経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。
一 特定生産性向上設備等の基準については、事業者の予見可能性を高める観点から、投資利益率や投資下限額等の詳細を速やかに明示するとともに、当該設備等に係る特定生産性向上設備等投資促進税制の執行状況を踏まえ、不断の見直しを行うこと。また、同税制については、投資収益性等の実績を把握した上で、その政策効果を事後的に検証し、国際社会の動向を踏まえ、他の税制その他の措置を含めた総合的な措置を講じることにより、国内への円滑かつ一層の投資が進められるよう、全力を尽くすこと。
同税制によって民間事業者の大胆な投資を効果的に促すため、戦略分野に関する政府の投資のロードマップの策定を進めるなど、事業者の予見可能性を高める最大限の努力をすること。あわせて、業種や分野を超えた幅広い事業者が、制度の活用を積極的に検討できる環境の整備を進めること。
同税制の投資利益率十五パーセント以上であることの確認は、基本的に提出時の投資計画によってなされることから、その計画が確実なものであるか、丁寧に手続を進めること。計画の確認後においても適時適切に事業の進捗状況を把握し、事業者が税制の趣旨に反して利益を得ることがないよう万全を期すこと。
二 新たに創設される国際経済事情激変事業適応及び事業費上昇事業適応の計画認定制度については、足元の中東情勢の影響及びそれに起因する原材料価格やエネルギーコストの動向も注視しつつ、実施指針を可能な限り早期に策定すること。
三 生活維持物品役務需要減等事業適応に関する指針の策定に当たっては、事業の効率化による採算性向上に資するものとなるよう考慮するとともに、同事業適応計画の実施状況を勘案し、不断の見直しを行うこと。また、同事業適応計画の認定及び支援措置の実施に当たっては、関係省庁及び地方公共団体において連携を強化するとともに、同事業適応に取り組もうと意欲を持つ事業者の申請が円滑に進められるよう、合理的な制度設計を目指すこと。あわせて、生活維持物品役務は、地域経済全体の持続的発展に不可欠であることなど、本法改正の趣旨を幅広く事業者に周知・広報し、制度の活用が広く行われるよう全力を尽くすこと。
四 承認地域経済牽引事業用工場等の緑地面積率等については、市町村において地域の実情を反映した準則条例が制定されるよう、その基準を速やかに策定及び公表すること。また、地方公共団体間の財政力の差により、産業用地の整備及び企業誘致への取組において格差が拡大することがないよう、適時適切な措置を検討すること。同時に、現時点における未活用の工業団地の用地の活用が更に図られるよう、必要な取組を進めること。
五 AI・デジタル市場の加速度的な拡大を見据え、住民との調和を前提に、国内におけるデータセンターの地域分散かつ集約的な設置を推進するため、本法の措置と併せ、関連インフラの整備等、投資の促進が図られるよう、政府として適切な措置を講じること。
六 日米政府の戦略的投資イニシアティブにおいては、貿易保険法等の国内法令と矛盾せず、また、投資案件に参画する国内企業にとって利益が見込める案件が選定されるよう日米政府で十分に協議を行うとともに、案件に対し、中小企業も含めた国内企業の参画が円滑に進むよう、国によるマッチングの推進等、必要な取組を行うこと。また、案件の資金調達における株式会社国際協力銀行による出融資額と株式会社日本貿易保険が保証する民間金融機関の融資額の割合については、多額の米ドルを持続的に調達する必要があることに鑑み、民間金融機関の過度な負担となることがないよう、案件の規模や性質等に応じて柔軟に設定すること。
長期にわたるプロジェクトの遂行に当たり、米国の政治情勢にかかわらず、日米の協議委員会の実質的な機能が維持されるよう、適切な対応を図るとともに、不測の事態による計画の遅延や費用の増大等があった場合は、事業の採算性や継続性などを改めて査定し、その結果に応じ、支援規模の縮小を含め、厳格な対応を行うこと。
七 株式会社日本貿易保険が行う特定引受業務に係る区分経理を適切に監督し、同社が適正な保険料の下でリスクを管理し、交付国債を超える追加的な財政負担が生じることがないよう万全を尽くすこと。

