衆議院

メインへスキップ



建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

一  建築物エネルギー消費性能適合性判定が円滑に実施されるよう、判定方法をより合理的なものとすること。また、関係省令、告示等の制定から施行までに十分な期間を置いて、所管行政庁その他の関係機関、関係事業者等に対する制度の周知を徹底すること。

二  今後の適合義務の対象拡大については、予定される時期、範囲等を早期に明らかにした上で、審査等の執行体制の充実強化及び設計、施工、評価等を担う技術者の育成を促進するとともに、届出制度の的確な運用により、義務化に向けた適合率の向上を図ること。

三  戸建住宅を含めた小規模建築物の義務化に向けて、手続きの一層の簡素化等、建築側と審査側双方の負担軽減策を講じるとともに、中小工務店や大工等の技術力の向上に向けた支援を行うなど、制度の円滑な実施のための環境整備に万全を期すこと。併せて、地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物などの承継を可能とする仕組みを検討すること。

四  建築物エネルギー消費性能基準等は、新築におけるエネルギー消費性能の実態等を踏まえ、その向上に資する水準が維持されるよう定期的な見直しを行うこと。また、新技術の開発や低コスト化を促進するため、将来の基準強化の時期、内容等をあらかじめ明らかにすることについて検討すること。

五  建築物のエネルギー消費性能について、統一的かつわかりやすい表示の方法を早期に確立するとともに、建築物の広告等における性能の掲載や、売買、賃貸等の契約における性能の説明などの促進により、性能に優れた建築物が市場において適切に評価される環境を整備すること。併せて、建築物の設計者に対し、建築主へのエネルギー消費性能の適切な説明を促すこと。

六  国民に対して建築物のエネルギー消費性能の向上の必要性や効果をわかり易く説明し、本法施行への協力を求めること。特に、住宅の断熱性能の向上が、ヒートショックの防止など居住者の健康の維持や生活の質の向上に資することについて、実態調査を行いその結果を公表するとともに、国民の理解を深めるよう努めること。

七  住宅等の断熱性能の向上を図る上では、開口部における木製又は樹脂製のサッシの使用が有効であるため、その普及の促進に向けて、諸外国の例も参考にしつつ、同サッシの防耐火性能に係る技術開発や基準の合理化を検討すること。

八  既存建築物の省エネルギー改修を促進するため、支援制度の充実を図ること。特に、エネルギーコストの低減のメリットが所有者ではなく入居者に帰属することとなる賃貸住宅について、所有者に対するインセンティブの強化を検討すること。

九  国、地方公共団体等の公共建築物の新築、改修等にあたっては、建築物のエネルギー消費性能の向上を先導するものとなるよう、積極的な新技術の導入、再生可能エネルギーの活用等に努めること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.