総合法律支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)が本法において定められた犯罪被害者等支援弁護士制度に係る業務を遅滞なく開始し、その目的を十分に果たすことができるよう、必要な予算の確保及び体制の整備に努めること。
二 犯罪被害者等が、適切な支援を利用し、迅速かつ円滑に被害を回復することができるよう、本法の趣旨並びに関係府省庁及び法テラスが実施する犯罪被害者等支援施策の全体像について十分な周知広報に努めること。
三 犯罪被害者等支援施策には様々な実施主体による多様な支援があること、犯罪被害者等に対し被害直後から包括的かつ継続的な支援を行う必要があることなどを踏まえ、各犯罪被害者等支援施策を実施する関係機関の緊密な連携体制を構築するよう努めること。
四 あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現するため、全国的なバランスを踏まえながら、犯罪被害者等支援業務を行う契約弁護士等の数及び質の確保に努めること。
五 犯罪被害者等に対する包括的かつ継続的な援助を速やかに実現するため、本法の運用に係る政省令の策定等に向けた取組を直ちに行うこと。
六 犯罪被害者等に対する支援の実施に当たっては、支援が必要な者に適切な支援がなされるよう、犯罪被害者等支援弁護士制度の対象者の該当性を適切に判断するとともに、費用負担を求める基準及びその負担額を定めるに当たっては、同制度の利用を必要とする犯罪被害者等がその利用を躊躇することのないようにすること。
七 犯罪被害者等支援弁護士制度の対象者として、異性であるか同性であるかを問わず、犯罪被害者と事実上婚姻関係と同様の事情にある者を加えることについて、犯罪被害給付制度に係る令和六年三月二十六日付け最高裁判決の趣旨及び現行の犯罪被害者等支援施策全体の動向等を踏まえつつ、検討すること。
八 施行後の本法の運用状況を勘案し、我が国及び諸外国における犯罪被害者等施策の動向も踏まえ、本法による支援の対象となる犯罪、資力要件及び支援内容等について検討すること。