船員法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 漁船員条約締約国が発給した資格証明書の受有者が特定漁船に乗り組むための特例の適用に当たっては、商船と漁船の区別なく、高度の技能を求める我が国の海技免許制度が航行の安全確保に大きく貢献していることを踏まえ、他の締約国における商船と漁船との海技資格の在り方の異同に留意し、航行の安全を損なうことにならないようにすること。
二 漁船員条約の締結に伴う各種講習の五年ごとの受講が漁船員及び船舶所有者に過度の負担をもたらすこととならないよう、受講料の軽減等を図るために必要な措置を講ずるとともに、受講者の利便のため、各登録講習機関の増加及び偏在の解消に努めること。
三 最短で令和八年一月に漁船員条約が国内で発効し、漁ろう操船講習に関する規定が施行されることを踏まえ、漁ろう操船講習の具体的な内容を早期に明らかにし、関係者に周知すること。
四 漁船員条約に係る国内法の運用に当たっては、同条約に定める安全の担保に配慮しつつ、日本船舶の深刻な船員不足に対応し、「労働力の流動性」を最重要事項として考慮する観点から、政府と労使とで意見交換を行った上で、主体的に運用の基本的な方向性を示すこと。
五 深刻な船員不足の解消へ向けて、働き方改革の推進及び働く環境の整備とともに、人材育成ルートの強化及び人材確保の間口の拡充並びに幼少期からの体験乗船等を通じた海に親しむ長期的な取組を強力に推進すること。また、企業・業界と連携し、一体となって取り組むこと。