安全の確保という国際平和支援法の目的を達成するために、物品の譲渡や無償の貸し付けといった選択肢をとるようにしたものでございます。

 実際にどのような決済方式を採用するかにつきましてはそれぞれの場合によるわけでございますが、例えば譲与の要請があれば、全てこれに関して一律に対応するものではないということで、譲与を行う場合には、我が国の活動の内容、いずれにしてもその効果、財政負担のバランス、これを考慮して決定するということになっております。

鈴木(義)委員 例えば、過去にイラク戦争の際に、米軍が主張していた大量破壊兵器があるから二兆円の拠出金を出すんだということで、これは国会の承認が得られたんだと思うんですね。でも、さあさあ、終戦、終わって、大量破壊兵器があるのかなと思って調べてみたらなかったという話になったときに、ではその二兆円は何だったのかというのは過去に議論があったのかないのかということですね。

 だから、今回のものも幾つもの法案が、十一本束ねられている法案なんですけれども、これから国会承認、まあ事前承認なのか事後承認なのかわかりませんけれども、そういった承認をもらうのと同時に、今の防衛予算の中で足らなければ、補正予算を組むのか何をするのかで国会に承認をもらうような形になるんだと思うんですね。事後承認も同じだと思うんです。

 では、今までそれが検証されたのかされないのかといったら、私は余り頭がよくないので、検証されたような記述が残っていないような気がするんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

岸田国務大臣 イラクの大量破壊兵器、そしてそれに対する我が国の対応について検証したのかという御質問でありましたので私の方からお答えさせていただきますが、それにつきましては、外務省として、それを検証し、そしてその検証の要旨について公にさせていただいているところであります。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 では、続きまして、今でも米軍と我が自衛隊は、訓練をしたり情報の共有化をされているんだと思うんです。今回の法改正の中にも盛り込まれていて、もっと緊密な関係をとって情報の共有化をもっと深化させていくんだというのは結構なことなんだと思うんですね。

 では、日本から米国に行っている情報と米国から我が日本に来ている情報はイコールなのかということなんです。

 例えば、日本から行く情報は一〇〇%行くけれども、米国から来る情報が八〇とか七〇%ぐらいしか来ていないということになれば、作戦行動を起こす上で指揮権は米国側にあると推測できるんですけれども、今回の法改正でもっと踏み込んだ情報の共有化になっていくわけですね。それは担保されているのかどうか、それだけちょっとお尋ねしたいんです。

黒江政府参考人 日米間における情報の共有という件でございますけれども、常日ごろから、同盟国でございますので、我々としましては日常ベースで情報の交換を行っておる。さらに、共同訓練等を通じましてまさに戦術行動に必要な情報をやりとりする。これにつきましては、それに必要なハードウエアも含めまして、なおかつ必要な情報は何かといったことをお互いに共有する、その中で情報を交換し合うということを日常的に行っておるということでございます。

 他方、先生御指摘のような、こちら側からは一〇〇%上げているけれども向こうから何%来ているんだろうかといったことは、情報という性格上、なかなか定量的にはかるということはできないんだろうというふうに考えてございます。

 他方、当然のことながら、日米で共同対処する、あるいはある種の事象に対しまして米軍の行動を日本側が支援するということでありますれば、お互いの意図、あるいは何に対してそういう活動をするのかということは共有しないと効果的な活動というのはできないということでございますので、そのために、お互いの保全の強度というものを合わせるというようないわゆるGSOMIAの協定といったものも日米間で結んで、必要な情報のやりとりに努めているというのが現状でございます。

鈴木(義)委員 そういう御答弁だろうなというふうに思って質問しているんですけれども。

 では、例えば、先ほど前段でお尋ねしたイラク戦争のときに、大量破壊兵器があるんだという情報に基づいて私たちは二兆円の拠出金を決めたわけですよね。ということは、それが正しかったのか正しくなかったのか検証しましたと外務大臣から御答弁いただいたんですけれども、そのことをもったって、正しい情報だったのかどうかというのをどこで判断するのかということにつながっていくんだと思うんです。

 ですから、今回の法律の中身の話よりも、実際これがもし運用されていくという話になったときに、きちっと情報の共有化がなされているのかどうか誰かがきちっと検証しない限り、また同じ轍を踏んでしまうんじゃないかということなんです。そこのところをもう一度御答弁願いたいと思います。

岸田国務大臣 情報の共有については今防衛省からも答弁がありましたが、情報の共有ということについて申し上げるならば、昨年、特定秘密保護法が成立をいたしました。この法律の趣旨ですが、一つの大きな趣旨としまして、我が国の情報管理の信頼性を高めることによって各国との間においても重要な情報を共有できる、こういった趣旨が含まれていたと認識をしております。

 こうした我が国における情報管理のありようも、各国との情報共有において大変重要なポイントであると認識をいたします。

 昨年来、我が国においても情報管理につきましては大きな議論を行い、こういったことも各国との情報共有を進める上で大変重要な取り組みではなかったかと考えております。

鈴木(義)委員 そこで問題になってくるのが、米国やオーストラリアを支援していきましょうという法案になっているわけですね。支援する、集団的自衛権の行使を可能にする法改正をしていこうとするんですけれども、では、例えばアメリカやオーストラリアの利益と日本の利益が相反する場合がもし生まれたときに、そのときどう国民に理解を求めていくんですか。

 それでも出してくれ、協力してくれと言われたときに、相手国と日本との関係が必ずあるはずなんです、それについて国民にも説明をしていかなくちゃいけないと思うんですけれども、その辺は、特定秘密の範疇の中でもあるんでしょうけれども、でも相反するものというのはあるんだと思うんですね。そのときにどう国民に対して説明を政府側はしていこうとするのか、お尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の点について、具体的にはそれぞれ個別具体的な対応が考えられますが、基本的な考え方として申し上げるならば、我が国がこうした平和安全法制に基づいて対応する際においては、まずは我が国の国民の命や暮らしを守るためにどうあるべきなのか、さらには国際的な平和と安定のために我が国として貢献する必要があるのかどうか、こういった点を主体的に判断することになると考えます。

 そして、加えて、我が国がこうした対応をとる際には国会の承認をしっかりいただかなければなりません。その際に、しっかりとした事実ですとか理由ですとか、国民そして国会の御理解をいただけるために必要な情報はしっかりと添えた上で国会の承認をいただく。こういった形で御理解をいただく仕掛けになっていると認識をしております。

鈴木(義)委員 米国の諜報能力というのは日本の比じゃないんだと思うんですね。そこまで日本はお金も人もかけていないと思うんです。ネットワークもまだ、比較をすれば全然、子供のようなものだと私は認識しているんですけれども、では、日本の利益を今の情報収集能力だけで判断できるのかということです。

 例えば、先日、維新の党で朝霞の陸上自衛隊の駐屯地に視察へ行ったとき、幹部の人と意見交換があったときに、一番大事なのは情報をたくさんもらえるかどうかということです、その国の背景も含めて、だから、そういったものもきちっと収集できて初めて、どういうシミュレーションをするのか、訓練をするのか、どのぐらいでどうするのかというのを判断するんだというお答えをいただいたんです。

