南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 我が国が本年議長国を務めた第四十八回南極条約協議国会議の議論の結果も踏まえ、環境保護に関する南極条約議定書の附属書VIの早期発効に向けて、各国に働きかけるなど主導的役割を果たすこと。加えて、南極地域の平和的利用、科学的調査の自由及び国際協力の促進等を基本原則に掲げる南極条約をはじめとする国際的枠組みの下で、南極地域の環境保全の実効性確保が図られるよう、積極的な取組を進めること。
二 南極地域における観光の活発化により、環境上の緊急事態が発生する蓋然性が高まっていることに鑑み、南極地域の環境保全について、旅行業者及び観光客に対する周知啓発の更なる充実に努めること。また、南極地域の環境保全を図るため、観光への規制の在り方について検討すること。
三 本法の円滑な運用を図るため、環境上の緊急事態について、南極条約協議国会議等において提供される過去の事故の事例を含め、引き続き知見を収集しつつ、南極地域という特殊な環境で起き得る事態とその対応措置について十分に検討し、本法の実効性担保に必要なガイドラインを計画的に作成すること。また、作成したガイドラインについては、各締約国の国内実行の参考となるよう情報共有を行うとともに、南極地域の自然環境及び観光客の増加等社会環境の変化を踏まえた見直しを定期的に行うこと。
四 南極大陸への上陸を伴わない南極地域の海域のみで行われる観光活動及び科学的調査活動についても新たに事前確認の対象となることに鑑み、新たな適用対象者への手続の周知を行うとともに、学術活動の迅速性を阻害することのないよう必要な配慮を行うこと。
五 本法の実効性を確保するため、南極地域への環境省職員の派遣を引き続き実施し、南極地域における観測活動に伴う廃棄物等の適切な処理の確認等に万全を期すること。また、南極地域の環境保全に継続して取り組む専門的な人材の育成・確保等、体制の整備を行うこと。
六 我が国の南極地域観測事業が気候変動、プラスチック汚染等による地球環境への影響の調査に重要な役割を果たしていることを踏まえ、継続的な事業実施のための体制の充実及び南極観測船「しらせ」の後継船も含む予算の確保に努めること。
七 南極地域における観測活動に伴って生じる環境負荷を低減させるため、活動に必要なエネルギー供給源の改善や最適化を進めるとともに、エネルギー消費の少ない設備や機器への計画的な更新を行うこと。

