気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 熱中症による死亡者数ゼロを早期に実現するため、熱中症対策の総合調整機能を担う環境省の主導により、関係府省庁の連携を一層強化し、実効性ある施策を展開すること。
二 熱中症特別警戒情報の発表基準については、人の健康に重大な被害が生ずるおそれがある場合を的確に判断する必要があることから、現行の熱中症警戒アラートの運用上の課題を踏まえつつ、適切な指標を設けること。また、運用に際しては、地方公共団体等に対する迅速かつ確実な情報伝達の方法を検討すること。
三 指定暑熱避難施設の指定基準については、市町村の自主的な取組が妨げられることのないよう、地域特性等を踏まえた仕組みとすること。また、施設が利用しやすくなるよう、高齢者などの熱中症弱者の移動に配慮するなど必要な措置を講ずること。
四 市町村における熱中症対策普及団体の指定については、地域の実情を踏まえ各市町村の主体的な判断で実施できるように配慮すること。また、熱中症対策普及団体の利用する個人情報の取扱いについて、漏えいや不適正な利用が生じることのないよう万全の措置を講ずること。
五 地方公共団体における熱中症対策の実情を踏まえ、体制整備のために必要な支援措置を十分に講ずること。
六 熱中症に関する調査研究成果などを含む熱中症ガイドブックなどを作成し、子どもや高齢者向けの熱中症予防方法を分かりやすく国民に伝えること。
七 住宅等の断熱の加速化やエアコン設置支援なども含めた適応策及び緩和策の両輪の取組を推進すること。
八 今後十年の気候変動対策が数千年にわたり影響を与えるとのIPCC第六次評価報告書統合報告書の指摘に鑑み、新興国等の温室効果ガス排出抑制に関する技術協力などを総合的に推進させるとともに、適応に関する施策を総合的に推進すること。
九 都市部のヒートアイランド化を防止するため、農地の維持のほか、都市公園や個別の民間の樹木の保護、オフィスビルの屋上等の緑地化など都市部の緑地化を推進すること。
十 住宅の断熱化と都市の緑化に力を注ぎ、相乗的にヒートアイランド化の防止に努めること。
十一 熱中症対策は事後処置だけではなく、予防措置にも注力すべきであることから、都市の緑化を維持・推進する仕組みや、各家庭での花壇造成の奨励などの国民が参加する施策を積極的に取り入れ、国民的意識も創造しつつ野心的緩和策の加速化を図ること。