 だから、今の日本の情報収集能力が、これもまた特定秘密だと言われちゃうともうこれ以上話が出ないんですけれども、その辺のところは誰が判断して、では、今回の日米の情報の共有化が今まで以上に図れるということで先ほど御答弁いただいたんですけれども、その情報の分析、解析だとかを誰がやるのかということですね。そこのところをお尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 情報収集そして情報の分析について御質問いただきました。

 まず、基本的に、情報収集能力につきましては、我が国としまして、絶えず検証し、そして能力を向上させていかなければいけない、これは当然のことだと思います。

 そして、その上で、収集した情報についてでありますが、まず、自衛隊の海外の活動につきましては、情報収集に当たって、防衛省と外務省が中心になりまして情報収集、分析を行うことになります。

 そして、今御議論をお願いしている法案の中においても存立危機事態ですとか重要影響事態ですとか、あるいは国際平和共同対処事態、あるいは国際平和協力業務、こういったものが定められているわけですが、こうした事態について判断するに当たりましては、一昨年末にできました国家安全保障会議、NSCにおいてあらゆる省庁から情報を集め、そして集約し議論を行い分析する、そして閣議において内閣として判断をする、これが、我が国の情報分析、判断における基本的な仕組みであると認識をしております。こういった形によって政府として最終的に判断を行うということになります。

鈴木(義)委員 では、そういうことであれば、例えば一つの事例なんですけれども、過去の米軍の軍事オペレーションに対して日本は独自の検証を行っているのかどうか。

岸田国務大臣 我が国自身の行動あるいは対応につきましては、我が国としてしっかり責任を持たなければいけません。ですので、必要な検証や分析は行う、これは当然のことであります。ただ、他国の行動や対応につきまして我が国として何か情報収集しそして分析をする、こういった立場にはないと考えます。

 あくまでも我が国として必要な分析はいたしますが、それとかかわりのない他国の行動について何か分析をしたり、あるいは法的な判断、あるいはさまざまな判断を行うという立場には我が国はないと考えます。

鈴木(義)委員 こういう公式の場で大臣からきちっとした答弁がいただけるとは思っていないんですけれども、でも、相手がどのぐらいの力があるのかというのをきちっとシミュレーションしないのに戦いを挑んだり手助けをしに行ったりというのは普通はしないと思うんですね。それでもやはり手伝いに行ったり戦わざるを得ないというときが出てきたときに、まあとりあえずやってみるかという話なのか、そこのところはどういうふうにお考えなんですか。相手の国のことを全然わからないで、どれだけのオペレーションをやっているのかもわからないでそれができますかという話ですよ。

岸田国務大臣 まず、基本的な情報収集、国際的な情勢あるいは状況を分析するために必要な情報収集については、しっかりとした能力を持ち、情報収集に努めていかなければならないと考えます。

 ただ、あくまでも我が国が判断するのは我が国にとって必要な事態についての判断であり、我が国のこうした対応にかかわりのない他国の行動について何か確定的に評価する立場にはない、こういった御説明をさせていただいている次第でございます。

鈴木(義)委員 先ほども申し上げましたように、米国の諜報能力というのは日本の比じゃないんですよね。だから、あらゆるシミュレーションができるから今まで世界の警察として役割を果たしてきたんでしょうけれども、その一端を日本にも、手助けしてくださいよというのが今回の法改正につながっているんじゃないかと私は個人的に解釈しているんですね。

 だったら、どの国がどのぐらいの展開ができるのかというのを、オペレーションも含めて、シミュレーションをやはり日本できちっと情報収集して組み立てておかなければ、いざといったときに、できません、できますという判断をどこでするのかということなんですよ。

 何回も聞いてもしようがないので、では、例えば、なぜそういうことを申し上げるかといったときに、これからもし自衛隊が外に今まで以上に出ていくといったときに、実戦経験が実際ないんです。訓練は訓練なんです。海上自衛隊だって陸上自衛隊だって、航空自衛隊が訓練を共同でやったとしても、あくまでも訓練は訓練なんです。

 では、実戦としてのノウハウをどこで蓄積していくのかということです。それはハードの部分もそうだし、ソフトの部分もそうだと思うんですね。そこは、どうやってこれから考えて精度を上げていこうとするのか、お尋ねしたいと思います。

中谷国務大臣 まず、情報の共有というのは必要でありまして、その能力を向上させるということは今、全力で対応しなければならないと思います。

 そこで、対応能力につきましては、自衛隊というものはさまざまな訓練を重ねておりまして、日米間におきましても、こういったいろいろな事態を想定した訓練を通じて自衛隊自身の能力向上もやっておりますし、それぞれのレベルにおいて協議をいたしております。

 例えば、大臣クラスにおいても、認識を共有したり今後の方針を話し合ったり、必要な情報収集、そして各国との意見交換、さらに共同訓練などを通じて自衛隊自身の能力が向上して、適切に判断して対応ができるように、そういう努力をしているということでございます。

鈴木(義)委員 では、問題をちょっと切りかえますけれども、武力攻撃事態等に対処する米軍以外の外国軍隊及び存立危機事態に対処する外国軍隊の支援体制を組むということですよね。その中で、日米安保と同じように、日本と密接な関係にある国を応援するんだ、こういう法律のたてつけになっているんだと思うんですよ。

 であるならば、なぜその国ときちっとした安保条約を結ぼうということを考えないのかということです。例えば、オーストラリアでも結構ですし、インドでもそうでしょうし、その他の国で日本と密接な関係があるんだったら、きちっとそれは条約として締結するという考え方が今後出てくるのか、今考えているのか、お尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 例えば、新三要件の中に密接な関係にある他国という文言が入っています。この我が国と密接な関係にある他国、これは、再三御説明させていただいておりますが、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、そして我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国、こうした国を指すわけでありますが、この密接な関係にある他国につきましては、あらかじめ特定されているものではなく、個別具体的な状況に即して判断すると説明をさせていただいております。

 そして、あらかじめ条約等を結んで明らかにするべきではないか、こういった御質問をいただきました。

 我が国が認められる武力行使においての我が国と密接な関係にある他国については今申し上げましたような対応を考えておりますが、例えば条約等を結んでこうした関係を明らかにするということになりますと、これは相互防衛の関係になる等、我が国の新三要件との関係も含めて、さまざまな検討が必要になります。

 我が国があくまでも主体的に新三要件によってしっかり判断することができるか、さらには、多くの国がある中にあって、どの国とこうした条約を結ぶ結ばない等、新たに検討しなければならない課題が出てきます。

 よって、今現状、政府においては、こうしたあらかじめ条約等を結ぶということは考えておりません。

 しかし、いずれにしましても、こうした存立危機事態に至ったときは、事態対処法改正案第九条等に基づいて、対処基本方針を国会に事実や理由を付した上でしっかりと報告し、そして承認をいただかなければなりません。その際に、密接な関係にある他国、なぜこの国が密接な関係にあるのか等しっかりとした理由を付しそして説明しなければならないということになりますので、こういった形で明らかにすることができると考えております。

