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宅地造成等規制法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 

一 宅地造成等工事規制区域及び特定盛土等規制区域の指定を円滑に進められるよう、基本方針、政省令等の案をできるだけ早く都道府県等に示すとともに、具体的な盛土計画がある地域を含め基礎調査の予備的な調査を施行日前に実施するよう促し、また、土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づく基礎調査の結果の活用を検討し、基礎調査の早期完了を目指すこと。さらに、これらに必要な財政的支援を検討するとともに、専門的知識を有する職員が不足する地方公共団体への技術的支援のため、地方整備局等に配置する担当職員の増員等、支援に係る体制の整備に努めること。

 

二 盛土等に伴う災害から生命及び財産を守るという目的の重要性に鑑み、想定外の災害が発生しないよう、盛土等に伴う災害のリスクがある区域については、関係行政機関の適切な連携により、的確に規制区域の指定がされるようにすること。規制区域の指定の際に、都道府県等が適切に業務を行うことができるよう、きめ細かなガイドラインの策定や地方公共団体に対する必要な助言等の支援に努めること。

 

三 本法により、地方公共団体は、規制区域の指定や行政代執行等、難しい判断が求められることから、負担の軽減を図るため、必要に応じ有識者等から意見を聴くよう促すこと。

 

四 都道府県は、市町村が有する地形、地質、盛土等に関する情報の共有を図る等市町村との連携を図るよう促すこと。また、工事主が許可の申請を行う際に必要となる説明会等において住民等から出された要望等を踏まえ、周辺環境に十分に配慮した工事が行われるよう取り組むこと。

 

五 盛土等による災害防止のため、規制区域内において、都道府県知事等による勧告、改善命令及び行政代執行が適時適切に実施されるよう、既存不適格である特定盛土等を含め、いかなる基準を満たせば対象となるのかをガイドライン等で明確に示すこと。また、行政代執行に係る必要な財政的支援を検討すること。

 

六 工事許可の技術的基準の策定に当たっては、現行の基準にとらわれることなく、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災等で起きた滑動崩落が起きないことを担保できる厳格な基準とすること。また、宅地造成のための盛土等、建設残土の一時保管のための盛土等、開発のための森林の形質の変更等多様な現場実態やリスクに見合った具体的な基準にすること。

 

七 都道府県知事等による不適切な盛土等の早期発見に資するため、都道府県知事等が地域住民、関係市町村長等から盛土等に関する情報の提供を得られやすい体制の整備を推進すること。また、警察による違法な盛土等の取締りの実効性を高めるため、体制の整備、関係機関との連携等を強化すること。

 

八 近年増加が懸念される所有者不明土地においても不適切な盛土等が発生しないよう、関係行政機関が連携し適切な措置を講じること。

 

九 建設残土の搬入及び搬出について、定期的に実態把握を行うとともに、建設発生土の工事間利用に係るマッチングを推進すること。また、公共工事や民間工事を問わず、可能な限り指定利用等を促すこと。さらに、必要な残土処分場の確保のため、行政による施設確保を含め残土処分場の適正な確保のための方策を検討すること。

 

十 工事主及び工事施行者が建設工事の施工に当たり、できるだけ建設発生土の発生を抑制するよう、設計・工法の改善や場内利用の促進を図ること。

 

十一 本法の今後の施行状況等を踏まえ、盛土等に関する工事に携わる優良な事業者が評価される仕組みについて検討すること。

 

十二 本法の今後の施行状況、関連する法令の運用状況等を踏まえ、本法の規制区域外における規制の在り方並びに大規模な工事から発生した土砂等の管理を適正に行うためのトレーサビリティ制度及び自然災害、大規模な工事等により発生した土砂等の置場が確保されるための具体的な方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を検討すること。

 

十三 不適切な盛土等による災害を防止するため、本法と砂防法、森林法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等関係法令を所管する関係府省庁との連携や調整を密に行うこと。また、主務大臣である国土交通大臣と農林水産大臣の権限と責任を明確にすること。

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