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国立大学法人法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 

一 特定国立大学法人の指定については、恣意的な運用を防ぐため、理事の員数以外に、指標となる客観的・具体的基準を設定した上で、公正性・透明性を確保するため、その指定に至る過程を公開すること。

 

二 新設される運営方針会議について、学長選考・監察会議や経営協議会などの既存の組織との役割の違いを明確にし、現場に混乱を生じさせることなく、国立大学の競争力強化に資するガバナンス体制となるよう、制度の周知徹底を図ること。

 

三 運営方針会議の審議事項が、大学における教育・研究の内容や方法などのマイクロマネジメントにわたることがないように運用すること。また、教育・研究分野の改廃など組織の再編に関わる審議に当たっては、現場の教職員や学生等の意見を十分に反映させるよう努めること。

 

四 運営方針会議が国立大学法人の運営に関する重要事項を決定する権限を有する組織であることを踏まえ、運営方針委員の選任において、ジェンダーバランスを始めとする委員の構成の多様性に留意し、その選定過程の透明性・公正性が担保される選任の在り方について検討を行うこと。また、政府職員の新たな天下り先とならないよう留意すること。

 

五 運営方針委員の任命に係る文部科学大臣の承認に当たっては、これまでと同様大学の自治を尊重するための制度的担保の重要性に鑑み、当該国立大学法人からの申出に基づいた者について承認することとし、例えば、過去に政府の意に沿わない言動があった者等について、言論活動や思想信条を理由に恣意的に承認を拒否することのないよう、大学の自主性・自律性に十分に留意すること。万一、承認を拒否する場合には、その理由について丁寧に説明を行うよう努めること。

 

六 運営方針委員及び学長が忠実義務や損害賠償責任を負っていることの趣旨を周知すること。

 

七 長期借入金等の対象拡大及び土地等の貸付けの規制緩和については、大学の規模、立地、信用力の違いによって、国立大学法人間での資金面における格差が必要以上に広がることがないよう十分に留意すること。また、土地の貸付けについては、不適切な利用による土地の占有が長期化しないこと、大学における輸出管理体制を整備していることを文部科学大臣の認可の際に確認すること。

 

八 国立大学法人に特定、準特定、その他の大学等、新たな区分が創設されることによって、国立大学法人間の分断を生じさせないこと。

 

九 国立大学法人全体の自主性・自律性の更なる向上及び競争力強化を図る観点から、国立大学法人の運営に必要な財源の確保については、本法で措置されることとなる資金調達方法の拡大等のための規制緩和にとどまることなく、更なる収益力の強化に積極的に取り組むこと。また、大学等の教育機関への寄附を促進するため、寄附文化の醸成を図るとともに、税制の見直し等の環境整備を行うこと。

 

十 高等教育の果たす役割の重要性に鑑み、大学ファンドによる国際卓越研究大学に対する助成のみならず、基礎研究をおろそかにすることのないよう、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費が確実に措置されるとともに、競争的研究費を含む大学への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。

 

十一 国際卓越研究大学の目的である世界最高水準の研究大学の実現を図るため、明確な数値目標を設定するなど、我が国の大学における国際競争力強化及びイノベーション創出に向けたビジョンの明確化、可視化を図ること。

 

十二 我が国の研究力の強化を図る観点から、研究人材の育成を図る取組を促進すること。特に、研究人材の門戸を広げるため、高等学校段階において文系・理系の選択が迫られる現状を改善し、文理融合に向けた総合的な教育課程の編成の支援に努めること。

 

十三 地方創生の観点から大学の地域間格差を考慮することを前提に、世界的・地域的な課題解決や最先端研究、イノベーションが起こる多様な大学を支援し、高等教育全体の規模の適正化を図ること。

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