鈴木(義)委員 そこのところがやはり言葉のあやになってしまっているから、国民がわかりづらいんだと思うんですね。

 ここの国と仲よくしましょうと言えばいいんじゃないですか。なぜそれを、いや、周辺の国もいろいろあるから、こことだけ仲よくなりたいとかいうふうに言えないと。

 でも、密接な関係にあるから、三要件になれば米軍と一緒に作戦行動をとりますよというような法体系になっているわけでしょう。だったら、その仲よくなりたい国ときちっと議論を交わして、ここまでは協力できる、ここまではお互いさまでやりましょうというのをこれからはしていかなければならないんじゃないですか。そうしなければやはり国民の理解というのは、そのときになぜこの国なのかという話が必ず出てきますよ。

 では、なぜオーストラリアに潜水艦を日本が技術供与してつくってあげますよと。密接な関係があるんでしょう、オーストラリアと。今、日本の海域を一番守ってくれているのは潜水艦じゃないかという話もあるわけじゃないですか。その技術をオーストラリアに供与しますよということを今やっているわけですから、だったら、きちっとオーストラリアと協議をして、国会に上程してきて条約締結しましょうというところまでやらないと、もっとわからなくなっちゃうんじゃないかと思うんです。その辺をもう一度御答弁いただきたい。

岸田国務大臣 御指摘のようなさまざまな具体的な課題において、具体的に国を特定し関係を確認する、これは当然あることだと思います。

 ただ、今申し上げておりますのは、存立危機事態等において事前に、あらかじめこういった関係について特定しておく、あらかじめ決めておく、こういったことについてどう考えるかということであります。

 その際に、あらかじめこうした密接な関係にある国というものを特定するということの難しさ、さらには、逆に条約等で明らかにするということになりますと、それ以外にさまざまな観点、相手の国との関係、あるいは我が国が新三要件によってしっかりと判断できるかどうか等さまざまな要素を検討した上で判断しなければならない、こういったことではないかと申し上げております。

 よって、今回の存立危機事態等においては、密接な関係にある他国をあらかじめ条約等で明らかにするということは考えておりません。こうした我が国の考え方につきましては、国会承認等において明らかにさせていただくという仕組みを考えている次第であります。

鈴木(義)委員 最後に確認だけしたいんですけれども、国連に分担金として、世界で第二位の一〇%を超える負担金を出しているんですね。これはもう形骸化されているというふうに言われているんですけれども、敵国条項が三条ありますよね。そこから排除されていないんですね。

 それで、今回の法改正をすることによって整合性がとれているのかどうか。今回の法律の改正と、敵国条項が残っちゃっている、国連憲章の中にあるわけですよ、三条分、そこのところの整合性はとれているという判断なのか。そこの確認だけして、終わりにしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、今回御議論をお願いしております平和安全法制につきましては、国際法上適法なものであるということ、国際憲章に従っているということ、これは当然のことであります。

 そして、その上で、敵国条項について御質問いただきましたが、結論から申しますと、この敵国条項については、もはやいかなる国もこれを援用する余地はないと考えております。

 旧敵国条項は既に死文化しているという認識を示す決議が、一九九五年、国連総会において圧倒的多数で採択をされています。また、二〇〇五年の国連首脳会合では、憲章上の関連する条項における敵国への言及を削除することの加盟国の決意を示す、こういった成果文書がコンセンサスで採択をされております。

 こういったことでありますので、敵国条項を援用する余地はないと思っておりますし、我が国の対応はあくまでも国際憲章に従った国際法上適法な行動を想定しているということでありますので、御指摘の点は懸念に当たらないと考えております。

鈴木(義)委員 ちょっと矛盾しているなと思うんですけれども、多数で決議してもらったんだったら、条文を削除すればいいんだと思うんですね。それをさせたくない国があるから残っているのかなというふうに推測するんですけれども。

 だから、きちっと安全保障条約みたいなものを結んでいかないと、必ずそれが、では今回の法改正によって自衛隊を外に出していったときに国際裁判所に訴えられたとき、どうするんですか。だって、憲章のところに残っているじゃないか、決議はされたとしても。

 死文化されたというのは日本側の言っていることなんです。でも、そこのところをクリアにしないで今回の法改正に臨むというのはちょっと無理があるんじゃないかなと思っておりますので、今後ひとつよく検討してもらいたいと思います。

 終わります。

浜田委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪でございます。よろしくお願いいたします。

 砂川判決をめぐり、本委員会で質疑が続いております。

 今何が問題となっているかといえば、政府が新三要件を定義し、閣議決定を行い、それを満たせば集団的自衛権を使っても合憲となるようにしたこと、その際の最初の根拠にこの砂川判決を掲げ説明しようとしたということから混乱が始まったんだろうというふうに思っています。

 しかし、十五日の中谷大臣の答弁にありましたように、砂川判決については政府は、砂川事件は自衛の措置をとれるという前提をあくまでも述べたものであり、行使容認の直接の根拠にはならないとお認めになったというふうに理解しています。

 しかし、本質的な問題が何かといえば、やはり一つ目は、砂川判決以降も政府が集団的自衛権は憲法上許されないと恐らく言い続けてきたこと。

 そして二つ目には、砂川判決の主要な争点はあくまでも日本に駐留する米軍の違憲性です。ですので、どうして自衛隊が地球の裏側まで行って、米軍等への武力攻撃を我が国が自衛権を発動して排撃できるのか、これが判決で論じられたのかどうか。

 三つ目には、そもそも最高裁判所には具体的な違憲審査権があるだけで、抽象的な違憲審査権を有しません。すなわち、問題となった具体的な事件以外、憲法上の合憲、違憲を論じることはないはずなんですね。その中で、たとえ自衛権への言及が傍論であったとしても、そもそも仮定的な事例に対して判断をしないんだろうというふうに思っています。

 そこでお伺いします。

 いまだ集団的自衛権の合憲性を論じた裁判は我が国の裁判史上存在しないと思うのですが、確認をさせてください。

    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕

中谷国務大臣 御指摘の、集団的自衛権そのものの合憲性について論じた裁判例があるというのは承知をいたしておりません。

篠原(豪)委員 つまり、まだ法律がないわけですから、成立して初めて発生するであろう具体的な事件がない時点で、これを論じる判決が今おっしゃったようにないですよね。強引に砂川判決を安保法制、昨年の閣議決定の根拠に求めたことからこれまでの論争が始まったのであって、この点はやはり政府の皆様には御認識をいただきたいというふうに考えております。

 その後も、昭和四十七年の政府見解を根拠にということについても、結論が集団的自衛権の行使が憲法上は許されないとなっているにもかかわらず、その前段で指摘されている部分だけを基本的な論理と位置づけて、この基本的な論理が維持されれば集団的自衛権を使えるようにしても憲法上の問題はないのではないかと。これは当時と百八十度違うんじゃないか、ずっとこういう指摘がされているわけですけれども。

 これは、こういったところから限定的とはいえ集団的自衛権を導き出そうとするやり方が、国民の皆様に混乱を招く原因になっているのではないかというふうに思います。こういった理論の組み立て方の結果、この法律は結局憲法的に適合しているのかどうか、抵触することになるのかどうか国民の皆さんが心配されているわけです。

 そこで、法律が憲法に抵触しているかどうかが問題となったとき適合性を判断する機関は今どこにあるのか、政府の見解を伺います。

横畠政府特別補佐人 法律が憲法に適合するかしないかを最終的に確定する権能を有する国家機関は、憲法第八十一条によりいわゆる違憲立法審査権を与えられている最高裁判所でございます。

