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   特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案に対する附

帯決議

 

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 

一 利用者のニーズに合致したサービスの提供が何よりも重要であることを関係者は認識し、需要拡大に向けたあらゆる施策を講じることを念頭に、利用者の選択性を高めるための方策、最新のIT技術を活用したサービス提供、利用者利便の向上に資する情報提供、乗り場の整備等を、関係者の緊密な連携により推進すること。

 

二 タクシーが地域における公共交通機関として十分な機能を果たせるよう、運転者の労働条件の改善・向上、違法不適切な行為の排除等を効果的に進め、各地において迅速かつ有効な対策を講じること。そのために、特定地域については、その指定を適切に行うこと。

 

三 特定地域では、地域の需要に適合し、新規参入や増車による需要増が明らかに見込めるもの以外は、原則としてこれを認めないこと。また、特定地域に指定されなかった地域についても、特定特別監視地域への指定を検討する等供給過剰発生の未然防止に努めること。

 

四 協議会が策定する地域計画には、過度な運賃競争や労働条件改善・向上のための対策について記載されるよう基本方針に明記すること。

 

五 自主的、協調的な減車を促進する観点から、既存の補助制度の活用のほか、タクシー事業者及びその団体、関係地方公共団体等の関係者の要望を十分踏まえた支援制度の創設に努めること。

 

六 特定地域において協議会に参加しない事業者、減車等に協力しない事業者に対しては、タクシー事業の適正化、活性化を推進する観点から、その経営状況を十分に確認する等の措置を講じること。

 

七 タクシー事業の健全な競争を図るため、同一地域同一運賃の実現が必要との意見を踏まえつつ、適切な運賃制度及びその運用を検討し、必要な措置を講じること。

 

八 道路運送法第九条の三第二項第一号の読替特例措置が講じられた趣旨と経過を勘案し、今後策定される運賃のガイドラインにおいては、各地域の実情を踏まえ、タクシーの安全を確保するための適切な運賃水準が確保されるよう、自動認可運賃の幅を縮小するとともに、下限割れ運賃の審査を厳格化する措置を講じること。

 

九 下限割れ運賃を採用する事業者には、人件費、一般管理費、走行距離等、必要な指標につき定期的に報告を求め、その事業運営につき適切なチェックを行うこと。また、運賃割引による低額運賃についても、ガイドラインに基づき、下限割れ運賃と同様のチェックを行うこと。

 

十 今後、新規参入事業者については、まず幅運賃内で一定期間事業を実施させる等の措置を講じること。

 

十一 今後の運賃改定においては、幅運賃内の運賃であっても、その後の改定の結果、当該運賃が下限割れとなれば、その時点で一年の有効期限が付されるよう措置すること。

 

十二 公正取引委員会は、国土交通省が行う下限割れ運賃審査をはじめ、タクシー運賃の不当競争防止策について助言を行うなど、必要な連携協力を図ること。また、特定事業計画認定時の協調減車に関する両者の調整については、対策の必要性を十分認識し、迅速かつ適切に行うこと。

 

十三 違法不適切な事業運営の排除をはじめ、悪質事業者の排除を強力に進めるため、監査体制の大幅な増強を図ること。

 

十四 利用者の安全を確保する観点からも、労働条件の悪化を防止するとともに、違法不適切な事業運営を排除するため、労働関係法令違反に対する処分の強化を図るとともに、監査指導体制の強化のため、走行距離制限の導入地域の拡大、デジタルタコグラフの義務化等について検討すること。

 

十五 国土交通省及び厚生労働省は、タクシー事業における賃金システム等に関する懇談会などの議論に積極的に関与し、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系に再構築すべく努力すること。また、労使双方に対し、本法の趣旨を踏まえた真摯な対応を行うよう促すこと。

 

十六 特定地域におけるタクシー事業の適正化、活性化に対する地域の積極的な対応を促すため、地方公共団体への本法の趣旨の周知に努めること。

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