自然環境保全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 沖合海底自然環境保全地域の指定に当たっては、海山、熱水噴出域及び海溝等を中心として、可能な限り多様な生態系が含まれる区域が指定されることとなるよう配意すること。また、絶滅のおそれがある種が存在する可能性がある場合における種の保存法に基づく科学委員会や多様な利害関係人など、幅広い意見を聴取した上で検討すること。
二 沖合海底自然環境保全地域の保全措置の実効性を確保するため、改正法第三十五条の六の規定に基づく立入調査等を機動的に行うなど、同地域の保全活動を関係者等と協力して行うよう努めること。
三 我が国の生物多様性保全上重要な海域を後世に引き継ぐために、沿岸域を含めた我が国の周辺海域について、自然環境保全基礎調査による調査を充実させ、海洋保護区の指定の推進を図ること。また、的確な調査の実施のために十分な予算及び人員を確保するよう努めること。
四 海洋保護区の設定に当たっては、平成二十八年四月に環境省が公表した「生物多様性の観点から重要度の高い海域」を踏まえ、沖合域に限定することなく、幅広く海洋保護区化を推進するよう努めること。また、持続可能な漁業と生物多様性保全の両立を目指した保護区の創設など、我が国における海洋保護区の在り方について幅広く検討すること。
五 海域の生態系と密接なつながりを持つ陸域の生態系については、絶滅危惧種の多くが里地里山に生息・生育することから、人の手が入ることで保たれる自然環境の保全を目的とした保護区の在り方についても検討を進めること。
六 保護区の設定による生物多様性保全が有効であるかを検討した上で、改正法の施行五年後を目途に本改正内容の見直しを検討すること。