一 これまで事故で多くの犠牲者が出ていることを踏まえ、安全の確保は旅客船事業を営む際の大前提であることを常に念頭に置き、事故を生じさせないため、規制当局として毅然とした姿勢を堅持し、たゆみない安全確保に努めるよう促すこと。
二 本法で強化された規制が実効性を伴うよう、関係者に対する適切な助言、監査を行うこと。また、日本小型船舶検査機構の検査の実効性が伴わなかったことが事故の要因の一つとなったことを踏まえ、同機構への監督強化や、国との情報共有を徹底し、同機構の検査の実効性を高めること。
三 事故被害者のご家族に対する支援については、ご家族が一日も早く再び平穏な生活を営むことができるようきめ細かく継続的に、単なる情報提供等にとどまらない、ご家族の要望を十分に踏まえた対応を行っていくよう努めること。
四 現行の救命設備の課題を解消できる新たな救命設備の開発と、その船舶への搭載を促進すること。特に、中小零細事業者が、費用の面から導入を躊躇してしまうことがないよう、早期搭載に向けた必要な支援を継続的に行うこと。
五 抜き打ちやリモートによる運航管理体制等の事業者への監査、及び違反点数の累計による適時適切な行政処分等の新たな規制を実効的に運用するため、地方運輸局等の体制を拡充すること。
六 安全統括管理者講習機関の登録、指定試験機関の指定に当たっては、公正で透明なプロセスによって行い、天下り等行政との不適切な関係を疑われぬようにすること。
七 世界単一市場である国際海運市場において、経済安全保障の観点から我が国商船隊が競争力を確保し続けられるよう、必要な財政や税制の支援措置を継続的に講じていくこと。