刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議
政府及び最高裁判所は、両法の施行に当たり、特に次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 施設内処遇と社会内処遇の連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。加えて、再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割の重要性に鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、緊密な連携強化を図っていくこと。
二 裁判員裁判においても刑の一部の執行猶予の適用がなされ得ることを踏まえ、裁判員に対して制度の趣旨及び内容についての情報提供が十分に行われるよう努めるとともに、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、その趣旨の徹底に努めること。
三 社会貢献活動の実施後、事例の収集を行うとともに、一定期間経過後にその効果の検証及びより改善更生に資する運営を行うために外部の有識者も入れた会議を設置して調査・検討を行うとともに、薬物事犯者の処遇に当たっては、関係機関との更なる連携を強化し、本制度の施行後、両法の対象となった者の再犯状況を検証し、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。