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   労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一 カスタマーハラスメント対策の実効性を担保するため、労働者が事業主に相談した場合に形式的でなく実効性のある対応が行われるような指針を策定すること。また、カスタマーハラスメントに関する業界団体のガイドライン策定等に当たっては、消費者、障害者等の利害関係者にも配慮するよう留意すること。

二 福祉事務所、病院等のサービスが途絶すると生存に影響が及ぶ施設等においては、その利用が途絶しない工夫を行いつつ、カスタマーハラスメント対策を講ずること。また、事業主が前述の施設等でのカスタマーハラスメント対策を講ずる際には、利用者に理解してもらえるように代理人の同席を認めることや弁明の機会を設けるなどの権利擁護の配慮を怠らないよう指導等を行うこと。

三 カスタマーハラスメント対策の強化のため、事業場において労働者と同一の場所において作業を行う労働者以外の作業従事者も含むカスタマーハラスメント対策の在り方について、本法の施行状況を踏まえ、必要な検討を行うこと。

四 他の事業主にカスタマーハラスメント対策の協力を求めた場合の他の事業主の対応について、協力を求めた事業主に調査を行うことにより、その実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。

五 地方自治体でのカスタマーハラスメント対策は住民の権利制限と表裏一体のため、制度設計に当たって総務省からの支援策を講ずること。また、国及び地方自治体でのカスタマーハラスメント対策について、本法の施行後一定期間が経過した後に実態調査を行い、実効性のある対策が取られているか等の運用面の確認等を行うこと。

六 措置義務の対象となるハラスメントに限らず、悪質なハラスメントは刑事罰等の対象となり得ることを踏まえ、都道府県労働局等が相談を受けた際は、真摯に対応すること。そのため、都道府県労働局等の相談支援の強化やハラスメントに関する紛争解決援助制度等の利用促進について検討を進めること。

七 性的指向や性自認(SOGI)の開示であるいわゆる「カミングアウト」を禁止する又は強要・強制する行為がパワーハラスメントに該当し得ること、顧客等から労働者に対するSOGIに関連するハラスメントがカスタマーハラスメントに該当し得ること及び就職活動中の学生に対するSOGIに関連するハラスメントの防止が必要であることをそれぞれ関連するハラスメント防止指針に明記し、もって広く事業主に周知啓発を行うこと。

八 パワーハラスメントを受けた労働者からの相談には適切に対応し、相談者の意向を丁寧に聴取しながら解決するよう事業主に周知徹底すること。

九 労働者の就業環境等を害する言動又は行為については、仕事の世界におけるハラスメントとして全て禁止することについて検討すること。また、我が国のハラスメント法制との整合性を精査した上で、ILO第百九十号条約の批准に向けて検討すること。特に、地方自治体の長及び議会の議員によるハラスメントの禁止に向けた地方自治体の取組を支援すること。

十 男女雇用機会均等法第七条に規定する間接差別の禁止の対象の拡充について、社会情勢の変化や国際機関の意見を踏まえつつ、機動的に検討を行うこと。

十一 女性の職業生活における活躍に関する情報公表について、女性管理職比率及び男女間賃金差異の定義を明確化するとともに、客観的に比較可能なものとなるような計算方法を示すこと。男女間賃金差異については、企業規模にかかわらず全ての企業への公表の義務化並びに男女間賃金差異が一定割合を超えている企業についてその原因分析及び是正計画の策定・公表の義務化を含め、実効的な対策を検討すること。また、公表項目の充実及びよりわかりやすい公表の在り方を検討すること。

十二 治療と仕事の両立支援を推進するため、新たに公表する指針の周知に努めるとともに、守秘義務に留意した上で、産業医と主治医の間における効果的な情報交換の在り方及び病気休職中の労働者からの相談窓口を明確にする等の職場復帰に向けた支援の在り方を検討すること。また、本法の施行状況を踏まえ、治療と仕事の両立支援の在り方について今後も検討すること。

十三 疾病などを抱える労働者が適切な治療を受けながら働き続けられる職場環境の整備を含めた事業主の取組を支援するとともに、治療と仕事の両立に資するよう、医療機関の待ち時間の短縮などの好事例を周知すること。また、小規模事業場で働く労働者を支援する観点から、産業保健総合支援センター等の産業保健活動総合支援事業による企業支援の強化に取り組むとともに、労働者からの相談に応じ、適切な対応をするために必要な体制整備の支援に取り組むこと。

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