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性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、アスリートや客室乗務員に対する盗撮が社会問題となっていることを踏まえ、正当な理由がないのに、性的姿態等以外の人の姿態又は部位(衣服により覆われているものを含む。)を性的な意図をもって撮影する行為等を規制することについて検討を行うこと。

二 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、本法及び今般の改正後の刑法の運用状況を踏まえ、十三歳以上十六歳未満の者を対象としてその性的姿態等を撮影する行為等の年齢差要件について検討を行うこと。

三 第四章に規定する電磁的記録の消去等が速やかに実施されるよう、検察官に対し必要な研修を行い、法曹関係者に周知すること。

四 本法第二条第一項第四号において十三歳以上十六歳未満の者に対する五歳以上年長の者の性的姿態等の撮影行為を処罰することとしているのは、両者の間におよそ「対等な関係」があり得ないと考えられることによるものであって、両者の年齢差が五歳差未満であれば「対等な関係」であるとするものではないのであるから、同項第二号及び第三号の規定の適用に当たっては、とりわけ、これらの規定に定める撮影行為をする者が十八歳以上であり、かつ、その相手方が十六歳未満である場合には、むしろ、十六歳未満の者にとっては年齢差がその意思決定に及ぼす影響が大きいことに鑑みると、十八歳以上の者が十六歳未満の者の対象性的姿態等を撮影する行為は、同項第二号で定める改正後の刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由の「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」等により「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」の要件や、本法第二条第一項第三号の「行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ」の要件に該当し得ることに留意すること。

五 子どもに対する撮影行為の被害がとりわけ深刻であることに鑑み、子ども、学校関係者及び保護者に対して本法の趣旨について効果的な啓発を行うこと。また、啓発のために必要な予算を確保するとともに、司法警察職員等の関係者に対しても、本法の趣旨を周知徹底し、十分な研修等を行うこと。

六 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、本法により新設された性的姿態等撮影罪等について、その発生状況、政府における対応の状況、被害の実態等を継続的に把握し、被害者救済の観点から検証を行うとともに、性的姿態等の撮影の同意後にこれを撤回したにもかかわらず撮影した影像を記録した物を所持し続ける場合及び国外で日本国民以外の者が行った場合の罰則の新設について検討を行うこと。

七 性的姿態等撮影罪等の被害者が実効性のある支援を受けられるよう、警察、ワンストップ支援センター、日本司法支援センター、民間の支援団体その他の関係機関・団体相互間の連携の強化を図るなどして、相談体制や支援環境の整備に努めること。

 

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