篠原(豪)委員 後ほど少しお話をさせていただきますが、安保法制は内閣の提案であります。であるならば、きょうもありましたけれども、安保法制が合憲か違憲かというような判断を出した時点で、内閣、さらに言えば内閣を統括する内閣総理大臣である安倍総理が合憲であると判断しているというふうになるかと思います。果たして本当にこれでよかったのかということで、ずっと論争になっております。

 今回、一内閣による重大な憲法解釈の変更を行ったことが混乱の原因になっていて、政治、行政が仮に恣意的に何か本来は憲法上認められない安全保障法制をつくったとしても、最後の歯どめとしてやはり憲法裁判所があれば法そのものを差しとめるという効用が生まれるわけで、今こそこういう機会でありますので憲法裁判所をつくる論議、議論を進めるときと考えておりますが、いかがでございましょうか。

中谷国務大臣 憲法裁判所につきましては憲法審査会等でも議論をされておりますけれども、憲法裁判所を設置して、具体的な訴訟事件を離れて抽象的な憲法判断の権能を付与すべきだという御意見もございますが、これは非常に大きな問題でございまして、まず政治的にも各党各会派で広く御議論をいただいた上で国民的な議論を深めていくことが必要である、憲法的な問題を含んでいるということでございます。

篠原(豪)委員 済みません、官房長官にせっかくおいでいただいておりますので、このことについてお話をいただければと思います。

菅国務大臣 今お尋ねいただきました、憲法裁判所を設置し、具体的な訴訟事件を離れて抽象的な憲法判断の権能を付与すべきという提案でありますけれども、非常に大きな問題でありまして、各党会派で広く御議論をいただいた上で、国民的な議論を広めていく必要があるだろうというふうに思います。

篠原(豪)委員 維新の党は、基本政策として、かねてよりこれを創設すべきであるというふうに主張させていただいております。それは行政がやはり恣意的に法律を制定、運用していくおそれがあるからであって、まさにもしかしたらこの安保法制が恐れていた事例に該当してしまうのではないか、これは多数の国民の皆さんが感じていることではないかと思います。

 砂川判決は、実際は統治行為論でもって、すなわち高度な政治性を有する事案に関しては裁判所の審議になじまないとして判断を行いませんでした。つまり、裁判所は憲法の番人でなければいけない、先ほど長官がおっしゃいましたけれども、こういったこと等で憲法判断を実際には行わない事例があるということをおのずと、みずから認めているということにもなるんです。

 だからこそ、正面から憲法適合性を判断する機関が必要だと考えます。でなければ、今申し上げましたけれども、今後、恣意的法律制定及び運用を監視することができない。この機会にもう一度、ぜひ憲法裁判所の創設を真摯に検討していただければと思います。

 次に、安保法制における言葉の意味についてお伺いをいたします。

 我が党の江田議員が五月二十八日、既に当委員会でお尋ねしてきたことではありますけれども、この間、個別的自衛権、集団的自衛権の内容についてどんどんと変わってきているのではないかというふうに思っております。そのことを踏まえ、改めて伺いますが、自衛権の定義について、国際法上あるいは国際司法裁判所上の定義と我が国の個別的自衛権、集団的自衛権の定義が異なっているという事実はあるのでしょうか。これは岸田外務大臣にお願いいたします。

岸田国務大臣 まず、国際法上、一般に、個別的自衛権とは自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止することが正当化される権利とされています。一方、集団的自衛権の方ですが、これは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利、このように解されております。このように、両者は、自国に対して発生した武力攻撃に対処するものであるかどうか、この点におきまして明確に区別をされています。そして、こうした考え方は国際法上確立されていると思います。

 そして、国際司法裁判所の判断はどうかという御質問がありましたので、その点について申し上げるならば、国際司法裁判所の判例においても、個別的自衛権については援用する国に対する武力攻撃が発生していることが必要とされると。これは、イランに対する米国の武力行使を判断したオイル・プラットホーム事件判決という中にこうした記載があります。また、ニカラグア事件判決の中にも集団的自衛権については、みずからが武力攻撃の犠牲者であるとする国家による要請がない場合に集団的自衛権の行使を許容するような規則は存在しない、このような記述があります。

 これらの判決は、先ほど申し上げました個別的自衛権と集団的自衛権の区別に対する我が国の理解と整合的であると認識をしております。

    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 私たちは、ニカラグア事件を一回お話しさせていただいて、集団的自衛権というのは政府の言う集団的自衛権とも異なっているんじゃないか、新三要件が必要となる制限された集団的自衛権、これには二つの考えがあることを政府の皆さんにも考えていただきたい、お認めいただきたいと話をしてきました。

 資料の一枚目のところ、今御説明いただきました。

 政府が主張している新三要件は、他国が攻撃を受けたときに一緒になって防衛するということができるわけであって、したがって、政府の言う集団的自衛権は本来の意味ではなくて、やはり制限されたものになる。一方の考え方として、個別的自衛権においても、自国がいまだに直接攻撃されていない状態であったとしてもミサイル防衛の場合のようにその蓋然性が非常に高い場合には自衛権を発動して、二枚目の資料のところに少し書かせていただいていますが、そういった蓋然性の高い場合には他国への攻撃であっても個別的自衛権として対処することができるというふうに考えられないのか。

 要するに、新三要件のもとで自衛権を制限された集団的自衛権として考えるのか、それともより広く解釈した個別的自衛権として考えるのか、二つ方向性があるわけです。

 そこで、問題を指摘させていただきたいと思うんです。

 まず、今回の新三要件のもとでの措置は本質的に自国防衛だというのであれば、集団的自衛権じゃなくて個別的自衛権で説明して何ら差し支えないというふうに考えています。

 安保法制が仮に成立すれば、海外の報道が行われます。いろいろな国が、自国の言語に翻訳して日本の法律を紹介していくわけです。それを聞いた人たちが、集団的自衛権と日本語で説明されていても今、国民の皆さんもよくわからない、理解しにくいと言っている中で、他国で正確にそれが伝わっていくのかということであります。集団的自衛権という言葉が加わる以上、制限のない本来の意味での集団的自衛権と誤解されてしまうおそれが実際に十分あるんじゃないかと思います。

 こうなると、今回の安保法制は自国防衛だということであれば、個別的自衛権で説明ができるのではないか。そして、個別的自衛権の範囲で説明できるものにもかかわらずこれを集団的自衛権という名のもとに制定してしまえば、やはり不必要に海外から、日本が集団的自衛が行える国になったという誤解を招いて、その結果、これまで想定されなかった攻撃というか反応が出てくる可能性が広がってくるのではないかというふうに思っています。その点についてはいかがか。中谷大臣、よろしくお願いします。

岸田国務大臣 学説として、個別的自衛権あるいは集団的自衛権についてさまざまな議論があるというのは承知をしております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、個別的自衛権と集団的自衛権の区別として、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうか、この点において明確に区別されるという点については国際法上確立された考え方であると思います。そして、先ほども御紹介させていただきました国際司法裁判所の判例においても同趣旨の記述があるところであります。この点についてはしっかりと確認し、明らかにしておかなければなりません。

