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   生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 「住まい」は生活の基盤そのものであり、その確保に向けて入居時から入居中、退居時までの切れ目のない居住支援の体制を構築するため、住宅セーフティネット制度や居住支援法人との連携、空き家・公営住宅の活用も含め、居住支援に関する省庁横断的な施策の推進を図ること。また、生活困窮者居住支援事業の全国的な実施に向け、小規模自治体での広域実施の推進等、実施率の向上に資する効果的な支援策を講ずること。

二 本法による見直し後の生活困窮者住居確保給付金の支給状況を把握するとともに、生活困窮者等が安心して暮らせる居住保障のあり方について引き続き議論を継続すること。

三 子どもの貧困への対応として、子ども食堂等、学校や家庭以外の子どもの居場所の充実を図るとともに、重層的支援体制整備事業との連携を強化すること。また、教育行政やこども家庭庁の施策とも連携を図りつつ、被保護世帯の子どもの大学等への進学を促進するために必要な施策を行うこと。

四 生活困窮者自立相談支援事業の機能を強化するため、社会福祉士等、専門性を持つ専任職員を配置するとともに、地域の実情に応じた適切な人員体制が確保されるよう、良質な人材確保を促す補助体系に見直すなど、相談支援員の処遇改善による人材確保及び定着促進を図ること。また、相談支援員の研修の充実などスキルの向上や資格の取得を支援するための必要な措置を講ずること。

五 生活困窮者の早期支援につなげられるよう、支援会議等の設置を更に促進すること。その際、現場の業務負担に留意し、既存会議の活用等、効率的な運用の促進に努めること。

六 生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者家計改善支援事業の質の改善を図るとともに、自治体間格差を是正するため、好事例の横展開、未実施自治体への丁寧な支援などで平準化を図りつつ、両事業の全国的な実施を目指すための方策を検討すること。

七 生活困窮者就労準備支援事業における就労体験先への交通費負担を軽減する予算措置を実効的なものとすること。

八 支援対象者の社会参加や就労体験・訓練の場をより多く確保し、地域で支える体制を整備するため、認定就労訓練事業者の認定方法を工夫するとともに、事業者に対する優先発注、税制優遇、事業の立上げ支援等の経済的インセンティブの活用や支援ノウハウの提供など、受皿となる団体や企業が取り組みやすい環境を整備すること。

九 生活困窮者向けの就労準備支援事業、家計改善支援事業及び居住支援事業の全国的な実施等を図るための指針を策定するに当たっては、委託先となる法人の財政基盤の安定化及び相談支援員の処遇改善を図るため、地方自治体による委託先の選定において、複数年度契約の方法も採りうることや、経費の多寡のみで評価するのではなく、支援の質や実績、地域の実情への理解や関係機関との連携状況を総合的に評価すべきことを明記すること。

十 生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携強化に当たっては、被保護者が生活困窮者向けの事業に参加する場合でも、ケースワーカーと連携し、保護の実施機関が継続的に関与する仕組みとするとともに、現場の業務負担の増加により支援の質が低下しないよう、両制度の実施機関の適切な人員体制を確保すること。

十一 医療扶助の適正化を推進するとともに、地方自治体のガバナンス強化の観点から、被保護者の国民健康保険や後期高齢者医療制度への加入について検討を深めること。また、不正請求を行った医療機関の指定取消しを徹底すること。

十二 地方自治体における保護の実施体制については、その質及び量の両面において必ずしも十分とは言えないのが現状であることに鑑み、本法に定めた被保護者等に対する支援施策の確実な実施を図るため、地方交付税措置の更なる拡充を含む必要な措置を講ずるよう検討すること。

十三 社会福祉協議会における緊急事態対応の仕組みについて、平時から検討を行うこと。

十四 ひきこもりを対象としたいわゆる「引き出し屋」による被害防止のために必要な措置を講ずるとともに、当事者及びその家族に対して生活困窮者自立相談支援事業やひきこもり地域支援センターの周知、アウトリーチの強化を行うこと。

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