中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 中小企業の経営の安定及び資金調達の円滑化を図るため、経営者保証に依存しない融資を一層促進すること。
また、事業承継の際の障壁となっている経営者保証の解除については、「経営者保証に関するガイドライン」及び同ガイドラインの特則の周知を図り適切な運用を促すとともに、本法により新たに措置される信用保証制度の活用状況及び経営者保証解除による事業承継促進への効果について適時検証し、円滑な事業承継が実現するよう、必要に応じて更なる対応策について検討すること。
二 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う景気悪化の中、中小・小規模事業者の廃業や倒産の回避のため、万全の対策を講じること。加えて、後継者が見つけられず廃業に追い込まれる中小企業が増加しないよう、第三者承継や中小M&A市場の活性化を含む施策を講じるとともに、税制面・予算面も含めた更なる支援策を早急に検討すること。
三 中小企業の海外展開支援については、新型コロナウイルス感染症の影響によるサプライチェーンの多様化や国内における生産拠点の再構築の動向等も踏まえるなど、中小企業のニーズを把握した上で、的確な支援策の充実を図ること。
また、中小企業が新型コロナウイルス感染症を契機に世界で生まれる新たな需要に対応できるよう、情報提供やニーズの発掘、マッチング支援等、資金面以外の支援もあわせて強化すること。
四 各種計画制度の整理統合に当たっては、これまでの計画制度の運用実績、効果等の検証を的確に行い、事業者にとってより使い勝手のよいものとなるよう見直すとともに、既存の制度を活用してきた中小企業に混乱が生じないよう、情報の周知徹底を図ること。また、計画の申請手続については、可能な限り簡素なものとし、事業者の負担軽減を図るとともに、とりわけ、計画の電子申請については、申請書類等の合理化とあわせ、事業者間のデジタル・デバイド(情報格差)に十分に配慮しつつ取り組むこと。