 なぜならば、独自の判断で個別的自衛権を拡大するということになりますと、独自の判断でやった行為が国際法上違反する、国際法上正当性を得ることができない、こういったことになりかねません。ですから、今申し上げた点につきましては、さまざまな議論がありますが、国際法上明確に区別されていると思いますし、明らかにされていると思いますので、この点だけはしっかり守っていかなければならない点であると認識をしています。

篠原(豪)委員 いろいろな考え方があって、それでも国際法上認められる範囲の中でどういうふうにきちっとやっていくのか、これは当然大事なことと思っています。

 仮に、個別的自衛権として説明する、これを拡大解釈すると余りよくないということはそうかもしれませんが、そうであるならば、これはきちっと個別的自衛権で、今では違憲であるとかどうだという話も出てきていますけれども、とても解釈のできない事態に至った場合には、これはやはり憲法そのものをそもそも改正して対処すべきではないかというふうに考えています。改憲をしないのであれば、やはりいわゆる個別的自衛権の国際法上認められる範囲の中で法整備を行うべきじゃないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 きのう小野寺委員が説明をされましたけれども、個別的自衛権というのはあくまでも我が国に対する武力攻撃が発生しないと行使できない権限でございまして、現時点においてそれだけで国家の安全を図るという点におきましては不十分な点がございます。

 その点で、昨年の七月に改めて、憲法の基本的論理に基づいて今の我が国の安全保障の現状等を当てはめをいたしまして新三要件というものをつくったわけでございまして、それによりますと、我が国が自衛権を行使して対処できるということでございます。これにおいて、余りにも個別的自衛権でやりますと、先ほど外務大臣も言われましたけれども、拡張して説明することが国際法違反になるおそれがあるということで、しっかりとした形で対応できるということで、憲法で改めてこの部分において検討したということでございます。

篠原(豪)委員 冒頭の質問に戻るんですけれども、我が国は裁判所、最高裁を含めて、これからつくる法律に対して裁判所が認めた範囲でどうのこうのとかはないわけで、それを解釈によってやっていった内容が七月の閣議決定以降やはり心配されているという中で、今これだけ違憲だという話も出てきた中で、これは本当にきちっと中身を議論しなきゃいけないですよ。そういった中で、やはりこれはしっかりと、こういうふうな声もあると思いますので、ここはこういった声があるということも真摯に受けとめていただいて、これからも考えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 国民の理解と意見の反映についてお伺いをさせていただきます。周辺事態については時間があればよろしくお願いします。

 法律案の制定の手続について、国民の理解と意見の反映という視点から、これは、最近の各種世論調査を見ても、反対が賛成を上回っているのが現状であります。国民の理解が深まっていない、十分な説明が行われていないというふうに報道のアンケート調査でも出てきたりしております。

 さらに、今月、六月四日、これはこの委員会でも何度も言われていますけれども、衆議院の憲法審査会で、憲法を専門とする方々三名をお招きして参考人質疑を行いました。その結果、いずれの参考人も、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認の柱、安全保障関連法案について憲法違反であるという認識を表明しています。

 十五日に地方公聴会が高知市で行われました。このときも、六人の方々のうち五人が、規範的にも問題があるとか、あるいは解釈で許されている範囲を本当に超えているんじゃないかというふうに言っています。これは研究者だけじゃなくて、市民の皆さんからもお声が上がっているということだと思います。

 安保法制関連の反対学者の会の声明が既にきのうあたりで五千件近くなっておりまして、これは、学際横断的に政治学上も憲法学上も結構いろいろな分野で大学で、ちょっとこれは話がかわりますけれども十八歳選挙権が通って、これから大学生の皆さんが学校へ行って政治学であれば規範を習って、自由とは何か、立憲主義とは何か、こういうことを教えている先生方です。教科書をつくっている先生方の名前も入っています。

 こういった方々がいる中で、さらに報道メディアが行った判例百選の執筆者に対する安保法制に関するアンケート調査も、最終結果が回答百五十一名のうち三名だけが合憲と言い切れるだろうということで、その他の方々は、違憲である、あるいは違憲の疑いがあるということを言ってきている。

 これはなかなかの結果だなというふうに思っていて、こういった現況下に、そうはいっても、もし本当に安保法制が、これからの日本の安全をどう守っていくかという根源にかかわるものであって、国民の意思をきちっと確認しながらやっていくということであれば、政府が今おっしゃっている合憲の範囲の中であるということであれば、違憲と言う方々と内閣との間で直接何か対話などを公開で行って国民理解を得るような場を、これぐらい大きな案件なので、つくることはできないのかと思っているんです。

 これは、済みません、ちょっと大きな話なので、大変申しわけありませんけれども、官房長官にお答えいただければと思います。

菅国務大臣 私たち政府の役割というのは、我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい状況に今なっています。そうした中で国民の皆さんの生命と平和な暮らしをどうしたら守れるか、守る責任が政府にはあります。そういう中で、今回この法案を提出させていただきました。

 先ほども申し上げましたけれども、かつて、自衛隊が発足した当時、憲法学者のほとんどは反対でした。また、PKO法案を国会で審議したとき、このときも自衛隊を出すべきじゃないと、ほとんどの方が反対でありました。しかし、先輩の皆さんは国会で議論をして法案を通して、今日があるわけであります。今日、自衛隊の皆さんにはPKO活動については八割から九割近い国民の皆さんの支持が得られておるわけでありますし、また今日までそうした平和な暮らしを守ってくる中で大きな貢献をされてきたことも事実じゃないでしょうか。

 そういう中にあって、まず、今回の法案は国権の最高機関であるこの国会で国民の代表の皆さんと政府の中で議論すること、これが憲政の常道だというふうに思っています。

 委員は横浜市会議員御出身でありますし、私も横浜市会議員出身でありますから、まさにきっと土曜日とか日曜日は地元に帰って座談会をやったり、あるいは街頭に立ったりしてそうした国民の皆さんの声を吸い上げて、今ここで質問をされているんだろうというふうに思います。私も今答弁していて、実は非常に感慨深いものがあります。そういう中で、国民の皆さんにどういう形で説明をしていくかということ、ここが極めて大事なことだというふうに思います。

 来週の月曜日には参考人招致も決定いたしておりますので、そうした場を通じながら、できる限り国民の皆さんの声を吸い上げていくことが大事だというふうに思います。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 ありがとうございますというのは、今の、場を設けるということじゃなくて、やはり大先輩でありまして、私も横浜市会議員時代から尊敬しております。

 そういったことも含めてでありますけれども、我々維新の会、維新の党としてはこれまで、住民の声を吸い上げるということであればこれはやはり本当に大きな話だと思います。大阪都構想をやらせていただいたときに我々維新は六百回以上タウンミーティングあるいは住民説明をやってきているんです。その中でやってきても、まだわからない、そういったことを言われました。

 六百回ぐらいやってもわかりづらいんですが、今回の法案というのはまさに日本の将来、未来を決めていく大きな形をつくる法案であります。そういったときに国民の皆様の意見を我々は吸い上げなければいけない。あのときは大阪市民の皆さんでしたけれども、大阪の方々ということで住民投票をやったんですよね。住民投票をやらせていただいて、そしてその結果が出たということでありますから、それは真摯に受けとめておりますけれども。

