著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 新たに二次使用料の支払いが必要となる利用者が多数かつ幅広く存在することを踏まえ、本改正の趣旨や内容等について、幅広く丁寧な説明、周知を行うこと。
二 政府においては、二次使用料の徴収が適正かつ円滑に実施されるよう、関係者間の調整に努めること。また、指定団体においては、二次使用料規程の作成等に当たって、権利者への対価還元の観点及び利用者の負担への配慮の観点に留意しつつ、利用者代表との協議に丁寧に対応すること。文化庁長官による裁定が行われた場合は、政府は判断の過程を明らかにすること。
三 飲食・小売業等の小規模店舗や公益的な活動に取り組む文化芸術・スポーツ団体等の負担軽減を図るため、店舗面積や収容人数等に応じた低廉な料金設定や、支払いの減額・免除、段階的な導入期間を設けるなど、実効性のある緩和措置を講ずること。また、利用者の事務負担を最小限に抑えるため、デジタル技術を活用してワンストップで手続きが完了するなど簡素なシステムを早急に実現すること。
四 政府は、二次使用料の徴収・分配を担う指定団体に対し、若手や個人で活動する実演家をはじめ、全ての実演家等へ迅速かつ正確に対価が還元される持続可能で公平な仕組みを構築するよう指導・監督すること。特にAI楽曲識別技術の導入等によるDX化や、相談窓口の設置など体制整備を促すこと。
五 現行においても、飲食店等において商業用レコードを用いて音を公に再生等する場合には、原則として、著作権等管理事業者に使用料を支払うことによりその利用が行われるべきであるにもかかわらず、適切に支払いが行われていない例もあることを踏まえ、「レコード演奏・伝達権」の創設を契機に、著作権者に対し確実に適切な対価を支払う必要があることに加えて、今後は実演家等に対しても適切な対価を支払う必要があることについて、商業用レコードを利用する事業者に対して周知徹底を図ること。また、「レコード演奏・伝達権」の二次使用料の徴収・分配について、実効性のある体制の構築に万全を期すこと。
六 音楽界において個人事業主の音楽家が増加している現状に鑑み、新設される権利が不当に囲い込まれないよう、関係省庁の連携によりフリーランスの保護や取引適正化に向けた支援・法執行体制を強化すること。
七 本制度の導入が、実演家等の正当な権利保護と処遇改善に資するとともに、海外との相互管理を通じた日本の音楽コンテンツの国際展開やデジタル赤字の解消につながるよう、世界各国の著作隣接権管理団体とのネットワークを速やかに構築し、海外で発生した使用料を確実に日本へ還流させる仕組みを確立すること。また、我が国の音楽をはじめとするコンテンツ文化の人材育成、製作、流通、海外展開の総合的な支援を一層強化し、これらにより、次世代アーティストの国内外での活躍を強力に後押しし日本のコンテンツ産業の興隆を図ること。

