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原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対す

る附帯決議

 

 

 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 

一 核燃料サイクル政策は、今後の原子力発電所の稼働量、再処理施設の稼働時期、技術革新、国際情勢等と密接に関係しており、事業期間も長期にわたるため、将来の状況の変化に適切に対応できるよう柔軟性を確保すること。そのため、将来的に状況が変化し、政策の見直しが必要となるような場合には、政府は責任を持って、本法律案についても見直しを検討し、必要な措置を講じること。

また、本法附則第十六条の規定に基づく見直しに当たっては、政府答弁や附帯決議を踏まえて行うこと。

 

二 核燃料サイクル政策の将来における幅広い選択肢を確保する観点、さらに、すでに発生している研究炉の使用済燃料や福島第一原子力発電所の使用済燃料対策の観点から、使用済燃料の直接処分や暫定保管を可能とするための技術開発や必要な措置など、多様なオプションの検討を進めること。

 

三 プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、政府は原子力事業者に対して、この原則を認識したうえで再処理事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する再処理等事業の実施中期計画を認可法人が策定した場合には、経済産業大臣はこれを認可しないものとすること。

 

四 認可法人が策定する再処理等事業の実施中期計画を経済産業大臣が認可する際には、原子力の平和利用やプルトニウムの需給バランス確保の観点から、原子力委員会の意見を聴くものとし、その意見を十分に斟酌して認可の適否を判断するものとすること。

 

五 再処理事業が及ぼす影響は、地域振興から国際安全保障に至るまで幅広いため、事業の推進に際しては、事業を総合的・大局的な観点から評価する仕組みを構築すること。

 

六 使用済燃料の貯蔵能力の強化や高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定を巡る課題の解決に向け、国がその責任と役割をより一層明確にしながら的確に対応すること。

また、使用済燃料の安全な貯蔵は、短期的のみならず、中長期的にも必要なものであり、政府の積極的かつ責任ある関与のもと、乾式貯蔵施設等による中間貯蔵能力の拡大を進めるものとすること。

 

七 使用済燃料の再処理等を進めるに当たっては、青森県、六ヶ所村など立地自治体等関係者の理解と協力が不可欠であることに鑑み、今後とも再処理事業について、これら立地自治体等関係者との信頼関係の下で、円滑かつ連携して進められるよう留意すること。

 

八 安全確保を大前提に、再処理等事業を適切かつ効率的に進めていくためには、これまで蓄積されてきた再処理等に係る人材・技術等を

散逸させることなく最大限に活用することが不可欠であることを踏まえ、再処理等の現業を担う再処理事業者に対する使用済燃料再処理機構による管理・監督等に当たっては、適切な安全管理や民間企業の活力発揮を損なうことのないよう留意すること。また、従事者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。

 

九 我が国の核燃料サイクル政策の推進に責任を有する国は、その責任を果たすため、電力小売全面自由化により競争が進展し、また原子力依存度が低減していく中においても、認可法人が使用済燃料の再処理等を適正に実施できるよう、適切に関与すること。その際、我が国のエネルギー政策と整合して一体的に推進されるよう、認可法人に対し十分な指導監督を行うこと。

 

十 電力システム改革以降の競争の進展や原子力依存度の低減など新たな環境下においても、原子力事業者が、必要な人材・技術を維持しながら、今後国内において増加する廃炉の安全かつ確実な実施や新規制基準への対応、使用済燃料の処理、地球温暖化対策及び電力安定供給への貢献等の課題への適切な対処が可能となるよう、事業環境の整備について、今般の制度的対応を進めることと並行して検討を行い、必要な措置を講ずること。

特に、原子力損害賠償制度について、原子力損害賠償支援機構法附帯決議並びに改正電気事業法(第三弾)附帯決議等を踏まえ、電力小売全面自由化により小売事業者間競争が進展する中における国と事業者の責任分担や発災事業者とその他の原子力事業者との間の負担の在り方等を含め、速やかに検討を行い必要な措置を講ずること。

十一 過去に発生した使用済燃料の再処理等に要する費用については、再処理等の適正な実施が図られるよう検討し、その積算に係る具体的な考え方を明らかにするとともに、適時その検証を行うこと。

なお、原子力事業者における事業環境の変化等の個別事情も十分踏まえて、納付方法の変更等に可能な限り柔軟に対応すること。

また、経済産業大臣の認可を要する認可法人の設立にあたり必要となる事業計画書の記載事項については、使用済燃料の再処理等の実施及び拠出金の収納等の業務に関する事項のほか、財務に関する事項及び安全対策に関する事項を含めること。

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