 こういった大きなものでありますので、場合によっては、最後にお伺いいたしますけれども、今回のものの重大性を鑑みて、これは例えば直接国民に信を問うべきほどの重大案件であるんじゃないかというふうに考えていますけれども、この内閣のかなめである官房長官、これはそのぐらい大きな事案だということを考えているということに対して御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私たち自由民主党は、選挙のたびにこうしたことを公約に掲げて、国民の皆さんに訴えて多数を得させていただいています。そして、この法案についても、全自民党所属国会議員が地元で説明をさせていただいたり、また街頭に立っての活動をさせていただいているところであります。

 維新の会で都構想で六百回ということでありますけれども、私どももそれぞれの所属の議員が地元でそうした活動をしていることもぜひ御理解をいただければと思います。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 残念ながら、安保法制までもかなり読み込んだ者にとっても、わかりづらいものになっていると言わざるを得ません。事例についても具体的なものが、きょうもありましたけれども、本当に、どこでどうシミュレーションして、どの地域でというのをやはり想定していかなければいけないし、そういったことの事例も出てきていないからわかりづらい。

 もう少し時間をかけて国民の納得を得てから法律を制定すべきですし、そのときには国民の意思を、皆さんの意思をやはり確認する何らかの手続を引き続き検討すべきだと思います。

 それだけ国民に影響の大きい法制であることをしっかりと考えていただいて、皆様方にしっかりと対応していただけますようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 いよいよ会期末まであとわずかとなりました。本委員会で審議すればするほど、国民の中では、今国会で成立はすべきじゃない、憲法違反だ、もうやめろという声が高まるもとでございます。

 まず初めにお伺いしたいのは、前回の宿題です。

 安全保障環境の根本的変容のもとで、他国が武力攻撃を受けたことによって武力攻撃を受けていない別の国の存立が根底から脅かされた世界の例があるのかと、私、前回聞きました。調べて回答するという御答弁でした。

 他国が武力攻撃を受けたことによって武力攻撃を受けていない別の国の存立が脅かされた例を挙げてください。

岸田国務大臣 まず、今、自国の国民の命や暮らしを守るために必要な武力の行使として新三要件に該当する行為につきましては憲法上認められるべきではないか、こういった議論をお願いしています。そして、その中の一部が限定された集団的自衛権として説明される部分があるわけですが、国際的に認められている集団的自衛権のうちの一部限定的なものが我が国の国民の命や暮らしを守るために必要なのではないか、こういった議論をお願いしているわけです。こうした議論でありますので、国際的な集団的自衛権の定義ですとか評価に比べまして、我が国は極めて限定的に、厳格な基準を設けて、限定的に認めるべきではないか、こういった議論になります。

 よって、今の御質問につきまして、過去の例において、国際的に類を見ない厳格な基準に基づいて、その基準に基づいて具体的な情報収集をしているわけではありませんので、これを当てはめることは大変困難なものがあります。

 そして、過去の例を見ましても、集団的自衛権の行使につきましては、国際法上、国連に対しまして報告するとされています。この報告の例を見ましても、我が国が適用しているようなこうした厳格な基準に基づいて報告を行っている国はないわけであります。自国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、こうした厳密な、限定された理由をもって国連に報告している事例は存在しないと認識をしています。

宮本(徹)委員 今の質問は、調べたけれどもなかった、存立危機事態に当たるような例は世界にはなかったということでよろしいんですか。

岸田国務大臣 我が国は、国際的にも類を見ない大変厳格な基準を設けて、その条件のもとに、限定的な集団的自衛権が国民の命や暮らしを守るために必要ではないか、こういった議論をお願いしています。

 このような厳格な、限定された形で集団的自衛権を考えている国は他国にはありません。他国の過去の例を見ましても、これだけ厳格な形で集団的自衛権を考えてそして行使している、こういった例は存在しない。そして、我が国としましても、こうした厳格な形でその時々、情報収集したわけではありませんので、こうした例を挙げるということは大変困難である、こういった御説明をさせていただいております。

宮本(徹)委員 今の話を聞くと、そういう角度で情報収集をやってきていないので大変だ大変だという話で、調べるというのが前回の答弁だったわけじゃないですか。

 国連に報告がないということは、今まで国連に報告された集団的自衛権の事例が十四ありますけれども、その中ではないということですよね、その十四件については。

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、集団的自衛権の行使につきましては国連に報告がされます。そうした報告例が十四あります。その十四の例を見る限り、我が国のように厳格な、厳密な条件をつけて集団的自衛権を行使している事例はないということを申し上げております。

宮本(徹)委員 ですから、私が聞いているのは、実際存立危機事態という例があったのかというところを聞いているわけですよ。国連には報告がないんですよ、そういう形での。存立危機事態の例があるのかと言ったら、そういう角度での報告がないのははっきりしているわけですよね。(発言する者あり)そういう概念がないというんじゃなくて、存立危機事態が起き得ると言っているから、今回の法案を皆さんは出しているわけでしょう。だから、存立危機事態の例は今まで起きたことがあるんですかということを聞いているわけですよ。

 そういう立法事実がないんだったら、この法案を出す資格はないですよ。世界のどこを探しても存立危機事態なんて起きたことはないんじゃないですか。結局、集団的自衛権行使に道を開くために、頭の中で空想的観念をつくり上げて存立危機事態なんというのをやっているだけじゃないですか。

 こんなことで憲法の解釈を百八十度変えるなんて許されないですよ。法案を撤回してください。

岸田国務大臣 世界各国におきましては、集団的自衛権を行使したということで国連に報告している事例が存在いたします。

 世界各国とも、国際法の判断に基づいて集団的自衛権を判断しているわけでありますが、そうした判断と比べて、我が国において国民の命と暮らしを守るために必要な武力の行使の範囲に含まれる限定的な集団的自衛権は、極めて限定的なものであるということを申し上げております。

 多くの国々の行使している集団的自衛権の範囲に比べて極めて限定的であるからして、今までの事例の中にこうした限定的な形で判断をしたりそして確認をした事例は存在しない、このように申し上げております。

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 岸田外務大臣。

岸田国務大臣 国際法上、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利とされています。こういった考えに基づいて、国連には過去十四、集団的自衛権を行使したという例が報告をされています。しかし、その中に、我が国の適用しているような厳格な理由に基づいて報告がされているものはございません。

宮本(徹)委員 十四の事例の中にはない、それははっきりしているわけですよ。十四の事例以外ないということでいいですよね。

岸田国務大臣 我が国が国民の命や暮らしを守るために必要とする限定的な集団的自衛権につきましては、厳格な基準を設けています。こういった基準に基づいて集団的自衛権が行使されたというように説明されている事例は存在いたしません。

宮本(徹)委員 はっきり言って、調べてくださいということを言って調べたけれども、なかったということなわけですよ。

 存立危機事態なんというのは、今まで世界の中で……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

宮本(徹)委員 安全保障環境の根本的な変容の中で、他国が攻撃されたことをもって別の国の存立が脅かされるなんということは起きたことがないわけですよ。(発言する者あり)あるかもしれないなんて言わないでくださいよ、示していないんだから。あるんだったら示してくださいよ。一つもないわけですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 不規則発言はやめてください。まして、不規則発言には答えないように。

