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中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 

一 経営者保証を求めない信用保証制度の要件については、貸倒れの増加による信用保険財政の悪化や会社財産の経営者への流出による従業員や取引先の不利益を防ぐ見地から、一定の経営規律等を担保する客観的かつ具体的な要件とするとともに、一般の中小企業者にとって充足困難な要件とならないよう留意すること。また、信用保証制度における取組が、中小企業金融全体における経営者保証に依存しない融資慣行の確立に道筋を付けるものとなるよう、関係省庁の連携の下、その実効性の確保を図ること。

 

二 既に契約済みの経営者保証及び第三者保証についても、可能な限り保証人の責任を軽減する方策を講じ、必要な措置をとること。

 

三 融資を受ける事業者が本改正に定める一定の要件を満たし、信用保証協会が当該事業者に経営者保証を徴求できなくなった場合において、当該保証対象である金融機関による融資について当該金融機関が経営者保証を求めることがないよう働きかけるとともに、本改正の趣旨や内容の説明を徹底するよう努めること。また、事業者が失敗しても、その経験を生かして再挑戦できる事業環境をつくり、わが国において一層の起業の促進を図る観点から、金融機関によるいわゆるプロパー融資についても、経営者保証を求める場合には、求める理由を明確に説明するよう、金融機関に働きかけを行うとともに、金融庁の監督指針でガイドラインにのっとった運用が適正になされるよう徹底すること。

 

四 株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)における過去の不正事案が発生した根本原因を再確認し、政府保有株式の全部処分後においても、商工中金による自律的なコンプライアンス及びガバナンス態勢の更なる強化に向けた取組が着実に実施されるよう、再発防止に向けて適切に監督すること。

 

五 特別準備金及び危機対応準備金については、民間金融機関のみでは対応が困難な分野への積極的な資金供給や、危機対応業務を適切に実施するための原資として活用するものとし、特別準備金及び危機対応準備金が民間金融機関との競争上優位性のあるものとして活用され民業圧迫が生じることがないよう、必要最小限の保有金額とするなど適切な管理に努めること。

 

六 商工中金の政府保有株式の全部を処分するまでの間において、商工中金の取締役の選任に関し、株主としての権利を行使するに当たっては、民間企業等において中小企業金融に関する豊富な経験と優れた実績を有するなど、商工中金において自主性及び創造性にあふれ、効率的な経営を行うことのできる資質及び能力を有している者が選任されるよう、特に配慮すること。

 

七 商工中金の完全民営化の実現に向けて、自己資本の充実の状況や危機対応業務を含む事業の状況等を適切に勘案し、商工中金に対する国の関与の在り方について十分な検討を加え、その結果について公表すること。また、完全民営化後においても、商工中金が中小企業による中小企業のための金融機関として中小企業に寄り添った支援を継続的に実施するよう、必要な措置を講ずること。

 

八 商工中金の危機対応業務とその他の業務を区分するなどして、それぞれの業務の財務状況が明らかになるようにすること。

 

九 商工中金の政府保有株式の全部処分に当たっては、本法の公布から二年以内に、公正な価格及び方法による売却が行われるよう、十分配慮すること。

 

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