地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 地域共生型再生可能エネルギーの導入を促進するため、再生可能エネルギーを導入する促進区域を都道府県と市町村が共同で設定することが可能となる本法の趣旨を踏まえ、地域脱炭素化促進事業制度の活用が進むよう地方公共団体に促すこと。
二 地域脱炭素化促進事業の推進に当たり、市町村への財政的・人的な支援及び事業者への優遇措置等を更に強化する方策を検討すること。
三 「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律」の成立を踏まえ、促進区域の設定を行う場合には、民間等による生物の多様性の増進のための活動と再生可能エネルギーの導入との整合を図るとともに、法律の施行状況を踏まえ、地域の環境の保全のため地域脱炭素化促進事業の対象としない区域設定に係る制度の導入を検討すること。
四 再生可能エネルギーの導入推進に当たっては、国民生活を圧迫することがないよう配慮するとともに、環境破壊、景観破壊、乱開発を引き起こさぬよう配慮すること。また、太陽光発電設備等の施設の廃止後を見据えた法整備及び災害対策の強化に係る検討を行うこと。
五 国際協力排出削減量関係事務を担う指定実施機関の事務の実施については、外交上の情報や企業の技術情報が漏洩することのないよう留意するとともに、効率的で正確に行われるよう適切な監督を行うこと。
六 二国間クレジット制度における特に新しい技術を活用したプロジェクトの組成・実施に当たっては、石炭火力発電の廃止に向けた海外の動向に留意し、パートナー国の脱炭素社会の実現に資するものとなるよう努めること。
七 パリ協定に沿って先進国が排出削減の先頭に立ち、世界全体の排出削減に貢献するという考えの下、二国間クレジットの国が決定する貢献のための利用に当たっては、パートナー国の承認を受けること。
八 温室効果ガスの排出量の少ない製品・サービスの普及に当たっては、各国でグリーンウォッシュ規制が進んでいる現状を踏まえ基準の統一に向けた検討を行った上で、事業者による算定・表示が進むよう支援をするとともに、国民の意識の醸成に努めること。
九 地球温暖化対策に関する国民の意識改革・行動変容に繋がるよう、幼児期から発達段階に応じたきめ細かな環境教育の機会を設け、地球環境への関心と理解を持ち続けることを促すための環境教育の一層の推進を図ること。
十 地球温暖化対策の実施の推進に関する重要事項について調査審議する際には、従来の意見募集などの方法だけでなく、国民理解を充実化させ、行動変革を実現するため、国民の広範な意見を十分に施策に反映できる仕組みを検討すること。また、上述の調査審議のために政府に常設されている審議会等において、将来世代を担う若者の声を反映させる機会を設けること。
十一 地球温暖化に伴う気候変動の激化に起因する深刻な影響が頻発する現状に鑑み、気候変動に対する根本的・総合的な対策について省庁横断的に法制度の在り方を検討し、その結果に基づき、法整備その他の所要の措置を講ずること。