宮本(徹)委員 結局、安全保障環境の根本的変容という問題も本委員会で議論されましたが、ホルムズ海峡の問題は、先日岸田大臣からも発言があったとおり、安全保障環境は前向きに変化している、存立危機事態など起こり得ないとなりました。

 それから、パワーバランスの変化ということを中谷大臣はおっしゃられましたけれども、民主党の長島議員から、旧ソ連があったときの新冷戦のときの方がよほど大きな脅威があった事態なんじゃないかということも明らかにされました。

 安全保障環境の根本的な変容で存立危機事態が起きるなんという話は一つも証明されていない。それどころか、そんなものはない、立法事実がないということがこの間明らかになってきていると思います。

 こういう事態の中で、会期を延長してこの法案を押し通すということは絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、これも前回の続きですが、自衛隊が武器を使用して防護する対象を外国軍隊にまで拡大した自衛隊法改正案九十五条の二について質問いたします。

 六月十日の質疑で、政府の答弁ではこの武器等防護について、重要影響事態の際に、日米の部隊同士でこれを防護するといった場合もありますし、必要な警護部隊、警護任務を持った自衛官あるいはその部隊、艦船などが派遣されるといった例もあると思います、こういう御答弁でした。そして、政府の言う戦闘現場でなければ輸送艦も空母も防護し得る、そして、空母の艦載機が爆弾、ミサイルを搭載して戦闘現場に飛び立っていく場合も、空母が政府の言う戦闘現場にいなければ、自衛隊がこの空母を防護することが可能だという答弁でした。

 アメリカの艦船を警護する部隊をつくって、そして自衛隊の艦船を派遣していく、これがどうして専守防衛なんですか。専守防衛にいささかも変わりがないどころか、他国防衛そのものじゃありませんか。

黒江政府参考人 現行の自衛隊法の九十五条によります武器の使用といいますものは、自衛隊の武器等という我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を防護するために認められておるというものでございます。

 他方、改正後の自衛隊法第九十五条の二は、この考え方を参考にいたしまして新設するというものでございます。

 すなわち、自衛隊と連携をしまして我が国の防衛に資する活動に現に従事をしている、こういう米軍等の部隊の武器等であれば我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当する、こういう評価ができるということで、これらを武力攻撃に至らない侵害から防護する、そういった極めて受動的かつ限定的な必要最小限の武器の使用を認めるという規定でございます。

 ここで申し上げております極めて受動的かつ限定的という点をやや具体的に申し上げますと、現行の九十五条による武器の使用につきましては、武器等の退避によってもその防護が不可能である場合など、他に手段のない、やむを得ない場合でなければ武器を使用することはできない、また、防護の対象の武器等が破壊された場合であるとか、あるいは相手方が襲撃を中止し、または逃走した場合には武器の使用ができなくなる、さらには、正当防衛または緊急避難に当たる場合でなければ人に危害を与えてはならないということになってございます。

 これらの厳格な要件が満たされなければ武器は使用できないわけでございまして、こうした要件は、新設する第九十五条の二による武器の使用につきましても同様に満たされる必要があるわけでございます。

 したがいまして、第九十五条の二によります武器の使用は、現行の自衛隊法第九十五条による武器の使用と同様な、あくまでも極めて受動的かつ限定的なものとしまして、憲法九条が禁止をしております武力の行使には当たらないということでございます。

宮本(徹)委員 全然聞いたことに答えていないんですよ。

 専守防衛にいささかも変わりないと言うけれども、米艦船を防護するために部隊をつくって出かけていく、これのどこが専守防衛なのか。我が国の防衛に資するといったって、我が国事態じゃないわけでしょうが、専守防衛から飛び出ているのは明確ですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に。

宮本(徹)委員 そして、私も武力の行使と武器の使用の問題を改めて調べました。国会でもこの問題は議論が重ねられてきました。

 日本有事でない事態に海外で自衛官が武器を使うことが許されるのかと初めて問題になったのがPKO法案のときでした。このときの政府の見解は、PKOでは、もしものときの自己保存のときは自衛官が武器を使ってもいい、任務遂行だとか他国の部隊のためではなく、自己保存の自然的権利だと説明をされました。それはきょうお配りしているペーパーの一ページ目ですね。

 そして次に、一九九九年の周辺事態法のときに、このペーパーの裏のような政府見解が出されました。今度はアメリカ軍の支援を行う、そして、日本の領域外に出かけていって武器を使用するということになったので、武器の使用は自己保存のときに限られないという見解を出したわけであります。

 そして、その際に、先ほどお話があったとおり、自衛隊法九十五条での武器使用は、あくまで現場にある防護対象を防護するための受動的な武器使用だ、自衛隊の武器等という我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為だから、憲法で禁止された武力の行使に当たらない、こういう見解を出したわけですね。

 経過はこういうことでよろしいですよね、大臣。

中谷国務大臣 はい、そのとおりでございます。

 なお、今回の九十五条の二の武器使用も、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為だということで、認定をしたわけでございます。

宮本(徹)委員 それで、この九九年の「自衛隊法九十五条に規定する武器の使用について」の見解というのは、今もこれは維持されているという理解でよろしいわけですね。

黒江政府参考人 現在も同様に維持をされております。

宮本(徹)委員 この見解は維持されているということでございました。

 ですけれども、この九十五条の解釈と、今度の九十五条の二でやろうとしていることは全く違うわけですよね。今までは、受動的な武器使用だ、あくまで現場にある、手元にある自衛隊の自分の武器を守る受動的なものだというふうに言ってきたわけですけれども、今度は、アメリカ軍の要請を受けて、そして専らアメリカ軍を警護する部隊をつくり領域外に出かけてアメリカ軍を防護する、これも入っているわけですよ。これのどこが受動的なんですか。極めて積極的、能動的な行動じゃないですか。

黒江政府参考人 現在の九十五条につきましても、その運用に当たりましては、必要な自衛官、あるいはその自衛官により構成されます部隊に対しまして警護の命令といったものを出して運用しておるわけでございます。

 また、先ほど来のお尋ねでございますが、私ども申し上げておりますのは、あくまでも我が国の防衛に資する活動を自衛隊とともに行っている、そういう部隊が防護対象になる。こういった部隊の装備しております武器等につきましては、自衛隊の武器、すなわち防衛力を構成する重要な物的手段というものに匹敵する、そういう考え方でこの条文をつくっておるということでございます。

 したがいまして、現行の九十五条の考え方と、新設をいたします九十五条の二の規定の考え方というのは全く同じであるということでございます。

宮本(徹)委員 そんな詭弁は誰も理解できないですよ。論理の飛躍があるわけです。何で、自衛隊の武器と、海外で、我が国防衛のためにも働いていない、防衛に資するという大変広い概念で動いている米軍の武器が同等なんですか。そんなものは誰も納得しないですよ。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

宮本(徹)委員 はっきり言って、政府はこれまで、受動的だから憲法違反にならないと言ってきたわけですよ。今回は、繰り返して言いますけれども、アメリカ軍の艦船を防護するための部隊をつくるわけですよ。そういう答弁をしたわけですよ、前回。わざわざつくってそして出かけて、攻撃があったら反撃する。こんなもの、どこが受動的なんですか。積極的、能動的だと誰が考えたって思いますよ。そう思わないですか、大臣。

