政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 港湾における脱炭素化の推進には船社等港湾の利用者による取組も極めて重要であることから、水素やアンモニアを動力源とする船舶の利用見込みやこれらによる脱炭素化の数値目標、効果についても指標として明確化するとともに、これらの船舶の早期実用化に向け必要となる技術開発への支援にも努めること。
二 港湾における脱炭素化の推進のため、地方港湾に対しても、港湾脱炭素化推進計画の策定を促すとともに、事業者が同計画に基づく港湾脱炭素化促進事業により取得する荷役機械に対する税制上の措置のみならず、同計画に伴って整備する港湾設備への補助等の予算措置について検討すること。あわせて、老朽化した港湾施設の更新、周辺道路の整備、航路の浚渫等、港湾管理に必要な事業に対する支援についても充実を図ること。
三 港湾脱炭素化推進計画の実効性確保の観点から、関係事業者の労使双方が港湾脱炭素化推進協議会の構成員として参画できるよう、港湾管理者に配慮を求めること。
四 感染症等のリスク発生時における港湾施設の管理代行が円滑に行われ、その機能が確実に維持されるよう、港湾管理者が要請を行うべき状況を事前に検討し、平常時から連携体制を確立する等十分に備えておくこと。
五 港湾の緑地等の再整備等における民間事業者の活用に当たっては、都市部から離れた港湾にあっても、魅力ある賑わい空間が創出できるよう、アクセス確保の在り方について検討すること。
六 港湾の緑地等の再整備における民間事業者の収益の充当に当たっては、同事業者の意見が十分に反映されるものとなるようにするとともに、認定された港湾環境整備計画以外の再整備等に関しては、民間事業者の収益を充当することがないよう、港湾管理者に配慮を求めること。