障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 国及び地方公共団体における障害者活躍推進計画の作成に当たっては、障害者団体の参画を得て指針を策定するとともに、現に就労している障害者、地域の関係者等からの意見を踏まえつつ、その内容について、「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」を基準として、国及び地方公共団体における採用方法、採用後の労働環境等の実態の把握及び公表並びに実態を踏まえた改善策を当該計画に盛り込むこと。また、当該計画の実施に当たり、地方公共団体間で格差が生じないよう、各地方公共団体の財政状況や地域事情に応じて、計画実現のための必要な支援を検討すること。
二 国及び地方公共団体による障害者の大量採用の影響を受けて法定雇用率未達成となった民間企業については、その実態把握に努め必要な支援策を検討すること。
三 対象者の範囲を含む障害者雇用率制度の在り方及び助成金の支給を含む障害者雇用納付金制度の在り方について、障害者団体が参画する検討の場を設けること。その際、障害者雇用率制度の対象者の範囲については、障害者基本法及び障害者雇用促進法の障害者の定義を踏まえ、障害者手帳所持者以外も含めることを検討すること。
四 障害者雇用率制度において長期の雇用に対するインセンティブを付与することを検討する等、障害者の平均勤続年数の増加に向けた施策に取り組むこと。
五 除外率制度の廃止に向けて、労働政策審議会において遅滞なく検討すること。
六 在宅就業障害者支援制度について、民間企業を含む関係団体の意見を踏まえつつ、その充実に向けて取り組むこと。また、福祉的就労の場への仕事の発注に関して、民間企業等からの発注促進策について検討すること。
七 国、地方公共団体及び民間企業における障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供の実施状況について、その実態を幅広く把握し、個人情報の保護に留意しつつ公表すること。また、実態把握に当たっては、事業主だけでなく雇用されている障害者及び障害者団体からの意見や情報を十分に反映すること。
八 障害者が働くための人的支援など合理的配慮を含む環境整備に関する支援策の充実強化に向けて検討すること。また、職場介助者や手話通訳者の派遣等の人的支援に関し、現行制度上の年限の撤廃及び制度利用の促進について検討すること。
九 男女別の障害者の雇用状況等の実態把握を行い、障害のある女性の複合的困難に配慮したきめ細かい支援を講ずること。
十 労使、障害者団体等が参画して、雇用施策と福祉施策の一体的展開の推進を審議できる体制を速やかに整備し、制度の谷間で働く機会を得られない、又は必要な支援等がないために継続して働くことができない等の障害者の置かれた現状を解消するため、通勤に係る障害者への継続的な支援や、職場等における支援の在り方等の検討を開始すること。