中谷国務大臣 米軍等の部隊の武器等であっても、まず、我が国の防衛に資する活動に用いられるものであれば我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当するものと評価できると考えられるということで、これらを武力攻撃に至らない侵害から防護するために、現行の自衛隊法の九十五条による武器の使用と同様な、極めて受動的かつ限定的な必要最小限の武器使用を認めるということでございます。

 そして、もう一点。運用上、防衛大臣は、警護の要請を受けて、その都度、米軍等の部隊の活動の内容、目的、当該活動が行われる状況等を踏まえて警護の必要性について判断することとなっておりまして、こういった点におきまして慎重に運用していくわけでございますが、この法律の趣旨、先ほど御説明をした範囲内で実施するということでございます。

宮本(徹)委員 全然、全く答弁になっていないですよ。これまでの政府見解は、受動的だと言っている。今度やる行動は、誰が見ても能動的、積極的に出かけて武器を防護するということになっているわけですよ。これまでの政府見解に反しております。この問題での明確な政府の統一見解を求めたいと思います、委員長。

浜田委員長 理事会で協議します。

宮本(徹)委員 続いて聞きますが、自衛隊が米軍の警護任務についたり、自衛隊と米軍が部隊同士で防護をするということになるわけですけれども、この際、武器の使用基準というのは自衛隊と米軍は同じなんでしょうか、それともばらばらになるんでしょうか。

黒江政府参考人 自衛隊法の九十五条の二に基づきまして自衛隊が米軍を防護するといった場合の武器使用のあり方でございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、極めて限定的かつ受動的な要件に基づいて行われるというものでございます。

 また、先ほど大臣から御答弁がありましたけれども、これにつきましては、それぞれの行動につきまして、米軍から要請を受けて、これについて一つ一つ大臣が判断をした上で行うものでございます。

 したがいまして、当然のことながら、米軍との間では、自衛隊が行います武器使用の形態、要件といったものについては、事前にきちんと意思疎通を図った上で実施をするということでございます。

宮本(徹)委員 一緒なのかどうなのかというのを聞いたわけですよ。意思疎通を図ってどうするのかということを聞いているわけですよ。

 アメリカには標準交戦規則が御存じのとおりあります。SROEですね。これによれば、共同の場合は他国の軍隊とのROEの共通化を進めるというふうに書いております。こういう道に踏み出していったら、ROEの共通化をアメリカに求められるんじゃないんですか、大臣。

中谷国務大臣 あくまでも我が国の判断によりまして武器使用基準を実施するということでございます。

宮本(徹)委員 いや、求められるかどうかというのを聞いたわけですが、日米ガイドラインはこう書いているわけですね。「平時から緊急事態までのあらゆる段階において自衛隊及び米軍により実施される活動に関連した政策面及び運用面の調整を強化する。」とあります。ばらばらでやるとは書いていないわけですね。「政策面及び運用面の調整」の対象にはROEも入るんじゃないですか。

黒江政府参考人 ただいま委員はガイドラインをお引きになられましたけれども、確かにそういう記述はございます。これは、同盟国であります米国との間で、平素から、政策調整を初めとしまして、意思疎通、共通化を図るというのは当然でございます。

 他方、同じガイドラインの中には、それぞれの国が憲法を初めとするそれぞれの法律に従って行動するということを認め合っておるわけでございます。これもガイドラインに明文で書いてあるわけでございます。

 したがいまして、相手方の法規範に基づく行動についてお互いを尊重する、そういう前提のもとで我々の同盟関係というのは成り立っておるということでございます。

宮本(徹)委員 アメリカ軍の二〇〇五年版の標準交戦規則は、平時のセルフディフェンスを三つに分けて説明しております。固有の自衛の権利と国家自衛と集団自衛、三つあります。米国以外の部隊を防衛するのは集団自衛に分けられております。英語ではコレクティブセルフディフェンスと書かれておりまして、大統領または国防長官だけが許可できるとされております。ですから、自衛隊がやろうとしていることというのは、この米軍の標準交戦規則でいえば集団自衛に当たり、固有の自衛の権利には入っていないということは指摘しておきたいと思います。

 そして、米軍の標準交戦規則では、敵対的行動のみならず、敵対的意図に対してもセルフディフェンスはなし得るんだということを書いています。つまり、先制攻撃ができるということが書いてあるわけですよね。

 だから、米軍を防護するという道に踏み出すということは、こういうことの共通化まで求められていくという危険な道ですし、あるいは、一緒に行動しているときは、米軍はためらわずに先制攻撃をする、そこに巻き込まれる危険もある道だということを指摘しておきたいと思います。

 そこで聞きますが、自衛隊は二〇〇〇年に部隊行動基準を作成する訓令を出しまして、事実上の交戦規定が初めてつくられました。それでお伺いしたいんですけれども、日米新ガイドライン並びに仮にこの法改正が行われた場合、これに基づいて部隊行動基準は改定するんでしょうかどうでしょうか、お答えください。

黒江政府参考人 お尋ねの部隊行動基準につきましては、これはまさに自衛隊の手のうちでございますので、個々具体的にその内容について、どのようなものを定めるのか等々につきましてお答えすることはできないということを御理解いただきたいと思います。

宮本(徹)委員 いや、改定するのかどうか。全部明らかにしろなんて言っていないですよ。今回のガイドラインと法改正がもし行われた場合に、部隊行動基準を改定するのかどうかというのをお伺いしているんですよ。大臣、どうですか。

黒江政府参考人 個別具体的なものに対しまして我々がどのような基準を設けるのかといったことも含めまして、これは我々の手のうちでございますので、これをお答えすることはできないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

宮本(徹)委員 いや、できないとかなんとか言っていますけれども、日経新聞なんかの報道でも、ROEは今後改定することが報道されているじゃないですか。何でそのことも答えられないんですか、大臣。ROEを改定するんじゃないですか。

中谷国務大臣 報道につきましてはいろいろな報道があるかもしれませんけれども、我が防衛省といたしましては、ROEについてお答えをするということにつきましては、これは控えておくべきことだというふうに思っております。

宮本(徹)委員 二〇一三年に安倍首相自身が、ROE改定は検討するということを国会で答弁されていますよ。何でそんなことも隠すのか。

 新ガイドラインで、緊密な日米が協議、運用面での的確な調整をやっていくということを言って、結局、アメリカの軍事作戦に自衛隊運用のルールまで合わせられていく。もし仮に今回、この部隊行動基準を改正していくということになったら、交戦権を否認している日本が海外に出かけて米軍防護をするための交戦規則を持つことになる。憲法を踏みにじる重大な事態になるわけですよ。だから私は聞いているわけですよ。

 委員長、自衛隊の現行の部隊行動基準の考え方、そして今後の部隊行動基準の考え方、これについて本委員会に資料提出を求めたいと思います。アメリカだって考え方の基本は出していますよ、全部は出していないですけれども。ROEを出しているわけですから、考え方は。これはぜひ出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

浜田委員長 理事会で協議します。

 宮本徹君、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。

宮本(徹)委員 最後に砂川判決の問題もきょうはどうしてもやりたかったわけですけれども、時間がございません。

 この憲法違反の法案の撤回と、国会延期など断じて許されないということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

浜田委員長 次回は、来る二十二日月曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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