裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 民事訴訟手続の審理期間及び合議率の目標を達成するため、審理期間が長期化している近年の状況を検証し、審理の運用手法、制度の改善等に取り組むとともに、産業の高度化や国際化に対応できるよう裁判官の能力及び職責の重さの自覚の一層の向上に努めること。
二 裁判所職員定員法の改正を行う場合には、引き続き、判事補から判事に任命されることが見込まれる者の概数と判事の欠員見込みの概数を明らかにし、その定員が適正であることを明確にすること。
三 平成二十五年三月二十六日、平成二十八年三月十八日、平成二十九年三月三十一日、令和二年四月三日、令和三年三月十二日及び令和四年三月九日の当委員会における各附帯決議等を踏まえ、最高裁判所において、引き続き、判事補の定員の充足に努めるとともに、判事補の定員の在り方について、現実的な実員の増減見通しも踏まえて更なる削減等も含め検討していくこと。
四 現在の法曹養成制度の下で法曹志望者の数について顕著な改善傾向が見られないことを踏まえ、そのことが法曹の質や判事補任官者数に及ぼす影響につき引き続き必要な分析を行い、その結果を国会に示すとともに、同制度や法改正の趣旨を踏まえた更なる法曹養成機能の向上、法曹志望者の増加等に向けた取組をより一層進めること。
五 裁判手続等のデジタル化の進捗状況を踏まえ、合理化・効率化が可能な事務と注力すべき事務をそれぞれ考慮した上で適切な人員配置を行うよう努めるとともに、裁判官以外の裁判所職員の労働時間を把握し、適切な労働環境を整えること。