情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 デジタル経営改革の推進については、個人情報の保護に万全を尽くすとともに、我が国の産業競争力の強化が図られるよう、外部専門家の知見、アドバイスを積極的に取り入れ適切な指針の策定を行い、超少子高齢化及び労働力人口の減少を踏まえた経済社会情勢の急激な変化、デジタル技術の進化に対応できるよう適時見直しを行うこと。また、認定制度の導入に当たっては、企業規模を問わない制度設計を行うこととし、「二〇二五年の崖」の克服に向けてレガシーシステム刷新への集中的な取組を加速させるとともに、レガシーシステムを持ち合わせていない企業についても新たなデジタル経営改革への取組の促進に資するよう更なる支援措置を検討すること。
二 IoT、AI、ビッグデータなど先進的なデジタル技術を活用するためのアーキテクチャ構築に当たっては、様々な産業や事業者が関わることからニーズの把握を十分に行うとともに、日本企業が世界規模で進んでいる技術開発や標準化、ルール形成等をリードすることができるように、コネクテッド・インダストリーズの重点分野を中心に戦略的な取組を進めること。
三 クラウドサービスの安全評価体制の構築に当たっては、官民双方が安全・安心にクラウドサービスを採用し、継続的に利用していくため、利用者の権利保護の観点を踏まえ、個人情報の保護に特に配慮し、災害やサイバー攻撃といったあらゆるリスクに備えるとともに、政府においてもクラウドサービス関連技術の利用に適した体制整備を進めること。
四 デジタル社会において重要性を増す高度IT人材・セキュリティ人材の育成・確保については、求められる人材像を明確にするほか、産学連携による実践的な人材育成など、地方の実情も踏まえた具体的な取組を総合的に進めること。情報処理安全確保支援士については、資格保有者、企業の双方にとって制度を活用するインセンティブが高まるような取組も含め、質の高いセキュリティ人材の確保に資する制度運営に努めること。
五 ソサエティ五・〇の実現に向け、企業におけるデジタル経営改革の必要性について、中小企業を含め経営者、従業員、関係者からの理解が得られるよう、具体例をわかりやすく明示するなどの方法により、更なる普及啓発に努めること。また、企業だけでなく、個人のITリテラシーを向上させるための取組を進めること。