奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案 に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 奄美群島及び小笠原諸島における定住や移住の促進に資するため、医療・介護や住宅の確保といった生活環境の整備について具体的かつ充実した施策の実施に努めるとともに、両地域における交流人口の増大や物価格差の是正等のため、人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実について検討を加え、所要の措置の実現を図ること。
二 奄美群島及び小笠原諸島における子育て環境の格差解消に向け、特に奄美群島における子供の貧困について、特段の配慮を行うこと。また、両地域の子供が遠隔教育等を通じ、確実な学力を習得できるよう必要な支援に努めること。
三 奄美群島振興交付金制度は、主にソフト面での支援施策として、地域が主体的に施策を実施するためのものである趣旨に鑑み、沖縄との連携などについても積極的な活用が図られるよう配慮をすること。また、奄美群島における住環境や情報通信等インフラの整備に当たっては、沖縄振興に関する諸施策の状況を参考にし、調和ある発展が図られるよう留意すること。
四 奄美群島及び小笠原諸島は、自然環境面において極めて貴重な地域であることから、その振興開発に当たっては、自然環境の保護・保全に積極的に取り組むとともに、エコツーリズム等の自然環境の保護・保全と両立する持続的な観光振興が図られるよう配慮すること。
五 離島航空路線が住民の生活路線であること、他地域との交流の活発化に欠かせないインフラであること等に鑑み、地元の意見や自然環境との調和に十分配慮しつつ、本土と奄美群島間の航空運賃の軽減について必要な措置を講ずるとともに、小笠原諸島における航空路の開設を含め、必要となる取組に努めること。
六 奄美群島及び小笠原諸島は、台風の常襲地帯に位置するとともに、地震に伴う津波被害も想定されるなど、災害を被りやすい地理的及び自然的条件にあることから、台風に強い農林水産業の生産基盤の強化のため奄美群島振興交付金及び小笠原諸島振興開発補助金などの活用や、台風時の物資の確保など必要な防災減災対策を推進すること。
七 独立行政法人奄美群島振興開発基金の新たな業務については、専門人材の育成等に努め、業務が同基金の確実な収益基盤の拡大をもたらすように図るとともに、更なる業務改善のための機能強化についても検討を進めること。
八 奄美群島及び小笠原諸島は、島ごとに独立したエネルギー供給網を持つという特性をいかし、再生可能エネルギーを活用した独立した分散型エネルギー供給システムを構築できるよう必要な制度的財政的支援措置の検討を進めること。